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1989-06-21 第114回国会 参議院 科学技術特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年六月二十一日(水曜日)    午前十一時七分開会     ―――――――――――――    委員異動  三月三十日     辞任         補欠選任      大浜 方栄君     成相 善十君      倉田 寛之君     岡野  裕君      及川 一夫君     穐山  篤君  六月二十一日     辞任         補欠選任      成相 善十君     岩本 政光君      志村 哲良君     永田 良雄君      吉井 英勝君     橋本  敦君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         高桑 栄松君     理 事                 木宮 和彦君                 後藤 正夫君                 千葉 景子君                 伏見 康治君     委 員                 岩本 政光君                 岡野  裕君                 岡部 三郎君                 高平 公友君                 永田 良雄君                 長谷川 信君                 林  寛子君                 前島英三郎君                 穐山  篤君                 稲村 稔夫君                 高杉 廸忠君                 橋本  敦君                 吉井 英勝君                 小西 博行君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       中村喜四郎君    政府委員        科学技術政務次        官        吉川 芳男君        科学技術庁長官        官房長      見学 信敬君        科学技術庁長官        官房会計課長   石田 寛人君        科学技術庁科学        技術製作局長   石塚  貢君        科学技術庁科学        技術振興局長   緒方謙二郎君        科学技術庁研究        開発局長     吉村 晴光君        科学技術庁原子        力局長      平野 拓也君        科学技術庁原子        力安全局長    村上 健一君    事務局側        第三特別調査室        長        高橋 利彰君    説明員        原子力安全委員        会委員長     内田 秀雄君        資源エネルギー        庁公益事業部原        子力発電安全管        理課長      三角 逸郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (科学技術振興のための基本施策に関する件)  (平成年度科学技術庁関係予算に関する件) ○新技術開発事業団法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○「脱原発法」の制定に関する請願(第七六二号  外三件) ○継続調査要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る三月三十日、及川一夫君、大浜方栄君及び倉田寛之君が委員辞任され、その補欠として穐山篤君、成相善十君及び岡野裕君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) この際、中村科学技術庁長官及び吉川科学技術政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。中村科学技術庁長官
  4. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) このたび科学技術庁長官を拝命いたしました中村喜四郎でございます。  科学技術振興重要性が強く指摘されるこの時期に、科学技術庁長官に就任したことの重責を痛感している次第でございます。  我が国科学技術振興するべく最大限の努力をしてまいる所存でありますので、よろしくお願いを申し上げます。(拍手
  5. 高桑栄松

  6. 吉川芳男

    政府委員吉川芳男君) このたび科学技術政務次官に再任された吉川芳男であります。  ただいまの大臣のごあいさつにもありましたとおり、我が国にとって科学技術振興を図ることは極めて重要な課題であります。  委員長初め委員先生方の御指導を賜わりまして、政務次官として引き続き科学技術振興に努めてまいる所存でありますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  7. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 次に、科学技術振興対策樹立に関する調査議題といたします。  まず、中村科学技術庁長官から、科学技術振興のための基本施策について、その所信を聴取いたします。中村科学技術庁長官
  8. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) 第百十四国会に当たり、科学技術庁長官といたしまして、所信を申し述べさせていただきます。  科学技術振興は、二十一世紀に向けて我が国及び世界が安定的な発展を遂げ、平和で豊かな社会を切り開いていくために必要不可欠な最重要課題の一つであり、このような観点から、科学技術政策大綱に沿って、積極的な施策展開を図ってまいる所存であります。  特に、今日、国際社会における我が国の地位が高まってきていることを踏まえ、平成元年度においては、科学技術分野において世界貢献する日本の実現を目指すとともに、みずからも将来の発展に向けて科学技術基盤確立することを基本とする所存であります。  引き続き、平成元年度における科学技術庁の主要な施策につきまして申し上げます。  第一は、科学技術分野における国際貢献推進であります。  国際社会における日本の果たすべき役割の増大にかんがみ、ヒューマンフロンティアサイエンスプログラム推進を図るほか、国際研究交流を円滑に促進するための体制整備等を図ります。  第二は、創造的・基礎的研究充実強化であります。  次代の技術を培う研究環境整備等を図りつつ創造的・基礎的研究推進するとともに、その国際的展開を図ることにより、人類全体の進歩に積極的に寄与してまいります。  第三は、研究開発のための基盤整備であります。  科学技術の急速な進展に対応し、大型放射光施設建設計画推進地域科学技術振興科学技術情報流通促進等研究開発基盤整備を図ってまいります。  第四は、科学技術行政総合的推進機能強化であります。  科学技術振興調整費拡充科学技術政策研究充実強化等により科学技術行政における企画調整機能強化を図ってまいります。  第五は、原子力研究開発利用及び安全対策推進であります。  原子力研究開発利用につきましては、原子力安全規制行政充実安全研究推進等を図りつつ、自主的な核燃料サイクル確立新型炉核融合等研究開発推進等を進めるほか、一般国民を対象とした原子力に関するわかりやすい広報活動展開を図ってまいります。  第六は、宇宙開発利用推進であります。  宇宙開発利用につきましては、宇宙開発政策大綱に示された方針に沿って、人工衛星ロケット開発等推進するほか、国際協力による宇宙ステーション計画を進めてまいります。  第七は、海洋科学技術研究開発推進であります。  海洋国家日本として、六千メートル級潜水調査船システム開発等総合的な海洋科学技術プロジェクトを積極的に推進いたします。  第八は、地球科学技術研究開発推進であります。  地球的規模の諸現象解明地球観測技術研究開発等を進めるとともに、地震予知等研究を中心に防災科学技術推進を図ってまいります。  第九は、物質材料系科学技術研究開発推進であります。  大きな可能性を秘めた超電導等の先端的な研究開発を総合的に推進してまいります。  第十は、ライフサイエンス振興であります。  広範な分野において人類福祉の向上に貢献するライフサイエンス関連施策について、がん関連研究等を強力に推進してまいります。  なお、委員各位を初め、両院の御理解を得て成立いたしました原子力損害賠償に関する法律の一部を改正する法律に引き続き、現在、国会に提出しております新技術開発事業団法の一部を改正する法律案につきましても、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。  以上、平成元年度における科学技術庁施策に関し、その概要を申し述べましたが、我が国科学技術のより一層の発展のために、私といたしましても誠心誠意努力してまいる所存でありますので、委員各位の一層の御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。
  9. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 次に、平成年度科学技術庁関係予算について説明を聴取いたします。見学官房長
  10. 見学信敬

    政府委員見学信敬君) 平成年度科学技術庁関係予算概要を御説明申し上げます。  平成年度一般会計予算において、科学技術庁歳出予算額三千五百五十四億四千二百万円を計上いたしており、これを前年度当初予算額と比較いたしますと、百五十億三千二百万円、四・四%の増加となっております。また、電源開発促進対策特別会計において、科学技術庁分として、歳出予算額一千六十七億八千百万円を計上するほか、産業投資特別会計から、日本科学技術情報センターに対し、四十四億円の出資を予定いたしております。以上の各会計を合わせた科学技術庁歳出予算は、四千六百六十六億二千三百万円となり、これを前年度の当初歳出予算額と比較いたしますと、二百六十四億三千万円、六%の増加となっております。  また、国庫債務負担行為限度額として、一般会計一千三百五十六億四千二百万円、電源開発促進対策特別会計三百七十三億一千百万円を計上いたしております。  さらに、一般会計予算予算総則において、原子力損害賠償補償契約に関する法律第八条の規定による国の契約限度額を七千八百十九億円とするとともに、動力炉・核燃料開発事業団法第三十四条の規定により、政府が保証する借り入れ等債務限度額を二百八十四億円とし、これに基づく借入金を使用済み核燃料処理施設操業費等の一部に充てることといたしております。  次に、予算額のうち主要な項目につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、科学技術国際協力を通じ、国際社会への積極的貢献を図るため、四百四十九億九千三百万円を計上いたしました。  このうち、主なものを申し上げますと、まず、国際協力を通じて生体機能基礎研究推進することを目的としたヒューマンフロンティアサイエンスプログラムについて、本格的に事業を実施することとし、このために必要な経費として十四億五千六百万円を計上いたしました。  また、外国研究者受け入れ環境整備等国際研究交流促進するための体制整備することとし、これに必要な経費として四億一千八百万円を計上いたしました。  第二に、創造的・基礎的研究充実強化のため、六十四億八百万円を計上いたしました。  まず、独創性に富む若手研究者が自由かつ主体的に研究できる場を設ける基礎科学特別研究員制度を創設することとし、このために必要な経費として一億六百万円を計上いたしました。  また、創造科学技術推進制度拡充することとし、これに必要な経費として四十五億五千八百万円を計上するとともに、国際フロンティア研究充実することとし、これに必要な経費として十七億四千四百万円を計上いたしました。  第三に、研究開発のための基盤整備のため、百十億四千五百万円を計上いたしました。  まず、大型放射光施設に関する研究開発等推進するために必要な経費として十九億円を計上したほか、地域における科学技術振興を図るための経費として三億一千百万円を計上いたしました。  また、産学官研究交流促進するために必要な経費として二十七億七千三百万円を計上いたしました。  さらに、日本科学技術情報センターにおける科学技術情報流通促進するために必要な経費として、一般会計に十八億五千七百万円を計上するとともに産業投資特別会計から同センターに対し四十四億円の出資を予定いたしております。  第四に、科学技術行政総合的展開を図るための経費として百六億九千三百万円を計上いたしました。  まず、科学技術振興調整費拡充し、外国人研究者受け入れを含む国際流動基礎研究の一層の推進を図るための経費等として百一億円を計上するとともに、科学技術政策研究所充実強化科学技術広報啓発活動推進に必要な経費等として五億九千三百万円を計上いたしました。  第五に、原子力研究開発利用及び安全対策推進のため、二千八百十六億四千三百万円を計上いたしました。このうち、一般会計において一千七百四十八億六千二百万円を計上いたしております。  まず、原子力安全規制行政及び核不拡散対応に必要な経費として十九億九千三百万円を計上いたしました。  次に、日本原子力研究所においては、高温工学試験研究炉建設核融合研究開発放射線高度利用研究等を進めることとし、これらに必要な経費として九百四十八億四千五百万円を計上いたしました。  また、動力炉・核燃料開発事業団においては、新型動力炉研究開発及び核燃料サイクル確立のための研究開発等を進めることとし、これらに必要な経費として六百十二億一千七百万円を計上いたしました。  また、放射線医学総合研究所における重粒子線医学利用に関する研究国立試験研究機関等における原子力試験研究に必要な経費等として百六十八億七百万円を計上いたしました。  次に、電源開発促進対策特別会計歳出予算額のうち、科学技術庁分として一千六十七億八千百万円を計上しております。  このうち、電源立地勘定においては、国民理解協力を増進し、原子力施設立地を一層促進するための経費として百八十六億四千二百万円を計上いたしました。  また、電源多様化勘定においては、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の建設核燃料サイクル確立のための研究開発等推進するための経費として八百八十一億三千九百万円を計上いたしました。  第六に、宇宙開発利用推進のため、一千九十億六千二百万円を計上いたしました。  まず、宇宙開発事業団において、静止気象衛星四号、海洋観測衛星号b開発等を進めるほか、HⅡロケット開発宇宙ステーション計画への参加等を進めることとしております。これらに必要な経費として一千六十七億五千七百万円を計上いたしました。  また、航空宇宙技術研究所における宇宙科学技術の基礎的、先行的研究を進めるための経費等として二十三億五百万円を計上いたしました。  第七に、海洋開発推進のため、百五億七千三百万円を計上いたしました。  このうち、海洋科学技術センターにおいて、潜水調査船「しんかい六五〇〇」の建造、海域総合利用技術について地方自治体等との共同研究等を行うこととし、これらに必要な経費として百三億五千九百万円を計上いたしました。  第八に、地球科学技術研究開発推進のため、三百一億二千百万円を計上いたしました。  このうち、地球的規模の諸現象解明に関する調査研究に着手することとし、これに必要な経費として一億一千七百万円を計上いたしました。  また、人工衛星等を利用した地球観測技術研究開発等推進については、二百七十三億八千万円を計上するとともに、防災科学技術推進については、二十六億二千四百万円を計上いたしました。  第九に、超電導材料研究マルチコアプロジェクト推進等物質材料系科学技術研究開発推進のため百三十億六千六百万円を計上いたしました。  第十に、がん関連研究、脳・神経系研究等ライフサイエンス振興のため、百五十六億一千四百万円を計上いたしました。  最後に、革新航空宇宙輸送要素技術研究等その他の重要な総合研究推進するため、百八十六億一千五百万円を計上いたしております。  以上簡単でございますが、平成年度科学技術庁関係予算につきまして、その大略を御説明申し上げました。
  11. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 以上で所信表明及び予算説明は終わりました。     ―――――――――――――
  12. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 次に、新技術開発事業団法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中村科学技術庁長官
  13. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) 新技術開発事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  科学技術は、国の社会経済を支える上で極めて重要な役割を果たしており、我が国のみならず、海外諸国科学技術振興発展にそれぞれ努力しているところであります。このような情勢の中、科学技術立国を志向し、社会的、経済的に目覚ましい発展を遂げている我が国に対し、海外諸国関心期待は、ますます大きくなっております。我が国としては、科学技術成果人類共通財産であり、かつ、我が国経済力に見合った貢献を行う必要があるとの観点から、国際研究交流を一層進めることが、国の重要かつ緊急の課題であると認識しております。この点につきましては、昭和六十一年三月閣議決定されました科学技術政策大綱にも指摘されているところであります。  一方、我が国国際研究交流現状を見ますと、特に先進諸国との間の研究者交流について極めて大きな不均衡存在及びその改善必要性指摘されるとともに、国際研究交流促進するため、我が国のより幅広い情報提供が強く求められております。しかしながら、このような人材交流情報交流等促進するための体制現状では十分と言える状況にはありません。  このような状況を踏まえますと、我が国として、早急に国際研究交流促進する必要があるため、今般、新技術開発事業団を改組することにより、国際研究交流実施体制整備することとした次第であります。  本法律案は、新技術開発事業団がこれまで実施してきた新技術開発、新技術の創製に資することとなる基礎的研究を行うこと等に加え、新たに国際研究交流業務を付加するとともに所要の改正を行うものであり、以下の事項をその内容としております。  第一は、新たな業務追加等に伴い新技術開発事業団名称新技術事業団に改め、法律の題名を新技術事業団法とすることであります。  第二は、新技術事業団目的試験研究に係る国際交流促進に関する業務を行うことを追加するとともに、業務の範囲に外国研究者受け入れに係る支援、外国研究者のための宿舎の設置・運営、国際研究交流に関する情報提供等業務を追加することであります。  第三は、政府は、新技術事業団に土地、建物等出資できるようにすることであります。  第四は、事業団理事長諮問機関である開発審議会審議事項に、国際研究交流に関する重要事項を追加することとし、これに伴い開発審議会名称を新技術審議会に改め、委員の定数を五名増員することであります。  第五は、基礎的研究を実施する場合には、現行の規定では例外なく研究者の雇用、総括責任者指定等を義務づけていますが、外国と共同して基礎的研究を行う場合に限り、柔軟に対処できるようにするため、これらの規定の適用を除外することにしております。  以上、この法律案提案理由及び要旨を御説明申し上げました。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  14. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 以上で本案の趣旨説明は終了いたしました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 木宮和彦

    木宮和彦君 先ほど新長官から所信表明がございました。歴代の科学技術庁長官を見ますと皆さん立派な方ばかりでございますが、特にお若い長官が皆張り切ってやられた実績がございます。若き日の中曽根康弘さん、あるいは亡くなった中川一郎さん、あるいは河野洋平さんなど、いずれも若くて長官になられて、その立派な業績が今も歴史の中に残っておりますが、中村長官も、年はお若い、まさに閣僚の中で一番若いと聞いておりますので、どうぞひとつ立派な業績お願い申し上げたいと思います。  つきましては、大臣から、我が国世界に果たすべき役割と、それから科学技術を所管する大臣としてどのようなお考えを持っていらっしゃるか、恐れ入りますが、時間も余りございませんので簡潔で結構でございますので、所信の一端をお漏らしいただきたいと思います。
  16. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) ただいま委員から御指摘がございましたように、我が国経済的には非常に大きな基盤確立しているわけでありますし、また科学技術の面におきましても、欧米の国々と比較しても極めて先進的な技術というものを確立しているわけでありますので、今後ますます科学技術の面におきまして国際的な貢献というものを果たしていかなければならないと私は考えています。そのためには、昭和六十一年三月に閣議決定されました科学技術政策大綱において、国際性を重視しつつ科学技術発展を図ることを基本方針としているところであります。  具体的に、この基本方針に基づきまして、ヒューマンフロンティアサイエンスプログラム推進、あるいは国際共同研究推進外国人研究者受け入れのためのフェローシップの改善拡充等を行いながら、一層国際的な科学技術貢献施策を十二分に整えられるようにこれから努力をしていく決意でありますのでいろいろの意味で御指導をお寄せいただきたいということをお願い申し上げます。
  17. 木宮和彦

    木宮和彦君 ひとつ長官陣頭指揮でもって、これだけ日本が国際的に立派になった国でございますので、なお一層科学技術発展につきましては御尽力を賜りたく、重ねてお願いを申し上げたいと思います。  さて、先ほど提案されました新技術開発事業団法の一部改正、これにつきまして趣旨説明が行われましたが、今回の改正趣旨を一言で言えば何か。そしてまた、その背景及びその概要といいますか、こういうところに特に必要である、しかもネーミングも変えましたので、その辺のことにつきまして御説明を賜りたいと思います。
  18. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 先ほど大臣の方から提案理由でその趣旨必要性について御説明を申し上げたとおりでございますけれども、科学技術と申しますものは国の社会経済を支える上で極めて重要な役割を果たしているわけでありまして、我が国のみならず、諸外国でも科学技術振興発展というものに大変力を入れていることは御高承のとおりでございます。  特に、日本科学技術立国ということで、国是といたしまして非常な成功をおさめ、経済的にも科学技術の面でも目覚ましい成果を上げているわけでございまして、諸外国からの期待関心というものが大変高くなっている。それを受けて日本といたしましても、科学技術成果というものは、これは人類共通財産であるという認識のもとに、経済力に見合った国際貢献を進めていく必要がある。そのためには国際研究交流を一層進めていくことが大事であるということでございまして、大臣もお述べになりましたように、昭和六十一年三月の科学技術政策大綱においてそのようなことが国の方針として定められているわけでございます。  他方、我が国研究交流現状を見ますと、特に先進諸国との間の研究者交流について極めて大きな不均衡存在をしておりまして、その改善が要望、指摘をされているわけであります。また、その原因ともなっております日本研究交流促進するための日本からの科学技術に関する情報提供というものが非常に強く求められているわけでございます。現状を見ますと、科学技術関係国際交流と申しますものは、それぞれの研究機関が個別に実施をしているのが現状でございまして、全体として総合的に推進される体制というものが必ずしも十分整備をされていないということでございます。  以上のようなことが背景となりまして、今回科学技術分野国際研究交流促進するための業務を総合的また効率的に実施をするための体制整備するというために新技術開発事業団法改正お願いしているわけでございまして、その内容は、新技術開発事業団目的科学技術に関する国際研究交流促進するということを加えること、同時にその業務の中に国際研究交流促進業務というものを追加をするというのがポイントでございます。  以上のように、従来新技術開発業務を中心に展開をしてきた事業団が、国際研究交流促進に関する業務を担当することになりますので、名称をこの際新技術事業団に改めることとさせていただきたい、こういうことでございます。
  19. 木宮和彦

    木宮和彦君 そうすると、名前が変わったのには新たに国際交流という部門を加味したから名前を変えられた、こう理解しても構いませんですね。  それで、国際交流のことでございますが、たしか六十三年、昨年から科学技術庁のフェローシップ制度というものが創設されたと思います。初年度においては大体百人くらい一年の間にやるというふうに聞いておったんですが、その実績はどうなっていらっしゃるか。そしてまた、その来られた国の分布はどうなっているのか。また、来るための手続といいますか、公募でやるのか、あるいは個人的な先生の、あるいはどういう方向でやるのか私も存じ上げませんが、その辺のこと。  それから、今三つありますが、最後にもう一つ、もしその成果が非常に上がった場合に、パテントの問題があると。これは協定で決めてはあると思いますが、外国人と日本人が共同でやってきたそのパテントはどこに帰するのか。国に帰するのか、その研究所に帰するのか、あるいは個人に帰するのか、半々なのか、その辺をひとつ教えていただきたいと思います。
  20. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 順次お答えをさせていただきますが、昭和六十三年度にスタートをさせていただきましたいわゆる科学技術庁フェローシップでございますが、各方面の御支援をいただきまして、当初予定しておりました百名という枠が達成をされました。関係者の御協力に御礼を申し上げたいと存じております。  国別、どういう国から来ているのかという御質問でございますが、国の数にいたしまして二十三カ国から来ております。一番多いのはアメリカでございますが、その他西欧先進諸国はもとより、発展途上の国々あるいは東ヨーロッパの国などからも若干ではございますが人が入っておりまして、大変バラエティーのある出身国別構成ということになってございます。また、受け入れをした国の研究機関の方も八つの省庁、三十七の機関にまたがっておりまして、受け入れる側も大変多様な、各般にわたっているということございます。  次に、受け入れの手続でございますが、そのフェローシップの制度と申しますのは、外国研究者が自分がやっております専門的な研究というものをさらに発展させるために、それに一番ふさわしい日本研究所に来る。日本受け入れ研究所の方も、その研究者受け入れることが本当に適当であると判断をするということが大事でございます。とにかく人が来ればいいということではありませんので、参ります研究者の専門のテーマと申しますか、専門の分野というもの、研究のレベルというものが受け入れ研究機関によって受け入れられるかどうかというところをチェックするというのが手続の基本になってございます。直接外国の側からアプローチをしてくる場合もございますし、日本受け入れ側の研究機関の方でこういう研究者に来てもらうのがいいのではないかということで、むしろ日本側から声をかけるというようなことになる場合もございます。いずれにいたしましても、審査のポイントはそういうところに置かれてございます。  なお、日本でこういう制度をやっているということを非常に関係の国々で周知をしていただく必要がありますので、欧米先進国を中心に幾つかの国については相手側の国の政府機関に国内での周知をお願いし、推薦をお願いするというようなことをあわせて実施をいたしております。  最後に、参りましたフェローの人たちの研究成果でいわゆる特許等の工業所有権を取得した場合にその帰属がどうなるのかという御質問でございますが、制度といたしましては、このフェローシップの制度で受け入れ外国研究者研究成果にかかわります工業所有権の帰属というものは、この参ります研究者とそれぞれの受け入れ研究機関との間で個別に取り決めをするというのが原則でございます。私どもの方で画一的に処理はしてございません。  しかし、現状を見ますと、受け入れ研究機関は大部分はそれぞれの内部規定で対処をしておりまして、その内部規定によりますと、国立の試験研究機関でそれぞれの本来の研究員がいるわけでございますが、職員である研究員がいるわけでありますが、その職員である研究員が業務上、職務上行った研究成果と同じような扱いをするというのが通例でございます。つまり通常職務発明というふうに申しておりますが、職員が業務上行った発明については、これは業務上、職務上の発明であるということで、その工業所有権の帰属は実施をしている研究機関、国の機関でございますので国有になる、日本国のものとなるという扱いをいたしてございます。受け入れたフェローシップについてもこれら職員の場合と同じように扱うということにしているケースが多いように見受けます。
  21. 木宮和彦

    木宮和彦君 将来、これから特に知的所有権という問題がやかましくなると思いますし、それからまた、せっかく新しい技術開発したり基礎技術確立したような場合には、それなりにやっぱり世の中に用いられなきゃ意味がないわけで、それが実際に用いられた場合に果たして国の金を助成したものが戻ってくるのか。たとえ戻ってこないにしても、やっぱりその成果がしっかりわかるように処置をすべきではないかなと私は思うんです。  これはいつでしたかな、昭和六十一年か二年に、たしか伏見先生が委員長のときに私も視察旅行に一緒に東北へ参りまして、東北大学へ行きまして、そのとき西澤潤一先生がわざわざ蔵王のゼミからお帰りになって私どもを歓待してくださいました。  そのときのお話に、新技術開発事業団でプロジェクトをつくっていますね。新しい創造科学技術推進事業ですか、それについてそのプロジェクトを組んで、発光ダイオードという大変立派な、日本としては珍しく創造的な仕事をなされたわけですが、ただそれが実用化が日本は非常におくれていると大変不満を漏らしておりました。アメリカは既にそういう実用化、まあ日本も全然やっていないわけじゃありませんが、そのときのお話でございますが、例えば、信号機がございますが、あれを今電球でやっていますが、もしも発光ダイオードでやれば、電気の必要量といいますか消費量は十分の一あるいは二十分の一で済む。東京都の電力でもって日本じゅうの交通信号がつきますよという話をしたが、やはり電球会社におもねっているといいますか、なかなか新しい技術開発しても、即それが日本社会に入れられないということは非常に残念であるという趣旨のことをお話しありました。  特に役所の場合などはいろいろ問題があろうかと思いますが、やはり新しい技術が生まれたらそれを積極的に取り入れる姿勢が、科学技術庁は率先して広めるということが私は大変大事なことだと思うし、それがひいてはまた新しい技術を生んでいくのではないかと思いますが、その辺は余分なことかもしれませんが、ちょっとお伺いしておきます。
  22. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) せっかく発明された成果というものが実用化され、広く使われるように努力すべきであるという御指摘でございます。そのとおりでございまして、御指摘のありました新技術開発事業団というものはまさにそういう目的事業をやっているところでございまして、従来から、みずから開発をいたしました新技術もそうでございますし、それ以外の大学、国研等で開発をされた成果についても、民間企業に普及、実施をされますように技術情報提供する、あるいはあっせんをする、特許の許諾等のお手伝いをするというようなことで、広く普及を図るために活躍をしているわけでございます。  御指摘のありました西澤先生の発光ダイオードの件でございますが、この発光ダイオードの件も含めまして、御指摘の新技術開発事業団で、従来六十三年度末までに開発に成功した新技術開発課題のうち約八割につきましては既に民間の企業との間で実施契約がなされておりまして、現在準備中のものを含めますと九割を超える課題というものが民間との間で実施契約が結ばれておるわけでございまして、新技術開発事業団において開発された新技術というものはその大部分が社会の中で生かされておるかと思っております。  御指摘の西澤先生の件につきましては、これは四十七年から五十一年にかけまして事業団が約二億円の費用をかけまして開発をしたものでございますが、少ない消費電力で極めて明るい光を発するというすぐれた性能が生かされまして、現在では、御指摘のように信号機にはまだ使われていないようでございますが、通信機器であるとか交通関係の標示に広く用いられておりまして、新技術開発事業団開発をした技術の中で最も広く普及しているものの一つでございます。  しかしながら、私どもといたしましては、これだけで満足をするということではなくて、今後とも、開発成果に関します新技術提供活動の充実等によりまして、すぐれた研究開発成果というものが一層普及されますように新技術開発事業団指導していきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  23. 木宮和彦

    木宮和彦君 その問題は、私はこれからの問題として非常に大事な問題だと思います。  最近、アメリカのUSTRですか、スーパー三〇一条というのがございますが、それについて、日本のコンピューター、人工衛星それから林業、この三つをやり玉に上げて回答を迫っているというような実情でございます。  きょうの新聞を見ますと、HⅡロケットというのが発射されるということで、これはアメリカのに比べると経費も非常に安くて三千億円くらいで、これから日本が宇宙産業として大いに期待されるような報道がございました。  三〇一条でもって何で人工衛星、宇宙開発が俎上に上がったのか、それからまた、今後それについてどういう対策を講ぜられるか、時間も余りございませんのでひとつ簡単にお話しいただきたいと思います。
  24. 吉村晴光

    政府委員吉村晴光君) ただいま御指摘のとおり、今般米国政府が、包括貿易法スーパー三〇一条に基づきまして、我が国人工衛星政府調達に関して問題を有する優先国であるというふうに認定をしましたことは、大変遺憾なことであると考えております。ヒルズ米国通商代表の記者発表資料によりますと、人工衛星につきましては、日本は自主技術開発目的に支障を及ぼす場合には政府機関による外国製衛星の購入を禁止しており、この政策によって米国は重要な市場機会が否定されていると述べておるわけでございます。スーパー三〇一条に対します日本側の立場は、一方的制裁措置の発動を辞さないとの前提で交渉を求めてくるのであれば協議には応じられない、こういうことでございます。そういうことから、米国側が具体的にいかなる点で問題を感じているかということにつきましての説明は、いまだ得ていない状況にございます。  いずれにいたしましても、我が国政府の宇宙開発は、自主的な技術基盤確立基本に進めているところでございまして、今回の米国政府の措置は、この点について十分な理解が得られていないことによるものとも考えられます。適切な機会をとらえまして、今後一層の対外的な理解が得られるように努力をしてまいりたいと考えております。
  25. 木宮和彦

    木宮和彦君 この問題は重要な問題だと思いますので、ぜひひとつ一層の御努力を願いたいと思います。  同時にまた、これ余分なことですが、HⅡロケツトってどうもネーミングが悪いですね。もう少しロマンのあるネーミングにするとか、あるいは今度のフェローシップ制度にしてもそうですね。昔、よく私ども若いときには、アメリカのフルブライトなんというのは、フルブライトへ行きたいやという一つの何か、今度の新しいフェローシップにしても、何かもうちょっとネーミングで外国に知れ渡って、やっていることがどうも日本人はPRが下手くそといいますか、金を出す割には評価されないという、これ余分なことでございますが、その点をひとつお願いをしておきます。  それで、私の調べたところによると、今現在、大体欧米先進国との研究交流は七対一くらいで日本の方が少ない。やはりここまでくれば、ともかくGNPの世界第一位になったわけですから、フィフティー・フィフティー、五対五にするのが最低限必要だが、これは一体いつごろまでに達成できるのか、あるいは将来どういう、予算の問題もありますからそう簡単には話はできないと思いますが、一言で結構でございますので、先の見通しについてひとつお話しいただきたいと思います。
  26. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 特に先進国との間の研究者交流のインバランスにつきまして、先生御指摘のように、およそ七対一のインバランスがあるわけでございます。絶対数で申しますと、これは私どもの調査で、国立の試験研究機関が受け入れ外国、先進国の研究者の数が六十二年度で百九十八名、同じ期間に日本から先進国に参りました研究者の数が千二百九十三名ということで、その比率、およそ七対一になってございます。絶対数の差で約千名のギャップがあるわけでございます。私ども、このギャップを何とか埋めていきたいという気持ちでございます。  どういう計画でどういうふうにしていくのかという御質問でございますが、何年計画でどうするという、ぴしっとした計画はできてないわけでございますが、私どもは、こういう現在のようなインバランスを、内外の受け入れ機関の状況もございますし外国の要請もございますので、そういうものを勘案しながら、できるだけ早い機会に均衡するような形に持っていきたい、こういうふうに希望しているわけでございます。
  27. 木宮和彦

    木宮和彦君 もう時間も、五十分までにはやめて行かにゃいかぬという皆さんのお話でございます。  最後になります。大臣にお伺いしたいんですけれども、科学技術分野における国際研究交流のこれからの推進方策、これについてひとつ決意を披瀝していただきまして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  28. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) 我が国は、貿易におきまして多大の黒字を示している経済大国として位置づけられているわけでありますし、また、科学技術の面においても欧米先進国と肩を並べられるだけの先進国になってきたわけでありますので、世界から我が国に対する期待とか、そしていろいろの意味で我が国の果たしていく科学技術役割というものはこれからますます大きなものになってくると私は確信しております。  そのために、このような観点で、昭和六十一年の研究交流促進法の制定により、外国との交流を含めた研究交流に関する法制上の隘路を改善し、さらに今般、国際研究交流促進のための体制整備し、科学技術面での国際貢献をより一層果たしていこうという考え方から本法律案を提出さしていただいた次第であります。  私は、この法律案の提出に対しまして、我が国が国際的に貢献していくためのこれが第一歩であり、一里塚である、このような努力をこれから先も積み上げていくことによって、我が国の国際的な評価にふさわしいような科学技術の国際的な貢献というものを果たしていけるように英知を結集していきたい、このように考えております。
  29. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ―――――・―――――    午後一時十三分開会
  30. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) ただいまから科学技術特別委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  先ほど、成相善十君が委員辞任され、その補欠として岩本政光君が選任されました。     ―――――――――――――
  31. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 休憩前に引き続き、新技術開発事業団法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  32. 千葉景子

    ○千葉景子君 それでは、新技術開発事業団法の一部を改正する法律案に入る前に、何点か一般的な問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  まず最初に、さきの五月三十日なんですが、原研東海研究所でウランが自然発火したという事故が報じられております。それについて、事故の内容、どういうものであったか、御説明をいただきたいと思います。
  33. 村上健一

    政府委員(村上健一君) お答え申し上げます。  原研東海研究所におきまして、本年五月三十日午後七時二十三分ごろ、東海研究所ウラン濃縮研究棟で火災報知機が発報いたしました。直ちに所員が調査いたしましたところ、同研究棟内の核燃料貯蔵庫において天然ウランのくずが入っておりますポリエチレンのびんから発煙しているのが発見されました。粉末消火器等で消煙作業を行いました後、発熱源と見られますウランくずをステンレス製の容器に移しかえまして、消火砂などで空気を遮断しました結果、午後九時五十分ごろ発熱がおさまったものでございます。この発煙事故によります放射能の周辺環境への影響及び作業者の被曝はございませんでした。  以上が概要でございます。
  34. 千葉景子

    ○千葉景子君 この事故の原因というものは、はっきりなさっていらっしゃいますか。
  35. 村上健一

    政府委員(村上健一君) 結論から申し上げますと、現在、東海研究所の中に本件の調査検討委員会を設けて検討が進められておりますので、その結果が出るまでは正確なことを申し上げられませんが、実は私どもからいいますと非常に恥ずかしい事故でございまして、天然ウラン、金属ウランくずは普通処理がうまくないと発熱するというのは実は古くからわかっていることでございまして、相当な期間、空気を導入しまして徐々に酸化させれば発熱しないということもわかっておりました。したがって、今回も相当の期間そういう措置を行ってポリエチレンのびんに移したわけでございますけれども、そういうことが起こりましたので、原研の方としては、起こるべきことが起こらないようにちゃんとしたにもかかわらず起こったということで、先ほど申し上げましたような調査検討委員会をつくって検討を進めているところでございます。原因は、そういうことで天然ウランのいわゆる粉末とかくずは発熱するという通常の現象であろうとは思われますが、今なお検討委員会で検討が進められているところでございます。
  36. 千葉景子

    ○千葉景子君 今、検討中ということでございますけれども、今後こういう事故が起こらないための対策等についてはどのような検討をなさっていらっしゃいますか。
  37. 村上健一

    政府委員(村上健一君) 今御説明申し上げましたように、科学技術庁といたしましては、この検討委員会の調査検討結果を踏まえまして必要な措置を講じるよう、遺漏なきよう十分指導、監督してまいりたいと思っておる次第でございます。  なお、本件につきましても、六月一日の原子力安全委員会に報告を行いまして、原子力安全委員会の方からも最終的な原因及び対策について再度報告するよう求められているところでございます。
  38. 千葉景子

    ○千葉景子君 この事故の原因あるいは今後の対策等はっきりと結論が出たところで、またぜひ委員会等にも御報告をいただきたいというふうに思います。  それでは引き続きましてですが、つい先日ですが、東京電力福島第二原子力発電所二号機で漏えい事故が発生をした、これも報道等されているところでございます。この事故の内容について、どういう内容かということをまず御説明をいただきたいと思います。
  39. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 先生御指摘の東京電力の福島第二原子力発電所の二号機の件でございます。  福島第二原子力発電所の二号機におきましては、これは沸騰水型でございますが、定格出力が百十万のクラスでございます。定格出力で運転をしてございました。  六月三日にさかのぼりますけれども、六月三日の午前十時ごろでございますが、原子炉の冷却材の不純物を除去するための装置、これがございます。これは我々、再生熱交換器と言ってございますが、原子炉の中の不純物を取り除くための装置でございますが、その付近から漏えいをしておるということが発見されてございます。このため、当該の系統を隔離、系統から切り離すということでございますが、隔離いたしました。そして、その後、六月三日でございますが、午後四時ぐらいだと思いますけれども、出力降下を開始いたしまして、次の四日の午前五時三十分ごろに原子炉を停止してございます。これは手動で停止したということになっております。  これまで、その後いろいろと点検をしてきたわけでございますが、再生熱交換器というのは実は三台ございますが、そのうちの二台目の熱交換器をつないでございます入り口の配管がございまして、その配管のところの溶接部の近くから、これは外側でございますけれども、長さにいたしまして約三十六ミリ程度でございましたが、亀裂が確認されてございます。  そういうことで、その後検討を進めてございますけれども、原因といたしまして、どうも溶接の施工に不良箇所があったといったようなことで漏れたんではなかろうか。それが起因現象でございまして、割れが配管の中からだんだんと進んでいって、その後進展した結果漏れに至ったというふうなことでございます。  そういうようなことでございまして、一応原因というところまで含めて概要は、ただいまわかっているところでは以上でございます。
  40. 千葉景子

    ○千葉景子君 これは隔離をしましてから原子炉そのものを停止しているということでございますけれども、原子炉そのものを停止したというのは何か理由がございますか。
  41. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 先生御指摘のように、朝方の九時二十五分ごろでございますが、中央制御室におきまして、これは再生熱交換器というのは一つの部屋になってございまして、そこでの放射線モニターの異常ということで警報が発生したわけでございますが、その後、当該箇所は熱を持って熱うございます。具体的に隔離をして修理をするということで若干時間は要するわけでございますが、当該箇所につきましては具体的に漏えいの箇所を特定して、それでその後の対策をとるにつきましては、とった過程で当該弁を前後で閉めまして、その結果漏えいは当然とまるわけでございますけれども、順番をつけまして、順次原因を特定しながら、場所を特定しながら、その後原子炉の停止に至ったということで、直接即座にとめるといったようなことは対応としては必要なかったんじゃないか、かように考えているところでございます。
  42. 千葉景子

    ○千葉景子君 ちょっと私の質問があれかもしれませんけれども、この部分は必ずしも原子炉本体を停止しなくとも支障がない部分とも言えるんじゃないかと思うんですけれども、全体をとめなくてはならないような事情がございましたのでしょうか。
  43. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 御質問の趣旨のとおりにお答えしますと、警報の発生後、原子炉の冷却材のいわゆる浄化系の隔離操作を行ってございます。そういうふうなことと、あといわゆる原子炉の浄化系、これは原子炉の冷却材を浄化する系統でございますが、それを直ちに停止した後すぐに原子炉の運転に何らかの支障が出てくるといったようなところでは実際上ございません。そういうこともございまして、一方では原因の調査、対策といったようなことについても時間を要するといったようなことで、我々としては念のため原子炉を停止して当該箇所について手当てをするといったようなこと、それが妥当かつ念のための措置として必要であろうといったようなことかと思います。  以上でございます。
  44. 千葉景子

    ○千葉景子君 これは当該部分の隔離をするまでの時間というのはどのくらいかかっているんでしょうか。
  45. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 今申しましたように、九時二十五分にダストモニター、これは放射線の量をはかっているモニターの異常の警報が発生してございます。それで現場の動きといたしましては、当然その現場を確認するわけでございますが、現場を確認したところ、先ほど申しましたように浄化系の一部でございますけれども、一次冷却材の漏えいがわかってございまして、その後直ちに原子炉の冷却材の浄化系の隔離操作を行って、たしか十時十四分ということでございますので、警報が出てからで言えばほぼ一時間弱といったようなところで系統の隔離が終了したという報告を受けてございます。   以上です。
  46. 千葉景子

    ○千葉景子君 私が思うところでは、もう少し隔離自体については短時間で行えたのではなかろうかというふうに思うんですけれども、これはバルブを閉めるなどの作業だと思います。そういう意味では一時間というのは若干長い時間がかかっているようにも思いますけれども、これはいかがでしょうか。もうちょっと短時間に行うことはできないものですか。
  47. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 今、御指摘のお話、確かにいろんな御意見があろうかと思います。  私どもも、その事柄の経緯、それから当該箇所が持っているいわゆる安全上の意味合いと申しましょうか、箇所が安全との関係でどういうところにあるんだろうかといったようなこと、これは先ほど来の説明ではちょっとはしょったかもしれませんけれども、原子炉を直接つないでいるというか、再循環ラインからさらに引いたところのいわゆる浄化するためのラインとかといったようなこと、そういうことをかたがたあわせまして、一方では中央制御室でダスト放射線モニターの記録によって事実を把握して、それから保安の課員が現地、その場所は原子炉建屋内の別のところに再生熱交換器の部屋がございますけれども、そこまで行くということで、そこに行って現実にどこがまずいのかということを確認して、その後操作に入るといいましょうか、そういうことで四十数分、五十分前後ということにつきましてはむしろこれは技術的な判断、現場の対応として、特に東京電力をどうこうするわけじゃございませんけれども、やはり事実を把握して、それを判断してアクションを起こすという過程で必要な時間というのはおのずとあろうかと思うんです。  時間の多寡については徒意見があろうかと思いますけれども、我々としてはそれほどの、即一分後にどうこうといったようなことでもございませんので、対応の全体としてはおおむね過ちではなかったと、こんなふうに理解してございます。  以上でございます。
  48. 千葉景子

    ○千葉景子君 ところで、この第二原発の二号機なんですが、以前の定期点検などの際にこの箇所は点検をされていらっしゃるんでしょうか。
  49. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 当該箇所につきましては、基本的に定期点検の折にはその系統、ここでいうところの浄化する系統でございますが、その系統に一定の圧力をかけまして漏れるか漏れないかという耐圧漏えいテストというのを我々させてございまして、そういう意味合いで前回の点検のときには漏れにまで至らなかったといったようなことでございますが、先生の今の御質問に答えるならば、毎回点検ごとにそういう圧力をかけて水圧のテストをやる、こういう状況にございました。  以上でございます。
  50. 千葉景子

    ○千葉景子君 今回、そういう定期点検のときに一定の点検をしていらっしゃるにもかかわらず、こういう漏えいというものが発生をしたということですけれども、そうなりますと、今後の対応として、例えばこれと同一の溶接を使っている部分、あるいはそれから今度定期点検を行う際にはこれと同様の箇所というのは十分に注意をすべき場所だと言えるのではなかろうかと思いますが、今後の対応はどう考えていらっしゃいますか。
  51. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 御説明申し上げます。  先生御指摘のように、原子力発電については何かいわゆるこういう不都合、トラブル、故障等があった場合にはその原因を徹底的に解明するとともに、御指摘の再発防止対策につきましても、当該箇所にとどまらず、幅広くその技術的な意味合いも含めて対応していくということで通産省が電力を指導しておったわけでございます。本件に関して申しますならば、原因について若干補足する必要があろうかと思うんですが、これは報道等でもございましたけれども、当該箇所につきましては、これはメーカーの段階でございますけれども、二度ばかり補修溶接というのをやってございまして、その過程でいわゆる材料がかたくなる、硬化する、もしくは応力が残る、これは残留応力と我々言っていますが、そういうことでひずみが残る、こういう不注意な作業といったようなことに原因があったんじゃなかろうかということでございます。  今後、メーカーも含めて補修溶接といったような際には、その後の今言ったひずみを取るようなそういう熱処理といったようなことを十分に現場で行わせるといったようなこともさることながら、今御指摘のような当該箇所に類似の箇所、これは類似の箇所というのは同じような原因を内蔵する、共通的な原因が材料だとか施工の面であるようなところにつきましては、これは今回原因が特定されたということを踏まえまして、対応として電力を厳しく指導して、かつそういうことをやらせる。  あわせて、というのは、我々よく水平展開、こう申し上げておるわけでございますけれども、ほかのBWR、これは日本で十九基ございますが、同じように浄化する系統があるわけでございまして、そういうことにつきましても安全上の意味合い、ランクといったようなことも念頭に置きながら、次の機会には累次そういう情報を取り入れて交換していくように、こういったようなことを指導していこう、そういうふうに考えてございます。  以上でございます。
  52. 千葉景子

    ○千葉景子君 直接本体にかかわる部分ではなかろうかと思いますけれども、溶接の部分などに問題が残らないように今後もぜひ注意を払っていただきたいと思います。  ところで、何かこのところ、事故といいましょうか、先ほど不都合という言葉を使われましたけれども、そういうことが多々頻発をしているようでございますが、さきに私も取り上げさせていただきました福島第二原発の三号機でございますけれども、その後点検、あるいは調査あるいは原因の究明、こういうものを進められている過程かというふうに思いますけれども、少しその内容などについてお尋ねをさせていただきたいと思います。  まず、その後この三号機におきまして、原子炉圧力容器の内部あるいは燃料棒、またその他の関連する配管、そういうところに調査、点検が行われているかと思いますけれども、その進捗状況、今の現状などはいかがでしょうか。
  53. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 福島第二原子力発電所三号機の件でございます。さきのこの場でも御報告さしていただきましたけれども、その後の進捗状況について御報告、御説明申し上げたいと思います。  全体的な進め方というのは、先般来御報告してございますように、東京電力にも指示したところではございますけれども、一方で通産省の技術顧問会の中に調査特別委員会を設置いたしまして、先生方の意見も聞きながら、現地調査等も踏まえながら、はたまた会合等を重ねながら、その後ポンプの損傷についての原因の解明等を含め進めておるところでございますが、御指摘の現在の状況でございます。  まず第一点でございますが、原子炉圧力容器の点でございますけれども、これにつきましては、原子炉圧力容器の、これは下の方に制御棒を出し入れする、これはBWRでございますので下からやるわけでございますが、制御棒の案内管というのがございまして、細かくて恐縮なんですけれども、これが百八十五体ほどございます。これをこの際取り出して、いわゆる圧力容器の内部が全体にわたってよく見えるように、こういうこともあろうかと思いますが、そういうことをさせてございます。  その結果、金属のこれ、摩耗粉と我々言っておるようなものが格子板だとか支持板などで若干観察をされてございます。それが第一点。  それから、御指摘の第二番目の燃料、いわゆる燃料集合体のことでございますが、燃料集合体はこのタイプだと全体で七百六十四体入ってございます。その中の入っている場所、それからその当時、具体的に炉内にどういう配置で燃料集合体が入っていたかといったようなことも含めて、代表性のあるところを、二十体ばかりでございますが、取り出しまして、先ほどの圧力容器で御説明したように、これは当然すべて別の場所、燃料の使用済みのプールというのがございまして、そこに持ち出して今置いてあるわけでございますけれども、その中での二十体、代表性のあるものを、燃料の検査装置でもって、どのくらいのものが現にあるのかとか、それからあわせて洗浄をしてどのくらいのものが取れたのかどうかといったようなことを、現状、予備的ではございますけれども、進捗中でございます。  その結果につきましては、燃料集合体にはスペーサーと称するつなぎ、とめているところがございますけれども、そういうところも含めまして小さな異物が付着しているとかといったような状況も観察されておるといったようなところでございます。現状は、燃料についてはそういう意味ではまだ予備的な段階にとどまる、こういうことかと思います。  その他の配管のたぐいにつきましても、その当時、圧力容器につながってございます各種の再循環のラインだとか、それから我々ドレーン管と言っていますが、水抜きの配管等々がたくさんございますが、そういうところにつきましても金属の摩耗粉と思われるものが観察されてございまして、そういう事実、つまりどのくらいのものがどうしたかといったような事実の把握というのを現状としては進めておるということでございますが、かたがた原因等についても調査を進めておる、こういう現状にございます。  とりあえず以上でございます。
  54. 千葉景子

    ○千葉景子君 今、御説明をいただきますと、燃料などについては予備的な調査を行っている段階だということでございます。そうなりますと、この予備的な調査に基づいては燃料全体について再度調査をなさるというようなことも考えられるわけですね。
  55. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 今、私、予備的に二十体の調査をしておりますということで、その結論は今のところまだ、いわゆる評価も含めて出てございません。やはり燃料集合体につきまして一番の基本的なポイントというのは、それが健全に再使用できるか、要するにそういうことも含めて、どのようなものがついて、それがどんなふうに取られて、検査を、洗浄した後どのくらい残っているだろうかみたいなことも含めて、そういう検討評価がこれから先、先生方のお知恵をかりながら進められる、こういうことに相なろうかと思います。現状では、その後について個々具体的には、この場ではまだ確たることを申し上げられませんけれども、その考え方の根本は、基本的には燃料集合体の健全性について最初に確認をする、こういう基本方針でやらしている、こういうことでございます。  以上でございます。
  56. 千葉景子

    ○千葉景子君 今、内部の調査、点検等が行われると同時に、かなりの部分、回収作業も金属片等について、あるいは落ちた欠損部分などについての回収が行われているというふうに思いますが、その回収はどのくらい進められているのでしょうか。
  57. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 金属小片だとか金属の摩耗粉等々の回収の様子についてのお尋ねでございます。  これは、前回御報告して以来、いわゆる回収の量といったようなことも含めてまだ十分御報告するようなまとまったものは手元にございませんけれども、なお、若干重複を避けながら御説明しますと、現在までに原子炉圧力容器の底部でございますが、それから、あと、ジェットポンプの中から、全体、これはもう既に御報告済みでございますが、二十三個の金属の小片、これを回収してございます。  それから、先ほど申しました燃料の集合体、七百六十四体あるんですが、その下部でございますけれども、そこから百六十三個の金属の小片を回収してございます。  それから、あと、座金でございますが、これは既に御報告してございますけれども、三個。それから、その破片だと固定されました破片が三個等が回収されてございます。  現在のところ、そのような状況にございます。  以上でございます。
  58. 千葉景子

    ○千葉景子君 私がちょっと知り得たところによりますと、残留熱除去系のバルブの中から座金の約三分の一個分が回収されたということを聞いておるんですが、それは間違いございませんか。
  59. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 先生御指摘のとおりでございまして、私さきに御報告しました個数の中にそれも含めて言っちゃったんですが、なお念のため御説明いたしますと、先生の今の御指摘のように、これはちょうどその再循環ポンプの、残留熱除去系と先生おっしゃいましたけれども、原子炉をとめた後そこにたまっております熱を除去する系統がございます。これを我々残留熱除去系と言ってございますが、その途中にバルブをおさめておる箱がございます。弁函と称しますが、そこから先生御指摘のように座金の一部が発見されてございまして、これにつきまして、座金に関して言えば紛失した座金が五個あった、こういう御報告をしてございますけれども、今申し上げましたように三個が見つかったのと、あと三分の一相当分といったようなことで、先ほど申したようなことで、座金については小片、破片と思われるものが三つ見つかった。その中に今申し上げたのが入っておる、こういうことでございます。  以上でございます。
  60. 千葉景子

    ○千葉景子君 今指摘をした座金が発見をされた箇所なんですが、循環の様子から考えますと、ここに座金が発見されるということは相当座金そのものがいろいろなところを通ってそこの箇所に到達したとも考えられるような箇所だと言えると思うんですが、ここで発見されたということについては今どんなふうに認識をなさっていらっしゃいますか。
  61. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 系統全体の構成からいいますと、発見された場所、これは今申しましたように残留熱除去系でございます。そういう意味で残留熱除去系が具体的にどういういわゆる構成の中で部分的にあったのかというようなことから御説明が必要かと思いますが、先生の御指摘で今、私がどういう認識でいるかということなんでございますけれども、原子炉圧力容器につながります各種の配管、それから今御指摘のございました残留熱をとる部分、管等も含めて、このポンプが損傷した時点でいわゆる使っていたと申しましょうか回っていたといいましょうか、そういうところにつきましては当然可能性、蓋然性として、大きさだとか粒径だとかというようなことはともかくとして、そういうところまで行っているということは観念的には当然あり得るわけでございまして、私どもといたしましては東京電力について、いわゆる系統、先ほど申しました管類、配管類も含めまして徹底的に探索をするようにという指示をしてございますので、このような箇所も含めてなお一層回収、その前の探索に全力を挙げるようにということでございます。  以上でございます。
  62. 千葉景子

    ○千葉景子君 今おっしゃられたように、原理的にはこの箇所にあるということはかなり移動をしてこの箇所まで到達をしたということも考え得るわけで、そうなりますと他の箇所などでもどんな状況が生まれているか、まだまだわからない点がたくさん残されていると思います。そういう意味では今後の調査あるいは洗浄、回収、こういうものについては万全を期していただきたいと思いますけれども、その点についてはどう御指導なさっていくつもりですか。
  63. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 先生まさに御指摘のように、いわゆる異物の調査につきましては、もともとは原子炉の再循環ポンプの損傷から発生したものでございます。これがどのように系統の中に広がって分布しておるのかといったようなことを極めて慎重に十分に科学的な技術に基づいて調査、固定を進めていくというのがまずは大事だと思います。現状では、それぞれのその当時動いていた系統、先ほどの話の繰り返しになって恐縮なんですけれども、水抜きの配管までを含めまして幅広くどういうところまで分布したかという分布状況の把握を、当面サンプリング等々を使って、量であるとか、その性状だとかいったようなことを十分万遺漏なきようにやるようにということで、先生の御指摘も踏まえながら、ぜひ十分の体制で電力会社を指導してまいりたい、こんなふうに思っておるところです。  以上でございます。
  64. 千葉景子

    ○千葉景子君 慎重を期して今後も継続をされるということですから、これはもう当然のことながら、運転の再開などについては今まだ考えられない状態だと思います。そして、運転再開などについても、これはまさに慎重の上に慎重を期していただかなければいけないわけですけれども、今後のこの調査にかかる時間というんでしょうか、その見通しとか、あるいは運転再開などについての考え方、この点について基本的な立場を明らかにしていただきたいと思います。
  65. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 基本的な通産省のスタンスでございますが、本件につきましては、日本における原子力発電所のいわゆる故障だとか、過去に起こったさまざまなことがあった中で、いろいろ今後の日本原子力発電所をより安全なものにするために、いわゆる教訓、教材となる幾多の点があろうかというふうに私どもは認識してございます。  そういう観点で、今回ただいまのところは、去る四月に第一回の会合を開きました調査特別委員会の先生方の御指導も得ながら、それから数カ月たっておるわけでございますけれども、原因の特定、それから先ほど来の御指摘ございますところの金属片等の固定も含めまして、慎重の上にも慎重にやらなきゃいかぬだろう。その結果があわせて日本原子力をより安全なものにする糧となればといったようなことで今現在考えてございまして、そういう意味合いにおいて、現状で運転の再開のタイミングだとか時間を限ってどうするといったようなことは考えてございません。今後とも原因の特定、それから種々さまざまな御指摘のございましたような各般の調査のポイントを進めてまいるということで考えてございます。  以上でございます。
  66. 千葉景子

    ○千葉景子君 次に、またまた福島の話で恐縮でございますけれども、今度は福島第一原発の五号機、ここでひび割れが発見をされた。これも報道等もされていることでございますけれども、ひび割れというんでしょうか、これについての内容、どういう箇所で、どういうものであって、どんな状況なのかということをまず御説明お願いいたします。
  67. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 福島第一原子力発電所の五号機で観察されました原子炉再循環ポンプの軸のひび割れについてのお尋ねでございます。  最初に概略的に御説明申し上げますが、再循環ポンプの軸、これは回転しておる軸でございますが、主軸のひび割れ、これはごく表面の近くにおいて、いわゆる低温側から来る、軸封部と言ってございますが、これはシールしているところがございます。軸封部のシールする水、これは温度が傾向的には冷たい、四十度とか五十度でございましょうか、そういう水と、炉の本体の方の温度である高温側のいわゆる冷却水がまじり合うところでもって発生をしてございまして、その発生の部位、それから発生の代表的な特徴から申しまして、我々としては、これは熱疲労割れではなかろうか、熱疲労割れであろうというふうに考えておるわけでございます。そのことにつきましては、原因として今申し上げましたような温度差によって生ずるといったようなことで、表面から主軸の内側に入るほど温度差の影響は当然ですけれども少なくなるといったようなことがございますので、表面のごく近傍以上には進展しないようなものであろうという評価が得られてございます。  したがいまして、福島の第一の五号機における主軸のひび割れといったようなことにつきましては、いわゆる安全評価と申しましょうか、安全上特段の問題などはないかと思いますけれども、なお今後念のためにさらに詳しい調査というふうなことを考えてございますけれども、概要は以上のようなことでございました。  以上でございます。
  68. 千葉景子

    ○千葉景子君 このひび割れが発見されるに至った経緯をちょっと御説明いただけますでしょうか。
  69. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 福島第一原子力発電所の五号機でございますが、第九回の定期検査をしてございます。再循環ポンプはA号機、B号機と二つあるわけでございますけれども、要するに二台の再循環ポンプのうち、今回、第九回の定期検査におきましては、A号機の方でございますが、これにつきましては定期検査の対象ということで原子炉再循環ポンプについては予備品と取りかえてございます。  この際Bにつきましても、これは交代交代に、定期検査の一定の間隔ごとにいわゆる精密点検、ばらして点検するという分解点検でございますが、その点検の機会に取りかえ補修等を行うわけでございますけれども、B号機については、これはボランタリーと申しましょうか、電力会社の任意の行為として点検をしたわけでございまして、その過程で表面に極めて細微なひび割れがあったということでございますけれども、先ほど申しましたように安全上の観点、それから五十九年当時から幾つかのBWRについても同様なことが把握され、原因等につきましても理解されているといったようなことも含めまして、B号機につきましては次回の定期検査におきまして取りかえよう、こういうことに相なった、こういう理解でございます。  以上でございます。
  70. 千葉景子

    ○千葉景子君 A、B二台のポンプということで、今回ひび割れが両方に発見されたようですけれども、Bについては、本来の定期検査の詳細な点検ではなくてボランタリーな意味で点検がなされたということですけれども、これはどういうことで特にこちらも点検をするということになったわけでしょうか。
  71. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) この事柄の経緯につきましては、先生御案内のように、いわゆる水中軸受けについて点検をしておるわけでございますが、水中軸受けをこの機会、いわゆる定期検査の機会に取りかえようということで、B号機についても取りかえるということで進めてまいりました。その過程で、当然ではございますけれども、B号機についても当該箇所がいわゆる分解されるといったようなことが機会としてございましたので、そういう機会をとらまえてA号機と同様に詳細な点検をBについてもやった、こういう経緯だと承知してございます。  以上でございます。
  72. 千葉景子

    ○千葉景子君 この定期点検の予定はいつからだったのでしょうか。といいますのは、実はこの定期点検に入る前に、この二台のポンプのうち一台は既に停止をして、そのために原子炉そのものが停止状態に入っていたというふうに報道されているわけですけれども、その辺のちょっと事情を御説明いただけますか。
  73. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 先生御指摘のように、福島第一原子力発電所の五号機につきましては、現在第九回の定期検査中であるということでございましたけれども、これは平成元年の二月の二十七日から開始されてございまして、この定期検査に入るきっかけとなりましたのが、これもまた先生にしかられるわけでございますけれども、これは二月の二十六日という報告がございます。午後七時二十七分とございますが、原子炉再循環ポンプの駆動用の電動機、この電気回路がございますが、そこに設けられてございます、我々はリレーと言ってございますが、保護用のスイッチでございますね。スイッチが動作いたしまして、ここにございます二つのポンプのうちAが停止してございます。この第一原子力発電所の五号機につきましては、先ほど来御指摘ございました百十万というよりもう一回り小ちゃなタイプ、出力で言えば七十八万四千ということでございまして、この出力が再循環ポンプの一台が停止したということでもって、約半分でございましょうか、三十九万キロワットまで出力が低下してございます。  我々といたしましては、その後原因を固定するといいますか、特定するためには、詳細調査のためにはやはり原子炉をとめた方がよかろうという判断で、手動で原子炉を停止したということでございます。原因等については、当然特定され、かつ対応もできておるわけでございますけれども、この第一発電所の五号機の定検に入る経緯につきましては先生の御指摘のように以上のような事情がございました。  以上でございます。
  74. 千葉景子

    ○千葉景子君 先ほど、今回のひび割れについて評価としては安全性に問題はないというようなお考えでございましたけれども、その評価についてなんですけれども、これはひび割れが入っても安全性に問題はない、軸の強度などには影響がないということなんですけれども、ここをもう少し説明していただきたいんです。この強度などについてはどのような形で強度試験、あるいはそれから評価というものが行われているんでしょうか。
  75. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 先ほど来いろいろ御説明しましたけれども、若干専門的で恐縮でございますけれども、御説明申し上げます。  これが第一に熱の疲労割れであるということを私申し上げましたけれども、その考え方の根拠と申しましょうか、ペースにございますのは、先ほど申しましたように当該箇所の水の流れに着目した場合に、上から来る、いわゆるシールする水、これは四十度から五十度ぐらいの温度だと思いますが、それと、一方では主軸の、我々はラビリンス部と言ってございますけれども、その部分に下から上がってくる原子炉の冷却材、これの温度差が当該箇所で混合する形になってその結果が交番する、繰り返しの応力のかかりやすい、熱応力がかかりやすいところであろうといったようなことが一つございますし、また形状についても、破面の観察、それから表面のPTと申しまして液体浸透の検査、ちょうど絵の具なんかを塗るような感じで上に塗りましてひび割れを見るといったような専門的な検査の手法がございますが、浸透探傷の検査等々を使いましてこの模様なり様子が極めて特徴的な熱広がりの性状、形を示しているんだといったようなことから、我々は、まず第一に熱による疲労ではなかろうか、疲労である、こういう判断を一つしたわけでございます。  御指摘の力、それから同じくこれが亀裂が入った後どこでとまるんだといったようなことにつきましては、先ほど来申してございます温度が中に入るに従ってその幅がだんだん少なくなってくるといったようなことを念頭に置きながら、我々の世界でよく、応力がどのぐらい拡大していくのかというのを材料が持っている粘さとかこわさとの関係で比較をいたしまして拡大係数が正だとか負だとか申しますけれども、そういう評価を熱疲労の亀裂の進み方、進展の評価としてやってございます。そういうことをかたがた先生方ともこれを相談して過去勉強してきたわけでございますけれども、そのときの研究なり評価なりの結果では、最大見ても、これ安全側に見ても六ミリ程度ぐらいかな、これはそれまで以上は進まないだろう、こういう評価をいただいております。  一方、先ほど申しましたように、この再循環ポンプの主軸につきましては力をいろんな意味で受ける。例えば、押しつぶすような力だとか曲げだとかねじりだとかいろいろあるわけでございますが、そういう力について主軸の材料の強さ、それから直径等々を評価いたしますと、工学的な判断、技術的な検討の結果、十分まだ余裕があるといったようなことになってございます。  以上でございます。
  76. 千葉景子

    ○千葉景子君 そういう評価、あるいはいろいろな実験等の結果、安全だという評価をなさっているものだというふうに思うんですが、このひび割れというのは、今回に限らず、以前にもやはりこういうひび割れというのは指摘されたり、あるいは定期検査の中で発見をされたりしているのではありませんか。
  77. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 先生御指摘のように、この福島第一原子力発電所五号機で観察されました表面の微細なひび割れにつきましては、我々の調査だと、昭和五十九年ぐらいから幾つかのBWRのプラントでは同様に、同じような原因、同じような事象ということで観察されてございます。それぞれ、もちろん安全評価上問題はないということでほうっておくといったような対応は原子力の安全の世界ではとり得ないということで、原子力をやっておる電力会社にはその都度対応、安全上問題ないんだけれども発生しないにこしたことはないし、念のためやるべきこととして、一つは先ほど来申しましてございます原因を根元から断つ、具体的には温度差がつかないようなそういうやり方があるんじゃなかろうか。上から来るシールする水とその下からの冷却材の温度差、これをできるだけ少なくするような、つまりシール水の注入する量を低減させるといったようなことをやるのが一つ必要かなといったようなこと。それから若干これは対症療法的でございますけれども、先ほど来申しました分解点検のときにまできるだけその機会を利用して当該ひび割れの有無についてももちろん点検をするし、あわせて取りかえ等もできるだけやりなさいといったような指導をしておるわけでございまして、そのようなこと等を踏まえながら今後考えていきたいと思いますが、おっしゃるように五十九年当時から先生おっしゃるようなことがございました。  以上でございます。
  78. 千葉景子

    ○千葉景子君 このひび割れについては、先ほど安全性の評価についてお聞きしたんですけれども、最終的には原子力発電技術顧問会などで安全性というものが確認をされるといいましょうか、評価をされるという形になるんですか。
  79. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) このような件も含めまして、いろいろ原子力発電をやっている過程ではトラブル、程度はございますが、このような安全評価のことも含めて混乱することも多々あろうかと思いますけれども、今回の例も含めまして過去にも先生方にも御相談しながらやってきたということでございますが、なお念のためにさらに詳しく調査を行うといったようなことも含めまして必要があれば先生方にも相談をしていくということでございますが、基本的には行政庁としての通産省の技術的な評価、判断について先生方に御意見を伺う、こういうことになろうかと思います。  以上でございます。
  80. 千葉景子

    ○千葉景子君 このひび割れにかかわりましては、今回は順番としてAポンプの方については取りかえる、Bについては次回の定期検査のときに取りかえるというお話ですけれども、このひび割れについては、例えばポンプを取りかえる基準とか、こういう状況のときには取りかえるとか、あるいはこの程度であればまだ、次回に回すとか、その辺の基準とかはございますのですか。
  81. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 先ほど来御説明申しておりますところの具体的な安全上の問題ということにつきましては、その原因、それから事象の評価、進展のぐあいといったようなことで安全上問題がないというような趣旨におきまして、現状のレベルであれば評価の基準を先生御指摘のようなことを待つまでもなく、数ミリということであれば問題ないということではございます。そういう意味でこのようなこと、これは確かに原子力発電所が常々モットーとしてございますところのいわゆる予防保全と申しましょうか、そういうことからすればそういう微細であれ安全評価上いろんなことを議論をしている、確信を持って大丈夫だということは言えるわけでございますけれども、もちろん完璧にない方がいいに決まっているわけでございまして、そういう観点で今先生御指摘のどういうレベルだったらどうかといったようなことは、ちょっと今そういう質問から外れるかもしれませんけれども、我々としては安全上もっと恒久的な対策といったようなことについても電力会社にこの機会によく勉強し、研究するようにといったようなことで指導してまいろうかと思ってございます。  以上でございます。
  82. 千葉景子

    ○千葉景子君 今回のひび割れにつきましては、地元の町長さんからもAを取りかえるだけではなくて、同じような形状でのひび割れであるとすれば、Aを取りかえるならばBも取りかえてほしい、そして安全に十分に配慮をしてほしいというような要望も出ているようなんですけれども、Aを取りかえるということであれば、ほぼ同じ状態であればBも取りかえてしかるべきだという気もします。確かに順番はあるということですけれども、この点についてそういう地元の意向なども踏まえていかがでしょうか。
  83. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 先生の御指摘のように、原子力発電につきましては常々安全、いわゆる安全性固有で、もちろん安全性に問題があれば問題にならないわけでございまして、安全評価、安全上の問題にならないということは大前提でございまして、それにつきましてはるる御説明したようなことがあろうかと思います。  ただ、先生の御指摘のように、一方では地元の方々の十分な理解、これは取りかえるというようなことではない、いろんな意味での十分に説明を東京電力からさせる等々も含めて、地元の方々の、特に地元の町の方々等も含めて不安があってはなりませんので、そのあたりは十分の手段を電力も我々も考えなきゃいかぬというふうに思ってございますけれども、先ほどの我々の申しました安全上の問題については全く問題はないと思いますけれども、なお念のためさらに詳しく調査をしているという段階でございまして、いずれにしても地元の方々の理解を得ながら原子力発電の安全については、安全性固有のということ以上に十分配慮していきたい、こういうふうに思ってございます。  以上でございます。
  84. 千葉景子

    ○千葉景子君 理解を求めてということですけれども、片方を取りかえ、片方は取りかえずというような形ですと、なかなか理解を得るというのは難しい点も私はあるんじゃないかというふうに思うんですね。確かに通産省の方で安全性については十分に確認をされた上でということですけれども、こうなりますとひび割れについては存在をしても、あるいは発見されても通常は取りかえるときまではそのままにまたしておくということになるわけですよね、今の大体御説明から、あるいは取りかえる時期などを考えますと。そうするとひび割れたまま運転しているんだなということを地元の方も考える、あるいはそれがさらに進展をするんではないか、こういう懸念も当然出てくるわけですので、その点についても十分にまた今後検討をしていただきたいというふうに思いますが、いかがですか。
  85. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 先生の御指摘のお話で、なお一層、我々の念頭にありますのは、原子力発電のいわゆるこのようなささい、微細な安全上との関係でありましてもなお念のために一〇〇%を期すという立場で、特にこういう局面につきましては、研究開発だとか技術の進みぐあいといったようなことも含めて、十分安全なものではありますけれども、このようなことがないように、抜本的なこともかたがた考えるといったようなことを多様に考えることによって先生の御期待に沿いたい、こういうように努力してまいりたい、こういうふうに思います。  以上でございます。
  86. 千葉景子

    ○千葉景子君 このところ、やはり事故あるいは不都合というんでしょうか、いろいろな形で問題が出てきておりますので、評価としては安全に問題はないということではあろうかと思いますけれども、ぜひ全体的な意味で原子力発電所の十分な安全性、あるいはそういう不都合が起こらないような手段、そういうものについて今後ともきちっと対処をいただきたいというふうに思います。  ちょっと時間の関係もございますので、法案の方に移らせていただきたいというふうに思います。  今回の新技術開発事業団法でございますけれども、改正必要性というんでしょうか、なぜこういう改正をしなければいけないかということで、何点か提案理由の中でも御指摘をされているところでございます。  その第一としては、やはり研究交流日本外国と非常に不均衡である、いわゆる基礎研究日本がただ乗りをしているのではないか、こういう批判に対して対処をしていかなければいけないということが挙げられておりますけれども、これは一体どういう批判というんでしょうね。どこからどういう声があったということではなかろうかと思いますけれども、どういう批判が起こっておる、あるいはそれからこの不均衡の実情、その点について御説明お願いいたしたいと思います。
  87. 石塚貢

    政府委員(石塚貢君) 初めに基礎研究ただ乗り論につきましての御質問でございますので、その背景等についてお答え申し上げたいと思いますが、今日の我が国経済成長、経済発展といいますか、大変目覚ましいものがございます。これは、これまで欧米から技術導入といったものを初めといたします積極的な研究開発、それからその成果を利用した産業振興、そういったものに対する努力の結果によるところが大きいということでございまして、我が国科学技術の水準は産業技術を中心に今や多くの分野で欧米と並ぶようになっているというのが現状であろうかと思います。  そこで、これまでの我が国は、どちらかといえば投資効率の高い技術導入による製品開発、そういったものに重点を置いてきた面もあるわけでございまして、また一方、研究開発成果というものの見通しが不明確、あるいは長期の研究開発を要するといった、そういう基礎研究に対する取り組みが欧米諸国に比べますとややもすると少し十分ではないのではないかといった、そういう御指摘が内外からあることも事実でございます。そこで、こういったことがいわゆる基礎研究ただ乗り論というふうなことになって批判につながっているというふうに私どもは認識をいたしております。  今日、この経済大国となりました我が国国際社会における役割、これはますます増大しているということでございまして、今後はその成果といったものが、国際公共財といったようなものになる、そういう位置づけを持っておりますこの基礎研究といったものをもっともっと振興いたしまして国際貢献を果たしていくというのが国際的な現在責務になっているというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  88. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 研究交流の不均衡についてのお尋ねの部分をお答えしたいと思います。  我が国と主要先進国との間の研究交流につきましては、相手の先進国で研究を行う日本人の研究者の数と日本国内に参りまして研究を行っている外国研究者の数の間に非常に大きな不均衡があるということでございます。科学技術庁昭和六十二年度に国立試験研究機関について調べましたデータを見ますと、この数字は、日本国立試験研究機関等から主要先進国に派遣をされている研究者の数が千二百九十三人、それに対してそれらの諸国から日本研究機関に受け入れております数が百九十八人ということで、その比率がおよそ七対一という数字になっておるわけでございます。研究者交流というのは、もちろんバランスのとれた形で発展をさせていくことが望ましいわけでございまして、日本への外国研究者受け入れを早急に拡大をしていかなければならない、二のように考えておるわけでございます。
  89. 千葉景子

    ○千葉景子君 今実情あるいはさまざまな内外からの意見というものをお聞きしまして、確かにどうも日本は金もうけになるところは大変積極的でうまいんですけれども、なかなか基礎的部分あるいは余り金にならないような部分というのはどうもいま一つ積極的でないというところもやはりあるんじゃないかと思います。  そういう意味では、ぜひそういうこれまで不十分な部分を積極的に進めていただくということはこれから大変必要なことだと思いますが、ただ国際的にそういう交流を進めるに当たっても、やはりその基本の姿勢としては世界を平等にというんでしょうか、東の諸国、西の諸国を問わず、あるいは途上国との間でいろいろな形で均等におつき合いをしていくということが必要ではないかと思いますけれども、この基本的な姿勢というんでしょうか、交流に当たっての考え方、これはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。
  90. 石塚貢

    政府委員(石塚貢君) 国際対応を重視する、国際協力を重視するということにつきましては、午前中の大臣も答弁されたとおりでございますが、基礎研究推進重要性あるいは国際貢献、国際対応といったものに十分意を用いなければいけない。これは我が国科学技術振興政策の基本となっております科学技術政策大綱昭和六十一年に内閣が決定したものでございますが、その中におきましてもこの二つというのは重要な柱となっておるわけでございまして、これまで政府はこの大綱に従いまして基礎研究推進あるいは国際研究交流促進のため種々の施策を講じてまいったところでございます。  例えば科学技術会議、これは内閣総理大臣諮問機関でございまして、我が国科学技術政策の基本審議、決定いたします最高の審議機関でございますが、そこにおきましてもこの国際対応ということにつきましては議論を深めているということでございます。昨年の秋、国際問題、科学技術政策における国際対応のあり方といったものにつきまして中間報告を懇談会の報告という形で出しておりますが、その中におきましても、先進国間の協調のほかに、開発途上国との関係におきまして、それぞれの国々の実情を踏まえたきめ細かい国際対応を自主性を持って積極的に進めていくべきだという提言をされておるわけでございまして、私ども行政をあずかるものといたしましては、そういった方向に沿って努力を傾注しているところでございます。
  91. 千葉景子

    ○千葉景子君 さらに、この改正の必要とされた理由としては、科学技術分野交流を総合的にやる機関、それがこれまで欠如している。これを何とか充足をしていくということのようでございますけれども、これまでの交流受け入れ制度というのでしょうか、受け入れ体制、各省庁にまたがっているかと思いますけれども、どんな受け入れ体制でこれまでは行われてきたんでしょうか。
  92. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) これまでの外国からの研究者受け入れにつきましては、それぞれの国立の研究機関がそれぞれ個別ではございますが若干の研究者受け入れる制度を持っておりまして、乏しい予算の中ではございますけれども個別に対応してきたということでございます。  また、それ以外に、例えば日本学術振興会が受け入れ機関となりまして、これは主として文部省の、大学の関係で受け入れを実施をするというような制度がございましたし、また経済協力の関係では国際協力事業団が、発展途上国からの、これは研究者と申しますよりは研修員でございますが、これを受け入れをするというようなことがございました。研究者に限って申しますと、学術振興会の方は大学が受け入れをするわけでございますので国の試験研究機関への受け入ればタッチしてございませんので、まとまった制度というものは特になかったかと思います。
  93. 千葉景子

    ○千葉景子君 そういう意味では、今回総合的に窓口を組織するということには大変大きな意味があるんではないかと思うんです。ただし、今回の改正によりまして一定程度の進展はあろうかと思うんですけれども、これで本当に今後十分な体制なんだろうか、あるいはまだまだ不足する部分とかあるいはさらに整備していかなければいけない部分もあるんではないかという気がするんですけれども、一体今回のはどの段階といいますか、これで第一歩なんですか、それともこれで大分充足をされるというふうにお考えなんでしょうか。
  94. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 先ほど大臣も、今回の法律改正国際研究交流促進の、国際貢献の第一歩であって、一里塚であるというふうにお述べになったわけでありますけれども、私どもも、これは非常に重要な第一歩ではございますけれども、これで事足れりということではないというふうに考えてございます。  数字で申し上げましたように、国の研究機関は私どもの調査だけでも七対一、絶対数で千人以上の格差があるわけでありますし、フェローシップ制度でカバーできる研究者の範囲というのも、これは若手を中心にした研究者ということでございますのでそれなりの特定されたものになろうかと思います。私どもといたしましては、これを一つの手がかり、出発点として、さらに各般の施策整備をいたしまして国際研究交流をますます盛んにしていくように努力をしていきたいというふうに考えております。
  95. 千葉景子

    ○千葉景子君 それでは、少し具体的な内容についてお尋ねをさせていただきたいと思いますが、今回、改正によりまして事業団に追加される主要な業務、その大きな柱の一つがフェローシップ制度の運用ということになるわけですが、フェローシップ制度について若干御説明をいただければと思います。
  96. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) いわゆる科学技術庁フェローシップ制度でございますが、先ほど来申し上げておりますような研究者交流の内外不均衡を是正するという意味で、外国研究者日本の国立試験研究機関で研究をしていただくチャンスをつくろうという趣旨で六十三年度科学技術振興調整費を用いまして創設をされた制度でございます。初年度予算枠といたしまして、研究者の数で百人の枠を設定いたしました。  まず、資格でございます。研究者につきましては、いわゆるドクター、博士号を持っている原則として三十五歳以下の若手の研究者ということにいたしまして、それから、日本研究所で研究をするということで、研究テーマが日本受け入れ側の研究機関にとって受け入れ可能であることが必要でございます。  待遇といたしましては、往復の航空運賃を支給するほか、生活費といたしまして月額二十七万円の手当を差し上げる。それから家族がおられる場合には月額五万円の手当を差し上げる、住居手当を差し上げる、あるいは移転料、国内旅行費などもある一定の限度額で差し上げるというような仕掛けで制度を運用しているわけでございます。
  97. 千葉景子

    ○千葉景子君 先ほど、従来の受け入れ体制というんでしょうか、そういう御説明をいただいたわけですけれども、このフェローシップ制度との関係ですね。両建てといいますか、それから研修の部分が多いのと、今回は基礎的部分ということもあろうかと思いますが、従来の制度とのかかわりはどういうことになりましょうか。
  98. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 先ほどの説明、若干舌足らずで申しわけございませんでしたが、従来、個々の研究機関が乏しい予算をやりくりして受け入れをしていると申し上げましたが、それらの研究機関で受け入れております研究者というのは短期間のものがほとんどでございます。  私どもが今度始めました科技庁フェローシップ制度というのは、最短で六カ月、最長で二年までの滞在を認めております。比較的腰を据えて研究をしていただくということでございます。従来やっているのは、ちょっと何といいましょうか、短期滞在をして指導をする、あるいは交流をするというようなことでございました。  それから、国際協力事業団がやっておりますいわゆる経済協力として受け入れております研修員の方は、研究所で受け入れをしてお手伝いをするケースもございますけれども、これはまず来る国が途上国に限られていること、それからドクター号を持った専門家であるよりはむしろもっと技能的と申しましょうか、実務クラスの人でございまして、高い研究水準を持って日本研究に来るということではなくて、いわば研修のため日本にお招きをして日本側でそれに対して研修という形で協力をして差し上げている、こういう形でございますので、性格的には全く違うものというふうに御理解いただければ幸いでございます。
  99. 千葉景子

    ○千葉景子君 フェローシップ制度では手当等も支給をしながらある程度の長期間研究をしていただくということかと思いますけれども、二十七万円、御家族がいて五万円、必ずしも本当に十分かなというところもありますけれども、先ほどおっしゃっているようにこれが第一歩ということでもございます。  日本から外国に行って研究をなさっているケースなどを見ますと、物価の問題あるいはいろいろな施設の問題等も含めてかなり余裕を持ってというんでしょうか、そういうケースも多いやに聞いておるんですけれども、今後ともこういう部分も充実をさせながら、日本に来て研究のしがいがあったと、こういう方向にぜひまた進めていただきたいというふうに思うわけです。  それにかかわりまして生活環境整備事業、これも今回新しい業務として追加をされるようですけれども、宿泊施設の整備あるいはいろいろな日本語研修、生活相談等が考えられているようですが、宿泊施設五十戸をとりあえず予定をされているということなんですが、人数から考え、五十戸というのはこれで足りるんだろうかという感じもいたしますが、全体としてはこれを含めて宿泊施設、住まいなどについてはどんなふうに手当てをされる予定でございますか。
  100. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 外国研究者受け入れに関連いたします生活支援業務、先生がおっしゃいましたように、これらの研究者のための宿舎の設置、運営、これが一番大きなものになりますが、それ以外に日本語を希望される方には日本語の研修をすること、あるいは英語を初め外国語でそれらの方々への生活相談などに応ずることなどがございます。  さて、宿舎でございますが、宿舎は可能な場合には民間のアパートなども活用する、あるいは一部公務員住宅などを転用しているケースもございますが、できる場合には民間アパートを活用するということでとりあえず対応しているわけでありますが、特に筑波地区につきましては外国研究者がかなり集中をしておりまして、民間のアパートで対応することが今後次第に困難になってくるんではないかということが予想されますので、政府が責任を持って外国研究者受け入れる以上、そこの体制の万全を期する必要があるということから、初年度の枠が百人であるということもあり、とりあえずの措置としていわば最低限度のものとして五十戸をまず筑波地区で建設をしよう、こういうことでございます。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、こういう今後ますます増大をさせていかなければなりません外国研究者の方々が日本で安心して研究生活が送れるように、今後いろいろ施策充実を図り、環境の整備を図ってまいりたいというふうに考えております。
  101. 千葉景子

    ○千葉景子君 いろいろ文化様式の違い等もございます。世界の各地からということになりますと、なかなか民間のアパート等では生活に不自由するというような部分もあるのではないかというふうに思います。予算の関係もございますから、なかなか一度にというわけにはいかないかと思いますけれども、そういう部分もぜひ今後逐次整備をいただきたいと思います。  さらに、日本語研修あるいは生活相談、何か英文生活情報誌のようなものも提供なさるという予定のようでございますけれども、これも文化の違い、あるいは英文情報誌ということでございますけれども、何カ国かの言葉を使ったそういうものも検討されてもいいんじゃないかというふうに思うんですが、このさまざまなバックアップ体制のようなもの、これについてはこの法案に基づいてということになりましょうけれども、どんなような準備立てあるいは検討を開始をされているんでしょうか。
  102. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 現在、法案を御審議いただいている過程でございますので余り先走ってはいけないわけでありますけれども、初年度のフェローの方々が既に参っておりますので既に支援事業は始めております。それで、現在その受け入れ事業団がまだできておりませんので、現在、民間の財団法人に一部そういう機能を肩がわりしてやっていただいております。日本語の研修あるいは若干の生活相談的な事業を筑波を中心に始めたところでございますが、今後これらの民間の団体あるいは一部民間の篤志家といいましょうか、ボランティアといいましょうか、外国生活経験のある方あるいは外国人で長年日本に住んでおられる方々、こういう方々の善意のお力などもおかりをしながら事業を進めていきたいというふうに考えております。  日本語研修につきましては、筑波で現在日常会話のクラスを既に開設しておりまして、週二回、一回二時間というようなことで、初級中級のような中級のコースを始めてございます。  その他パンフレット等の準備につきましては、先ほど申し上げました財団を中心に若干の予備的な検討が進められているところでございます。事業団発足の暁にはそういうところと提携をして進めてまいりたいというふうに考えております。
  103. 千葉景子

    ○千葉景子君 さらに、今回の事業の内容として情報提供事業、とりわけこの内容としては外国人研究者研究交流を行いたいという研究者のリストなども作成して、それをあっせんをするというようなことを中心に考えておられるということですけれども、これはどういう形で、研究交流を行う意思のある者といっても漠然といませんかというわけにもいかないかと思いますけれども、どういうような形で情報収集あるいは提供をなさっていくことになりましょうか。
  104. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 情報提供業務は両方向ございまして、日本情報外国提供すること、外国情報日本提供すること、双方ございますが、御指摘のように日本研究開発状況がなかなか外国に伝わってないので、そうでなくてもアンバランスが激しい、研究交流が拡大しにくくなっている。そこを何か情報提供してくれというのが外国からの大変強い希望でございます。  そこで、日本からの情報は幾つかのものを考えておりますが、一つは日本研究開発動向などに関する情報を、これは英文で小冊子のような文献情報にまとめまして、外国研究者あるいは研究所の管理者などに提供するということを考えてございます。  それからもう一つは、御指摘のように、日本研究者日本にいて研究活動をしているんだけれども、外国研究者受け入れてもいい、あるいは外国と共同研究などをやってもいい、そういう能力があるというような人がいるはずでございますので、こういう人たちを何とか拾い出しまして、それを英文、和文でディレクトリーといいましょうか、名簿のような形にして、それを外国提供するようなことを考えたいと思っております。情報の収集方法については、目下検討中でございますが、いずれしかるべき方法でしっかりした情報を集めたいと思います。
  105. 千葉景子

    ○千葉景子君 研究者もすそ野が大変広いと思いますし、ぜひそういう意向をくみ上げるようなよい手続といいますか、考えていただきたいというふうに思います。  そして、フェローシップ制度の運用とともに、これも大きな柱かと思いますが、国際共同研究事業、これを進めるということが業務の大きな柱となっているようでございますけれども、これは従前の共同研究の形と、今回とりわけて事業団業務としてこういうものを取り上げられる、その特色ですね。そのあたり説明していただきたいんですが、特に三十条の二が適用除外ということになっているようでございますけれども、それによってどういう特色が出ているのか、その点についてちょっと御説明お願いします。
  106. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 御指摘の点は、新技術開発事業団が行っておりますいわゆる基礎的研究についてのやり方の問題でございます。  基礎的研究と言っておりますが、これは法律上の用語で定義をされておって、非常に特殊な定義をしてございますが、その意味での基礎的研究事業団は従来からやっているわけでございます。従来やっております基礎的研究というのは、実は予算上はたびたび出てまいりますが、創造科学技術推進制度ということでやっている事業を指しております。これは専ら日本国内で研究を実施しておりまして、もちろん日本国内でやる場合に、外国人が参画することを妨げているわけではありませんけれども、日本国内で実施をすることを想定しておりますので、それに合うような形で研究の実施方法を法律上定めてございます。  すなわち、創造科学技術推進事業として基礎的研究を実施する場合には、それに従事をする研究者というものは、この事業団が直接雇用するという形で事業を実施しなさい、こういうふうに定めているわけであります。  さて、ところで、国際化ということで外国と共同で研究をする必要が生じてまいりました。国際共同研究と申しますのは、いろんな形があろうかと思いますが、ごく一般的に考えまして、日本側の実施主体と外国側の実施主体がお金と人を出し合って一緒にやるわけでございます。したがいまして、今までやっておりました、専ら日本側が主体でやっている制度では不都合を生じてまいります。特に、今の研究者を雇用するという面につきましては両方が持ち寄るわけでありますが、今の法律の三十条の二をそのまま適用いたしますと、外国と共同で研究をする場合でも日本側の事業団に相手側の研究者を全部雇用しなければいけないということになってしまいます。それは国際共同研究をやる場合には甚だ不都合になる場合が多かろうと思いますので、そういう国際共同研究を実施する場合には、相手側の研究者をこっちに雇わなくてもいいというふうな特例を設けたということでございます。
  107. 千葉景子

    ○千葉景子君 幾つかの具体的な業務についてお尋ねをさせていただきましたけれども、フェローシップ制度、これも先ほどからお聞きしておりまして、大分多様な国から受け入れをされているというような現状のようでもございます。今後の見通し等についてお尋ねをさせていただきたいというふうに思うんですけれども、どういう国々へこのフェローシップ制度を、御案内しているというのはおかしいですけれども、どういう機関などを通じてこういう制度を広げていかれようというのか。それから、今後人数とか、あるいは対象国、こういう広がり、あるいはその点について今後どんなふうに推移をされるか、考えていらっしゃることをお答えいただきたいと思います。
  108. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 先ほどもお答えいたしましたように、初年度の百人の受け入れ枠はおかげさまで達成をいたしまして、これらの人々は、百人の人たちを国別に展開をいたしますと二十三カ国、受け入れ機関別に展開をすると八省庁三十七機関にわたるという大変バラエティーのある制度でございます。国の二十三カ国は、欧米先進国が四分の三、それから発展途上国が十九人、それからいわゆる共産圏、東側の諸国が数は少のうございますが四名ということになっております。この実績が示しておりますように、私どもこのフェローシップ制度を広く世界の各国を対象に、今後とも運用をしてまいりまして、人数の拡大を図っていきたいというふうに考えております。  このフェローシップ制度、先ほども御説明しましたように、発生的には外国との研究のインバランスを是正をしていこうということで創設をされたわけでありますけれども、この制度の趣旨にかんがみまして、発展途上国であろうと何であろうと、とにかく優秀な研究者であれば受け入れをしていきたい、優秀な研究者であって日本研究所に来ていただくことにふさわしい方であれば広く受け入れをしていきたい、こういうことでございます。  制度のPR、これは若干時間がかかっていこうかと思います。いい実績を上げていくことが何よりのPRだと思いますけれども、既に内外で非常に大きな関心を集めておりまして、外国も含めマスコミでも取り上げていただいておりますし、また関係の政府機関でPRをしていただいているところもございますし、日本研究所でいろいろ口コミといいましょうか、研究者のネットワークを通じて案内をしているようなこともございますので、次第に広く世界に浸透していくのではないかと思っております。  受け入れの拡大については、二年度目は御案内のとおり百三十人の枠でお願いをしております。三割ずつふやしていけばいいのかと言われますと、私どもも先ほども申しましたように、内外のギャップは千人もあるわけでございますので、七対一の格差、千人のギャップというものを早く埋めていきたいということでここは頑張ってまいりたいと思っております。
  109. 千葉景子

    ○千葉景子君 ぜひいろいろな機関を通じて、あるいはこれまでに既にある研究者間の交流などを通じて世界にお広げをいただきたいと思いますが、これまでそういう交流関係がどちらかといえば弱いとか、あるいは途上国などでまだ関係が薄いというような部分についてはなかなか研究者間の情報といってもまだ少ない部分があると思いますので、そういうところにもいろいろな手段を通じてこういう制度を知らせていくということの御努力お願いをしたいというふうに思っています。  そして最後に、もう時間になってまいりましたので、この新技術事業団、これに基づくやはり、日本経済大国あるいは金もうけばかりやっているのではないということも含めて、今後充実を図っていただきたいというふうに思います。それが世界からも国際的な信頼を得るまた一つの道であろうかというふうに思うんですが、最後に、長官にこれからのこの事業団業務推進、あるいはこういう国際交流などについての御見解あるいは抱負などをお聞きして質問を終わらせていただきたいと思います。
  110. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) ただいま先生からいろいろ御指摘をいただいた御議論等を拝聴さしていただきまして、私といたしましても、我が国経済的にこれだけ世界の中において貿易収支においても黒字を示し、そして科学技術の面においても先進国としてのしっかりとした位置づけというものが確立されているわけでありますので、その部分においてこれからは国際的にどのように科学技術の面において貢献できるかということを懸命に我が国としても模索をしていかなければならない、このように考えております。  御承知のとおり、六十一年に研究交流促進法を制定いたしまして、外国からの研究に対するいわゆる法律の面での隘路というものを改善してきたわけでありますが、これから国際交流というものを、この法律を通していただくことによりまして、具体的にさらに強力に進められるような環境づくりをしていきたい、このように考えておりますし、また、先ほど先生のお話にございましたように、私ども外国から来ていただく立場と来る立場とでは、やはり言葉、習慣、文化、その他の面においていろいろ来ていただく方々にとっての悩み、御苦労というものをどのように前向きに吸収していくかということは、これからこの制度を充実させていくために非常に私は必要である、このように考えております。  できるだけ早い機会に外国から来ていただいている研究者の方と直接お会いをいたしまして、そういった意見というものを積極的に吸収しながら事業がさらに進捗できますように努力をしてまいりますので、今後ともの御指導と御協力お願い申し上げたいと思います。
  111. 伏見康治

    ○伏見康治君 中村新長官所信を午前中伺いました。それをまた拝見いたしますと、宮崎前長官所信と全く文章が同じでございまして、いささか拍子抜げがしているわけでございますが、世の中の新聞には宇野内閣というのは竹下内閣のカーボンコピーだという表現もございますのですが、何かそれを文字どおり表現しているような感じがいたしますのです。新長官としては前長官とは変わった政治に対する経綸を私はお持ちだと期待しているのでございますが、その点どうお考えでしょうか。
  112. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) ただいま御指摘をいただきました点について私の所信の一端を述べさしていただきたいと思いますが、我が国も含めまして世界的にこれから科学技術発展というものは必要欠くことのできない最重要課題であると私はこのように認識しております。特に我が国にとりましては、これから国際的に科学技術貢献をしていく、あるいは技術基盤確立をしていく、このような問題は基本的に進めていかなければならない大きな柱であると私は考えておりますので、この点につきまして前大臣基本的に現状認識を同じくするものであります。  また、行政の継続性というものも考えておりますので、今御指摘をいただいた点は参考にさしていただきますが、科学技術行政が二十一世紀にたくましく進んでいくためには一つ一つの蓄積というものも大切にしながら進めていきたい、このように考えております。
  113. 伏見康治

    ○伏見康治君 所信表明の文章がたまたま同じであっただけのことであるという御説明だと思いますが、法案の趣旨について御質問申し上げる前に、この所信に書いてありますことについて二、三伺っておきたいと思っております。  まず、ヒューマンフロンティアサイエンスプログラムという言葉が出てまいりますが、これは中曽根さんが言い出したお話であろうと思うんですが、それはその後どういうふうな発展を遂げているのかという説明をちょっとしていただきたいと思います。
  114. 石塚貢

    政府委員(石塚貢君) ヒューマンフロンティアサイエンスプログラムでございますが、先生御案内のとおり、これは生体のすぐれた機能の解明といったものを中心として基礎研究国際協力という枠組みで推進しようというものでございまして、我が国科学技術面における国際社会に対する積極的な貢献を果たすということで、一昨年六月のベネチア・サミットで提案したものでございます。その後、関係国のノーベル賞クラスの著名な科学者の御参加を得まして、このプログラムの具体的な内容につきまして数次にわたっていろいろと検討を進めてまいりました。その結果、その研究対象をどういうふうにすべきかということでございますとか、あるいは事業の進め方等についていろいろ御意見を集約できたと思っております。  そこで、いよいよこれを実施に移すという段階でございますけれども、平成元年度におきましては、日本政府全体といたしましてこのプログラムの実施に必要な経費といたしまして約二十四億円を計上させていただいております。現在、関係国の政府レベルの間で本プログラムの実施の枠組みにつきまして協議を行っているという最中でございます。本プログラムの早期実施に向けまして今後とも最大限の努力をしていきたいというふうに考えております。
  115. 伏見康治

    ○伏見康治君 私は、今学術会議の副会長をしております渡邊格君と非常に仲がいい友だちですが、前に渡邊君は阪大学長だった赤堀四郎さんと一緒に、アジア地区にヨーロッパにありますヨ――ロピアン・モレキュラー・バイオロジー・オーガニゼーション、EMBOに相当するのをアジア地区にもつくろう、AMBOをつくろうというお話で、大いに計画を練っておられたことがあって、それは何か途中でうまくいかなくなったような感じがいたしますが、そういう方々の知恵といったようなものは十分吸収しておられるんでしょうか。
  116. 石塚貢

    政府委員(石塚貢君) ただいま関係各国から著名な科学者の参画を得てというふうに申し上げましたけれども、もちろん国内におきましてもそれぞれの分野先生方に随時お集まりいただきまして、国内の専門家、科学の分野での専門の方々の御意見、あるいは海外で現在実施されております、先生の御指摘のEMBOの運営の実績、そういったことについても勉強いたしまして、この目的が達成されますようにはどういうふうにしたらいいかということについていろいろとその御意見を集約してまいったところでございます。
  117. 伏見康治

    ○伏見康治君 しっかりやっていただきたいというだけでございますが、その中で特にお願いいたしたいのは、やはり研究というのはその研究者がするものなんですね。したがって、その計画を立てるのにも研究者の意見を尊重してやっていただきたい。お役人がつくってそこへ研究者を招くのじゃなくて、研究者自身につくらせるという仕組みでいっていただきたいということでございます。  その次に、第二は飛ばして第三、研究開発のための基盤整備というところに、放射光施設建設計画というのが出てまいります。これは現在筑波にあります高エネルギー物理学研究所、文部省の所轄でございますが、高エネルギー物理学研究所でつくっております放射光実験施設の成績が極めてよろしい。現時点では多分世界一の大きさだろうと思うんですが、非常に立派な成績を上げておられるのに刺激されて出てきた計画であろうと思います。ただ、伺っておりますと、ヨーロッパが六GeVエネルギーのものをおつくりになる、そうしたらアメリカが七GeVのものをおつくりになる、日本は八GeVのをおつくりになるといったような、何か極めて余り学問的でない根拠で、ただ競争意識でもってつくっているといったような感じを受けるんでございますが、そういうものではないんでしょうね。
  118. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 大型放射光施設でございますが、これは先生御案内のとおり、昭和六十二年に大型放射光施設整備連絡協議会という、東大の黒田先生に座長をやっていただきまして、文部省関係と科学技術庁関係全部網羅した検討委員会を設けまして、そこでこの必要性、規模等について議論をしていただきました。その結論を踏まえて、またその後出てまいりました原子力委員会あるいは航空・電子等技術審議会あるいは科学技術会議の答申などを踏まえまして種々検討をして計画を進めているものでございまして、思いつきでやっているわけでは決してございません。
  119. 伏見康治

    ○伏見康治君 もちろん思いつきであろうとは思いませんけれども、外見的にそう見えるということをちょっと申し上げておきます。  ところで、このSORは、放射光実験施設というのは、科学技術庁とそれから文部省、じゃないかな、共管的な面が出てまいります。もっと直接には、要するに理化学研究所というものと原子力研究所が共営で推進なさるというふうに伺っておりますが、そうなんですね。
  120. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 現在、大型放射光施設については研究開発を行い、それから設計をするという段階でございます。現在、理化学研究所と原子力研究所が協力いたしまして、これらの研究開発、設計研究等をやっているわけでございます。具体的には両者の間で共同チームを設けまして、この共同チームにチームリーダーを置いて、そこに両法人から人を集めまして、両法人のポテンシャルを生かしながら一体となって進めていく、こういう構えで今推進しているところでございます。
  121. 伏見康治

    ○伏見康治君 さて、その二つの組織を合体させたものに仕事をさせるということに私は非常に危険性を感ずるわけなんですが、科技庁のなさったお仕事の中で原子力船「むつ」というのは大失敗だったと思うんです。その大失敗の原因は幾つかあると思うんですが、一つは、要するに原子炉をつくる方々のグループとそれから船をおつくりになる方々と、二つのグループの集まりであった。お役所でいうと科技庁と運輸省の合体であったということが非常に重大な意味を持っていたのではないかというふうに私は判断いたします。二つの組織をあわせて融合すればいいではないかというのは余り経験のない方々のおっしゃることであって、二つの組織を一つにまとめて行動させるということは非常に難しい点があると思うのでございます。  特に、私が接触した限りでは理研のいわば風習ですね。理研に属しておられる科学者の風習というものと、それから原子力研究所に属しておられる方々の風習というものが非常に違います。理研は、大学の延長のようなもので、大仕掛けの機械は余りつくっておられない。小仕掛けの機械をいわば丹念に自分の手でつくり上げていくという、いかにも学者的な手法でやっておられる。原子力研究所の方は、メーカーを大動員いたしまして、自分がつくるというよりはメーカーあるいはメーカーの集合体につくらしておる。そういうやり方の風習が非常に違う。そういう二つの風習のものを一つにまとめさせるということは実は極めて難しいんじゃないかと思うんですが、それがそういう悪いことにならないような何か特別な配慮をされておられるのでしょうか。
  122. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 先ほど御説明いたしましたように、両者の間で共同チームを設けましてチームリーダーを置いていると申し上げたのでございますが、現在チームリーダーにつきまして分担を決めておりまして、いわゆる研究開発の面でのチームリーダーというのは、現在理化学研究所の主任研究員がチームリーダーをやっております。それからもう一つのチームリーダーは、いわゆる建設計画のいわば実務処理の方、要するに事務処理の方でございますが、こちらの方のチームリーダーには原研の職員を充てております。  両法人の風習といいましょうか体質の差というものは、先生がおっしゃったようなことがあるいはあるのかもしれませんけれども、それはそれぞれ長所であり、また裏目に出れば短所になるのかもしれませんが、私どもはそういう長所を生かし合うような形でこの大きなプロジェクトを進めてまいりたいと思っておりまして、それぞれの持ち味を生かし、足りないところは補い合って進めていく。お互いに相当気をつけないとそういう両者の違いというものが問題になるということは十分意識をしてこのチームは編成をされておりますし、運営をされておりますので、先生の御指摘は、御懸念は肝に銘じて、今後とも私どもも注意をしてまいりますけれども、そういうことで両者一体となって運営をしていくということで先生方の御支援を賜れれば大変幸いでございます。
  123. 伏見康治

    ○伏見康治君 必ず悪くなるとはさらさら思わぬですけれども、不用心にやると「むつ」の失敗を繰り返すことになるという老婆心から申し上げたわけでございます。  次に、第五、原子力というところにいきましょう。その中で安全対策というのが特に記してあるわけでございます。  TMIの事故それからチェルノブイルの事故で、原子力の安全に対する疑義というか疑心暗鬼のようなものが世界的な規模で人民の間に心配が広がってしまいました。これは何も素人だから心配して玄人だから心配しないということではないはずだと思うんですね。私は、原子力には相当年期を入れているつもりなんですけれども、やはりチェルノブイルの事故のような話を聞きますというと相当寒けがするわけです。  それで、私の師匠に当たります菊池正士先生、もう亡くなりましたので皆さんの記憶からなくなっているかもしれませんが、原子力委員会の委員もなすった方、それから原子力研究所の理事長もなすった方ですが、その菊池さんが亡くなる間際になって、原子炉の安全性に対する考え方が自分の周辺の人にはよくわかっていないようだと。原子力委員会のほかのメンバー、ほかのメンバーといっても例えば有沢先生のような経済学者であったりなんかするわけで、原子炉の技術的な面で深い知識を持っておられる方は必ずしもいないんですが、そういう方々が原子炉の安全性について、あるいは危険性についてと言った方がいいんでしょうけれども、危険性について十分な理解を持っていないということを非常に心配されまして、原子炉の安全性に関して根本的に考え直そうではないかという論文を書かれました。それを書かれてから一年ばかりして亡くなりましたので、私には私の師匠の遺言状のような感じがしているわけです。  その遺言を伺ったときには、実は必ずしもそれほど菊池さんの言ったことと同じような心配をみずからしたわけではなかったんですが、その後TMIが起こり、チェルノブイルが起こってまいりますというと、これはよほど真剣になって考え直さなければならないのではないかというふうに思い始めているわけです。  原子力委員会以下の日本原子力推進体制というのが非常によくやってこられて、非常に立派な成果を上げてこられまして、その安全性という面においても十分やってこられた。先ほど千葉さんが質問されたような東電のいろいろな事件もございますけれども、そういう事件があっても、それは危険にある程度近づいたというだけで、危険そのものにはまだいっていないわけでございます。こういう状態になっているということは、日本原子力委員会、原子力安全委員会その他の組織の努力の結果だと私は思っているわけですけれども、しかし同時に、潜在的に非常に大量の放射能がそれぞれの原子炉の中には含まれている。それが一たび外へ出れば大変なことになるという意識は絶えず持ち続けなければならないと思っているわけです。  そういう意味で、そもそも今までの日本原子力発展というものを考えてみますというと、一番初めはイギリスの原子炉を買ったんですけれども、あとは全部アメリカ系のものを買ったわけです。大体初期の段階の原子炉の設計方針というものを骨子にいたしまして、それに後からこういう危険性があるからこういう安全装置をつけよう、こういう安全装置をつけようというわけで、だんだん安全装置が後から後からつけ加えられていったというのが現在の姿だと思うんですが、この辺で私は原子炉の安全設計というものをあるいはイの一番から考え直す、そういう時期に来ているのではないかというふうに考えるわけです。そういうような意識を原子力関係の方々はお持ちかどうかということを伺いたい。
  124. 平野拓也

    政府委員(平野拓也君) 私どもが現在原子力発電所におきまして使っておりますような原子炉、これは設計段階から固有の安全性というものを備えるように、そういう意味で設計しておるわけでございまして、さらに発電所の建設とかあるいは運転管理その他におきましても適切な品質管理等行いまして、万全な安全対策を講じてきているというふうに考えておるわけでございます。  しかしながら、原子炉の安全確保につきましては、最新の科学的な知見というものを反映させるということが重要でございます。こういう観点で、私どもとしても将来の勉強という形で、炉の保有いたしておりますような物理的な特性といったようなものを可能な限り生かすようないわゆる固有安全炉といったようなものもこれは勉強の対象になるということで、原子力研究所等におきましてこれを研究をいたしておる、こういうことでございます。
  125. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 内田原子力安全委員会委員長にもお考えをということでございます。
  126. 内田秀雄

    説明員(内田秀雄君) ただいま原子力安全については非常に長い間御経験がおありの伏見先生から御質問をいただいたわけでありますが、今伏見先生がおっしゃいましたことをもう一度考えてみますと、日本の現在の軽水型原子力発電所は、アメリカの設計に準拠して、工学的な種々の改良を加えてはおりますけれども、基本的にはその線の上に開発されてきているものである。そしてその安全の対策を見ると、いろいろな事故あるいは問題が起こったときに、その影響を緩和するものをプラスして現状に来ているのではないか。  基本的に設計を考え直す時代ではないかというお話でございますが、直接のお答えにならないかと思いますけれども、確かに、原子力の安全面からの開発をずうっと見てまいりますと、ウィンズケールの事故とかあるいはS     ――――――――――――― の事故等々、いろいろの経験を経まして、安全上確保しなければならない基本的な問題が出てきて、それに対する対策をとりまして、そしてどちらかというと事故があったときにその結果を緩和するというミチゲーションのシステムをつけ加えるということで現状に来ているように私も思っております。ECCSがしかりでございまして、格納容器もそうでございます。  しかし、ごく最近をいろいろ考えてみますと、例えば日本原子力発電所の信頼性、安全性の高い経過等を振り返りまして、あるいは国際的に日本原子力発電所を理解をする立場に立ちましても、そのミチゲーションの対策よりも、むしろ事故、故障、トラブルの発生を防止するプリペンションの方を優先的に考慮すべきであるということがようやく認識されてきているようでございます。  日本は、我田引水になるかと思いますけれども、古くからミチゲーションよりもプリペンションが大事である、事故、故障、トラブルの小さな兆候でもそれを発見して早く対策をとるべきであるということを申しているところでございますが、それにつきましては予防、保全に徹することでございまして、三十六あります原子力発電所のうち、八つの原子力発電所は既に十五年の経歴を持っておりますので、これからは、初期故障の対策はほとんど終わりましたので、やはり経年変化が劣化に結びつかないような予防、保全に徹することであろうと思っておりまして、その方向で行政庁、あるいは行政庁を通じまして電気事業者に意見を申し上げているところでございます。  それから、今局長が引用されました通称固有の安全炉と言われますものにつきましては、御存じのように我々は開発推進側ではございませんので、まだ具体的な例もございませんので安全委員会としては何も申し上げる段階ではございませんが、この際個人的な理解をお話し申し上げてお答えにしたいと思います。  通称言われます固有の安全炉といいますのは、第一次石油ショックの時代に、スウェーデンがまずエネルギーの需要に対する問題解決としまして、地域暖房用の熱供給専用の炉をつくる計画をしたわけでございます。  その後、スウェーデンはフィンランドと合同でその設計に入りまして、一九七七年にその設計を完了いたしました。これが御存じのように熱供給専用の最初のSECUREでございます。これを動力用に高温高圧の蒸気発生用にいたしましたのがSECUREのPでございまして、この設計方針は一貫しましてPIUSの理論といいますか、動的な機器によらず静的機器による、それから設計の単純化をする等々の化学的、物理的な自然現象をもとにした安全対策をするということであろうと思います。  最近、アメリカのDOEもこの方面で、この方向で何らかの炉の基本的な設計を固めたいということのように聞いておりますけれども、アメリカの言葉でも申しておりますように、三つのSがあるということであります。スモールであり、それからシンプルであり、それからセーフであるという小型で単純化された設計である、したがってこれが安全であるということでありまして、基本的には小型炉であるという前提があると思います。  したがいまして、少し開発側の意見かもしれませんけれども、小型炉に対して日本がどの程度需要があるかということが一つ問題があると思いますし、アメリカであるとか、あるいは開発途上国のような小型炉の需要の多いところは、このようないわゆる固有の安全炉という小型炉の開発が必要ではないかと思います。また、こういう通称言われます固有の安全性の高い炉の開発といいますか、設計、検討の段階で、それが反映して現在の発電所の安全性の向上に反映することがあれば、これは大変歓迎すべきことではないかと思っておるところでございます。
  127. 伏見康治

    ○伏見康治君 内田先生は日本原子力の安全を守る総本家のような方ですから今のお話を聞いて非常に力強く思うわけですが、ついでにちょっと伺いますが、新聞によると、福島の何号炉でしたっけ、それが故障を起こしたときに内田先生が大分怒られたということを聞きましたのですが、それはどういうことであったんでしょうか。
  128. 内田秀雄

    説明員(内田秀雄君) それは、怒ったということはどのことをおっしゃるのかよくわかりませんけれども、福島の第二のここ一年ぐらいの事情を見ましても、確かにいろいろなトラブルがございまして、そのうちの一つで先生が特定されると思いますのは、恐らく福島第二の三号炉のポンプの大きな破損のことではないかと思います。  しばらく前にやはりこの会議場に参りましてお話し申し上げたこともありますが、それを繰り返しますと、福島第二の三号炉のポンプの破損といいますのは、これは放射能の放出に結びつく狭い意味での原子力の安全の問題ではございませんが、大事な原子炉冷却材の循環という機能を持たせておりますポンプの破損でありますので、重大な事象として受けとめておるところでございます。
  129. 伏見康治

    ○伏見康治君 ありがとうございました。  次に、第六の宇宙開発利用の方へいきたいと思うんですが、宇宙開発があって航空の方がないのはどういうわけかと思うんですが、航空宇宙技術研究所というのは科技庁の所管ですね。あそこは宇宙の方もおやりになっているでしょうけれども、航空機の方もやっておられる。それで特に伺いたいのは、飛鳥という計画、二度も見学させていただいて大変勉強させていただいたわけですが、そのせっかくの飛鳥が途中で立ち消えになるというお話なんですが、この相当大きな予算とエネルギー等をお使いになった計画を途中でおやめになるについては、やはりちゃんと国会で議論すべきではないかと思うのですけれども、どういう経緯でそういうことになったかという説明をしていただきたい。
  130. 吉村晴光

    政府委員吉村晴光君) 今御指摘ございましたファンジェットSTOL機でございますが、この研究開発目的は、短距離の離着陸性能と、それから低騒音性にすぐれましたファンジェットSTOL機に必要な各種の新技術開発実証を目的としたものでございまして、その一環といたしまして、実験機飛鳥をつくりまして昭和六十年度以降、飛行実験を行ってきたものでございます。  ただいま申し上げました各種新技術開発実証という点につきましては、所期の目的を達成をいたしまして、当初の予定どおり、本年三月で飛行実験を終了したというものでございます。平成元年度からは、飛行実験で得られましたデータを整理をいたしまして、データベースにし、今後の航空機開発に役立てるために、広く一般に提供をしていきたいという計画を持っておるわけでございます。本研究開発によりまして、先ほど申し上げましたような新しい種類の新技術の実証がなされましたので、こういった技術につきましては、今後の我が国の航空機の技術全般にわたりまして、いろんな面で利用をされるものであるというふうに理解をしておるわけでございます。  飛鳥プロジェクトにつきましては、当初の目的でございます新技術開発実証ということにつきましては、私どもとしては、当初の目的どおり達成ができた、そういう意味で、現在のところは飛行実験は完了し、今後そのデータの有効活用の万策を考えておるというのが現状でございます。
  131. 伏見康治

    ○伏見康治君 私の理解では、この間まで試験飛行をやっておりました飛鳥というのは、元来そういう実験をするために初めから設計したものではなくて、いろんな既存の機体とか、既存のエンジンを寄せ集めてつくった、見た格好も余りよくない飛行機だと思うのですね。つまり、もしあれをつくった技術者の立場に私がいたとすると、あれは要するに原理を確かめたものである。本当の航空機に仕立てる最初の作品という意味はほとんど持っていないというのが本音だろうと私は思いますのですが、その段階でやめてしまうというのはいかにも残念であるような感じがいたしますのですが、どうですか。
  132. 吉村晴光

    政府委員吉村晴光君) 御指摘のとおり、あの飛鳥というプロジェクトは、いろいろ日本で考案されました新技術の実証の場として、既に開発されておりました機体を借用しながらつくったものでございまして、そういう意味での新技術の実証の目的は達しておるわけでございますが、次のステップということになりますと、通常の航空機の開発のやり方から申しますと、実用機のための開発というステップに入るわけでございますが、私どもの考え方といたしましては、基礎的な技術につきましては国が中心になって行うものの、それが実用機という段階に入ります場合には、やはり基本的には民間に担っていただくのが筋ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  私どもも、こういった基礎的な技術開発をすれば、それが民間に活用されて実用機に発展するということを当初期待しておったのは事実でございますが、その後のいろんな情勢の変化もございまして、民間で実用機開発に踏み切るには、それ相応の需要が必要になるわけでございますが、そういった需要が今のところまだ顕在化していないという状況にございまして、民間の工業界におきましても、このSTOLの研究開発成果の利用についていろいろ御検討はいただいておりますが、まだ実用機開発の方に踏み切れるだけの情勢になってないというような状況であるというふうに伺っておるものでございます。
  133. 伏見康治

    ○伏見康治君 今言われたように、民間がそういうものに手を出すのを期待しておくことにいたします。  次に、第八の地球科学技術のところへ行きたいと思うんですが、御承知のように、地球的規模現象、特に大気の汚染問題が非常に大きくなっているんですが、ここに書いてあることの中には、例えばオゾン層であるとか、地球温暖化の原因であるとかいうことの、本当の科学的調査といったようなものをなされることも入っているのかどうかを伺いたいのです。
  134. 吉村晴光

    政府委員吉村晴光君) 地球科学技術の概念は、大変広いものがございまして、地球そのものを理解をする、地球を取り巻く大気、それから植物といったものも理解をするという大変広い範囲のものでございますが、今御指摘にございましたように、最近話題になります地球環境と申しましょうか、大気の関連でのオゾンの問題とか、地球温暖化の問題といったものも、この中に入れておるわけでございまして、そういったことにつきましては、最近世界的な関心が持たれ始めて、従来の取り組みが十分でなかったという点もございまして、まだ体系的な取り組みまでいってないわけでございますが、私どもとしましては、できるだけ一歩でも前進をしたいということで、来年度から何がしかの調査観測を進めたいというふうに思っておる次第でございます。
  135. 伏見康治

    ○伏見康治君 これは通告してないんですけれども、聞いていいかな。  第九の超電導のお話が書いてありますね。高温超電導で三年ほど前に大騒ぎをしたわけですが、ことしになりましてから、今度は低温核融合で大騒ぎをしているわけですが、その低温核融合分野で何か組織的な手は打っておられますか。
  136. 平野拓也

    政府委員(平野拓也君) 御案内のとおり、低温核融合、その真偽をめぐって世界的にいろいろ議論を呼んでおるところでございます。私どもといたしましても、これが事実であるとすれば、実用ということはさておきまして、学問的に画期的なことではなかろうかということで、私どもの関係の機関で、それぞれ追試といいますか、検討を行っているところでございます。  ただ、これ自身は大変、言うなれば基礎の基礎みたいなものでございますので、まだ組織的に体系的にこれをやるというよりも、むしろ研究者の方々の自発的な活動でこういうものを究明していただく。何らかの結果といいますか、方向が見えてきたときに、例えば原子力委員会なり行政当局、それぞれで体系的に何か進めていくということになろうかと思いますが、現在のところまだ真偽のほどが定かでないというのが一般的な見方でございますので、今のところはそういう研究者の方々の活動というものを私どもは見守っておるということでございます。
  137. 伏見康治

    ○伏見康治君 うっかりしたら時間がなくなりそうなので、今度の法律そのものについて伺わないといけないと思いますが、先ほど千葉さんからも御質問があったと思うのですが、今まで国際的な学術交流の立場でよその方を呼んでくるというところ、いろんなところがいろんなことをしていると思うんですが、組織的に一つの組織としてやっているということはないのかもしれませんが、いろんなところでいろんなことをやっているということは事実だと思うんですが、そういう既存のいろいろな制度と今度の制度との関係はどういうふうになるんでしょうか。
  138. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 先ほど来御説明しておりますように、科技庁フェローシップ制度と申しますのは、外国研究者日本の国立の研究機関に来て研究をするチャンスを提供するということでございまして、これを通じて日本国際貢献への要請におこたえすると同時に、こういう研究交流というものは、我が国の側から見ましても我が国研究活動の活性化にも資するものでございまして、そういう意味で推進をしたいということでございます。この制度、新技術開発事業団を改組して行うわけでありますが、いわば各省庁にまたがる横断的な制度として科学技術庁がまとめさしていただいているという位置づけでございます。  従来からございますそれぞれの機関がやっておりますものと招聘制度とを比べますと、先ほども申しましたように、期間が従来のものは比較的短かいものが多いのに対して、二年という長い期間を提供するということに加えまして、従来プロジェクトで外国研究者を呼ぶような場合には、こちらでこういう研究をする人に来てほしいということで研究テーマが限定されるわけでございますが、このフェローシップの場合には、むしろ外国研究者が、自分はこういうテーマで研究をしたい、それで受け入れてくれるかということでアプローチがあるわけでありまして、向こう側の外国研究者のイニシアチブというものを非常に尊重しているという点に特色があろうかと思っております。したがいまして、そういう特色のある制度といたしまして、従来からあるそれぞれの各研究機関などが行っております制度と両々相まって、国際研究交流を盛んにするための施策となっている、こういうことでございます。
  139. 伏見康治

    ○伏見康治君 わかったようなわからないお話なんですが。  私は筑波の高エネルギー物理学研究所へたびたび出入りしておりましてよく知っているんですが、あそこには相当大きな宿舎が用意してありまして、相当数の外国研究者が収容できるようになっております。伺うところによると、今度科技庁が五十戸の家をおつくりになるというのも筑波研究学園都市だと伺っておるんですが、あそこにつくるのは立地条件からいって非常によろしいと思うんですが、何か既にあるものと今度できるものとの間の調和を保たないと変なことになるおそれがあると私は思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  これに関連してちょっと伺いたいんですが、筑波の研究学園都市というものをお役所の方で見ているところはどこかというと国土庁だと伺ったんですが、国土庁というのは建設の段階で土地の割り当てとか、道路をつくるとか、下水をつくるというときに国土庁がお考えになるのはこれは当然だと思うんですが、研究の中身の方の組織化といったようなことを考えると、これは科学技術庁研究学園都市全体を統括していかなくちゃならない、こう思うんですが、どうですか。
  140. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 筑波研究学園都市は、先生も御案内のとおり、おかげさまで大変立派に整備をされまして、既に国の試験研究機関あるいは特殊法人合わせますと四十五機関、大学が三つ、それからさらに民間の研究機関が既に百九立地をしておりまして、その他のものも合わせますと百七十余りの機関が集中立地をしております。研究者の数も既に一万人という規模に達しておりまして、名実ともに日本を代表する研究学園都市になっているわけでございます。おっしゃいますように、建設の過程、初期段階は一応終わったわけでありまして、今後は民間の研究所がさらに数多く立地予定がございますけれども、それは民間の話でございます。  筑波の研究学園都市の機能がさらに発展をしてまいりますためには、それぞれの研究所一つずつがそれぞれレベルアップをしていくということ、これはもちろん基本でありますけれども、それに加えまして、せっかく筑波という研究学園都市に隣接して集中立地をしているわけでありますから、そういうそれぞれの違う研究所同士が、分野あるいは領域を異にする研究所がお互いに交流をすることによってますますお互いに触発をし、研究成果が上がっていく、こういうことを期待していかなければならないのであろうと思っております。  したがいまして、こういう研究所間の交流、さらには国際交流というものを大いに推進していくことが必要なわけでありまして、これはまさに私どもが従来から、例えば研究交流センターを設置し、中の研究所の交流を図る。さらには研究情報ネットワークというようなものをつくって、研究者間の情報流通をよくしていくというような努力をしてきているわけでございまして、私ども科技庁として手がけてきているところであります。  また、国際交流については、今御審議いただいていますような新技術開発事業団を改組して、また各研究所の国際交流を支援するような活動を充実していきたいということで考えておるわけでございまして、私どもとして今後ますます筑波研究学園都市が総合的な力を発揮できますように科学技術庁としての力を注いでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  141. 伏見康治

    ○伏見康治君 いろいろ実は質問を用意しているんですが、私のもとの古巣の日本学術会議が、最近内閣総理大臣あてに勧告を出しておられます。「大学等における学術研究推進について――研究設備等の高度化に関する緊急提言――」というのをなさいまして、そしてあて名はもちろん科学技術庁長官も入っておりますので御存じだと思うんですが、これに対して何か御返答ございますか。
  142. 石塚貢

    政府委員(石塚貢君) 日本学術会議からの勧告につきましては、その重要なものにつきまして科学技術会議の中にございます日本学術会議連絡部会というものがございます。そこにおきまして、学術会議からの勧告の内容を十分各関係省庁並びに学識経験ある専門員の方がヒアリングをするということになっております。その結果、関係省庁の連絡会、そういったようなところで行政庁としてどういうふうにこの勧告を受けとめるかといったことをさらに検討いたしまして、それぞれ担当省庁を決めるということで勧告の内容については、関係省庁がそれぞれその勧告の内容によりまして、それを具体的にどういう施策に反映していくかといったことについて分担をして処理をしていくという状況でございます。  先生が今御指摘研究機関における設備の改善についての勧告につきましても、つい先週開かれました部会においてそのヒアリングを行っております。
  143. 伏見康治

    ○伏見康治君 日本学術会議の勧告は、大抵受け取っただけで、実際上の反応がないというのが随分長い慣習になっておるようでございますが、この辺で少しその悪い習慣を改められて、実質的に対応していただくようにこの席をかりてお願いしておきたいと思います。  もう一つございます。これは学術会議ではないんですが、日本国家公務員労働組合連合会中央執行委員長荒川昌男さんから長官あてに、「学会旅費及び経常研究費の増額を求める要求書」というのが出ております。これを拝見いたしますというと、まことにごもっともな言い分だと思うんですが、これに対してどういう受け取り方をなさるのか、伺いたいと思います。
  144. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 学会出席旅費の充実につきまして、従来から強い御要望があることは十分承知をいたしております。私ども、その増額についていろいろ努力をしておるわけでございますが、厳しい財政状況のもとでなかなか思わしい結果が得られていないわけであります。  現在、学会出席旅費は、御案内のとおり総額で約一億円、単価が一人当たり一万一千円程度でございますが、二年に一回ぐらいの割合で学会に出席できるようにということで予算措置がされているわけでありますが、これの増額を図る努力をやりますとともに、昭和六十年度から科学技術振興調整費を用いまして重点基礎研究制度という、いわば別枠の制度を設けてございます。これは国立試験研究機関の長が選定をした重点課題につきましてこの金額を使えるようにするものでございまして、国内の学会出席旅費については総額で一億円、別枠で確保をしてございます。また国際研究集会への出席旅費についても、外国旅費でございますが、五千万円別枠で確保しているというようなことでございまして、違う形ではございますが改善努力をしているところでございます。今後ともこの増額については努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  145. 伏見康治

    ○伏見康治君 経常研究費的なものをできるだけ減らして、そして研究テーマに応じて研究費を与えるという趣旨は、実はこの間亡くなった茅誠司先生が学術行政をやっておられたころに学術審議会の前身のいろいろな会合で議論をして、大学の先生方に経常研究費的なものが渡っておりますが、それを余りふやさずに専ら科学研究費の方をふやしていこうという大方針を立てられて、その線でもう三十何年間そういう方針でやってきちゃったと思うんですね。その結果、今度は経常研究費的なものが余りに小さくなり過ぎてしまって、それに対して何か手当てしなければならない時期が来ていると私は思います。飛行機がテークオフするときに、やはり最初のテークオフするまでのものがないと研究者として育たないわけです。日本の若い研究者が育つためにもとにかく最初の投資をしてあげなければならないはずだと。それは額はそんなに大きくなくてもいいと思うんですが、いろんなことを考えて適当な額に増額してあげるようにお願いいたしたいと思います。  最後になりましたが、長官にこの国際交流のことに関連してでも長官の大方針のようなものを承りたいと思うんです。長官は四十歳だそうで、私のちょうど半分の年齢ですから、私が思いつかないような新機軸を出していただけるものと大いに期待しております。どうぞよろしく。
  146. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) ただいま先生からいろいろ御指摘をいただいたことにつきましては、私もこれから勉強させていただきたいと思います。先ほどからこの問題につきましては答弁をさせていただいておりますが、私としては今後とも科学技術先進国たる日本国際社会において果たすべき役割を踏まえて、広く皆様方の御協力を得つつ、科学技術分野の国際的研究交流の一層の推進に努めていきたいと考えております。
  147. 伏見康治

    ○伏見康治君 ありがとうございました。
  148. 吉井英勝

    吉井英勝君 先ほど長官所信の中で、原子力研究開発利用及び安全対策推進ということが挙げられておりましたので、私はそこら辺のところから質問に入っていきたいと思いますが、まず一つは、原子力船「むつ」の問題でございます。  昨年の夏以来続けられております原子炉容器ふたの開放点検の結果、一九七四年九月の放射線漏れ事故を挟んで延べ十六年以上も冷却水につかったままの制御棒、燃料棒に点状の腐食が多量に発見されたということになっておりますが、まず、その状況について御報告をいただきたいと思います。
  149. 平野拓也

    政府委員(平野拓也君) 原子力船の「むつ」でございますけれども、今お話の出ましたように、昨年八月から十六年ぶりに原子炉の容器のふたをあけまして、燃料体あるいは炉内にあります構造物等の点検、整備を行っているところでございます。本年の一月に点検の中間の結果を取りまとめたところでございまして、これまで行ってきました十六年間にわたります維持管理によってすべての機器はおおむね良好な状態に保たれているということが確認されたわけでございます。  しかしながら、燃料体及び制御棒の被覆管の一部に小さなさび、点食と言っておりますが、それが発見されましたために、制御棒につきましては全数中性子を吸収する吸収体というのがございますが、その部分の部分品を交換するということにいたしております。  それから、燃料体につきましては、その後ファイバースコープによりまして外観の検査を行いまして、さらにヘリウムのリークテスト、これを行いました。その結果は三月に中間発表いたしたわけでございますが、その点食、いわゆるさびは被覆管を貫通していない、要するに穴があいていないと、それは確認されたところでございます。  この点検結果を踏まえまして、日本原子力研究所は三十二体ございます燃料体をすべて分解をいたします。それで、燃料棒が三千五百八十四本ございますけれども、これを全数直接目で検査をするということで、現在その検査を行っているところでございます。それによりまして、予備の燃料体が二体ございますが、これも含めまして健全な燃料棒のみで燃料体を組み直すということで、現在この点検を継続しているというのが現状でございます。
  150. 吉井英勝

    吉井英勝君 合計十二体、七百三十二本ある制御棒のステンレス被覆管に最大一ミリぐらいの点状のさび一千個とか、それから四カ所はさびが被覆管を貫通していたという問題、これはヘリウムによる点検では、なかったというふうな御趣旨にも伺えますが。  それから、今三十二体とおっしゃいましたが、その燃料体のうち六〇%程度の検査の段階で既に十四本の燃料体にステンレス腐食が発生していたという問題ですが、一〇〇%検査の結果では何本のステンレスの被覆管に腐食が発生していたのかという問題、そこら辺の三月段階のお話もありましたが、現時点でどうなっているのかということですね。    〔委員長退席、理事後藤正夫君着席〕  それからさらに、腐食は圧力容器の溶接部などにも発生ということも伝えられておりますが、圧力容器、一次配管の各系列、それから蒸気発生器細管のところ、循環ポンプの部位などでどうなっているかという現時点の状況を伺いたいんです。
  151. 平野拓也

    政府委員(平野拓也君) 穴が貫通しておりましたというのは、これは制御棒の方でございまして、燃料体ではございません。それはそういう結果を発表いたしております。  それから、六〇%といいますか、これは組み上がった状態でファイバーグラスを入れまして狭いところで見るわけでございますから、どうしても陰になって見えないところがございます。それを確認するために分解をいたしまして、一本一本目で確かめて、その作業を続行中でございます。  したがいまして、現在のところまだこれは原子力研究所で作業中でございますので、ある程度まとまりますればその正確な数は発表いたします。若干いろいろ、さきに出た点食らしきものがそうでなかったり、あるいはまた新たに発見されたりというようなことがあるようでございますけれども、これはある程度まとまった段階で原子力研究所としてはきちっと発表するということでございますので、私どもは現在のところまだその正確な数を申し上げるということは、きょうのところは差し控えたいと思っております。  それから、あと原子炉の容器のふたのところの小さなさびでございますが、これはその現場でこれをいろんな方法で若干のへこみ、小さなさびでございますから、さびをとった後へこみがございますが、これをきちっと埋めるとか、そういう現場作業等を行うということでございます。  それから、一次の冷却系の配管でございますが、これはノズルとか配管系内部検査等を終了いたしまして、現在一部の弁について整備を行ったというようなことがございます。  それから、蒸気発生器でございますが、これは伝熱管につきましては渦電流探傷試験というものを行っております。  それからさらに、カラーチェックというような試験、あるいは目視検査等を行いまして、これは健全性を確認いたしておるところでございます。  あと、炉内構造物等につきましても、所要の整備を行っております。  それから、先ほど申し落としましたが、こういうものと並行いたしまして、船体の点検を行うことにいたしておりまして、これは浮きドックに「むつ」を揚げまして、船体の底あるいはプロペラ、そういうものを点検するわけでございますが、現在その浮きドックを曳航中ということでございます。これは、順調にいきますればこの二十五日ぐらいから二十日ぐらい時間をかけましてこの船体を点検するというようなことで、今準備作業を行っているというのが現状でございます。
  152. 吉井英勝

    吉井英勝君 私が一番お聞きしたいのは、圧力容器などについても現場で改善の作業を行ったというお話とか、一部の弁について整備したとかいうお話なんですが、それに先立って、要するに圧力容器の溶接部分で何カ所さびがあったのかとか、一次配管については全体として何カ所発見されたのか、それから蒸気発化器細管については渦電流探傷試験をやっているというお話なんですが、その結果はどうなっているのかということですね。まず現状についてお聞かせいただきたい、それを言っているんです。
  153. 平野拓也

    政府委員(平野拓也君) まず、圧力容器と、要するになべのふたとそれから容器のような、その合う面でございますが、そこの面で小さなさびといいますか、目に見えないような小さいものから若干の大きなものまであるわけでございまして、これ何カ所かといいますと、さびを数えるということはなかなか難しゅうございますが、細かいさびでございます。したがいまして、それは削ったり、あるいは肉盛りしたりということできれいに磨き上げるという作業を現場でするわけでございます。そういうことで、これは何カ所というのをちょっと申し上げるのは、そういう数え方はいたしておらないということでございます。  それから、全体の結果でございますが、これは今点検が終わりますれば、その結果を取りまとめてきちっと発表するつもりでございますので、現在のところ何カ所という細かいデータを持ち合わせておりませんけれども、これはいずれ総点検の結果として発表いたしたいというふうに考えておりますので、もうしばらくお待ちいただきたいと思っております。
  154. 吉井英勝

    吉井英勝君 一月にも中間報告されたり、三月にも中間報告されたわけですね。  それで、今おっしゃった圧力容器のフランジ面の話ですね。そこに細かいさびが随分たくさんあったというふうに伺えるんですが、このフランジ面というのは非常に大事な部分でありまして、しかも、そこのガスケットがどうなっているのかという問題とか、さっぱり、要するに、国会の場できちっと報告がなされないということは、これはそのときどき適当にプレス発表しているからいいじゃないかというものじゃ私はないと思うんです。やはり、これは申し上げてもありましたので、きちっとこういう場で報告をするということは、私は当然だと思うんです。そういうことが安全性に対する国民の不安、これに一番こたえる道ではないか。やはり公開ということが大事なんですね。その点で、私は今の御答弁というのは非常に誠意に欠けるということをまず申し上げておきたい。  ですから、ここで今直ちに無理ならば無理で、そうしたら六月の末なり七月の初めなり、第三回の中間報告ですか、それをきちっとやるとか、それぐらいのまずめどは聞かしてくださいよ。
  155. 平野拓也

    政府委員(平野拓也君) これは、原子力研究所が実際作業をやっておるわけでございまして、こういうものはきちっと整理をいたしまして、全部作業が終わってからその全貌を明らかにするということは、これは基本的にそういう方針をとっておりますので、仰せのように、まとまり次第御報告申し上げるということにいたしたいと思っております。  ただ、今現場の方ではやはり日々の作業、大変これは忙しくやっておるわけでございますので、それをまずきちっと安全にやるということを第一義にいたしておるということでございますので、中間報告につきましても、比較的地元等でも御関心の高いようなものにつきまして、過去二回ばかりやっております。したがいまして、この燃料体の整備状況につきましても近々のうちに、できるだけ早くということでございますが、これを中間的に取りまとめて発表いたしたいというのが原研の考え方でございますので、そういう結果がまとまり次第一般に公開するということにいたしたいと考えております。
  156. 吉井英勝

    吉井英勝君 毎日毎日、作業日誌を当然つけていらっしゃいますので、何カ所発見したか、それをトータルすれば、例えば六月二十日現在で第三次中間報告幾らという数字はすぐ出るわけですから、余りだらだらした話じゃなくて、やはりそれはきちっとやってもらいたいということをまず申し上げておきたいと思います。  それから、制御棒などについては、部分的取りかえとか、燃料体については解体して組みかえ再利用というお話がありましたが、非常に異例なことですね、これは。その安全性についてのチェックはどういうふうにしていらっしゃいますか。    〔理事後藤正夫君退席、委員長着席〕
  157. 平野拓也

    政府委員(平野拓也君) 制御棒につきましては、これは中性子を吸収する部分につきまして取りかえるということでございまして、制御棒というのは一種の消耗品と考えられないこともないわけでございますから、これを取りかえるということ自身はそれほど異例といいますか、ということはないんじゃなかろうかと思っておりますが、確かに燃料体を組みかえるということは、これは実際上使用済みの燃料体を組みかえるというようなことは普通はやらないわけでございます。幸い「むつ」の場合は、これは新燃料とほとんど同じぐらいの放射能しか出さないものでございますから非常に安出にできるというようなこともございまして、そういう方法をとったということでございます。
  158. 吉井英勝

    吉井英勝君 燃料体について普通はやらないというお話でありますし、これは既に出力上昇実験もやっているわけですよね。なるほど出力は低かったにしても、既にこれは使用済み燃料と同じ意味合いを持つということをまず指摘しておきたいと思うんです。  「むつ」の制御棒、燃料棒の被覆管というのは、約二十年前に製造されたものでありますから、材質はステンレスですね。現在、日本の発電用原子炉では、これはステンレス製の被覆管を使っちゃならぬとはなっておりませんが、使っておりませんね。ジルカロイ製になっていますね。これはすべてジルカロイ製に取りかえるのか。そういうことは全くなしに進めていくというお考えなんですか。
  159. 平野拓也

    政府委員(平野拓也君) これは確かに設計いたしました当時の技術といいますか、考え方からいたしましてステンレスというものを使っておるわけでございます。  その後、ジルカロイの燃料棒を使うということ、これはこのジルカロイを使った方が中性子経済といいますか、中性子が燃料棒に吸収されにくいというようなこともありまして、経済性ということを重視してそういうものを使うようになったというふうに私どもは承知しております。  ちなみに、海外の、アメリカのサバンナとかドイツのオット・ハーンも、初期のものにつきましてはステンレスの燃料棒を使っておったというふうなこともございますので、私どもは、これ十六年前に炉に装荷したわけでございますけれども、これは十分健全性が確保できるということで、実験船としてはその燃料棒を使ってやっていきたいという考え方で現在きておるわけでございます。
  160. 吉井英勝

    吉井英勝君 二十年前には使っていたと。しかし今はジルカロイ製にかえておって、中性子経済の問題もありましょうが、しかし、ステンレス製の被覆管に既に腐食が発生しているという問題があるわけですよね。そういう問題を知りながら依然としてそれを使っていこうというお考えのようでありますが、内田原子力安全委員長が先ほどもいらっしゃいましたが、一月二十五日付の日経新聞でも私は御意見伺っているわけですが、「長い間水に浸っていたので、ある程度の腐食は考えられるが、穴が開くとは思っていなかった。普通の原発だったら、ただちに直すのだが。」ということを述べておられますね。  普通の原発だったら直ちに直すほどの事態であるのに、なぜ「むつ」の場合には非常に安易に取り組んでいらっしゃるのか、ここのところ非常にわかりにくいところなんですね。なぜなんですか。
  161. 平野拓也

    政府委員(平野拓也君) 「むつ」につきましては、御承知のような経緯がずっとございまして、今現在、ああいう形でやっておるわけでございます。  内田先生の御発言、その御真意を私は伺っておりませんけれども、やはり、取りかえる、取りかえないということは、これは普通の原子力発電所でございますと、商業運転という形でやるわけでございますが、これは実験船ということでそういう非常に古いタイプの燃料棒といいますか、ステンレスなどを使っておるわけでございますが、これは研究開発ということでございますので安全性は十分確認しながらやっていくという方針で、取りかえないで、中の安全性を確認して安全なものだけ償うということで進めたいというのが私どもの考え方でございます。
  162. 吉井英勝

    吉井英勝君 そもそも十五年前に放射能漏れ事故を起こして佐世保で改修工事をするときに、長崎県が設置した「むつ」問題安全性研究委員会は、燃料体を外してから佐世保港に入港させ改修すべきであると、そういう結論を出しているのに、核燃料を抜いたら廃船につながってしまうんだという政治的駆け引きを優先させて、結局最後あれは知事決着ですか、封印という形ですね。封印ですから、その間は、普通ですと冷却水なんかは循環させると随分変わってくるわけですが、それもやめてしまって、完全封印ですね。それが今回のような事態を生み出して腐食の原因となっているわけです。  私は船の原子炉であれ発電用の原子炉であれ、やはり国の姿勢というのは安全性についてかなり麻痺しているんじゃないか、一番この安全性について心配していただかなきゃいけない科学技術庁が私は感覚が麻痺しているんじゃないか。それが、この前も議論いたしましたが、福島第二原発三号機などの事故に対しても結局厳しい指導ができない。あれだけポンプの異常による振動が、針が飛びはねておっても運転をやめさせないできたという経過にやはりつながっているんじゃないかと思うんです。  そこで私、長官に伺いたいんですけれども、長官も、これはきょうの長官所信もそうですが、既に就任時の新聞記者会見などでも、国民理解を得ることとか安全第一だということを非常に強調していらっしゃるわけですが、私はこういうふうな安全について余りにも安易な進め方で、せっかく長官がおっしゃっておられる国民理解や安全第一の立場が貫けるのか、そこは非常に問題だと思うんです。私、その点については長官のお考えを伺いたいと思います。
  163. 平野拓也

    政府委員(平野拓也君) 長崎佐世保に入れますときに燃料棒を抜いたら廃船につながるから政府はやらなかったというお言葉でございますが、そういうことではなくて、実際上、あの状況でふたをあけまして燃料体を抜き出すことが諸般の事情でできなかった、こういうことでございます。したがいまして、長崎県のあの研究委員会がそういう結論を出されたことは承知しておりますけれども、ああいう形で佐世保で修理をさせていただいたという経緯がございます。  しかしながら、やはり安全性ということは私どもはそれで軽視しているというようなことは決してございませんので、できる限りのことはやってきたということでございますし、今後とも「むつ」につきましては、いろんな制約はございますけれども、その制約の中で最大限に安全確保できるようにというつもりで、私どもあるいは当事者でございます日本原子力研究所も精いっぱい努力して「むつ」の研究開発をやっているということでございますので、そういうふうに御理解をいただければと考えておる次第でございます。
  164. 村上健一

    政府委員(村上健一君) 先ほど内田委員長のコメントについてお話がございましたので一言だけつけ加えさせていただきますと、本件については節目節目で原子力安全委員会の方にも報告を受けているところでございますが、特に穴があけばすぐという御発言につきましては恐らく、もしそのように伝えられているとすれば、制御棒の問題でなかったかと思われます。その制御棒につきましては、先ほど原子力局長からもありましたように、つくり直して使うということになっておりますので問題はないということをつけ加えさせていただきたいと思います。
  165. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) ただいま御指摘ありました「むつ」問題あるいは福島原発問題を一括して、安全的な見地に立って御答弁申し上げます。  原子力安全委員会がダブルチェックを実施していることは、安全性の確保に万全を期しておるわけであります。我が国は原発を始めて二十五年、放射能を放出して一般の方々に健康や生活に影響を与えるような事故はもちろんのこと、そこへ至るおそれのある事故も全く今日までございません。  他方、機器の故障、ふぐあい等によって原子炉の計画外停止等、トラブル等が発生していることも承知しておりますが、安全装置が機能して外部へ放射能が漏えいすることを阻止しております。しかしながら、原子力発電所の安全確保のためには、このようなトラブルといえども、その原因を徹底的に究明して再発を防止する対策等をきちんと講じていることにより、トラブルの発生を少なくしていく努力を惜しんではならない、このように認識しております。原子力安全委員会におけるダブルチェックにおいても万全の措置がとられるように要請しているところでありますし、私としても、今後とも原子力の安全確保に最大限の努力を払ってまいる所存であります。
  166. 吉井英勝

    吉井英勝君 それで、いよいよこの実験船の問題で問題になってくるのが、二十年前の原子力船のこれで、既に日本の原発あるいは研究炉その他でいろんなデータもとられ、実験も進んでいる中で、どんな実験データが期待されるのかという点では、これは専門家からも随分疑問が呈じられているところです。これについてそれでも強行するというのは、やはり余りにもメンツにこだわり過ぎて、既に一千億を超えると言われる、廃船までにですね、結局むだにむだを重ねることになるんじゃないかという、これも専門家からも指摘されているところであります。  私は、この点についての御見解を伺いたいのと、もう一つ、実験と称してこの「むつ」の原子炉を一年間動かすとすると放出放射能は幾らになり、その後始末についてはどういうことが求められてくるのか、これは容易にその後始末ができるということをお考えなのか。この二点について伺うとともに、私は、特に現在の実験計画にこだわる余り、膨大なむだ遣いをこれ以上続けるということはやるべきじゃないというふうに考えるわけですが、この点についてだけは最後に長官の方からも御見解を伺っておきたいと思います。
  167. 平野拓也

    政府委員(平野拓也君) 二十年前の船でどれだけの研究成果が出るかという御質問でございます。  これは、確かにその間の陸上の原子炉におけるデータというのは非常にたくさん得られておりまして、それはそれで非常に貴重なものとして活用されておるわけでございます。ただ一点、舶用炉ということに関しましては、これは通常の陸上炉でございますと陸上の岩盤の上にきちっと原子炉を建設いたしまして運転をするということでございますから、原子炉が動揺するとかあるいは負荷が急激に変動するとかといった、そういうふうな運転の仕方はしないわけでございます。原子力船の場合は、これは常に原子炉が動揺、振動しておる。それから負荷といいますか、要するに出力をしょっちゅう変えるというようなこともございます。それから場合によっては、荒い海ではスクリューが空回りするというようなこともあるわけでございますから、そういうデータというのは日本には皆無なわけでございます。  したがいまして、これはこれから原子力船の研究開発をやる、全く白紙から始めるということであれば別でございますが、現在まで多額の国費を使わさしていただきましてああいう船ができておるわけでございますから、ぜひそういう基礎的な、しかも日本には全くないデータはあの「むつ」を使って修得するということにおきまして、将来のこういうタイプの原子炉の研究開発に非常に貴重なデータを提供できるんじゃないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。  それから、後始末の問題でございますが、これは実験航海終了後、大体一年ぐらいは冷却いたしまして放射能を減衰させる。放射能量は、私今記憶にございませんのでちょっと申し上げかねますけれども、それで後は燃料を抜きまして、これは陸上に保管する。その後どうするかというのは、これはまだ実は検討いたしております。  これは一種のデコミッショニングでございます。これにつきましては、原子力研究所は非常に豊富な経験を持っておりますし、これはJRR1という日本で最初の原子炉の解体、あるいは最近におきましてはJRR3の改造、これも炉心を取りかえるというような経験もございますし、それから、現在進行中のものは、JPDRという日本で最初の発電を行いました炉の解体をして、その解体技術研究を行っております。  こういう成果が近々出るわけでございまして、そういうものも踏まえながら、かつ船の後の利用ということがどういう形態があるかということも含めて今原子力研究所の方で検討を行っているということでございます。いずれその検討結果がまとまりますればまた公にいたしたいと思っておりますけれども、現在はまだその方法等については研究中であるということで御理解をいただきたいと思います。
  168. 村上健一

    政府委員(村上健一君) 後段のデコミッショニングの安全確保の問題につきましては、先生御案内のとおり三十六メガワットの熱出力の原子炉の解体でございまして、原子炉等規制法に基づいて厳格なる安全を担保したいと考えております。
  169. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) 基本的にはただいま局長が答弁したとおりでありますが、原子力開発重要性にかんがみて政府としては既定方針に沿って対応していく所存であります。
  170. 吉井英勝

    吉井英勝君 大阪商船三井船舶の技術者などが、渡辺氏などが、多数の原子力船が国際海運史上に登場する原子力船時代は半永久的に到来しないという指摘を専門家もしておりますね。今なら廃船は簡単ですが、一度原子炉を使った後、二億キュリーとか、そういうものの処理は大変だということだけ申し上、げて質問を終わります。
  171. 小西博行

    ○小西博行君 まず、大臣所信に対しての質問を若干さしていただきたいと思います。  大臣所信の中で、創造的な基礎研究重要性について言及されております。このことは今さら言うまでもないんですが、日本の国というのは割合、基礎研究分野研究がおくれている。例えばノーベル賞なんかで見るとよくわかるんですけれども、非常に少ないというようなことで海外からはかなり批判を受けたりというようなことが長い間続いているわけです。私は、必ずしも全部当たっているとは思わない。  例えば、管理技術といっても、管理技術分野では相当日本は進んでおりますし、いろんな意味での産業の活性のためにも随分海外に対して貢献もしている、このように一方では思っておるんですけれども、いずれにしてもこの基礎研究というのは海外から言われてどうこうじゃなくて、日本の国の将来を考えますとどうしてもそういうような新しい分野にどんどん乗り出していかないと、いわゆる技術立国としての日本というのは成り立たない。  つまり、商品をつくって海外へどんどん物を売りますと確かにいいからよく売れる。しかし貿易摩擦ということでたたかれる。こういうものがあるので、将来は技術関係をやはり相当研究して、特に先ほど申し上げた基礎研究分野世界貢献していく、こういう国を私は目指すべきではないかというふうに考えておるわけなんですが、今までずっと言ってきたことと、大臣が今度初めて科学技術庁長官になられて何かそこに少しニュアンスが違う面があるんじゃないか。例えば、基本的な姿勢というんでしょうか、あるいは基礎研究を進める場合の具体的な対策、そういうものがもしあったらお尋ねしたいと思うんです。
  172. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) ただいま委員から御指摘をいただきましたように、我が国は確かに二年前に民間と官を合わせますと研究費約九兆円、アメリカが十七兆七千億使って、GNPに対して我が国が二・五%、アメリカ二・六%、しかしその中にいわゆる公共的な予算というものが全体の一九・九%、アメリカ四九%でありますから、非常にそういう面が基礎科学というものが立ちおくれた一つの大きな原因であり、御指摘のようにアメリカにおいてはノーベル賞受賞者が百四十七人、日本はたった五人しかいない、こういう点で基礎科学の研究重要性というものは御指摘のとおりだろう、このように考えております。  そこで、今後は我が国としては、創造性豊かな科学技術振興、特に独創的な基礎的研究強化を図ることにより、科学技術面での国際的貢献を果たしていく必要性があると認識しております。特に六十一年三月に閣議決定しました科学技術政策大綱においても、政策の基本的な柱の一つにそこを位置づけておるわけであります。今後創造性豊かな人材の育成、確保、研究環境整備等が重要であると認識しておりますし、また科学技術庁といたしましても国際フロンティア研究、創造科学技術推進事業等を創設し、基礎科学特別研究員制度等を創設しながら、今御指摘をいただきましたような問題に対しても長期的に着実に成果が上がるように取り組んでいく決意でありますので、御了解をいただければと思います。
  173. 小西博行

    ○小西博行君 今九兆円というようなお話がございましたが、そういう意味では世界第二位ということでかなり研究費が多いような感じがいたします。しかし、現実には国のいわゆる支出というのは非常に少なくて、民間の方が圧倒的に資金的にも多いわけです。民間の産業がいろんな研究をするということは、当然これメリットを求める立場でありますので、大きなリスクは伴わないような安全パイでいく、そういうような面が当然出てこようかと思います。  そういう意味で、私は、大学もそうでありますが、国立研究機関、ここをやはり立て直していく必要があるんじゃないか。国立研究機関にはたくさんの問題があるようなので、後でまたお聞きしたいと思うんですが、例えばその研究所の内部の老齢化の問題とか、あるいは活性が非常に停滞しているというか、やる気が割合少ない研究所もあるというようなことも聞いておりますし、今の創造性豊かな研究成果というのはある意味では非常に難しいんではないか。そういった意味で私はこれから国立研究機関が中心になってこの先端技術あるいは独創的な基礎研究、こういうものをどんどんやっぱり推進していかなきゃいけないんじゃないか。  そういう意味で何が一体足らないんだろう。もう少しどんどんやっていただきたい。その足らない条件について教えていただきたいと思います。
  174. 石塚貢

    政府委員(石塚貢君) 国立研究所のあり方につきましては、科学技術会議等におきましても従来から検討を進め、その中長期的なあり方といったようなことにつきましても既に答申を行い、各省庁の国立研究機関等におきましてその環境整備、設備の更新でございますとか、そういった方面に現在非常に力を入れておるところでございます。国立研究機関の役割、それは時代とともに変遷はいたしますけれども、最近の今日的な課題といたしましては、やはり国立研究所におきましてそういった基礎研究充実を図っていくということも最近重要な課題として言われるわけでございます。  そういった問題に対処する一つの方策といたしまして、科学技術庁にございます科学技術振興調整費という制度がございますが、そういったものの中から国研の基礎研究についての配分でございますとか、あるいは省庁を超えた基礎研究を国研において行うという制度、これは省際基礎研究という制度をこの調整費の中に設けまして、そういったいろんな財政上の支援等も含めまして、この国立研究機関というものの活性化を今図るべく非常に努力を傾注しておるところでございます。  なお、科学技術会議が答申いたしました国立研究機関のあり方につきましては、その後どのように各研究機関においてその実行がなされているかということにつきまして、科学技術会議の中において現在フォローを行っているという、そういったことを通じましてこの国研の活性化といったものが実が上がるようにいろいろと対策を講じているところでございます。
  175. 小西博行

    ○小西博行君 それは当然努力はされているというふうに私も信じているわけなんですが、問題はそういうことではなくて、例えば、研究者が実際に成果を上げる年齢というのがあるでしょう。これもいろんなデータが出ておりますね。大体何歳ぐらいの研究者が一番新しいすばらしい成果を出しているか、これはもういろんなところで統計も出ておりますよね。そして現実にそういうような年齢と今の国立研究機関の平均年齢でも構いませんが、それと対比して何か発見できませんか。
  176. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 独創的な研究というのは若い人でなければだめなのだとよく言われるんでございますけれども、必ずしもそうではないという意見もございまして、なかなか結論を得るのは難しいところではないかと思っております。  ただ御指摘のように、国立の試験研究機関は、総定員法で定員が縛れているわけでございますし、全体としての新陳代謝と申しましょうか、年齢の若さの維持ということについてそう簡単ではないという現実があることは事実でございます。これは研究所全体あるいは公務員制度全体の根幹にもかかわります大変難しい問題を含んでおるところでございまして、私ども科学技術庁として十分な問題意識を持ってはおりますけれども、各省庁の意見を聞きつつ、また人事院などとも意見を交換しながら、そう急速な改善ではないかもしれませんけれども、着実な解決の方法を見出すべく努力をしてきているところでございますし、今後もそのような努力は続けてまいりたいというふうに考えております。
  177. 小西博行

    ○小西博行君 振興局長らしい答弁でありますが、私はそういうようなことではなくて、一つの国立研究機関というのはやっぱり年功序列も当然あるでしょうし、それから入った以上はそうよその省庁に持っていくわけにもいかぬでしょうし、研究というのはそういうものではないというのもよくおわかりだと思うんですね。そういうところをやっぱり柔軟にしないと、実際に研究所へ入っても余り尊敬できないような上司につき合っていろいろやっているというのはこれは皆さんもよく御存じのとおりですよ。そういうところをもう少し内部的にいろいろ調整しないと本当の若手が伸びるような研究所にはならないというふうに私は思っているわけなんですよ。  ですから、若い人は全部優秀で先輩の方はそうではないという、そんな議論じゃなくて、優秀な方は皆年齢に関係なく優秀だというのは当然なんですが、そういう若いときにやはり馬力をかけて研究ができるような環境をどうやって与えるのか、あるいは魅力を持って若い人がどうやってそこへ参画をするのか、そういうことが実は研究という意味では一番大事ではないか。そのことを申し上げているんであって、平均的ないろんなお答えをいただいても具体的な議論になりませんよね。そこのところをよく考えていただきたい。  そして特に、若手研究員が実際入りましても、補助的な仕事というのは非常に多いですよね。また、そうだと思います、よほどいい研究室でなければ若い人に自由に研究さすということの環境がないんだろうと思うんですね。そういう意味で、国立研究機関ではどんどんそういうことはもう考えてやっておられますか。
  178. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 一つ御報告申し上げたいのは、今年度予算で実験的な事業を開始いたします。基礎科学特別研究員制度という仕掛げでございますが、これは御指摘の国立の研究機関ではありませんが、理化学研究所の中に若手の研究者を入れまして、今先生御指摘になりましたように、若いからといって研究の下請、補助的な仕事をするのではなくて、独立して研究をやらせる、こういう試みでございます。  経緯的には、例えばノーベル賞をとられました利根川博士なども、日本研究環境というのはなかなか若手が自分で独立して研究できる環境にない。したがって自分も外国に行って、その結果ノーベル賞までとれた。日本若手研究者はかわいそうだ、こんなことをおっしゃるわけです。そうかといって、それでは日本のすべての研究機関を直ちに外国研究所のように変えるというのは言うべくして大変難しいことでございます。そこで、理化学研究所という、日本の中では私どもの見るところ一番自由な雰囲気にある、自由な研究環境にあると思われるところで、さらに実験的に一番自由な環境を与えてみょう、こういう制度でございます。  とりあえず、初年度二十五人の枠で募集をいたしましたところ、現在約三倍の応募者がございまして、目下選考中でございます。三年程度お預かりをして、特別に非常に自由な環境のもとでやらせてみよう、こう考えております。  これらの結果を見まして、そのときにいろいろ問題点も出てこようかと思いますが、そういうものを見まして、日本全体、国研も含めて、我が国研究開発制度の改善に何か役立てていきたい、このように考えておるところでございます。
  179. 小西博行

    ○小西博行君 時間が余りありませんので、法案の方を一、二点質問さしていただきたいと思います。  これも前々から言われておりますが、外国人の研究者の方をぜひ日本へ招聘をして、そして宿舎その他いい環境を与えて、そしてお互いに研究の国際化を図ろう。そのことは当然だと思いますし、午前中もそういう審議がありまして、インバランスの問題なんかもございましたが、外国人の、特にアメリカであるとかヨーロッパの先進諸国、そういうところの研究者が本当に日本に来たいんだろうか。  私は、宿舎とかそういうものも必要だと思います。だけれども、本当の中身というのは、やっぱりすばらしい研究者がいれば、あるいは自分のテーマとそれが合致すれば、自分の金をはたいても来たいというのが私は研究者の一つの姿勢ではないか。それにいろんなプラスがあれば、当然喜んで来られると思う。私は、その研究内容とかそれから日本研究体制とか、その方面にむしろ問題があって、いろいろ招聘しようと思っても、先進諸国からはなかなか来てもらえない、東南アジアあたりからは非常に希望者が多い、こういうことになろうかと思うんですが、その辺の実態はどうなんですか。
  180. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 問題は、日本研究所のレベルであるという御指摘でござい香して、これは御指摘のとおりでございます。研究所のレベルが外国研究者の目から見てあこがれるようなものでなければ、かねや太鼓でやっても研究者が来ないのは当然でございます。  ただ、幸いなことに、現在の日本研究所の、国立研究機関の水準というものは欧米の水準に追いついてまいりました。今や一部の分野においては完全に肩を並べ、あるいは場合によってはリードするところまで来ております。全部が全部とは申しませんけれども、そういう分野があります。したがって、そういう分野については欧米の一流の研究者、若手の研究者が本当に関心を持って日本に来たいということになってきております。ただ、そこには当然のことながら言葉の壁、文化の壁というのがございますので、そういう点のハンディキャップを日本側で除去してやらないといけない、こういうことかと思っております。
  181. 小西博行

    ○小西博行君 さっき伏見先生の方からもちょっと関連の質問があったと思うんですが、この法案はもちろん科学技術庁が出している。だけれども、やっぱり各省庁いろんな計画を立てておられまして、それでいろいろ人数を調べてみますと、それほど人数は多くはないんですけれどもやっておられますが、こういうのは何か一本化できるという方法、横の連絡をとりながら調整してやっていくという方法はないんでしょうかね。個々の省庁でやっていく、それは必要かもしれませんけれども、全体的にはまず省庁の中の関連をうまくやって諸外国との対応をしていった方がいいんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
  182. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 先ほど来御説明しておりますように、各省庁がやっておりますのは比較的短期の招聘が多いと思いますので、それとはこの制度は違っておりますので特色があるということになろうかと思います。  それから、今ここで御検討いただいております新技術開発事業団を改組して実施をさせます体制というのは、受け皿というのは、これは科学技術庁だけがやるわけではございませんで、科学技術庁は共通、支援的な業務としてこれを実施をするわけでありまして、実際に受け入れをする研究所というのは各省庁の研究機関になります。したがいまして、そういう意味で各省庁それぞれの受け入れをされるにつきましても、改組されました新技術事業団が一元的にお世話をするということで、外に対しましてある程度まとまった顔といいましょうか、プレゼンテーションができるようなふうに発展をしていくのではないかな、こういうふうに期待をしているわけでございます。
  183. 小西博行

    ○小西博行君 今、日本へ留学生として来ている学生というのは約二万五千人近くいるだろうと思うんですね。その中で国費留学、これは大体四千名弱ぐらいじゃないかと思うんです。それで、国費留学生というのは、これはほとんどと言ってもいいんですが、大学院生なんですね、ドクターコースであるとか修士課程。ということは、恐らく将来研究者になりたいといいますか、研究者として生きていきたいというような方々が世界から集まってきている。それは間違いないことだと思います。二十一世紀には十万人構想というのは、前の総理が提案しているわけです。だんだんそういうふうに大勢の人が日本へ来る。日本語も相当上手になっているでしょうし、むしろそういう方を日本研究に参加できるような体制というのですか、これは私は非常におもしろいと思うんですが、これは文部省の方の意向を本当は聞かなきゃいかぬと思うんですが、科学技術庁としてはそういう方々をやっぱりできるだけ日本研究機関に参画できるようないろんなことを考えておった方がいいのじゃないか、このように思うんですが、どうでしょう。
  184. 緒方謙二郎

    政府委員緒方謙二郎君) 二つ申し上げたいと思うのでありますが、先ほどの御質問にも関連いたしますが、ただいま先生は大学の問題を御指摘になりました。それで、実は大学への外国人の受け入れ、それから特に留学生に関する業務などは、実は文部省が一元的に実施をしているわけでございまして、これは私どもが今御提案をしております研究者交流とは違うカテゴリーでございます。それから、先ほど千葉先生の御質問などにお答えをしたのでありますけれども、経済協力でやっております国際協力事業団の関係というのも、これはちょっと性格の違うものになります。私が先ほど、各省庁にまたがる一元的なということを申し上げたのは、いわば国の研究機関、いわゆる国研が受け入れ研究者として一元的な運用ができるようなお手伝いをしたい、こういうことでございました。  二番目の点は、私どもの制度というのは既にドクター号、博士課程を終了したようなかなり質の高いレベルの人を求めているわけでございまして、そういう人たちに対する制度であるということ。それから、一般論として申しますと、国の研究機関に外国人を受け入れるということについては、大臣も先ほど来たびたび指摘をされておりますけれども、三年前に体制をつくっていただきました研究交流促進法において日本の公務員として採用する障害は取り除いておりますので、国の研究機関が、日本の大学を出ようが外国の大学を出ようが、外国人を採用するという道は開かれているということであろうかと思います。
  185. 小西博行

    ○小西博行君 そのことはよくわかっておるんですけれども、とにかく優秀な人材がせっかく日本で勉強している、そういう者とよくコミュニケーションをとっていかないと私はいけないのじゃないか。これは縦割り行政とかいろんな難しいこともあるでしょうけれども、非常に大切なことではないか、そのように思います。  もう時間が参りましたので、最後に大臣の方にぜひともお願いしたいんですが、さっき大臣も答弁していただきましたように、研究というのは大体予算が九兆円という、これは各省庁にわたっておりますから、その中の科学技術庁というのはさっきの予算で三千五百億ぐらいですから、全体から言えば非常に少ない分野を担当している。しかも自分のプロパーで持っておる研究所というのは数が非常に少ない。各省庁との関連で仕事をされる。予算を配分していろいろやっていかれる。そういう意味で、本来の科学技術というのは実は科学技術庁が全部やっぱり本来ならリーダーシップをとってどんどんやってもらいたいという気持ちが前々からしておるんですが、予算から見てもそれほど大きいものではない。しかし私は、先端技術という面においてはどうしても科学技術庁が中心になって頑張ってもらいたい、そういうような気持ちが非常に強いんですけれども、最後に長官の決意をいただきまして質問を終わりたいと思います。
  186. 中村喜四郎

    国務大臣中村喜四郎君) ただいま委員から御指摘ございました、先ほど私が答弁申し上げました九兆円というのは官民合わせての研究費ということで御理解をいただきたいと思いますが、そのような面で科学技術庁が今後とも先端技術開発のために主導権をとって頑張れと、このような励ましのお言葉をいただきましたし、私どももこれから二十一世紀を想像するときに、我が国科学技術発展というものが次の時代を豊かで平和にしていくためには欠くことのできない問題である、このような認識のもとで一生懸命取り組んでいきたい、このように考えております。  また、先ほど先生から御指摘をいただきました外国からできるだけ日本にというお話もございました。  これは私、政治家としての前提でお話をさしていただきますと、これから国際化というものを迎えていくためには、やはり日本をよく知っていただいた方にお帰りをいただいて、そしていろいろの意味で日本科学技術や外交や経済協力理解をしていただけるような方々を、できるだけ世界に多く友人をつくっていくということはやはり必要なことだろう、このように考えておりますして、その部分として科学技術庁としてできることはできるだけ縦割りの弊害を除きながら頑張っていきたい、このように考えておりますので、今後とも御指導いただきたいと思います。     ―――――――――――――
  187. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) この際、委員異動について御報告いたします。  先ほど、志村哲良君及び吉井英勝君が委員辞任され、その補欠として永田良雄君及び橋本敦君が選任されました。     ―――――――――――――
  188. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  新技術開発事業団法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  189. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  191. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 次に、請願の審査を行います。  第七六二号「脱原発法」の制定に関する請願外三件を議題といたします。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  193. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 高桑栄松

    委員長高桑栄松君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十九分散会      ―――――・―――――