○及川順郎君 私は、公明党・国民
会議を代表して、ただいま議題となりました
昭和六十三年度補正予算三案に対し、反対の討論を行います。
反対の第一の
理由は、消費税導入にかかわる経費を盛り込んでいることであります。
現在、全国の自治体では、消費税導入に伴う公共料金や手数料の値上げを行わず、地域住民への転嫁を回避しようという動きが広がっております。これは消費税導入について国民の反対がいかに強いかを示すものであり、もし政府・自民党が強行した四月実施を既定路線とすれば、大混乱が予想されるところであります。私は、改めて消費税の撤廃を強く要求するとともに、本補正予算案に盛り込まれた消費税の執行準備金や広報関連予算などの削除を求めるものであります。
反対の第二の
理由は、政府が前年に引き続き税収の大幅な過小見積もりをしていることであります。
税収や成長率の過小評価をもとにした予算は、社会資本の不足、さらには実力以上の投資を控えるなど、内需の抑制につながり、国民生活に大きな弊害をもたらすことは言うまでもありません。ここ三カ年の推移を見ますと、六十一年度には一兆三千億円、六十二年度には五兆六千億円もの過小見積もりを政府はしております。本補正予算案でも三兆円を上回る増額修正が行われております。実に三年間の政府の見込み違いは累計十兆円にも上らんとしております。このような巨額の過小見積もりは、見方によっては、消費税を導入するため、あるいは減税を値切るために意図的に行ったのではないかとさえ指摘されるところであり、政府の責任は重大であります。むしろ、税収が堅調な伸びを示しているときにこそ内需を拡大し、一方では福祉、文化、教育
関係予算、パート労働法制定など、労働環境整備を含む
関係諸施策に厚い予算措置をすべきであります。こうした点に配慮の欠ける本補正予算案を認めることはできません。
反対の第三の
理由は、歳出面で、本来
平成元年度予算に計上すべきものを便宜的に本補正予算案に計上していることであります。
すなわち、宇宙
開発事業団出資金、海外経済協力基金出資金、貿易保険特会繰り入れ、厚生保険特会繰り戻しといった歳出は、本来補正予算案に計上されるべきものでないことは財政法二十九条からも明らかであります。単に財政にゆとりがあるからとの
理由だけでこのような歳出を計上することは、場当たり的かつ違法な措置であります。法で定められた財政制度を逸脱した今回の補正予算案に対し、我々は断固反対するものであります。
反対の第四の
理由は、本補正予算案において建設国債五千六十億円を計上していることであります。
政府は、本補正予算で赤字国債一兆三千八百億円の発行を取りやめ、財政再建のめどが立ったと称しながら、一方では五千六十億円の借金をつくっているのであります。先ほ
ども述べましたように、本補正予算案では、本来補正予算に計上すべきでない経費を計上しており、その一方、歳入にゆとりがあるにもかかわらず借金をするというのは、だれの目から見ても明らかな矛盾であります。しかも、政府は平成二年度の赤字国債からの脱却後は、建設国債の発行を縮小すると言っており、本補正予算案で建設国債を増発するということは全く理解できないところであります。我々は、このような補正予算案を断じて認めることはできません。
反対の第五の
理由は、防衛費の節減を十分に行わず、防衛費の対GNP比一%枠突破を既定路線化しようとしていることであります。
既に我が国は、世界有数の防衛大国になっております。今日、世界的な軍縮ムードが流れる中で、ひとり我が国がその流れに逆らい、
昭和六十二年度、六出二年度とGNP比一%枠突破を既定路線として防衛費を拡大させていることは、世界の歴史的な流れに逆行するものであり、我々は断じて容認することはできません。改めて一%枠突破分についての削減を強く要求するものであります。
以上、本補正予算案の主な問題点を指摘し、反対の
理由を申し述べました。
最後に、私は、不公平税制の是正と消費税の撤廃、
リクルート疑惑の徹底解明を再度強く主張いたしまして、反対討論を終わります。(拍手)