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1989-06-14 第114回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年六月十四日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 小澤  潔君    理事 大野 功統君 理事 金子 一義君    理事 渡海紀三朗君 理事 西田  司君    理事 松田 岩夫君 理事 山下八洲夫君    理事 小谷 輝二君 理事 岡田 正勝君       上草 義輝君    内海 英男君       中島  衛君    中山 利生君       渡辺 省一君    加藤 万吉君       佐藤 敬治君    中沢 健次君       細谷 治嘉君    安田 修三君       柴田  弘君    吉井 光照君       経塚 幸夫君    寺前  巖君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     坂野 重信君  出席政府委員         警察庁警務局長 椿原 正博君         警察庁刑事局長 中門  弘君         自治大臣官房総         務審議官    小林  実君         自治大臣官房審         議       紀内 隆宏君         自治省行政局長 木村  仁君         自治省行政局公         務員部長    芦尾 長司君         自治省行政局選         挙部長     浅野大三郎君         自治省財政局長 津田  正君         自治省税務局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         経済企画庁物価         局物価政策課長 井坂 武彦君         環境庁水質保全         局土壌農薬課長 吉池 昭夫君         法務省刑事局参         事官      鶴田 六郎君         大蔵省主税局調         査課長     尾原 榮夫君         文化庁文化財保         護部記念物課長 大澤 幸夫君         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫         課長      関口 洋一君         建設省建設経済         局建設業課長  村瀬 興一君         建設省建設経済         局宅地開発課民         間宅地指導室長 高橋 健文君         自治省財政局財         政課長     遠藤 安彦君         自治省財政局交         付税課長    黒沢  宥君         地方行政委員会         調査室長    大嶋  孝君     —————————————            委員の異動 六月十四日  辞任         補欠選任   草野  威君     柴田  弘君 同日  辞任         補欠選任   柴田  弘君     草野  威君     ————————————— 六月九日  地方交付税法等の一部を改正する法律案内関  提出第三〇号) 同月十二日  留置施設法案廃案に関する請願伊藤茂君紹  介)(第二四六三号)  同(清水勇紹介)(第二四六四号)  同(土井たか子紹介)(第二四九一号)  自治体労働者生活改善等に関する請願経塚  幸夫紹介)(第二四九〇号) 同月十四日  交差点事故防止に関する請願中路雅弘紹介  )(第二六一七号)  同(山原健二郎紹介)(第二七二五号)  留置施設法案廃案に関する請願山原健二郎  君紹介)(第二七二二号)  留置施設法案反対に関する請願金子満広君紹  介)(第二七二三号)  同(矢島恒夫紹介)(第二七二四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第三〇号)  地方財政に関する件(平成年度地方財政計画  )      ————◇—————
  2. 小澤潔

    小澤委員長 これより会議を開きます。  地方財政に関する件について調査を進めます。  この際、平成年度地方財政計画について説明を聴取いたします。坂野自治大臣
  3. 坂野重信

    坂野国務大臣 平成元年度の地方財政計画血要についてまず御説明申し上げます。  平成元年度の地方財政につきましては、累積た多額の借入金残高を抱えるなど引き続き厳しい状況にあることにかんがみ、おおむね国と同一の基調により、歳入面においては、地方債抑制に努めるとともに、地方一般財源所要額確保ら図り、歳出面においては、限られた財源重点品配分経費支出効率化に徹することを基本としております。なお、消費税影響額につきましては、適切に計上することとしております。  以下、平成元年度の地方財政計画策定方針について御説明申し上げます。  第一に、地方税については、最近における社会経済情勢等にかんがみ早急に実施すべき措置を講ずることとしております。  第二に、国庫補助負担率の取り扱いの見直しに係る額については、補助負担率の復元、国のたばこ税地方交付税対象税目への追加、地方交付税の増額及び建設地方債増発等により、地方団体財政運営に支障が生ずることのないよう措置しております。  第三に、地方財政中期的健全化を図る見地から、財源対策債償還基金の計上、交付税特別会計借入金の一部返済等所要措置を講ずることとしております。  第四に、地域経済振興や雇用の安定を図りつつ、その特性を生かした地域づくりふるさとつくりを進めるとともに、住民生活に直結した社会資本整備等を図るため、地方単独事業費確保等所要措置を講ずることとしております。  第五に、地方行財政運営合理化財政秩序の確立を図るため、定員管理合理化及び一般行桁経費等抑制を行うとともに、国庫補助負担金について補助負担基準改善を進めることといたしております。  以上の方針のもとに、平成元年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出規模は、六十二兆七千七百二十七億円となり、前年度に比し、四兆九千五百二十九億円、八・六%の増加となっております。  以上が、平成元年度の地方財政計画の概要で徹ります。
  4. 小澤潔

    小澤委員長 以上で説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 小澤潔

    小澤委員長 次に、内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。坂野自治大臣。     —————————————  地方交付税法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  6. 坂野重信

    坂野国務大臣 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  地方財政状況等にかんがみ、今回の国庫補助負担率見直しに伴う地方公共団体財源確保を図るため、新たにたばこ税地方交付税対象税目とし、あわせて、平成元年度分の地方交付税総額について特例措置を講ずるとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費財源措置するため、地方交付税単位費用改正する等の必要があります。  地方交付税総額については、地方交付税法第六条を改め、新たにたばこ税収入額の百分の二十五を加えることとしております。  平成元年度分にあっては、この改正後の第六条第二項の額に交付税特別会計における剰余金六百八十六億円及び特例措置額二百三十億円を加算した額から、昭和六十年度分地方交付税総額特例に係る一部返済額二百三十億円、同特別会計借入金利子支払い額千九百二十九億円及び同特別会計借入金償還額一兆千三百六十億円を控除した額を地方交付税総額とすることとしております。  また、平成年度分から平成十三年度分までの地方交付税総額については、新たに六千八百四億円を加算することとしております。  次に、平成元年度分の普通交付税の算定については、地域経済活性化・自主的な地域づくり推進等地域振興に要する経費道路・街路・公園・清掃施設下水道等住民生活に直結する公共施設整備及び維持管理に要する経費教職員定数改善学習用教材用具拡充私学助成充実・生涯学習推進等教育施策に要する経費老人保健施策推進長寿社会対策充実等高齢化への対応生活保護基準引き上げ等福祉施策に要する経費地域社会における国際化及び情報化への対応に要する経費消防救急対策等に要する経費経常経費に係る国庫補助負担率見直しに伴う所要経費消費税導入に伴い必要となる経費財源措置し、あわせて、投資的経費について地方債への振りかえ措置を廃止することに伴う所要経費財源措置することとしているほか、地方財政健全化等に資するため、平成元年度に限り、財源対策債償還基金費を設けることとしております。  以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  以上です。
  7. 小澤潔

    小澤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  8. 小澤潔

    小澤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野功統君。
  9. 大野功統

    大野(功)委員 ただいま大臣からの御説明にもございましたとおり、これから地方時代というのは、地域特性を生かした地域づくり、ふるさとづくりというのが大変大切なことでありますけれども地方時代と言いましたときに、国際的な感覚あるいは外国のことは全く関係ないのではないか、こういうことがどうも問題になっているのではないかと私は思うわけであります。  地方におりますと、外国のことは東京でやればいい、地方は無関係である、こういうような感じでありますけれども、私は香川県で選出されているのでありますけれども香川県にも瀬戸大橋ができましてどんどん外国人がやってくる。それから姉妹都市計画も随分進んできております。香川県から外国旅行をやる人間もふえてきている。こういう時代でありますから、これから国際化という問題も考えていかなければいけない。  地方時代というのは、まさに今申し上げましたとおり特色を出すということであります。私の香川県と坂野大臣鳥取県は違うんだ、大臣鳥取県と小澤委員長の武蔵野は違うんだ、こういうことであると同時に、国際化というのは、私はやはり違った人間がいるんだ、違った考え方を持っている人間がいるんだ、こういうことを理解することであると思うのです。日本人というのはどうも均質的な、同質的な人間でありますから、違った人間というのは世の中にいないんじゃないか、こういう感じがするわけであります。  私は、ヨーロッパ世界地図を見てびっくりしたことがあるのです。なぜかといいますと、我々がなれ親しんでいる世界地図というのは、真ん中に堂々と日本が赤く塗られてあるわけでありますけれどもヨーロッパで見た世界地図というのは、ヨーロッパ真ん中でありますから、日本世界地図というのはアメリカが右側でありますけれどもヨーロッパ世界地図アメリカが左側、日本なんというのは地図の右端の方にこぼれ落ちそうになって乗っかっている。ああ、やはり考え方、見方が違うと世界地図までこんなに違ってくるんだな、こういうことを思ったことがありますけれども、今やまさに地方が、あるいは私ども香川県が直接ニューヨークと結びついていく時代になってきているんじゃないか。世の中には違った人がいるんだということを認識することが、これすなわち地方特性を出していくということとつながってくると私は信じております。そういう意味で、地方時代というのは国際化時代同義語ではないか、こういうふうに思っているわけであります。  このような観点からいたしますと、最近、六十二年度からだと思いますが、六十二年度から実行されておりますJET計画というのはそういう意味ですばらしい計画だと私は思っているわけでありますが、JET計画の目的、今何人くらい来てやっているのか、現状を簡単に御説明いただければありがたいと思います。
  10. 小林実

    小林(実)政府委員 御指摘のように、国際交流政府レベル国際交流から地域レベル国際交流が重視されるようになってまいりました。自治省といたしましては、そういった地域レベル国際交流と、それから外国語教育充実を図るために、御質問がございましたJETプログラムを六十二年度から実施をいたしております。外務省、文部省、それから自治省、さらに地方団体が組織いたしました国際化推進自治体協議会と協力して実施いたしております。  初年度は八百四十八人でございましたが、六十三年度は千四百四十三人の外国青年を招致いたしておるわけでございます。対象の国も、六十二年度アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの四カ国でございましたが、六十三年度にはカナダ、アイルランドを加えまして六カ国となっておるわけでございます。平成元年度につきましてもその一層の拡充を図りたいと考えておりまして、新たにフランス、西ドイツを加えまして、人数も千九百八十九人を予定をいたしておるところでございます。招致いたしました青年は、各地域におきましてすばらしい国際交流活動語学指導を行っていただいておるわけでございます。
  11. 大野功統

    大野(功)委員 ただいま招聘しておる青年、だんだん毎年ふえていく、こういう大変心強い御説明を受けたわけでありますが、今御説明のとおり、これは国際化という精神を植えつけると同時に、やはり語学という観点から大変有効な手段だと私は思うのであります。香川県の例をとってみますと、中学校の数が九十校、それから高等学校の数が四十四校、合わせて百三十から百四十ぐらいの中・高等学校があるわけでございますが、私の理解では、香川県へ六十二年には八人、それから六十三年には十四人しか来ていないわけであります。すなわち、十校に一人くらい割り当てておいて国際化時代JET計画だというのはちょっとおこがましいような気がする。もっともっと、一校に一人ずつくらい割り当てるような広大なる気宇を持ってこの計画を実行してもらいたい。だとすれば、今の十倍くらいの人数を呼んでもらわないと、これからの日本人国際化並びに語学——語学の方は、日本人中学校で三年、高等学校で三年、合わせて六年は英語を勉強しているのにちっともしゃべれない、こんな恥ずかしいことはないわけでありまして、JET計画で招請される外国人青年を少なくとも一校に一人ぐらい招請してもらいたい。このくらいの気持ちを持って今後JET計画を進めてもらいたいと思いますが、大臣、いかがでございますか。
  12. 坂野重信

    坂野国務大臣 大野委員の御指摘、全く私も同感でございまして、通信情報網が発達いたしまして、世界、地球というものが非常に狭くなったわけでございます。そういう中で、地方の発展というものを考えますときに、やはり国際交流というものがいかに大事かというのを私自身もかねて痛感しておるわけでございます。先生の御指摘趣旨に沿って、自治省としても極力今のJET計画というものの拡張を図ってまいりたいと思っております。
  13. 大野功統

    大野(功)委員 ありがとうございました。  言うまでもなく、地方時代、これはまさに多極分散型国土形成推進する、地方特色を生かして発展していく、こういうことであります。ところが、先ほども申し上げましたとおり、どうしても日本の場合には、同じような人間なんだ、同じ考え方を持っている人でなければ安心できない、だからどこへ行ってもお土産物はまんじゅうとせんべいである、こういう状態になっておるわけでありますが、例えばフランスを旅行してみますと、どの小さな地域へ行ってもその土地の名産であるブドウ酒の銘柄がある。こういうふうに持りていかなければいけない。それぞれの地方が多様化していかなければいけないわけであります。そういう意味で私は、地方が考え中央が援助する例のふるさと創生の一億円というのは大変すばらしい計画であると思いますけれども、問題の根本はやはり、中央が金は出しても余り口を出さないということであると思います。  そういう意味で、地方が自主的な判断お金を使える、いわゆる一般財源のここ三十年くらいの推移を見てみますと、自主財源である地方税収入は、昭和二十九年には三三・四%、これが五十一年には三二・四%、六十二年には四二・一%というふうにだんだんと上がっておりますから、これはもう自治省といたしましては大変御苦労なさって推進しておられるのだなということがよくわかるわけであります。一方、交付税の方でありますが、交付税昭和二十九年には一一・五%、五十一年には一七・六%、六十二年はちょっと減って一六・三%、こうなっております。これを合わせて一般財源として見た場合には、二十九年には四七・〇%、六十二年には五九%、大体六割くらいは自分判断お金を使える、こういう格好になってきております。  そこでお伺いしたいのですが、自分判断で使えるお金が全体の六割ぐらいで、果たして地方自治と言えるのであろうか。交付税の方は所得、法人、酒税、三税の三二%、それから前回に消費税から譲与税を引いた分の残りの二四%というものが交付税財源になってきた。今回は先ほど大臣から御説明がありましたとおり、たばこ税の二五%を財源としていこう、こういう格好でありますけれども、果たして大臣、六割くらいのお金自分判断できるという格好地方自治の名にふさわしいものかどうか、今後この点は将来どう考えていくべきなのであろうか。こういう点について展望をお示しいただければありがたいと思います。
  14. 津田正

    津田政府委員 本日御審議いただいております地方交付税法案あるいは地方財政計画におきましても、幸いなことに平成元年度の一般財源比率は六七・八%ということでございまして、交付税制度ができてから一番最高の率でございます。御指摘のとおり、地方団体のいわば財政自主権というものを向上させるためには、この一般財源比率というものが相当な高さで維持されなければならない、かように考えております。ただ、それが幾らでなければならないかということにつきましては、一般財源とは別に地方債なりあるいは国庫支出金をどう考えるべきか、このような観点で考えていかなければならないかと思います。  地方債につきましては、それ自体借金でございますので、なるべく減らせばいいわけでございますが、地方団体、特に規模の小さい団体におきまして学校などを建てる、それはその時代住民だけではなくて、将来の住民も受益するという意味で、負担の世代間の公平、こういうような観点から、ある程度地方債というものは活用していく必要があるのではないかと思います。  それから国庫支出金の点でございますが、国庫支出金のそもそものものは、やはり全国、いわゆるナショナルミニマムを達成するため、あるいは公共事業等のように全国的な道路等のネットワークをつくるため、こういうような意義がありまして、これも全廃するということは、やはりそういうような観点をどうするかということに由来するわけでございます。  ただ、先生も御承知のとおり、最近におきます社会資本整備にいたしましても、住民身の回り生活環境施設整備というものが重視されてまいってきております。そのような住民身の回り社会資本整備でございますと、やはり国庫支出金よりは地方一般財源ということで、選挙で選ばれました知事あるいは市町村長地域実態に即した施設をつくっていくのがいいのではないか、このように考えられます。社会福祉の面におきましても、年金等につきましては国の基礎的な施策ということで必要でございますが、やはり老人介護等、よく言われますコミユニティーケアということが重要になってまいります。この場合にも、やはり地域実態に即した福祉という本のを考えなければならない。そうすると、国庫支出金よりもむしろ一般財源で対処すべきもの、このように考えておるわけでございます。一概に率がどの程度がいいかということではございませんが、私どもとしましては、やはり一般財源比率の向上というものを今後も目指していかなければならない、かように考えております。
  15. 大野功統

    大野(功)委員 ただいま政府委員の御説明で、率はわからないけれども福祉にしろ社会資本充実にしろ、一般財源をふやすことによって福祉なり社会資本充実を目指していこう、大変心強い御発言だと思います。やはり国庫支出金あるいは地方債発行額との関係があるという御説明でございましたけれども、この際私はやはり国庫古出金の問題にも触れておきたいと思うのであります。  と申しますのは、やはり我々同僚議員も常に感じていることでありますけれども地方から随分陳情団がやってまいりまして、これはすべて補助金をもらおうということでやってくるわけでございますけれども、例えば百万円の補助金をもらうのに、旅費、日当を使って、あるいは書類をつくって六十万ぐらいかけて、万歳万歳と言って補助金をもらったといいながら残りは四十万ぐらいにしかならない、こういう場合だって考え得るわけであります。しかも、中央がコントロールをすれば必ず事業が同じパターンのものになってしまう、同一のものになってしまうわけでありまして、鳥取県に行っても香川県に行っても金太郎歩めみたいな事業しかできない。これはやはり国庫支出金の大きな欠点であると思います。  また、そういうことをやっていれば活性化がたくなってしまう、コストが高くついてしまう、これは先ほど申し上げたとおりでありますけれどもそういケ意味で私は、この国庫支出金、これを歴年で追ってみますと、昭和二十九年には約一八%、六十二年には二八%というふうにずっと低下傾向にあるのは大変うれしい現象だと私は思っているのでありますが、この補助金というものは、私は今後うんと努力して、新規のものは抑えていく、整理をしてもらう、統合メニューをつくってもらう、こういうことで御努力をいただきたいと思うのでありますが、このあたりの現在の御努力を、例えば平成元年度に限ってでも結構でございますが、お示しください。
  16. 津田正

    津田政府委員 補助金整理合理化につきましては、地方団体側の意見もそのような方向でございます。平成元年度におきます補助金整理合理化状況を申し上げますと、合理化による廃止二十六件、二百六十九億円、合理化による減額二百七十一件、七百五十五億円、統合されたもの、十三件のものを七件に統合しておるようなこと、あるいは終期の設定の二十四件、定員削減の十八件、そういうようなことで、件数といたしますと四百七十四件、千三十億円、このような数字になっております。  御指摘のとおり、地方行政自主性自律性、それから地域実態に即した行政が行われるために、この補助金整理を行っていかなければならないわけでございますが、単純な整理だけではなく、先ほど申しましたように、ある程度ナショナルミニマム維持のために必要なものもあるかと思います。しかし、そういうものにおきましても、交付申請の手続を簡単にするとか、あるいは使途を余り細かいことまで注文をつけないとか、そういうようなことも考えていかなければならない、かように考えております。
  17. 大野功統

    大野(功)委員 ただいまの御説明のとおり、これから余り細かいところまで口を出さないで、やはり地方創意工夫を生かしてもらうような方向でこれからも進んでいただきたい、このことを御要望申し上げておきます。  それから次に、地方債の問題でありますが、地方財政健全化という観点からは借金しない方がよいのは当然でありますけれども、我が選挙区の市町村を拝見しておりましても、どうも仕事をよくやっているなというのは起債を随分している地方団体であります。余り仕事をしてないなと思うところは健全財政である、こういう一面もやはりあるわけでございまして、一概に借金はしない方がいいというわけにもいかない。それはもちろん、財政の健全化という観点からすれば借金しない方がいいわけでありますけれども、その地方が、市町村が、本当に自分特性を伸ばして生き生きとしたふるさとづくりを発展させていくために必要なお金であればどんどん起債を許してもいいのではないか、こういうことも考えていただきたいと思うのであります。  それで、地方債地方財政計画の中に占める割合を見てみますと、これは昭和二十九年には約九%、これが六十二年には九%超、こういうことで、かなり一定してきているわけでありますけれども、どうか余り地方財政計画の中で起債はどのくらいの割合なんだ、このような数字合わせという観点からではなくて、地方特性を生かすためには少々数字は合わないかもしれないけれども起債を随分と認めてやろう、こういう気持ちが今一番大切なのではないか、こういうふうに思うわけであります。そこで、起債の許可に当たりましては、もっともっと弾力的、効果的な考え方を取り入れていただきたいと思うのでありますけれども、その点はいかがでありますか。
  18. 津田正

    津田政府委員 地方債の活用につきまして、借金であると同時に先行的に施設整備して地域の力をつける、こういう意味でうまく使わなければならない問題かと思います。そこで、やはり心配なのは将来の元利償還をどうするか、こういうような観点もあるわけでございます。  そこで、私ども、最近行っておりますのは、町づくりにいたしましても、ふるさとづくりにいたしましても、いい計画につきまして地方債をつける、そしてその元利償還の一定部分につきましてはまた財政力に応じまして地方交付税で保障しょう、こういうような仕組みで活用をいただいておるわけでございます。  多極分散型国土の形成が必要と言いながら、一極集中というのが非常な強い流れになっておるわけでございます。そういう意味におきまして、ふるさとづくり、多極分散型国土の形成というような観点地方債の活用というのを図っていかなければならない。ただし、その場合の将来の財政負担をどうするか、その場合交付税措置をどうするか、このように現在と将来をにらんで地方債を活用していくべきものだ、かように考えております。
  19. 大野功統

    大野(功)委員 将来の元利償還という問題が出てまいるわけでありますけれども、そういう将来の元利償還の問題について真剣に取り組もうとすれば、やはり先ほどお願い申し上げましたような交付税の割合、いわゆる一般財源の割合を地方財政計画の中で引き上げていかなければいけない、こういう問題にぶち当たってくるわけでありますから、その点もあわせて考えていただきたいと思うのであります。  それで、この地方債の問題につきましては、最近いわゆる弾力的、効率的、効果的な運用の仕方として、六十三年から始まっておりますふるさとづくり特別対策事業、こういうのがあります。これは地方特色を出していくという上ですばらしい事業計画だと思いますが、この場合は、一般財源が二五%、起債が七五%。その起債のうち、起債にまつわる元利償還金の三〇%から五五%くらいは地方交付税で後から措置する、こういうことでありますから、これは下手な補助金よりもよほどいい、しかもひももつかない、こういうことで私は称賛したいと思うのでありますけれども、どうも中身がはっきりしないのであります。中身を読んでみますと、プロジェクトの内容としては、アメニティー対策、レゾート地域整備地域産業育成高度化支援事業、スポーツ振興・健康づくり、情報ネットワーク基盤整備、イベント関連、地域間交流推進など書いてありますけれども、具体的にどうもよくわからない。そこで、このふるさとづくり特別対策事業の許可基準というのは一体何なのだろうか。もうおやりになっているわけですから、許可された具体例、それから許可されなかった具体例、これを簡単で結構ですからちょっと教えてください。
  20. 小林実

    小林(実)政府委員 今御質問がございましたふるさとづくり特別対策事業でございますが、これは地方の単独事業で、魅力あるふるさとづくりと多極分散型国土形成のために、県単位で見て重要な事業について措置をするということで考えたものでございます。まさしく地方が知恵を出し、国が支援するというシステムの一つとして考えたものでございます。  この事業につきましては六十三年度から始めましたけれども、県とそれから政令市で計画をつくっていただくことにいたしておりまして、市町村事業も含めまして昨年末までに計画を出していただきました。類型といたしましては、御質問の中にもありましたように、リゾート地域整備とかあるいは地域産業育成、スポーツ振興・健康づくりプロジェクト、あるいは歴史的建造物の復元活用プロジェクト、情報ネットワーク構築プロジェクトというようなものでございまして、私どもはこの計画にのっとりまして、出てきました事業につきましてなるべく採択するといいますか、事業をしていただくような方向努力をいたしておるわけでございます。三年間で六千億ということでスタートしてまいったわけでありますが、初年度は千百億程度でございましたが、ことしは二千四百億程度を予定しておりまして、継続も含めましてこの措置を考えておるわけであります。  具体的には、先ほど言いましたような類型の事業でございまして、例えば宮城県の栗駒山ろくの大規模リゾート地域整備とか、あるいは北九州市の門司港のレトロめぐり海峡めぐり推進事業とか、あるいは静岡県の産学官共同研究施設整備事業等々、あるいは広島県の空港周辺の整備事業、埼玉県のふるさとの情報ネットワーク基盤整備事業等々でございまして、採択の数は百数十に上がっておるわけでございます。  それから、基準というお話がございましたが、基本は基本計画に上がっているものであるわけでございますが、余り事業の小さなものというのはいかがかというふうに考えておりまして、都道府県の場合におきましては、おおむね五億円以上の事業の組み合わせも含めまして二十億円以上、それから市町村の場合には、おおむね一億円以上のものを目標といたしております。公営企業に属するような事業とか、あるいは庁舎等の公用施設に属するものとか、あるいは国庫補助事業の単なる継ぎ足し単独というようなものは御遠慮をいただいておる、こういうことでございます。
  21. 大野功統

    大野(功)委員 余り小さなものは御遠慮願いたいというようなお話もありましたけれども、とにかくそういう数字で縛るのではなくて、地方特色が出るようなそういう方向で持っていってもらいたいと私は思います。  それで、今御説明ありましたけれども、三年間で終わるのだ、これは残念なことであります。また、規模も三年間で六千億円ぐらいでありますから、大臣、この点いかがでございますか。三年終わっても、もう少し延長してやろう、規模も拡大してやろう、こういうお気持ちはございませんか。
  22. 坂野重信

    坂野国務大臣 私が再任されるに当たりまして、総理からも、ふるさと関係仕事は新内閣においてもひとつ積極的に推進したいというようなことの指示がございました。そういう面に沿いまして、今年度以降もひとつ積極的に進めていきたいと思っております。  そういう中で、このふるさとづくりというのは、まことに地方自治の精神に沿った重要な意義を持っていることでもございますし、できるだけこういう種類の、ふるさとづくり特別対策事業というようなものもさらに拡大をし、また実施年度も延ばす、新規のものをできるだけ取り入れていく。もちろんその中で、地方の財政計画、単独事業の枠も、全体の問題もございますが、できるだけその中で重点的に進めていくように今後とも推進していきたいと思っている次第でございます。
  23. 大野功統

    大野(功)委員 今の質問は、要するに中央が金は出すけれども口は出さないで地方特色を出していくように、こういう方向の話でございましたが、最後にお願いしたいのは、やはり地方行政効率化を図ってもらいたい、こういうことであります。  そういう意味におきまして、例えば地方税の徴収コストと国税の徴収コストを比べてみますと、国税の方は百円の税金をちょうだいするのに一円しかかかっておりません。ところが地方税の方は二円五十銭かかっているわけであります。これにはいろいろな理由もあると思いますけれども、国税の場合には税務専門官として養成しているのに対して、地方の場合には、民生部へ行ったり農林部へ行ったりあるいは税務職になったりして、こういう専門家の養成をしていないのではないか、こういうこともあります。地方と国との間に税務行政についても連帯感、協力関係があれば大変すばらしい行政効率化ができるのではないか。  今、例えば国税の方では、税務職員の数が減っておりますので、実地調査率が随分落ちてきております。法人の場合、昭和四十五年には実地調査率は一四%であったのが、六十二年には一〇%になっている。実地調査率が落ちるということは税務署が調査に来ないことであります。調査に来ない方がありがたいのでありますけれども、逆に言いますと、実地調査率が落ちるということは、どうもたまたま税務署が調査に来て見つかってしまった、見つかり損であるという大変不公平な感覚を植えつけることになるわけであります。したがいまして、こういう意味でも国と地方との間で協力関係ができれば、恐らく今でももちろん所得税の申告書は地方に回している、あるいは納税相談とか税務広報などは地方と国が一緒になってやつております。そういう意味で、今そういうことは余り考えられておらないようでありますけれども、今後そういう方向でぜひとも考えていただきたいと思うのでありますが、これは大臣いかがでございますか。
  24. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 ただいま地方税の徴税コストにつきまして御質問がございましたが、御指摘のとおり、地方税の徴収コストは国税に比べれば高いですが、地方税地方税なりにできるだけその合理化を図りながら徴収コストの低下を図りたいと思います。また、ただいま御指摘の国税との協力関係につきましては、五十七年でございますが、国税庁と私どもとの間で協力関係の緊密化ということについてお話し合いをしたところでございます。そういう結果の中で、申告書の受け付けとか、そのほか税務広報を一緒にやろうとか、税務相談を一緒にやろうとかというようなことはやつておるわけでございますが、国と都道府県と市町村の税務当局の間で、税務署単位で税務地区協議会というものをつくっておりますが、こういうものの活用を図りながらできるだげ相互の協力関係を密接に今後ともやってまいりたいというふうに考えております。
  25. 大野功統

    大野(功)委員 ありがとうございました。  以上で終わります。
  26. 小澤潔

    小澤委員長 安田修三君。
  27. 安田修三

    ○安田委員 それでは、私の方からお尋ねいたします。  今大野委員質疑を聞いておりまして、一億円の評価とか、こういうところになりますと私たちと多少違いますが、あとは全く同感でございまして、そういう点では大臣、与党の方も私たちの方も言うポイントは皆一緒でございますから、少しリラックスして、私たち専門家じゃございませんから、こういうところはどうだろうかということを思っていることを聞くわけですから、ひとつリラックスして答弁いただきたいと思います。  そこで、地方交付税が各地方団体間の財政調整を果たしている機能というのは非常に大きい、世界的にも有名だ、こう聞いておるわけです。今日の都市への人口集中、逆にまた農村、山村の過疎化が大変進んでしまった。そこで、いかに緻密な現在の交付税制度でありましても、これをまんべんなく満足させるということは非常に困難になつてきておるんじゃなかろうか。精細に交付税制度の機能を果たそうとすればするほど、かえって矛盾ができているように私は思うわけです。  というのは、御存じのように、大都市は大都市で例えば昼間人口がふえて夜間人口は少ない、それにもかかわらずいろいろなことを始末しなければならぬ、金がない、だから税財源をよこせ、こうおっしゃるし、過疎地の方は山村振興のためにどうしてくれるんだ、こういうことでどちらも不満が大変最近は出てくることになってまいりました。都市部の方は人口がふえ、それにつれて施設、廃棄物処理その他の事業がふえてまいりまして、将来に向かっての動態的な算定要素という本のが必要になってきていると私は思うのです。生た、過疎地域の場合に、これは経常費中心の静能的なものが中心でありますから、そういう点ではかなり双方の間に観点の差が出てまいります。例えば土木費を一つとりましても、都市部の場合には下水道関係とか、そういう関係施設整備にもつと算入額を大きくしてもらいたいという気持ちがありますし、過疎地の方は河川、道路あるいはまた林業その他の農山村の産業振興の方に手厚くしてもらえないだろうか、こういう考えを持たざるを得ません。  したがって、今の交付税算定というものは、こうしたいろいろな要素を入れられて、毎年いろいろな補正係数を編み出しては入れておられます。定数を変えてみたり、あるいは補正係数を上げたり、段階的補正あるいは態容補正、いろいろなものを組み合わせながら随分工夫しておられます。しかし、ことしもそういう点では今度また改正されることになっておりますが、技術的にはかなり、限度いっぱい皆さんが大変精巧にやっておられるけれども、もう無理が来ておるんじゃなかろうか。こうなりますと、やはり今のように過疎化が進んだ、都市化が進んだという事態からもうぐ  つと進んできてしまった。こういうことになってまいりますと、都市にはむしろ自主課税権というものがあればこれは税金が入るわけですが、ところが過疎地の方には自主課税権が広がっても税金をもらうところがなかなかない。そういうことでありますので、都市の方は自主課税権という主張が非常に強くなっている。むしろ、これは税財源の再配分という点からすれば自主課税権を与えた方がよろしい。  そこで、本来の地方交付税というのは、そういう点では過疎地の方には例えば留保財源を強くしてやるとか、あるいは算定要素を変えて厚く配分するとか、今でも配分からすると随分厚くはなっております。六十二年度決鎌からしましても、四五%ぐらい交付税で歳入を賄っているという町村がございますので、そういう点では大変厚くなっておりますが、今後のそういう農村あるいは山村の振興ということを考えたときに、そこらあたりの交付税制度につきましても何か抜本的に変えるべきそういう検討の時期に来たのではなかろうかと思うのですが、その点どうでありましょうか。
  28. 坂野重信

    坂野国務大臣 まことに適切なといいますか、私どもの考えているのと同じような御質問の趣旨でございます。確かに、特に東京一極集中という状況からして、資源の再配分ということをどうしても考えていかなければいかぬ。そういう中で、税収の問題、それから交付税との関係、あるいは地方債の配分というシステムの中で今のままで果たしていいかどうかという問題が確かにあるわけでございますが、そういう中で極力傾斜配分というような、先生御案内のようなことでやつているわけでございます。しかし、これについてもやはり地方の特に財政の厳しい府県、私も財政の窮乏した県の出身でございますが、なかなかまだまだ不満があるわけでございます。そういう中で本当に裕福な地域と、そういった非常に厳しい地域とのアンバラをどう考えていくかということは本当に大変大事な問題だと思っているわけでございます。  根本的には、御案内のとおりに、行革審でもこの問題を取り上げておりまして、中央地方との関係、財政の分配をどうするか、それから今度は地方の中における不平等をどうするかというような問題も今後検討されてくるわけでございますから、そういう中で自治省としても根本的にひとつ考え直そうという気持ちがあるわけでございますが、今の状態においてできるだけ地方の財政力というものを勘案しながら交付税の傾斜配分あるいは地方債の重点的な配分という中で処理しようとしているわけでございます。  しかし、考えてみれば、たばこの税の一部を交付税に配分するということとか、あるいは消費税の一部を交付税に持っていくということは、それなりにそういったバランスをとったということも言えると思いますし、あるいは事業税の分割、先般お願いしましたこういう問題も、東京から地方に対する分散ということも考えられると思います。  それから今国土庁を中心にして、私どもも一緒になって考えている多極分散の推進ということが最終的には東京と地方との格差を是正していく、そういう中で財政問題もおのずから解決に向かって前進できるのじゃないかということを私は考えておる次第でございます。
  29. 安田修三

    ○安田委員 そこで、これは大きい観点からは、今大臣おっしゃったように税財源の配分ということになってくるわけですが、それよりももうちょっと枠を小さくしまして、例えば格差という問題では、確かに今おっしゃったことを一つ中心にしながら、そしてさらに中身の問題でどう考えるかということが一つ出てくると思うのです。例えば道府県で一人当たりの税収が歳入構成比に占める最高、最低というのは、六十二年度決算で最高が五八・五%、最低が一一・四%と非常に格差がある。都市部では、これは都市部の場合は自治省の類似団体の財政力指数の方を見たのですが、したがいまして個別じゃなくして類型別のものから拾ったのですが、都市は五七・九が最高、最低が二一、町村は最高が四八・七、最低が七・四、非常に大きい格差がある。  そこで、これを事業費の方から見ますと、例えば二千五百九十一町村の四十二類型、類似団体市町村財政指数表、この中に出てくる類型のうち、〇−〇という、言うなれば三千五百人以下の町村の場合に、これはもちろん地方税なんというのは七・二%、交付税が四五・四でほとんど交付税で半分賄っている。公債費負担比率も二二・七。ここらあたりになりますと、いわゆる投資的経費というのが非常に大きい。私、計算しましたら四一・四%。都会の投資的経費とここはまるつきり違って、普通建設債がこのうちほとんどを占めるのですが、普通建設債の中身は河川、道路、山村関係のいわゆる土木事業が大方を占めるということになってまいります。普通建設事業債の五六・三%は土木費というのは全体平均ですが、それから農林水産が一七・六、これらはほとんど今言った財政力指数の小さい山村の場合にほとんど当てはまる。そうしますと、お金があっても産業だとかその他のことはほとんどやれないで、言うなれば地域のそういう土木を中心にした村なり町の維持を一生懸命やっておるということになってきておるのではないだろうか。  そこで、最近は村なんかも工夫をして人を呼び込むようなこともいろいろやっております。したがって、静態的な従来の経常費だけではなくして、交付税の算定にもそういうようなものも、いわゆる人の行き来ということも何か要素に加えていく、そしてそれが農山村の地域振興に役立つ、あるいはまたそういう事業を起こしていくということの呼び水になるのだろうかということも一つの方法であろうと思うのです。そういう点で少しそういう面の工夫もあってしかるべきだと私は思うのですが、そういう点どうでしょう。
  30. 津田正

    津田政府委員 御指摘のとおり、財政力の弱い団体と申しますか、過疎地域を中心とする団体についての建設事業、まさしく土木事業的なものが多い。これはどうしても、またその地域が我が国にとって重要性を有するのは国土資源の保全という観点もあるわけでございますので、そういう意味での経費というものは今後も私ども考えていかなければならないと思っています。  しかし、御指摘のとおり、現在の過疎地域を中心とするところは、人口の減こそ減少はいたしましたが、その内容を見ますとお年寄りが多くて若者が少ない。やはり若者が定住できるような地域づくりというものを考えなければならない。そのためには単に土木的なものだけではなくて産業振興的な需要をどう見るか、このような点が重要になってくるのではないかと思います。  ただこの点、交付税だけですと、交付税は今ある資料に基づいて配分する、こういう原則があるわけでございまして、将来のものをどうするかということにつきましては、当面地方債等の活用というものを図りながらその元利償還、もちろん地域が発展してその償還にたえられるようなことになればいいわけですが、しかし、そういう完全な期待もできないわけでございますと、やはり将来の不安をなくすために、その公債費負担というものについての交付税措置というものも十分考えまして、産業振興、若者が定住できるような地域づくりということが今後重要課題となっていくのではないか、かように考えております。
  31. 安田修三

    ○安田委員 そこで、交付税の算定には政策的要素というのが非常に強く入ってくる時代がありました。今局長がおっしゃった、そういう今ある施設、そういう静態的なものを中心にして算定されたということから、将来に向かってというような徐々にそういうものも見えてまいっておりますので、例えば今度の場合もふるさとづくり特別対策事業費、それから市町村圏基金、こういう点も交付税には従来なかった行政項目の中に入ってきたわけでして、そういう点ではすべてが普遍的でないものも入ってくるようになってきておるんじゃないだろうか。  そこで、こういうのがだんだんふえて、きますと、交付税全体のバランスが崩れてくるというおそれもあるんだろうと思うのですが、しかし一面、産業振興とか地域振興という場合には、一般論としては、何もひもがっかなければ将来に向かって必要なものは算入していっていただけるというのは非常に結構なことじゃないだろうか、私はこう思うわけです。  そこで、交付税の算定方法、毎年皆さんは細かく変えていらっしゃるわけですが、そういう算定方法の改定などについて事務当局にお聞きしますと、いろいろと地方団体等の意見も聞いたりしてやっておりますということでございますが、私は、むしろオープンにして、これは専門家でなければなかなかわからぬ中身ではございますが、地方団体、第三者の学識経験者、こういう人たちも入って、そんな大規模なものでもなくて結構でございますが、政府との間で協議していくという審議する機関、審議機関みたいなもの、そういうものがあった方がかえってその種の時代の流れにそれぞれが意見を言いながらということではいいんじゃなかろうかと私は思うのですが、そういう点はどうでしょうか。
  32. 津田正

    津田政府委員 先生お聞き取りいただきましたように、私どもは、例年交付税の算定が八月に終わりますと、その後制度改正意見というものを各団体から求めましてヒアリングし、その内容を詰めておるわけでございます。そういう点につきましても今後なお充実してまいりたい。  何よりも交付税自体、ひもつきではございませんが、どういうような施策にどういうような国の財政との関連性において手当てをするということをまず地方団体の方々自体に頭にのみ込んでもらっていただかなければならぬわけでございますので、その積算根拠等につきまして御理解も賜りたい、また、ひもつきではないですが、やはり政策的意図というものも御理解いただきたいと考えております。今後も充実してまいるつもりでございます。  それから、これも地方団体の決算の状況とのチェックということをやっております。余り決算の状況に引きずられますと、まさしく静態的、ま瓶前向きなことはできないわけでございますが、しかし、交付税の基礎というものは決算との突き合わせをした上で今後の地方団体の行財政運営をどう持っていくか、このような観点が必要かと思います。そういう意味におきまして地方団体、実際の財政運営との関係というものを常にチェックしつつ交付税の適正配分に努めてまいりたいと考えております。
  33. 安田修三

    ○安田委員 それで、私がお聞きしておるのは、皆さんそういうのをやっていらっしゃるんだが、皆さんが何かそういう公の意見聴取等をされる機関というものをつくられたらどうだろうかというのですが、その点はどうですか。
  34. 津田正

    津田政府委員 地方制度調査会その他の御意見もいただいておるわけでございますし、また、地方財政審議会も設けられておりまして、配分につきましても御意見等をいただいておるわけでございます。  ただ、これもよし悪しなわけでございますが、若干専門的なことにもなっております。そういう意味におきまして、地方団体におきます交付税を実際担当して算定しておられる方、そういう方の御意見を拝聴したい、このように考えておるわけでございます。格別に表立った組織というよりは、個々具体的な問題につきまして私どもとしては御相談に応じてまいりたい。また、団体の中でもある程度類型別にと申しますか、大きな団体あるいは小さな団体、過疎地域を抱える団体、そういうようないろいろな連合会等がございます。そういう方々の御意見も十分拝聴してまいりたいと思います。
  35. 安田修三

    ○安田委員 それでは、これはちょっと今の現実の問題ではありませんのでまた将来聞くことにいたしまして、次に地域経済活性化対策についてお尋ねしたいと思います。  現在九十六地域、八百三十三市町村が指定されているそうであります。その後の追加その他、昨年の調査からしますとちょっとまた一これが一番新しい数字だそうでございます。これの起債そ  の他成果等についての実績をひとつ御報告いただ  きたい。
  36. 小林実

    小林(実)政府委員 地域経済活性化対策でございますが、五十九年から始まりまして、五カ年ということで六十三年で切れますので、平成元年から新しくまた新地域経済活性化対策を講じておるわけでございます。  五十九年度から六十二年度までの単独事業の実績は、ハード関係で二千八百八十億円、ソフト関係で四百十八億円というふうになっております。  具体的には、新しい製品を研究開発する、あるいは製品の需要開拓をするという地場産業の振興を図るための事業とか、あるいは地域の資源を利用した産業の育成ということで、農産物の加工施設とか園芸センターをつくる、そのほか観光を広域的に推進するという意味で共同で宣伝をする、イベントを行う、あるいは観光施設を共同でつくるというようなことがございます。また、都市部におきましては、魅力ある都市づくりということで、商店街の整備等を行っておるものがあるわけでございます。
  37. 安田修三

    ○安田委員 そこで、実はこれが起債中心なんですね。起債の中に、まちづくり特別対策手業の一環として地域総合整備事業債を充当することにしてきている。地域経済活性化推進地域の場合に、まちづくり特別対策事業の一環として入っている。まちづくり特別対策事業というのは地域総合整備事業債が充当されておる。ちょっとおかしい話、我々素人はちょっとちゅうちょしてしまうのでありますが、そこでこの地域総合整備事業債特別分は、いわゆるまちづくり特別対策事業、ふるさと市町村圏基金、ふるさとづくり特別対策事業を実は含んでおります。そこで、今言いましたように、そのうち、まちづくり特別対策事業の中に地域経済活性化対策推進地域地方債を含むということになるので、言うなれば地域経済活性化対策の指定を受けているその事業のほとんどの起積というのはまちづくり特別対策事業である。ま以づくり特別対策事業というのは、実は五十九年から今までやっていらっしゃる、地域経済活性化は五十八年から指定していらっしゃる。  そこで、地域経済活性化対策の本来の主体性というのは一体何なんだろうか。私こう思いますと、今おっしゃったようにいろいろな事業が随分細かく出るんですけれども、それはほとんどまちづくり特別対策事業費の中に入っておる。それは指定してあるところ、事業費がまた別のものが来るもの、いずれの場合にもあるわけですが、これを取りますと地域経済活性化対策というものは極めて抽象的になってしまう。あとはそれぞれ地域の調整だとかいろいろなことで、交付税措置があつたりあるいはソフト部面に特交の配分があったり。  ソフト部面の特交を、ちょっと皆さんの方から手元に来ている数字からしますと、地域経済振興対策等には二百十九億円というのが出ておる。これは牛肉・オレンジ対策だとかそれから制度融資だとか過疎、都市対策、全部ひっくるめたのが二百十九億円というのが特交分として出ております。その中に、恐らく今の地域経済活性化対策の分も、特交分は入っておるんじゃなかろうかと私は思うのです。そうすると極めて小さい額でないだろうかと思うのですが、私お聞きしたいのは、地域経済活性化対策の事業の主体、圏域指定された主体というのは一体何を目的にして、どうなっていったんだろうか。今言いましたように、事業がたくさん並んできたものですから特にお聞きしたいな、こうH心っているところです。
  38. 小林実

    小林(実)政府委員 五十九年度にまちづくり特別対策事業というのができましたときの経緯を考えてみますと、地方団体が自主的、主体的に行う事業について起債、交付税措置つきの起債措置を講じて単独事業を大いにしていただこうというお話であったと思うのです。この事業は広域市町村圏が中心となって実施していただく事業ということで始まったわけでございまして、地域経済活性化対策は、そのまちづくり事業の中の地域の安定的な経済基盤を確立したり、あるいは地域社会の均衡ある発展を図るために地域経済活性化観点からの事業をまとめていただくことをお願いして始まったものでございまして、地方団体からは相当の希望がございまして、圏域を指定いたしまして、その該当事業につきましてまちづくりの起債を活用して財政措置をしてきた、こういうのが現実でございます。
  39. 安田修三

    ○安田委員 そうですが。まちづくり特別対策事業が出たのは、きょう、うちの細谷委員が来ていらっしゃいますが、あの当時、単独事業計画数字と実績が非常に乖離があった、そこで単独事業計画数字を皆さんの方で削った。しかし、削り過ぎはかえって後から困ることがあるんじゃないかということで、恐らく三千億円だったでしょうか、まちづくり特別対策事業というものがあのとき当てなくぽっと当てはめられたように私は記憶しておるのです。今、審議官のお話を聞いていると、何か初めから地域経済活性化のためにこの事業が出たようにおっしゃるけれども、あの当時はそうじゃなくして、単独事業計画額と実績が六千億円ほど乖離があったと思うのです。そこでそれを削った。しかし、削ったけれども、それじゃひどいだろうというので、三千億円をまちづくり特別対策事業として御自由に市町村でお使いください、こういう地方債をつくっておきましたからということを私たちは聞いておるし、また審議したように聞いておるのですが、ちょっと何か話が違ってきたような感じですね。どうでしょうか。
  40. 小林実

    小林(実)政府委員 今議論になっております地域経済活性化対策に対する措置というのは、まちづくり対策事業の中の一環として地域経済活性化施策絡みのものをまとめたものをつくっていただいたものを措置しているということで、全体といたしましてはまちづくり事業の中の一部といいますか、そういう感じであることは間違いないわけでございます。  それから、当時のお話でございますが、確かに単独事業で実績と計画の乖離の問題がございまして、規模是正ということがあったわけでございますが、そのときには公共事業の方の伸びも期待できないような状況でございまして、交付税つきの地方債措置でまちづくり事業というものを三千億設けまして、それで地方単独事業を大いにしていただこう、そういう経緯があったことは事実でございます。
  41. 安田修三

    ○安田委員 どの起債も——どの起債もというのは今言ったまちづくり特別対策事業ですね。言うなれば地域総合整備事業債の特別分、この関係でランクづけされている。今言ったまちづくり特別対策事業。それから市町村圏基金、ふるさとづくり特別対策事業費、この二つは今年度。どの起債も交付税措置が三〇%から五〇%まで財政指数に応じてカウントしましょう、こういうことになっておるのです。  先ほど大野委員の質問も、ふるさとづくり特別対策事業で、私と同様の疑問を持って御質問なさっていました。私も、事務当局にもそれからこの前の三月の質問で大臣にお聞きした。同じことをいつも思っているのですが、書いてあるものを見ますとほとんど変わらないのです。どこが違うかというと、都道府県単位のもの、それから広域圏のもの、言うなれば面的なものと点的なもの。じゃ事業費の大きさはどうか、大きいものと小さいもの。何かちょっと余りわからないのです。私はこれは自治省の場合は別にして、それぞれ他の省庁では一つの事業を持つ、そして、それが役所の縄張りが大きくなる、自治省の場合は自治体のためにひとつお金を出す方法を考えよう、あるいは交付税措置する方法を考えようということだろうと思います。  しかし、私は交付税というのは、これを新しくつくったからといって別に国から別の交付税が来るわけじゃない。ことしは消費税が入って枠が変わったけれども、もともとは枠は一緒、それも消費税が入ったって削られたものを補っただけ。したがって、私は先ほど言ったように、もし市町村等にそれぞれのいわゆる交付税措置、財政調整のために交付税措置をしなければならないものであれば、算定基準を変えるとか、あるいは根本的にやり直す。しかし、このように何か同じような事業を一つずつふやしていって、そしてそれに地方債がついている、交付税措置がつく、それはいつも同様ということでは何か割り切れないものが出てくるわけです。  例えばもし本当に違うものなら、ふるさとづくり特別対策事業、これは都道府県単位だ、その中に各市町村のプロジェクトもいろいろ入ってきておるわけです。私、初めの計画を聞いたときは都道府県が全部やるのだと思ったらそうじゃない。市町村がやるのは全部まとめてやっておる。だからいわゆる広域圏でやっておるのと余り変わらない。それを幾つか固めたということになってきておる。そこで、本当に違うものなら私は事業内容によってこの交付税のカウントも差異があっていいんじゃなかろうか。例えば地域経済活性化対策というのはこれで歴史があるけれども事業費は、確かに聞きますと実績はたくさん地方債が出ております。しかし、それは先ほどの話のようにまちづくり特別対策事業の起債分なんですね。だから、本当に地域経済活性化でやるのなら、私は、ふるさとづくり特別対策事業の場合よりも交付税のいわゆる措置額をあるいは大きくしてよろしい、ふるさとづくりの場合は初めに事業費の一五%をぽんと交付税措置するのですから、後の交付税措置の場合はあるいはもうちょっと措置額は小さくてもいいとか、これは仮の話です。そういうものがあっても私は不自然ではないんじゃなかろうか、こう思うのですね。ところが、どれを見ても、あなたはこの制服、はいこの子供もこの制服、どうも私はちょっと釈然としないところがあるのですが、どうでしょうか、その辺。
  42. 小林実

    小林(実)政府委員 具体的な事業につきまして、その似たようなものがまちづくりであり、ふるさとづくり特別対策事業になっているではないかという御趣旨の質問かと思います。  今までのこの事業ができてきました経緯がございまして、基本的には地方団体が自主的に判断した事業につきまして財政措置をするというシステムを今までつくってまいりました。五十九年度のときには、その当時といたしましては、やはりまちづくり措置で行っております交付税措置というのは非常に手厚い措置であるというふうに考えておったわけでございまして、その後またふるさと創生というお話がございまして、さらに手厚い措置のシステムができてきた、こういう御理解をいただければよろしいのではないかというふうに思うわけでございます。私ども決して地域経済活性化対策を軽視しているというつもりはございませんが、今までの経緯といたしまして、まちづくり特別対策事業対応してきておる、こういうのが現状であるわけでございます。  御指摘の点につきましては、今後とも研究をさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
  43. 安田修三

    ○安田委員 要するに皆さんも努力されるし、せっかく市町村が、皆さんのそういう施策が出る、よしゃろう、皆さんはみずから考えてみずからやれ、こうおっしゃるのですから、それだったらみんながそういうぐあいに、今までこれは地域経済活性化というのは先ほど言ったようにたくさんの市町村が参加しておるわけです。九十六地域、八百三十三、そのほとんどは財政力指数の弱い町村がすがっておる。だから、私たちが視察に行ったときも、みんな何とかしてもらいたいという希望が出てくる。そういう点で、私はより期待にこたえるために、前のものは何か打ち捨てて次にいくという虫食いのような形にならないように、皆さんもそういうつもりでないから、新たに新活性化計画ということでさらに再指定されたり新たなものをことしまた入れていらっしゃるわけでしょうが、そういう点でひとつ今後とも充実されるように頑張っていただきたいと思います。  さて、大臣にお尋ねするのですが、これは三月にも私は、地方活性化のためには創意工夫地方にしてもらう、そのために思い切った権限移譲というものが必要でないだろうか、こういうことを実は大臣に申し上げたわけであります。そして、当時財政局長の金太郎あめ論文ですね。どこの市町村も金太郎あめのようなことでは困るということで、いい論文が掲げられたということを紹介しまして、当局の考えをただしたわけであります。この辺になりますと、建前は大変自治省は立派なものが出てくるわけでありますが、しかし、実際の運営としては各省庁の気兼ねもあるのでしょうか、余り建前どおりには進んでこないように実は私は思うわけです。  三月の大臣のお答えでは、昨年の暮れに総理から行革審に対して諮問がなされて、国と地方との権限をどうするか、地方の財政問題も含めて今後検討しようということだから、自治省としても行革審などとも十分連絡をとりながらひとつそういう方向に持っていきたい、そういう方向というのは具体性も含んだ問題ということでありますが、持っていきたいという答弁でありました。どうでしょう、何か方向づけというものが出ておるでございましょうか。
  44. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 行革審におきましては、去る一月二十三日に国と地方関係等に関する小委員会を設けまして、まず各省庁から権限移譲を中心といたしましてヒアリングを行いました。その後、各界の有識者あるいは経済界の諸団体地方公共団体関係のいろいろな方々から現在もヒアリングを行っている段階でございまして、審議の具体的な内容はまだ進んでいないように承っております。ヒアリングの中では、これは非公開になっておりますので私どもはっぷさには存じませんが、事務局の公表したところによりますと、国から都道府県への権限移譲あるいは都道府県から市町村への権限移譲を中心とする権限移譲の問題、さらにはその権限移譲を受ける地方団体の受け皿としての都道府県あるいは市町村行政体制のあり方、特に広域行政体制のあり方、あるいは補助金整理の問題でありますとか地方の国政への意見の参加というような問題が広範に議論されているように聞いております。
  45. 安田修三

    ○安田委員 この行革審は、今局長おっしゃったヒアリングをやりながらいろいろ問題点を洗っておられるようであります。  実は六十年のときに、これは前にも議論の出たところでありますが、六十年七月二日に、「機関委任事務及び国・地方を通ずる許認可権限等の在り方」と題する報告書が当時行革審の小委員会から出されました。これは、国と地方との関係に関する小委員会であります。そして、報告書のまとめ直前に、討議されていなかった「職務執行命令訴訟制度の見直し」が激論の末出たといういきさつがあります。これは権限移譲に対する各省庁の抵抗に対する妥協の産物だと実は報道されましたし、また一部委員からもそういう指摘を私たちは聞いております。このときに出た権限移譲の答申はわずかだったわけですね。行革審はすったもんだのあげく、この廃止十一項目、改善六十七項目にとどまって、実は初めの方向とは違い、権威のない答申になってしまったわけです。当時、三月に地方団体が廃止四十項目、地方の自主運用にゆだねるもの百八十項目を含めて五百二十九項目の機関委任事務の改善の要請をしておったわけでありまして、大変な落差のある答申でありました。  私これを見まして、自治省の方は大変抵抗されたことを実は聞いております。こういう状態ですから、地方制度調査会、去年のときでも当時の自治大臣は、うちで土俵をつくるよりも向こうの土俵の方がいいんじゃなかろうか、行革審の方が。当時の竹下総理もそういう考えで、そこで行革審の方へ持っていらっしゃった。ところが、行革審の国と地方関係等に関する小委員会のメンバーは二十五名ですけれども、この中に省庁出身者が十名含まれているのですよ。こうなりますと、この前も参与の省庁出身者の人がたくさんおられて、それぞれの縄張りを主張されたそうです。私はやはり、皆さん別に悪い意味じゃないとして、自分の持っているもとの古巣の仕事というのはやはり大事だと思っていらっしゃるし、またその権限を、それぞれの行政なり仕事を発展させようと思っていらっしゃるのでしょうから、なかなか放そうとしない。  ところが、自治省の場合は、自治体の発展、これがやはり大きな日本全体の支えだ、こういうお考えでしょうから、なかなか抵抗の大きいところに立ち向かわざるを得ない。私はそういう点では、もう今から自治省自身がアドバルーンを上げていかないと、そしてそれに共鳴する流れをつくっていかないと、私はまたこの前の六十年と一緒のことになってしまうんじゃないだろうかと思うのです。  私は、今言ったように、メンバーそのものがこれだったら中立的ないいものができるなという感じに余りならない。そういう点で、自治省はひとつ旗振り役として、そこら辺、決意を強くやってもらいたいと思いますが、大臣どうでしょうか。
  46. 坂野重信

    坂野国務大臣 先生おっしゃいますように、新行革審の委員のメンバーを見ますと、確かに各省の出身のOBであるとか、各省に関係した方が多いわけですが、さっきもちょっと数えてみましたが、その中で六名の方は地方関係に非常に深い方でございますから、そういう点も考慮して、しかも先般行革審の会長と副会長が総理のところにおいでになって、宇野総理のところですが、ひとつ行革審については、今後新内閣としても行革審の立場を踏まえて、ひとつしっかり歴代の内閣と同じようにやってもらいたいという要望もあったようでございます。もちろんそれはいろいろな地方制度全般にわたる問題、国・地方を通ずる行政改革の問題ですから、全部が全部国と地方との関係だけじゃないと思いますけれども、その中にこの重要問題も含まれているわけでございますから、私自身としてはいろいろな国会の質疑応答等を通じて、あらゆる機会にできるだけ地方の権限移譲というようなことも主張しておりますし、それからやはり国土庁を中心とする多極分散ということの一環として、やはり地方分権というようなこともうたっておりますから、そういう中であらゆる機会を通じて、できるだけ自治省としての立場を主張してまいりたいと思っている次第でございます。  それから、ふるさと創生がこれは絶好の機会でございますから、これに伴うこれからのいろいろな会議もあろうかと思いますし、自民党は自民党でまたふるさと創生推進調査会というものをつくるようでございます。そういう機会を通じて、党内の意見等においても、こういうものを実現するためにはやはりさらに分権の推進が必要だとい  うようなことも主張できるようにやってまいりたいと思っている次第です。
  47. 安田修三

    ○安田委員 それでは、次に税制問題の方に少し入ります。  不公平税制を是正するということは大変大事な課題でありますが、昨年の消費税導入当時の税制改革では不公平税制問題というのは取り残された、私たちはこう思っているわけです。特に地方税の改革というのは、去年の税制改革論議では全く土俵の外に置かれたような形になってしまったんじゃないか。特に住民税減税というものは区分を少なくしたりということで出ましたけれども、他の方はほとんど打ち捨てられてしまったのではないか。今度、地方税の改革について税調の方にどういう態度をとっていかれるか、これをお開式したい。
  48. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 先般の税制改革は、国税と地方税を通じまして負担の公平というものを求めるための税体系の確立ということを主眼にして改革が行われたわけでございます。そういう点からい弐ますと、国と地方の税源配分という問題につきましては、これは前の税制改革では触れないという建前で行われたものでございます。したがいまして、今後の問題といたしましては、国と地方の税源配分をいかに持っていくかという問題が残されているわけでございますけれども、この問題につきましては、ただいま御議論ございました国の事務の配分の問題でございますとか、あるいは国庫負担制度のあり方の問題とか、そういういろいろな問題が絡んでくるわけでございますので、そういう点を踏まえながら幅広く検討していくべきものだということで、地方税プロパーの問題というよりも、むしろそういう幅広い検討というものを踏まえた上での地方税制というものを考えるべきではないかと考えているわけでございます。
  49. 安田修三

    ○安田委員 そこで、そういうことで税制調査会の方では論議になっていくわけですね、今おっしゃったことは。
  50. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 国と地方の税源配分という問題になりますと、これは税制調査会で扱うべき問題かどうかということになりますと、これはいささか問題があろうかと思います。やはり税制調査会というのは、国民がどういう形で税負担をするかという立場から論議をする場でございますから、国と地方の税源配分という問題になりますと、もちろんこれは税制調査会でも御議論いただく問題でしょうけれども、そのほかに例えば地方制度調査会で御議論いただく問題でございましょう。いろいろのところの議論を通じて検討されるべき問題ではないかと思うわけでございます。
  51. 安田修三

    ○安田委員 そこで、じゃどこの検討の土俵でもいいんですが、実際そういうことを皆さんの方で諮問していかれるのかどうかということなんですが、どうでしょう。
  52. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 私どもが担当しておりますのは税制調査会でございますが、税制調査会におきましては、現段階におきましては昨年成立いたしました税制改革というものをいかに円滑に定着させていくかということが当面の課題ではないかと思うわけでございます。そういう問題を一応踏まえた上で、今後の地方税源の充実という問題を検討していただくということで、当面直ちに税制調査会にこの問題を諮問するというふうには考えていないわけでございます。
  53. 安田修三

    ○安田委員 そうしますと、地方税の改革論議というのは余り進んでいかないということになるんだろうと私は思うのですね。  さて、そこで税調の答申は、例えば社会保険診療報酬についてせめて所得税並みにという答申を今までやっております。この問題はずっと放置しておくというわけにはいかない問題じゃないだろうかと思うのです。しかし、社会保険診療報酬の持つ性格からして、仮に診療施設など医療に必要とする設備には減免等の措置をとりながらも、事業税の対象となるべきものにはきちっと適正な課税を行う、こういうような何らかの改革をして、税金をいただくべきものにはいただく、それこそけじめということは必要なんじゃないだろうかと思うのです。答申はいつもあるけれども、打ち捨ててあるというのはどうもおかしい、こうなるのでして、ここら辺はどういうことになっておりますか。
  54. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 社会保険診療報酬の問題につきましては、この前の税制改革におきましても議論はなされたわけでございます。この社会保険診療報酬については、事業税だけではなしに国税では所得税、法人税、それから地方税では事業税以外に住民税につきましても特例措置が講じられていたわけでございます。これらの特例措置を国税、地方税を通じてどのように見直していくべきかということでいろいろな御議論をいただいたわけでございますけれども、前回の税制改革におきましては、所得税、法人税それから住民税の概算経費率による計算の特例というものを優先して改正すべきであるということになりまして、御案内のとおり、収入金額五千万以下の医師についてだけに特例措置を限るということをやったわけでございます。この結果、かなりお医者さんに対する全体としての課税の強化が行われたというふうに聞いております。  例えば、所得課税に対する特例の適用を受けるお医者さんの割合は、従来は六割いたのが、五千万で切ったことによって四割に減るというようなこともございまして、かなり是正効果が期待できるというようなことでございました。結局、それがことしの四月から適用されるわけでございますので、これらの影響というものも考えながら事業税の見直しというものを考えていかなければならないのではないか。それから、よく言われております社会保険診療の公益性とか公共性というようなものを主張する御意見も一方では非常に強くございますので、これらの御意見も御理解をいただきながら、これから私どもとしては粘り強く努力してまいらなければならないというふうに考えているわけでございます。
  55. 安田修三

    ○安田委員 私は、この問題は、いろいろな税制改正論議をやって消費税問題等国民の身には税金というものが大変身近に感じてきたという中では、ずっと延ばしていってなかなか結論を出していかないというのは余りいいようには思えないのですね。というのは、所得税のランクが発表されますと、どうしてもお医者さんがたくさん上位にいらっしゃる。お医者さん全部ではない、中にはとてもそんなところにいかないというお医者さんもいらっしゃるけれども、どうしても上位にいらっしゃると、ああそうか、こうなってしまう。ところが、今局長がおっしゃったように、社会保険診療報酬の持つ性格という点から考えて、事業税その他の問題についてどう扱うかということについては慎重にしなさいという意見があるのもまた事実。それをどういうぐあいに調和をして線引きするかということをしないと、お医者さんとその他の国民との間に反発があるような感じになりまして、私は大変まずいんじゃないか。そういう点では、社会保険診療というものの持つ、これは医術ですから普通の事業とは違うという性格は確かにある。そういうものはもちろん一つの柱がある。かといって、しかし一応の社会保険診療といえども収入は収入ですから、そこから出てきたものについてどういう処理をするか、こういうものを、それぞれちゃんと柱があるのですから、それをどういうぐあいに調和させてこれを結末つけるかというのは、これは皆さんの知恵であり、また中にはいろいろなそれぞれの関係者の意見があるわけですから、そういう人の意見を徴しながら、まとめというものは私はできるんではないだろうかと思いますので、これはひとつ舞台が回るようにされるべきではないだろうか。ずっと懸案のことがいつも延びておるわけでして、ひとつ舞台回しをしてもらいたいと思いますが、どうですか。
  56. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 仰せのとおり、この事業税の問題が税制調査会の答申に入ってからかなり久しくなっているわけでございまして、この間、私どもといたしましては、できるだけこの特例措置を見直すということで努力してきたところでございますが、先ほど申し上げましたとおり、社会保険診療報酬全体といたしましては、この前の税制改革によってかなり是正措置が講じられたということでございまして、事業税だけの観点から見ますといろいろまだ問題が残っております。したがいまして、関係者の方々の御議論というものをよく私どもも聞き、そして私どもの申し上げたいことも申し上げて、今もお話しのございましたように努力をしてまいらなければならないというふうに考えているところでございます。
  57. 安田修三

    ○安田委員 そこで、事業税の関係ですが、地方行政サービスと事業所の受益との関係を反映させていくということになりますと、今回の事業税の分割基準の見直しでは是正が十分ではないのじゃなかろうか、こう思うわけであります。ではどうしたらいいのか、こういうことになりますと、大変難しい問題ですが、いろいろな検討会でも、いろいろな要素を挙げられながらも、今回の場合は人数を倍にするということでああいう解決がされております。まだ幾つかの基準となるべき要素を加えながらいわゆる事業税の配分ということについて適正化する必要があるのじゃなかろうかと思いますが、ここら辺はどうですか。
  58. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 法人事業税の分割基準につきましては、事業税の性格等、それから関係都道府県の行政サービスとの関係というものをにらみながら、この税源の帰属というものを適正に行うというために設けられているものでございますから、できるだけそういう実態に合うような分割基準をつくることが大切なことだと思います。  そういう趣旨で今回の分割基準の見直しを行ったわけでございますが、この分割基準というのは、今申しました事業活動と都道府県の行政サービスとの関係を的確に捕捉すると同時に、もう一つは、分割して納めてもらうのが、それぞれの企業の方々が事務処理をやっていただくわけでありますから、税務実務上できるだけ簡単な分割基準にするという要請も他方にあるわけでございます。今回、製造業につきまして分割基準を改正した際にも、例えば事務所、事業所の敷地の面積というような要素をこの分割基準に別に設けたらどうかというような検討もしたわけでございますけれども、やはり分割基準の中身が余り複雑になってもいかがかということで、こういう事務所、事業所の敷地というものを勘案してこれを従業者数に換算してみると、今度お願いしましたような分割基準になったという経過もございます。  そういう意味で、新しい分割基準をどういうふうに設けるかという点につきましては、今後とも行政サービスとの応益関係が適切に反映できるようなものになるように努力してまいりたいと思います。  御案内のとおり、特殊な企業につきましては、発電施設でございますとかあるいは鉄道事業とか軌道事業というようなものは、従業者以外の分割基準を使っているものがあるわけでございますので、そういう事業の業態というものも別ににらみながら、今後とも引き続きこの分割基準というものが適正に決められるように常に見直しをしていかなければならないと思っております。
  59. 安田修三

    ○安田委員 今まで税調では事業税における外形標準課税の問題というのがよく取り上げられてきたわけでありますが、今度はこの関係というのは消えてしまったような感じになっておるのですが、これはどうなんでしょう。自治省の方では従前の経緯ということもある。そこらあたりは全然消えてしまったのですか、この事業税の外形標準課税問題というのは。
  60. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 事業税の外形標準課税の問題につきましては、これも長い間の議論があるわけでございますけれども、最近までの議論につきましては、これは企業課税あるいは間接税など税制全般との問題に非常にかかわりのある問題だから、課税ベースの広い間接税との関連で検討すべきであるということできていたわけでございます。  御案内のとおり、昭和五十三年の一般消費税構想のときには、この問題を現実的な解決をするためということで、地方団体のために地方消費税を創設する、これで外形標準課税というものを現実的な解決にしようということにしたわけでございます。しかしながら、その後に出ました売上税構想におきましては、やはり事務負担の問題でございますとか、あるいは税制の簡素化というような問題もございまして、地方消費税というものはちょっと難しいのじゃないかということになりまして、また今回の消費税の議論におきましても同じような議論をしたわけでございますが、結果的には御案内のとおりの形で、地方消費税を設けるかわりに消費譲与税という形で解決がついたということになったわけでございます。  ですから、従来は課税ベースの広い間接税との関連で外形標準課税を考えるべきだということでございましたが、この問題は、課税ベースの広い間接税はもう既に解決してしまったわけでございますから、外形標準課税だけは残されてしまったわけでございます。残されてしまったからこれを消すということではなしに、私どもとしてはこの問題をいかにするかということを改めて検討し直していこうという考え方によりまして、実は専門家による研究会を持っていただきまして、ここで少し基礎的な勉強をしていただこうかということを今考えているところでございます。そういうことで、決して消えたということではなしに、今後とも研究してまいりたいと思っております。
  61. 安田修三

    ○安田委員 法人関係の方でお聞きしたいのですけれども、法人住民税の均等割が五十八年ですか上がりまして、五十七年度に比べましてちょうど平均的には五倍、資本金一千万円以下、従業員五十人を超える中小法人の場合は十五倍、逆に資本金五十億円以上の大法人は三・七五倍。もちろん発射台が違いますので、片方は三・七五倍でも金額は大きい、片方は十五倍でも金額はそんなにかさにはならない、こういうことになるのですけれども、均等割ということで従来の中小の法人にとりましては非常に負担額がふえた、こういうことになってきたわけです。以前から、もう一度法人住民税の均等割は見直してもらいたいという声が出ているわけでありますけれども、皆さんの方でこのあたりの見直しというのはやるというお考えはありませんか。
  62. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 法人住民税の均等割につきましては、昭和五十八年、五十九年の二年にわたりまして税率の改正を行いました。今御指摘のような税率になったわけでございますが、単純な倍率でまいりますと大企業の方が有利な感じがいたしますけれども、大企業の場合は支店の数が多うございまして、関係市町村が非常に多いということもございまして、税負担がかなり大きくなるということが予測されたわけでございます。  そういうようなこともございまして、当時の税率の設定の際にはそのことを勘案いたしまして決めたわけでございますが、もう一つの問題といたしましては、法人の約半数が赤字法人である。この赤字法人については、法人税はもちろん納めないし、住民税についても法人税割が納入されない、事業税も納入されないというようなことを考えますと、やはり赤字法人に対する税負担という観点から見て、法人均等割というものはある程度引き上げて税負担をお願いするのが適切ではないかという御議論が当時あったわけでございます。そういうような趣旨を踏まえまして当時の税率が決められたわけでございますが、その後赤字法人の状況を見ましても、むしろ赤字法人はふえてこそおれ減っていない状況でございます。昨年の不公平税制問題の際にも赤字法人の課税問題をどうするかということが随分大きな御議論になったわけでございますので、こういうことを考えますと、この法人の均等割というものは、これを見直して引き下げるというよりも、むしろ逆の方向で今後検討すべきではないかなということを私どもは考えるわけでございます。  いずれにいたしましても、この問題は法人課税全体の問題とも関連するものでございますので、これからもよく検討してまいりたいというふうに考えております。
  63. 安田修三

    ○安田委員 逆に上げようか、まあそれは取り方、税金のいただき方のいわゆる方法論でありまして、そうであるなら先ほどの外形標準課税を入れればいいわけですから、こんなところで小さいものをいじめる必要はないんで、やるなら堂々と取れる方法、王道を歩む。それからこういうものは小さいものをいじめないようにする、こういうやり方。取りやすいからやろう、これだったら取りやすいですよね。しかし、取りやすいのはやる、もう一つの外形標準課税は抵抗が大きいからなかなか進まないというのでは、ちょっと私はおかしいと思うのです。そういう点では強いものにぶち当たる自治省であってほしい、こう思いますね。  さて次に、土地の固定資産税の方、まず土地の利用対策あるいは資産課税の適正化の面から、固定資産税そのものの見直しが必要ではないだろうか、こう思うわけです。以前にも財政局長が税務局長をやっていらっしゃったときにお聞きしたわけでありますが、それは収益性に着目して課税したらどうかということを言ったわけであります。一つは、実勢価格に指標を置いた評価額を出すという方法にぜひしてもらいたい。二つ目は、これではサラリーマンあるいは零細商工業者は土地から追い出されてしまいますので、今までの考え方を変えて、収益性に着目した方式をひとつ導入してもらいたいと以前にもお話ししましたら、現状の税理論からはなじまないのじゃないだろうか、しかしそういうことは考えられることだというお話のようでありましたが、消極的なお考えを披露されておりました。  しかし、土地高騰その他によりまして、現実の問題としてはこういう今の固定資産税方式ではもうどうしようもないという現状になってまいりました。というのは、評価の低いところの方は逆に土地の投機対象その他になっているといううらみがありますし、それから、大都会地周辺の土地の高騰しておるところは固定資産税だけが上がって、そして普通のサラリーマンや年金生活者や細細と従前の土地を持っている人にとりましては何のために住んでいるのかわけがわからない、こういう現象が出てきておるということで、これは現状の固定資産税のあり方そのものが俎上にのる時代になってしまいました。ですから、従前の方式をこのまま続けておくということにはならない。これはもう早急に何らかの見直しに着手しなければならぬ。しかし、従前の税体系を変えるというのは大変でございますから、既に何らかの取っかかりに入って、そして適当な結論を得るような作業に入らなければならぬ時代に来たのではなかろうかと思うのです。そういう点で、抜本的な思い切った改革ということをこの際自治省は行う必要があるんじゃないかと思いますが、どうですか。
  64. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 固定資産税につきましては、市町村の基幹的な税目ということで、市町村にとっての非常に大事な税源でございます。この税につきましては、土地もそうですが、家屋、償却資産あわせまして、保有の継続というものを前提にして毎年税負担をしていただくというものでございますから、この税負担というものが過大になりますとこれは毎年毎年払えなくなってしまう、こういう問題がございます。最近の地価の上昇というものを見てまいりますと、例えばこの地価の上昇を基礎にして地価そのものを課税標準にして税を賦課するということになりますと、これはもう払っていけなくなってしまうというようなことになりますし、実際の価格というものを課税標準にするのが適当かどうかという問題はまた別にあろうかと思います。  例えば不正常な要因で、地価というものはいろんな要因で動いてまいりますので、そういう不正常な要因を含めた地価というものを前提にして保有課税を課税するのが適当かどうかという問題があろうかと思います。ですから、今の土地の評価につきましても、売買実例価額から、そういう不正常の要因、期待価格だとかそういうようなものを除いた現在のあるべき地価というものを前提にして評価すべきである、こういう考え方でやっているわけでございます。  今までは幸い地価の変動がそれほど大きくなかったのでそういう考え方ができたわけですが、今御指摘のように、今回の地価の高騰というものが一定の地域に集中しているということでございまして、従来は大体全国的な規模で、アップ率は大体余り開きがなかったのですが、今回はそういう点で大きな開きが出てまいっております。これを固定資産税の課税にどう持っていくかということは、私どももこれからの問題として大変研究しなければならない。再来年の四月に評価がえを行うわけでございますから、それまでの間にこの問題をどういうふうに詰めていくかということを議論していかなければならないわけでございます。  その場合に、今御指摘のような収益性というものに着目した課税標準といいますか、評価というものができないかという点でございますけれども、この点につきましては、例えば土地の賃貸料、賃貸価格というようなものを課税標準にすべきではないかというような話がございます。実はこの点につきましては、かなり前でございますが、戦前から戦後の初めにかけましては土地の賃貸価格というものを課税標準にして固定資産税が課税されたわけでございますけれども、三十六年に固定資産評価制度調査会という調査会をつくりまして、ここで約二年間にわたって土地の評価のあり方について議論をしていただいたわけでございますが、その際に、実際の賃貸料というものが種々の事情によって甚だしい格差がある、それから資本還元率などについても客観的な数値を見出すことができないというようなことがございまして、現在のような売買実例価額によって、これを基礎にいたしまして適正な時価というものを評価していこう、こういう考え方になったわけでございます。やはり今の段階でこの考え方をすべて捨て去るということはできないのではないかという感じがするわけでございます。  ただ、それでは今のままでいいのかということになりますと、やはり問題点もいろいろございますので、例えば、今私ども中でいろいろ議論して、うまくできるのかどうかわかりませんが、適正な評価を行うための補強材料として収益性に着目した客観的な資料というものが何かないか、こういう問題につきまして関係方面といろいろと議論をしているところでございます。これは決して簡単につかまえられる数値ではございませんけれども、何か補強材料としてそういうものができないかなということを、内部で今議論をしているところでございます。
  65. 安田修三

    ○安田委員 それでは税制問題でもう一つ最後に、特別土地保有税につきまして、昨年六月二十八日の総合土地対策要綱では、「低・未利用地に係る特別土地保有税の見直しを検討する。」こういうことが言われておるわけでございますが、検討状況をひとつお聞かせいただきたい。
  66. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 昨年、総合土地対策要綱におきまして遊休地の問題が出たわけでございますが、この遊休地につきまして、いわゆる低・未利用地の特別土地保有税の見直しについては、その前提となる遊休地制度というものをどういう形で制度づけるかという問題がやはり前提になろうかと思います。  この遊休地制度につきまして、都市計画上の取り扱いをどうするかということで、現在関係省庁でこの点のいろいろな議論が進められていると聞いております。内容的には私どももまだ余り承知しておりませんけれども関係省庁におきまして遊休地制度につきましての検討が鋭意進められているということでございますので、こういうものがある程度具体化した段階で、私どもの特別土地保有税というものがどういう対応ができるかということを検討してまいりたいと考えております。
  67. 安田修三

    ○安田委員 それでは自治省の方は結構でございます。  次に、警察庁の方、ようございますか。それでは、今度は国家公安委員長としての坂野大臣、それから警察庁の中門局長にお尋ねいたします。  まず、五月十六日に東京都練馬署中村橋派出所で小林利明警部と山崎達雄警部補が刺殺されて殉職された事件につきまして、九日の警視庁葬を前に、八日、元自衛官であった犯人を逮捕されましたことに対しましては、本当に御苦労さまでございました。本当に皆さんの御労苦に対しまして感謝申し上げたいと存じます。  殉職されたお二方には、謹んで哀悼の意を表したいと存じます。国民といたしましても、現職警察官があのように勤務中に刺殺されたことに対しまして大変怒りの気持ちを持っておりましたので、安堵の気持ちを現在持っておると存じます。  ところが、さらに今回、東京都江東区、野本綾子ちゃんのばらばら死体事件が発生いたしました。誘拐そのものが極めて悪質であるのに、人を疑うことを知らぬこういう五歳の幼女を殺して、ばらばら死体で遺棄したという、通常の人間では考えられない残虐な事件に国民の怒りは大変燃えておると思います。さきに今野真理ちゃん、難波絵梨香ちゃんの誘拐、しかもこれまた奇異な殺され方をして発見されました。現在まだ不明中の吉沢正美ちゃんがおりまして、国民のいら立ちは募るばかりでございます。当局といたしましても総力を挙げて検挙に尽力をしておられることは、大変御苦労に存じております。  この事件を見ましたときに、素人目から見ましても、類似の地域から誘拐されておるということ、手口も何か同じようなやり方、被害者も四歳、四歳、六歳、七歳ですか、そういうような幼女、それから残虐なやり方、何か同一の犯人ではなかろうか、巷間では大変これに対してのうわさやら、あるいは憤りやら、いら立ちやらというものが募っておるわけでございまして、この種の事件につきまして現在警察庁の方でどのように捜査を進めておられるか、ひとつお聞きしたいと思います。
  68. 坂野重信

    坂野国務大臣 詳細につきましてはまた当局の方から御答弁いたしますが、先生の御指摘のとおりでございまして、まことにこのいたいけな少女に対して危害を加え生命を絶つという、本当に陰惨な反社会的な残虐な行為でございまして、しかも国民に対して不安を与えている。起きた地域が大変近接しているということでございまして、同じような事件が発生している。警察としては、私ども担当の大臣としてまことに遺憾でございます。しかし、こういう事件が発生した場合に即刻に犯人を検挙するということが一番大事でございますが、残念ながらまだ検挙するに至っておりません。  それで、体制としては後で御説明いたしますが、警視庁と埼玉県警、これは広域的な捜査の体制の中で一日も早く犯人を検挙するということがやはり皆さんに対する社会不安を除去する、そしてまた、再度こういう事件を起こさないということにつながるわけでございますから、全力を挙げて私自身も督励しているわけでございます。総理からもきのう私のところに昼ごろ電話がありまして、警察を総動員してぜひこの問題を早急に解決すべきだという指示を受けたところでございます。  警察といたしましては、最近こういうような凶悪犯が出ておりますので、何とか事件に強い警察体制をつくり上げようというようなことで、最近大変な努力をしているわけでございます。根本的な体制のつくり直しというようなことも考えて努力しておる真っ最中でございます。  詳細につきましてはまた警察当局から答弁いたしますけれども、全力を挙げてとりあえずこの犯人の検挙ということに当たりたいと思っている次第でございます。
  69. 中門弘

    ○中門政府委員 今回発生いたしました綾子ちゃん事件につきましては、現在警視庁と埼玉県警におきまして特別捜査本部を設置いたしまして、合わせまして約七百人近い体制で懸命な捜査を、連絡をとりながら進めているところでございます。  お尋ねの、昨年埼玉県内で発生しております幼女誘拐殺人事件との関連についてでございますけれども、御指摘のように被害の対象者が同じぐらいの年ごろの子供さんであるということ、それから主たる犯行地域と申しますか、関連地域が埼玉県の西部に集中しておる、さらに、連れ去られたと思われます場所が小学校でございますとかあるいは保育園でございますとか、そういう場所のすぐ近くであるというふうなこと、また犯行手段が極めて残酷であるというふうなことからいたしまして、同一犯人の犯行ではないかという見方があるわけでございますけれども、一方におきまして、これらの犯人が同一であるということを断定するだけの具体的な資料は現在まだ入手しておらないところでございます。したがいまして、相互の事件につきましてその関連性も考慮しながら捜査を進めているというのが現状でございます。  いずれにいたしましても、どの事件も非常に凶悪な重要事件でございますので、一日も早く犯人を検挙するということが、先ほど大臣からのお話にもございましたように、この種事件の続発を防ぐことにもなりますし、また一般市民の不安感庁取り除くことにもなるわけでございますので、警視庁及び埼玉県警におきまして近携を密にしながら、必ず犯人を検挙するという決意のもとに全力を挙げて捜査に取り組まなければならないというふうに考えているところでございます。
  70. 安田修三

    ○安田委員 事件が広範囲にわたっておりますので、広域捜査のためいろいろな困難も伴うということもあるかと思います。しかし、グリコ・森永事件などで広域捜査上の隘路というのは十分熟知され、研究されているはずでありますので、捜査体制には一層の強化をされまして、そして速やかに解決がされますように皆さん方に要望し申し上げておくとともに、第一線で一生懸命やっておられる皆さんには大変感謝申し上げたいと思います。  以上で終わります。
  71. 小澤潔

    小澤委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  72. 小澤潔

    小澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。柴田弘君。
  73. 柴田弘

    柴田(弘)委員 せっかくのお時間をいただきまして感謝をいたしております。  私は地方交付税の問題に関連をいたしまして、まず第一点は外人教師の招致問題、国際交流促進という観点から大臣にお尋ねをしていきたいと思うわけであります。  この問題につきましては、私は機会あるごとに本委員会において質問をいたしました。昭和六十年の十一月八日、当時の古屋自治大臣を初めといたしまして、六十一年の四月十七日には小沢自治大臣、六十二年の八月二十一日には葉梨自治大臣、六十三年の二月十七日には森田政務次官、四回御質問をいたしました。きようで五回目でございます。それで、その結果、おかげさまで昭和六十二年度に初めて、交付税の基準財政需要額の算定基礎となる費目の中に国際交流推進費が措置をされました。非常に喜んでいる次第でございます。  そして、六十二年度は御案内のごとく一人当がり四百八十万、標準団体、一つの県で八人分の所要額が三千八百三十二万三千円といたしまして、総額三十二億二千五百万円が計上されまして、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージ一ランドから八百四十八名の外国人教師が来日をいたしました。昭和六十三年度は、昨年御質問をいたしましたときに、一人当たり五百二十万、標準県一県当たり十三人分として六千七百六十一万、千五百名を目標にして倍増した、カナダ、アイルランドを含めて六カ国からお見えになった、ころいうことでございますが、実態はどうであったか、この点をひとつ確認をしていきたいと思います。  二点目の質問は、しからばその六十三年度実態を踏まえて、平成元年度はどうなっているのか。何名の予定であるか。聞くところによりますと、フランス人、西ドイツ人もお見えになる、こういうことでありますが、目標はたしか三千名、こういうふうに聞いておりますが、どのような予算措置がなされているのか、お聞かせをいただ弐たいと思います。
  74. 小林実

    小林(実)政府委員 柴田先生には国際交流関係につきまして御指導いただいておりまして、おかげをもちまして地方団体におきます国際交流関係の活動も年々活発になってまいりました。  御質問のJET事業についてでございますが、六十三年度におきましては、外国から招致いたしました青年の数は千四百四十三人でございまして、交付税措置にほぼ見合う数値になっておるわけでございます。また、対象の国も、六十三年度にはカナダ、アイルランドを加えて六カ国ということになっておるわけでございます。  平成元年度でございますが、都道府県、指定都市から要望も聞きまして、数といたしましては千九百八十九名、対象国といたしましてはフランス、西ドイツを加えまして八カ国に拡大をしているところでございます。  当初の目標といたしまして三千名を目標というふうにいたしておるわけでございます。具体的には地方団体の要望をお聞きいたしまして、また、知事、政令指定都市の市長によりまして配置、活用計画をとりまとめていただきまして、募集、招致を行うということになっておるわけでございます。事業開始以来年々数がふえておるわけでございます。
  75. 柴田弘

    柴田(弘)委員 これは大臣から御答弁いただ勇たいのですが、六十三年度千五百名の目標であったのが、お聞きしますと千四百四十三名になつでいる、この辺はどうかということです。  それからもう一つは、今年度、今御答弁がありましたように千九百八十九名でありますが、この普通交付税一人当たりがたしか五百二十万とお聞きをいたしました、五百四十万ですか。この辺、一人当たり幾らになっておるか。そして、予算措置は百五億四千万、こういうふうに聞いておりますが、この辺の数字に間違いがないかどうか、これは大臣から御答弁をいただきたいと思います。  三千名が目標ということであるわけでありますが、こうした外人教師の誘致問題につきましては、今後とも国際交流推進の立場から私は積極的に対応していくべきである。中学校、高校、において生きた外国語を学べるということで非常に学生からも評価がいい、こんなふうに聞いておりますが、その今の二つの数字的な問題と、この推進に取り組まれる大臣の御決意、これをお伺いをしておきたい、こういうふうに思います。
  76. 坂野重信

    坂野国務大臣 数字的な問題につきましては事務当局からお答えいたしたいと思いますが、先生のおっしゃるように、これは大変大事な事業でございまして、国際化時代を迎えて、地球の時間、距離あるいは情報通信という立場からいいますと非常に世界も狭くなったわけでございます。地方時代を迎えてますます地域国際交流国際化ということは大事でございますから、その一環としてこのJET計画というものの重要性はますます増してきていると私は思います。私も、かつて外国生活をした経験がございます。そういう意味で、非常に私ども生活の中で国際化という問題は大事なウエートを占めているということはよく承知をいたしておりますので、先生の御趣旨に沿って今後ともこれらの推進についてまた一段と努力推進をしてまいりたいと思います。  数字の方は済みませんけれども事務当局の方からお答えざぜていただきます。
  77. 津田正

    津田政府委員 交付税の算定におきまして、外国青年招致事業の算入でございますが、まず人員につきましては、六十三年度標準団体の算入人員は十三人でございましたが、これを十六人にするということでございます。それから、単価につきましては、昭和六十三年度は五百二十万でございましたが、これを五百三十万に改定しております。総体の需要額でございますが、六十三年度は五十七億二千百万円、平成元年度は七十一億六千九百万円程度になるのではないか、このように考えております。
  78. 柴田弘

    柴田(弘)委員 わかりました。  では、私どもの党といたしまして、四月に「二十一世紀トータルプラン 生活創造の世紀へ 新しい福祉文化の創造」ということでトータルプランを発行いたしました。たしか大臣にもお読みをいただいておると思います。これはゆとりある生活、そして触れ合いのある社会、各人が選べる選択できる社会、この三つの条件を満たした社会を私ども人間福祉社会と名づけ、その福祉社会を目指して二十一世紀の国づくりをしていこう、こういう観点で出したものであります。これについて私、大蔵大臣にも質問をした経緯もあるわけでありますが、せっかくの機会でございますので、ひとつ大臣の御所見があればお聞かせをいただきたい、このように思います。
  79. 坂野重信

    坂野国務大臣 私もそれをざっと読ませていただきました。大変先見的な見解でございまして、大変教えられるところがたくさんございました。そういう意図を体してできるだけ私ども行政の面で生かせるものは生かすようにやってまいりたいと思います。大変卓見を拝聴いたしまして、敬服をしているような次第でございます。
  80. 柴田弘

    柴田(弘)委員 そこで、国際交流の問題につきましては、二百六十ページに前書きを書きまして、具体的に次の五点を提言いたしております。もう既に対応されたものもあろうかと思いますが、簡単にお答えをいただきたい。  まず一つは「地方自治体による経済・文化交流の促進」、第二点目は「民間の国際交流活動への積極的支援」、第三点目は「「国際交流センター」「国際交流プラザ」の設置」、第四点は「「日本文化センター」の開設」、第五点が「外国人が安心して生活できるまちづくり」であります。一つ一つお聞きすべきが本来でありますが、時間もございません、概括的にこの五点につきまして、本来ならば大臣から御答弁をいただくとありがたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
  81. 小林実

    小林(実)政府委員 御提案の内容につきましては、国のレベルで行っていただくべきものもあると思いますが、地方レベルで行うべきものもあると思います。私どもといたしましては、地方団体におきまして国際交流につきまして総合的、計画的に進めるために地域国際交流推進大綱というのをつくってもらいたいということをお願いしております。  そこで、外国人が住みやすいような町づくりのために、標識を示すとか、あるいはパンフレットを出すというような事業とか、それから、まさしく各種の交流施策は実施しているわけでございまして、それらにつきましても極力自治省として協力できるものは協力してまいりたいというふうに思っております。また、国際交流施設整備につきまして、これはリーディングプロジェクトという制度がございまして、国際交流を本格的に進めたい、そのために施設づくりをしたいという団体につきましてはそういう指定をいたしまして、地方債交付税つきの措置をするというようなこともいたしておるわけであります。  一方、地域レベル国際交流におきましても、地方団体が行うべきもの、それから民間、住民が行うべきものがあります。しかし、それだけでは不十分でございますので、地域国際化協会というか、民間が中心になりました中核的な組織が必要でございまして、これも各県、政令市につくっていただくようにお願いをいたしておりまして、それにつきましての出掲、出資につきまして起債措置をするというようなことを考えておるわけでございます。  これらが今お述べになりました五つの施策に関連して広く広がっていくと思います。既に行っているものもあると思うわけでございます。
  82. 柴田弘

    柴田(弘)委員 ひとつ積極的な推進を御要望してまいりたいと思います。次は、地方分権の問題ですね。まず地方財政の問題から御質問したいわけでありますが、消費税関連六法案ですね。これは逆進性、行革の不徹底、税率アップのほかに、地方財政にとっても極めて重要な問題であります。  地方税の減収、これはお聞きするところによりますと八千八百億円あるわけでございまして、この補てんは十分でありません。確かに二兆四千億に及ぶ自然増収はあるかもしれませんが、制度的な欠陥というものは八千八百億というふうになっておりますので、この補てんについてはどう考えているかということ。  二つ目の問題は、この補てんの仕方について、政府は消費譲与税の創設、そして消費税地方交付税対象税目に加える、これによって補てんをすると言いますが、その結果考えられるのは、国に税源を集中させ、その中から財源地方に交付するというものでありまして、これでは地方の課税自主権が制約をされ、財政の中央集権化が一層強化されることになります。今地方は、東京一極集中を是正し、均衡ある国土の構築あるいは経済の偏在の是正のための地域経済活性化地域振興施策、急速に進んでいる高齢化対策のための施策など、地方施策は今後ますます増大し、しかもその施策地域によって異なっており、財政面におきまして自主財源充実が要求をされている。これに逆行している、こういうふうに私は考えております。それから、先般審議をいたしまして成立をいたしました補助金の一括法案、これも制度化し永久化をしていこう、こういうことであるわけでありまして、地方財政はこれによって減収となっている。二重の圧迫を受けることになります。  でありますから、私どもはこのトータルプランの中にはっきり申しておりますが、税制改革もきちっと載っておるわけでありますけれども地方の多様な行政需要を地域の実情に沿って住民、自治体で行うという地方自治の本旨を実現されるように、一つは行政権限の大幅な地方移譲、二つ目には自主財源充実を主体とした地方財源充実、つまり税の地方移譲であるとか、事業税の外形課税あるいは課税自主権の確立、これを中心とした地方財政充実を図っていくべきである、このように考えておるわけであります。  以上、るる述べましたが、これに対する大臣の御答弁を求めるものであります。
  83. 坂野重信

    坂野国務大臣 後でまた事務当局から補足させていただきますが、先生のおっしゃることはまことに私どもは同感する面が多いわけでございます。税制改正に当たりましては自治省当局が大蔵当局とも随分いろいろ折衝したようでございますが、基本的な地方中央との財政分担をどうするか。税制の抜本改革の問題につきましては、これはいろいろな問題がございます。行政権限の問題も絡んでまいります。それは、御案内のとおり地方制度調査会でも随分検討していただいて、そしてその成果をまた行革審の方に今度は委託するような格好で行革審が盛んに勉強していただいているわけでございます。いずれこの成果は十二月、年内にも出てくると思います。  そういう段階で、根本的な検討というものはその段階に進めなければならぬと思っているわけでございますが、とりあえず今までの段階では、税制調査会の中でいろいろな議論をされた中で消費税というものが採択されたわけでございます。その中でできるだけ地方の財政に支障がないような形で消費譲与税であるとかあるいは消費税の一定率を地方交付税に回すというような措置がとら一れたわけでございます。  それと相前後いたしまして、御案内のとおりに補助率問題が予算編成の段階でいろいろ議論が行われまして、私自身が大蔵大臣と再三にわたって折衝いたしました。そういう段階で何とか総合的な立場で、地方財政に迷惑がかからないようなことで、根本的な公共事業等の問題は後送りにしみわけでございますけれども、恒久化すべきものけ恒久化し、そのかわり交付税で見るべきものは目て、地方財政に影響がないようにしようというようなことで決着をつけたような次第でございます。  それから、八千八百億円の問題は、これは総合的に見て、国税も地方税もともに両方の面から痛み分けしようということになったわけでございますが、また事務当局から説明いたしますけれども、これについてはむしろ地方の方にウエートを置いたというようなことで配慮されていると私どもは見ておるわけでございます。しかし、先生の御指摘の基本的な態度、地方分権、地方税充実というようなことについては、私どもこれからもさらにまた努力してまいりたいと思っております。
  84. 柴田弘

    柴田(弘)委員 ここでは答弁をいただきません。同じ答弁が返ってくるから申しませんが、きちっと主張だけはしておきます。  このトータルプランにも言っておりますように、私どもの税制改革は、何も消費税を導入したくても十分な、高齢化社会にたえ得る税制改革々提言をいたしております。不公平税制の是正を初めとして、総合課税の再構築あるいはまた資産課税の適正化、こういったものを財源にして、十分な減税と二十一世紀の高齢化社会にたえ得る税制改革、これを述べているわけでございます。だから、消費税は撤回すべきであると私は主張いたしているわけであります。  そこで、今私が申しました法人事業税のいわゆる課税方式、これを外形課税方式にしたらどうだという議論もあるわけであります。きょうたまたまある経済新聞の一面トップで、自治省はその方針として法人事業税の課税方式を抜本改革をする、資本金等々を基準にして赤字法人にも網をかけていく、こういう新聞報道がなされたわけでありますが、この問題にどういうふうに今後対応し  ていかれるのか。聞くところによりますと、この報道では、今後における事業税の課税のあり方等に関する研究会、これを設置をして検討され、そしてその検討結果を踏まえて税制調査会に諮問される、こういうふうにも出ているわけでありますが、この辺のお考えはどうか。  私は、ここで気をつけなければならない検討の論点として三つあると思う。、一つは言うまでもなくいわゆる国税の赤字法人との整合性をどうするかという問題があります。二つ目には、法人住民税の均等割、これは赤字法人といえども課税されております。この問題との関連。そして三つ目には、消費税は赤字法人にもかかっている、こういった問題がありますね。こういった問題をクリアをしていくべきだと思いますよ。数字的な問題でありませんので、大臣から基本的な考え方だけひとつお示しいただきたいと思います。
  85. 坂野重信

    坂野国務大臣 実は新聞を見て私どももびっくりしておるわけでございまして、何かもう決まったようなことを言っておりますけれども、「資本金など基準に」「赤字法人に網」というようなことで、これは全く私どもはまだ方針を決めておりません。先生のおっしゃるようないろんな問題、間接税等の問題がございますので、研究会をつくってこれはひとつじっくり勉強した上で、必要に応じてまた税制調査会等にかけて、そしてこれを審議方針を決めてもらおうという方針でおるわけでございます。
  86. 柴田弘

    柴田(弘)委員 最後に権限移譲の問題につきまして、今大臣の御答弁の中にもありました地方制度調査会の答申です。昭和六十三年五月十八日の「地方公共団体への国の権限移譲等についての答申」、この中でいろいろな問題が提言をされております。昨年でしたか、私はこの提言を受けま して三点にわたって質問主意書を内閣提出しました。答弁書は、中身は何にもない。みんな、検討します、検討します。そして最後は、慎重に検討します。検討して、やりません、こういうことなんですよね、それは。これは総理の諮問機関であります。本来ならばきょうは総理ないしは官房長官というふうに出席をお願いしたら、やはり前例もないことでもありますしいろいろとお忙しいということで、自治大臣が非常に前向きに率直に親切な答弁をしますから、こういうお話がありましたので了解をしたわけであります。  この中に、要するに非常にいいことが書いてあるわけなんですよね。例えば、「市町村への移譲を積極的に行うべきである。」そして、「市町村への権限移譲については、規模の大きな市に対し一般の市町村に対する以上の移譲を行うことについても検討すべきである。」それからさらに、「例えば、地域の実情に応じ必要と認められる場合には、地方公共団体が国に対し権限の移譲を求めることができることとする制度等についても検討する」、こういうようにあります。それから、時間がありませんので余り申しませんが、十六項目にわたって関係各省についての諸問題について、これを地方へ権限移譲していきなさい、こういうようにありますが、いまだに一つもと言っては言い過ぎかもしれませんが、権限移譲されておりません。つまり、せっかくの答申が無になっておる。  ところで、昨年の十二月十九日、当時の竹下総理は新行革審に対して、新たに地方と国とのあり方についての諮問をなされているわけでありますね。国・地方の機能分担等のあり方、あるいは地方財政運用のあり方、補助金等のあり方、都市広域行政体制のあり方、地方行政改革の推進地方活性化に係る行政制度運用のあり方。政府は、地方制度調査会にしましてもあるいは新行革審、臨調にしましても、口を開けば、尊重します、こういう言葉が出るわけでありますが、一体今日まで、地方分権について、地方への権限移譲について本当に実施したというものが——口に出して言えば実施をすべきであると言うのですが、具体的に何一つこれという成果はなかったということは、私は非常に残念であります。  この新行革審の答申、今年末には受けられるということだと思いますが、これをどう取り入れて反映していくのか。あるいはまた、今言いました昨年の五月の地方制度調査会の答申については、ただ尊重するとか検討するとかということでなくて、何らか実施される強い意思が自治大臣にあるのか。そういったリーダーシップを自治省がとっていくべきであると私は考えているわけでありますが、その辺の大臣の決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。いかがでしょう。
  87. 坂野重信

    坂野国務大臣 激励を賜りまして責任を深く感ずるわけでございますが、行政改革の問題は本当に内閣全体の一つの姿勢の問題だと思うわけでございます。地方制度調査会でもいろいろな細かい答申を受けているわけでございますし、それをもとにして、今度は行革審の方でそっくりそれを参考にしながら今検討を進めていると思います。各省のヒアリングもやりましたし、これからいよいよ小委員会で具体的に、中央地方との関係をどうするか、この問題を真剣に検討しているわけでございますから、恐らく年末ごろにははっきりした成果が出てくると思います。それを受けて、これは内閣全体の姿勢として、自治大臣としてはもちろんこれは当面の責任でございますから、全力を挙げてそれは閣内においても主張すべきものを主張し、できるだけ実現に向けて努力したいと思いますが、これは本当に大変大事な問題でございますし、長年の懸案であります。しかし、御案内のように、各省がそれを受けて本当にすぐに実行するかというと、なかなかそれは時間もかかると思いますし、また抵抗もあると思いますけれども、しかし、これはやらなければならない問題だと思いますし、こういう新しい時代を迎えて、地方時代地方時代といっておっても、口だけで言っておったのでは実現しないわけでございます。多極分散という立場からいっても、ふるさと創生という立場からいっても、やはりこの地方分権というものが前進しなければ、こちらの方もまた大きな行政政策というものは実現しないわけでございますから、精いっぱい私は私なりに頑張ってまいりたいと思う次第でございます。
  88. 柴田弘

    柴田(弘)委員 質問を終わると言いましたが、まだ一分ありますので、今度は大事な質問を一つさせていただきます。  新行革審の答申が出る、恐らく補助金のあり方、国と地方の費用分担のあり方、役割分担のあり方が出てくると思います。そうしますと、今国会において、例えば生活保護費が十分の七から十分の七・五になりました。初めは五十九年当時は生活保護費は十分の八でしたね。それで何で七と八の間をとって七・五にしたか。この辺、私も一括法案の審議の中で、これは何の意味もない、足して二で割った数字だろう、こういうことを言いましたが、非常にあいまいもことしているわけなんです。根拠がないわけなんです。なぜ十分の七・五で生活保護費の補助はいいのか、憲法二十五条の精神からいって、あるいは生活保護法第一条の精神からいって、これは国がする事業ではないか、こういったことを申したこともあるわけでありますが、大臣、どうですか。補助金のあり方も新行革審が、一括法案できちっと継続されたものもありますし、永続化された部分もありますし、今後見直していくものもありますが、やはりそういった答申を受けて直すべきものは直していくお考えであるのか。私はそのように考えておりますが、どうでしょうか。その点だけを簡潔に御答弁を伺いたいと思います。
  89. 坂野重信

    坂野国務大臣 どういう答申が出てくるかわかりませんが、私は自分自身の考え方としては、やはり事業によって、政策の内容によって、国が責任を持ってやるべき問題と、それから地方に任すべき問題と二種類に分けて、中途半端な考え方じゃなくて、ナショナルプロジェクトとして国が責任を持つものはどこまでもそれは国が全額ないしそれに近い形で出すべきだ。しかし、地方の責任においてやらすべきものは思い切って地方の自主的な財源の範囲内でやるというようなことで、中途半端なことではまずいと思います。そういう考え方に立って、行革審が出てきたその時点において、ケースごとにそういう仕分けの考え方によって仕分けをしながら対応すべきだと私は思っております。
  90. 柴田弘

    柴田(弘)委員 では、時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  91. 小澤潔

    小澤委員長 小谷輝二君。
  92. 小谷輝二

    ○小谷委員 第百十四通常国会はまさにリクルート疑惑事件等々で終始したわけでございます。今日に至って検察の調べも終わり、また三月以来ずっと拒否を続けてこられた中曽根元総理の証人喚問も一応終わり、単独採決の責任をとって原議長も辞任された。また、一切の責任をとって竹下総理も辞任されたわけでございまして、宇野内閣が発足して、坂野大臣も再任をされた。このような一連の政治情勢の中で、当委員会におきましても十分審議を尽くすことができなかった。私は、国会がこれでいいのかなと、国会議員の一人として非常に疑問を持った者の一人でもございます。特にこの百十四国会当初から、また再任されて今日まで自治大臣としてお務めになった坂野大臣として、この際、百十四国会は何だったのか、こんな国会でいいのか、いろいろ疑問があり、政治不信を国民に招いたわけでありますが、まず所感をお届きしておきたい、このように思います。
  93. 坂野重信

    坂野国務大臣 竹下内閣のときに私も自治大臣を拝命して大変お世話になっておったわけでございます。振り返ってみますと、国会の審議というものがなかなか思うようにいかなかった。それはそれなりにまた野党の皆さんの御言い分もあるわけでございます。しかし、今までないような国会の審議時間が少なかったということは、まことに私は残念でございます。  与党は与党なりに、政府は政府なりに努力したことは事実だと思いますけれども、御案内のようなリクルート事件が起きてまいりまして、自由民主党あるいは政府にとっては大変批判を受けて、政治不信というものが急激に世の中に広まってきた。そういう中での与党と野党とのいろいろな折衝の問題、そういう中で何とか自由民主党、政府としては、せっかく第一次の竹下内閣で、いろいろ批判はありますけれども税制の抜本改革をやったものですから、それをできるだけ国会の場において皆さんに御了解いただこう、そして定着を図ろうという努力をしてきたのが精いっぱいのことだったと私は思います。  そういう中で、次から次にリクルートの疑惑が表に出てまいりまして、大変不信を買って、竹下内閣も総辞職しなければならぬというような事態に追い込まれたことはまことに残念でございます。私どももそういう中で閣僚の一員として皆さんと一緒に努力をしたわけでございますけれども、ようやく竹下内閣の終わりごろになって、政治改革、けじめというようなことをできるだけ内閣の在任中にやろうということで精いっぱいの努力をしたことは、皆さんも御了解いただけるかと思うわけでございますが、今にして振り返ってみますと、竹下内閣が、陛下が崩御になられました、これに伴う国際的な大喪の礼というものをなし遂げた。そして、曲がりなりにも税制の、特に消費税の定着に苦労しながら努めてきた。そういうことで終わった。新しい政策もいろいろ内閣として考えておったわけでございますけれども、余りそういうものも進捗しないうちに終わった。  しかし、ふるさと創生については、御案内のとおりに一応の道筋はつけたわけでございますので、これも竹下内閣の内政上の大きな政策でございまして、それを引き続いてまた皆さん方の御協力を得てやらせていただきたいと思う次第でございます。
  94. 小谷輝二

    ○小谷委員 最近、非常に凶悪な事案が起こっております。警察庁の方にお尋ねをしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。  去る五月十六日未明に、東京の警視庁練馬署管内の中村橋派出所で勤務していた小林利明当時巡査部長三十五歳、山崎達雄巡査三十歳が職務質問をした若い男に大型のナイフで殺害されるというまことに痛ましい事件がございました。新聞報道によりますと、小林巡査部長は奥さんと、十歳、八歳、六歳、このような幼い子供さんのお父さんであった。また山崎巡査には御両親が健在でその御両親の支えになっていた。このように報道されておるわけでございますが、残された家族の方々に心から哀悼の意を表するものであります。  そこで、この御遺族の方々が今後生活に困らないように万全の手を尽くしていかなければならないと思うわけでありますが、まず最初にこの事件のあらましの状況と、幸い犯人逮捕ができたようでございますが、捜査の経過について御説明をいただきたいと思います。
  95. 中門弘

    ○中門政府委員 お尋ねの事件のあらましてございますが、この事件は、本年五月十六日の午前三時ちょっと前ごろでございますが、東京都練馬区の練馬警察署中村橋派出所におきまして、勤務中の当時巡査部長でございました小林警部三十五歳、それから巡査でございました山崎警部補三十歳の二名の警察官が、けん銃奪取を目的としました犯人と格闘になりまして、犯人の所持しておりました刃物でそれぞれ胸部等数カ所を刺され死亡したという事件でございます。  警視庁におきましては、一一〇番通報によりましてこの事件を認知しまして、すぐ広域緊急配備等の所要の初動措置をとりますとともに、即日練馬警察署に刑事部長を長といたします百五十名から成ります特別捜査本部を設置いたしまして、懸命な捜査をしてきたところでございます。  捜査の過程におきまして、現場で目撃されました犯人の体格あるいは特徴、また現場から六キロほど離れました公園の池に捨てられておりました犯人の着衣等を押収いたしまして、それらの状況から、犯人はこの現場の周辺に居住している者ではないかというふうな見方を強めまして、先ほど申し上げましたような犯人の特徴なり着衣等を手がかりに、現場周辺の徹底した聞き込み捜査を実施したわけでございます。  その結果、付近の住民からこれに類似する人物につきましての情報を入手することができまして、この情報の掘り下げを行って、その結果、事件発生現場の近くに居住しておりました二十歳のアルバイト店員の男を浮上させたわけでございます。そしてこの男の周辺捜査を徹底をいたしました結果、六月八日、これはちょうど二人の殉職警察官の公葬の前の日でございますが、この犯人を逮捕したという状況でございます。
  96. 小谷輝二

    ○小谷委員 過日自治大臣から「職員一人一人が誇りと使命感を持って職務に精励できるよう、第一線職員の処遇の改善を進めるとともに、適切な市民応接の推進、職員の実務能力の向上、規律の保持などに努め、国民の期待と信頼にこたえる警察活動の推進に心がけてまいる所存であります。」このように所信表明がございました。要を得た所信表明であろうと私も聞かせていただきました。将来を期待されるこのような優秀な警察官が今回の事件で二名も同時に殉職されたわけでございますが、この事件に対する国家公安委員長の所感をお聞かせください。
  97. 坂野重信

    坂野国務大臣 小谷先生から警察官に対する激励といいますか、そういう言葉を賜って私も感激しているわけでございます。恐らく遺族の方も先生の質問を聞いて感激するかと思います。  私といたしましては、せっかく皆さんが日夜を分かたず職務に精励しているわけでございまして、そういう中で不幸にしてこういう事件が起きて犠牲になったということでございますので、もうともかくできるだけ早く犯人を検挙すべきだ、そして遺族に対してまた御本人に対しても最大限の手当て、対応をすべきだということを警察当局に指示いたしまして、その結果いろいろ、特殊公務災害にするとか、あるいは殉職した二人に対して総理大臣の特別ほう賞金であるとか賞じゅつ金とか知事の顕彰見舞金とか殉職者慰霊金あるいは二階級特進とか、いろいろな手を打っていただいたわけでございます。また遺族の皆さんに対してはできるだけ手厚い、できるだけのことはやってあげようというようなことでやったわけでございます。こういうことによって警察官の士気が阻喪することがあっては困りますので、そういうことを心配しているわけでございます。犯人も幸いに見つかりましたし、そういうことでひとつ今後警察が一体となってさらに、萎縮しないように、士気を鼓舞するように持っていきたいと思っておる次第です。
  98. 小谷輝二

    ○小谷委員 今回のような痛ましい悲しい事件が起こらないことを願うわけでございますけれどもへ過去十年間で外勤の警察官が職務質問とかパトロール中などで公務上で凶器により刺されるとか撃たれるとかいうことで殉職した事件は一体どのくらいありますか。またその殉職された方は何人ぐらいおられますか。
  99. 椿原正博

    ○椿原政府委員 過去十年間におきましては、凶器による外勤警察官の殉職事案は八件発生いたしまして十人が殉職しております。その内訳は、銃によるもの、これは猟銃またはけん銃でございますが、二件三人、刃物によるもの六件七人となっております。  以上でございます。
  100. 小谷輝二

    ○小谷委員 外勤の警察官は、市民の生命と財産を守るために最前線でみずからの命を張って、危険を顧みることなく職務に精励しておられるわけであります。それだけに安全性ということについては幾重にも確保することが大事である、このように思っております。したがって、最近いろいろ開発されていき、いろいろな機材が整っていく中で、例えば制服の下につける軽くて動きやすい、職務執行上の妨げにならないような防弾チョッキだとか、また刃物から身を守る、刺されても身を守れるような防具、また直ちに連絡のつけられるような携帯無線機の開発とか、こういうふうな警察官が外勤で緊急事態に対応できるような保身並びに連絡方法等の、体を守る、生命を守ると同時に、事件の解決につながるような努力ですね、そういう防具等をどのように開発し、どのように考えておるのか、どうその面について努力をしておるのか、この点ちょっとお聞かせください。
  101. 椿原正博

    ○椿原政府委員 御指摘のように、外勤警察官はその職務の性質上危険に直面することが最も多いわけでございます。その観点から、受傷事故防止を図るために、装備資機材の面では各都道府県警察におきましてナイフ等の刃物に対する防護衣等の整備に努めているところでございます。しかし、現在持っておりますこの種機材につきましては、刃物に耐えられるというためには必然的に重くなるわけでございまして、そのため常時着用が困難な面があるわけでございます。したがいまして、これらの改善について研究を進めておりますが、なお一層その軽量化あるいは着やすさというものについて進めてまいりたいと思います。また、緊急連絡の可能な携帯無線機につきましても、早々に検討いたしまして第一線に配備できるようにいたしたいと考えております。
  102. 小谷輝二

    ○小谷委員 最近、特にこれは人間のしわざだと思えぬような幼児の殺害事件、殺害放棄事件とか、こういう問題の事件が起こっておるわけでございます。国民はひとしく、警察頑張ってほしい、一日も早く犯人を逮捕してほしい、これがすべての願いであろう、こう思います。同時に、それだけ警察官に対する期待が大きいだけに、また警察としても期待にこたえるような努力が必要であろうと思います。あわせて職員一人一人のそれぞれの身分等についての保障、これもあわせて考えていかなきゃならぬと思うわけであります。  そこで、地方公務員災害補償法施行令第二条の三第二項、ここに特殊公務に該当する職務、こういう規定がございますが、警察官の場合に、「犯罪の捜査」、二つ目には「犯人又は被疑者の逮捕、看守又は護送」、三番目に「勾引状、勾留状又は血監状の執行」、四番目に「犯罪の制止」、五番目に「天災等の発生時における人命の救助その他の雄害の防禦」、これが特殊公務災害ということに宗められておるようでございますが、警察官が職務質問の途中で災害を受けた場合、この特殊公務解害、これに該当するのかどうか。これは自治省、いかがですか。
  103. 芦尾長司

    芦尾政府委員 ただいま委員おっしゃいましたように、特殊公務災害に認定できる場合は、警察官等がその生命または身体に対する高度の危険が予測される状況のもとにおいて犯罪の捜査、犯人または被疑者の逮捕等の職務に従事して、そのための公務上の災害を受けた場合であるというふうにされておるわけでございます。  そこで、職務質問の場合がすべてそういうことに当たるかどうかということにつきましては、これはやはり個々の具体的な事案ごとに高度の危険が予測される状況下にあったか否かということを判断して、特殊公務災害の認定というものがなされるべきであるというふうに考えております。
  104. 小谷輝二

    ○小谷委員 警察の方はどう判断していますか。
  105. 椿原正博

    ○椿原政府委員 ただいま自治省の公務員部長が答弁申し上げたとおりでございまして、ちょっと敷衍いたしまして、法律条文をそのまま挙げさせていただきますが、職務質問というのは、警察官職務執行法第二条第一項に基づいて行うものであります。条文をそのまま引用いたしますと、「異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者」これが対象でございますが、そういう者に対して職務質問を行うことになっております。  一般に犯罪捜査につながる手段としても認められていることは当然でございますが、しかしながら職務質問すべてがこの対象になるというものではなく、公務員部長から御説明ありました、個々具体的な事案ごとに高度の危険性が予測される状況にあったか否かということによって特殊公務災害の認定がなされるものと理解しております。したがいまして、職務質問に対しまして、生命または身体に対する高度の危険が予測される状況下にもかかわらずさらに職務執行をする、職務質問を続けるとか、犯人を逮捕するとか、制圧とかいろいろございますが、その結果として被災した場合には特殊公務災害の適用があるものと理解しております。  以上でございます。
  106. 小谷輝二

    ○小谷委員 では、一般的に職務質問をしているときに急遅厄害を受けたという場合には、この特殊災害にはならないということですか。どうです、自治省
  107. 芦尾長司

    芦尾政府委員 そういうことでございますから、ただいま御答弁申し上げましたように、その職務質問の状況の中で生命または身体に対する高度の危険が予測される状況のもとにあるかどうかということが一つの大きなポイントになろうかと思うわけでございます。その中でどういうふうに判断していくか。これは最後には地方公務員災害補償基金が認定することにはなるわけでございますが、その基金の認定に係るわけでございますけれども、ポイントはそこになるだろうと思います。
  108. 小谷輝二

    ○小谷委員 今説明ありましたように、地方公務員災害補償法施行令第二条の三の規定、これに「犯罪の制止」とありますね。早期発見、これは職務質問そのものが犯罪の捜査につながっていくのではないかというふうにも思えるわけでございますし、また先ほど説明ありました警察官職務執行法第二条ですか、これに確かに、疑うに足りる相当な理由がある者、犯罪を犯しもしくは犯そうとする疑いある者ということですかな。「疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について知っていると認められる者」こういう者に対して職務質問ができるということでございますが、これは犯罪捜査の一環ではないかという考え方を持つのですが、この点はいかがですか。
  109. 椿原正博

    ○椿原政府委員 職務質問につきましては、先ほど御説明申し上げましたが、そういう対象について行うことができるとされておりますので、犯罪捜査につながる手段としても認められているというふうに理解しております。
  110. 小谷輝二

    ○小谷委員 地域住民生活を守っていく、その安全のために外勤警察官はそれぞれ警ら活動を行い、犯罪防止に携わっておられるわけでございますけれども、その外勤警察官が警ら巡回中に職務質問を行ってそうして刑法犯を検挙した、こういう検挙率はどのくらいになっていますか。
  111. 中門弘

    ○中門政府委員 外勤警察官によります刑法犯の検挙でございますが、昭和六十二年と三年の数字を持ってきておりますけれども昭和六十二年は三十二万四千七百十五件、六十三年が三十一万三千九十二件という数字になっておるところでございます。この数字は警察官全体の検挙の中でどの程度の比率を占めるかということでございますが、六十二年は三二・四%、六十三年は三二・二%という数字になっております。  なお、外勤警察官の検挙件数の中で、職務質問を端緒とするものがどのぐらいあるかということでございますが、これにつきましては、昭和六十二年は十八万八十件、昭和六十三年は十五万七千七百十件という数字でございますから、大体検挙の中の半数ぐらいが職務質問を端緒として検挙されたということになろうかと思うわけでございます。
  112. 小谷輝二

    ○小谷委員 刑法犯の検挙に、職務質問を行うことによって半分以上は検挙することができた。大事な業務であり、検挙率にしても、職務質問が日常活動で地域住民生活を守っていく面については犯罪捜査の面についてはかなり大きなウエートを示しておるということのようでございます。職務質問の内容によって、警察官のより身体の保全とかまた補償とかいうものは、かなりその状況によって判断をするというふうなことのようでございますけれども、ここらについては、このような状況から判断をして考えるべきではないかと思います。特に、我が国の治安というのは、外国から見ましても非常に治安がよい、このように評価されておるわけですし、特にそれは外勤警察官の命をかけての活動に支えられておるわけでございます。  そこで、職務質問を行って、不幸にしてその職務質問によって殉職をしたというふうなことで、残された家族のために特殊公務災害として特例を今まで受けられなかった人はどのくらいありますか。わかりますか。
  113. 芦尾長司

    芦尾政府委員 ちょっと今数字は持っておりません。
  114. 小谷輝二

    ○小谷委員 かなりあると一応聞いておるわけでございますが、ここらは考えていかなければならないのではないかなというふうに深く思うわけであります。  そこで、国家公安委員長である自治大臣にお願いしたいのでございますが、全国の外勤の警察官、この陰の力にも報いるために、万一不幸な事態となった場合でも家族が安心して暮らせる環境を整える、そうして犯罪捜査に国民の期待にこたえて頑張ってもらう、こういう体制づくり、環境づくりをしていかなければならぬ、このように思うわけであります。  今回殉職された二人の警察官も、当初いろいろ問題があったようでございますけれども、一人は職務質問中、一人は危害を加えた犯人を逮捕するということで、特殊公務災害該当云々ということで論議があったようでございます。幸いにも、二人の警察官とも特殊公務災害の適用を受けられるようになったと承って、喜んでおるわけでございます。  この問題について、今私が一連の質問をしてまいりましたことにつきまして自治大臣の御見解、警察の御見解を承って、この問題を終えたいと思います。
  115. 坂野重信

    坂野国務大臣 先生がおっしゃいますように、尋問中に危害を受けて死亡するに至ったということ、これは警官としてその任務を遂行中の問題でございますから、これは原則としてできるだけそういった特別の公務災害ということに適用するようにひとつこれからも検討してまいりたいと思っております。  それから、特に遺族に対するいろいろな賞じゅつ金、亡くなった警官に対する賞じゅつ金であるとか弔慰金とかいうような問題も、県によって若干の差があるようでございますから、非常に金額の少ないところ、そういうところは厚い方に合わせるように今警察の方で調査をやってもらっております。  そういうことでせっかく一生懸命身命を賭して日夜頑張っておる人たちに対して、亡くなった後はろくろく対応ができないということでは、さっき申し上げましたように警官の士気に影響するわけでございますから、何とか手厚い対応ができるように今後努力してまいりたいと思っております。
  116. 椿原正博

    ○椿原政府委員 今大臣から御答弁がありましたように、各都道府県につきましては鋭意調査をしております。いろいろな制度が各府県であるわけでございまして、それを高い方に合わせるように各都道府県警察にそういう努力をするように指示をしております。  また、職務質問中の問題につきましては、個々具体的な問題でございますが、警察といたしましてはいろいろな資料、その状況等も、現場の状況をいろいろなものをそろえまして、認定が受けられるよう警察も努力すべきであると考えておりますので、そういう方針でやっていきたいと考えております。  以上でございます。
  117. 小谷輝二

    ○小谷委員 警察の方、結構です。  地方財政問題についてお尋ねをしたいと思います。  今回の一連の税制改革に伴う平成元年度また平年度地方財政の歳入不足はどのくらいになりますか。
  118. 津田正

    津田政府委員 今回の抜本的税制改革に伴います地方財政、税、それから地方交付税の影響でございますが、一つは、個人住民税等いわゆる地方税自体の減税でございます。これが大体九千億円程度、それから消費税の導入に伴いましていわゆる地方間接税、電気税、ガス税等を調整、廃止等やりたわけでございますが、その影響が約一兆一千億、それから国税の所得税、法人税あるいは酒税におきましても大幅減税をやっておりまして、その三二%が地方交付税の減につながるわけでございまして、これが九千三百億円程度ございます。  これに対する財.源措置といたしましては、いわゆる地方消費税の廃止あるいは調整等を行ったものにつきましては地方譲与税で手当てする、そして地方交付税の減につきましては消費税の一部を地方交付税目の対象とする、こういう格好で補てん措置を講じまして、結果、減収が総額で三兆百億円、これに対しまして、今申しました譲与税あるいは消費税地方交付税対象税目への拡大によりまして約二兆一千億円程度確保しております。したがいまして八千八百億円程度が純減税というようなことでございます。
  119. 小谷輝二

    ○小谷委員 したがって、今回の一連の税制改革で地方財源というのは平年度で八千八百億くらいは財源が削り取られた、なくなったということであります。そこで、一説によれば、この減収分を、地域住民住民税の減額分については、地域住民が恩恵を受けるのでその分は地方自治体が当然背負うべきであるという大蔵省の考え方、論理、これは自治省に押しつけられた、このように言われておるわけですが、この点はどうですか。
  120. 津田正

    津田政府委員 今回の税制改革に伴います地方税財源措置考え方でございますが、地方消費税が廃止等調整されたものにつきましては、これはまさしく消費税を導入することによって従来地方団体の課税ベースに含まれておったものが国税に移管される、こういうことでございます。これは完全補てん。それから、地方交付税につきましても、これはもともと三二%地方の共通財源、このような考え方をとっておりますものですから、これについての補てんもしておるわけでございます。  そこで問題は、個人住民税を中心といたしますいわゆる地方税自体の減税でございます。これは、先生指摘のとおり、まさしく地域住民の税負担とそれから地方団体行政サービスをどのように維持するか、こういうような観点に立って判断すべきもの、このように考えております。そして、幸いなことに自然増収等もかなり見込まれておる状況でございますので、この分は自前で減税できる、このような判断に立っております。したがいまして、自然増収等で財政運営に支障のないよう措置できると思いますが、なお、地方交付税につきましては減よりも若干余計にとっておりまして、財政力の弱い団体に対する配分等考えまして財政運営に支障のないよう処置してまいりたい、かように考えております。
  121. 小谷輝二

    ○小谷委員 今御説明ありましたように、足らない分を地方税の自然増収と地方の行革等で処置するようにということで、全く押しつけられた格好であるようですが、そこで、自然増収でこの穴埋めをするということが可能であるのかどうか。であるなら自然増収をどのくらい見込まれるのか。さらに、例えば地方行革も言われておるわけですが、どんな品目をどのようにカットすることができるのか、御説明いただきたいと思います。
  122. 津田正

    津田政府委員 自然増収の状況でございますが、昭和六十二年度におきましては地方税収入、財政計画に対しまして二兆二千億円程度の増を見ております。それから、六十三年度も大体二兆円をちょっと超える程度の自然増収が見込まれるのではないか、このように考えております。非常に巨額でございますが、ただ、これが全部いわゆる根っこになるかどうかということは問題があるわけでございまして、御承知のとおり、六十二年度あるいは六十三年度にかけて株の上昇あるいは地価の上昇によります企業収益の特別な利益というものもかなり含まれておるわけでございます。いずれにしましても、八千八百億円の純減税になっておるわけでございますが、その部分はおおむね対応できるであろう。しかし、行政改革につきましても、税制改革法にも述べられておりますように、新たな税というものを国民にお願いする限りは、それによって財政が緩んではならない、なお行政改革を続けてまいらなければならない、このように書かれておるわけでございます。今回の地方財政計画につきましても定員の削減、あるいは重点的な経費の配分をしておりますが、効率的な行財政運営を期待するように計画を組んでおるような次第でございます。
  123. 小谷輝二

    ○小谷委員 特に道府県税というのは法人事業税等が主体でございますので、経済の動向によって極端に影響を受けるわけでございますが、特に府県税のうちの三七%から四〇%のウエートを法人事業税が占めている、このように承っておるわけでございますけれども、本年後半から景気に陰りが出るのではないか、このようにも言われておるわけでございます。したがって、平成二年以降の地方財政計画はどうなるか。昨年からことしにかけての景気の状況を見て増収が見込まれたとしても、果たして来年度以降の特に府県の法人事業税等の増収は見込めるのかどうか、この点はいかがですか。
  124. 津田正

    津田政府委員 経済の情勢は、昭和六十三年度が実質経済成長率四・九%、平成元年度政府見通しで四%、このようになっておりまして、現実の経済情勢としては企業収益あるいは個人消費等がなお活発でございます。ただ、先生の御指摘のとおり、今回の景気上昇期も既に三十一カ月たっておりまして、戦後の我が国の経済の上昇期の大体平均まで達してきておるわけでございます。一番長いのがイザナギ景気ですか、五十数カ月というのがございますが、平均的にはもう現在到達しておるというような情勢でございまして、今後の経済動向を注意しなければならない。特に、今まで円高それから原油が安かったこと、あるいは利忠が安かったというようなことがちょっと陰りと申しますか曲がり角に来ておるわけでございまして、そろそろ経済情勢も地方団体関係としても注目していかなければならない状況かと思います。  そこで、特に道府県税は法人事業税がかなりのウエートを持っておるわけでございますので、景気の影響ということに非常に敏感でございます。今回の抜本税制改革におきまして、私ども、そのような交付税自体にも景気の影響を非常に受ける法人税がかなりの部分入っているわけでございますが、そういうものではなくて、一部消費税に置きかえた。消費税は大体個人消費をベースにして伸びるわけでございますので、法人関係税ほど景気の影響は受けない、このように考えておりまして、私ども消費税交付税対象税目にしたことあるいは消費税の一部を譲与税にしたことは、伸長性こそ、これは意見があると思います、法人の方が伸びるのじゃないかという意見はありますが、財政の安定性という意味におきましてはその比重は高まったのではないか、かように考えております。いずれにしましても、経済情勢がそろそろ峠に来ておるかもわからないような状況でございますので、十分注意を払ってまいりたいと思います。
  125. 小谷輝二

    ○小谷委員 今回の税制改革に伴いまして地方税の減収、これは自治体によっていろいろ異なってくるわけでございますが、新聞報道によりますと地方自治体の道府県の法人、個人の減税が先行されていることやら、料飲税の減収、消費税の導入に伴う経費の増等で四十七道府県がすべてマイナス収入、このように一部新聞では報道されております。特に東京、神奈川、大阪、愛知等は料飲税がかなり大きいわけでございますが、これの減収が大きい。特に大都市関係がマイナスが大幅である、このように発表されております。ここらの判断はどうしていますか。
  126. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 今回の税制改革に伴いまして、全体といたしましてはただいまお話しのとおり住民税の減税が先行して行われておること、それから地方間接税の調整が行われておるということでございまして、地方間接税については消費譲与税でほぼ補てんされているわけでございますから、住民税の減税分が制度的にはマイナス要素として働いていることになろうかと思います。全体を見た結果がそういう姿でございますから、恐らく各都道府県ごとにそれを置き直してみましてもそういう形になるのではないかというふうに考えるわけでございますが、しかし全体として平成元年度につきましては、自然増収等を考慮いたしまして、地方財政計画上はプラス・マイナス・ゼロになっているわけでございますから、そういう点で一は税制改革による減収分というのは全体として補てんをされているというふうに考えていいのではないかというふうに思うわけでございます。  特に、料飲税のウエートの高い府県につきましては消費譲与税による補てんが少なくなるのではないかという点でございますが、この点につきましては、この消費譲与税の性格というものを考えた場合に、一つは消費税の原資であるということで、将来的に考えた場合には一種の地方消費税的な性格を持つということもあろうかと思いますけれども、当面はこの税制改革によって減収になったという代替的な側面を持っているわけでございますので、三年間は激変緩和措置を講ずるということで、消費譲与税につきましては、過去の収入を激変させないように、消費譲与税法の御審議のときにそういう措置を講じさせていただいているところでございます。
  127. 小谷輝二

    ○小谷委員 不交付団体の歳入不足状況、これはどのぐらいになるのか。また、不交付団体に対するところの、要するに歳入不足に対する補てん措置は全くないのか。どうですか。
  128. 津田正

    津田政府委員 交付団体あるいは不交付団体への影響というものを計算するためには、一応減税を見込んだ後で交付税を計算してどうなるかということになるものでございますので、一応減収が立てばその分が基準財政需要額で計算されるわけですが、それでもなお不交付団体ということは、減税分をのみ込んでもなお超過財源を残す、こういう格好になるわけでございます。そういう意味におきまして、それなら、そういうことがなければもっと不交付の額が大きかったのではないか、こういうことも言われますが、六十二年度の決算の状況で見てみましても、道府県税の対前年度増加額は総体で約一兆四千億程度でございました。そのうち不交付団体の増収額というのは八千億ぐらいを占めております。さらに、八千億の中の五千億を東京が占めておる、こういうような状況でございまして、先ほど来御指摘ございましたように、法人事業税を中心といたしまして税が好調である、これは不交付団体の財政に相当寄与しておる、こういうような状況でございます。したがいまして、この八千億の純減税の影響というもの、これは人口配分だけではなくてもうちょっと不交付団体に寄るかと思いますが、現在の自然増収等の状況を見てみますと、財政運営に支障が生ずることではない、このように考えております。
  129. 小谷輝二

    ○小谷委員 補助金カット問題でちょっとお尋ねをしますが、地方自治体に対する国の補助率カット問題、これは六十一年から三年間暫定措置としてとられ、暫定期間終了後復元する、こういうふうに今まで自治省もずっと主張しておいでになったわけでございますし、歴代の自治大臣も必ず、それは当然なこと、このように答弁をされてきたわけでございます。しかし、今回、今年度より生る、また公共事業関係の補助率カットは暫定のまま継続ということになったわけでありますが、その財源補てんにたばこ税、これを二五%、これは交付税に充てるということでございますが、国庫補助率のカット問題が今のままでこれほど長い間続いていけば、これが恒久化するんではないか、こういう懸念があるわけでございますが、大臣、いかがですか。
  130. 坂野重信

    坂野国務大臣 前大臣のときから、また地元の要請もございまして、この補助率カットは暫定問題だということで、もう三年間の期限が来たではないかというようなことでございまして、私ども精いっぱい頑張ったわけでございます。  しかし問題は、地方に対する影響というものがやはり一番大事だということを考えまして、そういう面で、名目的な補助率カット、これも確かに約束といえば約束のようなことになっておりますので、これは極力復元すべきであるということはよく私ども承知しておったわけでございますが、総合的な観点から、補助率カットの地方に与える影響、それと交付税による地方財政の補てんということを総合的に考えまして、名目的な補助率の復元というものは一〇〇%実現するまでに至らなかったわけでございます。特に一般経費、事務的な経費については恒久化すべきものは恒久化させていただいて、そしてそのかわり、それにかわる地方財政に対する交付税による補てんというものは十分にやっていこうというようなことで、今先生おっしゃったようなたばこ税を導入するとかいろいろなことを考えたわけでございます。  それで残ったのが公共事業問題でございます。公共事業の問題は、各省とも、補助率も大事だけれども事業が減っちゃ困るという要請が実は非常に強うございまして、私どもは一生懸命にやってはおりますけれども、各省のいろいろな立場がございまして、それじゃともかく一年度でも、六十二年度の分については六十一年度に戻すということは約束しようということで、平成年度以降は復元するということを前提として今後ひとつ関係省で相談をいたそうということに取り決めました。そして、特に直轄については、六十一年度分についてはこれは戻すということを前提にして交付税で一〇〇%措置しようというようなことに最終的には決着したわけでございます。  その間に地方公共団体団体の皆さんとも、情勢をいろいろ私ども報告しながら、どうだろう、名目的な補助率の復元というものはなかなか一〇〇%いかぬけれども地方財政には迷惑かけないようにするからというようなことを相談しながら来たわけでございます。まあまあやむを得ぬだろう、公共事業についてはそのかわりひとつ返せるものは返すということでびしっとこれは約束してもらいたいというようなことを相談しながらやってきたような次第でございまして、何だ、力が足らぬじゃないかということをおっしゃるかもしれませんけれども、その辺のところで総合的に考えながら、とりあえず今回は御案内のようなことで決着をつけざるを得なかったということでございます。
  131. 小谷輝二

    ○小谷委員 大臣そのようにおっしゃいますけれども、これは地方自治体六団体でも決して喜んで結構ですと言うわけじゃないのですよ。この紋どころが目に入らぬかということですよ。そうですがな。それはやむを得ぬがなということで六団体も渋々ということですよ。この地方行政委員会におきましても予算委員会におきましても、この問題についてはいろいろな論議がされて、その都度、当然約束は守るべきものであると大蔵大臣も述べ、また歴代の自治大臣も、当然なことです、当たり前な話だということの答弁が繰り返され、さらに地方制度調査会第二十二次答申でも、「地方行財政に関する当面の措置」、この中で、六十三年度限り国庫補助負担率の引き下げ措置を廃止するよう求めている。また、地方財政審議会ですか、これも「平成元年度の地方財政についての意見」、これをまとめて自治大臣提出しておりますが、その中でも、引き下げ措置については、国と地方の信頼関係を損なわないためにも暫定期間が終了する今年度で廃止すべきである、このように強調もされておるわけでございます。したがって、結果的には、今までの歴代の自治大臣の主張また六団体の要求、国会での論議、全部それと変わった結果に今現在なっているわけですよ。この点は大、臣、自覚しておられますか。
  132. 坂野重信

    坂野国務大臣 それはおっしゃるとおりでございます。これからいろいろ地方制度調査会、また行革審で補助制度の全体のあり方をどうするかという問題にも関連してくると思います。  私は、さっき申し上げましたように、補助率が今までの考え方で復元するというのも、これも政府側は約束していない、一方は約束した、こういろいろ見解は分かれておりますけれども、私はそういう中で、地方はこれからそういった補助金の問題も大事かもしらぬけれども地方一般財源、自主的な財源を強化するということの方が、将来の地方財政のあり方からいいますと——しかし、直轄事業とか国が面倒を見るべき事業については一〇〇%近く国が出すべきだ。しかし、地方が自主的に地方財源において出すべきものはもう余り補助金とか何か言わぬで、それはむしろ地方一般財源交付税を強化してやるべきだ、そういう考え方が私にあるものですから、それだから私はさっき申し上げたように、今までの経緯はあったでしょう、しかし、私の考え方としては、結果的に地方財政にむしろプラスになる。マイナスにならなければあえて補助金の補助率の問題は二、三年たった後、行革審が結論が出てくればそれに従ってこれは当然検討すべき問題でございますから、それほど固執しなくてもやむを得ぬのじゃないか。もちろん私としては形式的に一〇〇%全部戻したいということで頑張ったわけでございますけれども、よく考えてみれば、私はやはりそういう総合的な考え方の上に立って処理してもやむを得ないかなという考えに、折衝の段階でつくづく夜も余り寝ないで考えた末に、そういうことでやむを得ぬなということで踏み切ったわけでございます。
  133. 小谷輝二

    ○小谷委員 今大臣の御説明のように、新行革審の小委員会で随分論議されておるようでございますが、これは国と地方の機能分担、費用負担等のあり方その他関連する問題ということで諮問されておるようで、この諮問に今論議されておるようですが、この推移はどうなっておりますか。
  134. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 ただいま委員指摘のように、昨年十二月十九日に竹下総理が行革審の委員との懇談のあいさつという形で諮問をいたしまして、地域づくりにおける地方公共団体自主性自律性の強化等を図っていく必要があるので、地域活性化等幅広い視点に立って、国と地方の機能分担、費用負担等のあり方その他関連する問題について、掘り下げた御検討をお願いしたいということで諮問が行われたわけでございまして、行革審はその線に沿って権限移譲の問題あるいは補助金のあり方等の問題についても審議をするという建前でスタートをいたしまして、一月二十三日に小委員会を発足させて、それ以後各省庁の権限移譲に係るヒアリングを終え、現在有識者あるいは地方公共団体の代表、経済団体の代表等から幅広くヒアリングを行っている段階でございます。  したがいまして、具体的にどの問題についてどのような審議が進められているかということは、実はヒアリングの段階でございますので、議論〉いうよりは意見の交換でございますが、行われております。ただ、非公開ということになっておりますので、細かな議論の内容については承知しておりませんが、事務当局の発表するところによりますれば、権限移譲に係る問題、あるいは権限の受け皿としての都道府県、市町村レベルの広域行政の問題、その他財政問題等について意見が交換されているように伺っております。
  135. 小谷輝二

    ○小谷委員 行政事務の簡素合理化、これは法律が出されて、これに基づいて一部行われておるようでございますが、これを受けて地方制度調査会、私もその委員になっておるわけですけれども、ここで地方公共団体への国の権限移譲等について答申が出ております。一つは土地利用で四件、まちづくりで三件、産業・交通で九件、合計十六件、この権限移譲が答申で出されておるわけでございますが、これはどのように対応していますか。
  136. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 地方制度調査会の昨年五月十八日の「地方公共団体への国の権限移譲等についての答申」におきまして、同調査会自身が、政府においては関係機関の協力を得て本答申を速やかに実現されるよう強く要請するということを申しておりまして、そういうこともあり、かつまた地方公共団体等の強い要望もありまして、竹下内閣当時に、この権限移譲の問題を中心として国と地方関係を考え直してみようということで、新行革審に諮問が行われたと承知をいたしております。したがいまして、私どもとしてはこの新行革審における審議の推移を見守りながら、関係者の御理解を得て、この第二十一次地方制度調査会の答申の内容の実現に努めてまいりたいと考えております。
  137. 小谷輝二

    ○小谷委員 時間がないようですけれども、税制改革の一環として不公平税制の是正、これは大弐な問題として論議されたわけでございますけれども地方税から見た不公平税制、これはどんな広のがありますか。
  138. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 不公平税制という定義と申しますか、これをどこまで入れるかという点についていろいろと議論があろうかと思います。地方税におきましてもいわゆる非課税等特別措置という中では各種の、国で言えば租税特別措置のような措置がいろいろな形で現在もあるわけでございますが、これはやはり福祉対策とかあるいは住宅対策だとかというような一定の政策目的のために、税の公平性というものをある程度犠牲にして決めていくという観点からできているものでございまして、そういうものについてはできるだけ見直しを行っていくという考え方で今後もやっていかなければならないと思います。  どんなものがあるかという点では、一つ一つの具体例として今ここで申し上げるのも、ちょっと頭に出てきませんが、そういうものがたくさん現在もあることは事実でございますので、今後それについての見直しということについて、毎年度年度の税制改正努力してまいりたいと思っております。
  139. 小谷輝二

    ○小谷委員 不公平税制の一つとして問題になつたキャピタルゲイン課税、これは原則非課税から原則課税ということに改められたわけでございます。特に、改められましたけれども、申告分離課税と源泉分離課税、このように選択ができるようになっておるわけでございますが、申告分離課税の場合には所得に対して所得税が二〇%、住民耕が六%、このようになった。住民税は六%あることになっております。ただし、源泉分離課税の場合は住民税は入りませんね。住民税は非課税ですね。これはどういうことですか。
  140. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 御指摘のとおり、所得税におきましては今回の税制改革で二通りの課税の選択ができることになったわけでございます。問題は、この源泉分離を納税者が選択した場合に、これについて住民税が課税できないという状態になつたわけでございますが、これは専ら証券会社等からの支払い調書の提出というものが、事務が非常に膨大になるという技術的な理由によりまして、課税関係住民税ではこれ以上追跡ができないというようなことで、やむを得ずこの点の課税につきましては今回は見送ったわけでございます。  ただ、この点につきましては、将来の問題ではございますが、例の納税者番号制度の導入の検討の中で、今後とも引き続いて課税できるように検討していきたいということになっておりますので、この点については引き続き私どもとしては課税できるように努力してまいりたいと思うわけでございます。
  141. 小谷輝二

    ○小谷委員 大臣、キャピタルゲイン課税の、要するに株ですね、これはかなり大きいわけですけれども、これは申告分離になりました場合には利益に対して二〇%が国で、六%が地方税、こうなる。こんな申告はする人があると思いますか。もうかった場合にはこれはみんな源泉にしますよ、一%でいいのだから。ところが、もうからぬ場合しか申告分離はやりません、申告分離は税金なしですから。それに地方税がかかるということになっておるわけですから、実際これは税金として地方税として見込めますか、どのように判断しておりますか、大臣
  142. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 仰せのとおり原則的には申告分離と源泉分離は自由選択なんでございますが、昨年の税制改革の法案の御審議のときに衆議院で修正がございましたね。いわゆる創業者利益に相当する部分につきましてはこれは申告分離で申告をしなければならないということになったわけでございます。この分につきましてはこれは源泉分離の対象にはなりませんので、この分は確実に住民税にも反映してくるのではないかと思うわけでございます。
  143. 小谷輝二

    ○小谷委員 それはもう株の売買の中のほんの一部ですね。だからどのくらい見込んでおられるのか。全くこれは地方税が取れるという形ができただけに終わってしまうということです。今度のこのキャピタルゲイン課税なんて不公平税制の是正どころじゃありませんよ。取引は青天井ですからますます不公平税制が大きくなった。こういう結果で、今まで何億という株の取引をやっていた人たちは、プロは、こんなありがたい法律、こんなすごいいい法律をよくつくってくれた、どのように言っておる。ところが一般の庶民のサラリーマンの奥さんがわずかな金で株を楽しみに買って、この人たちにはもう文句なしにばしゃっとかかるということですからね。しかもそれには地方税はかからない、こういう結果になっておるわけですからね。実際にどのくらい見込んでおられますか。
  144. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 この税は、住民税は平成年度から課税になるわけでございます。平成元年度から所得税が課税になりますから、住民税は一年おくれでございますから、そういう点では平成元年度で幾らという——平成元年度はもちろんゼロになるわけでございますが、六十三年度の税制改革法を御提出したときの平年度ベースで見た場合のこの増収見込みとしては地方税は六十七億円という数字をのせております。
  145. 小谷輝二

    ○小谷委員 時間が来たようですから質問を終わります。どうもありがとうございました。
  146. 小澤潔

    小澤委員長 細谷治嘉君。
  147. 細谷治嘉

    ○細谷委員 地方交付税について主として質問をいたしますが、質問に入る前に、二、三お尋ねなりあるいは注文をつけておきたい、こう思います。  実は、けさこの委員会に入りましたところが、交付税改正についての資料、それから附属資料、それから三百円か何かで売っている「地方財政計画」、こういうものが配られておりました。その中に、「平成元年度各行政項目別単位費用算定基礎」というこの一冊が配られておったのですよ。私の記憶では、「単位費用算定基礎」のほかに必ず「地方交付税関係参考資料」という二冊が審議の資料として配られるのが例でした。ところが、けさはこの交付税参考資料というのがないのですよ。  それで私は、お昼に帰ったときに、過去はどうかと思って手元にあったのを調べましたところが、六十一年二月の第百四国会のを見ますと、「地方交付税関係参考資料」それから同じように、「各行政項目別単位費用算定基礎」、この二冊が配られておる。これは六十一年から今日になって、いやに自治省も資料を隠すようになったなと頭にきておったのですよ。そして、事務当局に、こういう資料が前にあったはずだけれども今度ないのかと言ったら、そう注文をつけておきましたら、午後出てさましたらこれが配られておる。私の自治省の袋の中に入っておる。皆さん、委員に配ったかと言ったら、配っておらぬと言う。それじゃいかぬじゃないか、どんなに国会議員が頭よくても、勉強しておっても、きょう質問をする日に資料を配られて、それを読んで質問するということなんかできないでしょう。一体どこにその落ち度があったかということは私は問いませんけれども、やはり資料は広く厚く深く出していただいて、そして掘り下げた審議ができるように努力をしていただきたい。その意味において、私は税務局長を持ち上げるわけじゃありませんけれども、税の審議の際に、一般的に黄表紙と言われる税の完璧な資料、しかも年とともにその権威を増しておる資料が税務局で配られるわけです。財政局ではそれが半減するのは何事かと思っておりました。  そこで、後で各委員に全部配られたようでありますから、そのあれは問いませんけれども、今後はぜひひとつ資料を隠すとかいう意思はなくても、だんだん知らしむべからずよらしむべしという方針ではなくてやっていただきたい。  もう一つ、これは委員長にお願いですが、資料は恐らく、六十一年とかは二月に出てくるのですよ、交付税の資料は。それが今何月かというと六月でしょう。この法案だけは何とか上げようということで特段のあれで審議するわけですが、それもけさ配って、きょう、あした審議しろということでは困るので、前もって配っちゃうとなくしたり何かして困るだろうけれども、まあひとつ委員長の手元で、この問題についての重要な資料ですから、みんな待っているわけですから、理事会に諮って、審議が始まる前に、少なくとも二、三日、一週間なり十日ぐらいの期間を置いて配られるように配慮していただきたい。  これは自治省それから委員部、そして委員長に特段の御配慮をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  148. 小澤潔

    小澤委員長 ただいまの細谷先生の御提案につきましては、御趣旨を踏まえ検討させていただきます。  以後厳重にまた委員部にも注意をいたしたいと思います。
  149. 坂野重信

    坂野国務大臣 自治省といたしましても、そういう資料を隠したりするということは全くございません。必要な資料はどしどし出すということにいたしたいと思います。
  150. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これは善処するというような筋のものではなくて、来たら理事会に諮って、この辺で審議が始まるから十日前だけれどもやろうかということで、理事会に諮って委員に配っておけばいいわけです。財政白書というような議員全体に配るものじゃありませんから、特段のひとつ御配慮をお願いしたい。
  151. 小澤潔

    小澤委員長 それでは理事会で協議をさしていただきます。
  152. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それでは、本論に入りたいのですけれども交付税の問題に入る前に地方財政計画、その重要な構成要素をなしております地方債計画、その地方債計画に重要な関係を持っております公募債の利子の問題、あるいは公募債の募集の問題、ひいては地方債の利子に根幹的にもかかわってまいりますから、その点について若干の質問をしておきたいと思うのです。  大臣はお読みになったかどうか知りませんけれども、四月二十五日の読売新聞でございますけれども、「地方債市場マヒ2か月」という見出しでかなりのスペースの記事が載っております。それから、ごく最近、また五月三十日にもBISのこれに関連した記事が出ております。  この四月二十五日の記事を見まして私が驚いたことはどういうことかといいますと、ちょっと参考までに読んでみます。「国が発行する国債と同様、地方債は自治体の事業資金調達に欠かせない。平城元年度地方財政計画によると、今年度発行額は約八兆八千億円。このうち約一兆円が、民間の債券市場で売買される。」地方債計画の中でも約七千数百億円が公募債として計上されております。そういう解説に基づいて「自治体側では三月は一千百三十五億円、今月は七百六十億円の市中公募を予定していたが、都銀、地銀、証券会社などの引き受け側との発行条件交渉が難航し、暗礁に乗り上げたまま、二十日までに二か月連続の休債が決まつた。」二カ月間公募地方債の発行できなかったわけですね。これは大変なことなのです。ですから麻痺二カ月と書いてあります。「交渉難航の直接のきっかけは、昨年十二月に出された大蔵省銀行局長通知だろう。」こう書いてあります。この詳細について自治省側の考えをひとつ御報告いただきたい。
  153. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 昨年来の経過について御説明申し上げたいと思います。  銀行の自己資本比率規制に係る地方債のリスクウェートにつきましては、昨年七月のBIS、国際決済銀行と言われておりますが、この総裁会議の合意におきまして〇%から五〇%の範囲で各国の裁量にゆだねる、こういう取り決めがなされたと聞いております。これを受けまして、大蔵省が我が国の地方債のリスクウェートを決定するに先立ちまして、自治省といたしましては、次のような諸点を理由に国債、政保債との間に差をつけるべきではないと主張したところでございます。  その理由と申しますのは、その一は、我が国の地方債は、地方自治法に基づく許可制度のもとにその元利償還につきましては地方財政計画によって財源保障がなされ、また地方交付税によって所要の財源措置が講じられている。そういう意味からは政府による保証がなされている場合と何ら変わりはない。実質的には同じことである。その二といたしましては、元利償還について、最終的には課税権が実質的な担保となるということでは国債と何ら変わりがないということ。その三といたしましては、さきに申し上げましたような地方財政の仕組みのもとでは、現に我が国の地方債においてかつて債務不履行を生じたこともございませんし、今後もそのような事態は起こり得ないようなことになっているということ。これらを理由といたしましてこの間に差をつけるべきではないという主張をいたしたわけでございます。  このような経過があったものの、大蔵省は昨年十二月、銀行の自己資本比率規制に係る銀行局長通達におきまして、国債、政府保証債のリスクウェートを〇%としたのに対しまして、地方債のリスクウェートを一〇%としたところでございます。以上が昨年来の経緯のあらましてございます。
  154. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この記事を御紹介いたしますと、「金融機関の自己資本(資産)比率に関する国際統一基準設定に取り組んでいた国際決済銀行(BIS)が総裁会議で、」総裁会議でありますから恐らく大蔵省と日銀が出ておりますね。「「国債や政府保証債は信用力に全く問題はないが、地方債はリスク(危険)がある」と認定。地方債のリスク度決定は、各国の自由裁量に任せた。」自由裁量ということでありますから、このリスク度というのは一〇%。今まではゼロだったのです。国債、政府保証債と同じように扱っておったのが、今度はリスクがあるということで地方債は別扱いになったのです。別扱いになりますから、したがって利子も変わってきますね。現に変わったでしょう。調べてみますと、五月は二十五銭の差がついているのですよ。高くなっているでしょう。三月、四月は休債、一文も借りられなかった。五月から借りた。そうしたら利子が国債や政府保証債より高くなった。ですから自治省としてはたまらぬということで大蔵省と交渉したけれども、大蔵省の方は、BISが決めたことなんだ、どうにもならぬということで断られているでしょう。そして現実には利子が変わってきている。そして三月、四月は休債をしておる。こういう事態で、新聞によりますと、自治省は懸命に怒って、こんなことはのめないということで今頑張っておるようでありますけれども、大蔵省に聞きましたら、国際的に決めたのだから大蔵省はいかんともしがたい。  新聞を読みますと、そうじゃないのです。各国の自主性に任ぜた。そのメンバーである大蔵省なり日銀が決めた。自治大臣、これはなめられたのですよ。しかも、日本地方債というのは政府保証債と変わらぬですよ。自治省が認可権を持っているのです。裏づけがきちっとしているわけですよ。今までは取り扱いが違っておらなかった。ところが今度は違えた。では何が変わったかというと、地方債は自由化されたのか、必要によっては地方債は自治体自体で発行できるのか、こういうことになると、そうじゃない。差別を受けながらこういう事態が来ているわけですから、大臣、どうなさいますか、お答えいただきたい。
  155. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 露払いとしてひとつ……。  今お話しのように、銀行局長通達が十二月に出されまして、以来一月、二月につきましては、角突き合いながらも政府保証債と同一の発行条件で発行してきたわけでございます。三、四月、流通市場におきましてそういうリスクウェートがかけられたということによりまして流通市場における売買の価格に差が出てくるということがございましたので、やはり引き受け側といたしましては発行条件においても何がしかの差をつけてほしい、こういう話がありまして、実際それでもめにもめまして、三月、四月は休債という運びになったわけでございます。五月になりますと、委員御承知のように地方債というのは大量に発行せざるを得ない状況になってまいりますので、私どもとしては涙をのんで、おっしゃったように二十五銭安という形で発行させるということになったわけでございますけれども、先ほど来申しますような、実質的なリスクという点に着目いたしますと、国債、政保債との間に何ら変わるべきものはないと考えておりますし、地方団体においてもそのような受け取りのもとに現在大蔵省に対してこの見直し方を求めているところであろうかと存じます。私どもといたしましても、従前のスタンスによってこの見直しを求め続けていくという考え方でございます。
  156. 坂野重信

    坂野国務大臣 今事務当局からお答えいたしましたが、これはまことに重要なことでございますので、大蔵省当局と私自身も話し合いに入りたいと思います。     〔委員長退席、松田(岩)委員長代理着席〕
  157. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ちょっと先ほどの言葉にありましたが、数字的に申し上げますと、平成元年三月と四月は休債でありました。そして五月に九百九十億円の公募債が発行されたわけです。もちろん、九百九十億円というのは国債や地方債より利子が高くなっているのですね。予定もしない被害というのがこれで起こってきておるわけです。ですから、大臣は責任を持って交渉すると言っているけれども、さっき廊下へ出たところ、私のよく知っている大蔵委員の人が、そういう問題をあなたから聞いたけれどもなかなかかたいよ、こういうことを私に耳打ちしました。容易ならぬことであります。自治省としても容易ならぬことです。これは首を縦に振ることはできないわけです。それを縦に振るのなら、地方債の完全自由化とか、あるいは何らかの自由化というもの、あるいは特別にそれを補てんするような措置が講じられなければならぬじゃないかと思います。幸い、あす大蔵大臣がこちらに参るそうでありますから大蔵大臣と少しもみ合いたいと思っておりますけれども大臣の決意のほどをもう一遍ひとつ伺いたい。
  158. 坂野重信

    坂野国務大臣 これは事務当局で今まで折衝しておったようでございますから、私も実はこの問題については詳しく今まで聞いておりませんが、はっきり申し上げます。これから今までの経緯、大蔵省の考え方も円いて、そして私も折衝に乗り出したいと思っております。
  159. 細谷治嘉

    ○細谷委員 先ほど、地方債がリスク度一〇%、今までゼロであったのですが、これは初めて設けられたのですよ。それで国際的な決定だというのです。しかし、それはそれぞれの国に任してあるというのですよ。恐らく当事者は財政局長でしょう。財政局長、どうなのですか。難しいようなことを言っていましたよ。しかし、それはそうだけれども、とてもじゃないが自治大臣と財政局長はうんと言わぬだろうと思う。どうですか。
  160. 津田正

    津田政府委員 先ほど来審議官から経緯を申し上げましたように、昨年七月以来私ども大蔵省と折衝しておるわけでございますが、若干そういうような国際裏におきます交渉というものがあったわけでございまして、私ども全面的に出られる立場では残念ながらないわけでございます。しかし、大蔵省には、今までもやってまいりましたが、今後も折衝を続けてまいりたい、かように考えます。  もう一つは、対大蔵省の問題といわゆる引受団に対する問題でございます。  先生指摘のとおり、三月、四月は正直言ってもう消化できない、シ団側と交渉が決裂となりま−して休債のやむなきに至った。五月は出納整理期、こういうような問題もありますからやむを得ず二十五銭下のもので決定したわけでございますが、六月債につきましては、私どもなりにシ団側と十分協議をいたしまして、表面利率こそ政府保証債等より劣る、政府保証債は四・九でございますが地方債は五・○にする、そのかわりディスカウントは政府保証債が九十八円七十五銭ですが地方債は九十九円七十五銭にするということにしまして、応募者利回りとしましては政府保証債が五・○八八、地方債が五・〇三七、こういうようにクーポンとアンダーパーの関係を調整しながら、市場とも十分協議をいたしまして、結果的には政府保証債よりも下回る利率の地方債ということで実は話をまとめております。  そういう意味におきまして、対大蔵省との関係それから具体的な引受団との関係、両面があるかと思いますが、両面について私ども努力してまいるつもりでございます。
  161. 細谷治嘉

    ○細谷委員 余りこれで時間をとりたくないのですけれども、政府保証債は五月は九十八円五十銭それから五・〇二五、地方債は九十八円二十五銭、二十五銭の差がついているのです。そして五・〇六三、その差は〇・〇三八%。これだけあるのですよ。これはおよそ一兆円、しかし借換債もありますからおよそ八千億円程度でしょう。そうしますと、仮に今〇・〇四としましても、金額としてはそれほど大きな問題じゃない。しかし、地方債と何ら基本条件が変わらないのに地方債と国債、政府保証債は差をつけられたところに問題がある。制度を変えない限りはそんなことはあり得ない、こう思うのです。しかも、自治大臣の代になってリスクがある、今までなかったリスク度を加えて差をつけられるということですから、自治大臣としても下がるに下がれないだろうと思うのです。  これはもう一度。今の財政局長ですと、何かうまいこと裏の方でやったような言葉がありましたけれども、そんなことじゃだめだ。
  162. 津田正

    津田政府委員 私、説明しましたのは、実利面ではそういうようないろいろな工夫はしておるわけでございますが、先生おっしゃるように、地方財政をどう考えるか、地方債というものの格付をどう考えるか、そういう基本的な問題があるわけでございますので、今後も大蔵省と折衝をしてまいるつもりでございます。
  163. 細谷治嘉

    ○細谷委員 あすまたこの問題を取り上げますけれども、先ほど国と地方との負担金、補助金関係についてやりとりがございましたが、これは基本的な問題であり、出発点の問題であり、そして自治大臣の言葉をかりますと、随分頑張って成果を上げた。一月二十日ごろの新聞を読みますと、自治大臣は、頑張った、採点すれば九十五点じゃないか、こういうふうに言ったとか言わぬとか新聞記事が出ておりました。  そこで、私はその新聞記事を証拠として突き出す意思はありませんけれども、「都道府県展望」という全国知事会の雑誌で「地方自治の抱える諸問題と展望」ということで自治大臣と鈴木都知事とが対談をしております。その際に、自治大臣は、「経常経費については、国庫補助負担率の復元、地方交付税対象税目の拡大等恒久財源措置を講じつつ、原則として恒久化を図ることといたしました。なお、恒久化された、国庫補助負担率地方団体影響額につきましてはその七五%が恒久財源によって措置されているところであります。また、投資的経費につきましては今後二年間暫定措置を講ずることとされましたが、昭和六十二年度引下げ分については平成年度から復元することとされるなど復元への第一歩を開いたものと考えております。」  ですから、確かに努力しておる、合格したんだ。後でそのときの全国市長会の会長も落第ではなかったという評価をしておりますけれども、自治大臣ほどすぐれた評価はしてないように私は記憶しております。大臣、これはまだ問題は半分以上は残っておるわけですね。いかがでしょうか。
  164. 坂野重信

    坂野国務大臣 さっき申し上げましたように、私どもは総合的に、形式的な補助率の復元もさることながら、実質的に地方財政負担がかからないように持っていこうというようなことで、七五%といいましても残りの二五%は一般財源になるわけですが、これは交付団体だけを考えますと、九十何%というふうに実質的にはなるわけでございます。そういうことで、地方財政の面からいうと、補助率の復元にかかわらず、総体的には地方の財政にはまあまあ余り迷惑がかからないような措置をおおむねやったんじゃないかといういうふうに私どもは考えておるわけでございます。ただ、名目的に言えば、何だ、名目的な補助率の負担が余り成績がよくないという批判はあるかと思います。  公共事業の問題はまた別の観点でございまして、これはとにかく今後に確かに種を残しております。これはまた今後精力的に、大蔵省初め各省にも関係する部分でございますから、十分話し合ってまいりたい。少なくとも六十二年度の分については二年後に復元をやろうという約束でございますから、二年たてば本格的にまた話し合っていくということで一応の決着をつけたわけでございます。  もちろん百点満点とは思っておりません。力不足でございまして、その点はまことに申しわけないと思っておりますけれども、まあまあできる範囲内のことは一生懸命やったという点は御理解いただきたいと思います。
  165. 細谷治嘉

    ○細谷委員 一生懸命やった、これは当然だろうと思うのです。私が平成元年度の地方財政法の条文に基づく経常経費の部分を調べてみました。経常経費の場合は、大体八兆、国庫負担は四兆六千八百二十八億であります。したがって五四%であります。ところが、これが始まる前の五十九年度は、地方財政法十条の一から二十六までのあれを拾ってみますと、六〇・三%になっております。それが今度は平成元年度では五四%。言ってみますと、六・三%国の負担率が落ちたわけですね。経常経費についてはこれで確定したわけですよ。そういうことでしょう。そうしますと、金額はかなり大きいですね。ですから、大臣みずから合格。まあ落第だとは言わぬけれども、最善を尽くしたということは認めるにしても、余りに大きな打撃が地方財政に加えられたのではないかと思っております。これは数字から見た私の結論であります。  ついでに数字を申し上げますと、五十九年度は六〇・三%、六十年度は五六・九%、六十三年度が五二・九、そして平成元年は五四、こうなっているわけですから、言ってみますと、生活保護法の問題が七〇が七五になったので五二・九というのが五四になった。こんな程度ですね。  ところで問題は、確保できたということですから、大臣は最善を尽くしたんだというのでありますから、これからの問題、暫定期間、平成二年と三年度で片づけて、二カ年でやっていく。それは公共事業でしょう。先ほど来公共事業についていろいろ議論がありましたけれども、五十九年度の際には六〇・三%国庫負担がありました。これは勝手に拾ったのではありません。地方財政法に基づく、きょういただいたあれによって拾った数字を申し上げますと六〇・三。ところが平成元年度では十条の二は五三%。七%落ちているんですね。七%というのはとても大きいのです。これは二年のうちに片をつける、こういうことなんですが、いかがでしょうか。自信がございますか。とてもじゃないが、よく言われる公共族、言ってみますと、公共事業を減らしたらだめなんだ、断固守るという勢力がかなり強い中において、建設省出身だから隅の隅まで知っている坂野自治大臣に任せればいいじゃないかというけれども、裏の方からいくと、やはり坂野さんも建設族の一人じゃないかという感じもしなくはないのです。どういう決意で臨みますか。
  166. 津田正

    津田政府委員 今回の補助率の見直しに当たりまして、経常経費は安定的な財政環境をつくる意味で決着を見たわけでございますが、公共事業関係は二年間暫定措置、このような格好になっております。地方財政計画に占めます公共事業関係負担金の率、御指摘のとおり下がっておるわけでございますが、これはもちろん、御指摘のとおり、国庫補助負担率の引き下げの問題がかんでおります。  それから、なお考えなければなりませんことは、最近の公共事業というものの重点が生活環境、要するに住民に密着した部門というものに割にウエートがかかっております。そういたしますと、これは補助率を下げるとかいうことではなくて、本来補助負担率の体系としましては、要するに地方団体に割に密接なものというものは補助率の低いものが多い。そちらの方に最近の公共投資の重点というものは、やはり生活環境施設というものを重点的にやるということで、低いものに事業の重点が移?ている関係での比率の低下、こういうことも考えられると思います。しかし、御指摘のとおり、補助負担率の暫定措置、引き下げ暫定措置というものが大きく影響しておることは事実でございます。  今後の公共事業補助負担率のあり方でございますが、これはやはり私どもは、国と地方との責任分担、事務責任をどうするか、このような観点で考えるべきものではないか、かように思います。ただその場合に、どういう決着がつくかわかりませんが、やはり現在求められております公共投資というものは、もちろんまだ幹線道路網とかそういうものがあるとは思いますけれども住民に身近な社会資本整備、こういう方に重点が移っていく。そういたしますと、これはまさしくいわゆる負担事業というものでいつまで、しがみついておるというのはちょっと言い過ぎですが、そういうものよりはむしろ地方一般財源の増強というような観点で、地域が自主的に地域に即した事業を行い得る、こういう体制も考えてしかるべきではないか。実は今回の補助率の見直しにつきましても、先ほど来大臣おっしゃいましたように、単純に戻すということが、これは一〇〇%地方団体満足されるわけでございますが、しかし今後の地方財政のあり方、あるいは地方行政のあり方からいたしますと、地方自主性を高める、むしろ地域仕事地方団体が責任を持って行えるような財源配分をするということでございますので、私どもは、単に補助負担率の問題だけじゃなくて、一般財源等を含めました国と全体の財源配分の問題として考えていくのが適当ではないか、かように考えております。
  167. 細谷治嘉

    ○細谷委員 補助金負担金が去年より減ったではないかということに必ず返ってくる答弁が、仕事によって補助率が違うのだから、補助率の低い事業を余計やっていれば、地方なんてどうせ金持たないんだから率は下がるのは当たり前だ。例えば長大トンネル、長大橋をつくりますと、これは普通の補助率と違っておりますね。それはわかっておるのですよ。  そこで調べてみますと、先ほど申し上げましたが、普通建設事業は五十九年度は六〇・八です。そして平成元年度は五三・一です。やはり七%差があるのです。その次に公営住宅はどうかといいますと、公営住宅は五十九年度は五四・九です。平成元年度は五五・三、変わっておりません。それからNTT利子とか児童福祉施設、これは五十九年度は五五・八、平成元年度は五二・八ですから少し下がっております。それはもうあなたの言うのは全部うそだと言ってないのです。福祉施設等では確かにそういうことでありますけれども、全体として、あなたが言うほど事業内容が違ったからそうだ、こういうことじゃないわけですよ。ですから、私は大変重要な問題だと言うのです。  それで実は、中身をばらすのはなんですけれども、公共事業については、今の経常経費について私も衆議院の予算委員会でこれで全時間を使ったぐらいに、地方財政計画を盾にとって地方財政法の問題からいっておかしいじゃないかと言って、それに基づいてかどうか知りませんけれども、翌年、翌々年に補助金負担金というのを法律を含めて厳密にしてきた。それで今のような状態になっているわけです。そして今、生活保護あるいは義務教育国庫負担を除くと片づいたのですけれども、金額は大したことはない。公共事業はそうですよ。二年と言いますけれども、二年間一生懸命営々としてみんなで協議するんだと言いますけれども、恐らくことしもいつもと同じように、大蔵原案を発表する前に一、二度やって、まあ三遍か四遍やったら決着するのですよ。決着して、負ける方は大体地方でしょう。そう私は思うのです。それだけにこれはやはり今から腹をくくって対応していかなければならぬ。全国知事会は随分努力しておりますね。「都道府県展望」の四月号に詳しく書いてございます。ところが、言ってみますと余り自治省努力してないんじゃないか。どうせ最後はもう負け犬だ、こういうような感じじゃないかと思うのですが、公共事業についてふんどしを締め直してやる意思がありますか一
  168. 坂野重信

    坂野国務大臣 私は公共事業をずっと長らくやっておるものですから、何か弱いじゃないかという御指摘でございますが、先ほどから申し上げているように、私は公共事業にも二種類あると思うのですよ。直轄事業と補助事業、補助事業の中にも千差万別いろいろあるわけです。濃度の濃いもの、地方団体が本来自主的にやるべきもの、奨励的に零細補助的なものでいっているもの、そういうことこそ、この際行革審の一環として見直すべき時期に来ているわけですよ。そして、必ずしも公共事業の補助率を一〇〇%取るのが、勝った負けたという問題じゃなくて、これから地方財政と国との負担割合をどうするかという問題の中でこの補助率がどうあるべきかということを検討すべきであって、私は、地方財政と国の財政の負担割合がどうあるべきかという総合的な立場で考えることの方が大事だと思っております。はっきり申し上げます。  公共事業の中で直轄事業というものは、国がナショナルプロジェクトとしてみずから計画してみずから全国的なレベルのバランスをとってやるべきようなものは、まさにこれは国が法律補助ないし、できれば全額補助、全額国が負担するような気持ちでやるべきである。しかし一般の一零細補助事業というものは、中にはやめてもいい。復元どころじゃないのですよ。私は、そういうものもあるんだという立場で、総合的に、今後二カ年の間に、そのうち今のは行革審から出てくるでしょう。そういうものを踏まえて、そしてまた地方の皆さんの要望も身にしみるほどよくわかっております。私は、自治大臣をやっている以上は皆さんの要望もわかっております。しかし、要望があるからといって、国全体なり地方全体の、二十一世紀を踏まえてどうやることが本当に地方なり国にとって大事かということは、また私は自治大臣として、閣僚の一員として考えるべき立場にある、そう思います。そういう中で、先生の御意向も私はよく身にしみてわかりますから、気持ちを踏まえてこれから対応していきたいと思っております。
  169. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣に言葉を返すようでありますけれども、今直轄事業という話が出たが、直轄事業は国が直接やっているわけですから、ある意味では極めて重要な、巨額の資金を要する事業をやっていると言えますね。ところが、補助負担金のときに直轄事業はどうなったかといいますと、数字はきょう持ってきておりませんけれども、最終的に直轄事業地方負担が一兆円ふえたのですよ。何のことはない、直轄事業、直轄事業といいたがら、地方からは負担と同じようなものを取り上げたのですよ。そうしますと、国はとにかく金を出さないで、直轄だから重要だ、おれがやる、安いものは地方でやっておけという格好でしょう。ですから、大臣、その頭をちょっと切りかえていただきたいのですよ。直轄事業で働いている人の年金まで地方負担させているのですよ。そうでしょう。事務費まで負担しているのですよ。直轄事業をやっている人たちのお茶代はどこから出ているかというと、三分の一は地方から出ているのですよ。そうじゃないですか。財政局長どうですか。    〔松田(岩)委員長代理退席、委員長着席〕
  170. 津田正

    津田政府委員 実は直轄事業の扱いにつきましては、今回の補助負担率見直しに当たりましても率自体は戻せませんでした。しかし、その見返りに出す建設地方債の元利償還につきましては、昭和六十一年度までの分は半分しか見てもらえなかったわけですが、大臣の主張というようなことで、これは九〇%——九〇%で交付団体全部でございますけれども、それだけ国の責任を重くした、こういうような努力を私どもしておりますことも御理解いただきたいと思います。
  171. 細谷治嘉

    ○細谷委員 地方財政法を見ても、九条は地方負担、十条は国が持つべきもの、その割合は法律で決めればいい、こう書いてある。国が奨励的な事業としてやりなさい、そうしたら補助してやりますよというのは十六条か何かに書いてあるだけです。ですから、少しは努力したでしょうけれども、私は攻め込んでいって帰ってみたら全部しりが切られておった、こういうことにならないようにしてもらいたいと思う。大臣の悪口を言っているわけじゃないのですよ。そういうふうに心配しているのです。直轄事業なんというのはむしろひどいものですよ。自治省もいろいろやったでしょう。事務費を持たせるのはけしからぬじゃないか、年金の原資まで持たせるのはけしからぬじゃないかと言ったけれども、何のことはない、補助負担率と右へ倣え、逆右へ倣えですよ。それをやられたということは今までの実績です。  ひとつその点でお願いしたいことは、残りは公共事業、言ってみますと経常経費と公共事業の割合というのは、補助負担関係からいきますと恐らく五十五対四十五、これは六、四くらいになつているでしょう。これからがある意味では問題ですから、ひとつ頑張っていただきたい。おれは地方財政のことも知っているんだぞ、国の公共財政のことも知っているんだぞ、その中においてこう行くべきだということをきちんとしていただきたい。そして、何か二、三日で一回か二回やって話は決裂した、そして前の日になったら、大蔵原案の出る前の日、十九日に大蔵原案が出るとなると十八日にちょっと会って、大蔵大臣と自治大臣、そして与党の政調会長が立ち会って、そうするとちゃんとできてきているんでしょう。そこに問題がありますから、ひとつ余り誤解が起こらないように頑張っていただきたい。  そして地方財政というのはいいことは一つもないじゃないか、こう私は思います。国庫補助負担率の問題も、あるいは後で交付税の問題で出てきますけれども、法律できちんと決めたことも、緊急避難でございます、できないことはできないんだということで十年も十五年もほったらかしておいている。そういう条項があまたあるのでしょう。そういうことで、ひとつ自治省として対処していただきたい。地方団体が頼りにするのは自治大臣であり、財政局長です。そうでしょう。お願いします。
  172. 坂野重信

    坂野国務大臣 先生に激励を受けて恐縮でございます。先生の意を体して頑張っていくつもりでございます。  私、直轄と申し上げたのは、直轄がそういう地方に迷惑をかけているから、直轄はむしろ国の出し分を逆にふやすべきだと私は言っているのですよ。それは誤解のないようにひとつお願いします。そういう意味では、私の言うことはおわかりでしょうか。直轄的な事業というものは、国のプロジェクトでやるようなものはむしろ——実際はそうなってないわけです。私は知っているのですよ。裏負担で苦労しているのです。返上したいというような意見も出ておることをよく知っていますから、ですからそういうのを踏まえて、またいろいろ先生の御指導を受けながら、まだ時間ございますから、十分検討していきたいと思っています。
  173. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣から逆に強い言葉が出ましたけれども、それをやると今度は、もうこの次はおまえのところは公共事業をやりたいと言ってきても言うこと聞いてやらぬぞと上の方からばちんと来るのですよ、自治大臣はやったことないでしょうけれども。河川局長、道路局長といったら、局長になる段階、課長の段階あたりでは、おまえのところは陳情の団体にも入らなかったじゃないか、だから予算取れてもやらぬぞ、公共事業の割り当てせぬぞと江戸のかたきを長崎か上海でとられるのですから。  先へ進みたいと思います。  ところで、先ほどもちょっと話がございましたし、この間の地方制度調査会でも問題になったようでありますけれども、私が疑問に思うのは、竹下総理時代から、あるいはその前からそうでありますけれども地方制度調査会というのはどうも自治省の我田引水の答申しかしておらぬ、だから意味がない、ですから素人の集団でもいいけれども行革審に答申を頼もうや、それが一番権威があるんだ、それでやってまいりました。確かに行革審が一生懸命やったことは認めます。地方にとつて行革審の答申というのはすべていいと思ったのですか。私は、これは大部分アウトだと見ているわけですよ。いかがですか。
  174. 津田正

    津田政府委員 地方制度調査会におきましては、毎年度長期的な、あるいは緊急の答申をいただいておるわけでございます。  そこで、行革審あるいは臨調という方面においても議論されておるわけでございますが、臨調なり行革審の立場と申しますと、地方制度だけじゃなくて、国と地方はどうあるべきか、こういうような観点、色彩がかなり強く出ることもございます。私どもとしましては、臨調、行革審にも今後とも十分説明をし、地方財政実態あるいは地域振興発展にどのような方策を講ずべきか、今後も行革審等にも説明を続けてまいりたい。そしてそのようなことが答申にも反映されるよう努力してまいる所存でございます。
  175. 細谷治嘉

    ○細谷委員 せんだって地方制度調査会が開かれたようであります。その地方制度調査会に今までの審議の過程というものも報告されたようであります。また、その内容を握っておる総務庁の何か適当なある程度のポストにおる人が講演しているのです。官庁速報に出ております。お読みになりましたか。
  176. 津田正

    津田政府委員 官庁速報等で地方団体関係者の声ということで私も拝見しております。
  177. 細谷治嘉

    ○細谷委員 官庁速報を読みますと、それを聞いて地方側はかちんときたと書いてありますよ。四月二十一日の官庁速報。総務庁のある有力な人が、あえて言いましょう、事務次官が講演をした。それも地方の何か有力な人を、民間じゃないですよ、そういう人を呼んでやったようであります。地方財政の制度・運営の合理化あるいは地方税留保率を財政力指数によって検討すべきだ、いわゆる基準税率というものを変えてしまえということも議論されております。前からありましたね。それから著しく裕福な団体地方税の一定割合は交付税特会を通じて貧困団体にやれ。どういうふうにやるかわからぬですよ。これは、世間では補助金一般財源化ということを第二交付税制度と呼んでいますが、ここではそうじゃないのですよ。この間、東京都の法人事業税を分割する法案が審議されましたが、この場合は逆交付税制度、逆交付税制度というのかどうかわかりませんが、今こういうものを検討しておりますか、官庁速報に載っておるようないかがですか。
  178. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 地方団体間の財政力格差というのは最近また開いてくるような傾向が見受けられまして、その格差の解消のためには地方交付税制度の機能を挙げて取り組む必要があるわけでございますけれども、何分、逆交付税制度を導入するとか、あるいは留保財源率を引き下げるということはどういうことを意味するかといいますと、やはりそれぞれの地方団体財政運営自主性なり自律性の幅を狭めるということがございますし、特に逆交付税などに至りましては自治意識あるいは税源培養の意識というものを失わしめるおそれもあるというふうなことから、これらの点については慎重な対応が必要であるというふうに考えております。
  179. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これを議論しておったら切りがないし、意味のない議論をしたような格好になっちゃうからこの程度でやめておきますけれども、東京都の場合には都区間の財政調整というのが行われていることは御承知のとおりです。これは行政そ  のものが重なっているのですからまあいいですけれども、何か知らぬが、よその自治体が取った税金を交付税特会に入れて、そして配ったらどうか、何かこういう議論だと思うのですけれども、かつて、地方団体交付税が多過ぎるから、その財源の一部を税率を減らすか、交付税率を減らすか何かということが出たが、自治省はその際に、交付税を減らすのは断固反対だ。今考えてみれば、三二%というのは四十一年度の話、それから二十年以上たった。本当に換算するのなら、もう今四〇%以上になっておらなければいかぬじゃないかという議論をしているし、積算していくとそうなるんですよ。そうならぬので、みんなやりくりして対応してきておるわけですね。ですから、よそから取ってやるなんという東京都式のことは、全くもう架空の議論もいいところだ、こう私は思うのですよ。ですから、こんな話を聞いたら、聞く耳持たぬ、こういうふうにほったらかしたらいかがですか。どうですか審議官、あんた年じゅう出ているんだから。
  180. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 名前を挙げると恐縮ですけれども、例えば沖縄県に対して愛知県の余ったお金を持っていくというふうな考え方になるわけでございますけれども、それはやはり住民感情からいたしましても、何で愛知県のお金を沖縄県に持っていかなければいけないのかという話になろうかと存じます。そもそも地方自治の基盤にかかわる話であろうかと思いまして、私どもとしてはやはり消極的に対応せざるを得ないと思っております。
  181. 細谷治嘉

    ○細谷委員 税務局長いらっしゃいますか。けさの日本経済新聞一面トップに、「法人事業税課税方式を抜本改革」、自治省が検討を初めたとありますが、本当ですか。
  182. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 法人事業税の外形標準課税の問題については、もう先生御案内のとおり、非常に長い間論議が繰り返されているわけでございますけれども、その間では税制調査会などでも課税ベースの広い間接税との関連でこの問題も考えたらいいではないかという議論がございまして、一時は地方消費税をつくって現実的な解決をしようというふうなお話もあったわけでございますが、結果的にそういう案はできなかったわけで、その後も課税ベースの広い間接税との間でこの問題を議論していったらというお話でございました。  今回の税制改革におきましてもこの議論が出たわけでございますが、最終的には消費税消費税として課税をする、そして地方消費税につきましては、納税義務者になる事業者の事務負担の軽減の問題でございますとか、あるいは税制の簡素化という問題から、これはやらない方向でいくべきであるという結論が出まして、その結果、今まで課税ベースの広い間接税との関連で外形標準課税を検討しろというお話でございましたけれども、一方が既にでき上がってしまったわけでございますから、外形標準課税については、今後は課税ベースの広い間接税とは関係なしに別途検討を行う必要があるということに税制調査会でもなされたわけでございます。  そこで、検討をするということにいたしましても、御案内のとおりこの事業税というものは戦前は国税でございまして、それが国税から国税の付加税になり、あるいは地方税になり、その間には付加価値税という実際は実施されなかった税制ができたりというような非常にいろいろな経緯を踏まえて現在の事業税というものがあるわけでございますので、こういう問題につきましてまず第一は実務者レベルでひとつ勉強していくべきではないか。今までのおさらいをまずした上で今後の方向というものを考えるべきじゃないかということで、そういう意味で実務者レベルの研究会を今年度に発足をさせたということでございます。ここでひとつ基礎的な問題として、今お話しの外形標準課税の問題でございますとか、あるいはそのほかの事業税にまつわるいろいろな問題点につきまして基礎的な勉強をしていこうということで、既に一回目の研究会を持ったわけでございまして、これを逐次開くことによりましてまず基礎的に事業税の問題を勉強していきたい、まずこういうふうに考えておるところでございます。
  183. 細谷治嘉

    ○細谷委員 きょうの日経の記事、自治省は検討を始めた、しかも大学の先生あたりを中心にして始めた。そして、それはやはり赤字法人というものからは税金を取れない、昔の営業税の時代ならともかくとして、赤字法人が五〇%を超すような段階で取れないというところに、シャウプの付加価値税ではない変形した今日の法人事業税を取っているところに問題があるわけで、この国会でも地方行政委員会ではむしろやはり、法人事業税というのは言ってみますと外形課税にすべきじゃないか。電力とか生命保険とか、それはなかなか対象にならぬから、別の物差しで法人事業税を取っている。ところが、一極集中で東京都にばかり法人事業税が入ってくるので、分けてやれ、山分けしようじゃないかということで、この春の、余り審議は尽くしておりませんけれども、税法改正をしましたね。ですから、外形課税をやるということは、かつてシャウプの付加価値税、それはやることになってやめて、そして法人事業税になったときに、ある人は、これは二重課税じゃないかという議論もあったくらいですから、そういう点で、外形課税方式を取り入れようということについてはかなり制度を現実に即するような方法だと思って私は評価をしております。やるとするならばそれを徹底的に掘り下げていただいて、変な方向にならぬように、言ってみますと、消費税ができちゃった、消費税のカバーすべき部分というのが付加価値税であったのがそれは変わっちゃった、ならば肩がわりという形の、そんな安易なことじゃ困るのではないか、こう思います。  そこで、交付税そのものの本論にいよいよ入るわけですけれども、今度交付税法を見まして、きょういただいた資料で数字をチェックすることができませんでした。そこで私は、六十三年度までの実績、こういうものを見てみました。何といっても問題は、交付税というのは基準財政需要額と収入額の差額で決まってまいります。かつて東京都はこの問題を検討しておったときに、自治省が言っておる地方財政指数というのはあるけれども、財政指数というのは基準財政需要額の方が分母でいくからおかしい。東京都の方は、余り変化のない法定されておる基準財政収入額というのを分母にして、分子の方に基準財政需要額をのせたら結果はどうなるかということで、東京都のかなり分厚いリポートが出たことを思い出します。財政局長、御存じですか。専門家でしょう、あなた。知らぬのですか。これは私は意味があると思うのです。逆財政指数、地方財政指数ですよ。言ってみますと私はそれを財政調整指数というのがふさわしいのじゃないかと思っております。審議官、どうですか。  それが答えられないならば、ではまともに。この需要額というのは経常経費の需要額の部分とそれから投資経費部分と公債費等その他の部分と、大別して三つになります。その三つを見ますと、基準財政需要額、交付税のすべてだと言っておる基準財政需要額の構成というものを調べることがいいわけであります。  そこで、四十五年を見ますと、基準財政需要額中の経常経費が七〇%、投資的経費が二九%、その他公債費等は災害対策費とかなんとかで、これが一・七%。六十三年度を見てみますとどうかといいますと、経常経費は七二・三、この四十五年の六九・七より大きくなっております。そして、投資的経費はどうかといいますと二一・九、四十五年と比べますとこれは七%くらい落ちております。その他の公債費等はどうかといいますと、一・七%であったものが五・七%となっております。言ってみますと、基準財政需要額の算定の中において投資的経費は落ち込んで、経常経費は上がって、そして借金返しの元利合計のその他の諸費というのが上がってきておる。これが四十五年と六十三年を比べてみて、結果としてきちんと出ております。今のは県の場合。市町村の場合はどうかといいますと、四十五年が六八%、そして六十三年が七二・三%、投資的経費は二七・一が二、一・九と下がっていっております。そして、その他の諸費は、この場合には土地基金とかなんとかという別のものがありますからなにですが、災害一対策費等はやはり一%台でしょう。これが六%に迫っていっております。言ってみますと、地方は基準財政需要額を通じて、裏からいきますと財源付与と財政調整の任務を持っておる地方交付税を通じてがんじがらめ、財政的には極めて窮佃になってきておる、こういうふうに言えますが、そう言えましょうか。
  184. 津田正

    津田政府委員 昭和五十年代石油ショヅク以降の地方財政の運営につきましては、従来交付税の需要額で見ておりました投資部分をいわば追い出してそれを地方債で手当てをする、そのかわりその地方債の元利償還については後年度見ましょう、こういうようなやりくりをしまして来ておるわけでございます。それが先生まさしく御指摘経常経費部門がふえて投資部門は減る、しかし、減るのですが、いわゆる公債費という格好でその他の部門がふえておる、これが実態かと思います。
  185. 細谷治嘉

    ○細谷委員 交付税というのは地方団体の有力な固有財源ですよ。固有財源を、タコの足食いのようなものじゃないですか。経常経費がふえてくるからこれは伸ばさなければ立っていけない、その他の借金返しのための公債費も見てやらなければいかぬ、これはやらなければいかぬ。そうすると、投資的経費は減る以外ないでしょう。これはタコめ足食いですよ。そういう事実が、四十五年から今日までの交付税計算の中であらわれているのじゃないか、こう私は言っているわけです。どうなんですか。
  186. 津田正

    津田政府委員 私の言いましたことも、そのとおりということなんでございます。
  187. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣交付税を十一兆七千億今度も配ろうとしているけれども地方が自主的にやろうとするものは、ふるさとづくりで一億円もらいましたが、これは焼け石に水ですよ。それは小さな町村ではいいかもしらぬけれども、二百万、三百万という人口を持った大きな都市ではどうにもならぬでしょう。府県にまでやっているでしょう。これもどうにもならぬでしょう。そして、そこから出たものは何かといいますと、タコの足食いです。  そこでお尋ねします。今度の交付税法の中で、過去の借金である財源対策のための借金、その財源対策のための借金に新しく基金というものをつくって、そしてその基金によって返していこう、こういう案が単位費用の新しい設定という形で出ております。これは言ってみますとタコの足食いを一段と促進する以外の何物でもない、こう思いますが、いかがですか。
  188. 津田正

    津田政府委員 今回特例としまして基金費ということで交付税の需要額に計上しましたゆえんは、御承知のとおり六十数兆円の借金地方財政は抱えております。従来、若干の余裕が出れば、いわゆる地方団体共通の借金である交付税特別会計借金の繰り上げ償還ということを図った。しかし、個々の団体地方債残高ということも相当なものでございますので、いわば個別の団体のそういうような借金負担をある程度軽減していこう、こういうような観点におきまして、一方におきまして交付税特会、マクロ、共通の借金を返す、個々の団体につきましては交付税の需要額に算入して基金で将来の償還時に備える。ヒのような全体的なものと個々の団体のもの両方配慮いたしまして、中長期的に地方財政の運営が安定化するような措置を講じたものでございます。しかし、いずれにしましても、その財源対策債自体は昭和五十年代の財源不足の中で泳ぐために地方債を増発してしのいできたものでございまして、今後におきましてもその償還というものは地方財政において十分考えていかなければならない問題でございます。
  189. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それは、借りたものは利子をつけて正確に返すというのが借金でしょう。この場合これはそうならないんですよ。マクロの計算になりますから。個々の計算じゃないですから。都道府県はどうだ、大都市はどうだ、都市はどうだ、町村はどうだ、こういうことになっていきまして、そしてそれの借金が、公害による借金、過疎における借金財源対策債の借金、これについて財源措置をしてやろうということになりますと、借りたとおり返さぬで、どこかがもうけ、どこかが損するという事態が起こるでしょう。そうなりませんか。
  190. 津田正

    津田政府委員 交付税の配分、基準財政需要額の算定、まさしくそこが難しいところもございまして、私どもは従来共通の借金でございます交付税特会の借入金の償還ということでやっておったわけでございますが、当委員会の御指摘でもやはり個々の団体地方債残高による圧迫という御指摘もございますので、今回あえて、これは財対債でございますので当時の許可の状況というものもはっきりしておりますし、その配分基準もはっきりしておりますので、交付税の基準財政需要額の算定にも十分なじむものとして今回個々の借金返しの手当てをした次第でございます。
  191. 細谷治嘉

    ○細谷委員 六十三年はそうなっているんだけれども平成元年はどうなっておるのか。タコの足食いの状況はどうなっているのかということを非常に興味を持っておるのです。お答えいただきたい。私が言うのは、基準財政需要額の中で平成元年度分として公債費の部分はどういうふうに計算されておるのか、そうしてその中にいわゆる財対債関係として見られるものはどうなっているのか、この数字をひとつ具体的に示していただきたい。
  192. 黒沢宥

    ○黒沢説明員 財源対策債の償還費でございますけれども、四千二百億余りでございます。それから基金費でございますが、八千三百六十億ぐらいでございます。これが県分でございまして、市町村分は千七百二十億ぐらいが財源対策債償還費でございます。それから基金費でございますが、八千四百八十億余りでございます。  以上でございます。
  193. 細谷治嘉

    ○細谷委員 お聞きしますが、基金費として八千三百五十九億、市町村分として八千四百八十四億、これだけのために新しい単位費用を設けて、単位当たり六百六十円交付税で積もうというわけでしょう。それは、需要額は全体として交付税の全体計画の中でどのくらいかといいますと、府県の方がおおよそ十五兆円、市町村の方もおおよそ十五兆円、三十兆円ですよ。三十兆円の中で八千五百億と県の分の八千四百億を加えますと一兆七千億円、利子の払いに基金を積み上げる、そうなりますね。タコの足食いもここまでくるともう病膏肓に入っているでしょう。そう思いませんか。交付税課長、そんなことでうんと言ったのか。
  194. 津田正

    津田政府委員 この基金の考え方は、後でかかるものを現在手当でしようというものでございまして、タコの足食いというとむしろ逆なんで、今手当てして後の負担を軽くしよう、こういうことでございます。先生先ほど来の指摘は、地方債でやっておいて後の償還財源をどうするか、結局はタコの足食いでやっておるのじゃないかということでございますが、今回の基金はそうではなくて、将来かかるものを今手当てしまして将来の財政負担を軽くしよう、こういう発想でございますので……。
  195. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それは少しごまかしだよ。そんなことではないです。今ちょっと資料を求めておるのですが、財源対策債として考えているのは、五十一年から五十五年度の赤字対策分の軽減分として基金費をつくっておこうということでしょう。私も調べてみました。五十一年から五十五年までにどのくらい財源対策債費として借りたか。五兆五千億円借りているのです。それ以降のものはどうなるのかといいますと、五十六年度以降六十三年までの分は基金の対象にならないのですよ。さっき言ったように千五百億から二千億円ずつずっと払っていかにゃいかぬ。その五十六年から六十三年まで借りておる分が合計してみましたら七兆九千六百四十一億あるのですよ。言ってみますと基金の対象にしようというものよりもその後に借りたものの方が——それは平成元年度において処理する。平成元年度以降はどこで処理するのですか。やはりタコの足食いをまた繰り返そうというのでしょう。それは局長、きれいな言葉ではいかぬ。五十六年度以降はどうするのか。毎年払っていかにゃいかぬ。確かに五十五年度分までのものは外へ出ていきますが、そんなきれい事じゃ済まぬのですよ。タコの足食いは依然として起こっていくのですよ。そしてそれは減るという保証がないわけです。まあ言ってみますと、借りたのは五兆五千億と七兆九千億ですから、半分近くがそっちでことしで処理されるけれどもということはわかりますよ。それ以外の何物でもないのですよ。
  196. 津田正

    津田政府委員 まさしく現在の地方財政状況、また交付税総額からしまして、今回手当てできるのは五十五年度以前までで、それ以上はまだできる体質は持っていないわけでございます。今後交付税の動向を見まして、将来の負担を軽くするという意味措置ができるような事態になれば、やはり同様な措置をとってまいって、五十六年度以降の問題にも対処していかなければならないと考えております。
  197. 細谷治嘉

    ○細谷委員 逆にお尋ねしますが、交付税法六条の三の二項は、緊急避難というのはいつから始まったのですか。そうしてその間には国の補助負担率も下げますよ、金がないのだから法律に基づく六条の三の二項もやめて緊急避難をしますよ。さんざんばら地方負担を転嫁しているでしょう。今後またありましたらばそれはどこから持ってくるのですか。千葉県の人が青森県にごみを捨てたというのが大変問題になっていますけれども、これはごみを捨てるようなわけにいかぬのですよ、何兆円という金を拾ってくるわけにいかぬですよ。どうなんですか。
  198. 津田正

    津田政府委員 交付税法六条の三の第二項の事態に昭和五十年代かなりの年度が該当するような事態になってきたわけでございますが、私どもとしましては地方財政を中長期的にということじゃなくて、まさしく当該年度財政運営の支障が生じないよう、交付税特会の借入金あるいはその二分の一は国が持つとか、そういうようなことでしのいできておるわけでございます。六条の三そのものは動かせなかったわけですが、私どもとしましてはその精神に沿って毎年度地方財政措置を、いろいろなやりくりはございましたが、とってきたわけでございます。  しかし、御指摘のとおりかなりの借金も抱えておるような状況。幸い平成元年度は経済の状況がいいために地方財政計画一般財源比率も過去最高、こういう事態でございますが、私どもそれによって緩むことなく、やはり巨額の借金を抱えておる、こういう事態を十分認識しながら今後の地方財政に対処してまいらなければならない、かように考えております。
  199. 細谷治嘉

    ○細谷委員 局長が苦労して答弁しているように、これをどういうふうに避けるかといったら、一番簡単なことは、交付税率を引き上げるか交付税総額をふやさなきゃいかぬわけだ。それができなくて緊急避難をやってきたので、本来ならば投資的経費の最小限度の財政措置をしなければいけないのができなかった。そうして矛盾があちこちに生じた。とりわけ私は平均のことを申し上げておきましたけれども、ひどいですよ。五十八年、五十九年、六十年、六十一年あたりの基準財政需要額の計算を見てみますと、これがこの数字かと思われるような大変な事態になっておるのですよ。私はさっき六十三年度のことを言いましたけれども、五十八年度はどういうふうになっているかというと、投資的経費は四十八年度は二六%にいっておったのが一八%になっておるのですよ。五十九年度は一七・七%になっておる。市町村の場合はどうかといいますと、六十一年度でも二四・九%と投資的経費は下がっていっているのですよ。ですから、どうにもならないところに、そこへもってきて補助率、負担率のカットがあるわけですから、これは大変なことです。そう私は思います。ですから、確かにふえたことは間違いありませんけれども、十二兆七千億の交付税を配るための基準財政需要額の中に一五%を超える一五・九%、 一兆七千億円になんなんとする借金返しのための財政措置が含まれるようでは、財政措置はしてやったよ、してやったよといっても、借金を余計に抱えたところはいいでしょうけれどもそうはまいりません。  ずばり言ってみます。府県と市町村とそれから大都市と都市、この四つを比べてみますと、先ほど申し上げた基準財政収入額分の基準財政需要額という数字を見る限りにおいては、一義的には言えませんけれども、町村が被害を受けているのですよ。傾斜配分してくれ、傾斜配分してくれと言われている町村が文字通り被害を受けております。私はその図面をここに書いてきている。町村の被害はこんなになるのですよ。町村は傾斜配分した、自治省の方も傾斜配分を心がけておりますと言いますけれども、傾斜配分どころか逆傾斜配分ですよ。
  200. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 あるいはややピントがずれたお話を申し上げるかもしれませんけれども、要するに平成元年度の県分と市町村分の基準財政需要額のそれぞれの総額に占める基金費のそれぞれの需要額、そのウエートというのは、県分と市町村分の間でいずれも五%台ということでございまして、市町村の方にしわ寄せしたということにはなっていないというふうに存じております。
  201. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ですから、私は一義的にはという言葉を使っているんですよ。総じて町村の方にかなり逆傾斜配分というのが行われておるということが言えるのではないか、こう思っております。  そこで、これは基準財政需要額の計算の仕方が不安定だということですよ。私はここに高知大学の財政学をやっている、「現代地方自治の財政理論」という本を参考に持ってきました。審議官、読んだことありますか。
  202. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 かつて読んだことはございますが、かなり記憶が薄れてまいっております。
  203. 細谷治嘉

    ○細谷委員 遠藤さん、読んだことあるのですか。
  204. 津田正

    津田政府委員 私はさわりは読ませていただきました。全部は読んでおりません。
  205. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これを見ると、一々紹介する時間はありませんけれども、随分掘り下げてありますよ、学者でありますけれども。高知大学の人文学部のプロフェッサー。高いんです、これは。三千五百円取るのです。  そこで私は、そういう指定都市とか大都市とか町村とか、都市だけではいけませんので少し具体の問題について、なぜ投資的経費においてあるいは経常経費においてそんなからくり、からくりというと語弊があるが、数字を適当に動かすことができるのか。総額の中に全部おさめているわけですよ。最後に法律に基づいて調整率を掛けると言いますけれども、調整率を掛けてもその調整率の総額は恐らく二百億円程度でしょう。しかも、私は申し上げておりませんでしたけれども、この需要額の計算の中には、このほかに事業費補正とかなんとかという補正があるのです。補正は、今私が申し上げたあれと違いますよ。大体において府県の場合に全需要額の五%くらいの補正増があります。市町村の場合に一〇%くらいの補正増があります。その数字は認めますか。
  206. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 存じております。
  207. 細谷治嘉

    ○細谷委員 知っておるだけじゃ意味ないですよ。これはかなり大きな数字ですよ。言ってみますと、私の調査したところでは平成元年度では都道府県分として八千三百五十九億円、それから市町村の分では八千四百八十四億円あるんですよ。このほかに補正が行われますが、今度我々が審議している法律にはないですよ、こういうふうにやるという方法は。それは後で申し上げますけれども、十三条が基礎になっているのでしょうけれども、そういうことですよ。その金額も莫大なものだ。それから、言ってみますと、単位費用の補正それから事業費の補正増、こういうもので、最後にはちょうど交付税総額に合うように、言葉は適切じゃありませんけれども、操作している。それが現在の交付税制度実態じゃないでしょうか。
  208. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 まず初めに、交付税総額と実際の基準財政需要額あるいは収入額の算定との関係でございますけれども、御存じのように、具体的な交付税の算定に入る以前の問題といたしまして、各年度地方財政の収支の総額を推計をいたしまして、それで地方財政対策を打つわけでございますが、その段階で要するにいろんな支出を立て、それで歳入を立て、交付税が幾ら必要かということがそこで議論の焦点になるわけでございますが、そこでまず必要な地方交付税額を算出するわけでございます。したがって、私どもが基準財政需要額と収入額を使いながら計算していく交付基準額の出方自体も、地方交付税でもってカバーされるべき額とそんなに乖離が出るべきはずのものでもないような仕組みになっているわけでございます。もちろんその中で現実にはぴったり一致するというわけにはまいりませんから、そこのところで基準財政需要額に対して一定の調整を行うという手順をこなしているわけでございます。  それからもう一点、加算係数についてのお話であったかと思いますが、先生よく御承知のように、交付税の算定に当たりましては、それぞれの費目ごとの需要の状況を最も的確に反映するような指標を選んでこれを測定単位の数値とするわけでございまして、標準団体についていわばモデル予算の査定を通じて導き出しました単位費用をこれに乗じていく。その場合に、各団体の測定単位の数値をこれに乗ずるわけでございますから、仮にその選んだ数値というのが理想的に財政需要の動向とぴったり一致して動くものであれば補正の必要は全くないわけでございますが、残念ながらそれほど需要とぴったり一致するような指標というのは選ぶべくもございません。したがって、その団体の置かれた社会的な条件とかあるいは経済的な条件とかあるいは規模の大小、機能の違い、それぞれに応じまして補正を施さざるを得ない。その補正を施すことによってむしろ実態に近い的確な算定ができる、このように考えているところでございます。
  209. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それは補正は実態に近くするために必要だと認めます。認めますけれども、私が自治省の方にお願いして、大きな都市、例えば神戸の例を申し上げますと、神戸の経常経費においてすらも昭和五十五年度は測定単位の補正係数が十四倍でした。六十三年度は二十一倍になっているのですよ。測定単位が二十一倍になって単位費用が掛けられるわけです。  それから、これは経常経費でありますけれども投資的経費の場合、都市計画費が神戸の場合では十一倍になる。その他の土木費も十一倍。だから、ころ合いを見計らって、これはひとつ十一倍にしようか、二十倍にしようかという形で公園費とか都市計画費とか下水道、特に投資的経費における下水道というのは随分大きな補正係数が掛かっていっております。  それから、岩国あたりの例を、まあ十五万ぐらいでしょう。それでもかなり大きな補正が行われております。  こういうふうにしましてこの表を一つ一つ洗ってみますと、単位費用を決めた、測定単位を決めた、その測定単位を補正してみたら一であるものが二十になったとか二十二になった。そんなのが補正できますか、実態に合わせるのに。二十倍なんというのは人間の限度を超した補正ですよ。確かに倍ぐらいなら補正できるでしょう。一のものが二になるぐらいならいいでしょう。十が十二くらいになるのならいいでしょうけれども、そんな大きな補正を、いかにも数字がひとり歩きして、数字が実態そのものであるというような誤認に基づいて計算をされておるのではないか。これが私の偽らざる、あなた方の作業をした数字を分析した結果だ。これだけあるのですよ、これだけ。私の電算機は安物だから、もう少し高いところの電算機であれが起こらないように検算してもらって、直すのは直したんですよ。そういうことなんですよ。局長、何かありますか。
  210. 津田正

    津田政府委員 御承知のとおり、事業費補正ということは毎年かなり動くという要素がございます。それから、大都市の神戸市の例をとってそれの係数というものが一一だとか一二だとか、そういうようなものがあるということでございますが、これは大都市のいわゆる事務配分としまして国県道を指定都市が管理する、こういう一般市町村と違った要素がございまして、これが相当な係数の差が出てくるのはやむを得ないのではないかと思うわけでございます。ただ、恐らく先生は、そういうのを補正でやるのじゃなくて、もともと分けて算定しろという御主張かと思いますが、それは標準団体十万ということでやっており、しかも大都市の行政需要の実態、そういうふうに事務権限自体違う場合もございますので、これは相当高い係数が出てきておると考えております。
  211. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ずっと都道府県、大都市、都市、町村とやってみますと、おおむね下水とか公園とかいろいろ都市計画、大都市の場合は二十倍以上、それから十五万ぐらいのところでは大体において五倍か十倍ぐらいの間、町村の場合は一くらいですよ、基準が十万都市ですから。そういうことですべてを賄って、しかも地方の唯一の自主税源である交付税を配るには人力の限界というのはわかりますけれども、問題がある、こう思う。  私がさっき御紹介いたしました本では、この高知大学の重森教授は寝屋川市の例を取り上げているのですよ。寝屋川の例をかなり研究した数字が具体的に出ております。ひとつ交付税を担当する、推進する人としてこれを読んで実践をしていただきたい。  それで、寝屋川の問題はどこにあるかというと、寝屋川というのは、三万五千ぐらいのとき市になって、急激にふえて、そのときは三億三千万円くらいの決算であったのが、十五年くらいの後にはもう人口二十五万、決算額が二百七十億円を超しちゃったんですね。そうかといって、それから停滞しているわけですよ。私もよく知りませんけれども、読んだ限りにおいては。そういうことだものですから、都市計画もできない、建設省からやれやれ、補助金を出そうと言われても受け取ることができない、こういう実態になっておることがこの本でよくわかります。これは一つの著書というよりも研究論文ですね、そう思います。  そこで、大都市、都市、町村ばかりに限らずに全般的に、私の主張というかねらいを図らずも局長は先に言っちゃったのですけれども、大体私は、市町村の場合十万を基準にして何もかも一緒にしてまとめてやっちゃえというのは無理だと思う。二百五十万の都市も十万が物差し、人口五千も十万が物差し。それはまあ村づくりのように一億円を全部配るくらいなら大したことないのですよ、これは。そういうことです。しかも寝屋川の場合は人口動態、こういうものに関して適切に補正係数が応じていくことはできないでおるのですよ。これはよくわかります。ですから私は、思い切って人口十万のあれを、人口一万くらいと、それから十万か十五万の都市と、それから百万都市と三段階ぐらいにお分けになった方がよろしいのではないかと思います。最初は切りかえですから大変ですよ。しかし、かつて研究をやったこともあるわけでしょう。バンザイをしてしまったようですけれども、バンザイをするほどではないのですよ。その方が易しい。しかも、交付税法に書いてあるように、知事が自分の県の市町村のそういうものについては事務を十分にしなさい、市町村は十分に責任を持ってやれと書いてあって、義務になっているのですから、おやりになったらいかがですか、大臣。それはもう大臣は工学者なんですから、エンジニアですから、数字はきちんと頭の中へとらえられると思うのです。そうしますと、これは一を補正して二十倍にするということはできないのです。私は、十というものを二百にすることはできないけれども、十を三十ぐらいならば、当たらずといえども遠からずということができると思うのですよ。ですから、おやりになったらいかがかと思うのです。しかも、県や市町村に十分連絡をとってやらせる。そうすると、そんなことをやったら予算をつくるときに死んでしまうという。死なないで、ちゃんと元気でおるじゃないですか。そう思います。いかがですか。
  212. 坂野重信

    坂野国務大臣 先ほどから本当に先生の詳しい、また分析された御意見を伺って一々ごもっともだと思います。結局、補正する場合に大きなまとめ方、しかしその単位を小さくすればするほど大変な手数がかかるのではないか。しかし、今は電算の時代ですから、やり方を工夫すれば一命のままの状況で筆算をしながらやったのでは自治省、各県も参ってしまうのではないかと思いますけれども、その辺のやり方のこともあろうと思います。先生のおっしゃる趣旨は、私はよく素人なりに理解できますので、ひとつこれは事務当局で先生趣旨を体するためにはどうするかということをまず考えて研究すべき課題じゃないかと思っております。  ただ、いよいよ予算の時期とか予算要求の時期とか、御案内のとおりに時期的に圧縮してありますから、その辺のタイミングが、果たして作業量がふえた場合にどうなるかというようなことも総合的に考えて、これは勉強させていただきたいと思います。
  213. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ぜひひとつ、急がば回れという言葉があるのですよ。確かに一万と十万と百万と三つできます、今は一本ですけれども。その三つがどういうふうにバランスをとって、連携をとっていくのか。つなぎ方は難しいです。それは今は電算機もあるわけですから、コンピューターがあるわけですから、できると思うのです。今それを一切の補正とかなんとか、補正といって毎年のように違うでしょう。何だってこんなに毎年違えなければいかぬのかと思われる。その意味において恣意的です。  そして、それを裏づけしている法律が地方交付税法第十三条、測定単位の数値の補正。まず数値が決まったら種別補正をしなさい。それから種別補正が済んだならば、第三項以下のいろいろな補正をやりなさい。言ってみますと、三十兆円の基準財政需要額を決めるのに、単位費用なんというのは吹っ飛んでしまっているのですから。すべて自治省の官僚の皆さんが握っておる、生殺与奪の権は、三千三百の自治体の有力な財源である交付税はあなた方が握っておる。責任は重い。責任は重いけれども、それではいかぬのじゃないか。これは直すべきです。言ってみますと、法律とこの場合には省令ですよ。政令じゃない。法律と省令の間をもっときちんと境目をした方がよろしいのじゃないか、これが私の結論です。いかがですか、大臣
  214. 津田正

    津田政府委員 交付税の算定は単位費用と測定単位と補正で組み合わせてやっておるわけでございますが、御承知のとおり、地域実態がいろいろ異なるわけでございます。そういう意味で補正した方が実態に合うというふうに考えておるわけでございます。  ただ、私ども漫然と補正の数字を毎年変えておるわけではございませんで、先生指摘の、最近補正の変動が大きいというのは、何と申しましても、地方財源交付税総額との関連におきまして交付税で算定すべき投資的需要を地方債に置きかえる、交付税から追い出す、そういうような操作もやりながら毎年度財政運営をやっておることが大きいかと思います。  それからもう一点、私どもそういうような補正をやりますが、また補正をした結果での各団体の数値と各団体の決算というもの、各団体市町村一本で決算と交付税の需要のあり方というものを検討しているのではなくて、やはり団体、段階、態容、そういうような要素を組み合わせた地方団体の決算との突き合わせをして、どのように財政需要額を算定すべきか、それによって補正係数を直しておるわけでございまして、恣意的にやっているつもりはございません。その点は御理解いただきたいと思います。
  215. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私自身も、ちょっと数字を見ながらぼおっとしてしまっているのですけれども単位費用はあなた方法律で決めます。ことしはこの程度伸ばそう、こういうふうにやります。単位費用はそうですけれども、その中で投資的経費になりますと、総額が足らなくなると手を加えるのですよ。一番加えやすいのは人口とか諸費とか、そういうものであります。そこで私は、あなた方が計算した需要額と決算額とがどういうふうになったかというのも調べました。数字を示すといいのですけれども、調べておりましたら、まあまあ当たらずといえども遠からずかという結果ですよ。それは評価しますけれども、当たらずといえども遠からずという交付税の計算では困るのです。あくまでもバランスがとれて、そして合理性がなければいかぬ。しかも法律と省令との間はやはりきちんとしておかなければならぬのではないか、そういう感を非常に強くいたします。そういうふうに努力する意思はありませんか。  私はもう一つ言うと、地方財政計画で県と市町村を分けたらどうか、これが私の提案です。財政構造の違う県と市町村を分けて地方財政計画を示されるのが当たり前ですよ。ところが、それをやると死んでしまうからやらぬというのでしょう。人をふやせばいいでしょう。人をふやすといっても、五人ぐらいふえたらいいでしょう。あるときになると、五人じゃいかぬ、十人だという。五人が十人でしょうが、それは五十人ふえなければいかぬということはないですよ。法律に基づく地方団体がやるべき仕事をきちんと指導すればできるわけですから、それでやるべきではないかと思います。異議ありですか。
  216. 津田正

    津田政府委員 地方財政計画についての県、市町村の御意見、かねがね拝聴しておるわけでございますが、時間的、体力的と申しますか、例年でございますと大体予算が決まってから一月末ぐらいに財政計画を予算委員会審議に出すということでございます。その場合、これは単に私どもだけではございませんで、各省の補助金負担金を県と市町村にどう分けるのだということをやりませんと、実は県、市町村の財政計画ができないわけでございます。正直言って、各省の予算関係課もくたびれ果てているわけでございます。私どもだけではございませんで、総額がやっと決まった、それを整理して分厚い予算表にする、それをさらに県、市町村にどう分けるんだということをあの段階で各省に要請するということも私ども実はできないわけでございまして、その意味でなかなか難しいかと思います。  ただ、先生も御承知のとおり、財政課長内簡とかそういうような指導文書におきましては、ある程度のめど、特に交付税の需要額の県、市町村別の伸びだとか、投資的経費の場合には事業費補正分はカウントしないでこのぐらい伸びるとか、そういう各団体の予算編成に役立つようななるべくの資料は私ども努力してまいりたいかと存じますが、何分にも、地方財政計画あるいは地方交付税法、法律で定められたものにつきまして、先生御要望のような的確なものをあの期間にやるというのは到底難しいのではないか。今後とも私どもとしては努力なり工夫もいたしてまいりたいと思いますが、実は私どもだけではなくて各省全般に絡む問題がございますことも御理解賜りたいと思います。
  217. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は、地方財政計画は県と市町村は構造が違うんだから分けなさいということをかつて何遍もこの席で主張したことがあります。しかし、大都市と都市と町村とやらぬと、もうこれは困る困らぬの問題じゃないのですから。その地方がもらえるかもらえないのか。人口についての急減急増補正、こういうものが的確じゃないので、寝屋川のように、ほかにも原因があるかどうか知りませんけれども大赤字になっているわけですから。その団体の財政の問題ですよ。赤字になるのか、仕業ができるかできないかという問題ですから、ぜひこれはやっていただかなければならぬのじゃないか。やるにしても十分な準備と研究が必要でありますから、準備と研究をおやりになったらいかがかということをしみじみ思います。大臣、いかがですか。
  218. 坂野重信

    坂野国務大臣 さっき申し上げましたように、ひとつ事務当局の方で勉強させていただきます。時期的な問題、また作業面、難しい面はいろいろあると思いますけれども、勉強はさせていただきます。また、その間に先生にもいろいろ教えていただきたいと思います。
  219. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、事務当局を信用しているから結構な話なのですが、事務当局に任して、おれは言葉だけ言っておくというのではだめですよ。みずからがリーダーシップをとってやる以外にはだめじゃないか。しかも、話はもとへ戻りますけれども地方財政計画なんていうのは最初から県と市町村を分けておったのですよ。そして県の財政課長などを呼んでやるときは、県の財政規模はこういうことですよ、構造はこうなりますよ、地方はこうなりますよといって予算も編成しておった。昭和三十八年まで続いておったのです。三十八年が終わって三十九年からぷっつりなくなってしまった。そして、できません、やらしたら死んでしまいますと言うのですよ。おかしいでしょう。昔やっておったのができないはずはないでしょう。そう思います。大臣はその辺の事情を御存じないかもしれませんけれども、そうなのです。ですから、大臣がそれがいいんだ、ひとつ検討してみようということでリーダーシップをとっていただくことが必要ではないかと思います。いかがですか。
  220. 坂野重信

    坂野国務大臣 さっきも申し上げましたように、勉強させていただきますし、事務当局からもまた詳しくお話を聞いて勉強してみたいと思います。
  221. 細谷治嘉

    ○細谷委員 財政局長お願いしますが、私も運よくか悪いのか知りませんけれども、若干暇があったものですから、今までの数字を分析したのです。分析したらば、ここが問題だ、ここが問題だと、問題がたくさん出てきました。そういう資料を一切上げますから、ひとつ検討してくれませんか。遠藤さん笑いごとじゃないんだ。そういうことですよ。黒沢さんは交付税育ちだから、遠藤さんもそうか、その辺ひとつ検討してください。  ちょっと時間が予定より十五分ばかりありますけれども、切りのいいところで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  222. 小澤潔

    小澤委員長 岡田正勝君。
  223. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大臣、大変時節おくれのようでございますが、お目にかかる機会がなかったので、改めておめでたを申し上げます。さぞかし大臣の実力とクリーン度を買われて再任されたのだろうと思うのですが、新任のときの喜びもさることながら、続いて留任ということもまた一味違った喜びに包まれておると思いますが、御感想はいかがですか。
  224. 坂野重信

    坂野国務大臣 恐縮でございます。先生からお祝いの言葉をいただいて本当に恐縮しております。  竹下内閣のもとで大過なく過ごしてきたつもりでございますが、また再任の機会を得ましたので、先生方の御指導をいただいて一生懸命やりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
  225. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 冒頭に大臣に決意をお聞きしておきたいと思うのでありますが、先般、所信表明をされましたね。この中の冒頭——冒頭といっても二ページの初めなのですが、そこで大臣は非常に力強いことを言っていらっしゃいます。「私は、二十一世紀に向け時代にふさわしい地方自治の確立のため、最大限の努力を払ってまいる所存であります。」まことに響きのいい言葉でございますが、一体このことで、時間がありませんから詳細はこれを見てくれと言われたら味もすっぽもないのですが、そうではなくて、その決意表明をしていらっしゃいます基本的なものは何であるかということを二、三点挙げていただけるとありがたいと思います。
  226. 坂野重信

    坂野国務大臣 やはり地方財政の確立といいますか、いろいろなことがございました。補助率問題でも皆さんに満足いただける十分なところまでいきませんでした。しかし、今後の問題として地方財政の確立ということは、まことに重要な問題でございます。特に、私自身は財政の逼迫した県の出身でもございます。やはり地方の相互の財政力のアンバランスということがございますし、それから先ほどからいろいろなお話も出ている東京都その他の富裕県とのアンバランス、そういう問題、それから国と地方との分担の問題をどうするか。先ほどからいろいろな話が出ておりますように、行革審の答申が出てまいりますと、これは年末ごろになろうかと思いますけれども、それを受けて地方の権限移譲問題、それからそういうような問題も出てくるわけでございます。そういう問題が、私としても自治省としても本当に取り組まなければならない一番大事な問題だと思っておる次第でございます。  それから具体的な問題として、私も再任の際に総理から言われましたのは、例のふるさと創生問題でございます。言葉はそのまま継承する、しないは別として、この多極分散という方向で各地方の本当に豊かな地域社会をつくっていくにはどうあるべきか、これは地方の問題でございますから、各省庁にまたがる問題とはいいながら、自治省がどうしても中心的な役割を果たしていかなければならぬということでございますので、そういうようなことを踏まえて、これからひとつ頑張ってまいりたいと思う次第でございます。
  227. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 さすがは留任された大臣だけありますね。重要なポイントは一つも逃さぬように、すべておっしゃいました。本当に敬服しました。このことをつないで、あさってまた質問を続いてやらせていただきます。  それでは、きょう、実は大蔵省、建設省、経済企画庁においでをいただいておるはずでありますが、おいでになっていますか。来ておられますか。
  228. 小澤潔

    小澤委員長 大蔵省。
  229. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それから建設省と経済企画庁、いらっしゃいますね。どうぞこちらへ。そういうのを端近という。どうぞ中央へ。  それではせっかくおいでいただいていますから、できるだけ早く質問を済ませてお引き取りをいただくようにいたしたいと思います。  まず第一にお尋ねをいたしたいことは、何といっても消費税の問題であります。消費税に関する地方団体への苦情、問い合わせ、これについて自治省はどのような対応をしていらっしゃるでしょうか。
  230. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 税制改革が、昨年法律が成立して以来、ことし早々でございますが内閣に新税制の実施円滑化推進本部という本部ができまして、内閣総理大臣が本部長で自治大臣もその副本部長ということで参画していただいて、新税制の円滑な推進のためのいろいろな諸方策を各省の分野で努力をするということにしているわけでございます。  自治省といたしましては、税制改革法にもございますように、新税制の円滑化のための環境整備を国と一緒に行うべきだという規定もございますし、早速都道府県に対しましてこういう推進本部ができたということ、あるいは新税制のいろいろな問題点について相談があった場合にそれに適切に応じていただくようにという文書も差し上げましたし、また、都道府県の総務部長会議、財政課長会議地方課長会議、税務課長会議というような私どもで所管をいたしております都道府県の関係の諸会議でこの点につきまして何度も御指導申し上げ、そういう相談の窓口も開設していただくようにということでずっとお願いをしているところでございます。
  231. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 環境整備のために地方の方に対しても何度もこの問題、いわゆる円滑化に努力するよう指導をしておるところである、こういうことでございますが、さて、市町村の窓口には消費税の苦情や問い合わせの相談体制というものがあるのでありましょうか。
  232. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 私どもは直接市町村に御指導しているわけではございませんが、都道府県を通しまして、管下の市町村に対しましても同様に相談の窓口をつくっていただいて住民の御相談には乗っていただきたいということをお願いしているところでございます。  悉皆調査ではございませんけれども、幾つかの市町村状況を聞いてみますと、そういう窓口をできるだけつくっている、ただ、いろいろな専門的な、例えば消費税の具体的な詳細な部分につきましては、税務署と連携をしながら御相談に応ずるというようなことで対応しているという話を聞いているところでございます。
  233. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 まず都道府県については窓口は一〇〇%あるものと推測をいたしますが、市町村については一〇〇%ありますかね。何割ぐらいですか。それはつかんでいますか。
  234. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 悉皆で調査をいたしておりませんので何パーセントということは申し上げられませんが、幾つかの市町村を抽出でちょっと照会したところによりますと、何らかの形で住民の方々の御相談に応じられるような体制をとっているという御返事はいただいているところでございます。
  235. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 経企庁の方にお尋ねをいたしますが、便乗値上げというのは国民にとりましてはとてもたまらぬ問題なんですよ。この問題につきまして、便乗値上げの監視体制といいますか、そういう関係市町村の隅々に至るまで行き届いておるのかどうか非常に心配をするところでありますが、今どういうような監視体制が組まれておるのかお教えいただきたいと思います。
  236. 井坂武彦

    ○井坂説明員 お答えいたします。  私どもの企画庁といいますか国のレベルでは、先生御案内のとおり物価ダイヤルというのがございまして、そこで便乗値上げその他消費税についてのいろいろな御意見、苦情等を受け付けておりまして、それらについて、特に便乗値上げというふうな疑いのあるようなものにつきましては、いろいろな業界を所管しておられる各省庁にその情報を適宜連絡いたしまして、各省庁から組合等を通じて指導をしていただいておりまして、それが全国に行き渡るというふうにやっていただいておるわけでございます。  それから、地方のレベルにおきましても、私どもとしては物価ダイヤルと同じようなものを、ぜひともそういう専用の窓口といいますか電話といいますか、そういうものをおつけいただきたいということを全国の生活、物価担当の部長会議でありますとか課長会議の場で御要請をいたしまして、今まで私どもが承知しております限りでは、都道府県レベルでは全部、それから政令指定都市でも全部そういうものを設けていただいておりまして、それからそのほかの市町村等でも適宜、先ほど税務局長の方から御答弁がございましたように県と連携をとりながら同じような体制をとっていただいているものというふうに承知しておるわけでございます。  それで、そういうところに、私どもの方の物価ダイヤルと同じように苦情が寄せられますと、その電話を受けまして、国でいえば各省庁に当たるような県のそれぞれの事業所管部局といいますか、そういうところから指導していただいたり、それでできないものにつきましては国の出先のブロックの機関、通産局とかいろいろなものがございますので、そこから指導していただいたり、さらにはそこでも対応ができないというものは私どもの方に連絡がございますので、物価ダイヤルで受けたものと同じようなルートで各省庁にお願いをしておる、こういうことをやっておるわけでございます。  そのほかでは、物価モニターでありますとか、あるいは県とか政令指定都市を通じます物価安定対策事業ということで調査、監視ということに遺憾なきを期しておりまして、できる限りといいますか、私どもとしては十分の対応体制をしいておるものというふうに考えております。
  237. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これはちょっと余分なことになってお答えができないのかもわかりませんが、今のように苦情をダイヤルで受け付けていく、都道府県も協力をしてくれる、そうやって皆さんが苦情を寄せてもらった。今度はそれに対しての対応は、これは確実に便乗値上げであるから直せというのと、どうも臭いから注意だというのと、新聞にもいろいろよく報道をされておりますね。ここで確実に便乗値上げであったというもの、真っ黒けのが何件くらいあったものか。それから、これは疑わしいよ、もう一遍考え直したらどうだという注意を与えた灰色のものが何件くらいあったものか。そういう苦情が、あるいはそういう連絡が電話であったけれども調べてみたら真っ白けであった、そういうものが何件くらいあったものか。そういうものはおわかりになりませんか。
  238. 井坂武彦

    ○井坂説明員 大変難しいお尋ねでございまして、便乗値上げといいますのも、消費税を奇貨として、口実に、三%を超えてかなり大幅に上げるというものでございますけれども、それぞれ物の値段は一応自由経済のもとではいろいろな理屈等もっけられるものでございますので、そういった便乗値上げ的な動きが波及していかないようにという一種の牽制効果といいますか、そういうものが最も大事なものだというふうに私ども思っておりまして、これを、幾らを幾らにしなさいと言うことは行政としては限界もございますものですから、その辺ムードづくりといいますか、牽制効果をねらいながら指導といったことをやらさしていただいているということでございます。
  239. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それじゃまた自治省の方にお尋ねをいたしますが、都道府県あるいは主要な市町村においてはそういう相談窓口を設けてあるということでありますが、指導はしておるんですか、相談を受けるだけで指導はしてないんですか。
  240. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 自治省の立場から申しますと、税制改正の内容につきまして御理解いただくように税務担当者などに対しましては説明をしているわけでございます。そういう意味の指導はしているわけでございますが、ただいま御指摘のような、例えば便乗値上げの問題でございますとかそういう問題は自治省所管というわけではございませんので、それはやはり所管の官庁で都道府県なり市町村に御指導していただくという形になっているわけでございます。
  241. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 では建設省にお尋ねをいたしますが、公共事業をどんどんやっていますよね。それで、その公共事業に関しまして、私どもがこの税金の問題を論議をいたしますときに、下請の業者の諸君にしわ寄せが行ってしまうのではないかということを非常に心配をしておりましたが、それに対してはどのような対応をしていらっしゃいますか。
  242. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 まず第一点でございますが、発注する際に発注価格に消費税分を適正に考慮して定める必要がございますので、私どもの直轄工事を行います場合に、予定価格を決定する場合に本来の価格に百三分の百を掛けた価格で予定価格を算定いたしまして、入札も、本来業者がこれと思う価格に百三分の百を掛けた価格で入札をする。落札者が決定した後消費税分を上乗せして発注する、まずもとのところはそういうことにいたしております。  それから次に、発注はそういう格好でいたすわけでございますが、発注いたした後、元請業者と下請業者との関係でございますけれども、これにつきましては、二月八日付で私どもの局長名で各業界団体に対しまして、元請業者と下請業者との間で、いやしくも自己の地位を不当に利用して転嫁を適正に行わないというようなことがあってはならない、適正にやるようにという指導をしておりますし、また口頭でも、業界団体等の会合においても繰り返しそういった指導をしておるところでございます。
  243. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 確認をいたしますが、入札をするのは全く工事費だけ、税金は抜いた価格でする、それから後いわゆる消費税分をつけ加えて発注をする、こういう形になっておる、こういうことでしたね。  そこで今度は、今元請業者に対しても指導していらっしゃるそうでありますが、その元請業者から下の請負ですね、孫請負というのですか、そういうところへ発注をしていくのにその消費税を払わなければいけませんね、この下請が。そういうものが全部押さえつけられてしまうというようなことは、指導はなさっていらっしゃいますけれども、今のところ一件もそういう苦情は上がってきませんか。
  244. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 実は、私どもの課、それから財団法人の建設業振興基金というのがございます。これは建設業振興のための財団でございます。それから公共事業の前払い保証業務をやっている、これは民間の株式会社でございますけれども、東日本、西日本、北海道と三社そういった会社がございます。私どもの課、振興基金、保証会社三社にそれぞれ相談窓口を設けております。  四月、五月分を合計いたしますと、今申し上げました五つのところで三百件余りの相談がございます。その相談のほとんどは、制度がどうなっておるかということでございます。おっしゃいますように元下関係の苦情のケースもあることはございますが、件数は比較的少ない状況でございます。しかも、件数も少ない上に、実名でだれがそういうことをやっているのかということを教えてもらえないケースがほとんどでございますが、一件だけ、東京都の許可業者でございますが、文書で消費税額分の減額を下請に対して要請をしているというケースがございました。これにつきましては、建設業の許可を実際にいたしました東京都を通じまして当該文書の撤回の指導をしたところでございます。
  245. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 よくわかりました。表向きは全くそうだろうと思います。実際には、元請の方から無理を言われて、実は消費税分だけおまえのところ泣けと言われて困っておりますというような人は恐らくおらぬと思うのですね。東京都でそういうのが一件出たというのは本当に珍しい。ほう、よく出たな、そんなものがと思うのでありますが、実際はそれは裏向けにしたら全部そうではないか。というのは、下請というのは元請に対しては御存じのとおり物すごく惨めな立場にありまして、御機嫌を損じたらもうそれっきりでありまして、縁が切れるのであります。何もおまえのところに頼む必要はないよ、ほかにいっぱいおるよと言われたら、それっきりなんですよ。そういうことは建設関係だけではありません。もう通産関係もほとんどが皆そういう状況になって、この税金の一番私どもが心配しておりますことは、弱い者へとしわ寄せが行ってしまう、それが一番怖いのです。それでそういうことが建設業界で行われて、その下請の業者の人がただ泣くだけならいいとは言われませんよ。いいとは言われませんが、お気の毒ですねということになるのですが、問題は国民の税金を使って行う公共事業に、それがためにいやしくも手抜きができたりあるいは工事に遺漏があったりというようなことがあったら、迷惑を受けるのは国民なんですよ。それが怖いのです。だから何ぼ無理を言われても、はいはいと言ってそれは歯を食いしばってもやるでしょう。やるでしょうけれども、工事の質が下がるか下がらぬかということについては保証の限りでないのですよ。  実は私も土木の出身でございまして、若いときに工事現場の監督によく行ったものでありますが、そういうときに、例えば一つの例ですが、コンクリートの配合を、私の若いときのことですから今のような何キログラム、何キログラムであらわすのではなくて、セメント、砂、砂利の割合を例えば一対二対四とか、あるいは一対一・五対三とか、そういう割合を仕様書の中にあらわして発注をしておりますね。ところがなかなか監督というのはっけないですよ、そんなに数がたくさんおるわけではありませんからつ工事現場がたくさんありますと監督には行けない。それで現在建設省なんかでやっておる工事に朝から晩まで監督が全部ついておるというところは一〇〇%なのかどうか。朝から晩までですよ、ういているかどうか。これは恐らく私はそんなことはしていないと思う。何カ所かの工事現場を受け持って、ちょいちょいと顔を出して歩く。うん、元気か、しっかりやれというぐらいのことだろうと思うのです。  私の場合には、たまたまその工事だけしか出ていなかったものですから、大きな工事でありましたが、私はそこへ専属でついたことがある。そうしたら、私は監督ですよ、監督がそのそばへ立っておるのに、その監督の目の前でコンクリートの配合を平気でごまかす。平気でちょろまかしてしまう。それで私の方が、これはおかしいではないか。目で見てわかるほど配合が違うのですね。数を勘定してもわかる。だから袋の数を勘定してもわかる。出てきたものは全く違う。それでこれはおかしいというので、こんなものは受け取れぬ。何ぼ言っても聞かないものですから、私は、せっかく打った、幅が約二十メーターぐらいで長さが百メーターぐらい打ち込んでしまったコンクリートを、もう受け取られぬように私がスコップを持って、うがして歩いたのですよ。うがすといっても全部うがせませんが、傷をつけて歩いたのですね。  そうしたら私に対しましてどういう行動に出たかといいますと、あたりにだれもおらぬですから、今度は私に対して、てんびん棒やらつるはしやらスコップやら金てこやら、そんなものがびゅんびゅん飛んでくるんですよ。それで、私が当たって死んでおったら、どこかへ埋められておしまいでしょう、コンクリートの中へ。そういう命がけの仕事をやったことがある。それで、自慢をするわけじゃありませんが、私はそれほど厳しくやったものですから鬼監督というあだ名がついてしまって、文字どおり今でも営業をやっておりますから名前を言いませんよ、天下の有名な建設会社でありますが、私の会社からは締め出しました。もう指名を解除しまして、その日限り現場から撤退させました。そんな荒治療をやったけれども、まさに命がけでしたね。それと同じようなことが、監督の目が行き渡らないのが今日の状況ですよ、市町村でも県でも国でも。  それで、そういうときに抑えられて抑えられて、下請から下請へ下請へとひ孫のところまで落ちていったら、それはどこへ行くかといったら、損をしてまではやりませんから、結局は手を抜くのではないか。それは結局発見されたときは壊れたとき、あるいはひびが入ったときでないとわからぬわけです。そういう状況になってしまったら恐ろしいことになるなという気が私はいたしますので、下請の皆さんに対する保護、税金をかぶせられてしまう、自分に皆持たせられてしまう、そういう哀れな立場からそれを救ってやる具体的な方法はないのか。ただ文書で、元請さんへ、いじめたらいけないよというぐらいのことではなくて、何かもっと具体的な方法を立てていらっしゃるのではないか。立てていないとするならば、これから立てる必要はありませんかということ、これは市町村、県、国を通じて全部共通の問題です。お答えください、大元締めとして。
  246. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 先生がおっしゃいますように、砕設生産を行います場合、元請と下請が仕事をするという構造にあるわけでございまして、ややもすれば、元請が力が強い、下請が弱いということであろうかと思います。ただ最近の、ここしばらくの状況は、先生御承知のように人手不足ということがございまして、元請と下請との力関係というものはここ最近かなり変化しておるようでございます。したがいまして、それは下請が元請の言うことは何でも聞くというような状況では現在は必ずしもないと思いますが、先生が御指摘のような点も確かにあることはあると思います。  私ども考えておりますのは、元請と下請との関係もさることながら、建設業の場合には、特に民間工事の場合には、ちゃんと三%の税金をいただけるかどうかということも業界も私どももかなり心配しておりまして、それはそれで別途手を打っておるわけでございますが、公共工事につきましては、先ほど申し上げました建設省の直轄工事につきましては、先ほど申し上げたような格好でやらせていただいております。それから、都道府県あるいは市町村の工事についても、そういう御指導をいただいているというふうに承知いたしております。  したがいまして、出る方でまずしっかり税金の分を確保するということをやりたい。その後は、先ほど申し上げましたような業界団体に対する、元請団体あるいは下請の団体双方に対する指導を徹底する。それから、相談窓口を設けておりますので、そういったことを通じまして個々具体に私どももできるだけ目を光らすといいますか注意を十分払いながら、そういったことによって先生がおっしゃいますような事態が起こらないように全力を挙げてまいりたいというふうに思っております。
  247. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これは無理な注文をするなと言われるかもわかりませんが、もしそういうようなことがあったら、税金の関係で下請を泣かすようなことがあった場合は、その発注をした元請業者は建設業者としての登録を取り消すとか、あるいは何カ年間か停止させるというような厳しい通達をしないと、ただ単に税金分を下請にしわ寄せしてはいけませんよ、弱い者をいじめなさんなよというだけの注意では、そんなものは蚊がかんだほどにも思わぬと思うのですね。それで言っていってもどうせ取り上げてくれやせぬ。それからまた言っていくといっても実名でなければいかぬ、こうなるのですから、そうなると実名を挙げて実は私が言っていったのですと言ったら、あしたから飯の食い上げですから、これはとてもよう言っていきません。  だから、そういうことが判明した場合、例えば実名入りの投書なんかで明確にこれはやっておるということが調査の上わかった場合は、断固として登録は取り消すというくらいの強い姿勢を持たないと、なかなかこの規律は保てぬのじゃないかな。結局は弱い者が泣き寝入りするんじゃないかなと思うのですが、どんなものでしょう。
  248. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 先生がおっしゃるようなこともございましょうかと思いますが、私ども大臣の許可しております業者、それから都道府県知事が許可しております業者両方ございますけれども、私どもあるいは都道府県の方の建設担当部局とも十分相談しながら、先生がおっしゃいますようなことが起こらないようにできるだけのことをしてまいりたいと思っております。
  249. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。  それじゃ自治省の方にお尋ねしますが、各地方公共団体の公共料金に対する消費税の転嫁の状況はまちまちになっております。これに対して今後どのような対応をなさいますか。
  250. 津田正

    津田政府委員 公共料金におきます地方団体の転嫁状況でございますが、四月一日現在で押さえたところによりますと、都道府県、指定都市の使用料、公営企業料金等への消費税の転嫁の状況は、普通会計分で五十八団体中、一部実施のものを含めて四十二団体。公営企業については上水道事業、典型的な上水事業ですと三十七団体が上水道事業を経営しておるわけですが、そのうち三十団体。工業用水道事業では四十八団体中四十四団体市町村につきましては、都道府県を通じて把握したものでございますが、一部実施も含めまして普通会計で約七割、公営企業の水道料金は約八割、下水道事業では約七割、病院事業では約八割、こういうような改定状況でございます。まだ一〇〇%というわけにはいきません。この問題はまさしく住民負担の問題にもかかわるわけでございまして、議会の審議等を経て、現段階ではこういう状況になっておるわけでございます。  この数字自体の評価としては、私ども正直申しまして、十二月に法案が成立いたしまして各団体、予算編成なり条例改正というような非常に切迫した中で対処したものでございまして、地方団体努力していただけたもの、かように考えております。しかし、まだ残っております団体につきましては、住民負担の公平等の観点、そして消費税というものが円滑に定着するように、民間の事業者自体も先ほど来お話がございますように御苦労されておる中で、地方団体として安穏に対応するのはおかしいのではないか、やはりその点の趣旨というものは十分理解していただきまして、今後とも実施が円滑化されるよう私ども指導してまいりたい、かように考えております。
  251. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これは大蔵省と自治省と両方にお尋ねをいたしますが、静岡大学の税制研究者グループが試算をしていらっしゃいます。御存じのことだと思いますが、消費税導入に伴う家計消費負担増の都市別ランキングを見てみますと、消費税が家計に与える負担というものは概して地方都市で高く大都市で低くなっている。その原因は何かといえば、消費構造の差異がある。第二の原因は公共料金の値下げ率の違いがある。それから第三点の原因は公共料金の転嫁の状況がある。こういうものを挙げているのであります。また公共料金への消費税の転嫁においても、結果的には、まとめていいますと財政状況に恵まれた都市には有利となっております。したがって、今回の消費税の導入によりまして大都市と地方住民生活格差をさらに拡大することになる。経済にできるだけ中立な税制が望まれるが、この格差を是正すべきではないかという意見があります。これに対しまして、大蔵省の方でどのようにお考えになりますか。
  252. 尾原榮夫

    ○尾原説明員 静岡大学の試算につきましては、どういう前提で試算をしたか、どういう方法かというのがちょっとわかりませんのでなかなかコメントが難しいのでございますが、今先生の方からお話がございました三つの理由を説明に挙げておるようでございます。  そのうち公共料金の値下げの話は、実はそもそもその地域の電力会社がどれだけの円高差益の還元ができたかというような状況にもよりますし、また地方公共団体の公共料金の問題につきましては、その試算の前提となったときの転嫁に対する態度の問題かと思いますので、この二つの要因はどうも税制改革とは余り関係ないのじゃないかと思うわけです。したがいまして、この要因を除けばあるいは結論も変わったものが出てくる可能性があるのかなと思っております。  なお、今回の消費税導入に伴いまして物品税などの個別間接税が廃止になりましたので、その限りでは消費の内容が異なってまいりますと税負担の変化も異なってくるということは事実だと思います。ただ、今までの個別間接税制度のもとでは、どんなものを買うか、どのような消費をするかということで税負担にアンバランスがあったわけでございまして、これがまさに中立性を阻害していたわけでございます。したがいまして、今回の消費税の導入並びに物品税等の廃止を行ったといいますのは、まさに消費内容によって税負担が変わらないようにという、中立性を目的としたものであるわけでございますから、今回の税制改革と大都市と地方都市の生活格差というふうに結びつけて議論するというのはいかがかなと思っておるところでございます。
  253. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 まあその程度だろうと思います。  そこで自治省の方にお尋ねします。今の程度のお話にしかならぬかもわかりませんが、それで本現実には明らかに大都市に住む者と地方都市に住む者とのいわゆる格差というものは当然出てきておるわけでありまして、こういう問題について地方交付税の上で何かあらわしておるものがありますか。全然考慮されておりませんか。
  254. 津田正

    津田政府委員 お話が地方団体負担というよりも住民負担という観点でございまして、ちょっと私の答弁もピント外れかと思いますが、やはり大都市、都市化したところの地方団体の悩みというのは清掃等でございます。ですから、そこいらの清掃費の需要をどのように算定するか、ここらが難しいところだと思います。私どもとしては、実態になるべく沿うよう、実態を把握しながら的確な算定等をやってまいりたいと思います。
  255. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  シャウプ勧告は、地方自治の発展のために市町村自主財源強化ということを述べているわけでありますが、大臣は国と地方財源のあり方についてどのようにお考えになっていますか。
  256. 坂野重信

    坂野国務大臣 先ほどからいろいろお話ししておりますように、地方活性化と国土の均衡ある発展を図るには、国と地方との事務の再配分あるいは地方の権限移譲ということをさらに進める必要があります。それとあわせて、税制の面では地方税地方交付税地方一般財源充実確保に努めていくということに尽きるんじゃないかと思います。
  257. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、今の質問にダブるような感じになるかと思いますが、大臣は国と地方との関係について基本的にどのようにお考えになっていらっしゃるか、お聞かせください。
  258. 坂野重信

    坂野国務大臣 住民に身近な事務といいますか、そういうものはその地元の地方で処理できるようにできるだけ権限を移譲していく。それから、国全体として考えなければならぬ問題がありますから、そういうものについてはやはり中央の方が主体となって権限を持ってやっていく。そういうぐあいに仕分げをしながら考えていくべきじゃないかと思っておるわけでございます。しかし、そういう中で国は国、地方地方でできるだけ整理合理化というものはそれぞれの立場でやつていかなきゃならぬと思っております。いずれにしても、先ほどから申し上げておるように、行革審の方でいろいろ検討されているわけでございますから、その辺の状況の進展と対応しながら自治省としても努力していきたいと思っておるわけでございます。
  259. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは最後に、先ほどの質問に関連するのでありますが、既にお手元に私の資料をお渡ししております。肉西学院大学の橋本先生の試算でありますが、そのことについてお尋ねをします。  今回の税制改革によりまして住民税の税率構造がフラット化されたため、都市と地方の税収格差はますます拡大していくのではないかという心配があるのでありますが、これについて自治省はどのようにお考えになりますか。
  260. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 住民税の減税を行う場合、通常はいわゆる三控除と申しますか各種控除を引き上げるというやり方と、それから税率を変更していくという二つのやり方があろうかと思います。今回の税制改革は、この二つを併用いたしまして、各種の控除を引き上げるとともに税率もなだらかにしていくという二つの方法をとったわけでございます。その場合、一般的に言われておりますのは、その諸控除を引き上げるということはこれは各団体全部に共通の問題になるわけでございます。しかしながら、税率をフラット化するということは、所得の多い方々がたくさん住んでいるところに減収が大きく響いてくるということになるわけですから、税率のフラット化だけを考えますと、むしろ都市の方の税収の減少の方が大きくなるはずでございます。  今回の税制改革の場合の減税は、先ほど申しましたように二つを組み合わせておりますから、その二つの組み合わせによっては、低所得者あるいは中所得者に対して減税を厚くするという措置を今回もとっておるわけでございますので、低所得者あるいは中所得者の比率の高い地域におきましては、減収の影響が大きく出るという可能性も否定できないのじゃないかと考えられるわけでございます。そういう意味で、今回の税制改革でそれぞれの市町村の所得の分布の状況によりましての影響が、その二つが微妙に絡み合いまして出てくるのではないかと考えるわけでございます。
  261. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。残りは明後日質問を続行さしていただきます。
  262. 小澤潔

  263. 経塚幸夫

    経塚委員 最初に、今大変問題になっております政治資金の問題についてお尋ねをしたいと思っております。  これは読売の五月三日の世論調査によりますと、政治に対する満足度が、五年前と比較をいたしますと、満足が一四・四%、不満グループが八三%だ。去年の十月と比較をしましても、満足度は三〇%落ち込んでいる。不満グループが三〇%ふえておる。これはリクルートの問題、消費税の問題、こういうことが重なり合って政治不信の原因になっておると考えられるわけでありますが、特に政治不信の解消のかなめは政治資金をどう取り扱うのか、これは私は避けて通れない問題だと考えております。世論調査のリポートの三月号を見ましても、規制は強化すべきだというのが約七〇%、自民党支持者の中からも六五%がこういう意見を出しております。  そこで、最初に企業献金と団体献金についてお伺いをしたいわけでありますが、自治省からの報告によりますと、大臣所管分の六十二年の収支報、告では、六十一年と比較をいたしますと、六十二年は企業が四三・八から四八・七%、個人が一四・三から一三・七、つまり企業がふえて個人の比率が減っておる、こういう統計が出ております。同じ読売の調査でも、企業献金、団体の献金は禁止すべきだ、こういう回答が五八・六%で、労務とかサービス関係者の回答は六三%、自民党の支持者の中からも五三%、半数以上がこれは禁止すべきだ、こういう回答が出ております。  そこでお尋ねをしたいわけでありますが、五十年七月の改正の附則八条で「この法律の施行後五年を経過した場合においては、新法の施行状況を勘案し、政治資金の個人による拠出を一層強化するための方途」云々とあります。このときに石破国務大臣が「五十六年一月一日で満五年たっわけでありますから、附則の規定によりまして政府は当然見直しの責任がございます。何とかして来るべき通常国会におきまして御審議を煩わし得るように最善の努力を払いたい、」と存じます。これは五十五年十月二十九日の公選特の委員会大臣はこういう回答をされているわけなんですよ。来るべき通常国会で法案を出すべく準備をするんだ、こういう答弁をされているわけです。さらに同じ委員会でまた別の委員の質問に対しましても「各方面の御意見を十分拝聴して適切な案を立ててまいりたい、」これは五十五年ですから、もう既に九年たつわけでありますが、この大臣の答弁を受けて、自治省は次の通常国会に法案を提出すべく準備をされた経緯があったのかどうなのか、この点をひとつお尋ねしたいと思います。
  264. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 昭和五十年の政治資金規正法の改正法の附則に今御指摘になりましたような見直し条項というものがあるわけでございます。私どもも事務的には以前からいろいろと勉強はしてきておるわけでございます。政治資金の収支報告が毎年出てまいりますから、その内容をいろいろな角度から分析をしてみる、あるいは外国の制度などについても勉強はする、いろいろ事務的に検討はやってまいりましたが、国会に提案をしようというような成案を得るというところまではいっておらなかったということでございます。
  265. 経塚幸夫

    経塚委員 来るべき通常国会に出すというところまで言っておるわけですから、私は大臣が事務当局との打ち合わせなしにそこまでの踏み込んだ答弁をなさるはずはない、こう判断をしておるわけですよ。事務当局との相談なしに大臣が勝手なことを言うたのか、いや、事務当局と相談はして、ある程度まで準備は進んでおったのか、ここが決め手になるのです。九年たっておるわけですから。  では、なぜ成案に至らなかったのか、その最大の原因は一体何なんですか。
  266. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 そういうことで、事務的にはいろいろと勉強もしたわけでございますが、何といいましても政治資金の問題というのは、一つは選挙制度というものと深いかかわり合いがあるわけでございます。それからまた、政党のよって立つ財政基盤、こういうものはやはりそれぞれの党によってもいろいろあるわけでございます。そういうような状況もございますので、なかなか単に事務的に検討するだけで案をまとめるというわけにもまいりませんものですから、各党の御論議なども十分拝聴してということで今日までまいっておるということでございます。
  267. 経塚幸夫

    経塚委員 どうも納得がいきませんな。選挙制度との絡みがあるからという答弁はどこにもないのですよ。附則八条に基づいて個人献金に移行していく、このことについての法案を準備する、こういつて答弁をされているわけですからね。これは今日、リクルート事件というような全く国民の政治不信を招く主要な原因が、この八条に基づいて早期に企業からの献金を禁止するというような措置を思い切って自治省の側がとっておれば、今日のような不測の事態に至らなかったということさえ考えられるわけですよ。そういう点からいきますと、これは自治省の態度は極めて怠慢だと言わざるを得ないと思うのです。・これは四十七年九月の日通事件の東京地裁判決でありますけれども、「政治家を金銭によって利用しようとする財界との結びつきについては、この風潮が浄化されない限り、黒い霧事件は根絶されない。」これはもうきっぱりと日通事件でそういう判決を下しておるわけでしょう。これをなぜやらないのか、我々は不思議でならないわけであります。これは速やかに附則八条に基づいて法案の準備、つまり企業献金から個人の献金へ移行するという法案の準備にかかるべきだ、こういうことをまず申し上げておきたいと思います。  それから、次の問題でありますが、これは政治団体の数の問題であります。これは十年間、五十一年と六十年を比較いたしますと大体どうなっておりますか。
  268. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 自治大臣所管分で政治団体数を比較いたしますと、昭和五十一年が千九百五十五でございます。それから一番新しいところということで、昭和六十二年は四千七百五十三、こういうことになっております。
  269. 経塚幸夫

    経塚委員 これは十年ぐらいの間に随分ふえておりますね。  これは一般新聞の報道によりますと、安倍氏の場合は、晋太郎会などが七つで同一住所で同一代表者。支出の欄では光熱費だとかそういう活動費的なものは何もない、全くの政治献金受け入れのペーパー団体にすぎないというようなことも言われておるわけでありますが、これは小口に分散できる、それから氏名を隠すことができる。  これはどうなんですか。政治資金規正法の本来の目的は、政治活動の公明と公正、これが政治資金規正法の目的でしょう。そして公明、公正にこの政治資金規正法の目的に従って収支の報告が行われ、そして公明、公正に行われたこの収支の報告に従って有権者がみずからの判断の基準にする、これが政治資金規正法の本来の目的なんでしょう。そういうことから見ると、団体は同じ場所で同じ代表者で、それで単なる献金の受け入れ団体にしかすぎない。こんなもの何ぼつくってもええ、そうでしょう。百つくっても二百つくってもよろしおまんのやろ、同じ場所で同じ代表者で。そうと違いますのか。
  270. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 政治団体とはどういう存在かということでございますけれども、これは特別、政党法のような法律があるわけでもございません。それ自体が一定の政治的目的を持って団体として存在すれば、それが政治団体になるわけでございます。ですから、そういう目的を持って必要に応じておつくりになれば、それは政治資金を扱う関係上届け出をしていただく、こういうことになっております。
  271. 経塚幸夫

    経塚委員 いや私は、同じ場所で同じ代表者で幾らでもつくれるんでしょうと聞いている。
  272. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 ですから、幾らでもつくれる、つくれないという、とらえ方の問題でございますけれども行政的に政治団体がどういうものでなきゃいかぬということを指導したり監督したりという性格のものではないわけでございますから、まさに結社の自由ということで、政治活動をやるためにいろいろ団体をおつくりになる、おつくりになったものを私どもは届け出を受けつける、こういう仕事をやっているというのが政治資金規正法の仕組みであるということを御理解いただきたいと思います。
  273. 経塚幸夫

    経塚委員 今の答弁は、リクルート事件から何の教訓も得ておらないし、過去の答弁から見ても今あなたのおっしゃった答弁は反しておりますよ。  五十五年十月二十九日の公選特で大林政府委員はこう言っておるのです。「いろいろ政治団体の数が多いというところから、各方面からその政治団体が金を受け取って、それをまた指定団体に寄附をする、そうすると相当な金額になり、それはまた百万以下であればどこからもわからないという御批判が一つあるわけでありますが、これは現行の政治資金規正法でも実はそうなんでありまして、その問題をどうするかというのは今後の見直しの問題として残した」こう言っておる。  九年たっているのですよ。だから、言いましたように、小口に幾らでも分けて百万以下にすればだれから寄附されたかもわからない、こういうような批判があるということはもう九年前に自治省政府委員が認めておるのです。これをどう見直すかということは今後の問題に残した。これは見直しを検討されたのですか。
  274. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 ただいま御指摘のような批判があるということは、私どももよく承知をいたしております。いろいろ政治資金制度の見直しを事務的にやります場合には、いろいろな角度から勉強をいたしますから、そういう批判があることも当然頭に置いていろいろ勉強はしてみたことももちろんございます。ただ、なかなか政治団体の数の問題について難しいのは、一つは、政治活動の態様というのはそれぞれの政治家によっていろいろあるわけでございます。それから、何といいましてもとにかく政治団体の活動でございますから、結社の自由とでも言いましょうか、政治活動というのは最大限自由が保障されなければいけない、そういう面もございますから、行政的に制限的なことを考えるということもそういう意味でなかなか難しい面もあるということでございます。ただ、この政治団体の数の問題については、現在も一つの大きな批判として言われておるところで、私どももさらにいろいろと勉強はしていくつもりではございます。
  275. 経塚幸夫

    経塚委員 勉強は何十年も結構ですけれども、これは立法化されぬことには効力は発効しません。もう九年間勉強しておりました、次に聞いたら、また勉強しております、何十年たっても勉輪ばかりしておっても何のために勉強しておるのか。これは立法化するために勉強するのでしょろが。それで、今度はリクルート事件を契機にしていわゆる害附者の氏名も隠し、金額の総量規制も隠れみのにするというような悪弊がはっきり出てきた。同じく読売新聞の世論調査では、政治団体の数は制限すべきだというのが七〇・四%でしょう。そのことを申し上げておきます。  次にお尋ねをしたいのですが、官房長官の名兼貸しというものがさつ。はりわからぬのです。これは自治大臣、担当大臣として、もう新聞でもテレビでも報道されたことですから、一体何のために、どういう理由で名義貸しをしたのか、ちょっと教えてもらえませんか。お聞きになっただろうと思います。
  276. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 大臣のお答えになる前に、仕組みの話、名義貸しとは何かというようなことに関連して説明をさせていただきたいと思います。  実は、名義貸しというものが政治資金規正法上どういう位置づけにあるのか、それが何を指すのかということは必ずしも判然としないことでございまして、いわば事実として行われている行為を名義貸しというような形で言われることがあるわけであります。特に、これは恐らく政治資金の収入ということと関連するところがあるのだろうと思いますけれども、政治資金規正法上、収入につきましてはその性格上、収支報告をする場合にも、収入についての領収証ということはありませんから、そういうものは添付をすることになってももちろんないわけでございます。ですから、名義貸しと言われることにつきまして、我が方に提出されました収支報告書に基づいていろいろ事実の確認をする、そういうようなことはできないという状況がある、その点はひとつ御理解いただきたいと思います。
  277. 坂野重信

    坂野国務大臣 今事務当局が話したようなことで、まだ実は官房長官に対してどうだったとかというようなことを私の方から聞いておりません。これは、聞くか聞かぬかという問題、怠慢じゃないかと言われればそういうことかもしれませんけれども、今事務当局が答弁をしたようなことで、政治資金規正法というものはそういう性格のものですから、表立って官房長官を呼んでどうでしょうかというわけにはいかないというのが今までの政治資金のやり方でございますので、その辺をひとつ御了解いただきたいと思います。
  278. 経塚幸夫

    経塚委員 名義貸しというようなことは恐らく大臣も初耳だろうと思うのです。自治省に聞いても名義貸しというのはよくわからぬと言う。我々もよくわからぬ。ただ問題は、本人が金を受け取ったものを本人の団体に入れながら金は別の人のところへ渡す、つまり逆に言えば別の人がもらう金を本人の他の団体の名義で受け取ったことにするということですから、どう考えてみても政治資金規正法の趣旨にこれはなじまない。公明、公正、国民の正確な判断を得る、その資料に資するための政治資金規正法でありますから、大臣、ぜひひとつ何かの機会に官房長官に一体どういうことなのかお聞きしてもらいた一vと思うのですが、いかがですか。
  279. 坂野重信

    坂野国務大臣 聞いてもいいのですけれども、御承知のとおり、官房長官が、政治資金などというのは政治家御本人がやってないのですね。私自身についても私は余り知らないで、大体秘書がやっているか事務員がやっているわけです。だから官房長官を呼んで、あなた、この前何かえらい、国会でもこういうことがあったが一体どうだというようなことをちょっと、話のついでがあればもちろん聞きますけれども、改めてそういうことを非常に聞きにくいということを御了解いただきたいと思います。
  280. 経塚幸夫

    経塚委員 私は、政治資金規正法の担当大臣じゃなければそういうことはお尋ねしません。担当大臣ですから、世間が疑惑を持っておる問題についてはぜひひとつただしておいていただきたい。  それから、パーティーの記載漏れの問題でありますが、宇野総理の記載漏れ、一億円出ておりますね。橋本幹事長のパーティー券、この一億円も記載漏れが出ております。法務省の方いらっしゃいますか。  政治資金規正法二十五条では「虚偽の記入をした者は、五年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。」解説の中では、虚偽の記入とは真実に反した記入をすることを言い、単なる計算誤りなどのように故意のないものは含まれないと解される、こう解説してあるのです。そうすると、私は官房長官の問題を含めて、官房長官の場合、言いましたとおり安倍さんのところへ入るべき金を自分のところの政治団体が受けたことにして、そして金は安倍さんのところへ入る。これは安倍さんの側から見ても、そして団体を名義貸しした塩川官房長官の側から見ても、事実とやっている行為とは反しているわけでありますから、これは明らかに虚偽の事実に該当するんではないか。それから、宇野総理の場合と橋本幹事長の場合でありますが、橋本幹事長は訂正の通知をしたそうでありますが、訂正をしたということは、みずから間違っておることをしておったということを認めたことにもなるわけでありますが、これは明確に二十五条のいわゆる虚偽の記入に該当する、こう考えますが、その点、法務省はいかがですか。
  281. 鶴田六郎

    ○鶴田説明員 お答えいたします。  個別具体的な事案におきます特定の方々に対する犯罪の成否といった問題につきましては、私どもは、本来刑事訴訟法の手続にのっとった証拠に基づいて判断すべき事柄であろうというふうに考えておりますので、お尋ねについては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  282. 経塚幸夫

    経塚委員 そうしますと、事情聴取はされますか。これはもう公にされていることですから、それで、あったことも本人が認めたればこそ訂正、修正の申告をしたわけでありますから、お調べになりますか。
  283. 鶴田六郎

    ○鶴田説明員 お答えいたします。  私ども法務省の立場にあるわけですけれども、犯罪を検察が捜査する、あるいは捜査しないといったようなことを申し上げる立場にありませんので、大変恐縮ですが、答弁の方は御容赦いただきたいと思います。
  284. 経塚幸夫

    経塚委員 するともしないとも言える立場にないという御答弁ですが、それじゃこれはもう放置されておくのですか。修正、訂正をしたらそれで性格上は事が済むということなんですか。そういう性格のものじゃないでしょう。現に加藤元農水相の場合は、誤った記載をしたということでもって、これは二十五条でその罪を、責任を問われたわけでしょう。全く同質のものじゃないですか。これは異質のものですか。その点はどうですか。
  285. 鶴田六郎

    ○鶴田説明員 同じようなお答えになって大変恐縮でございますけれども、具体的な事案におきまして犯罪の成否といったようなものは、先ほども申し上げましたように、証拠に基づいて判断すべきことだろうと私ども考えておりますので、答弁の方は御容赦いただきたいと思います。
  286. 経塚幸夫

    経塚委員 これはどうも納得がいきませんな。具体的な事実に基づかないとコメントができないということであれば、それではその具体的事実をお調べになるのかどうなのか、これぐらいはお答えになるのは当然じゃないですか。もう調べないなら調べないという御返事でいいですよ。放置されるのですかと聞いているのですよ。
  287. 鶴田六郎

    ○鶴田説明員 捜査をする機関は私どもの所管する、法務省のもとでは検察ということでございますけれども、本来、一般論として申し上げますと、何か犯罪があったとき捜査する、しないというのは検察自体が判断すべき事柄でありまして、私どもが捜査する、しないと言った場合には指揮権をどうのこうのということにも受け取られる可能性もございますので、従来からその点につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思っておるわけで、その点御理解願いたいと思います。
  288. 経塚幸夫

    経塚委員 法務省がそういう姿勢では、こういう金権腐敗を根絶することはできませんよ。政治資金規正法違反でもって受理をした件数が、法務省の報告によりますと五十三年から六十二年の合計で七十二件ですよ。ところが、七十二件受理をしながら、違反ということでもって起訴したのはたった四件だけじゃないですか。五・五%ですよ。だから世論調査の結果でも、甘過ぎる、もっと政治資金の出と入りについては厳しくすべきだというのが圧倒的な意見なんですよ。それは根本は今のような法務省の態度にあると私は思うのですよ。事実関係はもう公になっていることなのですから、これは当然事情聴取ぐらいやって当たり前だと思いますよ。これもやりはしないのですか。お答えする立場にないというようなことだったら、それじゃもう放任だ、こんなものは何ぼ間違ったことをやっても、後で四年後でも十年後でも、ばれたときに訂正すれば事が済んでしまう、これだったら政治資金の完全な抜け穴じゃないですか。政治資金規正法の趣旨からいっても、法務省は、やはりこれだけ国民の政治不信が高まっておる中では、きっちりすべきものはきっちりすると明言すべきだと思うのですよ。どうですか。
  289. 鶴田六郎

    ○鶴田説明員 お答えいたします。  個々具体的な犯罪の捜査をどうするとか、あるいは捜査の内容というものは、私どもの方で判断できる事柄でございませんので、何ともお答えいたしかねるわけですが、一般的に政治資金規正法違反に対する検察権の行使といったもののあり方につきましては、今先生がおっしゃったような見解もあるということを拝聴させていただくことで御容赦いただきたいと思います。
  290. 経塚幸夫

    経塚委員 拝聴させていただきましてと言っておるんだから、耳にふたせぬ限りは勝手に耳に入ってきますから拝聴ということになると思います。しかし、ただもう聞きましたよということだけで済ますべき性格のものじゃないですよ。やはりきっちりすべきものはきっちりしなさいよ。ただでさえリクルートの疑惑については、果たして検察が厳正な態度で臨んだのかどうなのか、これは旧比が多く批判をしておる的になっているじゃないですか。今こそ正義なら正義の立場を明確にすべきです。これは要求しておきます。次の問題に移りますから、お帰りいただいて結構です。  次は、文化財の保護と交付税関係についてお尋ねしたいのですが、自治省、文化財保護費について都道府県、これは交付税需要額で員数、人件費、総額大体どれくらい見ているのですか。
  291. 津田正

    津田政府委員 文化財保護に係ります基準財政需要額の算入でございますが、御審議いただいております法案の中におきまして、道府県分の「その他の教育費」の単位費用中、細節で文化財保護費というものを設けておりまして、課長を含む職一員十一人分の人件費、文化財保護審議委員等の報酬、文化財保護補助金等を算入する予定でございまして、元年度におきます需要額は約六十億円、このように考えております。  市町村分につきましては、市町村分の「その他の教育費」の単位費用中、細節は社会教育費というような中で算入しておりまして、元年度におきます需要額は約十八億円となる見込みでございます。
  292. 経塚幸夫

    経塚委員 員数が十一人ということでありますが、これは一つの例でありますけれども、大阪府の場合は、宅地開発のための発掘調査の件数が全国の五〇%近いのですね。四九・四%ですから約半数近いわけでありますが、ここは員数で約百人調査に要する人員を置いているわけですね。ですから、需要額との乖離はもう相当な額になっておるわけです。例えば賃金ですと需要額は決算額の七九%、それから事業費はわずか二・五%ですね。委託料は五%ですよ。全く実態に合っておらないですね。  市町村の例の場合ですが、松原市、ここも河内飛鳥と言われるところで埋蔵文化財が大変多いところであります。ここの場合は、六十三年度人件費事業費合わせまして約五千万円支出をしております。この中でいわゆる一般会計四千五百十一万でありますが、交付税の需要額分は百七十三万でありますから、三%ちょっとなんですね。決算額と需要額との乖離が計算のしようもないぐらい大きいわけでありますが、これで合理的な需要額の算定と言えますか。どうですか。
  293. 津田正

    津田政府委員 文化財保護関係経費の算入につきましては、先ほど申しましたように、平成元年度十一人でございますが、六十一年八人、六十二年九人、そして六十三年に十一人、このように増員を図っておるわけでございます。  ただ、先生指摘の点でございますが、いわゆる決算と実績との違いでございますが、文化財保護、発掘というものの態様の中には、御承知のとおりいわゆる宅地開発だとかそういうような、あるいは土木工事をする、こういうものに絡んだ部分がかなりあるわけでございます。そういう意味におきまして、そのようなものはむしろ個々の事業費の中で算入されているので、実際の支出もそうではないか。そういたしますと、大体がここで私どもが算入しているのは職員関係、そういうような人件費を中心としておりまして、事業関係のものは個々の事業費の中に含まれておるものだ、こういうような理解でございます。ただ、人員につきましても標準団体十一人と大分乖離があるようでございますが、今後におきましても実態等ともよくすり合わせと申しますか、その意味での検討は進めてまいるつもりでございます。
  294. 経塚幸夫

    経塚委員 多分そういう答弁になるだろうと思って、私が計算を依頼いたしました根拠は、他の事業費に含まれておるものは除外をして、そして交付税需要額と決算との乖離が一体どうなっておるのかということで調査をしました結果がこういうことになっておるわけですよ。人員などは徐々にふやしていったからといって、大阪府などは専門職員だけで五十人ですからね。あとは嘱託職員が五十人で百名でありますから、余りにも乖離が大き過ぎますから、これは実態とすり合わせをするということですから、この点はぜひひとつすり合わせをしていただきたい。  文化庁、お見えになっていますか。今問題になっている吉野ケ里遺跡ですが、これは史跡指定をするということでありますが、一体どの範囲にどれくらいの面積を史跡指定する予定なんですか。
  295. 大澤幸夫

    ○大澤説明員 御説明を申し上げます。  御指摘の、このたび佐賀県において発見されましたいわゆる吉野ケ里遺跡でございますが、大変貴重な遺跡であると認識しておるわけでございますけれども、この吉野ケ里遺跡の中でとりわけ重要な要素となっておりますのがいわゆる弥生時代の環濠集落の部分でございます。これにつきましては、目下佐賀県の教育委員会の方におきましてその全体像を明らかにするために、かねて開発が予定されております地域以外で未調査となっておる部分があるわけでございますが、その部分の確認調査を進めておるところでございます。したがいまして、国といたしましてはやがて史跡指定というような問題があるわけでございますけれども、佐賀県当局におきます。そういった調査結果を踏まえまして、佐賀県の方からの御申請が出てきた段階で私どもの文化財保護審議会の方にお諮りしながら検討していく、こういうことになろうかと思うわけでございます。  そういう次第でございますので、先生ただいまお尋ねの、史跡としての指定の範囲についてこの時点で具体的に申し上げることは若干難しい状況にあるわけでございますけれども、現段階におきまして佐賀県教育委員会から聞いておるところによりますと、遺構の重要な部分の所在地約二十四ヘクタール余りと聞いてございますが、そういったところについて保存を図っていく方針であるというふうに承っておるところでございます。
  296. 経塚幸夫

    経塚委員 これは外濠に囲まれた集落、それから墳丘墓の全域二十四ヘクタール、これは当然だと思いますけれども、それ以外のものについても一体的な保存が必要だという学者の見解もあるわけでありますから、申請が出た段階で地元の要望にかなうような指定をしていただきたい、こう思うわけであります。  そこでその予算措置でありますが、ちょっと気になるのですが、そちらからいただいた資料では、六十一年度は史跡の買い上げ、いわゆる公有化、この補助金の要望件数が百三十七件、金額にして八十一億六百万。その実績としては三十億です。だから、二分の一にも満たないわけでしょう。六十三年は百四十件で七十三億でしょう。これが実績では二十四億でしょう。これもその三分の一です。史跡指定をしてやるとおっしゃいますけれども、その予算措置がこんな状況で果たして十分期待にこたえることができるのか。  例えば、これは大阪の例でありますけれども、買収済みは四九・六%で、とうの昔一〇〇%いっておらなければならぬのですよ。このために荒らされているというところもたくさんありますし、私の地元の羽曳野市の峯ケ塚古墳、これは文化庁と御相談なさって計画を立てられたわけです。それで来年は発掘をやる、九六年は公開をする。ところが、初年度の八七年は予算がつきましたが、八八年は二億一千百万予算化しておりましたが、国からゼロの回答ですよ。八九年も二億一千七百五十万予算を組んでおりますが、これも見通しが立たないという大阪府の回答なんです。予算がつかなければ、せっかく文化庁が一緒になって立てた基本計画が全く意味がない、こうなるのです。だから予算措置は吉野ケ里遺跡のいわゆる史跡指定とあわせて十分な措置をとられますか。その点はどうですか。
  297. 大澤幸夫

    ○大澤説明員 ただいま先生お話しございましたいわゆる史跡等の公有化を中心とした補助の実情、実績等は、先生お話しございましたような実情にあるわけでございますけれども、お尋ねの吉野ケ里遺跡の予算面につきましての国としての対応の問題でございますけれども、これはいずれにいたしましても共本的には明年度以降の課題というふうに具体的になるわけでございまして、今後の概算要求等の中で私どもとしてはこういう状況を十分認識しながら対応してまいりたいという考えでございますけれども、現段階では具体的に何ともまだ申しかねるところであるわけでございます。  それからもう一点ございました峯ケ塚の件でございますけれども、近年大変厳しい財政状況のもとにあるわけでございまして、全国各地からの多くの御要望に必ずしも十分に沿いがたい実情にあることは冒頭先生もお話しのとおりでございまして、確かに昨年度羽曳野市の方から買い上げの御希望をちょうだいしたわけでございますけれども、財政面の枠との関係もございまして、種々検討した結果、御要望に沿うことができなかった状態でございます。今年度につきましても引き続き、先般大阪府の教育委員会を通じまして実情は承っているところでございまして、現在の段階ではなかなか困難な状況にあるわけでございますけれども、私どもといたしましても、なお財政面の推移を見守りながら引き続き検討してまいりたいなというふうに考えているところでございます。
  298. 経塚幸夫

    経塚委員 これは文化庁と一緒に立てた計画で、地元も大変期待をして事業がどんどん先行しているわけですよね。そこへ億という金が小さな市でおりてこないということになれば大変なことですから、ぜひこれは配慮してもらいたい。  それから最後に、一須賀古墳の問題についてお尋ねしておきます。  これは私も分科会で取り上げました。六十二年には時の塩川文部大臣も御答弁になったわけです。これは私どもの石井委員の質問に対して「いい質問をしてくれました。ありがとうございました。」「大阪府教育委員会もふにゃふにゃ、ふにゃふにゃやっていてふがいない、ちっとも決めようとしない、」ぼろくそに言っておるのですな。「文部省に相談に行っても、文部省も地元で地元でと言って逃げてしまう、」自分が文部大臣だったのに気楽なことを言っている。「私もまたこれをきっかけに大阪府を呼んで、早急に片をつけるようにしましょう。」これは大臣が二年前に答弁なさっているんですよ。  そこで、時間がないのでまとめてお尋ねをしておきますが、五百基からある古墳地帯にゴルフ場を建設しようという申請が出てきて、これは今地元で大変な騒ぎになって、地元自治会挙げて議会に対して陳情、請願書が出てきておる。こんなものをやられると文化財が破壊されるだけでなく、集中豪雨、それから最も問題になるのは農薬問題であります。大阪府の調査によりますと、大阪府下のゴルフ場全体を調査されたわけでありますが、全体の中で五〇%農薬が使われておる。種類は九十八種類に上る。無登録農薬を使っておったところが三つもある。登録農薬でも府が自粛を指導しておるもの、これを使っておったものが十二ゴルフ場ある。これは農水省も何か通知を出されたようでありますが、この農薬の使用について厳しく規制すべきだ。これは農水省にお伺いしておきます。  それから次に環境庁にお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、これも大阪府の調査によりますと、公共用水路に排出をされておる、こういうゴルフ場が三十五もある。約七〇%ですね。ゴルフ場用地地域における水質状況調査を厚生省がやられましたが、全国九百四十五カ所、これは水質汚濁だとかそういうものが見られたという報告も出ております。したがって、環境庁としては、これは直ちに、全国はもとよりでありますが、大阪府に対しても水質分析を行い、その調査結果を公表するように要請すべきだ、こう考えております。  最後に建設省でありますが、これは一方では文化財を破壊し、そして片一方ではこういう公害をまき散らす。特に大都市周辺のゴルフ場の建設についてはこれ以上許可すべきではない、こう考えております。  以上三省庁、済みませんが御答弁を簡単に。
  299. 高橋健文

    ○高橋説明員 ゴルフ場の建設でございますが、都市計画法では、都市計画区域内のゴルフ場につきまして開発許可の対象としておるわけでございます。しかしながら、都市計画法では一定の基準に適合したものにつきましては許可をすることになっておりまして、具体的には、ゴルフ場の建設に伴って必要となります災害の防止でありますとかあるいは環境保全上の措置、そういったことがとられているかどうかという観点からゴルフ場につきまして適正な土地利用がなされるように審査を行っているわけでございます。  したがって、都市計画法はゴルフ場の立地そのものを抑制するという観点はないわけでございますが、ゴルフ場の建設は非常に大規模な開発でございますし、都市計画法だけでなくして、今御指摘のありました関係行政との調整も必要とされることでございますので、建設省としましては、都道府県の開発許可担当部局に対しては、関係部局と十分調整を図った上で開発許可事務に当たるように指導しておるところでございます。
  300. 吉池昭夫

    ○吉池説明員 ただいま先生からゴルフ場の農薬の水質調査の問題で御指摘がございました。  御案内のように、最近一部のゴルフ場から、そこで使われている農薬が流出をしまして周辺地域の水質等を汚染しているのではなかろうか、こういう御指摘もございましたので、環境庁といたしましては、昨年の八月でございましたか、全国に対しまして、ゴルフ場周辺の水質調査を必要に応じて実施するようにということで、各県に今調査を願っているところでございます。  それから、先生から大阪府のお話がございましたけれども、大阪府におきましても現在水質調査をするという方向で準備中である、こういうふうに聞いております。  以上でございます。
  301. 関口洋一

    ○関口説明員 御説明させていただきます。  ゴルフ場におきます農薬使用につきましては、先生指摘のような点もございましたので、昨年の八月二十五日付で局長通達を出しまして、農薬の安全使用を指導するという観点からの指導を今やっているところでございます。各都道府県におきましては、この通達を受けましていろいろな面から指導が今実施されていると私ども承知をしておるわけでございます。  大阪のゴルフ場におきます農薬使用の実態につきましては、大阪府が現地の調査をいたしまして本年の二月に公表したところでございますが、この調査の中で明らかになりました幾つかの問題のある事項につきましては、農薬取締法に基づきましてゴルフ場の事業者あるいは販売業者に対しまして指導が実施されていると承知しております。  この点につきましては、大変重要な問題でございますので、今後とも都道府県とも連携をとりつつ対処してまいりたいと考えております。
  302. 経塚幸夫

    経塚委員 ぜひひとつ厳しく指導していただきたいと思います。  それで大臣ふるさと創生をおっしゃっていますが、ふるさとに愛着を持つようにと大臣所信でおっしゃったのですが、我がふるさとがどんな歴史をたどって今日に至ったのか、こういうその地その他の文化財を全面的に保護、保全をするということが何よりもふるさと創生の土台でなければならぬと私は考えておりますので、交付税需要額の見直しはもとより、史跡指定の用地買い上げの予算の増額等々についても、ぜひひとつ閣議の際に御要望していただきますようにお願いを申し上げまして、若干時間を超過いたしましたが、終わらせていただきます。
  303. 小澤潔

    小澤委員長 次回は、明十五日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十分散会      ————◇—————