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1989-02-14 第114回国会 衆議院 本会議 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年二月十四日(火曜日)     —————————————  議事日程 第五号   平成元年二月十四日     午後二時開議  一 国務大臣演説に対する質疑(前会の続)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  国務大臣演説に対する質疑  (前会の続)  議員請暇の件  細谷治嘉君の故議員山崎平八郎君に対する追悼   演説     午後二時二分開議
  2. 原健三郎

    議長原健三郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  国務大臣演説に対する質疑  (前会の続)
  3. 原健三郎

    議長原健三郎君) これより国務大臣演説に対する質疑を継続いたします。塚本三郎君。     〔塚本三郎君登壇〕
  4. 塚本三郎

    塚本三郎君 私は、民社党民主連合を代表して、竹下総理施政方針演説に対して質問をいたします。  質問に先立ちまして、まず、国民統合の象徴として私どもが敬慕してやまなかった昭和天皇の崩御を悼み、みたまの平らかならんことを衷心よりお祈り申し上げます。  私は、二十二日に開かれる民社党大会において党委員長立候補しないことを表明いたしました。理由は、リクルートコスモス社株取得に対し、秘書を通じてのこととはいえ、私がかかわったことであります。昨年の夏以来リクルート疑惑が日とともに高まり、私の名前も報道され、それが政治不信をかき立てられる結果を招き、その疑惑渦中の一人になったことに対して、国民の皆様及び党員に改めておわび申し上げます。  ただ、私の不徳不徳として、正直に申しますと、私はリクルート疑惑は一体何かと深刻に考えております。  利益を得るについて、私の場合、リクルート社からの請託もなければ、その会社に対する職務権限ももちろんありませんでした。株価が公開直後に値上がりする可能性秘書が聞かされて、自己資金でそれを購入し、翌月に売却いたしましたが、当時、株式公開前のインサイダー取引については何らの論議さえなされておりませんでした。まして、リクルート社がこんなに多くの政官財の各方面に自社株購入売却の勧めをしていたとは、問題が起きるまで夢にも想像できませんでした。  私は、株売却の翌月、元金を含めて全額党活動のために使用させていただき、一円たりとも私しておりません。  竹下総理、あなたもその疑惑渦中の一人として、世間の冷たい眼の集中する中で耐えておられるはずであります。だが、あなたは、一党の党首であるばかりでなく、一国の最高の指導者であり、行政責任者でもあります。リクルート社とのかかわりは、あなたと私とは性格も異なり立場も違っておりますので、私は、今あなたにどうせよと責めるつもりはありません。しかし、このまま放置しておけないことだけはよくおわかりと思います。  最近では、リクルート社から正規の法に基づいて受けた献金はもちろんのこと、パーティー券を買ってもらった政治家に至るまで、すべて同じ扱い疑惑対象とされております。そればかりではありません。マスコミ界、官界から財界、果ては一般の知名の方々にまでその累は及んでおります。  司法当局は、昨日、疑惑中心人物とされる四名を逮捕いたしました。しかし、問題は、違法の対象に限らず、リクルート社にかかわったすべての人に非難が向けられているところに、今回の疑惑とされる混迷の深さと広がりがあります。  いま一度、リクルート疑惑とは何だったのか。あさほかにも利益に手を出した私の不明を恥じ、千慮の一失と反省いたします。  だが、このままでは、政治不信がそのまま政党政治の崩壊につながり、果ては自由経済の否定にもつながりかねないことを憂慮せずにはおられません。この際、竹下総理御自身のことを含めて、日本政界のためにどのような解明とそれに基づぐけじめをおつけになるのか、お示しをいただきたい。(拍手)  政治改革について。  政治家にとって最も不名誉なことの一つは、命にまつわる非難であると思います。リクルート疑惑こそその金をめぐっての政治不信となっているだけに、きれいごとだけで済ましてはならぬと信じます。それは、日本民主政治原点が問われているとも考えられます。ゆえにこそ、竹下総理は、政治改革にみずからのすべてをかけてと明言されました。  そこで、まず金のかからない選挙が最も理想とされることは当然であります。今の中選挙区制よりも小選挙区制をとの声もあります。地域が狭く、有権者の数が少ないからでありましょう。だが、小選挙区制になれば金が少なくて済む保証は全くありません。狭い地域となれば、主義主張よりも、候補者有権者の密着した運動は逆に地域中心主義となり、きめの細かい運動はより多くの金がかかることも、地方議員運動に多く見られます。また、参議院全国区が、地域が広いからということが主たる原因で今回の比例区となったのにもかかわらず、よりたくさんの金がかかるとの声が圧倒的に多く、今回をもって改めたいとの声が自民党を初め各党の中からも聞こえてまいります。  また、選挙の公営を拡大せよとの声は賛成であります。だが、私どもの経験を申し上げれば、我々議員候補者は、選挙公示に至るまでの日常広報宣伝教育活動とそ選挙のときの大勢を決める決め手であることを知っております。よって、そこに至るまでの日常活動こそが極めて重要であります。  例えば、十万余の私の支持者に手紙を一回出すその切手代のみで六百万円となり、私設秘書十人の人件費活動のための交通費のみで月数百万円とならざるを得ません。民主政治にはある程度のコストがかかることを無視できない。最低限の公費負担、すなわち、政党法の制定を検討すべきではありませんか。私どもは折々に井戸塀政治家として昔の政治家の美徳を耳にいたしますが、それではなくする資産のある人しか立候補できないこととなりかねません。かくて、勢い、企業及び個人浄財を仰ぐ今日の方法に走らざるを得ないのが実情であります。  しかし、リクルートに見るがごとく、何が浄財なのか、また、その時点で浄財と信じながら、時が過ぎて疑惑の一人となりかねない今の風潮にあって、いま一度浄財について問いが投げかけられております。さればとて、特定の集団、組織などにその金を全面的にゆだねれば、当然その支援団体代弁者とならざるを得ず、政治家の持つ資質、個性、能力の発揮を期待する民主政治にあっては、その政治家の見識を狭めかねません。  今我々に問われているのは、政治家に対する余の入手についてでありますが、しかし、ごく例外を除いては、政治家はすべて支出捻出のために腐心しております。そこに有権者政治に対する自覚、批判力を高めることがなければ、今日の政党政治は成り立たないと言うべきでありましょう。それがために、今政府政党も何をなすべきかを問いかけてみなければなりません。  また、官僚天下り立候補、特に比例区がさまざまの影響を及ぼしていることを私はたびたび本院で訴えてまいりました。竹下総理は、権力乱用に至らざるように注意すると答えられますが、官僚がその権力乱用に至らずしてどうして当選し得ましょうか。個人としては、御無礼でありますが、五万から十万票が限界とされる人たちが、百万票を超す票を集められたのは、まさに官庁総ぐるみ選挙をされるからにほかなりません。  例えば、大蔵省は金融、保険、証券の各業界を、建設省は許認可から公共事業発注業界に向かって、郵政省は保険、郵便から切手の売りさばき先に至るまで、各省それぞれに、それこそ許認可権補助金監督権の力の及ぶ限りを尽くしての運動が行われていると見られます。とれが果たして民主政治のもとで、あってよいことでありましょうか。私は、この際、少なくとも参議院比例選だけは退官後一定の期間立候補を制限すべきだと思いますが、いかがでありましょう。(拍手)  次、税制改革について。  昨年一年は税制に明け、税制に暮れました。税制抜本的改革について、民社党は、第一に所得税法人税大幅減税、第二に不公平税制是正を行った後に、第三段階として間接税改正に取り組むことを決め、その手順の大切なことを力説してまいりました。  しかるに、竹下内閣は、我々の強い反対にもかかわらず、消費税導入を柱とした税制改革関連法成立を強行いたしました。そのため、消費税はなお欠陥と矛盾が残されており、国民生活企業経営を圧迫するおそれがあります。ために、好景気と安定の中で幕があけた平成の時代の出発に、消費税が暗い影を落としております。とにかく導入さえすればよいとか、将来の増税に備えての仕組みさえつくっておけばよいとの視点でつくられた安易な税制と言わねばなりません。  そこで、指摘しなければならぬ第一は、転嫁を保証する仕組みが余りにも乏しいことであります。このままでは、中小企業者にとっては第二法人税となるのおそれが極めて多い。立場の弱い下請業者は、泣く泣く消費税分を値引きという名でみずからがかぶらざるを得ないと訴えておりさす。  指摘しなければならぬ第二は、消費税は高い免税点簡易課税及び限界控除制度を採用したため、業種や企業規模によって損得が生じ、新ただ不公平を拡大せしめたことであります。また、消費者消費税導入にかこつけて便乗値上げが行われることを最も警戒しております。  民社党は、自民党単独強行採決による消費税法原案どおり成立という最悪の事態を回避するため、やむなく、粘り強い努力によって、第一に半年間弾力的運営、第二に転嫁の明確な条文、第三に見直し規定創設という修正を行いました。  したがって、まず四月一日より実施するに際しては、広報宣伝に重点を置く立場から、半年間準備期間と心得て、政府実施延期に等しい施策をとる趣旨を守っていただかなければなりません。それが弾力的運営条文と受けとめております。  問題は、第二点の転嫁の問題であります。事業者間の取引は、信用を土台としてはいるものの、双方の力の関係が決定的になります。その結果、転嫁できなかった場合にどうするか。消費税消費する相手が払うべき法の趣旨からして、もしこれができなければ、事業継続を採算上あきらめざるを得ない場合あるいは決算の結果赤字となつも場合、政府はあらかじめ納めたこの税は返却すべしとの論が出てくることも予想されます。見直し規定はそのことも含めて設けられたものと解すべきであるが、いかがでありましょう。  ともあれ、拙速にして、無理に無理を重ねて押し通した法律であってみれば、今にして各業界では困った困ったの声の連発であります。政府は、我が民社党の主張した修正の趣意を今こそ冷静に受けとめ、約束どおり納税者立場に立って指導されることを重ねて要求いたします。  不公平税制について。  我々民社党は、消費税審議に入る前にまず不公平税制是正を行うべきだと強く主張いたしましたが、ほんの一、二点の是正を行ったのみで、あとは放置されたままで今日に至りました。  その第一は、資産に対する課税の問題であります。  近年、土地株式高騰によって資産保有右無がアンバランスとなり、社会問題化しつつあります。持てる者と持てない者との格差日ごとに広がり、平等と公平を誇ってきた日本社会佃底から崩れていきつつあります。国民生活白書によれば、ちなみに昭和六十二年の持ち家世帯土地資産額は、全国平均で三千八百万円、東京圏外は八千六百万円とはね上がっております。  居住資産に対する格差は別にして、保有する出産については、その使用と目的を十分に考慮することはもちろんであるが、政府が常に本議場から唱えておられるがごとく、所得資産消費の一ランスをとるという、その資産に対する課税風抜きとなっているところに国民の不満が募っております。  また、与野党が協議の途中にあります幾つかの不公平税制是正問題が中断されたままに放置され、政府・与党は消費税成立のためやむなく我らにつき合ったにすぎないという魂胆を露骨に見へております。一体、政府及び自民党はいつから不公平税制是正協議に応じられるのか、再開の時期を明示していただきたい。  行政改革についてお尋ねします。行政改革財政再建について。  本年度予算は、税収増理由としたばらまき予算であり、行財政改革の緩みが懸念されております。このような状況が放置されるならば、再び行政経費肥大化を招き、消費税率の上昇を通じて歯どめなき国民負担の増大をもたらすことになりかねません。我が党は先国会で、「行財政改革推進消費税率の歯止め」という自民党との間に合意文書を取り交わし、その中で、「今後とも引き続き行財政改革を強力に推進し、平成年度特例公債依存体質からの脱却を図り、公債依存度の引き下げに努めるとともに、国債償還財源については、政府保有土地株式などの資産の適切な売却に努める」旨の合意に達しました。  総理さき合意に基づき、行財政改革推進し、百六十二兆に及ぶ国債残高を減らすため、具体的にいかなる施策を講じるおつもりか。と申し上げるのは、政府は今年度予算編成で一兆八千二百億円の特例国債減額を行いましたが、今日のごとく好況でしかも財政余剰のあるときに、どうしてなお一層の減額をしなかったのでありましょうか、不思議でなりません。明確にお答えを願いたい。  我々民社党は、「政府保有土地株式などの資産の適切な売却に努める」という言葉は、まず、NTT、たばこ産業及びJRという以前の三公社を民営化した以上、速やかに株式を発行、売却して、その代金を借金である国債償還財源に充てるとの意味であります。これらの資産及び株式を、やってみなければわかりませんが、五年間かけて仮に八十兆円で売却することができ、それを償還に充て得たとすれば、百六十兆円の国債は半分に減ります。したがって、その年間支払い利息も半分となります。このことは、本年度支払い利息十一兆数千億の半分、すなわち約六兆円に減額できる勘定となり、それだけ支出金が浮きます。  我々は、政府行財政改革を強力に推進するのみならず、自民党との間に取り交わした文章のごとく実施されれば、さきに述べたごとく、あるいは年間六兆円が浮いてまいります。それは、年三%の消費税が六兆円と試算されておりますので、さらに六兆円が浮けば、そのままで五年後には六%をいただいたと同じ結果となると試算いたしますが、いかがでありましょうか。  我々民社党が、行財政改革中期計画を示せと迫り、自民党との合意文書を取り交わしたのは、一に行政改革推進を迫り、二に財政再建を進め、三に消費税率三%の歯どめの実を上げるためでありました。今、ここに改めて、国民の前で、総理の明快な御答弁を求めます。(拍手)  次に、年金問題について伺います。  政府は、厚生年金支給開始年齢を六十歳から六十五歳に引き上げる厚生年金保険制度改正案年金審議会に諮問しております。年金国民老後生活を支える柱であり、雇用保障との連携なくして老後所得保障としての年金制度を論ずることはできません。六十歳定年制すらようやく一般化してきた状況の中でこのような提案を行うことは、社会保障に関する国の責任を放棄するものであり、公的年金制度に対する国民の信頼を著しく損なうものと言わなければなりません。  高齢化社会への対応を大きな理由として消費税導入したのにかかわらず、高齢者福祉を切り下げるような提案は断じて行うべきではありません。政府は、雇用年金、医療、福祉住宅等高齢者対策を総合的に体系化し、財政的な裏づけのある新たな福祉ビジョンを改めて提示すべきだと考えます。政府の考え方は、いつも福祉充実を後回しにし、財政充実を先行させているように、何もかにも順序が逆になっていることを強く指摘し、総理の御所見を承りたいのであります。(拍手)  民社党は、一昨年秋から「生活先進国づくり」に全力を尽くしております。国民の勤勉な努力によって経済大国日本となり、国民一人当たり所得世界のトップに立つことができたと報道されております。確かに名目賃金世界一となったでしょう。しかし、私たち生活世界一だと実感を持って受けとめる人はほとんどおりません。それは、余りにも生活費が高いからであります。土地高騰によって住宅はますます手の届かないところに逃げていき、食糧欧米諸国に比べて三、四倍であり、公共料金平均二倍となっております。住宅食糧公共料金も、政府施策よろしきを得れば、これを改めることは決して不可能ではありません。我々民社党は、毎年毎年本院においてこれが是正のために幾たび提案したことでありましょう。  民間企業が力いっぱいの努力を傾けて世界一の経済を築いているのに、一たび政府の手にかかるものは、すべて国際競争の中で手かせ足かせの役果たして、世界各国に比べて何倍か高い生活費となってはね返っているのが実情であります。国民は、今、賃金にふさわしい生活を求めております。一たび外国を訪れた人は、一様に日本国民生活費の高さに驚かされております。  特に、諸外国に比べ高い食糧費を下げるためには、農業近代化が不可欠であります。今自由化のあらしの中で、農業、農民は苦境に陥っています。これは、ひとえに農政の貧困に原因があると言わざるを得ません。日本人の生命産業である農業をこれ以上疲弊させてはなりません。政府は、今こそ自立化できる農業をつくり、内外価格差是正しなくてはなりません。我々は、この見地から二十一世紀へ向けての農業先進国ビジョンを策定いたしましたが、政府としても農業長期ビジョンを策定するよう強く求めるものであります。  さて、経済大国日本として今国民がひとしく心配しておりますのは、衣食足りて礼節を知るという言葉がありますが、逆に、衣食足りてなお礼節を失いつつありはしないかという危惧の念であります。  日本社会学歴社会から脱皮しつつあることは評価されますが、それでもなお学歴偏重社会であり、特に国家機関偏重の最たるものであろことを指摘するとともに、これを前提として、子を思う親の立場から受験戦争がますます激化しつつあるのが今日の実情であります。現に今、東京都内のホテル、宿舎は超満員であり、その原因は、日本じゅう受験生東京に集中したかの観を呈しております。  しかるに、この受験生は、文部大臣がかわるごとに猫の目のように変わる大学入試制度に振り回されております。政府改善改革と信じておられるでしょうが、受験生や父兄にとっては単なる小手先の制度いじりと映り、大変な混乱を来しているのが実情であります。共通一次試験は、公平にして公正で難問奇問をなくすと言ったのに、ことしの試験はその前提さえ崩されています。  この際、百害あって一利なしとの非難の強いこの種の共通試験制度は、廃止を含めて検討する意思はありませんか。受験は、当面とっての問題下はなく、じっくりと目標に向かって生徒が対応下さる制度でなければなりません。その意味で、曲府は、中長期的視野に立った抜本的入試制度が必要であると考えます。  政府は、今こそ経済大国国民にふさわしい生活を真剣に考え、土地住宅食糧公共料金及び教育について、原点に返って検討すべきことを提案いたします。これなくしては真のふるさと創生はあり得ません。  次に、外交について。  アメリカブッシュ大統領がいかなる姿勢下日本に臨まんとしておられるかは、日本国民の最も大きな関心事であります。とりわけアメリカの議会が日本に対して特に経済問題で厳しい発言が相次いでいるときだけに、殊さら気になるところであります。日本アメリカとはよきパートナーの立場に立ち、是は是とし、非は非として対処していくべきでありましょう。過日ブッシュ大統領と会談された竹下総理はどのような印象を持ち、どのような話し合いをされたのか、まず伺わねばなりません。  米ソ関係改善、中ソの話し合い、朝鮮半島の統一への話し合いは、いずれも、楽観は許さないが着実にその機運が盛り上がりつつあると言うべきでありましょう。日ソ外相会談を皮切りに、一方領土問題が、道は遠いが、粘り強い努力を重わることによって希望のある年になることを願ってやみません。世界の中の日本として、政府は重い責任を担い、その指導力を示さなければならなくなってきつつあると信じます。  特に、世界のGNPの一割を超える国家として、西側自由陣営の重要な一員として、世界平和と繁栄に対し、より一層の貢献をしていかなければなりません。その最も有効な経済協力は、本年度予算にして七千五百五十七億円に達し、世界一の援助大国になります。  問題は、それが公正かつ合理的に行われ、その国の国民生活安定向上に役立ち、感謝されているかどうかが重要であります。と申し上げるのは、過去においては、せっかくの経済援助が単にその国の政権を支える手段として使われ、その国の一般国民からはむしろ反発を招いている例なしとしないからであります。よって、政府開発援助については、その計画の概要を国会に提出するとともに、その国の安定向上、ひいては周辺地域の平和に役立っているかどうか、大局的見地から評価できる制度を確立すべきであると考えますが、いかがでありましょう。  次に、国の安全は地道な外交努力と着実に整備された防衛力によって確保されることは改めて述べるまでもありません。防衛力整備は近代的な正面装備訓練された自衛隊員によって達成されるもので、総理みずからも、常に精強な自衛隊たれと隊員に訓辞されておられます。しかるに、総理が訓辞されるごとくに隊員は育成されているとは思われない。すなわち、隊員制度的改革処遇改善生活環境整備等々、いずれの面を取り上げても、正面装備に比べて劣悪な条件のもとに全国二十五万人の自衛官はひたすら忍従しているのが実情ではないでしょうか。  防衛は、人と物の両面から成り立ちます。政府中期防衛力整備計画は、一言で言えば戦車、航空機、艦艇の調達計画にすぎない。自衛官質的向上防衛力一大支柱であることを考慮すれば、自衛官処遇改善について、法制面を含めて、人の育成強化を図る全般的な計画が必要であります。  例えば、訓練中の事故についてさえ、問題が裁判に移されるとき、裁判費用隊員個人負担で国は一切の面倒を見ていないと言われるが、私どもの常識では信じられない話であります。  また、不幸にして訓練中に死亡した場合の国の弔慰金は、他の公務員より低額で、遺族は国を相手取って裁判で増額を訴えている事例さえ起きております。  また、海上勤務自衛官航海手当が一日わずか四百五十円であるとか、昭和六十年八月の日航機事故の際の災害出動手当が一日当たり六百六十円で、同じ場所で働いていた警察官の七千余円と比べて十分の一以下では、金の面よりも、彼ら若き隊員の心はいたく傷つけられていることに気づかなければなりません。  最近、自衛官募集好景気のゆえに集まらないとの声をたびたび耳にいたしますが、問題の根本はそれ以外にもあると気づかなければなりません。若者は、今集団生活を嫌う傾向にあることも事実です。また、愛国心を強要されて素直に受け入れられない教育下に育った人の多いのも事実です。しかし、私が部隊を訪れて第一に気づくのは、その環境の悪さであり、法制面からくる扱いの低さを指摘しなければなりません。  総理、一体どうして自衛官一般公務員より一ランク下げた扱いをしなければなりませんか。私は、いにしえの軍国主義のごとくすべて軍事優生の法をつくれと主張するつもりは毛頭ありません。しかし、国の平和と国民の安全を守ることに生きがいを持ち、公のために犠牲を払うことを諮りとする日本若者のために、政府は、及び腰でなく堂々と、そして魅力ある環境をつくることに最善を尽くすことを強く主張いたします。(拍手)  最後に、昭和天皇大喪について触れます。  大喪の礼及び皇位継承に伴う行事を滞りなく上り行うことは、圧倒的国民の望んでいるところと信じます。また、日本のよき文化と伝統を守ることは、我々の世代の者が後世に伝える大切な仕事でもあります。政府は、憲法に示された政教分離の精神と伝統的儀式とを尊重し、一部の目的を持った人々の非難におもねらず、列国元首を初め賓客多数御参列のもとに行われる大喪を厳粛かつ荘厳に行われることを心から願うものであります。(拍手)  単一宗教を国教とする多くのヨーロッパ諸国軒別として、政教分離の最も厳しいアメリカにして、例えばケネディ大統領の国葬は、彼がカリリック信者であったがゆえにセントマタイ教会怖行い、葬送の列には宗教宗派を問わない三百万人が連なり、アイゼンハワー大統領の場合は、プロテスタントであるがゆえにワシントン大寺院でこれを行いました。また、世界一政教分離の厳しいフランスでさえも、ドゴールの国葬拒否の遺志を知りながら、なおフランス政府はパリのノートルダム教会で厳粛なミサを行いました。政教分離とはかかわりなく、王制であれ共和制であれ、国の儀式となればこのようにとり行われることは文明国の常識でありましょう。  昭和天皇の崩御に対し、何と世界三十一カ国の国々が、それぞれ王室及び国家として喪に服されました。ノルウェー王室は三週間、ベルギー王室は一週間、インドは国家として三日間、ブータンは六日間、タイは三日間等々、日本に劣らないほどの敬愛を喪に服する形で示してくださったことを忘れてはなりません。大喪のとき、それらの国及び王室の代表がすべて出席されると聞いております。このときこそ、日本国民の自由と平和と温かい国民の心をあらわす大切な機会であり、同時に、それは国際社会の中に生きる我が日本国の文化的個性を示すゆえんであると信じます。  以上、各項目について総理の所信を伺って、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
  5. 竹下登

    ○内閣総理大臣(竹下登君) 最初のお尋ねでございます。  昭和三十三年、ともに国会に議席を得ました塚本委員長が、熟慮の上みずからの身を処することにされた、これにつきましては深くこうべを下げたい、この気持ちでいっぱいでございます。  そして今、リクルート問題についてみずからの見解を明らかにされました。私みずからのことも含め、この問題の帰趨については、政治不信につながる問題である、これが最も憂慮にたえないところであります。  かねて、私は、この問題につきましては四つの問題点を明らかにしてまいりました。  一つは証券取引上の問題であります。二つは課税上の問題であります。これらは、行政上の立場から日本株式市場の健全な発展を図るためどうしたらいいか、この点については、証券取引審議会の中間報告を得てこれは今後実施を図る、こういう考え方です。  第二の点は、さき国会において未公開株に関する課税の強化を行ったという問題であります。  第三番目の刑法上の問題は、きょうも御指摘がありましたように、昨日強制捜査が行われました。信頼する検察当局が今後とも厳正、適切に対応するものと確信をいたしております。  さて、四番目の問題と私が申し上げておりました政治倫理の問題でございます。この点につきましては、国民がこぞって政治倫理の確立を求めております。政治家一人一人が倫理を守り得るような環境整備する、このことは必要なことであります。したがって、私は行政府責任者でもございます、まさに政治改革の実現に向かってその緒につけるということが私に課せられた責任であると承知いたしております。(拍手)  塚本委員長は、御指摘のとおり、政治家にとり最も不名誉なことは金にまつわる非難だとおっしゃいました。それだけに、政治改革、なかんずく金にまつわるような問題が起こらないような環境整備というものをきちんとやらなきゃなりません。これはまさに塚本委員長が現状を危惧、憂慮されました、それに本当に党派を超えてこたえなければならない課題だ、このように考えております。  さて、選挙制度にお触れになりました。大、中、小、いずれの選挙制度にも確かに特色がございます。英国の選挙浄化法がある意味では小選挙区制のもたらした腐敗からくる果実であるという評価もございます。また、参議院の現行制度に批判のあることは、十分お互いが承知しておるところであります。選挙に際しての日常活動の重要性、さりとて御指摘のように特定支援団体代弁者に堕することの弊害、これら種々の御指摘は、いずれも傾聴すべきものであると思います。それが同時に、しかし、いずれも直ちに結論に結びつかないというところに、私は問題の奥行きの深さというものをいつも感じております。  これらも包含いたしまして、それこそ短期、中期、長期、これらの仕分けをして、各党各会派の御理解と協力を得ながら、改革を必ず緒につけなければならない、御鞭撻をお願いしたいと思います。その間、もとより政党法の問題等、議論の対象になることは当然のことと私も承知いたしております。  さて、公務員の、なかんずく高級公務員の天下り立候補問題についてお触れになりました。  これは、かねて御主張なすっておるところであります。地位利用にわたる行為があってはならない、これはそのとおりであります。そこで、いろいろ議論いたしますと、制度としてすべての高級公務員立候補を一律に制限するということになると、これはいつも申しますことですが、憲法上の問題も出てまいります。したがって、この問題はやはり慎重な検討を要する課題である、このように考えておるところであります。  さて次に、いわゆる消費税見直し規定修正問題等、また各党間の協議による不公平税制の問題、また政党合意によります行財政改革の問題にお触れになりました。  消費税は、申すまでもなく消費一般に広く薄く負担を求めるものであります。消費者がその最終的な負担者となりますことが予定されておる間接税でありますだけに、事業者に負担を求めるものではない、これが原則でありますから、円滑かつ適正な転嫁が行われるというのがまさに原則そのものであります。そこで、我が国にはなじみの浅いこの税制でありますが、政府としては、消費税の円滑、適正な転嫁が実現しますよういろいろな措置を講じますとともに、関係省庁とも密接な連絡をとって修正点等にこたえていきたいと思います。  御指摘のございました税制改革法第十七条第三項に規定されます見直しの具体的あり方、これはまさにその見直しの時点までにいろいろな問題が出てくるでありましょう。その時点で、まさに具体的な問題を整理整とんしながら、各界の意見を十分伺いながら対応すべきものである、このように考えます。  また、御指摘のありましたような具体的対応は、間接税というものの本質から、これは本質にかかわる問題でございますので、なかなか難しい問題であると考えております。  不公平税制につきましては、これは従来から国会の御議論等を得てさまざまな努力を重ねてまいりました。昨年の十二月の改革におきましても、公平確保のためのさまざまな措置を講じてまいりました。  そこで、与野党協議の場において、指摘された問題点、そして野党の方々の共同提案、これに対する与党の考え方が示されておると承知しております。まず、政府としては、今後ともより公平な税負担の実現を目指して努力を続けることはもとよりでありますが、公党間の協議の場において与党から回答されております事項については、もとよりその趣旨を踏まえて対応してまいります。  なお、資産課税、なかんずく土地に対する御議論がございました。この問題は、今政府部内で進めております土地基本法制定に関する作業等をも踏まえまして、引き続き検討してまいる所存であります。  与野党協議のあり方は、各党協議の上これが行われることは好ましいことであるとかねて思っておるところであります。  さて、政党合意に基づく行財政改革推進と、国債残高の減少の具体案を示しながらのお尋ねがありました。  政府は、行財政改革を国政上の最重要課題の一つとして今日までも位置づけてまいっております。逐次、具体的方策の実施、推進を図ってまいったところでありますが、その成果はいろいろな点において着実に出てきておると思います。今後とも、この改革努力をいささかも怠ってはなりません。せっかく押し上げたこの荷車が一挙に坂道をおりてくるようなことになってはなりません。  そこで、昨年十二月には、行革審の答申を受けまして、今の問題として規制緩和推進要綱が決定されました。規制緩和の問題は、この要綱に基づいて最大限の努力を傾注してまいります。  また、元年度予算案決定とあわせまして、この年度に講ずべき措置を中心とした中期的な課題を極力盛り込んだ平成元年度行革大綱、これを決定をいたしました。この大綱の着実な具体化を推推してまいります。さらに、今後の行革審の審議動向も踏まえながら、行政改革につきましては全般的な推進を図ってまいる決意はいささかも失われておりません。  そこで、財政改革、なかんずく国債残高の累増をとめるためのいろいろな御提案がございました。  まず、新規の国債発行額を減少することが必要である、これはだれしも思うことでございます。したがって、今までいわば財政改革の第一歩でありますとして位置づけてまいりました平成年度特例公債依存体質からの脱却、これをまず達成していかなければなりません。  しかし、現実の問題といたしまして、厚生年金の繰り延べ措置でございますとか、あるいは国債整理基金へ入れることを中止しておりますとか、そのような問題が残っておることも事実であります。これらも適切な対応をいたしますと同時に、国債償還財源につきまして、やはり基本的には財政改革を進めながら、今御指摘のありましたような政府保有株式等の資産の適切な売却、これらには引き続き最大限の努力を行うべき課題だと思っております。  そこで、平成年度予算は、少なくとも当初予算の発行予定額の半分以下にとどめるということにしたわけでございますが、やはり今後の課題は、いろんな議論が行われると思います、それらを見定めながら、国債残高そのものを減らし、後世代の言ってみれば負担を減らしていく、こういう考え方で政党合意の精神等を踏まえ対応してまいる所存であります。当然NTT株式等の売却についても、将来の問題としても新しい議論が出てくるであろうことは予測されます。  さて、福祉ビジョンについてであります。  今後の長寿社会対策を総合的かつ効果的に推進しますための指針としましては、六十一年六月に対策大綱を出しました。しかし、その後国会においてさらに具体策を示せ、こういう要請にこたえ、去年の十月、長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標、これをお示しをいたしました。可能な限りの具体的な点を明らかにしてまいりました。また、二十一世紀初頭におきます社会保障の給付と負担のおおよその姿については、これは去年の三月にお示ししました。  さらに各施策を具体化していこう、こういうことになりますと、国民の皆さん方の選択によらなければならない面がたくさんあります。したがって、一つ一つを、ある種の仮定を置くなら別として、計画のような形でお示しすることは難しい問題でございます。各施策の総合的展開には十分意を用いながらこれを進めていかなければならないと思います。  特に、御指摘のありました厚生年金支給開始年齢の引き上げ、これは、あわせて高齢者雇用推進、これらを並行して進めていくべきものであると考えておるところであります。  さて、真の豊かさ、そして食糧費の問題に触れ、農業長期ビジョンについてのお尋ねがありました。  農業をめぐる情勢が厳しさを増しております中で、農業者が将来を見通しながら営農を展開することができるように、新たな農産物の需要と生産の長期見通しを策定していこう、このような考え方に立っております。また、農業者が意欲的かつ主体的に経営改善に取り組めるよう、長期的な観点からコスト低減等の目標となります地域ごとの技術、経営の指標を作成しようと考えております。これからとも国際化への対応と農業、農山村の活性化を図るため、施策を総合して実行に移すべきものであると考えます。  入試問題にお触れになりました。  大学入試制度改善につきましては、入学志願者の能力、適性等を多面的に判定するよう、着実に推進することが肝要であります。国公立大学においては、受験機会の複数化、これらに努力中であると承知しております。特に、学部の定員を分割しました入学者選抜の積極的な導入を促しておるところであります。来年度から、私立大学を含めて大学入試センター試験の実施を予定されております。この試験の適切な利用によって、入学者選抜の一層の改善が図れることを期待をいたしております。  さて、日米首脳会談の内容についてお尋ねがありました。  ブッシュ大統領との首脳会談におきましては、日米協力の基礎が強固かつ健全である旨を確認し合い、同時に、両国の協力関係が単なる二国間の問題だけでなく、世界全体に大きな影響を持つものであるという共通の認識に基づきまして、まさに二国間の問題は対話により解決をしよう、そして日米が協力することによって広く世界の平和と繁栄に貢献しよう、また、米国はグローバルパワーとしてのやはり責務を果たさなければならぬ、この決意の表明がありました。私からも、そのような大統領努力を支援いたしますとともに、引き続き「世界に貢献する日本」の実現に努力を傾けなければならない、このような表明をいたしたわけであります。二十一世紀に向けて人類の平和と繁栄のため日米協力のそれこそ新たな門出ともなれば、このような考え方で対応したわけであります。  北方領土返還への問題、御説のとおりであります。  北方領土問題を解決して平和条約を締結することにより、ソ連との間に真の相互理解に基づく安定的な関係を確立する、これが不動の方針であります。昨年十二月の外相会談で合意されました最高首脳レベルを含む対話の拡大強化を通じて、北方四島一括返還、この実現に向けて、今、道は遠くともとおっしゃいましたが、粘り強く努力を重ねてまいる所存であります。(拍手)  さて、政府開発援助についてお触れになりました。  御指摘のありました国会に対する援助計画の提出、これは、国会により採択された予算の範囲内で、相手国のニーズに応じて相手国と具体的なプロジェクトごとの協議をしながら決定していくという現在仕組みになっておりますので、事前にいろいろ困難な問題があります。政府も、従来から国会に対して、相手国の立場を配慮しながらも、随時援助案件の説明とかあるいは資料の提出を行ってまいりました。これからも、そうした関係の措置につきましては誠実に実施してまいりたいと思います。政府として、援助の効果的、効率的実施を図るため、あらゆる観点からいろいろな手段を尽くして援助案件の評価を行うことに努めて、その評価の充実ということが皆さん方に理解いただけるような努力を重ねてまいります。  自衛隊員の問題についてお触れいただきました。  自衛隊員の給与等の処遇につきましては、従来、一般国家公務員との均衡を図りながら適正な水準を維持するよう努めてきたところでございます。また、就職援護でございますとか、隊舎、宿舎の整備、今御指摘いただきました問題につきましては、計画的にこれを整備して改善を進めて今日に至っております。今後とも、御指摘の具体問題等、さらに御鞭撻をいただきながら、一層努力をいたすことをここに申し上げます。  最後に、大喪の礼の挙行についてお触れになりました。  大喪の礼は、日本国の象徴であり、かつ日本国民統合の象徴であられた昭和天皇を葬送申し上げる儀式であります。国の儀式として、憲法の趣旨に沿い、かつ皇室の伝統等を尊重して行う考え方であります。この機会に、今御指摘にもございましたように、外国から多数の元首、弔問使節の御参列が予想されております。大喪の礼の挙行に当たりましては、私を委員長とします大喪の礼委員会が設けられております。御説のとおり、これが厳粛裏に、しかも円滑に行われることを、心からそれがための御協力をお願いしたいと思います。  以上でお答えを終わります。(拍手
  6. 原健三郎

    議長原健三郎君) 小川国彦君。     〔議長退席、副議長着席〕     〔小川国彦君登壇〕
  7. 小川国彦

    ○小川国彦君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、竹下総理及び竹下内閣質問をいたします。  昨夜は、リクルートの前会長江副浩正を初めNTTの元取締役等合計四人が逮捕されました。世の中はかつてなく騒然とし、混乱しております。騒然となっている理由は、この逮捕によって疑獄と化しつつあるリクルート事件のほかにもう一つあります。それは、自民党によって消費税の強行が目前に迫っていることであります。  一昨日行われた福岡県の補欠選挙において、我が党公認の渕上貞雄氏が大勝利を得、自民党候補が地すべり的惨敗を見せたのは、この悪税とリクルート疑獄に対するものであって、国民の賢明にして手厳しい回答であったのであります。  そこで、私は、この日本社会の目下まれに見る混乱について、竹下総理及び竹下内閣にその政治責任政治家としての倫理を改めて厳しく問いたいと思うのであります。(拍手)  まず第一点は、消費税の問題であります。  強行されようとしている消費税は、空気以外は何でも税金三%、生活必需品にもダイヤモンドにも同じ税率という国は世界のどこにもございません。社会政策がないということであります。ここに、国民大多数の新税への非常な怒りが存在するのであります。  その中で、自動車メーカーを初めとする大企業が新税をもって利益を上げるという不当な現象が表面化しております。中小企業者は泣いておりさす。例えば、仕入れの商品は新税によって事実上の値上げをされているにもかかわらず、年商三千万円以下の業者は商品にそれを転嫁できず、泣き寝入りせざるを得ないことが大きく懸念されております。また、中小の下請業者は、三%の上乗せ分の見返りに、大手企業によって値引きやコストダウンを強要され始めているのが現実であります。消費税を納入する業界、業者の中では、今、連日会議が行われ、業者間で新税の負担をいかにするかで大変な紛争が起こっていると聞いております。  結局、消費税は、大なる者に巨額の利益をもたらし、弱き者にその負担を強いるという不公正、不公平が今まさに露呈しつつあります。各地の自治体は、待っていたとぽかりに公共料金の一斉値上げを決定しつつあります。JR、私鉄、タクシーが相次いで値上げの申請を出しました。こうした騒然とした一斉値上げは、やがて諸物価のインフレ的値上がりを招くことは必然であります。  消費者は今怒りと恐れに包まれているというのが現状であり、福岡の参議院補選に見られました国民消費者の回答は、まさに消費者一揆という様相を呈し、自民党を惨敗に追い込んだのであります。この消費税をつくる中心となった政府税制調査会長小倉武一氏をして堕落の税制、堕落の税制と言わせたその真の姿が、今国民の大衆の前に姿をあらわしてきたというのが現実であります。  竹下総理、私たちは、このように国民の大多数を苦しめ、大きな欠陥を有することが明らかとなった消費税については、四月一日の実施を取りやめ、改めて国民合意税制改革に取り組むよう、政府の決断を強く求めるものであります。(拍手)  第二の問題点として、私は、リクルート疑獄の底知れぬ拡大について、特に竹下総理責任を問いたいと思うのであります。  昨日、リクルート疑獄は、ついに検察による逮捕が行われるに至りました。まさに歴史に例を見ない疑獄が、ここに白日のもとにさらされようとしております。この疑獄は、リクルートという会社及びその会長を務めていた江副浩正自身が、リクルートコスモスという子会社の株式を、上場寸前に、高級官僚企業幹部及び政治家に目的を持ってばらまいたという、世にもまれな事件であり、ここにいわゆるリクルート疑獄の本質があることは言うまでもありません。株券は、一夜にして巨額の現金と化したのであります。  昨夜の逮捕は、贈賄側の江副等二人と、収賄側のNTTの元役員二人でありました。しかし、事件は周知のように労働省から文部省にまで及び、そのトップである元事務次官にまで検察の手が伸びようとしております。二省庁のトップにまで嫌疑が及んでいる事実は、自民党政権下の行政府が腐敗の極に達している証明と言っても過言ではないでありましょう。(拍手)腐敗は断固として正さねばなりません。さらに言及するなら、国民消費税への不安、反感の意識の底には、こうした官僚たちの堕落、腐敗も大きく影響していることは見逃せない事実であります。  ここで今国民が厳しい目を向けているのが、リクルートからの株を得た政治家たちに対してであります。けさのマスコミが一斉に指摘しているように、リクルート疑獄の本質は、多数の政治家に対する株券、すなわち金の贈与、言ってみれば贈賄であります。ここにこそ国民は、高級官僚に劣らぬ堕落と腐敗の証拠を直視しているのであります。私は、ここに、職務権限関係して株を得た政治家に対しては、当然厳しく法による究明を法務大臣、法務当局に求めるものであります。  しかし、リクルート株によって巨額の利益を受けている政治家たちは、職務権限にかかわりがない、法に触れないなどと言って今平然としておるのでありますが、実はここに国民は、現在の政治政治家の倫理観の根本的な欠如を見ているのであります。地位ある政治家が何ら汗することなく、無造作に数千万円の札束を懐に入れて平然としているのを許していいでしょうか。これはまさに悪行であります。  イギリスの経済誌エコノミストはこう言っているのであります。日本政治家は金で売ったり買ったりできるのか。つまり、イギリス人は、この事件を通して、日本では政治家そのものを金で売り買いできるととの不思議さを指摘しているのであります。日本人にしても、心ある者は、この明白な贈収賄を嫌悪の目をもって見ているのであります。  私が、竹下総理に譲渡されたと見られる一万二千株の行方及びその処分金の始末について、竹下総理自身の明快な答弁を求める理由もここにあるのであります。  第三点として、私は、竹下総理リクルート疑惑については、いまだに真相が解明されていないという事実を指摘したいのであります。  すなわち、竹下総理秘書青木伊平氏名義の二千株、竹下総理の実弟の妻の兄に当たる福田勝之氏名義の一万株については、リクルート社のだれからその株を受け取ったのか、だれの名義で買ったのか、だれの名義で売り払ったのか、入金はだれの名義か、そしてだれがこの金を使ったのか、これらの重要な問題点について、竹下総理自身全く真実を明らかにいたしておりません。入った金は約二千六百四十万円と言われますが、これは世のサラリーマンが一生働いて得ることができる退職金の二倍、三倍の額であります。明白な答弁は、日本の働くサラリーマンの疑問に答えるものでなければなりません。  今まで竹下総理は、リクルート株の譲渡を受けたのは秘書であり、また親戚の福田氏であるとして責任を逃れんとしております。しかし、秘書総理が表裏一体の関係であることは世の常識と言うべきでありましょう。公職選挙法には連座制という規定があります。この法の心は竹下総理自身十分に理解していることと存じますが、リクルート疑惑においても、青木秘書竹下総理は、まさに連座の責任があると言えるのではないでしょうか。(拍手)この点、竹下総理の見解を伺いたいと存じます。  さらに、第四の問題点として、私は、政治家の倫理という観点から、竹下総理個人の家計収支について、あえて庶民の観点から率直な疑問をお尋ねしたいと存じます。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━すなわち、総理が大蔵大臣であった昭和六十年の総理の処分可能な収入は、あなたの納税額から推定いたしますと約三千百万円であります。しかし、この年の支出は、所得税が一千五十五万円、住民税と固定資産税が約五百万円であります。一方、総理資産公開で見ると、この一年間に預貯金した金は二百一万円、買った国債が二百十万円、そして一千九十九万円の借金を返済しております。これで昭和六十年度の収支はとんとんであります。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  さらに、昭和六十二年度の例についてお尋ねしたい。この年の処分可能な収入額は、納税額から推定いたしますと四千二百万円であります。しかし、この年の支出は、所得税が一千六百二十九万円、住民税、固定資産税合わせて五百万円、家賃、これは佐藤栄作邸の家賃でありますが、一千二百万円、さらに河口湖の別荘の敷金及び家賃二千九百五十万円などを合計いたしますと、これだけで支出が六千二百七十九万円に達してしまいます。━━━━━━━━━━━━━━━  最近発表された総理公開資産を拝見いたしましても、土地や株を売った様子もなく、また借入金をふやした形跡もございません。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━この点、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━失礼とは存じますが、あえて質問にお答えくださるよう要求いたす次第であります。  第五点として、私は政治家資産のあり方についてお伺いをいたしたいと存じます。  さき竹下内閣は、中曽根内閣以来の方針に基づき、全閣僚の資産公開されました。まことに結構な制度であり、ぜひこの制度充実徹底させてほしいものだと考えるものであります。  竹下総理も世田谷区代沢の宅地、住宅を初め郷里の財産を公表しておりましたが、なぜか山梨県鳴沢村にある別荘が公表から外されているのであります。  この別荘地は、富士観光開発という会社によって売り出され、最初は総理夫人の直子さん、次いで竹下総理秘書の青木伊平氏が代表取締役である新樹企画、新しい樹木の樹と書くのでありますが、新樹企画が合計六区画を取得しています。約五千平方メートルの敷地に延べ二百二十五平方メートルの広大な建物があり、さらに昭和六十二年七月、新たに別棟も完成し、これは本年二月一日、新樹企画の名義で登記されました。建物は、竹下氏女婿の内藤武宣氏の名義になっております。  ところで、この別荘は、当初鳴沢村に提出された建築工事名では竹下登名義で行われ、地元ではだれもが竹下さんの別荘と言っておりますが、途中から名義が新樹企画に変わったようであります。  この新樹企画の役員は三十年も竹下さんの秘書を務めてこられた青木伊平氏であり、あと一名の取締役は竹下総理の女婿とのことでありますから、三名の取締役中二名が総理の身内ともいうべき人物であります。この身内の会社が、総ヒノキで約三百六十一・四六平方メートル、一億一千二百万円と言われる豪華な別荘を有し、竹下総理も毎年夏を中心に約一カ月ぐらい使用されているということであります。そして、この別荘を使用するに当たって、竹下総理年間九百六十万円の家賃を支払っているのであります。これは、まさに個人資産隠してはございませんか。  竹下総理、なぜ私があえてあなたの別荘問題を取り上げたかと申しますと、私は先日、総理を初めとする各閣僚の資産公表をつぶさに検討いたしました。その際、最も不思議に感じましたことは、先祖から引き継いだという部分を除きまして、一般国民の常識を超える資産政治家としてつくり上げているということであります。国会議員の歳費は限られたものであります。その政治生活の中で、何億円もの邸宅をつくり上げ、有名ゴルフ場の会員権を数多く蓄えているのはおかしなことと言わなければなりません。ここに、日本政治の最大の欠陥として、政治資金が個人資産に流用して使用されているという問題がうかがわれるのであります。  政治資金規正法は、御存じのようにしり抜けであります。政治世界では一千万、二千万、あるいは億の金が無造作に出たり入ったりしている事実が今回のリクルート疑獄で白日のもとにさらされました。しかし、このような金の動きは、殖産住宅事件を初めとする多くの事件でもわかるように、政治世界では日常茶飯のことなのであります。このことは、日本政治が極めて後進的な状況にあると言っても過言ではないのであります。  民主主義諸国では、既に政治家の金、資産については大変厳しい法をつくり上げていることは御存じのところであります。アメリカの一九七八年政府倫理法では、例えば百ドル以上の贈り物、二、百五十ドル以上のもてなし、一千ドル以上の株、不動産の取引については、大統領以下、議員も高級官僚もその報告を義務づけられているのであります。虚偽の報告には罰則があります。レーガン政権のもとで大統領補佐官であったリチャード・アレン氏が、妻に贈られた一千ドルのお金と腕時計のためにその職を辞任した例は有名であります。  数千万円という巨額の金をリクルートを初めとする企業から無造作にもらってしまう閣僚や議員が輩出している日本の政界は、こうした民主主義国の政治倫理の目で見れば、異常としか言いようがないのは当然であります。  最近におきましてロンドンのエコノミスト誌がリクルート株と日本政治を論じました軽べつ的な文章を読みまして、日本国民は激しい屈辱を感じているのであります。このエコノミスト誌の論評は、「日本の暗やみ」と題したものであります。論評は、株を受けた者の中には現職の首相と前職の首相の側近の名前も挙がっているし、大蔵大臣も含まれている、この株は地位と影響力を買うことを目的とする明白なわいろなのだと言っているのであります。そしてまた、なぜ竹下氏はまだ首相でいられるのかとも論じていることに注目していただきたいのであります。  最後に、私は、竹下総理政治改革について伺いたいと存じます。  リクルート渦中にある竹下総理は、政治改革をこれからの最優先課題にすると言っております。しかし、福岡県において自民党を惨敗させた国民は、こうしたリクルート株に汚染された総理による政治改革を完全に拒否したのであります。まことに、竹下総理資産の不可解、そしてリクルート株をめぐる疑惑を考えたとき、当事者たる総理自身がみずからの疑惑を晴らそうとせず、ただ題目のように政治改革を唱えるのは全くおかしなことと言わざるを得ないのであります。(拍手)乱は、今総理がなすべきことは、みずからリクルート株一万二千株の真相を明らかにすると同時に、その進退をも明確にすべきことではないかと判断するものであります。  竹下総理リクルート疑獄における政治責任の大きさは、はかり知れないものがあります。この際、竹下内閣は総辞職をしてその責任を明らかにすべきであると存じます。同時に、国会解散によって消費税実施の賛成、反対を改めて国民に明い、政治改革のあり方についても国民の審判を仰ぐべきときであると信じます。  竹下総理政治家としての出処進退を一日も早く決断されるよう切望して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手
  8. 多賀谷真稔

    ○副議長(多賀谷真稔君) ただいまの小川君の発言中、不穏当の言辞があるとの申し出がありますが、議長は、速記録を取り調べの上、適当の処層をとることといたします。  内閣総理大臣竹下登君。     〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
  9. 竹下登

    ○内閣総理大臣(竹下登君) まず最初に、消費税についての、かねて国会で議論をいたしまして私が申し上げております六つの懸念、七つの懸念等について、改めてまたお尋ねがございました。  消費税導入に当たっては、いつも申し上げ下おりますように、国民の不安、懸念、これをなくさなきゃならぬ。そうして、円滑な実施を図らなきゃならぬ。したがって、法律が成立いたしました今日も、円滑化推進本部等を設置して、総合的な対策をもって絶えず説明会、特に相談相手になるという姿勢でこれに対応しております。  税率についてもお尋ねがございました。  このたびの税率、これは基本的に三%の単一税率、これが制度の簡素化や経済活動の中立性を確保する、このことは何回かお答えいたしたことでございます。そうしてまた、現行個別間接税制度の問題点をそのまま引き継いではならぬ、こういうこともたびたびお答えしておるとおりでございます。  そこでまた、転嫁の問題、あるいは免税事業者を含め消費税の円滑、適正な転嫁、これが必要でございますだけに、今御指摘なさいました御懸念につきましては、今、円滑実施本部、各省出先、それぞれお世話をしておるところでございます。  また、不当な買いたたき等についての御懸念もございました。  これもまさに指導、相談、PR、転嫁力強化のための予算措置、これらで対応しておることをいま一度申し上げておくところであります。  そうして、便乗値上げ、この問題も、監視体制の問題等についていつも申し上げておるとおりでございます。  したがいまして、今おっしゃいましたが、四月実施は中止をする考えはございません。これは明らかに申し上げておきます。  次は、リクルート疑惑問題についてのお尋ねでございました。  これは、政治家の倫理観、この問題が政治不信を招いておる、これは憂慮すべき事態であります。だからこそ、総理大臣の職にあります私の責任は逃れることなく、それこそ忍耐強く政治改革に臨んでいくのが私に課せられた責任であります。  次は、私個人の問題に集中してのお尋ねでございます。  私の関係者二人、これの問題につきましては、昨年来申し上げておるとおりでございます。  さて、私の昭和六十年の家計支出についてのお尋ねがございました。  私も、これを一々つまびらかにいたしておりません。私とて、普通預金等も持っておるつもりでございます。  六十二年の家計収支についてのお尋ねもございました。  確かに、佐藤栄作先生のお宅を私が留守番しております。しかし、これにいたしましても、いずれにしても八月以来のことでございますので、どうもお尋ねの計算と合ってまいりません。  それから、別荘は資産隠したとおっしゃいましたが、敷金も賃貸料もぎちんと支払っております。  政治資金の個人資産への流用、お互いそういう疑念を抱かれないように、公私の別を厳しくすべきものであると思います。  総辞職、解散によって消費税実施、税制改革について国民の審判を仰ぐべきだ、こういう最後のお尋ねがございました。  重ねて申し上げますように、私の責任は逃れることなく、国民こぞって求める政治改革に対し、忍耐強くこれに対応してまいります。(拍手)     〔国務大臣村山達雄君登壇〕
  10. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 今総理からお答えがありましたので、二つだけ申し上げておきます。  一つは、免税業者が非常に競争場裏からオミットされるのじゃないか、こういう話でございますが、これは、コストアップがございますから、その分は当然転嫁さるべきものでございます。それから、売上税と違いまして、免税業者から仕入れた人も仕入れ控除ができることになっております。また、免税業者が三%値上げした場合にも、それは便乗値上げたとは言わないということになっております。  それからもう一つの問題は、販売に対する消費税は仮受金だから運用収益が生まれるのじゃないか、こういう御指摘でございますが、片方、仕入れについては前払い金があるということでございます。それから、やはり何ほどかこの消費税実施に当たりましてはいろいろな点で経費がかかってまいります。それら勘案いたしますと、運用利益が出るというようなところまではなかなかまいらぬだろうと思います。そしてもう一つは、納期の問題と関係するわけでございますが、今度は帳簿課税にいたしまして、法人税所得税の帳簿をそのまま使えばいいということになっておりますので、納期も一緒にしてあるわけでございます。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣高辻正己君登壇〕
  11. 高辻正己

    国務大臣(高辻正己君) 御質問は、職務権限関係して株を得た政治家に対しては厳しく法による究明をすべきであると考えるがどうかということでございました。  検察当局は、昨年来多数の検察官を投入して、リクルートコスモス社の非公開株の譲渡関係を中心に、事案の解明のため努力してきているところでございますが、事案の解明というものは、元来、その結果の及ぶところが何びとであるかによって左右される筋合いのものではないと存じております。その点で、御質問の点は御理解願いたいと思います。(拍手)     —————————————
  12. 多賀谷真稔

    ○副議長(多賀谷真稔君) 金子満広君。     〔金子満広君登壇〕
  13. 金子満広

    ○金子満広君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、当面する重要な国政問題について総理質問をいたします。  言うまでもなく、今国会は、我が国の政治史上前例のない腐敗政治の中で開かれています。そして昨日は、リクルート疑惑の中核、江副前会長などが贈収賄容疑で逮捕され、事態は緊迫した局面を迎えています。そこで、総理、この譲渡株の性格、目的を今どのように考えているか、まず冒頭、単刀直入に伺います。明確に答えていただきます。  さて、そして重大なことは、この事件発覚以来既に八カ月が経過をいたしましたが、今日まで、国民の厳しい批判と怒りにもかかわらず、疑惑責任を回避し続けてきたことであります。しかも、施政方針演説では、「何事かをなさんとするとき、あらゆることが忍耐によってなし遂げられる」などと言い、政権の座にあくまで居座り続ける意図を露骨に示していることであります。国民の怒りが爆発し、厳しい世論にさらされているのは当然のことであります。  そこで、総理、端的に伺います。  最近のマスコミの各社の調査でも、竹下内閣の支持率は急速に低下しています。二〇%、一〇%台になっています。また、この間のあらゆる選挙でも竹下自民党内閣に対する痛烈な審判が下されていることは御承知のとおりであります。その理由は明白に消費税の強行とリクルート隠しにあると確信しますが、総理はどのように考えているのか。世論調査の結果も、支持しない理由は、消費税の強行導入リクルート疑惑解明せずが共通しているのであります。総理、この民意をどう考えているか、明確な答弁を求めるわけであります。(拍手)  ここで、私は、国民の怒りの声にこたえて、自体的な問題について総理に所見を伺います。  まず、リクルート疑惑の徹底的な解明についてであります。  既に明らかなように、このリクルート疑惑は、その規模、内容、性格からいって、かつてのロッキード事件をはるかに超える、前例のない一大疑獄事件ともいうべきものであります。中曽根前総理、竹下現総理を含め、二代の内閣が大きくかかわっている重大事件であります。竹下総理自身、秘書や親戚の名前で一万二千株取得など、その疑惑の頂点に立っておるのであります。  総理、今このリクルート疑惑では、既に宮澤大蔵大臣の辞任に続き、長谷川法務大臣、そして原田経済企画庁長官の辞任、そして民社党塚本委員長の辞意表明となっております。もはや事態は一寸延ぼしのトカゲのしっぽ切りでは済まされる問題ではなくなってきているのであります。今厳しく問われているのは、総理がどう責任をとるかという問題であります。今総理がやるべきことは、忍耐強く、辛抱強く政権にかじりつくことではありません。私は、改めて竹下内閣の総辞職、国会解散、総選挙を要求をいたします。総理の見解を求めるものであります。(拍手)  そもそもリクルート事件は、リクルートグループが情報産業、不動産業として急成長を遂げた時期と結びついております。それは、中曽根内閣が打ち出したいわゆる民間活力の導入と時を同じくして引き起こされたものであります。それが、電電公社の民営化に伴いそこに割り込んで、また、都市における建築物の規制緩和、ビルの高層化とかあるいは国有地の民間への払い下げの時期と重なって発生していることは、決して偶然ではありません。その過程でリクルートが黒い株をばらまいたり、政府中枢を初め政界に接近をした。江副氏が政府税制調査会や教育課程審議会、大学審議会、そして新行革審の土地対策検討委員会などの委員という政府関係の委員の地位を手に入れました。情報の入手、利権をあさってきた。これが政界、官界癒着のリクルート疑惑の本質であります。総理の言う株の譲渡が単なる経済行為などというものでないことは、もはや明らかではありませんか。  国会は、この疑惑国会の名誉にかけて明らかにしなければならない義務を持っているのであります。  そのためには、総理自身がまずみずからにかかわる疑惑の真相を明らかにすることであります。秘書だ、親戚だ、そういうようなことではなくて、一万二千株が総理自身あてのものであるという疑惑が大きく広がっているのでありますから、その点を明らかにしなければなりません。このとき、昨日のリクルート事件のあの逮捕では、リクルートコスモス株の店頭公開直前の一九八六年九月、わいろ性を持った未公開株の株譲渡が計画的に行われたことが指摘をされているのであります。まさにこのとき一万二千株が竹下総理関係者に渡ったのでありますから、もはや総理リクルート関係、この株の問題が単なる経済行為などと言えるものでないことは明らかであります。総理、この肝心な点について明確に答えていただきます。  同時に、疑惑解明に不可欠の証人喚問について、既に我が党は、中曽根前首相及び竹下総理の元秘書青木伊平氏や総理の親戚福田組社長福田正氏などを初め、関係者の証人喚問を求めてまいりました。総理そして自民党総裁として、これに積極的にこたえるよう求めるものであります。  総理は、リクルート疑惑から国民の目をそらそうとし、金のかからない政治活動の確立とかいって政治倫理、政治改革を掲げています。だが、現実には資金集めのパーティー花盛りではありませんか。これが実態であります。リクルート疑惑から本当に教訓を学ぶというのであれば、このような資金集めのためのパーティーはきっぱりとやめるべきでありますが、総理、明確にお答え願いたいと思います。(拍手)  そもそも金権政治が横行するのは、政党政治家企業や団体から献金を受けているからであります。政治倫理の確立、金権腐敗政治の根を絶つためには、企業、団体からの一切の政治献金を禁止をすること、献金は個人だけに限定することであります。これをやるかどうか、総理の所見を求めるものであります。  次は、衆議院の定数是正の問題についてであります。  政府は、今三百議席を確保している間にリクルートなどに対する国民の追及をかわしながら何とか窮地から抜け出して政権の延命をねらっているということは、もはや識者の指摘しているところばかりか、国民共通の声であります。ここで持ち出してきたのが、今国会で衆議院の定数を一名減らすというこそくなやり方であります。しかし、こんなことで国民の目をごまかすことはできません。これが総理の小手先細工であることは見え見えてあります。  定数是正については、既に衆議院は一九八六年五月に、「昭和六十年国勢調査の確定人口の公表をまって、速やかにその抜本改正の検討を行うものとする。」との決議をし、その実行を政府国会に義務づけているのであります。今やるべきことは、国会のこの決定、決議の実行であります。  すべての国民は法のもとに平等であるならば、衆議院の定数は、まず一票の格差は一対二未満であること、選挙区は現行の中選挙区制で三名から五名とすること、選挙区の合区、分区は同一都道府県内で行うこと、これは党利党略をなくせばすぐにでもできることであります。これこそが抜本改正であります。この抜本改正をやる気があるのかないのか、明確に答えていただきます。(拍手)  やるべきことをやらないで政治改革を言い始めましたが、それは、一つには国民の関心をそらすことであり、もう一つは、窮地をじっと我慢して、今の議席で諸改悪をやろうとしていることであります。その一つが小選挙区制の導入であります。これこそ、識者の間でも繰り返し繰り返し指摘されているように、四割台の得票で八割の議席を多数党が占めるというものであり、議会制民主主義の原則を根底から覆し、自民党独裁の恒久化をねらったものであります。こうした制度を検討の対象にすることは一切やめるべきであります。総理の見解を求めます。(拍手)  次は、最悪の不公平税制消費税についてであります。  政府自民党は、圧倒的多数の国民の反対を押し切って、消費税を強行採決に次ぐ強行採決で国会を通過させました。しかし、今、四月一日の実施を前にして、この三%の消費税をどのように物価に転嫁するか、あらゆる生活用品や公共料金その他で全国の商店街、そして各業界、地方自治体まで大きな混乱に直面しています。四月から実施できない業界もあることは、既に報道されているとおりであります。低所得者ほど消費税の負担が重くのしかかってくることは目に見えています。理屈ではありません。また、消費税高齢化社会を支えるなどというものでないことは、年金受給年齢の五年先延ばしを指摘しただけでも明らかであります。  この事態の深刻さ、庶民の不安はますます募ることは必至であります。悪税というのは決して国民の理解を得ることはできません。悪税は廃止する以外にありません。  かつて一九四八年、国民の強い反対を押し切って導入されたあの大型間接税である取引高税が、国民的な反撃によってわずか一年四カ月の短い寿命で廃止になったことを私たちは想起するのであります。今また消費税国民の強い反対を受けているとき、私は、ここで改めて消費税の廃止を政府が速やかに行うことを強く要求をいたします。総理の確たる答弁を求める次第であります。(拍手)  さて、政府は、この消費税導入の中で、他方では減税を大いに宣伝してきました。しかし、総理、減税でだれが恩恵を受けているのか、この点にはっきり答えていただきたいと思います。  確かに、法人税は、大企業上位五十社だけで何と三千四百億円の大減税であります。所得税でも、よく言われるように、松下幸之助氏クラスになると一億数千万円という信じられないほどの減税の恩恵を受けることになるのであります。この減税分を一億としても、年収五百万円のサラリーマンが飲まず食わずためても二十年かかる金額であります。  このような減税は、圧倒的多数の勤労者、中小業者にとっては全く無縁であります。それどころか、年収五百万円、無職の妻と中学生以下の二人の子供を持つ平均的サラリーマンの場合は、減税は年間七万円であります。ところが、年金改悪による保険料の値上げたけで四万円が消えます。その上、私どもの試算で八万円の消費税の負担であります。結果は、税の重圧感を取り除くどころか、逆に増税であります。国民が求めているのは庶民の減税であります。総理はこの事実をどう見るか、はっきり答えていただきます。  庶民の減税は、政府にやる気がありさえずればすぐにでも実現できる問題であります。何兆円にも上る膨大な税の自然増収を国民のために活用する立場に立つならば、また、軍事費の異常な拡大や、大企業、大金持ちの減税でなく、それらに対する特権的な優遇税制にメスを入れるならば、増税なしの減税、福祉教育改善は十分にできるのであります。  私は、ここで改めて政府に、基礎・配偶者・扶養控除を中心に戦後確立した生計費非課税の原則に立ち返って課税最低限を大幅に引き上げ、真の三兆円所得減税を実現するよう求めます。明確にお答えいただきたいのであります。(拍手)  次に、来年度予算に関連して若干の問題について質問をします。  政府は、消費税収入を盛り込んで、総額六十兆四千億円を超える予算を編成をいたしました。国民生活は圧迫され、防衛費という名の軍事費は、五・九%増、二千億円の上積みで、三兆九千百九十八億円になりました。在日米軍に対する思いやり予算は、これまた一八・三%の増で、千四百二十三億円であります。どこに使う。この思いやり予算は、米軍とその家族のための住宅、三十人学級の教室や校舎の建設であります。さらに、劇場やクラブ、ゴルフ場のネットまで含まれているのであります。まさに軍事が栄えて福祉が枯れる予算ではありませんか。安保条約優先の予算であります。  私は、ここで、軍事優先の政治をやめて、改めて軍事費の削減を行うよう政府に強く要求をいたします。(拍手)  政府は、昨年の十二月国連総会で採択された軍事費削減要求決議に賛成の態度を表明をしております。私は、政府がこの国際公約に従って軍事費を削減することを強く要求します。誠意を持って答えていただきます。  総理、軍事費を削って暮らしと福祉教育に回せということは多数の国民共通の声であります。政府は、生活保護の切り捨て政策を即時やめること、年金給付の抜本的改善、六十五歳への引き延ばしを撤回することであります。国民健康保険の国庫負担率をもとの四五%に戻すことであります。さらに、心身障害児・障害者のすべての共同作業所の助成をふやすことであります。及び、全国の心身障害者の家族が心から求めている親亡き後の対策について万全を尽くすことであります。在日米軍に対する思いやりでなく、これを国内に向けるなら、この国民の願いを実現することは今すぐできることであります。総理の明快な答弁を求めます。(拍手)  また、この際、私は、世界に例を見ないような我が国の交通事故、交通遺児問題について触れます。  昨年、交通事故による死者は一万人を超えました。それは、一時間に一人が死亡し、四十五秒間に一人が負傷するというものであります。まさに交通戦争そのものであります。とりわけ、お年寄りと若者の死亡事故が激増しているのが現実であります。  そこで、政府は、この事故防止のため、人と車の分離、交差点対策、駅におけるエスカレーターの設置など、交通安全施設の改善に対し抜本的な対策を立てること。同時に、毎年毎年関係者から要請されている交通遺児への育英制度改善、また政府助成による災害遺児、母子家庭のための育英制度の創設は急務と考えますが、この点についてもはっきりとした総理の考え方をお聞きしたいと思います。  ここで、総理が言うところのふるさと創生をめぐる問題についてお聞きをいたします。  総理、あなたは現在の地方自治体の財政が窮迫している原因がどこにあると考えているのか、まず明確にお答え願いたいわけであります。  今日、全国の地方自治体の財源にとって最大の問題は、一九八五年から国民の反対を押し切って、政府が地方自治体に当然行うべき国庫負担を毎年一兆数千億一律カットしてきたことであります。さらに、来年度以降これを恒久化しようとしているところにあります。  総理は昨年秋の全国知事会で地方自治体の財政困難を強調しましたが、この一律カットを続ける限り、その困難はいつまでもどこまでも続きます。この事態を続けておいては、ふるさと創生どころか、ふるさと破壊であります。もともと自治体固有の財源である地方交付税を、ふるさと創生宣伝で、あたかも国が恵んでやるかのようにして各自治体に一億円ずつ、三千数百億円やるということで一律カットの恒久化をするようなことは、絶対に許せないことであります。今やるべきことは、全国の自治体がひとしく求めている国庫負担をもとに戻すことであります。総理の答弁を求めるものであります。  次は、施政方針演説で触れられました日米協力、責任分担ということについて質問をいたします。  周知のように、このたびアメリカ政府が発表した一九九〇会計年度国防報告は、我々としては日本に対し急速に増大する国力と影響力に見合った一層の共通防衛のための分担増を求める、このように述べています。この分担要求は、国防報告でも明らかなように、核抑止力、つまり核兵器を中心とする米軍戦略を補完するものであることは疑う余地がありません。共通防衛のための日本への分担要求とは、要するに、米ソ戦争の発生、その際におけるアジア・太平洋地域における日本の協力、責任分担を求めていると考えるが、総理はどのように考えているか、伺います。  また、政府は、このアメリカの核戦略の中で、去年の八月、横須賀を核トマホーク積載艦船である巡洋艦、駆逐艦の母港に提供いたしました。横須賀は既に空母ミッドウェーの母港とされているのであります。この事態は、日本アメリカのアジにおける核戦略の中に深く組み込むものであり、日米安保条約のもと、日本を核戦場化する危険を一層増大させているものと言わなければなりません。これは、唯一の被爆国の国民として到底許せないことであります。  政府は、非核三原則、つまり、つくらず、持たず、持ち込ませずの原則を守ると言っているわけでありますが、もしそうであれば、アメリカから事前協議の申し出がないからこれらの艦船に核兵器は積まれていないなどというだれをも納得させ得ないような口実ははっきりやめて、こうした核兵器積載艦船の母港化は取り消すべきであります。(拍手)  さらに、政府開発援助、ODAについてであります。  この政府開発援助は、七・八%増であります。しかし、これは決して飢餓に苦しむアフリカ、アジアの人々を援助するというものではありません。これほど政府開発援助を増大させ、それが飢餓に苦しむアフリカ、アジアの人々の援助というのであれば、一体どれほどの援助をしているのか、答えていただきたいと思います。  日本政府開発援助は、アメリカと軍事同盟関係にある国に集中しているのが事実であります。総理が進めているフィリピン援助はその典型であります。この援助について、今回駐日大使に指名されたアマコスト前米国務次官は、今年二月二日のニューズウイーク誌上で、日本の援助を高く評価をし、それによってフィリピンの政情が安定し経済成長が続けば、それだけ基地存続を容易にすると露骨に語っているのであります。  総理、あなたは施政方針演説で「世界に貢献する日本」と言いました。かけがえのない地球とも言った。とうとい生命、心優しい政治をも説きました。総理、これが本当であるならば、このようなアメリカ世界戦略、その補完のための援助はやめるべきであります。世界に貢献するということを言うのであれば、何よりも総理は、唯一の被爆国の政府として、世界に向かって核戦争の阻止と核兵器の緊急廃絶をこそ訴えるべきではありませんか。富と資源の浪費である軍備の拡大ではなく、それだけの資金があるなら、この地球上の幾億千万の人々が今直面している飢餓と貧困、病気の解消のためにこそ、平和と平等互恵の立場から注ぐべきであります。総理の所見を伺います。(拍手)  次は、戦前戦後六十年の歴史を直視し、あの十五年戦争の耐えがたい犠牲の上に確立された現憲法の国民主権、平和と民主主義の原則を確固として守り抜くという問題であります。  日本共産党は、戦前、国民が主権者であるという主権在民の旗を高く掲げて闘い続けてきました。戦後、天皇が主権者であるという主権在君は廃止をされました。そして、主権在民が憲法の上で明記をされたのであります。これは、日本社会にとって極めて大きな進歩であります。天皇が象徴として残されたことは、国民主権を徹底する立場から見れば矛盾するものでありますが、我が党は、象徴天皇制を今廃止すべきであるなどと主張するものではありません。現憲法の主権在民の原則を厳格に守るよう主張しているのであります。(拍手)  この点で、前天皇の死去に伴う諸問題で政府がとっている態度は重大であります。  総理、まず第一に端的に伺いますが、前天皇の死去に当たり総理は謹話を発表し、さきの大戦が天皇の「お心ならずも勃発した」ものであると述べました。それでは、戦前、あの米英に対する開戦の決定権はどこにあったのか、その決定はどの機関でいつ行ったのか、また、宣戦布告の人権はどこにあったのか、明確に答えていただきます。  あの戦争で、我が国では三百万を超える国民を、また、外国に対しては二千万を超える犠牲者をつくり出しました。この戦争を開始したのは日本であります。この戦争は侵略戦争であると総理は考えているか、また、その責任がどこにあるのか、これは国際的にも重大なことでありまするから、責任ある答弁を求めるわけであります。(拍手)  第二に、前天皇の死去に伴う一連の儀式の問題について問います。  日本が開戦したあの戦争は、国家神道に基づき、国民を総動員して行われたことは、歴史の動かぬ事実であります。戦後、この反省の上に立って、現憲法二十条では政教の分離を明確にして次のように述べています。「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。」そして「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」として、政府に厳しい義務を負わせているのであります。  ところが、政府は、来る大喪の礼を神道に基づいて、既に否定された明治憲法下とほぼ同じやり方で、国事行為として行うことを決定しているのであります。これが憲法に反していることは明白であります。しかも、その中で、皇室の私的行為である葬場殿の儀も大喪の礼と一体のものとして行い、三権の長がそれに参列し、諸外国の代表も参加するよう呼びかけております。政府は、憲法の定めに従って、こうした宗教行事を行うべきではありません。明確な総理の答弁を求めるものであります。  総理、かつて戦前戦中、日本共産党は非合法のもとに置かれ、国会のこの演壇は侵略戦争の強行と拡大、推進の場として徹底的に利用されました。戦争反対はもちろん、民主主義や婦人に参政権をの主張もこの演壇から聞くことはできませんでした。ましてや主権が国民にあるなどとの主張は、ことごとく治安維持法によって弾圧されたのであります。その結果、この演壇が国民をどこに導いていったか、今こそその悲劇を想起すべきときであります。  我々は、この演壇を再び主権在民、民主主義否定の場に絶対に変えてはなりません。言論の府である国会は、言論の自由を守り抜かなければなりません。憲法の平和的、民主的条項の完全実施、これこそ政府に課せられた最大の責務であります。このことを再度強調して、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
  14. 竹下登

    ○内閣総理大臣(竹下登君) 最初のお尋ねは、コスモス株譲渡の性格、目的をどう理解しておるか、こういうお尋ねでございました。  個々のケースについて、譲渡人あるいは譲り受け人の意図や目的がどんなものであったかを推測することは、これは非常に難しい問題であります。  次に、世論調査にお触れになりました。  私どもは、世論調査の結果、そのあらわれたことを十分に謙虚にこれを受けとめて、当面の課題を一つ一つ対応していくことこそこれにこたえる道であると思います。  それから次が、総理のやるべきことは内閣の総辞職、国会解散、総選挙だ、こういうことでございました。  内閣総理大臣たる職にあります私は、逃れることなく、総辞職とか解散とかを考えることなく、忍耐強く政治改革の責めに当たります。(拍手)  それから次が、証人喚問の問題も出ましたが、これは国会の問題であります。  パーティーの問題につきましては、これは節度ある開催運営を図る、そうして国民の批判にこたえよう。したがって、パーティー開催の自粛に関する申し合わせ等が自由民主党において行われておる。節度というものが大切であろうと思います。     〔副議長退席、議長着席〕  企業献金の禁止、これは、企業が一つの社会的存在である、そういう意味において、これをいけないと決めてかかることは、それこそいけません。  それから、定数是正の問題でございます。  これは、おっしゃるとおり、本院における決議、これを踏まえて各党間で十分な論議をしていただく、このことがまず大切なことであると思います。  選挙区制の問題について共産党のお考えをお述べになりました。  選挙区制、その土台となる選挙制度、これにはさまざまな議論がございます。  そうして、全国で大きな混乱に直面しておる消費税の廃止を速やかに行うべきだ、このような考え方は全くございません。  それから、年金の問題にお触れになりました。  この年金問題は、いつもお答えいたしておりますとおり、まさに少なくとも五年ごとに行われます財政再計算に基づいて実施されるものでありまして、長期的に安定的な運営をしていくためのものである、こういうふうに考えております。  それから課税最低限等につきましては、もう御承知のとおりでございます。これをいわばそれぞれ引き上げてまいったところでございます。  防衛費の削減につきましては、我が国は中期防衛力整備計画の着実な実施を図っていく、ぎりぎりの各種費用との調和を図って決定をしてまいりました。  国連軍事費削減決議、これは軍事超大国に対して軍事費に関する自己抑制を行うことなどを要請するものでございます。  それから生活保護、これは、いつも申しますように、国民の最後のよりどころとなるものでございます。年金は、財政再計算期にいわゆる実質改善を図って、将来を含めてその姿を描き、よりよきものにしていくということであります。  思いやり予算についての御指摘がございました。  そもそもいわゆる安保条約に対する考え方が基本的に違っておりますので、との問題についてはあくまでも日米安全保障体制の信頼性の維持向上のために対応したものであります。(拍手)  それから交通事故の問題、これは重大であります。したがって、交通事故防止に関する緊急総合対策、これを積極的にやってまいります。  交通遺児への育英会の問題は、今までも助成措置を講じてきております。今後とも引き続きやります。  災害遺児育英制度についてのお尋ねがございましたが、これは党首会談等によりまして、与野党の実務者の協議で話が進んでおります。  それから、ふるさと構想でございますが、恵む考え方ではなく、恵むなどという大それたことはさらさら考えたことはございません。あくまでも自主的なものの起爆剤となるよう期待しておるところであります。  次が、防衛問題について、軍事的役割の肩がわり云々と申されました。  我が国は日米安保体制、基本的に貴党と考え方が違うわけでございます。自主的に節度ある防衛力整備に今後とも努めてまいります。したがって、母港化問題にもお話がありましたが、米軍艦船を施設、区域たる港に入港させることは何ら問題はありません。  次が援助問題について、アフリカ、アジアヘの援助の問題でございます。  基礎生活分野に重点を置いて、無償資金協力を中心に対応しております。我が国の無償資金協力の最近の実績を見れば、その八割がいわゆる低所得国、こういうことになります。  それから、核戦争の問題についてお触れになりました。  我が国としては、従来より核兵器の究極的廃絶の実現のため、ジュネーブ軍縮会議、国連等において外交努力を行ってきておりますが、今後とも引き続きかかる努力を傾注してまいるのは当然のことであります。  それから、謹話にお触れになりました。  さきの大戦が悲しむべきものであって、残念のきわみであるという趣旨を述べたものであります。戦争責任の問題を念頭に置いたものではありません。さきの大戦の宣戦布告は、国務大臣の輔弼によって行われたものであります。  さきの大戦が侵略戦争であったかどうか。この問題は、いつも申し上げますように、後世の史家がこれを評価すべき問題であると考えます。それよりも、戦争は、国民に対して大きな損害を与え、周辺諸国へ大きな迷惑をかけるものであるから、さきの大戦に限らず、戦争というものはあってはならないものである、このように考えております。(拍手)  次が、葬場殿の儀の外国元首の参列についてであります。  今度は何としても、皇室の伝統的なものを尊重しながら、憲法の趣旨に沿って厳粛に行いたいと考えております。そこで、葬場殿の儀に外国元首が参列されるかどうかは、これは参列者の自由な御意思に基づくものでございますが、同儀式が国民的敬弔の対象であるという公的性格にかんがみまして、政府が参列につきましてお世話を申し上げるということは当然のことであると考えております。(拍手
  15. 原健三郎

    議長原健三郎君) これにて国務大臣演説に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————  議員請暇の件
  16. 原健三郎

    議長原健三郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。  東力君から、海外旅行のため、二月十八日から二十六日まで九日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 原健三郎

    議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ————◇—————
  18. 原健三郎

    議長原健三郎君) 御報告いたすことがあります。  議員山崎平八郎君は、去る一月十一日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。  同君に対する弔詞は、議長において去る一月十三日贈呈いたしました。これを朗読いたします。     〔総員起立〕  衆議院は 多年憲政のために尽力し さき環境委員長農林水産委員長の要職につき また国務大臣の重任にあたられた議員従三位勲一等山崎平八郎君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます     —————————————  故議員山崎平八郎君に対する追悼演説
  19. 原健三郎

    議長原健三郎君) この際、弔意を表するため、細谷治嘉君から発言を求められております。これを許します。細谷治嘉君。     〔細谷治嘉君登壇〕
  20. 細谷治嘉

    細谷治嘉君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員山崎平八郎君は、去る一月十一日逝去されました。  私どもは、山崎先生が昨年早々から病床につかれたとのお話を伺い、その後、秋の臨時国会に至っても登院されない御様子を見て、ひそかに心を痛め、御回復の一日も早からんことを祈っていたのであります。しかるに、一年にわたる闘病と御家族による懸命の御看護もそのかいなく、ついに不帰の客となられましたことは、まことに痛惜の念にたえないところであります。  ここに、私は、諸君の御同意を得て、議員一同を代表して、謹んで哀悼の言葉を申し述べたいと存じます。  山崎平八郎先生は、明治四十四年十二月、福岡県大川市にお生まれになりました。幼少のころ、不幸にも父親に早逝されたため、君は、戦前の政界において三たび農林大臣を務め、政友会の重鎮として活躍された、伯父山崎達之輔氏のもとで養育されたのであります。  長じて、旧制佐賀高等学校に学び、九州帝国大学農学部に進まれました君は、昭和十四年に卒業されるや、直ちに農林省に入り、行政官としての第一歩を踏み出されました。当時既に日中戦争がたけなわであり、農村の疲弊は次第に顕著の度を加えておりましたが、その後、戦火の拡大とともに、国土の荒廃は我が国の全域に及び、やがて終戦を迎えて、深刻な食糧危機の到来を見たのであります。その間、君は若き農林技師として、土地改良を初め開拓・干拓による農地の造成・開発の業務に従事され、農業の復興と食糧の増産、安定供給の基礎を築くために、文字どおり寝食を忘れて奔走されたのであります。  終戦直後の我が国は、食糧難に加え、年々大型台風の直撃で甚大な被害を受けていました。山崎先生は、農林省の干拓班長として、また、建設部設計課長として、当時の重点施策であった干拓事業の推進に積極的に陣頭指揮をされていました。そのころ、私は、地元の市長として三池干拓や大和干拓等の事業採択と推進をお願いし、特別会計を設けてまで事業の推進を図っていただきました。感謝のほかありません。(拍手)  その後、昭和三十八年に至り、新たに九州農政局が設置されるや、初代の次長として着任され、次いで局長となり、九州地域農政の最高責任者として、農業基盤整備事業や農業団体の育成など万般の施策に指導的役割を果たされました。  このように職務に精励される一方で、先生は、農業土木技術の専門家としても研さんを積まれ、昭和四十一年には九州大学から農学博士号を授与されておられます。  農林行政官としての山崎君の生活は、こうして前後約三十年に及び、その間、終始日本農業の基盤整備近代化のための総合農政の推進に尽力してこられたのでありますが、長年の官庁勤めを通して、先生は、「みずから研究した施策を実行するには、決して役人のみで実現できるものではない、それには強力な政治力が必要である」と痛感され、政界への転身を決意されたのであります。  さきに、山崎達之輔氏の後継者として、同じく叔父に当たられる山崎巌氏が本院議員として活躍しておられましたが、君は、昭和四十三年同氏が急逝された後を受け、山崎家三代目の政治家として、翌四十四年十二月の総選挙立候補され、見事初当選をかち取られたのであります。(拍手)当時、福岡県第三区は、大臣選挙区として有名でした。選挙でお会いしたとき、これからは若い我々が頑張りましょうと、意気盛んでありました。今昔の念、ひとしおのものがございます。  本院に議席を占められてからの君は、みずからの信念の具現に向けて真摯な活動を展開していかれました。地方行政、決算、文教、法務等の各委員を初め、農林水産委員会、環境委員会、石炭対策特別委員会等の理事として、豊富な経験とすぐれた識見をもって国政各般の審議に当たられましたが、その精励ぶりは同僚委員のひとしく敬服するところでありました。  特に、昭和五十五年には環境委員長、五十七年には農林水産委員長の要職につかれましたが、温厚篤実なお人柄と、公正円満を旨とした委員会運営は、与野党を問わず広く信頼を集め、君はよくその重責を全うされたのであります。(拍手)  また、自由民主党にあっては、経理局次長、全国組織委員会農林水産局次長、総合農政調査会副会長等を経て、やがて農林部会長の職につかれましたが、既に党内屈指の農政通としての声望は高く、農林政策立案の中心的存在として、その本領を遺憾なく発揮されました。  さらには、対外経済協力特別委員長、山村振興対策特別委員長をも歴任され、党の政策推進に幅広い活動を示されたのであります。  この間、政府にあって、文部政務次官、農林政務次官を経験され、一段と業績を積まれた君は、昭和六十年、第二次中曽根内閣において国務大臣に任命され、国土庁長官に就任されました。  最初の記者会見で、「今までは農業の目で土地を見てきたが、今後は、国土の均衡発展の立場で勉強する」と謙虚に抱負を述べられた君は、しかし、就任早々から精力的に山積する難問に立ち向かわれました。地価高騰に象徴されるように、今日の国土行政は一朝一夕には解決できない数多くの問題を抱えておりますが、君は、まず二十一世紀に向けての新しい国づくりのための第四次全国総合開発計画、いわゆる四全総の策定を急がれる一方、水資源対策、大都市圏整備対策、地域振興対策等の推進、強化に格段の指導力を発揮され、短時日にもかかわらず、国土行政の前進に大きく寄与されたのであります。  かくして、山崎君は、本院議員に連続して当選すること七回、在職十九年三カ月の長きに及び、その間、我が国政に残された功績はまことに偉大なものがあります。(拍手)  山崎先生は、日ごろから大変口数の少ない、物静かな方でありました。弁論をもって立つ我々政治家の中にあって、君は際立って控え目であり、人には常ににこやかな温容をもって接しておられましたが、しかし、内には政治に対する烈々たる情熱と強固な信念を秘めた硬骨漢でもありました。  君が、若くして農業問題に関心を持ち、道を農政に求めたのは、伯父達之輔氏の影響もさることながら、戦前の小作制度に支配された農村の悲惨な状態を目の当たりにして、その救済を志したからにほかなりません。以来、郷土筑後における自立農家の育成と農村生活安定向上とは、君にとって片時も脳裏から離れぬ人生の課題となりました。君は、強い正義感とふるさと愛から、その実現に向けて日夜心を砕き、渾身の努力を積み重ねてこられたのであります。  農政者として、政策の立案や予算の執行に際し、君は、常に部下に対して、農家の立場に立ち、農業者の心を心として当たるよう説いてこられたとのことであります。こうした姿勢は、「郷土の繁栄なくして国家の発展はあり得ない」との政治信条とともに、君のその後の生涯を貫き、その努力の跡は、今日の郷土の発展となってあらわれたと言っても過言でありません。(拍手)  君は、かつて本院において名議長とうたわれた保利茂先生を師と仰ぎ、保利先生の幅広い見識と、誠実で質素な生活態度を日常の範としてこられたと聞きますが、君の一生もまた、そのまな弟子たるにふさわしく、清廉で慎み深く、勤勉と誠実さに終始したものでした。  君は座右の銘として「至誠天に通ず」という言葉を愛されましたが、まさにその言葉どおりに、一時の功名を求めず、他人の毀誉褒貶を顧みず、ひたすら努力と精進を重ね、誠実一筋に生き、国事に献身されたのであります。(拍手)今ここに、君の清廉高潔な七十七年の生涯を振り返るとき、ひとしく政治に携わる者として、深甚な敬意を覚えずにはいられないのであります。  今日、君が繁栄を願ってきた日本農業は、内外の厳しい環境のもとに重大な転機を迎えつつあります。このことを深く憂慮した君は、病床にあっても不屈の闘志で再起に望みをかけておられたとのことであります。我々もまた、広い学識と鋭い先見性を備えた君が、再び健康を取り戻して難局の打開に当たられることを期待しておりました。それだけに、このたびの御逝去は、まことに痛恨のきわみであります。  今、政治家のあり方に対して国民の目が厳しく注がれ、国会議員としての職責の重大さが一段と問われているとき、君のごとき清廉にして卓越した有為の政治家を失ったことは、本院はもとより、国家にとっても大きな損失と言わなければなりません。  ここに、謹んで山崎平八郎先生の人となりをしのび、生前の御功績をたたえ、心から御冥福をお祈りして、追悼の言葉といたします。(拍手)      ————◇—————
  21. 原健三郎

    議長原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十三分散会      ————◇—————