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1989-05-12 第114回国会 参議院 予算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年五月十二日(金曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  五月十一日     辞任         補欠選任      増岡 康治君     田辺 哲夫君      志村 哲良君     久世 公堯君      黒柳  明君     太田 淳夫君      佐藤 昭夫君     諫山  博君      栗林 卓司君     抜山 映子君  五月十二日     辞任         補欠選任      矢田部 理君     野田  哲君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         初村滝一郎君     理 事                 青木 幹雄君                 岩本 政光君                 遠藤  要君                 田沢 智治君                 野沢 太三君                 対馬 孝且君                 中野 鉄造君                 近藤 忠孝君                 勝木 健司君     委 員                 石本  茂君                 小野 清子君                大河原太一郎君                 大浜 方栄君                 久世 公堯君                 佐々木 満君                 下稲葉耕吉君                 関口 恵造君                 田代由紀男君                 田中 正巳君                 田辺 哲夫君                 谷川 寛三君                 中曽根弘文君                 中西 一郎君                 永田 良雄君                 林 健太郎君                 林田悠紀夫君                 松浦 孝治君                 松岡滿壽男君                 及川 一夫君                 千葉 景子君                 野田  哲君                 福間 知之君                 本岡 昭次君                 矢田部 理君                 山本 正和君                 及川 順郎君                 太田 淳夫君                 中野  明君                 諫山  博君                 吉岡 吉典君                 抜山 映子君                 秋山  肇君                 青木  茂君    国務大臣        内閣総理大臣   竹下  登君        法 務 大 臣  高辻 正己君        外 務 大 臣  宇野 宗佑君        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        文 部 大 臣  西岡 武夫君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        農林水産大臣   羽田  孜君        通商産業大臣   三塚  博君        運 輸 大 臣  佐藤 信二君        郵 政 大 臣  片岡 清一君        労 働 大 臣  丹羽 兵助君        建 設 大 臣 小此木彦三郎君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    坂野 重信君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 小渕 恵三君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  金丸 三郎君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       坂元 親男君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  田澤 吉郎君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       愛野興一郎君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       宮崎 茂一君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  青木 正久君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  内海 英男君    政府委員        内閣官房内閣内        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房内政審議室        長        的場 順三君        内閣法制局長官  味村  治君        内閣法制局第一        部長       大出 峻郎君        公正取引委員会        委員長      梅澤 節男君        公正取引委員会        事務局官房審議        官        糸田 省吾君        警察庁刑事局長  中門  弘君        総務庁長官官房        会計課長     稲葉 清毅君        防衛庁参事官   小野寺龍二君        防衛庁参事官   村田 直昭君        防衛庁長官官房        長        依田 智治君        防衛庁防衛局長  日吉  章君        防衛庁経理局長  藤井 一夫君        防衛庁装備局長  山本 雅司君        防衛施設庁施設        部長       鈴木  杲君        防衛施設庁建設        部長       田原 敬造君        防衛施設庁労務        部長       吉住 慎吾君        経済企画庁物価        局長       勝村 坦郎君        経済企画庁総合        計画局長     海野 恒男君        科学技術庁原子        力安全局長    村上 健一君        環境庁企画調整        局長       安原  正君        環境庁自然保護        局長       山内 豊徳君        国土庁長官官房        長        公文  宏君        国土庁長官官房        会計課長     嵩  聰久君        法務省刑事局長  根來 泰周君        法務省入国管理        局長       股野 景親君        外務大臣官房領        事移住部長    黒河内久美君        外務省北米局長  有馬 龍夫君        外務省中南米局        長        坂本重太郎君        外務省経済局長  佐藤 嘉恭君        外務省経済協力        局長       松浦晃一郎君        外務省条約局長  福田  博君        外務省国際連合        局長       遠藤  實君        大蔵省主計局長  小粥 正巳君        大蔵省主税局長  尾崎  護君        大蔵省理財局長  足立 和基君        文部大臣官房長  國分 正明君        文部大臣官房総        務審議官     佐藤 次郎君        文部省教育助成        局長       倉地 克次君        文部省高等教育        局長       坂元 弘直君        文部省高等教育        局私学部長    野崎  弘君        厚生大臣官房総        務審議官     末次  彬君        厚生大臣官房老        人保健福祉部長  多田  宏君        厚生省健康政策        局長       仲村 英一君        厚生省社会局長  小林 功典君        厚生省保険局長  坂本 龍彦君        厚生省年金局長  水田  努君        社会保険庁運営        部長        兼内閣審議官   土井  豊君        農林水産大臣官        房長       浜口 義曠君        農林水産大臣官        房参事官     武田  昭君        農林水産大臣官        房予算課長    東  久雄君        農林水産省食品        流通局長     渡辺  武君        食糧庁長官    甕   滋君        林野庁長官    松田  堯君        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        高橋 達直君        通商産業省通商        政策局長     鈴木 直道君        通商産業省通商        政策局次長    南学 政明君        通商産業省機械        情報産業局次長  水野  哲君        中小企業庁長官  松尾 邦彦君        運輸大臣官房長  棚橋  泰君        運輸大臣官房会        計課長      永井 隆男君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    丹羽  晟君        運輸省国際運輸        ・観光局長    中村  徹君        運輸省貨物流通        局長       大塚 秀夫君        運輸省海上技術        安全局船員部長  田辺 淳也君        気象庁長官    菊池 幸雄君        郵政省郵務局長  田代  功君        郵政省電気通信        局長       塩谷  稔君        労働大臣官房長  若林 之矩君        労働省労働基準        局長       野崎 和昭君        労働省職業安定        局次長      齋藤 邦彦君        建設大臣官房長  牧野  徹君        建設大臣官房会        計課長      鹿島 尚武君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        自治省行政局選        挙部長      浅野大三郎君        自治省財政局長  津田  正君        自治省税務局長  湯浅 利夫君    事務局側        常任委員会専門        員        宮下 忠安君    参考人        日本銀行総裁   澄田  智君        元臨時教育審議        会第二部会長        東京大学教授   石井 威望君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成年度特別会計予算内閣提出、衆議院送  付) ○平成年度政府関係機関予算内閣提出、衆議  院送付) ○公聴会開会承認要求に関する件     —————————————
  2. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 予算委員会開会いたします。  平成年度一般会計予算平成年度特別会計予算平成年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。     —————————————
  3. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 理事会協議決定事項について報告いたします。  本日の総括質疑は、自由民主党二十七分、日本社会党護憲共同二十八分、公明党・国民会議二十四分、民社党・国民連合四十三分とすることと決定いたしました。     —————————————
  4. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成元年度総予算案審査のため、本日、日本銀行総裁澄田智君及び元臨時教育審議会第二部会長東京大学教授石井威望君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) それでは、これより総括質疑を行います。抜山映子君。
  7. 抜山映子

    抜山映子君 総理は三月七日の予算委員会で、同僚関議員の質問に答えて、「古来、政治は最高の道徳である」、そのように答えられました。そうしますと、政治家というのは一般の人よりもさらに高い倫理感を持たなければならないと、このようにおっしゃった趣旨と思いますが、そうですね。
  8. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 御説のとおりでございます。
  9. 抜山映子

    抜山映子君 ところが、国民は全くそのようには考えていない。政治家うそをつく。中曽根総理公約違反もさることながら、恐縮ですが宮澤さんも竹下総理も次々とうそが発覚していった。うそつきであるということが一つと、それから、政治家は薄汚い、政治家は刑法に触れるようないかがわしい行為もやる、もう政治は嫌だと、国民がそのような声を持っていることは今事実だと思うんです。  総理は、これに対してどのように国民政治信頼を回復していくか、その姿勢をおっしゃってください。
  10. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、あらかじめ申し上げますが、竹下さんもうそをついたとおっしゃいますが、私は、私自身うそを申し上げたという断定をいただくような気持ちはないことを申し上げておきますが、先生が、おまえはうそっきだとおっしゃっても、これは言論の自由でございますし、先生は正しい人でございますから、それは結構でございます。  さて、そこで政治信頼を失っておると、それは私の辞意表明の中にも申し上げておるとおりでありまして、例えば私が内閣総理大臣の職を辞するということも政治信頼を回復するための一つの方法ではなかったかと。しかし、これは私個人の問題であるというふうに理解していただいて結構でございます。
  11. 抜山映子

    抜山映子君 退陣表明総理けじめは終わっていないと思いますが、いかがですか。
  12. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いつも申し上げておりますように、政治家竹下登としての一つけじめであるという考えでございまして、これが政治不信全体に対するけじめであるという大それた考えはございません。
  13. 抜山映子

    抜山映子君 竹下総理としてのけじめが、まだ任期もありますから残っているだろうと申し上げたんです。
  14. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 任期と申しましょうか、内閣総辞職の手続を院に報告していませんから、その間私が内閣総理大臣であることは事実でございます。  したがって、行政に停滞があってはならないということ、そしてまた、今進行しつつあります政治改革に向けての努力は不断に行っていかなければならぬと、このように考えております心
  15. 抜山映子

    抜山映子君 総理は三月七日の予算委員会で、超短期の問題として、リクルートの未公開株の購入の問題から発足したんだから、株についての問題を解決すること、これが超短期の問題だと言われました。この超短期の問題をどのようになさいますか。
  16. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 超短期というのは、わかりやすく言えば、一番近いところにあるという意味で申し上げたわけでございます。  その問題は、一つ証券取引法上の問題ということがございまして、先般来御議論をいただきまして、そうしてそれぞれ証取審等の御議論をいただいて法律改正を一部お願いしてきたというようなことが一つの問題であります。  今度は、具体的にコスモス株そのものの問題についてでございますが、これは整理して適切な措置をしなければならないということ。それからもう一つは、先生念頭にあるとしますならば、いわゆる未公開株取引等に、少なくとも閣僚等がこれに参画してならないということは、現実そのとおりに行われておりますけれども、それをいわゆる申し合わせ事項というふうにしてお示しするりは、あるいは一括した形で新しい内閣の冒頭において行われた方がより適切ではなかろうかなと、こういうふうに思っております。
  17. 抜山映子

    抜山映子君 未公開株取引は投機的な株の取引と言っても差し支えないと思いますが、そういうものは国会議員全部を通じて禁止すべきと思いますが、いかがですか。
  18. 竹下登

    国務大臣竹下登君) そこまでまいりますと、国会そのもので御議論いただく問題になろうかと思います。見識として私も承らしていただいたと、これにとどめておきます。
  19. 抜山映子

    抜山映子君 政治団体収入で株を購入することも当然禁止されなければならないと思いますが、いかがですか。
  20. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私は、実際問題として政治団体収入の中で株の取引等がなされておるという例は実は知りません。余りないんじゃないかと率直に思っておりますが、政治資金が一時期でも少なくとも運用されることはございますよね。それはやっぱり公益法人等のあり方というものを念頭に置いて対応すべきものであろうというふうにかねて考えております。
  21. 抜山映子

    抜山映子君 その超短期の株の取引の禁止の問題も含めて、政治倫理綱領というものを法律化する、こういうようなお考えはございませんか。
  22. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは法律専門家にこんなお答えをするのはいかがかと思いますけれども、私自身も、倫理というものは、それは言葉としては法律とはなじまない、私はそう思います。しかし、私自身念頭に描いて勉強をお願いしておりますのは、私は法制化が大いに意義あることであろうと思って勉強をお願いしているところでございます。
  23. 抜山映子

    抜山映子君 きょうの新聞によりますと、資産公開法を自民党がつくられた。ところが、それは株の取引の面について早速後退してしまった。このことをどのようにお考えになっていますか。
  24. 竹下登

    国務大臣竹下登君) それは、先ほど廊下でも新聞社の方から取材を受けましたが、内容を詳しくしておりませんので正確に答えることができませんでした。  ただ、答えましたことは、一般論として、もろもろの問題について具体的に実行の技術的に難しい問題等も間々あることである、しかしそれが観念の上においては後退だと言われることはよくあり得ることだと、そういう批判にいつでもたえていくことこそ体制側のあるべき姿だ、こういうお答えを今廊下でしておったところでございます。
  25. 抜山映子

    抜山映子君 何か今のお答えはよくわからなかったんですけれども、せっかく打ち上げたものが一日で後退してしまったということについて、やはりこれは打ち上げ花火であったか、国民はこういうような感を抱くであろう、このように思うんですね。  ところで、昨日、竹下伊東会談があったそうですが、その中で、リクルート株の利益は社会に還元する、このようなことで意見が一致したと書いてございましたが、どのような形で還元なさるおつもりですか。
  26. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 具体的な手法については、しばらく私に考えさせてもらいたいと思っております。
  27. 抜山映子

    抜山映子君 総理は、御自分政治団体を幾つ持っていらっしゃるか把握しておられますか。
  28. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる指定団体一つと思っております。
  29. 抜山映子

    抜山映子君 じゃ、御自分のための政治団体としては幾つあるか把握していらっしゃいますか。
  30. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 各政策ごととかいうような届け出団体はもとよりございますが、今ここで正確に申し上げる一もし間違っておるといけませんから、十数団体あろうと思っております。
  31. 抜山映子

    抜山映子君 総理は、多額の政治献金をすべて百万以下に分けて届け出たためにその寄附者の名義が出ておらないのだ、このように説明されました。これは、政治資金規正法の、政治活動国民の監視のもとに置くという第一条の目的に違反している行為と思われますが、その点どうお考えになりていますか。
  32. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今の政治資金規正法、御案内のとおり、百万円以下は名前を届けないということが法律に定められておるわけでございます。で、当然こういう場合は寄附者側意思というものももとよりございますが、例えば分放することによって、その支援を受ける団体側が故意にそうしたことをする必要は、私個人としては余り認めておらないところでございます。  しかし、政治資金規正法を論ずる今日の段階において、指定団体をどうするかとかいう問題についての改正議論が行われておることは十分承知いたしておるところでございます。
  33. 抜山映子

    抜山映子君 この政治団体の数を議員一人当たり制限するということもお考えになっていらっしゃるということですか。
  34. 竹下登

    国務大臣竹下登君) そういう議論が行われておることを関心を持って見ておるということでございます。
  35. 抜山映子

    抜山映子君 超短期の問題についてということは任期中にやるというように私理解できると思うんですけれども、関心を持って見守っているというぐらいではちょっと国民としては飽き足らないと思うのでございます。  ところで、政治資金規正法届け出が、これは自治大臣とそれから都道府県の選挙管理委員会に届けられるんですけれども、実際にそれが年一回自治大臣の場合は官報で公表されるんですが、実際にその官報をとってみても、どなたの政治団体が幾つあるのか全くわからない。  そういうわけで、こういうものを全部一本にして国民が監視できるように法改正するのが一番望ましい、それが政治資金規正法のまさしく目的とするところではないかと思うのですが、このような考えについて総理の御見解はいかがですか。
  36. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 先生百も御承知のように、政治資金規正法というのは、長い時間をかけまして各党が寄り合って議員立法という形において改正の歴史をたどって今日に至っておるわけでございますから、そういう御意見があることは十分承知いたしておりますし、私自身関心を持つておるところでございます。
  37. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 抜山君、「委員長」という発言をしてください。
  38. 抜山映子

    抜山映子君 総理はいろいろと、これにも関心がある、あれにも関心があると言葉の上ではおっしゃるんですけれども、果たしてそれを実現していただけるのかどうか、それを今、国民が注視していると思うんです。  総理は、政治改革定数是正とか、議員の数を減らすとか、そういうことまでおっしゃっていますが、それのタイムスケジュールをどのようにお考えですか。
  39. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 定数とか公職選挙法とかいう問題は国会そのものの問題でございます。  したがって私は、みずから今、行政府立場にあるということを絶えず身に言い聞かせておりますから、それを飛び越すような発言はいつも控えておるわけでございますが、今おっしゃいました問題等は、いわゆるこの中期長期の問題にわたる問題が多かろうと思っております。その短期中期長期の問題について私の方からお願いをして、今、党の方で御議論をいただいておる。だから、私の意思を可能な限り出さないように、みんなの意思の中で物事ができていくようにというのが、私が今までとってきた政治手法一つでございます。
  40. 抜山映子

    抜山映子君 総理は、行政府の長としてイニシアチブをとっていく立場ですから、やはり御自分意見は鮮明にしないというのはおかしいと思うんです。  じゃ、総理がすぐできることを申し上げたいと思いますけど、現在休眠中の選挙制度審議会、これを活性化していただきたい。これはいかがですか。
  41. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これも全部御存じのことだと思いますが、長い間かかってできてまいりまして、それで中立委員の方、各党代表特別委員としてお入りになっている。演説だけしてお帰りになるとかいろいろな批判がありまして、それから高橋雄易さんという大先輩ですね、たしか内務省で大正四年ぐらいの方でございますが、そういう大家がお亡くなりになったりして、それで休眠しているわけです、現実的な話をいたしますと。今活性化というお言葉をお使いになりましたが、制度上、法律上は存在しておるわけでございますから、これを任命申し上げて、そして主として中と長の問題について御議論をいただこうという気持ちは持っておるところでございます。  しかしその前には、当然従来の行きがかりからいたしまして、各党の方の御了解も得なければならぬというふうに思っております。
  42. 抜山映子

    抜山映子君 それでは、新たな委員の任命はいつ行われるのですか。
  43. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 率直に申し上げますと、人選等々お願いする検討は続けてまいりましたが、やはりこれも切れ目でございますから、新しい内閣で御任命いただいた方が適切ではなかろうかというふうに思っております。
  44. 抜山映子

    抜山映子君 自民党が案としてつくられた資産公開法ですが、これは資産を公開するのは議員本人だけに限られているんですか。
  45. 竹下登

    国務大臣竹下登君) そこの議論まで残念ながら私つまびらかにいたしておりませんので、間違っていると非礼に当たりますから、その点はお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  46. 抜山映子

    抜山映子君 極めて簡単なことでございますので、ちょっとどなたかに確認してもう一度お答えいただきたいと思います。
  47. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 党内の作業中のことを、やっぱりちょっとそれは常識的に考えて、すぐ聞いてここで言えとおっしゃっても、あるいは御要望に応じがたいことも間々あろうかと思います。
  48. 抜山映子

    抜山映子君 新聞発表の案を見ますと、議員本人に限られておるようでございます。これが大変抜け道になっておりまして、配偶者名義あるいは自分がつくった持ち株会社名義、そのようなものが大変多いということで、従来国民の批判が大変多うございました。  したがいまして、同居の家族ぐらいは一緒に出す方がフェアじゃないかと思いますが、これについて総理の御見解はいかがでしょうか。
  49. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、抜山委員の御意見は私としても謹んでお聞かせいただいたというのが、お答えの限界だと思います。
  50. 抜山映子

    抜山映子君 ところで、中曽根さんの喚問の問題ですが、衆議院ではとうとう喚問されなかった。その理由は何ですか。
  51. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる喚問ということを、これはもう百も御承知のことだと思いますけれども、国会そのものでお決めになるその理由を私に言えというのは、そこのところお互い節度を考えた問いも答えも、私の方は一生懸命でやりますから……。
  52. 抜山映子

    抜山映子君 私はまさしくそのことを言いたかったんです。今、総理が言われたように、これは国政調査権の主体はあくまでも両議院にある。そして、国会法では、両議院と委員会が主体になっている。ところが、中曽根さんが最近、捜査が終了してめどがついた段階で、自分は証人喚問に出ていいなどと言っている。私は、まさしく主体を間違えている発言だと思うんです、中曽根さんの。  こういうことは国会の国政調査権が今フェアに動いていないということのあかしたと思うんですが、この点について総理はいかがお考えですか。
  53. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 国会法の立場に立った今の議論を否定する考えはございませんが、国会がお決めになって、その上で喚問という行為があるわけでございますから、その辺も節度の中で、私はそこまでお答えするのが限界であろうと思います。
  54. 抜山映子

    抜山映子君 法務省にお伺いしますが、捜査のめどはいつ終わるのですか。おおむねで結構です。
  55. 高辻正己

    国務大臣(高辻正己君) お尋ねは捜査のめどということであったようでございますが、私からお答え申し上げます。  捜査というものは、御存じのとおりに、事の性質上流動的なものでございまして、いつまでにどのような結果になるかということ、いわゆる捜査の見通しでございますが、これについて確たることは申し上げられません。言えることは、検察当局が現在できる限り速やかに、かつ厳正に捜査を遂げるべく全力を挙げているということでございます。
  56. 抜山映子

    抜山映子君 国政調査権が制限されるのは、司法の独立が害されるときが制約をされることになっておるわけですが、中曽根さんを喚問することは、司法権の独立を害することには全くならないわけでございます。そういうわけで、中曽根さんの証人喚問を請求したいと思います。
  57. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ただいまの件につきましては、理事会において協議をいたします。
  58. 抜山映子

    抜山映子君 一昨日の予算委員会の中で総理は、リクルート株の譲渡について経済行為であるというような発言をちらっとなさったのを私は記憶しておるんです。こういうような評価では、これから政治改革をしていく上において姿勢が定まっていない。これは経済行為でないわけですね。  検察が既に起訴したことから二つのことが明らかになりました。一つは、この未公開のリクルート株の譲渡はわいろ性があるということが一つ、それから、秘書だ、家族だ、後援会の会長だと言って逃げを打っても、起訴されるのは秘書じゃなくて本人だということ、この二つを明確にしたわけです。したがいまして、これは経済行為でなくて、まさしく刑法のわいろ罪に該当する行為、あるいはそれを国民から疑われても仕方がない行為であると。ですから、経済行為であるというような言葉をほかの政治家も多く発言しておられますが、これは間違っているという認識を持っていただかなければならないと思うのです。総理、この点いかがでしょうか。
  59. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 抜山委員のおっしゃっている感じは私もわかりますが、株式の譲渡というもの、これは経済行為である、これだけは私は正確にその辺きちんと申し上げておるつもりでございます。
  60. 抜山映子

    抜山映子君 例えば野村証券を通じて株を買う、これは経済行為でございます。しかし、このリクルートコスモスの株のように未公開の株で値上がり確実でだれもが簡単に入手できない、そういうものについてはわいろ性があるんだと。したがって、収賄罪を疑われても仕方がないんだということを認識していただかないと、政治改革も緒につかないであろうということを私申し上げておるんです。いかがですか。
  61. 竹下登

    国務大臣竹下登君) だから、今丁寧に申し上げましたように、お話の流れはわかりますが、いわゆる公開であれ未公開であれ、株式の譲渡そのものが経済行為であるというふうに正確に申し上げておるところでございますので、その性格そのものが今おっしゃった流れのお話がわかったといたしましても、それそのものは経済行為だというふうに区別していつも申し上げておるつもりでございます。
  62. 抜山映子

    抜山映子君 わいろ性のある未公開株の譲渡、それから経済行為と、まあこのように二つ分けて考えなければいけない、それは当然だと思います。  しかし、さらに問題があるのは、国会議員というものは、閣僚であれば殊のほか権力を、行政権の行使を発動できる。そして野党の議員であっても、その権力の行使を発動させるように影響を与えることができる。あるいはまた、いろいろの情報を一般人より早くキャッチできる。こういうことから、経済行為ならば、すなわち証券会社を通じてのだれもが入手できる株の譲渡なら閣僚であってもいいという、こういう判断にはならない。少なくとも経済行為であっても、閣僚ならばこれを自粛するのが当然である。  そういうものを政治倫理基本法みたいなものをつくってはっきりさせたらいいのではないか、このように思うのですが、総理、いかがでしょうか。
  63. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 閣僚がいわゆる株式の売買をしないというようなのは、これはまさに申し合わせでできることであり、たびたび竹下内閣においてもそういう議論がなされておったことは事実でございます。今にしては、確かに私は新内閣で最初に申し合わせた方が適切ではなかろうかというふうに思っておるところでございます。
  64. 抜山映子

    抜山映子君 ところで政治資金集めのパーティーのことなんですが、各省庁を通じて大量にこのパーティー券が販売されているのはもう周知の事実でございますが、これを禁止なさるお気持ちはありませんか。
  65. 竹下登

    国務大臣竹下登君) たしか後藤田委員会の方から、私はその限りにおいては報告を受けております。そういう方向で議論が集約されつつあるというふうに承知しております。  ただ、先ほど申し上げなかったわけでございますが、この機会をかりて。いわゆる情報の集まりやすい立場にあると、これは言えると思いますが、与党であれ野党であれ、権力を行使して云々というようなことは、僕はあり得べきことでもないし、なかったことだと思っております。
  66. 抜山映子

    抜山映子君 行政権を行使できるというように申し上げたらよりはっきりするかと思います。  ところで、このたび税制改革六法案が成立いたしました。その中で、私どもの党は、消費税には終始一貫反対すると同時に、資産課税というものを強化しなければいけないということを申し上げました。ところが、例えば株の譲渡益でございますけれども、原則一%課税にしたということで胸を張っておられますけれども、これは前に比べてむしろ後退であると思うんですが、この点を修正なさるお気持ちはありませんか。
  67. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 資産所得課税につきましては、相次いで強化しているところでございます。  さきの国会におきまして、例えば土地について言いますと、短期譲渡については普通の人より非常に重くするとか、それから今度の大改正でも、法人がまだ使わない土地を借入金で借りた、買ったというような場合にその利子の損金算入を否認するとか、また相続税も、評価が事実上時価より安いことに目をつけて、そして借金で買うとかいうような場合は取得価額で評価するとか、こういう、まあ土地についてはいろんなことをやっております。  それからもう一つ、今、資産で、金融資産、利子所得でございますが、御案内のように、従来は非常に少額貯蓄の非課税とか郵貯の非課税とか、ですから随分金持ちの人が何口にも分けてやっておると、こういうことがございましたし、それから源泉選択の状況を見ましても、あれは三五%と総合の選択でございましたが、むしろやはり金融の秘密性というのですか、小さな人が割と利用している、そういうことを全部考えまして、そして非課税制度を弱者に対する非課税制度に改めて、あとは二〇%の分離課税にしたわけでございます。これはやはり、現在総合する実効手段がないものでございますので、とりあえずそういうことで公平を図った。国会の方で修正案が出まして、五年以内に総合課税への道を開くということを検討しなさいということでございますのでそのようにやっておる。  それから、今お話しのキャピタルゲインの話でございましたが、今までは原則は非課税なんです。それを今度の提案で原則課税にした。しかし、だれがどの株をいつ幾らで買って、そして幾らで売るということはわからないわけですね、現在のところ。それはなかなかつかまらぬわけでございます。そこで原則を二つの種類に分類しまして、源泉分離選択と申告分離課税と、この二つにしたわけでございます。そして、売り買いの所得のわかるものにつきましては、これは申告分離にいたしました。そして、これも国会の議論でございましたが、公開株に関連するものについてはすべて源泉分離ではなくて申告分離にしたわけでございますから、従来のキャピタルゲイン課税に比べれば格段の進歩をした。  それからもう一つ、利子所得と同じように将来総合しなさいと、こういう話が出まして、そこで与野党が協議いたしまして、利子所得と同じように、納税者番号を設けることがプライバシーを侵すことがないかどうか、そういう点も確かめながら総合課税の方への道を検討していく、それで利子課税とほぼ時期を同じくしようじゃないか。利子課税が済みましてからもう一年になったわけですから、あと四年以内に検討しようということでございます。  したがって、大蔵石といたしましては、各省庁と今連絡いたしまして、その番号というものを税金だけのための番号にするのか、あるいは年金の番号にもするのか、ほかの省庁でも使えるような番号にするのか、そういうことを検討しているわけでございまして、ですから資産課税の方は全体として土地に対しても、それからキャピタルゲインに対しても、利子所得に対しても格段に進歩しているということを申し上げておきます。
  68. 抜山映子

    抜山映子君 お答えがかなり長くなったのでちょっとわかりづらい感じもあったんですが、じゃ、絞ってお聞きしたいと思います。  例えば、年商売買三十回を超え、かつ売買株数十二万株を超えるもの、あるいは一銘柄十二万株を超えるものの売買については、従来、売買益を申告させて総合課税していた。ところが、これも原則一%になってしまったということは、今度の改正で大量に株式を売買する者にとっては大減税であると、こういうことになるだろうということを申し上げたわけですが、これはそのとおりですね。
  69. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) それはそのとおりでございます。  ただ、税というものはあらゆる場合に公平でなければならぬわけでございます。従来のものはあるものだけつかまえて課税する、こういうようなことでございますから見つかったものは大変になる。見つからないものはこれはもうみんな無税でございますからですから、執行体制がしっかりしない場合には、どんな法文を書いても実際上は非常にその裏で不公平がある。そこがわからないとなかなかわからぬのでございます。  そういう意味で実行できるもの、それで今度は全部、何といいますか、一律に扱った。その中で、さっきも申しましたように、例えば信用取引のようなものがございますれば、これはもうけがわかるわけでございますからそれをやる。もうけが五%であるなどという擬制は設けないとか、それから公開株に関連しているものは、これはわかるわけでございますから申告分離でいたしますとか、こういうふうに実効性のあるやり方で、その意味で全部のものについて公平に扱ったと、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  70. 抜山映子

    抜山映子君 今、大臣は、大量に株式を取引する者にとっては大減税であるということについてはそのとおりであると言われました。捕捉が困難だからということを理由にされましたが、それは本末転倒でございまして、制度としてはやはり金持ち優遇税制をとらない制度をつくって、その後に捕捉の問題が重視されなければならない、これなら順序がわかるんですが、今のお答えは本末転倒ではなかったかと、このように思うのでございます。  ところで、今度は、これはもう前のことでございますが、既にマル優枠というのは廃止された。このマル優枠が廃止されて、三百万の枠内の人は二〇%の課税ということになった。しかし、この枠を超えてたくさん預金を持っている人、そういう人たちは三五%の源泉分離課税から二〇%に下がって喜んでいる。これも金持ち優遇税制であると思いますが、大蔵大臣、いかがですか。
  71. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 先ほど、従来の大口取引、株の話でございますが、その問題は納税者番号のようなものをつくってやると全部の人に公平にいくと、こういう意味でございます。  それから、今の利子課税の分離二〇%という話でございますが、従来は五百兆ぐらいの個人資産が、金融資産がありまして、そのうち三百兆近い非課税利子があったわけです。だれが利用しておったかというと、やっぱり金持ちがやっておったんですね、それをいろんな名義で。これが非常に不公平だということでございます。そしてまた、源泉選択をする場合に三五%という税率、今度の税率は二〇%でございますけれども、その三五%をどんな人が利用しておったかと見ますと、案外所得の少ない人が余計利用している。やはり税務調査というものを嫌うのでございますね。  だから、そういう意味で、損得だけではなくて、やはり税務調査を金融資産というものは嫌うわけでございますから、そういう実態を見た上で総合課税が提起されておりますけれども、その執行体制ができるまでの間、分離二〇%と、こういうことにしまして、しかし弱者に対して、老人の方であるとか、いろんな障害者の方であるとか、そういう人にはやはり三百万という非課税の枠を残したということでございますから、改正の前後を通じて見ますと非常にすっきりし、それから進むべき方向もはっきりした。こういう意味で、私は公平になっているし、それから経済の原則に合っていると、こういうふうに思っているのでございます。
  72. 抜山映子

    抜山映子君 今の大臣の答弁から、進むべき方向はやはり納税者番号ではないかと思います。私どもの党は、やはりプライバシーの保護にも留意しつつ納税者番号というのをつくらなくちゃいけないのではないかと思います。そのことだけを指摘して、次の質問に移りたいと思います。  ところで、今度は所得に対する課税ですね。この所得に対する課税は、昨年の九月以前、それから九月、そしてことしの一月と、刻みが今は五段階になったわけなんです。それ自体、私、いい面もあると思うんですけれども、昨年九月の前は最高税率は七〇%であったのが今は五〇%になっている。しかも、所得の低い方は一〇・五%から一〇%で、〇・五%下がったにすぎない。これもやはり何となく金持ち優遇だなという印象をぬぐえないわけですが、こういう点をどのように大蔵大臣は評価しておられるのですか。
  73. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 負担というのは税率だけの改正ではありません。人的の基本的な控除の問題それから配偶者控除の問題、あるいは今度十六歳から二十二歳までは割り増し控除を認めました。それは要するに課税最低限に関係するわけです。それと税率の絡みで実効税率幾らになりますかと、こういうことでございます。今度やりましたのはそうではなくて、ほとんど給与所得のもう八割以上の人が一〇%で済むようにする。普通のサラリーマンでございますと、その次の二〇%が適用されるというのはほとんどもうごくわずかになると、こういうことで、やはり中小のサラリーマンそれから中堅のサラリーマン、こういう人を中心に大減税をしたということでございます。  それから、最高税率の話でございますが、確かに地方税を入れて七六%から六五%になりましたね。国税が五〇%それから地方税が一五%、税率合わせて六五%、これは各国でも今最も高い税率でございます。やはり日本は中産階級というものを多くつくっていく必要があるであろう、この点は変わりないと、こういうことで控除と税率をあわしてやったということでございまして、金持ちを別に優遇しているわけではございません。
  74. 抜山映子

    抜山映子君 日本は、一億総中流化という言葉がかつて言われたことがございました。それは、やはりこのような高所得者には高い所得税が課せられるというその日本の方針が非常に成果を生んできた、それが社会の活性化を生んできたと、私はそのように評価しておるんです。  ところが最近では、先ほど資産の問題も申し上げましたけれども、ニュープア、ニューリッチという層ができてきている。そして、先ほどの資産に対する課税も流れとしてはやはり金持ち優遇になってきている。そして、所得についてもやはり同じことが大きな流れとしては言われる。もちろんきめ細かい配慮も中にはしておられる部分もございますけれども、やはり七〇%の最高税率、私ども野党は六〇%の税率に抑えよということで申し上げたはずなんです。ところが五〇%になってしまった。これはますます格差を生むことになるのではないかと、大変一般市民は私も含めて不安に思っておるところなんです。  ところで、消費税の問題なんですが、いわゆる消費にかけられる税金ですね。これもまた逆進性の問題があるということで大変庶民の不満が多い。この逆進性の問題をまだまだこれから対処していかれるのかどうか、ちょっとその点をまず総論的にお伺いしたい。
  75. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 今度の消費税は、導入した理由はもうしばしば申し上げておるとおりでございます。シャウプ税制がありましてから四十年たっている。そして、税制体系全体として公平なものをつくりたいと。だから、消費税というのはその一部なんでございます。累進的であるか逆進的であるかというのは、例えば家計について言えば、家計にかかる税金全体の話でございます。だから、今度の消費税と、これと所得税、住民税の減税、下ほど減税率は高いわけですね。そして、結果としてどうなったかと、こういうことで判断すべき問題でございまして、きのうも別の委員の方に申し上げましたが、収入なり所得に対して消費税、これは間接税というものは大体全部逆進的になるわけですね。消費に対してはまさに比例している。だからその税金の額は、もちろん所得の高い人の方が消費税も余計払うんです。ただ、消費性向が少ないために、率として所得に対しては低くなりますと、それを逆進的と呼んでいるわけでございます。  その程度は、例えば第一・五分位と第五・五分位で比較すると三割ぐらい違います。しかし、今度は所得税と住民税の方で大改正いたしました。これで言いますと、今まで第五・五分位の人が第一・五分位に対して負担率が六・五倍、それが二十五倍というのです。ですから、所得税とか住民税の方がはるかに金目が大きいわけでしょう。だから、全体として考えれば、それは累進的に税制もなっておるであろうと、こういうことを申し上げているわけです。
  76. 抜山映子

    抜山映子君 低所得者は可処分所得の中に占める消費の割合が大変に多いわけですね。ですから、どうしてもこの消費税は所得の少ない者にとっては大変過酷な税になっているということは、はっきりと言えると思うんです。  ところで、厚生省にお伺いしたいと思いますけれども、年金生活者、母子家庭、父子家庭、身障者の数は現在どうなっているか、そしてその数の趨勢はどのようになっているか、大まかに教えていただきたいと思います。
  77. 末次彬

    政府委員(末次彬君) まず、身体障害者でございますが、六十二年二月現在で、総数で二百四十一万三千人でございます。それから母子家庭でございますが、これはちょっと数字が古うございますが、五十八年度で七十一万八千百人というふうに把握しております。
  78. 抜山映子

    抜山映子君 私、厚生省の方から資料をいただきましたが、この数において身障者、母子家庭、それから年金生活者、大体趨勢としてはだんだんふえてきている、こういう傾向にあるわけです。  私、特に申し上げたいのは、身障者の義足とか身障者用の車いすとか、あるいは人工肛門とか、そういうものはもう体の一部であって、日々消費していくものじゃないわけですね。そういうものに対して消費税をかけるのは、もうまことに残酷そのものであって、これはもう身障者の悲痛な叫びがあるわけです。こういう問題は、もうどうしても直さなくてはいけない。この点について大蔵省、御意見を伺いたいと思います。
  79. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 御承知でしょうけれども、例えば身障者の義足、それから車いすですね、これは公費負担になっていますね。ですから、それは公費負担になっていますから、直接には身障者の方は、公費でやるわけでございますから関係はないわけでございます。  そして、それからまた、その場合に徴収基準というのがあります。公費負担でやりますけれども、公費でもってやりますけれども、ある程度実費の一部を徴収するということで、所得税額等に応じまして徴収基準をつくっております。それはもう今度の予算で消費税がかけられてもそのままに据え置くということにしておりますので、今の車いすとか義足の問題については御心配は要らないと思います。  それから、もう一つのあの袋ですね、人工肛門の。あれは今度医療費控除の対象にしておるというようなことで、あちらこちらで手当てをしておるということでございます。
  80. 抜山映子

    抜山映子君 身体障害者がそういうものを一切負担していないというならば、そういう声が出ないはずで、実際に負担しているからそういう悲痛な叫びがこれは消費者連合会の方に寄せられているわけですから、ひとつこれは考えていただきたいと思います。  それから、諸外国と比較しますと、大体食料品は軽減税率とかあるいは免除とかいう制度をとっている。食料品につきましては、お金持ちも一般市民も大体食べるものは似たり寄ったりであると。こういうものについて、将来考えなくてはいけないのではないかというお考えはありませんか。
  81. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) この点は、政府税調におきましても党の税調におきましてもやはり一つの大きな問題になったわけでございますけれども、やはりこの消費税というものの仕組みが非常に難しくなるわけですね。ですから、物については、転々流通するわけでございますので、これについては原則全部課税。それで、末端のところの教育関係であるとか医療関係では、これはもう最後の末端のところだけのサービスの話でございますから、そういうものについては非課税と、こういうことにいたしまして、その結果出てくるふぐあいな点は歳出その他で考えていく、あるいは税で考えられるところは税で考えていく。ですから、大減税をするとか、それからいろんな物価スライド制を完全にやっていくとか、ことしは特別に弱者に対してはそれぞれの何%上げるとか、全部やっている。  ですから、すべての問題を税だけで片づけろというのは難しいわけでございますので、やはりあらゆる施策を総合して、そのふぐあいな点はそちらで片づけると、こういうことでやっているわけでございます。
  82. 抜山映子

    抜山映子君 前回つぶれた大型間接税では、食料品は免除の対象にしていました。ですから、食料品は軽減税率を設けるとか免除の対象にすることができないというのは、これはもう詭弁であることははっきりしておるわけでございます。毛皮やダイヤモンド、この税率が下がっても一般市民には何の恩恵もない。食料品については、もう日日出ていく切実なものであるということから、やはりこれは考えなくてはいけない問題をはらんでおると思います。  ところで、消費税はいろんな特例措置が設けられました。免税業者とか限界控除とか、いろいろ特例措置が設けられた。その特例措置の結果、せっかく消費者が納めた税金が業者の手元に残ってしまうということが出てきている。そのために消費者と業者の間に相互不信が生じている。こういう問題の解決についてお考えになりませんか。
  83. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) これもしばしば申し上げておりますように、売上税のときの一番大きな問題は、事務負担が多過ぎる、そして消費税実施のためのコストが高過ぎる、これがもう大問題だったわけでございます。  そこで、今言ったような事務負担、特に中小の方々の事務負担を省こうということで、免税点三千万ということにしたわけでございます。実際は、この人たちが値決めをどうするのかということによって決まるわけでございます。それだからといって、しかし免税者といえどもコストの分、仕入れについてはかかってきますから、ですから普通マージンが二割であるとすれば、その差は売り上げに対しては〇・六%、こういうことになるわけでございますが、〇・六%ですと普通、中小企業者ですと月に六千円、ぎりぎりそんなものでございましょうね。そうかといって、値決めをやればその六千円もなくなるわけでございます。自由市場でございますので、どんな値決めをしておるかというのはわからぬわけです。四月の状況を見てみますと、中小の方、恐らく免税者でございましょう、そのまま四割ぐらいはまだ値上げしていない、こういうことでございますので、ほかの方方の値上げの状況、そういうことを見ますと、まずまずこの税もだんだん国民生活に定着しつつある、こう思っております。  もとより、これの定着状況というものは、我々はずっと引き続いて注視してまいりまして、その上でまた皆さんの結果についても、我々も国民に知っていただくようにいたしますから、いろんな御批判を賜った上で、見直し規定もあるわけでございますから、必要とあればその見直し規定を活用するということもあるかもしれません。しかし、まだその答えが出ていないというところでございます。
  84. 抜山映子

    抜山映子君 ということは、様子を見て免税制度とか限界控除制度とか、あるいは簡易課税制度を見直すこともあり得ますと、こういうように了解してよろしいんでしょうか。
  85. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 可能性としてはもちろんそういうわけでございます。
  86. 抜山映子

    抜山映子君 ところで、今、国民の間では、この消費税の導入によってインフレが起こるのではないかということを大変に心配しておるわけです。四月の丈京都区部の消費者物価が前年同月比二・六%上昇している。これが消費税実施後二週間足らずの話でございまして、先ほど大蔵大臣が言われましたように底だ四割ぐらいが転嫁しようかしまいか迷っている、これが転嫁が行われるともっと上がる、こういうことで大変に心配しておるんですが、大蔵省はその点をどういうように見通しを立てておられますか。
  87. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 先ほどまだ値上げをしない人が四割と言いましたが、これは調査はいろいろありますが、通産省の方の調査は二割、それから東京都のサービスの方は四割、こうなっておりますので訂正しておきます。  四月の都区部の物価でございますが、我々、前年同期比もさることでございますけれども、消費税導入前よりどれだけ上がったかと見ておりますと、たしか一・四%でございました。しかも、季節商品を除いて季節調整いたしますとそれは一・二%だと、ここに私は非常に大きなウエートを置いたわけでございますが、そうすると大体経済企画庁で一・二%ぐらい上がると言っておったのとくしくも一致しておりますし、それで実際の値上げ状況を見ましてもかなりスムーズにいっているということを考えますと、まずまず定着したんじゃないか。それから二・六%前年同期比では上がっておりますが、東京都区部は全国平均に比べて少し高く出まして、〇・四%から〇・六%ぐらい高く出ております。三月の同月比でそれぞれ比べますと、全国平均に対して〇・六%余計出ているわけでございます。だから、全国平均でどう見るかというのは、仮に〇・六%引けば二%でございますから、これは年度平均でございますけれども、くしくも企画庁が二%ぐらいと、こう言っているのと合っているわけでございます。  いずれにしても、値上げの状況それからそれを証左するものとしての物価指数、こういうのを見るとインフレになるという心配はない。特に消費税というのは一回限りでございますから、ですからインフレになるということは心配しておりません。
  88. 抜山映子

    抜山映子君 インフレの懸念に絡んで非常に便乗値上げが目立っているという声が大変に強いわけです。それからさらにもう一つ、物品税は下がったんだけれどもそれが十分に下がっていないで、消費者に還元されずにやはり事業者の手に残っているという不満も大変に多いわけでございます。  公取委の方にお伺いしたいと思いますけれども、この便乗値上げの状況をどのように把握しているか、それについてどのように対処しているか、また今後どのように対処するか、これをお伺いしたいと思います。
  89. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 消費税の実施に伴いますいわゆる便乗値上げ全般の問題につきましては、それぞれ所管の官庁があるわけでございますが、我々所管をいたしておりますいわゆる独占禁止法によって禁止をされておりますカルテルに伴う便乗値上げの状況について、どういうふうに我我が考え対処しているかということについて申し上げたいと存じます。  現在、公正取引委員会がこれまで調査をし既に措置を講じているものもたくさんあるわけでございますが、これらにつきましてはいずれも実施前の、つまり三月三十一日以前のいわゆる駆け込み的な値上げ、これは一部の業種に限られておるわけでございますが、そういうものについて対処しておるわけでございます。したがいまして、現在のところ、四月一日以降、つまり消費税が実施されました後、いわゆるやみカルテルのようなものが顕在化している状況にはないというふうに判断をいたしております。しかしながら、今後とも監視体制を緩めることなく、四月一日以降のそういう便乗カルテルが顕在化してまいりました場合には、厳正かつ迅速に対処してまいります。
  90. 抜山映子

    抜山映子君 便乗値上げについて対処してまいりますと。この対処の具体的内容をお聞かせください。
  91. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) ただいま申し上げましたように、いわゆるやみカルテルによりましてそういった行為が行われます場合には、当然そういった情報に接しました場合に、直ちに強制立入検査を含みます調査をいたしまして所要の法的措置を講じるということでございます。
  92. 抜山映子

    抜山映子君 その所要の法的措置を講じるということの具体的な方法を知りたいわけなんです。
  93. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) カルテルが行われました場合の一般的な排除措置の御質問かと思いますけれども、当然のことながら排除命令を発します。それからケースによりますけれども、それぞれ業種ごとに法律によって定められております売上額に対する一定率の課徴金の納付を命じるということでございます。
  94. 抜山映子

    抜山映子君 私が消費税の問題について地元で聞き取り調査なんかをやりますと、中小企業者あるいは下請業者の消費税に対する不満も大変に大きい。それは、転嫁をすればもう取引の対象としてもらえなくなるからこれは泣かざるを得ないと、こういうことで大変に不満が多いわけでございます。この点を大蔵大臣は把握しておられるでしょうか。
  95. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 企画庁の物価モニター等でこういう不満がありまして、それぞれ公取委の方あるいは通産省の方には連絡しておりますので、そういうものは下請代金支払遅延等防止法に触れるわけでございますので、公取の方が厳重に今調査を進めておるとかあるいは通産省の方は是正方の行政指導を強力にやっている、こういうことでございます。
  96. 抜山映子

    抜山映子君 東京新聞に出ておりますけれども、消費税に対する賛否は、反対が八二%の高率である、しかも消費税については廃止が六五%と大勢を占めているというんです。しかも、消費税の導入前よりも導入後の方が反対の意見がもっとふえているという、こういう国民の声に耳を傾けるお気持ちはありませんか。
  97. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 我々も非常に今注視しているところでございます。これというのも、今度の所得税、住民税の大きな減税、それと消費税の組み合わせというものの家計に対する影響、これが正確に把握されていない。我々の計算によりますと、例えば収入金額が三百万円の標準世帯では一万五千円とか、それから四百万円のところでは三万七千円、それから五百万円になると四万八千円ネット減税になる、それを全部合わせますと三兆三千億、こういう大減税をやっているわけでございまして、片方は二兆のネット増税でございますから、一兆三千億だけは家計に純減税になっているはずなんです。そういうことをよく知っていただくということ。  それから、やはり奥さん方が大部分なんですけれども、実は家庭の奥さん方は、家庭を主にしてやっておるんですが、さっき言ったようにみんな減税になるはずなんでございますけれども、それがよくおわかりにならない。考えてみますと、源泉で安くなった分、これは奥さん方は間接に受け取るから、むしろ直接税を間接税として受け取っておられるのじゃないか。それから、今の消費税の方は、これは間接税でございますけれども、転嫁をはっきりさせる意味で、それからまた消費者の方によく知っていただく意味で外税にしておりますから、奥さん方の感覚で言うとあれが直接税みたいな感じがしてくる、感じとしては恐らくそうだろうと思うんです。  ですから、実際はこれだけ減税になっているんですよということをよくPRしていきたい、このように思っているところでございます。
  98. 抜山映子

    抜山映子君 主婦はそういうように間違えてとらえているというような御発言でございましたが、これは国民を非常にばかにした言い方になるかと思います。  先ほど来ずっと指摘してまいりましたように、消費税は低所得者層ほど重くなる、このことは総理自体もはっきりとお認めになっていらっしゃる。その低所得者が一番所得税減税の効果も受けていないわけですから、しかも消費税についてはこれだけ取られるということで低所得者が非常に不満に思っておるわけでございます。しかも、その税が公平でなくちゃいけないのに、上手にポッケにないないした人がそれで得をする、あるいは事業者間でも不公平が生じている。上手に自分の経済的優位な地位を利用してやる者は得をするかもしれないけれども、下請や中小の企業は泣くと、こういうようなことでもろもろ不満が重なっている。消費税の矛盾がはっきりと露呈されてきている。だからこそ消費税導入の前よりも導入の後の方が反対の声が大きくなってきている、こういうことだと思うんです。  消費税の問題につきましては、単にそれだけではなくて、一国の総理が公約として導入しないというものを導入した、これは公約違反ですから大変ひどいことではないかと。それから導入も、中曽根喚問は実現しないで、そして自民党だけで採決された、このプロセスもよくないと思っている。あるいは、大変失礼ですけれども、リクルートで大もうけしている人たちにどうして消費税の痛みがわかるかというのも地元でよく聞く声でございます。さらには消費税の抱えているもろもろの矛盾。簡素で公平でなければならない税金が、簡素でなくて公平でないと、こういう国民意見があるということを最後に申し上げたいと思うのでございます。  さて、平成の時代に入りまして、「内平らかに外成る」という願いのもとにつけられた元号でございますが、内はリクルートと消費税の導入で平らかでない。じゃ、外は成るかというと、外は貿易不均衡の問題で大変な状況になっている。今月末にはスーパー三〇一条も発動されて日本がその対象国とされそうだと、こういう事態になってきておるわけです。これについて今後どのように対処していくのか、そのことを外務大臣にまずお伺いしたいと思います。
  99. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 我が国の外交方針は、御承知のとおり、日米関係がその基軸である。また、日米関係が良好なることが世界の安定にこれはつながる、そういう両国には責任がございます。だから、いろんな問題で摩擦を生じやすい関係になることは、これはお互いが経済が拡大すればするほどあるいはあることであるかもしれません。  しかし、首脳会談で決められましたことは、いかなるそういう問題が出ようとも両国は共同責任と共同作業、さらには協調政策によってこの問題を打開しようということでございますから、そうしたことを基本姿勢として極力円満にすべてが行われるように努力したい、こういうことであります。
  100. 抜山映子

    抜山映子君 通産大臣にもひとつ回答をお願いいたします。
  101. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 御指名でありますから。  日米経済摩擦につきまして、基本的な取り組み方は外務大臣から御答弁がございました。  まさに、日米は太平洋を挟みまして、マンスフィールド大使ではございませんが、歴史上にあらわれました極めて良好かつ緊密な二国間関係である、これを堅持することが太平洋の平和のみならず、二国の平和のみならず世界平和へ直結するものである、お互い大事にしようと。これは国会議員の代表が集まりまして、先年私、衆議院の議運委員長だったものですから、そのときのお別れ感謝の会でマンスフィールドさんが言われた言葉であります。私どもこの言葉を実感として受けとめておりますものでございますから、いかなる個々別々の摩擦がありましょうともこの哲学でまいりますならば問題は解決していくであろう。先月から今月の初めにかけて参りまして、それぞれの指導者の各位、閣僚の各位とも懇談をいたしましたが、実感を得たところであります。
  102. 抜山映子

    抜山映子君 きょうの新聞によりますと、米国スーパーコンピューターを八九年以降の三年間で八台購入するというように対策を打ち出されている。どうも向こうから強腰に出られると一歩譲歩するという感じがぬぐえない。ですから、少しずつでもいいから前向きに開放していって、そしてそれのPRに非常に努めるという、イニシアチブをこちらから少しずつとっていくという姿勢が必要だと思いますが、いかがですか、通産大臣。
  103. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) ただいまのスーパーコンピューターの問題は、不敏にして聞いておりません。あの新聞報道が先行したようでございまして、それはそれといたしましても、決して外圧によって我が国の貿易政策が変わるなどということのありませんように、日米対等でございますので、理解と協力の中でこれを行ってまいる、こういうことであります。
  104. 抜山映子

    抜山映子君 日本の対米貿易黒字は年間五百億ドルにもなっている。そのことについて改善するための措置を具体的にお考えにはなっていらっしゃらないでしょうか、通産大臣。
  105. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) この点につきましては、一昨日の本院におきましても御答弁申し上げましたとおり、輸入大国を国是といたしまして製品輸入を中心に今後とも努力をしてまいる。その根底は内需拡大政策、経済構造調整政策両々相まちまして行っていきますし、私自身、産業界へ両者のインバランスというものがなだらかなものになる、本当はイコールになることが正解でありますけれども、かようなことで、お互いの努力の中でこれを取り進めてまいらなければならない。  国の政策として、今申し上げました重要な政策もきちっとやらさせていただいておることでありますので、民間各位のさらなる御努力をお願いしたい、こう申し上げておるところであります。
  106. 抜山映子

    抜山映子君 これは通産大臣にお伺いしてもちょっとあれかもしれませんが、為替調整のことは全然念頭におありにならないでしょうか。通産大臣にちょっと申しわけありませんが。大蔵大臣ですね、これはむしろ。
  107. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) これはもう御案内のように、プラザ合意以来、各先進国間で為替相場の安定を目指してお互いに協調していく、その上にマクロ政策まで協調していく、こういうことで為替相場については万全の措置をとらしていただいている、こういうところでございます。10抜山映子君 これからODAの問題も含めていろんな意味での国際責任を果たすことが非常に強まっていくと思われますが、昨日の新聞によりますと、世界的な環境保全の問題で環境保全に関する関係閣僚会議を設置したというように書いてございました。  総理環境庁長官にお伺いしますが、今後どういうように世界の環境保全に日本が役割を担っていくのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  108. 青木正久

    国務大臣青木正久君) お答えいたします。  地球環境問題は、今、世界で大変な関心を呼んでいるわけでございまして、オゾン層の破壊防止の問題、温暖化の問題、熱帯林の問題、酸性雨の問題等たくさんございますけれども、これらにつきまして国際的な検討が精力的に進められております。一方、日本におきましても資源の多くを地球に頼っておるわけでございまして、地球環境に非常にかかわりがある。そこで関係閣僚会議をつくりまして、政府が一体となりまして強力な総合的なひとつ施策を推進しよう、こういうことでございます。  環境庁におきましても、地球環境保全の企画推進本部というのがありますので、ここで具体的な政策をつくりまして、この結果等も踏まえまして提言をいたしまして、日本政府一体としての地球環境保全のための政策を推進していく覚悟でございます。  以上であります。
  109. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今御指摘になりました地球環境保全関係閣僚会議というものにつきましては、これは、「会議は、内閣総理大臣が主宰する」、こうなっておりますので、私からもお答えをいたします。  地球環境保全に関するこの見解は、大筋、今、青木環境庁長官からお話し申し上げたとおりでございます。  昨年のトロント・サミットにおきまして、地球規模の環境問題について私の方から発言をいたしました。各国の首脳それぞれ若干のニュアンスの相違はございます。ある方はフロンガスの問題、ある方は海洋汚染の問題と、それぞれ関心の度合いの相違はございますけれども、今やどっちかといいますと、地球環境を語らざるリーダーは知性と教養と良心なき者である、こんな一つの風潮、いい意味におけるそういう空気がございますよね。  なかんずく我が国の場合は、御案内のように、昭和四十五年にああして公害国会というものがありまして、いわゆる四面海に囲まれた中における国内的な環境行政については、先進国もなお専心しておるというふうな理解をしておるわけでございますが、地球環境の問題はまさにこれからでございますので、できるだけ世界の、まず今、青木長官の方で企画しておられますのがこの九月、世界規模の学者の先生方にお集まりいただいて、地味なところから問題を積み上げていこうという考え方が基本になっておるわけでございます。
  110. 抜山映子

    抜山映子君 この環境保全に関する関係閣僚会議で基金づくりなどを協議するということなんですが、技術的に貢献するとか、そういう問題はテーマとなさらないわけですか。
  111. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 「会議は、地球環境保全についての意見を求めるため、学識経験者の参集を求めることができる」と、そういうふうに書いておりますのも、いわば学者の諸先生方の知見を集約して具体的な政策に移していこうと。ただ、基金のことだけを念頭に置いておるわけじゃございません。基金的なものが大いに効果を発揮する一つであるということは私どもも承知いたしております。
  112. 青木正久

    国務大臣青木正久君) 関係閣僚会議で何をやるかは、各省庁の局長クラスから成る幹事会でこれから取り決めて具体的に決めていきたいと思っております。
  113. 抜山映子

    抜山映子君 何でも基金だけで解決するということではなくて、技術の提供とかスタッフの提供とかいろんな問題で寄与できる面が多いと思いますので、ひとつ大いに頑張っていただきたいと思います。  ところで、外務大臣にお伺いいたしますけれども、一九八六年、松永大使が米国通商代表部に出したサイドレターでございますが、このサイドレターというのはどのように内部的に関与してお出しになっておるんでしょうか。
  114. 佐藤嘉恭

    政府委員佐藤嘉恭君) 今、委員お尋ねのサイドレターの件でございますが、これは日米の半導体取り決めに関しますお尋ねとの関連で私から御答弁をさせていただきます。  まず、八五年あるいは八六年の状態におきまして、半導体をめぐる日米間の厳しい状況というのがございました。そういう過程の中で、ほぼ一年間をかけてこの半導体の問題に関する交渉が行われたわけでございます。その結果、八六年の九月に日米間の半導体に関する取り決めが締結をされました。御案内のとおり、この取り決めの目的は、我が国の市場における外国系半導体のアクセス改善と申しますか、参入の機会の改善と申しますか、あるいは日本企業によるダンピング販売の防止といったことをこの目的としておるわけでございます。私どもは、この取り決めに基づきまして取り決めを誠実に実行しておるわけでございます。  今、委員御指摘のこの松永大使発のサイドレターということがございましたが、具体的に何を御指摘になっているかはつまびらかにいたしませんけれども、私どもはその交渉の過程の中でいろんな対話というか協議というか、交渉事をしておるわけでございます。これは随時、本委員会におきましても御報告をしてまいったわけでありますが、そういった交渉の過程の中でいろんな文書を作成したり、あるいはメモを作成したりということがございます。これは、外交の交渉の場で、必ずしも半導体取り決め交渉といった場だけではございません、いろんな機会にもあろうかと思いますが、私どもはその交渉の中でいろいろ行われているやりとりを文書にしているということがございます。  いずれにいたしましても、日米間の国際約束として存在している文書というのは、この公表された日米間の取り決めということですべてでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  115. 抜山映子

    抜山映子君 サイドレターの何を指しているのかわからないというように言われましたので申し上げますけれども、このサイドレターの中身を見ますと、日本政府は、日本国内における外国製半導体のシェアが五年以内に少なくとも二〇%を上回るだろうとする米半導体業界の希望を認識するというように書いてございまして、それにさらに加えて、認識するというのは義務じゃないんですから、それはそれでいいとして、その次に、日本政府はこれが達成し得ると考えるし、またそうなることを歓迎すると、そこまで書いておるわけでございます。  そこでお伺いしたいんですが、今、二〇%という数字がこの中で出てきておるわけですけれども、通産省に伺いますが、これは現在何%ですか。
  116. 水野哲

    政府委員(水野哲君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘ございましたけれども、自由経済において政府が特定の結果を保証できるものではございませんし、そのような保証はまことにないわけでございます。  ただいまお尋ねの数字でございますが、世界半導体貿易統計(WSTS)というものがございます。これによりますと、協定を締結した六十一年第三・四半期、この当時は二・五徳ドルの購入でございますが、六十三年第四・四半期には五・四億ドル、ほぼ二・二倍に外国系半導体の購入は拡大をいたしておりまして、シェアも協定締結時の八・六%が現在は一〇・六%に拡大をいたしております。
  117. 抜山映子

    抜山映子君 このサイドレターは、義務規定にはなっておらないわけでございます。そのことはもう十分わかっておるんですけれども、この表現がもう達成されるだろうと考えておる、しかもそれを歓迎するというように書いていると過剰な期待を与えるわけです。  今伺いますと、二〇%は容易に達成されるだろうと思うなんて言っていますが、今一〇・六%だと。そうなるとこれは義務規定でなくても、何だ、これだけのことを書いておきながらまだ一〇・六%かといってアメリカで不満が募るのは当然でございまして、交渉に当たっては、やはり慎重に表現を選んでもらわなくてはいけない。この二〇%が、今一八%だとか一七%だというのなら私はそれでいいと思うんですよ。ただ、半分ちょっとだということになれば米国の方で不満が強まるのはこれは当然じゃないか。  特に日米の慣行、これは私が渉外弁護士として関与しておったときによく感じたことですけれども、日本側はいつもイエスの方から出発してノーにいく、外国はノーから出発してイエスにいく、こういうことがよく外国の人から言われるわけでございまして、外務大臣にこういうことについて、サイドレターについてはどの程度大臣が関与するのか、その点だけをちょっとお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  118. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) サイドレターに関しましては、今申し上げましたように国際的約束ではない、国際的約束として存在するものは公表された取り決めだけであると、今、政府委員が答弁したとおりでございます。  我々の考えからいたしましても、この取り決めは二本立てでありまして、二本立てと言うとちょっと表現が違いましたが、一本は市場アクセス改善、一本はダンピング防止と、こういう二つの大きな柱を持っております。その間に双方の努力というものがやはり自由市場では私は必要だろうと思います。だから、松永大使はサイドレターとして、言うならば双方が努力しましょう、さらには希望的観測、そうしたものがあったと思いますが、お互いに努力はしておることは私たちは認めていかなければならないと、かように思います。  その間、相当期間がたちますと、やはりおのずから半導体とはいえ使用区分というものがだんだんできつつある。したがいまして、そういう使用区分というものにおきましても、やはりその数字そのものが生きていくのか生きていかないのかという問題もございますが、これはその当時大変な、この貿易摩擦を何とかして解消しなくちゃいけないという一年がかりの交渉でございましたから、双方が本当に熱い思いを投げ合ったというふうに考えていただいて、その後も私は、一応数字は、今、通産が発表されましたような数字でございますが、しかし双方の努力は今日なおかつ続いておると、こういうふうにひとつお考え賜りたいと思います。
  119. 勝木健司

    ○勝木健司君 関連。
  120. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 関連質疑を許します。勝木健司君。
  121. 勝木健司

    ○勝木健司君 USTRは、四月二十八日ですか、貿易障壁報告を発表して、日本市場の閉鎖性というものを批判しておるわけでありますが、さらに電気通信市場が開放されていないことを理由に三〇一条の発動をにおわせておるというところであります。けさの新聞でも、「制裁回避へ妥協」というような見出しので出ておりましたけれども、これについて、この自動車電話、携帯電話の周波数の割り当てなどの要求に対して具体的にどういうふうに対応しようとしておるのか、仮にスーパー三〇一条が発動されることがあればガット提訴などの対抗措置も考えられておるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
  122. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) お尋ねの件でございますが、我が国はMOSS合意につきましてはこれまで誠実に実行してきておりまして、特に電気通信の分野におきましては、その点、私どもの口から申し上げるのはなんでございますけれども、高く評価されているというふうに見てきておるところでございまして、今、委員がおっしゃいましたように、今回米国が、違反している、場合によっては制裁措置の発動あるやもしれずという決定は、私ども大変遺憾に思っているわけでございます。  私どもこれからは、まず第一に、我が国がMOSS合意を誠実に遵守しておりまして、その違反の事実がないというようなことをひたすら理解を求めてまいりたいということが一つでございます。  それから、今回の日米間の話し合いでいろいろ出てきておりますことでわかったわけでございますけれども、MOSS合意を超えます新たな要求とされるようなものにつきましては、これは例えば自動車電話の新たな周波数の割り当てということを目指す要求につきましては応じられない、重ねて理解を求めるということで、いずれにしましても、これからアメリカの動向を見きわめつつ、適時適切に対処してまいりたいというふうに考えております。  それから、制裁措置というのはまだ決定していないところでございますけれども、万一ガットに反する一方的措置がとられるようなことがありますれば、外務省等関係省庁と連携を保ちつつ、ガット提訴を含めてしかるべき対応を考えざるを得ないというふうに考えております。
  123. 勝木健司

    ○勝木健司君 同じUSTRの貿易障壁報告の中で、電気通信機器、また医薬品・医療機器の市場開放と並びまして、流通制度あるいはマーケティング規制、さらに大規模小売店舗法などの規制緩和の要求もされておるわけであります。  そこで、まずお尋ねしたいのは、米国は日本のこの大規模店舗法、大店法のどんな点を具体的に問題にしておるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
  124. 高橋達直

    政府委員(高橋達直君) 委員御指摘のように、今回のアメリカ通商代表部の外国の貿易障壁に関する年次報告の中で、大店法、大規模小売店舗調整法でございますが、これの問題につきまして、我が国の不公正な貿易慣行の一つというふうに指摘をしているわけでございます。  具体的には、大型店が出店をいたします際に大店法に基づく届け出が必要なわけでございますが、それ以前に地元の商業者との合意が必要になっているということを指摘しましたり、あるいは会議においての消費者の意見がほとんど反映されてないというために調整がおくれておる、また大型店の数も制限されておる、このような指摘があるわけでございます。さらに、大型店の出店を制限することが結果的に輸入を阻害することになっている、こういう指摘もこの通商代表部の年次報告の中でされているという状況にございます。
  125. 勝木健司

    ○勝木健司君 日本の流通規制を緩和する目玉として大店法の運用改善をすることがアメリカのスーパー三〇一条の適用回避の一助となるというふうに考えるわけでありますけれども、この三〇一条適用の回避のために考えられておる対応策でこの回避が可能であるというふうに認識されておるのかどうか。  具体的には、報道によりますと、通産省の対策として、流通などの構造改革を一層推進する二と、また第二点は、内需拡大による経済成長を継続すること等々、理解を求めることとしているということでありますけれども、具体的にはどういうことでありましょうか、お伺いをしたいというふうに思います。
  126. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) ただいまの点につきましては、基本は、御指摘のとおり内需主導型経済運営を引き続き行う、同時に経済構造調整を基本とした政策をこの際進めてまいる、こういうことでありますが、今後は特に次の二点に重点を置いて政策を推進してまいりたいと思います。  その第一は、適切かつ機動的な経済運営を図るとともに、これを通じた輸入拡大に努めるということであります。  第二は、構造改革の推進であります。例えば流通につきましては、内外からの問題提起を踏まえまして関係審議会を開催し、流通システム及び流通政策のあり方につきまして現在検討を行っておるところでございますが、その中で規制の見直しを実行してまいりたいということであります。  いずれにせよ、我が国といたしましては、世界経済における我が国の占める役割の大きさを十分認識しつつ、世界経済の健全な発展のため、各種の不均衡の是正に向けて努力してまいりますことが必要であると考えております。  日米間の貿易不均衡問題につきましても、スーパー三〇一条回避といった視点だけではなく、より広い視点から取り組んでまいるということが必要であろうと存じております。
  127. 勝木健司

    ○勝木健司君 流通業には、大規模小売店舗法、大店法あるいは酒税法、たばこ事業法、食糧管理法、薬事法、消防法等々いろんな規制が存在をしておるわけであります。この規制というものがやっぱり流通の近代化とかそういう小売業の活性化、効率化を妨げている大きな要因の一つだというふうに思います。  そこで、四月二十二日の新聞にも通産省案として規制の緩和の記事が載せられておるわけでありますが、これも、流通における規制緩和ということを昨年末の新行革審の答申に沿って、産構審の流通部会あるいは中小企業政策審議会小委員会等等の合同会議で検討がされておるようでありますけれども、具体的に九〇年代の流通ビジョンの中に、規制緩和の問題をどのように盛り込もうというふうにされておるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
  128. 高橋達直

    政府委員(高橋達直君) ただいま委員御指摘のとおり、昨年の十二月に行革審の答申がございまして、その中で大型店舗の問題あるいは酒販免許の問題等々の御提言があったわけでございまして、政府といたしましてもその線に沿いまして、その基本方針を閣議決定したところでございます。  今、委員からもお話がございましたように、当省といたしましても関係の審議会におきまして、この答申に沿いまして流通の問題についての諸規制、とりわけ大型店の出店調整制度を中心にいたしまして具体的な検討をしているところでございます。目下検討中でございまして結論が出てないのでございますが、私どもといたしましては、できるだけ早くその答えをいただきたいというふうに期待しているところでございます。  ただいままでの審議の状況でまいりますと、基本的な論調といたしましては、我が国の流通構造の特質からいたしまして、大規模小売店舗調整法の基本的な枠組みというものは必要であろうという御主張が多数でございます。ただ、運用の面で法の趣旨を逸脱した運用があるとか、あるいは運用面で消費者のライフスタイル等に適合したものになっているのかどうかという点を今日的にいろいろ吟味をしてみて適正な法の運用を期すべきである、こういう御意見が多うございまして、それらを中心に行革審の御答申と同じようなラインで答申がまとまるものと期待しているところでございます。
  129. 勝木健司

    ○勝木健司君 時間の関係で次に進ませていただきます。  日銀の総裁にお尋ねいたします。  四月二日から四日にかけましてのワシントンでのG7、またIMF暫定委員会などの一連の会議において、インフレ圧力が生じているとの認識がなされたというふうに聞いております。このインフレ抑制の必要性が確認されたところであるということでありますし、また我が国の経済情勢の中でも、消費税導入あるいは原油価格の上昇、円安・ドル高の傾向などによる、よりインフレを助長させるような要因がますます強くなっているのじゃないかというふうに思われるわけでありますが、特に消費税につきましては家計を大きく圧迫しておる。今後の免税業者等の動き次第では、再び消費者物価の上昇傾向に拍車がかかるおそれが十分にあるというふうに思うわけでありますけれども、日銀総裁の御認識をお伺いしたいということと同時に、こういった諸事情にかんがみれば、今こそやっぱり金融政策面での機動的な物価対策というのが求められておるのじゃないかというふうに思うわけであります。  一九八七年の二月の引き下げ以来据え置かれたままでありまして、先進国中では最も低い水準となっておるわけであります。米国、西ドイツなども既に公定歩合を引き上げたばかりでありますので、日銀としても早急に公定歩合の引き上げを実施すべき段階にあるんじゃないかというふうに思われるわけでありますけれども、日銀としてその意向があるのかどうか、あるとすればいつごろになるのか、あるいは上げ幅はどの程度になるのかについて明らかにしていただきたいというふうに思います。
  130. 澄田智

    参考人澄田智君) まず、御質問の最初の部分は、最近の日本の物価動向につきましてどう見るかということであると考えますが、最近までの指標から判断する限りにおきましては、今までのところ全体としての基調には格別大きな変化はないように思っております。  しかしながら、御指摘がありましたような点、さらに日本経済の非常な強い成長から、国内におきまして製品需給あるいは労働需給が一段と窮屈になっている状況でございます。そうして、それに加えましてこれまで物価安定に寄与してまいりました要因、すなわち為替相場でありますとかあるいは原油価格でありますとか、こういった要因がここへ来てなくなりつつある、むしろ、物価を上げる方に作用するようなそういう状況になりつつある、こういうふうなことも事実でございます。  したがいまして、今後の物価動向には十分警戒が怠れないというふうに考えておるわけでございます。私どもといたしましては、今後の物価動向につきましては決して予断を持つことなく十分に注意をし、目を凝らして見ていかなければならない、かように考えているところでございます。  それから、後の金融政策に対する御質問でございますが、我が国経済の現在の最大の課題は、言うまでもなく、息の長い内需拡大を続けて、そうして、そうした中で着実に対外不均衡の是正を図っていく、こういうことではないかと思いますが、その大前提はやはり物価の安定を確保するということにあると確信をいたしております。  したがいまして、先ほども申し上げましたように、予断を持つことなく内外情勢を十分に注視いたしまして、万が一にも物価安定の基盤が損なわれるというようなことがないように細心の注意を払うとともに、もし必要な場合には必要な措置を講じていかなければならない、こういうふうに考えております。  しかし、現在のところはそこまででございまして、それ以上具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  131. 勝木健司

    ○勝木健司君 御苦労さまでございました。  大蔵大臣並びに文部大臣にお伺いをしたいと思います。  消費税導入でバランスがとれておるんだということをしばしば大蔵大臣は言われておるわけでありますけれども、この消費税導入を柱とする抜本税制改革は、確かに減税超過というふうになっておるわけでありますけれども、しかし、国民の生活実感としては減税の恩恵など全く実感できないという声が多いわけでありまして、例えば高級自動車、宝石類等々が減税になっても年金生活者には無関係である、また、所得税減税も低所得者ほど恩恵が少ないという訴えがよく聞かれるわけであります。  その一方で、税収は着実にふえておるということでありまして、昭和六十三年度の補正後の予算に比較いたしましても、少なくとも二兆円の自然増収が見込まれるというふうに観測がされております。自然増収とは、やはり国民経済の実績によって生まれたものでありますので、これを国民にやはり減税の形でさらに還元するというのが当然のことであるというふうに思います。  例えば、文教関係で考えてみますと、税法では授業料と入学検定料は非課税となったわけでありますけれども、多くの学校では実験実習費、補習費、施設費などを授業料とは別建てで徴収しておるということでありまして、どういうものが授業料として非課税となるのかというその範囲をやっぱりもっともっと教育全般に向けて拡大をすべきじゃないか、これをすべて非課税とするような方法があるんじゃないか。あるいは教育費の税額控除等教育減税を拡充して国民に還元すべきであるというふうに思うわけであります。  さらにまた、低所得者層に重点を置いた所得減税というものもさらに行うべきであるというふうに考えるわけでありますけれども、それぞれ御見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。
  132. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 今度の抜本改正というのは、昭和二十五年のシャウプ税制からのゆがみ、ひずみ、こういうものを抜本的に改めようということで、六十二年九月、それから昨年ということで、所得税、住民税につきましては六十二年には二兆二千億、それで今度は三兆三千億、こういう大減税をやっているわけでございます。そして、内容につきましても、この間政府の税制調査会におきまして子細に仕組みについて検討した結果でございまして、自然増収が、恐らく実体経済と余り関係のない地価の値上がりとかあるいは株の値上がりであるとか、こういうところを中心にして出てくるんではないかと思っておりますが、そういうことだからといって、これだけ緻密に積み上げた体系、これをまた直して減税をやるというようなことは今考えていないのでございます。  それから、教育費の問題につきましても、いろいろ検討いたしまして授業料と検定料だけに限定させていただいたわけでございます。やはり税というものができるだけ簡素な仕組み、それからわかりやすい仕組み、こういうことで非課税取引というものをできるだけなくしていく、こういう方向でやったわけでございます。そして、その結果出てくるもろもろの問題につきましては、やはり所得税課税において全体を通じて減税をやるとか、あるいは、今度初めてのことでございますが、十六歳から二十二歳までの者については三十五万円ではなくて四十五万円、こういう割り増し控除をやるとか、そういう各種のことをやっております。  また、所得税、住民税とは関係のない人についても、歳出を通じまして補正予算、元年度予算、それから二年度以降の予算措置についてできる限りのことをしておるということはたびたび申し上げたとおりでございますので、増収が出たからといって減税をする意思がないということを申し上げておきます。
  133. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 抜山映子君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。  午前十一時五十七分休憩      —————・—————  午後一時一分開会
  134. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 予算委員会を再開いたします。  平成元年度総予算三案を一括して議題といたします。  休憩前に引き続き、抜山映子君の質疑を行います。  午前中の勝木健司君の関連質疑に対する文部大臣の答弁を求めます。
  135. 西岡武夫

    国務大臣(西岡武夫君) お答えを申し上げます。  午前中に既に大蔵大臣からお答えがあったところでございますが、文部省といたしましても、教育の重要性ということを考えますときに、今回の消費税の導入に当たりまして、教育にかかわる消費税の取り扱いについて財政当局と十分に相談をしてまいったところでございます。その結果、学校教育におきまして、その教育の中心的な対価という形で授業料についてはこれを非課税とする。委員御承知のとおり、入学検定料につきましては、国や地方公共団体等の登録あるいは試験等の事務、こうしたこととの均衡上、これも非課税とするということに定められたところでございます。  これまた、大蔵大臣からも既に御答弁があったところでございますが、教育の機会均等ということを考えますときに、やはり家計に対して教育費が過大にならないということを心がけていかなければいけない、このように考えております。  そういう趣旨に従いまして、今回初めて十六歳から二十二歳までの扶養親族を擁しております家計について扶養控除の割り増し控除制度というものを創設したわけでございまして、これは一人当たり十万円ということで割り増し控除の制度が導入をされたわけでございます。  もちろん、今後とも文部省といたしましては、先ほど申し上げました趣旨から、家計の負担が過大にならないように今後とも財政当局と十分相談をしながらその拡大に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  136. 勝木健司

    ○勝木健司君 教育の問題ですので、便乗値上げにつながらないようにぜひ監視を続けていただきたい、さらに努力を続けていただきたいというふうに思います。  最後になりますが、自治大臣にお伺いをしたいというふうに思うわけであります。  御案内のように、衆議院でああいう憲政史上初めての単独強行採決という暴挙により参議院に予算が送付されてきたわけでありますが、この暴挙に対して抗議をするということで青島幸男議員が辞表を提出した問題についてでありますけれども、青島議員任期三年を残して辞職後、再び今年の参議院選挙に立候補するのではないかというふうにうわさされておるわけでございます。公職選挙法上は何ら問題はないということでありますが、しかし政治的また道義的に見た場合に、一たん辞職をしておいてすぐさま本年の参議院選挙に立候補するという行動は、比例代表選挙制度の盲点をついておるということでいかがなものかというふうに思うわけであります。  選挙制度のあり方も含めまして、自治大臣に御所見をお伺いしたいというふうに思います。
  137. 坂野重信

    国務大臣(坂野重信君) お答えしたいと思いますが、参議院の比例代表選出議員任期途中で辞職してまた次の参議院の通常選挙に立候補するということについては、さっきお話があったように、法的にはそういう特段の制限規定はございませんので問題はないと思いますが、現職の参議院議員にかかわる問題でもございますし、道義的な観点からと言われても、行政府の言貝としては大変答弁しにくいわけでございますけれども、あえて、自治大臣としてではなくて、坂野参議院議員として私の考え方を申し述べたいと思います。  御本人の考え方は私もまだ直接叩いたことはございませんが、本人の考え方を聞きませんと何とも言えないわけでございますが、本人の考え方によっては必ずしも道義的に問題ないとは言い切れないという感じでございます。
  138. 勝木健司

    ○勝木健司君 終わります。
  139. 抜山映子

    抜山映子君 お昼のニュースによりますと、ゴルバチョフがアメリカに対して、ソ連がヨーロッパに配備した五百発の戦術核、これを一方的にことしじゅうに撤廃する、兵力については双方百万削減する、こういう大幅な軍縮提案を行ったそうですが、これについて、通告していなくて恐縮なんでございますけれども、総理の評価をお伺いします。
  140. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今、実は聞いたばかりでございまして、新聞記事も読んでおりませんので、外務大臣からまずお答えをして、それから、聞きながら私も整理をさせていただきます。
  141. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) まだ私もその確証を得ておりません。  しかし、私とゴルバチョフさんとがこの間話しました中では、戦術核の問題に関して感想を求められました。だから私は、戦術核五〇%削減というのは極めて難しい問題だろうと思うが、米ソの努力によって実現されることを私たちも応援しようということが第一点。  もう一つは、軍縮問題も議論しました。したがいまして、通常兵力等々、軍縮に関しましても日本の主張は、竹下総理が昨年国連軍縮会議でその意見を述べられたとおり、高次元ではなくして、お互いの抑止、バランスは低次元においてもできるのではなかろうか、これが日本の考え方である、このことは米国にもまたあなたにも申し上げるところである、こういうふうに申し上げましたので、そういう趣旨がゴルバチョフ書記長のいろいろな会談の中で述べられたんではないかと思います。詳細がわかり次第御報告をいたします。  以上です。
  142. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 先ほど申し上げましたように、その報道を承知していないものでございますから。が、私どもがいつも申し上げておりますように、現実問題として、均衡の上に立っておるところの平和というものに対しては、可能な限り低次元の中でバランスがとれていくというのが好ましいということは平素申し上げておるとおりでございます。
  143. 抜山映子

    抜山映子君 さて、消費税の導入の理由として、高齢化に対処するためということを政府が申されました。しかし、政府がこれを導入した直後に国民年金の改正法等に関する法律を出してきた。これについて国民は非常に裏切られた思いをしておるわけでございます。これは消費税導入の目的にうたわれたこととどう関係してくるのか、お答えいただきたいと思います。
  144. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 消費税導入は税制改革の一環として実施されたものであると私は理解しております。そして、これから高齢者は非常にふえていく。年金を受け取る側、いわゆる年金受給者は今の約三倍になります。しかも、長生き社会ですから受ける期間も長くなります。一方、保険料を負担していただく方々の人口趨勢はほぼ横ばいであります。そうなりますと、これから年令とか医療等に対する財政的需要はますます高まるばかりである。  なおかつ、今年度の厚生省関係予算は約十兆八千億円、一方国債費の利払い費はそれを上回る十一兆六千億円、借金の利払いの方があらゆる福祉関係の予算よりも多いというこの状況、そういうことを考えますと、これからますます福祉関係のみならずいろいろな財政需要は多くなってくるのはだれでも明らかだと思います。そういう際に、福祉のいろいろな施策の充実はもとより、あらゆる施策の基盤は財政の対応力を強化していかなきゃならない。財政の基盤の安定なしにいかなる福祉政策も推進が可能ではありません。  そういうことから私は、今回の税制改革というのはこのような財政需要に、もしも税制改革なしにするんだったらば、所得税とか法人税とかいわゆる直接税の負担を求めざるを得ない。今、直接税が七割以上という、こういう状況に対してどうかという国民の批判も起こってきたわけであります。ですから、もうこれ以上直接税、自分の懐に入ってくるものをそのまま納税するよりも、広く消費一般に着目して税制改革をしなきゃいかぬということで、所得税の減税をし、住民税の減税、法人税の減税あるいは相続税の減税あるいは物品税の廃止等というその組み合わせのもとに消費税が導入された。まさに、私は時宜にかなった税制改革であると思います。  と同時に、今、消費税廃止というものが言われておりますが、この五兆四千億円に上る消費税を廃止した場合、どこに財源を見つけるのか、どなたも具体的提案がない。五兆四千億円というと膨大な財源です。これをどこに財源も見つげることなしに、ただ廃止廃止と言うのは簡単でありますけれども、これにかわるべき財源がないということを考えますと、これが定着していくならば、国民に対して評判は悪かったけれども、不人気だったけれども、いろいろな状況を考えれば必要やむを得ない、やはり必要な改革だったということが将来理解いただけるように、これから政府挙げて取り組んでいかなきゃならないと思うのであります。  また、年金改革におきましても、今のままで改正なしに、六十歳から六十五歳の引き上げなしにやりますと、これまた給付とそれから負担のバランスを考えますと非常に問題がある。というのは、やはり年金改革あるいは年金制度というのは、支給開始年齢と給付水準とそれから保険料負担、この三つの組み合わせをどうやってうまくやっていくかしかないわけであります。このままもし改正しないとなれば、今の給付水準を維持するんだったらば、保険料を今の約一二・四%から二四%に一挙に引き上げなきゃならない。これまた、今でも保険料が低いと言っている人が少ないにもかかわらず、これを一挙に倍近く上げるのは理解が得られないんじゃないか。なおかつ、それじゃ保険料は現在程度だけれども給付水準を七割程度じゃなくて五割程度に下げろという声もなかなかない。となれば、やはり時間をかけて段階的に、年齢も六十歳から六十五歳に二十二年かけて、今から準備していくのが一番国民に理解を得られやすい。しかも現実的であり妥当な案ではないかと思いまして、今の年金改正法案を提出しているわけでございまして、これからもじっくりと議論をしていただきたいと思います。
  145. 抜山映子

    抜山映子君 今の回答は一般論を述べられておるわけで、私の質問には真正面から答えていない。消費税を高齢化のために導入すると言っておきながら、すぐその直後に出してくるのは国民にとっては裏切り行為としか映らない。  消費税の使い道ですね、どうなっておるのかということなんです。整備新幹線、赤字明白なのを早速もうこれをやると。ふるさと創生論もかなりばらまきである。そういうようなことで、消費税を導入するという大前提の理由とされておったものが果たしてそのとおりに生きているかどうかということを私は問題にしているわけです。もう一度お答えいただきたい。
  146. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今回の年金法改正案は、税制改革、消費税が実施されなかったとしても提出しなきゃならない、やらなきゃならない法案であります。そして、今言ったように高齢化社会というのは単に年金だけの問題ではございません。医療もあります。年金もあります。いろいろな社会福祉政策もあります。  そういうことで、年金改革のための消費税導入ではなくて税制改革のための消費税導入であり、なおかつ財政基盤を安定させる、あるいは現在の税制の矛盾点を解消させるための税制改革でありまして、今回の消費税導入というのはそのために、福祉財源じゃありません、一般財源です。ですから、年金のための消費税導入という誤解はぜひとも持っていただかないようにお願いしたいと思います。
  147. 抜山映子

    抜山映子君 それでは、視点を変えて総理に伺いましょう。  消費税導入は高齢化のためでもあるということは事実だと思いますが、それじゃ福祉に使う分をパーセンテージで規定してしまってはいかがですか。そういう考えはいかがですか。
  148. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 昭和五十四年に議論をしましたときに、いわゆる福祉目的税という議論はしてみました。貴党におかれては竹本孫一先生が代表でございました。私は大蔵大臣でございました。  しかし、その福祉目的議論というのは、やはり税制そのものは、今、ガソリン税等の目的税ありますけれども、そうした因果関係の明らかになった目的税というのはおのずから節度を持ってこれは対応すべきで、やはり一般財源であってしかるべきだという結論に当時到達したわけでございます。しかしながら、精神的にそれが残っておるのは、そのときに、いわゆる一般消費税(仮称)をやめたときの本院で決議いただいた言葉の中に、国民福祉充実のためには安定した財源が必要であるというのが厳然として残っておるわけでございますから、福祉目的税的考え方は、議論したことはございますが、税制そのものから考えると、これはやはり一般歳入として位置づけして政策の優先順位の中でそれぞれ使用されていくのが妥当であろうという結論に到達した経過をもってお答えといたします。
  149. 抜山映子

    抜山映子君 ということは、消費税の導入の一定パーセンテージを福祉に充てるという考え方はできないと、こういうことですか。
  150. 竹下登

    国務大臣竹下登君) できないという断定の仕方は別問題といたしまして、私どもも考えましたよ。例えば基礎年金部分だけを対象とすればちょうどバランスがとれるじゃないかとか、あるいはそれに老人医療だけ足せばちょうどバランスがとれるじゃないかとか、いろんな議論をいたしてみましたが、今の消費税全体を見ましても、福祉予算全体から見れば、これはかなりの乖離がございますし、したがって財政論としては、可能な限り一般的な歳入として入り、そして優先順位においてそれが歳出に使われるというのが妥当であろうと。  その福祉目的税的考え方というのは、私は最初から否定してかかるわけじゃございません。そういう議論の経過を得てこのようにしたということを申し上げる次第でございます。
  151. 抜山映子

    抜山映子君 厚生省に伺いますけれども、国民年金改正といいますか、改悪法ですね、施行期日のことでちょっと修正を加えましたね。どこを修正しましたか。
  152. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 支給開始年齢とかあるいは給付の改善、保険料の引き上げ等は変わりませんが、施行期日を別に定める。ですから、施行期日については来年になりますか、法案としてスケジュールは変わりません。十年後に六十歳になり、二十二年後に六十五歳になるというこの支給開始年齢の引き上げの時期は変わりませんが、これをいつ発車するかという、それについては改めて国会の御審議、議決をいただくということになっております。
  153. 抜山映子

    抜山映子君 施行期日について、非常に複雑なことがあるならばこういうように施行期日だけを変えるというのはあるんですけれども、法技術的に見て、そういうことをするのは国民へのまやかしたと思うんです。はっきりと六十五歳開始の繰り延べの分だけをのけて、そして審議の対象とする方がよっぽどすっきりするんじゃないですか。
  154. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) これは、年金の支給開始年齢と給付水準と保険料負担、この三つの組み合わせをしないと数理的に計算できないものであります。  ですから、今回支給開始年齢をあやふやにした場合、じゃ給付水準と保険料の負担はどうなるのか。これは五年ごとに財政再計算をすることになっていますから、ことしがちょうど五年ごとに来ており、これを全くやらないと給付水準もあるいは保険料負担も計算できないということから、今回この三つを組み合わせた法案を出させていただいた。  ただし、六十五歳支給開始年齢引き上げたということになりますと、この法案がことし通ったとすると、もう来年から六十歳でいただける方が六十五歳になっちゃうんじゃないかという誤解が国民の中に多かった。自民党内の議論を聞いてみますと、非常にそういう誤解を持つ方が有権者の方に多いと。そういうことではない。いわば支給開始年齢だけを別に定めるということによって、たとえことし法案が通っても六十歳から六十五歳になるのは二十二年後ですよという理解を得るための一つの手段じゃないかという御意見に私どもは従ったわけでございます。
  155. 抜山映子

    抜山映子君 労働省にお伺いいたしますが、今、六十歳定年はどれぐらいの企業で施行されていますか。
  156. 齋藤邦彦

    政府委員(齋藤邦彦君) お答えいたします。  六十三年の調査によりますと、現在六十歳以上の定年制を設けております企業は五八・八%でございます。ただし、改定が決定されておるとかあるいは予定されておる企業を入れますと、七六・七%という数字になります。
  157. 抜山映子

    抜山映子君 支給開始を六十五歳に繰り延べすると——恵まれた人でさえ六十歳定年である。少なくとも五年のギャップをどのようにして埋めることを考えているのか、それを明らかにしてください。
  158. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今般、六十歳から六十五歳に支給開始年齢を引き上げるという法案に伴いまして、単に労働省と厚生省というだけの問題ではないということで、政府におきましては労働大臣、総務庁長官、官房長官そして厚生大臣の四者から成る年金と雇用に関する閣僚懇談会を設置いたしまして、関係省庁におきましても、この雇用と年金をどうやって結びつけていくか、あるいは六十代前半層の雇用の条件整備をどうやって図っていくか真剣に、単に労働省、厚生省だけの問題じゃない、政府挙げて取り組んでいかなきゃならないということでその準備を今進めているところであります。  しかもこれからは、人口構造を見ますと、平成七年、あと七年ぐらいしますと若年層の人口が急激に減ってまいります。なおかつ、六十代以上の体力といいますか健康度を考えますと、昔に比べて非常にいい、また現在のいろんな調査によりましても、できれば六十歳過ぎても働く場があれば働きたいという人が多いということを見ますと、今から二十二年後に向けて官民挙げてそういうふうな準備をしていくならば、必ずや六十代前半層の雇用の場は確保されるんじゃないか、またそのために全力を挙げていかなきゃならないと私は思っております。
  159. 抜山映子

    抜山映子君 その雇用保障の具体的な案を示してください。
  160. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) 先生のお尋ねについて労働省としての考えを素直に筋立てて御説明させていただきたいと思いますが、細かいこと、また具体的なことは事務の方から御説明をさせていただきたいと思います。  先ほど厚生大臣からも申されましたように、高齢化社会というものについて、本格的な高齢化社会において高齢者の方々の知識、経験、能力が十分生かされ、高齢者が、私もその一人でございますけれども、安んじて楽しく生活ができるようにしていくことが重要なことだと考えております。私が年をとっているから言うわけではありませんが、本当にそう思っております。  このような考えから、六十歳代前半層の雇用対策を最重要課題として推進しておるところでありますが、今後、さらに先生がお尋ねの長寿社会雇用ビジョンというものを策定いたしまして、労使の社会的合意の形成を図りつつ、六十五歳までの雇用就業の場の確保について必要な施策の積極的な展開を図っていきたいと考えております。
  161. 抜山映子

    抜山映子君 今の回答により雇用保障ビジョンが何もないということがわかったような感じでございます。  ところで、老後の安定のためには個人年金に対する税制上の優遇措置を講ずる必要があると思います。この点、いかがでしょうか。
  162. 水田努

    政府委員(水田努君) お答え申し上げます。  私ども、老後の生活保障のべーシックな面は公的年金が受け持たなければならないということで、公的年金制度の長期安定策を図っておるところでございますが、それにあわせまして、先生御指摘のとおり、自助努力としての方策の充実を図っていかなきゃならぬということで、今回提案いたしております法案の中に自営業者の方の自助努力のための国民年金基金制度というものを設けまして、税制上、掛金についてもあるいは給付時の課税についても十分な配慮をいたしているところでございます。  なお、昨年二十年ぶりに厚生年金基金制度を改正いたしまして制度の普及を図るための魅力ある内容改善を図ったところでございますが、こういうサラリーマンのための自助努力としての厚生年金基金あるいは自営業者のための国民年金基金制度を十分フルに活用し普及していくことによって、先生の御指摘しておられる問題の解決に大いに私ども寄与できるものと考えております。
  163. 抜山映子

    抜山映子君 今、十分に手当てしているというようなことを言われましたが、個人年金の積立金、これに対する税制上の優遇、控除の対象はたった五千円ですよ。これを二十万円ぐらいまでアップしませんか。
  164. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) ただいま御指摘の五千円は通常の保険料控除五万円のほかに認められているものでございますが、個人年金の掛金というのは、例えば途中でおろしますとちょうど預金をおろしたというものと同じようなことにもなりますし、いろいろの公的年金のほかに個人年金を御自分で積まれるという方はそれなりの資力のある方でございますので、そういう点を考えあわせますと、これを現行制度以上にさらに充実するということはなかなか難しい面も含んでいることを御理解いただきたいと存じます。
  165. 抜山映子

    抜山映子君 レーガンさんもサッチャーさんも、公的年金のレベルを下げると同時に、このような税制上の優遇措置を大幅に認めております。私どもの日本だけがこれが後手に回っておるわけでございまして、五千円でいいんだというのは私は納得できない。もう一度答弁をいただきたい。
  166. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) 先ほど申し上げましたように、いわば全く任意の個人の預金に相当するようなものでございますので、ほかの制度との比較の上からいいまして、現行制度以上にさらにこれを積むということは、いろいろそういう余裕のない方との公平の問題もございますから、簡単に結論の出る問題ではないと存じます。
  167. 抜山映子

    抜山映子君 厚生省の方に伺いますけれども、ひとり暮らしの老人に対する緊急通報システムというのは、ペンダントみたいなものを下げて、倒れたときにすぐ押せば通報されて、親族なり官公署で対応してくれるわけですね。これは大変に評判がいいんですが、この普及率は今どうなっておりますでしょうか。
  168. 多田宏

    政府委員(多田宏君) ひとり暮らし老人に対する通報システムは、六十三年度から新たに国庫補助を開始いたしまして、六十三年度中に実施し始めたものが市町村の数にして二百二十五市町村でございます。
  169. 抜山映子

    抜山映子君 これは大変にすばらしいシステムだと思うのです。私もひとり暮らしの母を抱えておりますので、ひとつこのシステムのあることを市町村にPRし、その対応をぜひ充実していただくようにお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  170. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 以上で抜山映子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  171. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、大浜方栄君の質疑を行います。大浜君。
  172. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 私は、本予算委員会を通して社会保障の問題、沖縄海域に投下された水爆の問題等を論議させていただきます。  まず社会保障の問題でありますけれども、私は議員になってから六年近くになりますが、その間に次第に私の心の中に芽生えてきた夢があります。その夢というのはどういうことかというと、日本が世界の社会保障のモデルをつくるべきである、こういう夢であります。  御承知のとおり、揺りかごから墓場までという英国のあのビバリッジの社会保障の理念が世界の社会保障史上画期的な指標になりましたけれども、現在、欧米諸国でもロンドン・エコノミストが指摘しているとおり、イギリスあるいはアメリカあるいはスカンジナビアの社会保障は道に迷っている、こういうぐあいに言っております。私自身も一九六三年から五年まで一年二カ月、それから一九六七年に十一カ月、さらにまたその後も毎年国会議員として先進諸国を見て回っておりますけれども、文字どおり変わったなという感じがいたしております。  具体的に申し上げると、あのナショナル・ヘルス・サービスをやっているイギリスでさえ、今、入院したくても入院ができない、医者に診てもらいたくても診てもらえない。特に入院手術ができない。ウエーティングリストに七十万人待っている。このウエーティングリストをめぐってサッチャー政権と労働党との間にやりとりがあるというような状況であります。また、アメリカでも同じように医療にかかる場合に、病気になった場合に、アメリカは御存じのとおり日本と医療保障制度が違う。それでアメリカでは、一部負担が、保険料が払えないために病気になって見放される人が驚くなかれ人口の五%、百三十万人ぐらいの人が医療保障から見放されている、こういう状態であります。日本では、生活保護の方々がたしか百二十七万から百三十万と思いますけれども、生活保護を受けている人でも医療保障はほぼ完璧に近い医療を受けております。  それで、今、欧米先進諸国がもう迷っている、スカンジナビアもそういうぐあいに迷っているそういうときに、日本が今エコノミックアニマルと言われている、すばらしい経済のパフォーマンスをなし遂げてきているけれども、社会保障に対しては常に学んできた、常に後進国であったけれども、最近ほぼ肩を並べるようになった。それで、エコノミックアニマルという言葉は私はどうかと思うけれども、経済も大事だけれども、下部構造の上に築き上げられていく上部構造、一番大事な社会保障をどういうぐあいにして世界のモデルになるか。しかし私は、これは考えてみたら決して夢ではないという確信が徐々に芽生えてきた。  何で大浜はそういうことを言うかとおっしゃるかもしらぬけれども、それは御存じのとおり、国民負担率が今三七%、欧米は五〇%以上を超している。デンマーク、スウェーデンのごときは七〇%である。国民負担率がそこに達するまであと十年ある。社会保障の一番基本的な問題である高齢化率も御存じのとおり日本は一一%、欧米はみんな一五%以上になっている。二〇%のところもある。そこの高齢化率が欧米にいくまでにやっぱり十年かかる。もう一つ、今スカンジナビアもイギリスもアメリカも、どういうぐあいにしたら二十一世紀の高齢化を克服して、迷っている社会保障をまた正しい方向に持っていこうかと苦心惨たんしているわけでありますから、それに欧米のノーハウを学ぶのにあと十年あるから、ちょうど高齢化社会に向かう準備の時間がある。こういう三つのことで、私自身は夢がだんだん出てくるなと思っておった。  幸いにして、ことしの厚生省予算を見まして、私は非常に意を強うした。どういうところが意を強うしたかと申し上げると、まず厚生省の本年度予算の特徴である在宅老人の三本柱ができている。その三本柱は、ホームヘルパーを五万人これから養成していく、それからショートステイを五万ベッドつくっていく、それからデイサービスセンターを十年がかりで全国に一万カ所つくるという。そしてその予算もちゃんとできている。予算は、もう時間がないので大ざっぱに申し上げますけれども、驚くなかれ前年度の二倍の予算を組んである。先ほど抜山映子先生から、消費税は何に使うか、こういうお話があったけれども、ちゃんと使うように予算が組んであるということであります。  それで私は、そういうような長寿社会対策大綱に沿ってもう既に政策が行われているということで、特にその中で今度今国会に提出することになっている民間老後施設の促進法の件でございますけれども、これも私は恐らく日本の医療・社会保障史上に残る画期的な法案である、心からそう思っておりますので、今度提出される民間老後施設の促進法案について、厚生省から、その目的、趣旨をお話し願いたい。
  173. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 高齢化が極めて急速に進む中での法案でありますが、いわゆる民間老後施設の促進法案、これが現在提出されております。高齢者が安心し、生きがいを持って暮らせる地域社会をつくり上げていくことが一番重要だと思っております。このためには、健康づくりや生きがいを高めることができる機能、適切な医療や介護が受けられる機能を地域の中に官民合わせて総合的に整備することが必要であると考えております。  この法案は、こういう観点から、公的施策の一層の推進とあわせ、これとの連携のもとで民間事業者による健康や福祉機能の地域における総合的な整備を促進しようとするものであります。
  174. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 ただいまの厚生大臣の御説明ではちょっと皆さんまだ十分わかりかねると思うけれども、時間の関係もあるので私の方から補足させていただくと、それはどういうことかというと、一口で言うとこの法案は、今まで、町をつくるときには電気が要り、水道が要り、学校が要り、道が必要である。それと同じように、この民間施設も一つの町づくりの機能であるということなんです。そして、機能であるけれども、これはしかし、私が今から申し上げる土地の確保をどうするかということ、それから、これだけのことをやるのにはマンパワーがどうしても必要なんだということ、それから、これをやるにはどうしても地方公共団体と密接な横の連携をやっていかないといけないということ、それから、これにどうしても民間事業が入ってくるから、下手をすると営利産業に食われるおそれがあるんだ、こういうようなことを考えてやらないと、私はせっかくの二十一世紀に向けてのすばらしい施策がむだになると思うからあえて申し上げたわけでございます。  その点に関して、総理及び厚生大臣にもう一度簡単でようございますから御答弁をいただきたい。
  175. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) すべてよく御存じの大浜先生が余り知らない私に質問されているので、もう御意見もっともだと思います。そういう点に十分留意の上この施設づくりに取り組んでいきたいと思いますので、よろしく御指導をお願いしたいと思います。
  176. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 厚生大臣がお答えしたとおりであります。  私も長い間質問者側にもおりました、そして答弁者側にもおりましたが、質疑には二つの種類がありまして、一つは本当にここのところがわからないからという答えを引き出す場合と、十分知っておった人が鞭撻のために質問する場合とあろうかと思います。  今のお答えは、厚生大臣が申し上げたとおりであります。
  177. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 昔から医療福祉には三Mが大事だと言われております。三Mとは何か、マネーそれからマンそれからマインド、この三つであります。金と人と心ということでございますけれども、いかんせん、実際に日本の医療保障界の現状を見ていると、マンパワーが非常に問題である。  去年の厚生白書にうたわれているように、マンパワーはこれからの日本の社会保障を担っていく大事な人々であるから、これの養成確保に努力すべし、こううたわれていますけれども、実際には看護婦不足はもう目を覆うものがある。東京都で看護婦募集の広告料だけでも驚くなかれ一億円かかっている。また、理学療法士、作業療法士、そういう方々も非常に不足をして困っている、看取婦の引き抜き合戦が行われている、こういうような状態であります。  本当は私は、看護婦とかOT、PT、そういうコーメディカルを養成するのは国及び地方公共団体の責務である、こう思っておりますけれども、実際には国の養成が足らないから私的な団体が養成をしている、こういうような状態でありまして、私的な団体、機関で養成をしていながら、その持ち出しも三割持ち出しをしている。あるいは、せっかくつくろうと思っても基準が厳しいとかいろんな問題があるので、私は、そういうことを踏まえて、今の看護婦及びPT、OTの需要の長期の見通しをひとつ承りたい。
  178. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 看護職員の需給見通してございますが、御指摘のように、いろいろの変動要因がございまして現在不足でございます。そのために私ども、各県によっても違う状況がございますので、各県と共同で長期需給見通しを立てるという作業を現在しております。間もなく完成でございますが、おっしゃるように、病院の病床がふえるとか週休二日制の問題でございますとか、夜勤の問題あるいは老人保健施設の問題とか訪問看護の問題とか、たくさんの要因で看護婦の需要が増大しておるのに供給が追いついておらないという問題点がございますので、私どもとしては、でき得る限り需要に供給が追いつくような計画をこれから立てたいと今作業をしておりますが、おおむね平成六年前後には均衡するということで今作業を詰めておるところでございます。  それから、PT、OTにつきましても御指摘のように足りない部分がございまして、専門委員会の方へ御答申をいただいて約百名ずつ増加するということをやっておりますが、これもさらに今申し上げたような要因を加えた上で随時見直しをしたいという方向で努力しておりますが、現状は御指摘のように足りない部分がございますので、そういう点、私どもとしてもいろいろの施策を反映してそういう需要に追いつきたいというふうに考えておる次第でございます。
  179. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 ただいまのお話は、私が党の社会部会における答弁の範囲の域を出ていないので、ちょっと物足りない点があるのでひとつつけ加えさせていただきますと、そういうような調子ではいつまでたってもできない、それで看護婦養成制度の抜本策が必要である、こう思います。  例えて申し上げると、訪問看護をするのに准看護婦はできないんだとか、そういうようなことがあって、実際にプライマリーケア、地域医療に邁進し、挺身したいと思っている方々ができないような状態にあるから、そういう問題をどうするかというようなこと。あるいはこれから先、質も大事だけれども量を確保するためには准看護婦に一定の教育を施して、そしてその試験に通った者はまた国家試験を受ける資格を与えるといった思い切った抜本的な看護婦養成策をとらないと、二十一世紀の高齢化社会に向かって追いつかない。先ほど仲村局長は、寝たきりになった場合も看護する人がいないと、こういうようなことになるので、私その点をひとつぜひ考えてもらいたいと、こう思うんです。
  180. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 御指摘のとおりでございまして、私も大変そういう点心配な部分もございますが、六十二年の四月に実は看護制度検討会から御提言をいただいております。それには今おっしゃったようなことがるる書かれておるわけでございまして、それを私どもとしては行政に反映させていきたいということで、先ほど大臣からも申し上げましたように、高齢化社会に我が国の医療供給体制がいかに軟着陸できるようにするかということを今後さらに工夫してまいりたいと思います。
  181. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 週休二日制が既に役所及び一部企業で実施されておるようでございますけれども、この週休二日制も医療関係にとっては非常に大きな問題でございまして、医療はほかの産業と違って、救急告示医療機関でおわかりのとおり、二十四時間勤務体制をとらなきゃいかぬ。その密度は非常に濃くて、そしていつでもどこでもだれでもという体制をとらなきゃいけないんですけれども、週休二日制が実行された場合にはどうしても看護婦あるいはほかのパラメディカル、コメディカルの方々の増員を要するわけでございます。  それで、増員をしたくても、御存じのとおり社会保険診療報酬が限られておると、これまた伊具ができない、できなければ今度はほかのところに優秀な人材が流れていく、ケアができないというジレンマに陥っているので、週休二日制に対する対策を厚生省はどう考えているのか。  あるいはまた、社会保険診療報酬に対して週休二日制のことでこれに対してもまた考慮を払うのか。  この二点をお伺いしたい。
  182. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 週休二日制の普及と看護職員の勤務条件の変化については、今後の看護職員の需要に影響する重要な要因であると理解しております。このため、現在取りまとめ中の看護職員需給見通しにおいてもこの要因を考慮して需給を推計しており、この見通しを踏まえて看護職員の養成確保対策の充実に努めていきたいと思っております。  また、診療報酬については、国民医療費の動向や保険財政の状況、賃金や消費者物価の動向、医業経営の実態等医療を取り巻く状況を総合的に勘案して改定を行ってきているところでありまして、御指摘の点に関しては、こうしたさまざまな要因の推移と合わせて念頭に置くとともに、中央社会保険医療協議会における審議を踏まえて適切に対処していきたいと思います。
  183. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 次に、医療税制のことを厚生大臣にお伺いしたいわけでございます。  私も大蔵政務次官を短期間ではございましたけれども務めさせていただきました。それで、今まで日本国家側の財政が非常に厳しい状況にある。百六十二兆の公債残高を抱えて、それで利払い費だけでも二〇%前後の利払い費をやらなきゃいかぬと、こういうようなこともよく知っておるし、また税は公平、公正、それから簡便でなければいけないというような税の公平さも人並み以上にわかっているつもりでございますけれども、ただし私は、何事にあれ政策を進める上に大事なことはインセンティブであると、こう思っております。  それで、私はあえて申し上げるのでございますけれども、今、税に対する国民関心も強いし、私どもも国家財政を踏まえて、また税の原理原則を踏まえてやらなきゃいかぬけれども、私はぜひこの際医療の拡大再生産を考える、大際に第一線で働いている人たちは人件費も、あるいはまた物価のスライドにもやっと合わせるぐらいのあれで、拡大再生産の余裕まで全然ないんですね。それで日進月歩の医学医術の進歩に合わす、あるいはその他のことも考えて少なくとも医療の拡大再生産に見合うだけの医療構造改善準備金制度なるものをつくっていく。あるいはまた、今、都会の方では、あるいはほかのところでも開業医が高齢化していって承継者がいない。プライマリーケアが今後非常に危ぶまれている。継続は力なりと言いますから、そういう医療の承継性を考えて、ぜひ医師承継税制への配慮をしていただきたいと、こういうぐあいに思っております。これは先ほど申し上げたように、意欲を失っている人たちに対する政策的なインセンティブでございます。  ついでに申し上げさせていただくと、私がデンマークに行きましたときに、京都の大学を出たデンマークの国立病院のある先生が私にこう言った。デンマークはもうとにかく税が高くてしようがないんだ。豪雪を踏み分けていって往診に行く。往診に行ったら、往診料に対してまた税がかかる。そしてその税がガソリン代よりも高いんだ。もう往診には行きたくない、行きたくないけれども、医師としての義務上、使命上行かざるを得ないんだと。それで、医局ではどうかというと、医者の集まる医局では、医者がどうしたら脱税をするかという脱税ゲーム、脱税ごっこをやっていると言うんですね。それで、彼が僕に言うんです。大浜先生、税というのは怖いですよ、人間を変えますよと、こういうことを言っておったんです。  私は、税は公平でないといけないということもよくわかりますけれども、またそういうような租税特別置措以上のインセンティブということを考えて、今申し上げた医療構造改善準備金あるいは承継税制への配慮というものを、きょうあすとは言わないでもいいから、長期の検討をやって実践していくことが、先ほど私が申し上げた二十一世紀の高齢化社会に向かって世界のモデルになる医療保障制度をつくる上で大事なことだと思うので、その点を厚生大臣からまたひとつ御答弁をいただきたい。
  184. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今、大浜先生が言われたようなこと、日本医師会からの要望というものもよく検討しております。  確かに、医療施設の構造改善準備金の創設とかあるいは医療法人承継時の相続税の軽減等診療所の経営の合理化という観点から、個人診療所が医療法人化するということは大変重要であるという認識を私も持っております。  御指摘の、今言われたようないろいろな対策、税制上の措置あるいは設立手続の簡素化等について、厚生省としてもできる限りの配慮をして、一人医師医療法人の適切な育成が今後も進められるよう努力していきたいと思っております。
  185. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 それと関連してでございますけれども、私は、消費税は二十一世紀のためになくてはならないすばらしい税制改革をやったと心からそう思っておりますけれども、医療の問題で法定予防接種、それから法定健康診断、それから最もどうかなと思うのは、正常分娩にまでも消費税をかけるということは、これは人口政策上もゆゆしい問題ではなかろうかと思って反対したけれども、反対は通らなかった。それで、それぐらい厳しい姿勢で自民党は二十一世紀を考えたということなんで、将来消費税の見直しがなされる場合に当然検討項目に入っていいと思いますけれども、これは答弁はようございます。私の意見だけ申し上げておきます。  それから、今度は大蔵大臣にお伺いしたいのでございますけれども、先ほどからも野党の抜山先生その他の方々もおっしゃっておられたけれども、せっかく消費税を導入していながら何に使ったのかわからない。本当は二兆六千億円という減税がなされているんだけれども、それを実感がないものだから、いろんな反対反対ということを言うので、しかし、いつまでもそうさせてはいけないので、やはりここで何らかの形で年金、医療、福祉に消費税で上がった分はこうこういうぐあいに使っているんだよということをあなた方はPRが下手なんですよね、PRが。だから、目的税ではないと言ってもわからないんですよ、国民は。そんな村山大蔵大臣が大学教授の講演みたいにいつも難しいことじゃなく、ひとつきちっとそういうもんだということをわかりやすく、三十秒でいいですからこの場でひとつお願いしたいと思います。
  186. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 医療、社会福祉、社会保障は非常に重要な問題でございます。したがいまして、今度の元年度のあれを見ましても、増加率で四・九%、一般歳出が三・三ということでございますから、大変な力を入れているということはあれで十分におわかりだろうと思うんです。それでまた、この消費税の一つ目的が福祉社会に向かっての安定財源をねらっているとか、あるいは福祉社会における租税負担の公平化をねらっているとか、活力ある福祉社会をねらっているとか、いろんなことを言っているわけでございますが、そのとおりなのでございます。ですから、それだけでもう既にいかに重点を置いているかということはよくおわかりだと思います。ただ、ひもをつけるということは、これはもうニーズというものは千差万別、時々刻々変わっていくわけでございますので、その点はやはり資源というものをいかに効率的に使っていくか、人間の絶えざる知恵を、衆知を集めてそれは決めるべき問題である、そういうことでございますが、具体的にはもうこのとおり重点的に使われておると言ってもいいわけですね、金に色目がないわけでございますから。どうぞ御理解を賜りたいと思います。
  187. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 さっき私、国民の間に、あるいは国民でなくても大蔵省、厚生省の幹部の間でも、来年はもう赤字公債からの脱却ができるんだから、それから、あるいは公債依存度があんな二〇%もあったのがだんだん下がってきたんだから、その分だけやっぱり何らかの形でその成果を社会保障を重点にしてやるべきだと、こういうようなあれがあるわけなんですよね。その点に関してはどうでございましょうか、消費税とは別に。
  188. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 平成年度にようやく十年がかりの赤字公債脱却のめどがついて、本当にもう皆さんに御辛抱いただいたたまものだと思っております。  しかし、百六十二兆という公債残高、それから、いわゆるツケ回しによるいろんな隠れた債務というものが巨額に上っておる。それからまた、やがて繰り入れなければならない定率繰り入れ、これが二兆六千億から三兆ぐらい要る。今、NTT株の売却益で賄っておりますが、やがてこれがなくなる等々のことを考えますと、これからもやはり長期的な財政再建の目標というものを定めて、それで効率的な厳しい歳出をやっていくということは、消費税を導入したこの機会でもありますから、やはりより一層求められるだろうと思います。したがいまして、やはり税金の一文のむだ遣いかないように厳しく長期的な目標を定めていきたいと思います。  それから出てくる一種の歳入歳出との関係でございますが、その中において福祉行政社会保障行政がいかに重大であるかということはよく承知しておりますので、今後とも各省と連絡の上、そのように対応してまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  189. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 次に、いわゆる医療産業の問題でございます。  これは今、外国からでさえ日本の二十兆円の医療市場をといいますか、言葉は悪いですけれども、国民医療費をねらって医療産業が入ろうとしている、入りつつある。この問題は時間がないので、これはひとつぜひ大臣に考えていただきたい。  日本の医療が特にアメリカあたりと違う点は、医療法の第七条にうたわれているように、営利を目的としてはいけないと、これが大きなにしきの御旗でありますから、これがあるがために、日本の医療保障は憲法第二十五条の生存権の保障をきちっと守って、貧しい人でも医療保険の一枚でどこでもかかれる、こういうすばらしい制度でございますから、医療産業に対してはぜひひとつきちっとした歯どめをつくっていただきたい、こういう考えでございますけれども、厚生大臣の御答弁をいただきます。
  190. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 医療産業の参入の問題ですが、国民のいろんな要望は高度化、多様化してきていますが、それにこたえるとともに、病院経営の合理化、効率化に資することから、近年、給食とかあるいは検査茅多くの病院業務が外注されるようになってきております。このような医療関連産業の活用の意義とか役割というのはそれぞれあると思いますが、提供されるサービスの質の確保を十分図りながら積極的に対応すべきものと考えております。  しかし、これが医療経営の主体性の喪失につながるようなことは認めるべきではないと考えておりますし、従来から医療の持つ高度に公共的な性格にかんがみて、営利を目的とした病院、診療所の開設は認めていないところであります。この問題については、今後も先生の御指摘を踏まえて適切に対処していきたいと思います。
  191. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 次に、国民医療費と社会保険診療報酬の問題でございますけれども、時間がないので私は簡単に申し上げると、国民医療費というのは消費じゃないんだということ、投資であるということ、我々が長年かかって莫大な国民医療費を使ってきたために、投資してきたために、戦後たった四十年の間に世界一の高齢化になっておるし、医学医術のいろんな進歩に適応してきたし、世界一の医療保障なんです。  時間がないので本当にもう恐縮ですけれども、それで、ぜひひとつ社会保険診療報酬を考える場合に、財政にだけ合わさないで、医学医術の進歩にどういうぐあいに適応させるかというようなこと等も踏まえて、私は投資的な考えでやっていただきたい。そのためには、いつまでも薬価差益をいじってその残りかすで社会保険診療報酬に充てるというようなこそく的なことをやらない。あくまでも技術料を尊重した国際的な社会保険診療報酬に一日も早く持っていっていただきたい。これを厚生大臣にお伺いをいたしたい。
  192. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) お説のように、財政状況のみならず、医療を取り巻く総合的な状況というものを勘案して適切に対処をしていきたいと思っております。
  193. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 次に、水爆拾載機水没事故の件でございますけれども、この件に関しまして外務大臣にお尋ねをいたしたい。  非核三原則は形骸化しているという国民の疑念があるけれども、本件事故は我が国への核持ち込みを裏づけるものではないかということ。  それからもう一つ新聞報道では事実関係にもっと隠されている部分があるんじゃなかろうかと、こういう疑念があります。  それからまた、沖縄タイムスの報道によると、その当時、米海軍の工作艦や潜水艦等が那覇軍港に入港するような奇妙な動きがあった、水爆回収の事実はないかと、こういうようなことが言われていますけれども、外務大臣のお考えをひとつ拝聴したい。
  194. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 水爆転落事故はまことに遺憾きわまる話でございます。  まず、三原則が形骸化されておらないかという御質問でございますが、形骸化されておりません。私たちはあくまでも、核の持ち込み等々がある場合には、これはもう事前協議の対象でございますから、しかも米国からその事前協議は発議するということでございます。なければ持ち込まれておらないということに対して疑いを要せず、もしぶ前協議あらば三原則に基づいてこれを断固として断る、これが我が国の姿勢でございます。  したがいまして、今回のこうしたことが公にされましたときに、過般も申し述べましたが、米国防省は対外説明といたしまして、五月九日、米国は核兵器に関する日本国民の特別な感情を承知しており、日米安保条約及び関連取り決めのもとでの義務を誠実に遵守してきており、今後も引き続き遵守する旨、このとおり申し述べておる次第でございます。  なお、回収されたのかどうかという問題もございますが、この問題に関しましては、実のところは、いろいろと今、国防省と米国に私たちは照会中でございますが、国防省は、本事故は適正な手続を通じ報告され、また調査された。しかし、国家安全保障上の理由により公表されないとしております。なお、さらに、本件紛失により環境に悪影響が及んだと信ずるに足りる理由があった場合には公表することを定めた規定がちょうどこの事故が発生いたしました当時もあった。現在も存在する、その規定は。しかし、本件事故はそのような事例に該当しなかったのである、こういうふうな説明もよこしておるわけでございます。  何分にも四千八百メーターの水底下の問題でございますので、今のところ、なお詳細にわたりましては米国並びに国防省に照会中でございますが、ただいま申し上げましたのが現在ただいま知っているだけの情報でございます。
  195. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 ほかにも運輸大臣あるいは環境庁長官科学技術庁長官等にお伺いしたいことがございますけれども、時間の都合で私は、昨日私のところに一通のファックスが届きまして、私が沖縄出身であるがゆえにこういう手紙が来た、こう思っておりますので、これをひとつ読み上げます。  一メガトンの水爆搭載機が水没したままになっていることを知った、沖縄県民・奄美群島の住民は、不安この上ないという状況にあります。  一日も早く水爆を除去し、安全でのどかな南の海にしてくれ、というのが県民・住民の願いであります。  さらに不安をつのらせているのが、この種の事故や有毒物が、廃棄または放置されていないか、ということであります。  水爆搭載機が水没した一九六五年当時は、ベトナム戦争が激化した時期であり、日本政府の政策や方針が及ばない沖縄であっただけに、この種の問題の公表や琉球政府のチェックが出来なかったことを考えると、この事故のほかになかったのか否か、詳細に調査する必要があると考えます。  一九六〇年から一九七五年までの十五年間におよぶベトナム戦争中、身の毛のよだつ事故が起っております。  一つは、戦略爆撃機B52の爆発・炎工事故であります。二つは、VX神経ガスの事故であります。このガス事故もウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によって明らかになった事故で、このガスを吸った二十五人が病院に運ばれた事実から判明した事故であります。少なくとも当時の米軍は、ベトナムの爆撃に腐心するあまり、核兵器や化学兵器の管理は十分ではなかったことが、容易に想像できます。  さらに気になることは、ベトナムに散布した枯葉剤であり、その後遺症に悩む子供たちの姿を見ると、同じ人間として胸の痛みを禁じえません。  こうした一連のことを考えましても、この水爆問題の解決だけで、沖縄県民は、気が安まりません。  この問題を契機に、この種の問題がないのかどうか詳細な調査を行う約束をしていただけませんか。勿論、米国の協力は必要です。貿易摩擦の解決も大切ですが、これらの問題については、逆に米国の積極的な姿勢を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。  積極的に具体的な解決を外務大臣にお願いして下さい。この手紙に対し、外務大臣、いかがお考えですか。
  196. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 深刻な状況を率直に表明された手紙である。今、大浜委員も涙しておられましたが、私たちといたしましても、そうした住民の心をやはり深刻に受けとめなくちゃならないと考えております。  今回の事故に重大な関心を我々日本政府は有する、このことは既に公にしたところでございます。また、もちろんアメリカの事故でございますが、やはり近くの住民の方々の不安、そうしたことを考えました場合には、当然私たちもさらにアメリカにこの問題の経緯等に関しまして確認をすることを急ぎますとともに、その確認の結果につきましては、私といたしましても当然しかるべき判断をしなければならない、かように考えておる次第でございます。  もちろん、水爆等々の問題に関しましても、やはり今のところはアメリカでは運搬等最大の注意をしてきた問題であるから、たとえそれが海中にいても心配は要らないんだということは申しておりまするし、先ほど読み上げましたとおり、もしものときの場合には規定がある、現在もある、それに該当しておりませんと、このように誠意ある回答をしていてくれると思いますが、今申し上げましたとおり、さらに我々といたしましても、住民の方々の不安を払拭するために、政府といたしましては大浜委員と同じ気持ちで最大の努力をいたしたい、かように思います。
  197. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 今度のサミットで、私は、竹下総理が核の管理に関するあるいはその他安全に関する提案をなされるようお願いをいたします。  さらにまた、こういうような事態を踏まえて、いつもそういう問題が起こっているので、私は外務省の分室なりなんなりを沖縄にぜひ常駐させたらどうだろうか。今まで那覇防衛局で対応しておりますけれども、対応してももう焼け石に水で何にもなりゃしない。だから、そういう外務省の分室を沖縄にぜひつくってもらいたい。  それからもう一つは、それを踏まえて、その前にぜひ外務大臣が実際に沖縄においでいただいて、本当に沖縄の県民がどんなに困っているのか、この問題をどうしたらいいのかという恒久的な対策を立てていただきたい。外務大臣の訪沖をお願いいたします。
  198. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) こうした問題は、常に軍縮会議におきましても総理も既に申されましたし、過般、総理の提唱による京都の世界軍縮会議におきましても私は日本の方針を申し述べました。パリ・サミットでこうした問題を提起してはどうかというお話でございますが、いろいろとこの問題につきましては、パリ・サミット参加国の下準備の会議等々ございます。そうしたところで仕分けされるものだと思いますが、やはり話題になるのではないか、かように思っておりますが、そうしたときにどうするかという問題も十分私たちは考えておかなければならない、かように思っております。直接にサミットにこれを提唱するという問題でもまたないというようなことも考えられます。  もう一つは、ぜひ沖縄に来いということでございますが、やはり沖縄には我が国の基地のほとんどがある。その密度は極めて高い。したがいまして、本当に日米安保体制の円満な運営のためには、やはり基地も大切だが、基地周辺の住民の方方との摩擦というものがあってはいかぬ、極力それを少なくして、そしてやはり協力していただく体制をとらなくちゃならぬ。そのために既に防衛庁長官は行かれました。その当時、私にも外務省としても当然視察すべきではないかというお話がございましたから、私はよき時期を選びたいと、そのときにお答え申し上げております。だから、外務大臣としてはその気持ちには変わりはないということをここで申し述べておきます。  なお、分室の問題は従来からお話しになっております。今のところいろいろと行革だとか、財政再建とかいう問題ございますが、しかし昨年来、基地におきましていろんな事故が発生しております。私は、最高司令官等々の方にもお願いしまして、やはりもっと緊張してほしいということを直接申し述べたのでございますが、もし今日のような大きな事故が——大きくなっておらないわけですが、しかし話題としては大きい事故が、水爆転落事故でございますから、不安等々これあり、やはり十二分に、基地司令官なり基地対策なり住民の考え方なり、そうしたことの円満な連絡、意思の疎通、こうしたものを図るためには私は今のままの状態でいいとは考えておりません。したがいまして、しかるべき方法がありはせぬかと、まあ北海道あるいは大阪には我が方からも一つの使命を持った人がおられる、また行くようになっておるというふうな体制もございますから、今後その問題に関しましては、きょうの御質問を通じまして、我々といたしましても深刻な問題として、また今後、基地運営の円満化のためにも特別の配慮はしていいのではないか、かように考えておりますので、その旨お伝え申し上げます。
  199. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 最後に、竹下内閣は一年半の寿命でございました。長いか短いかは、これはどういう功績があったか、あるいはどういう罪な部分があったかということで論すべきで、後世の史家にゆだねにゃいかぬと私は思いますけれども、ポリティシャンは次の選挙を考え、ステーツマンは次のゼネレーションを考えるという言葉がございます。  消費税を導入するならば国民の反感を買うだろう、あるいは次の選挙では自民党は大敗するだろう、こういうようなことも当然念頭にあったと思いますけれども、あえて二十一世紀の高齢化社会を迎えるに当たって、そういうすばらしい消費税を導入したということは、私は歴史に残るお仕事であったと、また、最近の事例をもっても、米国との貿易摩擦の問題、農業問題、一部に不平不満はあっても、これをうまくきちっと片づけて米国の矛をおさめさせたということ、あるいはまた経済が非常に安定しているということ、これはかつてないことでございますので、私はその点で竹下内閣竹下総理を初め各閣僚の皆さん方に最大の敬意を表するものでございます。  ただ一つ、最後、アメリカの言葉に、一遍大統領をやった人が本当にアメリカ国民を思い、アメリカ国家を思うという言葉がございますので、総理の座を離れられてもまた変わらない愛国の、また国を思う、国民を思うお気持ちで御指導のほどをお願いいたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。
  200. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 以上で大浜方栄君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  201. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、本岡昭次君の質疑を行います。本岡君。
  202. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 初めに、総理にお伺いいたします。  我が党の矢田部委員が一昨日、いわゆる総理の三点セットの問題について質問をいたしました。その結論として、総理が三点セットを予算委員会委員長のもとに提出する、委員長が預かるということで一応決着がついたわけでありますが、もうお出しになりましたでしょうか。
  203. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まだお手元へ届けていないようでございます。
  204. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 理事会で論議されているようでありますが、大体いつごろそれを委員長のもとにお預けになるということになりますか。
  205. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 私の知った範囲では、十五日ごろお届けするという連絡を受けております。
  206. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 はい、わかりました。  私は、参考人をお呼びしております関係で、質問を若干変更いたしまして、まず、文部省と臨教審のリクルート疑惑の問題について何点か伺ってまいります。  まず最初に、非常に残念なことでありますが、高石元文部次官が起訴をされたということについてであります。    〔委員長退席、理事遠藤要君着席〕 文部大臣はその責任者としてどのような所見を持っておられるか。また、法務大臣よりその起訴の理由等についてまず最初に伺っておきます。
  207. 西岡武夫

    国務大臣(西岡武夫君) お答え申し上げます。  今般、文部省の前事務次官が起訴をされるという事態に立ち至ったということは、文部省といたしまして、教育行政に対する国民の皆様方の信頼を著しく損ねたという意味で、まことに申しわけないという気持ちでいっぱいでございます。  今後文部省といたしましては、このような不祥事が起こらないように綱紀の粛正、さらに厳正にこれを行ってまいり教育行政を着実に進める、その中で国民の皆様方の文部省に対する信頼を回復してまいりたい、このように考えている次第でございます。
  208. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) ただいまお尋ねの高石元文部次官に対する公訴事実の要旨でございますけれども、これは再々御報告申し上げておりますように、いわゆるリクルートコスモスの未公開株式を一万株譲渡を受けた、こういうことでございまして、高石の職務に関して収賄をしたという事実でございます。
  209. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は、文部省のこのリクルート疑惑は、高石元文部次官の起訴で終結したのではないと思っております。  リクルートと文部省の関係、これは非常に根深いものがあります。また、森・元文部大臣が、中曽根政権時代、臨教審を設立するときの文部大臣としてリクルートコスモスの株を当時三万株も譲渡されたというところから始まって、一、二の文部大臣は別でしたが、歴代の文部大臣がリクルートとさまざまな関係を持ったということが明らかでありますから、私は、そうした歴代の文部大臣の政治責任ということも含めて文部省全体が責任をとっていかなければならないと思います。そういう意味で、単に司直の手にゆだねるのでなくて、西岡大臣が先頭に立って文部省におけるリクルート汚職とは何であったのかということをみずからの責任において調査し、そしてそのうみを出して国民の前に釈明をすべきであると私は思うんですが、いかがですか。
  210. 西岡武夫

    国務大臣(西岡武夫君) お答え申し上げます。  委員御指摘の問題につきましては、文部省といたしまして、既に委員御承知のとおりに、これまでの文部省におけるリクルートの問題をめぐっての一連の不祥事について厳正に省内の問題としてこれをとらえ、人心の一新を図り、またリクルートにまつわる国民の皆様方からいろいろと疑惑を受けたという事実を踏まえて、私自身も文部省の組織全体とのかかわり方について厳正に調査を進めたところでございます。その上で、先般来いろいろな人事等につきましてもその措置を行ったところでございまして、委員御指摘の歴代文部大臣の問題につきましては、これはお一人お一人の政治家の責任ということで御判断をされるべきことであって、文部省といたしましては、もちろんそのことですべてが終わったということにはならないかもしれません。現段階において、司法の御判断というものが残されておりますけれども、現段階におきましては文部省としては一応のけじめをつけたと、このように考えているところでございます。
  211. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 中曽根総理が教育改革の柱として総理府に設置した臨時教育審議会が一九八五年六月に第一次答申を行っています。しかしその答申は、臨教審の総会で承認されていた審議経過と正反対の内容となり、リクルート社に有利な方向に逆転をしています。これは当時の中曽根総理、藤波官房長官の圧力によるものというふうに言われています。この答申を受けて文部省、労働省の両省が話し合い、会社訪問の解禁時期を早めた新しい内容の就職協定が決められたという筋書きであります。就職情報誌の基盤である就職協定存続を求めていたリクルート社の思うとおりになったということなのであります。  この答申をめぐる疑惑を解明するため、きょう、この答申を担当した当時の石井臨時教育審議会第二部会長参考人として御出席をしていただいておりますので、これから石井参考人に当時のいきさつを具体的に伺ってまいりたいと思います。  石井参考人、急なことを申し上げまして御多忙のところありがとうございました。御協力に感謝いたします。  まず第一に、一九八五年二月二十七日、第二部会のヒアリングの発言者として江副氏をお呼びになっていますが、なぜ江副氏がこの発言者として招かれましたか。
  212. 石井威望

    参考人石井威望君) お答え申し上げます。  当時、私どもは学歴社会の多面的ないろいろのことを調べようと思っておりまして、一番その時点で新しい学歴社会の企業における意識、意見調査というのをやっておりまして、このデータを初めいろいろ具体的なデータのヒアリングをしようというのが一つ目的でございます。  もちろん、あと何十人もヒアリングをしたわけでございまして、その中のお一人としてお願いしたわけであります。
  213. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 一九八五年四月二十四日にまとめられたこの審議経過の概要(その二)でございますが、これは臨教審の総会で承認されたものであると思います。その総会で、今おっしゃった学歴社会論議ということもあったと思うんですが、就職協定、青田買い、そうした問題はどの程度これをまとめる段階で論議になりましたか。
  214. 石井威望

    参考人石井威望君) お答え申し上げます。  「臨時教育審議会 審議経過の概要(その二)」をまとめるにつきまして、青田買いとか指定校制の問題、これはもう当初から、第一回目から常に問題になっておりまして、繰り返しいろいろの議論がございました。  それで、多少そこで、先ほどもお話がございましたが、初め、世間の学歴社会がないということを臨教審の第二部会で言っておって、それが百八十度変わったんだというふうなことがございますが、それは実際はそうじゃございませんで、初めから、私自身も記者会見でも言っておりますけれども、学歴社会の弊害と、具体的には採用の問題における青田買いあるいは指定校制の問題というのはずっと問題になっておりました。
  215. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それではお伺いしますが、経過の概要のところにこういう文章がありますね。四十八ページ。これは文章ですからまとめられたものだと思います。「特定大学以外には採用の門を閉ざすいわゆる指定校制をとる企業は、最近ほとんどなくなってきている、とりわけ大企業でこの傾向が顕著である、従来に比べて、卒業大学の名前にとらわれず企業自身による面接を繰り返し、その判断を重視して採否を決めようとする傾向が強まっている、と言える」というふうに、文章ではこの指定校制の問題はこういうふうな形でまとめてあって、青田買いというふうなものについては一切この文面の中には出てこないのであります。ただ、五十六ページのところに、「大学卒業生の職業紹介機能の整備」というところで、「例えば、指定校制、就職協定など」というのが括弧書きにはございますけれども、この本文のまとめの中にはそれはなくって、むしろそういう傾向はなくなってきているということが記述の主流であります。  ところが、この答申の方、あなた、答申のこともおっしゃいましたけれども、ここになりますと、今度は全然逆の表現になりまして、「例えば、指定校制をとる企業が残っていることや就職協定違反の採用(青田買い)が多く行われていることなど」と。経過の概要の方ではむしろそれはなくなってきているんだ、こういう記述があらわれて、こっちへ来ると逆にして、指定校制をとるところがあって、そして青田買いがあって大変なんだと。これは、言葉じゃなくって文章でこのようなまとめ方というのは、明らかにだれがとっても逆転だと思いますが、いかがですか。
  216. 石井威望

    参考人石井威望君) 今御指摘がございました審議経過概要(その二)の同じところでございますが、今お読みになりまして終わられたところのその次に、「現状ではなお、指定校制をとっている企業が若干とも残っている」という記述がございまして、決してその前の方だけで終わっておるわけではございません。事実、今おっしゃいました指定校制を表面ではっきりと制度としてうたっているところはなくなったけれども、実態面におきましては、四十九ページのその後にありますように、過去の意識に引きずられて採用活動が極めて有名校有利になっておりまして、これがやはり学歴問題で受験過熱になる原因だということをここに書いております。  先ほどもう一つの点で、青田買いなり就職協定のことでございますが、この審議経過の概要というのは、なるべくたくさんの御意見をいろいろな形で書こうということでございます。  したがいまして、例えば先ほどの、さらりと五十六ページに指定校制、就職協定と、ちょっとしか書いてないじゃないかということでございますが、その上の方をごらんいただきますと、この五十六ページの一番トップの行でございますが、「学年歴の改革についての検討」と、これ一言さらりと書いてございますが、これは九月入学の問題でございまして、これは内部でもそうでございましたし、後ほどこれだけの特別委只会ができまして大変論議を呼んだようなことも、ここでは頭出しといいましょうか、ちょっと書かれているという点では、今、就職協定がここで軽く児られているんじゃないかということでございますが、それはあとの情報化の問題、国際化の問題あるいは家庭の問題も全部分科会ができて非常に大きな問題になったのでございますが、五十充ページあたりには非常に簡単にしか書いてございません。そういうことでございます。
  217. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 あなたが、いや、逆転させたんだということはここではおっしゃれないだろうと思うので、その程度にそこはしておきます。  新聞によりますと、五月十五日の部会で参考人は、答申内容については部会長に一任してほしいというふうに発言をされて、経過の概要を起草したときにかかわった三人の委員を起草委員から外したというふうに新聞に報道されていますが、これは事実であるかどうか。  それから、答申は、そうすると参考人お一人でまとめられたのですか、それとも複数の起草委員ということでまとめられたんですか。
  218. 石井威望

    参考人石井威望君) その点につきましてお答え申し上げます。  審議経過の概要の起草といいますのは、これは部会で原案を作成いたしまして、二人の委員と一人の専門委員がこれに当たりました。それは今、三人の起草委員とおっしゃったと思いますが、答申は全然別でございまして、臨教審の運営委員会のメンバー、つまり会長会長代理お二人、それから四人の部会長、さらに瀬島委員とそれから文章取りまとめ等でプラス内田健三委員と、これだけがメンバーになりまして答申の起草委員会というのは全然別にあったわけでありまして、その段階になりますと、初めの審議経過概要の報告を書かれた起草委員というのは別れてしまったというふうに申し上げていいと思います。別にやめてしまったとかそういうことではございませんで、別に答申の場合には作業が移ってしまったということでございます。
  219. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 なお、当時、一部の委員がこの答申は部会の審議を踏まえていないと参考人に抗議して、参考人が辞表を出すという騒ぎもあったということですが、これは事実ですか。
  220. 石井威望

    参考人石井威望君) お答え申し上げます。  辞表を正式に出したことはございません。しかしながら、私が辞意を漏らしまして慰留されたことはございます。  その経過をちょっと説明いたしますと、先ほど審議経過概要の中で、初め学歴社会がないとかそういう問題があって、後で百八十度変わったと、この原因と非常に絡むわけでございますが、第二部会の中で、かなり強硬に一専門委員の方が学歴社会の問題について、特にその経済面から格差がなくなったということを主張なさったわけであります。それ以外の方は大体常識的な、先ほど言いましたように、学歴社会は厳然としてあり、その弊害があるというわけでございまして、その点では必ずしも意見が完全に一致できませんでしたが、私は部会長として、全員の意見が一致し少数意見が尊重されるということが本来のことだと思いましたが、この点で六月四日に運営委員会のメンバーと専門委員のメンバーの懇談会がございました。その席でかなり強く私がその専門委員に非難を受けました。とても皆さんの信頼をつなぎとめられないということで、私はそこで、部会で辞任を申し上げたのでございます。  ところが、これはその後、部会の皆さんの意見としては、つまり専門委員委員は非常に違う役割でございます。つまり、先ほどの答申でもございますけれども、臨教審の最終的な決定というのは総会主義で、総会でメンバーがやっておりました。その場合には、もう部会とかそういうことは既に問題にならない状況で最終的なことを決める、これが総会中心主義でございます。部会というのは、あくまでその前の粗ごなしの作業をやるんだという組織になっておりましたから、専門委員の方が総会で発言するということはできない仕組みになっておる。ここに不満と誤解がございまして、先ほどもちょっと新聞等に御指摘がありましたように、部会で何か決めて、それが総会に上がってどうこうという問題ではございませんで、部会の決定とか、そういうものは本来制度上はなかったわけです。そこがちょっと誤解がございまして、専門委員の方が私についておっしゃったことについては、後ほどその誤解が多くの委員から指摘されたために、第二部会としては私が慰留されるということになったわけであります。  それが先ほどおっしゃいました辞表の問題でございます。
  221. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると、この第一次答申の内容について、この第二部会のメンバーで責任を持たれたのはだれですか。    〔理事遠藤要君退席、委員長着席〕
  222. 石井威望

    参考人石井威望君) 今申し上げましたように、第一次答申の最終的なものにつきましては臨教審の委員全員が責任を持っています。これは一人でも反対し、それがあれば表決をすることになっておりまして、ついに一回も表決をいたしませんでした。したがいまして、これは全員がそれに賛成したということでございますので、私一人が前の作業はいたしましたけれども、第二部会というよりも臨教審全体で最後のものを決める、途中でもずっと何回もこの問題は、学歴につきまして非常に議論がございました。  それからもう一つ、学歴と就職とは全然関係がないという点も実は余り報道をされておりません。というのは、先ほど申し上げましたように、学歴につきまして、かなり強く一般意見と違うことをおっしゃっていた専門委員の方も、その方が出されたメモの中にちゃんと就職協定の遵守ということが初めから書いてございます。学歴社会を否定する場合に、就職協定とかそういうものがなくなるとかいうことでは決してない点が、ちょっと必ずしも報道で十分伝わっていないというふうに感じております。
  223. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 参考人は、臨教審のヒアリングの中に江副さんが第二部会と第四部会に招かれている。二回もしているのは、私も見ましたけれども彼だけであります。また、臨教審の事務局のメンパーが江副さんにゴルフに招待をされているとか、江副さん自身が非常に深くそれにかかわろうとしていたということについて、あなたもその委員の一人として何かお感じになったことはありますか。
  224. 石井威望

    参考人石井威望君) 江副氏が二回ヒアリングなさっているということは、それは第二部会としましては独自にお願いしましたので、第四部会でパラレルにやられたということはそれほど気にしておりませんでした。  それから、二回も出ておられるのは一人だけだという御指摘でございます。これも後になってそうかなと思う程度でございまして、特に選ぶ場合に事務局で原案を持ってきまして、それを部会で承認するということでやっておりましたから、独自に第二部会、第四部会がやったと思います。  それから、もう一つのいろいろゴルフでございますかそういうことにつきましては、ちょっと私は自分自身ゴルフもやりませんしわかりませんが、私が知る限りにおきましては、私たちのこの第二部会の事務局のスタッフというのはそういうことはなかったんじゃないかというふうに私は思っております。  以上でございます。
  225. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 大変細かいことをくどく聞いて申しわけありませんけれども、そのヒアリングに発言者としてだれを出すかというのは事務局が決めるんですか。
  226. 石井威望

    参考人石井威望君) 決めるのは部会でみんながリストを見まして承認いたしますが、原案といいましょうか、いろいろリストをたくさん集めてまいりますから、その作業は事務局でやっております。
  227. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 きのうの新聞にも藤波元官房長官が事情聴取を受けたということがあります。その理由に、二つ書き上げられている一つのうちに、今私が石井参考人にお伺いしている臨教審の答申の中に盛り込まれた就職協定絡みということがあります。  そこで、やはり臨教審の答申の中に就職協定というものを盛り込んでいくという過程で、当時の中曽根総理や藤波官房長官の注文や圧力がかなりあったということはこれは想定できるのであります。新聞各紙を見ましても、臨教審にかかわった委員とかあるいは関係者がそのような圧力があったということをおっしゃっておられる方もあるわけでありまして、いま一度、参考人はこうした点をどういうふうに今感じておられるか、また、当時のことを考え合わせて、御意見があれば述べていただきたいと思います。
  228. 石井威望

    参考人石井威望君) それでは、お許しを得まして感想を述べさせていただきますが、当時を思い返しますと、特に就職問題につきましては、新聞紙上で最近報道されましてから、何かあっけにとられたというのが率直な印象でございまして、全然この問題については何も私自身、それから恐らく第二部会の私の周辺では余り今日のような感じを持っていなかったと思いますが、主たる私たちの問題は、むしろ就職協定の問題を介して、幾ら大学その他を改革しても産業がだめだからというようなことで教育改革が進まないということに対しまして非常に懸念をしておりまして、産業界に、あるいは学校外に大いに御協力いただいて、学校の中も同時に改革していくという立場で生涯学習収骨、生涯学習休糸ということを打ち出すために努力したわけでございまして、この関連のことは朝日新聞の社説にも、六月二日でございますか、かり克明に出ておりまして、これによりますと、臨教審は決して学歴社会がないなどとは言ってないということが書いてございます。  それから、八月ぐらいになりまして、臨教審の一人の委員が、臨教審が途中で変わったということを世間で言っているけれども、これはまことに心外であるという新聞記事も出しております。今御指摘がございました点も、後になって、三年以上たちまして就職協定のことが大変問題になっておりますが、私ども自身、全然そういう覚えがないわけでございますから、それによって臨教審の皆さんが大変苦労してやられたこの成果が教育のこれからの問題に十分役立たなくなるんじゃないか、信用されなくなるんじゃないかということを大変恐れております。それをひとつ最後に申し上げておきます。
  229. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は、石井参考人と別な観点をまた依然として持ち続けているわけで、参考人がどうされたとか、あなたがリクルートとどうかかわったとか、あなたが江副さんとどうかかわったとかいうことじゃなくて、臨教審を設置した当時の中曽根首相が、臨教審というその場を使って江副さんとの関係において新聞に報道されているようなところがあり、そこに疑惑を生み、そこに株の譲渡があった、政治献金が行われたということは、当然それは臨教審が舞台である。それにかかわられた参考人などはまことにお気の毒であったと私たちは逆に言わざるを得ないわけでありまして、参考人として貴重な時間を割いていただきまして、きょうはお礼を申し上げておきたいと思います。ありがとうございました。  それで、次に文部大臣にお伺いします。  高石元次官のパーティー券問題でありますが、これは組織的に百枚購入したことがばれて、その責任をとってやめられた竹井さんが文部省の方にまた戻ってこられたということでありますが、そのとおりなんですか。
  230. 西岡武夫

    国務大臣(西岡武夫君) お答え申し上げます。  そのとおりでございます。
  231. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それで、現在どういう職についておられるのかということと、高石元文部次官問題というのは、教育行政に対する信頼を大きくこれは失墜させた人なんですよね。そのことに福岡県でかかわって、これまた福岡県の教育行政を大きく失墜させた人が、また文部省へ戻ってきて文部省の職員として仕事をする。文部省から福岡県に教育長がまた出向していく。どうもそういうところが今度の高石問題を含め、文部省とリクルート問題について本当に反省をしているのかなと、私はこう思うんですが、その点いかがですか。
  232. 西岡武夫

    国務大臣(西岡武夫君) お答えいたします。  現在、大臣官房付に身分はなっております。  ただいま委員御指摘の点につきましては、福岡県の教育委員会からの要請に基づきまして文部省から教育長を派遣している、これは事実でございます。また、前福岡県の教育長を文部省において再採用しているということにつきましては、昭和四十一年に文部省に入省をしておりまして、その後、昭和六十一年に福岡県の教育委員会から要請を受けまして福岡県の教育次長として就任をし、その後一年後に、すなわち昭和六十二年に教育長に就任をしているわけでございまして、もちろん今回の問題をめぐってその対応等不適切であったということで引責辞職ということになっておりますので、本省において再採用するに当たりまして、事務次官より厳重注意を行って再採用を行ったということでございます。
  233. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 竹下総理、これは文部大臣の人事問題でありますけれども、どうも甘いように思うんですね。  高石元文部次官が起訴されて、そしてさまざまなことをやって教育の依頼を失墜した。福岡県は福岡県として、そういう事件を起こした人がまた文部省に戻ってちゃんと文部省の職員になっていく。これはどう思われますか。
  234. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これはやっぱり原則的に申しますならば、任命権者の意見を私の立場からは尊重すべきものであろうというふうに考えております。  経過から私も詳しく承知しておるわけじゃございませんが、恐らく割愛願いがあって出向という形で、現実その県の教育長であってそこで辞職いたしたわけでございますから、割愛した側に帰ってきてその任命権者の判断によってなされることを私どもとしては尊重すべきじゃなかろうか、こういうふうに思います。
  235. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そのとおりなんですけれども、これも国民の常識みたいなものがあるんですよね。素直に考えてみて、これも文部省というのはいいかげんなところやなということになりはせぬですか。総理の率直なひとつ感想だけ聞かしてください。
  236. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 任命権者の考え方を聞く前に、私のコメントをするのは差し控えさしていただきたいと思います。
  237. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 また改めてこの教育長の文部大臣承認人事問題等もいろいろお尋ねし、また意見を言いたいことがありますが、別の機会に譲ります。  それでは、一昨日、矢田部委員が行った竹下総理政治団体リクルート社の献血の問題、これについて質問をしてまいります。  まず、竹下総理、六十一年のリクルート社が行った献金額は、首相の後援団体分だけでも法に定められた総枠の限度額を超えているという事実、これはもう明らかになっているわけなんですが、この問題について総理はどう考えておられますか。
  238. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私がかつて答えましたものをちょっと整理してみますと、  昭和六十一年には、同じく私の事務所が関係する複数の政治団体が、リクルート社から合計一千万円、リクルート情報出版社から合計一千万円、リクルートフロムエー社から合計一千万円、リクルートコスモス社から合計五百万円の政治献金を受けております。これらの政治献金は、いずれも現行の政治資金規正法の定めるところに従い、それぞれの政治団体によって報告がなされているところであります。う申し上げてきたわけでございます。  したがって、今、政治資金規正法上のいわゆる枠の拡大の問題につきましては、これは私は政治資金規正法上の検討すべき課題だというふうに気がついてきておることは事実でございますが、私の経験からしましても、いわゆる寄附者に対して、あなたのところは赤字法人でございますかとか、あなたのところは限度枠はどうなっておりますかとか、そういうことをただしていなかったということはやはり反省すべきことであろう、このように考えております。
  239. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今、総理がおっしゃいましたように、政治家が、あるいは政治団体政治献金を受けるときに相手の会社がどれだけの総枠を持っているのかということはやつ。はり当然ただしながら、また質的制限を受けるような会社ではないのかというようなことをやるべきであって、それをやっていなかったことを反省するとおっしゃいましたから、そこのところはそのように今はひとつ判断をしておきましょう。  それで、今おっしゃったような、六十一年にリクルート社一千万、リクルート情報出版一千万、フロムエー一千万など、リクルート側からの献金がそれぞれなされてきた。そして首相は、これを百万円以下に分けて十幾つかの団体に分散したんだろうというふうに述べておられるわけですが、これは、献金を一千万あるいは五百万というふうなまとまった金額を一度だれかが受けて、そしてそれをそれぞれのところに百万ずつ分散さしたのか、それとも百万以下の金額を時期を置いて順次それぞれの十幾つかの団体に器附をしていったのかということはいかがですか。
  240. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 四社から十数団体がそれぞれ百万円単位で献金を受け入れたという報占を受けておるわけでございます。その日にち等につきましては、報告をきちんと受けておりません、残念ながら。
  241. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今私が質問したのは、リクルート社から一千万、リクルート情報出版から一千万、フロムエーから一千万というふうに政治献金を六十一年にもらったというんですが、その一千万がどこにどのようにして分散をされているのかということがわからなければその事実が解明できないのであります。また、実際に献金を受けたのが今言いましたように一体だれであったのか。全然別の人がそれぞれ受けたのか、同一人であったのかという問題も全然わからないまま、ただ数字だけがひとり歩きしているわけであります。  今私が言いましたようなことを、中身をおっしゃってください。
  242. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私の、この分散して受け入れたという問題につきましては、それは寄附者の意志というものもあろうかと思います、これは私が今聞く立場にはございませんけれども。が、現行法にもとるということはないにしましても、政治資金規正法のあり方としては、私は反省すると申しましたが、問題としてやはり検討さるべきだ。私自信も、古いことでございますけれども、いわゆる政治資金規正法に得する会計を担当しておったことがございます。したがって、その際のことから見まして、やはりその経験からしても検討さるべき課題だというふうに思います。  それで、じゃどういう領収書がどういうふうにして出ておるかという問題でございますが、どの団体がどういうふうになっておるかということは、ちょっと今、私の竹下事務所でそれを完全に掌握する環境にきょう現在ございませんので、しばらく時間がかかることだなというふうに率直に申し上げます。
  243. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 その六十一年度分については、政治資金規正法十六条によって、帳簿、明細書、領収書、これは六十二年九月四日から三年間保存しなければならぬということなんですよね。だから政治団体がわかっておれば、帳簿に全部それを明確に記載をしているというわけで、そんなに時間のかかることではないと思うんですが、どうしてですか。
  244. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 事務所の事実上の責任者が不在でありますので、これについて一生懸命私自身調査してみておりますが、時間がかかるということだけは、この帳簿の保存期間の問題は御案内のとおりでございますけれども、大体見ますと貯金通帳とかそういうものは二十年ぐらいなのが全部残っておりますが、なかなかこの調査することに、これはだれに手伝ってもらうというわけにもいきませんので、時間がかかるということは率直に申し上げた方がいいなと思ったわけでございます。
  245. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると、私は要求しておきます。三点セットと同じように、だれがどの団体に、いつ幾ら寄附したのかというその十数団体の名前と、そして、先ほど出た企業がそれぞれどのように寄附してきたのかということを、帳簿があるわけですから、それをこの予算委員会中に明らかにしていただけるかどうか。
  246. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 努力いたしますが、期限を切っていただいて約束が果たせなかったときの私の責任もございますから、ここで、予算委員会中ということに限定して、しかと承りましたと言うだけの自信は率直に言ってございません。
  247. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 問題は、政治資金規正法そのものに一体違反しているのかしていないのかという問題が現にこれはもう問われ始めているわけで、総理みずから政治献金を受けたものがどのような形で受けたのかということが明らかにならない。ただ百万円の枠内だから名前が出ないということだけで済んだのでは、これはリクルート疑惑の問題、総理もこれは徹底的に解明すると言っているのだから、今の答弁で私納得できませんね。
  248. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私がどの立場にありましょうとも、これはやっぱり政治倫理綱領等に基づきまして、私の責任においてその職を辞することにしたわけでございますから、どの立場にありましょうとも解明をいたさなければならない、その点は、これが自浄努力の私のあるべき立場であると思っております。  しかしながら、今申しましたように、本当のところが、それは長いことやっておりますから、なかなか大変な事務所でございますので、したがって本岡さんがすぐいつまでに出せと言われても、それは率直に言って、お約束してもしその約束をたがえた責任の方がより大きいと思いますから、努力をさせていただきますにとどめさせていただきたい、このように思います。
  249. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 納得できませんけれども、やってくれと言うから続けます。  それでは自治省に聞きますけれども、リクルートなり今、総理のおっしゃった情報出版とかフロム三一とかが出した総枠は、明らかに政治資金規正法二十二条に違反しているというふうに言えますね。
  250. 浅野大三郎

    政府委員(浅野大三郎君) 具体の事例でございますので、私がこの場でそれが違反であるとか具体の事例につきましてどうであるかと言うことは適当でないと考えております。  ただ、これは法律の規定がどうなっておるのか、それぞれ資本金等に応じて企業の場合は年間に寄附できる限度が決まっておるわけでございまして、それは先般来申し上げておるとおりでございます。
  251. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 先般来どういうふうに言うたんですか。私にもはっきり言ってください。
  252. 浅野大三郎

    政府委員(浅野大三郎君) 失礼しました。  問題になっております会社は、リクルートリクルートフロムエー、それからリクルート情報出版であると思います。それぞれの会社の資本金は、リクルートが二十二億三千万円、リクルートフロムエーが六億円、リクルート出版が一千万円でございます。したがいまして、これらの企業が年間に寄附することのできる限度額、相手は一応政党、政治資金団体以外の政治団体ということで申し上げますと、リクルートが七百五十万円、リクルートフロムエーが三百七十五万円、リクルート出版が三百七十五万円、こういうことでございます。
  253. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それだけしか総枠を持っていないところが、竹下総理がみずから六十一年に一千万の寄附をしてもらったと言っているんであります。その具体的な関係においてどうですかと尋ねている。
  254. 浅野大三郎

    政府委員(浅野大三郎君) 具体的な事例についてのことでございますから、これは政治資金規正法の違反につきましては罰則もあります。そういうものはやはり司法手続において、具体の問題につきましては事実を確定した上で最終の判断が出るものだと思います。私がこの場で申し上げることは適当でないと考えております。
  255. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 この問題は次の機会に譲ります、時間がもったいないですから。  それでは、最後の問題で外務省に伺います。  政府開発援助として無償資金協力により実施されたフィリピン国立航海技術訓練所プロジェクトについて説明していただきたい。
  256. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) お答えいたします。  フィリピンにおきましては伝統的に海運業が盛んでございまして、外国船に乗り込みました船員の収入がフィリピンにとりましての大きな外貨の獲得源になっております。したがいまして、フィリピン政府は、船員の技術水準の向上のためにいろいろな機関を設けておりますけれども、船員の再訓練機関といたしまして、昭和五十三年に、レイテ島のタクロバンにおきまして訓練所を設立いたしまして訓練を開始いたしました。  ところが、フィリピンだけで行っておりますと限界があるということで、その後日本に対しましてこの訓練所の施設の拡充と、それから訓練所で教えておりますフィリピン人の教員の指導のための協力を要請してまいりました。私どもこの要請を踏まえまして事務的に検討をいたしましたところ、やはりフィリピンの船員の雇用機会の増大、それからフィリピンのこういう船員を通じます外貨収入を通じてのフィリピン経済への影響等を考えますと、この要請にこたえることが必要と考えまして、無償資金協力と技術協力を行っております。  具体的に、昭和五十九年とそれから六十年度の二年間にわたりまして無償資金協力で施設の拡充と訓練用の機材の供与を行いまして、これは合計三十七億円になりますが、その後引き続きまして、先ほど申し上げましたフィリピン人の教官の指導のために技術協力を行っております。
  257. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 その訓練所は現在どのような状態ですか。
  258. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 全体として申し上げますと、当初の段階で、この訓練所に参りますフィリピン人の船員の数は決して多くございませんでしたが、その後だんだん訓練を求めて参ります船員の数もふえてまいりまして、全体としては、出だしは少し出おくれましたけれども、私ども現在のところはいい方向に動いていると考えております。
  259. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 何を言っているかわからぬ。もっと具体的に数字で言ってください。
  260. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) それでは具体的に、ちょっと細かくなって恐縮でございますが、数字で御説明さしていただきます。  先ほど申し上げました三十七億円の無償資金協力は、ここの訓練学校の訓練棟と事務棟と、それから発電機棟に充てられております。それから、そのほか念のため申し上げますけれども、フィリピン政府が自分でつくりました学生用の宿舎と教育棟がございます。日本の無償でつくりました訓練棟は全部で十七の実習室がございますが、ここで、先ほど申し上げましたように、日本の専門家がフィリピンの教官の指導に当たっておりますけれども、この実習室はおおむねよく利用されております。  それから、事務棟でございますけれども、これは当初の計画規模を上回って十分に活用をされております。ただ、先生が御指摘しておられますのは、恐らくフィリピンが自力でつくりました教室にどのくらい学生が集まっているかという点かと思いますけれども、この点に関しましては、当初は先ほど申し上げましたように数が少なかったんですが、昭和六十一年に発足しておりますけれども、六十二年には二百九十三名、六十三年には六百二十六名とふえてきておりまして、これから順次さらにふえていくと見ております。
  261. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私の持っている資料では、予定の受講者数が七百六十名あって、八六年の下半期には二十二名が受講し修了者は一名、八七年の九月までに受講した人が百二十四名で修了者ゼロという惨たんたる状態であるというふうに言われていますが、そうじゃないんですか。
  262. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 繰り返しになりますけれども、私が持っております資料によりますと、全体の数字は先ほど申し上げたとおりでございます。これはもちろん延べの受講者でございまして、先生御承知かと思いますけれども、ちょっとこれもまた細かくなって恐縮ですけれども、御質問でございますのでさらに申し上げますと、ここにはコースが二つございまして、航海課程コース、機関課程コース等で、これが通常のコースでございます。それからあと特別コースがございまして、私が申し上げました数字はこの全体をとらえた数字でございます。
  263. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 その今おっしゃったことに関連する受講生の数という資料は、後でいただけますか。
  264. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 後ほど差し上げたいと思います。
  265. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 昭和六十一年の六月にこれができたときに、開校されてわずか三カ月後に巡回指導チームが派遣されておるんですが、その報告には、惨たんたる状態で余りにもお粗末な計画ではないかというふうな報告もなされておるんです。  大体、このプロジェクトがどういうきっかけでつくられたのかということでありますが、先ほど報告のあったような形じゃないんですね。外務省、このプロジェクトが非常に政治的な形で設置されたと言われておりますが、その点についてはどういうふうにとらえていますか。
  266. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先ほどは一般的な形で御説明いたしましたけれども、もう少し具体的に時系列的に申し上げますと、一九八三年の一月にフィリピンの外務省からこの国立航海訓練所に対しまして要請がございました。それを受けまして私ども事務的に検討いたしまして、五月に中曽根総理がフィリピンを訪問されましたけれども、その際にいろいろほかの懸案ともあわせてでございますけれども、この問題についても一般的な話し合いをされ、その上で事務的にいろいろ私ども調査をいたしまして、私が先ほど申し上げました諸点も事務的な調査をその年の八月に行っております。  これは、具体的には国際協力事業団、運輸省の専門家の方がいろいろ調べられておりまして、さらに二カ月後の十月には基本設計調査を行いまして、その上で先ほど申し上げましたような形で無償資金協力、それからさらには技術協力を行っております。
  267. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私の手元にあります電報であります。この中にいろいろなことが書いてあるんですが、こういうことです。  日本の外務大臣あて。当時、安倍外務大臣ではなかったかと思うんですが、在外公館電信案、九八六号、昭和五十八年四月十九日十二時三十分発によりますと、イメルダ大統領夫人の要請があり、  日比貿易インバラ問題を重視している比首脳に対して右プロジェクトに協力することは時宜にかなっていると思料されるので中曽根総理訪比の際に前向きにとりあげる用意ある旨御発言いただきたく案件として格好のものと考える。なお、従来比商船大学より類似の要請があり、当館より右実現方お願いした次第はあるも、中曽根総理訪比を控えた現下の諸情勢においては商船大学を先送りしてでも本件プロジェクトに協力することが効果的であると考えられるので特段の御配慮をお願いしたい。  こういう大使館から外務大臣あてに発信が行われ、それに基づいて中曽根総理が手土産として、イメルダ大統領夫人の出身地のレイテにこの三十七億円——ここでは二十七億円と書いてあって、何で二十七億円が三十七億円になったのかという一つの大きな疑問もあるんですが、そういう手土産としての政治的なものであったという点は認めますか。
  268. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) この案件の経緯につきましては、先ほど時系列的にちょっと細かく申し上げましたけれども、私どもといたしましてはきちんと事務的に作業を行った上で決定に至ったものでございます。  その過程に、確かに先生引用されましたように、それから私も先ほど申し上げましたけれども、八三年の五月に中曽根総理のフィリピン訪問がございまして、この案件についても話し合いを行いました。しかし、それはいろんな案件の一つとしてでございまして、この案件自体が、政治的に決めたということではなくて、先ほど申し上げたようにきちんと事前調査を行い、それから基本設計を行い、その上で決めたものでございます。  これはつけ足してございますけれども、先生が引用されました金額も、これは一般に無償資金協力案件の要請の段階ではそうでございますが、相手国政府がそれなりに計算して数字を出してまいります。それをきちんと私どもの専門家の手で調査いたしますと、大抵の場合は金額はでこぼこがございまして、そのきちんとした専門家の検討結果、私どもとして一応金額のめどを立てたものでございます。
  269. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 調査をしたとかいろいろおっしゃるけれども、その前に「中曽根総理訪比の際に前向きにとりあげる用意ある旨御発言いただきたく」ということは、もうそれをやりますということを初めに政治的に言って、後から調査に行って、そしてやったということでしょう。
  270. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) ちょうど中曽根総理が当時フィリピンにおいでになられる前に具体的な経済協力案件についていろいろフィリピン側とやりとりございまして、これが何も一番の焦点ということではございませんで、その一つといたしましてフィリピン政府側も関心を持っておる案件の一つでございますので、前向きに検討する。これは約束するということではございませんで、繰り返しになりますけれども、中曽根総理が言われましたのは前向きに検討するということでございまして、まさに検討した結果、先ほど申し上げましたように、きちんと事務的に検討した上で私どもが踏み切ったものでございます。
  271. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ここにはこう書いてある。従来、比商船大学より類似の要請があるけれども、それは先送りにして、そして中曽根総理訪比の土産として、イメルダ大統領夫人の出身地の非常に訓練所として不適切な場所にそれをつくったという政治的なものでしょう。電文にそう書いてあるじゃないですか。
  272. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 私ども外務省とフィリピンの日本大使館との間ではいろいろ電報その他でやりとりございますので、個々の電報についてはコメントを差し控えさせていただきます。  先生御指摘の案件については、これは同じことの繰り返しで申しわけございませんけれども、単にフィリピン政府の首脳が政治的な理由からやってほしいということで、私どもが政治的に考えて踏み切ったというものではございません。繰り返しになりますけれども、フィリピンにとりましてフィリピンの船員の訓練、特に再訓練というものが非常に重要であるということを考えて踏み切ったものでございます。  それから、フィリピンにはこういう船員の訓練所が大体五十前後あると記憶しております。この船員の再訓練のためにはここを指定しておりまして、これもちょっと専門的になって申しわけございませんけれども、STCWという条約がございまして、これは船員の訓練及び資格証明に関する条約でございまして、フィリピンが批准して五年の猶予期間をもちましてこの五月から発効いたします。これが発効いたしますと、今御説明しておりますように、この国立航海技術訓練所で再訓練を受けて、そこの資格証明書をもらわないと外航船に乗りにくくなるということがございますので、まさにフィリピン政府といたしまして、これはアキノ政権になってからも同様でございますけれども、ここを唯一の国立の船員再訓練の訓練所として指定しておりまして、そういう訓練所に対して私どもが協力をしているということでございます。
  273. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そこまでおっしゃるのなら、もう一つ、これは「暗秘」というんですか、秘密のもう一つ秘密という意味ですか、これは外務大臣がフィリピン大使に電報を打っているのがあるんですよ。そこにはこういうことが書いてある。「本件プロジェクトはその施設建設、機材供与に三十七億円の無償資金協力が行われており、無償資金協力の規模として大型のものであるだけに、本省としても重大な関心をもつて成りゆきを見てきたところであり、若し、現下のような状況に至り」——「現下」というのは、この訓練生の数は目標の五%以下ということで大変な状況であったんですよ、六十二年。その次がおもしろい。「報道関係者等に知られるところとなれば、本施設が現行地に建設された経緯からしても、わが国国内で由々しき問題となり得るとゆう慮している」という電報が行って督励しておるんですよ。  これは何ですか、これ。「本施設が現行地に建設された経緯からしても」と、一体これは何ですか。何がゆゆしき問題なんですか。報道関係者に知られたら何でぐあいが悪いんですか。
  274. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先ほども申し上げましたように、私どもの外務省と出先の公館といろいろやりとりがございますので具体的な点についてはコメントを差し控えさしていただきますけれども、一般論として申し上げますと、日本の援助プロジェクトが順調に活用されていないときは、私どもは現地の大使館を通じまして相手国政府といろいろ相談をして、具体的な援助プロジェクトが効果を上げるように努力を行ってきているわけでございます。  先ほど申し上げましたように、このプロジェクトが完成いたしましたのは八六年でございまして、その八六年の出だしにおいては、いろんなプロジェクトがそうでございますけれども、完成してからすぐ一〇〇%稼働し出すということではございませんので、確かにこのプロジェクトもそのとおりでございまして、出だしが特におくれたということもございますので、出だしが特に悪かったということでございますので、私どもとしてはできるだけこのプロジェクトを活用するように、そしてそのためにはどういうふうにしたらいいかフィリピン政府といろいろ相談してきて、フィリピン政府もアキノ大統領になりましてからも、先ほどちょっと私も申し上げましたように、この訓練所を船員の再訓練のための唯一の訓練所ということで今非常に努力をしている。御承知のようにアキノ政権発足してまだ三年ちょっとでございますけれども、全力を挙げてこの訓練所を活用するように今努力しておりますので、私どもといたしましてもその方向でさらに協力していきたい。  それから、先ほど申し上げましたように、条約が発効いたしましてまさにこの訓練所の価値も上がってまいりまして、これからはさらにこの訓練所に参るフィリピンの船員もふえてくる、私どもはこういうふうに見ております。
  275. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私の質問に答えてないんですよ。報道関係者に知られたらなぜぐあいが悪いのか。  それから、本施設が「建設された経緯からしても」と、一体この「経緯からしても」というのは何ですか。
  276. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先ほども申し上げましたように、私どもは出先の公館、例えば御指摘のようにフィリピン大使館におきます日本大使館といろいろ電報その他でやりとりをしております。それは部内の連絡でございますので、個々の電報に関しましてのコメントは差し控えさしていただきますけれども、重要なことは、私が先ほどから繰り返し御説明しておりますように、日本の援助プロジェクトをしっかり活用していくということでございまして、繰り返し申し上げておりますけれども、アキノ政権になりましてこの訓練所を最大限活用したいということで努力しております。  全体としてまだまだ経済も十分な立ち直りを見せておりません。そういう中で努力しているわけでございますので、私どももそういうアキノ政権の努力に引き続き協力していきたいということで、それなりに私どもの協力の成果も出ているということは、先ほど来御報告しているとおりでございます。
  277. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 答えてないじゃないですか、全然。
  278. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 松浦局長、質問の要旨に完全に答えてください。
  279. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 私ども決して具体的な援助プロジェクトを隠す、特にそれがきちんと機能していないときに隠すということはしないことにしておりまして、ちょっと脱線して申しわけございませんけれども、私どもはいろんなプロジェクトの、うまくいっているのもうまくいっていないのも含めまして、現にそれなりに評価をして公表さしていただいていますのもその努力の一環でございます。  ただ、先生御指摘の具体的な電報の中の文章に関しましては、私、先生が今お持ちの電報に関しては真偽のほども含めましてちょっと確認もできませんし、私も手元に電報を持っておりませんので、そういう意味で具体的な点についてはコメントをするのを差し控えさしていただいて、一般論としてお答えさしていただいている次第です。
  280. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 確認してくださいよ、そしたら。確認してくださいよ、これ。私のこれを確認してください。
  281. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 本岡君、その電報はどこから手に入れたの。
  282. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それを言わなけりゃいけませんか。そんなことは言う必要ないでしょう。そんなことをあなた、何ということを言うんだ。取り消しなさいよ、今の。あなた何ということを言うんだ。いや、本当に真偽のほどを確かめてくださいよ。そしたら、うそ言ってないんだから。
  283. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  284. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を始めて。  先ほどの委員長発言を取り消します。  ちょっと見せてよ。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  285. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を始めて。
  286. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それだったら、まずこれを認めてくださいよ、私の質問になっておるものを。
  287. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  288. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を始めて。
  289. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 私、先ほど申し上げましたように、一般的に援助プロジェクトはできるだけ所期の目的を上げるように努力しておりまして、その結果につきましてはマスコミの関係者も含めてできるだけ公表していくということでやってきておりますので、もし先生がお持ちの具体的な電報につきまして、私、部内の連絡ですし確認をすることができませんけれども、もし外務省のやりとりの中にそういう表現があったとすれば不適当であったと思います。
  290. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いや、私は一般論の答弁を欲しくないわけですよ。具体的にこのプロジェクトに対して日本の外務大臣の名前でフィリピンの大使に対して打った電報があって、そこに先ほど言ったようなことがここに記述されているわけですよ。このことが今の日本のODAのあり方を象徴的に示しているということです。都合の悪いことはみんな隠して、国民にも知らさずに、ゆゆしき問題である、このことを決めた経緯からしてもと。それはそうでしょう、中曽根総理が手土産でイメルダ夫人のところへ持っていったと。私はこの間「報道特集」で見たけれども、これはとてもじゃないがそんなところに施設をつくるというふうな状況にない。現在は立派ですと言うけれども、その中にカメラが入ったのを見ましたが、彼が報告したのが事実かどうか、それも私は疑わしい、そういうことなんですからね。  まずこれを、外務大臣が打ったこの電報を、「暗秘」なんというのはすごいものなんでしょう、これ。このことを確認してもらわなきゃ私はあとの質問ができません。だから、今もちょっと理事がアドバイスしてくれているけれども、残した質問は残すから、これをちゃんと外務省の方でこの電報の確認をやって、そしてしかるべき、何であったかということを次の質問の時間にやってください。
  291. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  292. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を始めて。  ただいまの案件については、三分間の質問を残し、理事会で協議の上、後日質問を続けることにいたします。  以上で本岡昭次君の質疑は終了いたしました一(拍手)     —————————————
  293. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、及川順郎君の質疑を行います。及川君。
  294. 及川順郎

    及川順郎君 質問に入る前に、報道ニュースによりますと、パナマ情勢が非常に緊迫していることが伝えられております。現在、日本国政府としてこのパナマ情勢をどういうぐあいに情勢を把握し、在留邦人等もございましたら、その安否も含めましてどのような対応をお考えになっているか、外務大臣にまず所見を求めたいと思います。
  295. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) パナマ情勢は、日本時間昨夜来、非常に大きく動いております。現状だけ今ここに記録がございますから、知り得た情報がございますから申し上げます。  一つ、パナマにおいては、七日、大統領、国会議員等選挙が実施され、おくれを伴いながら、推定約二〇%の開票結果で与党連合候補がリードしていたところ、十日夜になってパナマ選挙管理委員会は、開票集計表の不足等による集計困難、不正行為の存在等を理由として国選挙を無効とするとの決定を下した。  二番、米国等の諸外国は、今次選挙は野党が勝利したとして政府側による選挙不正の非難を強めていたところ、かかる事態を前にして米国は十一日、ラ米諸国による外交努力の支持、在パ米大使の引き揚げ、大使館の縮小、駐留米軍の増強約二千人等の総括を発表しました。  三番、我が国といたしましては、在留邦人の安全確保とともに、現在、情勢の把握に努めているところでありますが、かかる事態を極めて憂慮しており、特に野党候補が負傷するという事件につきましては強い遺憾の意を表しておる。いずれにいたしましても、我が国としては、パナマ国民の総意が反映されるような形でできるだけ早期にパナマの政治が安定されるよう、そのことを期待する。  つけ加えますと、選挙管理委員を出そうというので、米国からはカーター、フォード元大統領もお行きになられたということでありますし、我が国にもそのような要請がございましたので、我が国からも一各国会議員を選挙管理のために差し向けたという事実はございます。
  296. 及川順郎

    及川順郎君 総理、政局の実情にかんがみまして、心情察するに余りあるところがあります。現状の情勢にかんがみまして多少耳ざわりな質問も出るかと思いますけれども、御了承をお願いしたいと思います。  まず、きのう、後継総裁、話題が出ております伊東総務会長とお会いになられて、きょう安倍幹事長との会談も報道されている状況の中で、きのうお会いになられて率直な印象といいますか、感触といいますか、感想といいますか、その状況からまずお話しいただければと思います。
  297. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 昨日、伊東自由民主党総務会長とお会いをいたしました。これは次期総裁問題について懇談するという立場ではございません。  と申しますのは、私は、いわゆる去り行く者が後継大事に対してとかくのコメントをすべきでないということを申しておりましたが、党が手続の上で、いわゆる四役にそれを一任するということを役員会、総務会等の経過を経て決めていただいておるわけでございます。  しかしながら、私も、有識者懇談会、これは内閣総理大臣たる私の私的有識者のまさに懇談会でございました。これから意見をちょうだいいたしまして、それを私の時代にできるもの、あるいは後継総裁にお願いすべきもの、これらにつきまして幹事長とお話しし、そして総務会長とお話しし、まだ政調会長、参議院議員会長、その時間を得ておりませんけれども、したがっていわば政治改革の進め方についての問題、そして現状認識というものについての意見交換を行いましたので、いわゆる次期総裁としての伊東総務会長に対する、私が取材するとか感触をとるとかいう性格のものではございませんでした。したがって、現状認識については非常に共通するところが多かったというふうに申し上げるべきであろうと思っております。
  298. 及川順郎

    及川順郎君 既に夕刊で、伊東総務会長、次期バトンタッチを固辞のニュースが報道されて、新聞がもう既に出ておりますけれども、普通の状況ですと、私たちが見ておりますと、自民党内政権奪取に向けて競い合うという状況がこれまでの常識的な考え方でございますが、この固辞している背景といいますか、これをどのように受けとめておられますか。
  299. 竹下登

    国務大臣竹下登君) それは、個人竹下登としていささかの感触があったといたしましても、これは本人自身の問題でございますので、また私自身が総裁を選ぶ今立場におりませんので、コメントを差し控えるべきであろうというふうに思います。
  300. 及川順郎

    及川順郎君 退陣のコメントの中にもございましたけれども、今日の国民政治不信というのはこれはゆゆしき事態である、この認識はあるわけです。国民の多くの声、それから出版物を通しての政治への記載事項の中に、やはり国民政治不信の元凶になっている政治の巨悪を許してはならない、これを温存させてはならない、今回の事件を通してこの巨悪の一掃と、本当に日本の政治が国際社会の中で信用されるようなその出直しの姿の中で国民信頼を回復すべきである、こういう指摘がございますけれども、この点についての総理の御所見はいかがですか。
  301. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 退陣の弁でも申し述べておりました。また、本院等でも私の長い政治生活の中で今日ほどいわゆる政治に対する不信、これが強い時代は私も知りません。なかんずく、私が申し上げておりますように、三十年の長きにわたって長期政権を担当してきた自由民主党そのものが、まずこの際政治改革の先頭に立つことが最も大切なことであるという考え方のもとに、有識者懇談会でいただきました意見につきまして私は私なりに党の幹部の方々に説明をし、それの深い検討をお願いしておるというところでございます。
  302. 及川順郎

    及川順郎君 先ほどのお話にもございましたけれども、今の国民政治不信を払拭するための政治改革、このことにつきましては今までも総理は御発言をなさっておりますけれども、政治改革の大筋の道筋といいますか、これをどのようにお考えになっておられますか、もう一度確認をさせていただきたいと思います。
  303. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、私から先ほど申し上げましたように、政治改革は我が国にとって避けて通れない重要な課題である。そこで、有識者会議から御提言をいただいた項目のうち、在任中にできることについて改革していくことはもちろんであるが、法律改正を伴うもの等については自由民主党において検討をお願いすることとし、この五月九日に私から自由民主党の幹事長及び政治改革委員会長に対して、提言を尊重しつつ早急に改革案を取りまとめるよう切望する旨を伝えたわけでございます。また、次期総理にも熱意を持って抜本的政治改革に取り組んでいただくよう強くお願いする所存である、そしてこの提言の内容を十分尊重し、政治改革を緒につけるため全力を尽くす決意でありますということをお願いいたしたところでございます。  したがって、手順といたしましては、私の側から申し上げますならば有識者懇、私も、一回は都合で出席しませんでしたが、全部出席させていただいて懇談のメンバーと申しましょうか、に加わらしていただいておりました。したがって、それをまとめていただいたものを、やはりまずは体制側にある与党の幹事長そして政治改革委員会の会長にお渡しして、事前にかなりの議論が行われておることも私も承知いたしておりますけれども、そこで成案を得て、それこそ法律改正を要するものの中では要綱ぐらいはいただけるんじゃないかという気持ちもありますけれども、できるものならば可及的速やかに国会に提出したい。しかし、時期的に考えてみますと、私は、新しい方が提出されるというのがむしろ自然なのかな、こういう感じも持っておるところでございます。  そして、国会の議論を賜るわけです。その中には国会の各党協議を要するものもございます。私の長い経験からしてそれは大体仕分けができますけれども、目下、党で作業中でございますので、現在まだ総裁でございますから、私が大体こんなものだろうと言うことは少し潜越過ぎるなと、こう思っております。
  304. 及川順郎

    及川順郎君 自民党政治改革委員会は十一日の総会で、十七日にまとめて大綱として出すというその主な内容が報道されておりますが、その中に、「カネのかかり過ぎる元凶とされる現行中選挙区制を改め、派閥解消を進めるには小選挙区制の導入を図るしかないと判断、政治改革の根底をなすものとして大綱に掲げる」、こうあります。  「カネのかかり過ぎる元凶とされる」ということが現在の中選挙区という選挙制度にあるのか、現在の自民党の派閥の解消とこの小選挙区制の導入との関連あるいは金をかけ過ぎる現在の政治のあり方、これは必ずしも小選挙区制導入と連動するものではない、むしろ政権与党としての自民党内の自助努力によって、金のかからない政治というものはかなり実現できると思いますけれども、総理、どのようにお考えになりますか。この点についてのコメントがもし難しければ、一政治家として御意見を承りたいと思います。
  305. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 従来私が議論をしてまいりました歴史を振り返りながら、個人としてお答えをしてみたいと思っております。  金のかかり過ぎる政治活動あるいは選挙というものは、今おっしゃったようなすべての要素が総合して今日の事態になっておると思っております。むしろ小選挙区という問題につきましては、派閥との関連では随分議論をしてみました。貴党におかれましても、政権を単独でおとりになるためには、将来必ず今の選挙制度のままでございましたならば、それぞれの選挙区に過半数の候補者をお出しにならなきゃいかぬという、これは宿命的なものが実際あろうと思っております。  それを一番よく経験しておるのが自由民主党であるわけでございます。日本社会党におかれましても百六十数人の候補者を出された時代もございます。そして、ちょっと数字を正確に覚えておりませんが、過半数をお出しになっておるところあるいは複数をお出しになっておるところ、日本共産党は複数をお出しになったところは二つでございますか、これは私の選挙学の方でございますけれども、全部頭へ入っております。  確かに、そういう宿命的なものを考えたときに、党の政策活動イコール個人の日常政治活動と完全に一致しない点があると思います。すなわち、個人個人のカラーとかそうしたものが選挙民に与える影響がより大きい。それが私は派閥というものができた一つの要因だと思います。人間社会でございますから、三人寄れば二人と一人になったりとか、お猿の山でもいろんなボスがおるとか、そんな議論もいたしてみましたけれども、政治家の場合は、派閥ができるのは政策集団としてのほか、やはり中選挙区の中に我が党に、御党などは立派な政党ですから派閥なんかございませんけれども、派閥ができておることは事実だと思うのでございます。  したがいまして、その点において小選挙区というのは議論をされてしかるべきものだというふうには私もかねて思っておりますが、小選挙区に比例代表がどのように加味されるのか、あるいは比例代表を主体とした小選挙区であるのか、そういう併用と並立という言葉がございますけれども、そうした選挙制度の問題というのは、私は、やはり政治改革を行う場合の中長期一つの課題として勉強を進めていくべきものであろうというふうに考えておるところでございます。
  306. 及川順郎

    及川順郎君 今回の事件をきっかけにして、少なくとも現行制度においての金のかからない政治改革への努力を省略して、安易な小選挙区制導入へこまを進めるということに対しては、基本的には私は賛成しかねる、反対である。これは議論するのはあり得るといたしましても、その立場を明確にいたしましてこれからの推移を見守ってまいりたい、こんなぐあいに考えております。  さて、リクルート問題につきましてはさまざまな角度から議論されてきておりまして、既に藤波元官房長官からの参考人聴取も報道されておりますけれども、この参考人聴取の事実、あったかなかったか、法務大臣、これもきのうのようにこの点に対する見解は述べられないという感じでございますか。
  307. 高辻正己

    国務大臣(高辻正己君) 先般の委員会で申し上げたことでございますが、特定の方について今仰せのようなことがあったかなかったかということは私の立場からは申せませんので、あしからず御了承願います。
  308. 及川順郎

    及川順郎君 やむを得ないと思いますので。  それでは法制局に伺いたいんですが、総理大臣、官房長官の職務権限とは具体的にどのようなことを指しているのか、御説明いただけませんか。
  309. 味村治

    政府委員(味村治君) 内閣総理大臣の職務権限は、憲法及び内閣法、総理府設置法等、そういった法律に定められておるところでございますが、内閣総理大臣の職務権限は大別いたしますと二つございまして、内閣の首長としてのものと、それから総理府の長としてのものがございます。  内閣の首長としての内閣総理大臣は、国務大臣の任免、内閣を代表しての議案の国会提出及び行政各部の指揮監督権、こういった権限をお持ちでありますし、内閣総理大臣行政各部に対する指揮監督権の行使は、その主宰する閣議にかけて決定した方針に基づいて行われるということになっております。一方、総理府の長としての内閣総理大臣は、内閣法にいいます主任の大臣といたしまして総理府の所掌事務を分担管理する、こういうことになっております。  次に、内閣官房長官の職務権限でございますが、内閣法によりますと、内閣官房の事務といたしまして、「閣議事項の整理その他内閣の庶務、閣議に係る重要事項に関する総合調整その他行政各部の施策に関するその統一保持上必要な総合調整及び内閣の重要政策に関する情報の収集調査に関する事務を掌る」ということが内閣官房の事務でございまして、その「内閣官房の事務を統轄し、所部の職員の服務につき、これを統督する」というのが内閣官房長官の職務権限でございます。さらに、総理府の仕事につきましても、総理府設置法によりまして、「内閣官房長官は、内閣法に定める」ただいま読みました「職務を」行いますほか、「内閣総理大臣を助け、府務」、府務と申しますのは総理府の仕事でございます。「府務を整理し、並びに総理府」、総理府といいましても外局で国務大臣が長になっておられるところがあるわけでございますが、そこは除きまして、いわゆる総理府本府でございます。「総理府所管の事項について、政策及び企画に参画し、政務を処理し、各部局及び機関の事務を監督する」というふうにされております。
  310. 及川順郎

    及川順郎君 内閣官房長官の決定権というのは非常に拡大しているというぐあいに報じられている部分もございますけれども、例えば税特委の任命権者、この職務権限はやはり任命権者にありという理解が正しいでしょうか。その見解はいかがでしょう。
  311. 味村治

    政府委員(味村治君) 先生のおっしゃったのは税制調査会の特別委員のことかと存じますが、税制調査会は総理府に設けられました審議会でございます。この税制調査会の委員及び特別委員は、税制調査会令の第三条によりまして、「内閣総理大臣が任命する」ということになっております。
  312. 及川順郎

    及川順郎君 それでは、この任命権者に、もう一回確認させていただきますけれども、任命権者に職務権限がある、このように理解してよろしゅうございますか。  それから、先ほどの発言の中で、税制審議会の特別委員の任命、もし私の発言に間違いがあれば訂正をさせていただきたいと思いますが。
  313. 味村治

    政府委員(味村治君) 私が先ほど申し上げましたことを繰り返すわけでございますが、税制調査会、これは総理府に置かれている審議会でございますが、その委員及び特別委員の任命権を内閣総理大臣がお持ちであるということを申し上げたわけでございます。
  314. 及川順郎

    及川順郎君 法務省に伺いたいと思うんですが、ロッキード事件の調査の際、検察庁での調査を担当した担当官、検察官は何人ぐらいでしょうか。それから、事情聴取をされた対象人員はどのぐらいであったでしょうか。それから、起訴された人員はどのぐらいであったか。それから、今回のリクルート事件での担当検察官の人数、これまで事情聴取をされた人数、起訴された人数をもう一回確認させていただきたいと思います。
  315. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) まず、お尋ねのロッキード事件でございますが、これも大体一年余にわたりまして捜査をいたしましたので、その時点時点では違うわけでございますけれども、平均いたしまして、従事した検事は三十五人、副検事は五人、検察事務官は六十五人、大体こういう人数でございます。それから、取り調べた人数でございますが、約四百八十人ぐらい、実人員で大体四百八十人ぐらいの数でございます。それから、起訴人員は合計して十七人ということになっております。  それから、今回のリクルート事件でございますが、これは例の楢崎さんが告発された事件を除きまして、現在従事している捜査人員でございますが、特捜部長以下検事三十人、検察事務官六十人ということで、合計九十人を投入しております。それから、取り調べた人員ですが、これも概数でございますけれども、実人員は約五百人、延べ人員にして大体三千人ぐらいということでございます。
  316. 及川順郎

    及川順郎君 今回のリクルート問題、例えばNTTルートにつきましてはロッキード事件と同じように日米首脳会談が大きな要素になっておるわけでございます。捜査当局としまして、ロッキード事件で検察が行ったように、米国に捜査員を派遣したりあるいは嘱託尋問を米国に依頼してコーチャン証言を得たような方法をとる必要もあるのではないか、このような指摘が今までもあったわけでございますが、今まで捜査当局がこういうことをおやりにならなかった事情というのは、やる必要がなかったのかどうか、あるいは今後そういうことも含めて検討する用意があるのかどうなのか、この点をお伺いしたい、と思います。
  317. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 外国に対しまして捜査嘱託をしたことがあるかどうかということについて、従来からそういう捜査の内容について申し上げない建前になっておりますので何とも申し上げられませんが、そういう必要があれば当然検察庁の判断でやりますし、必要がなければやらないということに尽きるわけでございます。
  318. 及川順郎

    及川順郎君 これまではありましたですか、なかったですか。確認をさせていただきます。
  319. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) まことに恐縮でございますけれども、従来から原則的にそういうことについてはお答えいたしかねる問題でございますので、ひとつ御了解いただきたいと思います。
  320. 及川順郎

    及川順郎君 これ以上押し問答しても進展しませんので……。  今、中曽根総理の証人喚問問題が非常に重要なポイントになってきておるわけでございますが、しかし国民の間には、証人喚問問題を通じまして、中曽根喚問は難しいんじゃないかという気持ちが非常に大きな声としてあるわけでございます。  そこで、与党自民党さんの中の状況も空気も変わってきているということが伝えられておりますけれども、今までの例を、言いますと、とかくうやむやに終わってしまうという例が非常に多かった。予算が成立し、竹下総理辞任した後に、もし仮に検察の捜査がその時点で終わるとしても、いつごろまで捜査が続くのかという状況もまだわかっていない。こういう状況の中で、中曽根総理が証人喚問に応ずるといっても、それを実行される保証というものがなかなかはっきり浮かび上がってこないという状況があるわけですね。  竹下総理も、御自身辞任も含めて大変な決断をされたわけでございますから、総理いかがでしょうか、この際、前総理を説得して、積極的に証人喚問に応じて政治不信を解消するためのその努力を国民に示すべきであるという、こういう犬馬の労をおとりになってはいかがと思いますけれども、総理、御見解を承りたいと思います。
  321. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、喚問そのものは、これはいつも申しますように、国会そのもので慎重に御決定なさることであるというふうに思っております。ただ、去り行く総理として、中曽根総理に対して積極的に出るべきだと、こういうお話をしたらどうか、こういう問題でございますが、党サイドの問題につきましては、私が報告を受けておりますのは、これも既にお答えいたしておりますが、安倍幹事長に対して前総理はそれを一任されたというふうに聞いております。
  322. 及川順郎

    及川順郎君 それでは、今以上のことは進まないと思いますので、消費税の問題に移りたいと思います。  まず、総理自身が言われた九つの懸念ですね。一つは逆進性。二つ目には、中堅層に不公平感を拡大するという。三つ目には、非課税世帯を直撃するということ。四つ目には、税率アップの歯どめがないということ、税率アップの懸念ですね。それから五番目には、納税事務負担の増大。六つ目には、物価を押し上げるということ。七つ目には、価格転嫁が困難である。八つ目には、自治体が持つ懸念。九つ目として、課税不徹底の問題。今もう既に四月一日に実施されましてから四十日を過ぎたわけでございますけれども、総理の感触として、みずから抱いていた九つの懸念は払拭されつつあると、こういう認識をお持ちでしょうか。
  323. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、私から、私に御指名でございますから。  確かに私は、一般的に間接税についての懸念ということで六項目を申し上げて、その後転嫁と地方団体の財政運営の二つを加えまして、それから、さらに本院で議論されておる中で、九つ目の懸念というものを申し上げたわけでございます。これは、議論を積み重ねることによって和らぐもの、それから税制全体の中で考えていくもの、それぞれ適切に対応しているところでございます。議論の中で、本院でお話を聞いておりましても、いわば中堅所得層に対する、例えば控除額等等の問題で、議論の中で大体懸念の薄らぐものも出てきたなと、こういう感じは持っております。  しかし、ここは、まあみんなが村山博士ほどではございませんけれども、大体知った者の話でございますが、国民次元にまいりますと、ここで話しておるベースよりもかなり低い理解度もあろうかと思っております。したがって、これにつきましては、それこそ円滑化推進本部というものをつくりまして、それぞれのつかさつかさで、三つ申し上げますと、積極的な広報と、それから親切な相談と、適切な指導ということを眼目としてやっておりまして、逐次、私はこの懸念というものが解消されつつあるという方向に進んでおるというふうに理解をいたしておるところでございます。
  324. 及川順郎

    及川順郎君 大蔵大臣は、消費税の持つこの懸念についてどのように……。
  325. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) ごく事務的にお答えさせてもらいます。  一つのあれは、逆進的な体系、これはしばしば申し上げましたように、全体としてはむしろ累進的な構造になっておるということでございます。これはやはり全体として考えるという総理の今、お言葉の中でございます。  それから中堅所得者につきましては、まさにこれを中心に考えているわけでございますので、中堅の方々は所得税で言えば、大体ほとんど一割で済む。かなり中堅の上の人でもせいぜい二割で済むというところまで来ておりますから、これは非常に緩和されたと思っております。  それから所得税、住民税のかからない人、これは、先ほど言ったように歳出で面倒をずっと見るということでございます。  それから痛税感の、税率の引き上げの懸念でございますが、四番目、これは総理がもうおっしゃっておるとおりでございまして、竹下時代にはやらない。そしてまた、これだけ苦労したものでございますので、国会の論議を経なければなりませんので、事実上なかなか難しいでしようと。論理で申しますれば、後世世代が決める問題、財政支出と、そういうことであると。しかし、これだけ難しくやってきたのですから、我々はそんなすぐ上げるというような提案がなかなかできないであろうし、またそういう事情の変化もよほど激変の場合でなければ出てこないのじゃないかというような、これはまあ私の感触でございます。  物価引き上げのインフレの懸念でございますが、これはもうこの間から申し上げているように、四月のあれを見る限り、転嫁の状況それから物価指数等から見まして、しかもこれは一回きりでございますから、まずその心配はなくなったのじゃないか、こう思っております。  それから、転嫁できるか、これが一番問題なのでございますが、まずまず適正な転嫁をしておると、今のところ。  それからその次が、地方財政のお話は、これはもう御案内のように、譲与税五分の一、それから交付税、残りの国の取り分の二四%、しかもこれで若干住民税の、本来プロパー、地方税の自然増収で賄う分の一部をやはりこれで補っているわけでございますので、心配は要りませんと、こういうことだろうと思います。  それで最後の、さあ今度は簡易課税とか免税点を設けたのはどうかと、この点が議論になるわけでございますが、これは簡素という問題、それから準備のための納税コスト、これがかえうて過剰転嫁を招くのじゃないかということで、非常な精緻な議論からいうと問題はありますけれども、こういうものを設けました。  しかし、これがどう機能するかということは、結局値決めの話でございます。免税者なりあるいは簡易業者が納税のときにどういうふうな選択をするか。これはまあ今の免税者につきましては、おおよその値決めの状況はわかっておるわけでございます、まだ残っておるものもあるかもしれません。それから、簡易業者につきましては、値決めの問題とどういう選択をするか、これは将来の問題である。そのために見直し規定がございますので、我々は与野党合意でできましたこの見直し規定というものを、やはり本当に大事に受けとめまして、しかし慎重に分析しなければならない。  とにかく、一巡いたしますのが来年の三月決算で、納期が五月でございますから、それが大体済むまでの間注意深く見、またその後においてやはり子細の分析をして、もし必要とあれば所要の措置をとらなければならないなと、こういうふうに思っておるものでございます。
  326. 及川順郎

    及川順郎君 大蔵大臣、午前中から私もずっとここでの消費税に関するやりとりを聞いておりまして、ただいまも私も忍耐強く伺いました。  ただ、大事なことは、今、一般国民が消費税導入によって感じている実感とここでの議論というのは非常な乖離があるということなんですね。私は、それに対しての弁明を求める必要はないわけでございまして、もし、先ほども総理の御発言にありましたように、親切な相談という、むしろこういう新しい制度を導入したのですから、大蔵大臣が一般国民の最前線と積極的に対話をする。そして、本当の前線の気持ちを酌み取っていただく。その中に、やはり為政者としての姿が私はあるのではないか。そして、そこから本当のこの税の制度の実像というものが見えてくるのではないか。  そういう点で、一般国民、最前線との対話ということを、まあ今まで御努力をして、何回かそういう機会がありましたならば、それは結構なことで、今後さらにそれを機構的に全力を挙げてこれをやるという、こういうお約束ができますか。
  327. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 今、大変大事な点を御指摘いただいたわけでございます。総理を本部長といたします新税制実施円滑化推進本部というのは、まさにそういうことをねらってやったわけでございます。で、今日まで、導入されましてからも、各省協力してやっておりますが、今後はやはりこの努力を継続しなければならない。やはり積極的な広報をやるとか、そして親切に相談に応ずるとか、あるいはまた適切な指導をしていくということは、引き続いて、あるいは従来以上にやらなくちゃいかぬのじゃないか。  特に私が感じておりますのは、この前の読売新聞のそれぞれの周知度、国民の周知度でございますが、消費税については八割の人がほとんど知っておる、所得税、住民税の減税を知っている人は二割だと、こういうことでございます。これでは、これはなかなか大変だなということでございまして、別にそのためにするというようなことでございませんので、真実をやはりよく説明することは必要だな、こう思って、これからも推進本部の気持ちを酌みまして、従来以上に積極的に国民に溶け込むように全力を挙げてまいりたいと思っております。
  328. 及川順郎

    及川順郎君 私は、行政機構で努力するということは大事ですけれども、それ以上に大事なのは、直接大蔵大臣が足を運ぶということが大事だ、こう思うのです。新しい内閣にバトンタッチをいたしましても、このことだけはぜひ明確にバトンタッチをして、総理、最前線の意見を率直に聞いていただく。私は、痛烈な国民の声をたくさん今持ってきて、その一、二を紹介しようと思ったのです。そのことだけを私はお願いしておきたいと思っています。  地方自治団体で、公共料金の手数料等の値上げ等に対する消費税の転嫁問題に対しては非常な抵抗がございます。一部見送りにしたところ、あるいは全面見送りにしたところ、一律転嫁をしたところ、それぞれの自治体で統計的なデータが出ていると思いますけれども、都道府県、市町村の実態を掌握しておりましたらお示しいただきたいと思います。
  329. 津田正

    政府委員(津田正君) 地方団体の公共料金への消費税転嫁の状況でございますが、私ども三月三十一日現在での状況を現段階で把握しておるものを申し上げますと、都道府県、指定都市の使用料、公営企業料金等への消費税の転嫁の状況を見ますと、普通会計分では五十七団体中、一部実施のものを含めまして四十二団体が転嫁をやっております。それから公営企業、いろいろな事業があるわけでございますが、典型的なものといたしまして、上水道事業におきましては三十六団体中二十九団体、工業用水道事業では四十七団体中四十三団体が料金等の改定を行うこととしております。  市町村の状況でございますが、これは各県の地方課で把握をしてもらっておるわけでございますが、その把握したものの全体的な傾向を申し上げますと、一部実施を含めまして普通会計ベースの使用料等で約七割の団体、それから公営企業の、これもいろいろな事業がございますが、典型的な上水道事業、病院事業では約八割が転嫁を行っておる、このように把握しております。
  330. 及川順郎

    及川順郎君 こうした現状に対しての所管大臣の所見を求めたいと思います。
  331. 坂野重信

    国務大臣(坂野重信君) お答えします。  今、事務当局から全般的な状況を御説明いたしました。大体八割以上、七割から八割町村、それから府県の方はもっとそれ以上に転嫁はできているわけでございますが、やはり問題は、先生御案内のとおりに、こういう問題は条例の改正を地方議会でやらなきゃならぬ。そういう中で各党各会派の意見が調わなかったということで先送りになっておるわけでございますけれども、だんだん納期も近づいてまいりますし、そうなってまいりますと、ほっておくと地方公共団体の負担そのものがかかってくるわけでございます。三%の消費税というものは、これはどうしても国庫に納付していただかなきゃならぬ、一般会計は別としまして、少なくとも特別会計においてはどうしてもそれは義務でございますから。  そういうことを考えてまいりますと、あと六月の地方議会、その次は九月にあるわけでございますが、その辺のところで各地方公共団体にもう一発努力していただきまして、事務当局は一生懸命やっているようでございますが、各党会派においてできるだけ御協力いただいて、それだけほっておくと、各地方公共団体の負担というものがふえるということになってくると大変なことになるわけでございます。東京都のようなところはそれは負担可能かもしれませんけれども、全部が全部そうはいきません。  そういうことを踏まえて、一時は制裁措置も考えるべきだということが自治省に対していろんな意見がございましたけれども、私どもそういうことでなくして、できるだけ説得をして皆さんに御理解をいただきながら、何とかひとつ、あと残った約二割そこそこでございますから、公共団体の御理解を得るように今後とも精力的に努めてまいるようにいたしたいと思っている次第でございます。  なお、大蔵大臣がおっしゃいましたように、消費税に対する認識というもの、私どもももう少しPRというものを、今にして思えば各家庭においてやはり理解を得るようにやるべきであった、これからも強くその辺のところはやるべきだということを認識している次第でございます。
  332. 及川順郎

    及川順郎君 この件に関しましては、地方自治体で何とか住民の生活安定のために負担増をしないようにという血のにじむような努力をしているわけでございますから、ペナルティーをかけるようなそういう状況は絶対あってはならない。むしろこういう事態に至るほど抵抗を示さなければならなかった法の欠陥、問題点というものに重きをなして対応するように強く要望いたしておきたいと思います。  実施後の民意の世論調査を見てみますと、大体四月の中旬以降の世論調査で見ますと、やはりこの消費税につきましては廃止すべきだ、抜本的な修正の意見の方が圧倒的に強い、これは四月二十日のある世論調査の結果ですが、廃止すべきだというのが六五%、抜本的な修正を望むというのが三〇%、これを合わせますと九五%という状況、続けた方がいいというのは三%ですね。これは国民合意の税制改革というのにはほど遠い実態です、これでは。  ですから私は、現政府として法律で一回通ったとしても、こうした国民世論の意向というものを尊重して対応するのが憲政の筋ではないか、ぜひこのことを強く要望いたしておきたいと思っております。  さて次に、平成元年度の予算関連につきまして質問したいと思いますが、予算編成に当たって特に今回留意した点につきまして、総理、大蔵大臣の御所見を求めたいと思います。
  333. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 現在の日本の経済は、御承知のように、企業の設備投資、それから家計の堅調な消費で景気がもう既に三十何カ月続いているわけでございます。したがって、財政がこれを刺激するというような立場はとらない方がよろしい。ただ、やはり内需拡大という経済的な目標には合わせる必要があるだろう。したがって、一つは公共事業部門、これは前年と横ばいにいたしたというのはそういうところでございます。しかし、それ以外の経常的な支出につきましては厳しく査定をいたしているのでございまして、特に平成年度お約束しました赤字公債からの脱却という目標に向かって厳しく抑えたところでございます。  その癖果といたしまして、この予算のところにあらわれておりますが、今年度は赤字公債一兆八千二百億円前年よりも縮減することができました。また公債依存度で見ますと、昨年が一五・六%、ことしが一一・八でございまして、この公債依存度は幸いなことに昭和五十年の当初予算以来の低い率になった。こういうことはやはりかなり厳しくやったということだろうと思います。  しかし、何度も申し上げますように、ストックで見ますとまだ百六十二兆、それから隠れ国債がある、あるいは定率繰り入れ、毎年二兆五千から三兆ぐらい要るわけでございますから、幸いNTTの売却益がまだ少し残っておりますので、これがなくなったときのことを考えるとこれは大変なことでございます。そういう意味でも今後とも厳しくやっていく必要があるであろう。  また、税制改正、特に消費税というものを納めていただいていることを考えますと、やはり歳出というものはあくまでも効率的に一文でも税負担が高くならないようにやっていく。そのことはまたもう一つ裏返して言いますならば、やはり資源配分をできるだけ民間の方に移していくということにもつながるわけでございまして、やはりこれは日本が長く成長を続けていくためには必要な構造的な資源配分であろう、こう考えて今後ともしっかりやっていきたい、このように考えているところでございます。
  334. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 詳しく村山大成大臣からお答えがございましたが、経済につきましては、いわゆる内需主導型のインフレなき持続的成長ということに対しまして財政が刺激を与えるということはとらなくて、内需主導の面において公共事業等を横ばいにさせていただいた、これが一つの性格だと思っております。  それから、編成に当たられました大蔵大臣初め、やはり厳しいシーリングというものを堅持された。私が最初なりました昭和五十五年が、昭和三十六年からいわゆるシーリングが始まっておりますが、三〇%増しまではいいというようなことでございましたけれども、五十五年が一〇%増し、五十六年が七・五、それから五十七年がゼロ、五十八年から俗に言うマイナスシーリングというものを堅持して、国会の皆さん方の御協力があって、また国民の皆さん方の一生懸命働いていただいた自然増収等に支えられて、当初、目的としておりました大体五十九年が赤字公債脱却、第一目標は掲げたわけでございますが、この平成年度に脱却できる方向が見出せたなと。  これからも引き続いて、なかんずく新税をちょうだいするようなときでございますので、行財政改革等については歳出の厳しい節減合理化の姿勢は持ち続けて今後対応しなければならないというふうに考えております。
  335. 及川順郎

    及川順郎君 大蔵大臣、私は消費税の導入で歳出に緩みが出ているのではないかということを全体的に見ますと感ずるのですけれども、これが懸念の範囲でおさまればいいんですが、この点に対しての認識はどのようにお持ちになっておられますか。
  336. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 確かに一般会計全体で見ますと、前年度当初予算に比べまして六・六%、これは大変な比率でございます、伸びといたしまして。  しかし、中身を分析してみますと、それはほとんど地方交付税による増が来ているものでございます。政策経費でやはりここは論すべきだと思いますが、政策経費で見ます限り三・三%でございます。そのりち消費税を一般会計はかぶるわけでございますので、それを引きますと二・五%ぐらい、こういうことでございますので、名目成長率が、これは予想でございますが五・二%でございますから、二・五%というものと五・二%を比べてみるとやはり厳しいシーリング、それから、しかもそれを土台にして厳しい査定を年末までやった、その成果が数字的にも出ているように思っております。
  337. 及川順郎

    及川順郎君 もう一点、財政運営の問題で私は伺いたいんですけれども、堅調な税収によって見通しが非常に狂っているわけですけれども、最近の状況はいかがですか、自然増収の見込み。
  338. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) おっしゃるように、非常に幸せなことに堅調でございます。六十三年度も自然増収が相当見込まれるんじゃないか、率直に申しましてそう思っております。  随分見込み違いしているじゃないか、こういうことでございますが、実体経済の方はおよそわかるわけでございます。これは経済見通しがあるわけでございます。しかし、株というもの、実体経済とある意味で直接は関係しない株の値上がり、取引、それから地価の上昇、こういうものがやはり、法人税の方に株の値上がりがたくさん出てくるであろう。それから、土地の値上がりの方は、これは譲渡所得税、個人の申告所得税の方に出てくるわけでございます。また、有価証券取引税にも株の値上がりが出てまいります。  これをなかなか大きく見積もるということは極めて危険なことでもあるわけでございます。そういった点でやはり見込みが違ってきたということであろうと思っております。しかし、今後は工夫をいたしましてそれをどういうふうに見積もっていくか、一つの検討課題であると思っております。
  339. 及川順郎

    及川順郎君 私は、税収の見通しについて天下の大蔵省がそんなに大きな予測違いをしなくても出せれるんではないか、むしろ十分承知しながら、消費税の導入や歳出削減を進める口実にして、意図的に過小見積もりをしているんじゃないか、こういう指摘が強いわけです。こういう状況の、言うなれば大きな誤差を持った財政運営の中でこの当初予算議論するということは問題ではないかということを言いたいわけです。この点の指摘に対してはどのようにお考えになっておられますか。
  340. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 私も長いこと財政に携わっておりまして、そしてまた景気変動もよく承知しているのでございますが、かつて昭和五十六年度でございましたか、歳入欠陥が六兆出まして、続いて三兆出たということを厳しく覚えております。これはだれもが予測できなかったのでございます。そういうことを考えますと、いつまでも続くというものではない。  そして、特に見積もりの話でございますけれども、株がこれだけ上がるぞという予測を果たして立てられるかどうか、また、立てることによって市場にどういう影響を与えるか。それから、土地がこれだけ上がるであろう、こういう予測を立てることが一体どういうふうに与えるであろうか、この辺が非常に難しい問題である。自然増収はほとんどそこから出ているということもよくわかっているわけでございますので、今後の検討課題にさしていただきたい。  いずれにしても、見積もりが違うということはいいことではございません。
  341. 及川順郎

    及川順郎君 ぜひ、この財政運営のあり方、抜本的に検討し直すと大蔵省に強く要望しておきたいと思います。  次に、経済企画庁がさきにまとめました二十一世紀の総合交通体系研究会の報告書の中におきまして、「リニア新の整備線についての一考察」と、こういう我が国の陸上交通体系の将来展望が示されておりますけれども、この概要を御説明いただきたいと思います。
  342. 海野恒男

    政府委員(海野恒男君) 御承知のように、経済企画庁長官は総合交通担当大臣でもございますので、私ども庁内に研究会を設けまして、二十一世紀の総合交通体系のあり方につきまして検討をしてまいりまして、このほどその報告書がまとまったということでございます。  この報告書の中で、御指摘のリニアモーターカーにつきましては、技術問題を解決すれば二十一世紀の交通体系の中でこのリニアモーターカーは非常に重要な役割を果たすであろう、したがいまして、その実用化のために試験等の準備を早急に進める必要があるのではないか、こういう指摘をいたしておるわけでございます。
  343. 及川順郎

    及川順郎君 運輸大臣に伺いたいわけですけれども、この報告書の内容についての所見とあわせまして、このリニアの研究開発、あわせまして予算づけ等を含めてどういうお考えを持っているかお示しいただきたいと思います。
  344. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) ただいまの二十一世紀総合交通体系研究会のことでございますが、これに関しては当省は、この実験線の整備について、御指摘のような点も含めて、この種の技術開発の経緯や性格等も十分勘案しつつ進め方を今検討している、こういうことなんです。  そこで、もう一つの御質問は、このリニアモーターの技術開発の状況はどうだと、こういうことだと思うのでございますが、これは御案内のごとく、国鉄が開発をしてまいりました超電導磁気浮上式鉄道というのが昭和三十七年に技術の基礎の研究を開始しまして、そして昭和五十四年に宮崎の実験線において無人走行でもって時速が五百十七キロというデータが出たわけでございます。そしてさらに、昭和五十七年にMLUの〇〇1というので有人走行試験というものをいたしまして、そして昭和六十二年の二月には有人走行による四百キロというのが実は確認されたわけでございます。  そういうことで、昭和六十二年度からは将来の営業用の車両の原型車というべきMLUの2型によって宮崎実験線において走行試験を積み重ねるとともに、高速分岐装置、変電所渡り制御装置の開発等を進めている、こういうことでございまして、これからは高速分岐装置等の実車走行試験を進めるほか、トンネルでの高速のすれ違い試験だとか、また複数列車の制御システムの開発試験と輸送システムとしての信頼性、耐久性、安全性というものについて開発実験を行う必要がある、こう考えているわけでございます。  そういうことで、当省といたしましては、これらの実験を行うために新たな実験線に関する調査、実用化に向けた技術開発の進め方というものを現在調査している、こういうことでございます。  それでもう一つは、やはりリニアの実用化ということをお聞きだったと思いますが、これは実は、昭和六十三年度平成元年度の二カ年の予定でもって実用化に向けた今後の技術開発の進め方というものの検討をしているわけでございまして、そのためにどういうふうな方向づけをするかということで、超電導磁気浮上式鉄道検討委員会というものを実は設置して検討しているということでございまして、この三月十日の日に開催された委員会において、新実験線の候補地として山梨と北海道とそれから宮崎という三地区を選定したということで、これをあと一カ所に絞っていくというわけでございますが、これにつきましては自然条件等の調査を進めていく、こういうことでございます。  以上です。
  345. 及川順郎

    及川順郎君 運輸大臣、あと二点。  一つは、実験実用線の候補地の決定時期、年内というぐあいに理解してよろしいでしょうか。  それともう一点は、根拠法でございますけれども、これはやはり新しくリニア特別法の制定を検討する時期に来ているのではないかと思いますけれども、この二点についての御見解を求めたいと思います。
  346. 佐藤信二

    国務大臣佐藤信二君) 今のことでございますが、一応一本に絞る時期は平成元年度中というふうに考えております。  それから二点目ございますが、実験線を敷く場合においては根拠法が要るかという御質問でございます。今のところは根拠法がなくても実験線ができるだろうというふうに考えておりますが、その前に、何といってもいろいろな自然条件等を調査しながら、一本に進めた段階でもって検討したい、かように考えております。
  347. 及川順郎

    及川順郎君 厚生大臣に伺いたいと思うんです。  私どもの党で、二十一世紀トータルプラン、二十一世紀へこれから十年、さまざまな社会変化に基づく政策をいろいろ検討して、さきにまとめたわけでございますが、その中で、非常に高速で進行しております高齢化社会に向けまして、医療、年金、介護というのは、これは重大な三本柱として検討してまいりました。  その一つの柱として年金というものの改革、これは一本化に向けての議論とか、さまざまな状況があるわけでございますけれども、やはり状況を考えますと、基礎年金部分をしっかりと確立して、その上に、厚生年金あるいは国民年金を新地域年金に変革をしながら、なおかつ個人年金や企業年金等も加えた多層選択型年全体系への移行というのがどうしても必要ではないか、こういう感じをいたしておるわけでございます。特に、年金の支給年齢の引き上げ、これがばっと構想が打ち出されまして、これに対する年金受給者の不安というものがぐっと増大したという、こういう状況もございます。この年金受給年齢の引き上げを検討するときには、やはり六十歳代前半の雇用の確保といいますか、定年の年数の引き上げ、これをワンセットにして議論すべきじゃないかというのが私どもの到達した考えでございます。  一つは、この多層選択型年全体系への移行の必要性の是非についての所見を伺いたいことと、あわせまして受給年齢の引き上げ、そしてまた退職年齢の引き上げに対しまして、これは労働大臣も含めまして所見を承っておきたいと思っております。
  348. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 御指摘の多層選択型年金制度、これは大変傾聴に値する御提案であると私は考えています。  老後生活の主柱である公的年金制度の充実とその長期的安定を図っていくことに加えて、今御指摘されました多様化する国民のいろいろな要望にこたえていくための仕組みをあわせて講じていくべき問題だと、基本的にはそういうふうに考えています。  そのため、今回の改正案においても、自営業者のために基礎年金の上乗せ年金として地域型国民年金基金制度の創設、これも図ることにしております。また、厚生年金基金制度の一層の充実を図るため、昨年の制度改正に引き続き、厚生年金基金の積立金の運用方法等もこれまた拡大することにしております。また、厚生年金については、今言われました支給開始年齢の引き上げに伴う措置として、六十歳代前半をマイペースで働きたい方方のために、新たにいわゆる日本型部分年金、部分就労制度として多様な選択を認めた繰り上げ減額年金制度の創設を用意しておりまして、今言われたような多層あるいは選択、これは大変傾聴に値する御意見であると考えております。
  349. 丹羽兵助

    国務大臣丹羽兵助君) お答えさせていただきます。  お尋ねのことにつきまして、労働省としては、まず高齢化社会において高齢者が喜んでと申しますか、長生きできたということを、年をとっても丈夫でおるということを本当に喜んで生活が送れるようにするためには、多年経験してまいりました高齢者の知識、そして経験、能力が十分生かされるようにしていくことが非常に大事なことである、こう考えております。このような考えから、くどいことは申しませんが、先生もおっしゃいましたように、六十歳代前半層の雇用対策を最も大事なことと考えまして、重要な課題として推進しておるところであります。  先ほどもちょっと申し上げましたが、今後さらに、これらのために考えておりますところの長寿社会雇用ビジョンというものを策定いたしまして、労使の社会的合意の形成を図りつつ、六十五歳までの雇用就業の場の確保について必要な施策の展開を私どもは誠心誠意進めてまいりたいと思っております。  なお、先生お尋ねの定年年齢六十歳を超えて引き続き歩むことについては、高年齢者の多様な就業ニーズと申しまするか、年をとった者向きの要請がありますものですから、そうしたことや、企業の継続雇用の状況等を考慮いたしまして、人事、労務管理等関連する制度の見直しについて、労使のコンセンサスの形成を図りつつ、長期的な課題として検討を進めていって、先生の御指摘のような、長生きしてよかったなと言われるような労働体制をつくっていきたい、こう考えております。
  350. 及川順郎

    及川順郎君 私は、昨年の三月、当委員会におきまして、今の年金受給者のプライバシー保養の立場から、年金の金額丸見えの通知書の改定を強く要望いたしました。  今回、この通知シール化対策につきまして予算化されたというぐあいに伝えられておりますけれども、この規模とそして実施の時期、初めから全部をやるというのではなくて、ある程度の期間を置いて、いつまでどのくらい、完全実施はいつごろになるか、この点も含めまして御説明をお順いしたいと思います。
  351. 土井豊

    政府委員(土井豊君) 年金の支払い通知書でございますけれども、はがきで送っておりまして、金額の部分が見えるわけでございますが、シールを張ってこれを見えないようにする、種々検討してまいりまして、ようやくめどがつきましたので、平成元年度、実施したいと考えております。  具体的には、平成元年十月支払い分から遺族年金と障害年金、受給者の数は約二百万人でございますけれども、まず第一段階としてスタートをいたしまして、平成二年二月支払い分からは社会保険庁が直接支払っております全受給者につきまして、人数は約一千九百万人でございますけれども、実施をするということにいたしております。  以上でございます。
  352. 及川順郎

    及川順郎君 この件につきましては総理にも強く要望いたしておりまして、心から感謝いたします。  次に、我が国の労働状況なんでございますが、現在労働市場の問題点としまして、土木、建築業における作業員、中小企業における工員や雑役夫、あるいはまた伝統工芸である宝飾品等の加工技術者、この労働不足というのが非常に深刻な問題になっているんですけれども、この事態についてはどのように掌握しておられますでしょうか。
  353. 齋藤邦彦

    政府委員(齋藤邦彦君) 最近、労働力需給、一般的に申し上げますと、三月の有効求人倍率で見ますと一・一三倍、こういうようなことに明らかなように、非常に好調でございます。むしろ企業の人手不足感が広がってきておるのではないか、こういうような感じもございます。  とりわけ、御指摘ございました建設業につきましては、いろいろ統計のとり方はあると思いますが、とりあえず関連職種の新規求人倍率を見てみますと、三倍から五倍程度、それから技能労働者の不足率は二一丁五%ぐらい、こういうようなことでございまして、他産業に比べて労働力不足は著しいというふうに思っております。  それからもう一つ、宝飾加工の職種の御質問がございましたけれども、この職種についての統計というのがございませんので、状況を定かに把握することはできませんけれども、いずれにいたしましても、人材の確保に非常に苦労しておられる、こういう声は聞いております。
  354. 及川順郎

    及川順郎君 私は、甲府在住でございますけれども、宝飾品の加工が非常に盛んなところでございまして、熟練労働者の労働の弾力運用の中で、入管法の四条の適用、この中で在留資格について、コックなどの料理人にはその弾力運用の、ある程度の一定期間滞在できる余地があるので、それと同じような適用ができないかという要望が非常に強いわけですけれども、この点に対する見解はいかがでしょうか。
  355. 股野景親

    政府委員股野景親君) ただいま先生御指摘の宝飾の技術者の問題と、それから例えば外国料理のコックあるいは菓子職人といったようなカテゴリーの人たちの扱いの問題でございますが、先生御指摘の宝飾の技術者につきましては、現在、法務大臣が特に在留を認める者という資格、これは入管法の在留資格の四条の一の十六の3、こういうカテゴリーの扱いをいたしておりますが、これにつきまして、ただいま先生の御指摘のような問題点も我々念頭に置いております。  今までの取り扱いでは、熟練労働というカテゴリーの在留資格を付与する者につきましては、先ほど申し上げました外国料理のコック等の職種に主に限って扱っておりますのですが、今後について、ただいま御指摘の宝飾の技術者という点については、当面の扱いといたしましては、法務大臣が特に在留を認める者という制度の運用を弾力的に図るということで対処してまいりたいと思っております。  ただ、この熟練労働というもの全般の取り扱いにつきましては、現在私ども、法の改正を含めまして制度全般の見直しを行っておるところでございますので、その関連の中で取り上げさせていただきたいと存じております。
  356. 及川順郎

    及川順郎君 最後に、農業問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。  最近私の読んだ本の中で、イギリスで全農民の半数を組織する全国農業者組合、ここで言っているのは、「農薬の安全保障を確保しうる最大の希望は、立法にあるというよりも、自覚した世論にある。イギリスの偉大な世論が『どんなことが起ころうとも、農業が窮地に追いつめられるのを放置してはならない』という時、農業は安全なのである」、このようなことを引用いたしまして本が書かれておりまして、我が国の農業、非常に農政に対する農民の不信というのが渦巻いている現状でございます。  こういう状況の中で、農政審が食管改革の報告を行うといったことも行われ、日本農業は非常に大事な岐路に立っていると思うのでございます。近くは、生産者米価の決定にどのような基本で臨むのかとか、その場合に新算定方式を今年度から予定どおり導入するつもりなのかとか、こういう問題も抱えておりまして、この点も含めまして農水大臣の所見を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  357. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) お答え申し上げます。  ただいま幾多の点についてお話があったわけでございますけれども、まず一つの問題といたしましては、やはり農政というものが、あるいは農業というものがきちんとその国に存立していく、そのためには国民の広範な理解、そして支援というものが必要であろうと思っております。その意味で私どもは、流通ですとか消費あるいは外食産業、そういったものを全部含めた皆さん方と農業者との対話、そんな場所をつくり出していくことも重要であろうと考えております。  なお、そういう中で、今お話がございました農政審の今度の報告でありますけれども、これはまさに米の流通管理、こういった問題についてであります。  この点につきましては、私ども農政審の報告をちょうだいしまして、これから具体的な対応をしていかなければいけないと思っておりますけれども、やはり消費者が必要なもの、需要、ニーズ、こういったものに対して生産の側がこたえていくということが重要であろうと思っております。それと同時に、やはり国内で米をつくっていけるんだよという安心したものを農業者に持っていただける、そんなものも必要であろうと思っております。  また、価格につきましては、まさに生産の場というもので効率のいい生産ができるような支援をすると同時に、やはり消費者の皆様方に理解、納得されるそういう価格もつくり出していかなければいけないであろうと思っております。ことしの価格につきましては、具体的な扱いについてまだはっきりとしたものを決めておるわけじゃございませんけれども、そういったいわゆる消費者にも理解され、それと同時に、生産者がやっぱり努力すれば米生産というものを続けていけるんだというものを確保しなければいけないであろう。  そんなところを幅広く私どもは考えながら対応していきたいというふうに考えております。
  358. 及川順郎

    及川順郎君 どうもありがとうございました。
  359. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 以上で及川順郎君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  360. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) この際、公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。  平成元年度総予算案審査のため、来る五月十八日に公聴会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  361. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 御異議ないと認めます。  つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  362. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は十五日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。  午後、五時十四分散会