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1989-05-24 第114回国会 衆議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年五月二十四日(水曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 畑 英次郎君    理事 島村 宜伸君 理事 白川 勝彦君    理事 虎島 和夫君 理事 前田 武志君    理事 町村 信孝君 理事 田並 胤明君    理事 木内 良明君 理事 木下敬之助君       小澤  潔君    粕谷  茂君       瓦   力君    久野 忠治君       古賀  誠君    古賀 正浩君       佐藤 守良君    園田 博之君       田名部匡省君    深谷 隆司君       吹田  愰君    穂積 良行君       森  喜朗君    阿部喜男君       伊藤 忠治君    上田 利正君       松前  仰君    遠藤 和良君       吉井 光照君    阿部 昭吾君       佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 片岡 清一君  出席政府委員         大蔵政務次官  太田 誠一君         郵政政務次官  谷垣 禎一君         郵政大臣官房長 松野 春樹君         郵政大臣官房人         事部長     桑野扶美雄君         郵政大臣官房経         理部長     小野沢知之君         郵政省郵務局長 田代  功君         郵政省貯金局長 森本 哲夫君         郵政省簡易保険         局長      白井  太君         郵政省通信政策         局長      中村 泰三君         郵政省電気通信         局長      塩谷  稔君         郵政省放送行政         局長      成川 富彦君  委員外出席者         大蔵大臣官房参         事官      中井  省君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社代表取         締役副社長)  村上  治君         逓信委員会調査         室長      辛島 一治君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十四日  辞任         補欠選任   穂積 良行君     古賀 正浩君   渡辺 紘三君     古賀  誠君   坂井 弘一君     遠藤 和良君   鳥居 一雄君     吉井 光照君 同日  辞任         補欠選任   古賀  誠君     渡辺 紘三君   古賀 正浩君     穂積 良行君   遠藤 和良君     坂井 弘一君   吉井 光照君     鳥居 一雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  金融自由化対策資金運用及び簡易保険郵便年  金福祉事業団業務特例等に関する法律案  (内閣提出第二四号)  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第四三号)  郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法  律案内閣提出第四四号)  放送法及び電波法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四五号)  逓信行政に関する件(郵政行政基本施策)      ――――◇―――――
  2. 畑英次郎

    ○畑委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  3. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、異常な国会で、大臣所信表明を承る時期が大変おくれたような気がしますし、あとどれだけおやりになるのかよくわかりませんけれども委員会における議論については十分耳を傾けて、郵政行政なり郵政事業に生かしていただきますようにまず冒頭希望いたしまして、質問に入らせてもらいます。  まず、郵政省大臣所信表明をおつくりになる手順は、どういう手順でおつくりになるのですか。
  4. 松野春樹

    松野(春)政府委員 御説明申し上げます。  事務的な手順ということになりますと、この所信表明の作成につきましては、省内各部局から所信表明に盛り込むべき重要事項提出を受けまして、官房におきまして取りまとめ、必要な調整を行った上、郵政大臣の御了解を得て決定しておるという段取りになってございます。
  5. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 最終的には大臣の御決定、御判断で決まるのでしょうけれども手順をお伺いしたわけです。  さて、所信表明の第一ページのところに「郵政省が所管している電気通信行政郵政事業」というふうにうたわれておりますが、この内訳はどういうことになるのですか。
  6. 松野春樹

    松野(春)政府委員 今回の所信表明におきまして従来と若干スタイルを異にしておりますが、私どもこの所信表明を検討するに当たりまして、例えば従来、電波あるいは放送という言葉も表明の中に出てまいりましたけれども、大きく分けまして電気通信行政の一環であるということで電気通信行政の中に入れてございます。それから郵政事業の中には、先生承知のように郵政事業を盛り込んでございます。  なお、この電気通信行政及び郵政事業関係共通課題といいますか、例えば地域振興という問題を挙げておりますけれども、これを冒頭御説明申し上げておるというふうな扱いになっております。
  7. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 今ちょっとお話がありましたように、我々が一般郵政行政郵政事業というものを理解する場合には、一つ電気通信事業監督官庁としての責任がある、もう一つ電波放送についての監督官庁としての責任がある、次に郵政事業の本来の仕事である郵便貯金保険という三事業と、大別して僕らはそういうふうに今日まで理解してきた。ところが、今度の所信表明では明らかに二つの項目に絞って、電気通信行政郵政事業というふうに分けて、電波放送というようなものは項目の中から全く姿を消しておる。なぜ二本に絞らなければならなかったのか、その理由を聞きたいのです。
  8. 松野春樹

    松野(春)政府委員 これまでの流れを見てまいりますと、先生指摘のように、確かに柱といいますか、あるいは分野という大きなくくりという表現でもよろしいかと思いますが、電気通信あるいは電波放送、それから郵政事業というふうな分野別もと主要事項、具体的な施策を並べて御説明申し上げてきたかと思います。昭和六十年以降になりますと、電波ということが私どもの組織の再編成あるいは有線、無線の一本化というふうなこともありまして、電気通信放送あるいは郵政事業というふうにちょっと名称が変わった表現もしております。  それから、今日たまたま平成元年でありますが、やはり電気通信一般という中で、もちろん放送行政のこれからの重要性というものはますます高まる一方でございますけれども、やはり大きくは電気通信分野の中の一つの重要な項目であるというように統一して考えた方が表現として適当ではないかという判断に至った次第でございます。
  9. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 数字でお伺いしたいのですけれども、ちなみに今私が申し上げたようなことを考えて分けるとすれば、一般会計予算というのは郵政省の中ではどのくらいの予算額になり、そこの定員は何名ぐらいになるのか。  次に、言われるところの郵政事業特別会計予算はどのくらいで、定員はどのくらいになるのか。  さらに、私が言った郵政事業特別会計の中の郵便貯金保険に分けて、それぞれの予算と、そこで働いておる人の数をちょっと知らせてください。
  10. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  まず、平成元年度の予算案におきます郵政省所管一般会計歳出予算総額でございますけれども、二百五十六億一千七百万円でございます。また、同予算案におきます平成元年度末の定員が二千六百四十一人ということになっております。  これに対しまして、特別会計の方でございますけれども郵政事業特別会計予算総額歳入歳出とも五兆五千八百二十三億円でございます。なお、この歳入歳出の中には、いわゆる通り抜けの業務外収入、支出の収入印紙等の売りさばき代金が含まれておりますので、これを除いた郵政事業の実質的な歳入歳出の規模は三兆一千六百六十四億円となっております。また、同予算案におきます平成元年度末の郵政事業特別会計定員は三十万五千七百二十人ということになっております。  それから、三番目の御質問でございますけれども、本年度予算案郵政事業特別会計におきます郵便業務運営に必要な経費人件費とか事務費とか事務用品購入費等でございますけれども、一兆二千三百六億円でございます。また、平成元年度末の定員郵便関係で十四万一千五百六十二人ということになっています。  次に、為替貯金業務運営に必要な経費でございますけれども、五千四百十五億円、同年度末の定員は六万五千四百五十八人でございます。  最後に、簡保郵便年金業務運営に必要な経費は四千二百十七億円、平成元年度末の定員は四万五千五百五十五人でございます。  以上でございます。
  11. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 まず、大臣、今の数字でもわかりますように、これは現業事業部を抱えていますから一概に言えないのは私も承知しています。一概に言えないのは承知しておるけれども、大宗として、管理監督分野予算は二百五十六億ですよ。それに対して、通り抜け会計をのけてみても、他の本来の郵政事業予算は三兆二千億でしょう。定数にしても、片方は二千六百四十。片や事業部の方は三十万。いかに郵政事業の中に占める割合が、監督行政事業部に分けてみて事業分野が大きいかということがわかると私は思うのです。  ところが、大臣所信表明、意地悪く何行ずつ書いてあるか、私調べてみました。これは総括的なところはのけてあります。郵便に関する大臣所信表明は十行。それから、貯金は少し多くて二十一行あります。それから、保険が十一行。総括をのけて全体で六十行の中の三分の二は電気通信行政によって、大臣所信が占められておるわけです。私は、郵政省の本来の業務は三事業の推進が中心にならなければならない、監督行政を無視するわけではありませんけれども。今や郵政省姿勢監督行政に移行して、本来の三事業国民のためにやっておる事業をなおざりにしつつあるという傾向が先般来私には強く感じられて指摘してきたところですが、これに対する大臣の所感はどうですか。
  12. 片岡清一

    片岡国務大臣 今御指摘電気通信行政郵政行政、これはともに国民生活に非常に密接なかかわり合いを持っておるものでございまして、いわばこれは郵政行政の車の両輪と言うべきものだと存ずるのでございます。  今お話がございましたように、特に郵政事業については、私が所信表明において申し上げましたように、今後は、金融自由化あるいはまた長寿社会の到来というようなことから、社会経済環境の変化に対応して活力のある社会経済福祉社会づくりをしていかなければならぬ、こういう立場からこれを非常に重要視していかなければならぬということについては十分考えておるところでございます。今後ともそういうことについて、今御指摘のように何かなおざりにしたような格好に形式的になりましたことについては、そういうつもりではございませんので、どうぞひとつ御理解を賜りたいと存じます。
  13. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 今大臣は、いわゆる監督行政事業とは車の両輪だ。しかし私は、両輪といっても、もし両輪なら、片方の輪は非常に小さくて片方の輪が非常に大きくなければならぬと思うのです。本当は、私は郵政事業は車の三つの輪であって、これは三輪車です。車の三つの輪であって、その上に監督行政というのが横にくっついておる。ところが、今や監督行政が本体になって郵政事業附帯業務みたいな感じを受ける、これからは。事業実態は僕が指摘したとおりです。事業実態は僕が指摘したとおりだけれども郵政省の幹部の考え方が監督行政に移行しておるのじゃないか、これを私は非常に心配をするんです。両輪とおっしゃいましたけれども、もっと事業重点が置かれるべきではないか、郵政省としては郵政事業重点を置いて運営さるべきではないか、こういう感じを私は持っておるのですが、どうでしょうか。
  14. 片岡清一

    片岡国務大臣 何といいましてもやはり郵政事業というのは、これは本来の郵政省の大事な仕事でございまして、これは国民生活に一層密着した仕事でございますので、これに十分力を入れていかなければならぬことにつきましては十分心得ておるところでございます。最近、私の方の電気通信事業で非常にいろいろな問題が惹起してくるものですから、何かそこに中心が移ったようにお考えいただいたかも存じませんが、我々は、やはり本来のこの三事業というものが非常に大事なものであるということは十分認識をして、今後とも大事にしていきたいと思っております。
  15. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、先ほどもちょっと申し上げましたが、これは今回の所信表明に始まるわけではないのですよ。郵政省姿勢そのものの中に、監督行政を重視してそっちに傾いていって本来の三事業を軽視する風潮がどうも感じられてならないのです。  すべてがそうであったとは言いませんが、これは余談ですが、例えば郵政省の最高の仕事である事務次官というのは、昔は大体郵務局長がなるものというふうな一つのルールがあった。今や郵務局長なんてどこにおるかわからぬようになってしまっている。そうでしょう。その一事をもってしても、いかに監督行政が重視されて本来の業務が軽視されておるかということが言えると思うのです。これはひとつ、皆さんお見えになっていますが、さっきもちらと言ったが、三十万の職員を抱えておる、国民のために直接サービスを行っておる郵政事業というものは重く見てもらわなければ困ります。今後もしこういう傾向が続くならば、これは許されないことだ、ゆゆしきことだと私は思っておりますから、申し上げておきます。  では、次に移ります。  大臣所信表明の中で、郵便事業につきましては経営状態について順調であるというふうにお述べになっておられます。これは字数が少ないから書けなかったのかどうかわかりませんけれども貯金事業保険事業については、経営現状見通しについて全然触れておりません。新しい商品をつくるとか新しい施策はたくさん並べてありますが、まず我々が知らなければならないのは現状経営状態あるいは見通し、これが一番先に我々は知りたいところなんです。それが全然所信の中に触れられていない。郵便については順調である、こう書かれておりますよ。あとは全然触れていない。これはどういうことですか。
  16. 森本哲夫

    森本政府委員 所信表明における私ども貯金事業に関する表現についてのお話でございますが、それぞれの事業が当面抱えている最大のポイントについて所管事項では、先ほど官房長から申し上げましたように、御報告を申し上げ、そしてまた御理解をお願い申し上げたい、こういうスタンスで、しかも全体のページ数も限りがあるわけでございますのでこういう整理にいたして、ここに述べておりますように、もちろん経営状態前提に、これからこの経営状態をさらに改善するために、小口MMCを初め市場金利の導入あるいは総額制限の改定あるいは指定単への運用、それに関連する法律の改正というものをぜひお願い申し上げなければならぬ、そういう経営状態にあるという表現貯金事業について述べておるものと理解をいたしておるところでございます。
  17. 白井太

    白井政府委員 お答えを申し上げます。  別に他意はなかったわけでございますけれども先生の御指摘を受けまして改めて所信表明を見てみますと、確かにその点についてあえて触れていないわけでございますけれども、私どもとしては、決して大見えを切るつもりはございませんが、事業の方はおかげさまをもって順調に推移しておるという前提に立ちまして、現在の課題について大臣所信表明ということで、記載してありますようなことについて表明をさせていただいた次第でございます。
  18. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 貯金局長にちょっとお伺いしますが、今自分がどこにおるかがわからぬでこれからどっちに行こうと言ったって、それは成り立たないのですよ。まず、今自分がどこにおるのか、それが非常に大事ですから。したがって、貯金事業については現状こうである、見通しはこうなる、ついてはこういう新しい商品をつくっていく、こういう施策を講じていく、こうなるのが大体話のもとじゃないですか。自分がどこにおるかわからぬままに、おれはこっちに行くんだと言ったって、なぜそっちに行くのか僕らはわからぬですよ。まずその基本現状を、貯金事業というのはこう経営はなっております、そんなに細かく全部書けというのじゃないのですよ、大筋、せめて郵便事業ぐらい順調な経営状態にありますと、このくらいのことがなぜ言えないのですか、幾ら字数が少ないと言ったって。電気通信行政には山ほどページを割いておってなぜそれが言えないのか、どうです、貯金局長
  19. 森本哲夫

    森本政府委員 御指摘のとおり、もう一言でも一言でも触れられれば確かに全体としての調和がとれた、御指摘はごもっともだと思います。今後所信表明についても、御意見もとにしっかりした文章のやり方、これは私どもだけではございませんが、そうした視点で取り組みたいと考えております。
  20. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体あなた方がお書きになったというから申し上げたのですけれども、膨大なページ電気通信行政に割きながら三事業に対する扱いが極めて粗末になっておる、その一つの証左として今私は申し上げた。経営状態さえも書けぬほどページがなかったのか、こう言いたかったのですが、その点ひとつこれから十分気をつげて、やはり経営状態をまず述べて、それから見通しを述べて、そして新しい施策を述べる、これが私は大臣所信としてのあるべき姿だ、そう思いますから申し上げておきます。  次に、ちょっと新聞で拝見したのですが、官製はがきにいろいろな印刷をして出すことは独禁法違反だ何だとかいうのがあったのですが、今どういう取り運びになっておりますか。対応をちょっと知らせていただきたいと思います。
  21. 田代功

    田代政府委員 おととい、五月二十二日の月曜日に大阪の地方裁判所に、関西の私製はがき製造印刷をしている業者の方から訴えが出されました。ただ、訴状がまだ裁判所から郵政省に送られてきておりませんので、私ども訴状を詳細に見る機会はございませんので詳しいことは申し上げられませんが、マスコミその他いろいろなところから入ってきます非公式な情報によりますと、はがきというのはもともと白い何も印刷していないはがきの値段が四十一円のはずだ、それに郵政省できれいな絵を印刷したり、あるいはくじつきで賞品をつけたりしたものまで四十一円の同じ料金で販売しているというのは、私製はがき製造、販売を行っている業者に対して不公正な取引方法をしていることになる、違法である、こういう趣旨訴えが出た模様でございます。  私ども、これは裁判の問題でありますから、これから法務省と十分相談して、裁判所に対してどのような主張をするのか分析していきたいと思いますが、今の時点での第一感といたしましては、郵便事業全体、はがきの発行も含めまして郵便法その他いろいろな法律に基づいて私ども実施しておりますし、何らやましいところはないとは考えておりますが、なお詳細訴状を見て考えたいと思っております。  以上でございます。
  22. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 あれは僕の理解では、四十一円というのは、はがきそのもの一枚が四十一円ではなくて郵便料金として設定されておる、そう考えておるのですが、郵政省見解をもう少し詳しく述べてみてください、どうお考えになっているのか。
  23. 田代功

    田代政府委員 おっしゃるとおり、四十一円というのは郵便はがきを配達する料金でございます。
  24. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうでしょう。もし今の話が発展していきますと、官製はがきには一切字を書いてはならぬということになりますね。例えば「かもめーる」の裏に絵があるからけしからぬというならば、お年玉はがきで表に番号を書くのもいけぬということになるでしょう。無地でなければならないという理屈になってくるのじゃないですか。その辺はどうですか。
  25. 田代功

    田代政府委員 阿部先生指摘のようなことになるなと私も思いますが、何せこれはまだ相手の方がどういう主張をしておられるのか詳細存じ上げませんもので、ちょっとここで余り詳細なコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  26. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 公判維持関係があるから余り詳しく言いたくない、そういうことになるわけですね。いずれにしても、問題が提起されておるわけですから、郵政省としては明確を見解を打ち出して処理をしてもらいたいというふうに思っております。  それから、所信表明の中で、特に郵政の三事業は人手に頼るところの多い仕事である、ついては労使関係の安定を図っていきたいという趣旨が述べられておりますが、今日の郵政労使園係をどういうふうに大臣は受けとめておられるのか、具体的にどういうことを今後お考えになるのか、所信があれば聞かしてもらいたいと思います。
  27. 片岡清一

    片岡国務大臣 この現業仕事は、これは何といっても労使関係が一番重要でございまして、これが円滑に進むためにはお互い理解し合って進んでいかなければならぬ、かように存じておりまして、幸い今日におきましては、組合皆さん方もこの事業全体に対して非常な御理解のある態度で事に当たっていただいておりますので、私も就任以来これらの方々ともお会いして御意見を承っておりますが、非常に立派な態度でこの仕事に臨んでいただいておることに対して、私は非常にありがたく思っておる次第でございます。これは何といっても、今後ともこの事業に働いていただく方の労働条件維持向上にいろいろ気を使って、労使間に従来にも増して高次元の信頼関係が醸成されていくように、そしてこれが定着するようにしていかなければならぬ、かように私は十分心がけておる次第でございます。
  28. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣のお考えはわかりました。  そこで、当面の責任者である人事部長に伺いますが、なお今日末端の職場で労使関係について、労働組合を敵視するというふうな若干の管理職にある方々がおいでになるのじゃないでしょうか。そういう点どうお考えになっていますか。
  29. 桑野扶美雄

    桑野政府委員 お答え申し上げます。  先生承知のとおり、郵政部内の労使関係は過去におきましていろいろと不幸な時代がございました。しかし、幸い、そういった教訓をもとにいたしまして、その後の労使関係お互い努力によりまして今日、健全で安定した関係が築かれつつあると私ども存じております。労働組合も今大臣が申されましたような運動論を展閉しておりますし、事業に対する協力的な態度というものも立派なものがございます。そういうことにつきまして私ども、ありがたくそれなりの評価をいたしておるつもりでございます。  御指摘でございますけれども、これらのことにつきましては、各郵便局も十分に受けとめておるはずでございまして、私どももそのように理解しているところでございますけれども、なお先生の御指摘でもございますし、今後十分その点については心していきたいと存じております。
  30. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 重ねて人事部長にお願いしておきますが、そういうことがないように、全体の流れが非常にうまく進んでおるときですから、何人かの心得違いがあって差別をするとかそういうような事態が起こらないように、また重ねて御指導をお願いしておきます。  そこで、最後ですが、今郵政の三十万職員はまさに我々が見ても涙ぐましい努力をして、それぞれの事業業績を上げておられるように見受けております。そこで、年度末には業績に対して、いい業績であれば多い手当を出すといういわゆる臨調の勧告等もありまして、そういう方針になっておる。これは政府方針でもあるというふうに理解しておるのですが、過ぐる三月の年度手当について、それぞれかなりの業績を上げておるのだから、従来よりも幾らか業績手当がふえてもいいのではないか。それが常識ではないのだろうか。  かって私どもは、全たばことかあるいはNTTの年度手当の問題についてそういう実績があることを承知しておるのです。ところが、残念ながら、昨年度年度手当についてそういう配慮がなされなかったように思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  31. 桑野扶美雄

    桑野政府委員 六十三年度末の業績手当につきましては、先生の御指摘のとおり、郵貯もそれぞれかなり職員が頑張ってくれたという省側の認識に立ちまして、省としてもその辺、例えば前年度に比べまして何らかの形で私どもの気持ちを示すことができないだろうかというふうに思いまして、関係当局ともかなり議論をしたわけでございますけれども、残念ながらそれが数字になってあらわれるまでに至りませんでした。  このことにつきましては、私どもといたしましても、職員に対して申しわけないといいますか、じくじたる気持ちがあるわけでございますけれども、なお、こういった問題は一朝一夕に解決する問題ではございませんので、今後とも幅広く議論を関係のところとしていきたいなという気持ちでございます。
  32. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、申し上げましたような経過で、十分な業績を上げて一生懸命に頑張っておられる。したがって、業績の上がった事業に対してはそれに見合って年度末に幾らかの業績手当をふやすというのは大体常識になっておるはずです。  私が承知する限りでは、実は郵政省に十分そういうお考えがあったようでございます。しかし残念ながら、大蔵省がよその財布のことまで関与して、出していいとか悪いとか、まあシステムとしてはそうなっていることを承知しないわけではありませんけれども、合議する関係はあるでしょうけれども、ここでもって行き詰まって、せっかくみんなが努力したことについて報いられなかったということは、これからの事業運営について非常に遺憾なことだと私は思うのです。そういうときにこそ、実は大臣が先頭に立って指揮をとって大蔵省等と話をつけていく、大臣の本来の仕事はそういうところにあるのではないかという気がするのですが、どうですか。
  33. 片岡清一

    片岡国務大臣 阿部委員からお話がございましたように、職員の諸君に一生懸命にやってもらったことに対して、ありがとうございましたという気持ちをあらわしていくことが労使関係において本当に一番大事なことだと思います。私が就任後まだ日が浅かったものですから、どうもそういう問題についての認識が十分でなかったためにいささか努力を怠ったという感じで今反省をいたしておるところでございますが、今後十分気をつけてやっていきたいと思っております。
  34. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 午後また質問の時間があるようでございますから、これで終わります。
  35. 畑英次郎

    ○畑委員長 木内良明君。
  36. 木内良明

    ○木内委員 大臣はさきの所信演説の中で、我が国社会の進展する状況について言及をされ、さらにまた、国際社会における我が国の経済的地位なりあるいは協調ある存在という立場を踏まえられてこのように述べておられるわけであります。すなわち、「郵政省が所管している電気通信行政郵政事業は、いずれも国民生活に深くかかわりを有しているものであり、郵政省の今後果たすべき役割は、ますます重要なものとなってきている」、こういう認識の上に立たれた所信演説だった、こういうふうに承っております。  また、今日的な状況を考えますと、郵政省に対する国民の期待もこれまでにない大きなものがあろう、こうも思うわけであります。したがって、新時代に向けての郵政行政のあり方はどうあるべきか、所信に対する一般質疑ということで、本日のこの機会が大分遅きに失した感はあるわけでございますが、改めて大臣の御所見を伺いたいと思います。
  37. 片岡清一

    片岡国務大臣 ただいまお話がございましたように、私の方で所管しております電気通信行政、それから郵政事業、これらはいずれも国民に本当にかかわりの深い事業でございます。したがいまして、今後の豊かな国民生活の実現ということが我々郵政行政の使命と心得まして、従来からそのための施策を行ってきておるところでございますが、今後はさらに、我が国の置かれております現状にかんがみまして、地域の振興と国際社会への貢献という点に一層の努力が必要であるということを痛感いたしておるところでございます。  このためには、電気通信行政においては、地域における情報通信基盤の整備、電気通信事業発展のための環境の整備、それから、国際VAN等国際社会における情報化等を積極的に推進していく必要があると存じておるところでございます。  また、郵政事業におきましては、金融自由化の進展、長寿社会の到来等、社会経済環境の変化に的確に対応していくことが必要であるとともに、今後、全国二万四千の郵便局のネットワークを通じまして、地方の活性化のために、一極集中から多極分散への国土政策に即応した中で、十分郵便局のネットワークを活用していくように努めていきたい、かように存じておるところでございます。
  38. 木内良明

    ○木内委員 今大臣の方から、地域の発展、行幸化の推進、さらにまたネットワークの推進という話がいみじくもありました。  これに関連をしてお尋ねをするわけでありますが、私はさきの本委員会での一般質疑の中でも、社会システムの中における郵便局のネットワークということについて提案も申し上げているわけであります。すなわち、全国二万四千に及ぶ郵便局のネットワークをさらに充実させ、国民の利便に供し、地域の発展を促し、さらにまた情報化の推進を行うという立場から、今日までの郵便局のあり方にさらに付加価値というものを加えていくことが必要ではないかということで、郵便局の持つ特性というものを約十点以上にわたって、私は時の中山郵政大臣に申し上げたわけであります。  そのときの答弁といいますのがこういうふうになっているわけであります。「今郵政省の中では官房の方で、今先生指摘のような観点から郵政省としてもっとこれに積極的に取り組んでいこうということでいろいろ体制づくりをしたり、事を始めたりしているところである」、これが昨年の四月の私との質疑の中の大臣答弁でありました。  いわば郵便事業郵便局の位置づけというものは、そうした環境における多角的、立体的あるいは社会的要請にこたえたものである必要があるという観点からの私の質疑に対する大臣答弁だったわけでありまして、その後この検討はいかなる推移をたどっているのか。具体的に進捗を見ていなければならないわけでありまして、そうした協議の内容についての御報告をいただきたいと思います。
  39. 松野春樹

    松野(春)政府委員 さきの百十二国会で、当委員会先生から十二項目にわたります貴重な御指摘をいただきました点は、鮮明に記憶しております。  御指摘のように、全国に約二万四千の拠点を持ちます郵便局のネットワークの機能をいろいろ考えます場合に、例えば郵便の送達サービスを通じました物流の機能でありますとか、それから郵便局独自の情報通信ネットワーク、いわゆるP・NETと言っておりますが、こういう機能もございます。それからまた貯金保険のサービスを通じました金融機能等いろいろな機能を持っております。これがまた郵便局の特徴にもなっておるわけであります。  そこで、私どもも一昨年十月には各界の有識者から郵便局の活用につきましての御意見をいただきまして、「一方アクセスポイントの活用」というふうに銘打っておるわけでございますが、取りまとめをいたしました。また昨年は、全国十二のそれぞれの管内で地元の有識者によります懇談会、地方政策懇談会というふうに銘打っておりますが、開催するなど各方面からさまざまな御提言をいただきました。  現在、これらの御提言を参考にいたしまして、郵政省といたしましてもこの一年間、積極的に住民のニーズにこたえるような郵便局づくりを検討して、例えばニューメディアの普及の関係、それから地域における郵便局の公的な機能といいますか、地域情報のあるいは交流の機能というふうな観点から局舎をどういうふうに開放していくか、活用していくかという問題、あるいは地方自治体等とももっともっと連携をしなければいかぬというふうな問題等に取り組んでおるところであります。  具体的に申し上げますと、例えば郵便局の施設をカルチャー教室であるとかあるいはサークル活動等への開放を行っておりますし、またニューメディアの機器の配備でありますとか、もろもろの局舎の活用、住民との関係における活用等にも重点を置いております。また、地方自治体等、従来は郵政行政というものが全国郵政省で統一して行っておるというふうな観点から、ややもしますと連携プレーがおろそかになっておった気味があったわけでありますが、ここらに思いをいたしまして、今一生懸命取り組んでおる最中でございます。  以上でございます。
  40. 木内良明

    ○木内委員 この社会システムのネットワーク化ということで、やはり現場の現業皆さんとの話し合いも当然必要だと思います。その辺はどうなっていますか。
  41. 松野春樹

    松野(春)政府委員 対外的にはただいま申し上げたような点が重点でありますけれども、もちろんこの二万四千の郵便局を支えております職員が重要な力であります。ぜひ上滑りしないように、これらの職員との対話、特に最近、労使関係も大変安定しておりまして感謝申し上げておる次第でありますが、対話を通じ、また郵政省のいろいろな施策がより有効に発揮されるように、御指摘のような態勢で臨んでいきたいというふうに決意いたしております。
  42. 木内良明

    ○木内委員 郵便局に望まれる新たなサービスというものが幾つか考えられると思うのです。例えば戸籍謄本や抄本の交付などのいわゆる公共窓口サービスあるいは小口資金の貸し付けサービス、さらに細かい指摘になりますけれども、コピーなど事務機器の貸し出しサービスでありますとか、債券の販売サービスあるいは高度情報通信サービスあるいは通信販売の受け継ぎサービスでありますとか、検討はされていて今、実現を見ない、しかし、ごく近い将来のうちに、恐らくできるところからやっていこうという今の答弁だったと思いますけれども、今申し上げたようなことも含めて、ごくごく近い時期に実現をしていこうとされているものがありましたら、ここでおっしゃっていただきたい。
  43. 松野春樹

    松野(春)政府委員 具体的な事例ということでお答えにかえさせていただきたいと思います。  今御指摘の、例えば住民票等の郵送サービスの問題でありますが、本年の四月一日現在の数字で全国百二十四の市町村で実施に至っております。まだまだ少のうございます。今後頑張っていきたいと思います。それから、郵便局の施設の提供等は、現在、普通局の数字しか持ち合わせておりませんが、普通局の中で大体六〇%弱の普通郵便局郵便局の施設提供、もろもろの会議等への提供を実施しておるというふうに調査結果が出ております。それから、郵便局へのニューメディア等の設置の問題でありますけれども、キャプテン端末であるとか、あるいはハイビジョンもまだまだ少のうございますけれども、設置するとか、いろいろ工夫しながら、できるところからやっていくという態勢で取り組んでおるところでございます。
  44. 木内良明

    ○木内委員 やはり山間僻地に至るまでネットワークというものがあるわけでありまして、私もこのテーマについていろいろな方に御意見を伺いますと、一つはやはり海外旅行のブームということもあり、パスポートの発行事務あるいは免許証の更新、こうしたものなんかも検討していただくと大変に利便に供することができるんじゃないか、こういったこともありました。こういった点もぜひ御検討が行われないかどうか、提言も含めて申し上げたいと思いますし、答弁いただいて、この問題については以上にしたいと思いますけれども、いわゆる郵便の全国ネットワークの保持とコミュニケーション手段としての有用性の確保という意味からの社会システムとしての郵便局のあり方、今申し上げた点も含めて、今後さらにさらに積極的に検討を願いたい、重ねて申し上げまして、先ほどの質疑に対する答弁をお願いしたいと思います。
  45. 松野春樹

    松野(春)政府委員 先ほどの御説明で、私どもアンケート調査も実施したということを申し上げましたが、確かにアンケートの中で一番多い住民の方々の要望というのは住民票の問題でございました。それから御指摘のようにパスポートの問題、免許証等の問題があります。制度上の制約が現在ありまして、いろいろ調整してまいりながら実施に移すということになろうかと思いますが、一応私どもの問題意識としましては、今御指摘のような点は、もし郵便局の場が活用されるということであればすばらしいことであるということで、十分念頭に置いて対応してまいりたいというふうに考えておるところであります。
  46. 木内良明

    ○木内委員 極めて明快な答弁だと思います。調整しながら実施に移したいということでありますので、やはり行政や制度の仕組みというものが先にあるのではなくて、国民生活の利便に供するということをひとつ念頭に置いて、今の答弁のとおり調整しながら、いろいろ隘路もあるでしょうけれども、実施に移すという方向で進めていっていただきたい。このことを申し上げておきます。  それから、シルバー貯金の実現ということについて申し上げたいと思うわけでありますけれども、今日の長寿社会におげる最大の課題は、老後の生活費をどのように賄うかという点にあるわけでありまして、郵政省にありましても、シルバープラン貯金という、まさに国民の老後生活資金の準備を支援すべく、施策を創設すべく本年も予算要求をされたようでありますけれども、いまだ実現に至っていないのが実情であります。このシルバープラン貯金は、郵貯の制限額とは別枠で一千万円の限度額を設けて、利子課税についても一〇%の軽減税率を適用という、老後資金の貯蓄という点に着目した、高齢化社会に対応する極めて適切な施策であると私は高く評価しているわけでありまして、昨年、本年と続けて予算要求したにもかかわらず実現しなかったその理由、今後の郵政省の取り組み、これについて承ります。
  47. 森本哲夫

    森本政府委員 ただいまの木内先生の御指摘のとおり、今後の長寿社会あるいは日本の高齢社会あるいは豊かな社会を考える上では、個々人がこつこつとする自助努力をぜひ支援したいということで、元年度予算の重要施策においても要求を重ねたところでございますが、結果的にいろいろな議論が出てまいりました。  一つは、これは、郵便貯金の限度枠というものが別途あるわけだが、こういう施策をやることによって限度枠を別途の面で実質的に引き上げることになる、この点について民業の圧迫につながるのではないか。第二点目には、この案では利子の優遇課税というものを内容にいたしておるわけであります。つまり、原則一般には課税になるところをシルバープランに盛られるような貯金についてはそういう特別の優遇をしたいということで考えたわけでございます。これは、利子非課税制度が改定されたばかりで、にもかかわらずこうした税制上の措置を講じようというのは改定の趣旨に反する、そういう意味で問題である。三つ目は、こうした構想は日本全体として高齢化社会に対する老後の生活保障の問題であり、これは基本的には公的年金の問題あるいは企業年金等の所得保障施策全般の中で論議をすべき問題ではないか。こうした諸点が出てまいりまして、残念ながらこういう問題を克服できずに実現を見るに至らなかった次第でございます。  しかし、御指摘のとおり、今後の情勢を考えてみましても、これは郵貯に限らず、官民挙げてでもぜひひとつやらなければならない施策ではないか。今後改めてこうした構想に積極的に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  48. 木内良明

    ○木内委員 今の森本局長の答弁、前段は何かこれは非常に難しいということを力説されているような印象を受けたわけでありますが、後段は今後さらに努力をされていくということでありますので、ぜひお願いしたいと思います。  特に、高齢化社会に向けての総合的な施策の一環として位置づけることも可能でありまして、年金制度を初めとするこうした総合政策がいつコンクリートした形で、国民が満足いく形で出てくるかというのは極めて困難な状態でもありますので、まず郵政施策の中でむしろ先進的にこの実現に向けて努力していかなければならないと思いますし、また、税制上の優遇措置という指摘もありましたけれども、老後のいわゆる自助努力を促す意味からも、あるいは今日的に、非常に国の発展に尽くし、また社会の発展に尽くしてこられた高齢者の方々の立場を今後考えるならば、優遇措置があってしかるべきでありまして、むしろこれに郵政省が反論してぜひ精力的な取り組みをお願いしたいことを重ねて申し上げておきます。  それから、近年、金融自由化の進展等を社会的背景にいたしまして、国民金融サービスに対するニーズはますます多様化してきていると思います。国民は比較的高利なローンの利用を余儀なくされているというのが実態でありまして、郵便貯金事業における安全、確実、簡易な個人貸付サービスの開始がまさに切望されているところだと思います。郵政省にありましてもこれらの国民の要望をよく御存じになった上でいろいろと計画をされた、すなわち新ゆうゆうローンと名づけた個人貸付制度の実現を図ってきたわけでありますけれども、いまだ日の目を見るに至っていない。この新ゆうゆうローンにつきましては答弁は結構でございますけれども、先ほど申し上げましたシルバープラン貯金とあわせてぜひとも実現に向けて努力をされるよう申し上げておきたいと思います。  きょうは具体的に個々の問題について端的な答弁をいただいているわけでありますけれども、次に公務員の給与振り込みの問題について申し上げます。  近年、キャッシュレスの傾向が一段と深まっておりまして、給与の自動振り込み、公共料金等の自動引き落としなど、また各種割引措置の効果もあって、こうした傾向というのは半ば常識化しているのが現状であります。郵便貯金にあっても、これらの要請にこたえて順次これまでサービス拡大に努めてこられたところであります。ところが、国家公務員の給与振り込みにつきましては、制度が導入されてから十年以上、これは民間金融機関の例でありますけれども、そうした導入状況というのはまだまだ低い率に停滞をしている。こうして導入が遅々として進んでいない原因として、民間金融機関では十年以上も前から取り扱っている国家公務員の給与振り込みを郵便局では取り扱っていないということが非常に大きく影響しているのではないか、こういうふうに思います。  いろいろ調べてみますと、予算決算及び会計令によって国家公務員の給与は郵便局へ振り込むことができないと決められている。また、ここに資料がありますけれども、この予算決算及び会計令の第四十八条の二に「貯金への振込みの方法により支払をする場合」、これが政令で定められているわけでありますけれども、本来国の機関である郵便局で国家公務員の給与振り込みが取り扱えないということは極めて不自然であるという率直な認識を私は持っておりまして、国の給与支払い事務の簡素合理化の推進という点、また国家公務員の利便の向上を図る観点からも改善をするべきではないか。これまで大蔵省とかなりのすり合わせ協議が行われてきたと聞いておりますけれども、私の要望も踏まえて、どんな状況であるのか、見通しについて答弁を願います。
  49. 森本哲夫

    森本政府委員 先生指摘のとおり、現在公務員の振り込みについては、ただいま御指摘のありました預貯金口座への振り込みの方法というのが基本になるわけでありますが、その振り込みの方法に残念ながら郵便局が含まれない、こういう解釈の前提で、なお国家公務員が実現に至ってない。  国家公務員は全国で約百十万人ばかりいると承知いたしておりますが、地方公務員もこれの三倍程度の三百万を超える人数がございますが、地方公務員の問題についても同様に、こちらの方は地方自治法施行令の「口座振替の方法による支出」というところでございますが、この口座振替の方法による支出には郵便局は該当しない、こういう解釈が国家公務員、地方公務員含んでの給与振り込みに今日大変支障になっているわけでございます。  私どもとしては、これまで鋭意努力を重ねてきておるところでございます。最後関係省庁の理解を得るということが何よりも大事だろうということで、現在粘り強く話し合いを行っているわけでありますが、その過程では郵便貯金というものの本質的な性格というものがいろいろ論議になってございますので、先生御案内のとおり、私ども郵便振替口座というものもございますが、こうしたものを受け皿として活用できないかという点も含めまして、ともかく一日も早く給与振り込みの体制ができるように今後とも努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  50. 木内良明

    ○木内委員 局長、ちょっと恐縮ですが、今後さらに努力をしてまいりたいということですが、具体的な見通しを、答弁できる範囲で結構ですからおっしゃってください。
  51. 森本哲夫

    森本政府委員 あしたにでもと申し上げたい気持ちはいつばいでございますが、今申しましたようないわば法令の解釈運用の問題ということでございますので、正直言って具体的めどはいついつということは申し上げられない状態にございますが、できるだけ早く実現に到達したい。ただいま申し上げました従前の論議にないような問題も持ち出して解決に向けて努力をいたしておることを御理解願いたいと存ずる次第でございます。
  52. 木内良明

    ○木内委員 従前の協議を踏まえつつ、新しい要素も盛り込んだ、進んだ形での協議になっている、こういうふうに受けとめておきたいと思いますので、鋭意検討を前進させるようお願いいたします。  次の問題でありますが、東京都のウオーターフロント地域、東京新局の建設計画が今進んでおりますが、現在の東京中央郵便局の跡地に、仄聞するところでは高度通信網のターミナルビルを建設するということになっているようでありますけれども、具体的なイメージがわいてまいりません。具体的構想の内容についてお答えを願います。
  53. 田代功

    田代政府委員 現在、東京地域では郵便の増加が非常に大きくなっておりまして、数年前から東京都内でお客様からお預かりします郵便を幾つもの郵便局で分けて処理をしておりました。これは大変非能率ですし、それ自体既に狭隘になってきましたので、東京都の江東区の新砂に新しい郵便局を現在建設中でございまして、来年の五月には完成しまして、八月からそこで業務が実施される予定でございます。  なお、現在東京駅前にある中央郵便局ですが、これは現在の機能の一部を新しい郵便局に移しはしますけれども、あの東京中央郵便局と申しますのは、いわば東京駅前の丸の内の地域にあるという意味も込めまして、ある意味では郵便局の象徴的な存在でもございます。それと、これから先あの地域が大変発達してまいりますし、私ども郵便を扱う上からもあの地域は欠かせないところでございます。そういった意味で、新局が開局後も、現在の東京中央郵便局では、丸の内を中心とする郵便の引き受けとか配達とか、あるいは貯金保険もそうですけれども、全国最大の規模の売り上げを誇っている郵便局でございますので、そういったものの拠点としてこれからも使っていきたい。  今お話のございました高度情報拠点という話ですが、東京駅周辺の丸の内一帯の再開発の話が実は数年前からいろいろな方面から出てきております。役所としましても、国土庁やら建設省、運輸省、郵政省などが中心になりまして、あの地域の再開発をどういう方向に持っていくかという議論をいたしております。こちらの方もまだ結論が出ておりませんが、東京中央郵便局を将来建てかえる場合には、そういった再開発計画との調整を図りながら、あるいは調和をとりながら、ただいまのお話のような高度情報の機能などもつけ加えていきたい、こういう夢を持っております。
  54. 木内良明

    ○木内委員 もうひとつ漠然としてイメージがつかめませんけれども、さようのところは了としたいと思います。  消費税導入による料金未納を初めとする郵便事業の現場での問題について指摘を申し上げます。  私はかねてから、この消費税は重大な公約違反であり、税の根本原則たる累進制という点からも大きくこれを逸脱し、さらにまた税率の歯どめもなく、加えてさまざまな角度かの欠陥税制、欠陥消費税であるということを訴えてまいりました。加えて、この四月一日の導入は極めて拙速をきわめたものであり、さまざまな国民生活や行政の現場で混乱を来しているわけでありますけれども、この四月一日消費税導入に伴って、実際はこの消費税分の料金の、料金と申し上げていいか、その金額の回収というものが法律上は必要とされてきたわけであります。  これは全く素人の試算でありますが、第一種郵便物の封筒、扱い月七億、通常は未納率が一%、これに対しまして、計算をいたしますと、月間で約四百二十万、はがきで百三十五万、合わせて五百五十五万、月のいわゆる未回収と申しますか、未納分があったのではないかと推測をされるわけであります。私は、何度も申し上げるように、消費税の導入は断じて反対でありますし、今後またこれを廃案に持っていく政治環境というものあるいは社会状況というものをつくるための院内、院外における活動を展開していくことは常々申し上げているとおりでありますけれども、現場においてこの消費税導入に伴う未回収というものがどの程度あったのか一また四月の十二日には、局地的といいますか、部分的な調査も行われたわけでありまして、その点についての御報告、それから本年一年間における消費税分のいわば申し上げた点における金額というものはどのくらいの規模になるのか、お答え願います。
  55. 田代功

    田代政府委員 四月一日からの消費税導入に伴いまして、はがきを四十一円、手紙を六十二円、その他料金すべて部分的に値上げをいたしました。それに伴います料金不足郵便物の状況でございますが、四月一日の導入からしばらくの間、一週間ないし十日の間、四月一日が一番多うございましたが、徐々に減ってはまいりましたが、一日を中心としてごく短期間は正規の料金を張っていないといいますか、一円とか二円の不足郵便物の割合が非常に多くなりました。普通の例ですと、一般的に郵便料が不足している郵便というのは二千通ないし三千通に一通の割合でございます、私どもの長い経験で申しますと。ところが、四月一日導入直後はこれが二百通程度にふえました。単純に言いますと二百倍ということになりますが、これはしかし、一日を含むほんの数日でございまして、この四月十二日に抜き取り的に調査してみましたら、二、三千通に四、五通の割合に減っておりました。五月に入りまして、これまた近々抜き取り調査してみたいと思いますが、最近各郵政局から入ってきます話ですと、大体昔の平常の二、三千通に一通の割合に戻ったようだ、こういうことでございます。  それで、消費税導入に伴いまして不足料金をちょうだいするそのちょうだいの仕方が、従前の方法ですと大変手間のかかる方法だったものですから、この四月一日から非常に簡単な方法に改めまして、つまり、不足郵便物はお配りはしますけれども一円不足ですという趣旨のわかるメモを置いて、それについてのときに一円切手なり二円切手なり張ってポストに入れてくださいと。まあ回収できないこともある程度覚悟して、その方が全体のコストが安いという前提で踏み切りました。これも、四月十二日の時点で調査してみますと、こちらからお願いしたはがきの八割強が回収されております。つまり、郵便の利用者というのは、大変まじめといいますか、非常に日本国民の性格をあらわしていると思いますが、強制力がないにもかかわらず八割を超える方々が一円、二円の切手を張ってポストに入れていただいている状況にございます。そういうことから考えますと、ピークのときは確かに一日十万、百万にはなりませんが、一日十数万の取り漏れがあった時期もありますが、最近ですと、これは、一日当たりの出回り物数の二、三千通に一、二通の割合ですと、非常に大ざっぱな推計をいたしましても、全国で一万円か二万円ではないかというふうに見ております。  なおまだこれから引き続いて調査をしてみたいと思いますが、そういうことでそれほど大きな取り漏れがあるというふうには考えておりません。
  56. 木内良明

    ○木内委員 大分楽観的な局長の今の見通しのようですけれども、いずれにしても、この拙速をきわめた欠陥消費税の導入によって、行政、国民生活の各部面でひずみ、混乱が出ていることの実例として明確になったと思います。  残念ながら質疑の持ち時間が終了いたしましたが、本日の短時間の質疑の中で、一つは、社会システムとしての郵便局のあり方として、今後調整をしながら、パスポートあるいは免許証の交付、発行、これは実現に移す、こういう答弁が一つ出た。それから、国家公務員の給与振り込みについては、従前の協議に加えて振替口座等を利用しての新しい糸口というものが見つかって早期の実現に向けて努力をされる、こういう答弁が出ました。  最後に、どのくらいの期間になるかわかりませんけれども郵政大臣の御活躍を祈念いたしまして、私の質疑を終わります。
  57. 畑英次郎

  58. 木下敬之助

    ○木下委員 それでは、郵政大臣所信表明に基づいて幾つか質問をさせていただきます。  最初に、地域振興関係ということで、「我が国の国土全体にわたる均衡ある発展」、こういうことのために、地域の情報化とかいろいろ積極的に推進なさる必要がある、こんなふうに述べておられると思いますが、国土全体の均衡ある発展というために情報、通信の質が均衡ある発展をされる、そのことも当然大事なことですが、同時に、そういったところと拠点拠点を結ぶような通信等も当然必要だし、中央の情報はまた何よりも大事なわけで、そういうことも含めて国土全体が均衡ある発展をしていくためには、その通信にかかる料金等が遠近格差ができるだけないように、これは全く均一の方が均衡ある発展という意味では望ましいと思います。しかし、コストもあれば、完全にというわけにはいかないと思いますが、現在はまだまだ遠近格差が激し過ぎるのではなかろうか、ぜひともこの是正を図っていただきたいと思いますが、大臣のお考えをまずお伺いいたしたいと思います。
  59. 片岡清一

    片岡国務大臣 今お話しのように、国土の均衡ある発展というためには電気通信料金等についても均一化をねらう、そういうことが一つの重要な将来の施策でなければならぬ、私はこう思います。ところが現実の姿は、やはり遠近の差によって実際上のいろいろな経費の相違というものが現実にあるわけでございまして、そういう点で今相当な差がつけられておるわけでございます。しかしながら、技術革新等を背景といたしまして、コストの低減化、事業者の経営努力事業者間の競争等によりましても着実に値下げが行われておるということは事実でございます。例えばNTTの電話料金につきましては、昨年に引き続きまして本年も二月から遠距離の料金等の値下げが行われておりますことは御存じのとおりでございます。このことは、昭和六十年四月の電気通信制度改革の趣旨に沿ったものでございまして、まことに結構なことと存じておるわけでございますが、郵政省といたしましては、新行革審の答申にもありますように、遠距離料金はもちろん、市内、近距離料金を含めた通信料金全般のより一層の低廉化を推進する必要があると考えておる次第でございまして、今後とも今お話しのような方向に向かって一層の努力をしてもらうようにしていきたい、かように思っておる次第でございます。
  60. 木下敬之助

    ○木下委員 大臣の御決意を聞いて大変安心しました。大いにそういう方向でやっていただきたいと思います。しかし、そういう方向だけは確認をいたしましたが、具体的にどういったところまでを目標にどのくらいの時期までに考えていただけるかというのは、これからの問題だと思います。きちっと、遠近の格差というのはやはりこのくらいまでであるべきだとか、最終的にはコストの問題じゃない、これは国土の均衡ということを考えたらコストだけじゃなくて、どこにいる人も憲法に保障されたような平等な権利、こういう見方からすれば、コスト以上にもっと平等に近い遠近格差のない数字にならなければならない。いろいろな基本考え方があると思います。しかし、それに至るまでに、今のやり方を見ていますと、市内は黒字だから下げられるとか市外は黒字だ、いやもう市内は赤字だから市内は下げられなくて下げるのは市外だ、こういうふうな何か、どこかの部分が赤字、黒字だということでどっちを下げるかみたいな下げ方をしておるように私ども、報道を見ていると見えます。  しかも、市内が赤字とか市外料金の方が黒字だとか言っているその市内の料金のどこまでを市内の料金として計算する、または市内のコストはどうするのかとか、まして両方共通の部分のコストはどうするのかとか、ちょっと考え方にいろいろあって必ずしも一定じゃないのじゃなかろうか。これは郵政省郵政省考えもあるでしょうし、またその他の考え方もある、新規参入されている業者さんにも考え方があるでしょうから、そういうそれぞれが何か方向を持って都合のいいように考えるのじゃなくて、合理的なそういうコストの考え方というのをまず明確にされる必要があるのじゃないかと思いますが、その点はいかがでしょう。
  61. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますけれども、おっしゃいますとおり、最近報道などにもよく出されておりますけれども、私どもNTTの電話の市内あるいは市外別の収支分計を明らかにするという問題がございまして、実はせんだってもNTTの方から市内外別の収支分計について試行的といいますか、私ども大変意欲的で結構だと思っておるのですが、開示といいますか表明がございまして、ひとまず前進したというふうに考えております。この点は、私ども実は電気通信事業法に基づきましてこれまで一連の手続をとってきておりました。今おっしゃいましたようなコストを明らかにする、特に電話を初めいろいろなサービスごとに収支を明らかにするということが料金をどうするかというときの大前提になりますので、いろいろそういった点はっきりする必要があるということで電気通信事業法の会計規則で、これは六十三年度決算から電話、専用、無線呼び出しなど八つの役務、八つのサービスごとに役務別の損益明細表をつくってもらって、適切な方法で開示してもらうということを決めたわけでございます。これからの検討課題としてもう一つ先に進んで、今度はNTTの電話の市内外別の損益といった電話役務別の損益の明細をできたらやりたいということで、これは今後の検討課題ということになっているわけでございます。  いずれにしましても、そういったことから適正な基準によりまして分計、開示が行われるということがこれからの料金を議論するときに大変必要なことだと考えておりますので、その作業を進めてまいりたいというふうに考えております。
  62. 木下敬之助

    ○木下委員 コストを別々、個々に出すという方針、そのコストの考え方をどうやって計算するのかを決める。そのもう一つ上に、そうやってコストが出た場合に、その後それをもとに遠近の格差や電気通信料金はどうあるべきだ、その数字がはっきりしたらそれをもとにまたどうやるのか、もう一つルールを決めていかれる時期に来ておるのではなかろうか、こう思いますが、その点はどうでしょうか。
  63. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 今お尋ねの点は、遠近格差をどうするかとか料金体系をどうするかという問題になろうかと思います。その点は私ども、これから先、これは基本的な命題として、先ほど大臣から申し上げましたように、遠近格差の是正、東京が三分十円で大分は三分三百三十円、こういうような差がなるべくなくなるように持っていくということで、遠距離の料金の引き下げに向かって努力していきたい。同時に、近距離あるいは市内の通話の問題、これはこれまで遠距離に比較してなかなか手がつけにくいことだったわけでございますけれども、ことしの二月にはその隣接区域について若干の作業をしたということからも努力の跡がうかがわれますように、そういったところにも近距離、市内料金の下げということについても努力してまいりたいというふうに考えております。  いずれにしましても、適切なサービス別の収支の分計とそれに基づく厳密なコスト計算、そしてそれを踏まて、一体どういう料金体系でこれからのお客のニーズにこたえていったらいいかという政策課題を絶えず念頭に置きながら考えてまいりたいというふうに思っております。
  64. 木下敬之助

    ○木下委員 期待いたしております。よろしくお願いします。  次に、情報通信基盤開発構想という点についても触れておられますが、これは具体的にどのようなものなのか、まずお伺いいたします。
  65. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 この情報通信基盤開発構想と申しますのは、現在全国の各地で、港湾埋立地でありますとか丘陵等を利用しまして更地開発等の構想が進められておるわけでありますが、その更地開発を行うに当たりまして、光ファイバーLANでありますとかテレポートといったような高度情報通信基盤を先行的に整備をしておこう、そしてそこに情報通信産業等を集積できる魅力ある町づくりをしていこうという構想でございます。同時に、そういった地域の情報拠点間を、例えば通信衛星回線等を利用して低コストの通信システムが生まれるように考えていこうというものでございます。
  66. 木下敬之助

    ○木下委員 余りはっきり具体的なイメージがわかないのですが、高度の情報通信機能を持った町づくりをして、その町等を結んだネットワークみたいなものを考えていく、大体こんなふうなことではなかろうかと思うのです。それぞれの地方の町づくりというのは具体的にどんなことを考えておるのかなと思うのですが、この点はいかがですか。
  67. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 現在、地方公共団体でありますとかあるいは民間の重立った企業、学識経験者等を集めまして、民間で任意の団体としまして情報通信基盤推進協議会というものが昨年設けられているわけでありますが、そういう中で各分科会に分かれて具体的な特定の地域における構想を検討していただいているわけでありますけれども、例えば北海道でありますと情報交流高度化地域といったようなことを考えておりますし、宮城県におきましても学術技術情報機能高度化都市といったような構想を現在研究中でございまして、そういったものが広く各地で行われているわけでございます。近々推進協議会の方から、具体的な構想あるいは国に対する支援の要望といったようなものが取りまとめられるというふうに伺っております。
  68. 木下敬之助

    ○木下委員 次に、ハイビジョンについても触れておられますのでお伺いしますが、ここに「国際標準化に向けて努力する」、このように書いておられますが、現在、ハイビジョンについて開発に特に力を注いでいるような国はどういったところがあるのか、またそれらの国との標準化の見通しについてお伺いいたします。
  69. 成川富彦

    ○成川政府委員 ハイビジョンの開発に特に力を注いでいる国といたしましては、我が国以外ではフランス、オランダ、アメリカがございます。フランスとオランダは欧州ユーレカ計画の中心国でございまして、ユーレカ計画EU95の中心国としてハイビジョンの開発を現在推進中でございます。  米国の方は地上電波を使いましたHDTVを開発中でございまして、連邦通信委員会、FCCの方で現在検討中でございますが、方式についてはまだ未決定でございます。  また米国では、米国議会の方が、下院エネルギー・商業委員会、通信・財政小委員会等で公聴会を開催していろいろと意見を聞くとか、商務省の方では、次世代テレビに関する特別委員会、ATVに関する特別委員会を設置して検討するとか、それから国防総省の方では、軍事用ディスプレー等を開発するために、総額約三千万ドルのHDTV開発計画への提案募集を実施するとか、いろいろなことを熱心にやっているところでございます。  国際的な規格問題についてでございますが、御承知のように、一九六一年に我が国の千百二十五本の六十ヘルツというものを提案したのですが、ヨーロッパが反対いたしまして勧告案に至らなかったわけでございます。  その後、CCIR、国際無線通信諮問委員会において検討するということで、先般もスタディーグループ11という会合がございまして、五月に行われたわけですが、その中では若干の前進はございました。と申しますのは、HDTVの番組制作規格に係る三十四項目のうち十八項目について合意がなされたところでございます。我が国としては、我が国が開発した方式に適合した規格が採用されるように、先ほど申し上げました特別会合の中でも努力してきたのですが、その努力の結果もございまして、三十四項目のうち十八項目について合意に至ったわけでございます。  しかし、残りの十六項目については合意に達しておりません。これにつきましては、ことしの十月に、先ほど申し上げましたCCIR、国際無線通信諮問委員会の会合がございまして、それまでの間に検討する期間もございます。それでまた作業部会も開かれるんじゃないかというふうに考えられますので、その場でできるだけ合意がなされるように努力していきたいというふうに考えているところでございます。
  70. 木下敬之助

    ○木下委員 その十八項目は合意、十六はまだ一致していない。すべての点は存じ上げませんから、どの程度どこが難しいのかわかりませんけれども、大まかに言うと、最終的に、例えば同じ放送を同じ受信機では見られるようにしようとか、もしくは、それの放送用の番組を撮った、ビデオかどういうものか知りませんけれども、それがどちらでも同じように使えるようにしようとか、かなりちゃんと交流のできることを目指してやっておられると。そういう違うところがあっても交流のできるような標準化はできるという見通しに立っておられるのか、その点をもう一度お伺いしたいと思います。
  71. 成川富彦

    ○成川政府委員 番組制作規格でございますが、これにつきましては、できるだけ国際的に統一がなされた方が国際的な番組交流もしやすいというようなことから、その点については各国とも意見は一致しているわけでございます。  先ほど来御説明しておりますように、我が国の方式、NHKで世界に先駆けて開発された方式は千百二十五本の六十ヘルツでございまして、ヨーロッパが今開発中のものは、千二百五十本の五十ヘルツという方式のものでございます。それにつきまして意見が分かれているわけでございまして、今回十八項目統一した中には、その走査線の数はまだ入っておりません。これにつきましていろいろと議論を重ねて、できるだけ番組制作規格が統一されて番組交流がしやすくなるように、十月の会合に向けて努力していかなきゃいかぬというふうに私ども考えているところでございます。
  72. 木下敬之助

    ○木下委員 技術的なことでよくわかりませんが、今、走査線の数が合わないとそういった交流はできないということで、その点の合意はまだできていない、簡単に言うとそういうことですか。
  73. 成川富彦

    ○成川政府委員 その走査線の数は一致していないわけですが、それを何らかの形で一致できないかというようなことをカナダとかオーストラリアが提案いたしまして、それはコモン・イメージ・フォーマットというような、ちょっと専門用語的な話なんですが、そういう提案もなされているところでございます。これにつきましても、まだヨーロッパ側はそれに乗ってこないというようなこともございまして、それらも含めましてできるだけ統一ができるようにしていくのが望ましいと我我としては考えているわけでございます。千百二十五本とか何か一致しませんと、そのまま単純には番組交換はできないということにはなるんじゃないかと思いますが、先ほど述べましたように、コモン・イメージ・フォーマットというような共通イメージのフォーマットが、意見が一致しますとある程度交流がしやすくなるということが言えると思います。
  74. 木下敬之助

    ○木下委員 それも大いにやっていただかなきゃなりませんが、そういう技術的なものと、また今後ハイビジョンの放送を具体的にどのように実用化していくのか、この点が今一番興味というか、ここで考えておかなければならぬことではなかろうかと私ども考えます。  これを一体どういう目的でハイビジョン放送を開発して進めていくのか、画質がすごくきれいになるのは、私ども現場を見せていただきました。だから画質をよくしていくということで、結局今の放送、現在のテレビにいっかよくなったものが取りかわっていく、そういうことを考えておられるのか、何かハイビジョンとして特殊な利用を考えるのか、ここらで少し明らかにしていただかないと、一体今後どんなふうになるのだろう。衛星放送にしても、いろいろな方式の中からいつの間にやら、当初我々が聞いていたものと全然違う形でもう実施するようになってしまっておる、そんなふうに思います。ハイビジョン・シティー構想ということでモデル都市なんか指定して進められるようですけれども、これは一体実用はどんなふうな形のことを考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  75. 成川富彦

    ○成川政府委員 ハイビジョン開発が何のために行われているのか、その目的という趣旨の……(木下委員「実用の目的」と呼ぶ)実用の目的といいますか、そういう観点からの御質問理解して答えさせていただきたいと思います。  御承知のとおり、我が国では二十八年に白黒テレビができまして、さらに昭和三十五年にカラーテレビ放送が開始されました。今日では国民の基幹的なメディアとして位置づけられているところでございます。ハイビジョンにつきましては、先生御案内のとおりNHKが二十年ぐらい前から、人間の視覚上の要求を十分に満足させる次世代のテレビジョンは何かというような観点から開発を始めまして、その後のエレクトロニクスの技術の進歩もございまして、今日技術的に実用化の段階に達しているところでございます。  その目的といいますか、実用化する目的でございますが、これはやはり鮮明な映像とそれからワイドな画面、高音質のテレビジョン放送が可能になるわけでございまして、一層の充実、高度化を図りまして、国民の多様化するニーズ、国民の高画質、高音質に対するニーズに対応すべく、それを目的として開発され、また実用に向けて努力しているということでございます。  ただ、ハイビジョンというのは御案内のとおり、すぐれた特質を有しておりますから、これは放送だけではなくて通信、CATVあるいは印刷、医療、映画、出版等々、いろいろな分野に応用できることが明らかになっているわけでございます。そういうことで、将来、次の高度映像社会におきましては中核的なメディアとなるのではないかというふうに期待されているわけでございまして、そういう点からさまざまな応用分野の開拓もなされつつあるし、そういう面でも努力していく必要があるのではないかということでございまして、端的に申しますと、主目的はやはり放送で出発したのですが、それがいろいろと応用範囲が広いという観点で、いろいろな分野に利用できるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  76. 木下敬之助

    ○木下委員 いろいろな分野で応用していく分は幾らでも、これはできるところへ使っていくのがいいと思いますが、しかし放送の方は具体的にどうなっていくのか、もう少し明確に方向を出してもらいたいと思います。  例えば、実際放送するようになったときに一般のテレビと全然別の番組をつくって、また一つそういう放送局が、どこがするにしろ、なっていくのか。それとも、今現在と同じものを高画質で見れるような形で、同時放送する形でやっていくのか。また、それが同じ放送ならまた同じものがハイビジョンとして放送だけしておけば、それは画像はもとのままのテレビでも一応は見られるのか。こういった問題は、それは私は技術者でも全くありませんけれども、やりようによっては、方向を決めれば、そういう方向での開発というものに限定して向かっていく時期ではなかろうか。もしかしたら先ほどの標準化みたいなものに、よその諸外国でそういったことも考えて、ある新聞で昔一行見たことがありますけれども、これはやはり通常のテレビでも見れる形で開発すべきだ、こういう表現を見たこともありますが、私は、それはすごく観点がいいなと思いました。今の衛星放送の番組、これはやはり衛星放送じゃないと見られない番組がいっぱいある。しかも子供さんの喜ぶ番組がいっぱいある。かなり高いもので、より高いお金を出す方で何であんな子供向きの番組をと、すごく小さなお子さんで番組表を見て、こんなのがあるのにうちじゃ見られないと言っている、お父さん、お母さんが子供の説得にすごく困っているようなニュースも聞いております。  そんな意味で、ひとつこの辺で、一体両方見れるようにしていくのか、新しいものをつくっていくのか、これは早くはっきりして、研究もそれにあわせてしていくということを決める時期じゃなかろうかと思いますが、この点はどうでしょうか。
  77. 成川富彦

    ○成川政府委員 先ほどお話し申し上げましたように、ハイビジョンは高画質、高音質のものを追求していくわけでございまして、広帯域を必要とするわけでございます。したがいまして、広帯域の放送ということになりますと衛星放送が適当ではないかというようなことで、現在ハイビジョンは衛星放送で実験をしておりますし、また将来とも衛星放送で実施することになるんではないか。  それじゃ地上放送で見れないのかということになりますが、この点につきましては、コンバーターの開発が現在なされております。ただ、高画質をコンバーターによって地上放送で見えるようにしますと、品質が落ちましてクリアビジョン、EDTV並みの画質でしか見れないことになります。したがいまして、ハイビジョンをそのままの姿で見ようとすれば、やはりそれにふさわしい受信機を用意していただかなきゃいかぬ。ただ、その放送内容につきまして地上でも見たいというようなことであれば、コンバーターを使って、受信機にコンバーターをつけて見ていただくということは可能でございます。ただ、現時点におきましては量産化もされておりませんし、また現実のものとなっておりませんので価格についてはまだまだ高いわけですが、将来、普及段階におきましては、そのコンバーターも一万円程度になるんではないかというふうにメーカー筋では言っているところでございます。
  78. 木下敬之助

    ○木下委員 今ので少しわかりましたけれども、もう一点、やはりハイビジョン用の新しい番組の新しい放送をやるという方向で進んでおるのですね。今現在の放送を画質のいいので見られるように放送するのじゃなくて、また新しくもう一局、どこがやるにしても、新しい番組をつくって、新しい放送がハイビジョンによって始まるのだ、こういう理解でございますか。
  79. 成川富彦

    ○成川政府委員 現在、NHKがBS2を使って実験放送をしているわけでございますが、ハイビジョン放送をしている時間帯におきましては、NTSC方式といいますか、従来の地上のテレビの方式の受像機では見ることができないわけでございます。したがいまして、一〇〇%ハイビジョン放送をやるということになれば、コンバーターを使用しない限り、衛星受信機能をつけても地上の受信機では受からないということになります。したがいまして、本格的なハイビジョン放送をするのは平成年度に打ち上げますBS3によって実用化の段階が来るのではないかというふうに私ども考えておりますが、一〇〇%いつの時点になるかというようなことは今の時点では予測つきませんが、そのようなことを考えているところでございます。
  80. 木下敬之助

    ○木下委員 先のことで詰まってもいないのでしょうけれども、私が申し上げたいのは、今現在、衛星放送でやっていますね。それを最初からハイビジョン用のもので撮って、そしてハイビジョンでも放送するけれども、同時にそれを普通のテレビで見れるようにして放送する、番組は一つのものである、こういったことも考えられる。だから番組は一つでも高画質のもので見れる、しかもバーターを使わなくても、それを一般用にして局の方で出せばいいわけですから。そういうふうに、もう一つ新しい番組制作のものができていくわけじゃないということなのか、そうやって変わっていこうとするのか、高画質に変わろうとするのか、やはり新しい番組をつくっていくのか、新しい番組をつくっていくと変わるのじゃなくてふえていくわけですね。一体放送というものを、そんな形で新しいものが出るたびにふやしていくという方向なのか、変わっていくのかというのは大きな違いがあるので、ぜひ詰めた検討をしていただきたいと思います。  時間がなくなりましたので、一番最後にもう一問お伺いいたします。  電気通信に関する日米通商問題の決着、これは今大変重要な時期だと思いますが、この見通しについてお伺いしたいと思います。そして、新聞では、自動車電話で譲歩して日本が折れるといった報道もされておるのですが、これまでの主張をどう折り合わせていくのか、この点の考えがあるのならばお伺いしたいと思います。
  81. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 電気通信に関します日米通商問題でございますけれども、これは私ども、これまでMOSS合意につきまして誠実に実行してきているということで臨んできているわけでございます。ただ、残念ながら包括貿易法の電気通信条項の適用につきましてアメリカ側は、MOSS合意違反ありという判定をされておられるわけでございまして、大変残念なことだと思っております。何しろ私どもは、違反はしていないよ、誠実に遵守しておりますよということをこれからも引き続き訴えて、アメリカ側の理解を求めていくことが第一だと考えております。  問題になっておりますのは自動車電話の周波数割り当てでございますけれども、これはMOSS合意を超えた新しい要求でございまして、これについては新たな周波数を割り当てることはできないということを言っておるわけでございます。私ども、これまでの考え方を基本に対処することといたしておりますので、譲歩しているという事実はございません。ただ、いろいろな新たな要求につきましても、私ども、新たな周波数の割り当てには応じられないということを重ねて理解を求めながら、相手方の動向を見きわめつつ適時適切に対応してまいりたいと考えております。
  82. 片岡清一

    片岡国務大臣 この問題につきましてはただいま局長からお答え申し上げたとおりでございますが、先般、フィッシャー・モトローラ社社長が参りまして、私も会いました。そして、これらの問題についてお話をしましたが、向こうは新しい提案も何もしません。従来から言っておることをオウム返しに言っておるという程度でございました。したがいまして、今局長から申し上げましたようなことで何らこちらが譲ることも必要でございませんので、そのまま今までどおりの主張をして、そして今後とも我々がMOSS協定をちゃんと守っておることをひとつ理解してもらいたいということを篤と話しておきました。――失礼しました。フィッシャーには私、会っておりません。会っておりませんので、ただ話を聞いたことをちょっと思い違いしましたので、失礼しました。     ―――――――――――――
  83. 木下敬之助

    ○木下委員 どうもありがとうございました。
  84. 畑英次郎

    ○畑委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本電信電話株式会社代表取締役副社長村上治君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 畑英次郎

    ○畑委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  86. 畑英次郎

    ○畑委員長 佐藤祐弘君。
  87. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 郵政大臣所信表明の中で、NTTの前会長と二人の取締役が逮捕、起訴されるという異常な事態につきまして、まことに遺憾というふうに言われました。疑惑はまだすべて解明されているとは言えない状況でありますが、大臣としていわばどうけじめをつけていくおつもりか、お考えをお聞きしたい。
  88. 片岡清一

    片岡国務大臣 この間所信で申し上げましたように、このたびのリクルート問題に関連いたしまして、NTTの会長並びに理事が起訴せられるということになりましたことを私としてまことに遺憾に思い、そしてNTTに対しまして、今後綱紀の粛正と適切な業務執行体制の確立に努めるようということで社長に篤と話をいたしまして、そして今後は、私の省内並びに管下の他の特殊法人等に対しましても、綱紀の厳正な保持について一層努めていくことを十分指導していきたいと思っております。
  89. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 リクルート疑惑の問題ではスーパーコンピューターと回線リセールがあるわけですが、きょうは回線リセールに関してお聞きをしてみたいと思います。  NTTの村上副社長は、昨年十二月の参院税特委での我が党の上田耕一郎議員の質問に対して、スーパーコンピューター二台と通信機器を合わせて、購入価格はおおよその大台として百億円前後と答弁をされました。そのうち通信機器分は幾らでしょうか。
  90. 村上治

    ○村上参考人 先生の御質問にお答えいたします前に、このたびのリクルート事件に関しましては世間を大変お騒がせし、またNTTの企業イメージを大きく損なうことになりまして大変残念に思っておる次第であります。弊社といたしましても、こういった事態を厳粛に受けとめまして、ただいま大臣からお話がありましたように、郵政省の御指導も得つつ、綱紀のより一層の粛正はもとより、信頼回復に向けまして全職員一丸となって努力をしてまいりたい、このように考えております。よろしくお願いいたします。  ただいまの御質問でございますが、昨年十二月、上田先生にお答えいたしましたのは、TDM、モデムその他、あるいはコンピューターを含めまして、私どもかねてから、個々の購入価格につきましては個別の契約内容に関することでございますので、これを明らかにすることは一般の商慣習に反しますし、また当該の契約の当事者に当たります相手企業だけではなくて、ほかのNTT取引企業全体の信用を失いますので、今後のNTTの企業としての活動に大きな影響を与えるおそれがあるということで、個々の契約内容あるいは個々の価格等につきましては御容赦を願いたいということでまいったわけでございます。  昨年十二月の参議院で上田先生の御質問がございましたけれども、いろいろな御質疑の中で、大台といいますか、大まかな額もわからずには審議が進まないということでございまして、ひっくるめましておおよそ百億前後というようなことを申し上げたわけでございますので、その中の個々につきまして、今のお尋ねは通信機器につきましてどうかというお尋ねでございますけれども、この点は先ほど申しましたようなことから御容赦をいただきたい、かように存じます。
  91. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 それはおかしいと思うのです。個別契約の内容を事細かに求めているわけではないのですね。  代理店の日本ダイレックスに私は聞きました。直接確認してきましたが、当の契約相手は、NTTへの販売価格は八十億円だと繰り返し明言しているわけです。新聞などでも報道されております。それをなぜ言えないのか。おおよその大台としてスパコンと合わせて百億前後と言われている。スパコンは二十億、十億で約三十億と言われている。そういうことからいいますと、八十億としても百十億前後ですから、前回の村上副社長答弁の大枠には入るという感じもするわけですが、しかしこれだけ明確になっているわけですし、そこに一つ疑問があるわけですから、おおよその大台としてそれこそ通信機器分は八十億円前後ということぐらいは答弁するのは当然じゃないですか。どうですか。
  92. 村上治

    ○村上参考人 大変申しわけございませんけれども先ほど申しましたようなことで、個々の契約といいますか、価格については御容赦を願いたいと思います。ただ、新聞等で今先生指摘のようなことが報道されておるということは私も承知しておりますが、私の口からこうだと言うことは何とぞ御勘弁をいただきたい、このように思います。
  93. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 事実上は大台として認められたということだろうと思います。  資料配付、もうしていただきましたね。――お願いをいたします。  それで、私が通信機器の購入価格を質問しておりますのは、この価格自体に非常に疑問があるからなんです。MODEMはアメリカのレイカル・ミルゴ社、TDMというのはエイディーン社からそれぞれ輸入されたわけですが、私、訪米調査に参りました。その調査あるいはその後いろいろ国内での調査の結果から、両社の輸出価格は合わせても二十五億円からせいぜい三十億円にしかならないんです。そうしますと、八十億円との差が五十億円も出てくるという問題があります。一体その差はどういうことなのか、どこへ行ったのか、ここに私は重大な疑問を持っておるわけであります。  資料1を見ていただきたいと思います。これはMODEMのメーカーのレイカル・ミルゴ社が、NTTとの受注が成立した段階で発表したプレス用の文書です。同じく三枚目にありますのがエイディーン社のプレス用の発表文書であります。レイカル・ミルゴ社の文書によりますと、一九八六年一月ですが、NTTはレイカル・ミルゴに対して千三百万ドルを超える発注を決定したということで大きなニュースになっています。当時フロリダで大変話題になりまして、州知事が特別の談話を発表したというようなこともありました。私もこのレイカル・ミルゴ社の本社に参りまして、マシュー・ケニー社長その他二人の副社長などと会って詳しく経過を聞いてきたわけでありますが、同社幹部が言われるのは、話が始まったのは八五一年の秋だ、リクルートに転売されることも最初から承知をしておった、そして受注契約はMODEM七千台、CMS、CMSというのはネットワークの監視装置ですが、二台一括契約で価格もそういうことで決めた、それが千三百万ドルなわけです。もう一方のTDMのエイディーン社は、ここにもありますように、TDMは百台ですが三百三十万ドルということであります。そうしますと、合わせて千六百三十万ドルが米の二企業からの日本への輸出価格になるわけであります。この契約はドル建てで行われております。契約当時の円レートは一ドル百八十円なんですね、それで計算しますと約二十九億円です。しかし、何しろ膨大な量でありますから、納入に、八六年の三月から約二年間にわたって物品は納入されてきているわけです。ちょうどそれが急激な円高の時期です。最後の納入が行われたときには、レートは一ドル百二十円台にまでなっておるわけです。そういうことから、平均で大体百五十円として換算いたしますと、総額で二十五億円ぐらいにしかならないということになるわけです。NTTはこういう事実については御存じでしょうか。
  94. 村上治

    ○村上参考人 今この資料を、実物は初めて見させていただきました。TBSの報道等でこの一部が出たことは承知しておりますが、私どもMODEM、TDM等、今先生指摘のように六十一年の二月ないし三月であったかと思いますが、六十三年の十月まで約二年半にわたりましてリクルート社の回線リセールの営業区域拡大、そういったことに合わせまして、私どもが調達あるいは設置工事あるいはその後の保守等について契約を結びましてやっておるわけですが、先生から今いただきましたこの資料によりますと、千六百三十万ドルでしょうか、というようなことになるわけでございますが、この場合には、時期がそれぞれ六十一年の一月とかあるいは三月でございますので、私どもが購入し始めた時期でございまして、総量については今先生、アメリカで聞かれたのでは七千台というような総量のお話もございましたけれども、一遍に買ったわけではございませんで、二年半にわたって必要な都度逐次購入をしていったということでございますので、私どもの買いました総量とそれぞれのニュースにございます金額が一致するのかどうか私も不明でございますので、これが私どもの買った総量に対する購入金額といいますか、販売金額とはちょっと思えない、そういうふうに考えておる次第でございます。
  95. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 MODEMが約七千台という点はお認めになりますね、答弁もしておられます。
  96. 村上治

    ○村上参考人 二年半にわたりまして買いました総量は、昨年十二月に参議院でお答えいたしたとおりでございまして、TDM百台、MODEM約七千台ということでございます。
  97. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私は、NTTは通信機器の輸入でもプロだと思うのですよ、長年にわたっていろいろなものを購入しておられるわけだから。こういうものの取引では、数量が大きくなれば大幅な値引きが行われるというのは常識なんですね。私が訪ねました、ミルゴ社でも幹部が、通例として百万ドルのオーダーがあれば三七%値引きするということを明言しておるわけです。今回のNTT対象の取引は金額的にはその十倍以上になる、その場合はどうだというふうに詰めましたところ、あえて言えば値引きは三七%以上だというように言っておるわけです。  ところで、この八十億円という数字ですが、イレックス社がNTTに販売した価格ですね。これは、いろいろ検討してみますと、どうやらMODEM TDMのいわゆる単体価格の積算になっておるのですね。積算とほぼ等しいものになっておる。  ちょっと専門的になりますが、当時のリクルートの主力はOMNIMODE96というモデムなんです。いわゆるこのOMNIMODE96の単体値段、国内定価と言われておりますが、それはその時期一台百万円前後なんですね。これに七千台掛けますと七十億になるんですね。大体そういう価格になっておるんですね。千三百万ドルについて確認できないということをおっしゃったけれども、それは私自身は確認をしてきております。  今申し上げているのは、台数と単価から言っても非常に矛盾があるということなんです。こういういわゆる一台の価格というのは、どんな遠隔地から要望があっても、例えば北海道から要望があっても、一台だけの注文であっても持っていって設置をして保守もやるという値段なんです。それが、何百台、何千台というオーダーになりますと全く別の価格決定をするんですね。パッケージプライスと言いまして、丸ごとでどれぐらい引けるかという交渉になるわけです。三割、五割、五割以上の値引きもやられておる。これは日本の国内での実例でもたくさんあります。こういう通信機器の取引に当たっての大幅値引き、これは業界の常識なんですが、そのこと自体はNTTは当然御存じだと思いますが、どうですか。
  98. 村上治

    ○村上参考人 お答え申し上げます。  この購入価格の決定につきましては、当然でございますけれども、類似製品の実勢価格であるとかあるいは技術的な実現性の難易というようなことを総合的に勘案して相手方と交渉するものと考えております。そういったことをやってきておりまして、そういった大量購入の際の割引というようなことも当然に購入調達担当者は十分勘案の上で決定しているものと考えております。
  99. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私が申し上げているのは、しかし事実は全く割引が行われないような、あり得ない数字での取引になっているという点なんです。ですから問題は、業界の常識、大幅値引きの慣例、そういうものから言っても、せいぜい二十五億円から三十億円どまりだというこの通信機器MODEM、TDM、CMS、ひっくるめて八十億円という高い値段でNTTが買っている、異常に高い買い物をしている。一体それはどういうわけかということなのです。郵政省はこういう問題があること自体を知っておりますか。
  100. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 私ども承っているところによりますと、NTTは従来からお客さんの要望に応じまして、そのお客さんがどういうシステムを導入したいかというそのシステムに必要な機器の調達、設置工事を行っているということでございまして、本件につきましても、リクルート社からの注文によりまして、回線リセール事業のTDMあるいはMODEM等設置工事それから保守を受託しており、その一環として購入したものという報告をNTTから受けているところでございます。
  101. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私が申し上げているのは、本来大幅な割引が行われるのが常識なのにそうではない、不当に高い価格で購入をしているという問題点について知っていますかということなんです。
  102. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 お尋ねの点についてでございますが、私どもやはりNTTから報告を受けているところによりますと、MODEMあるいはTDMにつきましては遠隔監視機能を備えていることなどがリクルート社からの要望にあったようでございまして、そういった要望等を勘案して、さらにNTT内で技術的な検討を加えて機種を決定した。そして調達に当たっては、NTTの資材調達手続に従って適正な価格で購入した。適正な価格ということについて今、村上副社長からも話がありましたように、類似製品の実勢価格ですとか技術的実現の難易度を勘案してということだろうと思いますけれども、そういうことで適正な価格で購入したという報告を受けているところでございます。
  103. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 適正が問題なんです。適正ではないと思うのです。  類似のものも調べられたというお話がありましたので、では国内の例、これは幾つもあるのです。全日空の例とかトヨタ自動車の例とか、同じようにレイカル・ミルゴのMODEMを使ったCMS、今言われた監視装置も含めたシステムの納入が近年行われておるわけです。全日空の場合の例を挙げますと、MODEMは六百台、CMSが一台、それをひっくるめての購入価格でありますが、これは日経産業新聞の昨年の一月十四日付で報道されております。「「通信網集中管理」四億円 理経、全日空から受注」、理経というのは同じ代理店のもう一つ別の代理店ですが、こういう報道があるのです。新聞報道では四億円。私たちがさらに調べましたところが、実際はこの報道とは違って三億円強という証言を得ております。そうしますと、MODEM六百台で三億円。単純にいって一台五十万円ですね。しかもこの全日空へ入れました機種はOMNIMODE十四・四というものでありまして、リクルートの機種よりも五割方性能が高い。リクルートのは三割方価格が低いものなのですね。六百台で三億円強、この値引き率のままで七千台にしましてもせいぜい三十数億にしかならぬということですね。しかも、実際には十一倍もの大量の契約でありますから値引き率はもっと大きくなる。しかも、部品の性能としては96というのは全日空のよりも低いものだ。ですから、こういうことからいっても大幅な値引きが行われるのは常識なのですね。こういうこともNTTは知らなかったということですか。類似のものを調べたとおっしゃる、類似のものはここに歴然としてあるのですよ。村上副社長、どうですか。
  104. 村上治

    ○村上参考人 ただいま先生指摘のようにモデムもいろいろな種類のものがございますので、そういった単に台数その他だけで比較できるものではないと考えておりますので、私どもの調達担当者は適正な価格を設定したというふうに考えております。
  105. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 適正だ適正だと言葉だけで言うなら資料を出しなさいよ。理由にならない、そんなのじゃ。我々はリクルートに入ったMODEMの機種、何年製のものかということも調べて、その単価は幾らかということも調べて問題を提起しているのです。八六年七月の時点でリクルートに入ったMODEMは大半が一台百四万円ですよ。いわゆる国内定価ですよ。一台北海道で注文があって持っていってつけて百四万円。それは大量の受注の場合には根拠にならないと言っているのですよ。何百台、何千台という場合には三割、四割、五割値引きが通例になっている。事実、今申し上げました全日空の例では非常に大幅な値引きがやられているわけですね。同じメーカーのものですよ。数ははるかに少ないのです。十一分の一です。だから、適正だと言われるところに問題があるのです。  改めてお聞きしますが、こういう一連の通信機器購入の場合に、さきに郵政省の答弁がありましたが、機種とか代理店、これを選定したのはリクルートですか、NTTですか。
  106. 村上治

    ○村上参考人 お答え申し上げます。  機種等につきましてはリクルート社と、どういうお客様が使用するかというようなことで決めると思いますし、それから代理店に関しましてはNTTが決めたと思っております。
  107. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 代理店はNTTが決めたというのは間違いないのですか。
  108. 村上治

    ○村上参考人 日本ダイレックス社は米国のエイディーン社製のTDM、これの日本国内におきます独占販売権を持っております。したがいまして、この日本ダイレックス社と交渉するということになろうかと思いますし、またMODEMにつきましても、これはレイカル・ミルゴ社の一代理店でありますが、TDMあるいはMODEMというようなことであわせて購入いたしますので、日本ダイレックス社を通じて一括購入したということだと考えております。
  109. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 よくわかっておられないのか、違うことを言っておられるのかでありますが、私の方から申し上げますと、日本ダイレックスはかねがねリクルートと取引があるわけです。日本ダイレックスの社長と江副は大変懇意であるということです。リクルート側が要望したCMSつきのMODEMというのはレイカル・ミルゴしかやっていないという当時の状況があって、事実上、日本ダイレックスにするということはリクルートの意思だったのじゃないですか、そこしかないわけだから。そこのところがどうも余りよく知っておられないような感じもいたします。  しかし、実態はそういう問題なのです。つまり、価格に非常に疑問点があるにもかかわらずこういう取引がスムーズに行われたのは、江副前会長と大変懇意な人物が経営しているダイレックスとの間で話がついておって、さらにその年、八五年の一月でありますが、いわゆる中曽根・レーガン会談が行われて、エレクトロニクス、通信機器、木材など四分野の市場開放要求があった。中曽根首相が、私自身が通信機器などについてはチェックすると言ったということはもはや有名であります。昨年の私の質問に対して塩谷局長が、そういう中曽根総理の要望を受けて当時の左藤郵政大臣がNTTの真藤社長に対米調達を拡大するようにということを伝えたということもはっきり答弁でありました。そういう流れの中で、この八五年の後半から始まった通信機器の購入話というのは進んでいったわけですね。実際の価格は二十五億か三十億であるにもかかわらず、八十億という法外に高い取引として進められた。あるいはNTTとしては、価格が高ければ調達額がふえるから結構だということだったかもしれません。本当の需要者はリクルートでありますから、価格についてもリクルートがうんと言えばそれでいいわけですね。NTTとしては別にどの価格に決まろうとも、損するわけでも得するわけでもないという状況なんです。そういう中でこういう異常な取引が行われたのではないかという疑問であります。  そこで、郵政省にお願いをしたい。NTTは答弁を鮮明にされておられない。いろいろな問題があります。しかし大体、これまでの国会答弁に照らしましても、通信機器の購入価格は八十億前後ということはもはや明らかだろうと思うのです。他方、私が具体的な資料、この当該の会社の発表文書でありますとか日本国内の実例とかということから申し上げましたように、せいぜい二十五億から三十億でしかないというふうに思われるわけですね。これは余りにも開きが大きい。この点について調査をしてもらいたい。大臣も先ほどもおっしゃった。綱紀粛正と適切な業務執行体制の確立に努める、こう言っておられるわけですから、その意味からも、疑惑があればぜひ調査をされるのがしかるべきだというふうに思うのですが、いかがですか。調査を要求します。
  110. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 お求めの件でございますけれども先生がいろいろデータをもとに御主張されている点は承っておりますが、それに対してNTT側もいろいろお答えされておられる状況でございますので、ここで私ども先生のあれにこたえて一概に調査しますと受け合うわけにはまいりませんので、残念ながらその点についてはお答えを留保させていただきます。
  111. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 それはおかしいんじゃないですか。ここで軍配をどちらかに上げろと言っているのではないのですよ。NTTの答弁にも不鮮明な部分はあるでしょう。私の方は具体的な材料で提起をしている。調査するというのは当然じゃないですか。この場で軍配を上げろと言っているのではないのですよ、塩谷局長。そういう問題提起に対しても郵政省は一切耳をふさぐというのですか。
  112. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 この種の問題、NTTの資材調達ということは、昭和五十五年からですか、国際取り決め、行政取り決めによりまして当時は政府調達の一環として始めたわけでございまして、それに基づいて年々NTTが外国、なかんずくアメリカからいろいろ資材を調達している。これは、いわゆる行政取り決めとしては、郵政省がMOSSを含めて貿易摩擦解消ということでいろいろ輸入促進をするということはやっていくわけでございますけれども、現実に物を買うバーゲンになりますと、これは調達元でございますNTTと対応する向こうの企業ということになっておりまして、そういう意味で、その調達したことの後の報告は私ども受けているわけでございますけれども、そういった調達の実態、それはあくまで調達主体のNTTの問題でございますので、これについての意向並びにその過去のデータについての実績について申し上げる立場というのはNTT側にあろう思いますので、私どもの方としては先ほどお答え申し上げたとおりの答弁で臨みたいと思っております。
  113. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そういうことでは納得はできません。その適正かどうかというのも丸のみにしているという状況だから、いろいろな問題が起きたんじゃないですか。そこを正していこうというのでしょう、大臣の言っているのは。だから、問題提起をしているのだから、調査するぐらいのことは当然じゃないですか。  質問時間が終わりというのが来ましたが、お配りした資料で一つ説明をしておかなきゃならぬ問題がありますので……。  資料2というのがあります。ちょっと見てください。これは、ここに書いてありますように、アメリカの商務省が下院のエネルギー・商業委員会提出した資料なんです。私は、これはやはり訪米で入手をしたわけですが、非常に奇妙な資料だというふうに思っているのです。  そこで、これは郵政省にお尋ねをしたいのですが、ちょっと字が小さくて読みにくいかもわかりませんが、この左の欄に、企業名ごとにMOSS協議以降の日本の注文の実績、これは、MOSS協議以降どんなに対日輸出が進んだかということの報告書なんですね。  一番下がエイディーンです。これは三・三ミリオンドルで矛盾はありません。その二つ上にレイカル・ミルゴというのがあります。相手はNTT。六ビリオン円と、六十億円という日本円の表記になっているのですね。これは米側の資料としては極めて異例な、通常ないことなんです。米企業が殊さら億円で、日本円で報告しているということもないのですね。この六ビリオン円、パーレンで三千万ドルとなっておりますが、これは、そういういろいろなことから調査をしまして、この数字は日本から出たものじゃないかというふうに思われるのです。  郵政省は当然、NTT調達については毎年米政府にも情報提供するということになっていると思うのですが、どういうふうにやっておられるのか、この今回の件についてはどういう情報提供をされたのかを答ていただきたい。
  114. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 お尋ねの最後に今回の件についてというあれがありましたので、それは抜きにしまして、私ども、この点についてのこれまでのやり方ということを一般的な形でお答え申し上げますと、NTTの調達につきましては、先ほど申し上げましたように、調達手続にのっとっているわけでございますけれども、毎年の日米間の定期会合におきまして、当該取り決めの実施状況をレビューするということになっております。この年次レビューにおきまして、毎年度のNTTの外国からの調達実績、調達促進施策、それから過去の公告、公告というのは、こういうものはあれにしますという公告状況などについて紹介しているというふうに承っているところでございます。
  115. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 これで終わりますけれども、三番目のもう一枚の最後の資料が全体を図解したものです。結局、非常に疑惑が持たれていますのは、実際の日本への価格はせいぜい三十億円、ところがNTTの購入価格は八十億円、そういう高い買い物、一体なぜそういうことが行われたのかという疑惑なんです。この価格については、我々の調査の結果で申し上げているものです。それが一体どうして起きて、どういうところへ流れていっているのかというのが大変大問題だというふうに思うのです。  今の米商務省の資料というのは、日本側からの報告に基づいてつくられたものです。ですから、日米調達関係の額としてはつじつまが合う仕掛けに一応なっているようなんですね、片や日本で八十億、向こうで六十六億というようなことで。しかし、実際の取引はそうではないという、これは大きな国際問題を含む要素もあるのです。そういう問題なんです。そういう点で、我々はこの問題は引き続き解明が必要だというふうに考えております。  もう時間が参りましたのでこれで終わりますが、NTTも、適正だ、適正だと言葉で言っているだけでは国民は信用しませんよ。単体の価格の積算のような数字で取引をしておって、それで公正だなんということはとても言えないのだということを重ねて申し上げて、質問を終わります。
  116. 畑英次郎

    ○畑委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時八分開議
  117. 畑英次郎

    ○畑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  金融自由化対策資金運用及び簡易保険郵便年金福祉事業団業務特例等に関する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  まず、政府より順次趣旨の説明を聴取いたします。片岡郵政大臣。     ―――――――――――――  金融自由化対策資金運用及び簡易保険郵便年   金福祉事業団業務特例等に関する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法   律案     〔本号末尾に掲載〕
  118. 片岡清一

    片岡国務大臣 最初に、金融自由化対策資金運用及び簡易保険郵便年金福祉事業団業務特例等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  我が国におきます金融自由化は急速に進展しておりまして、郵便貯金事業におきましても、金融自由化に適切に対応し、健全な経営を確保する必要があります。  郵便貯金の自主運用資金である金融自由化対策資金は、このような必要性により設置されたものでありますので、資金の一層の有利運用を図り、金融経済情勢の変化に機動的かつ的確に対応し得るよう、運用対象を多様化しなければなりません。  この法律案は、こうした要請にかんがみ、金融自由化に適切に対応した郵便貯金事業の健全な経営の確保に資するため、金融自由化対策資金から簡易保険郵便年金福祉事業団に資金を寄託するとともに、同事業団にこの資金を国債等の有価証券の取得、預貯金または金銭信託の方法により運用させ、これにより生じた利益を郵便貯金特別会計に納付させることとするものであります。  なお、この法律案の施行期日は、公布の日としております。  以上が、この法律案提出いたしました理由及びその内容の概要であります。  次に、郵便貯金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、郵便貯金の預金者の利益の増進等のため、貯金総額の制限額の引き上げ等を行うとともに、金融自由化に的確に対応するため、一部の郵便貯金の利率は、市場金利を勘案して郵政大臣が定めることができるようにすること等を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  第一に、郵便貯金の一の預金者の貯金総額の制限額を五百万円から七百万円に引き上げることとしております。  第二に、政令で定める定期郵便貯金については、政令で定めるところにより市場金利を勘案し郵政大臣が定める利率によって、利子をつけることができることとしております。  第三に、政令で定める定期郵便貯金を担保とする貸付金の利率については、政令で定めるところにより、郵政大臣が定めることとしております。  第四に、郵便貯金を担保とする貸付金及びその利子の弁済について、現金だけでなく一定の証券等によっても弁済ができることとしております。  なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日からといたしておりますが、貯金総額の制限額の引き上げに関する規定については、平成二年一月一日からといたしております。  以上が、この法律案提出いたしました理由及びその内容の概要であります。  次に、郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  この法律案は、金融自由化その他の社会経済環境の変化に対応して郵便為替及び郵便振替の利用者に対するサービスの向上等を図るため、郵便為替法及び郵便振替法について所要の改正を行おうとするものであります。  まず、郵便為替法の一部改正の主な内容について申し上げます。  第一は、現在、送金金額に応じて六段階に分けて法律に個々に金額が定められております郵便為替の料金体系を三段階に簡素化し、利用者にとってわかりやすいものとするとともに、料金の法定制を緩和し、具体的料金は、法律に定める金額を超えない範囲内で、郵政大臣が政令で定める審議会に諮問した上、省令で定めることができることとしております。  第二は、為替金に関する受取人の権利について、利用者の利便を図るため、現在の銀行に加えて他の金融機関についても譲渡ができることといたしております。  次に、郵便振替法の一部改正について申し上げます。  第一は、現在、送金金額に応じて七または八段階に分けて法律に個々に金額が定められております郵便振替の料金体系を三段階に簡素化し、利用者にとってわかりやすいものとするとともに、料金の法定制を緩和し、具体的料金は、法律に定める金額を超えない範囲内で、郵政大臣が政令で定める審議会に諮問した上、省令で定めることができることとしております。  第二は、郵便振替の取り扱いに関する郵政省の機関相互間の通知方法を定めた規定について、所要の整備を行うこととしております。  第三は、払出金に関する受取人の権利について、利用者の利便を図るため、現在の銀行に加えて他の金融機関についても譲渡ができることとしております。  なお、この法律の施行期日は、この法律の公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日からとしております。  以上が、この法律案提出いたしました理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  119. 畑英次郎

    ○畑委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
  120. 畑英次郎

    ○畑委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  121. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ただいま大臣から、三つ法律について一括提案、趣旨の御説明をいただきました。本来一つずつ審議すべきものではないかと思いますけれども理事会の方でもそう決まったようでございますから、私も一括質問をさせてもらいます。  まず、午前中大臣所信表明に対する質問の際にも若干触れておきましたが、昭和六十三年度及び本年度の当初における郵便貯金経営状況がどうなっておるか、そこから承りたいと思います。
  122. 森本哲夫

    森本政府委員 午前中、郵便貯金経営状況について阿部先生からおしかりをいただいたところでございますが、まず六十三年度は、全体として見ますれば幸いにしてほぼ順調な形にはまいっておる、しかしこれからの状況を考えると大変厳しい状況にある、こういうこととして一口でまとめて言えるかと思うのであります。  具体的には、昭和六十二年度末、つまり六十三年度が始まるスタート時点では、当時の郵便貯金の現在高が約百十七兆余ございました。この間に郵便貯金は一年間で年度末になりまして百二十六兆円ばかりに相なりました。この間、全体として約八兆五千億ばかり残高がふえたということに相なるわけでありますが、このうち、その当該年度、六十三年度の預入から支払いを除いた部分、純粋に増加になった額は約一兆五千億でございました。その残りの七兆円ばかりは、これまでの残高のいわば振りかえ増と言っておりますが、元加利子でございます。したがいまして、ずうたいは大変大きなものではございますけれども、新規の伸びは全体から見れば非常に小さいものかな、しかし、これも六十二年度は新規の増加が約五千億ばかりでございましたので、それに比べれば三倍伸びておるということで、決して悪い兆候ではございませんけれども、過去数年さきには年間の増加額は二兆円あるいは三兆円という状況に比べますと、まだまだこれから頑張らなければならない、こういう状態に相なっておるわけでございます。  第二点目の新年度はどうかということでございますが、この四月以降、これもほぼ順調な滑り出しということが言えようかと思います。四月期だけで増加額は二千百三十一億円と相なっておりまして、前年に比べますとざっと二・九倍ということでございます。しかし本年度は、御案内のとおり自由化を迎えて金融機関の競争が非常に激しい状態になっておりますが、先ほどの基本的な情勢の中で、これからますます頑張って郵便貯金国民の信頼を得るように努めてまいらなければならない厳しい情勢だと理解をいたしておるところでございます。
  123. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 数字を承って、今年の当初の状況も大体いいようですが、昭和五十五年当時の年間純増六兆円というのを思い起こしますと、まるで夢のような気がいたします。非常に少なくなっておるから、それだけに経営もかなり厳しいものがあるだろうと思うのでございますが、お話がありましたように、金融自由化が進む中で、今後郵便貯金の健全な経営というものに対してどういう見通しを持っておられるか、承りたいと思います。
  124. 森本哲夫

    森本政府委員 さしあたり今後の経営に一番大きな影響をもたらす問題は、きょうも法案のお願いをいたしております市場金利連動型の預貯金を小口預金者に及ぼすということでございます。これは、小口預貯金者の社会的不公正を是正するという意味でも大変重要なことでございます。しかし、このことは金融機関の経営側にとっては、これから経営を進める上ではコスト増という問題にどう対処していくかという大変厳しい問題になるわけであります。  私ども郵便貯金事業といたしましては、先生つとに御案内のとおり、主として大蔵省の資金運用部に預けます預託金の利子収入、これが収入でございます。その収入からお客様に支払う支払い利子、それと職員、局舎等を維持する経費、この二つの必要経費を支弁しなきゃならない、こういう次第であります。したがって、大蔵省から得る預託利率が、ただいま申しました、お客様に支払う貯金利率と経費の利率とを上回っておりますれば、経営としては一応黒字基調になる、安泰になるということでございます。  今回こうしたMMC、市場金利連動型を導入いたしますと、当然のことながら従前に比べて大変コストアップしてまいる次第であります。どの程度かというのは、御案内のとおり、どの程度小口MMCにお客様の御利用があるかということにかかわってくるわけで、試算は非常に難しゅうございます。ただ、概観的に申して、この小口MMCは各種いろいろな種類がございますが、一番高い金利、三年物ということでございますが、現在のところ、預託利率と小口MMCの三年物との差は大体〇・七%ぐらい開くであろうという見通しになっております。そして現在の経費率というのが、これは年度によって多少いたしますが、六十二年度決算でいたしますと〇・五四%だということでありますので、その利差の分と経費率との間にはただいま申しましたような乖離、格差がございますので、これが維持できる限りは黒字的な基調を今後も維持できるのかなと考えております。  ただ、この経費率というのは何で換算するかと申しますと、先ほども午前中に御審議いただきましたように、年間約五千数百億の経費がかかりますが、この経費をその当時の残高で除したものが経費率でございます。これは〇・五四%となっておりますが、もし経費がふえますと当然のことながら分母が一定でも経費率が上がる、あるいは残高が減少すればこれまた経費率が上がる、こういう仕組みになりますので、この経費率をどう維持できるかというのが大変重要な課題になってくる。そのためには各種のさまざまな経営努力を進めてまいらなければならない、そういう現段階の状況にあるということを御説明させていただきます。
  125. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 今の小口MMCと大蔵省の資金運用部の預託金利についてはちょっと承ったのですが、現行の資金運用部の預託金利とそれから定額貯金の金利と、いわゆる経営費をのけて利率の差は幾らになっているんですか、預託利率の問題は。
  126. 森本哲夫

    森本政府委員 現在、資金運用部に預託いたしております金利はごく最近の金利、これは御案内のとおり、かつては非常に長い間固定いたしておりますが、これも市場金利になるたけ連動しようという発想で、現在国債の発行時期を基準として移動いたすわけでありますが、これが今四・八五ということになっております。それで、お客様に支払いする預金の金利の最高が三・六四%でございますので、この間は一応一・一二%の利差があるということになるわけでございますが、先ほど申したような状況では、大変厳しくなるという事態に相なると思っております。
  127. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 常識的に従来のあれから見ると、一%以上の差があれば大体やれるのじゃないですかという気がしますが、それはいずれ大蔵省との間のお話し合いでございましょうから、次に進ませてもらいます。  さっき大臣の提案理由の説明にもありましたが、今回郵便貯金の限度額を七百万円に引き上げる、こういうふうに法律では提案をされておりますが、まず現在の金融情勢あるいは利用者のニーズ等から勘案して、この七百万というものの根拠といいましょうか、あるいはこれが適切であるかどうか、そういう点についてまず郵政省の方のお考えを承りたいと思います。
  128. 森本哲夫

    森本政府委員 私どもの預入限度額は、昨年四月に三百万から五百万にこの国会で改定を御審議願って改定された次第でございますが、当面私どもにとっては来年四月から、昭和五十五年当時に、先ほど先生がお示しの大量に預入された部分がちょうど満期になるわけでございます。これが平成二年から続々と満期が参る。五十五年当時の限度額は三百万でございましたが、金利は八%というかつてない高金利でございますから、お客様も当然それは温存されてきて、これが満期を迎える、こういう構図になるわけでございます。その三百万を八%の半年複利で計算いたしますと、満期十年目には約六百六十万近くになる。したがいまして、現行の五百万の枠ではこれを吸収し切れないという問題がございますので、少なくともこれを再預入して再び郵便貯金を御利用願うというためには、当面必要な額とて、何としてでもこれを吸収できる可能な金額として七百万円は最低限必要だということで、今回の法律でお願いをしておるところでございます。    〔委員長退席、島村委員長代理着席〕  しかし、これも先生よくよく御案内のとおりでございますが、最近の国民金融資産の増加傾向は大変著しいものがございまして、最近の日銀の調査、貯蓄に関する世論調査というのがございますが、これで、一世帯当たりの貯蓄の目標額はどのくらいに設定しておるのかという調査のアンケートに対しまして、平均二千四百万円になっておる。それから、実質的な現在の貯蓄の保有額はどうかというと、この同じ調査でも九百十万円とこうなっておるわけでございます。ここ一、二年の現実の貯蓄保有額の伸びは毎年一二%ずつ伸びてまいっておりまして、数年前は六%ぐらいだという時代に比べますと、倍近い伸びでここ最近伸びておるという状況でございますので、今回こういう改正で七戸万のお願いはいたしておりますものの、こういう状況にかんがみますれば、これで十分余り返っているという状態にはないものと私ども思っております。  今後、金融情勢あるいはいろいろな日本の経済全体の動き、家計、貯蓄の動き等を見ながら、適時適切にこの限度額の改定をお願いをしていかなければならないなと考えておるところでございます。
  129. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 同じ質問に大蔵省の方から御答弁をお願いします。
  130. 太田誠一

    ○太田政府委員 郵便貯金制度の根幹は、少額貯蓄手段を公平に利用させるということが基本になっておりますので限度額を設けることはやむを得ないと思っておりますし、また、つい昨年三百万を五百万にしたところでございますので、今度五百万を七百万にしたということで努力をいたしまして、今あのような金融情勢、経済情勢に対応しているというところでございます。
  131. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 政務次官、さっきちょっと出ましたけれども、従来日本の貯蓄制度の中では小額貯蓄にたいする保護の政策がとられて、特に郵便貯金は小額であるがゆえに非課税、非課税であるがゆえに限度額を設ける、そういう発想がずっとあつたわけですね。その後民間の金融機関も少額貯蓄非課税制度というものが導入されて、郵便貯金の場合は非課税、片方はマル優という取り扱いをする。そういう経過があったから総額制限というものが設けられた。これは大きい一つの柱であったはずです。しかし、一昨年の改正によって少額貯蓄非課税制度は原則廃止になった。そうすれば、郵便貯金の総額を制限しなければならない理由というものは非常に薄れてきておると私は思うのです。では、今何を基準にして決めるべきかというならば、国民のニーが一体どこにあるのか、今日の経済情勢の中で貯蓄というものをどの程度までは見られるのか。そうなれば、結局それぞれの国民が広い選択肢の中で郵便貯金を選ぼうと銀行の貯金を選ぼうと、国民のニーズによってたくさんの選択肢があることが望ましいのであって、もうこの時点で郵便貯金の限度額を殊さらに維持しなければならない理由は非常に薄いのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
  132. 太田誠一

    ○太田政府委員 確かにおっしゃるとおりでございまして、マル優制度の廃止に伴いましてその意義は若干は減少したと言えるかもしれませんが、ただ、いわゆる民間金融機関との競争条件という問題がございまして、自由競争というのは、ある意味ではスタートラインが同じであくまでもイコールフッティングのもとでの自由競争ということでございますので、今郵便貯金に関しては、通常の金融機関で言います準備率の規制でありますとか法人税など税制の問題あるいは産業を兼営しておるということなど民間とは違った条件を持っておりますので、まだこの限度額というのは意味を持っておるというふうに認識いたしております。
  133. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 イコールフッティングという立場に立てば、おっしゃるようにいろいろな問題はありましょう。しかし、逆に郵便貯金は自由に運用ができないのです。そのほとんどは国の資金運用部に入って財政投融資等の国民生活に大きく寄与してきておるし、今日まで日本経済の復興をもたらした大きな原因にもなっておる。そう考えますと、イコールフッティングと言う場合に、郵便貯金が有利である分野だけを取り上げてイコールフッティングではないと言うのではなくて、逆に郵便貯金運用等に関しては非常にこれはまた制限がある、それをあわせて考えてイコールフッティングであるかどうかという結論を出さなければならぬ、これは私は原則だと思うのです。では一切無制限でいいかというならば、これは私は必ずしも無制限でいいとは申しません。ならば何を基準にすべきかというならば、今日の経済情勢と国民のニーズというものを勘案して限度額は設けられるべき性質のものである、こう思うのですが、どうですか。
  134. 中井省

    ○中井説明員 御指摘のとおり、官営金融機関と民間の金融機関といろいろな面で相違面がございます。そういうところがございますので、トータルバランスというものを常に図っていかなければならぬということを我々常々申し上げているわけでございます。そういうようなことをも勘案しつつ、とにもかくにも従前では考えられませんでしたような事態でございますが、先生御案内のとおり三百万円の時代が非常に長期間続きまして、それから御指摘ございましたマル優の廃止によりまして、六十三年の春から五百万になった。従前でございますれば、恐らく民間の金融機関の相当な反対でこの五百万を動かすことは非常に難しかったということであろうかと思いますが、そういうトータルバランスも勘案しながら、また来年の春に集中満期が来るという郵便貯金側の事情も勘案いたしまして七百万円にさせていただいたわけでございます。  将来どうするかという点でございますが、とりあえずは来年の一月から七百万円ということにさせていただいて、その後のところにつきましては、今後の金利自由化の進展状況、それから先ほど申し上げました官と民とのトータルバランス、この辺を推しはかりながら郵政省とも御相談しつつ長期的な観点から検討してまいりたいと考えております。
  135. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵省もそういうお考えなら強いて申しませんが、大蔵省の金融政策の中でこの預貯金の問題に関しては、かねて護送船団方式と言われる方式をとって金利を決めてきた、そういういきさつもありましたね。ですから、それが必ずしもいいかどうか。したがって、その中で三百万であったことが妥当かどうか、それを基準に置いた議論になっておるのですけれども総額制限を七百万にした理由が僕は納得できないのです。というのは、平成二年か三年にいわゆる集中満期が来る、この貯金を吸収するために七百万が必要なのだ、こう御説明になられました。それでは間違っていないのか、国民のニーズがどこにあるのか、今日の経済情勢の中で何が正しいのか、それを基点にしてお話し合いをしていただかないと、とりあえずはこの前預かったお金が満期になるから、それが吸収できる範囲でなどというのはまことに根拠の薄いものであると言わなければなりませんが、その辺貯金局長はどう考えておりますか。
  136. 森本哲夫

    森本政府委員 いろいろ先生から御指摘ございますとおり、この限度額の問題については、常に私ども郵政省と大蔵省とが見解がまるっきり一致するということにはならない問題の一つでございます。したがって、限度額の問題については、我我としても要求時点では一千万円ということでお願いをしておることも先生理解をいただいておるところだと思うのでありますが、しかし、こうした物事をある時期にある決断をして前へ進めないと、いろいろな情勢で困ってしまうという事態が当面控えておりますだけに、ここのところは当面、議論はあるにしても、さしあたり必要なものだけは最小限やって次へ進もう、今後の情勢判断についてはまた熱心に議論を交わしながら国民のニーズに最適なところへ持っていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  137. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ここで郵政、大蔵両省にお願いしておくのですが、今来年の一月から実施されようとしておる限度額七百万というものは必ずしも根拠のあるものではない、したがって、その後の限度額については両省で十分話し合いをしながら進めていきたい、そう理解をしてよろしゅうございますか。
  138. 中井省

    ○中井説明員 国民一人一人に対する預貯金サービスというのは、郵便貯金だけが持っているわけでもございません。民間の金融機関と郵便貯金がどのように分け合って役割を分担していくかというポイントが非常に大切なことであろうかと思います。そういう点も踏まえまして、今後郵政省側と預入限度のあり方については鋭意検討してまいりたいと考えております。
  139. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 僕は先ほどそこまで言わなかったのですが、護送船団方式まで申し上げたのですが、しかし、大蔵省にしても金融政策の基本はやはり国民中心考えてもらいたい、国民のニーズ、経済の情勢、それが中心にならなければならないので、どう分け合っていくかというようなことはそれほど問題ではない、努力すればいいのです。それはそれぞれが努力すればいいのです。それぞれの金融機関が努力し合っていけば四民のニーズにこたえるものが出てくるはずなのですから、そこを基準にして考えてもらわないと、銀行の方に何ぼやろう、郵便局に何ぼやろう、農協に何ぼやろうなどという発想が私は護送船団方式だと言うんです。この点はそういうふうに理解していいですか。
  140. 中井省

    ○中井説明員 私の説明が舌足らずで申しわけございません。決してそういう意味ではございませんで、どんどん自由化を大蔵省、進めつつある、その中でおのずから分けられる部分もございますし、先ほど太田政務次官の方から御説明申し上げましたように、経営形態が違うというような面もございます。その辺のバランスも図りながら検討してまいりたいということでございます。
  141. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もっと議論してもいいんですけれども、時間がないからもう議論やめておきます。  では、その次に、今回の法改正でいわゆる金融自由化対策資金運用指定単を加えることになりました。これは非常に時宜を得たことで、郵便貯金をなさっている方々についても、これで幾らかでも、いささかでも金利がふえてくれば結構なことだと思いますが、特に私は、郵便貯金の資金の性格上、地方に還流をしてあげるということが大事ではないか。今の状況では地方債だけですね。これを地方機関に貸し付けをする、地方公共団体等に貸し付けをするとか、あるいは今度は第三セクター等に出資や融資を行うことによって郵便貯金資金の地方還流を図ることが大事ではないのかなというふうに思っておりますが、この点貯金局長、どうですか。
  142. 森本哲夫

    森本政府委員 仰せのとおり、郵便貯金というのは都会だけのものじゃなくて、全国津々浦々から集められた資金でございますので、そうした資金の性格にかんがみて、私どももこの資金を地方の振興、地方の活性化に生かす道をひとつぜひ考えたいということで、昨年夏の時点、つまり平成元年度の予算要求の時点で、新たに地方公共団体への貸し付けあるいは第三セクターへの出資あるいは融資に郵便貯金の資金を使えるようにという要求を出したところでございます。  しかしながら、最終的にはこれらの要求というものは、基本的には政策的な融資である、あるいは出資であるということである。私どもとしては、これは金融自由化対策資金運用として考え提出をしたわけでございますが、その点に関しては、金融“由化対策資金は本来有利運用というものをねらったのではないか、そういう意味では性格が違うのではなかろうか、こういう議論が出まして、政府部内での最終合意を得るに至らなかった、こういう経過がございます。  私ども考えました地方への活性化という点は、これはやはり資金の性格から見てぜひひとつ必要なことだと思うのでございます。ただ、有利運用の点から見て、先ほど申しましたように、郵貯事業も厳しい状況を抱えておりますので、できるだけ全体として有利な運用を図るということも大変大事なポイントであることは確かでございますので、なおこの点はさらにいろいろ検討をすべき点も残っているかと思いますが、ただ精神として、集まった資金が地方にできるだけ還流するお手伝いを私どももぜひさせていただくということで、これにふさわしい方途はないものか、また改めて考究をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  143. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは、太田政務次官や大蔵省には聞きませんが、私は、地方公共団体等に還流をせよというのは押しつけよという意味ではないのです。もし地方自治体なり地方公共団体等にそういう希望があるならば、そういう道を講じてやるべきではないのだろうか。これはいろいろ政策上の問題もあるようですから、郵政省との間でぜひ大蔵省、協議して、私の言いたい趣旨は、あくまでも地方還流の希望があるならばそれにこたえられるような方途を講じてやってもらいたい、こういう希望ですから。もうこれは答弁要りません。  次に参りたいと思いますが、今日高齢化社会が非常に進んで、先般の消費税も高齢化社会に対応するためとかいううたい文句があったようでございます。実際には一万円こっきりやって福祉手切れ金と呼ばれておりますけれども、それは別にして、高齢化社会への対応はやらなければならない重要な課題でございます。  そこで、まず郵政省にお伺いしたいのは、かつて高齢化社会に対応するためにいわゆる非課税貯蓄をシルバー貯金というので、お年寄りが退職金をもらって老後の生活設計を立てるに当たって、退職金の大体の額が非課税で貯蓄できるような制度としてシルバー貯金制度というものを歴代郵政大臣が高く掲げてこられたんです。これは大蔵省との関係はあると思いますけれども、今度は旗印もなくなったのですよ。これはもう要らないということですか、どういうことですか、このお考えは。
  144. 森本哲夫

    森本政府委員 先生指摘のとおり、かつてまだ非課税制度が残されておった時分に、退職金等をもらった方が老後に備えるというときにたちまち限度額をオーバーしてしまう、したがって、こういう人たちに非課税の道を特例をつくるべきじゃないかという発想で、過去にもいろいろプランを出しまして議論を重ねてきた経緯はございます。なかなか実現に至らないまま非課税の廃止という事態を迎えたのが昨年のことでございましたので、私ども、昨年夏、平成元年度の予算における制度の改善として新たに、発想は似たところはございますが、先生お話のように、今後の高齢化に備えるためにもつと幅広に貯蓄の優遇策というものを考えられないだろうかというのが、昨年要求いたしましたシルバープランでございます。  御案内のとおり、新しい税制のもとでは利子課税の関係では、弱者、お年寄り、こういう方は非課税が限度を設けてございます。それから勤労者には財形という制度でこれも全額非課税でございます。ところが、今高齢化社会に向けてなかなか公的年金だけでは不十分だといってせっせと貯蓄に励んでおられるわけですが、この人たちに対する恩典は今何ら政策的にはないんじゃなかろうか。そこで、先ほど申し上げました退職金に限定するのではなくて、もう少し、例えば四十歳あたりから、つまり老後を意識し出した時点から老後に備えて貯蓄される部分については一般貯金とは区分して、もちろんそれにはいろんな厳しい条件が要るかと思いますが、そうした条件をつけて、老後に払い出す際にはこの貯金についての利子課税を優遇税制のもとで自助努力をお手伝いできないかというのが、シルバープランということで昨年提案をした次第でございますけれども、残念ながらまだ実現を見るに至っていない。  御指摘のとおり、今後いろんな問題がございますので、私どもとしては、ぜひ政府としても高齢化対策、高齢者対策について長寿社会対策大綱なんというものも出ておりますので、こうした発想をよく踏まえながら昨年要求したこのプランを何とか実現にこぎつけたいものだと考えているところでございます。
  145. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵省の方も税制上のいろいろな見方、考え方はあろうと思うのですけれども政府全体の責任として高齢化社会に対応するために消費税というようなものさえつくったわけですから、そうであれば、お年寄りの皆さん生活設計の一助としてこういう問題について真剣に考えてもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
  146. 中井省

    ○中井説明員 これはどちらかといいますと私の担当外になろうかと思いますが、一般的に申し上げますれば、いわゆる高齢者対策というものはいろんな手法があるわけでございます。年金の充実とかいろいろなことがございます。この問題につきましては、そういう総合的な諸制度のもとで検討していくべき事柄であろうと考える次第でございます。
  147. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 だから、私はすべてとは申し上げてない。高齢化社会に対応する政策の一助として検討してみられたらどうでしょうかということを申し上げたんですが、何か検討することもぐあい悪いのですか。
  148. 中井省

    ○中井説明員 決して検討することがぐあい悪いと申し上げているわけではございません。預貯金制度をそういうところに使うのが適当かどうかというような点もございます。それからいろいろな高齢者対策、ほかの施策でも講じられているところでございますので、そういう全体像の中で検討すべき事柄であろうと考える次第でございます。
  149. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 言葉を返して恐縮ですが、預貯金制度を現にそういうところに使っていないのですか。六十五歳以上の高齢者の方々貯金の三百万円までの非課税というのは、そういうところに使っていることにならないのですか。
  150. 中井省

    ○中井説明員 決してお言葉を返すわけではございませんが、どの程度使うということについては、そういう総合的な諸施策の中で検討すべき事柄であろうかと思います。
  151. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 論争してもしようがないが、政務次官、いずれはあなたは大蔵大臣か何かになるかもわからないのだから、要は、国民のニーズが非常に大事だということに基本を置いて、高齢化社会への対応の政策の一環として検討を願うというふうに僕は理解して、次に進みます。  先ほど来問題になっております、いわゆる平成年度に集中満期を迎える定期預金の対策の関係ですけれども、満期になられる方々に迷惑はかけないように準備を進めておることと思いますけれども、これはちょっと具体的にお伺いしたいのです。  貯金局長郵便局で、だれだれが郵便貯金を何ぼしておる、その中に平成二年に満期になる、十年を迎える貯金が何ぼあるかというのはわかるものですか、わからないものですか。
  152. 森本哲夫

    森本政府委員 お客様は、よく期日管理をされて、これが満期になるのはいつだということをよく御理解の方もいらっしゃいますが、全然お忘れの方もいらっしゃいます。この再吸収というのは、先ほどから申し上げておりますとおり、非常に大量になると予測されますので、もし万が一吸収できないとすれば、これは貯金事業経営基本的な部分にかかわる重大問題になるという意識のもとに、今職員も必死に、お客様に再預入の勧奨ということを一生懸命やっているわけでございます。  何せ、ともかく額は巨大でございます。預金者は個々に、預入時点からもまた住所が動いておるというようなこともございます。そうした意味合いで私どもとしては、お客様に、あなたの満期がこう来ておりましていつ幾日こうなりますとまず御案内を差し上げ、そしてぜひ再預入をお願いしたいという活動はもう不可避なものだと考えておるわけでありまして、自然に再預入いただけるというようなことにはとてもならない、そういう厳しい状況でございますから。したがいまして、これに対して郵便局にデータをお渡しして、そしてお願いするように、そして、そのデータをもとに再預入でさましたら、その通知をもってまたセンターに送り返して新たに原簿にする、こういう手続を進めて今対策をとっている、こういうことでございます。     〔島村委員長代理退席、委員長着席〕
  153. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 一点目は、第一線の職員皆さんが、どこの家に満期になる貯金は何ぼあるというようなことを知るということが果たして妥当なのかどうか。これは貯金局でわかりますよ、管理しておるのだから。しかし、それを第一線の職員に知らせて、あそこの家には満期になる預金が何ぼあるぞ、おまえ行って予約してこい、こういうことが大体妥当なのかどうか。  前にグリーンカードの問題が出たときも、人の財布の中をのぞき込むような問題があるからというので取りやめになったのです。それを今貯金局から、これが満期になるからということを第一線の職員に知らせる。  実は私も二十年逓信委員をやっていますと、まるで僕を郵便局と間違えていろいろ聞きに来るのです。それで聞いた話によると、おたくは大体来年満期になる貯金が何ぼある、ついては次もまた郵便局に預けるように予約してくれ、それがみんなノルマを持っておって、もう半泣きになって予約をとって歩いておる、こう言うのですが、それはいかがなものでしまうか。
  154. 森本哲夫

    森本政府委員 さっき申し上げたように、お客様に案内を申し上げ再預入を勧奨するということは、極めて大事なことだと考えております。しかし、その方法としては、職員がその事態を踏んまえてやらなければ、だれもやってくれるわけがないのであります。これは職員として当然の事業体としての活動だと考えております。  ただ、この事実が外部に、そういうものが関係ない第三者に知れるということになりますと、これは先生指摘のとおり問題でございますけれども、あくまでもこれは貯金事業の内容でございます。センターであろうと郵便局であろうと、必要なデータを必要な事態に備えて使わせていただいて、結局お客様の利便のために貯金をお願いするわけでございますので、その御心配は要らない。  ただ、先生御懸念のように、その話が、あの人は何ぼ持っておって、満期になって何か六百万の大金持ちになるそうだというような話が村じゅうの話題になるような話になってはまずいわけでございますので、ここのところは十分職員にも申し聞かせて、プライバシー尊重の大事なこと、これは集中満期に限りませんで日常毎日起きる問題でございますから、その点の御懸念はまずは要らない。そのぐらいの職員教育はしっかりしているつもりだと考えているところでございますが、万遺漏ないように進めていかなきゃならぬとは思っております。
  155. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 昔は貯金局の方から、おたくはいつ満期になりますよと連絡があったものなんですね。そうすると、大抵貯金している人は、自分貯金がいつ満期になるかは知っていますよ、知っていますが、しかし、それでも改めて十年になりましたなら連絡があったものです。  ここの家の貯金が何ぼあっていつ満期になるということを一線の職員皆さんが把握をするということそれ自体が、果たしてあなたのおっしゃるようなサービスになるのか、あるいは不快感を与えるのか、これは問題があるところですよ。あなたのところは貯金が何ぼ今度は満期になります、ついては予約してください、これがまず一点問題になる点なんです。  二点目は、予約といってもどう予約をするのか。来年の四月以降になると思うのですが、来年の四月以降の貯金の金利の動静がどう動いておるのか、それも預金者から見れば選択肢になるはずですよ。それをあらかじめ、あなたのところは満期になるから、あなた、できたら郵便局にしてくださいぐらいならまだいいですよ、ちゃんと予約をして、それを貯金局の方にまた送り返して登録をずるという。一体それを、預金を予約しておって貯金をしなかったら罰則か何かあるのですか。どう考えても私はわからないのですよ。
  156. 森本哲夫

    森本政府委員 繰り返しになり恐縮でございますけれども、確かに通常の状態でしたら、基本的にこういうことでございます。郵便局では、全国二万二千ございますから、銀行と違いまして、一つの店舗、預入した店舗でお客様の状態が全部わかる仕組みになってございません。預入されたら全部地方の売り上げは後方の事務センター、先生のおっしゃる貯金局、今は事務センターと申しておりますが、そこへ送付いたします。したがって、原簿は全部そこにあるわけでございます。  ところがそれでは、そこからの手紙も出したりいたしますが、何せ事は非常に重大な問題だということでございますし、これは何もこの事態に限らないわけでありますが、今後の形としては、こういうデータが行っておりますから、職員の方もひとつよくお客様に働きかけなさいというのは、私ども責任者としても、これは先生のおっしゃるようには、不当であるとかあるいは穏当を欠くというような形でやめる性質のものにはなかなかいかない、極めて大事なポイントだと思っております。  中には、ずっと田舎にお住みのときには、十年前私がお勧めしてあなた入れたね、満期になって六百万になってよかったね、また再預入してくださいねということだって当然起こり得るわけであります。ですから、職員が知り得ること、これは先ほど申したように国家公務員法の守秘義務がございますから、みだりに口外してはなりませんが、職員貯金事業遂行上、そうしたデータを知らなければ適正な営業活動ができない、そういう意味でぜひひとつ御理解をお願い申し上げたい。  なお、今進めておりますのはあくまでも予約でございますので、その当時にはあるいはMMCになるのか、まだこれからスタートするわけでございますから、また再度定額になさるのか、いろいろなそのときの情勢がございます、これは来年に入ってからのことなんですから。まずは、郵便貯金にひとつ入れていただけますか、そのときにはいろいろな商品もございますからよろしくお願いしますということを今お願いをしておる、こういう次第でございます。
  157. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 一つは、僕はもう申し上げましたが、グリーンカードを廃止したときの議論は、財布の中までのぞくようなことはやるべきでない。今あなたのおっしゃるようなことがいいのなら、グリーンカードを廃止する必要はなかったのです。そのまま実施してよかったのです。だからこれは問題がある。  しかも、私が老婆心までに言っているのは、それで利用者、お客さんにいい感じを持ってもらえるのかというと、貯金局長、これは必ずしもいい感じを持ってもらえないのです。僕が聞いた限りでは、郵便局の人が貯金を皆調べに来て、来年の四月にまた入れと言いよる。しかも、あなた、MMCがいいとか何とかがいいとかいろいろ話があると、先生、どうしたもんだろうかと相談に来るわけですよ。僕もこれは困ったことだと思って、だからまず一点には、仮にあなたがおっしゃるように熱意を持って預金者のためにやっておるとしても、余り行き過ぎになるとかえって不快感を持たれて有益にならない。それから二点目は・いろいろな貯金商品の種類がある。その中でそれぞれ選択肢があるわけなんだから、やれMMCがいいですよとか、やれ国債がいいと言うかどうか知らぬけれども、そんなことを今から勧誘して、予約しなさいなんというのはむちゃな話で、私は、満期が来ますからそのときはまた郵便局貯金してくださいね、これが限度だと思うのですよ。予約したら、貯金をそのとき予約どおりやらなかったら罰則があるのかと僕は冗談を言ったのですが、まさか罰則をかけるわけにはいかぬでしょう、あなた、予約してしてくれぬかったと。かえって後で物議を醸すおそれさえあるのですよ、それは。時間になったから、そういう点を十分ひとつ配慮してもらって、気をつけてもらいたい。特に、この運動を推進する中で、今申し上げました問題があるだけに、第一線の職員が大変な苦労を、しておる、ノルマだと言われて大変な苦労をしておる。それでもみんな頑張っていますよ、僕から見た限り。頑張っていますが、午前中の質問でしたように、頑張って業績が上がればそれに対しては郵政省としても十分考えてやってもらいたいということを最後にお願いしておきまして、ちょっと僕は今から議運の方に行きますから、これで終わります。
  158. 畑英次郎

    ○畑委員長 田並胤明君
  159. 田並胤明

    ○田並委員 それでは、先ほど大臣の方から提案をされた法案の三つを順次質問させていただきたいのですが、その前に大臣にお伺いをしておきます。  それは、最近、特に金融自由化、なかんずく金利の自由化というのが進行しております。そういう中で、郵政省の今後の対策というのは非常に重要になるのではないか、このように思いますので、その郵政省考え方をまずお聞きしておきたいと思うのです。  例えば、金融自由化というのは、大変金利の自由化が進行しているということ、それから民間企業を中心にして多様な金融商品サービスというのが開発をされ、かなり競争がお互いに激しくなってきておる。しかも、利用者の皆さんも大変金利志向が強くなって、それがゆえに資金シフトというのが相当起きている、こういう今日的な状況があると思うのです。そういう中で、郵便貯金というのは民業を圧迫しないという建前があるものですから、それなりに一定の制約を受けた中の郵便貯金事業、それだけに本省から現物に至るまで、この郵貯事業を守るためにかなりの努力をされていると思うのです。今日まで、例えば自主運用の開始であるとか国債の窓版であるとか、いろいろな施策郵政省自体が苦労を重ねてやっていらっしゃる、そのことについては心から敬意を表する次第でございますが、こういう厳しい郵貯事業を取り巻く環境変化の中で、郵政省としてはこれから出されるいろいろな、この法案についてももちろんその一次としてこういうものをやりたいということで出されているとは思うのですが、それ以上に私たちの想像を超えるような速さで金融自由化あるいは金利の自由化がどんどん進んでくると思うのですね。そういう環境に対応した郵政省基本的な考え方というのをもちろんお持ちでしょうが、ぜひひとつそのお考え方を、適切な郵貯事業運営あるいは国民皆さんのニーズにこたえた郵便貯金として将来とも生々発展するような方向というものをぜひ聞かせていただきたい、このことを大臣にお伺いしておきたいと思います。
  160. 片岡清一

    片岡国務大臣 ただいまお話のございましたように、今後は金融自由化の進展に伴いまして競争が非常に激甚になってくるということでございまして、郵便貯金においてもそういう立場からこの競争に対応していろいろの知恵を出してこれに負けないようにしていかなければならぬ、こういうことのあることは当然の話でございますが、ただいまのお話のように、利用者にとってはサービスの一層の向上が期待せられるところであります。一方、経営者側から見ますというと、競争の激化、コストの増大を伴うことが事業運営にとり、より一層の厳しさが増してくる次第でございます。この状況の中で、郵便貯金としても、金融自由化のメリットを広く利用者に還元するために商品のサービスの改善に努めるほか、今まで以上に営業の努力事業運営の効率化を推進していくことによって健全な経営を維持し、国営事業としての使命を果たしていかなければならぬ、こう思っております。そうかといって、やはり民営事業を圧迫するようなことについては十分配慮していかなければならぬとも思っておりますが、そういう中において努力をすることが必要であると考えておる次第でございます。
  161. 田並胤明

    ○田並委員 ぜひひとつ、大臣を先頭にして、この郵便貯金事業を本当に国民皆さんの期待にこたえられるような事業として盛り上げるように努力をお願いしたいと思います。  そこで、具体的な問題になりますが、この特例等に関する法律案関係貯金局長にお伺いをいたします。  今回の法律案によりますと、初年度、この簡保年金事業団に預託をする金額というのは二千五百億というふうに聞いているのですが、これは何か基準があってそういうふうにしたのか、あるいは来年度以降はそれをどういうふうに考えているのか。  大体計算をしますと、昨年度自由化資金が二兆五千億円、平成元年が今度三兆円になりますね。そうすると、その半分を国債を買うということになりますと、差を計算すると二千五百億という金額が出てくるのですが、それを基準にしたのかどうか。本来でしたら、もしここで本当に収益が上がるような事業でしたならば、もうちょっとこの辺をふやすというような努力もしなくちゃいけないでしょうし、その辺の基準、あるいは来年度以降の預花をする金額についての考え方はどういうものなのか、これを聞きたいと思うのです。  あわせて、この郵貯特会の全体の収益に占める金融自由化対策特別勘定の収益の割合をどの程度にこれから見込もうとするのか。郵貯特会の全体の収益に占める大きな割合というのは預託利率ですね、預託金利。今度この自主運用が始まって金融自由化対策特別勘定というのができたわけですが、これを全部ひっくるめて郵貯特会の収益に入れているようですが、この郵貯特会全体に占める割合というのを今後どういうテンポでもって伸ばそうとするのか。これは、先ほど言ったように、小口MMCなどが始まったり、あるいは金利自由化というものが始まりますと、かなりそれに要するコストが出てくるだろうと思うのですね。したがって、郵貯事業全体の収益といいますか会計考えた場合、収支を考えた場合に、当然そういう収益を拡大しなければ本当に国民皆さんのニーズにこたえられる商品というものが開発できないのじゃないだろうか、こういう気がするものですから、その辺の兼ね合いも含めてお聞かせを願いたいと思います。
  162. 森本哲夫

    森本政府委員 先生の御質問は二点ございまして、一点目、指定単への運用の金額をどういう根拠で二千五百億にしたかというお尋ねでございます。  これで私どもの資金運用、いよいよ三年目に入っておるわけでございますが、過去二年間は専ら元本保証のある債券だけに運用してまいったわけでございますが、先ほどからのお話にもありますとおり、非常に厳しい状態でございますので、さらに有利運用を心がけなければならない。幸いほかの公的資金でもそういう道を手がけておるということで、昨年いろいろ政府部内での論議を重ねてこうして法案を提出してお願いをしておるところでございますが、ただ御案内のとおり、これは形式的に申して元本に保証がない運用の仕方であることは確かでございますので、まあ私どもとしては初年度、初めてでございますので、できるだけやはり慎重な態勢はとらなきゃなるまいということを基本考えたわけでございます。  そこで、どの程度が適当かということで、これは先生見通しのとおり、新年度には五千億新たに前年度よりふえる、つまり去年二兆五千億だったのがことしは三兆円になりますので五千億がふえる。その五千億ふえる部分のうち半分は、もう既にこれまでのルールに従いまして国債を引き受けるという段取りになっておりますので、そうとすると二千五百億は今までの形態の中では新規に運用考えてもいいという部分に属する資金かな。最初に申し上げました慎重にということとの兼ね合わせで、じゃあこの点をこういうことだとすれば、二千五百億をひとつ引き当てることにいたしたい。かたがた簡易保険事業でもこの種の運用を六十二年度から始めたわけですが、この当時は三千五百億でございました。そうしたことも考慮いたしまして今の額にしたわけですが、一番大きなポイントは、先生お示しのような計算が一つの根拠になったかと考えております。  第二点の御質問の、郵貯特別会計全体の収益に占める自由化対策資金の収益の割合をどの程度に考えておるものかという御質問でございました。端的に申して、これはなかなか非常に難しい課題、問題かなと思います。これはもう先生御案内のとおりでございますが、六十三年度末、つまりこの三月三十一日には、全体としての資金運用の額は過去二年分を合わせまして四兆五千億に相なりました。これはさっきも申しましたが、全体の残高が百二十六兆円でございますから、その中では三・六%をこの自由化対策資金に運用しているという形態になります。全体としてはまだごくわずかでございます。ただ、この対策資金の運用の結果がどうであったか、これは正直申して、まだ六十三年度は決算がこれからでございますが、六十二年度の決算では、その運用部に行っているよりはこの自由化対策資金で運用した結果〇・六%プラスになった。金額にして四十八億円という決算が出ております。六十三年度は、今申しましたようにまだ確定はいたさないのですが、大体の見通しでは六十三年度は一・〇五%にいくかな、金額にしますと約三百五十億円程度ということになり、その部分が各利差として運用する結果確保できた、こういうことで、その額自体は資金運用部に預けるよりはるかに有利な運用ができたかという感じがするものでありますが、ただ郵貯特会全体でどうなっているかということになりますと、先生御案内のとおり、六十二年度、六十三年度はこの自由化に備えて私ども会計を、いわばこれまで国の会計に通有の現金主義という点から発生主義という一般の企業会計とほぼ同様な、その時点での収支がわかるようなやり方に切りかえまして、そのために、六十二年度、六十三年度は赤字でございますのでちょっと対比するのは適当でございませんが、その前年度にございます六十年度、六十一年度は、一般勘定の損益では大体六千億弱ぐらいを生み出しておったということでございますので、さっき申しました三百五十億ということからすればまだ全体としては数パーセントにしかならないわけでございますが、今後やはりこの運用益はできるだけ、こういう厳しい時代ですから、たくさんに確保していく必要がございます。  ただ、この問題が非常にまた難しい問題を一方にはらんでおりますのは、私ども基本的な役割でございます公的資金の供給という問題がございます。それに絡めて、現在の財投がどの程度の資金需要をこれから先必要とするかという問題がございます。ですから、そことのバランスをどうとるかという点がございますのが一つと、それからこれから先の金融情勢がどういうふうになってまいるか、もちろん、私ども郵便貯金自体の自由化がどう進むかということと、その運用先でありますマーケットの金融全体の自由化がどの程度進むかということもかかわってまいります。なかなか予測は難しいわけでございますが、方向としましてはこの運用益をできるだけ拡大してまいるという方向には違いなかろう。その辺を、どの程度が適正かということについてはさらに鋭意勉強して、研究して、妥当な結論を得ながら進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  163. 田並胤明

    ○田並委員 自主運用が非常に順調な滑り出しを見せておるということについては敬意を表したいと思うのです。ただ、先ほど申し上げましたように、今回の場合はMMCの実施ということですが、これは郵政省も大蔵省に要求をしているとおり、小口金利の自由化というのは早晩進めなければいけない政策だと思うのですね、国全体として。そういう中で当然コストが増大をしてくることは間違いないわけでありますから、ぜひ経営目標として郵貯特会の中に占める自由化対策勘定の収益の部分を計画的に見込むような目標を定めて、それに近づけるという努力もしなければいけないのではないか、このように思うのです。もちろん、時々刻々と変わる金利でありますからあるいは金融市場でありますから、当初見込んだよりも悪くなるときもあるでしょうし、あるいはよくなるときもあると思いますが、そういう難しさの中で、しかも元本をきちっと確保する、それで一定の収益を上げるという難しさがあると思いますが、ぜひひとつ英知を結集してそれらについて一層努力をしていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  そこで次に、指定単運用のほかに国債、地方債等の運用を行う、これは今度の特例法に出ていますね、簡保年金事業団が運用する中に。国債、地方債は、郵便貯金法の六十八条の三で、別に簡保年金事業団にやってもらわなくても、こちらでできるわけですね。その辺、なぜこういうものが出てきたのか、お聞きしたいと思うのです。  それともう一つ、簡保事業団の業務に特例を定めて指定単運用を行わせるという理由ですね。これは郵貯法の中でできなかったのか。だから、従来の自主運用の枠の中でこの指定単というものはできなかったのか。先ほど貯金局長が言われたように、指定単の場合には元本の保証がされてない。したがってそういう危険も含めてそちらに任せる、いわゆる専門家に任せるというか、その方が安全だという解釈になるのでしょうか。その辺のところをお聞かせ願いたいと思うのです。
  164. 森本哲夫

    森本政府委員 第一点目のお尋ねでございますが、確かに御指摘のとおり金融自由化対策資金、つまり現行の運用でも直接国債、地方債、預金等、ここにお願いしております法案に書いてある部分は、これは運用は可能でございます。今回簡保事業団に自由化対策資金の一部を寄託しましてそして運用をするのは、あくまでもメーンは指定単でございます。ところが指定単運用するまでの間、国から渡してしばらくの期間がございます。あるいは運用した後お金が返ってきた、国に納付するまでまた期間がございます。こうした期間の間にどこへ運用するかという点についての定めが必要でございます。それをできるだけ効率的に運用してもらうために、国債、地方債、その他の債券に運用できるということを書いておく必要がある、そういうことでこういう条文になっておるということでございまして、どうも表現はむしろ逆のさまになっておって、国債、地方債が先に出て、指定単が後になっておりますので、どうも形式上見ますと何か順位みたいになっておりますが、趣旨はそういうことでございまして、メーンはあくまでも指定単、その間効率的に運用するということでこういう改正をお願いしておる、こういう中身でございます。  第二点のお尋ねでございます、なぜ簡保事業団にやらせるかという問題でございますが、これは先ほどお話しのとおり、国が直接元保のないものに運用することについては、これまでのところそういう事例もございませんし、確かに国のお金に万が一損失が出たときにどう対処するかという、十分な法的な詰めもないわけでございますので、これは御案内のとおりでございますが、国民年金とかあるいは厚生年金あるいは私ども郵政省のやっております簡易保険、こうした資金を有利に運用する際にはすべて特殊法人にゆだねております。その特殊法人が得た利益をまた国に還元させる、納付をさせる、こういう形のためには国ではなくて、特殊法人にこうした指定単運用をさせるのが最も適当であるということで今回改正をお願いする。これもよく考えてみますと、特殊法人だということになりますと、郵政省としては最も郵政省の傘下の中で類似の業務を行っているのは事業団でございますし、そしてまた既にもうノーハウも経験もあるということで事業団ということを選定して、この法案でお願いしておるわけでございますが、これは法律的には事業団の本来業務じゃないわけでございます。簡保事業団はあくまでも簡易保険がメーンでございますので、そうしますと貯金のことでこの事業団にお願いするとならば、やはり簡保事業団の業務附帯業務じゃなくて、新たに特例的にこういう金利自由化のために対処するのだということで、特例的に付加をする、そういうお願いをするということを明確にいたしますために、特例法をつくって、そしてまた御承認を賜りたい、こういうことでお願いをしておる次第でございます。
  165. 田並胤明

    ○田並委員 そこで、そうなると、これはちょっと今の答弁に関連をしてなのですが、例えば簡保事業団に預託をした、たまたま元本割れが出てしまったという場合は、簡保事業団が補償するという意味もあるのですか。その辺をちょっと聞きたいということ。  もう一つは、今のに関連をいたしまして、経過措置としてこの法律の中では、運用益を三年間は積立金として事業団の方へ積み立てておく、このようになっておりますね。それはどういう意味で積み立てるのか。あるいは三年後、じゃ今度はどうするのだろうか。恐らく積み立てをしておいて、それでもっと額を多くして運用して、運用益を上げるためにそういうふうにするのか、一種の危険手当てみたいな格好でこういうものが行われようとするのかどうか、その辺をお聞かせを願いたいと思います。三年後を含めてどうするかということ。
  166. 森本哲夫

    森本政府委員 御指摘のとおり確かに形式的に元本の保証がないわけでございますが、幸いにして過去にはそうした損失を生じた事例は、公的資金初め指定単運用ではないと承知をいたしております。そういう意味では安心は十分いたしておりますが、ただし形式的な形をきちんと整えるのが法律でございますので、万一の場合に備えて簡保事業団に、先生お話しのようにその利益を積み立てるというのはそういう趣旨でございます。三年間はただ財産も何も貯金関係ございませんものですから、出た運用益は全部積み立てろ、そしてなおその後は毎年の運用額の一定割合、これは政令で定めるということに相なっておりますが、今のところ一%ぐらいが適当かなと思っておりますが、その後も、三年の後は今度は収益にはかかわりなく運用額の方の一定額を積み立てるという形で積み立てるわけでございますが、これはあくまでも万が一の損失の補償に対する備えとしてこういう措置を講じておりますので、こうした運用をお願いしたい。運用をお願いして、万々心配は要らない、そういう補償の措置をこういう形で確保したい、こういう趣旨でございます。
  167. 田並胤明

    ○田並委員 わかりました。  それでは、次へ移ります。  次に、郵貯法の関係なんですが、先ほど阿部先生の方から、郵貯の純増加額が六十三年度末は前年度対比で大幅に増加をした。局長の答弁でも、六十三年度で伸びが八兆五千億で純増が一兆五千億、六十二年度はそれが五千億だったのでかなりの伸びを示した。金利志向の大変強い中でこのような努力をしたことについては本当に大変だったと思うのですが、これは何か特別な理由というのがあったんでしょうか。例えば金利志向に基づいて、郵貯の方がかなり有利だという何か新しいサービスか何かがあってこのような結果になったのか。その理由、これをお聞かせ願いたいということ。  もう一つは、来年度の定額郵便貯金の集中満期の対策について、先ほども幾らか論議のやりとりがありましたが、これは民間もかなりねらってますよね。これが向こう側へいきますと、ほかの資金にいきますと財投にもかなり影響が出てくるのではないか、こんな気がしますものですから、集中満期対策について万全にお取り組みがされていると思いますが、もう一回この内容についてお聞かせを願いたい。もちろん今度のMMCの問題もそうだし、貯金の限度額の引き上げもその一環だし、いろいろあろうと思うのですが、それだけで果たして大丈夫なんだろうか、こういう気がするものですから、この辺の対策についてもう一回お聞かせを願いたい。もちろん、職員皆さんが大変な努力をしているということは我々も聞いております。やはりそれにこたえるような郵政省の対策も必要なんではないかという観点からもひとつ御答弁を願いたいと思います。
  168. 森本哲夫

    森本政府委員 先ほど阿部先生もおっしゃいましたように、かつては六兆円一年間で純増がふえた時代もございましたし、六十年度、六十一年度、ここ三、四年前には年間二兆円ないし三兆円伸びておりました。それが六十二年度にはちょっと目を覆うばかりのたった五千億という、けたが違うぐらいの大変低い伸びにとどまったわけでございますが、やはりこの危機は何とか職員としても真っ正面に見据えてぜひ頑張らなきゃならない。一つには、職員が相当奮い立って業務に当たっていただいたということがやはり大きな理由だと思いますが、それにはやはり一つの武器があったかなと。一つは、限度枠が五百万円に引き上げられたという点もやはり大きなPR効果になったということで、今回七百万またお願いいたしておりますが、現場にしますれば、やはり金利が全体に低下していく中で何がしかのインセンティブ、刺激というか、お客様にお勧めするに足りる材料がないと非常につらい、こういうことかと思いますので、何にしてもそういう意味では、最大の結果は、決してこれでとても褒めた状態には、この一兆五千億という数字はないと私は思いますが、しかし、少なくとも最低線から上昇傾向に移れたというには、やはり職員の危機意識というのは大変なものだったな、努力も大変であった、こういうふうに考えておるところでございます。  お尋ねの二点目の集中満期でございますが、かてて加えてこういう厳しいときにいよいよ満期を迎えるということでございます。先生の御指摘のとおりこの金額は相当多量になるということは民間でも早く意識いたしまして、最近ではお客様から、これはどこで情報を手に入れるのかわからないのでありますが、あなたのところに定額証書がありますかというようなお尋ねをきっとするのだと思うのでございますが、そして、あると言うなら、ぜひ今度はうんと有利な私ども民間にどうぞということで、その証書を預かって郵便局に払い戻しに見える、御本人じゃなくて銀行の職員が代理人として。そういうケースも決して少なからざる事態を今日迎えているわけであります。  私どもとしては、残高がここで重大な支障を起こしますと、先ほど申しましたように経費率が重大な移動を示しまして、今後の自由化に対応できない、赤字を招来するという事態になりかねないわけでございますので、ぜひ大量の貯金は再吸収しなければならない。それから、先生指摘のとおり、国の財投計画にこの移動が重大な支障を及ぼしかねないという要素を持つこともございます。さらに、郵貯の役割とは一体何ぞやという問題まで出てきかねないということで、当面郵便貯金事業として最大の意欲を持ってやる課題だという理解もとに私ども取り組まなければならないということで、先ほど前年度のことで申し述べましたとおり、新しい道具も必要でございます。お客様にお勧めするにはこういうセールスポイントもございますという意味で、これも法改正でお願いいたしておりますMMCの創設、それから限度額の引き上げ、これも大きな施策としてお客様にお願いできるのではないか。もちろん職員もこれだけでというわけにはまいりませんで、必要な活動のための超過勤務、あるいは職員が正規で足りない部分は非常勤の職員で措置をすることといった万般の、職員が一生懸命やってもらえるだけの体制づくりということには十分意を用いてこの難しい課題に取り組んでいかなければならないと考えているところでございます。
  169. 田並胤明

    ○田並委員 大変な時期ですから頑張ってもらいたいのですが、小口MMCが、法律が通ればいよいよ六月五日から出発するわけですが、当面は三百万ということですから、私は郵便貯金の平均の預入額はどれぐらいかわかりませんけれども郵便貯金利用者すべてにわたってこのMMCの利益といいましょうか、これが受けられるかどうか非常に疑問なのです。ですから、要望として、なるべく早くMMCの預入額の引き下げを一層努力してもらわないと、小口貯蓄である郵便貯金の利用者のどのくらいのパーセンテージが総体的に利用できるか非常に疑問であります。ですから、その辺の努力をお願いすると同時に、郵政省として当初、例えば平成元年度実施になって以降、来年の三月ぐらいまでにどの程度のMMCの貯金を見込まれているのか。ということは、結果的には金利が上がるわけですから、郵貯事業のコストが当然ふえてきますね。この辺のコストを吸収するための収益拡大というのは当然また出てこなければならない、それが先ほどの簡保事業団への預託、それで運用してもらってという格好になると思うのですが、その辺はどの程度に計算されておるのか。もしわかればで結構なのですが、やる以上は当然一定の目標を立てておやりになるのでしょうから、それらもわかりましたらお知らせを願いたいと思います。
  170. 森本哲夫

    森本政府委員 MMCの預入単位が三百万でスタートするということにつきまして、率直に申して私どももこれがベストだということでお願いをしたわけではございませんで、かねてから小口に及ぼすべしだということになると、三百万で果たして小口かということについては、先ほどここへ来ておりました大蔵省との間でも相当激論を交わしたわけでございます。正直なところ、私どもとしては、もしやるのならば十万円単位ぐらいで考えるのが本当ではなかろうかという議論もいたしたのでありますが、数多くの金融機関も一緒にやろうという前提で物を考えますと、これでは小さな金融機関はとても対応できない。そうだとすると、この議論を重ねている限りは一千万の大口がいつまでたっても前へ行かない、そういう悩みもございまして、私どもさんざん議論を重ねた結果、それじゃスタートは三百万ということにいたそう、そのかわりできる限りこれを早急に引き下げてまいろう。現にお客様の立場に立っても、二百九十万ならだめで三百一万ならセーフというのも、これは正直言っていつまでも続けておれない事態でございますし、むしろこれを加速手段にして、本当に金融機関が効率的な経営に目覚めるということも大事かということで、そうした経緯がございます。おっしゃるとおり、できるだけ早期に引き下げたいと思っております。  一体MMCがどのくらい利用されるか。確かに今の郵貯百二十六兆のうち定額貯金が約九割を占めておりますので、この定額貯金の利用者がMMCをお考えになるけれども一つには三百万の限度がございますからこれは丸々にはならない。しかし、小口でお持ちのものをまとめておやりになるということも考えられる。しかし、MMCは短いものでは三月でございます。その当座はいいのですが、三月たったらまた考え直さなければならない、こんなこともございますし、この過程で民間では相当いろいろな議論がございましたが、定額貯金は幸いにして基本的な性格は残したまま維持することもできたわけでございまして、お客様のライフスタイルあるいはそのときのライフステージがどういう状態におられるか、その資金の使途が何にあるかということを総合的に勘案してMMCなり定額をお選びいただく。私の方は退職金だから長期に十年、今の金利なら毎月これだけ入るという計算ができるならば定額をお選びになるかもしれません。短期に、車の頭金が欲しいのだということになれば短期で有利なものをお選びになるかもしれません。そうした意味合いで私ども、押しつけて何ぼにせいということを言うのは非常に無理な話、国民にとってもまだ初めての制度でございますので、正直言ってどのくらい移行するかは非常に予測が難しい。しかし、幸いにしてこれまでのいろいろ現場の反響も見ますと相当御関心もお持ちで、ぜひやりたいという方も少なからずおられるという情勢で、できるだけ今後のデータを集めながら、六月は、スタートは全体としてはまだ六カ月物と一年物だけでございますので、秋には勢ぞろいいたしますので、そうした過程の中で全体としての動向を見きわめたい、そのことがまたコストの計算もきちんとすることになるだろうと考えておるところでございます。
  171. 田並胤明

    ○田並委員 いろいろな選択肢を利用者に提供するのも一つの方法ですから、そういう意味で理解をしておきたいと思います。  最後に、為替・振替法の関係なのですが、提案にありますように、例えば為替の料金体系を六段階から三段階へ、あるいは振替料金の七ないし八を三段階に簡素化をするという意味については大体理解できるのですが、この中には例の消費税が当然入っていると思うのです。それで、こういう料金体系、簡素化とあわせて消費税対策をやったと思うのですが、これは内税、消費税が全部込みになっているわけですね。そうすると、利用する側にとってみると、果たして幾ら払っているのだろう、この料金の中の幾らが消費税なのだろうということもわからないし、民間と違いますからまさか便乗値上げなどということはあり得ないと思うのですけれども、要するに料金の最高限度額を決めてそれ以内で審議会の議を経て答申を得て省令で大臣が決める、こういうことになっていますから心配ないと思うのですけれども、その辺、どうもこれだけ見たのでは、先ほどの大臣所信の中にも消費税のショの字も出てこないし、簡素化だけが重点的にしゃべられているものですから、その辺を少し解明しなくてはいけないのじゃないかと思うのです。基本的な考え方だけで結構ですからお聞かせ願って、質問を終わりたいと思います。  ただ、これは残念ながら私どもは反対でございます。
  172. 森本哲夫

    森本政府委員 時間がございませんから簡単にさせていただきますが、基本的には六段階から八段階を全部法定にしてあるということはお客様にとっても非常に不自由な状態になっているということで、今回三段階にはいたしますが、この改正によっては基本的には料金の改定は全体としてはお願いしない、こういう前提に立っております。総枠としては、例えば今後に得られる収入は全体としては変わりない。ただ、消費税の部分は、これは国の事業であるといえども三%の事業としてかかるわけでございますので、この部分はお客様に御負担を願わなければならないということで、これはひとつぜひ御理解を賜りたいなというところでございます。  全体の仕組みは、確かに個々の具体的料金を全部省令で決めさせていただく仕組みではなくて、これまで個々の料金が全部法定だったということを基本に置きますならば、一切合財全部省令にいかないのでございますので、これを法律で三段階にさせていただく、その三段階はあくまでも最高限度枠だということで、個々の料金は現行の料金を刻みます。つまり、それぞれ分かれていたものを一括するということになりますので、消費税の三%部分を除きますれば、いわば一方で二百円だった、一方で二百五十円だったというのが大体二百三十円とか、おおむねその見当の中間料金になるというようなイメージだということを御理解願いたいと思います。  こうすることによって、今後いろいろなサービスの改善も可能になる。つまりは、料金法律で決まっているということはあらゆるサービスも法律で決まっておるということでございますので、もちろん法律の範囲内でございますが、その範囲内でサービスも創出するし、今後のいろいろな民間との競合条件の中での弾力的な料金設定も可能になって、お客様へのサービスが十分になろうと考えておるのでございますので、ぜひひとつ御理解を賜りたいと思っております。
  173. 田並胤明

    ○田並委員 終わります。
  174. 畑英次郎

    ○畑委員長 木内良明君。
  175. 木内良明

    ○木内委員 三つ法律案の一括審議ということでありまして、金融自由化対策資金運用及び簡易保険郵便年金福祉事業団業務特例等に関する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案、この二案につきましては私どもは賛成であります。なお、郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法律案につきましては、申し上げるまでもなく、料金体系が三段階に簡素化されるとはいうものの、公共料金として消費税の対象になっておりまして、料金体系の中に内税としてこれが転嫁されている。こうした問題について容認することはどうしてもできません。私は、国民生活を圧迫する消費税の撤廃を今日まで強く要求してきているところでありまして、国民生活に影響を及ぼす為替・振替手数料に消費税分を転嫁することには反対である。したがって、この郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法律案については反対の立場で質問を行います。  まず、法律案ごとに順序立ててお聞きをしてまいりたいと思います。  まず、郵便貯金にとりましては、念願でございました郵便貯金資金の自主運用が開始されてから二年がたち、ことしは三年目に突入をしている、こういうことであります。初年度の昭和六十二年度運用額が二兆円、資金運用という今まで経験のなかった業務を開始した初年度であったにもかかわらず、運用の利回りが五・五四%、これに対してコストが四・九四%、したがって利差が〇一六%で約四十八億円の運用益が上がっている、こういうことであります。この数字運用年度にしてはまずまずの結果であろう、私はこう思います。昭和六十三年度につきましては新たに二兆五千億円の新規運用額を追加しておりまして、総額で四兆五千億円の運用を行ったわけですけれども運用開始二年目の昨年度運用利回りが実は私も気になるところでありまして、この昭和六十三年度運用利回りがどの程度のものであったか、まずお尋ねします。
  176. 森本哲夫

    森本政府委員 この運用に関する決算が出ますのはもうしばらく時間がかかろうかと思いますので、現時点では一種の見込みということにならざるを得ないわけでございます。  この見込みでございますが、先生お示しの六十二年度に比べて結論的には一段前へ出たということが言えるかと思います。運用利回りとしましては六%の実績が上がっておりまして、これに要するコスト四・九五%、これは六十二年度とほぼ同じでございますが、その結果利差は一・〇五%。先ほど六十二年度で四十八億円とおっしゃいました点は、今回は三百五十七億の見込みということに相なっております。次年度に入っての成績で、決して手放しで自賛するわけにはまいりませんが、厳しい環境の中ではここまでよくぞ来たかなという感じは持っておるところでございます。
  177. 木内良明

    ○木内委員 私も同じように評価を行うものであります。特に昭和六十三年度について今お尋ねしたわけでありますが、それでは平成元年度についてはどの程度見込んでおられるかということについてお聞きしたいと思います。新規に三兆円を追加して総額で七兆五千億円の運用を行うことになるわけであります。  そこで二点お尋ねをいたします。一つは、目標としてどの程度の利差を平成元年度については獲得しようと考えておられるのか。恐らく手数料は変わらないと思います。あわせて、今まで二年間の運用を通じて顕在化したというか、あるいは指摘されるような運用上の問題点はいかなるものがあったのか、またそれについて今後どういう対応をされるおつもりなのか、お尋ねします。
  178. 森本哲夫

    森本政府委員 この運用利回りというのは、先生御案内のとおり、私どもこれまですべて債券ということになっております。  債券の値段は日々変動するものでございまして、せんだってから為替の動向を受けて債券自体も日々変わっている、生き物だという感じがいたす次第でございます。そういう意味で平成元年度は幾ら見込めるかということを現時点で予測するのは、正直言って大変困難だと思っております。しかし、幸いもう既に二年の経験、ノーハウもございますし、内外の情勢を的確に見ながら、少なくとも前年度より上回る成績は確保したい、そういう期待値を持ちながら元年度運用に当たりたい。  二つ目のお尋ねの、旧を振り返ってみてどういう問題があるかということでございますが、やはりこの運用運用としながらも、これをしなきゃならぬ情勢、つまりは金利の自由化の問題でございますが、いよいよこれが現実のものに相なってまいりましたので、このコストアップを運用益でどう救済を図っていくかということでございます。いろいろ計算しましても大変に厳しいことでございますので、国債を初めとする従前の運用対象では非常に限定的になりますので、これを上回る有利な運用対象として指定単というものをぜひ手がけてみたい。また、そのことについては各種の公的年金での実績もあるということで、今回この運用についての指定単をぜひ実現をお願い申し上げたいということで法律改正を予定させていただいておるところでございます。  その後どういうふうになるかという点については、ともかく市場も大変変わってまいっておりますので、さらに広範に鋭意検討を進めてみなければならないわけでありますが、最近のコマーシャルペーパーだとか私募債だとかオプションだとか、いろいろなものが金利の運用の対象として市中に出ております。大手の機関投資家もこれらを運用いたしてそれなりの成果を上げているようでございますので、この事項についてはなお研究を要する余地も多うございますので、当面ぜひ指定単運用で有利な運用を図ってまいりたい、こういう態度でお願いを申し上げているところでございます。
  179. 木内良明

    ○木内委員 指定単への対応ということは十分に理解できます。その前に、運用益の利差を大きくするための方策の一つとして、今局長の答弁されたコストの圧縮ということもさらに努力をされてよろしいのじゃないか、こういうふうに思うのです。私は、一定の成果を十二分に評価しつつも、指定単に一歩歩みを運ぶ前に、さらに今日三年目に入ったので、今日までの経験を生かしつつコストの圧縮もできないものか、この点はどうですか。
  180. 森本哲夫

    森本政府委員 私ども国営事業にとって放漫な経営では利用者にそっぽを向かれるわけでございますので、できるだけコスト圧縮、つまりは人件費を初め必要な経費を極力最小限に抑えていくということは、どの事業を通じても非常に大事なことだということで今取り組んでいるわけでございます。同時に、このコストというものは経費率とという形でも出てまいりますので、コスト自体を圧縮するということも大事でございますが、経費率の算定の基本になります預金の増加ということも大変大事なことになりまして、そのことがこういう自由化に対応できる大きな基本にもなるということかと考えるわけでございます。御指摘のとおり、コストの面についてもさらに努力を払ってまいらなければならぬと考えているところであります。
  181. 木内良明

    ○木内委員 運用益が大きくなる、利差が大きくなる、そこにおける経費率が、全体のパイが大きくなれば低くなるということ、総体的には今、そういう話だったと思うのですね。十分理解できます。  それで、現下の情勢のような低金利のもとで六%の運用利回りを上げて、利差という点でいけば、今申し上げたように前年度を一%上回る利回りの向上が見込まれるという今の希望的観測も含めて、私は事実そうなるだろうと思うのですけれども、率直な疑問として、現在のような低金利のもとでよく頑張っておられる、どのようにしてこのような高い収益を上げることが可能になっているのか、その点の背景の御説明もいただければと思います。
  182. 森本哲夫

    森本政府委員 木内先生御案内のとおり、私どもの資金の性格からして、年間ふえてまいります全体の運用額の半分は国債を引き受けるということで現在運用を行っておるわけでございます。そうした中で、全体として一%上げるというのはなかなか難しい課題でございまして、つまりは国債も発行状況によっては相当値段も振ればいたしますが、私どもの借りてまいります原資の預託利率、これと国債とはほぼ同水準だと言っても変わりはないぐらい、国債それ自体は新発物では有利な運用というわけにはまいらないわけでございます。  そこで、市中の動向、為替相場の動向等をいろいろ見回しながら、一つは高利回りの既発債、既に市中に回っております債券で利回りの高いものを安いときに仕入れる、こういう点が一つ。それから、金利の低下傾向の局面、つまり債券価格が上がります場合は、持っている債券を一部売却しましてキャピタルゲインを得るというようなこともやっておるわけでございます。さらには、最近市場において株式と連動する転換社債、同じ社債でありましても転換社債等の株式連動みたいな社債も数多く発行されておりますので、こうしたものに対する積極的な運用も図ってそこでキャピタル益も確保する、実にさまざまな手法を用いながら全体として安全な、なおかつ有利な運用を心がけた結果こういう数字が出た。ただ、おっしゃるとおり、これはなかなか容易ではないわけでございますので、さらにいろいろ勉強を積み重ねながら利率のアップを図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  183. 木内良明

    ○木内委員 運用対象の選別といいますか、あるいは運用の多様性ということで大変御努力をされているわけでございますけれども、安全で利回りのよい運用ということになると大変に御苦労も多いと思うのだけれども、これまでの経緯を踏まえてさらに利差の獲得に御努力をいただきたい、こういうふうに思います。  それで、平成年度以降の運用計画についてお尋ねをするわけでありますけれども金融自由化対策資金で申し上げたように、高い収益を確保している現状、また、その背景というのは今の答弁でよく理解ができるわけでありますけれども、こういうふうに高い収益を上げることのできる金融自由化対策資金運用の規模というものは、郵便貯金事業金融自由化に適切に対応するために創設されたという本来のそうした趣旨考えますならば、さらに拡大をされなければならないのではないだろうか。リスクを伴うような運用であってはいけないし、十分に留意すべき点はしつつも、この運用資金の拡大というものが必要ではないかと私は率直に考えるわけです。  運用額でありますけれども、今までも触れておりますように、六十二年度が二兆、六十三年度が二兆五千億、平成元年度が三兆、毎年度五千億ずつふやして平成年度までの五年間で、当初は平成年度で十五兆円、こういうふうな計画があったわけでありますけれども、現在の段階では平成年度以降の見通しについてはまだ出ておらないように認識しております。したがって、にわかに平成年度以降はどうかということはなかなかお答えできにくいだろうけれども見通しとして、ガイドラインでも結構ですから、どんなお気持ちでおられるのか。また、現段階で決まっておられないとすれば、今後いつの段階で平成年度以降の具体的な運用計画、また運用資金の拡大についての目途をお立てになるのか、この点について承りたいと思います。
  184. 森本哲夫

    森本政府委員 大変難しい御質問でございまして、非常に大事なことでございますが、十五兆円までは確かに御指摘のとおり一応予定をいたしております。平成年度当時には多分、相当情勢が変われば別でございますけれども、私ども運用残高といいますか、郵貯資金の残高が百五十兆見当にはならぬかな、そうとすると、その当時の一割見当を自由化対策資金として運用している結果になる状態で次のステップを迎えるということになろうかと思うのでありますが、さて、どのくらいを、その当時の情勢、つまりこれから三年、四年先の状態をどう見るかということについては、これは先生御案内のとおりでございますが、今後の金融自由化の進展の状況はどうなっているか、それから郵貯事業経営状況がこの三年間にどういうふうな展開を示すか、さらには、その当時における財投の資金需要がどういうぐあいになっているか。もう少し基本的に言いますれば、財投に対する私どもの郵貯の役割というのはその時点で、また基本的な点でどうなっているか、こんなこともいろいろ影響してまいろうかと思います。しかし、できるだけ有利な運用を図って預金者に競争のメリットを還元しなければならないというのも大きな課題でございますので、これは平成年度予算の編成時にはこの点の見通しを立てなければならない。したがいまして、平成三年の夏までには平成四年の分、それから先の分についてもある程度の見込みを立てて、ある程度の成案を得ておく必要がぜひあろうか。大変重大な御指摘だと思って今から勉強しておるところでございますが、さらにきょうの質問を機に、しっかりと行く先を見据えてまいりたいと考えておるところでございます。
  185. 木内良明

    ○木内委員 今非常に明快な答弁で、私も納得しております。  そこで、平成三年夏に平成四年以降の計画について策定をされるという内容だったわけですけれども、初年度から平成年度までは五年間ということで十五兆円の計画を立てられている。今局長答弁された平成三年末における四年度以降の運用計画は、やはり五年ずつの期間になりますか。コンクリートしてなければ結構ですけれども、大まかなところでも、お答えできる範囲で結構です。
  186. 森本哲夫

    森本政府委員 情勢が許しますれば、できるだけ長期に見通すということが大変必要だと思いますので、少なくとも五年あたりは一つのターゲットにしたいものだと考えておるわけであります。
  187. 木内良明

    ○木内委員 質疑というのは大変大事で、こうした具体的な見通しというものがはっきり出てまいりますので、こうした法案審議でありますから議論というものをこういう形で積み上げてまいりたい、自画自賛するわけじゃありませんけれども、そういうふうに思います。  この指定単運用開始時期と運用規模ということについてお尋ねします。いずれにしましても、今申し上げたことも金融情勢等の諸般の事情を勘案して早急に決めるべき問題であって、今後の対応に期待をするわけでありますけれども、今審議しております事業団法の制定によって、平成元年度から金融自由化対策資金による指定単運用が開始されるわけで、その理由は先ほど来の局長の答弁の中でも明らかですし、趣旨説明にもあったわけであります。  そこで、平成元年度は二千五百億円を予定しておるというふうに聞いておりますけれども、それでは、具体的にいつからこれが開始をされると考えてよろしいのか。  また、こうした有利な運用対象である指定単への運用というものが、今一般的な運用資金についても拡大の方向でという視点から私はお尋ねをしたわけでありますけれども平成年度以降の指定単への運用規模についてもやはり拡大の方向であるのかどうか、拡大の方向であるとすればいかなる推移をたどる見込みを持っておられるのか。二点についてお尋ねします。
  188. 森本哲夫

    森本政府委員 これは、私どももまるっきり生まれて初めての経験でございますので、正直申して、この指定単で本年度どうなるかという点についてはまだ明確にお答えができる状態にはなっておりません。  お尋ねの、いつからということでございますが、この法案を通過、成立させていただいた後、いろいろな準備で約一カ月ぐらいは必要かと思いますが、この期間もできるだけ短縮しまして、せっかく有利な運用を許していただくならば、できるだけ早い機会に着手をしたいものだと考えておりますが、およその見通しがそんな感じで、今心持ちをしているところであります。ただ、運用実態という点では既にいろいろな事例もございますが、例えば近しい簡易保険事業団では、簡保事業団で簡易保険運用をいたしておりますが、この指定単での運用利回りは五・八四%という実績を上げております。それから、年金福祉事業団というところで厚生年金、国民年金の運用をいたしておりますが、これは六十二年度資金確保事業では六・一二%、六十一年度では七・六五%という実態もございます。さらにはまた、各種民間の企業の基金、年金を運用する厚生年金基金というのがございます。これは、ここ数年大体一〇%程度の運用益を上げておると聞いておりますので、見通しはできませんけれども、相当高い利回りは十分期待できるんじゃなかろうかなと考えておるところでございます。  なお、二点目のお尋ねの、これから先をどうするかという問題でございますが、何せ初年度運用実態というものをよく見きわめる必要がございます。同時に、来年度その時点には、この夏にある程度いろいろな予測もしなければなりませんので、この予算編成のころまでに至急に、次年度以降どうするかということについては、まだ進行途中ながらある程度の見通しを立てなければならないという難しい時点になろうかと思っておりますが、できるだけ有利運用の幅を広げるという視点で指定単の範囲についても拡大をさせていただきたいな。これについても、既往、簡易保険事業団が当初三千五百億で出だして、次年度にはその残が八千億になったというような事態もございますので、こうした過去の公的年金の運用推移というものもよく見てまいりたいと考えておるところでございます。
  189. 木内良明

    ○木内委員 初年度ということで大変慎重に有利な運用をということを期待もいたしますし、先ほど郵貯の自主運用のこれまでの成果も評価を申し上げつつ言及したわけでありますけれども、ぜひとも評価されるべきいい成果をお出しになられるように御努力されるよう要望しておきたいと思います。  そこで、指定単における預託金利の計数の問題ですけれども、言ってみれば郵便貯金資金の運用においては、今回新たに、今申し上げているように指定単を通じて間接的ながら株式への運用というものが行われるわけであります。これは一面から見れば、利用者への運用益の還元を考えますと、非常に時宜にかなったことであるという評価があるわけでありますけれども、当然、今も話があったように、指定単への運用に当たっては、従来までの国債であるとか地方債、公庫公団債、金融債、元本保証のある金銭信託等の運用による実績も今までずっと出ているわけでありますけれども、これよりも高い利回りを得なければ意味はないのではなかろうか。だが、リスクがあってはいけないけれども、いわばこれだけの法律の整備を行って行うわけでありますから、期待にこたえる結果を出していただかなければならない。今回は運用の初年度ということもありますけれども指定単の利回りの目標を、今も若干聞きましたけれども、どういうぐあいに考えているのか、運用部資金の預託金利より何%程度上回る水準を目標とするお気持ちなのか、これもお答えできる範囲で結構です。
  190. 森本哲夫

    森本政府委員 先ほどから申し上げましたように、あらかじめ見通しは幾らぐらいというのは非常に困難でございますが、幸いにして既往に参考事例がある。ただしかし、過去の参考は即先行きを保証してくれるものでもございませんが、お話しのように、大体六十三年度一年間資金運用部に預託をします平均は五%弱、四・九五%ぐらいに相なっております。この原資を借り入れまして運用指定単にするわけでございますが、これが、さっき申しましたように、簡保事業団で六十二年度では五・八四%、したがって、この差が約〇・九%上回っているという形になっております。年金事業団ではこれが約一・三%近い差になっております。  ただし、これは、株式運用というものが指定単の中には重大な要素でございますが、この手のものはある年限を蓄積するということがどうしても必要でございます。債券と違いますだけに、ある年限、つまりは低い投資で得たものが、その当時の経済価格といいますか、市場価格で相当値上がりをしておる、そのときにキャピタルゲインが得られる、こういうことも大きく作用いたしますので、そうした意味合いでは、初年度とあるいは次年度とがずっと同じパターンではなくて、だんだんに積み重なっていく。また同時に、そのときの金融情勢、経済情勢ということもまた加わってまいるという意味で、今までの運用よりは相当幅がある形になろうかと思う次第でございまして、何にしてもそういうことで今、元年度運用がどういうふうになるかということを予測することは非常に難しゅうございますが、しかし、少なくとも御指摘のとおり、現在国債を中心運用しておりますよりは上回ることを大いに期待したいものだ。しかし、それも一年こっきりではなかなか結果がどうだと判定のしにくい性質のものだということもあわせ御理解願えれば幸いだなと考えるところでございます。
  191. 木内良明

    ○木内委員 それでは次に、貯金法の方にまいりたいと思います。まず初めに大臣にお尋ねします。  現在、定額貯金商品性の見直しというものが行われてきており、また、いよいよ今回民間金融機関と同様の小口MMCの販売によって、さきのマル優の廃止と相まって庶民の金融機関としての郵便局の性質というものも大きく変化してくるであろう、こういうふうに考えられます。つまり、主力商品で人気が高かった定額貯金が、言ってみればその魅力を減少させて、今後主流になるであろうと予想されるMMC、これは一般の銀行と同一商品であって、郵貯独自の魅力というものがそぎ落とされてきている傾向にある、これは否めない事実だと思います。  それに加えて、郵貯の場合は預け入れの制限額があって、民間金融機関で言うところのさまざまなメリットというものも郵貯の場合にはまだ乏しい。例えばカードローンなんかもそういうことでありますけれども、こういった点を考えますと、いわば郵貯の利用者を保護するどころか郵便局を利用するメリットがなくなってきてしまう、そういう懸念も実はするわけであります。また、郵便貯金が今度は自主運用を始めたこともあって、巷間、郵便貯金は民営化の方向であるなどと言われたりもしかねない。  そこで、午前中からも申し上げておりますように、全国山間僻地に至るまで二万数千カ所のそれこそ窓口を持っている特性あるいはまた、ほかの民間金融機関ではなかなか対応し切れない、手の届かないところまできめ細かく対応して、いわば庶民金融機関としての大きな位置づけと歴史をこれまで持ってこられたし、また職員方々努力をしてこられた。ところが実際にこのように金融自由化という時代を迎えて、申し上げたような傾向というものが残念ながら出てきてしまっている。改めて郵便貯金の性格あるいは役割というものが今問われているんじゃないかと思うのです。  今後の中長期的な郵便貯金のあり方、また庶民金融というテーマにおける位置づけを大臣としてはどのようにお考えになっておられるのか、見解を承りたいと思います。
  192. 片岡清一

    片岡国務大臣 郵便貯金は、国営事業といたしまして、あまねく公平に金融サービスを提供いたしまして社会資本整備等への公的資金を供給するなど、国民福祉の向上に大きく貢献してきたところでありますが、今仰せのとおり、今後金融自由化が進展いたしていく中にありまして、その基本的な役割は依然として変わらないものがあると考えておるわけでございます。  今後人口の高齢化の進展等、経済社会情勢の変化に適切に対応いたしつつ、また金融自由化のメリットを広く利用者に還元いたしていく方向で、国民のニーズに合致したいろいろな商品、サービスが提供できますように今後十分身を引き締めてこれらの問題に取り組んで進んでいきたい、こう考えておるところでございます。
  193. 木内良明

    ○木内委員 今回の定額貯金商品性見直しということによって、恐らくは定額貯金の占める比率というのは小さくなるのではないかと思われるのです。そこで局長にお尋ねするわけでありますけれども、この比率がどういう推移になるのかという見通しについて一点お尋ねをします。  それから、今後MMCと定額との割合は、バランスからいってどういった形が望ましいか、固定したものでなければそれで結構ですけれども、承りたい。  それからあわせて、今回創設される小口MMC平成元年度の貯金残高をどの程度と見込んでおられるのか。細かな問題ですから、三点まとめてお尋ねします。
  194. 森本哲夫

    森本政府委員 先生御案内のとおり、今百二十六兆の郵便貯金に定額貯金の占める比率は年々増大をしてまいり、かつては定額貯金は七割という時代もございました。今はほぼ九割を占める、年年これも少しずつ上がってまいっておる、こんな情勢でございまして、国民の大変な支持を受けているということは言えるわけでございますが、先ほどから話が出ておりますように、ここ二、三年急激な金利低下の時代でございまして、史上最低と言ってもいいぐらい金利が低い時代でございます。  ところで、家計の方はそうした時代に備えて大変金利に敏感で、少しでもいい金利の方へ動こうという動きが大変顕著でございまして、私どもの預貯金以外には、生命保険の一時払い養老あるいは株式投信あるいは貸付信託等のさまざまな金融商品の方へ資金が少しずつ移動を始めておるかな、こういう感じでございます。こうした中で市場金利の直接メリットを受けるという形では、私どもの郵貯にも大変大きなインパクトを与えると考えておるのであります。  ただ、定額貯金自体も、十年最長解いて、しかも預金者の必要なときがいわば満期だという意味では、大変収益性に富む、なおかつ流動性に富むという非常にユニークな商品であることには変わりはないと考えるわけでございまして、この辺は資金の使途あるいはそのときの家計の状態ということで随意に選択していただくということで、私ども営業の基本は、お勧めの基本はそういうことにならざるを得ないかな。そういう意味では、このシェアがどの程度になるかという二点目のお尋ねは非常に予測が難しゅうございまして、私どもいろいろなことも試算はしてみたのでございます。しかも、先ほど申し上げましたが、このスタートは本年度六月で一部始めて、十月に全部そろう。その後限度額の引き下げを、来春に参りましたらぜひ実現を図りたいという決意でおります。こうした情勢がどういう影響を与えるかということもなかなか予測は難しゅうございまして、先生お尋ねのように現在明確に、どんなふうになって定額がどのくらいになるかということを、残念ながら今申し上げさせていただく状況にはないということでございます。  ただ、平成元年度には、MMC、それから定額貯金も、ともには、基本的には定期性預金、通常貯金に見られるような流動性預金ではないわけでございますから、お客様の嗜好がこれまで定額を選ばれた。しかし、その中でより有利なものあるいはそのときの家計の状態ではMMCを選ばれるということであれば、トータルとして見ればこれは一つの予測は可能ではないかということで、平成元年度、MMCと定額とを含めまして、予算上の目標額といたしましては一兆二千百億円という予測は立てております。もちろんこれは予算上の問題でございますので、実際は、さっきも申し上げましたが、前年度一兆五千億、純増は確保できておりますので、そうした意味合いではこの予算は十分上回ることができるのではないかということでございます。
  195. 木内良明

    ○木内委員 関連して一点。定額貯金の見直しということについてお尋ねします。  さきの記者会見か何かで奥山次官が発言されたようでありますけれども、定額貯金の見直しはこれで済んだと考えておるという発言があったようですが、これに対して民間の金融機関の方では、部分的手直しにとどまっており、引き続き見直しを要望する、こういう主張も報道されておるわけであります。私は、民間が言うところの部分的手直しにとどまっている云々ということは、言いかえれば今よりも商品性を改悪しろということに等しいのじゃないかと、うがった見方をすれば受けとめざるを得ないのですけれども、この奥山次官の発言も踏まえつつ、定額貯金の見直しは終わったと考えてよろしいのかどうか、端的な答弁で結構です。
  196. 森本哲夫

    森本政府委員 定額貯金商品につきましては、六十一年六月の行革審答申におきまして、「定額貯金等の郵便貯金商品性については、経営の健全性の確保、金利自由化の進展等を踏まえ早急に見直すとともに、市場金利連動型貯金の導入を検討する。」こういう指摘がございまして、さらに追っかけて六十三年、新行革審の答申にも同じ趣旨がうたわれておる、こういうことでございます。  今回、小口MMCの発足について、どういう形態のMMCにするかについてはさんざん議論を重ねたところでございますが、その過程でも定額の貯金扱いについていろいろな議論があったわけでございます。端的に申せということでございますが、最終的に私どもの立場としては、そういう議論に対して、今回定額の商品について見直しは終了した、つまりは市場金利ができるわけでございますので、その市場金利をにらみながら、定額の商品性については金利がうんと高騰したときには市場金利よりおくれて動くあるいは金利が異常に低下したときでも歯どめをつけるということで長期安定的商品として位置づけし直したということで、見直しは終わったというふうに考えておるところでございます。
  197. 木内良明

    ○木内委員 非常に明快な答弁で、了解いたしました。  それから、小口MMCの最低預入金額の引き下げの問題ということについてお尋ねしますが、先ほど来の質疑を聞いておりまして、たしか田並先生のときでしたか、私はっきり記憶してないので申しわけないのだけれども、十万円という金額をおっしゃいましたかな。今の最低預入金額が三百万円ということが予定されているわけでありまして、これは言わずもがな、三百万円では庶民には到底手が届く額ではない、必ずしも小口ではない、こういうことが言えると思うのです。確かに日銀の貯蓄広報中央委員会調査によれば、一世帯当たりの貯蓄保有額が三百万円以上ある世帯が七割を超えていて、これは生命保険や債券貯蓄も加えた額であって、しかもストックベースの問題がある、こういうことが言えると思うのであります。そこで、小口MMCの最低預入金額を考える場合には、庶民が一度にどれくらいの額を貯金できるかという、あくまでも消費者、利用者の立場に立った物の考え方が必要であり、しかもフローベースで物を考えていくことが必要であると思うのです。  きょうあつた答弁を繰り返していただく必要はありませんけれども、より小口MMCをすべての国民が利用できるようにするためにその最低預入金額というものをもっともっと引き下げる必要が当然あると思うのですが、部内での検討の経過でも結構です、現在三百万だけれども仮に、十万というのはにわかに極端だとしても、数年中には、あるいは近い将来にはこれを二百万なり百万あるいは五十万というぐあいに検討が進んでいて、関係各方面との調整も行っているとか、具体的にそうした内容の報告をいただければと思います。
  198. 森本哲夫

    森本政府委員 大口のMMCは三千万円でございました。次に刻みましたのは二千万円でございます。その次一千万円になって現在に及んでいるわけでありまして、そうしたステップを踏んできたことを考えますと、ようやくたどり着いた三百万を、百万と私ども言っておりますが、これには正直言って相当の抵抗があることは覚悟しております。しかし、来春ごろにはぜひ実現を図りたいものだということで今いろいろ議論を重ねておる過程で、もちろんまだ確定に至らないのはまことに残念なうらみでございますけれども、そういう決意で今臨んでおるということでございます。さらに、それより先がどうなるかということについては、今申したような情勢でまた非常に抵抗も多かろうと思いますが、当初私どもが申しました線は百万どころではなかったわけでございますし、百万に実現した次のステップとしてできるだけ早期にまた次のステップに移りたいと考えておるところであります。
  199. 木内良明

    ○木内委員 先ほど田並委員質問のときに、私もこの委員会に出たり入ったりしていましたのではっきりしないのですが、今百万の次のステップとして十万と出たわけなのでしょう。確認の意味でお聞きします。
  200. 森本哲夫

    森本政府委員 十万と申しましたのは、当初一千万を小口にするといったときに、我々の最終のターゲットは十万だということを申し上げたわけで、その過程では、いや一千万単位に刻んだのだからやるのなら七百万だあるいは五百万だという議論が当時あったということを申し上げたくて十万ということを申し上げたわけでございます。したがいまして、次のステップは幾らかということは非常に困難を伴いますが、最終はそのくらいの目標の覚悟で当たりたいということでございます。
  201. 木内良明

    ○木内委員 極めて率直なお尋ねをするわけでありますけれども小口MMCの金利は現行の貯金に比べてどの程度有利になるか、これは皆さんが率直に知りたいところだと思うのです。どんな見通しですか。
  202. 森本哲夫

    森本政府委員 法案が成立しましたならば実施をお願いしようとしております小口MMCの基準の金利は、御案内のとおり、いわば大口の預金、平均しますと大体三億円見当になろうかと思いますが、そうした大口の譲渡性金利をベースにいたしまして、それから一定のスプレッド、これは小口にいたしますためにどうしても金融機関としての手間暇がかかることでございますが、それでも規制金利よりは高くあるはずだ、こういう状態で一定のスプレッドを引くという想定のもとに今準備を進めているわけでございます。  そうした前提でごく最近、例えば五月二十四日という日を選びまして、きょうがその日でございますが、おととい、さきおとといというような今までの平均をもって試算を仮にいたしますとするならば、一年物では、この計算式によりますと金利は三・八九%ということになります。今の一年物の定期預金は、郵便局でも提供いたしておりますが、これが三・三九%ということでございますから、仮の話でございますが、そういう計算をすると〇・五%の開きがあるということに相なるかと思うのであります。
  203. 木内良明

    ○木内委員 この小口MMCの導入は、預金者にとっては確かにサービス改善ということになるわけですが、ちょっと質問の切り口を変えて、逆の面で事業経営にとりましてはその分だけコストがアップすることになってくるのはやむを得ないと思うのですけれども、その対策としてこれまで郵政省が検討されてきた具体策というものはどんなものであるのか、お尋ねします。
  204. 森本哲夫

    森本政府委員 先ほど申し上げましたような形でMMCの利用が深まるにつれて、その部分だけコストのアップになってまいります。そのコストに支弁をできる事業でなければ、これは事業として赤字になるあるいは提供が不可になるということで郵貯の利用をいただけないということになるわけでございますので、私どもとしては、まずこのために資金の運用においてできる限り有利な運用を図るということで、数年前から準備をいたしておりました郵便貯金金融自由化対策資金としての運用でメリットを上げる、さらには今回お願いしております指定単という方でさらに有利な運用対象を加えてこの利率のアップに備えることといたしたい、こういうことで現在法律改正をお願いしておるところでございます。
  205. 木内良明

    ○木内委員 それから、今度は振替法の関連ですが、一、二だけお尋ねをします。  現在、この手数料には三%の消費税分が内税として転嫁されているわけでありますけれども、仮にこの消費税が撤廃されたとすると、私はその撤廃に向けてまさに精力的に活動しているわけだし、これからもそういう環境づくりの後に撤廃をしたい、こう思っているわけですが、そうしますとこの部分の料金分というのは為替法の十七条及び振替法十八条、この条文によって当然減額されるものである、こう考えるわけであります。この点についてはどうでしょうか。
  206. 森本哲夫

    森本政府委員 今回の改正では、限度額を法定していただいた上で省令で具体的料金を定めさせていただく、その過程でできるだけ簡素化を図る、そうした中で、今問題になっております消費税相当分については、お客様に御負担願わなければならないというつもりでおるところでございますけれども、今のお尋ね、まことに仮定の質問ということのお話しにもなるわけでございますし、また私ども政府の一員としても大変お答えのしにくい問題ではございますけれども先生法律を御引用なさったとおり、これも、消費税というのも一つのコストでございますので、一般論として言いますならば、もし負担すべき費用が軽減されるということになりますれば、その部分の料金の引き下げは可能になるというふうに考えるところでございます。
  207. 木内良明

    ○木内委員 最後に、郵貯資金の地方還流の問題、ちょっと問題がバックするようで恐縮ですけれども、一問だけお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。  この郵貯資金の運用対象への運用、これはどんどん拡大をすべきだと考えますけれども、一方、郵便貯金の資金というものは全国各地から集められたものでありまして、したがって、その資金は地方への還流にも十二分以上に配意する必要がある、こう考えておりまして、私は本委員会でたびたびにわたってこの点の要請と指摘をしてきているところなんですけれども、今後郵政省としてどう取り組んでいかれるか、また、これまでの地方還流への対応についての経過をお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。
  208. 森本哲夫

    森本政府委員 具体的には、地方還流の方法として地方公共団体への貸し付け、現在は地方債の購入はできるわけでございますが、直接の貸し付けば認めてはおらない、それと地方が行います第三セクターへの出融資について、郵便貯金運用としてお願いを申し上げたいということで要求をしたんでございますが、最終的にはこれは不調に今終わっております。その理由は、こうした融資というものは政策的出融資である、したがって郵政省の要求している金利自由化対策資金でやるには、これは本来有利運用をねらったものではないのか、資金の使途が違うのではないか、こうした議論がございまして、残念ながら政府部内の意見の一致を見ることができなかった。  私どもとしては、やはり御指摘のように資金の還元という意味では、ぜひひとつ今御提案申し上げているような形の方途をとりたいと考えているところではございますが、確かに有利運用の観点からは、今こういう厳しい情勢でありますだけに、そしてMMCを初め、預金者の期待にこたえなければならぬという側面もございますので、なお有利運用の方法等については検討すべき余地が残っておるわけでございますが、基本的な精神としては、地方の振興にどうお役に立てるかということについてはさらに幅広く検討してまいりたい、そしてまた何らかの形で今後研究を続け、実現の運びになればと考えておるところでございます。
  209. 木内良明

    ○木内委員 以上で終わります。
  210. 畑英次郎

  211. 木下敬之助

    ○木下委員 金融自由化対策資金運用及び簡易保険郵便年金福祉事業団業務特例等に関する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案並びに郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法律案、この三案を一緒に質問をいたします。  まず、金融自由化対策資金平成三年までふやしていく、こういったことは決まっているようですが、平成年度以降の運用計画、どのように考えておられるのか、お伺いいたします。
  212. 森本哲夫

    森本政府委員 御案内のとおり、平成年度までは決まっておりますが、その当時にはこの運用の残高全体は十五兆円ということを予定いたしております。多分、そのころに郵貯の現在高は相当大きな変動がなければ百五十兆前後にはいっているのかな。そうすると、その当時はほぼ一割相当額をこの自由化対策資金に運用しているという実態になります。  それ以降どうするかということは、今すぐ見通し立てるのはなかなか困難でございます。しかし、平成四年にはもう具体的にそのところを明らかにしなければならないわけでございますので、平成四年、つまりはそのための準備として平成三年の夏にはある程度、それも平成四年以降のある程度の長期間を見通して対処しなければならない。その際には、やはり基本的に郵貯資金のありようといいますか、そうした意味合いで財政投融資の資金需要がどのくらいあるか、あるいはその当時の金融の全体の情勢はどうなっているか、我が郵便事業自体の経営がどうなっているか、ここ両三年非常に厳しい動乱期を迎えますので、こうした点を十分勘案しながら御指摘の問題にこたえてまいりたい、今から研究を始めたいと考えておるところでございます。
  213. 木下敬之助

    ○木下委員 指定単運用する額、これはことしは二千五百億ということですが、今後はどのように増加させていくのか、こちらの方の見通しの計画もお伺いいたします。
  214. 森本哲夫

    森本政府委員 今後と申しましても二つ区切りになるかな。つまり、さっき申しましたように、平成年度までは全体の資金枠が決まっておりますので、その中で指定単にどれだけ振り向けるかという問題が一つございます。その後は、先ほども申しましたように、その全体の像を描いてその中で指定単をどうするかというのはまた次のステップになろうかと思いますが、そうした意味合いではこれからまた詰めなければならぬ課題が多々ございます。  これについては、まず、初年度でございますので、次年度についてはこの実態をぜひ見きわめる必要があるかと思います。ただ、これを決めるのは、この夏ごろにある程度の予測を立てなければならぬという難しい情勢でございますが、ぜひその運用実績を見たいという点が一点ございます。それから、公的資金で、私どもが今回踏み切りましたのは、いろんな運用をいたしておるわけですから、それの推移というものも大いに参考にはさせていただかなければならぬ。そういう意味では、簡易保険事業団が当初三千五百億で出して次年度には五千億をプラスして八千五百億でやったというようなことも一つの参考になろうか、こうした点を踏まえて研究をいたしたいと考えておるところでございます。
  215. 木下敬之助

    ○木下委員 できるだけ有利に運用をして、またそれの成果を配当するということを考えていかれるわけですが、指定単以外にも何か有利な運用考えるべきだと思いますが、具体的なものはございますでしょうか。
  216. 森本哲夫

    森本政府委員 まだこの指定単、今、法案をお願いしておる段階でございまして、成立すればできるだけ早くこうした新たな分野にチャレンジをしたいと思うわけであります。ほかの公的機関を再々引き合いに出して恐縮でありますが、そういうところも、この指定単に、相当この内容をいわば重点的に運用しておるという実態でもございますので、やはり指定単に十分を尽くすということが、当面我々に与えられた大きな課題だと思います。  ただ、金融は生き物でございますので、その他の分野はないかということでございますれば、これは例えば今の金融市場において、CP、コマーシャルペーパーだとかあるいはいろいろな私募債でありますとかオプションでありますとか、そんなものが市中に、機関投資家が安全な対象として運用もいたしておりますので、こうした点は、この指定単を充実した上でなお広く研究する余地があるかなというふうに考えておるところでございます。
  217. 木下敬之助

    ○木下委員 この秋には完全自由金利の大口定期預金の最低預入金額が一千万円まで下げられる予定だと聞いておりますが、一千万円以下の小口預貯金金利の完全自由化についてはどのように考えておられるか、お伺いいたします。
  218. 森本哲夫

    森本政府委員 先生御案内のとおり、大口の定期は現在一千万まではもう自由化になっておるわけでありますから、この次はこの一千万をどこまで下げるか、こういう問題かと思いますが、これは大変大きな課題郵政省としても大変重大な関心を持っておるわけでございます。  ただ、一つここで気になりますのはアメリカの自由化の事例でございまして、結局は完全自由化ということになりますれば、この競争のメリットが大変上がりまして、その自由化の恩典に浴する人が出ます反面、完全自由化によって、採算の合わない過疎地の店舗を閉めたりあるいはいろいろな手数料を新たに要求するというような事態も生まれておりまして、場合によっては小口預金者に対して一部不利な現象が出てくるという側面もなしとしないということでございますので、私どもとしては、自由化は望ましいわけではございますが、そうした点に十分配慮して、小口預金者の利益の確保が第一義だという前提に立った上で、完全自由化の方向に向けて取り組みをすることが大変大事だな、ただそれまでは、当面過渡的な形にはなりますが、市場金利を連動させるMMCを一日も早く、国民だれもが利用できる状態にまで持っていくことがまず先決だろうと考えておるところでございます。  、
  219. 木下敬之助

    ○木下委員 そのような金利の自由化だけでなくて、これからは業務面、制度面も含めたいわゆる金融自由化が本格化すると考えられますが、金融自由化についてメリット、デメリットをどう考えておられるか、お伺いいたします。
  220. 森本哲夫

    森本政府委員 ちょっと御答弁に入ります前に、先ほど大口の自由化について若干間違えた可能性があるかと思いまして、ちょっと御訂正させていただきますが、現在二千万円までは完全自由化で、この秋には一千万円になることが確定しておる、こういうことでございますので、訂正させていただきます。  そこで、今お尋ねのメリット、デメリット、先ほども若干触れさせていただきましたけれども、やはり自由化というのは、あらゆるところが勢いがそういう形で進んでおるわけでございますが、この金融自由化に関します限りは、長い間規制状態にあった中で競争原理を導入しようということでございますので、その限りにおいては有効競争が促進でき、預金者がそのメリットに浴せるということは大変喜ばしいことだ。またその過程でいろいろな商品が開発されて、預金者のニーズに本当にこたえていくというメリットは確かに大変大きいものかと思うのでありますが、ただ、競争が非常に厳しくなりますので、そうしますと、民間金融機関としては、よりこれまで以上に収益重視、収益第一ということに陥る可能性があるわけであります。そうした意味で、経営効率化という視点から、不採算店舗の閉鎖とかあるいは新たな手数料の徴収とかそうしたデメリット、個人サービスがある部分においてはデメリットを来す懸念ということも十分出来し得るものということは考えておかなきゃいかぬかなと考えておるところでございます。
  221. 木下敬之助

    ○木下委員 欧米主要国における金融自由化の進捗状況をどう考えておられますか。
  222. 森本哲夫

    森本政府委員 どうも私ども金融の問題の専門家ではございませんが、ただ、この金融自由化は大きく分けて二つ考えられるようでございまして、一つは金利の自由化、もう一つ業務自由化、いわば業際の自由化とも言っていいと思うのですが、大ざっぱには二つになろうかと思います。  これはお尋ねの欧米諸国で、まず金利の自由化につきましては、アメリカでは一九八三年でございますので、もうこれで六年前になりましょうか、ここで定期の預金金利は完全に自由化されました。そして一九八六年には、もう定期預金及び貯蓄性預金も含めて完全自由化が実施されておる、こういうふうに承知をいたしておりまして、アメリカでの金利の自由化はもう終わった。  ヨーロッパでは、特にドイツがかれこれ二十二年前にもう預金金利の自由化を果たしておりますし、イギリスでも一九七一年、フランスでも現在、三カ月以上の定期預金金利については自由化になっていると承知をいたしております。  もう一つの問題でございます業態の自由化業務自由化でございますが、アメリカでは現在、銀行と証券の業務の境目の問題で、銀行が証券業務に参入規制が緩和できるかという議論が連邦議会でなされておるようでございます。アメリカは一九二九年の例の大恐慌の後の反省として、銀行業務と証券業務とを原則分離していこうということで、御案内のとおりグラス・スティーガルというアメリカの銀行法でございますが、これが成立してその後かれこれ五十年たっている。ここらでひとつ自由化を図りたいという機運にあるようでございます。  ヨーロッパでは、もともと銀行と証券の間は垣根なしというようなことでございますが、今度ECの統合を迎えて、その中でのまた自由化ということが議論になっているようでございまして、いずれにしても、もう既に欧米諸国では両面において相当自由化が進展いたしておりますので、我が国においても遅かれ早かれこうした情勢は押しかけてまいるなと考えているところであります。
  223. 木下敬之助

    ○木下委員 おっしゃるとおり、金融自由化は我が国においてもますます進んでいく、こういう方向にあると考えておりますが、その金融自由化を先ほど、メリット、デメリット両面と、このように答えておられます。その状況の中で、郵便貯金はどのように金融自由化に対応していくのか、この点についての考えをお伺いいたします。
  224. 森本哲夫

    森本政府委員 郵便貯金も各種金融機関と伍していくわけでございますから、大いに競争には立ち向かってその利益をお客様に返さなきゃならない、これは一つのポイントでございます。  同時に、先ほどから出ております、民間金融機関は収益重視ということでさまざまな不利な側面を預金者にもたらす懸念があるわけでございますが、幸い私どもは営利を目的といたしておりません。全国あまねく金融サービスを国営機関として提供しょう、こういう立場にございますので、これから予想されますデメリットの部分、影の部分、これにやはり私どもは正面から立ち向かっていって、こういう自由化の時代における預金、貯金サービス、金融サービスの低下を極力防止する、そういう役割が我々に与えられた役割ではなかろうか。なかなか難しい課題でございますが、そうした観点に立ってこれから事業運営にいそしんでいかなきゃならない、こういうふうに考えているところでございます。
  225. 木下敬之助

    ○木下委員 考え方はわかりました。わかりましたけれども、民間も自由化する中で競争がある、その競争に対応していくために、金利等が上がったり、いろいろな点が預金者にとって有利になっていく方向もあるが、営利を追求すると預金者にとってマイナスの面も出る、このような話で、それは民間が営利を追求するからというより、幾ら営利を追求しても効率的にすることによって出てきたものを預金者に返していく、そのことがまた競争に勝っていくということであれば、これは一般の人にとってはかなりいい方向での競争の原理が働いていく、こういうふうに思えると思います。  そういう中で、営利を目的としたものでない郵便貯金事業であることは当然でございますが、競争の中でできるだけ有利なものをしていくということでやっていく努力は一緒でしょうから、営利を追求しなくて済む分がただ単純に全部一般に返っていくとすれば、一般との競争というものは一体どのようになるのであろうか、そういう心配もあります。また、そういう心配がないとするのであれば、民間も国がやるものも、営利ではないといっても効率のことは考えながらやっていっているんだから、言葉で営利を目的としていないだけで、実際の行動は同じようなことをやっていかなければならないのではなかろうか、そういうふうな感じがいたします。だから、金融自由化にどう対応していくかというのは、今後の大きな流れで、それにどれだけのものを対応していかなければならないのかというところも本当にぎりぎりまでやらなければならない状態だろうと思いますので、今後いろいろと御検討をお願いしたいと思います。  それで、そういう官民のいろいろな競争という面も含めまして、このMMCは官民同時にスタートするわけですが、郵貯と民間、お互いに独自性を発揮できるというのは、そういう部分があるのでしょうか、お伺いいたします。
  226. 森本哲夫

    森本政府委員 御指摘の、競争によって、つまりは市場金利を小口の金利に及ぼすということについてどういう形が一番いいのかということについては、もともと金融機関の経営姿勢というものがございまして、大変いろいろな見解があったわけでございます。同じ銀行の中でも、規模の大小、それから業態の内容によってさまざまな意見がございました。また、私ども官業としての立場からもそれなりの独自の考え方も持っておったわけでございますが、昨年の暮れに最終的に、いろいろな議論の末、小異を捨てて大同につこう、そうしないと預金者がいつまでも議論ばかりを待つ結果になるということで今回のMMCの出発が予定されているわけでございまして、そういう意味では、その議論を乗り越えるために、官民、その民の中でもいろいろな意見があっても、全部同じ内容の商品の提供にいたそうじゃないかというコンセンサスがこの出発点でございます。したがいまして、MMC自体については官と民、あるいは民の中でもいろいろな機関が提供する姿勢に特別差はない、こういうふうに考えられると思います。  ただ、私ども郵便貯金は、先ほどからも御議論がございますように、定額貯金は幸い、金融機関からの議論が大分ありましたけれども温存することができたわけでございますので、私ども郵貯としましては、この市場金利が導入できるMMC、さらに長期、安定的な商品として御活用いただける定額貯金、こうしたものをお客様の本当の選択にたえ得るように提供できる、また提供していかなければならない。そういう意味では、これまで以上にこの郵便貯金がいわばライフコンサルタントといいますか、家計の御相談に本当に乗れる形でこういう商品を活用させていただきたい。先生のお尋ねでいけば、そういう点が私どもの特色になろうかと考えているところでございます。
  227. 木下敬之助

    ○木下委員 同じものでやろうということで同時にスタート、こういう御答弁でございますけれども、これは金額の単位とか期間とか金利とか、例えば中途解約するとか乗りかえるとかいろいろな条件を含めて、郵貯と民間とでは全く条件に差がない、こういうことですか。
  228. 森本哲夫

    森本政府委員 そこで差が出ますと、またどっちが有利だ、どっちが不利だという議論で果てしなくなりますので、基本的には同一のものにいたそうということでございますので、基本的には差はない。  ただ、技術的なことで恐縮でございますけれども、この中途解約の利子計算方法については、郵便貯金は月割りを採用いたしておりまして、民間は日割りということになっております。これは、私どもの定額貯金が月割りという原則にいたしていますからやむを得ないことでございますが、こういう微細な部分を除けばということでございまして、基本的にはコンセプトとしては同一かと考えておるところでございます。
  229. 木下敬之助

    ○木下委員 勉強不足で申しわけないのですが、全く一緒というのは何か法律的に枠をはめられているのですか、それとも申し合わせですか。
  230. 森本哲夫

    森本政府委員 具体的なことを申せば、民間金融機関を監督いたします大蔵省の銀行局と官業の私ども貯金局との間で去年の夏に合意を見た内容を、それぞれ必要なステップで具体的な措置に移そうということで、郵貯については今お願いしております郵便貯金法の改正、民間は現在、臨金法というのがございまして、臨時金利調整法のもとにおいてこのMMCの金利をある特定のやり方で公示をしてスタートする、こういう構えになっておりまして、手段方法は当然のことながら違いますが、中身は同一にしようということで現在準備をしておる、こういうことでございます。
  231. 木下敬之助

    ○木下委員 少しわかるのですが、とにかく大蔵の方が銀行のことをやって、貯金局の方で話したとおりで、それぞれが法の整備をしてやる。その法を整備してやった後はもう差をつけることができないように双方法律で縛ってしまうのか、それともそういう法律だけではなくて話し合いで決まった部分で縛っておるのか、その辺もうちょっとちゃんと教えてください。
  232. 森本哲夫

    森本政府委員 双方の合意をもとに、それを要求される手段に応じながら具体化していこうということでございますので、根っこは合意でございますから、もし今後、今想定されているMMCがもう少し先行きの金融情勢の中で変更する必要があるというときにはまた合意をしながらやっていく。しかし、いわばさっきから申しておりますようにこういった過渡的商品でございますので、一方で、先生お尋ねのような完全自由化の問題も出てまいりますので、これと両方にらみながら、MMCの定着状況あるいは完全自由化との問題、その兼ね合いの中で現行のMMCも将来はいろいろな姿になってまいろうか、こういうふうに考えておるところでございます。
  233. 木下敬之助

    ○木下委員 自由化ということでやっておる中でいろいろな競合があるから、そういう中からメリットが一般国民にも広がっていく、そういう原則だろうと思います。今の話だと、何か話し合いで決めて、その範囲からは一歩も出ない。しかも、その話し合いが一番の現場のところではなくて、郵貯の方は現場の代表でもある方がその交渉に当たるのでしょうけれども、大蔵省というのは銀行そのものではないですから、何かどこでどう調整して今後も考えていかれるのかわかりませんけれども、今お伺いした範囲では、非常に重要な部分であろうとは思いますが、自由化と公正な競争とかを考える場合の一番いい点で調整をしているとは思えないので、大いに前向きに取り組めるようにやっていただきたいと思います。  もう大体時間になりましたので、あと二つほど申し上げたいことを申し上げておきます。  一つは、こういう状況の中で七百万に限度額を上げるということですが、この七百万の限度ももう必要ないとなっていくのではなかろうかと思います。  その点と、またこの枠の外に住宅積立郵便貯金、これが五十万円の限度でしょう。この限度額も少ないような気がします。こういったもののアップや、もともと枠をなくしていくという方向についてはどう考えておられるかお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  234. 森本哲夫

    森本政府委員 先ほど来の私の説明が不十分でありましたら十分自戒をいたさなきゃならぬと思いますが、長い間規制でがんじがらめになったところを自由化しようということでございますので、その規制緩和の程度についていろいろ議論を始めて、具体的な実施の段階になって、次は完全自由化の世界だ、こういうステップだということを御理解賜りたいと思います。  七百万の問題については、端的に言えば撤廃しろという御議論も確かに傾聴すべきところではございますが、私どもの官業、国営の事業として、青天井でいいという議論はなかなか貫徹しにくいのかな、それよりも、そのそもそもの議論よりは、この限度額をできるだけ市民が困らないように、利用者が十分便益を受けるような形で改善していくことが当面の課題かなと思っております。  さらに、もう一つお尋ねの住積の問題でございますが、幸いにしてこの点については昨年夏以降の折衝におきまして、平成元年予算では十七年ぶりに、五十万円の住宅積立貯金をしていただければ二百七十五万の割り増し貸し付けを受けることに相なりました。これは制度発足以来初めてでございますが、ただ、御指摘のとおり、今日の地価高騰の状態ではこれで満足というわけにまいりませんので、この五十万の積立額をもっと数倍にふやし、それを限度に、また今のように、五・五倍になりますが、そのぐらいの貸し付けが受けられるような工夫をぜひいたしたいと考えているところでございます。
  235. 木下敬之助

    ○木下委員 終わります。
  236. 畑英次郎

    ○畑委員長 佐藤祐弘君。
  237. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 最初に、金融自由化対策資金運用に関する問題でお聞きをいたします。  郵便貯金は、一昨年のいわゆる自主運用、それから利子非課税制度の廃止以来、姿が変わってきつつあるというふうに受けとめております。また、まあ郵便貯金だけではなくて金融事業そのものといいますか、相互乗り入れでありますとかお互いに垣根を低くするというようなことが進行してまして、金利についても大口については既に自由化されるといったこと、それは進行している。それから、郵便貯金事業そのものにつきましても、国債の販売でありますとか自主運用への進出、そういった点で、従来の姿からはかなり民間並みの事業に手を広げていっているということが特徴だろうというふうに思うのです。  そこで、改めてお聞きしたいと思いますのは、こういう状況の進展の中での郵便貯金事業の存在意義というのですか、存在理由、そういうものについてはどういうふうに考えておられるか、お聞きをしたいと思います。
  238. 森本哲夫

    森本政府委員 申すまでもないところでございますが、郵貯事業は国営事業でございまして、したがいまして、サービスの基本といたしますところは、あまねく公平に国民に必要な金融サービスを提供する、そしてその資金を社会資本の整備に役立てるという、国民福祉の向上に無視できない大変大きな役割を果たしてきた、この点は自負もいたしておるところでございますし、今後ともこの基本の役割に変わりはないと考えておるわけでございます。  ただ、今日の金融自由化が、御指摘のとおり大変激烈なものになってまいりました。ところが金融自由化というのは、メリットもございますけれども、逆にデメリットもございます。私どもとしまして、むしろ大いに自由化を促進すべきだという立場からこれまでも主張してまいったのでございますが、この自由化によって競争が起きる、その有効競争が利用者に返る、これはいわばこの競争の光の面だと考えておりますが、こうした形で全体が動き出しますと、民間の金融機関はケースによっては、部分的な形になるとは思うのでございますけれども、場合によっては採算に合わないところの切り捨てということも起こり得る。そうした中で、私ども、本来与えられた役に照らしてみて、いわば自由化の影の部分というのを正面立って受けていく、そういう基本的な役割を担っておる点に照らしてみてその役割は大変大事になるということで今後の自由化に対応してまいりたい、こういうスタンスで対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  239. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 大臣にお聞きしたいと思いますが、一昨年から自由化対策資金という名前で自主運用が始められたわけです。ことしで三年目になりまして運用資金は七兆五千億円になっております。二年後には総額で十五兆円になるということで進んできているわけですが、平成年度以降は運用資金はこれでもう十分だとお考えか、もっと引き続き資金をふやしていきたいという方向でお考えか。大臣はどう考えておられるのか、その点ちょっとお聞きをしたいなと思います。
  240. 片岡清一

    片岡国務大臣 金融自由化対策資金運用規模は今後も、平成元年度で三兆円、二年度で三兆五千億円、三年度四兆円と、だんだんと増加し、平成年度末の運用残高は十五兆円となる予定でありますことは御承知のとおりでございます。  それで、平成年度以降の運用規模につきましては、今後の金融自由化の進展状況、郵便貯金事業経営状況、財政投融資の資金需要等を総合的に勘案いたしまして、拡大の方向について検討をいたしていきたいと考えております。
  241. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 郵便貯金の持つ意義については局長から答弁もありました。やはり何といっても大事なことは、郵便貯金法で定められておるように、簡易で確実な貯蓄の手段として、あまねく公平に利用できる、これが大事だ。同時に、そういう国民から集めた資金を社会資本といいますか、公共の役に立つように使っていくということがやはり主な大事な要素だというふうに私たちも思うのです。  ところで自由化の問題について、いろいろメリット、デメリットの御説明がありましたが、納得できないところも幾つかあるわけです。大きく考えまして、本来は社会資本の整備でありますとか、もっぱら公共的なものに運用されるべきだということは基本だと思うのですね。それに対して自主運用ということでいろいろ進められてきている。これはいわば財テク、社会一般で言われておりますような財テク的な要素もあるわけですね。そういう点では、そういう方向を進めていくことは本来の郵便貯金事業のあるべき姿に反するのではないかというように私は考えておるわけです。ですから、前回の郵便貯金法の改正にもそういう点で反対をしたということなのです。それがさらに今回のこの改正案では、運用対象の枠の拡大ということが出てきたわけであります。いわゆる指定単、単独運用指定金銭信託の運用を図っていこうということであるわけですが、これは非常に危険だなというふうに私は思っておるのです。  お尋ねしたいのは、念のためにでありますが、この指定単には元本保証というのはあるのでしょうか。
  242. 森本哲夫

    森本政府委員 指定単は、信託の委託者というものが受託者である信託銀行に対しまして、ある金銭の運用対象を指定しまして、そしてその信託銀行にその指定の範囲内で運用の裁量権を認める。信託銀行は受託しました金銭を他に区別したり、あるいは一緒に合同してやる場合は合同でございますが、指定単の場合は単独でということで運用する金銭信託でございますので、その限りにおいては元本の保証はございません。
  243. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 元本の保証はないということですね。やはりここは大事な一つの問題だと私は思うのですね。  今回の提案が、要するに事業団に寄託してということになっている。郵便貯金法の改正として提案されなかったのはどういう理由からでしょうか。
  244. 森本哲夫

    森本政府委員 先ほどから先生の御指摘もございますが、私ども好んで財テクをやったということではございませんで、金融自由化が押し寄せてきて、このまま、規制金利のまま小口の預金を温存しておくとならば、大口の預金者が金利自由化のメリットがもらえるのに、小口の預金者はその恩恵に浴さない。それで小口にまで自由化を及ぼすべきである。そうとすると、その原資をどこかで手当てする必要がある。現在の財投制度ではその部分は期待できない。その一部をもって市中で有利な運用を図りたい。こういうことで金融自由化対策資金の自主運用を始めたわけでございます。  そういう意味で、さらに経験を重ねてみますと、もっと有利な方法がある。それがまさに先ほどお話しの指定単でございますが、しかしお尋ねのように元本の保証はございません。したがって、これを直接国で運用するということは、そうした事例もございませんが、国民年金とか厚生年金とかそうした公的年金、これは既に指定単運用いたしております。これは年福事業団、年金福祉事業団でございますが、あるいは簡保事業団でも簡易保険の資金を運用いたしております。そこで、私どもとしてはそうした適当な特殊法人がございませんので、国自体ではだめだけれども特殊法人なら可能だということで簡易保険事業団に委託をして、そしてその運用益を預金者に還元したい、こういうことでお願いをしておるところでございます。
  245. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 いろいろ御説明ありましたが、要するに、貯金運用でそこへ還元してくるということでありながら貯金法の中には盛り込むことができない問題点があるということは、やはり一つはっきり言えるのだろうと思うのです。  資金運用部資金法の第一条でも、郵便貯金等の資金を「統合管理し、その資金を確実且つ有利な方法で運用することにより、公共の利益の増進に寄与せしめること」というふうにうたっておる。要するに、国民から預かったお金でありますからまず確実でなきゃならぬ、公共の利益の増進に役立つということでなきゃならぬということなんですね。だから、こういう趣旨からいいますと、自主運用の必要性を強調はされましたけれども、私はやはり大変疑問を感ずるわけです。結局、元本保証がないというのは、そういう点では非常に不安定な、危険なものを包含しているといいますか、そういうものでありますから。しかも公益的な事業、企業の株式ではなくて一般の株式等に投資していくという形にもなるわけですね、運用実態としては。ですからそれは貯金ではやれない、だから事業団ということでやらしていく、そのために新しい法律の提案がなされたということだろうと思うのです。  結局、これは国そのものがやるやり方としてはふさわしくないのだということになってくるわけですよね、そうでなければ貯金法の資金運用の条項の改正をすればいいわけでありますから。その点どうですか。
  246. 森本哲夫

    森本政府委員 資金運用で国の資金の従前の運用と同一範囲のものは既にもう郵貯法で運用いたしております。ところが、現下の情勢を見るとさらに自由化が進展するわけでございますので、その預金者に還元すべき金利を有利運用を図るにはどうするかというので、先ほど来御説明いたしますとおり、公的資金としても国民年金、厚生年金、簡易保険、こうした資金が指定単運用されておるわけであります。その指定単運用はすべて特殊法人を通じてやっておる。これは先生指摘のとおり、元本保証がないゆえをもって、国の金を元本保証のないものに直接運用するわけにいかないが、特殊法人を経由することによってその運用益を国に還元するというやり方ならば現行法で問題ないということになっておるわけであります。そこで、私ども簡易保険事業団にお願いしますのは、簡易保険事業団は従前その役割は持たないわけでございますので、簡保事業団に新たにそういう機能を特例として付加する、そういう趣旨で新法をお願しておる、こういう趣旨でございます。
  247. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 一昨年の簡易保険郵便年金福祉事業団法の改正でそういうことがやられたということがあります。その際も私たちは反対の態度だったわけです。いずれにしましても、大変危険性を持つものであるという点で、こういうやり方はあり方に反するということを申し上げておきたいと思います。  次に、為替・振替法の改正であります。  問題は二つあると思うのです。まず一つは、問題の消費税を為替・振替の手数料に転嫁するということ。これはきょうの質疑でもいろいろありましたけれども、四月一日に実施されました消費税につきましては圧倒的多数の国民が廃止を望んでいるという状況で、私たちも廃止を主張しているということであります。そういう点で、まずこういう転嫁をする改悪には賛成できない、我が党は反対であるということを申し上げたいと思います。  それから具体的な問題ですが、内税としてこれを手数料に乗っけていくわけですが、例えば案を見ますと、普通為替の場合、百万円の場合、上限の金額は四百九十円になっております。これの消費税分と手数料分の内訳はどういうふうになるのでしょうか。
  248. 森本哲夫

    森本政府委員 為替・振替法の改正の趣旨については御理解いただいておるかと思いますので重複は避けたいと思うのでございますけれども、現在すべての料金が法定になっております。これを何とか機動的な形で料金設定ができるようにお願いしたい。しかし、無条件にということには既往の経過に照らしてみて問題があろうかと思います。  そこで、八段階になっておる部分を三段階に整理して、それぞれの段階の最高限は法律でお決めいただく、それ以下については、民間との競合だとかお客様へのサービスの動向をにらみながら、随時具体的に私どもの方で決めさせていただきたい。  そこで、お尋ねの百万円までの普通為替は、現在料金四百八十円でございます。私ども事業郵便事業と同様に消費税を負担しなければならない立場にある事業でございますので、四百八十円の三%、消費税相当分を上乗せいたしまして、御指摘ございましたように端数整理をいたしますと四百九十円になります。この四百九十円を最高限として、それをまた三分割いたしまして、ちょうど四百九十円の三分の二に相当します三百二十円、そしてその半分、つまり全体の三分の一相当金額は百六十円でございますので、これでお願いをしよう。これが法定のお願いする部分でございまして、実際の料金は、この法定の限度において従前の料金実態を、トータルを動かさないで、区分が八だとか六だとか刻みになりますから、その限りにおいて利用実態を見ながら加重平均をいたしまして、具体的料金を定めさせていただこう。これは本法案を通していただいた後、郵政審議会にお諮りした上具体的な料金を決めさせていただこう、こういう段取りに相なっておるということでございます。
  249. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 三段階にして簡素化するということですね。  具体的に見ていきますと、三段階に簡素化するというのは、結局少額の方が負担増になるということになってくるのですよ、実際問題としては。例えば上限の方でいきますと、電信為替で百万円以下という場合は、現行は千円ですね。今度の改正案では千三十円と、まさに消費税分だけを上乗せした案が出ているわけです。ところが、額の少ない方で見ていきますと、普通為替が一番ポピュラーかと思いますが、五千円の場合、手数料はこれまで五十円だったわけですね。一万円で百円ということだった。今度の改正では一万円以下というふうに一括しまして、百六十円が上限ということになるわけですね。  そうすると、上限の範囲内でこれから決めていくのだということでありますが、仮に上限いっぱいだとしますと、五千円の普通為替をやった場合には三倍強にもなるという、少額のものは手数料が大幅にアップするという傾向になってくるわけですね。そうじゃないですか。実際に、そのように少額の場合は三倍以上も値上げになるというのが出てくる。上限というか、百万円とか額の大きい場合は、この改正案を見ますとほとんど値上げにならない、消費税を込めても余り値上げにならないというつくり方に改正案はなっているのです。さっきの百万円の普通為替の場合でいいますと四百八十円になった。三%を掛ければ四百九十四円四十銭ですが、むしろ四円四十銭分は切り捨てて十円だけの値上げにしているということですね。そういう点で、簡素化ということで、簡素化一般に反対するわけではありませんが、その結果、特に少額利用者については料金の値上げになるということになっておるわけですね。そういう点でも大変問題があると思うのですが、そういう点はどう考えていますか。
  250. 森本哲夫

    森本政府委員 個々の具体的な金額でわかりにくい話になりますのであれですが、要するに刻みをなるたけ大づかみにしますと、ある部分は値上げになりますが、ある部分は値下げになるということはどうしても不可避でございまして、もしこれを嫌うとするならば、現行の刻みをもっと刻んだ方がより公正になるというような議論にもなりかねないわけでございます。民間の金融機関、私ども同様の送金サービスでございますが、これは物にもよりますが、大体三万円を上限、下限として、三万円以下か以上かということでやっているわけでございまして、今回の簡素化についても私どもも大分気が動いたのでございますけれども、何せ六段階、八段階のものを一挙にやりますと今御指摘のような問題が起きます。  そこで、最小限お許し願える範囲でということで今回の措置を講じたわけでございます。確かに少額の部分は上がります。しかし、例えば現行の一万円から五万円の為替を送ります場合百八十円ですが、これが新料金では二百円ぐらいを今予定いたしております。ステップとしてはこれから詰めなければならないのですが、例えばの話でおわかりにくうございますが、五万円から十万円送るときは現行料金二百八十円になっておりますが、これを同じ段階に入れますと二百円になってしまう。そういう意味で上がったり下がったりします。しかし、個人の送金者というのはそのときそのときの事情でいろいろな金額を送られることになるだろうから、特定の部分だけを送る、それしか利用しない、あるいは高額の人は高額しか送らない、現実の社会生活ではそういうものでもなさそうでございますので、これはそのときそのときの送金金額で、トータルとして簡便になるということでぜひ御理解を賜りたいと考えておるところでございます。
  251. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 上限の額しかなくて具体的な案というのは出されていないのですからなかなか議論しにくい要素もありますが、どうも少額の方が値上げになるという感じがするのですね。そういう点でもこの改正には賛成できません。  大体時間が終わりになってきましたので最後に、郵貯の改正、いわゆる小口MMCの問題。これもさんざん議論がありました。そういう商品については国民の要望もありますので、私どももこの改正には賛成であるということを申し上げて、終わります。
  252. 畑英次郎

    ○畑委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  253. 畑英次郎

    ○畑委員長 金融自由化対策資金運用及び簡易保険郵便年金福祉事業団業務特例等に関する法律案及び郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法律案の両案に対し、日本共産党・革新共同から討論の申し出がありましたが、先ほどの理事会で協議の結果、御遠慮願うことになりましたので、さよう御了承願います。  郵便貯金法の一部を改正する法律案に対する討論の申し出はありませんので、各案について直ちに採決に入ります。  金融自由化対策資金運用及び簡易保険郵便年金福祉事業団業務特例等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  254. 畑英次郎

    ○畑委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、郵便貯金法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  255. 畑英次郎

    ○畑委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  256. 畑英次郎

    ○畑委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  257. 畑英次郎

    ○畑委員長 ただいま議決いたしました郵便貯金法の一部を改正する法律案に対し、白川勝彦君外三名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。白川勝彦君。
  258. 白川勝彦

    ○白川委員 ただいま議題となりました郵便貯金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     郵便貯金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、この法律の施行に当たり、為替貯金事業をめぐる厳しい諸情勢に適切に対応するため、次の各項を実現するよう積極的に努めるべきである。  一 金利自由化の恩恵を広く国民が享受できるよう、市場金利連動型郵便貯金の最低預入金額を早急に引き下げるとともに郵便貯金を含む小口預貯金金利の完全自由化の早期実現を図ること。  一 今後とも国民の健全な資産形成に資するため、郵便貯金の預入限度額の一層の引上げを図ること。  一 郵便貯金資金を地域の振興、生活環境の整備拡充等に活用するための運用対象の多様化及び運用規模の拡大など資金運用制度の一層の改善・充実を図ること。  一 多様化する国民のニーズに適切に対応するため、個人貸付制度の改善・充実を図るとともに長寿社会に対応した商品を早急に開発し提供すること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明は省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。  以上であります。(拍手)
  259. 畑英次郎

    ○畑委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  260. 畑英次郎

    ○畑委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、片岡郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片岡郵政大臣
  261. 片岡清一

    片岡国務大臣 慎重なる御審議をいただきまして、ただいま金融自由化対策資金運用及び簡易保険郵便年金福祉事業団業務特例等に関する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案及び郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法律案を御可決いただきましたことに対しまして、厚くお礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重なる御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の為替・貯金事業運営に当たり御趣旨を十分に尊重いたしたいと存じます。まことにありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  262. 畑英次郎

    ○畑委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  263. 畑英次郎

    ○畑委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  264. 畑英次郎

    ○畑委員長 次に、放送法及び電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府より趣旨の説明を聴取いたします。片岡郵政大臣。     ―――――――――――――放送法及び電波法の一部を改正する法律案    〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  265. 片岡清一

    片岡国務大臣 放送法及び電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  人工衛星の無線局により行われる放送の円滑な実施に資するため、受託放送事業者及び委託放送事業者に関し所要の措置を講ずるとともに、受託国内放送をする無線局の免許に関する規定を整備し、あわせて、放送番組の収集、保管等の業務を行う法人に関し所要の措置を定めるほか、日本放送協会の業務の委託等に関する規定を整備しようとするものであります。  次に、法律案の概要を申し上げます。  まず、放送法の一部改正の内容でありますが、その第一は、日本放送協会に関する事項についてであります。  日本放送協会は、一定の業務については、みずから定める基準に従う場合に限り、その業務の一部を委託することができることとしております。また、監事は、その職務を行うため必要があるときは、子会社に対し、営業の報告を求めることができることとし、子会社が遅滞なく報告を行わない等のときは、報告を求めた事項に関し子会社の業務及び財産の状況を調査することができることとしております。  第二は、受託放送事業者に関する事項についてであります。  受託放送事業者は、委託放送事業者から、その放送番組について放送の委託の申し込みを受けたときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならないこととしております。また、受託放送役務の提供条件について一定の提供条件を定め、その実施前に、郵政大臣に届け出なければならないこととするとともに、郵政大臣は、その届け出られた提供条件が委託放送業務運営を阻害していると認めるときは、受託放送事業者に対し、当該提供条件を変更すべきことを命ずることができることとしております。  第三は、委託放送事業者に関する事項についてであります。  委託放送業務を行おうとする者は、一定の基準に適合していることについて郵政大臣の認定を受けなければならないこととしております。また、郵政大臣は、委託放送事業者がこの法律またはこの法律に基づく命令もしくは処分に違反したときは、三カ月以内の期間を定めて委託放送業務の停止を命ずることができることとし、委託放送事業者が当該命令に従わない等のときは、委託放送業務の認定を取り消すことができることとしております。  第四は、放送番組センターに関する事項についてであります。  郵政大臣は、放送の健全な発達を図ることを目的として設立された公益法人であって、放送番組を収集し、保管し、及び公衆に視聴させること等の業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、全国に一を限って、放送番組センターとして指定することができることとしております。また、放送番組センターは、放送事業者に対し、放送番組センターが放送番組の収集に必要な限度において定める基準及び方法に従い、放送番組に関する情報の提出を求めることができることとしております。  その他所要の規定の整備を行うこととしております。  次に、電波法の一部改正の内容についてでありますが、これは、受託国内放送をする無線局に関する事項でありまして、受託国内放送をする無線局の免許を与えない事由を定めることその他所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律は、平成元年十月一日から施行することとしておりますが、放送番組センターに関する放送法の改正規定等については公布の日から、日本放送協会の監事に関する放送法の改正規定については公布の日から起算して三十日を経過した日から施行することとしております。  以上が、この法律案提出いたしました理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げる次第でございます。
  266. 畑英次郎

    ○畑委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  次回は、明二十五日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十一分散会      ――――◇―――――