○長田裕二君
国民生活に関する
調査会の
調査結果について御
報告申し上げます。
本
調査会は、参議院
改革の一環として昭和六十一年七月に発足して以来、長期的かつ総合的な
調査を行うとの観点から、六十二年五月には「国際化に伴う
国民生活の対応」、同年八月には「内需拡大」、六十三年五月には「出生率の動向と対応」についてそれぞれ
報告を取りまとめ、
議長に
提出し、議院の
会議に
報告したところであります。
本
調査会の最終年に当たり、課題として「
労働と余暇」を取り上げることとし、昨年九月から六回にわたって参考人及び
政府から意見を聴取し、
質疑を行うとともに、各委員による意見表明を行ったはか、委員派遣による実情
調査を行う等鋭意
調査を進めてまいりましたが、これまでの
調査結果を
報告として取りまとめ、昨日の
調査会において決定した後、直ちにこれを
議長に
提出いたしました。
以下、
報告書の主な
内容について申し上げます。
まず、本
調査会が「
労働と余暇」を課題として取り上げた
理由とこれに対する
基本的な考えについてであります。
人生八十年時代の到来、
国民の経済面における生活の向上及び週休二日制等による休日増が予想される中で、
国民一人一人の価値観は個性化、多様化し、真の豊かさとは何か、人間らしく生きるとはどのようなことか、自分のライフスタイルはどうあるべきかといったことについて、今
国民は真剣に考えるようになってまいりました。
このような
国民の意識及び生活の動向を踏まえて、最終年に当たる今回は、潤いのある社会と心の豊かさの実現を求めて、余暇問題を取り上げ、余暇との関係が深い
労働時間につきましても
調査を進めてまいりました。
労働と余暇の関係につきましては、余暇が
労働のあとの余りという
労働に従属したものではなく、休息、休養、保養的な余暇から人間の創造、自己実現的な余暇を含めて、余暇についてもっと積極的な意味づけが必要と考えております。
ただ、余暇問題はすぐれて個人の自由裁量に属するものであり、自主性、自発性こそが余暇の本質であることを十分認識した上で国を初めとする行政側が余暇意識の高揚や余暇の環境・条件
整備等余暇活動の支援を積極的に
推進することは、真に豊かな
国民生活の実現や
福祉の向上につながる重要な政策課題であると考えます。
次に、
労働時間の短縮について申し上げます。
我が国の年間総実
労働時間は、現在二千百時間以上で、主要先進国と比べて年間二百時間から五百時間も長く、
労働の
あり方について、もっとゆとりのあるものにするなどその
改善が求められております。また、今後、
技術革新、高齢化、国際化等大きな社会
変動が進行していく中で、
労働者の健康増進、余暇生活や家庭生活の
充実、長期的な雇用機会の
確保、国際的視野に立った対応といった観点からもその
必要性はますます増大しております。
政府は、昭和六十三年五月の経済
運営五カ年計画に基づいて、年間総
労働時間を
平成四
年度までの五カ年で千八百時間程度に向けできる限り短縮することとしております。
本
調査会としては、
労働時間短縮を実現する具体策として、時短に対する企業及び
労働者の意識
改革を初め、時短の進めにくい中小企業に対する生産性向上、経営基盤の拡充、大企業や発注元の特別の配慮など各種の支援
措置の
強化、休日
労働に対する割り増し賃金率の引き上げの検討など所定外
労働時間短縮のための条件
整備、年次有給休暇の完全消化を図るための有給病気休暇の普及
促進、学習休暇制度、リフレッシュ休暇制度など特別有給休暇制度の積極的導入、連続休暇の取得
促進のための指導
強化などが重要な政策課題と考えます。
次に、余暇問題について申し上げます。
昭和六十三年の総理府の世論
調査によりますと、今後の生活の力点を「レジャー・余暇生活」に置くと答えた者が、昭和五十八年以降「住生活」を抜いてトップとなっており、
国民の余暇に対する関心は近年とみに高まっております。
一方、
国民の余暇活動の実態を見ますと、平日、週末、連休には「テレビ・新聞」を見たり、「何もしないでのんびり過ごす」人々の比率が依然として高く、特に高年世代ほどその傾向は強くなっております。以上のように、余暇に対する関心の高さと裏腹に、消極的な余暇活動が大半を占めております。
また、これからやってみたい余暇活動の分野では、スポーツ、旅行、社会参加活動、生涯学習が大きな割合を示し、今後こうした
国民の余暇活動に対する積極的なニーズに的確に対応する必要があります。
そこで本
調査会としては、具体的な余暇振興策として、最も余暇機会に恵まれない中高年勤労者の余暇対策の確立、自由時間の活用の仕方を含めた生涯生活設計システムの研究
開発のための支援、身近で安く
利用できる余暇関連サービス及び施設の
整備、
国民が気軽に
利用できる魅力あるリゾート
開発の
確保、余暇行政の
推進体制の
整備などが重要な政策課題であると考えております。
本
調査会は、これらの
調査を踏まえて十
項目にわたる提言を行いました。また、
全会一致で本
報告を取りまとめることができましたことを付言させていただきます。
報告書の詳細につきましては
会議録で御承知願います。
本
調査会の提言の実現方につきましては、関係方面におかれまして格段の御尽力と御
協力をいただきますようお願い申し上げます。
最後に、三年間本
調査会の活動を温かく支えていただいた
議長を初め議員各位に心から感謝申し上げますとともに、今後さらにその機能を発展させるためには
調査環境の一層の
充実が必要と考えますので、議員各位の格段の御
理解と御
協力をお願いして、私の
報告を終わります。(
拍手)
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