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1989-04-26 第114回国会 衆議院 予算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年四月二十六日(水曜日)     午前十時十三分開議 出席委員   委員長 大野  明君    理事 越智 伊平君 理事 田名部匡省君    理事 山下 徳夫君 理事 綿貫 民輔君       相沢 英之君    逢沢 一郎君       有馬 元治君    粟屋 敏信君       池田 行彦君    稲村 利幸君       上村千一郎君    遠藤 武彦君       大坪健一郎君    奥田 敬和君       海部 俊樹君    金子 一義君       北村 直人君    倉成  正君       小坂徳三郎君    左藤  恵君       佐藤 文生君    志賀  節君       自見庄三郎君    砂田 重民君       田中 龍夫君    高鳥  修君       野田  毅君    浜田 幸一君       林  義郎君    細田 吉藏君       村井  仁君    村田敬次郎君       渡辺 秀央君  出席国務大臣         内閣総理大臣  竹下  登君         法 務 大 臣 高辻 正己君         外 務 大 臣 宇野 宗佑君         大 蔵 大 臣 村山 達雄君         文 部 大 臣 西岡 武夫君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  羽田  孜君         通商産業大臣  三塚  博君         運 輸 大 臣 佐藤 信二君         郵 政 大 臣 片岡 清一君         労 働 大 臣 丹羽 兵助君        建 設 大 臣 小此木彦三郎君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     坂野 重信君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)小渕 恵三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 金丸 三郎君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      坂元 親男君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 田澤 吉郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      愛野興一郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      宮崎 茂一君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 青木 正久君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 内海 英男君  出席政府委員         内閣法制局長官 味村  治君         内閣法制局第一         部長      大出 峻郎君         公正取引委員会         事務局官房審議         官       糸田 省吾君         総務庁長官官房         会計課長    稲葉 清毅君         総務庁人事局長 勝又 博明君         総務庁行政管理         局長      百崎  英君         防衛庁参事官  福渡  靖君         防衛庁参事官  村田 直昭君         防衛庁参事官  鈴木 輝雄君         防衛庁長官官房         長       依田 智治君         防衛庁防衛局長 日吉  章君         防衛庁教育訓練         局長      長谷川 宏君         防衛施設庁長官 池田 久克君         防衛施設庁総務         部長      弘法堂 忠君         防衛施設庁施設         部長      鈴木  杲君         経済企画庁物価         局長      勝村 坦郎君         経済企画庁総合         計画局長    海野 恒男君         国土庁長官官房         長       公文  宏君         国土庁長官官房         会計課長    嵩  聰久君         国土庁土地局長 片桐 久雄君         外務省北米局長 有馬 龍夫君         外務省経済局長 佐藤 嘉恭君         外務省条約局長 福田  博君         外務省国際連合         局長      遠藤  實君         外務省情報調査         局長      山下新太郎君         大蔵省主計局長 小粥 正巳君         大蔵省主税局長 尾崎  護君         大蔵省関税局長 長富祐一郎君         大蔵省銀行局長 平澤 貞昭君         国税庁次長   伊藤 博行君         文部省初等中等         教育局長    菱村 幸彦君         厚生大臣官房総         務審議官    末次  彬君         厚生大臣官房審         議官         兼内閣審議官  加藤 栄一君         厚生省社会局長 小林 功典君         厚生省年金局長 水田  努君         農林水産大臣官         房長      浜口 義曠君         農林水産大臣官         房予算課長   東  久雄君         農林水産省経済         局長      塩飽 二郎君         農林水産省構造         改善局長    松山 光治君         農林水産省農蚕         園芸局長    吉國  隆君         食糧庁長官   甕   滋君         通商産業省機械         情報産業局次長 水野  哲君         資源エネルギー         庁長官     鎌田 吉郎君         中小企業庁次長 三上 義忠君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   丹羽  晟君         運輸省航空局長 林  淳司君         労働大臣官房長 若林 之矩君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    竹村  毅君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設省住宅局長 伊藤 茂史君         自治大臣官房総         務審議官    小林  実君         自治省行政局選         挙部長     浅野大三郎君         自治省財政局長 津田  正君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      右田健次郎君     ————————————— 委員の異動 四月二十六日  辞任         補欠選任   梶山 静六君     北村 直人君   熊谷  弘君     村井  仁君   小坂徳三郎君     有馬 元治君   後藤田正晴君     金子 一義君   野田  毅君     自見庄三郎君   渡辺 秀央君     遠藤 武彦君 同日  辞任         補欠選任   有馬 元治君     小坂徳三郎君   遠藤 武彦君     渡辺 秀央君   金子 一義君     逢沢 一郎君   北村 直人君     粟屋 敏信君   自見庄三郎君     野田  毅君   村井  仁君     熊谷  弘君 同日  辞任         補欠選任   逢沢 一郎君     後藤田正晴君   粟屋 敏信君     梶山 静六君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成年度一般会計予算  平成年度特別会計予算  平成年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 大野明

    大野委員長 これより会議を開きます。  開会に先立ち、日本社会党護憲共同公明党国民会議民社党民主連合日本共産党革新共同所属委員出席を要請いたしましたが、出席が得られません。再度出席を要請いたしますので、しばらくお待ちください。  速記をとめてください。     〔速記中止
  3. 大野明

    大野委員長 速記を起こしてください。  再度出席を要請いたさせましたが、日本社会党護憲共同公明党国民会議民社党民主連合日本共産党革新共同所属委員出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。  平成年度一般会計予算平成年度特別会計予算平成年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。金子一義君。
  4. 金子一義

    金子(一)委員 自由民主党を代表して、平成年度予算を初めといたします諸問題について御質疑をさせていただきたいと思います。  まず、私、ちょうど一カ月前に私の父を亡くしまして、地元で葬儀をさせていただいてまいりました。そのときに多くの方がお集まり、御参加いただきました。総理初め閣僚の皆様、諸先輩の皆様方にも大変お世話になってまいりましたが、そのときに参加していただきました多くの方々から、父を悼み、そうしておやじは本当によくやってくれたという温かい励ましを伺いましたときに、これが政治家として私の父の本当の勲章なんだな、そして私の地元政治家を必要としていることを痛感し、改めてこの地域のために、そうして国のために私も頑張っていかなければならないと決意をした次第でございます。  しかしながら、昨今のリクルート問題に絡みまして、今私たちが真剣に議論をしなければならない農産物の自由化の問題、実施されたばかりの税制改革議論、そうしてその他ふるさと創生、元年度予算までもがリクルートと一緒くたにされてしまっているということは、私としても大変つらい思いをしておったところでございます。こういうような議論の中で、昨日竹下総理本当に悲痛な決意を持たれて辞職をされて、そうしてこの議論正常化していこう、こういう議論を思う存分やれる状況にしていこうという御決意をされたことを、私は、本当に断腸の思いであったと思いますが、一方でまた高く高く評価をさせていただくところでございます。ただ、そうはいいましても、総理の御辞任、これはこの正常化へ向けての第一歩であろうか。私たちは、やはり今国民政治離れが行われている、その中で本当の私たちの信頼を回復していくために、さらに本当意味での政治改革というのをきちっと断行していく、勇気を持って断行していくということが必要であろうかと思っております。  一方で、これだけの総理の御決意がありながら、きょうのこの予算委員会での平成元年度の予算審議、野党の諸君に呼びかけをさせていただきながらも応じていただけない。昨日からの予算委員会も、予算委員会を開催いたしますと呼びかけますと、リクルート隠しという一片の返答きり出てこないということもまた大変残念な風潮であると思っておるところでございます。  さて、御決断を持たれて御辞任を発表された。しかしながら、今申し上げましたとおり政治改革を断行していかなければならないわけでございますけれども、この際、竹下総裁政治改革にかける理念、私たちは再三非常に強い、バッジを外して政治改革をやっていくんだという強い御決意を伺っておるわけでございますけれども、改めて政治改革理念というものを竹下総理にお伺い申し上げてまいりたいと思います。
  5. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今、金子委員の御質疑に当たっての所見を承りながら、ちょうど私と村山大蔵大臣と並んでおりますが、村山大蔵大臣によって昭和五十三年度予算がつくられ、その際いわゆる一般消費税(仮称)の準備という税制調査会からの答申をいただき、その後が今お話のありました金子一平大蔵大臣であり、それを引き継いだのが竹下登大蔵大臣でありました。そうした歴史を振り返りながら、今税制改革が、四月一日から新税たる消費税を含め執行に移されておる今日、今さらながら、これが国民の暮らしの中に溶け込むような努力を一層しなければならない、この感を強くいたした次第であります。  さて、今お尋ねの二点、一つ政治改革の問題でありますが、明朝、これは政府側からお願いした有識者懇談会等についての御意見の取りまとめをお願いをいたすような運びになっておると承知をいたしております。そうした理念に基づきまして、法律を伴うことなく政府自身の考え方で行われるものはこれを直ちに実行に移していく。そして法律改正を伴うものにつきましては、党の後藤田委員会において鋭意議論をされておりますのと並行して、短期、中期、長期にわたるものの選別をしながら、何とかこれが新しい内閣において法制度を含めてのさらに前進があることを期待をいたしておるところであります。したがって、私といたしましても、政治改革の緒につけたい、この気持ちは、幾ばくかの期間の中でも前進をさせなければならない使命を痛感しておるところであります。     〔委員長退席田名部委員長代理着席〕  第二点目の、ふるさと創生に関する件でありますが、既に議了していただきました昭和六十三年度補正予算、この中で、いわば今まで中央官庁メニューをつくってそれを提示し、それを基礎に置いて各自治体において作成された形の計画ではなくして、みんながみずからの手によってつくり上げたものを中央がサポートしていくという立場に立った作業が、まさに本当に緒についたばかりでございます。  しかし、今御審議いただいております平成年度予算の中には、それをさらに推し進めていくもろもろの施策も盛り込まれておるところでございますので、これらの一貫性の中で、私は、ふるさと創生というものが緒についていくことを期待し、この予算が通過成立いたしましたならば、まさに国民皆様方の手元に届いていくであろうという期待を込めながら、予算成立の一日も早からんことを心からこいねがっておるというのが私のただいまの心境でございます。ありがとうございました。
  6. 金子一義

    金子(一)委員 竹下総理から大変力強いお言葉をちょうだいしたわけでございますけれども竹下総裁が御辞任をされても、本当政治改革は今からスタートをしていくものと思っております。そういう意味で、総理が御在任中にリーダーシップを引き続き発揮していただきまして、しっかりした政治改革の方向づけをとっていただきますように心からお願いを申し上げる次第でございます。  今、竹下総理がふるきと創生についてお述べいただいたわけでございますので、引き続きこちらのテーマに話を移させていただきたいと思います。  私の岐阜県で、昨年、中部未来博というのをやらせていただきました。また飛騨高山では、食と緑の博覧会、これは農林省の予算でございますけれども、やらせていただきました。いずれもが大変な好評でございましたし、予想をはるかに上回る人を集めることができたイベントでございました。  これは、竹下総理にもおいでいただきまして御感想もぜひお伺いしたいと思ったわけでございますけれども、私たちがいろいろ分析をしてみますのに、この私たちイベント成功をいたしました一つの大きな理由、何といいましても県民がこれに総参加、みんなでもって自分たちの各市町村、村のお祭り、村のおはこを持ち寄ってつくり上げたものであった。そういうことで、今竹下総理がおっしゃられましたような、本当にそれぞれの地域を、自分たちを見直して、それを持ち寄ったものということで、昨年行われましたこのイベント成功というのが、まさに総理がおっしゃっておられましたふるさと創生の原点であったと私は思っておるところでございます。  従来、地域活性化といいますと、ややもすれば企業誘致というふうにすぐなっていったわけでございますけれども、やはりこれだけの円高企業が海外にどんどん進出をしていくということになりますと、企業誘致というのは一方で進めるとしても、それだけではやはりいかぬ。自分たち市町村のそれぞれの持ち味を見直して、そうしてそれを有効にどうやって生かしていこうかというようなことが、だんだん地域でも認識をされ始めてきておると思っておるところでございます。  もう一つ事例で申し上げますと、多治見というところを中心としまして瀬戸物美濃焼というのがあるのでございますけれども、この美濃焼でも、三年前でございますけれども陶磁器デザインフェアというイベントをやりました。この陶磁器デザインフェア瀬戸物でございますから、何で九谷でやらないのか、何で有田でなくて、何で瀬戸でなくて美濃焼でやるのかという、初めはこういうような心配もあったわけでございますけれども、いざやってみたら大変盛会でございましたし、日本はおろか、世界全体の中でも美濃焼の名前がだんだん浸透してまいりました。やればできるという自信を地元の方も本当に持たれたかと思うわけでございます。そういう中でのふるさと創生でございましたものですから、大変私たちは大きく期待をしておるところでございます。  ただ、一方で、どうも今度の一億円、各市町村に出てまいりますと、いろいろ議論がございました。自治省の方では、市町村単独で物を決めるのじゃなくて地元で幅広く意見を聞いてくださいよという形でやっておられるかと思います。その結果としていろいろな議論が出てきておりました。その議論すること自身は大変結構なことであると思っておるわけでございます。そういう意見もまたございます。  ただ、一方、いろいろな問題も出ておりまして、あちらで議論が出る、こちらで議論が出る。そうしますと、あそこでこういうものをやろうやということが出ますと、小さな村でございますと、ここで何かやるならばこちらの部落でもやらしてくれ、あちらの部落でもやっぱりやらしてちょうだいよ。結果としまして、村の中の部落、五つの部落に二千万ずつ分けてしまうといったようなことにもなりかねない。まさに、そうなってしまいますと、ばらまきということになってしまうわけでございましょう。やはりこれは何としても避けていきたい。もうちょっとリーダーシップのある市町村長さんがおられまして、そして皆さんをまとめて、じゃこういうものをやろうということで意見がまとまるということになった場合でございましても、やはり一億円ということになりますと、なかなか一億円でもってまともな一まともなというと失礼なんでございますけれども、ちょっとしたことをやろうとすると、一億円ではなかなか足らない。  そうすると、市町村長さん、今どういうふうに対応するかといいますと、じゃ平成年度以降のこのふるきと創生支援体制というのは一体どういうふうになっておるのだろうかということを皆さん今見ておられる。この平成年度、来年以降も一億円がぼっぼと各町村にことしのように出てまいるわけでは決してないでしょうし、そういうことも決して考えておるわけではございませんけれども、来年度以降、それじゃ一体このふるさと創生支援財源措置というのはどういうことになってくるのだろうか。また、自治省中心とされまして恐らく各省庁支援予算、これはメニューを組んでおいでになられるかと思うのでございますけれども、依然としてそこのところは恐らくまた平成年度予算編成に向けての話だと思っております。  そうなりますと、今自分たちはこういうものを考えたのだけれども、来年度以降各省庁が一体どういうメニューをそろえてくれるのか、それをしばらく見ようじゃないか、とりあえず基金でも積んでおくかというようなのがかなり各地方市町村の対応かなというふうに感じておるのでございますが、自治大臣に来年度以降のふるさと創生支援措置につきまして御質問をさせていただきたいと思います。
  7. 坂野重信

    坂野国務大臣 お答えいたします。  総理からも再々お話があるとおりでございますし、今先生が御指摘のとおりに、とりあえず今年度は一億の地方交付税を各市町村に配賦いたしまして、その中でできれば各町村がそれぞれの独自の発想、自由な発想に基づきましてメニューづくりお願いしたいということでございます。もちろんメニューだけではございません。先生がおっしゃるように、一億の範囲内で、あるいはイベントをやっていこう、あるいはハードの面でもできるものはやっていこう、そういうことについては私どもは全く制肘を加えていない次第でございます。  自由な発想でまずメニューづくりを何とか各町村お願いしたいということでございまして、できれば来年度予算編成期、どうせ七月、八月になるかと思いますが、そういう時点までに各町村からそれぞれの発想構想といいますか骨組みといいますか、そういうものの着想の骨組みだけでも報告いただきまして、その結果に基づいて中央の方で皆さんと相談しながら、官邸を中心として各省庁連絡会議ができておりますから、そういう中で、各町村発想に基づいてそれじゃ中央官庁として明年度予算にどういう予算を計上していこうかというような段取りになるかと思っております。  もちろん六月、七月までには全部の町村からすべての発想が出るわけじゃございませんから、年末の実際の予算編成期予算原案づくりまでにはかなりの市町村からそういった構想というものがだんだん具体化したものが出てくるかと思います。そういうものをにらみながらその次の段階を、どういうぐあいに国が明年度以降これに対して助成をし、あるいは民間の活力をどういうぐあいに持っていくかというようなことを、その発想を眺めながら次の施策に引き継いでいきたいというのが私ども気持ちであるわけでございます。  総理も、このふるさと創生というものは自分の生涯を通じて取り組んでいきたいというようなこともきのうもおっしゃっておったとおりでございますので、自治省といたしましても、各省庁十分連絡をとりながら、自治省自治省で県の単独費であるとか、あるいは先般できましたふるさと財団というようなものを通じながら、各県とも十分連絡をとりながら、各町村から出てきた発想に基づいて次年度以降の問題も引き続いて考えてまいりたいと思うような次第でございます。  具体的な問題は、今申し上げたように各町村発想が出てきた状態を見ながら考えていくことになろうかと思う次第でございます。
  8. 金子一義

    金子(一)委員 先ほど申し上げました、これは私の地元の話でございますけれども陶磁器デザインフェアなんというものも、従来の予算メニュー事業、各省庁メニュー事業でございますと、どうしても一遍そういうものにやりますとその後また繰り返すというのはできてこないわけでございますけれども、こういう地域活性化、その中でもいろいろイベント全国各地にあるかと思うのでございますけれども、やはり財政力の弱いところ、今自治大臣民活もというふうにおっしゃったのですが、民活でいろいろ民間の知恵と資金をお借りいたしましても、それでもなおかつなかなか財政基盤の弱いところはこれをある程度軌道に乗せるためには繰り返し繰り返し支援をしていかざるを得ない面も多々あるわけでございますので、今おっしゃられましたようないろいろな内容のものがこれから出てくる、それを一遍こっきりでこれはもうこれでおしまいですというようなことでないふるさと創生支援体制をつくっていただきますことをお願いを申し上げるわけでございます。  また、小さい村、これは一億円ずつずっと規模にかかわらず配分をしていただいたものですから、小さな村なんか大変喜んでおりまして、下手なものをやるよりは基金に積んじゃっておこう。そうしますと、金利計算しますと毎年五%として毎年毎年五百万ずつ出てくるのだそうでございまして、この五百万で村道の改修の裏負担にしようじゃないか、毎年毎年、十年間積んでいけば毎年出てきますから、その方がよっぽどいいのじゃないかというような議論も今出ておりますし、それからもう一つ、やはり地方を通じて感じておりますのは、こういうものを企画するという人材が何といってもないのが一つの大きな問題であろう。それじゃこの一億円を研修費、人材の研修に使ったらどうか。自治省の今度のパンフレットを拝見いたしますと、研修でもいいよということになっているのでございますけれども地元の方に行きますと、研修、何か研修といいますと、あれは一杯飲むことじゃないかというので、みんな飲んじゃうのじゃないか、そういう心配もあるようでございます。それからまた、自治省の方は別として、現場に行きますと、我が県のことではないのでございますけれども、やはり物に残るものをやってほしいよ、研修という今当面目に見えないものというのはぐあいが悪いのじゃないかなというような暗黙の御指導も感じておるのでございますが、自治大臣、その辺はいかがでございましょうか。
  9. 坂野重信

    坂野国務大臣 おっしゃるように、ふるさと創生は単に物をつくるだけじゃなくて、文化あるいは歴史的な伝統に基づきながら、人材養成、イベントと総合的な考え方をとっておるわけでございます。  人材養成につきましては、さっき申し上げましたふるさと財団というのが、そもそも民間の活力を導入しながら、一方においてはまたそういうアドバイスというものも地元の要望があれば県と一緒になってやっていこうというような目的もその中に含んでいるような次第でございまして、それはそれで進めていきたいと思います。  町村によっては、人材養成だけあるいはイベントだけでは不十分だから何か物をつくりたいというようなことも出てくるかと思います。そういう発想に対しては、それなりにまた各省庁の分担される範囲内で、公共事業に引き継いでいくとか、いろいろな施策が出てくるかと思いますので、さっき申し上げましたように発想に基づいていろいろまた中央の方で各省庁が連絡をとりながら進めてまいりたい。そういう中で、自治省地方公共団体を担当する担当の役所でございますから、中心的な連絡役も自治省としても果たしてまいりたいと思っている次第でございます。
  10. 金子一義

    金子(一)委員 最後に、官房長官竹下内閣のもとでこのふるさと創生本当に第一歩をつけていただいた。しかし、今私が申し上げましたように、この来年以降の支援体制というのがやはり充実したものが出てきませんと、このままうっかりすると終わってしまう、もしくはしりつぼみになってしまうという危惧も多少感じるわけでございますけれども、やはりせっかくつけていただいた地方地域活性化、どうしてもこれはさらに、これを第一歩として大きなものに育てていっていただきたい。そういうことで、このふるさと創生の今後の点につきまして、各省庁を御指導いただいて、自治省中心になってやっていただくかと思うのでございますけれども、進めていきたい。御在任中にその御決意を、またお考え方をぜひお伺いしたいと思います。
  11. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 竹下内閣といたしましては、税制改正、初年度取り組みをさせていただきまして、実は本年度はこのふるさと創生を政治課題の中心に掲げて取り組んでまいりたいということで、実は総理の御諮問にお答えする意味でふるさと懇談会というようなことも企図いたしておったわけでございますが、その考え方を実行するに至りません過程でこのような仕儀となってきておるわけでございます。今、お地元の大変すばらしいイベントお話も承りまして、そのことも総理がお考えの地域の活性化、また地域皆さんのお力でふるさと創生をしていこうということの精神につながるものとして大変歓迎を申し上げておるところでございます。  したがいまして、今後このふるさと創生につきましては、恐らくこの下敷きは、四全総の東京の過度の集中を排除しながらそれぞれの地域を活性化するという発想によって出発をいたしておるのだろうと思いますけれども、さらにそのことを充実、拡大いたしますと同時に、それぞれの地域の自主性によってすばらしい豊かな地域が達成されるように、恐らくこれからの内閣もその精神を踏襲していただけるものと確信をいたしておりますし、同時にまた、このことにつきましては、党内の、自民党の中におきまして恐らくその考え方をさらに拡大、発展させていただくための御提言もいろいろといただくことだろうと思いますので、平成年度予算におきましては、さらに充実したふるさと創生予算が拡充できるようなポリシーを、政策を、これから政府といたしましても検討いたしてまいりますが、党内におきましても御勉強いただければありがたいと思っている次第でございます。ありがとうございました。
  12. 金子一義

    金子(一)委員 ありがとうございました。  次に、厚生年金の年齢引き上げの問題につきまして小泉大臣にお伺いさしていただきたいと思います。  いずれにしましても、どんな年寄りでも生きていてよかったと思われるような社会、これができるような経済と社会の仕組みをつくっていくことの必要性はもう言うまでもございませんし、また、そのために年金制度等を初めとする社会保障のあり方を十分確固とするように見直していくことは避けて通れない問題であると思っております。ただ、この厚生年金の六十五歳引き上げ、また料率のアップの問題につきまして、二つほどちょっと御意見を賜ればと思うわけでございます。  一つは、今度の税制改革との絡みでございます。  私たちは、今度の税制改革、なぜ税制改革消費税導入も必要かということを後援会、国民皆様にいろいろ御説明をしてまいりました。一番大きな問題、説明点が、高齢化社会に対応する税制が今度の直間比率の見直しであります。私も、父が入院をしておりました。入院をしていて、抗生物質をいろいろ注入したり、ナースステーションにいろいろ集中治療をやってもらったり、そうしながらも、ちょっと風邪引いて肺炎を併発した。にもかかわらず、後で請求書をもらいましたら月九千円。本来は恐らく二、三十万かかっていた医療費が、老人保健法が適用されているがゆえに九千円きり出てこない。だから、私たち若いのが風邪引いても風邪薬飲んでおしまい、だけれどもお年を召されればどうしても風邪が肺炎を引き起こし、そして大変な治療費がかかってまいりますよ、年金も同じですよ、この体制というのを所得税だけで賄っていると、これはやはり所得税に対する負担というのが大きくなり過ぎちゃいますよ。これは私だけじゃなくて、おいでになられます先生方も同じような説明をしてまいったのかなと思っております。  しかしながら、一方でここで消費税が四月一日から実施された。そこで、改めてこの厚生年金の保険料率の引き上げ、そして料率の引き上げたけじゃなくて六十から六十五への支給年齢の引き上げということになってくる。そうしますと、金子さん、あなた高齢化社会に対して今度の税制改革が必要だったと言ってきたじゃないの、しつこいくらいに言ってきたのに、またまた何だか知らないけれども厚生年金は上げるんですか、支給開始年齢も上げちゃうんですか、そういうよケな、あなたが言っていたのとちょっと違うんじゃないのという御質問が当然に出てまいるわけでございます。当然に特定財源化を今度の税制改革でやっておりませんから、それはこれから必要な年金部分の増加に対応する部分くらいで消費税が終わっちゃうというようなことで言っておるのでございますけれども、そうはいいましても国民皆さんにはその辺は非常にわかりにくい。税制改革をやったばかりで、しかも高齢化社会だ、特定財源云々とはかかわりなく、何でまた福祉で上げていかなければいけないんだというような議論というのがもう既に出ておるわけでございますが、その辺と今度の厚生年金の改革の必要性、そして今の税制改革との関連で、小泉大臣にお答えを願いたいと思います。
  13. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 もっともな疑問だと思います。  しかし、税制改革と今回の年金法の改正というのはやはり区別して考える必要があるんじゃないか。もちろん国の施策ですから、財源をどう使うかということに関しては密接な関連がありますが、たとえ税制改革がされなかったとしても、今度の年金法等の改正はせざるを得なかった問題だということをまず御認識いただきたいと思います。そして税制改革は、大蔵大臣が再三再四申し上げていますように、現行の税制に非常に矛盾があるということでなされたものだと思います。  今回の消費税導入というのは一般財源ですから、必ずしも福祉目的の特定財源じゃない。所得税減税というのは毎年毎年要求が出てまいりました。そして、一時期は所得税の減税の財源として法人税を上げたり、あるいは酒の税金を上げたりしてきた。しかし、これももう限度があるということで、今回抜本的な税制改革で大幅な減税と一緒に消費税が導入された。ですから私は、この税制改革消費税というのは実施された今、これから本当の真価が評価されるんじゃないか。なぜならば、今野党の諸君は消費税廃止を訴えております。しかし、五兆四千億円というこの消費税の財源を一体どこで見つけてくるのか、この提案なしに廃止を言うのはまことに私は無責任と言わざるを得ない。ということを考えますと、これからが本当消費税というのはやってよかったなという認識を持たれるんじゃないか。今でも、消費税廃止を言いながら、なおかつ所得税の減税を要求してきている一部の方もおられます。ですから私は、今回の税制改革というのは、まさに現行の矛盾したもろもろの税制、制度というものを抜本的に改正するという意味で、消費税と一緒にやったということでこれを評価していただきたい。  そして、もう一つの年金の問題は、これは年金額の改善、これと相まってやはり負担の問題がありますから、これについて改善されると同時に、受給者がふえてまいります。なおかつこれを安定的にするためにいろいろな方法を考えてまいりましたけれども、やはり年金制度というのは、給付水準、それと保険料負担、それと支給年齢、この三つの組み合わせしかないと思うのです。そういうことから、給付水準を現行程度に維持するということで、なおかつ保険料の今労使折半で一二・四%、これでも今安いと言っている声は余り多くない。むしろもっと下げてくれというそういう声の方が一般的には強いわけです。ですから、給付水準を現行のままに維持して、おおむね七割程度維持して、なおかつ支給年齢を六十歳にするならば、これからますますお年寄りがふえる、負担する若い人は減る、しかも受給するお年寄りはふえると同時に、もらう期間が長生きしますから長くなるということで、今のままの六十歳にしたならば一挙に保険料負担は今の一二・四から二四%程度にしなければならなくなる。ですから私は、それよりもこれから二十二年かけて段階的に支給年齢を六十歳から六十五歳に引き上げる方が現実的ではないか。ですから、六十歳のままにした方がより多くの問題点を露呈するんじゃないか。そういう意味におきまして、私は今回の年金法改正については、時間をかけていろいろな機会を通じて国民に説明していくならば必ず理解が得られるものと思っていますので、どうか御理解を賜りたいと思います。
  14. 金子一義

    金子(一)委員 私も、いささかもこの問題が要らないということではなくて、今の財政の多少やはりわかっておる立場で申し上げれば、年金財源は年金財源としてやはりどうしてもこれは避けて通れない問題である。しかしながら、先ほど申し上げましたように、これが特定財源化されているか、いや一般財源になっているかということは国民にとってはこれはわかりにくい点でございまして、小泉大臣がまさにおっしゃられましたとおり、引き続き国民皆様方の御理解を得られますように政府としても最善の努力をとっていただきたいと思う次第でございます。  もう一つの問題が、もう既に議論されておりますように、本当に六十五歳まで、まあこれは二十年後完全実施でございますけれども、六十五歳まで定年延長が本当にうまくスムーズにいくんだろうかという点でございます。今六十歳まで定年延長を実施されているのが六〇%だそうでございますけれども、六十歳まで定年延長されている実態でも、実質はどうも聞いてみますと、五十五なり五十六でもって一たんやはり定年にしちゃう。あとは嘱託というような形で六十歳まで雇用していくとか、または一たん給料を三割くらい、三割、四割どんと落として、そして六十歳までいく。退職金はといいますと、その場合に五十五ないし五十六で一たん退職金の給与計算期間というのは切っちゃうんだそうでございまして、そこから六十歳までは、五十五のときに退職金を払ったということにしておいて、実際には払わないでそれを企業が預かって、これをいわば財テクでございますけれども、財テクをやっておる。そして六十になったらそれを渡すというような、そういうつなぎ的な措置をやっておるところもあるようでございますし、もちろんそればかりじゃございませんけれども、どうも一般的に、そういう今六十まで定年が延長されているところでも非常につなぎ的な措置で皆さんが苦慮されておられる状態でございます。中小企業の経営者の方々も、六十五ねえ、やはり全部が全部じゃないのですけれども、六十を過ぎますと、これは現下の話でございますけれども、どうしても知力、体力、それから最近は非常にソフト産業みたいなものがどんどん出てきておりますから、なるべくやはり若い人にむしろ一生懸命仕事をしてもらっていきたい。コンピューターなんかやはり年とると対応できないという、そういう点もございましょう。若い人になるべく役職をつけていきたい。  それからもう一つは、我が国も国際化がどんどん進んできておりますから、企業全体としてもやはり役員も若返りを図っていかないと国際化社会に対応できないよ、役員の人も比較的早い年齢で役員につく例が出てきておりまして、そうしますと、役員の場合には任期が二年でございますから、任期二年終わっちゃうと早いところ役員をやってその後一体どうなっちゃうのかね、大企業等でも、さてむしろこういう若返り、経営者の経営の若返り化というものがこれによっておくれるということになるのかな、大変不安を中小企業また大企業の経営者の方々もお持ちになっておられるようでございます。  そういうことになりますと、従業員の皆様方も、六十歳になって老後の定年の入り口でもって非常に不安を感じてしまう、老後の不安を感じてしまう。マクロの議論で見ますと、なるほど若年労働者は、もう昭和二十三年代の団塊の世代の人たちが仕事を、現役を卒業してしまいますと、もうこれは幾ら何でも若年労働者が減っちゃいますから、だからマクロでいけばどうしても老年層を使わなくてはいけないよということになってくるのでございますけれども本当にその辺の不安がなぐやれるものであろうか。これは労働大臣にまたこの辺の対応をお伺いさせていただきたいと思います。
  15. 丹羽晟

    丹羽国務大臣 先生のお尋ねにお答えさせていただきますが、今もお尋ねがございましたように、我が国の民間企業においては六十歳以上の定年年齢を採用しておる割合は今のところ五八・八%でございまして、さらに今後採用を予定しておる企業までを含めますと七六・七%に達すると考えられております。でございますから、今後とも六十歳定年の定着に向けて企業への指導を強力に推進してまいりたいと考えております。  なお、労働省としては、本格的な、ただいまも御意見のございましたように、高齢化社会において我が国経済社会の活力を維持していくためには、高年齢者の知識、経験、能力が十分生かされていくことが大事でございます。重要なことであると考えておりますので、このような考え方から六十歳代前半層の雇用対策を最重点課題として推進しているのでございます。今後さらに長寿社会雇用ビジョンの策定等を通じて、労使の社会的合意の形成を図りつつ、六十五歳までの雇用、就業の場の確保について必要な施策の展開を図っていきたいと考えておりますので、どうかひとつ御協力賜りますようにお願いをいたします。     〔田名部委員長代理退席、委員長着席〕
  16. 金子一義

    金子(一)委員 先ほど申し上げましたように、この問題、国民のまた民間企業皆様方に少しでも御理解ができますように、厚生省、労働省を初めとして政府側の粘り強い国民への御理解を進めていきますことを心からお願いを申し上げる次第でございます。  時間がちょっと短縮をしてまいりましたので、最後に、平成元年度の予算について大蔵大臣に御質問をさせていただきたいと思います。  今度の元年度予算を編成するに当たりまして、平成年度赤字公債の脱却、長い間の念願でございましたけれども、これがいよいよ目の前にやってまいった。問題は、私の御質問させていただきたいのは、この平成年度もしくは三年度以降の財政の運営の問題でございまして、先般の同僚の村上君への御答弁でも大臣が御答弁ございましたとおり、赤字脱却といっても百六十二兆円の国債の残高はあるよ、その利払いは十一兆円、二〇%にも達するよ、一方国債整理基金中心といたしましたツケ回し、隠れ借金と申しましょうか、これも二十六兆円にも達するよ、だから引き続き財政の従来どおりの運営、さらなる財政の再建が必要であるという、つまり赤字脱却したからといってもそれは財政再建の第一歩でありますというお答えをいただいておるわけでございますが、さて、それは私も本当に大事なことである、これはこれとしてまたぜひ実施していただかなければいけない大事な問題であろうかと思っておりますが、ただ本当にこれだけで、これから来年度平成年度は当然赤字脱却が実現するまでは従来どおりのゼロシーリングでいくわけでございますけれども、三年度以降今のままで、今私が申し上げましたような、大臣が御答弁されたようなポイントだけで本当国民皆様の御理解がいただけるのだろうか。あくまでも今の議論といいますのは財政の論理の範疇なのかな、言いかえますと数字の世界の話なんだろう。数字の世界だけからいえば、ことしできました整備新幹線という発想というのは本当は出てこないのだろうな。大蔵省の皆様方は自民党に寄り切られたと本音ではおっしゃるかもしれませんけれども、これはやはり将来の我が国の国土の均衡また交通体系等に向けてその必要性ということで出てきた話でございましょうし、やはりそうなりますと平成年度以降の財政の重点的な運営というものを議論していく、またその時期に今来ているのではないだろうかな。  財政の重点的な柱というのはいっぱいございましょう。一つは福祉、今お話ございました福祉というのもこれはもう避けて通れない問題でございましょうし、またそのほかに竹下内閣での本当に重要な一つの柱でございました経済社会五カ年計画、その中でも私たち本当に豊かな社会を、豊かな政治を、豊かな経済を感じられる社会をつくるという柱をうたっておるわけでございますけれども、海外に見劣りするような住宅ですとか下水道ですとか、これは一つの例にすぎませんけれども、いわば社会資本といったようなものも議論していかなければならないのだろう。  そうなりますと、ここ三、四年は緊縮財政という上でずっと我慢しておりました、国債の中でも赤字国債と建設国債を分離して議論するといったようなこともいずれまたどこかで必要になってくるのじゃないだろうかな。そういうことで、これは平成年度からどういう財政運営をやるかということでございますから、来年の八月までには私たちはその点を議論しておく必要があるのだろうな。時間がなくなってまいりましたが、賢明な村山大蔵大臣、その辺につきまして一つの御方針、また省内、政府部内でもその辺の議論をスタート、開始していただきますように、お答えをいただくと同時にお願いもさせていただきまして、御質問を終わらせていただきます。村山大臣、お願いいたします。
  17. 村山達雄

    村山国務大臣 もちろん財政は財政だけのためにあるのではなくて、最終的には国民経済にいかに財政というものが寄与しておるか、それが長い目で見て国民経済にどういうプラスになるかという観点でやるわけでございます。したがいまして、公共事業等社会資本につきましては、それぞれのプロジェクトについてそれぞれ五カ年計画とかいうものが何本か立てられておることは御承知のとおりでございます。また福祉につきましても、厚生省を中心といたしましていろいろな福祉計画を推進しているのは御案内のとおりでございます。教育につきましてもまた同様なことなのでございます。それらの問題はやはり着実に実施しなければならない。しかし、それはあくまでも経済との整合性あるいは財政との整合性の中で考えなければならぬことも御承知のとおりでございます。そこに予算というものの意味がある。予算によってそこの整合性を保っていくということでございまして、我が党におきましては政調におきまして各般の議論をやりまして最後に詰めていくわけでございます。  ただ、それならば財政がこれで大丈夫かといえば、もう委員が御指摘のようなことでございまして、これは大変なことでございます。現在の百六十二兆といい、あるいは繰り延べておる各種の隠れ債務といい、あるいは定率繰り入れの二兆五千億から三兆毎年要るという問題といい、これを現在そのままに放置しておくということは、現代の世代が後代の負担において楽をしているということにほかならぬわけでございまして、我々の年代で申しますとちょうど孫の時代がこれを結局は税で払うわけでございますので、後代に負担を残してはいかぬという考えでおるわけでございます。  そういう意味で、やはり予算というものは、整合性を持って資源の適正配分というものをそのときどきあるいは長期計画に基づいてやっていくというのが実は予算であるわけでございます。今度総理が非常な悲壮な決意をされまして予算の成立を図ったということも、やはり予算というものが言ってみますと政治の集大成したもの、あるいは政治が何を考えておるのか、国民経済のために何をやろうかということがすなわちそのときの予算にあらわれておるということでございます。そういう意味で、もちろん社会資本につきましても、福祉につきましても、やはり経済全体の、それから財政の中の整合性、こういうものを考えてまいることは当然でございます。  ただ、日本の経済がこれだけ今非常に繁栄を続けておる、最もバランスがとれた形で今進んでいるということも、やはり我々のとってきた財政政策あるいは経済政策、それの一つのあらわれだろうと思います。ただ、御承知のように今土地問題であるとか、あるいは生活費が非常に高いとか、こういう構造的な問題これについては今後本当に努力していかなければならぬ。土地基本法ができますと、単に税制だけではなくて土地問題について総合的に、土地基本法に盛られた理念を踏まえましてこれから各種の施策を総合的に展開していくという、言ってみますと第一歩じゃないか、私はこう思っておるのでございます。したがって、財政再建につきましてはやはり効率的な歳出をやっていく。むやみやたらに締めるということではございません。できるだけ民間に資源配分を移していって、そして財政というものは、どうしても生産性の方からいいますと民間の方がやはり鋭いことに違いがございません。そういう意味で、財政の支出というものはあくまでも効率的にやっていかなければならない。その意味で、今の累積債務の問題、隠れ債務の問題、定率繰り入れ、こういう問題をいかに次なる財政再建の目標として具体的にどういうふうに設定していくか、これが非常に重要な問題でございますので、国会における皆様の、先生方の御意見を伺いながら、また民間におけるいろんな有識者の意見を踏まえながら、財政審で今検討を開始していただいているところでございます。今後とも日本経済のために財政も頑張ってまいりたい、かように考えております。
  18. 金子一義

    金子(一)委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  19. 大野明

    大野委員長 これにて金子君の質疑は終了いたしました。  次に、村井仁君。
  20. 村井仁

    村井委員 私は、初めに、この予算審議が野党の出席を得ることができずに再開されたということを非常に残念に思うものでございます。同僚議員からも既に触れられていることでございますけれども平成元年度の予算審議がこのようにおくれたという責任は、私は野党に大きくあるのではないかと思うわけでございます。  例えば、聞くところによりますと、総理のいわゆる三点セットのお話一つにしましても、予算委員会で出せ出せ、こういうお話がございましたから、プライバシーの問題、それから守秘義務の問題、こういった問題がある中で、総理という公の立場をお考えになって、例外中の例外として、与野党の国対委員長会談で、まあどうぞ見てください、確認してください、メモもとってもいいですよ、そう言ったのに、これを受けとめてももらえない。これなどまさに初めから私は審議拒否を決めて対応していた、こう言わざるを得ないと思うわけでございます。  それからまた、四月の二十一日に自民党は与野党の国対委員長会談で、中曽根前総理予算委員会出席してみずから釈明を行います、時期は締めくくり総括の前でよろしい、質疑も受ける、こういった大変思い切った提案をされた。それに対しまして、野党はあくまで喚問ということにこだわりましてへこの提案を検討しようとすらしなかった。さらに、二十四日に再び同じ要請をしたのにもかかわらず、野党側は、党首会談で決めちゃったことなんで喚問実現が予算審議に入る前提なんだ、だから合意を変えることはできない、こういうことで、みずから決めたことは一切かたくなに変えようとしない、話し合いによる歩み寄りもしない、こういう無責任さでございます。私は、これはもうこれこそ明らかに審議拒否以外の何物でもない。  さらに昨日、総理がみずからの責任を明らかにされまして、国民生活安定のために予算審議を優先される果断な決断をされたわけでございますが、それにもかかわらずこうして野党は出てこないわけであります。この平成元年度の予算というのは、例えば私の地元は長野県でございますけれども、時期がちょっと過ぎますと雪に悩まされ、あるいは寒さに災いされまして、必要な公共工事も進まない、そういう非常に問題があるわけでございまして、本予算の成立をまさに一日千秋の思いで待っている、こういう状態でございます。私は、もう一度野党のこの無責任さを強く指弾したいと思うわけでございます。  私は、かつて実はオーストラリアとアメリカの国会を少し丁寧に見ていたことがございます。日本のように野党議員が案件の扱われ方が気に入らないから国会に出てこない、こういうことは見たことも聞いたこともございません。それはもう与党と野党の間で激しい議論がございます。しかし審議拒否というのはないんですね。この審議拒否というのを外国人に説明しようとしますと、なかなかこれは理解してもらえない。最後に、ああストライキか、こう言って、それで納得してもらえる、こういうような次第でございます。これはまあ私は当然じゃないかと思うのでございます。  それからまた、野党がこの審議拒否をさんざんしたあげくに、与党がやむを得ず単独で審議を進めて、そして最後、採決をする。そうしますとここで多数の横暴だ、こういう話が出てくるわけでございますが、これで非難されるのですが、これもまた外国人にはなかなか理解されない話でございます。野党の立場からいいますと、どうせ多数決で決められてしまうから審議拒否したんだ、採決に欠席したんだ、こう言うのでございましょうけれども、考えてみるとおかしなことで、全体主義国家じゃないわけでございますから、一億二千万からの国民本当にさまざまな錯綜した利害が、思想、信条の自由それから表現の自由、こういうものを保障する民主主義のもとで完全に満場一致なんてそんなにめったなことで出てくるはずがないわけでございます。そうすれば、議論を尽くした上は、要すればさまざまの妥協、調整もしました上で多数決で最後は決めざるを得ない、私はこれが民主主義というものじゃないかと思うのでございます。  いずれにしましても、だめなものはだめ、こういう硬直的な態度で、自分意見に沿わない話はすべて審議拒否しまして、あげくの果ては民主主義のやむを得ざるルールである多数決も拒否する、否定する、これは野党の一部によく見られることでございますけれども、我が国の民主主義とそれに基づく政治の発展のために私は本当に遺憾なことだと思うわけでございます。  消費税を含みます先国会での税制改革論議が国民の目から見て甚だ十分ではなかった、こういう印象があることは否みがたいわけでございますけれども、これはこのような野党の一部にございます民主主義不在の姿勢の結果であるということを私はしみじみ感じるわけでございまして、以上、まず国政に参加して日の浅い一議員の率直な感想を申し上げさせていただいた次第でございます。  ところで、今の日本は景気は非常によろしい、それにもかかわらず物価は安定しておる、雇用情勢も大変よろしい、為替相場もまあまあ安定していると言ってよろしい、円高も見事に消化しましてそのメリットを生かしておりまして、国民は歴史上かつてない豊かな生活を享受していると私は感じておる一人でございます。  二十四日の産経新聞の投書に七十一歳のお年寄りの方が書いておられるのですが、引用いたします。「私は、今が庶民にとって最もよい時代だと思う。例えば老人や心身障害者を、これだけ大切にしてくれる時代は、今までになかった。」引用を終わりますが、という文章がございました。私は、これは先ほど同僚の金子委員がお父上のことに関連して述べられたことをまた思い起こすわけでございますが、一つの実感だと思うわけでございます。  さらに治安も大変よろしい。幸いに外国からの脅威に脅かされるというようなこともなく、平和を満喫しておるわけでございます。また、我が国はその国際的地位にふさわしい責任もきちんと果たすようになってきておりまして、幸いこの点につきまして漸次世界各国の適切な評価も得られるようになってまいっており、国際社会での評判も徐々に高まってきておるという感じがいたします。  先般の昭和から平成への移行も極めて円滑に行われたと言ってもよろしい。とりわけて、昭和から平成への移行は、日本の国際的な地位の高まりを反映しまして世界百六十四カ国の代表の参列を得た御大喪を中心にしまして、実に重大な事件でございましたけれども総理の適切な御指導のもとに国民各位の協力を得て無事に進めることができた。およそ政治の最大の課題が国民生活の安定と向上を図るということにあるとするならば、私は、竹下内閣発足以来さような意味で失政というべきものがあったとは思えないわけでございます。消費税を含む税制の抜本改革といい、また農産物の自由化といい、歴代内閣積年の課題を精力的に解決したものでございまして、竹下内閣の業績は高く評価されるべきものだと私も思います。ただ、我が自民党に対する国民の信頼が急速に失われてきていることにかんがみ、総理のさわやかな御決断は、自由と民主主義を守り、日本の現在の繁栄を後世に引き継ぐという上で、極めて貴重なものであったと感じる次第でございます。  リクルート事件、消費税、それに農産物の自由化、この三つが自民党の信頼を失わせた原因であると言われるわけでございますが、リクルート事件につきましては、私たち政治家がすべて真摯にその責任を自覚しなければならないことでございますし、さらに政治改革問題として検討を進め、適切な対処をするべきことだと思うわけでございます。  ところで、例えば消費税がその一部をなす今般の税制改正でございますが、これは政府・自民党が十年の余をかけて研究を重ね、さまざまの曲折を経て、ついに成案を得て実施に踏み切ったものでございます。このような新税の導入に先立って、政府は全力を挙げて行政改革を推進し、小さな政府の実現に努め、特に昭和五十八年以来、ゼロシーリング、マイナスシーリング、こういうことをやりまして、血のにじむような経費削減をした結果、さまざまの分野に、国のあるいは公のなすべきことがなされていない、こういう問題が生じてきております。  例えば、私の地元でございます長野県では、国の財政が豊かであった高度成長の時代に、諸般の事情から道路整備や下水道の整備が進まなかったために、この行財政改革によって各種の事業に大きなおくれを生じておるわけでございまして、私は今の日本は世界で最も豊かな国の一つになった、日本は今民族の夏の真っ盛りを迎えていると思うのでございますが、歴史を振り返ってみますと、欧米の国々いずれも、その民族の夏の時代に後世に残る資産形成をきちんとやっておる。今、我が国も民族の真夏の活力というものを大いに生かして、来るべき高齢化社会に備えなければならないのでございますけれども、今度の消費税の導入を軸とする税制改革につきまして、政府は引き続き自信を持って国家百年の計を国民各層に説くべきであると思うわけでございます。さらに言えば、現在とそして将来の国民に今の日本の繁栄とその豊かさの恩恵を享受させるために、民活ももちろん大切でございますけれども、国がやらなければならないことをきちんとやっていく、これが大切であろうかと思うわけでございます。  そういう意味で、財政がもう一度自由度を回復して、その果たすべき役割を果たさなければならない、私はこのように思うわけでございますが、大変長くなりまして恐縮でございますが、時間の関係もございまして、大蔵大臣に御見解をお伺いしたいと思うわけでございます。
  21. 村山達雄

    村山国務大臣 今おっしゃるように、財政が硬直的であってはならぬということは全くそのとおりだと思います。要は、やはり国民経済の将来、国民の生活の安定向上の基盤としてどういうものをやっておるか、おっしゃるとおりでございまして、特に社会資本におきましては、下水であるとかこういったいろんな環境的な問題が非常に立ちおくれていることもよく承知しております。  しかし、同時にまた、財政というものはやはり長期的に考えねばなりませんし、その負担を、後世に余りにも過重の負担を残すということはあってはならぬわけでございます。要はその辺の整合性にあるわけでございまして、政府、我が自民党挙げてこの問題に絶えず取り組んでおるところでございまして、御意見としてはもう全くそのとおりであろうと思います。
  22. 村井仁

    村井委員 それでは消費税につきまして、少し角度を変えてお伺いしたいと思うわけでございます。  一部で消費税は天下の悪税のように言われているわけでございますが、いろいろ挙げられる理由がございますが、その理由の一つに、一円玉がえらいたくさん必要になるんだ、こういう話がございまして、計算がややこしいという話がございます。よく考えてみますと、しかし、スーパーマーケットでございますとかあるいはコンビニエンスストアですとか、こういうところは元来一円玉が幅をきかせていた、そういう世界でございます。そうであれば、混乱というのはどちらかというとこういう店以外の普通の小売店、専門店、こういうところで起きているのではなかろうか。  そこで主税局長、お伺いしたいのでございますが、これまで百円で売られていた缶入りジュース、これはなぜ百三円で売られなきゃならないのか。それからさらに、これはちょっと計算のあれでございますが、五万二千八百円、こういう値段で売られていた背広が、三%乗っけて五万四千三百八十四円、こういう値段で売られなければならないのか。この点ちょっとお伺いをしたい。     〔委員長退席田名部委員長代理着席
  23. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 申すまでもないことでございますけれども、個々の商品、サービスの価格は、各事業者ごとに、需給の動向でございますとか採算性でございますとか商品の性格でございますとか、いろいろ総合的に勘案しまして、自由競争のもとで決定されているものでございます。  消費税が今回行われたわけでございますが、消費税につきましては、価格の転嫁を通じまして最終的には消費者に負担を求めるというその性格から、円滑かつ適正な転嫁が行われるということは非常に重要なことでございますし、また制度維持のためにそのようになっていかなくてはいけないと存じておりますけれども、しかし消費税導入後の価格をどのように設定するかは、やはり原則として事業者の自由な判断にゆだねられるべきものであろうというように存じます。もちろん便乗値上げというのは好ましくございませんし、また、してはならないことでございますので、十分監視をしていく必要はございますけれども、個々の商品等の値づけの単位とかあるいは取引慣行等を踏まえまして端数処理をどうするかという問題は残るわけでございます。先生御指摘のように、必ず三%を掛けて端数をつけるということをしなくてはならないという話ではそこはないんだろうと思います。  そこで、いろいろ各業種、業態に応じまして適切な端数処理をしたといたしましても、その端数処理が合理的なものである、そしてまた事業全体としてその引き上げの幅がおおむね三%以内におさまっている、そういうことであれば特段の問題はないというように考えております。
  24. 村井仁

    村井委員 ということは、缶ジュースや背広に定価がないということなんですね。再販価格維持契約というのがございます。こういうものの対象になるものを含めまして、世の中にはしかし定価販売が認められるものというのがあるわけですね。常識的に考えますと、例えばたばこなんかは定価販売。それから書籍なんというのは再販価格維持契約が認められている。化粧品の一部もたしかそうだったと思うのでございます。それから認可制度がありますいろんな公共料金、こういうものは確かに定価がある。大体そんなところが定価のあるもののすべてかなというような感じなんでございますが、この辺ちょっと御教示をいただけますか。
  25. 勝村坦郎

    ○勝村政府委員 お答え申し上げます。  定価販売、厳密な意味で定価販売が許容されているものというのは、ただいま委員御指摘のものがほとんどでございます。  ただ、紛らわしいものといたしまして、いわゆる希望小売価格というのがございまして、これは家電製品などにも一般に使われているものでありますけれども、これはあくまでメーカーの希望の価格でございまして、そのとおりに売らなくちゃならぬというのでは全くありませんし、現にそのとおりの価格で売られている例の方がむしろ少ない状況であろうかと思います。お酒などにつきましてもいろいろな値づけがございますけれども、基本的にはこれはメーカーの希望小売価格にすぎないものであるというふうに理解をいたしております。
  26. 村井仁

    村井委員 今のお話なんですが、お酒ですらこれは定価じゃないのですね。メーカー希望小売価格なんですね。家電製品なんというのは、今お話しのとおり、メーカー希望小売価格で売られているケースの方がかえって少ない。まあ、その商品が出てすぐその日に飛びつけば、メーカー希望小売価格で買わざるを得ない場合があるかもしれませんが、あっという間に値崩れしていく、秋葉原まで行くまでもないわけでございまして、大抵のところでそれが起こっているわけでございます。ましてトイレットペーパーだとか洗剤だとかの家庭雑貨なんかになりますと、私、実際経験しておりますが、同じ店で日によって値段が違ってまいる、あるいは隣り合った店で同じ物に違う値段をつけて売っている、こういうことは日常茶飯事でございまして、私は値段というものは、先ほど主税局長からもお話がありましたが、売り手が、この値段なら買い手がつくだろうと考えてつけるものなんでありまして、そうでありますと、普通の小売店で取引に都合のいい、切りのいい値決めをしても本来余り問題ないはずでありまして、三月三十一日の価格に消費税の部分を上乗せして価格を決めなければ直ちに便乗値上げた、こんなふうに批判されることがあるというふうに小売業者が誤解しまして、それで殊さらに消費税を難しい、煩わしい、大変面倒な税金なんだ、こういうふうに思ってしまっているという傾向が残念ながらあるのじゃないか、こんなふうな感じがするわけでございますが、この辺、公取と物価局と両方からちょっとお話を聞かせていただきます。
  27. 糸田省吾

    ○糸田政府委員 公正取引委員会が今回消費税の転嫁の問題につきましていろいろな施策を講じてまいりましたのは、商品の本体の価格、これに消費税をいかに円滑に、そして適正に転嫁するかという問題でございました。もとより、その場合の商品の本体価格というのは、これは先生何度もおっしゃっておりますとおり、まさに市場におきまして競争原理のもとに各事業者が自由に値づけすることができるものでございます。むしろ公正取引委員会は、そういった価格を事業者同士が例えば話し合いをしてカルテルによって決めるといったようなことは、これは絶対あってはならない、そもそも独占禁止法に違反する行為でございますので、そういった点には十分監視をしていかなければならないと考えておりますけれども、個々の事業者が自由に価格を値づけするということは、これは当然のことである、そのように考えておるところでございます。
  28. 勝村坦郎

    ○勝村政府委員 ただいま村井委員御指摘の問題は、確かにそういう一面があることはあろうと思います。特に内税方式をとる店でそういうような考え方になられるのも一面無理からぬ点があろうかとも思いますけれども、ただ、これは私どもはやはりかなり厳密に対応してまいらないと、結果として便乗値上げをもたらすおそれが出てくるという面が一面にございます。  具体的な例を申し上げますと一特に少額商品の場合でございますけれども、例えば従来五十円の商品を厳密に転嫁をすれば一円五十銭でございますが、一円五十銭の転嫁というのは不可能でございますから五十二円ということになりますけれども、二円というのは面倒くさい、これで六十円にしようということであれば、これはまさに二〇%の値上げになるわけであります。それから、百円を百三円にするのも、これも取り扱いが面倒だというので百十円にいたしますと、これは一〇%の値上げというようなことで、そういう少額商品につきまして、取り扱いが面倒だから、逆に切り下げて転嫁いたしませんと、これは転嫁できないということになってしまうわけでございますね。したがって、切り上げて十円単位でやるということになりますと、これは三%をはるかに超える上昇率になるということがございます。だんだん高額商品になりますと、そういう細かい単位の処理というのは必要ではなくなりますけれども、少額商品の場合は十円単位で転嫁していいというようなことになりますと、今度は例えば一万円の商品は一万三百円というのは面倒くさい、一万五百円あるいは一万一千円にするというようなことになりますと、これは消費税自体に対する信頼感というものが失われるおそれさえ出かねないわけでございまして、確かに手続上の煩雑、一円玉扱いの問題、いろいろございますけれども、少なくとも導入の時期の前後におきましては、できるだけ厳密に消費者にはっきりわかっていただける形の転嫁ということをできるだけお守りいただきたいというのが我々の考え方でございます。  もちろん、主税局長が答弁されましたように、それぞれの商品で違った転嫁の仕方をして全体として三%という場合は当然ございましょうし、ただ、その場合もあくまでそれを厳密に守っていただくということが大原則であろうか、こういうふうに考えるわけでございます。
  29. 村井仁

    村井委員 やはりそうは言いながら、先ほど来申し上げておりますように、特別なものを別にしまして物に定価がないのだということ、そこが私は一つの基本ではないかと思うわけでございまして、このあたり、確かに便乗値上げを監視するという立場にある物価局の御答弁としてはそれなりに理解はいたしますけれども、本体についてやはり非常に競争激甚な市場でそれぞれの小売店がそれなりの値決めをしているという現実を考えましたときには、余り私はそこのところで厳しくやるべきではないのではないかということを意見として改めて申し上げておきます。  それから、消費税を外税でなく内税で消費者から預かる、こうしますと、税が一体幾らなのか見えなくて不明瞭だと、こういう批判が消費税についてございます。  そこで、また主税局長にお伺いしたいのですが、これまでの典型的な間接税の一つでございます物品税の場合、消費者の立場に立って幾らの物品税を負担したのかということがすべて明確に計算できるものなのですか。そこをちょっと教えていただきたい。
  30. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 御承知のとおり、物品税の場合、二つの種類のものがございまして、第二種物品と称しておりますが、自動車でございますとか家電製品でございますとか、こちらの方が数が多いわけでございますけれども、この第二種物品は製造者の移出段階、いわゆる蔵出しの段階で課税することとしておりました。したがいまして、その製造者の移出価格が消費者には明らかにされておりませんでしたので、消費者がその物品の小売価格に含まれる物品税額を正確に計算することは困難であったと思われます。  これに対しまして、第一種物品と申しておりました宝石でございますとか貴金属製品でございますとかそういうものは、小売の段階で物品税を課税されるということでございましたので、その小売価格を税込みと考えますと、その税率さえわかっていますと逆算で物品税額を計算できるということでございます。例えば一五%の税率が適用されておりました十万円のダイヤの指輪があったというように考えますと、その十万円の百十五分の十五に相当する額、一万三千四十三円でございますが、それが物品税相当分として計算されることでございます。  消費税について内税表示をとりました場合にもこれは同じことでございまして、税込み小売価格の百三分の三が消費税相当額ということになろうかと思います。
  31. 村井仁

    村井委員 消費税につきましては大変、今二つばかり私例を挙げたのでございますけれども、不適切な情報が流布しまして、その非常にささいな瑕疵が不当に拡大されまして、それであたかも根本的な欠陥であるかのように言われる、私は非常にこれは残念だと思うわけでございます。  私は、税制というものは本来、こう言ってはなんでございますけれども、若干便宜的な面があるわけでございまして、常に何か問題があるわけでございます。ですから、恒常的に見直し努力をいたしまして、国民の合意を得ながら適切な改善をしていく、それが必要なのではないかと思うわけでございます。  しかしながら、欠陥でもない点がPRの不足あるいは理解の不足によりまして欠陥のように言われている、これは非常に私は残念でございまして、私、地元で折に触れまして消費税の問題につきましても説明していまして、私が今ちょっと触れました定価のあるものはそもそも少ないのだ、値段は自由に本当は決めていいのだ、売れるか売れないかはまた別の話でございますが。それから、これまでの物品税でも、今主税局長から説明がございましたように、消費者の納める税額が必ずしもびしつとわかっていないようなそういうものがあったのだぞというようなお話をしますと、それなりに理解をしていただける、混乱が随分少なくなるという経験をいたしております。  そういう意味で、政府を挙げてさらに一層国民の理解を得るように広報宣伝に努めていただきたい、そういうお願いを申し上げておく次第でございます。  続きまして、FSXの問題につきましてちょっとお尋ねをいたしたいと思います。  報道によりますと、日本側の提案に対しまして、米側にはなお大変不満があるということでございまして、現在担当の装備局長が訪米中であると承知しておりますが、現在までの米側との接触の状況をちょっと説明していただけますか。
  32. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 委員御承知のように、現在の支援戦闘機F1は一九九七年で耐用年数が終わりになるわけでございます。したがいまして、当時、次期支援戦闘機についていろいろ検討が交わされまして、当時、自主開発すべきか、あるいは共同開発か、あるいは現有機の転用か、さらには外国機の導入かというようないろんな考え方があったのでございますが、日米の信頼性を確保するということから、かなりアメリカの意向を取り入れて、F16をベースとする共同開発に踏み切ったわけでございます。  二回にわたる日米首脳会談で意見の一致を見て、六十三年の十一月に交換公文あるいは了解覚書、MOUを締結したのでございます。そのMOUを基本にしながら、主要企業である三菱重工とアメリカのゼネラル・ダイナミックス社との間で、これまた技術援助等の契約を締結をいたしました。これはかなり時間をかけて双方の意見の調整をいたしたのでございます。したがいまして、それを受けてアメリカの意向が依然として共同開発であるということで、三菱重工と防衛庁との間で契約が締結された。これがこれまでのいわゆる支援戦闘機の状況でございます。  一方、アメリカ側のしなければならないこととしましては、これは軍備あるいは軍備技術を輸出する場合には、武器輸出管理法によって大統領が議会にいわゆる通告をしなければならない、三十日以内に異議がなければそれが発効するということに相なっているわけでございまして、その手続をアメリカでまだしていないということなのです。たまたまレーガン政権からブッシュ政権に、そしてタワーさんの認証等がおくれたこともありまして、なかなか時間がかかっておるのでございます。その折に議会側からは、F16を日本に提供することが、むしろ日米の信頼性を確保するよりも日本の航空産業に大きな貢献をすることになって、ひいてはそれがアメリカの貿易に大きな影響を与えるのじゃないだろうかという考え方が出てきて、そのことがまたアメリカの政府部内の中にも出てまいりまして、これまではいわゆる貿易と防衛というものはリンクしないという考え方で進められてきておるのが、ここで大きな話題を呼んできているというのが現状なのです。  したがいまして、こういうことを受けまして、三月二十日にアメリカ側からの要請で松永大使とベーカー国務長官との会談がありまして、その折にいわゆるブッシュ大統領のFSXに対する考え方を説明された、いわゆるクラリフィケーションというものを求めることが要請されたわけでございます。このクラリフィケーションの内容が今新聞等で、四〇%のシェアだとか、あるいはエンジンがどうのとか、あるいはフライトコントロールの問題とかいろいろなことが言われておりますけれども、今現にこれは交渉中でございますので、私からこの内容についてはお話し申し上げることはできませんけれども、しかし日本の考え方とはかなり差異があると言って差し支えない。  私たちの方はあくまでもMOUのいわゆる内容をぜひ実現してほしい、両国間で締結されたものでございますから、これは守っていただきたい。しかもその当時は、やはり二国間で開発するなら、一国で、単独で開発する以上のすばらしい支援戦闘機をつくるのが目標だということで進められたものでございますから、その目標をぜひ実現したい。したがいまして、日本の国内にはいろいろな考え方がありますけれども、まず私たちは、交換公文あるいは了解覚書の考え方をぜひアメリカに説明をして理解をしていただいて、その方向でいわゆる共同開発を実現したい、かように考えているのでございます。
  33. 村井仁

    村井委員 FSXは、今大臣から御答弁ございましたようにいろいろ沿革があるわけでございますが、我が国の地理的、地政学的な条件、こういうものに適合した支援戦闘機をつくりましょう、こういうことで、元来我が国が全く独自に開発しようとしていたわけでございますね。そればかりじゃなくて、日本のメーカーもそれから防衛庁の技術研究本部も、これは開発能力がある。しかも、現在使っている支援戦闘機は国産のT2を改造したF1なんですね。しかし米国からいろいろ要請もあって、日米防衛協力上の配慮から、あえて百歩譲って共同開発に踏み切った。それを一たん二国間で合意したものを、政権が交代したからといって、とりわけて前政権の副大統領であった方が政権につかれていながら前の合意と異なることを求めてくる、これは私どもとしては到底了解しがたい話だということでございます。私もかつて何度か経験ございますが、アメリカの政府当局者と議論しますと、しばしば、我々のポリティカルマスターたちが承知してくれないから、こういうことを言いまして、交渉上のポジションをよくしようという議論で議会筋の圧力を使うわけでございますけれども日本側でもぜひ、我々が大きな関心を持っているということを米側に認識してもらいまして、適切な対処をしていただきたいと思うわけでございます。  もう申し上げるまでもございませんけれども、極東で自由圏に属する国に適切な航空機の製造、開発能力があるということが米国にとっても実は非常に有意義なことなんだということを私、感じるからでございます。この点につきましてもう一度、恐縮でございますが、長官とそれから外務大臣の御決意をぜひ承っておきたいと思います。
  34. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 御指摘のように、支援戦闘機は要撃戦闘機と異なりまして、やはり日本の地形等に見合う戦闘機でなければならないわけでございますので、したがいまして、F1の耐用年数が終わった段階ではやはり日本単独で開発すべきだという意見が非常に強かったのです。しかも、日本で資金を出して開発しようとするのですから、そういう意見が出るのは当然だと思いますが、先ほど申し上げましたように、日米の信頼性の向上という意味からいって、思い切ってアメリカの意向というものを取り入れての、いわゆる共同開発に至ったわけでございます。  そこで、問題はこれからの進め方でございますけれども、今御指摘のような日本の状況というものを事あるごとにアメリカにお話し申し上げ、また外務省にもそういう点を力説していただくことに私はお願いをいたしているわけでございます。いずれにしましても、一九九〇年から九七年までの間にこれが開発されなければならない。開発はやはり十年間で、予想されるところによれば、約三十年間これを運用するということになるわけでございますので、かなり将来の問題でありますだけに、今方向を誤ってはいけないということで、ただいま御指摘のような方向で私たちも積極的に進めてまいりたい、こう考えますので、御協力をお願いいたします。
  35. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 経緯は防衛庁長官が申されたとおりでございます。私も先方と出会うたびにこの話をいたしておりますが、国会にいろいろと異論があるということは村井委員も十分御承知だろうと思います。したがいまして、国務省といたしましても国会に説明しやすいようにしたいのだと、その心はわかりますが、一たん決まったことがまたトラブルを起こしておるということは甚だ外交上好ましからざることであると、私は既にそのことを申し上げております。いましばらく推移を眺めていきたい、かように考えております。
  36. 村井仁

    村井委員 最後に、農産物の問題につきましてちょっと触れさせていただきたいと思います。  過日、ガットの高級事務レベル協議がジュネーブで行われまして、世界最大の食糧輸入国の一つでございまして、また国内に米問題を含めて多くの農業をめぐる課題を抱える我が国にとりまして、農業に関するガットのルールを議論することができます今度のウルグアイ・ラウンドというのは、実は私は非常に重要な機会だと思っておるものでございます。  私は、実はかねて今のガットの規定というのは、輸入についてはできるだけ自由にさせようとするのですけれども、輸出については比較的制限が自由にできる、そういう意味で輸出と輸入がシンメトリーじゃないのでございますね。そういう問題が実はあるという印象を持っておるわけでございます。  農産物の自由化を主張いたします米国は、自国の農業を守るウエーバーを許されております上に、過去にはどうかというと、自国内の供給不足を理由に大豆を輸出禁止をして、ほとんど全面的に米国大豆に頼っていた日本に大変な迷惑をかけた、こういう実績がある。そればかりじゃなくて、これはちょっと例が違うかもしれませんが、ソ連のアフガニスタン侵攻を理由にしまして穀物の既契約、これをキャンセルしまして輸出禁止に踏み切った、こういう実績がある。私は、前科と言ってもいいかもしれないと思うのでございますが、所要カロリーの大部分を輸入に依存している日本が、基礎的食糧につきましてガット上特別な扱いを主張するというのは、ある意味では当然のことだと思うわけでございますし、諸外国の理解も得得ると思うのでございますが、今度の交渉の状況、それから今後の見通し、ごく簡単にこれをちょっと御説明いただけますか。
  37. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 ウルグアイ・ラウンドの交渉の現状及び展望についての御質問であったかと思います。  ただいま委員御指摘のとおり、このウルグアイ・ラウンドの重要性ということにつきまして、私ども、単に農業問題だけではなくて、いわゆる自由貿易全体を守るという見地から重要視をいたしております。  今般の農業問題に関する交渉につきましては、御案内のとおり、先般モントリオールで外務大臣を代表にいたしまして私ども参画いたしました会議でございますが、そこで相当の議論を行いました。しかし、残念ながら合意を得るに至りませんでした。したがって、今度のこの四月に至るまで関係国の間で鋭意協議が行われてまいったわけですが、最終的にこのジュネーブの交渉の場におきまして、農業に関する支持あるいは保護の問題につきまして、今後相当程度の段階的削減を合意された期間に持続して行うといういわゆる長期の問題についての討論があり、コンセンサスができたわけです。  その間、私どもは、ただいま委員御指摘のとおり、日本の食糧安全保障ということにつきましては、この交渉が始まって以来主張してまいったわけでございますけれども、この四月の合意文書をまとめるに当たりまして、やはり貿易以外の要素ということも農業問題については重要であるという観点から、食糧安全保障という問題について認識を深め、具体的にその文章を挿入したわけでございます。  それからもう一点、輸出国側の輸出規制という点につきましても、私ども全く同様の認識を持っていたわけであります。したがいまして、今回のこのコンセンサスの中にも、輸出の禁止ということの輸出国側の政策問題についても十分これから議論していこうじゃないかということを、このコンセンサスの文章に取り入れたわけであります。  農業の問題につきましては、もう申し上げるまでもなく諸外国の利害関係というのは相当ふくそうしております。私どもも、これまでの交渉の実績を踏まえながら適切な対応をしてまいりたい、かように考えているわけであります。
  38. 村井仁

    村井委員 基礎的食糧につきましての適切な扱いを国際的に確保するということは、私は、今後の日本の農業の基盤を確立できるか否かということの本当に大問題だと思っているわけでございます。  さらに申し上げますと、西欧世界との交渉の場で、ルールをつくるときに主張の実現、主張の貫徹に失敗しますと、後でそのルールの適用で幾ら争っても限界がある。私は、そういう意味で、これから二年間のウルグアイ・ラウンドでの農業問題の交渉というのは実に重要だと思っている次第でございまして、ひとつ関係大臣の特段の御奮発をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  39. 田名部匡省

    ○田名部委員長代理 これにて村井君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後一時六分開議
  40. 田名部匡省

    ○田名部委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため、委員長の指名により、暫時私が委員長の職務を行います。  再開に先立ち、日本社会党護憲共同公明党国民会議民社党民主連合日本共産党革新共同所属委員出席を要請いたしましたが、出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。  質疑を続行いたします。逢沢一郎君。
  41. 逢沢一郎

    逢沢委員 自由民主党の逢沢一郎でございます。衆議院の予算委員会におきまして質問をさせていただきますことは、大変光栄なことでございます。  ただ第一点、私ども大変残念にこれまた思いますことは、野党各党が欠席の中で予算の審議を続行せざるを得ないという今日の状況でございます。改めて言うまでもございませんけれども予算の審議といいますものは、私ども国会あるいはまたそれぞれの国会議員に課せられた最重要の仕事である、言うまでもないところでございまして、かたくなにこの審議への参加を拒否をする野党の姿勢、大変残念に思いますとともに、強く遺憾の意をあらわし、質問に入らせていただきたいというふうに思います。  まず最初に、税制についてお伺いをしたいというふうに思うわけでありますが、私どもが昨年文字どおり血を流し、あるいはまた肉を削り、骨を削る、そんな思いを持ってなし遂げた税制改革、その目的、何のための改革であったのかということを改めて何度も何度も私たちは反すうをし、また確認をしなければならぬというふうに思うわけでありますけれども、それはやはり所得、消費、そして資産の間での均衡のとれた税体系を確立をする、そして、そのことを通して二十一世紀の高齢化社会に備えていこう、そんな思いがスタートであったというふうに思うわけであります。日本の税制がいたずらに所得税やあるいはまた法人税におんぶにだっこになり過ぎたのでは、もうこれからの展望は開けない、私もそのように強く感じているところでございます。  ちょっと過去からの経緯を改めて調べてみますと、昭和二十五年度にはいわゆる広い意味での間接税が国税収入全体に占める割合、実に四五%でございました。それが昭和六十一年度、間接税の全体に占める割合が二六・九%、三割を割り込むというところまで落ちてきてしまったわけであります。それに伴う形で所得税、法人税の占める割合がふえてきた。全体に占める割合は約七割ということでありまして、中堅どころのサラリーマンの方がもうこれ以上所得税の負担には耐えられない、あるいはまた企業を経営なさっておられる方がやはり法人税何とかならぬか、強い声が出ていたわけでありますが、こういった統計、数字を調べてみると、なるほどそれも無理もないということが改めて確認ができるわけであります。  そこで、今回の税制改正では、文字どおり所得、消費、資産の間にバランスをとっていこう、課税ベースを広げて多様な形で将来の税制を支えていこう、その基本的な考え方があったわけでありますが、それは絶対に間違いのないことであるというふうに私ども強く確信をするわけでありますし、また将来において必ずや、このことは竹下総理も何度も何度もおっしゃってこられたことでございますけれども、必ず国民皆様に正しい意味で御理解がいただけ、評価がいただけるもの、そのように信じるわけであります。  ただ、そういったことを前提といたしましても、やはり今日の世論、税を見る世論、国民の声、これにも同時に私どもは謙虚に耳を傾けなければならぬ、その態度は重要に思うわけであります。やはりいろいろなアンケート調査の数字なんかを見ておりましても、率直に言って現在の段階では税制改革、その意図あるいはまた今の実態が必ずしも評価をされていない、そのように思いますし、もっとざっくばらんな言葉を使えば人気がない、そういうふうにも言えようかと私にも思えるわけであります。  これにはいろいろな理由があるというふうに思うのです。例えば本当に減税を手にしている方は、そのことはよくわかっているのだけれども、喜びをかみしめている、かみ殺している、余り表現をしない、口に出して言わない、そういうことも伝えられているところでありますし、また、こんなことを申し上げるのは恐縮かとも思うわけでありますが、今回の税制改革の報道のあり方が、やはりこれは公平な目で見ても比較的消費税の導入あるいはまたその後の実態にフォーカスが当たり過ぎているのではないか、そんな心証も持つわけでありますが、しかし、いずれにいたしましても手をこまねいていたのではいかぬというふうに強く思うわけであります。どうも評価がされない、人気がないということのその最大の理由というのは、私なりに考えてみまして、いろいろありましょうけれども、やはり大きく減税をした、所得税の減税、住民税も引き下げました。そして法人税率も引き下げた、相続税もたしか非課税枠を倍にしたということでありますが、このことが国民皆様方にも必ずしも実感としておわかりをいただけてない部分がやはり評価につながらない最大の理由ではないか、私どもそんなふうに思います。  今回の税制改革によるいわゆる増減収額、平年度ベース、改めて申し上げてみますと、所得税、個人住民税の減税は三兆三千億円に上るわけであります。また広い意味の法人税一兆八千億円の減税、相続税の減税も七千億円、そして既存の物品税を原則として廃止をした、これに伴うところが三兆四千億円、締めて九兆二千億円のこれはもう空前の規模の大減税でございます。また増収策としては、消費税の導入、新設によって五兆四千億円、また若干の負担の公平確保をキャピタルゲイン課税その他によって一兆二千億円、締めて二兆六千億円は減税になっているということでございますが、このことを本当にいい意味で、正しい意味国民皆様方にさらに努力をして理解をしていただく、そのことにお互い心がけてまいりたいものだというふうに思うわけであります。  しかも、よく引き合いに出されますモデル世帯のケースでございますが、御夫婦と子供さん二人の四人家族、御主人がサラリーマンというケースでございますけれども、いわゆる税率の緩和によって最低税率の一〇%が年収約七百四万円のところまで引き伸ばされた。これは大変意味のあることのように思います。また、次の二〇%の税率も一千四十一万円程度までということでありますので、これはよく言われておりますことでありますけれども、大半のサラリーマンの方が一生を通じて一本の税率か、まあ山が上がっても一〇%からどこかで二〇%には上がるけれども、かつてのように給料がだんだんふえるに従って税率がどんどん上がっていく、その累進の苦しみからはほとんど解放されるというふうに高く評価をされてしかるべきであるというふうに思うわけであります。また、御案内のように課税最低限も約二百六十二万円から三百二十万円までの引き上げ。これはどうやら先進諸国の中では最も高いレベルでの課税最低限ということのようであります。事実上の教育費減税、例の扶養控除の割り増し、これもいわゆる所得税あるいは住民税両方について手厚く配慮をした。こういうことをやはりもっともっと国民皆様に御理解をいただき、そしてトータル二兆六千億円もの大きな減税になっているのだということを知っていただく努力をさらにしていかなければならぬというふうに思います。  しかし、こういうことを実際に実行に移している、現にこういう税制が動いているにもかかわらず、どうもそれが評価に結びつかない、実感として減税が感じられにくいというのは一体どういうところに原因があるのか、問題があるのか、いささか不思議にも思えるわけであります。例えば減税も数次にわたって減税した。一度にまとめてのことだったらもっと理解できたのかなというふうな評価もあるわけでありますが、一体そのあたりのことを、どこに減税が本当に毎日の仕事やあるいは生活を通じての実感の中で感じることが比較的できにくくなっているのか、そのことについてまず最初にお伺いをいたしたいというふうに思います。
  42. 村山達雄

    村山国務大臣 今度の税制改革は今逢沢委員が述べられたようなことでございます。非常に大きな税制改正でございまして、所得税、住民税だけの改革として考えてみても恐らく近年最大のものである。法人税の改正だけをとってみても画期的な改正である。あるいは相続税だけのものをとってみても最大の減税規模であろうと思います。消費税の問題あるいは既存間接税との統合の問題、これだけとってみても大きな問題でございます。その全体のスケールは、今おっしゃったように九兆二千億の異動の幅でございますから、税制改正等の幅というこの九兆二千億というものがやはり全体の改正の規模をあらわしている、異動の規模をあらわしているわけでございまして、これはもうシャウプ以来はもちろん、それ以前の改正でもこれだけの大きな異動の幅はなかったと思っております。  一つは、余りにも広範であり、そしてまた一つ一つが四十年来の問題をずっと解決しながら、そして税体系としての公平を求める。従来の改正でございますと、一つの税目の話をして、ここの分が不公平であるとかなんとかいう議論が行われたわけでございますが、体系としての公平性、それからこれからの国際化あるいは高齢化というかなり先のものを見越してのものでございますから、従来のような一つの税目についての議論と違いまして非常にわかりにくかったということは一つあるのではないかと思います。  それから第二番目は、どうしてもすべての、政府広報その他は別にいたしまして、国民に一番目に触れやすいテレビであるとかあるいは日刊紙であるとかいうものは、どうしても国会論議を中心にして報道されるのが議会制民主主義のあるべき報道かとも思います。ところが、去年の税革国会において論じられた質問者は大部分消費税というものだけに焦点を当てて、そこのふぐあいなところあるいは精緻さを欠いたところ、そういうところに全部集中したと私は思っているのでございます。したがいまして、議会制民主主義の国のマスコミはやはりそこに焦点を当てていく。国民は、政府のいろいろな広報とかそんなものよりも、日常目に触れるもの、それから恐らくいろいろな情報を得るんではないだろうか、これも一つあったかと思います。  それからもう一つは、やはり政府のやり方、これにもまた反省しなくちゃならぬかもしれません。総理を本部長とする推進本部ができまして一生懸命やったわけでございますけれども、やはりなかなか理解できない。しかし、事業者の方、四月一日から導入されましたが、ずっと見ておりますと、おおむね平静に受けとめていただいたなという感じはあります。それは、四月一日以降の大蔵省に寄せられました事業者あるいは消費者のいろんな苦情であるとか意見であるとかあるいは事務的な質問、こういうものの様子をずっと見ておりますと、もうひところの何分の一にもなりましたし、それから特に、消費者からの苦情というのはほとんどもうなくなりまして、今は事業者の事務的な質問が大半を占めてきているということになっております。  ただ、我々が心配しておりますのは、やはり買い物をされるのは奥様方なのでございます。奥様方は、消費税そのものをとれば、ああ面倒だな、つり銭がある、今までかからなかったのに、それから値段は上がった、何ほどかにしても。これは煩わしいに決まっているわけでございまして、奥様が本当に所得税、住民税の減税で、いや確かにプラスになったんだ、負担は軽減されたんだ、先ほど言われたように、五百万円の収入でございますと標準世帯で四万八千円減るとか、それから四百万円であれば三万七千円減るとか、三百万円であれば一万五千円減るとか、多分そういうものが実感でおわかりになっていないんだろう。これは家庭生活でどういうことになっているのか、奥さんとだんなさんの間でどういう渡しをしておるのか、こういうことにもよりましょうけれども、やはり奥様方が買い物をされるわけでございますから、この方々、特にサラリーマンの家庭を考え、ほとんどかなりのウエートを置いてやった改革でございますから、それらの方々の奥さん方が実感をもって感じられない限り、なかなかこの苦情というものは絶えないんじゃないだろうか。だから、そういう点からいうと、今まで我々の広報、PR、そういった点でも抜かりがあったんじゃないかという感じもいたします。  いずれにいたしましても、先ほど言いましたように、我々が二年間ほとんど党を挙げて論議した問題でございます。また、一般消費税から考えれば十年来の懸案であるわけでございます。世界においてもこれだけの大きな、画期的な税制改正というのは私は余り知らないのでございますが、これが日本の経済に溶け込みまして、そして総理がいつも言われるように、やってよかった、確かに先見の明があった、こういうことになることを希望いたしまして、今後とも万全を尽くしてまいりたいと思っております。
  43. 逢沢一郎

    逢沢委員 そこで、所得税の減税のあり方についてもう少し突っ込んで議論をしてみたい、また御質問をいたしたいというふうに思うわけであります。  今回の所得税減税というのは、いわゆるすべての所得階層の方々、どんな所得階層でも減税になるという大変結構なものでありますが、しかし、そこには一定の政策的な配慮というものがなされている。特に、子供さんの教育費が随分かかる中堅どころの方々がやはりそうは言っても一番相対的に家計が大変だということで、減税を多く手にすることができるような、そんな配慮もいたしております。  そういうことは大変いいことでありますが、実は大蔵省の調査によりましても、モデル世帯をケースにとれば、今回のいわゆる所得税の減税、住民税の減税、それに消費税が加わった場合の増減税の分岐点は約二百七十四万円、こんな数字も出ておりますし、また、奥様がパートに出ておられるような御家庭はどうなるだろうか。いわゆるパート収入が九十万円以下の奥様だとすれば大体四百万円ぐらいが分岐点になる。あるいは共稼ぎの場合はどうか。これは御主人と奥さんの共稼ぎの所得を何対何の割合で計算するかによって随分違うようでありますけれども、四百万とか五百万とかあるいは調査によれば七百万といったような数字にもなるようでありますが、とにかくそういった分岐点が出てまいります。御老人の場合はどうか。六十五歳以上のお年を召された老夫婦の場合、給与収入、いわゆる給与としての所得があればおよそ四百万円ぐらいがその分岐点になるけれども、年金のみに頼っているということになれば、これはことしの十月に、もちろん法律が通らなければなりませんけれども、年金の支給がふえるわけでありますけれども、今日に限って言えば、それは確かに買い物をするたびに、したがって増税、こういうことだろうというふうに思うのです。  そこで、改めて、どんな立場の方やどういう立場の御家庭の皆さんが減税になっているか。あるいはまた、どうしても制度というのは、増税になる、相対的に増税になってしまうという立場の方もこれは出てくるわけでありますが、これは事務的な質問になろうかと思いますけれども、年齢階層あるいは所得階層に応じてどういった減税、あるいはまた随分若い人は若干買い物をし過ぎると増税になるよといったようなことのようでもありますが、改めてそのことを御報告をいただきたいというふうに思います。
  44. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 所得階層別あるいはライフサイクルで見た所得税の減税額を申し上げるということでよろしゅうございますでしょうか。
  45. 逢沢一郎

    逢沢委員 はい。
  46. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 前提といたしまして、夫婦子供二人のサラリーマン世帯という標準世帯をとらせていただきたいと存じます。それから、委員の御質問にございましたように、今回の税制改革、一連の改革の中で所得税減税が減税先行ということもありまして分けて行われております。そこで、六十二年九月と六十三年十二月の二度の改正分を合わせまして申し上げたいと存じます。  所得税、住民税の両方を足した額で申し上げますが、年収三百万円の場合、六十二年九月の改正前には七万八千円税金を払っておりました。それが今回の抜本改正が終わりました後は九千円税金を払えばいいということになります。減税額は六万九千円でございまして、減税率は八九%と相なります。  年収五百万円の場合を申し上げます。税制改革の前は三十九万四千円の所得税、住民税を納めておりましたが、それが二十三万一千円に、減税額といたしまして十六万三千円の減税となります。減税率は四一%でございます。  それから、年収八百万円の場合を申し上げますと、従来百二十万四千円税金を払っておりました。それが八十二万四千円で済むということになりまして、減税額は三十八万一千円となります。減税率は三二%でございます。  それから、同じく六十二年九月、六十三年十二月の二度の改正による所得税、住民税の減税状況を、就職してから退職するに至るまでのサラリーマン世帯の生涯モデルを前提に試算してみますと、収入が相対的に少ない二十代前半の独身時代には約三万円減税となります。それから、結婚して子供の年齢がまだ比較的小さい二十代の後半から三十代というところでは、大体十万円台の減税となります。これに対しまして、委員御指摘のございました働き盛りで収入は多いけれども教育費その他などの支出がかさむような年代、四十代、五十代となりますと、減税額は二十万円台ないし三十万円台ということになります。それから、一般にサラリーマンは退職するであろう六十代以降では、収入の低下がございますので、減税額も十万円台ということに相なっております。
  47. 逢沢一郎

    逢沢委員 大変ありがとうございました。  いずれにいたしましても、今回そのような大きな所得税減税をあらゆる所得階層の方々が手にしておる、そのことの実感が日々の生活や仕事を通じてできるようにさらに努力をしてまいりたい。これは与党の国会議員の一人として私どもも当然のことながら努力をして頑張っていかなければならぬ、そのように思うわけであります。  きて、少し角度を変えまして、いわゆる間接税、今回のような消費税の導入ということになれば避けがたいことの一つとして、いわゆる税そのものが持っている逆進性というのがあろうかと思いますが、このことへの対応、配慮ということについて改めてお伺いをいたしておきたいというふうに思います。  モデル世帯で約二百六十二万円の課税最低限が三百二十万円余りに引き上げられるということは、今までは所得税を負担をしていたけれども税制改革後は所得税の負担から解放される、そういう立場の方が、これは相当数だろうと思うわけでありますが、ふえてまいります。しかし、考えてみますと、もともと課税最低限以下の方々は、これは今までも所得税の負担をしていなかったわけでありまして、そういう立場の方でも、生計を営んでいくためにはそれは少なくとも食料品を買い物しないわけにはいかない、あるいはたまには薬も買うでしようということになり、買い物をするたびにそれは確かに税を負担をする、その限りにおいては増税、こういう形になるわけでありますが、しかし、そういった比較的所得の低い方々への対応、あるいは年金生活者でありますとか身体に障害をお持ちの方々あるいはまた寝たきりの御老人の方、あるいはそういった御家族、社会的に見て比較的弱い立場の方々に対しては非常に政策的な配慮をしてきたということでございますが、どんな立場の皆様に、多くは課税最低限の方ということになろうかと思うのですが、どういういわば政策的な配慮をしたか、財政上の措置を講じてきたか、そのことについて改めてまとめてお伺いをいたしたいというふうに思います。
  48. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 お答え申し上げます。  まず、今のお尋ねの恵まれない方々と申しますか、消費税の逆進性に対する配慮として真に手を差し伸べるべき方々に対する財政上の配慮、これは御案内のように、先般成立をさしていただきました六十三年度補正予算によるものと、それから現在御審議いただいております元年度予算によるものと両面あるわけでございますが、まず六十三年度補正予算における財政上の配慮でございます。  言うまでもなく、消費税の導入は一回限りの物価上昇という形で国民生活に影響を及ぼすものでございますけれども、六十三年度補正予算におきましては、老齢福祉年金あるいは特別障害者手当等の受給者など真に手を差し伸べるべき方々に対しまして、消費税導入の際のその影響の激変緩和等を目的といたしました臨時福祉給付金を支給する、こういう措置を講じているところでございます。  この措置は、委員御案内のとおりでございますけれども、いわば一般的な所得の低い方々に対する対策といたしまして、臨時福祉給付金と名づけまして、お一人に一万円の給付金を支給する、こういうものでございます。その対象は、ただいま申し上げました福祉年金あるいは児童扶養手当、特別児童扶養手当等々諸手当の受給対象の方々及びこれらの諸手当の対象外でございますけれども、高齢の低所得者の方々と申しますか、市町村民税非課税世帯に属する七十歳以上の方々に対する給付も含んでいるものでございます。  それからもう一つ、六十三年度補正予算での財政上の措置といたしまして、いわゆる寝たきり老人の方々、この方々のうち在宅、御自宅で寝たきり老人、こういう状況にある方々に対しまして、これは臨時介護福祉金と称しておりますけれども、お一人につきまして五万円という特別の臨時給付を先般の補正予算において措置をさせていただいたところでございます。  これらの方々は、合計をいたしまして約五百九十万人に上る方々ということでございます。  それから、平成年度予算におきましては、まず生活保護に係る生活扶助基準につきまして、消費税導入等の国民生活の動向を勘案いたしまして、標準三人世帯で四・二%の水準で適切な引き上げ措置を行っておりますほか、お年寄りあるいは障害者の方々に対するいわゆる在宅福祉策の大幅な拡充を図るなど、真に必要な施策について重点的な配慮を行うことにしているわけでございます。  それからなお、公的年金につきましては、本年四月から特例の物価スライド、これは〇・七%でございますが、これを行うこと、これは既に元年度予算に計上したところでございます。それからさらに、十月から財政再計算に伴います年金額の実質改善を行うことといたしております。  さらにつけ加えますならば、消費税導入等によります今年度平成元年度の物価上昇分につきましては、これは本則のとおり来年度平成年度におきます物価スライドによる給付改善に的確に反映されることになるわけでございます。  以上、簡単に御説明させていただきました。
  49. 逢沢一郎

    逢沢委員 大変ありがとうございました。  いろいろな施策を伺っておりますと、いわゆる消費税の導入に伴う一時的なものと恒久的なものに大別されるようでございますけれども、いずれにいたしましても、やはり逆進性を緩和する、そのことの不断の努力というのは非常に大切なことのように思うわけでございまして、これからもきらなる配慮あるいはまた制度定着のための努力を心からお願いをいたしておきたいというふうに思います。  さて、税のことについて最後の質問ということになると思うのですが、改めて村山大蔵大臣の御所見を承りたいというふうに思います。  実は、私ども衆議院の物価等調査特別委員会で、ちょうど二週間前になるわけでありますが、四月十二日に、これは随分朝早起きをいたしまして、朝四時過ぎ起きで頑張りまして、五時から築地の市場を視察させていただきました。それから駒込でございましたでしょうか、商店街にも参りましたり、あるいは西武デパートの方にお世話になりまして転嫁の状況を御説明いただいたり等々ということで、実態の把握調査をさせていただき、現実がどうなっておるかということについて改めて勉強をいたしたわけであります。  例えば築地の市場で例の競りに立っておられる方ですね、朝の時間でありますから大変お忙しくなさっておられたわけでありますが、競りに立たれてとっさに頭の中で三%計算しながら手をこうするこうするというのはどうでしょうかねというふうなことで質問してみますと、ある方は、いや、それはもう頭の中で瞬間的に計算するから別に何にも問題ないんだという方もおられましたし、いや、どうもまだちょっと十二分になれなくて戸惑っているんだ、こういうふうに率直におっしゃる方もおられました。  あるいは、駒込の商店街に参りますと、商店街が全部で百七のお店から構成をされているわけでありますけれども、実はこんな一覧表をいただきました。例の転嫁の状況、あるいは外税にして対応しておられるか内税にして対応しておられるか、これを商店街で調査をなさっておられたわけでありますけれども、百七のお店のうち、外税で対応なさっておられるのが三十二店、そして内税が、これは少ないのですね、六店ということでありました。それから、商品への対応ということもあるのでしょう、両方で対応せざるを得ないのだ、そういうお店が百七のうち十二店、そして従来どおりの価格で今のところは対応しておるのだというお店が実に五十七店ということでありますから半分強、こういうことになりまして、一面では非常にスムーズな導入である、転嫁もさほど大きな心配したほどの混乱もなくうまくいっているではないかといったようなことが報じられている一方、やはりこういう実態もある。  なるほど確かに小さなお店、三千万円以下の年商でございましょうから、仕入れの中にどのぐらい税額がかかってくるか、少し時間を見ないとそれはなかなか判断できない。それを見て、三%上 げるわけにはいかないけれども、二%になるかあるいは二・五%になるか、それを考えるということで少し時間が要るのかもしれませんけれども、しかし、現実がどうなっておるかということについては、やはりこれは政治に携わる我々としては本当に目を皿のようにして、あるいは本当に耳をそばだてて注視をしていかなければならぬというふうに感じたわけであります。  一方、今回の消費税の制度そのものが持つ理由ということになろうかと思うわけでありますが、よく一律の税率三%という、それは確かに理屈の上からは一番制度としては精緻で公平なものかもしれないけれども、しかし、やはりだれがどこからどう見ても、どう感じるにも、およそぜいたく品と認定できるようなものはやはりあるのじゃないか。物品税を原則として廃止をするその背景には、何がぜいたく品で何が高級品でこっちがそうじゃないか、それはもう区別がつかなくなる。確かに自動車はそうでしょう、ゴルフの道具もそうかもしれないけれども、しかし、完全にそう言い切れるものかなということについていろいろな町の声がある。  これは村山大臣も十二分に御承知おきをいただいていることだろうというふうに思いますし、また、制度的にも簡易課税制度のあり方でありますとか免税事業者の問題でありますとかいろいろなことがある。あるいは便乗値上げ、一部業界においては強く指摘をされているところがあったようでございますけれども、こういうもろもろのことに対して、確かにまだ導入後一カ月と時間がたっていないわけでありまして、現在の段階で全体を評価するということについてはいささか無理もあろうかと思うわけでありますが、現時点で、責任大臣の村山大臣とされてどういう所見をお持ちか。評価をなさっておられるか、あるいは逆に、ここのところは多分問題なくスムーズにうまくいくだろうと、そのように想像していたけれども、しかし、ちょっとここはやはり問題が出てきたな、ひょっとしたらそういう心証をお持ちの部分もおありになるのではなかろうかと思うわけでありますが、そのことを最後にあわせて御質問をいたしたいというふうに思います。
  50. 村山達雄

    村山国務大臣 今度の改正は消費税創設を含む税制改正でございました。この消費税というものは日本では初めてなものでございますので、どういうことになるかということは非常に我々も一方においては危惧し、一方においては期待を持ってずっと見詰めておるところでございます。そして、立法形式といたしましては、税制改革法案というものの中で十条、十一条で消費税はこういうものとして考えていただきたいという理念規定を置いているのでございます。恐らくこの種の立法形式は世界でも、私は寡間でございますが、初めてであろうと思います。あれはあくまでも理念規定である、こういうことでございます。  現実のものは、これは消費税でございますから、当然のことながら、市場の中で実際の値決めあるいは転嫁というものが行われることは当然なことでございます。特に、激しい競争にさらされております日本の場合、そしてまた中小企業の多い日本の場合、あるいは繊維のように非常に複雑な経路をとる業種等につきましては、理念規定がそのまま、あるいは理念規定が具体的にどういう形になるかというのは、実際はなかなか一律的には決められない問題であろうと思います。しかし、この消費税というのが直接税ではなくて、最終的に消費者に負担していただくものであるということ、それからこれはかつての売上税のようなものではなくて、経済に対して中立的なものであるということ、こういった点を理念規定で織り込みまして、円滑かつ適正な転嫁とは何か、過剰転嫁はいけませんよとか、あるいは独占禁止法の例外規定を設けるとかいって、この理念の線に従ってこれが円滑に日本経済に溶け込むことを望んでおったわけでございます。  したがいまして、ただいま逢沢委員がおっしゃいますように、その現場について見ますといろいろの形が出てくるだろうと思います。しかし、いずれにしても、課税業者につきましては百三分の三というものが売り値の中に消費税込みで計算されることになります。このことは税制そのものではっきりしているわけでございますから、そのことをよく御存じの上でやっていただきたい。過剰転嫁をやるということになれば、当然のことでございますが、消費者の方は非常に今度は値段に敏感になりますから、一時はいいとしても、やがて競争場裏から脱落するかもしれぬ、あるいはそういう意味で消費者の信用を失墜するかもしれない、こういう危険負担をそれぞれの業者の方々が負いながら、自分が値決めをし、あるいは転嫁についてどうやるか。値段を据え置くという考え方もあるいはあるかもしれません、まだおれは競争力はある、こういう意味で、あるいは、多少はここのところは犠牲を払ってでもお客さんを余計とりましょう、こういうあれもあるかもしれません。それはやはり競争場裏における価格形成でございますから、そういう幾多の過程を経ながらこの新税の導入というものは漸次、初めはそうなっても漸次またその事業者の方も思い直していくであろう。要するに競争場裏の市場原理、これが働いていくわけでございます。  そして、免税業者その他をつくったといいますけれども、もう九十何%以上の人は課税業者の取引額で市場が決まってくるということは、この消費税全体の設計の上で決まっているわけでございますから、仮にそういうことがあったといたしましても、だんだんだんだんやはり消費税込みの市場価格というものが支配していくということも間違いないのでございます。こういう過程を経ながら漸次定着していくべきものであろう、こう思って、私がさきに消費者も事業者も全体としては平静に受けとめておると言うのは、そのもろもろのものを含んだ意味で概括的に申し上げているのでございます。  次に問題は、したがってこれらの問題は全部反省材料でございまして、今後の行く末を見まして、そしてもし手を加える点があるとすればどういう点があるのかということをやはり慎重に見きわめていく必要がある、それには時間がかかるということが第一でございます。  それから、第二の御質問の複数税率のお話でございまして、ぜいたくなものとあれとを一律に三%というのはどうかね、確かにそういう議論があるのでございますが、何よりもやはりこの種の税の定着を第一に考えているわけでございます。したがって、複数税率を設けますと、ここの一番難しいところは、やはり税率の違うものの仕入れ部分の区分計算の問題が非常に難しいのでございます。この税で一番難しいのは、その売り上げに対して三%の、現在の現行法でございますと、非課税とそうでないものの区分計算の話、ここが非常に難しくなるわけでございます。  同じように、もし複数税率を設けるとすればそのコストの仕入れにかかる消費税をまた区分しなければならぬわけでございます。その仕入れの方も複数税率で来ます。売り上げの方も複数税率で来ますから、そこの両方の対応関係を見ていくのが今の何倍かかるか、こういう話でございまして、したがって、この種の消費税の場合はやはりECの統一指令でもありますように単一税率の方がうまく機能しますよ、これはECが言っているわけでございます。しかし、それは最後の選択は国民でございます。これがだんだんなれてまいりますと複数税率の方がいいという議論があるいは出るかもしれません。それはまたそのときの話として、国民の要望に従ってだんだん手直ししていくべきものであろう。最初は、初めからそんな難しい、今の現行法でも難しいという議論があるわけでございますので、やはり最初は定着を第一に考えるべきであろう、このように思っておるところでございます。
  51. 逢沢一郎

    逢沢委員 ありがとうございました。  時間の都合もございますので、取り急ぎ今回の税制改革といわゆる年金改革の絡みについて一点だけお伺いをさせていただきたいというふうに思います。  今回の税制改革、課税ベースを広げる、それによって将来の高齢化への対応をしていこう、それは最も大切な私どもの基本とすべき考え方であるわけでありますが、同時にいわゆる年金の見直しも、特にことしは再計算時ということもありましてやらざるを得ない、そこのところがどうも国民皆様方にはわかりづらい、あるいは非常に我々の立場からすると説得しづらい部分があるということだろうというふうに思うのです。  予定どおりいきますと、ことしの十月からいわゆる年金の支給額は増額される、しかし、それに伴って保険料率は引き上げられる、あるいはまた、将来のことでありますけれども、やがて支給開始年次を徐々にではあるけれども引き上げていかなければならない、その全体像をやはり時間的な余裕を持って、ことしどうしても国民皆様方に発表し御理解をいただく。当然定年延長等の問題もかかわってくる、労働問題ともかかわりがありますから、その必要性、必然性というのは十二分に御理解が、我々は十二分に理解できるところでありますが、しかしそこのところは相当エネルギーを持って国民皆様方に納得をしていただける努力をしていかなければならぬというふうに思うのです。  いわゆる高齢化への対応ということになりますと、年金の国庫負担へ対応していく、あるいは医療の負担もありますし、寝たきり老人等々への問題福祉の費用、これも随分かかってくるわけでありますけれども、特にその消費税の導入あるいは税制改革全体が高齢化への対応だということをうたっている以上、何らかの工夫というものが本当に必要だなという実感を実は持つのです。  納税者の立場に立ちますと、例えばサラリーマンの方、毎月毎月給料を手にされる。最近は銀行振り込みが多いでしょうから、実際には給料日にこんな長っぴらい、びらびらを支給されてなるほどこういうことになっているのかということを見るわけでありますが、いわゆる租税負担、それから年金でありますとか保険の掛金の社会保障負担、学説的、学問的にはこれを広い意味の税というふうに言い切っていいのかどうか。私も若干不勉強でありますが、広い意味でこれは納税者の方、あるいは月々給料を手にしたときにはもう既に税を取られている、あるいはそれぞれの掛金を差っ引かれているそういう立場の方に立てば、実感としてはこれは広い意味の税だというふうに言えるということを私はかねがね感じているわけでありますが、年金というのはやはり基本的には掛金でもって賄っていくのだ、いわゆる公的な貯蓄というものであって性格的には税とは違うものなんですよということを、本当にこれは理解がしてもらえる努力を相当やっていかなければならぬというふうに思うのです。そのあたりの認識をどうお持ちか、あるいはまた具体的にどういう手だてでもってそのことを本格的にスタートさせていくのか、そのことについて簡単にお答えをいただければというふうに思います。
  52. 村山達雄

    村山国務大臣 一般論としまして、税というものは社会共通の社会的費用をその負担能力に応じて薄く広く分担していただくものである、こういうことでございましょう。一般会計なりあるいは地方の普通会計、こういったものは、広く一つの政治というものあるいは行政というものをやっているわけでございますから、それに要する経費、費用というもの、この社会費用をどうして配分するか、その配分された結果が税というものである、こういうものでございましょう。  それから社会保障の方は二つありまして、一つは代表的な医療でございますが、これは病気になる人とならない人との相互扶助の関係、そういう集団の中の相互扶助の関係でございましょう。  それから年金でございますが、これはお年寄りとそれから若い人が世代を異にして、言ってみますと相互扶助をやっておる。そこはいわばどちらかというと受益者負担金的な考え方で行われておる。しかし、これは異なる世代を通じて相互扶助をやっておる。今お年寄りの年金負担をしている人は、やがてお年寄りになるど今度はその次の世代の人たちからその年金の原資を仰ぐ、こういう形になるだろうと思います。  しかし、いずれの意味にいたしましても、やはり社会保障負担はこれは国の制度として必要であるという意味で強制しております。強制負担という意味においてはまさに租税負担と同じなものである。だから一般に負担している、家庭が負担しているといたしますと、家庭としてはまあ税金であれ社会保障負担であれ強制力を持って持っていかれますから同じような負担だ、こう考えられるでございましょう。そこで、さっき言いましたような関係で年金については、早く高齢化に向かいますから、給付を減らすのか、保険料を上げるのか、あるいは年金を受け取る年齢を少し引き上げるのか。そこはその三つしか仕掛けがないわけでございますからどれを選びますか、こういうことになると思います。もちろん国庫負担は三分の一基礎年金についてはあるわけでございますが、それはそれでございます。残ったものについてやるわけでございますが、そのところは給付と保険料とそれから受給者の年齢をどうするか、これ以外には余り手品の種はない、こういうことになります。  また、今度は税の方から申しますと、やはりそれはいずれも稼得所得に対してかかっているという点では同じことなんですね。所得税、住民税も稼得所得に対してかかっておる。それから社会保障負担の方も、これは国民健康保険は別にいたしまして、大体もうパラレルに比例税率でかかっておるわけでございます。しかし、これもまた稼得所得でございます。高齢化社会が来ますと、今のような仕組みでございますと、仮に支給年齢を少し延ばしたといたしましても、どうしても高齢化社会でございますから、その稼得所得にかかる保険料はだんだん上がっていく。こういうことを考えますと、税の方もそれを視野に置きまして、税制改正のときは税全体の中で所得、消費、資産のバランスのとれたものというけれども、その中に国民負担として社会保障負担があるということを視野の中に置かないと、やはり若い世代の人たちは所得課税が重いな、特にガラス張りの月給取りの家庭はたまったものじゃないであろう。こういうことを全部視野に置いて税の方は仕組んでおる、こういうことだろうと思います。
  53. 逢沢一郎

    逢沢委員 大変ありがとうございました。  それでは、取り急ぎということになりますけれども、話題を変えまして、防衛庁の新しい動きのことについて二点ほど質問をさせていただきたいというふうに思います。  実は、陸上自衛隊の新しい動きでございますが、いわゆる戦車の一部を北海道へ転用配備をする、こういう大きな計画がありまして、平成元年度の事業といたしましても相当のものがあるというふうに承っているところであります。例えば青函以北、現在のところは約五百三十両、全体に占める割合は四七%というふうに承っておりますが、これを充実を期そう、中期計画後は七百三十両、全体に占める割合も六割ということでありまして、北海道を重く見ていこう、こういう一つの考え方に基づく動きであろうかと思うわけであります。  実は、私ども地元の話になりまして大変恐縮でございますけれども、こういう動きに伴いまして、岡山県にございます日本原駐屯地のいわゆる戦車部隊におきましても相当な動きがあるようでございます。現在六十両配備をされておるのが計画後には約三十両、ちょうど半分に縮小されるということでございまして、やはり基地の町、日本原駐屯地を抱えておりますのは岡山県の奈義町あるいは勝北町、この両町にまたがるわけでございますけれども地域に与える影響というものはなかなか小さなものではないぞといったような反応も既に出てきているわけであります。  そこで、実際にこういう動きが実行に移された後に、じゃ、具体的に隊員の方が一体どのくらいの減員になるのか。あるいは中には御家族そろって引っ越されるという方もおいででしょうから、まあどのくらいの家族を含めた減員になるのであろうか。あるいはそういった形で縮小されるということになれば、当然訓練日数等も少なくなる。したがって、周辺対策費、基地交付金、こういうものの支給にもやはり直接的に影響が出てくる。大ざっぱに言って、地元の奈義町、一年間に十億円ぐらいの交付金を手にしておるわけでございますが、これは先々やってみなければなかなかわからないということなのかもしれませんけれども、おおよそどういう展望になろうかということをお知らせをいただければ大変ありがたく思います。
  54. 日吉章

    ○日吉政府委員 お答え申し上げます。  幾つかの御質問をちょうだいいたしましたけれども、まず私が担当しております点につきまして御答弁申し上げたいと思います。  お尋ねの日本原駐屯地におきましては、委員ただいまおっしゃられましたように、戦車約三十両の減少を予定いたしておりますが、定員の上で計算をいたしますと、この三十両は百八十名になります。しかしながら、自衛隊の現員は定員に対しまして充足率が必ずしも高くはございません。  なお、委員ただいま御指摘のように、自衛隊員が減少いたしますと地元等に与える影響等もございますので、定員上は百八十名の減少になりますけれども、できるだけ減少人員を少なくするように検討してみたい、かように考えております。  それから、隊員には家族のいる者もございますので、家族も含めましてどれくらい減少するのかというお尋ねでございましたが、実はこの部隊改編は年度末を予定しているという点と、それからもう一つは、委員既に御承知と思いますけれども、戦車そのものを北海道に持っていくのではありませんで、耐用命数の来ました戦車の後補充をしない、こういう形で減少いたしますものですから、三十両の戦車の隊員がそのまま北海道に行くというようなことではございませんので、今後年度末にかけまして、どういう形で隊員を現員上減少させるかという検討をしてみないといけないことになります。それに伴いまして家族にも変動が生じてまいりますので、せっかくお尋ねいただきましたけれども、家族を含めましての減少というのはちょっと今のところ見通しが立たないところでございます。
  55. 逢沢一郎

    逢沢委員 大変ありがとうございました。  これは、日本原に限らず基地の町はどこでも同じような立場であろうかと思うわけでありますが、非常にやはり歴史的な経緯がある。行政も住民も本当に一体となって、例えばある場合には反対闘争に立ち向かいながら文字どおり基地と地域がもう共存共栄をしていく、そういう立場で自衛隊を育ててきた、あるいはまた一般の方にも理解をしてもらおう、そういったような立場をとってきたのが基地の町の一つの大きな特色ではなかろうかと思うわけでありますが、改めてそのことにも十二分に御配慮をいただいた施策の展開を心からお願いをいたしておきたいと思います。  そして最後に、時間ももうほとんどなくなりましたところで、一点だけお伺いしたいことは、実は去る四月十二日水曜日の読売新聞の一面トップ、これは地域によっては出てなかったところもあるようでございますが、陸上自衛隊の演習場拡大を計画、いわゆる長射程砲ですか、同じ大砲でも長く飛ぶのと短く飛ぶのがあるようでございますが、そういった三十キロも飛ぶような長射程砲に対応できるような演習場をやはり確保していかなければならぬ、あるいはその裏腹には、もう必要でないようなところも当然出てくるから、縮小あるいは統合、廃止、そんなことも柔軟に考え対応せざるを得ない、かなり具体的な地名等も克明に新聞に報道されております。  私ども一切こういうことについてお伺いをしてなかったものですから、非常に驚いたというのが率直なところでございますが、この新聞に掲載されたような事実が、あるいはまたこういった基本的な考えに基づいて既に物事が進行しているのかどうか、まずその事実関係を確認をいたしたいというように思いますと同時に、いずれにいたしましても、こういった長射程砲ということに対応するということになれば、いずれかの段階でやはりそういった大きな流れは出てくるのではないかと想像もいたすわけでございますが、そういったかなり中長期的なことになるのかもしれませんけれども、どんな姿勢、基本的な考え方でそのことに臨もうとされておられるのか、まとめてお伺いをいたしたいと思います。
  56. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 まず、基地問題でございますが、今回の御審議を願っております平成年度予算の防衛費予算の中の最重点に基地対策費をお願いしてあるわけでございまして、それは、やはり大変基地の面でお世話になっておる地元の方々との融和を図りながら、私たちの練度を深めるための演習がスムーズに行われるような方法を今後も進めていきたい、こういう意味で重点を基地対策に置いているということでございますので、今委員御指摘のような点を今後も十分配慮しながら進めてまいりたい、こう思います。  なお、今の読売新聞の演習地の問題でございますが、これは次期防の問題と関連するわけでございまして、次期防については、昨年の十二月、これは既に中期的な規模の計画は進めなさいということは決定されておりますけれども、具体的にこれから国際情勢だとかあるいは装備の近代化等を勘案しながら進めてまいるわけでございまして、今御指摘のような、また読売新聞で報道されているような状況にはございません。具体的なものはまだ進めておりません。したがいまして、私たちとしては、やはり装備は近代化されてまいります、したがいまして、また練度も深めてまいらなければなりません。そのために、やはり足の長いいわゆる装備が出てまいるわけでございますので、そういうのは国内ではなかなか演習ができないものですから、アメリカで行うということもあるわけでございまして、したがいまして、できるだけ大きい規模の演習場が欲しいわけですね。ですから、それとまた地域住民の御理解をいただくこともやはり必要ですし、さらに騒音等の問題等も配慮してまいらなければなりません。ただいまの問題は非常に重要な課題でございますので、これから、委員のいろいろな御指摘もございますので、その趣旨に沿いながら私たち地域住民に余り影響を与えないような基地または演習場を確保してまいりたい、こう考えておりますので、御理解いただきたい。
  57. 逢沢一郎

    逢沢委員 ありがとうございました。  いずれにいたしましても、日本の防衛を前進させるためには、やはり今まで以上に自衛隊というものに対して国民の方々の理解と信頼を高めていく、その不断の努力というものは必要であるというふうに思うわけでありまして、十二分に御配慮をいただく中で施策の展開を心からお願いをいたして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  58. 田名部匡省

    ○田名部委員長代理 これにて逢沢君の質疑は終了いたしました。  次に、粟屋敏信君。
  59. 粟屋敏信

    粟屋委員 昨日、竹下内閣総理大臣が辞意を表明をされました。リクルート問題を発端として国民の中に政治不信が高まり、政局も混迷の度を加え、平成年度予算の成立も見通しがっかなくなった事態の中で、竹下総理が不惜身命の精神で辞意を表明をされた御決断に深く敬意を表するものでございます。この御決断を生かすように、予算の早期成立また政治改革が進むことを心から願っておるところでございます。  特に、予算の成立がおくれますと、公共事業の発注が遅延をいたしまして、国民生活また地域振興に大きな障害を及ぼしますし、またODA予算の支出がおくれまして、国際信用にかかわる問題でございますので、一日も早く成立が図られますよう委員長初め皆様方の御努力をお願いをいたす次第でございます。  竹下内閣の治政は一年六カ月余りでございました。必ずしも長いとは言えませんけれども、長きをもってよしとするのではないと思います。その間に、いかに国民生活、これは現在及び将来にわたって向上を確保したか、また日本及び世界の平和と発展のための措置をとったか、これが大きな 評価の要素ではないかと私は考えるところでございます。  内政におきましては、先ほど来いろいろと御議論のございました税制改革が勇断を持って行われました。私は本当にこれは画期的なことだと思うわけでございます。昭和二十四年のシャウプ勧告に基づく税制、これが今までの我が国の税制の基礎をなしておったものでございますけれども、当時と今とを比べますと、経済も国民生活の構造も大きく変わったと思うわけでございます。当時のことを考えてみますと、まだ戦後間もなく、焼け跡も方々に見られた時期でございますし、また住むに家なく食糧も不十分な時代でありました。日本の経済も、アメリカの経済を一〇〇としますと、せいぜい五ぐらいではなかったかと思います。そしてアメリカの生活というのは日本人の羨望の的であったわけであります。それから四十年たちまして、日本は世界の経済大国となりまして貿易黒字は大きなものを抱えております。それに対してアメリカは膨大な財政赤字また貿易赤字を抱えまして、また世界最大の債務国になっておる。全く日米の関係が逆転をしたというような状況になっております。また国民生活の構造も大きく変わってまいりまして、大蔵大臣がしばしばおっしゃいますように、消費支出のうちの半分がサービスであるというような変化もしたわけでございます。そういうような変化の中にあって、昭和二十四年のその時代の税制をいつまでも引きずっていいかという問題が第一にあると思うわけであります。  第二番目は、今日本の経済、これは世界の経済とともに動き、また世界経済をリードする立場に立っておると思っております。私はいつも奥様方に申し上げるのですが、朝七時前のニュースでニューヨーク市場の円ドル相場を言いますでしょう、それから東京市場が開きます、それからロンドン市場が開いてまいる、まさに二十四時間お金が世界を駆けめぐっておる、そういう時代であります。そういう国境なき経済の時代になった中にありまして、よその国とかけ離れた税制を持っておっては日本の将来にとって大きな問題があるのではないかということも申しておるわけであります。  第三番目は、やはり所得税の重税感、法人税の重税、これを何とかしなくちゃならない。特に中堅サラリーマンの方の重税感は相当なものがございますので、特に教育に金がかかる時代、働き盛りの時代の所得税減税を大幅にやる必要があります。また法人税でいえば実効税率はよその国に比べまして日本はかなり高い。今でも経済摩擦の関係で日本の自動車工場はアメリカなんかに出て生産をしておる。そうしてまた逆に日本に逆輸出をするような状態もあります。ホンダ・アコードのごときは、昨年八千台、ことしは三万台ぐらい日本に逆輸出してくるでしょう。そういうような中で、さらに税率の格差が多いと、日本の産業の空洞化が進んで日本経済に大きな影響を及ぼしますということも申しながら税制改革の必要性を説いておりますけれども、まさにそういう観点から、竹下総理竹下内閣が英断を持って税制改革を実施されたことは、私は日本の将来にとって、日本の将来の国民にとって本当に快挙であると思っておるところでございます。  また内政で第二は、やはり昭和天皇の御大喪の礼であります。政教分離の論議がかまびすしい中で、皇室の伝統にのっとり、また我が国の精神文化を受け継いだ御大喪の礼を粛々とおやりいただいた、本当昭和から平成の時代への移り変わりを見事に、確かにおやりいただいた、これは大きな御功績であると思います。また、かつてないほど多くの国から弔問使がお見えになりまして、その間に外務大臣も御努力をいただきましたけれども、弔問外交を展開をされ、世界の中の日本、国際社会における名誉ある地位を占めた日本の立場を鮮明にしていただいたことでございます。  そういうことで、内政上の問題としては、この二つに私は竹下内閣の大きな御功績があると考えておるわけであります。  また、対外問題に目を移してまいりますと、御就任以来ほとんど世界各国を寧日なく駆け回っていただきまして、各国との国際親交を深めていただきました。日米経済摩擦の面におきましては、内政対策を充実をしながら懸案の農産物十二品目の自由化、オレンジ・牛肉の自由化もやられました。また建設業参入の問題についても、これにけりをつけられたわけであります。そういうことで日米経済摩擦の解消に大変な御努力をちょうだいをしたと思っておるところでございます。さらに開発途上国の援助につきましても、三百億ドルでございましたか資金還流の措置をおとりになり、また昨年のサミットでは五十五億ドルの最貧開発途上国に対する債務の棚上げ措置をおとりになる、まさに世界の発展のために大きな御功績を残されたと思うわけでございます。  そういうことで、竹下内閣の内政、外政に残された業績は、私は評価できるものと考えます。ただ、最終的な評価は、これは歴史の審判にまっしかございませんけれども竹下総理大臣の辞意表明に際しまして、竹下内閣の評価を私なりにさせていただいたところでございます。  ただ、問題が残りますのはやはり政治改革の問題であろうと思っております。リクルート問題が発生をして以来、政治のあり方、特に政治と金とのかかわり合いについて国民各層からいろいろと御批判が出てまいりました。考えてみますと、昭和三十年保守合同ができまして、三十四年間ずつと自民党が政権を担当してまいりました。片や野党は分裂しこそすれ、いつまでも政権にありつけない、そういう状態が続いてまいったわけであります。その間に政権党になれが出てきたのではないか、また、野党に無力感が出てきたのではないか、その間に政治に緊張を欠いて、今回のような素地をなしたのではないかとも考えているわけでございまして、そういう事態を踏まえながら、私はこの際、政治改革をやるべき絶好の時期に来たと思っておるわけであります。  自民党内においても政治改革委員会あるいは選挙制度調査会等で選挙資金の透明化の問題が検討をされております。また、政治家個人の資産公開の問題も論議をされております。さらに、虚礼廃止について規制を厳しくしようとの案も出ているようであります。私はこれらのことを速やかに結論を出して、国民の前に示すことが必要であろうと思います。恐らく政治家一人一人これにはいろいろな意見があると思いますけれども、やはり小異を捨てて大同につくということで、この問題に早く決着をつけなければならないと思います。  それと同時に、やはり政治に緊張を取り戻すためには選挙制度の改革、中選挙区制についてのいろいろな問題点がございます。小選挙区制度を採用するのか、これに比例代表制を加味するのか、いずれにしましても選挙制度について真剣な検討が望まれると思っておるところであります。それとまた、やはり定数問題でございまして、定数問題は抜本的な見直しをこの際進めていかなくてはならぬと思うわけでございます。  そういうことを含めまして、政治改革、その方向づけ、これをきちんとやらなければ、せっかくの竹下総理大臣の辞意表明、御決断、これにこたえることができないのではないかと思うわけでございまして、先輩の皆様方の御努力を本当お願いをいたしておるところでございます。  本来ならば、きょうは官房長官においでいただきまして御所感を拝聴することにいたしておりましたけれども、それができません。もしお許しを得ますれば、先輩の大臣であられます大蔵大臣または外務大臣から御所見を拝聴できればと思いますので、よろしくお願いいたします。
  60. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 いろいろと竹下内閣発足以来の懸案事項に関しまして御所見を述べていただきました。  外交面におきましては、私も総理のいわば片腕といたしまして努力をして今日を迎えておるわけでございますが、仰せのとおり、昨年の一月、総理が初めてアメリカへ訪問をされましたときの日米間には、十二品目を初め、牛肉・かんきつはもちろんのこと、公共事業、さらには科学技術協定、まあいっぱいあったわけでございます。そうした問題を両首脳は抱えながら、やはり日米関係というものは我が国外交の基軸である、したがって、日本は西側陣営にいるし、また太平洋・アジア諸国の一員である、ぜひとも両首脳の努力によって解決をしなくてはいかぬ、こういうふうなかたい決意を述べられました。その結果は御承知のとおり、あっという間に解決ができた。もちろんいろいろ問題はございましたでしょうが、しかし農産物に関しましてはやはり国内措置あるいは国境措置等々十二分にとらしていただきまして、関係者の御理解をいろいろと得て今日を迎えておるわけでございます。  そうしたことを考えますと、恐らくなし得なかった幾つもの問題が昨年のちょうど半期ぐらいでなし得たということは、これはもうどこから眺めましても竹下外交の大きな得点ではなかったか、そのことをもってアメリカの首脳も広く竹下内閣に対する信頼をなお一層大きくされた、このことはもう既に御承知のところでございます。  ことしも新しい大統領との間におきまして首脳会談が行われました。極力、貿易摩擦はもちろんのこと、そのほかのいろいろな問題に関しましても両国間の共同作業と共同理解において解決しよう、こういう路線はまさに結実しつつある、私はかように考えておる次第でございます。  なかんずくサミットにおきましても、日本が常に指導的な立場で発言されました。お触れになりましたODAに関しましても、前五年間の倍増、五百億ドル、さらには過去十年間さかのぼって、最貧国、LLDC、このLLDCの五十五億ドルキャンセル、この問題は世界がびっくりするような発言ではなかったか。また、これを実施することにおいて、口ではなくして真に世界の平和に貢献する日本、さらにはODAを通じてLDCを初めLLDCに対して日本の心を知っていただいて、今後ともどもに働く、また栄える国々にしたい、こういう気持ちは如実に今日高く評価されていると私は思います。そうしたことは、一にかかって内政よろしきを得るがために外交もまた成果を上げた、こういうふうに私は評価いたしたいと思います。
  61. 村山達雄

    村山国務大臣 私は、また経済の方から言いますが、ちょうど終戦後四十四年たつわけでございます。諸外国が日本のやり方を見ておりまして、彼らと非常に違うのは、日本の社会は、政界においても財界においても、また労働界においても学界においても官界においても、長期政策が得意である、長期的な目標を立てて、そして着実に、既存の信用というものを壊さないで漸次移ってくる、これが日本の一種の管理能力と申しますか、そういう意味で非常に独特なやり方をしておる、こういう批評がございます。同感するところが多いのでございます。  戦後を考えてみますと、一番大きかったのは、やはり何といってもドッジが一ドル三百六十円と決めた、これは大きかったと思います。それで、一ドル三百六十円に合わせて企業が全部努力していった。当時は八百円のものもありましょうし、五百円のものもあったでしょうが、三百六十円で合わせ二合理化を図ったわけで、これは大変なものだと思います。  それから、やはり四十八年の第一次オイルショック、それから五十三年から五十六、七年までの第二次オイルショック、これはもう原油価格が猛烈上がってくるわけでございまして、このときは卸売物価が第一次のときは二十数%、消費者物価が一九、二〇%ぐらい、それからベースアップが三十何%と、これほどの危機があったわけでございますが、御案内のように日本は省エネルギーを徹底してやったわけでございます。そのことによりまして、コストダウンを図っていく、そして財政基盤を確実なものにしていく。この成功は大変なものであったと思います。  それから第三番目は、やはり六十年に行われました円レートの調整の問題、これは大きかったのじゃないかと思います。二百四十円を一挙に百二十円台、現在まで持ってくるわけでございますから、円高不況がもう隅々まで及ぶわけでございます。これを乗り切っていきますと、やはり交易条件の有利さという問題の円高のメリットが当然出てくるわけでございまして、それで見事に円高利益を享受するところまで努力してきた。この民間経済の努力たるや大変なものである。  第四番目が、これがやはり税制改革でなかろうかと思っております。この問題も確かに大きな変化でございまして、なかなかついていけないということはありますけれども、これもやはり将来を考えますときにあるであろう。  それからもう一つ、今出ておるのが年金の支給年齢の六十五歳への引き上げという問題、これも大変な問題になるであろう。これはまだ実現しておりません。  しかし、将来を見通して、そして早目早目に手を打っていく、これが日本の今までの経済運営の最も大きな特徴ではなかったかというふうに私は考えておるのでございます。
  62. 粟屋敏信

    粟屋委員 外務大臣にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、現在デタントの時代、多極化の時代、こう言われております。今まで米ソ二大超大国が世界を動かしておった、こういう時代が過ぎ去ろうとしておると言われております。  アメリカの場合は、膨大な貿易赤字また財政赤字を抱えて、世界最大の債務国になった。ポール・ケネディの「大国の興亡」ではございませんけれども、もうアメリカは今までのように政治的にも軍事的にも経済的にも世界に対してオーバーコミットメントできなくなったのではないか、こう言われております。  ソ連も、国民総生産の一六、七%を軍事に注ぎまして、民生への資源配分が非常におろそかになった。共産主義統制経済、この悪弊が噴き出しまして、物をつくればいい、競争関係がないから質の改善も望めない、そういう面でいろいろと問題を起こしてまいりました。  片やEC十二カ国、一九九二年市場統合を目指して着々と進んでおるようでございます。この統合が実現いたしますと、国内総生産からいいますとアメリカにほとんど近いような経済圏が生まれるわけでございまして、それにさらにEFTA、欧州自由貿易連合、これがだんだんと近づいできます。また、コメコン諸国もECとのつながりを深めようとしておる。そうすると、大きな経済圏がそこに発生をいたします。  また日本も、今でもそうでございますが、これからまた、ますます経済大国としての地位を固めてくるのだと思います。  そうすると、これからの世界というのは四極の世界になるのではないかなという感じもいたしておりますけれども、その中において日本の果たすべき責任、役割というものは非常に大きくなってくるのではないかと思いますが、こういう世界の中にあって日本は今後どういうふうにしていったらいいか、外務大臣の御所見を伺わせていただきたいと思います。
  63. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 仰せのとおり、米ソが対話を始め、それを継続しよう、その一つのよき証拠として、お互いにINFグローバル・ゼロというふうなことが一昨年合意されました。これは歓迎すべきことでございます。しかし、その中には当然両国等に、今おっしゃったとおり、際限なき軍拡競争、これがいかに民生に悪い影響を与えたか、それがまた経済的にも決してよい影響を国民生活に与えておらない、こういう大きな問題がその底辺にあった、そのためにお互いが思想の変換をした、あるいは思考の変換をした、私はこう申してもいいんじゃないかと思います。現にゴルバチョフさんは、社会主義の伝統を受け継ぎ、今後も社会主義を発展さすために努力されると思います。思いますが、その手法においては、やはりペレストロイカ等々において、市場原理というものの導入がなければ今後経済はどうなるのであろうかというふうな反省も多々見受けられるのではないだろうか、私はかように思います。  したがいまして、欧州統合等々を考えました場合に、やはり二十一世紀の世界は、対話継続、さらには軍縮、そうした問題を通じまして、お互いが信頼し合う時代をつくらなくちゃならぬ。ということになれば、平和の時代の構築、平和とは何ぞやという一つ日本としての哲学を持ちたいものだと私は常に言っております。簡単に言えば、戦争と平和の対比から申し上げれば、平和には破壊がない、破壊がなければ物は余る、物が余れば生産意欲はどうなるのであろうか。かく考えてまいりますと、従来の経済はあるいは需要のみに偏って、需要を起こすことにおいて景気をよくしたと言うけれども、今後は供給が一つの需要を起こすであろうという新しい学説も生まれておることは我々軽視できないと思います。  日本流に申しますと、はっきり言って、軽薄短小だというような時代を迎えたのではないか、もう量産の時代ではないのじゃないか。こういうことで、我が国は資源乏しく、食糧乏しく、しかしながらこの四十何年間、国民の努力によりまして、我々ははっきりと申し上げて常に技術革新をすることができた国民である。一滴のガソリンもむだにしなかった、一塊の資源もむだにしなかった、こういうふうなすばらしい国民でありまして、経営改善をそれに伴うことにおいて今日のGNPの増大を図ることができた、これはやはりいろいろな面から研究をされておることも事実でございます。  したがいまして、日本といたしましては、世界に貢献しよう、さらには文化を交流しよう、さらにはODAを拡充しよう、これが竹下内閣の外交三本柱でございますが、そうしたことを中心といたしまして、やはり今後戦争なき時代のために我々としてあらゆる面でひとつ努力をしなくちゃいけないというふうな課題が日本にはあるのではなかろうか。それはもうあらゆる産業において、あるいはまた科学技術において、医療において、いろいろな面においてそうした課題が日本の新しい課題と心得て進むべきであろうというのが外務大臣としての所見でございます。
  64. 粟屋敏信

    粟屋委員 今外務大臣から平和に対する信念をお伺いいたしまして、心強く存じたところでございます。  ODAにもお触れになりましたけれども、ODAは確かに絶対額では恐らく世界一になったのではないかと思いますが、質の面におきましては、まだグラントの面においては五〇%を切っておる。DAC、開発援助委員会十七カ国の平均が八〇%を超えておると思いますので、その辺の改善の御努力をこれからもお願いいたしたいと思っております。  もう一つは、核軍縮の問題でございます。  私は広島の出身でございまして、原爆の原体験を有しているものであります。父親を原爆で亡くしましたし、また私はちょうど軍隊に行っておりまして直接の被爆からは免れましたけれども、復員後広島に帰りまして、広島の原爆の惨状を見てきたものでございます。それなるがゆえに、核軍縮の推進、これは何よりも世界平和のために大事であるということを私は痛感いたしておるところでございます。  米ソの間にINF条約が締結をされました。また、戦略核兵器の削減交渉も進んでおるようでございます。日本はやはりこの核廃絶に向かって努力をすべき義務があるのではないかということを感じておるところでございます。竹下総理にも、昨年、国連の軍縮総会において御発言をいただきましたし、広島市長は毎年出かけまして広島の心を伝えておるわけであります。これらの全廃条約、削減交渉、この裏には確かに米ソ間の軍拡競争に対する反省もありましょうし、また平和に対する願いもありましょう。私は広島人といたしまして、広島の祈りの心が通じたのではないかとも考えておるわけでございますが、核軍縮につきまして我が国はどういう対応をすべきか、外務大臣の御所見をお聞きいたしたいと思います。
  65. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 昨年の国連の軍縮総会で、竹下総理は我が国の軍縮の基本方針について演説をされました。そのときに、ぜひとも日本においても軍縮会議を行いたいという提案をされまして、それが過般の京都における軍縮会議となって如実に実現したわけでございます。こうした提案、こうした実行というものに対する世界の評価は非常に高いということを私もしみじみ痛感させていただきました。  今のところは、米ソは、対話を築きましょう、そういうことでINFのグローバル・ゼロが進んでおりますが、これは単なる核軍縮の第一歩だ、私はこういうふうに解明いたしております。だから、かつてはやりましたデタントというのには値しないのではないか。デタントというと何かこう、もうちょっと理想的であり、夢のようなものが残るというような懸念がございます。しかし、まだ現在我々の周辺におきましても、やはり世界が将来低レベルの軍備において軍縮をされても、そこには当然バランスとそして抑止というものが働くだろう、こう考えますが、今なおそうした面においてはまだ東西間に完全にすべてが改革され、解消されているわけではない。したがいまして、ガードは強くしておりますけれども、やはり今後INFに限らず戦略核の削減、STARTと言われておりますが、これが実を結ぶべく我々も大いに米国を支援しましょう。今日までのINFも西側が結束してアメリカの支援をなしたなればこそ成功した、こういうふうに思いますと、STARTにおいてもそういうふうな問題で私たちは西側陣営の一人として力を振り絞っていきましょう。  さらに、この一月には御承知のように化学兵器全廃問題に関する世界大会が開かれました。これも大切なことでありまして、一九二四年ごろに、御承知の毒ガスはだめだよというのでジュネーブ協定ができておりますが、もう毒ガスどころかそれを上回る化学兵器が現に地域紛争に用いられておるということでございますから、こうした面におきましてもぜひともこうした条約が批准されるように日本は努力をしなければならない。当然、我々といたしましても、通常兵器削減という問題もまだ残っております。これもジュネーブでいろいろ議論をされております。  したがいまして、世界じゅうの問題に関しまして我々は関心を抱きながら、日本は幸いにいたしましてGNPの防衛費との関連、これもきちっと守っていきたいと思いますし、非核三原則ということも守っておりますし、憲法上は有事即応、専守防衛ということで守っておりますし、そういうような幾つもの範たるべきところが日本はあるんだ。そうしたことを示しながら、やはり西側陣営としてアメリカを応援し、時にはソビエトに対しましてもはっきり物を申すことにおいて、人類の悲願である究極的軍縮というものを目指して努力をしなくちゃいかぬ、かように思っております。
  66. 粟屋敏信

    粟屋委員 外務大臣、どうもありがとうございました。これでよろしゅうございます。  次に、消費税でございますけれども消費税が実施をされまして一カ月近くたちますが、最初は大混乱が起こるのではないかというような報道等も行われておりますが、比較的、問題をはらみつつも平静に実施されているのではないかと思います。大蔵大臣の実施状況に対する御感想を伺いたいと思います。
  67. 村山達雄

    村山国務大臣 我が国で初めて、なじみの薄いこの種の税を四月一日から導入したわけでございます。市場での対応の仕方はいろいろでございますけれども、全体として申しますと、事業者も消費者も平静に受けとめておられるんじゃないか。私が現地を見ましたり、あるいはその後、大蔵省に対する事業者あるいは一般の消費者、これらのいろいろな電話が寄せられております。その中には、事業者の方ではやはりいろいろな事務に関する質問事項あるいは苦情、意見、中には激励もございます。同じように消費者につきましてもいろいろありますが、それらの推移を見ておりますと、そういう電話はもう本当に減ってまいりました。特に消費者からの電話が非常に減っておりまして、特に、そのうちで苦情というのがほとんどなくなってまいっております。それから事業者の方もほとんどもう実務的なものにだんだんなっておるわけでございます。それだからといって、これで定着したとは読めないわけでございます。いろいろな対応の仕方をしておるでございましょう。  ですから、この問題は、いずれ九月になりますと初めて法人の方々の納税が行われるわけでございます。そうして法人の方は、その次の塊は大きいのは十二月決算が相当ございますから、これが二月に行われます。大部分の法人は三月決算でございますから、来年の五月ということになります。それから個人の方は全部ことしは三月末ということになっておりますから、それを見ないと、それからどういう転嫁の仕方をしたか納税はどうなっているのか、そういったところを見ないと最終的な判断はっきませんが、大体平静に受けとめておられるな、こういう感じでございます。  先般の、卸売物価の上旬の発表がございましたが、これは卸売段階でございますから末端の小売とは違いますけれども、物品税とかそういったところに関係のないところの値上げ率は大体三%以内に落ちついておるところを見ますと、まずまず、少なくとも卸売段階では平静にいっているのじゃないか、こういう感じがいたしておるところでございます。     〔田名部委員長代理退席、委員長着席〕
  68. 粟屋敏信

    粟屋委員 経済企画庁長官にお尋ねをいたしますが、いわゆる便乗値上げがあるということが言われております。クリーニングとかあるいは外食とかが顕著なようでございますが、これに対してどういう手をお打ちになっているのか。また、ことしの物価上昇率は政府の見通しは二%、そのうち一・二%が消費税分だ、こう言われておりますけれども、この二%が確保できるのか。それと、ついででございますけれども、最近の円安動向、石油高の動向から見まして先行き物価に懸念はないのか、その辺をお聞かせをいただきたいと思います。
  69. 愛野興一郎

    ○愛野国務大臣 委員、専門家でありますから、三番目からずっと申し上げたいと思います。  まず、物価の先行き懸念の材料として最近の為替の動き、それがやや強く見られましたが、きょうは百三十一円三十銭でありますか、それから原油が十ハドル程度、そういうことでありますから、いずれも物価全体の問題についての許容範囲内ではなかろうかというふうに考えておるわけであります。同時にまた春闘相場等は、中小企業が目下交渉中でありますから、今日の段階の妥結状況では許容範囲ではなかろうかというふうに考えておるわけであります。  そういうことと、もう一つは、今の消費税の物価に与える影響ということでありますが、委員御承知のように、消費税の与える物価への影響率は一・二%と試算しておるわけであります。経済企画庁並びに都道府県の県民生活課に寄せられておる便乗値上げの苦情、相談等々はいずれも一部の中小サービス業でありまして、クリーニングにいたしましてもあるいは理容、美容等にいたしましても、東京でもあれば佐賀県でもあるというふうな、不思議に同じ商品であります。そういうわけでありますから、全体の物価に与える影響というものはそう度外れて大きく与えるものではないのではなかろうか。もちろん先ほど大蔵大臣が申されましたように、東京都区部とかそれから全国の三、四月の消費者物価の全体像も見てみなければなりませんが、さように考えております。  それから便乗値上げの防止につきましては、もう経済企画庁としても今日まで四千二百十二件の相談を受けておるわけであります。的確に便乗値上げの防止のために関係各省庁に連絡をいたしまして、また経済企画庁で処理できる範囲は処理をいたしまして、それで各省庁的確に指導をいたしていただいておりますので、平静に、非常にいいスタートをいたしておるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  70. 粟屋敏信

    粟屋委員 先ほど大蔵大臣から実施状況について大体円滑にいっているというお話がございましたが、私も地元に帰りますと御家庭に上がりまして、奥さん方ともいろいろ懇談を重ね、御理解を得る努力をいたしております。その中でいろいろな御意見が出てまいるわけでございます。案外家庭の奥さんよく知っておられまして、知っておられますというのは、テレビで消費税の悪い点だけを宣伝をされる、そのせいかもしれませんけれども、いろいろ御意見が出てまいります。その御意見を御紹介をしながら今後の見直し問題についてお尋ねをさせていただきたいと思っております。  先般の売上税が税額票を転々として移していくという方式でありまして、これに対して手間暇が大変だという批判もあったわけであります。そこで今度はアカウント方式になった。さらに免税点については三千万円以下、それから簡易課税方式五億円以下という、事業者の便宜を図る、納税しやすい環境をつくるというような法律制度を御苦労の上おつくりになったと思っております。  ところが、三千万円未満の事業者、これは非課税業者ではありますが、これがやはり物に対して三%の消費税を上乗せをする、こういう事態があります。確かに仕入れに対しては消費税はかかってくるわけでございますから、その面はやむを得ないとしましても、庶民の感情からすれば、その差額のお金は国庫に入らないで事業者の懐に入る、これは不公平ではないかというような指摘もあります。  また簡易課税方式、五億円以下でありますが、売り上げと仕入れの差を小売で二〇%、それから卸で一〇%見て簡易課税方式を選択をしてとるわけでありますけれども、付加価値をもっとたくさんとっているところはあるじゃないか、そのお金は事業者の懐に入って国庫に入らない、これまた不公平ではないかという意見もございます。  また、消費者の立場からいたしますと、ある奥さんがこういう話をいたしました。同じ品物を二軒の店で買った。そうすると、片方は消費税が三十五円、片方は三十六円。レシートを見てまいりますと三十五円七十五銭というのが出るわけでありますが、片方の店は切り捨て、片方の店は四捨五入をしたようであります。こういうふうに同じものを買って納税額が違うとなると、税の公正に疑問が出やしないかというような意見もございました。さらに、これは最も身近な意見でありますけれども、子供さんがノートを買いに行ったら三円足らぬで、また子供さんは三円とりに戻った、そういうことまでする必要があるのでしょうかというような意見もあったわけであります。  そういうふうに、初めての制度でありますからいろいろと問題点があるのは私はむしろ当然だと思います。ただ、これをある時期にきちんと見直しをして、できる限り御理解を得るような仕組みに変えていく必要があるのではないかという感じもいたします。今まで大蔵大臣もおっしゃったかと思いますけれども、また党首脳も、見直す、こういうようなことをおっしゃっておるわけでありますけれども、この見直しをされる時期、先ほど納税時期の観点でちょっとお話しいただきましたので、大体それ以後だというようなお考えだろうと思いますが、もう一度見直しの時期、見直しの視点についてお答えをいただければと存じます。
  71. 村山達雄

    村山国務大臣 売上税が廃案になったことは御案内のとおりでございます。それで、政府税調も方々で地域的に公聴会を開きました。党の税調の方では、業種別にほとんど代表的な各業種、それから経済四団体はもちろんでございましたが、なぜ売上税は失敗したのか、こういう問題を中心にやったわけでございますが、もうことごとく事務負担が大変だということでございました。そういった意味で、新しい税でもございますので、事務負担をできるだけ少なくしよう、事務負担がかかるままにしておりますと、その事務負担からくるコストアップが消費税とは別にあるわけでございます。それが押し上げるという問題が出るわけでございます。そこが実は政策的な選択の問題であったわけでございます。  そういう意味で、免税点三千万、それから簡易課税の限界点を五億、そして全体でどれぐらいになるかな、そしていずれは税込みの市場価格は形成されるでありましょうが、そういう点も検証いたしまして定めたわけでございます。したがって、そこは政策判断の問題でございます。そういう精緻さは欠くからその分はどうなるのかね、こういう話はあるわけです。実際はそれらの人が値決めをどこに持っていくのかということと密接な関係がございまして、それから簡易課税業者の場合は、選択するのかしないのか、取引関係ともいろいろの関係があるわけでございます。競争場裏の中にこういう問題を設定したということでございますので、それらがどういうふうに作用しておるのか、機能しておるのかというのは実績を見なければわからぬのでございます。  ただ、初めからそういうものと仕組んでありますから、これがうまくいったかうまくいっていないかということはいろんなものに、実施の条件にかかっております。だからそれを見た上でないとなかなかわからない、こういうことでございます。そして、同じ制度でございますから、当然一巡しなければ意味がないわけでございます。違う制度でもってやるということは考えられませんから、少なくとも一巡したときでなければ考えられないということでございますから、早くとも来年の五月以降になるであろう、こういうことでございます。  しかし、そのときにならなければ検討を始めないという意味ではございません。漸次その段階、段階で深めていく。そしてその検討という意味は二つあるわけでございまして、それなら今度は逆の方に持っていったらどうなるか、あるいはその程度をもし直したらそれはどう働くであろうか、それも実施過程の中から判断さるべきものであろう、こう思っております。ですから、やはり慎重に、検討そのものがやはり精密で慎重でなければならぬ、こう思っております。
  72. 粟屋敏信

    粟屋委員 本日は、建設大臣、国土庁長官にお見えいただきましたけれども、時間がございませんので、甚だ恐縮でございますが、御無礼をお許しいただきたいと思います。  最後に、村山大蔵大臣にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、大蔵大臣は、三%の税率は二十一世紀までは変えないというような御発言があったと聞きますが、その御真意のほどを伺いたいのと、それからもう一つは、先ほど逢沢委員も御質問をいたしましたけれども、品目別税率格差の問題でございます。  私は、今度新しい税制を定着させるという意味で広く薄く三%の税を一律にかけられたこと、これはよかったのではないかと思いますが、将来を考えました場合、仮にどうしても消費税の税収入をもっと確保したいといった場合に、税率格差を採用した方がむしろ国民の納得を得るのではないか。先ほど税理論上から大蔵大臣がお答えいただきましたけれども、税理論はともかくといたしましても、国民感情として、また政治論としてそういうことがあっていいのではないかなと思いますけれども、その点もあわせて御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  73. 村山達雄

    村山国務大臣 これはどこでしたか、テレビのときとそれから大蔵委員会であったと思います。三%をいつまで堅持できるのかというのでございました。これは、消費税というのは二十一世紀までをにらんでやった税制改革でございます、そういう応答の中での話であったわけでございます。もちろん三%をやるかどうかというのは財政需要とそれから税負担、国民がどう選択するかという問題に係るもの、もうはっきり理論的に言えば。その財政需要という中には、歳出のみならずほかの税の減税をも含むわけでございます。そういうものとして将来の国民の選択に係るというのが理論的な答えになると思います。EC諸国では所得税減税の見合いとして引き上げておる。単純に引き上げたというのはほとんどございません。そういう財政需要と見合ってやっておる、こういうことでございます。  私がこれはいくであろうという、これは希望的観測でございますが、希望的な予測と申しますか、もし今の景気が続いて——これも大問題なんです。今の景気が続いて、そして特別の財政需要がなければ、日本の経済はこれだけ大きいのでございますから、三%というもので事によったらいけるかもしれぬ、こういう一般的な観測を申し上げたわけでございまして、変化が来ればまたおのずから別でございます。国民がまた別の選択をすれば、またそのときは別のことになるであろう、こういう意味で申し上げたということを御理解いただきたい。  それから、複数税率の関係でございます。これも将来やはり国民がどういうふうに、考えるかということによるわけでございます。ただ、当然そういうことは考えられるわけでございまして、現在複数税率をとっております代表的なものは何といってもフランスでございましょう。一八・五%ですか標準税率があって、上の方は三三、下の方はまた二段階の軽減税率を持っております。ですから、これは最後はやはり国民の選択だろうと思います。  しかし、今度は一律三%にしたという意味は、非常に計算が難しい。実は所得税や法人税なんかよりはるかに簡単なんでございますが、この種の税になれておりませんから急にはなじみにくいわけですね。それで、しかも難しいところは、案分のところが一番難しいわけでございます。税率を複数にいたしますと、それだけ案分が余計出てくるわけでございます。それが仕入れと売り上げの両方に出てまいりますから、これは大変だなということで、簡明を期する意味で三%一律ということにしたわけでございます。
  74. 粟屋敏信

    粟屋委員 どうもありがとうございました。では、終わります。
  75. 大野明

    大野委員長 これにて粟屋君の質疑は終了いたしました。  次に、遠藤武彦君。
  76. 遠藤武彦

    遠藤(武)委員 昨日、竹下総理が辞意を表明されました。私はちょうど一年前、総理の初めての訪欧に随員としてお供いたしまして、わずかな期間ではありましたが、行動をともにさせていただきました。また、さまざまな諸会合で総理のけいがいに接する機会がしばしばありまして、思うに、総理自身はおのれの出処進退というものに対して明確な意思を持たれておる方だなと信じておりました。  総理は、辞意の表明が必ずしも総辞職であるとかあるいは解散とかにつながるものではないというふうなことの意味を表されたようであります。ねらいはもちろん予算の早期成立であり、また総理が強く意図されておった政治改革の実現であろう、こう思うのであります。総理が辞意を表明するに至ったいきさつ、あるいはその後におきましてもいろいろなことがありまして、心中察するに余りあるものがございますが、我々はその意を体して国会の審議の正常化に向けて努力しなきゃならぬ、こう思っておるところであります。  ちょっと古くなりますが、実は昨年の秋ごろの新聞に、論調でございますが、こういうことが書いてありました。消費税は反対だ。多数決で負けるから審議は拒否する。国会にも出席しない。そういうことでは自民党が単独で強行採決するのと、反対の意味で同じことだ。選挙が終わったら次の選挙まで国会が要らないことになる。一体議会制民主主義の殿堂たる国会をどう考えているのか。こういうことを述べておる新聞論調があるのであります。  私もこれを推し進めて考えれば、こんなことが続くと、普通の国だってテロとかファッショとか、そういう機運というか危機的な状況を醸し出しかねないという危惧を抱くのであります。きょうはここは予算委員会の場でありますから、委員長におかれましても、どうかひとつ各党に対するさらに一段と協力方を御要請していただきたい、かようにお願い申し上げる次第でございます。  さて、今、政治改革が焦眉の急というふうなことで叫ばれておるわけであります。政治改革の原点というのは一体何であろうかというふうに私は考えます。それはやはり今日の政治状況から考えると、声なき声が届く政治、わかりやすく納得のいく政治、こういうものを実現していくことが政治改革の原点ではなかろうか。そして、そこを貫く一つの柱は、国益というか国民の生活の安定といったものが保障される政治というものの実現を図るということが原点でなくちゃならぬ、こう私は思うのであります。  政治改革が叫ばれている端緒といいますか、そういうものになったのは、やはり消費税に対する違和感あるいは不公平感、それから理解のしがたさから来る政治不信、そしてまた、リクルート事件にかかわる政治家と金に対する疑惑と自分の現実生活との余りにも大きな隔たりというものに対するふんまんというものがあったのではないかと私は思います。  我々政治家政治改革と言うときに、金のかかる政治活動あるいは金のかかる選挙活動といった実態、こういったことを声高く主張するのであります。しかし、その改革の必要性や現状の正当性というか妥当性というものを政治改革の名をかりてやろうとするところにはちょっと無理があるのではなかろうか、こう考えておるのです。そして、金のかかる政治の弊害をなくすためには政治資金法など、つまり金の出と入りというものの見直しが必要だ、こう主張されております。また、金のかかる選挙といった実態をなくすためにも一票の重みというような考え方も存在いたします。選挙制度そのもの、つまり定数や選挙区の見直しということ、あるいは選挙法の改正といった議論もこれまでなされてまいりました。しかし、政治改革と言うときに、私は政治の仕組みそのものにまで目が届かなければ至難のわざじゃなかろうかと考えておるのであります。つまり、政治の仕組みを変えるというときには、それは意識の改革というものを伴うべきであります。日本の政治というのは、非常に高度に発達した、いわば国民がごく当たり前に考えることのできない、はかり知れない深さのようなものを持った膨大なあるいは肥大化した官僚機構というものがあります。この官僚による管理統制といった政治の仕組みというものが今度の政治改革の中で論じられないということは、いささか問題を残しておるのじゃなかろうかと私は思っておるのであります。  例えば、政界、官界、財界、この三者の癒着というようなことがよく言われるわけですが、日本人は四字の熟語が大変好きでありまして、例えば、今は政高党低の時代であるとか党高政低の時代であるとか、そんなようなことを言われておるわけですが、私は、官というか官僚機構というものが一番強いのではないかな、非常な強さを発揮している時代じゃなかろうかと思っております。許認可権や予算の配分権、税の執行の権限、あるいは現場で法そのものの執行の権限を持っておられるわけであります。  そして今や陳情政治が当たり前という現実であります。予算編成のときのあの大勢の、言ってみれば永田町銀座とも言うべき大勢の陳情団の動きはすさまじいものがあります。また整備新幹線の問題のときなどは、市長や県会議員やその他永年勤続議長のバッジをつけた地方の議員、自治体の関係者が我々に廊下で土下座してお願いしますというようなあの実態を、私は陳情政治の悪というか欠陥とみなさざるを得ないのであります。全く情けないような政治の仕組みではなかろうかと思うのであります。  私は、政府機関の地方移転というのは、今列挙されておるような機関が移転しただけでは根本的な解決にならぬ、こういうふうに思っております。いわば大幅な権限移譲、税または財源の配分、こういったものなしには政治の仕組みを変えることはできぬだろうと思うのです。  それから、国会議員の職責の問題もあると思うのです。いろいろ限定するわけにいきませんが、やはり小選挙区制あるいはプラス比例制といったことが改革の一連の考え方として主張されている以上、私どもは国会議員の職責というものをある程度、限定すると言うと語弊があるかもしれませんが、あえて恥を承知で申し上げるならば、すべきではなかろうか。つまり、憲法であるとか外交、軍事、防衛、災害、エネルギ丁、そうしたものに国会議員の職責をある程度枠をはめる。橋をかけるだとか道路をつくる、学校を建てる、あるいは教育であるとか地方の文化だとか地域の医療といったようなものは地方の議会、議員にゆだねていくという、いわば最高の権限を持った国会議員を利益誘導的なものに近寄らせないということが肝心ではなかろうか。また、そのことが国民にこたえる一つの道でもあるのではないかな。これは私個人の考えですが、そういう感触を持っているのであります。  金のかかる選挙であるとか金のかかる政治活動といいますが、かからないようにするには私は簡単だと思います。いろいろ調べてみますと、公職選挙法、政治資金規正法、その他衆議院、参議院の申し合わせ事項というのがありますが、これらを完全に守れば、金のかからない選挙は簡単なはずであります。それができないというところに問題がある。それをあえて外側から環境を整えていくとすれば、行政やそういう政治の仕組みを変えていく強い政策的意図がなければならぬと私は思っているのであります。  そこで、総務庁長官にお伺いいたしますが、地方の財源を大幅にふやしていく、交付税制度を見直していく、地方債などの許認可の権限を見直していく。固定資産税の不均衡等、地方税としてこれを残しておくことがいいか悪いか問題があると思いますし、また相続税だって、都会と地方との評価が違うわけでありますから、この相続税も国税として置くということはいかがなものであろうかと私は思っておるのであります。  また、地方予算の比率を見るときに、細かい数字は申し上げませんが、単独公共事業の少なさというものは大変な実態であります。いわゆる県単事業と称しておるものですね。ちょっとした雨で崩れたがけや流れかかった橋、河川、こういったものを直すにも国の補助金や県からの援助がなければ改修、補修できないというような現実は、全く不合理ではないかと私は思っておるのであります。いわば、民間よりも、財界よりも官僚が強いとかいう実態が陳情というものを生み出しておるのでありますから、だとするならば、じゃ政治家は、政界は、国会は官僚機構より強いかというと、必ずしも私はそうじゃないと思います。  今回のリクルート事件や文部省あるいは労働省との関連にしましても、規制する側と規制緩和を願う側との相克であります。大体、規制と緩和はイタチごっこみたいなものでありまして、日本官庁機構というのは非常に親切過ぎるのじゃなかろうか。ああしちゃいかぬ、何か問題が起きると、こうしなくちゃならぬというふうな方向へすぐ動くわけであります。こういった行き過ぎであるかどうかなどということは、私は、国民の判断にゆだねるぐらいの一つのそういう受けとめ方をしなければ、国民の政治感覚も成熟してこないのじゃなかろうか、こう思っておるのであります。伏魔殿のように精密に構築された官僚機構というのは、哲学者はだれであったか忘れましたが、組織はそれ自体で肥大するという言葉がありますが、まさにそのとおりでありまして、上下の縦組みだけで横のつながりがありませんから、政治改革の原点だと私が申し上げた、声なき声が届く政治やわかりやすく納得のいく政治は到底不可能ではなかろうか。特に、民間の要請というのは、膨大な官僚機構にのみ込まれて、気の遠くなるほどかかり過ぎる時間、複雑な手続、規制する法律の難しさ、こういったものがありまして、それを超えることができない。私は、大いに国益というものを損なう仕組みじゃなかろうかと考えておるのであります。  私は、官僚の数をもっともっと思い切って減らすべきである、権限を大幅に地方に移譲すべきである、裏づけとなる財源負担も考えてやるべきである。そして、官庁に対する陳情政治というものを何とかして改めていくという強い意思がなければならぬ。最後に、定年及びその他の事由により退職したときには、一定期間他の職につくことを、特に特殊法人などの職につくことを禁止し、政界への進出をも禁止するという勇断がなければならぬと思うのでありますが、総務庁長官に所感の一端をお伺いいたしたいと思います。
  77. 金丸三郎

    ○金丸国務大臣 お答えを申し上げます。  大変基本的な問題についてのお尋ねでございまして、私も御質問を承っておりまして、基本的には大変同感に感ずるところが多うございます。  我が国が官僚政治ではないか、官僚の行政の力が大変強くて陳情政治に堕していやしないかという趣旨のお尋ねでございます。  一面から申しますと、私は、我が国の行政それから経済を含め、あるいは福祉、いろいろな面を考えますというと、我が国の官僚組織が非常にすぐれており、また官僚が優秀であるという一面はあろうかと思います。しかし、また一面考えてみますというと、ほとんど重要な政策、予算を伴いますことにつきまして、党の各部会で綿密な検討や勉強をいたしております。大まかに申しますと、党と役所との関係、国会と行政府との関係でございまして、私は、戦後の日本の政治、行政を見ておりますと、やはり立法府、国会の方へ力が移ってきておるのではなかろうか。私どもが国会議員としてやはり役所を制御する、あるいは政治家として方針を決定する、そういうような勉強と努力、見識が今後必要で、まあ今後じゃございません、これは努力をされて、私はそういう方向に相当参ってきておる、こういうふうに思います。  ただ、現実に陳情が多いことは事実でございます。全く多過ぎますので、やはり許認可事項はできるだけ制限をし、起債等にしましても、最近自治省では相当地方に、一々本省まで参りませんでも地方で事が足りるように努力はいたして、またそういう措置が施されておりますけれども、私も地方の財政や、知事や市町村長が自主的にいろいろな仕事をやります上には、今単独事業の起債を挙げての御質問でございましたけれども、やはりもっと起債については自由にやれるような工夫をする余地があるのではないか、かように思います。  それから、組織、人員の関係でございますが、社会や経済組織の複雑化、それに伴います行政需要の多様化に伴いまして、どうしても役人の数をふやすとか行政機関がふえるとかいう傾向がございますけれども、御承知のように昭和五十六年、臨調が設置されまして以来、政府を挙げて行政組織の簡素合理化に努めてまいりましたので、局あるいは地方の国の局あるいは府県単位の小さな国の行政機関、これも相当今日まで整理統合いたしてまいりました。公務員の数から申しますというと、ここ数年は毎年、一方で増員を認めつつ純減にして、三千名以上実は減らしてまいっております。これは相当な数でございます。  今後、財政の問題、地方の自主財源与えよという趣旨の御質問でございましたが、これは御承知のように、臨時行政改革審議会におきまして、国と地方の関係を主題として今毎週小委員会を開き勉強して、年内には結論を出したいといって鋭意努力をしていただいております。その中で、税の問題、ただいまの起債の問題あるいは許認可の問題等も私はいい結論を出していただけるのではなかろうか、こういうふうに期待をいたしております。  公務員の立候補の制限につきましては、私も重要な御提言として十分に検討させていただきたいと思います。  特殊法人につきましては、これは内閣の方の所管でございますので、私からは遠慮させていただきます。
  78. 遠藤武彦

    遠藤(武)委員 さすがに地方行政といいますか自治行政に御造詣の深い大臣の答弁を賜りました。  私は官僚機構そのものを否定したり、評価を殊さらに低く見たりしているわけではないのでありまして、優秀さを信じているがゆえに、またその改革の努力もできるであろう。我々立法府が今国民の多くの批判にさらされる中で、やはり行政府もまた等しくそれをともに抱きながら国民生活の安定とは何かということを、あるいは政治の原点とは何かということを考えていただきたいがゆえに一言申し上げた次第でありまして、ありがとうございました。  私の手元に、手元というとおかしいですが、この間ある新聞をちらちら見ておりましたらこんな短歌が歌壇に投稿されておりました。「代議士を選んだのはあなたたちと罵声に応う夫は税務調査官」こういうのであります。第一線の税務調査官がどこへ行って聞かれたかわかりませんが、かなり突き上げられただろう、政治に対してどうこうあったと思いますが、それに対して答えたのが、選んだのはあなたたちじゃないか、こういうふうなことだった、こういうのでありますね。世相を反映している一面があるかな、こう思っているところであります。  また、これらのものに関連して、例えば新聞などで消費税へのさまざまな苦情や何かを積極的に受け付けてそれを掲載いたしております。私がちょっと拾って持ってきただけでも、例えば自動車輸入業者が納税が五億円の簡易課税業者ですかね、卸売の、この方は納税が〇・六%で、ユーザーからいただく消費税は六%、大きな差額が生じるということを問題にしておられます。また、限界控除で、これは酒屋さんを営んでいる方ですが、控除の名目で合法的に着服することになるのじゃなかろうか。つまり、例えば四千万円の業者ならば本来納税すべき税額の三分の一で済む。ここから生じる差益というのでしょうか、これは差額というのでしょうか、こういった問題を提起しておられます。また一方においては、身体障害者などは人によっては車が不可欠な方もいらっしゃいます。これまで物品税は免除されておりますから比較的安く買えたが、今度は逆に一律に六%の消費税を付与される、こういうふうなことでかえって我々にとってはマイナス、こういうことが載っていました。また、年金生活者、アパート住まいあるいは東京などの都会に出てきておる学生、こういった方々もそれぞれにいろいろな立場からいろいろなケース、ケースで新聞などに投書されて、毎日掲載されているわけであります。それだけにこの税に対する国民生活の影響の大きさを知る思いがするのであります。  野党の皆様方の当初からのあれを思い起こしてみますと、この消費税、売上税のときもそうでありましたが、この税は金持ち優遇、大企業優先、弱い者いじめの税制だ、こういうことでありますね。軍事費を削れなんというのはどうだかわかりませんけれども、そういう主張が多かったようであります。金持ち優遇、大企業優先、弱い者いじめの大合唱でありました。私は、ちょっと逆説的に考えるなら、この日本の経済社会というか日本の社会に金持ちも大企業もいなくなったらどうするのだろうか、こう思いたくなったのであります。国民がこれほど深刻に広範にわたって考えておるときに、審議に応じないという今のこの国会の審議というのは私は大いに疑問を感ずるのでありますね。議会政治をどう思われておるのかなと、また、多数決という原理が通用しない議会というのはどういうことなんだろうかなと私は非常に素朴に感じておるのであります。この税制を責任を持って定着をさせなければならないという、いわば一番先頭に立たれておる大蔵大臣でいらっしゃいますが、今日このような国会の状況に対してはじくじたる思いがおありだと思うのですね。後ほど所感の一端を承りたいと思うのであります。  また、私どもはもうほとんどゴルフなどはしませんが、かつてゴルフなどをしたときは、企業経営、自営業者などは、まずゴルフ場で領収証を書いてくれ、こう言うのですね。あて名はというと、上様でも下様でも神様でもいい、こうくるわけでありますが、そして、帰りにちょっと懇親会をやるかと、そしてあちこち飲みに歩いてカラオケなどを歌っていい気分になりながらもまた領収証と、こういうことなんです。こうした形の実態は、やはり経費で落とせる従来の税制というもの、今の税制というものに非常に問題があるからだと私は思っておるのであります。消費税といい間接税といい、これは非常に脱税のしにくい一面を持っていると思って、その面では評価をしているわけであります。  ただ、今当面して五つの問題があろうかと思います。さまざまな論調や御批判を私、現場で受けとめておりまして、私が受けとめた問題は五つありました。一つは、五億円以下の簡易課税方式。二つ目は、三千万から六千万までの限界控除制度の採用。三千万円という免税点は果たして妥当かどうかという問題もあります。一体日本の取引の総額は幾らあるのですか。三%といった根拠には、かつて私は聞いたのですが、大体課税対象となる総取引が百八十兆円前後である、こういうふうに言われておりました。したがって、三%で五兆四千億。きょうここへ来て思いますには、一体日本全体の総取引額がどのくらいあるのか、こう思いますね。百八十兆円という課税対象を選んだ根拠というのはどこにあったのか。また三%という問題も、総取引高のどの辺で押さえるかによってこれは税率を変え得ることができるわけです。総取引が一千兆ならば一%だって十兆円であります。もう一つは、四月一日実施というこの採決、可決してからの期間というものも一つ問題があったのじゃなかろうか。こう私は考えておりまして、説明を求められたときは、私は、これだけ五つの問題があった、一応政府原案に対して我が党も随分と論議を尽くしてまいったのです、しかし、これら残された五つの問題等については国会や委員会の審議を通して修正されたり見直されたりするものではなかったろうかと、こういうふうに地元の方々などにはお答えをしているのであります。  この税制を進め、定着させるに当たって、この審議が進まないという事態についてはどのように大蔵大臣としてお考えでしょうか。また、私が今申し上げた五つの問題等についてもいろいろと御教示をいただければ大変ありがたいと、こう存じます。大臣にお願いします。
  79. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 お尋ねのうち計数に関するものだけお答えをさせていただきたいと思います。  まず、売上総額についてお尋ねがございましたが、六十一年度ベースの数字で申し上げますが、一千三百兆円程度というように考えております。ただ、これは売り上げの総額でございまして、取引の間の重複のようなものもございます。  それで、課税対象額はしからはどのように計算したのかということでございますが、五兆四千億のもとになっております百八十兆円という課税対象額について申し上げますと、これは今度ただいま御審議いただいております平成元年度の予算に見込まれている消費税の額とは異なりまして、六十三年度ベースのものでございます。それで、各種経済資料を用いまして、六十三年度におきまして実績がわかっておりました六十一年度の課税対象額を推計させていただいたわけでございますけれども、それを具体的に申し上げますと、法人企業統計等の各種経済資料を用いまして、まず事業者の国内付加価値の額を二百三十四兆と見込みました。そこから純輸出、純投資、そのようなものは付加価値の計算上調整をする必要がございます。それから、非課税取引でございますとか中小事業者、御指摘のございました免税点、簡易課税、そのような分の落ちる額、そういうようなものを差し引きまして、昭和六十一年度ベースの課税対象額は百六十五兆円と見込みました。それに政府の経済見通しの数字を用いまして昭和六十三年度の数字を推定したわけでございますけれども、その際には民間最終消費支出の伸び率というもので延ばしました。その結果、課税対象額が百八十一兆円ということになったわけでございます。その三%で五兆四千億ということを申し上げている次第でございます。
  80. 村山達雄

    村山国務大臣 免税点、簡易課税制度、それから限界控除制度、これは各国にもみんなあるわけでございますが、問題はその高さが問題であるわけでございます。  しばしば申し上げておりますように、売上税の失敗の歴史で、経済四団体を初め各業種全部、党で集まっていただきまして、そしてヒアリングを重ねた。その結果として、やはりこの際定着させるには事業者の徴収、経済的には徴収義務者、法律的には納税義務者になっておりますが、その人たちの事務負担というものにできるだけ配意しない限り最初の定着は難しいであろう、こういうことでありました。その反面、もし考慮しないとするとやはり実施に伴う経費増が出てくる、こういうことなのでございます。  例えて言いますと、月に百万円の売り上げがあるという人がいます。そうすると千二百万円ぐらいでございますが、実際は仕入れにかかるものがございます。そうすると、実際はどれぐらい甘いのかといいますと、百万円の三%ではなくて、そのマージンの二割の三%が、そこが甘いかどうかという話なんですね。そうすると月に六千円と、こうなる。もしその免税点がないものとすれば、さあこの人は人を雇うとか、あるいは税理士さんにお願いするとか、こういうことになりましょう、恐らく日本の中小企業、零細企業でございますと。さあ月六千円で税理士さんに頼むことができるかどうか。これはもう少し高いのではないか。そうすると、その分だけは当然コストアップになるから、だから消費者の方、実際に負担する方も、それはいろいろありましょうけれども、コストアップになってはたまらぬ、コストアップは必ず転嫁してきますから。そうしなければその人の利益は保てないわけでございます。これは消費者に転嫁してもらうことが目的であって、納税義務者である事業者の所得を減らすことが目的ではないわけでございますから当然コストアップの分は転嫁してくるであろう。そうすると、消費税の三%だけ負担すれば理論的にはいいものをコストアップの分までそれは負担せざるを得ない。実はこの問題は大企業にもあるわけでございます。大きな企業ではソフトを入れるために億を超える準備がやはり要る、こう言うのでございますが、この分はいずれ合理化で吸収してくれるであろう、そういうことを考えているわけでございます。零細企業についてはなかなかそれが難しい。そこの兼ね合いが高さを決めたということでございます。  いずれの国でもこれらの制度はありますが、その程度がどうか、こういう話なのでございます。したがいまして、実際は、どれだけ選択するかという問題、あるいは値決めの問題とも関連するわけでございますので、今度の制度がうまく定着するかどうか、あるいはうまくいっているかどうか、これは実施の結果を子細に、また、十分な分析をもってしなければならない、このように考えているところでございます。
  81. 遠藤武彦

    遠藤(武)委員 いろいろな問題点は、今、大臣みずからお話しいただいたとおりでありますが、私は、そういった問題点はやはりこういうところで論じていってこそ、本当国民にわかりやすく納得のいくやり方での定着ということになろうかと思うのです。その辺について一言大臣から承りたいと思っておったのであります。  また、啓蒙普及、普及啓蒙という言葉は余り使いたくないのですが、どうも、我々がいろいろなもので受け取った資料のほとんどは当事者向けのものなんですね、消費税と農業であるとか消費税と下請業者であるとか。一般消費者向けというのは数も少ないし、私が受け取った感じではそういう感じがしました。いや、事業関係当事者だって消費者には違いないからといえばそれきりかもしれませんが、やはり消費生活運動であるとか賢い消費者運動なんというのが生活改善運動に一方であるわけですから、それに即した税制、生活に密着しているのですから生活者に密着した税制というふうなものをやはりPRしていくあれがあったんじゃなかろうかなと思っておるのでありますよ。  税務当局はいかがですか。例えば、今まで説明会や税務署当局でやったそういう周知徹底の会あるいはパンフレットやなんかをどの程度どのようにやっておられますか。一生懸命やっておられると思いますがね。
  82. 伊藤博行

    伊藤(博)政府委員 お答え申し上げます。  消費税を含めまして、今回の税制改革に関します広報につきましては、先生御指摘のようないろいろな形で広報に努めております。  大きく分けまして、一般消費者といいましょうか、国民一般に対するもの、それと事業者というふうに分けられようかと思います。特に、消費税中心にして申し上げますと、具体的な手続等に関しましてはもちろん事業者を中心にということに相なりますけれども、今回の制度改正全体についての広報という点につきましては、消費税だけではなくて、減税を含めます全体像についての広報に相努めてきたつもりでございます。  具体的に、パンフレットその他相当数つくっておりますけれども、そういったものを用いての私ども税務署等を通じての説明会を申し上げてみたいと思いますが、いろいろな団体、消費者団体を含めまして各種団体で催されます説明会への講師派遣という格好で、三月末現在でございますけれども、約二万五千回ほど催しております。推計でございますが二百四十万ほどに、延べでございますが、参加していただいたのではないかと思います。  それから、税務署が主催するという格好のもの、これは主として事業者向けでございますけれども、これが約八千三百回強でございます。これによる参加人員は約二百万人弱というふうに見ております。  そのほか、いろいろパンフレット等々による広報等がございますので、そういったものを通じての周知度合いというのは相当なものにいっておるのではないかというふうに思っておりますけれども、もちろんこれをもってすべてと言わず、今後ともなおその面での努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
  83. 遠藤武彦

    遠藤(武)委員 先ほど申し上げたように、簡易課税方式や限界控除によって、やり方によってはいろいろな差益、差額が生ずるということを容認することに対する批判もまたあるようであります。また、今PRの実態等について御説明、御報告、御答弁いただきましたが、私はなかなか、一般の商店へ行けば、お客様は、あら、あなたのところは免税業者じゃなかったの、こういうふうな調子だというわけでありますね。まだまだPR不足のところがあるんじゃなかろうかと思います。やはり問題があるから、ただ単にリクルートだとか、その他の政治改革などとも相まってはいるでしょうが、税制そのものにもいろいろ問題があるので批判も多かったのかな、影響も大きかったかなと思っておるのであります。  やはり税制というのは絶えず見直していくべきであり、不公平、不均衡、不平等というのは正していくことこそに政治というものはあると思っておるのでありまして、今どうこうしろというわけじゃありませんが、いわば国民の批判にこたえるような形での見直しというものも早晩必要ではなかろうかなという感じを私は持っておるのですが、大蔵大臣はいかがでいらっしゃいましょうか。
  84. 村山達雄

    村山国務大臣 見直しというのはいつでも必要なのでございます。特に、新しい税制をしいたときには、それがどのように定着し、どのように機能しておるか、そうして改正のねらった制度としての公平、そういうことが満たされているかどうか、これはもう絶えず細心の注意を持って見守っていく必要がある、必要があれば改正していく、これは絶えず必要なことだと思っております。  それから、もう一つの問題は、いろいろなことはあるけれども、結局、今度の改正でどれぐらい差し引き負担が軽減されたのかということを各世帯が具体的に知っておく必要がある。この点のPRが、一生懸命やっておるけれどもなかなかわかりにくい。特に奥様方だろうと思います、サラリーマンを一つの軸にして考えた軽減措置がその家庭で理解されないということは極めて残念なことだと思っております。
  85. 遠藤武彦

    遠藤(武)委員 まあ何事にも改革とか変化とか新しくなるということは大抵多少の痛みを伴うものでありますから、それだけ進める方が真剣にならないと受けとめてもらえないと思いますので、一層の御努力のほどを、私もそうですが、お願い申し上げたいと思います。  せっかくおいでになっておられる大臣がいらっしゃって大変恐縮だと思いますが、最後に、羽田農林水産大臣お願いを申し上げたいと思うのであります。  またこんなことを申し上げてなんですが、私の地元の公民館に、何か川柳大会みたいなのがありまして、短冊がぶら下がっておるのです。何と書いてありましたと思いますか。「今に見よ食糧難の時代には必ず晴らさんこの恨み」このように書いてあるのですね。それが短冊でありますよ。「今に見よ食糧難の時代には必ず晴らさんこの恨み」こう書いてあるわけで、農家の人たちが今の農政をとらえておる感じがしたのであります。特に米の自由化が云々されており、私自身も、いわゆる国際化ということは開放経済ということでありますし、日本が貿易立国である以上は市場の開放というのは避けて通れない。しかし、米については国会で決議を二度にもわたってしておるわけですね。ところが農家の人たちの受けとめ方は、そんなの気休め、気構えにすぎぬじゃないかというところまでいっておる。そういう空気がやはり今の川柳のような形になったのだと思いますね。  そしてまた、あの九州のミカン畑をチェーンソーか何かで切っておりましたね。ああいったものがテレビで大写しされるのですよ。早速朝日歌壇にこんなのが出ておるのです。「わぶるがに亡父が育てしミカン切るアメリカ製のチェーンソーにて」こういうのです。やはり痛いのじゃなかろうか、これは歌でありますから、そういう思いを込めてやったのだと思います。  私は、米の問題に絞って申し上げるならば、一体、日本の米というのは本当にそんなに高いから非難されなくちゃならぬ問題だろうかと思うのであります。一年に一作しかできぬのでありますよ。食品加工業やその他の工業製品のように毎日毎日デザインやファッションを変えていくというわけにはいかぬ質のものであります。そして手間暇もかかるのであります。ですから、そんなに何か諸悪の根源のごとく非難されるべき質のものであろうか。国民の家計調査に占める米購入代金は、国民一人当たり一杯につき三十円足らずだという統計も出ているのであります。今、米が高くて困った、暮らしが立たないなんという家庭は恐らくほとんどないのではなかろうかと思います。そうした中で、今米過剰基調がまだ依然として続いているということから生産調整そして構造政策というふうに進められておる。私は、どちらかというとその構造政策に相まって、強い大蔵、財政当局というか、その方面からのいわば財政的な面での締めつけというのを非常に強く感ずるのであります。私は、何もここで、農業というのは経済原理だけで持っていけるんだというふうなことで言っているのではありません。ただ、米は時間がかかる。ショックアブソーバーになるものがない。そういう特質を持っておるということを考えたときに、構造政策を進めるために価格を引き下げていけばおのずとそうなるという、そういう感覚じゃいかぬと思うのであります。  経済団体連合会、経団連というのですかの資料を見ましたら、十町歩の規模拡大をすれば一万円を切り八千円、九千円の生産費で上がるはずだという試算が出ていました。今日本の水田作付面積は二百十万ヘクタールであります。稲作の農家は三百四十六万戸もおります。では十町歩にしたらどうなるのですか。二十一万戸の農家しか要らないことになります。三百四十六万マイナス二十一万戸で、あとの三百二十五万戸の農家は何をして生活をしていくのでありましょうか。  私は、規模拡大の危険な側面が三つあると思うのです。一つは過疎化の進行であります。いわば追い出し政策と言ってもいいわけですから。同時に過疎化の進行は組織そのものの成立も危うくする。いろいろな農業団体、農業協同組合があるわけです。私も一つの組合を担当していますが、六年前に大型合併したときは一万二千人の組合員が現在九千八百人、毎年三百五十人減っているということであります。離農しているのであります。広域圏ですから当然でしょうが。やはりそうした規模拡大が持つ危険な側面というのがあると思う。そして、雇用の創出というのは農村地帯ほど容易じゃないという一面もあるのです。労働の面で大きな危機的な状況にさらされているのが今農村と農業ではなかろうかというふうに考えております。  私は、米というものが、日本の水田農業というのは一種の水管理社会というものを形成してきたと思うのであります。水によって人間関係も集落の共同体も強い強いきずなで結ばれてきた。それを他国の農業のように、アメリカの農業のように、いわゆる広大な土地で乾燥地帯で一気に空から種をまいて、スプリンクラーや長大な運河を切って生育をさせてきた農業とは根本的に異なると思うのです。水によってつながれてきた管理社会が日本の農村社会であり、日本の社会の原点がそこにあると思うのです。ここで米を少なくすればいい、需給均衡のために米作から他への転換ということは、私は、文化とかなんかというよりも社会そのものの崩壊につながっていくおそれがあると思う。  私は、いろいろな問題がありますが時間がないから申し上げませんが、とにかく米を日本の農業の中心に据え、自由化を阻止していくという強い国民に対する理解と農民に対する約束が政府の側からなされない限り、国会で幾ら議決したって農民は今納得せぬのではなかろうか、こう思うのですが、大臣の、自由化に関連しまた構造政策や規模拡大に関連しての御所見を教えていただきたいと存じます。
  86. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 遠藤委員は共済の方で大変長いこと指導的立場におありになった方でございまして、今お話をお聞きしながら改めて私ども大きな示唆を感ずるものであります。  確かに今農政、これに対する批判ですとかあるいは不安、こういったものが地方の中に存在しておる、この事実は私たちも率直に認めなければならないと思うわけであります。ただ私は、基本的に、例えば価格の問題ですとか転作の問題ですとか、また市場開放の問題ですとか、今日まで進めてきた農政というのはやはり今時代の要請の中でやらなければならなかったものであろうと思っております。  まず最初にお話のありました転作の問題等につきましても、どうも一般に何か国に押しつけられてやっているという印象がまだ農村の中にある。しかし実際に米というのは、確かに主食であるといいながら需要がまだ、二%、三%で実は落ちちゃっておるというのが現状であります。そして供給力は潜在的に百三十数%というようなことでございまして、かつての二度にわたる過剰、この中でこれを処理するために数兆円を使ってきてしまったというようなことを考えたときに、やはり農業者みずからがこの過剰であるものについてきちんとした需要に応じた生産をする、この体制をつくっていかなければならない。私は、そういった点について感情だけではなくて現状が一体どうなっているのかということを、これからも私ども農林省挙げて、いろいろな関係の皆様方の御協力をいただきながらこういった問題について考え、理解を深めていかなければいけないと思っております。  なお、価格の問題につきましては、これは確かに御指摘のとおり、価格が下がっていく、これは一体どうなんだろうか。そして、米というものは例えば喫茶店で飲むコーヒーのあれと比較して本当に一体どうなんだろうかという比較論というのは確かにあると思います。ただ、米というものは毎日消費されておるものであるということ、あるいはそのほかの国が、行政がかかわる価格というものはやはり国民の生活に毎日毎日非常にかかわりのあるものであるということ、こういうことを考えたときに、でき得る限り安価で、しかも質のいいものを提供してあげる、これも非常に重要なことであろうし、またそういった中から需要の拡大というものも行われていくものであろうというふうに思います。  ただそのときに、ただアメリカのような非常に大きなもの、オーストラリアのように非常に効率のいい大きな農場、ここでつくられるものと一緒にしようとしたって、実際に今御指摘がありましたようにそれはできるものではないというふうに思っております。特にオーストラリアの場合なんかには、数万戸の農家が本当に輸出するだけのためにつくっているようなものでありますから、日本のように毎日みんなが食べるものを供給する、またどうしてもこれは安定して供給しなければならぬ、そういうものともまた違う、そんな面もあるだろうと思います。そういうことも考えたときに、私どもはアメリカやオーストラリアと同じ価格でできるものじゃないと思います。ただ問題は、同様の質のものが向こうでもつくられておるということを実際に情報化社会の中でだれもが知るような時代になってきておりますから、その中で私たちができ得る限りの努力をしながら、そういった少しでもコストの安い米づくりというもののためにお互いに努力していく必要はあろうというふうに思っております。  そのときに何をやるかというと、今御指摘のあったように規模の拡大、こういったことは当然しなければならないであろうと思っております。しかし、実際に規模の拡大といいましても、日本の農地そのものがアメリカですとかオーストラリアに比べると何十倍の高さであるということでありますから、これで実際に規模を拡大したらどうにもならぬ。そういう中でみんなで大変知恵を使いながら、賃貸ですとか農作業の受委託ですとか、こんなことをしながら規模の拡大を進めておる。しかし、これにもやはり限界があると思います。ですから私は、みんなで努力する、その中でここまでは努力するんだよというものを示してあげれば、国民、消費者の皆さん方も理解してくれるであろう。そんなつもりで私たちもさらに努力をしていかなければいけないと思っております。  ただそのときに、規模を拡大すると同時に多様なニーズというものがありますから、規模を大きくしなくても手塩にかけたもの、例えば天日乾燥ですとか低農薬、有機農法、こういったものでしたら市場の方でむしろ高くてもいいよというニーズもありますから、私は、お年寄りですとかそういった方たちはそういった農業というものを続けることができるだろうというふうに思っております。  そしてこの問題についての最後に申し上げるのは、いずれにしても、規模の拡大とそういった特別な農業をやると同時に、しかしその中でやはり離農する人たちも出てくる。そういうことで、農村工業導入促進法なんという法律を十分活用しながら、地方にやはり工業が盛んになるような方途というものを開いていかなければいけないと思っております。  そして最後に自由化の問題でありますけれども、確かにアメリカあるいはタイ、オーストラリアその他の国から日本の米の市場開放、こういったことについての要請があります。この問題については従来から、RMAが三〇一条で提訴されたときにアメリカ政府がこれを却下する、このときにアメリカも厳しい問題があります、あるいはヨーロッパでも厳しいと言っている問題がありますでしょう、こういう問題を今ガットの見直しのウルグアイ・ラウンド、ここで議論をするときに、日本の米だけ絶対に議論するのも嫌だということは困りますよということであります。そういう中で日本もガットの加盟国としまして、こういった問題について議論することについては私どもとしてもやぶさかじゃございませんということを申し上げておるわけでありまして、すべての各国のハードな問題が議論されるときに、米問題というものが提起されたときには私たち議論していこうと思っております。  しかし、今お話がありましたように、ともかく日本人に主食は何だと聞いたら九〇%の人は米で あると答えることでありましょう。単品についてこんなことを言う国というのはほかにはないということを考えたときに、やはり私たちにとって米というものは非常に重要なものでありますし、そしてともかく米作農家は今御指摘のとおり三百四十数万戸、お米を売っている農家が二百七十万戸ある、しかも全国でつくっておるということでございます。そういうことからいったときに、地域経済にとっても非常に大きなものがありますでしょうし、農業全体の大宗の基本となるものがやはり米であるということ、これを考えたときに、そしてもう一つは、ともかく二千年来ずっとつくり続けているのに、いまだにいや地現象なんて起こらずに単収がふえているということでありますから、こんなありがたいものはない。一億二千万人も抱える日本の国として、米というものは基本的に国内でつくっていくんだということだけは私たちはきちんとしたものを持っていなければいけないし、また山間部なんかにおいての水田の果たしている環境保全機能というものは非常に大きなものがあります。このことを考えたときにも、世界各国で私たちは理解を得て、国内でつくっていくんだ、この姿勢をとっていきたい。そのときに、消費者の皆さんやあるいは米ですとかそのほかの農産物も含めてこういったものを加工したりなんかする実需者の皆さん方、こういった皆様方がみんな加工品で競争したりなんかしているわけですから、こういった人たちが安定してそういった業務を続けられるようなことにも配慮をする、そして、こういった皆さん方の支援をいただきながら国際的な理解を求めていくということが今重要であろうというふうに考えております。よく御指摘を私ども胸にしてまいりたいと思います。ありがとうございます。
  87. 遠藤武彦

    遠藤(武)委員 御懇篤なる御指導、ありがとうございました。質問を終わります。どうもありがとうございました。
  88. 大野明

    大野委員長 これにて遠藤君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十七日午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四分散会