○
国務大臣(
竹下登君) まず
最初の
お答えは、
リクルート疑惑の
徹底解明についてのことであります。
リクルート問題に関する刑事上の問題、これにつきましては、従来とも、
検察当局において厳正かつ適切に
処理がなされるものと信頼しておる、このような
お答えをしてまいりました。このことは今日、
強制捜査に及んで、厳正かつ適切な
処理がなされつつあるものと確信をいたしておるところであります。
さて次に、
参議院の
存在理由等の御
意見がございました。
確かに、古くて新しい問題、私も長い議会人としての経験に照らしてもいろいろ議論があったことは十分
承知しております。
参議院は、重要案件の
国会におきますところの
審議をより慎重ならしめて、また、より中長期的なかんずくむしろ長期的視点から、そしてただいまのお話のような専門的立場から、
衆議院における
審議を補完して正していくという
考え方、現時点においてもその独自性を私は十分確保していらっしゃる、このように評価をするものの一人であります。
ただ、政党色が強くなる
現状、それを念頭に置いての御提案でございましたが、
一つの見識であるものとは
承知しておりますが、この問題は各党各会派の間で十分な議論が行われるべき問題であると思います。
自由民主党の総裁であることは事実であります。しかし一方行
政府の長であります以上、御提案に対する私の具体的
見解を
お答えすることはこの場では差し控えさせていただきたい、このように思います。
次に、
三島由紀夫の作品、これを御引用になってのお
考えが述べられました。
政治改革の要請は、
政治家一人一人が
政治倫理を守り得るような環境をどうして整備するか、このようなことであると思います。
政治資金規正法にいたしましても、また
選挙制度にいたしましても、どの程度環境を整備すれば、そしてどの程度違反に対する制裁を担保すれば
政治倫理が守られることになるか、これはまさにそれぞれ議論のある問題であります。
今引用されました戯曲の述べるごとく、
権力者たる
政治家はおよそモラルなどは持ち合わせていないと、いわば性悪説に立って議論を進めるべきであるという、私はそのように読んでみたことがございますが、いつもみずから
考えますことは、若いころからでございますけれども、体制側にある者がむしろ性悪説に立ってみずからを律し、
批判側にある人は性善説に立って御鞭撻いただいておる、こういう
考え方で
対応してこそ私は本来のあるべき姿ではないかと、このようにいつも思っておるところでございます。
さて、次は
政治改革委員会についての御
意見がございました。
今般の
政治改革は、内閣
総理大臣の私的懇談会でありますところの有識者
会議を
一つ設けました。そうして自由民主党内においては
政治改革委員会、そうしていま
一つは現在休眠状態にあります
選挙制度審、これを復活して、そうしてその三機関の有機的連携のもとにその推進を図ったらと、こういう
考えが私にあるわけでございます。理想と現実の調和をどのようにして図って実効あるものを出していくかということが大切であろうと思います。
ただ、
国会の各党各会派の御協議、これを絶えず念頭に置いて行
政府としては
対応しなければならないという
一つのあるべき姿も十分
承知しておるつもりでございます。
選挙制度、
政治資金について具体的にということでありました。
公正で金のかからない選挙や
政治活動の
実現のため、各般にわたって改善に取り組まなきゃならぬ。
今
政治資金制度につきましては、附則第八条、この見直し規定も実際行われていないことを私も十分
承知しております。
パーティー収支の公開など当面急を要する事項は、現在自由民主党において見直し作業が行われておる。これはいずれ
国会の問題にもなる。
政府としても、それと平仄を合わせまして制度改善に心がけたいと思っております。
次に、閣僚辞任の
任命権者責任についてお触れになりました。
閣僚の任免権は内閣
総理大臣にあります。したがって、その識見を信頼して私が任命しましたので、このことは、これは幾ら言われてもみずからの
不徳を痛感しなければならない
課題だと思っております。そもそも、
国会及び
国民に対して連帯
責任を負う内閣の長として、したがって、そのことも踏まえて
責任を全うすべく決意を新たにしておる、このように申し上げるべきだと思います。
さて、
財政、
経済について御
意見を交えての御質疑がございました。これは
大蔵大臣が御指名いただいておりますので、私と分担して
お答えをいたします。
私からは
経済構造の
改革への取り組みについてまず申し上げます。
政府におきましては、昨年五月、中長期的な
経済運営の指針として「
世界とともに生きる
日本経済運営五カ年計画」を閣議決定いたしました。
この計画では、計画期間を
我が国が二十一世紀に向け発展していくための構造調整期と位置づけまして、
我が国が直面します重点
課題として、まず
一つには対外不
均衡の是正と
世界への貢献、二つ目には豊かさを実感できる多様な
国民生活、三つ目には産業構造調整の円滑化と
地域経済社会の
均衡ある発展、この三点を挙げまして、これらはまさに内需主導型
経済構造への転換、定着を
実現することによって同時に達成し得るものであると、このように
考えております。
したがって、
政府としましては、本計画に沿って思い切った構造調整を推進し、内需主導型
経済構造への転換、定着を図りますことによってこれらの達成を図ってまいりたい、このように思います。
土地問題についての御言及がありました。
今回の地価
高騰に対しましては、今も御説にもございました。
国土利用計画法によります監視区域制度の機動的な運用、あるいは不動産業、金融機関等に対する指導、これを
徹底的に継続していく。そうして、税法上の措置等、さまざまな
対策をこれまでも講じてまいりました。
今後とも、引き続き
政府一体となりまして、総合土地
対策要綱に基づいて、監視区域制度の機動的な運用、諸機能の地方分散、これらを図るとともに、一方、住宅宅地の供給促進等、まさに各般の施策を推進してまいりたいと
考えます。
また、土地
対策を強力に推進しますためには、土地の公共性を明確化して、土地についての
共通の
国民意識を確立する必要がある。それに基づいて各般の施策を総合的に実施する必要がある。したがって、かねて御提案がございましたが、本
国会に
政府としても土地基本法案を提出したい、このように
考えておるところでございます。
さて、
消費税の一年凍結の問題でありますが、これは私から
お答えをいたします。
まさに
経済社会の活力を維持して豊かな長寿・
福祉社会をつくる礎となるものと確信をして
消費税の創設をお願いしたわけでございます。そして、これは
国会においての議論を経て決定したものでございます。したがって、これを凍結する
考え方はございません。
ただ、議論の段階におきまして不安とか
懸念、これは私自身が申し上げました、不安とか
懸念をなくしていこう。
審議を通じ理解されたものもございましょう。そして、このたび提案いたしております
予算案について御理解を賜れるものもございましょう。が、何としてもこれが暮らしの中に溶け込んで定着していくためには、それらの
懸念なり不安なりを除去するため、円滑化推進本部を
政府として設けまして、まさにきめ細かな実効ある
説明、指導、助言、お手伝いをするつもりでこれに取り組んでおるところでございます。
いずれ、かの
時代、大幅減税とともに
税制改革をしてよかったと言われることを心から期待と確信を持っておるところでございます。
税率の歯どめ問題についてお触れになりました。
施政方針演説で、竹下内閣において税率の
引き上げを提案する
考えのないことを明らかにいたしました。しかし、三%というのは、長い期間にわたります議論の末、コンセンサスの得られたものでございます。
ただ、私は、いつも申しますのは、いわば
国民のニーズというのはいろいろ変化がございます。
議会制民主主義ですから、政権の移動も当然ございます。上げもあれば下げもございます。後世代までの手を縛ってしまうことだけは慎むというのが議会人としてのあり方である、このように思っております。
さて、
外交、
防衛について言及されました。
経済援助に関する
ブッシュ大統領との会談につきましては、これは
我が国は相互依存と人道的考慮という基本的
考え方に基づいて、
開発途上国の
経済社会
開発あるいは民生の安定、
福祉の向上に貢献することを目的として
経済協力を実施してまいります。
政府として、こうした
我が国の
経済協力に対する基本的
考え方を踏まえて、平和国家として、そして今も指摘がありました自由
世界第二位の
経済力を有する国として、アジアを初め中南米、中東、アフリカ、この各地から
我が国に寄せられる強い期待にこたえ、今後とも
経済協力を拡充していく所存でございます。
ただ、御指摘のように、実施に当たってはあくまでも
我が国の自主的判断に基づいていくべきであるということは当然のことだと私も理解しております。
次に、
人口問題にお触れになりました。
今、国際的に見ましても、あるいは学会、そしてまた
政治ベースでは特にOBサミットに大きく端を発しまして、まさにどの
国際会議に参りましても
人口問題の
意見が出てまいります。今のお話は専門的な見地からの御高説でありました。拝聴させていただきました。
我が国は、
人口問題に関して、従来から
ASEAN諸国に対しまして、
人口計画分野におきます
経済技術協力を行ってきておりますほか、御指摘のとおり、国連
人口基金等のマルチの場におきまして資金
拠出等の協力を行っております。したがって私どもは、今度の
東京会議におきましても、学者を中心に、地味ではございましてもこのような議論が国際的に役立ち得るではないかということを期待しております。
さらに、今後も、
ASEAN諸国におきます
人口計画の内容を見きわめながら、また具体的な要請も踏まえて、可能な範囲で協力をしてまいります。御提案の具体的諸問題については、私自身も勉強させていただきたいと思います。
防衛問題にお触れになりました。
平成三年度以降の
防衛力整備につきましては、昨年十二月の
安全保障会議におきまして、引き続き現行のような中期的な計画を策定する必要があるということで
意見の一致を見たところでございます。したがって、かつてのような、いわゆる業務見積もりというようなものはとらないということであります。
その内容につきましては、今後検討を進めていくこととしておりますが、いずれにいたしましても、
昭和六十二年一月の閣議決定にもございますとおり、憲法、専守
防衛、そうした基本的
防衛政策のもとで、また
昭和五十一年十一月の閣議決定の、節度ある
防衛力の整備を行うという精神は引き続き尊重していくべきものであります。
大綱につきましては、現時点において、その基本的な枠組みを見直さなければならないような諸
情勢の基本的な変化はないではないかという認識がございます。こうした点を踏まえながら、今後の国際
情勢、
国内の諸
情勢の推移を見きわめながらさらに検討を加えてまいります。
そして、
平成元年度の
防衛予算の編成に当たりましても、中期防期間中の各年度の
防衛関係経費についてはその計画に定められる所要の経費の枠内でこれを決定することといたしました。
昭和六十二年一月の閣議決定を踏まえまして、まさに他の諸施策とのぎりぎりの調和を図りながら、着実に中期防の実施を図るため必要な経費を計上したものでございます。
さて、専守
防衛に徹する
我が国は、国防の基本方針にありますように、
我が国に対する侵略から、民主主義を基調とする
我が国の独立と平和を守ることを国防の目的といたしておることは申すまでもありません。どのように守るかにつきましては、みずから適切な規模の
防衛力を保有するとともに、日米安保体制を堅持することによって侵略の未然防止を図る、これがあくまでも基本的な認識でございます。
さて、
医療、
福祉問題等につきまして具体的なお尋ねがございました。これは
厚生大臣に譲ることといたします。
さらに
教育問題にも、
予算、
入試、
大学、
入学時期等々お尋ねがありました。私からは
国際学会に対する
寄附金の免税問題についてのみ
お答えをいたします。
国際学会への
寄附金につきましては、指定
寄附金の対象としております。現行制度において、これは具体的な手続等の煩雑な面は私も
承知しております、しかし十分
対応する措置は講じてきておると、このように私自身は
考えております。
次は、
農業問題にお触れになりました。これは私に対する御
質問でございます。
我が国農業につきましては、土地利用型
農業部門におきます経営規模
拡大の停滞、または一部農産物の需給の不
均衡、それから諸
外国からの市場開放要求、こうしたものから厳しい
情勢にあるということをまず基本的に認識をしております。
このために、
国民の納得し得る価格での食糧の安定供給を基本として
農業の長期的
展望を確立しますとともに、構造政策等各般の施策を強力に推進して、需要の動向に応じた生産性の高い
農業の確立に向けて努力してまいらなければならないと、このように
考えます。
そこで、米問題につきましては、まず
国会における決議がございます、この趣旨を体し、今後とも
国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいります。
また、
牛肉・かんきつにもお触れになりました。
牛肉の
国内対策としては、畜産二法を制定しましたほか、当面の価格変動等に対処するため、肉用子牛の価格安定、肥育経営の安定、低コスト生産の推進、流通の合理化等の措置を講じてまいる所存であります。
かんきつの
国内対策としましては、かんきつ
農業の体質強化に努めますとともに、ミカン園の再編
対策、果汁原料用果実の価格差補てんの特別
対策など所要の措置を進めることといたしております。
食管制度につきましては、制度の基本はこれを堅持しつつ、事情の変化に即応して適切な運営改善を図る
考えでありまして、なお、自主流通米については今後とも
拡大の方向で努力をしたいと思います。
消費税については、価格の上昇を通じて最終的には消費者に御負担をお願いすることを予定しておる税でございますから、農産物についても円滑かつ適正な転嫁が行われることはもとより必要なことであります。
次に、
創造的研究環境整備等にお触れになりました。
時代を開くかぎの
一つは科学
技術の振興であります。
我が国が二十一世紀に向けて発展していきますためには、創造的な基礎
研究の推進が不可欠であります。このため、
研究活動に従事いたします
研究者が、その豊かな創造性を発揮して
研究に専念できる
研究環境の整備が極めて重要であると認識しております。このための具体的な
方策として、独創的な
研究者や若手
研究者のすぐれた発想を生かして主体的
研究活動が行えるような新たな施策を講じますなど、
創造的研究環境の整備充実に努めておるところでありまして、今後とも引き続き努力してまいる
考え方でございます。
基礎研究費の
大幅引き上げの必要性の指摘がございました。
今後の
我が国は、独創的な基礎的
研究の強化を図ることによりまして科学
技術面での国際貢献を果たしていくことが必要であります。
平成元年度
予算におきましても、厳しい
財政事情の中ではございますが、基礎
研究推進のための関係
予算をこれは充実を図ることにいたしたところでございます。今後とも基礎
研究の強化には全力を傾注してまいります。
宇宙基地への
参加について御言及がありました。
この計画は、宇宙における
人類の活動を飛躍的に
拡大させるため有意義な国際協力プロジェクトであるという認識の上に立っております。
我が国としても積極的に
参加すべきものであるという認識の上に立っております。
我が国としては、この計画については宇宙の平和利用に関する
我が国の基本的立場を十分に踏まえて対処しております。今後ともこの方針で
対応したいと存じます。
さて、環境問題の答弁、これも
総理大臣を御指名になりました。
地球環境問題の重要性に関する御指摘は全く同感でございます。
そこで、先ほどもちょっと申し上げましたが、九月の
国際会議につきましては、現在、共催者の国連環境計画、いわゆるUNEPとも協議をしながら
政府部内において鋭意準備作業を進めております。
とかく各国ともいろいろな
意見がございますが、今日UNEPそのものが必ずしも資金的な問題をも含め強い力を持っておるとは評価しない向きもございます。しかし、今までのUNEPのなされた
実績は、私は評価すべき点が多々あると思います。したがって、あくまでもUNEPとの共催で、有識者を集めて
地球環境問題に関する最新の科学的知見を集約いたしますとともに今後の
対応のあり方について検討を行いまして、二十一世紀に向けて
世界がとるべき
行動について提言をまとめることを
考えておりまして、学者の方を中心にした地道な成果が得られることを私は期待いたしておるところでございます。
続いて、幾つかの問題の指摘がありました。
これらの問題につきましては、
炭酸ガス対策としては科学的知見の充実に努める、また、
化石燃料にかわるエネルギーの
開発、エネルギーの効率的使用、森林の保護、
温暖化への適応
技術の
開発、各種
対策を総合的に検討する必要がありまして、やはりUNEPを中心に現在行われておる検討作業に
我が国も積極的に
参加していこうという
考え方でございます。
国連を中心とする
地球規模での情報収集に積極的に協力してまいりたい、このように
考えます。
さて、
国内の
環境アセスメントにつきましては、
昭和五十九年八月の閣議決定に基づいてその円滑な実施に努めてきたところでございます。今後とも環境保全を図るため、
開発を進めるに当たっては、環境への配慮を怠らず、
環境汚染の未然防止に努めます。
二酸化窒素による大気汚染、大都市を中心とする環境基準の達成がおくれておる。この
対策の一層の充実強化が不可欠であると思います。このため、環境庁を中心として自動車排出ガス規制の強化を初め、自動車交通
対策等の窒素酸化物低減
方策について幅広い観点から検討をしてまいります。
その他、専門家として数々の御
意見をいただきましたことについては、十分検討の素材とさせていただく次第であります。
最後に、
北海道のアイデアに基づく
医療・
産業複合都市構想のお話がございました。これは御指名のありました閣僚の答弁にゆだねることにいたします。
私に対する御
質問、関係閣僚に対する御
質問、ちゃんと丁寧に教えていただいております。それを正確に申し上げた次第でございます。(
拍手)
〔
国務大臣村山達雄君
登壇、
拍手〕