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説明員(内田秀雄君) ただいま
原子力安全については非常に長い間御経験がおありの伏見先生から御質問をいただいたわけでありますが、今伏見先生がおっしゃいましたことをもう一度考えてみますと、
日本の現在の軽水型
原子力発電所は、アメリカの設計に準拠して、工学的な種々の改良を加えてはおりますけれども、
基本的にはその線の上に
開発されてきているものである。そしてその安全の対策を見ると、いろいろな事故あるいは問題が起こったときに、その影響を緩和するものをプラスして
現状に来ているのではないか。
基本的に設計を考え直す時代ではないかというお話でございますが、直接のお答えにならないかと思いますけれども、確かに、
原子力の安全面からの
開発をずうっと見てまいりますと、ウィンズケールの事故とかあるいはS
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の事故等々、いろいろの経験を経まして、安全上確保しなければならない
基本的な問題が出てきて、それに対する対策をとりまして、そしてどちらかというと事故があったときにその結果を緩和するというミチゲーションのシステムをつけ加えるということで
現状に来ているように私も思っております。ECCSがしかりでございまして、格納容器もそうでございます。
しかし、ごく最近をいろいろ考えてみますと、例えば
日本の
原子力発電所の信頼性、安全性の高い経過等を振り返りまして、あるいは国際的に
日本の
原子力発電所を
理解をする立場に立ちましても、そのミチゲーションの対策よりも、むしろ事故、故障、トラブルの発生を防止するプリペンションの方を優先的に考慮すべきであるということがようやく認識されてきているようでございます。
日本は、我田引水になるかと思いますけれども、古くからミチゲーションよりもプリペンションが大事である、事故、故障、トラブルの小さな兆候でもそれを発見して早く対策をとるべきであるということを申しているところでございますが、それにつきましては予防、保全に徹することでございまして、三十六あります
原子力発電所のうち、八つの
原子力発電所は既に十五年の経歴を持っておりますので、これからは、初期故障の対策はほとんど終わりましたので、やはり経年変化が劣化に結びつかないような予防、保全に徹することであろうと思っておりまして、その方向で行政庁、あるいは行政庁を通じまして電気
事業者に意見を申し上げているところでございます。
それから、今局長が引用されました通称固有の安全炉と言われますものにつきましては、御存じのように我々は
開発推進側ではございませんので、まだ具体的な例もございませんので安全
委員会としては何も申し上げる段階ではございませんが、この際個人的な
理解をお話し申し上げてお答えにしたいと思います。
通称言われます固有の安全炉といいますのは、第一次石油ショックの時代に、スウェーデンがまずエネルギーの需要に対する問題解決としまして、
地域暖房用の熱供給専用の炉をつくる計画をしたわけでございます。
その後、スウェーデンはフィンランドと合同でその設計に入りまして、一九七七年にその設計を完了いたしました。これが御存じのように熱供給専用の最初のSECUREでございます。これを動力用に高温高圧の蒸気発生用にいたしましたのがSECUREのPでございまして、この設計
方針は一貫しましてPIUSの理論といいますか、動的な機器によらず静的機器による、それから設計の単純化をする等々の化学的、物理的な自然
現象をもとにした
安全対策をするということであろうと思います。
最近、アメリカのDOEもこの方面で、この方向で何らかの炉の
基本的な設計を固めたいということのように聞いておりますけれども、アメリカの言葉でも申しておりますように、三つのSがあるということであります。スモールであり、それからシンプルであり、それからセーフであるという小型で単純化された設計である、したがってこれが安全であるということでありまして、
基本的には小型炉であるという前提があると思います。
したがいまして、少し
開発側の意見かもしれませんけれども、小型炉に対して
日本がどの程度需要があるかということが一つ問題があると思いますし、アメリカであるとか、あるいは
開発途上国のような小型炉の需要の多いところは、このようないわゆる固有の安全炉という小型炉の
開発が必要ではないかと思います。また、こういう通称言われます固有の安全性の高い炉の
開発といいますか、設計、検討の段階で、それが反映して現在の発電所の安全性の向上に反映することがあれば、これは大変歓迎すべきことではないかと思っておるところでございます。