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1989-03-07 第114回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年三月七日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  三月六日     辞任         補欠選任      小野 清子君     降矢 敬義君      大塚清次郎君     中西 一郎君      沓掛 哲男君     田代由紀男君      斎藤 文夫君     増岡 康治君      志村 哲良君     二木 秀夫君      下条進一郎君     永野 茂門君      鈴木 貞敏君     北  修二君      栗林 卓司君     関  嘉彦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         初村滝一郎君     理 事                 青木 幹雄君                 岩本 政光君                 遠藤  要君                 田沢 智治君                 野沢 太三君                 対馬 孝且君                 中野 鉄造君                 近藤 忠孝君                 勝木 健司君     委 員                 石本  茂君                 岩上 二郎君                大河原太一郎君                 北  修二君                 佐々木 満君                 下稲葉耕吉君                 関口 恵造君                 田代由紀男君                 田中 正巳君                 谷川 寛三君                 中曽根弘文君                 中西 一郎君                 永田 良雄君                 永野 茂門君                 林 健太郎君                 二木 秀夫君                 降矢 敬義君                 増岡 康治君                 松岡滿壽男君                 宮崎 秀樹君                 千葉 景子君                 野田  哲君                 福間 知之君                 本岡 昭次君                 矢田部 理君                 山本 正和君                 猪熊 重二君                 及川 順郎君                 広中和歌子君                 下田 京子君                 吉岡 吉典君                 関  嘉彦君                 野末 陳平君                 下村  泰君                 平野  清君    国務大臣        内閣総理大臣   竹下  登君        法 務 大 臣  高辻 正己君        外 務 大 臣  宇野 宗佑君        大 蔵 大 臣  村山 達雄君        文 部 大 臣  西岡 武夫君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        農林水産大臣   羽田  孜君        通商産業大臣   三塚  博君        運 輸 大 臣  佐藤 信二君        郵 政 大 臣  片岡 清一君        労 働 大 臣  丹羽 兵助君        建 設 大 臣 小此木彦三郎君        自 治 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    坂野 重信君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 小渕 恵三君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  金丸 三郎君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       坂元 親男君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  田澤 吉郎君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       愛野興一郎君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       宮崎 茂一君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  青木 正久君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  内海 英男君    政府委員        内閣官房内閣内        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房内政審議室        長        的場 順三君        内閣法制局長官  味村  治君        内閣法制局第一        部長       大出 峻郎君        内閣総理大臣官        房審議官     文田 久雄君        警察庁刑事局長  中門  弘君        総務庁長官官房        会計課長     稲葉 清毅君        総務庁人事局次        長        兼内閣審議官   服藤  收君        総務庁統計局長  田中 宏樹君        防衛庁経理局長  藤井 一夫君        防衛庁装備局長  山本 雅司君        防衛施設庁長官  池田 久克君        防衛施設庁総務        部長       弘法堂 忠君        防衛施設庁施設        部長       鈴木  杲君        防衛施設庁建設        部長       田原 敬造君        防衛施設庁労務        部長       吉住 慎吾君        経済企画庁物価        局長       勝村 坦郎君        国土庁長官官房        長        公文  宏君        国土庁長官官房        会計課長     嵩  聰久君        法務省刑事局長  根來 泰周君        法務省保護局長  栗田 啓二君        外務省北米局長  有馬 龍夫君        外務省経済局長  佐藤 嘉恭君        外務省条約局長  福田  博君        大蔵政務次官   吉村 真事君        大蔵省主計局長  小粥 正巳君        大蔵省主税局長  尾崎  護君        大蔵省理財局長  足立 和基君        大蔵省証券局長  角谷 正彦君        大蔵省銀行局長  平澤 貞昭君        国税庁次長    伊藤 博行君        文部大臣官房長  加戸 守行君        文部大臣官房総        務審議官     菱村 幸彦君        文部省高等教育        局長       國分 正明君        文部省高等教育        局私学部長    野崎  弘君        文部省体育局長  坂元 弘直君        厚生大臣官房総        務審議官     末次  彬君        厚生省児童家庭        局長       長尾 立子君        農林水産大臣官        房長       浜口 義曠君        農林水産大臣官        房予算課長    東  久雄君        農林水産省経済        局長       塩飽 二郎君        林野庁長官    松田  堯君        運輸大臣官房審        議官        兼内閣審議官   金田 好生君        運輸大臣官房会        計課長      永井 隆男君        運輸省地域交通        局長       阿部 雅昭君        運輸省航空局長  林  淳司君        郵政大臣官房経        理部長事務代理  木下 昌浩君        郵政省郵務局長  田代  功君        郵政省電気通信        局長       塩谷  稔君        労働大臣官房長  若林 之矩君        労働省職業安定        局長       清水 傳雄君        労働省職業安定        局高齢障害者        対策部長     竹村  毅君        建設大臣官房長  牧野  徹君        建設大臣官房総        務審議官     木内 啓介君        建設大臣官房会        計課長      鹿島 尚武君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        自治省行政局選        挙部長      浅野大三郎君        自治省財政局長  津田  正君    事務局側        常任委員会専門        員        宮下 忠安君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和六十三年度一般会計補正予算(第1号)(  内閣提出衆議院送付) ○昭和六十三年度特別会計補正予算(特第1号)  (内閣提出衆議院送付) ○昭和六十三年度政府関係機関補正予算(機第1  号)(内閣提出衆議院送付) ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 予算委員会を開会いたします。  昭和六十三年度一般会計補正予算昭和六十三年度特別会計補正予算昭和六十三年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題といたします。  これより下田京子君の質疑を行います。下田京子君。
  3. 下田京子

    下田京子君 まず最初に、リクルート事件は、日本最大の企業であります郵政大臣認可NTT真藤会長が逮捕されるという大変な事態になりました。そこで、郵政大臣がこの事態をどうお考えになっているか、そのことをまずお聞きします。
  4. 片岡清一

    国務大臣片岡清一君) お答え申し上げます。  リクルート問題に関しまして、さきにNTTの元役員二名が起訴され、引き続き昨日真藤会長及び村田秘書が逮捕されましたが、このような事態に立ち至りましたことはまことに遺憾でございます。事実関係は、今後司法当局によって解明せられるものと考えるのでありますが、今回の事態を厳粛な態度をもって受けとめていかなければならぬと思っております。  NTTにおいても、今般の事態を十分に踏まえて、公益的な事業であるというこの使命をよく自覚して、利用していただいておる国民の方々信頼回復を図るように、綱紀の粛正と適切な業務執行に一層努めていってもらうように指導していきたい、かように思っておる次第でございます。
  5. 下田京子

    下田京子君 信頼回復が重大だということですけれども、これは全体を明らかにしていくことが大事だと思います。  法務省刑事局長に伺います。  株の受領名義人秘書村田幸蔵氏となっておると思います。ところが、真藤会長収賄容疑で逮捕された、これはどういうことでございましょうか。
  6. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 被疑事実の要旨でございますけれども、要するに真藤氏と村田氏が共謀してコスモス株を譲り受けて職務に関し収賄したということでございますから、これは身分なき者と身分のある者との共謀の上の収賄でございますから、名義がだれであろうと、そういう被疑事実があるということで逮捕したものと考えております。
  7. 下田京子

    下田京子君 総理、今お聞きのとおりでございますけれども秘書名義だからといって逃げられなくなっておるわけです。竹下総理中曽根総理も株の譲渡は秘書名義だからと、こういうふうに言われておりますけれども、どうお考えでございますか。
  8. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいま刑事局長からお話がございましたように、今の被疑事実というものはそのとおりであるというふうに考えておるところでございます。  今、事件そのものの中身につきましては、私はコメントする立場にございませんが、被疑事実というものはそのとおり受けとめております。
  9. 下田京子

    下田京子君 第三者的な答弁をされておりますけれども、これは竹下さん、あなたにもかかわることなんですよ。秘書名義だからといって逃げられないということなんですね。ですから、竹下総理にかかわる三点セットも出すかどうか今熟慮中だということですけれども、これは熟慮じゃなくてもう即刻資料を出すべきだと私は思うんですが、どうでしょうか。
  10. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 下田委員の御意見は御意見として、私の熟慮参考にさせていただきます。
  11. 下田京子

    下田京子君 今、参考にということでしたけれども、本当にこれは出すかどうかがポイントだと思うんですよ。  さらに、中曽根総理とのかかわりが、非常にその疑惑が深くなってまいりました。それだけに、中曽根総理喚問問題というのは避けて通れません。竹下総理は、この喚問国会決めることであるとか、あるいは総理経験者を軽々にそういう形でやるのはいかがかなどと言われておりますけれども、もうそういう段階じゃないです。どうです。
  12. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今のお言葉にもう私の答弁を予測してございましたが、私は、長い間国会行政府の立場についての節度だけは守ってまいりましたので、それそのもの国会でお決めになるべきものだということを言うのが決まったとおりのお答えであると思っております。
  13. 下田京子

    下田京子君 もうこれだけ問題がはっきりしてきているわけですから、国会でお決めになることだなどと言っていますと疑惑隠しともとれますよね。疑惑がないとおっしゃっているなら進んでそのことを証明して、証人としてお出になるようにお勧めするべきだ。また、総理の責任においてこれはきちっと喚問をやるように対応するべきだということを申し上げておきます。  加えて、私は、次の問題で質問いたしますけれども、今申し上げましたように、リクルート疑惑というのは真藤NTT会長逮捕をもちまして一大大型汚職事件に発展してきていると思います。NTT労働省そして文部省、加えて岩手安比高原リゾート開発をめぐる疑惑について私は質問申し上げたいと思います。  林野庁です。資料をお配りになっておりますでしょうか。お配りいただきたいと思うんですけれども。    〔資料配付
  14. 下田京子

    下田京子君 資料をごらんいただければおわかりかと思いますけれども江副リクルート会長が最後まで社長にしがみついていたのが岩手県の安比総合開発株式会社でございました。私は昨年の十月十八日に農林水産委員会でこの問題について質問いたしました。きょうはさらに重大な問題といたしまして、いわゆるセカンド安比と言われます、当初県民スキー場であったものがなぜか途中で安比総合開発株式会社に移っていくという、この事業主体変更をめぐる問題について質問したいと思うんです。  これが一つ疑惑の中心になっておりますけれども林野庁岩手県の観光開発公社から何ゆえに安比総合開発株式会社事業主体変更になったんでしょう。その理由はどういうことか。
  15. 松田堯

    政府委員松田堯君) 安比地区におきます国有林野事業といたしましてのスキー場開発につきましては、昭和四十年代の後半から計画をいたしたところでございます。必要な手続を経まして昭和五十五年に安比総合開発株式会社が設立されまして、事業は五十六年から行われているところでございます。六十一年になりまして、五十八年ごろから今、先生からお話がございましたように事業拡張計画がされてまいりまして、その事業主体安比総合開発株式会社とそれから県の観光開発公社計画主体になっていたところでございますが、それが具体的な計画になりましたのは昭和六十一年の八月でございます。管理経営方針書の中に事業主体として明記されていたところでございますが、その年の十二月になりまして県の開発公社の方から辞退をしたいと、こういう申し出があったわけでございます。  その辞退理由といたしましては、既に五十六年から事業が始まっているわけでございまして、その地域周辺スキー場開発が急速度で進みつつあり、より効率的な開発を図る上から民間資金専門的能力等を積極的に導入すべきとの指摘が多い、これが一つ理由でございます。  もう一つ理由は、建設資金の確保が困難となるなど、計画時点に比して大きく状況が変化した。そういう状況の中で中止をしたいということで、昭和六十一年の十二月になりましてそういう申し出があり、三月の末にその正式な文書岩手観光開発公社から提出された、こういう経過でございます。
  16. 下田京子

    下田京子君 確かに今お述べになったようなことが公式的には理由になっているでしょう。  しかし問題は、スキー場開発ノーハウというものは県の開発公社観光開発公社にはあるんです、七カ所も持っていますからね。資金計画にも問題はありません。しかも、気象、雪質などからいいまして申し分ないスキー場だということで、だから県民スキー場としてこれは県の観光開発公社がやるにふさわしいと判断したから営林局も了解をし、そして長官承認したんじゃありませんか。
  17. 松田堯

    政府委員松田堯君) 昭和六十一年の八月の時点で、管理経営方針書に明記した時点ではそのような判断をいたしたところでございます。
  18. 下田京子

    下田京子君 そうしますと、判断が間違っていたかということになるんですよ。決してそうじゃありません。もう三年間もかけまして鋭意検討してきているわけですよね。営林局林野庁承認したのが八六年の八月二十一日ですよ。ところが八六年の十一月二十九日、わずか三カ月後に岩手営林署に県から事業主体変更ということが言われてきた。で、四カ月後に今度は青森営林局に県からそういう事情変更申し出があった。しかも、実際には、資料をごらんいただければわかると思うんですけれども、八五年の九月時点で県の政策会議でもって公社によるスキー場開発はもう断念ということが決められていたんですね。  つまり、一年間もそのことが営林局等々には説明がなかったというんですよ。そういうことですから怒るのは当然でありますね。地元の営林署次長さんなんかも言っていました。私が勤めて三十年この方こんなことはなかった、余りにも唐突だと、こう言われているわけですよ。そこで加藤農相ヘリ視察となったんじゃないか。つまり、大臣さえ視察に連れていけばもうオーケーだと、こういうことで、八七年ですか、二月二十八日加藤農相ヘリ視察、これが本当の事情じゃないでしょうか。
  19. 松田堯

    政府委員松田堯君) 管理経営方針書変更につきましては、林野庁承認を受けなければいけない事項と営林局長でできることと仕分けしているところでございます。  事業実行主体変更につきましては営林局長の権限になっておりますので、私どもこういう事実が表に出るまではそういう管理主体変更については全く存じていないところでございます。  したがいまして、加藤農林水産大臣現地視察もそういうこととはかかわりなしに行かれた。再三申し上げておりますように、当時、いわゆるリゾート法案審議がその直後に行われたわけでございますし、二月の初めに国有林野事業としてのヒューマン・グリーン・プランの事業の通達が執行された時期でございますので、先進事例として御視察をいただいたと、こういう事情でございます。
  20. 下田京子

    下田京子君 リゾート法案関係して何を視察してきたのか、前回も私は質問いたしました。公的な文書も何もないんですね。ですから、関係者方々は言われています。スキー場開発ノーハウがなかったのはむしろリクルート社だ、それが第三セクター方式で、役所丸抱えヤドカリ商法で成功した事例安比高原スキー場に行って見てきたんじゃないか、そして煩雑な行政の許認可をクリアしないでセカンド安比リクルート社が労せずしていただいたんじゃないかと、こういうふうに言われていますよ。  とにかく、視察江副会長加藤農相の間で決まったものだと思います。だからこそ極めて急に、リクルート社チャーター機があるので安比高原スキー場に行こうやと、こういうふうな話が加藤農相の方から出されましてヘリ視察になった、これはもう明らかですよね。  ところで、ヘリ型式とそれから登録番号、どうでございましたでしょうか。念のために、私文書偽造の疑いありなどと言われておりますけれども日本エアシステム社で出しました見積書、請書の中には出ておりますが、お答えください。
  21. 松田堯

    政府委員松田堯君) ヘリコプターを利用いたしたところでございますが、八人乗り飛行一式ということで契約をいたしたところでございます。  機種について御質問がございましたけれども東亜国内航空の、現在のJASでございますが、アエロスパシアルSA365N型機でございます。
  22. 下田京子

    下田京子君 もう一機。
  23. 松田堯

    政府委員松田堯君) 飛行一式契約をいたしたところでございますが、私も大臣と同行いたしましたので、そのときの事実関係を率直に申し上げる次第でございますけれども羽田へ参りますとヘリコプターが二機ございまして、別に何の疑念も抱かずに搭乗をいたしたところでございます。  もう一機の機種につきましては存じておりません。
  24. 下田京子

    下田京子君 片一方だけわかっていて、序一方わからないなんというのは無責任きわまりないですよ。  林野庁が四十万円支払って加藤農相が乗ったと言われるヘリは、今お話しのとおり、私どもの調査によりましても、型式アエロスパシアルSA365N、登録番号JAの9625です。これは江副会長が毎月三百万円をエアシステムに払ってチャーター契約を結んでいるものです。ですから、いわば江副専属ヘリなんですよ。で、林野庁が支払った四十万円というのは何かといえば、これはパイロットの経費を除く燃料費などの全くの実費であるということがわかりました。  もう一機分なんですけれども、これは型式シコルスキーS76A、登録番号JAの9598です。こちらは二割引きで約三百万円リクルート社 が支払っている。こういう事実が確認されております。違うんでしょうか。
  25. 松田堯

    政府委員松田堯君) 私どもは八人乗り飛行一式ということで契約をし、搭乗をして行ったということでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、現地へ行きますと二機用意してあったので、その際は八人も乗るということになりますと大変窮屈になるということで、航空会社の御好意であると、このように率直に考えていたところでございます。  リクルート東亜国内航空関係かかわり合い、今、先生説明のありました内容については私ども存じておりません。
  26. 下田京子

    下田京子君 無責任ですよ。二機準備してくれたのは航空会社好意だろうなんてことでごまかされるものじゃないですよ。あげくの果てに、日本エアシステム航空法違反の疑いありだなんということでもって運輸省から厳重注意を受けているんでしょう。問題なのはむしろ加藤農相林野庁じゃありませんか。疑惑絡みだから調べもしないし、いや、調べているけれどもお答えになれないのじゃないか。  私が申し上げたいのは、問題は、なぜ江副ヘリ視察加藤農相に要請したかということなんであります。江副にとってはどうしてもこのセカンド安比東斜面が欲しかったんです。なぜかといえば、既にオープンしております安比高原スキー場というのは前森山の北側にあります。ですから、西風、シベリアのあれがばあっと吹いてきましてリフトがとまるということもあるんですね。ところが、東側になりますとこの風は影響がないんです。つまり、リフトをオールスキーシーズン使える、こういう利点がある。どうしても欲しかったんです。江副商法というのは、常にナンバーワンを目指せ、ナンバーツーは死を意味することだ、世界的なスキー場をつくれと、こういうことを言ってやられてきた。ですから、セカンド安比を手に入れるためにどうしても自治体を巻き込んで、林野庁も巻き込んでやられたというのが事実じゃないか、私はこう断定してもいいと思います。  そこで、法務省に伺います。  わいろ罪との関係でちょっとお聞きしたいんですけれども、わいろ罪の構成要件で言ういろいろな概念ですね、こういうのはちょっとおきまして、わいろという概念は一般的に金品その他の財政的利益はもちろんだけれども、これ以外にも有形無形を問わず人の需要、欲望を満たす一切の利益というふうに定義されていると思うんですが、御確認くださいませ。
  27. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 仰せのとおりでございます。
  28. 下田京子

    下田京子君 一般論としてお聞きしたいんですけれども、東京と岩手ヘリで往復すれば二機で約六百万円です、これは二割引きの料金でですよ。そこを四十万しか払っていない。といいますと、これは立派にわいろ罪のわいろに当たると思うんですけれども、どうでしょうか、これはまた構成要件を別にしましてです。
  29. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) そういうお尋ねがございますと従来から答弁を差し控えておるわけでございまして、一般論を申し上げても、具体的問題に当てはめてこうだと言われると私どもも大変困惑するわけでございますので、それはひとつ御判断でお願いしたいと思います。
  30. 下田京子

    下田京子君 御判断でということですから、間違いがないということだと思うんですね。  二月に逮捕されました労働省の鹿野元課長被疑事実について述べてください。
  31. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 鹿野という被疑者は、昭和五十九年三月から六十年十一月まで前後三十九回にわたりましてリクルート関係者から合計百三十数万円の遊興、飲食、ゴルフ、招待旅行等の供応を受けまして、そして労働省職業安定局業務指導課長としての職務に関して収賄したという事実でございます。
  32. 下田京子

    下田京子君 鹿野元課長の場合は、今お話しのように、約百三十五万円相当の接待などが収賄の疑いありということになったわけですね。  そうしますと、加藤農林水産大臣の場合には現職大臣ヘリコプターの接待を受けているわけですよ。これはわいろの疑いが非常に強いと思います。しかも、加藤農相ヘリ接待だけじゃございません。御承知のように、八六年九月には次女と秘書名義リクルートコスモス株一万二千株を譲渡されておりますね。しかも、ヘリ視察の二カ月後の八七年四月には加藤農相の輿水秘書が役員を務めておりますノヴァ企画にファーストファイナンス株四十万株が譲渡されております。重大な疑惑だと思います。  こうしたことも捜査の視野の中に入れているのは当然かと思うんですが、いかがでしょうか。
  33. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) この問題については、前国会におきまして農林水産委員会あるいは税制特別委員会等でも再々指摘を受けました。そういう意味で、検察も十分承知していると思いますけれども、具体的な問題といたしまして、検察がどういう対応をとるかということについては従来から答弁は差し控えさせていただいておりますので、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  34. 下田京子

    下田京子君 当然視野に入っていると私は思います。  そこで、これは総理に伺いたいのです。  今お聞きだと思うんですけれどもリクルートによる株譲渡やパーティー券購入、政治献金が全体に問題になっております。加えて、ヘリコプター費用の提供もわいろだと私はさっき指摘しました。ゴルフ接待も同じ性格だと思うのですけれども総理はどう思いますか。
  35. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 刑事局長からお答えを申し上げておりますのが私のお答えの限界であると思います。
  36. 下田京子

    下田京子君 御自分の言葉で言ってください。
  37. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私ののどから出た言葉でございます。
  38. 下田京子

    下田京子君 そののどから出た言葉なんですけれども竹下総理、あなた自身もゴルフ接待の疑惑がございます。竹下総理が大蔵大臣当時、八五年十一月十日にあなたの後援会、長期政策総合懇話会の設立総会が岩手県盛岡市で開かれておりますね。あなたももちろんそこに参加されております。続いて八七年五月三十日、リクルートのホテルでございます盛岡グランドホテルで一千人パーティーが開かれ、出席されております。翌五月三十一日、うららかな日曜日でございますけれども、ゴルフをしたことはもう既に昨年十一月七日、我が党の正森議員に認めておられることでございます。  ところで、長期政策総合懇話会パーティーに出席する機会に、江副会長からゴルフ接待の話があったんじゃないでしょうか。
  39. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 別にございません。
  40. 下田京子

    下田京子君 このゴルフは江副会長が参加する予定だったそうでありますね。ですから、コースを回る組み合わせももうちゃんとできていた。ところが、急に四日前になって江副が来れなくなったと証言されております。竹下さんは江副会長と一緒にゴルフをやるはずだったんじゃありませんか。
  41. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いろいろな企画を組んでいただいておったようでございますが、私自身一つ一つ参画をいたしておりません。
  42. 下田京子

    下田京子君 御本人が参画しているかどうかは別としても、そうすると、江副さんが加わっていたということも否定されていないし、来るはずであった、ところが急に来れなくなったということも否定もされていないですね。  メンバーの問題なんですけれども、これは竹下さん覚えていらっしゃると思うんですけれども、小沢派の県会議員さん、それから長政懇の会長さん、そして宮城県で知事選不戦敗をお決めになった愛知和男代議士、四人で回ったというのが事実だと思うんですが、メンバーお忘れですか。
  43. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 定かに記憶はいたしておりません。
  44. 下田京子

    下田京子君 ちょっと余りにもそっけないですね。思い出していただけませんか。何かゴルフが下手だとか上手だとか、はげの話までされたと聞いておりますけれども
  45. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 何の話。
  46. 下田京子

    下田京子君 はげ。頭の髪の毛のはげの話。
  47. 竹下登

    国務大臣竹下登君) はげの話をしたかどうか記憶にございませんです。
  48. 下田京子

    下田京子君 だれが参加したかということを全く覚えてないんですか。
  49. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いつかもお答えしたことがございますが、ティーアップするところが随分前の方にあるなという感じを覚えております。
  50. 下田京子

    下田京子君 総理がなされたゴルフ場というのは、総理、ちょっとごらんください。(資料を示す)ここにございますけれども、メイプルカントリークラブというところです。これは高級クラブだそうでございまして、徹底したメンバーシップ制で、リクルートの応接間、迎賓館などとも言われております。これはリクルート社の社内報であります「かもめ」なんかにも出ておるんですけれども竹下さんがプレーした一行は十数名だったと言われておりますが、この際の費用はどなたが払いましたか。
  51. 竹下登

    国務大臣竹下登君) すべては長期政策総合懇話会の方で恐らく経理をしておるだろうと思っております。
  52. 下田京子

    下田京子君 長期政策総合懇話会で全部やったというようなお話なんですけれども、私が伺った方々では、だれも料金を払ったと言う方はおられませんでした。  昨年だったでしょうか、他党の議員に総理は、サービスだったかなというようなお話もされておりましたけれども、サービスじゃなかったんですか。
  53. 竹下登

    国務大臣竹下登君) そういうことを言ったこともちょっと記憶に今ありません。
  54. 下田京子

    下田京子君 もう都合の悪いことは全部記憶になしですね。でも否定もされてない。総理がゴルフ接待を受けた疑惑というのは、私は大変強いと思うんですよ。それだけじゃありませんで、総理ヘリコプターをめぐる疑惑もございます。総理がゴルフをやったその後、ヘリコプターでお帰りになっていますね。  ところで、運輸省さんに聞きたいんですけれどもヘリコプターのフライトプランというのは一年間保存されておるそうですけれども、フライト日誌というのはヘリのその機種がある間はずっと保存されているということですから、間違いありませんね、このこと。
  55. 林淳司

    政府委員(林淳司君) フライトプランは先生おっしゃるとおり一年でございます。今、先生おっしゃたのは多分航空日誌、いわゆるフライトログのことだと思いますが、これはその機材に搭載しておるものでございますので、その機材が存続する限りは存在するものでございます。
  56. 下田京子

    下田京子君 ところで、お調べいただきたいと思うんですよ。総理は今、八七年五月三十一日、ゴルフの後ヘリでお帰りになりましたねと言ったら、うなずいておりました。それはそうなんです。  私が伺いたいのは、岩手の滝沢村から羽田までヘリコプターが飛んでおりますけれども、時刻あるいは機種、御報告くださいませんか。
  57. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ただいま先生から御質問ございましたけれども、個々の運航につきましてその実績の内容というものを明らかにするということは、これは私企業の個々の営業活動に立ち入ることになります。私ども航空法を預かる立場といたしまして航空の安全確保といったような航空行政という見地から必要と考えられる、それが限度でございまして、そういう場合を除いては、そういう調査は差し控えさしていただきたいというふうに思っております。
  58. 下田京子

    下田京子君 事柄の性格上出せないと。私から言えば事柄の性格上出さなきゃいけないと思うんですよ。  私たちの調査では、五月三十一日、花巻から滝沢そして羽田へと同一コースで二機のヘリが飛んでおります。その機種を調べますと、日本エアシステムの運航によるヘリでございまして、一機はアエロスパシアルSA365Nですね。もう一機はシコルスキーS76Aであることが判明いたしました。この二機は加藤農相林野庁が使ったものと全く同一機種なんです。アエロスパシアルはリクルート社チャーター契約している専属機なんです。これがそのパンフレットでございます。(資料を示す)  委員長運輸省に調査結果、やはりこれはもうどうしても調査していただきたいと思うんですよ、その調査結果を御報告いただけるようにお取り計らいいただきたいと思います。(資料を手渡す)
  59. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ただいまの下田君の発言については理事会でお話をしたいと思います。
  60. 下田京子

    下田京子君 今、総理にパンフレットをお渡しいたしましたけれども総理、あなたが乗ったヘリはこれじゃありませんか、これ。中をごらんになってみてください。ここにはオーディオ装置から冷蔵庫、バーユニットなども装備されております。どうですか。
  61. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ヘリコプターにはたびたび乗りますので、一つ一つ記憶いたしておりません。
  62. 下田京子

    下田京子君 これは、八七年の四月にメイプルカントリークラブというのはオープンしたばかりなんですよ。報道によりますと、竹下さんが最初にここからお乗りになったそうでありますよ。総理、あなたが乗ったヘリコプターですね、この代金は一体だれが払ったんでしょうか。
  63. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 恐らくは主催者の方で経理しておるだろうと思います。
  64. 下田京子

    下田京子君 自治省に伺います。  長期政策総合懇話会の政治資金にヘリコプター代を支払ったなどというような明細はございますでしょうか。
  65. 浅野大三郎

    政府委員(浅野大三郎君) 政治団体の収支につきましては報告がなされまして、これは閲覧に供しております。  それで、御通告の際、収支内容について聞くということをわかっておりましたので、例えば収入総額、支出総額、大づかみでの項目は調べておりますが、ちょっとそこまでは私どもも確認してきておりません。
  66. 下田京子

    下田京子君 私どもはその明細書を克明に調べたんです。ヘリコプター代という支払い項目、一切ありません。岩手でやられたその長期政策総合懇話会のパーティーの届け出という内容もないんです。岩手県の方にも届け出がないんです。ヘリコプター二機といえば、さっきも申し上げましたように、二割引で約六百万円ということになりますね。ですから、竹下さんの側で払ったとおっしゃるならやはりそれなりの証明書をお見せいただきたいなと思うんですよ。それはもう担当の方にお聞きすればわかると思うんですけれども総理、そういうことをしていただけませんでしょうか。
  67. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私にもいろいろな考え方がございますが、今の下田先生の御意見に、はい、と答える考えはございません。
  68. 下田京子

    下田京子君 これはリクルート社の専属機、つまり江副の専属機ですよ。リクルート社丸抱えのサービスであるというような疑惑が大変強いわけであります。ですから、法務省がさきに答弁したとおりなら、わいろにも当たるというふうに思うわけでありまして、だからどうしても竹下総理、あなたに立証責任があるんですよ。再度、御報告の意思を表明いただけないですか。
  69. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 政治資金規正法に基づく支出であるとするならばその中にあるでございましょうし、主催者の関係の経理ならばその中で明らかになるであろうと思います。
  70. 下田京子

    下田京子君 ですから、それらのことをお聞きになって御報告いだだきたいというわけなんですよ。いかがですか。
  71. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私にもいろいろな意見が ございますが、先ほど申し上げましたように、下田委員の要求に対してそのとおりいたしますと申し上げる気はございません。
  72. 下田京子

    下田京子君 やはり問題ですね。大変これはもう重大な疑惑だと思うんですよ。さっきの株の問題といい、あるいはゴルフの問題といい、それからヘリの問題も事実をもってこちらは伺っているんですから、総理、いつも言われているじゃありませんか、政治に対する信頼回復したいということならば、みずから進んでそれなりの証明書というものをお見せするのが当然じゃありませんか。  私は、最後に申し上げたいんですけれども総理、あなたがゴルフを御一緒されましたキャディーさんたち、どういう身分かというと、ほとんど皆さんパートなんですよ。それで、中にはこの方々のお父さんたちが出稼ぎで神奈川や東京に見えております。一日一万円のお金を稼ぐためにもう泥まみれ、汗まみれになっているんです。家族と離れて寂しい思いをしながらやっているんですよ。  総理、こういう方々にみずからの疑惑をやっぱり晴らしていくということが何よりもの政治に対する信頼回復する道じゃないかと、私は最後に申し上げておきます。
  73. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 委員長、関連。
  74. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 関連質疑を許します。近藤忠孝君。
  75. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 丹羽労働大臣に質問いたします。  先ほど真藤逮捕の話がありましたが、加藤元労働次官、この疑惑も大変重要な段階に入っております。これはもう職務権限が明らか、株の譲渡も明らかでありまして、これは東京地検の事情聴取を受けているんじゃないか、こう思いますが、これについての報告は受けておりますか。
  76. 若林之矩

    政府委員(若林之矩君) そのような報告は受けておりません。
  77. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そのうち突然逮捕という事態になるのではないかと思いますが。  次に労働省ですが、これは労働省も認めております。労政局、職安局から労働委員会会館に大量の文書が移動されたという事実があります。労働省はこれにつきまして、十一月十一日の一回だけだと言っておるのですが、しかし、ことし一月の中旬以降、これは加藤次官の事情聴取が報道されたその前です、それと二月中旬、これは鹿野逮捕の前でありますが、職安局の書類をこの労働委員会会館に特にこの時期に頻繁に搬出したんじゃないんですか。
  78. 清水傳雄

    政府委員(清水傳雄君) 関係者についてもいろいろ調査もいたしましたが、労働委員会会館に新設をされた倉庫に資料を運び込んだのは昨年の十一月十一日でございまして、それ以後、資料をその倉庫に搬入したことはございません。
  79. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これは目撃者がたくさんおるんですよ。現にこの時期に、労働委員会会館に四台のエレベーターがありますが、そのうち一台はこの搬出のために満杯になりまして他の職員が随分迷惑を受けたんです。使用不能です。  それからもう一つ、十一月の運搬のときには、運送会社サンキュウ引越センター、ここに頼んだんですね、そのときに二百五十個の折り畳み式運搬かご、これはオリコンボックスというんだそうですが、これを借りました。普通なら一カ月ぐらいですぐ返しちゃうんです。ところが九十四個だけ返したんです。詳しく調べたんだから。百五十六個残っておるんです。現にこれ写真がありますし、この間我が党の議員が現場へ行ったときにもまだここにちゃんとありますよ。もうみんな写っています。ここにあるということは一月、二月にこの百五十六個で運んだ何よりの証拠ですわ。目撃者がおるんだから、そんなインチキな答弁しちゃだめだ。
  80. 清水傳雄

    政府委員(清水傳雄君) その種の運び込んだ容器が何ゆえそこに置いてあるのか、私どもはちょっと承知をいたしておりません。  それから、念のためにいろいろ私ども聞いておりますけれども、十一月十一日以降その倉庫に職員が出入りをいたしております。しかし、これはそうしたものを運び込んだということじゃなしに、最初その業者に委託をいたしまして資料をそこへ持ち込んだわけでございますから、これは雑然としたものを書類の整理とかそういうふうなことで職員が入っていることはございますけれども、新たに運び込んだということはございません。何月何日にだれがそこへ入ったということも我々も調べておりますが、そういうことはございません。
  81. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 じゃ、ここにちゃんと写真に載って今も存在しているこのボックスが、これがサンキュウ引越センターのものでないと言うんですか。ずっと借りているんだよ。この事実はどうだ。
  82. 清水傳雄

    政府委員(清水傳雄君) 恐らくそれは搬入を委託した業者のものであろうと思いますけれども、何ゆえにそれがそこに置いてあるのか、それはそちらの都合か、ほかにいろいろあるんじゃないかと思いますが、私ども承知しておりません。
  83. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 今の答弁で半分今までの答弁が覆ったと思ってしかるべきですね。現にあるんだから、これね。  そこで、法務省に質問いたします。  我々は、情報提供者もおるし、もう明らかな事実を指摘しております。捜査機関としてはこの一月、二月に職安局の文書の移動が行われたことは知らなかったんですか。
  84. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 検察庁がどういうことを知っておったかということについて私ども申し上げる立場でございませんし、この間新聞で共産党の方でいろいろ御指摘があったことは承知しておりますが、そういうことでございます。
  85. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 労働省の内部では、これまた地下二階に、これは本省です、労働省文庫とありますが、ここに職安局の書類がやっぱりあるんですね。なぜここを調査しなかったのか、こういう疑問の声が上がっているんです。こういう疑問についてはどう思いますか。
  86. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 捜査の過程におきましてどういうところをどういうふうにやったか、私どもも調べる立場でございませんし、検察庁の方もその辺については何とも外部に対して言わないと思います。
  87. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そういう疑問が上がっていることを指摘しておきたいと思います。  そこで、私たちが発表した直後に東京地検の幹部が、道理であるべき書類がなかったと言っておるんですね。だから、捜査機関はこのように移動された文書は捜索すべきじゃないのか。少なくとも大量に移動しているんだから、これについて無関心でおられるのか、これだけ答弁いただきたい。
  88. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) この問題につきましては、共産党の方ではそういう御指摘がございますし、一方、検察庁からいろいろ仄聞したところでは、労働省からいろいろ書類の任意提出を受けて協力をいただいておるというわけでございまして、また両方の言い分といいますか、おっしゃることが大分違うわけでございます。したがいまして、私どもがその中に割り込みましてどうだと言われても非常に困惑するわけでございますけれども、いずれにせよ、そういう御指摘がある以上は、検察庁といたしましても、労働省からいろいろ意見を聞きまして、証拠保全という見地から適切適正に対処しておるものと理解しております。
  89. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 終わります。
  90. 下田京子

    下田京子君 続いて、私は消費税問題で質問します。  総理、水や食料にまで一律課税をしているという国はニュージーランドしかないというふうに私は承知しております。ところが、政府は、今度四月一日から各種公共料金に一律に三%消費税を上乗せせよ、こういう指導をされておりますね。しかし、どうでしょうか。東京都を初め全国で二十一自治体ですか、それから横浜を除きまして十政令都市で、これは既に転嫁を全部あるいは一部見送り、こういうことを決めておりますけれども、 この事実こそ私はやはり国民に受け入れられないことを示しているんじゃないかと思うんですけれども、どうでしょう。
  91. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 何度かここでお答えいたしておりますが、消費税というものの持つ性格というものがまず一つは存在するわけでございます。  そして、今、地方自治体の問題につきましては、これはいつも申しておりますように、四月一日から消費税自身はこれが執行されるわけでございますから、この消費税が可能な限りいわゆる自己努力によるコストダウン、そうした努力の問題はもとより一つ存在しておりますが、これが四月一日から動き出すわけでございますから、そしてその間に可能な限り適正な転嫁の努力がなされる方向で指導をいたしておるというところでございます。
  92. 下田京子

    下田京子君 適正な転嫁をと、こうおっしゃいますけれども、これはもうやるべきじゃないと思うんですよ。  今、いみじくも消費税の性格の問題を言われましたけれども、これは既に読売新聞など世論調査がありますね。それでもって、消費税にどういう反応を示しておりますか。反対が七一%ですよ。しかも、その理由のトップが、消費税は所得の低い人に重い負担となる。だからやめてくれ、こういうふうに言っているんですよ。私の地元であります喜多方市なども含めまして、全国の自治体にもこれは転嫁できないという運動が私は何よりもの証拠だと思うんです。絶対これはもう廃止以外にないということを申し上げておきたいと思います。  それで、教育と消費税問題で御質問いたしますけれども文部省、授業料は非課税だ、こういうふうに政府は宣伝されております。国立大学の授業料は今まで三十万円でした。ところが、私学との格差是正と称しまして三万六千円の値上げ、さらに消費税分三千六百円上乗せいたしまして、この四月から三十三万九千六百円になりますね。実に一三・二%の値上げであります。ふえ続ける教育費に本当にもう国民は音を上げている、これが実態だと思うんですけれども、消費税分、この三千六百円に当たる一・〇七%の根拠を示してください。
  93. 西岡武夫

    国務大臣(西岡武夫君) お答えいたします。  ただいま委員御指摘のとおりに、授業料につきましては非課税でございますが、委員御承知のとおりに、教育に関係いたしますもろもろの学校における物品等の購入等の反映分として、ただいま委員御指摘のとおりの消費税分が授業料非課税という原則とは別の問題として、上乗せされているということは事実でございます。
  94. 下田京子

    下田京子君 人件費そのほかに物品等の影響分が三千六百円に当たるんだというお話でございましたが、そうしますと、これら物品、光熱水費が上がっていきますと、これはもう授業料はまた上がるということになりますね。  次に、私学について聞きたいんですけれども、私大の授業料について、これは国立と同じような影響で済むんでしょうか。
  95. 西岡武夫

    国務大臣(西岡武夫君) お答えいたします。  この点につきましては、それぞれの私学のいろいろな経営努力等もそれぞれ私学の事情によってございますし、一律には判断しかねるところでございますが、やはり幾分かの影響は出てくるであろう。これはそれぞれの私学の個別の事情によるもの、このように考えております。
  96. 下田京子

    下田京子君 私学の場合には、個々の学校法人と生徒間あるいは保護者との間で私的契約でやられておりますから、それはもう影響は大変なものだと思うんですよ。  そこで聞きたいんですけれども、例えば図書費の場合でございます。授業料が非課税だということで、施設設備費として取っていた図書費は課税対象になりますけれども、授業料の中にこれは生徒の教育、教師の研究図書なんだということで含めれば非課税と、こうなりますね。
  97. 西岡武夫

    国務大臣(西岡武夫君) お答え申し上げます。  その点につきましては、委員御指摘の点については文部省といたしましても財政当局といろいろとこれまで相談をしてきたところでございまして、結論といたしまして、文部省が今考えておりますのは、授業料の中に含まれたものにつきましては非課税というふうに判断をいたしております。  これは、最終的には財政当局ときちっとした形での結論を今のところまだ出しておりませんので、早急にこのことにつきましてはお答えを申し上げたいと思います。
  98. 下田京子

    下田京子君 まだ結論が出てないと。ただし、はっきりしているのは、いずれの名目であれ、授業料という中に織り込めば非課税になるということですね。これはやはり矛盾ですよね。  一例ですけれども、代々木ゼミナールなんかは、ことしの春から課税対象となる入学金をやめよう、授業料一本でやろうと、そういうことになれば非課税になる、こういうふうに言われておりますよ。  問題なのは、国立と私学の格差是正ということでもって国立大学の授業料を上げていく。ところが、私学の方は本当に今やっていけなくなって、ことしの春には平均で五、六万円の値上がりにどんどんなっていくわけですね。基本的にやらなければならない問題は、国会決議でもございますけれども、経常費の二分の一補助と。それもできるだけ早くやれと、こういうふうに言われていたと思うんですけれども、来年度予算、消費税影響額十八億円を見込んで二千四百八十六億五千万円だと承知しておりますけれども、これは経常費のわずか一七%にしか当たらないんですよ。仮に五割補助ということになると、どのぐらい必要になりますか。
  99. 西岡武夫

    国務大臣(西岡武夫君) お答えを申し上げます。  委員御指摘のとおりに、文部省といたしましても私学振興助成法を制定いたしましたときの目標といたしまして、一般の私学におきます経常費助成の二分の一を目標としてこれを助成していくという方向で努力をしてきたところでございますが、委員も十分御承知のとおりに、一方におきまして特に高等教育に対する国民の非常に大きな要請というものもございまして、私学におきます間口がかなり拡大をしているということで、結果といたしましては、今、委員御指摘のとおりに、一般経常費の一七%程度ということに今のところなっておりまして、大変文部省といたしましても残念に思っているところでございますが、かなりの、今までの倍以上の予算を獲得いたしませんと法律が志向いたしておりますところの目標を達成することはなかなか難しい。  それと関連をいたしまして、高等教育の水準をいかに維持するかという問題と高等教育の量の確保ということにつきまして、どのように考えればいいかということにつきまして現在文部省といたしましても中長期にわたる基本的な方針を打ち出さなければいけない、早急に打ち出したいと考え、目下検討いたしているところでございます。
  100. 下田京子

    下田京子君 私学助成はかつて約三〇%まで補助したところもあるんですよ。ですから、二分の一にするということになると、約七千億必要なんですよね。これは消費税の影響分抜きでもって早急にやるということがもう国際国家日本の、特に文部省のやらなければならない使命だということを私は申し上げます。  次に伺いたいんですが、外務省、在日米軍は授業料、入学金など徴収していないと承知しておるんですけれども、とすれば、在日米軍の子供たちが日本で使用する教材、教具、教育機器の場合、消費税はどうなりますか。
  101. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 日米地位協定の第十二条三項は、合衆国軍隊等が日本国で公用のため調達する物品等には一定の租税を免除する旨、さらにはこれら以外の一定の租税についても、両政府は免税または税の軽減を認めるための手続について合意することを規定しております。今般導入されます消費税につきましても、この規定に基づ き、免税を認めるための手続について今月中に合意する予定となっております。  したがって、かかる手続につき日米両政府間の合意が成立すれば、国防省直属の米軍学校が本邦内で教材、教具を調達する場合には消費税が免除されることとなります。
  102. 下田京子

    下田京子君 米軍が公的と認める教材費は、すべてこれは非課税ということになるわけですね。  大蔵省に聞きますけれども、消費税抜きで納めた業者に対する税手続はどうなりますか。
  103. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) 先ほど外務省からお答えいたしましたように、合衆国軍隊または合衆国軍隊の公認調達機関に対しまして、合衆国軍隊の用に供されるものを販売した場合、合衆国軍隊の権限のある官憲の発給する証明書がございますと消費税が免除されるということになっているわけでございます。したがいまして、合衆国軍隊が公用として施設内の学校用の教材、教具を購入する場合で、公用であるという証明書が発給されているという場合につきましては免税となるという意味でございます。
  104. 下田京子

    下田京子君 日本の子供たちはノート、鉛筆、消しゴムからすべてに課税されるんですね。在日米軍の子供たちは公的だということで非課税。こんな米軍に対する厚い思いやりは私はないと思いますよ。  ところで、ヨーロッパ諸国の授業料等についてお聞きしたいんですが、イギリス、フランス、西ドイツ、これらは国立大学の授業料はどうなっていますか。
  105. 西岡武夫

    国務大臣(西岡武夫君) お答え申し上げます。  委員御承知のとおりに、非課税でございます。
  106. 下田京子

    下田京子君 授業料を取っているのか取っていないのか聞いている。
  107. 西岡武夫

    国務大臣(西岡武夫君) これは、それぞれの国の状況によりまして、授業料を原則として取っているというふうに考えております。  委員御指摘の点は、今の課税の問題とは違いますでしょうか。
  108. 下田京子

    下田京子君 大学は授業料を徴収しているかと聞いている。
  109. 西岡武夫

    国務大臣(西岡武夫君) 課税でございませんね。  授業料につきましては、それぞれの学校の設置主体によって異なっております。
  110. 下田京子

    下田京子君 だから、中身を説明してくださいと言っているんですよ。(「質問というのはもっとはっきり言いなさいよ」と呼ぶ者あり)はっきり言っている。  課税じゃないんだ、授業料を取っているか取っていないか。
  111. 國分正明

    政府委員(國分正明君) ヨーロッパ諸国の授業料の問題かと思いますけれども、イギリスの場合にはほとんどが私学でございまして、これにつきましては授業料は徴収いたしておりますけれども、御案内のように、国の補助あるいは奨学資金というようなことで、イギリスの場合等は事実上は取っていない。形の上では取っておりますけれども、実質的には取っていないというような状況であるというふうに承知いたしております。
  112. 下田京子

    下田京子君 フランス、西ドイツ。
  113. 國分正明

    政府委員(國分正明君) フランス、西ドイツにつきましては、ただいま手元に具体の資料を持っておりませんけれども、ほぼ実質取っていないように承知いたしております。
  114. 下田京子

    下田京子君 フランスそれから西ドイツ、これは大学の授業料も取っていないんです。今文部大臣お答えになりましたけれども。ですから、もちろん基本的に教育サービスにかかわるものは非課税なんですよ。  私が申し上げたいのは、世界の主な国々で教育は無料なんです。もちろん、だから非課税だということになっていますね。そういう点で、日本が食料や水にまで税金をかけるのみならず、子供の教育にまで税金をかけていくというのは、これは例がないということを私は申し上げたいわけであります。
  115. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 時間です。
  116. 下田京子

    下田京子君 そのことを申し上げまして、残念でございますけれども、この消費税というのはもう凍結だとか見送りだとかじゃない、廃止すべきであるということを申し上げて、終わります。
  117. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 以上で下田京子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  118. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、関嘉彦君の質疑を行います。関嘉彦君。
  119. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 本日の議案は昭和六十三年度補正予算案でございますけれども、私は、原則としてその議案に従って質問することにしておりましたけれども、きょうはその予算案の内容よりも、政治改革の問題一点に絞りまして、専ら総理及び官房長官に質問いたしたいと思います。ほかの大臣の方はお忙しければ退席していただいても結構です。  この問題を取り上げますのは、国民の政治不信というのはこれは現在の最も重要な政治問題であるからであります。私かねがね政治改革の問題について意見を交換したいと思っておりましたけれども、私はあと三カ月ぐらいで退任いたしますので、総理お話しする機会はこれがあるいは最後になるかもしれませんので、専らこの問題に限りまして総理に対して集中的に質問申し上げたいと思っております。  なお、個々の問題につきましては、昨年の十二月の十六日の決算委員会で断片的に取り上げたことがあります。多少重複する点があるかと思いますけれども、御了承願いたいと思います。  昨日、真藤NTT会長が逮捕されまして、けさの新聞ではさらにこれが政界にも波及していくのではないかという観測が専らでございます。もしそういうことになれば、国民の政治に対する信頼というのは全くゼロになってくるのではないか。仮にそういうことがないにいたしましても、つまり法律上の問題がないにいたしましても、やはり道義的に政治家に対する信頼の念が落ちている。これをこのまま放任すると大変なことになると思うんですけれども、この国民の政治不信に対して総理はどのように受け取られて、またその信頼回復するためにどのような対策をとろうと考えておられるか。それをまず最初にお聞きいたします。
  120. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私が所信表明でも申し上げました、いわゆるリクルート問題等を契機として国民の間に政治に対する不信感が広がっておる、これは極めて憂慮すべきものである。なぜかということに対して客観的分析も行い、また私自身の主観的な分析も実は行ってきてはおりますが、確かに、これらの政治に対する信頼を確保するということ、これは大変重要な問題でありますが、今次の問題を見てみますと、非常にこの問題がいわゆる局部切開というような形でできない性格の問題ではないか。  そうすると、やはりお互いが政治家としてこうして立っておる限りにおいて、いろいろなたくさんの方の善意、これは物心両面において支えられて今日こうして立っておるわけでありますが、それが節度を持たれるような、あるいはまた、それがある種の誘惑というようなものにも壁になるような具体的な問題をやっぱり積み上げていかなきゃならぬ。そうすると、それが私が言っております政治改革であり、そして具体的にそれを法律体系の中へ埋め込んで考えてみれば、公職選挙法の問題であり、そうして政治資金規正法の問題であり、さらには政党法の問題である、こういうところへたどりついていく。  したがって、とりあえずは私自身、今避けて、逃げて通れない責任の立場にありますだけに、私なりに短期のもの、中期のもの、長期のもの、それらをいわゆる有識者懇談会の御意見やら国会の御意見を聞きながら整理してその緒につけなければならないというふうに考えておるところでございます。
  121. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 議会制民主主義というのはやはり国民が政治家に対して信頼している、それが議会制民主主義を支えている根本ではないかと思うので あります。私は戦前、政党政治が崩壊していく過程を、学生時代ですけれども見ておりました。軍部が台頭してまいりましたときに、国民の中では政党政治ではやっていけないんだと。その当時、やれ売勲疑獄でありますとか鉄道疑獄であるとかいろんな疑獄が相次いで起こって、それに対処する道を政治家は知らなかった。そのために、軍部が政治に出てくるのは困るけれども、しかし今のままでは何ともしようがない、やむを得ないんじゃないか、そういう気持ちが国民の中にあったことが、私は戦前の議会政治が崩壊した一つの大きな原因であろうと思うのであります。  そこで、私は、現在の政治不信を除去していくためには何よりもやはり今度のリクルート問題、リクルート事件、これの疑惑を徹底的に解明していく、司法当局はもちろんですけれども、政治の場において徹底的に解明していく、総理みずからこれに協力していくということが必要であると思うのでありますけれども、同時に、やはりこういうことが再発しないような対策として政治上改革すべき点がたくさんある、それを改革していくという考え方に私は賛成ですが、総理考えておられる政治改革の内容について、もう少し詳しく御説明願いたいと思います。
  122. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 先生の御意見を前提に置きまして私が考えておりますことを申し述べますと、いろいろ整理してみますと、政治はそれを動かす精神や文化を抜きにしては考えられないというようなことにも一点当たってみました。これは戦前というよりは戦中でございますけれども、関先生よりもはるかに後輩でございますが、京都学派の西谷啓治先生が言ったような言葉を本当は思い出して、そういうことを念頭に置いて考えてきたわけでありますが、第一義的には、やっぱり政治にかかわる者の一人一人に帰着する問題だという問題が一つあります。いわゆる自己改革であると思うのであります。その自己改革というのを今までの流れの中で見詰めてみますと、それは両院で議決されております政治倫理綱領というものがやっぱり規範として存在しておるのじゃないか。  そうなってくると、今度は、その政治倫理綱領を性善説、性悪説から議論を進めていかなきゃならないと思うのでありますが、みずからは性悪の立場に置いて、国民の皆さん方は性善の立場に置いて議論を進めようと思いましたが、やはり改革の場合は双方をある程度の性悪の立場に置いて議論すべきであろうということに思い及びまして、私どもがそうした倫理綱領の中へどっぶりとつかって、それを守ろうと自己規制をしながらも、それが間々守られない環境というものが、先ほど来おっしゃっておりました選挙制度の問題とかあるいは政治資金規正法の問題であろうとかあるいは政党法の問題であろうとかからひとつ帰結していくんじゃないかな、私はこういう基本的な考え方を持っております。  そこで、有識者懇談会が一つ、それから私の所属しております自由民主党内における政治改革委員会の動きが一つ、それから今休眠中でありますが政府が持っております選挙制度審議会、これを活用して、それから短期、中期、長期の問題を区分してこれに対応していくべきではなかろうかなと、こう思っております。  その短期の中の超短期というのが、もう一つ私が最近思いをいたしておるところでございますけれども、それはいわば今度の事件、問題等がやはり未公開株式という問題から一番最初出発したということになると、政治と株との問題というのをもう一つ超短期の問題として御意見を伺ってみようと思っておるところでございます。
  123. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 今、総理は政治倫理綱領のことを言われましたけれども、現在この政治倫理綱領は守られているとお考えでしょうか。
  124. 竹下登

    国務大臣竹下登君) みずからを省みるとき、いつも私自身はじくじたるものがある、しかし質問なさる皆さん方はお守りになっておるという立場に立っておるべきだと、私はいつもこれが私の持つ自浄能力の一つじゃなかろうかと思っております。
  125. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 質問される人は守っておられるということを言われました。私は、この政治倫理綱領を読みまして、「国民の信頼に値するより高い倫理的義務に徹し、政治不信を招く公私混淆を断ち、清廉を持し、かりそめにも国民の非難を受けないよう」云々という言葉があるんですけれども、果たしてこの政治倫理綱領に合致しているかどうか日夜苦慮しているところであります。果たして自分は公私の区別をはっきり区別しているかどうか、いつも毎日のように内心に葛藤を覚えているわけです。こういうつらい仕事はもう一日も早くやめたい。あと二カ月でやめるのを一日千秋の思いで待っているんですけれども。  しかし、中には、政治的な使命感にとらわれて、あくまで自分が政治家になるんだ、一度なったらもう絶対にこれは手放さない、そういう奇特な人もおられるわけですけれども、そういう人たちであればなおさら、やはりこの政治倫理綱領というのを守ってもらわなきゃいけないと私は思うんですが、これを読みましても非常に抽象的で、一体自分は守っているのかどうか、ほかの大臣の方は守っておられるのかどうか。恐らくこれではどちらとも返事ができないのではないか。  そこでお伺いしたいんですけれども、ほかの人の倫理と違って特に政治倫理ということが言われるんですが、ほかの人と違うどういう倫理が政治家に要求されているのでございますか。政治倫理の内容は何ですか。
  126. 竹下登

    国務大臣竹下登君) それは、具体的な問題としては政治活動あるいは政治家と金の問題、こういうものが具体的な問題としては出てこようと思います。  今、先生がおっしゃいましたように政治家というもの、公職に選ばれた、あるいは国会議員と申しても結構でございましょうが、やはり国民の負託を受けて国政に参画するわけでございますから、先生がそういう御心境であられたように、先日もある人が私におっしゃいました。やはり国民に対する奉仕者であるという考え方が一番基本にあるべきではないか、それの自信がなかったときにはいろんな職業があるからそっちの職業の方を選んだ方がいいと言われましたが、先生が今おっしゃった、自分の考え方と一緒であるとは申しませんが、そういうものを感じまして、私はやはり社会に対する奉仕者であるという意味が、いわゆる他の職業と違う原点ではないかというふうに思っております。
  127. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私が政治倫理の内容は何かということを質問しましたのは、例えば今度のリクルート事件に関しましても、一方においては、未公開株の譲渡を受けてもこれは単なる経済行為であって一向差し支えないじゃないか、何も政治倫理に反することはないじゃないか、そういう議論をする人があります。しかし、他方においては、この事件の発覚する以前ですけれども、例えばパーティー券を二枚か三枚リクルート社に買ってもらった、それだけで何か悪いことであるかのような受け取り方をしている人もあるわけであります。これは両極端であると思うんですけれども、政治倫理というのはどういう性質のものであるかということをはっきりしないと、どうも最近の言論を見ていますと、それをはっきりしないで、単に政治倫理という言葉がひとり歩きして何か相手を非難する場合に使われているように思うんです。  それで私は、その内容をはっきりさせる必要があるというふうに考えたんですけれども、そういう観点から政治家は普通の人と違うどういう倫理が要求されているのか、もう一度お答え願いたいと思います。
  128. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 先ほども申しましたように、非常に抽象的に申しますと、やはり、国民に対する、国家社会に対する奉仕者であるという考え方が一つは基本にあるべきだというふうに私は思っております。  それからもう一つは、古来、政治は最高の道徳である。したがって、政治家に求められるのは、具体的に言いますと金にまつわることになってまいりますが、私利私欲の分野というものを他の職 種とはおのずから違ったものとしてそこに位置づけしていかなきゃならぬ問題だというふうに思っております。  しかし、私利私欲と申しましたところで、経済社会生活の中で法の許します範囲というものは確かにございますけれども、これは言ってみれば現実問題としては刑罰法令の適用の外にある問題であっても、その中においておのずからの節度というものが、いわゆる私利私欲、そして金にまつわるものとしてこれから我々がその改革の焦点に当てて追求していくべきものではなかろうかというふうに思っておるところでございます。  先生のおっしゃったある種の風潮というようなものを私も否定するものではございません。しかし、最高権力者という立場にある私としては、御質問なさる人は全部立派な人であって、私自身がいわば性悪説の根源に立っておるという気持ちでないといけないという気持ちはずっと持ってきております。
  129. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 総理のお考えは、非常に抽象的ですから、何かわかったようでよくわからないんですけれどもね。  私の考え方を申し上げますと、やはり政治家というのは言葉の本来の意味のエリートだと私は思う。日本ではエリートという言葉が非常に誤解されて使われておりますけれども、指導者。デモクラシーのもとにおいても、私は指導者がいなければデモクラシーはうまくいかない。指導者というのは単に政治家だけに限りません。新聞記者もある意味においては指導者でありますし、大学教授も指導者。その自覚がなくてはいけないけれども、何よりも政治家は指導者。  したがって、その指導者たる地位に付着いたしましてはかの人の接することのできないような情報を手に入れることもできる。閣僚はもちろんですけれども、あるいは閣僚でなくても権力に対して影響を与えることができる。与党の役員なんかはもちろんですけれども、野党の人たちでもいずれは政権をとる、与党になる覚悟であるでしょうし、また間接的に権力を左右することができる地位にある。そういう指導者たる任務を果たすためにいわば特権的な地位を与えられている。したがって、その特権を利用して利益を図るようなことをしてはならない。また、その特権にまつわっていろんな疑惑を持たれる。したがってできるだけ公明でなくちゃならない、透明でなくちゃならない。それに反した場合に、私は政治家が政治倫理を問われることじゃないかと思うのであります。  その考え方に対して、総理、いかがお考えでしょうか。
  130. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、情報が集まりやすい立場にある、そのとおりだと思っております。したがって、具体的に申しますならば、今次の株譲渡の問題等は一般人ではその情報等を入手する立場にないわけでございますから、そういうことにまず節度を置かなきゃならぬ。  それから、確かに権力そのものも持っております。また、そういうことに対する影響力もこれは持っておるわけでございます。これは与野党を問わず、今の議会制民主主義においては政権交代はあり得るわけでございますから、どなたもみずからが最高権力の地位に立ったことを自覚しながら議論はいつも行われておるというふうに私は理解をしながらこれに対応してきております。  そうして権力というもの、そこに特権というものがあるから情報が集まりやすかったり、権力に対する影響というものを与えることができる。したがって、その特権というものに対しても、それを私利私欲とかいうものと遮断してみずからの身を律していかなければならないという意味におきましては、先生のおっしゃっている考え方は私はすべてそのとおりだというふうに感じます。
  131. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 もしそのことを承認されるのでありますならば、ほかの人には要求されないものであっても、あるいはほかの人に要求される以上の公開性、殊にお金に関する公開性が必要ではないか。つまり、ほかの人にとっては、普通の人にとってはプライバシーの保護という観点から要求されないことであっても、今申しましたように政治家はそういう特権的な地位にある以上はやはり金に関してはある程度プライバシーが制限されてもしようがない。本人だけじゃなしに、やはり家族、その生計をともにしているところの同一親族も、プライバシーがある程度侵害されるのはやむを得ないと私は考えております。  その点から私は、政治家、特に閣僚の資産公開あるいは収入の公開という考え方もありますけれども、とりあえず資産公開についてお伺いしたいと思うのですが、この資産公開、閣僚みんなやられたと思うのですけれども、資産公開をやる目的あるいは意義というのはどういうところにあるんですか。
  132. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この資産公開問題については長い経緯がございます。昭和五十八年の十二月二十七日でございますが、行政の最高責任者である各閣僚がみずからの資産を国民に公表することにより政治と行政に対する国民の信頼を確保するという趣旨で、第二次中曽根内閣のときからこれが閣僚の申し合わせという形で実施されて今日に至っておるというのが現状でございます。その間、いわば閣僚のみに限らずいろいろな問題の議論はいたしたことはございます。
  133. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 官房長官にお伺いいたしますけれども、まず、新聞の伝えるところによりますと、何か閣僚の秘書を集めてしかるべく公表しろというふうな話ですけれども、何らかの基準を決めておられるのですか。その基準を各閣僚に伝えてありますですか。
  134. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) ただいま総理から御答弁ありましたような経緯で申し合わせをいたしておるわけでございますが、官房長官の指示に基づきまして公開基準を示しておりまして、一、土地及び建物、二、預貯金及び有価証券、三、貸付金及び借入金、四、ゴルフ会員権、自動車等及び書画骨とうその他の美術工芸品、こういうことの基準をそれぞれ閣僚にお示しをして、それぞれ自主的に公表をお願いいたしておるところでございます。
  135. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 閣僚の資産が公開されますと、新聞では、あの人は思ったより貧乏だなとか、あの人は随分金を持っているな、そういうふうな観点から報道しておりますけれども、私は閣僚が絶対額としてどれだけ持っているかということはこれは問題にならないのであって、問題は、閣僚の任期中にどれだけその資産がふえたか減ったか、これが問題だと思うのであります。だから評価基準が、例えば仮に土地なんかの場合は固定資産税の評価額であってこれは非常に実際より低いですけれども、しかし退任したときに同じ基準ではかつてそれがふえているか減っているか、それが問題だろうと思う。その点からいうと、単に就任時に公開するだけでは意味がないのじゃないか。やはり退任時にそれをやる必要があるのじゃないかと思うんですけれども、どうですか。
  136. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 御指摘の点は、資産公開の時点におきましてもしばしば記者その他からもお尋ねいただくことでございまして、閣僚が退任をいたしましたときに再度公表すべきではないか、あるいはまた資産形成過程を明らかにすべきではないかという御指摘もあるわけでございますが、現時点におきましてはなかなか難しい問題でございまして、閣僚の期間というものも極めて短いことでもございますので、そうしたものを集計いたしまして公表するということも甚だ難しい点がございます。  しかし、いずれにいたしましても、御指摘の点につきましては従来から申されておることでございますので、この点につきましてはさらに検討を続けておるところでございます。
  137. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 先ほど言いましたように、本人だけではなしに、やはり配偶者あるいは生計を同一にする親族、それも私は含める必要があると思う。単に閣僚だけでなしに、やはり国会議員が定期的にその資産を公開する、これはアメリカなんかの場合はむしろ資産よりも収入支出をもう必ず公開させる、そういう方法もあります。どちらがいい か検討の要はあると思うんですけれども、ともかく金の出入りが問題なんです。絶対額が幾らかということよりも金の出入りが問題だと私は思う。その点について、もう少し真剣に取り組んでいただきたいというふうに考えております。  それから次は、やはり先ほど申しました政治家が特権を持っているということから、普通の人には許される行為でも政治家はやってならない行為があると思う。デモクラシーのもとにおいてはすべて平等だから、人の上に人をつくらず人の下に人をつくらずだから、政治家だけが、あるいは閣僚だけが特定の行為を制限されるのはデモクラシーに反するのではないかなんということを言う人がありますが、法の前においては平等ですけれども倫理的には決して平等ではない、倫理的にはやはり高い倫理規範を持つのでないと指導者たる資格はなくなると私は思う。  そこで、いろんな問題があると思います。土地の問題、会員権の問題あるいは商品取引の問題、いろいろありますけれども、とりあえず今問題になっているのは株の取引だと思うんです。いわゆる特定の政治家が普通の人の手に入らないような未公開株を買って、直ちにそれを売っていわゆるぬれ手にアワのような金もうけをするということが国民が一番非難している点だと思うんですけれども、こういった閣僚、それから私は普通の政治家、国会議員も含めるべきだと思うんです。在任中は投機的な取引をしない、あるいは疑われるようなことをしない、そういう考え方に立つ必要があるのではないかと思うんですけれども総理、いかがでしょうか。
  138. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今の先生お話で、資産公開というのは随分議論いたしました。いわゆるストックの段階で今やっておるわけでございます。フローの段階が欠けておるということについては私どもも検討をしておるところでございますが、今の問題が未公開株式の譲渡ということを起点として今日いろいろな問題が起こっておりますだけに、この問題は私が先ほど申しました最も短期の問題として考えなきゃいかぬ課題だと。それは、法規制の問題もございましょうが、今、先生が御指摘なすった問題等は、私は申し合わせ等で可能な問題であろうというふうに思っております。  私自身、あるいは信託という問題も考えてみました。しかし、信託という問題、例えば自分がオーナーであるささやかな自分の会社の株というようなものもございましょう。それは信託で運用を任すといったって、そもそも運用できるようなものではございません。したがって、あるいは供託という問題も考えてみましたが、供託ということは法務省に供託するということでございますので、これは必ずしも妥当でなかろうと。そうすると、信託の問題等についていま一つ検討を重ねてみた方が妥当かなと行きつ戻りつしておりますが、それらの問題は可能な限り短期の課題としてとらえたいというふうに私自身は考えております。
  139. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私は、何も株を持つこと自体が悪いということを言っているわけじゃないので、それを投機的に運用することによって利益を上げているのではないか、利益を上げるあるいは利益を上げているのではないか、そういう疑われることがよろしくないと言っているので、信託ということも私、一つの方法だろうと思っております。  ちょっと調べてみたんですけれども、アメリカにも政府倫理法というのがございますが、その中にやはりクォリファイド・ブラインド・トラストというのがあるようであります。内容は私、専門家じゃないので詳しくはわかりませんけれども、そういうことを研究されることも一つの方法ではないかと思います。  日本の信託会社のことをちょっと調べてみましたけれども、信託業法の上からは、今私が申しましたような趣旨の信託をすることは不可能ではないわけですね。総理が言われた代々の所有である酒屋の株でございますか、こういうのは別に利益が上がるわけでも何でもないと思うのです。しかし、それにしましても、そういうのでも何か有価証券管理信託というのがあるそうです。これは海外旅行者なんかが主として利用している。  それから、運用について私が調べたところでは、金銭信託以外の金銭の信託、いわゆるファンドトラストというのがあって、現金または有価証券を預けてその運用を一任する。それで、契約いかんによって、例えばこの株だけは絶対に売ってくれるな、この株だけは絶対に買ってくれるな、そういう指定をしてトラストするようなものもあります。ただ金額が最低限度が五千万円、これは時価ですから、五千万円に限定しているところもあるので余り少額のものは扱わないという難点はあると思いますけれども、これなんか、やはりもし希望者が多ければ信託会社でも十分それを考えるのではないか。そのことを御参考にしていただきたい。  そのほか、政治資金規正法の改正の問題でありますとか、あるいは選挙の公営のために場合によっては政党法をつくる、総理も言われましたけれども、そういう問題についても意見を述べたいと思っていましたが、いつの間にか時間がたってしまいました。また機会があれば、後日私の意見を申し上げたいと思っております。  これで質問を終わります。
  140. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 以上で関嘉彦君の質疑は終了いたしました。(拍手)  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十二分休憩      —————・—————    午後一時開会
  141. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 予算委員会を再開いたします。  昭和六十三年度補正予算三案を一括して議題といたします。  これより野末陳平君の質疑を行います。野末陳平君。
  142. 野末陳平

    ○野末陳平君 NTTの前会長が逮捕されたことによりましてわかりましたのは、秘書名義といえども本人と一体で、いわば共謀であるというそういう意味の収賄だ、そんなような受け取り方だろうと思うんです。  そこで、通告はしておりませんでしたが、法務大臣一つ緊急にお伺いしたいのは、政治家の方々秘書または身内の名義リクルート株を譲渡された、そしてそれを売却して何がしかの利益を得たというこの事実、これとNTT真藤さんとは形の上では全く同じように見えるんですけれども、これはどういうふうに見たらよろしいでしょうか。
  143. 高辻正己

    国務大臣(高辻正己君) 先ほども実は同じような御質問がございましたが、法務省は司法機関でもございませんし捜査の実務機関でもございませんので、それについて具体的な確たるお答えをすることはできません。あしからず御了承いただきます。
  144. 野末陳平

    ○野末陳平君 そういたしますと、それに該当するケースとして竹下総理どもあるわけです。  総理にお伺いしますが、これは形式は全く同じに見えるが、違うとすればどこがどういうふうに違うのか。真藤さんとリクルート株の譲渡を受けたという政治家、この違いはどの辺にあるのか。形が同じなもので非常に疑問なんですが、いかがでしょうか。
  145. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私もその種の質問を新聞社の方から立ち話ではございますけれども受けております。ふっと答えようと思いましたが、やっぱり考えてみますと、私は内閣総理大臣でありまして、いわゆる捜査当局における厳正、適切な捜査が行われるという立場の上に立っての監督責任というようなものがあるとすれば、私がコメントするのは差し控えた方が適切だ、こんな考え方に立ちまして、そういうふうに答えさせていただいております。
  146. 野末陳平

    ○野末陳平君 しかし、ここまで来ました以上、政治家も、みずからの疑惑を晴らすためにも、リクルートの株を売って利益が出たとすれば、その お金がどういう口座に入ったかとか、その辺のことを進んで明らかにしておく必要があるのではなかろうか、そういうふうに思います。総理にこれをお答え願うのはちょっと難しいかもしれませんが、重ねてお伺いします。自分から疑惑を晴らすことを今、政治家はすべきでないか、そう思いましたのですが、いかがでしょうか。
  147. 竹下登

    国務大臣竹下登君) おのずから、刑事事件としての被疑事実によって捜査が進んでおる際、私自身にとってみても限界とか節度みたいなものがありはしないかと思っておりますが、その考えそのものについては、十分私として参考にさせていただく意見だというふうに思っております。
  148. 野末陳平

    ○野末陳平君 今や国民は当局の捜査の進展にはもちろん大きな関心を持ちますし、また国会自身も国会流の疑惑の解明をしなきゃいかぬとは思いますが、やはり政治家その人が自分から何か行動を起こさなければおさまらない、そんなふうに考えておりますので、これからこの委員会もなかなか大変になってくると思いますが、総理の御意見を承っておきました。  そこで、リクルート問題などと無関係でないのは消費税でして、この消費税のプレッシャーで世の中には不安と混乱があちこちに見られるのは御存じのとおりなんですが、減税を評価する声が意外と少なくて非常に残念なんです、私としては。しかし、それに引きかえ、消費税に反対する声というのは、いろいろな世論調査を見ても、これが私の予想を上回って根強くあって、しかも一向に弱くならない。説明に呼ばれるたびにそれを痛感するわけですね、私自身が。そこで、いろいろ考えてみますと、これは総理みずからもお認めになりましたこの消費税の精緻さを欠く部分というのがこれが裏目に出ている、そういうふうに思いまして、確かにきずというか欠陥というか、アバウト過ぎる部分がありますから、この委員会でも何度も問題になっておりますが、その部分が実態以上に拡大されて、その結果、反対ムードに拍車がかかっている、そんな気すらするんですね、残念なことですが。  そこで、大蔵大臣にお伺いしますが、なぜ消費税がスムーズに受け取ってもらえないのか、なぜこの消費税が国民になかなか理解とそれから許容してもらえないのかという、その辺の原因を大蔵大臣はどういうふうに分析なさっておりますか。
  149. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 世論調査でございますが、一月二十八日、二十九日に読売新聞で世論調査を実施しております。これは二百五土地点で、それで三千人をアトランダムに対象にして回収率が七〇%以上。ここによく出ておりますように、税制改革に関する周知度というものがここに出ているわけでございます。その上に立ちまして、今度の税制改革はどう思うか、不公平は直るかとか直らないとか、こういうことを問うておるのでございます。  これで見ますと、税制改革に関する周知度というのは非常に低いということが出ているわけでございます。消費税の方は、三%であること、四月から導入すること、いずれも八〇%から七〇%の周知度でございます。それからキャピタルゲインが三五%。それから相続税、贈与税が三五%。ところが所得税、住民税の周知度に至りましては、控除の引き上げが二九%。それから所得税、住民税の簡素化、これは実は税率の緩和でございまして、表題も簡素化と出ているわけでございます。これで二兆円減税しているわけでございますけれども、これが簡素化という言葉であらわされ、それで周知度を見ますとこの点が二四%である。  こういうことでありますから、この前の臨時国会でやりました税制改革、これは一言で申しまして、やはり今の体系が非常に不公平である。特に所得税に限界がある。給与とそれから事業所得には調査の、把握に限界がありますから、どうしても住民税とかなんか納めておりますと、あの人は自分よりは税金が少ないのにいい暮らしをしているというところに端的にあらわれるわけでございます。そういったことと、それから稼得所得に対して余りにも税負担をかけますと、これはもう本当に勤労意欲、事業意欲を失うのでございますので、そこに最大の焦点を当て、そして消費税というものは実はその一環としてやるんだ、これは消費には比例するわけでございますし、それから今の間接税の根本的矛盾を解消するであろうし、そして税体系としても全体として公平になるであろう、こういうことでネット減税二兆六千億という税制改革をやったわけでございますが、ここにあらわれておりますように、減税の方はもう全然周知度がない。この上でやられた世論調査でございますから、当然私は、この答えが出てくるのはむしろ不思議はない、いかに我々のPRというものが不足しておったのかなと、こういうことを感ずるわけでございます。  それから、もちろんこの中には、三千人の中の回収率七〇%でございますが、事業所得者も入っておりましょう。しかし、アトランダムにやれば事業者の方は十分の一ぐらいしか出ていないだろうと思います。恐らくそこの問題というものは、やはりまだ消費税というもののおっしゃるような面もありましょう。それから事務負担がまだ少し多過ぎるとか、あるいは今の免税点、あるいは簡易課税、こういった問題についてもあるかもしれませんが、事業者の方からはこの問題は余り出ないのじゃないか。むしろ手数を減らすためにやったわけでございますから、やはり納税事務がそれにしてもかかると、こういうようなことできているのじゃないか。  詰めて申し上げますと、税制改革に関する今度の大減税というものがほとんど知られていない、ここに最大の問題があると私は理解しておりまして、この意図も推進本部を通じまして一般の国民の方にぜひ知っていただきたいと、一生懸命努力するつもりでございます。
  150. 野末陳平

    ○野末陳平君 PR不足とか技術面のことを今お答えになりましたけれども、いや、そうでもないですよ。やはり私も現場でいろいろ一般の消費者、事業者とか説明に呼ばれて行きますが、結構知っておりますよ。ただ細かいことは無理ですがね。  私がそこで感じたのは、むしろ国民はいらいらしているというか、怒っているというか、抑えているわけですね。このリクルート疑惑によって生じた政治不信といいますか、うっぷんですな。政治に対するうっぷん、あるいは政治家に対する個人的なうっぷんですね、そういうものを消費税という標的にぶつけているというようなのが、どうも受け取るところそれしかないんですね。つまりわかろうとしない、わかってやるものかというか、その辺が一番重大だと思いまして、単なるPR不足、技術面とは違うんだ、こういうふうに分析をしているので、このリクルート問題をすっきりさせない以上は消費税というのはわかってもらえないな、実施してもなかなか定着していかないのじゃないかというふうに分析しているんですが、総理、これについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  151. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる周知徹底さすこと、そういう努力の問題については大蔵大臣からお答えがあったとおりだと思っております。  今の野末委員のおっしゃる客観的な状況から分析いたしますと、私も正確な言葉を今探しておりますが、むしろ今おっしゃったことと同じ印象を持っておることは事実でございます。したがって、この問題については立場は税制の問題と違いますが、これそのものに対する対応というのは重要な課題だというふうに思っております。
  152. 野末陳平

    ○野末陳平君 まさにそこが、簡単に消費税のためにそれをどうじゃないんですけれども、重要な問題に今なってきている。この国民のいらいらをおさめるには普通の手段では無理だと思うんですね。やはり何かのけじめを早くつけなければいけない。例えば総辞職などもその一つなんでしょうけれども、それよりもどういう形で総理が今のお言葉を具体化しようとなさっているか、どういう形で責任をとろうとなさっているのか、それがいま一つはっきりしないんですね。やめるのも責任だが、とどまって政治改革をするのも責任のとり 方である。それはそうかもしれませんが、じゃどういう形の政治改革か、それで果たして国民のいらいらをおさめることができるか、政治不信を払拭できるか、その辺がはっきりしないので再度お伺いしたいんですけれども、いかがですか。
  153. 竹下登

    国務大臣竹下登君) あえてもう一つつけ加えさせていただきますならば、私はもう一つは、あるいは選挙に対する分析から私はそんな感じを持っておるかとも思いますが、農政の問題もあろうかと思います。  これは、消費者サイドということもありますが、生産者サイドから見た場合における自由化の国際的な環境の中で、おれたちはどうなるかという不安感というようなものも問題を増幅させておる一つではなかろうかというふうに思っております。これについても積極的な周知徹底をすべき課題であるというふうに思っております。  しかし、今のずばりの御質問にお答えいたしますならば、まさに御意見のとおりでありまして、これは総辞職、それも一つの責任のとり方でございましょう。が、私の内閣になってこの問題が起こってまいりましただけに、私はこれを逃げて通るわけにはまいらないと自分に言い聞かせております。それは私個人にとっては大変つらいことであるかもしれません。しかしながら、これを避けて通れないということになるとどうすればいいか。そこに政治改革といいますと、国民感情と政治改革との間にかなりの乖離があると私も思っております。政治改革の問題を議論していけば、立派な方ばかりでございます、私を除いて。実際そういう政治倫理綱領というようなものの中に本当にどっぷりとつかって奉仕者たる道を歩んできておるが、それを阻害する要因がありはしないかということになると、それは一つ一つ解決するということになりますと、政治資金規正法だったり公職選挙法だったりというような問題になっていく。  そうすると、さらに乖離が縮まらないという感じもありますけれども、そういう具体問題を国民次元の中で議論してもらいながら、一つ一つを措置していくということしかないのかなと。一刀両断という解決の方法がないという感じを持って、少なくとも私の内閣のときに起こった問題でございますから、それを緒につけなければならないという責任を感じておることは事実でございます。
  154. 野末陳平

    ○野末陳平君 しかし、やはりこのリクルート疑惑の責任をあいまいにしたままで、しかも支持率がもう二〇%を切ってしまうというようなところまできまして、なおかつ、今の立場のままで政治改革を進めるとおっしゃられても、国民がついてこないと思うんですね。もう信用してないんじゃないか。  そういう意味で、永田町の常識で考える政治改革、いみじくも総理お答えになりましたけれども、仮に定数を是正するとか政治献金のあり方を変えるとかいったところで、そんなものとは全然違うところで国民は怒っているわけですね。あるいは政治家を信頼してないわけです。ですから、私はどうも今起きているこの政治不信というものを何とかしなきゃいけないといった場合に、今、政治家に求められているのは、これまでの政治常識をすべて捨てる、すべてと言うと言い過ぎかもしれませんが、捨てることから始めるというぐらいに、我々が考えて当たり前だと思ってきたことが全くもう世間に通用しない、現代に通用しないということを痛感するんですね。  その意味で、リクルートに対して、いろんな自民党の偉い先生方がいろいろと説明しますな、コメントを加える。みんなどこかおかしいなと私も思うときが多いんですよ。だからこそその人たちが消費税をと言ったところで、もう初めからアレルギーを起こしている。これが今回の消費税の定着を一番妨げているんだと、こう分析せざるを得ないので、実は私自身も非常に不愉快なんですね。消費税の説明をして仕組みやなんかをわかってもらったところで、だが待てよと、こういう受け取り方なんですよ。何でそんなものに一生懸命おれたちが協力しなきゃならないんだ、払いたくないよと言われると、それはそのとおりで、返す言葉がない。その辺で自分のそんな愚痴っぽいことを言ったって始まらないんですが、この永田町の常識を捨てるということから考えれば、総理が日ごろ口になさっている政治改革というのは、どうもひとりよがりで、国民の支持を得るところまではいってないと私は考えざるを得ないんですね。  ですから、やはりここらで出直すようなけじめのつけ方を別に考えていただく必要があるのではないか、そうしなければおさまらない、そういうふうに思いますので、最後にそのお答えをいただいて、終わりにしましょう。
  155. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、野末委員も選ばれた政治家であり私もそうであります。したがって、今、野末委員の御発言に対しましては、十分私どもの責任のあり方として私どもの心の中には置いておくべきものであるというふうに思っております。
  156. 野末陳平

    ○野末陳平君 終わります。
  157. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 以上で野末陳平君の質疑は終了いたしました。
  158. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、下村泰君の質疑を行います。下村泰君。
  159. 下村泰

    ○下村泰君 この委員会が始まってから、総理の政治改革とか政治倫理とか、あるいはリクルートに絡むことに関する姿勢がたびたび問われているようでございます。私はできるだけ同じことを重複しないように質問をさせていただくつもりだったんですけれども、やはり何となくお尋ねしなきゃならないようなことが出てまいります。そこで、まことに申しわけございませんが、同じような質問になるかもわかりませんけれども、ひとつお答え願いたいと思います。  私の感覚というのは、本当に国会用語もよく知りませんし、議員用語というのもよくわかりませんし、本当に庶民の感覚で伺いますので、お腹立ちのことがあるかもわかりませんがお許し願いたいと思います。  総理は、政治家になってよかったと思われることはどういうようなことでしょうか。
  160. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 腹を立てるようなことはございませんので、その点は徹底的な御叱正をいただいて結構でございます。  政治家になってよかったと思ったことがあるかと。これは素朴な感情として初当選したときの喜びとかいうようなものはございますが、私は若いころから政治家になろうと志しておりまして、私の考えている、たとえささやかな問題であっても、政策が実現されていく中の何百分の一かの参画をして一つの政策ができていくというようなことには喜びを感じております。
  161. 下村泰

    ○下村泰君 それでは、政治家をやめようと思ったことがありますか。あればどんなことでしょうか。
  162. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、倫理綱領ができましたときに、果たして自分がその倫理綱領の中へ埋没、どっぷりつかっているだけの自信があるかと自問自答したときに、やっぱりバッジを外すべきかな、別の職業を選ぶべきかなと、こういう感じを持ったことはございます。
  163. 下村泰

    ○下村泰君 そうしますと、今のリクルート問題で種々総理が責められておりますけれども、そのときの御心境にやや似ていますか、今、状態が。
  164. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いつも申し上げますように、私の内閣のときに起きた問題でございますので、私は逃げて通れない問題だというふうに自分に言い聞かせておるところでございます。したがって、最初御心配いただいた言葉そのもののように、絶対に腹を立てないつもりでおります。
  165. 下村泰

    ○下村泰君 総理が思っていらっしゃる、国民はどんな政治家を理想として求めているとお思いなんでしょうか。  それと、総理が目指す本当の意味の政治家というのはどういう姿なんでしょうか。
  166. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、政治家というのはしょせん選挙という基盤によって選ばれるわけ でございますから、有権者一人一人のお気持ちというのは多種多様であろうと思います。下村委員がみずからを限定された、いわば庶民性と申しますか、そうしたことも有権者の側から見ればやっぱり選択の大きな基準であったと思うわけでございます。  されば、みずからはどのような政治家になればいいかということについては、高邁な理想をここで申し上げるつもりはございませんが、普通の人が政治というものに参画できて、その普通の人が普通の人にまた信頼を受けるようになればいいと、このような考え方は従来とも持ち続けてまいりました。
  167. 下村泰

    ○下村泰君 実は、昨年、こんなアンケートがあったんです。ある映画会社の「バカヤロー」というタイトルのついた映画がございまして、それを上映するときにお客さんからアンケートをとりました。今あなたがばかやろうと叫びたい相手はということでアンケートを求めまして、応募のあった中から男女各五百人ずつ、計千人の回答を無作為抽出したんです。その結果、怒りの対象として挙がったワーストスリーは政治と政治家なんですね。これが一番多いんです。その「政治・政治家への怒りは税金問題が圧倒的に多く」、そして次が「うそをつく」「私腹を肥やしている」、こういうイメージで非常に「不信感が目立つ」、こういう言葉になるんです。  そして、これはある記事なんですけれども、こういうことが出ていますね。これは世田谷の方で食堂を経営していらっしゃる方がおっしゃったそうです。   「政治は最高の道徳といわれるが、今の政治家には禁欲ということがない。いわば前頭葉のない政治ですよ」   ゼントウヨウ=大脳半球の一部。高等なほ乳動物ほど発達し、特にヒトに著しい。高等な精神作用を営む場所。この「前頭葉のない政治」、これが行われていると、こういうような記事が出ています。  この二つのことは、私が本当にちまたで国民の、私もその国民の一人なんですけれども、庶民の声がこれを象徴していると思います。ゆうべもちょっと、あるすし屋さんでお話ししていたんですが、そこに来ているお客さんが私の顔を見て、消費税を何とかしろとか、竹下さんは何やっているんだと。私に言われたって困るというんですよ、私は本人じゃないんだから。といって、総理の弁明をする立場でもないですし、早くおやめになった方がいいのじゃないかななんて答えてはおきましたけれどもね。  だから、何といいますか、政治改革というのは、政治の理想を志して、それに向かって命をかけて取り組む政治家が育つ環境をどうやってつくるか、これが大きな問題だと思うんですけれども総理はどういうふうにお考えになりますか。
  168. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 評論家の立場ではなくして、今おっしゃっているそれぞれのお話というのは私にもよく理解できる話でございます。  みずからを反省することの中の一つとして、私自身が広大な理想を抱いて政治家として踏み切っただろうかという反省もしてみました。あるいは早稲田大学という政治家と新聞記者の大変多い大学におって、何となく政治好きな一青年にすぎなかったのかなと、そういう反省もいたしておりますが、しかし、国会へ出ましてからもう三十年も過ぎました。その中で、私なりの使命感というものはそれなりにやっぱり抱いてきておる道もあるな、そして理想とかけ離れた過去もあるなと、こういうことを反省しながら今日に至ったというふうに思っております。
  169. 下村泰

    ○下村泰君 先ほど来からいろいろと言われていることなんですけれども、一番やりにくい問題、国会として非常にやりにくい問題、また政治家として非常にやりにくい問題、この一番やりにくい問題から取り組んでいくというのが、意外と私は政治改革に向かっていく一つの道ではないかと思うんですね。  それには、いっかも申し上げましたけれども、定数是正、これなんかも緊急の問題だと思います。やるやると言いながらなかなかできない問題、これを一番先に手がけるということが大変な問題だと私は思います。  それから、政治資金の明朗性でしょうか、これもそうだと思います。国民の側からいいますと、一番腹の立つのは何だろうかといったら、自分たちの手の届かないところで勝手に銭が動いて、勝手にもうかっている姿というのは、こんなに腹立たしい姿というのはないんですよね、一般の庶民から言わしむれば。私なんかでもそういうふうに思います。ですから、そういうことがきちんとされるには一体どうすればいいんじゃろうか、まずこれを真剣に考えなければいけないと思います。  ですから、やれないこと、あの人たちはやれっこないよ、口の先だけなんだと言われていることからまず手初めにやらなきゃならない。としますと、定数是正やなんかは一番最初に手がけなければならないことなんですけれども総理はどういうふうに思っていらっしゃいますか。
  170. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 定数是正という問題をいきなり正面から問われますと、私もかくかくしかじかというお答えをするには……、私は確かに選挙学の博士でございます。しかし、それはいわゆる学術上の学位があるだけでございまして、現実問題としての定数是正という問題になりますと、やはり衆議院における決議の問題とか、そういうところから入っていかなきゃなりません。そうすると、その決議というものに沿ってどのように展開していくかということは、行政府の立場にある者としては、直ちにここでお答えするわけにはいかないというふうにお答えせざるを得ないと思っております。
  171. 下村泰

    ○下村泰君 総理立場からいろいろとおありでございましょうけれどもね、具体的には党議拘束をなくすとか、議会中継をふやすとか、あるいは公営選挙を徹底するとか、立法のあり方を考える等一つ一つ積み重ねていくことが、やはり国民に向かって私たちもこうやっているんですよという姿を如実に示す一つの姿勢ではないかと思うんです。こういう問題はまだまだこれから先も続いていくと思いますので、よろしくお願いします。  さて、次に移りますが、島田事件についてちょっと伺います。  去る一月の三十一日、静岡地裁においていわゆる島田事件の再審無罪判決が言い渡されましたけれども、その経緯と現状についてちょっと法務省の方からお伺いしたいと思います。
  172. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) この事件は、昭和二十九年の三月に起こった事件でございまして、静岡県下で六歳の少女が強姦されまして、傷を負って、首を締められて殺されたという事件でございます。  犯人は、昭和二十九年の六月にこの事件で逮捕されまして、六月十七日に強姦致傷殺人で静岡地裁に起訴されたわけでございます。  そして、昭和三十三年五月に静岡地裁で死刑になりまして、それから昭和三十五年の二月に東京高裁で控訴棄却、それから三十五年の十二月に最高裁判所で上告棄却になりまして、三十六年の一月二十六日に本件の死刑判決が確定したわけでございます。  ところが、この件につきまして被告人の方から再審の請求がございまして、四回にわたって再審の申し立てがされているわけでございます。そして、第一次、第二次、第三次の再審はいずれも請求棄却となったわけでございますけれども、第四次の再審におきまして、静岡地裁におきまして再審の開始決定が行われ、即時抗告がなされましたけれども、即時抗告が棄却されまして、第一回の再審が昭和六十二年の十月に公判が行われまして、自後、十数回にわたって再審裁判が行われ、本年一月三十一日に静岡地裁において無罪の判決がございまして、二月十五日に確定したという経緯でございます。
  173. 下村泰

    ○下村泰君 実は、この裁判に私が注目しておりますのは、この被告人の赤堀という方なんです。赤堀さんが、これは実は知恵おくれなんですよ、 この方は。この知恵おくれの方が捜査段階で無理やりに犯人に仕立てられたという感じなんです。ですから、静岡地裁の再審の判決文の中にこういう言葉が載っています。「被告人が軽度の精神薄弱者で、感情的に不安定であり、自分の主張が通らないと感情的になり、拘禁されるような環境に置かれた場合に心因反応を起こしやすいと診断されていることを考えると、本件についてはいっそうあてはまるといわなければならない。また、目撃者の証言によって、被告人が被害者を連れ出したとまで認定することはできない」。要するに、裁判官の方もこれを認めているわけです。  こういうことが間々あるんですね。目が不自由であるとか、耳が聞こえないとか、知恵おくれであるというのは、いわばコミュニケーションの障害になるわけです。それで、この捜査とか裁判などに大変なハンデをしようわけです。現在も係争中のものがあります。  それから、岡山地裁の方では、聴覚障害者であるがために黙秘権なども保障されない。それから、言われていることがさっぱりわからないというようなことで、岡山地裁の方では控訴棄却という判決も出ております。  ですから、こういったことが裁判の中で行われているということは、こういう方たちにとっては、うっかりしていると、無罪であるのにもかかわらず犯人に仕立てられるというケースが大分あるように思えるんです。ですから、こういうことのないようにひとつお取り計らい願いたいと思いますが、法務大臣、いかがでしょうか。
  174. 高辻正己

    国務大臣(高辻正己君) ただいまの御指摘の点はよくよく留意しなければならぬことだと思います。  今までの捜査の段階でも無論そういう点は留意をしていると思いますけれども、さらに御指摘のような点については意を込めて注意してやらなきゃいかぬと思います。  いずれにしましても、この事件は再審で無罪となりましたことでございます。その結果につきましては、検察当局でも今後の処理の心構えに十分に反映さしていただくことになると思いますので、御了承願いたいと思います。
  175. 下村泰

    ○下村泰君 うっかりしていますと、よく警察の方は、自分のところの手柄を上げるために、焦って犯人づくりなんてしないとも限りませんから、十分に気をつけていただきたいと思います。  時間がなくなりましたので、恩赦のことはやめまして、ちょっと祝日について伺いたいと思いますが、厚生大臣、アメリカで十月十五日が休日なんですけれども、これはどんな日かおわかりになりますか。これは御通告してないからおわかりにならないと思います。
  176. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) わかりません。
  177. 下村泰

    ○下村泰君 別にわからないからといって揚げ足を取る気持ちはございませんから。  答えは、クイズみたいですけれども、白いつえの日なんです、これは。障害者のための休日になっているんですね。日本にも十二月の九日は障害者の日というのがございます。こういったことを休日にすることによって国民にPRし、それからあるいは啓蒙するというようなこともできると思うんですが、官房長官、いかがですか。
  178. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 十二月九日、障害者の日を祝日にするということにつきましては、障害者に対する理解と認識を深める上で一方策だというふうに考えておりますが、実は先般、祝日法を改正いたしまして、祝日がまた増加いたしまして、我が国の祝日が年間十三日になっております。  そこで、いろんな日にちなんで祝日を設けて、そのことによって国民の皆さんの意識を向上させるということも大変結構な考え方だとは思いますが、反面、また祝日がふえることによりまして、中小企業を含めましていろいろ必ずしも賛成論ばかりでございません。しかし、せっかくのことでございますので、この日を祝日にしたらどうかということにつきまして検討いたしてみたいと思います。
  179. 下村泰

    ○下村泰君 まだちょっとしゃべれるようですからお尋ねいたしますが、恩赦の件なんでございまするけれども、どうもこの恩赦というのは、今、勝手に行政の方が立法府に踏み込んでいくような形になって何か施行しているような感じがするんです。しかも、大抵対象が選挙違反者の復権、これが一番多いんです。  こういうことに対して、私はもう少し恩赦のあり方を考えなきゃならないような気がするんですけれども総理はいかがでしょうか。  これでおしまいにします。
  180. 高辻正己

    国務大臣(高辻正己君) 過般の御大喪恩赦につきまして、あるいは御批判があるかもしれませんが、あれもいろいろな世論に耳を傾けながら、当局者としましてはそういう心を払いながら、御大喪を起因とする恩赦につきましては、あれで恐らく大多数の国民の御納得を得られたものだろうと私どもはそう思っておりますが、何が御指摘があれば承らせていただきます。
  181. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいま御説明申し上げましたように、御大喪恩赦というものについて種々世論等に耳を傾けながら決定したものであるということは、法務大臣からお答え申し上げたとおりでございます。  恩赦といえばすぐ選挙違反と。確かに選挙違反だけを対象にした大赦があった事実は、戦後も一回だけではございますが、ございます。したがって、世間も恩赦といえば選挙違反というふうに結びつけて考えがちのものでございます。  しかし、このたびの公職選挙法関係における恩赦というようなものは、いわば刑が確定した者に対する復権ということで、かつて国連恩赦でございますか、その際に行ったものとは質的にも、また対象人員においても大きく離れておるという事実はございます。
  182. 下村泰

    ○下村泰君 終わります。
  183. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 以上で下村泰君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  184. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、平野清君の質疑を行います。平野清君。
  185. 平野清

    ○平野清君 まず、総理にお伺いしたいんですが、その前に一問だけ、ちょっと先輩委員、同僚議員にお耳ざわりのところがあるかとも思いますが、お許し願いたいと思います。  先般の福岡参議院補選で社会党の方が大勝されたということは皆さん御存じでございます。私たちサラリーマン新党も参加をいたしまして、十六万票いただきました。選挙資金はわずか三百万円、それも十二万円残りました。共産党さんに迫ること一万票、自民党さんの候補は私たちの三倍ちょっとしかとれなかった。そういうような県民の意思表示ということについて、総理はどういうふうにお考えでしょうか。
  186. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、選挙学の問題でなく、実践選挙学に対する評価の問題であります。人様それぞれの評価があろうと思いますが、私ども立場から申しますならば、敗れた側に立って種々分析をいたしておりますが、他党の候補者の方もそれぞれ立派に戦われたという素直な評価を申し上げるべきものであると思っております。
  187. 平野清

    ○平野清君 どうも、県民の怒りというようなことが御認識ないようであります。ただ、余りにも時間がありませんので、単刀直入に御質問いたします。  最近、サラリーマンの方々が私どもの党にじゃんじゃん電話をかけてまいります。そのサラリーマンの意思ということで本日は話を進めていきたいと思いますけれども、石橋湛山さんという言葉を思い出されて、総理はどういうことを御連想になりますか。
  188. 竹下登

    国務大臣竹下登君) あるいは平野委員からのお尋ねに結びつかないお答えになるかもしれませんが、私の大学の大先輩だ、こういうふうに私は途端に考えるわけでございます。
  189. 平野清

    ○平野清君 どうも、私の言わんとすることを全然はぐらかしているのか、御認識がないのかわか りません。  石橋湛山翁、昭和三十一年にせっかく内閣総理大臣になられて、自分が病気だということを御認識なさって、たった六日で名誉ある総理大臣をおやめになっているわけです。そういう意味でサラリーマンの声は、竹下さん個人は健在かもしれないけれども竹下内閣はもはや重体である。それはもういろんな原因があります。宮城の問題、消費税の問題、リクルートの問題、いっぱいあると思います。そういう意味で私は、竹下さん御自身の肉体はともかく、竹下内閣というものは重体であるという判断に基づいて、ぜひこの際、石橋湛山翁の故事に倣って、正々堂々と解散をされるか総辞職をされるかという意味を込めて御質問申し上げたわけなんです。  もう一度お答えをいただければありがたいと思います。
  190. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私は、はぐらかす考えは全くございません。素朴な感じを言えとおっしゃいましたから、素朴な感じを申し上げただけでございますが。そして、先輩であると同時に、大隈会館へお見えになりました際に風邪をお召しになりましておやめになったという先輩であることも十分承知いたしております。  責任のとり方の問題につきましては、議席を持つお互い政治家としてありがたくその御意見は拝聴させていただきました。ただ、私自身の政治家としての責任のとり方につきましては、今、平野委員がおっしゃったことと違っておるということをあえて申し上げます。
  191. 平野清

    ○平野清君 それでは、消費税についてお伺いしたいと思います。  先般、大蔵大臣は代表質問のお答えで、消費税についての講習会はもう超満員である、非常に国民の関心が高いというふうにおっしゃられましたけれども、どうも私たちサラリーマンの感覚と違うんですね。消費税というものがわからないから会場が満員なんであって、それで、一般論はよく話がわかる。手を挙げて個々の業者が問題を聞きますと、講師がしばしば立ち往生してしまう、そういう場面が方々で報告されております。  それについて、もう一度大蔵大臣の御見解をお聞きしたい。
  192. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 先ほどの世論調査でもあらわれておりますように、消費税というものについてはかなり認識は深まっておりますが、税制改革については非常に認識が薄い、ここは一番問題だろうと思います。  それから、消費税につきましては、今までのところは、大体各種の団体からの要請に応じまして、二月十五日現在で一万八千回講師を派遣しております。その辺の成果を聞いてみますと、だんだん仕組みが今わかりつつあって、そして、消費税の仕組みがわかった上で、さらに今、細部の質問が出ている段階であるということを聞いているわけでございます。  推進本部ができまして、各省一致いたしまして懸命な努力をいたした効果が少しずつ出てきたな、こういうふうに考えて、この種の税でございますので、今後とも一生懸命に皆さんの御疑問にこたえ、そして円滑な実施に向けて努力してまいりたい、かように考えております。
  193. 平野清

    ○平野清君 大分周知徹底したと言いますけれども、あとわずか二十幾日で消費税が導入されるんですよね。しかも、まだそういう不安がいっぱいある。しかも、業者の方ばかり説明されて、四千三百万人いるサラリーマンにはちっとも説明がない。サラリーマンに対する説明会なんて聞いたことがありませんけれども、それはともかく、時間もありませんので。  それでは、消費税によって国は幾らぐらいの収入を見込んでいるんでしょうか。数字を見ればわかるじゃないかとおっしゃらないでお答えいただきたいと思います。
  194. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) 平成元年度の予算案では、消費税の収入見込み額が四兆五千二百二十五億円でございますが、そのうち国分が三兆六千百八十億円、地方に地方譲与税として差し上げるものが九千四十五億円でございます。  ただし、これは初年度ベースの話でございますので、平年度化したものといたしましては、六十三年度ベースで計算したものがございます。それで申し上げますと、平年度の消費税収見込み額が五兆四千億円、うち国分が四兆三千億円、地方分が一兆一千億円でございます。
  195. 平野清

    ○平野清君 そのうち、物品税などの間接税廃止による減収はどのぐらいですか。
  196. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) 六十三年度の平年度ベースで申し上げますと、既存間接税の廃止によりまして国分で二兆三千億、それから地方分で一兆一千億、合計三兆四千億の減税となる見込みでございます。
  197. 平野清

    ○平野清君 もう一度確認しますけれども、それじゃさらに、国が地方へ交付する地方交付税はどのぐらいでしょうか。
  198. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) 一兆円と見込んでおります。
  199. 平野清

    ○平野清君 そうしますと、純粋に国に消費税として入る収入は幾らでしょうか。
  200. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) 消費税の国分の税収が四兆三千億、間接税で二兆三千億の減税がございます。それから交付税で地方に一兆差し上げますので、六十三年度ベースで言いまして、国に純粋に残ります分が一兆円でございます。
  201. 平野清

    ○平野清君 今お聞きしますと、これだけの大騒ぎをして国に残る消費税というのは一兆円なんだそうですね。それで、そのほかに税務職員を、旧国鉄職員など大勢抱えて人件費はかかる。一円玉が足りなくなって十二億何千万枚つくる。一円玉のコストは一円何十銭か言えないといいますけれども、当然一円より高い金がかかる。恐らく相当な、一兆円よりも目減りがしていると思うんですね。  これだけ騒いだ消費税、私たちが政府のキャッチフレーズとして聞いたことは、この消費税はすべて高齢社会に回してくれるというふうに聞いていたんですけれども、じゃ、この一兆円は何にお使いになるんでしょうか。
  202. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) これは一般歳出に充てるわけでございます。
  203. 平野清

    ○平野清君 何か話が違うんですね。私たちが何回も何回もお聞きしているのは、この消費税をあれするのは、高齢社会に備えて皆さんに公平に軽い税を当てて、まあサラリーマンの普通の感覚で言いますと、政府が定額預金をしておいてくれて、それで二十一世紀に、毎年積み立てた金額を高齢社会に使ってくれるというふうな形でさんざん耳にしてきました。それを、消費税を導入して単年度ごとに歳出で使ってしまう。  じゃ、高齢社会に備えての消費税というお答えをした方、どなたでも結構ですが、サラリーマンにわかるようにもう一度説明してください。
  204. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 高齢化社会という問題については、税制改革全体像の中でこれが高齢化社会にこたえておると、こういうことを言っているわけでございます。  ということは、一つは、稼得所得に対して余りにも重くなりますとこれは大変なことでございます。それから、恐らくこれから年金の保険料の話でございますが、これも稼得所得にかけているわけですね。で、両々相まちましてこれが国民負担としてやはり考えられるわけでございます。日本の税制を考えてみますと、給与と事業所得の間には捕捉に差があるわけでございます。これがもう本当に我々は不公平だと思っているのでございます。その上に、稼得に余りかけてまいりますと、これはもうやる気を失うことは余りにも当然でございます。それが、国税であれ地方税であれあるいは社会保障負担であれ、国民はそんなことはもう全然わかりません。要するに稼得所得に強制負担がかかってきたと、こういう感じでございますから、これは避けねばならぬわけでございます。  そして、現在、消費税という個別消費税をとっている国というのはもう先進国にないことは御承知のとおりでございます。  そういったことからいいますと、むしろ消費に 比例的なもの、これを入れまして、同時に、現在の間接税の持っておるその不公平、これを根本的に改正していく、そして全体としては租税負担率を下げていく。これはもちろん景気がよくなったりしてまいりますれば別でございますけれども、改正そのものによってはやはりネット減税をやっていくと、こういうことで、高齢化社会に一つは租税体系全体としてこたえておる。  それから、もう一つあえて申しますれば、所得税、法人税というのは景気によりまして、特に法人税でございますが、非常な変動のあるものでございます。今度の消費税というのはそういうものでなくて、一番、何といいますか、収入としては安定性を持っておりますので、これもまた高齢化社会に向けて一般歳出財源としては適当なものであろう、こういうことで言っているのでございます。
  205. 平野清

    ○平野清君 消費税、国会を通ってしまったらもう途端に何かキャッチフレーズが変わってしまったように私たちは素直に受け取るんです。消費税がさんざん問題になったときには、本当に、もうサラリーマンのために、またサラリーマンを含めた国民のために、高齢社会に備えてぜひそれをやってほしいということでしたので、そういうふうに思っておりましたところ、単年度ごとに全部使ってしまうと。何か小さな政府が消費税によって大きな政府に変わってしまうんじゃないかというような危惧さえ持ちます。  時間もありませんので、消費税にまた後で戻るかもしれませんけれども、次に年金問題をお尋ねいたします。  私たちにはとても理解できないんですけれども、これだけリクルート問題を初め相当な政治疑獄が進展している中で消費税が強行された。その上で、あっと言う間に年金が六十歳支給が六十五歳になりそうだ。しかも保険料率を上げてくる。国民感覚からいって、消費税が高齢社会に備えてやってくれるんだと思い込んでいるところへ、ぱっと、もう六十五歳、保険料引き上げ、しかも保険料率も上げてくる。じゃ、これ減税分なんていうのは保険料率ですっ飛んでしまうわけですね。そういう、とても僕たちの普通平衡感覚ではわからないと言って、私ども非常に寒心しているんです、カンシンというのは寒い方ですけれども。  そういう意味で、保険料率の引き上げと消費税との対応といいますか関連というか、そういうものをお聞かせいただければと思います。
  206. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 私の方から。厚生大臣からは後で御説明があるかもしれませんが。  租税負担というのは、もう御承知のように、国の一般の歳出を広く薄くどのように負担してもらうのが最も公平であるかということでございます。そして、財政支出というものをできるだけ効率的にすることによって必要な税収というものをできるだけ少なくして、そしてそれを民需に反映さしていくと、こういうところにあるかと思うのでございます。  片方は、社会保険の数理に基づいた問題でございまして、国民としては一緒に感ずるかもしれぬけれども、全く違う原理によってやっているところでございます。
  207. 平野清

    ○平野清君 別の原理と言われますけれども、払ったり犠牲を受ける方は同じなんですよね。そこがどうも永田町とサラリーマン家庭やなんかの精神構造とでますますギャップが起きる。そこにリクルートやなんかの問題があるものですから、先ほどの話じゃありませんけれども、消費税なんか払うものかとか、消費税やったら業者の懐に黙って入ってしまって、僕たちの納めたものが国庫に入らないんじゃないかと、いろんな問題が起きてくるわけですが、そういう問題を問い詰めていきますと、もうあと時間もありません。  そこで、今、厚生大臣というお話がございましたので、厚生年金の保険料率を引き上げるという明確な根拠をまず示してください。
  208. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) ことしは五年ごとに行われる財政再計算期に当たりまして、将来の厚生年金を安定した揺るぎないものにするために、人口構造等を考えまして、現行の給付水準を維持したいならば、しかも将来の保険料負担というものをできるだけ低く抑える、いわば現在でも高いと言われている西ドイツ並み二六%程度に抑えたい。このまま六十歳支給を続けていきますと三〇%を超えてしまう。これは負担にたえ切れないであろう。将来、最も年金給付を受ける人がふえたときにおいてもできるだけ二六%程度に抑えたいということであるならば、しかも現行の給付水準を維持したいということであるならば、段階的に時間をかけて六十五歳に支給開始を繰り上げたい。そして、保険料の料率もことしは二・二%引き上げさしていただく。  これをもしだめだと、選択はいろいろあると思いますが、六十五歳がだめで現行どおり六十歳にしようという限り、しかも将来も三〇%を超える負担はいかぬ、何としてでも二六%程度に抑えろというならば、給付水準を今の七割程度から五割ぐらいに下げなきゃならない。それもだめだと。じゃ、給付水準を維持して、そして今のように六十歳のままでやれ、六十五歳に引き上げるなというのだったらば、一挙に今の一二・四%から二四%程度まで保険料を引き上げなきゃならない。これも大変な負担であろうと思います。そうならば、段階的に、現行の給付水準を維持するという形で時間をかけて早く一つの目標に向かって官民一体となって体制をつくった方がいいじゃないか。しかも、揺るぎない年金の信頼感も国民に持ってもらいたいということで、平成十年度から時間をかけて、将来平成二十二年度に六十五歳に引き上げるという案を今考えているわけであります。  これでいきますと、私は、早くそういう目標を設定するならば、国民はそれなりの準備も対応もできるんじゃないかと。今回、早過ぎるという方もおられると思いますが、私は、ことしこの六十五歳支給開始の法案が通りましても、昭和十三年四月一日以前に生まれた方、いわゆる現在だと五十歳以上の方は引き続き六十歳から年金は支給を受けられるわけであります。本当に六十五歳になるのは、昭和二十一年四月二日以降に生まれた方、ですから男だったらば現在四十二歳以下の方、女性だったらば三十七歳以下の方が六十五歳から支給になるということでありますから、十分対応できる。  その間、雇用環境というものも十分整備していかなきゃならない。しかも、これから六十歳雇用の状況も努力していかなければなりませんが、若年層の人口も減ってまいります。ですから、どうしても日本の社会、活力社会を維持するためには、やはり六十歳代前半の雇用環境を整備していく。同時に、六十歳以上の方も、できたら六十歳から年金生活に入らないで、もしいい職場があったらばやっぱり働きたいという非常に勤労意欲に富んでいる方々も多いということでありますから、私は、こういうことを避けて通れない、ならば早い機会にこういうことを国民にもわかってもらって、そのための理解を求めるための努力を政府全体でしていくべきではないかというふうに考えまして、今回ぜひとも厚生年金法の改正案を提出したいと考えているところでございます。
  209. 平野清

    ○平野清君 六十歳定年もほとんど六〇%台でとまっておりますし、造船とか不況のところは逆に下げている現象さえ起きています。その上でもっと問題になりますのは、国民年金の適用者のうち今でも一二%が免除を受けておりますね。それで、さらに一六%の人が滞納をしております。これから保険料率が上がっていけば、もっともっと国民年金から脱落していく人が出てくると思うんです。そういう重大な問題もよく御検討をいただきたいと思うんです。  そこで、この年金問題は消費税問題に次ぐ大きな国民的課題となってくると思います。そういう意味で、この問題を審議するに当たって、年金問題特別委員会というようなものを御設置になるお考えはないでしょうか。
  210. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今おっしゃいましたことこそ国会自身でお決めになる問題でございますので、行政府からとやかく申し上げるべき問題では ない、このように思います。  それから、その前の質問で、あえてこの場をかりましてお答えいたしますならば、国民福祉充実のためには安定した財源が必要であるというのが全会一致で昭和五十四年の十二月決議された財政再建に関する決議、当時私は大蔵大臣でございました。したがって、税体系全体がこの安定財源の確保ということに注がれておりますので、一時期いろんなお方の福祉目的税的御意見もあったことも事実でございますが、この消費税そのものを一般歳出に充てるというのは、これは今度の税制改革全体の中で当然お答え申し上げるべきことだという意味で大蔵大臣からもお答えがあったと思います。
  211. 平野清

    ○平野清君 ちょっと、時間がもう一分ございますので、もとに戻って消費税の問題についてもう一つお伺いいたします。  今、雇用問題でもって盛んに心身障害者、それから身体障害者の方を雇用促進ということで一生懸命職場につくようにやっておりますが、この消費税が導入されますと非常に端数が出てくるわけです。  それで、ある事業所から電話がありまして、私のところは非常に知恵おくれの方を率先して窓口に使っている、そのために、なるべく端数は企業内努力によってやめているんだ、そこへ三%の消費税がかかってくればどうしても端数が出る、それを自分たちの企業努力でやることはもう限界である、例えば三千六百円いただいたものが三千七百八円なんというふうになったら、その人たちは計算ができないと。そういうような電話も何件かございます。  消費税がそういうところまで及ぶんだということだけは、厚生省や労働省の方はぜひ気を配っておいていただきたいというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  212. 竹村毅

    政府委員(竹村毅君) 先生御指摘のとおり、最近、精神薄弱者につきましても六十二年から法改正いたしまして、雇用率制度上は身体障害者とほぼ同様に取り扱うことといたしておりますし、各種助成措置も適用いたしまして、その雇用の促進等、安定に努めているところでございます。  しかしながら、昭和五十八年に私どもで実施いたしました実態調査によりますと、精神薄弱者のうち、全体の七四・五%がいわゆる製造業で雇用されているという結果が出ております。その障害の特性から見まして、生産現場で就労する者や、その補助的な仕事に就労する者が一応大部分であるというふうに考えております。  したがって、御指摘のような事例は、私どもといたしましては極めて少ないと考えておるところでございますけれども、もし御指摘のような事態が生ずるおそれがある場合には、個々のケースに応じまして、公共職業安定所や各都道府県に設置いたしております地域障害者職業センターにおける日常的な事業主指導の中で、例えば職務内容の工夫をするとか、そういうことなどにつきまして具体的な助言、指導を行い、精神薄弱者の雇用の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。
  213. 平野清

    ○平野清君 終わります。
  214. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 以上で平野清君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。質疑は終局したものと認めます。     —————————————
  215. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) それでは、これより昭和六十三年度補正予算三案に対する討論に入ります。  討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。本岡昭次君。
  216. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となっております昭和六十三年度補正予算三案に対して反対の討論を行うものであります。  反対の第一の理由は、政府の税収見積もりが余りにもずさんなことであります。  近年、政府の税収見積もりは過小見積もりの連続で、実際の税収実績は、六十一年度に二兆四千三百六十八億円、六十二年度には三兆七千百九億円も政府の見積もりを上回っていたのであります。本年度においても、当初見積もり四十五兆九百億円を大幅に上回る税収が見込まれ、本補正予算では二兆円の減税をのみ込んで、なお三兆百六十億円の増額修正が行われているのであります。  竹下総理は、かつて大蔵大臣当時に、税収見積もりの違いも一%程度は誤差のうちと言われました。しかし、最近の政府の見積もりは五%から一〇%近く違っており、極めて異常であります。すなわち、消費税導入の根拠とするために、政府が故意に税収を低目に見積もったと言わざるを得ないのであります。国民の目を欺こうとする政府のこそくなやり方は厳しく糾弾されねばなりません。  反対の第二の理由は、本補正予算が本来、当初予算に計上すべき経費まで盛り込み、補正予算の範囲を逸脱していることであります。  今回の補正予算では、厚生保険特別会計への繰り入れ一兆五千七十八億円、貿易保険特別会計への繰り入れ九百億円などが計上されておりますが、これらの経費は、財政法二十九条に規定する義務的経費でも当初予算成立後の事情変更によるものでもなく、到底認めることはできません。好調な税収を背景としたこれらの場当たり的な歳出増加により、今回の補正額は五兆一千五百二十億円にも膨れ上がり、前代未聞の規模となっているのであります。  シーリングで当初予算は抑制し、枠のない補正予算で追加する、財政法の精神を無視した政府の財政運営には断固反対するものであります。  反対の第三の理由は、本補正予算に消費税を強行するための導入対策費が計上されていることであります。  昨年の税制改革関連法案の審議における衆参両委員会での強行採決が議会制民主主義を踏みにじる暴挙であることは言うまでもありません。しかるに政府は、その六法案を撤回しないばかりか消費税導入の既定路線化をもくろんでおり、そのやり方は言語道断であります。  これまでの審議状況に照らしても、消費税については、相次ぐ地方自治体の消費税転嫁見送り一つを見ても、国民の理解も合意も得られていないことは明白であります。政府の公約した逆進性は解消されず、消費者の納めた消費税が五千億円も国に納入されない仕組みをつくり、税の負担者、納税事業者間に不公平を一層拡大させていく弱肉強食の悪法を無理やり導入しようとすれば、国民生活に混乱を起こすことは間違いありません。  政府は、国民の大きな批判を真摯に受けとめ、消費税の導入実施を今すぐ中止し、まず、資産課税、企業課税など不公平税制の徹底的是正を行うべきであります。  最後に、リクルート疑惑の一掃と政治浄化確立を目指し、竹下総理みずから進んで疑惑の徹底解明を行うとともに、地方に対しては単なる交付税のばらまきでなく、まず、地方への行財政の権限移譲を図ること、防衛費のGNP一%枠は厳守することを強く政府に要求して、私の反対討論を終わります。(拍手)
  217. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、野沢太三君。
  218. 野沢太三

    ○野沢太三君 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となりました昭和六十三年度補正予算三案に対し、賛成の討論を行います。  時宜を得た財政出動が効を奏し、景気は内需を中心に順調に拡大を続け、雇用情勢も一段と改善を見ております。他方、景気拡大を背景に税収も好調に伸び、懸命なる歳出節減への努力と相まって、赤字国債依存体質からの脱却もほぼ確実となってまいりました。内需の拡大、財政再建といった現在の我が国の最重要課題に見事にこたえたことを私は高く評価するとともに、困難な状況にありながらこれらの課題の克服に向けて払われた政府の労を多とするものであります。  本補正予算案においても、赤字国債を一兆三千八百億円減額し、財政再建に向けさらに歩を進め ております。同時に、厚生保険特別会計等への国庫負担の繰り延べについても、その一部を返済することとし、一兆五千七十八億円の計上を行いました。  今回の補正予算の額は五兆一千五百二十億円と大型ではございますが、国民の要望と地方の希望を満たし、財政の健全化を進める適切な規模と判断するものでございます。  主たる追加は税収の増加に伴う地方交付税交付金の二兆一千二百五十六億円であり、このほか、災害復旧を速やかに行うための事業費四千百八十六億円、消費税創設等税制改革関連経費千六百二十五億円、給与改善費千四百四十四億円、農産物輸入自由化に伴う対策費、貿易保険特別会計への繰り入れなど、いずれも国民生活に極めて関係が深く、また、困窮する累積債務国の救済にかかわるもので、速やかに処理しなければならないものばかりであります。  消費税導入を目前に控えた今、逆進性など消費税に対する国民の懸念を解消し、その円滑な実施が図られるよう速やかなる対策が求められております。本補正予算案では、低所得者層や寝たきり老人世帯への一時金の支給、中小企業の納税事務増加への対策費の計上など実にきめ細かな配慮をし、この懸念を解消するための努力がなされています。私は、国民の新税に対する理解が深まり、協力が得られるものと確信する次第であります。  農産物の自由化は、調和のとれた国際関係を形成し、世界経済の安定的発展に資するため必要なことでありますが、同時に、国内の農業経営者の立場も十分踏まえた措置を速やかにとる必要があります。農産物自由化によって影響を受ける農家経営の安定や農業の体質強化、地域活性化を図るため生産、加工、流通等にわたる国内対策を緊急に行うこととして、本補正で措置をとったことはまことに適切であります。  また、貿易保険特別会計への繰り入れば、現在停止されている累積債務国向けの保険を再開するための措置であります。貿易保険の財政基盤の強化を図り、保険を再開することにより民間資金の還流を促進しようとすることは、発展途上国の切実な要望にこたえるものであり、これらの国々にとってまさに朗報であろうと思われます。  さらに、総理みずから提唱されたふるさと創生が具体化されております。地域の活性化のため、市町村に一律一億円を配分し、みずから考え、みずから実践する地域づくりに役立てようとするもので、本補正予算ではその一部を地方交付税交付金として配分することにしております。中央依存になりがちであった従来の地域政策と異なり、地方独自の発想を重視するという新機軸が打ち出され、私は二十一世紀に向けての新たな地方自治の展開であると高く評価いたします。  以上申し上げましたように、昭和六十三年度補正予算三案は、十分満足のいく編成がなされており、最善のものであると確信する次第であります。  これをもちまして私の賛成討論を終わります。(拍手)
  219. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、及川順郎君。
  220. 及川順郎

    ○及川順郎君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和六十三年度補正予算三案に対し、反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、消費税導入にかかわる経費を盛り込んでいることであります。  現在、全国の自治体では、消費税導入に伴う公共料金や手数料の値上げを行わず、地域住民への転嫁を回避しようという動きが広がっております。これは消費税導入について国民の反対がいかに強いかを示すものであり、もし政府・自民党が強行した四月実施を既定路線とすれば、大混乱が予想されるところであります。私は、改めて消費税の撤廃を強く要求するとともに、本補正予算案に盛り込まれた消費税の執行準備金や広報関連予算などの削除を求めるものであります。  反対の第二の理由は、政府が前年に引き続き税収の大幅な過小見積もりをしていることであります。  税収や成長率の過小評価をもとにした予算は、社会資本の不足、さらには実力以上の投資を控えるなど、内需の抑制につながり、国民生活に大きな弊害をもたらすことは言うまでもありません。ここ三カ年の推移を見ますと、六十一年度には一兆三千億円、六十二年度には五兆六千億円もの過小見積もりを政府はしております。本補正予算案でも三兆円を上回る増額修正が行われております。実に三年間の政府の見込み違いは累計十兆円にも上らんとしております。このような巨額の過小見積もりは、見方によっては、消費税を導入するため、あるいは減税を値切るために意図的に行ったのではないかとさえ指摘されるところであり、政府の責任は重大であります。むしろ、税収が堅調な伸びを示しているときにこそ内需を拡大し、一方では福祉、文化、教育関係予算、パート労働法制定など、労働環境整備を含む関係諸施策に厚い予算措置をすべきであります。こうした点に配慮の欠ける本補正予算案を認めることはできません。  反対の第三の理由は、歳出面で、本来平成元年度予算に計上すべきものを便宜的に本補正予算案に計上していることであります。  すなわち、宇宙開発事業団出資金、海外経済協力基金出資金、貿易保険特会繰り入れ、厚生保険特会繰り戻しといった歳出は、本来補正予算案に計上されるべきものでないことは財政法二十九条からも明らかであります。単に財政にゆとりがあるからとの理由だけでこのような歳出を計上することは、場当たり的かつ違法な措置であります。法で定められた財政制度を逸脱した今回の補正予算案に対し、我々は断固反対するものであります。  反対の第四の理由は、本補正予算案において建設国債五千六十億円を計上していることであります。  政府は、本補正予算で赤字国債一兆三千八百億円の発行を取りやめ、財政再建のめどが立ったと称しながら、一方では五千六十億円の借金をつくっているのであります。先ほども述べましたように、本補正予算案では、本来補正予算に計上すべきでない経費を計上しており、その一方、歳入にゆとりがあるにもかかわらず借金をするというのは、だれの目から見ても明らかな矛盾であります。しかも、政府は平成二年度の赤字国債からの脱却後は、建設国債の発行を縮小すると言っており、本補正予算案で建設国債を増発するということは全く理解できないところであります。我々は、このような補正予算案を断じて認めることはできません。  反対の第五の理由は、防衛費の節減を十分に行わず、防衛費の対GNP比一%枠突破を既定路線化しようとしていることであります。  既に我が国は、世界有数の防衛大国になっております。今日、世界的な軍縮ムードが流れる中で、ひとり我が国がその流れに逆らい、昭和六十二年度、六出二年度とGNP比一%枠突破を既定路線として防衛費を拡大させていることは、世界の歴史的な流れに逆行するものであり、我々は断じて容認することはできません。改めて一%枠突破分についての削減を強く要求するものであります。  以上、本補正予算案の主な問題点を指摘し、反対の理由を申し述べました。  最後に、私は、不公平税制の是正と消費税の撤廃、リクルート疑惑の徹底解明を再度強く主張いたしまして、反対討論を終わります。(拍手)
  221. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、近藤忠孝君。
  222. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、内閣提出の一九八八年度補正予算三案について、反対討論を行います。  リクルート疑惑は、竹下中曽根二代にわたる政権の中枢が、実質的な現金贈与に相当するリクルートコスモスの未公開株譲渡を受け、また、スーパーコンピューター導入をめぐっては、日米首脳会談まで絡んだロッキード事件以上の国際的な一大疑獄事件の様相を呈しており、既に逮捕された者十名、事情聴取を受けた者延べ一千名に達 し、引き続き政官界に捜査が及ぼうとしております。まさに、リクルート疑惑の徹底解明こそ、竹下内閣が第一に果たさなければならない最も緊急かつ重大な責務であるはずであります。  しかるに、竹下総理は、みずからが重大な疑惑の当事者となっているにもかかわらず、言を左右にして、今に至るも国会資料を提出せず、疑惑隠しとしか思えない態度をとっていることは言語道断であります。また、中曽根総理に至っては、虚構に満ちた記者会見なるものを行ったものの、その後、矛盾が次々と露呈し、証人喚問の必要性が一層高まっていることは、本委員会の審議によっても明白であります。  今、国民はリクルート疑惑の徹底解明を強く求めており、竹下内閣はこれに真剣にこたえる責任があるのであります。もし、これにこたえられないというのであれば、内閣総辞職、国会解散、総選挙以外にないではありませんか。我が党は、国民の切なる声を代弁し、このことを改めて強く要求するものであります。  本補正予算三案について言えば、まさにこの予算は、公約違反、国会決議違反を犯し、圧倒的多数の国民世論の反対を真っ向から無視して強行した消費税法を、円滑実施と称して国民に押しつけようとするものであり、断じて認められません。全国二十一都道府県が何らかの形で四月一日からの公共料金への消費税転嫁見送りを決めていることだけを見ても、消費税が廃止以外にない欠陥税制であることは明白であります。この際、消費税法の速やかな廃止を強く要求するとともに、大企業、大資産家、高額所得者優遇の不公平税制の抜本的な是正と、課税最低限の引き上げによる三兆円規模の所得減税を重ねて強く要求するものであります。  第二の反対理由は、軍事費をさらに増額し、核及び通常戦力の軍縮という世界の流れと国民の願いに逆行していることであります。日本の軍事費は世界第三位という軍事大国となっており、我が国政府自身が賛成してきた軍事費削減の国連決議に反しており、軍事費大幅削減は政府の当然の責務であります。  第三は、ふるさと創生資金なるものの地方自治体への一律一億円ばらまきは、もともと地方自治体の固有の財源である地方交付税の一九八七年度剰余金を、政府が勝手な名目で恩着せがましく配分するものにほかなりません。しかし、本当にふるさと創生を言うのであれば、まずもって国庫負担金の一律カットの恒久化を直ちにやめ、補助率をもとに戻すべきであります。  第四は、農産物輸入自由化等関連対策費なるものの大部分はミカン農家の廃作転作奨励金であり、事実上のミカン農家取りつぶし推進予算にほかなりません。政府が進めている自由化推進政策の抜本的な見直しと転換こそが緊急の課題であります。  第五は、当初予算で削った生活保護費を、さらに三百五十八億円も削減する福祉切り捨て予算であります。  以上、大軍拡、大企業奉仕、国民いじめの本補正予算案に反対の態度を表明するとともに、消費税法廃止、リクルート疑惑の徹底解明、国民生活優先の予算の実現を強く要求して、反対討論を終わります。(拍手)
  223. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、勝木健司君。
  224. 勝木健司

    ○勝木健司君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております昭和六十三年度補正予算三案に対して反対の討論を行うものであります。  反対する第一の理由は、今、重大な政治問題となっております消費税に対する政府の施策が極めて不十分な点であります。  消費税は、国民の強い反対にもかかわらず、自民党による強行採決によってこの四月より導入されることになっております。このまま消費税が導入されますと、さまざまな混乱が生じるおそれがあります。納税義務者である法人などは、消費税分を転嫁できるか否か危惧の念を抱いているのも否めない事実であります。この消費税は余りにも欠陥だらけの間接税でありますので、消費者対策はもとより、各業種対策は万全にしなければなりませんが、しかしこの予算では、臨時福祉特別給付金など一部につきましては評価できるものの、全体的に見ますと国民各層の期待にこたえた消費税対策がなされていないと断ぜざるを得ません。私は、消費税導入により国民生活や経済に混乱が生ずるのであれば、直ちに抜本的に欠陥を是正するよう強く要求いたします。  反対する第二の理由は、不公平税制の是正について極めて不十分なものにとどまっており、国民の期待にこたえていない点であります。  さきの税制改革において、キャピタルゲイン課税や医師税制の特例など一部は是正されたものの、なお国民の批判の的になっている不公平にはメスが入っておりません。最近の土地と株式の高騰によって資産保有のアンバランスが社会的な問題となっております今日、最大の政治課題とも言える土地税制の抜本的改革、資産課税の強化を見送ったことは、政府の無為無策を如実に示すものであり、断じて容認できません。  反対する第三の理由は、行財政改革に満足すべきものが見られない点であります。  政府は、赤字国債脱却のみにこだわり、一律削減や厚生年金の国庫負担の繰り延べなど、見せかけの歳出削減に終始しております。こうした措置は直ちにやめて、本格的な行財政改革を強力に推進すべきであります。すなわち、補助金行政の抜本的見直し、中央省庁の統廃合、公務員の大幅純減、地方出先機関の整理合理化、規制緩和の適正化などでありますが、これらにつきましての改革がなされていないことは極めて不満であります。国民は、行財政改革がおろそかになり、消費税率が安易に引き上げられることを何よりも危惧いたしております。  また、新たな財政計画を策定すべきものであると求めてきたにもかかわらず、これにこたえていないことは政府の怠慢であります。  反対する第四の理由は、今日の緊急課題である内需拡大の推進、対外貿易摩擦の解消、ゆとりと潤いのある国民生活づくりなどを実現するには甚だ不十分であり、国民の期待を裏切るばかりか国際公約にも背くものとなっている点であります。  我が国は、マクロの経済統計で見る限り世界でも有数の豊かな国であると言えますが、しかし国民の日常生活に目を向けてみますと、経済指標にあらわれた豊かさが隅々にまでわたって反映されていないことを強調せずにはいられません。  なお、政治改革の問題について一言申し上げます。  昨日、NTT真藤会長が逮捕され、リクルート事件の捜査は大きな山場を迎えつつあります。リクルート問題の発生以来、政治に対する国民の信頼は大きく損なわれ、政治倫理の確立と政治改革の推進は緊急の課題となっております。したがって私は、まず政府・自民党が総力を挙げ、不退転の決意を持ってこの課題と取り組むよう強く要求するものであります。  最後に、政府・自民党による積年の場当たり的農政により、日本の農業は衰亡の危険性をはらんでいるにもかかわらず、本案の農産物自由化対策は全くもって不十分なものでありますことを厳しく批判いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
  225. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  昭和六十三年度一般会計補正予算昭和六十三年度特別会計補正予算昭和六出二年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の方は起立を願います。    〔賛成者起立〕
  226. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 多数と認めます。よって、昭和六十三年度補正予算三案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これ を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  227. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  228. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  平成元年度総予算三案審査のため、委員派遣を行うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  229. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十七分散会