○
内閣総理大臣(
宇野宗佑君) まず、石田新委員長に対しまして、諸般の問題に御
質問を賜り、ありがとうございました。
最初に、私の
所信表明に
中国問題がなくて遺憾だという御指摘がございました。確かにそうであるかもしれませんが、その点は、先ほど各党の御意見にお答えいたしましたとおり、慎重な配慮が必要な時点でございましたので、御理解を賜りたいと思います。
もちろん、邦人が八千名以上いらっしゃるわけですから、速やかに用事のないお方は帰っていただきたい、このことを既に申し述べた次第でございますが、そのためには、やはり航空便、これを急増しなければなりません。六日は千名近くの邦人が無事帰国されました。七日、八日も定期便のほかに臨時便二便を運航する予定でございます。仰せのとおり、大切な問題は、
政府といたしまして努力をして、そして万遺憾なきを期したい、かように存じておる次第でございます。
したがいまして、
中国情勢と
日本政府の対応という問題に関しましては、私は、
中国の人民解放軍の銃先が同じ国の
国民に向けられたということは非常に遺憾なことである、これは申さなければなりません。そうしたことを憂慮いたしておりますが、一日も速やかなる平静化をお願いする、それが隣人としての
中国に対する心である、私はさように存じております。
その次に、一番最後にも、
解散のお話がございました。
何といたしましても、私は、
政治改革を最大の
重要課題とするということでこの
内閣を発足せしめましたので、そのことをまずやってのけたい、かように考えております。もちろん、
リクルート事件が
国民に大変な
政治不信を招き、また、そうしたために
政治空白が続いたということにつきましては、私
たちは
反省しなければならないと思います。したがいまして、そうした問題に関しましても、先ほど来るる申し述べましたとおり、私
たちといたしましては、もちろん行政あるいは立法あるいは各政党等におきましていろいろな
改革があろうかと思いますが、まず隗より始めよでございます。与党といたしましては、その点、
政治改革の対策、そうした本部等も設けまして、今後さらに強力にこの問題の推進に当たりたい、かように考えておる次第でございます。
次に、我々といたしましては、
政治改革において、役職を
辞職したり、
派閥を解消したり、いろいろな問題があるがどうだというお話がございました。
それぞれの
辞職問題に関しましては、先ほど、これは
議員並びに
選挙区の問題であろう、いかに
総理・総裁といいましても、これをしなさいというふうなことはどうであろうかと私は思います。したがいまして、
政治倫理綱領にもありまするとおり、それはそれぞれの
議員の道義的
責任によって
自分で御判断賜りたい、こうしたことを私としてはお勧め申し上げたいと思います。
なお、
派閥解消という問題も
提案されました。いずれの社会にも
派閥はございましょう。しかしながら、
派閥が存するがゆえにいろいろな弊害が出たという御指摘も私
たちは一応うべなわなくてはならない、かように考えております。したがいまして、私も各閣僚も、また党四役も
派閥を離脱いたしました。そして将来、
派閥解消に向けましていろいろと党内の検討を進めていかなければなりません。確かに、我々といたしましては、そのためには
選挙法との
関係も重大でございます。だから、
選挙法の
改革等々も詰めまして、同時にこの問題は並行して相互が検討しなければならない問題である、私はかように考えております。
次に、四閣僚のリ社の献金問題があるがそれはどうなっておるかというお話でございます。
もちろん、
リクルート問題に端を発しまして、そして新しい
内閣が誕生したわけでございますから、
リクルートに一応
関係があるかないか、これは閣僚人選に当たりましての一番大切な問題でございました。私は次のように考えました。
それは、前
内閣のときにも、また党本部におきましても、一応
リクルート事件が発覚した時点以大臣の
演説に対する石田幸四郎君の
質疑降なおかつ献金あるいは
パーティー券等を買ってもらうがごときは、まさに
政治家としての倫理にもとる、だからこの人は当然対象としない。しかし、それ以前のにとについてはいろいろ問題が承る。例えばいろいろな言論機関におきましても、
リクルート社から広告をもらっていらっしゃいます。しかしながら、この事件が発覚した後は、いろいろな言論機関も、もうあの会社の広告は掲載しません、こういうふうなきっぱりした
態度をとられました。
それと同じように、我々といたしましても、発覚後と発覚前を一応考えました。しかし、発覚前といえ
ども多額の献金を受けておられては大変だ。多額の献金を受けておられては大変だ。また、その献金が職務に
関係するようなことがあっては大変だ。どういうふうに、私はきちっと幾つものことを考えまして、そして、私が望む人を望む閣僚のポストにつけたい、しかしその場合に、あなたは今私の申し上げたようなことに関して、もしあらば自己申告してください、言うならぼ。自主申告してください。そうしたことで、あの記者会見のときに自主申告をされたわけであります。もちろん私に対しましても、かくかくしかじかで発覚以前にこのような献金を受けております、これは職務にも
関係ありません、また多額の問題でもありません、こういうことでございますから、私は、そうしたことを一つのいわば閣僚選考の
基準といたしまして選考いたした次第でございます。その点も御理解賜りたいと存じます。
その次に、伊東前
総務会長の
けじめ論を受けた、そして、やらないかというお話でございます。
伊東
総務会長は、
自分の
責任上いろいろなすげらしい御提言をなさっておられます。我々は、党員の先輩といたしまして十分
総務会長のそうしかお考え方をも拝聴しながら、今後のいろいろな対策に当たっていきたいと思う次第でございます。
その次に、
リクルートコスモス社の未公開株の譲渡等により
資金提供を受けた
政治家の
政治的着義的
責任はどうか、こういうものでございますが、既に
最高指導者として
竹下前
総理がみずから
責任をとって退陣され、また、
中曽根元
総理も学籍を離脱されましたことは大いに評価しなけれげなりません。しかし、
リクルート問題に関する
議員は、司法上の
責任の有無にかかわりなく、
議員としての名誉を重んじ、良識に基づいてみずから対処してほしい、これが私の
気持ちでございます。
〔副
議長退席、
議長着席〕
また、具体的には、
リクルートコスモス株の
公開直前に取得した未公開株の
売却利益の還元でございますが、これはただいま
自民党本部において受け取っております。また、
該当議員の
一定期間の
自民党役職等の
辞任、これも我々といたしましては
実施いたしております。そして、このような事件が二度と起こらないように、私
たちは先ほど来具体的に申し述べてまいりました
政治の
改革をいたしたい、これが私
たちの
使命であると考えておる次第でございます。
なおかつ、
リクルート事件捜査の全容
報告、そうしたことはしないのかというお話でございます。
国会の国政調査権に対しては、法令の許す範囲内でできる限りの協力をしなければならない、かように私は
承知いたしております。したがいまして、
国会から
報告の要請がありました場合に、その時点でその対応を検討する所存でございます。
企業献金の
禁止と総量規制、こうした御意見もございました。
企業献金、また
団体からの
政治献金、これを
禁止しなさい、そして個人献金に限れ、こういうような御
提案でございます。
今のところ、我々といたしましては、
企業などの
団体も一つの社会的存在である、それらが行う
政治資金の寄附がよくないと決めてかかるのはいかがかと思料いたします。
政治資金のあり方につきましても、金のかからない
政治の実現を目指しながら、
選挙制度との関連、政党の役割等も考慮しながら、
政治改革全般の中で検討しなければならない、かように考えております。
政治団体の数の制限でございますが、数の問題につきましては、
政治家のよって立つ基盤が異なります。衆議院と
参議院、
参議院におきましても、
全国区、いわゆる比例代表区制、
政治活動もさまざまでございますから、結社の自由という
関係があるため、今回
自民党では、この問題に対する現実的な対応といたしまして、
政治家の
関係政治団体の公表措置、これを講ずることといたしておる、このように
承知いたしております。こうしたことも早急にやっていかなければならないと思います。
なお、
政治活動に関する寄附の
公開基準の引き下げや
パーティー収支の公開、これなんかもやはり改正案としてもう既に出しております。出しておりますから、ぜひともこの審議をお進め賜りたいと私は思います。
政治資金パーティーに関しましても、
批判の中心は行き過ぎだということにあると思いますので、今回の
自民党が既に
国会に出しております改正案は、
パーティーの収支を明確化すること、大口の
パーティー券購入の規制、多額購入者の公表などを行うものでございまして、総量規制の骨抜きあるいは
企業献金の奨励、そのような指摘は当たらないと思っております。
次に、
政治資金規正法等の罰則
強化でございますが、
政治資金規正法違反に関する連座制についての御指摘でございます。
法律違反を犯した者以外の者に刑事
責任を問うことにつきましては、慎重な検討が必要であろうと思います。
選挙区内での
冠婚葬祭等に関する寄附に関しましては、罰則をもって寄附
禁止の徹底を図るために、
自民党におきましては、公職
選挙法の一部改正
法案を今さっきも申しましたとおり
国会に提出いたしております。この罰則が適用されますと、公民権停止でございます。このような厳しいものを出しておりますから、ぜひとも審議を促進願いたい、かように私は前から申し上げておるのであります。
政治倫理法の制定、全
国会議員の
資産公開、こういう問題の義務づけ、これに関しまして、かつて衆参両院におきまして
政治倫理綱領の遵守が
政治家としての資格の第一義であると示されておることは
承知いたしております。
自民党は、
政治改革大綱で、さきに両院で決めていただきました行為規範、その
内容を充実するとともに、両院に置かれております
政治倫理審査会、その審査会の機能が十二分に発揮する所要の改正を行いたい、このように思っておりまするし、また、
資産公開に関しましても、すべての
国会議員に広げ、毎年
資産及び
所得報告を義務づける
資産公開に関する
法律を制定することといたしております。私も、早急にこれらが
国会で審議され、実現することを心から期待するものでございます。
衆議院の定数改正、総定数に関しまして申し上げます。
衆議院
議員の定数是正問題に関しましては、事柄の性格上、衆議院の本
会議の決議が六十一年五月二十一日になされております。これを踏まえまして、各党間で十分議論していただくことが私は重要であろうと思います。衆議院
議員の総定数のあり方につきましても当然真剣に検討さるべきであろうと考えております。
政府といたしましても、
国会初め各方面の論議を踏まえるように努力をいたしたいと存じます。
政治改革の具体案づくりは公正な第三者機関で行うべきではないか、こういうふうな御提言でございます。
これに関しましても、既に党におきましては、公正、公明な
政治の実現と
選挙制度の
改革を柱とした
政治改革大綱の実行を決定しまして、諸
改革を、来年、
国会開設百年に当たりますから、明年十一月までを目途に実現、このために、党に
政治改革推進本部を置きます。そして、重厚なる強力なるスタッフを配置いたしまして、各界各層の意見を十分に聞いて、全党一丸となって
改革の実現を図りたいと思います。
選挙区制の抜本
改革は、権威のある専門家による
政府の第三者機関に諮問いたしております。これは
国会のことですから、我々行
政府が介入するわけでございませんが、
国会改革につきましては、与
野党の合意を得て両院
議長が諮問する第三者機関の設置を検討してはどうか、このように思っております。
以上の
改革により、二十一世紀に向けましての自由と民主主義に基づく
議会制民主主義の確立に資したいと思います。
今、党はどこかとおっしゃいましたが、推進本部を設けるのは当然与党でございます。そこまで与党はやっておるというお話を申し上げたわけであります。(
拍手)
立法府にオンブズマン制度の
導入を図るべきだというお話がございます。
オンブズマン制度に関しましては、臨調、行革審の答申におきまして、既存の行政監視、救済制度との連携の上に立って、既存の制度では十分になし得ない役割を担当する制度の
導入の検討、これが指摘されております。言うならばそれがよく言われますオンブズマン制度だと思います。
政府といたしましても、その検討方について閣議決定を行っておりまするし、現在、既存苦情救済制度との
関係等諸種の問題について具体的に研究をしたい、かように思っております。
消費税の撤廃そして自然増収、この問題でございますが、これも各党のいろいろな御
質問にお答えいたしましたが、改めてお答え申し上げますと、この種の税は
我が国になじみの薄い税であるため、
消費者や事業者が戸惑いや不安を感じておられることは事実である。また、前
総理がいわゆる九つの懸念について申されました。この御見解にもあるように、総じてみれば現時点までに大方の御理解が得られたのではないかと思われる反面、なお引き続き努力を要する面があることも事実でございます。
したがいまして、
政府といたしましては、私の
所信表明でも明らかにいたしましたとおり、
消費者の方は
消費者の声、事業者は事業者の声いろいろな声がございます。そうした声に謙虚に私は耳を傾けなければならないと思っておる。そして、
便乗値上げの防止や円滑かつ適正な転嫁の実現への取り組みを初めとして、
消費税が
国民生活に定着するよう、幅広い視野に立って各般の努力を行っていく所存であります。だから、これは将来に向けての
高齢化社会のための、あるいは国際化
日本のための重要な基盤でございますので、撤廃する考えはございません。
並びに、先ほど申し上げましたとおり、そうした
国民の声に耳を傾けまして、直すべき点は十二分に考えなければならない。だから、既に
大蔵省に命じまして、この問題に関しましても、早速作業を始めるよう、勉強を始めるようと、私は指令を発したところでございます。
税収見積もりに関しましては、六十三年度の年度を通した税収見込みでは、収納状況等を見る限りある程度の自然増収が期待できる、このように思われます。それは、ただいま委員長が申されたとおりでございます。しかしながら、ある程度の自然増収が期待できるけれ
ども、三月期決算法人の申告が判明していない現在では確たることは言いがたい、このように申し上げておきたいと思います。
さらに、公明党が
提案される、税制
改革基本法を制定し税制
改革をやり直せという御
提案でございます。
今次の税制
改革の基本的理念、手順等につきましては、税制
改革法に既にしてそのことが明らかにされております。また、税調におきましても、二十五回の地方公聴会を含む精力的な審議を得ておりまするし、また、昨年四月には税制
改革についての中間答申、六月には税制
改革についての答申が取りまとめられ、昨年の十二月に成立したような次第でございます。
政府は、新税制の円滑な
実施を図るために、
内閣に新税制
実施円滑化推進本部、これを置いて、
関係行政機関相互の緊密な連絡をただいま確保して、
国民の御理解を深めていきたい、かようにやっております。そうしたことがございますので、そうした点からも御理解賜りたいと思います。
次に、住宅
政策でございますが、おっしゃるとおり大切な問題でございます。したがいまして、都市
環境等に配慮しつつ住宅需要等に適切に対処するためには、土地の適正な有効高度利用を図ることは必要でございます。そのために、再開発の計画的な
実施、さらに土地利用計画を
内容とする地区計画等の積極的活用、これらは十二分に私
たちといたしましても進めていかなければなりません。
さらに、住宅基本法につきましては、住宅
政策の目標、国等の責務、住居費負担の取り扱い、これらに関しまして
国民及び各政党間のコンセンサスがまだできておりません。何とぞこういう面におきましても、やはり
国会といたしまして与
野党を超越していろいろとコンセンサスを得るよう努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
政府といたしましては、
国民の居住水準の向上のために、住宅
建設計画法に基づきまして住宅
建設五カ年計画を策定、その達成に努力をいたしております。
住宅問題のその根源は地価にあり、また土地にあり、そういうようなことでございました。
我々といたしましても、先ほ
ども申し述べましたが、監視区域制度の機動的運用を図って、不動産業者やあるいは金融機関がむやみやたらといろいろな面で節度のない融資等々があってはいけないから、それらの指導を十二分に継続していくことと、税制上の措置の対策を講じてまいりました。今後とも、引き続き
政府一体となりまして、総合土地対策要綱に基づきまして監視区域制度の積極的な活用をいたしたいと思います。また、諸機能の地方分散あるいは住宅宅地、これらを供給を促進することにいたしまして、地価の安定に全力を挙げていかなければならない、かように考えております。
また、地価問題の対応策としての土地基本法の制定、これに関しましては、今
国会に土地基本法を提出いたしております。これらによりまして、ぜひとも御趣旨に沿いたいと思っておりまするので、よろしく御審議のほどをお願いを申し上げます。また、投機的土地取引の抑制等を図るために、国土利用計画法の一部を改正する
法律案をこれまた今
国会に提出いたしております。両
法案とも
どもに、大切な
法案でございますので、ぜひとも成立いたしますように御協力をお願いを申し上げます。
また、通勤混雑の解消をどうするのか。確かに都心へ乗り入れる鉄道は依然として混雑状態にございます。複々線化をするとか、あるいは常磐線のごとく
建設をするとか、そういうふうな積極的な問題も既にいろいろと議論されております。そうしたことで我々は、所要の助成措置等を講ずることにおいて、今後とも通勤混雑解消策の一環としての鉄道網に関しましては格段の努力をしていきたい、かように考えております。
労働時間の短縮に関しまして、昭和六十三年四月の改正労働
基準法の施行後、労働時間は着実に減少いたしてまいりました。
政府の経済計画が目標といたしておりますのは、年間総実労働時間千八百時間程度に向けてできるだけ短縮するよう、そのために、完全週休二日制の普及促進を基本に、労使の自主的努力に対する指導、
援助、
国民的コンセンサスの形成などに
政府は全力を傾注いたしたいと思います。
高齢者雇用対策も同様でございまして、長寿社会雇用ビジョンの策定等を通じまして、労使の社会的合意を図りながら、高年齢者の雇用機会の確保に努めてまいる所存でございます。
女子労働者対策につきましても、既に男女雇用機会均等法が制定されております。この定着に我々は努力をしなければなりません。育児休業制度に関しましても、一層の普及促進に努める所存でございます。パートタイム労働対策につきましては、雇用保険の適用拡大、労働条件の改善等のための対策を総合的に推進いたしたいと考えております。
また、老人介護問題に関しましては、
高齢化社会で大切な問題でございますから、寝たきり老人等の介護の問題に関しましては、家庭奉仕員の派遣事業、在宅老人短期保護事業、デイサービス事業を大幅に緊急整備いたしたいと思いますし、家庭での介護が困難なる方につきましては、施設において適切なサービスが与えられるように考えたいと思います。そのために、特別養護老人ホームや老人保健施設の拡充をあわせて進めることが肝要と存じます。
その次は、「
世界に貢献する
日本」。石田委員長は、これに関しまして、まず平和であるということを明確化せよとおっしゃいました。また、経済重視主義であってはいけない、こういうような御指摘もございました。
私も同感でございます。やはり、戦後大きくなりました
日本には、今日に至るまで、諸外国の資源提供やあるいは友情、協力等によりまして私
たちは今日の経済繁栄を得るに至ったのでございますから、謙虚な
気持ちにおいて
世界に御奉仕申し上げなければならない、これが今日の
日本の一番大切な面であろうと私は考えております。そのためには、平和のための協力、ODAの拡充、国際文化交流の
強化、この三本柱が国際的に大切なことは論をまちません。
続いて、核
軍縮等の呼びかけでございます。去る1月にパリで化学兵器
禁止国際
会議が開かれました。そして四月に京都で国連
軍縮京都
会議が開かれました。私はそれぞれの
会議に出席いたしまして、今問題なのはやはり
軍縮である。核については究極的に廃絶である。また、軍備というものは、たとえそれが一つの戦争に対する制御であり、バランスをとることも必要であろう。しかしながら、それらは低レベルでも達成可能である。高レベルをやめて低レベルにすべきである。これが
日本の主張でございます。そうした主張を申し述べてまいったわけでございます。
では、
日本の防衛費やいかん、こういう御指摘もございました。
現在、我々といたしましては、既に御
承知のとおり十八兆四千億という総額明示方式がございます。これによりましてきちっと歯どめをかけまして、その中期防を推進して防衛大綱の水準に達するよう節度のある防衛費の編成に努めておる、このこともひとつ御理解賜りたいと思います。
そして、経済
大国日本は軍事大国にならず、ましてや他国に軍事的な脅威を与える国にはならない、こういう
決意を私
たちといたしましても再度明らかにいたしておきたいと存じます。
ODAの予算の拡大に関しましてでございますが、先ほ
ども日米間における貿易問題が一応議論の対象となりました。昨年は輸入が百億ドルふえて黒字が五十億ドル減ったということを私は申し上げましたが、ことしはやや輸出が増大ぎみである。これは大変なことであります。インバランスの問題が当然出てまいります。
したがいまして、私
たちは、黒字というものは貿易面でもいろいろ考えなければならないが、私
たちはその黒字を
世界に還元いたしておりますよ、それはすなわちODAである、
政府直接
援助である、こういうふうに心得まして、ことしはODAの額をふやすことに努力をいたしました。したがいまして、前年度の六・五%を上回る率で本年度のODAは七・八%の伸びを確保したということも、言うならば、私
たちが謙虚に
世界の国々に対しまして
日本のあり方をそうした面できちっと理解をしていただくための措置であった、このようにひとつ御理解を賜りたいと思います。(
拍手)
なおかつ、
参議院にひとつODA対策の
常任委員会を設置してそれの先議をしてはどうかという御
提案でございますが、これは立法府たる
国会の運営の問題であると考えておりますので、その点も御理解賜りたいと思います。
また、地球規模の
環境保全、これは経済偏重であってはいけない、平和と友情をもっと明らかにせよという委員長の御指摘で、私はもうもっと本なことであると考えております。
特に
環境問題は大変でございまして、
人類共通の問題でございます。フロンガスによりましてオゾン層が破壊される、大丈夫か、炭酸ガスが充満して、そしてやがては地球は熱帯化して温暖化していく、大丈夫か、これはもうどの
会議でもいろいろと議論されております。したがいまして、
サミットでもこの問題が出てくるでございましょう。当然、我々は九月に東京でこの
環境会議も開きたいと思っております。そうしたときに、
日本といたしまして平和に貢献する具体策として、二国間の問題に関しましても協力をし、あるいは国連の機関を通じましての
環境問題の大いなる協力もいたしたい、これが
政府の考え方でございます。
最後に、
サミットについての基本
姿勢に関しましてお尋ねがございました。
七月の十四日、十五日、十六日と、パリにおいて三日間
サミットが開かれます。これは当然
世界の平和と安全に貢献をしようというのでずっと開かれてまいりました先進諸国の
会議でございまして、
世界の注視を浴びております。それだけに私
たちは、やはりいろいろな問題で
世界に貢献をしなければならないというので、出席者は大変な意気込みを持って出席しております。そして、西側先進民主主義諸国間の連帯と協調を一層図っていこうではないか、こういうふうに出席者は常に考えて議論をいたしております。
我々といたしましても、
世界的な協調
路線というものが必要である、それは東西の対立においても、その対立が対話になるように私
たちは努力をしなくちゃいかぬ、各地域の紛争、これが平和に解決されるよう私
たちは努力しなければいかぬ、そういう多くの問題も抱えておりますので、鋭意、
日本といたしましても
世界の平和に貢献するという立場におきまして努力をいたしたい、かように思っております。
以上でございます。(
拍手)
――――◇―――――
常任委員長辞任の件