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1989-03-24 第114回国会 衆議院 文教委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年三月二十四日(金曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 工藤  巌君    理事 臼井日出男君 理事 鳩山 邦夫君    理事 船田  元君 理事 町村 信孝君    理事 佐藤 徳雄君 理事 鍛冶  清君    理事 中野 寛成君       愛知 和男君    井出 正一君       小澤  潔君    岸田 文武君       鴻池 祥肇君    佐藤 敬夫君       斉藤斗志二君    杉浦 正健君       渡海紀三朗君    中村  靖君       平泉  渉君    松田 岩夫君       渡辺 栄一君    江田 五月君       小林 恒人君    中西 績介君       馬場  昇君    有島 重武君       石井 郁子君    山原健二郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 西岡 武夫君  出席政府委員         文部大臣官房長 加戸 守行君         文部省生涯学習         局長      齋藤 諦淳君         文部省初等中等         教育長局長   古村 澄一君         文部省高等教育         局長      國分 正明君         文化庁次長   横瀬 庄次君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      福田  誠君         大蔵省主税局税         制第一課長   長野 厖士君         参  考  人         (第二国立劇場         設立準備協議会         会長)         (新劇団協議会         会長)     千田 是也君         文教委員会調査         室長      松原 荘穎君     ————————————— 委員の異動 三月二十四日  辞任         補欠選任   井出 正一君     鴻池 祥肇君   中村  靖君     小澤  潔君   嶋崎  譲君     小林 恒人君 同日  辞任         補欠選任   小澤  潔君     中村  靖君   鴻池 祥肇君     井出 正一君   小林 恒人君     嶋崎  譲君     ————————————— 三月二十四日  著作権法の一部を改正する法律案内閣提出第  五六号)(予) 同月二十三日  学校図書館法の一部改正に関する請願外一件(  林保夫紹介)(第一七七号)  同(塩谷一夫紹介)(第二二七号)  同外二件(谷川和穗紹介)(第二二八号)  同(藤本孝雄紹介)(第二二九号)  同(藤本孝雄紹介)(第二三三号)  同外三件(畑英次郎紹介)(第二四六号)  同(藤本孝雄紹介)(第二四七号)  同(藤本孝雄紹介)(第二五〇号)  同外六件(北川正恭紹介)(第二八六号)  同外六件(鳩山邦夫紹介)(第二八七号)  私学助成増額に関する請願外一件(田口健二  君紹介)(第二一八号)  同外一件(田口健二紹介)(第二二六号)  同外一件(田口健二紹介)(第二三〇号)  同外一件(田口健二紹介)(第二三四号)  同外一件(田口健二紹介)(第二五八号)  同外一件(田口健二紹介)(第二八八号)  同外一件(田口健二紹介)(第二九二号)  同外一件(田口健二紹介)(第三五三号)  私学助成大幅増額に関する請願中西績介君  紹介)(第二九一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国立劇場法の一部を改正する法律案内閣提出  第二三号)      ————◇—————
  2. 工藤巖

    工藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国立劇場法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。西岡文部大臣。     —————————————  国立劇場法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 西岡武夫

    西岡国務大臣 このたび、政府から提出いたしました国立劇場法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  昭和四十一年に国立劇場法が制定されて以来、特殊法人国立劇場は、主として我が国古来の伝統的な芸能の公開、伝承者の養成、調査研究等を行い、その保存及び振興を図ることにより、我が国の文化の向上に寄与してまいりました。  一方、オペラ、バレエ、ミュージカル、現代舞踊現代演劇等現代舞台芸術のための国立劇場については、その設置について関係者の長年にわたる強い要請を受けて、鋭意調査検討を重ねてきたところでありますが、平成元年度には、この劇場について実施設計を完了するとともに、敷地整備工事を実施する予定であります。  現代舞台芸術のための国立劇場は、我が国現代舞台芸術振興普及の中核となる公共の施設であり、また、多様な現代舞台芸術創造活動を推進する劇場に適した弾力的な運営を行うことが必要であります。この観点から、その設置運営は、特殊法人国立劇場が行うものとし、これに必要な国立劇場法改正を行い、開場に向けて諸準備を推進しようとするものであります。  次に、本法律案内容について御説明申し上げます。  まず第一に、国立劇場目的現代舞台芸術公演実演家等研修調査研究等を行い、その普及及び振興を図ることを追加することといたしております。  第二に、役員の任命に関しては、行政改革趣旨に沿って、理事は、会長文部大臣の認可を受けて任命することといたしております。  第三に、国立劇場業務に、(一)劇場施設設置し、現代舞台芸術公演を行うこと、(二)現代舞台芸術実演家等研修を行うこと、(三)現代舞台芸術に関して調査研究等を行うこと、(四)劇場施設現代舞台芸術振興または普及目的とする事業の利用に供すること等の業務を追加することといたしております。  第四に、罰則等に関して、所要の規定の整備を行うことといたしております。  以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容概要でございます。  何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 工藤巖

    工藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 工藤巖

    工藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、第二国立劇場設立準備協議会委員、新劇団協議会会長千田是也君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 工藤巖

    工藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  7. 工藤巖

    工藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
  8. 馬場昇

    馬場委員 大臣、今日の社会の状況政治状況というものは、もう児童も見ておりますし、生徒、学生も見ておるし、すべての国民が見ておるわけでございます。だから、この政治のことを語らずして教育を語ることはできないのではないか、私はこう考えております。そういう観点から、冒頭政治問題について大臣の所信を伺っておきたいと思います。  大臣、この前の福岡の参議院の補欠選挙はもう御存じのとおりでございます。宮城の県知事選挙は、きょう来ておられませんけれども、この文教委員会の同僚の愛知さんが立候補を表明しておられましたが、それを辞退するという状況でございました。千葉の県知事選挙の結果も御存じのとおりでございます。  最近の報道機関世論調査を見てみますと、竹下内閣支持率というのは一〇%台に落ち込んでおりまして、私が調べたところによりますと、戦後歴代の内閣岸内閣安保条約を強行採決いたしました後一二%台であったと記憶しております。さらに田中内閣が金脈問題、狂乱物価の中で一二%台の支持率であった。今日の竹下内閣もまさに一二%台も出ておるわけでございます。  どうしてこういう政治状況になってきておるのか、このことについて文部大臣の御見解をお尋ねしておきたいと思います。
  9. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘のとおり、今日リクルートコスモス株譲渡の問題をめぐって政治行政に対する国民皆様方政治不信というものが極めて深刻な状況に至っている、このように私自身も事態を深刻に受けとめ、この政治不信を解消するために私どもは最大の努力をしていかなければいけない、このように認識をしている次第でございます。
  10. 馬場昇

    馬場委員 さらに言いますと、報道機関にもよく評論されておるわけですけれども、もはや国民の心は竹下内閣を離れておる、こういう状態ではないかと私は思います。そういたしますと、国民の心を心とする民主政治を行おうとするならば、竹下内閣は総辞職をするか解散・総選挙をするか、これ以外に国民の心を引きつけ、民主政治を行うことはできないんじゃないか、私はこう思うのですけれども竹下内閣の総辞職解散・総選挙、これ以外にないという私の、あるいは国民世論に対して、大臣はどういうお考えを持っておられますか。
  11. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  私は現在文部行政をお預かりいたしております文部大臣という立場から、我が国教育行政を積極的に推進をする、大きな課題になっております教育改革についてその改革を着々と進めていくという努力の中にしか私どもに対する国民皆様方の御批判に対してこたえていく道はないのではないかと考え、現在既に委員承知のとおり教育改革に向けまして、地道でございますけれども着実な前進を続けさせていただいているところでございまして、この考え方に沿って今後とも努力を続けてまいりたい、このように考えております。
  12. 馬場昇

    馬場委員 私が今尋ねたのは、竹下内閣から民心はもう離れておる、だから総辞職解散・総選挙以外にないのじゃないか、こういう端的な、率直な御質問をしたわけでございますけれども、なかなか閣僚として言いにくいのかどうか知りませんけれども、今の答弁では納得できないのです。  さらに言いますと、政治といえども、信なくば立たずと言われているわけです。国民から信頼がないならばどんな教育改革をやってもだめなのです。だから、今信頼のない上に教育改革を一生懸命やると言ってもだれも国民はそれを支援してこない、そういう状況になっておるのですよということを私は今質問をしておるわけでございます。  そうしたら、大臣教育の問題について言いますけれども、今子供の中に、私も秘書を持ちたい、私も家内を持ちたい、こういう冗談がはやっておるそうでございます。子供がそう言っているわけです。なぜだ。悪いことをしてお父さんやお母さんや先生からしかられるときには、私がしたのじゃない、秘書がしたのだ、私がしたのじゃない、家内がしたのだと言い逃れができるから、こういうことが言われておる。この子供たちが二十一世紀を背負う大人になっていくわけですから、そういう状況のあるところにいかに大臣教育改革を言われても改革にはならない、こういうぐあいに私は思います。  しかし、一閣僚として総辞職なんか言えないという立場であればそれ以上は追及いたしませんけれども、少なくとも文部大臣に課せられたものは、その生徒児童国民教育に対する不信、戦後の教育界の中でこんなに教育国民から信頼されない、不信を抱かれておるときはないと私は思うのです。そのためには、解散内閣辞職と言えないのならば、少なくともこのリクルート問題についての高石文部次官疑惑、このことは徹底的に解明をして責任を明らかにして、文部省は出直すのだ、こういう姿勢を国民に見せるべきだと思うのですが、いかがですか。
  13. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘のとおりであろうと思います。
  14. 馬場昇

    馬場委員 私も西岡大臣とは長いつき合いでございますし、同じ政治家として一緒にやってきておるわけでございますけれども大臣も御承知のとおりでございまして、事はある意味においては簡単ですよ。我々がこの国会において政治倫理綱領というのを満場一致で国会で決議してつくっているわけですから。その中に「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」こうあるわけでございますので、再度念を押しますけれども大臣は、議員としての職責、特にまた大臣としての職責は、この政治倫理綱領に従って徹底的にやっていくのだという決意のほどをお示しいただきたいと思います。
  15. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘のとおりと認識いたしております。
  16. 馬場昇

    馬場委員 それならば、高石文部次官リクルート疑惑、徹底的に解明をするという御答弁政治家としての信念も今お述べいただいたわけでございますが、高石文部次官本当のことを現在まで述べておるか、大臣の感想をお聞きしたい。
  17. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  少なくとも、国会におきまして証人喚問が行われました時点高石文部事務次官が述べられたことは真実であろうと私は考えております。
  18. 馬場昇

    馬場委員 大臣、あの証言国民の中では、真実を全部述べたということはほとんどの人が考えていないと私は思うのです。大臣だけじゃないですか、真実を述べたと言うのは。あるいは政府方々あるいは自民党の方々もそうかもしれませんけれども国民の澄み切った良心から見ますと、あれが真実を述べたとだれも思っていませんよ。  具体的に聞きますと、私もあの証言を聞いておりまして、江副さんとは十何年来のつき合いだ、こう言っておられる。そして、自分子供の結婚式にも来賓として来ていただいたとも言っておられる。文部省審議会委員に四つ、江副さんがなっている。また、リクルート関係の取締役とか部長とかがあと五つぐらいの委員になっている。こんなに深い仲でありながら、文部省局長次官をしておった人が、そういう大切な審議委員にしておる人と教育の話は一回もしたことがないと言っているのですよ。これを信用できますか。
  19. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘の点につきまして、私が今この時点で、高石事務次官の発言についてどこまでが信用ができるかということをこの席で明言をするということは非常に困難なことであろうというふうに考えます。委員の御指摘の御趣旨は十分私理解するわけでございますけれども、私自身がここでそこまで踏み込んだことを申し上げる具体的なデータというものを持ち合わせておりませんので、また、今司法当局によって解明されておりますこの問題につきまして私がこれ以上踏み込んだことを申し上げるのもいかがなものであろうかというふうに考えますので、御了承を賜りたいと思うわけでございます。
  20. 馬場昇

    馬場委員 私は、何も司法当局がどうしているかということを聞いているのじゃないのですよ。この国会において証言をしたのをどう思うかと聞いておるわけです。答えられないはずはないわけでしょう。少なくとも大臣、あの人は確かに宣誓をしました。「良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。」と言って宣誓をして前文部次官がやっているのですから、そういう点で大臣としては言いにくいということもあるかもしれない。しかし、大臣は、先ほどもちゃんと政治倫理綱領に従って自分政治家として身を処するとおっしゃったのです。疑惑があったならば解明をするということをおっしゃったわけです。  それでまた、文部大臣になられてから、なられる前から文教族でしたから、はっきり御存じと思いますけれども教育基本法に何と書いてありますか。教育基本法というのは、真理正義を愛する人間を育成するということになっているでしょう。真理正義をどこまでも文部大臣が追求してみせる、そこが子供に対する教育じゃないですか。憲法、教育基本法を守る大臣の務めじゃないですか。  水かけ論をしておりますと時間がありませんけれども、それならば江副さんとの十年のつきあいで教育の話を一回もしたことがない、このことについて、ここで言えなければそのことをもう一遍文部省調査をして明らかにしてください。疑惑解明調査をして努力してください。どうですか。
  21. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  私自身も、率直に申し上げまして、この時点高石事務次官とお目にかかっていろいろなことを承りたいという気持ちでいっぱいでございますが、今のこの状況のもとで高石事務次官接触をするということが困難な状況にございまして、本人の口からそのことを確かめない限り、先ほどから率直なお答えをずばり申し上げることができないで大変申しわけないと思っております。  今後そういう機会ができればというふうに思っておりますが、現状では具体的にそういうチャンスを持つということがなかなか困難だ。しかし、客観的な事実としてどういう状況にあるかということにつきましては、委員指摘のとおり今後努力をする考えでございます。
  22. 馬場昇

    馬場委員 高石文部次官との接触が困難だとおっしゃいましたが、相手が会わないと言っているのですか。そのことも聞いておきたいと思います。  それから、大臣はかつて大臣になられてからすぐ、二時間ぐらい高石氏と会った。そうして福岡三区から衆議院立候補をするということについては、私の感触では、ないだろう、こう思ったということを報道機関なんかでも言っておられます。  だから二つです。その後、向こうが会わないと言っているのかということが一つ。もう一つは、本当福岡三区から立候補をしない、また本人がそういうことを声明したということを私聞いておりませんけれども大臣はその点についてどう把握しておられますか。
  23. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えいたします。  現時点では、率直に申し上げまして高石事務次官と連絡をとることが不可能であるということでございます。  第二点につきましては、一月に私、高石事務次官と会いまして率直な話をいたしました結果、次期の衆議院選挙に出馬しないという、これは私自身感触でございますけれども、私の責任においてそのことを断定的に申し上げることができる、このように受けとめましたので、あの時点でそのようなことを公表をした次第でございます。
  24. 馬場昇

    馬場委員 そのとき、それは大臣感触を得たのでは話になりませんから、あなたがそういうことを声明されませんかと、そのことが教育界に対する信頼の回復になるのですよと、本人声明をせいとかいうことをお勧めになりませんでしたか。
  25. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  きょうこの時点でございますと、また状況はどういうことになるかわかりませんけれども、一月の時点におきましては、少なくとも高石事務次官自分が公の場で声明をするということについては納得をしてくれませんでした。  そこで、私自身文部大臣という立場で、少なくとも文部省行政当局としての最高の責任ある立場を務めた方でございますから、この際はやはりはっきりすべきであろうというふうに考えまして相当説得したところでございまして、その結果を私の責任において申し上げたということでございます。
  26. 馬場昇

    馬場委員 次に、問題になっております教育課程審議会委員任命について、これまた高石さんが国会証言をなさっておるわけでございます。  こういうところによりますと、この教育課程審議委員というのは関係する課で名簿を持ってきて小学校課がそれをまとめて、そして局長のところに上げてきた、だから私は全然タッチしていない、こういうことをあの人は証言なさっておるわけですが、しかし伝えられるところによりますと、あの人が非常にタッチしておるということがどんどん文部省内の人のお話という形でも報道も出てきておるわけでございます。  例えば会長になられましたノーベル賞学者福井謙一さんにつきましては、わざわざ高石さんが京都まで行って委員就任お願いした、こういう報道も出ておるわけでございますし、さらに作家の佐藤愛子さんなんかには、北海道に行っておられるのに北海道長距離電話をかけてみずからがお願いした、こういう報道が行われておるわけでございます。本人は下から持ってきたから私は全然タッチしていないと言っておる。なのにこういうことが出てきておる。このことについてどちらが本当かということは、今高石さんと接触できないからわからないとおっしゃいますけれども、この点については少なくとも国民はみんな疑問を持っておる。これはさらに調査をして疑問を明らかにしてくれますか。
  27. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  この点につきましては、委員既に御承知のとおりに、先ほど指摘がございましたように、通常事務当局が順次その職責に応じて名簿を作成して手続に従って上の方に上げてくるわけでございますが、その名簿の中に、原案に記載されていた方に対して、ただいま御指摘のように、具体的に最終的に、礼儀としても、あるいはなかなか就任をしていただけないというような場合に、直接事務次官から電話をしてお願いするとかお伺いをしてお願いをするというような行為はあり得ることであるというふうに考えます。しかし、そのこと自身は具体的にタッチしたと当時言われておりました事柄とは性質の違う通常的な行為である、このように私は考えます。  そこのところの判断の問題でございますけれども、そういうことは、例えば事務当局が作成をいたしまして最終的に事務次官のところに上がってきた名簿の中に江副氏があったかなかったかという問題が問題であろうかと思いますので、その点につきましてはこれまでも既に多分前大臣からもお答えを申し上げていることと思いますが、その名簿の中には記載をされており、それについてあるいは事務次官から要請お願いをしたということはあり得ることである、このように考えております。
  28. 馬場昇

    馬場委員 えらい私から言いますとへ理屈みたいに聞こえます。それについても具体的に言うと、じゃ小学校課課長が頼んだけれどもなかなか引き受けてもらえない、局長、行ってくれと言ったのか、事実関係を明らかにしてもらわなければ困るわけでございます。  またこういうことも報道されておるわけですよ。江副さんが教育課程審議会委員任命されたのは元文部大臣の線で入ってきた。元文部大臣の線で、名前はもう皆さん知っておられますから言いませんけれども、入ってきた。こう文部省の中でも言っておる人がおる。それが高石さんにこの人を入れろと言ってきたのか小学校課長に入れろと言ってきたのか、いずれにしましても元文部大臣の線で職業教育関係があるんだからこの人を入れなさいと言ってきた、こういうことが省内から情報として出ておるわけでございます。  こういう点についても、今言われた小学校課長段階でやったということは、高石さんに来たのか高石さんが言ったのかよくわかりませんけれども、その辺も疑問に思っております。このことはこの委員会で一回も審議していないのです。庁内のことですから、ぜひ調べて明らかにしていただきたいと思います。  もう一つ、例えば大学審議会委員任命についてもそうでございます。これについては巷間だれでも常識として知っておる、報道が行われておる。これはある短大の元学長が大学審議会委員に予定されておった。ところが、高石さんから、官邸筋からの話で江副氏にしてくれ、こういうことで任命された。さらにつけ加わって、時の大臣短大が必要じゃないかと言ったけれども高石氏は、いやこれでいいんですと言って江副氏を押し入れた、こういうことがまた伝わってきているわけでございます。大学審議会委員については高等教育局段階であつで、私は判こを押しただけだ、こう言っているわけですから、この点についてもやはり疑問として私たち持っておるわけですから、これについても庁内のことですから、お調べになって明らかにしていただきたい。いかがですか。
  29. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の点につきましては、十分調査をいたしましてお答え申し上げます。
  30. 馬場昇

    馬場委員 私がこういうことを言いますのは、六十年三月にリクルートの江副会長が中曽根さんの首相官邸に行っているわけです。一民間人が首相官邸に行って長い間話をするということはまれですが、とにかく六十年三月に江副さんが首相官邸に行って話をしておる。そのときに、中曽根さんのこの間の表現によりますと、土地の話をしたとか、また教育の話をしたとか、いろいろ伝えられておるわけでございますが、六十年三月に中曽根さんと江副会談があった後、九月に教育課程審議会委員江副氏が任命されておるわけです。それで、同じ九月に政府税制調査会の特別委員江副氏が任命されておるわけです。官邸筋というのは、こういう会談があったからそこから来たということは当然想像されるわけでございますから、ぜひ念を入れて調べていただきたいと思います。  次に、専修学校問題の疑惑について申し上げたいと思うのです。今労働省の前事務次官が逮捕されておりますけれども、私は、あの就職情報誌の規制問題以上の問題がこの専修学校の問題にはあると思います。具体的に申し上げますと、これはちょっと調べたので正確かどうかはっきりわかりませんが、高石事務次官が管理局の振興課長のときだったのじゃないかと思いますけれども、専修学校の制度の格上げをするところの学校教育法の一部改正が行われて成立いたしております。こういうことで、時の自民党の文教部会長は藤波さんじゃなかったかと思います。そしてまた副部会長が森さんじゃなかったかと思うのです。そして、各種学校の全国連合会の会長に大沼さんという人がおります。この人たちを並べてみますと、高石さんが一万株、藤波さんが秘書で一万二千株、森さんは三万株なんです。それで、この各種学校の連合会会長の大沼さんが一万株。リクルートの未公開株がこの専修学校制度を格上げするときの法律を改正したときに関係した者には全部配られておる、こういう事実がございます。そして、この法改正をやられた後にリクルートは高校生向けの「進学ブック」を刊行しておるし、専修学校特集の「ザ・スペシャリスト」というのを刊行しております。そして、それに対して専修学校から生徒募集の広告料をたくさん取っておる、こういうことがその次に行われておるわけでございます。  それから、専修学校特集のガイドブックに対して、労働省の就職誌と同じですけれども、私も高校の教員をしておりましたけれども、その仲間もおるのですが、高等学校側からの苦情が非常に多発しております。それは専修学校の実情をこの本はよく伝えていないということ。誇大広告が非常に多いということ。それからリクルート社が高校生の名簿を勝手に集めて生徒の自宅に直接本を送りつけてくる。これは非常に問題だ。また、文部省がこの営利的企業に対して非常にてこ入れをしておる、協力をしておる。これはおかしいのじゃないか。こういう意見が全国の高等学校からたくさん出てきておるわけです。  それと時を同じくして、総務庁の行政監察局が昭和六十二年一月に文部省に対して、専修学校の進学情報誌の誇大広告を改善しなさいという勧告をやっているわけです。しかし、これに対する文部省の対応はどうだったかといいますと、文部省は一貫してリクルート社寄りの対応しかしてないし、この改善命令にも従っていない。これはまさに加藤労働事務次官が逮捕されてやっておりますけれども、それと全く同質のものである、大変な問題だと思うのです。  だから、この点についてここで詳しくはもう申し上げませんが、先ほどと同じく専修学校のこの問題につきましても、文部省内においてそれを徹底的に経緯を調べて内容を明らかにしてもらいたいと思います。どうですか。
  31. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えを申し上げます。  専修学校法につきましては、委員も既に御承知のとおり専修学校の法制度が整備をされますまでの間かなり難航をいたしました法律でございまして、一貫して私もこの問題には関係をしてまいっております。そういうこともございますので、委員ただいま御指摘の点につきましては、これまでの事情等を十分調査いたしまして、法律が成立をいたしました当時の状況につきましてはもう委員承知のとおりであろうと思いますので、私からるる申し上げる必要はないと思いますが、その後の対応につきましては、文部省としても都道府県等を通じましていろいろな通知等を出して、先ほど委員指摘の誇大広告等の規制についての趣旨の徹底ということについては具体的な行動を起こしているわけでございますけれども、なお詳細な点につきましては、調査をいたしまして御報告を申し上げます。
  32. 馬場昇

    馬場委員 具体的な行動を起こしていると今おっしゃいましたけれども、具体的な行動はリクルート社寄りなのです。決して不満を解消するという国民側あるいは高校側の寄りではなかったと私は理解をしておるわけでございますが、ここで西岡さん、少し関連するのですけれども、ちょっと角度を変えて質問をいたします。  リクルート社からの未公開株は労働省の事務次官の加藤さんには三千株ですね。文部省事務次官高石さんには一万株。この株の差というものをどうごらんになっておるのか。これはこの間江副さんが証言をしているのです。この株の配分についてはほとんど自分がタッチをした。そして基準をつけておるわけじゃないけれども、大体親交の度合いなどによって差がついておるわけですが、大体見てみますと、政治家クラス、秘書も含めておるわけですけれども、一万株以上ですよね。それから、その他の秘書とかなんとかいろいろありますけれども、大体二、三千株。そうしますと、江副さんの頭の中には、加藤さんよりも高石さんの方がいかに大切だったかということが私は想像できると思うのです。  私がさらにずっと一連のものを見てみますと、私は、このリクルート疑獄というものの震源は文部省にあったんじゃないか、こういうような気がしてなりません。文部省が震源で、それから文教族全部と言いませんから、文教族と言われる有力な政治家を伝わっていって、中曽根内閣が舞台になった、こういうような構造を、ずっとたどっていけば持っているんですよ。また、リクルートの業務についてもそうでしょう。進学、就職の情報誌、それからリクルートコスモスの土地、不動産、それからNTTのやられておりますように情報産業、こういうぐあいにして業績も発展してくるし、そのリクルート株の配分とか、こういうリクルート疑獄というのがさつき言ったような状況で進んでおるわけでございます。そういう点について、私はそういう観点から見れば、この専修学校問題の疑惑というのは物すごい疑惑があるわけですから、先ほどこれはきちんと調査をしてみる、明らかにするとおっしゃいましたから、ぜひそのことは明らかにしてもらいたいと思います。  そこで私は、今高石高石と言いましたけれども、私はこの疑獄事件、疑惑事件というのは、言葉を新しくつくって言えば、文部省高石体制の疑獄、こういう言葉を使ってもいいんじゃないかと思います。長年の文部行政の積弊というのがこの高石リクルート疑獄という形で噴き出してきておる、こういうことが言えるんじゃないかと思うのです。  具体的に申しますと、例えば、これは大臣関係しておられるようでございますけれども高石文部事務次官次官在任中に衆議院立候補準備をしているわけですね。いろんな動きをしておる。在任中に福岡に行って民放のテレビのインタビューに答えて私は立候補するというような意思表明をしておる。そのときに、ここの委員会でも取り上げましたけれども、参議院をべつ視して、衆議院でやるんだと言った、参議院べつ視のような発言も実はしておるわけでございます。そうして、次官在任中に生涯学習振興財団というものの設立の準備選挙運動の一環にするためにやっているわけでございます。そういうことを、これはみんな、文部省次官があれば局長もおる、大臣もおる、そして課長もおる、この高石氏が勝手ほうだいなこういうやるべきでないことをやる、それを許した文部省の体質に私は問題があると思う。文部省のほかの局長とかなんとかがしつかりしておれば、そういうことをやってもらっては困ります、こう注意すればやれないことですよ。それをやったという文部省自体のリクルート体質、高石体質というのがここに出ておるんじゃないか。  それからもう一つは、どこの社会に——歴代の文部大臣が一企業のリクルートのためにほとんど出ていって、森さんは三回と言われる。ずっと以来の大臣は、まあ藤尾さんは途中ですぐやめましたから、塩川さんだけが行っていない。この前の中島さんも行っている。各大臣がリクルートに行って講演をしておる。それから、次官とか局長とか係長クラスまでリクルートに行って講演をしたり原稿を寄稿したりして謝礼をもらっておる。こういうことはもう目に余るほどあるわけです。そういう体質というのがございます。  それからいま一つ、最近報道もされておりますけれども、前の次官、今の次官、高級料亭に招待をされて飲食のもてなしを受けている。職業教育課の担当官までそういうもてなしを受けている。こういう接待攻勢もたくさん実は行われておるわけです。そしてまた、高石さんが退官して衆議院立候補するといったら、文字どおり文部省挙げてと言ってもいいくらいにパーティー券を売って四億円ぐらい集めておる。こういうことは、特に教育を預かる文部省としてあってはならないようなことが行われておるわけでございます。  だから、私はこの際、大臣にまた言っておきますが、この歴代文部大臣を初めずっと文部省の者が、リクルートにだれがどこに行ってどういう講演をしたか、そのときどれだけ謝礼をもらったか、だれがいつどこでどれだけの接待を受けてだれだれがやったか、こういうことを明らかにする必要があろう、こういうぐあいに思いますが、これについて文部大臣としてきちんとけじめをつけにゃいかぬということで、これを調査をして明らかにしてもらいたい。
  33. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま委員の御指摘の点につきましては、歴代の文部大臣文部行政についていろいろな機会に理解を求めてお話し申し上げるということは通常行われていることでございます。このことにつきまして、文部省としてこれまでの歴代の文部大臣がどれだけの謝礼をもらわれたのかというところまで具体的にお尋ねをするということについてはいかがなものであろうかというふうに考えます。  一方、事務当局といたしましても、文部省がいろいろな機会に出かけてまいりまして文部行政について御説明を申し上げ、御理解をいただくというようなことも通常は行われているわけでございまして、それについての対価が適正であったかどうかということが御指摘の問題点であろうと思います。また、先ほど指摘のございましたいろいろな会食等につきましては、一般常識的に見て通常の社交儀礼的なものにとどまるのかとどまらないのかということにつきましては、今後、文部行政を預かっております私といたしましては、いささかも疑われることのないように厳正にやっていかなければいけない、このように考えておりまして、これまでの具体的な一つ一つの事柄につきまして、私がここで詳細を調査して御報告を申し上げるということになじむ性格のものかどうかというふうに考えますと、私自身、今の時点におきましては、これまで疑惑を持たれたということについては十分反省をいたし、そして今後疑惑を持たれることのないように、文部省全体、綱紀の粛正をより一層厳正にしていかなければいけないという決意を申し上げ、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  34. 馬場昇

    馬場委員 私は、通常であればこういう質問をしませんよ。異常だからやるんです。リクルート社一社に偏っておるから言うんですよ。通常のことは私なんか問題にする気は全然。ございません。  それから、大臣は当初何と言われましたか、私に対して。疑惑を持たれるような場合はみずからの真摯な態度をもって疑惑解明してその責任を明らかにする、政治倫理綱領、それに基づいて行動いたします。大臣がそれに基づいて前の大臣にそう言えばいいじゃないですか、政治倫理綱領に基づいて、あなた言ってください。やらなかった、行ったとか行かなかった、どうしたということを言われるんじゃないですか。当然のことでございます。そして、本当教育者たるもの、竹下さんも好んで言っておりましたけれども、李下に冠を正さず、疑われるようなことをしてはいかぬし、疑われるようなことをしたらみずから明らかにさせなければならないのです。そういう点について、これは今の答弁は納得できませんが、きちんと調査をして、できる限りのことをして明らかにしてください。
  35. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員からの御指摘でございますが、歴代文部大臣政治家としての見識において行われたことにつきまして、文部省としてこれを調査するというようなことは、私自身は全く考えておりません。  当然、事務当局が行ったことにつきましては、私の責任におきまして、知り得る範囲のことを鋭意努力をいたし、御報告をいたす考えでございます。
  36. 馬場昇

    馬場委員 西岡大臣は講演会なんかに行かれましたか。
  37. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  私は講演には行ったことはございませんが、リクルート関係の雑誌にたまたま寄稿をしていたということ、これは新聞の報道で私は知りまして、バックナンバーを調べてみまして、その事実がございました。一回だけ寄稿いたしております。
  38. 馬場昇

    馬場委員 ただいままで少し長くなりましたけれども、とにかく今文部省が、本当教育を語る資格がないと言われるぐらいに疑惑を持たれているわけですから、この疑惑をやはり解明をして、教育に対する信頼を取り戻す、これは何よりも最大の教育的営み、それがなしに教育改革というのは語ることはできない、こういうことを思っておりますので、今まで答弁されたことをぜひ忠実に実行していただきたいと思います。  次に、第二国立劇場準備協議会のことについて申し上げたいと思います。  この準備協議会の委員江副氏が任命されておりますね。これは高石証言によりますと、担当課長がこれを選考して持ってきたと。先ほどもそういう話もございましたが、当時の渡辺通弘文化普及課長、どうやって江副さんをこの委員に選任したか、説明してください。
  39. 工藤巖

  40. 馬場昇

    馬場委員 違います。私は課長に言っているのですよ。あなたは課長か。やめなさい。  委員長課長質問しているのですよ。次長に質問していません。次長は答える必要はない。あなたに質問していない。引っ込みなさい。課長みずからが一番知っているのですから、この人はその当時知らないのです、課長じゃなかったのですから。私は当時の課長に聞いているのです。当時あなたは課長でない。あなたに質問していない。引っ込みなさい。    、
  41. 工藤巖

    工藤委員長 馬場委員、横瀬次長から、課長よりも上位にある次長が……
  42. 馬場昇

    馬場委員 課長答弁しなければ審議できないよ。了解できません。休憩してください。
  43. 工藤巖

    工藤委員長 馬場委員、次長は課長を監督する立場にありますので、それでもし……
  44. 馬場昇

    馬場委員 いや、これはそうじゃないのですよ。上から言うとちゃんとあなた、高石に言うと課長がしたから知らぬと言うでしょう、次長に言うと課長がしたから知らぬと言うじゃないですか。(発言する者あり)
  45. 工藤巖

    工藤委員長 西岡文部大臣から発言を求められております。西岡文部大臣
  46. 西岡武夫

    西岡国務大臣 よろしゅうございますか。——先ほど委員からの御質問につきまして、文部省といたしましてお答えをさせていただきたいと思いますが……
  47. 馬場昇

    馬場委員 何のお答えですか。
  48. 西岡武夫

    西岡国務大臣 先ほどの御質問につきまして……
  49. 馬場昇

    馬場委員 休憩とってくれよ、休憩とってくれよ。
  50. 西岡武夫

    西岡国務大臣 よろしいですか——私が文部省の最高の責任者でございますので、お許しをいただきたいと思います。  ただいまの江副氏の問題につきましては、第二国立劇場設立準備協議会は、第二国立劇場、これは仮称でございますが、設立に関する重要事項に関して調査研究を実施することを目的として設置されたものでございまして、その委員は、芸術、文化、各分野の代表者を初め、マスコミ関係者その他の有識者から構成されているところでございます。  前リクルートの社長江副氏は、オペラ団体の代表として財団法人日本オペラ振興理事長西直彦氏が従来から同協議会の委員となっておられたわけでございますが、昭和六十二年二月に逝去されまして、その後任として江副氏が同財団法人の理事長に就任されましたために、昭和六十二年度については同協議会の委員を引き続きお願いしたという経緯でございます。  昭和六十三年度の委員委嘱に当たりましては、それまでの協議会出席状況等を勘案をいたしまして人選を行ったわけでございますが、江副氏は本業、本務が多忙なために出席の見込みがないということで委嘱を行わなかったというのが委員質問のことについての経緯でございます。
  51. 馬場昇

    馬場委員 納得できません。私が言っているのは、例えば高石さんなんか国会証言をするときに、課長段階で選んだんだから、私はめくら判を押したんだから知らないと言うのですよ、選んだ理由は。だから、選んだ人はだれだと言ったら、小学校課長がまとめたんだと言う。小学校課長に聞かなければわからないじゃないですか。全く今もそうですよ。  その当時の——今の大臣答弁では全然私が質問しようということと歯車が合っていないのです。だから、選んだ人をと。この前、高石さんは、文化庁の中でやったと。課長は、担当課長ですから、そういう人でやらなければならぬわけですから、だから、これについては申し上げておきますけれども、私は、きのう、文部省から三人来られましたよ。名前は、名刺を持っていますから全部持ってきますよ。そして、ここの部分については従来のいきさつがあるから、渡辺通弘、当時の普及課長を呼ぶ。これについては、先生、課長さんですからどうとかいう話がありました。課長でもすべてのところに説明員として行っているじゃないか、だから少なくとも、説明員としてもよろしい、この人を必ず呼びなさい。それから、渋っておりましたから、私が、呼ばなければ、この人が答弁しなければ私は審議をしませんよ、質問を続行しませんよ、そこまで私が言ったということで考えてこい、そこまで私はきのう言ったのですよ。  そういうことですから、委員長に言っておきますけれども委員長、この問題についてはうやむやにせずに、きちんと手続を踏んで、この次の機会があれば出させます、そういうことで約束できますか。
  52. 工藤巖

    工藤委員長 手順を踏んで対応したいと思います。——そういう手順を踏んでやれるように、ひとつ理事会、理事懇等でよく相談して対応します。
  53. 馬場昇

    馬場委員 何を委員長におまえ言ったのだ、今。手続踏んでやると言われたのに、また文句言うじゃないか、おまえ。
  54. 工藤巖

    工藤委員長 そのとおりです。
  55. 馬場昇

    馬場委員 大臣、私が聞きたい本意は、あの六十二年八月に軽井沢で、この間中曽根さんが言ったでしょう、軽井沢で中曽根さんと浅利慶太さんと江副さんが会談をやった、中曽根さんがこの間言っているわけです。そういうときに演劇など文化論をした、こういうことを中曽根さんがおっしゃっているわけです。だから、その直後、六十二年八月に行革審の土地対策専門委員江副さんを任命したのです、その三者会談の後に。それと同じく六十二年九月に大学審議会委員江副さんをしてあるのです。そしてまた、六十二年の同じ九月に、今言った第二国立劇場の設立準備委員にしてあるのです。そこから出てきておるということは明らかだ。  中曽根さんはもう御存じのとおりに本当に諮問政治が好きでして、審議会なんかたくさんつくって、その委員には自分好みの委員を入れるということが評判だったでしょう。国民も皆知っておるのですよ。こういう中で、結局、江副さんの任命というのはそういう中から来ておる。このことを聞きたいということもあって、ではもう一つ聞きますと、教育課程審議委員には、その全体会議には少し出ておりますけれども、二十回総会があったのに八回しか出ていない。それから、教育課程審議会には、六十一年中間まとめ以降、十六回高校分科会の職業教育部会があったのに、これには当初一回出て、一回も出ていない。そのころ、大学審議会委員任命するときにも、この人は出席率が悪い、だから、出席というのが最大の委員任命の要件である、おかしいなということが言われておるわけです。ましていわんや、教育課程審議会委員でそういう出席の悪かった人が何でこの国立劇場の大切な委員任命されたかということなんかについても、そのときの模様を課長が一番よく知っているのだから課長に詳しく聞きたい、こういうことで説明を求めたわけでございますので、委員長、大体おわかりになったと思いますから、ぜひ、手続が要るのだったら、この間も十分手続はしておるわけだけれども文部省がサボっていたのだから、手続をしますから呼んでくださいね、いいですか。  それで、非常に時間が過ぎましたが、さっきのは番外でございますので、少し時間を延長してもらいたいと思うのですが、あと一つ、第二国立劇場の設立の過程において非常に混乱をした時期もございます。それから、利権が絡んでおるんじゃないか、こういううわさも出たことがございます。さらに、文化庁汚職がありましたときに汚職で逮捕された人がこの第二国立劇場にも利権に絡んでおる、こういううわさも出ております。それでいろいろオペラとかバレエとかの関係者とミュージカルの関係者の対立があった、あるいは演劇部門に中曽根さん、浅利慶太さんの人たちが非常に多かったとか、いろいろ混乱が起こったということはもう私も五十九年にこの問題ここで質問しておりますのでよく知っているんです。  だから、これは大臣に聞きたいのですけれども大臣、少なくともこの殿堂というのはこれはもう二十一世紀に残す国民の遺産、財産ですから、こうして国民が待望しておることですから、こういうことが、今までいろいろ対立とか疑惑とかが出てきたわけですよ。今後はこういうことがないように、国民が喜んで一致して建設をさせるというような方向でこの建設が行われるように、大臣はひとつぜひ頑張ってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  56. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘のとおりと私も考えますので、そのようにさせていただきます。
  57. 馬場昇

    馬場委員 次に、この第二国立劇場の完成までの建設のスケジュールをお知らせください。
  58. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  現在、建設の設計競技の最優秀作品による基本設計に基づき実施設計が進められているところでございます。これは、この十月に実施設計を完了させるとともに、現在、建物がその敷地に建っておりますので、この解体撤去及び敷地の工事に着手することにいたしております。  その後、文化庁といたしましては、平成五年度の開場を目途といたしまして建設工事を進めたいと考えているわけでございますが、その建設には、既に委員承知のとおり、相当の財政負担を伴うと見込まれておりますので、建設着工時期について文部省、大蔵省で改めて協議して定めることとしているところでございますが、できるだけ早く完成をさせたいというふうに考えておりますので、お力添えを賜りたいとこの機会にお願いを申し上げます。
  59. 馬場昇

    馬場委員 本年度の予算に八億二千二百万組んであるのですけれども、聞くところによると、文部省はこれの性格を本格着工だと言っておる。大蔵省はまだ用地の買収、取得が残っているので本格着工ではない、これは整地整備費だ、こういうぐあいに言っておるというぐあいに聞いておるのですが、これは文部省、どうですか。大蔵省も説明してください。
  60. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 この第二国立劇場平成元年度におきます予算案の中に、今御指摘のとおり八億二千万円の敷地整備工事費が含まれております。これは、その具体的な内容といたしましては、あそこの敷地の中に高低差が若干ございますので、その高低差のある敷地の平準化とかあるいは地下の構造物の……
  61. 馬場昇

    馬場委員 本格着工かどうかということです。それだけでいいです。
  62. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 これは平成元年度の工事期間が来年の一月から三月というふうに極めて短期間に限られておりますので、さしあたりその期間内に工事が可能な敷地整備工事にとどめるということでございまして、本格的な建設工事は次の年度、平成二年度の予算において大蔵省と予算折衝の段階で協議をするということにしているわけでございまして、ただ実質的には私ども考えておりますスケジュールの運行に支障はないものというふうに考えておりまして、劇場の建設に必要な工事として始められるというふうに考えております。
  63. 福田誠

    ○福田説明員 お答えいたします。  今、文化庁の次長から御答弁ございましたとおり、元年度予算に計上されております敷地整備工事費というのは既存建物の解体撤去、グラウンドレベルの修正等を内容とするものでございまして、全体としては第二国立劇場のスケジュールに支障のない範囲の内容でございますが、これを本格着工と言うかどうかにつきましてはそれぞれの見方があるのではないかと思います。(馬場委員「大蔵省はどう見ているのですか」と呼ぶ)私どもといたしましては、土地自体がまだ所管がえをされておりませんので、そういう意味では本格的な着工とは言えないのではないかと考えております。
  64. 馬場昇

    馬場委員 進入道路の問題でも六十年から三カ年計画でやっておられるわけです。十五億円ぐらい使っておるけれどもまだ半分ぐらいだということも言われておりますし、この土地全体が、最初昭和五十五年当時には六十億ぐらいだといっておった土地が現在周辺の地価で計算いたしますと二千億円ぐらいになるんだ、こうも言われておるわけでございます。設計は先ほどお話ございましたわけですけれども、総予算は大体どのくらいを今見通しておるのか、そして進入道路、土地問題、こういう問題はこの計画の平成五年までにきちんと間に合うのか、どうですか。
  65. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 建築費につきましては、昭和五十九年に算定したものによりますと五百億円余ということでございますが、私どもの目途といたしましては、これは平成五年度ということで、それまでに各年度の必要な予算を獲得していきたい、それに全力を尽くしていきたいというように考えております。  それから土地問題につきましては、これは現在は特定国有財産整備特別会計という特別会計の所属になっておりまして、これを一般会計に所管がえをする際に、国有財産法の規定によりまして原則として有償で取得する必要がございます。そこでこの所管がえにつきまして現在大蔵省当局等と全力を挙げて用地の解決に努力しておるところでございます。平成元年度の予算でお願いしておりますこの第二国立劇場敷地整備工事等に必要な手続を行うためには本年の六月をめどにして解決をしたいということでございまして、その方向で現在全力を挙げて取り組んでおるところでございます。
  66. 馬場昇

    馬場委員 二千億とも言われることですから、文部省と大蔵省の話というのも非常に難しい点もあるんじゃないかと思うのですけれども、それに加えて周辺整備の問題ですね。特定街区制度を導入して土地問題をある程度解決したいということもあるようでございますが、特定街区制度を導入するというのは現在どの辺まで進んでおるか、地元の企業とか個人が協力態勢にあるのかどうか、簡単に答えてください。
  67. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 第二国立劇場の用地周辺の環境整備を含めまして、現在、今先生が御指摘のように特定街区をこの地域に導入いたすということでこの地域の土地所有者等と話し合いを進めておるところでございます。これは土地所有者全員の合意が必要だということでございますので、全員の合意のもとに協議会をつくりまして、ここで、この周辺を総合的に開発いたしまして、計画的に整備された公開空地とかあるいは新しく整備されるビルの中に文化的な施設をなるべく含めていただく、いわゆる文化ゾーンと私ども呼んでおりますが、そういった文化的環境が確保されるように話し合いを進めておるところでございます。それで、現在のところは協議会というものをつくってその具体的な内容について進捗しておるわけでございますけれども先ほど申し上げました六月というのを一応目途にいたしまして、基本的な合意が得られるように現在その話し合いを進行しておるというところでございます。
  68. 馬場昇

    馬場委員 大臣、日本は文化国家を標榜しているわけでありますから、この第二国立劇場というのはオペラとかバレエとか現代舞台芸術の、やはりこれこそ殿堂にしなければならないわけでございますし、私はやはりこれを国際的なものにしなければならぬ、そういうことが日本の文化国家としてのあかしであるし、また世界の文化の水準の向上に役立てるのだ、こういうぐあいに思うわけでございます。  ところが、今までの経過を見て、困難な点も非常に多いのじゃないかと思うのですけれども、こういうところはやはり国民に開かれた中でそういうことを議論してもらいたいという意味だし、また困難な点があれば国民の力でもってそれを解決するということも行政考える必要があると思いますので、この経過は常にこの委員会にも報告していただいて、委員のみんなの衆知を集めていい方向に持っていく、こういうことが必要じゃないかと思いますが、そういう点について大臣考え方いかがですか。
  69. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘のとおりであろうと私も考えておりまして、特に文教委員会、各党の諸先生のお力添えを得なければいいものはできないのではないかと私自身考えておりまして、今後、第二国立劇場、仮称でございますが、この建設過程につきまして、随時、適宜この委員会等でも御報告をさせていただきたい、このように考えております。
  70. 馬場昇

    馬場委員 文部省に要望しておきたいのですけれども、伝えられるところによりますと、何か財団法人を設立して運営を民営化するのだというような話もあります。そういう点。  それから現在、専属のオーケストラとかオペラの歌手だとか、バレエとかダンサーとか全然置かないような格好になっているようでございますが、こういう問題。  それから舞台芸術家の研修はやるようですけれども、養成事業というのは構想に考えられていない。  それから種々の芸術文化の調査研究、専門図書館、情報センター、こういう構想なども十分ではない。  こういうぐあいに伝えられておるわけでございますので、これはもう具体的答弁は要りませんが、一生懸命やるという方向の中にこういうことも検討の材料に入れてもらいたいということですが、大臣、いかがでございますか。
  71. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員から非常にありがたいお言葉をいただいたわけでございますが、その中で専属のオーケストラ等を置くということにつきましては、芸術の諸団体等々の御意見等も十分承りながら考えていかなければいけない問題でございますし、今のところ、大変申しわけございませんけれども、計画の中には入っておりません。  他の問題につきましては、委員指摘の御趣旨に沿って今後努力をしてまいりたい、充実をしてまいりたい。御指摘の点については、計画の中に十分その御趣旨を体して取り入れてまいりたい、このように考えております。
  72. 馬場昇

    馬場委員 ぜひ立派なものを国民合意の中でなるべく早くつくり上げていっていただきたい。我々も十分協力をするということを申し上げておきたいと思います。  それから消費税がいよいよ四月一日から実施されますけれども、今度国立劇場の入場料に消費税はかけるのですか。これは大蔵省でいいです。
  73. 長野厖士

    ○長野説明員 お答えを申し上げます。  一般の入場と同じように課税対象と考えております。
  74. 馬場昇

    馬場委員 もう一つ質問しながら大臣にも答えていただきたいのですが、今芸能人に対する一〇%の源泉徴収課税が所得税法の百七十四条で行われておるんですね。これはやはり芸能人の実質収入の低下になりますし、劇団等の経営を悪化させておる、こういうことで、芸術団体等の保護育成のためにこの法人に対する源泉徴収制度というのはやめるべきじゃないかと思うのですが、これに対して大蔵省から最初に御答弁願って、次に消費税の問題と芸能人に対する源泉徴収課税の問題について大臣から決意を聞きたいと思います。
  75. 長野厖士

    ○長野説明員 所得税法におきましては、映画、演劇等のいわゆる芸能人が支払いを受けます際には、これは原稿料とか弁護士さん等の自由業の報酬あるいはスポーツ選手あるいは外交員等と同じでございますし、また私ども給与所得とか利子配当と全く同じでございますけれども、支払いの際に所得税を源泉徴収するという仕組みになっております。そして、これはその方が年合計いたしました所得を申告なさった場合には、その申告所得税の計算から源泉でいただいておりますものは控除する、こういう仕組みでございまして、この源泉徴収の制度と申告納税の制度、この二つ相まちまして日本の税制を能率的かつ適切に遂行しておるものでございますから、ぜひ御理解いただきたいと存ずる次第でございます。
  76. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えいたします。  ただいま大蔵当局から御説明を申し上げましたとおりでございまして、御了承賜りたいと思います。
  77. 馬場昇

    馬場委員 入場税なんかというのは、授業料は非課税になっているのですね、そういうような考え方なんかを取り入れることはできないものだろうかと僕は思うのですよ。この二つの問題については芸能団体からよく意見を聞かれて、大臣も今後頑張っていただきたいと思います。  最後になりましたけれども、文化予算についてお聞きしておきたいと思うのですが、これはもう言わなくてもわかっていることですけれども、芸術活動というのはその国の心の深さと豊かさをあらわす指標だ、こう言われておって、これはだれでも認めておるところでございますが、日本は文化国家を標榜しておりますけれども、経済大国に今日なっておるわけですから、そういう中で、物の豊かさということともに、国民生活の精神的な充実、国際社会で他国との友好、信頼の中で人類文化に貢献する、こういう中で芸術の果たす役割というのは非常に大きいし、それを振興しなきゃならぬわけでございますけれども、文化予算を見ますと物すごい貧弱ですね。  八八年には三百七十八億二千三百十八万、これは国家予算の比でいきますと〇・〇六七%。フランスなんかは千九百四十一億一千八百七十六万、〇・八一%。それから、その少ない三百七十八億の中でも七六%が文化財の保護の予算であり、芸術文化振興費は一七%の六十四億ですよ。フランスなんかは全文化予算の半分が文化芸術の補助費に使われておる。こういうことで、国民一人当たりの文化予算というのは、日本は三百円、フランスは四千六百円。とにかくいずれも十分の一以下なんですよ。  そういう点で、これは何回も言っているのですよ、文化庁の文化予算というのは、文部省の予算の中ではふえないし、削られちゃうのだから、文化予算というのは文部省の予算の枠にして大いに獲得してはどうか、こういうことが一つと、もう一つは、音楽議連が出しております芸術振興基金、こういう構想についてはどう思うか。この二点について最後に大臣からお答えいただきたいと思います。
  78. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えを申し上げます。  文化庁の予算につきましては、御審議をいただいております平成元年度の予算では、前年度比八・三%増の四百九億を計上させていただいているわけでございますが、委員指摘のとおりに、もっとこれをふやしていかなければいけない、このように考えております。平成元年度の予算編成におきましても、まさに委員が御指摘になりましたとおり、ささやかでございますけれども、今まで文化庁の一つの枠の中で取り組んでまいりましたものをやはり文部省全体として予算を考えるべきではないかというふうに内部で相談をいたしまして、与党の御指導をいただきながら予算を編成したところでございますが、これからもっともっと文化庁の予算の充実に努めていかなければいけない、このように考えております。ぜひお力添えを賜りたいと存じます。  二点目の音楽議連の御提案でございますが、実は私もメンバーの一人でございます。その立場から申しますと、文化庁にとりましては大変ありがたい御提案でございますが、私、文部大臣立場から申しますと、これは膨大な財政負担、それから民間資金の導入が前提になっている構想でございますので、慎重に対処していかなければ、今ここで直ちに具体的なお答えを申し上げるのはいかがなものであろうか、このように考えております。音楽議連からの御提案の意を十分踏まえてこれから文化庁の予算の充実に努力をしてまいりたい、このように考えております。
  79. 馬場昇

    馬場委員 終わります。
  80. 工藤巖

    工藤委員長 次に、有島重武君。
  81. 有島重武

    ○有島委員 国立劇場法の一部を改正する法律案の審査に当たりまして、いよいよここまでこぎつけたという一つの感慨を深くするものです。いわゆる第二国立劇場の場所の選定とか、制約されている構造、施設の規模が後代に悔いを残すことにならないかという危惧が、一種の気の重さがないというわけではございませんけれども西岡武夫文部大臣のもとに行われている本法案の改正によって、我が国の文化行政全体に対して一つの転換といいますか、一つの飛躍といいますか、こうした契機にしていきたい、そうした期待を込めて質問させていただきたいと思います。  総じて言いますと、昭和四十一年四月に国立劇場法ができたわけでございますけれども、旧法といいますか現在の法は、いわば当時の文化財保護委員会、そうした発想の中に閉じ込められていたのではないかと思います。ですから今回の改正は、そうした発想そのものが転換しているのではないかと私は思うわけです。  文化庁に第二国立劇場設立準備協議会が組織されました昭和四十七年以来、さまざまな経緯があったわけでございますけれども、その当初から、あるいはもっと以前からずっと貢献をしてこられました千田是也先生を、本日、この席に参考人としてお招きすることができて、本当にありがたく存じております。よろしくお願いします。  極めて時間が制限されておりますので、同僚委員となるべく重ならないようにと思っておりますけれども、最初に文部大臣に確認をさせていただきたいのですね。昭和六十一年に、千田先生が会長を務められている第二国立劇場推進連絡会議から要望書が提出されておるのです。この中で、ソフトの問題とハードの問題、こういうふうに分けて要望しておられるのは御承知のとおりでございます。実は私どもも、ハードの面につきましては、昭和五十九年四月でしたか百一国会のとき、この席で我が党の大久保直彦書記長が、当時国会対策委員長だったのですけれども、当時の森喜朗文部大臣に対して質疑をし、問題提起をし、あるいは要望をいたしてまいりました。ですから、私この席では、主としてソフト面について問題を整理していきたいと思います。  それで、国立劇場をつくるということになりますと、国民の多くの方々の認識も、多くの方々と言って差し支えないと思うのですけれども、どこに建つんだ、立派なものが建つのか、それで何人ぐらい入れるんだ、切符は高いのか、そういうふうなことになると思うのですね。それから、私たち政治家のことを考えても、あるいはお役人さんとか官僚の方々考え‘も、ここにいらっしゃる政治家方々あるいは文化庁、文部省方々は別としても、建築費は幾らかかるのか、それは採算がとれるのか、いつできるんだ、諸外国に対して恥ずかしくないのか、あるいはその段階でいろいろ暗い不正のようなことはないのか、こんなようなことが真っ先に浮かんでしまうのじゃないかと思うのです。  そこで、設立準備協議会で発足以来今日までくりかえし確認されたことは、第二国立劇場は営造物でなく機能であるということであった、こういうことですね。機能、すなわちソフトですね。そのソフトの基本原則が三つある。それは、我が国現代舞台芸術の創造の拠点である、クリエイティブなものであるということが一つ。第二番目は、全国的な振興普及のセンターである、地方との連携ですね。第三番目は、国内、国外の現代舞台芸術の接点である。この三つの目標を挙げています。私も全く同感でございます。  この原則の一番目と二番目は、先ほど文部大臣提案理由の御説明のときにそれらしい文言がちゃんと入っているのですけれども、第三番目のところはなぜか入っておらぬのです。これはどういうことか。この三つの原則を推進する、実現するために今第一条、第十九条その他の法改正をしていく。それで、法改正をされても、法の運用はこの三つの原則でずっと通していかなければならないのではないだろうか。まず、この点を文部大臣に確認させていただきます。
  82. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員ただいま御指摘の三つの原則につきましては、先ほど提案理由の中でも述べさせていただいたわけですけれども、創造、そして全国的なセンター的な役割をするのだ。提案理由の中で特に言葉を用いておりませんでしたけれども、当然、仮称でございますが、第二国立劇場が誕生いたしまして、ここを拠点として国際的な舞台芸術の交流の場にならなければなりませんし、それがまた建設の大きな目的一つである、このように認識をいたしておりますので、文部省といたしましても、まさに委員指摘のとおりに考えて取り組んでまいる考えでございます。
  83. 有島重武

    ○有島委員 参考人に御発言をお願いいたしたいと思うのですけれども先ほど申しましたようにソフト面が大切である、三つの原則がある。そこで、こうしたソフト面が最も具体的な形であらわれるというのは、いろいろな事業の中でも調査、情報の事業の比重が今までよりもずっと重くなるのではないだろうか。  先ほどの先生の方からの要望書を拝見いたしましても、この「事業」の中の「調査・情報事業」につきましては「国内各地方に六百を越える文化会館が整備され、また国際的に舞台芸術公演の相互交流が盛んになりつつある今日、最も必要とされているのは、情報の収集提供である。そして、そのセンターとしての役割が第二国立劇場に期待される。」こういう要望があったわけですけれども、これについて、意はその文面に尽くされていると思いますけれども、それでは実際問題としてどういうことをしていったらいいのだろうか。今まで、いわゆる第一国立劇場の方の場合でもこういうことはやっておる、あるいは国立博物館の方でもこういったソフト面もやってないわけではない。一部やっている。今度第二国立劇場の場合には、特にこの点を充実する、あるいはここのところを本当に大きくしていかなければならない。  この文面にあらわれてないようなお話、御意見があれば御説明をいただきたいと思います。お願いします。
  84. 千田是也

    千田参考人 今有島先生から御指摘がありまして、第一の問題は、劇場は営造物ではなく機能であるということが文化庁から発表されている文書の中にもはっきり出ておりまして、言ってみれば当然のことでございます。どんな機械も、それを使って人間が何をつくるかということによって決まってまいるわけでございますし、特に演劇の場合は、俳優が見物を前にして自分の体を使って何かをあらわすという非常に人間的な、言ってみれば大変素朴な仕事でございます。  今やハイテクの世の中で、立派な劇場ができます。そこでの舞台機構、劇場構造その他については非常に衆知を集めまして、私、その建設過程のいろいろな会合にずっと出席させていただいておりますが、私の知っております限り、世界でも決して引けをとらない一つの構造を持った建物ができるだろうということについては大いなる信頼を持っております。  問題は、それをどう動かすかということでございます。さっきも申し上げたとおり、演劇というのはただ一方的につくって、それでいい悪いということを言うものでも、専門家がそれについて評価を下すものでもなく、直接に観客の前で演ずる、これはなかなか難しい作業でございます。第一、毎晩劇場の切符売り場に集まってこられて芝居を見てくださる数というのは、どのように考えてみても非常に不定でございます。非常に不安定である。昔から芝居は水ものだなどと言われておりますので、お国の仕事としていろいろやっていくのには非常に不安定な、ある意味で投機的な面を持っていると言ってもいいぐらいな仕事でございますので、だから劇場だけは建ててやる、あとは勝手に使え、その運営に関して、特に一つ一つ公演の収支その他については責任は持てないというふうに大蔵省さんがおっしゃるのもわからないではないのですけれども、もともとある意味で水ものだという点、わからない点が芝居のおもしろさでもありますし、それを通じて芝居というものの質がますますよくなっていくということの出発点でもございますので、ただ国で劇場をつくるというだけでなく、その運営についても当然国が責任を持つ、これがぜひお願いしたいことだと思っております。そこからいろいろ派生的な問題が起きてまいります。  私、きのう急にこちらへ伺うように言われて、準備する暇もございませんでしたので秩序立ったことを申し上げにくいのでございますけれども、思いつくままに申し上げることをどうぞお許しいただきたいと思います。  まず地方の問題。中央に一つ劇場をつくるだけでなく、これは国がやるのだから全国を相手の仕事だということも大前提になっていると思うのでございます。  それで、私、自分のやっております新劇に即して申しますと、日本での地方の演劇活動というものはかなり盛んでございます。外国でも珍しいぐらい盛んだと言ってもいいのじゃないかと思っております。それが最近はだんだん変わってきておりますけれども、国の援助もなく、地方自治体の援助もなく、観客の自主的な運動として、観客組織と申しますか演劇鑑賞会と申しますか、そういうものの組織がこのぐらい発達している国はないと思います。ですから、受け皿はできている。単に中央からの指令でこれが一番いいものだということで地方に持って回るということではなく、地方がそれに対していろいろな注文をつける、おもしろいかおもしろくないかを決めるという、それを知らせる体制はどうやら整ってきております。  ですから、今後地方の問題を論じられる場合には、そういう人たちの意見を十分参考にして、今までの国立劇場問題についての関連の中で、観客の問題というものが一番欠落しているような気がいたしております。組織の中に観客の声をもっとたくさん反映させる方法、それが情報活動ということの——先ほどもお話がありましたけれども、情報というものは決して上から下へ伝えるだけのものではなく、下から上へのフィードバックが非常に大事な問題でございます。それが、なお非常に理屈ばった批評とかそういうものじゃなくて、おもしろい、おもしろくないという本当に単純なところでの情報の交換、それが非常に大事だと思います。  そのことがもっと反映されれば、地方との問題——既に地方のいろいろな演劇団体は、さっきお話がありましたように、地方でホールがつくられるたびに必ず意見を述べております。昔はやたらに大きな劇場ばかりつくる。あそこの町は三千の小屋をつくったからおれの町は四千にしようとか五千にしようということで、芝居の劇場の大きさも問題になっておりましたのが、今では必ず大劇場と同時に中劇場もつくる、同時に小劇場もできたらつくるという方に変わってきております。手前みそになりますけれども、そういう意見が地方のいろいろなホールの建設に際して出てきている。そういう傾向というものは、ここ十年ぐらいに建った地方のホールというのはなかなか立派なものです。非常に使いやすい。そういう点で、一つの反映は既に始まっているので、今後も国立劇場に向けて地方からのいろいろな意見の反映があると思うので、それをもっと取り上げていくようなことが図られたらいいのではないかと思っております。  それから国際関係でございますけれども、日本での国際的な文化、演劇交流を見ておりますと、やはりひどい輸入超過でございますね。向こうからいろいろなものが来るけれども、こっちからは出すものが余りないというような状況にあります。出すものといえば能、歌舞伎でございます。  しかし、向こうへ行きますとよく聞く話でございますけれども、今のようなハイテクの先端を行く日本の国民がなぜあの能だの歌舞伎を見て満足していられるのかというようなことを聞きますね。やはり現代、特に今のこの技術・科学革新の世の中を反映した芝居、そういうものをもっと持っていくべきだ。私ども新劇は中国に行っているだけで、諸外国、ヨーロッパにはここのところ余り参りません。やっとシェークスピア物なんかが少し向こうへ出ていくようになりましたけれども、そういう点で、現代演劇の国際交流という面では大変おくれておるように思っております。  特に問題になるのは第三世界、発展途上国との演劇交流の問題でございます。御承知のように、今や東南アジア諸国その他が一つの経済的な力を増そうとして努力しております。近代化、現代化を図ろうとして努力しておるのでございますけれども、それに能だの歌舞伎だのを持っていくと、やはりちょっと違うのですね。それから向こうから持ってくるものも、ただ珍しい一種の原始的な芸術、そういうものが残っているのを珍重するのは結構なんでございますけれども、それだけが今の発展途上国の演劇であるかという考えについては、向こうの人は大変迷惑を感じているのではないかと思います。  一昨年でございますか、暮れに香港でブレヒト・シンポジウムというのがございまして、そこに世界じゅうの人、特に東南アジアの人たちがたくさん集まってきております。私はブレヒトを大変尊敬しているのでございますけれども、これで一息に国立劇場がブレヒトばかりやれなんて申す気は決してないのでございますが、例えば非常に科学的な芝居でございます。そのことだけは確かだと思うのです。それで、彼の言っているのも、技術革新の世の中に観客がシェークスピアの芝居を見るような気持ちで楽しめるような芝居をつくるということが彼の一番大事にしているところでございます。  ただちょっと、科学的ということと芸術というものを切り離そうとする傾向もございまして、日本では、あるいは文明国といいますか、ヨーロッパでもアメリカでもブレヒト疲れというような傾向が出てきております。これはどうも思考疲れであり、思考に基づいて行動するということにくたびれている、何だか先行きがないような気がして迷っているという状況の反映でございまして、第三世界にまいりますと、ブレヒトヘの興味が非常に高まっている、そういう科学的な、本当の意味で現代的な芝居を求める声が盛んになってきております。  我々も、皆さん御承知のように第三世界との交流が非常に重要になっているときに、我が国における現代演劇、いろいろな流派があって構わないのでございますが、あるいは思想的にもいろいろ違う方がおもしろいと思うのでございますが、とにかく一貫して科学的な根拠の上に立った演劇、そういうものの発展のためにそれを媒介として発展途上国とつき合わなければどうしようもないときに来ているんじゃないかということもあると思っております。それが国際関係についてちょっと気づいたところです。  日本でももう外国のまねばかりしている時代ではございませんし、言ってみれば向こうも行き詰まっているという時期でございますので、それを切り開く道としてはさっき言ったように技術・科学革新の時代にふさわしい演劇、しかもそれによって人間性が失われていくような、そういうものではなくて、それに対する人間の抵抗としての演劇というようなところに向くべきときでありますし、将来できる日本の第二国立劇場もその点であれだと思います。
  85. 有島重武

    ○有島委員 時間が非常に制限されておりますので、もっとお話を伺いたいのですけれども、ありがとうございました。  文化庁に伺いますけれども、今の御趣旨に沿ってあれですけれども、現在国立劇場でもって投入している調査の予算というのは大体三億二千万、調査から養成もみんな入れての人員が二十数名、こんなふうな陣容らしいですね。今話が世界に広がってくる。特に僕たちが世界といったときにはヨーロッパをつい念頭に置くけれども、今先生の御指摘のように第三世界といったようなことを踏まえてのことになってきていますね。この情報面機能を生かす人員あるいは予算面についてどのくらいのことをしなければならないかということはもう考えていらっしゃるか。そういうことは一切特殊法人に任せてしまうのだ、だからこっちはつくりさえすれば知らないんだというわけにいかないと思うのですね。できても当分の間は大蔵折衝や何かはみんなこっちがやらなければならない。こっちが大体覚悟して当たらなければならぬ、そう思うのです。御用意があるかどうか。
  86. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 今お尋ねの第二国立劇場の資料の収集あるいは調査研究に関する部門の問題でございますが、これは、現在のところ第二国立劇場全体の組織、人員についてまだ具体的な検討に至っていないところでございますので、具体的に申し上げることはできませんけれども、ただ、この部門でやろうとしていることというのは、現代舞台芸術振興のための情報、資料、そういうものを収集して調査研究する機能を果たしている公的な施設というものが現在はございませんので、これをぜひ国立第二劇場(仮称)の事業としてやりたいということで非常に重視しているわけでございます。私どもは、これからこの点についての具体化を進める際に、財政当局との折衝その他におきまして全力を尽くしてまいりたいと思います。  内容的には、内外の、これは第三世界と仰せもございましたけれども、舞台芸術に関するいろいろな図書とか楽譜でありますとか上演台本とかそういうものの収集、保存、それに関する調査研究、それから第二国立劇場の中で公演がこれから行われるわけですが、その公演の記録の保存、そういうことがまず基本的な課題だというふうに思っておりますが、それと同時に、先ほどお話がございました地方の文化施設に提供する情報のネットワークというようなものも、これは若干時間が必要だと思いますけれども、それについてもぜひ検討していきたいということで、それに必要な人員あるいは組織を第一といいますか、現在ある国立劇場の、先ほど仰せになりました組織、人員との比較も当然考えていく必要があると思います。そうした全体を眺めながら、ぜひ充実した体制をつくりたいというふうに考えているところでございます。
  87. 有島重武

    ○有島委員 これは相当お金も人もかかる、こう思わなければならない。それを私法人、民間が維持をしていくということはあるでしょう。けれども、その中枢部分というのはやはり文化庁で押さえていかなければならないでしょうね。そのためにちゃんと財政措置というものがなくてはいけないと思います。  それからもう一つはその手順ですけれども、そうなってまいりますと、建物が建ってから仕事が始まります、こういう話じゃないわけですよ。ある場所には建物とは別に国立劇場ヘッドクォーターというか本部みたいなものがどこか別なところにあって、それが国民に対してのサービスを行う、諸外国の人たちに対しての案内窓口になる。何も初台に持っていかなければそれが始まらぬということではないと思うのです。これは来年度からでもどんどん始める、準備にかかる、そういうことをしなければならぬのじゃないか、こう思うわけであります。  もう一つまとめて聞いてしまいます。  これは名前の問題なのですけれども、僕たちは第二国立劇場と言いなれてしまっているけれども、これはまだ正式な名前ではないらしいですね。そうすると、これはやがて正式な名前を適当な手続を踏んでこれからつける、そういうふうになっておるのかどうか、お願いします。
  88. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 第二国立劇場というのは確かに(仮称)という括弧をいつもつけておりまして、仮称でございます。この正式名称につきましては、形式的に申しますと、現在の国立劇場の、例えば本館あるいは演芸資料館、能楽堂、文楽劇場というふうにございますが、これらの名称を特殊法人である国立劇場業務方法書の中で決定をしております。その決定する時期は大体開場年度、開場する年度というのが通常でございます。したがいまして、第二国立劇場の正式な名前というのも、通常であればそのときに決まっていくというふうに思います。各方面のいろいろな御意見がございますので、十分勘案をしながら正式名称を決定していきたいというふうに考えておるところでございます。
  89. 有島重武

    ○有島委員 じゃ最後に一問だけ大臣に。国際文化交流に関する懇談会というのが、これは総理大臣の諮問機関だそうですけれども、去年の七月十九日、中間報告が出た。国際文化交流の前提として国内の芸術、文化の充実がどうしても必要だ、その具体策は何だ、これは国立劇場が挙がっているのですね。そういったことがございました。年号も平成というふうに改まったわけですし、こうした法案が今俎上にのるようになってきた。ここで、冒頭にも申し上げましたけれども、文化行政の姿勢といいますか、比重といいますか、これがやはり変わらなければいけないときじゃないのでしょうかね。  さっき同僚委員からもお話がございましたけれども、文化庁の予算だけが文化政策とは僕は思いませんよ。思いませんけれども、文化庁の予算が国家予算の百分の一じゃないんだ、千分の一でもないのでしょうね。万分の一のけたでしょう。これでいいというわけにいかないと思うのですね。いきなり百分の一までというのは無理かもしれないけれども、万分の一は卒業して千分の一ぐらいのけたにはするという一つの決意をここで披瀝をしていただきたい。それで質問を終わりたいと思うのですけれども
  90. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  有島委員指摘のとおり、これからますます文化庁の役割というものは重くなっていくというふうに考えます。そういう意味からも、ただいま御指摘のとおりに、文化庁の予算の充実に、飛躍的にこれを持っていくという目標を掲げて努力をしていかなければいけない、また、工夫も必要かと考えておりますので、御趣旨に沿って今後努力をいたしますので、よろしく御指導をいただきますようお願いを申し上げます。
  91. 有島重武

    ○有島委員 それじゃ終わります。どうもありがとうございました。  参考人、ありがとうございました。
  92. 工藤巖

    工藤委員長 次に、中野寛成君。
  93. 中野寛成

    ○中野委員 先ほど来の同僚委員質問と重複を避けるために、場合によって若干通告と違う質問をするかもわかりません。お許しをいただきたいと思います。  まず、大臣にお伺いをいたしますが、教育というのは文化継承の一つの手段だ思うのです。ゆえに文化が教育の上にあり、かつ、文化が教育を包み込むものだろう、こう思っております。ゆえに、まず聞きますが、文部省の名前を文化省として、そしてその中に教育を担当する教育庁をお置きになったらいかがか、発想の転換を図ったらいかがか、こう思いますが、大臣はいかがお考えですか。
  94. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいまの前段の御質問につきまして全くそのとおりであろうと思っております。後段の点につきましては、中野委員の御見識、一つの貴重な御意見である、このように考えております。
  95. 中野寛成

    ○中野委員 御答弁の後段の部分については大変テクニカルな御答弁であった。評価はいたしませんが、多分大臣も心の中ではなるほどと思っていただいたのではないか、また、文部大臣をやめてから大いに議論をしたいと思います。  次にお伺いをいたしますが、先ほどからも同僚委員が触れられておりましたけれども、何とも日本の文化予算というのは心もとない、乏しい。日本は文化国家だと思いますか、また、文化国家を目指すべきだと思いますか。というのは、経済大国とか生活大国だとかいろいろ呼ばれたり呼んだりいたします。しかし、これから我々日本の目指す国の目標というのは、多分心豊かな国、そしてそれはまさに文化の国ということになるのだろうと思います。物から心へ、ハードからソフトヘ、いろいろな表現がなされますが、そのことについて、いかにあるべきか。  例えば日本の文化庁の中に政策企画部門がないですね。全くないことはないんだけれども、それがまた何とも、私から見れば歯がゆいほど小さい。以前このことを御質問申し上げたことがあるのです。そのときの答えは、文化を政府が政策的につくり出すものではないという趣旨の御答弁だったと思う。これはおかしいですね。文化をつくれとは言わない。文化を生み育てる土壌をつくる政策をいかにつくるかということが必要なのであって、その部分がないから、例えば予算獲得にしたって迫力がない、こう思のですが、どうお考えですか。
  96. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  御指摘のとおりであろうと思います。文化庁が文化政策を推進していくためには、やはり国民全体の文化的な資質というものを向上させていくための条件整備をどう整えていくかということは、かなり戦略的にも政策として進めていくべき課題でございますので、委員指摘のとおり、文化庁の文化政策についての取り組む姿勢についても、これまでのことを踏まえてやはり新しい工夫が必要なのではないかなと私も痛感をいたします。
  97. 中野寛成

    ○中野委員 そういう視点から第二国立劇場の利用の仕方というものも、先ほど施設ではなくて機能だというお話があった。まさにその機能をいかに発揮するかということによって第二国立劇場の値打ちが決まる。まさにこれも文化の戦略基地なんですな。  そういう意味で、第二国立劇場、今までのいろいろな計画概要等をお聞きしてまいりましたけれども、やはりまだ劇場中心なんですね。第二国立劇場と言うぐらいだから劇場中心なのかもしれませんが。しかしながら、やはり例えば地方に対する情報提供も先ほどありました。やはりデータバンクとしての、データベースとしての機能というものをもっと重点に置かなければいけないのではないかという気持ちが大変強い。それから、オペラだとかバレエだとかミュージカルだとか現代舞踊だとか、それぞれの分野の研究またそれに携わっている人たちの例えば協議、事務局、そういうふうなものもむしろ大いに買って出るというぐらいの中で、いかにしてそれぞれの分野の文化を育てていくか、言うならばその戦略基地としての役割が極めて必要だと思いますが、そういう機能の果たし方について、現在の計画ではまだ不十分のように思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
  98. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 第二国立劇場の中に現代舞台芸術の情報センターの役割を果たすような部門あるいはその体制を整えるという方針であることは先ほど申し上げました。その中で、劇場施設面におきましても専門家あるいは一般の方々の利用に供するためのレファレンスコーナーとか閲覧室でありますとか視聴覚室、それから会議室というようなものを備えて、そこでいろいろな方々が集まって、そういう意味での情報の交換とか協議とかそういうものが行われるような施設考えているところでございまして、仰せのようにこの情報センターとしての機能の充実、重視ということも大いに考えながらこの計画を進めていきたいと考えております。
  99. 中野寛成

    ○中野委員 その充実を、やはりみんなが非常に気楽に利用しやすいようにということがとても大切だと思うのです。最近はいわゆるライブブームだと言ってもいいと思います。しかし、何かライブというと軽音楽だけかいなという印象さえ持たれるぐらいに軽音楽の分野ではかなりライブというのが、これはちょっと余り高級ではないライブも多いようですけれども、しかし少なくとも生に触れるという、本物志向というんだそうですが、そういう傾向が大変顕著になってきた。しかもここ一、二年、クラシック音楽等に対する国民の皆さんの志向が大変強くなってきた。先日もテレビで見ておりましたら、音楽とは全く関係のないところ、例えばレストランみたいなところに小さな舞台をつくって、そして例えばチェロの演奏会であるとか、余り大きなことを考えないで、生のピアノ演奏を聞こうか、生のバイオリン演奏を聞こうか、そういうことが大いに自発的に工夫されるようになってきた、とてもすばらしいことだと思うんです。  そういうことの需要がますます大きくなっているときに、本当に簡単にどうしたらいいかという情報がここで手に入るということが私は大切ではないか。ここに聞きに行く、見に行くということだけではなくて、そういう意味での情報センターであってほしいな、こう思いますが、これらもきちっと計画の中に含まれるんでしょうか。
  100. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 地方の文化施設というものはおかげさまで大変な増加をしておりまして、そういうところとこの第二国立劇場との連携というものも非常に必要になってくるわけでございます。それから、全国で一般のクラシックの愛好家というのがたくさんいらっしゃるわけで、その人たちが自分の要求のある情報をこの地方の文化施設のところへ行けば得られるというような意味でも、この情報ネットワークというものは大事だと思っております。先ほど有島先生にもお答えいたしましたけれども、第二国立劇場の情報収集部門と地方の文化施設との全体のネットワークづくりというようなものも、これは少し時間がかかる問題ではあると思いますけれども、志向しているところでございます。
  101. 中野寛成

    ○中野委員 ぜひ国民のための劇場にするために今のようなことも大切に考えていただきたい、こう思います。  それからもう一つ、日本ではなかなか新しい芸術家が育たない、もしくは芸術団体が育ちにくい。交響楽団といえばこれは赤字の象徴みたいに言われるわけですね。大変これは民間のサポートする組織もそうありませんから、そういう土壌をつくっていかなければいけない。音楽議員連盟の仲間として大臣とはお話を申し上げたことは過去にあるとは思いますけれども、しかし大臣というお立場にせっかくおなりになったんですから、そういう芸術家、芸術団体の育成について、とりわけ第二国立劇場ということになりますと、音楽を中心にした芸術が多いわけですけれども、これらのことについて財政措置も含めた今後の支援体制についてどうお考えですか。
  102. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えいたします。  仮称でございますが、第二国立劇場が単なる建物ということではなくて、まさに我が国の新しい文化政策の発進基地という役割を果たすためには、建物の予算ということも大事でございますけれども、その後の運営を今委員指摘の芸術家を育てていく、芸術団体を育てていくというような役割も果たし得るような財政的な裏づけを持てるような形に持っていかなければいけない。現時点で具体的な数字、仕組み等を申し上げることは大変困難でございますので、お許しをいただきまして、そういう委員指摘の点を十分踏まえまして創意工夫もしていかなければいけない。どのような財源の手当てをしたらいいのかというようなことも含めまして検討をしてまいる考えでございますので、よろしく御支援をいただきたいと思います。
  103. 中野寛成

    ○中野委員 今申し上げましたようなことを含めて今後の運営に当たって幅広く意見を聞く、これは大事なことです。そういう意見をばらばらに聞くことも大事ですが、同時にまた、ある意味では一つの機構としての、例えば運営協議会等々を設けられるのであろうと思いますが、これらについてはどうお考えですか。
  104. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 第二国立劇場が担当いたします現代舞台芸術は非常に多くの分野を持っております。そこに参画される方々というのも非常に広い芸術家の層があるわけでございます。したがいまして、この第二国立劇場運営に当たりましては、広く芸術家等の意見が十分取り入れられるように努める必要があるということで、ただいま御指摘のありました運営協議会というようなものもぜひ設置考えていきたいというふうに考えております。  それから、個々の具体的なジャンルにつきましてそれぞれいろいろな公演をしていくわけでございますが、その公演の仕方についての企画等につきましても、それぞれについて専門家の意見が十分取り入れられるような仕組みも同時に考えていく必要があるのではないかということで、そういった全体の運営につきまして、これは設立準備協議会といったような組織の中で専門家の間でも議論をしていただいているところでございます。
  105. 中野寛成

    ○中野委員 大臣に最後にお聞きいたしますが、臨教審でも文化の問題というのは余り論じられなかったと思うのです。同時にまた、過去のいろいろな歴史をひもときましても、文化に関する審議会とか答申とかは皆無ではありません。しかしながら大変にコンパクトなものですね。もっと積極的に、せっかく国民文化祭も三回目か四回目まで開かれましたけれども、あれも国民体育大会とそう劣らないぐらいの予算を文部省予算としては組んでいるのですね。しかしながら、もう一つまだ国民体育大会ほどは盛り上がっておりません。実は、国民文化祭の開会式も例えば天皇陛下をお招きするとかいろいろなことも考えてはいかがでしょうか。  あわせましてへ国民に文化に対する幅広い意見を聞く、また、今後の日本の文化国家としての発展を期するためのより高いプログラムをつくるための例えば審議会だとかそういうことも含めておやりになるお気持ちはありませんか、大臣として積極的にお考えいただいたらいかがかと思いますが。
  106. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えいたします。  委員指摘の点につきましては、御質問趣旨を体して文部省として十分検討してまいりたいと考えております。
  107. 中野寛成

    ○中野委員 大変前向きの建設的な御答弁であったような気もするし、言葉数からすると大変愛想のない御答弁であったような気もいたします。本気で大いに積極的に取り組もうという御決意をもう一度お聞きして終わりたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  108. 西岡武夫

    西岡国務大臣 委員指摘のとおり、これから生涯学習社会を文部省としても展望する中で、文化という問題はまさにその中心的なと申しますよりは全体的な課題でございますので、これはもう文部省、文化庁というような組織の問題ではなくて、文部省全体として、文化の問題を抜きにした文部行政というものはあり得ないという考えでございますので、その気持ちで取り組んでまいりたいと考えております。
  109. 中野寛成

    ○中野委員 文化を抜きにした教育行政はあり得ないとおっしゃられました。そのとおりだと思いますが、今日までの国の施策でなかなかそう感じられません。ゆえに再度大臣に、その御決意を大いに膨らませてますます頑張っていただきたいとお願いを申し上げて質問を終わります。
  110. 工藤巖

    工藤委員長 次に、石井郁子君。
  111. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 第二国立劇場につきましては、いよいよ予算、建物も本格化いたしまして、真に現代舞台芸術の殿堂として大変期待されているわけでございます。芸術関係者や団体からもいろいろな要望、御意見がこの間出されてきたと思いますけれども、まずそういう事柄につきまして、文化庁としてどのようにお聞きをし対応されてこられましたでしょうか、その点をお伺いしたいと思います。
  112. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 第二国立劇場につきまして、その設立に当たりましては、現代舞台芸術を支えている民間の芸術家あるいは芸術団体の意向を十分聞いて、可能な限りそれを取り入れるということは大変大事だというふうに考えております。したがいまして、まず舞台芸術家の関係者を、第二国立劇場を検討する会議として文化庁で昭和四十七年度からその設立に向けて準備をしてまいりました設立準備協議会というのがあるわけでございますが、その委員に各方面の舞台芸術家等の関係者を委嘱をする、そういうことで第二国立劇場の基本的な性格でありますとか施設あるいは事業、管理運営といったような重要事項について検討をし、その成案を次第に固めつつある、そういうことで芸術家の御意見をお聞きしているわけでございます。  それからさらに、この設立準備協議会がつくり上げてまいりました構想につきまして、特に設計競技の段階に入りました昭和六十年度にオペラとかバレエ、現代舞踊、現代演劇といったような舞台芸術関係者の意見を聴取する、そしてその後の検討にそれを反映させるというための意見を聞く会を催しまして、ここでいろいろな意見を出していただきました。その後、昭和六十一年度以降毎年度、設立準備協議会等で一応固めました案につきまして各芸術家団体にそれを説明いたしまして、そしてまた意見をいただく、そういうことを各年度ごとにやってきておりまして、今後ともぜひこういったことは、さらに各設立準備の段階がございますので、そういった機会に芸術関係団体の意見を十分聞きながら進めていきたい、そういうふうに考えております。
  113. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 現代舞台芸術関係で言いますと、オーケストラ、オペラ、バレエ、演劇、いろいろなジャンルが含まれているわけですけれども、こういうすべてにかかわる芸術団体で構成されている第二国立劇場推進連絡会議がございますけれども、今そのお話がなかったのですが、特にここからは強い要望が出されていると思いますが、この団体からの意見について真剣に検討すべきだと思うのですが、その点をはっきりさせていただきたいと思います。
  114. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 先ほど芸術関係団体と申し上げました中には、今お話しの第二国立劇場推進連絡会議という団体も当然含まれているわけでございます。そして、先ほどその会長であられる千田先生が参考人として御答弁されましたけれども、その要望につきましても、ハード面、ソフト面、いろいろといただいておりまして、そして現在それの実施設計というものがハード面では進められているわけでもございますし、それからソフト面では、いよいよその実施設計の段階に入りまして並行して管理運営についての具体案を相当固めていかなければならない時期ということもございまして、管理運営検討会議というようなものも、これは芸術家の方々をできるだけ入れた会議でございますが、そこで管理運営の検討も始めているわけでございますが、そういった中に推進会議の御意見も反映できるように十分考えているところでございます。
  115. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 今、管理運営検討会議作業部会の話がございましたけれども、これからこの管理運営がいろいろ詰めていかれるということで非常に大事だと思うのですけれども、芸術家関係者の間にはこの部会などの検討の内容が届いていないというか、伝えられていないということが不満として非常に聞くわけでございます。その点で、非常に不安が強く抱かれております。  この芸術関係というのは、非常に国民にオープンに論議を進めていかなければならないというものだと思うのですけれども、なぜこの検討会議作業部会の内容が知らされてないのか、その点はいかがですか。
  116. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 ただいま御指摘の第二国立劇場管理運営検討会議というものは、文化庁の第二国立劇場の設立準備を進めるための劇場の管理及び運営について広く各界の御意見を伺うということを目的といたしまして昭和六十二年につくられたものでございまして、先ほどちょっと申し上げましたが、その構成も半数以上が芸術家あるいは芸術関係者、芸術関係団体の代表者というような形で各ジャンルの御意見が入るようにという配慮をしてきたところでございます。  それで、この検討会議につきましては、これまで六回の会合を重ねまして、まず第二国立劇場設置主体と、それから事業内容について検討いたしました。それである程度の案が固まったところでございますけれども、これらの結果につきましては、先ほども申し上げましたけれども、芸術家会議あるいは第二国立劇場推進連絡会議というような芸術団体に文化庁として御説明を行っているところでございます。それで、これは行ってきているつもりでございますけれども、各芸術団体にそういうような、先生が今御指摘のようなことがあるとすれば、これはやはりもう少しその回数をふやすとか、あるいはもっと内容について詳しく説明するとか、そういうような努力が必要であろうと思いますので、ぜひとも今後は芸術関係者のそういった各界の意見を集約するためにも、そういった説明の機会というものを増加、充実させていきたいというふうに考えております。
  117. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 意見を聴取するというだけではなくて、検討された内容もまた返していくというフィードバックですね。その両面で今御答弁趣旨のとおり、ぜひ今後とも強化をしていただきたいというふうに思います。  大臣にお伺いしたいと思いますが、第二国立劇場は、国際的にも一級の建物設計で建設されるということでございますね。当初はオペラハウスとして非常に強い要望が出されてこういう企画になったというふうに聞いているのですけれども、オペラ劇場といえば、ヨーロッパを持ち出すまでもなく専属のオーケストラ、合唱団等々がございますね。そういう点で、先ほど来ソフトの面ということでいろいろ御意見がありますけれども、そういう点で国際的な国立劇場、オペラ劇場を目指すという点では、専属のスタッフを抱えるという点でのお考えはいかがでございましょうか。
  118. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えいたします。  現在の時点で第二国立劇場におきましての計画として専属のオーケストラ等を置くという計画はございません。と申しますのは、これは、現時点における我が国のそれぞれの芸術団体の皆様方の活躍の場としてこれを御利用いただくということに主眼を置いているわけでございまして、専属のオーケストラを持つというような考え方、一つ考え方として存在するということは十分わかりますし、またその意義もあろうかと思いますが、今回の計画におきましてはそこのところは入っていないのが現実でございます。
  119. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 建物は国際的に立派だということだけでは、これは竹下総理も文化交流を据えていろいろ国際的な問題を強調しているところですけれども、やはり中身がないというのではいかにも片手落ちだと思うのですね。普通、劇場というのは、もう今日ではやはり中身を持たない劇場劇場と言えないということが言われているわけですし、この設立の構想ができましてからもう二十年、これから先五年後ということになりますと二十五年、それだけの間にはもういろんな劇場もできているわけですから、やはり本当国立劇場としての中身を整えるということはもっと前向きに考えていいのではないかと思うのですね。  その点では、しかし今の時点で持たないということですけれども、どうなんでしょうか。調査室の資料によりますと、設立準備協議会専門委員会が昭和五十六年にその点での検討がされておりまして、発足ではそうではないけれども考えてもいいというようなことが述べられております。「状況等を勘案して検討する。」ということを述べられているんですが、その辺は変更なしというふうに考えていいんでしょうか。
  120. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 第二国立劇場公演組織につきましては、ただいま御指摘のございましたとおり、昭和五十六年の設立準備協議会の報告で「専属のオーケストラ、歌手、合唱団、舞踊団、劇団等は、発足当初は置かないこととし、その整備については発足後の状況等を勘案して検討する。」というふうにされているところでございます。  これは、その協議会の中で専属の問題については随分いろいろな議論がございまして、一方では、安定した芸術創造が行えるとかあるいは長期的に見てアンサンブルが育ちやすいというような意見もございましたけれども、他方では、既存劇団等との調整が難しい、あるいは芸術家の新陳代謝が行われにくくなって硬直した組織になりやすいのではないかというような御意見がございまして、結果として、我が国のこれまでの舞台芸術活動が民間の芸術団体の力によって支えられてきたという状況も勘案いたしまして、この劇場に専属の公演組織を置くことはこれらを必要以上に混乱させることになるという意見が大勢を占めましてこういった結論になったわけでございます。  これは、例えばオーケストラについて言いますと東京都内にプロのオーケストラが九つある、あるいはバレエ団あるいは現代舞踊というようなオペラに使われるようなそういう組織につきましても非常にそれ以上に多い、あるいは合唱団につきましても二期会とかあるいは藤原歌劇団といったようなオペラ団体に専属の組織がある、こういうような現状の上でこの第二国立劇場が専属の組織を持ちますと、こういった民間団体に非常に大きな圧迫になるというような懸念がございますし、そういうことが非常に一つの有識者間の合意になってこういう結論になったということでございます。  したがいまして、この専属問題につきましてはそういった状況が現在はあるわけでございまして、それらの状況についての変化とかあるいはその専門家においてぜひそういう方向が望ましいというような意向がまとまってきたような段階において今後検討するということでございます。この「発足後の状況等を勘案して検討する。」という、そういう姿勢は捨てているわけでは決してございません。
  121. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 先ほど申し上げました第二国立劇場推進連絡会議、これは芸術関係者のすべての団体を網羅している中心的な代表的な団体でございますけれども、そこでは一貫して専属のスタッフ、オーケストラ、合唱団を持つべきだということで御意見、御要望が出ていると思うのです。ぜひとも、芸術活動は創造、発展、普及ということで国立劇場を本拠地として活躍をしていくということが非常に大事だと思うのです。そういう点で、もっと積極的に今後も検討していただきたいということを強く申し上げておきたいと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  122. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど文化庁次長からお答えを申し上げましたような事情、経緯もございますので、それぞれの分野の皆様方とこれからも建設過程を通じまして文部省、文化庁といたしましては十分その御意見を承りながら、また先ほど来各党委員皆様方から御質問をいただきました中でお答えを申し上げましたように、この委員会におきましてもその経緯を適宜適切な時期に十分御報告申し上げながら、お力をいただきながらこれを進めていくということを御答弁申し上げましたわけでございまして、そうした過程を通じてただいまの御質問趣旨がどういう形で生かされるかということで取り組んでまいりたいと考えております。
  123. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 次に、役員の任命の問題について質問したいと思います。  今回の条文改正の中にそれが一つあるわけですが、現在の国立劇場理事長、会長理事文部大臣任命になってございますね。任命に至る手続、あるいはどういう人を選ぶという内規などはあるのでしょうか。
  124. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 今回のお願いしております国立劇場法改正内容が成立いたしますと、役員の任命方法が変わるわけでございます。それで、この役員についての考え方でございますが、例えば現在の国立劇場について言いますと伝統芸能の保存、振興ということ、それから第二国立劇場お願いしておりますサイドは現代舞台芸術振興普及ということでございますが、そういった法人の設立趣旨にかんがみまして、高い識見を有するということ、それから国立劇場の管理運営について十分その力量、手腕を備えた人物というようなことがその選任の際の基準になろうかと思いますが、こういった決まった内容、そういった選考基準についての決まった内規というのは、今回の役員の任命方法の変更ということもございまして、特にそういうものが存在しているわけではございません。
  125. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 その際、芸術関係団体から意見を聞いたりする、あるいは推薦を受ける、そういう手続は特にありますか。
  126. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 現在の特殊法人国立劇場の役員といたしまして会長一人、理事長一人、理事五人、監事二人、これは以内ございますが、という規定がございまして、これについての変更はお願いをしておりませんので、現行の例えば理事五人というような範囲内で、第二国立劇場設置された場合でも現行の枠内で対応していきたいというように考えているわけでございます。  それで、その選任に当たりましては、先ほど申しましたようにこの役員の中の業務分担がいろいろでございますので、それは具体的にその時点で現存する役員の分担というものを決めていかなければいけないわけでございますが、そういった状況によるわけでございますけれども、第二国立劇場担当の役員というものを選ぶ際には、現代舞台芸術振興普及ということに関しての高い識見と管理運営能力というような点を国立劇場がまず判断をして、そしてそれを文部大臣の認可を得て任命する、そういう形になっていくわけでございまして、この辺はこれからの国立劇場の実際の手続によるわけでございます。そういった人物といいますか識見及び力量を備えた人物の選考ということが具体的に国立劇場の中で行われるということでございます。
  127. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 国立劇場というか古典芸能、現代舞台芸術、今度は両方備えるわけですから、芸術関係者からの推薦というのは非常に大事だというふうに思うのです。そういう意見も大変強いわけであります。  そこで伺いますが、国立劇場では昭和四十一年に創設されて以来理事長にどういう人を人選されてきたのでしょうか。
  128. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 昭和四十一年七月に設置されたわけでございますが、それ以来寺中作雄さん、齋藤正さん、福原匡彦さん、犬丸直さん、それから佐野文一郎さん、この五人の方がなられておられます。
  129. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 この方々文部省のいわば天下りではありませんか。学術視学官、事務次官局長、長官等々をされた方でありまして、私は、国立劇場、文化芸術活動が政府の監督を受けながらも強い統制を排除するという点で大幅な自主性の尊重が非常に大事だと思うのですけれども、そういう点からすると、これは非常に問題だというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  130. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 ただいま申し上げました理事長経験者五人の方々はたまたま文部省におられた方々ではございますけれども、ただ、いずれの方々も文化行政といいますか文化芸術行政に大変造詣のある方々でございまして、特に犬丸、佐野という最近のお二人の理事長はいずれも文化庁長官を歴任された方でございまして、そういった意味で伝統芸能の振興、保存ということに関しての高い識見という点ではどなたにも劣らない方々であったというふうには思っております。
  131. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 しかし、歴代の理事長五人がすべて文部省のいわば天下り人事だということはどうなんでしょうか。これは非常に問題ですね。国立劇場へのいわば天下り人事をしているというふうに見られるわけでありますから、この点では、この際、そういうことはやめるということではっきりさせてはいかがですか。これは大臣にお伺いしたいと思います。
  132. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えを申し上げます。  ただいま文化庁の次長からお答えを申し上げましたように、これまでもそうでございましたが、歴代の理事長、我が国の文化行政を進めていく上でも大変な高い見識を持った方々ばかりでございまして、これを単なる天下りというふうにおとりいただきますのはいかがなものであろうか。今後、もちろん民間の芸術家の中から適当な方がおられればその方々も候補の一人となりえましょうし、また文部省、文化庁の中に適切な人材があればこれを起用するということはいささかもおかしなことではない、このように考えております。
  133. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 時間がありませんので次の問題を伺いたいわけですが、先ほど設立準備協議会江副氏が任命されていたという問題がありましたけれども、確認を含めてお伺いしますけれども先ほどオペラ団体の代表の理事長の交代によってというふうに御説明ありましたけれども、ちょっと正確な名称を伺いたいと思います。そのオペラ団体、何という団体ですか。
  134. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 江副さんが理事長をしていたというオペラ団体は、財団法人日本オペラ振興会でございます。
  135. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 それでは、そこからは今日は設立準備協議会委員は選出されていないわけですか。推薦されていないのでしょうか。
  136. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 この辺の少し詳しい経過を申し上げますけれども、オペラ団体の代表としてこの協議会に財団法人日本オペラ振興会の理事長が入ったというのは昭和五十九年からでございまして、これは在京のオペラ団体の代表をぜひ入れてほしいという芸術関係者からの要望があり、そうした意味で入っていただいたわけでございます。当初は、その理事長でありました西直彦氏が委員になったわけでございますが、六十二年の二月に亡くなられました。その後任として、財団法人オペラ振興理事長の後任が江副さんになったといういきさつがございまして、そして六十二年度になって、財団法人オペラ振興会をオペラ団体の代表として考えていたために、ほぼ自動的に江副さんが協議会の委員になった、こういうことでございます。  ところが、昭和六十二年度中の会合につきましては江副さんは御出席になられなかったということで、本務非常に多忙で出席の見込みがないというような状況もございまして、六十三年度の委嘱のときにはお願いをしなかった、こういう経過でございます。
  137. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 おかしいのですよね。オペラ関係の代表的な団体ということで委嘱されているということでありましたら、それでは人が変わって、その団体から次の方が出てこられないのかということがありますね。今日では、オペラ団体協議会の会長の朝比奈隆さんが協議会の委員に入っていらっしゃいます。だから、そのときそのときで団体がかわるのだろうかという問題がありますが、それはちょっとおきまして、江副さんはいつからいつまでこの委員になっていられたのでしょうか。
  138. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 江副さんの委員としての委嘱期間は昭和六十二年度でございますが、具体的には昭和六十二年の九月一日から六十三年の三月三十一日まででございます。  それから、先ほどの御疑問でございますけれども、オペラ団体の代表者としては、これはお話しの朝比奈隆さんが以前から入っておられました。しかし、これは大阪の方の団体でございますので、先ほども申しましたように、芸術関係者からは在京のオペラ団体の代表者を入れてほしいということで、江副さんといいますか、日本オペラ振興会の理事長を充てたわけでございます。六十三年に江副さんにお願いしなかったその時点では、オペラ団体でございますけれども、日本のオペラを含めて音楽界の全部に通暁しておられました芥川也寸志さんをかわりにお願いをしたというようないきさつでございます。
  139. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 ちょうどこの在任期間はまさに高石文部事務次官の時期にあたるわけでありまして、リクルート疑惑は今非常に重大な問題になっているわけです。先ほど担当課の推薦で上がったという話もありましたけれども高石氏の関与の問題は文部省としてもまた文化庁としてもはっきりさせていただかなければいけないということでありますので、一つはこの問題について再度調査、報告をして、高石氏との関連についてはっきりさせていただきたいということが一点です。  それから、この役員の任命、これは委嘱を含めて、この間文部省も大変問題になったわけでありまして、任命の制度、そのシステムはもっとわかりやすいものにといいますか、はっきりしたものにしていくことが非常に大事になっていると思うのです。そういう点で、この国立劇場につきましても役員の任命についてももっと芸術家の推薦や意向がはっきり入るようなシステムを保証するという点で御検討をしていただきたいと思います。その点では、最後になりますけれども大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  140. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えいたします。  江副氏の問題につきましては、少なくともこの問題に関する限りは先ほどからるる御答弁申し上げておりますように、財団法人日本オペラ振興会の理事長の西直彦氏が逝去されたことによって、そこに江副氏が就任をされたということによって自動的に第二国立劇場設立準備協議会のメンバーになったということでございまして、御指摘の点につきましては、第二国立劇場設立準備協議会のメンバーに江副さんがなられたということの経緯はいささか御質問趣旨とは違うのではないだろうか、このように考えております。  それから、今後第二国立劇場本当国民皆様方に十分御理解をいただき育てていただくためには、各方面の御意見を十分承っていかなければいけない、この姿勢で、文部省、文化庁取り組んでいかなければいけないということは十分心して臨んでまいる考えでございます。
  141. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 質問を終わります。
  142. 工藤巖

    工藤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  143. 工藤巖

    工藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出国立劇場法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  144. 工藤巖

    工藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  145. 工藤巖

    工藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、町村信孝君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の五党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提案されております。  提出者から趣旨説明を求めます。佐藤徳雄君。
  146. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 私は、提案者を代表いたしまして、ただいまの法律案に対する附帯決議案について御説明を申し上げます。  まず、案文の朗読をいたします。     国立劇場法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、芸術・文化振興の重要性にかんがみ、次の事項について、特段の配慮をすべきである。  一 第二国立劇場(仮称)が現代舞台芸術振興及び普及のための中核的施設として機能するために、国による適切な措置を講ずること。    また、劇場の貸与に当たっては、その目的が十分達成されるよう配慮すること。  二 第二国立劇場(仮称)が現代舞台芸術の情報センターとしての役割を果たせるよう、その機能、設備等の充実に努めること。  三 国立劇場の管理・運営等の在り方について、芸術家及び芸術団体など関係者の意見を十分に尊重すること。  四 第二国立劇場(仮称)の竣工・開場まで、その準備・進捗状況を適宜当委員会に報告すること。  五 我が国の経済力と文化予算との現状にかんがみ、長期的・総合的観点に基づいて、文化予算の大幅拡充に努めること。 以上でございます。  その趣旨につきましては、本案の質疑応答を通じて明らかであると存じますので、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきます。  何とぞ御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
  147. 工藤巖

    工藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  148. 工藤巖

    工藤委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、本附帯決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。西岡文部大臣
  149. 西岡武夫

    西岡国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。     —————————————
  150. 工藤巖

    工藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決をいたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御  一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 工藤巖

    工藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  152. 工藤巖

    工藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十一分散会      ————◇—————