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1989-05-25 第114回国会 衆議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年五月二十五日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 畑 英次郎君    理事 島村 宜伸君 理事 白川 勝彦君    理事 虎島 和夫君 理事 前田 武志君    理事 町村 信孝君 理事 田並 胤明君    理事 木内 良明君 理事 木下敬之助君       江口 一雄君    小澤  潔君       瓦   力君    久野 忠治君       佐藤 敬夫君    佐藤 守良君       杉浦 正健君    田名部匡省君       深谷 隆司君    吹田  愰君       穂積 良行君    森  喜朗君       森田  一君    伊藤 忠治君       上田 利正君    松前  仰君       井上 和久君    冬柴 鉄三君       佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 片岡 清一君  出席政府委員         郵政政務次官  谷垣 禎一君         郵政大臣官房長 松野 春樹君         郵政省放送行政         局長      成川 富彦君  委員外出席者         逓信委員会調査         室長      辛島 一治君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十五日  辞任         補欠選任   粕谷  茂君     森田  一君   園田 博之君     江口 一雄君   田名部匡省君     佐藤 敬夫君   渡辺 紘三君     杉浦 正健君   坂井 弘一君     井上 和久君   鳥居 一雄君     冬柴 鉄三君 同日  辞任         補欠選任   江口 一雄君     園田 博之君   佐藤 敬夫君     田名部匡省君   杉浦 正健君     渡辺 紘三君   森田  一君     粕谷  茂君   井上 和久君     坂井 弘一君   冬柴 鉄三君     鳥居 一雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  放送法及び電波法の一部を改正する法律案(内 閣提出第四五号)      ――――◇―――――
  2. 畑英次郎

    ○畑委員長 これより会議を開きます。  放送法及び電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。とれより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松前仰君。
  3. 松前仰

    松前委員 最初に、郵政大臣にちょっとお聞きしたいのですが、最初から大変申しわけないです。  郵政大臣は、今の衛星放送、これはごらんになっていらっしゃいますか、ご家庭の、地元になりますか、そちらの方で。衛星放送です、今の。
  4. 片岡清一

    片岡国務大臣 どうも不勉強でございまして、時に見ることはあるのですが、時間を決めてとかなんとかいう見方はいたしておりません。
  5. 松前仰

    松前委員 見ていらっしゃると思うわけですが、恐らく御家庭にパラボラアンテナ、丸いアンテナをつけられて、このぐらいだと思うのですけれども、それをつけられて、受信機をお持ちになってときどき見ていらっしゃる。内容次第によってはたくさん見られるとは思うのですけれどもあと幾つおつけになりたいと思いますか、アンテナを。
  6. 片岡清一

    片岡国務大臣 私はどうも余り、ものぐさでございまして、そこまで熱心に見ようという気は今は持っておりません。ただしかし、郵政大臣になりましてから非常に関心を深くしております。
  7. 松前仰

    松前委員 大変申しわけない質問をしてしまったのですが、郵政大臣でいらっしゃいますから、恐らくすべての衛星からの放送を見るべきだと私は思うわけなんですね。先ほどあと幾つおつけになるか、こういう話をしましたけれども、実は今かかっている放送法、これが通りますとあと四つつけなきゃいけないのですよ。四つつけて、今の放送衛星と一緒にして五つですね。五つありまして、今のはこのぐらいですからみんな簡単につけられますけれども、この法律が通りますと、今度のは直径一・二メートルあるんですよ。これを四つ屋根の上につけるんですね。郵政大臣のお宅の屋根かわらですか、鉄筋ですか。
  8. 片岡清一

    片岡国務大臣 何かマンション式の、洋風にできておりますので、かわらではないようでございます。狭いのですが、どうも。
  9. 松前仰

    松前委員 そういうものでしたらつけられると思うのですけれども四つ大きいのを普通の家庭につけるとすれば、風がちょっと吹いたら屋根が飛んじゃうという感じですよね、風圧というのは大変なものでありますから。そういうものを四つつけるサービスが今放送法にかかっているわけなんです。こういうような状況なので、これが果たして今、国民ニーズに合うものかどうかということが疑問になると私は思うわけです。そういう観点郵政省皆さんと今まで盛んにやり合ってきたわけなんです。  もう一つ、これを家庭につけますと、今たしか放送衛星を受けますと、大分安くはなったけれども、あれ一つ十万以上なんですね。ところが、これはまだまだ大きいものですから、二十万以上ですね。四つつけて五つ全部ですと、まあ百万はかかってしまう。百万円かかるようなサービスが今放送法で将来のニーズとして通ろうとしている、こういうような状況なんです。これは国民に公平にサービスするというような目的ではないですね。それはいかがでしょうか。どうぞよろしく。
  10. 片岡清一

    片岡国務大臣 何と言っても松前先生はその道の大家でいらっしゃるわけでございまして、どうも先生のおっしゃることに対しまして適切な答えができないことは本当に恥ずかしい次第でございまして、郵政大臣として責任感じておる次第でございますが、何と申しましても、この法律放送多様化を図り、また言論表現活動の伸長を図るために極めて重要な法律であると愚考いたしておるわけでございます。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  新たな放送サービスの実現に当たりましては、きょういろいろまた御意見を賜り、御指導を賜ることと思いますが、それらの事項を十分踏まえまして進めてまいりたいと存じておるところでございます。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
  11. 松前仰

    松前委員 そう言われてしまうと困ってしまうんですけれども、いずれにしても国民にとりましては大変負担の大きいものなんですね。これで非常にたくさんのニーズがあるといっても、ニーズニーズだけで終わってしまって、普及というところまではいかないというようなことになる。そうすると、だれがこれを受けるかということになると、これを家に置くという人はかなりお金持ち、と言ったら言い過ぎかもしれない。そういうような資金を持って、蓄えのある人とか特別な家に住んでいるとか、こういう人になるんだろうと思うのです。そういう人たちがこのサービスを受ける。恐らく受けないということじゃなくて、受ける人もいると思うのですね。かなり少ない。そうすると、これはかなり専門的な、本当にそれに興味のある放送、それを受けるということになるんだと思うんですよ。ですから、これはやるとしたら専門放送と言ってもいいのじゃないか。そうなりますと、これは大体そういうものを受けたい人だけが、受けるときにも何かお金を払って、有料放送というのかな、そんなことをやるらしいですけれども、受けたい人だけ受ければいいんだ、一般国民には関係ないじゃないか、こういうふうにも思えるんですが、そういう点はどうお考えでしょうか。
  12. 成川富彦

    成川政府委員 本年三月に民間通信衛星が打ち上げられまして、それによって放送サービスも可能になってきているわけです。制度的に放送サービスを実現する道がないものですから、今回、法改正を出させていただいたわけでございますが、言ってみれば、技術革新の結果このようなサービスが可能になってきましたので、それを国民還元して、また国民多様化、高度化しているニーズにもこたえられるということで、このような放送法改正案を提出さしていただいたわけです。  先生先ほどお話ございましたけれども四つアンテナを設けなければいかぬというようなことですが、技術の進歩もございまして、一つアンテナで可動的に動かせるものもあるようでございますし、また現在のBSのアンテナあるいはチューナー、両方合わせましても十万円以下、数万円というような値段のものも最近は出てきているようでございます。量的に生産できるようになりますと、値段もかなり下がっていくのじゃないかと思います。それと、今先生お話ございましたように、専門的な放送といいますか、そういうものが中心となって行われるわけでございますので、国民が選択する情報が多くなるということは好ましいことではないかと思います。  したがいまして、初めの段階では一・二メートルのアンテナを必要とするということもございますし、それほど一挙に普及すると思いませんが、だんだんと国民に理解されて、一般国民の方にも及んでいくんじゃないか。必ずしも四つとか五つとか、全部アンテナをつけるという必要はないわけでございまして、選択するものをその方向に受信アンテナを設けて見ていただくということでございますので、繰り返しますけれども、当初から爆発的な普及というのは図れないにしても、そういう道をつくっておく、放送サービスが実施できるような体制を整備しておくという必要性はあるんじゃないかというふうに私どもは考えているところでございます。
  13. 松前仰

    松前委員 今のお話にほとんど反論したいんですけれども、余りやってても時間がないわけなんですが、大体一つ技術革新の成果を国民還元するとおっしゃいましたですね。先ほどから私言いますように、恐らくこの放送専門放送になるだろう。専門放送になると受信者はそんなにつかないですね、数としては。コストが安くなるというほど受信者はつかない。そうなりますとやはり専門放送。それが本当にリーズナブルなコストで平等に提供できるならば、これは国民技術還元と言えるでありましょうけれども、これはそういうことではないと思います。ですから、まず、技術還元なんということを簡単にここで話に出してもらっちゃ困る。  それから、ニーズがあると言うけれどもニーズは確かにございます。たくさんございます。だけれども、こんな高いメディアお金払わないと思うんですね。ほかのメディアを求めると思いますよ。音楽放送やろうと思ったらCDなんというのがちゃんとできているんだから。CDは安いですね。コンパクトディスク、ああいうようなもの、そういうものに求めると思いますよ。個人で持った方がずっと得ですよ、そんな放送を受けるよりも。そういうようなこともあるし、ニーズは確かにあるけれども、ほかのメディアに求めるでありましょう。今でもそういう感じがいたしております。ですから、これは本当に専門放送。  それでまた、先ほど普及はそんなに爆発的に起こるものじゃないだろうとおっしゃったわけですね。それならば、なぜこの法律を今一生懸命通そうとするんですか。  もう一つ、さっき、アンテナ四つ設ける。これは郵政省皆さんに、どういう受信システムになるのか持ってきてくださいと言ったら、四つアンテナかいて持ってきたんですね。現状ではそういう技術しかないわけですよ。それを将来はアンテナはこうなると言うなら、それをつくってからだっていいじゃないですか、これをやるのは。普及がそんなにない。ニーズだって、いっぱいあるけれども、それはわからない。そのために道開くなんといったって、こういう動くアンテナつくってから開いた方がずっとこれは国民が飛びつきますよ。それを安くて五万円以下とかそういうふうにする保証だって郵政省はないんじゃないですか。五万円以下にできる、そういう保証だってないと思いますよ。だから、これはもう本当に特別な人たちのための専門放送ということになると、何で今この法律、一生懸命急ぐかということですね。それをちょっと言ってください。
  14. 成川富彦

    成川政府委員 先生お話ございましたように、ニーズはあるわけでございます。通信衛星を利用して放送サービスも、先ほどお話し申し上げておりますように可能となっているわけですが、制度的にその道がないわけでございます。先ほど来繰り返しますけれども技術的にできることを制度的にストップして国民に選択をゆだねられない、国民サービスを享受できる道をつくらないということは許されないわけでございますので、全国民が加入するというような状態というのはそう早期には来ないとは思いますが、ニーズがあるにもかかわらずその道を閉ざすということは許されないんじゃないかという感じがするわけでございます。放送による言論表現活動のより一層の充実を図るという観点からしても、選択肢を広げるということは私ども必要だというふうに理解しているところでございます。  それから、本年三月にもう既に通信衛星が打ち上げられておりますし、十月にはまたさらに二個打ち上げられる予定でございます。合計四個になるということで、先ほど来のお話があるわけでございますが、この通信衛星を利用していつでも放送サービスが実施できる体制というものをまずつくっておく、整備しておく必要があるという観点から早急に法改正が必要であるということで、今回の法改正を提案させていただいたような次第でございます。
  15. 松前仰

    松前委員 将来の道を閉ざすなんということはだれも言っておりません。閉ざさないように、しっかりやるべきことをやってないじゃないかということを言いたいわけですよ。私はこれからいろいろまた言いますけれども、閉ざすなんということは全然言ってないです。閉ざすんじゃなくて、むしろしっかりやって、大いに一般人たちが多チャンネルで使えるようにするというようなことをやらなければいかぬ、しっかりやらなければいかぬ。  では、しっかりやってないじゃないかというのをこれから議論をさせてもらおうと思います。技術の問題ですけれども、また後でいろいろ戻ってお聞きしますけれども、大体、今上がっております衛星技術的問題は一切ないと考えていらっしゃいますか。
  16. 成川富彦

    成川政府委員 この放送関係技術基準につきましては、電技審にかけて十分御審議していただいて答申を得て省令等改正に取り組みたいというふうに思っております。その過程におきまして電波監理審議会等におかけいたしまして御意見を聞くというようなことも考えているところでございます。
  17. 松前仰

    松前委員 電技審にかけたって、どういう中身か、大分皆さんからお聞きしていたわけでありますけれども、今この委員会に来る前に十分議論もしてありますけれども、問題は何かというと、単なる机上プランでもって今回のことをやったというお話を聞いております。それが違うと言うんなら、実験どこでやったかというのをちゃんと教えてもらいたいのです。机上プランだけでやったというのは大変危険がある。一体だれがそんなものを出したのか、机上プランを。  なぜそんなことを言うかというと、これは一・二メートルというアンテナを使うということになっているんですね。ところが、新規に放送をやりたいという人から話を聞きますと、〇・四メートル、四十センチのアンテナ最初はやると言っているんですね。これは受かるかもしれません、普通の状態でありましたら。人工衛星一個であったら受かると思いますね。それで十分できると私は思います。放送できると思うけれども、今度のものはたくさん上がるのですね。人工衛星四つ上がって四度間隔で――四度間隔だってだれが決めたか知りませんが、四度間隔で配置される。そうしたら、これは当然干渉があるでしょう。干渉がないなんて郵政省が言えるわけはないのでありまして、干渉があるでしょう。これは新しい問題なんですね。四十センチで受けたら干渉がふえるのですよ。だから、一・二メートル以下ではやってはいけないという基準も何もつくってないであの放送をやらせようとするから、それを信用して新しくやろうとしている人たちは、ちっちゃいアンテナでいいじゃないかなんて言っている。実際にやってみてこれがもし問題だということになったら、郵政省さんが責任を負いますか。
  18. 成川富彦

    成川政府委員 先生お話ございましたように、五十センチ程度の大きさを想定しているものもあると聞くが問題ないのかというようなその観点につきましてでございますけれどもアンテナの大きさは伝送する情報変調方式によって異なることは、先生専門家でございますのでお詳しいのでこんなことあえて申し上げるまでもないのですが、通信衛星放送衛星に比べ電力が三分の一程度でございまして、隣接衛星軌道間隔を四度と想定してテレビジョン放送の場合は直径一・二メートル程度必要でございます。一方、デジタル音楽放送の場合は多重するチャンネル数によっても異なるわけでございますが、六チャンネル程度の場合でも一メートル弱くらいの大きさが必要と考えております。いずれにいたしましても、アンテナの大きさ等の受信機器の性能につきましては、電気通信技術審議会において検討する予定でございます。  それから、サービス品質が十分でなかった場合にだれが責任をとるのかという後段の御質問でございますが、十分なサービス品質を確保するために所要の技術基準を策定しなければならないわけでございまして、その関係につきましては、先ほどお話し申し上げておりますように、電気通信技術審議会にかけまして御意見を聞いて、それをもとにして技術基準をつくってまいりたいというふうに考えております。技術基準に適合しない、技術基準を満足しない無線局については、当然でございますが免許をしないということでございます。  それから、受信側につきましては、技術基準策定の際に前提とした受信条件について守っていただくように、広く周知していかなければならぬというふうに思っております。この点は、今後技術基準策定がなされた際に、受信条件についても広く周知をして、守られるようにやっていきたいというふうに考えているところでございます。  それから、有料放送の場合でございますが、委託放送事業者受信者契約約款の中で品質保証とか責任所在等につきましては規定してまいりたい。これは郵政大臣認可事項でございますので、その辺は指導していきたいというふうに考えております。
  19. 松前仰

    松前委員 今、技術基準を定めたい、電気通信技術審議会に出して承認を得たい、こういうことですね。その技術基準を決めるためには何をやりますか。何をやって技術基準を決めていきますか。
  20. 成川富彦

    成川政府委員 技術基準をつくるために、いろいろとその中身につきまして御議論いただくわけでございますが、通信衛星を用いた放送としての技術基準のあり方といたしましては、送信の標準方式とか干渉基準あるいは品質基準等について議論していただくことになるのではないかというふうに考えております。
  21. 松前仰

    松前委員 これは実験を全然やらないのですか。実験をやらないで、また机の上だけでやるのですか。
  22. 成川富彦

    成川政府委員 これは、電気通信技術審議会の方でどのようなやり方をやっていただくかを考えていただくことになりますが、現時点におきましては、実験というようなことは私どもとしても考えられないんじゃないかというふうに考えております。
  23. 松前仰

    松前委員 考えられないか考えられるかというのは、電気通信技術審議会の方で、皆さん意見で決めるということですね。もしそこで実験をやるということになれば、当然衛星二個を使ってやりますね。
  24. 成川富彦

    成川政府委員 JCSATあるいはSCC、現在民間通信衛星会社で打ち上げようとしております四個の衛星と同様のKuバンドを用いた通信衛星につきましては、欧米において映像伝送とかディジタル音声伝送が広く行われておりまして、現実に使用されているわけでございます。  それから、現在想定されております音楽ディジタル放送でございますが、衛星テレビジョン放送音声部分技術をそのまま利用するものでございますので、システムとしても、現在BS2を用いた実験NHKにおいて行われておりますので、システムの開発は済んでおるというふうに思っております。したがいまして、電技審の方でも実験をするということにはならないのではないかというふうに思います。ただ、電技審の方の御意見を聞いてみなければわかりませんが、私の方ではそういうふうに考えているところでございます。
  25. 松前仰

    松前委員 局長、全然何もわかっていないということはよくわかりました。  それで、そのシステムはいいのですよ。それは衛星一個のときは構わないですよ。一生懸命実験をやって、今それが可能かというのでやっているわけです。それを今やっているわけですね。  私の言っているのは、衛星が二つあったときに、そういうやつが二つ出てきたときに相互に干渉があるでしょう、それの技術基準をしっかりしなきゃだめじゃないですか。これは大変な話ですよ。これは郵政省電波関係の人がお得意のところじゃないですか。そこを言っているのですよ、それをやりますかといって。
  26. 成川富彦

    成川政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、電技審の方で御議論いただくわけでございます。電技審の方で、実験するかどうかということを最終的には御判断されるんじゃないかと思います。  五月末、若干延びるかどうかわかりませんが、まだ実際に打ち上がるかどうかわかりませんが、SCCがもう一個打ち上げるということになります。先生お話のように四度間隔とかいうようなことではなくて、現在のJCSATで打ち上げられている衛星との軌道間隔は八度というようなことでございますが、そういう打ち上がっているものを中心として、それが動き始めれば、それに伴う、実験も可能ではないかというふうには個人的には考えております。
  27. 松前仰

    松前委員 実験をやる方はいろいろありますから、それは電技審皆さんの方がずっと知恵があるわけですから、その方々にお任せするとして、もし実験をやれということになれば、これはだれかがやらなきゃいけないのですね。  私はちょっとここで申し上げたいのは、郵政省は今まで、こういう問題が出たときに、それについて実験をやれとか答えを出せとかいうことが出てきますと、いつもNHKとかNTTとか、そういうところへ話を持っていくのですよ、おまえのところで実験をやって答えを出せと。これはいつばいお金を使うのですよ、予算を。お金がないのに、そうやって人のところにこういう問題を持っていく。大体、電波研は何をするところですか。
  28. 成川富彦

    成川政府委員 電波研、現在の通信総合研究所におきましては、電波中心といたしました研究をしているところでございます。衛星関係あるいは放送関係につきましても、ゴーストキャンセルだとかいうようなこともやっているというふうに聞いております。
  29. 松前仰

    松前委員 電波研じゃなくて通信総合研究所ですか、名前を変えたわけですけれども、さらに電気通信という形になれば、そういうところでこれはやるべきじゃないですか。恐らく黙っていればこれはどこに頼むかというと、放送だからNHKちょっとやれと。NHKは今これをやろうと思っていないですね。今やろうと思っているんじゃないところに押しつけていつも、やれ、研究員がいるんだから、それでデータを出せと言って、こういう格好をやっているものだから、郵政省皆さん予算というのは非常に少なくて済んでいるのですよ。こんなのはおかしいというのです。ちゃんと取りなさいというのですよ。どうですか、その辺は。
  30. 成川富彦

    成川政府委員 先生御案内のとおり、郵政省一般会計予算は非常に規模が小さくて、年々そのシーリング突破ということで努力をしてきているところでございますが、現下の情勢からいたしますと、一気にその金額をふやして何でもかんでも自分のところでやるという体制にはなかなかいかないのじゃないかというふうに考えているところでございます。ただ、実験をやるかやらないか、まだ仮定の話でございまして、電技審がどのようにお答えを出されるかわかりませんが、仮にやるということになった場合にはBTA放送技術協議会というのがございまして、その場なども活用する道があり得るのじゃないかというふうに考えておりますが、これもBTAの方にお話ししているわけではございませんのでそちらの御了解も得なければいけない話でございますので、ここで結論として申し上げるわけではございませんが、もし実験をやるということになりました場合には、いろんな方途を考えながらそれにこたえられるように考えていかなければいかぬというふうに思っております。
  31. 松前仰

    松前委員 今回のものはそういうことで電気通信技術審議会、これの結論でいろいろ行動されるということですが、今私言っているのは、こういうような問題が出てくるといつもほかのNHKとかNTTとかに強要するわけですよ、通信総合研究所というのがありながら。だから、そういうのはそっちへ持っていかないで、ちゃんとこれは郵政省責任として、干渉の問題とか電波の問題なんですから。これはやっぱり郵政省予算をとって、シーリングとかなんとかおっしゃったけれども、あの予算見たって微々たるものですよ。シーリングの中にも入らないぐらいの小さな予算ですよね。あれぐらいふやすことはできますよ。そのぐらいちゃんとやらないとどんどんしょぼくなっちゃうんじゃないですか、郵政省電波関係皆さんは。仕事がどんどんなくなるからこうやって一生懸命放送行政に手出しして自分の権益をこっちで広めようなんて、そう思っているんじゃないですか。そんな感じがしてしようがないですね、これは。大体予算をいっぱいとらないのが間違いのもとじゃないですか。  それで、そこはそういうことで、とにかく電技審電気通信技術審議会、この状況によっては実験をやれという話にもなるかもしれないということですからね。普通は、それではその結果によってそこで初めてこれはシステムとして成り立つということになるのですね。そうしたら、そこで法律をつくって提案するというのが普通じゃないですか。今回のは法律が先に来ちゃって、通っちゃってから技術的な問題をやるというのは、もう決められているということじゃないですか。そこはどういうふうに解釈したらいいのですか。
  32. 成川富彦

    成川政府委員 通信衛星の通信サイドの技術的な可能性は、実際にサービスが行われておりますので、あるわけでございます。映像伝送等もそれによってある程度可能ではないかというような観点からこのようなことをやったところでございます。  それから、過去に電気通信技術審議会研究会を開かしていただきまして、境界領域に関する研究会等におきましていろいろと御議論いただいたわけですが、その検討から、通信衛星を用いた放送システム技術的に実現可能ではないかというふうに判断したところでございます。  放送としての技術基準の具体的な検討は、通信衛星による放送サービスの制度的な導入の見通しが得られてから検討を開始しようということにしたわけでございますが、放送と通信との境界領域的研究会というものを設けまして御議論していただいたわけで、通信と放送をどういうふうに切り分けるかという結論も出ない段階において電技審にかけてしまうことになりますと、まあ言ってみれば先入観といいますか、ある程度結論を先に出すようなことにもなりかねないというようなこともございまして、中間報告を得てからということになってしまったわけですが、中間報告を得てから今日までなぜかけてなかったのかということになりますと、これは私ども行政的に若干遅滞した面もございまして、今後はそういうことのないようにできるだけ早急に、結論が得られたものはそちらの方の御意見も聞きながら制度の改正等に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  33. 松前仰

    松前委員 とにかくやり方、手順が非常に――手順というと何か手続みたいな話だけれども、一歩一歩しっかりやっていって、それで確実にみんなが安心して利用できるという格好にするのが当然だと思うのですよ。その手順がどうも間違っていると思うのです。先ほど局長もおっしゃったけれども、これからはしっかりやっていくというお話があったので、ぜひともこれからちゃんと考えてやってもらわなければ困る。今回の法律、これは今こういう状況ですから、とにかく電技審の様子を聞いて、様子というか皆さん意見を聞いて、その結論に従ってやってもらう、それから後しっかりした格好でスタートするという格好にしてもらわないと困る。とにかく通せ通せでは、これは話にならぬですよ。そういうことですので……。  もうちょっと技術的なことを聞きたいのですけれども、大体これは技術的な法律的なこともございます。法律の影響する範囲はすべての通信衛星に影響するというか、絡めた法律なんですか、その辺ちょっとお願いします。
  34. 成川富彦

    成川政府委員 通信衛星として打ち上げられましたもののうち、放送として利用できる周波数帯は十二・五ギガヘルツから十二・七五ギガヘルツの部分でございます。それで、民間の通信衛星会社側がこれについて放送としてやりたいということであれば、その関係については可能性はあるわけでございますが、これは先生御案内のとおり放送普及基本計画の中で、今回の案でもそのとおりにしているわけですけれども、どの分野にどのような放送サービスをやらせるかということをのせまして、それに従って段階的な導入を図っていきたいということでございます。したがいまして、可能性のあるものはすべて放送を実施するということではございませんが、可能性はあるということでございます。
  35. 松前仰

    松前委員 現状では、世界の主官庁会議で決まったRRの中に書いてある十二・五から十二・七五、これだけは世界的にやらせるということだからそこでやるんだ、こういうことですね。それで、その中の周波数割り当てですね、どのチャンネルをどうするんだという。ありますね、一チャンネルどこからどこという周波数割り当てが。これは自由なんですか。何か規則があるのですか。
  36. 成川富彦

    成川政府委員 どこのチャンネルでやるかにつきましては、先ほど放送普及基本計画のお話を申し上げましたけれども通信衛星会社側がどの程度のところにやりたいとか、私ども、そのやりたいということをすべて受け入れるわけではございませんけれども、意向等も参酌し、放送普及基本計画で文化的経済的諸事情ということもございますので、そういうものも含めまして検討させていただきましてのせて、それに必要な周波数を、放送用周波数使用計画の中にどのチャンネルを使うかということを入れて決めていくわけでございます。
  37. 松前仰

    松前委員 そうじゃなくて、どのチャンネルと言われましたね。どのチャンネルといったって、そのチャンネルを決めるのはだれがするのですか。第一チャンネルはどういう周波数のところに置くのですかとか、そういうのがあるでしょう。例えばテレビで第一チャンネルは周波数は決まっているんでしょう、あれはちゃんと。それを今度衛星でもちゃんと決めてあるのですか。それはどうやって決めるのですか。自由なのか、勝手に決めちゃったのか、郵政省が決めたのか、これはどうやって決めたのですか。
  38. 成川富彦

    成川政府委員 それは周波数使用計画で郵政省が決めていくということになるわけでございます。
  39. 松前仰

    松前委員 そうしますと、今のJCSATとかSCCというのは、あのチャンネルプラン郵政省が決めたのですね。どの位置に、どの周波数にどういうチャンネルを置くかというのは郵政省が決めたのですか。
  40. 成川富彦

    成川政府委員 そういうことではございませんで、JCSAT側がどのような放送をやりたいというような御意向を持っているかわかりませんが、受託国内放送事業者としての考え方を私どももお聞きしながら、いろいろな要素を勘案しながら放送普及基本計画で放送する放送番組の数を定めまして、それに伴う周波数使用計画を私どもが決めていくことになるわけでございます。
  41. 松前仰

    松前委員 何かちょっとおかしいですけれども、要するにこれは通信衛星の領域でやっている。放送と違うところはそこなのです。放送と通信と、考え方が全然違うのですよ。放送衛星の八チャンネルというのは、国際的に全部決めて割り当ててしまって、開発途上国も全部やった。通信衛星は違うでしょう。これは早い者勝ちでしょう。早い者勝ちで決めていくわけです。だから自由なはずですよ。そのくらいわからないのですか。
  42. 成川富彦

    成川政府委員 通信衛星としての立場は先生おっしゃるとおりでございますけれども放送として使う場合におきましては、放送普及基本計画と周波数使用計画の中で、どこの部分というか、どこの周波数帯を使うかということを決めていくというふうに考えております。
  43. 松前仰

    松前委員 成川局長、それでは余りにも局長としては問題がございますね。余り言ってもしようがないですね。要するに早い者勝ちなのですよ。どこにどういうチャンネルを区分するかというのは、JCSATSCCがどんどん決めたのですよ。その中でどこを放送用にしようか、どうしようかと考えるのですね。だから、それを放送普及基本計画に取り込むなんて、こんなばかなことがあるかと言いたいわけです。大体、通信衛星は自由にどんどんやるわけですよ。それを放送だと言ってばかっとやるというのは、その下の方の国際的な八チャンネル、今やっているBS、この考え方をそこに取り込もうというのだから物すごい矛盾がある。だから、これは放送だなどと言って大見えを切ったってだめなのです。専門的な情報サービスするということにしかならない、そう思いますけれども、その辺いかがですか。
  44. 成川富彦

    成川政府委員 通信衛星につきましては先生御案内のとおりでございまして、国際調整を経まして軌道位置とか周波数を決められているところでございます。その中でどこを放送用に使うかということでございますが、先ほど来申し上げておりますように十二・五ギガヘルツから十二・七五ギガヘルツの周波数帯におきまして放送に使用可能である、供用ということで可能であるということになっているわけであります。その十二・五ギガヘルツから十二・七五ギガヘルツ帯におきまして、どこを放送としてやっていくかにつきましては、放送普及基本計画と放送用周波数使用計画の中で具体的に定めていくということになるわけでございます。
  45. 松前仰

    松前委員 お答えはいつも同じようですけれども、とにかく自由にやるわけですよ。チャンネルだって自由に決められる。それから軌道位置だってそうでしょう。早い者勝ちでしょう、これは。早い者勝ちなのですよ。だから、先にやった方が勝ちなのです。そうなると、十月一日にやろうとしている人が勝ちなのです。そういう点で私たちはこれはおかしいじゃないかと言っている。放送としてこんなに縛りをかけて、何だか知らないけれども皆さんが一生懸命自分の領域に入れようとしている。そのこと自体、何だか不明な点が多過ぎる。  もう一つ技術の問題ですけれども、さっき言いましたように全部自由なのですよ。そうしますと、干渉の問題だって、これは大変な問題なのですよ。今までの放送干渉とは話が違うのですよ。物すごい実験をやらないときちっとした答えが出ないのですよ。物すごく難しいのですよ。変調方式もみんな違う。通信衛星の通信の電波も出ている。そういうような中で干渉をどうやってきちっとやるか。  それから、放送をやろうというのなら国際問題だってありますよ。通信ならよかったものを、放送では国際問題になってしまいますよ。情報の内容、情報そのものに価値があるのですから、中国とかソ連とか、放送衛星の場合に大変な法律問題が出ましたね、国際的な。こういう問題をクリアしなければいけないのですよ。それも全部含めて簡単に法律をぱっぱっとつくって通そうなんて、こんな簡単なものじゃないということを私は言いたいわけですよ。だから、そういうものを含めて電気通信技術審議会、そういうものの中でもう一回その辺を検討するように私は要請したいのですが、その辺どうお考えになりますか。
  46. 成川富彦

    成川政府委員 先ほどお話し申し上げておりますとおり、制度ができ上がった段階におきまして電気通信技術、審議会にかけまして、今先生御指摘のあったような点をクリアしていただくようにいろいろとお願いをいたしまして、御議論いただきまして答申を得て技術基準を作成し、国民皆さん方に御迷惑のかからないような方策を講じていきたいと考えます。
  47. 松前仰

    松前委員 そうしますと、その答申が出るまでは、その新しい放送会社をやりたいというところがあるようですけれども、そういうところにはやらせないようにするわけですな。勝手にやってしまうということはできないのですね。  後でまた同僚から質問があると思いますけれども、私はそれでいいと言ってはおりません。先ほど申し上げましたように、これは本当は自由なのですよ。もっと自由にできないかということを思っているわけです。そういう点では、今回の放送法改正というのは中途半端過ぎる。中途半端もいいところ、矛盾だらけのものをつくってしまったということなのですね。  今現在、このままほうっておいたらどういう悪いことがありますか。
  48. 成川富彦

    成川政府委員 通信衛星を使ったサービスが通信だけ行われることである限りは問題ないと思います。例えばCATVに番組供給するだけというようなことであるならば何も支障はないわけでございますが、通信衛星を使って放送サービスを行いたいということを考えているものでございます。先生も今お話がございましたように、そういうものがございます。公衆に対する直接同時の送信ということになりますと放送でございますので、放送ということになりますと社会的な影響力も大きいし、地上における放送と全く同様でございますので、地上におけると同様の規律を課していくといいますか、同様の扱いをしていくということが望ましいということでございます。したがいまして、放送として行われるような道を今回の法改正によってつくっていこうというのが改正案を提出させていただいた趣旨でございます。
  49. 松前仰

    松前委員 放送をやりたいものがあるから今の放送法と同じようなものを全部適用させてしまえ、こういうことなのでしょうけれども最初お話しいたしましたようにこれは本当に専門的な、チャンネルがたくさんふえるし、専門的な人たちのためだけのサービスだということだから、専門放送と思ったっていいわけですよ。  そうしたら、そういう専門放送には適用除外というのがありましたね。情報放送とかそういうものについては、放送法の番組基準の適用除外というのがあったですね。あれはたしか省令でしょう。あの枠をちょっと広げればいいわけですよ。みんなできちゃうわけですよ。それで何が悪いですか。
  50. 成川富彦

    成川政府委員 先生お話しございましたように、CSによる放送ではニュース専門だとか映画専門だとかの専門的な放送が登場するのじゃないかというふうに想定されるところでございます。  現在、放送法等におきまして番組基準等の規定の適用除外ができる放送というのは、経済市況とか交通情報とか天気予報の専門放送のように、限定されたといいますか、時事に関することをそのまま伝えるというような放送でございまして、郵政省令におきましても、先ほど申し上げましたけれども、道路情報とか交通情報などを定めているところでございます。したがいまして、CSによる放送でございましても、経済市況をそのまま伝えるようなものであるならばこの規定が適用されることになるわけでございますが、それ以外の場合は、専門放送といっても番組、審議機関とかそういうものの設置は必要なわけでございます。  ニュース専門等の場合には特別な事業計画によるものであると考えられますので、番組の調和規定、報道、教養、娯楽ですか、その間の調和を保たなければいかぬというその調和規定は適用されないことになることは、先生御承知のとおりでございます。
  51. 松前仰

    松前委員 番組の調和規定の適用、こういうようなものについては当然問題となるような代物じゃなくなってきていますから、今回の放送法改正においても、やはり番組の調和規定というものについては必要ないと私は思いますがね。というのは、それぞれのチャンネルがみんな専門放送をやっているのだから、調和規定なんてできっこないですからね。その辺、それでいいですね。どうですか、お答えいただきたい。
  52. 成川富彦

    成川政府委員 委託放送事業者は、今先生お話しございましたように、報道専門とか映画専門とかいうような事業計画により業務を行いたいというものであれば、放送番組相互間の調和を保つ必要はないわけでございまして、先生がおっしゃるとおりでございます。
  53. 松前仰

    松前委員 将来の――また将来にぱっと飛んじゃって申しわけないけれども、高度情報化時代の放送メディア、こういうものがたくさん出てきていろいろな放送をやるという形になりますと、これはやはり番組の調和規定というのはもうすべて問題外になってくる可能性があるわけです。それはもう一つ先の議論としてあるわけですけれども。  それはそれといたしまして、さっきの専門放送じゃない何とか放送、あれはたしか省令ですよね。省令は簡単に変わるのですね。今までの省令というのは考え方がかなり古くなっちゃった、こういう時代においてはその省令は考え直さなければいけない、そう思います。だから、それを専門放送の領域をやる、そういうことにすれば、こんなすごい法律改正をしなくたってできちゃうのです。それをやってほしかったなと思うけれども、どうですか。
  54. 成川富彦

    成川政府委員 先生御案内のとおり、省令のもとである放送法第三条の五では「経済市況、自然事象及びスポーツに関する時事に関する事項その他郵政省令で定める事項のみを放送事項とする放送」というような書き方をしておりまして、そういうようなかぶせがあるものですから「道路における交通情報」「道路情報」「自己又は他人の営業に関する広告」という三号だけを省令で定めておるわけでございます。  この点を改正すれば今回の法律改正は必要ないんじゃないかというあれでございますが、法律改正自体は通信衛星による放送サービスの実現のために必要なところでございまして、これによって改正の必要がなくなるということはないところでございます。
  55. 松前仰

    松前委員 そこのところだけ変えることは通信衛星による放送サービスの実現を阻むものじゃ全然ありませんよ。放送という概念そのものだって、専門放送となってくれば放送という言葉がいいかどうかということだってあります。放送といったら今までの放送のようなものという縛りを一生懸命かけたら、ソフト業者が使えなくなっちゃうじゃないですか。今度は大変な縛りがかかっちゃって、自由に専門放送をやろうといったってできなくなる可能性だって出てくるという感じがするのです。だから、これは大変中途半端な法律で、わざわざ混乱をつくった法律じゃないかという感じが私はいたしております。そういう意味で、これですべてだなんて思われては困る。放送法改正についてはこれからさらに真剣に国民の間で議論する、そういうふうにしていかないと、本当の高度情報化社会の中の放送ということになっていかない、根づいていかないような気がしますが、その辺どう考えますか。
  56. 成川富彦

    成川政府委員 今回放送法改正をさせていただくわけですが、今後ともニューメディアの開発状況あるいは多様化する国民ニーズ等の動向を見きわめながら、適時適切に法改正に取り組んでいきたいと思っております。国民ニーズが那辺にあるかということは、行政をやっていく上で常に考えていかなければならない点でございまして、その点については十分配意していきたいと思っております。
  57. 松前仰

    松前委員 この法律の中で、ハードとソフトの分離ということで、見た目は非常に格好いいような感じでございますけれども、そのソフトの会社の方に対して郵政大臣の認定証を与えるということで放送することができるようにするということです。郵政大臣が認定するということは一体どういうことなのか。要するに私たちが懸念、疑問に思っているのは、こういうことによって事業免許制のような格好が生じるのではないかということなんです。そうでないというならばそうでないとお答えいただきたいと思います。
  58. 成川富彦

    成川政府委員 委託放送事業者は委託放送業務を実施するわけでございます。委託放送業務というのは受託放送事業者に委託しまして自己の放送番組をそのまま送信させる業務でございます。受託放送事業者の持つ周波数につきまして指定を受けて委託放送事業者は占用して放送するということになるわけでございます。家庭に直接浸透していくものでございまして、大きな社会的な影響力を持つということでございまして、その点につきましては従来の放送と何ら変わるところがないわけでございます。このため、委託放送業務を行う者としてふさわしい者であるかということにつきましては、財政的基礎だとか、あるいはマスメディア集中排除などの点につきまして法律に必要な基準を設けまして、その基準に適合していることを郵政大臣が確認することとしようとするものでございます。そういうことから認定制度をとっているところでございます。
  59. 松前仰

    松前委員 その中のマスコミ集中排除、こういうような話があるわけです。そこのところでちょっと議論させてもらいたいと思いますが、マスコミ集中排除というのは、委託放送事業者一つチャンネルを使うという場合に、その中でも従来の放送局と同じようなマスコミ集中排除をやるわけですね。それは本当に将来の方向なのでしょうか。というのは、チャンネル数がたくさんできました、そういう中において、ニュースならニュースの専門放送をやりたいということになる、そうすると、そのニュースをやる中であってもマスコミの集中排除をやるのですか。
  60. 成川富彦

    成川政府委員 マスコミの集中排除原則は、放送をできるだけ多くの人に利用していただこう、言ってみればできるだけ多くの者に放送できる機会を確保することによって国民に多様な放送を提供するということでやっているわけでございまして、情報はできるだけ多く多元的である方が国民の側にとっても望ましい話でございますので、そういう観点から、今回の通信衛星を利用する放送サービスにおきましてもマスメディアの集中排除原則というものは適用していくということでこのような案を出させていただいたような次第でございます。
  61. 松前仰

    松前委員 そうしますと、これからやらせようとする放送は、今地上でやっているような放送と同じような、一般的なゼネラルな情報、それをこれから送らせよう、専門放送はやめということですね。
  62. 成川富彦

    成川政府委員 そういうことではございませんで、先生お話しございましたように、ニュース専門とか映画専門、そういうものが多くなるであろう。総合放送といったものが絶対出てこないかということになりますと、それは可能性としてはあり得るわけでございますが、一般的に申し上げまして、ニュース専門とか映画専門というようなものにいわば限定されたといいますか特化されたといいますか、そういう事項放送する者が輩出するだろうというふうに思っております。しかしながら、一つの会社なりマスコミが全部を支配する、多くを支配するということになりますと、情報の多元という観点からいたしましても問題がございますので、そういうことからマスメディアの集中排除原則は、例外は別として今回も原則的に適用するということになるわけでございます。
  63. 松前仰

    松前委員 今、途中で、全然論理が自分の頭の中できちんと整理されておらないと思うのですけれども、要するに専門放送であってもチャンネル数は三十幾つあるでしょう。三十六ですか、そのくらいあるはずです。その中で、全部がマスコミに取られてしまうと困るとさっきおっしゃいましたね。それは困るのですよ。イタリアの例というのはこの間ちょっとお聞きしましたけれども、全部マスコミが取っちゃった、これは困るわけです。こういう集中はだめ。一チャンネル、この中での集中排除というのは無理だから、そういうようにちゃんと考えを分けていかなければならぬ。単純にマスコミ集中排除、みんなに放送をやらせるのだから、それは口だけですよ。何かナマズのほおかぶりじゃありませんけれども、そういうようなことですね。だから、そういうふうにちゃんと整理してやってもらわなければ困るのです、マスコミ集中排除一つにしたって。そういうことです。  それで認定証、これについては番組の中までタッチするということは一切ございませんね。
  64. 成川富彦

    成川政府委員 放送番組につきましては番組編集の自由がございまして、それに従いましてやっていただくわけでございます。放送事業者の責任においてやっていただくわけでございますので、放送番組の編集等につきましては委託放送事業者責任においてやっていただくということになります。
  65. 松前仰

    松前委員 この辺が私たちは大変に心配で、この認定証なるものによって圧力をかけて、それによって番組の方向が非常にゆがめられるというような可能性がある、そういうふうにも考えられる、ないかもしれないけれども。そういうこともできるということになりかねないので、そういう意味で番組の編集の自由というものは認定証とは一切関係ないのだということ、それでよろしいですね。そこをもう一回答えてください。
  66. 成川富彦

    成川政府委員 委託放送事業者放送番組編集の自由につきましては、放送法三条で規定されているとおりでございまして、放送事業者の責任において放送番組の放送をしていただくということになるわけでございます。
  67. 松前仰

    松前委員 いろいろ細かい法律に対する質問はたくさんあるわけなんですが、時間が大分なくなってきたのですけれども、ちょっと先に重要なところだけ質問して確認をしておきたいと思います。  今の放送のことからぱっと外れますが、NHKの業務の外部委託の問題ですね。この中に、外部委託の基準設定を義務づけているのがありますね。それから、その基準について郵政大臣への届け出というのがありますね。これはNHKの自主性を最大限尊重するということで、届け出をしてもらうだけであるということですね。この届け出の内容についていろいろ問題があるということになっても、NHKの自主性を尊重するということですね。だから、とにかく届けてもらいたい、それに対して何らアクションはしないということ、それをちょっと確認したいのです。
  68. 成川富彦

    成川政府委員 今回、NHKの業務委託の場合、外部委託の基準NHKにつくってもらうことになるわけでございますけれども、まず、これにつきましては、先ほど先生からお話ございましたように、NHKの自主性といいますか、自律性というものにゆだねるということで、法律的にも、NHK自身が「基準を定めたときは、遅滞なく、その基準郵政大臣に届け出なければならない。」ということに規定したところでございます。したがいまして、私どもが届け出を受けるというのは、基準を策定したかどうかを確認するためでございまして、内容的にとやかく言うという考えは持っておりません。
  69. 松前仰

    松前委員 そうなると、この届け出ということが、届け出てもらっても何らアクションしない、そういうことをやったということを調べるということだけなんで問題はないと思うけれども法律的には何だかおかしいような気がします。しかし、そういうことでNHKとしてはやるということについては、私も仕方ないだろう。届け出なんというのはなくたっていいような気がするけれども、何か一々届け出というところがちょっと引っかかってはおりましたけれども、わかりました。そういうことで、やったということを、つくったということを調べる、そういうことでこういうのが入っているということと解釈するし、そうだという御答弁もいただいたので、そのように私も了解いたしました。  ちょっとまたずっと戻りますけれども放送衛星の八チャンネル、今上がっております放送衛星、これは八チャンネルあるわけなんですけれども、この八チャンネル、これはこれからどういうぐあいに利用していくつもりでしょうか。今二チャンネル使われておる。残り六チャンネル余っておるわけです。その六チャンネル余っているにもかかわらず、今回新たな放送周波数領域で放送をやろう、こういうことで、あの八チャンネルは一体どうしたんだということがいろいろ疑問になってきますので、そこを明快にお答えいただきたいと思います。
  70. 成川富彦

    成川政府委員 我が国には一九七七年にWARC―BSで八チャンネルが割り当てられております。割り当てられているというか、確保しているところでございます。  BS3につきましては、既に先生御案内のとおり、NHKが二波と、JSBといいますか、日本衛星放送会社が一波やることになっておりまして、その八チャンネルはBS3の後継機の問題になるわけでございます。これは一九九七年に打ち上げが予想されております。これらをどこに使用してもらうかといったことにつきましては、視聴者のニーズだとか衛星コストとか、ハイビジョン等の衛星放送の高品質化を含めまして、幅広くそういうものを勘案いたしまして検討を進めていかなければならぬと思っておりまして、現時点におきましては、八チャンネルにつきましては、衛星放送の将来展望に関する研究会等でも全部やるべきである、どこがということじゃございませんけれども、使用すべきであるというような考え方が出されております。したがいまして、どこにやらせるかといった問題は、今申し上げましたようないろいろな要素を勘案しながら今後検討を進めていくべき問題だというふうに思っております。
  71. 松前仰

    松前委員 こちらの八チャンネルの方は物すごくたくさんニーズがあるというようなお話は余りしなかったのですけれども、何であっちの方はいっぱいニーズがあって、こっちはニーズが余りはっきり出てこないのか。なぜあっちの方のニーズをこっちに吸収して――先にこの八チャンネルを使っていった方が受信者にとっては非常にいいわけですよ、アンテナ一個で済むんだから。十万円で買っておけばそれで受けられるのですから。チャンネル数は八つ、ボタンもついています、受信機に。それを使えばもう受けられるんですよ。それを新たな周波数といって、全部やれば百万円ぐらい投資しなければ専門放送は受けられないなんて、こんなのは全然国民のためにはならないのであって、だからこの八チャンネル、これをもっと積極的に使ったらいかがですか。
  72. 成川富彦

    成川政府委員 八チャンネルにつきましては、先ほども申し上げましたように、BS4といいますか、BS3の後継機の段階でぜひともやりたいというような意向が、具体的ではありませんが潜在的にはかなり多くあるようでございます。今、直接衛星放送につきましてはBS2でやっているのですが、BS3が来年打ち上げられまして三チャンネル先ほども申し上げましたように、NHK二波と日本衛星放送会社一波ということで放送が実現されるわけです。来年打ち上げられる予定になっておりますが、それによって可能になってきます。その状況もある程度、すべてを見きわめながらというわけにはいきませんけれども状況等も踏まえて、BS4といいますか、BS3の後継機におきましては八チャンネルを有効に使ってもらうようにしていきたいというふうに考えております。
  73. 松前仰

    松前委員 細かい議論になってしまってあれですけれども、BS3の後継機といったら同じチャンネルを使うんであって、そのほかにやりたいことがどこかにあるから隠しているのじゃないかなんて、そんなことだって勘ぐっちゃうわけですよ。さっきの音楽放送にしても一チャンネル全部つぶしてやりたいと言っている、NHK研究所で何か実験しているというのは、これは下のこの八チャンネルでやったって――やったってと言ったって、そこでやることを想定して一生懸命やっておるわけですよ。そっちでやればいいじゃないか、そういうふうに思うのですよ。八チャンネルを使わないでおいて上の方にぽんぽん行っちゃって、それで放送に縛りをかけて、どうも郵政省皆さんは何だか全く思想が統一されていないますます混乱に陥るような気がしてしようがないですね。そういう意味において、これ以上議論したってなかなか皆さんのはっきりした思想が出てこない、だからこれは、放送法について、将来の形態について、これから十分議論してもう一回見直しをきちっとしなければいけない。それは国民皆さんに明らかにしながら時間をかけてやろう。こんな半年ぐらいでぽっぽっぽなんてやって、ずっと私どもに明らかにしないで三月にやっと持ってきたなんて、こういうような代物で、しかも国会通せなんて言ってきたんだから、これじゃ我々に議論するなと言うことですよ。これは国会無視、委員会無視も甚だしいですよ。そういう意味で、私たちは大変に怒っておるわけなんですよ。  それから、音声放送をスタートさせるという話で郵政省皆さんとちょっといろいろ議論した中で、さらに新しいところの領域、これについての拡大についても、国会審議や利用者、関係者の意見を踏まえてやっていく。国会軽視と言ったから国会審議なんて出してきたんでしょうけれども、その利用の拡大について一々ユーザーはだれだなんて国会審議でやるようなことはおかしいですよ。そういうところまで入り込んでくるのは全然おかしい。それを、国会審議を経てなんて、そんなことを郵政省が言うこと自体が、これはもう全く統制しようとしているそのものになるわけなんで、そういうような考え方は、皆さんは本当に支離滅裂になっているのじゃないか、そういうふうに思いますね。  そういうことで、時間も来てしまいましたので、今回のこの法律先ほど一番最初に申し上げましたように、郵政大臣、これが通りますと、受信者のかなりの負担が出てくる。一般放送と何とかと郵政省が縛りをかける、こういうことはないと思いますが、無理やり何か受信者に負担をかけるようなことにもなりかねないような気もするけれども、それはないと思います。そういうことで、それはないとすれば、今のところそれほど有用なものでもない、将来ゆっくり考えてやらなければいかぬ。ただ、時間をかけてもっときちっと検討するということをやはり郵政大臣としても約束していただきたい。とにかく今回のものについては、手続の問題でも何か逆さまになっているところもある。技術的な問題が後になってきている。できる、できると、机上の検討だけで突っ走っちゃった。放送衛星なんかは実験放送やら何やらずっと経て、実用化試験もあって、そして本放送に入っているにもかかわらず、これは、技術的問題も何にもクリアしないうちにいきなり本放送ですからね。こういうことですから、どうかこれから十分な検討をして、視聴者の皆さん国民皆さんに大変に迷惑がかからないような方向へきちっとやっていくということを約束していただきたいのですけれども、最後によろしくお願いします。
  74. 片岡清一

    片岡国務大臣 松前委員さんから大変貴重な御意見、そして長い御経験と御見識に基づくいろいろの御意見を私も非常にありがたく拝聴いたした次第でございます。  拝聴いたしました御意見につきましては、我々も十分検討していかなければならぬ問題だとは思いますが、とりあえず通信衛星を利用してのいろいろな放送について、いろいろの国民ニーズに従った開発をしていかなければならぬ、こういうことを考えますと、一応この法律についての皆様方の御賛同を賜って発足をいたすことにいたしました。  ただ、それには、今お話しのように、利用する国民の方にいろいろな御迷惑をおかけするという分野もあるようでございます。その点についてはできるだけ大きな御迷惑にならないように十分検討いたすといたしまして、とりあえずこの放送法の実施についてはぜひひとつ御理解をいただき、そして今後の問題として十分検討を重ねて、そして御意見のある点について支障のないように、また御注意のあった点は十分心得て、そして放送内容についていろいろ干渉をするというようなことは絶対にあってはならぬことでございますし、そういうことはもちろん考えておりませんわけでございます。それらの点についても十分厳しい心構えを持ちながらこれに対処していきたい、かように考えておる次第でございますので、御理解を賜りたいと存じます。
  75. 松前仰

    松前委員 とりあえずというところだけ、ちょっと非常に問題があるということを申し上げまして、終わらせていただきます。
  76. 畑英次郎

    ○畑委員長 伊藤忠治君。
  77. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 松前委員お話を聞かしていただいておりまして、やはり郵政省当局、随分努力をされているわけですけれども、事態が先に行きましてこれは大変だというので後から追っかけてひっつかまえようという感じでしたね。言葉を変えれば、泥縄式と言った方がいいと思うのですが、そんな感じが私はするわけです。こういう新たなサービス、しかもCS放送というのは我が国で初めてなんですよ。ですから、今も技術基準に始まります議論がございましたように、そういうものはやはり一定の実験というものをやられまして商用に移っていくというのが常識なんですよ。そういうのを見ながら、行政当局としては法的に調整をする問題はどこにあるのか、全体のニューメディアとしてこれが社会に寄与していくために、どの点をどのように調整しなければいけないかという立場だと思います。その立場というのは一致していると思うのですけれども、今回の場合には星の方が先に上がりまして、既にそのサービスが十月ごろにはやってくるというので、これは大変だ、事前の、言うならば国会レベルのいろいろな議論一つをとらえても、私たちも初耳というようなことだったわけですね。  その法改正中身というのは、我が国の放送事業者というのは、設備も持ち、ソフトもやる、一体的に規定してきたものが、今回のCS放送が行われるということになりますと、設備もソフトも一体であるということでは律し切れないような新たな事態に遭遇したわけですから、やはりハードとソフトを切り離して位置づけて、しかも法の網をかぶせていこう、こういうことじゃないかと私は理解をしているわけです。  したがって、今回のこのハードとソフトの分離というのは、CS放送が端緒になって今回の法改正が行われようとしているわけですが、単にそれにとどまらないと思いますね。我が国の高度情報化というのは世界的に見ましても、アメリカに次いで日本はこれからせいぜい発展をしようという現状でございますから、その点は将来展望をじっとにらみながら誤りのない、つまり行政当局としても法の整備をやられるというのが基本的なスタンスにならなければいかぬのじゃないか、このように考えているわけです。この点は意見が一致すると思いますが、どうですか。
  78. 成川富彦

    成川政府委員 昨年、放送法改正させていただきまして、その議論の中でもいろいろと先生方から御意見を拝聴いたしまして、私ども仕事に取り組んできているところでございますが、その放送法改正につきましては、昨年当委員会におきましても附帯決議がついておりまして、ちょっと時間をとって恐縮ですが、その内容を読ましていただきます。   今後、高度情報社会における国民ニーズ多様化、高度化が一層推進することを受けて、国民の意向を踏まえて新たな放送制度のあり方について見直しを含め検討を進めること。   なお、必要の都度、適時適切に対処すること。 という附帯決議が付されているところでございます。  私どもも、今後とも技術開発に伴うニューメディアの開発とか導入の状況あるいは環境の変化などにより放送法改正が必要であるというような状況が参りましたら、適時適切にやっていかなければならぬと思っております。  今回の改正でございますが、これにつきましては、遠いではないかというお話もございますけれども、昨年の国会の審議の場でも若干のお話がございましたけれども、その当時は電気通信審議会でいろいろと議論されておりまして、通信と放送の境界領域問題について検討すべきであるというような答申を三月に受けまして、言ってみれば放送法改正を出した後にいただいたわけでございます。その後いろいろと勉強の場をつくらしていただきまして、いろいろと御意見を拝聴いたしまして今回法改正に及んだところでございます。今後ともできるだけ長期間を見据えなければいかぬわけですが、技術の進歩等々も激しいものですから、そのときどき、状況、変化の推移等を見ながら適時適切に対処していかなければいかぬと自覚しているところでございます。
  79. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 それで、今回のこのCS放送が始まるに当たりまして、関係業界から意見が出ていますね。新聞業界からも私たち意見を聞かしていただいているわけですが、新聞業界の方はこれからCS放送をやっていく立場ですからね。それに当たって行政の主導の問題を云々されて心配をされているわけです。ところが一方では、民間放送、民放連ですか、ここのところはCS放送が始まることによって、BS3の、今も議論がございました八チャンネル一つを民間が利用して本格的に総合衛星放送として参入しようというので、それの努力をされている。ところが、CS放送が先に行くものですから、一体これはどうなるのだ、我々の努力しているのを先取りされちゃったら、現在準備をしており、いろいろなそれに伴うマイナスが非常に大きく影響としてかぶるじゃないかということで、これは民放連にしてみればそういう何とも非常にやり切れない気持ちだ、私はこう思うのですね。民放連にしてみますと、この放送普及基本計画ですか、それの目標というものが郵政省の前回の法改正でもございまして、それに基づいてBS3はこういうふうにやっていって、民放も総合放送として、NHKだけではなくて衛星放送に参入していくということで、非常に積極的にというのですか、ファイトを燃やしてやっていたらCS放送が先にどんと出てくる。一体これはどうなるのか。その辺余り経済的な面だけで、コマーシャルベースだけで物を考えてはいかぬわけですが、実際にBSで本格的に放送をやるあたりになったら、もうそのときにはCS放送が非常に充実した段階を迎えておって、どうも我々のメリットというのはここで非常に減るじゃないか、減殺されるじゃないか、一体この点はどうなるんだという業界の主張がございます。  今私が端的に申し上げましたけれども関係業界からそういう意見が出ているわけですが、事前に関係業界を含めてヒアリングが十分行われていたのかどうか、この点をちょっとお尋ねしたいのです。
  80. 成川富彦

    成川政府委員 先ほども申し上げましたように、通信と放送の境界領域的サービスに関する研究会を開きましていろいろと議論をしていただいたわけでございますが、その際、NHKとか電気通信事業者あるいは民放連、そういう方々からの御意見も聴取した上で中間報告が出されたということでございます。研究会の方でいろいろとそういう方々の御意見を聞いたようでございますが、先ほどお話がございました新聞協会につきましては、意見はそのときは聞いてなかったというふうに記憶しております。
  81. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 はっきりしたわけですが、結局新聞協会は聞いておられない。民放連の方から聞かれたというのは聞かれてよかったと思うのです、聞いてもらわなければいかぬわけですが、新聞協会の方から意見を、参入されるであろうというところですか、これはあくまでもまだ実際には参入されてない場合ですから、これから参入される関係業界かなという一つの判断に基づかれるのでしょうけれども、やはりこれは聞かれる必要があったのじゃないですか。全然そのことを抜きにして今回の改正案がぽんと出ますと、認定はけしからぬということになりますね。そういうのをやはり行政の方としては、法改正をやられるわけですから、ソフト業者になられる関係業界の皆さん意見を事前に十分聞かれるべきじゃないのですか。これからでも遅くないと思いますが、法律を決めてしまってからどうですかと意見を聞いたって、これは片手落ちでしょう。やはり事前にそういうものをきちっと聞かれて、法改正はより適切なものを行っていくというのが行政のスタンスじゃないかと私は思うのですが、その点どうですか。
  82. 成川富彦

    成川政府委員 先ほど電気通信事業者とかNHKとか申し上げましたけれども、そのほかにもCATV番組供給業者とか、かなり幅広く手を挙げてきたところ等からお話を聞いたわけですが、新聞協会は手を挙げてないといいますか、こちらに言いたいというようなことはその時点ではなかったようでございます。  いずれにいたしましても、広く意見を聞いてやっていくということは肝要でございます。それで、そういう御意見を参考にしながらやっていくべきだというふうに考えておるのでございますが、今後とも広く意見を聞いていくという観点から行政を進めていきたいというふうに思います。
  83. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 質問ですから、悪いですけれども事前の通告のとおりにいきませんので、局長、その辺はフランクにやってください。私は、国会というところは非常に不便だと思うのです。何もかも局長が答弁をされるということになりますと、局長は非常に優秀な方ですけれども、例えば担当の方がもう少し詳しいなという場合があるのですから、遠慮なさらずにそれぞれの担当の方が立って答弁いただいて私はいいと思いますよ、これは委員長のお許しがなければいけませんけれども。そういうふうにやっていかないと、何か靴の裏から足をかいているような討論をやっていても時間ばかりたちますので、その点はぜひともフランクに御答弁をいただいて私は結構だと思っております。  問題は、今の通信業界あたりからヒアリングはされたといいますけれども、通信業界の皆さんはハード事業者でしょう。ソフト事業者にこれから参入するという方もお見えかもわかりませんけれども、主にハード業者じゃないですか。行政介入があってはいかぬとか心配だ、言論の自由は守れるかというような意見が出ているというのは、これはソフト事業者の心配なのですよね。ですから、直接関係のない人に何ぼヒアリングしてもこちらの心配は解消しませんし、法律をきちっとしたものにしていこうと思いますと、やはりソフト事業者になられるであろうという代表業者の皆さん意見も聞かれて今回の改正案を検討されないことにはまずいのじゃないか、私はこう思いますので、今からでも遅くはありませんから、その辺も聞かれた上で、例えば法律というのは極めて抽象的な表現というのが結構多いですから、あとは行政のいろいろな指導の中でそういう点が生かされていく、また、これはその部分だけ保留して今回の法案というのは一定の結論を出していいわけですから、その点はっきりしてほしいと思います。
  84. 成川富彦

    成川政府委員 先ほど先生から、ハード業者だけから意見を聴取してソフト業者からは話を聞かなかったじゃないかというお話がございましたけれども、CATV番組供給者協議会といいますか、CATV番組供給をしているものも、中には個別受信もやりたいというような意向も持っております。そういう人たち意見だとか、CATV連盟とかいうようなソフト業者といいますか、そういう方々からも意見を聞いております。それから経団連からも意見書が出ておりまして、経団連でもいろいろと意見を取りまとめたというようなことでございまして、その意見を見ても、私どもが考えております法改正の趣旨につきましてはおおむね賛同しているというようなところでございます。したがいまして、間接的ながらいろいろな御意見は拝聴したつもりでございます。今後ともいろいろな機会を得て、いろいろな方々の御意見を聞きながら行政の上にニーズを反映させていかなければならぬというふうに思います。
  85. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 いずれにしても、時間の関係があって先に急ぎますけれども、原案では認定になっているわけですね。認定といいますけれども、問題は中身なので、文案でも読ましていただきますと随分あります。しかし、今の松前委員との議論の中でも確認をされましたように、放送内容に云々するものではありません。これは業者の自主性でもって編集されるわけですね。このことは確認されましたね。そのことがはっきりしておればあと認定という、認定と届け出と、認可と許可とどう違うのかと言われますと、これは私はわかりません。これは行政の皆さんが位置づけをされて、重みにそこで濃淡があるのでしょうけれども、認定という言葉から受ける重みというのは、届け出から受ける重みと比べますと重いのですよね。何か認めてやるのだ、認めてやろう、こういうふうなニュアンスが非常に強い。強いというのは、言葉のニュアンスだげではございませんで、その持っていく書類の具備しなければいけない条件が厳しくなっておるということであろうと思いますから、そんなに厳しくする必要はないと思うのですよね。例えば、ソフト業者だったら委託業者でございますから、受託業者の星がどの星の何チャンネルの周波数を利用していつ幾日からどういう事業計画、大体どういう構想でどういうふうな番組を中心に、番組の性格ですね、それをやるんだというようなことが、大体基本的なことが郵政省としてはおわかりになればいいんでしょう。それ以上の根掘り葉掘りというようなことを聞いてみたって、今も議論の中にございましたように、これからわあっとふえるんだ、ソフト業者がどんどん発展するんだ。私は発展しないと思っていますけれどもね。そんなにアンテナが小さくなるはずがありませんから、そんなに発展しませんよ。これは将来を待たなければ、今断定できませんが、いずれにしても、そういう言うならば届け出をいたしますよ、業者としての官庁に対する届け出というふうなことでいいんじゃないですか。そうしたら、別に認定ということで縛らなくても、これはやはり届け出ということにされていいじゃないですか。その点をひとつお聞かせください。何としても認定でなければいかぬのや、それは認定が届け出より重いからだ、にらみをきかせるからだというふうな、そんなことはやめられた方がいいと思いますから、これは届け出でいいでしょう。
  86. 成川富彦

    成川政府委員 今回導入される新たな規律といいますか、認定等につきましては、人工衛星を利用した放送を円滑に実施するための必要最小限のものでございます。先ほど来、他の委員にもお答えを申し上げましたように、通信衛星を利用した放送サービスであっても、チャンネルを占用していくわけでございます。それで、貴重な電波資源を使うというようなこと、それから各家庭にまで及ぶというようなことで影響力も非常に強いわけでございます。そういう観点から、継続的にその放送事業ができるかどうかといったことを、マスメディア集中排除原則、財政的基礎等々を郵政大臣が認定するということによって確認しようというものでございます。決して従来の枠を大幅に踏み出して規律を強化するというようなものではございませんで、必要最小限の現在地上において行われていると同様の規律をしようということの中身でございます。
  87. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 これは何ぼ言っても恐らく郵政省は原案を譲って、ここで何か、じゃあ中とってなんというような譲歩の態度は示されないんだと思いますけれども、しかし局長、これはこうだと思いますよ。あなた、集中排除と言われますけれども、集中排除をするためには多数の業者の参入を見直さなければいかぬわけですね。そうしたら多くの業者が市場に参入するようにしなければいかぬわけですね。一つ一つに厳しいチェックがあるということは、多くの業者がやはりそこで随分不便を感じるわけですよ。問題なのは、やはり放送内容なんでしょう。責任を持って業者の使命が果たせればいいわけで、それの最低限の言うならばチェックでいいわけです、政府としては。何かいっぱい書類持っていって、しかも認定と届け出とは随分違いまして、認定だったら認定してもらうために随分時間かかるというようなことでやっていったら、これは角を矯めて牛を殺すような格好になるんじゃないですか。僕はそのことが言いたいわけです。  これまでも、行政官庁に対するこういう規制の問題についてはさまざま言われているわけです。これは、日米貿易摩擦じゃございません。我が国自身として独自でそのことは主体的に簡素化していくということを考えなければいかぬ、小さな政府なんですから。そういう立場に立って物事をやはり行政の場合には一貫して考えてもらわなければ困ると思うのですね。そういう意味からしましても、私はこれは認定は必要ない、届け出でいいということを強く主張をいたします。  それから、各家庭に、このソフト事業者というんですか、これからはCS放送普及すると言いますけれども、では質問させていただきますが、アンテナはそんなに小さくなっていきますか。できますか、星との関係で。答えてください。
  88. 成川富彦

    成川政府委員 さっき各家庭というようなことを申し上げましたとしましたら、それはちょっと訂正させていただきたいと思いますが、多元的な情報を選択してもらうということでその制度的な道を開こうということでございます。それから、一挙にたくさんのあれを導入するというわけではございませんで、放送普及基本計画の中で定めて段階的な導入を図っていこうということを実行面では考えております。したがいまして、その点の各家庭まですべて及ぶということは今の時点ではしばらくないんではないかというふうに考えております。  それから、アンテナの問題でございますけれども、映像につきましては一・二メートル程度のものが必要であるというふうに考えておりまして、今の状況からしますと、そのアンテナが急に小さくなるとか小さくても受けられるというようなことにはならないんではないかというふうに考えております。
  89. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 これは将来の法整備の問題にもかかわりますので私は再度質問させていただきますが、将来はアンテナが小さくなっていきますか。星との関係でお尋ねするんですが、星の機能が変らぬならアンテナだけ小さくしたって受けることはできないでしょう。僕も技術屋ではございませんけれども、そう私は理解しますから、私のその疑問を解いていただければなるほどそうだと納得いたしますが。CSというのは、これは星の機能というのはパワーで決まるんじゃないですか。だから、今一・二メートル、大量生産したらこれがBSのアンテナのように小さくなっていくという単純なものですか。
  90. 成川富彦

    成川政府委員 私も技術的なことについては余り詳しくございませんが、聞いているところによりますと、一・二メートルを小さくして受信可能になる、今の通信衛星の出力でなおかつ現在の技術水準からすれば一・二メートルが小さくなるというようなことはちょっと考えられないというふうに聞いております。
  91. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 どうもはっきりしないのですが、そうしますと、そのCSという星の出力というのは、これは早い者勝ちだという議論がございます。それはそうなっているんです。早い者勝ちなんですが、それでは、早い者勝ちで強力な星を我が国が開発をすればそれは国際的に何の矛盾もなくフリーハンドでやれまして、そしてCS放送の受信のアンテナは一・二メートルから一メートル、八十センチ、四十五センチというふうに大量生産で縮めていけますか。その辺が制度として国際的にもクリアができているんだったら私はそう、かと言いますが、どうでしょう。
  92. 成川富彦

    成川政府委員 通信衛星につきましては、国際調整、軌道位置とか周波数等々につきまして必要なわけでございます。したがいまして、その出力を次々と大きくしていくということはできないわけでございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、一・二メートルは小さくできるということは今の時点で考えられないというふうに思います。
  93. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 そこのところを松前委員もかなり焦点を置いてやられたわけですよ。一・二メートルというのは、これは日本の技術力で相当努力をして小さくしてきたんじゃないですか。今ほかの業者が、既設の通信一種業者が使っているようなアンテナというのは五メートルから十メートルですよ。それを一・二メートルまでずっと小さくしてきたわけですよ。これを一メートルから八十センチ、四十五センチなんというように縮めていくというのは、それは単発で星を上げれば障害が起こりませんからできますよ。ところがそうでない。これは四つも上げるのですからね。幾つかまた、一遍にそれは三十八あれば十分だろう、これが百も二百も要るかというのは、ちょっと日本では私はそれは必要ないと思いますけれども、やはりそれでも障害が起こるんですから、ぎりぎりのところまで来て一・二メートルだと思いますよ。そうすると、一・二メートルというアンテナは、普通の御家庭でCS放送を受信したいと思いましても、これはやはり風のことを考えましたら、日本の住宅事情から考えて、ああもう一軒置きか五軒置きに受信しょうやというほど、そう普及できるものじゃないと思います。風速の関係からいったって、一・二でも相当大きいですから、重量もありまして。  そんなことをいろいろ考えますと、局長さんが言われるようにバラ色に考えたいけれども、実際はそうは簡単にいかないという事情を持っているわけです。そういうお互いの条件の中で出発するわけですからね。しかも有料放送なんです。だから、こういう性格のものだと私は思っておりまして、郵政省ともその辺の違いは余りないように思いますから、私はそう理解させていただきます。ということになっていきますと、これからの放送業者、通信業者をどう規定するかということとも、これは将来の法整備にかかってきますので、私は、ちょっとその辺を突っ込んだ格好になりましたが、お聞きをし、発言をさせていただきました。  それで、次に移らせていただきますが、CS業者の本来業務というのは何なのでしょうか。
  94. 成川富彦

    成川政府委員 電気通信事業者であるというふうに思います。
  95. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 本来は電気通信業者でありながら放送業者にもなれる。一定のわらじを履くということですか。
  96. 成川富彦

    成川政府委員 受託放送業務を行う際には、電気通信事業からその部分を除きます。したがいまして、一定のわらじといいますか、電気通信事業者という面と、受託放送事業者になった場合は受託放送事業者であるという面を持つわけです。そういうことになるわけでございます。
  97. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 だから二枚鑑札ということですね。そういうことで理解していいですね。トランスポンダーを切り分けて、この部分は通信業者として鑑札を持ち、この部分は放送ハード業者としての鑑札を持つ、こういう理解でいいですね。
  98. 成川富彦

    成川政府委員 受託放送事業の部分は電気通信事業法から除外されるわけでございまして、放送法の記述が適用されるわけでございます。したがいまして、電気通信事業法の部分と放送法の部分とが適用されるということになります。受託放送事業者であり、電気通信事業者であるということになるわけでございます。
  99. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 トランスポンダーで結局それが切り分けられることになっていくのですが、そうすると、通信業者は電気通信事業法の適用を受け、ある部分のトランスポンダーを放送ハード業者としての鑑札を持つことになりますから、それは放送法の適用を受ける、こういうことですか。
  100. 成川富彦

    成川政府委員 先生がおっしゃるとおり、受託放送事業の部分につきましては放送法の適用を受けるわけでございまして、一般的な電気通信業務の方は電気通信事業法の適用を受けるということでございます。
  101. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 そうすると、星だけ所有しているという会社が出て、JCSATだとかSCCですね、JCSATが三月にもう打ち上がっていまして、SCCが六月あるいは十二月に打ち上がっていくわけですが、こういう放送衛星の会社は星だけ所有されるのですか。星だけを所有する業者なんでありますか、それとも、ハード業者ですから、放送設備、通信設備を持っている業者なんですか。その辺はどうでしょう、ちょっとわかりませんから聞くのです。
  102. 成川富彦

    成川政府委員 ちょっと先生の御趣旨に的確に答えることになるかどうかわかりませんが、通信設備と放送設備とを持っているわけでございます。まあ言ってみれば、先生の後段おっしゃったことに当たるかと思います。
  103. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 私が言いたいのは、星というのは中継器でしょう、星は鏡みたいなものですからね。通信業者の場合、星そのものが何とか回線を引っ張ってどうのこうのやるという、そんなものは星にないのですよ。地上から送りまして、鏡ですから、反射鏡みたいなものですから、中継させて、結局それをユーザーに送るのだと思いますよ。私は工学博士と違いますので、単純にそう思っているのです。そうしますと、その回線を所有するいわゆるコモンキャリアの場合と、星を所有しまして星そのものを運行管理する通信・放送衛星機構というのが既にありますね。ああいう会社とコモンキャリアとは別でしょう。そのことを言っているわけです。  だから、星だけ所有をして、この星が落ちないように、また、ユーザーのニーズにきちっとこたえられるように運行管理をしておるという会社なのか。今出ています二つの民間の星を打ち上げる会社というのはそういう性格の会社なのか、それとも、もう完全に通信業者であるからコモンキャリアであるのか。それから、言うならば放送のハードの設備を持った会社なのかということを聞いておるわけです。
  104. 成川富彦

    成川政府委員 電気通信事業者でございますので、電気通信に必要な設備も持っているわけでございます。それと、受託放送事業者でございますので、ハード面におきましては、その今の民間通信衛星二社は所有することになるわけでございます。
  105. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 そうすると、通信・放送衛星機構というのは何の業者になりますか。
  106. 成川富彦

    成川政府委員 通信・放送衛星機構は管制をやっているわけでございまして、電気通信事業者でもございませんし、放送事業者でもございません。ただ、運用管理といいますか、管制といいますか、そういう業務を行っているだけでございます。
  107. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 そうするとその管制業務だけで、あれは国が打ち上げまして、星は放送衛星機構は所有していないのですね。あれは運行管制、運用管制というのですか、そういう部分だけをやっている組織なんですね。だからあなたの答弁では、通信業者でもないし放送業者でもない、こうおっしゃったわけですね。  そうすると、星を所有しておる人は、これは業者としてはどういう業者になるのですか。星だけを所有するというのはあり得ないわけですよ、私思いますのに。もちろんそれは、お互いに資本を出し合って星を買いますが、他人に頼んで打ち上げてもらいます、空に上がります、これをうまく運用しなきゃいかぬ、管理しなきゃいかぬというのが放送衛星機構なんでしょう。これはいずれの業者のあれにも入らない、適用はされない、こうおっしゃるのですね。これは不思議じゃないですかね。  今回の場合だって、それなら一社が星を全部持って、コモンキャリアとして通信設備をちゃんと持っていて、トランスポンダーの関係で、注文があったから、それに放送をやる。そうしたら、それに応じられるような発信をしなければいかぬですね。星が発信するわけじゃないですから基地が要りますね、無線局というのですか。無線局は運行管理の会社と一体であれば規定はしやすいのですが、その所有が、業務が分離していた場合は、別の会社でやられた場合には運行管理の会社はどういう業者なのかということを規定しておきませんと、全然これはおかしいじゃないですか。法の盲点になりませんか。
  108. 成川富彦

    成川政府委員 JCSATSCCにつきましては、無線局の免許を受けて一種の電気通信事業者になっておるわけでございまして、何も無線局の免許を受けない、言ってみれば空といいますか、空と言うのはおかしいかもしれませんが、物理的な端末自体を持っているわけではございません。したがいまして、無線局の免許を受けた一種電気通信事業者といいますか、そういう者として業務を行っておりますし、また行う予定になっているところでございます。
  109. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 通信・放送衛星機構のような役割を持つ民間会社が市場に参入するということは将来予想されると思います。私はそう思っているのですよ。それは皆、通信・放送衛星機構が一手に引き受けてやるということでここできちっと整理ができればいいのですけれども、私はそうばかりいかぬのじゃないかと思うものですから、やはりその辺の結論をきちっとしておかないとおかしくなるのじゃないかな、こう思っておりますので、その点の御見解はどうでしょう。
  110. 成川富彦

    成川政府委員 通信・放送衛星機構のように運行管理だけをする会社が現時点においてはないようでございますが、将来出てくるかもしれぬというお話というふうに承りましたけれどもJCSATSCC、現実に今登場しているわけでありますけれども、それらが仮に運行管理だけを委託するといいますか、そういう会社に委託するということはあり得ても、一種電気通信事業者はSCCJCSATということは変わらないわけでございます。したがいまして、受託放送事業者になり得るのは、民間通信衛星業者の無線局の免許を受けたSCCJCSATがその受託放送事業者としてなり得る可能性を持っているということになるというふうに思います。
  111. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 どうもすれ違っているので、私はそういう事態が予想されると思っているものですから、放送衛星機構はいずれにも該当しない組織として現在やっているわけですが、類似の民間のそういう企業が市場参入してきたときには現行法では対処ができないということは一つの問題点として、私の意見になりますが、指摘をさせていただきます。局長とのやりとりがどうもすれ違っておりますので、これ以上やっても時間がありませんから、次に移ります。  次に、地上糸の通信業者が放送のソフト、ハード業者になることもこれは当然できるわけですね。
  112. 成川富彦

    成川政府委員 ソフト、ハード分離が地上にも及ぶかといった趣旨かというふうに思いますが、今回の改正人工衛星局に限ってそういう措置を講じさせていただいたところでございまして、したがいまして地上放送におきましてソフト、ハードの分離というような形態は考えておりませんし、またその必要性もないというふうに思っております。  と申しますのは、放送局の免許を受けた者が放送設備を持って放送事業者として放送番組を提供するという形、放送番組編集の自由というような観点あるいは継続性といった観点から、できるだけそういう形が望ましいというふうに考えております。したがいまして、現時点におきましては、地上放送につきましてはそのような改正は考えておりません。
  113. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 いや、どうももう少し聞いてもらわぬといかぬのですが、私が聞きましたのは、地上の通信業者が放送業者になることもできますね、こう聞いておるわけです。地上系の通信業者が放送業者になることもできますねと聞いておるわけです。
  114. 成川富彦

    成川政府委員 通信衛星を利用しない地上系だけの通信事業者が受託放送事業者として登場するかということかと思いますが、それは人工衛星局に限っておりますので、受託放送事業者として考えられますのは衛星を使った通信事業者だけであるというふうに思います。
  115. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 結果のことを言っているのじゃなくて、そういう事態が当然予想されると思いますから。法律なんというのはそうでしょう、将来どういうふうな事態が起こってきても一応対応できるというものでなければ法律としては機能しないわけですから私は聞いているわけですが、地上の通信業者がCSを打ち上げるということだって考えられますからね。そうでしょう。あなたは地上だけよ、星を上げてはだめよというのはどこにも書いてないわけですから、これから特に星の効用というのを、メリットを求めるコモンキャリアが出てきますから、そのときに地上系の通信業者が星を打ち上げたら当然これは放送業者になっていく場合だってありますので、それを聞いておるのです。だから、二枚鑑札はできるのでしようと聞いておるわけです。
  116. 成川富彦

    成川政府委員 先生おっしゃいましたように、地上の電気通信事業者であっても、人工衛星を打ち上げてそれを放送にも利用したいというようなことになりまして、受託放送事業者として名のりを上げて、放送普及基本計画等で認められましたら放送事業者となり得る道は当然ございます。
  117. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 次に、通信と放送の区分の問題を、これは時間の関係で一言聞かせていただきますが、放送の定義と通信の定義を、これは政府としてきちっとここで見解を表明していただけませんか。
  118. 成川富彦

    成川政府委員 何かきちっとと言われますとあれなんですが、放送につきましては放送法において、「公衆によって直接受信されることを目的とする無線通信の送信」とされております。それで、通信というのは、今申し上げましたそれ以外の特定者間といいますか、その間に行われる情報の流通といいますか、そういうことではないかというふうに思います。  私は電気通信関係の担当ではございませんのでちょっと不正確で、放送につきましては責任を持ってお答え申し上げたとおりでございます。
  119. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 それなら確認しておきましょうか。放送というのは、今定義いただきました、要約したら二つですね。不特定多数のものが直接受信する、そのために無線で送るということですね、放送は。私、言われたことを全部メモできませんでしたが、ポイントはそれですね。不特定多数のものが直接無線でとにかく受信するわけですよ。それが放送でしょう。それ以外は通信、こういうことですね。その方が早いですもの。
  120. 成川富彦

    成川政府委員 ちょっとお言葉を返すようで恐縮ですけれども放送法における定義は、「公衆によって」、不特定多数という意味ですけれども、「公衆によって直接受信されることを目的とする無線通信の送信」でございます。それ以外がすべて通信かといいますと、有線テレビジョン放送、まあ有線放送、そういったものがございますので、それは放送として概念しているところでございます。それ以外は通信に当たるのじゃないかと思います。
  121. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 お聞きしておきます。そのようにここでは確認させていただきます。  最後になりますが、委員長にお願いしたいわけでございますが、今回のこの法改正で私も痛感をしたわけですけれども、やっぱり事前に委員会でもフリーに議論をし合うということがあっていいんじゃないかと思いますね。もう決定的に法案になってから賛成、反対の立場で議論をするというのは、よく考えたらそんなに考え方も違ってないのに、法案に対してきちっと物を言わなきゃいかぬということになってしまいますと、非常に議論としては深まりませんし、いい法律というのに結果としてはいかないんじゃないかというような心配がございます。この情報化社会というのは非常に急激に変化をしているわけですから、一般質問というのですか、十分時間をとっていただいた上で、おれはこう思う、おれはこう思うというのは、やっぱり議論が事前にあって、そうしてそれをしんしゃくしていただいて政府の方も法案のよりいいものをつくっていくといういい関係を、私は今回のこの法改正を経験しまして痛感をするわけですが、そういう委員会の運び、指導、御配慮を畑委員長にもぜひともお願いを申し上げたい、まず第一点こう思うわけでございます。  それから二点目は、大臣にお伺いといいますか御見解を賜りたい、こう思うわけでございますが、放送と通信の融合がどんどん進んでおりまして、技術革新によってますますこれは進んでいくと思います。ですから、従来の法体系の中でこれが本当にきちっと区分けできるかというと、どうしてもそれが難しい部分がやはり出て、将来にもその可能性は非常に大きくなっていくのじゃなかろうか、私はこう思うわけですね。ですから、いずれにしましても、全体的に見直すといったってそう簡単にできるものじゃありませんが、少なくとも情報基本法というのですか、こういうまず大柱をきちっと立てまして個別法をどのように調整を図っていくのか、お互いにコントロールしていける、そういう個別立法として整合性を持たしていくというふうに現在の法体系も抜本的に変えられなきゃいけないのじゃないか、私はこう思うわけです。とりわけ情報公開は内閣委員会の場でもやられまして一定の法律ができているわけですが、しかしまだまだ不十分であります。あれはやはり政府関係情報公開が主でございまして、民間の情報をどのように国民に公開をし、しかもプライバシーをそこで守っていくのか、情報をどう知るのかという点では我が国はまだまだ不十分でございます。だからそういう面も含めて、少なくとも情報基本法という、情報化社会のそういうもろもろの問題を包摂していくにふさわしい基本法としてこれを制定いただいてはどうなのか、こう思うわけです。  そういう議論になりますと、いや郵政省だけ前に出てはなかなかできないわということになれば、私は、これはもう二十一世紀に向けて、恐らく情報の分野でも我が国がアメリカと比肩をしあるいはアメリカをしのぐような格好で世界をリードする役割を担わなければいかぬと思いますね。そういうことになれば、官庁のあり方も非常にこれはもう在来型でございまして、だから、この分野は通産だ、この分野は郵政だととり合いしておったって困るのは民業でありユーザーでございますから、そういう皆さんが本当によかったというような入れ物にどうつくりかえていくのかということにメスを入れる、組織機構にまでメスを入れていくことが必要じゃないか。私はもう前から一貫して持っておるのですが、情報省をつくってほしい。で、先日も阿部委員の方から指摘がございました。郵政省も三事業とそれ以外の局とがどうも車の両輪になっていない、軽視の徴候が出ているというおしかりがございましたけれども、そういう点も、言うならば解決をしていける一つの方向性なのではないか、こう思いますから、ひとつ関連の政府部門を合体してもらって、整理をしてもらって情報省をつくるというのだったら、これは情報に関する政策官庁として十分機能していけるのじゃなかろうかというようなことも私は思っておるのです。  反論もおありだと思いますが、それぐらい思い切った言うならば現状を改革していく姿勢に立たないと、とてもじゃないが矛盾ばかりが出まして、その都度お互いに悩み合うということではいけないのではないか、このように考えておりますので、大変失礼なことを申し上げましたけれども、私の質問に対して大臣の高所のお考えがございましたらひとつお聞かせをいただきたい、こう思うわけでございます。その前に委員長、お願いいたします。
  122. 畑英次郎

    ○畑委員長 ただいま伊藤委員から委員長の私に対しての御提言があったわけでございますが、国会改革にも通ずる貴重な意見と考えまして、後ほどまた理事会にも十分御相談を申し上げ、検討をさせていただきたい、かように考えます。
  123. 片岡清一

    片岡国務大臣 ただいま法改正の前提要件としての貴重な御意見を拝聴いたしまして、非常に重要な問題だなということを痛切に感じておるところでございます。  ただしかし、これは私だけの考え方で実現するものではございませんので、私、政府部内の者といたしまして将来の問題として十分心にとめまして対処していきたい、そしてまた、郵政省の問題としても今のお話を十分心にとめて今後の問題に処していきたい、かように思っておる次第でございますので、今後ともいろいろの御意見、御鞭撻を賜りたい、かように思っておるところでございます。ありがとうございました。
  124. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 終わります。
  125. 畑英次郎

    ○畑委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十八分休憩      ――――◇―――――     午後一時三分開議
  126. 畑英次郎

    ○畑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。木内良明君。
  127. 木内良明

    ○木内委員 いわゆる放送のとらえ方でありますけれども、いわば国民の基幹的なメディアとして重要な役割を現代社会で果たしているという点については論をまたないところであります。また、近年における著しい技術革新の進展によりまして、衛星放送を初めとして種々の放送ニューメディアが実用化され、また今後実用化される運びになっている、こういう状況にあるわけであります。衛星放送につきましても、受信が極めて容易でかつ高品質放送衛星による放送、さらに、専門化した多様なニーズにこたえる通信衛星による放送が、それぞれのメディアの特徴を発揮しながら、今後国民ニーズにこたえ発展していくものと考えられるわけであります。  まず総論として、この衛星放送を含め放送の将来についてどのような見通しを持っておられるか、これは大臣から御答弁をお聞きしたいと思います。
  128. 片岡清一

    片岡国務大臣 今回の放送法改正は、通信衛星を利用した放送サービスの実現、NHKの業務の適正かつ円滑な運営の確保、それから放送番組センターの設立が目的の主たるものでございまして、通信衛星を利用した放送サービスの実現につきましては、民間の通信衛星を利用した放送の実現を図るため、みずからは放送局の管理運用に責任を負わずに放送を行うことができるよう、その実態に即した制度を導入することが必要であることが第一でございます。  第二に、NHKに関しましては、NHKが今後とも経営の合理化、効率化を積極的に推進していくためには、従来にも増しまして関連団体の積極的な活用も必要でありまして、そのため、業務の外部委託、出資団体に関しまして規定を整備する必要があること、これが第二の理由でございます。  第三におきましては、放送番組センターにつきましては放送番組の質的向上、ひいては放送の健全な発達に資するため、現在その大部分が放送後消去され、散逸されている現状にある放送番組について、組織的、継続的な収集、保管体制の整備を図る必要があるということから改正案を出した次第でございます。  放送は、何といいましても基幹的なメディアとして発展いたしまして重要な役割を果たしてきたところでございまして、今後ともこの役割は不変でございまして、他方、著しい技術革新の進展によりまして衛星放送を初めとして種々の放送ニューメディアが実用化されております。  また、国民の生活様式や価値観の多様化、個性化に伴いまして、国民情報に対するニーズも高度化、多様化いたしてまいりました。このような放送に対する国民の広いニーズと今後の放送ニューメディアの実用化が対応いたしまして、放送全体として多様な発展を遂げることを期待いたすところでございます。  衛星放送につきましても、受信が容易で、かつ高品質放送衛星による放送と、専門化した多様なニーズにこたえる通信衛星による放送がおのおのの特徴を発揮しつつ、国民ニーズにこたえまして発展していくようにと考えておる次第でございます。
  129. 木内良明

    ○木内委員 今大臣からも答弁がありました、また所信の中にもるる触れられているわけでありますけれども、本法案の審議に当たりましては政局の流れもこれありで、十分な審議時間が確保されないといううらみが実はあるわけであります。  ここで私はぜひ委員長に提言、要望申し上げたいところでありますけれども、かつて本委員会には放送に関する小委員会があったというふうに聞いているわけでありまして、法案の審議にとどまらず、今後の国民生活に重大な影響と関係を持つところの放送に関するこの問題を十分に審議検討するための放送委員会を設置されるよう、ぜひ検討をお願い申し上げたいと思います。  簡単で結構ですから、委員長から御見解を承りたいと思います。
  130. 畑英次郎

    ○畑委員長 ただいまの木内委員の御提言につきましては、事の重要性にかんがみまして、理事会等におきまして十分検討させていただきたい、かように考えております。
  131. 木内良明

    ○木内委員 昨年、三十八年ぶりと言われました放送法改正があったわけであります。三十八年ぶりと銘打たれたにしましては、全体的にむしろ現状に法制を合わせた、入れ物を合わせたという趣旨の改正にとどまったというふうに私は受けとめているわけであります。今回改正の趣旨であるところの通信衛星を利用した放送サービスの実現にしましても、またNHKの業務の適正かつ円滑な運営の確保という点につきましても、それは昨年の放送法審議の折には十分今日的な状況というものはあった、また見通せたわけでありまして、今さらの感も実は率直に言って持っているわけであります。現にJCSATも上がっている現状にありましては、なおさら私はその思いを強くするわけでありますけれども、その点郵政省はどうお考えになるのか、見解をお聞きします。
  132. 成川富彦

    成川政府委員 昨年、放送法改正させていただきまして、近未来といいますか、平成二年に打ち上げ予定のBS3における有料放送の登場と、比較的近い将来を見通した内容あるいは放送法制を放送の発展、多様化の現状に即したものにすべく改正させていただいたわけでございます。おかげさまで放送の発展に柔軟に対応できる基盤の整備を図ることができたわけでございますが、御案内のとおり技術革新の進歩は激しいわけでございまして、国民ニーズの動向等も常に考えながら適時適切な対処の必要性というものを認識して事に応じてきたわけでございます。  昨年、放送法改正をさせていただいて以来、国会審議における御指摘だとか通信衛星の利用計画、放送事業者の動向等も踏まえながらいろいろな研究会、勉強会を開催させていただきまして、法改正必要性について検討してまいったところでございます。例えば、通信と放送の境界領域的サービスに関する研究会、放送ライブラリーに関する調査研究会、放送の公共性に関する調査研究会等々の勉強会を開きましていろいろ勉強してまいったところでございます。今回の三つの改正事項につきましては、その検討の結果、法的な対応が必要というふうに判断いたしまして提出させていただいたわけでございます。したがいまして、昨年の法改正には盛り込めなかった、含まれ得なかったわけでございます。
  133. 木内良明

    ○木内委員 放送衛星による放送通信衛星による放送の違い、役割という点についてお尋ねをします。  放送衛星は我が国に割り当てられた軌道位置が一つ、それからもう一つは周波数、これを使って高出力を行うものである。一つには、小型のアンテナで受信が可能である、二つには、継続的、安定的にサービスを実施することが可能である、こういう特徴を持っているわけでありますけれども、今後の地上放送とともに我が国の放送中心的な役割を果たすものであると認識してよろしいかどうか。  通信衛星による放送は、国民の多種多様な情報ニーズにきめ細かく対応できるメディアとしての役割を今後果たし得るのかどうか。また、その特性についてどういう位置づけをしておられるのか、お尋ねをします。
  134. 成川富彦

    成川政府委員 先生御指摘のとおり^放送衛星につきましては、出力が大きく軌道位置も一定しておりまして、八チャンネル認められているわけでございます。したがいまして、受信側からしますと、小さなアンテナで受信可能である、また多彩なサービスも可能になってまいるわけでございますけれども衛星放送の中では総合放送中心とした基幹的なメディアになるのじゃないかというふうに考えているところでございます。  通信衛星による放送は、受信には一・二メートルといった、直接放送衛星に比べますと大きなアンテナを必要とするわけでございます。したがいまして、専門化された放送、例えばニュースとか音楽とかスポーツ、映画等の専門的な放送が行われることになるのではないかというふうに思います。言ってみれば、補完的なといいますか、多種多彩な魅力ある番組が提供されるのですが、放送衛星との関係でいきますと、補完的といいますか、基幹的な放送衛星に対しまして補完的な役割を果たしていくことになるのではないかというふうに考えているところでございます。
  135. 木内良明

    ○木内委員 特にきょう午前中からの質疑で問題になっているところでもありますけれども放送と通信の判断基準という問題について、大事なことでありますのでお尋ねをしておきたいと思うのです。  放送法による放送の定義として、第二条に「「放送」とは、公衆によって直接受信されることを目的とする無線通信の送信をいう。」こう述べられているのであります。ここで言う「公衆」というのは不特定多数の意味で使われているわけでありますけれども、この解釈では、特定性と不特定性の境界をどこに求めるのかということが当然問題になってくると思うのです。これまで特定性があるということで認められた例としては市町村防災行政用通信があって、不特定性を認めた例としては放送大学の放送、こういったものが象徴的にあるわけであります。こういう例でもわかるように、特定性とそうでないもの、これを判断するととは非常に難しい側面があるのも否めない事実だ、こういうふうに思います。  民間通信衛星を介しての通信についても、それがまさに境界領域的サービスに当たるがゆえに、今後登場が予想される各種の計画についてもその判断が極めて微妙で容易でなくなってくる、こういうことが指摘されると思います。今回審議されている放送法及び電波法の一部を改正する法律案、これが成立して施行されれば、放送と通信は厳然と区別され、違法行為に対しては罰せられてしまう、こういうことになると思います。近々に迫っている各種のサービス計画に対して郵政省としても明確な基準を提示することがまさに喫緊の課題であろう、そう思います。  郵政省の私的諮問機関であります通信と放送の境界領域的サービスに関する研究会の中間報告によれば、特定性を判断する基準として五つあるわけですね。「送信者と受信者の間の紐帯関係の強さの程度受信者における属性の強さの程度」「通信の事項」「情報伝達型式の秘匿性」「受信機の管理」「広告の有無」、この五つが挙げられているわけであります。郵政省としても、今後この五つの項目を基準として考えていかれるのかどうか。具体的に今申し上げたわけですけれども、まず見解を問いたいと思います。
  136. 成川富彦

    成川政府委員 先生今御指摘ございましたように、通信と放送の境界領域に関する研究会の中間報告の中で、通信の相手方の特定性を判断する基準として五項目掲げられているところでございます。特に①の「送信者と受信者の間の紐帯関係の強さの程度」とか「受信者における属性の強さの程度」というところが大きなポイントになると思いますが、その他の事項につきましても重要な要素であるわけでございます。私どもも、境界領域に関する研究会の中間報告に述べられておりますこういう点を参考にしながら判断をしていきたいというふうに考えております。
  137. 木内良明

    ○木内委員 参考にしながら判断をしていきたいというのは、今の私の質問にお答えになっているのかどうか心配なんですが、もう一回明確におっしゃっていただきたいと思います。この五つの項目を基準として考えていくのかどうかということです。
  138. 成川富彦

    成川政府委員 五つの項目を基準として考えていきたいという、先生のおっしゃるとおりでございます。
  139. 木内良明

    ○木内委員 既存の放送への影響、それから今後の通信衛星による放送普及発展の動向についてどう考えているのかということと、関連して、これまであった放送に与える影響を十分に見きわめるため、今後具体的に、例えば財源のあり方でありますとかあるいは実施時期や実施するサービスの種類について、拙速に走らず、いわば段階的な導入の検討というものの配意があってしかるべきだと思いますけれども、この点はどうでしょう。
  140. 成川富彦

    成川政府委員 通信衛星を利用した放送につきましては、先ほどお話し申しましたように、ニュースとかスポーツとか音楽等の専門放送を提供する放送として、地上放送放送衛星による放送を補完していくメディアとして期待しておりますし、またそういう形で進展していくというふうに考えております。  現在、通信衛星を利用した音楽放送を行おうと計画している者の調査によりますと、五十万から百万世帯ぐらいの視聴者が見込まれております。これは有料放送の契約者ということでございます。先ほどお話し申し上げました通信と放送の境界領域的サービスに関する研究会の報告の中でも、財源のあり方だとか実施時期だとか実施するサービスの種類につきましては段階的に導入していくことが望ましいのではないか、言ってみれば、地上放送あるいは放送衛星とあわせまして調和ある発展を図っていくべきであるというような観点の御指摘がございます。私どももそういう線に従って段階的な導入を図っていきたいというように思っておるところでございます。
  141. 木内良明

    ○木内委員 段階的な導入をもって調和ある発展を図っていくということだというふうに思います。  昨年の十月に施行されました改正放送法は、郵政大臣に対して放送の計画的及び健全な発達を図るための放送普及基本計画の策定を義務づけているわけであります。その基本計画では、民放について、テレビの最低四系統化、FMの全国普及、BS3による衛星放送一系統の実現を図るなど、放送系の数の目標が設定されているということは御案内のとおり。こうした放送系の数の目標が明示されたことについては、衛星放送と地上放送との調和ある発展及び衛星放送におげる事業存立のための経営基盤確立への配慮があったからである、こういうふうに私は思っているのであります。  ところが、今回の法改正によりまして、通信衛星を利用する放送の導入ということになりますと、現行の放送系の数の目標は必然的に修正がされなければならない。既設の地上民放やJSBの計画など、現行の放送の秩序にあるいは大きな混乱を招くことになるのではないか、こういう懸念を実は持っております。こうした状態を想定して、通信と放送の境界領域的サービスに関する研究会の中間報告では、今御答弁いただいたように、段階的な導入ということを提言しているわけでありまして、同様に、民放連にありましても、放送の種類やあるいは委託放送事業者の運営財源等、問題の提起が行われているわけであります。  そこで、今申し上げた点についてお考えを伺うことが一点。  それから、郵政省として、以上の点を踏まえて今後策定する放送普及基本計画で、具体的な導入の方法、通信衛星による放送系の数の目標を決めるべきである、こう考えるわけでありまして、一つには放送系の数の目標、それから運営財源、さらには導入時期やサービスの種類、こうした点についての見通し、これをまず明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。
  142. 成川富彦

    成川政府委員 先ほどの答弁とちょっと重複するかもしれませんが、通信衛星を利用した放送につきましては、先ほど研究会の中間報告に示されておりますとおり、技術革新の成果を国民還元して国民多様化するニーズにこたえていくという観点から、既存の通信とか放送秩序との調和を図りながらその実現を図るべきであるというような内容のことを言われております。  具体的な実現に当たりましては、この報告にもありますとおり、既存の放送事業に与える影響等も十分見きわめながら、財源のあり方とか実施時期、それから実施するサービスの種類について段階的な導入の検討が必要としいうふうに言っているわけでございまして、私どももその認識では一致しているわけでございます。  どのように導入していくかということでございますが、通信衛星を利用した放送につきましては、放送普及基本計画におきまして、民間の衛星通信事業者たる受託放送事業者にどのような種類の放送をどれだけ行わせるかということを定めて、それに従ってやっていくということになるわけでございます。  現時点におきましてどれだけのものが出てくるかということでございますが、これにつきましては、今後いろいろな放送をやりたいというニーズ等々の意見を踏まえながら勘案していくことでございますが、さしむき段階的な導入ということになりますと、財源的には有料放送に頼るというものであって、かつ音楽放送ぐらいがせいぜいではないだろうかというような感じはしておりますが、これらにつきましては、いろいろな人たち意見を聞きながら、またニーズを見きわめながら段階的な導入を図るということで、放送全体の調和ある発展を図れるようにしていきたいというふうに思います。
  143. 木内良明

    ○木内委員 現行法では、放送を行うためには放送局の免許が必要であって、放送局の免許を受けた者は同時に放送番組の編集責任を負うというふうに、無線局の免許と放送番組の編集責任が一体となっていることが前提であったわけであります。今回の改正では、通信衛星を利用した放送サービスの実現を可能にするために、放送設備を支配し、管理運用する者としての受託放送事業者と、番組を編集する者としての委託放送事業者、この二者に分けることにしている。そのため、まずハード面に当たる受託放送事業者の名のりを待って、その上で委託放送事業者の認定をして放送をするという、けさほどからの議論もありましたけれども、言ってみれば、まず法律があって、そうして二段階の手続、タイミングをずらせる運びになることになっている。放送普及基本計画による目標置局に対して受託事業者として名のりを上げるところとして、具体的に今回の場合どこが考えられるのかということが一点。  さらに、受託事業者が免許申請に名のりを上げないということになった場合、委託放送事業者の認定作業が行われるのか行われないのか。  以上の二点についてお聞きします。
  144. 成川富彦

    成川政府委員 受託放送事業者につきましては、現在JCSATが三月七日に打ち上げられておりまして、近くSCCが打ち上げるという予定になっておりまして、それが通信衛星事業者として事業を始めあるいは始める予定になっているところでございます。現時点において考えられますのは、その二社からの受託放送事業者についての申請が考えられるんじゃないかというふうに思います。  それから、受託放送事業者がないのに委託放送事業者の認定があり得るのかという点でございますが、受託放送事業者がございませんと、どの周波数、チャンネルを使って放送を委託するかということができませんので、申請のしようもないということでございます。したがいまして、受託放送事業者がないのに委託放送事業者の認定があり得るということはないというふうに思います。
  145. 木内良明

    ○木内委員 一つ一つ確認をしていきたいのでありますけれども、料金の問題でありますが、五十二条の十の二項一号の規定に、「受託放送役務の料金が業務の能率的な運営の下における原価に照らし妥当であること。」こういうところがあります。当然、この具体的料金については、各契約者の当事者間で話し合われ決定されるものであるとは考えるわけでありますけれども郵政省の認識として、これまでも各種の動向でありますとか計数処理をされて調査をされたところであると思いますけれども、実態はまずどの程度の額になっておりますか。  さらに、通信用と放送用とを比べると、さまざまな状況から考えて、放送用料金の方が通信用を上回るということが考えられるわけでありまして、どの程度の割合で高くなると考えられるか、この辺の見通しについて。  以上二点、お尋ねします。
  146. 成川富彦

    成川政府委員 通信衛星のトランスポンダーの使用料金につきましては、具体的には受託放送事業者がその提供条件の内容として決定するわけでございまして、まだ現実にどのような額というようなことを決めているわけではございません。  それから、放送用に提供する場合であっても、通信業務に要する経費と基本的には同一と考えられますことから、その料金についても大差ない金額になるんじゃないかというように思います。  ちなみに、通信業務に要する一トランスポンダー当たりの使用料金は、正確な数字は今持ち合わせておりませんが、四、五億程度というような金額であるというふうに聞いているところでございます。
  147. 木内良明

    ○木内委員 それから、きょうのこの審議の中で再三にわたって言及されているところでありますけれども、認定の問題についてお尋ねします。  委託放送事業者は、法定の事項について記載した申請書を郵政大臣に提出する、郵政大臣の認定を受けてから業務開始ということでありますけれども、複数の委託放送事業の希望者が出てきた場合の対応の仕方はどんな具合になるのかということが一点。  それから、第五十二条の十三に、委託放送事業を行おうとする者の認定要件が五項目にわたって盛られているわけでありますけれども、その第三号に「委託して放送をさせることによる表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにするためのものとして郵政省令で定める基準に合致すること。」との規定があるわけでありまして、この委託放送事業への認定申請については、実際のイメージとしてどういった形が想定されるのか、どのくらいの事業者が申し出ると考えておられるのか、その見込みの数。それから、見込みとは別に現在の段階で掌握している業界の実態、これについてもお答えを願いたいと思います。当初の認定数の見込みということについてあわせてお尋ねします。
  148. 成川富彦

    成川政府委員 まず第一点の、予定している事業者の数を超えて申請が行われた場合にどのように対処するのかという点でございますが、委託放送事業者放送できる放送番組の数の目標というのは放送普及基本計画において定めまして、これを達成するために放送用周波数使用計画において、周波数につきましてはこれであるということを措置するわけでございます。  したがって、委託放送業務に関する認定につきましては、今申し上げました数の範囲内において行われることになるわけでございます。仮にこの範囲を超えて認定の申請があった場合におきましては、申請を比較審査にかけまして、その上で認定基準の各項目に適合する度合いの最も高いものが「放送普及及び健全な発達のために適切である」という条項が先生お話しございました四号にございますが、それに適合するものとして認定を受けることとなるわけでございます。  それから、今現在どれくらいのものが予定しているかというような話でございますが、現在、音楽放送関係につきましては二社ぐらいがやりたいというような希望を持っているようでございます。まだ正確にははっきりと名のり出てきているわけではございませんが、意向というか、ちまたの意見といいますか、うわさといいますか、そういうもので言いますと二社ぐらいが考えているようでございます。  それから、映像関係でございますが、CATVに番組供給しているのが現在三十社あるわけでございますが、このうちの十社程度が個別配信も、今すぐではございませんが、行く行くはやりたいというような気持ちも持っているようでございます。そのような需要が現在のところ想定されているところでございます。
  149. 木内良明

    ○木内委員 今の局長の答弁にもありましたけれども、複数、多数の認定申請数が出た場合の比較優位といいますか、比較認定の問題があるわけでありまして、恐らく申し上げたこの五項目の要件によって判断をするとしても、この要件というのはクリアする事業者がほとんどであろう、こういうふうに思うわけなんですね。ところが、その際、比較検討、認定を郵政省が行い、判断して認定をしていくという段取りになるわけですけれども、こうした手順を考えますと、本来断じて守られなければならない放送事業者における編集権でありますとか番組編集の独立性、自律性というものに行政当局が介入するような懸念があるのではないか。こうしたメディアにおける自主性、主体性というものは、いついかなる状況のもとでも守られなければならないわけでありまして、この点の配意はいかに行われるのか、これが一つのポイントだと思います。その点、どうでしょうか。
  150. 成川富彦

    成川政府委員 認定につきましては、最小限必要な限度において認定制度というものを設けて認定業者を決めていくわけでございます。放送番組の編集の自由につきましては、当然守らなければならないことでございます。私ども、認定業者の放送番組編集の自由におきましては、介入することなく、委託放送事業者責任においてやっていただくということで進めていきたいと思います。
  151. 木内良明

    ○木内委員 ちょっと答弁として弱い感じがしますので、もう一回重ねてお尋ねをするわけでありますけれども、今回の法改正というものは、通信衛星を利用した放送サービスの実現を可能にするという目的で、一つは受託放送事業者、もう一つ委託放送事業者、この二者に分ける、いわゆる放送をハードとソフトに分割して、それぞれ別の認定、免許を与えるという従来にない新たな形式であろう、こういうふうに思うんですね。これは先ほど述べたように、通信衛星を利用した放送に限るという条件のもとでの施策であるわけですけれども言論、報道機関とも言える情報提供事業者に対して、委託放送事業者として直接国が認定を与えるとしたことによって、巷間、郵政による放送編集主体への管理権限の強化ではないか、言論、表現の自由にもかかわる問題である、こういう強い指摘の声があるのでありまして、私も全くその点について危惧の念を強くしているところであります。健全な民主主義発展のためにも、編集主体としての情報提供者に対して行政当局が法的規制をかけることについては断じてあってはならないし、慎重でなければならない。また、認定に当たっても、あくまで委託放送事業者の自主的判断と自律というものを尊重して、その編集権に対してはその独立を最大限守らなければならない。この法案、審議におけるポイントの一つがまさにここにあるわけでありまして、明確に基本理念、そしてまた法の趣旨と郵政省の今後への対応の姿勢について答弁を願いたいと思います。
  152. 成川富彦

    成川政府委員 委託放送業務につきましては、先ほど来申し上げましたように、社会的な影響力も大きいというようなこと、周波数を占用するというようなことで認定制度を設けまして認定するわけでございますが、これは必要最小限でございまして、番組の編集の自由につきましては放送法三条に定めておりますとおりきちんと守らなければならない、番組の編集の自由は放送事業者にゆだねられているものでございまして、これは国が最大限に尊重しなければならない問題でございます。言論の自由、表現の自由という観点からいきましても、放送番組編集の自由につきましては国として最大限尊重していく所存でございます。
  153. 木内良明

    ○木内委員 当面、音声による委託放送事業者が認定されて放送サービスを開始することになる、順番としてはこういうふうになるわけですけれども、CATVの番組供給業者についても通信衛星を介しての番組供給業務を準備しているのでありまして、こちらは通信用トランスポンダーを使用してその業務を行うことになる。その際、その通信内容が果たして通信であると言えるかどうかは極めて微妙な問題である。そうした番組供給会社から送信されるものの中には、本来のCATV受信者用の広告があらかじめ挿入されているものも実際あるのではないか、こういうふうに思われます。当然スクランブルなどの措置は施されるとは思いますけれども、まさに通信と放送の境界域にある送信であり、一歩間違えば電波法違反ということで通信衛星の免許取り消しにもなりかねない重要なことである。こうしたケースの場合、具体的な判断基準についてはどう考えておられますか。
  154. 成川富彦

    成川政府委員 先生御指摘のとおり、通信衛星によるサービスがCATV事業者への配信である限りは放送となることはないわけでございますが、しかしながら、一たんこのサービスをCATV事業者への配信の枠を超えまして、公衆によって直接受信されることを目的として行うということになれば、これは放送に該当するわけでございます。  放送に該当した場合に郵政省としてどう対処するかといったことでございますが、CATV事業に対する番組配信の個別受信が広く行われて、配信事業者がこのような個別受信が行われることを前提として配信を行う場合には、その改善を指導する等適切な措置を講じていかなければいかぬというふうに思います。それによってなおかつ改善がなされない、どうしてもやめないということになりますれば、最終的には免許取り消しというようなことにもなりかねないわけでございますが、その前段階において適切な指導をして、これが改善されるように努めていかなければならぬというふうに思うところでございます。
  155. 木内良明

    ○木内委員 今回の法改正に当たっては各方面からさまざまな意見が私のもとにも届いているわけでありますが、その中にこういった懸念の指摘がありました。  放送用とされる周波数帯は、国際的に確立された放送波ではない不安定なものであって、今後軌道位置や周波数の変更、受信設備の更改を強いられるおそれもある。行政当局に今求めなければならないことは、この周波数を安定したものとして継続的に利用できるように努めるべきである、こういう意見もありますけれども、この点についてはどうですか。
  156. 成川富彦

    成川政府委員 国際条約上確立しておらず不安定という指摘があるわけでございますが、その点はちょっと間違っているといいますか、誤解されている面があるかと思います。  放送衛星の場合はプラン化されておりまして、長期的に安定して継続的に使用できることになっているわけでございますが、それに比べますと、ブラン化はされていない通信衛星の場合でございますが、通信衛星が使用する静止軌道上の位置だとか周波数につきましては、国際条約上、新たな衛星通信系を設立しようとするたびごとに国際調整を行うことにより利用できることになっておりまして、その国際調整ができている状況では安定的に利用できるわけでございます。このうちの十二・五ギガヘルツから十二・七五ギガヘルツまでを放送用、業務用として使おうということであるわけでございます。  郵政省といたしましては、具体的な国際調整の場におきまして、この周波数が安定的、継続的に利用できるように努力していかなければならないというふうに思っているところでございます。
  157. 木内良明

    ○木内委員 次に、NHKの外部業務委託の問題についてお尋ねします。  NHKは、民間のノーハウを活用するとともに、業務の一層の効率化を図るため、今後とも業務の外部委託を積極的に推進する必要があると思われます。しかし、行き過ぎた業務の外部委託というものは、公共放送としての役割を将来にわたり確保することを困難にするおそれも同時にあると思うのです。この重要な業務を委託する場合には、NHKがあらかじめ定めた基準に従って行われていく必要があるのではないかと思いますけれども、この業務委託における基準について郵政省としては具体的にどんな期待を持っておられるのか、お尋ねします。
  158. 成川富彦

    成川政府委員 先生御指摘のように、NHKは効率化、合理化を図るために外部に仕事を委託してやっていくということも必要でございますが、それによってNHKの本来たる業務に支障を及ぼすことがあってはならないわけでございます。  今回は、業務委託の基準NHK自身に自主的な判断に基づいて策定してもらうような法改正をさせていただいているところでございます。この法律におきまして、業務委託がNHKの経営の効率化に資するように、あるいはNHKの現在及び将来の業務運営に支障のない範囲内で行われるように基準が策定されることを求めているわけでございます。  では、具体的にどういうことをNHKに対して期待しているかということでございますが、NHKみずからがこのような法律の制定の趣旨といいますか、法律改正の趣旨を生かして策定することを期待しているところでございます。具体的な内容につきまして他の特殊法人の例を見ますと、委託する業務の範囲だとか委託者の選定基準だとか再委託は原則として禁止するというような内容を盛り込んでおります。したがいまして、NHKが作成する際もそういうものを参考にしながらつくってくると思いますので、それらの点について具体的なあるいは内容のある基準がつくられるのではないかというふうに考えています。
  159. 木内良明

    ○木内委員 今回、NHKの子会社に対する調査権の問題があるわけでありますけれども、時間の関係もあって端的にお尋ねします。  この子会社の調査権の対象となるのはNHKと子会社までなのですか、または子会社のみが有する孫会社、この関連会社までが対象となるのかどうか。具体的にその対象の範囲がどこかということが一点。  それから、外国に営業の本拠地のある例えばNHKエンタープライズの子会社もあるわけでありますけれども、こういったところまで全部調査といいますか、今回の対象に含むのかどうか。簡単で結構です。
  160. 成川富彦

    成川政府委員 今回の子会社調査権の対象は商法の例に倣ったものでございまして、具体的に申し上げますと、発行済み株式総数の過半数をNHKが所有しているものを子会社と言うならば、その対象は、その子会社のほかにさらに発行済み株式総数の過半数をNHKとその子会社が持っているまたは子会社のみが過半数の株式を持っているもの、つまり孫会社でございますが、これも対象になります。商法の例と全く同じでございます。  先ほど後段で御質問ございました外国の法人でございますが、NHKエンタープライズの子会社であるエンタープライズ・アメリカあるいはエンタープライズ・ヨーロッパというのもございますが、これは外国法人でございまして、外国に営業の本拠地があるわけでございますので、今回の対象にはならないわけでございます。
  161. 木内良明

    ○木内委員 最後のテーマについてお尋ねします。  放送番組センターの問題です。  近年におけるテレビ、VTRの急速な発達に伴いまして、テレビ放送を通じての映像も国民の生活とは切っても切れないほど密着してきている、また、その質的内容も著しく向上してきていることが特徴として挙げられると思うのです。そうした作品は、いわば生きた社会史、生活史を検証する国民的財産と言っても過言でないほど、内容の立派なものが多数量近はある、こういうふうに私自身、見聞して思います。  しかしながら、映画のフィルムなんかが文化財としての性格づけも早く行われて、国立の施設で保管、収集されているのに、そうした実態に比べまして放送番組はその制作放送事業者の事情であるとか、あるいは著作権の処理等もありまして、残念ながら今なお国民が広く利用できるような環境にはなっていない、体制になっていない、こういった点が指摘できると思うのです。在京、在阪の放送事業者、NHK及び民放テレビ十局が保存している番組数は、聞くところによりますと約十二万本、こういうふうに言われていますけれども、こうした保存の主たる目的も、自分のところでつくったもの、これの再放送あるいは映像資料としての利用といった、それぞれの事業展開の一環として行われているというのが実情だと思います。  諸外国においては、既に放送番組の収集、保存、利用のために機関が設立をされていて、それぞれの国民の利便に供されているケースも複数あるというふうにも実は聞いているんです。今回の放送番組センターの設立についても、私は実はその点で大変期待をいたしました。遅きに失したとは思いつつも、構想としては非常によろしいのではないか、こういうふうに思っていましたけれども、実はなかなか私が意図するような内容にはなっていないというのもまた実態のようであります。  この放送番組センターの運営に当たっては、広く国民の利便に供するため、収集業務は当然のこと、いわゆる各地方における地域センターを通じて公開することも今後極めて重要な使命、任務になってくるのではないか。これは私の提言ということでお聞きいただき、検討を願いたいということで答弁を願いたいと思うのです。  一つは、地方拠点の育成ということ。現在、各地方においても独自のビデオライブラリー構想というものがありまして、各種施設の創設が計画されたり、また運営されている例もあるわけであります。川崎市や広島市といったように、具体的な形で動き始めている例もあるのでありまして、そうした施設とも早急に連携をとりながら、このたびの法改正によって行われるこのセンターとの有機的な運用というものが行われ得ないか、ぜひこれは要望をしたいと思います。したがって、計画段階のところには積極的にその推進を協議をしつつ図るべきである、こういうふうに思いますけれども、この点がいかがかというふうに思います。  それから、申し上げたような趣旨から、放送番組センターにおいては現在、貸出業務というのが行われないようなシステム、どちらかというと保存に重きが置かれているということでありますので、ぜひともこの貸し出しについても、著作権等解決しなければならないさまざまな課題はあると思いますけれども、ぜひ実現に向けて検討を願いたい、こういうふうに思います。特にこの貸し出しにつきましては、公明党としてはことしの一月二十一日に党首会談が行われた際に、個別の提案事項というものを二十五項目、国民生活関連の提案としてしたわけですが、この中で、公共ビデオ図書館構想についても実現に向けての構想を要請しているところであります。ビデオは視覚を通した文化、教育、教養等の有力な伝達媒体である、こういう視点から公共ビデオ図書館の設置を訴えてきたところでありまして、今回のこの法律に盛られたセンターの機能、さらに研究をしていただいて、ぜひとも申し上げたような施設の実現が図られるよう検討を願いたいと思います。ぜひとも、これは前向きな答弁をいただきたい。
  162. 成川富彦

    成川政府委員 まず、前段の地域センターとのかかわりでございますが、先生御指摘ございましたように、広島市とか川崎市におきまして映像文化ライブラリーが設立されておりますし、また、各地において放送ライブラリーの設立の機運が高まってきております。今回、法改正をさせていただきまして指定法人たる番組センターの設立を図るわけでございますが、各地域に設立される放送番組センターとこの指定法人たる放送番組センターとは密接な連携を保ちながら、その指定法人たる放送番組センターからできるだけ情報だとかノーハウだとかを提供いたしまして、全体として放送ライブラリーといいますか、放送番組センターが充実いたしまして国民に喜ばれるサービスができるようにしていきたいというふうに思っているところでございます。  幸い、地方の放送番組センターにつきましても、財政上の優遇措置、支援措置が講じられることになっております。例えばテレトピア地域におきまして第三セクター方式で行われる放送番組センターの場合には、その整備事業に対する無利子融資制度がございますし、それから財政投融資もその道が開かれております。こういう支援措置も好材料として使いまして放送番組センターの充実を図っていきたいというふうに思います。  それから、貸出業務等につきましてのお尋ねでございますが、放送番組センターは、収集、保管した放送番組につきまして図書館等の公共機関に対する貸し出しは可能でございますが、これ以外のものにつきましては原則として館内で視聴させることを内容としております。現時点におきましての放送番組センターはそのような内容のものでございます。  これは、著作権関係者といいますか、放送事業者とか出演者等が他の目的に使用されることを極度に警戒しておりまして、個人貸し出しを行った場合は著作権関係者の理解を得ることが難しいわけでございます。そうなりますと、放送番組の円滑な収集が行われなくなるおそれがございますので、現時点におきましてはこのような仕組みで法改正をさせていただいたような次第でございます。  なお、将来的には、著作権関係者等の理解と協力を積極的に得るように私どもも努力していきまして、貸出業務につきましてもできましたらできるように、そういう方向で検討していきたいと思いますが、今申し上げましたいろんな事情がございましてそう容易ではないという状況でございます。今後とも検討と努力を重ねていきたいというふうに思うところでございます。
  163. 木内良明

    ○木内委員 質問は以上にさせていただきますが、今最後の答弁で、著作権関係者との協議を行って、将来的に、主張しておりますところのビデオの貸し出し、いわば公共ビデオ図書館構想についても非常に前向きな答弁があったことを印象深く今お聞きしておりまして、ぜひとも前向きに検討をお願いしたいと思います。  以上です。
  164. 畑英次郎

  165. 木下敬之助

    ○木下委員 午前中から午後と皆さん質問をずっと聞かせていただきまして、本当にいろいろと問題の多いということもよくわかります。そういう意味で私の角度から質問させていただきたいと思います。  今回の改正案のポイントの一つは、通信衛星による放送の実現を図るためのものということでありますが、通信衛星による放送を認める趣旨、理由をまずお伺いいたします。
  166. 成川富彦

    成川政府委員 先生既にごらんのとおり、民間通信衛星は既に三月七日にJCSAT衛星を打ち上げましてサービスを開始しております。送信出力のより大きな通信衛星が出現してまいりました。また、受信技術の進歩等によりまして、通信衛星でも映像の場合で一・二メートル程度アンテナであれば受信が可能というような状況になってきております。  私ども、通信と放送の境界領域的サービスに関する研究会を開いていろいろと御議論いただいてきたわけでございますが、その中間報告の中でも、このように技術革新の結果、通信衛星による放送も可能になってきたという、その成果を国民還元すべきである、それから同時に、多様化、高度化している国民ニーズにもこたえていかなきゃいかぬというような提言といいますか、意見が出されております。またその際には、既存の通信とか放送秩序との調和を考慮しながら、通信衛星による放送の実現を図っていくべきであるというような考え方を出していただいたところでございます。  このような通信衛星の現状を踏まえまして、通信衛星による放送の導入を図ることといたしまして、制度面におきまして手当てをいたしませんと実現ができないものですから、今回の法改正をさせていただき、必要な措置を講じて、それを実現できるようにしていただきたいということでお願いしているような次第でございます。
  167. 木下敬之助

    ○木下委員 こういった法改正を行わなくても、現行法によっても通信衛星による放送はできたのではないか、こう思いますが、どうですか。
  168. 成川富彦

    成川政府委員 現行の放送制度におきましては、放送局の免許を取得した者が放送事業者になるわけでございまして、それが放送事業者として放送番組の編集を行う仕組みになっております。言ってみれば、ハードとソフトが一致しておりまして、放送局の免許を受けた者以外は放送事業者として放送番組の編集、放送が行えないという形になっているわけでございます。  通信衛星による放送サービスでございますが、これにつきましては、衛星のユーザーが放送番組の編集を行いますが、みずからは放送局の免許を取得せずに、他人に放送番組の送信を依頼することを計画しているところでございます。  したがいまして、現在のような放送法の上では、免許の取得主体と番組編集主体の一致を前提としておりますので、他人の放送番組を送信する無線局の制度を認めていない現行の放送制度では、このような形で放送を実施することは不可能でございます。通信衛星による放送の実現のためには放送法改正が不可欠である。言ってみれば、免許の取得主体と番組編集主体の一致を前提としている現行放送法上では、ソフトとハードを分離するような形のものは想定しておりませんので、そのようなソフトとハードの分離をする形を導入することによってその実現を図ろうというのが今回の改正させていただきたいという主な理由でございます。
  169. 木下敬之助

    ○木下委員 分離をするということと通信衛星放送するというのが一緒に出てきている。だから、この法律が通ってしまえばそういうことなんでしょうけれども、この法律じゃなくてやろうとするときにできないのですか。私の質問している趣旨がわかりにくいですか。
  170. 成川富彦

    成川政府委員 通信衛星事業者自体が放送事業者としてやるというようなケースであれば、放送局の免許を自身が受けて放送をするということは現行法上でも可能ではございますが、通信衛星のユーザーがそれを借りているといいますか、放送をしようということになりますと、現行法ではそのような制度はないわけでございます。したがいまして、放送法改正をする必要があるということになるわけでございます。
  171. 木下敬之助

    ○木下委員 そのユーザーに限って考えると、ユーザーの方が放送しようと思えばということなんですが、ユーザーはユーザーですから、ユーザーが自分で何をしたいかという、通信の方で使っておる、その通信の延長でもかなりできることはいつばいあると思うのですけれども、なぜここで変えて放送にしなきゃならぬのかというのはちょっとまだよくわからないですね。  それで、放送衛星による放送と今回実現を図ろうとしている通信衛星による放送というのは、これはやはり違うのですか、何か決定的に違うことがあるのですか。
  172. 成川富彦

    成川政府委員 先ほど来御議論がございましたように、放送というのは公衆に対する直接の無線の送信でございます。したがいまして、そういう形態のサービスをユーザーがするということは許されないわけでございます。  放送衛星放送通信衛星による放送とは、形の上では何ら変わりはございません、公衆に対する無線の送信であるという点も全く同じでございますし。ただ、先ほど来御議論がございましたように、片方は今一・二メートル程度アンテナを必要とする、出力が小さいというようなこともございまして大きなアンテナを必要とする。直接放送衛星の場合は出力が大きいものですから、四十五センチとか六十センチ程度アンテナで受信が可能だというような点の違いはございますが、形の上では何ら違いがないわけでございます。  通信衛星のユーザーといいますか、例えばCATVに対する番組供給事業者がCATV事業者に対して番組配信をしているということだけであれば、それは通信でございますが、それがその通信衛星を借りて個別受信というところまでいこうとすれば、それは放送になるわけでございまして、現行法では許されないところになっているわけでございます。現行法を直しまして手当てをすれば委託放送事業者になり得まして、放送も可能になるということになるわけでございます。
  173. 木下敬之助

    ○木下委員 ユーザーがそういう放送をすることはできないと言いながら、こういう形にすると、別のところが技術的なことはしたにしても、このユーザーがつくったものを結局は放送する、こういうことであろうと思うのですがね。何かいろいろと複雑につくっておるけれども、結局は、送り出す方が送り出したいものを送り出して、受け取る方は受け取りたいものを受け取ると。これは通信と言えば通信でしょうし、放送と言えば放送でしょうから、何かお役所的感覚でいろいろなものが入っておるだけで、一般の人にとっては余り差があるようには見えないのです。  ちなみに申し上げますと、何か通信衛星と言えば通信だけだと思って名前をつけて通信衛星だったんだと思いますし、放送衛星放送衛星ということでつけたんだと思いますね。今後技術革新をしてまた新しいものが出て、それを通放衛星とかなんか名前をつけてしまうと、何をどうするのか、もう一般の人にとっては全然わからない、こういうことになろうかと、私も一般人としての意見を申し上げておきたいと思います。  今のようなことで、放送局の免許主体と放送番組の編集主体とを分離する。これは何か別の、実際こうしなければならぬ理由があってというのではなくて、今のように、今までの既成のものと放送とをいろいろ組み合わせる中でこういう案が出てきたんじゃないかと思うのですが、どうしてこう二つ分けなきゃならぬのか。疑問点としては、両方を同じ会社がやるとかいうことができるのかどうか。
  174. 成川富彦

    成川政府委員 ハード業者が委託放送事業者をも兼ねるといった場合ですか。
  175. 木下敬之助

    ○木下委員 そういうことです。
  176. 成川富彦

    成川政府委員 それはあり得ます。可能性はありますけれども、実態としては出てこないんじゃないかと思いますが、法制度的に言いますとあり得ます。
  177. 木下敬之助

    ○木下委員 まあないだろうと言われましたけれども、両方すればどうなるのかなとすれば、やはり同じ放送になるし、まだ疑問点が本当に多いなと思っております。  これは、ちょっと外国ではどういうことになっていますか。ほかにもこんなふうに分離して同じようなことをやっている、見習った例か何かございますか。
  178. 成川富彦

    成川政府委員 放送の送信と放送番組の編集の分離の制度につきましては、西ドイツとかフランスに例がございます。  西ドイツにおきましては、送信施設は連邦政府の管理運営しているところでございまして、連邦政府といいますか郵電省が管理運営しているところでございまして、放送番組の編集につきましては各放送協会が行う仕組みになっております。  それからフランスにおいてでございますが、フランスにおきましては、国有放送会社の放送の送信につきましてはTDFというフランス送信担当会社というものが独占的に実施しております。それで、本年四月にTDF1というのが打ち上げられまして衛星放送会社が衛星放送を開始することになったわけでございますが、これにつきましても送信はTDFが担当いたしまして、別の衛星放送会社が放送番組の編集を担当するという形になっております。
  179. 木下敬之助

    ○木下委員 ちょっと今知りたいと思いますのは、結局、放送と通信の区分というのはどんなふうに考えておられますか。
  180. 成川富彦

    成川政府委員 放送というのは、先ほど来繰り返し答弁しておりますように、公衆に対する直接の無線の送信でございます。公衆というのは不特定多数と換言してもいいのではないかというふうに思います。それから通信の場合は、特定著聞の情報流通といいますか、電気通信の定義では「影像を送り、伝える」というような文言になっているかと思いますが、この通信と放送を切り分ける場合の切り分け方といたしましては、特定者に対する送信は通信と理解して、公衆に対する直接の無線の送信は放送であるという現行の区分けの仕方で区分できるということで区分しているところでございます。それで、放送法に当たるものを放送としてとらえて今回の記述の対象にしていくという考え方でございます。
  181. 木下敬之助

    ○木下委員 特定じゃなくて公衆に向かってのつもりでも、こういうかなりな機械がないと受信できないところは、数が少なければ幾ら公衆に向けてといったって結局数が限られてくれば特定なところに向けて出しいることになるのだと思いますが、その点はどう考えておられますか。公衆と特定の関係です。
  182. 成川富彦

    成川政府委員 公衆というのは不特定多数ということですが、だれでも入り得るようなもの、だれでも受信し得るようなものであれば公衆といいますか不特定多数に当たるのではないか。したがいまして、有料放送というような形で契約を結んだ上で放送するという場合におきましても、だれでも受信者となり得る道を開いているものであれば放送としてなるわけでございます。  ただ、CATV事業者への番組配信など受信者が特定のものに限られる場合だとか、キャプテンなんという電話を使ってやるシステムがございますが、これらのように受信者の個別の検索に応じて情報を提供するというようなものは放送や有線放送ではございませんで、通信に当たるということは言えると思います。  通信衛星を利用した放送サービスといいますか、各家庭で、あるいは個別で受信したいというものは、従来の放送と全く同じサービスでございますので、これを放送としてとらえていこうということでございます。したがいまして、通信衛星を利用した放送も、それから放送衛星を利用した放送も全く形態的には同じであるという観点で、今回の法改正をさせていただくような次第でございます。
  183. 木下敬之助

    ○木下委員 通信と放送の境界領域的サービスに関する研究会の中間報告と今回の改正案との関係はどうなっておるか、お伺いいたします。
  184. 成川富彦

    成川政府委員 通信と放送の境界領域的サービスに関する研究会の中間報告では、先ほど来繰り返し申し上げておるように、技術革新の成果を国民還元するべきである、それから、多様化、高度化する国民情報ニーズに対応するために、既存の通信、放送秩序との調和を考慮しながら、通信衛星による放送の実現を図るべきであるという考え方が示されているところでございます。あわせて、通信衛星による放送にふさわしい放送局の免許主体と放送番組の編集主体を分離する制度の導入の必要性も指摘しているところでございます。  今回の改正案は、このような研究会で示された考え方を踏まえまして、通信衛星による放送の実現のための制度改善をさせていただこうというものでございます。いわば、中間報告を受けてこのような措置を講じさせていただいたものでございます。
  185. 木下敬之助

    ○木下委員 時間もありませんので、次に、放送番組センターについてお伺いします。  今回の改正案では、放送番組センターは放送事業者に放送番組に関する情報の提出を求めることができるとしておられます。この規定によって、放送事業者が放送番組センターの求めに応じて提出しなければならない放送番組に関する情報とはどのようなものなのか。これについて情報提出を放送事業者に義務づけておられるようですが、このように義務づけていることについて放送事業者の理解はあるのか。また、放送事業者が放送番組センターから求められた情報を提出しなかったような場合はどうなるのか、この点をまずお伺いいたします。
  186. 成川富彦

    成川政府委員 放送番組に関する情報につきましては、放送番組センターの中に設けられます放送番組収集諮問委員会、この構成員としては、NHKとか放送大学学園の推薦する者あるいは一般放送事業者が組織する団体が推薦する者とか学識経験者などが考えられるのではないかと思いますが、そういう諮問委員会におきまして定めることとなっておりますが、放送番組に関する情報として現時点において考えられますことを言わせていただきますと、例えば放送事項とか放送番組の名称、放送番組名、それから放送された放送年月日、それからどこに番組があるのかという所在場所、それから著作権関係者、だれがその制作にかかわったのかという著作権の関係者、それから演出家などが考えられるのではないかというふうに思います。ただ、放送事業者において既に消去している放送番組に関する情報につきましては提出する必要はないわけでございます。  それから、放送事業者の理解を得ているのかということでございますが、近年、放送事業者等の関係者の間で放送ライブラリー設立に関する機運が大変高まってきております。国際ビデオライブラリー・フォーラムというのも昨年、ことしと続いて開かれておりますし、各種の運動が展開されているところでございます。郵政省でもこの法案を提出させていただく前に放送ライブラリーに関する調査研究会を開きまして、その場にはNHKとか民放関係者にもメンバーとして参画していただきまして、いろいろと議論をしていただいたところでございます。それで、放送番組センターは実現すべきであるという意見もその研究会からいただいているところでございます。こうした検討の中で関係者の理解も十分得られてきたものというふうに私ども考えておりますし、また事実そのとおりになっているところでございます。  それから、放送事業者が情報を提出しなかった場合はどうなるのかということでございますが、この義務づけは、放送番組に関する情報の円滑な収集を確保することによりまして、放送番組の向上あるいは適正化を図るという公的な目的のために、放送番組センターに対しまして、放送事業者から放送番組に関する情報の提出を求めることができるような地位を付与するものでございます。放送番組センターから情報の提出を求められた放送事業者は、正当な理由のない限りこれに応じる必要があるわけでございます。  しかしながら、正当な理由がないのに提出を拒んだ者に対する措置でございますが、これにつきましては、放送番組編集の自由など、放送による表現の自由を高度に保障しております放送法の趣旨にかんがみまして、強制的に提出させることは適当ではございませんので、放送番組センターにおいて、放送事業者の十分な理解と協力が得られるように努力していって、放送番組に関する情報をスムーズに集めていけるように措置していただきたいと思うところでございます。したがいまして、強制的に提出させることはございませんものですから罰則等もないわけでございます。
  187. 木下敬之助

    ○木下委員 時間が参りましたので私の質問はこれまでにしますが、いろいろと問題の多い法案だと思いますので、運用に当たっては、どうぞ委員会質疑等に出ました意見を十分配慮してやっていただきたいと思います。  終わります。
  188. 畑英次郎

    ○畑委員長 佐藤祐弘君。
  189. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 法案に入ります前に郵政大臣にお聞きをしたいと思います。非常に大事な言論、報道の自由に関する問題であります。  四月四日の閣議後の記者会見で大臣は、NHKの消費税報道について、増税部分だけを伝え減税部分を余り報道しないのは遺憾だというふうに述べられた。さらに報道によりますと、その発言は、閣議で防衛庁長官からNHK批判発言がありまして、それを受けて郵政大臣が、その閣議での批判の内容をNHKにも伝えようというふうに記者会見で述べられたということであります。その後釈明の発言もあったようでありますけれども、重要な問題だと思いますので、改めてお聞きをしておきたいと思います。事実関係はどうでございますか。
  190. 片岡清一

    片岡国務大臣 四月四日の閣議の状況を、記者会見の折に私がそういう旨の話をしたことは事実でございます。ただ、今お話しのように、私はNHKにそのことを話をするというようなことは言っておりません。もちろん、これは正式のものとしてそういうことを言うべきでない、放送の自由に大きく影響することでありますので断じて私は考えておらぬのですが、そういう話があったということを記者会見のときにでもちょっとお話しするという程度に申しておったわけでございまして、それが、何か私がその内容に対して積極的に発言をするというふうにとられたことはまことに残念なことでございまして、私は、現にそういうことをやったこともありませんし、そういう大事なことについては十分心得て今後もやっていくつもりでおりますので、御理解を賜りたいと思います。
  191. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 NHKにはその意向を伝えるということはしなかったということでありますが、そうじゃないのじゃないですか。
  192. 片岡清一

    片岡国務大臣 NHKに伝えるということは言っておりません。そのとき言うたのは、何か笑い話のときにでもこういう話がありましたぞということでも話すかなということが私の心に浮かんだのですが、それも私の立場からして言うべきでないということを後から反省して、そういうことは言っておりません。
  193. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 後から十分反省されたということでありますが、大臣でありますから、記者会見でそういうことをおっしゃること自体が介入の危険といいますか、そういう問題になるわけであります。そういう点で、これは大事な問題だということでお聞きをしたわけです。  これまでのこの逓信委員会議論の中でも、例えばこれは一九八五年でありましたが、左藤恵郵政大臣のころです。NHKの報道に対する政府の干渉、介入があってはならないのだというようなことが議論になりまして、こういうふうにおっしゃっております。「放送法の建前から見て、放送事業者が責任を持って編集した番組であれば、それで私はその責任において放送をしていいものでありまして、我々が批判するべきものではない、このように考えております。」また、放送法第三条でも「法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」ということが明記されております。ですから、あえて申し上げますと、郵政大臣たる者、仮に閣議などでそういう議論があった場合には、これは放送法の原則、言論、表現の自由からいってたしなめるというような態度で臨まれることこそが郵政大臣としてふさわしいのだと思いますが、どうですか。
  194. 片岡清一

    片岡国務大臣 私は、そのとおりよく自分に言い聞かせて、今後そういう場合には十分立派に対処していきたい、かように思っております。
  195. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そのようにしていただきたいと思います。  では、法案の審議でありますが、けさからかなりいろいろな側面からの審議がございました。余りダブらないようにお尋ねをしてまいりたいと思いますが、通信衛星を利用した放送の問題についてであります。  この通信衛星利用の放送というのは新しい形態でありますし、通信衛星を利用したいろいろな情報サービスを含めまして、国民生活に役立つ方向で発展させなければならぬものだと考えております。  その際、検討すべき問題がいろいろあるのだと思うのです。けさからの議論でもいろいろな問題点が指摘をされました。今、直前にもありましたけれども、通信と放送の境界の問題あるいは通信衛星利用の放送が現実的にどのようなテンポで進んでいくのだろうかという見通しの問題といいますか現実性の問題、それからまた、そういう放送が行われたとして、受ける側の国民にとってどういう新しい設備が必要か、新たな負担がどの程度になっていくのかという問題もあります。そしてまた、これが大事な問題だと思うのですが、いわゆるハードとソフトの分離ということで、番組を制作して委託するソフト事業者に対する規律というのが、規律自体の是非の問題が一つあると思うのですね。規律するとした場合に、どういう基本的な考え方に基づく必要があるのかという点があろうかと思うのです。しかし今回の改正案、この提案をお聞きしておりまして、それらのいろいろな点の検討が十分行われたとはとても言えないのじゃないかと考えております。  時間も十分ありませんから幾つか個別の点をお聞きしていきたいと思うのですが、通信衛星を利用した放送としてどのようなものがあるといいますか、出てくると考えておられますか。まずその点から……。
  196. 成川富彦

    成川政府委員 通信衛星を利用した放送サービスの内容でございますが、けさほど来御答弁申し上げておりますように、ニュースだとか音楽とかスポーツとか、ある程度限定された専門的な放送サービスが多いのじゃないかと思います。映像関係ではそんな感じでございますが、音声放送も、PCM音声放送ども出現してくることが考えられるのじゃないかというふうに思います。
  197. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 想定されているそのものというのは対象についてもかなり限定的なものじゃないかというふうに思うのですが、具体的にどういう者が名乗りを上げてきそうだというところはもう掌握しておられるのですか。
  198. 成川富彦

    成川政府委員 私どもはそういう事業者の人たちから具体的、個別的に意見を聞いておりませんが、ただCATVに対する番組供給事業者というのは現在三十社ぐらいございます。このうち何社かは通信衛星を利用したサービスを提供したいということで準備を進めているようでございます。その数は大体十数社ぐらいになるのじゃないかと思いますが、その会社自体がすぐに通信衛星を利用した放送をしたいという意向は持っているようではございませんが、行く行くは個別受信もやりたいというような考え方を持っているようでございます。  それから、音声放送につきましては、現在二社が企画といいますか考え方を持っているようでございます。それほど詰まった話になっているようには見受けませんが、そういう希望を持っているということは聞いております。
  199. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 こういうことはどうなっているのでしょうか。委託放送事業者が番組をつくって依頼して放送してもらう、こういうことになるわけですね。その場合にトランスポンダーが何本かあるわけですが、利用の仕方について郵政省としてはどういうふうに考えておられるのか。一つのトラポンを一社で占用できるような力量を持っていなければだめだというふうにお考えなのか、あるいは一木を二社で使うとか、あるいは一日置きに使うとか、さらには時間を区切って使うというようなことも利用の形としては考えられるわけですね。そのあたりはどういうふうに考えておられますか。
  200. 成川富彦

    成川政府委員 放送普及基本計画の中では番組の数ということでとらえまして、やってもらうところを放送普及基本計画の中にのせていこうというふうに考えております。したがいまして、番組の数として年間丸々占用してもらう。したがいまして、ワントラポンを二社とか三社で分割して使うとか時間帯に分けて使うというようなことは考えておりません。委託放送事業としては、受託放送事業者の一木の専用トラポンを借りて、委託放送事業者としてつくった放送番組をそのまま受託放送事業者に放送してもらうように委託する、頼むということになると思います。
  201. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そうしますと、一つ一つのトラポンを借りてずっと継続的に使用するという限定をつけるということですね。どうしてそういう限定をつけるのでしょうか。普通に考えますと、新しい形態で新しい利用の可能性が広がるわけですから、一つのトランスポンダーを借りてずっと継続的に放送するということになりますと、相当財力もある者でなければできないということになるわけですね。そういう点では、もっと多面的な活用の形態にした方が利用しやすいといいますか、そういう可能性はむしろ広がっていくのじゃないか。よく言われます国民の参加、そういう点からいいましても、私はそういうことも考える方がより新しいメディアを生かす方向ではないかと思うのですが、なぜ限定されるのか、その根拠はどういうことでしょうか。
  202. 成川富彦

    成川政府委員 先生御指摘ございましたように、通信衛星の多様な利用を図っていく上からは、多数の者を放送事業者として参入をさせたらいいじゃないかというような考え方もあるかと思いますが、次のこれから申し上げるような理由によってこれは適当じゃないというふうに考えて、したがいまして、時分割といいますか、タイムシェアリングといいますか、そういうような分け方をすることはしなかったわけでございます。  第一点といたしましては、特定のチャンネル全体を通じてみずからの報道姿勢を表現するなど、放送事業者の番組編集の自由を最大限に確保しなければいかぬということでございます。それから、特定の時間帯、プライムタイムにやりたいという者が集中してしまいまして、結果的にトランスポンダーの有効利用ができないおそれも生ずるのではないかというようなこと。それから、災害の場合などにおきましては放送事業者に協力を求めることにしております。法六条の二によってそういう規定があるわけでございますが、そういう協力を求めることが難しくなってしまうのではないかということ。それから、送信者と編集者との関係が複雑となりまして、関係を律するのが困難になる。言ってみれば、受託放送事業者が委託放送事業者を選ぶということになってしまってはちょっとまずいわけでございまして、やはり国がきちんと放送普及基本計画に基づいて委託放送事業者を認定してやっていくということが必要ではないかと思っております。しかも諸外国におきましても、一般的には時分割を行っているような例はございません。したがいまして、今の時点で考えておりますことは、時分割の放送は認めずに、これにつきましては将来、ずっと将来の話になるかと思いますが、将来の検討課題としてとらえていこうというふうに思っております。
  203. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今挙げられた幾つかの理由は、私にとってはそれで納得できるというものではありません。やはり多様な活用という点はむしろ考えるべきであろうというふうに思っております。  通信と放送の問題、区別といいますか、境界の問題がさんざん議論されてきました。今度出されている郵政省の考え方ですけれども、なかなかすんなりとはわかりにくいということはあると思うのですよ。具体例で、例えば予備校ですか、何とか塾がありますね、それが通信衛星を利用して各地にある塾に送るということをやろうという計画がありますね。それはそれだけだと通信なわけでしょう。しかし、それを同時に個人宅でも受信するということになりますと、これは今の郵政省の説明では放送に分類されるということになるわけですね。しかし、果たして個人宅というのはどの程度のものか、数十軒か数百軒かわかりませんが、その受ける側からしますと、そうなると放送としての規律を受けて、そういうものがなければ通信で何の規制もないのだというのは、これは非常にわかりにくいのですよね。個人宅受信も多少あるというようなケースが出てまいったとした場合、今度放送として全体を規律するということになるわけでしょう。そうしますと、通信に関しては通信の秘密とか検閲の禁止ということがあるわけですね。それはどういうふうになっていくのですか。
  204. 成川富彦

    成川政府委員 放送になれば、だれにでも、公衆に受信してもらおうという意図でするわけでございますので、通信の秘匿性といいますか、そういうものもなくなりますし、それから、侵害というようなこともおのずとないわけでございます。だれでも受信可能だという形に放送の場合はなるのは当然のことだと思います。
  205. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今の説明でもまだよくわかりませんが、極端な例でいきますと、大部分が通信としてこれまでの規定に入る形態だ。通信衛星を利用して送って、その場合も受講者は多数いるわけですから、それだって不特定多数と言えば言えるんですよ。入学、入塾を申し込めば入れるわけだからね。  さらにもう一つ、極端な例で言って、基本形態はそうだ。たまたま数人自宅で受信する希望者が出たという場合に、途端に放送の規定に移るというのは何としてもわからぬわけですよ。非常に無理があるという感じがするんです。そういった、今回の提案ではいろいろ疑問点があります。ありますが、ちょっと進めまして、特に私が疑問を感じていますのは、いわゆる委託放送事業者、番組制作をする事業者に対する規律の問題なんです。  基本的な点をまずお聞きしておきたいのですが、そもそも放送局に対する免許を郵政省が行っておるのは電波法の規定に基づくということからも明らかなように、あくまで電波監理上の必要からのものだというふうに私は理解をしておるわけです。つまり、電波を監理する郵政省だから電波を使用する放送局の免許を行っているんだ、そのとおりですね。
  206. 成川富彦

    成川政府委員 放送行政は「電波の公平且つ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的」とした電波法と、「放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。」という放送法に基づきまして行っているところでございまして、無線局の免許というものも一つの大きな要素になっているわけでございます。
  207. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 それをいわゆる施設免許というふうに言ってきているわけですが、今回の法案で規律の対象に加えようとしています番組制作の放送事業者、これは電波監理上は何の関係もない人たちですよね。電波をみずから一切使わないわけですから。電波を使う人に委託をするだけでありますから、電波監理上の規制は何も必要のない事業者ですね。これに対して、郵政大臣の認定を義務づける、事実上の免許といいますか、これを行うということに私は非常に疑問があるわけです。電波監理上の必要ではないということははっきりしていますよ。電波監理上の必要のない言論機関、言論機関です、やはり番組制作の事業者というのは。事実上そういう言論機関に対する免許を郵政大臣が行う、これはどういう根拠に基づく考え方ですか。
  208. 成川富彦

    成川政府委員 免許ではなくて認定ということでございますね。(佐藤(祐)委員「事実上の免許というふうに私は言っているんです」と呼ぶ)そうですが。今回の委託放送事業者の認定制度でございますが、受託放送事業者と委託放送事業者といいますか、二つの密接なる関連のものの一環として設けられたものでございまして、通信衛星による既存の放送サービスとの調和を保ちつつ円滑に導入するために設けられたものでございます。  今回の法律改正による制度では、委託放送事業者と受託放送事業者とが一体となって初めて放送サービスが可能となるものでございます。既存の放送サービスとの調和を保つためには、委託放送事業者と受託放送事業者とが一体となって放送サービスをするわけでございますが、一体となって行う放送サービスに対しまして既存の放送事業者と同じような規律を設けようとするものでございます。  したがいまして、放送の規律に関する考え方は、無線局としての放送局に着目して各種の規律が現在設けられておるわけでございますが、設けられておる既存の放送サービスと同じでございまして、その同一延長線上にある委託放送事業者と受託放送事業者が一体となって、既存の放送事業者に課せられていると同じ規律が課せられるということでございまして、従来の考え方から外れたものというふうには私どもは考えておりません。
  209. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 よくわかりません、どうも聞いておりましてもね。ともかくはっきりしていることは、一般言論の表現といいますと新聞とか雑誌だとかありますが、こういうのは認可とか許可とか一切要らないわけですね。自由なわけですよ。ところが放送に関しては、有限の電波を使うから、そこで整理が必要になるということで、施設免許という形での技術水準その他含めての措置がとられているわけですよ。それは基本的な概念だと思うのですよ。今回出てきています委託放送事業者というのは、みずから電波は一切使わないんですよ。電波監理の対象にはならないわけですよ。その事業者は別に通信衛星を使っての放送に材料を提供するだけではなくて、ほかにそのソフトそのものを別な形で運用だってしているわけですね。その事業者を、電波監理上の対象には一切ならない、なり得ない事業者をどうして郵政省が規律をする権限があるのかという点を聞いておるわけです。
  210. 成川富彦

    成川政府委員 けさほど来お答えしていることと重複しますが、委託放送業務は、受託放送事業者に委託いたしまして、自己の放送番組をそのまま送信させる業務でございます。受託放送事業者の持つ周波数につきまして指定を受けて占用して使えるわけでございます。言ってみれば、貴重な電波資源を占用して使えるという意味では、従来の放送とその点は共通しているわけでございます。  それから、直接家庭に浸透していく放送を行うという意味で大きな社会的な影響力を持っているという点についても、従来の放送と変わりないわけでございます。したがいまして、従来の放送と変わりがないという観点から、委託放送業務を行う者としてふさわしい者であるかどうかということにつきまして、財政的な基礎だとかマスメディアの集中排除だとか法律に必要な基準を設けまして、その基準に適合しているかどうかにつきまして郵政大臣が確認、認定しようとしているわけでございます。  だから、委託放送業務と受託放送業務と一体となって、従来の放送と同じ実質的なものが行われますものですから、従来の地上の放送と同じ規律を両者を合わせてかけていこうということでございます。
  211. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私は大変無理があると思うんですね。全く別個の人格のものを無理やりくっつけて、そして従来の放送法制を横すべりで適用しようというやり方ですね。しかし、具体的にはっきりしておりますことは、この大臣の認定なるものが電波施設に関するものでないことは明白なんですね。そうでしょう。委託放送事業者電波関係ないわけだから。電波監理に関する認定ではないということははっきりしているとしますと、あとはすなわち番組制作者が行おうとしていること、番組制作、そういう言論、報道機関に対して直接郵政大臣が規律をしていく、政府が規律をしていくという新しい問題がここでは発生しているんだというふうに思うのですよ。  そういう点で私たちは、いわゆる郵政大臣の免許権限、これまでは厳密には施設免許としてやってきました。それが今回の改正の中で、通信衛星を利用しての放送という限られた分野ではありますけれども電波施設を所有しない事業者にまで権限を及ぼしていく。しかもそれは施設免許ではないわけでありますから、事実上の事業免許制の導入になるというふうに考えるわけです。ですから、こういうことは本来の言論、表現の自由は最大限保障して権力の介入を極力排除するという基本的な考え方から言いますとこれは反することだと考えるのですが、その点はどういうふうに考えていますか。
  212. 成川富彦

    成川政府委員 先ほど来同じようなことを申し上げて恐縮でございますけれども委託放送事業者と受託放送事業者が一体となって初めて放送サービスが可能になるものでございます。既存の放送サービスとの調和を保つため、両者一体で行う放送サービスに対しまして、既存の放送事業者と同様の規律を設けようとするものでございまして、従来の考え方の延長線上にあるというふうに考えております。これに対しまして事業免許制の考え方というのは、これまでの無線局に着目した放送制度とは異なりまして、放送事業そのものに着目した規律を設けようとするものだというふうに認識しておりまして、その点では従来の放送の規律と全く同じでございまして、その延長線上にあるというふうに理解しております。
  213. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 まさにその点に疑問があるのです。先ほども若干議論になりましたが、新聞協会でありますとか民放連、さらには民放労連なども今回の改正案については非常に批判的であります。例えば新聞協会の意見の中では、法制上疑義があるばかりではなくて言論、報道に対する行政機関の直接な介入を招くおそれがあり、容認できない、こういう意見も既に表明されておるわけです。本当にこれは厳密に検討をすべき問題だろうというふうに私は思うのです。  こういう実際の状況から言いますと、先ほど関係者の意見は若干ヒアリングをやったというお話がありましたけれども、当のマスコミ関係者の合意も得られていない、納得をしていないということの方が私は重大だと思っているのですね。そういう点ではいろいろな疑問点、問題点がありながら十分な詰めがないままにどうして急ぐのかという点が甚だ疑問なのです。実際の見通しとしても、一・二メートルのパラボラアンテナにまだメーカーは着手するとも言ってないのですね。これが果たしてどのテンポで普及していくかというのも甚だ疑問ですよ。BSのアンテナがやっと百万超えてということでしょう。ですから、これは通信衛星を利用した放送が現実にどれほど展開していくのかというのもクエスチョン。何年後にそういう状況が起きるかというのもまだ不明だという段階なんです。現在若干準備をしているところはあるというのは私も承知をしておりますけれども、さしあたりは、今放送類似のサービス通信衛星を使ってやったとして、領域境界のところを慌てて放送法の新たな規制を設ける必要はないのじゃないかと思っているのです。領域のそういうサービスが行われて、現行のままでいけば通信の範疇に入るわけですね。そのままで推移していって、では実際にどれほど通信衛星を利用した放送が発展していくものか。かなり発展するということになった段階で改めて法制を整備するということでも十二分に間に合うというように思うのです。その点どうして急ぐのか、私は時期尚早、拙速もいいところだというふうに思っていますが、どう考えていますか。
  214. 成川富彦

    成川政府委員 本年三月に民間の通信衛星が打ち上げられておりまして、急速な技術革新の結果いろいろなサービスが可能になってきております。放送領域におきましても、多メディア時代が到来したということが言えるのじゃないかと思いますが、技術革新の成果を国民還元する、それから高度化、多様化する国民ニーズにもこたえていくということ、それと放送事業への円滑な参入を促進いたしまして、放送による言論活動のより一層の拡充を図るという観点からも通信衛星を利用した放送サービスの実現を図る必要があるのではないかというように思っております。  現在、一つ衛星だけが打ち上げられておりますが、近くもう一個、さらに十月ごろには二個打ち上げられるというような予定になっておりまして、我が国もいよいよ本格的な通信衛星時代というものを迎えるわけでございますが、この通信衛星を利用した放送サービスが可能なわけでございますので、いつでも放送サービスが実施できる体制を今から整備しておく必要があるのではないかということから早急に法改正をする必要があると判断したわけでございます。直ちに一斉に花開くというような形ではなくて段階的な導入を図っていくにしても、サービス国民還元する観点からいたしますと、法制度的に可能な道といいますか、体制を整えておく必要があるのではないかという観点からこのような改正案を出させていただいたような次第でございます。
  215. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そういう考えが実態に合ってないということをいろいろ申し上げてきたわけで、その基本理念を聞いてもしようがないのですよ。一つ星が上がったからといって大慌てする必要はないのです。現実にそれを使っての放送がどう展開していくかというのはまだまだわからないし、まだまだ先だろうということが事ほどはっきりしているというふうに私は思います。  もう時間が参りましたので終わりますが、放送番組センターの問題、私は五年前から一貫して主張してきたことでもありますので、そのことを一言だけ申し上げて終わりたいと思います。  この問題、こういうように具体化していくということは非常に結構なことだと思います。その場合に大事なことは、国民の利用が全国的に可能になるようにしていくということと、もう一つ大事なことは、郵政が口を出さないということですね。本当に自主的な運用に任せていくということが大事だという点を強調して、終わります。
  216. 畑英次郎

    ○畑委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  217. 畑英次郎

    ○畑委員長 この際、放送法及び電波法の一部を改正する法律案に対し、佐藤祐弘君より修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。佐藤祐弘君。     ―――――――――――――  放送法及び電波法の一部を改正する法律案に対する修正案    〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  218. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となっております放送法及び電波法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由及び要旨を御説明いたします。  修正の内容は、人工衛星による放送に関する部分の削除であります。  私は、通信衛星を使用した放送そのものに反対するものではなく、これが、新たなメディアとして、国民生活の向上と文化の発展に寄与するように強く望んでおります。それだけに、同じように通信衛星を使ったさまざまなサービスにおいて、放送と通信の境界をどこに引くのか、放送を委託するソフト事業者をどう規律するのが適切か、届け出制か許可制か、などなど、本委員会議論でも、検討すべき問題が多くあることが明らかになっています。  その際、言論・表現の自由を守ることは基礎的な要件であり、権力による介入の危険性は排除されなければなりません。ところが、今回の改正案は、それら諸点の検討は不十分なまま、ソフト事業者に対して、郵政大臣の認定という事実上の事業免許制を導入しようとするものであります。この改正案人工衛星による放送に関する部分は、民間放送連盟、新聞協会、民放労連が反対の態度を表明するなど、放送・マスコミ関係者の基本的な合意すら得られていない状況であります。  放送法電波法は、言論・報道機関を規律する言論法としての性格を持っており、その改正は、言論・表現の自由を守る上からも、国民的な合意の形成に慎重に取り組まなければなりません。現時点での法制化は時期尚早であります。  以上の理由から、人工衛星による放送に関する部分は削除し、改めて、言論・表現の自由を保障する観点からの国民的な合意形成の努力を行うべきであります。  慎重な御審議の上、議員各位の御賛同をお願いし、提案理由の説明を終わります。
  219. 畑英次郎

    ○畑委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  220. 畑英次郎

    ○畑委員長 これより放送法及び電波法の一部を改正する法律案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、佐藤祐弘君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  221. 畑英次郎

    ○畑委員長 起立少数。よって、佐藤祐弘君提出の修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  222. 畑英次郎

    ○畑委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  223. 畑英次郎

    ○畑委員長 次に、ただいま議決いたしました本案に対しまして、白川勝彦君外三名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。田並胤明君
  224. 田並胤明

    ○田並委員 ただいま議題となりました放送法及び電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     放送法及び電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、一本法の施行に当たり、次の各項に留意して、その実施に努めるべきである。  一 通信衛星を利用する新たな放送サービスについては、国民の意向を十分反映するとともに、放送事業者の放送番組編集の自由を最大限に尊重すること。  一 通信衛星を利用する新たな放送サービス事業の認定に当たっては、公平かつ透明性を確保し、マスメディアの集中排除に努めること。  一 技術革新の成果を実用化するに当たっては、国民ニーズに沿って進めるとともに、技術基準の策定に際しては、慎重かつ十分な検討を行うこと。  一 放送ニューメディアの発達による放送の将来像を明確にし、国会審議等広く国民意見を踏まえ、放送法の抜本改正及びサービス多様化と質的向上を図るため、制度の適時適切な見直しに取り組むこと。  一 日本放送協会の業務委託基準については、協会の自主性を確保すること。  一 放送番組センターの運営については、放送事業者の自主性を損なうことがないよう配慮するとともに、センターの円滑な運営に資するため、財政の支援措置を講ずること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明を省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。  以上であります。
  225. 畑英次郎

    ○畑委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  226. 畑英次郎

    ○畑委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、片岡郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片岡郵政大臣
  227. 片岡清一

    片岡国務大臣 慎重なる御審議をいただき、放送法及び電波法の一部を改正する法律案を御可決いただきましたことに対し、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。まことにありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  228. 畑英次郎

    ○畑委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  229. 畑英次郎

    ○畑委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  230. 畑英次郎

    ○畑委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五分散会      ――――◇―――――