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1989-06-14 第114回国会 衆議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    六月七日  畑英次郎委員長辞任につき、その補欠として  田名部匡省君が議院において、委員長選任さ  れた。 ――――――――――――――――――――― 平成元年六月十四日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 田名部匡省君    理事 大野 功統君 理事 加藤 卓二君    理事 白川 勝彦君 理事 虎島 和夫君    理事 前田 武志君 理事 田並 胤明君    理事 木内 良明君 理事 木下敬之助君       粕谷  茂君    瓦   力君       久野 忠治君    園田 博之君       谷垣 禎一君    畑 英次郎君       穂積 良行君    宮下 創平君       阿部未喜男君    伊藤 忠治君       上田 利正君    松前  仰君       阿部 昭吾君    佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村岡 兼造君  出席政府委員         郵政政務次官  月原 茂皓君         郵政大臣官房長 松野 春樹君         郵政大臣官房人          事部長     桑野扶美雄君         郵政大臣官房経         理部長     小野沢知之君         郵政省郵務局長 田代  功君         郵政省電気通信         局長      塩谷  稔君  委員外出席者         郵政大臣官房審         議官      江川 晃正君         逓信委員会調査         室長      辛島 一治君     ――――――――――――― 委員異動 六月三日  辞任         補欠選任   小澤  潔君     谷垣 禎一君   町村 信孝君     加藤 卓二君 同月六日  辞任         補欠選任   島村 宜伸君     大野 功統君   吹田  愰君     宮下 創平君 同月八日  辞任         補欠選任   深谷 隆司君     渡辺美智雄君 同月十四日  理事町村信孝君同月三日委員辞任につき、その  補欠として加藤卓二君が理事に当選した。 同日  理事島村宜伸君同月六日委員辞任につき、その  補欠として大野功統君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第五  九号)  お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第六〇号)      ――――◇―――――
  2. 田名部匡省

    田名部委員長 これより会議を開きます。  この際、一言あいさつ申し上げます。  このたび委員長に就任いたしました田名部匡省でございます。  御承知のとおり、当委員会は、郵政事業を初め電波放送等国民生活に密着した逓信行政を所管いたしており、その使命はまことに重大であり、職責の大きいことを痛感いたしております。  幸い、当委員会は練達堪能な先生方ばかりでありますので、皆様方の御協力を得まして、微力ではございますが、公正円滑な委員会運営を進めて、この重責を全ういたしたいと存じます。  何とぞ委員各位の御支援、御協力をお願い申し上げます。(拍手)      ――――◇―――――
  3. 田名部匡省

    田名部委員長 理事補欠選任の件につきましてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事二名が欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田名部匡省

    田名部委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は       大野 功統君    加藤 卓二君を理事に指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 田名部匡省

    田名部委員長 次に、村岡郵政大臣及び月原郵政政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。村岡郵政大臣
  6. 村岡兼造

    村岡国務大臣 逓信委員会皆様方に謹んでごあいさつを申し上げます。  去る六月三日、郵政大臣を拝命いたしました村岡兼造でございます。  田名部委員長初め逓信委員会皆様には、平素から郵政行政の適切な運営につきまして格別な御指導を賜り、厚く御礼を申し上げます。  私が所管いたすことになりました郵政行政は、電気通信放送分野郵便、為替、貯金及び簡・易保険郵便年金事業のいずれをとりましても、国民生活と極めて密接なかかわりを持つものであり、私は責任の重大さを痛感しているところでございます。  私は、もとより微力ではございますが、諸先生方の御指導と御助言をいただきながら私どもに課せられた重大な使命を遂行し、さらに一層公共の福祉の増進に努め、国民皆様の御期待に沿うべく渾身の努力を傾注してまいる所存でございます。  何とぞ、先生方の格別の御指導と御鞭撻をお願い申し上げまして、簡単ではございますが、ごあいさつにかえさせていただきます。(拍手
  7. 田名部匡省

  8. 月原茂皓

    月原政府委員 皆さん、おはようございます。  ごあいさつ申し上げます。  去る六月五日に郵政政務次官を拝命した月原茂皓であります。  田名部委員長を初め委員の諸先生方の御指導を賜りながら、全力を挙げて村岡郵政大臣を補佐する所存でございます。  よろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)      ――――◇―――――
  9. 田名部匡省

    田名部委員長 電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府より趣旨説明を求めます。村岡郵政大臣。     ―――――――――――――  電波法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  10. 村岡兼造

    村岡国務大臣 電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における無線通信技術進歩等に対処するため、主任無線従事者制度に関する規定を定める等無線従事者に関し所要措置を講ずるとともに、国際電気通信条約に附属する無線通信規則等改正に伴い、船舶地球局等運用要件整備する等のため所要改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案概要を御説明申し上げます。  まず第一に、無線従事者でなければ行ってはならないこととされている無線局無線設備操作について、免許人により選任されその届け出がされた主任無線従事者の監督のもとであれば、無資格者も行えることといたしております。  第二に、免許人は、主任無線従事者定期講習を受けさせることとするとともに、郵政大臣は、その指定する者に当該定期講習事務を行わせることができることとしております。  第三に、無線従事者資格区分陸上海上及び航空における電波利用実態に応じたものに改め、あわせて資格の名称も改めることといたしております。  第四に、指定試験機関に行わせることができる無線従事者国家試験の実施に関する事務について、現在一定の範囲に限られているものを全部または一部に拡充することとしております。  第五に、船舶地球局及び航空機地球局に関し、これらの無線局遭難通信等を取り扱う無線局として位置づけられることから、当該無線局免許手続に関する規定整備することといたしております。  第六に、遭難通信等について、新たな海上安全システムに対応した方法により行う無線通信を含めることとしております。  第七に、公衆通信等疎通を確保するため、海岸地球局航空地球局等運用義務時間を定めることといたしております。  第八に、遭難通信等疎通を確保するため、船舶地球局航空機地球局等聴守義務を定めるとともに、遭難通信等に関する運用手続整備することとしております。  以上のほか、所要規定整備を行うことといたしております。  なお、この法律施行期日は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしておりますが、無線通信規則等改正に伴う規定については、本年十月三日または平成三年七月一日等から施行することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  11. 田名部匡省

    田名部委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  12. 田名部匡省

    田名部委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤忠治君。
  13. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 まず初めに、大臣、御就任おめでとうございました。  最初に、今回の電波法改正案でございますが、今も趣旨説明がございましたが、この改正ポイントなんですね、私はこういうふうに考えているわけです。その柱は二つあるんじゃなかろうか。一つ無線局従事者制度改正、もう一つの柱は国際通信規約、つまりRR改正、この二本柱ではなかろうか。  しかも、この改正背景といいますのは、これも二つございまして、一つインマルサット、もう一つGMDSS、これは一九九二年の二月一日に全世界的に導入を図る、しかも一九九九年には世界ネットとしてこれを完成させていく、こういう背景があるのではないか。一言で言えば、今回の法改正ポイントと動機といいますか、こういうふうに理解をさせていただいているのでございますが、非常に大きな問題でもございますので、冒頭ではございますけれども大臣の方から、その辺の説明をお願いできれば、このように思います。
  14. 村岡兼造

    村岡国務大臣 お答え申し上げます。  先生のおっしゃるとおりでございまして、今回の電波法改正は、無線従事者制度に関する改正国際電気通信条約附属無線通信規則改正に伴う規定整備をその内容とするものであります。  無線従事者制度関係改正内容でございますが、無線局選任される主任無線従事者のもとで無資格者による無線設備操作を認めることとし、無線従事者資格区分をその利用分野に応じたものに改めること等により、資格の取得の容易化を図るとともに、無線従事者試験事務民間委譲範囲拡大するものであります。  国際電気通信条約附属無線通信規則改正に伴う改正内容は、船舶地球局航空機地球局等衛星通信を行う無線局に関する規定整備し、新しい遭難安全システムに対応し、無線局運用義務及び聴守義務に関する規定整備し、遭難通信等に関する運用手続整備するものであります。  これら改正背景は、最近の無線通信技術進歩に対応し、電波利用の一層の促進を図る必要があること、並びにGMDSS航空衛星通信システム導入に備えるため、国際電気通信条約附属無線通信規則改正されたため、国内法整備を図る必要がある、以上の提案でございます。  よろしくお願いいたします。
  15. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 これに関連をしまして次にお伺いをしたいのですが、インマルサットネットワーク計画の将来展望、つまり海事通信ですね、船舶通信、これからさらに航空陸上と、このようにネット拡大をしていくために、インマルサットとしては今回のこういう、言うならば国際条約改正などにも取り組んできているわけですから、非常に意欲的だと思うのですね。この点の質問が一点ですね。  二点目は、そのGMDSSを一九九九年に完成させなければいかぬ、それに向けての移行計画ですね、これはどのように議論がされているのか。方向性というのはそれなり方針が確立をされているのかという点についてお伺いをしたいと思いますが、さらに、これは対象船舶適用拡大ということとも不可分じゃないかと私は思っておるのですが、その点についても関連をして説明をいただければありがたい、こう思います。
  16. 江川晃正

    江川説明員 インマルサットは、先生御案内のとおり、ただいまは船舶対象とした衛星通信業務を提供しているわけでございますが、加えまして航空機対象にするということで、航空機対象とする衛星通信業務を提供できるというようにインマルサット条約を昭和六十年に改正いたしました。間もなくこの改正条約発効する見通しでございますので、そうなりますと、各国における提供条件整備というものと呼応しましてサービスが具体的に入っていくというふうになろうと考えております。  さらに、本年一月ですが、電車だとか列車だとかトラックなど、そういう陸上移動体対象とした衛星通信業務も適用できるようにインマルサット条約改正いたしまして、この条約の受諾を今各国に求めているところでございます。  さらにサービスという点で、別の面から見ますと、技術的なことになろうかと思いますが、大容量次世代衛星というものを打ち上げるということも準備中でございまして、あわせて地上のアンテナを小型化する、小さくする、その結果、非常に導入しやすくなる、使いやすくなる、安くなる、そういったようなことも考えて、全体的にいろいろとやりやすい体制をつくろうとしているというのが一つございます。  それで、ただいま先生質問二つ目の、一九九九年に完成予定GMDSS、世界的な海上遭難安全制度というふうに訳してございますが、それの完成への移行につきましては、我々としてはそれぞれまだ検討中でございまして、具体的な手順についてここで御説明できる段階にはございません。  以上でございます。
  17. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今の御答弁の中で、陸上にもインマルサットネットワーク拡大をする、そのことの改正平成元年一月に行った、しかも、将来サービス内容を充実させるという点からしまして、つまり大容量通信ができるという答弁がありました。  そうすると、これは人工衛星でもってグローバルにやられるわけですね。そうしますと、今トラックの話が出ましたけれども国境を越えまして、つまり日本の国内陸上のそういう需要があれば、このネットは当然かぶるわけですから、国内移動通信とその辺は競合しませんか。これはどういうふうに絡みますか。素朴な質問ですが、御答弁いただいた点についてちょっと疑問を感ずるのですが、どうですか。
  18. 江川晃正

    江川説明員 そういう問題が将来発生するかもしれないということは、先生御指摘のとおりかと思います。それにつきましては、それぞれの国内法電気通信事業のあり方というものとの兼ね合いが出てまいりますから、そういう問題が生ずるときには、当然にそれぞれの国内事業法とのかかわりにおける検討がなされることだと考えております。今我々は、そこのところはまだ検討いたしておりません。
  19. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 私もその点を一番心配しておりまして、ずっとお聞きをしていったのですが、通信分野でも、国境をまさに越えて衛星利用してネットが張られていきますと当然そうなりますので、この点はどこまでが国際通信なのか、どこまでが国内通信なのかという既成の概念ではなかなか律することができないぐらい技術進歩が先行していきますので、この点はひとつ、問題が起こってから後追いではいけませんので、予測もしながら適正に国内法整備といいますか、その辺をひとつ政府の方としても検討いただきたい、この点を要望しておきたいと思います。  次に入りますが、そのように通信衛星はどんどんと利用拡大していくわけですが、民間衛星は、軌道なり電波割り当てというのは国際機関でもってそれなりに決められまして、参加各国の合意を得まして実行に移されていく、こういう手順が生まれていると思うのですね。ところが、片や軍事衛星はその範疇に入っているのかどうかということを私は疑問に感じるわけです。  なぜかといいますと、私の入手しました資料によっても、今いわゆる人工衛星というのは宇宙にどれくらい飛んでおるのかということなんですが、記憶に間違いがなければ、これはもう明らかに米ソの数が際立って多いわけでありまして、両国合わせまして三千個に近いと思っております。そうしますと、けた違いの多くの人工衛星が、あれは静止衛星じゃありませんから、移動衛星ですから、軌道を決めなければいかぬということにはならぬのでしょうけれども周波数なんかについては、これはやはり特定されないことには通信に混乱が起こるんじゃないか。しかも数はそんなに多い。民間のこういういわゆるノーマルな衛星と比べますと、極端に数が多いわけですね。そういう軍事衛星の言うならば利用に関しては、国際的にチェックをする、そういうシステムが存在をしているのかどうか。郵政省としてもそういう問題についてタッチできる、そういう部分があるのかどうか、この点について質問をさせていただきます。
  20. 塩谷稔

    塩谷政府委員 おっしゃった点は、確かに問題点としてあるわけでございまして、民間通信衛星、これは一般的に衛星の打ち上げに関することということでございまして、衛星の打ち上げに際しましても、国際電気通信条約に定めます手続に従いまして、衛星軌道ですとかあるいは周波数割り当てなどについて国際的に調整するような仕組みになっております。その意味で、事前にも、それから打ち上げた後、事後にもチェックすることがきちんとなされていると言ってよろしいかと思います。  ただ、このITU条約電気通信条約によりましても、この三十八条によりますと、軍用無線設備、これは各国とも必ずしもこの条約に従うことなく使用できるということのようでございまして、国際電気通信条約の三十八条でございますか、「国防機関設備」と題しまして、「連合員は、その陸軍、海軍及び空軍の軍用無線設備について、完全な自由を保有する。」ということの規定がございます。これによりますと、各加盟国は、軍用無線設備につきましては、必ずしもその条約に従うことなく使用できるということでありますので、今先生おっしゃいましたように、軍事衛星ということであれば、国際的な調整が行われずに軌道なり周波数が使用されることもあり得るということになるわけでございます。  これは、しかし、同じ条文でもこういう規定がございまして、その次の二項でございますが、「もっとも、」その前号の「設備は、遭難の場合において行う救助に関する規定、有害な混信を防ぐためにとる措置に関する規定」など、それから「周波数に関する業務規則規定を、当該設備が行う業務の性質に従って、できる限り遵守しなければならない。」とありまして、専らプロパー軍用に使われる、秘密に偵察衛星みたいに使われるという場合は、これはやむを得ない場合があろうかと思いますけれども、なるべくそういう一般的な業務規則規定などをできる限り遵守しなければいけないというようなこともありますし、それから「公衆通信業務その他業務規則によって規律される業務参加するときは、原則として、これらの業務に適用される規定に従わなければならない。」という規定もありますので、こういった条約の遵守の面からのチェック機能というものをも期待せざるを得ないのかなという気がします。  いずれにしても、問題点としてはそういう点が伏在しているということは事実でございます。
  21. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 軍事衛星問題点答弁いただきましてはっきりしたと思うのですが、これはここで集中してやる問題でもございませんので次に移りますけれども、いずれにしても数が多過ぎますので、恐らく民間利用する通信あるいは電波混信というんですか、それに障害をもたらすということは今日まで余り起きていないのでしょうけれども、こういう状況がどんどんと拡大をしていきますと、将来的にはそういうことも考えておかなければいかぬし、どのようにチェックをするかということは、やはり我が国の政府としても、そういうスタンスでもって絶えず関心を持っていかなければいかぬ問題ではなかろうか、このように私は思っておりますが、いずれにしても実態について了解をいたしました。  次ですが、船舶安全法改正電波法改正との関連についてお伺いをいたします。これは個別に対処できるものなのか、セットでいかなければいけないものなのか。船舶安全法の中身、この場では扱わないものですから私もちょっと中身不案内で、したがってそういう質問をいたします。もう少し詳しくといいますか、掘り下げて申し上げれば、ITURRSOLASとの関連がどういうふうに起きてくるのかという点について、ひとつ省としての考え方を聞かしていただきたい、こう思います。
  22. 塩谷稔

    塩谷政府委員 お答え申し上げます。  GMDSS導入のために、関係あるいろいろな国際条約を含めまして諸規定改正する必要が出てくるわけでございますけれども、今回の電波法改正船舶安全法改正との関連について申し上げますと、その前に、GMDSS導入のための国際条約として、御存じのとおり、ITU国際電気通信連合国際電気通信条約附属無線通信規則、いわゆるRRと呼ばれております規則と、それからIMO、国際海事機関SOLAS条約がございます。  無線通信規則関係でございますけれども無線通信規則、これはGMDSSにおきます。波数、それから技術、それから運用手順を定めたものでございまして、予定といたしましては、平成三年の七月に発効予定でございます。今回の電波法改正では、このGMDSS関連無線通信規則、つまりこの限りでの無線通信規則改正を受けて電波法改正を図ろうとするものでございます。  それからSOLAS条約、これは、船舶に施設すべき無線設備ですとかあるいは無線設備型式検定義務を定めておりまして、SOLAS条約改正平成二年二月にその発効が確定して、平成四年二月に発効する、こういうスケジュールでございますので、その間に、その改正発効までに、今おっしゃいました船舶安全法、それから電波法、こういった法規を含めまして所要国内法整備が必要になるというふうに考えております。
  23. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 ということになりますから、SOLAS条約改正してスタートします平成四年の二月、これに向けまして、これはハードの部分でありますから、それに向けまして船舶安全法改正が当然行われ、これとの関係で、SOLASとの関係電波法改正も必要になるだろうという御答弁ですが、いつごろの改正を想定されますか。
  24. 塩谷稔

    塩谷政府委員 その点につきましては、この平成二年二月にSOLAS発効確定いたしまして、そしてそれから平成四年にかけてSOLAS発効ということになりますので、この平成二年から四年にかけて船舶安全法なり電波法改正スケジュールに上ってくるというふうに考えております。
  25. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 ですから、郵政省としてはさらにまた、このSOLASに係る電波法改正をやらなければいかぬのですね。だから、今後の方針といいますか、いつごろ改正をしたいとお考えなのか、現時点で固まっております考え方についてお聞かせいただきたい、こういう意味であります。
  26. 塩谷稔

    塩谷政府委員 何らかの所要改正はすることになろうと思いますけれども、このSOLAS条約に対応してどういう法律改正が必要かということにつきまして、これは電波法船舶安全法、それぞれどういう改正が必要になるかということでもございますので、今後政府部内で検討を行う必要があろうということでございますので、私どもは、その政府部内の検討ということに照準を合わせて考えていこうかなというふうに思っております。
  27. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 いずれにしましてもそういう課題が今後出てくるわけでございますから、やっぱりこういう問題がまた改正としては必要なんだよというようなことが委員会としても、事前段階からいろんな雰囲気なりあるいは場面においてわかっていきますように、また、私たちも事前から検討参加ができますように御配慮いただきたい、このように思います。  次に移りますが、ナブテックスサービス沿岸海域用海上安全情報といいますか、これの現状についてお伺いをしたいと思います。私はこの部分を読んでおりまして、海上安全情報ネットですから、大海を航行する船舶についてはそういう情報日常不断に流される、で、安全航行がより確保されるというネットワークなのでありまして、万が一遭難をするだとかあるいはSOSを発しなければいかぬというときにはもちろん大きな威力を発揮する、こういうことなのであります。ところが、「なだしお」の海難事故を経験しているわけでありますが、我が国の、東京湾に代表されますように非常に航行する船舶の数が、しかも大きい船から小さな漁船に至るまで入り乱れておりまして、混雑海域といいますか、こういう海域の安全対策というのは極めて重要だろうと思うのです。その点について、当然所管は海上保安庁になるんですが、何ですか、グローバルなネットとしてここまで進んできている今日ですからね。やはり、近海なり港の中のそういう航行安全の管制業務というのですか、そういうものがやられているのかなという疑問を持ちましたし、そのことと関連をして、今回のナブテックスサービスとかかわって郵政省がどういうメリットを、湾内を航行する混雑海域の安全対策にも役立つようなサービスとしてこれが提供できていくのかという部分についてお尋ねしたいと思います。
  28. 塩谷稔

    塩谷政府委員 ただいまお尋ねのナブテックスサービス、沿岸向けのいろいろな無線航行警報の調整などいろいろなサービスが行われているわけでございますが、せんだっての大きな事件がございましたので、船舶の衝突防止、これは今おっしゃいました東京湾の非常な密集地帯などにはこういった要請、その必要性が強いわけでございまして、私どもも重要な問題であるということを認識しております。これはひとり郵政省に限らず、せんだっての事件、これはちょっと話がさかのぼるようでございますけれども、第一富士丸事件にかんがみまして「船舶航行の安全に関する対策要綱」というのを政府の中でいろいろ検討してまとめたわけでございます。その中で、   海上交通の安全を期するため、政府関係機関においては今後とも海事関係者に対してルールの忠実な遵守、シーマンシップに従った行動、良好なマナーの重要性についてあらゆる機会をとらえて徹底するとともに、とくに船舶運航者等に関して次の措置を講ずる。とありまして、そのうちの一つとして、   船舶輻輳水域における船舶相互間の直接の連絡を補完するため、国際VHF無線電話を設置している船舶については、可能な限りその共通の周波数の聴守を行うこと としております。このほか別の項におきましては、   旅客の安全を確保するため、緊急事態の発生時に救助機関等に対する無線電話その他の通報手段の確保を促進する。 というようなことですとか、これは将来の課題になっておるわけでございますけれども、   次の安全対策について検討・研究を進める。 としまして、「連絡体制船舶相互間の連絡の容易化検討」というようなことで、あの時点から以降いろいろ検討を進めてきたわけでございます。  ところで、今回の電波法改正でございますけれども、六十五条の第四項第三号におきまして、一定の船舶局に百五十六・六五メガヘルツの周波数の聴守を義務づけたところでございます。これは、要するに衝突を避けるように船舶相互間の通信連絡用の周波数帯として十三チャンネル、VHF帯の周波数があるわけでございますが、この百五十六・六五メガヘルツの周波数を必ず聞いておくことを義務づけて、おりまして、これによって、ふくそうしている、込み合っている海域における船舶の衝突の未然防止に寄与するものと私ども期待しているわけでございます。  ちなみに電波法六十五条四項でございますけれども、「次の表の上欄に掲げる無線局郵政省令で定める周波数の指定を受けているものは、」「同表の三の項に掲げる無線局にあっては郵政省令で定める時間中、その無線局に係る同表の下欄に掲げる周波数で聴守しなければならない。」ということで、船舶局は百五十六・六五メガヘルツの周波数を聴守しなければならないということで、何としてでもこういった不幸な衝突事故は避けていきたいということでこういう改正を志した次第でございます。
  29. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今回の改正に伴ってそういうふうに施策を講じられているというのは私は非常にいいことだと思いますが、そうしますと、こう理解していいのですか。  保安庁がやっておりますのはレーダー監視ですよね。船がどのように動いているか、危ないよとかどうだとかコントロールをやると思うのです。それは保安庁がやるのですが、省が今説明されましたのは、言うならば船と船の間の通信をやりて衝突しないように安全確保を図る一助にする、こういう分担、役割を果たすのだというように理解してよろしゅうございますか。
  30. 塩谷稔

    塩谷政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  31. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 いずれにしても、海難事故を防止する、不幸にして起こった場合には人命救助などを速やかにやるということでGMDSSなんかの体制がしかれるという今回の問題でございますから、ぜひともそういう立場に立って積極的な対応をお願い申し上げたいと思うわけでございます。  次に、無線従事者制度についてお伺いをいたしますが、三点ございまして、一点目は、これは我が国独特の制度なのかどうなのか。諸外国は似たような制度をとっているのか、全く別なのか。これも先進国の例で結構でございますが、わかっておれば簡単に特徴的に説明いただければありがたい、これが一点目でございます。  二点目は、今回の改正の動機とでもいいましょうか、行革審ももちろん業務独占から必置義務というように答申を出しているわけですが、そのことよりも関係業界の意見が非常に強く出されまして、そういう動向を踏まえて改正に踏み出されたという気持ちの方が強いのか、この点をお伺いしたい。  三点目は、関係業界の事前の意見聴取は、どのような団体からどのようにして、いつごろ行われたのか。  以上三点について御説明をいただきたいと思います。
  32. 塩谷稔

    塩谷政府委員 三点についてお答え申し上げます。  まず、我が国の今度の制度が独特なものなのか、諸外国の例はどうかというお尋ねでございますが、諸外国におきましても我が国と同様、基本的には先ほど来話が出ております国際電気通信条約附属無線通信規則RR)に準拠して、無線設備操作に関して資格主義をとっているところでございます。  その資格でございますけれども無線従事者に相当する各国資格範囲あるいは性格、これは各国の無線利用実態等に応じて多少異なる面もありますが、アマチュア無線局の運用に関する資格のように、国際的に共通した資格も存在しております。それから、我が国の無線通信士に類似した資格といたしましては、これはアメリカでございますが、無線電信第一級、第二級、第三級通信士とありまして、そのほかに海上無線通信士あるいは限定無線電話通信士などがあるようでございますけれども、一級、二級、三級の無線電信士などは似たようなところだと思います。  それから、英国では一級、二級、特別、こういった種類の無線通信士などが存在しているようでございます。  二番目のお尋ねでございますけれども改正の動機。確かに行革審でございますけれども、行革審の六十三年十二月一日の答申におきましては「無線従事者について、無線通信に係る技術進歩に対応し、資格の種別、試験内容及び無線設備操作範囲の見直しを行う。」旨が指摘されておりまして、今回の改正は基本的にはこの答申の趣旨を踏まえまして、無線従事者資格のあり方の全体を見直すということにしたわけでございます。  特に、今先生もお尋ねの中にちょっとニュアンスとしておっしゃっておられましたけれども、こういった行革審の指摘もございますけれども、これからの無線従事者というもののあり方を考える場合に、世の中の無線というものについての実態的な動向を無視できないのではないかと私は思うわけでございまして、有線もそうですけれども、無線というものは今飛躍的に使われてその需要が伸びている、特に移動体通信などというのはこれからの通信の主流を担っていくことになろうかと思いますけれども、そういったときには何といっても無線でございまして、この無線の業務に従事する者は従来の資格を取った人、例えば船でいきますとモールス電信とか無線電話とかレーダーとか海上通信設備とか、それぞれの無線設備ごとに無線従事者を置かなければいけなかったというようなことで、無線従事者というものに対して非常に需要がふえている反面、細かいところまでいろいろ無線従事者を配置しなければいかぬということになりますとその需要に応じ切れない。もっと簡単に無線従事者資格を取っていくことも必要ですし、あるいは一つ無線局に有資格で経験のある無線従事者がいれは、その人の監督のもとで、比較的簡明になった、使い方の容易になった機械を使う、そういう無線設備を使うということになれば、無資格者を置いて、いわゆる業務独占でなくて必置という格好で対応できるのではないか、そういう意味での主任無線従事者というような制度を導入することも考えられるのじゃないか、そういった実態的な動向に合わせた改正ということも動機の一つになっていると申し上げたいと思います。  三点目でございますけれども、今回の改正は、今申し上げましたように、主任無線従事者の監督のもとで無資格者による無線設備操作を認めるということにしました関係で従来の無線従事者制度を見直すことになっておりましたので、事前に経団連等いろいろな団体、これは移動無線センター、全国陸上無線協会、自動車無線連合会あるいは全国漁業無線協会、各般にわたる無線サービス関係の深い団体から幅広く意見を聴取いたしまして調整を実施したところでございまして、関係業界の要望には十分配意したつもりでございます。
  33. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 関係団体の中には船舶通信士労組も該当すると私は思うのです。この組合は結構、無線通信士の皆さんを組織されている労働団体なのですが、その団体とは事前に意見交換、意見聴取というのはされているのですか。
  34. 塩谷稔

    塩谷政府委員 今お尋ねの船舶通信士労働組合、これも今申し上げました意見聴取をいたしました団体に入っております。
  35. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 その意見聴取をされたときに、当該の労働組合からはどういう要望なり意見が出されましたでしょうか。
  36. 塩谷稔

    塩谷政府委員 意見聴取した限りでは、いたずらに無資格者範囲を広げるのは問題ではないかというような御指摘、あるいはそれと裏腹にあろうと思いますけれども業務独占の範囲を明確にしろ、こういうような御意見があったように聞いております。
  37. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 私も直接意見を聞いていませんので、そういうやりとりがあったということかなというのはそれを信ずるしかないのですが、ただ、手元に請願趣意書が一部来ていまして、この中にこう書いてあるのです。「我が国においてRRおよびSOLAS条約改正に伴う電波法船舶安全法・職員法の改正に際し、通信士の配置を明確にし、船員・乗客の安全が確保されるよう」、これが結論だというふうに思うのです。  私もオペレーターの経験がありますのでよくわかりますが、有資格者というのはそれなりに苦労してこれまではライセンスを取ってきています。今回の改正で、主任者配置ですから、看板を貸してやれば無資格者でも有資格者にかわって代行して業務ができるということになるわけですね。そうすると、これは両面あると思います。資格者としてはこれまではもうその仕事から離れられなかった。ところが、その仕事は当然できますし、さらにほかの業務もやっていくことができる。だから、生涯それに縛り込まれてしまって、自分も他の仕事で能力が発揮できないという不便さもあることは事実なのです。ところが一方では、オペレーターというのは一つの企業の中にどんどん雇われているわけですから、そうなりますと、言うならば何か資格者の値打ち、価値が非常に下がりまして、あなたは看板だけ貸してくれればいいのだということで、例えば企業内におけるその人に対する処遇がどうも軽んぜられるというふうなこととか、あるいは職場の配置がえをされる人も全体の影響の中では出てくるとか、そういう不安が非常に起こるのではないかというふうに私は常識で考えて判断をするわけです。  ですから、今回の法改正によって資格者の中にもさまざまな矛盾を持ちながらも、全体的にはそういう流れが強まっていきますとやはり不安を感じるということについて、それはそうさせてはいけないと思いますので、非常に御苦労いただいて一定の任務をしょって今日まで役目を果たされてきているわけですから、そういう労働不安なり処遇不安がいたずらに起こらないように、その点は郵政省としても積極的な対応をやられるべきではないのか、このように思いますが、どうでございましょう。
  38. 塩谷稔

    塩谷政府委員 今おっしゃいましたように両面二つございますのは事実でございまして、私どもが考えておりますのは、今回の改正によりまして、従来単に御本人が無線設備操作を行っておられたということ、そういう資格者の方が今後主任無線従事者として選任されまして無線設備操作を監督する道が開かれるということ。今先生おっしゃいましたうちの、その設備についていないで、監督ということで多少それを離れて無資格者にそれをやらせて監督するということで、その意味でのほかの仕事にもいろいろ道が開かれて、そういったところでまたいろいろな仕事の上での能力を発揮されるというような点を通じて、職場におかれる地位の向上というようなことも期待されるというようなものも考えておりまして、私ども、こういう制度が変わるということに際しましては、従来の実態とどういう違いが出てくるかということについては、やはり行政の立場として十分配意しなければならないのは当然でございますので、この法改正に伴うその辺の動きぐあいということについては今後とも十分注視してまいりたいとは思っております。
  39. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今御答弁ございましたように、ひとつ積極的に関心を持ちながら対応していただきたい。場合によっては、関係のこういう資格者の団体の皆さんの声も聞きながら問題が解決をしていくように行政サイドとしての指導をお願いしたい、このように強く要望を申し上げたいと思います。  最後になりますが、無線従事者資格制度にもかかわると思うのですが、将来展望なんです。  この資料によりますと、無線通信士あるいは技術士、特殊無線技士、アマチュア無線技士とございますが、この内訳を見ますと、特殊無線技士とアマチュア無線技士が非常にふえておりますね。将来を考えますと、アマチュア無線技士はますますふえるのじゃなかろうか、それから、特残無線技士もかなりの勢いでふえていくのじゃなかろうか、大型船舶に乗られておるような無線通信士や無線技術士、この部分はそんなにふえないけれども、というふうな予測を私はするわけでございますが、その点の将来展望をどう判断をされているのか。  それとかかわりまして、今後この資格制度そのものも見直さなければいかぬという事態が近い将来出てくるとお考えなのかどうなのか、その点もあわせて質問をいたします。
  40. 塩谷稔

    塩谷政府委員 確かに先生おっしゃいますとおり、私も、この免許取得者数の推移を見まして、特にアマチュア無線技士は非常に増加が著しゅうございまして、五十九年に九万三千程度であったのが六十二年には十三万七千、十四万近くということで非常な増加ぶりでございます。この無線通信士あるいは無線技術士、特殊無線技士、アマチュア無線技士、それぞれの種別に応じてこれからの取得者数の推移ということは、それぞれ違いはございましょうけれども、私はやはり、全般的に無線通信技術進歩あるいは電波利用の高度化という実態、社会情勢の変化によりまして、この無線従事者という制度が社会的にもそれから技術的にも大変重視しなければならない制度ということになってくるだろうと思います。  今回、私ども主任無線従事者という必置資格導入しましたと同時に、資格区分を海、空、陸の利用実態に合わせて、比較的実態としてそれぞれ用途別といいますか、活動される場面に限定された資格で足りるということに合わせまして、それぞれ海、空、陸の利用実態に合わせた無線従事者資格の体系というのに変えたわけでございますけれども、現時点ではこういった今の時点の状態に合わせた対応をした、それが今回の電波法改正趣旨だということでございますが、今後ともこの新しい制度の普及、啓蒙に努めまして、先ほど御指摘の問題なども含めた適切な運営の万全を確保していきたいということと、これから電波利用の普及に対応できる十分な無線従事者の需要が確保されて、職場における資格者の地位の向上が図られることを期待したい。あわせて、この無線従事者制度資格の問題、これもいろいろな角度から総合的に見詰めていく問題だなというふうに私、思っているところでございます。
  41. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 レジャーの時代がだんだん海に向かっているわけです。クルーズの時代と言われておりますけれども、クルーザーの場合には、当然それなり資格者が乗っていないと運航できないのではないかと私は思うのです。それからヨットですね。ヨットというのは意外と航行距離なんかが長いわけですね。小さな漁船とは比べものになりません。こういう場合はどういう資格者が乗らなきゃいかぬということが義務づけられているのか、ちょっと私も不案内で、お聞きをしたいと思います。さらに、モーターボートの関係なんかも、とりわけこれは最近異常にふえているわけですね。こういうものも無線で安全航行を図る手段として当然やられていると思うのですね。そういう点は現在の資格制度で十分フォローできていくのかどうか、できましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  42. 塩谷稔

    塩谷政府委員 私もヨットなどの場合、どういう資格のあれが要求されているかというのを今これで調べましたのですが、小型漁船、ヨット、レジャーボート、これなどは特殊無線技士の無線電話の資格を要するようでございます。それから、外国などの場合は、これは特殊無線技士の国際無線電話ということの範疇に入るようでございまして、先ほどの国際VHFを使用する外国の海岸局と通信を行う船舶局の技術操作などが、その資格内容概要になっているわけでございます。  こういった点、いろいろ特殊無線技士として、私ども、やはり今おっしゃいました航海の安全その他頻繁な海上交通の安全を期する点からも、そういった資格者に対して十分な注意義務が要求されるというふうに考えております。
  43. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今の答弁をいただきまして大体理解できるのですけれども、結局そういう数え切れないような船が絶えず航行しているわけですね。今おっしゃいましたように、電話無線でやっているわけですね。それは地上局と周波数を決めまして、しかも気象通報なりいろいろなものを絶えず聞きながら、しかも何かあればSOSを発信したりして安全策を講ずるというようなことは、体系的にネットワークは張られているわけですね。
  44. 塩谷稔

    塩谷政府委員 現在の海上安全システムというのは、船舶局と海岸局との間の連絡ということは、モールスなりの手動的な技術で、機械及びその技術でやっておるわけでございますけれども、これはやはり不十分でございまして、もっと自動的に処理できるような機械を導入し、そしてその通信の及ぶ範囲も、その沿岸の局と船舶局だけではなくて、他の船舶、例えば遭難などが起こったときにその近辺の船舶だけではなくて、広い地域の海岸局なり船舶通信できるような体制、これがまさしくGMDSSでございまして、衛星を介してそれができる。機械も非常に高機能なものを入れる。そういうことでありますので、あるいは先生が今御質問の中で期待されているのには若干及ばない面があろうかとは思いますけれども、そういった面も含めて、これからGMDSS導入することによって万全な海上通信、そして安全の確保ということに努めていかなければいけないなというふうに考えている次第でございます。
  45. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 最後になりますが、実はそのことが聞きたかったわけで、一九九九年に完成させる、段階的に移行していく、実態は区々でありまして、我が国も海洋レジャーが爆発的なブームで、これから広がっていきますね。さまざまな問題を抱えているわけです。しかし、GMDSSに対応できる機器をきちっと装備しているとか、それを操作するにふさわしい人がちゃんとそれなりに乗っていて対応できるという義務づけが法的にもきちっとやられていまして、それを守らなければ海に出られないというぐらいにしておきませんと、これは将来大変なことになっていくのじゃないかという気がいたしますので、そういう問題も含めてこれから具体的な対応を急いでいただきたい、こういうような気持ちでいっぱいでございますので、その点を強く要望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  46. 田名部匡省

    田名部委員長 次に、松前仰君。
  47. 松前仰

    ○松前委員 電波法の審議でございますが、その前にちょっと郵政大臣に決意といいますか、そういう点を述べていただきたいと思っておるわけです。  今のスーパー三〇一条等でこの電気通信関係分野についても、かなりな圧力が米国からかけられておる。通信衛星等についても、不公正貿易の対象になっておる。それからまた、モトローラの携帯電話についても、日本の周波数をもっとあけろとか、非常に向こうの勝手な言い分といいますか、そういうものが目立つわけでございます。  さらにまた、ハイビジョンにつきましても、日本の方式というものがなかなか向こうに受け入れられない。受け入れられない理由というのは、日本の方式を採用すると日本の技術がどんどんアメリカへ行って売り込まれる、こういうことで抑えておるに間違いないわけでありまして、とにかく日本の方が技術進歩してきますと、アメリカとしてはそれを抑えつけるというような形が今あるわけですね。通信衛星放送衛星にしたって、これはおかしな話で、技術移転料というのをちゃんと払って向こうでやってきたわけですね。移転されるのは当たり前だ。その移転された技術で日本が衛星を独自で開発するということは、当然な話なんです。その一生懸命勉強した成果というのが出てきているわけですね。スーパーコンピューターにしたって、NECが世界最高のものをつくったとなると、途端にそれをたたくというようなことで、とにかくアメリカは今現在、貿易摩擦等でもう四苦八苦しておる。日本、けしからぬという声ばかり出して、すべてアメリカが日本を統制しているかのごとき考えを持っている。これは、私は大変けしからぬことだと思うのですね。これは自由貿易とかそういう自由競争の原理から全く外れている、そう思いますので、郵政大臣、これから大変米国との間でやっていかなければならぬと思いますので、その辺のお考え、決意がございましたらちょっと最初にお伺いしたいと思います。
  48. 村岡兼造

    村岡国務大臣 松前先生御指摘のとおり、私も郵政大臣を拝命するときに総理から、日米の貿易摩擦に対処するように、こう言われました、郵政省に関する日米貿易摩擦として、電気通信機器に関するものと衛星の調達に関するものが二つあるわけでございますが、電気通信機器の問題、自動車電話でございますが、我が国の立場としては、現在MOSS合意、これは誠実に遵守している、にもかかわらず、米国がMOSS合意を遵守していないと一方的に認定することは甚だ遺憾である、こう思っております。  ただ、この原因は、やはり貿易の収支ということが背景にあろうかと思いますが、郵政省といたしましては、我が国がMOSS合意を誠実に遵守していることについて米国の理解を求めていくということで、日米関係、非常に大事でございますので、今回の提案、米国のMOSS合意を超える新たな要求と考えておりますので、何とか適切に対処してまいりたい、こう思っております。情勢は大変厳しい情勢でございまして、楽観祝できないのですが、向こうも話し合いに応じよう、こちらも話し合いで解決していこうということでございますので、最善の努力を向けてまいりたい。この問題につきまして、やはり早期に解決を図りたい、これは日米両国政府の希望でもございます。双方の立場に相当な隔たりもありますけれども、この前、松永大使も私のところに状況報告に参りました。そこで、三塚外務大臣と協議をし、また総理、官房長官とも相談しました結果、これまで本問題につき、前内閣において国内での取りまとめに当たってきました小沢一郎前内閣官房副長官に訪米を要請することといたした次第でございます。小沢議員には来週訪米をしていただき、先に奥山郵政事務次官が訪米しておりますので、松永大使と一緒に事態の打開に尽力してもらいたい、こういう措置をとっておるところでございます。  一方、衛星に関しましては、郵政省関係通信衛星放送衛星等の開発、打ち上げに深いかかわりを持っておるものでございますが、今般、米国政府が包括貿易法、スーパー三〇一条に基づき、我が国を人工衛星政府調達について問題を有する優先国であると認定したこと、これまた甚だ遺憾である、こう考えております。我が国の宇宙開発は、自主的な技術基盤の確立を基本に進めておりまして、郵政省としてもこうした基本線に沿って対処をしているところでございます。今回の米国政府措置は、この点について十分な理解が得られないことによるものと考えられ、今後いろいろな機会をとらえ、一層の対外的な理解が得られるよう努力してまいりたい。  参考でございますが、本年には、我が国の民間衛星会社等により米国製の通信衛星及び放送衛星を合わせて五機打ち上げることになっておるのでございます。会社は、日本通信衛星株式会社、これがもう既に一つ打ち上げ、秋にはもう一つ、宇宙通信株式会社がこれも打ち上げられておりまして、秋にもう一つ、NHKの方のBS2X、これがまた本年末というようなことで、五機も打ち上げられる、こういうような状況でありまして、先生御指摘のとおり、日米摩擦の根本原因は貿易収支ということはありますが、日米関係、重要でございますので、これから大変厳しい状況でございますけれども先生の御指摘を受けまして一生懸命理解していただくように努力してまいりたい、こう思っております。  以上でございます。
  49. 松前仰

    ○松前委員 大変厳しい状況のことはわかりますが、やはり主張すべきところはきちっと主張して、私たちのといいますか、国民の努力、これに報いていけるような方向で頑張っていっていただきたいと思います。  それでは、法律の方に入らせていただきたいと思います。  この中で私はポイントとして、無線従事者の問題と、それから新しいシステム、海の場合ですが、GMDSSシステムの問題、この二つに絞ってやってみたいと思います。  既に先ほど同僚議員の方からさまざま質問が出まして、その中で答えられていることもあるわけでございますが、多少ダブることもあろうと思います。というのは、この法律自体、私自身見ておりましても、一体何を目的にしているのか、その辺がどうもよくわからない、非常に複雑怪奇といいますか、こういう格好になっている。恐らくポイントは、やろうとしていることは、GMDSS導入、このための法改正であろうと私は思うわけなんですけれども、そういう観点から質問させていただきたいと思います。  法律の個々の条文に沿ってまずやっていきたいと思いますが、第三十九条のところに、三項になるのですか、第四十条の定めにより無線設備操作の監督を行う無線従事者というのを主任無線従事者、こうしているわけですけれども、この監督というのは無線設備操作についてだけ行うんですか。
  50. 塩谷稔

    塩谷政府委員 監督は操作についてでございます。
  51. 松前仰

    ○松前委員 この操作は無資格者操作の監督ということですね。それだけですね。
  52. 塩谷稔

    塩谷政府委員 無資格者の場合も、それからそうでない場合も入ります。
  53. 松前仰

    ○松前委員 有資格者の監督というのがもし行われるとするのならば、主任の持つ資格の中で有資格者が下におるということになれば、その人の部分は監督はしないということですね。
  54. 塩谷稔

    塩谷政府委員 主任の下にある有資格者、その人はその部分についてみずから従来どおり無線の操作を行いますし、また主任は主任という立場で監督も行い得るということでございます。
  55. 松前仰

    ○松前委員 主任は主任の立場で監督といったって、監督は先ほど言ったように操作だけですね、無線設備操作だけですから、それ以外のことはやらないのですから、操作についての監督ですから、その下の人はやはり自主的に運営ができるということを、私は今のお答えからそのようにお聞きいたしました。もし主任よりその下に、下といいますか監督を受ける者、そういうようなことは絶対ないわけなんですが、この法律からいうと、無線操作者の免許が上位の免許を持っておるということになると主任は何も監督できないということですね。
  56. 塩谷稔

    塩谷政府委員 主任が監督し得るのは自分の持っておる免許資格範囲内でございますので、監督を受ける有資格技術者がおる場合はその限りでは及ばないということになります。
  57. 松前仰

    ○松前委員 今のは、その限りでは及ばないということは、とにかくその下の、下といいますか、監督を受ける人というのが上位の免許を持っておればそれは一切監督の範囲に入らないということですから主任は何もできない、そういうことでよろしいわけですよね。だから、私が今こんなことを言っておるのは、この監督というのは無資格者の監督を考えているんですねということを言っておるわけです。
  58. 塩谷稔

    塩谷政府委員 この制度の導入趣旨が、一つ無線局にいろいろな設備がある、そこに全部有資格者を置かないでも一定の主任技術者がいれば、無資格者もそこにいて操作をやってもいいということでございます。今先生おっしゃいましたのは、有資格の無線の技術者が大勢いて、それでその中でだれを選ぶかというときに、何かの関係で、技術者の資格としては限定された者がより広い者等を差しおいて主任無線従事者になった、そういう場合に考えられるわけでございますけれども、状態としては、そういった指揮監督といいますか、操作についての指揮監督というものの運営を考えた場合には、大は小を兼ねるといいますか、広い操作資格を持った人が主任者に選ばれることが考えられるのではないかと思います。しかし、論理的にそういう場合もあり得るわけでございます。
  59. 松前仰

    ○松前委員 ですから、この中を読んでいますと何かよくわからぬのですよ。はっきり書いてないですよ。要するに、資格の下位の者が主任になって見ることすることのできるような書きっぷりになっちゃって、だからこれでいろいろと誤解を招いて心配事が出てくるわけですよ。全然何も知らぬ船長さんが主任になっちゃったとか、それで監督をするんだ、無線通信士、無線従事者を監督するというようなことが起こるんじゃないか。そうなると、主任が今度は無資格者操作させることができるということになればその無線通信士は要らないじゃないか、こういうことになっちゃうのですね。こういうふうにも読めちゃう。そうではないですよね、それをちょっと。
  60. 塩谷稔

    塩谷政府委員 この趣旨は、やはり主任無線技術者がいて、そしてその無線局にそういう人がいれば無資格者も運用できる、操作ができるということでございまして、そこがねらいということで今度そういうふうに改めたという次第でございます。
  61. 松前仰

    ○松前委員 ですから、そこのところをはっきり書いておけばいいのでありまして、やはり主任になる人は最高の免許を受けた人であるということをちゃんと書いておけば問題ないわけなんですよ。その辺がどうもこれは抜けておるわけでございまして、今のお答えで大体わかるわけなんですが、まだまだおかしいところは、例えば無資格者、無資格者が誤操作をした場合、これは一体だれが、どういうふうに責任をとるのですか。
  62. 塩谷稔

    塩谷政府委員 そのような場合には免許人が責任を負うことになります。
  63. 松前仰

    ○松前委員 そういう無資格者が、無資格でありますから、これは主任がしょっちゅう監督しているというわけにもいかない。トイレにだって行きたいでしょう、どこか飯を食べに行きたいというようなこともある。そうすると、その間ちょっとやっておけよなんて、これは無資格者ですから何も教育受けてないわけですよ。教育受けてないから何やつたってわからないわけですね。そういうことは一体どう考えているのですか。要するに、この無資格者は少しは教育を受けるのですか。
  64. 塩谷稔

    塩谷政府委員 私ども、この制度を導入しようという趣旨は、無資格者ということから想像できる、いろいろ何をしてかすかわからないということを予期しているわけでは決してございませんで、こういう機械技術の発達に応じた、機械類が非常に整備されてきているという実態、それから、どんなところにも有資格者を配置しなければいかぬということはいかがなものかということから、一つ無線局にはその無線局選任される主任を置けばその主任のもとで、必ずしも国家試験という意味での資格を取っていなくても、こういうときにはこう操作するんだよということを日常の職場訓練なりなんなりで教わって、そしてその操作手順を覚えた人がいればよろしいのではないか、こういう意味でございまして、確かに理屈の上で想定できる状況としてはそういうことも予想されるわけでございますが、できるだけそういうことのないような運営を私ども期待したいというふうに考えておるわけでございます。
  65. 松前仰

    ○松前委員 できるだけそういうことのないような運営を期待したいというのは、これはとてもだめですね。人間なんですよ、やる者は。人間というのは間違いを起こすことだってあるし、自分の意思でもっていろいろやることもあるのですよ。ですから、そういう期待したいなんということでもって法律を適当につくられたんじゃ、これは大変なことになってしまう。だから、アマチュアの無線だってやりたい人はちゃんと免許を取るじゃないですか、みんな。みんな免許を取るのですよ、必要とあれば。それが無資格者なんといったら、無資格者ばかりどんどん出てきちゃって、何も免許取らなくたって必要な業務をやって、それで給料をもらえるとなれば、資格なんかやめたとなれば、無線通信士とかそういうものを一生懸命取ったのは一体何なんだということになっちゃうのですね。その辺の考え方がこれは非常に甘いので、それをきちっとしてもらいたいのですけれども
  66. 塩谷稔

    塩谷政府委員 私ども、主任が無資格資格のない人をいろいろ監督する、操作を監督する、その監督職務につきまして、こういう監督をしなければいかぬということを郵政省令で細かく書きまして、それの実行ということを担保しているわけでございます。したがいまして、その辺について十分な運営を私ども図ってまいりたいと思っております。
  67. 松前仰

    ○松前委員 第三十九条五項ですか、ここに、郵政省令で定めた操作の監督を行うこととありますが、郵政省令というのはどういう内容なのですか。
  68. 塩谷稔

    塩谷政府委員 これは第三十九条第五項でございますが、この郵政省令では、主任無線従事者の行うべき具体的な職務内容規定しているわけでございます。  例えば無線設備操作に際しまして、当該操作電波法令に適合するように当該操作を行う者に対して必要な指示を与えること、それから、無資格者に対する教育訓練計画の立案及び実施に関することなどを規定しておりまして、いわば実態的に資格を取らないでも、資格を取るだけの仕事といいますか、そういうものの能力というものを担保するような指示なり訓練、そういったものを考えている次第でございます。
  69. 松前仰

    ○松前委員 第四十条の二項ですか、ここにも操作監督の範囲という、これはいろいろ政令なんかでやるということになっておりますけれども、とにかく今おっしゃったような内容事前に出していただければもっと検討できたのですが、その中に、何か無資格者の教育訓練などと書いてあるのですね。そんなことが書いてあるということになれば、無資格者というのは教育訓練を受けるということですよね。そういうことならばちゃんと免許を取らせたらいかがですか。それをどうして取らせられないのですか。
  70. 塩谷稔

    塩谷政府委員 この改正趣旨が、資格のない人でも操作をやって、そしてその操作をやるのについて資格があり、十分に経験を積んでいる主任のもとでそういった監督を受けながらやるということでございますので、そういうところが改正のねらいであるわけでございます。もちろん、そういった資格のない人でも実際上の訓練なりを受けて実務につかれる、そういう経験を経られる、そして、そういうことについて御自分なりのあれで資格を受けられることも考えられるわけでございますけれども、要は、今までの資格制度についてもう少し弾力的な運用を図れないかということから、こういう改正を考えた次第でございます。
  71. 松前仰

    ○松前委員 電波というのは電話とちょっと違って、有限な周波数を乱用するということになれば人に妨害を与えるということはしょっちゅう起こるわけですね。人が死ぬというところまではいかないかもしれませんが、遭難などの場合は人が死にますね。そういうのは間接的になるわけですが、電波妨害ということになれば大変な迷惑がかかる。そういうことになれば自動車の免許と同じですよね。自動車を無資格で、無免許でどんどんやれるように、だれか横に乗っていればいいなどということはできないでしょう。やはりこれだって、相当な技術進歩といっても知識を持たないとだめなのですよ。その辺のことをしっかり考えて、無資格者ばかりうんとふやすということは、無制限にふやすということばやめてほしいのですが、その辺の考え方を聞かせてください。
  72. 塩谷稔

    塩谷政府委員 今先生主任無線従事者制度導入することによって電波監理上影響することはないのかというお尋ねだと思います。  無線従事者資格というのは、無線局の社会的な役割、例えば電気通信事業用の無線局あるいは放送局のように大きな社会的影響力を有するものもありますし、今おっしゃいましたように、船舶航空機無線局のように人命あるいは財産の保全に直接に関与するものもあるわけでございます。あるいは、その電波利用が全体としての電波利用秩序に与える影響力、例えば海岸局、レーダーのように大出力で運用するようなもの、これは電波利用秩序に対する影響力というものもあるわけでございまして、そういうものを総合的に勘案して、その無線局無線設備操作について適切な能力を資格として有するわけでございます。それはそのとおりでございます。  今回法改正をすることによりまして、主任無線従事者の監督のもとでは無資格者無線設備操作を行うことができることになるわけでございますけれども、これは最近の無線設備の信頼性の向上ということ、それから、毎度申し上げておりますように電波利用システム化、自動化などによって、十分な能力を有する有資格者がおる、その資格者の監督のもとでは無線設備操作するすべての人に資格を求める、資格がなければいかぬということを要求しなくても電波監理上大きな支障を生じないような利用形態がふえてきているのではないか、こういうことに対応するわけでございます。  もちろん、その上に立つ主任無線従事者は一定の要件に該当しなければならないということであるとか、主任無線従事者無線設備操作の監督に関する職務を誠実に行わなければならぬというようなこと、それから、監督のもとに無線設備操作に従事する者は主任無線従事者の指示に従わなければならないこと、無線局免許人主任無線従事者に、無線設備操作の監督に関して郵政大臣の行う講習を定期的に受けさせなければならないというような規律を受けることになっておりまして、こういったことの適切な運用によりまして無線局の適正な運用が図られるのではないかということを考えておるわけでございます。もちろん、先生がおっしゃったような御指摘は私ども十分心して、これからの運営に配意をしなければいかぬと考えております。
  73. 松前仰

    ○松前委員 無資格者がそういう主任のもとでやるということに最大限譲ったとしても、最初にお答えがありましたように、この主任というものは相当な知識を持った人でなければいかぬ、免許人といいますか、免許を受けた無線局の中の最高資格を持っている人でなければできないということは十分御認識いただいたと思うのですが、それは先ほどお答えいただいたから、そういうことで私どもも判断し、また郵政省もそういうふうにやっていただきたいと思います。  それで、一応無資格者というものを譲ったとしても、まだまだこの中でたくさん問題点があるわけなのですけれども、それについて多少質問ということでやらせていただきたいのです。  第四十八条の二ですか、船舶局に船舶無線従事者の配置が義務づけられておるわけなのですが、船舶には船舶通信士以外の無線従事者としてレーダー操作とかそういうものに限定した特殊無線技士、そのほかVHFの電話をやります無線電話甲というような資格者が乗るわけです。それは通信長の監督指揮のもとで操作をしているわけですね。そして、今度この主任を置く。しかも、この主任というのはその無線設備についてまた別の監督をやる。しかも、RRの中に入っていないものなのです。日本独自なのかもしれません。大体こういう複雑怪奇なものをたくさんつくって統制がつかなくなってしまうのじゃないか。この辺の矛盾は一体どのように考えていらっしゃるのか、その辺をお答えいただきたいと思います。
  74. 塩谷稔

    塩谷政府委員 今おっしゃいました点でございますけれども、船の場合、特殊無線技士として、今、小型船舶の航海士のような無線電話甲、これは小型船舶の小無線局技術操作ということで、こういう資格のある人が乗っていなければならぬというのはそのとおりでございます。そういう資格のある人と、それから主任無線従事者が今度できまして、それが監督職務を行うということでございます。これは最初のお尋ねにもありましたけれども主任無線従事者が行う監督職務というのは選任された無線局無線設備操作の監督に関するものということでございまして、そこでの無資格者に対する監督ということでございます。ですから、場合によってはこういう特殊無線技士がそのまま主任に選ばれて、そこで今の監督業務をされる場合もあろうと思います。混乱されるということでおっしゃいましたが、そういう特殊無線技士のような別な無線士がいるという場合もあり得ると思います。しかし、それはその無線局の中で、こういう主任をどう選んで、どう無資格者に対しての指揮監督をやったら合理的かという無線局での判断で混乱のないように運営されることを私どもは期待しているわけでございます。
  75. 松前仰

    ○松前委員 混乱のないように期待していると言うよりも、やはり郵政省として混乱のないような法律をつくってもらいたい、そういうことで私は申し上げておるわけなのです。この法律自体が大変混乱するのはそういうところなのです。ですから、すっきりするのは、主任というのがやはり技術的に最高の者、そういう人たちがなれるのだ、そういう人しかなれないのだということをはっきり言えばいいのでありまして、第一級通信士とかそういう者がなれるのだということを言えばよろしいのでありまして、何か新しい主任によって今までの仕事を横取りするというようなことがないのだということを言っていただければそれで結構なのですが。
  76. 塩谷稔

    塩谷政府委員 無線従事者資格、このランクといいますか、これは先生よくお詳しいところでございまして、第一級無線通信士以下現行資格に幾つかございます。私ども改正資格のところでは、陸海空にそれぞれ分野別に無線資格を取りやすいということで、例えば海上では第一級海上無線、あるいは航空では航空無線、陸上では第一級陸上無線というような分類はいたしましたけれども、やはり今の第一級無線通信士、第二級無線通信士、第三級無線通信士に相応した総合分野での第一級総合無線通信士、第二級、第三級それぞれの総合無線通信士というものを対応して置いていくわけでございます。  それで、例えばGMDSSというような非常に高度なハイテクを駆使する海上無線通信というようなことになりますと、これは主任無線従事者選任される者は、幅広い技術上あるいは運用上の見地から的確に業務指導を行い得る個人的資質を備えていることが望ましいわけでございまして、当該船舶の運用形態等に見合った知識、技能を有する資格者主任無線従事者として選任されることが必要だろうというふうに考えております。
  77. 松前仰

    ○松前委員 大体わかってきたわけです。  今GMDSSの話が出ましたので、時間がないものですからそちらの方にちょっと移らせていただきたいと思いますが、このシステムに早急に移行したいというような感じを私は皆さんから受けるわけなんですけれども、いずれにしても一九九九年ですか、ここからは全面移行、そこまでは各国の状況によっていろいろ検討するというようなこともあるようでございますけれども、要するに、これは余り急いでやる必要がないということ、必要がないことはないかもしれないけれども、急ぐことはないでしょう。逆に言うと、急いではいかぬということですね。急ぐことはないのじゃなくて、急いではいかぬ。なぜかといいますと、このシステムが今のシステムよりすぐれているという実証がまだないように私は思うのですね。例えば、RRの決議の中を見ますと、システムとして考えると、陸上施設の設備整備というのは各国の任意に任せているのですね。なぜかというと、経済的に大変だから、それから、技術的にも困難だからということなんですが、開発途上国なんかはやれと言ったってすぐにできないですよ。ですから、そういうところはそういう整備ができないということになる。それができない中でこのGMDSSをやるんだと言ってやってしまいますと、これはやはり抜けが出てくるわけですね。全部の遭難救助体制がこれによって完全になるなんて言っておきながら、抜けのあるものができているような状況では、これは完全なシステムじゃないわけですよ。前よりいいかどうか全然わからないということになります。仮にこれ、陸上が全部整備されて一応の機能が発揮されるといっても、技術的な面で機能と技術とちょっと違うと分けて考えていますけれども、これは本当にうまくいくのかということもあるわけですね。例えば、テストなんかは十分になされていない、システムとしてのテストがなされていないじゃないかということが、私はまず言いたい。これは非常に複雑ですよね。一生懸命考えたって、どこがどうなっているのかわからないような大変複雑なシステムでもって運用しろと言うのですから。緊急の事態において、あるときには衛星を使え、あるときには短波を使え、あるときにはインマルサットを使えとか、何かさっぱりわからない。ルートがさっぱりわからぬで、運用の基準といいますか、そういうようなものもよくわかっておらぬというようなシステムが果たしてうまくいくだろうか。そういうシステムテストというのがなされておらぬわけですね。これは世界的にされているのですか、それとも、それをしなくたって実証できるという何かあるのですか。
  78. 塩谷稔

    塩谷政府委員 おっしゃることも一理あろうと思います。私も、この遭難安全通信システムの比較、現行のシステムGMDSSシステム、これを今度の法律改正、これはGMDSS導入予定してのRR規則改正を踏まえての電波法改正というそれなり手順を踏んでいる改正でございますけれども、はて、じゃGMDSSになったときどうかということ、これはいろいろ勉強させてもらいました。現在の海岸局と遭難船舶とのSOS、モールス電信または電話でやるというこのシステムというのは比較的単純で明快でございまして、これが十分に機能していれば、海上遭難安全のシステムというのはそれなりの役割を果たせるとは思うわけでございます。  ただ、やはりこれからの技術進歩に対応した遭難安全システムというものも、やはり時代の進展とともに考えていかなきゃいかぬだろう。そうした場合に、こういう衛星を使ってもっと遭難通信範囲が量的にも広がり、そして技術的にも高度に行い得るということ、例えば船が万一のときに、自動的に船からブイみたいなのが離れて、それが衛星に発信して、そしてそこから海岸局へ連絡ができるというようなシステムはなかなか使い価値のあるものではないかと思うわけでございます。  それで、今のお尋ねの点でございますけれどもGMDSSにおいて使用します設備のうち、インマルサット設備それから衛星EPIRBなどについては、このEPIRBというのは今のブイが離れてブイから衛星電波が行くシステムでございますけれども、これなどについては既に相当の運用経験を持っているというふうに聞いておりまして、その他の設備につきましても日本を含みます各国におきまして試験が行われておりまして、恐らくGMDSS導入時まではその信頼性が確保されるのではないかと思うわけでございます。  ちょっと細かい話になって恐縮でございますけれども、その他の設備関係になろうかと思いますが、日本で実験した実証実験をちょっと御報告申し上げます。  まず、ディジタル選択呼び出し装置、これは昭和六十一年一月から二月にかけて北米航路や豪州航路の船と、それから陸上側では千倉の受信所などでごのディジタル選択呼び出し装置の実験が行われたと聞いております。同じく六十三年十月から十一月にかけてKDDの小山国際通信センターの陸上側と豪州航路、北米航路の船との間でこのディジタル選択呼び出し装置の実験が行われたと聞いております。そのほか、狭帯域直接印刷電信装置、ファックスでその通信内容が出てくるような装置、それから衛星非常用位置指示無線標識装置、これはコスパス・サーサット用ということで、さっきのブイが出てEPIRBから直接電波が行くコスパス・サーサット衛星でございますけれども、これの関係の実験、これは陸上実験と海上実験、それぞれやっております。  そのほかあるようでございますけれども、そういったことで、これからのそういう新しいシステムというものを時間をかけてできるだけ、確かにおっしゃるように、どこか穴があっては、最初に言っておりますこのGMのGという、グローバルなものを目指すことのあれが漏れてしまうのはもっともでございますけれども、できるだけこういったものが均衡のある発展で全世界的に実現できるように私ども努力すべきではないのかというふうに考えておるところの一端を申し上げた次第でございます。
  79. 松前仰

    ○松前委員 今の御答弁の中で気になることが随分たくさんあるんです。一々やっていると時間が全然ございませんが、例えばコスパス・サーサットというやつが今実験されたというような話も、実験というかシステムとしてあるということなんです。しかし、これが海難救助システムとして組み入れられてテストはされておらぬわけですよ。それからEPIRB、今のはEPIRBですが、ランダム・セルコール、これの実験の結果を皆さんからいただいたわけですけれども、これを見ますと、大分失敗をしている。実験の内容でうまくいっていない。二重丸のところがあることはあります、たくさんありますが、バッテンというのもあるし、マルというのもあるし、三角というのもある。かなりのドロップアウトがあるわけですね。こういうシステムが実際に海難救助システムとして十分に動作するかどうか。一つディジタル・セルコール、これも回線を確立するまでがまたえらい時間がかかるということがあるわけですね。短波を使ったり何かするやつですと、短波の周波数帯も選んだり何かしなければいかぬ。電離層の状況も見なければいかぬ。それから、このテストを見ればわかるけれども、昼間しかやってない、秋しかやってない、短時間ですよ、これでシ  ステムができましたなんと言うことはできないですね。それからOTHレーダーがあるでしょう。この影響がどれだけあるのかということは全然テストできてない。ディジタルですから、非常にそういう妨害に弱いんですよ。それで、妨害を受けたら何が何だかわからなくなるのがディジタルです。  ところが、今のモールスは耳で聞くんですよ。人間が判断するんですよ。入間の判断というのはすごいものでありまして、モールス信号が来れば耳で聞いて、かなりの雑音があったって聞こえるんですよ。判断できるんですよ。人間のパターン認識というのは物すごいんですよ。やはりこれを使わなければいけないじゃないですか。海難救助システム、それを新技術ができたからといって何か複雑怪奇な、ボタン一つでやってその回線が確立できないなんて、そういうようなことは時間がかかってしまうなんて言うんだったら、船が沈んでしまうじゃないですか。こういうようなことは、ちゃんとシステムとしてきちっと確立をされていなければいけない。テストもちゃんとされていなければいかぬ。SOLAS条約会議かな、何か開発途上国が盛んにいろいろ文句を言ったのは、そこでしょう。先進国だけがどんどんやれやれと言ったでしょう、物をつくっているところ、この機械を売り込みたいところが。そういうような状況だから、このシステムはおかしい。こんなものを日本が簡単にうんと言って言いなりになっちゃだめだ。日本は日本としてもっとしっかりこのシステムのテストをしなければいかぬですよ。それで導入されるということになってしまったら、日本の技術で完全なものにしてやったらどうですか。そのくらいの意気込みを持って郵政省やらないと、本当に海難救助なんていうのは安全性が全く確保できなくなってしまう。  私が申し上げたいのは、今はモールスでやっております。確かに到達距離は短いでしょう。しかし、これは人間のパターン認識といいますか、そういうものを使った大変すばらしいものなんですよ。まず単純なんですよ。そしてすばらしいものなんです。それで言葉の障害もないんですよ、モールスですから。みんな知っている。だから、そういうような通信手段はきちっと残してやってもらいたいんですが、いかがでしょうか。
  80. 塩谷稔

    塩谷政府委員 先生が先ほどから展開されている論旨というのは、私はある意味では文明論的な問題ではないかと思うわけでございまして、これまで我々が承継してきました技術というのはそれなりの値打ちといいますか、長い間使われてきて、やはりそのよさというものがあるわけでございます。例えば、卑近な例でございますけれども、最近のテレビなども、最初のテレビというのは非常に端末の操作が簡単で、老人、子供さんにもできるということでございます。ところが、だんだん複雑に機能が分化して、それなりの付加価値はついていろいろあるわけでございますけれども、肝心のどこをどう押せば映る、そしてそれが非常によくわかる、そういうところが難しくなってきているということでございまして、技術進歩というものがその発端の単純、明快さを失わずに高機能を付加していくには一体どういう問題を解決していかなければならないかという命題にお触れになっているんではないかという意味で文明論的という、ちょっとお差しさわりがあったら失礼しますけれども、表現で申し上げたわけでございます。したがいまして、モールスのよさということは私もこの点勉強して改めて認識した次第でございますけれども、モールスのよさはそれとして、こういった単純、明快な役割というものを絶えず念頭に置きながら、進んでいく技術が持つその広がりというものもやはりできたらやっていくことになるのかなということで、GMDSSについてこれが完璧な形で導入できるまでには、おっしゃいますいろいろな安全、信頼性ということについてのテスト、その十分な実証というものを経た上でなければならないということを、先生の私どもに対する御叱正ということで承りまして、これからこの問題の導入について配意していかなければならないというふうに考えております。
  81. 松前仰

    ○松前委員 それで、今そういうお答えだったのですが、先ほどのお答えの中では、将来このGMDSS、こういうシステムは恐らく安全性が確保されていくでしようという言葉があったわけですね。恐らく安全性が確保されていくでしようというのは、随分他人ごとですよね。これは、日本の郵政省は何もしないで、ほかのところが一生懸命実験やって、それでその結果何だか恐らく安全になっていくでしょう、こういうような感じになるわけですよ。これじゃ、日本の郵政省は何もしないことになるのですよ。だから、もっと主体的に、本当にこれの安全性を確保するならば、システムのテストをするならば、きちっとやってもらいたい。  そこで、この問題につきまして、先ほどもいろいろお話ありましたけれども、いろんな団体の方方がやはり大変心配しておるわけですよ。これを聞いてみますと、自分たちのエゴで言っているわけじゃないのですよ。このシステム自体、経験者が、こんなのは大変だ、これは技術的にもすごい大変なものになる、それは、主任のようなものが、主任のようなというか、そういう制度ができて、無資格者が単純に運営する、操作するというような単純なものでできないんだ、ボタン一つで何かすべてができるようなことを言っているけれども、ボタン一つでやって、もしそれがうまくいかなかったらどうするんだ、どういう判断をするんだ、そういうことで深い技術の知識を持っていなければできないんじゃないか、だからこういうシステムを単純に安易に盛り込むことは大変だということをみんな言っているわけですよ。だから、そういう人たちの御意見も十分聞いて、そしてこれからこのGMDSS導入をもしするならば、その技術的な面、それから操作的な面、これの実態をきちっと把握して、それに合ったような電波行政をやってもらいたいと思うのですけれども、その辺はいかがですか。
  82. 塩谷稔

    塩谷政府委員 二つポイントがございます。  私ども、こういった新しいシステム導入ということにつきましては、先生、私どもに対する御指摘ということでおっしゃられたように他人ごとでは決してございませんで、私ども政策を、そういうものを誘導する立場として、何とかそういうものがバックアップできないかということで、例えば税制、財政上優遇措置がとれないかというようなことも検討してまいりたいと思っておりまして、そういった点も十分配意していきたい。  それからもう一つは、やはりおっしゃられるとおり、実際にこういうことに携わっておられる方方の意見、これを十分承っていくということはもちろんでございまして、安全、信頼性の確保ということについては、現場におけるそれぞれの仕事のいろいろな場面場面における問題なりよく承知した上でこういうことの完全な移行といいますか、遂行ができるわけでございますので、その辺についても十分配意してまいりたいというふうに思っております。
  83. 松前仰

    ○松前委員 このシステムが非常に有効だというそのあかしは、やはりこういうものが導入されたら行方不明になる船が一切なくなるというようなことがあかしとしてないと新しいシステム導入した意味がないですから、その辺のことも含めてこれからシステムのテストをやるなりいろいろのことを考えて電波行政をやってもらいたいと思うのですよね。  先ほどから私、申し上げておりますが、現行のやっております通信、モールスの関係、これはなくすというんじゃなくてやはり残す、残すんじゃなくて主たる通信手段だということで位置づけて、GMDSSがくっついてきてモールス・プラス・GMDSSでやるというようなシステム、こういうものを考えてもらわなければいけないと思うのです。日本の主管庁としてはやはりそういう主張をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  84. 塩谷稔

    塩谷政府委員 このGMDSSにおきまして使用する設備のうち、先ほどいろいろ問題があるなと御指摘がありましたインマルサット設備あるいはEPIRBにつきましていろいろ運用実験を持っているわけでございますけれども、そういったことで、これから日本を初め各国でいろいろな十分な試験をやってGMDSS導入されたときには、行方不明の船ということがないような状態、そこを目指して進んでいかなければならないなというふうには考えております。  そういった完璧な状態になったときにモールスの位置づけをどうするかというようなこと、これはいろいろ技術的にその辺、併存したままでできるのか、あるいはモールスがそういったシステムに吸収されるのか、ちょっと私も今ここで確答を申し上げられるだけの技術的な能力もないわけでございますけれども、モールスの持っているよさというものは、要するに完璧、簡明で明快に通信できるということ、そういう役割というものをGMDSSは吸収して果たしていかなければいかぬのだという御指摘だというふうに受けとめましてこの問題について考えてまいりたいというふうに思っております。
  85. 松前仰

    ○松前委員 吸収とか、何か言葉のひっかかりは随分ありますけれども、いずれにしてもモールス、それを認めてもらったと私は思います。  郵政大臣、これはいろいろ聞いていらっしゃって恐らくほとんどおわかりにならないんじゃないかと思うぐらい複雑なんですよ。私らだって複雑怪奇でわからぬのです。こういうようなものを何か簡単に考えてやっていらっしゃるのですね。やはりもっとしっかり郵政大臣指導いただいて、これは遭難救助という国際的な問題でもあるんですよ。大変な問題なんですよ。ですから、これはやはり日本の主管庁として本当に主体的にやっていけるように、自分たちの意見をきちっと持ってやっていけるように指導していただきたいと思いますが、その辺最後に。
  86. 村岡兼造

    村岡国務大臣 私も郵政大臣になりましてから十二日目でございます。しかし、松前先生の豊富な知識を聞いておりまして、GMDSSシステムにもいろいろ問題があるようだ、そういう問題点をなくすように、私も話をお聞きいたしまして、事務当局もしっかりした主体性を持ってやっていくように指導してまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
  87. 松前仰

    ○松前委員 終わります。
  88. 田名部匡省

    田名部委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時九分休憩      ――――◇―――――     午後一時十分開議
  89. 田名部匡省

    田名部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  電波法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。木内良明君。
  90. 木内良明

    ○木内委員 このたび村岡郵政大臣御就任に当たりまして、心からお祝い申し上げます。私は、これまでも村岡大臣とはさまざまな場所で接点を持たせていただいておりますが、大変高い、また深い御見識と柔軟な発想の持ち主であります。どうか大臣のお立場で、国民生活を守る上からも、また我が国の繁栄を目指す上からも御活躍をされますよう、初めにまず申し上げます。  最初に、日米の電気通信摩擦に対する大臣の現状認識ということについてお尋ねしたいと思います。  村岡大臣は、この就任時の閣僚記者会見の場だったと思いますけれども、総理から電気通信分野の貿易摩擦を最重点課題として取り組んでもらいたいとの指示があった、みずからそう話しておられたと記憶しております。今まさにアメリカのウイリアムズ通商代表部次席代表が来日中でありまして、各関係省庁との協議が行われているところでございます。日米電気通信摩擦について早期決着に向け両国間で努力することの合意は先日の奥山郵政事務次官との会談でも行われておりまして、その折、奥山次官も、米政府との問題点は整理されており建設的な話し合いをするため私が先頭に立つ、こう早期解決に向けての強い決意を表明もされておられるわけであります。米側はあくまで首都圏への自動車・携帯電話の参入の要求を今なお主張し続けておりまして、そのための新しい周波数帯を割り当てるように求めてきている。それに対して、我が国としては、ないそでは振れない、こういうことで郵政省としては、統一的なディジタル方式を日米共同で開発することなどを提案して事態の打開を図ろうという認識をお持ちのようにもうかがえるわけであります。MOSS合意違反との形をとりながら、その実態はアメリカ側の新たな便宜供与の要求であると私は思いますし、午前中の大臣答弁にもありましたけれども、我が国は今まで誠実にMOSS合意を遵守してきたわけでありまして、郵政省としてもこの問題に対しては一歩も引けない立場であろう、こういうふうに思います。  私が感ずるところ、今回の摩擦の原因というのはまさにアメリカ側のごり押しの姿勢にあるのではないか、こういうふうに思われます。今回の事態に対する大臣の率直な認識を、今改めてさらにお尋ねをしたいと思います。
  91. 村岡兼造

    村岡国務大臣 木内先生には前々から御指導を賜っておりまして、今後ともより一層御指導を賜りたい、こう思っております。  先ほど松前先生にもお答え申し上げましたが、郵政大臣を拝命するときに宇野総理から、日米間の貿易摩擦、特に電気通信分野で処理するように、こういうことも言われました。  自動車電話のことでございますけれども、率直に言って、郵政省といたしましてはMOSS合意を着実に遵守している、こういう認識に立っておるわけでございます。しかし、米国の方は、MOSS合意を遵守していないというようなことを一方的に言っている、こういうことでございまして、我が方としては甚だもって遺憾である、こういうような認識に立っているわけでございます。郵政省といたしましても、我が国がMOSS合意を誠実に遵守していることについて米国の理解を求めていくとともに、米国の現在の要求はMOSS合意を超える新たな要求だ、こういうふうに感じております。  しかし、よって来る原因は、先ほども申し上げましたけれども貿易収支の問題等、そしてまた日米関係、非常に重要な問題でございますので、新たな要求についても適切に対処をしてまいりたい、こう思っているところでございます。したがいまして、今週でございますか、奥山事務次官も渡米をいたしまして松永大使とその任に当たるわけでございますが、先ほど言いましたように、期日も迫っているというような状況もございまして、三塚外務大臣とも協議をして、また、総理、官房長官とも相談した結果、これまで本問題につきまして前内閣において国内取りまとめに当たってまいりました小沢一郎前内閣官房副長官に訪米を要請して、その問題の解決に当たっていただきたい。奥山事務次官は来週渡米する、こういうふうな状況でございます。  したがいまして、我が方では、波の割り当てはない新たな提案をしているところでございます。我が方の言うべきことはきっちりと言いながら、しかし、日米関係は大切でございますから、向こうも話し合いに応ずる、私どもの方もその話し合いに応じて、この厳しい情勢でございますが、何とか打開を図っていきたい、そういう決意でひとつ頑張ってまいりたい、こう思っているところでございます。  以上であります。
  92. 木内良明

    ○木内委員 そこで、きょうは通信政策局長が所用でお見えになっていない。江川議官、きょう見えていますか。  これは、実は大臣にお聞きしたいところでありますけれども、先ほどもおっしゃられたようにまだ就任十二日目ということで、細かな問題については審議官の方で結構ですからお答えをいただきたいわけであります。今ちょっと申し上げましたが、統一的なディジタル方式を日米共同で開発するというような、仄聞するところいろいろな話もあります。この協議の行き着くところ、一体どんなぐあいになるのかという国民が率直な関心と興味を持っているわけでありまして、郵政省としての今後の幾つか想定されるケースについて、審議官の独自の見解をここで述べていただきたい、こういうふうに思います。
  93. 塩谷稔

    塩谷政府委員 今先生のお尋ねのところに、後段の審議官の独自な見解ということの前段といたしましてディジタル化の問題がございましたので、ちょっとその点に限って、私、所管でございますのでお話し申し上げたいと思います。  これは、いわゆる自動車電話、現在技術的にはアナログ方式で運行されているところでございますけれども移動体通信、これは自動車電話も当然その一環でございますけれども、将来ディジタル化していこうというのは、ヨーロッパを初めアメリカ、日本、みんな共通の技術的な課題でございます。周波数帯でいいますと、十メガヘルツ帯がその対象周波数帯になっているようでございますけれども、ディジタル化することによって自動車電話についての現在の異なる方式、日本ではNTT方式とモトローラ方式、いわゆる北米方式とも言っておりますけれども、この二つの方式でアナログ方式をやっているのでございますが、これが統一した方式で可能になる、したがって利用できる電波周波数帯が広く使えることになるということでございますので、そのほか品質の面でございますとか、いろいろディジタル化することによるメリットがございますので、そういった開発をやろうじゃないかということを提言しております。  そういうことで、これからディジタル化の将来行き着くところは移動体通信についての利用範囲が非常に広く見込まれるという点でございますので、そういうことを一つ提案もし、またこれから技術開発を考えていこうかなというところでございます。
  94. 江川晃正

    江川説明員 先生の御指名でございますが、私、本件は所掌外でございまして、やっておりません。  それからもう一つ、現に、ただいま塩谷局長が御答弁いたしましたけれども、そのもとでいろいろやっているところでございますので、発言は控えさせていただきたいと思います。
  95. 木内良明

    ○木内委員 ちょっと、これじゃ審議になりませんね。本来なら大臣にお聞きするんだけれども大臣がまだいろいろ御研さん中であるということで事務当局にお聞きするわけですけれども、これはやはり国民の関心にお答えできないということになってしまうんじゃないですか。
  96. 塩谷稔

    塩谷政府委員 たまたま具体的な例としてディジタル化ということでおっしゃったわけでございますけれども、これからの日本の通信政策の基本的な課題というのは、技術的な側面、これが非常に大きなウエートを占めているわけでございまして、今ディジタル化に関連して移動体通信ということを申し上げましたが、今先生が恐らくお尋ねになりたいという、日本の通信政策のこれからの基本的なあり方として将来目指している方向、これはもっと先端的な技術による通信というのはできないのかどうか。例えば、これはあるいは先国会で木内先生からも御指摘があったかと思いますけれども、先端技術の開発ということでバイオなど、いわゆるそういった生化学系に準拠した通信などはどうか、例えば人工知能、AI技術というのもあるようでございますけれども、要するに通信の受け手、送り手がいつでも、どこでも、どういった形態でもできるという、午前中に松前先生から、人間のパターン認識というのは非常に正確で複雑なものへも対応できるという御指摘がございましたが、まさしくさようでございまして、これからの通信のあり方というのは、そういった人間の持っている通信機能、そういう識別機能、そういうものに限りなく近づいていくことになるのではないかということでございまして、郵政省の一般会計予算も、おかげさまで一種のシーリングの特別な扱いということでこういった先端技術についての若干の増加もできまして、これを核に膨らまして、これから、国でなければできない、多少リスクは伴うし難しい面もあるけれども、将来の通信のあり方をリードしていくような技術的な側面をもっと開発していかなければならない、これが一つの課題だというふうに私ども承っているところでございます。
  97. 木内良明

    ○木内委員 実は、法案審議に入る前に、今懸案になっている問題でありますから核心部分だけお聞きしてすぐ移ろうと思ったのですが、なかなかそれじゃ移れないわけでして、私が申し上げているのは、政治課題としては極めて大きな今回の問題、いよいよ来週詰めの段階に入る、いかなる落着を見せるのかという重大な国民の関心があるわけで、その一つとして申し上げたこのディジタル方式の日米共同開発もあるだろうし、さらにまた郵政省として独自の、こうあるべきだという強い主張、自主性というものがもっと顕在化してよろしいのではないかということでお聞きをしているわけです。お聞きした以外のことで随分と御答弁局長からもあったようですけれども、ぜひ私の質問の真意というものをしっかりわかっていただきたい。  こういうことがあるんです。といいますのは、この対米協調ということを最優先する外務省やあるいは通産省あたりから、世界経済の基軸である日米関係を崩すようなことがあってはならない、制裁が発動されれば産業界の打撃も極めて大きいというようなことで、暗に郵政省へ譲歩を迫るような動きが政府部内でもある、こういうふうにも仄聞をしているわけでありまして、こういった背景を踏まえて今、私はお聞きをしているわけであります。きょうは何か通政局長がお見えにならないので、江川議官がかわりにお見えになって、その辺の問題については答弁の用意があるということで私は今臨んでいるわけなんです。どうなんですか。
  98. 江川晃正

    江川説明員 先ほど大臣から、日米関係のこの交渉につきましての基本的な考え方ということを申し上げたところでございますが、具体的にディジタル化の主張、方式の提案とか、あるいはどうこれから解決していくのかということにつきましては、今交渉の最中でございますから、それについて私ちょっと、通政局が所掌していないということもありますし、また私自身がやっていないということもありますので、発言を控えさせてください、こう申し上げた次第でございます。  ただ、日米関係の中で言うべきことは言うという姿勢、それから、大臣答弁にございましたように、我々がこれから先交渉していくに当たって、まずMOSS合意違反であるという前提に立った交渉、これは日本国としても郵政省としても絶対許せるものではないというスタンスに立って大臣は申し上げているところでございます。そういう基本スタンスに立って主張すべきところを主張し、しかるべく妥協すべきところはしていくのではないか、この妥協の部分は私はわかりませんけれども、そういうふうにやっていくのじゃないかと承知しているところでございます。
  99. 木内良明

    ○木内委員 これは所掌していないと言うけれども、きょうは所掌している人はだれが来ているのですか、通告してあるんだけれども。――塩谷局長なの。
  100. 塩谷稔

    塩谷政府委員 あるいは私、先ほどお答え申し上げたのは、先生質問を取り違えたかと思いますが、ディジタル化ということの将来がどうかというふうに承って先ほど答弁申し上げたわけでございますけれども、日米間の交渉ということ、これにつきましては、当面しておりますのが自動車電話その他そういったことについてMOSS合意違反かどうかということでございますので、その点については私の所管でございます。  MOSS合意違反かどうかということについて、これはちょっとさかのぼりますけれども、MOSS合意のときにこの辺の問題はどういう扱いになっていたかということでございますが、自動車電話につきましては、そういう日本のNTTが従来からやっておりました自動車電話のやり方に加えて、外国で、アメリカならアメリカでやっているモトローラ方式なり、北米方式でございますけれども、そういう技術による自動車電話が可能なような手続をとりなざいよという話が、これは安倍・シュルツ会談で決まりました。そして、じゃ日本はそういう技術的な措置をとりましょうということを約束しまして、日本の電波関係手続をそういった面で改正いたしまして、その結果、日本に今、関西セルラーというような会社がスタートしますけれども、そういうNTTとは違った技術、アメリカの技術をとる自動車電話システム導入されたわけです。その意味でMOSS合意というものは守ったということでございます。  そのほか若干の問題が今回日米の間で話し合いが行われておりますけれども、いずれもそれは基本的にそのMOSS合意で約束したことを日本はこれまで実施してきているということでございまして、それを上回る新たな要求ということで、現在地域割りで東京、名古屋、そういうアメリカ方式をとっていない地域に、アメリカ方式の自動車電話、携帯電話がつながるように周波数をよこせ、こういう話になってきているわけでございます。したがいまして、その問題については合意には我々は違反していない、アメリカの新たな要求ということについてはこれこれの事情で応じられないということをよく理解してもらうということでこれまでやってきておりますし、また、最終場面に向けてこういったことで何とかアメリカの理解が得られないかということをこれから努力してまいりたいというのは、大臣が申し上げたとおりでございます。  いずれにしましても、これからの日米間というのはそういった国際間の問題、技術の問題も含めまして、特にその背景には貿易面でのインバランスということがあるわけでございますので、そういう問題を解決に向けて努力しなきゃいかぬというふうに考えているところでございます。
  101. 木内良明

    ○木内委員 限られた時間ですから、局長、ひとつお聞きしたこと溶け答えてください。  私が今何度も繰り返して申し上げているのは、先ほど大臣の御答弁の中で、米国の理解を求めていくとともに、米国のこのMOSS合意を超える新たな要求についても適切に対処していく方針である、こういう答弁があったから、じゃ具体的に適切な対処とは、国民の皆さんも関心をお持ちになっているから、考えられる、想定されるケースはどんな形ですか、こうお聞きしたわけでありまして、外交交渉ですから、私は、今答弁できない部面のものについても、これはもう十分理解しているつもりです。しかし、それを踏まえて今お聞きしているわけであります。  そこで、今、塩谷局長のお話にありましたけれども、モトローラ方式の導入ということですが、今の関西セルラーの話にもありました大阪、愛知の方で、これはいわばその準備段階でそうした話が出て、周波数割り当てというのが中途段階で行われた。今回の場合、周波数というのは既にコンクリートしてしまっているわけでありますから、関西の方で行われたようなケースというものは踏襲されないであろう。また、今の答弁からもあるように、今の段階で首都圏の周波数割り当てるということはしないという郵政省の明確な答弁である。これは政府部内でどんな横やりが入ろうと、あるいはまた圧力がかかろうと貫くんだというふうに受けとめてよろしいかどうか、簡単にその点だけお聞きします。
  102. 塩谷稔

    塩谷政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  103. 木内良明

    ○木内委員 一点はっきりしましたので、それはぜひ終始一貫御主張を願いたい、こういうふうに思います。  それから、郵政省の国際化に対する取り組みということでお聞きしたいと思います。  郵政省は、かつての我が国政府部内あるいはまた行政の機構の中、さらには国際社会における位置づけとは今日相当に状況を異にしておりまして、世界に開く郵政省という位置づけがあってよろしい、私はこういうふうに思うわけでございます。特に、世界の最先端を行く情報通信大国の基幹省庁たる郵政省としての立場に立って、国際的な舞台での活動の大いなる展開が期待されるわけでありまして、今後将来的にもそうした傾向というものは加速度的に大きくなっていくであろう、こういうふうに思うわけであります。  今るる申し上げました日米電気通信摩擦しかり、また、ハイビジョン統一企画の問題しかり、国際間での調整あるいはまた作業というものが今後郵政省として多くなってくる、こういうふうに思うわけであります。そして、将来の郵政省における人的資源の拡大と申しますか、人材を海外へ派遣して国際感覚をさらに身につけるような、そうした努力というものも喫緊の課題であろう、こういうふうに思います。  村岡大臣郵政省としては今迎えたわけでありまして、大臣みずからこうした人材育成の課題に向けて、今後予算の獲得や海外派遣枠の獲得のために鋭意努力を願いたい、こういうふうに思うのであります。  先ほどちょっと調べてみましたところ、郵政省からの海外派遣人員につきましては、まず在外公館へのアタッシェ、大蔵省から五十五人出ているんですね。それから通産省から六十九人、郵政省から十八人、これは大変少ないわけでありまして、そのほかに人事院の枠として、行政官の長期在外研究員等ということで八人出ているわけでありますが、他省庁に比べて著しく少ない。今申し上げた国際的な環境、背景からいいまして、今後ぜひこうしたテーマにもしっかりと取り組んでいただきたいし、また、郵政省には若い優秀な人材がおられるわけでありまして、さらに国際感覚を身につけて、活躍の舞台が広がるよう、もってこれが行政に反映され、国民生活を守る上から非常に有効な実を結ぶような配慮をされるべきだ、こういうふうに思うのですけれども、これはどうでしょうか。
  104. 村岡兼造

    村岡国務大臣 木内先生の御指摘、ごもっともでございます。昨年もお隣におります阿部先生と海外視察をしてきたのでございますけれども、各省庁とも国際化日本の中でこういうアタッシェ並びに駐在というのは非常に少ない、こういうような苦情も私ども聞いておるわけでございます。  特に郵政省としては、これからどんどん発展していく電気通信あるいは低開発国の郵政事業、こういう問題の状況もございます。何か聞くところによりますと、アタッシェ一人やりますと、二人出さなければいけない。こういうような今の状況にもなっているようでございます。そういう不都合な部面も直し、郵政省の職員が国際感覚を身につけて、そしてそういうことをしていく。こういうことで、今後閣僚懇談会等でも発言をして、そういう予算なり今までの制約を外していくように頑張ってまいりたいと思いますので、先生方の御協力、御指導も願いたい、こう思っております。
  105. 木内良明

    ○木内委員 大臣の明確な答弁でありますし、前任の大臣よりも、よりもと言うとおかしいな、前任の大臣も大変見識のある方でありましたけれども、ますます歯切れがいいので、ひとつよろしくお願いいたします。  今回の法案改正の中身の問題でありますけれども、大きなポイント一つとして、今まで業務独占資格であった無線従事者資格に必置資格としての性格を今回施している。主任無線従事者のもとで無資格者による無線設備操作を認めることにしているわけであります。これは最近における無線通信技術進歩に対応し、また電波利用の一層の促進を図るためには適切な措置である、私はまさに同感であります。  また、六十三年十一月の臨時行政改革推進審議会の規制緩和の方針をも反映させており、他の省庁に一歩抜きん出て規制緩和の方向へこの法案を取りまとめたことに対しても、評価をするものであります。  主任従事者を置くとしても、無資格者に対して無線局操作をゆだねるということは、従来までの電波行政のあり方とは相当一線を画するものである――江川さん、どうも御苦労さんでした。局長にもよろしく、しっかり頑張るように伝えてください。――そう考えるわけでありますけれども、今後の電波行政を進める上で、あるべき無線従事者の将来像もやはり全体のトーンとして固定といいますか、想定をしておく必要があるのじゃないか、こういうふうに思うのです。  どっちかといいますと、今までは専門技術者、テクノクラートというイメージが強かりたと思うわけでありますけれども、今後は例えば管理能力といいますかあるいはマネジメント能力といったものも、時代の要請としてこうした今回の法律改正の中で要求されるようになってくるのかどうか。郵政当局としてどういう想定をされるのか、お聞きします。
  106. 塩谷稔

    塩谷政府委員 無線従事者資格は、申すまでもなく無線設備操作に必要でございます実地の面でのいろいろな知識、それから非常に高度に専門技術的な知識並びに技能が要求される分野でございます。  そこに今回新たに主任無線従事者という制度を導入することになりまして、今後は、単に御自分で無線設備操作に従事されるということに加えまして、無線設備操作の監督という新たな職務内容が発生するわけでございます。これに伴いまして、電波の能率的あるいは効率的な使用を確保するという面で、資格者に期待される役割というのは大変増大してくるのではないかというふうに私ども考えているところでございます。  今後、この新しい制度の普及、定着を通じまして、無線従事者の全体の需要の増大、それから職場における地位の向上などが格段に図られることを期待いたしたいと思います。  今、木内先生おっしゃいましたように、いわゆるマネージャー的な要素といいますか、御自分が、これは操作の監督ということでございますけれども、そういった面でいろいろ御経験を積まれることによって、いろいろな面で他の仕事についてもそういった目を持って見ていかれるということがこれからの無線従事者の将来像ということに大きく考えられるのではないかと思っている次第でございます。
  107. 木内良明

    ○木内委員 今も若干答弁にありましたけれども、現行のこの無線従事者への影響というものも今後配意していかなければならないと思うのですね。現在アマチュア無線技士を含めて免許保有者数が約三百万人を数えている。その人数も傾向として年々増加をたどっているという実態だと思います。  今回の主任無線従事者制の導入によって、今まで十数人の配置が義務づけられていたある基地局の例ですけれども、新制度のもとでは二、三人の有資格者で済むようになるなどのケースも相当数出てくると思うのですね。確かに無線従事者の人員のやりくりが容易になれば、無線局免許人であるところの各企業、団体も、今後の電気通信事業の進展に対して柔軟な対応ができると思うのです。しかしながら、そのことによって逆に、この有資格者の立場が不安定になるようなことになってはならないし、それがひいては電気通信の基盤を弱める結果を招来しかねないという懸念も実は私は持っております。  近年のこの急速な電気通信事業の発展は、現行の資格者を十分に吸収できるとの予測も聞いてはいるわけですけれども、具体的な見通しとそうした立場の方々への対応についてお尋ねをしたいし、同時に、資格取得の受験者数や有資格者への需要総数について、傾向で結構ですから、どういう見通しを持っておられるのか、お尋ねします。
  108. 塩谷稔

    塩谷政府委員 電波利用が普及いたしまして、無線設備システム化の進展に伴いまして、現在無線局無線設備操作に必要な無線従事者の配置の負担が増大しているというのが現状でございます。今回の改正背景には、昭和六十一年度現在、無線従事者を配置すべき無線局が約三十万局ありますけれども、この無線局が毎年度約一万局の増加を見ているということでございまして、無線従事者に対する需要が増加の一途をたどっているということでございます。今回の無線従事者制度改正によりまして無線局の運用の効率化が達成されて、電波利用した各種業務の立ち上がりが容易になるほか、無線従事者の配置の負担が軽減することによって無線利用の一層の普及促進が見込まれるのではないかと思っております。  先ほど、無線局が三十万で無線局の増加が毎年度約一万局と申し上げましたけれども、これは無線従事者資格者で見ますと現在約三百万人ございまして、その上年間約二十万人のペースで増加し続けてきているというデータもございまして、今回の改正によりまして無線従事者の需要に一層弾みがつき、電波利用の急増にも適切に対応できるのではないかというふうに考えております。
  109. 木内良明

    ○木内委員 次に、主任無線従事者の欠格事由の基準について確認をしておきたいと思います。  三十九条三項には「主任無線従事者は、第四十条の定めるところにより無線設備操作の監督を行うことができる無線従事者であって、郵政省令で定める事由に該当しないものでなければならない。」と明記されておりまして、主任無線従事者の欠格事項を省令で定める、こういうふうに記されているわけですね。これは改正によって新たに設けられることになった項目でして、電波行政を進める上で必要不可欠の項目というふうに私は見ているわけでありますけれども、当然これは現行資格者の立場に配慮を加えた上で定められなければならないと考えるのであります。  そこで、省令で定めることになる欠格事由、その根拠及びその欠格事由からの復権の方法、これは具体的にどういう内容になりますか。
  110. 塩谷稔

    塩谷政府委員 ただいまお尋ねの電波法第三十九条三項の欠格事由の条項でございますけれども、これは主任無線従事者として選任して、御自分の技術、経験はもとより、無資格者に対する指導監督もしてもらうわけでございますので、そういった点で選任されることに適さない者としては、免許は有するものの長期間にわたって無線局無線設備操作業務から離脱した者などを定める予定にしております。一種の自動車などの場合で言うペーパードライバー的な感じかとも思いますが、現場の修練といいますか、それが要求されるという考え方から、長いことそれから遠ざかっておられる方は適さないのではないかと思っております。ただ、こういう非適格事由に該当する場合にありましても、一定の講習を受けることによりまして選任可能となるような措置をするようにする予定でございます。
  111. 木内良明

    ○木内委員 今の答弁関連して二点お聞きします。  一つは、適格要件の回復に当たっての講習のあり方、これを具体的にお述べいただきたい。それから、欠格事由は、いわば免許を持っていながら、車の免許で言うところのペーパードライバーのようなケースだけですね。
  112. 塩谷稔

    塩谷政府委員 講習のあり方でございますが、これは私どもこれから検討して決めようと思っておりますけれども、一、二日間程度の講習は私どもで考えて、こういったことをカリキュラムとしてこなしてもらいたいということで考えてみたいと思います。  それから二番目のお尋ねについては、現在までのところ、こういったものだけを予定しております。
  113. 木内良明

    ○木内委員 明確になりましたので、次に進みますが、主任無線従事者の監督に関する職務の内容についてお尋ねします。  三十九条の五項に「選任の届出がされた主任無線従事者は、無線設備操作の監督に関し郵政省令で定める職務を誠実に行わなければならない。」こういう規定があります。具体的には監督に関する省令で定める職務とは何を指すのかということが一点。  それから、同じく第六項に、これら主任無線従事者の職務を行うため必要であると認めてする指示に監督下にある従事者は従わなければならないと規定されていて、まさに監督者と被監督者の関係について規定されている重要な項目であるというふうに思うわけであります。そこで、監督者の省令で定める職務について、その根拠と監督者の権限について具体的にお答えをいただきたいと思います。  なお、先ほど松前委員質疑の中で若干あったわけでございますけれども、被監督者が誤操作などをした場合のペナルティーがどこにいくのかということでありまして、これは免許人であるという答弁であったというふうに聞いております。この点についての確認。  以上三点、お答え願います。
  114. 塩谷稔

    塩谷政府委員 ちょっと順序が逆になりますけれども、二番目の問題につきましては、これは違反あるときは免許人でございますけれども、個別の具体的な行為の態様によって、電波法に触れる場合にはこれは行為を犯したその人間に直接責任を問う場合もあり得るということでございます。  それから、お尋ねの第一点でございますけれども電波法三十九条五項の職務でございますが、これは主任無線従事者が遂行すべき監督の職務ということで、まず第一に、無資格者に対する教育訓練計画の立案及び実施に関すること、それから二番目は、無資格者に対し有効かつ適切な指示を与えること、それから三番目に、その他無線設備操作に必要な監督業務、以上などを定める予定にしております。  それから、この主任無線従事者として監督することができる無線設備操作範囲は、みずから無線設備操作を行うことができる範囲と基本的に同一でありまして、無線局免許人により選任された範囲内でその職務を遂行する責任が課せられるものでございます。  今申し上げましたように、主任無線従事者が行うべき具体的な職務は、無資格者に対する教育訓練の実施と、それから適正な無線設備操作にかかわる指示を与えることでございます。それからまた、こうした主任無線従事者の職務の適切な履行を確保するために、操作の指示権を与える一方で、無資格者のこれらの指示に対する服従義務を法令上、これは新しい法律の三十九条第六項でございますけれども、明記するということにしたわけでございます。
  115. 木内良明

    ○木内委員 今の三点の中で一点、ちょっと確認をしたいのですが、先ほどの松前委員質問に対する答弁として、仮に誤操作によるミスが出た場合の責任問題ということになるわけでありますが、先ほどはたしか免許人という答弁だったと思います。今、免許人ということは踏まえつつも、個別的な行為の態様ということについては現場本人ということでありまして、これは具体的に何を指しますか。主任ですか、無資格者ですか。さっきとちょっと答弁食い違っていると思う。
  116. 塩谷稔

    塩谷政府委員 ちょっと舌足らずであったので申しわけございませんが、誤操作などをした場合、これは無資格者が誤操作したような場合は免許人になるわけでございますけれども、無資格者自身が直接違反して、例えばそういう指示とか監督の範囲を逸脱して通信の秘密を侵したりしたような場合、これは直接そのこと自体が電波法令に触れることでございますので、その辺についてはその行為者自身の責任を問うこともあり得るということでございます。
  117. 木内良明

    ○木内委員 そうすると、今までの答弁を重ね合わせると、電波法違反等については無資格者、実際にオペレートした本人、しかし主任資格者のもとでのいわば業務を行って、その範囲内でミスを行った場合は、主任には行かずに免許人ということでいいんですな。この確認だけ。
  118. 塩谷稔

    塩谷政府委員 さようでございます。
  119. 木内良明

    ○木内委員 補足することはありませんか。大丈夫、今の点。――では、次に行きます。  無線従事者の国家試験センターへの委託並びにその実際にセンターでの業務の問題であります。試験事務民間委託の範囲拡大して行政事務の簡素合理化を図るという点では一定の評価をするものでありますけれども指定試験機関は、電波法規定により郵政大臣の職権を行うものである以上、その実施に当たってはあくまでも国家試験としての中立、厳正な施行が必要不可欠になる、こう思います。  今回、法改正において試験事務の委託の範囲を広げるに当たっては、従来までの下級試験とは異なり、上級試験まで含むわけでありますので、その施行に当たっては今以上の厳正な実施が当然望まれると思いますが、この一点、どのような措置を講じられるのか。  そのためには、従来にも増して指定試験機関への監督強化が求められると考えられるわけですけれども、今回の改正にはその点が盛られておらない。これはいかなる理由によるものか。二点目です。  それから、こんな指摘もありますので、あわせてお聞きをするわけでありますけれども無線従事者の国家試験センターの試験実施のあり方、今からお聞きする三点目ですからよく聞いておいてください。財団法人無線従事者国家試験センターは、昭和五十六年に設立されて試験機関に指定されてより、電信アマの試験実施及び特殊無線技士八種の試験を実施するに至っている。これにより、以前は年二回しか行われなかったアマチュア無線技士試験についても、一日に複数回数実施するなどにより受験者の利便を図り、アマチュア無線振興のためにも多大な貢献をしてきている、こう判断してよろしいと思います。  しかしながら、国家試験として行う以上は、その実施に当たってはそれなりの節度が求められるのは当然である。ところが、聞くところによると、近年は電話級アマの試験に際しては、法規十二問、無線工学十二問のうちそれぞれ各二間ずつ、計四問について、毎回同じ問題が繰り返し使われているという意見が実はあります。恐らくこれは、必要なことであろうから重点的に繰り返し出されるのか、あるいは工夫が行われていないのか、部外者の私にはわからないわけでありますけれども、やはりさまざまな工夫、細心の配慮というものが施されてよろしいのではないか、こう思うわけであります。  きょう、具体的にその問題も持ってきているんですが、もうあと何分も時間がありませんのでポイントだけ申し上げます。例えば、ここにあるんですけれども、問九と問十二、「アマチュア局は、他人の依頼による通報を送信することができるかどうかについて、正しいものを次のうちから選べ。」答えが一から四まであって一つ選べとか、あるいはラジオ放送の受信に支障を与えるようなケースについての問題であるとか、常に出ている問題がある、こういうわけですね。  これはある一方の意見かもしれませんけれども、安直に過ぎるのではないかという指摘もありました。これが三点目でありまして、こうした国家試験である以上、厳正な運用、運営というものが行われてしかるべきではないかという懸念を三点目として申し上げておきます。これについてもお願いします。
  120. 塩谷稔

    塩谷政府委員 これから新たに委託される試験事務を公正また厳格に行わせるということは大変重要なことでございまして、この指定試験機関、これは言うならば国家試験事務を代行するという非常に高い公共性かつまた重要性を有することでございまして、従来から私ども、この試験事務につきましては、試験事務に関する監督上必要な命令、それから試験事務の状況に関する報告の徴取、それから試験事務の状況もしくは設備、帳簿、書類、その他の物件の検査などを厳格に実施しているところでございます。  こういう監督の現状ということで公正、厳格を期しているところでございますけれども、さらに、お尋ねの二点になろうと思いますが、今回委託される試験事務が拡充されることに伴いまして、試験事務が効率的に遂行され、適正かつ確実に実施されるように、一層厳格かつ公正な監督に努めてまいりたいというふうに思っております。  それから三点目でございますが、私も何か、電話級アマチュアの試験問題で二十四間中四問が毎回同じ問題が出ていると聞いて、何とも知恵のない、芸のない話だなと思ったわけでございますけれども、指定機関の実施する国家試験の試験問題の選定に当たっては、言ってみれば、ぜひ知っていなければならない基本的な、あるいは重要な事項について、これは可能性として繰り返し出題することもあり得るとは思いますけれども、全く同じ問題を毎回決まって出すというのは、いかにもこれは適当ではないと思います。今後、無線従事者国家試験センターに対しまして、改善方指導してまいりたいと思っております。
  121. 木内良明

    ○木内委員 残念ながら持ち時間が終了したわけですが、一、二お聞きして、終わりにしたいと思います。  今回の質疑でまだ触れておりませんこのGMDSSシステム促進についてでありますが、先ほどやはり松前委員質疑を私は聞いておりまして、随分勉強させていただいたわけでありますが、これは大変な先進技術を駆使してのシステムということになるわけでありまして、開発途上国においてはなかなかこのフォローアップができないで、大変に難しい隘路になろうと思うわけであります。  そとで、今我が国政府が行っておりますいわゆるODAとしての性格を十分踏まえて、このGMDSSシステムを開発途上国に対して、技術面あるいはさまざまなノーハウといった面でも支えていく、サポートするという思想が大事なのではないか。郵政省としては、ぜひODAの感覚を持ってこのシステムの開発途上国への促進も図られるべきではなかろうか。現状では全くまだ行われていないというふうに私は聞いているわけでありますが、これについて一点。  それから、るるとは申し上げませんが、最後に大臣から、今後は地域振興における電波利用の役割ということについて、発展的、また今後の地域振興における電波利用ということで、これを、今どうしても産業面の上の方の部分に活用されている傾向があるわけでありますけれども、それぞれの地域のそれぞれの国民生活の中に定着する形での電波利用ということが必要だろうと思いますので、その点についての御見解を伺いたいと思います。
  122. 塩谷稔

    塩谷政府委員 実は、昭和六十二年十一月に開催されました、GMDSSに関する千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約の締約国会議、長い題名でございますが、そこの会議では、開発途上国に対するGMDSSへの技術協力の促進に関する決議を採択しているところでございまして、途上国におきますGMDSS導入に対する支援というのは先進国としての責任である、同時にまた、我が国の船舶の安全に寄与するものだということでございまして、私ども、こういった決議が採択されたことも踏まえまして、できる限り支援してまいりたい。今、東南アジア、ASEAN諸国で、国際的ISDNの普及促進ということを私どもやっておりますけれども、同じような感覚で、海上通信GMDSSについて、こういった問題に取り組んでまいりたいと思っております。
  123. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今御指摘のとおり、情報化はさまざまな分野で急速に進展中でございます。  電波は簡便性、経済性、耐災性の点ですぐれておりまして、情報通信基盤整備の立ちおくれている地方で有効に活用できるメディアと考えておりまして、地域振興のために貢献するところは大でございます。したがいまして、有限貴重な国民共有の財産である電波を地域振興のために活用していく方針でございますが、現在、次のような具体的な施策を展開中でございます。  地域的に利用される電波利用システム導入を促進するため、簡易自動車電話、これは自動車から発信をするということでございます。また、共同利用電波塔、地域に共同利用電波塔や、全国十二のモデル地区で、地域に特有の電波利用の具体化に向け調査研究会を開催していく、こういうようなことが行われるようになりまして、全国がひとしく活性化し、経済、産業、文化が発展していくというようなことで私ども一生懸命頑張っていきたい、こう思っているところでございます。
  124. 木内良明

    ○木内委員 以上で終わります。
  125. 田名部匡省

    田名部委員長 次に、佐藤祐弘君。
  126. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 今回の電波法改正の重要なポイントは、無資格者による無線電信操作の問題だと思います。  法案では、主任無線従事者の監督のもとでなら無資格者無線設備操作を認める、こうなっているわけですが、この問題は、船舶の安全、人命尊重といった点から慎重に検討されなければならないと思いますし、大変問題は多いというふうに考えております。  けさからいろいろ質疑がありましたので、ダブらない点で二、三お聞きしていきたいのですが、この無資格者という場合、主任無線従事者の方は選定して任命するわけですね、無資格者については、だれとだれがそういう人物なんだということを特定するのか、それとも、随時だれにでもやらせられるようにしておくのだということですか、どちらでしょう。
  127. 塩谷稔

    塩谷政府委員 これは、現実に主任無線従事者の指揮監督を受け、そしてその職場で日常のそういう無線機器類にタッチして仕事に従事されるわけでございますので、おのずから特定された無資格者ということに当たろうかと思っております。
  128. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 それははっきり電波法上でチェックできることになるのですか、大変その点が疑問なんです。そういう規定は全く見当たりませんし、省令などで決めるというような決めもありませんから。  しかし、午前中の答弁で、日常的な訓練をやるんだというようなことがありましたが、これは全く恣意的なことであって、法上のチェックはないんじゃないですか。結局は、どんな素人でもその場にいる者であれば、監督下に置きさえずればやらせていいんだという解釈じゃありませんか。
  129. 塩谷稔

    塩谷政府委員 おっしゃいますように、法律上の制度としてはそういうことになるわけでございますが、これは現実の問題として、この無資格者というのは、もともとその個々の機械にタッチする、その点について有資格者であり、主任無線技術者がいるところにおいては、その指揮監督のもとにたまたま資格がなくても行われ得るということでこういう制度を取り入れるものでございますので、法律上そういうあれがないからといって、そう取っかえ引っかえといいますか、変な表現になりますけれども、特定のない形での無線局運営ということは、これはやはりそれぞれその無線局に課せられている運行上の義務といいますか、そういったことについて担保し得るのではないかというふうに私は考えております。
  130. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 それは局長の、何というかな、単なる期待といいますか、善意への期待のようなことでしかないと思うのですね。そういう点でも私は、これは非常に不備があると言わざるを得ない。  それから、このこと自体が、いわゆるGMDSS導入、それに備えての体制づくりということだろうと思うのですが、実際にGMDSS導入される以前はこの法律に基づいてどんなことがやられるというふうに想定していますか。
  131. 塩谷稔

    塩谷政府委員 これは、モールスについては従来どおりその有資格者でやってもらうことになりますし、それ以外のものにつきましては、これは導入前に陸上海上それぞれについて、資格者であります者を主任無線従事者選任して、そのもとで無資格者業務にタッチし得る、こういう格好になると思います。
  132. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 つまり、無線電話などをこれまでは通信士の人がやっているのを素人にもやらせることができるということになるわけですね。  主任無線従事者の方についてですが、それは専任という考え方ですか、それとも仮に船長と兼務でもいい、兼任でもいい、そういう考えですか。
  133. 塩谷稔

    塩谷政府委員 船長さんでありましても、ちゃんとした無線通信士の資格を持っておられる、有資格者であるということであれば、主任無線通信士として、無線従事者として兼任される、その意味で船長との兼任ということはあり得ると思います。
  134. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 そうしますと、こういう事態が起きると思うのですよ。船主側、その方はできるだけ安い、通信士よりも、無線通信資格を持っている人よりも安い賃金で使える人間を選んでいくということになりますと、船長が資格を持っているというと船長に同時に主任無線従事者としての登録をするということで、あとはもう素人にやらせちゃうという事態が私は大いにあり得るのじゃないかという感じがするんですね。そうなりますと、今度はちょっと別の問題が出てくると思うのですよ。問題は、やはり船の場合は、大きなのは、遭難でありますとかそういう重大事態になった場合にどう的確に対応できるかということですよね、この通信設備がいろいろ議論されるのも。もともとは一九〇〇年代初めですか、タイタニック号の海難事故以来いろいろ研究されてきて大変役に立ってきているわけです、モールスを主体とした通信が。ところが、この法律のような考え方でいきますと、船長も兼務し得るんだ、あとは監督下ということで素人にやらしてもいいんだということになるわけですね。そうなると、具体的に遭難のような事態を想定した場合、船長自身は操船といいますか、全体的な指揮監督の方に集中しなきゃならぬわけですよね。そうなると、通信の方は全く無資格の素人に任せきりになる、こういうことにもなるのですが、それでいいのですか。そういうことをもう容認するという考えですか、郵政は。
  135. 塩谷稔

    塩谷政府委員 いろいろな場面が想定されますので、それに対応したということで今考えていたわけでございますけれども遭難安全通信につきましては、これは業務独占でございますのでタッチしないわけでございます。それ以外のことにつきましては、これはやはり船長が資格を持っておりまして主任だということである以上は、やはりその中で監督を受け、よく訓練された無資格者が遺漏のないような通信体制をとっていくということを私ども期待したいと思っております。
  136. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 いろいろな場合が想定されると言いますが、安全の確保が一番重要なんですよ。いろいろな事態に万全に対応できるということでなければだめなわけでしょう。そういう点は私はもっときちっと詰めなければならぬと思うのですね。  次にお聞きしますが、いわゆるGMDSSの問題です。これは衛星利用の新しい海上安全システムということで、技術進歩を大いに活用していくことは私は必要だと思うのです。しかし、実際にこれが実行されていく過程といいますか、それを考えると幾つか問題があるんじゃないか。  一つは、一九九二年ですか、から始まって一九九九年までに全面的に移行するんだということに一応なっていますね。しかし、その間、船に旧来型のシステムでいくのか新しいシステムを採用するのかは各国の任意に任されているということですね。そうしますと、新旧システムの併存状態が起きるということが、これは明らかにあるわけです。  それともう一点、どういうふうに考えておられるのかお聞きしたいのは、一九九九年になりましたら一応全面移行ということになっています。しかし、現実にはいろいろな国がありますし、なかなか新しいシステムをすべての船が積む、持つというようにならないのじゃないかと私は思うのです。そうなりますと、併存状態は一九九九年を過ぎてもなお続くと見る方が現実的ではないかと思うのですが、どうですか。
  137. 塩谷稔

    塩谷政府委員 現行の遭難安全通信システムをこれからGMDSSへどのように移行させていくかというのは、これは佐藤先生おっしゃるとおり、重要な問題と認識しております。GMDSSは、現在の船舶に対する安全レベルを低下させることなく、モールス無線電信のような手動システムから自動化され、操作の簡単なシステムへ転換を図ること、これを基本的なポリシーとするわけでございまして、船舶へのGMDSS設備の設置義務規定する千九百七十四年の海上人命安全条約改正案対象船舶、これは国際航海に従事するすべての旅客船及び三百トン以上の貨物船につきましては、この条約規定に従って順次移行する計画でございます。この海上人命安全条約改正案、これは六十三年十一月に開催されましたこの条約の締約国会議において採択されまして、平成二年に発効要件を満たす見通してございまして、平成四年から十一年にかけて段階的に導入される予定になっております。  この条約改正案によりますと、平成四年から十一年にかけての移行期間中におけるGMDSS船とそれから従来船との遭難通信の確保につきましては、現在使用されております無線電話装置の搭載を義務づけるとともに、その周波数を各船舶が聴守する旨規定しておりますので、こういった移行期間中におきましても、安全レベルの低下はないのではないかと考えております。
  138. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 質問に答えてないのですがね。質問したのは、一九九九年までは併存状態になるということはもうわかり切っているわけですよ、もともとがそういう出発なのだから。各国の任意で新旧のシステムの採用は決定できるということですから。現実的な見通しとしては、一九九九年以降もそういう新旧両システムの併存状況は続くのではないかということを聞いているのです。
  139. 塩谷稔

    塩谷政府委員 お尋ねの終わりの部分、ちょっとお聞きづらくして申しわけございません。  おっしゃるとおり、一九九九年以降でも、すべてGMDSS移行すべきはずであったとしても対象外の船もあり得る。その意味では一種の併存状態が続くということになりますので、その時点での対応ということについては、いずれIMO、ITUなどでその問題について十分検討されてしかるべきだと私、考えております。
  140. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 その移行期間の問題で、GMDSSを搭載しない船舶も無線電話は義務づけられておって、だから安全レベルは問題ないのだという説明でしたが、これはそのとおりいくのですか。無線電信しか搭載していないというのも、現実には結構あるのじゃないですか。無線電信、五百キロヘルツのいわゆる国際遭難周波数ですね、それはGMDSSになりますとなくしてしまうという方向なのでしょう、もともとが。そこでどうですか。
  141. 塩谷稔

    塩谷政府委員 条約船はすべて電話が強制されておりまして、そうでないものはモールスでやっていくということになろうと思います。
  142. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 だから重大な検討すべき問題があるというふうに言っているのですよ。現実には、海難が起きた場合に一番救助に役立つのは近くの船舶なのですよ。近くにいる船舶なのです。ただし、併存状態になりますと、GMDSSを搭載した船舶から信号を出す。これは衛星を通って地上局にいってという経路をたどるわけですが、それでモールスが出ませんから、近くにおってモールスしか備えていないという船舶はそれを受けられないわけだよね、SOSが出ても。そうでしょう。しかも衛星を通っていってきたものも、GMDSSを備えていなければ、またこれもキャッチできないという問題が生じるわけでしょう、そういうケースが。そうすると、一番重要な付近航行の船舶で、そういう先進国の船ばかりが並んで動いているのならいいですよ、そうでない場合に、最も救助の条件のある近くの船舶がそういう状態にあることをキャッチできずにそのままになるというゆゆしき事態が生じるのですよ。だから、そういう点について、私は先ほどの議論の中で、だからモールスも残すべきだという意見は私も賛成なんですが、やはり万全の安全対策、それをあわせて検討しなければならない、特に移行期にあっては。全面的に、全世界的にそういうものが搭載されるということになれば解決しますよ。しかし、移行期が結構長いのですよ。長いし、私はかなり多くの船が搭載しない状況が続くだろうと思うのですね。それならば、そこのところの対策をもっと緻密に詰める必要がある。そのあたりはどの程度議論していますか、郵政では。さっきからの答弁を聞いていると、どうも余りそういう点は議論してなくて、GMDSS移行ということだけがだあっと先行している。それに備えた法整備といいますか、そっちばかりへ頭がいっているような感じがするのですが、どうですか。
  143. 塩谷稔

    塩谷政府委員 GMDSS移行に際しまして、その移行に伴ういろいろな問題、まして海の上の船の安全航行ということでございますので、重要な問題であるということは私ども十分認識しております。それで、それに伴ういろいろなことというのは十分詰めて検討してまいりたいと思いますが、例えばモールスを強制されている船はすべて電話を持っているというようなことでもありますので、場合によっては電話によってそういう通信連絡ということも考えられることでもあろうかと思いますけれども、御指摘の点などもこれから十分詰めて考えていかなければならないな、私、そういう問題意識は持っております。
  144. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 その点は、これは本当に真剣に検討して対応しないと大変な事態も起きかねないということを申し上げておきます。  関連して、GMDSS搭載をすることに伴う問題についてお伺いをしたいのです。  これは運輸省の海上技術安全局が出している「海技と知識」という文書があるのですが、ここでGMDSS関連してこういう指摘があるのですね。「これら各種通信機器は高度な信頼性に富み、機器の構造は複雑ですがその取扱いはかなり容易であるとの特性をもっています。このような観点を重視して、従来の通信士に求められていたような通信機器の保守整備に関する技術は必要ないので、その資格要件は弾力的なものにするのが適当であるとする見解がある一方、」前段は今の問題ですね、無資格者でもいいんだというところに発展する考え方ですね。その「一方、船舶における人命の安全確保を重視する観点から現行の無線通信士に類似したかなり高度な知識を有する専門の通信担当者を乗り組ませることとし、基本的にはすべての機器について海上で保守・管理を行うことが適当であるとする見解もあり、それぞれの考え方について検討が進められています。」こういうことがあるのですね。  確かに機器が高度な機器で、操作はたやすくなるという面がある。その点では従来のような資格を持たない者でも操作が可能だという面があるわけですが、同時に、高度な機械であるだけにトラブルが発生した場合にどう対応するのか、特に海上ですから。陸上の場合は、よく今でも急にコンピューターのトラブルが起きて、東京から浜松までハイヤーで部品を運ぶというようなことがあるのですよ。かなり頻繁にありますよ。ところが海上ですから、陸上のようにおいそれと対応ができないわけですね。それだけに海上にそういうことに対応できるような、これまでの無線通信士とまた違った、かなり高度な知識を有する専門の通信担当者を置く必要があるのではないかという見解もあって、検討中だということにこの運輸省の文書ではなっているわけですね。そういう点はどういうように考えておられるか、検討はしておられるのかどうか。
  145. 塩谷稔

    塩谷政府委員 GMDSS設備を実際に運用するに当たりまして、主任無線従事者選任するか否か、これは当該船舶無線局免許人の判断にゆだねられた事項でございます。一方、船舶において無線従事者が果たす役割は、今御指摘ありましたように、船舶の安全な運航に深いかかわりを有する無線通信の円滑な疎通を確保するということで、大変重要な役割であるわけでございます。このために、GMDSSの適切な運用を確保するために導入される設備の能力等に見合う知識、技能を有する有資格者選任することが必要ではないかというふうに考えられると思っております。
  146. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 という意味は、けさからの議論の主任従事者の条件としてそういうものを加えるということですか。
  147. 塩谷稔

    塩谷政府委員 これはあくまで、GMDSS導入の船、これについては、適切な運用を確保するために設備の能力に見合う知識、技能を有する有資格者選任することが必要だということでございます。それはその無線局免許人の判断に任せておくということが妥当ではないかと思います。  他方、いま一つの議論といいますか、こういう意見もあるということで、運輸省関係の高度な設備海上へ行ったときに何かトラブルがあったときの保守という問題、これもまた重要な問題であろうと思っておりますので、そういったものについてもまた検討していく必要があるだろうなということは考えております。
  148. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 どうも質問の指摘のポイントがよくわかっておられないようですが、もう一つただしたい問題があるので進みます。  今回の電波法改正に際して、運輸省から詳細な文書による質問郵政省に行ったはずですが、いつ、何項目にわたる質問郵政省に行ったか、どう答えられたか、どう対応されたか、それについて答えてください。
  149. 塩谷稔

    塩谷政府委員 今回の改正が、無線従事者制度の全面的な改正及びGMDSS導入に伴う規定整備といった大きな改正であることを考慮いたしまして、午前中にも申し上げましたように、事前に経団連あるいは電気通信事業者など広く意見を聴取して調整を実施したわけでございます。それから、GMDSSという船舶の航行の安全と関連する部分があることから、運輸省とも十分に協議を実施したところでございます。
  150. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 質問に答えてくださいよ。運輸省から詳細な意見書、質問書が行ったと思うがどうですかと言っているのです。意見聴取という話じゃないのです。
  151. 塩谷稔

    塩谷政府委員 普通、法令を政府として国会に提出し、御審議いただく場合には各省間で折衝するわけでございまして、今お尋ねの点につきましては、運輸省とも十分な意見の調整を行った上で法案として提出した次第でございます。
  152. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 そういう何かごまかすような答弁はやめてもらいたいですね。私はこれを見て本当に驚いたのですが、三月十四日に運輸省から郵政省あてで膨大な質問が行っているのです。ここに現物があります。  「電波法の一部を改正する法律案について(質問)」ということで、「標記について下記のとおり質問するので、文書をもって回答されたい。 なお、当省の意見は質問についての解答があるまで留保するものとし、再質問を提出する事があり得る事を申し添える。」という前書きのもとに百八項目にわたる質問なのですよ。これが郵政省あてに行っているわけです。これを見ておりますか。
  153. 塩谷稔

    塩谷政府委員 現在、行政事務というのが非常に多岐にわたりまして、伝統的な各省の所掌事務で必ずしもすぱっと律し切れないいろいろな行政領域、省際的な行政事務がふえております。ですから、その点について現在ある法律なり制度を改正するときには各省間でいろいろなネゴが行われるわけでございまして、ただいま先生がお示しになったようなことは一種の各省間の法律制定、改正に当たりましてのステップということで間々あることでございます。
  154. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 どうして端的に答えないのですか。もう時間がなくなってきたのでこちらから言いますが、これに対する郵政省の回答もあるのですよ。それがまた、僕はこれを見て驚いたのですよ。「貴省」郵政省のことですね。「貴省平成元年三月十四日付け質問(午前十時五十三分受領)に関して別紙のとおり回答します。」というので、回答がこれに対応する分だけざっとあるわけです。そして、「本回答を踏まえ、本法律案に意見がある場合には、平成元年三月十四日十六時四十分までに文書で提出されたい。」つまり、午前十時五十三分、十一時に運輸省から意見が百八項目来たのですね。それに対してこういう回答を出して、その日の午後四時四十分までに文書で意見を出せ、最後に「なお、上記期限まで提出ない場合には、意見なきものとして取り扱わさせて頂きます。」切り口上もいいところですよね。  省庁間の意見調整というのは、こういうやりとりをやるのが普通なんですか。その日の十一時に意見が来て、それからこの文書をつくるのに何十分かかかったでしょうよ。それを送り返して四時四十分までに回答せよ、もう一遍意見を出せ、それがなければ意見なきものと見て取り扱いますよというような文書ですね。何というか、けんか腰のような文書ですよ。こういうふうに意見調整というのはやるものなんですか。
  155. 塩谷稔

    塩谷政府委員 いろいろ私ども政府内部の調整について御心配を煩わして恐縮でございますが、各省間それぞれの所掌事務ということについて非常にセンシティブでもございますし、ダイナミックな、そして非常に限られた時間の中で折衝が行われるという一般的な状態を御紹介申し上げて、回答にかえさせていただきます。
  156. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 これで、しかも、きょう時間がなくなったので余り紹介する時間がありませんが、かなり基本的な問題点質問が出ているのですよ。  つまり、質問の第一が、「改正されたRRについては先進海運国二十三ケ国が留保しており、当省においては、留保を付していない我が国も同様の留保をすることが適当と考えており、現在そのための手続きを検討しているところである。」というような、留保するかどうかという根本に触れる問題。それから、「GMDSSに係る改正は一九九一・七まで施行しないうえ、無線局資格者についていまだ調整中の段階であるのに、なぜ今改正する必要があるのか、」こういう基本的な質問が拾い出せばいっぱいあるのです。そういうことがあるのですよ。それが、十四日午前中に意見が来て、四時までに回答をせよというようなことでやりているというのでは、これは幾ら塩谷さんが穏やかな口調でそんなことを言っても通用しないと私は思うんです。これで十分な意見調整が行われたなんてとても言えないですよ。  最後に郵政大臣に、新任されたばかりでありますが、今お聞きいただいたようなこういう状況、これは資料として後ほど差し上げますが、本当にこれは中に基本的な、監督の問題でありますとか、無資格者の問題その他詳細に質問は展開されているわけです。それに対して大体木で鼻をくくったような回答の文になっているというような実情なんですね。だから、人命にもかかわるこれからの海上運航についての安全の問題、非常に重要な問題にかかわる法案なんですね。こういうものが、関係省庁からさえこれだけの意見が出るものを強引にねじ伏せて法案が提案されているという感じが私はしてならないのですね。だから、さらに関係者、さっき経団連とか業界団体の要望には配意しておりますということがありましたが、直接業務に非常に深くかかわる全電波労組とか船舶通信士労組は反対を表明しているのですね。だから、そういういろいろな関係者の声をもっとよくよく聞いてもっと練るべきだ、練り直すべきだというふうに考えるのです。大臣にそういう慎重な対応を要請したいのですが、いかがでしょう。
  157. 村岡兼造

    村岡国務大臣 先ほど三人の先生からの御指摘もいろいろ拝聴いたしました。ただいま佐藤委員からも御指摘をいただきました。私といたしましてば、政令、省令の制定に当たりまして、関係者の意見を十分に聞いてこれに慎重に対処していきたい、こういうふうに考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  158. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 終わります。
  159. 田名部匡省

  160. 木下敬之助

    ○木下委員 電波法の一部改正について御質問申し上げます。  今回の電波法の一部改正の中身は、まず一つが、最近における無線通信技術進歩に対応し、電波利用の一層の促進を図るため、無線従事者制度を改めること、もう一つが、新しい全世界的な遭難通信システムGMDSS導入に伴い、国際電気通信条約附属無線通信規則改正されたことにより、その国内措置を図ること、こういった二点であろうかと思います。  その第一点であります無線従事者関係改正の中身についてお伺いしたいと思いますが、まず、無線局無線設備操作の監督を行う主任無線従事者を法制度化する背景及び目的、そしてこの主任無線従事者についての制度はどのような内容なのか、お伺いいたします。     〔委員長退席、加藤(卓)委員長代理着席〕
  161. 塩谷稔

    塩谷政府委員 お尋ねの無線局無線設備操作の監督を行います主任無線従事者制度でございますが、これの法制化の私どものねらいといたしておりますことは、以下申し上げますような事情があるわけでございます。  申すまでもなく、最近の技術進歩によりまして、無線設備の信頼性の向上あるいは電波利用システム化が図られつつある一方で、無線局が普及しますし、電波利用拡大がなされているということで、有資格者の養成あるいは配置ということで無線局免許人の負担が増しております。そういうことから、無線局の運用の効率化に対しての社会的な要請が増してきているんではないか、こういったところをにらんででございます。  そういうような状況にかんがみまして、今回、無線従事者資格のあり方を見直して、十分な能力を有する無線従事者の監督のもとにおいては、無資格者であっても無線局無線設備操作に従事することが可能となるよう、新たに主任無線従事者制度導入することとしたものでございます。  次に、この主任無線従事者について、どういう内容であるかということでございますけれども、これは現在の国際条約に準拠した無線従事者というその資格の体系を基礎といたしまして、これらの資格者免許人選任を通じて無線設備操作の監督を行う一定の地位が付与されることによって、その適切な指示を受けて無資格者無線設備操作に従事することを認めていこうというものでございます。  主任無線従事者制度の適切な運用が確保されることとなるよう、私ども主任無線従事者の職務と役割、これを法令上明らかにすることにしますとともに、当該地位にあります者の資質の向上を図るために、郵政大臣定期講習義務づけること等の必要な規律を設ける、これが主たる内容でございます。
  162. 木下敬之助

    ○木下委員 無線従事者とか免許人とか、ちょっとかたい言葉が出て、実態が余り浮かんでこないのですが、大体どういう職種でどんなふうに使われているもので、無線局においての免許人というのは一人なのか。そこで、大体今まで無線従事者みたいなのが何人ぐらいいて、こんなふうにしていて、また、その有資格の人がどのくらいの人間を無資格で使おうとしておるのか、大方どの辺に問題があって広げていくのか、おわかりならば教えていただきたいのです。
  163. 塩谷稔

    塩谷政府委員 今度のこの改正でございますが、ちょっと現在どういうふうになっているかということを申し上げますと、無線従事者、これは国家試験に合格して郵政大臣の免許を受けた者、この無線従事者でなければ無線設備操作ができない、業務の独占といっておりますけれども、そういう人でなければやれないということになっておるわけでございます。そうしますと、例えば現在の大きな船、主要な船舶になりますと、モールス電信ですとか無線電話ですとかレーダーですとかあるいは船上通信設備など、いろいろの無線設備ごとに無線の従事者を置かなければならないということになっているわけです。その免許人というのは、免許を受けたその無線の局でございます。ですから、無線局を持っている船舶を持っている人が今度はそこに無線の従事者というものを置く、それは無線従事者資格は持っているわけですけれども、その従事者を主任ということにしまして、そうするとその主任の監督のもとでは無資格の乗組員などが、いろいろ今言いましたモールス電信ですとか無線電話ですとかレーダー、そういうものの操作ができることになるわけでございます。  数的にどうかという点、無資格者なりがどうだということ、ちょっとその数字持ち合わせてございませんけれども、要するにそれぞれの設備ごとに無線従事者資格が要ったのが、ある一つ無線局のところに主任無線従事者がいれば、あとそういった設備ごとは無資格者操作するということで、その辺について大分効率的にというか、運用できるようになるのではないかと考えております。  ただ――失礼しました。無線設備の例としてモールスということを言いましたけれども、モールス電信だけについては従来どおり有資格者で運用してもらう、これは先ほどから議論のあります安全通信関係からでございますので、ちょっと申し添えさせていただきます。
  164. 木下敬之助

    ○木下委員 例えばどういうところで考えているかなという気持ちで聞いたんですが、船なんかの場合、そこに無線の局の免許が一つあって、今までだと何種類かあると何人かみんな無線従事者資格のある人でなければできなかったものを、一人無線の資格のある人がいればあとは違う人でもできるようにして、その一人の人を主任無線従事者というふうな形でやっていこう、こういうことですね。  それで、大分全容がわかりましたけれども、少し重ねてお伺いしますと、主任無線従事者になる資格というのは、とにかく無線従事者資格を持っていて、その免許人選任ということですけれども、指定みたいなことをすればもうそれでいい、こういうことで、主任無線従事者を一人だけではなくて二人指定するとか三人指定するとか、そういう必要はもう全然ない。したければ何人指定しても同じだ、こういうことですか。何か一局には一人しか指定できないとか、そういうのはあるんですか。
  165. 塩谷稔

    塩谷政府委員 主任の指定は別に一人に限るということはございません。
  166. 木下敬之助

    ○木下委員 大体の模様はわかったんですが、定期的に講習を受けるわけですね。その辺で講習を受けた人が主任になる資格があるとかじゃなくて、資格がなくても主任になれる。その後定期的に講習を受けるということになっているんですが、講習を受けるというのが義務になっているわけじゃなくて、一応そうするというだけで無理に講習を受けてなくてもいいわけですか。
  167. 塩谷稔

    塩谷政府委員 今まで申し上げましたことのちょっと繰り返しになりますけれども主任無線従事者というのは、あくまで無線従事者としての資格、いろいろな無線通信士などの資格を持っている人がなるわけでございます。その意味の有資格者でございますが、ただ、主任として指定された主任無線従事者、この方は一般の資格を有しない人の無線機器の操作の監督をされるということでございますので、無線設備操作の監督という地位の重要性にかんがみまして講習を受けてもらうということでございます。いわゆる監督者としてふさわしい知識、技能水準が確保されていなければならぬ、あるいは無線通信技術進歩に応じて不断にその資質の向上を図っていくことが必要不可欠だということで、こういう主任としての講習を義務づけたということでございます。そういう意味合いでございます。
  168. 木下敬之助

    ○木下委員 余りよくわからないのですよね。その講習を受けるというのが先にあって、その人を選任することができるというのならわかるのですけれども選任することができて、その人が講習を受けなければならぬ、こうなると、主任になるのに何も無理に受けてなくてもいい、なれるわけですから。ちょっとその辺がよくわからないのですよね。  余り詰めてもしようがないかもしれません。要は、一人おればいいようにしたいということでしているんでしょうから、その辺余り詰めてもしようがないのですが、念のためにお聞きしますと、その主任無線従事者は、どういうところを監督するんですか。その監督のポイントみたいなところがあるのですか。
  169. 塩谷稔

    塩谷政府委員 監督でございますが、これはあくまで無線設備操作の監督ということになるわけでございまして、現実にはその無線設備、いろいろ操作手順なりこういうことで運用するというようなことについて、そのとおりやっているかどうか監督するということになろうかと思います。  それから、前に戻りますが、先ほどちょっと、主任無線従事者になれないのは、主任無線従事者資格がある者はしていいわけでございまして、なれないのは、長いことそういった無線の実際の業務に遠ざかっていた人がなれないというだけで、そうでない人は主任無線従事者にしていいわけです。そして、したらその人は講習を受けてもらう、こういうことでございます。
  170. 木下敬之助

    ○木下委員 大体わかりました。  その主任無線従事者の監督のもとで無資格者操作を認める、これに電波監理上の問題はないのかと思いますが、お伺いをいたします。
  171. 塩谷稔

    塩谷政府委員 この辺は、資格を持っていない者が、主任無線従事者の監督のもとにありとはいえ、機械などに習熟してないところがあったりしていろいろ問題が出てくるんじゃないかという御心配はもっともだと思います。これは、こういうことをあえて導入しようということの背景には、最近の無線設備の信頼性が向上してきているということで、システム化あるいは自動化ということでそういう機器類について従来よりは比較的扱いやすいといいますか、その辺の手順、ノーハウというのが機械化してきている状況にあるのではないか、そういうわけで、十分な能力を有する資格者の監督のもとにおいては、無線設備操作するすべての人に資格の取得を要求しなくても電波監理上大きな支障は生じないんではないかというような、そういう利用形態が一般化しているんではないかと見ている、それが背景にございます。  ただ、こういう主任無線従事者制度導入に当たりましては、その主任無線従事者の資質、能力の保持あるいは向上を図るために、先ほど申し上げましたように、無線局の免許を受けた免許人主任無線従事者郵政大臣の行う講習を定期的に受講させるということでございまして、そういう講習を受けることによって主任無線従事者の能力が確保され、そしてあわせてその先にあります、その監督を受けている一般の無資格者による設備操作、そういったことについて監理上問題のないように確保していく、こういうつながりでございます。
  172. 木下敬之助

    ○木下委員 言葉の上ではそうなるんでしょうけれども、現実には主任無線従事者の人が監督して――監督するといったって、そばで見ているのか、ああしろこうしろと言うままにするのか。具体的には、そういう人がいれば、最初に操作の仕方をその人が教えれば、要は後はだれもいないところで無資格の人がさわっているんじゃないんですかね。だから、言葉で言うと監督でというようなことになりますけれども、現実にはかなり機械が進んで、少し教えれば余り問題なくできるようになった、こういうことではなかろうかと思うので、余りその主任の人にこだわるよりは、その人にももちろん、人に操作の仕方を指導したりするんでしょうから幾らか講習とかも要るでしょうけれども、その後は簡単な講習で無資格の人ができるような、無資格で当たる人に一遍ちゃんと講習した方がよほどちゃんとうまくいくんじゃないかという気がするんですが、どうでしょうか。
  173. 塩谷稔

    塩谷政府委員 これは先ほどの先生のお尋ねにもあったことで、ちょっと私、その辺十分に答えてなかったと思うので、もう一度繰り返させていただきたいと思いますけれども主任無線従事者の行う操作の監督でございます。  その監督というのは一体どういう内容で行われることを考えているのかということでございますけれども、その資格者が無資格者に対して行う監督、これには以下申し上げるような要素が必要ではないかと考えられるわけでございます。  その一つは、臨場性といいますか、その現場に臨んでいるということでございますが、無資格者無線設備操作を行っている状態を的確に把握できる範囲内において資格者が勤務しているという状態が必要ではないかということでございます。それから二番目は、指示可能性といいますか、無線設備操作を行っている無資格者に対して資格者が随時有効・適切な指示をなし得る状態であることが必要であろうというふうに思います。それから継続性でございます。資格者とその監督を受ける無資格者とが当該無線局において継続的に業務を行っていることが必要だ。これは、確かにそういった継続性、安定性ということは大事なことではないかということでございます。  そういうわけで私ども、定期的な講習を主任無線従事者に求めておりますけれども、講習を一般の従事者にやったらどうかということもあろうかと思いますけれども、そういった十分な監督の行われる状態ということを通じて何とかこういう制度をうまく運用していきたいというふうに考えております。
  174. 木下敬之助

    ○木下委員 言葉ではそんなふうに言っていると思いますけれども、今まで資格がある人がやっていたのを今度資格のない人にさせる、そしてそれを手の届くところ、ちゃんと指導のできるところで何人もの人を使う、そしてその人が的確に指導するから無資格の人でもできるんだみたいなことで本当に考えておられるんなら、これはその人に対して大変な過重ですね。そうじゃなくて、操作が簡単だから教えればできるということの延長線にあるのなら、私はやはりその末端で扱う人に指導することを考えた方が、やり方としては本当に事故につながらないんではなかろうかと思います。  もう一つ問題点についてお伺いをいたします。  GMDSSとはどのようなシステムか、船舶の安全の確保がどのように改善されるのか、まずお伺いいたします。
  175. 塩谷稔

    塩谷政府委員 GMDSSという略語でございますが、これはもとの言葉はグローバル・マリタイム・ディストレス・アンド・セーフティー・システム、全地球的な規模における海上の災難、遭難あるいは安全のシステムということになろうかと思いますが、これは現在使用されておりますモールス電信などにかえまして衛星通信あるいはディジタル通信技術利用した通信システムでありまして、より一層迅速で効果的な捜索救助活動に資することを目的として開発されたものでございます。  現在の通信システムと比較しまして特徴的なことは、まずシステムの自動化でございます。一つ一つ手動でなく自動で行われるということ。それから二番目は、簡単な操作による設備を備えるということでございます。それから三番目は、迅速で確実な遭難警報の処理ということでございます。それから四番目は、船舶の航行する海域にかかわらず、陸上の捜索救助機関や船舶といつでも通信可能といった改善ということがなされるわけでございます。  以上申し上げたのがその内容でございます。
  176. 木下敬之助

    ○木下委員 第六十五条において、船舶局等に特定の周波数を聴守する義務を加えているようですが、この聴守する義務というのは具体的に言うとどういうことですか。聴守できる設備を持つということなのか、いつでも聞ける状態にしておくということなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  177. 塩谷稔

    塩谷政府委員 端的に申し上げまして、いつでも聞ける状態になっているということでございます。  で、この六十五条におきまして、船舶局等に特定の周波数をいつでも聞ける状態にするような、そういう意味での聴守を義務づけた理由でございますけれども、これは、海上におきます人命の安全及び船舶の航行の安全をより一層確保するということで今回の国際電気通信条約附属無線通信規則改正で、新たに、GMDSSを構成する無線局、すなわちディジタル選択呼び出し装置を施設している船舶局及び海岸局。船舶にある無線局、それから海岸にある無線局という意味でございます。それから二番目は、船舶地球局及び海岸地球局。それから三番目は、百五十六・六五メガヘルツの指定を受けている船舶局について聴守義務が課されたことに対する対処でございまして、そういった意味での、いつでも聞ける状態にあるという意味での聴守義務が課されているということでございます。
  178. 木下敬之助

    ○木下委員 時間がありませんので最後にもう一つ。  近ごろずっと自動車電話がかなり普及している、このように思いますが、自動車電話のサービスの現状と、昨年十二月から都内において新たな自動車電話のサービスが始まっておりますが、新規参入の状況、これについてまずお伺いいたします。
  179. 塩谷稔

    塩谷政府委員 先生御指摘のとおり、自動車電話を初め移動体通信というのはこれからの通信の花形になるわけでございますけれども、自動車電話のサービスの現状でございますが、現在、全国六百五十六都市のうち約九割に当たります六百都市及び主要道路をカバーしているところでございます。道路によって、山の中へ入ったときにちょっと通じないというようなこともございますけれども、大体六百都市とその主要道路はカバーされている。それから、本年三月末の自動車電話の普及台数でございますが、約二十四万台ございます。それから最近の伸びでございますけれども、伸び率が前年の約五〇%増ということで急激な伸びをしている状況でございます。  それから、お尋ねの二段目でございますが、昨年の十二月から都内におきまして新たな自動車電話のサービスが始まったわけでございますけれども、新規参入の状況といたしましては、日本移動通信、これが首都圏及び中部圏、それから関西セルラー電話を初めといたしますセルラー電話の会社がそれ以外の地域でサービスをいたす予定でございます。日本移動通信は今申し上げましたように昨年十二月からやっておりますし、それから関西セルラー電話は本年七月からサービス予定でございます。  こういったことで、これからは自動車分野は競争も本格化し、ユーザーの利便は向上するというふうに私どもは考えております。
  180. 木下敬之助

    ○木下委員 大臣にもちょっと聞いておいていただきたいのですが、今六百都市をカバーしている、こう言われたのです。数字ではなかなかのものなんですが、この都市をカバーしているというのは、一体その都市の道路の何分の一くらいに自動車電話が通じればカバーしているということになるのかな。これがなくて、もう道路一本でも、主要道路の一部でも自動車電話が使えればその都市をカバーしたということで数字が出てきても、本当の意味で自動車電話が使えているということにはならないと思うのですが、何か基準とかあるのですか。     〔加藤(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
  181. 塩谷稔

    塩谷政府委員 これは通信でございますから、ほんの一部ということで、そこを過ぎるとまた通じないと――私が主要道路並びに全国都市と申し上げましたのは、極端な山間地とかそういうところを除いてまず大体使えるということでございますので、木下先生おっしゃったような、そういった、ちょっとだけ通じればそれをカバーしているとはちょっと言いにくいんじゃないかと思っております。
  182. 木下敬之助

    ○木下委員 それを敷衍していくと、せめてどのくらいはカバーしていなければそこで自動車電話が通じるんだと言うわけにいかないと思うのですよ。そんな意味で、私はそんなに幅広く自動車電話を使いながら各地を回ったという経験はないのですけれども、私が使っている範囲で物すごく近隣とで差があるように思います。これは一つには地形で随分違うんだということはよくわかっておりますけれども、しかし、より便利であってほしいというのはどんな地形のところに住んでいる人でも、ましてそういう複雑な地形にいればいるほどぜひやってもらいたいというのが希望だと思いますので、大臣、これはぜひ、効率のいいところだけでせずに、効率がよくても悪くても、やはり主要な都市は通じないところができるだけないようにというのを方針にしてやってもらえるように御指導をお願いいたしたいと思います。
  183. 村岡兼造

    村岡国務大臣 木下先生から前々から御指導を受けておりますが、私どもの地域の秋田もようやく自動車電話なってまいりまして、まだまだ全域というわけではございませんで、私自身も今先生の御指摘の点については痛切に考えておりますし、また自動車電話の料金が高い、こういうような御指摘も聞いております。その両方の部面についてこれから一生懸命頑張ってまいりたい、こう思いますのでよろしくお願い申し上げたいと思います。
  184. 木下敬之助

    ○木下委員 終わります。
  185. 田名部匡省

    田名部委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。      ――――◇―――――
  186. 田名部匡省

    田名部委員長 次に、お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府より趣旨説明を求めます。村岡郵政大臣。     ―――――――――――――  お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正する法律案    〔本号末尾に掲載〕
  187. 村岡兼造

    村岡国務大臣 お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における高齢化、国際化といった状況の中で生じつつある社会的要請にこたえるため、お年玉付郵便葉書等の寄附金の配分を受けることができる団体について、その範囲拡大しようとするものであります。  現在、寄附金の配分を受けることができる団体は、「社会福祉の増進を目的とする事業を行う団体」等七つの事業を行う団体とされていますが、この法律案では、これらのほか、健康の保持増進を図るためにするスポーツの振興のための事業を行う団体、開発途上にある海外の地域からの留学生又は研修生の援護を行う事業を行う団体等を配分対象として加えることといたしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。  以上、この法律案提案理由及び内容につきまして御説明申し上げましたが、何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  188. 田名部匡省

    田名部委員長 以上で趣旨説明は終わりました。
  189. 田名部匡省

    田名部委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田並胤明君
  190. 田並胤明

    ○田並委員 それでは、今大臣から提案をされました法律案関係について質問をするわけでありますが、その前に、村岡郵政大臣の御就任を心からお祝い申し上げます。  どなたでしたか、実は大臣に御就任になったとき開口一番、郵政事業は税金でやっていると思っていた、ところが大臣になって郵政省のレクチャーを受けたら、それぞれが独立採算で立派にやっているという、こういう姿を見てびっくりしました。大臣になった方がそういう御発言をなさったことがございます。  よもや村岡郵政大臣はそんなことはないと思いますが、とにかく郵政事業は人力に依存する度合いが高い事業でございまして、郵現一体となって全力を挙げて国民のニーズにこたえて各種サービスを展開しているわけでありますから、そういう意味では労使関係も非常に重要でありますし、これからの事業展開に当たっては、そういう意味での配慮をぜひとも大臣の方もしていただきたいと、冒頭お願いしておきたいと思います。  そこでもう一つ、これは局長にお伺いをしたいのですが、きのうの新聞に「飲み食い費八億目的は営業推進 一人六千円で十四万人」。この新聞記事を見ますと、あたかも税金の中からむだ遣いをしているというような感じで出ておったわけですね。特に郵便関係職員が国の経費を飲食費に使用したという印象を与えるような記事が出ておったのですが、この辺の事実関係について御説明をお願いしたいのです。
  191. 田代功

    ○田代政府委員 十三日の記事に関連して御説明申し上げますと、私ども郵便局では最近積極的な営業活動を推進しておりますが、この営業の実施方法とか販売目標の徹底を目的とした打ち合わせば大変重要な仕事でございます。このためにことしも必要な経費を流したところでありまして、この経費の使い方は現場の郵便局長の判断に任せておりまして、一番使いやすい時期に、効果の上がる方法で使うようにということで流しております。  この趣旨に沿いまして、各郵便局では、それぞれ営業の推進とか意欲の向上に向けての打合会、あるいはそれに引き続いての懇親会などを催しているところでございます。
  192. 田並胤明

    ○田並委員 そういう意味では非常によろしいのですが、特に昭和五十五年度以降の郵便事業の推移を見ますと、五十五年度は欠損が二千四百九十四億、約二千五百億程度の欠損があったのですね。しかし、先ほど申し上げたその後の郵現一体となった努力によりまして年々欠損が縮小されまして、昭和六十二年度には二百五十四億円という黒字に転化したわけであります。  この間、国民のニーズに合ったサービスの展開等、それこそ大変な努力を、本省は本省、郵政局は郵政局、現場は現場でやってきたと思うのです。これだけの事業を伸ばすためには当然いろいろな施策が必要であると同時に、現場職員の士気を高めることも必要でしょうし、また営業推進のための打合会等を頻繁にやって意思統一をして打って出る、こういうことも非常に必要だと思うのです。そういう意味では、郵政省としては、営業推進のための施策について今後どういうお考えで進められるのか、これもあわせてお聞かせ願いたいと思います。
  193. 田代功

    ○田代政府委員 ただいま先生御指摘いただきましたように、営業といいますのは、ベルトコンベヤーのそばについていて部品を取りつける、いわばロボットでできるような仕事ではございませんで、生きた人間の創造力に依存するものでございます。そこに働く職員に本当に気持ちよく、心底からその気になってもらわないことには売り上げというのは伸びないのでございます。  したがいまして、単に飲み食いしたというような趣旨のものではございませんで、飲み食いも意欲増進の立派な材料だと私考えておりますので、この新聞記事では、いかにも私ども、肩身の狭い思いをして飲み食いをしているような印象を受けますが、私ども郵便局の人たちに対しては、そんな肩身の狭い思いをする必要はない、お金が許すことならばもっとたくさん差し上げたい気持ちでありますが、年間一人わずか六千円の経費しか流せませんが、この経費を有効に使ってこれからも大いに営業に励んでほしい、こういう気持ちでおりますので、よろしくお願いいたします。
  194. 田並胤明

    ○田並委員 わかりました。  郵便事業のみならず、例えば貯金事業についても、いよいよ来年度は集中満期という大変な事態を郵政省自体迎えるわけであります。ですから、三事業とも取り巻く環境は非常に厳しくなっておるし、またそれだけにサービス拡大あるいは職員の士気高揚、営業の推進ということは、三事業のますますの発展のためには非常に重要である。これらのことを十分踏まえて、営業活動のための打ち合わせあるいは具体的な施策、こういうことについてはもっともっと積極的に推進をしていただきたい、このことを要望として申し上げて、以下法案に関する質問に入りたいと思います。  第一点は、今回の法改正によりますと、従来、お年玉つきの寄附金の配分を受けることのできる団体というのは、「社会福祉の増進を目的とする事業を行う団体」等七つということになっておりましたが、今回はこれに新たに二つ事業を加える。「健康の保持増進を図るためにするスポーツの振興のための事業」を行う団体、あるいは「開発途上にある海外の地域からの留学生又は研修生の援護を行う事業」を行う団体、このように新規の二事業、さらに、従来は治療あるいは研究を行っておった事業について予防措置というものも加えられる、従来あった事業に新たに二つ事業が加えられるということになるわけですが、事業拡大して寄附金を受ける団体をふやすということは、結果的には寄附金を多く集めないと、今までそれぞれに配分しておった額が確保できないことになるのではないかと思いますので、これらの新規二事業、追加二事業が加えられることによって、寄附金の配分額を増額するために器附金つきのはがきをさらに増刷するのかどうか、これについてお伺いをしておきたいと思います。
  195. 田代功

    ○田代政府委員 寄附金つきのはがきは昭和二十四年から発行しておりますが、長いこと大変売れ行きが悪くて、私ども郵便局で売りさばくのに苦労しておりました。  五十七年に、当時一円ついておりましたのを三円にするのを機会に枚数を減らしまして、裏に絵を印刷するなどして売りやすいような形にしました。と同時に、その後の郵便局の営業活動も大変活発になってきましたので、六十年ごろから寄附金つきのはがきも売れ行きが伸びてまいりましたので、私どもは毎年少しずつ増刷しております。ことしの正月は天皇陛下のことがございましたので余りふえませんでしたけれども、その前の年は一年前に比べて三割ほど寄附金つきの方が余計に売れたという事実もございますので、これから先も現場での売れ行き状況を見ながらでないと私どもは計画を立てられませんので、これからその推移を見ながらできるだけふやしていきたいと考えております。
  196. 田並胤明

    ○田並委員 そうすると、結果的には今年度発行した寄附金つきはがきの枚数以上のものは当面は考えておらない。そうすると、結果的には本年並みの寄附金を交付する団体の数をふやすことによって幾らか額が少なくなるという結果になっても当面やむを得ないという考え方でやるのでしょうか。
  197. 田代功

    ○田代政府委員 今回法律改正したからふやすというのは非常に難しゅうございますが、それに関係なく今度の正月の寄附金つきはがきはふやしたいと思っております。それによって、範囲は広がりましたけれども従来のものは減ることはない、このように考えております。
  198. 田並胤明

    ○田並委員 次に、先ほど申し上げた従来の七つの事業を行う団体以外に「健康の保持増進を図るためにするスポーツの振興のための事業」を行う、文章はなかなか難しいのですが、要するにスポーツ振興のための団体だとか、開発途上国から来る「留学生又は研修生の援護を行う事業」をやっている団体、このように書かれているのですが、具体的にどのような種類のスポーツを考えていらっしゃるのか、あるいはどういう団体なのか。また、開発途上国からの留学生、研修生の援護を行う事業の団体というのはどういうものを指すのか、これらにつきましてお聞かせを願いたいと思います。
  199. 田代功

    ○田代政府委員 「健康の保持増進を図るためにするスポーツの振興」と申しますのは、一口で言いますと、生涯スポーツという言葉で今文部省あたりは振興を図っております。スポーツの中にはプロスポーツがあります。これは論外としまして、アマチュアスポーツの中にも学校で行うスポーツ、あるいはオリンピックとか国体のように競技水準を高めるスポーツ、競技スポーツというものもございます。学校スポーツはどちらかというと税金で行っておりますし、競技スポーツもいろいろなところからスポンサーがついたり税金をつぎ込んだりしておりますので、今回の寄附金の対象として入れたいのは競技スポーツでないアマチュア、いわゆる生涯スポーツと申しまして、例えばママさんバレー、ジョギング、ゲートボールとか、普通のなかなかお金の集まりにくい、しかしこれから高齢化社会に備えて健康増進のために多くの人が、本当の意味の素人の人たちが集まって行うスポーツ、こういうものを振興するのに役立てたいというのが第一点でございます。  それから第二点の「開発途上にある海外の地域からの留学生又は研修生の援護を行う事業」でありますが、最近国際化が進みまして日本にも大勢の留学生、研修生がお見えになっております。ところが、最近の円高もありまして、寄宿舎をつくったり、あるいはそこへいろいろな教材を提供したりしてこういう留学生、研修生をお世話している公益法人がたくさんございますが、日本での生活がなかなか苦しくて、例えばまともに暖房もとれない、あるいはビデオなどの教材も満足でない、こういった話が最近非常に強く来ておりますので、こういったものの整備事業に充てたい、かように考えております。
  200. 田並胤明

    ○田並委員 スポーツの種類は大体わかったのですが、例えば今までの配分状況を見てみますと、財団法人であるとか社会福祉法人であるとか社団法人であるとか、あるいは青少年更生保護等々大体何とかという団体に対して配分しているわけですね。そうしますと、今言った生涯スポーツであるママさんバレーとかゲートボール、ジョギング、こういうものは、それぞれ何かの団体を対象にして当然配分をするだろうと思うのですが、特別な団体の資格というのは問わないということになるのでしょうか。
  201. 田代功

    ○田代政府委員 従来の配分対象の中心が社会福祉事業あるいは難病を治療する病院とか研究機関とか、そういうところが中心であったものですから、そういった事業を行っているところでは任意団体というのはあってもごく一部ですし、ほとんどが公益法人で行われておりましたので、私どもも実務上は公益法人に絞って配付をしておりました。もう一つ意味は、やはり国民の浄財でありますので、これはやはり立派に使ってもらわなければいけませんので、組織あるいは予算の立て方、事業計画その他もきちんとしたものでなければいけない、こういう趣旨で公益法人に絞っておりましたが、今回配付先を広げるとなりますと、特に生涯スポーツの面になりますと、それだけに絞っておったのでは必ずしも本当の意味で役立つかどうか若干疑問な点もございます。この広げ方というのは大変難しゅうございます。言葉は悪うございますが、インチキと言ってはなんですが、まともにきちんと組織立ってないような団体に行きますといけませんので、そうでない歯どめは必要でありますが、若干広げることをこれから検討していきたいと考えております。
  202. 田並胤明

    ○田並委員 今の局長答弁でわかるのですが、例えばこれが恣意的な判断でやられたら非常に困るのでありまして、郵政審議会であるとかこの事業を行う所管の大臣の意見も聞く、あるいは関係する都道府県の知事の意見も聞くというわけでありますから、可能な限り公平に、しかも間違いのないように、国民の浄財でありますから、その配分に当たっては一層の努力をしてほしい、このように思うのです。そのことを申し上げて、次の質問に移ります。  施行令第三条によりますと、寄附金の配分を受けようとする団体を公募するというふうになっております。この公募の方法はどういうふうにするのかということが一つ。  それから、過去の寄附金の配分を申請した団体と配分を決定した団体の数は、郵政省の資料によりますとぴしゃっと一致しているのですね。恐らくこれ以上申請をしているところがあるのじゃないかと思うのですが、その辺は施行令第四条の二項による申請の段階であるいは手続中にその辺の調整がされるのかどうか。調整されるとすれば、どういう形で調整をされるのかということについて教えていただきたい、このように思います。
  203. 田代功

    ○田代政府委員 まず、前段の公募の方法でありますが、これは法律、政令等に手続が決めてございまして、大体秋、例年十月ですけれども、官報に告示をいたしまして、配分を受けることのできる団体はこういう団体であります、例えば今法律で七つの要件が決まっておりますから、そういった事業を行うものであることですとか、事業計画がきちんとしているもの、あるいは今回寄附金を使ってどういうことをやろうと思っているのかが明確に決まっていることとか、そういった幾つかの要件を官報に掲示しまして、そういう要件に合っているところが資格がありますというようなことで公募いたしております。また、社会福祉事業団体ですと、例えば共同募金会の推薦などもとりますし、その他すべての団体についてその事業を所管している県知事なりあるいは関係大臣なりの意見書をとったりというようなことで手続をとらせていただいております。  それから、申請と実際にもらった団体が一致しているというお話でありますが、今百三、四十団体に毎年配付しておりますが、そのうちの百団体ほどは社会福祉事業の団体でございます。ところが、社会福祉の事業というのは全国で今一万八千ほどございまして、私どもの手だけでその中からわずかの金を配るために選び出すのは大変困難なものですから、これは厚生省を経由しまして共同募金会と十分なすり合わせをして配付しておりますから、申請と配付団体とぴしゃっと一致するわけであります。それ以外の団体では、初めてのところですと、まず事前に相談に来られまして、その資格に合う合わないというような相談に私ども乗っております。それからあと、今まで一度受けたことがある人あるいは周りから話を聞いてきた方も、いきなり書類で申請するということはございませんもので、大体いろいろなところへ相談にお見えになって、そこでおよその話もできますのと、なれた方は、わずかな、総額八億か九億の中で百何十団体ということなものですから、毎年は申請してもだめだろうなとか、そんなこともある程度考えながら申請が出てきまして、おのずと数が一致してきた、こういう経過でございます。
  204. 田並胤明

    ○田並委員 そうしますと、寄附金の配分の決定に当たっては、おおむね毎年毎年、例えば百三十とか百四十ある団体の中で、社会福祉法人の関係が最初から百団体くらい決まってしまうわけです。本当は、これはせっかく郵政省がやっている事業でありますから、もちろん所管大臣との協議も必要でしょうし、郵政審議会の諮問というのも必要でしょうけれども、公募あるいは配分に当たっては郵政局を通してやっているんですかね。郵政局を通さずに本省直でやっちゃっているんですか。
  205. 田代功

    ○田代政府委員 実は、従来これは長年の経緯がございまして、始まった昭和二十四年は社会福祉事業だけが配付対象でございました。今現在四十年たちましたけれども、どうしても考え方の中心は社会福祉事業になってまいります。そうしますと、その一万八千の中の百団体というのはどうしても先に出てまいりますが、それ以外の団体につきましては、従来は主として本省が各省庁と相談していろいろなところからの申請を発掘するといいますか、引き起こしておりましたけれども、実はこの逓信委員会でもときどき議論がございますように、せっかく郵便局の職員が汗水流して売ったはがきの浄財でありますので、できるだけ郵便局の手を煩わすといいますか、郵便局を通じてそれぞれの地元のこういう関係の団体に配付する道を講じたいと考えまして、ことしの年賀状の寄附金の扱いから、出先の集配郵便局を窓口にしまして申し込みもすべてそこにしていただく、寄附金を差し上げるのもそこの郵便局長から差し上げるというようなことに改めてございます。
  206. 田並胤明

    ○田並委員 大変結構なことだと思うのです。それぞれの地域の郵便局の果たしている役割を地域の皆さんに知ってもらう意味でも、それらのことはぜひひとつこれからもさらに拡大をしてほしい、このように思うのです。  それとあわせて、今度対象の団体が広がりますと、各郵政局単位で例えば何件とかというのは基準を設ける必要はないんでしょうかね、各郵政局単位で大体バランスがとれるように。ということは、全国的に広まるということですから、もちろん人口割りだとかその地域における福祉団体だとかスポーツ団体だとか、寄附金の配分を受ける事業をやっている団体の分布によっても違うでしょうが、その辺の基準も一つはつくった方がいいんではないかなという気はしますね。
  207. 田代功

    ○田代政府委員 私どもも仰せのような方向でこれから仕組みをつくっていきたいと考えておりますが、何せ今まで全部東京で実施してきておったことなものですから、いきなり地方におろすとしましても、いろいろな基準をつくったり手続をつくったりというのに若干時間がかかろうかと思いますが、基本的な考えは、やはり全国的な、地域的なバランスみたいなものは大事な要素だと思っております。
  208. 田並胤明

    ○田並委員 ぜひそういう方向で御努力をお願いをしたいと思います。  そこで、次の質問なんですが、大変貴重な国民の皆さんからの浄財でありますから、当然配分に当たっても相当厳格な審査をすると思います。今度は、配分をした後どのように使われたかということについても、使い道が正しく行われたかどうか、法律では監査をするということになっているようですね。これは事業が終わってから書類で郵政省に報告を求める監査の方法あるいは出先の局の方から実態を見せていただくという監査の方法もあろうかと思いますが、今日までどういう方法で監査をされておったのか。あるいは法律によりますと、当該監査の結果に基づいて配分金の返還を求めることもある、このように出ておりますが、そういう事例が過去あったのかどうか、その辺をお聞かせを願いたいと思います。
  209. 田代功

    ○田代政府委員 寄附金の使い方につきましての監査は、事業が終わりました後、事業計画どおりのものを購入されたかどうかとか、ほかの資金と区別してちゃんとそのものに充てられたかといった観点からの実地監査をしております。そして、これは私ども、先ほどの話とは違いますけれども、飲み食いに使うためにというわけにはいきませんで、やはり何らかの施設整備あるいは物を買うということで寄附金の配付をしておりますので、これはお年玉の寄附金からもらったものですというのは、大体書いて品物を置いていただいておりますから、そういうことを見ることによってわかるような仕組みになっております。  また、寄附金を配分するときにも、そういう注意書きといいますか守っていただきたいことなども文書できちんと相手方にお知らせして守っていただくようなことをしておりますので、結果として今まで不正にそれが使われたというケースはございません。  なお、この監査も従来は本省と郵政局で実施しておりましたが、これも行く行くは郵便局を通じて行いたい、このように考えております。
  210. 田並胤明

    ○田並委員 わかりました。  ところで、ことしお正月発行したお年玉つき年賀はがきは、昭和天皇の御崩御という事態が発生をしたものですから、恐らく売りさばきについては御苦労なさったと思うんです。お年玉つきはがきの印刷はまだ昭和六十四年年だったですね。昭和六十四年の売りさばき状況とあわせて、当然寄附金つきのも発行しておるわけですから、寄附金の額についての影響があったのかどうか。昭和六十三年度で見ますと、いろいろな経費を除いて配分をされた額が七億八千四百万、六十二年度が八億八千七百万という金額になっているわけでありますが、これらと比較をして本年の配分についての影響はどの程度あるのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  211. 田代功

    ○田代政府委員 ことしの正月用の年賀状ですが、寄附金のついてない方の売れ行きがむしろ悪うございまして、これは予定の一割減、前年度の実績に比べましても約五%の減ということで、三十億二千三百万枚売れましたが、こちらの寄附金のついた方は、予定よりは減りましたが、昨年に比べると二%増で、最終的に三億三千五百万枚売れました。ですから、おおむね売れた数は昨年とほぼ同数の枚数が売れたわけであります。  ところが、昨年の暮れに公募をいたしましたけれども、ちょうど公募の時期、十一月、十二月というのが天皇陛下の御病状が一番心配をされておった時期なものですから、実は申請する方々も、例えば極端に言えば年賀状をやめるのではないかといううわさも飛び交った時代もございまして、非常に少のうございまして、配分額は前年度の実績を下回りましたが、これは申請そのものが例年になく少なくなりましたために、七億八千五百万の配付で終わりまして、結果として一億四千九百万円を次年度に繰り越しておりますので、これは次の年賀状と一緒に配りたいと思っております。
  212. 田並胤明

    ○田並委員 わかりました。  それでは最後に幾つかお伺いしたいんですが、法案とは直接関係ございません。  先ほども申し上げましたように、郵便事業については昭和五十五年度が最高の損益を出し、以降大変な努力によりまして昭和六十二年度に二百五十四億の黒字を出したわけですね。それで、六十三年度の状況を物数で見ますと、前年対比七・二%の増ということになっておりますので、当然六十二年度に引き続いて六十三年度も単年度で黒字を出したのではないかと思うのです。参考に、六十三年度のもしわかれば推計でも結構ですが、どの程度の努力の跡が見られたのか、お聞かせを願いたいと同時に、平成元年度まだ出発をして間もないわけでありますが、現在の郵便事業の状況と本年度の見通しについてどのような計画を立てられているか、お聞かせを願えればありがたいと思います。
  213. 田代功

    ○田代政府委員 昭和六十三年度でありますが、郵便物の数は年賀状がトータルとして若干減りましたので、年賀状を込みにした全体の物数では、前年度比四・六%の増ということで、二百三億通になりました。二百億の大台を超えました。年賀状を除きますと八・四%の増加ということで、これは昭和三十年台の一番伸びの多かった時期に匹敵する数字でございます。その結果、売り上げが一兆三千八百八十四億となりまして、これは前年度に比べて五・一%の売り上げの増でございます。五・一%と申しますと、私ども人件費が大部分でございますので、最近の物価の安定からいいますと大変いい売り上げたと見ていいんじゃないかと思います。  それで、この元年度になりましての四月、五月でありますが、実は三月から大変また急に売り上げが伸びまして、これは消費税絡みの駆け込み需要もあったのかと思いますが、三月が前年の三月と比べますと一〇・九%、まだ消費税のかかってない時期でありますが、売り上げで伸びております。それから四月、五月も、四月が一三・一%、これは収入でございます、物数ではございませんで、売り上げでありますが、五月が一四・五%ということで、四月、五月の合計でいきますと二二・八%の増加ということで、これは六十三年度の平均よりも実は上回った伸びを示しております。したがいまして、消費税の二・八五%を引きましても一〇%を超える売り上げの増加が見込まれております。まだ二カ月たったところですので、これから先の見通し、的確に推測するのは難しゅうございますが、予算上は前年度の実績に比べて四・五%程度ふえると思って私ども予算を組んだわけでありますが、恐らく出だしのこの調子からいきますと、この平成元年度もおかげさまで順調な売り上げが達成できるのではないかと期待しております。
  214. 田並胤明

    ○田並委員 大変な御努力をされているという姿を今数字でもって示されまして、まことに御苦労さまですということを申し上げたいと思うのですが、反面、これは例の定員の問題なんですよ。定員問題では、これだけ事業が伸びながらも、郵政省におきましては六十一年七月二十一日の閣議決定によりまして、郵政省の職員も非現業の職員に準じて五年間に五%を目途に削減をする、このように実はなっているわけであります。もちろん、むだをなくすということは非常に結構なことでありますが、かなり現場に行ってみますと限界に来ているかなという感じの過密な労働をやっているのが実態であります。  したがって、もちろんこの閣議決定を覆すということはなかなかできないと思いますが、この要員配置についてどのようにお考えになっておるのか。人力に依存をする度合いの非常に高い事業でありますから、余りこの方針でもってばさばさ削減をされて、現場がまた大変になって病人でも続発をするようなことになりますと大変でありますから、ぜひひとつそういう意味でのこの定員措置についての配慮というものを本省はするべきではないか、しかるべきところにやはり物を申さなければいかぬのじゃないか、こういう気がいたしますので、その辺のお考えを聞かせていただいて、私の質問を終わります。
  215. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 先生おっしゃるとおりでございまして、定員削減計画と申しますのは、行政の簡素効率化、定員配置の合理化といったようなことを一般的に推進するということで行政コストの節減を図るということが目的でございますが、その趣旨といいますか、理念というものは郵政事業といたしましても受け入れるべきものであろうというふうに存じております。したがいまして、郵政省といたしましても、合理化、効率化を行いまして、定員のスリム化ということには極力努力をして、経営コストの節減に努めているところでございます。  ただ、しかしながら、最近、御指摘のとおり郵便物がかなり増加しておりますし、業務量もふえております。こういった中で日々の業務運行を確保いたしますためには、それ相応の要員措置が必要であるということは十分存じておるところでございます。したがいまして、元年度の予算におきましては、郵便事業につきましては、必要な労働力を確保するということでおよそれ百人強の増員が計上されております。もちろん、一方でスリム化はスリム化でしなければいけないということで減員もございますので、差し引きいたしますと、結果といたしまして四百人強の純増ということで予算が組み立てられております。  なお、今後とも必要な労働力の確保につきましては私ども努力してまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたしたいと思います。・
  216. 村岡兼造

    村岡国務大臣 田並先生、冒頭、新聞等の営業関係の御指摘をされました。田並先生考え方と全く同じでございまして、また田代郵務局長、お答えいたしました。私も同様でございます。  郵便事業は国営でございますが、事業である以上、その維持発展のためには、郵便局に働く人一人一人の職員が意欲を持って積極的に営業活動に取り組んでくれることが大変重要であると認識をいたしております。私といたしましても、今後とも職員一人一人が営業の推進に打ち込めるような諸施策を実施してまいる所存でございますので、今後とも御指導賜りたい、こう思っておるところでございます。
  217. 田並胤明

    ○田並委員 では、終わります。
  218. 田名部匡省

    田名部委員長 次に、木内良明君。
  219. 木内良明

    ○木内委員 今回のこの法律改正は、お年玉つき郵便はがき等の寄附金の配分対象拡大ということがポイントになっているのでありまして、先ほど質問に立たれた田並委員質疑にもございましたけれども、今回、対象拡大に伴って、田代局長の方からも答弁がありました、要するに生涯スポーツという概念のスポーツ団体、競技スポーツではない、いわば生涯スポーツを内容とする団体への寄附ということを一つは想定されているようでありました。それからさらに、国際化に伴うものとして留学生会館などの環境整備、こういう答弁でありましたので、あえて重ねてお聞きはしないわけでありますけれども、今後、今回のこの改正をさらに踏み込みますと将来的にどういった対象が想定されるのか、これはどんな見通しを持っておられますか。
  220. 田代功

    ○田代政府委員 実は、今回法律案を提出いたしますのは十年ぶりでございます。大体十年に一度ずつくらい対象範囲拡大しておりまして、今回も法案作成の過程でこれまでに寄せられましたいろいろな要望、意見などを整理いたしましたが、今回お願いしたこの二つがある意味では非常に多くの方面からの要望が強かったものでございます。いろいろ議論はございましたが、見送ったものの中には、例えば科学技術の振興というものも、これは民間団体でもやりておりますので、こういうところへ対象を広げたらどうかとか、あるいは難民問題が一つの社会問題になっております。こういうものも対象に加えてはどうかという議論もございましたが、何せこれだけのわずかな金額の中で一遍に大きく広げるのもということと、科学技術やら難民だとちょっと額が大きいものですから今回は見送らせていただいた、こういうことで、これからまた時代の推移を見ながら必要に応じて御審議をお願いしたい、かように考えております。
  221. 木内良明

    ○木内委員 ということは、局長、十年ぶりの今回の改正ですけれども、次のこの種の改正は十年を待たずとも、時代、社会の状況に応じて逐次行っていかれる、こういうふうに考えてよろしいですね。
  222. 田代功

    ○田代政府委員 そのとおりに考えております。
  223. 木内良明

    ○木内委員 それから局長、これはぜひ御検討願いたいのですが、留学生会館等の環境整備、これを寄附の対象にしたいということなんですけれども、今、留学生の問題というのが十把一からげで議論をされてしまうのです。実際に困っておりますのは、留学生会館に相集うような留学生の方方、言ってみれば国費留学生、授業料も生活費も、場合によっては食費まで一切合財面倒を見てもらえるような留学生、この方は比較的恵まれているんですよ。ところが、本当に困って、この前もニュースになっておりましたけれども、餓死をしたなんという留学生の話がありましたが、実は国費でない私費の方がアルバイトをしながら生活費にも事欠く、食費にもまさに乏しい経済状況の中で頑張っておられる私費留学。さらに留学生予備軍と言われるいわゆる就学生、日本語を習得して日本の学校に入って頑張ろうという予測を立てて頑張っておられる留学生もいる。今の行政における留学生対策というのは、比較的受け皿がしっかりしている留学生が対象になりがちなんです。ですから、これは大変事務手続の運びとしては難しいと思うのですけれども、実際に困っておられる留学生の方々に何らかの救済の手がこの寄附という行為、作業によって行われ得ないかどうか、これも検討してもらいたいと思うのです。部内の検討があったかどうかわかりませんけれども、先日もある団体か個人かわかりませんが、何千万かの社会還元というのかな、寄附をしようというときに、留学生の環境整備ということで、会館の増設であるとかあるいは施設の増強ということで短絡的にいっちゃうんですけれども、実際は、現実問題はそういう網にもかからない、一人で独立独歩で頑張っておられる留学生の方が大変なわけでして、これは恐らく答弁の御用意がないと思いますから結構ですけれども、配意を願いたいと思うのです。何かメモが回ったようですから、あるのですか。
  224. 田代功

    ○田代政府委員 税金で賄っている団体はこの寄附金の対象外でございますから、あくまでも民間がお世話をしている留学生の会館というのが前提になっております。だから、市町村とか国が実施するところがありますが、それは対象外。その中で、私ども、やはりこの寄附金の性格からいって本当に困っている方を救いたいというのは先生おっしゃるとおりでございますので、それに優先的に充てるようにしたいと思いますが、今お話のありました中でちょっと気になりましたのは、個々の留学生に郵政省が直接何らかの手を差し伸べるというのは大変な手間のかかることで事実上できないと思いますから、そういう方々をお世話している団体、ほとんどが何らかの公益法人、どこかの寄附で運営している団体だろうと思いますので、そういうところをつぶさに見せていただこうかと思っております。  もう一つ、就学生につきましていろいろ議論がございまして、私ども今回留学生といたしましたのは、就学生はいろいろ問題ございまして、専門学校の中でハイクラスの方といいますか、そちらにとどめさしていただきたい。だから、就学生は今回対象には入れないようにということで今考えております。
  225. 木内良明

    ○木内委員 就学生が入らない理由ですが、一つは、そういう特定の団体がないということですか、あるいは個々にあまねく行き渡らせることが技術的に無理だということですか。
  226. 田代功

    ○田代政府委員 お話の後段の、資金に限りがある中で広げるとすればその辺からかな、こういうことでございます。
  227. 木内良明

    ○木内委員 実際、月一方でも補助してやりますと留学生が大変喜ぶのです、個々のケースに当てはめて考えてみますと。したがって、この運用については相当きめ細かな配慮をなさってその上で御検討、実施をしていただきたい、このことを要望しておきます。今回の審議で私が要望したことが、どんな形をとって具体的に実施されるかということを極めて強い興味を持って見守ってまいりたいと思いますので、どんな形でも結構ですから検討を願いたい。せっかく寄附金を使うわけですから、郵政省の今回の措置はありがたいと。今後の国際関係を非常に良好なものにするためにも、各国から資質豊かな人たちが見えているわけですから、国際関係の友好の大きな深化にもつながるということで御配慮を願いたいと思います。  ちょっと、いきなり話が飛んじゃいますけれども、お年玉賞品の変遷の資料があるわけですが、例えば一等の単価、これは六十二年度、六十三年度の例で結構ですが、幾らぐらいになっていますか。
  228. 田代功

    ○田代政府委員 これは法律によりまして、一等は、最高がはがきの額面の五千倍という制限がございますので、現在二十万円でございます。で、二十万円の範囲内で一等の賞品を買っていますから、例えばことしの正月のですと二十万円の旅行券ということにいたしました。
  229. 木内良明

    ○木内委員 その旅行券は単価幾らですか。
  230. 田代功

    ○田代政府委員 実際に購入したのは、これは競争入札で、要するに二十万円の旅行券ということで日本旅行代理店から応札いたしましたので実際は二十万円を若干割っている可能性はございますが、いずれにしろ定価二十万円のものでございます。
  231. 木内良明

    ○木内委員 どこの旅行が二十万円ですか。
  232. 田代功

    ○田代政府委員 旅行代理店で二十万円相当の商品といいますか、旅行サービスが受けられるという旅行券でございます。
  233. 木内良明

    ○木内委員 それで、この賞品の引きかえ率なんですが、一等が五八%、二等が五〇・四%、こういうふうになっているのです。私は一つ提案申し上げたいのですけれども、限定された単価の範囲内で結構でございますので、例えば老若男女の国民各層の方がおられるわけですから、そうした方方のいわばニーズに合わせた、あるいは夢をお持ちいただけるような賞品を多く用意することも今後大変に重要なのではないかと思うのです。いつも一等は単品なんですね。六十三年が海外旅行券で、六十二年がカメラ一体型ビデオ、六十一年がハイファイビデオテープレコーダー、こういうふうになっておるわけですよ。二十万円ですとかなりいろいろなものが用意できるのですね。事情を聞いてみますと、賞品の残品の処理方法というのも、その都度必要数を調達することとしているので残品は生じないということになっておりますから、効率的な賞品の設定ができるのではないかと思うのです。  そこで提案申し上げるのは、これまでなかったような、来年度からひとつ選択式にして、例えば一等賞は五つあります、一つは海外旅行券、これは恐らく御年配の夫婦なんかお喜びになると思うのですよ。円高の中ですから、二十万円ですと御夫婦で十万円ずつであったりあるいは御自分の自己資金を足していったり、これはいいと思うのです。一つは海外旅行もありますよ。それからもう一つは、今若い方に人気のCDコンポというのがありますね。これなんかも安い物は恐らく二十万円以内で用意できると思うのです。あるいはまた、ビデオはあるけれどもカメラがなかなか手が届かないという場合があるわけですよ。そうすると、三番目としては、そういうビデオも用意させていただいております。今はまさに選択の時代でありまして、どうぞ一等に当たりましたらこの三つなり五つのうちから御家族と御相談の上お好きなものをお選びください、これは私は技術的にできると思うのですね。  特に今、年賀はがきが何枚来たか、初春といいますか春の風物詩として各家庭では家族団らんの場にもなるわけで、その基軸となるようなお年玉賞品の番号が当たっているかどうかということで皆さんが、家族が額を集めて検討されるというのは今本当に楽しみになっておるわけです。定着しているわけですよ。当たる当たらないはくじだからしようがないけれども、当たったらこうしようと。  押しつけがましいとは言わないけれども、これまでの伝統と歴史があるわけですから。ただ、三つ、五つの選択肢があって、そこからうちじゆうでいい物を選びたい、こういうことをぜひ検討されて実現されたらよろしいんじゃないかと思います。別にクレームをつけるわけじゃありませんけれども、カメラ一体型ビデオを持っておられる家庭にこれが当たったって恐らく喜びは半減でしょうし、折りたたみ自転車が何台もあるところへまた折りたたみ自転車というのも芸のない話。これはぜひ御検討いただいて実現に向けて御努力を願いたいし、恐らく実務の面でそれほどの支障はないんじゃないかと思いますので、ぜひこれは前向きの答弁をいただきたいと思うのです。  今言った趣旨を踏まえて、局長の後、大臣からもぜひ私の提言をお取り上げいただいて、御答弁願いたいと思います。
  234. 田代功

    ○田代政府委員 実は今、先生御指摘のような試みを少しずつしておりまして、昭和六十年に、これは三等ですけれども、万年筆と洋食器セット、どちらがいいですかということをやってみました。それから、昨年、ことしと二度に分けまして、ふるさと小包を三等の賞品に入れておりますが、全国五十の品物の中からお好きなものを、地域の名産をお選びくださいということで、若干今のお話の趣旨のようなことを試みておりますが、今まで試みてみてちょっと難しかったなと思うのは、幾つか選択をしますとどこかに偏る場合がありまして、後でメーカーの方に大変嫌な思いをさせる場合もありましたもので、品物の選び方が難しゅうございます。しかしながら、お話の趣は私どももまさにそう思いますので、できるだけそういう知恵を出したいと思っております。
  235. 木内良明

    ○木内委員 これは申し上げたとおり御検討いただきたいのですが、三等の単価と一等の単価はおのずと違うのですね。例えば三等のものだったら、実際必要ならば買おうという金額ですよ。ところが、一等の二十万というのは、あれば便利だし楽しいけれども、買うには大変な負担になる場合もあるので、一等の部分でも検討をぜひお願いしたいと思います。
  236. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今木内先生の御提言を聞いておりまして、後ろの方へ、これはなかなかいいじゃないか、検討してもいいじゃないか、こういう話も耳打ちしたところでございますが、提案検討してまいりたいと思っております。
  237. 木内良明

    ○木内委員 局長さらに大臣から前向きな答弁がありましたので、次に参りたいと思います。来年楽しみにしておりますから。この答弁ができれば私はもう多くは終わったと思っておりますけれども……。  それから、年賀はがきの発行枚数でありますけれども、昭和六十二年度でお年玉つき寄附金なしが三十一億九千九百万枚、お年玉つき寄附金つきは三億二千七百万枚、合計三十五億二千六百万枚となっている。次回の発行予定枚数はそれぞれ何枚と計画を立てておられるのかということ。  それから、このお年玉つき寄附金つきのはがきが昭和四十四年度から昭和五十五年度まで五億枚であったのが減少してきているわけでありますけれども、この減少理由についてお尋ねいたします。
  238. 田代功

    ○田代政府委員 今度の正月の発行枚数の計画は現在いろいろ調査中でありまして、実はまだ決まっておりません。夏ごろまでにこれからの需要見込み、各郵便局、郵政局でどれくらい売れるかというようなことを調査している段階でございます。ただ、ことしの正月が例年と異なりまして非常に減ったものですから、今度の正月をどうするかというのは大変迷っているところでございまして、もうしばらく検討を続けさせていただきたいと思います。  それから、五十七年に寄附金つきのはがきが減った理由であります。これは五十六年までは一枚につき一円の寄附金をつけまして、七億枚出して七億円の寄附金を集めておりましたが、当時七億枚売るのに郵便局は大変苦労いたしまして、なかなか売れなかったということがございまして、実は五十七年に、同じ七億円集めるためには一枚三円にして二億四千万枚売ればいいということで、発売枚数を減らして、むしろきちんと売ろう、こういう施策を当時とったようでございます。その結果、寄附金の額は変わりませんが、枚数はがたんと落ちたということでございます。それからしばらく発行枚数がふえませんでしたけれども、数年前から、各県別のローカルカラー豊かな絵を印刷する、あるいは郵便局の営業努力、あるいはお客さんの好みが五円高くてもきれいな絵のついた方がいいとか、いろいろなことが重なりまして、ここ二、三年来寄附金つきはがきの方が早く売れるような傾向が出てまいりましたので少しずつふやして現在に至っている、こういうことでございます。
  239. 木内良明

    ○木内委員 次に、くじつき切手ですが、百八国会で法改正が行われまして、その中でくじ引き番号つき郵便はがきの発行に加えて、郵便切手についてもくじ引き番号をつけて発行できることという内容のものがあったわけです。施行期日も昭和六十三年四月一日からとなっていたわけですけれども、今なおこれが実施されていないという現状だと思うのです。この理由がいかなるものか、あるいは今後どうされるのか、技術的にいろいろな隘路があったのか、そのほかの事情によってこれがとんざしているのか、明確に願いたいと思います。
  240. 田代功

    ○田代政府委員 一昨年せっかく法律改正をしていただきましたので、私ども早く出そうということで検討を進めてまいりましたが、技術的に非常に難しいことが多うございまして、例えばはがきと違いまして切手は小そうございますので、狭いスペースの中に番号を印刷する、しかもその上にスタンプで消印をするのでそれが消えないようにといった実験をいろいろ繰り返しておりましたうちに時間が過ぎてまいりましたが、最近になりまして技術的な見通しも大体立ってまいりましたので、ことしの暮れに発売する年賀用から踏み切ってみたい、今はこのように考えております。
  241. 木内良明

    ○木内委員 いよいよ実施になるわけですね。  それから、消費税の問題で若干お聞きします。これは確認であります。  消費税の導入に伴う郵便事業の対応ということでありますが、全体として申し上げるのは、欠陥消費税という位置づけをしております私は徹頭徹尾この導入に反対してまいりましたし、今後もそうした環境づくりを行って消費税の撤廃を目指してまいりたいと思うわけでありますが、現実問題として具体的にどんな運びになるのかという点についてお尋ねをいたします。  郵便料金にかかる消費税額分の納入が実際にどんな方法で行われるのか、国庫に納められるのか、その納入額の算定基準と年間の納入予想額についてお尋ねをいたします。
  242. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 お答えを申し上げます。  木内先生の型破りの御質問にお答えするのを楽しみにきょうまで成長してきたつもりですが、かたい御質問であれですが、御質問三つまとめてお答え申し上げます。  まず第一の消費税額分の国庫納入の方法でございますけれども郵政事業特別会計におきます消費税の納税額の計算や納税につきましては、消費税法の第二十二条及び第六十条第一項の規定に基づきまして、本省において一括して行うことになっております。  次に、消費税の申告及び納付の方法でございますけれども、消費税法の第四十二条及び第四十五条、同法施行令第七十六条第二項の規定に基づきまして、まず前年度の納付額の二分の一に相当する金額を当年度の二月末までに中間申告させた上で納付するということになっておりまして、いわゆる中間申告による納付でございます。  次に、いわゆる確定申告による納付でございますけれども、翌年度の八月末までに確定申告の上、納付するということになっております。  次の御質問でございますけれども、納入額の算定基準の問題でございますけれども、消費税法の第二十八条、第二十九条及び第三十条の規定に基づきまして、郵便料金等の課税売り上げに係る消費税額から物品の購入等の課税仕入れに係る消費税額を控除いたしまして消費税額の納付額を算定する、こういうことになっております。  最後に、年間の納入予想額がどのくらいかということでございますけれども、私どもの試算によりますと、郵便事業にかかる平成元年度の消費税納税予定額は約三百三十億円でございます。  以上でございます。
  243. 木内良明

    ○木内委員 消費税の国庫納入額が郵便事業特別会計の分として今三百三十億という答弁だったわけですが、これが中間納付の分と昨年実績に基づいての残の納付、こういうことになるわけですね。
  244. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 さようでございます。
  245. 木内良明

    ○木内委員 経理部長、お体が回復されてほっとしておりましたが、遠いところから歩いていただいて申しわけないのですが、お元気で御活躍くださるように祈念いたします。  それから、郵便事業の方ですけれども、売り上げから原価を引いたものに三%を掛けた額、こういうことでよろしいですか。
  246. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 それでよろしゅうございます。納付税額ですが、課税期間中の課税売り上げにかかる消費税額から課税期間中の課税仕入れにかかる消費税額を引いたもの、そういうことになろうかと思います。
  247. 木内良明

    ○木内委員 時間の関係もありますので、きょうは消費税の問題はここまでにしておきたいと思います。  それから、先日の本委員会で触れたのですが、消費税額未回収分の料金は、所管はどちらになりますか。先日もお尋ねしたところ若干見解の食い違いがあったように記憶しておるわけですけれども、四十円のはがき、これが大体二、三千通に一通程度と認識しておりましたところ、そんなにはないということでありましたが、この未回収の消費税分を回収するのにそれ以上のコストがかかる、結局この捕捉が実際問題大変難しいという答弁だったというふうに私は記憶しております。額の問題はともかく、未回収消費税分は結局郵政省本体が持ち出すということになってしまう。また、額については、郵務局から総数が出ていないために的確には掌握しておられないということだと思う。チェックのしようがない、調べようがないということなんですが、現状はどんなぐあいになっていますか。
  248. 田代功

    ○田代政府委員 まず最初の話ですが、未収金がございますが、これは四十一円の一円とか六十二円の二円というのは消費税そのものではございませんで内税でございますから、全体としての料金の一部でございますから、一円、二円を張ってない郵便で取り漏れたものは未回収消費税とは私どもは受けておりませんで、料金そのものが取れなかった、こういう扱いに実はなるわけでございます。  これは理屈の問題だけですが、いずれにしても取り損なうものは取り損なうものでありますが、この取り損ない、料金不足の郵便物は二、三千通に一通というのが平常の姿でございます。従来、長いこと経験から見て大体この程度のものが未回収でございますが、消費税導入直後の四月一日を中心とする一週間程度、これが二、三千通に二百通と二百倍にばっとふえたという時期が一時期続きました。その後、これは的確な調査がなかなかしにくいのですが、四月十二日に一部の局で調査をしてみました。前回お話し申し上げましたのもそのときの数字が中心でございますが、四月十二日になりますと、それがもう二、三千通に四、五通にまで減っております。その後、前回御質問がございました五月のころに、これはまだ詳細な調査をしておりませんでしたので、各地方の郵便局から上がってくる断片的な印象みたいなものしか当時はございませんでしたが、五月の半ばごろになりますと、不足郵便の割合は二、三千通に一通という昔の状態に戻った、こういう話が来ております。  それからもう一つ、不足料金がありますと不足料金のままで配達しまして、不足の一円、二円はこのはがきに張ってポストに入れてくださいという仕組みを四月から当分の間ということで採用しております。この回収率が、当初危ぶんでおりましたが、大体八割の方が現実に一円、二円の切手を張ってポストに入れていただいております。そういうことで考えますと、全体の郵便の量から見ますと二、三千通にせいぜい四、五通以下あるいは一通ぐらいの未納、不足があって、その中の八割は若干おくれては来ますが、やはり回収できる。そういうことで考えますと、一日一万か二万の取り漏れ、年間でも数百万円の取り漏れにしかならないのではないか、こういう推測をしたわけであります。ただ、これも余りにもまだ材料がございませんので、五月の下旬、二十四日でしたかに、全国の集配郵便局、約五千の郵便局でその後の状況を今調査させております。これを六月中に本省へ報告するようにということで現在取りまとめ中ですので、その数字を見た上でまたもう少し正確な数字がわかるかと思います。
  249. 木内良明

    ○木内委員 問題意識はありながらも、実態についての掌握が十分でないという点は明らかになったと思います。さらに、内税ということで私の指摘と若干見解を異にしておられるわけでありますが、いずれにしても、未収分があればこれはやはり郵政事業としての負担になってくるのだ、こういうことになると思うのです。これは間違いないと思うのです。  私が申し上げたいのは、消費税という存在が郵政事業に与える混乱、また現場での対応の大変困難さにも問題として顕在化しているということを指摘をしたいわけでありますが、時間の関係もありますので、これ以上はまず申し上げません。次回に譲りたいと思います。  さらに、今回消費税導入に伴って郵便料金については税額分が転嫁され、はがき四十一円、封書六十二円と改定されたわけです。これは昨年成立した郵便法の改正案、私ども審議したわけでありますが、料金の弾力化が可能になった。費用の増加に伴う対応として省令で決めたものであるといういうことです。当時の答弁を読み直してもそういうことです。今回の経緯から考えると、これはもう時間がありませんから簡明な答弁で結構ですが、仮に消費税が撤廃されたときには速やかにもとの料金に戻すべき性質のものである、そう私は思います。この点がどうか。  それから、あわせて、仮に消費税率が引き上げられた場合、今回と同様税額分が転嫁されて再度料金が引き上げられることになってしまうのかどうか。  以上二点お聞きして、私の質問を終わります。
  250. 田代功

    ○田代政府委員 政府の一員としては今の仮にのお話に大変答えにくうございまして、現在消費税の廃止も考えておりませんし、税率が上がることも私ども全然念頭にありませんので難しゅうございますが、本当に万一の仮定の話としてお答えさせていただきますと、今回の一円、二円の値上げというのはやはり消費税の転嫁のための値上げでございましたので、消費税がなければもとに戻るというのが理の当然だと思っております。  それからまた、将来上がった場合ということですが、これは今回議論されました消費税の性格が、消費税というのは最終的に消費者に転嫁するものだ、こういう性格のものだということでございますので、今回も転嫁の意味で値上げいたしましたから、税率が変われば理屈の上ではやはり転嫁のための値上げというのはその時点で生じるもの、かように考えておりますが、これはあくまでも仮定ということでございます。
  251. 木内良明

    ○木内委員 消費税撤廃への決意を改めて表明して、私の質問を終わります。
  252. 田名部匡省

  253. 木下敬之助

    ○木下委員 お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部改正案、この中身についてまずお伺いをいたします。  これは、最近における社会情勢の推移にかんがみ、寄附金の配分を受けることができる団体に幾つかのものを加える、こういう考え方だと思いますが、これは一体どんなふうになっておるのかなと思って少し聞いてみましたら、この法律の一番最初の昭和二十四年のときは「社会福祉の増進を目的とする事業を行う団体」、大体こういうことであったと聞いております。この「社会福祉の増進」というのはかなり幅広いので、この一つがあれば随分いろいろなことができるのになという実感を持ちます。昭和二十四年ごろに、社会福祉というのがどういうイメージで受けとられ、何を意味していたのか。また、その当時に、社会福祉の増進を目的とする団体というのはどんなのがあったのかとか、随分状況が違うと思います。  そんな意味での社会情勢の推移は、昭和二十四年から現在までということを考えて、もう一度原点に戻れば、最初の第一項さえあれば、ほとんどのことができるのではなかろうか。今現在の社会福祉という言葉はそのくらいの意味を持っているんではないかな、こういう感じで、じゃ一体こんなふうにしてどんどん団体をふやしていったりして、何が基準になるのかますますわからなくなって、今現在の社会情勢にかんがみて、本当にそんなに今ふやした項目まで含めたら、「社会に有益な団体には」と、こんな一言ぐらいで片づけてしまえばいいんで、外れた部分は、なぜほかのが外れているのかというので、今回の改正そのものにすぐ全部けちつけたりはいたしませんけれども、もう一遍原点に戻って何か考えた方がいいんじゃなかろうかと思うのです。そんな意味で、まさにスポーツ、健康の保持増進を図るためのスポーツ、ここまで言えば、まさにこれは社会福祉の増進そのものという感じはするし、これは委員長なんかよく御存じでございますが、スポーツは皆健康の保持増進になるとも、まあ言いようによっては言えるし、何かそんな意味でもうちょっと考えられたらどうかなと思うのですが、一応どういう基準で考えておられますか。
  254. 田代功

    ○田代政府委員 昭和二十四年にこの寄附金が始まったときには、確かに社会福祉事業だけでございました。社会福祉事業というのは、社会福祉事業法と更生保護法でしたか更生施設でしたか、法律上ありまして、範囲はきちんとしております。ただ、当時と今との大きな違いは、当時は、例えば共同募金のお金の中に占める寄附金の割合が一時期二〇%という非常に高い比率を占めたこともございまして、当時は社会福祉事業は年賀はがきの寄附金に依存するところが大きかったわけであります。ところがその後、例えばNHKの歳末助け合いですとかモーターボートですとか競馬ですとか競輪とか、いろいろなところから社会福祉には寄附が集まるようになりまして、寄附金の全体も大きくもなりましたけれども、残念ながら私どもの方の寄附金が昭和二十四年に比べてそれほど大きくなっておりませんために、当時の二〇%のシェアから、現在では一%を割るところまで実は来たわけであります。ですから、その間にもときどき見直ししながら広げてきたのも、恐らくそういうことを見ながら広げたのじゃないかと思うのですけれども、一%にも満たない寄与しかしない社会福祉事業だけに年賀状の寄附金を配分するのではいかにも寂しい話でございますので、これまたそのときそのときのきちんとした基準をつくるのは難しゅうございますが、そのときのいろいろな要望を見ながら、こうして一つ一つ法律で広げてきたということではないかと思っております。  今回も、ここ数年の動きを見て、この二つというのはいい線ではないかなと思って提案した次第でございます。
  255. 木下敬之助

    ○木下委員 別に悪い線だと言っているわけではないんです。そういう考えでやられても、本当にこういうことはいいことをしているわけですから。しかし、今言ったように、じゃそれが加わってこれはなぜだめなんだとか、開発途上にある海外の地域とかいえば、じゃ開発途上というのはどこを言うのかとか、外務省は外務省なりの考えがあるでしょうけれども、そんな言葉にこだわらなくても、日本が国際的に見たときに、日本として価値あることとか、もうちょっと幅広くされて、悪いことじゃないんなら何でもできるようにしたらいいと思います。  私は逆に、制限すべきはそういう事業の中身じゃなくて、どういうところにするかの相手はきちっと制限しておく必要があるだろう。今、福祉増進にという言葉で先はどのような共同募金のことを言われましたね。持っていく先をそんなふうに限るのはすごくいいと思いますけれども、言葉だけで言うなら、福祉増進に役立つというのは、今の社会だったらあらゆることだと思うんですね。そういう目で、どういう団体は出すけれどもどういう団体は出さないという基準の方が私は大事なんじゃなかろうかなと思います。また、出すのに、ふやしていっぱいして少しずつ喜ばれるのがいいのか、お年玉のくじつきの、このときの寄附でなければできないようなものに集中的にするのがいいか、そういったことも考える必要があると思います。  全部聞いてもあれですから、まずこうやってふやしていくと、収入は限られておるのですから、どうなのかな。ふやすことによってかえって、今まではできていたけれどもできないというところができてくるのかどうかとか、とにかく一カ所には幾ら以上はしないとか、そういうことでも考えながらしているのかとか、また毎年ずっと続けている団体もあれば、まだ一度ももらってないところもあるとか、団体における不公平みたいなものが出てきていると思うのですが、大ざっぱな聞き方をしましたけれども、こういう配分の仕方、出す団体に対してはどういう考えを持っておられますか。
  256. 田代功

    ○田代政府委員 配付団体は法律で現在七つの事業というのが書いてございますから、それは字義どおり七つの事業に限定して、その七つの事業を実施している団体、現在はその中から公益法人を対象に配っております。ですから、社会福祉といういわゆる一般常識的に言う意味での社会福祉を実施しているものはすべてということではございませんで、社会福祉事業法その他の法律に基づく事業を行っているところというふうな縛りをつけて配分いたしております。  それから、一件当たりの金額の制限は実は設けておりませんし、また毎年はだめだとか、こういうものは毎年いいとかいう単純な基準はございませんが、できるだけこれは多くの人にということで連年、毎年毎年というのをなるべく避けようとはしております。例えば日本赤十字を初め何者かは毎年になっておりますが、この法律に書いてある事業を実施するにはやはりそこしかないというところもございますもので、そういうものが入ってきているということで、ちょっと答えになりませんけれども、そんなことで今実施しております。
  257. 木下敬之助

    ○木下委員 ちょっと確認させていただきますと、じゃ今の条件に当てはまる公益法人であれば、もらえないとかいってずっと外されたままとかいうところはもうない、一応公平に出していこうと考えておられるということですか。
  258. 田代功

    ○田代政府委員 この法律に書いてある事業を実施している公益法人から申請があって、それがしかもいろいろな条件がございます、その事業にかなった目的に使うということさえ満たしておれば配分しております。
  259. 木下敬之助

    ○木下委員 ちょっと細かいことですが、前に一度私が質問したことがありました。  この寄附金を集めていくのが、これは別のお金だから預かり金みたいな形で各窓口で小口にためながらやって、随分手間じゃなかろうか、もう一括して計算したらどうか、こういった御提言を申し上げたことがあるんですが、その後この点については何か検討されましたか。
  260. 田代功

    ○田代政府委員 御指摘いただきました後、取り扱いを変えました。昭和六十三年度からでありますが、従来は郵便局ではがきを売るたびにそれを別扱いにしておりまして、大変手間をかけておりました。理屈は、お金の種類が違うからということでありましたが、確かにおかしなことでございましたので、これを郵便局で売ったときには、切手の代金も寄附金も一緒に経理しまして全部それを郵政局に集めて、全部売れた後で郵政局で一括して、その中のどれだけが寄附金ということに分けることにいたしました。そして、その中から寄附金の会計に振り込む、こういう手続に変えさせていただきまして、お説のとおり改めました。
  261. 木下敬之助

    ○木下委員 それはどのくらい事務費が軽減できるとか、数字でも出ておるならば教えてください。
  262. 田代功

    ○田代政府委員 事務手続の経費は、これによって一千五百万の軽減になりました。
  263. 木下敬之助

    ○木下委員 早速に対応していただいてよかったと思います。  次に、先ほど関西の私製はがき製造業者が大阪地裁あてに、年賀はがき、暑中見舞いはがきといったものの絵やくじのついたはがきの発行に関して訴訟を提起した、こういうことでございますが、これに対して郵政省はどういうお考えを持っておられるでしょうか。郵政省はちゃんと法律に基づいてやられておるのですから、その訴えのとおりに、これは、そもそもはがきは四十一円、これは郵便利用するための料金だから、紙代とか絵の印刷代は含まれないから、そういう絵を印刷したりくじをつけたり、いろいろサービスをつけたものをもともとの四十一円のままで売るのはおかしい、こういうことを言っているとも聞いておりますが、そういう理屈だけじゃなくて、現実にそういった業者の人は、今まで郵政省がやってなかったことを始められて、それによって自分たちの仕事の部分がとられていく、とられている、こういった危機感の中から出てきておると私は思うのです。  だから、やはり新しい仕事をするときには、それが今までその部分を受け持っていたところにどういう影響が出るのか、そういうことを考えながらやっていただかないと、そこにちゃんと商売として成り立つものを見つけて、いろんなデザインを考えて、暑中見舞いとかにしましてそれに切手を張って出していただくということで、いろんな業者さん、小さな印刷会社まで一生懸命アイデアをひねってやっていたわけですから、そこのところを、民業圧迫という点をまずどう考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  264. 田代功

    ○田代政府委員 この訴訟そのものは、実は五月二十二日に出たのでありますが、まだ大阪地裁にとまっておりまして、法務省なり郵政省なりの方に送られてまいりません。したがいまして、私ども、マスコミその他を通じて非公式にはいろいろ情報を探っておりますが、まだちょっと正式な訴状が手に入らないものですから、これに的確にどう対応するかというのはもうしばらくお時間をいただきたいと思いますが、基本的な考えは、私ども、お役所の仕事ですから、法律その他にのっとってきちんとやっておるというのが裁判所との関係では私どもの主張になろうかと思います。  今お話ございました中小企業との関係は、理屈はいろいろ難しゅうございますが、私どもも今いろいろ商売を広げてまいりました。特に郵便事業を立て直すためにいろんなアイデアを出して広げてまいる過程で、こういった話もちょくちょく出てまいります。前にこの委員会で御議論ございましたあて名のない郵便、「たうんめーる」と称しているもの、こういうものも実は新聞販売店との間ではやはりいざこざを起こしたりして、私ども、今ちょっとその様子を見ながらそろりそろりと反応を見ているというようなことでございますので、こういったことも十分念頭には置かなければいけないなと考えております。
  265. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今、木下先生から民業の件についてお話ございました。郵便事業は、御承知のとおり長い間累積欠損を抱え、経営の改善を図るために利用者のニーズにこたえて積極的に各種サービス改善等を行い、その結果、先ほども出ましたが、ようやく累積欠損金を解消しているという状況であります。  今後とも、健全な事業経営を維持していくためには、多様化、高度化した利用者のニーズに適時適切にこたえ、各種サービスの改善等を積極的に行っていくことが必要と思っておりますが、先生御指摘のとおり、今までやっていたところともこういうことに伴って民間業者のかかわり合いもふえてくると考えられますので、今後またサービス改善の努力等、こうした点につきましても適切な配慮をしていかなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。
  266. 木下敬之助

    ○木下委員 大臣のお考え、よくわかりました。私は、ニーズにこたえるというのは、やはり大いにやっていかなければならない。ニーズにこたえていく中で、民間でやれることでも民間ではニーズにこたえられなくて、郵政省が広げていく。それによって、またそれが経営の改善にもつながればそれにこしたことはないわけですね。しかし、既に民間がやっているものを必ずとっていくというような形のものを、急激にやると困るだろうけれども、少しずつならばということでやっていけば、確かにショックは少ないかもしれないけれども、間違いなく何年かかけるとそちらは影響が出てくると思うのですね。だから、やはりその経営の改善とかは、とにかく効率よくするとかなんとか、また新しいものをということで、民業で既にやっているもののところにはできるだけ手を出さないというのがやはり私は基本であろうと思います。  ちょっとこの辺で、私、どんなことが可能なのかなということで、余りよくわからないのですけれども、例えばはがきは一般のところは、自分のところで絵とか紙の質とか大きさから何からアイデアを含めてつくっても、それは切手を張って出すしかない。ところが、どんな紙の種類だろうと何だろうと、自分のところでは最初から印刷したものが出せるわけですね。では、仮に、そういうわざわざ張ったりする手間とかなくすように、民間の方からこんな紙を使ってこんなデザインで、切手の部分のあそこだけ四十一円、郵政省の方の許可でやってください、こんなのはだめなんでしょう。できないわけでしょう。ほかの人の希望どおりのものを印刷してつくってくれるということはないわけでしょう。
  267. 田代功

    ○田代政府委員 大変ユニークなアイデアなんで、ちょっと私もお答えしようがないのですが、現実には余り聞かないお話でございます。
  268. 木下敬之助

    ○木下委員 だから、それがもし民間の方も、すごいアイデアだ、印刷やらそんなにかからぬ、いいですよ、そういう希望があれば、それは何枚単位ということでうちで印刷して、絵も何も含めて四十一円で、自分たちもやっていることですから、それは一枚か二枚やれと言われればもちろん大変ですけれども、考えなくて済むほどのものならやれる、そうなれば、そういったものをまた一般の業者も売るということができますからね。やはり民業に、独占して直接しかやれない部分のことで、今まで不自由を忍びながらも営業を開拓していたところに手を突っ込むということはできるだけしない方がいいんではなかろうかと思います。突然言いましたアイデアですから、またゆっくり時間があったら考え直してみてください。御提言申し上げただけでございます。  もう時間もありませんので、最後にもう一点。  これも前に私が申し上げたことに関連してきますが、「ふみカード」、これは四月一日から出しておられます。これはこれで確かに便利なものであります。しかし、当時私も、こういうカード類というのは変造がつきものだ、そういうことを申し上げました。この間、テレホンカードの方があれだけセキュリティーは絶対やっているに近い御答弁をいただいた、その本家のテレホンカードの方もあんなふうになりました。あれは、とにかく五百円の券だろうと改造すると二万円分くらい使えるようになる。ところが、それをわざわざ改造しても、自分がそれを使うだけだったら二万円分使うのが精いっぱいで、だから、これを変造したかいがあるほどにしようと思うと、その二万円分に近く買ってくれるところへでも持っていかないとだめだということで、それを持っていったところで捕まっているのですね。  私はあのときにも提言申し上げましたが、この「ふみカード」の方は、例えば改造してその機械に入れて自動にどんどん切手が出てくれば、出てきた切手の方はそんな割り引いて売らなくてもちゃんと金券と同じものなんですね。それをどこかに持っていったとしても、これは変造によって出てきた切手なのかそうじゃないものかがもうわからない。だから、こっちの方は変造するとしがいがあるからテレホンカードよりももっとやりますよという御指摘を私、申し上げた。現実に変造カードを持ち込まれたりすればそういう変造が行われているということがわかるから、NTTの方もまたそれに対する対応がわかるでしょうけれども、ここはどうですか。自動販売機でしょっちゅうなくなるからおかしいんじゃないかとか、何ぼかそういうことをされておるんじゃないかぐらいのことは気をつけるようなことを考えておられるのですか。
  269. 田代功

    ○田代政府委員 昨年法律改正をお願いしたときにもただいまの御指摘いただきまして、私ども肝に銘じております。  このセキュリティー対策には、今いろいろな種類のカードとそれからそれを読み取る機械ができておりまして、その対策方法も技術的には大変たくさんございます。で、私ども、どの方法をとっているかということを申し上げることは差し控えさせていただきたいのですけれども、当時も御議論ありましたように、テレホンカードやらJRのカードよりもうちの方が危険が大きいというお話も私どもしかと承りまして、少なくとも私どもの見方では、テレホンカードよりももっと厳しい技術基準を採用しているつもりでございます。ただ、これは知恵比べでありますから、今のお話のようなことが皆無かどうかということはわかりませんけれども、これからも注意深く見ていって、私どもそれなりの知恵を出していくことに心がけていきたい、こういうふうに考えております。
  270. 木下敬之助

    ○木下委員 だから、そのセキュリティーの機械的なものだけじゃなくて、例えば今の、アイデアで悪いんですけれども、一カ所から一定以上出ているのはおかしいとか、そういうふうな事例があったときにはやはり変造が行われていると見た方がいいんじゃないかとか、時々何か金券売り場みたいなところへ行く――あそこ割と安く切手買えるんだそうですね、私知りませんで。どうしてそんな方法、どこからか紛れた切手が行くなんということは考えられないのですけれども、物すごく推測をしてみますと、切手代なら会社の経費でちゃんと落ちるけれども、それはまあ持っていってそこで現金にすればとか、何かそういうのをくぐって切手が金券のところへ行っているのだと思いますよ。しかし、そんなのはわざわざ四枚ずつに切ったりなんかしませんから、相当大きなもののままでさっと持ち込んでいるはずですから、小さいあれしか出てこないものがいっぱい来るようなことがあればそれはおかしいんだとか、何か少し考えてくれたらいいんではなかろうかと思います。なかなか犯罪する人の心理、先に読むのは――私も犯罪のプロじゃありませんから――皆さんも大変だとは思いますけれども、知恵比べだと思ってやっていただきたいと思います。  時間が参りました。これで終わります。
  271. 田名部匡省

    田名部委員長 次に、佐藤祐弘君。
  272. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 いろいろ御議論ありました。それで、宥附金の交付対象を広げるということですね。午前中の何か局長の御答弁で、対象はふやすのだけれども配分額は減らさないようにしたいと思っているというちょっと手品のようなお話があったのですが、どういう計算があるのでしょうか。
  273. 田代功

    ○田代政府委員 その手品の種は、五十七年に一枚三円の寄附金にしまして枚数を減らしました、売れないものですから。六十年まではそのままの枚数できていましたが、六十年、六十一年、六十二年と次第に私ども郵便局の方の営業体制、あるいは瀞附金つきのはがきに工夫を加えるとか、そういった工夫を加えることによってこれは売れるという時代になってまいりましたので、六十一年には前年度比五%の増、六十二年度は前年度比三〇%の増というふうなことで参りまして、この六十三年度はいろんな都合で売れ行きはそれほど伸びませんでしたけれども、今度の正月に向けても今のような趨勢で郵便事業が伸びていく限りはこの寄附金つきはがきも大量に売れる、私ども、発行枚数をふやすことによって害附金の総額をふやしていきたい、かように考えている次第であります。
  274. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 今回新たな対象になるのは二種類あるわけですね。「健康の保持増進を図るためにするスポーツの振興のための事業」と「開発途上にある海外の地域からの留学生又は研修生の援護を行う事業」、この対象になるというか、申請ができ得る団体といいますか、それは幾つぐらいになるのですか、何団体ぐらい。
  275. 田代功

    ○田代政府委員 生涯スポーツの振興を行っている団体、従来の考え方でいきますと公益法人でありますが、もし公益法人に絞りますと約三十団体、全国にございます。それから、留学生やら研修生の援護を行う事業が約二十団体、全国にございます。
  276. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 それで、申請と審査、決定といいますか、その関係なんですが、これも先ほどの御答弁の中で、対象団体全部だと大変な数なんだ、それで例えば厚生省などの御協力も得てだったでしょうか、何かそんな御答弁があったと思いますが、例えばスポーツの振興のための事業というと文部省の所管になる法人があるわけですよね。三十六あるというふうに我々承知しておるのですが、そういう場合には文部省にも審査に当たって協力を得るとか、そういうことになっていくのでしょうか。
  277. 田代功

    ○田代政府委員 この法律なり政令なりの定めによりまして、これは私ども郵政省で勝手に団体を決めるわけにいきませんで、まず公募のときには告示をいたします。この法律の条件を満たす者、その他、内容がきちんとした経理を行っているとか事業計画をきちんと持っている団体という資格を書きまして公募いたします。申請しようと思う団体は自分のところの寄附目的などを見ましてこの法律に合っているかどうかの判断をしましたら、所管する県知事なりあるいは所管する大臣の意見書をつけて郵政省に持ってきてもらいます。これは要するに、まともな活動をしているということを向こうで見てもらいたい、その上で配分を決定するときには関係の省庁と、この団体に配分するがよろしいかというようなことで私どもとの間でまた協議をいたします。そういうことで、それぞれ法人を所管している各省との間で幾重にも協議をしたりあるいは意見を求めたりという手続を経ることにしております。
  278. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 ここ数年の実際の経過でいいますと、大体申請と配分決定がほぼ同じということになっていますね。ただ六十一年度の場合は、十一件申請があって審査の結果配分したのは八。これは「がん、結核、小児まひその他特殊な疾病の学術的研究及び治療を行う団体」というのですが、そういう例が六十一年度と六十二年度には幾つかあるのですね。申請したけれども配分されなかった、これはどういう理由でこういうことになったのでしょうか。
  279. 田代功

    ○田代政府委員 御指摘の団体、ちょっと今、固有名詞を覚えておりませんので間違えたら失礼いたしますが、恐らくここ二、三年の間に何件かありましたのは、法律の要件に合致しないのが、ある意味では途中のいろいろな手続が抜けて私どものところに来てしまった、したがって私どもの方は、やっておられることは非常にまじめな活動でありますけれども、現行法に照らしたらそこに配分することができなくてお断りしたケースが何件かございます。あるいは、団体そのものは法律に書いてある事業を行っているけれども、今度この寄附金を使って施設の整備をしたいというその内容がこの法律の条件に合わないとか、こういうのがたまにございまして、それで落としたというケースがございます。
  280. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 今度新しく対象になった例えばスポーツ振興のための事業という場合に、そちらは三十団体あるとおっしゃったわけですね。そういうところから申請があった場合は、法令などの要件ですかに適合しておれば基本的にそれは認めていく。それ以外の、例えばたくさん殺到してふるい分けが必要だというようなこともこれまではありましたか、今後もありそうですか。
  281. 田代功

    ○田代政府委員 これまでは、殺到してふるい分けが難しかったというケースはございません。私どもの方も積極的に、関係省庁のいろいろな周知、広報の手段がございますから、そういうところを使って関係団体にお知らせしたつもりでありますが、なかなか知られてなかったこともございます。申し出があったものは大体中身を見せてもらいますから、例えば自己負担ゼロで全部これに頼るというものには、もう少し減らしてください、そういうやりとりはいたしますけれども、トータルではおおむねこの枠内でおさまってきております。これから先のことは私まだあれですが、枠を広げることによって、特に公益法人に絞らず、行く行くは若干広げていきたいと思いますので、そうなりますともう少し希望者が多くなるのではないかと思います。
  282. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 適正に運営されていきますように希望しておきます。  きょうの機会に郵便事業関連してお聞きしたいのです。  労働時間の問題ですが、労働時間の短縮が世界的な趨勢といいますか、日本の場合は特に長時間労働だということがありまして、これを減らしていこうというのを政府方針として発表しておられるわけですね。去年の五月にも経済運営五カ年計画というのを作成されて、その中で我が国の労働時間は二百時間から五百時間、長目である。この計画年度中に千八百時間程度に向けて削減していくのだというのが政府方針ですね。  ところで郵政事業、とりわけ郵便の現場なのですが、なかなか忙しいわけですよ。この間郵便物数はずっとふえていますよね。だから毎日大変繁忙で、年末繁忙に近い状態という声も出る状況だと聞いております。  それで、いただきました資料で、昭和五十八年度を一〇〇としますと昭和六十三年度の郵便物は一二五、これは二五%増ですね。物数では四十億八千七百九十万通ふえているということで大変な増加ぶりなのですが、この間、郵便部門の職員はどれだけふえたか、必要な人員が確保されているのかどうか、そのあたりはどうでしょうか。
  283. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 昭和五十八年度の郵便引受物数は先生おっしゃったとおりでございますが、五十八年度の郵便事業に従事する職員の数が十四万七百七十一人でございます。また、労働力といたしましては、五十八年度には延べ六百九十万六千人の非常勤という労働力も使っております。定員換算いたしますと二万三千二十人に相当いたします。これに対しまして六十三年度でございますけれども郵便に従事する職員の数は十四万一千百六十一人でございます。この間三百九十人の人員がふえております。非常勤の労働力は六十三年度に二万五千八百人でございまして、五十八年度に比べますと二千七百八十人ふえておるということになっております。  物数の伸び率に比べまして職員の数の伸びが低くなっておるじゃないかということもございますけれども、この間におきましていろいろな合理化、効率化、片や職員の能率向上ということもございますので、そういう形で労働力を確保いたし、業務運行の確保も図ってきておるという状況でございます。
  284. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 非常勤の職員で補っていくということがずっとやられていて、そちらの方がふえ方が多いというような今の御報告だったと思うのですが、私はこういう非常勤職員で補うのにも一定限度があると思うのです。  特に千葉の浦安の郵便局、あそこは人口が集中して、昨年ですか新しくできたところですが、非常に非常勤が多いということで先日調べに参りました。  現在、郵便課の職員は百五十五名、これに対して非常勤職員として登録されている人が二百五十四名ですね。正規の職員が百五十五で非常勤で登録されている方が二百五十四、非常に多いのですね。実態的に働いておられるのも、正規の職員が八十六名だと非常勤は百三名というようなぐあいで、実際の業務上も登録人員だけではなくて非常勤の方が多いわけです。こういうことになっておりまして、私はこういう状態というのは正常ではないのじゃないかと思うのです。しかも、それだけ非常勤の方が入っておって、じゃ正規の職員の仕事が減っているか、過重になっていないかというと、そうでもないのですね。仕事量というのは年々かなりふえて大変になりているというような状況なので、こういう実情について郵政省としてどうお考えなのか。正規の職員を確保する方向で改善、解決ということを進めていくべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  285. 田代功

    ○田代政府委員 今の浦安の例はお話のとおりでございまして、あそこは去年新しく発展地に郵便局をつくったために特に非常勤に依存する度合いが高うございます。また、非常勤が確保しにくい地域でございまして、外国人労働者もたくさん入っていることはお説のとおりであります。  私ども、長年の間に郵便事業を何とかして黒字で経営してこそ公共性というのは達成できるのだ、こういう観点でいろいろ帯労しておりますので、その一環として職員の方にも、つらいことではありますけれども、できるだけ能率を上げてむだなところをなるべく省き、機械に頼れるところは頼る、外へ出せるものは出す、アルバイトに頼れるところは頼るということで、できるだけ職員をふやさないでふえていく業務を処理していく、これが郵便事業の基本じゃないかと思いますので、その過程過程ではいろいろと職員に迷惑をかけていることもございますが、これはこれで乗り切っていきたいと考えております。
  286. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 今の御答弁で納得はできませんが、年間総労働時間の問題でお聞きをしたいのです。  郵政省の資料で、郵政職員の年間総労働時間は現在二千百九十時間とお聞きしましたが、そのとおりでしょうか。それと、この二、三年の推移がもし今わかればお教えいただきたいのと、その中で郵便部門の職員の年間総労働時間は何時間かわかりますか。
  287. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 個々人の勤務時間を集計するわけにまいりませんので推計になりますけれども郵便関係職員の年間の労働時間は約二千五十時間と推計いたしております。
  288. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 この数年の変化はわかりますか。
  289. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 ほとんど変わってないと思います。
  290. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 それで、さっきもちょっと挙げたのですが、政府でも五カ年計画で労働時間短縮の方針を出している。一九九二年度までに千八百時間にしたい。もちろんこれは公務員も含まれるわけですね。郵政省として具体的にどういう計画、プログラムでそういう方向へ持っていこうというのがありますか。
  291. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 先生御指摘のように、週休二日制の実施あるいは勤務時間の短縮をしていくということは時代の趨勢であるということは十分私どもも認識しているわけでございます。ただ、私ども事業の経営を行う者にとりましては、それが郵政事業に与えるいろいろな影響あるいは国家公務員や民間企業の動向といったようなものも踏まえながら対処していかなければならないと思っておるわけであります。  こういう視点から考えますと、特に郵便部門の職員の勤務時間の短縮につきましては、逆に、この間の二月から土曜日は窓口休業になりました貯金や保険の部門と異なりまして、時間短縮等のために要員を持ち出すといったコストの問題だとか、サービスがそのために低下していくような問題になりますといろいろな影響が出てくるわけでございまして、そういった問題にどういうふうな対処をしていくかということにつきまして、現在組合と意思疎通を図りながらいろいろと研究している段階でございます。
  292. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 どうもはっきりしませんね。政府として、そういう国際的な世論もあるし国内での労働者の要望も強いということもあって、プログラムとしては出している、計画としては出しているけれども郵政としてそこにどう接近していくかという具体的な計画は今の答弁ではないということになりますね、何かいろいろ模様眺めしているような感じで。  時間もありませんから最後に大臣にお伺いしますが、実情は今やりとりしたようなことです。実際に二千五十時間ですか、ここ数年余り変化がないということなんですが、一方で一九九二年度までに千八百時間に接近するというのが政府方針ですから、当然これは郵政としてもやるべきだろうというふうに思うのです。実態を言いますと、逆に残業の協定、いわゆる三六協定などでは、むしろ月二十五時間までよろしいとかいうような状況もあるのですよ。残業とか深夜勤とか、そういうのがふえているといった実態もあるのですね。ですから、そういう労働過重するような方向ではなくて、本当に郵政事業郵便事業を安定的に行うという点からもやはり必要な要員の確保は行うべきだし、そういうことも含めて千八百時間に接近する具体的なプログラムも持つべきだというふうに思うのですが、大臣いかがでしょうか。
  293. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今、佐藤先生御指摘のとおり、週休二日制の実施あるいは労働省が平成四年度までに千八百時間、今実態を聞いておりますと二千五十時間、こういうようなことで私も今開いたところでございますが、今後やはり機械化とか委託とかそういうことなども考えながら、私も、御指摘に対して対応していくようなことをしてまいりたい、こう思っているところでございます。
  294. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 終わります。
  295. 田名部匡省

    田名部委員長 これにて、本案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、来る二十一日水曜日午前九時五十分理事会、十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四分散会      ――――◇―――――