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1989-03-07 第114回国会 参議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年三月七日(火曜日)    午後二時四十分開会     —————————————    委員異動  二月十四日    辞任         補欠選任      村上 正邦君     鳩山威一郎君      中野  明君     峯山 昭範君      秋山  肇君     野末 陳平君  二月十五日    辞任         補欠選任      上杉 光弘君     河本嘉久蔵君      鳩山威一郎君     大浜 方栄君      二木 秀夫君     梶木 又三君  二月十六日    辞任         補欠選任      峯山 昭範君     中野  明君  三月六日    辞任         補欠選任      大浜 方栄君     坂元 親男君  三月七日    辞任         補欠選任      坂元 親男君     大浜 方栄君      坪井 一宇君     二木 秀夫君      斎藤栄三郎君     林 健太郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         梶原  清君     理 事                 斎藤 文夫君                 藤井 孝男君                 矢野俊比古君                 太田 淳夫君     委 員                 井上  裕君                大河原太一郎君                 大浜 方栄君                 梶木 又三君                 河本嘉久蔵君                 陣内 孝雄君                 中村 太郎君                 林 健太郎君                 二木 秀夫君                 山本 富雄君                 鈴木 和美君                 丸谷 金保君                 本岡 昭次君                 中野  明君                 和田 教美君                 近藤 忠孝君                 吉井 英勝君                 栗林 卓司君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  村山 達雄君    政府委員        大蔵政務次官   吉村 真事君        大蔵省主計局次        長        寺村 信行君        大蔵省主税局長  尾崎  護君        国税庁直税部長  岡本 吉司君        農林水産省経済        局長       塩飽 二郎君    事務局側        常任委員会専門        員        保家 茂彰君    説明員        農林水産省農蚕        園芸局農産課長  武政 邦夫君        食糧庁業務部輸        入課長      永田 秀治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農業共済保険特別会計における農作物共済に  係る再保険金支払財源不足に充てるための  一般会計からする繰入金に関する法律案(内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 梶原清

    委員長梶原清君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、坪井一宇君、斎藤栄三郎君が委員辞任され、その補欠として二木秀夫君、林健太郎君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 梶原清

    委員長梶原清君) 農業共済保険特別会計における農作物共済に係る再保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。村山大蔵大臣
  4. 村山達雄

    国務大臣村山達雄君) ただいま議題となりました農業共済保険特別会計における農作物共済に係る再保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  昭和六十三年度におきまして、東北、北関東を中心として低温等による水稲被害が異常に発生したことに伴い、農業共済保険特別会計農業勘定の再保険金支払いが著しく増大するため、この勘定の再保険金支払い財源不足が生ずる見込みであります。本法律案は、この勘定の再保険金支払い財源不足に充てるため、昭和六十三年度において、一般会計から、三百二十二億五百九十一万九千円を限り、農業共済保険特別会計農業勘定繰り入れることができることとしようとするものであります。  なお、この一般会計からの繰入金につきましては、後日、農業共済保険特別会計農業勘定におきまして、決算上の剰余が生じた場合において、この剰余から同特別会計の再保険金支払基金勘定繰り入れるべき金額を控除して、なお残余があるときは、この繰入金に相当する金額に達するまでの金額一般会計に繰り戻さなければならないことといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  5. 梶原清

    委員長梶原清君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 鈴木和美

    鈴木和美君 一番最初大蔵省にお尋ね申し上げます。  私は、この共済問題について、五十七年の二月の大蔵委員会で同じような問題を取り上げまして質問を申し上げました。そのときの議事録をもう一回読ましていただいたのでございますが、最も国会、参議院の中で権威ある大蔵委員会調査室の発行したこのプリントを見てもそう思うのですが、ここにこういうこと書いてあるわけです。「しかし、現行の農業共済保険特別会計法には、このような異常災害が生じた場合の支払財源補填のための資金を、一般会計から同特別会計農業勘定繰り入れることのできる規定が設けられていない。」と書いてある。私は、こういう問題につきましては、毎度毎度同じような質疑をしなくても、特会に自動的に繰り入れられるような措置を講じ ておいたらいいんじゃないかということを前回指摘をいたしました。ところが財政節度という言葉で、何が節度だかよくわからないのであります。そういう言葉で、よく検討してみたらどうかということを私は注文として申し上げておいたのでございますが、大蔵省においてその後の検討経過と、なおこの問題に対しての対応についての考え方をまず聞かしていただきたいと思います。
  7. 寺村信行

    政府委員寺村信行君) 農業共済保険は、長期間にわたりまして収支が均衡するように本来仕組まれるべき性格のものでございます。したがいまして、その事業の収支を明らかにするために特別会計を設けまして、一般会計区分経理をしているところでございます。  ところで、ある程度の規模の異常な災害発生いたしました場合には、この特別会計の中に再保険金支払基金勘定がございまして、そこからの資金繰り対応ができる、こういう仕組みに一応はなっております。今回、六十三年の災害はこのような再保険金支払基金勘定からの資金繰りでは対応できないほどのかなり異常な災害でございます。したがいまして、一般会計から繰り入れをするということをお許しいただきたいということで、この法案を提出させていただいているわけでございますが、私どもその後いろいろ検討したのでございますが、あくまでこの措置はやはり特殊、異例な措置ではないか。そういたしますと、やはりその都度法案という形で御審議をいただく。これまでもそうでございましたが、その都度農業共済あり方保険設計仕組みについてのいろいろな御議論が出ておるわけでございますが、そうした御審議をいただくことによりまして、本来収支均衡すべき制度が適切に運営されているかどうか、適切な保険設計が行われているかどうか、あるいは制度健全性農業の置かれました環境の変化に十分対応しているかどうかというような御議論をしていただくことが制度健全性を守るためにも必要ではないか、このような観点から、財政節度ということを守るためにもこのような形で御審議をいただくことが妥当ではないか、このように考えているわけでございます。
  8. 鈴木和美

    鈴木和美君 毎度同じ説明でございまして何ら進展がございません。私が問題にしていることは、二番目のところでも当時問題にしたと思うのですが、農業という問題に対して最近いろいろ議論対象になっているのでございます。農業が国の基幹産業であるというのであれば、やはり日本的な農業を保護していくという立場に立たなきゃならぬと思うのです。ところが財政節度の方からいうと、どっちかというと大蔵省は出したくないという方から財政節度とか点検とか、そういうものが行われているような感じがしてならないのです。ですから、もう少し災害被害とか、特例の災害であるとかというようなことに対しては、もっと手厚いことを考えるというのであれば、制度的にも自動的にそういうものに繰り入れられるという制度をやっぱり設けておくべきだと私は思うのです。これはもう一度どうせ質問しても同じ答弁でございますから、またもう一回検討お願いを申し上げておきたいと思います。  その次は、当時私は勉強不足で大変申しわけなかったのですが、果樹共済についてちょっと農水省お願いしたいのです。  果樹共済というのは、私の当時の理解では善良というのですか、善良農家がなかなか保険に入らないということがあって、いつも赤字の状態がつくられている。それで優良農家をどうやって入れることを考え保険というものを収支均衡合わせていくのかということを考えているのかという質問をしたことがあるのです。四十九年から五十五年に何か改正になって、五十七年から実効が上がるというようなお話があったのですが、農家加入状況とか、それから果樹共済収支現状を短くて結構ですからお答えをいただきたいと思うのです。
  9. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 果樹共済収支状況につきましては五十五年、それから六十年に改正をしていただいたわけでございます。また改正のねらいは、母集団をできるだけふやしていただいて収支改善に寄与していくという趣旨でやっていただいたわけでございます。それなりの効果は出てきておりまして、かつては四百億を超す不足金累計があったわけでございますが、最近はわずかながら改善をされておりまして、六十二年度末におきましては三百八十一億余の、依然として不足ではございますけれども若干減少の傾向が出てきているということが言えます。  しかし一方では、果樹共済加入率につきましては、大変制度改正あるいは皆さん方努力による加入の増加のためのそれなり努力はいたしておりますけれども、残念ながら全般的には、県によってこれはかなり違いがございますが、六十三年度でいいますと、加入面積が六万ヘクタール、かつては六万三千ヘクタールぐらいあった時代もございますが、六万ヘクタール、比率では二四%を若干切る程度になっているわけでございます。
  10. 鈴木和美

    鈴木和美君 そうしますと、この表で見させていただきまして、六十二年度末の不足金累計は三百八十一億と、こう書いてありますね。これは最近は安定的に推移しているという農水省の評価でございますが、安定的ということに断定してよろしいと考えていいですか。
  11. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 保険でございますから災害発生によりましては収支状況に非常に影響が一方で出てくるわけでございますけれども、幸いにして果樹の場合、制度発足以来、連年のように大きな災害がありまして、それが不足金の累増に響いたわけでございますが、最近では比較的果樹関係災害が少ないということが一方では原因としてあろうかと思います。  しかし一方では、先ほど申し上げましたが、五十五年の制度改正あるいは六十年の制度改正によりまして、果樹農家の中でもとりわけ専業的な農家の方の保険に対する希望をきめ細かくとらえたタイプの仕組み導入をいたしましたので、その結果が、これは一例でございますけれども特定の危険のみを保険に付するという特定危険方式という制度がございますが、それなどを活用いたしまして加入者がふえてきているという側面もございますので、災害動向にもよりますけれども、こういう過去の制度改正がやっぱり効いてきているという側面はあるというふうに見ております。
  12. 鈴木和美

    鈴木和美君 時間がございませんので深くお聞きするわけにいきませんが、お話を承っている限りにおいては、私の勉強不足もございまして、逐年安定の方向をたどっているということは努力されているということも評価できますので、どうぞこれからも安定的に推移するように、さらに努力お願い申し上げたいと思います。  次の問題ですが、水稲の問題で、共済掛金料金算定の問題ですが、これは何で二十年間の実績を基礎にしているのかということを尋ねたいのです。  実は、私も最初は、最近は品質の改良とか病虫害の駆除とか、技術の革新とか改革とかというものが農業団体においても農家においても進んでいるから、まあ比較約二十年とかいう長い期間をとらなくても十年であってももう大丈夫じゃないのかと、むしろその方が農家は助かるのじゃないのかなと思っておって数字を見たら、ちょっとそうは言えないなということは感じつつも、理屈上は何で二十年間でなきゃならぬのかというのがまだ私は納得いかないのですけれども、もう一度説明していただけませんか。
  13. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 先生のおっしゃる十年、あるいは二十年ではなくてもっと短い期間を最近の変化を含んだ動向を的確に反映させるという観点からできないのかということもごもっともでございます。料率算定期間としてどの程度タームをとるのか、非常に議論のあるところではあると思いますが、私どもは、そういう点につきましてもいろいろな観点から、やはり二十年というタームをとるのがいいのではないかということでやっているわけでございます。技術変化は確かにございます。それによる災害により耐え得 る、災害が起きても被害をできるだけ少なく食いとめるような技術というものが出てきておりますから、そういう意味では最近の動向をとればそれだけ保険の面でも、あるいは料率算定の面でもいいという面はあろうかと思いますが、やはり災害でございますので、必ずしも年を追ってより災害の起き方が安定してくるということは言えないわけでございます。現にごく最近ではかなり集中して災害が起きているという動向がございます。したがって、最近の比較的短い期間のみを料率算定基礎にいたしますと、現実には現在使っております二十年のタームに比べましてそれぞれ料率が、これは組合単位料率算定をいたしておりますので、組合によってもちろん違うわけでございますが、平均的に見ますと、いずれの地域におきましても過去二十年に比べて直近の十年をとった場合の方が若干ながら料率が高くなるような、そういうことになってくるわけでございます。といいますのは、この料率の背景になっております被害率というのは、現実に起きている被害率をベースにせざるを得ないわけでございまして、過去の災害の起こり方が当然反映されるということになりますので、そういうことをいろいろ考えますと、やはり二十年間ぐらいのタームをとることによりましてならしていくことが、やはり被害に対するカバレージ、それから料率算定の両面からいってより適切なのではないかという感じを持っているわけでございます。
  14. 鈴木和美

    鈴木和美君 今の問題は、しばらくの間はやっぱり二十年間というものを動かさないで踏襲していきたいという答弁であると承ってよろしゅうございますか。
  15. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 基本的にはそうでございますけれども、二十年というのは固定はいたしておりませんで、毎年というわけにはいきませんけれども、三年ごとに二十年の期間のとり方を変えてきておるわけでございまして、直近の三年間の被害の起こり方をその二十年の中に組み入れるように、ローリングをして算定をいたすことにいたしておりますから、二十年ではございますけれども、やはり最近の技術の動き、あるいは災害の起こり方をそういう形で三年ごとに反映をさせるという仕組みでやっておりますし、やはり今後もそういうことでやる必要があるのではないかというふうに考えるわけでございます。
  16. 鈴木和美

    鈴木和美君 わかりました、それは。  もう一つの問題は、共済制度で仮に被害のあったところとないところというものが、掛金においても同じく負担していると被害の少ないところというのは年がら年じゅう掛金出しっ放しですわね、保険ですから。そういうようなことを考えると、全国的に被害の多い地域と、それからそうでないところ、県においても多いところ少ないところというようなところは掛金において差がついているのですか、それとももう少しこれから均衡するように検討するというようなお考えがあるのかないのか、そこを伺いたい。
  17. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 掛金算定は、これは農作物、米なら米によりまして一つ算定のユニットになるわけでございますが、それも全国一律とかということではございませんで、組合単位掛金算定をすることにいたしております。組合組合広がり一つ算定広がりであるということにいたしておりますが、だんだん組合自体広域化をいたしてきておりまして、一つ組合の中にも生産条件がかなり幅が出てまいっておりますので、被害態様がそれだけ広がってきておるわけでございます。  そこで、同じ組合の中でも被害発生の違いを的確にとらえるという見地から地域を指定をいたしまして、組合の中をさらに細分化して掛金算定ができるという仕組みをとっているわけでございます。  それからまた、被害が全く発生しなかったというようなケースにつきましては、掛金の無事戻しという制度を適用することにいたしまして、それぞれの農家保険需要対応することができるような仕組みにしているわけでございます。
  18. 鈴木和美

    鈴木和美君 最後の問題ですが、共済金支払い対象となる被害の要件、つまり減収割合緩和ということの観点なんですが、一筆方式とか半分の相殺とか全部の相殺とかという方式がございますね。この中で農家が一番選んでおる方式は一体どれか。それから、多分一筆方式が多いのだろうと私は思うのですけれども、どんな程度になっているか。それから、そういうところの俗称足切りと言われる、三〇%だったですかな一筆方式は。こういうものをこれから農家被害というようなものに対して手厚い方法をとるという意味において、こういう足切り緩和をやるような気持ちはないのかということをお尋ねしたいと思います。
  19. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 農業共済もこれは相互扶助基礎にいたしました保険仕組みをとっているわけでございますので、現実発生をした被害を全部国の財政負担の裏打ちがございます保険の中で対応していくということは、やっぱり限界がございます。やはり農家にとっては基礎的な管理の責任というのは当然あるわけでございますので、そういう基礎的な部分については農家自助努力による損害防止というものに期待をせざるを得ないわけでございます。そういう観点から足切りという考え方制度の中に導入をいたしておるわけでございます。  しかし一方では、この足切りはそういった観点から設けておりますけれども被害発生をいたした場合の被害のとらえ方の難易という観点も同時に加味をいたしまして、今先生の方からお話のございましたように、一筆ごと被害をつかまえていく一筆単位引受方式、これが三割を超える減収があったときに補てんをするということで、いわゆる三割の足切りになっているわけでございますが、この一筆単位方式は約七一%ぐらい、金額で言いまして加入率がございます。  それから、一筆単位方式に対しまして農家単位で入っていただく方式があるわけでございますけれども、これに二つございまして、被害を受けた圃場被害算定をいたしまして被害をつかまえていくいわゆる半相殺農家単位方式、これが二一%ぐらいございます。それから農家の持っておられる圃場収穫量、したがって被害量を全部合算してとらえるというやり方、全相殺方式という方式がございます。これが八%ございまして、それぞれ一筆単位は三割、半相殺農家単位は二割、全相殺農家単位の場合には一割という足切りの差がございますが、それぞれの方式の特質がございまして、また発生する災害態様によりましてどれが絶対有利かということを言うのはなかなか難しいわけでございますが、現実には先ほど申し上げたような七一%が一筆単位方式になっているという現状でございます。
  20. 太田淳夫

    太田淳夫君 今回の法案趣旨につきましては先ほど御説明がありました。それを拝聴しておりますと、支払い財源不足に充てるために一般会計から資金繰り入れるということでございますが、このような繰り入れ措置は最近でもたびたび行われておるわけでございますが、例えば昭和五十一年度には四百五十二億円、昭和五十五年度は千三百八十二億円、昭和五十六年度も四百七十一億円、昭和五十八年度は百十億円というぐあいに繰り入れが行われているわけでございます。このようにたびたび繰り入れが行われるということは、やはり保険設計自体に無理があるのじゃないか、こう思うわけですが、その点どのようにお考えでしょうか。
  21. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 確かに今先生の方から御指摘がありましたような経緯をたどってきているわけでございます。そして今回、昨年の冷害を受けまして再保険特別会計に三百二十二億余の新たな繰り入れお願いをいたしておるわけでございますが、その結果四百五十二億程度繰り入れ後の残高が特別会計に生ずるわけになるわけでございます。今後の繰り戻しの可能性につきましては災害発生に依存する面が非常に大きいわけでございますので、いつまでに一般会計の方に戻すことが可能になるのかということを的確に申し上げることは非常に困難なことでございます。  しかし、これまでにも一般会計から農業勘定繰り入れられた金額についてはかなりの額の繰り戻しが行われてきているわけでございます。いつまでということは難しいわけでございますけれども、私どもは今の保険農業災害保険制度仕組みを維持することによりまして、農業勘定から一般会計への繰り戻しは可能になるというふうに見ているわけでございます。
  22. 太田淳夫

    太田淳夫君 将来の方向としまして、農水省の中でもこの農業共済補償については研究会をつくって検討中ということも承っているわけでございますけれども、どのような方向で見直そうとされているのか、お伺いしておきたいと思うのです。
  23. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 農業災害補償制度はこれまでにも何回か改正をしてきております。一番最後改正昭和六十年に行われたわけでございます。それから五年近く経過してきているということもございますが、一昨年に農政審答申というものが行われまして、農政の展開がその農政審の出されました報告に基づいて行われてきているわけでございます。  農業災害補償制度あり方あるいは運営につきましても、その農政審答申方向に即して、その一環として見直しをやっていく必要があるのではないかというふうに考えまして、昨年秋から専門の方々に御参集をいただきまして現在検討をしているわけでございます。約一年ぐらいかけまして検討結果をまとめていただきたいと考えておるわけでございますが、具体的な検討内容につきましては、現在の時点ではまだ研究会検討が十分行われておりませんので、私どもとして的確に申し上げるのは困難でございます。  いずれにいたしましても、農政審が求めておる足腰の強い農業を確立していくという方向に即して、最も基礎的な制度でございます災害補償制度についても、より一層生産性の高い農業生産を実現していく上での災害補償制度面からの対応を図っていくために、改善すべきものは改善するという見地から取り組みたいと考えているわけでございます。
  24. 太田淳夫

    太田淳夫君 我々は米の自由化については反対の立場でおるわけでございますが、国際競争力のある生産コストをどのようにして米について実現するかということも最近いろいろな方面で議論がされているわけです。  例えば全中は「二十一世紀を展望する農協の基本戦略」の中で、作業の効率化、大規模化などで米の三割程度のコスト低減を目指す、このように言われておりますし、また総務庁の行政監察結果によりますと、経営規模の拡大、効率的な機械作業などで生産コストを現在の半分程度に低減できる、こういう指摘もしているわけですけれども政府としましては、このような最近の論議を踏まえてどのようにそれを受けとめてみえるのか、今後の対応についてもどのようにされるのか、その点ちょっとお聞きしたいと思うのです。
  25. 武政邦夫

    説明員(武政邦夫君) 今お尋ねの件は、ことしの二月に総務庁が勧告を行いました中に、最近におきます現地の優良な事例を例にとりまして、生産コストの低減について成功している例、かつまた規模拡大等の積極的な努力によっては生産費を著しく下げ得る努力がなし得るということを示したこと、また全農が今回いろんな運動方針として出したものをお指しになっていると考えております。  農林省といたしましても、ここで具体的にコスト低減の目標をいつどの程度までかということを示すことは難しいのでございますが、実は六十一年十一月に、農政審議会を開いていただきまして、その中におきまして、「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」というものをお出しいただいております。この中では、今後技術が開発され普及されて、さらに進んでいくということを前提としますと、さらにその技術が駆使し得る営農、土地条件、そういうものが確保された場合には大幅なコスト低減、このときには大体五割から六割程度ぐらいのコスト低減ができるという試算を行っているわけでございますが、このようなことが技術的には可能であるということを我々としては考えているわけでございます。これにはいろんな前提条件がありますので、その前提を抜きにして考えることはできませんが、こういうことを一つの参考にして生産性を高めていくということは、農林省としても非常に重要なことであるというふうに考えているわけでございます。  今回の運動方針なり勧告は、我々の農政の基本的な方向に沿ったものというふうに考えておりますので、これらの御報告や勧告をもとにしまして、我々自身も今後の農政を生産性を高めるという方向で進めてまいりたいというふうに考えております。
  26. 太田淳夫

    太田淳夫君 また、国際の米相場ですか、その動向というのを見てみますと、国際指標であるタイ貿易取引委員会の輸出価格というのは、昨年六月下旬から十二月初旬まではトン当たり三百ドルで推移してきましたけれども、その後下落をしまして、今年の一月下旬には二百六十五ドルまで下がっている、こういうような状況になっているわけですが、長期的には米の価格動向についてはどのようになっていくのか、どのように予測されているのでしょうか。また、政府としてはどのような対応方針を立てられているか、その点をお聞きしたいと思います。
  27. 永田秀治

    説明員(永田秀治君) ただいまお話しございましたとおりでございますが、米の貿易量というものは生産量のわずか三、四%と極めて低い状況でございます。したがいまして、国際価格の変動というのはほかの穀物に比べて大きく動くという性質がございます。したがいまして、今後の見通しにつきましては、今申し上げたような点でなかなか見通しを申し上げることは難しいわけでございますけれども、一九八七年産は東南アジアの干ばつでありますとか、あるいは水害等がございまして、生産が減少し、在庫水準が低下したということはございますが、八八年産の供給量はかなり豊富であったということから、当面は現在程度の価格、先ほど先生おっしゃっておりましたが、ことしの三月現在ではトン当たり二百七十五ドル水準になっておりますが、大体そんな価格で当面は推移するのではないかと考えております。
  28. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 私は、まず農業共済に関連して三点伺いたいと思いますが、一つは、農業災害発生時に激甚災害法や天災融資法の適用される地域の場合ですと、通常、所得税、住民税、固定資産税などについては減免税の措置がとれますね。今回、四月一日から実施されようとしております消費税の場合、どういう措置考えておられるのか、これをまず伺いたいと思います。
  29. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 昨年の東北を中心にする冷害の発生の際には、今先生の方からお話がございましたように、被害を受けられた農家の所得確保の見地から、税制上の特例措置につきましても、大蔵省あるいは自治省の方で的確な措置がとられるように農水省から申し入れを行い、対応措置をとっていただいたわけでございますが、消費税との関係はどうかという御質問、ちょっと御質問趣旨が十分よくつかめなかったわけでございますのでピント外れのお答えになるかと思いますが、被害農家の場合も、四月一日から消費税がスタートすることによりまして、その売り上げについての課税の対象になる農家あるいは三千万の免税農家の分類によりまして、それぞれの対応が出てくるわけでございますが、私どもの理解では、農家の場合、九九%程度農家が年間の売り上げが三千万未満のいわゆる免税農家に該当をいたします。  したがって、その売り上げのマージン部分については消費税の問題は原則として発生しないわけでございますが、御案内のように資材の購入等におきまして当然消費税が含まれているものをかぶるわけでございますので、そういう面からは消費税の問題が発生をいたしてきますけれども、昨年の被害農家について特に消費税がどのようになってくるのかということについての先生の御質問趣旨が必ずしもよくわかりませんので、ちょっと 的確なお答えができないので大変申しわけないわけでございますが、以上のようなことでございます。
  30. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 大蔵省の方に確認しておきたいと思うのですが、マージン分については多くは三千万以下だからというお話しございました。ですから、まず苗なり肥料なり種なりそれから農機具なり農薬なり、購入する農業関係の資機材それから農家の生活にかかるものについては全部、いかに農業災害発生したといえどもこれは通常の激災、天災融資法が適用される場合の直接税の場合とは違って消費税についてどうも措置がない、こういうふうに今も伺ったのですが、そういうふうに理解していいのですね。
  31. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) 消費税の場合でございますが、災害による租税の減免等につきまして特例法として災害減免法というのがあるわけでございますけれども、消費税についてはこの災害減免法の規定の適用がございません。なぜかと申しますと、消費税は課税事業者が対価を得て行う資産の譲渡等に対しまして課税するものであります。  したがいまして、例えば商店等を例にとって考えてみますと、災害によって商品がそこで滅失してしまったという場合には、それを売るということがないわけでございますから、そこで消費税が発生するということがないわけでございます。一方、しかしその商品は過去において仕入れしたものでございます。仕入れの段階におきまして、御承知のとおり即時控除ということで既にその仕入れ分の消費税につきましては控除しているわけでございますから、既にそういう意味で税の負担はそこでもう清算がされているということでございますので、実際に譲渡行為が発生しない限り消費税の負担ということは生じないわけでございます。したがいまして、特別の免除措置というものを置いてございません。
  32. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 農業災害を受けた地域の人たちが農業資機材を購入する場合に、当然消費税分を払うわけですね。これについては減免等の措置はないですねということでして、これはそのとおりですね。
  33. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) お買いになった方が課税業者でございますと、それは仕入れ控除ということで実際上税負担を引いてしまいますから、減免ということの必要はないわけでございます。それから、もし非課税業者でございますと、そもそも消費税の話の外にいるわけでございますから、これも減免という問題はないわけでございます。
  34. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 いや、みずから購入する分について三%負担しなきゃいけないのだから、それはちゃんと負担しなければいけないでしょうということで、これについての減免の方法はないですね。
  35. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) それは免税事業者の場合をおっしゃっておられるのかと思いますが、そうであれば減免措置というものの対象になりません。
  36. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 これはいずれにしろ農家の経営を考えた場合に、購入すべき資機材等については当然三%かかってくるわけで、生活についてもかかってくるわけで、一切減免というのはないということで、ですからこの点では風水害その他災害に遭ったときに、所得税その他においては減免ないしは猶予の制度があるのですが、消費税の場合にはそれはないということで、税の追い打ちということでは極めて過酷なものであるという点を指摘しておいて次に移りたいと思います。  オレンジの輸入に伴って温州ミカンの廃園などが全国で二万二千ヘクタール、これは国の手で今進められておりますが、大阪でも温州ミカン園の二六・三%、六百ヘクタールが廃園、こういうことが今進められようとしております。  そこで、そうするとこの廃園により病虫害対策はなされなくなりますね、廃園としたところは。その隣接の優良果樹園では病虫害の被害が出てくる問題とかあるわけですが、一つはこの予防なり果樹共済その他への被害補償の検討をしておられるのかどうか。もう一つは、廃園に追い込んでおいて、廃園にすると今度は農地相続税の納税猶予制度の適用打ち切りなどが検討されているということも伺っておりますが、廃園に追い込むだけであって税制上の配慮というのは何もないのかどうか。この点二点についてまず伺いたいと思います。
  37. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 二つの御質問のうちの前段の共済と廃園との関連の御質問についてお答えを申し上げますと、果樹共済は当然病虫害を対象といたしているわけでございますが、それはあくまで一般の果樹栽培者が行う防除を行っても、なお病虫害による減収があった場合に、果樹共済における事故として補償の対象とすることになるわけでございまして、通常の防除を行わなかったために発生したと認められる減収量については、損害評価に当たってその減収量を差し引くというような措置も行われておりますが、ただいま申し上げたように、あくまで一般の栽培者が行う防除、したがってその中には廃園地からの病虫害の蔓延の防止策なども含まれる、そういった一般の防除行為を行って、なお病虫害による減収があったというような場合には、当然果樹共済による事故として共済の対象になってくるわけでございます。
  38. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) まことに申しわけございませんが、ちょっと税金の関係がよく御質問意味がわからなかったのでございますが。
  39. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 廃園ということを今進めておられますね。廃園にした場合に農地相続税の納税猶予の制度、これが適用打ち切りということが考えられていると伝えられておりますが、廃園に追い込んでおいて税制上の配慮が何もないということになれば、これはこれでまた一つ問題なんですが、この点はいかがお考えなのかを伺いたいのです。
  40. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) 廃園になった後その土地が農地でなくなりますと、当然相続税の延納措置の適用はなくなります。
  41. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 これは廃園にしなさいということでさせるわけですね。当然廃園になったところは病虫害の駆除等々はまずしなくなる。そうすると、隣接の優良農地の人がそこから来る分に対してもみずからやりなさいということ、これはどうもそういうお考えのようですね。それをやってもまだ被害があったら何とか考えましょう、ですからその点では廃園に追い込んでおいて優良農地への被害については対策をお考えでないということ、そういうふうに私は伺ったのですが、そういう理解でよろしいかどうか。これが一点と、やはり水田をやめてミカンをつくれと言われてつくったら、今度はミカン園をつぶせ、こういうことで廃園を避けようにももう意欲を奪われてしまう。政府の言うことをどこまで聞いておったらどういうことになるかわからぬじゃないかという、そういう農民の声というのが現実にあります。そういう農家の皆さんの声についてはどのようにこたえていかれるのか、この点を伺っておきたいと思います。
  42. 梶原清

    委員長梶原清君) 時間が参っておりますので、簡単に御答弁いただきます。
  43. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 今おっしゃられたような過去のミカン園の造成の経緯なんかも踏まえまして、自由化に伴う対策といたして廃園を含むミカンその他の関連対象農作物についての措置がとられたというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。  それから、果樹共済との関係につきましては、先ほど申し上げたように、やはり一定の一般の防除行為を前提として果樹共済対象にするものであるということでございます。
  44. 武政邦夫

    説明員(武政邦夫君) 廃園における措置でございますけれども、できるだけ私どもも集団的な優良園地は集団的な優良園地として残るよう的確にできるだけ私どもも指導しておりますし、できればそういう部分につきましても、また後継者がいないような場合につきましても、賃借権の設定等によりまして集団的な優良農地自身は残るような指導をしてまいりたいと考えております。どうしてもだめな場合には伐採したミカン園の焼却等適 正な指導をいたしまして、隣接優良農地には影響が出ないようなそういう適切な指導はしてまいりたいと考えております。
  45. 梶原清

    委員長梶原清君) これにて質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見もなければ、討論はないものと認め、これより採決に入ります。  農業共済保険特別会計における農作物共済に係る再保険金支払財源不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  46. 梶原清

    委員長梶原清君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 梶原清

    委員長梶原清君) 御異議ないと認め、決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十八分散会      —————・—————