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1989-03-28 第114回国会 参議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年三月二十八日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  二月十五日     辞任         補欠選任      林田悠紀夫君     堀内 俊夫君  二月二十七日     辞任         補欠選任      大鷹 淑子君     永野 茂門君      原 文兵衛君     鈴木 貞敏君  二月二十八日     辞任         補欠選任      鈴木 貞敏君     原 文兵衛君      永野 茂門君     大鷹 淑子君  三月七日     辞任         補欠選任      林 健太郎君     斎藤栄三郎君  三月八日     辞任         補欠選任      斎藤栄三郎君     林 健太郎君  三月二十八日     辞任         補欠選任      原 文兵衛君     木宮 和彦君      堀内 俊夫君     小野 清子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         堀江 正夫君     理 事                 久世 公堯君                 森山 眞弓君                 矢田部 理君                 小西 博行君     委 員                 小野 清子君                 大鷹 淑子君                 木宮 和彦君                 倉田 寛之君                 後藤 正夫君                 嶋崎  均君                 林 健太郎君                 中村  哲君                 松前 達郎君                 黒柳  明君                 広中和歌子君                 立木  洋君                 吉岡 吉典君                 田  英夫君    国務大臣        外 務 大 臣  宇野 宗佑君    政府委員        外務大臣官房長  藤井 宏昭君        外務大臣官房外        務報道官     渡辺 泰造君        外務大臣官房審        議官       遠藤 哲也君        外務大臣官房領        事移住部長    黒河内久美君        外務省アジア局        長        長谷川和年君        外務省北米局長  有馬 龍夫君        外務省中南米局        長        坂本重太郎君        外務省欧亜局長  都甲 岳洋君        外務省中近東ア        フリカ局長    恩田  宗君        外務省経済局長  佐藤 嘉恭君        外務省経済協力        局長       松浦晃一郎君        外務省条約局長  福田  博君        外務省国際連合        局長       遠藤  實君    事務局側        常任委員会専門        員        辻  啓明君    説明員        防衛庁防衛局防        衛課長      萩  次郎君        防衛庁教育訓練        局訓練課長    柳澤 協二君        防衛庁装備局管        理課長      長藤 史郎君        法務省入国管理        局入国審査課長  堀口 松城君        外務大臣官房文        化交流部長    田島 高志君        文部省学術国際        局教育文化交流        室長       西澤 良之君     —————————————   本日の会議に付した案件在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務  する外務公務員給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 堀江正夫

    委員長堀江正夫君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二月十五日、林田悠紀夫君委員辞任され、その補欠として堀内俊夫君が選任されました。
  3. 堀江正夫

    委員長堀江正夫君) 在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。宇野外務大臣
  4. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) ただいま議題となりました在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。  改正の第一は、在外公館設置関係であります。今回新たに設置しようとするのは、政府代表部一、大使館二の計三館であります。政府代表部は、ウィーンに設置するものであります。ウィーンには、国際原子力機関国連工業開発機関を初め約十の国際機関があり、政府代表部はこれら国際機関対応するものであります。大使館は、我が国が昨年十二月外交関係を開設した中部太平洋にあるマーシャル及びミクロネシアの二国に設置するものであり、いずれも他の国に駐在する我が方大使をして兼轄させるものであります力  改正の第二は、これら新設の在外公館に勤務する在外職員在勤基本手当基準額を定めるものであります。  改正の第三は、在外職員に支給する子女教育手当の支給の要件を改定することであります。  改正の第四は、在外職員に支給する住居手当についての改定であります。これは、事故または職員の死亡のため配偶者が旧在勤地に残留する必要がある場合に、引き続き支給することができる住居手当の額を改定することであります。  以上がこの法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  5. 堀江正夫

    委員長堀江正夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 大鷹淑子

    大鷹淑子君 宇野外務大臣我が国外交の担い手として日夜御尽力されておられますことに対しまして、心からまず敬意を表します。  さて、時間も限られておりますので早速質問に入らせていただきます。  経済協力我が国外交の極めて大きな柱であり、根幹をなすものであると思います。経済協力政策予算額も大きく、その実行につきましては国民も大きな関心を寄せております。しかしながら残念なことに、最近マスコミ経済協力ODAについて非常に一部厳しい指摘がなされていることは御承知のことと存じます。このようなことが続きますと、経済協力について国民の信頼と支持を失うことになるのではないかと心配しておりますが、いかがお考えでしょうか。外務大臣の御所見を承りたいと思います。
  7. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 経済協力我が国といたしましても三本柱の一本に据えまして、なかんずく途上国、さらには最貧国に対しましても極力それらの国々要請におこたえし、まず民生が安定すること、そうしたことを主眼として行っておりますが、御指摘のような懸案が一、二指摘されました。詳細に関しましては政府委員から説明させてよいと考えておりますが、甚だ残念な面もございます。こうしたことは明らかに反省をしながら、なお一層当該地域住民方々の本当の熱意に、また要請にこたえるように心がけなければならない、かように考えております。
  8. 大鷹淑子

    大鷹淑子君 私のよく知っているボランティアのグループがございます。ケニアの国づくりのために大変努力しているわけでございますが、その人たちアフターケアのために現地に残って現地人たちから大変感謝され、よい成績を上げております。しかしながら、今ODAに関して一連の問題が提起されておりますが、外務省は問題が公に指摘されるまで積極的に対応なさらない。ODAというものは国民の税金を使って実施するわけですから、仮にも今指摘されているようなむだなことがあってはならないと思います。フォローアップ、後々のアフターケアを含めたODAを実施する体制が十分と言えないのではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。  また、海外プロジェクトに携わる邦人の数も増加をいたしておりますが、邦人保護について外務省はどのような体制で臨まれておられるのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  9. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 実施体制の点に関しましては、先生指摘のとおりでございまして、私どもさらに実施体制整備拡充に力を入れてまいりたいと思っております。現在のところ、外務本省経済協力局それから関係省庁、それから実施機関でございます国際協力事業団海外経済協力基金、それから在外公館を含めまして大体私どもは千六百名ございますが、先生指摘の具体的なプロジェクトフォローアップに関しましては、一義的に在外公館にできるだけよくフォローアップをしていただく。そして、アフターケアが必要な点があれば本省に言ってきていただいて、私どもができるだけ早く手当てするということで、しっかりフォローアップをやっていきたいと考えております。  実は、私ども外務省では評価報告書を毎年公表することにしておりますけれども、近く百六十のプロジェクトを収録いたしました評価報告書を公表することにしております。これもそういう日ごろの評価活動を盛ったものでございます。
  10. 黒河内久美

    政府委員黒河内久美君) 外務省が行っております邦人援護体制につきまして御説明いたしたいと思います。  最近、邦人の外国における事件事故が急速に増加いたしております。外務省の調査では、このような事件事故は、昭和六十一年度から六十二年度にかけて、件数で五三%、人数では六八%にも増加しておりまして、邦人旅行者数増加率二四%を大きく上回っている状況でございます。しかも最近は、誘拐等の悪質な事案航空事故列車事故といった大規模事案など、その対応が容易でない案件がふえてきております。  このような状況に対しまして、外務省といたしましては、事件事故の処理及び事前の防止の両面で、本省在外公館ともに最大限の努力を行っておりまして、例えば最近のラオスの浅尾所長誘拐事件中国バス転落事故などの際には、本省在外ともに二十四時間体制を組んで対応をいたしておる状況でございます。外務省としては、今後とも人員、予算等の面を充実させ、海外における邦人安全対策拡充強化努力していくことといたしております。
  11. 大鷹淑子

    大鷹淑子君 ODAと申しますと、やはり多額の予算を伴うものでございますから、その実行に当たっては、国会十分議論がなされなければならないのは当然のことと存じます。プロジェクトが実施されるまでの過程が非常に不透明であると日ごろから感じております。また、その報告国会の場でなされない。経済協力について国会の関与を高める上でも、経済協力基本法のような法律の制定が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  12. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生指摘のように、おかげさまでODA予算も年々拡充させていただいておりますので、私どもといたしましては、できるだけ国会ODAに関しましても議論をしていただくことが重要だと考えております。  先生指摘援助基本法でございますけれども、今先進諸国援助供与国が十八カ国ございますけれども、そのうちで援助基本法を持っておりますのは三分の一ぐらいでございまして、三分の二は日本同様援助基本法なしで対応しておりますけれども、私どもといたしましては、現行法体制のもとでそれなりに現行の運用を改善することによってしっかり対応していくということでやっていきたいと、こういうふうに考えております。
  13. 大鷹淑子

    大鷹淑子君 総理外務大臣は、近々ASEAN諸国を御訪問されるとお聞きいたしております。  そこで、ASEAN諸国、特にフィリピンに対する我が国経済協力についてお伺いしたいと思います。  一部報道されておりますミニマーシャルプランというものは一体どのような性格を持つものでございましょうか。
  14. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 今度連休を利用されまして総理ASEAN諸国訪問、こういうふうな計画を持っておられます。今お尋ねのミニマーシャルプラン、まだ正確に名前は決まっておりません。我々といたしましては、既に昨年のサミットで参加国全員による議論がなされまして、そして特にアジアにおいてはフィリピン、今日アキノ大統領がその治政に当たっておられますが、ASEAN諸国もこの人をおいて今フィリピンがすべての民生安定、さらにはまた経済安定、その任にたえ得る人はなかろうという認識のもとに、やはりフィリピンの政情安定を考えいかなければならない。不安定だとこれがASEAN諸国並びにアジア太平洋に与える影響は大きい。したがいまして、我が国ODAODAとして実行いたしておりますが、そうした面において我が国もそのほかの国々も共同してお互いに責任を持って当たるという、そうしたことに対しましても我々はやはり積極的に参加いたしましょう、そういうことでございまして、この間経済協力局長フィリピンに赴いたというのもそういう趣旨でございます。
  15. 大鷹淑子

    大鷹淑子君 このミニマーシャルプランというのは、形を変えた戦略援助ではないかということも一部から言われておりますが、実施するに当たって十分に国民の理解を得るため国会の場で議論されなければならないと思いますが、いかがでございましょうか。
  16. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 直接この間参りました経済協力局長から説明させます。
  17. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 宇野大臣が御説明なられましたように、私二月の上旬にフィリピンに参りまして、アメリカ援助担当責任者ウッズ長官一緒フィリピン政府の高官の方々とお話しいたしましたけれども、私どもが一番力を入れておりますのは、今宇野大臣から御説明がございましたように、アキノ政権は発足してまだ三年でいろいろな経済的な困難のもとで国づくりに向けて努力をしております。そういうアキノ大統領のもとでの国づくり努力に対しまして、日米を初めといたしまして世界各国、それから国際機関一緒になって支援の手を差し伸べようということでございまして、戦略援助という概念が正直申しましてはっきりいたしませんので、私どもは通常使わないことにしておりますけれども、私どもとしてはまさにアキノ政権のもとでの国づくりにできるだけ支援の手を差し伸べるという見地からフィリピン援助考えていきたいと思っておりまして、この点に関しましては、ぜひいろいろ御議論を賜れば大変ありがたいと思います。
  18. 大鷹淑子

    大鷹淑子君 日本経済援助はあくまでも人道的、経済的、文化的援助でなければならないわけでございますが、これはフィリピンにあります軍事基地への援助と聞いておりますが、その点もう一度お答えいただきたいんですが。
  19. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生指摘のように、確かにフィリピンにはアメリカ軍事基地がございますけれども、今回のフィリピンに対します援助構想はその問題とは全く別でございまして、私どもは明確に基地の継続問題とは切り離して対応するということでいっておりまして、アメリカも全く同様でございますし、この点に関しましては一点の疑問の点もございません。
  20. 大鷹淑子

    大鷹淑子君 別といいますと、どういう形でするわけですか。
  21. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 私が承知しておりますのは、アメリカ軍事基地に関しましてはこれはアメリカフィリピンの間で外交交渉がいずれ行われると了解しております。現在のところ、私の了解ではあと二年間置くことになっておりますが、その後に関しましては今後の交渉と了解しておりますが、それとは全く別に、先ほど宇野大臣から申し上げましたような基本的な姿勢のもとに、先生指摘のように、まさにフィリピン国民経済社会開発支援するという見地から私ども支援していく。  御承知のように、フィリピン経済マルコス政権の末期から非常に困難な状況マイナス成長を続けて、ようやく今プラスに転じましたけれども、この八〇年代を見まして、ようやく八〇年代の初めに今戻るかどうかという程度の状況で非常に経済的な困難に逢着しておりますので、そういう点を踏まえて、私どもとしては支援の手を差し伸べたいということでございます。
  22. 大鷹淑子

    大鷹淑子君 ありがとうございました。  外務大臣はぜひこのASEAN歴訪の機会をとらえまして、二十一世紀にわたる哲学にあふれた経済協力政策宇野大臣の御指導のもとでおまとめになって、経済協力宣言というような形で私たち国民に、そしてアジアの皆さんにアピールされてはいかがかと思いますが、どういうお考えをお持ちでしょうか。
  23. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) ASEANに限らずアジア全部を眺めますと、昨年の八月十五日にその人口がついに三十億を突破いたしまして世界人口の六割以上を占めるに至ったと。しかも、そこに八割の貧困が集まっている、こういう状態でございます。  日本外交のスタンスは常に西側にあって、アジア太平洋諸国の一員であるということでございますから、今御指摘のとおりに、やはりまず私たち近隣であるところのアジアが常に経済的安定を得られて民生が安定するということが一番必要でございますから、現在はASEANに対しましても、他の諸国に対しましてもODA等々の手段を用いまして、我々といたしましては今申し上げましたような目的を達成してともどもに繁栄したい、こういうふうに考えておるところでございます。  もちろん経済大国でありますから、いろんな恩返しはしなくちゃならぬと私は思います。また、過去のいろんな戦争等に対する反省も私たちは常にいたしておかなければならないと思います。したがいまして私たちは、経済大国日本軍事大国になりませんということを常に一つまくら言葉にいたしまして、現在協力にいそしんでおるというのが日本でございます。  今おっしゃいましたこともあるいは一つプランであるかもしれませんが、今後十二分にASEANのみならず他のアジア諸国のためにもいろいろと考えていきたい、かように思っております。
  24. 大鷹淑子

    大鷹淑子君 今まで特にASEAN諸国をお回りになった中で、キャッチフレーズと申しますとおかしゅうございますけれども、心と心、そして研修センターをつくるというようなことで一つの何かモチーフをお持ちになっていらっしゃってそれが実行されているわけでございますが、このたびはどういうお考えで、どういうお話し合いで、どういうモチーフをお持ちになっていらっしゃいますか。
  25. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 総理がどういうお考えで行かれますか、まだ私もいろいろと今後御相談しなくちゃならない、かように考えておりますが、やはり三本柱を打ち立てておりますので、その三本柱に沿いまして全力を上げたい。つまり、平和に貢献する日本であり、文化交流を盛んにする日本であり、さらにはODAを拡充し、そしてお役に立つ日本である。そういうことで進んでいきたいと思いますが、なかんずく人口問題等々から考えましても、また近隣諸国であるという立場から申しましても、やはり留学生の問題、これを看過するわけにはいかない、かように思っております。  幸い総理のイニシアチブで閣僚会議というものが昨年来つくられておりまして、ここで留学生問題がいろいろの面から議論されております。いやしくも日本留学生として学習された方が帰って日本の悪口を言うようなケースがあってはならない、そのためにはどうするかということで、この方面に対しましても相当な関心を払っております。  もう一つ、やはり就学生問題、つまり留学生でない就学生、これらの方々あり方、これに関しましても、当然一名でも多く日本に来て日本語を学んでいただいて、日本を理解していただくことも必要でございますから、さらに上海事件のようなトラブルが起こらないように考えながら、当然アジア対処をするということも新しい使命ではないか、そうしたことをひっくるめて総理としては訪問なさる、かように今のところは考えております。
  26. 大鷹淑子

    大鷹淑子君 今外務大臣から就学生の問題が出たわけでございますが、新聞によりますと、やはり日本語学校の資格のない日本語学校が大変不都合なやり方をして、中国の、特に上海青年たちが憤っているということでございますが、これをどういう形で今落ちつかせていらっしゃるのでしょうか。
  27. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 詳細はまた部長から話すと思いますが、何分にも五百ございます。その中にはアメリカ駐留軍等々の経営される学校もございますけれども、一応日本語を習得するという学校は五百校ある。だから、中にはいかがわしき学校もある。これらがいろんな国際的なマナーに欠けるところあり、御迷惑をかけておることは事実でございます。  したがいまして、法務省も適切な対処をしていただいておりますが、今回はそうした日本語学校同士におきましても一つ協議会を設けまして、そこでやはり自制をさす、就学生に過ちなきように、十分日本を理解してもらう、そういう体制もとらなければならない、いろいろと具体的にやっております。黒河内部長からさらに補足させます。
  28. 黒河内久美

    政府委員黒河内久美君) 就学生の問題につきましては、今も大臣から説明がございました中長期的な課題、つまり日本語学校あり方をどうするかという問題と、当面の懸案となっております上海日本語を学ぶために行きたいと言って待機している青年たちの問題とがございます。  この当面の問題につきましては、昨年十一月騒ぎが起こった段階で上海当局から、約三万八千人の青年がビザを取得したいと言って待機しているということでございましたので、外務省といたしましては法務省文部省と協議いたしまして、その中から一人でも多くの適格者日本に来ていただいて勉強していただけるように、中国関係当局とも御相談しながら今具体的な対応を検討しているところでございます。
  29. 大鷹淑子

    大鷹淑子君 その上海青年たちの場合でございますけれども、家も売り払い、土地も売り払いということで、考え方も違うことですし、十何万というお金を払い込んだとか、私のどころにも保証人になってくれというような方も参っております。その方もお金を払い込んだということで、その学校を調べに参りましたら、もうきのうその先生もやめてしまったというような宙に浮いてしまうような、向こうもやりきれないし、こちらはそういうような学生に対してはどういう手当てをしていらっしゃいますか。
  30. 黒河内久美

    政府委員黒河内久美君) 現在私ども日本でやっておりますのは、外務省法務省協力いたしまして日本語学校からいろんな状況を事情聴取いたしておりまして、中には既にもう入学が当面不可能であるということから返金を始めた学校も多数ございます。また他方、上海当局におきましても、中国青年に対しましてなるべく職場復帰させるとか、あるいはいろんな方法を通じて平静に事態の改善を待つようにという説得を続けていただいておりまして、当面、事態は一応鎮静化している状況でございます。
  31. 大鷹淑子

    大鷹淑子君 宇野大臣、私はフィジーにおりましたときに、小学校、中学校、高校にサッカーボールを寄附したことがございました。多くの予算を使ってプロジェクトを進めることも大切ですけれども、このささやかなサッカーボール一つでも人々の心に残るという、大切な援助一つだと思いますけれども経済協力を進める場合に、相手国の要望を納得のいくまで調査して細やかな対応をぜひ今後お願いしたい。外務省の方、特にODA関係の方にお願いするわけでございます。でございませんと、ODAというのは、何かいろいろとマスコミだけに騒がれておりまして、これからきちんと国民が納得いく形でやっていかなければ何か大変なことになってしまうと困るという考えがあるのでくどく申し上げているわけでございますが、その点はよろしくお願いいたします。  それから、ASEAN訪問、サミットでお忙しい宇野大臣でいらっしゃいますが、どうぞ日本のため、ますます御活躍をお祈りいたしております。一言ごあいさつだけいただきたいと思います。
  32. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) この間の御大喪を例にとって甚だ失礼かもしれませんが、世界で今我々が承認しました外国が百六十九ありまして、日本がその中に一国ございますから、だから百六十八のうち百六十四来ていただいたということ自体を考えましても、やはり日本に対するいろんな思いが寄せられておる。こうしたことに対しまして、私たちはやはり世界じゅうの和平のため、また繁栄のため、根限りの努力をすべきが今日の日本である。  試みに、昭和の初頭、国際連盟を脱退しましたときは四十四対一というまさに孤立無援の日本でございました。それがその後どのような道をたどったかということを考えればおのずから明らかでございます。私たちは常に世界の方々とともどもに歩みながらも世界に貢献する外交、これをぜひとも今後も力強く推進したい、かように私は考えております。
  33. 大鷹淑子

    大鷹淑子君 ありがとうございました。  あと中東の問題も伺おうと思いましたけれども、あと三分しかございませんので、これで終わらせていただきます。
  34. 中村哲

    ○中村哲君 きょうは法案の審議だものですから、それについては二点お聞きする程度にします。  一つは、ウィーンになぜ日本代表部を特に今回置くようになったかということ。それからもう一つ大使館で、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦、これは太平洋戦争でも関係の深かったところで、殊にこれは戦略地区、信託統治の戦略地区だということ、そのことがどうなっているのかということ。この二つをお聞きしたい。  後に関連してお聞きするのは、今回の予算の中にナミビアの独立の問題が、これはかねてからの懸案ですが、出ておりますので、それをお聞きしたいと思うんです。もう一つは、私は北方領土委員会にこのところ出ているわけですけれども、北方領土委員会そのものは何か辺境の問題を論ずるようなことで、北海道関係の人とはよく会うのだけれども、本来これはソ連との関係の問題で、この問題はきちんと宇野外相にお聞きしておきたいと思うんですが、時間があるかどうかということ。それからもう一つ時間さえあればお聞きしたいのは、今回の大喪に関連しまして、日本の天皇制が国際的に非常に深いいろんな意味の印象を与えた。そのことについて、私は本来憲法学にも関係があるものだから、そのことをお聞きしたい。こういう数点のことをばらばらにただお聞きするのです。  まず最初の、今回政府代表部ウィーンに置かれるということですが、ウィーンには従来からオーストリア大使館がありまして、そしてあそこは、ヨーロッパの中でもユーゴあるいはベルギー等と並んで、いろいろな古いヨーロッパ諸国とは違う新しい東欧の動きなんかとも関係あるような問題が出てくるところでありますが、特にウィーンは東欧との接点である。それで、東独とか西独との関係とも違いまして、汽車が直接に東欧からもウィーンに入り込んでおるというようなそういうところであるし、世界大戦にも関係あるし、それから昔の「会議は踊る」なんかの国際的な話題の非常にあるところでありまして、このウィーンに代表部を置かれるということは、そのことはウィーンの従来の大使館だけでは処理するには手に余る問題が出てきているということもあるんじゃないかというふうに思うんですが、この点はどうなんでございますか、ウィーンのこと。
  35. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) お答え申し上げます。  先生今御指摘のとおり、ウィーンというのは、中欧におきましては大変枢要な地位を占めておりますし、それから、東欧と西欧との接点ということも御指摘のとおりでございます。  そういうことで、在オーストリア大使館におきましては、最近、ソ連、東欧情勢であるとか、それから欧州通常戦力交渉の問題あるいはOPECの会議がしょっちゅう行われますので、その関連情報の収集等、総合的な事務が非常に増大してきております。また、本年はオーストリアとの間で航空協定の署名が行われまして、さらに日興の修好百二十周年記念の諸行事も行われるというようなこともございますし、そういうことで、国際情勢の展開及び日欧関係の一般的な発展のもとで、在欧大使館の事務量が飛躍的に増大しているという状況がございます。  そういう状況でございますので、在オーストリア大使館におきましては、従来どおり国際機関の事務を効率的に実施していくということがかなり難しくなってきておりますので、今回、別途代表部の設置ということをお願いすることにいたした次第でございます。
  36. 遠藤哲也

    政府委員遠藤哲也君) 私の方から、なぜ国際機関代表部をオーストリアのウィーンに置くべきかという理由につきまして、御説明申し上げます。  先生先ほど御指摘のとおり、ウィーンは、まずニューヨーク、ジュネーブに続きまして第三の国際機関都市といいますか、あるいは国連都市としてかなり成長してきておりますし、オーストリア政府自身もそういったような国際機関の誘致に非常に熱を注いでおると、こういうことがございまして、約十個ぐらいの国際機関が現在ウィーンに設置されているわけでございます。  その一つ、若干御説明申し上げますと、一つはIAEA国際原子力機関あるいは国連工業開発機関、これはUNIDOと言っております。その他麻薬関係の委員会が幾つかございますし、それから国連の社会開発人道問題センターの事務局が置かれておりまして、これは婦人問題とかあるいは老齢者問題等々を扱っておるセンターでございますが、このように国際機関がここに非常にたくさん置かれておりますし、これからもその数があるいはふえていくんじゃないかと思いますし、そういったようなことから、このウィーン大使館とは別に独立しまして国際機関代表部を置きたいということをかねがねから考えていたわけでございますけれども、特に昭和六十一年に、先ほど申しましたUNIDOが国連の専門機関に昇格し、かつチェルノブイリの事故の後、国際原子力機関におきましては、一層原子力の安全に力を注がなくちゃいけない、こういうようなことから活動が特に活発化しておるということであったわけでございますが、他のいろんな機関の新設とかあるいは機構の新設とかあるいは行財政の関係から、今般ようやくにいたしましてウィーン国際機関代表部の設置につきまして御承認を求めるに至ったわけでございます。
  37. 中村哲

    ○中村哲君 チェルノブイリのことが出されましたけれども、あれはキエフに近いところですね。ロシアというか、ソビエトのもとのロシア帝国というものは大体キエフに中心があって、それが自然に外圧を受けて、そしてモスクワに移っていくわけですね。それで、当時キエフが首都だったときは、あそこから地中海とか黒海とか、ロシアの船が大挙して行って、海軍も持っていたというようなことなんですが、そういうことのある一帯である上に、まさに今のチェルノブイリのような問題が出てきて、ソビエトにおける原爆等の問題等の研究の上でも、あるいは管理の上でも非常に接点になってきていると、そういうことだとも思いますが、そういう考え、それでよろしいんですか。
  38. 遠藤哲也

    政府委員遠藤哲也君) 殊に、チェルノブイリの事故は昭和六十一年の四月でございますが、それ以降、やはり原子力の平和利用につきましては何といっても安全が大切である、その安全をどうやって確保していくかというのはやはりIAEAのような国際機関が一番いいんではないかということで、IAEA自身、今までの保障措置とかあるいは技術協力に加えまして、この安全問題が非常にウエートを占めてきているという点、先生指摘のとおりでございます。
  39. 中村哲

    ○中村哲君 それ以上お聞きするわけではありませんですが、もう一つマーシャル諸島共和国、それからミクロネシア連邦に兼轄の大使館を置くことになったということですが、これは本来太平洋戦争のときの作戦のコースでもあったところであり、現在でも信託統治地域の戦略地区ということになっていて、これは、この間の戦争としては、あれからフィリピン、さらに、これは問題になったわけですが、台湾を通って入ってくるか沖縄を通って入ってくるかというので、それで、そこから日本本土にアメリカがどうやって向かうかということだったんで、これは政治地理学的に言っても、かつてペリーの下田に入ってくるコースもまた、こういう島々を通ったわけじゃないですけれども、沖縄を通ってきているわけでありまして、そういう意味の戦略的な地域として注目されることが多いんじゃないかと思うんですが、その点は特にどうなっておりますか。
  40. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 今般、政府としてマーシャル、ミクロネシア双方に兼轄の大使館を置くことといたしました理由は、これら両国がかつて我が国統治下にあったため日系人が多数おりまして、人口の約五%と言われております。我が国との関係強化を強く希望してきているからでございます。そして、我が国といたしましてもそれにこたえるとともに、経済協力等によりまして両国の発展を支援していくことが重要であると考えているからであります。特にこれらの国の近海は、我が国のカツオ、マグロの重要な漁場でございまして、円滑な漁業関係の維持等のために両国政府と緊密な協議を行っていくことが必要であるからであります。
  41. 中村哲

    ○中村哲君 特に、信託統治地域で戦略地区であるというようなことを知ったんですけれども、こういう面ではどういうことがあるんですか。
  42. 遠藤實

    政府委員遠藤實君) マーシャル諸島とそれからミクロネシア連邦は、米国を施政権者といたします戦略的信託統治ということであったわけでございますが、これが米国との自由連合というステータスに移行いたしました。この移行につきましては、国連の信託統治理事会の監視ミッションの立ち会いのもとに行われました住民投票の結果でありまして、またこの措置が信託統治理事会の決議に基づくものであったということから、この地域に対する信託統治は法律的に終了したものというふうに考えております。
  43. 中村哲

    ○中村哲君 信託統治は、それでは終わった形になっているんですか。
  44. 遠藤實

    政府委員遠藤實君) はい、信託統治は終わったということでございます。
  45. 中村哲

    ○中村哲君 それから、この法案の中に子女の教育のことで、従来支給した期間を少し延ばすというような条文があったようですが、これはどういうことですか。
  46. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 今回の法案の改正でお願いしておりますのは、子女教育手当というのがございまして、これは六歳から十八歳までの子女について手当が出るわけでございますけれども、十八歳と申しましても十八歳でその後高等学校を卒業するまでの間、新たに子女教育手当を支給するということが今回の法改正趣旨でございます。  現在の状況におきましては、十八歳になりますとその途端に子女教育手当は供与できないという事情でございまして、これを高等学校を修了するまで延長するというのが今回の趣旨でございます。
  47. 中村哲

    ○中村哲君 その高等学校と言われるのは、現地の高等学校のことですか。
  48. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) そのとおりでございます。
  49. 中村哲

    ○中村哲君 そうすると、欧米の学校の卒業というのは日本のように春になっておりませんので、そのことと関係あるんですか。
  50. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) そういうこともございますが、現状におきましては十八歳までということでございまして、十八歳の誕生日が来ますと、その途端に子女教育手当が供与できないということになっておりますので、十八歳以降、例えば卒業が六月でございますとその六月までということでございますし、まあ大体そういうところが多うございますけれども、ということが今回の改正趣旨でございます。
  51. 中村哲

    ○中村哲君 私は学校に関係しながら、そういう普通教育とか高等教育というところから離れているんですけれども、それはそうやって延ばしても、また延ばすということにならないですか。高校に在籍中というふうな、何かそういうことが限界があるんですか。
  52. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 満十八歳に子供がなりまして、その到達時に所属する学校の学年の修了時ということでございます、厳密に申し上げますと。ということは、その子供が学校を、具体的には日本式に言えば高等学校でございますが、それを修了するまでということになるわけでございます。
  53. 中村哲

    ○中村哲君 そういう非常に細かなことですから、それ以上は……。  今回の予算委員会に予算の項目として出ておりますので幾つか、これは外務省の補正予算として一つは国際交流基金出資金、それから日欧交流特別計画拠出金、それからアフガン国連調整官事務所信託基金拠出金、国際連合イラン、イラク軍事監視団分担金、国際連合ナミビア独立支援グループ拠出金、もう一つ、中東難民救済計画拠出金、こうありますが、アフガンは幸いにしてというか、なお問題は非常にあるけれども、ソ連の撤退が実現いたしましたので、一応問題ははっきりわかるんですが、ナミビアの独立支援グループ云々ということは、これはどういう経過なんですか。私は多少は知っておりますけれども、今ある問題、それはどういうことになるんですか。
  54. 遠藤實

    政府委員遠藤實君) ナミビアにつきましては、このナミビアは現在南アの不法占拠下にあるわけでございますが、これを国連監視下の選挙を通じまして独立に導こうということで国連の決議がございまして、これがナミビア独立支援グループを設立いたしまして、これが四月一日から発足することになっております。  それで、UNTAGと申しますが、このナミビア独立支援グループが南ア軍の撤退の監視、それからナミビアの制憲議会の選挙の監視等を行うことになっておりまして、この選挙が十一月の一日に予定されております。そういたしまして、来年の四月一日には独立を遂げるというのが一応のスケジュールでございます。  このための、つまり撤退の監視あるいは治安の維持それから選挙の監視と、そういった使命のために各国から監視軍あるいは選挙監視要員あるいは治安警察、そういったものを派遣いたしましてこの独立を助けるということになっているわけでございます。そのための拠出金といたしまして十六億円ほどの拠出をするというのがその趣旨でございます。  他方、このナミビア独立支援グループにつきましては、さらに分担金といたしまして四億ドル余りが全体として計上されておりますので、それの一一%ぐらいが恐らく来年度で必要になってくるということであろうと思っております。
  55. 中村哲

    ○中村哲君 ナミビアの場合は南アフリカというか、あれは前にポルトガルのローデシアでしょう——ローデシアじゃないか、つまり南アフリカがかなり政治的な支配をしていたわけでしょう。それは話がうまくついたんでありますか。
  56. 遠藤實

    政府委員遠藤實君) もともとこれはドイツ領であったわけでございますけれども、これは第一次大戦後南アの委任統治になりました。第二次大戦後は、これは本来ナミビアは独立すべしということになっているわけですが、南アが不法占拠しておったというので現在まで至っているわけでございます。しかし、これにつきましては先般アンゴラ、キューバ、それから南アの間に合意が成立いたしまして、それでナミビアを独立させるという趣旨のもとに、ナミビア独立支援グループが四月一日に発足するということになったわけでございます。  ちなみに、アンゴラと申しましたのはナミビアのすぐ北にございまして、ここにキューバ兵が入っておるということで、実は南アは撤退、その他いろいろ渋っておったわけでございますが、このキューバ軍のアンゴラからの撤退についても合意ができたということでございます。
  57. 中村哲

    ○中村哲君 キューバについてはソビエトがかなりゴルバチョフ以後の緩和した政策の効果が出てきたと、こういうことになるんですか。そうじゃなくて、少し前からこういうことがそういうふうに進んでいたんですか。
  58. 遠藤實

    政府委員遠藤實君) これは、全般的にソ連が世界的に行っておりましたいろいろな進出、介入、そういったものからある程度新しい外交姿勢ということで、今示されておりますような地域紛争というものをできるだけ平和的に解決しようというふうな政策が、直接か間接かということは一応別にいたしまして、一つのこの反映としてあらわれてきたものだというふうには考えております。
  59. 中村哲

    ○中村哲君 そうすると、最近のゴルバチョフ以後特にそういう傾向が強くなって効果を持ってきたということとして理解してよろしいんですか。そういうことではないですか。
  60. 遠藤實

    政府委員遠藤實君) そういうふうに理解しております。
  61. 中村哲

    ○中村哲君 それにもかかわらず、最近見た新聞でソビエトが南アフリカとの接触を持ったようなことが書いてあったように思うんですけれども、そういうこととかはどういうことになっているんですかね。
  62. 恩田宗

    政府委員(恩田宗君) 先生ごらんになった報道というのは、三月五日から八日までロンドンで英国、南ア、ソ連の学者が会合いたしまして南部アフリカ情勢について議論をしたと、そういう報道がイギリスで行われまして、そのイギリスの報道の中に推測として、ソ連が南アに対して、南アの将来について社会主義化するかどうかというような問題についても話し合ったという報道がなされました。そのことだと思いますが、この会議の内容は全く民間ベースで行われておりまして、詳細な内容は私どもとしてはわかっておりません。イギリスの当局もはっきりとしたことを必ずしもつかんでいないようでございます。  ただ、ソ連は既に南アとは接触がございまして、アンゴラからのキューバ兵の撤退については、ソ連は間接の当事者としてこの問題に米国とともに関与しておりますので、それを通じての南アとの接触あるいは話し合いというのはあったというふうに考えてよろしいんじゃないかと思います。
  63. 中村哲

    ○中村哲君 この南アについて私が最初に印象を持ったのは、パリ大学の五月革命と言われたあのときのちょっと前に、アメリカの大学院の学生がアパルトヘイトの南アに出かけて、そしてそこにあった英国系の大学、その大学の事務総長、つまりイギリスの事務総長ということは日本でいえば学長ということですからね、英国の大学は全部王室が総長になっていますから、その事実上の総長がロンドン大学の総長にかわったときに南アへ行ったアメリカの大学院の学生がロンドン大学へ押しかけて、そして図書館のガラスを割ったりした、あれが学生紛争の始まりなんですね。  そういうことから多少知っているものだから、つまりイギリスが南アフリカに対しては非常に関係が深いということはかねてから知っているんですが、そういう南アフリカに対してもイギリスは政策を多少変えてきているんですか。ソ連のことは今言われたけれども、ソ連自身もイギリスとの関係の中で全体に南アの政策は変わってきているんですか。そう簡単には言えないですか。
  64. 恩田宗

    政府委員(恩田宗君) イギリスの南アに対する政策でございますが、先生御存じのとおり、アフリカ諸国、それからアフリカ諸国支援する開発途上国アジア、アフリカ、それから東欧諸国もそうでございますが、はアフリカにおけるアパルトヘイトを改革するためには経済制裁等かなり強烈な圧力をかける必要がある、こういう立場でございますが、イギリスはそもそも歴史的にも非常に南アと関係が深うございまして、南アのアパルトヘイト改革が平和的に行われることが最も世界にとっても好ましいことであるし、また南アに住んでいる黒人に対してもその方が望ましい。したがって、南アには不断の圧力というか、話し合いは続けていても経済制裁等の極端な政策というのをとるべきではないという政策をとってまいりまして、それは引き続き変わらずに堅持されているのではないか、かように思います。  ソ連の政策でございますが、ソ連は一九七〇年代にアフリカ諸国に対して進出というか、いわゆるアメリカとの対抗上の経済援助、軍事援助による進出ということを非常に盛んにやりまして、その中の一つがアンゴラでありあるいはエチオピアであり、そういう諸国でございますが、アンゴラからのキューバ兵の撤退に見られますように、ソ連はあえて西側と軍事的な対立ということを構えてまでもアフリカ諸国にみずからの影響力を及ぼすという政策を続ける必要はない、むしろアフリカにおける紛争の解決というものに必要があれば西側ともアメリカとも協力しながら紛争を解決していこうという方向にきておりますので、それがアンゴラからのキューバ兵の撤退、それからナミビアの独立への合意というものにつながっているんだと思います。  そういう趣旨でいきますと、南アにおける闘争についてもソ連が南アをあらゆる手段を使って社会主義化するなりなんなり、そういう方向を目指して西側と対立する形で南アの問題を解決しようと考えているというふうに結論するのはあれかなというふうに思います。
  65. 中村哲

    ○中村哲君 私も実際そう思うんです。それは、私は国会に出てきてから何回か質問した中に、つまりアフリカにしても中近東にしても、ソビエトが軍事的にバックしているからといって、それをもって何か社会主義の方向へ持っていこうとしているとか、それから、それは場合によっては抑止力の対象にするような仮想敵国だというふうに考えないで、やっぱりああいう発展途上国がそれぞれ民族独立、自分たちの国家を自立させるために必要ならばソ連の手もかりていると、こういうふうに見て外交をやっていかないと、ここはソ連的なところだ、こっちはそうでないとかというふうに、軍事的なバックをそういう小国がソ連に求めたり利用したりしているという、それだけで見ると間違うんじゃないか。これは、私は国会へ出てきてからずっとそう思っていたわけです。  ですから、そういう点が全体的に、何というかもつとおおらかに日本外交当局も見るようになってきたように思って、それは結構だとは思うのですが、同時にそれは、南アフリカ等非常にいろんな地下資源のあるところですからね、ですから、正面からは我々にはわかりませんけれども、経済的な進出、産業界の進出は日本の場合深いと思うんですよ。そういうことを英国なんかの目から見ると、政治的にはつながっていないけれども日本というのはエコノミックアニマルで、それで正面から政治の形をとっていないけれども経済的な進出をしている、こういう印象が南アフリカにもあるんじゃないかと思うんですね。  それらがやっぱり今後の発展途上国に対する日本の、政府がどうコントロールするかという問題かどうかわかりませんけれども、何か経済的な進出の形で、極端な言葉で言えば昔の帝国主義みたいなもの、政治的にはやらないけれども経済的にはどんどん弱い者に対して強い者が出ていくというような感じがある。それがアジアなんかでも反発を買うんじゃないかと思うので、それでソ連の軍事力よりも日本が経済的にコントロールなしに進出していくことに対して私はちょっと憂慮するんですが、そういうことについては何かお考えがありますか、宇野外務大臣。  つまり、米ソの緩和というのは、これはもう非常に結構なことで、それがいろんな形で実ってきている。それにはやっぱりゴルバチョフの役割が非常に大きいと思います。ノーベル賞なんというのは大したものじゃないですけれども、ノーベル賞をゴルバチョフにという、そういう世紀ですね、現在は。そういう感じがするんですが、宇野さん、どう思われますか。
  66. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 確かに歴代ソ連の最高幹部の方々とは違って、ゴルバチョフ書記長はユニークな、しかもダイナミックな行動をしておられることは事実でございます。今御指摘の、例えばアフリカあるいはその他の国々に対しましても、この間のニューヨークのスピーチに見られるように、例えば経済問題に関しましても百年間私たちはいろいろ考えてもいいんだというふうなことをおっしゃっています。そうした面では、片一方において軍事力をアメリカとバランスをとりながら削減しつつ、なおかつやはり大国でなくちゃいけないと。その大国のためには、単に軍事力だけでは通らない時代になったし、経済も必要だから、その経済についてはという非常にデリケート面が、私は東南アジアにも、あるいは中東にも、さらにはアフリカにも南米にもあらわれつつあるのではなかろうかと、こういうふうに考えております。  だから、相対的に考えた場合には、米ソの対話継続ということは非常にすばらしいことでございますが、やはり我が国もそういう中におきまして、いろいろと対処していかなければならぬ面もたくさんあるんじゃないかと、私はこう思っております。しかし、一面においては東欧等々ではやはりソ連から離れていく国々も目立ち始めた、たがが緩み始めたということも事実でございますから、そういう意味で、現在は一つの大きな変革がなされておる、それをお互いが注目をしておる、こういうことではなかろうかと私たち考えております。
  67. 中村哲

    ○中村哲君 さっきのウィーンに近いルーマニアとかハンガリーとかああいうところは、ハンガリーはソ連からの解放を主張したハンガリー事件があるし、それからルーマニアというのはあれは言葉は本来ロマーナというローマ人、ローマ的なものが残ったところなんですね。だから、それがルーマニアということになっていて、あのルーマニアも簡単にソ連的というか、スラブ的というかじゃないところがあるんですね。こういうところが徐々にこの世紀にはそれぞれの国というか民族というかが文化的な自主性を持つようになってきているように非常に思うんです。  それで、北方領土の問題を宇野外務大臣にお聞きしようとは思ったんですけれども、これ自身私ども北方沖縄委員会であり、長年にわたっているものですから、細かなことの方が気になりますけれども、これを一々ここで申していると切りがないと思うんですが、北方領土の問題について特に何か明るい曙光というものをお感じなんですか。
  68. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 結論から先に申し上げますと、日ソ間、北方領土問題に関しましては依然平行線のままである。ただ、これを議論するというそのプロセスにおきましては、ソビエトもいろいろの思いを抱いているであろうと思いますが、一応ワーキンググループをつくるとかあるいは外務大臣同士がしばしば出会うとか、さらにはこういう重要な問題ですから、双方の首脳によるところの意見交換ということも必要だ、こういうことにつきましては前進はしておると、かように考えております。
  69. 中村哲

    ○中村哲君 関連質問でさえもないと言えるかもしれませんけれども、私自身本来は政治学なんですけれども、いろんな関係から憲法の講義を台北帝大でしなければならなくなりまして、それでいきなり天皇の講義をしなきゃならなくなりました。そんなことがあるものだから、さきの天皇が亡くなられましたことについてはいろんな感慨を持つし、また学問的な問題もいろいろ突き詰めなければならないと思っているわけですが、これらの問題についてお聞きするというか、話題としたいと思うんですが、それはこれまた切りがないことなんですが、そして私自身の本来の専門なものですから、どこからやったらいいかと思いますけれども、たまたま昨日、二十七日のジャパンタイムズに、日本の人が書いた文章なんですけれども、その中にミッテラン夫人がこの間の大喪の礼を見たときのことを発言しており、それが転載されておりまして、このジャパンタイムズの記事そのものは別にそれほどの記事じゃありませんけれども、それはこう言っているんですね。ミッテラン夫人ですよ。  日本のエンペラーはヨーロッパの王室とは非常に違う、そして私の理解するところでは裕仁という人は、ルーラーで統治者とか征服者とかそういうのじゃなくて、彼はジャパニーズネーション、日本国民のファミリーヘッドだということを言っているんですね。これは、それを言われただけでもどういうことを言おうとしたかということは感ずるんですけれども、ヨーロッパではモナルクというか君主が国民のファミリーヘッドだというような印象というものは余りないんだと思うんです。それをミッテラン夫人が指摘して、日本というのはよく家族国家だとか家長制だとか言われているああいう要素を持っているということを一言にして批評したことなんだと思うんですね。このことは、日本の一般の国民あるいは殊に文教関係の文部省なんかがどういうふうな教育をしようとしているか、どういうふうに思っているかということはあるわけですけれども、やっぱり天皇がネーションの家長的なものだということはヨーロッパ人には異常な感じがするんだろうと思うんです。この間の大喪のときに、雨の中でああいう儀式がやられて、これも日本人にとってはそんなに不自然なことではありませんけれども、やっぱり何か昔ながらの神ながらのような感じが非常に強くしたんじゃないかと思うんです。ああいう式典をするにしたって、もっと室内のいろんな施設でやるというようなことがヨーロッパ的には自然なんで、雨の降りしきる中でみんな苦痛に耐えながらやるというと、昔私どもが学生のときに宮城の前で天皇の閲兵で軍事教練をさせられた、何かああいう感じがするんですね。これがやっぱり外国の人には異常に見えるんじゃないかと思う。  ですから、これからまた即位の式典とかいろんなことがあるときに、やっぱり外国の人がそうやって参列する場合に、何か異常な感じを与えないようにされるのが国際日本としては当然なんじゃないかと思うんです。この点、宇野外務大臣にお聞きしないで竹下さんに聞いたらいいようなことなんですが、そういうことを考慮される方がよろしいんじゃないですか。
  70. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) これは宮内庁を中心といたしまして外務省関係省庁非常に熱心にやってくれました。今ミッテラン夫人のそうした印象のこともお話しいただきましたが、私たちも実はこの大喪に関しましてはいろいろ外国の報道ぶりをその後追っております。  その中には、やはり伝統というもののとうとさ、これをやはり評価しておられる面が多うございます。二番目には、日本の独特の組織力、これに対しましても高い評価が得られております。なおかつ、葱華輦がずっと皇宮警察の職員によって運ばれましたとき等々のあの古き伝統に基づく行事に対しましては、アメリカの特派員なんかは、ただいま私たちは歴史の特等席に招待されております、こういう表現で評価しております。  多くの国は本当に評価されまして、特に先生が今御指摘なさいました天皇陛下という、日本の家長である、ヨーロッパとまた趣を異にするという段に関しましても、私たちが取りまとめますならば、あのとき天皇、皇后両陸下が雨の中でこうもり傘を差された、それだけで、日本の皇室は従来のイメージとは異なって非常に民主化された皇室である、こういうふうな評価も得ておりまして、やはりそこには独特の日本の歴史と、それなればこそ今日の国民結集の繁栄があったんじゃないかというふうな評価もございまして、一応我々といたしましては、日本は古臭い国だな、あれじゃどうにもならぬなというような評価は今のところ耳にしておらないというようなことでございます。だから、やはり歴史は尊重しなくちゃならないという、そういう外国の新聞の記事の方が目を通したところ多かった、こういうふうに私たちといたしましては考えておるんです。
  71. 中村哲

    ○中村哲君 どうも私は長年講義しているものだから、質問しているのか講義しているのかとなりますけれども、質問をしたいのは、今、宇野外務大臣が伝統とおっしゃったんですが、伝統ということ、コンサバティブとトラディショナルという概念の相違をマンハイムがはっきりと言っているのです。保守と訳されているコンサバティブというのは、古い様式や儀式をそのまま保持しようとすることではないのです。マックス・ウェーバーが言う伝統というのは、ある一つの昔の型をそのまま守ろうとすることで、政治の世界でそれなりに時代とともに発展を認める価値体系としての保守の概念とは違うのです。だから、伝統芸術だとかお茶とかお花とか、ああいうものを守る、あれは伝統なんですね。ところが、そこの伝統というのとコンサバティブというのとがごちゃごちゃになって、このごろはどうも伝統を重んずるようなことが強過ぎているんじゃないか。それは必要なことはあるんですよ、例えば能だとかお花だとか、そういうふうな芸能は決まった型を守るんですね。だけれども、皇室制度を厳格に守らうというんなら、それはやっぱり国民とはちょっと切り離さなきゃいけないですね。そういう昔の型だけは守る。伝統だというけれども、例えば天皇を火葬にしなくなったのは幕末なんですよ。これは幕末の孝明天皇の前だったと思うんです。それまでは火葬にしていたんです。そうしたときに京都の奥八郎兵衛という人だったと私は思うけれども、この人は宮中の魚屋さんで、京都で天皇の葬儀をそういう仏式にするのはいかぬということをこの人が言ったんですね。それで、そのころから天皇の葬儀が神式になった。それからもう一つ、神道の方は余り葬儀に関係しなかったんです、伝統的に、汚れということで。そうしたら平田篤胤が、神道を時代に合わせるために神道の葬儀をすべきだと。それで、明治の維新の志士で土佐藩の人ですが、京都で明治維新の志士の葬式というのが神道で行われたわけです。これが始まりなんです。  そういうことで、天皇制の伝統といっても、果たして伝統かどうかという問題はあるし、伝統であるよりはやっぱりいいところは守り、そしてその時代に合わせるところは合わせないとヨーロッパの君主制とは非常に違ってしまうと思うんです。それが異常な感じを与えるんじゃないかと思うんです。  それで、もう一言ですが、テレビに天皇の容体がもう嫌なほど時間ごとにああやって出てくる。これは個人の天皇としても非常に酷な感じがしましたですね、むごたらしい感じがした。私は、さっきのことに一言関連したことを申しまして終わりたいんですが、旧憲法の講義から始めたものですから、私は美濃部達吉先生の憲法学者としては最後の弟子でありまして、そして天皇機関説が全国で問題になったときに、私は本来は南原繁先生の助手でありまして、ドイツ国家学をやっていたんですけれども、無職だというので、台北帝大の憲法の講座があいたときに、東大の公法の関係から台北帝大の憲法の講義に派遣されたというか行きまして、そして天皇の講義からずっとやったんです、実際は天皇機関説的なのが東大の伝統でありましたものですから、今でもそうですけれども。そのころなんか例えば新聞でも天皇のことを新聞の半分から下に書けば編集長が責任とるとか、もう実に天皇問題というのはタブーみたいになっていたんです。つまり、かしこきあたりと。何かそういうふうに今でも、私が国会で天皇のことをこうやって議論すると、何を言うのかというふうな空気があるんじゃないかと思って、こういうことが問題だと思う。やっぱり自然に天皇のことを、制度のことや何かを議論するというような空気がありませんと、国際的な波長と合わなくなると思うんです。  一言それだけ申しまして、私の話を終わります。
  72. 矢田部理

    ○矢田部理君 法案に即して数点お尋ねをいたします。  法案の一つに、マーシャル及びミクロネシア連邦それぞれに大使館を設置するという中身がありますが、それぞれの大使館の設置とか外交関係を持つということの意味でありますが、これはあれですか、独立国というふうに認定をしてここと持つというのが一般的な考え方でしょうか。つまり、信託統治をされている国とか自治州とか植民地とかという、いわば独立をしていない国と外交関係を持つ、あるいは大使館を置くということは一般的にはないというふうにも考えられているのですが、その点まず一般論から御説明をいただきたいと思います。
  73. 福田博

    政府委員(福田博君) マーシャルとミクロネシアにつきましては、いわゆる自由連合という形態の国に移行したわけでございます。自由連合というのは、先生承知のとおり、非自治地域の完全な自治を達成する一形態として国連の総会決議によって認められたものであって、民主的な方法で自由かつ自主的に選択される独立国の政治的連合を言うということで、このミクロネシアとマーシャルはそれぞれその独立の意思に基づきまして自由連合を形成したわけでございます。  さて、それが国家として認められるかどうかというのは、それはまた、その自由連合がどういう形態、どういうふうな経緯あるいは意思を通じてそういう事態になったかということを見きわめまして、そして判断するわけでございます。ほかにも自由連合というのが実は世界にはございますが、少なくともこのマーシャル、ミクロネシアにつきましては、我が方において子細に検討いたしました結果、いろいろな意味で全く独立国として承認して構わないという結論に達しましたので、具体的には昨年の十二月十六日に国家として承認をいたし、ついでに外交関係を設定するということを決めたわけでございます。
  74. 矢田部理

    ○矢田部理君 経過はわかるんですが、独立国だから持つわけでしょう。独立国でなければ外交関係とか大使を置くとかということには一般的にはならないと、一般論はそういうことですね。それはそれでよろしゅうございますか。
  75. 福田博

    政府委員(福田博君) 一般論といたしましては、具体的な例をちょっと申し上げた方がわかりやすいと思いますが、ほかに自由連合として現在ありますもので、例えばクック諸島というものがございます。これはニュージーランドと自由連合を結んでおりますが、これは外交権もニュージーランドがまだ持っておりますし、かつそのクック諸島の住民というものはニュージーランドの市民権を持っている。そういうようなことを考えますと、同じ自由連合という形態ではありますが、これは独立国としての機能を備えておらないということで我が国は国家として承認をしていないということでございます。
  76. 矢田部理

    ○矢田部理君 そうすると、別の観点から聞きましょう、独立国というもののメルクマールは一体何ですか。
  77. 福田博

    政府委員(福田博君) 国際法上国家として求められる要件というのは、一般論で申しますと、まず第一に永久的な住民がいること、明確な領域があること、政府があること、それから対外関係処理能力を持っていること、一般的でございますが、大体この四つを満たしておれば国家として認めるということでございます。
  78. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこで、今問題になっておりますマーシャル及びミクロネシアとアメリカとのかかわりで自由連合という協定が結ばれたわけですね。その中身について御説明ください。
  79. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) これは防衛を除きましてすべての権限がマーシャル及びミクロネシアに与えられるということを趣旨としたものでございます。
  80. 矢田部理

    ○矢田部理君 それだけですか。
  81. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) かなり長いものでございますから、一番重要な趣旨のところをお話しいたしましたけれども
  82. 矢田部理

    ○矢田部理君 そうしますと、先ほどお話がありましたクック諸島と、今出されたマーシャル及びミクロネシアとの違いは、クック諸島の場合には外交権を持っていない、しかしこのマーシャル及びミクロネシアの二国についてはそれを持っているというあたりが、自治領か独立国かということの違いになるのでしょうか。
  83. 福田博

    政府委員(福田博君) 先生がおっしゃったところがまさにポイントの一つでございまして、対外関係処理能力を持っているということが国家として認められる非常に重要な要件でございます。クック諸島等につきましては、自由連合と申しましても国際的な契約といいますか、合意というものがもとの国とあるわけではございませんで、クック諸島の場合にはニュージーランドの国内法で自由連合とするということが決められている、かつまたニュージーランドの市民権は持っているが、外交処理能力は与えられていないということで、これは国ではないということになるわけでございます。
  84. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこがポイントの一つですが、同時に私の理解なり意見も交えて申し上げますと、この問題になっている二国については、安全保障、軍事面で一切をアメリカに握られている、こういうことになると、やはり独立国としての要件は少しく問題がありはしないかという気がするわけです。その点では、従来の信託統治を依然として実質的には継続をしているのだというふうな側面もあるのでありまして、この辺はどう考えていますか。
  85. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 先ほど来条約局長説明申し上げておりますとおり、マーシャルは八六年十月二十一日に、ミクロネシアは八六年の十一月三日にそれぞれ米国との間に自由連合という関係を結ぶに至ったわけでございますけれども、その後我が国といたしましては、両国政府の行動、国連での本件の取り扱い、諸外国の対応ぶり等を見守ってきておりまして、両国の新たな地位の承認について、国家として実体上も国際法上も問題ないということを判断したわけでございます。  それで、今おっしゃられました安全保障面においては、これを米国にゆだねたということであれば何か問題があるのではないかということでございますけれども、今お話ししましたように、国家としての要件を満たしているものと考えられるわけでありますが、防衛と安全保障の権限と責任を米国にゆだねるという決定は、これはまさに自由連合盟約承認の過程でマーシャル諸島共和国及びミクロネシア連邦の憲法手続に沿った住民の自由な意思の表明によって両国の自主的な選択で行われたものでございまして、防衛及び安全保障の権限が制限されていてもこれら両国の国家としての地位に影響を与えるものではないと判断したわけでございます。
  86. 矢田部理

    ○矢田部理君 住民の意思かどうかということについても異論がないわけではありませんが、やっぱり独立の重要な要件というのは安全保障をみずからやるということも一つ大きなファクターだと思われるので、その意見でいいのかどうかは私も納得しかねる部分もありますが。  ところで、今お話がありました日本以外で承認をしている国というのはどんな国がありますか。
  87. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) これまで両国と外交関係を開設しておりますのは米国、豪州、ニュージーランド、イスラエル、パプアニューギニア、フィジー、キリバスそして日本でありまして、このほかフィリピンマーシャルと、またナウルがミクロネシアとそれぞれ外交関係を開設しております。それから、マーシャルとミクロネシアは相互の間でも外交関係を開設いたしております。
  88. 矢田部理

    ○矢田部理君 全体としては数カ国程度しかないわけですが、信託統治をアメリカがずっと行ってきたのですが、この信託統治の終了について国連の安全保障理事会は正式に承認したんでしょうか。
  89. 遠藤實

    政府委員遠藤實君) これは、この自由連合への移行そのものが信託統治理事会の監視ミッションの立ち合いのもとに行われた住民投票の結果であるということ、それからまたこの措置が信託統治理事会の決議に基づくものであったということから、同地域に対する信託統治は法律的に終了したものと考えているわけでございます。  また、ただいま特に御指摘の安保理事会との関係でございますが、この戦略地区に指定されました信託統治の終了につきまして、現在に至るまで、これは米国が安保理事会に通告をしたわけでございますが、この通告にもかかわらず安保理事会が何らの異議を唱えていないということ等から考えまして、この信託統治協定の適用終了に関して安保理事会が黙示の同意を与えているものというふうに解釈をしております。
  90. 矢田部理

    ○矢田部理君 どうも少しあいまいなんですね。黙示の同意というのはいかがなものですかね。御指摘をいただくまでもなく、戦略地区に指定されているわけですね。ということになりますと、国連憲章の八十三条一項ですか、戦略地区に関する国連のすべての任務は安全保障理事会が行うということになっているわけですね。そういうことになりますと、ここで正式の議題にしてやっぱり承認を得るという手続が必要なんじゃありませんか。アメリカが通告をした、それに異議が述べられなかった、いまだに出ておらない、したがって黙示の承認だというのは、外交的にもいかがなものですかね。
  91. 遠藤實

    政府委員遠藤實君) 戦略地区に指定されました信託統治の終了につきましては、これ以前は例はございません。そこで、安保理の承認が必要であるということが確立している、むしろそのような、どういう解釈であるかということは必ずしも確かに確立していない面はございます。しかし、仮にこの今回の信託統治の終了が八十三条の想定するケースであるというふうに考えたといたしましても、先ほど申し上げましたように、信託統治理事会の決議、それからこの決議に基づくアメリカの上記の通告にもかかわらず、現在に至るまで安保理が何らの否定的な行動を起こしていないということを考えますと、安保理の黙認があったと考えているわけでございます。
  92. 矢田部理

    ○矢田部理君 ならば伺いますが、安保理事会の構成国、理事国で承認をしているのはどこですか。
  93. 遠藤實

    政府委員遠藤實君) 米国でございます。
  94. 矢田部理

    ○矢田部理君 アメリカだけなんですよね。そうしますと、信託統治領の地位の変更を承認する権限を持つ安保理事会が地位の変更の内容に異議を唱えるというようなことも完全になくなったわけではない。まして、常任理事国が拒否権を戦略地区その他いろいろな問題があって行使するというようなことになれば、地位そのものが極めて不安定な問題を含んでいることになりはしませんか。
  95. 遠藤實

    政府委員遠藤實君) これは通告がありまして、したがいまして我が国としても安保理が直ちに黙認したというふうに考えているわけではございませんで、それに必要な十分な合理的な期間を置いた後に、安保理の黙認があったというふうに考えているわけでございます。
  96. 矢田部理

    ○矢田部理君 太平洋地域は、ここ数年急速に日本が、外務大臣が出向いていったり経済協力をするなどして、てこ入れをしているわけですね。その背景には、独立の機運の高まり、あるいは米戦略への批判につながる反核運動、ソ連の船舶寄港の受け入れなど、アメリカにとって必ずしも好ましくない情勢がずっと出てきているわけです。その意味で、日本政府太平洋諸島に対する政策は、アメリカ要請に基づきこれに日本協力するという、戦略援助の発想がずっと底流にあるように思われてならないんです。  そこで、外務省に伺いますが、太平洋諸島における反核、非同盟中立の動きについてはどんな評価、受けとめ方をしているのでしょうか。
  97. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) お答え申し上げます。  南太平洋地域におきましては御承知のようにラロトンガ条約というのがございまして、この中で、域内の諸国十カ国が今批准しておりますけれども、豪州、ニュージーランドその他南太平洋の島々の間で非核地帯を設ける条約を締結している次第でございます。  で、私どもといたしましては、このような非核地帯につきましては、一定の条件を満たす場合に地域のイニシアチブによってつくられているものに対しては、それなりにこれが核の問題に対する一つの姿勢のあらわれとして、これを関心を持って見守っているというのが現状でございます。それで、国連の場におきまして、非核地帯構想についての決議案につきましては、一般的な見地からこれに賛意を表してきているというのが従来の経緯でございます。
  98. 矢田部理

    ○矢田部理君 やはり私は、この地域における反核、非同盟の動き、これは大事にしていくべきであり、アメリカの一定の政策を別の面で日本が裏打ちをしていくような態度はとるべきでないというふうに考えておる立場もあるわけですが、したがって軍事、安全保障面を全面的にアメリカにゆだねるというあり方についても意見があるし、独立国としては非常に問題が残るというふうに思うわけであります。同時に、大使館をワシントンに置く、ワシントンが兼轄をする、これは一体どういうことなんでしょう。
  99. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 今私ども考えでおりますことは、この自由連合盟約の一方の当事国でございます米国にあります大使館をもって兼轄せしめるのが一番好ましいというふうに判断したわけでございます。それから、先ほどその自由連合盟約案の概要ということを言われました。繰り返しになりますけれども、ここでは「米国は、両国に対し財政・経済援助等を行う。」また「安全保障と防衛を除く外交を含むその他総ての権限はミクロネシア連邦及びマーシャル諸島に与えられる。」とございまして、安保と防衛を除くということについては、これまた先ほどお話しいたしましたけれども、それぞれの国の憲法手続にのっとった住民の自由な意思の表明によって決められている自主的な選択であるということであります。  それから、これらの国はまだ若うございます。一九八六年でございますが、二カ年間にわたって、これも繰り返してございますが、私どもはこの両国を見守っておりまして、両国が常時私どもに対して外交関係を設立してほしいということを要請してきておって、それにこたえたということであり、先ほど列挙いたしました国々は当該地域における主要国すべてを含んでいるということを御理解いただきたいと存じます。
  100. 矢田部理

    ○矢田部理君 私もこれらの国々が本格的に独立を達成して国際的にも外交関係を持つ、日本もこれを承認し一定の役割を果たすということ、それ自体を否定するつもりはありませんし、いい傾向だと思うんですが、どうもやっぱりアメリカの影が依然として大きく差している。そういう中にあって、アメリカ外交政策の一翼を担うような色合いのものは決して好ましいことではない。特に大使館を置くということであるとすれば、地理的に近い一どこが近いか知りません、オーストラリアとか、場合によっては日本自身において兼轄をするというやり方もあるのかと思ってみたりもするので、アメリカのワシントンに置くというのはいかがなものかと実は思っておるわけであります。もう一度、その点についてはもう少し工夫があってしかるべきではないかというように思うんですが、いかがでしょうか。これは宇野外務大臣に伺いましょうか。
  101. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) ずっと各政府委員が今までの経緯を申し述べました。それに従いまして私どもとしては承認したわけでございますし、アメリカとのいわゆる戦略的なそうした考え方の中の一こまではないかというお話も時折耳にするわけでございますが、決してさようなことではなくして、やはり我が国ともこの地方の住民の方々は非常にゆかりの深い方々であったし、同時にまた、産業の主たるものは漁業であり、その漁業に対する我が国の需要というものも極めて高いものである。そうしたことから、我々といたしましても非常に独立を祝福して承認をした。いろいろ近くの大使館があるがどうだったんだということもございましょうが、やはりついこの間までアメリカの委任統治であったということもございますから、そうした観点からも、今後のいろんな経緯に関しまして熟知しているものがよかろうという配慮から兼轄さしたというふうな意味もございますので、その点は御理解を賜りたいと思います。
  102. 矢田部理

    ○矢田部理君 これはアメリカのワシントンにおける大使館が兼轄をするということになっておりますが、将来実館を置くという予定なり構想はあるんですか。
  103. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) できましたら実館を置きたいと思っております。日本外交の幅が広がるにつれて、この地域のみならず例えばアフリカ等におきましてもできるだけ実館を置いておきたいと思っております。このミクロネシア、マーシャルについても例外ではございません。  ただ、当面の問題といたしまして、矢田部先生十分御存じのとおり、実館を一つ置くというのは毎年予算折衝におきまして大変なことでございます。したがいまして、その制約の上で平成元年度につきましては、まさにこの法案で御審議をお願いしていますように、ウィーンに代表部を置くということが精いっぱいでございますが、この地域については、先ほど来からいろいろお話が出ておりますように、日系人も多いことでございますし、マグロ、カツオ等の非常に大事な漁場であるというようなことで、日本と歴史的、経済的にも深いわけでございますので、人口は少のうございますけれども、できることなら将来実館を置きたいというのが我々の希望でございます。
  104. 矢田部理

    ○矢田部理君 一般的な外交案件について二、三伺いたいと思います。  先ほど出ました北方領土問題、先般ソビエトとの実務者レベルで議論があったようでありますが、伝えられるところによりますと、ソビエト側から尖閣列島方式といいますか、日中国交回復に当たって領土問題の扱いが議論になった。尖閣列島をああいう形で棚上げといいますか、本格的な解決を見ないまま日中国交回復をやったわけでありますが、これと同じような方式がソビエト側から話題に供されたというような報道だったかと思うのですが、そんな経過はあったのでしょうか。
  105. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) 今回の平和条約交渉におきまして、作業グループの中におきましていろいろと議論をいたした中で、ソ連側がこの問題について触れてきた経緯はございます。そういうことで、日本はほかの国との関係では柔軟に対処しているのではないかという例としてこの問題を挙げましたけれども、我が方としては、尖閣列島及び竹島につきまして、それぞれソ連側が言っておりますような棚上げというような事実はないということで明確に否定いたしました。  我々としましては、尖閣列島につきましても竹島につきましても領有権と帰属の問題を棚上げにしたような事実はないということ、それからそもそも尖閣列島は我が国固有の領土で、現に我が国の施政下に置かれているものであり、尖閣諸島をめぐって解決すべき問題自体存在しないということで、棚上げ云々の問題が生ずる余地はないということを明確にいたしましたし、竹島に関しても我が国の固有の領土として韓国の不法占拠に対して繰り返し抗議申し入れを続けており、また、定期的に海上保安庁の巡視船を竹島周辺水域に派遣して我が方の領有権の主張を裏づけているところであって、棚上げ云々の指摘は全く当たらないということをるる述べまして、ソ連側の見解が誤っているということを明確に伝えた次第でございます。
  106. 矢田部理

    ○矢田部理君 棚上げ論が正しいか誤っているかという議論ではなくて、ああいう方式で領土問題を少しくわきに置いてというか、別建てにして日ソ国交回復をやろうじゃないかいかがかという、国交回復じゃない、平和条約の締結ですかね、そういう議論の提案はあったのですか。
  107. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) お答え申し上げます。  そういう明確な議論の経緯はございませんで、ただ議論をしているときに、そういう日本が柔軟な態度を示した例もあるではないかということを触れただけでございます。それを具体的に提案として申し出たということではございません。
  108. 矢田部理

    ○矢田部理君 それから、朝鮮政策についてでありますが、特に共和国とのかかわりについて、後刻竹下総理が前向きの見解を出すというようなお話も新聞筋で伝えられているのでありますが、外務大臣外務省としてこれについての何か考え方はございますでしょうか。
  109. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 北朝鮮問題に関しましては、常に我々といたしましても敵視政策はとっておらない。ただ、昨年の大韓航空機の後には措置ということをいたしましたが、それも解除した。そのほか社会党が招待された労働党の幹部入国に際しましても決して敵視政策をとっておらない。だから、ひとつ早期に政府間の接触を私たちは持ちたいと、このことを総理も私も本年度の予算審議の劈頭に当たる本会議の施政方針演説で申し述べた次第でございます。特に、今回は田辺前書記長を長とする訪朝団が行かれますし、やはり第十八富士山丸の二人の船員の問題もございます。これは人道上ほっておくわけにいきません。  まあいろんなことがございますから、時たまたまソウルオリンピックを終了いたしましたそうした経緯の中で、昨年七・七声明が盧泰愚大統領から出され、朝鮮半島における南北の将来の統合というものを目指して既に国会議員会談も始まっておる。あらゆる情勢から私たちが判断いたしました場合に、やはり北朝鮮に対しましても何らかの私たちの意思表示というものが必要ならば当然それはしなければならぬ。その方がかえって朝鮮半島の安定のためにいいんじゃなかろうか。こういうような考えは現在私たちも持っておる次第でございます。
  110. 矢田部理

    ○矢田部理君 竹下総理が近々何か考え方を示されるそうでありますから、ここでの議論はその程度にとどめますが、もう一つ、ビルマの問題を私の方から伺っておきたいと思うんですが、これはついせんだってビルマ政府を承認したわけですが、この軍事政権を承認した理由はどういう経過だったんでしょうか。
  111. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 昨年九月でございますが、ビルマ国軍が実権掌握を行いまして約六カ月たっておりますが、この間ビルマ情勢は落ちつきを取り戻しておりまして、私たち見まして国内の治安とか法秩序も相当程度回復している、こういったような認識でございます。この間現在の政権は既に実効的な支配を確立している、国際法遵守の意思と能力を有すると考えられますことから、客観的に政府承認を行うための国際法上の要件、ただいま申しました実効的支配及び国際法遵守の意思、能力、これは既に満たされている、このような判断で行ったわけでございます。
  112. 矢田部理

    ○矢田部理君 他に承認した国々を列挙してみてください。
  113. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) いろんな国家の中には承認制度を持っていない国もございまして、例えば米国、英国、西独、フランス、豪州等でございますが、これは政府承認制度を持っておりません。こういった国は既に現在の政権との公式な接触を維持しております。中国、韓国、マレーシア等こういった国は新たに来た新任大使の接受、そういった格好で現在の政権を承認しております。
  114. 矢田部理

    ○矢田部理君 どうもいま一つはっきりしないんですが、そういう国家としての承認と政権としての承認と厳密に言えば二つあるのかもしれませんが、米国はそういう承認制度自体を持っていないと言うんですか。
  115. 福田博

    政府委員(福田博君) 米国はそういう制度を持っておりません。
  116. 矢田部理

    ○矢田部理君 そうしますと、先ほど出たミクロネシアとか何かは安全保障理事会常任理事国で承認したのはアメリカだけだという話は、それはどういうふうにつながるんですか。
  117. 福田博

    政府委員(福田博君) 先ほどのお尋ねは外交関係を維持している国はどこかというお尋ねで、十カ国あるとお答えしたわけでございます。  国際法的に言えば、まず国が存在いたしますと、承認制度があれば国家承認というものがありまして、それからそこに合法的なきちっとした政府があれば政府承認という問題を生ずる、その問題がある。そういうことで論理的に、承認が行われますと次に外交関係を設定するかどうかという問題があります。かつまた、特殊な例でございますが、南アフリカのように政策的な見地から外交関係は国あるいは政府があるけれども持たない。それで領事関係を持っている。つまり、国際法上問題になるものは、国家の承認、政府の承認、それから外交関係を設定するかどうか、領事関係を設定するかどうか、大体その四つがあろうかと思います。
  118. 矢田部理

    ○矢田部理君 ということでランクがあることは承知しているわけですが、南アのように承認はしているが外交関係をどうするかという議論が盛んなところもあるわけですからね。  そこで、ビルマの政府と正式に外交関係を持っている、あるいは軍事政権と持つようになった国というのはどことどこですか。
  119. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 既に先ほど申しました米国とか英国、西独、フランス、豪州、あるいは中国、韓国、マレーシア、タイ、シンガポール、ソ連、こういった国々、すべて私はここでちょっと資料持っておりませんが、こういった国々は現在のビルマの政権と公式の接触を保っております。
  120. 矢田部理

    ○矢田部理君 ちょっとわかりにくいのは、公式の接触を保っているというのは、つまり承認とか正式の外交関係を持つということと同じ意味なんですか、それとも違うんですか。
  121. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 米国、英国、西独、フランス、豪州等は政府の承認制度を持っておりません。で、ほかの国は、ただいま申しましたように、韓国とかマレーシアとか中国は新しい大使を接受する、そういう格好で現政権を承認しておりまして、外交関係を維持しているということでございます。
  122. 矢田部理

    ○矢田部理君 どうもよくわからないな。  ビルマの現状について伺いますが、戒厳令はどうなっておりますか。
  123. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 昨年七月以来戒厳令が布告——戒厳令といいますか夜間外出禁止令でございますが、これが布告されまして、戒厳令自体は現在は実際は行われてない。ただ、今残っているのは夜間外出禁止令でございまして、これは現時点では午後十時から午前四時、昨年の事態では日没後夜明けまでということであったんですが、だんだん事態が平静化するにつれてこの時間が縮まりまして、現状では午後十時から午前四時、こういうことでございます。
  124. 矢田部理

    ○矢田部理君 デモとか集会とか言論の自由に対する制約はどうなっていますか。
  125. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 一般的には昨年来ビルマは国の民主化あるいは経済の開放化に進みつつありまして、そういった中で複数政党制を認め、また、登録されている複数政党は今百三十一と承知しておりますが、こういった政党に対しても言論の自由というのが認められていると承知しております。
  126. 矢田部理

    ○矢田部理君 デモとか集会は禁止されているんじゃありませんか。
  127. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 失礼しました。ちょっと聞こえなかったんですが。
  128. 矢田部理

    ○矢田部理君 デモとか集会は厳重に取り締まられたり禁止をされているんじゃありませんか。
  129. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 私たち承知している限りにおいては、いろいろデモだとかあるいは政治意見の表明だとか、こういった機会は政府に届ければ許可され、現にいわゆる反政府と言われているアウン・サン・スーチー女史たちもビルマの国内、ラングーンあるいは地方において種々の政治的な集会を持ちまして、自分たちの政見を発表しているというふうに承知しております。
  130. 矢田部理

    ○矢田部理君 一部そういうことをやっている部分もあるけれども、全体的な制約はかなり厳しいんじゃありませんか。  学校はどうなっていますか。
  131. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 学校はまだ再開されてないようでございます。
  132. 矢田部理

    ○矢田部理君 という状況もあって、民主主義とはかなりほど遠い状態にいまだに置かれているわけですね。現に、この総選挙の話があったんですが、これだって民主化の大きな指標の一つになるわけですが、見通しは立ってないんでしょう。
  133. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) ビルマの総選挙でございますが、ことしの二月十六日にビルマ政府は選挙法案を発表いたしまして、これから選挙法の改定作業を行う、選挙施行細則を検討し公表する、選挙人名簿の取りまとめ等々いろいろ作業を行いまして、選挙区は従来どおり全国四百八十九、こういうことでこの選挙法案の発表がありまして、来年の初め、来年の三月ごろには選挙ができる、そのように思っております。
  134. 矢田部理

    ○矢田部理君 確かな見通しが立つんですか、来春には選挙が行われるという。
  135. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 他国のことでございますので、私たちが当事者でないので、その点はこの場において日本政府としてビルマの内政のいろいろこういった施策について確たることを申し上げることは困難かと思いますが、ビルマ政府がこのように約束をして施策をとりつつありますので、それを信ずる次第でございます。
  136. 矢田部理

    ○矢田部理君 私の聞いている話では、むしろ総選挙の見通し、選挙の見通しも立たないというのが現実だと言われておりますが、とりわけさまざまな人権侵害などがあって、アムネスティー・インターナショナルが人権侵害の調査に入ろうとしたら、これも拒否されているというような状況もあるようですが、いかがですか。
  137. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) ただいま委員指摘の件につきましては、詳しく私勉強しておりませんので、改めてきちんと勉強いたしましてお答え申し上げたいと思います。
  138. 矢田部理

    ○矢田部理君 宇野外務大臣に伺いますが、先般イギリスのハウ外相が見えられて外務大臣と会談をされた際に、国連の人権委員会にイギリスその他西側諸国がビルマに対する人権改善要求決議を出したいという話をされたそうですが、その際、宇野さんは、大変協力要請を受けたにもかかわらず、消極的な態度をおとりになったと。現時点でその種決議を行うことが効果的かどうか慎重に検討をする必要があると言って協力の姿勢を示されなかったという報道があるんですが、いかがでございましょうか。
  139. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) これは恐らく国連の人権委員会との関連でこのような発言があったと思いますけれども、まことに申しわけないんですが、私、人権委員会の関係を主管しておりませんので、きちんと調べて委員に御報告申し上げたいと思います。
  140. 矢田部理

    ○矢田部理君 宇野外務大臣としては御見解、そういう経験ございませんか。
  141. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) ハウさんとビルマ問題は英国でいろいろ話しました。そのときに、本来ならば元宗主国でございますから非常に関心が深いのは当然ですが、最近少しく情報が疎くなってねというような感じの話だったんです。  なおかつ、弔問外交そのものにおきましては、それよりもむしろ「悪魔の詩」に対する日本の態度、同調してほしいと。同調とは、つまり大使を召還せよということでしたが、その召還以外ならばあなたと意見一致するよということは申し上げたと思いますが、今の人権はちょっと私として、今ここでどういうふうなやりとりがあったか私自身の問題ですが、そのような感じを持っておりません、実のところは。だから、国連における人権保護の話であって、私直接に伺ったのはそういうことではなかったか、こういうふうに今思っております。  もう一つ付言しますと、この間の日本の承認に関しまして、確かに幾つかの国が関心を持っております。特に新しい何か援助をしたのか、あるいは協力したのかというふうなサウンドもなきにしもあらずでございますが、我々としては今まで凍結しておったものを解除したにすぎないので、新しい協力援助等々は人道に関する問題がもしあらばそれはするが、それ以上のことは考えておらないということで、そうした国々との話の中の問題もやはりある程度の理解を得ておりますし、先ほどアジア局長も答えましたが、過般来アジア大洋州の大使会議がありまして、ここに大鷹委員がいらっしゃいますが、御主人もお帰りで、十分私も話を聞きました。  このたびの日本の承認は非常にタイミングがよかったということを言われておることと、それによってむしろ日本から、極力民主主義的手段における総選挙を実施しなさい、こういうふうな立場をビルマの政権に申し伝えるというよきチャンスを得ておる、こういうふうに聞いておりますので、したがいまして他国とのこの問題についてのいろんな行き違い等々は現在は何にもございませんし、むしろ我が国としてはアジアの問題でございますから、ひとつ積極的にビルマが現政権の公約どおり、総選挙を来年の春といわずもっと早くしたらどうですかというぐらい言っていますということでございますから、私は日本外交として一つの見識を持った承認であり、その後の外交が推進できるんじゃないか、かように思っております。
  142. 矢田部理

    ○矢田部理君 私は宇野外務大臣の認識とは少しく見解を異にするんですが、この軍事政権に対する承認、外交関係の確立というのはやはり慎重にすべきだ。とりわけこの民主化とか人権とかということにもう少し関心を払って対処をすべきだと実は考えておるわけです。その点で日本対応がイギリスやヨーロッパ諸国に対する対応に比して非常に鈍い、悪い、消極的であるというのが第一点であるのと、少なくとも選挙の話は以前からあったわけですが、これがずっと先送りになっているわけですね。選挙の見通しが明らかになるなど、やはり民主化のあかしが相当程度こちらとしてわかるような状況になってからでも遅くないのでありまして、その点では少しくビルマとの外交関係の回復とかソウ・マウン政権の承認は時期尚早であるというふうに実は私は見ておるわけです。  問題は、なぜそうなったかということでありますが、少しく経済協力の再開を急ぐ余りそうなったのではないかと一部に伝えられておるわけですね。特に、この経済協力の再開につきましては、民主勢力といいますか民主化を求める力、いろいろ少しく最近は分散されたりしておりますから、以前のような力はなくなったとも言われておりますが、それにしましてもこの承認、外交関係の樹立、そして経済協力の再開というふうに進んでいくわけですが、背景にこの経済協力の再開ということがポイントにあったというふうにも伝えられておるわけです。民主化を唱えてきている人たちはそれがまさに日本企業の利益優先だと、さらにはソウ・マウン軍事政権に対するてこ入れだということでかなり反発を買っている状況があるんですが、そういうことは外務省はつかんでおりませんか。
  143. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 経済協力の問題につきましては同僚の経済局長からお答えするかと存じますが、今委員がおっしゃいましたなぜそうなったのかということでございますが、先ほど私がお答え申し上げましたが、現在の政権が国内を実効的に支配している、それから国際法を遵守する意思と能力があるということが十分に看取されましたので、日本はこういった法的な客観的な規範あるいは基準に従って承認したということでございまして、これは必ずしも現在の政権の政策をそのまま承認するということにはつながらないわけでございます。  ただ、見ておりますと、昨年来ビルマの現在の政権がビルマの国内の民主化とかあるいは経済の一開放化のために、遅々とはしていますけれども、着々と措置をとりつつあり、全体としては現在の政権も国内の民主化に向けて努力をしつつあると。先ほど外務大臣がお答えになりましたが、こういった黙示の承認をした後で、日本としてもより高いレベルで先方政府に国内の民主化、経済の開放を訴えていく。承認をしていない段階では、現地におります大使も先方の政府と接触をできない、私も東京におります大使と接触もできないということでございます。  いろんな友好国、申しました英国、米国等々、これはもう既にことし一月四日のビルマの国祭日に英国は女王、オーストラリア、カナダ等は総督からメッセージを送る等、こういった格好で現地における大使も現政権側といろいろ接触をしているということを付言させていただきたいと存じます。
  144. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) ビルマに対します基本的な援助方針に関しましては宇野大臣が既に御説明されましたが、私どもはビルマに対します援助の再開ということではとらえておりませんで、ビルマに対しまして既存の案件がこのところたまっておりましたのが徐々に再開されていくということでございまして、あくまでも限定的かつ慎重に既存の案件が今後動いていくということでございまして、新規の案件に関しましては、先ほど宇野大臣からお話がございましたように、私ども、当面は人道的な性格のものとか緊急援助的なものを除きまして、考えることにはしておりませんで、今後のビルマ情勢の進展、それから今申し上げました実施中の案件の今後の進捗状況等を見た上で検討していくということにしておりますけれども、当面は検討する予定は立てておりません。
  145. 矢田部理

    ○矢田部理君 ここに日本ビルマ協会、大鷹さんが会長をやっておられるんですが、大鷹さん以外は全部財界の方々が、三井、三菱、住友等全部並んでいるんですね。それが早く経済協力を再開すべしという要望書を外務省あてに出したんです。これあたりが引き金になって再開に踏み切った、その前提として外交関係の復活とか政権の承認とかということがなされたという取りざたもされているんです。  日本企業が中心になってそういうことが動いたとすれば、ますますビルマの人たちに本来の経済協力の意味合いと違った意味で状況を受けとられるようになるのでありまして、時期的にも合うものだから、そんなことで民主化を叫んでいる人たちが大変この問題について関心を持っておられるわけです。現に、再開そのものが軍事政権に対するてこ入れだという受けとめ方もあって、中止をしてほしいという要望も各所に実は出されておるわけです。そういう状況も少し見定めませんと、慎重にやるということはわからないわけではありませんが、私は人道的な援助といいますか、医薬品だとか食糧だとかという緊急な物資などを援助することについて反対するものではありませんが、この種大型の企業が中心になってやっている援助については、やっぱり情勢をもう少し見守ることの方がいいのではないかということを申し上げたいわけです。  それから、少なくとも新規のものは、来年以降の問題になるわけですが、十分慎重にやってほしいし、やるべきでないと思う。特に民主化の状況ですね、選挙とか戒厳令の問題とかいうことを十分に見定めて対処をしてほしいということを要望しておきたいと思いますが、それについて答えをいただいて私の質問を終わります。
  146. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生指摘のビルマに対します援助は、先ほど御説明いたしましたように既に約束しておりまして、それが治安状況等の条件でたまっていたものが徐々に再開されていくというものでございますけれども、ビルマに対する援助は、私ども基本的に軍事政権に対するてこ入れというようなことではもちろんなくて、ビルマの一般大衆の生活水準の向上に役立つようなもの、ビルマ全体の経済社会開発に役立つようなものを従来から重点的に実施してきておりまして、今回、既に約束してたまっていたものもまさにそういうものが中心でございまして、決してビルマ軍事政権のてこ入れとかそういう観点からそれらが実施されるというものではないことを念のため申し上げたいと思います。  それから、新規案件に関しましては、先ほど申し上げましたように人道的なもの、それから緊急援助的なものを除きましては当面実施する予定はございません。
  147. 矢田部理

    ○矢田部理君 大鷹さんから先ほど経済援助あり方、ありようについてかなり鋭い御指摘もありました。基調は私も実は賛成なのでありまして、特に戦略援助型のものあるいは軍事政権をてこ入れするようなものについてはとりわけ十分慎重にしなきゃならぬし、もっと国会の関与を強めなきゃならない。ODA基本法をつくらなければならぬというようなことなどは私どももかねてから申し述べてきており、参議院でもいろいろ議論を詰めているところでありますが、日本経済援助あり方、ありようは非常に民衆のレベルでとらえた場合に、皆さん方が考えているのと違ってくるんですよ。ここを大事にしていきませんと、政権がかわるたびごとに問題が振り出しに戻ってしまう。かつてアメリカが失敗したような轍を踏まないとは限らぬわけでありまして、その点は私はビルマ援助についても慎重にしていただきたい。とりわけ新規についてはやるべきでない。十分にやっぱり現政権の行方を見守り、かつ、それから各国の状況がまだビルマについては一定の距離を置いているのが私の認識なんですね。  外交関係を持ってきているとか動きが出てきているとかということでありますが、軍事政権ができて数カ月しかたっていないわけですから、その点はくれぐれも外務省としても慎重な対応を要望して私の質問を終わります。
  148. 堀江正夫

    委員長堀江正夫君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分に再開することとし、休憩をいたします。    午後零時十八分休憩      —————・—————     午後一時二十五分開会
  149. 堀江正夫

    委員長堀江正夫君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  150. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣、まず法律の前に、在韓の梁井大使がマスコミとインタビューしていろんなことを言っているんですけれども、確認したいと思うのです。  大喪のときにもいろいろマスコミが確認しておりましたが、また大使も言っておりますけれども、向こうの大統領が五月二十四日にいらっしゃると二回来る、全斗煥さんと盧泰愚さんと二回来る、当然この次は天皇陛下が訪韓の番であると、こんなことが、これは当然そうなるとは思うんですけれども、五月二十四日に大統領が参りますと当然向こうから要請されると思うのですが、そこらあたり今のところはどういうふうにお考えになっていますか。
  151. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) この間、梁井大使からも記者会見の後にいろんな報告がありましたときに、今委員が申されましたように、あるいは報道されたかもしれませんが、実はそういう意味で言ったんではなくして、今も御指摘のとおり全大統領がお越しになった、また続いて盧泰愚大統領がお越しになる、今度は日本の番じゃないのかいと、こういうような御質問があったので、一般的に考えればそういうことでございましょうと。しかし、まだ先方さんもやはり陛下を迎えるということになればいろいろと準備もございましょうし、そういう段階でも何でもないときにああいうふうになったというふうなことを大使から私に申しておられましたから、私も現状はそのように認識いたしております。
  152. 黒柳明

    ○黒柳明君 アメリカもあるいは大喪のとき情報が先行して出ていましたですね。常識的な線だと思うのですけれども外務大臣としては喪が明けるのはまだ一年先のことでありますのでその後だということがあって、今から五月に大統領が来たところでフィックスすることはないと思うのですけれども、まず韓国あたりは天皇の訪問としては優先順位としてはイの一番に考えなきゃならないというお考えはもうお持ちなんですか。
  153. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 私といたしましては、やはり今おっしゃったような考え方は持っております。
  154. 黒柳明

    ○黒柳明君 それから、これも大使が言われていたんですけれども、第三世代の法的地位の問題、これは九一年をめどに検討と、こうなっていますが、五月の大統領の訪日でこれが早くなるんじゃなかろうかと。これはどっちみち第一、第二の国籍はもうはっきりしているんですから、第三世代の国籍もこれはもう当然常識的な線でいかざるを得ない。それならば何も九一年に検討を始める必要はない、要請があれば、あるいは話題になればもっと早くすればいいんじゃないかというような考えもありますけれども、現時点においてはどのような考えをお持ちですか。
  155. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) いわゆる三世の問題でございますが、この問題につきましては、昨年十二月に東京で先方と我が方とでこの問題について大変詳しい協議を行いまして、目下この問題についてはこれからだんだんと韓国側と我々で話をして、双方とも合意のいく格好でやがては解決するようにと念じております。  ただ、相当重要な問題でございまして、むしろ私が思うところは、これは最重要懸案一つじゃないかということでございまして、案外時間はかかるのではないかと思っている次第でございます。
  156. 黒柳明

    ○黒柳明君 時間がかかる可能性はこれは否定しませんけれども、大統領訪日に伴って当然最大重要懸案事項であれば、また話が復活して緊急を要する問題として出てくるのじゃなかろうか。向こうの姿勢がそういうことであるならば、時間もなるたけ短縮して早期にという考えはお持ちなんですか。あるいは時間をかけてもしようがないんだというような考えなんでしょうかね。
  157. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) ただいま申しましたように、日韓間の最重要懸案一つであるという認識で、また同時に、在日韓国人子弟の方々日本国の社会秩序のもとで安定した生活を営むことができるようにすることが政府として重要である、こういった認識で目下努力をしているところでございます。
  158. 黒柳明

    ○黒柳明君 それからビザの問題ですけれども、先進国ですか、アメリカでもオーストラリアでもヨーロッパでも数次が多くなっていますね。ノービザのところも当然ありますが。韓国はまだ単発ですけれども、この問題はどうですか。もうそろそろ数次のビザに切りかえるというような方向にはいかないんですか。
  159. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) この数次のビザの問題につきましては、いろいろおのおのの国につきまして特有な問題がありまして、そういった問題を踏まえて、我々としては可能な範囲内で前進をしたいと考えているところでございまして、現時点では御指摘のような格好では数次の査証を出すことはできないような状況にありますけれども、前を向いて諸般の情勢を検討しながら進みたいということでございます。
  160. 黒柳明

    ○黒柳明君 どういう条件が伴うと数次になるんですか、諸般の状況というのは、例えば。
  161. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 私、実は領事移住事務を所管していないものですから、果たして私がお答えするのが適当かどうかわかりませんけれども、ちょっと技術的な問題もございますので、この問題についてはちょっと御答弁できませんけれども……。
  162. 黒柳明

    ○黒柳明君 さっきいたけれども、いらっしゃらないから結構ですよ、呼ばなくていいです。  先ほども総理の北朝鮮に対する何かコメントをと、新聞に出ていましたね、何か三十日の衆議院の予算であれするんじゃないかと。そうすると、総理が発表することですから、かといってもやっぱり外務大臣が主管の大臣ですからね、一月二十日に出された朝鮮半島の政策について、あの内容を踏襲するものと、こう思っていいわけですかね。これはアジア局長かな。
  163. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) この問題につきましては現在政府部内で検討中でございますので、恐縮でございますが、現時点でお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  164. 黒柳明

    ○黒柳明君 要するに、外務省じゃなくて官邸の方が主導権を持っていると、こういうことですか。
  165. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 私ただいま申しましたとおり、政府部内で検討しておりまして、政府と申します場合には、外交外務省がやっておりまして、外務省総理官邸も一体でございます。
  166. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうするとあれですか、活字になっているような三十日の衆議院の予算ということは大体その線で発表になるんですか。
  167. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) そういった時点と申しますか、時期の問題も含めまして現時点では政府の部内で検討中ということでございます。
  168. 黒柳明

    ○黒柳明君 外務大臣、そんなところなの。外務大臣だったらもうちょっと前向きの発言ができるんじゃないですか。
  169. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 大体やはり野党の政党を代表されるお方の質問、それに答えるのが一番適切じゃないだろうか、そういうことで準備を進めております。今おっしゃったように、それだと暫定予算審議の予算委員会という場所が一番適当じゃないかと、かように思っています。
  170. 黒柳明

    ○黒柳明君 話は変わりますけれども、FSXの問題ですけれども大臣、二十日ですか、ベーカーさんに呼ばれて松永さんが条件をつけられたとか、二十三日に西廣さんが行って、本当ならあした帰ってくる。ですから、きょうじゅうに決着するのではないか、まだ決着してないですかな、するのではないかと、こう思いますけれども、何かこの過程を横目で見ていますと、外交交渉というのはいろいろ紆余曲折があるが、ある意味では当たり前だと、こう思いながらも、昨年十一月に交換公文もあるいは覚書も交換しながら、つくりながら、何かその間、しかもそれが何年かもう検討しての決着ですね。それが商務省の横やりが入ったとか、議会がクレームをつけたとか、ソフトの民間移転がどうだとか、シェアがどうだとかというところで、またぞろこちらが振り回されている、こんなような感じが強いのですね。  大臣は、あくまでも早期決着だと。一つはやっぱり自主開発なんという線もあったわけですからね、それがいいかいかは別にしましても。早期決着、きょう、あした決着ということになるんだと思うんですけれども、どうもその過程が何か振り回されてきたんじゃなかろうか。もっと向こうもすっきりやらなきゃ困る、やってもらいたかった。政権がかわりましたから、ある程度やむを得ないにしましても、どうも向こうのわがままが多過ぎたんじゃないか。すっきりしない感じが残っているんですけれども、決着したにしましても、どうも何か国会におきましても、その過程やなんか問題があるぞという追及の種があっちこっちに残されたんじゃないか。こういうような感じがするんですが、早期決着ということを望みながら、今のアメリカ日本に対する姿勢というものがどうもすっきりしないと、こう私は思うんですが、大臣、どうですかね。
  171. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) この問題に関しましては、たまたま弔問外交のときにも私からもう既に、今黒柳委員がおっしゃったとおり昨年もうすべてがきちっと終わって書面まで終わっておるという問題ですから、私はアメリカ政府が議会に早く通告されることを期待しますよ、こういうふうな態勢のまま外務省としては今日来ております。したがいまして、いろいろその間にアメリカ国内で問題があったと思いますが、それに対する大統領の考え方をひとつ松永大使にお伝えしたいというのが松永・ベーカー会談で、それをこちらへ伝えてきましたから、じゃ日本考え方もお伝えしましょうということで西廣君が行ったわけでございます。  我々といたしましても、一たん政府間で承知をしたものが途中でがたがたというようなことはこれはめつたにないケースでございますから、決してこちらからいろいろと申すわけじゃありませんが、我々が考える場合には、アメリカ政府も発足間もなしで、肝心かなめのスタッフがそろっておらなかった、そこら辺が非常に前政権との申し送りが日本のようにきちっとできるのかできないのか、そういうこともあったのかなと思いながら、努力政府がしておられますから、その努力の結果を期待したいというのが現状でございます。
  172. 黒柳明

    ○黒柳明君 防衛庁はきょうじゅうの決着の見通しは、二十九日お帰りになるわけですわな、今のところはどうなんですか。大体間違いないんですか。
  173. 長藤史郎

    説明員(長藤史郎君) 交渉の経過につきましては、まことに恐縮でございますが、途中段階ですので差し控えさせていただければと思います。  ただ、防衛庁といたしましては、この共同開発は日米共同開発の試金石でございますので、ぜひともこれを成功させたいということで米国政府と率直に対話をいたしまして、説明すべきは説明して、それで本開発が円滑にいきますよう早急に対処したいと、そういうふうに考えております。
  174. 黒柳明

    ○黒柳明君 いや、二十五日の帰国が時間がまた延びて二十九日と、そうすると、あと物理的に一日しかないわけですから、だからこれから向こうは夜が明けて、それで一日の決着ということできのうの夕方現在にはそういう方向にいっていたのかどうか、こういうことです。
  175. 長藤史郎

    説明員(長藤史郎君) 交渉もおっしゃいますように時間がかかっておりまして、クラリフィケーションするのに時間がかかっておりまして、大詰めにあることも事実だと思いますが、内容につきましては、恐縮でございますが、お許しいただければと思います。
  176. 黒柳明

    ○黒柳明君 別に内容を恐縮だと言われるほど私は聞いていないんです、恐縮の手前を聞いているわけですから。だから、何か最終的文書を持って、それで閣僚と交渉するのはイースター明けだから、休み明けだからまだだと、こんな報道を聞いているわけだから、報道は正確な報道をされているから、それを踏まえて、要するに二十九日帰国だとあと一日しかないわけですな、ワシントンは夜が明ける、そうするとその方向にいわゆる最終文書を持ってしかるべきところへ行って最後の話をしてくると、こういう報道、これは事実だと思いますね。その方向にいっているのかどうか。だから、内容じゃないんだよ。あと一日で最終決着ができる可能性があるのか、そういう方向にいっているのか、こういうことであります。
  177. 長藤史郎

    説明員(長藤史郎君) 帰国の予定等から見まして、確かに現地時間で火曜日がひとつの大きな山になるということを理解しております。
  178. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、山になるだけであって、まだ見通しははっきりしないんだ。必ずしもそこで最終決着できるかどうかというのははっきりしない、延びる可能性もある。
  179. 長藤史郎

    説明員(長藤史郎君) その点の見通しにつきましては、まことに恐縮でございますが、向こうと話し合いを持っている段階でございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  180. 黒柳明

    ○黒柳明君 課長さんじゃ無理か。答えるのは無理……。  あれですか、最終的にというか民間転用の禁止とシェアの三五とか四〇とか、そういうものが向こうから出てきたことは間違いないんですか。松永大使のときにも出てきたのかな、同じことが。
  181. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) まさに内容にわたることでございますので、ここできようお答えすることはお許しいただきたいと存じます。
  182. 黒柳明

    ○黒柳明君 だって、新聞にきちっと出て報道されているからさ。あの報道は、それじゃ否定しますか。
  183. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 報道にはいろいろ出ております。米側の国内で論じられていることが出ておりますが、交渉の内容そのもの、何が取り上げられているかということについては、まさに今外交交渉が行われているところでございますので、お許しいただきたいと存じます。
  184. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、内容についてじゃなくて、それじゃ今のシェアが三五とか四〇とか向こうが作業段階でとりたいと、それからソフトの民間転用はうまくない、こういうようなことですね、そういう話はなかったわけですか。だって、もうマスコミにきちっと既定事実として報道されているんだから。会見か何かして流しているじゃないですか。
  185. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 繰り返しになりますけれども、御指摘の諸点がさまざまな形で報じられております。しかし、これが今の米側の立場それから我が方の立場の説明のやりとりの中でそのまま取り上げられているかどうかということを、ここでお答えするのはお許しいただきたいと存じます。
  186. 黒柳明

    ○黒柳明君 衆議院の内閣委員会で何をアメリカが反対しているかというようなことは言いましたですな。あれは言えるわけですか。
  187. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 今申されました米国の中ではどのようなことが反論として挙げられているかということについては、もちろん米国の議会で語られていることでございますからできます。  例えば、この協力を通じて我が国が世界の航空産業市場に参入してくるのではないかといったことについての疑念でありますとか、それから日本からいかなる技術が出てくるのかとか、それから今先生のおっしゃられましたさまざまな段階における双方のシェアの問題でございますとか、十分なものが確保されているのかねとか、貿易関係に絡めましてF16をそのまま買ってもらうのがいいのではないかとか、さまざまな議論がございます。
  188. 黒柳明

    ○黒柳明君 じゃ、内閣委員会で言ったのは、向こうが三つ反対しているということ、あれは防衛庁が言ったのかな。
  189. 長藤史郎

    説明員(長藤史郎君) 私ども現地の様子を三つほどまとめて反対論を申し上げたかと思います。  整理いたしますと、一つは、FSXの共同開発につきましてアメリカ側はアメリカの中で開発いたしましたときに多額の資金を投じておったということで、その結果生まれたF16の高度技術を日本に与えるということは、今先方と約束しているわけでございますが、それにしては見返りが少ないというようなお話が一つあります。  それからもう一つは、日本はFSXをこれから共同開発いたしますが、そこから得られた技術をもとにいたしまして、これを民間航空機製造に利用いたしまして、その結果、民間航空機の分野におきましてアメリカの航空機業界に対抗しようとしておるおそれがあるというのが第二点かと思います。  それから最後に、日米貿易不均衡の現在の状況にかんがみまして、日本はF16をそのまま輸入したらどうかという、以上のような三つの点が米国内で取りざたされておるというふうに認識しております。
  190. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、また同じような繰り返しになろうかと思いますけれども、もう各紙が断定的に報道されているような、技術移転を禁止する制限が出されたとかシェアの問題について三五だ四〇だと制限がついたとか、これは松永大使もベーカー長官に会ったときにそういう条件を出されたとか、こういうものについては、なかったともあったとも、否定もできないわけだ、内容だから。もうマスコミは大々的に全部報道していますね、ずっと二十二日から。そういうものについては、内容ですから、あったということは言えないわけですよ。だって、これは会見して言っているんじゃないですか。
  191. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) そのようには申しておりませんで、まさに今先生がおっしゃられましたような形で、すなわち米側は大統領の立場を説明したということに尽きております。
  192. 黒柳明

    ○黒柳明君 じゃ、その内容は。
  193. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) その立場の内容については説明いたしておりません。
  194. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうするとあれですか、今の日米間のFSXについての内容というものは、マスコミの報道したものは、すべてこれは事実でないという否定ですか、こちらが言ったんじゃないと。それだけははっきりするんですか。外務省が、あるいはワシントンが言ったものではないと、マスコミの独自取材だと、こういうことですか、すべてが。
  195. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 大使と私が存じている我が方の正式の説明の中にはございません。
  196. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、独自取材でだれかが一杯飲みながらみんな話したのが記事になったと、こういうこと……。それにしては内容が相当あれじゃないですか、厳しい重要な内容がみんなこう漏れちゃっているじゃないですか。大臣、どうですか。  今のを整理しますとこういうことですよ。もう私言うまでもなく二十日に松永大使が、まあその前から出ていますよ、ベーカーさんに呼ばれた、向こうの商務長官等四人ですかな、同席した。そこで大統領からという条件が示された。その米政府から示された条件については今言ったと同じことですよ。二つの条件を中心に示された。それが今度は二十三日、西廣さんが訪米をした。それでまたずっと記事になっているわけですね。一連のものが出ているわけですよ。その主体というものは私がもう繰り返す必要ありませんね、大臣、知っているとおり、マスコミで。これはすべて公式見解ではない、こういうことですね。公式見解ではないけれども、これだけ重要なものが漏れていることは間違いない、どこかから。もしこれが、きょうでもあしたでも、最終的に妥結された場合にこれと類似なことがあれしたら、相当のハイレベルの人からこれが漏れたということですよ、こんな重要なことが。大変なことになりますよ、これは。  そうじゃないんじゃないですか。そうじゃないんじゃないの、有馬さん。ちょっと今の答弁間違いじゃないの、これ、おっしゃっていること。私きょうはちょっとのどがかれているからソフトな声だけれども
  197. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 先ほど申し上げましたように、引き続きクラリフィケーションの話し合いを継続するということであって、内容については米側との申し合わせもあり、コメントできないというふうにして日米双方が申し続けてきております。したがいまして、何と申しますか、推測の記事なのかなということでございます。
  198. 黒柳明

    ○黒柳明君 今言ったようなことは、日米間の交渉の過程においての最重要項目じゃないですか。今言ったようなことは内容だから、それはそうであると言うわけにはいかないんじゃないかと思うんだけれども、技術移転を禁止するとかシェアの問題とか。これはそうであると言ったら、それが議題になっていることになってしまうからね。答弁まで私が言ってしまって恐縮ですけれども。今言っているような新聞に報道されていることが交渉の中にもしあったとすれば最重要議題じゃないですか。
  199. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 先ほど大臣が申されましたように、この共同開発についての合意というものは去年の十一月にできているわけでございます。それについて、米国は内部的に手続を進める準備をしているということに尽きるわけでございまして、その内部的な手続を進めるに当たっての大統領の立場、これを伝えてまいりまして、これに対する我が方の立場を説明しているということに尽きるわけでございます。
  200. 黒柳明

    ○黒柳明君 何が尽きたんだか、私はまだ尽きてないのでわからない。  昨年の覚え書きや交換公文はもうできていて、そのときは今言ったようなマスコミに報道されているような条件なんかついてないわけだから。今は条件をつけられている。それで今、最終的にそれをどうするかという交渉を詰めているわけだ。だから、重要議題であるわけですから、その重要議題がこれだけすいすいワシントンから漏れてきたなんてなってしまったら、日本政府としては重大問題なわけです。こんな秘密事項が漏れてしまうんだったら、だれかが言うわけです。しかも、これは各社が全部内容は同じなんです。違うところは一つもないですよ。活字にも絵にもなって、みんな同じなわけです。これがもう漏れて、いやそんなことは絶対言ってません、そんなことは日米とも絶対申してませんと。ですから、これが最終的にこのとおりのものが出てきて、交渉の過程が説明されるでしょう。そうなった場合に、こういうものが事前に漏れたなんてなったら、だれかが漏らしたわけです。最重要議題を、テーマを、漏らしちゃいけないものを。ワシントンの大使館のだれかがやるわけでしょう。そうじゃないんじゃないですか。これは間違いないんですか。今マスコミに出ているのは、絶対これは秘密事項なんですか。絶対これは言ってはいけないことなんですか。今の段階では絶対一言も言ってはいけない内容が出ているんですか。
  201. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 今、日米間でまさに外交交渉を行っているわけでございます。したがいまして、米側との間でこの内容については話し合うことはやめようということにしております。したがいまして、何が語られているかということについてさまざまなことが報じられておりましても、それについて、それがあるかないかということについては——クラリフィケーションでございます。失礼いたしました。今交渉ということを言ったのですが、まさに立場をお互いに説明し合っているということでございます。
  202. 黒柳明

    ○黒柳明君 きょうはのどが痛いからまたこの次に。のどがよくなったら……。
  203. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 去年の十一月の取り決めに私が先ほど言及いたしましたのは、まさにそれについてのお互いの立場のクラリフィケーションをし合っている、こういうことでございます。
  204. 黒柳明

    ○黒柳明君 経済協力局長、先ほどもODAのことは話がありましたけれどもマスコミにいろいろ出ているわけだ。今現在、いろんな弁解もあるでしょう、いろんな点もあるでしょうけれども、要するに結果論から見て、協力の現状を踏まえてワーストファイブなりスリーを挙げると、どこの国のどういうプロジェクトですか。もうこれは朝、毎、読も週刊誌でも何でも、放送でも連日ですよ。
  205. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 私ども援助プロジェクトが完成しました段階で評価というのを行っておりまして、近く七回目の評価報告書を公表いたしますが、これには百六十のプロジェクトが掲載されております。私どもの見ますところ、そのうちの九割が大体所期の目的を達成している。残りの一割がそれなりに問題を抱えているので、それなりの手当てをしていく必要があるというふうに考えております。  これを国別に見ますと、ことしのだけで見ますとなかなか全体像がわかりませんけれども、ちょっと国の名前を申し上げるのは恐縮でございますが、強いて申し上げれば、やはりフィリピンにかなり問題が集中しております。  ただ、それは情状酌量する点も随分ございまして、御承知のようにフィリピンは、マルコス政権末期の混乱、それからクーデター、アキノ政権の発足ということで、ここ八〇年代は非常に混乱が続いておりまして、フィリピン経済は、大げさに申し上げますれば、実はこの十年間ほとんど前進がないという状況でございますので、そういうときでございますので、それなりに情状酌量する余地はございますが、フィリピンにはかなり問題のあるプロジェクトが集中しております。
  206. 黒柳明

    ○黒柳明君 タイはどうですか。
  207. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) タイに関しましては、私どもは全体として援助プロジェクトは良好であると考えておりますが、もちろん問題を抱えたプロジェクトもございます。
  208. 黒柳明

    ○黒柳明君 この前新聞でインタビューしたとき、四千件のうち——十年間で四千件ですか、プロジェクトを実施したのがまだそのうち四分の一。だから、千件ですね。今おっしゃったその百五十のうちの一〇%、それから追加で二、三%、二、三件が問題だと。そうすると、これから全部評価して一年間に百なり百五十なりやっていくわけでしょう。それをやるのに大変時間がかかりますね。それと同時に、さっき大臣が一、二問題があると言ったけれども、一、二ということじゃなくして、百で二、三ある、百五十で二、三あると。単純に掛算すると、四千ですと何百となる可能性があるわけでしょう、これから評価する段階において。だから、これは数字的に何も確率で物を論ずる必要はないと思うんです。実際の評価ですけれども、そこらあたり私はインタビューの記事を見て、これはどうなっちゃうのかというような感じがします。  だから、増額されて件数がふえることは悪いことじゃないし、私だって賛成ですよ、増額せよと言った方ですから。だけれども、過去の十年間の数字、評価のこれからの進み方、その評価の中の、だめというか、問題点の出方の件数、こんなのを見ると、これは大変なことだなというような感じがしますけれども、この点どうですか。
  209. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 全体の流れに関しましては、まさに先生指摘のような問題点を抱えておりまして、私どもも非常に苦労しているところでございます。しかしながら、やはり日本援助プロジェクト一つ一つが所期の成果をきちんと上げてもらいたいと思っておりまして、私どもも引き続き全力を尽くしたいと思っております。  それで、私は今先生が申し上げました数字を言ったことがございますけれども、問題があるというのは、それでもうだめであるということではなくて、問題のあるプロジェクトに関しましてもいろいろアフターケアをしたり、相手国政府の手によって改善努力をしてもらったりすることによって何とか所期の目的を達成するように努力していきたいということでございまして、問題のあるプロジェクトは、問題があるからもうお手上げであるということでは決してないので、私どもとしては改善努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
  210. 黒柳明

    ○黒柳明君 例のフィリピンのときに私も行きまして、改善するための費用がまた大変なわけですよ。それだったら、何のためにどんどんどんどん増額してやっているのか、こういうことです。あのマルコスのときはちょっとこれはしり切れトンボになってしまって残念なんですけれども。だから、改善はする、しなければならないでしょう。だけれども、そのためにまたアフターケアして増額しなければならない、手を打たなければならない。だから、大臣、過去十年間で物すごい量をやったんです。やったことは感謝されているんですよ、大部分が。だけれども、大部分感謝されているからいいといってけじめをつける問題じゃないんです。今言ったように問題が百のうち十ぐらいある。そのうち七、八はアフターケアで済むけれども二、三はさらに問題が継続する。それを今度は掛けると何百となっていくわけです。その以前においてその評価するだけだって一年間約百五十だ、まだ三千件あるんだったら、それこそ大臣なんかどこかへ行っちゃっているんですよ。局長なんかもう交代ですよ。何代目の局長の後じゃなきやどうしようもない。だけれども、現実にはODAの一兆というような金がどんどん進んでいくわけでしょう、こんなべらぼうな話です。  それから、きょうは独自の調査までいくとのどがあれだから、こんなのどじゃ迫力ないから、独自の調査なんていうわけにはいかないんですね。もったいない、こんなことじゃ。ですから、時が来れば、間もなく来ますからあれします、まとめてやりますけれども、ちょっと今のまんまでただ単に金額があれするからというわけに、大臣いかないんじゃないですか。人員が少ない、あのときフィリピンは三人しかいなかったんですね、国際協力。これは百人、アメリカと単純に比較はできませんよ。私も現地に行きましたが、このアフターケアなんか全くできやしません。だから、民間が先行して調査から含めているという中で悪さが行われてきたわけで、これ増額すると一緒に抜本的な手を打たないと、アフターケアだといったって二十年越しですよ、評価だって、これから評価。そんなばかなことできないじゃないですか。  この前の内部資料だって、これ聞きました、いろんなこと。ですけれども、まだ評価していないからわからない、応答にならないわけですよ。リベリアでどうだ、ハイチでどうだ、タイでどうだ、ベトナムやエジプトで、ボリビアでなんて言ったって、まだ評価していません、わかりません、現状は、ということでしょう。こっちが独自でこうやらたんだと言ったところで、はいそうですか、調べてみます、これじゃ質疑になりませんね。ですから何にも発言できませんよ、いいですか。でありながら、評価ですらもこれから十年、二十年かからなきゃできない。そういう中で前向きにどんどんODA予算はふえていく。何とかしないとこれはいけないんじゃないですか、大臣。しなきゃいけないんじゃない、本年度の予算をやるときに、それをやった上で予算増額、七・八%ふえたよと、何も防衛費だけじゃないよと言った同時じゃなきゃいけないんじゃなかったんじゃないでしょうか、去年はともかく、どうですか、これ。
  211. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 今おっしゃるような点もあったかと存ぜられます。この間からの報道は私も非常に大切なことだと思って、一応報告を受けました。確かにそういうふうな気配なきにしもあらず。ただ、報道ぶりがどうだったかという問題は残りますが、しかしやはり反省しなくちゃいかぬ、直さなくちゃいかぬ、こういう気持ちで私もおりますから、今のところは非常に少数精鋭でございますが、それだけの実を上げるように努力をしたい。  特にことし非常に伸ばしましたゆえんは、御承知だろうと思いますが、恐らく今まで貿易摩擦は一昨年の補正予算である程度内需振興あるいはまた構造調整でうまくいきましたが、また最近の趨勢として、やはり貿易面で我々の願わないような結果があるいはあらわれるかもしれぬ、そうしたときに、せっかく今日まで積み上げてまいりましたし、また昨年総理もサミットで言われましたような、ODAがもし貧弱でありせばこれは大変なことだというふうなこともございましたから、昨年来の五カ年の、ことしは予算としても初年度思い切って日本の姿勢を示そう、こういう意気込みでやったわけですが、これは確かに今やったって前のような極端な例に陥っちゃ大変だよと、この御忠告は私はやはり謙虚に受けとめまして、それだけ量がふえればふえただけ内容におきましても充実して、そして相手国に不満をもたらさない、本当に庶民のためになる、いわゆる民生のためになる、こういうふうに努力したいと思います。  確かに今おっしゃる点は、一番これからも我々として心しなければならない点である、かように考えております。
  212. 黒柳明

    ○黒柳明君 先ほど与党の先生からも、基本法、我が党も出しているんですよ、三年越し、ペンディングなんですね。さっき矢田部先生もおっしゃったのも参議院の調査会ではこれ検討しているわけですよ。ただ単に今の現状でいったら大変なことになりますよ、これは。この次の大臣、この次の局長もますますこれはやられますよ。私たちだって今世界どこを回って調査するのは簡単ですからね。一つでも二つでも不備な点を調べられてやられたらギブアップしちやいますよ。そんなことは簡単なことなんです。  ですけれども、今はそんな時期じゃないですよ。もうちょっとやっぱり前向きに予算をふやしながら、それでただ単に後ろのことは少数精鋭、これなんかは少数精鋭なんというようなわけにいかないんです。これからはもうそんな突貫精神じゃいけませんよ。だから結局、そういう問題を抜本的に、要請主義をどうするのか、いろんなことを抜本的に直さないと、今の現行じゃだめだ、こういうことだけははっきりしているんですよ。現行法でいきますなんという局長の答弁をさせるような大臣の今の姿勢じゃだめなんです、この問題だけは。だから早く、やっぱり野党はどうだということじゃなく、与党からそういう問題が出ているのだから、それについては確かに現状不備ですから、ぜひ野党、与党の先生方の御協力をいただいて、それで現状を何とか根本的にやっぱり改革する方向に取り組みたいと思いますと、こういう姿勢を示すときじゃないかと私は思うんだな、局長
  213. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生指摘のように、私どももまさに与野党の先生の御協力、御指導を賜って、できるだけいい援助をこれからもしていきたいと思っております。  先ほど来先生指摘の評価はもちろん重要でございますけれども、さらに申し上げれば、より重要なことは、私ども援助サイクルの入り口と申し上げておりますが、評価はいわば出口でございますけれども、入り口でできるだけいいプロジェクトを発掘し、できるだけいいプロジェクトを形成していく、一言で言えば本当に相手国の開発ニーズに合ったプロジェクトを発掘、形成するというのが一番重要で、そこに今最大の力を入れておりますけれども、この点に関しましてもぜひ御理解を賜って御支援を賜れば大変ありがたいと思っております。  ただ、先生指摘の基本法の点に関しましては、けさほども申し上げましたように、先進諸国のうち三分の二は基本法なしで対応しておりまして、特にそれらの国も基本法がないことによって痛痒は感じていないようで、私どもも今の現行体制が一〇〇%完全だと思っておりませんけれども法体制としては現行体制のもとでできるだけ運用の面で改善を図って、先生が御指摘のような点も確かにごもっともな点がございますので、十分念頭に置いて改善を図っていきたいと、こういうふうに考えております。
  214. 広中和歌子

    広中和歌子君 まず一番最初に、在外公館の備品につきまして簡単に質問させていただきます。  このほどIPUの会議に参加するためにハンガリーに参り、現地大使館のみならず周辺の大使館にお世話になり大変感謝しているわけですけれども、その際に気がついたこととして、大使館の中にファックスがないところがあるということなんでございます。テレックスならございます。テレックスとか専用回線というものはあり、それは外務省とそして出先の公館との通信にはいいんでしょうけれども、一方、一般の人にとりまして、受け取る側の問題ですね、日本ではテレックスを持っているところは意外と少ないわけですね。むしろファックスというのは非常な普及をしているわけで、しかも値段もそんなに高くない。そういう点で、ぜひファックスを持っていない総領事館、領事館などの在外公館、そういうところにおつけになっていただいた方がいいんじゃないかと、そういう提案をさせていただきます。
  215. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 本省在外公館の間の通信体制の強化、これは我々のいわゆる足腰予算一つの重点項目でございます。今やっておりますのは高デと申します高度データ通信システムということでございますけれども、このシステム自体でファックスの機能も備えております。これは主要公館に大体ここ数年のうちには網羅できるということになっておりまして、今ちょっと御質問で、もし民間の方からそれが在外公館に何か連絡が行くというようなことはこの高デでは直ちにできないと、外務省経由ということになろうと思います。  ただ、御指摘のとおり、ファックスというものが大変に重要でございます。我々にとって特に重要でございますのは、例えば新聞の切り抜きといっても、ファックスでございましたらすぐそのまま入ってくる。それを一々文章にしますと大変時間がかかる、それから地図とか絵とかそんなものがすぐ入ってくるということで大変に我々ファックスを利用さしていただいております。  御指摘はそのとおりでございまして、我々としてもその方向で努力しておりますので、今後とも御声援願いたいと思います。
  216. 広中和歌子

    広中和歌子君 先ほどの同僚議員たちの質問に続きまして、日本ODAは今世界最高の規模であり援助額は今後もふえ続ける、そういう中で実施体制について、外務大臣も今回の百十四回国会再開に当たって「援助のより一層の効果的実施を図るため、実施体制整備拡充を図るとともに、民間援助団体(NGO)や地方との連携、及び」云々を強化してまいりますとおっしゃいましたし、また今同僚議員の質問に答えて、一層の内容の充実であるとかいいプロジェクトの開発、そういうことを経済協力局長もおっしゃったわけでございますけれども、具体的にどのような方針をお持ちになっているのか、やはり伺っておく必要があるんじゃないか。  今のお答えではちょっと非常に心もとないんですが、人数を今後どういうふうにしてふやしていくのか、そして予算がふえるにつれてどうしてもアドミニストレーションのコストというものも見なくちゃいけないわけですけれども、そういうものが充実していくんだろうか。その点についてまずお伺いいたします。
  217. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生指摘のように、おかげさまでODA予算は年々増加させていただいておりますが、それに伴って援助実施体制整備拡充していただく必要があるわけでございまして、幸いにいたしまして来年度の政府原案には、外務省の定員の中で経済協力に携わる定員が二十一名増、それから技術協力実施機関でかつ無償資金協力についても実施促進を担当しております国際協力事業団の定員は十六名増ということで、従来に比べますとかなりの配慮を得ておりますが、しかしながら、さらに私どもとしてはスタッフの増強については配慮を得ていきたい、こういうふうに考えております。
  218. 広中和歌子

    広中和歌子君 去年のODAの伸びが前年度に比べて七%伸びているわけですけれども、私が伺ったところでは、経済協力局ではもう毎晩徹夜というのは大げさですが、そのような状況でいらっしゃると聞きますし、また出先の大使館、数十億円を一人で担当し、受け皿を探すのに大変だというようなことも伺うわけです。やはり内容の深い援助をするにはそれなりのソフトウエアというんでしょうか、ソフトを開発すると同時に人員をふやさなければ、私どもとしては批判することは簡単なんですけれども、そのような体制をお持ちでないところの中で期待するというのは非常に大変だろうと私思うんですけれども大臣いかがでございましょうか。
  219. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生まさに御指摘のとおり、私ども外務省経済協力局におきましても在外公館におきましても少ない人員で健闘しておる状況でございますが、何と申しましても、先ほど黒柳先生の御質問で御説明申し上げたことですけれども、重要なことは、最初の援助サイクルの入り口の段階でいいプロジェクトを発掘し形成するということでございまして、これはぜひ引き続き力を入れてまいりたい。  そのためには、在外公館経済協力担当者がしっかり問題意識を持って相手国政府の関係者と常時話をすると同時に、私ども国際協力事業団に開発調査という予算がございますけれども、この開発調査は民間のコンサルタントの力をかりてプロジェクトを発掘し形成するものでございますけれども、そういう民間のコンサルタントの力もかり、それから同時に関係各省の技術と経験を持っていらっしゃる方にも開発ポストに参画していただいていますので、そういう方の力もかりていいプロジェクトを発掘、形成する。これにこれからも引き続き大いに力を入れていきたい、こういうふうに考えておりますが、先生指摘のように、確かに私ども実施体制についてはさらに御理解を得て強化を図らしていただきたい、こういうふうに思っております。
  220. 広中和歌子

    広中和歌子君 その中で、ODAの中でNGOの大切さというものを強調させていただきたいわけですけれども、これは草の根の運動でもあり、また非常に柔軟な対応もできる、そしてまた、さまざまな分野の人が参加しているわけですから新しいアプローチもできるだろうし、また単位費用当たりの効果も大きいというような、さまざまな点が指摘されているわけでございます。そういう中で、日本のNGOで活動している団体は現在幾らぐらいあるんでしょうか。
  221. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 外務省におきまして委託調査を昨年行いまして、この「NGOダイレクトリー」というのをまとめておりますが、これに掲載されておりますNGOは全部で二百七十ございます。ただ、私が承知してますのは、途上国でいわゆる民間援助活動をやっているNGOはその中で恐らく八十から百ではないかと思っております。
  222. 広中和歌子

    広中和歌子君 組織の形態としては、法人格を持っているところとそして任意団体とはどのような割合になっておりますか。
  223. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 今申し上げました二百七十のNGOのうちに法人格を持っておりますのは約二割で、残りは任意団体でございます。
  224. 広中和歌子

    広中和歌子君 任意団体の場合でございますけれども、活動資金でございますね、それは寄附とか何かを受けるのが非常に大変だろうと思うんでございますけれども、任意団体の中で法人格を申請するにはどのような手続または金銭的なリクワイアメントがあるんでしょうか。
  225. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 海外援助活動を行っておりますNGOは外務省が中心になって所管しておりますけれども、いわゆる公益法人、先生も御承知のように、公益法人は財団法人とそれから社団法人ございますけれども、これはそれ以外の公益法人とあわせて外務省に稟請がございました段階で審査いたしますが、何と申しますか、公益法人でございますから、それなりの基準を設けて、一応財政的基盤を持ってしっかりした対応をしようとしているという団体でございませんと簡単に認可できないという問題もございますので、私どもとしては、片方においてそういうNGOの活動を支援したいと思っておりますけれども、公益法人としての認可というのはそれなりの基準に従って、例えば基本財産が一定以上であるとか、しっかりした組織を持っているとかという点はそれなりにきちんとやっぱり審査する必要があると考えております。
  226. 広中和歌子

    広中和歌子君 このNGOのよさというのは要するにボランティア、しかも労力奉仕の部分が非常に多いと思うんですけれども、いわゆる基本財産ですか、それが一億円なり何なり、かなりの多額の基本財産がなければ公益法人として申請できないということ、そのものが問題ではないでしょうか、特にNGOの団体の場合は。
  227. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 公益法人の認可基準に関しましても、これは、今お話に出ておりますNGOの中でも、まさにこういう民間の援助活動をやっているもののみならず、国内でいろいろな公益活動をやっています公益法人、外務省所管の公益法人との横並びの問題もございますし、それからさらに申し上げれば各省の公益法人の問題もございますので、私どもとしては、繰り返しになりますけれども、片方においてNGOの海外援助活動をできるだけ支援したいと思ってはおりますけれども、そのそもそもの公益法人のあり方からいいまして、やはり先生が御指摘のように、今ちょっと私正確に記憶しておりませんが、基本財産は二億円何がしかだったと思いますけれども、だんだん基準を上げてきておりますので、かつては一億円でございましたが今二億円を超えておると思いますが、一定規模のやはり基本財産がないと後々問題になることもございますし、現にそういう、これはいわゆるNGOではございませんけれども、問題になった例もございますので、それなりにきちんと認可基準に従って審査する必要があると思っております。
  228. 広中和歌子

    広中和歌子君 NGOの予算ODAの中でNGOの予算ですけれども、どういう形で諸団体に配られているんでしょうか。それは公益法人を優先になさっているのか、それともそういうことは無関係にやっていらっしゃるんでしょうか。
  229. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 今まで私どもが直接的に補助金を出しておりましたのは、外務省が認可しております五つの公益法人に対してでございまして、これは全部足しますと平成元年度の政府原案の予算案におきまして五億一千万円になります。ただ、これは五つのまさに法人格を持ったNGOでございまして、それぞれかなりの歴史を持ったものでございますので、先ほど先生が御提起しておられますように、まさに財政基盤もしっかりしていなくて、しかしながら意図としては非常に善意で、開発途上国でこれから民間のNGO活動をしっかりやっていこうという団体をどうやって支援していくかということに対する回答になりませんので、私どもは、まさに来年度の政府原案の予算案には、新たにこの任意団体のNGOも支援できます一億一千万円の補助金を要求さしていただいております。これが実現いたしますと、まさに任意団体のNGOに対しても事業補助ができることになります。既にいろんなNGOと話し合いはしております。
  230. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。  我が国のNGO予算は幾らぐらいか、それが諸外国と比べて非常に少ないんじゃないかというような印象を持っているんですけれども、実数を教えていただけませんか。
  231. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) それは先生まさに御指摘のとおりでございまして、NGOの民間活動の全体の金額でどのくらいになるかと申し上げますと、これはDACのメンバー諸国十八カ国と総計でございますが、八六年で三十三億ドルございまして、その半分以上の十七・五億ドル、これはアメリカのNGOでございます。その中で日本がどのくらいかと申し上げますと、日本は八千二百万ドルでございます。これはNGO自体の自己資金で賄いました活動の総計でございます。
  232. 広中和歌子

    広中和歌子君 日本援助総額が非常に大きい。それに比べてNGOが非常に少ない。私の計算が間違ってなければ一・二%でございまして、米国などは二〇%、それは特別多いにいたしましても、英国、西ドイツなども一〇%とか、かなり多いわけでございます。  先ほどODA予算がふえる割には人間の数がふえないと、そういうことは今問題意識として外務省でもお持ちだと思いますし、私どもも持っているわけですけれども、そういう中で、NGOの諸団体をもっと積極的に前向きに使っていただけないかと、そういうふうに思うのでございますけれどもいかがでしょうか。
  233. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) その点、私ども先生のお考えと全く同じでございまして、先生冒頭御指摘のように、NGOというのは草の根レベルで相手国の民衆に直接働きかける援助活動でございまして、大変意義があるもので、私どもODAではなかなか手の届かないところもカバーしていただいているので、私どもとしてはぜひ日本でもNGOがしっかり育っていただきたい。そして、私どもとしてもODAを通じてできるだけ支援していきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  234. 広中和歌子

    広中和歌子君 しかも、冒頭に申しましたように、単位費用当たりの効果と申しましてはあれですけれども、非常に少額でもって比較的草の根に行き渡るような援助ができるというようなことも思いますものですから、ぜひぜひODAの中に占めるNGOの予算の割合をふやしていただきたい、そんなふうにお願いしたいわけでございます。  それから、これと多少かかわるのでございますけれども、今多くの外国人、特に東南アジア、また中国、韓国、台湾、そういうところから日本に勉強をしたいと、そういう人たちが非常にふえております。中国からの就学生は前年の四倍、二万八千二百五十六人と急増しておりまして、上海ではビザを待つ待機者が三万五千人、そういうような状況ですけれども、それは事実でございますか。
  235. 黒河内久美

    政府委員黒河内久美君) アジアからの就学生の数でございますけれども中国、これは大陸でございますが、昭和六十三年の新規入国者数が約二万八千人でございます。それから、上海で就学ビザを待っている人たちというのが、昨年十一月の段階で上海当局が我が方に通報してきたところによれば約三万八千人ということでございます。
  236. 広中和歌子

    広中和歌子君 ということは、そのように大勢の人が待機しているわけですけれども、プロセスをするのに非常に時間がかかるわけでございますね。どのくらい時間がかかるんでしょうか、ビザを最終的に得られるまでに。
  237. 黒河内久美

    政府委員黒河内久美君) 就学ビザ取得のためには、通常の手続といたしまして、就学を希望する人が日本における代理人、通常は日本語学校でございますが、から法務省に対しまして事前審査終了証というものを取得することになっております。これは実際にビザを申請してからプロセスを始めるという方法もございますけれども、これによりますと数カ月を要するということから、できる限り就学を希望する人の便宜を図るために本邦であらかじめそういう審査終了証を取得するという手続になっております。その審査終了証を取得する必要な時間等につきましては私からお答えするのは適当ではないと思いますので……。
  238. 堀口松城

    説明員(堀口松城君) 就学ビザの取得にかかる時間ということでございますけれども、これは例えば去年の秋でございますが、このときはかなり三、四カ月という長い時間かかったのでございますけれども、その後東京入管局の職員を倍増いたしまして、現在は一、二カ月ぐらいでございます。
  239. 広中和歌子

    広中和歌子君 ビザを申請する、そしてそれが発給される基準でございますけれども、給付の基準でございますけれども日本語がある程度できるということが基準になっているのでございますか。
  240. 堀口松城

    説明員(堀口松城君) 現時点におきましてはその点は基準になっておりません。しかしながら、この点につきましては関係省庁とも協議しながら検討していきたいというふうに考えております。
  241. 広中和歌子

    広中和歌子君 私ども日本人が例えばアメリカなどに留学いたしますときには、まあ日本では英語は義務教育になっておりますからある程度はできるわけですよね。さもなければ、留学して現地で覚えるといたしましても非常に時間がかかる。ですから、そういう人はともかく留学生としては受け入れないというのがもう原則じゃなかろうかと思うんです。それから、特に現地学校日本人を受け入れる場合でもTOFELといったような資格試験、そういうものを行って特別に語学のできる人を受け入れているんじゃないかと思いますけれども日本の場合もそのような方法を行うことが必要なんじゃないか。非常に多くの人が日本に来たい、日本語を勉強したいと、そのこと自体は大変結構なんでございますけれども日本としても無制限に受け入れるというわけにはいかないのではないか、そのように思うんですけれどもいかがでしょうか。
  242. 田島高志

    説明員(田島高志君) 先生おっしゃいますように、最近日本への留学生もふえておりますし、また海外での日本語の学習者も大変ふえております。したがいまして、日本に留学なり来日する前にしっかりした日本語を勉強してきていただければなお一層効果が上がるという観点もございますし、それから先生のおっしゃいますような需要もだんだんふえてきておりますので、日本国際教育協会と国際交流基金とで共同しまして、海外とそれから日本におきまして日本語能力試験を現在実施いたしております。海外におきましては二十一カ国で現在行っておりますが、六十三年度の予算をまた平成元年度ではずっとふやしていただきまして、実施する国の数もふやしてまいりたいというふうに考えております。ただ、現在まだそれはTOFELのような確定した制度にはなっておりませんので、次第にそのような方向に持っていきたいという希望、考えは持っておりまして、文部省ともその点につきましては御相談をしつつあるということでございます。
  243. 広中和歌子

    広中和歌子君 それは文部省でテストをやっていらっしゃるんですか。文部省の管轄なんですか、外務省の管轄なんですか。日本語検定試験です。
  244. 田島高志

    説明員(田島高志君) 特殊法人に実施させておりまして、文部省の所管法人であります日本国際教育協会で問題等をつくっていただいておりまして、それを国内では協会が実施しており、海外では国際交流基金が実施している、そういう形でございます。
  245. 広中和歌子

    広中和歌子君 それを、そういうテストが存在することで、ビザ発給の基準にするというようなそういう結びつきというのは今まで考えられたことはなかったわけですか。法務省の方にお伺いいたしますけれども
  246. 堀口松城

    説明員(堀口松城君) その点は繰り返しになりますけれども、これまでにおきましては当該外国人が日本語を学ぶに足りる能力があるということと、それから確実な身元保証人がいるということ、あるいは就学を希望する日本語学校の受け入れ体制が十分であること等を審査基準としておりましたけれども、現在までのところ、先生の御指摘の点につきましては、基準として含まれておりません。
  247. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は、日本に来て日本語を勉強したい、各種学校で勉強したいという外国人の方々に対して大変厳しいような言い方をいたしましたけれども、やはり日本語を勉強していただく、来る前にある程度の日本語を勉強していただくということは非常に大切なことではないか。大切であると同時に、やはりそういう日本語学校が充実していなければそういうようないわゆる資格としてそれをリクワイアメントとして言えないわけでございますので、これからはもっと日本語学校現地にふえることが望ましいのではないか。  日本では日本語学校が幾つかございますが、数はどのくらいございますか。外国人のための日本語学校、幾つぐらいございますか。
  248. 田島高志

    説明員(田島高志君) 海外での数はいろいろな機関に分かれておりまして、大学で行っておったり、それから最近は東南アジアあるいはヨーロッパも含めまして私立の学校もふえております。したがいまして、全体での正確な数は必ずしも把握しておりませんが、日本語教育に対する協力につきましては、現地のしっかりした機関に対して重点的に日本語先生を派遣したり、あるいは現地先生の養成にお手伝いをしたりという形で行っておりますが、我が国自身も現地に幾つかの日本語学校をつくっております。それは国際交流基金の支部でありますジャカルタの日本文化センター、それからローマ及びケルンの日本文化会館に設けておりますほか、二十三の在外公館におきまして日本語学校を設けまして日本語教育を実施しております。外の学校につきましてはそういう状況でございます。
  249. 広中和歌子

    広中和歌子君 私が伺いたかったのは、日本にある日本語学校です。外国人のための日本語学校、それは幾つぐらいございますか。
  250. 西澤良之

    説明員(西澤良之君) これは文化庁国語課の調査でございますけれども、昭和六十二年十一月一日現在、およそ四百九十六の外国人に対する日本語教育機関があるというふうに把握されているわけでございまして、そのうちいわゆる大学教育等の一環として実施されているものが二百四十一でございますので、残り二百五十五がいわゆる一般の日本語学校というふうに理解できると思います。
  251. 広中和歌子

    広中和歌子君 これは民間の学校でございますね。
  252. 西澤良之

    説明員(西澤良之君) 今申し上げました二百五十五の機関、日本語教育機関の内訳というものは極めてさまざまでございまして、各種学校、専修学校等としていわゆる学校教育法上の認可を受けているものから、いわゆる民間の教育事業として実施されております日本語教育機関まで、さまざまなものがございます。
  253. 広中和歌子

    広中和歌子君 それで先ほどのNGOに戻ってくるわけでございますけれども海外から日本語を勉強するという理由で日本においでになる多くの学生さんたちは現実には日本では非常に生活費も高い、それから学費も高い、そういうようなことで結局はアルバイトに時間を費やしてしまうというようなことになるのではないか。  私はこれ提案させていただき、ぜひ御一考をお願いしたいんですが、こういう日本学校の分校を例えば上海なり世界各地につくっていただく、それをNGOのための資金の一部で援助をする、そういうようなことができないだろうか。そういうふうにいたしますと、日本においでになる学生さんたちもある程度の日本語の知識を持ち、そして日本に来た以上は、日本語を勉強するだけじゃなくて、実際に技術を学ぶ、日本の文化を学ぶといったような実質的な勉強ができる、そのような気がいたします。  現地ですと、例えば中国であれば一月五千円もあれば生活費は足りるわけですね。日本ですと少なくとも十万円はかかる。非常にコスト的にも留学生にとっては大変なわけで、そして結果としては不法就労というんですか、そういうような形になるのではないかと思うので、ぜひこのことを御一考いただきたいんですけれどもいかがでございましょうか。
  254. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 今先生の御提案に対しましてはさらに検討させていただきたいと思いますけれども先生の御提案に直接お答えすることにはなりませんけれども、現在海外で私ども援助の一環としてそれなりに日本語教育は力を入れておりまして、例えば先生も御承知青年協力隊でございますけれども青年協力隊全体で千八百名派遣しておりますが、数は多くございませんけれども二十名は日本語教育に携わっております。  それから、先生指摘のように、日本に来られる海外の学生等に事前に日本語を教えるというのは確かに重要でございまして、例えばマレーシアでございますけれども、マハティール首相がルックイーストの関係で日本に大量に若い青年を送り込みたいということで、マラヤ大学に日本語を教える教室をつくってそこで事前に日本語を教えて日本に送り込んでくるということを始めました。それから、インドネシアでは最近これは無償でやはりパジャジャラン大学に日本語センターをつくるという計画に協力を行っておりまして、それなりに私ども問題意識を持って対応しております。
  255. 田島高志

    説明員(田島高志君) 先生の御質問に関連しまして、中国に関しましての日本語教育に対する協力につきまして行っております事業について御説明をこの機会にさせていただきたいと存じます。  大平内閣時代に始まりました中国に対する協力事業が五年経過しまして、現在第二次対中特別事業といたしまして一九八五年から一九九〇年までの予定で行われておりますものに、国際交流基金の日本学研究センター事業というのがございます。年間予算二億七千万円で行っておりますが、そこにおきましては日本から専門家を派遣しましたり、先方の大学院の修士課程の研究生を養成するための援助を行いましたり、それから日本語の教師の研修を一年間コース、年間三十名ということで現地で教育すると同時に、国際交流基金が日本にも招待いたしまして日本でまたブラッシュアップしていただく、そういった事業、それから資料も図書二万冊を寄贈したりしてその整備に協力しているということをやっております。  日本語につきましても、現地の希望を踏まえてどのように協力を進めていくかということが大事でございますので、中国政府とも相談をいたしまして、今のこのような形で中国における日本語教育への協力事業を現在進めているところでございます。
  256. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は、政府レベルでの、外務省レベルでのそうした役割は非常に大切だと思いますし、また青年海外協力隊の役割につきましても大変に高く評価しているものでございます。  それと同時に、いわゆる援助の外注化というんでしょうか、そういったような言葉を使いますとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、このような人数がふえない状況の中で民間をもうちょっとお使いになる方向にも、両方に御検討をいただきたいと、そのように要望して私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  257. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 在外公館に関する案件に先立ちまして、私は、在外公館が財テクで処分を受けるような事件が起こったことは甚だ遺憾であると思いますし、何人が処分を受けたのか、今後このようなことが起こらないような措置をどのようにとられたのか、まず質問させていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事森山眞弓君着席〕
  258. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 先般のいわゆる財テク問題についての御質問でございますが、その問題との関連で処分を受けましたのは在外の大使が二名、それからもう一人は監督責任ということで一名、合わせて三名、それから本省におきまして一名で、合わせて四名でございます。
  259. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 今後このようなことがあってはならないと思いますが、どういう措置をとりますか。
  260. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) いわゆる財テク問題は、在外におきまして株の操作を行っていた、それに対して、特に大使というような地位にある者が指導的立場にありながら、その操作に自分の金も預けていたということでございます。そういう意味におきまして、大使という指導的な立場にある者の行為といたしましては遺憾であるということでございまして、これは全省員に対しましても、その際、大臣から改めて綱紀の粛正等について申し渡したわけでございますが、その後におきましても累次いろいろな機会をとらえまして、同様の趣旨のことを全省員に伝えております。    〔理事森山眞弓君退席、委員長着席〕  さらに、在外のいろいろな行為につきましては査察という制度がございますけれども、その査察制度を最近強化いたしまして、三年に一度でございますが、それを確実に行っていく等々、内部の綱紀粛正の強化に努めているところでございます。
  261. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 午前の論議の中でもありましたが、南太平洋地域を含むアジア太平洋地域、ここは非核地帯化の動きが非常に活発に進んでいるところです。かつて中曽根首相がニュージーランドの非核化に反対したという新聞報道で批判を受けるという出来事がありましたし、ASEANの非核化構想に対して倉成前外相が、そういう構想はよくないと発言したということで批判を受けたという出来事がありました。  私は、午前中の討議も受けて強調したいんですが、新設される公館がアメリカの戦略に沿ってそういうことを行うようなことがあっては絶対にならないと思います。唯一の被爆国の代表として非核地帯化、軍縮の方向に向かってこそ貢献すべきだと思います。この点についてどのようにお考えになりますか。
  262. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 日本政府マーシャル及びミクロネシア両国を承認して、この際、兼轄ではございますけれども、それぞれに大使館を設置することといたしました理由は、これら諸国との関係が大変に重要であるという認識がまずあるわけでございます。  これらの諸国はかつて我が国の統治下にございました。日系人が多数おります。彼らが我が国との関係強化を強く希望している、我が国としてもこのような希望にこたえる必要があるということで、これは経済協力等を通じて実行することができるであろう。特に、これらの国の近海はカツオ、マグロ等の重要な漁場でございまして、円滑な漁業関係の維持等を図っていく必要がある。このような双方の希望がこの兼轄の大使館設置ということで実現化されることを期待していると、こういうことでございます。  そして、今の仰せのことでございますけれども、これについてはこれら両国がみずから決めてまいることであろうと存じております。
  263. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、昨年十一月八日のこの委員会で、日本がかつて行った戦争をめぐって世界からとかく言われるようなことが絶対にあってはならないということを強調し、外務大臣も同意されました。ところが、残念ながらその後同じような事態が相次いでいるということについてまず触れておかなくちゃなりません。  その一つは、竹下首相の第二次世界大戦の日本の侵略戦争、ナチの侵略戦争による発言です。在外公館からこれらをめぐる世界の世論、マスコミ論調の報告が出ていると思いますが、幾つの国でどれぐらいの数の新聞でこの問題は取り上げられたのかということをまずお伺いします。
  264. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 我が国に関するいろんな案件につきまして、我が方の在外公館から本省に対して隣国の新聞論調とかあるいは各国指導者の意見等につきましては随時報告がございます。先般の竹下総理の御発言につきましても、いろんな大使館から現地の主要新聞の論調等報告がございました。  具体的に幾つかということは、私ちょっと手元に持っていないんですが、幾つか例示いたしますと、中国では人民日報とかあるいは解放軍報、光明日報、北京日報等で報じられた経緯がございます。
  265. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 もう一つ、これは直接は外務省にかかわる問題ではありませんけれども、三月九日に西岡文部大臣が在日外人記者クラブで行われた日清、日露戦争に関する発言、これが国際的な大問題になりました。私は文部省からテキストをもらって読んで大変びっくりしました。自分の方から外人記者クラブにわざわざ申し込んでいっての話だそうですが、要するにこの内容は、日清、日露戦争に勝ってよかった、負ければ大変だったということで、特に日露戦争を勝利に導いた東郷元帥を学校教育でも取り上げると、こういう発言だというふうにこの内容はなっております。  この戦争について私はここで詳しく述べようとは思いませんけれども、日清戦争とは日本が清国(中国)と朝鮮の支配を争った戦争であり、日露戦争は帝政ロシアと日本中国東北部及び朝鮮の支配をめぐって争った侵略戦争であった。この戦争に勝ったことを国力の充実だとか国際的な地位の向上だということで外国人記者に話をするという歴史的認識と今日の国際感覚ですね、これは私はまことに驚くべきものだと思いました。  我々は、例えば日露戦争でも日露双方からの帝国主義戦争だというふうに評価しており、この戦争はやめろということこそ正しい立場だというのが我々の見地ですが、その日露戦争に反対した人々は教科書から消えていく、こういうことになると、その戦争の対象になった朝鮮、中国から批判、怒りが出てくるのは当然だと思います。私はこの委員会でも、日本経済大国になったがゆえに、なおさら過去の侵略戦争に対する態度はきちっとしなければならないということを、しばしば強調してきました。文部大臣の発言についてここで論評をお願いしてもしにくいでしょうから、外務大臣自身は日清、日露戦争を同じような認識でおられるか、あるいは外国人に話すとすればああいう話し方をなさるのかどうなのかお伺いしたいと思います。
  266. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 私は、ききの戦争に関しましては何度もこの委員会でも申し上げておりますとおり、軍国主義の侵略である、だから今後はますます我々は反省を強くし、今後戦争に関しては一切日本はそのもの自体を放棄したという立場を鮮明にすべきである、かように申しております。  今、日清、日露戦争、私は決して西岡さんの話をコメントするという立場ではございません。私自身のということでございますからあえて申し上げますと、ここで議論するのは有益と考えない、私はこう思います。  いずれにせよ、戦争が一般に禁じられておる現在、戦争というものがあってはならない、これが私たちの認識でなければならない、かように思っております。
  267. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 日清、日露戦争論をやろうという気はありませんから、これはこの程度にとどめておきます。  私は、ODA等をめぐっての在外公館の活動について若干注文したい点がありますが、これはちょっと後回しにしまして、アメリカで新しい政権が誕生したことに関連しての日米関係に関して幾つか質問したいと思います。  まず、ブッシュ新政権の基本政策をどう見るかという点ですけれども、いろいろな文献を総合して読むが、ブッシュ政権の立場というものは、やはり強いアメリカの確立、そして核抑止力を中心とする力の立場の重要性という立場、これは従来どおりいささかも変わっていないし、そういう力の立場こそソ連との対話を可能にする道であるという見地も従来どおりの考えが述べられていると思います。しかも、その強いアメリカ、これを進める上でアメリカの財政赤字の現状ではアメリカだけではできないので同盟国の分担強化が必要だと、とりわけ日本にその点での負担を求めるというのが一連の文献からうかがえるブッシュ新政権の態度ではないかと思いますが、大臣はどのようにごらんになっていますか。
  268. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) ブッシュ新政権もやはりレーガン政権の後継者でございますから、私たちがレーガン政権のときに申し述べてきたことをそのとおり理解していただいておると思います。  すなわち、バードソンェアリングという言葉自体、私たちは決してこれを好むものではない。むしろそうした言葉が出ること自体には甚だ迷惑である。恐らくその言葉の持つ意味は、軍事面における日本の肩がわりというふうに直訳されても仕方のない性格の言葉であると私は解する。しかし、日本といたしましては憲法上の制約もあり、あるいは近隣諸国における懸念もこれあり、また私たちは節度ある防衛に努めている国民であるから、したがって何か肩がわりをせよと言われても、それは私は断る以外に道はない。これが私がずっとレーガン政権並びにアメリカの議会の責任者にも申し述べてきたところでございます。議会側においては、例えばシュローダー委員会、これはバードソンェアリング委員会そのものでございますが、委員長並びに委員方々にもはっきり申し述べましたし、さらには下院の民主、共和両党の院内総務、この方々にもはっきり私は申し上げました。また、本年になりましても同じようなことを当然何回かの機会におきましてベーカーさんを初めアメリカ首脳に伝えてございます。  したがいまして、この点はアメリカも従来のような考え方で日本に期待するというのではなくして、アメリカがやはりグローバルパワーというものを中心として今後あらゆる面でいろいろと世界の和平、繁栄に貢献するものならば、ひとつお互いに力を出し合おうじゃございませんかということで私たちは一致しておる、かように思います。
  269. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 バードソンェアリングという言葉は迷惑だというお話ですが、これは松永大使が昨年十一月に帰国中の記者会見ではバードソンェアリングについて述べて、結論的に日本、西欧、アジアなどの同盟諸国に対する米国の負担を軽減してほしいという圧力はますます高まると考えなければならない、こういうふうに述べておられるわけですね。やはり好むと好まざるにかかわらず、そういう圧力がますます強まるという認識は一緒ですか。
  270. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 政府側におきましては、今申し上げましたとおりに、私たちは今の私の認識についてアメリカも十分理解しておると思いますが、例えば議会側におきまして、もしそれ私のそうした説明を聞かない面におられた人たちの間においては、いろいろと日本に対する要求があろうかと思います。それがただバードソンェアリングそのものを意味するのか、それはまた別の話でございますが、やはり日本に対しまして世界一の経済国になったんだからぜひともおれたちと歩調を合わしてほしいという要求はこれはあろうかと、かように考えておりますし、また両国間にいろんな問題がまた派生するだろうと思います。そうしたたびにいろんな話が出てくることは当然であろう。しかし私たちは、そういうときといえども、あくまでも協調とそして共同作業によって一つ一つ着実に解決をしていきたい、これが私たち考えです。
  271. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 二月の日米首脳会談では、ブッシュ米大統領が日本にバードソンェアリングの議会の圧力を受けているので目に見える形で安全保障の問題、援助の両面でやれることをやってくれということで、竹下首相も基本的認識は全く同感だと述べられたというのが記者会見での発表で述べられております。目に見える形での協力分担、これはどういうことが考えられますか。
  272. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 目に見えるところ云々というのは、ちょっと私もそういうものを今記憶をたどっているんですが、思い当たる節がないような感じがします。それよりも、むしろ今私が申し上げましたような立場の両首脳の話はありました。特に、総理の方は五つのことを申しておられます。  一つは、かねて外交の三本柱と言っております「世界に貢献する日本」。二番は文化交流。三番はODAの拡充。それプラス、日米間においては安保条約があるんだから、この安保条約の効率的運用、円満な運用。そして五番目として、日本は常に内需拡大をいたしましょう、そのためにも当然構造調整というものに私たちは力を込めましょう。こういう五つの面で私たちは世界にもまたアメリカとも仲よくやっていける、かように思っておりますと、こういう話であります。
  273. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 目に見える形でのというのは、新聞での発表にきちっと述べられております。  まあそれはいいですが、アメリカの対日要求というのは、八九年度国防報告でも、急速に増大する国力と影響力に見合った一層の共通防衛の分担増を求める、こういうふうに言ってきているわけですね。アメリカの言う言い方が気に入る入らないは別として、結局アメリカの分担増圧力、こういうものに日本がこたえざるを得なくなる、こういう仕組みで日本の軍事分担、日米軍事同盟強化ということが進んでいると思いますが、こういう急速に増大する国力と影響力に見合った共通防衛の分担というふうなものにはどう対応しますか。
  274. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) これは、今先生は一九九〇年度の米国の国防報告の一部を引用されたのではないかと思いますが、その前に、さぎに総理が訪米されました際には米側のプレスリマークの中に、総理と自分は、これはブッシュのことでございますけれども、これらの責任がさまざまな形をとり得ることにつき合意いたしましたということを申しております。  それから、米側が日米安保条約に基づいて日本の安全に責任を有している以上、我が国の防衛努力について関心を寄せるのは当然のことと存じておりますが、第一に、先ほど大臣も仰せられましたように、米国は我が国の基本的な防衛政策、節度ある防衛力の整備、その我が国の基本的な防衛政策というものを理解いたしておりますし、それから我が国は、まさに我が国が自主的にこれらの努力を続けているということでございます。
  275. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 我が国の防衛努力は自主的にということですけれども、それは表向きのことで、実際はそうではないということをこれは外務省の人自身が語っているわけですね。私、ちょっと引用しますのは、現在の駐タイ大使ですか、岡崎久彦氏が自民党の会合で、日本の防衛はもちろん日本のためにやっているんですけれども、今までアメリカの圧力というか、アメリカの要望でやってきたということは否定すべからざることでございますと、こう語っているわけです。これは去年の五月ですけれども、ちゃんと活字にもなっております。同じ外務省の幹部がアメリカの圧力でそうなったんだと言っているわけですから、やはり自主的というのは、これは国民向け、実態はこういうことだと私は判断せざるを得ません。  防衛問題と離れますけれども、今アメリカから米の輸入自由化要求が強く出ていますが、これに対しては外務省としてはどういう対応ですか。絶対に反対するという立場なのか、一部応ぜざるを得ないという立場なのか。
  276. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 詳細は経済局長から説明をしてもらえばよいと思いますが、少なくとも私とシュルツ国務長官との間におきましては、昨年の話ですが、日米間十二品目を初めさらには牛肉・オレンジ等々、農業問題が常に先鋭化しておる。日米は、私たちはその関係を外交の基軸とし、また安保体制にあるんだから、そのようなことで両国の国民間の感情が悪化することは決してよいことじゃない。だから、ひとつこういう問題は日本日本としての独特のいろんな課題を持っているんだから、二国間で簡単に話し合えるものではないので、ぜひともこれは農業問題という大きな立場のマルチの場で議論したらどうだろうかというふうなことになりまして、昨年の七月にシュルツさんと私とは日米間の問題にしないと、こういうふうにいたしまして、その後、その当時のUSTRの責任者のヤイターさんも昨年の十二月のモントリオールのガット会議におきましては同様のことを話されました。そして、先般も関係者が訪米いたしましたときも、この問題に関しましては日米間の問題ではない、かようになっております。  だから、ウルグアイ・ラウンド等々で農業問題が参加国すべてで議論されましたとき、そのときには米も一つのテーブルの上に上げましょうけれども、現在、おっしゃったようにアメリカからの直接のいろんな話、まだ私は聞いておりませんし、またそうでございましても、国務長官と外務大臣間の約束として今申し上げたようなことを今後私はそのまま実行していきたい、かように考えております。
  277. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 これを私が取り上げるのは、松永駐米大使がさっき取り上げた去年の十一月のインタビューで、米の輸入自由化問題に関連してのアメリカの対日要求を説明した上で、米側から見て日本側の対応に進展があったと評価できるものでなければならない、こういうふうに言っているわけですね。つまり、全面拒否ではだめだという記者会見をやって大きく新聞に出ている。国民の世論誘導を駐米大使自身がやっているということがあるから問題にするわけです。  国会では何回も米の輸入自由化反対の決議が行われており、去年の九月二十一日にも参議院本会議でも米の自由化反対に関する決議というものが行われ、  今般伝えられる米国内の我が国に対する自由化要求の動きは、極めて遺憾であり、認められない。   よって政府は、二度にわたる本院の決議の趣旨を体し、断固たる態度で臨むべきである。 こういう決議が参議院の本会議でも行われております。ところが、駐米大使が進展があるようなものでなきゃならないというようなことを言うのは、こういう決議にも反する態度で、私は非常に遺憾であると思いますが、大臣、どうですか。
  278. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 当時は、御承知のとおり三〇一条を盾といたしまして、米国の精米業界が提訴いたしております。これに対しまして米国政府も非常に苦慮いたしておった当時でございます。しかし、シュルツ国務長官と私との外相会談におけるそうした申し合わせ、確認事項ということがございますから、松永大使の発言は、たしか今十一月末と聞きましたが、私とシュルツさんが再びそれを確認し、ヤイターさんと確認したのは昨年の中ごろ以降のモントリオールのガット前であり、またガットの会場においてである、こういうふうにお考え賜るならば、松永大使のそうした言葉に対しまして、私みずからがきちっとしたことを米国との間で交わしておりますから、その点はそれでいいんじゃないか。  大使としては三〇一条が燃え盛っているときのあるいは感想を申し述べたか知りませんが、そうしたことも私は七月の約束に従って処理したというのが昨年の訪米のときの話でございます。
  279. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 九月の参議院本会議政府に対してこういう態度をとれという決議があるにもかかわらず、それではまずいというような趣旨の発言を一大使が行うということは、それはそれでいいという答弁では私は納得できません。
  280. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 今いささかあるいは言い違えたかもしれませんが、その当時、松永さんに対しましても、政府政府として、竹下総理も私も何度も本会議において衆参両院の米に関する決議は尊重しますということを言っておりますから、だからその線をあなたもひとつ守ってほしいということをたしか申し上げたことも今思い出しました。
  281. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 話を進めまして、今の点はこういうことが今後ないようにということを要望した上で話を進めますが、国防長官に指名されながら議会の承認を得るに至らなかったわけですから、政治的には若干低下しますけれども、タワー氏が日本憲法について行った発言ですね、これについては外務省の見解はどういう見解ですか。
  282. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) その当時、記者会見でも私は申し述べましたが、特にやはり重要問題でございますから、今申し上げました時点、昨年の十二月でございますが、訪米して、そして次期国務長官に内定をしておられるベーカーさんと、そしてそのときの国務長官のシュルツさんと私と三人で会談をいたしましたときに、私から正式の問題としてベーカーさんにも申し述べました。——これはことしです。昨年ではなくてことしです。ことしもう既にして国務長官になられましたベーカーさんに私から申し上げました。  ということは、非常に遺憾である、我が国の憲法上の制約というもので私たちは節度ある防衛費を設けておるが、にもかかわらずアメリカの一方的意思によってそれを増額せしめると言わんばかりのそうした発言、これに対しては日本国民のせっかくの努力というものを無にするような、感情を逆なでする発言である、こういうふうに私から申し上げておきました。それに対しましてベーカーさんは深くうなずかれた、同様のことを記者会見で再三私も申しております。
  283. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 タワー氏がとんでもない人物であって、たまたまそういうことを言ったというだけなら事は簡単ですけれども、この種の発言というのはアメリカではしばしばあるわけで、非常に責任ある立場の人では、随分古い話ですが、ニクソン大統領が副大統領時代に日本へ来て行った演説で、ああいう憲法をつくらせたことは間違いであったという発言もありました。私は、アメリカの指導層の全部ではないかもしれませんけれども、内部にこういう認識というのが実際上はあるんじゃないかと思うので、こういう点を取り上げたわけです。  アメリカの内部にそういう認識というものが全くないのかどうなのか、その点、外務省はどうごらんになっていますか。
  284. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) ないと存じます。
  285. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 ないということです。それはそういう答弁だったということを私は一応確認しておきますが、実際はそうでない。それはまた後から問題にします。  私はこういう認識というのが潜在的にいろいろな形であるのは、大体あの対日講和をめぐる論議に原点があるんじゃないかというふうに思います。アメリカでも戦後外交文書が公刊されて、我々もいろいろな形で読むことができるようになっていますが、当時の公表されたアメリカの秘密文書というふうなものを読んでみると、日本の憲法改正なしに講和条約はないというような議論も相当出されているということを私は日本の新聞の報道を通じて知ることができますが、そういう論議があったというその事実は外務省もお認めになりますか。
  286. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) もしも先生が言っておられますのが、いわゆるGHQの民政局から我が方に出したそういう紙があるということであるといたしますと、そのようなことは承知いたしておりません。
  287. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 いや、アメリカ国内の論議のことを私はとりあえず聞いたわけでして。
  288. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 米国の国内では、一般的にはさまざまな論議がなされております。当時も当然なされていたと思います。
  289. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 例えば一九五〇年十二月二十八日に合同戦略調査委員会が統合参謀本部へ提出した最高秘密という今は解禁された文書によれば、憲法改正までは「対日平和条約のいかなる交渉も着手さるべきではないと感じている。」と、こういうふうに述べております。これは外務省も確認できますね。
  290. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) そのような趣旨の資料があるということは私ども承知いたしておりますけれども、実際に対日平和条約交渉は行われたわけでございます。
  291. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私はそのことを言っているのではなく、アメリカの国内での論議のことを言っているわけです。  今、私の質問を先取りして答弁がありましたけれども日米交渉の中でもそういう問題は出されている。一九五一年十月下旬にGHQのGS、民政局から日本に対して再軍備と憲法改正に関する覚書というのが寄せられている。これは先ほどそういうものはないとおっしゃいましたけれども、絶対ないと言えますか。
  292. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 絶対にないとは申せませんけれども、私ども探しましたけれども見当たらなかったということでございます。
  293. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 探したけれども見当たらなかったということと、なかったということは別ですけれども、憲法は改正されていませんから、したがってこのアメリカの要求どおりになったわけではありませんが、平和条約が締結された直後、十月下旬にアメリカの民政局からはそういう覚書が寄せられている。それは憲法改正の内容と再軍備に際しては当然憲法改正が問題になるということ、それから九条の解釈、徴兵制がいいかどうかというような問題から憲法改正の時期、こういうことまで織り込んだ覚書が日本に渡されていると、これはある本に記録もされております。私は、その記録がその本にどういう形で記録されたかということも調べて、これは確かな証拠があって出されたものだという経過も知っております。調べております。そういう点で、絶対ないとは言えないが、見つからなかったということです。  私は、やはり今のアメリカの憲法認識の根底にはこういう日米交渉も横たわっていると思いますので、引き続きこういう文書を調べていただきたいと思います。
  294. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) この資料は私ども承知している限り存在いたしませんが、このようなものがあるということで書かれた資料の中に、例えば再軍備に際しては当然憲法改正が問題になるということを申しているのであれば、それは当時の一つの判断を書いていたわけでございましょうが、それは今先生御自身おっしゃられましたように、そうはならなかったということでございます。
  295. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 判断じゃなくて、覚書が日本に手渡された、そういう上に立っての交渉が行われたということですね。要するに、サンフランシスコ体制というのは本来は、アメリカ側の要求としては、憲法を改悪した上にこれをやりたかった。しかし、日本国民の反対が強くて憲法改悪というものはできなかった。その結果、今日憲法学者の中で言われるような憲法体制と安保体制の矛盾と言われる状況が生まれてきたということだと私は思います。したがって、憲法改悪はできなかったけれどもアメリカの対日要求には憲法の建前、建前上は憲法についてどういうふうに言おうと、実際上は憲法の規定などを無視した要求が現に行われているというのが実態だと思います。  例えばシーレーン防衛をめぐるアメリカの要求もそうだと思います。シーレーン防衛が専守防衛の枠をはみ出たものだということは、これはもう専門家もひとしく言うところですが、シーレーン防衛の範囲、これはオホーツク海からバシー海峡まで含むと、こういう点はお認めになりますね。
  296. 萩次郎

    説明員(萩次郎君) シーレーンの範囲につきましては、今お話しありましたような広い範囲ではございませんで、私ども申しておりますのは周辺数百マイル、航路帯を設ける場合はおよそ千マイルというものを防衛力整備の目標の一つとして考えておるということを申しております。
  297. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それは違いますよ。昭和六十年十一月十四日付で——十四日じゃないわ、もうちょっと前です、日付は正確になりませんけれども、内閣が質問主意書に対して行った政府の答弁書の中で「この場合の周辺数百海里の海域としては、太平洋、東シナ海、日本海、オホーツク海を対象に考えている」と、こうはっきり述べられております。それから、瓦防衛庁長官が昨年インドネシアを訪問した際に記者会見してしゃべっているところでは、航路帯一千海里の中にはバシー海峡まで含むという発言をしていますよ。あなたのおっしゃるのは全然違いますよ。
  298. 萩次郎

    説明員(萩次郎君) 航路帯を設ける場合はおよそ一千海里ということでございますので、航路帯を私ども大体有事二本考えておりますが、南東航路と南西航路、その場合、南西航路の一千海里の南端が南西諸島の南の方、したがって台湾の近くになるということは事実でございますが、バシー海峡云々ということで決めているというような事実はございません。
  299. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 決めていないかもしれませんが、防衛庁長官がそう記者会見で発表しておりますし、答弁書にはオホーツク海まで含むとちゃんと書いてあるわけですね。  それじゃ、次の問題ですが、海峡封鎖というのはどういう海峡を念頭に置いていますか。
  300. 萩次郎

    説明員(萩次郎君) ちょっと突然のお尋ねでございますが、私ども海峡封鎖という言葉は使っておりません。通峡阻止という考え方をとっております。我が国有事の際、海峡の通峡を阻止するということも防衛活動の中に当然入っておるというふうに考えておりますので、日本の領土がかかわる海峡すべてであろうかと思います。
  301. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 すべてというのはどこどこですか。
  302. 萩次郎

    説明員(萩次郎君) 我が国が攻撃された際の防衛にかかわる海峡でございますので、我が国の周りにある海峡すべてでございます。
  303. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 アメリカ側は、その海峡封鎖というのを四海峡——宗谷、津軽、対馬、バシー海峡を日本が封鎖してくれるものと受け取っていると、こういうふうに語っている文書があります。中曽根総理が四海峡封鎖と言ったものの意味はそういうことではなかったかと思いますが、どうですか。
  304. 萩次郎

    説明員(萩次郎君) 先ほど申しましたように、我が国の防衛にかかわる海峡ということでございますので、当然のことながら対馬とか津軽ということになるわけでございますが、私、寡聞にしてバシー海峡云々ということは聞いたことがございません。
  305. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 瓦防衛庁長官のバシー海峡も含むシーレーン防衛ということと、それは重なり合っているというふうに私は思います、お認めにならないわけですけれども。  アメリカの要求というのは、こういう一例を見てもわかるように、日本国憲法というふうなものはもう無視しているということが非常にはっきりしていると思います。そのことは日本側から証明するものがありまして、一九八二年の秋、訪米して帰国した当時の防衛庁長官、伊藤氏ですが、この元防衛庁長官は、アメリカ側の対日圧力というのはもう物すごいものだった、机をたたいてわんわんやってきて私はたじたじであったということを本人自身の名前でお書きになっていますが、この伊藤元防衛庁長官が仙台で講演して、平和憲法、非核三原則、専守防衛はひとりよがりの理論であると、こういうふうにしゃべっている。これは新聞にも報道されております。当時現役の防衛庁長官が今の憲法がひとりよがりだということを言うほどに、アメリカの対日要求というのは強力なものであったということが証明されているわけですね。私が、アメリカ側の憲法認識がどういうものかということを述べて、後でもまた触れると言いましたけれども、こういうことです。  それにしても、現職の防衛庁長官がそういうことを言うことは重大ですが、どうですか外務大臣、今の憲法はひとりよがりだというふうに外務大臣としてお考えになるのか、胸を張ってそんなことはないと言えるのか、どうですか。
  306. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 憲法九十九条に従いまして我々国務大臣は憲法を尊重しなければならない、これが私の気持ちでございます。
  307. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 アメリカの対日要求が八〇年代に入ってからどんなに変わってきたかということを示す一つの材料ですね。  私はそのころ赤旗記者をしておりまして、外務省にもしばしば取材に行きました。ニュースソースを明かすことはいたしませんけれども、ある防衛関係の担当者は、私は取材ノートを今も持っておりますけれども日本の防衛戦略が憲法解釈によって定められるということは日本の防衛政策を法制局長官が決めているようなものであって、こういうことであってはならない、世界戦略から説き起こした安全保障政策でなくちゃならないということを私はっきりと言われたことがあります。そういう認識というのは現在の外務省の中にもありますか、どうでしょうか。
  308. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) そもそも米国政府は、安全保障面について我が国と話をします場合には、我が国の憲法の存在を大前提として行っております。  それから、先ほど海峡封鎖について先生るるおっしゃられましたけれども、これは念のため申し上げておきますが、我が国の施政のもとにある領域において武力攻撃があった場合には、安保条約第五条に基づいて共同対処することとなりますが、かかる場合に海峡封鎖を含め具体的にいかなる対処行動をとるかは、武力攻撃の態様等によるものであって、あらかじめ仮定の事態を抽象的に設定して論じることは困難でございます。そして、具体的な対処行動は自衛権の行使として認められる限度内においてとられるべきものであることは言うまでもございませんで、これを大前提としているということを念のため申し上げたいと思います。
  309. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 その憲法の枠内だと称して、実質的に日本が果たさせられる役割が専守防衛をどんどんはみ出したものになっている。しかもその根底には、アメリカ自身の憲法認識、外務省自身も八〇年当時にはそういうふうなことを言っていたとかいうことで、私が質問したのは、憲法解釈をもとにした防衛政策ではだめだという認識が今もあるかないかということです。
  310. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) ございません。
  311. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 当然のことであって、それをここの答弁だけではなく、実際に厳格に貫いてもらわなくちゃならないと思います。この問題についてはこの程度にして、具体的な問題で若干質問をします。  最近、米軍の低空飛行による被害が大問題になっております。その状況について、またそれにどう対処しようとしているかという点、回答願います。
  312. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 米軍にとってパイロットの技能の維持向上等は、日米安保条約の目的の達成のために極めて重要でございます。低空飛行訓練についても、この目的の達成のため重要な訓練であると承知しておりまして、政府としてはかかる飛行訓練の制限、中止を米軍に求める考えは持っておりません。  他方、米軍が飛行訓練を行うに当たって、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであることは当然でございまして、この点については政府は累次の機会に米側に申し入れを行っております。  それから、低空飛行訓練でございますけれども、これの実施に当たりましては、米軍は人口密集地域においては高度三百メートル、そうでないところでも高度百五十メートル以上の我が国の航空法上の規制を守っているということを申してきております。
  313. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 アメリカにこれの中止あるいは何らかの申し入れもしないということですけれども、同じ問題が西ドイツでも起こっている。西ドイツではこの低空訓練を数を減らすとか、いろいろな措置がとられていると報道されていますが、その状況はどうなっていますか。
  314. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 西独におきましては、実は去年の十二月八日に米国のA10対地戦闘爆撃機がゾーリンゲンに隣接するレムシャイト市という町に墜落して、約六十名近くの死傷者を出すという事故が発生いたしました。このような状況にかんがみ去年の十二月十二日から、西独、英、カナダ及び米の各国空軍は、西独領域内における飛行訓練を本年一月二日まで中止する旨の共同声明を発表いたしております。
  315. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それ以前にも、報道によれば、西ドイツでは低空演習の数を減少する等々、さまざまの措置をとっているということが報道されております。日本のとっている態度と極めて対照的であり、日本国民をあれだけ不安に陥れている低空訓練というふうなものをやめるように申し入れるべきだと私は思いますが、それは全くないのか、もう一度お伺いします。
  316. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 西独におけるあの訓練の具体的な内容については、あるいは詳細については存じておりませんが、我が国については、先ほど申し上げましたように、飛行訓練の制限、中止を求めるつもりはございませんが、米軍が飛行訓練を行うに当たって、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであることはもう当然でございまして、この点については政府はたびたび米側に申し入れを行っております。
  317. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 制限も中止も求めないということが問題です。そのことを言って、話を進めます。  最近、米軍三沢基地所属のF16戦闘機が模擬弾投下訓練中、核燃料サイクル建設予定基地から七キロの場所で誤爆を行ったという大事件が起きました。防衛施設庁は事故を公表しなかったと新聞は報道しております。このF16はマッハ二・二で飛行するので、着弾地点からサイクル基地まではわずか十数秒の距離だったということも言われております。こういう大事件が核燃料サイクル基地の近くで起こったということは、これは非常に危険なことだと思います。このサイクル基地の上空には米軍機や自衛隊機が絶えず飛行していると報道されてもおりますが、どれぐらい飛行しているか、その回数がわかったら報告してください。
  318. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) この上空における米軍機の飛行回数につきましては、米軍の運用にかかわる事項でございますので、承知いたしておりません。  ただ、我が国が現在、航空機による原子力施設に対する災害を防止するため、約七十カ所の原子力施設付近の飛行はできる限り避ける旨の飛行規制を行っております。これを航空情報として公示いたしておりますが、米軍もこの公示を尊重して飛行を行っていると承知いたしております。したがって、米軍機に関する原子力施設上空の飛行の安全については十分な措置がとられているものと考えております。
  319. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そのようになっているのではない。サイクル基地上空に米軍機、自衛隊機などが年間四万二千回以上も飛行している、こういう報道がありますが、これはどうですか。制限してなおその数が四万二千回以上ということですか。
  320. 柳澤協二

    説明員(柳澤協二君) 自衛隊の関係について御説明いたしますが、自衛隊は三沢基地所属のF1の部隊を中心にしまして、三沢の対地射爆撃場、これは米軍の施設でございますが、これを使用した訓練を行っております。これはもう基本的に同様のパターンであろうと米軍についても思いますが、このときの飛行パターンが先生おっしゃったような核燃料サイクル施設予定地の上空までかかっておりませんので、いずれにしましても比較的近い位置にはございますが一しかしその飛行パターンははっきり当該施設予定地の上空は外してとってございますので、何万回も飛んでおるという、少なくとも上空を飛んでおるという事実は、私どもはないと考えております。
  321. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それでは、私のところ、これは時事通信の配信した資料では四万二千回以上としております。そのことだけを申し上げておきますが、いずれにせよ……
  322. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 今防衛庁からお答えがありましたのに若干追加させていただきますが、この調査を行いましたところに確認いたしましたところ、核再処理施設等建設地ではなく、これはもうまさに今申されたところでありますが、この予定地から約十キロメートル離れた天ケ森三沢空対地射爆撃場上空の飛行状況を調査したものと聞いております。そして、核再処理施設建設地の上空の航空機の飛行回数が年間四万回以上であるとの報道は、同調査の内容を正確に伝えたものでないと承知いたしております。
  323. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 回数が正確であるかどうかは別としまして、この事実もさっきの低空飛行と同じように、日本の国土がアメリカ側の思うがままに使用されていることのあらわれだということを示すものだと思います。そういう点で、その被害を最も強く受けているのが沖縄です。私は最近沖縄にも調査に行ってきましたけれども、沖縄における演習の被害等々は大変なもので、県民挙げての怒りが燃えております。  私は、これを詳しくここで取り上げる余裕がありませんので、一つお伺いしておきますが、沖縄での米軍の演習に米兵でない、米人でない第三国人が参加しているという事実はありませんか。
  324. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 御指摘の新聞報道については——これら先生、あれてございましょうか、トリイ通信所で爆発物を取り扱っているという……。
  325. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それも含めてです。
  326. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 我が国における米軍の演習に、第三国の軍人が訓練の目的で参加しているとは承知いたしておりません。
  327. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 承知していないというのではちょっと困るんですね。事実が全くないということなのか、あるかないかよくわからないということなのか。
  328. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 一般論として申しますと、地位協定上、米軍構成員には国籍上の要件はございません。第三国の国籍を有していても米軍の現役軍人であれば地位協定上の米軍構成員に該当することとなります。したがいまして、かかる米軍人が米軍施設、区域において所要の活動を行うことに、安保条約上は問題はないということでございます。  ただ、第三国の軍人が訓練の目的で施設、区域で訓練をするということはございません。
  329. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それはないというのが、地位協定上の明確な解釈だということを承っておきます。  沖縄の基地に関連して、沖縄基地では今米軍関係、自衛隊関係でどのような増強計画があるか、それを一覧的に報告してください。
  330. 萩次郎

    説明員(萩次郎君) まず、自衛隊の方からお答えさしていただきます。  今、増強という御質問でございますが、増強に当たるかどうかはともかくといたしまして、現在のところ沖縄関連で計画をしております事業ということで申し上げますと、那覇飛行場へのP3Cの配備という事業がございます。私どもの計画では、平成二年度に那覇飛行場にP3Cを配備したいというふうに考えておりまして、昭和六十三年度から所要の施設整備を行っておるところでございます。
  331. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 自衛隊、それだけですか。
  332. 萩次郎

    説明員(萩次郎君) 大きなものとしてはそれだけでございます。先生拡充強化というのがどの分野かわかりません。細かな施設整備とかそういうものは絶えずやっておりますが、大きなものとしては現在のP2JをP3Cに変更するという事業があるということでございます。
  333. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それじゃ、それは後から。  それでは、米軍の方は。
  334. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 現在、日米合同委員会の下部機関であります施設調整部会において、日米安全保障協議委員会において昭和四十八年、四十九年、五十一年に合意されております施設、区域の整理統合計画のうちまだ実施されていないものについての実施上の問題及び、沖縄県知事が去年四月に訪米されました際、米国政府に行った施設、区域の返還要望に対する対応ぶり等について検討が行われております。  米軍は幾つかの建設計画等を有しているとは承知いたしておりますけれども、これらはいずれも既存の施設、区域内においてその使用条件に従い米軍が建設を行うというものでありまして、新たな施設、区域の設定または既存の施設、区域の拡大を行うものではございません。
  335. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 沖縄で今大騒ぎになっている事態が、何もないのに起こっていると言わんばかりの答弁ですね。確かに米軍施設内ですけれども、例えば国頭村のハリアー離着陸場、それから恩納における都市ゲリラ訓練等々幾つかの問題が米軍関係にも起こっていますし、自衛隊も本部町、国頭村における送信受信施設問題も起きて対潜センターを強化しようとしているという問題等々、そういう具体的な問題が、私一々時間の関係で挙げませんけれども、あなた方のお話だと全く大きな変化はないと言わんばかりですが、それで沖縄県のああいう大騒ぎになっているわけですか。どう説明なさいますか。
  336. 萩次郎

    説明員(萩次郎君) 私、先ほど説明がちょっと舌足らずであったかと思いますが、P3Cの配備というのが大きな事業ということでございますが、今先生指摘の本部とか国頭の送信所、受信所、これはP3C絡みの事業でございますので、その点ちょっと追加をさしていただきます。
  337. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 例えば北部訓練場におけるハリアーパッドの建設計画、それからキャンプ・ハンセンにおいて実弾射撃訓練施設、また都市、いわゆる都市地域訓練施設計画等がございまして、一部の県民の方々に懸念を与えているということは私どもよく承知いたしております。そして、在日米軍の施設、区域の安定的使用を確保するためには、周辺住民の方々の御理解を得なければならないということはよく認識いたしております。  他方、これら施設、区域は日米安保条約の目的に基づいて提供されているわけでございまして、両方のバランスをとることは私ども努力で可能であると考えております。
  338. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 具体的に言うと少しつけ加えてくるということでは、甚だ遺憾だと思います。  報道によりますと、防衛庁首脳が沖縄米軍基地の返還交渉に本腰を入れたいと語ったということが述べられております。これは事実関係は別といたしまして、私はきょうは外務委員会ですから外務大臣にお伺いしますけれども、沖縄という日本で最も戦争の被害を受けた島、これを平和な島にしようとするのか、安保上やむを得ない、基地の島にしようとするのか。防衛庁は、少なくとも報道によれば、こういうことを考えていると報道があるわけですけれども外務大臣としては沖縄をどういうふうな島にした方がいいとお考えになっているんですか。
  339. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 太平洋戦争終結直前の沖縄の状況、またその後米国の施政権が及んでいた沖縄等々を考えますと、やはり私たちは沖縄の自治そのものに格別の関心を持って臨まなければなりません。そうしたことで開発等々いろんな法が準備されております。ただ、沖縄の方々から言わしめまするのならば、国内においても一番たくさん基地を持っている県であると、中には、何とかならぬかという声があるのも私たちは十分承知いたしております。我々といたしましても、今日の世界の情勢が非常に対話の時代へ向かっておることは結構だと思いますが、まだまだ我々といたしましてもやはり低レベルの抑止あるいはバランスの必要性は痛感いたしますが、それらがすべてなくなってよいというふうには考えておりません。  したがいまして、そうした意味でやはり日米安保条約があって、いろいろと沖縄の現地方々には問題があるかもしれませんが、十二分に住民感情を考慮しながら円満な基地運営がなされるということを常々私は申し上げておるような次第でございます。
  340. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は沖縄でたくさんの人と懇談もしてきました。沖縄の人の要望は、基地のない島にしてくれということであり、基地いかなる意味での強化も絶対に許さないということだったということだけお伝えしておきます。  話を変えて、朝鮮問題に入ります。  先ほどの論議もありましたので、竹下総理がどういうお話をなさるかということを事前にここでお伺いしてもお答えはないと思います。  新聞報道によれば、過去の関係を深く反省するとか、あるいは謝罪をするとか、あるいは遺憾の意を表明だとか、新見解の用意をしているとか、新たなメッセージを検討中だとか、いろいろあります。それらの新聞報道は、先ほどのFSXのように外務省が発表しないものを新聞が勝手に書いたとお答えになるかどうか、これは別としまして、私はここで時間をつぶそうとは思いません。いずれにせよ、朝鮮問題をめぐって今大きく国民の間で話題が高まっている。私は、これから先の総理の演説と離れて、一月二十日に外務省が発表された文書というのは、何のために出された、どういう性格の文書と見たらいいのかということをまずお伺いします。
  341. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 朝鮮半島に関しまして昨年七月七日、盧泰愚大統領のいわゆる特別宣言というのが出まして、それから南北間の対話等がどんどん発展している、韓国政府も大変前向きになって北に対して対話を呼びかけている、また同時に、ことしに入りまして北朝鮮の外交部のスポークスマンが日朝関係について談話を発表したというような経緯がございます。こういったことを背景としまして、我が方としても現時点における朝鮮半島政策に関する考え方をまとまった格好で発表する、そういう考え方で一月二十日に発表したわけでございます。
  342. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 この第二項にこういうふうに書かれておりますね。「日本政府及び日本国民は、過去において、我が国の行為が近隣諸国国民に多大の苦痛と損害を与えたことを深く自覚し、このようなことを二度と繰り返してはならないとの反省と決意の上に立って平和国家としての道を歩んできた。このような我が国の平和国家としての姿勢は、朝鮮半島の南北について何ら変わるところはない。」と、総理が近く述べるのはこの趣旨だという報道もあります。そうであるかどうかは別として、ここに述べてある第二項というのは外務省の従来の見解を変えるものですか、従来の見解を受け継ぐものですか。
  343. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) この第二項にある記述、あるいは「我が国の朝鮮半島政策について」という外務省考え方を発表した紙でございますが、ここに盛られている外務省考え方あるいは日本政府考えというのは従来の考えの延長線上にありまして、従来から変わったものでございません。
  344. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうすると、新聞報道が与える印象は謝罪とか過去について遺憾の意等々、まるで過去の考えを一変するような印象を与える報道になっておりますけれども、これを受け継いだものだというふうに説明がありましたので、そのように受け取ります。  その上で若干確認しておきたいと思いますが、例えば日韓国会、一九六五年ですが、朝鮮併合条約は対等の立場で、また自由な意思で締結された条約だと、こういう答弁がありますけれども、こういう答弁も変わっているわけではありませんね。
  345. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) そのとおりでございます。
  346. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうすると、多大の苦痛を与えたということの中身は何ですか。
  347. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) その問題につきましてはいろいろ経緯があるかと思いますが、日韓国交正常化したときに当時の椎名外務大臣が共同コミュニケでおっしゃっていますけれども、従来朝鮮半島につきましては過去日韓併合とかいろいろなことがございました。椎名外務大臣がおっしゃったのは、両国間に不幸な関係があったと、そういったようなことを抽象的な表現でおっしゃったわけでございまして、両国間の歴史においていろいろ相手に迷惑を与えた、こういったことがあったということを申し上げたわけでございます。
  348. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それだけのことだとすると、何も新しいことはないというさっきの説明が非常によくわかってくるわけです。私は昨年この委員会で、朝鮮併合条約等々の条約が軍事的威嚇のもとに結ばれた条約だということを幾つかの関係者の発言も紹介しながらここで述べ、そしてそういうふうな文書を検討して朝鮮についての過去の認識を発展させるべきだと言いました。そういうものが織り込まれたものであるかどうかということで関心を持っていましたけれども、それは全くないようですね。例えば、そうだとすれば一九一九年の三・一独立運動のときの虐殺、これも詳しく私はそのやり口までこの委員会で述べましたけれども、そういうふうなことを反省するというふうな、そういう点で苦痛を与えたというふうな意味のことを具体的に念頭に置いたものではないわけですね。
  349. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 今委員が挙げられましたいろいろな事象、こういう一つ一つの事象につきましてこの場でもって論評あるいは検討することは私は有益でないと思います。  ただ、日韓国交正常化の際に、先ほど私が申しましたように、椎名外務大臣が過去の関係は遺憾であって、深く反省している、そうおっしゃられたことに尽きていると思います。
  350. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうだとすると、これはもう言葉の上で抽象的に遺憾であったということの繰り返しであって、その後朝鮮から日本の植民地支配についてしばしば機会をとらえて問題になり続けているこの事態は、今後も引き続くということにならざるを得ない。私は、日韓国会のときの政府の見解は根本的に改めるべきだということを、この際も改めて指摘しておかなければなりません。  ついでにお伺いしますけれども日本の北朝鮮政策ですけれども、これはどういうふうに変わるんですか。変わるのか変わらないのか、まずその点を端的にお答え願いたいと思います。
  351. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 北朝鮮とは現在国交がございません。そういったような事態のもとで、限られた範囲でもって、例えば人物の交流とか経済関係の交流があるわけでございます。それから、午前中も他の委員の方の御質問がございましたが、現在政府部内においてどういった御答弁ないし考え方を表明するかを検討中でございますので、そういったことにつきまして現時点で発言することは差し控えさしていただきたいと存じます。
  352. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私どもは、朝鮮半島の実態というのは南北分断、二つの国家がある、したがってこの二つの国家を承認すべきである、一九六五年の日韓条約に固執せずに、北朝鮮も速やかに承認すべきであるということを主張してきているわけですが、その北朝鮮を目下承認するというような考え方はないということですか。
  353. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 現時点におきましては、朝鮮半島をめぐるさまざまな情勢、国際情勢も勘案して朝鮮半島全体、北の問題も含めて考えているわけでございまして、政府としては現時点において、今委員が御指摘になったような問題につきまして決定をするような状況にはないと思います。
  354. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 最近の新聞に、外務省はクロス承認の環境が整うように努力したい、こういう考え方を述べられたという報道がありましたが、これはどうですか。
  355. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 従来から明らかにしていますとおり、朝鮮半島問題は、第一義的には南北両当事者の話し合いにより解決されなければならないというのが我が国の基本的な立場でございます。我が国としては、南北いずれもが希望しない分断固定化、そういう考えにくみする意図は全くございません。同時に、南北間の話し合いによって平和的な統一が実現されることを希望しているわけでございます。したがって、南北朝鮮のクロス承認の是非も第一義的には南北両当事者の意向によるべきと考えております。  現実には北朝鮮がこれは南北分断を永久化するものであるとかいろいろ反対しております。直ちに実現することについては困難な面が多々あると存じます。
  356. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 我々は、クロス承認が南北分断固定化だという見地に立っておりません。ですから、私の今の質問も南北固定化という意味での質問ではありませんから、その点は誤解のないようにお願いしたいんですが、いずれにせよクロス承認の環境が整うという場合にはクロス承認の用意もある、そういう含みはないんですか。
  357. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 先ほど申しましたように、朝鮮半島をめぐる種々の情勢、関係国の動きを見まして、それはその時点でそういった事態が来ますれば、私たちとしてこの問題について意見を述べることができると思いますが、現時点では何とも申し上げることはできません。
  358. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうすると、今の時点で言えることはどういうことかというと、日韓条約当時の答弁そのままということになりますか。
  359. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 委員がどういう観点から日韓基本条約当時ということをおっしゃるのか私ちょっと十分理解できませんけれども、基本的にはいろいろ情勢の発展もございますけれども、私たちは従来から一貫した政策をとってきており、いずれにしろ朝鮮半島問題全般につきましては、いろいろな情勢を踏まえて、国際政治のバランスに配慮して施策をとっていきたいと希望しております。
  360. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 日韓国会のときに政府が繰り返し答弁してきたことは、北を承認した国は南を承認しない、南を承認した国は北を承認しないというのが外交の原則だと。したがって、日本は大韓民国を承認したから北の承認はあり得ないんだというのが繰り返し答弁されてきたことです。クロス承認も今は現実的には考えていないということだとすると、この態度の延長の枠内にあるというふうにとらざるを得なくなるんですが、そういうことなんですか。それは変わったんですか、少なくとも。
  361. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) ただいま私御答弁しましたとおり、我が国は従来から一貫して朝鮮半島全般に関する政策をとっており、最近のいろんな情勢も踏まえまして、国際政治のバランスに配慮しつつ朝鮮半島全般に関する施策、日本、北朝鮮関係も含めてこれを進めていきたいと考えているわけでございます。
  362. 堀江正夫

    委員長堀江正夫君) 吉岡君にちょっと申し上げます。  大体時間でございますから、あと一問で終了を願います。
  363. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 一貫した方針とおっしゃいますけれども、一九六五年の日韓国会のときの政府の答弁というのは、今のあなた方がおっしゃるようなものではないんです。朝鮮全般を代表する政府が大韓民国だと、それの施政権は南にしか及んでいないんだというのが政府の当時の答弁なんですね。その当時の国連と南北朝鮮との関係も今は全く変わっておりますし、南北がそれぞれに対等の立場でオブザーバーの代表を出しているという朝鮮半島をめぐる状況には大きな変化が起こっているわけですね。その変化にふさわしい朝鮮半島に対する日本の政策が確立されるべきだというのが私の言いたい点なんですけれども、従来から変わらないということの繰り返したとやっぱり六五年に後返りかと言わざるを得ないんですが、大臣、少なくとも朝鮮半島をめぐる国際的な大きな変化をお認めになり、それに対応することは考えておられるかどうか。
  364. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 今、日韓条約審議当時のお話が出ておりましたが、私もその当時既に現役衆議院議員としてこの審議に参加しております。その当時の私たちの概念は、世界に分裂国家が当時幾つもございます、西独もまたさようでございましょうし、ベトナムも南北に分かれておりましたし、あるいはまた中国、台湾というふうに分裂国家がある、その分裂国家を同時に二つは承認できない、一つを承認すれば一つはやはりおのずから承認できないというふうな一つの当時の時代相、世界観というものを反映したものであろうと思います。しかし、自来、時移りまして昨今におきましては韓国の盧泰愚大統領の七・七の声明もございますし、既に板門店におきましては南北の国会議員の会合も持たれておるというふうに、相当情勢は変わったということは私たちは認識しておかなければなりません。  したがいまして、我々といたしましては、現在は韓国は朝鮮半島における唯一合法的な政権である、これは条約締結当時のままでございますが、しかし北朝鮮との間においても我々は直接政府間の折衝を持ちたいものである、このことはことし初めて総理も私も施政方針で申し述べた、そういうふうな認識に立ちまして、やはり第一義的には南北そのもののお話が大切であろう、そうした中において過去三十六年を反省しながら、我々といたしましてもこの問題に関しましては誠意を持って対処しなければならない、これが今日の日本の立場だろうと、私はかように考えております。
  365. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 恐縮でございますが、関連して一言補足させていただきます。  ただいま委員が御発言なさったことでございますが、日韓基本条約、これは当時国連の決議で言及されましたそういった観点から、大韓民国政府というのは、そういう性格のものとして朝鮮における唯一の合法的な政府である、そういうことでございまして、したがってこの日韓基本条約は、我が国と北朝鮮との関係につきましては何ら触れているものではございません。  それから、我が国が北朝鮮を承認しないというのは、この日韓基本関係条約第三条の結果として承認ができないというような法的な関係ではなくて、要するに我が国の政策としてそういう立場をとっている、そういうことでございます。
  366. 小西博行

    ○小西博行君 それでは、在外公館法の一部改正についてまず質問をさせていただきます。  今回はマーシャルとミクロネシアに大使館を置くというような法案になっております。これまで同様の地位にあったパラオ、このパラオにつきましては、これが例えば自由連合に移行をすればやはり大使館を置くということになるのかどうか。あるいは、それ以外の国でも非常に近い将来にこういう大使館を置きたいというような国々がもしあったら、それもあわせて教えていただきたいと思います。
  367. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) パラオは国連信託統治地域終了後の地位として米国との自由連合を選択することといたしておりますが、米国との間で自由連合盟約に調印はしておりますものの、この盟約成立に必要なパラオの住民投票による承認及び米国議会による承認が先生が示唆されましたとおりまだ得られておりませんので、この盟約は発効していないわけでございます。そのためパラオは引き続き国連の信託統治下にあって、パラオ及び米国においてこのような手続がいっとられるか今のところ明らかではございませんが、我が国としては、パラオが新しい地位に移行した段階で、我が方大使館設置問題を含め対処ぶりを検討することとしたいと考えております。
  368. 小西博行

    ○小西博行君 その他の国、パラオ以外の。
  369. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 外務省におきましては在外公館の整備計画ということで、内々でございますけれども、当国との関係等々いろいろ考えまして、これから大使館をどういうところで設置を新たに行って整備していったらいいかということを検討しております。例えばアフリカなどにおきまして、我が国のアフリカにおける大使館の数はなお西欧諸国に比べますと大幅に少ないわけでございます。等々でございますけれども、兼轄国がかなりございますし、そういういろんなところにおきましてこれから増強していきたいというふうに思っております。  しかしながら、現実の予算折衝などにおきまして、なかなか大使館を大幅に増強するということが困難な情勢にもございますし、この辺はできるだけ強力に折衝をしていきたいと思っておりますけれども、漸進的に大使館の新設を行っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  370. 小西博行

    ○小西博行君 そうですね。やっぱり国際化時代ですからできるだけいろんな国々の皆さん方とよくコミュニケーションを図る、協力する、そういう意味でも私は、この大使館というのは非常に大切な機能を果たしているというふうに思いますので、また具体的に展開するようになれば教えていただきたいと思います。  それから、この間も三井物産の浅尾さん問題がございまして、特に在外公館の方はある意味では大変危険の伴う仕事かもわかりません。そういう意味で、大使館の中の警備体制というのが一体どうなっているのか。我々がそれぞれの国に行ってお伺いしますと、余りそのような感じも見受けられない。そのことはいいことだと思うんですけれども、現実問題、このように商社中心に今やられておりますが、これが大使館ということになるかもわからない。そういうことになりますと、当然日本の警察官というのはそういう警備を担当することになりはしないかという感じもいたしますのですが、これはどうなんでしょうか。警察官を各国の大使館付にするというような具体的なそういう警備のやり方についてお伺いしたいと思います。
  371. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) ただいま委員指摘のとおり、在外公館の警備ということは特に近年我々にとって大変な頭痛の種でございます。在外公館におきましては、戦乱それから健康に対するいろいろな恐怖とともに、最近特に治安等に由来します警備の問題というものが大変深刻な問題になってきております。これは一般法人についても同様でございますけれども、特に日本の国というものが世界の中で大国として認められるにつれまして、日本大使館あるいは総領事館等に対する治安上の、あるいはテロ絡みもございますけれども、問題というものが件数がふえてきております。これに対しましては人的物的両方の面のいろんな対策を行ってきておりまして、それがいわゆる足腰予算の中の在外公館警備と申しますのは一つの柱でございます。  ただいまの御質問が人的の方でございますのでそちらだけ御説明させていただきますと、在外公館におきまして警備員ということで本省から派遣する者、それからその国の警備会社と契約いたしまして警備員を使うというようなことがございます。本省から——外務からも、あるいは警察、防衛庁等々のところから来てもらっておりますけれども、いずれも在外公館公館員として、外務省外務公務員といたしまして現地で勤務しておるということでございます。これにつきましても、外務省の定員の問題がございますので、漸次拡大していきたいと思っておりますけれども、思うように任せない面もあるわけでございます。
  372. 小西博行

    ○小西博行君 今のは在外公館についてですよね。民間については何らやっぱり手助けをする方法というのはないんでしょうか。この間のあのような大変な経験を経てもなおかつ助けようがないというような感じなんでしょうか。何か具体的にほかの方法を考えておられますでしょうか。民間の人ですね、この間の三井物産の件のような。
  373. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) ただいまの在外公館の大使公邸あるいは大使館、事務所等の、あるいは館員の警備というものが一つでございます。さらに在留邦人、これも大変に五十数万人在外におりますけれども大使館あるいは総領事館が協力してその皆様方の警備ということもあるかと思いますけれども、それにつきましては在留邦人の保護ということで、領事移住部を中心にいたしまして、あるいは出先におきますと領事でございますけれども、領事を中心にして出先における邦人のいろんな団体と緊密な連絡をとりながら、これも非常に大事な我が在外公館の任務となっておりますし、特にけさほども委員会で黒河内部長からも説明がございましたけれども、大変急激に在留邦人に対する治安上の問題ということで事故件数がふえておりますので、これらについても在外公館として大変な大きな問題として我々として取り組んでおるところでございます。
  374. 小西博行

    ○小西博行君 何かこれは重点的にやらないとなかなか難しいんじゃないか。この間のことは住宅を襲われたんでしょう。通勤中にやられたということはこの前の事例なんですよね。  ですから、国によっても相当雰囲気も違うんだろうと思うんだけれども、その辺の対応というのは非常に幅が広いし、重点をどこにといっても大変なんでしょうけれども、やっぱり国柄によって危険なそういう国柄というのもあると思うので、そういうところに対して重点的に何か具体的な対策をとらないと海外へ出ていくというようなことが大変なことになってしまうんじゃないか。私は、大使館に働く人たちも大変ではないかなと、そういう感じがするので、その点の対応はもうできるだけ早くしていただきたい、このように思います。  それから、これはやっぱりあれですかね、現在はよく警察庁から行っていますけれども、その方々は全然目的が違いますよね。防衛庁とか警察庁それぞれ省庁から出向のような形で行っている、と思うんですが、こういう方とはまた全然性格が違うでしょう、警備をするという意味になれば。そうなんでしょうか。
  375. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) いわゆるアタッシェということで警察庁等からも在外に来ております。この方々、いわゆるアタッシェという方々は大体その国の治安等につきまして、それ以外何でもでございますけれども、書記官等としてやっておるわけでございます。  他方、先ほど私がちょっと触れました警備官でございますが、警備官としても、警察庁から例えば三十五名それから防衛庁から二十六名、ちなみに法務省から二十四名、外務省から五名でございますが、海外に行っております。この方々は先ほどのいわゆるアタッシェよりは役人のランクとしてはよりジュニアと申しますか若いわけでございますが、この方々は公館の警備を専門に行っております。いずれにしましても、アタッシェもこの警備官も外務公務員ということで外務省の中の規律に服するということになっております。
  376. 小西博行

    ○小西博行君 外国から日本大使館を置いておるという場合には相当警備なんかも厳重にやっているんじゃないですか。例えば武器を持っているとか何かそういうような、イギリス大使館とかアメリカ大使館それぞれありますけれども日本における外国から来られた大使館、その場合の警備の体制というのはかなり厳重にやっておられると思うんですが、その辺はどうなんでしょう。
  377. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 外国におきましては、場合によりましては海兵隊とかそれから国境警備隊とかが警備に当たっておるというような国もございますし、それから、そういうふうに目立つあれではございませんけれども日本の場合と同じような形で警備官を置いておるということでございますが、いずれにしましてもこの警備官の数とかあるいはその対応というものは詳しく外には教えないというのが通常でございますので、その詳しい数はわかりませんけれども、御指摘のように場所、これはどこの国のどこに置かれている大使館かによって、これは我々もそうでございますし、随分違います。例えば東京なんかにおきましてはそれほど警備は要らない。と申しますのは、在外公館の警備というのは、ウィーン条約によりましても第一義的にはその接受国の政府責任を持って行うべきことでございまして、それが治安がよければ、東京のように世界で有数に治安がいいところにおきましては随分違うのでございますけれども、国によってはかなり重くやっておるというふうに思います。
  378. 小西博行

    ○小西博行君 じゃ、次に移ります。  この法案をちょっと見せていただきまして、随分前にそういう資料を見たことがあるんですけれども、これは給与の関係が出ておりますよね、手当。私は大使館というのは世界にたくさんあると思うんですが、大使の給料なんか見ましても全部これは金額がえらい違うんですね。そうですね、例えばアメリカの大使が一番給料がいいのかと思うと案外そうでもない。余りよく知らない国の大使さんの給料がえらくいいということになっているんですよね。ちょっときょうの法案の一番最後にもこういう改正と旧のやつが載っておりまして、大使、公使、特号、一号から十一号まで載っていまして、それだけ手当が上がっているわけです。  こういうそれぞれの国の大使館に働くいわゆる大使とか公使それぞれの給料というのは、一体どういうものから決まっているのかなと素朴にそういう疑問を感じたんですが、お答え願えませんでしょうか。
  379. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 在外公館給与は基本的にはかなり複雑なやり方で決めておりますが、基本的な考え方はずっと一貫しておりまして、ワシントンの大使館に勤務します標準−標準と申しますのは三号俸、大体一等書記官でございますが、子供がたしか二名というような一つの標準の世帯、これを設定いたしましてそのワシントンの標準の給与というのを定めます。さらにそれに基づきまして、それと、それから英国なら英国の物価、それから生活条件等々いろいろな要素を勘案いたしまして、実態に沿いまして外交官の生計費という面、それからもちろん外交官としてその体面にふさわしいようなという面もございますけれども、それで決めておるわけでございまして、それを、これはその時によりますけれども何年かに一度はその物価の全体の上下、この調査をいたしまして、それで改定をしていくというのが基本的な在外給与考え方でございます。
  380. 小西博行

    ○小西博行君 そうしますと、生活環境といいますか、国によってはなかなか食料とかその他手に入りにくい、あるいは高価だというような場合には、それが一つのウエートとして大変トータルの給料というのは高くしていく、そういうようなことにもなるんですね。
  381. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) そういう要素が在勤法にも入ってまいりますし、さらにそれに加味するものといたしまして特勤度というものを定めておりまして、瘴癘度と通常言っておりますけれども、瘴癘地というちょっと難しい言葉でございますが、在勤地としていかにその土地がハードシップであるかということの度合いを一から五まで定めております。そういうものをまた勘案して、要するにそこの考え方は、ハードシップであればあるほど給与も高いということを従としてそれを加味しております。したがいまして、先ほど先生指摘になりましたように、ワシントンの大使よりも例えばアフリカの某国の大使の方が給与が上だとか、そういう事態が出るわけでございます。
  382. 小西博行

    ○小西博行君 じゃ、例えば中南米あたりのえらい物価の上昇率が、インフレ年間一〇〇%ぐらい、ぱんぱん変わってしまうようなところというのはどうなんですかね。先取りしていくのか、それともおくれていくんですか。
  383. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 予算ではなかなか先取りというものはございませんで、大体おくれてまいります。  それからもう一つ、どんどん変わっていくという要素では物価が一つと、それから最近では為替レートがございます。これは円がどんどん円高になっていくという要素と、それから、例えば中南米なんかでございますと、その国の特定の通貨が大変に軽くなっていく、急激に安くなっていくというようなこともございまして、非常に複雑な操作になりますけれども、物価それから為替レート等を勘案してできるだけ、したがいまして最近の一般的な傾向といたしましては、為替レートについては場合によっては一年に一遍あるいは一年半に一遍ぐらいの検討を行うということで、そのあたりの改定の、何と申しますか、頻度が速くなつているということが一般的な傾向でございます。
  384. 小西博行

    ○小西博行君 家族手当とかなんとかいうのがありますが、そっちの金額よりも随分違った意味で給料の差がえらく違うものですから、その辺が一体どのようになっているのかということにちょっと関心を持ったわけですが、余りこういう質問というのはないようでして、ではこれは、人事院とはまた全然別なんですかね。人事院の方は公務員全体についてやってますが、人事院の領域にはならないのですか、こういう計算式は。外務省でやるんですか。
  385. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 公務員の本俸につきましては全く人事院の一般の公務員と同じでございます。在勤法につきましてはこれは人事院ではなくて、外務省がその特別な法律に従って行っておるものでございます。
  386. 小西博行

    ○小西博行君 大体わかりましたが、しかし計算式は非常に複雑なようで、またひとつ教えていただきたいというふうに思います。  それからもう一点は、最近一般の企業でもよく若者はやめるんですが、時々外務省のいわゆる将来嘱望されて入った若い外交官が転勤先によっては簡単にやめてしまうというのが何例かあるというふうに聞いているんですね。例えばヨーロッパからアフリカのどこかへ転勤命令を受けるともう途端にやめる。これは何も外務省だけの問題じゃなくて、今の日本の企業の若者も割合簡単にやめてしまうというのがあるんですけれども、そういうようなことというのは時々はございますか。
  387. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) そういう例が全くないわけではございません。それから一般的に申し上げて、海外に勤務するということは、これは外交官のようにそれを主とすると申しますか、それが当然である職業においてさえなかなか難しいということ、それはそのとおりでございます。難しいと申しますのは、もちろん一つ日本が治安とかあらゆる面で住みやすいということがございます。  それに対しまして諸外国におきましては、先ほど触れますように、健康それから場所によってはこの間のイラン・イラクとかつい先般までのアフガニスタンとか、現実に弾がすぐ近辺に飛んでくる、大使館にも弾が入ってくるというような状況にいなければいかぬ。それから、アジアから始まりましてアフリカ等におきましてはいろいろな肝臓病、急性肝炎等々の健康にとって大変に問題があるというところが圧倒的に多いわけでございます。大体六割ぐらいが在外公館のそういう地域でございます。それから子供の教育、それから両親が老齢化するというときに、一体だれが世話を見るか等々そういう家族の問題もございます。それを全部ひっくるめまして在外に行って住むということは、当人のみならず当人の伴侶あるいは子供たちあるいは両親等にとりまして大変に苦しいことであるというのが現状でございます。したがいまして、その中でも、例えば非常に危険な土地に赴任をするということになったある人の両親があらわれて、自分の子供は絶対にあそこに行かせたくないというようなこともございます。  ただ、それは非常に少ない例でございまして、そういう全体の中で考えれば、外務省員は、やはり外務省に入った以上は海外に行ぐんだということでみんな海外に行っているというふうに私は存じます。非常に何というか特殊な例はございますけれども、一般的にそういうことではないというふうに思います。
  388. 小西博行

    ○小西博行君 法案については終わります。  外交一般につきましてちょっと質問さしていただきたいんですが、先ほども同僚議員の方から数点にわたってございましたが、二月三日付の日米首脳会談、これで何点か、端的に答えてもらったらいいと思うんですが、質問さしていただきたいと思います。  アメリカから日本に対する責任分担という言葉がよくございますけれども、ベーカー国務長官の言う創造的な責任分担、これは一体どういう中身なのか教えていただきたいと思うんです。
  389. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 従来はややもすれば、アメリカはバードソンェアリングというような言葉を使っておりまして、これが防衛肩がわりというふうに思われがちでございまして、それらに対しては私たちは容認できないということをしばしば申してきました。恐らくそうしたこと等も考えられてのことではないかと思いますが、いわゆる画一的に防衛だけを意味するものじゃありません、日米ともどもにグローバルな視点に立って世界じゅうを眺め渡していろんな意味で私たちとしては創造的に貢献したい、それの分かち合いでございますと、そういうふうな趣旨であった、こういうふうに御理解賜ります。
  390. 小西博行

    ○小西博行君 竹下総理の方からも、貢献していく分野五つについて、話をされたというふうに聞いているんですが、その五つというのはどういうことなんでしょうか。
  391. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) まず三つは、竹下内閣の外交方針——一つは平和に貢献する外交、二番目は文化交流外交、三番目はODAを拡充する。この三本柱プラス日米間においては安保体制、円満な運営を期しましょう。そして、日本としては常に内需拡大、そのためには構造調整、こうした努力を続けます。以上、五本でございます。
  392. 小西博行

    ○小西博行君 軍事面での肩がわりをアメリカは期待していないというふうに竹下総理は言っておるんですけれども、これは一体どういうような意味なんでしょうか。日本の周辺というのはみずから日本が守っていかなきゃいけない、当然そのようなことではないかというように思うんですが、その責任の分担についてどうなんでしょうか。
  393. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) これはややもすれば従来は防衛分担というふうな意味で使われておりましたが、日本においては憲法上の拘束これあり、近隣諸国の懸念これあり、私たちは自主的に節度ある防衛費を設けております、また駐留軍に関しましてはできるだけの努力をしております、こういうふうに申してまいったわけですから、そうしたことを十分心得てのやはり配慮だろうと、私はそういうふうに思います。したがいまして、総理もそうした意味で、確信を持って防衛の肩がわりではない、私たちはそう思う、こういうふうにおっしゃったと、こう解釈していただきたいと思います。
  394. 小西博行

    ○小西博行君 日米安保条約の効率的な機能というようなことを言っておるんですが、具体的には一体何を指しているんでしょうか。
  395. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) やはり政治の最大の目的は、日本日本として国民の生命、財産を守ることにあります。平たく言えば、平和を守り独立を守るということでございます。そのために日米安保体制が今日まで果たしてきた効果、功績というものは大きなものがあると私たちは評価しております。したがいまして、円満な運用ということが第一点である。そうしたことにおいて効率的にひとつぜひとも今後もその運用を図っていこうではないかということであります。
  396. 小西博行

    ○小西博行君 もう一方では、どうしても費用負担というのがだんだんふえてくるということが想定されますよね。そうしますと、また地位協定という問題に触れなきゃいかぬのかなという感じがするんですが、その点はどうですか。
  397. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 今も申しましたとおり、米軍の駐留、この経費に関しましては私たちもできるだけのことをしてまいっております。そして、駐留軍そのものが常に練度の高い技術をもって我が国を防衛してくださる。そのためには常に士気大いに軒高たりと、こういうことを私たちは願ってやってきたわけでございますが、そのためには今後も努力をしなくちゃならない、こういうふうに思っていますけれども、地位協定改定までは考えておりません。
  398. 小西博行

    ○小西博行君 終わります。     —————————————
  399. 堀江正夫

    委員長堀江正夫君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、原文兵衛君及び堀内俊夫君が委員辞任され、その補欠として木宮和彦君及び小野清子君が選任されました。     —————————————
  400. 堀江正夫

    委員長堀江正夫君) 本日予定をした質疑者の質疑は全部終わったわけでございますが、ほかに御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  401. 堀江正夫

    委員長堀江正夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  402. 堀江正夫

    委員長堀江正夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  403. 堀江正夫

    委員長堀江正夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十六分散会      —————・—————