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工藤(晃)
委員 木炭車は、すぐに動かなくなったのが木炭車なんで、覚えております。
さて、ともかく今度の消費税というのは、これは時間がなくてやれなくて残念なんでありますけれ
ども、ともかくどこをとっても悪い税金である。しかも、独禁法の大事なところを崩していく、
政治資金のあり方に対してもそうなっていく、地方自治に対しても悪い影響を与える。そして、しかもこの税金
そのものが間接税やら直接税やら補助金やらわからぬようなことさえも持ち込んでくる。それが、ただ大企業だけがそのメリットを追求するような、そういうことをやられている。そういうところ、どこを見ましても絶対にこれは実行不能であり、やらせてはいけない。
現に、最近の世論調査を見ましても、読売
新聞の世論調査に出ておりましたが、今度の税制改革は「賛成」「どちらかといえば賛成」が一六・五、「反対」「どちらかといえば反対」が七一・〇。
国民がますます、実行が迫れば迫るほど反対ということはいよいよはっきりしてきているわけなんですよ。そして、まさに懸念でなしに実害だということが出てきたわけでありますから、我が党は、これを直ちにやめる、ただ中止するというだけではなしにやめることを要求して、次の問題に移ります。
さて、ふるさと創生の問題につきまして、私は具体的な問題を伺いたいと思います。
というのは、ふるさと創生といいまして、各地域の自主的な発展、それから家庭の団らんが大事だ。その限りでは大変いい言葉に伺われるわけですが、こんなに日本全体の景気がいいと言われているときに、企業城下町の各所でそれこそ地域経済の崩壊とか空洞化とかということが進んでいる。その
一つの例として、私は岩手県の釜石の問題を取り上げていきたいと思います。
これは、さきに昨年五月十一日の商工
委員会で私が質問したときに、通産省としては、これまでの新日鉄の釜石製鉄所が進めた合理化で、どんなに地域経済が衰退し、崩壊し、住民の不安が強まっているのか、そういう事情は大変よく知っているという
答弁がありましたので、私はここで詳しくこれを繰り返すつもりはありませんけれ
ども、最近も私は調査に行っております。
その幾つか気がついた点についてここで述べたいと思いますが、第一に、雇用に対する不安が非常に広がっているわけであります。かつて釜石製鉄所は八千人以上の従業員が働いていた。今が二千人。今度高炉を三月二十五日に休止すると言っておりますが、そうすると、線材をつくる工場だけで二百八十だけ。これは製鉄部門、もちろん新規事業とかいいますから、これにプラス数百名ということでありますが、こんなに減ってしまう。それから下請の関連企業というのは、これまで大体三千人以上の規模でありましたが、これも半減するであろう。そして、今既に、君はもう室蘭に行ってくれ、ただし室蘭は一年限りだよ、君はもうそろそろやめてくれ、そしてまた中には君津に行ってくれ、こういう振り分けをやって、非常に雇用不安が高まっているわけであります。この前まで会社は、
自分の住宅を持ちなさい、住宅を建てた、そうしたら今度は君津に行かなければいけない。一体どうするか。家はそんな簡単に売れるものじゃありません。家族はばらばらになります。これがふるさと創生でありましょうか。そしてまた中小企業の場合、かなり大手の方でも、最近四十五歳の方がやめられて退職金がたった二百五十万円にすぎない。三十数時間残業して、何とか三百万円以上の収入があったのが、今度やめなければいけない、二百万円に落ちてしまう。そういうことで大変雇用の不安が出てきている。
二つ目の問題として、市全体の見通しとしても非常に暗い。これまでも釜石製鉄所の従業員が一人減ると市の人口が六人減るという進み方をしてきたわけであります。そして、かつて九万人以上いた人口が五万六千人になって、これからこのままでは五万人を割るのではないか、四万人台になるのではないか、こういうことになっているわけであります。
そこで、もう
一つ大きな問題としまして、新日鉄のやり方に対して非常に厳しい批判があるということです。各界にあるわけであります。これは、新日鉄が一方的にこういう合理化を進めるというだけでなしに、地域に対して約束をしてきたことを絶えずうそをついてきた。例えば八四年の第三次合理化で高炉を一基残す、これはあと十年は残すと言ったのを平気で今度つぶしてしまう。あるいは今度の新しい合理化で、新規事業五百人実施してから高炉を取り除くと言ったけれ
ども、まだ市議会での市当局の
答弁からいってもそういうのは全然確保されていないのに、この計画だけはやろうとしている。だから、これまで市議会で、こういう新日鉄のやり方に対して、高炉休止の見直しを、再検討を含むことをやって雇用の責任をもっととるべきである、こういう厳しい決議も行われましたし、昨年は一万三千六百四十八名の署名も行われた、こういう状況にあるわけなんです。
そこで、私はこの問題で、今ふるさと創生というときに、こういう大企業の社会的責任というのを取り上げていかないと、ふるさとの問題を解決できないではないかということを中心に置いているのですが、
一つ具体的な問題で通産大臣に伺いたいことがあります。
それは何かといいますと、あの第四次合理化計画を出したときに、大手五社がこれこれの理由があるからこの合理化をやらなければいけない、それで新日鉄は一万九千人を減らさなければいけないと言ったときの背景とか理由がもうなくなっているではありませんかということなんです。それはなぜかというと、当時、間もなく鉄鋼の生産が九千万トンになるだろう、そのうち八千万トンになるだろう。ところが、この問題に関していいますと、これは武田豊社長が昨年十月
新聞で発言されているのを見ますと、戦後最高の七三年度と比べても鉄鋼の国内需要は上回っている、最高のときよりか上回っているということを言っております。わずか一年かそこらでこれはもう完全に変わってしまった。もう
一つは、競争力が大問題である。韓国の浦項製鉄所は、賃金が五分の一、六分の一と安い。したがって、熱延コイルなどを比べるとコストが日本の方が大変高いんだということを言ってきましたけれ
ども、最近の、ここに私持ってきましたが、野村総研の「財界観測」によりますと、もう既にこれは工場コストで、昨年上期で浦項を八四とすると日本は七八としてもう下回ってしまっている。そしてまた、この調査がどういうことを書いているかといいますと、これまで六社の実質経常
利益を集めますと、八〇年度のピークを上回るだけでなしに、わずか三
年間で、いいですか、わずか三
年間で一兆六百七十一億円増益した、一兆円以上増益した。その六八%、七千二百五十五億円はコストダウンである。
こういうことを見ると、あのとき一万九千入減らさなければいけないといって出したその背景とかその理由というのは、全くもうないじゃありませんか。なぜこれ以上やるのか。特に釜石などでは、これは室蘭もあるでしょう、いろいろな地域があるでしょうけれ
ども、大きな被害を与えるというのになぜこれ以上強行するのか。高炉の問題でも、君津などでは二基を三基にするようなことをやっている。もっとなぜ地域のことを気配りして協力していかないのか。この問題について通産大臣の
答弁を伺いたいと思います。