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中曽根証人 私の内閣の責任者でありましたときにこのような不祥
事件がありまして、まことにざんきにたえない次第でございます。特に政治不信を起こしましたり、あるいは国政の停滞を起こしましたり、甚だ申しわけない次第であると、心からおわび申し上げる次第でございます。
この
事件全般につきましては終局の段階に近づいたようでございますけれども、厳粛にこれを受けとめまして大いに反省をし、また身を慎んで、こういうことが再び起きないように国家のために徴力を尽くしてまいりたい、そう
考えておる次第でございます。
私が実は
証人喚問に出ないと言ってまいりました理由は、
一つは、私はやましいことは一切していない、
自分は潔白である、これは検察の
捜査の
経過でおのずからわかることである、そういう確信を持ってまいったわけでございまして、
証人喚問というような、疑惑とかそういうようなことはないのだ。
新聞やテレビで随分ばりざんぼうを浴びておりますが、あれは事実無根である、そう私は確信しておりまして、そしていずれ検察が
捜査が進めば明らかになることである。法治国家においてはそういう検察の
捜査の結果というものが法的に判断される基準でなければならないのだ、そういう疑惑というものは一切ないと私は思って、それで出席はしない、そう言ってきたのであります。
もう
一つは、やはり三権分立ということがございまして、検察の方で
捜査がどんどん進んで起訴者も出ているというときに、この国会の方でそれに競合するような、ダブるような印象を与えるようなことをやることはまずい。これは検察の権限に影響する危険が十分ある。刑事局長はそれは支障ないと言っておりますが、あの答弁を見ますというと、国会の方で御協議になって検察の都合も
考えてくださると思うからということを言っておるのでありまして、国会は国権の最高機関でありますから、この権力の行使についてはほかの機関の権限を侵さぬように権力の乱用を慎む。最高機関であるがゆえにかえってそれを慎むのがこれからの三権の
関係をうまくやっていくゆえんである、そう私は
考えておりまして、この起訴とか
捜査が進行している間のそういうことは適切でない、そう確信しておったからなのであります。
そして、しかし、その後、ごらんのように国会が審議が停滞したり国政に渋滞を来しているというこういう
状況を見まして、これは長い間国
会議員として国会でお世話になってきた者といたしまして、これは打開しなければならないと高度の政治判断をして幹事長に私は出席すると、そういうことを申し上げた。しかし、また一面におきましては、これだけの大きな
事件になったのでありますから、それは
国民の皆さんに対するおわびのいい機会でもある、あるいはまたこれは一種の私に対するけじめであり、またみそぎである、そう
考えて実は出席するということを決めたのです。
しかし、私が在任中やりました政策については、私は正しかったと思っております。行政改革あるいは国鉄のJR民有化、
NTTの民有化あるいは
予算の節減による六十五年度赤字公債依存体質の脱却とか、あるいは国際国家への前進とかいろいろ努力しましたが、特に
日米関係の打開については本当に心血を注いでやってきたのであります。そういうような点については私は間違っていたとは思いません。しかし、にもかかわらず、その在任中にこのような不祥
事件が起きたということはざんきにたえない次第でございまして、心からこの機会を通じて
国民の皆様方に陳謝申し上げる次第であります。