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1989-03-03 第114回国会 衆議院 予算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年三月三日(金曜日)     午後一時三十三分開議 出席委員   委員長 大野  明君    理事 越智 伊平君 理事 近藤 元次君    理事 田名部匡省君 理事 山下 徳夫君    理事 綿貫 民輔君 理事 佐藤 敬治君    理事 村山 富市君 理事 宮地 正介君    理事 玉置 一弥君       相沢 英之君    粟屋 敏信君       池田 行彦君    稲村 利幸君       上村千一郎君    大坪健一郎君       奥田 敬和君    海部 俊樹君       熊谷  弘君    倉成  正君       小坂徳三郎君    後藤田正晴君       左藤  恵君    佐藤 文生君       志賀  節君    砂田 重民君       田中 龍夫君    高鳥  修君       中島  衛君    野田  毅君       浜田 幸一君    林  義郎君       細田 吉藏君    村井  仁君       村田敬次郎君    渡辺 秀央君       井上 普方君    上原 康助君       川崎 寛治君    菅  直人君       新村 勝雄君    辻  一彦君       野坂 浩賢君    坂口  力君       日笠 勝之君    冬柴 鉄三君       水谷  弘君    伊藤 英成君       神田  厚君    楢崎弥之助君       岡崎万寿秀君    工藤  晃君       藤原ひろ子君  出席国務大臣         内閣総理大臣  竹下  登君         法 務 大 臣 高辻 正己君         外 務 大 臣 宇野 宗佑君         大 蔵 大 臣 村山 達雄君         文 部 大 臣 西岡 武夫君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  羽田  孜君         通商産業大臣  三塚  博君         運 輸 大 臣 佐藤 信二君         郵 政 大 臣 片岡 清一君         労 働 大 臣 丹羽 兵助君        建 設 大 臣 小此木彦三郎君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     坂野 重信君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)小渕 恵三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 金丸 三郎君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      坂元 親男君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 田澤 吉郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      愛野興一郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      宮崎 茂一君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 青木 正久君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 内海 英男君  出席政府委員         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       的場 順三君         内閣法制局長官 味村  治君         内閣法制局第一         部長      大出 峻郎君         公正取引委員会         委員長     梅澤 節男君         公正取引委員会         事務局官房審議         官       糸田 省吾君         総務庁長官官房         審議官     新野  博君         青少年対策本部         次長      福田 昭昌君         防衛庁参事官  村田 直昭君         防衛庁装備局長 山本 雅司君         防衛施設庁総務         部長      弘法堂 忠君         防衛施設庁建設         部長      田原 敬造君         経済企画庁調整         局長      星野 進保君         経済企画庁物価         局長      勝村 坦郎君         経済企画庁総合         計画局長    海野 恒男君         科学技術庁原子         力局長     平野 拓也君         科学技術庁原子         力安全局長   村上 健一君         国土庁長官官房         会計課長    嵩  聰久君         外務大臣官房領         事移住部長   黒河内久美君         外務省アジア局         長       長谷川和年君         外務省経済局長 佐藤 嘉恭君         外務省条約局長 福田  博君         大蔵省主計局長 小粥 正巳君         大蔵省主税局長 尾崎  護君         大蔵省関税局長 長富祐一郎君         大蔵省証券局長 角谷 正彦君         国税庁次長   伊藤 博行君         厚生大臣官房総         務審議官    末次  彬君         厚生省年金局長 水田  努君         農林水産大臣官         房長      浜口 義曠君         農林水産大臣官         房予算課長   東  久雄君         農林水産省経済         局長      塩飽 二郎君         通商産業大臣官         房会計課長   細川  恒君         通商産業省産業         政策局長    児玉 幸治君         通商産業省基礎         産業局長    畠山  襄君         通商産業省機械         情報産業局長  棚橋 祐治君         工業技術院総務         部長      山本 貞一君         資源エネルギー         庁長官     鎌田 吉郎君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       向 準一郎君         中小企業庁長官 松尾 邦彦君         運輸大臣官房会         計課長     永井 隆男君         運輸省運輸政策         局長      塩田 澄夫君         運輸省地域交通         局長      阿部 雅昭君         郵政省郵務局長 田代  功君         郵政省通信政策         局長      中村 泰三君         郵政省電気通信         局長      塩谷  稔君         労働大臣官房長 若林 之矩君         労働大臣官房審         議官      石岡慎太郎君         労働省職業安定         局長      清水 傳雄君         労働省職業安定         局次長     齋藤 邦彦君         建設大臣官房総         務審議官    木内 啓介君         建設大臣官房会         計課長     鹿島 尚武君         自治大臣官房総         務審議官    小林  実君         自治省行政局選         挙部長     浅野三郎君         自治省財政局長 津田  正君         自治省税務局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         原子力安全委員         会委員長    内田 秀雄君         会計検査院事務         総局第五局長  三原 英孝君         予算委員会調査         室長      右田健次郎君     ————————————— 委員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   梶山 静六君     中島  衛君   熊谷  弘君     村井  仁君   楢崎弥之助君     神田  厚君   米沢  隆君     伊藤 英成君   安藤  巖君     藤原ひろ子君   浦井  洋君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   中島  衛君     粟屋 敏信君   村井  仁君     熊谷  弘君   伊藤 英成君     川端 達夫君   神田  厚君     楢崎弥之助君 同日  辞任         補欠選任   粟屋 敏信君     梶山 静六君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和六十三年度一般会計補正予算(第1号)  昭和六十三年度特別会計補正予算(特第1号)  昭和六十三年度政府関係機関補正予算(機第1  号)      ————◇—————
  2. 大野明

    大野委員長 これより会議を開きます。  昭和六十三年度一般会計補正予算(第1号)、昭和六十三年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和六十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。  この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。尾崎主税局長
  3. 尾崎護

    尾崎政府委員 昭和六十年夏、中曽根総理から、政府税制調査会のメンバーを拡充し、より積極的に民意を反映させるようにとの御意向が示され、大蔵省主税局がそれを受けて候補者の名を含め選定に関する資料を作成、内閣官房に提出、内閣官房から整理されたリストをいただき、委員任命についての事務手続委員に対する連絡等作業をいたしました。  特定候補者任命の詳細、経緯等につきましては、何分にも人事の話ですので差し控えさせていただきたいと存じます。  いずれにしても、任命権者である内閣総理大臣により最終的に任命されることによって確定するものであります。
  4. 大野明

    大野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤敬治君。
  5. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 この間の中曽根総理記者会見に、二十八日に私が質問いたしました。だれが一体江副氏を任命したのか、事務当局も知らなければ本人も否定している。まるで馬に幽霊がくらをつけて江副が乗っているというような感じで、こんなばかばかしい話をこの国会でするなんということは全く理不尽な話であります。国民も全部あきれて恐らくあの話を聞いておっただろう。事はまことに単純明快なんです。国民ははっきりとこの話がわかる話ですから、一体どう決着がっくのかと注目しておったのですけれども、しかし、今の答弁を聞いておりますと、依然として何の解明にもなっておりません。二十八日、一日、二日、三日と、きょうで四日です。その間にも何の解明もできないということは、これはますます中曽根総理疑惑が深まったということであります。ああいう簡単なことを簡単明瞭に処理できないということは、本当中曽根さんが真っ黒ではないかという感じをますます強く持つわけです。  しかも、きょう苦心苦心を重ねて出してきたところのただいまの答弁、これなんか一体どこに所在があるか、ますますあいまいもことして何もわからぬ、こういう状態であります。したがって、私どもは、これからも中曽根総理疑惑解明していかなければいけない、そのためには中曽根総理証人喚問を強く要求していかなければいけないと思っております。  ただ、今回私どもがあえてこの予算委員会の再開に踏み切ったのは、今の予算委員会補正予算を抱えておることであります。国民生活に大変な大きな問題を抱えた予算でありますので、これを押さえることは国民生活に迷惑をかける、こういうような国民生活に対するところの配慮から補正予算審議にあえて踏み切ったわけであります。したがって、今申し上げましたように、政府におかれてもぜひひとつ中曽根総理をこの委員会の場に喚問いたしまして、本当のその正体を明らかにしていただくように心からお願い申し上げたい、要請しておきたいと思います。——委員会でひとつ証人喚問を強く要請しておきます。  それで、引き続きまして、この前の中曽根総理記者会見の問題につきまして御質問申し上げたいと存じます。  中曽根さんは、この金は、見ておりますと、全部秘書がやった、すべて秘書がやった、こういうふうに言っております。しかしながら、その後で、今度は、盆暮れのあいさつあるいは会合の費用などにこれを使った、いわば中曽根事務所の必要な経費としてこれを使っている、こういうことを言っておるわけであります。最終的に、これをいろいろ勘案してみますと、秘書名前で来てはおるけれども、明らかに中曽根総理政治資金として使っているという性格を持っておるわけであります。  そこで、自治大臣にお伺いしたいのですけれども政治資金として使っておればこれは当然政治資金規正法によって届け出があるもの、こう思われますが、届け出の有無をひとつ御回答ください。
  6. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 政治資金規正法の仕組みを御説明させていただきたいと存じますけれども政治資金規正法では政治家個人、これも特定の公職の候補者の場合ですが、その方が政治活動に関する金銭等による寄附を受けた場合には収支報告をするということになっておるわけでございます。
  7. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 そうすると、この株をもらってそれの利益金、売り払いの利益でもってこれを使うのはどうなるのですか。
  8. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 株式につきまして、株式を、そのものをただでもらったという場合は、これは金銭をもらったのと等しいわけでございますから、金銭有価証券については届け出義務があるわけでございます。ただ、株をお買いになったというようなものは、これは寄附という概念にそもそも入らないわけでございます。
  9. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 株を買ったものはそういうふうにならない、こう言うけれども、株を買ってもうかったそのもの一つ政治団体に入れて、そうしてその中で使っているというのは、これはどういうことなんですか。これも該当しませんか。
  10. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 ある方が株式を買ってそれをまた売った、そこで売買差益ができた、そのある方がその売買差益をどこかに寄附をすればそれはその段階で、政治活動に関する寄附であればそれは政治活動に関する寄附を受け取った方は報告義務がありましょうけれども、以上のような関係になるわけであります。
  11. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 株を買ったかもしれないけれども、このリクルトトの場合のように明らかにこれから大きな利益が出てくる、その中で操作しておるわけですけれども、例えばこの上和田——中曽根さんの場合には上和田筑比地、こういう人たち自分名前で買っておるわけです。そして、中曽根さんの政治資金として使っている。こういう場合はどうなるのですか。
  12. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 具体の事実につきましては、私どもみずから調査して詳細なところを承知しているわけでございませんので、何とも申しかねるわけでございます。
  13. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 これはもう、具体的な事実じゃないと言うけれどもまことに具体的な事実なんですね。リクルートから上和田さんに三千株、筑比地さんに二万三千株、太田英子さんに三千株、この差益が約六千万ぐらい出てきている。これが本来ならば中曽根さんの政治団体に入っていって、そしてそこでもって政治資金規正法でもって届け出をして、そうして使う、こういうことになるわけですね。ところがこの場合は、当然これは秘書から中曽根さんのところにやれば贈与になりますし、あるいはまた寄附しておけば政治資金規正法にのっとって届けなければいけない、それがあるかどうか、それをお伺いしておるのです。
  14. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 ただいまの届け出があるかどうかという問題でございますが、御通告いだだいておればもちろん私ども速やかに調べておくのでございますが、ちょっと今そういう調べたものを手元に持っておりませんので、よく調べさせていただきたいと思います。
  15. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 これは中曽根さんが随分、十五、六も政治団体を持っておるようですけれども、この中で全然収支報告を何もなされてないという新聞記事もありまして、大変何か中曽根さんの政治資金の裏金として使っているような感じも受けるわけであります。これをひとつ果たして正当に届けられてあるものか、それから、秘書中曽根さんの間がどういうふうになっているのか、これをひとつ政治資金規正法の立場から調べて後で報告していただきたいと思います。
  16. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 政治団体と申します場合に、指定団体はこれははっきりしておりますので、指定団体については私どもでも調べられると思います。
  17. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 非常にあいまいな関係になっておるので、ぜひこの点をひとつはっきりしておいていただきたいと思います。  さらにお伺いいたします。これがもし一つ政治献金として考えるならば、筑比地さんに来ているところの二万三千株、この株を譲渡すると約四千万円を超えるものと思われます。そうしますと、またこれも政治資金規正法にひっかかると思いますが、いかがですか。
  18. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 まず、政治資金規正法におきまして寄附量的制限がどうなっておるかということを申し上げさせていただきたいと思いますが、個人政治活動に関する寄附をする場合には本則で規定されておる分、附則で規定されておる分、合わせて三千万円が、年間でございますが、限度だということでございます。  それで、新聞記事では年間三千万円を超える寄附をしているとすれば政治資金規正法違反だ、こう書いてあるわけでございますが、まさに寄附をしておればそれは限度違反にはなるわけですが、そこのところは実際どういう形でどうなったか私どもはわかりませんものですから、そういう限りでは何とも申せないわけでございます。
  19. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 今申し上げましたように、中曽根さんと秘書との間、これもはっきりしていない。したがって、一番先に申し上げましたように、政治資金規正法によっている届け出が果たしてなされているのかなされていないのか、あるいはなされなければいけないのか、なされなくてもいいのか、この点が非常にあいまいであります。しかも、これを全部中曽根さんが否定しておるわけであります。さらにまた、今申し上げましたように、今自治省の方が申されましたように、これが本当寄附されておるならばまさにひっかかってくる、こういうこともあります。しかし、寄附されておるものかないものか、これもよくわかりません。寄附されておるとすれば、これはまさに政治資金規正法の疑いが非常にあるわけであります。こういう点に関しましても、私どもは、中曽根さんにおいでをいただいてこういう点をはっきりしていかなければこういう真相を解明できないわけでありまして、こういう点からもひとつ中曽根総理証人としてぜひ喚問を要請いたしたいと思います。  さらに、非常に私どもが疑問に思っておりますのは、リクルート譲渡株が非常に中曽根派に集中しているということでございます。例えば、店頭公開直前リクルート社ドゥ・ベスト社など五ルートから買い戻して政界関係者に譲渡した十三万七千株、これは明らかに中曽根派を中心にしてばらまかれております。十三万七千株のうち、自民党議員向けの十一万七千株のうち、実に半分の五万六千株が中曽根前首相あるいは藤波元官房長官渡辺官房長官渡辺美智雄政調会長、こういう人たちに、中曽根派に集中してきておるわけであります。私どもはこれに非常に疑問を感ずるわけでありまして、これについて今度の記者会見におきましては全く触れられておりません。なぜこういうふうに中曽根派に半分以上も集まっておるのか、集中しておるのか。この点の究明を、ぜひひとつ中曽根さんにおいでいただいて、全体の関係から証言をしていただきたいと思っております。  それから、さらにもう一つお伺いします。これは、問題になっておりますリクルート社に転売されましたスーパーコンピューターについての問題であります。  中曽根さんは、この間の記者会見におきまして日本経済新聞切り抜きを出してまいりまして、そしてこれに書いてあるからこれはまさに三台目を意味して、四台目ではない、これを盛んに強調しておりました。しかし、私が一番先にあれを見まして不思議に思いましたのはこういうことでございます。なぜ総理大臣ともあろう人が、我々は情報が入らないものだから新聞切り抜き、しょっちゅうこういうのを盛んに利用させていただいておりますが、総理大臣ともあろう人はいろいろの公式な資料をいっぱい持っているはずです。例えば、これに関する外務省内部のいろいろな資料、あるいはまた日米首脳会談等ブリーフィング資料、こういう公的な資料をたくさん持っていると思うのです。なぜそういうものでもって証明しようとしないのか。こういう新聞切り抜きを一枚出して、これに書いてあるからおれの言うことは本当だと盛んに言っておりますけれども、私は、こけんにかかわるといえばあれですが、総理大臣新聞切り抜きでもってこれで正当だと言って自分正当性を主張しておるというのは非常に残念だと思いました。  外務大臣にお伺いしますけれども、こういうような資料を私どもに提出して中曽根さんが正しいということを証明することはできませんか。
  20. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 お答え申し上げます。  問題のスーパーコンピューターについての何か資料説明するものがないのかというお尋ねであったかと思いますが、本委員会でたびたび御答弁申し上げてきたことだと思います。当時の記録そのもの外交文書でございますので御提出できないわけでございますが、外務大臣の御答弁の中で当時の、六十二年の五月でございますが、首脳会談におきましては、このスーパーコンピューターの問題が話題になったことは事実だということを申し上げました。そのとき、前総理から大統領の質問に答えられてお述べになりましたことは、当時スーパーコンピューター政府調達の導入の手続につきまして明確なものをつくらないといけない、その作業が進んでおるんだということをひとつ御説明になったわけであります。  それから同時に、当時既に話題になっておりましたけれども政府調達につきまして予算措置を講ずる動きがあったわけでございます。そのことに関連して、政府調達が可能になるように議論を進めているところだということも御説明になったわけです。そして最後に、NTTが購入するということを承知しておるということを御説明になったということでございますが、この点はたびたび外務大臣からの御答弁でも御説明を申し上げたとおりでございます。
  21. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 私もこの委員会外務大臣が何遍もしゃべっているのをよく聞いております。しかし、あれは皆、たくさんの人が質問しましたけれども、だれも納得しない。いわば水かけ論みたいなものですね。私どもの方は四台目だ、あなたの方は三台目だ。しかし、それを証拠立てるものは何もないのですよ。それで、この間たまたま記者会見中曽根さんがこれと同じものを掲げて、これに書いてあるからおれの方が正しいんだ、こう言って説明しておられましたけれども、しかし今言ったとおり、一国の総理大臣新聞切り抜きで正しいなんて言ったって、まことにこけんにかかわることで、これは外交問題ですから、外務省内部資料あるいは日米首脳会談というものは記録にないはずはないので、ブリーフィング資料とかそういうものがないか、あったならば、むしろ中曽根さんのために外務省からでも外務大臣からでも提出してもらってはっきりさせた方がいいじゃないか、こう言っているのですが、いかがですか。
  22. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 この間から私申し上げましたとおりがその当時の首脳会談の内容でございまして、今局長が申しましたとおり、やはり外交文書は明らかに、公にしないというふうなこともございますので、この間からの私の答弁をもって、納得されるかされないかは別といたしまして、あれが外務省の見解である、こういうふうに御理解賜りたいと思います。  なおかつ、私も責任上そのとき申しましたが、前総理に電話で連絡しまして、それは明らかに三台目である、そういうお話も承って、そのことも私ここでお伝えして、その翌日だったですか、御本人の記者会見があった、そして、今おっしゃるようなその新聞を用いられたということでございます。私たち、新聞よりも外務省のそうした首脳会談の経緯に関しましてのものをまとめてお話をしたわけでございます。それはもう何回もお話ししてありますので、全く変わりはございません。
  23. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 私どもは、どうしても納得できないのは、これも何遍も議論になりましたけれども、当時の背景は、御承知のとおり、日米貿易摩擦が最高潮に達したときで、これを何とかしなければいけない、その一環としてスーパーコンピューターを買ってくれ、こういうことでいろいろ動きがあったわけです。それで四台目を買おう、今これが問題なんですけれども、あなた方あるいは中曽根さんも、買うと言ったのは三台目の話だ、こう言っているわけですね。ところが、私どもの納得のいかないのは、何遍も議論があったとおり、あれほど激しい中で、もう一遍中曽根総理がアメリカへ行って、そして貿易摩擦解消のために行くのに何かおみやげを持っていく。例えば何か買う、それがたまたまコンピューターであったけれども、そのコンピューターが、三台目ですと、もう既に買うことが何カ月も前に決まってしまっているのですね。その買うものをまた新しく行くときにおみやげだと言って持っていく、そういうはずは普通はないと思うのですね。そこが何遍あなたの答弁を聞いてもだれも納得しないところの根本なんです。  例を申し上げますが、あなた、どこかへおみやげを持っていくときに、目の真っ赤になった、こけの落ちたような、そんな腐ったタイを持っていかないですよ。やはりきちんとした、ピンク色の、しゃんとしたタイをおみやげに持っていくのですよ。何カ月も前に決まってしまったものをおみやげですと言って持っていくばかが一体いますか。持っていくなら生きのいいタイを持っていくのですよ。これを何ぼやっても、私どもはあなたの説明を聞いても納得いかない。そんなばかな話はないと思うのですよ。いかがですか。何遍あなたの話を聞いてもだれも納得しないのですね。
  24. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 私は、先ほど申しましたように、外務省のそうした会談の記録から申し上げておるわけであります。この間、実は一ところ、御承知のとおりに、今問題の日米首脳会談は五月一日に行われておりまして、そして三台目のスーパーコンピューターの購入契約がなされておるのが三月、三月と、こういうふうな表現になっていましたから、お互いに、質問の方も二カ月前、私も三月、こう言っていましたから、二カ月のような感じを与えておりますが、これは三月三十一日でございますから、ものの一月がどうのこうのと申し上げるわけではありません、ありませんが,一応二カ月ではなかったということぐらいで、そこだけは訂正しておきます。  それ以上、私もやはり外務省外務大臣として、きちっと今までのコンテクストによってお答えいたしておるわけでございますから、そこはひとつ、見解の差があるかもしれませんが、その点は御理解賜りたい、かように思います。
  25. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 見解の差と言われても、そう簡単に納得できないのですよ。私ども素人から見ましても、例えば決まったのは今お話しになったように三月の三十一日に二台目が決まった、そしてその後に日米首脳会談が五月に行われて、六月に契約になっていますね。上院のあれから盛んに買ってくれと手紙が来た、それは四月なんですね。買ってくれといって手紙が来るということは、決まってないということなんですよ。決まったものにそんな手紙が来るはずはない。決まってないから買ってくれと来ている。そうすると、三月三十一日に決まったものを買ってくれと来るはずはないじゃないですか。私は全く素人だけれども、それでもどうもおかしい。決まったものにまた手紙が来て買ってくれ、こんな手紙が来るはずはないと思うのですね。いかがですか。
  26. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまアメリカの議員からの書簡についてのお尋ねでございました。この書簡の内容につきましては、詳しいことは省略いたしますけれども、日米の貿易不均衡ということを背景にいたしまして、アメリカ側としても何とか日本に対する輸出の機会を増大してまいりたい、こういう強い要望が上院議員あるいは下院議員の間にあったわけでございます。そういう背景のもとで、アメリカの競争力の強い分野であるスーパーコンピューターにつきまして、何とか参入の機会が一層増大しないものであろうかということを一般論として要請を越してきているものでございます。当然のことでございます。アメリカ側も公的な立場にある方々は、個々の物品につきまして申し入れをするとかそういうことではございません。何とかアメリカの競争力の強い分野を日本の市場に参入できないものだろうか、こういう趣旨で手紙が来ておつたということでございます。
  27. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 あなた方が資料も出さないし、それはそんなことじゃない、一般論だ、一般的にそういう手紙が来たんだ、こう言うんですけれども、しようがないから、中曽根さんが出したスーパーコンピューター、電算機購入という新聞切り抜き、これで申し上げますけれども中曽根さんは、これを出して、そしてこれはこの新聞を読めばわかるとおり、これは三台目である、こう言ってこの間説明しているのですね。  これを読んで私はよくわからないですが、なぜこれが三台目だ、こう言うこの箇所はどこですか。そうでしょう、どうしてこれを見れば三台目だかということはよくわからないのですが、だれか説明してくれませんか。
  28. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 お答え申し上げます。  何回も同じ御答弁になって恐縮なんでありますけれども外務大臣から御答弁申し上げておりますとおり、当時の外務省記録を全体として見てあのような御答弁を申し上げておるわけでございます。すなわち、その当時におきまして私どもとして承知しておりましたのは、まさしくこの三台目のスーパーコンピューターということであり、中曽根総理もまさにそういう新しい動きについて大統領に直接お話をされたというふうに理解をいたしております。
  29. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 これは直接の担当である郵政大臣にお聞きしましょう。  もう一遍お伺いしますが、今のなんか全然答弁にも何にもなってないですよ。中曽根さんは、さも一番の証拠として、これをびらびらさして、こういうふうにして出して、これを見れば三台目だということがわかると盛んに説明しているのです。だから、私はこれを何ぼ見てもわからないけれども、どこを見てこれは三台目だとわかるか。郵政大臣どうか。
  30. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 お尋ねの件でございますが、私どもの郵政省といたしましては、首脳会談でそういった話が出たということは外務省からの先ほどお話しになっていることを後で外務省から連絡を受けて知った次第でございまして、具体的にそういうことについてその話が出て私どもに話が来たことはございません。これは事柄の性格上、そういった既に三月三十一日ですか契約したそのことについて触れられたということでもございますので、私どもの方にはそういったことについてその後何も話はございません。
  31. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 これは、私が二十八日にこの中曽根さんの記者会見の質問をいたしました。そのために予算委員会審議が、きょうで四日目ですが、三日もとまってしまったのです。非常に大きな問題になりました。したがって、あなた方は、この中曽根さんの記者会見を詳細に検討しているでしょう。検討していませんか。当然検討しているでしょう、この予算委員会が三日も四日もとまっているのですから。どういうふうにやってこれがとまったのか、中曽根さんのこれをよく検討したと思うのですよ。だから当然、一番問題になっております、このスーパーコンピューターが三台目であるといって中曽根さんがこうしてテレビに出して説明した、これがあなた方検討しないはずはないのです。この内容、わかってないはずはないのです。  わかってないのですか、わかってますか、郵政大臣、いかがですか。
  32. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 たびたびのお尋ねでございますが、私どもといたしましては、この問題、昭和六十二年五月でございますが、日米首脳会談スーパーコンピューターについて当時中曽根総理からNTTが一台買うと承知という発言がなされましたけれども、これは会談の二カ月前の同年三月にNTTが自社の研究所用に購入契約したと既に公表済みであったスーパーコンピューターについてのものであったというふうに承知しておるところでございます。
  33. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 まず一番先に聞いているのはそういうことじゃないのです。この中曽根さんがこうびらびらしたこれを、あなた方がこれを検討しましたかと聞いているのです。郵政大臣、どうですか。
  34. 片岡清一

    ○片岡国務大臣 十分よく検討いたしました結果、やはり外務省からいただいておるとおりである、聞いておるとおりであるということに決定いたしたわけでございます。
  35. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 わかりました。十分に検討したことは十分にわかりましたけれども、検討したとすれば、そこで、これのどこが一体三台目だというところの証拠になりますか。
  36. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 中曽根総理と電話で連絡をとったときは、私も中曽根派の一員で、決して外務大臣と混同はいたしておりませんが、非常に大切な問題だから、どうなんですか、三ですか四ですかと簡単に言って、宇野君、これは三であるとおっしゃったので、私、そのとき、新聞を見たり、打ち合わせしたり、そういうことは一切しておりません。だから、私は従来どおり外務省の一応の公式文書から総括をいたしまして、取りまとめてお答えしてます、こういうふうに言っておるわけでございまして、私は新聞のことには触れておらない、そういうふうに御理解願います。
  37. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 この三台目か四台目かというのは、リクルートでやる人、出てくる人はほとんどこれを質問しているのです。それで何ぼやってもけりがつかない 三台だ 四台だと言ってけりがつかないのです。そこのところに中曽根さんが、これが本当だと言ってこれを出してきたのです。あなただって、郵政大臣だって、これほど大きな大事な問題、これは大論争になっているのですよ。今だって答えられないぐらいこれは大論争になっているのだから、これに対して十分な関心を持っているはずだ。そうしたら、郵政大臣、十分に十分に読みましたと言っている。そうしたら、この中で何が問題になっているか、どこの項が三台目か四台目かということを当然検討しなければいかぬじゃないですか。読んだと言って何を読んでいるのですか。節穴ですか。冗談じゃないですよ。一番問題になっているのは、これは読んだと言って何を読んでいるのですか、一体。三台目であるか四台目であるかということが一番問題になって、これを見れば三台目であるということがわかりますと言って、中曽根さんが言っているでしょう。そうしたら、どこが、あなた方検討したらどこが三台目か、ちゃんと検討してこなければいかぬでしょう。それを知らぬというばかな話はありますか、一体。
  38. 大野明

    大野委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  39. 大野明

    大野委員長 速記を起こして。  宇野外務大臣
  40. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 ただいまの御質問に関しましては、私もよく検討してみまして、後ほど御回答申し上げたいと思います。
  41. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 恐らくこれを見ても答えられないと思う。私も一生懸命考えてみたけれども、わからないのです。そのわからないものを出してきてわかったと言うものだからますますわからなくなってくる、こういうことなんですね。だから、本当にわからないのです、これは。外務大臣から三台目と言われて、何ぼ聞いてもわからないものだから、出る人出る人次から次へと同じことを聞いているのですね。わからないのです。ますますこれはなぞが深くなる。私は、これを見ると、本当は四台目じゃないかなという気がするのですね、これを見ると。だから、そこのところがみんなわからないものだから、いや、少ししゃべってもいいですよ。しゃべればまた論争になりますからね。長くなると困るでしょうから、後でまた言います。よくひとつ、これはやはりみんな大変な疑いを持っている問題ですから、中曽根さんにお聞きしても何でもいいから、中曽根さん来てもらって本当はやれば一番いいけれども、ぜひひとつ中曽根さんが来たときに直接中曽根さんに聞いた方が一番いいですね。ぜひひとつ来てもらいましょう。それをお願いしておきます。  それでは次の問題に移りたいと思います。  総理にお聞きいたします。  リクルートの問題で、国会が予算審議も非常に渋滞しております。私どもは、別に補正予算をとめようなどということは全然思っておりませんでしたが、とまってしまった、こういうことでございます。予算とかそういうことだけじゃなくて、国政全体が非常に混乱しているのです。その混乱している根本の原因は、やはりリクルートの問題で国民から非常に政治不信を買っているということが一つの大きな原因になっておるのはだれも否定できない、こう思います。そこで、リクルートの問題を究明することが今政治不信を解消するところの最大の問題になっておる、これもまただれも否定できないことだと思うのです。私は、その中で、リクルート渦巻きの中の中心にいるのはやはり竹下総理だと思います。これは、いろいろな新聞の動向を見てもあるいは投書を見ても何しても、竹下総理が御自分のところの黒い霧を払わなければ政治不信というものは晴れない、私はそう思うのです。だから、これももう何遍も出たことで、総理の耳にもたこができているほどよく御存じのことと思いますけれども、どこかここいらで決断をして総理にまつわるところの黒い霧を払う、このことが政治不信を回復するというとに非常に大きな、最大の根本的な力になるのじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。  総理の周辺に一万二千株という株がありまして、ここにもありますが、「一万二千株のナゾ」なんて書かれて、何か疑惑めいたことを盛んに言われております。一国の総理がこういう霧をかぶっていたのでは本当に政治不信に陥ると思いますので、この際決断を振るいまして、一万二千株の総理の周辺の株のなぞを解くために、今まで言われておりましたところの、そして要求されておりましたところの三点セットと言われるものを国会に出しまして、一日も早く総理は霧を払って、そして私どもと一緒に明朗にいろいろな審議をして、こんな嫌なことを審議しなくてもいいようにしていただきたい、これをお願いしたいのですが、いかがですか。
  42. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 御意見ありがとうございます。  私自身の周辺にかかわる問題につきましては、私なりにきちんと整理をいたしつつあることだけがきょうのところお答えする具体的な限界でございますが、国政調査権に最大限の協力をするという立場はもとよりのことでございますけれども、今佐藤委員いみじくもおっしゃいました、私は内閣総理大臣でございますだけに、最も政治不信というものが私の周辺にかかわる問題が大きな原因となっておるということは、私自身十分承知をいたしておるところであります。
  43. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 それでは、この国会に、究明をする一番の大きな直接的な手段であるところの三点セットをこの国会にお出しする、こういうことをお約束したことでありますか。
  44. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 厳密に言いますと、第三者にかかわる問題でございます。その第三者の協力を得なければならないことも当然のことでございますが、国会の要求に基づいてという形、あるいは私自身の自発的な行為によるというようなことについて、私なりに熟慮をいたしておるところでございます。
  45. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 よくわかりませんけれども、出すということですか、出さないということですか。
  46. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 熟慮をいたしておるところでございます。
  47. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 その熟慮は、いつ決断がつきますか。
  48. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 もとより私自身が判断すべき問題でございますが、関係者の皆さん方とは私なりの意見も申し上げながら御相談してみたいというふうに思っております。
  49. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 総理、十分御承知のことで私から申し上げるまでもないことですけれどもリクルートの霧、これが時間がたてば皆から理解されて晴れるどころか、ますます霧が濃くなってわからなくなってきている。それに従って政治不信が非常に強くなってきておりますね。これは最近の世論調査で竹下内閣の支持率がどんどん下がっていっている、こういうことを見ても、あなた自身が一番よく心にしみていることだろうと思います。どんどんどんどん政治不信が広がっていっている。一日も早くこれを解除しなければ、いつもこれにひっかかっている。例えば去年の消費税、今の通常国会を見ましても、一番余計ひっかかっているのはこのリクルートの問題ですね。これがなければもっとどんどんスムーズにいったかもしれない。それがこんな余り愉快なことでないのにひっかかっておるのです。しかも、それがますます疑惑が濃くなって政治不信が募るということになれば、一日も早くこれを解消することが私は一番今のところ大切な問題だと思うのです。この問題がかなり出てきて、しかも総理が三点セットを出すか出さないか、出してもいいような話をしてから、かなりもう時間がたっているのですね。ですから、いつまでも整理整理といって整理してないで、早く整理を終わってひとつこれを出していただいて、明朗にして霧を払っていただきたい、そう思うのです。どうかひとつ、それを整理ばかりしてないで決断していただきたい、こう思いますが、いかがですか。
  50. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 今の佐藤理事の御意見は、私が決断に当たっての大変参考になる御意見でございます。
  51. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 これは水かけ論みたいなもので、参考にする、整理する、記憶にないといっていつまでもやっていると、一番困るのは国民だろうと思います。ひとつよくそういう点で御熟慮の上決断されんことを心からお願い申し上げたいと存じます。  それから、最近の新聞を見てびっくりしたんですけれども、ふるさと創生審議会、これをやめてしまうというようなことが新聞に出ておりますが、本当ですか。
  52. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 新聞記事が出まして、やめてしまうという質問ではございませんでしたが、これに対してちゅうちょしておるではないかという、歩行中でございましたが、私に対する新聞記者の方の御質問もございました。やめてしまうなどという考えはございません。
  53. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 やめてしまわないで、どうするつもりですか、これは。新聞に、リクルート事件の区切りをねらってふるさとをやめるとか、リクルート事件隠しという批判に配慮してやめるとか、いろいろなことを書かれてあるのですね。これは、やめないということは少しずつやるということですか、今までどおりやるということですか、どういうことなんですか、これは。こういうふうにして書かれたら非常に心配なんですね。
  54. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 竹下内閣の大きな政治課題として税制改革を昨年通過きせていただきまして、ことしの平成元年度の目標としては、このふるさと創生を大きく掲げて世に聞いたい、こう考えておったところでございます。したがいまして、このことにつきましても、総理大臣のもとに審議会等を設置をいたしまして有識者の御意見も拝聴したい、こう考えて現在そのメンバーの選考中でございますので、それが明らかになりました段階ではこれを設置をいたしまして、既に本予算の中で御審議をこれからお願いをいたしております中に、ふるさと創生関連の予算もその中に包含させていただいておりますので、ぜひそれらを実行いたしていく上で内閣といたしましてもこの審議会を設置して、より立派な政策を遂行するための有識者の御意見を聞いていきたい、このように考えておるところでございます。
  55. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 そうすると、今までと何も変わらぬということですね。今までと何も変わらぬということになると、一体何でこんな新聞が出たんですか。これはかなり大きな記事ですよ。各新聞に全部出ているのです。一つ新聞が間違って出したという問題じゃないのです。各新聞に全部出ているのです、こんな大きく。これは全国的にかなりショックを受けていますよ。それがなぜこういうふうな、今官房長官のお話を聞くと、何にも変わりはないというのに、なぜこういうのが出てきたのですか。
  56. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 過般、たしかさる新聞社が一面トップでそのことを報ぜられまして、他紙もあるいはそれをフォローアップいたしたかもしれませんが、政府といたしましては従来の路線と全く変わるものでございませんで、一日も早くこの審議会をできれば設置をいたしまして、先ほど申し上げますように、元年度予算の中にも大きな目玉として、それぞれ役所の中でこのふるさと創生関連の予算もお願いをいたしておることでございますので、それを実効あらしめるために審議会をつくって進めてまいりたいと思っておりますので、いささかもその政策遂行に当たってこれをおくらせるとか、あるいはやめるとかというようなことは絶対ございません。
  57. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 そうですが。これはよく宣伝しておいた方がいいですね。非常にショックを受けて、私のところにも何遍も電話が来ているのです。今までこれは一年以上になるでしょう、あなたが宣伝してから。もう去年の予算を組む前からですね。ふるさとだ、ふるさとだといって、一億円だ、一億円だといって盛んに宣伝していましたので。田舎へ行きますと、一億円は大変ありがたい、私どもはこれはおかしいなと思って批判しようとしているのですが、田舎へ行きますと、とにかく一億円ただでもらえるのは大変ありがたい。神様、仏様、竹下様と言って非常に喜んでいるのですよ。それで何かやろうとして盛んに今計画をしているのです。それが突然金が来なくなるのじゃないかと思って非常に驚いているのです。どうしたんだと言って何遍も電話が来るのです。だから、こういうことはだれか言わなければこんなに新聞に大きく麗々しく書かないと思うのです。どこかから出たと思うのですが、よっぽど気をつけてもらわぬと、これは混乱のもとになるので、ひとつあれしておきます。  それから、ちょっとお伺いしますけれども、今政治改革につきまして首相から緊急提言をいたしまして、株取引等の問題に絞って大至急政治改革に取り組め、こういうような御指示があった、こういうふうに言われておりますが、そのとおりですか。
  58. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 政治改革にかかわります有識者懇談会、それから先ほど御質疑いただいておりましたふるさと懇談会あるいは審議会、これはともに御案内のように八条機関ではないわけでございます。言ってみれば内閣総理大臣の私的諮問機関、閣議了解だけはしておこう、こういう性格のものでございます。したがって、私は従来からとも各審議会にお願いをいたします際には、可能な限り予見を持たないという形で御諮問申し上げるというのが礼儀だと従来から思っております。しかし、過去数回話を重ねてまいりますと、やはり短期、中期、長期、それぞれの問題がございますが、短期的な問題について、今回いわゆるリクルート問題というのは未公開株式の譲渡問題から起きてきた政治不信であるから、この問題について短期課題として取り組むべきではなかろうか、このような意見があっておることも事実でございますので、私の方からそれをすぐ結論を出してくださいと言う性格のものではございませんけれども、私もその懇談会はいつも欠かさず出ておりますので、意見交換の中にそうした短期的な課題として位置づけられることが好ましいというふうな気持ちは持っております。
  59. 佐藤敬治

    佐藤敬治委員 これはいろいろなあれがあるでしょうけれども、今、後藤田委員会があったり、この有識者会議があったり、いろいろなことをしてやっておるようですが、それがくるくるくるくる変わるような状態になると、これも果たしてできるのかどうかという不信感を持たれると思うのです。やはりどっしり構えて根本的なあれをやる方がいいと思いますが、どうも見ておりますと、ちょっとこれが問題になったから、じゃあそれをやろうか、こっちが問題になったからこれをやろうかといって、始終朝令暮改、右顧左べん、方向転換ばかりしていたのでは、これもやはりだめかなという感じを持たれるんじゃないかという気がいたします。やはり何か、今のふるさとでもそうですが、一生懸命宣伝したら、ぼこっとこういうのが出てきて、だめかなと思い、今度は政治改革をやろうと思ったら、これに区切ってまたやろうといって、まただめかなと思ったり、非常にそれこそ不信感を買うもとになります。ぜひひとつどっしり腰を据えて、やるならばやるようにしませんと、国民が落ちつかない、こう思いますので、その点もひとつ御提言を申し上げておきたい、こう思います。  いずれにいたしましても、先ほども申し述べましたように、リクルート事件というものを解決しない間は政治不信が解決できない、これが今や一番大きな根本的な政治の問題になっておる、こう思います。どうかひとつ、先ほど申し上げましたように、いつまでも整理してばかりいないで、決断して、一日も早く総理の身辺から霧を払っていただくようにぜひお願いいたしたいと思います。  これで私の質問を終わりまして、関連質問いたします。
  60. 大野明

    大野委員長 この際、辻一彦君から関連質疑の申し出があります。佐藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。辻一彦君。
  61. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、きょうはちょっと角度を変えて、今非常に問題になっております福島の原子力発電所、第二発電所の三号炉のたび重なる事故問題、これについていろいろ所見をただしたい、このように思っております。  既に、連日新聞等でいろいろ報道されておりますので御存じのとおりでありますが、福島には海岸に今日本一という九百万キロワット余りの原子力発電所が集中しておりますが、そこで今いろいろな問題が起こっております。特に第二発電所の第三号機においては、昨年十二月三日に緊急原子炉が停止をしている。また、十二日に蒸気弁によって原子炉が停止、そしてこの一月一日に同原子炉が異常振動によって、出力を落としながら定期検査まで延ばして頑張っておった。頑張っておったといいますか、延ばしておった。そういう中で非常な激動、振動が出て、ついに原子炉を停止した。百キロからのポンプの中の円板が崩れ落ちて羽根車に当たって、その金属の細片が、世界に例のない原子炉圧力容器の内部に入って沈殿をしている。今四万八千本という原子炉の燃料棒一本一本点検せざるを得ないという大変な問題が起きておりますが、これらをひとつ踏まえて、私はまず最初に総理から、たび重なる原子力発電所の事故等を踏まえ、また我が国の原子力平和利用三原則、これをひとつ踏まえて、原子力の安全性確保についてまず総理の所信をお伺いして、それから具体的に入りたいと思います。
  62. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 お尋ねのことでございますが、私は、あくまでも我が国の原子力開発利用につきましては原子力基本法、これに基づいて、平和の目的に限り、そしてその次でございますが、安全の確保を大前提に、民主的な運営のもとに自主的にこれを行うものというのをまずやはり基本に置くべきものであるというふうに思っておるところであります。  したがって、今の出ております現象につきましては、あくまでも安全確保ということを前提に対応すべきものでございますが、かなり技術的な問題もございますので、基本的考え方だけにとどめさせて、あとはお尋ねによって事務当局等がお答えをすることになろうかと思います。
  63. 辻一彦

    ○辻(一)委員 総理には、全体の論議を行った番最後に感想をもう一度お尋ねしたいと思います。  そこで、若干時間がありますので、通産大臣の方からもしくはエネ長官の方から、この事故の内容についてごく簡潔に、時間がありませんから簡単で結構でありますから、御報告をいただきたい。
  64. 向準一郎

    ○向政府委員 お答えを申し上げます。  東京電力福島第二原子力発電所三号機でございますが、一月六日、原子炉再循環ポンプの振動が増大いたしまして、出力低下後原子炉を停止したわけでございます。それで、ポンプの点検をやっていたわけでございますが、その結果、水中軸受け、それから羽根車が破損しているということが判明したわけでございます。それで、現在それの壊れましたいろいろなものの回収作業を一生懸命やっているわけでございまして、二月二十八日に原子炉の底部等で金属片等も発見されたということで発表しておりますが、今現在その回収、徹底的な回収というのをやらせているところでございます。  以上でございます。
  65. 辻一彦

    ○辻(一)委員 詳しいのはこの三月一日以降の新聞報道にも随分出ておりますから報告はそれで結構でありますが、原子炉圧力容器の内部にこのような金属片が流入したというか、入ったということは今まで国内はもちろん世界にも余り例がない、こういうふうに思いますが、これは例のないケースじゃなかろうかと思いますが、今までそういう例が海外にあったかどうか、このことについてお尋ねいたしたい。
  66. 向準一郎

    ○向政府委員 お答え申し上げます。  過去に原子炉圧力容器の中に金属片等が流入したような事例があったかどうかということでございますが、国内の最近の例でございますと、関西電力の高浜発電所一号機、それから大飯発電所の一号機におきまして蒸気発生器の取りつけられておりました部品の一部が圧力容器の中に流入したという事例がございます。  それから、昨年の八月でございますが、日本原子力発電の東海第二発電所におきまして、チャンネルボックスのとめねじが折損いたしまして、座金が原子炉圧力容器の中に入っていたというようなことがございます。  それから、今の御質問の海外の例でございますが、現在調査中ということでございます。
  67. 辻一彦

    ○辻(一)委員 座金がいろいろなことで入ったというのはありますが、このB型というか沸騰水型のこういう原子炉で、高速で回っているポンプの中で金属が非常に摩耗する、あるいは紙切れのようになって、そういうものが大量にポンプの三十三ミリという狭い口を通って原子炉の中に入った、こういう例は今まで国内ともにないと思いますが、そういうものはありましたか。
  68. 向準一郎

    ○向政府委員 お答え申し上げます。  今お話しのように、これに類似したような事象というのはございません。
  69. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今エネ庁は、似たような事例を幾つか挙げましたが、それとは全く例の違うこれは事故ケースである、このように考えざるを得ないと思います。  そこで、今日の事故の経過が随分発表が遅かったと思う刀三号炉は一月六日に原子炉が停止をしたにかかわらず、二月三日まで地元福島県、その住民にも何ら知らされていない。しかもこの原子炉は年末に、さっき申し上げたように二回の事故があって三度目の原子炉の停止である。こういう中で、福島県並びに地元の住民は深刻な不安に駆られている。そのために福島県民代表、県の生活環境部長でありましたかが県を代表して、二月二十八日にエネ庁と科学技術庁に国の監視強化の申し入れをしている。これは福島県では昭和四十六年の三月に第一号原子炉が運転以来初めてのケースである。いかに地元の不安が大きいかということを示しておると思います。  私は、一昨年アメリカのスリーマイルを見た後、米原子力委員会、NRCへ行って随分論議しましたが、彼らは早期における事故の発表、しかも非常に詳しく、場合によれば事故後二、三週間で一分刻みの事故経過を報告している、こういう例があるのでありますが、これに比べて余りにも今回の対応は遅かったと思いますが、これについてどう思いますか。
  70. 向準一郎

    ○向政府委員 お答え申し上げます。  今回のトラブルの発生の経時的にちょっと申し上げさせていただきますと、一月六日にトラブルが発生いたしたわけでございますが、原子炉を停止して温度が下がるというのを待って、それから大型の冷却装置の周辺のものを取り外したりして、それから損傷の可能性のある部分については慎重に点検する必要があるということでございまして、ケーシングを取り外しましてポンプの内面が、破損が確認できたのが一月二十三日でございます。それから分解、除染作業をやりまして点検し、破損状況の概況を取りまとめ、当方が報告を受けたのが二月一日ということでございます。  当庁といたしましては、当該連絡を受けまして、原子力安全委員会にも報告を行い、二月三日にトラブルの概況を報告しているわけでございます。現在、原因の究明あるいは回収作業というのを鋭意やっておるところでございますが、この結果につきましては、最終報告で初めの段階からずっとこの経過については報告書としてまとめる予定でございます。
  71. 辻一彦

    ○辻(一)委員 原子炉をとめてすぐ手が突っ込めるような状況でないということはわかりますが、その経過をいま少し早く発表する、公表するということが住民の不安や不信にこたえる道である、こういう点で指摘をしておきたいと思います。  そこで、東京電力の過去のいろいろな事故がありましたが、今回も東電は過去の事故を教訓として生かしていない、こういう感じがいたします。先ほど述べたとおりに、この三号炉は隣に一号炉がありますが、昨年の七月の定期検査中に同じような事故が起きて、軸受けのひび割れがあって取りかえをしている。三号炉も一月一日、ポンプに異常音が発生したときにすぐとめて取りかえておけば、こういうふうに事故が発展することはなかった、大きくなることはなかった。これはもうはっきりと言えるのではないかと思います。それを一月七日に定期検査をやる予定である、だからそこまで無理に運転を延ばしておった。これは原子炉の利用率をできる限り上げるために、原子炉は定検以外にはなるべくとめたくないという、安全性よりも経済性優先の考え方じゃないか、こういう感じがいたします。それについてどうかということ。  もう一つは、東電はこういう状況の中にもかかわらず、二月十四日に、ポンプの破損で紛失した座金二個が回収されなくても運転再開はあり得ると発表して、住民の大きな不信を買っている。このような安全性に対する安易な考え方、態度に対して通産大臣はどうお考えになられるか、お伺いいたしたいと思います。
  72. 三塚博

    ○三塚国務大臣 御指摘のように、原子力発電は安全性というのが第一であります。さような意味で各事業者に対しエネ庁を通じ、通産省として安全性確保という観点で徹底を期しておるところであります。しかしながら、ただいま辻委員の御指摘の点、安全性より経済性を重んじたのではないか。その一つの確証という形の中で、運転をしながら最終の破片の回収ができるのではないかなどということを重役の一人が発言したということを私も確かめた次第でありまして、極めて慎重性を欠くといいましょうか、この種安全確保を第一にしなければなりません事業者として徹底を欠く点がありましたものですから、直ちにこのことについては厳重注意をいたし、鉄片が回収されるまで炉の停止を行い、早急に行うようにと申し上げたところであります。
  73. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それは当然な措置ですが、もっとそれを早く本当はやるべきであったと思う若干具体的な例を、ケースを論議をして、その上でさらに質問をしたいと思います。  既に一月一日に異常振動が発生した、出力を若干下げただけで運転を続けていたのでありますが、驚くべきことには一月六日、午前四時二十分に異常振動が再び出て、その振動を記録する振動記録計の針が天井を超えて振り切れてしまった。限界を超えて外れてしまったのですね。そこまでこの針がオーバーしてアラーム、いわゆる警報が鳴り始めた。ところがそれにもかかわらず、その瞬時に大きな事故があったと思いますが、十八時五十八分まで十四時間半にわたってこれを停止することなく運転をしておった、こういう事実があるのですね。私は通産省に、こういうようなことを一体許しておいていいのか、認めておっていいのか、監督官庁としてもう一度見解をただしたいと思います。
  74. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 先生ただいま御指摘ございましたように、一月一日の時点で振動の上昇を示す警報が出ているわけでございます。それにもかかわらず運転を続行したということでございまして、そのこと自体はいろいろな議論があろうかと思いますけれども、これも先生御指摘のとおりでございますが、昨年来の類似のトラブルのことを考慮すれば、もっと慎重な対応をすべきでなかったかというふうに考える次第でございます。そういった意味で、この点、東京電力に対しまして厳重に注意をいたしました。さらにまた、一昨日でございますか、東京電力の最高幹部を招致いたしまして、座金や金属片等を徹底的に取り除く、あるいは事故原因の究明等々を含めまして、保安管理体制の一層の強化を厳重に申し入れたところでございます。
  75. 辻一彦

    ○辻(一)委員 後で厳重注意は結構ですよ。私の言っているのは、一月一日や六日の時点の処置を今問うておるのです。今回の事故でポンプの揺れを示すところの指示計が天井を超えて振り切れてしまった。それほどの振動になっているにもかかわらず、そういう状況を確認することは、その場所へ行って調べるわけにはいかない、中央制御室で計器を見るしかないですね。その針が振り切れたときに、これはどういう状況が起こったかわからない。まず、直ちにポンプをとめてその実態を点検すべきではなかったかと思いますが、これについてはどうなんですか。
  76. 向準一郎

    ○向政府委員 お答え申し上げます。  再循環ポンプの振動が発生しました場合の措置につきましては、運転手順というので決まっておりまして、それで振動が出ました場合警報が出るということでございますが、運転員は振動値がどういうふうな変化を示しつつあるかということ、それから軸受けの温度等というような重要なパラメーターについて監視強化を行うということになっておりまして、それとともに当該ポンプにつきまして回転数を低下させ、それでも振動が安定しないというような場合は運転をとめるということになるわけでございますが、我々といたしましては、こういうような警報が出て、現時点で損傷のぐあいから考えてみますと、やはりポンプが振動が出まして上昇した時点でポンプの停止等適切な措置を講ずべきであったのではないかということで、運転継続につきましては、結果としてやはり慎重を欠いたものと言わざるを得ないというふうに考えております。  それで我々といたしましては、ほかの発電所につきましても当分の間、原子炉再循環ポンプの振動監視の強化、それから警報の発した場合には速やかに当該ポンプを停止する等適切な措置をとるようというようなことを指示しているところでございます。
  77. 辻一彦

    ○辻(一)委員 結果としてという前提がついてはおりますが、慎重さを欠いたというそういう反省があったということは当然であろうと思います。そのときの時点で私はもうちょっと専門的に、原子力安全委員会の内田委員長は、きょうの新聞を見ますと、原子力安全委員会としての見解を示されておる。それについてお伺いいたしたい。
  78. 内田秀雄

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  今回の福島第二発電所の三号炉の事故につきましては、原子炉施設の安全上重要な機能破損に端を発したものでありますので、重大な事故と認識しております。特に地元の方々に大変な不安を起こしましたことは、非常に遺憾でございます。  原子力安全委員会といたしましては、小さな事故あるいは故障、トラブルでありましてもその発生の予防を第一に考えておりますので、今度のような事故が二度と起こらないように安全の確保に専念したいと思っております。  ただいまといたしましては、通産省が事故の原因の徹底的な究明と破損部品の回収、調査を行われておりますので、これについての報告を今待っておるところでありまして、慎重に調査するように要望しているところでございます。
  79. 辻一彦

    ○辻(一)委員 内田委員長にもう一つお尋ねしたいのですが、けさの新聞をちょっと見ると、一月一日の時点でポンプはとめるべきだった、こういうような記事が出ておりますが、一月一日の時点でとめるべきであったのかどうか、この点についての見解はいかがですか。
  80. 内田秀雄

    ○内田説明員 私は、一月一日の振動が発生したところで直ちにとめて点検すべきであると思っております。
  81. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それは重大な指摘であろうと思うのですね。通産の方には、大変努力をしておられるのでそれは敬意は表しますが、今まで、事故発生後今日に至るまで非常に安易なというか大した事故ではない、こういうような受けとめようを、いろいろ説明を求めても常にしている。しかし、今原子力安全委員会の委員長、日本において私はこの問題では官側では最高の権威者であると思いますが、明確にこれは問題がある、一日にとめるべきであった、こう指摘をされている。これは私はそのとおりであると思いますが、この対応のおくれについていま一度責任者である通産大臣の見解を伺いたい。
  82. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 ただいま原子力安全委員長からもお話ございましたように、今回のこの事象につきましては慎重さにおいて対応上欠けるところがあったというふうに私ども認識いたしております。特に今回の事象の内容あるいはその発生の経緯でございますね、こういったことから地元の住民の方々に原子力発電に対する大変な不安感を惹起している、ひいては十分な安全確認がなされないままに運転が再開されるのではないかというような懸念さえ生んでいるということは、大変重大なことではないかというふうに思っておる次第でございます。  そういった意味におきまして、先ほど私どもの大臣からお話があったわけでございますが、こういった状況を踏まえまして、私どもといたしましては、この際、座金だけではなく他の小さな金属片につきましても時間と労力を惜します徹底的に探しまして、原子炉内も徹底的に清浄してすべての異物を取り除くことをさせたい、かように考えておる次第でございます。  現在は運転再開を論議するような段階ではとてもないと思いますが、いずれにいたしましても、通産省としてはあらゆる角度から万全の安全対策が確認されない限りは運転再開を認めない、こういう所存で対応していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  83. 辻一彦

    ○辻(一)委員 エネ庁長官の見解は伺いましたが、通産大臣、責任者として一言伺いたい。
  84. 三塚博

    ○三塚国務大臣 冒頭申し上げましたとおり、原子力発電は安全第一であります。原子力委員長の発言をまつまでもなく、私もそういうアラームがそう鳴る、あるいは一月一日の時点で振動が出たということであれば、立ちどまって停止をして点検すべきものである、今後そういう意味の進め方について、今回の事故を起点といたしまして対応を考えてまいりたい、こう考えております。
  85. 辻一彦

    ○辻(一)委員 内田先生、もう結構ですからどうぞ。  私はなお一つ、当時の、一月一日から一月七日原子炉停止までの期間における原子炉の状況等を将来の、安全性確保のために明らかにしておくということが必要であると思います。  そういう点で、まず以下四点の資料要求をいたします。第一は振動の記録紙、これは紙に全部出ていますから記録がある。第二はアラーム、警報の発信状況。第三は警報の出たときの手順書、マニュアル。第四は、一月一日から七日まで、原子炉停止に至る全経過を分刻みで示すところの経過報告書。それは、政府、出せますか。
  86. 向準一郎

    ○向政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のありましたデータでございますが、大変技術的かつ詳細なものでございます。そういうことで、先生の御意向を具体的にお聞きしまして、今後対応させていただきたいというふうに考えております。
  87. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは通産大臣、去年二月の二十二日の予算委員会でも、田村通産大臣が事務当局のもたもた答弁にたまらずに、出しますと確言されたのですが、どうも今の対応ではなまぬるい。大臣から一言伺いたい。
  88. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 私どもとしては、安全にかかわるデータにつきましてはできる限り公表するという方針で考えておるわけでございます。先生から今具体的なお話のありました点につきましても前向きに取り組みたいというふうに考えております。
  89. 辻一彦

    ○辻(一)委員 できるだけとか言わずに出してもらわなければいかぬよ。こういう事故を教訓にして日本の原子力発電所の安全性をより高める必要がある、それはもう国会の大事な機能だと私は思う。だから、対応とかじゃだめで、前向きに——前向きでもだめだ。とにかく出すと確認していいですね。
  90. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 これは一般論としてかねてから申し上げておるわけでございますが、もちろん原則、安全にかかわるデータはお出しするということでございますが、例えば原子力発電所の防護対策上公表できないデータとか、あるいは企業秘密、特に外国の技術援助契約との関係で縛りがかかっているデータで出せないものとかいうようなものもあるわけでございます。そういったものを除きましては私どもは原則、出すということで考えております。  今先生から言われました具体的な項目につきましては今ちょっと、あるいは手元にそういったデータが来ているかどうかということも確認できてない状況でございますが、いずれにしましてもできる限り出すようにいたしたいというふうに考えております。
  91. 辻一彦

    ○辻(一)委員 こんなのは手元になければ電力会社から取り寄せればいい。そしてまた、そういう資料が手元にないような政府ならだめなんです。そんなのは全部そろっているはずなんです。通産にも科技庁にも安全委員会にもこういう資料がなくちゃならぬ。だから、そんなものが手元にないから云々ということは答えにならぬ。必ず出してもらわなくちゃならぬですね。まだ私は何点かこの論議の中で要求することがあるんですから、以下全部同じですから、いいですね。
  92. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 先生の御意向を踏まえまして、前向きかつ積極的に取り組ましていただきます。
  93. 辻一彦

    ○辻(一)委員 忘れないようにひとつ頼みますよ。  それから、せっかくだから私はもう少し具体的な問題で一、二お伺いしたいと思います。  東電並びにエネルギー庁の説明によると、原子炉の中に大量の水を圧力で送る、それは口径五十センチのパイプにつながる重要なポンプですが、再循環ポンプ、これを八本の軸受けをボルトで固定しておったのが五本抜けてどこかへいってしまった。三本でかろうじてとまっておったんですが、もしこれがもうちょっとがたがたしてあとの三本が抜けたら本体が落下する。この重量は幾らかというと、既に落下した円板は百キロだけれども、八本のうち三本があったんですが、それが落ちたとして本体が落ちたとすると三百九十キロの金属の塊が落ちるということですね。そして、その下にはポンプの羽根車が回っておるんですが、これは通産の計算によると時速二百六十キロで先端が回転をしている。だから新幹線と同じなんですね。新幹線で二百六十というのはないかもわからないが、まず新幹線並み。そういう高速で回転している羽根車の上に三百九十キロ、約四百キロの鉄の軸受け、本体等が落下をしたら一体どういう状況が起こるか。これは、起きたわけではないのだけれども、起きたならば大変なことになっていく可能性がある。簡単で結構ですが、どう思いますか。
  94. 向準一郎

    ○向政府委員 お答え申し上げます。  先生おっしゃるとおり、八本のボルトのうち五本がとれたということでございまして、では全体が落ちていたらどういうことかということでございますが、我々、今後この事故、故障を解明するプロセスで、どういうプロセスでこういうことになってきたかということ、それからその影響、中に含んでおります影響も勉強をし、報告書にまとめたいと考えておりますので、今の段階、どういうことになるかというのは御容赦いただきたいと思います。  しかし、いずれにいたしましても、我々といたしましては、一月一日に出ましたこの振動というのが大変重要なシグナルを出したわけでございます。ですから、それをやはり適切に評価し、対応するということが、このような回転体を管理する上では大事なことであるというふうに認識しております。
  95. 辻一彦

    ○辻(一)委員 現実として、落下した円板は百キロの鉄の円板なんですね。それが羽根車に当たって、そしてポンプの内側を削り、羽根車とポンプの間にそういうものがかめば当然傷がいく。ガリガリやる。そして、その薄くなったものがポンプの圧力によって原子炉の中に送り込まれたという状況が起きておる。だから、百キロでもこういう状況になっているのですから、もしももうちょっと動かしている、あるいはもう少し振動が前にあって三百九十キロの本体が落下したとしたら、これは恐らくポンプのかなり丈夫なところですら破損する。そして、その次には、原子炉本体に五十センチの大口径のパイプがつながっている。これは、冷却材喪失事故という最大の重要事故になる。これにつながる可能性がないとは言い切れない、そういうものを含んでおったと思う。だから、この事故の重要性については私は十分認識すべきであると思います。  そこで、資料要求ですが、この羽根車それからポンプの内側、ケーシングに随分刻み込まれた、かじったような傷跡がついている。そういうものを一切明らかにする資料の提出を要求します。一言で、簡単で結構です。
  96. 向準一郎

    ○向政府委員 今、各部最終、徹底的に点検をしているところでございます。そういう意味で、最終報告書にはそういうこともぜひ触れておきたいというふうに考えております。
  97. 辻一彦

    ○辻(一)委員 もう一つ、ジェットポンプのノズルに幾つかの破片いわゆるボルトがそこに詰まっておったのですね。それは、ボルトや金属片、粉が詰まって、後でそれが外れたときに急速に水が中に入ると、いわゆる沸騰水型、B型の原子炉では、反応度事故によって急速に水の量がふえれば、それに応じて出力が上がっていく。だから、これは暴走に場合によればつながる心配もあるのですね。  例えば、東電は資料を出しておりますが、再循環系の流量が三%水が増加をするだけで核分裂反応は一八%ふえるということをみずから我々に資料として示しておる。これを見れば、こういうときにスクラム系の故障等があったら、これは大変なことになる心配がある。そういう点で、時間の点から詳しい論議はできませんから、反応度の上昇、原子炉出力の変化等を知ることは暴走の可能性の有無を知る上で必要であり、また十二月三日、十二月十二日の原子炉の停止について状況を知る必要があるので、以下の資料を要求する。  第一に、中性子束の記録。第二は再循環ポンプ、AとBがありますが、その流量、水の量の記録。第三は、全制御棒の位置と作動の記録、これを出していただきたい。簡単に一言答弁を。
  98. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように前向きかつ積極的に対応させていただきます。
  99. 辻一彦

    ○辻(一)委員 原子炉の中に金属片と金属の粉等がこれだけ入ったというのは、今まで国際的にも恐らく例がないし、国内にも例がない。これが燃料棒に傷を与えるとか、あるいは制御棒の案内管の中に傷を入れるとか、こういうことが起これば非常に大変なことになる。だから通産の方は指示をして徹底した調査を行う。四万八千本の燃料棒を全部点検するには、これだけでも何カ月かかかるぐらい大変な点検だと思うのですが、これはひとつ徹底してやってもらって、その内容については先ほど同様に国会に報告してもらいたい。これもいいですね。
  100. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 そのようにさせていただきます。
  101. 辻一彦

    ○辻(一)委員 福島の第二原子力発電所三号機と同じ百十万キロワットの発電所あるいはそれ以上の大型原発は、この際一度とめて、徹底的にこの欠陥部、金属疲労等を点検すべきではないかと思いますが、これについてどう思いますか。  もう一つは、特に事故炉と全く同型のポンプを持つ福島第一原発の六号機、日本原電東海二号機は、十年に一回点検が済んでいる、こういう理由で軸受けのリングの取りかえもまだしていないのです。そのまま運転が行われておりますが、即刻これを点検をしてかえるべきではないかと私は思いますが、いかがですか。
  102. 向準一郎

    ○向政府委員 お答え申し上げます。  今回トラブルが発生いたしましたのと同型炉というのが七基ございますが、今お話のございました福島第一原子力発電所の六号機、日本原電の第二発電所の二号機を除きまして、いずれも水中軸受けの取りかえを終了しております。  それで、今申し上げました二基につきましては、この事象、推定される損傷の形態、脈動による繰り返し応力というふうに我々考えておりますが、この形態から見まして、これまで既に十年以上運転実績がございます。それからその間、ISIの原則に基づきまして再循環ポンプ分解点検をやってきております。そういうことで安全性は確認しておりますので、直ちに停止をして点検するということは、今の我々の検査の体系の中で安全性は確認されているというふうに考えております。しかし、今回の事象、最終報告、いろいろ検討いたしまして、その結果によりましては必要な措置をとりたいと考えております。
  103. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大体時間が近くなったのですが、通産大臣はさっき何回かお尋ねしましたから、科技庁長官、原子力委員長に一言お尋ねして、最後に総理に見解を伺いたいと思います。  私は、一昨年の六月にチェルノブイリを見て、それから九月にスリーマイルを見て、米ソの原子力安全関係の責任者とは随分論議をしてきました。去年、IAEA、原子力機関の本部でブリックス総長ほかと随分論議をしたのですが、いずれも、情報を交換し、資料を公開して、それを通して安全性をより高めるということが原子力の安全性を高めることにつながる、こういう見解でみんな一致しておるのです。そういう意味で、私は、この資料公開、そして常により努力をして安全性を高める、この中に原子力の安全性確保がある、こういう考えを持ちますが、原子力委員長、科技庁長官の見解を簡単で結構ですからお伺いしたい。
  104. 宮崎茂一

    ○宮崎国務大臣 お答えいたします。  お話しのとおり、原子力の技術的な問題につきましては国際間で議論をいたしておりますので、これは公開をして、そしてチェルノブイリの前例とかいろいろな前例がございますので、それを参考にしながら安全性を高度に高めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  105. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これで終わりますが、総理に一言だけ伺いたいのです。  巨大技術の安全性ということ、日航のジャンボ機、落ちるはずのない最新の設備を持ったジャンボ機が墜落している。スペースシャトルが爆発をする。それから古いのでは、最近アメリカの老化した飛行機が大穴があいている。こういうふうに、巨大技術というものは絶対な安全性ということはなかなかない。こういう中で原子力も私は同じと思いますが、そういう意味で、たゆまざる努力によってこそ原子力の安全性は確保できると思います。  これらについて、この三十分余りの論議を踏まえて、総理の感想を一言伺って終わりたいと思います。
  106. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 私には専門的知識があるわけではございませんが、問答は詳しく聞かしていただきました。何としても巨大技術、なかんずく原子力、これは経済性が優先するなどということは断じてあってはならない。そうして、この安全性ということについてはやり過ぎるということはないと思っております。したがって、先般とられた通産省のいわゆるストップという措置等について、私も評価をいたしておるものでございます。したがって、人的訓練をも含めて安全性という問題、なかんずく巨大技術の安全性の問題につきましては、これはまさに不断の、そしてまた終点のない努力を続けるものである、このように思います。
  107. 辻一彦

    ○辻(一)委員 終わります。
  108. 大野明

    大野委員長 これにて佐藤君、辻君の質疑は終了いたしました。  次に、工藤晃君。
  109. 工藤晃

    工藤(晃)委員 総理は、日本が行った十五年戦争について侵略戦争とは認められない、後世の史家の判断に任せる、こういう答弁をされましたが、この問題につきましては非常に外国からも多くの批判を招き、二月二十七日に改めて答弁をされております。  この答弁の内容を見ますと、さきに不破副議長に答弁したときと一つの共通性があります。それは二月十八日の答弁の中に、個々の行為については侵略行為はあり得るけれども、全体としては侵略戦争と言いがたいという答弁でありましたが、二月二十七日の答弁になりますと「かかる我が国の過去の行為について、侵略的事実を否定することはできない、」と、かかる行為については否定できない、しかし共通しているのは、部分的に行為によっては侵略と認められるけれども、あの戦争全体を侵略戦争とはまだ言い切ってないと思われます。  そこで伺いますのは、総理は日本の十五年戦争につきまして、全体としてこれは侵略戦争であったという見解をここではっきり述べることができますか。
  110. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 先般、本委員会におきましてお答えをいたした、これが私の主体的な立場から出たお答えでございます。
  111. 工藤晃

    工藤(晃)委員 そうすると、先ほど私が紹介したようなニュアンスの答弁しかできないということだと思いますが、それは重大な問題を含んでいると思います。  ここに西ドイツのワイツゼッカー大統領のドイツの敗戦四十周年記念のときの演説がありますが、ここではっきりと「ヒトラーはヨーロッパ支配を望みました。しかも戦争によってであります。」「暴力に訴えたのはヒトラーであります。」「この戦いの間、多くの民族がナチズムの統治の下に苦しみ、汚辱にまみれてきたのであります。」非常にはっきりとこのナチス・ドイツの戦争の性格を述べております。これに反しまして、総理の今度の答弁も、いまだに全体として侵略戦争であった、日本軍国主義の侵略戦争であったということははっきりお認めにならない。まして、この前の答弁に至っては、後世の史家に任せると言った。しかも、もっと重要なのは、この西ドイツの大統領がこのように述べておられ、極めて立場が明確なのにもかかわらず、そのナチス・ドイツの進めた戦争に対してまで、これは侵略戦争とは認めがたい、後世の史家に任せるということを言ったからこそ、それこそ全世界的に大きな問題を起こしたのであります。  そこでもう一度、私が再度過去の十五年戦争について、全体として侵略戦争であったという立場なのか、個々の行為だけについて何かそういう事実があったというのか、そこだけは確認しておかなければならないと思って立った次第であります。どうでしょうか。
  112. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 ワイツゼッカー大統領の言葉は私も常日ごろよく覚えております。過去に目を閉じた者は現在にも未来にも盲目的になるであろう、こういう趣旨の演説がなされたということは私も記憶いたしておるところであります。  私が先般申し上げましたように、不破委員の質問に対し私が行いました、過去の戦争が侵略戦争か否かについては後世の史家が評価すべきものとの答弁が舌足らずでありまして、アジアの国々等で批判的反応を招くという事態になったことは遺憾であります。したがって、私の考え方は二月二十七日の本委員会で明確に述べましたが、やはりこの問題は、あなたの質問に対する問題よりも、いわゆる日本の立場を主体的にこちらから申し述べるのが妥当であると思いますので、いま一度その部分を正確に読み上げます。  我が国の過去の歴史に対する認識は、昭和四十年の日韓共同コミュニケ、昭和四十七年の日中共同声明に述べられているとおりであり、いささかの変更もない。  我が国が過去において戦争を通じて近隣諸国等の国民に対し重大な損害を与えたのは事実であり、かかる我が国の過去の行為について、侵略的事実を否定することはできないと考えております。  我が国としては、かかる認識を踏まえ、平和への決意を新たにするとともに、このようなことを二度と起こさないよう平和国家として世界の平和と安定のために貢献していく考えであります。  私ども政府の主体的な立場からにおきますところのこれが正しい発言である、このように御理解をいただきたいと思います。
  113. 工藤晃

    工藤(晃)委員 今読み上げられたのは、私もこれで何度も聞いたということになりますけれども、しかし、先ほどの全体として侵略戦争とお考えになるかどうかということではっきりした答弁がまだなかったということを確認して、次の問題に移らざるを得ないわけであります。  さて、リクルートの問題について一、二間しておきたいと思います。  昨日我が党は、労働省職安局の大量の公務書類が鹿野元課長逮捕と労働省内捜索の直前に労働委員会会館の六階の三つの部屋に移動された疑いがあることを調査に基づいて発表しまして、野間、児玉両議員がこれらの室の内部を見せるように求めましたが、労働省は、運び込んだのは十一月十一日、そして内容は労働者派遣事業法関係などの資料で、リクルートとは関係がないから封印をするということでありましたけれども、そもそも第一に、労働者派遣事業法は問題になっている職業安定法と同じ時期の法案で、これは非常に密接な関係がある。それから、十一月十一日というのは一体どういう日でありましょうか。十月一日にドゥ・ベストの資料が発表されまして、そこで加藤前労働次官の名前が出て、それで事実が認められるようになる。そしてこれが次第に問題になり、十一月二十一日には加藤氏の証人喚問が行われるということになっておりましたので、まさに十一月十一日というのは、この労働省をめぐる疑惑がずっと高まったさなかに大量に特に職安局関係資料がこういうところに移されたというのは、みずからやっていることが疑惑を招く、本当にこのリクルート問題の解明に協力する立場ならばそういう資料を動かさないはずであると思うわけであります。  さて、そこで労働大臣に伺いたいことは、少なくとも検察庁の捜索を受けたときにどうであったかということもありますけれども、東京地検が捜索に来たときに、労働省のこういう資料はあの港区の労働委員会会館の六階に移してありますということをはっきり述べられたのかどうか、伝えたのかどうか。このことに関して伺いたいと思います。
  114. 若林之矩

    ○若林政府委員 お答えいたします。  私ども、捜索を受けるに当たりまして提示すべき資料の内容をいただきまして、その資料について御提出を申し上げたところでございます。
  115. 工藤晃

    工藤(晃)委員 そうすると、法務省の刑事局長に一問だけ簡単に伺っておかなければならないわけでありますが、ともかく、我々の調査でいえばこの資料が運び込まれたのは一月、それから特に二月のあの鹿野元課長逮捕の直前であったというふうに我々はつかんでおりますけれども、それはさておきまして、東京地検が捜索に入るときに、労働省のこの資料が労働委員会会館にまで移されている、こういうことは承知だったのでしょうか。刑事局長に伺います。——いない、では法務大臣。いや、それは今の質問のあれで……。  委員長、では、そのことについて法務大臣、お答え願います。
  116. 高辻正己

    ○高辻国務大臣 私が立ちましたのは、御通告をいただいておりませんものですから刑事局長が実は来ておりませんで、その辺のことは法務大臣詳しいことは承知しておりません。あしからず御了承ください。
  117. 工藤晃

    工藤(晃)委員 もちろん、今の質問のいきさつから聞かざるを得なくなったわけなんです。それは、捜査に対して労働省がそういうことを伝えたとどうも見られない答弁をされたからであります。  そういうことで、この問題につきましては後でこれは確かめなければいけないのでありますが、総理に伺いたいことは、あのロッキード事件のときはロッキード問題閣僚連絡協議会を設置して、その中で、これは一九七六年二月十九日口頭了解ということでありますが、「真相の速やかな究明を当面の最大の課題とし、」「所要の措置を推進する」ということを決めております。リクルート問題についても真相の解明のために政府は最大の努力をすべきであり、およそ真相隠しと疑われるようなことはしてはならないと思うがどうか。それを各省に徹底するかどうか。そしてまた、総理自身その先頭に立つため、先ほども熟慮されていると言いますが、今問題の総理にかかわる三点セットを提出をいつやられるのか。この点について伺いたいと思います。
  118. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 いわゆる国会へ提出するとか、その判断は別といたしまして、まさに熟慮をいたしております。
  119. 工藤晃

    工藤(晃)委員 今その前に、ロッキード問題の閣僚連絡協議会を設置したときのように、先頭に立って各省庁に徹底して速やかな究明、そして最大の課題としても所要の措置を推進する、真相の究明、その先頭に立つ姿勢を改めてここでお示しになるかどうか、そのことを伺ったわけであります。もちろん、総理自身の今の熟慮ということについても、もっと具体的に述べていただきたいと思います。
  120. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 昭和五十一年の問題であったと思います。私は当時建設大臣をしておったことを想起いたしましたが、今日既に刑事事件としての捜査中の問題でございます。したがって、私がいつも申しております、第一番目に有価証券取引法上の問題、税法上の問題あるいは刑法上の問題、道義上の問題、こういうことに区分をいたしておりますが、それぞれ、刑事上の問題は、これは証取法上の問題も一緒になってきた傾向がございますけれども、これは適切な、厳正な調査が、対応が行われるであろうということを確信をいたしております。  主として今御指摘なすっております点については、今私が考えております問題は道義上の問題という点であろうと思っておりますが、これは今日、政府——私の私的諮問機関を設けておりますが、それらの意見を尊重するのはもとよりでありますが、私自身が対応すべき問題であるというふうに理解をしております。
  121. 工藤晃

    工藤(晃)委員 労働大臣に伺いますけれども、これが、万一リクルートの証拠隠滅ということが組織ぐるみでやられたということになれば、これは極めて重大な問題であります。それは同時に労働大臣の責任、総理の責任ということになってまいりますが、そういう重大な問題だけに、昨日労働省に対しまして、それならば内部のどういう資料があるのか公開すべきじゃないか、何で間際になって、捜索が始まる直前にそこへ持っていったのか、一体それは何か、それをはっきり公開してこそこの真相究明に、明らかになる、協力することになるけれども、これは労働大臣としてどうされるのか、これを公開されるのかどうか、その決意を述べていただきたいと思います。——大臣、大臣。
  122. 清水傳雄

    ○清水(傅)政府委員 十一月十一日に御指摘の倉庫に搬入をいたしたわけでございますが、これは昨年の十月に中労委と国労委とを統合いたしまして、その関係でスペースができ、労働本省が手狭になった関係で書類を搬入しただけのことでございまして、それがリクルート疑惑関係のある書類をそこへ隠滅を図ったというふうな御指摘というのは、どういう根拠に基づいて御指摘になっているのか、私どもといたしましては全く理解に苦しむところでございます。非常にそういった意味合いにおきまして迷惑をいたしておるところでございます。
  123. 工藤晃

    工藤(晃)委員 大臣答弁、大臣の答弁を下さい。大臣答弁
  124. 丹羽兵助

    ○丹羽国務大臣 お答えさせていただきます。  こうした重要な、重大なことで事実関係がはっきりしなくてはなりませんので、事務当局から申し上げたとおりでございます。私もこうしたことはなかったと信じております。
  125. 工藤晃

    工藤(晃)委員 それでは答弁になりませんし、実際それこそ労働省全体が大きな疑惑を受けているさなかにそういう書類をそういうところへ持っていくということになれば、しかも、関係としては職業安定法と関係のある労働者派遣事業法関係資料である、日はちょうど十一月十一日こういうころ、私たちの調査によれば一月、二月ということもありますが、そういうことをすれば当然一つの大きな疑惑になるから、これをみずからこういうものですよと言ってばっと示していく必要があるじゃありませんか。なぜその熱意を示されないのか。どうですか大臣、これは大臣、一言答弁をお願いします。
  126. 清水傳雄

    ○清水(傅)政府委員 移送した書類は特定労働者派遣事業届出書とかシルバー人材センターあるいは失業対策事業等の関係書類でございまして、届け出人等のその他の申請書類、いろいろな添付書類もついておるところでございまして、第三者に、先ほど申しましたようにどのような根拠か、私ども理解に苦しむ、そういう事情によりましてお示しをすることは適当でない、このように考えております。
  127. 工藤晃

    工藤(晃)委員 それは職安法と関係があるものなんです。それで、我々は調査の結果あるのですが、これは疑惑だと言っている。だから明らかにしろと言っているわけですが、この問題は引き続き追及しますが、もう一度リクルートの問題につきましては、先ほど来問題になっておりました中曽根総理記者会見をめぐりまして、例の日米首脳会談で三台目のスーパーコンピューターか四台目のスーパーコンピューターかということをめぐりまして、ここでもいろいろ問題になりました。それで、先ほど前中曽根総理が示された日本経済新聞の、私も見ましたけれども、あれを読めば三台目のスーパーコンピューターであり得ないということが書いてあって、それは既に三月に購入は決まったもので、したがって、これからどれだけ買うかというのが問題だということがあそこで出ているわけですから、それはあり得ないということが逆にわかるわけであります。  総理一つだけ、これまでの日米首脳会談に出席される立場から伺いたいわけでありますが、自分新聞に載っていたから知っていたが、大統領や閣僚は細かいことを知らないからこれを言ったんだと言いますが、あの日米首脳会談で、その事前にもヤイター氏などが来られまして、日本がいかにスーパーコンピューターをこれから買うかということが最大の問題になっていた。そして、これはなるほどアメリカの大統領は日本経済新聞は読まないでしょうけれども、当然アメリカのクレイ社などからどれだけ買ったかという報告を受けながら臨んでいるはずなのに、これから日本にもっとスーパーコンピューターを買え買えということが問題になっているそういう首脳会談で、アメリカの大統領がもう既にこういうものを買ったとかいうことは知らないということが考えられるでしょうか。非常に不思議に思うわけです。そのことにつきまして私は総理に一問伺いたいわけであります。
  128. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 当時の日米会談につきましては、これは外務大臣から種々お答えになっておるとおりであるというふうに私は内容を承知しております、個別問題そのものにつきましては。  全般的な首脳会談につきましては、これは具体的な問題を論ずることは率直に言って少ないとでも申しましょうか、私の経験からすれば、両国間のそういう基本的問題等についての意見交換というのが主体であります。ただ、どの程度それぞれの首脳が御存じかというのを私の立場から論評することは差し控えたいと思います。
  129. 工藤晃

    工藤(晃)委員 この問題につきましては、この前の中曽根総理記者会見というのはますますいろいろな問題で、中心になっておる問題で疑惑を大きくしたと判断せざるを得ません。今の問題でもそうであります。  したがいまして、我が党はかねてから証人喚問を要請しておりますが、私は委員長に対しまして、改めて私としても中曽根前首相を証人として喚問することを要請いたします。
  130. 大野明

    大野委員長 その点はもう既に何回も繰り返しておりますから、私ども理事会で整理もいたしておりますから、理事さんもおられるから、党内でお聞きいただければわかると思います。——オブザーバーでした。間違えました。
  131. 工藤晃

    工藤(晃)委員 消費税の問題について伺います。  まず独禁法の問題について伺うわけでありますけれども、消費税カルテルということで、今独禁法八条に基づく届け出のある事業者団体の数はどれだけで、消費税カルテルの届け出をすると予想される事業者団体の数はどれだけか、お答え願います。
  132. 糸田省吾

    ○糸田政府委員 昨日でございますけれども、二月二十八日現在で消費税に関しますカルテルの届け出があった件数を公表いたしましたところでございます。  それによりますと、これは事業者団体だけに限りませんけれども、事業者同士のカルテルも含めまして五百九十九件という数字になってございます。  今後どの程度のものが出てくるか、にわかに予想もつかないところではございますけれども、これまではどちらかといいますと割と早く検討が済んだようなところから出てきているように思いますけれども、今なお検討中の業界もたくさんあると思いますので、その数はかなりのものになるのではないか、かように考えておるところでございます。
  133. 工藤晃

    工藤(晃)委員 私は二月十日現在届け出の一覧表を見ましたけれども、転嫁方法のカルテルの届け出の中でアルミ圧延業、日本電線工業会などがありますが、これらは公取の資料によると大企業の集中度が高い業界ではありませんか。それなのになぜ一定の中小事業者に限定される転嫁カルテルの届け出が出されたのか。アルミ圧延とか電線業界です。どうしてですか。
  134. 梅澤節男

    ○梅澤(節)政府委員 この問題につきましては法案審議の段階でもお答えを申し上げたわけでございますけれども、まず、その制度の考え方でございます。  今回の転嫁カルテルは、価格形成力の弱い中小企業者の転嫁を円滑に行わせるというのが制度の目的であると理解しておるわけでございますけれども、業界によりましては、今、委員が御指摘になりました業界もあるいはそれに該当するのかもわかりません。中小企業と大企業が混在しておる、こういうところで、本来の目的は中小企業の価格転嫁力を補強するというのが目的でございますけれども、大企業をアウトサイダーとして置いておきますと、本来の中小企業の価格転嫁力の補強にならない。したがいまして、そういった業界につきましては、中小企業の転嫁が本来の目的ではございますけれども、その効果をより一層強からしめるために、一定数以下の大企業が含まれている場合においてはこれを共同行為として認める。  その場合にどの程度の大企業の数を目安に置くか、これは御承知のように、法律におきまして中小企業の数が三分の二以上ということになっております。これは現在の中団法で、典型的な中小企業の組合でございます商工組合が同じような考え方に立ちまして、そういった場合に大企業の数が一定数以下の場合は、全体として中小企業の保護をより効果的にあらしめるためにという過去に立法例がございまして、今回の法律でも、三分の二というのはその立法例に従って構成をされておるわけでございます。
  135. 工藤晃

    工藤(晃)委員 要するに、シェアで問題にしないで業者の数で問題にしているから、中小業者の数が三分の二ということですから、大企業がたった一%でもシェア八〇%、九〇%持っているという業界がどんどん入れるという仕組みでありますが、例えばアルミ圧延につきましても、圧延伸線製品五社で四七・五%、十社で七二・二%、こういうのが次々と入ってくるということに加えて、非常に問題なのは、公取の「「消費税の転嫁と独占禁止法」についての手引き」によりますと、「共同行為に参加した事業者間で、共同行為の実効を担保するために必要な合理的範囲内の制裁を課することをあわせて決定することができます。」ペナルティーを科すということができるということになりますと、例えば三%一斉に上げましょうというとき、お互いにもとの価格がこうだということを確認し合っておかないとそれはできないことになる。そうであるから、この転嫁カルテルというのは必ず価格カルテルと一体になっていくということになるし、例えば事業者団体、第八条のところに関しまして禁止事項の指針がありますが、この中で、事業者団体の中で価格の維持、引き上げに関する暗黙の了解、共通の意思が形成されれば価格制限行為であるという、例えばそういう指針が出ているけれども、今度この転嫁カルテルを認めると、事実上こういう意思形成をつくらざるを得ないということになれば、結局この価格カルテルも認められ、あるいは八条の事業者団体の禁止事項も全く開店休業になってしまうのじゃないでしょうか。この点についてはっきり答弁していただきたいと思います。
  136. 梅澤節男

    ○梅澤(節)政府委員 ただいま御指摘の点は我々若干見解を異にするわけでありまして、今回の特別のカルテルにつきましては、あくまでも本体価格はめいめい事業者が定めるもの、それをベースにいたしまして消費税相当額の分を上乗せするというふうに構成をされておるわけであります。  ただいま委員の御指摘では、そういったものは基本的にもともとの価格をそろえないとできないんだという御指摘でありますけれども、これは私、間違っておると思うのですね。今回の特別法のカルテルは、カルテルの類型といたしましては値上げカルテルでございます。もともとのベースになる価格はそれぞれの事業者ごとの価格でございまして、したがいまして、その値上げ率カルテルというものが法律で認められた枠内の話であります。したがいまして、このカルテルが機能すると必ず価格カルテルになってしまうというのは、私はそういうふうには考えるべきではなかろう。  もちろん今回そういったものについては、本来の独禁法で禁止をいたしておる違法カルテルであるというふうに立法構成をされておりますので、公正取引委員会といたしましては、せっかくできたカルテルでございますから、事業者には大いに活用していただくということはもちろんでありますけれども、あくまでもその法律に認められた範囲内で適正に運用されるように御指導も申し上げ、万一そういった事態が起こります場合には厳正な対処をしていくという考え方でございます。
  137. 工藤晃

    工藤(晃)委員 私は、何ももとの価格をそろえるとか言っていない。お互いに価格について、もとをどうだという互いのを了解するということも、これまでは事業者団体の禁止の指針の問題では、そういう価格形成についての意思のいろいろ交換とか、それも制限行為になるということになっていたわけなんです。  だから総理、今度の消費税問題というのは、この独占禁止法というのは経済で言えば経済の憲法みたいなものだとも言えると思いますけれども、今までは適用除外というと特定の業種業種でこうやってきたわけですが、今度は事実上すべての業種がこれに入れるようになってしまうわけですよ。したがいまして、独占禁止法の第一条とかあるいは第八条とかいう一番中心なところがそれこそ開店休業になってしまうということで、その意味で消費税が同時にそういう経済の大事な憲法にまで大きな穴をあけていくということが問題なんで、それで取り上げているわけであります。  次に、問題として地方公共料金の問題に移りたいと思います。  これは自治大臣に伺いますけれども、地方自治体の公共料金というのは、条例で決めるのは自治体の権限であります。しかし、昨年十二月三十日あるいは本年一月十三日、少し出したところは違いますが、財政局関係で内簡というものを出しまして、ともに消費税導入に伴う料金改定が四月一日から実施できるよう条例改正など所要の手続を進めることとしております。条例を決めるのは自治体の権限である以上、こういうのを何か強制するかのごとくやるのは間違っていると思いますが、一体どうなんですか。
  138. 津田正

    ○津田政府委員 御指摘の内簡でございますが、昨年の十二月三十日、消費税関係の法令等の公布がされました機会に、私どもとしまして、地方団体の予算編成その他の準備作業の便宜に資するため、内簡を送ったものでございます。  その趣旨は、まさしく地方団体におきましても財貨サービスの提供におきましては事業者、こういうような立場になっておるわけでございまして、税制改革法十一条にございますように「事業者は、消費税を円滑かつ適正に転嫁するものとする。」このような規定、あるいは環境の整備ということにつきまして地方団体も責務を持っておるわけでございますので、その趣旨の周知徹底を図ったものでございます。
  139. 工藤晃

    工藤(晃)委員 強制してはいけないと言っているわけです。どうですか。
  140. 坂野重信

    ○坂野国務大臣 今事務当局がお答えしましたように、強制しておるわけじゃございません。私どもは指導の立場でございますから、自治省という役所は地方公共団体の面倒を見る役所でございますから、法律ができた以上は、いろんな各団体で事情はありましょうけれども、法律に従ってひとつ各自治体ともぜひ協力していただきたい。  しかも四月から実行するというのは、転嫁するということについてはもう法律で決まっておりますし、しかも国も地方公共団体も環境づくりの責任があるということもうたわれておりますし、そういうことで私どもは事務的に東京都に対してかねがね、何とか四月一日から協力してもらいたいという指導を行っておるわけでございます。しかし、御案内のような事情で、政治的な背景もあって、東京都の事情は難航しておるようでございます。  私どもとしては、どこまでも指導の立場で、協力するものは協力してもらいたい。安易な、特に公営企業体が財源というようなものも考えないで名目だけで価格を下げて、そしてその上に転嫁をして、結果的に料金をいじらぬというようなことでいきますと、これはまことにぐあいの悪いことでございまして、本当に東京都も現実に恒久的な財源を持って、あるものについては本当に価格をはっきり下げて、その上で転嫁するということならば、例外的な措置としてはやむを得ない面もあるかと思いますけれども、そうじゃなくして安易にこういうことをやられますと、ほかの公共団体にも影響しかねませんし、また民間にも影響するということになってまいりますと、せっかくの法律、まあいろいろ法律については議論はあるところでございますけれども、法律ができた以上は、私どもは法律に従って公共団体においても協力していただきたいという立場で言っておるわけでございます。
  141. 工藤晃

    工藤(晃)委員 今、東京都のことを聞いていないのに出てきましたが、総理に伺いますけれども、東京都で公共料金の消費税転嫁による値上げ方針を地下鉄を除いて見合わせた。で、全国の自治体に広がっております。このことこそ、水にまでかける、公営住宅にまでかける、こういう消費税がいかに悪税で実行不能であるかということを実にはっきりあらわしていると思います。いいですか。  しかし、この問題につきまして自治大臣は、これは閣議に出された要旨でも、東京都のやり方は遺憾であると言われているのですね。しかし、あの経過を見ますと、例えば私もテレビで見ておりましたけれども、自民党の渡辺政調会長が鈴木都知事にお会いになりまして、ぜひ見合わしてくれということをやっている。渡辺政調会長がこの日知事を訪ね、直接配慮を求めたということであります。これは、政府と自民党の中で実行不能であるということから、政調会長を先頭にして、これは抑えろと言って回らざるを得ないほど、こういうひどい税だということがはっきりしたんじゃないですか。まさに実行不能の、やってはならない税金だということがはっきりしたんじゃありませんか。これは政府、それから総裁の、総理として一言どうでしょうか。
  142. 坂野重信

    ○坂野国務大臣 ちょっとお答えします。  政調会長は別に、結局転嫁が非常に重要であるから協力してもらいたい、それから企業努力も、それはできるものがあればというようなことを話しされたかどうかは知りませんけれども、企業努力問題とそしてこの価格の適正転嫁とは別問題でございますから、その辺のところはごちゃごちゃにしないようにということで、まさか私は政調会長はそういうことはおっしゃってないと思いますので、その辺はひとつ御了解いただきたいと思います。
  143. 工藤晃

    工藤(晃)委員 そんなことないですよ。まあ時間がたってしまいますから……。  しかし、これはもうはっきりしているんですよ。自民党の政調会長が行かれて、それでその日にこれが変わったわけであります。それはもうすべて報道されたことであります。ただ、理屈をつける上で、やれ合理化して少し下げるとかなんとか、そういうのが出てきただけにすぎないわけであります。本当に、これは自治体で、首都東京で実行できないということは極めて重大な事態なんですよ。まさにこれは悪税だということで、国民の総反対に遭っているということなんであります。  さて、そういうことで、今まで売上税と比べても消費税がいかにひどいかというので、例えば、売上税の場合は消費の四割、ところが今度は消費税の場合は九割かけるという、こういう問題が出てきているわけであります。まさに最低生活費にまでかけていく、これは憲法上の問題もあると考えざるを得ないわけでありますが、しかし、例えば我が党がこれまで主張してきたことで、日本では大企業や大資産家が金を余らして財テクばかりやっている、あの有価証券取引税を〇・一%上げる、今の、それこそ公社債の売買あるいは上場株式の売買、年間GNPの十倍近くなっている、それだけでも三兆円の財源が出て、それで三兆円の減税できるじゃないか。それなのにこういうものを〇・一%上げるようなことをしないで、本当に生存のための消費にまで三%かける、全く不合理な、やってはならないことじゃないか、こういうことを言ってまいりましたが、まさにそのことが今出ているわけであります。  しかし、それだけでなしに、私は一つ取り上げたいのは、今度の消費税というのは政治資金のあり方にも重大な障害になっている。というのは、売上税の場合は政党の機関紙にはかけないということになっていた。ところが消費税は、これは赤旗だけじゃありません、自由新報も社会新報も、公明新聞もあるいは週刊民社にもかけるという、こういう方向に向かっているわけであります。  しかし、この機関紙の収入というのは、政治資金としていつも届けられておりますね。政治資金の中の非常に重要な部分で、各党とも重視していると思うわけですね。それは何となれば、政党の政治活動で一番大事なのは言論であり、そして党の見解、政策を国民に知っていただく、それが機関紙の活動である。そうして、この機関紙の活動に対しまして収入が入ってくる、それを活動の費用にする、これは最も合理的なやり方、近代的なやり方でありますが、従来、政治資金というのはこれは税金がかからないことになってきたのですが、今度消費税をこういう形でかけるようになるとしますと、まさにこの政治資金の中の一番大事なところにかけるということになりまして、全くこれは重大な問題だと思います。これは大変不合理なことだと思いますが、これは大蔵大臣というよりか、総理答弁してください。
  144. 村山達雄

    村山国務大臣 御案内のように、今度の消費税というのは、これは最終的には消費者に負担してもらうものでございます。そして、今度の消費税は、法案にもありますように、およそ事業者であったらこれは課税いたしますということでございまして、国であろうとあるいは地方団体であろうと、すべてその例外ではございません。したがいまして、政治団体も、これは人格なき社団として法人とみなされますので、やはり事業としてやっておられればこれは当然かかるのでございます。その点が所得課税とは全く違う体系の上にできている、こういうことで御理解願いたいと思います。
  145. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 極めて正確に村山大蔵大臣からお答えがあったとおりでございます。
  146. 工藤晃

    工藤(晃)委員 私は政治資金のあり方としてこの問題を出しております。それで、先ほど国や地方自治体と言いましたが、国や地方自治体の一般会計の場合は、実際譲渡したそれにかかるものとそれから仕入れたものと同額とみなすといって、事実上これは免れている、そういうこともやっているわけであります。大体この政治資金というのは、これまで、消費者といいますけれども、例えば寄附という行為に対しても所得税で特例があるわけでしょう、収入の四分の一まではこれは所得控除になるというような。そういう扱いをしてきて、原則としてこの政治資金というのはかけないということでいきたい、そのかわり、政治資金規正法というのは非常に大事な法律でありまして、これが国民の監視のもとに置かれるようにする、公明正大に行われるようにする、こういうのが第一条、第二条の趣旨としてありますね。  そういうことからしますと、この機関紙活動の収入というのは、その政治資金規正法の趣旨からいっても今後もっともっと伸ばすべき方面であって、それにかけていく。これに反して、今、非難の的となっているパーティー方式の金集めの方について伺ってみますと、あれこれの理屈がついて、例えばパーティー券販売とサービス提供との相応関係がはっきりしないからこれは寄附じゃないか、だからかけないとか、あるいはパーティーというのは毎度何か主催者団体が変わって一回限りと、いろいろ理屈を出して、非難を浴びている方はかけようとしなくて、これから伸ばさなければいけない、本当に清潔な政治資金のあり方としてやらなければいけないそういう方向についてかけて、そうして政治資金のあり方も大きくゆがめる、そのことを私は指摘しているわけです。  ですから、村山大臣のその税制上の理屈はともかくとして、政治資金のあり方として、総現今いろいろお考えのようでありますから、総理の方から答弁をお願いしたいと思います。政治資金のあり方の問題です。
  147. 村山達雄

    村山国務大臣 政治団体である政党の所得にかけるということは、これはまさに所得課税の関係でありますから、これは課税しない。そうではなくて、今度は事業者はすべて転嫁してください。それで、課税、非課税というのは、重要であるから課税しないとかあるいは重要でないから課税するとか、そういうものとは原則的に違うわけでございます。ですから、米に対しても課税しているというのはそういうことでございます。それは、やはり消費税というものの持っておる性格からいたしまして、すべてこれは消費者が負担していただく。それは、だから一方において所得税なり法人税を大減税しているわけでございます。そういう税制改革全体としてその体系の仕組みを変えておるということ、その一環としての消費税の性格として位置づけられている、こういうことで御理解いただきたいと思います。  そして、今パーティーの問題でございますが、これは法律工事業者に該当しない、こういうことで外れるわけでございます。
  148. 工藤晃

    工藤(晃)委員 どうもそういう長い答弁で時間がいつまででもあれしますが、この問題は、私は政治資金のあり方として、政治資金規正法の書いてある目的からいって、今までかけないものをかけるようにする極めて重大な問題だ。それは消費者が負担するといったって、その中で寄附というのは国民寄附する、それに対して税制上のあれがあるわけですから。  そういうことを指摘して、消費税のもう少し先に進もうと思いますけれども、ここの委員会でも取り上げられましたが、大企業が下請取引先に対してアンケート攻勢をやっております。私の手元にコピーもありますが、東芝タンガロイ、島野工業、不二サッシ、かなり大手がやっております。  それで、島野工業についてちょっと見ますと、「別紙に御記入の上、二月三日まで必着て御返送ください」ということになっておりますが、その中に、年商売上高、島野工業への年商売上高、消費税の採用方式として、年商売り上げ三千万円以下の会社、免税業者になるか課税業者になるか、年商売り上げ三千万円を超え六千万円以下の会社、それは限界控除方式を採用するかしないか、簡易課税方式を採用するかしないか、それから年商売上高六千万円を超え五億円以下の会社、これは簡易課税方式、採用する、しない、こういうアンケートであります。  公取はこの問題について既に今注目しているということでありますけれども、はっきりしているのは、こういう調査を一斉にやり、その次には今度は価格交渉になることははっきりしているわけですね。まず、さっき言ったように、何月何日まで必着て返答をしてくださいというとき、もししなければ差別的な取り扱いをするおそれが当然あるわけであります。そういうことに対して一体今まで何をやってきたか、これからどうしようというのか。それからまた、今度は価格交渉で、消費税の仕組みから中小企業に生じるかもしれないいわゆるメリット分を大企業がむしり取ろうとしているということを、これは独禁法上あるいは下請法上許されないことだと思いますが、一体具体的にこれをどうするのですか。  現にこれは全国的にやられているのです。ただ、いろいろ注目しているとかということは聞いておりますが、もっと具体的に、どういうことをしたのか、これからしようとしているのか。
  149. 梅澤節男

    ○梅澤(節)政府委員 今御指摘のありました問題は、過日の委員会でもお答えを申し上げたとおりでございます。  先々週でございましたか、そういった事例が若干出てまいりましたので、早く手を打たなければならないということで、各地方事務所に厳達をいたしたわけであります。  考え方は、そういった照会が任意で、文字どおり任意で行われる限りにおいて、それ自体法律上の問題を議論するということはなかなか難しいわけでありますけれども、それが強制にわたる場合、例えば報告をしない人には今後取引をしないとか、あるいは課税事業者、あるいは簡易課税事業者、限界税率の事業者というような区分けをもって価格交渉で不当な買いたたきが行われる、そういうことに結びつく、そういった時点で厳正に対処をするということでございます。既に当委員会に寄せられました若干の事例につきましては、即刻親企業の方に手を打ちまして、全部撤回をしてもらっておるという事例もございます。  今後、四月一日以降なるべく早い機会に、これは中小企業庁とも連携をいたしまして、親事業者、下請事業者一斉の特別調査を予定をいたしておりますけれども、その際に、今問題になっておりますようなことも重要な点検項目としてきちんと対応をいたしてまいりたいと考えております。
  150. 工藤晃

    工藤(晃)委員 今のようなアンケート項目を見たら一目瞭然、次の価格交渉に生かすということはもうわかっているわけですから、そういうことをやること自体問題がないということは大変僕は態度が甘いと思います。したがいまして、私としては、もっと厳正に、これは全国的に行われたことでありますから、調査自体に対してもっと警告を厳しくするとか、そういうことをやらないとこれからどんどん進んでいってしまいます。これはやはり下請は立場が弱いからそうやられてしまうわけであります。  そういうことからいいまして、私も非常にこれは感じるのですが、今度の消費税というのは、実際上帳簿だとか簡易だとかいろいろあって、どこにメリットが出ると言うけれども、結局、こういう消費税の仕組みというのは、それを大企業の方が利用して吸い上げようとしていって、そこへ行ってしまう。そして、そういう仕組みがあるからかえって中小企業は苦しまなければならないというのが、こういう形でも私は出てきているのだと思いますね。  そこで、この問題との関連もありますので続いて伺いますけれども、中小企業にとっては、これは転嫁できない、大変苦しみになるという、そういう悪税でありますけれども、消費者にとっていいますと、こんなに消費者をばかにした税金はないと思うのですよ。さっき言ったように、独禁法を開店休業みたいにしてしまう。それから、大きな企業はカルテルをつくりますから、どんな値上げをするかわからない、非常にそういう不安が出てきます。  それからもう一つ。業者から買うわけでありますが、消費者の場合どういう業者から買うかわからないわけですね。五億円以上で、それで帳簿方式でやる。五億円から六千万円のこの間の業者で、この業者の場合ならば付加価値率が二〇%以上ならば簡易納税であるけれども、そうでない場合は採用しないかもしらぬ。それから、六千万から三千万といったら、これは非常に多岐にわたる。それから、三千万以下でもこれは納税業者になる業者も出てくる。こういうので、自分が買う相手の業者が、さっきの、大企業がアンケートをしなければならないほどわからない。そうして、一体これで公正な買い物をしているかどうかわからない。  こういう意味でいうと、まことにでたらめな税制であり、間接税であるけれども中小企業にとっていえば直接税のようでもあるし、また部分的にいえば補助金制度みたいなところも入ってくる、どうしようもないものだと思うのです。  そこで、私は総理に伺いたいわけですが、一月十三日、八九年度税制改正の自民党大綱、それから政府税調の答申をまとめた日に、山中自民党税調会長それから小倉政府税調会長の記者会見でありましたが、山中自民党税調会長は、簡易課税とか免税点への批判があると紹介しながら、実施の一定期間後手直しをする、こういうことを言っているわけであります。それから、小倉政府税調会長に至りましては、今度の消費税は木炭車だと言うのですね。それで、ベンツやロールスロイスのように直していかねばならぬ。  このように、まだ実施もされてないやさきから、今度のその案をつくられたこの二人が、欠陥だらけだということを言っておりますが、総理も同じお考えでしょうか。
  151. 村山達雄

    村山国務大臣 総理がお答えになる前に私から事務的なお話を申し上げます。  これは前回、売上税をやりましたときに、非常に反発を受けまして廃案になりました。そこで、党といたしましては四月ごろから業界の方にくまなく集まってもらって、それで売上税のどこが一番問題であったかということを聞いたわけでございますが、ほとんど異口同音に、事業者に対してこれは非常に事務負担になる、これがもう最大の問題だ、こういうことになりました。  そこで、事務負担を軽減するにはどうするかという問題からして、第一は、税額控除方式から帳簿方式にするということ。それから第二番目には、なれております所得税、法人税と課税期間を同一にするということ。それから単一税率でいくということ。それから非課税をできるだけ整理するということ。それから、特に中小企業者につきましては、計算とかいろいろな問題で手数がかかる、そうなるとやはり事務員を雇わなければいかぬとか、いろいろな問題があるわけでございますので、そこで考えましたのは、免税点の問題、簡易課税方式の問題、それから免税点を三千万円にいたしましたので、免税点のそこの境のところで激変緩和が必要であるということで限界控除制度を入れたということでございます。ですから、もしこれをやらないとすれば、三つの中小企業者のことをやらないとすれば、これはむしろ事務費が非常にかさんで、かえって価格を上げるのではなかろうか。もちろん、これらの問題について果たして消費者が受忍できないほどの問題であるかどうかということも多分に計算したわけでございますが、まあ、言ってみますと、免税点の問題につきましても全体で二・七%という取引金額でございますし、また限界控除の問題も約二割弱でございます。ですから、価格はやはり課税者の税込み価格で経済の原理として形成されるであろう、こういうことを考えましてやったのでございます。  それから第二点でございますが、小倉会長が言われたことはよく知っております。それで、我々はそれほど、今言ったような理由で考えておりますので、欠陥だとは考えていないで、初めからそういうものとして仕組んだのでございます。  ただ、いろいろな意見がございましたので、この前の臨時国会でも、協議の結果、修正条項を入れていることは御案内のとおりでございます。十七条第三項に、この消費税の仕組みが定着するのを待って、以上のような問題の状況を勘案して適切に処置する、こういうことを念のために入れさせていただいた、こういうことでございます。
  152. 工藤晃

    工藤(晃)委員 そんな長いあれをしなくて……。  それで、総理に端的に伺いますよ。小倉政府税調会長が、これは欠陥だらけだ、木炭車だ、まだ実施される前からそう言っている。これは山中さんも大体似たようなニュアンス。欠陥だらけのものをなぜ出したか。これは責任問題ですよ。  それからもう一つ重大な問題は、もう早くも欠陥だらけと言って宣伝しておいて、そうすると今度直すというと、今度はEC型の付加価値税に直していきましょう、これは策略じゃないですか。国民をだますことじゃないですか。こんなことは許されないと思うのですよ。だから、欠陥だらけだと言うならば、これはもうそれだけでもこの消費税はやめなければいけない、廃止しなければいけないと思いますが、これは——ちょっと待ってください、時間が、まだほかの問題があるわけですから、竹下総理の御答弁を願います。
  153. 村山達雄

    村山国務大臣 総理がお答えになる前に申し上げますが、政府の税調は六十三年の四月にいわば中間答申を出しております。このときに、帳簿方式であるかあるいは税額票方式であるかというのは両論併記にしておりまして、どちらがいいとも書いてないのでございます。そこで、党の税調の方で先ほど言ったようなプロセスを重ねまして、そして事務を簡単にするために、両論併記されておりますから、そのうち今のような方式を初めから選んだわけでございます。したがいまして、小倉先生、非常に立派な方でございます、この人がいろいろ批判されることは我々は聞かにゃいかぬわけでございますが、政府の税調としては両論併記なのでございます。このことをひとつ御理解願いたいと思います。
  154. 工藤晃

    工藤(晃)委員 総理答弁頼む。
  155. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 まず、売上税の反省の原点の上に立ちまして今度の税制が仕組まれた。そうして、その問題が税率の問題、免税点の問題、そうして限界控除制度の問題、あるいは簡易納税制度の問題、こういうことが最も現状においては適切であろうという判断のもとに両院を通過、成立させていただいた法律が、今まさに消費税部分につきましては四月一日から出発しようとしておるというところでございます。  木炭車という言葉がございましたが、欠陥車と木炭車はおのずから差異があるということはよく知っていただきたいと思います。
  156. 工藤晃

    工藤(晃)委員 木炭車は、すぐに動かなくなったのが木炭車なんで、覚えております。  さて、ともかく今度の消費税というのは、これは時間がなくてやれなくて残念なんでありますけれども、ともかくどこをとっても悪い税金である。しかも、独禁法の大事なところを崩していく、政治資金のあり方に対してもそうなっていく、地方自治に対しても悪い影響を与える。そして、しかもこの税金そのものが間接税やら直接税やら補助金やらわからぬようなことさえも持ち込んでくる。それが、ただ大企業だけがそのメリットを追求するような、そういうことをやられている。そういうところ、どこを見ましても絶対にこれは実行不能であり、やらせてはいけない。  現に、最近の世論調査を見ましても、読売新聞の世論調査に出ておりましたが、今度の税制改革は「賛成」「どちらかといえば賛成」が一六・五、「反対」「どちらかといえば反対」が七一・〇。国民がますます、実行が迫れば迫るほど反対ということはいよいよはっきりしてきているわけなんですよ。そして、まさに懸念でなしに実害だということが出てきたわけでありますから、我が党は、これを直ちにやめる、ただ中止するというだけではなしにやめることを要求して、次の問題に移ります。  さて、ふるさと創生の問題につきまして、私は具体的な問題を伺いたいと思います。  というのは、ふるさと創生といいまして、各地域の自主的な発展、それから家庭の団らんが大事だ。その限りでは大変いい言葉に伺われるわけですが、こんなに日本全体の景気がいいと言われているときに、企業城下町の各所でそれこそ地域経済の崩壊とか空洞化とかということが進んでいる。その一つの例として、私は岩手県の釜石の問題を取り上げていきたいと思います。  これは、さきに昨年五月十一日の商工委員会で私が質問したときに、通産省としては、これまでの新日鉄の釜石製鉄所が進めた合理化で、どんなに地域経済が衰退し、崩壊し、住民の不安が強まっているのか、そういう事情は大変よく知っているという答弁がありましたので、私はここで詳しくこれを繰り返すつもりはありませんけれども、最近も私は調査に行っております。  その幾つか気がついた点についてここで述べたいと思いますが、第一に、雇用に対する不安が非常に広がっているわけであります。かつて釜石製鉄所は八千人以上の従業員が働いていた。今が二千人。今度高炉を三月二十五日に休止すると言っておりますが、そうすると、線材をつくる工場だけで二百八十だけ。これは製鉄部門、もちろん新規事業とかいいますから、これにプラス数百名ということでありますが、こんなに減ってしまう。それから下請の関連企業というのは、これまで大体三千人以上の規模でありましたが、これも半減するであろう。そして、今既に、君はもう室蘭に行ってくれ、ただし室蘭は一年限りだよ、君はもうそろそろやめてくれ、そしてまた中には君津に行ってくれ、こういう振り分けをやって、非常に雇用不安が高まっているわけであります。この前まで会社は、自分の住宅を持ちなさい、住宅を建てた、そうしたら今度は君津に行かなければいけない。一体どうするか。家はそんな簡単に売れるものじゃありません。家族はばらばらになります。これがふるさと創生でありましょうか。そしてまた中小企業の場合、かなり大手の方でも、最近四十五歳の方がやめられて退職金がたった二百五十万円にすぎない。三十数時間残業して、何とか三百万円以上の収入があったのが、今度やめなければいけない、二百万円に落ちてしまう。そういうことで大変雇用の不安が出てきている。  二つ目の問題として、市全体の見通しとしても非常に暗い。これまでも釜石製鉄所の従業員が一人減ると市の人口が六人減るという進み方をしてきたわけであります。そして、かつて九万人以上いた人口が五万六千人になって、これからこのままでは五万人を割るのではないか、四万人台になるのではないか、こういうことになっているわけであります。  そこで、もう一つ大きな問題としまして、新日鉄のやり方に対して非常に厳しい批判があるということです。各界にあるわけであります。これは、新日鉄が一方的にこういう合理化を進めるというだけでなしに、地域に対して約束をしてきたことを絶えずうそをついてきた。例えば八四年の第三次合理化で高炉を一基残す、これはあと十年は残すと言ったのを平気で今度つぶしてしまう。あるいは今度の新しい合理化で、新規事業五百人実施してから高炉を取り除くと言ったけれども、まだ市議会での市当局の答弁からいってもそういうのは全然確保されていないのに、この計画だけはやろうとしている。だから、これまで市議会で、こういう新日鉄のやり方に対して、高炉休止の見直しを、再検討を含むことをやって雇用の責任をもっととるべきである、こういう厳しい決議も行われましたし、昨年は一万三千六百四十八名の署名も行われた、こういう状況にあるわけなんです。  そこで、私はこの問題で、今ふるさと創生というときに、こういう大企業の社会的責任というのを取り上げていかないと、ふるさとの問題を解決できないではないかということを中心に置いているのですが、一つ具体的な問題で通産大臣に伺いたいことがあります。  それは何かといいますと、あの第四次合理化計画を出したときに、大手五社がこれこれの理由があるからこの合理化をやらなければいけない、それで新日鉄は一万九千人を減らさなければいけないと言ったときの背景とか理由がもうなくなっているではありませんかということなんです。それはなぜかというと、当時、間もなく鉄鋼の生産が九千万トンになるだろう、そのうち八千万トンになるだろう。ところが、この問題に関していいますと、これは武田豊社長が昨年十月新聞で発言されているのを見ますと、戦後最高の七三年度と比べても鉄鋼の国内需要は上回っている、最高のときよりか上回っているということを言っております。わずか一年かそこらでこれはもう完全に変わってしまった。もう一つは、競争力が大問題である。韓国の浦項製鉄所は、賃金が五分の一、六分の一と安い。したがって、熱延コイルなどを比べるとコストが日本の方が大変高いんだということを言ってきましたけれども、最近の、ここに私持ってきましたが、野村総研の「財界観測」によりますと、もう既にこれは工場コストで、昨年上期で浦項を八四とすると日本は七八としてもう下回ってしまっている。そしてまた、この調査がどういうことを書いているかといいますと、これまで六社の実質経常利益を集めますと、八〇年度のピークを上回るだけでなしに、わずか三年間で、いいですか、わずか三年間で一兆六百七十一億円増益した、一兆円以上増益した。その六八%、七千二百五十五億円はコストダウンである。  こういうことを見ると、あのとき一万九千入減らさなければいけないといって出したその背景とかその理由というのは、全くもうないじゃありませんか。なぜこれ以上やるのか。特に釜石などでは、これは室蘭もあるでしょう、いろいろな地域があるでしょうけれども、大きな被害を与えるというのになぜこれ以上強行するのか。高炉の問題でも、君津などでは二基を三基にするようなことをやっている。もっとなぜ地域のことを気配りして協力していかないのか。この問題について通産大臣の答弁を伺いたいと思います。
  157. 畠山襄

    ○畠山政府委員 あの合理化計画ができましたころの前提がどうなっているかという御指摘でございますが、確かに生産数量につきましては、当時九千万トンぐらいかというふうに予測いたしましたものが八八暦年は一億トンを超えておる、三年ぶりに一億トンを超えた、こういうことになりました。しかしながら、例えば輸出の数量でございますけれども、輸出の数量は三割ダウンでございます。それから輸入は、二・五倍に当時から比べてふえておる。それからユーザー、自動車とかそういうユーザーが、業界があるわけでございますけれども、そういうのが委員御案内のとおり海外へ相当出ていっているというようなことで、基本的な構造は変わってないだろうというふうに考えるわけでございます。  それから、今コスト構造の御指摘もございましたけれども、御説明申し上げましたように輸入は二・五倍にふえておるというようなことでございますので、あの合理化計画は変える必要はないというふうに私どもも考えているわけでございます。  それで、地域の問題を御指摘でございましたけれども、地域につきましては、私どもも例えば海洋バイオの研究所を釜石に設置をいたしますとか、あるいは市当局におかれましても建設省さんの援助を得られながら駅前の再開発を進めておられるとか、あるいはグレーンセンターを誘致をする、この新日鉄の用地を使ってグレーンセンターを誘致するとかいろいろやっておりますので、鉄鋼という単品に依存する経済から脱皮をしようというこの釜石全体の努力を前向きに御評価いただけるとありがたいと思うわけでございます。
  158. 工藤晃

    工藤(晃)委員 今度は通産大臣に答弁をお願いします。いいですか。今みたいな答弁にしたってあれですよ。通産省というのは、結局大企業のやる合理化に対しては、地域にどんなにいろいろ悪い影響を与えてもそれはほっておくということになると思うわけでありますが、この釜石の問題ではもう一つ深刻な問題、土地の問題がありますね。  これまで平たん地の八割は釜石製鉄所が持っておりますし、海岸部も主要部、浜をみんな持っている。これは鉄鋼事業を拡張してきたわけでありますが、戦前は、それからまた戦争中は、実は製鉄業というのは土地収用権を持っていたわけであります。これは製鉄業奨励法、製鉄事業法、それから国家総動員法。鉄というのは公共性がある、これは軍需産業だからでしょう、そういう収用権があるから、住民はどんどん土地を提供せざるを得なかったのですよ。これは御存じだと思います。  そうして、中には国家総動員法で強制的に収用されたことに対して、松倉地区の収用問題では裁判が続きました。これに反対する。そうして実に十年以上も戦後裁判が続いて、和解ということになったこともありますけれども、私もそのとき裁判された野田さんからその資料を見せてもらいました。非常に貴重なんです。  つまり、戦前、戦中は鉄というのは公共性だ、ともかく用地を幾らでも広げていいんだというので、やむなく土地を提供してきた。それが今度、製鉄業をやらなくてもいつまででも持ち続けているというのは、大変これは不合理である。これは軍事基地を使わなくなったら返還ということがあって、市民に返すということになるのと全く同じだと思うのですよ。確かに、いろいろ何かやるとかやらないとか言っておりますけれども、少なくとも製鉄業で拡張した用地というのは、その遊休しているものは、こういう場合は市に返還すべきであると私は思います。これは何も釜石市に限っているわけではありません。製鉄業の場合、そういうことがあると思います。いかがでしょうか。
  159. 三塚博

    ○三塚国務大臣 先ほど消費税の問題で通告があるので、答える暇がなかったですから一言言いますけれども、ちゃんと適正転嫁ができるように全力を尽くしてやっておりまして、心配ないのですよ。それで、ただそういうアンケート調査等々ありますから、そういうのはきちっとやりまして、今挙げられた島野何がし、東芝、さようなことがあってはいかぬ、こういうことで、あと、一番消費税でチェーン店で反対している人がやったりしていますから、あなた、どういうことなの、こういうことでやっておりますから、その点は万全を期してまいりますものですから、御心配なく、よろしくお願いします。法律が成立いたしました以上は、法治国家でありますから、法律を守るために政府も全力を尽くしますが、政党各位におかれましても御協力を賜りますように、まずもってお願いを申し上げます。  ただいま、釜石の答弁でありますが、それじゃ逆からいきます。  遊休土地を云々と言いますが、我が国法制度の中で、その会社の所有権に相なりましたものを取り上げるわけにはまいりません。これは憲法で規定をいたしておりますものですから、憲法を守るということが我が国民の大事なところでありますから、さように取り進めてまいります。  また、鉄鋼業、新日鉄釜石製鉄の御指摘がございました。それぞれの地域におきまして鉄鋼業が重厚長大、鉄は国家なりとかつて言われた。今、鉄は国家とは思いません。軽薄短小という、価値観が大きく変わりました。軽薄短小と言うと余りいい言葉じゃないのでありますが、これが産業の中心になっておる今日にかんがみ、なおかつ重厚長大たる鉄鋼業も多彩な企業を展開していただきますように、こういうことでやられておるようでありまして、たまたま釜石製鉄所が溶鉱炉閉鎖に伴う問題が起きております。県、市にただいまその実態の調査をお願いいたしておりますから、その報告が来次第、政府といたしますれば不況地域振興策等を講ずる。特にふるさと創生、こういうところにこそふるさと創生のあの知恵を、ノーハウを発揮をいたしまして、ぜひとも地方と国が一体となりまして、地域住民のため、国民の幸せのために頑張り抜いてまいりたい。
  160. 工藤晃

    工藤(晃)委員 今の答弁は、絶対私は納得できません。なぜならば、こういう大企業の社会的責任というのはどうお考えなんでしょうか。新日鉄の場合、これはただ大企業というだけではなしに、今度はIISIの会長は新日鉄の社長ですよ。世界の鉄鋼業界のトップ、その代表、そして利益も最高いいですか、そうしてまた国に対してはどうかというと、国からの補助金もたっぷり、大体八〇年から通産関係で九十二億円ぐらいそういうのが入っていますよ。それから、今国が進めている大型プロジェクトというと、ほとんど大手の鉄鋼会社にとってマーケットになるでしょう。  それだけじゃない。私が一つ申し上げたいのは、この新日鉄の場合、これは政府の経済関係審議会などにいかに多くのポストを占めているのか。これはリクルートでも問題になったわけですが、挙げますよ。これは図書館に調べてもらいましたから確かな資料でありますが、経済審議会、産業構造審議会、農政審議会、国土開発幹線自動車道建設審議会、それから石炭鉱業審議会、電源開発調整審議会、輸出入取引審議会、運輸技術審議会、海洋開発審議会、それから技術士審議会、以上私が拾っただけでも十の審議会に、新日鉄の同じメンバーとは言いませんが、入っております。これほど大きな企業で、大きな利益を上げている、国政に対して注文をつけたり意見を反映するチャンスがこれほど与えられている、これ自体私は大変問題だと思いますよ。  こういうことがあってはいけないと思いますが、そういうことにありながら、一方、次々と地域は疲弊させられて雇用不安に陥っている。その地域の人々の声が国政の場に反映できないということですよ、今みたいに新日鉄の言い方を一方的にやったら。新日鉄の方は、これだけ幅広くいろいろな要求が反映できるような中にある。しかし、犠牲を受けている地域の人たちというのは全く国政に、私はその地域の人から聞いたことを言えば、そんなことはないと言って新日鉄の意見だけがここで発表されるということになれば、一体どうやって反映されるんだ。これで、どうしてこれがふるさと創生になるのか。一億円と言いますけれども、新日鉄が今度のように人をどんどん減らしていきますと、もうそれだけでも所得税が減る、大きな財政の穴があいてしまうわけですよ。大損害なんですよ。  そうしてまた、何か新規事業と言いますけれども、先ほどの市の答弁にもあるように、五百人なんて言っておりますが、まだそんなものはありませんというのが今の実情なんで、何年か先に何人かを雇用というのはまだまだ絵そらごとである段階でどんどん合理化だけをやっていく、そうして世界一の競争力になっていく。浦項よりかもつとコストが安くなって、韓国よりも賃金がこれだけ、五倍も六倍も高いという日本で、その工場コストをもっと安くしてそういうようなことをやっている。そういう企業に対して社会的責任というのを問わないでいいのですか。
  161. 三塚博

    ○三塚国務大臣 せっかくの御演説でありますけれども、決して政府として大企業だから云々などということは毛頭考えておりません。大企業でありますればありますほど社会的責任を果たしていただきたい、かように申し上げておるわけでございまして、ですから、お一人の失業者が出ましても、雇用保険等の活用により、また地域との連携により、このことをどうするか。さらに釜石市の計画、さらに県、さらに長い間釜石におられた新日鉄でございますから、その協議、協調の中で出ました案につきましては、通産省としてできるだけのことを取り組まさしていただきます、こういうことでありまして、工藤さんのお話を聞いておりますと、あなたの党の政策が、大企業は全部悪だ、企業悪だという前提に立たれておられるようでありますからさような議論に相なるようでありまして、そういう議論で消費税を論議されますと混乱が起きるのであります。中立に物を見て御展開をいただきますようにお願いを申し上げます。
  162. 工藤晃

    工藤(晃)委員 大企業は悪だなんてだれが言いましたか。大企業の社会的責任を果たせということを言っているわけであります。  最近、アメリカのワシントン・ポスト紙やABCのアメリカの世論調査を見ましても、日本の経済力の方がソ連の軍事力よりアメリカにとって脅威だ、日本企業に米国企業の買収を許すべきでない。つまり、アメリカでも日本企業が余りにもやり過ぎだということの非難を浴びているときに、国内でもこういう大企業に対する社会的な責任を負わせない。だから、そういうことがあるわけで、私は、こういう大企業は地域に対して社会的責任を負わせるルールを打ち立てるべきである、このことを申しまして、総理答弁を求めます。
  163. 竹下登

    ○竹下内閣総理大臣 まず、基本的な見解を異にする面がほとんどでございます。その点につきまして、私どもは、大筋流れたところ、既に両院を通過しました新しい税体系というのが国民の暮らしの中に溶け込んでいくように最大限の努力をいたしてまいります。  また、ふるさと創生の問題について、産業構造の転換の中にいろいろな事象が起こっております。それこそ、そこに住んでいらっしゃる皆様方の知恵を吸い上げながら、ふるさと創生に努めてまいります。
  164. 大野明

    大野委員長 これにて工藤君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして三案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  165. 大野明

    大野委員長 これより討論に入ります。  三案を一括して討論に付します。  討論の通告がありますので、順次これを許します。田名部匡省君。
  166. 田名部匡省

    ○田名部委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和六十三年度補正予算案三案に対し、賛成の討論を行うものであります。  本補正予算案は、歳入面において税収の増加分として三兆百六十億円を追加計上するほか、六十二年度剰余金二兆九千七百四十五億円を計上し、八千七百四十億円の公債金を減額するとともに、歳出面においては、災害復旧等事業費、給与改善費、貿易保険特別会計への繰り入れ、ふるさと創生事業の原資を含む地方交付税交付金等、特に緊要となった事項について所要の措置を講じようとするものであります。  歳出面のうち、中小企業等の事務負担の軽減及び合理化支援、消費税の円滑な転嫁を図るための中小企業及び繊維、石油業界への助成、さらには、老齢福祉年金受給者等への一万円の支給、在宅寝たきり老人等への五万円支給などの低所得者への福祉対策等、消費税導入円滑化対策として一千六百億円強の経費が計上されております。  また、政府は、昨年六月、牛肉・かんきつ等の輸入自由化を決定いたしました。このため、政府・自由民主党は、関係農家の不安感を払拭し、経営の維持と体質強化、さらには地域の活性化を図るための国内対策が必要であるとの一致した認識のもとに、本補正予算案において一千億円強の財政措置が図られました。このことは、牛肉・かんきつ生産が我が国農業の基幹をなすものであるとの政府の認識を具体化したものであるというべきであります。  本補正予算において八千七百億円余の公債金を減額した結果、六十三年度の公債依存度は、当初の一五・六%から一二・九%と大幅に引き下げられ、特例公債が発行された昭和五十年度補正以降では最も低い水準となったのであります。  特に、特例公債金は一兆三千八百億円減額されており、厚生保険特別会計への繰り入れ措置とあわせ、財政改革は着実に前進しておるのであります。  このように歳入歳出の両面にわたり、最近の経済・社会の変化に対応しつつ、財政体質の改善に努め、財政の健全化を図ろうとする政府の姿勢は高く評価されるべきものであります。  終わりに当たり、一言申し上げます。  今や、我が国経済は理想的とも言える景気の拡大を続けておりますが、最近の主要国における金利の動向やインフレ懸念など、なお不安材料がないわけではありません。私ども自由民主党は、政府と一体となって積極果敢に事に当たり、国民の負託にこたえるとの決意をここに改めて表明し、本補正予算案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)
  167. 大野明

    大野委員長 野坂浩賢君。
  168. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和六十三年度補正予算案に対し、反対の立場から討論を行います。  反対する第一の理由は、当初予算においては、防衛費などを突出させつつ、経費の一律削減、抑制を基本とした硬直的な予算編成を継続しておきながら、今回の補正予算によって、一般会計で五兆一千五百二十億円にも及ぶ大幅な増額が行われているのでありますが、これは余りにも先見性のない当初予算編成を象徴するものであり、また、この補正予算自体が全く展望のない大型補正となっていることであります。  昨年に続いて今年度も五兆円を超える大型の補正予算が編成されているため、この補正後の一般会計予算額は六十一兆八千五百十七億円と、現在審議されております来年度当初一般会計予算額六十兆四千百四十二億円をはるかに上回っているのであります。数字を見ただけでも、正常な予算編成が行われているとは到底言えないのであります。国民生活を顧みない硬直的な当初予算編成がそもそも矛盾だらけであり、一律的歳出抑制の制約から解放された大型補正予算も、当初予算とは違って政策判断の余地がふえるのでありますが、政府・与党や財政当局の思惑ばかりが先行し、国民生活の向上を目的としたものとはなっていないのであります。  反対の第二の理由は、当初予算をこれまでどおり財政再建目標を最優先させたものとすると同時に、政策判断のきく大型の補正予算を編成するため、当初予算においては意図的に租税収入の見積もりなどが抑えられているのではないかということであります。  昨年度から見積もりを異常なほど大幅に超える租税及び印紙収入があり、これが大型の補正予算編成を可能ならしめております。昨年度は決算で五兆六千三十九億円も当初見積もりを上回っており、当初は予定されていなかった年度内減税を加味すれば、七兆円以上の増収があったことになるのであります。今年度も本補正予算で三兆百六十億円増額されており、一兆三千億円の今年度の所得税減税、さらに税制改革関連法案の成立に伴う相続税等数千億円の年度内減税を考慮すれば、既に五兆円近くの増収が確実になっており、その上、今後決算までに補正をさらに二、三兆円上回ると予想されているのであります。見積もりを七兆円以上超える租税収入が継続するというのは、まさに見積もり違いとしか言いようがないのであります。経済実態の短期的で急激な変動を口実にできる環境に乏しく、租税収入の見積もりを意図的に操作していないとすれば、見積もり方法自体に大きな欠陥が存在していると言わなければならないのであります。  第三に、来る四月一日実施が予定されております消費税関連の対策経費が盛り込まれていることであります。  好調な税収を背景に一千六百億円余り計上することが可能になっておりますが、仮に大型補正ができないような状況になっていたとしたら、消費税に対する手当てをどのようにする考え方であったのでありましょうか。新税導入に当たって事前の準備が必要だとしても、来年度予算にかかわることは来年度予算で対処するのが本筋ではないでしょうか。ばらまき的で実効性が全く疑わしい消費税対策を優先させるよりも、国民合意が全く形成されていない、矛盾だらけで混乱必至の消費税の導入中止こそが求められているのであります。  以上が本補正予算案に対する反対の理由でありますが、最後に申し上げたいと思うのであります。  消費税の導入中止と財政運営の抜本的な改革を強く求めると同時に、今一番問題になっておることは政治の姿勢、政治のあり方についてであります。本予算審議において中心的な論点は、リクルートそのものであったのであります。政治不信が渦巻いておるこのリクルート疑惑解明こそが最も緊急かつ重要なことであります。私どもはこのようなことの立場から、中曽根総理を初めとする証人喚問を強く要求しておるところであります。総理の責任は極めて重大であるということを強調して、私の反対討論を終わります。(拍手)
  169. 大野明

    大野委員長 日笠勝之君。
  170. 日笠勝之

    ○日笠委員 私は、公明党・国民会議を代表して、昭和六十三年度補正予算三案について反対討論を行います。  反対する第一の理由は、消費税導入を前提として関連経費を計上している点であります。  政府は、ききの税制改革において、不公平税制の是正を中途半端にした上、税率の歯どめ問題等、いわゆる九つの懸念を未解消なまま強引に消費税を導入しようとしております。  消費税は、社会的に弱い立場の人々に大きな負担を押しつけるとともに、簡易課税制度、限界控除制度、免税業者制度などにより、消費税が一体どこに行くのかあいまいであるという欠陥を持ち、新たな不公平を招くことは必至であります。しかも、昨年末に成立、本年四月一日実施という世界にも類を見ない短期間での導入は、実務、執行面からも問題が噴出し、流通業界等を中心に大混乱に陥っております。リクルート事件はますますすそ野の広がりを見せ、国民の間には政治不信が充満しておりますが、消費税の強引な導入がこれに輪をかけていると言っても過言ではありません。  四月から消費税を導入しなければならない理由はどこにもありません。私は、消費税の導入については断固反対であることを強く主張いたします。国民の合意を得られる税制改革を行うためには、我々が提示した税制改革基本法をベースに、土地税制の適正化、引当金、準備金など租税特別措置の見直しなど不公平税制を徹底的に是正し、総合課税を実現すべきであります。  反対する第二の理由は、当初予算において成長率、税収を過小見積もりし、経済運営に枠をはめ、本来行われるべき施策が先送りされたことであります。  六十二年度において、当初予算に比べ七兆円の自然増収が発生したのに続いて、六十三年度においても五兆円という大幅の自然増収が見込まれております。成長率、税収の見積もりが的確に行われたとするならば、さらなる減税、そして福祉の充実や生活関連社会資本整備の計画も実行できたはずであります。税収の過小見積もりは消費税導入のために意図的に行われたものとも言え、極めて遺憾であります。  さらに、本補正予算案では、赤字国債一兆三千八百億円を減額修正し、国庫負担を繰り延べしております厚生保険特別会計へ一部返済はしておりますが、一般会計の負担の先送り、いわゆる隠れ借金については何ら具体策が講じられていないことは極めて遺憾であります。  最後に、防衛費の減額修正を十分に行っていない点であります。  GNP比一%枠撤廃による防衛費の増額、シーレーン、洋上防空への行動範囲の拡大、自衛隊の重装備化など時代の流れに逆行する防衛力増強路線は、専守防衛の枠組みを逸脱するばかりか、平和憲法の精神を空洞化させるものです。今世界の潮流は、INF全廃条約発効を初め、デタントの方向に向かいつつあります。我々は、防衛力増強政策の歯どめであり、我が国の平和政策の一つである防衛費のGNP比一%枠の突破は断じて容認できません。防衛費のGNP比一%をあくまでも堅持するよう強く要求するものであります。  以上、反対の主な理由を申し述べまして、昭和六十三年度補正予算案に対する私の反対討論を終わります。(拍手)
  171. 大野明

    大野委員長 玉置一弥君。
  172. 玉置一弥

    ○玉置委員 私は、民社党・民主連合を代表して、ただいま議題となっております昭和六十三年度補正予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。  その第一の理由は、貿易不均衡が解消されていないということであります。  続く円高の中で我が国の経済は、その苦境を克服し、順調な拡大が行われ、税収においても三兆円を上回る増収となり、政府の苦しい財政運営を大いに助ける結果となっております。  また、これに伴い、予定されていた公債発行のうち、一兆三千八百億円を発行しないで減額できたことは、喜ばしい限りであります。  六十二年、六十三年と続いた大幅所得減税による消費拡大、各企業の円高対策の努力とその成果、原油価格の低位安定、アメリカ経済の好況など要因はいろいろ言われておりますが、今日の緊急課題である対外貿易摩擦の解消にはつながっていないのであります。  一九八七年の一人当たりの国民総生産で見ると、我が国は一万九千五百四十七ドルと、西ドイツの九千八百七十九ドルを上回っておりますが、国民の生活感から、とても欧米を上回る豊かな生活をしているとは思えません。  公定歩合の引き下げなどによる金融緩和による金余り現象の影響で土地の高騰が続き、土地、住宅がますます国民にとって遠いものとなり、より大きな不満を募らせる結果となっております。  第二の理由は、消費税への対応に国民が納得していないことであります。  さきの臨時国会において、竹下内閣は、シャウプ勧告以来の抜本税制改革とうたっていた消費税関連六法案を、国民の理解と合意が得られないままに極めて短時間の審議を行っただけで強引に成立をさせてしまいました。  我が党は、消費税については反対の立場を明確にしながら、実施に当たっての法案の不備な点を指摘し、実施期間延長、価格転嫁義務規定の条文追加、見直し条文追加等の修正を実施させてきました。  今、国民は直前に迫った消費税の導入に混乱、不安の色を隠せません。  政府が法案審議を不十分にしたため、国民が消費税を十分に理解していないし、政府から消費税の説明をしている機会も少なく、法案が成立して実施されるまでの期間が極めて短いと思われます。国民に対し、もっと理解が得られるような時間と、きめ細かい対応が必要だと思われます。  第三の理由は、国内の農業に対し、長期的な構想と手順が示されず、輸出国の意向で国内農政が振り回されることであります。  昨年夏の牛肉・オレンジ問題に見られるように、我が国の農産物の消費に対し、諸外国からの輸入拡大と、国内消費者の価格引き下げの要求が大変強いものとなってきております。  一方で産業としての農業の自立が叫ばれておりますが、政府の農業に対する構想と手順は明確に示されず、海外からの強い要望があるとそのことに必死で対応していくようでは、我が国の農業を守っていくことが難しく、国内農産品の消費者ニーズにこたえることも難しくなっていきます。  昨年に続く大幅な補正予算となっておりますが、今述べました理由により再度反対の意思を表明し、討論を終わります。(拍手)
  173. 大野明

    大野委員長 岡崎万尋秀君。
  174. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、反対討論を行います。  我が党は、本年度当初予算が大軍拡、大増税、暮らし破壊の三悪予算であり、軍事費の大幅削減と福祉・教育予算の充実を初めとする抜本的な転換こそが国民の求めるところであることを指摘してきましたが、政府提出の補正予算案は、こうした国民の願いを踏みにじり、逆行するものであります。  以下、具体的に反対理由を述べます。  第一に、本補正予算案が、国民世論と公約を踏みにじって強行した消費税を国民に押しつけるためのものであることです。福祉一時金や寝たきりお年寄り家庭への一時金などという糊塗策は、消費税の害悪を何ら解消するものではありません。いわんや消費税のPRのために十六億円もの血税をつぎ込むなどもってのほかであります。三兆円以上の自然増収がある今、消費税による増税の必要は全くありません。重ねて消費税の廃止を要求するとともに、課税最低限の引き上げなどによる三兆円減税を要求するものです。  第二は、最大のむだ遣いである軍事費をさらに増額し、世界の流れと国民の願いに逆行していることです。我が国の軍拡はアメリカの軍事戦略を補完するものであり、日本の軍事費は世界第三位という軍事大国となっています。我が国政府自身が賛成してきた軍事費削減の国連決議に照らしても、軍事費の大幅削減は、政府の当然の責務であります。  第三に、本補正予算案の目玉とされているふるさと創生資金は、自治体の固有の財源である地方交付税の勝手な配分であります。政府の思惑による政策経費として地方自治体へ一律一億円をばらまき、これをもって、一兆数千億円に上る国庫負担金一律カットの恒久化を強行するなど断じて許されません。今なすべきことは、地方自治体に対する国庫負担の補助率をもとに戻すことであります。  第四に、本補正予算案に計上された貿易保険特別会計への九百億円もの追加繰り入れなど、大企業の海外進出を手助け、我が国経済の空洞化に一層拍車をかけるものとなっていることであります。  第五に、年金支給の五年繰り下げなど、年金制度大改悪の突破口にしようとしていることであります。本案では、隠れ借金と言われている厚生年金への国庫負担繰り延べの一部返済を盛り込んでいますが、大軍拡を進める一方で本来負担すべき国費支出を凍結してきた政府の責任こそ問われるべきであり、この一部返済を年金制度大改悪への地ならしとしようとするなど決して許されません。  第六に、農家つぶし推進予算であることです。農産物輸入自由化関連対策なるものの大半はミカン農家の廃園奨励金であり、これが日本農業と農家経営を守るものでないことは明らかであります。  日本共産党は、大軍拡、大企業奉仕の金権政治を抜本的に改め、消費税廃止、リクルート疑惑の徹底解明国民生活優先の政治実現のために全力を挙げて奮闘する決意を表明して、反対討論を終わります。(拍手)
  175. 大野明

    大野委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  176. 大野明

    大野委員長 これより採決に入ります。  昭和六十三年度一般会計補正予算(第1号)、昭和六十二年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和六十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  177. 大野明

    大野委員長 起立多数。よって、三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 大野明

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  179. 大野明

    大野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時七分散会