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1989-05-25 第114回国会 衆議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年五月二十五日(木曜日)     午前十時二十三分開議 出席委員   委員長 玉生 孝久君    理事 熊川 次男君 理事 斉藤斗志二君    理事 近岡理一郎君 理事 戸塚 進也君    理事 宮里 松正君 理事 田口 健二君    理事 竹内 勝彦君 理事 塚田 延充君       天野 公義君    江藤 隆美君       大石 千八君    大村 襄治君       奥野 誠亮君    鴻池 祥肇君       佐藤 一郎君    田中 直紀君       竹中 修一君    月原 茂皓君       長谷川 峻君    武藤 嘉文君       角屋堅次郎君    広瀬 秀吉君       井上 和久君    鈴切 康雄君       浦井  洋君    柴田 睦夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 小渕 恵三君         国 務 大 臣        (総務庁長官)  金丸 三郎君  出席政府委員         内閣参事官   内藤  勲君         内閣総理大臣官         房外政審議室長 藤田 公郎君         人事院事務総局         給与局長    中島 忠能君         人事院事務総局         職員局員    川崎 正道君         内閣総理大臣官         房審議官    文田 久雄君         内閣総理大臣官         房管理室長   櫻井  溥君         内閣総理大臣官         房臨時特定弔慰         金等業務室長  石倉 寛治君         総務庁長官官房         長       山田 馨司君         総務庁人事局長 勝又 博明君         総務庁行政管理         局長      百崎  英君         総務庁行政監察         局長      山本 貞雄君         総務庁恩給局長 石川 雅嗣君         外務大臣官房外         務参事官    時野谷 敦君         文部省体育局長 前畑 安宏君  委員外出席者         経済企画庁物価         局物価調整課長 中名生 隆君         厚生省年金局年         金課長     松本 省藏君         厚生省援護局業         務第一課長   村瀬 松雄君         会計検査院事務         総局第一局大蔵         検査課長    小野田 博君         内閣委員会調査         室長      林  昌茂君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十九日  辞任         補欠選任   井上 和久君     大久保直彦君 同日  辞任         補欠選任   大久保直彦君     井上 和久君 同月二十四日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     上坂  昇君 同日  辞任         補欠選任   上坂  昇君     五十嵐広三君 同月二十五日  辞任         補欠選任   有馬 元治君     田中 直紀君   河本 敏夫君     鴻池 祥肇君   古屋  亨君     月原 茂皓君   森下 元晴君     大石 千八君 同日  辞任         補欠選任   大石 千八君     森下 元晴君   鴻池 祥肇君     河本 敏夫君   田中 直紀君     有馬 元治君   月原 茂皓君     古屋  亨君     ――――――――――――― 四月十日  旧軍人恩給改定に関する請願粟山明君紹介  )(第三六三号)  同(坂上富男紹介)(第三七八号)  同(嶋崎譲紹介)(第三七九号)  同(田口健二紹介)(第三八〇号)  同(小沢辰男紹介)(第三九〇号)  国家機密法制定反対に関する請願浦井洋君紹  介)(第四五九号)  同(佐藤祐弘紹介)(第四六〇号)  同(柴田睦夫紹介)(第四六一号)  同(不破哲三紹介)(第四六二号) 同月十七日  旧軍人恩給改定に関する請願外一件(江藤隆  美君紹介)(第五六一号)  同(戸塚進也紹介)(第五六二号) 同月二十七日  旧軍人恩給改定に関する請願有馬元治君紹  介)(第六九一号)  同(稻葉修君紹介)(第六九二号)  同(堀之内久男紹介)(第六九三号)  同(山本幸雄紹介)(第六九四号)  同(角屋堅次郎紹介)(第七二七号)  同(野呂昭彦紹介)(第七四〇号)  同外一件(竹内勝彦紹介)(第七四九号)  同(広瀬秀吉紹介)(第七五〇号)  同(宮里松正紹介)(第七五一号)  同(伊東正義紹介)(第七八七号)  同(大出俊紹介)(第七八八号)  同(大原一三紹介)(第七八九号)  同(大村襄治紹介)(第七九〇号)  同(角屋堅次郎紹介)(第七九一号)  同(坂上富男紹介)(第七九二号)  同(前田武志紹介)(第七九三号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願有馬元治紹介)(第七三五号)  同(五十嵐広三紹介)(第七三六号)  同(中川秀直紹介)(第七三七号)  同外二件(武藤嘉文紹介)(第七三八号)  同外一件(前田武志紹介)(第七三九号)  同(斉藤斗志二君紹介)(第七五二号)  同(佐藤一郎紹介)(第七五三号)  同(柴田睦夫紹介)(第七五四号)  同外三件(竹内勝彦紹介)(第七五五号)  同(戸塚進也紹介)(第七五六号) 五月九日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願外四件(塚田延充紹介)(第八八五号)  同(吉田之久君紹介)(第八八六号)  旧軍人恩給改定に関する請願大原一三君紹  介)(第九〇九号)  同(奥野誠亮紹介)(第九一〇号)  同(河野洋平紹介)(第九一一号)  同(月原茂皓紹介)(第九一二号)  同(柴田睦夫紹介)(第九四七号)  同(森下元晴紹介)(第九九八号) 同月十五日  治安維持法犠牲者に対する国家賠償のための法  制定に関する請願外一件(稲葉誠一紹介)(  第一〇四七号)  同外一件(大出俊紹介)(第一〇四八号)  同(戸田菊雄紹介)(第一〇四九号)  同(山下八洲夫君紹介)(第一〇五〇号)  同外一件(山花貞夫紹介)(第一〇五一号)  同(石井郁子紹介)(第一〇六二号)  同(浦井洋紹介)(第一〇六三号)  同(経塚幸夫紹介)(第一〇六四号)  同(工藤晃紹介)(第一〇六五号)  同(児玉健次紹介)(第一〇六六号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一〇六七号)  同(柴田睦夫紹介)(第一〇六八号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一〇六九号)  同(辻第一君紹介)(第一〇七〇号)  同(寺前巖紹介)(第一〇七一号)  同(中路雅弘紹介)(第一〇七二号)  同(東中光雄紹介)(第一〇七三号)  同(不破哲三紹介)(第一〇七四号)  同(藤田スミ紹介)(第一〇七五号)  同(正森成二君紹介)(第一〇七六号)  同(村上弘紹介)(第一〇七七号)  同(田口健二紹介)(第一一八〇号)  同(野間友一紹介)(第一一八一号)  旧軍人恩給改定に関する請願森下元晴君紹  介)(第一〇五二号)  同(浦井洋紹介)(第一〇五八号)  同(中路雅弘紹介)(第一〇五九号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一一〇三号)  国家機密法制定反対に関する請願安藤巖君紹  介)(第一〇六〇号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願浦井洋紹介)(第一〇六一号)  同外五件(古屋亨紹介)(第一一〇四号)  同(田口健二紹介)(第一一七九号) 同月十七日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願田口健二紹介)(第一二一三号)  同(浦井洋紹介)(第一二九四号)  治安維持法犠牲者に対する国家賠償のための法  制定に関する請願外四件(伊藤茂紹介)(第  一二一四号)  同(田口健二紹介)(第一二一五号)  同外二件(広瀬秀吉紹介)(第一二一六号)  同(浦井洋紹介)(第一二九五号)  同(松本善明紹介)(第一二九六号) 同月十八日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願浦井洋紹介)(第一四二九号)  同(宮里松正紹介)(第一四五四号)  治安維持法犠牲者に対する国家賠償のための法  制定に関する請願外一件(清水勇紹介)(第  一四三〇号)  同(五十嵐広三紹介)(第一六九九号)  同(藤田スミ紹介)(第一七〇〇号)  国家秘密法制定反対に関する請願中路雅弘  君紹介)(第一四五〇号)  スパイ防止法制定に関する請願今枝敬雄君紹  介)(第一四五一号)  同(玉生孝久紹介)(第一四五二号)  同(天野光晴紹介)(第一七五〇号)  同(松野幸泰紹介)(第一七五一号)  同(武藤嘉文紹介)(第一七五二号)  同(森喜朗紹介)(第一七五三号)  旧軍人恩給改定に関する請願高鳥修紹介  )(第一四五三号)  同(五十嵐広三紹介)(第一六九八号)  同(竹中修一紹介)(第一七四九号)  皇室典範改正に関する請願安倍基雄紹介  )(第一五八九号)  傷病恩給等改善に関する請願新井将敬君紹  介)(第一五九〇号)  同(稲村利幸紹介)(第一五九一号)  同(上草義輝紹介)(第一五九二号)  同(江藤隆美紹介)(第一五九三号)  同(大野功統紹介)(第一五九四号)  同(加藤紘一紹介)(第一五九五号)  同(熊谷弘紹介)(第一五九六号)  同(塚原俊平紹介)(第一五九七号)  同(中村正三郎紹介)(第一五九八号)  同外一件(船田元紹介)(第一五九九号)  同(堀之内久男紹介)(第一六〇〇号)  同(持永和見紹介)(第一六〇一号)  同(森喜朗紹介)(第一六〇二号)  同(山崎拓紹介)(第一六〇三号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第一七〇一号)  同(野田毅紹介)(第一七〇二号)  同(浜野剛紹介)(第一七〇三号)  同(三ッ林弥太郎紹介)(第一七〇四号)  同(稲村利幸紹介)(第一七五四号)  同(竹中修一紹介)(第一七五五号)  同(森喜朗紹介)(第一七五六号) 同月十九日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願金子みつ紹介)(第一七八八号)  同(長谷川峻紹介)(第一八七二号)  治安維持法犠牲者に対する国家賠償のための法  制定に関する請願上田哲紹介)(第一七八  九号)  同(金子みつ紹介)(第一七九〇号)  同(串原義直紹介)(第一七九一号)  同(清水勇紹介)(第一七九二号)  同(田並胤明君紹介)(第一七九三号)  同(中村茂紹介)(第一七九四号)  同(矢島恒夫紹介)(第一七九五号)  同(石井郁子紹介)(第一八七三号)  同(岩佐恵美紹介)(第一八七四号)  同外一件(大出俊紹介)(第一八七五号)  同(渋沢利久紹介)(第一八七六号)  同外一件(新村勝雄紹介)(第一八七七号)  同(高沢寅男紹介)(第一八七八号)  同(水田稔紹介)(第一八七九号)  同(山原健二郎紹介)(第一八八〇号)  スパイ防止法制定に関する請願齋藤邦吉君紹  介)(第一七九六号)  同(松田岩夫紹介)(第一七九七号)  同(粟山明君紹介)(第一八八一号)  傷病恩給等改善に関する請願井出正一君紹  介)(第一七九八号)  同(今井勇紹介)(第一七九九号)  同(小澤潔紹介)(第一八〇〇号)  同(大塚雄司紹介)(第一八〇一号)  同(海部俊樹紹介)(第一八〇二号)  同(柿澤弘治紹介)(第一八〇三号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第一八〇四号)  同(近藤鉄雄紹介)(第一八〇五号)  同(鈴木宗男紹介)(第一八〇六号)  同外一件(細田吉藏紹介)(第一八〇七号)  同(石橋一弥紹介)(第一八八二号)  同(江崎真澄紹介)(第一八八三号)  同外一件(越智伊平紹介)(第一八八四号)  同(河本敏夫紹介)(第一八八五号)  同(櫻内義雄紹介)(第一八八六号)  同(塚原俊平紹介)(第一八八七号)  同(葉梨信行紹介)(第一八八八号)  旧軍人恩給改定に関する請願河本敏夫君紹  介)(第一八七〇号)  同外二件(長谷川峻紹介)(第一八七一号) 同月二十二日  皇室内廷費増額に関する請願佐藤孝行紹介  )(第二〇五六号)  スパイ防止法制定に関する請願田中直紀君紹  介)(第二〇五七号)  治安維持法犠牲者に対する国家賠償のための法  制定に関する請願外一件(小川国彦紹介)(  第二〇五八号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二〇五九号)  同(加藤万吉紹介)(第二〇六〇号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二〇六一号)  同(村上弘紹介)(第二〇六二号)  傷病恩給等改善に関する請願大坪健一郎君  紹介)(第二〇六三号)  同(熊川次男紹介)(第二〇六四号)  同(今井勇紹介)(第二二九三号)  旧軍人恩給改定に関する請願和田一仁君紹  介)(第二二九〇号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願外一件(井上和久紹介)(第二二九一号  )  同(鈴切康雄紹介)(第二二九二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十日  人事院勧告完全実施に関する陳情書  (第五五号) 五月十七日  旧軍人軍属恩給欠格者処遇に関する陳情書  (第一二八号)  同和対策に関する陳情書  (第一二九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  一八号)      ――――◇―――――
  2. 玉生孝久

    玉生委員長 これより会議を開きます。  内閣提出恩給法等の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を求めます。金丸総務庁長官。     —————————————  恩給法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 金丸三郎

    金丸国務大臣 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近の経済情勢等にかんがみ、恩給年額及び各種加算額等増額することにより、恩給受給者に対する処遇の適正な充実を図ろうとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  この法律案による措置の第一点は、恩給年額増額であります。  これは、昭和六十三年における公務員給与改定消費者物価上昇その他の諸事情総合勘案し、恩給年額及び各種恩給最低保障額を、平成元年四月から、二・〇二%増額しようとするものであります。  その第二点は、寡婦加算及び遺族加算増額であります。  これは、普通扶助料を受ける妻に係る寡婦加算の額を、平成元年八月から、他の公的年金における寡婦加算の額との均衡を考慮して引き上げるとともに、遺族加算の額についても、同年八月から、公務関係扶助料受給者に係るものについては四千九百円、傷病者遺族特別年金受給者に係るものについては三千円それぞれ引き上げようとするものであります。  以上のほか、傷病恩給に係る扶養加給増額等所要改正を行うことといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようにお願いいたします。
  4. 玉生孝久

    玉生委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 玉生孝久

    玉生委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田口健二君。
  6. 田口健二

    田口委員 私は、ただいま議題になりました恩給法等の一部を改正する法律案、さらに関連をして幾つかの点で質疑をいたします。  まず第一に、今回提案をされました恩給法改正では、改定率二・〇二%を引き上げる、こういうふうに提案をされておりますが、この二・〇二%を引き上げるとした根拠をお示しをいただきたいと思います。
  7. 石川雅嗣

    石川(雅)政府委員 平成元年度の恩給改善に当たりましては、恩給国家補償的性格を有するものであること等の特殊性を考慮しつつ恩給年額実質的価値維持を図る、そういう観点から恩給法二条ノ二の規定にのっとって諸般事情総合勘案し、平成元年四月から二・〇二%の改定を行うこととしたわけであります。  この二・〇二%の算定根拠につきましては、公務員給与改定率、これは行(一)の本俸改定率で二・三五%でございました。それから消費者物価上昇率、これは予算編成時の見込みで〇・七%でございました。これら諸般事情総合勘案して定めたものでございます。
  8. 田口健二

    田口委員 昨年も私は同じような御質問を申し上げたんですが、回答も全く今と同じような回答なのです。それは、やはり総合勘案方式という非常に抽象的な呼称だと思うのですが、そういうところからくる不明確さというものが残るわけです。かつてのような給与スライド方式であるとかというものでありますと、その根拠というものはもう明確になってくるのですが、今のはお答えになったような総合勘案方式公務員給与あるいは物価もろもろ事情勘案をして二・〇二%に決まりましたと言ってもなかなか理解がしにくいのですよ。  ただ、考えてみますと、今局長の方からそういうふうに言われましたが、六十二年度の公務員給与改定率は二・三%ですね。恩給の場合は二・〇。六十三年度は一・四六に対して一・二五。今回が二・三五に対して二・〇二という恩給引き上げ率になっている。これは計算をしますと、公務員給与引き上げ率の大体八五、六%がいわゆる総合勘案方式という名のもとで恩給改定率になっている、こう理解をするわけなんです。それでよろしいのでしょうか。
  9. 石川雅嗣

    石川(雅)政府委員 総合勘案と申しましても、結果としてただいま先生からお話しのございましたような計算が成り立つかどうかという御議論はまた別途あろうかと思います。ただ、私どもといたしましては、先ほど来申しておりますように、公務員給与あるいは物価上昇率、そうしたもろもろのものを勘案いたしまして決めるわけでございますけれども、私ども気持ちといたしましては、できるだけ受給者方々に御安心をいただくような形でもってそういった水準に決めさせていただきたい、こういう気持ちでもって努力をしてまいった結果である、このように御理解をいただきたいと思います。
  10. 田口健二

    田口委員 はっきり公務員給与改定の何%を目安にしているということはなかなか言いにくいんだろうというふうに思いますが、一応結果的にはそういう数字になっておるので、我々はそういう考え方でやっているんだというふうに理解しているわけです。  そこで、もう一点お尋ねいたしますが、公的年金の場合には、御案内のように、五年ごと財政見直しがやられていきますね。来年がたしかその年に当たるというふうに思うのでありますが、今は諸般の準備がそれぞれ行われておると思います。この公的年金の五年ごと財政見直し恩給改定との関係はどんなものでしょうか。全然関係ありませんか。
  11. 石川雅嗣

    石川(雅)政府委員 公的年金は、ただいま先生質問がございましたように、五年ごと財政計算というのが行われるわけでございます。これは、公的年金保険数理に基づいて計算された保険料によりまして運営されているということから、物価の変動とかあるいは所得水準の動向によりまして、一定年限ごと財政計算を行う、こういう必要があるからやっているわけでございまして、その際に既裁定者と新規に裁定を受ける者との間の均衡を図るために給付水準見直しを行っているということも、先生御指摘のとおりでございます。この点が恩給制度制度仕組みにおいて基本的に異なっているということが申せようかと思います。ただ、公的年金の場合には御承知のように、物価スライドで毎年の年額改定している、そういったことから五年目ごとの再計算の際に見直しを行う、こういうことがあるわけでございますが、恩給につきましては、毎年物価あるいは公務員給与、これらを総合勘案いたしまして六十二年度以降年金実質価値維持するように改善を行ってきているわけでございまして、その点は公的年金と違う仕組みである、このことも御理解いただけると思うわけでございます。  したがいまして、今御説明申し上げたような点が恩給公的年金の違いということになるわけでございますが、そうした点から、公的年金制度のように五年ごと見直しを行う必要があるかどうかということについては私どもも今後の問題として考えなければならないだろうというふうに思っているわけでございます。ただ、ことしの問題に関して申し上げますと、公的年金におきます今回の標準報酬の再評価による改善率は一応五%、こういうふうに数字が出ているようでございます。それと同じ期間におきます恩給改善率は約五・三六%という数字になっておりまして、こうした面におきましては私どもは今回については一応バランスはとれているのではないだろうか、このように考えているところでございます。
  12. 田口健二

    田口委員 きょう大変お忙しい中を官房長官においでいただいておりますので、ちょっとここで先に話題を変えさせていただきまして、公務員給与のことで一、二御質問させていただきたいと思います。  最初に、給与担当大臣であります金丸総務庁長官に初めて私は御質問するわけでありますが、去る三月の十三日だったと思いますが、公務員関係組合で結成しております公務員共闘会議からの要求に対して、大臣の方からも御回答があっておると思いますし、また、官房長官官公労協の代表の方々とお会いをしておるというふうに聞いておるわけです。  そこで、私はまず最初総務庁長官に対して、給与担当大臣として人事院勧告制度に対する基本的な認識といいますか、その姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。
  13. 金丸三郎

    金丸国務大臣 お答え申し上げます。  公務員給与につきましては、従来から労働基本権制約代償措置の一つでございます人事院勧告を尊重するという基本姿勢に立ちまして対処してまいっております。人事院勧告に基づきまして民間賃金とのバランスをとって公務員給与改定するという考え方は、関係者の大変な御努力とさまざまな試練を経て、長年にわたりまして国民の理解を得つつ公務員給与決定方式として定着しておるものでございまして、今後とも私といたしましてはこの制度維持、尊重していく考えでございます。
  14. 田口健二

    田口委員 そこで官房長官人事院勧告が毎年八月に出されてくるわけですが、とりわけ昨年から公務員皆さん方の強い要望がこの勧告早期完全実施という点にあることについては、昨年の八月三十日、私は当内閣委員会でも官房長官に特に御要請をして、努力する旨の御回答も実はいただいたのです。ところが、結果はどうであったかといいますと、私はここに二十年分ぐらいの勧告の時期、閣議決定の時期、国会における付託の時期あるいは実施時期などを全部表にまとめてみたのですが、昨年非常にあのように御要望申し上げ、長官自身努力するとおっしゃられたのですが、閣議決定が十月二十五日なんですよ。昨年私が申し上げたときは、たまたま昨年は七月から臨時国会が開かれておりましたから既に八月の人事院勧告期には国会も開かれておるわけですね。にもかかわらず十月二十五日に閣議決定がされて、本院を通過したのが十二月二十日ですね。公布されたのが十二月二十四日。年内完全支給のためには、タイムリミットぎりぎりのところなんですね。二十年間を見てみますと、ほとんどが十二月なんです。その一つの原因は、閣議決定が非常におくれている。もちろん、中には八月に閣議決定が行われたのも数年ございます。  ですから、これらを考えますと、ことしも八月には当然勧告が予定されているわけですから、ことしはひとつ早期に閣議決定をやって、早く法案を国会提案し、早期実施ができるように努力をしてもらわなければ、人事院勧告制度趣旨からいってもこれは大変問題があると私は思うのですが、その辺を、官房長官、ひとつ決意を聞かせていただきたいと思います。
  15. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 かねて来そのような御主張の存することは承知いたしているところでございます。政府としては、人事院勧告につきましては先ほど金丸総務庁長官から御答弁申し上げましたような趣旨に基づいてそれを尊重する基本的姿勢をもって対処いたしておるところでございます。  そこで、まずは人事院勧告が出ないことにはいたし方ないことではございますが、その後政府といたしましては、支払うべき給与が国民の税金にゆだねられているということはもとよりでございますので、慎重に給与関係閣僚会議等を開催いたしまして、結論を得るべく過去努力をいたしてきたところでございまして、そういった慎重審議をいたしてまいりました間に御指摘のような期間を、経過いたしたことも事実でございます。そこでこの問題につきましては、いずれにいたしましても勧告が出ました後、御指摘の点も踏まえまして最大限の努力をいたしてみたい、このように考えております。
  16. 田口健二

    田口委員 今官房長官の方からお答えをいただきましたが、この早期完全実施という点について、給与担当大臣としての金丸総務庁長官の御見解もお伺いいたしたいと思います。
  17. 金丸三郎

    金丸国務大臣 私の立場といたしましては、先ほど申し上げましたように労働基本権制約代償措置である人事院勧告制度でございますので、できるだけ早く実施するように努力をするという基本姿勢は従来総務庁としてとってまいっておりますが、今後ともできるだけ早く実施しなければならない、そういう考え方努力をしてまいらなければならないと思います。人事院勧告が出ました暁には、いろいろな事情もございましょうが、できるだけそういうつもりで努力をしてまいる考え方でございます。
  18. 田口健二

    田口委員 そこで、ちょっとまた話題を変えまして、旧日本赤十字社救護看護婦等に対する慰労金、旧陸海軍従軍看護婦等ですね、この問題について昨年も私は本委員会で御質問いたしまして、ぜひ増額改定をすべきであるということを意見としても申し上げたわけです。今回予算を見ますと、内容はともかくとして増額改定をされておるようでありますので、その辺は労を多といたしますが、大体三・五%ぐらいの平均になるのではなかろうかというふうに思っています。この引き上げ額の根拠についてまずお聞かせいただきたいと思います。
  19. 櫻井溥

    ○櫻井(溥)政府委員 お答えいたします。  ただいま御質問ありました旧陸海軍従軍看護婦、それから旧日本赤十字社救護看護婦に対します慰労給付金の額の引き上げの件でございます。これにつきましては、前回の昭和六十年度に一度額の改定を行いました。その例に倣いまして、過去五年の消費者物価指数に係る上昇率、これが三・五%でございましたので、この三・五%を根拠といたしまして今回の額の改定になった次第でございます。
  20. 田口健二

    田口委員 根拠消費者物価上昇率の合計だということですから、それも一つの考え方かもわかりませんが、いずれにしても全部一万円ずつですね。月額なら別でありますが、もちろんこれは年金制度ではありませんから、そういう意味には私もとりませんけれども、しかし一万円というのは、これはもうベースアップのうちに入らないのじゃないか、年額ですから。各種いろいろな手当等の状況等を考えてみても、そういう気持ちが非常に強いのです。  特に、昨年もお尋ねしたのですが、受給者の分布がどうなっておるのか、これがわかっておりましたらまず教えていただきたいと思います。
  21. 櫻井溥

    ○櫻井(溥)政府委員 勤務期間別の対象者のお尋ねだろうと思うわけでございますが、旧日本赤十字社の救護看護婦、それから旧陸海軍従軍看護婦と二つに分けてお答えしたいと思います。  まず、旧日本赤十字社の救護看護婦でございますが、勤務期間別に分かれております。三年以上六年未満の方は——比率でよろしゅうございましょうか。(田口委員「はい」と呼ぶ)六七%、六年以上九年未満が八・五%、九年以上十二年未満が一九・四%、十二年以上十五年未満が四・〇%、十五年以上十八年未満が〇・八%、最後に十八年以上が〇・三%でございます。  次に、旧陸海軍従軍看護婦の勤務期間別の比率でございますが、三年以上六年未満が七〇%、六年以上九年未満が一九・二%、九年以上十二年未満が七・七%、十二年以上十五年未満が二・七%、十五年以上十八年未満が〇・四%、最後に十八年以上はゼロでございます。  以上でございます。
  22. 田口健二

    田口委員 今お答えいただいたように、実際に旧日赤あるいは陸海軍従軍看護婦の方々で今受給対象になっておられる方は、やはり三年から六年、六年から九年、九年から十二年まで、大半がそこに集中しているわけですよ。これは私昨年も申し上げたと思うのですが、慰労金の改定に当たっては、今回は下から上まで全部一万円ですから率からいけば上薄下厚になっておると思うのです。しかし、その辺はもう少し配慮すべきではなかろうか。勤務年限が非常に短いところに全体の大半が集中しておるわけですから、それは金額的に、いろいろ問題があると思いますけれども、六十年に改定をしたときは、従来の十万から三十万が十一万から三十四万ということになっておるわけですね。今後改定をされるに当たって、その辺を配慮していく気持ちはないのかどうか。もう少し率的に上薄下厚といいますか、対象者の人員を考えるならば、そこに手厚く措置をしていくことが必要ではないかと思いますが、その辺のお考えはいかがでしょうか。
  23. 櫻井溥

    ○櫻井(溥)政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、今度の改定では、各実勤務期間別の改定額は確かに一万円ずつでございまして、最後の十八年以上というのが実は二万円になっておるわけでございます。いずれにいたしましても、根っこになっておりますベースが最低の勤務期間の方が十一万円、今度それが十二万円ということで一万円の額の改定が行われたわけでございます。これが、対象者が非常に多いのにたった一万円は非常に少ないではないか、こういう御指摘だろうと思うわけでございます。  しかし、あえて申し上げますと、金額が非常にベースが少ないところに一万円のアップでございますから、このランクでいきますと実質の引き上げ率といいますのは、十一万円から十二万円になったわけでございますので九・一%になるわけでございます。そういうこともございまして、率からいきますとこの辺には一応配慮はしておる。特に細かい点から申し上げますと、この十一万円のベースに三・五%を掛けますと実は十一万三千円にしかならぬわけです。この辺を四捨五入いたしますと実は額の改定にならぬわけでございますけれども、この辺は関係者の御理解を得まして、四捨五入ではなくて切り上げて十二万円にしたという経緯がございますので、このあたりも含めましてひとつ御理解いただきたいと思うわけでございます。
  24. 田口健二

    田口委員 それではこの件については、五十四年に旧日赤が、五十六年に旧陸海軍が実施をされて、六十年に一部改定が行われる、今年度、平成元年度ということになると、サイクルからいきますとまた何年か先だ、こう常識的に考えられるわけですが、しかし、やはり慰労金が設けられた趣旨、それから非常に対象者が高齢化をしてきていますし、そういうものもひとつ考えながら今後できるだけ早くまた改定をしていただくように、そしてその改定に当たっては、今私も申し上げました非常に対象者が多い部分を手厚くするといいますか、そういう点を加味をしながらぜひ今後検討していただきたいということ、これは要望として申し上げておきます。  そこで、ちょっとまた話題が変わりますが、平和祈念事業に関する点について幾つかお尋ねをしたいと思うのです。  予算の関係を見ておりますと、いわゆる恩給欠格者に対する措置として、外地勤務者で加算を含めて三年以上の者に書状を、さらにそのうち七十歳以上の者に高齢者から順に銀杯をあわせて贈呈をする、こういうふうなことが載っているわけですね。これはどういう根拠でこういうことをやろうとされているのですか。まずそのことからお伺いをいたしたいと思います。
  25. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えをいたします。  平和祈念事業特別基金が恩給欠格者に対する書状等の贈呈を行いましたのは、同基金に設置されてございます運営委員会が本年の一月に提言をまとめてございますが、その提言に沿って措置したものでございます。  なお、法律的な根拠といたしましては、平和祈念事業特別基金等に関する法律第二十七条第一項五号で目的達成業務というのを規定してございますが、それに当たろうかと存じます。
  26. 田口健二

    田口委員 今のお答えの中で二十七条の一項の五号ですか、これはこの法案審議のときにも随分総理府の方とやり合ったわけですが、私はあの項目というのはいわゆる恩給欠格者に対して、まあ法案のときはシベリア関係抑留者の慰労金の問題等が入っておりますが、そういうものを含めた個別支給だ。それが二十七条のあの五号でもってできるんだ、そういう認識で私どもは法案を審議をしたつもりですし、当時の会議録を読んでみても政府の答弁もそういうふうに感じるのですよ。書状とか銀杯をあの条項を適用してやるというのは、私はこれは納得いかないですね。それはもう明確なんですか。運営委員会で提言があったと言いましたね。それは二十七条の五号に基づいて恩給欠格者に対する個別支給だということでこういうことをやる、そういうふうに提言をしているのですか。
  27. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えいたします。  もう先生つとに御承知のとおりでございますが、この法三条は、「今次の大戦における尊い戦争犠牲を銘記し、」「永遠の平和を祈念するため、関係者の労苦について国民の理解を深めること等により関係者に対し慰藉の念を示す事業を行うことを目的とする。」こういう規定がございます。それで第二十七条の第一項は、「第三条の目的を達成するため、次の業務を行う。」その第一項五号は、「前各号に掲げるもののほか、第三条の目的を達成するために必要な業務」、つまり一号から四号までのものは具体的に書いてございますが、五号はその他個別の事項というふうに理解しているところでございます。
  28. 田口健二

    田口委員 大分答え方が変わってきておると思いますよ。私は具体的に質問をやったんですからね。二十七条というのは基金の目的達成のための業務でしょう。一号から三号までは具体的に書いてあるんですよ。ところが、この法案制定当時にこれだけに限定してしまうということじゃやっぱり問題があるかもわからぬ、今後いろんなものが出てくるかもわからぬ、そのためにやっぱり五号を設けておかなければならぬ。しかも五号の事業をやることについては内閣総理大臣の認可を受けると書いてあるんですよ。そんないいかげんな問題じゃないんですよ。それを書状を配ったり銀杯を配ることを二十七条の五号でもってやるんですか。これは私は納得いかないですよ。この前の質疑のときには、はっきり慰労金というような形のものまでは言わなかったけれども、個別支給ということの中で当然それはこの五号の中に含まれるだろう、だから個別支給ということになると金額的にもいろんな問題がありますからやっぱり内閣総理大臣の認可を受けなければ、勝手に基金だけでこういうものを提案してそれを実施をできるなんという問題じゃないと思うのです。その辺はどうなんですかね。
  29. 文田久雄

    ○文田政府委員 御説明申し上げます。ただいま先生の御指摘の事項は、この事項を盛り込んだ予算が成立いたしますと先生お示しのとおり基金から事業計画書というものが提出されまして、それで内閣総理大臣がそれを認可するという手続をとることになってございます。
  30. 田口健二

    田口委員 そうしますと、政府歩あるいは基金の方の運営委員会としては、この前の本委員会のいろんな論議の過程その他から見て、恩給欠格者に対する個別支給というのは今計画に上がっているような書状とか銀杯の贈呈ですか、これで終わりだ、そういう考え方を今持っているんですか。
  31. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えをいたします。  先ほど来御説明申し上げておりますが、今回の書状及び銀杯の措置というのは基金の運営委員会平成元年度における措置としての事項をまとめたものでございます。ただ、これまでの本法律ができます経緯等を踏まえまして、私どもはこの平和祈念事業特別基金等に関する法律の中で規定されている範囲内での事業というものが整然と施行されていくというふうに考えてございます。
  32. 田口健二

    田口委員 いや、その最後の方を聞いていたらわからなくなったんですよ。それは、平成元年度の事業として基金の運営委員会からこういうものが提起をされている、だからこれは予算が通れば実施をする、そこまではわかるんですよ。ところが、最後の方になると何かうやむやになって、私が質問したことの答えになってないんですよ。いずれにしても、この平和祈念事業法が審議をされたいろんな経過、過程というものを踏まえて今後あなた方は実施をしてもらわなければならぬと思うのですが、その中には香典も、今さら申し上げませんが、いろんなものが入っているんですよ。ただ、今あなたが言われたように、基金の運営委員会から平成元年度の事業としてこういうものが一万九千人、一万五千人で事業として上がってきている、だから今これをやろうとしている、予算が通ればやる、これはわかりますよね。しかし、その他たくさんの問題が、いわゆる恩給欠格者の問題というのがあるわけです。今後これはやはり法律に基づいてきちっとやってもらわなければならぬと思いますね。  これはあえて言いませんけれども、私は非常に心外だと思ったのが、当委員会の中でも全党一致で附帯決議がついているんですよ。それは「恩給欠格者に対する慰労の個別的措置については、引き続き検討を加えた上、速やかに実施するよう努めること。」という附帯決議がついているんです。御承知でしょう、これは。ところが、予算委員会に出してきた資料を見てみたら、この附帯決議の実施状況といって、さっき言った書状と銀杯を書いているんですよ。これは附帯決議の趣旨からいっても、そんなものとは違いますよ。私は非常に心外だと思っています。これはここで余り議論してもなんですから、また改めてやらせていただきます。  そこで、今申し上げました一万九千人、一万五千人というのは、どういう根拠でこの人員ははじき出したのですか。それから、言われておるところの恩給欠格者の数はこんなものではありませんから、将来的にその人員というのはどのように把握をしていくのか。その辺の考え方もお尋ねしておきたい。
  33. 文田久雄

    ○文田政府委員 御説明申し上げます。  まず、書状のみが一万九千人、そして書状と銀杯が一万五千人、その算出根拠いかんというお尋ねかと存じますが、平成元年度において書状のみの方一万九千人、書状及び銀杯の方一万五千人を処理することといたしましたのは、これは贈呈の初年度であるということ、それから申請の受け付けの時期、あるいは平和祈念事業特別基金における事務処理能力等を勘案いたしまして決定させていただいたものでございます。  また、恩給欠格者の対象人員の把握についてはどのように行うつもりかというお尋ねかと存じますが、これは恩給欠格者のうち、今回の書状等の贈呈の対象となる、外地勤務者で加算を含めまして三年以上の方の数については、昨年度からこの平和祈念事業特別基金において実施しております恩給欠格者に係る基礎調査で推計することにいたしてございまして、御案内のとおり、当該調査につきましては昭和六十三年度及び平成元年度の両年で実施することといたしてございますので、現時点ではまたしかとした数字というのは把握でき  ないという状況でございます。
  34. 田口健二

    田口委員 次に、いわゆる祈念事業によりますと、基金をずっと二百億積み立てることになっていますね。初年度は十億で、元年度予算ではたしか二十五億だというふうに思っていますが、これは法案の審議の中でも申し上げたのですが、その程度の積み立てで一体二百億の基金にまで何年かかるのか。基金の果実でいろんな事業をやる、こういう点から考えるとこれは問題にならない数字じゃないかと思うのですが、その辺の積み立ての考え方というのはどうなんでしょうか。
  35. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えをいたします。  基金の出資金につきましては、昭和六十三年度から五年度を目途として二百億円を積み立てることを念頭に置いておりまして、財政状況も勘案しながら毎年度の予算を決定するということに相なろうと存じます。この出資金につきましては、先生の御指摘も踏まえまして、今後着実な積み増しを図っていくというふうに考えておる次第であります。
  36. 田口健二

    田口委員 それと、平和祈念事業基金の事業計画ですか、概要を見てみましたら、シベリア抑留者に関して五億円というのが予算措置されているわけですね。私は初めてこういうことを聞いたのですが、法案審議の中ではそういうものは全然なかった。強制抑留者に対しては十万円の記各国債を発行するとかいろいろなことはありましたが、この事業計画の中で五億円というのがぽこんと出てきているのですよ。これは一体どこから出てきたのですか、この五億円というのは。それで、一体何に使おうとしているのですか。
  37. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えいたします。  戦後強制抑留者につきましては、これらの方々が戦後酷寒の地で強制労働に従事するなど格別大変な御苦労をされたということにかんがみまして、平成元年度に限り、特にこれらの方々に対する慰藉の事業のため、その五億円を計上いたしたところでございます。その事業内容につきましては、平和祈念事業特別基金において関係者の意見を尊重して検討することといたしているところでございます。
  38. 田口健二

    田口委員 そういう答弁では僕は理解できないですよ。幾ら政府が気前よくても、まだ使い道も全然考えてないものをぽんと五億円出してきて、この使い道は基金の運営委員会の中で検討をしていただきます、そんな説明では納得できませんよ。国民の血税でしょう。それは運営委員会の中でどういうふうにするかというのは話が決まっているのですか、それとも全然白紙なんですか、もう一遍お答えいただきたいと思います。
  39. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答え申し上げます。  この五億円につきましては、シベリア抑留者の大変な御苦労、これを慰藉するということで、大目的としましては慰藉の事業をやるということであります。その執行に当たっては、より効率的に効果あるような使い方ということの意味合いにおきまして、基金の運営の重要事項を審議します運営委員会というところでひとつ関係者の意見も聞いて、よろしく効率的な、より予算の目的が達成されるように使っていただきたいという趣旨でさような形になっていると存じているところであります。
  40. 田口健二

    田口委員 そうすると、この五億円について、現時点ではその使途については白紙である、その使い道については今後基金の運営委員会で決めていただくということで確認しておいていいですね。
  41. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えいたします。  ただいま先生お示しのとおりでございます。
  42. 田口健二

    田口委員 厚生省の方、見えていますか。——一点だけお尋ねをしたいのですが、いわゆる恩給欠格者の方々がいろいろな運動をしてきておられる。いろいろな要求も持っておられる。その中でやはり重要なものの一つがいわゆる官民格差と言われている問題なんですね。これは戦後軍歴から復員をされてこられた方で、その後公務員として就職をされた方については、御存じのように共済年金の期間の中には軍歴期間は全部通算をされるわけですね。ところが、復員をしてこられてから厚生年金の対象者あるいは国民年金の対象者になられた方については、全くそういうものが対象になっていないのですね。ですから、同じような経歴を持っておる方が片一方は公務員など共済年金の対象者に就職をした、片一方はそうでないという人の間に非常に大きな格差がある、この格差はおかしい、不公平だというのがいわゆる恩給欠格者の中での非常に大きな、また重要な意見の一つでもあるのですよ。これはどうなんでしょうか。今後年金の一元化という方向に向かっていろいろな準備が進められている、そういうときに厚生年金なり国民年金、こういうものとそういう軍歴期間との通算、仮に期間通算だけであったとしてもそういうことが一体考えられないものなのかどうなのか、その辺をちょっとお考えを聞かせていただきたいと思います。
  43. 松本省蔵

    松本説明員 お答えを申し上げます。  先生御承知のとおり、軍歴期間は恩給制度の対象となっているわけでございまして、現行の各共済制度、これは恩給制度をそもそも引き継ぎました一本の制度でございますので、軍歴期間につきましては共済年金制度において通算をするという取り扱いになっているわけでございます。  一方、国民年金制度あるいは厚生年金保険制度につきましては、制度発足の当初から、社会保険方式と申しましてそもそも一定期間の保険料の拠出を加入者の方からしていただきまして、それに見合って給付を行う、こういう仕組みをとっているわけでございます。したがいまして、拠出期間のないものにつきまして給付の対象にするというようなことは、実は厚生年金あるいは国民年金においては想定をしていないということになっているわけでございまして、軍歴期間を通算をして取り扱うというのはなかなか困難だということになっているわけでございます。  それで、確かに先生のおっしゃるような意味でアンバランスがあるじゃないかという御指摘もよく聞くわけでございますけれども、厚生年金制度を例えば例にとって申し上げますと、厚生年金制度は民間のサラリーマンの方々制度でございます。それで、制度が発足する以前現実にサラリーマンであった方もおります。それから厚生年金制度も、最初からすべてのサラリーマンの方々を対象にしていたわけではなくて、年を経て徐々に対象を拡大してきているわけでございます。例えば、五人未満の事業所のサラリーマンの方々はつい最近厚生年金の対象になったわけでございます。そういたしますと、厚生年金制度は従前から新しく年金制度の対象となった時点以降厚生年金に加入していただき、それ以降の期間について保険料の納付をしていただき給付をしてまいるという形になっておるわけでございまして、仮にでございますが、軍歴期間の分について厚生年金に通算をするというようなことをいたしますと、今度はかつてからサラリーマンをずっとしておられた方、こういう方とのアンバランスというようなこともまた出てまいるわけでございまして、なかなか簡単な答えは出ない。そもそもがやはり恩給制度と、社会保険方式をとっております厚生年金あるいは国民年金制度の違いというようなところによって立つところがあるわけでございます。  それで、今後公的年金制度の一元化というのが課題になっております。平成七年度に向けての課題でございます。しかしながら、これからいろいろと検討を進めていくわけでございますけれども年金制度の一元化を考える場合の一つの重要な例として、前回の六十年の年金制度改革でいわゆる基礎年金制度というのを導入いたしました。これで公的年金制度のいわゆる一階部分というのが一元化が行われたわけでございます。  その場合どういうふうにいたしたかと申しますと、各年金制度というのはやはり歴史的な経緯とか沿革が先生お話のあったようにいろいろ違うわけでございまして、各公的年金制度の中で一元化を考えていく場合には、例えば基礎年金制度の場合には各制度の共通の部分というのを押さえることをしないと、制度ごとに損得が出てまいります。したがいまして、三十六年四月以降、国民皆年金制度ができた以降の部分について一元化をやった、基礎年金制度を導入したというようなことになるわけでございます。将来被用者年金制度全体についての一元化を考える場合にも、一定時点以降の共通の給付の部分というようなものに着目していかないとなかなかうまくまとまりのある答えが出てこないのではなかろうかというようなことも考えられるわけでございまして、なかなか難しい課題ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  44. 田口健二

    田口委員 それでは時間も余りありませんので、ちょっとまた話題を変えさせていただきます。  総務庁にお尋ねをいたしますが、これは四月二十一日付の官庁速報の中にあるのですが、総務庁の責任者が「地方活性化と国・地方を通ずる行財政の改革」ということで講演をした。それがいろいろな自治体関係者の中でちょっとした話題を呼んでいるというふうに官庁速報の中で出ておるわけです。  そこで、まずお尋ねをしたいのは、本委員会でも法案を審議いたしましたが、新行革審の中に国と地方の関係等に関する小委員会というのが設けられているというふうに聞いているわけです。それは設置をされて今日までどのような審議の状況になっておるのか、今後どういう形でそれが結論というものを出していこうとしておるのか、その辺のあらましをちょっと御説明いただきたいと思います。
  45. 金丸三郎

    金丸国務大臣 国と地方の関係につきましては、昨年総理から新行革審の方に審議の御依頼がございましたので、ことしの二月行革審の中にそのための小委員会を設けまして、今、毎週一生懸命勉強していただいておるところでございます。現在までのところでは検討の期間をおおむね一年間、恐らく十二月までには結論をお出しになりまして御答申になるのではなかろうかと思っておるのでございますが、二月から四月にかけましては制度の現状等につきまして関係省庁からヒアリングを行い、五月、六月になりまして関係団体、それから有識者のお方々などからヒアリングを継続する予定、このように聞いております。  実は、私が就任いたしましてから行革審の御審議を見ておりますと、実に御熱心で毎週毎週地方からも上京していただいて御審議になっておるのでございますけれども、実に精力的に審議をし、現在はヒアリング等で勉強していただいておるのでございます。そういう段階でございまして、まだ具体的な内容までは御報告申し上げる段階ではございませんけれども、多分十二月までには御答申をいただけるのではなかろうか、かように推察いたしておるところでございます。
  46. 田口健二

    田口委員 今大臣の方からお答えをいただきましたので、私もこのことについて少し内容的にお尋ねをしたい点がまだたくさんあるのですが、時間もありませんのでもう一点お聞きをしておきます。  今審議が行われておるいわゆる新行革審、これと地方制度調査会との関係なんですが、これはちょっと古い話だと思うのですが、昭和五十五年の十月二十四日に閣議で、自治省と当時総務庁でなくて行政管理庁になると思うのですが、両省庁間において、第二臨調の審議対象について国と地方に関連あるもの、その程度にとどめて、いわゆる地方自治体固有の項目については地方制度調査会で審議をする、こういうことがお互いに確認をされておるというふうに聞いておるのですね。また、百七国会ですから一九八六年十二月九日の本会議で、当時の中曽根総理も、臨調答申に基づく行政改革を推進するための審議機関として行革審を設置するんだ、こう言っておるわけですね。したがって、今大臣も御答弁になったように、これからいろいろ行革審の中で審議が続けられていくと思うのですが、そして一定の期間が来れば答申もあると思うのですが、この五十五年当時の地方自治体固有の項目のついては地方制度調査会で審議をするということは今日も生きておるのか、ちゃんと守られておるのか、その辺をひとつ御確認をさせていただきたいと思います。
  47. 百崎英

    ○百崎政府委員 いわゆる新行革審と地方制度調査会との国、地方問題にかかわる関係でございますけれども、実は第二臨調を設置する際に、これは五十六年三月でございますが、衆議院の予算委員会におきましてもやはり同じような問題がございまして、これに対して政府の統一見解が出されたわけでございます。それによりますと、第二臨調の調査審議の範囲は、いわゆる第一次臨調におけるのと同様に「地方自治の本旨を尊重し、地方自治の問題については、国の行政との関連において調査審議する」ということにされておりまして、この点につきましては新行革審におきましても同様の立場にあるというふうに理解いたしております。
  48. 田口健二

    田口委員 それでは、時間がありませんが、最後に外務省にお尋ねをいたします。  最近の報道で私も実は大変ショックを受けているわけですが、アメリカの空母タイコンデロガにおける水爆水没事故の問題、これはあの報道があって、日本国民はもとより、特に沖縄県民あるいは私どものような被爆県であります長崎県民にとっては大変なショックを実は受けておるわけで、関係自治体もさまざまな動きが見られておるわけですね。  そこで、外務省から出されましたアメリカ政府からの説明というものについての文書を私も見せていただきましたけれども、非常にたくさん疑問を持っているわけですが、技術的なことについては時間がありませんので触れませんが、まず第一にお尋ねをしたいのは、この事故のときにアメリカの方から日本政府に対しては何の報告もなかったのかどうなのか。どうも私は、このような重大事故があったときにアメリカから日本政府に対して全然報告もなかったということは信じられぬような気がするのですが、率直に言ってどうなんでしょう。それはあったのですか、なかったのですか。
  49. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 お答えを申し上げます。  先生おっしゃられましたとおり 私とももこの事故について報ぜられまして以降国民の間で懸念、不安が広がっているという事情は重々承知をいたしておりまして、外務省といたしましてはなるべく早くそういう懸念、不安を取り除くべく努力をいたしている次第でございます。  具体的に先生ただいまお尋ねの点でございますが、一九六五年当時にこの事故が発生いたしましたときにアメリカ側から我が方に対しまして通報はなかったと承知をいたしております。  なお、当時、本件につきまして米国の中におきましても公にはされなかったというふうに承知をいたしております。
  50. 田口健二

    田口委員 今一九六五年当時には日本政府に対してそのような報告はなかったというふうに言われるわけですが、今後このような核に関する事故、これはどういう事故が出てくるかはなかなか想定しにくいのですけれども、このようなことがあったときにはやはりきちっと日本政府に対して報告をする義務があるとかそういうことをさせるとかということを考えるべきじゃないでしょうか。その辺についてはどうなんです。外務省としては全然検討はされておらないのですか。また、そういう通告の義務も現状としては全然ないわけですか。
  51. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 事故が起こりました当時米国がこの事故につきまして公にしなかったという理由でございますが、アメリカ政府が言っておりますことは、その事故のために公共の危険が生ずる可能性がある場合には事故について公にするというのがアメリカの政策であるということを申しております。一九八一年に実は過去の核兵器にかかわるところの事故三十二件を記載いたしました報告書をアメリカ政府は発表いたしておりますけれども、その中におきましてもアメリカは、特定の場所における核兵器の存在を肯定も否定もしないという政策を維持しているということを言いつつ、他方において、事故のために公共の危険が生じた、こういう場合には公にするのであるということを年して生りまして 現に私がただいま言及いたしました報告書の中に記載されております三十二件の事故のうちのスペインで生じました事故とグリーンランドで生じました事故につきましては、米国政府のそういう判断に基づきまして公に出した次第でございます。  今回この事故が報道されるに至りました後におきましても、米国政府は環境に悪影響が及ぶ、そういう悪影響が及ぶというふうに信ずるに足る理由がある場合にはこの種の事故についても具体的に公表するのである、そういう規則は当時も存在しておったし現在も存在しておる、こういうことを言っておる次第でございまして、アメリカに関する限り、公共の安全ないし環境に影響があるというような事故が万一起こりますならば米国政府としては公表する、こういうことであるというふうに理解をいたしております。  先生具体的に御示唆のありました核兵器の事故が起こった場合に公表なり通報なりすることを義務づけるというお考えでございますが、私は御示唆の点は実現は極めて困難なことであろうというふうに思います。先ほど若干触れましたけれども、アメリカ政府はいわゆる特定の場所におきます核兵器の存在を肯定も否定もしないという立場をとっているということもございますけれども、もしそういうことを考えますならばアメリカだけの問題ではございますまい、あるいはソ連のこともございましょう、中国のこともあるというようなことになりますので、義務づけるというような体制を考えるということは至難のことであろうというふうに思います。
  52. 田口健二

    田口委員 今の答弁は、もう私は余り文句を言うつもりはなかったのだけれども、中国とかなんとかほかの国を持ち出すのはどういうことなんですか。私どもが今言っているのは、日本においての問題を言っているのですよ。別によその国でやったからそれをどうだこうだ言っているのじゃないのですよ。それはちょっとあなたの答弁は余りに人をばかにした答弁ですよ。いいですか。それなら タイコンデロガはこの事故が起きてから横須賀に入港しているわけですよ、二日後に。乗組員の証言によっても、三十個から五十個の核爆弾を積んでおったというのですよ。事前協議があったのですか。
  53. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 ただいま先生御指摘の、タイコンデロガが当時事故を起こしました後どこに寄港したかという点については、私ども確認がとれておりません。私ども、その船が横須賀にその後寄港したという報道があることは承知いたしておりますけれども、その点については現在アメリカ側に確認のために照会中でございます。いずれにいたしましても、先生質問の事前協議があったかどうかという点につきましては、当時事前協議はございませんでした。
  54. 田口健二

    田口委員 今のお答えのように事前協議はなかったんでしょう。ところが、そのタイコンデロガが横須賀に入港したかどうかも実は確認はできていない、やはりその辺から私は問題があると思うのですよ。  これは、私が手に入れた資料の中で、アメリカの海軍作戦部長の通達ですが、「米海軍軍艦の外国の港への寄港について」という通達の中に、手続として三つあるのですよ、フリーパスと通告と許可手続と。それで、世界各国の状況を見てみますと、例えばイギリスにおいてアメリカの艦艇が寄港する場合には通告をするとか、ドイツ連邦共和国の場合も通告、あるいはインドネシアなどについては許可手続が要る。日本の場合は通告と書いてあるんですよ。ところがその中に、横須賀、佐世保、岩国、沖縄についてはフリーパスと書いてある。これは外務省、知っておるのですか、こういうことは。
  55. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 ただいま先生御指摘になりました文書を私どもつまびらかにいたしませんが、横須賀ということについて申し上げれば、御承知のとおり、横須賀は施設、区域として米側に提供されている次第でございます。したがいまして、そこに艦船が出入りする場合に我が国の当局に通報しなければならないという仕組みにはなっていない次第でございます。
  56. 田口健二

    田口委員 今まで何回も私も本委員会等で、核搭載の艦艇の日本寄港の問題あるいは非核三原則の問題その他を取り上げて質問してきたんですよ。この資料によれば、世界各国に対する手続が書いてある中で、日本の港に寄港する場合は通告でよろしい、ただし横須賀、佐世保、岩国、沖縄については通告の必要もない、フリーパスで入ってよろしい、こんななめたやり方がやられている。それを容認しておるところにいろいろな問題があると思うのですよ。  ですから、かつての駐日大使であったライシャワー氏などが言明しておるように、もう核積載艦が日本に入ってきておる、それはもうお互いに暗黙の了解になっておるというような言い方も出てきておるわけですね。だから、これで非核三原則を守っておるなんて思っている国民は、少なくとも核の持ち込みがなされておると考えている国民が大多数だと私は思うのですよ。ですから私は、今回のタイコンデロガのあの事故が報道されて新たな事実が出てきた、これを機会に、やはり非核三原則をきちっと守る、アメリカへも要求すべきものはきちっと要求をして、フリーパスなんというこんなことが堂々と海軍の作戦部長の通達で出されるようなことは許されてはいけないと思うのですよ。その辺の政府の非核三原則厳守という点について、再度ひとつお聞きをしたいと思います。
  57. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 先生御指摘の米側の文書につきまして私がコメントするのはいかがかと思いますが、先ほど私が申し上げました、横須賀は施設、区域として米側に提供されておって、したがいまして、そのもとでは当局に通告することなく米艦船が入港できるという枠組みは地位協定上の仕組みであるということを御説明させていただきたいと思います。  先生お尋ねの非核三原則でございますけれども、私ども累次御説明申し上げておりますとおり、日米安保条約上、艦船によるものを含めまして核兵器の持ち込みが行われる場合にはすべて事前協議の対象となる、また核持ち込みの事前協議が行われます場合には、政府としては常にこれを拒否する所存であるということを申し上げてきておる次第でございます。私どもは、このもとにおきまして非核三原則は十分に担保されているというふうに認識をいたしておる次第でございます。
  58. 田口健二

    田口委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  59. 玉生孝久

  60. 井上和久

    井上(和)委員 大変お忙しい官房長官にお越しをいただいておりますので、初めにお伺いをいたしたいと思います。  小渕官房長官、御就任以来本当に御苦労続きでございまして、大変心労をお察しするものでありますが、今、日本の国民の政治に対する不信というものは大きなものがあり、またこれをいかにして回復するかということが大変な問題であると思うわけでありまして、ぜひこういう場を通じまして前向きの御答弁をいただきたいし、そういう姿勢をお示し願いたいと思うのであります。  元官房長官の藤波代議士が起訴をされました。また、元我が党の議員でありました池田克也代議士も起訴をされたのであります。私は、このリクルート事件についてはこれらをもって幕引きにしては決してならない、そういう強い気持ちを持っておるわけであります。本日一時から中曽根前総理の証人喚問が行われるわけでありますが、検察当局に対してその全容解明を徹底して行うよう要求をいたしますとともに、国会においては最後まで、この構造汚職に隠されておる基本的な病根というものを徹底してえぐり出すまでやらなければ、まずは国民の政治への信頼を回復することは難しいんじゃなかろうか、こういうふうに思うわけでありますが、官房長官として、元官房長官が起訴をされたというこの事実に基づいて、ただいまの御心境をまずお伺いをしておきたいと思います。
  61. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 民主政治におきましては、国民の信頼と協力なくしては政治も遂行することができないことは言うまでもないことであります。そうした観点に立ちまして、ただいまの井上委員の御指摘につきましては、私も考え方を一にいたしておる次第でございます。  御質問のありました元官房長官藤波衆議院議員に関しましての起訴事実につきましては、捜査当局において厳正な捜査が進められたと承知しており、その結果については厳粛に受けとめておるところでございます。行政の衝にある者は、行政府に対する国民の信託にこたえるべく常に自省自戒していかなければならない、このように考えております。そうした意味合いにおきまして、現内閣といたしましても、喫緊の課題である政治に対する国民の信頼回復のため、現在進めている政治改革につきましても全力を尽くし、国民の信頼を回復できますように全力を挙げていきたい、このように考えておる次第でございます。
  62. 井上和久

    井上(和)委員 ところで、藤波元官房長官が官邸において五百万の小切手を受け取ったということが明らかになっております。この起訴事実というところにも、永田町二丁目三番一号総理大臣官邸において、江副らから、リクルート社の江副振り出しに係る金額百万円の小切手五通を受領というふうなことが書いてありまして、国民は官邸でそういうことが行われておるのかということに大変ショックを受けたであろうし、またこれは大変問題であるというふうに思っておると思います。  我が党の新しい委員長に就任をいたしました石田委員長が、この間就任の際に、信頼回復の道ということで、政治資金については出るということも入るということもこれをすべてガラス張りにして、公私混交などいささかも疑問を持たれることのないようにすべきである、党内倫理確立の一つとしてこれをやっていきたい、こういうふうに語っております。私もまさに今、政治家の資金、さらには国の予算にあっても、その公開をする、明確に皆さん方に示すということがまずは自分自身に対する信頼を生むことであろうし、また国民に対して当たり前であり、また親切な態度であろうというふうに思うわけであります。  今年の三月でございましたか、大阪の地方裁判所におきまして、大阪府に対して知事交際費の全面公開を命じた判決が出ました。このことにつきましては官房長官御存じだと思います。それで、ぜひお伺いをしたいと思いますが、まず、内閣総理大臣の交際費というのは幾らぐらいあるものでございましょうか。
  63. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 内閣官房に計上されております昭和六十二年度の交際費の予算額でございますが、千三百三十八万三千円でございます。
  64. 井上和久

    井上(和)委員 それともう一つお尋ねをいたしますが、内閣官房予算の中に報償費というのがありますが、これは平成元年度は幾ら計上されておりましょうか。
  65. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 御質問の内閣官房に計上されております平成元年度の報償費の予算額でございますが、十五億二千九百万千円ということでございます。
  66. 井上和久

    井上(和)委員 すなわち、五十一億六千六百十二万六千円が内閣官房予算でありますから、報償費というのがほぼ三分の一近くを占めておるということであります。まず、この報償費とはどういうふうなものを報償費というのか、お伺いをいたしたいと思います。
  67. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 報償費でございますが、報償費の性格といたしましては、国が国の仕事を円滑に推進するため、その状況に応じ、最も適当と考えられる方法により機動的に使用される経費でございまして、例えば、一国の総理として広く内政、外政の円滑な推進を図る上において、これに関し功労、協力及び努力があった者等に対し、その労苦に報い、さらにそのような寄与を奨励することが望ましいと思われる場合において、その状況に応じ、最も適当な方法で支出するものでございます。
  68. 井上和久

    井上(和)委員 ぜひこの報償費の内訳というものをお示しをいただきたいと思います。使途ですね。
  69. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 ただいま説明しましたのは使途の概要でございますけれども、具体的な中身につきましては、事柄の性格上お話しできないものでございます。
  70. 井上和久

    井上(和)委員 そこのところが問題でありまして、十五億という大変大きな国民の血税でございますが、使途については明らかにできないということであります。  実は、これは五十七年の予算委員会でございましたが、宮澤さんが当時は官房長官でございまして、そのときに、その使途について明らかにせよという質問があった、その質問に答えて、このように御答弁になっておるのです。「経理につきましては会計検査院の検査を受けております。ただ、報償費はきわめて高度の機密を保持しながら経理する必要がございます経費でございますので、内訳については申し上げかねます。しかしながら、会計検査院の検査を受けております。」こういう御答弁。もう一歩突っ込んだ御質問に対しまして、「報償費の目的と使途につきましては先ほどお答えをいたしました。それが適正に支出されておるかおらないかということはモラルの問題でございます。適正に支出されておると考えております。」こういうふうに御答弁になっておりますが、官房長官、これ、どうでしょう、この答弁があるのですが。
  71. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 当時の宮澤国務大臣がお答えいたしましたことと今日変わった点はございません。
  72. 井上和久

    井上(和)委員 変わらないということは、同じ考え方、同じ答弁だということだと思いますが、そうしますと、ここに適正に支出をされておるかどうかということについては、これはモラルの問題である、こういうふうに言われておるわけでありまして、今、日本の政治の中で一番求められておるのが、最も崩れておるものと言われるのがいわばモラルだと思います。したがって、モラルの問題であるならばこそ、こういうことは今明らかにするべきときではないのかと思います。国民が  モラルを疑っておるのです。モラルが崩れておると見ている。そういうときに政治に対する信頼を回復するために、こたえるためには、まず、こういうモラルの問題であると済ましておる事柄を明らかにすることによって、そのモラルの低下を防ぐといいましょうか、信頼を回復することにこれがつながるのだ、こう私は思うのですが、官房長官、どうでしょう。
  73. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 モラルと答弁申し上げたのは、先ほど政府委員から御答弁申し上げましたように、報償費の性格、目的にたごうことなく、みずからのモラルに基づいて適正に支出をしておるということを申し上げておるのだろうと思いまして、私自身もそのような考え方に合致して国の進運のために、先ほど御答弁申し上げましたような趣旨に基づいて適切に対処しておるところでございます。
  74. 井上和久

    井上(和)委員 大変しつこいようで申しわけないのでありますが、官房長官、実際、今国民は本当に政治家に対してモラルがないという声があるのが事実だというふうに私は思うのです。だから、こういうふうな事柄を国民に明らかにしないで、ただこれはモラルの問題として適切に支出をしているのですということだけを言うことによって、それで国民がああそうですがという答えを出さないんじゃないかという気がするんですよね。そういうふうな意味で、こういうふうに今まで不明朗といいましょうか、国民にはわからなかったような事柄を今こそ明らかにすることが内閣としてのモラルではなかろうかという気がするわけなんです。それでそれを申し上げておるのであります。  会計検査院さん、お越しいただいておりますね。実はこの報償費については会計検査院の検査をしているということでありますが、その状況についてお答えを願いたいと思います。
  75. 小野田博

    ○小野田会計検査院説明員 お答えいたします。  本院の検査は、御案内のとおり、在庁して行う書面検査とそれから現地に赴いて検査する実地検査の二本立てということでございます。お尋ねの報償費につきましてもこの二本立てで行っております。  具体的には、計算証明書類といたしまして本院に提出されてまいります取扱責任者に対する支出決議書あるいは取扱責任者の請求書及び領収証書それから取扱責任者が作成した支払い明細書等につきまして書面検査を行いまして、また実地検査の際、取扱責任者の手元に保管されている証拠書類の提示を受けまして、支出目的等について適正に使用されたという確信が得られるまで関係書類の提示や説明の聴取を受けている状況でございます。  こういう点で報償費の検査も、これは他の費目の検査とさまで変わっているということはないということでございます。
  76. 井上和久

    井上(和)委員 それでは総務庁長官に伺いたいと思いますので、官房長官、ありがとうございました、結構でございます。  総務庁長官、お願いをいたします。  リクルート疑獄というのは政治家を初めといたしまして公務員のトップである事務次官まで巻き込むという、こういうふうな事態になっておるわけであります。政治倫理、政治改革を早急に確立していくことを今求められておると思いますが、特に公務員の綱紀粛正についてお伺いをいたしたいと思います。  このことにつきましても通達等が出たということは伺っておるわけでありますが、特にこういうふうな現状にあってこの公務員の綱紀粛正ということについてまずはどのように取り組まれ、今後どういうふうに進めていかれようとしておられるのか、現状についてお伺いをいたしたいと思います。
  77. 金丸三郎

    金丸国務大臣 お答え申し上げます。  実は昨年十二月総務庁長官に就任いたしました際、労働省、文部省の御承知のような事件がございまして、現在我が国の公務員に対して国民から求められておるものは綱紀粛正である、こういうふうに非常に強く感じました。それで私は就任の際にもそのことを申し、どうしてもこれは綱紀の粛正を厳格に行われるようにいたしますことが総務庁としても大事な仕事であると考えまして、各省庁のこれに対する対処のいたし方をずっと注視してまいったつもりでございます。  閣議等におきましてもこのことが決定をされ、官房長官からも通知が出され、また実際に各省ともあらゆる方法を講じて綱紀粛正の徹底と実現に努力しておられることは私も重々承知いたしておりました。しかし、綱紀粛正というのはやはり長い課題でございまして、一時緊張したといたしましてもまた役人の、私も役人上がりでございますので、役人の性格や実態はある程度承知しておるつもりでございます。これはやはり不断に、綱紀粛正を唱えますばかりでなくて、変な言葉で申しますと監視の目を緩めないようにしていかなければならない、こういうふうに考えておりました。各省庁で努力をされておることは私も十分に承知いたしておりますけれども、やはり民間との接触が非常に多い官庁の部局でございますとか、あるいは許認可等の権限の非常に多い課、係、そういうところもございますので、特にそういうところにつきましては、各省庁の人事担当の部局、あるいは実際にその仕事を担当しておる局長とか課長とか、そういう人が常特注意しておってもらわなければならないわけでございますけれども、役人同士かばい合うというようなこともまたなきにしもあらずでございますから、やはり客観的な立場で、役所全体としての綱紀の保持ということに常時目を向けてもらうようにしなければならない。  それにはどのようにしたらいいかということも考えたのでございますが、私どもの方から提案をいたしましたところ各省の事務次官の賛成も得られましたので、綱紀粛正の点検委員会というふうのものを各省庁に設けまして、常時綱紀の保持にいわば目を光らしてもらうような組織をつくってもらうことにいたしたのでございます。ただつくっただけではいけませんので、少なくとも年二回くらいは各省庁でどのように網紀の保持について点検をし、そして状況、実情がどうであるかということを私どもの方に知らせていただいて、相ともに綱紀の粛正と申しますか、保持に努めていくようにしなければならない。ようやくそのような常時綱紀の保持に努めるような体制ができ上がったところでございまして、八月ぐらいに第一回の御報告を各省からいただくようにしたい、このように考えておるところでございます。
  78. 井上和久

    井上(和)委員 監視の目を緩めないようにということで、また特にただいま御答弁いただきました中で、今まで総務庁としては、通達あるいは周知徹底ということはするけれどもそれが各省庁ではどういうふうに具体化されたか、どんなことができたのかということをフィードバックしてもらうことがなかったというふうに私は理解をしておりました。そういうふうな意味で、こういう委員会をつくり、年二回くらい報告をもらうというような体制ができ上がったことは大変いいことだというふうに私は思います。しっかりその点について頑張っていただきたいと思うのです。よく世間でも言いますように、魚は頭から腐るなんて言いますが、こういう省庁というのは各地方自治体における一つの上部機関でありますし、またそういう意味で見本であるはずでありますので、かかるかつての事故のようなことのないようにぜひ頑張っていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  次に、総務庁では、六十一年六月にオンブズマン制度研究会というのが一つの最終報告書をまとめて、そしてオンブズマン制度を具体的に導入するための検討を今なされておるというように伺っております。これは大変いいことでありまして、実は私どもの党といたしましても、五十五年の選挙のときの公約にこの制度をぜひやるべきであるというのを掲げた経緯がございます。また、今日までも機会あるごとにオンブズマン制度をぜひやるべきであるということを主張してまいりました。こういう中にありまして、今こういうふうな最終報告書が出て、早期導入というふうな話になっておるのだろうと期待をしながらこれをお伺いするわけですが、現在の状況においてオンブズマン制度がどういうふうなことになっているのか、まずお伺いしたいと思います。
  79. 山本貞雄

    山本(貞雄)政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたいわゆるオンブズマン制度問題につきましては、臨調、行革審におきまして、現在の行政苦情相談制度の活性化の方策、もう一つは、我が国の風土に合った形でオンブズマン制度そのものを導入する問題、この二つにつきまして具体的な検討を進めるべきである、こういう答申が出まして、政府におきましては累次の閣議決定におきましてその具体的な検討方につきまして決定をしてまいったわけでございます。  ただいま先生が御指摘されました六十一年六月のオンブズマン制度研究会はこれらの答申を受けた結果設けられたものでございますが、この報告書におきましても、現在の行政苦情相談制度につきましては民意を反映する仕組み等を具体的に検討するという指摘、さらにオンブズマン制度そのものにつきましては、我が国の風土に合い、かつまた現在の行政苦情相談制度と有機的な連携を保つ、そういった制度の導入を前提といたしまして具体的な設置構想を提言しておられるわけでございます。  私どもにおきましては、これらの御答申を受けまして、一昨年の暮れに、第一点の現在の行政苦情相談制度に民意を反映するという点につきましては、林修三元内閣法制局長官を座長といたします行政苦情救済推進会議を設けまして、総務庁が受け付けました行政苦情事案のうち行政の制度運営の基本にかかわるような困難な問題につきましてここで十分御審議いただきまして、そしてそこに高度の国民の、民間有識者の御意見を反映するという形で運営をいたしておりまして、既に一年近い実績を積み上げまして、先般第一回の成果を公表いたした次第でございます。  先生が御指摘のオンブズマン制度そのものにつきましては、ただいま私ども行政監察局の中に検討会を設けまして、既存の行政苦情相談制度との有機的な連携のあり方、あるいはオンブズマンが仮に設けられたときの役割分担その他もろもろの問題がございますが、現在実務的な観点からさまざまな問題点について検討をいたしておりまして、先ほど申し上げました行政苦情救済推進会議の運営実績をさらに踏まえまして、できるだけ具体的な検討を進めるように現在いたしておる状況でございます。
  80. 井上和久

    井上(和)委員 この制度につきましては、外国においてはそれぞれその国の実情もありましょうし、原則的なことは同じといたしましても、日本におきましてはやはり日本型と言われるようなものがありますし、それを検討されておるのだろうと思います。その状況の中で、今言われたように行政の苦情ということもありましょうが、オンブズマン制度によってまさに新しい風が吹くのじゃないかということが期待されるところであります。そういうふうな意味から、これは検討時間から見ましても大変長いものですし、旧の行政管理庁のときから具体化されているようなお話でありますし、また、六十一年六月十七日でしたか、閣議決定もなさっておるというふうなことでありますが、そんなことから考えまして、状況を見ながらとかいろいろなことを勘案しながらとか、これは大事なことでありますが、やはり決断をし、早く、いつまでにやろうというような具体的な決意が生まれなければどうしても流れがちになるのじゃないかと思うのです。  そういうふうな点で、このあたりまでにとかというのは無理としても、何らかの具体的な、こういう状況だからこうしたいというふうなものがありましたら、もう一言お願いしたいと思います。
  81. 山本貞雄

    山本(貞雄)政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、御案内のように六十一年のオンブズマン制度研究会の報告書におきましても、現在の行政苦情相談制度に取ってかわるものではない、現在の行政苦情相談制度が十分なし得ない部分について損害を果たすそのためにオンブズマン制度を設けるとすれば、現在の行政苦情相談制度との有機的な連携につきまして体制とか手続、運営、分担、万般について十分検討すべきである、こういうふうになっておりまして、具体的なボールは私どもの方に投げられておりまして、私ども何度か鋭意研究会、検討を進めておりますが、非常に問題点が多いことも率直に申し上げなければならないと思っております。したがいまして、これら多くの問題を現在詰めておりますので、率直に申し上げまして現段階でいつまでに結論を出すという明確な時期は申し上げかねますが、行政苦情救済推進会議も鋭意開催いたしておりますので、今後、これらの実績も踏まえまして、できるだけ速やかに結論を得るように鋭意検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  82. 井上和久

    井上(和)委員 それでは、次に行きたいと思います。  平成元年度の恩給年額及び各種恩給最低保障額を二・〇二%増額改定される、こういうふうな法案でありますが、この二・〇二%とされた根拠をまず伺っておきたいと思います。
  83. 石川雅嗣

    石川(雅)政府委員 平成元年度の恩給改善に当たりましては、恩給国家補償的性格を有するものである等の特殊性を考慮しつつ恩給年額実質価値維持を図る、そういう観点から、恩給法二条ノ二の規定にのっとりまして諸般事情総合勘案して決めさせていただいたわけでございます。  この二・〇二%の算定根拠につきましては、公務員給与改定率、これは行(一)俸給表の本俸改定率、二・三五%でございましたが、これと消費者物価上昇率予算編成時におきます見込みが〇・七%でございましたが、これら諸般事情総合勘案して定めたものでございます。
  84. 井上和久

    井上(和)委員 恩給受給者という人たちの年齢がだんだん年ごとに高くなっております。そういうふうに考えますときに、この国家公務員給与改定率あるいは物価の事柄、いろいろなことを総合勘案されるというふうな先ほどの御答弁もございましたが、ただ私が思いますことは、特に二・〇二というパーセントだけを掛けて物事を考えるときに、その分母といいましょうか、もとが大きければ金額でいくと大きい金額になります。それが小さければ、同じ二・〇二でも小さな金額になる。これはもう当然のことであります。ただ使うのはパーセントを使うのじゃなくてお金を使うのでありますから、その金額自体が問題でございまして、そう考えますときに、この二・〇二という金額が算出されたということに対しまして、私は非常に不満を感じておるわけであります。特に、消費税が導入をされたという状況、また消費税の持つ生活を圧迫する度合い、こんなものから考えますときに、これは特に少ないというふうに実は私は考えるわけでありますが、消費税の導入に伴う消費者物価上昇、こういうふうなことはどのように勘案をされたのか伺いたいと思います。
  85. 石川雅嗣

    石川(雅)政府委員 先ほども説明申し上げましたが、平成元年度におきます恩給年額改定は、国家公務員給与改定率、それから消費者物価上昇率諸般事情総合勘案して決めさせていただいたところでございます。消費税の導入につきましては、本年の恩給改定に用いました消費者物価上昇率というのは、昨年の一月から十二月までのものでございます。それも予算編成時における見込みであったわけでございます。したがいまして、本年四月から実施されております消費税については、その消費者物価指数の中には反映されておらない、こういうことになるわけでございます。消費税の分につきましては、ことしの消費者物価の変動の中にそれが反映されてくるということになりますれば、来年度におきます年額改定において考慮されることになるであろう、このように考えているところでございます。
  86. 井上和久

    井上(和)委員 これは制度的なものとして仕方がないのかもしれませんけれども、今現に消費税が導入されて、それによって物価上昇しているということはもういろんな調査でも明らかなのです。したがいまして、これから向こう一年間の生活は消費税の入った中での生活になる、これはしようがありません。そういうときに、検討しておる上げ率は今の消費者物価は全然考えないということでありますと、来年から考えましょうということですから、そうすると、この一年間は生活は非常に苦しくなるとは思いませんか、皆さん方にとってみましたら。それは大変なことです。これは実質消費支出ですから多少物価のあれとは違いますけれども、これにおきましても現に八八年度は平均二・七%増加になっている、こんな資料も出ています。そんなことから考えましたら、私は恩給で生活なさっておる方々にとりましてはこの一年間は特に大変じゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  87. 石川雅嗣

    石川(雅)政府委員 今井上委員のおっしゃることは私ども理解できるわけでございますけれども恩給だけに限りませず他の年金あるいは民間の賃金あるいは公務員の賃金、そういったものがすべて物価を参考にいたします場合には過去の物価の実績を参考にするということが通例になっているわけでございます。恩給におきましてもそうした方式をとっているということで御理解願いたいと思います。
  88. 井上和久

    井上(和)委員 それでは、経済企画庁さんにお願いしたいと思います。  平成元年予算編成時において、本年の消費者物価上昇率というものをどのように見込んでおられましょうか。
  89. 中名生隆

    ○中名生説明員 お答え申し上げます。  平成元年度の消費者物価につきましては、物価の安定基調に大きな変化がないと考えまして、消費税の導入等による影響を含めまして前年度比で二・〇%程度の上昇というふうに見込んでございます。
  90. 井上和久

    井上(和)委員 消費税の物価に与える影響というものは大きなものがあると我々は思うのですが、それについて、どういうふうな影響を与える、こう見ておられますか。
  91. 中名生隆

    ○中名生説明員 お答え申し上げます。  消費税が消費者物価に与える影響につきましては、消費税だけといいますか今度の税制改正全体が消費者物価にどういう影響を与えるかということで私ども試算をいたしておりますが、結論的には丁二%程度消費者物価を押し上げるというふうに考えております。これは、消費税が三%でございますけれども、既存間接税の廃止等がございまして、それらを総合勘案して一・二ということでございます。
  92. 井上和久

    井上(和)委員 これはそれぞれといいましょうか、政府はそういう見解をお持ちであるということでありまして、実質はなかなかそうはいかぬのじゃないかというふうに我々は思っております。  それでは、この消費税導入後の物価動向というものにつきまして、できたら公取委さんにも来てもらったらよかったなと思ったのですが、今、便乗値上げに対しても大変問題になっております。こういうふうな便乗値上げの問題とか転嫁の問題、これらは当初から予想されました問題点でもあるわけなんですが、特に便乗値上げの監視については四十四団体に注意とかいうふうなことが言われております。こういうふうなことにつきまして、物価の動向とあわせまして便乗値上げあるいは転嫁の問題についての経企庁の見解を伺っておきたいと思います。
  93. 中名生隆

    ○中名生説明員 お答え申し上げます。  便乗値上げ的な動きにつきましては、経済企画庁にございます物価ダイヤルに寄せられている苦情の状況でございますとか、あるいは今出ております一番新しい物価の統計であります四月の東京都区部の消費者物価指数、こういうものから見まして、特定の業種の一部の事業所に限られているということではないかと思います。そういう意味では、消費税は総じて見れば価格に適正に転嫁されつつあると考えております。  ただ、私どもといたしましては、一部に生じているのではないかというその便乗値上げ的な動きについては、これを牽制するとともにほかに波及していくことはないというふうにしていくことが重要であると考えております。このため、便乗値上げではないかというような問い合わせにつきましては、関係省庁に御連絡をしたりいたしまして事実確認をお願いするとともに指導していただくようにということで、私どもとしてもできる限りの努力をしているところでございます。  また、あわせまして物価のモニターあるいは地方公共団体を通じた価格動向の調査、監視ということを実施するとともに、消費者一人一人の方々が監視をしていただくということが一番の力になるわけでございますので、PRの方にも力を入れていきたいというふうに考えております。
  94. 井上和久

    井上(和)委員 五月に入りまして急激な円安が続いております。したがいまして、原油価格の上昇ということもかなり予想されるわけでありますが、この急激な円安が今後の物価に対してどのようにあらわれるか、影響を与えるか、そのことについてお伺いをしたいと思います。
  95. 中名生隆

    ○中名生説明員 お答え申し上げます。  確かに先生御指摘がございましたように、最近の為替レートを見ますと円安の方に振れてきております。きょうも百四十二円台でございましょうか。それからまた、原油の価格につきましてもこのところ強含みという推移になっております。そういうこともございまして、最近の消費者物価は若干上昇傾向ということはございますけれども、私ども基調としては落ちついた動きであるというふうに考えております。それから、先ほど申し上げましたように、消費税の物価への転嫁というのも、マクロで考えますとおおむね適正に転嫁がされているということであろうかと思います。  しかしながら、まさに御指摘いただきましたように、物価の安定というのは、景気の拡大を息長く続けていく、そういう意味からも極めて重要な課題でございますので、今後とも為替レート、原油価格あるいは国内の需給の動向というものを注視しながら、物価の安定のために一層の努力を払ってまいりたいというふうに考えております。
  96. 井上和久

    井上(和)委員 経済企画庁からのお話を伺ったわけでありますが、そんなことを総合的に勘案いたしましても、結論といたしまして二・〇二という恩給のパーセントというものが低いと言わざるを得ないのじゃないかというふうに私は思うわけであります。特に、消費税の導入ということが消費税の逆進性という意味で、生活弱者という言葉がございますが、そういう方々にとって特に響くというふうに言われておるのが定説でございまして、そういうふうなことから考えますと、特に今恩給受給者、平均年齢が七十二歳を超えたと思うのですが、そういう皆さんの生活においてはこれが最もストレートにというか、一番響く状況であるというふうに考えるわけでありまして、そういうふうな意味で、この二・〇二ということに対して国民の皆さんが納得できるような説明をぜひしてもらいたいと思いますし、最後にそれにつきましてもう一度御答弁を願いたいと思います。
  97. 石川雅嗣

    石川(雅)政府委員 先生のせっかくの御質問でございますが、私どもとして、ただいまはっきりした二・〇二の算式と申しますか、それをお示しする状態にないということが大変申しわけなく思うわけでございますけれども、私どもといたしましては、やはり受給者の立場も十分考えながら総合勘案ということの中で改定率をいろいろ議論し決めてまいったわけでございます。今後ともこの総合勘案というやり方を崩すというわけにはなかなかまいらないだろうと思いますけれども、そうした受給者気持ちも十分考えながら努力をさせていただきたい、このように思っております。
  98. 井上和久

    井上(和)委員 毎年のことでありますが、当委員会でこの法案につきまして附帯決議を行われまして、その中に「恩給欠格者等の処遇について検討すること。」というのがずっと入っていると思います。ずっと入っているということは検討が十分でないということでもあるわけでありまして、これについてお伺いをしたいと思うわけであります。  特に出征地によって、出征地を甲乙丙丁というふうにランクがつけてありまして、甲のところは一年間が四年に相当する。それは激戦のぐあいであるとか、いろいろなことでそれが決まっておるのだそうでありますが、そういうふうに決められておることはおかしいのではないかという意見も実はございます。出征時点において私はこの地点へ行きたいからといって行けるものではなかったし、それぞれ全部命令でもって行ったわけでありますから、それで行っておりながら、そのいたところによって年限が違うということは大変矛盾しているのではないかというふうな意見もございまして、私もそのとおりだというふうに思うわけであります。この問題につきまして、欠格者自体についての具体的な検討事項というものはどういうふうにしてこられたか、またするかということについてお伺いしておきたいと思います。
  99. 文田久雄

    ○文田政府委員 私から恩給欠格者の問題についてお答えさせていただきます。  恩給欠格者問題などのいわゆる戦後処理問題に関しましては、昨年五月に成立を見ました平和祈念事業特別基金等に関する法律に基づきまして同年の七月に平和祈念事業特別基金を設立いたしまして、恩給欠格者を含む関係者の戦争犠牲による労苦について国民の理解を深めること等により関係者に対して慰藉の念を示す事業を行うとともに、戦後強制抑留者に対する慰労品の贈呈等を行っているところでございます。平成元年度からは新たに恩給欠格者につきましては、基金の運営委員会の報告を踏まえまして、外地勤務者で加算年を含めて三年以上の方に書状を贈呈するとともに、このうち七十歳以上の方には高齢者から順に銀杯をあわせて贈呈するという措置を講じているところでございます。
  100. 井上和久

    井上(和)委員 先ほど触れましたが、例の出征地によって甲乙丙丁、これにつきまして合理的でないという意見に対しましてどういう見解ですか。
  101. 石川雅嗣

    石川(雅)政府委員 ただいまの先生の御質問は、旧軍人の加算年の問題でございます。戦後の恩給制度におきましては、旧軍人等の加算年は普通恩給の受給権を取得するための要件として算入いたしまして、金額計算には算入せず、加算年を算入することによって初めて受給権を取得したいわゆる短期の在職者につきましては、その実在職年が最短恩給年限に不足する年数に応じて減額するというようなことが原則であったわけでございます。しかし、こうした加算年につきましての制限は戦前には全くなかったのでありまして、文官の加算年につきましても原則としてこういった制限がつけられていなかったというようなことで、これを撤廃すべきである、こういう強い要望がございまして、加算年の取り扱いについては従来から漸次そうした方向での考え方がとられてきたところでございます。  その結果、現在では五十五歳以上の者につきましては減算措置は行わないというようなことになっておりまして、さらに六十歳以上の者や傷病者あるいはその妻子につきましては加算年を金額計算の基礎に算入するというようなことで現在行われているわけでございます。  この加算年について、先生のお話では、割り増し率等に差があるのは大変おかしいのではないか、こういう御指摘でございますが、この加算年と申しますのは、本来戦地勤務等勤務の危険性とかあるいは特殊性、こういった実態に着目いたしまして、その実在職年の評価を高める、こういう性格を持つものであるわけでございますが、加算制度の枠組みにつきましては戦前から恩給法におきましてきめ細かく決められていたものでございます。また、いわゆる戦務加算年等の加算の程度とか加算の認められる期間及びその地域、こういったものは勅裁で定めることとされておりまして、戦時または事変の都度内閣告示で公示されてきたものでございまして、その内容は実質的に戦時、事変の状況を掌握しておりました旧陸海軍を中心に、加算事由の生じた当時においてさまざまな検討の上決定されたものというものでございます。したがいまして、今日の時点におきまして改めてこれを再検討するというようなことは、こうした加算制度を前提としております恩給制度の基本がこれによって崩れてくる、あるいはこれによって制度内のバランスも大きく崩れてくるというようなさまざまな問題を生むわけでございまして、今日の時点でこれを見直しをするということは適当ではないのではないか、かように考えているところでございます。
  102. 井上和久

    井上(和)委員 このことにつきましては、また改めまして御議論を申し上げたいというふうに思います。  それでは、平和祈念事業の件につきましてもう一点だけ伺っておきたいと思います。  シベリア抑留者に対する慰労のお話ですが、全抑協といいましょうか、そういう動きをなさっておる人の中では漏れた人というのは少ないだろうと思いますが、対象の資格がありながらそういう運動も何もしてなくて、言いますとまさに蚊帳の外みたいな人たちがおるのではないかという気が私はするわけでありまして、この対象者の中に漏れた人たちがおるんじゃないかなということを非常に憂えておるわけでありますが、これについてぜひ何らかの対策といいましょうか、方策を講じてもらいたいと思うのです。特に政府でいろいろなコマーシャルなんかを流したりしていまして、消費税しっかり納めますなんというテレビコマーシャルがありましたけれども、私はできましたらこういう人たちはこんなですよというふうな、こんなコマーシャルこそ政府は流してもらいたいという気がするわけなのであります。  それで、現在のシベリア抑留者に対する慰労の問題はどういうふうな状況になっておりましょうか、教えてもらいたいと思います。
  103. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生お示しの戦後強制抑留者に対する慰労金の支給等に関しましては、お示しのとおり、政府広報等によりまして新聞等の活字媒体あるいはテレビ、ラジオ等の電波媒体を使いましてその周知を図るとともに、各都道府県あるいは市町村にもお願いいたしまして広報誌への掲載等をいたしまして、その周知徹底を図ってきたところでございますが、さらに今後ともその周知徹底について努力してまいりたい、かように考えております。
  104. 井上和久

    井上(和)委員 それでは最後になりますが、外務省に来ていただいておると思いますので、この問題についてお伺いしたいと思います。  五月十七日だったと思いますが、沖縄の西銘知事が外務大臣に対しまして、水爆水没事故の真相究明あるいは非核三原則厳守、こういうふうな要請をされた際に、沖縄に大使を考えてもらいたいという要請があった、こういうふうに聞いておりますが、これはそのとおりでしょうか。
  105. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 西銘知事より先生がただいまお話しの御要望があったと承知いたしております。私どもは、日米安保体制の効果的な運用を図っていきます上で、沖縄におきます米軍施設、区域の円滑かつ安定的な使用を確保していくということが非常に重要であるというふうに認識しておりまして、従来とも私どもは防衛施設庁等関係機関との連絡を密にいたしまして、米軍にかかわる諸問題を的確に把握いたしますとともに、問題解決のために努力をしてまいっているつもりではございますけれども、せっかくそういう御要望でもございますし、また、他の方面からもそういう御要望を承っているという状況でございますものですから、どういうことがさらにできるのか、沖縄にかかわる諸問題に一層効果的に対応していくためにはどういうことができるのか、いわゆる沖縄大使と申しますか、そういう可能性も含めて検討をいたしている次第でございます。
  106. 井上和久

    井上(和)委員 特に北海道大使というのが設置をされておりまして、御活躍いただいておるというふうなことも聞いておりまして、どちらがどうということじゃないのでありますが、ともかく沖縄の現在の状況からいいましても、ぜひともこの沖縄大使ということを制度化する、ぜひそれを設置するということに前向きでお取り組み願いたい、こういうふうにお願いを申し上げる次第であります。  時間が参りましたので、私は質問をこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  107. 玉生孝久

    玉生委員長 この際、暫時休憩いたします。  午後一時三十分から委員会を再開することといたします。     午後零時三十五分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  108. 玉生孝久

    玉生委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。角屋堅次郎君。
  109. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 恩給法等の一部を改正する法律案につきましては、午前の本委員会金丸総務庁長官から提案理由説明がありまして、引き続いて我が党の田口委員を初め同僚議員からの質疑が展開されたわけでございます。それに引き継ぎまして私からも法の改正に関連した問題、さらに政務御多端の中、きょうは小渕官房長官も御出席でございますので、若干当面の政治情勢に関連をいたしまして、あるいは同僚議員が触れなかった二、三の問題にも触れましてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  まず、小渕官房長官の方にお伺いをしてまいりたいと思うわけでございますけれども、私、国政舞台に席を占めましてから既に三十一年目の活動に入っておるわけでございまして、ここに竹下総理を初め私も含めて二十五年表彰の掲額がある非常に私にとっては大切な委員会場でございますが、それはさておきまして、申し上げるまでもなく私の三十一年間の国会活動の中でも今日のような政治情勢というのはいまだかって経験しなかった事態だというふうに思うのでございます。  もちろん六〇年安保があったり警職法、政防法の問題があったりいろいろな問題がありましたし、またロッキード事件等の国際的にかかわる重大な問題もございまして、庶民宰相と言われた田中総理が今日司法の裁判の渦中に置かれているという大変残念な事態も御案内のとおりあるわけでございます。しかし、今日のリクルート汚職をめぐる問題というのは、深く触れるつもりはございませんが、きょうは中曽根前総理の証人喚問が遅きに失しましたけれども衆議院予算委員会で十三時から行われるわけでございまして、これは国民注視の中で行われると言っても過言でないかと思うのであります。  私は最近の政治情勢というものを見てまいりまして、国民の師表であるべき政治家の中に、自分あって国会なし、自分あって国民なしというふうな感じのするような政治家が決してなくはないというふうな感を率直に言って深くしておる一人であります。具体的にその最たるものがだれであるかということについては触れることは避けたいと思いますけれども、そういう感を深くしておりますし、国民の政治不信という中にはやはり国民の師表たるべき政治家の一挙手一投足、そういうものを通じて政治不信を募らせておるという面が率直に言ってあると思うのであります。政界の大先輩であります亡くなられた三木武夫先生は、よく色紙や条幅に信なくんば立たずということを好んで書かれたわけでございますが、これは政治家の基本的に心すべきことだというふうに思うわけでございます。  小渕官房長官は、恩給法等の一部改正その他を通じてこの委員会でいろいろ質疑を闘わしてまいりました。派手ではございませんし、余り華々しいタイプではありませんけれども、幾つかの外交的、国内的な重要問題についてきちっとした大きな役割を果たしておられるという点については常々敬意を表しておる一人であります。それは後ほど触れる朝鮮民主主義人民共和国に対する制裁措置の問題であるとか、あるいはピンポン外交でおいでになった者に対するいろいろな措置の問題である等を含めまして、適時適切に我々の期待にもこたえてきたという点については敬意を表しておる一人であります。  そこで、言うまでもなく、きょうの天気のように日本の政界はまさにうっとうしい状況に置かれておりまして、竹下内閣の番頭役として重要な責任を果たしておられます小渕長官も、総理自身が予算が終わったら内閣としての責任をとるということを既に内外に明らかにしておる中でございますので、そういう状態の中で竹下内閣として、いわゆるリクルートの徹底究明問題あるいは消費税の根本的な再検討問題、さらにはこういうリクルート事件を契機にして国民の期待にこたえる政治改革をどうやるべきかといった問題については、政権の衝にある限りにおいては竹下内閣の責任で進めるべきものは積極的に進めていかなければならぬ重大な責任があるわけでありまして、その心構えで有終の美をなすようにいろいろ努力をしておられると思うのであります。  私は今度のリクルートの事件について深く触れるつもりはございません。ただ、このリクルート事件は広く深く、しかも相当の期間にわたりまして政界、官界、財界にかつてこの種事件では例を見ないようなそういう重大な構造汚職を伴った事件であるというふうに受けとめなければならないと思うわけであります。したがって、政治舞台ではかなりの刑事的責任を問われる者があるのではないかというふうに私自身も見ておりましたが、最近、二名の在宅起訴ということで若干政治資金規正法上の問題で政治家ではなくて配下の者に対する処理で終わるのじゃないかということを言われておりますけれども、もしこういう事態であるとするならば、これは政界の刷新を求め、そしてリクルートの徹底究明を求めてきた国民のサイドから見れば、検察不信にも場合によってはつながりかねない問題をはらんでおるというふうにも思うわけであります。  しかし、それはそれとして、政治家たる者は、そういう問題にかかわった場合には政治倫理綱領に基づいてその内容を明らかにするということが国会でお互いの決定によって求められておりますし、同時に、みずから政治的道義的責任というものを、特に指導者と言われる方々についてはこれを明らかにしていくということでなければならないというふうに思うわけでございます。竹下内閣の重要なかなめにある小渕官房長官として、やがてバトンタッチをしていくわけでございますけれども、このリクルートの徹底究明、さらにはそれを教訓とした政治改革という問題に基本的にどういうことで取り組み、また次の政権にバトンタッチをされていこうとするのか、その辺のことについて御答弁を願いたいと思います。
  110. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 三十有余年にわたっての議会人としてのお立場で御活躍されました角屋委員の御意見を交えての御質問に対して緊張して承っておりました。リクルート問題をめぐっての政治不信につきましては、事竹下内閣のみならず政治家一人一人大いに反省、考えさせられる問題であることは言うまでもないと思います。しばしば総理も申し上げておりますように、この問題につきましては単に世論のいろいろの動向を承ることはもとよりでございますが、どのような問題としてとらえるべきかということの分析と対処が必要であるということで、しばしば国会でも申し述べているように、税法上の問題、あるいは証券取引法上の問題、あるいは政治的道義的問題、刑法上の問題それぞれの立場で解明をされつつあり、かつ取り組んでおるところでございます。  そこで、竹下内閣といたしましてはこの問題にどのようなけじめをつけるかということでございますが、このけじめというのもなかなか難しゅうございまして、現在与党自民党の中におきましても、けじめとは一体何ぞやということにつきまして委員会を設けて検討中でございます。内閣といたしましては、先ほど申し上げました四つの問題点につきまして、既に税法、証券取引法上の問題あるいは刑法上の問題につきましては今日中間報告がなされましたが、それに対して最終的な判断も近々なされるのではないかというふうに聞いておるところでございますが、いずれにいたしましてもこの問題について真剣に対処しなければならぬということでおるわけでございまして、そのけじめの一つとして、竹下内閣としては諸般の政治責任も含めて内閣を総辞職し、退陣を既に発表申し上げておるところでございます。総理も申し上げておるようにこのことですべてのけじめが決着するとは考えておりませんが、けじめの一つとして、政権を他に譲るという行為の中には、その大きな反省の上に立ってのけじめの一つとして考えていただければありがたいというふうに考えておるところでございます。  それと同時に、内閣といたしましてもやはりこうした問題がなぜ惹起されてきたかということをつらつら考えますと、やはり政治に対して抜本的な改革をいたすべき問題点もあるのではないか、こう考えたわけでございますが、この点につきまして竹下総理としては、行政の首班という立場でなくして、いわば日本の政治の最高のリーダーとして有識者の考え方もお聞きをしながら、その中にこの改革をいたすべき点を整理していただきたいということで、御案内のとおりに四月二十七日に有識者より提言をちょうだいをいたしたわけでございまして、その提言を自由民主党、与党の政治改革委員長にお渡しを申し上げて、そして与党としてこの委員会におきまして政治改革大綱が竹下総裁に提出をされたところでございまして、その後、五月二十四日に公選法、政治資金規正法、それぞれ一部改正案を衆議院に提出をいたしておると聞いておりますので、有識者会議における答申の中で改めるべき喫緊の問題についてはこうした形で国会にもお示しをしながら改正をしていこうということになっておることも、政治改革を一つの緒につけることになっておるのではないかというふうに考えております。  もとよりこのことですべて解決することでなかろうと思いますが、この問題につきましては行政として考えることでなくして、むしろこれは国会の問題であり、政治家個々の問題でもあろうかと拝察をいたしておりますので、この点につきましては、将来にわたって中長期的な問題も含めて抜本的な改革がなされることによって、こうした事件が二度と再発されることのないような姿か望ましいと考えておりまして、この考え方につきましては、内閣として可能なものにつきましては次の内閣に対しましても引き続いて情熱を持ってお取り組みをいただけるようにお願いをいたしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  111. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 自民党内の問題については深く触れることは避けたいと思いますけれども、しかし竹下内閣が予算成立後に内閣総辞職をする。総理・総裁ということで後継総裁に伊東正義さんが当初俎上に上りました。伊東さんは私と同じ農林省の出身で、戦後本省三課長当時、私は組合の幹部をやっておりましたからその当時から関係があり、また私が昭和三十三年五月に国会に初当選をしてまいりまして、愛知用水事業の問題を国会で取り上げて、当時の愛知用水公団の浜口総裁あるいは当時の桑原愛知県知事等を参考人で呼びながら質疑をいたしましたときに、伊東さんはちょうど本省農地局長時代で、議論をした経過がありまして非常によく知っておるわけであります。  伊東さんは年配だし、そして糖尿病の持病もあるし、そしてお子さんもないということで、奥さんは長生きをしてもらいたいということを恐らく願っておるだろうから、せっかく要望されておるけれども断った方がいいなというようなことを私は伊東さんに申したりしたのですが、しかしまた反面、この農政の重大な危機に伊東さんが衆望もだしがたく政権を担当するということもまた、そういうことになれば心ひそかに喜ぶべきことでもあろうというふうな気持ちももちろんございました。  それはさておきまして、私どもは直接承っておりませんけれども報道を通じて、伊東さんが竹下総理との会談の際にもあるいは党の四役等の会談の際にも、いわゆる今日の深刻なリクルート事件の中で自民党再生を期するためにはかくかくしかじかのことを思い切ってやる必要があるというふうな御主張をなさったというふうにマスコミを通じて承っておるわけでありまして、私どもは与野党を通じて心しなければならぬことは、いわゆる永田町的な感覚というものと庶民感覚の間にいずれにしても大きなギャップを生じておるという現実は、これは軽視できないというふうに思うわけでありまして、そういう意味では、国民から自民党再生の共感を呼ぶような非常に厳しい考え方を提示されたことは、今日の事態の認識という点ではこれはやはり傾聴に値する提言であろうというふうに私は思っておるわけであります。  いずれにしても、このリクルート事件を契機にしていろんなことが報道されてまいりました。その中で、後藤田さんが自民党の中で政治改革の会長としてまとめられた案も対外的に発表されました。これは従来の経緯からすれば評価すべき中身も当然含まれておるわけでありますけれども、ただ政治資金問題ということについて私の所見を一言言いますならば、金がかかるというふうに言っておられる方もありますけれども、今日の政治資金の状態について、政治家の相当部分については金をかけ過ぎるというふうに言えるのではないか。  私自身は三十年近く国会でやってまいりましたが、自民党の新人の方々によりますと、いや一億円かかる、一億二千万かかるというような報道が出たりして、実はもう驚いているわけであります。私はこれまで一千万はおろか、五百万はおろか、そういうものをみずからちっとも求めずに、要するに金をかけないということを基本にして今日までやってきただけに、まだ出てきて一、二回の自民党の国会議員が一億近くも金をかけておる事態というのは非常に驚く事態だと思うのでありまして、政治改革というならば身に厳しい痛みを感ずる改革をお互いは覚悟しなければならぬ。だから、今まで一億円かかるというのを五千万、三千万に切り詰めるという受けとめ方での政治資金の規制ができるのかどうかということが問われるというふうに思うわけでございまして、そういう意味からいたしますと、後藤田さんの改革案の中では必すしもそこのところが単刀直入に出てないような感じを率直に言って持つのであります。  同時に、金がかかるというのは、自民党の場合は中選挙区制の中で複数以上の候補者を出している、競争であるというふうなことも理由の一つにして、小選挙区制というものを早晩やりたいということが出ております。私は、小選挙区制をやるということについては基本的に反対であります。長い将来にわたって我が国の衆議院の選挙制度をどうするか、あるいは今度三回目やりますけれども、参議院における比例代表制というものをどうするかということは不断に検討していくことは当然必要なことだというふうに思うものでありますけれども、金がかかるという理由を一つの有力な根拠にして、そして自民党に結果として有利な小選挙区制に党利党略の立場から持っていくとするならば、それは許せないことだというふうに私自身は思っておるわけであります。  いずれにしても、そういう問題も含めて重ねて小渕官房長官にお伺いしたいのでありますけれども、政治資金の問題あるいはまた選挙制度の問題等も含めて後藤田さんの方から自民党自身の改革案というのが出てきておりますけれども、内閣の番頭として、この政治改革問題を基本的にどういうふうに進めていくのがいいかということについて御所見を承っておきたいと思います。
  112. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 ただいま御指摘の点は大変重要な政治改革のポイントであろうと思いますが、政府の立場としては、その問題につきましては専らに政治家自身の問題であり、かつ国会の問題であろうかと思いますので、この問題について内閣としてコメントすることは差し控えさせていただいた方がよかろうかと思います。  いずれにいたしましても、有識者会議の提言を受けて、自由民主党といたしましては具体的に法制化のできるものは法制化しようということで成案を得て国会に提出をいたしておることでございますので、その御審議がこの国会で十二分になされるもの、そのように考えている次第でございます。
  113. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次は、外交関係にかかわる問題について一言触れてお尋ねしたいと思うわけでございます。  朝鮮民主主義人民共和国とのこれからの我が国外交のあり方、そういった中で、御案内のとおり社会党は土井委員長がおいでになったりあるいは山口書記長がおいでになったり、あるいは最近では田邊前書記長がおいでになったり、その中ではもちろん両国間あるいは政党間のこれからの外交の展開について率直な意見交換もいたすわけでございます。同時に、かねて未解決になっております第十八富士山丸の二人の、船長初め船員の方の帰国問題、これは人道上の問題として早期に解決しなければならぬ。社会党もそういう点では側面的にいろいろ努力しておるわけであります。未承認国ではありましても、やはり外交的な接触を通じて、それを伴って早期に解決することが望まれるわけでございます。  現在、外交の担当であります宇野外務大臣は、そういう点では従来の朝鮮民主主義人民共和国に対する外交の考え方について転換をしていかなければならぬ、これは竹下総理も同様な認識を持っておられると思うのでありますけれども。したがって、そういう立場から、内閣全体としてもアジアの平和、あるいは朝鮮におきます自主的平和統一が両国間で平和裏になされていくことを展望しながら、朝鮮民主主義人民共和国に対する従来の差別的な方向というものを根本的に改めていくという姿勢の中に第十八富士山丸の二名の乗組員の早期返還問題があるわけでございまして、これはその後どういう状況に外交的な接触を通じてやっておられるのか、あるいは現在の情勢の中で静観の状態であるのか、その辺のところを率直に御答弁願いたいと思います。
  114. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 お話しのように、公式の外交関係を持たない北朝鮮との関係につきまして、かねて社会党を中心にいたしまして友好関係を確立しようということで御努力をいただいておること、いわば野党外交とでも申しますか、そうした御努力に対しては敬意を表しておるところでございます。  そこで、お尋ねの十八富士山丸問題につきましては、私も本職に就任以来極めて心痛深いものとして対処いたしてきたところでございますが、残念ながら、結論を申し上げれば現段階におきましても最終的解決を見ない状況であり、御家族の皆さんの御心情を思いますときにはことに申す言葉もないような状況であります。本問題につきましては、社会党におきましても田邊、山口両元現書記長も訪朝いたしましていろいろ御努力をいただいておるところでございますし、また政府としてもあらゆるチャネルを通じましてその解決のために専心努力をいたしておるところでございまして、例を申し上げれば、日本に参ります外国の元首を初めといたしましていろいろな方々に、北朝鮮に参られるときにはこの問題の解決方につきましてもお願いをいたす等々、あらゆる手法を用いて対応いたしておるところでございますが、いまだ結論を得ないということにつきましてはまことに残念のきわみでございます。  しかしながら、御指摘にもありましたが、北朝鮮との関係につきましては、我が竹下内閣といたしましては、御案内のとおり三月三十日に貴党村山議員の質問に対しましても、北朝鮮との関係につきまして、過去の関係について深い反省と遺憾の意を表明しつつ、朝鮮半島をめぐる新たな情勢に配慮しつつ、関係改善を進めてまいりたいという当方の意思を既に明確に、明らかにいたしておるわけでございますので、願わくばこうした竹下内閣の基本的な方針に対してぜひ相当のレスポンスがあることを、今ひたすら実は期待を寄せておるところでございます。  いずれにいたしましても、可及的速やかにこの問題につきましても政府間の交渉ができる情勢を生み出すべく、現在最善の努力をいたしておるということでございます。
  115. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間の関係もありますので、恩給法の一部改正の中身に関連をいたしましてお尋ねをいたしたいと思います。  今回の恩給法等の一部改正は、最近のパターンに基づいて改善が行われるわけでございまして、十分、不十分からいえば引き上げ率その他を含めて意見がないわけじゃありませんけれども、しかし内容の一歩改善という点で我々も賛成をしておるところであります。  午前来の議論の中でも出てまいりましたことでありますけれども、言うまでもなく我が国の恩給制度は、明治の初期以来百十年余をけみしておるわけでありまして、国家補償的性格としてスタートいたしておるわけであります。戦後、公的年金等の新しい制度の発足、あるいは土光臨調その他の答申とのかかわりにおいて、恩給制度についても見直し等言われてまいっておるわけでありまして、それに基づいて若干の措置をやってきておることも十分承知をしておるわけであります。  いわゆる公的年金の一元化ということが言われておりますけれども、この公的年金の一元化という場合は、恩給法についてはその戦列には入らない、それはやはり独自の性格を持っておるというふうに私自身は考えておるわけでありまして、そういう中で、しかし公的年金がどういうふうに一元化の中で変わっていくのか、それのバランス均衡という面は国民の理解と協力を得るためにもやはり十分心していかなきゃならぬだろう。しかし、百十年にわたる恩給制度、これは国家補償的性格として発足し、今日に至っておるわけでありますから、その基本線は堅持しながら、今言った考え方で対応すべきものであろうというふうに私自身は考えておるわけでありますけれども金丸総務庁長官の御見解を承りたいと思います。
  116. 金丸三郎

    金丸国務大臣 お答えいたします。  恩給は、長年公務に従事しました者、戦没者遺族、戦傷病者等に対する国の補償として支給されるものであり、保険数理の原則によって運営される公的年金制度とはその基本的性格を異にするものでありますことから、公的年金制度の一元化にに委員もおっしゃいますとおり、私どもも、組み入れることは難しいのではなかろうか、かように考えております。
  117. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 戦後処理問題に関連をいたしまして、御案内のとおり、恩給欠格者問題、シベリア抑留者問題あるいは在外財産にかかわる問題、こういう問題を含めて、内閣官房長官の懇談会として戦後処理問題懇談会、これは当初は官房長官以外のところからスタートしたわけでありますが、最終的には内閣官房長官の懇談会として、そして昭和五十九年十二月二十一日に報告が出る。それで、この報告の中身は私は基本的に問題を含んでいると思いますが、そういう報告に基づきまして、御案内のとおり、我々の方で去年法案としてさばきました平和祈念事業特別基金等に関する法律というものが施行され、そして新しい認可法人の特別基金も設立し、スタートしておるという状況にあるわけであります。  この中で、先ほど来出ておりますシベリア抑留の問題については、慰労金として法案の中身の中で加えて処理されるということになりました。私ども社会党、公明党、民社党の三党がこのシベリア抑留者の問題について独自の法案を出しまして、そして、その法案を出したという考え方も政府・与党として配慮しながら、日本に帰ってきたシベリア抑留者の恩給の適用を受けない生存者を約二十万名と当初考えておったのを、帰ってまいりまして亡くなった人も含めて約二十八万名の人に慰労金を支給するという経緯になったことは御案内のとおりであります。  しかし、このシベリア抑留者の慰労金十万円の問題についても、法案成立の際には附帯決議として今後とも検討を要請しておることは御承知のとおりでありますし、特に、この法案の議論の際に一番議論の焦点になったのはいわゆる恩給欠格者に対する問題であります。結局これは、そのときの附帯決議の中では、とにかくこの問題について個別補償の措置というものを検討しながら実施に移すように努めるという積極的な附帯決議が付されておりまして、関係者の今後の国会の対応に極めて注目が集まっていると言ってもいいかと思うのであります。  私どもの党に対しましても、昨年からことしにかけまして、社会党としてこの問題について独自の法案を早期に提案してもらいたいという強い要請が出てきておるわけでありまして、党の三役あるいは内閣部会の関係の私や田口さん等々が出まして、そういった真剣な要請に対していろいろ御協議をしてきた経緯があるわけでございます。率直に言って、私どもがシベリア抑留者と同じような趣旨で他の野党の皆さんにも御相談をしながら野党の案をつくり、提案をするということは可能であります。可能でありますが、やはり政党の責任においてある程度実のある結論が得られる、そういう展望を持ってやるということが必要だと私は考えまして、集まってこられた代表の何回となくの会合の中でも、やはりこれは多数党である与党の協力も得ながら、そして初めて法案として成立することになる、したがって、そういう点では新しくできた新法の中でシベリア抑留に準じて慰労金の形の処理を考えていくのか。私は独自法案で本来やるべきものだというふうに基本的には思っておりますけれども、特にこの法案の議論の際に附帯決議も付せられ、小渕官房長官はこの決議に対して、政府としてこれから検討していく趣旨の答弁もされておるわけでありますけれども、これは率直に言って古くしてなかなか困難な問題ではあります。  しかし、戦後もう四十数年を経て、今明年中にはこの問題についての単独措置というものを、どの手法によるかは別として、法の手続としてやらなければならぬ事態に来ておるというふうに基本的に私は思っておるのでありますけれども、小渕官房長官、この問題については強い附帯決議が付せられておるということも踏まえて政府としてどう考えておられるのか、率直な答弁をお願いしたいと思うのであります。
  118. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 恩給欠格者問題につきましては委員も長い間携わってまいられまして、御指摘のようにいろいろな問題が今日まで存したことは承知をいたしております。  そこで、この問題につきましては、平和祈念事業特別基金等に関する法律を御可決をいただきまして既に施行いたしておるわけでありまして、その過程でこれまた御指摘のようにこの委員会でも附帯決議がなされ、かつそれに対して私自身も十分な検討をいたしてまいりたいということを申し上げておることは事実でございます。  そこで、この法律に基づきまして基金が設立をされまして、その基金におきましてこの問題につきましても引き続き検討をしていくということでいたしておるところではございますが、現在せっかくできましたこの基金におきまして委員先生方がいろいろな角度から御検討いただいておるだろうと思いますので、政府といたしましてはそれを現在見守っておるというところでございます。  ただ、単年度の予算といたしましては、平成元年度予算といたしまして、恩給欠格者のうち外地勤務者で加算を含めて三年以上の者に書状、さらにそのうち七十歳以上の方に高齢者から順に書状にあわせて銀杯を贈呈するということで、新たな措置をいたしているところでございますので、本予算が成立をいたすことに相なりますれば、そうしたことを通じまして一つ一つ欠格者の皆さんに対しての措置もいたしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  119. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この新しい法律に基づきます平和祈念事業の推進の中で、本年度とられておる銀杯とかあるいは書状とかいった措置の対象について、やはり軍人軍属恩欠者全国連盟会長の小沢さんの組織しておる従来からの組織は組織としての要望を私も手元に持っておりますが、厳しい従来の行き方について批判を持つ方々がまた別の代表者組織などをつくって、我々のところにも要望を伝えてまいっております。そういう点では、足切りをし限定をされた対象じゃなしに、そういう措置については広く実施してもらいたいという強い要望が出ておりまして、その点も十分踏まえながら対応をしてもらいたい。  同時に、恩給欠格者問題というものについては、法的措置を速やかに講じてやはりこの問題は決着をつけなければならぬというふうに私自身は考えておるわけでありまして、法案を我々の方で独自にあるいは野党が相談して出すことは可能でございますけれども、政府並びに与党におかれても今明年中にこの問題は法的措置を講じて決着をつけるという趣旨で、お互いに努力したいものだと考えておることを付言しておきたいと思います。  次は、台湾人元日本兵の問題について少しくお尋ねをいたしたいと思います。  御案内のとおり、私は大東亜戦争の開始とともにフィリピンの戦線に小隊長として郷土部隊で参ったわけでございますが、台湾人元日本兵というのはフィリピンが非常に多かったわけでございます。フィリピン以外ではニューギニアが多かったと言われております。台湾人元日本兵の人たちに対する措置という問題については、自民党の有馬先生を中心にして大変な努力をされ、それが我々、各党の協力も得ながら実施を見たわけでございますけれども、個人的なことになりますが、三年前に熊本の予備士官学校当時の戦友が四十七年ぶりに集まったときに、台湾人元日本兵の問題は早期に解決してもらいたいという強い要請を受けたり、この法案が成立した後、去年会合を持ちました際には、現地に行かれた中隊長クラスもあるようでありまして、大変感謝されたということを私に伝えております。その点では、かつて日本人ということで第二次世界大戦においてはともに戦った戦友に対する措置がようやくなされたということは評価すべきことだと思うのであります。  そこで、この法律の制定に伴って、二百万の支給問題で鋭意仕事が進んでおるわけであり、資料によりますと、ことしの三月の時点で九千六百七十一名の累計の人に裁定ができた、これに二百万の金が渡されている、こういう状況にあることを承知しております。それらも含めて、法制定後今日まて進めてまいりました特定弔慰金等の問題について現実にどういうふうに進んできておるか、何か特に問題があるとすればどこにまだ検討すべき問題が残っておるのか等々も含めて、簡潔に御答弁を願いたいと思います。
  120. 石倉寛治

    ○石倉政府委員 お答えいたします。  この制度につきましては、御承知のように先生方の御努力によりまして、いわゆる議員立法という形で成立したわけでございますが、現実にこの事務を遂行するに当たりましては、日本赤十字社と台湾にございます紅十字会、こういう団体の全面的な御協力によりまして仕事を実施しているところでございます。したがいまして、先生もデータをお持ちでございますように着実に事務が進展しておるわけでございますけれども、現実には現地では二万四千ほどの申請者がございます。第一次審査を現地でやりまして、その半分に当たる一万二千件ほどが日本赤十字社に持ち込まれておる、こういうことになっております。この一万二千件の申請案件のうちもうほとんどの部分が、九千七百ほどでございますけれども裁定を終了し、さらにその後の事務処理が済んでおりますのが七千六百ということで、これは既に一人当たり二百万のお金を現地にお送りしておる、こういう形で順調に推移いたしております。  これの申請が始まりましたのは昨年の九月一日からでございます。現在のところ順調にいっておるわけでございますけれども、今後の問題といたしまして、現地から上がっているような問題を聞いてみますと、一、二問題がございますのは、何しろ関係をいたしております両団体ともこの実務というのは初めて実施をいたしますので、実務にふなれな面もございます。それからもう一つ、基本的に四十数年を経過いたしておりますので、遺族の皆さん方があちこちにいわゆる原籍地から移動しておられる、そのために申請者の特定がなかなか難しいというような問題もございます。さらにもう一つの問題は、台湾にも少数民族がおられますので、この方々が山間僻地にも住んでおられる。特にお年寄りは,日本語かできる方は多いそうでございますが、逆に中国語ができないというようなことで、申請の手続をいたしますときに十分な手続ができないというような、そういった現地での、現在二万四千の申請が出ておりますけれども、さらにそれに倍するものがあると想定されておるわけでございまして、その数字がどのように今後出てくるかという点が予測がしがたいという問題がございますけれども、我が方、日本側としましては、一月二千件の処理をする能力をもう既に確保いたしましたので、今後は順調にいくのではないか、こう考えております。
  121. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今御答弁のございましたように、昨年の九月から申請の受け付けが始まりまして、ことしに入りましてからは大体最終の審査による裁定というのは二千名規模で進んでおるようでございます。したがって、今のペースでいけば、若干御答弁のような問題はありますけれども、おおむね来年の秋ごろには大半、法に基づく支給が終わるだろうというふうにも観測されておるわけでありまして、いずれにしても日本側の当該支給の対象になるべき名簿は約三万名、日本側の名簿からいくとそんなふうに言われておりますし、台湾側の方では、今も御答弁でちょっと触れられましたが、それを超えて四万名台のことになるのじゃないか。  それらのところは台湾側の紅十字会で第一次の審査がなされ、そして日本の赤十字において最終審査をし、裁定すべきものは裁定をし、却下すべきものは却下していく、それはちゃんと理由も明らかにしながらそういう裁きを平和裏にやっていかなければならぬ。その過程では公務の立証が当然必要でありますし、また、御遺族であるという立証が必要であるということで、台湾の紅十字会にいたしましても日本の赤十字社にいたしましても、総理府の御協力も得ながら大変苦労な仕事をやられることに相なるわけでございますけれども、これは有意義な仕事で、現地側でも大変喜ばれていることでありますので、ぜひ円滑裏にこれか実施を完了しますように求めておきたいと思っております。  それから、この台湾人元日本兵の問題に関連いたしまして一言お伺いしていきたいと思います。  台湾に本籍を有していた警察官等について、昭和二十七年の平和条約の発効によって日本国籍を喪失したことにより恩給権を失った、この失権までの恩給の未支給分について、旧軍人軍属の未払い給与、郵便貯金等と同様に一括処理すべきものであるということで、この問題にかかわっております各省の連絡会議において実施の前提で検討が行われておるというふうに承っておるわけでありますけれども、この点についてはいつそういうものがきちっとなされていく運びになるのか、御答弁を願っておきたいと思います。——それではちょっと考えておいてください、次に入るから。後ほどのときに答弁がまとまったら聞きます、時間が制限されているから。今の点はあらかじめ質問を聞きに来たときに少し触れておいたつもりなんだけれども、後ほど答弁がまとまれば手を挙げて答弁をしていただきたいと思います。  次は、シベリア抑留に関連するシベリアけい肺問題について、一言恩給局と総理府の方にもお礼を申しながら要望をしておきたいというふうに思います。  御案内のとおりシベリア抑留、シベリアけい肺の問題につきましては、私、ここに本を持ってきておりますけれども、「シベリア珪肺 ソ連抑留の後遺症」ということで、このけい肺の関係をやっておりますシベリア珪肺全国連絡協議会の、斉藤博さんが会長で、事務局長をやっております山本泰夫さん、この方は本委員会に参考人として呼びまして、私からも直接委員会を通じてシベリアけい肺の関係の事務局長としての要望をお聞き願ったことは御案内のとおりでございます。  それで、「シベリア珪肺 ソ連抑留の後遺症」というのを山本泰夫さんが著書として出しておられまして、これを見るとシベリアけい肺という問題について患者の手記等も含めてその実態が明らかになる非常な好著だと思うのでございますけれども山本さんに参考人で来ていただいて質疑等をやりました際に、自民党のこういう問題に詳しい議員の中からも、質問の終わった後、あれはやはり国内のじん肺法等の患者と同様に、シベリアの抑留者のことはお互いに協力してやらなければならぬというふうな力強い御発言等もいただきました。  そういうこと等も重ね合ったと思いますけれども、あの質問の後これまでの一年間、恩給局を中心に、いろいろ採択すべきものは採択するという誠意ある対応がなされたと思いますが、近くこの総会を六月三日にやられるということで、私のところにも招待状が来ております。私、この関係者の総会には一度も出たことはないのですけれども、ただ事務局長山本さんの熱意にほだされて、二回この問題を本委員会で取り上げて、いろいろ政府にも善処をお願いしてまいりました。その案内状の中で「その後一年間、恩給局長国会答弁が恩給審査にどのように反映されるかを見守ってきましたが、国会答弁以後における恩給審査の裁定も等級の格上げが多くなり、補償の改善が実現されつつある現状を喜んで先生に御報告申し上げる次第であります。誠に有難うございました。」ということが私あての案内状の中に書かれておりまして、山本さんに参考人で来ていただいて、生々しい患者としての訴えというものがやはり政府、恩給局等にも受け入れられて、こういった状況に一歩前進してきておるのだなという感じを持っておるわけであります。この問題についてはあえて質問はいたしませんけれども、シベリアけい肺の患者の問題については誠意を持ってこれからも対応していただきたいというふうに思うわけでございますが、恩給局長、いかがでございますか。
  122. 石川雅嗣

    石川(雅)政府委員 恩給局といたしましては、公務傷病によります傷病恩給の査定に当たりましては、シベリアけい肺に限らず、それぞれすべての場合において慎重な手続を踏みながら誠意を持って対処しているところでございます。今後ともそのような姿勢で臨んでまいりたい、かように考えております。
  123. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次に、前にも本委員会で取り上げたことがあるわけでございまして、引き続き再び取り上げるわけでございますが、これは国会にもかねて請願が出されたり、あるいは古い時代に参議院で採択されたり、あるいはまた今度も請願がそれぞれ関係先生のところに出されておると思うのでありますけれども軍人恩給改定に関する請願ということで、「中支方面の軍人恩給戦務加算につき昭和十八年一月一日より終戦までおおむね東経百十六度の県以西地区を戦務甲に改定されたくお願いいたします。」請願の理由ということでいろいろ書かれております。これは前にも私、本委員会で取り上げたわけでございますが、この問題に八十を超えてなお熱心に中心になって取り組んでおられます片山聞造さんという、これはなかなか立派な幹部将校の方だというふうに私も思うわけでありますが、現在は新潟歩兵一一六連隊の連隊会会長ということをやっておられる方であります。これはもうみんなから会費を取ってやるのではなしに、関係者は全国にたくさんおりますけれども、自分が中心になって東京にも参られたり、いろいろな書類をつくったり、また連絡をとったりしてやっておられるなかなか感心な方だと思うのであります。  先ほど戦務加算等加算年の問題について、午前の議論の中で意見が出ておりました。私は、従来戦中戦後を通じてとってきた恩給法の一つの構成の要素であります加算年問題というのを、これを大幅に手直しをするということは政治的にも事実上やるべきことではないというふうに思うのであります。なぜかならば、これは加算年によってそれがプラスされて恩給の受給権を取得するかどうか、既にそれによって取得しておる人がおる、それに対してこれを廃止も含めた検討というようなことになりますと一体それはどうなるんだ。しかも、恩給の対象者というのは今日孫子を生んでないわけであります。従来恩給を受けておる方々が対象になる化けてありまして、これにその後に孫子を生まないわけであります。既に老齢になっておる方々であります。あるいは遺族であります。そういう恩給の基本的な構成要素であるいわゆる加算年あるいは戦地戦務加算というふうな問題について、これを変えるというのは現実の認識を知らない者の議論ではないかというふうに私は見るのでありまして、今度取り上げます湘桂作戦というものを中心にした片山さんに言っておる問題について一、二お尋ねをしながら、論を進めてまいりたいというふうに思います。  まず、あらかじめ厚生省の方に事前に確認をしていただくようにお願いをして、わかりましたということになっておるわけですけれども、この湘桂作戦等の作戦で多大の犠牲で戦死者が出ております私の郷土部隊歩兵第一三三連隊(嵐六二一四部隊)の戦没者の遺族名簿というのが一三三会として出されております。この名簿の中には、私の幹部候補生時代の同期の者で優秀な将校でございましたが戦死されたのもありますし、私が初年兵教育あるいは大隊初年兵教育等で教えたので相当亡くなっておられる方々もあるわけでございまして、しかも、私自身も十九年の二月から中支の中隊長として現地にも行っておって、この作戦そのものには直接かかわりはないのでありますけれども、現地の状況については十分認識をしておる一人であります。  そこで、この遺族名簿というものについては、私が差し出した名簿と厚生省の手持ちの名簿と照らし合わせて間違いがございませんか、まずお答えを願います。
  124. 村瀬松雄

    ○村瀬説明員 お答えいたします。  元歩兵第二二一二連隊の戦友会がつくりました遺族名簿と当局が保管しております同連隊の死亡者連名簿と照合いたしましたところ、多少の相違はございますが、おおむねのところ相違ございません。
  125. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 さっき委員部の方から言われておって、官房長官にお帰り願って結構ですと言うのがちょっとおくれておりましたけれども、政務御多端でございますので、官房長官に御退席を願って結構でございます。  私の郷土部隊のほかに、歩兵第一一六連隊、これは新潟県新発田市でございます。歩兵第六五連隊、これは福島県会津若松市でございます。歩兵第一〇四連隊、これは宮城県仙台市。それから歩兵第六連隊、これは愛知県名古屋市でございますけれども、こういった名簿も全部先生の方にお渡しして、質問の中で間違いがあるかどうかひとつ問いただしてもらいたい、片山さんの方からそう言われたのですけれども、いやそれは結構です、私がよく知っておる郷土部隊の点についてはもう名前見てもずっとわかるわけだし、それについて御確認を願えば、これは厚生省援護局の調査課で持っておられるのを、昭和四十年ごろに片山さん自身がそれを基本にしてそれでまた郷土部隊それぞれのところを照合してつくられたものでございますから、そんな根本的に間違ったものではないということはもう確認するまでもなく明らかでありまして、この点については、こういう部隊のそれぞれについての遺族名簿というのは私自身も、片山さんそれは要らぬ、郷土部隊のものだけでいいと言ったのですけれども、これも今御答弁のように間違いはないというふうに思います。  結局、その中ではそれぞれの戦死者についてはどこの場所でいっ戦死したかということがずっと皆載っているわけでありまして、それらからいきますと、この五つの連隊関係、例えば私の歩兵一三三連隊で申しますと、十九年のいわゆる湘桂作戦というものを中心にした戦闘の中では二千三百五十人、連隊としては非常に大きな犠牲でありますが、戦死者が出ておる。第一二八連隊では千四百五十五人、あるいは六五連隊では千百八十九人、一〇四連隊では千三百四人、第六連隊では千七百四十六人。これはもちろんその前の十八年の戦死者あるいは二十年の戦死者というふうに出ておりますけれども、時間の関係上これは省略いたします。そういった十九年におきます湘桂作戦の中心になった部隊の戦死者は、トータルいたしますと八千四十四名にまでなる。随分大きな犠牲の出た戦闘と言わなければなりませんが、そのときには、当時もちろん戦時中であるということもございますけれども、昭和十九年の十一月の十一日に、当時の天皇陛下から湘桂作戦に対して特別に勅語を賜る。これはアメリカの航空基地の撃破を含めて大きな戦果を上げられたということで、勅語を下賜されたというほど非常に激しい戦闘、しかも、アメリカの日本本土爆撃の航空基地をたたくということも含めた作戦であったわけであります。  片山さんはいろいろ請願書の中でも、これと香港のいわゆる戦務加算の甲、一月を三カ月プラスをするという——戦死者の数と対比をして、あるいは九竜半島の戦闘の状況と対比をして、あるいはシンガポールその他の状況と対比をして、この時期の戦闘というものについては当然、香港の戦闘と比べてもはるかに大きな犠牲を出した作戦であったし、これは戦務加算の甲に値するということで強く望まれておるわけでありまして、私自身フィリピンの小隊長をやり中支の中隊長をやった経験から申しますと、フィリピンは、大東亜戦争が始まってから三カ月加算というのは最初から最後までずっとそうであります。ところが中支の場合は、日華事変のときには三カ月、それから事変地二カ月に切りかわる、それから戦務加算の乙になる。三カ月になったことは、北支、中支、南支を含めてないのであります。しかし、中国の本土では、私の中隊長当時の経験からいたしましても、京漢・♯漢作戦から湘桂作戦から随分大きな戦がなされておりまして、一つの県あたりを警備しておる中隊長の当時、私としては点の確保はできても線の確保はできない。すぐ六、七キロ行った川を隔てた相手側には私の警備地区でも陣地がある。そういうところと対峙しながらという状態であったわけであります。そういった中で大きな作戦が必要の都度展開される。そこでは、残念ながら大東亜戦争が始まって以降に特定の時期、特定の作戦、特定の対象部隊についてのいわゆる戦務力算甲というのが全然ないのであります。  先ほど政府委員の方から御答弁があって、これは陸海軍中心にいろいろ検討して云々ということを言われましたけれども、しかし、いわゆる香港の九竜の作戦というのは、特定の時期、特定の部隊に対して戦務加算というのをつけた、だだっ広くつけたのじゃなくて。それからまた同時に、沖縄のいわゆる決戦の時期、これも特定の時期について御承知のように戦務加算甲がついておるわけであります。そういったことは昭和三十九年に沖縄等についてはなされたわけでありますけれども、そういう問題については非常に困難な問題でありますけれども、やはり手直しをするとすれば、今言った中国のこれは、南方戦線ではタイと仏印以外はみんな戦務加算は甲で三カ月でありますから、こんなところからは何も異議は出ないわけであります。中国大陸については私も経験しているような激しい戦闘作戦がありましたけれども、これは戦務加算は甲になったことはないという事態。そういう点についてはやはり検討をする必要はあるというふうに思うのでございますけれども金丸総務庁長官、いかがでございますか。
  126. 石川雅嗣

    石川(雅)政府委員 まず、私の方からお答えさせていただきます。  加算年につきましては、先生も御承知のように、戦地勤務等勤務の危険性、特殊性といった実態に着目いたしましてその在職年の評価を高めるという性格を持つものでございますが、加算制度の枠組みにつきましては戦前から恩給法においてきめ細かく決められたものでございまして、また、いわゆる戦務加算年等の加算の程度、加算の認められる期間及びその地域等は勅裁で定めることとされておりまして、戦時または事変の都度内閣告示で公示されたものでございまして、その内容は実質的に戦時、事変の状況を把握していた旧陸海軍省を中心に、加算事由の生じた当時において種々検討の上決定されたものでございます。したがいまして、湘桂作戦による戦闘が激戦であったということは十分承知しているわけでございますが、今日の時点において改めてこの加算年の割り増し率等について再検討するということは、私どもといたしましては大変困難であり、また制度内部の新たな均衡問題というようなことも生ずるおそれもございますので、適当ではない、かように考えているところでございます。  なお、昭和三十九年に新たに認めた沖縄の加算年につきましては、終戦直前に陸海軍省から上申がございまして、内閣告示制度の手続中に終戦になったものでありまして、戦後改めて検討して入れたというものではないということを御理解いただきたいと存じます。
  127. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今の政府委員の答弁というのは、こういう問題を検討するという姿勢がない、困難であるということばかりじゃなしに、結びとして適当でないということを言われたのは極めて遺憾な答弁だというふうに私は思うのであります。何をもって適当でないと言われるのかという点が明らかでない。これは率直に言って非常に困難な問題であるということは私自身も十分承知をしております。戦務加算の甲乙を決める場合の大本営のいわゆる物差しというものは、中国大陸の作戦というものと南方戦線の作戦というものの考え方が基本にあって、いかに大きな作戦が行われ、いかに大きな犠牲が出るような戦闘が行われても、中国はだだっ広いところで相当な部隊がおる、その特定の時期、特定の作戦、特定の対象部隊に対して戦務加算の甲をつけるということはなかなか困難な点もあるというふうなことでこれが行われてこなかったという経過は私はあろうと思う。しかし、例えば香港の作戦のときには四個連隊、このときの戦死者の犠牲というのは六百八十三人。先ほど湘桂作戦等の連隊の犠牲というのははるかに超えておる。トータルでいっても八千名を超えておるということを申し上げましたけれども、そういったことから見て、戦務加算の甲とか乙とかをつけるというのは、今日の時点で冷静に考えれば、不適当であるというような言葉は答弁としては許せないというふうに思うのであります。  こういった問題については南方戦線に波及することはない。中国大陸のいかなる作戦、いかなる戦闘をそういうことで考えるかという問題であって、実現性として困難であることは認めますけれども金丸長官、御答弁を願います。
  128. 金丸三郎

    金丸国務大臣 委員は大変詳しく御存じのようでございますが、先ほど局長からも申し上げましたとおり、四十年以上たちました当時の戦闘状況からこれをどのようなふうに加算するか、これは当時の陸海軍でいろいろな材料をもとにして決めてこられたものでございますので、現在時点におきまして何ら材料を持っていない私ども恩給局の方でこれを再検討するということは、委員もおっしゃいますようになかなか困難であろうかと思います。局長が適当でないと申しましたのは、私はそういう意味で申し上げたのであろう、このように思います。私ども、この問題は決して軽々に考えるべきものではないということは十分に委員と同じような気持ちでございますけれども、何分四十数年昔のことでございますので、なかなかやはり難しかろう、このように考える次第でございます。
  129. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間も結びに近づいてまいりましたので、公務員以外の期間の通算として外国政府職員期間とか、あるいは外国の特殊法人の対象になって恩給法上認められた対象の期間とかあるいは外国の特殊機関とかということで、私は戦前旧満州の開拓総局に席を占めておりましたから、こういう満州関係の満鉄とかあるいは満州電電とかあるいは協和会とかあるいは満拓とか、いろいろなものについては仕事の関係その他も通じて十分承知しておりまして、これが恩給法上特殊法人あるいは特殊機関として既に認められて運営されておるわけでありますが、それらに対比をしてかねて私は満州綿花協会の問題を取り上げたことがございますけれども、それはまだ対象の機関になるに至っておりませんし、時間の関係上もう一つ取り上げたい問題があるので多くを触れませんけれども、いわゆる満州国興農合作社というものは当然満拓あるいは協和会等々含めて外国特殊機関に入れてよろしい、そういうきちっとした体制。しかも、興農合作社職員録というので康徳九年度の名簿等きちっとありますけれども、これは政府の機関と協和会と満州国興農合作社というのは三位一体で活動しておった私ども十分承知しておる機関でありまして、詳細触れる時間のゆとりはございませんけれども、これはやはり外国特殊機関の中に加える、その他も検討の課題もありましょうけれども、ぜひそういうことで善処を願いたいということを要請しておきたいと思います。  それから最後に、これは恩給法とはかかわり合いはないのですけれども、文部省の体育局長においでを願っております。これは官房長官の首相官邸の方にも御連絡いたしましたら、官房長官として御答弁するのにはちょっと、できれば御遠慮願いたいということでございまして、私も事柄の性格上そういうことも考えなければならぬというふうに了承したのでありますけれども、実はこの間の大相撲の千秋楽の大乃国—北勝海の勝負であります。  本来、こういう大相撲にしろプロ野球にしろ、政治の舞台の我々がそういう勝敗の問題について口を挟むということは基本的には差し控えなければならぬ問題であるということは私も十分承知しております。しかし、大相撲が国技と言われ、大相撲の本場所の行われるときは初日から十五日間全国ネットで放送されるわけでありますし、亡くなられた昭和天皇は相撲の愛好家で天覧相撲も行われてきた経緯がございます。  そういう点で、北勝海—大乃国の両横綱の勝負というのはマスコミ等でも、私は写真を持ってきておりますけれども、こういう写真を見ますと、私もあのテレビはたまたま時間があって見ておりましたけれども、あら、北勝海砂を掃いたな、こういうふうに思ったのですけれども、五人の検査役の方から異議が出なかった。そういうことで行司軍配どおりということになって、後夜中にかけて激しい抗議がマスコミ等に行われたということは、翌日の報道でも御承知のとおりであります。  しかも、これは横綱の勝敗だけではなしに、今場所だれが優勝するかというその優勝決定戦の出場者を決める勝負でもあったわけであります。北勝海が優勝賜杯を手にしたのですけれども、あのときに砂を掃いておったという事実なら、政治倫理綱領ではありませんけれども砂を掃いたということを天下の横綱だったらみずから言うべきであります。熱戦で無我夢中でやっておったものだから砂を掃いたことは覚えがないというふうに北勝海が言ったと伝えられておりますけれども、これは政府がどうこうするとか文部省の体育局がどうこうするというのじゃないんだけれども、相撲愛好家として私はあの勝負だけは一言委員会の最後のところでもいいから取り上げて、文部省体育局長はいかに考えるかということだけは少なくとも聞いておかなければならぬというふうに思いましたので、この点あらかじめ体育局長には言ってありますから御見解を伺いたい。
  130. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 お答えをいたします。  事実関係につきましてはただいま先生から御指摘のとおりでございますが、これも先生から最初にお話がございましたように、相撲はルールに従って勝負の判定がなされて、そのルールを守ることによって相撲が成立しているわけでございますので、先生今御指摘ございましたように、行司の判定があり、そして五人の検査委員がその行司の判定を認め、またそのときおりました控え力士もそれに対して異議を申し立てなかったという状況で、行司の勝ち名のりによって相撲が終結をしたところでございます。もし仮に私どもがこれについてその事実関係の調査なりあるいは判定の見直しなりを求めるということになりますと、これはルールをみずかられるものでございますので、その点は差し控えさせていただきたいと思います。  なお、付言させていただきますと、取り組みにおきまして力士は審判員あるいは行司の指示がなければ途中で競技をやめてはならないという規定かございまして、北勝海がそのときどうであったかということは別といたしまして、関係者の一般的な意見を徴しますと、仮に掃き手を自分が自覚すれば、やめてはならないというルールがあってもそこで必ず力が衰えるものですよ、こういうふうなことを関係者が申しておりましたことをつけ加えさせていただきます。
  131. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これはなかなかデリケートな答弁でちょっと真意がはかりかねますけれども、私はこれは思いつきでこういうことを申し上げているのじゃなしに、あの勝負は両横綱の結びの一番であっただけに、しかもテレビで見ておる者からすればあれは北勝海が砂を掃いたんじゃないかと思われる節があっただけに、私は横綱審議委員をやっておられます稻葉修先生、ちょっと静養中でありますけれども、秘書を通じてかくかくしかじかということで私のざっくばらんな意見を二十分ばかり申し上げまして、これはぜひ相撲協会に伝えておいてもらいたい。やはり勝負というのは厳正公平になされなければならぬ。しかも優勝にかかわる重大な一戦の勝負について相撲愛好家に疑義が残るということであっては断じてならない。しかも、二子山親方はこの勝負については役員に諮ってみるというような報道がちょっと出たと思うのだけれども、九重親方は自分の所属の北勝海ですから、これは審判部長なんですね、だからそんなことをやる必要があるかと言ったかどうか、九重親方のことは知りませんけれども、とにかく浴衣姿みたいにしてテレビでたばこをくわえながら、私は審判を信頼するというようなことで、まあ勝敗どおりという形をとりましたけれども、再協議をやるにしろやらないにしろ、相撲協会としてはそういう相撲愛好家から激しい抗議の出るような問題については相談をしてみる、結論は同じであってもそういう誠意ある対応を示すべきものだと私は考えるのでありまして、一つ意見を述べまして質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  132. 玉生孝久

  133. 塚田延充

    塚田委員 まず、人事院勧告について二点ほどお尋ねしてみたいと思います。  ことしの産業界全体の賃上げ相場というのは五・三%前後であったということは御承知いただいていると思います。そこで、本年度の人事院の給与勧告の見通しはこの産業界全体の五・三%という数字を念頭に置いてどのような給与勧告が出る見通しなのか、お伺いしたいと思います。
  134. 中島忠能

    ○中島政府委員 先生のお尋ねの件でございますが、労働団体とかあるいはまた経営者団体からことしの春闘のベア率の状況がそれぞれ発表されております。そういう資料を見ますと、対象になっておる企業とかあるいはまた数とか規模等におきまして私たちが官民較差を算定するときの企業と若干異なっております。したがいまして、ことしの春闘のベア率と昨年の春闘のベア率を直ちに比較して、これから私たちが作業に取りかかります人事院勧告内容について今の段階であれこれ軽々に申し上げるのは差し控えなければなりませんけれども、ただ一般的な傾向としては、昨年よりは少し明るいような状況にあるんだというふうに認識しております。私たちはそういう前提に立ちまして、五月の連休明けから、各調査員が都道府県及び指定都市の調査員と連携いたしまして、それぞれの企業に伺いまして法令に基づいて各企業が設置を義務づけられております賃金台帳というものをお見せいただきまして、その資料を適正に把握いたしまして作業を厳正に行ってまいりたいというふうに考えております。
  135. 塚田延充

    塚田委員 次に、週休二日制についてお尋ねいたします。  勤労者のサイドとしては確かに賃金そのもののアップを要求すること急でございますけれども、同時にゆとりある生活のためにはどうしても週休二日というのは必須の条件であるというようなことで、社会的な条件もかなり熟してきているきょうこのごろだと存じます。そのような流れの中で、本年一月から国家公務員の月二回の土曜閉庁がきちんと導入されましたし、各地方公共団体においても順次実施が進んできているように見受けられます。この完全週休二日制につきましては、国全体として労働時間短縮という大きな目標を立てて計画期間も設けているわけでございますけれども、その速やかな実現のために官庁の果たす役割は非常に大きいものと思います。  ところが、幸か不幸か、民間産業界におきましては、大変な好景気ということもございまして、勤労者の希望とは逆行とまでは申せませんけれども、期待に沿わないような形で時短の進展というのはまたまたとまってしまった、遅々として進まなくなっておる。これは昨年度とまたその前の年を比べてみても、ほとんど民間においては時間短縮の進展は統計上見られていないと判断されております。  そこで、人事院の方に指導的な役割をお願いしたいということの趣旨でございますけれども、これは昨年の勧告においても公務員の週休二日制の推進ということについて触れていただいておること、評価をいたします。そして、その人事院勧告の中のそのような指摘が結局は社会全体に対してかなりの影響を与えていることも事実でございます。  そこで、本年度の勧告においてぜひはっきりずばりと今度は完全週休二日制をきちんとやるべきだということを盛り込んでいただきたい、中途半端な勧告ではなくて命令に近い形で勧告として盛り込んでいただきたい、このようにお願いするわけでございますが、当局の御回答をお願いします。
  136. 川崎正道

    ○川崎(正)政府委員 完全週休二日制の早期実現ということに関しましては、私たちも先生と御同様にできるだけ早くということを考えているわけでございます。したがいまして、昨年の夏、今先生からも御指摘ございましたように、計画期間内にできるだけ早く実現するようにという意見表明を人事院としてもいたしておるところでございます。できるだけ早期に実現を図ってまいりたいと思っております。  ただ、その早期の実現を図るためにはやはり国民の多くの方々の御賛同を得られなければいけない、御理解を得られなければいけないというふうに私たちは認識しております。できるだけ国民の皆様に御理解をいただける努力をこれから続けていかなければいけないだろう。具体的には、ことしの一月から土曜閉庁を実施しております、それから二月からは金融機関が完全閉店ということをやっておりますので、こういう土曜閉庁あるいは金融機関の完全閉店、こういうものの定着の状況を見きわめる必要もあるであろう、それから先ほどお話にもございました民間の労働時間短縮あるいは週休二日制の実施進展の状況、こういうものも見きわめる必要があるであろうというようなことで、できるだけ早期に実現するためにそういった実態の把握に努めて、これから夏に向かってどのように人事院として対処するか、前向きに検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  137. 塚田延充

    塚田委員 周囲の状況を見きわめて手を打ちたいということでございますけれども、この問題につきましては、やはり人事院勧告の持っておる重みということを考えて、正しいことは正しい、まず自分がやらなければ民間の方もなかなかついてこないであろう、まずやるんだという率先垂範の気持ちでぜひ今年度の勧告の中に盛り込んでいただきたい、このようにお願いをいたします。  次に、恩給関係についてお尋ねいたします。  今回の法案では、恩給年額及び最低保障額を二・〇二%引き上げるという内容になっておりますけれども、この二・〇二%という数字の出てきた根拠もしくは基本的な考え方について御説明いただきたいと存じます。
  138. 金丸三郎

    金丸国務大臣 平成元年度の恩給改善に当たりましては、恩給国家補償的性格を有するものであること等の特殊性を考慮しつつ恩給年額実質価値維持を図る観点から、恩給法第二条ノ二の規定にのっとりまして諸般事情総合勘案し、平成元年四月から二・〇二%の改定を行うことにいたしたものでございます。
  139. 塚田延充

    塚田委員 消費税との関連についてお尋ねいたします。  四月一日から消費税が実施されました。一応混乱はなかったということは私も認めますけれども、今後の消費者の立場、特に奥さん方の意見を聞いてみますと、どうもこれは一円一円の積み重ねがきょうは何百円、月にすると何千円ということでかなりの痛税感を味わっていることは事実のようでございます。消費税の是非につきましては私どもはこれはやるべきではないという立場でございましたけれども、その論議は別といたしまして、やはり当初から指摘されておりますように逆進性を持っていることは紛れもない事実だと思います。そして新聞などの投書欄におきましては、恩給生活者、年金生活者などぎりぎりの収入で御苦労されている方々の悲痛な叫びが各マスコミに登場していることは、皆さんも御存じのとおりだと思います。  となりますと、恩給生活者というのは総体的にこの消費税の大変に厳しい負担のもとにあえぎ始まった。そして、政府の側では便乗値上げを抑えるように努力するとは言っておりますけれども、公取の発表などによりますと、便乗値上げ、特に生活に非常に密着しておる商品業界においてそれが行われている。となりますと、本日の検討の対象になっております恩給法案の対象者、すなわち恩給生活者が苦しんでいることは事実でございます。  このたびの改正案の提案に当たりましては、諸般事情を総合的に勘案して改定率を決めたとうたわれております。それでは、お尋ねいたしますけれども、この諸般事情という中に消費税の導入に伴う問題点について配慮がされているのかどうか。そして、この諸般事情という中で消費税のことも配慮に含めたとすれば、どのような形で、どの程度の重みでこれが配慮されて今回の提案になっているのか、御説明賜りたいと思います。
  140. 石川雅嗣

    石川(雅)政府委員 平成元年度におきます恩給年額改定は、恩給法二条ノ二の規定にのっとりまして、前年の公務員給与改定率それから消費者物価上昇率等緒般の事情を総合嵐案して、平成元年四月から二・〇二%の改定を行うこととしたところでございますが、先生御指摘の消費税の問題がこの諸般事情を総合的に勘案した中に入っているかどうかということでございますけれども、消費税の導入という問題が物価に反映するということでございますれば、これはことしの物価に出てくるわけでございます。当時、平成元年度の恩給改定を考えました際にはまだ消費税の導入という事実はございませんので、したがいまして、それによる物価の影響ということは私どもとしては考慮いたしておりません。  今後この問題を考慮するといたしますれば、次年度の年額改定の中でことしの物価がどういうふうに変動したかということを考慮していくわけでございますが、その際に考慮されることになる、このように御理解をいただきたいと存じます。
  141. 塚田延充

    塚田委員 御説明のとおりだと私も表面的には理解いたします。と申しますのは、消費税の影響が物価にあらわれる、その物価勘案するのだというとおりでございますけれども、いわゆる勘案の対象となる物価というもの、企画庁などで発表しているものをもととしているのかもしれませんけれども、あのバスケットの中の基準の問題もあるわけですね。これは物価指数の出し方についてもう既に学者の間からもいろいろな疑問点が出されておるわけでございますけれども年金とか恩給生活者の場合には、物価の中でも特に生活必需品のみが非常に大きな比重でのしかかってくる。耐久消費財がどうの何がどうのという以上に日々の生活必需品の比重が多くなるという意味から私の方がお願いしたいことは、恩給生活者の勘案の場合には、今後は一般的な物価指数のみじゃなくて、そういう生活必需品のみをバスケットに入れたような指数を御検討いただき、それに基づいて手を打たないと、生活困窮者とは申しませんけれども、所得レベルの低い方々、特に私どもが対象としておる恩給方々には血の通った施策にはならないのじゃないか、このように指摘しておきたいと思います。  次の問題に移ります。  これまで恩給寡婦加算額は年金と横並びで増額されてきたわけでございます。このたびの政府案を見ますと、寡婦加算額は八月に引き上げられることになっております。ところが年金の場合には、四月に引き上げられた後、制度改正分として十月にさらに引き上げられるという内容の法案が提出されているわけでございます。これは御存じいただいていると思います。これまでの経緯からすれば、十月にも恩給寡婦加算額を引き上げるべきではないかという当然の主張をしたいわけでございます。この件についてどのようにお考えになるのか、そして年金との関連において厚生省とこれらの問題についてすり合わせなどをしておられるのかどうか、あわせてお伺いいたします。
  142. 石川雅嗣

    石川(雅)政府委員 寡婦加算につきましては、制度創設時から給与条件、金額等についても原則として厚生年金等の公的年金と同様の取り扱いをしてきたところでございまして、平成元年度においても公的年金における物価スライド〇・七%に見合う引き上げを八月から行うことにしたというのは先生御指摘のとおりでございます。各公的年金におきましては平成元年十月から財政計算に伴う寡婦加算の引き上げを図ることとしているわけでございますが、この改善分につきましては、私どもとしては平成元年度の予算編成の最終段階までその金額が明確に把握できなかったということなどから予算措置ができなかったものでございます。この取り扱いにつきましては、次年度以降の問題として今後検討してまいる所存でございます。
  143. 塚田延充

    塚田委員 その件、ぜひよろしくお願いいたします。  次に、世論と申しましょうか実態把握と申しましょうか、これが政治においても行政の施行においても極めて大切であるということは皆様方御承知なさっているとおりでございます。となりますと、この恩給制度につきまして受給者の声を常に的確に把握した上でそのときどきの問題点を十二分に反映していかなければ立派な恩給行政とはならないわけでございます。  こういうことにつきまして、既にいろいろな意見聴取などのシステムといいましょうか制度をつくっていると思いますけれども、それらの制度について今までどのようなことをやっており、それについてどのような対応をしてこられたのか、御報告願いたいと存じます。
  144. 石川雅嗣

    石川(雅)政府委員 恩給行政を預かる者といたしまして受給者の意見、要望等を的確に把握し恩給改善に反映させていくということは必要なことと考えておりまして、そのため、恩給局といたしましては、関係団体等の意見、要望等を聞くほか、昭和五十一年度以降毎年度、順次扶助料、普通恩給傷病恩給等恩給種類別にその受給者を対象といたしまして、家族構成、就業状況、それから恩給受給者世帯の家計に占める恩給の役割、それから受給者の意見、要望等について調査を行っておりまして、生活状況、意見、要望等の把握に努めてきているところでございます。
  145. 塚田延充

    塚田委員 ぜひそういうことで恩給関係者のいわゆる世論というものを常に踏まえながら、誤りのない、しかも生きた形の制度になるよう努めていただきたいと存じます。  これとの関連でございますけれども、昨年十月一から、今まで二年に一度実施しております受給権調査が恩給受給者の誕生月に毎年実施することに改められたようでございます。失権した恩給者の敏速な捕捉という観点から望ましい処置だったと考えて、評価したいと思いますけれども、その対象者が年々高齢化しておるというような状況を考えていきますと、せっかくの毎年実施ということも受給者の方がうまく対応できるのかどうかという心配もございます。この誕生月に実施するという事情聴取がほぼ半年ほど経過したわけでございますけれども、今私が申し上げたような心配事、すなわち高齢化しているがゆえに問題点がありはしないかというようなことなど現に起きてきているのかどうか。いや、そんな心配はなくて、うまくいっておるよというような状況なのか。半年だけですので的確な見定めは難しいと存じますけれども、今の時点での考え方をお聞かせいただきたいと存じます。
  146. 石川雅嗣

    石川(雅)政府委員 お答え申し上げます。  恩給受給権調査は、従来恩給の種類ごとに隔年、これは旧軍人の遺族の扶助料につきましては昭和の偶数年、その他の恩給につきましては昭和の奇数年のそれぞれ九月ということで、郵便局を通じまして実施してきたところでございますが、最近におきます受給者の高齢化等にかんがみ、恩給の適正な支給を確保するため、その調査を毎年受給者の誕生月に実施することに改めまして、旧軍人扶助料受給者につきましては既に昨年の十月から実施してきたところでございます。本年の十月からは、それ以外の恩給受給者についてもこの方法により調査を実施することとしているわけでございます。この調査によりますと、従来の調査方法に比べまして、例えば申し立て書の様式をはがき形式として記載方法も簡略化するとか、あるいは従来戸籍抄本の添付を求めていたわけでございますが、これにかえて、申し立て書に居住している市区町村の住民票記載事項証明を受けることによって済むようにしたとか、さまざまな工夫を凝らしたことも申し添えさせていただきたいと思います。  この新しい方式の受給権調査に移行するに当たりましては、従来から関係方面にさまざまな形でPRを行ってきたところでございまして、受給者の御理解も得て、現在のところ恩給局といたしましては極めて円滑にこの方式による調査が行われているというふうに理解いたしております。
  147. 塚田延充

    塚田委員 昨年の恩給法等の一部を改正する法律案のときに衆参両院の委員会において附帯決議を幾つかしているわけでございますし、それから一年が経過しております。この一年間のこの附帯決議の実施状況、これについて概略御説明いただきたいと思います。
  148. 文田久雄

    ○文田政府委員 まず、私から恩給欠格者の部分についてお答えさせていただきたいと存じます。  恩給欠格者などのいわゆる戦後処理問題に関しましては、昨年五月に成立を見ました平和祈念事業特別基金等に関する法律に基づきまして同年七月に平和祈念事業特別基金を設立いたしまして、恩給欠格者を含む関係者の戦争犠牲による労苦について国民の理解を深めること等により関係者に対し慰藉の念を示す事業を行っております。また、戦後強制抑留者に対する慰労品の贈呈等もあわせて行っております。平成元年度からは新たに恩給欠格者については、基金の運営委員会の報告を踏まえまして、外地勤務者で加算年を含めて三年以上の方に書状を贈呈するとともに、このうち七十歳以上の方には高齢者から順に銀杯をあわせて贈呈するという措置を講じているところでございます。
  149. 塚田延充

    塚田委員 確かに、附帯決議に基づいたかどうかは別にいたしましても、恩欠者について検討され、またそれなりの施策が行われてきたことについて評価したいと思います。しかしながら、軍恩恩欠者の方々の立場からすると、この政府の処置に納得しているとは到底考えられないわけでございます。さきの大戦において命をかけて軍務に従事したにもかかわらず、ほんの少し軍歴期間が短かったというわけで天と地の違いが生じてしまったということは、恩欠者にとってはどうにも許しがたい、我慢しがたい事実であり、こういうことが積もり積もって、政府に対する反感もしくは社会に対する恨みつらみ、とは言いませんけれども、何だとなっているわけでございます。そして、そのような恩欠者の方々はいよいよ高齢者になってまいりました。そこで、今後ともこの恩欠者の処遇についてさらに徹底した前向きの検討をされて、具体的な、わかりやすく、また彼らが納得できるような処置を早急にとっていただきたいと強く要望するものでございます。  そういうわけで、例えば特別給付金の支給という形で個別の補償を行うということをもう一度検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  150. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えをいたします。  政府といたしましては、お示しの恩給欠格者を含む戦後処理問題につきましては、平和祈念事業特別基金等に関する法律に基づく事業を適切に行うことによって対処して努力してまいりたい、かように考えております。
  151. 塚田延充

    塚田委員 まだまだ納得できません。場合によってはこの改定案採決の際に、もう一度、二度附帯決議という形で強く強く要望するつもりでおりますので、ひとつよろしく御検討をお願いします。  終わります。
  152. 玉生孝久

    玉生委員長 この際、藤田外政審議室長から発言を求められておりますので、これを許します。藤田外政審議室長
  153. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 先ほど角屋委員の御質問にございました台湾住民元日本兵等に対する弔慰金等以外の問題についての政府の取り組み方いかんという問題につきまして、お答えさせていただきます。  角屋委員御指摘の軍事郵便貯金等の確定債務、我が国が確定債務を負っているものにつきましては、我が国の国内法上支払い義務を有しているという認識を有しておりまして、政府といたしましても何らかの形で契約上の債務を履行しなければならないという立場にございます。この問題につきましては、台湾住民元日本兵問題関係省庁連絡会議のもとで、政府といたしましていかなる対応が適当かつ可能か検討が継続されているところでございます。  御承知のとおり、日台間の請求権問題につきましては、サンフランシスコ平和条約第四条(a)及び日華平和条約第三条に基づきまして、特別取り決めを締結して処理するということが予定されていたわけでございますけれども、日中国交正常化の結果かかる処理ができなくなったという事情がございまして、現在御承知のとおり日台間には外交関係が存在しないということからくる種々の技術的な問題、その他いかなる形の債務履行が実際的かということについて、なお慎重に検討を続ける必要があるという立場に立って検討を行っている次第でございます。
  154. 玉生孝久

  155. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 恩給法について質問いたします。  恩給のベースアップの改善指標を今までの公務員給与方式から総合勘案方式に変えて三年目になりました。この方式は臨調答申による恩給抑制のやり方であります。また、ベースアップの基準が不明瞭であることから行政運営上公正さに欠ける、そういう方式だと言って私たちは批判してまいりました。つまり、公務員給与引き上げに準じさせるというのであれば、基準は極めて明確であります。しかし、総合勘案方式ということになりますと、これは極めて政治的な思惑で決定されるわけで、恩給受給者の待遇について基準が不明確になるのであります。行政の運営に一定の基準が必要であることは行政の原則であります。私は、この恩給のベースアップの総合勘案方式は行政の運営上からも非常に問題だと繰り返し主張してまいりました。この点について、改めて総務庁長官の政治的見解をお伺いしたいと思います。
  156. 金丸三郎

    金丸国務大臣 お答え申し上げます。  恩給改善につきましては、さきの公的年金制度改革に関連し、恩給制度につきましてもこれとのバランスを考慮した見直しが求められ、鋭意検討いたしました結果、恩給のベースアップにつきましては、昭和六十二年度以降公務員給与改善物価の変動等諸事情総合勘案する方式で行うことといたしておりますことは御承知のとおりでございます。  恩給改定に当たりまして、その改善の指標を何に求めるかにつきましては、従来から、そのときそのときにおける社会経済事情等を勘案しながら、最も適切な指標を採用いたしてきておるのであります。現在の諸情勢のもとにおきましては、いわゆる総合勘案方式によりまして恩給実質的価値維持を測ことが最も適切であると考えてております。今後とも、恩給国家補償的性格を有する制度としてふさわしい処遇がなされるべきであるという基本的な考えに立ちまして、いわゆる総合勘案方式により恩給実質的価値維持を図ることによりまして、恩給受給者方々処遇改善努力いたしてまいりたい、かように考えております。
  157. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 実質的価値維持ということが本当に行われているかどうか、それについてやはり基準が明確でなければならないということを私たちは主張するものであります。この点は総務庁の方の繰り返しの見解がありますので、この程度でやめておきます。  次に、戦後処理問題について質問いたします。  去年、平和祈念事業特別基金法が採決されたときに附帯決議が付されました。その中で、「恩給欠格者に対する慰労の個別的措置については、引き続き検討を加えた上、速やかに実施するよう努めること。」というのがありますが、この内容の附帯決議を政府としてはどのように処理しているのか、このことをお伺いします。
  158. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答え申し上げます。  お示しの恩給欠格者に対しましては、基金の運営委員会の報告も踏まえまして、外地勤務者で加算年を含めて三年以上の方に書状を贈呈するとともに、このうち七十歳以上の方には高齢者から順に銀杯をあわせて贈呈するという措置を講じたところでございます。
  159. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 しかし、附帯決議をつけるときの状況を考えてみますと、シベリアの抑留者に十万円の慰労金があるのに恩欠者には何も出ないというのは問題であるということになりまして、あの附帯決議が付されることになりました。附帯決議の協議の段階では、最初は慰労金の個別的措置となっておりましたけれども、自民党の方から慰労金の「金」というのは取ってくれということがありまして、趣旨はそういうことだと理解してこのようになったという経過があります。こういう状況から見ても、当時は慰労金の支給が問題になったのでありまして、附帯決議が言っております個別的措置というのはあくまでも慰労金の意味であります。ですから、今おっしゃったようなことでは関係者が納得することができないと言われるのは当然であります。  この書状、銀杯の贈呈というのは、恩欠者が求めている軍歴の厚生年金や国民年金への通算、あるいは個人補償、個人給付金ということから見れば非常にかけ離れているわけであります。しかも、その書状の贈呈というのは、内地勤務者を外しまして外地勤務者に限定されておりまして、その上、加算年を含めて三年以上の者、そのうちで七十歳以上の者に銀杯を贈呈するという、二重にも三重にも絞り込んでおりますけれども、この絞り込んでいる理由は何でしょうか。
  160. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答え申し上げます。  今回の措置につきましては、基金の運営委員会におきまして関係者の要望や他の戦争犠牲者との均衡等も考慮して協議した結果取りまとめられた報告書を踏まえて検討したところでございまして、これが適当であると判断いたさせていただいた次第でございます。
  161. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いや、三つになりますか、そういう要件がつけられたのはどういう理由かということであります。運営委員会で検討した結果ではなくて、それは政府としても考えがあるのでしょうからわかるはずですが、その絞った理由をお伺いします。
  162. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えいたします。  内地勤務者にも支給すべきではないかという先生の御指摘であろうと存じますが、今回の措置は、恩給欠格者が危険な戦地に従事したにもかかわらず軍歴期間が短いために年金恩給を受給できないということにかんがみまして、国として慰藉の気持ちをあらわすために書状等を贈呈しようとするものでございまして、対象者につきましては他の戦争犠牲者との均衡等をも考慮してさように決めさせていただいたということでございます。
  163. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 利が匿いておりますのは、今言いましたように外地勤務者に限定するとか、それから加算年は三年以上と決める、そして七十歳以上の人には銀杯をあわせ贈呈する、こういうことなんですけれども、こういう限定というのをなぜしなければならないのか。加算年の限定に加えて外地勤務者だけ対象者にする。そして、こういうことを考えました場合に、外地勤務者という場合は大抵加算年があります。内地勤務者でも長い間御苦労された人がおられるわけです。内地勤務者も当然対象にすべきだ、御苦労に対する慰藉なんですから当然対象にすべきだというように思うのですけれども、その点についての見解、なぜ内地勤務者は対象にしないのか、お伺いします。
  164. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えいたします。  重ねての御答弁で恐縮でございますが、本件は関係者の要望や他の戦争犠牲者との均衡、つまり国内の場合でございますれば、今次大戦におきましては国民の皆さんがそれぞれの立場で大変御苦労なさった次第でございまして、一つ一つといたしましては、一般戦災の死没者とか家をなくされた方、それぞれ国民一人一人がそれぞれの立場におきまして大変な御労苦をいただいたということでございまして、そういう方々との均衡等も考慮した、外地における状態と申しますのはやはり格別の御苦労があった、こういうことに着目してさようの措置を講じさせていただいた、こういうことであります。
  165. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 どうも納得しないのですけれども、それでは、恩欠者に対する書状、銀杯の贈呈が、今言いましたように外地勤務者で加算年を含めて三年以上の者が対象とされるというのですが、対象人員というのはどの程度と見ておられますか。それから、七十歳以上の人はどの程度というふうに見ておられますか。
  166. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えをいたします。  恩給欠格者のうち今回の書状等の贈呈の対象となります外地勤務者で加算年を含めまして三年以上の方の数につきましては、昨年度から平和祈念事業特別基金において実施しております恩給欠落者に係る基礎調査において推計することといたしておりますが、現時点におきましてはまたしかとした確たる数字は把握していないところでございます。
  167. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 推定もわからないのですか、確定ではなくて推定される大まかなところは。それもわかっていないのですか。
  168. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えをいたします。  先生御案内のとおり、総数といたしましては二百七十五万人という数字が見込まれてございますが、そのうちこの方々に該当する方々がいかほどかということは、先ほど申しましたとおりでございまして、しかと推定するにはまだ確たる基礎を持っていないところでございます。
  169. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 初年度は書状と銀杯の贈呈者を一万五千人で予算計上がされております。今おっしゃいましたように恩給欠格者は全体で二百七十五万人と推定されております。贈呈の対象者ということになれば、今推定数も言えない状況のようでありますけれども、これはあの戦時中ですから激戦地に行った人がたくさんあるわけで、仮に百万人だということになっても、この一万五千人というペースになりますと七十年かかってしまうわけです。そうなりますと、そういう贈呈を受けないうちに亡くなられるということになります。この書状や銀杯の贈呈は何年ぐらいで終わる計画ですか。
  170. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えをいたします。  先ほど先生に御説明申し上げましたが、平成元年度では書状は一万九千人、それから書状及び銀杯の方は一万五千人を処理するということといたしてございますが、これは贈呈の初年度であるということ、それから申請受け付けの時期、あるいはその平和祈念事業特別基金における事務処理能力を勘案して、私どもとしてできる数字ということで算定さしていただいたところでございます。  なお、先ほども申し上げました基礎調査というのは、昭和六十三年度及び本平成元年度の両年度にわたりましてしっかりとした調査をいたしまして、それを踏まえまして可及的速やかに対処をいたしてまいりたいと思っております。
  171. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 結局いつになるかわからないというのが今の答弁だと思うのです。いつになるかわからないのにこれを附帯決議の言う個別的措置だと言うのは余りにも該当者をないがしろにする話だと思うのです。  今年度の予算でつけられております今言われた恩欠者の基礎調査費の問題ですが、通常こうした調査というのは、関係者の要求を政府が実施するために実態を調査するというケース、これが通常の場合であります。恩欠関係者は、基礎調査が終わったら今度は恩欠者の個人給付だというように思っている人がたくさんおられます。今回の基礎調査というのは個人補償あるいは個人給付を実施するための前提という趣旨で行われるのではないのですか。
  172. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えを申し上げます。  先生お示しのその恩給欠格者に関する基礎調査は、恩給欠格者に関する基礎的データを得て基金事業の推進に資するためのものでございまして、昭和六十三年度に引き続きまして、都道府県等が保管します陸海軍軍人の兵籍簿から恩給欠格者を抽出し、在職年別、年齢別等の恩給欠格者を推計しよう、こういうねらいで実施しているものでございます。
  173. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ということになりますと、結局恩欠者に対しては実質上何にもしていないということになります。そういうことではやはり恩欠者の皆さん方、運動を進めてこられた皆さん方が決して納得はされないわけであります。  次に、シベリア抑留者の関係でお伺いしますが、今年度の予算でシベリア抑留者関係で基金の補助金として慰藉事業五億円というのが計上されておりますが、この予算の内容というのはどういうものなんですか。
  174. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えいたします。  戦後強制抑留者につきましては、これらの方々が終戦後酷寒の地で強制労働に従事するなど格別大変な御苦労をいただいたということにかんがみまして、平成元年度に限り、特にこれらの方々に対する慰藉事業のため五億円を計上することとしたものでございます。その事業内容につきましては、平和祈念事業特別基金において関係者の意見を聞いて、これを尊重してまいる、こういうことで対処していこう、こういうことになってございます。
  175. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 予算をつけるという場合は、慰藉事業ということであればその慰藉事業の内容というものが出て、慰藉事業のうちでこれこれをやるということが決まって予算がつけられるというのが普通なんですが、これは非常に珍しいケースですけれども、こういう予算のつけ方、こんなことは今まであったことでしょうか。
  176. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えをいたします。  戦後強制抑留者に対します慰藉事業ということについては決まっておりますが、その具体的内容につきましては、事業をより効果的に行うため、関係者の要望を尊重しながら基金の運営委員会において検討する、こういうことにいたしているものでございます。
  177. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 御答弁は中身に入れないようでありますが、それじゃ、この予算が計上された経過を説明していただきたいと思います。
  178. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えをいたします。  この事業費につきましては、予算編成の過程におきまして政府・与党間で調整が行われ、これに基づいて予算が計上されたということであります。
  179. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 今年度のほかの基金の補助金を見ますと、みんな基金の運営委員会の報告に基づいてつけられております。しかし、この慰藉事業五億円というのは報告の中に入っておりません。運営委員会の報告に基づかなくても予算補助がつくという前例をつくっていただいたわけでありますが、なぜこの補助金だけが運営委員会の報告にないのに予算計上されたのか。それは何か特別な理由があったと思うのですが、その理由をひとつお示し願いたいと思います。
  180. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答え申し上げます。  先生、繰り返しての答弁で大変恐縮でありますが、戦後強制抑留者の方々は、戦後酷寒の地で強制労働に従事するなど大変御苦労があった、こういうことにかんがみまして、平成元年度に限りまして、特にこれらの方々を慰藉するという措置でもって予算措置が講じられた、かように理解をいたしております。
  181. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それもその枠から出ないようでありますが、聞くところによりますと、自民党の相沢議員が会長をしていらっしゃる運動団体に慰藉事業を委託するという形で補助をするというように聞いております。また、巷間そう言われております。そうした事実はあるんでしょうか。
  182. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えいたします。  そのような事実があるということは承知をいたしております。
  183. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 おります、ですか。
  184. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えいたします。  ただいま先生の御質問がちょっと私、聞き取れなかったものですから、承知しておるかということでございましたので、そのような要望があったということは承知しております。
  185. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その慰藉事業を相沢議員が会長をしていらっしゃる運動団体に委託する、そういう要望でなくてそういう計画、これはまだ予算が通っていませんけれども、計画なり事実なりあるのですか。
  186. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えをいたします。  当該予算が成立いたしましたならば早急に、基金に設けられております運営委員会においてこれが議論されまして、その方向づけについてどのようにするかということが決せられると考えております。
  187. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 運営委員会でやるということですが、運営委員会では、そのように運動団体に慰藉事業を委託するという形で補助金を出す、そういうことに決める、そういうことは運営委員会はできるのですか。
  188. 文田久雄

    ○文田政府委員 この予算が通りましたならば、先ほど来申し上げておりますとおり、運営委員会において関係者の意見を聞いて、一番効果的な使い道は何かということを議論いたしまして、基金の方に提言を提示していただけるというふうに考えております。
  189. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 提言において、相沢会長の運動団体に慰藉事業を委託するということを決めることがあり得るのですか、どうですか。そういうことまで決められるのですか。
  190. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えをいたします。  本件は基金の運営委員会が自主的な判断を持って議論されることであろうと存じますので、今まだ、これがどういうふうになるかということについて軽々に私の方からお答えできかねるということであります。
  191. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 もしそういうことになればこれは重大な問題だと思います。シベリア抑留者の運動団体は二つあります。それを、補助金を使って特定団体に利益を与えるようなことをするのは、行政の中立性という点から非常に問題であります。そういうおそれがあるということは、この補助金の不明瞭な内容や補助金が計上される過程から見ても極めて強いのであります。結果としても特定団体を利するような補助金の使い方はやめるべきであるというふうに考えております。そうあるべきだと思うのですけれども、その点について見解はどうなんですか。
  192. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えを申し上げます。  先生御案内のとおり、基金に置かれております運営委員会先生方は十人をもって構成されてございます。それぞれ大変御見識のある方々をもって構成されておりますので、その使途等につきましての方向づけと申しますか、それにつきましては適切な指針を示していただけるものであろう、かように確信をいたしております。
  193. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 運営委員会の結論というのがもちろん今おっしゃったように公正なものであるだろうということは疑わないようにしたいと思いますけれども、今巷間問題になっておりますように、二つの団体の中で一つの団体に補助金を出すということになれば、これは非常に不公正な行政になるわけであります。そういうことがないと言えるのかどうか、もう一遍お伺いします。
  194. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま先生から御指摘のありましたことは私の方から基金の方によろしくお伝えをいたしておきたいと存じます。
  195. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 戦後四十四年になろうとしておりますが、戦後処理問題というのはけさからずっと議論がございましたようにまだ解決されていないのであります。これは四十四年間の長い間、考えてみれば、結局は政府・与党が戦後処理問題に対して極めて消極的な態度であったということが言えると思うわけであります。去年基金法が提出されたときに、政府と自民党の間に基金法をもって戦後処理問題は終結するという合意を発表しております。この合意というのは、現に戦後処理問題は存在するにもかかわらずこれを終結するというのでありますから、戦後処理問題に対する政府・自民党の消極的態度を端的に示すものであるというように見るわけであります。そして、この戦後処理問題の終結宣言というのは、これは一九六七年に次いで二度目の宣言になります。終結宣言が二度出るということ自体が宣言とこの現実との間の矛盾が存在することを示すわけであります。また、現実に戦後処理問題があるのに終結宣言をするというのは極めて政治的な宣言、こう見ざるを得ないと思うわけであります。  そこで、念のために聞いておきたいのですが、この政府と自民党の合意あるいは了解事項というのがありますが、これは法的な根拠はないと思いますし、国民への法的拘束力は全くないものだというように理解しておりますが、それはそれでよろしいですか。
  196. 文田久雄

    ○文田政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま先生お示しの了解は、当該問題の処理に関しまして今後の取り扱いについて政府と与党間においてそごを来すことのないよう、こういうことを確認するために行われるものであろう、政府としてもそれを踏まえて対処をしていくものである、かように理解をしているところであります。
  197. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その合意に政府がすべて縛られなければならない、そういう性質のものではない。政府と与党との、政党政治における政治の進め方をめぐるものであるというように理解するのですが、問題は、こうした合意があるからということで戦後処理は終結したんだというのは、極めて政治的に戦後処理を終わらせようというやり方と言わなければならないと思うわけであります。この戦後処理問題というのはまだたくさん残っておりますし、恩欠者の問題、シベリア抑留者の問題、在外財産の問題、まだまだこれは重大な問題を残したままでありますし、基金法によって終わるべき性質のものではないと思います。これから解決に積極的に政府が取り組んでいかなければならない問題であると考えております。  政府の戦後処理問題の基本姿勢というものを見ますと、戦争の損害というのは日本の国民全員が受忍をするべき性質のものだということを前提にされて、そのバランスの上で施策を考える、その範囲でしか考えていないということであります。これは戦争に対する責任、戦争犠牲に対する責任を国が果たすという方向と違っておりますし、国が責任を果たすという方向で姿勢を抜本的に転換する必要があるということを指摘して、質問を終わりたいと思います。
  198. 玉生孝久

    玉生委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  199. 玉生孝久

    玉生委員長 この際、本案に対し、宮里松正君から修正案が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。宮里松正君。     —————————————  恩給法等の一部を改正する法律案に対する修正  案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  200. 宮里松正

    宮里委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げます。  施行期日について、原案では一部のものを除き「平成元年四月一日」といたしておりますが、既にその日を経過しておりますので、これを「公布の日」に改め、同年四月一日から適用しようとするものであります。  よろしく御賛成いただきますようお願い申し上げます。  以上であります。
  201. 玉生孝久

    玉生委員長 これにて修正案についての趣旨説明は終わりました。     —————————————
  202. 玉生孝久

    玉生委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、官里松正君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  203. 玉生孝久

    玉生委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  204. 玉生孝久

    玉生委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  205. 玉生孝久

    玉生委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、近岡理一郎君外四名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。塚田延充君。
  206. 塚田延充

    塚田委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について速やかに善処すべきである。  一 恩給年額改定については、国家補償としての恩給の性格、恩給受給者の高齢化等に配意し、今後とも現職公務員給与水準との均衡維持するよう努めること。  一 恩給改定実施時期については、現職公務員給与との遅れをなくすよう特段の配慮をするとともに各種改善を同時期に一体化して実施するよう努めること。  一 恩給最低保障額については、引き続きその引上げ等を図るとともに扶助料については、さらに給付水準の実質的向上を図ること。  一 恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃すること。  一 外国特殊法人及び外国特殊機関の未指定分の件について、速やかに再検討を加え適切な措置を講ずること。  一 恩給欠格者等の処遇について検討の上、適切な措置を講ずるよう努めること。  本案の趣旨につきましては、当委員会における質疑を通じて既に明らかになっていることと存じますので、説明は省略させていただきます。  よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  207. 玉生孝久

    玉生委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  208. 玉生孝久

    玉生委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、総務庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。金丸総務庁長官
  209. 金丸三郎

    金丸国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、今後慎重に検討させていただきたいと思います。  どうも本日はありがとうございました。     —————————————
  210. 玉生孝久

    玉生委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 玉生孝久

    玉生委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  212. 玉生孝久

    玉生委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十一分散会      ————◇—————