○一井淳治君 私は、
日本社会党・
護憲共同を代表して、ただいま議題となりました
地方交付税法等の一部を改正する
法律案並びに一九八九
年度地方財政計画につきまして、
総理及び
関係大臣に
質問をいたします。
まず、一九八九
年度地方財政計画について伺います。
その一点目は、消費税の問題であります。
法制定から施行までわずかな時間しかなかったため、地方自治体においては十分な議論を行う時間がなく、自治体の
財政運営はかなり混乱をいたしております。特に使用料、手数料における転嫁の問題については、完全転嫁を実施している自治体の方が少ないくらいです。この責任は、転嫁ができない、あるいは転嫁しない自治体にあるのではなく、議論の前提条件を整えず時間も与えない
政府にあることは論をまちません。地方自治体が行う行政サービス、事務事業は、国の支出金を伴う補助事業等を含め公共サービスの七割以上を占めており、財政の安定が必要不可欠であります。
宇野総理は、参議院選挙目当てに
政府税調において消費税の見直し作業を行うかの発言をしておりれますが、改正しても消費税の構造的な欠陥は解消せず、自治体財政にとってプラスとならないことは明らかであります。私は、この際、消費税については廃止することが地方財政の安定にもつながると考えます。
宇野総理は消費税見直しと言りが、野党の反対を押し切って成立させ、実施後いまだ三カ月ですが、消費税のどこをどう具体的に見直そうというのか、消費税の存続そのものを見直す考えはないのか、
見解を伺います。
また、二点目も消費税にかかわりますが、歳出の関係であります。
政府は、官公需においては予定価格に、実際には落札価格に一律三%の上乗せを
予算措置していると思いますが、
政府の
説明によれば消費税による物価上昇率は一・一%とされており、消費税には人件費等は課税仕入れとみなされないはずであります。したがって、国、地方及び特殊法人等において年間数十兆円に達する公共投資においては、業者に従来以上の利益をもたらすこととなり、これは消費税転嫁の
趣旨から外れ、また会計法、予決令の
趣旨からも外れ、地方財政にも無用の支出増をもたらすものと考えます。
政府は公正な入札及び価格設定を自治体に指導しているのに、積算に見合わない支出増を強制しているのは不可解であります。大蔵大臣、自治大臣の所見を求めます。
三点目として、税収見積もりについて伺います。
政府においては八六
年度以来租税収入見積もりを過小に見積もり、毎
年度多額の税収超過現象が起きております。すなわち、八六
年度にあっては一兆三千億円余、八七
年度にあっては五兆六千億円余、そして八八
年度においても補正の
段階で三兆円、さらに、決算においてはさらに三兆円弱が上積みされることは確実とされております。
問題点は二つであります。
一つは税の取り過ぎであり、消費税収入も
政府が言っている平
年度五兆四千億円、八九
年度にあっては消費譲与税を含めて四兆五千億円弱という数値も極めて過小であるということであります。この際、大蔵大臣に、改めて八九
年度及び平
年度の消費税収入見積もり、そして八九
年度租税見積もりの修正値をお示し願いたいと思います。
二つとして、過小に見積もられて補正や決算で超過となった税収、交付税がどこへ行くかという問題であります。
国においては金がない金がないと言って、当初
予算において地方財政に負担を転嫁し、補正で金が余ると国の国債発行額を減額し、地方にとっては詐欺とも思われる措置をとっております。
〔
議長退席、副
議長着席〕
また、交付税の増額補正についても、当初
予算においては基準財政需要額を抑え自治体サービスを抑制させながら、ふるさと創生と称し臨時のばらまき行政を行い、また国の責任によって発生した過去の交付税特別会計の借入金の返済に充てるなどしております。このようなことが既に三年も繰り返され、八九
年度においても行われようとしております。これは財政の単
年度主義を形骸化させるとともに、
国会の
予算審議権すら侵害するものと言わざるを得ません。なぜこのような作為的行為を繰り返されるのか、大蔵大臣、自治大臣の明快な
答弁を求めます。
さらに四点目として、昨年の税制抜本改革においては地方税改革の懸案事項のほとんどが見送られました。すなわち、社会保険診療報酬非課税の適正化の見送りを初め、株式譲渡益課税すら地方税においては極めておざなりなものでありました。地方自治体の
財政運営に重大な支障を与えた移転価格税制の改善も放置されたままであります。なぜこれら地方財源の充実措置が実施されないのか、自治大臣の責任ある
答弁を要求いたします。
また、大蔵大臣に伺います。税制改革期間中に法人課税適正化の一環として引当金等を圧縮し三千億円余りの増収を図るとされましたが、九〇
年度税制改正には必ず入れるのでしょうね、約束していただきたいと存じます。
次に、交付税についてお伺いいたします。
第一に、ただいまの
質問とも関連いたしますが、八九
年度地方財政が表面的には財源超過の現象にありながら、八八
年度補正と合わせて二兆三千百九十七億円を既往の交付税特別会計の借入金返済に回す等、住民福祉向上よりも財政至上主義を優先させていることはいかがでしょうか。消費税の理由が福祉の充実などを柱としている割には、国の歳出を見ても、地
方財政計画における歳出を見ても、福祉民生関係の
予算は充実していないことについて自治大臣から御
説明を伺いたいと思います。
第二に、八八
年度限りとされた国庫補助負担率の特例措置でしたが、八九
年度にあってはその一部が恒久化され、一部は暫定措置として再延長まれることとなりました。これは国と地方の信頼関係を裏切るものであり、まことに遺憾であります。八三年の行革特例法、八五
年度カット法、八六
年度カット法、八七
年度カット法と次々と地方との約束を破棄してきている経緯と、今回の措置のこれまでの暫定措置の固定化は、
政府の公約違反であります。また、共済追加
費用は給与費の重要な構成
要素そのものであり、国庫負担から外したことは重大な国と地方間の負担変更であります。特例期間経過後は今度こそ本当に補助負担率の完全復元が約束できるのでしょうか。
総理並びに大蔵大臣、自治大臣の確約を求めます。
第三に、国民健康保険会計の問題であります。
八九
年度にあっても昨年の改正に基づき五百五十億円が交付税に特例加算されることとなっておりますが、実際は九一
年度以降の交付税に加算とされました。退職者
医療制度に基づく国保の赤字はいまだに発生しており、自治体負担増なども図られておりますが、安定財源がなく、また十分な権限もないために国保事業はますます不安定な状況に置かれております。自治体においてはいまだに保険料、国保税が混在もしております。
政府は年金に基礎年金を導入したと自慢いたしますが、
医療制度は退職者
医療制度の見込み違いしかしておりません。厚生大臣、自治大臣は、長期的な安定のための抜本的な改善策をお示し願いたいと存じます。また、八九
年度においては退職者
医療制度の見込み違いに基づく国保会計の負担増は幾らになり、どう措置されるのか、お示しをいただきたいと思います。
第四に、年金スライドについてお伺いいたします。
八九
年度にあっても、既に成立した
政府予算において、国民年金、厚生年金、共済年金を初め各種福祉手当の〇・七%の引き上げについて措置されております。ところが
政府は、今回、恩給等については引き上げ法案の成立を要請しながら、老齢福祉年金や児童扶養手当、障害者特別手当などについては、年金の六十五歳支給開始年齢繰り延べや保険料の大幅アップに応じなければだめだとしております。子供や障害者、お年寄りへの手当を大改悪法案の人質とすることは許されるべきではありません。例えば、老齢福祉年金や児童扶養手当、障害者特別手当などは年金の財源再計算とは関係ないのであります。また、他の年金スライドも既に
予算は通り、恩給法案も成立が決まっております。社会党は、この終盤
国会において、八九
年度の単純スライドだけを
議員立法で成立させるべきと考え、既に法案を用意し、自民党を含めて各党に強く呼びかけておりますが、年金
担当大臣である厚生大臣の決意を求めます。
第五に、竹下
内閣の内政の柱の
一つとしてふるさと創生が提案され、一市町村当たり一律一億円の臨時交付、地域総合
整備財団の創設と融資制度、ふるさと市町村圏基金の設置などが講じられようとしております。しかし、竹下
総理は既に退陣し、これも風前のともしびと言えましょう。もっと前向きで、大きく、永続的な施策が地域の振興のためにできないのでしょうか。本当の
意味で地域の振興を図るなら、過疎法の強化延長や、不況地域における雇用創国策の推進などを強力に行うべきだと考えますが、
総理並びに自治大臣の
答弁を求めます。
最後に、私は、最近の凶悪犯罪の多発と警察官による犯罪など警察問題について国家公安委員長に伺います。
グリコ・森永事件もいまだ解決せず、東京周辺において幼児の誘拐、殺害が頻発しております。最近の警察は公安警備や風俗営業に対する介入には熱心でありますが、刑事犯罪、市民の安全についてどの程度
予算と人員を割いているのか、疑問を感じます。第一線の警察官は不眼不休で捜査を続け、御苦労さまではありますが、冤罪事件も相変わらず多発いたしております。そして、最近衝撃を受けたことは、大阪府警警察官による強盗致死事件、茨城県警警察官による婦女暴行致傷事件の発生であります。犯罪をなくすべき
立場の警察に絶対にあってはならぬことであります。警察官の処遇問題も含め、警察庁の姿勢、警察行政に緩み、ゆがみがあるのではないでしょうか。公安委員長に厳しく反省を求め、公安委員長の所見をお伺いいたしまして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣宇野宗佑君
登壇、
拍手〕