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1989-03-23 第114回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年三月二十三日(木曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 畑 英次郎君    理事 島村 宜伸君 理事 白川 勝彦君    理事 虎島 和夫君 理事 前田 武志君    理事 町村 信孝君 理事 田並 胤明君    理事 木内 良明君 理事 木下敬之助君       井出 正一君    小澤  潔君       粕谷  茂君    久野 忠治君       古賀  誠君    佐藤 守良君       園田 博之君    田名部匡省君       深谷 隆司君    吹田  愰君       穂積 良行君    森  喜朗君       阿部未喜男君    伊藤 忠治君       上田 利正君    松前  仰君       鳥居 一雄君    阿部 昭吾君       佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 片岡 清一君  出席政府委員         郵政政務次官  谷垣 禎一君         郵政大臣官房長 松野 春樹君         郵政省通信政策         局長      中村 泰三君         郵政省放送行政         局長      成川 富彦君  委員外出席者         文部省生涯学習         局学習情報課長 飛田 眞澄君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     池田 芳蔵君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    島  桂次君         参  考  人         (日本放送協会         技師長専務理         事)      中村 好郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   小山 森也君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   植田  豊君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     高橋 雄亮君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     遠藤 利男君         参  考  人         (日本放送協会         総合企画室総合         企画局長)   郷治 光義君         参  考  人         (日本放送協会         予算部長)   中野 正彦君         逓信委員会調査         室長      辛島 一治君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十三日  辞任         補欠選任   瓦   力君     古賀  誠君   穂積 良行君     井出 正一君 同日  辞任         補欠選任   井出 正一君     穂積 良行君   古賀  誠君     瓦   力君     ――――――――――――― 三月六日  金融自由化対策資金の運用及び簡易保険郵便年  金福祉事業団業務特例等に関する法律案  (内閣提出第二四号) 同月十四日  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第四三号)  郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法  律案内閣提出第四四号)  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第二号)  簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第四六号)(予)  郵便年金法の一部を改正する法律案内閣提出  第四七号)(予) 同月七日  NHK放送受信料免除措置存続に関する請願  (亀岡高夫君紹介)(第三四号) は本委員会に付託された。 三月十三日  NHK放送受信料免除措置存続に関する請願 (第三四号)は、「亀岡高夫君紹介」を「松永光 君外一名紹介」に訂正された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第二号)      ――――◇―――――
  2. 畑英次郎

    畑委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先立ち、この際、謹んで御報告申し上げます。  長らく本委員会委員として御活躍をされておりました亀岡高夫君が、去る三月十三日、逝去去れました。まことに哀悼、痛惜の念にたえま崎ん。  ここに、委員各位とともに、故亀岡高夫君の御冥福を祈り、謹んで黙祷をささげたいと存じます。  御起立をお願い申し上げます。――黙祷。     〔総員起立黙祷
  3. 畑英次郎

    畑委員長 お直りください。御着席をお願い申し上げます。      ――――◇―――――
  4. 畑英次郎

    畑委員長 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 畑英次郎

    畑委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  6. 畑英次郎

    畑委員長 趣旨説明を聴取いたします。郵政大臣片岡清一君。     ―――――――――――――  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認   を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  7. 片岡清一

    片岡国務大臣 昨年士百に郵政大臣を拝命いたしました片岡清一でございます。よろしくお願い申し上げます。  それでは、ただいま議題となりました日本放送協会平成年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由につきまして御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣意見を付して国会提出するものであります。  まず、収支予算につきまして概略を申し上げます。  受信料につきましては、現行カラー契約月額千四十円を千七十円に改める等の改定を行うほか、新たに衛星カラー契約月額二千円などの衛星料金を含む受信料を八月から設定するなどとしております。  一般勘定事業収支におきましては、事業収入は三千九百十四億三千万円、事業支出は四千五十六億九千万円となっておりまして、事業収支におきます不足額は百四十二億六千万円となっております。  この不足額につきましては、長期借入金をもって補てんすることとしております。  一般勘定資本収支におきましては、資本収入は八百九十五億七千万円、資本支出は七百五十三億一千万円となっております。このうち、建設費として、衛星放送継続に必要な設備整備老朽の著しい放送機器更新整備等のために、五百六十一億円を計上しております。  また、債務償還に必要な資金百七億六千万円につきましては、長期借入金をもって補てんすることとしております。  次に、事業計画につきましては、その主なものは、全国あまねく受信できるよう、テレビジョンにおいては、衛星放送継続に必要な設備整備を取り進め、ラジオにおいては、中波放送局及びFM放送局建設を行うこと、視聴者の意向を積極的に受けとめ、公正な報道と豊かな放送番組を提供すること、国際放送につきましては、受信改善に努めること、受信料負担の公平を期するため、新受信料体系定着受信者開発に努め、受信契約増加受信料の確実な収納に努めること等となっておりますが、これらの実施に当たりましては、要員削減等業務の合理的、効率的運営を徹底することとしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等について、慎重に検討いたしました結果、平成元年度の事業運営に当たって特に配意すべき四点の事項を示した上で、おおむね適当なものと認め、お手元に配付されておりますとおりの意見を付することといたした次第であります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどをお願い申し上げる次第であります。
  8. 畑英次郎

    畑委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長池田芳藏君。
  9. 池田芳蔵

    池田参考人 それでは、委員長の御指名によりまして、日本放送協会平成年度収支予算事業計画及び資金計画について、御説明を申し上げます。  ただいま議題となっております日本放送協会平成年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。  平成元年度の事業運営に当たりましては、極めて厳しい財政状況にあることを十分認識いたしまして、一層収入増加業務効率的運営を徹底することにより、現行受信料をさらに据え置き、視聴者の要望にこたえて、放送全国普及とすぐれた放送実施に努め、公共放送としての役割を果たしてまいりたい所存でございます。  衛星放送経費につきましては、衛星放送受信される方々に新たに負担をお願いすることといたしまして、本年八月より衛星受信料を設けさせていただきたいと思います。  次に、平成元年度の主な事業計画について御説明申し上げます。  建設計画につきましては、衛星放送継続に必要な設備整備を行うほか、老朽の著しい放送設備等の取りかえを実施することにいたしております。  国内放送におきましては、夜間を中心に多様な番組を新設するとともに、特別編成を随時、集中的かつ機動的に実施するなど、公正な報道と豊かな放送番組の提供に努めてまいりたいと思います。  また、衛星放送につきましては、その特質を生かした国際情報中心に魅力のある番組を編成して、一層の普及促進に努めることとしております。  国際放送におきましては、放送を通じて国際間の理解と親善に寄与するとともに、海外中継を拡充いたしまして、効率的な受信改善に努めることとしております。  契約収納業務につきましては、新受信料体系定着受信者開発に努め、受信契約増加受信料の確実な収納を図ることといたしております。  一方、調査研究につきましては、番組視聴状況等番組調査と、新しい放送分野技術開発研究放送技術発展のための基礎研究を推進いたしまして、その成果を放送に生かすとともに、広く一般にも公開することとしております。  以上の事業計画実施に当たりましては、経営全般にわたり、業務効率化を積極的に推進し、要員について、年度内に三百四十人の純減を行い、給与につきましては、適正な水準を維持することといたしております。  これらの事業計画に対応する収支予算につきましては、事業収支収入総額三千九百十四億三千万円を計上し、このうち、受信料については、三千六百四十一億二千万円を予定しておる次第であります。これは有料契約総数において、四十五万件の増加を見込んだものでございます。  これに対し、支出の方は、極力圧縮に努め、国内放送費など支出総額を四千五十六億九千万円にとどめておりますが、以上によってもなお生じる事業収支不足は百四十二億六千万円でありまして、これは借入金をもって補てんすることといたしております。  また、本年度債務償還のために必要な財源百七億六千万円についても、借入金により措置することといたしております。  次に、資本収支につきましては、支出において、建設費五百六十一億円、放送債券償還など合わせて総額七百五十三億一千万円を計上し、収入には、これらに必要な財源及び事業収支不足に充当するため、減価償却資金借入金など合わせて総額八百九十五億七千万円を計上しております。  最後になりましたが、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金需要及び調達を見込んだものでございます。  以上、日本放送協会平成年度収支予算事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営に当たりましては、協会事業視聴者負担する受信料により運営されていることを深く認識して、一層効率的経営を目指すとともに、すぐれた放送実施いたしまして、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございます。  委員各位皆さんに御協力と御支援をお願いいたしまして、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げる次第でございます。  ありがとうございました。
  10. 畑英次郎

    畑委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  11. 畑英次郎

    畑委員長 これより質疑に入ります。  この際、去る十二月十四日の本委員会における日本放送協会昭和六十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書審査の際、ハイビジョン開発費に関し、日本放送協会小山専務理事答弁誤りがあり、これを訂正いたしたいとの申し出があります。この際、発言を許します。小山専務理事
  12. 小山森也

    小山参考人 発言の機会をいただきまして、委員先生方並びに委員長に深く感謝申し上げます。  去る十二月十四日、当委員会における木下敬之助先生の御質問にお答え申し上げました内容につきまして、一部誤りがございましたので、ここにおわび申し上げますとともに訂正させていただきます。  前回審議の際、先生の、NHKにおける研究開発あり方に関する御質問に関連いたしまして、ハイビジョン開発に要した累積経費を、今の価格で約八百億円から一千億円と申し上げましたが、これは私の思い違いでございました。  NHK昭和三十九年、ハイビジョン開発に着手して以来これに要しました経費の累計は、今の価格に直しますと約二百億円程度でございます。改めておわび申し上げるとともに、以上訂正させていただきます。  どうもありがとうございました。
  13. 畑英次郎

    畑委員長 小山専務理事発言に対し、木下敬之助君から質疑申し出がありますので、これを許します。木下敬之助君。
  14. 木下敬之助

    木下委員 ただいま小山専務理事から、さきの六十年度決算のときの私の質問に対する答弁数字訂正されました。これは議事録を読んでみますと、「約二十年来の累積で、今の価格に直しますと約八百億から一千億かけておるわけでございます。そういたしますと、やはり私たちの願望としては、そういった世界にない特許料というような収入には大いに期待したいと思います。」このように言われておりまして、約八百億から一千億と言われた数字を約二百億とこんな大幅に、しかも表現も、八百億から一千億という形の表現がこれは二百億の思い違いであったと言われても、はいそうですかと言うわけにはまいりません。  まず最初に申し上げておきたいことは、NHK国民とは受信料で結ばれておる、それを国会審議において我々が国民の代表としてきちっとつないでおるということを忘れないでください。決算とか予算で、まして数字で間違える、こういう姿勢でこの審議に臨んでおるということは言語道断ですよ。国民が聞いたらどのくらい怒るかわかりません。いいですか、特に我々は賛成とか反対は、この審議を通じて納得すれば賛成し、納得できなければ反対するというのが当然です。その審議で最も大事なものはやはり数字です。お金に絡んだ数字がこんなに間違うというのは、我々が採決そのものをもう一度やり直しを当然要求のできるほど大きな数字でございます。このことをまず最初にきちっと申し上げておきます。二度とこういうことのないようにしていただきたい。  もう一つ申し上げます。かつて私がNHKの「シルクロード」の制作費について御質問申し上げたときも一度間違った答弁をされて、その後訂正をされました。そのときにもきちっと申し上げました。私において二度目でございます。これはまさにゆゆしき問題です。会長、まさに腹を据えてかかっていただきたいと思います。そのことをまず申し上げたい。  もう一点申し上げたいことは、この言葉にございますように、「そういった世界にない特許料というような収入には大いに期待したいと思います。」こう言われております。これは私は、八百億から一千億ならなるほどそうだろう、世界に例はないと思いますが、二百億ということになりますと、私は勉強不足でございますが、これは本当に世界に例がないのかなという気持ちを持ち得ます。もう少し前に戻ってまいりますと、もともと池田会長の御答弁の中で、私がお伺いしたときに、このNHK聴視料で成り立っているけれども、それを上げないようにするためにもほかで稼がなければならない、そこで、それにはハイビジョンというものがあるじゃないか、これを大きなところへ、例えば十億ドルで売れば三千五百億、これは換算の間違いで、十億ドルの方で考えましたときで一千二、三百億円、だからそういうものを売ってと、このようにハイビジョンを売るときにそのくらいの数字を思われておる。私は、小山専務理事もそれまでかかったのが八百億から一千億と言うから、ああNHKというのは大体かかったぐらいのものを何らかの形で取ろうとしている。かつては開放していくと言われたけれども、こういう状況の中でかかったものの回収を図るというのですが、さっきのところを二百億に戻しますと、二十年間二百億、今のお金に換算しても二百億というものを例えば十億ドル、これは三千五百億は別にしまして、一体NHKというのはどういう基本的な考えで回収していこうと思っているのか。二百億円のものを千二、三百億円で売ろうと、まるで暴利をむさぼろうとしている。かつて研究費にそんなにかけていいのかという問題が起こったときに、何ぼかけてもNHK公共放送としてその得た技術を公開しますということで、我々は長い審議に賛成してきているのですよ。それをここでひっくり返すだけでも、あまつさえ五倍も六倍もで売ろうという考え方は、根底的にNHK基本姿勢を私ども国民とともに考え直さなければならない。これだけの重要な問題を含んだ訂正でございますから、二度とこういった形の訂正をされないような慎重なる答弁をということを申し上げ、今の問題についてきょうの質疑でとてもできると思っておりません。まさに過去の質問の例も含めて、基本的にNHKが集積した技術を今後どう考えているかという根本問題にまでさかのぼって、しかと修正しないでいい答弁ができるように用意してかかってください。  ということで、委員長、私は、これだけの修正を申し出られたのですから、その問題に対しての質疑の時間は十分にいただきたいと思いますので、後日の質問の時間をお約束いただきまして、まずはきょうの審議、次に進んでいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  15. 畑英次郎

    畑委員長 ただいまの木下君の御指摘に関しましては、さような取り計らいを委員長においてさせていただきたいと思っておりますので、本日は御了解を願いたいと思います。
  16. 木下敬之助

    木下委員 よろしくお願いします。
  17. 畑英次郎

    畑委員長 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件につきまして、質疑申し出がありますので、順次これを許します。園田博之君。
  18. 園田博之

    園田委員 平成元年度のNHK予算編成、大変厳しい状況でもありますし、いろいろな意見が出てくるだろうと思います。  まずは基本方針をお聞きしなければならぬわけですが、今回の予算内容、特に国民皆さん方に充実した番組をしかも公平に報道しなければならぬ、こういう責務を負いながらいろいろな中身の充実を考えておられるようです。国際放送とかハイビジョン研究もございますし、衛星放送のことも多々あるかと思いますが、しかしながら、こういう予算を提案されてどうしても一番気になるのは事業収支バランスということでございまして、事業収支百四十三億円ですか、赤字という予算になっておるわけでございます。この事業収支をどうやってバランスさしていくかということも、経営効率化という意味で大変重要なことでございますが、基本的にバランスをとるためにどういう対策を、余り細かく言う必要はありませんが、大体こういうことでバランスをとるために経営効率化をしていくのだというところをちょっと説明していただきたい。会長、よろしいですか。
  19. 高橋雄亮

    高橋参考人 御質問にお答えいたします。  先ほど会長補足説明の中にありましたように、平成元年度のNHK財政事情は大変厳しいものがございます。そういう中でどういうように企業運営をするのかということでございます。  まず一つは、私どもといたしましては、できるだけ収入増加を図ってまいりたいというふうに考えております。これまで年間の受信契約増加を四十三万件ということできておりますが、平成元年度においてはこれを四十五万件にふやし、さらなる努力をしてまいりたいということを考えております。そのほか、副次収入その他についてもさらなる努力を図り収入の確保をまず図りたい。  一方、経費の節約を、協会業務全体を見直し、より効率的、合理的な運営を図ることによって収支を償ってまいりたいと思っております。しかし、先ほど会長からも御説明がありましたように、なお財源不足がございますので、一部資産売却をこれに充てたいということで、総合的にはトータルの収支を合わせたいというふうに考えておるわけであります。  以上であります。
  20. 園田博之

    園田委員 余り自信のありそうなお話じゃないので、これは大変だなという気がいよいよするわけでございまして、資産売却ども計画しておられますから、百四十三億円分の赤字とはいいましても、実質的には単年度収入支出バランスを見ますと、それ以上、恐らく四百億近くになるのですかね、それぐらいの赤字が出ますから、これからのことを考えますと相当大変なことでもございますし、相当きめ細かに経営効率化をやっていただかなければならぬと思うわけです。  さて、今度の予算書には、当然大臣意見というのがついているわけでございまして、先ほど大臣からも、元年度予算は妥当であるというふうにおっしゃいましたが、厳しい現状を認識して総合的な経営計画を策定するとしなければならないということも、また大臣はおっしゃっておられるわけでありまして、少しこれからのことも考えて、NHK経営あり方について中長期的に考えていかなければならぬことも多いと思うのですね。その辺のことをちょっとまたお答えをいただきたいと思います。
  21. 島桂次

    島参考人 先生指摘のように、NHK財政状態は大変な局面に至っているというふうに、深刻に私は受けとめております。その上、情報化社会ニューメディア時代、これから放送技術中心に我々の仕事はかなり多角的にいろいろな展開をしなければいかぬ、まさにいろいろな面で大変な時代になってきております。ことし、平成年度予算、今御審議願っているわけでございますけれども、これは平成元年度だけではなくて、これから三年、五年、七年間、公共放送として生き残るために我々は何をしなければいかぬかということを、今真剣に考えております。  さしあたって平成元年度につきましては、先ほど会長高橋理事から説明したとおりで一応進みますけれども、私はこの年度中にも、さらに我々の経営努力を重ねると同時に、これから五年、七年という期間にわたって我々がこれから先何をし、どうやっていかなければいかぬかということをこの四月以降真剣に考え、少なくとも秋ごろまでには国会を通じまして国民皆さん方に、新しい情報化時代の新しい公共放送を構築するために、どういう仕事をやり、どういう経営を推進するかということについて、鋭意これから真剣に検討を重ねるということを今考えておる次第でございます。
  22. 園田博之

    園田委員 基本的には、確かに少し時間をかけてでもやはり真剣に御検討いただき、そしてまた真剣にいろんな意見を聴取することも大切じゃなかろうかと思うのですね。  さて、大臣に御就任いただいて初めて質問をさせていただきますが、今回のこのNHK予算ですね、予算についてのお考え方は先ほどお聞きをいたしたわけでございますが、特に今後の経営ということもございますから、ひとつ郵政大臣として、NHKの今の経営あり方、どういう評価をし、また今後どういうふうに指導されていくのか、その辺のことについて大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  23. 片岡清一

    片岡国務大臣 先ほどから質問また答弁の中にございましたように、非常に厳しい状態にございます。NHKの財政は、本当に平成元年度の収支予算において二百五十億の収支不足額、この手当てを借入金によることとしておりますこと等、引き続き非常に厳しい財政状態にあるわけでございます。  そこで、NHKとしては、この厳しい状態を深く認識をせられて、まず事業運営の刷新、また効率化を徹底して考えていただかなければならぬ、そして受信者負担受信者の要望にこたえて公正な報道と豊かな放送番組の提供に努めて、公共放送としての国民の期待にしっかりとこたえていってもらわなければならないと考えておる次第でございます。
  24. 園田博之

    園田委員 私の時間も二十分しかありませんので、余り同じことで申し上げると、あとの聞きたいことがまた時間がなくなってしまいますが、いずれにせよこういう厳しい状況で、私は大臣の所見あるいはNHK側の副会長のお話をもう少し新たなといいますか、今までも経営効率化をやってきておるわけですから、こういう本当に厳しい状況ですから、何かこれはというものをちょっと聞きたいなという気がしたのですが、そういうものもあるいは御検討されているのかもしれません。ひとつ、今までとはまた気持ちを変えて、本当にこれは厳しい状況ですから、今までが真剣じゃなかったとは言いません、また、会長も期待をされて会長に御就任をいただいたわけでありますから、新聞なんか見てみますと期待外れとかなんとかいう新聞記事も出ておりまして、そういった意味では期待外れとは言ったって、これからまだ期待が残っておるわけですから、ひとつ期待にこたえるように経営効率化を進めていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。  次に、平成元年度に新たに衛星放送というものを放送料金として設定をされたわけでありまして、決してこれは国民一人一人にとっては少ない金額でもございませんし、これはこれで大変な問題であろうと私は思うのです。そして問題は、やはり料金を取るにふさわしい衛星放送ができるのかということもまた片っ方では大事だろうと思うのですね。NHKさんで発表しておられる中には、衛星放送番組を充実をさせていくんだというようなコメントも一部出ておりますが、現段階でどういうものを考えておられるのか、できましたら御説明をいただきたいというふうに思っております。
  25. 島桂次

    島参考人 衛星放送につきましては、一年半ばかり前から独自サービスを始めまして、いろいろ実験、試行錯誤的に今一チャンネルを使ってやっておるわけでございます。当然、あの内容のままこの八月から料金をいただくということになりますと、御指摘のように本当に金が取れる放送になるかということを、これは私も、今までもやってまいりましたけれども、非常にこれから重要な課題だというふうに考えております。  私もつい最近、アメリカ、ヨーロッパを回りまして、もちろんNHK自身のつくる放送素材もございますけれども、かなり全世界にはすぐれたニュース、報道、スポーツあるいはエンターテイメント、これはぜひ日本の国民に見ていただきたいというものも多々あるわけでございます。当然のことながら、今総合、教育テレビ、我々やっておりますし、民間放送は五つキーチャンネルがございまして、いろいろな放送を出しております。ただ、地上の今まで見られたような同じようなものをまたやったんでは、これは当然のことながらわざわざ衛星放送をやるあれがございませんので、我々は、NHK自身のつくる素材も含めまして、全世界的な規模において、必ず皆さんの御期待に沿えるような放送を少なくとも六月か八月ごろから本格的に組み直してやるということで、今鋭意全力を挙げてその準備に入っている段階でございます。
  26. 園田博之

    園田委員 これも確かに八月からでございますから実施に当たって慎重な御検討が必要なんでしょうが、しかし、やはり料金を取るわけですから、もう少し具体的に視聴者皆さんにも、こういうものを今考えておりますよとわかりやすいように、料金を取るに当たってはそういう御説明も必要かと思うのですね。きょうは時間がありませんからこれ以上お聞きしませんが、機会あるごとに、衛星放送の今のNHKの検討の中途、中途でも結構ですから、そういうものを発表していただくことも必要かと思いますから、ぜひ八月を待たずに大体固まりましたらその都度お知らせをいただきたいというふうに思います。  それからもう一つは、私が一番気になっておるのは難視聴対策というものでございまして、私は熊本の天草というところに住んでおりますが、確かにNHKということを考えれば、ほとんど私のところでもNHK放送が聴視できないという地域はないのですね。ですからNHKさんは、わずかに幾つかの地域で残っているでしょうから、これを一〇〇%カバーできるように、ひとつ衛星を利用して御努力をいただくとして、むしろこれから私が聞きたいのは郵政省の方なんですが、今郵政省では、難視聴地域世帯が民放でも四十万世帯でしたか、というようにしょっちゅう言っておられるのですが、これは民放も何局もありますから、どれかは見られるという意味だろうと思うのですね。  ところが、例えば熊本で言いますと民放が三局ございまして、確かにそのうちの二局はNHKとほぼ同じ本数の中継塔が立っておりますから、NHKと同じようにどの世帯でも受信ができるのですね。ところがこの三局目の方は、たしか私の記憶では、NHKとほかの民放二局が中継塔が八十本から八十一本かなんか立っていたと思いますが、このもう一つの局は三十一、二本しか立っていないのですね。これは三十一、二本でも熊本県内のほとんどの世常をカバーできますから、経営効率を考えるとすれば当たり前なのかもしらぬのですが、しかし、全然見えない、あるいはほとんどざらざらしてよく受信できないという地域がこのためにかなりの数残っているのですね。それで私は、その民間放送局にも立ててくれというような交渉をしておるわけですが、金もかかるし、ローカル局ですからそれほど基盤が強いわけじゃございませんから、なかなかそう簡単に立てられない。せいぜい御協力を申し上げても年間に一本か二本立てられればいい方ですかねという回答しか出てこないのですね。これは経営というものがありますからある程度私もやむを得ないと思うのです。そこで、熊本県やらあるいは市町村やらに協力を求めながら、一本でも二本でも困っている地域には中継塔を立ててもらうように今交渉しているのです。  しかしそれにしても、民放とはいいながら、放送というものは民放にもやはり公共性というものがございまして、どの人も見る権利があり、それだけの条件を整えてやらなければいかぬわけでありまして、国としても何らかの援助策を考えてもらいたいというように思っているのですが、それについて郵政省として、完全に日本から難視聴地域をなくすという方向に向けてどういう方策を今考えておられるのか、その辺のことをまずちょっとお聞きをしたいというふうに思います。
  27. 成川富彦

    ○成川政府委員 先生のお話がございましたように放送格差があってはいけないわけでありまして、できるだけ民放の難視聴地域についても解消を図っていかなければいかぬということで従来から指導してきているところでございます。NHKと民放間の格差、それから民放の先発局と後発局との格差、中継局の置局の格差、これが先生がおっしゃるようにいろいろとございます。そういうことから、中継局の置局を促進するように民放に対して一層今後とも指導していかなければならないというふうに思っておりますが、経営状況等からいたしまして、先生からお話がございましたように、なかなかそう簡単には置局がどんどんいくというスタイルではございません。したがいまして、国としてもある程度支援措置を講じて置局格差が是正されるように努力していかなければいかぬというふうに思っておりまして、昨年も税制の面で先生方にも御支援いただきましてやったのですが、実現に至りませんでした。地方債等の措置とか財政投融資の特利を受けられるような措置とかいうような手だてを講じまして、できるだけその難視聴解消ができるように努力していかなければならないというふうに思っております。  しかしながら、難視聴地域が全国四十万というように先ほどございましたけれども、それが一カ所に集中しているわけではございませんで、散在化、狭域化しているわけでございまして、なかなかそう簡単にはいかないというような実情もあることは事実でございます。現在のところ、財政投融資の特利制度がございますが、今後とも、地方債、税制等々の面で支援措置ができるように努力していきたいというように思っております。
  28. 園田博之

    園田委員 これはもう少し具体的に申し上げますと、やはり山間僻地では市町村も大変住民の希望にこたえて、市町村長さんたちも何とかしたいと思っておられるようでございまして、中には、少し地方自治体で負担をしながら中継塔を立てたという実績もあるのですね。今後も、もし放送局が立てるという意思があれば地方自治体としても協力をしたいというところが幾らもあるのです。  だから、そういうことは地方自治体に私の方からもお願いしようと思っておりますし、また県にもお願いをしようと思っているのですが、やはり国としても、財政的というか金融支援措置といいますか、確かに地方債も大事ですからこれはもうせひやっていかなければなりませんが、それだけではなくて、何かもう少し考えてもらいたいと思いますね。  現状では、これはやはり国として金を出すというわけにはなかなかいかぬでしょうね。しょせんは民放局の資産なわけですからそういうわけにはいかないと思うのですが、この前、税制でもお願いしましたように、税制措置は来年はぜひ実現するように郵政省も努力してください。せめてこのぐらいのことをやれば、これは加速度的に進みますよ。こういう問題は四、五年後にやったって意味がないのですから、これからこういうふうに全体の放送というのはどんどんどんどん充実をし、技術革新があって、いろいろな番組がどんどんどんどん出てくる。しかし、見えないところはいつまでも見えないわけですから、これではいけませんから、一、二年のうちに解決できるように、ぜひ郵政省としてもお願いを申し上げたいと思います。  終わりになりましたけれどもNHKの幹部の方々、厳しい状況でございますからぜひ頑張っていただいて国民の負託にこたえられるようにお願い申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  29. 畑英次郎

    畑委員長 前田武志君。
  30. 前田武志

    ○前田委員 NHK予算は非常に厳しい状況にあるわけでございますが、新しいメディアあるいは新しい事業展開へ向けて、衛星放送であったりハイビジョンであったり、大きな希望の持てる分野について御努力されておるということを承知しております。  この機会に、NHK予算と関連してハイビジョン等について、なかなかこの分野については我々一般国民から見るとわかりづらいところがございます。NHK予算の関連で今どういうような状況にあるのか、どういう可能性があるのか、あるいはハイビジョン・シティ等、今国が、まさしく挙げて多極分散ということで地域の発展を図ろうとしておるわけでございますが、そういう中で、ハイビジョンという新しいメディアがどういうような可能性があるのか、そういったことを含めて、国民にわかりやすいようにひとつお示しを願いたい、このように思う次第です。  まず最初に、この平成元年度の予算の中でハイビジョン関連の予算、大体事業というものがどういうことになっておるのか、その内容、重点等についてお示しを願います。
  31. 高橋雄亮

    高橋参考人 来年度予算におけるハイビジョン事業内容でございますが、トータルといたしましては八十四億九千万円を予定しております。  その内訳でございますが、番組ソフトの制作、これに要する経費を約三十四億円見込んでございます。それから、ハイビジョンの推進経費でございますが、これは約三億円見込んでおります。これは、広報とか機器の展示とか、そういうような事業化戦略のための推進とか、そういう経費でございます。それから、技術関係の研究開発費でございますが、約七億五千万円ばかり見込んでおります。このほか、ハイビジョンの実用化のための設備といたしまして、例えば運用スタジオとか収録をするための中継車とか、そういうふうな建設関係が約二十四億円でございます。  そんなような経費になっております。
  32. 前田武志

    ○前田委員 来年度の大体の概算額が八十四億、先ほど訂正されたあのお話を聞いておりまして、二十年間で二百億、非常に比率からいうと大きな予算をつぎ込んでそれだけ意気込みも大きいというふうに受けとめるわけでございますが、このハイビジョンの実用化に向けて、例えばもう既に去年はソウル・オリンピック等でなかなか効果的なデモンストレーションをやられたわけでございますが、そういったものを踏まえた上で実用化に向けてのスケジュールについてお聞かせを願いたい。  そしてまた、そのハイビジョンの規格等については毎回当委員会でも問題になっておると思いますが、その後の動向等特にありましたらそれについてもお聞かせを願いたいと思います。
  33. 島桂次

    島参考人 ハイビジョンはまさに次の時代のテレビジョンと言われている恐らく画期的なシステムじゃないかと私は思っております。ただ、これは放送だけではなくて映画とか印刷とかあらゆる分野にこの技術が利用できるという、これがこのハイビジョンシステムの非常に大きな特徴でございます。したがって、もう既に、ヨーロッパはもちろんでございますけれども、アメリカも含め、ソビエト、中国も含めまして、全世界放送という分野だけではなくて、これがこれから二十一世紀にわたる情報産業のかなり中核的な存在になってくるということで非常な関心を示してきております。初め、この数年間、我々は我々の開発したハイビジョンがいかに放送的にすぐれているかということを全世界にデモンストレーションをしてきたわけでございますけれども、それが単に放送面ですぐれているということではなくて、いろいろの分野にいろいろの影響があるということがわかってきまして、これは単に放送の分野というよりも、政府とかあるいは業界その他も含めました経済、そういう非常に国際的な大きな話題になってきております。私どもはあくまでブロードキャスター、つまり放送屋でございますから、我々はソフトをできるだけつくりまして、よりよい画面で日本国民はもちろん全世界の方々に見てもらうということで、全世界の機械、規格統一ですね、これは現在のテレビは残念ながら統一されておりません。日本とヨーロッパは違っておりますけれども、そういうことを呼びかけているわけでございまして、先ほど申し上げました理由で、ヨーロッパはもちろんですけれども、アメリカに至るまで、なかなかまだ簡単に日本のNHK方式を採用することにはかなり問題があるということで、いろいろ今困難な状況に来ていることは事実でございます。  そういう非常に難しい局面になっておりますけれども、当面NHKといたしましては、六月ごろから今度の衛星放送の拡充に伴いまして一日一時間ぐらいの実験放送をまず始める。それで、当面これは各家庭に普及するには余りに受像機が少なく高価でございますから、この前ソウル・オリンピックで、郵政省の御努力でいろいろ各メーカーの協力を得て五十台から二百台くらい、いろいろ大きさによって違いますけれども、そういうものもございますし、現にこの間アメリカへ行ったときにアメリカの企業家が、そういうものを家庭じゃなくてまず人の集まるところ、ホテルのロビーとかスーパーマーケットの一部とかあるいはハイビジョンシアターとか、そういうところでまず見せ始めるという動きが日本でもアメリカでもいろいろ起きておりますので、我々はそういうことをだんだんこれから拡充していくということで、さしあたっては先ほど高橋理事から説明申し上げたような極めて少ない予算でございますけれども、これはむしろNHK予算もさることながら、業界とかあるいはその他政府も含めましていろいろのところの協力を得ながら、我々としては放送を主にしながらこれを発展拡充させていきたい、当面そう考えているわけでございます。
  34. 前田武志

    ○前田委員 ことしから実験放送を始めるというお話をお伺いしたわけですが、もちろんこれは技術的に非常にハイレベルのものでもあり、多分スタジオ等も特殊なものが必要でしょうから東京を中心にやられることになるかと思いますが、ぜひ国民の皆様方にこういったハイビジョンを近く受け取っていただけるように、できたら機会あるごとに地方等にもこういうハイビジョンの放映をやっていただきたい、そういったことをお願いするとともに、何か衛星の中に乗っけるということをお聞きしておりましたが、その辺は、ことしは一年実験放送をやるとして、さらにBS3ですか、そういったものにつながっていくスケジュールと申しますか、ある程度先に向けてのスケジュールについてもお聞かせいただきたいと思います。
  35. 成川富彦

    ○成川政府委員 ハイビジョンの実験放送につきましては先ほどNHKの方からお話ございましたけれども、私どもハイビジョン専用トラポンBS3bで、産投からの出資を得て専用チャンネルとしてハイビジョンに使おうということを考えております。いずれにしてもハイビジョン放送が実用化されるのはBS3の段階であるというふうに考えておりまして、そのためのいろいろと準備をしていかなければいけないんじゃないかと考えているところでございます。その前段階といたしまして、国民の理解の促進を図るためにいろいろな方策を講じ、先ほど来お話ございましたソウル・オリンピックの展示などもその一つでございますが、ハイビジョンウイークとかテレコム旬間とかそういう場も国民の理解の促進の場にして、ソフトづくりもあわせてやって、実用化段階に向けて進めていかなければならぬというふうに考えておるところでございます。
  36. 前田武志

    ○前田委員 それから平成年度予算の中で、これはむしろ郵政省の方になりますか、ハイビジョン・シティ構想というものがモデル都市を指定して相当進んできているように思うわけでございますが、その内容あるいは進みぐあい、そういったことをまずお聞かせ願いたいと思います。
  37. 成川富彦

    ○成川政府委員 先生お話ございましたハイビジョン・シティ構想でございますが、ハイビジョン視聴者や美術館等の公共施設に導入いたしまして、あるいは観光施設等に設置いたしまして活気と潤いにあふれた先進都市づくりをしていこう、地域の活性化等魅力ある都市づくりに役立てていこうという構想でございます。全国二十二地域がそのハイビジョン指定都市の指定を希望している状況にございます。この中から、実はきょう指定するということを考えておりますが、十都市強ぐらいの都市を指定いたしまして、そのモデル都市におきましては平成元年度から各地のハイビジョンシステムの構築に着手していただきまして、郵政省としても今年度平成年度予算で基本的な設計関係の経費を案として認めていただいているものですから、汎用の基本設計をつくりまして、それをハイビジョン・シティに指定された都市に利用していただくとか、あるいは無利子融資制度、平成年度予算で認められております。それから財政投融資等も含まれておりますので、それらを活用していただきましてハイビジョン・シティが花開いていけるようにしていきたいというふうに考えておるところでございます。いずれにしても、実際にハイビジョン・シティが動き出すのは来年度以降になるわけでございます。
  38. 前田武志

    ○前田委員 このハイビジョン・シティ構想については政府の方で懇談会を設けておるやに聞いておりますが、その構成といいますか概要、そういったことについてちょっとお聞かせを願いたいと思います。要するに、その中で地方の意見が、ふるさと創生であったりそういったものに生かされていくような構成になっておるのかどうか、その辺のことをお聞きしたいと思います。
  39. 成川富彦

    ○成川政府委員 ハイビジョン・シティ懇談会といいますか高度映像都市構想懇談会は、昭和六十三年二月十二日に発足いたしまして、その構成員の中には地方公共団体の長の方も参画しております。いずれにいたしましても、ハイビジョン・シティというのは、地方が創意工夫を持って考えたアイデアを生かして、それを国が支援してやっていこうということでございまして、いろいろと地方の有識者の方々あるいは地方公共団体を取り瀞く学識経験者等々に参画していただきまして、地方それぞれの特色に応じたソフトづくりをしていただきまして、それが中核になっていくのではないかと私どもも期待しておりますし、その方向に進んでいると思っております。したがいまして、ふるさと創生の一環にもなり得るものと私どもは理解しております。
  40. 前田武志

    ○前田委員 このハイビジョンの可能性というものは、先ほど来御答弁の中でお聞きしまして、確かに非常に高度なメディアでありますし、多様な特性を持っております。特に映像メディアとしてディジタル化して、本当に想像を超えるようないろいろな利用が展開されてくるのだろうと思うのですが、ただいままでの御答弁だけからはまだ何となくぼんやりとして、イメージが立体的に構成されてこないわけなんです。  要するに、多極分散型の国土形成をやろうという中身も、余りにも一点集中が進んで格差がどんどん拡大する方向にある。その中で情報化時代、まさしくこういったすばらしいメディアを地方の発展の中――地方と言うといけませんね。多極分散、要するに東京以外に大きないろいろ多様な国土の極をつくっていく、そういう中でハイビジョン・シティが非常に大きな役割を果たし得るのではないかというのが国民の期待であろうかと思います。  そういった意味で、先ほど来の答弁にもあったわけでございますが、先のことでございますので、例えばこういうような方向にも可能性があるよというような、これは何ら予算の伴う話でございませんので、島副会長さん、ひとついかがでしょうか。イメージといいますか、そういったものをお聞かせ願いたいと思います。
  41. 島桂次

    島参考人 先ほども申し上げましたように、既に我々は数年前から、例えば東宝とか松竹とかの日本の映画会社と劇映画の共同制作をハイビジョンで始めております。これは、今までのフィルムによる劇映画の制作よりは、費用とか撮影日数とかそういうものが三分の一ぐらいで済む。しかも画像が極めてクリアである。ハイビジョンで撮ったものを三十五ミリのフィルムにかえることもできる。既に一部は共同制作したものが劇場放映されております。例えばアメリカのハリウッドのかなり有力な業者が私のところへいろいろ共同制作の案を既に持ってきておりますし、既にプロジェクトチームをつくってやっているケースもございます。  それから、印刷所なんかの面につきましても、ハイビジョンによるあれを使いますと従来の写真集よりもはるかに鮮明な写真集ができますし、例えば美術面の応用につきましても、パリのモナリザをルーブルで見るよりは、あれをハイビジョンで撮影してそれを映写しますと人間の目で見るよりはるかに精巧に映るというような、これは一々例を挙げればここで一時間も二時間もかかるぐらいいろいろな応用面もございますし、我々は、放送面だけではなくて、そういういろいろ具体的な問題につきましてこの数年間いろいろな意味での、これは日本国内だけではなくて国際的に進めているさなかでございます。  地方につきましても、郵政省の御指導に従ってハイビジョン・シティその他ができますれば、我我はそこへできるだけ数多くのソフトを提供して大いに協力していくということで、これは各県の知事さんの中でも非常に意欲的な方もございまして、もう既に二、三年前から話し合いも始まっているという現状でございます。  余り詳細にわたりますと時間をとりますので、またいずれかの機会に、ハイビジョンについてのこれからの展開につきましてはいろいろお話ししたいと思っております。
  42. 前田武志

    ○前田委員 時間が迫っておりますので、最後郵政大臣の御所見を伺うことにいたします。  先ほど来の局長の御説明あるいは今の副会長のお話を聞きながら、我々も、多極分散の国土づくりにハイビジョンが大きな役割を担ってもらえるものと期待をするわけでございます。私、地元の近くの大阪でテレビ関係の友達等にいろいろ話を聞いておりますと、ハイビジョンについて意外とまだ御存じないようでございますね。それぞれテレビ会社もそれなりの一つの勉強会みたいなものは持っておるようでございますが、今ここでお示しになったようなことが東京以外のところではもう一つまだ浸透していない。そういったことを踏まえまして、これは政府の方にお願いをするわけですが、とにかくこういったすばらしい映像メディアとしての可能性を持つハイビジョンについて、ぜひもっと東京以外に、各ブロックにはそれぞれNHKの局もあれば民間放送もあるわけでございますから、そういったメディア関係の方々の知恵といいますかブレーンも引っ張り出して、地方の中でもハイビジョンの新しい可能性というものを引っ張り出せるようなそういう場をつくっていっていただきたい、このようにお願いをするわけでございます。  さて最後に、こういったすばらしいハイビジョンの可能性について、大きな可能性を持つだけに、申し上げましたように、ややもすればかえってこれが東京にすべてが集中する危険性すらあるわけでございますから、郵政大臣とされましては、これを多極分散型国土づくりの一つの大きな武器として開発、応用していっていただく、そういった面での御所見を伺いたいということが一つ。  そして、これだけのハイテクノロジーでございますから、二十一世紀へ向けての世界の経済戦略といいますか、そういったものにもかかわってくるでございましょうし、また軍事技術に利用されるおそれもあるという御指摘もございます。したがって、そういう面については政府としては相当の慎重なる御指導が必要かと思うわけでございますが、この面についての御所見もお伺いして、私の質問を終わる次第です。
  43. 片岡清一

    片岡国務大臣 前田先生のお話のとおり、このハイビジョンは次の時代の大事なニューメディアであると私は思います。これをやはり何とか早く物にいたしまして、国民皆さん方の目に触れるようにして、そしてこれを活用していただくような時代を早く招かなければならぬ。そのことが非常に大事であって、やはりそのためには、いろいろなイベントあるいは催しの場所でこういうものが国民皆さんの目に触れるようにしていかなければならぬ。郵政省としても今ハイビジョンを七つ八つ持っておりますので、これをできるだけあちらこちらと活用してもらいまして、そして今先生のおっしゃるように一極集中にならないで、これを通じて地域、地方の活性化のために利用してもらう、そういうことが非常に必要であると考えておりますし、それから後段にお話のございました諸外国と技術開発の促進をしていく、それから規格の統一など国際協力、国際協調を進めまして、そして貿易摩擦等に発展しないようにいろいろ努力していくことも必要である、かように考えておる次第でございます。
  44. 前田武志

    ○前田委員 終わります。
  45. 畑英次郎

  46. 穂積良行

    穂積委員 私は、まずNHK会長に、放送の政治的中立性の確保について所信を明らかにしていただきたいと思います。  御承知のとおり、我が国では今、カラスのかあかあ鳴かない日はあってもリクルートの話の出ない日はない。また、間もなく四月になりますが、消費税導入を含む税制改革が実施されることになっておりますが、まだ国民の間では消費税はよくわからないとかわかったとか、賛成だとか反対だとかいう話が続いております。こういう中で、これからの政治日程もどうなるのかということで、不透明な状況もあるわけであります。こういうときにこそ私は、放送法の定める放送事業者が政治的に中立てなければならないということについて、NHK会長としての所信を明らかにしていただきたいと思うわけであります。  放送法第三条の二では、放送事業者は放送番組の編集に当たってこういうことを心がけてやれときちんと書いてあります。「一 公安及び善良な風俗を害しないこと。」「二 政治的に公平であること。」「三 報道は事実をまげないですること。」「四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」こう書いてあるわけであります。この規定を踏まえ、特にNHKの場合は民間放送と違って、これからまた御質問もしますが、受信料国民の皆様に負担していただいている。そういう中で聴視者の信頼にこたえてきちんとした姿勢放送を続けることが必要だと思うわけであります。そのような意味で、まずこれは会長からお答えをいただきたい。
  47. 池田芳蔵

    池田参考人 ただいま消費税の問題についてどう考えているかという御質問がありましたが……(穂積委員「いや、そんなことは聞いていませんよ」と呼ぶ)あれは今回の受信料の値上げ等につきまして既に三%加算した放送料を示しておるわけでございまして、消費税がいいかどうかという問題はなかなか難しい問題であって、私は税の研究を特にしておりませんが、一応国が決めた……
  48. 畑英次郎

    畑委員長 委員長からちょっと会長に申し上げます。  今質問のポイントから外れてお答えが違っておるようでありますから、いわゆる中立性、公平性維持という放送姿勢についてのお尋ねが中心であった、そういうことでお答えを願いたいと思います。
  49. 池田芳蔵

    池田参考人 私が聞き間違えたようで、甚だ失礼でございました。  NHK経営方針というものは放送法第一章総則第一条に書いてありますが、その二番目には、放送の不偏不党と、真実と自律を保障することによって放送の自由を確保することということになっておりまして、それは私は夢寐にも忘れない一項目でございまして、そのほかにも国民の福祉を増進するために最大限の、視聴者のためにそういう意味の放送をすることということ。それからもう一つは、民主主義の健全なる発展のために公共放送としての義務を果たせよ、こういうことになっておりますので、そういうものを頭に入れて日日NHK経営をやっている次第でございます。
  50. 穂積良行

    穂積委員 会長、先ほど私は放送法第三条の二をわざわざ読み上げて、これについて会長としてどのように御理解なさり、NHKの総帥として職員を指揮監督していくのかということをお聞きしたがったわけです。そのとおりお聞きしたのですよ。  これは、今お答えがありましたけれども、異例ではありますが郵政大臣、ひとつ放送の政治的中立性についての所管大臣としてのNHKに対する監督姿勢をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  51. 片岡清一

    片岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のことは大変重要なことでございまして、NHK公共放送機関として国民の信頼と支持を得ていくことが最も重要であります。そのためには放送法に従って公正中立の立場を堅持することが最も必要であると考えておりまして、そういう精神に基づいて私は今後とも指導育成を図っていきたい、かように考えております。
  52. 穂積良行

    穂積委員 今の郵政大臣のお答えで郵政省としてのNHKに対する姿勢は了解をいたします。  次の問題に移ります。  NHK予算に対する国民の関心は、やはりまず受信料はどうなるのかということだと思います。先ほど予算についての説明補足説明等がありましたが、受信料が四月以降どうなるかということについては、きょうの質疑国民の皆様にもう少しはっきり説明していただいた方がいいと思うのです。  その中で、一つは衛星放送について八月から衛星料金を徴収することになっていることに関連しまして、まずその衛星放送というのは、当初これが計画され実施に移されたのは難視聴解消ということが最大の目的だったと思うわけであります。それがその後実際に衛星放送が普及し、百三十万の視聴者が今見ている。そういう状況になってこれからの放送の多様化あるいは内容の充実ということを考えた場合に、その難視聴の解消にとどまらないNHKとしての意欲も出てきていると思うわけであります。そういう中で今回衛星料金を設定することとする際に、NHK衛星放送についてのこれからの考え方、また監督官庁としての郵政省の見解をまずただしておきたいと思うわけであります。
  53. 片岡清一

    片岡国務大臣 我が国の放送衛星につきましては、NHKのテレビジョン放送の、今お話しのように難視聴解消を目的として最初開発せられたものでありますが、昭和六十二年六月、BS2によりますところの放送の免許方針を修正いたしまして、高度化、多様化をする放送需要に対処して、衛星放送普及促進を図るという必要があることから、NHKの総合また教育番組を混合編成して行う放送に加えて、衛星独自の番組放送を行うものといたした次第でございます。ところがまた、昨年十月、電波監理審議会の答申を得まして策定いたしましたところの放送普及基本計画におきましては、NHKの行う衛星放送について、BS2の段階では、難視聴解消を目的とする放送及び衛星系による放送の普及に資するための特性を生かして行う総合放送全国各地においてもあまねく受信できるようにしたい、こういうこと、また、平成年度に打ち上げます予定のBS3の段階では、このBS2の段階における放送を引き継ぐとともに、多様化いたしますところの放送需要にこたえる放送全国各地域においてあまねく受信できますように、そういう目的を明確にいたした次第でございまして、今後その方針に従って衛星放送をやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  54. 島桂次

    島参考人 衛星放送の件につきましては、ただいま郵政大臣の御答弁のとおりでございます。  NHKといたしましては、先生指摘のように、百三十万ぐらい普及してくる、こうなりますと、ハードだけではなくてソフトの面にかなりの費用がこれからかかってくるわけでございます。これを全く衛星放送を見ておられない地上波の方方の聴視料負担で賄うにはそろそろ限界が来た。したがって、やはり衛星放送を御利用いただく方からは特別な料金をいただきませんと、地上波だけを見ておられる方からの不満が非常に出てまいりますので、もうそろそろ、私は、一年半ばかり前郵政大臣説明されたように、独自のサービスをして百万以上この衛星を見る方がふえた段階では新しい料金をいただかなければいかぬということは、既に川原前会長時代から私ども申し上げてきたわけでございます。  したがって、今回八月から料金をいただくという趣旨は、やはりその不公平感をなくすということ、しかし、我々は新しく料金をもらう以上は、先ほど来申し上げているように、これはそれに値する放送内容を充実させて衛星放送の発展に資したいというのが当面NHKの立場でございます。
  55. 穂積良行

    穂積委員 衛星放送開発費負担というのは、これまでは地上放送受信者受信料に依存してきたということになると思うのですが、これから衛星放送関係のコスト等に対しては、衛星放送受信者の方の負担ということになるわけですか。その辺をもう一度きちっとNHKの方から御説明をしていただきたいと思います。
  56. 島桂次

    島参考人 これは、本日御審議されている予算が仮に承認されれば、私どもはこれから先の衛星放送のハード、ソフト、これは地上波の聴視料とは別建てでやっていきたい、つまり衛星料金によってハードもソフトも賄っていく。そうなりますと、当然まだ普及が少ない段階においてはこれは単年度に見れば赤字にならざるを得ない。しかし、これを将来普及させることによって、今の私どもの見込みによりますと、大体三年ぐらいは赤字、四年、五年ぐらいのところで何とか衛星だけで収支予算を償っていきたいというふうなもくろみを今立てておるところでございます。
  57. 穂積良行

    穂積委員 さて、この今の衛星、BS2bの予備といいますか補完するBS2Xの打ち上げに百四十五億円の予算を計上したい、こういうことですね。これについて実は自民党の通信部会等でも大激論がありました。最後衛星放送受信者のことを考え、さらに今後の衛星放送の発展を考えた場合に、一年といえど、もしものことがあってはこれは大変だということ、さらには受信料を八月から設定するという中で了承するに至ったわけでありますが、これについて一括してお答えいただきたいのは、BS2bの補完として打ち上げるに至るまで、その経過の詳細は明らかにされずに急に表に出たわけですね。当然アメリカとの交渉はそういうふうなものだったと思うのですが、その際、アメリカのゼネラルエレクトリック社から、言うなれば中古品的なものを、もう一回、いろいろ注文に応じた細工をして打ち上げるというようなことになったその経緯について、NHKはあるいは郵政省は国民に要らざる誤解を招かないようなきちっとした交渉当事者としての、視聴者といいますか受信料負担する人たちのことを考えて精いっぱいの交渉をしたという経過をわかりやすく明らかにする必要があるかと思うわけであります。その辺をまず、そのようなことはきちっと説明していくという姿勢を明らかにしていただきたいということです。  それからもう一つは、このBS2Xが耐用年数八年ある。それをBS3が打ち上げられるまでの間一年だけ補完に使うということのあと七年間について、この貴重な使えるBS2Xを一体どのようにするのか、これについてNHKと郵政省側の当面の姿勢も明らかにしていただきたいということであります。  これらについてそれぞれお答えいただきたいと思います。
  58. 島桂次

    島参考人 BS2Xについては、実は一昨年七月から独自放送、いわゆるモアチャンネルを始めた段階で、そうなりますと当然パラボラアンテナをつける人がふえてくるわけですから、ある日突然衛星が見えなくなったのでは大変な事態になるということで、私は一年間にわたりまして全世界のロケットあるいは衛星メーカーと鋭意折衝してまいりました。しかし、これはNHKが上げたいからといって上げられるものじゃございません。当然ある種の見込みが立ちました段階で郵政省なり関係各方面に了解を得なければ上げられないわけです。それがたまたま去年の秋ごろからいろいろやったんですけれども、新しく注文するとなると二年ないし三年かかってしまうわけですね。可及的速やかにというときに、たまたまヒューズ、GEその他、私はあらゆるロケットメーカーと折衝してまいりましたけれども、たまたまGEが持っている星が、ヨーロッパで上げる予定のものが経済条件が合わないで、これがなかなか相調わないという星を一つ見つけましたので、その見つけたのが去年の秋以降だったと思います。それから、本当にこの星が大丈夫なのか、本当にできるのかということを中村技師長以下、技術担当によく調べてもらいまして、大体これなら間違いないというところで、郵政省並びに政府機関の方に御相談申し上げ、いろいろの経緯がございまして、それで結局最終的には打ち上げることを許可していただいたわけでございます。  なお、寿命が八年もって、一年だけは緊急補完に使い、その後はどうするのかという問題につきましては、これはNHK一存で決められる問題ではございませんから、政府機関の御指導を待ちながら関係各方面と協議していきたい、こう考えておるわけでございます。
  59. 成川富彦

    ○成川政府委員 BS2Xは、先生指摘ございましたように、BS2bの不測の事態に対処するため、現在運用中のBS2bのバックアップとして、いわば緊急避難的措置として打ち上げるという計画をしているものでございます。  BS2Xの諸元でございますが、これはBS2と同じということであれば国際調整を必要としないわけでございますが、その有効期限というのは一九九一年の一月末までとなっておりまして、したがいまして、一九九一年の二月以降使用するということになりますと、国際調整を新たに必要とするわけでございます。現時点におきましては、BS2bの予備以外の利用は考えておりませんが、その新たな国際調整をもしすることになるといたしますと、その国際調整というのはなかなか簡単にはいきませんで、極めて困難ではございますけれども、仮に国際調整がついたとした場合にはBS3の予備機として、BS3の電波が全然出なくなった場合というときには使用も可能ではないかというふうに思っておりますが、国際調整はいずれにいたしましても必要でございますし、それは簡単ではない、極めて困難だというような状況があるものですから、現時点におきましては一九九一年の一月末までのBS2の補完といいますか、予備として機能させていきたいというふうに考えておるところでございます。
  60. 穂積良行

    穂積委員 最後に、先ほどもちょっと触れましたが、四月一日から実施されます消費税の導入について、NHK受信料に消費税を付加して徴収するということについて、これはきちっと国民の皆様に、このような次第なので御理解を賜りたいということを明らかにしていくべきだと思うのですが、これについてお答えをいただいて、私の質問を終わります。
  61. 高橋雄亮

    高橋参考人 消費税の問題につきましては、私どもは、受信料というものが受信者による特定の、特殊の負担金であるということから、対価を必要とするものに対する消費税となじまないという考え方をとっておりますが、幅広く税をかけるということで、今回御提案し、御承認を求めております予算の中で、料紙につきましては、税制の法律の十一条に基づきまして広く取るということから三%を付加して、地上の料金は据え置いておりますけれども、それに三%付加して千七十円という料金をお願いしているわけであります。当然、国会NHK受信料が御承認いただきましたら、それに基づきまして広く国民に御理解をいただけるようにあらゆる手段を通じてPRしてまいりたいというように思っております。
  62. 穂積良行

    穂積委員 終わります。
  63. 畑英次郎

    畑委員長 伊藤忠治君。
  64. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 NHKの関係者の皆さん、御苦労さまでございます。  まず初めに、池田会長基本姿勢の問題についてお伺いをいたします。  過日、会長はある場所で、公共放送あり方について、私はテープはとっていませんでしたが、この耳でお聞きをしたわけですが、政治的に中立てなければならぬ、こういう放送事業者としての基本姿勢の問題について見直す必要があるのではないかという、そういう趣旨発言がなされたと私は記憶をしております。  放送法の第一条二号には、先ほども触れられておりますが、不偏不党の立場に立って表現の自由を保障しなければいけないということが法的にはきちっと明記をされているわけでございますが、この放送法第一条との関係からいいまして、会長の過日の発言は明らかに私は矛盾をするのではないか、こう認識をしているわけでございます。こういう会長発言が軽々にされるということは極めて問題でございまして、会長がもし法律の立場と見解を異にされるというのであれば、あなたが会長の任に当たられるということは私は不適当ではないのか、こう言わなければならぬと思っておりますが、この点について池田会長の見解をまず冒頭にお伺いをしたいと思います。
  65. 池田芳蔵

    池田参考人 ただいまの御質問は大変公共放送経営に関する根幹をなす問題でございまして、これについては放送法は第一条で「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」これは総則に出ておるわけでございまして、私は会長としてこの放送法の基本理念を心に銘じてまいりました。したがいまして、今御質問になりましたような発言は、何か言葉が足りないことで誤解されたのではないかと思うのであります。  放送法規定を受けてNHKは国内放送番組基準を設け、業務運営上の基準としております。御承知かと思いますが、我々には国際放送番組審議会、国内の問題についても審議会が二つございまして、その人たち、学識経験者ばかりでできている審議会でありますが、毎月その人たちの御意見を聞いて放送の基盤としておるようなわけでございます。NHKといたしましては、このような精神にのっとり、公正、中立の立場を貫き、公共放送業務を果たしていくつもりでございます。
  66. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 今の御発言ございましたが、そうしますと、過日の発言というのはそういう趣旨ではなくて、どうも不適当であった、しかし、法律に明記をされているこの一条二号の精神については、考え方については今後もきちっとそれを踏まえて経営に当たりたい、こういう趣旨でございますか、今の御答弁は。
  67. 池田芳蔵

    池田参考人 今御質問がありました、そのとおりでございます。
  68. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 私があえてこの問題を冒頭に取り上げましたのは、池田会長が誕生されまして、こういう基本的な問題について幾つかの誤解を生むようなケースが惹起していることは事実でございますし、非常に私たちは残念でございますし、問題がある、こう思っております。今会長答弁、表明をされましたように、この法律の一条二号の基本に沿ってやっていくということは変わらないということを再度強調されているわけですが、二度とこういう基本的な問題のとらえ方をめぐって質疑のやりとりをしなくてもよろしいように、そういう疑わしい発言を繰り返されては非常に困ると思いますので、ここで厳重にそういうことが再度将来起こらないようにひとつ会長の方も踏まえていただきたい、このことを念を押しておきたい、こう思います。  次の問題ですが、小中学校の受信料の免除の問題について質問をいたします。  今回、元年度予算では、小中学校受信料の免除については従来と同じように免除する、つまり受信料を徴収する対象からは外すということで執行されるのでありましょうか、その点について御答弁いただきたいと思います。
  69. 小山森也

    小山参考人 従来どおり免除の措置でやってまいるように予算措置してございます。
  70. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 その考え方、方針は次年度以降も変わりませんか。
  71. 小山森也

    小山参考人 私どもは基本的に、公共放送といたしまして、財政の許す限りはやはりこういった公共負担というものは行うことがあり得る、こう思っております。したがいまして、従来の免除措置もこの趣旨からやってきたわけでございますけれども、これは他の受信者の方の御負担においてこういった免除措置をしている、しかも財政がそれを許すという場合でございましたら公共放送として当然なすべきものと思っております。  しかしながら、現在におきましてはこの限界を超えているということでございますし、それと客観的な国会等との関係でございますが、昭和五十年度以降国会の附帯決議が八回にわたりまして、免除措置を見直して平等に皆様方に負担してもらうようにという附帯決議をいただいております。したがいまして、これらの状況を踏まえまして、五十三年度以降四回にわたりましてそれぞれこの免除措置を廃止してまいりました。したがいまして、現在残っておりますのはこの小中学校と福祉施設でございます。  やはり私どもといたしましては、願望といたしまして、ぜひとも平等な御負担をいただくという意味におきまして、これらにつきましては、それぞれの教育の場合におきましては教育の責めのあるそれぞれの行政の方から負担をいただきたい、こういうふうに考えておりまして、来年度、文部省に対しましても、ぜひともこのような措置を廃止したいということを申し上げております。それぞれ、文部省におきましても財政当局ともいろいろ御相談しておるということでございますので、免除措置廃止ができることを期待しているというのが現状でございます。
  72. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 今の答弁を聞いていますと、前段に言われたことと後段とちょっと違うと思いますね。前段の答弁というのは、財政事情が許せば次年度以降も続けていってもいいようなニュアンスで受け取りましたけれども、そうではなくて、NHKの基本的な考え方としては、財政事情のいかんを問わず、つまり、教育機関、小中学校の受信料については、これまで委員会の附帯決議もありましたけれども、免除を今日まで続けてきました、それで今回は、元年度予算では免除の対象にはいたしますが、次年度からはお払いをいただきたい、こういうふうに前段と後段がどうも違うように思いますが、どちらが本当でございますか。
  73. 小山森也

    小山参考人 大変わかりにくい御答弁を申し上げて申しわけございません。後段が本音でございます。
  74. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 ということになれば、これは文部省にお伺いしますが、もしNHKが免除から外すということになれば、文部省の方でそれを負担されることになりますか。  実は私のもとにも、今回、元年度予算では免除ということで継続になりましたね、結果的にはよかったわけですが、随分陳情が参っております。はがきにしましてこれぐらいたまっています。それはほとんど学校関係者の皆さんですね。NHKから受信料を払えと言われるのは困るという趣旨の大変な陳情でございます。  それで、NHKの方針が次年度からはいただこうということになりますと、文部省さんとしてはどう対処されますか、その辺をちょっとお伺いしたいのです。
  75. 飛田眞澄

    ○飛田説明員 お答えいたします。  昨年八月でございましたか、日本放送協会から、池田会長からでございますが、小中学校等に係る放送受信料免除措置を廃止したい旨の要望が文部大臣にございました。この要望を受けまして、私どもは、政府部内、郵政省、大蔵省、自治省等でございますけれども、政府部内で連絡をとりながら検討を行ってきたわけでございますが、さらにこの検討を踏まえて、NHK日本放送協会さんとも相談を重ねてきたわけでございます。その結果、先ほど先生お話しのように、平成元年度は実施しないことになったという連絡を先月に受けたわけでございます。  それで、御質問のことでございますが、今後私ども文部省といたしましては、幼稚園、小学校、中学校、盲・聾・養護学校の受信料免除措門については、当該各学校における利用形態等に関する実態調査を行うなどして適切に対処したい、こういうぐあいに考えております。と申し上げますのは、今までも研究団体その他を通じて実態はある程度承知しながら政府部内の検討を進めてきたわけでございますけれども、これは金額的にも大きな問題でございますので、もっと広げて実態を調査しながら相談をさせていただきたい、こういうぐあいに考えているわけでございます。  以上でございます。
  76. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 金額にして約五十億というふうに聞いておりますが、文部省に再度質問いたしますけれども、もし払うという場合、文部省が負担をするということになった場合は、学校が負担をされるのか、教育委員会が一括負担をされるのか、それともPTAなどが負担という格好でしょうことになるのか、どういうところまで検討はいっておるのでございましょうか。
  77. 飛田眞澄

    ○飛田説明員 放送受信料の免除措置が廃止された場合には、関係者と協議を続けているところでございますけれども、制度上は学校の運営経費、この放送受信料というのは運営経費に当たると思いますので、人件費とか建物の経費とかあるわけでございますけれども、そういうものとは違った運営経費の範疇に入るのではないかと考えておりますが、この運営経費等につきましては学校の設置者が負担するということになっております。これは学校教育法でそういうふうな定めがあるわけでございますけれども、学校の設置者となりますと、公立の学校でございますと、小中学校の場合は市町村が大部分でございます。それから私立学校でございますと学校法人、こういうことになるわけでございますが、こういう学校の設置者が一義的には負担することになっているということでございます。そして、こういう運営費の個々のものにつきまして、文部省で予算措置を講ずるということは大変困難であるというふうに考えておるわけでございます。  以上でございます。
  78. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 私の疑問を申し上げれば、設置者は自治体なのですね。自治体がかぶることになりますね。テレビを通じて教育の一環に役立てられているわけですね。ですから、NHKもそういう認識がございますから免除という措置をとってきたわけですよね、きっと。放送文化を教育に役立てる、こういう一つの価値、意義を認めているわけですね。それが学校設置者である自治体だとか、私学の場合は学校法人と言われますと、文部省は全然これには関与しないということで果たしていいのでしょうかね。応分の負担というのを文部省としても持たれてしかるべきじゃないでしょうか。  現在のところはこのテレビの受信料だけが何か問題になっているようでございますけれども、恐らくこれから小学校段階でもコンピューターを中心にしましたそういう教育というのが、義務教育の課程からずっと入っていくのじゃないですか。そういう場合に、さまざまそういう問題が出てきますよね。ですから、そういうこともトータルに考えて、その中の一つとして情報文化を教育に取り入れていくという、教育課程としては極めて重要な一部分でございますから、そのように位置づけるとしたら、文部省がもっと積極的に問題解決のために乗り出すという姿勢があってもいいのじゃないか、私はこう思うのですね。総額五十億といいますが、個々の学校の毎月の受信料負担の金額を見ますと、結構これは重い負担だなということを実感するのですよ。ですから、そこでまたこの問題の所在はどこにあるのかということが正しく判断されずに、陳情の格好でどんどん来るというのでは問題の解決になりませんから、私はそのことを文部省に強く要望申し上げたい、こう思っております。  問題解決は次年度からはやらなければいかぬ、こういう発言をいただきましたので、文部省の態度として私はそのように理解をさせていただきますが、ぜひとも郵政省の答弁もいただきたいのです。文部省もああいうふうに言われているわけですから、次年度から恐らくまた問題になりますので、問題解決に向けて郵政省としても積極的にひとつ対応されるようにお願いを申し上げたいと思いますが、ひとつその点について御答弁をいただきたいと思います。
  79. 成川富彦

    ○成川政府委員 先ほど来、小山専務理事の方からお話ございましたように、免除措置につきましては、それぞれ国会の附帯決議に応じまして努力してきたところでございます。現在、学校あるいは社会福祉施設等に対する免除が残っているわけでございますが、現下のNHKの厳しい財政状況のもとでは、これらを免除することによる財政負担はどこがすべきかというような観点から検討しなければならないというふうに考えております。それぞれ行政が負担すべきではないかというようなことで、私どもも文部省あたりともいろいろと意見の交換等をしてきたわけでございます。今年度は、先ほど来お話ございましたように、免除措置を継続するということになったわけでございますが、来年度以降、NHKといたしましてもその点で継続的に話し合うということでございます。私どもも、できるだけ支援できるものは支援していきたいというふうに考えておるところでございます。
  80. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 いや、郵政省にもう少しお考えいただきたいのですが、そのような答弁ではやはり問題解決にならぬと僕は思いますよ。そうではないんですよ。私がこういう発言をするのは、これは放送だけではございませんで、通信の分野においても身障者のそういう対策というのですか、サービスというのが行われているわけですね。しかし、それはその当該の業者が負担をしているかといいますと、そういうケースというのは公共料金の分野では意外と少ないように私は理解しております。それは地方自治体が負担をなさるのだというような格好をとっているわけですね。これをNHKの学校に対する受信料の問題でいきますと、財政事情が豊かであれば全部持つのですか。私は、そういうふうなあいまいなやり方ではやはり問題の解決にならぬでしようということが言いたいからずっときたわけですよ。NHKは身障者あるいは生活困窮者の受信料というのは免除されているじゃないですか。そうでしょう。学校の受信料については、これはもう財政事情云々ではございませんので、それはやはり放送文化を教育課程の一環にいかに活用するか、役立てていくかということで役に立っているわけでしょう。そういう面からいけば、文部省はこれは知らないということではこれからは通っていかないでしょう、そのことを言っているわけですよ。  ですから、NHKの態度は聞きましたので、文部省の態度も聞きましたから、郵政省としては、そういう関係省庁の間で問題解決を図っていく場合に当該の監督官庁でございますから、積極的に問題解決のためにこれは踏まえて頑張りますということを言っていただければいいのです。積極的な姿勢を聞かしていただければいいのです。
  81. 成川富彦

    ○成川政府委員 NHK受信料は、NHK放送受信することのできる受信設備を設置したすべての者から徴収するのが原則でございまして、それが公平の原則に合っているんじゃないか、公平負担が原則になっているわけでございます。例外的に郵政大臣の認可を得た免除基準に合致した者のみが免除される制度になっておりまして、今のところ残っているのは学校、社会福祉施設等に対する免除措置だけでございます。本来、原則としてはNHK受信できる設備を設置したすべての方々から負担していただくのが原則でございますので、その立場に立ってやっていかなきゃいかぬというふうに考えているところでございます。主体的にはNHKが料金等を定める立場にあるわけでございますので、NHKが昨年来、文部省あるいは地方公共団体等々と接触を重ねて免除措置の廃止に向けて努力をしてきたところでございますが、今後ともそういう話し合いの場というのは続けていくというふうに聞いております。  私どもも、本来、受信料負担というのはそれぞれの行政が負担すべきである、それぞれの行政というか受益者のところが負担すべきであるという公平負担の原則に立って今後とも努力していかなきゃいかぬというふうに考えているところでございます。
  82. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 時間の関係がございますので、次に移らせていただきます。  衛星放送と有料化の問題、それから放送衛星の安全性の問題についてお伺いしたいと思うのですが、衛星カラー契約が二千円になりまして、その内訳は地上が一千四十円、衛星放送の料金が九百十円、消費税がそれに加わりまして、八円五十銭を切り捨てまして二千円、切りのいいところで決められているというふうに聞いているわけですが、九百十円の算出根拠はいかがなものでございましょう。
  83. 高橋雄亮

    高橋参考人 私どもが料金の設定を考えるときには、NHK受信料は原価主義という建前になっております。短期で、例えば二年、三年で受信料を設定しますとかなりの額になります。衛星放送の普及を図るためには、高額な負担はやはりこの際我々としても公共放送の立場から避けなければならない。そういうようなことで、衛星放送の将来五年ぐらいの見通しの中で算定した場合、一戸当たりの御負担は千円ぐらいになろうかと思いますけれども、新しく衛星放送普及促進させるという公共放送の立場から、しかも付加料金ということでカラー料金に上乗せしてお願いするという考え方から、合わせまして二千円、衛星だけでいいますと九百十円ということで、それに今消費税がかかわるわけですが、そういう考え方の中で、先に行って収支バランスをとるということで、最小限の御負担をお願いしたいというふうに考えたわけであります。
  84. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 NHKの主張は主張としまして、九百十円というこの料金が適切なものか、高いのか安いのかということは、利用者の皆さん、つまり視聴者皆さんの価値判断で決まっていくように私は思っているわけです。いずれにしても、二千円という中にはめ込まれて、本来は一千円欲しいのだけれども、それは将来のことにして九百十円。結果的には、そういう数字を二千円という枠の中で割り出されたという印象が非常に強い料金設定であるように私は理解をいたします。いずれにしても、百三十六万七千名の視聴者皆さんが新規に衛星放送カラー契約をしていただかないと、NHK予算は狂ってくると思うのです。ですから、元年度経営の中でその努力があるいは目標が達成されるかどうか、しかも、金額にして六十億の受信料収入が確保できるかどうかということでこの九百十円の価値は決まってくる、このように私は理解をいたします。もしこれが失敗をいたしますと、経営全体に大きな影響をもたらすことになりますから、その点を踏まえられて努力をいただくしかどうも問題解決の道はないように思います。  第二の問題ですが、衛星放送の安全性の確保の問題であります。今日まで、国産技術でもって放送衛星が実用化できるように関係者の中で随分努力をされてまいりました。それだけの巨額の資金を投入するわけですから、それがNHKに過大な負担になることは避けるべきだということを私たちも一貫して主張してきたわけでございます。何としても、新たな技術開発でありますからリスクが伴いますので、それは国の指導のもとにやるべきであって、NHK負担が重くならないように、当時はNHK財政事情がようございまして、これぐらいやれるだろうということで始まったのですが、だんだんその負担が重く経営にのしかかってきて、今日この影響が尾を引いておることは皆さん御承知のとおりでございます。  そういう言うならば厳しい財政事情の中で先端技術開発と実用化を目指さなければいけないというときに、今上がっておりますBS2bがどうも思うようにいかないということになって、今回の予算では補完措置として、国産ではございませんがGEの星を買ってきて、これは非常に安い、百億少したというので打ち上げられるわけですが、どう考えても、こういう一連の措置を見ておりますと、今上がっている星の安全性がどうも確信が持てないというところから、既定の開発、打ち上げ計画の中に挟んで今回の補完措置がとられる。ことしの十二月ですか、打ち上げられると聞いておりますが、そういう緊急対策といいますか対応をしないことには、一方では有料化で衛星放送が本格化するという、これの保障措置としてとらえておるように私には考えられてならぬわけでございます。  そういう一連の施策の提示を見ますときに、本当にこの九百十円払って、将来は七百万にも近いユーザーを獲得していこう、また広がっていくであろう、こういうふうに期待をするのですが、肝心の星が確信が持てないということでは、もしこれがうまくいかないというようなことになったら大変だと思います。その点の安全性の問題についてどうお考えなのかお聞かせをいただきたい、かように思います。
  85. 中村好郎

    中村参考人 衛星の安定性についての御質問でございますけれども、ただいまもお話ありましたように、現在衛星放送はBS2bで実施をしておるところでございます。昨年の十一月に2bのテレメトリー回路に一部故障が生じまして、データが一部欠落しているわけでございますけれども、その後関係方面の御協力によりまして、現在までのところ約四カ月経過しておりますけれども、安定に作動をしております。しかし一方では、宇宙空間の中でどういう事態が起きるかわからないという不測の事態も予想されるわけございますので、これに備えるために緊急対応可能な衛星をぜひ軌道上に待機させておきたいということで、このBS2X計画を私ども必要不可欠なものとして考えたわけでございます。  一方では、百三十万という大変多くの方々がだんだん衛星放送を受けるような状態にもなってまいりましたし、またこれからの衛星放送の普及という観点からも、この予備衛星BS2Xの計画をぜひ実現させていきたいというように思っているところでございます。
  86. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 時間が参りましたので、最後に消費税との関連について質問といいますか、私たちの考え方を申し述べさせていただきたいと思います。  元年度予算の消費税額が百十億三千万円、こうお聞きをしております。これは大変な金額でございます。私たちは、消費税の導入には私自身を含めまして反対でございます。今日まで一貫してこの態度を表明してまいりました。なぜ反対をするのか。まず第一は、消費税の導入は中曽根前政権以来の公約違反の問題でございまして、消費税の中身そのものにも問題を多々含んでいるわけでございます。第二は、その前提となるべき不公平税制の是正が放置されたままで、解決をされずに今日に至っているという問題点でございます。第三は、事前の国民的な理解が得られておりません。しかも、国会での審議が極めて不十分なままに強行採決がございまして、その結果消費税が成立をしたという経過を持っているわけでございます。以上の立場からしまして、消費税を盛り込んだ元年度NHK予算案には私としては反対である、このことを明確に申し上げておきたいと思います。  郵政大臣、私の考え方を申し上げさせていただいたわけですが、御見解かあればお伺いをしまして終わりにしたいと思いますが、どうでございましょうか。
  87. 片岡清一

    片岡国務大臣 ただいまの伊藤委員の御意見、それぞれのお立場でありましょうが、私は、まことに遺憾である、こう申さざるを得ないわけでございます。
  88. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 私も遺憾でございます。
  89. 畑英次郎

    畑委員長 木内良明君。
  90. 木内良明

    ○木内委員 ただいま議題になっております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求める件につきまして、冒頭でありますけれども、これに承認を与えることに反対の気持ちを表明させていただきます。  我が党は昨年度まで、収支予算にはその厳しい財政状況での経営努力を認め、かつ公共放送としての役割を高く評価し、ずっと承認をしてまいりました。しかしながら、平成年度収支予算におきましては、現行受信料を維持しているとはいえ、消費税分が受信料に転嫁され、実質上の値上げになっていることが指摘されるわけであります。受信契約件数は三千二百万件に近づき、ほぼ我が国の全世帯に及んでいるのでありまして、受信料の実質的値上げは極めて重大な影響を持っていると言わざるを得ません。  我が党は今日まで、国民生活を圧迫する消費税導入に強く反対してまいりましたが、実施を目前にした今日、なお多くの問題を抱え欠陥を露呈している消費税法の撤廃を要求しているところでありまして、このような消費税導入を前提にして編成されたNHK収支予算承認することはできない理由がここにあります。  NHKにおいては、消費税を含んだ予算を編成することなく、経営の合理化、効率化を一層推進し、極力長期にわたり視聴者負担増を抑制すべきであります。こうした観点から、NHK予算承認に反対の意を表明いたします。NHKにおいては、今後長期的展望に立った経営計画を早急に策定して、健全な財政運営を確立するとともに、視聴者ニーズに対応した放送サービスの充実を図ることを期待するものであります。冒頭、まずこの点を申し上げたいと思います。  逓信委員会という場でございますので、消費税の欠陥について改めて申し上げるまでもないことでありますけれども、先ほど同僚委員の方からも発言がございましたように、一つは重大な公約違反を犯している、また一つは不公平税制の是正が行われておらない、さらにまた逆進性という、税の憲法ともいうべき原則に著しく違背している問題が今なお解決されておらない、さらに税率三%の歯どめというものが明確な形で答弁にも出ておりませんし、あるいはこの歯どめの保証というものがないわけでありまして、各部面からの消費税の欠陥、問題点というものがあるわけでありまして、言ってみれば、こうした理由から私どもは消費税に反対してまいりましたし、百十億規模のこのNHK年度予算に盛られた消費税の部分については反対でございますし、当然全体の予算に反対ということをまず申し上げておきたいと思います。  そこで、NHK受信料は、NHKを維持運営するための費用を国民全体で負担をするという性格のものであるはずでありまして、その前提に立って、公共放送として先導的な役割を果たしていくための各種施策に予算として配分をされる。国際放送しかり、各種ニューメディアもそういうことであります。  ところが、今回の消費税法においては、資産の譲渡等の対価に類するものとして課税対象にこれが加えられてしまっている。サービスの対価という点に着目をしたわけではないとしても、国民の目から見ますと、この区別が極めて判然としないわけであります。  また、今回衛星料金を設定するに当たっては、受益者負担としての考え方を取り入れて、衛星放送受信者からその受信料を徴収するということになっているわけであります。これなどはまさに対価としての負担であって、消費税導入と相まって受信料の本来の意味が不明確になってきている。  これまで本委員会答弁が繰り返されてまいりましたけれども、郵政省は特殊負担金であるという性格自体は何ら変わらない、こう主張したとしても、その性格というものが今回のこの措置によって抜本的に変質せざるを得ないのではないかと考えるわけでありまして、まずこの点について郵政省の見解を承ります。
  91. 成川富彦

    ○成川政府委員 放送法では、公共放送たるNHK運営を維持するために必要な経費負担受信者に求めているところでございます。受信設備さえ設置すればだれでも受信できるものであるために、受信料の支払いについては法律で何らかの強制をしなければ財源の確保が図れないものであるということ等を考慮いたしまして、現行放送法では、NHKのテレビ等が見得る受信設備を設置した者は契約しなければいかぬということで、受信契約を義務づけているところでございます。今、先生のお話がございましたように、いわゆる特殊な負担金としての性格を有しているわけでございます。  受信料につきましては、新たに消費税の課税対象に加えられまして、今回また新たに衛星受信料が設定されることになったわけでございますが、消費税の課税対象に加えるということにつきましては、今先生のお話がございましたように、今回の消費税が広く家計の消費に負担を求めるものであるというようなこと、それから消費税法令におきまして、NHK受信料資産の譲渡等に類するものとして課税対象に加えられまして、消費税の負担を求めることになっているわけでございますが、これまでNHKを維持運営されるための負担金であると解釈されてきましたNHK受信料につきましては何ら性格の変更がないわけでございます。  それから、衛星受信料の関係でございますが、衛星受信料と地上放送受信料との関係につきましては、従来のカラー受信料と白黒受信料との関係と同一でございまして、カラー料金を払っていただく方々からはさらに白黒の料金をいただくことはないというような形でございまして、衛星関係の受信設備を設置した方からはカラー料金をまた別にいただくということではなくて、それぞれいろいろな受信設備を設置した者がNHK事業の費用を分担するという点からいたしますと受信料の性格には何ら変更がない。衛星カラー料金二千円ということになっておりますが、それを払っていただいた方々からはカラーとか白黒とか別にいただくわけではございませんで、カラー料金を払っていただく方、千七十円でございますが、その方々からは白黒料金をいただくことがないということで、受信料が特殊な負担金であるという従来からの性格は今回の措置によっても何ら変わらないものと考えているところでございます。
  92. 木内良明

    ○木内委員 答弁には特段の変化はないと思いますけれども、問題として私は提起させていただきます。  それから、郵政大臣が過日のテレコム記者会での会見の際、NHK受信料について言及されたところがありまして、この中で、受信料は税金みたいなものであるということをおっしゃっておられる。まさしく税金みたいなものにさらにまた税金をかける、単純に言えばこういうことになるわけでありまして、これなどは庶民感情からいきまして到底理解しがたいものである、こういうふうにも思うわけです。率直な大臣の御見解を承りたいと思います。
  93. 片岡清一

    片岡国務大臣 NHK公共放送であり、そして視聴者からいただく受信料によってNHK経営していくという原則になっておる、そして法律によってそれが保障されておる、こういうことでございますので、やはりNHK受信料というものは国民にとっては税金のような気持ちで払われるものであるということを感じましたのでそういう言葉を使ったわけでございますが、これはまさにNHK受信料というものは大変重要な意味を持っておる、私はこう思います。  衛星放送受信料をさらに上乗せをすることについては税金を上げるということになるのではないかというただいまの木内先生のお話でございますが、この衛星放送というのは普通の放送よりも違ったサービスを受けるということでございますから、そういうサービスを全然受けない人と同じ受信料にするということはやはり公平の原則から若干問題があるのではないか、かように思われますので、それに若干の受信料を加える、高くするということはやむを得ない措置ではないか、こういうふうに思っておる次第でございます。NHK受信料については、NHKを維持運営するための負担金である、こう解釈されてきたのでありますが、この考え方というものはそういう意味でも了承していただけるのではないか、かように思っておる次第でございます。
  94. 木内良明

    ○木内委員 今の御答弁に必ずしも賛成を申し上げるわけじゃありませんけれども、見解の違いということで次に進みたいと思います。  この受信料に関連して、私は、再三本委員会で申し上げております中長期計画の策定について、重要な時期でありますので改めて御見解を承りたい、こういうふうに思います。  この平成年度予算では、衛星受信料の設置という新たな収入を得るための方途を講じられているわけでありますけれども現行の地上波の受信料については受信料それ自体は据え置きになっている。値上げすることを回避されたということについては確かに一定の平価をするものでありますけれども、それによってNHKの本来持つ公共放送としての役割や番組の質に影響が出るようであっては断じてならないとも思います。  本年度予算においては、埼玉県川口放送所跡地の売却収入百四十八億円が計上されているにもかかわらず、債務償還を含めると二百五十億円もの赤字になっている。六十三年度においても実質的に二百二十七億円の赤字となっていて、仮にこのまま値上げをしないということになりますと、四年後の平成五年には地上波だけで累計赤字は三千五百億円にも膨張してしまう。三千五百億円といえばNHKの年間予算に匹敵する規模でありまして、そうしたような状況になれば財政基盤はおろか経営の本質に至るまで大変な事態が生じてくる、こういうことになるわけであります。したがって、問題なのは、その収支のアンバランスについて国民の理解を得ることができるかどうかというところでありまして、大前提として必要不可欠なのが、従来から私が主張している中長期計画の策定並びに提示、さらには国民のコンセンサスを得る、このことが大事なのではないか、こう思うわけでありまして、六十二年度から三年も中長期計画がないということ自体が大変異常なことである、こう言わなければならないと思います。  特に放送行政局長の諮問機関である放送の公共性に関する調査研究会の中間報告が昨年十二月に提出されているわけでありますけれども、この中でもこういうふうに言われているわけです。   NHK経営について、今後のNHKを取り巻く環境変化、公共放送としてのビジョン等を踏まえ、数年にわたる「長期計画」を策定し、NHKの各年度ごとの収支予算事業計画資金計画を策定するに当たっての指針とするとともに、その位置付けを明確化し、より長期的視野に立った計画的な経営を可能とするような制度的検討も行う必要があると考える。こう提言をされているわけであります。  そこで、具体的に中長期計画がいつお出しになれるかという問題なのでありますけれども、これまでの政府並びにNHK答弁を読み返してみますと、その都度早急にお出しになる、あるいはこの次の予算承認審議のときにはお出しできるということを明確におっしゃっておられながら、今なおこれが具体的な形をとって表に出てきていない。私はこれは大変問題だと思います。例えば昨年の三月二十四日のこの委員会の経過を見てまいりますと、「結論的には、この次の予算を編成するときには当然経営計画がなければならない、」そして「各方面にお願いをしなければならないと考えております。」これがちなうど一年前の答弁であります。これが出ておらない。この事情についてまず御説明をいただきたいと思います。
  95. 島桂次

    島参考人 ただいまの先生の御指摘、いろいろ私も同感する面があるのでございますけれども、ただ長期計画を今まで、去年も出すと言いながら出せなかったということにつきましては、私ども実はこの平成年度予算のときに、ある程度、地上波の料金値上げを含む長期計画の策定をかなり急いでつくったのでございますけれども、客観情勢の変化で平成年度予算は地上波の聴視料値上げを見送らざるを得ないということになりましたので、さしあたって今委員会では平成年度予算の単年度のことしかお示しできませんけれども、これは私ども、こういう平成年度予算が仮に御承認いただければ、まさにNHKは、これから先三年、五年、あるいは場合によっては七年間ぐらいのこれからどうやるべきかということは至急立てなければ、平成年度以降の財政計画が立ちませんので、これは少なくとも、どんなに遅くとも夏から秋にかけて策定して、国会を通じまして皆さん方のあれにこたえなければいかぬ。今度こそは、今までやっていてまた出せないのではないかということなく、出さなければもうこれから先のNHKはあり得ないというところ、まさに剣が峰に来たわけでございますから、これはそういうことでやることをはっきりお約束しておきます。
  96. 木内良明

    ○木内委員 島副会長も相当な決意の上に立った答弁ということで、七、八月とおっしゃいましたか、期待をしたいと思います。ただ形容詞がついたから、修飾語がついたからそれでよろしいということではないのでありまして、ぜひ御努力を願いたいと思うのです。  仄聞するところ、この計画をおつくりになった、郵政省にも内々に御相談をされた、政府部内で検討が行われた、ある日にわかにこれが事情でとんざをしたということも聞いているわけでありますけれども放送行政局長のお立場から、この計画が今日日の目を見ないといいますか、提出されておらないという状況についてどういう認識を持っておられますか。
  97. 成川富彦

    ○成川政府委員 先ほど来お話しございますように、五十九年度からの三年の事業計画というのは五十九年度に作成されまして、六十二年度以降は明確な中長期計画を策定することなく単年度事業計画で今日まで至っているわけでございます。  中長期計画については、大臣意見書でもかねてその必要性を指摘してきたところでございまして、平成年度予算郵政大臣意見においても触れているところでございます。ただ、衛星放送についての一応の中期展望を含む計画が示されておりまして、一定の前進は図れたのではないかと思っておりますが、地上放送関係につきましては、先ほど来島副会長から話がございましたように、具体的な計画の提示が今日まで出されていな  衛星放送の将来展望ともあわせまして、今後の公共放送としてのあるべき事業運営を展望して、みずからの経営努力を具体的に明示した総合的な経営計画の策定に今後は真剣に取り組んでいただきたいというふうに考えているところでございます。今回の郵政大臣意見書にも触れておりますように、その策定に努力していただきたいというふうに思います。
  98. 木内良明

    ○木内委員 国会審議といいますのは、先ほど木下委員もいみじくも言われておりましたけれども、極めて重要なものでありますし、こうした質疑の経過を踏まえつつ策定すべきものは策定し、また是正、改善すべき点は速やかにこの審議の意を受けて行われるということが当然でありますし、国会審議の重要性というものをよく認識をしていただきたい、このように思います。  関連団体の統廃合という問題でありますけれども、今年度予算において副次収入見込みが六十三年度予算より五三・五%の増で四十三億三千三百万見込まれている。放送法改正を受けて、受信料のみでなく財源の多角化を積極的に図るという観点からも私は一定の評価を与えたい、こういうふうに思います。しかしながら、全体の事業収入の中で見ますと、いまだ一・二%程度にしか過ぎず、今後の推進が期待されるわけでありますけれども、その実施に当たっては、NHKの本来業務に支障を来さないような範囲あるいは民放との併存体制という放送制度の趣旨に沿ってのものでなければならない、こういうふうに思います。  そこで、NHK関連団体の統廃合ということが企業集団に関する検討委員会から報告されており、この統廃合の計画というものを明確におつぐりになるということをさきの逓信委員会NHKの役員の方がおっしゃっておられるわけであります。そこで、来年度事業計画あるいは予算編成までに大体我々の考えていることを、もちろん郵政省その他と相談の上国会皆さん方にお諮りをしたい、こういうことで答弁をされていた。ところが、この統廃合に関する計画というのは今なお出しておられない。この辺の事情はどうなっていますか。視聴者国民の立場から見ますと、NHKが健全な経営基盤をつくるためにさまざまな努力をするということを言っておられる、これを期待している。しかしながら、国会でこのように質疑が行われる中で、なお質疑どおりの結果というものが形として出てきていないというところが問題だと私は思います。その点、島副会長、いかがですか。
  99. 島桂次

    島参考人 この前私も、国会を通じまして、関連団体の再編成につきましては早速具体的な案を示したいと申し上げましたけれども、元年度予算の問題がいろいろございまして若干おくれていることは事実でございますけれども、四月早々具体的に発足すべく事実上再編成の原案はできております。ただ、これに伴う新しい統合編成の会社の組織とか人事とかまだいろいろ最終決定を見ておりませんので、これはこの二、三カ月中にはっきり全部を皆さん方にお示しできるのではないかと考えております。  それから、我々の関連事業でございますけれども、これはたびたび申しますように、私どもは関連事業で利潤を上げるということを考えているのではございません。これはあくまで聴視者の負担を軽減するためにいろいろ――ニューメディア時代というのは、我々のつくる放送素材が、NHK放送を出すだけではなくて、かなりの付加価値を呼ぶ時代になってきております。現にこの二、三年間、我々はNHKのかなりの放送素材を地上放送以外に、ケーブルテレビとかあるいは外国の放送局とか外国のいろいろな機関に多目的に利用していただいているわけでございます。そういう意味では、我々が長年にわたっていろいろ手がけた放送素材というものが非常に多角的に展開できる、これは既存の民放であるとか情報産業に従事している方々がやっている仕事に我々がそこへ参入するのではなくて、新しい分野の仕事がこのニューメディア時代情報化社会にかなりあるわけでございます。そういうところへ積極的に我々はいろいろの仕事をやりまして、そこでこの結果をNHK経営に反映させていく。つまり、言うなれば聴視者の負担をできるだけ少なくさせていくというところに我々関連団体の趣旨がございますので、当然のことながら、公共放送の使命である今我々がやっている仕事は最優先に考えるということはもちろん十分自覚しているつもりでございます。
  100. 木内良明

    ○木内委員 最後に、小中学校への受信料負担免除の問題についてお尋ねをいたします。  NHKの公共的性格にかんがみまして本来的に免除されるべきであるとの認識を、この委員会で何度となく皆さん示されておりました。そうでない場合は、それぞれの現場で負担をするのだという見解も明らかにされている。特に文部省はこれを非常に強く言っておられる。それに対して、私は、まさに義務教育としての立場で考えるのであるならば国で予算措置を講ずるべきである、それが文部省としてのとるべき姿勢であるということを再三にわたって訴えてまいりました。先ほどの質疑の中でこの問題に触れられました。自治省、財政当局、大蔵省、文部省、郵政省、政府部内でこの検討が進められたという答弁であります。そして、この実態を把握するための調査を今行われるという答弁が先ほどありました。  簡単にお答えをいただければ結構でありますけれども、この調査の結果がいつ出るのか、そして、この結果を踏まえてどのような文部省の指針をお立てになるのか。調査の結果によっては、これまで文部省が答弁されてこられた内容とは違った、委員会で私ども指摘をしておりますような方向に行く可能性もあろうかと思いますので、その辺の感触をお答えいただきたいと思います。
  101. 飛田眞澄

    ○飛田説明員 お答えいたします。  文部省といたしましては、今までも実態はある程度把握していろいろ対応してきたわけでございますけれども、やはり大変重要な問題でございますので、もっと広く、さらにきめ細かく調査をする必要があるということで、現在その調査の方法も含めまして実態、受信機の設置の状況あるいは利用の状況、活用の状況、そういうものを把握しまして、政府部内の検討もさることながら、NHKさんとも相談をさせていただきたい、こういうぐあいに考えておりまして、まだ日程の詳細等については検討が進んでない状況でございます。  以上でございます。
  102. 木内良明

    ○木内委員 答弁の前段は私が求めていたことではないのでありまして、調査の中身、時期、それからその結果を踏まえての文部省の対応、具体的な問題を聞いています。質問がダブると時間がもったいないわけであります。もう一度お願いいたします。
  103. 飛田眞澄

    ○飛田説明員 調査の内容の細部についてはまだ決まっておりません。内部で検討中でございます。
  104. 木内良明

    ○木内委員 時期はいつですか。
  105. 飛田眞澄

    ○飛田説明員 新年度に入ろうと思います。平成元年度でございます。
  106. 木内良明

    ○木内委員 調査の実施平成元年度でしょう。調査期間をどのくらい見ておられるのですか。
  107. 飛田眞澄

    ○飛田説明員 細部はまだ決めておりませんけれども、現在内部で、どういう事項をどういう調査票でどういう形で調査をするかということを検討中でございまして、まことに申しわけありませんけれども、期間等細部はまだ決まっておりません。しかし、平成元年度内にはもちろん結果を出して、NHKさんの平成年度予算の問題もあろうと思いますので、そういう見当までにはある程度の結論が出るようにしたいと思っております。
  108. 木内良明

    ○木内委員 以上で終わります。
  109. 畑英次郎

    畑委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩をいたします。    午後零時四十一分休憩      ――――◇―――――    午後一時十三分開議
  110. 畑英次郎

    畑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について質疑を続行いたします。阿部未喜男君。
  111. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 NHK皆さん、本日どうも御苦労さんです。  実は私は、このNHK平成元年収支予算なり事業計画は、これは単年度にとどまらず、これからのNHKの存亡を見通した大事な予算であり事業計画だというふうに理解をしております。したがって、本日はNHK経営委員会の責任者である経営委員長に御出席をお願いしておったんですが、どうなったか、御存じの方がおったら聞かせてもらいたいと思います。
  112. 畑英次郎

    畑委員長 阿部先生のただいまの御質問委員長からお答えを申し上げます。  阿部先生からの御要請のありましたこと、それなりの対応をすべく連絡をとりましたところ、残念ながら体を壊しておる、風邪を引いておるということでございまして、きょうは失礼をさせていただくということでございますので、あしからず御了解を賜りたいと思います。
  113. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 委員長のお話は了解いたします。  しかし、実はきのう、ある方面でNHKの方から、経営委員長がお風邪を召しておって非常に出席困難だということは承っておりました。しかし、風邪引いたからこれから先一生病気して寝ておるわけじゃないから、きょうは元気になっておいでになるか、さもなければ、放送法十五条四の規定によって経営委員会には経営委員長の代行が任命されておるはずです。したがって、委員長からの要請があれば、NHKは責任を持って代行者をここへ呼ぶべきです。どうお考えになるのですか、会長は。
  114. 島桂次

    島参考人 先生の御趣旨は、経営委員会委員長以下の全員にお伝えしておきます。
  115. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 本来、このNHK、特に経営委員会は、国会を非常に軽視しておる傾向が強いのですよ。経営委員長参考人としての出席を求めても、ほとんど出てこない。特に今回は申し上げたような趣旨がありますから、私は事前に経営委員長の御出席をお願いをした。ところが、どうも経営委員長、お風邪を召しておるというお話だったから、それならば代行をする人がおいでになるはずだから、重要な予算審査だからぜひ代行の人に出てもらいたい、こう申し上げておったんですけれども委員長の要請にもかかわらず代行も来ていないというのは、これは一体どういうことですか。経営委員会に申し上げておきますというような問題じゃないでしょう、副会長。なぜ出ないのかということを私は陶いておるのです。
  116. 島桂次

    島参考人 国会からの御要請があったことは、私が経営委員会に伝えました。その結果、委員長が体調を崩しておられるということで、その旨委員長の方に御返事申し上げたわけでございますけれども、我々といたしましては、経営委員会は言うなれば我々の上部機関でございますので、一応その程度にとどめたわけでございますけれども、なお、きょう厳重に阿部先生の方から御注意があったということは十分伝えるつもりでおります。
  117. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 適当な答弁で逃げようとすれば私ももっと言わなければならないのです。きのら私のところに連絡が来たのは、おたくのさる肩書きのあるお方でございますよ。そのお方に私は、委員長がおいでにならなければ、放送法十五条の四によって代行者がおるはずだからその人に出席をしてもらうべきだろう、こう申し上げておいたんですから、それをお伝えになったのかどうかですね。あなたの方の部下です。どうします。
  118. 島桂次

    島参考人 私は、経営委員長が体調を崩しておりますので、経営委員会のどなたか御出席になろのはいかがでしょうかということは責任を持って伝えております。それに対して回答はただいま委員長申し上げたとおりの回答でございました。
  119. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それじゃ、明らかにNHKの場合は経営委員会といわゆる執行の方は別々になっておるということですか。私の知る限りでは、会長も副会長経営委員会出席をする、意見を述べることができる、こうなっておったと思うのですけれども、それならば連帯の責任はございませんか。
  120. 島桂次

    島参考人 阿部先生のおっしゃる意味では私なりに責任を感じております。
  121. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 副会長が責任を感じておるとおっしゃれば私はもうそれ以上申し上げませんが、まるで責任がない、経営委員会経営委員会NHKの執行部は執行部だというようなお考えならば、私が申し上げたように、執行部から来たから執行部に対して私は、代行を出してくれ、こう言ってあるのですよ。だからこれは連帯の責任を感じて、責任を感じてとおっしゃるならばそれ以上は申し上げません。  では次に、質問に入りますが、先ほど来同僚の委員皆さんの御質問の中で、どうも会長はこの質問趣旨をまるでおとり違えになったり、あるいは放送法放送事業者に対する基本ともいうべき不偏不党の問題についても何となく言葉を濁されて、質問者の方から、こういう趣旨に受け取っていいか、こう言われると、そのとおりでございます、こういうふうな御答弁をいただいておるようでございますが、特に私はもう一言敷衍をしておきたいのは、不偏不党は放送事業者の基本的な姿勢として放送法の第一条で定められておるだけではなくて、当委員会において予算案が成立するたびに全党の一致をもって附帯決議として、NHKはこの不偏不党の精神を守り抜けということが決議されておるのです。そういう重要な問題を非常に軽々しく扱ったといいますか、思い違いとおっしゃっておりましたけれども、どうも釈然としませんが、そういう性格のものだということをしっかりと肝に銘じておいてもらいたいと思います。いいですか、会長。  そして、もう一言申し上げますが、先般の決算委員会の際に、会長は堪能な英語を駆使してここで御答弁になりました。私は聞きながら、私は勉強はしておりませんから英語はよくわかりませんけれども、しかし、それぞれの国民がそれぞれの国の言葉に誇りを持ち、それを大切にするというのは、それぞれの国の国民の常識ではないのでしょうか。例えば、周恩来総理と何度か私は話をする機会がありました。あの人は日本語は非常に堪能な方ですけれども、公式の席上で、たとえ相手が我々であっても日本語で話すことはありません。必ず中国の言葉を使われております。フランスの人たちもほとんどそういう傾向があります。したがって、中曽根さんがアメリカに行って英語で演説をした、心ある人たちにはそれさえひんしゅくを買っておるところです。ましてやここは日本の国会です。日本の国会で日本語を使わずに英語でべらべら答弁をされる。これは一体どういう感覚ですか、お考えを聞かせてください。
  122. 池田芳蔵

    池田参考人 前回のこの会で私が英語をしゃべりましたのは、実は、去年の七月に就任いたしまして、九月にアメリカに参ったのですが、その目的は、アメリカの下院のテレビ関係の小委員会委員長をしておりまするマーキーというのと会ってハイビジョンというものの性格を話したかったからでございました。彼に会ったときにしゃべったことがついここで、そういう直後であったものですから英語になってしまいまして、そのことは今おっしゃったように私の大変な間違いであったということで、すっかり反省をしておりますので、今後はそういうことは絶対いたしません。どうぞそのように御了解願います。
  123. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、英語でお話しになった点については了解をいたしますが、しかし全体的に眺めてみて、どうも会長は、公共放送NHK会長のお仕事というのは余り御適格じゃないんじゃないでしょうか。周囲から余りいろいろ意見の出ないうちに会長の方から進んで出処進退をお決めになることが望ましいのではないか、これは私は老婆心までにそう申し上げておきます。  そこで、次の質問に入らせてもらいますが、NHKの関連事業については、先ほども質問がありましたけれども、現在NHKには十二の株式会社と七つの公益法人、計十九の関連団体があるようでございます。  昨年の八月でしたか、吉国一郎さんを座長とするNHK企業集団に関する検討委員会というものを発足をさせて、これは非常に短い期間、一カ月余りで一応の結論を得たようでございますけれども、その報告によると、この十九の企業集団を四つの分野に統合、集約することが望ましい、そういうふうに私は受けとめておるのです。そこで、NHKの元年度事業計画にも「関連団体との協業体制の強化」いわゆる関連団体の再編成、こういうものが掲げられております。  ところで、聞くところによりますと、この統合される四つの事業団を管理するためにNHKコーポレーション、そういう言葉で呼ばれる中核会社、そういうものが計画されておるというように聞いておりますが、その内容はどういうものでしょうか。
  124. 島桂次

    島参考人 吉国先生を座長として、答申をいただいたことは事実でございます。  それで、コーポレーションという中核会社、このコーポレーションという名前はまだ決めておりません。中核会社というのは、放送の企画、制作、供給、販売という四つのグルーピングの、放送の企画、制作、供給、販売面を一つの統括する会社といいますか、そういう位置づけでやっておりますので、関連団体全般に対するそういうものではございません。
  125. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。そうすると、例えば今のNHKエンタープライズみたいなものがこういうものにかわる、そう理解していいのですか。
  126. 島桂次

    島参考人 今のところ正式に決めておりませんけれども、御指摘のとおりで、NHKエンタープライズ新社あるいは新エンタープライズ会社というような名前をつけるというふうに考えております。
  127. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ところで、この報告の中に「関連団体は制作比率を高めていくことが望ましい」、そういうように報告をされております。  そこで郵政省にお伺いしたいのですけれども、郵政省の方で準備をされておる放送法及び電波法の一部を改正する法律案、この中には、NHKのいわゆる主体性を損なわないように、委託については自主的に基準を設けてもらいたい、そういう内容が盛られておったと思うのですけれども、郵政省としては、NHKが主体性を守って、基準を設けて余りたくさん委託はしない方がいい、こういう趣旨だと私はあの法律を考えておるのですけれども、これと相矛盾することになりませんか。この辺、放送行政局長、どうですか。
  128. 成川富彦

    ○成川政府委員 今通常国会提出させていただいておりますが、放送法等の一部を改正する法律案で、先生指摘のように、外部委託の基準につきまして、NHK自身でその基準を定めて、それに従って外部委託をしていただきたいということでございます。  NHKは、御承知のとおり、国内放送国際放送等々本来必須業務を持っておりまして、重要な業務を担っているわけでございますが、その重要な業務を委託する場合に、公共放送としてふさわしい番組あるいは業務が損なわれることのないように、NHK自身が基準をつくって、それに従ってやっていただきたいということでございます。外部委託につきましては、民間のノーハウを生かすとかいうような意味合いから、また効率化といった意味合いから、今後とも必要であると思いますし、従来からも努力してやってきていただいているわけでございますが、その重要な業務につきましては、今申し上げましたように、公共放送としての番組づくり等々に支障を及ぼさないような範囲内において、基準をつくってやっていただきたいという趣旨でございます。
  129. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どうもその精神がはっきりわからない。ただ基準をつくれというだけなのか、NHKが本来の業務を守るためにある程度委託は抑えよという趣旨なのか。これはまた改めて放送法のときにやりましょう、きょうはそのままにしておきますが。  ところで、島副会長、このNHKコーポレーション、名前はわかりませんが、これには新しく出資はしませんか。
  130. 島桂次

    島参考人 今のところ私どもとしては、この新会社、新エンタープライズの持ち株は、三分の二以上をNHK並びにNHKの関連団体で持って、NHKが主導権を握るように計画中でございます。
  131. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、NHKが三分の二以上の持ち株があると。今度、これも放送法の改正で出てくるのですけれども、それだけの出資があれば、これらの子会社、いわゆる外郭の関連団体がいろいろな事業を行うに当たっての業務計画とかあるいは資金計画要員計画、財務計画、これらの諸表等について我々国会の方で必要あるときには、NHKの方から資料として御提出願えますね。
  132. 島桂次

    島参考人 もちろん聴視者の代表は国会でございますから、私ども、喜んで提出させていただきます。
  133. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 放送行政局長、よくお聞きになりましたか。この前間違っていましたね。  それでは次の質問をいたしますが、ところで、先ほど来問題になっておりますBS2、新たに来年の夏を予定されるBS3の安定性についてですけれども、今NHK技術の方では、どの程度の安定性があると考えておられるわけですか。
  134. 中村好郎

    中村参考人 ただいまの衛星放送はBS2bで実施しておるわけでございまして、二チャンネルとも安定に作動しておるところでございます。しかしながら、昨年の十二月にはテレメトリー回路の一部が故障いたしまして、データの一部がこちらの方へ届いていないという状況でございますけれども、今まで蓄積されたデータ等を参考にしながら、関係機関との協力の中で順調に今運用をしておるというところでございます。
  135. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこでお伺いしたいのですけれどもNHKはそれほど安定性の高い作動しておる衛星があるにもかかわらず、改めてBS2Xなるものを打ち上げる、こういうふうに計画をされております。しかも、読んでみますと、これは必要不可欠なものであるというふうになっております。非常に安定性の高いBS2bが現に作動しておるのに、補完のためにBS2Xを上げるということが必要不可欠であるというのはどういうわけですか。
  136. 中村好郎

    中村参考人 ただいまも御説明しましたけれども、2bにつきましてはテレメトリー回路が二系統ございましたけれども、一昨年、一系統が故障いたしまして、残りの一系統のうち一部が昨年の十一月にふぐあいになった、こういう状況でございます。  それで、ただいまのところ大変順調に作動はしておりますけれども、宇宙空間のことでございますので、いつ、どういう状態がまた発生するかということにつきましては若干の懸念がある。一方、受信者も大変、百三十万というように世帯も伸びてまいりましたので、これらの方々にもしものことがあっては大変迷惑をかけるわけでありますので、NHKといたしましては公共放送の立場から2Xを緊急避難的に軌道上に予備として打ち上げたい、こういう趣旨でございます。
  137. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、必要不可欠ではなくて補完的に打ち上げるだけのものですね。必要不可欠ではなくて補完的に打ち上げておくという意味なんですね。どうなんですか。
  138. 中村好郎

    中村参考人 たびたび申し上げますけれども、2bはただいまのところ安定に作動はしておりますけれども、予備系が大変少なくなっておりますので、そういう意味では完全な形ではない、こういう状況でございます。
  139. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いずれにしても、BS2bが心配だということなんでしょう。心配だから補完的な意味でXを打ち上げておきたい、そういう意味でしょう。そうすれば、やはり問題のもとはBS2bにある。BS2bが絶対に心配のないものならば補完する必要はないわけでしょう。補完する必要があるということはBS2bが心配だ、そういうことなんでしょう。どうなんですか。
  140. 中村好郎

    中村参考人 通常、衛星につきましては軌道上で二機体制をとるということが常識になっておるわけでございますけれども、2aは御存じのとおり去年の八月に寿命が来ましたので、ただいま2bが一機で作動しておる、その中で一部ふぐあいが生じておる、こういう状況でございます。
  141. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 したがって、私が言いたいのは、BS2bは国の宇宙開発計画と相まってNHKが一緒に開発をしたものである。そのBS2bに心配があるのならば、BS2Xは同じように国の宇宙開発計画の一環として処理をしていく性格のものである。なぜNHKだけが責任を負って補完しなければならないのか、そのことを聞きたいのです。
  142. 中村好郎

    中村参考人 先ほどから申し上げておりますけれども、現状では百三十万と受信者がふえてまいりました。これに対して放送継続するということはNHKの責任だろうというように考えておる次第でございます。
  143. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは話がおかしくて、BS2Xを上げなければならない理由は、BS2bが完全でないという心配があるからBS2Xを上げて視聴者に迷惑がかからないようにするというわけでしょう。BS2bが完全な状態ならば2Xは要らないのです。そうでしょう。それならば、BS2bが不完全な状態になるおそれがあるという場合には、共同に開発をした国とNHKが同じように負担し合ってそれを補完すべき性格のものではないのか、なぜNHKだけが補完しなければならないのか、それを聞いておるのです。
  144. 島桂次

    島参考人 NHKといたしましては、正直に申し上げまして国の方の負担もお願いしたかったのでございますけれども、何せこれは、今技師長が申し上げておるとおり、衛星というのは常に不安定ですし、特に予備系を持っておりませんと、ある日突然見えなくなったという場合、NHKの社会的責任というのは大変重いということで、私はさしあたってこれはNHKの費用で上げるべく経営として決心した、その後については郵政省の御指導に従ってやっていくというのが私たちの現在の立場でございます。
  145. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 後のことも非常に疑問があるのですが、上げるというそのこと自体になぜNHKだけが責任を負わなければならぬのか。BS2bに補完しなければならない理由があるから補完するわけなんだから、BS2bの一環として開発事業団、いわゆる国とNHKが責任を分け合って補完の措置を講ずべきなんですよ。それを何もNHKだけが補完の措置を講じなければならぬというその理由が私にはわからない。しかも、本来、衛星というものは幾つあろうと、これなら絶対ということはないはずですよ。逆に、一つでもうまくいくかもわからない。そういう性格のものなんですよ、衛星というものは。来年の夏にはBS3が上がるのですよ。その次は、aだからbになりますかね、bが裏に上がるわけでしょう、補完として。ところが、さっきからお話があるように、これは一年間しか実際には使えないものなんですね。一年間しか用をなさないものなんでしょう。そうなれば、これは明らかに補完でしょう。これから先ずっとNHKが使っていくというものではなくて補完なんですよ。その補完的な措置を講ずるのに、共同で開発した国、宇宙開発事業団にはなぜ責任がないのか、それを聞きたいのです。これは、NHKのお話は今、島副会長から聞きました。急を要する、やむを得なかったとおっしゃいますけれども、指導監督の官庁として郵政省はどうお考えになっているのですか。
  146. 成川富彦

    ○成川政府委員 我が国の宇宙開発でございますが、独自の技術力を確立し、高度な技術を保持していくということによって我が国の自主性を確保することを目的として宇宙開発は推進されております。BS2とか3もこの方針に沿って開発されてきたところでございます。  現在の宇宙開発計画では、開発スケジュールの関係でBS2aが寿命がなくなりまして、現在BS2bだけで運用されているわけでございます。BS3aが打ち上げられるまでの間は一機体制でいくということにされております。BS2bは、先ほど来専務理事の方からお話ございますように、BS2bが現状のまま推移すれば衛星放送の安定運用に支障がないというふうに考えられているところでございます。  今回の措置につきましては、先ほど来たびたびお話ございますように、衛星とか、通信衛星ももちろんそうでございますけれども、大体二機体制でやっております。現在のところ一機体制ということで、万が一ということに備えて緊急避難的措置としてNHK自身が放送事業者としての立場から打ち上げたいということで、今度の予算案に盛り込んだというふうに理解しております。  これはちょっと例として適当かどうかわかりませんが、銀行等にいたしましてもコンピューターはバックアップシステム等を取り入れてやっておりまして、できることならそのバックアップシステムが、現在のところBS2bについて安定運用に支障はないとしてもバックアップシステムがある方が望ましいということで、放送事業者として百三十万を超える受信者に対しての責任というような観点からもぜひとも打ち上げたいということで、今度の予算案にそのBS2Xの予算を盛り込んだというふうに私ども理解しておりまして、その考え方は妥当というふうに考えております。
  147. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 予備というのと補完というのは、私はほぼ似た意味合いを持っておると思うのです。  そこで、今のようなお話ならば、来年の夏BS3のaを上げる、その次の年にBS3のbを上げる。bは補完なんですよ、aの補完なんですよ。そういう解釈をするなら、今一つしか上がっていないBS2bの補完が要るというならば、それは予備と同じ性格を持つ。予備と同じ性格を持つならば、BS2Xはやはり共同開発の相手が責任を持つべきである。もしそうでない、予備あるいは補完というものはNHKが責任を持ってやらなければならぬものだとするならば、これから打ち上げる各放送衛星の少なくともbに対する部分は全部NHKが、予備であり補完なんですから責任を持ってやらなきゃならぬ、視聴者のためにやらなきゃならぬ、そういう理論になりませんか。どうです。
  148. 成川富彦

    ○成川政府委員 先ほど来の答弁の繰り返しになるかもしれませんが、緊急避難的措置として今度打ち上げることにしたわけでございまして、現在GEから買ってくるというものにつきましては開発的な要素は全然入っていないわけでございます。したがいまして、現在宇宙開発計画の外枠としてNHK自身が購入して打ち上げるということになっている次第でございます。
  149. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは議論しても尽きませんが、衛星放送そのものが開発なんですよ。星を打ち上げるだけが開発じゃないのですよ。そういう観点からするならば、放送だけやるんだ、新しい星の開発はないから国が負担しないでいいなんて理屈はないでしょう。衛星放送そのものを新しいメディアとして開発しておるのでしょう。そんな理屈は成り立ちませんよ。時間が全くなくて、これは委員長理事皆さんにもお願いしておきますが、こういう重要な予算審査ですから二日ぐらいはかけてゆっくりやってもらわぬと。どうにも先を急がなければならぬので次にいきます。  この資料によりますと、このBS2Xを打ち上げるのに百四十五億かかる、こうなっております。ところで、もう一つの参考の資料ですけれども、これによると、平成元年から六年までの衛星の実施経費は約二千四百億、そのうちに2Xが占める費用は百十億である、こうなっておるのです。単年度で百四十五億かかるBS2Xが六年間かかって百十億に減るというのはどういうわけですか。
  150. 高橋雄亮

    高橋参考人 元年度に計上いたしました百六億については、これは打ち上げ経費と製作経費で、そのほかに、百四十五億といっている部分につきましては保険とそれから衛星打ち上げ後の成功報酬ということで、これは事業費の中で見るというふうに考えているわけでございます。
  151. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 保険というのは別に予算支出しなくてもいいわけですか、成功報酬というのは金を出さなくてもいいわけですか。向こう六年間に百十億かかるという計算と、単年度でBS2Xの打ち上げ経費百四十五億、こう片方はなっている。単年度で百四十五億かかるものが向こう五年ですか、六年ですか、百十億に減る。保険だから金は要らないとか成功報酬だから予算は要らないという性格のものですか、おかしいじゃないですか。六年で百十億、単年度で百四十五億、そういう計算が成り立ちますか。
  152. 高橋雄亮

    高橋参考人 今回打ち上げます2Xの減価償却を含めての考え方は、八年で収支を償おうという格好にしております。したがいまして、百四十五億のうち百六億というのは、これは八年間の中で減価償却をしていく。百六億は建設費でございますが、その他の部分につきましては、先ほど申しましたように保険とそれから成功報酬については事業費の中で見ていこう、八年間の中で見ていこうという考え方でございます。
  153. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、この表にある平成元年から平成年度の衛星の実施経費二千四百億というのは、この内訳はどうなるのですか。これは衛星放送をやるためのすべての予算を含めて二千四百億じゃないのですか。その中のいわゆる2Xが占める費用が百十億だ、こう書いてあるのですよ。今おっしゃるように、建設勘定か何か知りませんが、そんなふうに分けてこれは出してあるのですか。それならこれはもっと膨大な金になりますよ、打ち上げ費用が入ってないとすれば。
  154. 島桂次

    島参考人 今阿部先生のおっしゃるとおり、総計費用二千四百億円と見ておりまして、その中にはハード、ソフト全部入っておるわけでございますし、BS3の負担分も当然NHKは入っておるわけでございます。
  155. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 島副会長答弁は明快ですよね。私もそう理解しておるのです。  それならば、二千四百億の中に2Xが占める費用は百十億だ、こうなっておるから、すべての費用を含めて2Xは百十億、こう理解しているのです。ところがさっき申し上げた、単年度で2Xには百四十五億かかります、こうなっているのですよ。単年度で百四十五億かかるものが五年間運用して百十億で済むという計算が、私は小学生でもできないと思うのですよ。
  156. 島桂次

    島参考人 BS2Xは八年で償却するので、全部計算しておりまして、全部含んだ初年度の衛星の予算が御指摘数字になるわけでございます。
  157. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その計算も私はやってみたのです。それは合いません。しまいの方に減価償却がうんと回っておるなら別ですよ。そうじゃないはずですから。八年間で均等に割ってあるわけでしょう。これは百六億しかかからないのです。仮にそのうちの二年分が残ったとしても、わずかに十億か十五億なんですよ。ところが予算は逆に、初年度に百四十五億かかって、これからずっとBS2Xを運用していって、そして五年間で百十億に減るというのです。これは勘定ができないのです、どうしても。どこかに矛盾があると私は思うのですが、これももう時間がありません。非常に残念ですが、もう一遍詳細に調べて報告をしてください。  そこで、時間がありませんから私は最後に言いたいことを申し上げたいのです。  恐らく今NHK幹部の皆さん、郵政省も含めて、これからの時代衛星放送時代だ、したがって二千円料金を設定すれば、かつて白黒がカラーに変わったときのように、これからどんどん衛星放送受信者がふえていくだろう、そういう計算のもとに今の見通しが成り立っておる、元年分の予算はその始まりである、私はこう見ておるのです。したがって、五年先には衛星放送と地上放送を区別しながら経理していくと言うけれども、五年先にはむしろ衛星放送の方から地上波の方に金が入ってくるような、そういう夢を持って今絵をかいておられると私は見ざるを得ないのです。  しかし、果たしてそうなるであろうか。私はまず、新しい衛星放送受信契約が仮に百三十万、こう言っていますけれども、そのうちの半数近くはCATVでしょう。CATVがそれだけあって、あと個々の契約がそんなにどんどん伸びていくかどうか非常に疑問です。しかも、仮に衛星放送受信する人がふえたとしても、契約をしてくれるかどうか、金を払うてくれるかどうかですよ。既に地上波の人は地上波の料金を払っておるのですよ。その上に衛星放送の料金を九百円ください、二千円にしますと言って、はい、そうですがといって素直に二千円、衛星放送受信する方方がどんどん金を払ってくれるだろうか。極めて危険であると私は思うのです。だから、今計画をしておるように、五年先には五百万世帯だ、七百万世帯だというふうな夢を持ってこれを進めていくならば大変なことになってくる。  そこで、今NHKでは地上波は地上波、衛星は衛星で区分して、経理を明確に分けていくのだ、地上波に迷惑はかけません、こう言っておるのです。しかし、衛星放送をやったために膨大な赤字が出たときに、だれがそれならば地上波に迷惑をかけぬでどういう処理をしようと考えておられるのですか。ここが私、非常に疑問なのです。どういうふうにお考えですか。
  158. 島桂次

    島参考人 御指摘のように、今NHKは大変な状態になってきておりまして、私はまさに衛星放送とその後に続くハイビジョンNHKの命運をかけておるわけでございます。したがって、私としては、現在先生何と言われようとも、我々は衛星放送を必ず成功させるべく組織の全力を挙げてこれに突入する決意、これは一年半前に独自サービスをしたときに、私どもはそういう経営としての決意を固めている次第で、それが困難であり、無理であるということを今言われましても、私どもとしては石にかじりついてもそれをやり遂げるということを申し上げるほかないということを申し上げたいと思います。
  159. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 NHK経営の決意として、島副会長、あなたのおっしゃることを、その決意を私は疑いません。しかし、あなたも、衛星ではないが寿命がある。いつまで副会長をやっているか、私わからぬけれども寿命があることは間違いない。NHK全体の体制がよしんば副会長と一心同体で進むように決意をしておるとしても、衛星放送というものの性格から非常に厳しい局面を迎えるであろう、そのときにいやでも応でも何とかしてもらわなければならないのは、視聴者皆さんに頭を下げる以外にないはずですよ。それならばこういう計画は事前に委員会に諮って、視聴者を代表する国会の議論を経た上でやるべきであって、あなたの一存でいきなりある日突然百四十億の球が上がっていったのでは視聴者はたまりませんよ。決意のほどはわかります。決意はわかるけれども、それは非常に危険であるということを私は予言せざるを得ないのであります。  したがって、これまではあなたのやったことだからしようがないけれども、これからはちゃんとこの種の問題は決議機関、委員会に事前に諮って、そして国民が一緒に責任を負える、視聴者がそれなら一緒に責任を負ってやってみよう、そういう状態のもとで推し進められるべき計画であって、NHK経営だけが勝手に決めて勝手に走っていくような計画ではないということを私は最後に申し上げまして、何かお言葉があれば大臣並びに会長から答弁を聞いて、終わりたいと思います。
  160. 片岡清一

    片岡国務大臣 ただいま阿部先生の御質問なりお言葉の中から、私は本当に大事な問題があると思います。  それは、先生は常に、NHK国民のための大事な公共放送であり、そしてしたがって、NHK運営については常に民意を考えながらやらなければならぬということを御示唆なさっておると思いまして、そういう点においては、本当に公共放送というものがやはりどこまでも不偏不党、そして国民皆さんのためのものであるということを夢嫌にも忘れないで、経営をしっかりやってもらわなければならぬということを私は痛切に感じた次第でございます。
  161. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 会長もありませんか。――会長は決意はありませんか。もうおやめになりますか。
  162. 畑英次郎

    畑委員長 冒頭に申し上げた決意ということで、ひとつ阿部先生、御了解を願いたいと思います。
  163. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。それでは終わります。
  164. 畑英次郎

    畑委員長 阿部昭吾君。
  165. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 若干御質問申し上げたいと思います。  今もBS2Xの問題についての御質問がございました。そこで、NHK経営委員会というものについて、私は前回も御質問いたしておるのでありますけれども、今回補完のためにBS2Xを打ち上げるということについて、私ども国会の中では非常に唐突として決断をされた、NHKはそういう判断をされた、こういうふうに思われる、そういう感じなんであります。  そこで、経営委員会においてこの決断をされたのは一体いつであるのか、その経過について若干お聞かせを願いたい。
  166. 島桂次

    島参考人 この問題につきましては、何せ随分長い間執行部としてはいろいろの調査をしてまいりましたけれども、やはりGEの星が具体的に見つかりまして、これを上げてもらおうじゃないかというような時期が、我々が内々意思を固めたのは去年の暮れごろだったと思います。そのころ当然ながら経営委員の方々に、できるかできないかわからない問題でございますから一応内密に、こういう計画を持っておるがこの点についてどうかという意向の打診をしまして、内々郵政省の担当の方々にもお話をして、それで大体各方面の了承を得た段階で経営委員会の正式の了承を得た上で正式に郵政省の方々に御相談を申し上げたという、これが大体の経緯でございます。
  167. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 池田会長にお伺いしたいのでありますが、NHKにとって国会というのはどういうところなんでしょうか。国会というのはNHKにとってどういうポジションなんでしょうか。ちょっとお聞かせを願いたい。
  168. 池田芳蔵

    池田参考人 NHKというものは昭和二十五年に発布されました放送法に基づいてできた特殊法人でございまして、それの収支決算事業計画等はすべて国会承認を得ることになっておると了解しております。
  169. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そういたしますと、例えば今度の、内々進めてこられたということでありますけれども、私どもから見ますると相当大きな判断、決断というものではなかったのかと思うわけであります。国会は一様に、今度の問題は非常ににわかに出てきた、こういう感じをみんな持っておると思うのであります。ある意味で言えば、普通の会社の株主総会とは違いますけれども、やはり公共放送として国民受信料に基づいて、これを中心に組み立てられておるNHKであります。そういう面から見ますると、私はやはり、こういう大きな決断をなさるという場合には、郵政省とは相談をされましたということでありますけれども国会に対してもある種のいろいろな相談はあってもいいんじゃないか。国会は全体として、非常に唐突にこういう判断が出てきた、何か向こう側でうまい売り物があった、だからぱっと飛びついたというような感じがしないわけでもありません。しかし、国会公共放送としてのNHKの関係というのは、やはりもっと緊密な意思の疎通というものがあっていいんじゃないかというふうに私は思うのですが、会長どうでしょうか。
  170. 池田芳蔵

    池田参考人 今、阿部先生がおっしゃったとおりであります。
  171. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そのとおりと言われるとちょっと困るのですね。  しかし、NHKの最高意思決定機関は法律上経営委員会であります。この経営委員会がどのようなことをやっておるのかについては、必ずしも国民はよくわからぬのであります。国会の方においてもわかりません。私が昨年このことについてお尋ねをいたしました際に、川原前会長は、経営委員会のいわば意思決定の経過、議事録、これについて一〇〇%全部出すことが可能かどうかは別として、少なくとも郵政省に対しては経営委員会議事録のようなものは全部出しております、これを土台にしたものを国会に対しても委員会に対しても提出をするというようなことを申されたのであります。  今池田会長さんは、国会NHK経営委員会との間の意思をもっと疎通させるべきである、こう申し上げましたら、全くそのとおりだということでありますけれども、そういたしますと、経営委員会議事録ぐらいは我が逓信委員会あたりまでは出されるというふうに認識をしてよろしいのかどうかということであります。
  172. 島桂次

    島参考人 経営委員会というのは、御存じのようにNHKの最高議決機関でございます。我々執行部は、いわばその事務局に当たるわけでございます。したがって、経営委員会審議内容の公表につきましては、先生方の意のあるところを経営委員会に私は責任を持ってお伝えしますけれども、ここで私どもの立場でどうこうするということはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  173. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 会長さんの方は、緊密にしなければいかぬ、そのとおりだ。島副会長さんは、それは経営委員会の方の判断だ、執行部は知らぬ。相当違いますね、これは。郵政大臣の方はどう考えますか。
  174. 成川富彦

    ○成川政府委員 経営の公開の観点から、経営委員会の活動状況について国民が知り得るような状況にするということは有意義なことだと考えております。しかし、具体的な意思決定のプロセスを公表すること等の問題もあるためから、経営委員会としてはその議事録は公表しておりません。私ども提出されておりますのは、速記的な議事録提出ではございませんで、経営委員会の経過を記したものを参考として受け取っているわけであります。  いずれにいたしましても、国会提出するかどうかは、先ほど島副会長からの話がございましたように、性質的に経営委員会が判断することでございまして、そちらの方に島副会長趣旨を伝えるということでございますので、その結果を待ちたいと思っております。
  175. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 会長の方は、国会NHK経営委員会は意思の疎通をしなければいかぬ、全く同感だ。副会長は、そういうわけにいかぬ。今度郵政大臣にお尋ねをしましたら局長が出てまいりまして、経営委員会の判断次第。一体そこら辺はどういうぐあいになるのですか。  私が申し上げたいのは、NHKというのは国民のための公共的な放送であります。したがって、国民の、視聴者受信料によって経営の根幹が成り立っておる。国民との間に、NHKは今後どういう方向で事をやろうとするのか。私ども国会の中の議論というのは、審議過程というのは、あらゆる面でほとんど丸裸であります。近代国家における公共放送NHKあり方というのは、何をなさんとするか、そしてそれがどのような結果になったかという中身について、視聴者である国民の前に常に公開されていくということが公共放送NHKのいわば基盤を非常にしっかりしたものにしていくのではないだろうか、私はそう思っておるのです。今のようにみんな隠していって、今御質問のございました補完のために上げるという衛星なども、全く唐突に上がってきたという感じを与えていくようなことは、私は決していいやり方ではないのではないかと思うのです。  したがって、会長の方は私の意見に全く同感のようにおっしゃるが、だんだん後退していく。郵政大臣、私の認識が間違いなのか。私はそこをひとつ踏み込まぬといけないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  176. 片岡清一

    片岡国務大臣 大変難しい問題ではございますが、私はやはりNHKというのは、法律に基づいて立てられたところの、そしてその範囲内においては独自に仕事をやっていかなければならぬ使命を持っておると思います。そこで国会との関係においては、先生の仰せられるように、そしてまた会長も認めておられるように、大きな筋において、予算はもちろんのこと、それから、できれば長期にわたる計画もそうでございましょうが、中長期にわたる計画などの御承認も必要なときにお伺いして、そしてその計画を御承認いただく、こういうことが大事でございます。  ただしかし、会社として、NHKとして、協会として仕事をしていくにはそれぞれやはり、緊急に必要なこと、それからまたその時勢に合うように逐次仕事をしていかなければならぬという使命も持っておるわけでございまして、それらの問題についてはやはり経営委員会がそれぞれ意見を述べて、そしてその運営誤りなきを期していくということが必要でありましょう。ただ、経営委員会国会というわけにはなかなかいかぬのでありまして、細かいことを緊急に、また必要に応じて臨機応変に指導していくというのと、それから、長期的あるいは予算その他のことによって誤りなきを期して監督をしていっていただくという国会の立場と、そこにおのずから相違があるのではないかなというふうに私には思われますので、その間、経営委員会のことを一々全部国会に御報告して、そして承認を受けた後においてでないとできないというようなことについては、これはやはり実際上なかなかできない問題ではなかろうか。  したがいまして、おのおのその立場において、民主主義におけるそれぞれの機関の立場において、できるだけ国民の意思に沿うようにやっていかなければならぬということは各機関において考えなければならぬことではあるけれども、具体的な問題については、やはりそれぞれの立場においてチェック・アンド・バランスといいますか、そういうことが必要なのじゃないかなというふうに思うわけでございます。  ちょっと唐突の考え方でございますので若干間違いがあるかも存じませんが、私は今のところそういうふうに感じましたことを申し上げる次第でございます。
  177. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 私はすべてのことをと言っているわけではありません。ありませんが、国会の方は大きいところだけ出せばいい、細々しいことは一々突っ込むなというわけにもいかぬだろうと思うのです、問題によっては。したがって、そういう意味で、今大臣はできるところもある、できないところもあるみたいなことでありますけれども、基本的にNHK国民と一体でなければならぬと私は思うのです。視聴者皆さんと全く一心同体でなければいかぬと思うのです。経営委員会というのは一体だれがどこでチェックするのか。ないではありませんか。経営委員会は、中身を国会に出す必要も全然なし、郵政省にもそんなものはあちこち拾ったものを出せばいい、オーソライズしたものを出せばいいというのでは、執行部はNHK会長以下の皆さんだ、経営委員会国会一だと言うけれども、これは任命されたのでしょう。選挙で選ばれたものでもない。しかもこの放送法では、国会予算決算その他承認せねばならない、こうなっておる。そうすると、国会に対して経営委員会というのはもうちょっと丁寧であっていいのではないか、それを通じて国民との本当の意味の一体感をつくるということがあっていいのではないか。NHKというのは、将来非常に重要な時期に大きな役割を担っておられるのだろうと私は思うのです。そういう意味で、この経営委員会というものがどこか責任がありそうでなさそうな形はおかしいのではないか。少なくとも経営委員会はどういう判断をしたのかということについては、重要な判断については国会に出されるというのが筋なのではないかと私は思うのですが、直ちに結論、答えは出なくても、そういう方向での大臣の決意、考え方というものをお聞きしておきたいと思うわけです。
  178. 片岡清一

    片岡国務大臣 基本的、原則的、そして運営の大きな筋においては、おっしゃるとおり同氏の皆様とともになければならぬ、したがってそれを代行せられるところの国会に、常に影の形に沿うごとくその運営が緊密に行われていくことが望ましいことであり、まことにそうあるべきであると私は思います。ただ、細かい、具体的な事務の執行、業務の執行、運営の執行についてもどの程度御報告をするかということについては、お互いに話し合って決めていくべき問題であり、その意味においては、国会の皆様方の御意思を尊重しながらNHKにおいても運営してもらわなければならぬと思います。それらの点について今後いろいろ御指南を賜って、郵政省もその間に入って適切な、また皆さん方の御満足のいくようなやり方で進んでいくようにしていきたい、かように思っておる次第でございます。
  179. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 最近新聞等を見ますと、教育テレビをNHKは切り捨てるという考え方なのじゃないかと言われておりますけれども、そういうお考えなのですか。
  180. 遠藤利男

    ○遠藤参考人 教育テレビにつきましては、今私どもがお預かりしているメディアの中では非常に重要なメディアだと私ども考えております。今の世の中、一生涯いろいろなことを勉強していく生涯教育の時代だと言われておりまして、そういう意味でも教育テレビは重要な役割を果たしていると考えております。そういう意味できちっとした番組放送していきたいと思っております。
  181. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 チャンネルを三体制にする、そのことはいずれ結論を出す、いろいろな意見があるようですけれども、教育テレビがカットされるのではないか、こういう議論もある。  私は、いずれにせよ経営委員会というのは非常に大きい責任を持っているのだろうと思います。経営委員会がどの程度のことまでやっていらっしゃるのかわかりません。私どもNHKの中のことはよくわからぬ。ほとんど会長、副会長、ここにおいでの皆さんのところで日常の切り盛りはやっていらっしゃるのじゃないかと思うのですよ。しかし、例えて言えば三チャンネル体制に絞っていく、教育テレビは切られるかもしらぬなどという大問題は、国民から見ると、今の御答弁のようにやはり大問題なのですね。したがって、経営委員会が切ることを決定いたしましたなどというときに国会の方にお話があっても困るのですよ。だから、経営委員会が中長期的な公共放送としてのNHKのいろいろな進路というものを議論されたら、その議論は国会の中に入ってきておらなければいかぬと思うのですよ。国会は大所高所だけやっておって、中のことに四の五の言うなということでは、放送法の建前からいっても国会の責任を果たしたことにはならぬのじゃないか、こういう認識なのです。そこで、今申し上げましたことについて、一体どの時期にどういう判断をしてどういうことになっていくのかということについては、結果が出てから御報告などということではいけませんよということをぜひ申し上げておきたい。  それから、今の百四十五億円のあれを、まことに急にというふうに私ども感じております。この辺の経過についてぜひ文書で、当委員会のしかるべき時期に、なるべく早い時期に説明のような形で出していただきたいという希望を申し上げておきたい。それはどうですか。
  182. 畑英次郎

    畑委員長 ただいまの阿部昭吾君の御要請に対しましては、理事会におきまして協議をし、事を進めてまいりたいと思っております。さよう御了承を願いたいと思います。
  183. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 まだたくさんお聞きしたいことがありますけれども、これでやめます。
  184. 畑英次郎

    畑委員長 田並胤明君
  185. 田並胤明

    ○田並委員 それでは、第一点として、NHK会長としての所信についてお伺いをしたいと思います。  といいますのは、私もきょう経営委員長にぜひ御出席をお願いして、いろいろとお伺いをしようと思ったのです。というのは、NHK会長としてのお考えを聞く上で、経営委員長NHK会長を任命するわけでありますから、どういうお考えのもとに任命されたのか、それも含めてお伺いをしようと思ったのですが、きのうの放送記念日にも風邪を召されて出席できないという大変重い風邪のようでございます。したがって、経営委員長おりませんので、いないところで聞くわけにはまいりませんからNHK会長にお伺いをしたいと思うのです。  前にうちの方の先輩の委員からも、NHK会長としての所信についてはそれぞれお伺いをしておりますのでそんなに細かくは聞きませんが、会長、就任されたのが昨年の七月三日だったと思うのですね。そして、昨年の十二月十四日、NHK決算が当委員会審議をされまして、その間五カ月あったわけですが、この間の決算のときに各委員の方々がそれぞれNHK会長になられた所信をお尋ねをしました。  それを私は、会議録をずっと読んで精査をしたのですが、NHK会長としてまず第一に基本的な考え方として常に持っておらなければならない不偏不党であるとかあるいは公共放送として公平な報道を、国民皆さんに質のよい豊かな放送を提供する、ここに書かれている第一条が欠落しているのですね、会長答弁を全部調べてみましたら。例えばこういうことを言っておるわけですよ。  今NHKは、これをやれば幾ら利益が上がるかと聞いても返事ができない場合が多い。もう少しコマーシャルな、ビジネスライクな組織にNHKの組織を少しずつ手入れをしていったらどうかと思っている。こういう、現在までの経営姿勢に対して、もう少しコマーシャルベースでNHKを考えなければいかぬという、とのことが第一点でありました。  それから二つ目は、同じような内容なんですが、NHK赤字で、きょう昼飯の弁当を食ったけれども、あの弁当代も出ないようなNHKじゃ食事ものどを通らない、そういう感じがする。NHKが無理をせずに、仕事に匹敵するだけの収入が得られて、みんなが安心して食事ができる、そういう地位になりたいと思っている。しかも、人材が非常に多い。立派な人材が多い。しかしながら一万五千三百人は多過ぎるし、役職者も多過ぎる。こういうのがまず前段出てきておるわけです。  要するにもうかるNHKにしたい。それは長い間民間の経営者だったのですから、NHKもそういうふうにしたいという願望はわかるのでありますが、NHKは利益を追求する協会なのかどうかという認識がまず欠けているのではないかと思うのですね。例えば収支予算書を見ても利益金というのは一つも、どこにもないのです。収支差金というのはありますよ、差金というのは。利益というのは一つも書いてないのですよ。要するに受信料というのはNHKを維持するために必要な受信料、コスト、原価だ、こういうふうに言われているのですから、もうけるのではなくて、節約をして剰余金を出して、それで次の経営安定のために使おうというならわかるのですが、どうも考え方がおかしいのじゃないか、こういう気がしてならないのですね。  それと、その次に所信を聞かれて言ったのは、衛星料金を取りたい、地上波の受信料も引き上げたい。会長受信料と言っていないのですね。聴取料と言っている。聴取料という言葉は一つもないのですよ。受信料なんですよ。こういうことを言われている。  さらに、これは私は少し賛成なんですが、五年間ぐらいの経営計画を出して国会承認をされたらば、その翌年度からは国会に報告をするだけで勘弁してもらいたい、こういうふうに私は思っている。これは私も少し同感するところがあるのですよ。国会や政府がNHKのやり方に対して余りくちばしを入れると、どちらかというと、一党一派に偏しないという公共放送が少し揺らいでくろような心配も逆に言うとあるものですから、そういう意味ではそういう方法もいいのではないかなと思うのですが、そういう所信ですね。  それから国際放送について、ヨーロッパじゃいろいろな電波が入り組んじゃって、日本から放送する国際放送が聞きづらいということをよく聞く、国際国家日本としては非常に恥ずかしいことだ、このような意味合いのことも言っておりますし、さらに公共放送としてのNHKあり方について触れている部分がありますが、これは簡単に、国民皆さん放送を見て受益感か満足感を得られるような放送をすることこそ公共放送の使命だ、こういうふうに言っておるのですね。  今申し上げたのが、私が持っておるこの会議録、昨年十二月十四日の六十年度NHK決算承認する際に新会長である池田さんに各委員先生方がお聞きをして、会長答弁をしている内容であります。  本来だったら、NHK会長としてどのような所信を持っているかと言われたら、まず第一にやはり不偏不党、自主的にしかも質の高い番組を、より豊かな番組を公平公正な立場で国民に提供する、これが当然なんですね。そのことがまず第一になければ、これはちょっとNHK会長としてどうなのかなというふうに感じました。先ほど阿部先生も言われたように、堪能な英語でぺらぺら日本の国会でしゃべられることも結構でございますが、(阿部(未)委員「結構じゃないんだよ」と呼ぶ)ああそうですが。それ以上にやはり基本をしっかりと踏まえた姿勢というものが恐らく国民皆さんNHK会長に求めているものではないだろうか、このように思うのです。  それ以上私は申し上げませんが、とにかく会長発言でいろいろと不穏当なところがあったということを仄聞しておりますが、改めてひとつNHK会長としての所信を問いたいと思います。
  186. 池田芳蔵

    池田参考人 ただいま田並先生からじゅんじゅんと、私のしゃべったこと、何かに書いたことをすっかり総揚げしていただきまして、よくもよくもそんなにお集めになったものだと感心をいたしました。それは全部私が言ったことです。一つも間違いないです。今でもそう思っているのです。私の言ったことなどを調べ上げている人は世の中にそんなにたくさんいないと思うのですが、全部あなたのおっしゃることは正しいです。私の言ったことも正しいと思っています。  ただ、会社の人間が来て――会社と言ってはいけないので、協会の人間が来て、こういう計画を出しましたといったときに、これの収支決算はどうなるんだということを聞いたときに、にわかに言えない人が多いです。そういう意味の企業的な感覚に欠けているということがあります。  それは、この長い歴史の中でカラーテレビが始まったときがあるとか、そういう急に収入がふえたとか、一種の特権的な地位にあるNHKとしてはその収支が非常に緩やかであって、油断をしたりあるいはつまらぬところに金を使ったりしていることもあっただろうと思うのです。先輩のことをそんなふうに言っては悪いのですけれども。すばらしい先輩もたくさんおられまして、そのおかげで今日――きのうもNHKが発祥したための大変な祝賀会があったようなことでして、なかなかの人物がこの組織をガバーンしてきたということが、英語を使っては申しわけないのですが、経営してきたということが随所に見えているのです。ですけれども、やはり一つの企業である以上収支は黒でなければならぬということを私は常に考えておるので、大きな黒にせぬでも、すれすれでも何でもいいから、そういうようにしてこそ働いている人間も胸を張ってほかの人にも話ができる。ただ、たくさんもうけろというのではなくて、せめて物をする場合に、殊にインターナショナルな商売になってくると、彼らに特許を許す場合にロイヤリティーを幾らもらったらいいのかとかというようなときに、それに費やした費用をカバーできるものでなければならぬ、こう思うわけです。  さっき阿部先生が、英語を使ったのはけしからぬとおっしゃったのですが、あのときもマーキーというアメリカの下院の委員長に……(田並委員「聞いたことに簡潔に答えてくださいよ」と呼ぶ)我々は五十人の工学博士がおるよと、それらが二十年かかって……
  187. 畑英次郎

    畑委員長 発言中ですが、会長に申し上げます。  時間の制約もございますので、御質問内容に対して簡潔にお答えをお願いしたいと思います。
  188. 池田芳蔵

    池田参考人 それでは簡潔に申しますが、田並先生の驚くべき、私の言ったことを集めていただいたことについて改めて感謝をいたして、私の話を終わります。
  189. 田並胤明

    ○田並委員 余り言いたくはないですが、どうも会長に聞くと混乱するし、失礼ですよ。私が言いたいのは、NHK会長に就任をされてもう数カ月たつわけです。それで、NHKはもうけ集団でないということなのですよ。もうけ集団じゃないのですよ。ただ、赤字になっていいということは言いませんよ。あくまでも利益の計上というのはないので、収入支出でもし収入が多ければそれは収支差金ということで処理をされて、それがその次の年度の中で生かされていく、こういう協会なんだということなのです。そのことをまずきちんと踏まえていただくと同時に、NHK会長として国民が求めている所信というのは何なのですかと改めて聞いたわけでしょう。この間、十二月十四日の決算審議のときに会長がいろいろ答弁した内容というのはどこか違っていませんかということを私は指摘しているのですよ。もっと聞きたいのは、放送法の第一条に書かれていることをきちんと踏まえてNHK経営に当たるというのが会長としての任務じゃございませんか。このことを聞いたわけです。そういうことなのです。
  190. 池田芳蔵

    池田参考人 私はこういうところになれないので、先生方の持ち時間をとやかく無視してしゃべることがありまして申しわけありませんが、今、田並先生がおっしゃったように、放送法の総則第一条に書いてありまする放送の不偏不党、真実と自律を保障することによって放送による表現の自由を確保すべしというのが真ん中にあるのです。そのほかに、国民全体の福祉の向上とそれを最大限に広げろということ、それも私は頭に入れて、NHKというのはそういうものとしてこれからもやっていくべきである、そういうものが公共放送の使命であると思っております。
  191. 田並胤明

    ○田並委員 それでは、何遍も会長は繰り返しているからもう結構でございます。  次に、NHKの自主性の確保という問題についてお伺いをしたいのです。  これは少し唐突かもしれませんしかなり検討しなくてはならぬ課題かもしれませんが、NHK自体が放送法によって、今会長からも答弁があったように、放送法の一条あるいは三条、三条の二、七条、四十四条その他でとにかくNHK放送事業者としてやらなければならないもの、守らなければならないことというのはきちんと決められているのです。これは別にNHKだけでなくて、一般放送事業者も放送法の前段の方では全部縛りがあるわけですよ。要するに、憲法二十一条の表現の自由に基づいて放送の不偏不党であるとかあるいは表現の自由であるとか、とにかく公平公正にやれということはあらゆる放送事業者に対してあまねく守らなければならぬ事項として、憲法でも放送法でもきちんと決められているわけです。しかも、NHKには、先ほどちょっとありましたが経営委員会というのがあって、国会承認内閣総理大臣が任命する経営委員という方がいらっしゃって、重要な問題についてはすべて経営委員会が議決をしなければならぬ、こういうことになっているわけです。その上に今度は一般放送事業者と比較してみると、これは確かに受信料をいただいて運営している公共放送であるNHKであるから、当然国とか国会の縛りというのは一定程度あることは必要かもしれませんけれども、余り縛りをきつくすればするほど、放送法で言われている不偏不党というのが幾らか揺らいでしまうようなことが、逆に言うとあるのですね。例えば国民NHKが密着をしているということは、もちろん国会審議を通して密着をすることも必要でしょうけれども、施策としてNHKが大胆に数多くの放送モニターを設置したり、あるいはアンケート調査を定期的にとにかく幅広くやる、そのことによってNHK放送が本当に放送法だとか憲法で言われているところの表現の自由だとか不偏不党であるとか、そういうものが守られているかどうかということを国民が判断をすべきであって、そのことをしっかりやれば国民NHKの間というのは十分縮まると思うのですね。これはいろいろ意見があると思うのです。それと、会長が言われた、例えば五カ年計画なら五カ年計画をつくって、それをつくるときには徹底的に論議をして、五年というのは、国会に対する報告でもって一般質問なら一般質問の中でやっていくぐらいのことにして、あとはもうNHKの自主性に任せるということまでしていかないと、どうもどちらがいいんだか私も判断がつきかねるのですがね。余り縛りをかげてしまうとNHKの自主性がどんどん損なわれるおそれが出るのではないか、こういう気が私はするのですよ。  ですから、例えば受信料の決定なんかに当たっても、郵便料金の場合は昨年の国会でもって郵便法の改正をして、一種にしても二種にしても三種にしても、一定の額というものは法定で決めてあります。しかし、それ以外に政令でもって郵政大臣が決めることができるようにしたわけです。料金の柔軟対応というものを郵政大臣に任せたわけです。そのときの経済情勢とか何かに応じて臨機応変にやっていけるようにしてあるわけですよ。値上げをするときには、例えば物価上昇はこのくらいあった、あるいは累積赤字がこのくらいたまった、したがってそれを解消するためにということで料金改定ができるというふうに法律改正しているわけですね。ですから、受信料の場合も最高限度額を抑えておいて、それ以内でもって受信料国民皆さんからいただいて長期の経営計画の中でやっていく、こういうことだって考えないといけないのではないだろうか。  重ねて言いますが、一般の民間放送事業者と比較をしますと、NHKというのは受信料でもって経営基盤が成り立っているだけにいろいろな制約があるいはあるかもしれませんが、それだけを追求して余り縛りをかけていくと、NHKの自主性とか公共放送が逆に足かせ手かせを加えられるおそれがあるのではないか、こんな気がいたしますので、その辺をひとつぜひ今後の検討課題として郵政省もNHKも検討していただくようにお願いしたいと思います。その考え方についてちょっと考え方をお聞かせ願って、時間になってしまいましたので終わります。
  192. 池田芳蔵

    池田参考人 時間がないとおっしゃいますから私も一言だけ申しますが、私は田並先生のような、まじめにNHKの将来のことを考えて言っていただいている国会議員に対して心から感謝の意を表します。大変な哲学者ですね、あなたは。それで、私はあなたがNHK会長になってくれればいいと思っています。
  193. 田並胤明

    ○田並委員 大臣はいかがですか。
  194. 片岡清一

    片岡国務大臣 先生の先ほどからのお話については、私も大筋において賛意を表します。
  195. 田並胤明

    ○田並委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  196. 畑英次郎

    畑委員長 鳥居一雄君。
  197. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 平成元年NHK予算案について、引き続き御質問申し上げたいと思います。  今回のNHK予算案を見ますと、カラー契約千四十円、新たに衛星放送の付加料金が新設されましたほか、消費税分が加算をされて新料金の承認をお願いしたい。確かに、四月一日から消費税が導入されることになっておりますが、今回直ちに消費税分上乗せ、そして新料金を提案するというのは一体どういうことなのか。全くNHK経営陣の考え、これは理解に苦しむところであります。  NHKの世論調査等によりますと、相当高率の、七〇%を上回る国民の声が反対を表明されております。この数字はそのまま視聴者の意向というふうに置きかえて読むべき数字であると思います。  また、地方自治体を見てみますと、東京都を初めとしまして二十一に上る都道府県におきまして消費税分を公共料金から外そう、こういう必死の経営努力がなされておるわけでありまして、消費税分の値上げは何とかしないで済みそうである、こういう報道もございます。  受信料で成り立っているNHKでありまして、経営努力もしないで直ちに料金の上に乗せる、こういうことは到底認めるわけにはいかないわけでありますけれども、どんな経営努力の足跡があるのか、御説明願いたいと思います。
  198. 島桂次

    島参考人 平成年度予算案を提出するに当たりまして、消費税の負担分についてNHK経営の中でいろいろ議論のあったことも事実でございます。しかし、私どもは今深刻な財政的な立場にございまして、できましたら地上料金も何とか値上げしたいという私たちの希望もあったことも事実でございます。いろいろ勘案した結果、最終的な判断として、この際NHKとしては消費税の問題につきましては聴視者の負担にお願いするほかないという決定をいたしまして、政府関係者と相談して予算提出に至ったわけでございます。  なお、経営努力につきましては、今まだ足らないんじゃないかという御指摘、私たちも反省する面もございます。したがって、これから平成元年度中に抜本的なこれからのいろいろな意味での経営効率化につきましては、ひとつ責任を持って推進したいというのが私たちの立場でございます。
  199. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 どうもよくわからないわけですが、これだけ世間で消費税につきまして大騒ぎをしているというのが昨今の状況でありまして、全く鈍感と言うしか言いようのない状況だろうと思うのです。  半年間弾力運用が明記されております。実施と同時に消費税分上乗せ、これは余りにも安直過ぎるのではないのか。予算案を郵政大臣意見を付して国会提出するその前に、なぜ、経営努力をこのように尽くした、あるいは消費税はこういう取り扱いにならざるを得ない、こういう説明がないのか。政府与党の政調会に対してのみ説明をしていれば事足りるという考え方なのか、どうも理解に苦しむわけであります。弾力運用、これをNHKとしてはどういうふうに理解をしているのか、伺いたいのです。
  200. 島桂次

    島参考人 弾力運用ということも私ども十分考えましたけれども、いろいろ考えた結果、先ほど申し上げましたとおり、この際はこういう形で出さざるを得ないという結論に達したわけでございます。
  201. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 弾力運用の解釈になってないですね。要するにこれは、民社党さん初めとして一年の据え置きを要求した経緯がございます。最終的には一年というわけには至らないけれども、半年間弾力運用という形で軟着陸を図っていこうじゃないかというのが法律の趣旨だったと思うんです。四月一日から直ちに上乗せというのはいかにも安易ではないのか、こういう指摘についてはいかがですか。
  202. 高橋雄亮

    高橋参考人 先生指摘の点ももっともな部分もあるわけでございますけれども、私ども収支予算を今回御検討いただくに当たりまして、二年連続の赤字であるというような状況の中で、先ほど副会長が申しましたように種々考えましたけれども、やはりこの際NHKもこの法の対象外でないという決定の中で、国民皆さん方に御理解を得て御負担を願う以外に道がないんではないだろうかという結論を下したわけであります。
  203. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 どうもよくわかりませんね。今御承知のとおり国会は不正常な状況の中にございます。しかし、年度末を控えまして三月三十一日の到来、そして国民生活に重大な影響を及ぼすことを考えますと、緊急避難の措置をとらなければならない、こういう協議が実は始まりました。混乱回避ということです。いわゆる日切れ法案の処理をめぐりまして与党の方から提示されましたのが二十五本の法案、この協議に入りました。  そして問題は、NHKの新年度予算案の取り扱い、この中で非常に有力な意見として、緊急避難の対象にすべきではないという意見がありました。ですから、確かに暫定予算を何日間か組む、そういう形の中で慎重な論議を尽くす、こういう考え方が一方にあったわけであります。これを実は情報としてNHKの方がキャッチいたしますと、NHK経営陣というのは大変な波状攻撃で陳情、要請に回られる。ともかくこの予算案を日切れ扱いにすべきだという大変な大騒ぎということになってまいりました。こういう姿は一体どんなものなんでしょうか。NHKとしてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  204. 島桂次

    島参考人 私どもも消費税が国民の重大な関心になっているということは、当然のことながら放送ジャーナリストの一人として私もいたく感じているわけでございます。しかし、それを上回って私どもも二年間ぐらいかなり深刻な財政難になっておるわけでございます。これをこのまま一歩も放置できない。当然経営努力がまだ足りないという先生の御指摘もわかるわけでございますけれども、そういうことを総合的に勘案しますと、こういう措置をとらないと、これはかなりNHK自体の公共放送としてのあり方が財政面から圧迫されるおそれがあるということになりまして、私としては万やむを得ず聴視者の御理解を願いながらやらざるを得ないな、当然国民のある種の批判は受けることは十分覚悟しておりますけれども、それを上回って我々がよりいい放送を出すことで何とかこれからやっていきたいなというのが私の心情でございます。
  205. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 中立公正な公共放送、これを揺るぎないものにしていくためには、一つは公正な経営というのが確立されなければならないだろうと思うのです。中立公正な報道公共放送の生命線だろうと思います。そういう意味から、公共放送の中立公正を守り抜くために私たちとしては暫定予算回避という立場を選びましたけれども、今回つくづく痛感をしたことは、NHK経営陣というのはもう既に軸足を権力の側に傾けているのではないか、こういう一面を実は見た思いであります。消費税の上乗せ分を政府・与党から要求される、NHKはこれを安易に受け入れる、国会で余り問題にならない、国民受信契約を法律で義務づけられているわけでありますから回避したくてもできない、こういう図式であっていいわけがないだろうと思います。NHKとしてどういうふうに考えますか。
  206. 島桂次

    島参考人 私も長い間政治記者をやっておりまして、私ども報道機関の役割が何であるかということは私の一生を通じてかたい信念になっておりますし、私もそのつもりで経営に当たっているつもりでございます。権力云々のお話もございましたけれども、私はそんなことは毛頭考えておりません。これははっきり断言しておきます。  ただ私としましては、この二、三年間のNHK経営状態を見ますと、これ以工事実上の減収になってしまうということです。それから、今までの委員会でもたびたびありましたように、ニューメディア時代情報化社会、いろいろこれから先へ向けての設備投資費のものもある、そういうことをいろいろ勘案して、私はNHK経営を主体にここはひとつ、消費税をめぐるいろいろな立場のいろいろのお考えが国民皆さん方にあるというのは十分わかった上で、そこをやはり私としてはこの際こういう決断をせざるを得なかったということでございますので、一応念のために申し上げておきます。
  207. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 一つお伺いしたいのですが、天下りか横滑りかよくわからないのですが、監督官庁である郵政省の高級官僚退職の方がこのところ非常にNHKに目立つ。これはNHK要求して就職をしていただいているものなのか、あるいは採るように強く要請されてお入りになっているのか、どちらなんでしょうか。
  208. 島桂次

    島参考人 NHKは、申すまでもなく国民皆さん方聴視料によって賄われておる機関でございます。私みたいに大学を卒業しましてNHKに入って仕事している人間の私有物でも何でもございません。我々は我々の放送をよくし、立派な経営をやり遂げるためには、むしろNHK以外のところで有能な方がいれば、どんどん積極的に私どもと力を合わせてやっていくというのが私の立場でございます。したがって、先ほど来問題になっております関連団体の問題につきましても、民間に本当に力のある方がおって我々が見習う方がいれば、積極的に我々はその人たちの協力を仰ぎたいと考えておりますので、そういう意味で私たちは本当にNHK経営に役立つ方を推薦される方がいれば我々は大いにその方々の協力を得たい、こういうように考えております。
  209. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 特にNHK公共放送としての使命を担う上で権力からの中立というのをどういうふうに確保していくか、これが最大の課題だろうと思うのです。今卑近な例で、日切れ法案の扱いをめぐりまして率直に感じた問題の提起をいたしましたが、消費税分の上乗せ、直ちに上乗せをしてそして経営が安易な方向に流される、こういう一点を考えてみて痛感せざるを得ない。重ねてその点。
  210. 島桂次

    島参考人 たびたび申し上げますように、私は権力との癒着とかそんなことは全く考えておりません。言い方は誤解されると困るのですけれども、私はこちら側に座っていらっしゃる政府の方とも自由民主党の方々とも、そんなに評判いいとは思っておりません。その一事をもって私のあれがわかると思います。
  211. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 経営あり方につきまして、姿勢につきましてさらにお伺いをしてまいりたいと思います。  新たに衛星付加料金がつくられましたが、この衛星付加料金の積算の根拠は一体どういうふうになっておりますか。
  212. 高橋雄亮

    高橋参考人 料額設定に当たりましては、どの期間で収支を償うかというような観点から考えるわけでございますが、今回の衛星料金の設定に当たりましては、現在の普及状況その他を考えますと、例えば二年で収支を償うということにしますとかなりの額にならざるを得ない。衛星料金は地上のカラー料金の付加料金ということで、新たに総合料金として設定していただくという観点から、通常的に五、六年のところで収支が償うような格好を考えたわけであります。そういうもとで計算しますと約千円になるわけでございますけれども、一件当たりの御負担を千円お願いしなければならないということになるわけですが、これからの普及、経済環境、そういったようなことをいろいろ勘案いたしまして、公共放送として九百円、九百十円くらいのところが付加料金としてお願いするのには一番適当ではないかということで決めたわけであります。
  213. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 料金の決め方にはいろいろな決め方があるわけですね。今回九百十円という数字で出てまいりましたが、答弁は千円程度という数字が結論として出てきている。これはもうちょっとしっかりした根拠があり、これこれこういうわけで九百十円になりますという説明が用意されてないのですか。これは全くあいまいな九百十円なのですか。
  214. 高橋雄亮

    高橋参考人 今後の衛星放送にかかります、私どもが今回打ち上げる2XそれからBS3まで見込んだいわゆるハードの部分の減価償却、それを今後どういう格好で償却していくか、あるいは番組の制作を今後さらに衛星放送普及のたびに充実さしていく、そのための権料がどういう格好で将来展開していくのか、そういう種々の問題を考えた上で九百十円くらいがこの段階では適当であろう、そしてこのことは先ほど来何回も答えておりますように、当面の三年間くらいは衛星放送だけの収支で見れば赤字でございますけれども、四、五年では単年度の中で黒字に転ずることができるだろうという判断をしたわけであります。
  215. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 九百十円についていろいろ私の方も計算してみました。どういう根拠で九百十円という数字が出てきているのだろうか。経営の事務当局の方はそれなりに根拠は持っているわけです。九百十七円という数字が出てまいりました。この 九百十七円の、これは五、六年というおっしゃり方でありますが、六年間収入見込みをきちんと立てた上での数字です。ですから、六年を平均しまして、六年間で事業収入があり、普及予測がベースにあり、そして六年という展開の中で幾らに設定すべきなのかという、こういう数字ですね。ですから、この六年が妥当なのかどうかというのはこれはまた別問題で、十年とすればもうちょっと低い料金で抑えることができるだろうと思います。三年ということになれば、さらにまた千五百円なり二千円なり、こういう数字になってくるだろうと思うのですが、今、六年というはっきりした数字を押さえた上で今回の九百十円が提案されているわけですね。  それで、問題は初年度、六十億円の付加料金の事業収入があるという前提を見てみました。そうしますと、平成元年度の年度末の普及数が二百三十万世帯、本年の一月末普及数というのが百三十二万世帯、そうすると、二百三十万世帯の六割の人からしかこの付加料金をいただけないという計算になっているわけです。なぜ六割としか見られないのか。八月一日から来年の三月三十一日まで八カ月あるわけですけれども、八カ月ありながら五カ月として計算をされているわけです。つまり、目標を低くして目標を上回る増収が得られたという考えなのか、六割、五カ月というのはどういうことなんですか。
  216. 小山森也

    小山参考人 最初から、直ちに全部の方たちと契約することができるわけではございません。これはもう先生、私が申し上げるまでもないことでございます。そのために、私どもとしてはいろいろの施策として、もしこの予算をお認めいただけますならば、その暁には六月くらいからいろいろ事前契約などの活動をしたり、あるいは臨時に約二百九十名の特別契約要員というものも確保し、そういうことによりまして契約をしていきたい、こう思っておりますが、何分とも最初のことでございます、いただく方も非常にまだなじんでいない。また、当協会の職員側も、なかなか新しい施策になじめないというようなことがあろうかと思います。ただしかし、したがいまして、計算上六割ということを目標とし、さらにこれをぜひ実行したいと思いますけれども、非常に困難な目標ではありますけれども、ぜひともやらなければこの協会予算は成り立たないと思っておりますので、一生懸命その目標に向かって努力したいと思っております。
  217. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ここで、ハイビジョン国際規格に関しまして、標準化の方向についてお尋ねをしておきたいと思います。  もう既にBTAでは、非常に活発な活動を展開している。ハイビジョン市場、一兆円市場だとも言われ、さらに大きなスケールが言われているわけでありまして、非常に熱いまなざしで注目される市場でありますが、問題はこの標準化という点です。最近の動向の中で、アメリカにおける下院通信・財政小委員会、ここでは、米国産業委員会から三十通を超える意見書が出されて、日本方式の排除、この働きかけが一方にある。また欧州では、欧州での日本を疎外した標準化の動きが見られる。郵政省としてこれをどういうふうに受けとめているのか。あるいは、今までこのITUの実際の作業部会の中で、CCIRの中でNHKとして働きかげその他をやってこられたと思いますが、この動きをどう評価されているのか、ぜひ伺いたいと思います。標準化は、確かにテレビジョンセットそのもの、それから伝送方式、カメラあるいはVTRに至るまでの一つの大きなシステム全体、この標準化ということだと思います。先導的役割を我が国が果たしてきたはずでありますし、これからの見通しをどういうふうに持っておられるのか、伺っておきたい。
  218. 成川富彦

    ○成川政府委員 昭和六十一年にCCIRに日米加共同で千百二十五本、六十ヘルツの番組制作規格、スタジオ規格というものを提案させていただいたわけでございますが、残念ながらこれがまだ勧告案まで至っておりません。これに対しまして欧州では、六十二年の中間会合で独自に開発中の千二百五十本、五十ヘルツの番組制作規格案を提案しております。  我が国では、日本とECとの定期協議等の場などを利用いたしまして、私どもの立場、考え方を十分説明し、理解を求めているのですが、なかなか欧州の態度は固くて、国際規格統一に向けての状況は厳しい状況にございます。先般も、三月の下旬でございますが、ECとの協議がございまして、その場でも我が省から出かけていきましてやり合ったんですが、その中でもなかなか厳しい状況にございます。  米国も、今お話ございましたように、米国議会だとか産業界が独自の技術開発していかなければいかぬというような声が大きくなっておりまして、これが米国の立場に影響を与える可能性もあるわけでございます。ただ、民間の規格協会といいますか、ANSIと言うんですが、そこでは一部のまだ意見を留保するようなところがございますけれども、大方スタジオ規格については同調するというような動きもございます。国務省の一部におきましても我が国の立場と同様なスタンスでいこうじゃないかというような声もあるようでございますが、いずれにしてもまだまだ流動的な要素が強くて、私どもの提案しているような規格づくりができるということが言えるような状況にはなっておりません。米国との間でも意見交換をして、できるだけ私どものすばらしい技術である国際番組規格が、技術といいますか、国際的な番組制作規格が国際的に認められるように努力していかなければいかぬと思っておりまして、四月の上旬に私どもの省からアメリカへ行きまして、アメリカとの間でも意見交換をして同調をしてもらうように説明し、理解を求めていきたいというふうに考えているところでございます。  今後とも、あらゆる場を使って努力して、我が国の規格が国際的な統一規格として認められるように努力していきたいというふうに考えております。
  219. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 NHK技術の人の……。
  220. 中村好郎

    中村参考人 ただいま成川局長から種々お話があったとおりでありますけれどもNHKはこのCCIRに八年前から提案をしてまいったわけでありまして、ことしは五月、十月に最終的な規格を決める重要な会議がございますので、郵政省に協力する形の中で、引き続き、特に日米加の今までやってきたグループの結束を固めてこれに向かっていきたいというように考えておるところであります。
  221. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 終わります。
  222. 畑英次郎

  223. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 去る十五日の逓信委員長主催の懇談の席上での池田会長発言について若干質疑がありました。大変大事な問題だと思いますので、私からも正確にお聞きをしておきたいと思います。  私が承知しております池田会長発言内容は、印刷物にもなっておるのですが、ある自民党の先生から、不偏不党など現実的でないと言われた、それで考えた結果、私も不偏不党という考えを取り消したという趣旨発言をされたということであります。そのとおりだといたしますと、これはまさに放送法の基本理念を否定するもので、NHK会長としてあるまじき発言だと考えます。極めて重大だと思うわけであります。  そこで、一体どんな意図で発言をなさったのか、現在はどう考えておられるのか、その点を正確に、明確に承りたいと思います。
  224. 池田芳蔵

    池田参考人 この間の委員長がなさった懇談会で、私のことが皆さんの言ったように伝えられておりますが、これは完全な誤報でありまして、私自身は言葉が足りなかったと思って反省しているわけです。  私は、放送法にある第一条に従いまして、確固たる信念を持って放送の不偏不党を追求しておりますし、今後もそれでなければならぬと思っております。
  225. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 発言に不適切なところがあって誤解された。誤報というのはちょっと言い過ぎじやないかと思いますが、明らかにそういう文言を聞いておられる方が多数いらっしゃいますし、こういう活字にもなっておるわけです。ですから私は、それが真の意図ではなかった、不偏不党の立場でこれからもやっていくという趣旨の御答弁だというふうに理解をしておきます。  消費税に関連の問題でお聞きをしていきます。  消費税導入による受信料の値上げ、これは我が党は反対であります。消費税は、もう既にいろいろ指摘もありましたけれども、まず公約違反でありますし、国民多数に多大の新たな負担を強いるという点で大変な悪税だと思っております。現にいろいろな混乱も起きておる。そういう状況で、消費税を理由にした受信料の値上げはNHKはすべきではないというふうに考えるわけであります。  とりわけ、NHK受信料につきましてはもう一つ別の問題があるというふうに思うのです。若干議論がありましたが、これまで受信料については、特別な公的負担金であるという説明でありました。あくまでサービスの対価ではないんだという説明をされてきたわけです。  ところが、昨年の決算審議以来、あのときには成川行政局長答弁されたのですが、一方で放送サービスの対価ではないんだと言われながら、対価に類するものとして課税対象に加わったという説明なんですね。これは大変わかりにくいです。私もよくわかりません。多くの国民も納得できないだろう。この点をよくわかるようにまず説明をしていただきたい。
  226. 成川富彦

    ○成川政府委員 先生お話しございましたように、NHK受信料は特殊な負担金という性格を持っております。サービスの直接の対価ではございませんが、今度の消費税法で、資産の譲渡等の対価に類するものということで課税の対象に加えられまして、政令でNHK受信料もその中に入ったわけでございます。  なぜ消費税のその対価を得て行われる資産の譲渡等に類するものに当たるかということでございますけれども、その理由といたしまして、NHK受信料というのは、いつでもナショナルミニマムとしてといいますか、公共的な放送受信できる状態にあるというものの便益に着目した、そういう性格の料金である、したがって、それに類するものとして位置づけられるんじゃないか。それからまた、各種の統計におきましても消費支出として位置づけられているとか、そういうようないろいろな要素から、今回、資産の譲渡等の対価に類するものとして新たに課税対象に加えられまして、受信料につきましても消費税を課することとなったような次第でございます。
  227. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 それでもよくわかりません。その「資産の譲渡等」というのは消費税法の方では第二条に定義がありまして、「資産の譲渡等」とは、「事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいう。」と。この分類からいえば、役務の提供に類するものという解釈になるのではないかと思いますが、そういうことですか。
  228. 成川富彦

    ○成川政府委員 おっしゃるとおりでございます。役務の提供に類するものとしての範疇に入ります。
  229. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 サービスと役務はこの場合同義語のようになりますが、そのサービスの対価というのと、それに類するものというのはどういう違いがあるのですか。
  230. 成川富彦

    ○成川政府委員 「対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるもの」という、先ほど先生からお話がございました二条のそれに当たるわけでございますが、NHKの料金は御承知のとおり、受信料、特殊な負担金という性格を持っておりまして、サービスの直接の対価としては位置づけられていないわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、いろいろな統計で消費に当たるとか受益ができるというような、そういう観点からすると、それに類するものに当たるのではないかというようなことから、今回、その消費税の対象に加えられているということでございます。
  231. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 同じようなことを言葉をかえて言っておられるだけで、納得はなかなか得られぬだろうと思います。  NHKにお聞きしますが、NHKはこの今の受信料の基本的な性格からいって、消費税をかけるのがふさわしいのかどうか、その点はどう考えておられるのか。まず、その問題で政府に何か物を申したとか、そういうことがあるかどうか、その二点をお伺いします。
  232. 島桂次

    島参考人 私どもといたしましては、あくまでNHK受信料は消費税の対象にならないという考え方で当初おりまして、これは関係各方面に私どもは強く働きかけました。しかし、こういう法律ができました以上、私どもはそれに従うということでございます。  それから、この消費税をめぐって国民各層にいろいろな意見があることも、私ども放送事業者としてよくわかっております。しかし、あえてこういう予算案を提出いたしましたのは、これ以上のNHK財政状況の悪化というのは、本当の意味での公共放送を維持するのにかなり難しい状態になる。そのために私どもは、今までよりより質のいい公正な番組をこれから出すことによって何とか国民の皆様の御理解を得たいという努力をこれから重ねたいと思っております。大変な仕事であるということは十分わかっておりますけれども、そういう決意でおります。
  233. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そもそもは消費税をかけるべきではない、そういう対象ではないんだというお考えだったということでありますが、その姿勢で、私はやはりこれを堅持するということが望ましいんだと思います。  財政的な問題も若干お触れになりましたけれども、今の消費税をめぐる事態というのは、国が決めたからもうしようがないんだということでは済まないところに特徴があるんだと思うのですね。国はなるほど決めました、非常に強引なやり方で決めました。だから、十分な国民の理解が得られていない。地方自治体でも、自治省の調べでも、二月末現在で二十一の都道府県、それからまた十の政令都市、百二十以上の市で消費税の全面転嫁を見送るという事態が起きているわけです。かつてないことだと思いますね。そういう問題についてはNHK自身も報道しているわけですね。各地方自治体でそういうことが起き上がっているということについてはどのように考えておられますか。
  234. 島桂次

    島参考人 地方自治体その他でいろいろな動きがあることは十分承知しております。ただ、各地方自治体のことに私は言及するのは避けますけれども、いずれにしましても、地方自治体の場合と当NHKの場合とはいろいろな場合で違っておりまして、私は単純比較はできないというふうに考えております。  私は、先ほど申し上げましたように、これはNHK財政状況から見て何とか国民皆さん負担してもらうほかない、しかし、そのためにはいい放送を出すということに徹し切って、これから国民の一人一人の理解を求めるように最善の努力を尽くすということでございます。
  235. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 NHKの場合、地方自治体のことを言いましたのも、地方自治体と比較をいたしましても、冒頭に申し上げましたような受信料の基本的な性格からいって大変疑義があるということもあるだけに、より一層安易な転嫁は避けるべきだというふうに考えるわけです。  NHKは先日、世論調査を行われましたけれども、消費税についてどういう結果になっているかということと、竹下内閣につきまして、評価するが二八%、それから、余り評価しないと全く評価しないが七八・五%という結果が出たようでありますが、評価しない理由の主なものを二、三挙げていただきたいと思います。
  236. 遠藤利男

    ○遠藤参考人 竹下内閣を評価しない主な理由でございますけれども、一番大きな理由は、政治姿勢三七・四%、その次に、税制改革三六・二%という数字が調査で出ております。
  237. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 消費税……
  238. 遠藤利男

    ○遠藤参考人 消費税という言葉では出ておりません。税制改革ということで出ております。
  239. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 消費税についての……
  240. 遠藤利男

    ○遠藤参考人 消費税についてですか、少々お待ちください。――消費税につきましてどのようなことに今一番不安を感じて……
  241. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 賛成、反対……
  242. 遠藤利男

    ○遠藤参考人 賛成、反対ですね。反対は七四・〇%でございます。賛成は八・八%でございます。どちらとも言えないが一二・六%でございます。
  243. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今の世論調査結果でも明らかなように、消費税は全く国民的合意ができていない、というよりも圧倒的多数が反対であるということがはっきりしておるわけですね。ですから、そういう国民大多数が反対しておる、しかも受信料の性格からいっても課税すべきではないということでありますから、その問題で一度主張はされたけれども、国の決定だからというようなことで今度消費税転嫁の値上げ案が出てきておる。これは私は、やはり国民の納得を得られないであろうということを強く申し上げておきたいと思います。  次に進みますけれども衛星放送の問題です。  まず、いわゆる補完衛星ですね、予算案で突然BS2Xの問題が出てまいりました。これは従来の計画にはなかったものだと思うのです。けさからの質疑で、あるいはこれまでの副会長の記者会見ですかなどで大要、衛星放送を始める以上、万一の場合に備えて万全の措置をとらなければならぬのだという趣旨のことを言っておられます。  しかし、幾つか疑問があるので順次お聞きしていきたいのですが、NHKがこのBS2X打ち上げ計画を公表されたのはつい一カ月前ですね、たしか二月十七日。余りにも唐突に感じるわけです。寝耳に水という表現報道している新聞もありました。いつからこの構想を進めてきておられたのか、その点まずお答え願いたい。
  244. 島桂次

    島参考人 これは川原前会長時代、私はニューメディア推進本部長をやっておりまして、独自放送、つまり難視解消だげではなくて一つのチャンネルを使ってモアサービスをした段階ですね、ほぼ一年半前でございます。そのときに、やはり今の衛星の状態ですと、万一のことがあったときに突然見えなくなったということになりますと、今度は衛星放送を見るためにパラボラアンテナをつける方がどんどんふえてまいります、これの補完措置を何か考えなければいかぬということで、実は私は真剣にその補完措置を検討してまいりました。それで、事実、先ほど申し上げましたように、私は世界のあらゆるロケットメーカーあるいは中継器のメーカー等いろいろ具体的な相談を重ねてまいりました。しかし、新たに注文するとなりますとかなりの準備期間を必要としますし、その後ずっと検討を進めてきたわけでございますけれども、昨年末に至りまして、GEがヨーロッパ向けにつくっていた衛星がいろいろな条件その他でなかなか最終的な契約にいかないという星があるということがわかりましたので、早速技術の役員をアメリカに行かせまして、いろいろ検討して、大体これで何とか使えるなという判断をした上で、郵政省その他政府機関と相談に入っていったわけでございます。  それで、ある程度これでいいだろうという話になってまいりましたので、私は、一応NHKとしてはこういう星を上げる用意があるということで、先ほど以来各先生方質問でちょっと落としておいたのは、一応GE社側と上げることを目途に覚書を検討したということでございまして、正式契約は、これはあくまで本予算国会皆さん方の御承認を得なければ正式契約には至らないわけでございます。したがって、新聞その他で猪突とか、あるいは国会皆さん方に事前に知らせなかったということは、まだこれは私としては進行中のものである、正式決定は、この本予算国会承認を得なければこれは契約できません。そういうことになっておりますので、運び方につきましては、衛星問題というのはかなり微妙な問題がございまして、これが途中段階で漏れますとまた計画自体に支障を来すということもございますので、ある段階までNHKの内部でもごく数人だけに限ったような形で進めてきたという特殊事情もあったということを念のためにつけ加えさせていただきたいと思います。
  245. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 かなり前から、一年以上前からいろいろやってこられたということでありますけれども、何しろ大きな買い物でありますから、突然出てきて、一体これはどうなっているのだと。昨年、2bが制御装置が故障したり、また湿度や姿勢のデータを地上に送る装置が故障したりというときにも、放送には何ら支障ないということを言っておられたわけですね。だから、別のもう一つ予備機の予備機の問題が出てくるなどとはだれも考えていなかったという唐突感はぬぐえないと思うのですね。  それで、今お話しありましたが、GEの衛星ということになった。GEは、つくったけれども使い手がなくて困っておったという状況でもあったわけですね。いわば死蔵衛星といいますか、だからそれを何とか売り込みたいということもあったのじゃないでしょうか。それと、ヒューズ・コミュニケーションズからも売り込みがあったと聞いております。どういう理由でGEのに決められたのか、その点いかがですか。
  246. 島桂次

    島参考人 これは皆さん方お調べになればわかりますけれども、GE並びにヒューズの方から我我の方に申し出があったのじゃなくて、私の方から一年前から積極的に、いろいろの意味で、ヨーロッパのメーカーも含めましていろいろ相談をしてきた事実がございます。ただ、GEにつきましては、先ほども申し上げましたようにヨーロッパ向けにつくっていたことは事実でございます。ただ、ヨーロッパがいろいろその後の放送事情の変化でこれは延期してくれとか、もうしばらく契約を待ってくれとかというような状態にあったことも事実でございます。ただ、売れなくなってその売れなくなったものをNHKに押しつけたというようなことは全くございません。
  247. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 もう一つの疑問は、これも若干質疑されておりますが、NHKは大変今経営、財政厳しいんだ、厳しい厳しいということが連発されておるわけですが、その中で新たに百四十五億円もの出費をしていくという問題ですね。しかも、たった一年しかその目的では使わない。これは大変むだではないかというふうに率直に思うわけです。しかも、その百四十五億円の負担というのは一般受信者にすべてかぶさるわけですね。その一般受信者三千百万ですか、今。その圧倒的大多数は衛星放送を見れないわけです。見る装置を持っていないわけですね。だから、衛星放送から今のところ何の受益もないのに新たな負担を百四十五億円強いられるという関係になるわけです。これは私、大変不都合だというふうに思うのですね。  それで、島副会長は、衛星の受信者が百三十万人くらいになってきている、その人たちに対する責任もあるんだということでこの予算案を提案してこられている。しかし、現在で言えば百数十万の衛星受信者のためにどうして三千万受信者が新たな負担をしなければならぬのか、それはどういう理屈があるのか、それをちょっとお聞きしたいですね。
  248. 島桂次

    島参考人 この朝以来の審議の中で私が申し上げたとおり、衛星放送につきましては、今までの十何年かの問題は別にしまして、この平成元年以降は衛星の予算と地上波の予算は一応区分けして考えております。したがって、今度の百四十五億は六年ないし七年間の衛星放送収支の中でこれを償却するという形で今考えておるわけでございます。ただ、部分的に一時借り入れとか流用とかということとかあるいは地上波と共通の部分がありますね、共通の部分も若干あるわけですよ、細かく言いますと。これはごく一部分であるというふうに考えていいであろうと思います。
  249. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 帳面上の整理のお話がありましたが、そういうことではないのですね、聞いておりますのは。実際、経済的に考えてみましても、百四十五億円、その出費以外にも、有料化すると制作費の方が高くなるわけでしょう。多少の有料収入が見込めてもほとんどペイしないといいますか、プラスにならないというのが実情だろうと思うのです。しかも、有料収入予算書のように楽観的に見通せるのかという質疑もありました。そういうことをいろいろ考えますと、大幅な赤字予算を組まなければならないような状態でどうしてそれほど急ぐのかという問題が出てくると思いますね。わずか一年しかそのための目的には使わないXを上げずとも、来年夏にはBS3aが上がるわけでしょう。早ければ来年末の十一月か十二月には稼働可能だというようなことも聞いているわけですね。ですから、受信者に新たな負担をさせずに本放送へと考えるならば、その時期まで待って本放送という選択もあってしかるべきじゃないかというふうにも思うのですね。どうしてそういうふうには考えられなかったのか。やはりこれは国民的な納得が非常に大事だと思うので聞くわけですが、その点はどうでしょう。
  250. 島桂次

    島参考人 衛星放送を始めますと、当然、ハードだけではなくて、これから金をいただく以上ソフト、つまり番組内容の充実を図らなければいかぬ。そのために費用がかさむことも事実でございます。したがって、平成元年度、二年度、三年度ぐらいはこれは収支相伴わないことを覚悟しております。ただ、順調にいけば四年、五年、六年、この間に収支見通しがほぼ相伴う。そのためには普及台数の予測もあるわけでございますけれども、その予測が甘いと言われればそれまでですけれども、むしろ逆に我々はその普及努力目標を達成すべく、これは一にかかって一体どういう番組を流せるかということにかかっておりますので、決して我々は将来に向けて何の成算もなく突っ込んでおるわけではございません。
  251. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 関連しましてもう一つあります。それは衛星料金の設定時期をめぐる問題です。  これは郵政省にお聞きするのですが、NHKが有料化計画を発表されて、それに対して日本CATV連盟が反対を表明した。ことしの一月ですね。この問題でNHKとCATV連盟の話し合いがつかないというので郵政省があっせんに乗り出して、あっせん案を提示して話をまとめたというふうに聞いておりますが、郵政省いかがですか。
  252. 成川富彦

    ○成川政府委員 衛星料金を含む受信料の設定につきましては、先ほど先生からお話がございましたようにCATV連盟が一月十七日ですか、反対の要望書といいますか、それを郵政省等に配付いたしました。それで、NHKと日本CATV連盟が二月上旬に何回か話し合いを行ったのですが、両者話がつかずに、両者から郵政省に要請がございましたものですから、それぞれから事情を聞いたり両者の話し合いに立ち会うなどして話し合いが促進されるように努めたことは事実でございます。NHKは、衛星料金を含む受信料の設定に当たりましては、設定の時期を平成元年の八月一日からとして周知準備期間を置くとか、あるいは衛星料金を含む受信料について団体一括割引制度を設けるなど、CATV業者とかCATVによる衛星放送受信者に一定の配慮を行ったところでございます。これらの事項は、今申し上げました郵政省が立ち会ったとか話し合いが促進されるように努めたとか、そのような話し合いをNHKが踏まえてみずからの判断で決定したものでございまして、そのような経緯でございます。
  253. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 事実はちょっと違うようですね。NHKが判断して決定したということでありますが、二月七日に郵政省としてのあっせん案を出しておるのじゃありませんか。日本CATV連盟事務局長名の事務連絡というのが二月十三日付で出ておりまして、「NHK衛星放送有料化反対運動について」というので各CATV業者に通知をされたものでありますが、この中で「二月七日の郵政省の仲介斡旋(別紙)を受け」云々ということがはっきり書かれておるわけです。ここに「郵政省斡旋」という文書もあるのです。これはコピーがありますから、どうぞ。これは五項目と一つの注から成っておりまして、そこで「NHKによる衛星料金の設定は、平成元年八月一日からとし、」とかあるいは「CATV事業者がNHK衛星放送にスクランブルを施して再送信することを認めるものとする。」とか、あるいは団体契約の場合は「手数料を含め二百円程度割り引くこととする。」そういう中身が詳細に書かれているわけですね。こういうものをあっせん案として提示されたのではないですか。
  254. 成川富彦

    ○成川政府委員 先ほど来申し上げましたように、両者からいろいろと意見を聞きまして、それぞれに対しまして、例えば実施までの準備期間を置いたらどうかというような示唆をしたことはございますけれども、今いただきましたあっせん案といいますか、文書といいますか、そういうものを渡したことはございません。
  255. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 文書を渡したということではなくて、これは恐らくCATV連盟の方でつくられたものだと思いますが、こういう内容のあっせんを郵政省としてしたのではないかという点をお聞きしているのです。
  256. 成川富彦

    ○成川政府委員 今申し上げましたように、準備期間を置いたらどうだとか、それから今先生からもお話ございました主な点、五つばかりございますが、両者の論点の主なもの五つばかりにつきまして、そのそれぞれにつきまして示唆をしたことはございますけれども、その話し合いの結果を踏まえまして、先ほど申し上げましたようにNHKが自主的に料金設定の内容を定めて、今度の予算案等にまとめたものというふうになっております。
  257. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 示唆という言葉で、何かその言葉だけでかわそうとしておられるようですが、要するに中身についていろいろ具体的に助言をしたということでしょう。  NHKの方にお聞きしますが、NHKは当初CATV連盟との話し合いの中で、五月一日実施、よくとっても一カ月の準備期間だ、こういう主張であったというふうに聞いております。それがこういう、今のような郵政があっせんに乗り出すという経過の中で、八月一日実施をやむなくのんだということだというふうに私は承知しておりますが、事実経過はどうですか。
  258. 島桂次

    島参考人 私どもが当初五月からということを主張したことは事実でございます。ただ、その後CATVの皆さん方といろいろ話し合いもあり、先ほど成川さんの話もあったように、いろいろ各方面の意見を聞いた上に私どもが最終判断いたしました。
  259. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 郵政大臣、今お聞きのような経過があったわけです。いろいろ表現、言葉は選んでおられますけれども、結局はこの問題で郵政省が、有料化の実施時期あるいはCATVの反対を考慮して割引をやったらどうかといった問題もあるいは示唆されたのでありましょう。そういうようなことで今回出されてきております予算案ですね、計画にはあっせん案どおりの中身となっておるわけですね。この問題は非常に重要な問題だというふうに私は思うのです。郵政省はいろいろ両方から相談を持ちかけられたので相談に乗った、示唆をしただけだという言葉で言っておられますけれども、私はかなり実質的には介入だと思うのですね。公式非公式を問わずに、こういう放送の時期でありますとか料金にかかわる問題で関与していくというのは、やはり自主的な、自律的な経営が保障されているはずの公共放送に対する郵政省の行き過ぎた関与だというふうに私は思うのですね。やはりこういうことがないようにすべきではないかと思います。そうしなければ、いろいろな点でゆがみが生じる危険性があるわけです。放送法の第一条、先ほど来盛んに問題になっておりますけれども、権力からの独立、不偏不党、中立公正ということを厳格に郵政省自身が守るという立場に立たなければ、やはり非常にこれは危険な要素が拡大していくわけですね。そういう点で、基本的なそういう構えについて大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  260. 片岡清一

    片岡国務大臣 お答え申し上げます。  NHKとCATV業界が話し合いまして、その結果に基づいてNHKが自主的に決定したものである、こういうふうに承知いたしておる次第でございます。
  261. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 大臣、それでは私の質問に対する答弁にはならないのですよ。NHKとCATVが話し合いをしました。話し合いがつかないので郵政省に持ち込まれたのです。それで現実にはこういう中身のあっせんが、示唆か提示か言葉の違いは別ですよ、実質的にはこういう内容が提示されたのですよ。それで第一項目については、CATV連盟の方は不承不承承認するということでしかないのです、現時点でも。だから二者で合意してつくった文言ではないのですよ。だから、あっせんといいますか、関与の事実は明白だと私は思う。ですからお聞きしているわけです。こういうことが拡大していきますと、やはり放送の中立、自律、そういうものを侵す危険がある。そういうことがないように郵政大臣としてきちっと御指導していただきたいというのが質問趣旨です。いかがですか。
  262. 成川富彦

    ○成川政府委員 今も申し上げましたように、両者からの要請がございまして、それで話し合いの場をつくって、その話し合いを促進してもらったわけでございます。その結果、NHKが話し合いの結果も踏まえて予算案に、先ほど申し上げましたようなことで取り組んで提案した次第でございまして、何ら介入だとかなんとかということはしておりません。
  263. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私は、こういう歴然とした文書があり、経過をいろいろ聞いてもおります。関与があったということは明白だと思っております。これは、そういう突っぱねた答弁をなさるのなら引き続き大きな問題にしていきたいと思います。  じゃ、時間の関係もありますので、次の問題にいきます。  これは島副会長にお聞きするのが妥当かと思いますが、国会中継問題です。かねがね私たちは、NHK国会中継、これは非常に重要なものだ、国政と国民を結ぶ上で非常に重要な役割を果たしているというふうに考えております。それだけに中継に万全を期すということが公共放送としての責務であろうと思うわけであります。この点、数年来の議論にもなりますが、そういう観点から我が党は、とりわけ予算委員会の中継がNHKの都合で中断をされたり打ち切られた部分が、一般視聴者が非常に視聴困難な深夜、時によっては午前一時を過ぎた場合もあるのですが、そういう深夜に録音録画放映される、放送されるという事態にならないように改善を求めてきたわけであります。今国会では今のところ審議が午後六時までに終わっておるということもありまして、そういう異常な事態は起きておりません。が、中継が午後六時を過ぎるような場合の改善策についてその後何らかの検討をされたかどうか、お聞きをしたいと思います。
  264. 島桂次

    島参考人 国会中継につきましては、この重要性は私は十分認識しておりますので、予算委員会その他できるだけNHKとしてはこれをやっておるわけでございます。  国会というのはもちろん国会議員の皆さん方が自主的に審議日程をお決めになるので、十何年も前から私は午前十一時五十五分から午後一時まで――午後の中継は六時までということでやっているわけでございます。それは、放送の実態から見て私はそれが適当じゃないかということでずっとやってきたわけでございますが、たまたま国会皆さん方審議日程の都合で六時以降にずれ込んでしまうということで、残念ながら六時で切らざるを得ないという事態があったことも事実でございます。  ただ最近、放送を取り巻く環境というのが非常に変わってまいりまして、ニューメディア時代というのは多メディア時代でございますし、情報化社会というのはいろいろ大きな意味の放送の移り変わりでございます。したがって、私どもは、先ほど申し上げました編集方針が絶対不可欠なものであるかどうかについてはこれから本格的に検討しなければいかぬ時期に来ているなと考えておりますので、近い将来、私どもの希望としてはできるだけ六時までに国会審議を終了させてほしいのですけれども、こんな国会審議権を一放送関係者が要望するのは間違いでございますから、もちろん国会審議に応じまして弾力的に考えたいという考え方は持っておりますけれども、直ちにここに具体案があるわけではございません。
  265. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 副会長のお考えはある程度わかりました。これは大変重要な問題だと考えておりますので、憲法で保障されました国民の知る権利の側面、もう一つは放送法の政治公平の原則という側面、この両面の立場に立って、そういう場合の対応策といいますか、改善努力というものを引き続きやっていただくようにお願いしておきます。  最後に、NHKの天皇報道の問題でお聞きをしたいと思います。  天皇死去の際に、NHKは二昼夜にわたって天皇の特番ということで一色の報道をされたわけであります。いろいろな批判の声も起きました。NHKについで言いますと、一チャンネルはそういうことになってしまって、民放も同じだからというので三チャンネル、NHKの教育テレビの視聴率がうんとはね上がる、倍以上になったと聞いておりますし、視聴者が貸しビデオ屋さんに殺到して貸しビデオ屋さんがパンクするというような事態も起きたという状況もありました。  昨年、私は病状報道の問題でお尋ねもいたしました。病状報道全国的に自粛ムードをあおるとか、商店や業者に否定的な影響をいろいろ起こすというようなこともありまして質問もしたのでありますが、そのときにも批判、苦情の電話がNHKには一日四百本ぐらい来ておったということでありましたが、今回の死去に伴う報道についても多数の問い合わせ、抗議が寄せられたと聞いております。どういう中身の毛のがどれほど寄せられたか、お答えをいただきたいと思います。
  266. 遠藤利男

    ○遠藤参考人 天皇崩御当日と両日にわたりまして特別放送をいたしました。それに対する視聴者からの電話等の反響の数字の御質問でございますけれども、二日間で約二万八千件でございます。今手元に一日目、二日目の件数はございませんけれども、一日目につきましては、臨時に番組を変更いたしましたので、約七〇%が臨時番組についての変更の用い合わせでございます。二日目になりましたら、今度は特別放送が長いということに対する御批判を約六〇%いただいております。
  267. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 意見の中身を、特徴的なものを幾つか挙げていただけますか。
  268. 遠藤利男

    ○遠藤参考人 意見の中身でございますが、一つは、天皇特番を二日間にわたって長く放送していることに対する批判が一番多うございました。それから、もっと別の面から昭和ということを見る目というのもあるのではないかという御批判もございました。
  269. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 かなり省略してお答えになりましたが、最も多かったのは、もううんざりした、早く通堂番組、通常編成に戻せ、天皇一色となったマスコミの統制は恐ろしい、天皇を礼讃し過ぎだといった声だというふうに私たちの方は承知しております。  この問題は非常に重要な問題でありまして、もう時間も参りましたのでお尋ねはできなくなりましたが、NHKとしては聞く耳を持つというのですか、視聴者受信者が支えているわけですから、その声を本当に聞く姿勢を持ってもらいたいということを要望しておきたい。  私は昨年の質問でも指摘をしたのですが、昨年来の天皇の病状報道、死去に伴う報道、これは現憲法の主権在民の原則からいいまして大きく逸脱していると思っております。そういう点でNHKは、戦後のNHKの再出発のときの歴史もあります、戦前の反省もありました、戦前に回帰する方向へは絶対行くべきではない、あくまで憲法の平和的、民主的な条項、基本的な原則、そういうものを守って今後とも進んでいってもらいたい、進んでいくべきであるということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
  270. 畑英次郎

    畑委員長 松前仰君。
  271. 松前仰

    ○松前委員 まず最初郵政大臣にお聞きしたいのですが、先ほど、午前中でしたか、木内委員質問に対しまして大臣から受信料の問題で御答弁がございました。受信料というものは税金のようなものであるというようなお話、それからまたNHKを維持運営するための負担金という考え方、こういうことで御答弁があったわけなのでございますけれども、これは大臣としてはNHK受信料についての認識が大変甘い、甘いといいますか、ほとんど認識されていないのじゃないか、受信料とは一体どういう性格のものかということについての認識が全くないのじゃないか、そういうふうに感じるわけなのでございます。  大体税金ですとすべて取り立てるという格好でございまして、もし払わなければ罰則だということでございます。ですから、もし税金のような格好になりますと、これは放送がよかろうと悪かろうとお金を取ってしまうということになりますので、これではNHK考え方といいますか公共放送考え方国民のための放送ということにはならないのじゃないか、私はそういうふうに思うわけでございます。  受信料というのは、国民の意思を反映するために非常に必要なものだと私は思うわけなのですね。民主主義の反映の一つの形じゃないだろうか。番組審議会とかいろいろありまして、視聴者の声というのはそこへ出ていくわけでありますけれども放送がよかったか悪かったか、放送が本当に国民の意向を反映しているかどうかということについては、これは反映していなければ国民皆さん受信料を払わないということで、形としてあらわすことは可能なわけなのですね。そういう格好でありますから受信料には罰則がないのだと私は思うのですね。ですから、大臣が言われました一番初めの税金のようなものとかNHKを維持運営するための負担金という考え方、これは大臣としては認識不足、もうちょっと勉強していただきたいな、そういうふうに思うわけなのです。  そして、大体こういう大臣考え方ですと、経済的に成り立てばいいという経済第一主義の考え方ということになってしまうので、そうなりますと普通の放送局、民間の放送局と同じことになってしまうということだと私は思います。ですから、先ほどお話がありましたけれども、CATVのような反論が出てきているのは、どういう反論かというと、モアチャンネルの一つにしかすぎないじゃないか、こういうことで、だから衛星放送受信料を取るなんというのはけしからぬ、こういう言い方だというふうに私は聞いておるわけです。モアチャンネルの一つということは、ほかの放送局と全く同じだ、公共放送とかそういうことは全然意識していないということなんでありまして、ですからこの受信料考え方についてやはり大臣はもうちょっと認識を深めていただきたい、そのように思いますが、いかがでございましょうか。
  272. 片岡清一

    片岡国務大臣 私が税金と同じものだということを強調いたしましたのは、例えば経営が成り立たぬからすぐ受信料を値上げするというようなことはかりそめにも考えては困るので、やはりこれはどこまでも国民の支持に基づいて成り立っておる放送事業でありますから、かりそめにも安易な気持ちで受信料の値上げなどをするべきでないというときに、私が特に強調してそのことを言ったのでございまして、今先生が言われたような立場において、決してその考え方とそごするものでない、こういうふうに私は思っておることをつけ足しておきたいと存じます。もちろん罰則はないのでございますが、契約を結んでいただいた方はやはり何といっても受信料を出していただくという一応の義務があるわけでございますから、そういう点でそう簡単に値上げなどをすべきでないということを強調したいために申しましたことをひとつ御了承賜りたいと思います。
  273. 松前仰

    ○松前委員 NHKというのは、NHKの方々はよく御存じだと思いますけれども、世論というか国民皆さんがつくり上げたものだということをやはり十分認識をしていただきたいわけなんです。NHKが一生懸命国民放送をしてやっているのだ、こういう姿勢ではないのだということなんです。ですから、今国民の大多数の問題になっています消費税、こういう問題について、NHK予算の中にこの消費税の値上げ分といいますか、消費税プラス分が入っているということになれば、これは私たちとしましては、国民の大多数が反対しているこういうものについては賛成するわけにはいかない、こういうことなんであります。この問題については一応このぐらいにしておきますけれども郵政大臣最初の御答弁についてちょっと気になりましたから、最初質問させていただきました。  大体今のこの世の中、消費税の問題もそうですが、リクルート問題等いろいろ問題になっておりますけれども、そのほかに経済の問題でも、今ちょっと忘れ去られておるようでありますけれども、日本の国は非常に格差の大きい社会になっておるし、また東京一極集中というような形にもなっている。そして貿易摩擦も起こって、そしてまた外国から圧力がかかって、農業が何かかなり痛めつけられておる、こういうことがあることはもう皆さん御承知のとおりであると思います。大体こういうような世の中になった、金銭的、物質的に非常に豊かな国に日本はなったのですけれども、人間喪失と言ってもいいような現実に今はなってきているのじゃないか、私はそういうふうに思うわけなんです。結局その行く末が何かというと金権腐敗の政治で、今問題になっておりますような政治腐敗、こういうことになってしまって、同時に弱い者をさらに弱くするような、格差を大きくするような消費税が導入されるというようなことで、国民の意思と非常に反するような形に今の社会はなってきている。  どうしてこうなったかというのは一概に一つだけに決めつけるわけにいかぬと思いますが、やはりNHKはマスコミ――マスコミといっても放送のマスコミですが、非常に影響力が大きいと私は思います。このマスコミがジャーナリズムの批判精神を十分に発揮し得なかったと言ってもいいんじゃないか。それは言い過ぎかもしれないけれども、私はそういうふうに感じるわけなんでございます。言ってみればNHKは、やってはいけないのですけれども、やろうと思えば世論操作だって可能なわけなんですね。ところが、マスコミの中心たるNHKがその不偏不党とか真実の報道とか表現の自由、こういうものを放棄したら一体どういうことになってしまうのだろうか。私はこのNHK予算を見ている限り、そしてまたいろいろ御答弁を聞いている限り、このNHKの社会的責任を放棄してしまうような感じすら見受けられるということなんでございます。  そこで、そういう社会的責任を持ったNHKのトップにお座りになりました会長は、みずからの発言にやはり慎重であるべきだと私は思うわけでありまして、そしてまた国民の声を十分聞く耳を持たなければいけない、そのように感じておりますが、先ほどから御答弁がいろいろございまして、そのようにするというように私は受け取ってはおりますが、もう一度ちょっと確認をさせていただきたいと思うわけでございます。会長NHKの社会的責任を十分守ってこれからしっかりやっていく、そういう御答弁をもう一度お願い申し上げたいと思いますが、よろしくお願い申し上げます。
  274. 池田芳蔵

    池田参考人 松前先生は我々の先輩でございまして、NHKにおられたころの御経験もいろいろあると思いますが、その先輩からの御意見は全くそのとおりでございまして、我々はNHKの伝統を守り、具体的には放送法第一条に書いてあることを守って、どちらにも傾かない公正な議論を展開して国家、国民のために働きたい、かように思っておりますので、どうぞひとつその点はお含みおきいただきたいと思います。
  275. 松前仰

    ○松前委員 非常に影響は大きいわけでございますから、どうか自分たちだけで放送をやっているということじゃなくて、やはり国民の上に成り立った放送ということでございますから、ぜひともNHKのトップに座られたその責任を全うしていただきたい、そのように思うわけでございます。  そこで、そういう影響の大きいNHKが、ラジオ放送やテレビ放送全国あまねくカバーすることにこれまで一生懸命努力をされた歴史を見ますと、日本全体の平等な繁栄と格差解消に非常に大きな寄与をしてきたと私は信じておりますけれども、この社会のためのプラスを生むため全国津々浦々にいろいろな大小の放送局が設けられてきたわけでございます。国民放送を守ろうとしてそこで一生懸命働いておる職員がたくさんおるわけであります。受信料制度に生きがいを感じて一軒一軒訪ね歩いていく集金さんもおりますし、営業マンもおるわけでございます。時には先ほどありましたような不払いというようなことが出てくる。そういう人に出くわして懸命に説得する。そういう中で必死になって集めてきた受信料。この必死になって集めるということ自体、NHKに誇りを感じて集めに行っていると私は思うのであります。そういう方々が一生懸命集めてきた受信料やその職員というものは、やはり粗末に扱うものではないと私は思うわけでございます。  そういうことを考えますと、今日協会が提案しております合理化提案、これが余りにも職員の生きがいに背を向けているのじゃないか、そういうように感じてならないのでございます。  ローカルの問題ですけれどもNHK予算の附帯決選、これで毎年ローカル放送の充実、今回も出るかもしれませんが、あるいは地域放送の強化、これは毎年出てきておるわけでございます。多様な地域サービスの展開というものを図るように述べられておるわけなのでございますけれども、今までこの附帯決議をどのように実行されてきたのか、その辺について御答弁をお願いしたいと思います。
  276. 遠藤利男

    ○遠藤参考人 ローカル放送につきましては、ここ五年ばかり、地域放送の充実ということをNHK事業計画の中でも重点項目として取り上げてやってまいっております。それで、各地域放送局の地域放送時間の増それから質の充実ということをやってまいっておりまして、かなりの時間の増まで到達しております。しかし、私どもとしてはこれではまだまだ足りないと思っております。  といいますのは、これからの多極分散型の国土形成あるいは新しい地域社会の形成、発展ということのためにも地域放送はまだまだ活躍する余地はあるというふうに考えておりまして、これからは、一つには各地域放送局の自主、自律による番組制作、編成の権限をさらに強化する、あるいは各放送局の放送内容の個性化というようなもの、それからもっと広い、広域でのいろいろな放送局が協力し合って番組内容を充実するというようなことをやってまいりたいと思っております。
  277. 松前仰

    ○松前委員 サービス時間の増加それから質の向上ということで具体的に努力されているということでありますが、しかしサービス時間をふやすということ、質を向上させるということ、これは口だけ言ってもお金をつけただけでできるわけはないのです。何が必要かといったら人間じゃないですか。人間が手当てがなければできないわけですよ。  そこで、県内局というのがございますね。県内局について行革審の答申があって、それをどんどん合理化するというような話があるわけなのですけれども、聞くところによりますと、県内局の職員四百四十人、これを平成元年から四年かけまして半数以下の二百八人にしよう、こういうような計画である。先ほどお話がありましたように、サービス時間向上そして質を向上させると言って、そういう中でこの県内局をどんどんこうやって減らしていく。そのほか、一万五千人体制も何か早めるというようなこともある。人をどんどん減らしていく、これによってサービス時間をふやして質をよくするなんということができるのでありましょうか。今、放送の質の問題というのはかなり問われ出しているようでございます。質が悪くなってくれば放送受信料だって払わなくなる人が出るかもしれないですよ。先ほど一番初めに受信料の話を申し上げたのは、やはりNHKがちゃんとしたことをやらないと受信料制度だってうまくいかないじゃないか、もしうまくいかなくて、お金を取るという手段で税金みたいなことをすると、これはNHKの崩壊につながるのじゃないか、そういうことなのです。  ですから、先ほどの問題に戻りますけれども、四百四十人を二百八人にするというようなこと、大体こんなことはあってはいけないわけです。この地方の県内局を含めましてもっと、先ほどどなたか、大臣だったと思いますが、地方の時代と言いましたか、そういう時代において地方の手当てというものをしていかなければいかぬ、これは地方といいますか、人間の手当てを含めて一体どう考えておられますか。
  278. 植田豊

    ○植田参考人 私どもは、要員効率化あるいは業務の抜本的見直しというのが経営にとっての不断の課題だ、絶えることのない、今後とも続くであろう課題だ、非常に重要な根本的な課題だというふうに認識しておるところでございます。  ただいま先生の御指摘の地方のことでございますが、御指摘の県内局、これは県庁所在地局以外にあります放送局でございます。十数局ございます。例えば、静岡県における浜松といった存在でございます。今これらの支局におきましては、先生も御承知のとおりでございますが、例えば取材拠点としての機能がございます。それから、営業拠点としての機能がございます。それから、技術の保守拠点としての機能がございます。これに伴います庶務的な機能が若干ついておるわけでございます。このうち営業的な拠点につきましては、一部のところを除きまして一県一局体制に集中化しよう。それはコンピューター等の活用も今後可能でございますし、御承知の新業務体制といった営業関係業務全盤の見直しの中で一県一局体制をかなりの局については追求してみたい。それから、技術の保守拠点という点につきましては、これは放送上の保守に当たる要員でございますけれども、最近の技術の進歩によりまして故障の度合いが極めて低下しております。これらは一局を除いて全廃をしたいというふうに考えてございます。取材拠点については、最近の交通等の事情も考えまして若干の整理はいたしますけれども、基本的には取材拠点としては残しましょうといったようなぐあいに、業務個々に応じて検討をしておるところでございまして、今後ともこれらにつきましては労使関係抜きには考えられないところでございますので、組合の皆さんと十分話し合ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  279. 松前仰

    ○松前委員 つたない私の貧弱な知識でちょっと例をとってみますが、放送と全然違うのですけれども、スポーツの関係ですが、西ドイツにこの振興にゴールデンプランというのがありまして、これはどういうのかというと、自分の歩いていけるところに設備施設をつくろう、スポーツできる施設をつくろうという物すごい運動なんですね。これはかなりのお金がかかるわけなんです。だけれども、これを西ドイツはやる。どうしてやるかというと、国民の多くが近代化によっていろいろな、精神病とかそういうものがふえてきてしまった、近代病がふえてしまった。それを防ぐためにそういうことをやろうということで、そういうことをやっている。恐らく文化の面もヨーロッパはそういう形になっているのじゃないかと思うのですね。  また、今日本の中でも、貿易摩擦がきっかけになって働き過ぎが問題になってきておりますね。ゆとりと潤いというものが日本には不足している。時間短縮とかそういう言葉も出て、そして今それが盛んに進行している。そして、学校ですら時間短縮という方向にも向かう。そして高齢化社会、こうなると余暇がふえてくるわけですね。余暇がたくさんふえてくる。そして、個性化とか創造性ということが重要視されてきているということになると、その受け皿が必要でしょう。受け皿が必要なんですよ。これはだれが担うか。それは、先ほどの西ドイツのゴールデンプランもそれなんですけれども、それだけじゃない、NHKのような文化の担い手だった、こういうところがこの受け皿になってほしい。これは、だから地域にそういう受け皿、拠点が欲しいということなんです。ですから、県内局、これをいろいろな財政上の問題でやめなければいけないとか、合理化しなければいけない。それはお金の問題です。お金だけの考えではそうなるでしょう。しかし、それを何とか工夫して、そしてそれを文化の拠点ということにして、地域の皆さんのために、国民のためにやっていってくれることこそ、受信料をみんなが本当に喜んで払ってくれる、そしてNHKは明るいところだということになるのじゃないでしょうか。私はそういうふうに思いますので、先ほどお話ありましたように、これは労使関係の問題も非常に大きい。ですから、どうかその辺をきちっと議論していただいて、そして一定の結論を出して合意の上やっていただきたい、そのようにお願いをする次第でございます。  同じような問題ですけれども、一万五千人体制、これを一年繰り上げようとしているということでございますけれども、これについても、まず要員の削減が経営の安定化に寄与するんだ、まず最初要員の削減ありき、こういう協会姿勢、これがこの予算の中にはっきり出ているわけですね。国内放送費とかそういうものは非常に大きな伸びをしておるけれども、人件費は一・八%、一番少ないですね。これは人を大事にしていない。とにかく人件費が大変かかるから外注しようという話がどんどん出てきているわけですね。外注なんて今大変な話でありまして、八九年度平均一〇・九%。そして購入も入れると一四・六%ということですから、外注していい番組ができるというようなことが本当に皆さんは保証できるのでしょうか。大体、NHKにおる人間を信用してないんじゃないか。本当にNHKのためにやろうと思っている職員がたくさんおるにもかかわらず、そういう人たちをさておいて外注にどんどん出す、これは恐らく経営的な問題から、金銭的問題からそも、それじゃNHKはつぶれちゃうんじゃないか。私は今、NHKの大変な危機にあるんじゃないかと思っているわけなんですね。今非常に世の中展開しておりますが、NHKというのは一体何だろうか、ここらでもう一度考え直していかなければならないと思いますが、その辺についてちょっと御見解を賜りたいと思います。
  280. 遠藤利男

    ○遠藤参考人 先生のおっしゃるように、NHK公共放送として最もよい質の番組をつくるということが重大な使命でございます。  しかしまた、一方では経営効率化ということも強く要望されておりまして、最も効率的に最もよい質の番組をつくるというこの二つを、私たちは両方の肩に背負って仕事をしていくというふうに肝に銘じております。  そういう意味で、最も効率のよい仕事の仕方の中に関連団体の活用ということもございます。あるいは外国の人たちの知恵をかりるあるいはソフトを買ってきて放送するということも、質の確保ということでもまた多様化の上でも有効な手段というふうに思っております。  ただ、公共放送の質を厳重に維持していくということは重要な使命でございますので、私たち経営を担う者として、あるいは現場の先頭に立っている者たちも絶えずそれを心にしながら今後番組の制作、編成をやっていきたいというふうに思っております。
  281. 松前仰

    ○松前委員 最も効率的で質の高いという、非常に難しい課題にこれから挑戦するのでしょうけれども、いずれにいたしましても、今経営の不安定というようなことでこの予算赤字予算という形で出てきておりますが、この将来展望、恐らくこれは先ほどからも質問の中で答えられたのだと思いますが、大体附帯決議もあるわけですけれども、長期を展望して経営安定の具体的計画を速やかに策定する。ところが最近はスピードの時代ということになりまして、長期展望なんて言っているような時代じゃなくなってきてしまった。やはり中長期の展望ということを考えてこの経営計画を立てなければいけない、そういうふうに思うわけでございます。  お答えあったと思いますけれども、この中長期の展望というものをこれからどのようにつくって私どもに示していただけるか、その辺についてお伺いをしたいと思います。
  282. 島桂次

    島参考人 今当面NHKは、この情報化社会ニューメディア時代、まさに目まぐるしく進展する中で、新しい時代の新しい公共放送をここで再構築しなきゃいかぬ。恐らく戦後NHKが本格的な放送機関として始まって以来一番難しい局面に来ているんじゃないかと思います。当面、今現在先生方に御審議願っている平成年度予算事業計画をもとにしまして、先ほど来申しましたように、この秋ごろまでには少なくとも中期的なあるいは長期的な計画をはっきり定めましてまた皆さん方の御審議に応じたい、こう考えておりますので、よろしくお願いしたいと思っております。
  283. 松前仰

    ○松前委員 今のお話で十分だと思いますが、いずれにいたしましてもこの中長期展望というものをきっちりつくって、そして公共放送NHKを十分守っていくということを我々と確認をしたいし、また国民皆さんとも確認し合いたいと思いますので、ぜひともまたそれを議論に出していただくことを御要望申し上げまして、今回の質問を終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  284. 畑英次郎

    畑委員長 上田利正君。
  285. 上田利正

    ○上田(利)委員 片岡郵政大臣、それから池田会長、朝から大変御苦労さまでございます。いましばらくでございますから、明確な御答弁をぜひ冒頭にお願いをいたしたいと思います。  最初に消費税の問題でございますけれども、先ほどからいろいろと御論議がございました。郵政側の回答でも受信料に消費税をかけることにつきまして、資産の譲渡等に類するものとして受信料に消費税をかけるんだというようなことがいろいろとごちゃごちゃ言われておりますけれども、要ははっきりしている点が一つございます。NHK視聴者によるところの受信料でいわゆる公共放送、不偏不党という形の中でこの経営が成り立っておるわけでございます。したがって、視聴者側からいたしますと、あるいは受信料を払っている側からいたしますと、なぜ消費税を払わなければならないのかという疑問があるわけでございます。ただ経営上から見て、今の受信料ではやはり経営が成り立っていかない。それならば、受信料改定ならば、これは説明を受けて納得すれば理解ができる。しかし、なぜ受信料に消費税がかかるんだ、いろいろな説明をしてみましても、いわゆる視聴者は絶対納得しない。私どもがいろいろな会合へ行って話をします。逓信委員だからどうでしょうか、おかしいじゃないですか、代議士。受信料改定ということならば、にわかに賛成しないにしても、これこれこうだということならば百円の受信料引き上げについてもあるいは百五十円でもできるけれども、納得できるものはするけれども、消費税とはどういうことなんだ。これは三%だからいいけれども、五%にも一〇%にもなったらどうするんだ。そんなにまでして私ども受信料を払う必要はない。したがって、この問題は現実の問題点といたしまして、やはり今度のこの平成元年度のNHK予算に消費税を百十億円近く、これは乗っけております。支出の中に入っておるわけでございますけれども、こういう状態では、これから私どもがいろいろと地域の中で質問され、いろいろと理解を求めておりましても、これならば不払いだ、どうしても消費税を取るというならば、分けてできないんだから受信料は払うけれども消費税は払わないよ、カラーテレビであれば三十円は払わない、衛星を含めれば五十円を払わない、こういう声が多いのであります。そうなりますと、今の口座振替の問題、集金人を含めて局員が一生懸命頑張っているわけであります。これは大変な問題になると思うわけでありまして、安閑としていられないわけであります。この点についてNHKとしてどう認識しているのか、まずその点をお尋ねしたいと思うのであります。
  286. 島桂次

    島参考人 御指摘のとおり、今度の予算におきましては消費税を視聴者負担していただくことになりまして、このことがNHKにとって大変な問題であるという認識を私は非常に強く感じております。ただ私どもは、はっきり申しまして、本当は平成元年度から値上げしていただきたいという気持ちもあったわけでございますけれども、それもだめだということになってきますと、これからさらにこの消費税を我々が実質的に負担するということになりますと、公共放送を維持するためには大変難しい状態になる。ただ、もしこの予算が可決されましてこれから実際に徴収に当たるとなりますと、先生指摘のようにいろいろ問題のあることはわかっております。ですから私どもは、放送面では公正な質のいい番組を一生懸命つくり、営業面ではできるだけその辺の我々の状況視聴者の方々に説明して、全力を尽くして当面この平成元年度を何とか乗り切らなければいかぬという意味で、決して簡単に考えておるわけではございません。
  287. 上田利正

    ○上田(利)委員 島副会長の気持ちはわかりますけれども、実際に消費税が入れられた予算になっているわけでございます。したがいまして、明確に考え方を申し上げておきますけれども、このような消費税を乗っけた今度の平成元年度の予算は絶対認めることができない、このことは視聴者を代表してはっきり言っておきますから、よく覚えておいてください。  それから郵政大臣にお尋ねをいたしますが、「日本放送協会平成年度収支予算事業計画及び資金計画に付する郵政大臣意見」というのがございますけれども、これは郵政省の意見でなくて大臣意見でございますか、最初にそれだけお尋ねします。
  288. 片岡清一

    片岡国務大臣 郵政省の意見であり、また私の意見でもございます。
  289. 上田利正

    ○上田(利)委員 そうですね、郵政大臣意見ですから。  それでは郵政大臣にお尋ねをいたします。逃げられては困りますから、確認を先にしておきました。  この中で「記」がございまして、一、二、三、四、こうございますけれども、その前段の中で、平成年度収支予算事業計画及び資金計画はおおむね妥当と認めるとございます。この予算は妥当だ。しかし、後の方にただし書きがございまして、収支においては約百四十三億円の不足額が出ている。これもこの予算案の中にございます。それから、債務償還に必要な資金として約百七億円、合わせて二百五十億円、これが実質的な赤字であります。そういう二百五十億もの赤字のあるこの元年度事業計画、それから収支予算あるいは資金計画、これがおおむね適当なものと認めるとおっしゃっておりますけれども、これはどういうことなのでございますか。適当に意見を言っているわけではないと思うのでございますけれども、その点をはっきりお答え願いたいと思います。
  290. 片岡清一

    片岡国務大臣 NHK予算は前から赤字基調であるわけでございまして、今回も今お話しのような百七億円の手当てを借入金からしなければならぬというような赤字になっております。しかし、それを妥当だと私が申しましたのは、普通いきますと、これだけの赤字を埋めるためには受信料を値上げさしてほしいというような意見もいろいろ出ておるようでございます。しかし、先ほど私が税金と同じようなものだという言葉を使って言ったわけでございますが、その意味は、国の予算赤字になったからすぐ増税をしてそのつじつまを合わせようというような考え方は厳に慎まなければならぬことでございまして、現政府もずっと前から行政改革等をやって、いろいろな点で合理化、緊縮化を叫びながらその努力を続けてまいったわけでございます。NHKにおきます場合も、今までも人員の削減その他で努力をしてきておられますが、しかし、さらにさらに、ちょうど政府が行政改革をやってもさらに一段の行政改革を要するということで努力を続けておると同じように、この経営努力というものをもっともっとやってもらわなければ、まだ受信料の値上げなどということは軽々に考えるべきでない、かように存じておるのでございまして、そういう意味においてさらに一段の経営努力をしてもらいたいという私の希望を含めてこういう意見をつけたということでございます。
  291. 上田利正

    ○上田(利)委員 郵政大臣、私が質問いたしましたのと御答弁がちょっとずれておりますけれども、またさらに次の機会にでも大臣の見解を聞きたい。時間の関係で一応横におきます。  会長にお尋ねいたしますけれども、今郵政大臣が申しましたように二百五十億の赤字、それから埼玉の川口にございますラジオ放送のいわゆる跡地、この売却が百四十八億円でございます。これがなければ言うならば四百億円の赤字予算を我我、この委員会提出をしなければならぬ、こういう事態であります。川口にその跡地がございましたから、百四十八億が収入になったからよかった、よかったと言ってはおかしいのですが、助かったと思うのでございます。実際には四百億であります。毎年毎年百五十億くらいの土地が売れればいいのですけれども、これは恐らくそんなことはできないと思うのです。  そういう中で、副会長も先ほどちょっと申されましたけれども、六十二年度には四十一億円の累積赤字が出まして、それから六十三年度には二百二十七億円の累積赤字が出てきておる。こういう状況の中で、当初は会長もそういうお気持ちであったと思うのでございますが、百五十円か二百五十円くらいの幅の中で受信料の値上げを視聴者にお願いしていく、そして理解をいただく、こういう考え方であったと思うのでございますが、それが、今郵政大臣の御答弁もありましたけれども、どこかへ消えてしまったのですね。そして、百十億という消費税だけが上に先に乗っかってきたわけですね。受信料の引き上げということを、本委員会で通るか通らないかもありますし、あるいは視聴者の理解を得られなければ得られなくてもしようがないといたしましても、なぜ出さないのか、出せない理由が何かあったのか。しかも、御案内のようにNHKは常に三カ年計画というのを出してきております。そして、三年ごとに事業を見直していきましょう、大体今までのサイクルだと、三年たった後四年目に状況を見ていわゆる受信料の改定をするならしてきたのです。それが五十九年度から今まで、ことしで見ますと五年間ですね、そのままになってこのように赤字がたまってきてしまった。これからまだ五年も十年もこのままでいるのかどうかわかりませんけれども、恐らく十年くらいこのままでいるんじゃないかと思いますが、えらい自信があるようでございますから。私は常に言っていたんです。視聴者にお願いするときには、早い時期にやらなければ、ためれば一遍にたくさんのいわゆる受信料の改定を視聴者にお願いをしなければならない、それだったらとても通らないよということを、去年もおととしも言ってまいりました。去年も、ことしはどうですかと、ことしは大体一年はオーバーするけれどもと言って、当時の川原会長がそう答弁をしておりました。なぜそれが消えてしまったのか。そして、消費税だけが先に入ってしまって、消費税の部分のいわゆる料金の改定だけが入ってしまって、本体のNHKを維持していく、良質な放送サービスを提供していくという立場にあるNHKの料金改定がなくなってしまったのは、会長がなくならしたんですか。まずお尋ねします。
  292. 池田芳蔵

    池田参考人 大変厳しい御質問ですが、今も郵政大臣のおおむね適当であるということについて大臣に御質問がありましたけれども、その中には経営効率化ということが強くうたわれております。それに対しまして、私どもは元年度予算に おきましては、人間を三百四十名一応減らして、それによって五十億という節約ができるというふうなことが、これは一端でございまして、親方日の丸的な感じを払拭して、個人個人がそれを頭に置きながら仕事をするということによって、郵政省のおっしゃる効率化というものが実現してきやせぬかというふうに考えておるわけであります。  しかし、それだけではとても足りませんので、今お話しになりました川口の百四十八億円、これも永久にあるわけじゃございません。しかし、たまたまそういうものがあったので損害が少なくなったようなことでございますので、あれも頭に――昔も土地を売ったことがありましたが、こういうことは、今土地が高くなっておろうとしておるときに今ごろ土地を売るばかがあるかと言って私どもにしかった先輩もおりました。しかしながら、今のそのために地上波の値上げをせずに済んだということになりますか。それでも赤字でございますので、郵政大臣のおっしゃる効率化というものをさらに進めまして、なるべく赤字を減らすようにみんなでもって努力したいと思っておりますので、その点御了承おき願います。
  293. 上田利正

    ○上田(利)委員 それでは、会長の御答弁をかいつまんでおさらいしますと、人を減らしていけば、ことしは三百四十名、来年は幾人、千入減らすのか二千入減らすのか知りませんけれども、そういうふうにやっていけば、その効率化受信料の改定はしなくてもいいという、こういうふうに私、この両方のいい耳で聞いたんですけれども、そんな形にならないでしょう。松前委員も先ほどそのことは再々言ったはずなんでございます。  それならばお聞きいたしますけれども、今度は副会長。いいですよ、しっかり聞いておいてください。平成元年度の予算で、御案内のような衛星放送料金を八月一日からいただきたいということの予算になっておるわけです。それで六十億円ということなんですね。とても収支はなりませんけれども、五年計画とかいろいろなことをと言って御答弁いただいておりますけれども、今、この予算案を見ますると、地上波で四十五万人、いわゆる受信世帯をふやしていこう。去年は四十三万人ですから、まだ二万人も努力するのですよ。職員が努力しなければならない。そして衛星について百三十八万、こう言っておりますね。この世帯を、衛星は新設ですから、これを六〇%くらい見ているようでございますけれども、そういう中で今地上波だけの料金の言うなれば委託集金員ですか、これを含めて一生懸命やっております。あるいは口座振り込みも一生懸命、私もどこかで行き会えば、NHKの口座振り込みやってくれ、甲州弁で言うと、おまん、どうだ、いや、集金人に来てもらう、いや、口座に切りかえた方がいいじゃないか、こう言ってお願いをしているんだ、逓信委員の一人として。それでもまだ今、口座振り込みの関係は七四%ぐらいですか、という形になっている。集金人が二六%くらい一生懸命でやっているわけですね。訪問をして、昼間行ってもだめ、夜行く、行かなければ日曜日も休まなんでいく、こうしてやっているわけです、夜昼なく。そういう状況の中でようやっとNHKの体制がもてているわけです。これへまた四十五万、地上波をやって、そして百三十八万の衛星が出てくる。こういう形の中で、しかも集金人は減らそうとしているわけです。営業の人を減らそうとしているでしょう、この予算案で見れば。それを含めて三百四十人。ですから、そんな形の中で、衛星はやりますよ、新しく出てまいりました、四十五万はいわゆる新世帯を開発していかにやならない、そして職員数は減らしますよといって、これはできますか。どうするんですか。減れば減るほど集金がうまくいくということなんですね、人が減らせれば。会長が言いたいのはそういったことになっちゃうのですよ。そこのところを副会長、これはどう思うのですか。会長でもいいです。簡単に言ってください。
  294. 池田芳蔵

    池田参考人 私は来年度も地上波を値上げしないと申しませんでした。そのことはよく頭に入れておいてください。
  295. 島桂次

    島参考人 ただいま先生の御指摘された問題は、何回か今まで私が申し上げたとおり、NHKは恐らく、戦後本格的な放送機関として、公共放送として発足して以来初めての大きな危機を迎えているんじゃないか。はっきり申しまして、私は、平成年度予算でもぜひとも地上波の値上げをお願いしたいということを関係各方面にお願いしましたけれども、私は少なくともNHK経営者として、今ここで無理やり値上げを聴視者に負担させるよりは、ぎりぎり、はっきり申しまして、私も三十何年NHKにおります、本当に聴視者に我々が血みどろになり血だらけになってやっておるかと言われれば、まだまだ改良の余地があるんじゃないかということで、我々は今これから幾つかの経営課題を掲げまして、もちろんその指摘の中には先生の、地上波がこういう状態で新たにまだ二万ふやす、新しく衛星も徴収するというこの営業問題も含めまして、今までのNHKのやり方の延長線上ではだめだ、ここで一遍白紙に返して、もう一度組み直してここで徹底的にやってみる。もちろん、これがうまくいかなければ私ども経営の責任でございます。できるのか、できないのかと言われれば、我々はここでやるほかないわけでございます。どうしたらやれるかという問題につきまして、特に営業とか個別にもし必要があれば担当役員から御説明申し上げますけれども、いずれにしましても各論はさておき、私どもは、この平成年度予算、これを認めていただいた上で中長期的な計画を立て、新しい時代の新しい公共放送を構築すべく、私はここで決意をはっきり皆さん方に申し上げておきたい、こう考えております。
  296. 上田利正

    ○上田(利)委員 もう時間がございませんからあんまり申しませんけれども、ただ、会長、私も逓信委員の一人として一生懸命NHKの立場に立ってやってきているんですよ。いいですか。NHKといいますか、公共放送を守るために。それを、来年値上げしませんなんて言いませんなんて、そんな言い方はないでしょう。私は大人だからそれだけでもういいですけれども、よく上田利正の真意も腹の中に、胸の中に置いてもらいたい、これだけは言っておきます。  それで、後引き続いてお尋ねいたします。星の関係で約百三十七万世帯というような形になっておりますけれども、これの個別受信世帯と共同受信施設、世帯、これについての内訳をちょっと御回答願いたいと思います。
  297. 小山森也

    小山参考人 ただいま先生の御指摘の普及台数の百三十二万台は、本年の一月末現在の数字でございます。共同受信が七十一万件でございますが、そのうちCATVが四十七万件、集合住宅が十二万件でございまして、個別受信が六十一万件、そのうちホテル、事業所が十二万件、合わせて百三十二万件となっております。
  298. 上田利正

    ○上田(利)委員 わかりました。  そうしますと、共同受信施設が今のお話で五〇%を上回っているという形になりますね。そういう状況の中ですから、共同受信施設、世帯の関係は、料金を八月からいただく場合に非常に大変でございますから、これは組合あるいは集金人労働組合ともよく話をして、十分対応できるようにしていただきたいと思います。それだけ一つ要望しておきます。  それから、五分前ということになりましたから最後になりますけれども、私は去年もおととしも言ったことでございます。最後のツルの一声ではございませんけれども、毎年毎年、これは実現しなければ来年も言うつもりでございます。  いわゆるNHKの職員が本当に、会長以下役員も努力をされておりますけれども、職員も一生懸命なんです。何とかNHKをということで本当に努力をして努力をして、大変な状況になっておってもこれを頑張り抜いている。私は、日放労は珍しい組合だと思っているのですよ。それにまた経営側が甘えては困る。しかし、そういう中で、いつも申していますが、去年聞きましたら、時間外労働も二十九時間平均だ、こうなんですね。民放に比べて大NHKはどうだと聞いたら、いわゆる 賃金は、皆さんで言えば給与ということになるわけですね、この予算の中にも給与が出ております。これが民放に比べて年間六十万から七十万少ないというのです。世間ではもっと多いと思っているのですけれども、民放の皆さんよりも少ない。民放が高過ぎるという声がございましたけれども、そんなことを言うと民放が怒ると思います、そうじゃないと思いますけれども。  したがいまして、この改善策、格差是正について、常に去年もおととしも言ってまいりました。当時の川原会長も、わかりました、職員のその努力が報われるように私ども経営者も一生懸命これからも努力しますと言ったのですけれども、ことしはどうですか。かなり努力された方向が出ると思いますが、今現状はどんな状況になっておりますか。時間外労働と賃金の民放との格差、これをちょっとお答え願いたいと思います。簡単でいいですよ。
  299. 植田豊

    ○植田参考人 昨年、私が上田先生の御質問にお答えをいたしました。大変恐縮でございますが、今時間外労働の資料が手元にございませんが、基本的にはそう変わっておらないかと思います。ただし、休暇の取得状況等は、少しずつでございますが、改善努力がございます。  それから、給与につきましても昨年と基本的にはそう変わってございません。特に、在京の大手新聞、放送等とは、賞与を中心におっしゃるようなかなりの格差があるのが現状でございます。  なお、ことしは、御承知のとおり一・八%、昨年同様の給与の増原資を確保してございます。これに加えまして、業務の見直し等抜本的な検討をいたしまして、春闘の全体状況も見ながらできるだけ給与改善を行いたい、その努力を従来同様いたしてまいりたい、かように考えてございます。
  300. 上田利正

    ○上田(利)委員 植田専務から去年もお答えをいただいたように、また川原会長からも最後に締めくくりをいただきまして、ここにその会議録がございますけれども、今のは間違いないのです。努力の跡が見られない。  こういうことは、私はおやじに言われたのですけれども、ナマズのほおかむりと言うのです。そういうふうにおまえなっちょと教わってきた。何だと思いますか、ナマズのほおかむりというのは。ナマズにほおかむりすると何が見えますか。口だけしか見えないのです。そうすると、口ばっかりじゃないかということになるのです。  会長、よく覚えておいてください。そんなことにならないように、ことしは少しでも前進して、来年の予算のときにはこうですということが言えるように、会長、命をかけてやってください。副会長ももちろんでございますが……。そのことだけ要望して、質問を終わります。
  301. 畑英次郎

  302. 木下敬之助

    木下委員 それでは、早速質問をいたします。  NHKは過去のこの委員会審議で、私も何度か質問しまして、前の川原会長等にお伺いしたときに、衛星料金の新設とともに受信料の値上げも希望している、このように述べてこられております。  ただいま議題となっております平成年度予算には、この受信料の値上げは消費税分のみ、このようになっておりますが、どういう考えのもとに値上げを見送った予算を組んだのか、これが最善の予算と思っておられるのかをお伺いいたしたいと思います。もちろん私は、値上げ即賛成しているわけでも何でもないのですが、NHKにずっと伺ってきた考え方と全く違った予算で出てきておる、この点をお伺いいたしたいと思います。
  303. 島桂次

    島参考人 私どもは昨年以来、地上波の値上げもお願いしたいし、衛星料金視聴者が百万以上になった段階でぜひお願いしたい、こう言ってまいりました。  しかし、私も、ことしの秋以降、諸般の情勢を見まして、我々が聴視料をお願いするよりは、まだまだ我々の経営努力を続けるというような、少なくとも衛星料金を新しくいただくわけですから、その土地上波の値上げまでは無理じゃないか、ここ一年は歯を食いしばってでもさらに経営努力を重ねようということで、私どもは地上波の値上げを見送ったわけでございます。
  304. 木下敬之助

    木下委員 それで値上げを見送った考えはわかりましたが、これが最善の予算と思っておられるのかどうかをお伺いいたします。
  305. 島桂次

    島参考人 最善とは思っておりませんけれども、これは天の声でございますから、私は、これに従って最善を尽くすというのが私の道であると考えております。
  306. 木下敬之助

    木下委員 まず、最善じゃないと思っているけれども提出してこられているというのは、やはり審議する私たちの側からは納得いきません。これはどんな状況であろうと、最終的にそれを最善と思って出してこられるべきだと思います。  この基本的な考え方の違いを一つ御指摘し、ただいま天の声と言われました。これれは天の声にもいろいろありますという声もございますが、本当にこれが求められる、宗教とまでは申しませんけれども、一番の最善という意味の天の声と思われておるのか、どこか違うところからの天の声と思われておるのか、その点お伺いいたします。
  307. 島桂次

    島参考人 表現が足らなかったことをおわびします。  私は初めは、やはりもうちょっとNHK財源が欲しいなというふうに考えておりましたけれども、いろいろ検討した結果、少なくとも今日の心境は、これを最善の案と考えて出しておるわけでございます。訂正させていただきます。
  308. 木下敬之助

    木下委員 これが最善と言われても、やはり百四十二億幾らの赤字予算でございます。赤字予算を組んでこれが最善と言われても、やはり納得できないのですね。赤字予算を組んでこれが最善というからには、これをどう解消していくのか、先の見通しも一緒に出してもらわないと国民は納得できないと思います。どうですか、その点。将来展望、何も示しておられないのですが、将来展望を示さないまま赤字予算を組んでこれが最善だと言っておるのは、ちょっとどこか怠慢なところがあるのじゃないですか。
  309. 島桂次

    島参考人 私どもは一昨年、去年と地上波の値上げと衛星料金の設定をお願いしてきたわけでございますけれども、したがって、三カ年なり五カ年なり計画を、ずっと以前出していたような形で国会にお示しできなかったわけでございます。ことしは一応これでやるが来年はお願いしたいということで来たわけでございます。したがって、この平成年度予算も、ことしはこういう形でやりますけれども、これから中長期的なことにつきましてはいずれ夏から秋にかけてきちっとつくりまして、二年度予算審議皆さん方にお願いする前には明確に、これからのNHKのあるべき姿、NHKが次代の新しい公共放送として生き残れる考え方を示すつもりでございます。
  310. 木下敬之助

    木下委員 今回は値上げを見送ったが、来年値上げをお願いして、それの入った計画を立てたい、こういうふうな感じにも受け取れるのですが、とにかく、先ほど申しましたように、赤字予算を組んで最善と言いながら先の計画がないというのはおかしなこと。もしそういう計画があるんなら、来年からは上げてこんなふうにしたいということをこの予算で一緒に出すべきではないですか。そういう期待があってそういう予定を考えておるなら出されて、これは世の中いろいろと流動的に変わっていきますから、変わる中で、変化したらまたその変化をもとにした予算をそのとき組んでいけばいいし、計画も変更されても問題ないと私は思います。今現在における見通しの中に、来年は値上げしてもらう、それによってということが本当に入っておるならそういう計画を出されるべきで、一年たりとも経営計画なしに予算だけが組まれ、しかもそれが赤字であるということは私は許されないと思うのです。  確認いたしたいと思いますが、今の私の考えに対するお考えと、今後受信料の値上げをどう考えておられるのか、もう一度明確に答えてください。今後の問題です。
  311. 島桂次

    島参考人 来年以降の中長期計画につきましては、地上波の値上げも一つの要因でございますけれども、それだけじゃございません。衛星放送の普及あるいはその他、御存じのようにニューメディア時代情報化社会というのは、極端に申しますともう通信事業放送事業も区別のつかなくなるような時代を迎えているわけでございます。そういうものを総合的に勘案し、なかなか先の見通しは難しいのですけれども、総合的に勘案しながら新しい中長期計画を立てたいというのが私の現在の考え方でございます。
  312. 木下敬之助

    木下委員 その中長期計画の中に値上げをちゃんと入れて――その値上げが予算で通る見通しのあったときしか出てきてないのですね。私は、これを審議するのに、今回赤字である、赤字だけれども来年からはこういう考えでというのがありながら、その考えを明らかにしないで、この赤字予算だけを審議しろというのはやはりどこかおかしいと思います。そのおかしい原因は、NHK予算を考えるのに、本来ならば値上げをしてやるのが自分たちの最善であると思いながら、それが通らないと思えば変えざるを得ない。本来、不偏不党ということを言われておりますが、NHKがどこかの党やらの了解がないと予算が組めないというのは不偏不党にならないのですよ。自分たちはきちっと自分たちの考えでした上で、否決するかしないかはそれは国民が見ておりますから、事前にそういった形でやられるというのは私はおかしいと思いますので、通る、通らないよりも、こうやりたいというものを堂々と計画として出されるのが今後望ましかろうと思います。  そういう感覚で申し上げておるのですが、平成年度予算は先ほど申しました百四十二億六千万円の赤字ですね。これは、予算があってそれが狂って出てきた赤字というのなら何が原因だったかと明確にできると思いますが、予算の中でもともと赤字なんですから、この赤字は何が原因なのかとは申しませんが、しかし、こういう赤字の中で、百四十五億幾らもかかるBS2Xを、これは万一の場合に備えた、こういうことで打ち上げるというのは本当に不自然なんですね。これはどう思いますか。どういう理由でこれを打ち上げられるのでしょうか、お伺いいたします。
  313. 島桂次

    島参考人 私ども、一年半ばかり前、この衛星放送でモアサービス、独自チャンネルを始めました。したがって、その後かなり急ピッチでパラボラアンテナをつける方がふえてきております。こういう状態になった以上、万一、衛星は絶対確実、安全ということでは、残念ながら現在の技術水準ではありません。順調にはいって我々は自信を持っておりますけれども、万一の事故ということは、今までのロケットその他宇宙開発技術のあれを見ましてもそういうことが考えられます。そこで私は、やはりこの際、今の衛星がだめだというのじゃありませんけれども、さらにこれを補完する必要があるということで今度新しく衛星を上げることにしたわけでございます。ただ、これが、先ほど来の議論でありますように、地上波の皆さん方負担であったりなんかすると困りますので、これは六年ないし七年の衛星放送計画の中で償却していくという方針で、私は一応この星を上げることにいたしました。  なお、これは寿命がかなり長いのにわずか一年でむだではないかということにつきましては、今後の問題につきましては政府機関その他と御相談しながらまた考えたいというふうに考えております。
  314. 木下敬之助

    木下委員 今そういうふうに言われましたが、これは先ほどからいろいろ論議になっております。かなり突然出てきて突然決まったように受け取っている方も相当いますし、私もそう思います。話の中で、かなり早くからそういう考え方はあったということも先ほど答弁の中で言われましたが、そういう考え方があったというのと、それをNHKの意思として持ったというのは別のことだと思います。  お伺いいたしますが、これは一体いつ打ち上げるという意思を持たれたのか、だれが持たれたのか、それをお伺いします。
  315. 島桂次

    島参考人 しばらく前、いろいろ打診をしている段階では数人の役員がやっておりましたけれども、それを最終的にお諮りしたのは去年の十二月ごろだったと思います。それで、理事会で正式に打ち上げるということを決めました。
  316. 木下敬之助

    木下委員 それで、その理由の方ですが、先ほどの御答弁衛星放送、かなり順調に受信者がふえていく中で、万が一というために、故障があっても見れなくなるようなことのないように、こういう目的で上げられると聞いておりますが、実験放送でずっとやっているわけですね。実験の中で一体そこまで、万が一のことを考えてこれだけ大きなお金のかかるものを上げなければならない理由になるのでしょうか、また、そういった決断をしなければならないということになるのでしょうか、大変疑問に思うのですが、どうですか。これはそんなに、本来、実験放送でやってきて、料金取るか取らないかもわからない実験放送の段階で、かなり宣伝して普及には努めていたとしても、そういう段階でそこまでの保証を実験でしなければならないという理由にはならないと思うのですが、どうでしょう。
  317. 島桂次

    島参考人 衛星放送につきましては、御存じのように、現在、実験放送ではございますけれども、一昨年、一年半ばかり前からモアサービス、独自チャンネルをやっているわけでございます。これは政府、郵政省、その他とも相談した上で独自サービスを始めたわけです。独自サービスを始めた以上、実験放送といえどもこれはどんどん現実に普及しているわけでございます。したがって、私は、川原前会長時代から、この衛星放送受信者が百万を超えるような事態になりますと、これは単にハードだけではなくてそのソフトですね、つまり番組の費用、番組を出すための費用もだんだんかさんでくる、こういうふうになってきますとかなり衛星にかかる費用がどんどんこれからふえていくわけでございます。これを地上波しか見ていられない方の負担でやるというのは限界がある。したがって、私どもは一年以上前から、百万以上超えた段階では新しい御負担をぜひ願いたいということを申し上げておりましたし、そういう意味では、実験放送を本放送に切りかえる時期は、普及が百万を超した段階でできるだけ早くやってほしいということを要望しておるわけでございます。
  318. 木下敬之助

    木下委員 そういう中で、実験放送から本放送にして、相当に普及してきたから皆さんの期待にこたえる、また衛星放送の今までのいろいろな費用等は地上波の皆さん負担をしてもらっておる、だから衛星の負担をしてほしいということなんですが、それでお金を取るということにして、お金は取るけれども、そういう中でこのBS2Xを上げると、それに百四十何億かかる。上げることの収入よりも、その補完のための万が一のために上げた衛星のお金の方がかかるということは、結局は、そういう話をしながらより一層の負担を地上波の人に求めるということになるんじゃないですか。だから、そういったふうな発想からこれを補完のために上げるというのは私は考えられないし、そういう不安定な部分があるのなら、衛星料金を取る時期を延ばせばよかったのです、来年八月にもう上がるのはわかっているのですから。それ以後にした方が経済効率もいいということになるのだと思います。大変矛盾していると思いますが、どうですか。
  319. 島桂次

    島参考人 その問題につきましては、私どもは、はっきりこの平成元年度から衛星にかかる予算とそれから地上波の予算とは一応別建てにしまして、そうしますと当然衛星放送の方は初年度、二年度、三年度ぐらいまでは赤字になります。しかし、四年、五年、六年、これは経営努力、いわゆる普及の促進によってトータルとして黒字になるというのが私たちの今の計画でございます。
  320. 木下敬之助

    木下委員 それは一つの考え方でございますけれども、この百四十何億かけて上げるものが本当に有効な期間は一年、するとその間見た人の、しかも補完のために使った百四十何億を、その後何年間も衛星放送を見る人から取るというのも何か、全然この恩恵を得なかった人から取っておるということになるので、新たに不公平な受益者負担じゃない部分を生むんじゃないですか、どうですか。
  321. 島桂次

    島参考人 この星はかなり長い間寿命がございますので、一年の間は補完的な措置で使いますけれども、それ以降につきましては政府機関と相談しながらまた考えたいと思います。
  322. 木下敬之助

    木下委員 後からそういう発想を持たれても困るんですよね。とにかく上げようと決意したのは、順序を追って、お金を取るためには上げなきゃならぬ、こういう発想から上げたのならお金を取らなかった方がかえって迷惑かけない、そういうようなものを上げる必要もない、こうやって順序をいろいろ消してしまいますと、今言われたように後半の六年間に何か使う目的があって、そして上げるというなら話はわかりますよ。しかし、その六年間がまだ何も決まってないのならむだだというものを先に上げて、むだだと言われないようにそこは何か使いますと後から言われても、これは論理が逆転しておるのでございます。どう考えてもそこに最初から何か目的があったんじゃなかろうか、今は言わないけれども本心はそこにあるんじゃなかろうかという疑問が出ます。この疑問にはどうお答えになりますか。
  323. 島桂次

    島参考人 何遍も繰り返しますけれども、衛星に一〇〇%ということはございません。万一事故があって見えなくなったときに、もう百何十万かの人が見ておるわけでございます。我々は公共放送NHKの責任者として、単に勘弁してくださいでは済みません。そのことがあります。それから、これは単にむだではありません。これから先も使い方によっては使うこともできます。ただ、それは我々の権限を超えておりますので、現時点では答えられない、こういうことでございます。
  324. 木下敬之助

    木下委員 一つは、あたかももう一日だって衛星放送がだめになったら本当に困るようなことを言われるが、本当にそうなら三つでも四つでも十でも上げたらいい。何で三つ上げないのですか。だからそれはおかしいですよ。おのずと物には限界があゑ  それから、お金を八月から取るようになるのに現実にそれからしばらくの間は二つないのでしょう。そこまで大事に言ったあげくに、お金を取ってもし見えなくなったら大変だということがわかりながら、たった何カ月かも待てずに早く取る。これはどこからいってもおかしいです。  それで、最後に言われました、今はいろいろあるから言われないというなら、それを言わなければ我々この予算審議ができないじゃないですか。こうやって詰めていくと、一番問題ありとする部分を今はいろいろあるから言われないというなら、我々は審議はできないですよ。そしてそれは、今はしようがない、そこに問い詰められてきたからなっているのだけれども、もっと別の意味でBS2Xが打ち上げられなければならない理由があったかもしれないということも考えます。NHKの立場でいうとそうなるでしょうけれども、私は探偵じゃないのですが、よくこういう矛盾したときには、一体どこが得したかというのを言うのですね。だが、それを今具体的に言うと単なる推論になりますけれども皆さん考えたら、こういう格好をして打ち上げたら得をするところがやっぱり一つ二つあります。だから、そういうところが考えてこれはNHKに打ち上げさせたんだなと思った方がわかりやすいし、最初から、NHKお金というのは税金と同じ、まさにそれに近いものをそういう真の目的を国民の前に明らかにせずに使ったということは、その真の目的がどういう理由があるにしろ、それは事件です。このことを明確に申し上げたいと思います。事件です。これは問題です。  それから、最後に申し上げます。不偏不党ということで言われております。一つ申し上げたいのは、この間の世論調査で今の竹下内閣の支持率等いろいろ発表がございました。このNHKからの発表がある前に新聞で、大変低い数字である、だからNHKは発表を渋っておる、こういう新聞記事が出ましたね。現実にはこれは統計をとって何日かのずれの間に出た問題でしょうが、その間にそういったものが漏れて出るのもおかしいし、そういうことを言われるというのもおかしいです。そして、NHKはこれを発表しないんじゃないかみたいな推測記事だったのです、結果としては発表されましたけれども。私は前のときにも申し上げましたように、世論調査は、とったらそれをどういう形で発表するかを事前に決めておいてもらいたい。そうでないと、出てきた数字を見て判断したと言われますから。この点はぜひ、NHKが本当に不偏不党を目指すなら考えていただきたいと思います。  時間がございませんので最後に、以上いろいろと申し上げまして反対をするべき問題点も指摘いたしましたが、この予算は消費税分を値上げしたものでございますので、一貫して消費税の導入に反対してきた我が党としては到底認められない予算であることを申し上げまして、私の質問を終わります。
  325. 畑英次郎

    畑委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  326. 畑英次郎

    畑委員長 日本共産党・革新共同から討論の申し出がありましたが、先ほどの理事会で協議の結果、御遠慮願うことになりましたので、さよう御了承願います。  これより採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を採決いたします。  本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  327. 畑英次郎

    畑委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  328. 畑英次郎

    畑委員長 ただいま議決いたしました本件に対しまして、島村宜伸君外三名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を聴取いたします。島村宜伸君。
  329. 島村宜伸

    ○島村委員 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。  一 放送の不偏不党と表現の自由を確保すること。  一 協会は、放送番組について、視聴者の意向を十分に受けとめ、公共放送の使命に徹し、公正な報道と豊かな放送番組の提供に努めること。  一 協会は、極めて厳しい財政状況を深く認識し、事業運営の刷新、効率化をさらに徹底するとともに放送番組の質の維持に努め、あわせて公共放送としてふさわしい長期経営計画を早急に策定すること。  一 衛星放送については、効率的、安定的実施に配意し、ハイビジョンの実用化に向けて、視聴者の立場に配意しつつ諸施策を積極的に推進するとともに、衛星受信料を含む新料金体系については、視聴者に対し、積極的に理解と協力を求め、契約収納に万全を期すること。  一 国際放送については、その重要性にかんがみ、交付金の増額と海外中継の拡充等による受信改善番組の充実に努めるとともに、映像メディアによる番組の交流等についても促進を図ること。  一 協会は、地域放送実施に当たっては、各地域の特性に応じた編成を積極的に推進する等、その充実、強化に努めること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明を省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。  以上であります。
  330. 畑英次郎

    畑委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  331. 畑英次郎

    畑委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、片岡郵政大臣及び池田日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。片岡郵政大臣
  332. 片岡清一

    片岡国務大臣 日本放送協会平成年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上、ただいま御承認をいただきましたことに対し、厚くお礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じまして承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。(拍手)
  333. 畑英次郎

  334. 池田芳蔵

    池田参考人 日本放送協会平成年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜りました。まことに厚く御礼申し上げます。  本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣意見書の趣旨を十分に生かしてまいりたいと存じております。  また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、これを体しまして、執行の万全を期したいと考えておる次第でございます。  まことにありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  335. 畑英次郎

    畑委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  336. 畑英次郎

    畑委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  337. 畑英次郎

    畑委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十六分散会      ――――◇―――――