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1989-11-28 第116回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月二十八日(火曜日)     午後一時一分開議  出席委員    委員長 島村 宜伸君    理事 川崎 二郎君 理事 久間 章生君    理事 武部  勤君 理事 二階 俊博君    理事 新盛 辰雄君 理事 長田 武士君    理事 小渕 正義君       魚住 汎英君    岡島 正之君       加藤 六月君    亀井 静香君       亀井 善之君    鴻池 祥肇君       佐藤 敬夫君    斉藤斗志二君       関谷 勝嗣君    高橋 一郎君       二田 孝治君    緒方 克陽君       左近 正男君    戸田 菊雄君       吉原 米治君    浅井 美幸君       西中  清君    辻  第一君       中路 雅弘君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 江藤 隆美君  出席政府委員         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   大塚 秀夫君         運輸省貨物流通         局長      寺嶋  潔君  委員外出席者         大蔵省関税局輸         入課長     久米 重治君         通商産業省産業         政策局規模小         売店舗調整官  金子 和夫君         運輸省貨物流通         局審議官    土坂 泰敏君         労働省労働基準         局賃金時間部企         画室長     石川  透君         建設省建設経済         局民間宅地指導         室長      高橋 健文君         運輸委員会調査         室長      荒尾  正君     ───────────── 委員の異動 十一月二十八日  辞任         補欠選任   加藤 紘一君     二田 孝治君   増岡 博之君     斉藤斗志二君   村上  弘君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   斉藤斗志二君     増岡 博之君   二田 孝治君     加藤 紘一君   辻  第一君     村上  弘君     ───────────── 十一月二十四日  国鉄清算事業団職員雇用確保に関する陳情書外二十八件(第五三号)  第三セクター鉄道会社に対する特例補助の延長に関する陳情書外二件(第五四号)  内部障害者に対する鉄道運賃等割引制度の適用に関する陳情書外二件(第五五号)  常磐新線建設促進に関する陳情書(第五六号)  東北新幹線の建設促進に関する陳情書外一件(第五七号)  北陸新幹線整備促進に関する陳情書(第五八号)  四国への新幹線鉄道導入に関する陳情書外一件(第五九号)  九州新幹線鹿児島ルート早期本格着工に関する陳情書外一件(第六〇号)  高速鉄道網整備促進に関する陳情書(第六一号)  奥羽本線の完全複線化促進に関する陳情書(第六二号)  日豊本線の複線化等に関する陳情書(第六三号)  近鉄奈良線大阪線連続立体交差早期実現に関する陳情書(第六四号)  八戸線軌道改良強化等に関する陳情書(第六五号)  気仙沼線整備促進に関する陳情書(第六六号)  山田線・大船渡線の整備強化に関する陳情書(第六七号)  地方バス路線維持費補助制度の存続に関する陳情書外一件(第六八号)  重要港湾整備促進に関する陳情書(第六九号)  大阪国際空港廃止に関する陳情書(第七〇号)  九州内におけるコミューター航空推進に関する陳情書(第七一号)  離島空路に対する財政援助の創設に関する陳情書外一件(第七二号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  貨物運送取扱事業法案内閣提出、第百十四回国会閣法第七四号)  貨物自動車運送事業法案内閣提出、第百十四回国会閣法第七五号)      ────◇─────
  2. 島村宜伸

    島村委員長 これより会議を開きます。  第百十四回国会内閣提出貨物運送取扱事業法案及び貨物自動車運送事業法案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸田菊雄君。
  3. 戸田菊雄

    戸田委員 提案の二法案に対して質問してまいりたいと思います。  第一に、本案の「目的」において「貨物自動車運送事業運営を適正かつ合理的なものとする」ということになっております。今日のトラック運送事業の実態を見るときに、公正競争確保輸送秩序確立輸送安全確保等々の観点が不可欠であると思いますが、本法の目的についてどのようなお考えを持っておりますか。まずお聞かせを 願いたい。
  4. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 お答えいたします。  トラック運送事業の適正な運営を図る上で、公正競争確保輸送秩序確立輸送の安全の確保のための措置が重要であることは御指摘のとおりでございます。このために、本法案におきましては、緊急調整措置運賃料金変更命令等不当な競争を排除する措置適正化事業実施機関の指定、荷主勧告等輸送秩序確立を促す手段、そして参入許可基準運行管理者への試験制度導入等輸送の安全の確保充実強化する措置を講じているところでございます。  しかしながら、本法案貨物自動車運送事業運営に関する規制を専らその規定内容とする道路運送法特別法であり、例えば自家用自動車使用に関する規制等貨物自動車運送に関する規定道路運送法になお存置しているところでございます。このために、附則第十四条の規定によりまして、現行道路運送法目的を改め、道路運送法目的に本法案の対象となる分野が含まれるように手当てした上で本法案目的において重ねて規定しないということにしたものでございます。
  5. 戸田菊雄

    戸田委員 ぜひ見解のように対処してもらいたいと思います。  それからまた、法案附則第十四条、道路運送法目的改正との関連はどういうふうにお考えになっていますか。
  6. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 附則第十四条で、従来の道路運送法目的とともに貨物自動車運送事業法目的トラック事業法にかかるように規定をしておるわけでございまして、したがいまして、結果としまして道路運送法目的と、それから新しい貨物自動車運送事業法目的がともに貨物自動車運送事業法目的としてかかってくる、こういうことになります。
  7. 戸田菊雄

    戸田委員 貨物自動車運送事業競争相手として自家用トラックによる貨物運送がありますが、これらに対する規制本案における措置との関係はどのように考えられておりましょう。  それからもう一つは、運輸政策審議会の答申において、九九%を占める中小事業者が円滑かつ安定的に事業を行うことができるよう十分留意すること等々になっておりますが、本案においてどのように配慮されておりますか。
  8. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 第一にお尋ね自家用自動車使用に関する規制でございますが、これは、事業用自動車との間におけるいわゆる営自秩序確立し、自家用自動車使用適正化を図ることを目的とする現行道路運送法において一つの柱をなす重要なものとして位置づけられているところであり、貨物自動車運送事業規制が見直されても、自家用に関する規制は何ら変更なく存置されるものでございます。  なお、自家用自動車は、貨物旅客いずれの運送にも使用する性格のものでございますので、貨物用旅客用に区分して規制することは合理的でないということから、本法案による改正後の道路運送法におきまして、有償運送許可でありますとか共同使用許可等従前規制内容をそのまま残しておるところでございます。自家用自動車による営業類似行為につきましては、道路運送法により従前どおり規制が加えられることになっております。  それから第二の点でございますが、中小企業対策、これは御指摘のようにトラック事業の九九%を占める中小企業者がございますので、これら中小企業者環境変化適確に対応して、円滑かつ安定的に事業が行えますように十分留意する必要がございます。  そこで、この法案におきましては、以上のことを踏まえまして、著しい過当競争状況になった場合の緊急調整措置運賃に対する変更命令区域事業者に積み合わせを認める、あるいは違法行為を強要する荷主に対する勧告制度を設けるというようなことで配慮をしておるものでございます。  なお、中小企業対策としては、これらの事業規制だけでは十分でございませんので、運輸省といたしまして、中小企業構造改善事業の着実な推進等中小企業者近代化を強力に推進していくこととしたいと思っております。
  9. 戸田菊雄

    戸田委員 参入規制等の問題について二点ほどお伺いをしておきます。  第一点は、法案第六条において、許可基準として四点を挙げておるようでありますが、これらについては統一性透明性確保する必要があると思います。具体的な審査項目としてどのような基準考えておられますか。また、その内容については命令で定めるべきと考えますが、どうでしょうか。  もう一点は、適確事業者参入と、参入後の不適当な事業活動防止するために事業者資格有効期間制更新制導入を求めてきたのに対し、これを不可能と主張しておりますが、それにかかわる具体的な措置をどのように考えられておりますか。二点についてひとつ御見解を聞かせていただきたいと思います。
  10. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 第一点の、第六条の事業許可基準でございますが、これにつきまして、第六条・の第一号に規定します過労運転防止その他輸送の安全の確保に十分な体制が整っているかどうかという基準でございますが、具体的には、仮眠休憩施設整備運行管理者選任運転者確保、車庫の整備等状況をチェックすることにいたしております。  それから第二号、事業の遂行上適切な計画を有するか否かという点でございますが、主として利用者利便確保する上で十分な体制が整っているかどうかという基準でございます。具体的には、各事業用施設の位置、規模営業区域の範囲、事業収支見通し等をチェックすることにしております。  それから第三号、申請者がみずから適確事業を遂行していける能力があるかどうかという点でございますが、具体的な審査項目としましては、法令遵守等に関する資質、財産的な基礎等をチェックいたします。  それから第四号、特別積み合わせ貨物運送を行う場合における上乗せ基準でございますが、貨物の紛失、滅失等防止観点から、事業場の積みおろし施設能力貨物の追跡、管理方法等について審査を行う予定でございます。  この参入基準につきましては、申請者があらかじめこれを知り、地域による不合理な差異が生じないようにできるだけ具体的な基準として明らかにする必要があると思っております。形式につきましては、地域に応じた合理的な改定を行い得るものであることが必要でございますので、運輸大臣からの基本通達、それからこれに基づきます地方運輸局の公示というのが適切な形式だと思っておりまして、命令とすることは必ずしも適切であるとは考えておりません。  それから第二点でございますが、不適格な事業者参入防止するための有効期間制の御提案でございますが、不適格な事業者参入につきましては、第五条に定めてあります欠格事由に該当するかどうか、そして第六条の各号に定めます許可基準に適合するかどうかまず審査を厳重に行うことで、入り口のところでチェックをいたします。  それから、許可を受けてしまった事業者参入後の違法活動、これが先生御指摘の点だと思いますが、適正化事業実施機関の活用を図るとともに計画的かつ着実な監査を実施することにより、違法活動の摘発、監視体制充実強化し、あわせて、確認された違法行為に対しましては許可取り消し処分を含めて厳正かつ機動的に行政処分を行っていきたい、こう思っております。
  11. 戸田菊雄

    戸田委員 運賃料金規制等の問題について二点ほど質問をしておきたいと思います。  その第一は、法案第十一条第二項において運賃料金変更命令について規定しておりますが、三点挙げている該当事項具体的認定基準を明確に定める必要があると思いますが、その内容規定方法をどのように考えておりますか、これが第一点。  第二点は、標準運賃設定についての基本的考え方具体的設定要件は何ですか、お聞かせくだ さい。
  12. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 第一点の法第十一条第二項におきます運賃変更命令の具体的な認定基準でございますが、まず第十一条第二項第一号の適正原価適正利潤超過基準につきましては、利用者による適正な負担確保するために、当該事業者の全事業収入適正コスト及び適正利潤を超える不当に高い超過利潤を得ることを防止するものでございます。  第二号の不当な差別的取扱い基準は、公益性の高い輸送サービスの享受を容易化するため、特定の大口荷主長距離輸送利用者だけを不当に割安にしたり、一見客や近距離輸送利用者に不当に割高となるような運賃設定防止するものでございます。  また、第三号の不当競争基準につきましては、事業者間の健全で公正な競争確保するために、同種のサービスを提供する他者との関係において不当に安いものとなる運賃設定防止するものでございます。  お尋ねのこれらの基準の具体的な使用につきましては、その時点及びその地域におきます適正原価基礎としまして適切に設定して、事業者が広く了知し得るような基本通達を公表するということでこの措置を講じてまいりたいと思っております。  それから第二点の、標準運賃設定についての考え方でございますが、運賃につきましては、今回、従来の認可制事前届け出制に改めることといたしますけれども、過剰利潤を生ずる運賃不当差別となる運賃不当競争となる運賃等をただいま申し上げたとおり変更命令により是正し得る仕組みになっております。しかし、供給輸送力不足状態あるいは人件費燃料費等の物価の高騰などから、事業者運賃が異常に高騰するおそれがある地域または地域間におきまして、運送原価に適正な利潤を加えた水準以上の高い運賃使用した事業活動を招きやすい状態になりますので、その動向を制限する必要がございます。  また一方、供給力の過剰、供給が多過ぎて事業者運賃が下落するというおそれがある地域または地域間におきまして、今度は運送原価を割る運賃などを使用した事業活動を招きやすいということもございます。その下支えを図る必要がございます。  新法によります標準運賃設定は、このような経済情勢の著しい変動が生じた場合の事態を念頭に置いて、運輸大臣があらかじめ標準的な水準を示すことによりまして、個々に変更命令を頻繁に出す、あるいは広範囲に発動するということがないように未然に防止する、それによって公衆の利便確保するとともに事業の健全な運営を図るという見地から設けたものでございまして、必ずしも常時設定するというような性格ではございません。  これらの要件の具体的な基準につきましては、運賃及び料金を構成する諸原価の推移あるいは届け出運賃遵守状況利用者からの苦情などを総合的に判断しまして、適切な運用を図ってまいりたいと思っております。
  13. 戸田菊雄

    戸田委員 港湾関係当該事項については後で触れたいと思います。前段の内容についてはわかりました。  それでは安全の問題等について若干質問しておきたいのでありますが、一つは、法案の第十七条第一項、第二項、第三項に規定する事業者遵守事項について、その具体的内容規制方法、これをどのように考えておるか、お聞かせを願いたいと思います。
  14. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 法案の第十七条第一項によりまして事業者が遵守すべき事項としましては、法律に例示してございますように、事業活動内容及び量に応じた運転者及び従業員確保並びに仮眠休憩施設整備等は当然のことでございますが、そのほかに重要な事項としましては、過労運転防止に十分配慮した乗務時間、勤務時間などを定めることが挙げられると思います。  それから第十七条第二項によりまして事業者が遵守すべき事項としましては、法律に例示がございますように、過積載運転につながる悪質な事業活動禁止は当然でございますが、そのほかに過積載運転を容認するような事業者行為禁止などが挙げられます。  それから第十七条第三項につきましては、現行自動車運送事業等運輸規則、省令でございますが、これに規定されているものを基礎充実を図っていきたいと思っておりますが、過労運転及び過積載防止以外の具体的な事項としましては、運行記録作成、事故時の措置乗務記録作成事業用自動車点検整備などが挙げられます。  ただいま申し上げましたような遵守事項につきましては、運輸省令規定する予定としております。
  15. 戸田菊雄

    戸田委員 労働省来ておられると思いますが、若干労働時間のことについてお伺いします。  労働省発刊の「産業別年間総実労働時間数及び年間出勤日数」、これが事業所ごとにずっとありますが、運輸業等々についてどのような状況になっているでしょうかね。
  16. 石川透

    石川説明員 運輸通信業におきます年間総実労働時間について御説明申し上げます。  労働省の調査しております毎月勤労統計調査によりますと、昭和六十三年の運輸通信業年間総実労働時間は二千二百七十九時間というふうになっております。そのうち所定内労働時間は千九百九十七時間、所定外労働時間は二百八十二時間でございます。これを調査産業計と比べますと、総実労働時間で百六十八時間長くなっておりまして、また出勤日数につきましては二百六十五日ということで、調査産業計に比べまして三日長くなっております。
  17. 戸田菊雄

    戸田委員 今のこの時間数ですか、ちょっと違うようなんですが。  これは六十二年度の、前に労働省からいただいておったのですが、二千三百四十八時間ではないでしょうか。
  18. 石川透

    石川説明員 運輸通信業につきましては、今申し上げたとおりでございます。  通信業ではなく運輸業について見ました場合、六十三年、二千三百七十七時間というふうになっております。
  19. 戸田菊雄

    戸田委員 極めて条件が劣悪で長時間労働だ。三百六十五日というのですから年間休みなしなんですね。こういう全く過酷な状況です。ことしの二月以降、金融関係機関は、これは政府や全銀協の協議もありまして、それで週休二日制、土曜閉庁、これを実行したわけですね。ですから労働省も、でき得れば二年後、四十時間体制世界各国の共通時間である千八百時間まで下げていこう、こういう状況でありますから、これは具体的に、今後の見通し、そういう週休二日体制をやっているのですから、そういうものに合わせて短縮というものをやっていく必要があると思うのですが、これは大臣、どうでしょうね。
  20. 江藤隆美

    江藤国務大臣 最近こうした運輸業に携わる従業員が九十万人も不足しておるということは、言われますようにやはり職場が汚い、それから労働が非常にきつい、それから危険が伴う、こういうことがあるわけでありまして、なかんずく御指摘のように、労働時間が極めて長いということは、今後若手の働き手がこの業界に参入する道を著しく閉ざしておる、そういうことを私ども考えまして、単なる許認可のいわゆる運用だけではなくて、今後この業に携わる者は、そうした安全と労働条件の緩和、これを世間様並みに守るように社会的な一つ規制を加えてこの法案をつくろう、こういうことで御審議をお願い申し上げておるところでございます。
  21. 戸田菊雄

    戸田委員 ぜひ早急に対処していただきたいと思います。  そういう状況でありますので、次に、輸送の安全を確保するために積載重量及び運転者勤務時間を正確に把握するための車両機器装着並びに当該運送指示責任を明確にする輸送状の携行について規定するよう求めておりますが、どのように処置いたす考えですか。
  22. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 運輸省といたしましても、積載重量及び運転時間を客観的かつ正確に把握し得る車両機器装備が過積載及び過労運転防止に役立つものであると認識しております。  ただ、現在開発されております機器は、精度とか経費等に問題がありまして、直ちに装着の義務づけを図ることは困難であると考えております。このために信頼性が高く容易に装着し得る車両機器開発、普及に努め、関係者のコンセンサスの形成等装着義務化に向けまして環境整備を図ってまいりたいと思っております。
  23. 戸田菊雄

    戸田委員 これは、いうところの機器装着をする、こういうことを含めて検討なされているのですか。
  24. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 ただいま申し上げましたように、環境整備されれば将来的に装備義務化が図られ得るわけでございまして、そのような方向に向けて研究開発あるいはコストダウンということの推進を図ってまいりたいと思っております。
  25. 戸田菊雄

    戸田委員 現行装着に着手でき得ないというのは、最大の原因は何でしょう、コストですか。
  26. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 自重計につきましては、その信頼性でございます。まだ技術的に十分信頼するほど精度が高くない。それから運転者ごとカード式乗務記録計につきましては、タクシーの場合と異なりまして、トラックの場合にはかなりコストがかかるということで、これを直ちに義務づけるということは、特に中小企業者にとって負担が大きいという状況にございます。
  27. 戸田菊雄

    戸田委員 項目が多くて時間がなくなってまいりますので、一括質問をしておきたいと思います。  次に、この輸送の安全を確保するために、輸送の安全に関する是正命令規定事業改善命令規定及び許可取り消し等処分規定とを連動させ、機動的かつ厳格に運用されねば実効を上げ得ないと考えますが、どうですか。これが一点。  それから第二点は、輸送の安全を確保するためには、関係行政機関相互協力が不可欠であり、相互通報制度効果的運用と、過積載防止対策連絡会議並びに過労運転防止連絡会議での対策充実強化など関係省庁連携充実を図る措置が講ぜられるべきと思いますが、いかがでしょう。この二点について。
  28. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 第一点の輸送の安全を確保するための是正命令規定に関してでございますが、輸送の安全の確保につきましては、その実効を高めることが重要な課題であることは当然認識をしております。その輸送の安全が確保されていない場合における御指摘の二十三条の命令につきましては、厳正かつ機動的に運用して、これに従わない事業者につきましては、許可取り消し等の厳正な行政処分を行う必要があると考えております。  また第二十六条の事業改善命令の方でございますが、これにつきましても、社会経済状況変化に対応して適時適切に運用すべきものと考えておりまして、これに従わない事業者につきましても、輸送安全確保命令と同様に、厳正な行政処分を行ってまいりたいと思っております。  それから安全確保のための関係行政機関の間の相互協力でございますが、御指摘のとおり、極めて重要なことだと思っております。トラック事業者輸送活動に関しましては、この法案に定める規制のほかに、道路交通法でありますとか労働基準法等多様な安全規制が加えられておるところでございまして、安全確保の実を高めるためには、これらの法の所管官庁との間で相互協力が不可欠であると認識しております。  そこで、従来実施しております労働省との間の相互通報制度、それから過積載防止対策連絡会議、これには警察、農水省、通産省、建設省運輸省総務庁が入っておりますが、これでございますとか、過労運転防止連絡会議、これは警察庁、労働省建設省運輸省総務庁が入っておりますが、これらの会議を活用してその促進を図りますとともに、必要に応じて新たな関係省庁との連携充実も図るように考えていきたいと思っております。
  29. 戸田菊雄

    戸田委員 次は、事業適正化等について四点ほどお伺いをしておきたいと思います。  時間がありませんから一括質問して一括回答をいただきたいと思うわけであります。  第一は、荷主への勧告規定を設けた目的並びにその発動要件と具体的認定方法はどのように考えておられますか。  第二は、運賃の適正収受ができないために過積戦や過労運転等、輸送の安全が確保されない状況があることを考慮した場合、利用運送事業者を含む荷主との公正な取引関係が担保されなければならないと思いますが、どのように措置いたしますか。  第三点、貨物自動車運送適正化事業実施機関として指定する法人は、中立公正な立場で法の目的に沿って適確にその事業が遂行されなければならないが、実施機関として規定する法人に関する基本的考え方はいかがでしょうか。  第四点、運賃収受に関して、事業者届け出運賃を遵守せず、ダンピングがなされた場合、その処分は第十一条第二項による変更命令の対象となり、それに違反したとき第七十六条の罰則適用となるものと理解してよいですか。また、荷主側から強要がなされた場合、第六十四条により、当該違反行為荷主行為に起因するものとして勧告の対象となると理解してよいですか。  以上、四点について御回答願いたいと思います。
  30. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 取りまとめお答えいたします。  第一に荷主への勧告規定でございますが、従来、荷主に対する行政としまして都道府県トラック協会に対しまして荷主の理解を得るための荷主懇談会の開催等を指導しているところでございますが、六十一年十二月の公正取引委員会の調査によりますと、荷主の強制によりまして過労運転、過積載等の違反行為を余儀なくされている実態が明らかになっております。したがって、貨物自動車運送事業者等に対する規制あるいは行政処分のみならず、荷主からの不当な要求を受けやすい環境を改善する施策が必要であると考えた次第でございます。  このために、違法行為を強要するような荷主に対しまして事態の改善に必要な措置をとるべきことを運輸大臣が勧告できるという新しい制度を本法案に盛り込み、事業規制の遵守の実効性を高めるように手当てしたものでございます。  この勧告規定の発動要件でございますが、運輸大臣としまして、その勧告の社会的影響を考慮しまして、できるだけ客観的かつ慎重に調査する必要があると思っております。具体的には、当該違反行為を行った事業者などから聴取した情報でありますとか運送契約書、運送依頼書などの証拠に加えまして、対象となる荷主と取引関係にある別のトラック事業者等の関係者から徴収した情報などを基礎にしまして、荷主の指示または違反行為を引き起こすような行為の有無につきまして認定することを考えております。また、トラック事業者に対する命令または処分のみでは当該違反行為の再発を防止することができないと認めるときには、荷主の指示行為は明らかではないものの、当該荷主と取引関係にありますトラック事業者がことごとく大臣命令とか処分の対象になるような事態というのが典型的な例として考えられます。  それから、運賃の適正収受ができないために過労運転、過積載等の輸送の安全が確保されない状況がある場合に、利用運送事業者を含む荷主トラック事業者との公正な取引関係をどうやって担保するか、こういう第二点でございますが、運賃の適正収受が過積載とか過労運転等の防止にとりまして重要な役割を果たすことは御指摘のとおりだと思います。そこで、この法案に基づきまして、トラック事業者が届け出た運賃以外の不当に廉価な運賃によることを強要するような荷主に対しましては、荷主勧告等の規定の厳正かつ機動的な運用を通じてその適正化を図っていきたいと思っております。この場合の勧告の対象となります荷主には利用運送事業者が含まれることは当然の ことでございます。  それから三番目に、貨物自動車運送適正化事業実施機関でございますが、この適正化実施機関は、趣旨としまして民間の自主性に基づいて実施されるというものでありまして、国はこれを行う民間法人を指定してその後押しを図るという性格のものでございますので、適正化事業が公正に行われる必要があるのは御指摘のとおりであって、そのために民間団体の指定要件として公益法人に限定することにいたしました。さらに、本法案によりまして指定の取り消しとか改善命令等の監督規定も設けているところでございます。  適正化事業の実施体制につきましては、現在既に輸送秩序確立のための事業を社団法人全日本トラック協会等がやっておりまして、その実績とか意欲を十分に尊重していく必要があると思っております。なお、トラック協会が指定を受けます場合でも、適正化事業が公正かつ着実に実施されるようにトラック協会に対する指導監督の徹底を図ることは当然のことでございまして、実施体制につきましては進捗状況を見て引き続き検討をしてまいりたいと思っております。  それから最後になりますが、運賃収受に関しましてトラック事業者届け出運賃を守らないでダンピングをした場合の処分でございますが、そのような場合には、既に事業者自身が届け出た運賃と異なる運賃を用いて事業を行うということになりますので、その違う運賃を新たに届け出る必要があります。これがもし不当な競争を引き起こすようなものでございます場合には、第十一条第二項による変更命令の対象になります。また、届け出た運賃と異なる運賃事業活動を行う場合には、第七十六条第三号の規定によりまして罰則がかかります。それから、変更命令に従わない場合には、第七十六条第一号の方の規定による罰則がかかることになります。
  31. 戸田菊雄

    戸田委員 港湾関係について四点ほどお伺いします。  その第一点は、貨物運送取扱事業と港湾運送事業法の除外の明記化についてでありますが、第二条第一項の定義では、港湾運送事業は実運送ではないことを理由に対象外ということになっているわけでありますが、第二条十項の規定ですと「港湾運送事業」「を除く。」と、この点明記されているのですね。ですから、第二条の定義の中にこれもはっきりと挿入していいのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  32. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 御指摘のように貨物運送取扱事業法の対象に港湾運送事業法がなっていないということは法律上明確になっておることでございます。第二条の十項のところをお挙げになりましたが、これは第二条の十項で貨物運送の取次ぎの規定を置いているわけでございますけれども、貨物の取次ぎと受取を取次ぎの定義の中に決めておるわけでございます。その受取という行為が実は港湾運送では荷主または船社から貨物を受取るという行為をするという点とちょうどダブってまいりますので、このままにしておきますと港湾運送の一部が入るやに思われるおそれがあります。  そこでその点を、入らないと、港湾運送事業は本法の対象にならないわけでございますからそこを首尾一貫して明確にするために、この二条の十項というのは括弧書きで港湾運送事業関係がないということを明示したものでございます。したがいまして、そういう両方の意味でこの法律については港湾運送事業が対象になっていないことは明確になっておるというふうに考えております。
  33. 戸田菊雄

    戸田委員 これはどこにもないのですね、ですから非常に不安を感じているのです。どこかこの法律で見えるように、附則でもいいだろうと思うし、挿入について何かそういったものを検討できませんか。
  34. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 法文、法律の技術的な見地からいたしますと、先生の仰せのことは大変難しいことで、はっきり申し上げて無理であろうと思います。ただ、港湾運送事業が本法に関係がない、港湾運送事業については従来の秩序どおり、何ら今回は関係がないということを本法の成立を機に十分周知徹底を図っていくということはできると思います。
  35. 戸田菊雄

    戸田委員 周知徹底はちょっとまずいのですね。やはり法文上明確に、例えば今御指摘になっているように、法文作成上どうもうまくないということであるならば、附則とか何かというところでそれを挿入して、そして明文化するということはできませんか。
  36. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 重ねてのお尋ねでありますが、まことに恐縮でございますけれども、やはり本法で港湾運送事業を一切対象にしておりませんので、本法の附則で港湾運送事業法をいじるということも、これは法律技術上は非常に難しいと思います。重ね重ね申しわけございませんけれども、技術的には大変難しいことでございます。
  37. 戸田菊雄

    戸田委員 十項では明確に、これは運賃関係ですが、除外することがはっきりしているのですね。定義の部面で、実運送業の定義の中でそれを除外するというのですから、今言われたようなことを、何項何がしは除外をいたします、こういうことをできないのですか。どういう支障があるのですか。
  38. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 繰り返し御答弁申し上げておりますとおり、この第二条の定義規定、ここで実運送と利用運送というのは極めて明確に定義をされております。「「実運送」とは、船舶運航事業者、航空運送事業者、鉄道運送事業者又は貨物自動車運送事業者の行う貨物運送をいい、「利用運送」とは、運送事業者の行う運送(実運送に係るものに限る。)を利用してする貨物運送をいう。」こう言っておりますから、実運送として列挙されております四つの種類の輸送機関だけが利用運送の対象となる運送でありまして、それ以外のものはこの定義から外れておるということはどういうふうに読みましても明らかでございますので、ここでこれだけはっきりしている以上、重ねて別に除外規定を設けるということは、法制的見地からしますと極めて困難と言わざるを得ないと思います。
  39. 戸田菊雄

    戸田委員 第二条の定義はどういうふうになっているのですか。
  40. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 ただいまほぼ全文を読み上げたとおりでございまして、第二条第一項というのは実運送と利用運送の定義をしております。実運送というのは、船舶、航空、鉄道、自動車の四つの輸送機関を用いて行う貨物運送でございまして、利用運送というのは「運送事業者の行う運送(実運送に係るものに限る。)」こう書いてありますので、今申し上げた実運送であるところの四つの輸送手段が利用運送の対象となる。したがって、それ以外の輸送あるいは港湾運送のようなものはこの利用運送の定義からは完全に外れております。ここは全く誤解の余地がないところだと思います。
  41. 戸田菊雄

    戸田委員 今までのやりとりもちょっと拝聴させていただきましたが、本文で本法に入れかねるというなら港湾事業法、個別事業法、この中で改正その他でもって明確化することはできませんか。
  42. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 取扱事業法の適用対象に港湾運送事業がなるかならないかという問題でありますれば、やはり取扱事業法で解釈なり定義をはっきりさせるべき問題でございまして、その点が、繰り返し申し上げているように、除外されているということが法律上明確になっておるということであろうと思います。
  43. 戸田菊雄

    戸田委員 これは問題がありますから保留で後回しにします、時間を切ってしまうとあと触れられませんから。  第九条の運賃規定について、利用運送事業の届け出料金の中で港湾運送料金は除いておりますね。港湾運送事業の認可料金、これを遵守するための何か具体的な手だて、そういうものを講じる必要があると思うのですが、この点はどういう見解を持っていますか。
  44. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 この取扱業法は港湾運送事業を一切対象にしておりません。したがいまして、複合一貫輸送なりなんなりで港湾運送事業を使う場合には、従来の港湾運送事業の秩序の中で、それの 範囲内でしかやれないということになります。したがって、港湾運送事業運賃料金をどう守っていくかというのは、現在のその港湾運送事業の秩序の問題として認可料金という格好できちっと決められておりますので、それをしっかりやっていくということになるのだと思います。
  45. 戸田菊雄

    戸田委員 今現状は、運賃料金等のダンピングが実際やられているのですね。港湾関係というと約五〇%というのですから、これは大変なことなんですね。そういう面で、非常に九条の運賃その他についての遵守がされていない、いわばこういう欠陥があるのです。だから、そういうものをきちっと規制して、そのとおり遵守される、そういうものに持っていかなければいけないと思うのです。そういう担保を何らか法的に措置をする必要があるのじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
  46. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 港湾運送事業運賃料金が必ずしもきちんと守られていないということにつきましては御指摘のとおりでございまして、その点については今後ともしっかりやらなければならないと思っております。具体的に今までやってまいりましたこととしましては、監査などを通じて指導に努めるというのが基本でございますけれども、さらに日本港運協会に対しましても認可料金の遵守に努めるように要請をしておりますし、関係荷主業界に対しても所管省庁を通じて、料金完全収受の確保についてお願いなり要請をしてきております。今後とも料金監査の計画的な実施、あるいは港湾運送事業者はもとより関係荷主、取扱事業者に対しても強力な指導をして、完全な料金の収受ということについて一生懸命やってまいらなければならないというふうに思っております。
  47. 戸田菊雄

    戸田委員 運輸省の「港運料金監査実施状況」、これは資料をいただきましたから見ますと、六十年度は四十三件、九十八件、十二件、これは監査対象事業者数、それから監査品目数等々があるのですが、平成元年でも七件、二十五件、十三件、こうあるわけです。監査指導、これは発動したのはどのくらいありますか。
  48. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 今先生仰せの数字で申し上げますと、例えば六十三年度でいきますと、監査の対象事業者数が四十九でございますが、その中で文書なり口頭をもって警告を発しました品目数が十七あるというようになっておるわけでございます。元年度につきましては、七つの対象事業者を相手にいたしましたが、品目としましては十三件について警告を行っている、こういう実態でございます。
  49. 戸田菊雄

    戸田委員 等々の状況でありますから、この貨物自動車運送法案では荷主に対する勧告措置適正化事業の実施による輸送秩序確保、こういうものを考えておりますが、港湾運送事業法にはそれがないのですね。港湾運送事業法について法行為を遵守するために荷主への勧告措置運賃秩序、これを守ることが非常に大事だと思うのです。行政措置上何らかの措置をとる必要があるのじゃないだろうかと思うのですが、この点はどうですか。
  50. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 今回の法案は、港湾運送に関しては事業規制を見直すものでございませんので、本法の制定、施行に当たりまして港湾運送事業法を改正してここに荷主勧告規定を入れるということは、法律的に非常に無理があると思っております。  また、トラック事業に関しましては、今回の新法で免許制から許可制あるいは料金認可制から届け出制へというふうに規制が緩和になるわけでございます。安全の確保や良好な労働関係確立のために、荷主勧告を設けて、この点をより一層強化していかなければならないというような必要があると思います。しかしながら、港湾運送事業につきましては、今回は免許制、料金認可制、これは完全に堅持をいたしまして一切いじっておりません。したがいまして、トラックとはやはり違って、このしっかりした免許制、認可制というもののもとで秩序を図っていく努力をしなければならないと思います。  また、私どもも今まで申し上げ、あるいはやってきたことに加えまして、運賃料金のダンピングの是正につきましては、日本港運協会ともよく相談をいたしまして、料金の完全収受についてさらに一層効果的な対策を講じるように検討したいというふうに思っております。
  51. 戸田菊雄

    戸田委員 これはぜひ検討して、善処をしていただきたいと思います。個別事業法の改正ということもあると思うのですね。その他含めまして検討していただきたいと思う。  それから、時間がありませんから一挙に質問しますが、業域、職域、これはどういうものですか。
  52. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 港湾運送事業法では、港湾運送事業の業域といたしまして港湾において行いますところの船内荷役、はしけ運送、沿岸荷役、いかだ運送、こういった各種の港湾荷役作業の具体的な内容が決められておりまして、これを港湾労働者という面から見ますと、それが職域ということになるものと考えております。  具体的に港湾運送事業法の適用対象になる港湾は、現在政令で九十六が指定されておりまして、その港湾の範囲というのは、水域については港則法の水域、陸域については特段の定めがございませんが、港湾の機能を果たすためにその水域と機能的に一体不可分な陸域というふうに考えております。具体的範囲については画一した区域を設定することは困難でございますが、各港湾ごとの歴史的な沿革なり立地条件などに応じて、社会常識の範囲で個々ケース・バイ・ケースで判断をされるべきものと考えております。
  53. 戸田菊雄

    戸田委員 次に、コンテナ詰めの作業の港湾の職域の確保ということなんですが、かつてコンテナが発生したときにやはり相当な大合理化で職員の数が減りました。今回も運用の仕方いかんではそういう打撃を相当受けやすい、そういう状況にあると思うのですね。ですから、利用運送事業によって現在、商社、CFS、港運事業者の倉庫で行わない、あるいはコンテナ詰め作業が内陸に移り、港湾運送事業者労働者の職域の減少、こういう影響が考えられますから、本法が港湾運送事業関係しないという運輸省見解でありまするから、そうだとすれば、港湾労働者の業域、職域、これに影響させないための保証をきちっと法的に措置をすべきじゃないか、このように考えますが、その措置等についてどういうお考えですか。
  54. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 コンテナの詰め出し作業を港頭地区でやるか内陸地区でやるかというのは、やはり各荷主が経済効率を考えて決めるということになろうかと思います。したがいまして、内陸でバン出しをする、バン詰めをするということが進展をしているのはある程度事実でございますが、この法律によってそれが殊さら移行するということではないというふうに考えております。  したがいまして、港湾運送事業の立場で荷主の要請にこたえられるようないい物流サービスというのを港頭地区でやっていく、それによって港頭地区での業域なり職域を確保していくということ、内陸よりも港頭地区の方が物流的にいいんだという状態をつくっていくこと、これが一番大事であろうというふうに思うわけでございます。そのためには、港湾運送事業者の努力を前提といたしまして、運輸省はそれを支援するような意味で総合物流ターミナルの整備であるとか情報化の推進であるとか、そういった施策を一層推進していく、それによってこの問題について対応していきたい、そういうふうに考えております。
  55. 戸田菊雄

    戸田委員 これは、かつて国鉄の改革等でも、国鉄が民間移行で多角経営、事業の経営、そういう状況ができるというときに、中小企業その他の皆さんに、各分野に影響を与えてはいけないからということで分野連というものをつくって、そして障害を与えないということをやったのですね。イギリスなんかでもこの港湾に関してそういう分野法というもので、ちゃんと中小企業その他の皆さんの職域、業域というものを守っていく、こういうことがあるのですね。  だから、それも含めて今回考えませんと、今後の物流体制の中で積み荷、積み出し等々一貫作業でメーカー等がやるのはやむを得ないと思いますが、そのほかのいわば利用運送事業者、こういった人がそういう作業を一貫してやったらということになると仕事ががた減りですから、だからそういうものを防止するために、やはり一方はそういう保護政策というものをとらなければ極めて不安定な状況になるんじゃないだろうか、こういうふうに考えるのです。ですから、そういうものを何とか、法律かあるいは省令か、何でもいいです、そういうもので保護政策の一項を起こして、そして立法する必要があると思うのです。これはひとつ要望しておきます。  それで、大蔵省来ておると思いますが、通関業務の審査方法はどんなふうにやられていますか。資料はいただいておりますから、要点だけあれしてください。
  56. 久米重治

    ○久米説明員 お答えいたします。  税関におきましては、貨物の輸出入通関に対しまして、覚せい剤、大麻等の水際取り締まり、税の的確な徴収の確保等の観点から書類審査を行うのみならず、必要に応じ検査を実施しているところでございます。
  57. 戸田菊雄

    戸田委員 わかりました。時間がありませんから、ありがとうございました。  港湾の今の四条件については大変不満な回答です。ですから、今後参議院等でも十分ひとつ誠意を持って参議院の皆さんとお話し合いをして解決される、あるいは善処、そういったことをやっていただきたいと思います。そうでないと、今私が申し上げた四条件、これらの要求というか意見というか、そういうものを検討されませんと、参議院に行ってこれは廃案等にもなりかねない、そういう状況でありますから、ぜひひとつこの面について善処方、これをお願いいたしたいと思います。  最後に、大臣、今までの各般の見解その他について、総括的な御答弁をひとつ伺いたいと思います。
  58. 江藤隆美

    江藤国務大臣 先ほどの答弁で労働者の不足を私九十万人と申し上げたようですが、一けた違いまして九万人でありましたので、まず訂正をさせていただきます。  本法案審議に当たりましては、特に港湾事業者の問題あるいは労働者の問題等について、あるいはまた過当競争問題等についてさまざまの貴重な御意見をいただきました。それぞれ適切な御心配でありまして、私どもも心して取り組んできた問題でございます。したがいまして、当委員会において論議をされました事柄については、私ども十分に受けとめまして、今後法案成立の暁においても、実施段階において細心の注意を払ってこれを実施してまいる所存でございます。
  59. 戸田菊雄

    戸田委員 ありがとうございました。時間ですから終わります。
  60. 島村宜伸

    島村委員長 浅井美幸君。
  61. 浅井美幸

    ○浅井委員 では私から、今回かかっております貨物自動車運送事業法案貨物運送取扱事業法案の二法案について質問をしたいと思います。  最初に、貨物自動車運送事業法案の中身の問題でございますけれども、先ほども質問があったようでございますけれども、陸運業界が、トラック運転手の不足が極めて深刻になっております。この確保の問題については非常に重要な問題でございます。先ほど江藤運輸大臣は不足数が九十万というふうにおっしゃいましたけれども、九万九千人ではないかと思います。このトラック運転手不足について、先ほど運輸省では物流業の労働力不足の実態ということで緊急対策を何とかしたいという、この実態の状況に応じて緊急対策を一応まとめておられますが、このいわゆる緊急対策で果たして効果が出てくるものかどうか、この点からまずお伺いしたいと思います。
  62. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 御指摘のように、ただいまトラック業界におきましては運転手の不足が極めて深刻な事態となっております。これはいろいろ要因がございますが、特に最近の若年労働者の傾向といたしまして、きつい仕事あるいは長時間労働、不規則な仕事ということが非常に嫌われているという傾向がございますので、トラック業界としては求人難に陥っておるということでございます。  この問題に対処しますためには、まず第一義的には各企業、またトラック業界全体としての努力が必要でございまして、賃金初めもろもろの労働条件を改善するということが基本でございますが、行政側といたしましても、そのような事業者あるいは業界の努力を側面的に支援するということで、ごく最近労働対策に関しまして緊急対策をまとめたわけでございます。これは、業界が行おうとしておりますいろいろな対策を役所としても世間にPRし、あるいは荷主初め関係者の理解を求めるというようなことを通じて、これを後押ししていきたいと思っているわけでございます。
  63. 浅井美幸

    ○浅井委員 労働時間の短縮あるいは過労運転防止ということは、今さらこのことを申し上げるまでもなく、従来から言われてきておるわけです。ところがその実態は少しも改まっていないということの方が問題であって、先ほど汚い、きつい、危険だということでありましたけれども、汚い、きつい、危険がこのいわゆる緊急対策で果たしてどこまで効果があるのかということが問題点だろうと私は思うわけです。これだけのことで本当に効果が上がるかということです。よくお役所仕事だというふうに言われますけれども、これだけの言い分ではまだまだ改まらないのではないかという心配があるから重ねてここで申し上げておるわけですけれども、この辺、大臣、どうでしょうか。
  64. 江藤隆美

    江藤国務大臣 緊急対策だけで問題が片づくとは私も思っておりません。けさほど閣議におきまして交通安全対策非常宣言というのが行われたわけですが、総務庁長官の話を聞いていますと、やはり閣議でいろいろ交通安全に対する議論がなされるたびに、一日の死亡者が一人減り二人減り、連休中の死亡者事故というのはやはり減ってくる。ですから、決め手というのはありませんけれども、やはりみんなが取り組んでいこうということで、国民的な課題でひとつ問題を投げかけて交通安全に取り組もうということでけさ非常事態宣言をやったわけであります。  トラック業界というのを考えてみると、私どもの小さい時代は実は荷馬車でありまして、トラックというのは我々の九州の田舎にはほとんどありませんでした。それがわずかな期間のうちに一台親方がどんどん出てきて、時代の趨勢とともに台数をふやして、そして合資会社となり株式会社となってどんどん台数をふやし、従業員をふやしてきた。言うならば、大部分は中小企業だと言われますから、やはりそれだけに経営の実態というものは非近代的な面がなかったとは言えない。ですから、一つ一つの問題では片づきませんけれども、今回の物流二法というものもひとつ国会を通していただき、あるいは当面はそういういわゆる緊急対策等も一つ一つ進めて、そして将来良好な職場環境を求めながら若い人々が働ける環境をつくっていこう、こういう努力をしておるわけでございまして、その点御理解を賜りたいと思います。
  65. 浅井美幸

    ○浅井委員 最大の努力を重ねていただきたいと思います。確かに国民の中に、今の若年労働者がこういう労働につきたくないといういろいろな要望というか、あるいはまたそういうニーズに合ってない職場であるかもしれませんけれども、今ここにおっしゃるようなことの努力を本当に重ねてもらいたいし、また、労働省もきょうお見えのようでございますけれども、努力をしてもらいたいなと思います。  そこで、この労働力の不足を補うことで、ここに新輸送システム、新型荷役機器等の導入という欄にピギーバック輸送、こういう荷役の省力化に直結する輸送システムの導入促進する、こうございますけれども、慢性的な労働力の不足が懸念される中でJRの役割は極めて大きいと思います。運輸省として具体的にJR貨物による輸送の拡大計画を立てて、場合によっては設備投資に対する補助を検討するぐらいの対策を講じるべきで あると考えますけれども、この点についてはどうか、伺っておきたいと思いますし、また、従来の本線荷役の拡大やSVSシステムの導入、こういう問題についてもこれから本格的に取り組みをするのかどうか、伺っておきたいと思います。
  66. 大塚秀夫

    ○大塚政府委員 JR貨物につきましては、六十三年度において二百三十億トンキロの実績を上げましたが、これは十年ぶりの増加でございますし、国内貨物輸送量においてのシェアでは実に三十七年ぶりの増加でございます。このような結果となりましたのは、一方でJR貨物の経営努力もございましたが、他方で先生御指摘のように現在トラック労働力不足もあり、トラック事業者荷主が積極的にJR貨物を活用した結果ではないかと考えております。したがいまして、私ども今後も効率的な陸上貨物輸送体系を確立するためにJR貨物輸送力の増強に努めたいと考えておりまして、設備投資につきましても現在開銀融資をあっせんしておりますが、さらに必要な税制措置を講ずるべく検討しているところでございます。  また、先生がただいま御指摘されましたいろいろな輸送技術の革新、例えばスライド・バンボディー・システム、また本線荷役、このようなものもJR貨物近代化にとって極めて重要でございますので、今後とも積極的に運輸省として支援してまいりたいと存じております。
  67. 浅井美幸

    ○浅井委員 せっかくの御答弁でございますので信じたいと思いますし、努力をお願いしたいと思います。  それでは、次の問題に移ります。  今回のこの法案の中で、事業者の自由な事業活動を束縛する規制を緩めるという意味において、今までの路線の運送と区域の運送との区別を今回廃止しようということであります。ところが、都市計画法の第二十九条を受けた政令の中で、市街化調整区域内における事業施設の建設については、現在路線トラック業者だけが認められて区域業者には認められていないのが実情でございます。運輸省はこの点についての法案作成に当たって、建設省にこの第二十九条の改正を要請していない。規制緩和と言いながら、この点について積極的な対応をなぜ運輸省は行わないのか疑問に思います。  まず、建設省の方についてお伺いしたいのですけれども、この点についていかがお考えでしょうか。
  68. 高橋健文

    高橋説明員 ただいまお尋ねのあった件でございますが、運輸省から申し入れがないというわけではございませんで、今回の取り扱いは貨物自動車運送事業法の政令の段階で詳しく協議する、そういう取り扱いになっておるわけでございます。そういうことでございますから、現在の段階で具体的にどうなるかと確定的にお答えできる状況ではないわけでございます。  しかしながら、都市周辺部において事業用地の円滑な確保を図るために要望の強い市街化調整区域における立地の問題につきましては全然認められていないというわけではございませんで、現在開発許可手続をとっていただいております一般区域貨物自動車運送事業につきましても、運輸省と相談の上、インターチェンジの周辺ですとかあるいは四車線以上の道路の沿道、そういうようなところでは立地を認めても差し支えない、そういうことを六十一年の八月に通達を出して規制の緩和を指導しているわけでございます。現実に許可実績を申し上げますと、六十二年度で二十四件、六十三年度で三十五件、これだけの実績が、市街化調整区域の開発を受けて立地が認められているわけでございます。  こういうような状況を踏まえまして、政令段階での運輸省との協議に当たりましては、週辺地域の交通機能を阻害することなく、土地利用上支障のない地域につきましては、市街化調整区域におきましても立地が認められるような通達等の措置を含めて対応していきたいと思っております。
  69. 浅井美幸

    ○浅井委員 東京あるいは大阪の大都市の市街地におけるところの輸送運送、それを扱う場所の確保が非常に困難であります。荷物の取り扱いが非常にふえてきておりますので広域な土地が必要でありますけれども、いわゆる本当の調整区域じゃない市街地の中ではその土地を求めることが困難、あるいはまた土地代が高いということで、市街化調整区域の中で公益性があればそれを設置することができるということでありまして、従来は、今の答弁では六十二年度で二十四件、六十三年度で三十五件許可はしているというけれども、これは例外措置であって、今までは許可がないということが一つの原則になっておったはずであります。  ですから、そういう面で今後は、調整区域の方が土地も安いし広い場所も確保できるということでありますので、せっかく路線業者あるいはまた区域業者の差別がなくなったというのでありますから、この措置は前向きに運輸省建設省できちんと相談をして取り組んでもらいたいことを重ねて申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
  70. 江藤隆美

    江藤国務大臣 ちょうど私が建設大臣の当時に福島県に参りましたら、ある町長さんがぜひ現地を見てくれということでありまして、参りましたら、インターチェンジの周りに工場が十社ぐらい実は立地を希望しており、もう全部図面ができておりました。ところが、そこは調整区域でありまして、米をつくっておるわけであります。したがいまして、私はすぐ帰りまして、三つのことを農林省に実は宿題を出したわけです。インターチェンジ周辺においては必要でないところは米をつくらせなくてもいいのではないか、そういうところこそ米をやめてほかに転用して、米をつくりたいところに米をつくらせたらいい、これが一つ。  それからもう一つは、例えば大都市あるいは地方都市の入り口で、もう朝から晩まで車が渋滞しておる国道、県道の両側に相も変わらず米をつくらせておる。そういうばかなこともやめたらいいのであって、それはほかに転用しても差し支えない地域だから、そういう国県道の周辺についての規制緩和、転用ということを考えてみたらどうか。  それからもう一つは、例えば中央卸売市場がある。ところが、その周辺ですら調整区域としての規制をかけて米をつくらせて、本当に米をつくりたいところを生産調整をする。そういう何かちぐはぐな行政をやるから減反政策、生産調整というのがうまくいかぬのであって、そこいらをひとつ思い切って土地の利用ということを考えてみたらどうかということを提案いたしまして、先ほど建設省から申し上げたような結果が出てまいったわけであります。  この点については、お話を承りますと必ずしも周知徹底しておるとは言いがたい面もありますので、私ども運輸省といたしましても、建設省あるいは農林省と相談しながら、そうした関係業界に周知徹底するようにこれから努力をしてまいります。
  71. 浅井美幸

    ○浅井委員 では次に、貨物運送取扱事業法案の中身で御質問をしたいと思います。  まず、第二条第十項の法律がございますが、この定義について御説明をお願いしたいと思います。この定義は一体どういうことを言っているのか、我々にもよくわかるように御説明をお願いしたいと思います。
  72. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 二条の十項は、運送取次事業の定義でございます。  運送取次事業といいますのは、他人の需要に応じて、他人というのは具体的には荷主でございますが、自分の名前、つまり取次事業者の名前でもって運送の取次ぎをする、そういう行為をする者でございます。したがいまして、運送契約自体は取次事業者運送人の間にできるのでございますが、それは取次ぎ行為の結果できたものでございますから、運送契約の経済的な効果というのは真の荷主に帰属する、そういうものを運送取次事業というふうに言っておるものでございます。
  73. 浅井美幸

    ○浅井委員 それじゃわからないんだ、そういう話じゃ。「「運送取次事業」とは、他人の需要に応じ、」「他人」とはだれか。その次に「有償で、自己 の名をもってする運送」、「自己の名」とはだれだろうか。それから、その次にあるところの「又は他人の名をもってする運送事業者への貨物運送の委託」、この「他人の名」というのはだれのことを指しているのか。
  74. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 まず、前段の「自己の名をもってする」という自己の名は、これは運送取次事業者、自分の名前でございます。例えば、日本通運であれば日本通運という名前でございます。それから、「運送の取次ぎ」といいますのは、先ほど申し上げましたように、運送人と実際の効果が荷主との間で帰属するような格好で運送契約ができるように、いい運送人を探してきて運送契約を結ぶ行為、これが運送の取次ぎ行為でございます。  それからもう一つ、その後に、他人の名をもってする運送の委託というのがございますが、これは端的に言えば代理でございまして、他人の名というのはお客様のことでございます。お客様の名前、具体的に申し上げますれば、例えば東芝でもいいのでございますが、東芝の名前で、日本通運が東芝の使者として運送人、例えばそれは日本航空でも何でもいいのでございますが、それと運送契約を結ぶ、その場合には、もう運送契約はその運送事業者と真の荷主との間でできる、単に取扱人は代理人にすぎない、そういう二種類があるということでございます。
  75. 浅井美幸

    ○浅井委員 ちょっとよくわかったようでわからない答弁なんですけれども、難しい話ですね。  具体的に一遍お伺いしますけれども、一般のお酒屋さんやお米屋さん等で宅配の取り扱いをしております。あるいはまた二十四時間営業のコンビニエンスストアでも宅配便の貨物の取次ぎを行っているけれども、これは法案のこの運送取次事業のどれに当たるのか、説明願いたいと思います。
  76. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 お酒屋さんやコンビニエンスストアでやっておりますいわゆる取次ぎと今おっしゃいました行為は、実はこの法律の取次ぎではございませんで、宅配便なら宅配便をやっておられるトラック運送事業者の代理人としての行為をやっておるものでございます。したがいまして、そういう酒店なり、そういうコンビニエンスストアは、トラック事業者からお金をいただいて、その代理人として運送契約をかわって結ぶ、そういう地位に立っておるものでございます。  それに対しまして、この法律で言っております運送取扱事業というのは、いわゆる運送人のために運送人からお金をもらってやるということではございませんで、先ほど申し上げましたように、荷主側の需要に応じてトラック運送事業者の行う運送契約の取次ぎを行う、したがいまして、代金は今度は荷主の方からいただく、こういう仕事でございます。したがって、今おっしゃいましたそういうコンビニエンスストアや何かの例はこの法律運送取扱には当たらない、むしろ運送人の代理人という地位に当たる、こういうものでございます。
  77. 浅井美幸

    ○浅井委員 じゃ、例えばデパートで、通常お客が購入した商品を地方あるいはまた自宅、そういうところに発送することがあります。これは宅配便業者等に依頼してデパートが送っておりますけれども、その際、地方の場合、いわゆる無料配達区域外は運賃表を示して運賃を受け取っております。デパートやそのテナントの店ではそういうふうな取り扱いをしておるのですけれども、それに対してはどういうふうに考えたらいいのでしょうか。
  78. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 デパートがお客様に品物を売ってそれをお届けをしますという場合に、中身が二つあるわけでございまして、それはもうお客様のものになってしまった、その上で、お客様の御希望があれば運送事業者に取次ぎをいたしましょうという場合が一つでございます。そういう場合にはこの法律で言う運送取次事業に当たるわけでございまして、トラックに対しましてお買い上げになったお客様の運送契約を取り次ぐという行為がそこで成立することになると思います。  しかしながら、そのデパートが販売行為の一環としてそういう運送を引き受ける場合、具体的に言いますと、まだお客様のものにはなっていない、お客様の家へ届いたときに初めて売買行為が完結する、逆に言えば、それまでの間はまだデパートのものである、こういうような事態であれば、それは運送取次ということではなくて、デパートが荷主として運送人を使っているという状態になるのだと思います。したがいまして、そういう場合にはこの法律で言う運送取次に当たらない。そういうことで、デパートが今先生おっしゃいましたような行為をやる場合に、それがどういう責任のもとでやっておるのかということをよく聞いた上で、この法律の適用があるかないかを判断していくということになろうかと思います。
  79. 浅井美幸

    ○浅井委員 そうすると、さっきの第二条第十項のどこに当たるのですか。最初の部分ではなくて、「他人の名をもってする運送事業者への貨物運送の委託」、これに今のデパートは、地方発送の場合は当たるのですか。
  80. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 後段の場合もあろうかと思いますが、通常は自分の名で取り次ぐという場合が多いのではなかろうかと思います。
  81. 浅井美幸

    ○浅井委員 ちょっとおかしいじゃないか。さっきあなたは、この第十項のところは、「「運送取次事業」とは、他人の需要に応じ、」というのは荷主であって、それを「有償で、自己の名をもってする」のは、日本通運の名をもってする運送事業者と言ったじゃないですか。今デパートが配送しているのは各通運の名前でやっているのですか、デパートの名前でやっているのでしょう。
  82. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 デパートが運送取次人に当たる場合のことを考えますと、この「自己の名」というのはデパートの名でございます。「他人の需要」というのは、一回品物を売ったお客様の需要ということでございます。運送の取次ぎというのは、それをトラック屋に運送契約をやってくださいというふうに取り次ぐ行為、こういうふうになります。
  83. 浅井美幸

    ○浅井委員 どうしてあなたはさっきそのことを言わないのですか。あなたはさっき、自己の名というのはいわゆる運送業者の名前を言ったじゃないですか。デパートの名前じゃないでしょう。だから、今読みかえという感じであなたはおっしゃっている。違った言い方、答弁、さっき言っている答弁と今言っていることは違いますよ。  それからもう一つ。デパートで物を買った、地方発送の場合は、品物のお金を払って自分のものであるから、今度は運送業者だ、いわゆる都内の場合は、お金を払っても自分のものではなくてまだデパートのものだという解釈、それはどこから出てくるのですか、そんな勝手な解釈は。
  84. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 第一点でございますが、先ほどの審議官の御説明でございますが、日本通運と申しましたのは、取次あるいは取扱事業者の例として申し上げたわけで、その際に申し上げた日本航空というのが実運送事業者に当たります。  このデパートの場合でございますが、デパートのやっておりますことが取扱事業に当たるようなケース、つまり、お客がもう店で代金を払った瞬間にお客のものになり、その商品を自宅に届けるサービスをまたデパートに依頼するというケースでございますと、これはデパートが取扱業者、そして、デパートが使いますトラック事業者が実運送人、こういうことになります。したがって、デパートが○○便というような名前をつけますと、自己の名で実運送事業者たるトラック業者に依頼をするというケースに当たる、こういうことになります。
  85. 浅井美幸

    ○浅井委員 私の言っているのは、片一方の品物は、デパートで買ったら、このグラスならグラスを買ったら、私が都内に住んでいれば、これは即自分のものではなくて家へ届いたときに自分のものだ。片一方の大きな家具を買えばそれはもう自分のものであって、私が配達料を払って送ってもらう、そういう解釈が勝手にできるのかと言うのですよ。品物によって即自分のものになったりあるいはまだ会社のものであるという解釈がどういうわけでできるのかと言っているのですよ。
  86. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 確かに取引の実態でいろいろなケースがあると思います。したがって、自動的に これは取次ぎに当たるとか当たらないというのはなかなか言いにくいのでよくケース・バイ・ケースで実態を見なければいけないと思いますが、審議官が冒頭に御説明した二つのケース、つまり一つは、店でお客が代金を支払ったときに商品がお客のものにもうなってしまう、そこでその配達をまた別の契約として頼むとこれは取次行為に当たるわけでございます。このときは、もし配達の途中で物がなくなってしまったとしてもそれは運送事業者の責任あるいはそれを取り次いだ人の責任でありますけれども、それは運送責任でございまして、もう商品そのものはお客のものになっている。  それに引きかえまして、自宅まで配達されたときにやっとお客のものになる、それまではまだデパートのものだという契約でございますと、これは配達の途中で仮に物がなくなったとしますと、それはあくまでデパートの売買の責任がまだ完了されておらないということになりますのでかえのものをまたお届けする、そうでないとデパートはまだ物を売ったことにならない、こういう違いが出てこようかと思います。それはどっちのケースかというのは、よほど慎重に実態を見ませんと、ケース・バイ・ケースの判断しかないと思います。
  87. 浅井美幸

    ○浅井委員 納得できないのですよ。品物によって自分のものになったりまだデパートのものだったりという区分けは、あのデパートに入っていく人がみんな持っていますか。持っているわけないでしょう。  例えば、都内であったって千円以下の場合は二百円の配送料を取るじゃないですか。千円以下だったら二百円を有償で取るのですよ。その場合は、千円以下のときはそれは自分のものになって、千五十円になったらそれはまだデパートのものなのですか。そんな矛盾した話がありますか。答弁、納得できませんよ。
  88. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 値段によってそういう差別が出るというのは非常におかしいと思います。問題は、販売行為の中身が何であったか、お届けをするという約束の中身が何であったかということによって決まるのだと思います。とにかく家へ届くまでに何かあればそれはデパートの責任です、デパートでちゃんとやりますと言っている間はデパートのものであって、それはデパートが荷主として運送人を使ったという形態の中に入る、そういう整理だと思います。
  89. 浅井美幸

    ○浅井委員 ここに、あるデパートとあるデパート、二つございますけれども、やはり「千円以下の商品はサービス区域でも二百円いただいてください。」こちらの方のデパートもやはりこのことについて「商品代金千円以下の配送品は無料地区でも二百円頂戴いたします。」こう書いているじゃないですか。品物によってですか、値段によってじゃないですか。そんなごまかしの答弁じゃ困りますよ。
  90. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 今先生が仰せになりましたように、デパートが配達をするときにお客様からどういう料金なり何なりをいただくかということと、今申し上げたように取次事業になるかならないかということは別の問題であろうかと思います。お客様のものになってしまったものを取り次ぐという行為なのか、まだお客様のものになっていないものを自分の貨物として運んでいるのか、その分類によって取扱に当たるか当たらないかが決まる。そして自分の荷物として運んでいるという場合に、販売行為の一環としてそういうことをやるわけでございますが、その販売サービスの対価としてどういう料金をもらうかという、そういう問題に今の先生のお話はなるのではないだろうかと思います。
  91. 浅井美幸

    ○浅井委員 これは答弁がなっていないですけれども、委員長おわかりですか、この答弁。
  92. 島村宜伸

    島村委員長 わかりにくいとは感じますね。
  93. 浅井美幸

    ○浅井委員 これは委員長、本当にこんな答弁では困りますね。  それから、デパートで各地方の運賃を定めております。店名を出すと企業ですからいろいろ差しさわりがあってはいけないのであえて出しませんけれども、各地方全部、北海道から九州まで、例えば東京あるいは神奈川のそういうデパートが配送料金を決めております。本来、現行道路運送法貨物運送取扱事業というのになれば、ちゃんとこれは運輸大臣の認可した運送料はもらわなければならないようになっておりますけれども、デパートがこういうふうに設定したのは今まで運輸省は監督なさっていたのですか。
  94. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 これは、デパートが自分が荷主となって運送人に委託をして、そしてその対価をいわゆる販売のサービスとしてどういうふうにお客様からいただくかという問題であろうというふうに私どもは整理をしておりまして、したがいまして取扱業の範囲に当たらないというふうに従来は考えておりました。したがって、これについては届け出なりそういう把握はいたしておりません。
  95. 浅井美幸

    ○浅井委員 じゃ、今までいわゆる運賃といいますか、運送代というのか、これは認可は要らなかったのですか、要ったのですか。そのいわゆる取扱業務なり運送業務をやるものの運賃というものは運輸大臣の認可は要らなかったのですか、勝手に決められるのですか。
  96. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 これは取扱事業に当たるわけではございませんで、デパートの販売サービスの対価の一部であるというふうに考えております。したがって、従来は認可が要らないという運用をしております。
  97. 浅井美幸

    ○浅井委員 これも問題ですね。そんな中途半端な、黙認をしてきたのか盲点なのかどうかわかりませんけれども、消費者サービスの立場から本格的にそういうものの料金が適正か適正でないか、これを監督するのは運輸省であり、またあなた方の仕事じゃないでしょうか。それを今まで知らない、あるいはまたその認可もなかった、勝手にデパートが決めておる。  ここでまた問題は、二つデパートがありますけれども、料金が少し違いますよ。同一運賃ではない。これはどうなんですか。こんな勝手にどんどんデパートがサービスだということでいろいろやっていることを放任するのですか。
  98. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 従来デパートがやっております配達をどう見るかということにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、これは販売の一環で、お宅に届くまでをデパートが販売者としての責任を持つということであろうということで、特に自動車運送取扱事業者としての登録等をさせておりませんでした。ただ、御指摘がございまして、いろいろ当たってみますと、どうも必ずしも一概にそう言い切れないようにも思われますので、先ほど申しましたようにケース・バイ・ケースで、デパートがどこまでの責任を負っておるのかということをよく調べた上で、必要があるもの、すなわち取扱事業の定義に当たるものにつきましては今後適用を考えなければならない。その場合には取扱事業法上の運賃料金の届け出が必要となってまいります。  そうでないケース、デパートがあくまで売り主として下請のトラック事業者に自分の責任でお届けをさせるという行為に徹しております場合には、これは運送取扱事業には当たりませんので、むしろデパートの販売政策あるいは商道徳の世界の問題かと存じます。
  99. 浅井美幸

    ○浅井委員 この問題点、繰り返すようですけれども、取次事業に当たるか当たらないか、それを今御説明のように売買契約が完了しているかしていないかということで区別するのは本来おかしいのです。もし売買契約が完了してないというなら、デパート側がすべて無料で配達をしなければならないんじゃないですか。今あなたはサービスの一環と言った。サービスの一環だけれども、デパート側は都内の配達料についてはその下請の運送会社に配達料は払っているはずなんです。ただで運送会社がやっているわけじゃないのです。そこのところへお客さんが払うかデパートが払うか、いずれかが払っているわけですよ。有償と同じなんですよ。  だから、ここの第二条の条文の中で、有償であ れ無償であれというふうな表現があればまだ今のことは免れますけれども、「有償で、」と書いておる。その「有償で、」と書いておきながら、やっておること自身が無償であったり、あるいはまた物によってはお金を取ったり取らなかったり、そういうふうなことが行われているということで私は問題にしたいわけです。ですからこのことでは、この第二条の定義の中で若干修正を求めなければならぬか、こう私は思います。  それから、先ほどのデパートが勝手に運賃をつくっていること、違い、この御答弁はまだありませんけれども、いかがでしょうか。
  100. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 デパートが配達サービスまで含めて販売契約の一環として宅配を引き受けているというケースにつきまして、その配達サービスの対価をどう決めるか、これは取扱事業に該当いたしませんので、先ほど申しましたようにデパートの販売政策の問題になるかと思います。そこで幾らの値段をつけるか、これは道路運送法の適用のない部分でございますので、それはデパートの価格政策の問題になろうかと思います。
  101. 浅井美幸

    ○浅井委員 おかしいな。デパートが、実運送業者から大口の取引ということで大幅な割引を受けていますね。運輸省運賃の認可基準では最高三五%の割引運賃が適用できることになっていますけれども、今あなたはサービスだ、サービスだと言っているが、実際問題、県外に発送する運賃がこの三五%の割引運賃の金額になっていますか。なってないデパートがあるじゃないですか。そうすると、サービスだ、販売政策の一環だといいながら、その運賃の中で自分たちは、デパートはもうけているじゃないですか。それはどうなんですか。
  102. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 デパートが売買契約の一部分として配達を引き受けている場合にその対価が幾らであるかというのは、先ほども申し上げましたように、現行道路運送法の適用外の問題でありまして、それはデパートが価格政策として決める部分でございます。そこで多少の違いがあってもそれは消費者の選択に任せられるということに相なります。したがいまして、この部分につきましては道路運送法の適用がないということになります。もしこれが取扱業に該当するような行為になりますと、これは料金の届け出が必要でございますので、その際にそれが適正な水準であるかどうかということはチェックの対象となります。
  103. 浅井美幸

    ○浅井委員 御答弁の趣旨がちょっとよくわからない点がありますけれども、こんな重要な事項について法案をつくるときにデパート業者と話し合ったのですか。この業界の貨物輸送の実態について事前に実態調査を本当にされましたか。デパート側はどう言っているのですか。     〔委員長退席、久間委員長代理着席〕
  104. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 この問題は取扱事業法の適用に関する一つの応用問題だと思っておりますが、御指摘もございまして、デパートについて適用の可能性があるということについては通産省には御連絡をしておるところでございます。デパート業界と直接に話し合いをしたことはまだございません。
  105. 浅井美幸

    ○浅井委員 通産省、来ていますね。この問題をどう考えていますか。
  106. 金子和夫

    ○金子説明員 お答え申し上げます。  百貨店の商品配送問題につきましては、一般的には百貨店は商品販売と一体のサービス考えてやっておりまして、そこの部分はいわば業としてやっているわけではないと考えているようでございます。  その実態でございますが、料金につきましては、商品の種類あるいは取扱量その他いろいろな取引の要素によりましてさまざまでございます。ただ、いろいろな取り扱いの要素の実態を考えてみますと、例えば宅配業者に委託する、あるいは宅配業者にそのまま配送していただく料金と比べまして高いとかそういうことではないと承知している次第でございます。  いずれにしましても、この百貨店の商品配送というのは商品販売の一環としてサービスとして行っておりますので、その料金がどうなるかという問題につきましては、商品販売という競争を通じて価格形成が適切になされるというふうに私どもは期待している次第でございます。
  107. 浅井美幸

    ○浅井委員 現在の道路運送法が物流の実態に合わなくなってきたのでそれを改正しようとしているのです。その物流の現場であるデパートの配送の実態について明確な把握を怠って、法文上もその位置づけが不十分であれば法案の再検討が必要になってくる、このように私たちは思うわけです。  また、この中で問題は、これは先ほどから申し上げているけれども明確なお答えがないのですが、デパートが認可された割引運賃もしくはそれ以下で契約しておきながら消費者にはそれより高い運賃を徴収する、こういう実態がありますが、消費者保護の観点から見ても非常に問題があると思うのです。この貨物運送取扱事業法の第一条の目的の中には、「貨物の流通の分野における利用者の需要の高度化及び多様化に対応した貨物運送サービスの円滑な提供を確保し、もって利用者の利益の保護及びその利便の増進に寄与することを目的とする。」利用者の利益の保護が必要であるわけでありますけれども、利用者の保護は実態的には余りなされていないように思いますが、いかがでしょうか。
  108. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 デパートが取次事業としてやる行為につきましては、この法律の対象になりますから、その取次手数料が過大なものであれば当然利用者の立場を考慮して是正命令等がかかるわけでございますが、先ほどから御議論のあります点は、デパートが販売サービスの一環としてやっている行為、すなわち取次ぎでない行為のことでございますので、これはこの法律の範疇外として別途競争の中で適正なものが利用者から選ばれていく、そういうことで決まっていくものと思っております。
  109. 浅井美幸

    ○浅井委員 サービスの一環だからこの運送事業というものには当たらない、あるいは取次事業に当たらないということですか。そんな勝手な解釈ができるのですか。商品を運び、物を運び、それが運送事業であるのに、サービスの一環だからそういうものに当たらないと言うのですか。もう一回明確に言ってください。
  110. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 この法律に当たるものは、有償で自己の名をもって人の貨物を取り次ぐという行為でございますが、今サービスの一環としてと申し上げましたときはまだ自分の貨物である、人の貨物を取り次いでいるのではない、そこがこの法律の定義と違う行為になるということを申し上げておるわけでございます。
  111. 浅井美幸

    ○浅井委員 またおかしくなったのですよ。サービスだというけれども、県外の場合は料金取るじゃないですか。それはサービスじゃないのですか。都内だけがサービスで県外はサービスではないのですか。
  112. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 サービスという言葉の使い方の問題だと思いますが、俗には、サービスというのはただで、無料でという意味でサービスと申しますが、ただいま私どもの答弁でサービスと申し上げておりますのは、有料の場合もありますし、ただの場合もあります。それで、ただの場合は当然新しい取扱事業法の適用の対象にはなりません。有償の場合には、先ほど来申し上げておりますように、販売契約の内部にまだ含まれている部分でありますと取扱事業には該当いたしませんし、これがもう店でお客の手に渡ったことになる。それを販売とは切り離して運送だけをデパートがお引き受けする、したがって途中で物がなくなってもそれはもうお客様のものとしてなくなった、したがってお客様が運送業者に損害賠償を請求するというような関係になる場合には、これは間に入っておりますデパートが取次業者になるということでございます。その場合には取扱事業法の適用がかかってまいりますので、デパートの設定しております料金が適正であるかどうかということは取扱事業法上のチェックを受けることになります。
  113. 浅井美幸

    ○浅井委員 どうも納得しかねる議論なのです よ。県外で買った品物は自分のものであり、そして東京都内に送る場合はデパートのものだという解釈、そういうへ理屈じゃなくてもう少しすっきりしたわかるような法律にしたらどうですか。わからないような解釈、無理な解釈、デパートへ行って買った人はそんなこと一々思わないでしょう。これはまだ自分のものではない、こんなような考え方を持つわけはありません。みんな、買ってお金を払った、代価を払った途端に自分のものだと思っておりますよ。これ以上申し上げませんけれども、この辺の条文が、今この問題だけでやっておりますけれども、幾つかそういう問題点あるいはわかりにくい点が散見できますね。  次の問題に移りますけれども、時間がありませんので簡単に申し上げます。  昭和五十一年度の税制改正から軽油引取税の一部がトラック協会等に交付金として支払われて、安全運行の確保や福利厚生施設整備等に使われています。いわゆる適正化事業などの実施の一助になっているといいますけれども、この金額も非常に多額でございます。  この交付金の支払いの根拠は自治省、運輸省の通達で行われているにすぎないわけですけれども、例えば、地方自治体の出す交付金であってもその根拠は国の通達で出しております。しかも全国団体へ、受け取った中で三〇%を全日本トラック協会に納めよというふうに決めてあること、これは暫定税率が決められた際に臨時措置としてスタートをしたものでありますけれども、もう十四年も経過しております。この交付金の性格あるいは使い道、あるいは全国団体の行う業務の監査体制などを法律上にきちっと明記して実施しなければならぬのではないかと思います。道路財源としてこの軽油引取税が使われておる。その中のいわゆる貴重な財源でもございます。  都道府県トラック協会が大体この十年間で千二百八十八億円、全日本トラック協会が五百四十二億円、合計一千八百三十億円という巨額なお金にも上っておりますので、これの業務の監査体制はきちんとすべきだろうと思いますけれども、今まだ監査体制法律的には決められていないが、この点についていかがですか。
  114. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 運輸事業振興助成交付金についての監査でございますが、これは、各都道府県のトラック協会につきましては都道府県からの交付金ということでございますので、それらの自治体の監査がございます。また、各都道府県のトラック協会から中央の全日本トラック協会に出捐されたものにつきましては運輸省が監査をしているところでございます。  使い道でございますが、現行制度におきまして、トラック事業近代化推進輸送サービスの改善、安全運行の確保等の事業に活用されておりまして、今後ともその有効な活用を図ってまいりたいと思っておりますし、御指摘のように、適正化事業実施機関事業費としても使ってまいりたいと思っている次第でございます。したがって、現行の監査体制の厳正な活用ということで進めてまいりたいと思っております。
  115. 浅井美幸

    ○浅井委員 運輸大臣に最後に、先ほど来のデパートの関係の取次業務というか配達にかかわる問題は、法案には載っておりませんけれども、今後まだ参議院の審議が残っておりますので、十二分に検討をしていただきたい問題だと思います。この辺についての運輸大臣の所感、決意はいかがでしょうか。
  116. 江藤隆美

    江藤国務大臣 先ほど来私もやりとりを聞いておりまして、身内でありますが、役人の諸君というのはまことに頭がよ過ぎて、説明すればするほど専門的になってわかりにくい説明をするものだなと思って、実は感心するやら複雑な気持ちで拝聴いたしておりました。一人一人の意見をゆっくり聞きますと説明はなかなかうまいのですが、我我と違いまして演説は極めて不得手な人たちなものですから、お気に召さぬ点がありまして大変恐縮に思いますが、私どもも届かぬところがございましたら後刻また実態をよく調べてみますし、これからの運用の面でも十分気をつけてまいります。  それから、後日お時間をいただきまして浅井委員のところに詳細な御説明に参上させたいと思いますから、どうぞその節はよろしくお聞き取りのほどをお願い申し上げます。     〔久間委員長代理退席、委員長着席〕
  117. 浅井美幸

    ○浅井委員 大臣の名答弁で困るわけでございますけれども、これは先般私どもが運輸省指摘をいたしまして、非常に問題点だというところで、早急に手を打たれると思いますけれども、きょうはこれ以上申し上げませんが、私が今申し上げた趣旨はひとつよくお酌み取りいただきまして、その法の運用について、公平、公正、また消費者がいわゆる利益を受けるような流通にしてもらいたい、このことを念押しをして私の質問を終わりたいと思います。
  118. 島村宜伸

    島村委員長 中路雅弘君。
  119. 中路雅弘

    ○中路委員 法案の質疑に入る前に二、三点、ちょっと周辺の問題をお聞きしたいのですが、新聞報道ですと、運輸業界のトップである日本通運が航空貨物の一部をトラック便で陸送しながら、お客からはトラック便よりも割高な料金を取っていたということが報道されています。特に羽田と大阪空港の間はトラックの代替が常時二割はあるということが言われていますけれども、これは事実であれば商道徳からいっても大変問題だと思いますし、こうした報道が事実なのか。また事実あったとすれば、どのように指導されたか、お聞きしたいと思います。
  120. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 利用航空の運送契約を結んでおりながら、事実上はその貨物トラックで運んでいたというケースがあったことは御指摘のとおりでございます。この点につきましては、本来利用者との間の約款でルールが決まっておりまして、積み残し、航空輸送力の関係で航空を使えない場合でトラックに振りかえ輸送をするというようなことが生じた場合には、あらかじめ荷主さんの御了解を得るということと、その結果もしお金が余った場合には、荷主さんの請求に基づいてこれをお返しするということが決まっておるわけでございます。  したがいまして、その約款に従って処置をするようにということを私どもからお願いをしたわけでございまして、これを受けまして、具体的に飛行機のキャパシティーが不足してきてこれは飛行機で運べそうもないというような事態になりましたときは、あらかじめお客さんによく事情を説明して、これはトラック運送契約をお受けするようにする。それでもどうしても飛行機で運んでくれということを強くおっしゃる方については、これは振りかえ輸送になることがありますということをよく御説明した上でお受けをする。そして万一トラックで現実に運んだ場合には、後刻荷主さんに御連絡をして、請求があれば払い戻しをする、こういうような対応を会社の方でとったところでございます。  したがいまして、御指摘のような事実はありましたけれども、現時点では約款どおりの処置がなされておるというふうに改善をされたものと思っております。
  121. 中路雅弘

    ○中路委員 日通は大手で、四〇%を超えるシェアを持っておりますけれども、こうした輸送は四十一社がやっているという話も聞いています。日通だけではなくて関係業界の会社にも徹底させる必要があります。  もう一問聞いておきますけれども、もし逆の場合どうなりますか。陸送を航空に振りかえて事実上コスト高になった場合には、これは運輸業者にしわ寄せが来るというようなことはないですね。どういう処理になりますか。
  122. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 陸送の場合の方が航空で運ぶより高い場合には荷主さんから差額をいただく、そのためにあらかじめ御了解を得ておくということでございまして、そういう場合には御了解いただいてありますから、差額を追徴するということになると思います。  それから、先ほどお話がありましたように、一つの会社だけでなくて、国内利用航空運送事業者 全体に対してそういう指導をいたしております。
  123. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一点、これは質問でもたびたび出ていますけれども、私もトラック事業者と懇談する際にいつも出てくるのは、一つ事業用の施設の用地、車庫の用地の問題なんですね。大臣は調整区域の話も出されていますけれども、これは農林の関係者と十分協議しなければなりません。その前にも、個別の業者との関係というのは官庁は難しいと思いますけれども、例えば協同組合とかの場合は十分相談に乗って、車庫と営業所との距離の問題も地域条件にもう少し合わせなければなりませんし、とりわけ国鉄の清算事業団用地を初めとした公共用地の確保については、いろいろ関係の省庁でも十分相談に乗っていただく必要があるのではないかと思います。  この点は直接法案の問題ではないのですけれども、大臣は調整区域のお話をされていますが、それ以外に公共用地でもう少しあっせんをしたり相談に乗る必要があるのではないかと思うのです。いかがですか。
  124. 江藤隆美

    江藤国務大臣 市街化調整区域の問題は先ほどお答えさせていただいたわけですが、ただいまは国鉄用地のお話であります。値段が合えば差し上げます。安くしてくれというのはちょっと困りまして、二十七兆の長期債務を償還する大事な財源でありますから、適切な計画であって適切な値段であるということならば、それは御相談に応ずることができると思います。
  125. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一点ですが、車両の総重量の問題です。たしか今、道路運送車両法で二十トンという規制がされていますけれども、この規制を緩和するということが新行革審で出されているわけですね。例えば車両の総重量を二十五トンにするということになりますと、現在の道路法を初めとした関係法律とも関係してくるわけですね。  現在の道路構造や車両構造は二十トンで設計されていますし、もしこういう規制緩和が行われるとすれば、道路の問題、車両設計の問題あるいは運送労働者の労働条件の問題、道路周辺の環境整備問題等いろいろ関係するところが多いわけですから、こうした問題の整備をどうしていくか、あるいは関係省庁でも運輸省建設省労働省環境庁、警察といろいろ関係してくるわけですから、こういうところとも十分話し合って慎重に進める必要があるのではないか。今の関係法律の実態に即した検討なしに、新行革審が一方的に物流の合理化というだけで進めるとやはりいろいろ問題が出てくるわけですから、その点は十分関係者と話し合って進めていただきたいということを特に念を押してお願いをしておきたいのですが、いかがですか。
  126. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 ただいまお話のございました車両諸元に関します制限の緩和につきましては、新行革審で指摘され、また規制緩和の推進要綱で閣議決定されているところでもございますので、現在関係省庁すなわち建設省、警察庁、運輸省において検討を進めているところでございます。  運輸省としましては、輸送の効率化という観点から、道路構造等の各種の制約を前提としまして、重量規制の緩和等が可能な場合には、それを早期に実現し得るように関係省庁とも御相談を進めていきたいと思っておりまして、ただいま御指摘のような事柄もその際には十分念頭に置いていきたいと思っております。
  127. 中路雅弘

    ○中路委員 本末転倒にならないように、事前に合意が必要ですから、十分慎重に進めていただきたいと思います。  限られた時間ですから法案についてあと二、三お尋ねしますけれども、新法の貨物自動車運送事業法案では車両の所有形態は問わない、一たん事業認可が出れば車両の増減、これは届け出です。トラック運転者選任規定も条文から外れているわけですけれども、現行法では運転者選任について、三十条で輸送の安全の項として法文化されています。またそれに基づく運輸規則を定めているわけですけれども、運転者の雇用は、この中では日々雇い入れとか二カ月以内の期間雇用を認めないことになっているわけです。この運転者選任規定というのは、雇用形態を安定させて輸送の安全を確保しようという上で非常に重要だと思うのです。  私、ハイヤーで例を聞いたのですが、車両を保有するだけで輸送行為を請け負う会社が今あらわれてきているわけです。例えばカーリース会社という、車両を所有する官庁や会社との間で車両の管理契約という請負契約を結んで、この会社が運転者を派遣して車両の運行を初め車両の維持管理あるいは保険までやっているというのが、東京にも例があるわけです。  今度の新しい法案の中で、今までの全員が日々雇いとかあるいは二カ月以内の期間の雇用、これは認めないことになっていますけれども、こういうものはきちっと守られていくのか。あるいは今例を挙げましたタクシーのこういう請負契約による事業トラック事業としても認めることにならないかどうかという問題。運転手について、今派遣できる業種ということになっていないわけですね。たしか派遣できるのは十四業種ということに決まっていますけれども、今後ともこうした派遣業種としてはしないという方針が堅持できるかどうか、この点についてまとめて御答弁をしてほしい。
  128. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 運転者選任につきましては、今回の法律では特に重要な点であります運転者の所要の数を確保するということを法律上明定をしたわけでございますが、それ以外の運転者選任に関する点については、従来以上に充実した格好で具体的に省令に書いていこうと考えております。したがいまして、今先生仰せの点につきましては、従来同様政省令できちっと整備をするつもりでございます。
  129. 中路雅弘

    ○中路委員 運転者の位置づけをあいまいにしたり、あるいは流動的な雇用に道を開くということになりますと、輸送確保に非常に重要な影響を与えますから、この点はきっぱりとしておいていただきたいと思います。  次に、利用運送事業者との取引関係の問題ですけれども、トラック等の実運送業者は、現行法のもとでも運賃の完全収受がなかなか困難になっているわけですが、これは大手荷主等の物流子会社が別の取扱業者に頼んで、その取扱業者からトラック等の実運送事業者輸送の依頼が来て運送する場合、実際には運賃収受前にいろいろな天引きがなされて、結果として運賃ダンピングになっているという場合が多いわけです。こういう、いわば大手の利用運送事業者を中心にした下請的な構造が運賃ダンピングの大きな要因になっているわけですが、今度の物流二法案でこうした運賃ダンピングを防止する具体的な保証があるのかどうか。  例えばAという利用運送業者が、最初はCというトラック事業者運送を依頼する予定荷主から運送を引き受けましたけれども、事情で例えばBという利用運送業者に運送を依頼して、Bという利用運送業者を経由してCというトラック事業者が荷を受けて運送した場合、このCというトラック事業者届け出運賃を完全に収受できる可能性について、保証について、実際問題としてどのように考えられますか。
  130. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 利用運送が二重に行われるケース、すなわち下請のまた下請という事業者が取る運賃でございますけれども、このような事業者にとりましてはみずから集貨をするという手間はかかりません。したがって、その面ではコストの低減が図られる、みずから集貨をやる場合に比べて営業の職員を雇わなくて済むという意味でコストの低減が図られます。これに応じて収受する運賃が少なくて済むということはあり得るものと思いますが、合理的な範囲を超えて運賃が減少するという場合には、貨物自動車運送事業法運賃の届け出規定あるいは荷主勧告規定等の発動によりまして厳正に対処すべきだと思っております。  以上は規制面でございますが、運輸省としましては、下請の下請というような立場に立ちますのは中小企業者でございますので、このような事業者の基盤の確立を図りますために、中小企業構造改善事業の着実な推進等の中小事業者近代化措 置を強力に推進してまいりたいと思っております。
  131. 中路雅弘

    ○中路委員 今いろいろ規制のお話がありますけれども、何かの形で発覚しなければなかなかわからないですね。まして下請関係の成っているところでは非常に困難だと思うのです。  私が質問の一例で挙げたわけですけれども、こうしたケースの場合、実際には実運送業者が負担するということになるおそれが非常にあるわけです。もう一度こうした点について実運送業者に、こうしたトラック事業者に実際にはダンピングやしわ寄せが来るということにならない保証についてきっぱりと、下請の場合、こうした問題が明らかにされるということはなかなか難しいと思います。その点はいかがですか。
  132. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 届け出運賃、これは下請の下請の事業者であってももちろん運賃を届け出る義務がございます。これを完全に収受する義務があるわけでございまして、もしこれに反すれば罰則もかかりますし、あるいはその届け出た運賃自体が不当に安いというものであれば変更命令がかかることになります。また、そのようなダンピング運賃が横行しないために適正化事業実施機関を指定いたしまして、一層の指導の徹底を図りたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  133. 中路雅弘

    ○中路委員 実効性がなかなか難しいと私は思うわけです。  もう一点、事業遂行能力というものに関連してですが、新しい法案で、一定の業務遂行能力条件事業を認可することになっていますけれども、しかし、一たん事業認可が出れば増減車は届け出だけとなるわけですし、現行より減車では比較的容易になりますから、業務遂行能力という点では切り下げられるということにならないかと思います。  これは八六年十二月二日の、公正取引委員会が発表した「貨物自動車運送事業者の運送取引に関する実態調査結果について」というのを見ますと、トラック事業者の四社に三社は同業者に荷を外注、下請に出している。特にトラック事業者の三二・五%が経常的に、四一・九%が時々外注、下請に出している。さらに二次、三次、四次の下請も見受けられるということがこの公正取引委員会の調査結果で出ているわけですけれども、こういう実態から見ましても、業務遂行能力の問題というのは、トラック事業者間の外注、下請によっても、その基準があいまいになっているわけです。  物流に波動性があり、需給も変動するので、トラック事業者間で荷を外注、下請に出すことになると思うわけです。しかし変動するからといって、当該事業者運送能力関係なく引き受けて、また恒常的に下請に出すということになれば、業務遂行能力基準とは何かということが問題になってくるわけですから、私はトラック事業者の業務遂行能力というのは、基本的には受注した運送量に見合った運送能力ではないかと思います。  この基本をあいまいにしないためにも、ひとつ提案ですけれども、運賃のダンピングが健全なトラック業者の発展に——受注した運送量については、その一定部分しか下請には出せないいわば下請規制ですね、つまり引き受けた運送については、最低でも一定の運送量については当該トラック事業者自身が行うことが必要ではないかと思うのです。何かこうした下請の一定の規制運賃ダンピングの防止のためにも必要ではないかと考えますが、お考えをお聞きしたいと思います。
  134. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 トラック事業参入に際しましては事業遂行能力を見ることになっておりまして、その一つとしまして最低車両台数というものも決めておるわけでございます。御指摘の点は、一たん、現行法であれば免許、新しい法律であれば許可をとった後に事業計画で届け出た車両数がどんどんと減っていってしまう、その分を下請に落としていくことで参入の際のチェックの意味がなくなるのじゃないかという点かと思われますが、確かに理由もなくそのような減車が行われることは趣旨に反すると思います。  ただ、経済的に非常に困難な環境に置かれましてどうしても荷物が集まらない、やむを得ず車を減らしていくという場合に、ある時期最低車両数を下回ってしまうというようなことがないとは言えないと思いますが、こういう事態のときに、それだからといって直ちに許可の取り消しとか事業改善命令を出して最低基準までふやしなさいということを命じますと、企業の存続そのものが危うくなる、あるいはそこで働く人の雇用の確保という観点からも必ずしも好ましい結果にならないこともありますので、そのような場合には、その事業者が置かれております環境でありますとか立ち直る可能性、そういうものを総合的に判断しながら、いわばケース・バイ・ケースで適切に判断、対応してまいりたいと思っております。  それから、一般的に一律の下請制限というものをかけるべきではないか、こういう御意見でございますが、トラック事業におきましては季節的な需要の変動というのがかなり著しい。したがいまして、自社の輸送力ではどうしても対応できないときに機動的に他社の輸送力を用車というような形で借りてきて補完することが不可欠でございまして、一律に下請を制限することは変化する輸送需要への弾力的な対応が困難になるという懸念がございまして、慎重に対応すべき問題だと思っております。ただ、最低車両数の維持につきましては、先ほど述べましたように、参入基準の趣旨が失われないような対応をしてまいりたいと思っております。
  135. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほど実態調査の結果も出しましたけれども、トラック業者間の荷の委託や外注というのは恒常的になっているわけですね。こうした実態が物流の変動に対応するだけでなくて、トラック事業者の業務遂行能力基準をあいまいにし、ダンピングで輸送秩序を乱す要因にもなりますから、この点は明確にしていかなくてはならないということを改めて強調しておきたいと思います。  時間もありませんから、消費者の保護の問題ですが、宅配便の取り扱い個数は年々ふえていまして、統計で見ましても、七一年度と八七年度を見ますと約九倍以上ふえています。また、毎年百五十件から二百件近い遅延とか破損等の事故が発生をしているわけです。このように一般消費者が荷主になっている宅配便や小荷物のトラブルは社会的にも大きな問題になっているわけですから、今まで何度か改定をしてトラブル防止対策をやられてきましたけれども、現行道路運送法では、一般消費者のような立場の弱い荷主を保護できるような例えば「運送引受義務」とか「運送の順序」あるいは「引渡不能の貨物の寄託」等のいろいろな条項がありました。しかし、新しい法案ではこういう規定が法文化されていないわけです。  今回の新法案では、十三条で宅配便や小荷物についても引き続き運送約款に任せているわけですが、一般消費者向けのサービス等については消費者保護の観点を法文上も明確にすべきではないかと私は思うわけです。宅配便等の一般消費者を対象にする事業については、認可の際の審査は特別な配慮をしなければならないとしてきた経過からいきましても、消費者保護を、こういう経過を生かして法文上もすべきではないかと重ねて要請をしたいと思います。いわゆる物流のプロ同士の取引とはまた違うわけですから、一般消費者が荷主になる宅配便についてこうした保護規定を設ける必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
  136. 寺嶋潔

    寺嶋政府委員 御指摘のように、プロ対プロの取引と違いまして、一般消費者を対象とした事業というのは消費者保護の観点が特に重要であろうかと思います。  そこで運輸省といたしましては、昭和五十八年に宅配便の運賃制度、それから六十一年度には引っ越し運賃料金制度を設定いたしまして、運賃面での明確化を図りましたし、他方、約款につきましては昭和六十年に標準宅配便約款、六十一年に標準引越運送・取扱約款を制定する等の消費者保 護政策を進めてきたわけでございます。つまり、運賃制度とか約款を明確にすることによって消費者の保護を図ろう、こういうアプローチで来たわけでございます。本法案におきましても、事業者利用者関係を規律します約款について従来どおり認可にかからしめておりますので、消費者保護に欠けるようなものは認可されないということになるわけでございます。  それから、利用者事業者の間の利用関係につきまして、御指摘のようにいろいろ従来の道路運送法できめ細かい規定法律に直接ございましたが、今回の法案におきまして免許制から許可制に切りかえたことによりまして、これらの利用関係を定めた規定を設けないことにしたものもございます。  例えば運送の順序とか引受義務等はございませんが、しかし消費者保護の観点からは貨物の引き受けの際の確認手続とか引き受けの条件につきましては当然約款の記載事項になりますので、その公正さは先ほど申し上げたとおり認可制によって担保できます。また、特定の荷主貨物のみを引き受け拒絶するようなケースにつきましては「不当な差別的取扱い」に該当するということでこれを禁止する命令を発動することもできるわけでございまして、この点も従来と変わらないところでございます。  以上のようないろいろな措置によりまして、消費者保護に遺憾なきを期していきたいと思っております。
  137. 中路雅弘

    ○中路委員 あと一分ぐらいしかありませんから一言述べておきたいのですけれども、いろいろ審議の中で、各委員の皆さんの御質問の中でも多くの懸念や重要な問題点が指摘をされてきています。中小トラック事業者の保護と言われた緊急調整措置の問題、標準運賃制度等事実上運賃の自由化に道を開く今度の届け出制への移行のもとでは、輸送秩序確立する措置とは十分言えないと私は考えるわけです。  中小のトラック事業者の自然淘汰を通じて大手荷主や大手運送事業者等の下請再編を強めていくものでありますし、荷主の下請となっている中小トラック業者に荷主からの違法的な指示を行った場合に、そういうものを証明していくという荷主勧告、これも極めて実効性が乏しいと私は思うのです。むしろ現状の違法な運賃ダンピング、こうした過当競争を一層促進させる、そういう面では、大手荷主運送業者等の大手の物流コスト削減のために一層物流の再編を強めていく、中小トラック業者等の実運送業者に犠牲を強いる、そういう法案ではないかということを強く感じるわけです。そういう立場から、この法案には賛成できないということを述べて質疑を終わりたいと思います。
  138. 島村宜伸

    島村委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  139. 島村宜伸

    島村委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、貨物運送取扱事業法案について議事を進めます。  この際、本案に対し、久間章生君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案による修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。久間章生君。     ─────────────  貨物運送取扱事業法案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  140. 久間章生

    ○久間委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、貨物運送取扱事業法案に対する四派共同提案に係る修正案について、趣旨の説明を申し上げます。  本法案は、従来個々の事業法でそれぞれ設けられていた規制制度を、横断的、一元的制度としてまとめることを内容とするものでありますので、法施行後の適当な時期に法律の施行状況に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることが必要と考えられます。よって、附則第五十一条の次に第五十二条として「政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」との一条を加えるものであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  141. 島村宜伸

    島村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  修正案につきましては、別に発言の申し出もありません。     ─────────────
  142. 島村宜伸

    島村委員長 これより原案及び修正案について討論に入るのでありますが、先ほどの理事会の協議により討論は御遠慮願うことになりましたので、御了承願います。  これより採決に入ります。  貨物運送取扱事業法案及び修正案について採決いたします。  まず、久間章生君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  143. 島村宜伸

    島村委員長 起立総員。よって、久間章生君外三名提出の修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  144. 島村宜伸

    島村委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     ─────────────
  145. 島村宜伸

    島村委員長 ただいま議決いたしました貨物運送取扱事業法案に対し、二階俊博君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。二階俊博君。
  146. 二階俊博

    ○二階委員 ただいま議題となりました貨物運送取扱事業法案に対する附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     貨物運送取扱事業法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の点を配慮すべきである。  一 貨物運送取扱事業者その他関係者に本法の趣旨、内容の十分な周知徹底を図ること。  二 貨物運送取扱事業者が実運送事業者に対して不当な運賃料金の引き下げを強要することのないよう関係者を指導するとともに、運賃料金の遵守について本法及び関係事業法の運用を徹底すること。  三 貨物運送取扱事業者が実運送事業を不当に圧迫して輸送の安全を阻害する等実運送の正常な運営が阻害されることのないよう適切な指導を行うこと。  四 許可又は登録を受けた貨物運送取扱事業者について、計画的かつ着実な監査を実施する等許可又は登録後の指導監督を強化すること。  五 貨物運送取扱事業参入については、厳正に審査を行うとともに、その基準を具体的に定め統一性透明性確保すること。  六 貨物運送取扱事業適正化を図るため、運賃料金変更命令事業の改善命令許可の 取消し処分等について厳正かつ機動的に運用すること。  七 利用運送事業者が行う国際複合一貫輸送の進展により港湾運送に関する秩序に支障が生じることのないよう、港湾運送の認可料金の遵守等になお一層努めること。 以上であります。  本附帯決議は、当委員会における法案審査の過程におきまして、委員各位からの御意見及び御指摘のありました問題点を取りまとめたものでありまして、本法の実施に当たり、政府において特に留意して措置すべきところを明らかにし、貨物運送取扱事業の円滑な機能の発揮及び事業の適正かつ合理的な運営確保に資そうとするものであります。  以上をもって本動議の説明を終わります。
  147. 島村宜伸

    島村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  二階俊博君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  148. 島村宜伸

    島村委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。     ─────────────
  149. 島村宜伸

    島村委員長 次に、貨物自動車運送事業法案について議事を進めます。  これより討論に入るのでありますが、先ほどの理事会の協議により討論は御遠慮願うことになりましたので、御了承願います。  これより採決に入ります。  貨物自動車運送事業法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  150. 島村宜伸

    島村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  151. 島村宜伸

    島村委員長 ただいま議決いたしました貨物自動車運送事業法案に対し、川崎二郎君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。川崎二郎君。
  152. 川崎二郎

    ○川崎(二)委員 ただいま議題となりました貨物自動車運送事業法案に対する附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     貨物自動車運送事業法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の点に配慮すべきである。  一 貨物自動車運送事業者その他関係者に本法の趣旨、内容の十分な周知徹底を図ること。  二 許可を受けた各貨物自動車運送事業者について、貨物自動車運送適正化事業実施機関の活用を図るとともに、計画的かつ着実な監査を実施する等、許可後の指導監督を強化し、併せて、貨物自動車運送事業適正化を図るため、運賃料金変更命令輸送安全確保に関する是正命令事業の改善命令許可の取消し処分等について厳正かつ機動的に運用すること。  三 「自動車運転者労働時間等の改善のための基準平成元年二月九日労働省告示第七号)」の遵守の徹底等による労働時間の短縮及び労働力の確保について業界を指導するとともに、その円滑な推進のための環境整備を図ること。  四 積載重量及び運転時間を正確に把握しうる車両機器研究開発に努め、装着義務化に向けて環境整備を図るとともに、乗務記録輸送活動状況を示す記録の作成義務の遵守徹底を図ること。  五 貨物自動車運送事業許可に当たっては、最低車両規模確保等適切な事業計画及び事業遂行能力確保されるよう厳正に行うとともに、その基準を具体的に定めこれを公示する等、許可運用について統一性透明性確保すること。  六 緊急調整措置標準運賃及び標準料金並びに荷主への勧告に関する規定については、適時適切に運用し、事業の健全な運営を図ること。  七 貨物自動車運送の秩序の確立を阻害する自家用貨物自動車による営業類似行為等の違法行為防止し、当該違法行為に対しては厳正な処分を行うとともに、自家用貨物自動車の運行に関する安全規制の遵守徹底を図ること。  八 過労運転・過積載防止に資するため、高速国道上も含めた運転者休憩施設整備、車両の重量計の設置等の整備促進に努めること。  九 運賃料金の適正収受を図り、事業の健全な運営確保に資するため、貨物自動車運送事業者とその荷主及びそれぞれの団体相互の協力体制確立に努めること。  十 社団法人を貨物自動車運送適正化事業実施機関として指定するときは、適正化事業が公正かつ着実に実施されるよう当該実施機関に対する指導監督の徹底を図るとともに、当該実施機関による事業の進捗状況等を十分踏まえ、必要に応じて当該実施機関体制について見直しを検討すること。  十一 適正な原価を下回る運賃の収受等不公正な取引を防止し、貨物自動車運送の秩序の確立に資するため、貨物自動車運送適正化事業実施機関は、荷主及びその団体に対する啓発活動の実施等広汎かつ効果的に事業を遂行すること。  十二 貨物自動車運送事業の経営基盤の確立及び社会的地位の向上に一層配慮し、特に九十九%を占める中小事業者の体質低下を招かぬよう十分留意するとともに、中小事業者が円滑かつ安定的に事業が行えるよう、協業化、共同化等中小企業対策を強力に推進し、その育成策の推進を図ること。  十三 輸送の合理化等を積極的に推進するため、車両総重量等車両諸元に関する制限の緩和について、その具体的な方向について早急に検討結果を出し、今後の道路整備の進捗状況等に応じて規制緩和を図るとともに、都市周辺部における事業用施設用地の円滑な確保を図るための措置を講ずること。  十四 情報ネットワークの整備等輸送合理化の推進及び貨物自動車運送の秩序の確立に関する業界の実施体制確立及び強化を図るため、財源措置確保に十分に配慮すること。  十五 本法の趣旨、目的を達成するため、監督指導等行政体制及び関係行政機関の円滑なる連携・協力体制充実強化を図ることとし、所要の措置を講ずること。 以上であります。  本附帯決議は、当委員会における法案審査の過程におきまして、委員各位からの御意見及び御指摘のありました問題点を取りまとめたものでありまして、本法の実施に当たり、政府において特に留意して措置すべきところを明らかにし、今後の貨物自動車運送事業の健全な発達を図ろうとするものであります。  以上をもって本動議の説明を終わります。
  153. 島村宜伸

    島村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  川崎二郎君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  154. 島村宜伸

    島村委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。江藤運輸大臣
  155. 江藤隆美

    江藤国務大臣 貨物運送取扱事業法案及び貨物自動車運送事業法案につきましては、慎重審議の結果、御採決をいただきましたこと、まことにありがとうございました。  また、ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分体し、その実現に努力してまいる覚悟であります。  どうもありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  156. 島村宜伸

    島村委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 島村宜伸

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  158. 島村宜伸

    島村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十五分散会