○大浜
方栄君 私は、本
予算委員会を通して
社会保障の問題、沖縄海域に投下された水爆の
問題等を論議させていただきます。
まず
社会保障の問題でありますけれども、私は
議員になってから六年近くになりますが、その間に次第に私の心の中に芽生えてきた夢があります。その夢というのはどういうことかというと、日本が世界の
社会保障のモデルをつくるべきである、こういう夢であります。
御承知のとおり、揺りかごから墓場までという英国のあのビバリッジの
社会保障の理念が世界の
社会保障史上画期的な指標になりましたけれども、現在、欧米諸国でもロンドン・エコノミストが指摘しているとおり、イギリスあるいはアメリカあるいはスカンジナビアの
社会保障は道に迷っている、こういうぐあいに言っております。私
自身も一九六三年から五年まで一年二カ月、それから一九六七年に十一カ月、さらにまたその後も毎年
国会議員として先進諸国を見て回っておりますけれども、文字どおり変わったなという感じがいたしております。
具体的に申し上げると、あのナショナル・ヘルス・サービスをやっているイギリスでさえ、今、入院したくても入院ができない、医者に診てもらいたくても診てもらえない。特に入院手術ができない。ウエーティングリストに七十万人待っている。このウエーティングリストをめぐってサッチャー政権と労働党との間にやりとりがあるというような状況であります。また、アメリカでも同じように医療にかかる場合に、病気になった場合に、アメリカは御存じのとおり日本と医療保障制度が違う。それでアメリカでは、一部負担が、保険料が払えないために病気になって見放される人が驚くなかれ人口の五%、百三十万人ぐらいの人が医療保障から見放されている、こういう状態であります。日本では、生活保護の方々がたしか百二十七万から百三十万と思いますけれども、生活保護を受けている人でも医療保障はほぼ完璧に近い医療を受けております。
それで、今、欧米先進諸国がもう迷っている、スカンジナビアもそういうぐあいに迷っているそういうときに、日本が今エコノミックアニマルと言われている、すばらしい経済のパフォーマンスをなし遂げてきているけれども、
社会保障に対しては常に学んできた、常に後進国であったけれども、最近ほぼ肩を並べるようになった。それで、エコノミックアニマルという
言葉は私はどうかと思うけれども、経済も大事だけれども、下部構造の上に築き上げられていく上部構造、一番大事な
社会保障をどういうぐあいにして世界のモデルになるか。しかし私は、これは
考えてみたら決して夢ではないという確信が徐々に芽生えてきた。
何で大浜はそういうことを言うかとおっしゃるかもしらぬけれども、それは御存じのとおり、
国民負担率が今三七%、欧米は五〇%以上を超している。デンマーク、スウェーデンのごときは七〇%である。
国民負担率がそこに達するまであと十年ある。
社会保障の一番基本的な問題である高齢化率も御存じのとおり日本は一一%、欧米はみんな一五%以上になっている。二〇%のところもある。そこの高齢化率が欧米にいくまでにやっぱり十年かかる。もう
一つ、今スカンジナビアもイギリスもアメリカも、どういうぐあいにしたら二十一世紀の高齢化を克服して、迷っている
社会保障をまた正しい方向に持っていこうかと苦心惨たんしているわけでありますから、それに欧米のノーハウを学ぶのにあと十年あるから、ちょうど高齢化
社会に向かう準備の時間がある。こういう三つのことで、私
自身は夢がだんだん出てくるなと思っておった。
幸いにして、ことしの厚生省
予算を見まして、私は非常に意を強うした。どういうところが意を強うしたかと申し上げると、まず厚生省の本
年度予算の特徴である在宅老人の三本柱ができている。その三本柱は、ホームヘルパーを五万人これから養成していく、それからショートステイを五万ベッドつくっていく、それからデイサービスセンターを十年がかりで全国に一万カ所つくるという。そしてその
予算もちゃんとできている。
予算は、もう時間がないので大ざっぱに申し上げますけれども、驚くなかれ前
年度の二倍の
予算を組んである。先ほど
抜山映子先生から、消費税は何に使うか、こういうお話があったけれども、ちゃんと使うように
予算が組んであるということであります。
それで私は、そういうような長寿
社会対策大綱に沿ってもう既に政策が行われているということで、特にその中で今度今国会に提出することになっている民間老後施設の促進法の件でございますけれども、これも私は恐らく日本の医療・
社会保障史上に残る画期的な法案である、心からそう思っておりますので、今度提出される民間老後施設の促進法案について、厚生省から、その
目的、趣旨をお話し願いたい。