○
政府委員(藤井一夫君)
平成元年度
防衛予算について、その
概要を御
説明いたします。
まず、
防衛本庁について申し上げます。
平成元年度の
防衛本庁の
歳出予算額は三兆五千百五十四億六千三百万円で、前
年度の当初予算額に比べますと一千八百六十六億八千八百万円の増加となっております。
次に、新規継続費は
平成元年度乙型警備艦建造費等で八百九十一億七千五百万円、国庫債務負担行為は武器購入、航空機購入、艦船建造、装備品等
整備等で一兆五千百十八億三百万円となっております。
次に、
防衛本庁の予算の内容について申し上げます。
平成元年度予算は、厳しい
財政事情のもと、国の他の諸
施策との調和を図りつつ、
防衛計画の大綱に定める
防衛力の水準の達成を図ることを目標として閣議決定された中期
防衛力整備計画の第四
年度として、質の高い
防衛力の着実な
整備に努めることとし、正面装備の質的
充実に加え、指揮通信・情報機能の
充実、練度の
向上、隊員
施策の
推進等後方部門を重視し、所要の
経費を計上したものであります。
特に
重点を置いた
事項について申し上げると次のとおりであります。
第一に、陸上装備、航空機、艦船等の主要装備については、更新近代化を中心としてその
整備を進めることとし、八八式地対艦誘導弾、対潜哨戒機P3C、要撃戦闘機F15等の調達を行うこととしております。
第二に、
防衛力を効果的に発揮させるため、弾薬の備蓄、魚雷・機雷の管理運用態勢の
改善を初めとする継戦能力・即応態勢の着実な
充実に努め、航空機用掩体の
建設等抗堪性の
向上のための諸
施策を引き続き進めるとともに、
防衛力の維持運営に最小限必要とする要員を確保することとしております。
第三に、指揮通信・情報機能の
充実を図るため、引き続き、
防衛統合ディジタル通信網、超長波送信所及び艦艇用衛星通信機能の
整備等を図るほか、新型の固定式三次元レーダー装置及び移動式警戒監視システムの
整備に着手することとしております。
第四に、訓練内容及び教育訓練用装備等の
充実等練度の
向上等を図るため、油購入費、修理費、教育訓練
経費等について、所要の
経費を計上し、教育訓練の
推進に努めることとしております。
第五に、隊員
施策については、隊舎、宿舎、食厨、浴場等の生活関連施設の
充実を図るとともに、隊員の
処遇改善に努めることとしております。
第六に、将来装備の
動向等を勘案し、装備品の研究開発を
推進するため、引き続き次期支援戦闘機等の研究開発を
実施するとともに、新たに短SAM改、対潜用短魚雷G−RX4等の研究開発に着手することとしております。
以下、機関別の主な内容について申し上げます。
陸上自衛隊の
歳出予算額は一兆三千七百九十二億七千三百万円、国庫債務負担行為は三千六百十九億九千万円となっております。
陸上装備については、七四式戦車五十六両、装甲戦闘車八両、七三式装甲車二十三両、二百三ミリ自走りゅう弾砲六門、百五十五ミリりゅう弾砲FH70四十三門、八七式自走高射機関砲八両等の調達を予定しております。
誘導弾については、一個高射特科群の改良ホークの
改善を予定するとともに、八一式短距離地対空誘導弾四セット、八八式地対艦誘導弾十六基等の調達を予定しております。
航空機については、対戦車ヘリコプター九機、観測ヘリコプター十一機、多用途ヘリコプター十機、輸送ヘリコプター五機、合わせて三十五機の調達を予定しております。
また、予備自衛官の員数を一千人増加することとしております。
海上自衛隊の
歳出予算額は九千七百十五億六千万円、新規継続費は八百九十一億七千五百万円、国庫債務負担行為は四千六百三十億五千九百万円となっております。
艦艇については、護衛艦一千九百トン型二隻、潜水艦二千四百トン型一隻、掃海艦一千トン型二隻、音響測定艦二千八百トン型一隻、合わせて六隻の建造に着手することとしております。
航空機については、対潜哨戒機十機、訓練支援機一機、連絡機二機、初級操縦練習機二機、対潜ヘリコプター十二機、掃海ヘリコプター四機、救難ヘリコプター三機、初級操縦練習ヘリコプター二機、合わせて三十六機の調達を予定しております。
地対空誘導弾については、八一式短距離地対空誘導弾ニセット等の調達を予定しております。
また、自衛官の定数については、艦艇、航空機の就役等に伴い、三百二十一人の増加を図るとともに、予備自衛官の員数を二百人増加することとしております。
航空自衛隊の
歳出予算額は一兆三百億四千九百万円、国庫債務負担行為は五千九百四十一億五千百万円となっております。
航空機については、要撃戦闘機十一機、早期警戒機三機、中等練習機二十機、輸送ヘリコプター二機、救難ヘリコプター二機、合わせて三十八機の調達を予定しております。
なお、F4EJについて、延命に伴う相対的な能力不足を
改善するため引き続き改修を行うとともに、新たに偵察機転用のための試改修を行うこととしております。
地対空誘導弾については、ぺトリオットー個高射群分、八一式短距離地対空誘導弾四セット等の調達を予定しております。
また、自衛官の定数については、航空機の就役等に伴い二百三十三人の増加を図るとともに、予備自衛官の員数を三百人増加することとしております。
内部部局、統合幕僚
会議及び施設等機関等の
歳出予算額は一千三百四十五億八千百万円、国庫債務負担行為は九百二十六億二百万円となっております。
これは
各種装備品等の研究開発費その他各機関の維持運営に必要な
経費であります。
また、統合幕僚
会議に所属する自衛官の定数については、通信電子
業務の要員の確保等のため、五人増加を図ることとしております。
以上のうち、
昭和五十一年十一月五日に閣議決定された
防衛力の
整備内容のうち主要な
事項の取扱いについてに基づき、安全保障
会議に諮り決定されたものは、自衛官の定数及び予備自衛官の員数の変更のほか、七四式戦車等主要陸上装備の調達、地対空誘導弾ホークの
改善、八一式短距離地対空誘導弾、八八式地対艦誘導弾及び地対空誘導弾ペトリオットの調達、対戦車ヘリコプター、輸送ヘリコプター、対潜哨戒機、対潜ヘリコプター、掃海ヘリコプター、要撃戦闘機、早期警戒機等航空機百十七機の調達等、護衛艦一千九百トン型等艦艇六隻の建造の着手であります。
なお、
平成元年度における自衛官の定数及び予備自衛官の員数の増加については、
防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する
法律案を提出し、別途御
審議をお願い申し上げております。
続いて、
防衛施設庁について申し上げます。
平成元年度の
防衛施設庁の
歳出予算額は四千四十一億八千七百万円で、前
年度の当初予算額に比べますと三百二十八億一千百万円の増加となっております。
また、国庫債務負担行為は提供施設
整備で八百九十一億二千万円となっております。
次に、
防衛施設庁の予算の内容について申し上げます。
平成元年度予算において、特に
重点を置いた
事項は次のとおりであります。
第一に、基地周辺対策
事業については住宅防音工事の助成に
重点を置き、基地周辺
地域の生活環境の
整備等を図ることとしております。
第二に、在日米軍駐留
経費負担については
日米安全保障体制の円滑な運営に資するため、提供施設の
整備及び労務費の一部負担の
充実を図ることとしております。
以下、各項別の主な内容について申し上げます。
施設運営等関連諸費は三千二百十四億三百万円となっております。このうち基地周辺対策
事業については、基地問題の実態に有効に対処し得るように個人住宅の防音工事費六百四十九億八百万円を含め、一千五百八十八億二千七百万円を計上しております。
このほか、
日米安全保障体制の円滑な運営に資するため、提供施設の
整備として
歳出予算に八百九十億四千七百万円、国庫債務負担行為で八百九十一億二千万円をそれぞれ計上しております。
調達労務管理費については、在日米軍従業員の安定的雇用の維持を図り、もって在日米軍の効果的な
活動を確保するため、地位協定第二十四条についての
特別措置に関する協定に基づき負担する
経費三百二十一億五千五百万円を含め基地従業員対策等に要する
経費として五百五十六億三千八百万円を計上しております。
その他、提供施設移設
整備費二億九千万円、相互
防衛援助協定交付金一億二千四百万円、一般
行政事務に必要な
防衛施設庁費二百六十七億三千二百万円を計上しております。
以上申し述べました
防衛本庁及び
防衛施設庁予算に安全保障
会議予算を加えた
平成元年度
防衛関係費は三兆九千百九十八億三千四百万円となり、前
年度の当初予算額に比べますと二千百九十五億六百万円、五・九%の増加となっております。
以上をもちまして
防衛本庁及び
防衛施設庁の予算の
概要説明を終わります。