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1989-05-24 第114回国会 衆議院 大蔵委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年五月二十四日(水曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 中村正三郎君    理事 衛藤征士郎君 理事 大島 理森君    理事 中川 昭一君 理事 中西 啓介君    理事 平沼 赳夫君 理事 中村 正男君    理事 森田 景一君 理事 安倍 基雄君       新井 将敬君    井上 喜一君       上草 義輝君    江口 一雄君       遠藤 武彦君    金子 一義君       熊川 次男君    笹川  堯君       杉山 憲夫君    戸塚 進也君       中島源太郎君    葉梨 信行君       鳩山由紀夫君    松本 十郎君       村井  仁君    村上誠一郎君       山中 貞則君    山本 幸雄君       小澤 克介君    沢田  広君       野口 幸一君    早川  勝君       武藤 山治君    村山 喜一君       柴田  弘君    橋本 文彦君      平石磨作太郎君    矢追 秀彦君       伊藤 英成君    正森 成二君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 村山 達雄君  出席政府委員         大蔵政務次官  太田 誠一君         大蔵省主計局次         長       藤井  威君         大蔵省主税局長 尾崎  護君         大蔵省関税局長 長富祐一郎君         大蔵省理財局次         長       水谷 文彦君         大蔵省銀行局長 平澤 貞昭君         大蔵省国際金融         局長      内海  孚君         国税庁間税部長 宮島 壯太君  委員外出席者         外務大臣官房外         務参事官    茂田  宏君         自治省財政局公         営企業第一課長 松本 和雄君         日本開発銀行総         裁       高橋  元君         日本輸出入銀行         総裁      田中  敬君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十一日  辞任         補欠選任   井上 喜一君     梶山 静六君   江口 一雄君     林  義郎君   遠藤 武彦君     熊谷  弘君   伊藤 英成君     楢崎弥之助君 同日  辞任         補欠選任   梶山 静六君     井上 喜一君   熊谷  弘君     遠藤 武彦君   林  義郎君     江口 一雄君   楢崎弥之助君     伊藤 英成君 同月二十七日  辞任         補欠選任   正森 成二君     金子 満広君 同日  辞任         補欠選任   金子 満広君     正森 成二君 九月十九日  辞任         補欠選任   井上 喜一君     木村 義雄君   江口 一雄君     宮澤 喜一君   遠藤 武彦君     熊谷  弘君   金子 一義君     倉成  正君   熊川 次男君     梶山 静六君   伊藤 英成君     川端 達夫君 同日  辞任         補欠選任   梶山 静六君     熊川 次男君   木村 義雄君     井上 喜一君   熊谷  弘君     遠藤 武彦君   倉成  正君     金子 一義君   宮澤 喜一君     江口 一雄君   川端 達夫君     伊藤 英成君 同月二十三日  辞任         補欠選任   笹川  堯君     小沢 辰男君   杉山 憲夫君     江崎 真澄君   戸塚 進也君     鈴木 恒夫君   鳩山由紀夫君     加藤 六月君   村井  仁君     宮澤 喜一君   村山 喜一君     金子 みつ君 同日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     杉山 憲夫君   小沢 辰男君     笹川  堯君   加藤 六月君     鳩山由紀夫君   鈴木 恒夫君     戸塚 進也君   宮澤 喜一君     村井  仁君   金子 みつ君     村山 喜一君 同月二十四日  辞任         補欠選任   熊川 次男君     上草 義輝君   堀  昌雄君     小澤 克介君 同日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     熊川 次男君   小澤 克介君     堀  昌雄君     ――――――――――――― 四月十日  消費税廃止に関する請願岩佐恵美紹介)  (第三六八号)  同(佐藤祐弘紹介)(第三六九号)  同(中島武敏紹介)(第三七〇号)  同(不破哲三紹介)(第三七一号)  同(松本善明紹介)(第三七二号)  同(安藤巖紹介)(第三九九号)  同(岩佐恵美紹介)(第四〇〇号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第四〇一号)  同(金子満広紹介)(第四〇二号)  同(工藤晃紹介)(第四〇三号)  同(児玉健次紹介)(第四〇四号)  同(佐藤祐弘紹介)(第四〇五号)  同(柴田睦夫紹介)(第四〇六号)  同(田中美智子紹介)(第四〇七号)  同(寺前巖紹介)(第四〇八号)  同(中路雅弘紹介)(第四〇九号)  同(中島武敏紹介)(第四一〇号)  同(不破哲三紹介)(第四一一号)  同(藤原ひろ子紹介)(第四一二号)  同(松本善明紹介)(第四一三号)  同(矢島恒夫紹介)(第四一四号)  同(中島武敏紹介)(第四四四号)  同(佐藤祐弘紹介)(第四五一号)  同(中路雅弘紹介)(第四五二号)  同(東中光雄紹介)(第四九七号)  同(正森成二君紹介)(第四九八号)  公団住宅家賃等への消費税課税反対消費税  廃止に関する請願大久保直彦紹介)(第三  九八号)  同(遠藤和良紹介)(第四四五号)  同外一件(小谷輝二君紹介)(第四四六号)  同(権藤恒夫紹介)(第四五三号)  同(坂井弘一紹介)(第四五四号)  同外一件(鳥居一雄紹介)(第四五五号)  同(森田景一君紹介)(第四五六号)  同(浦井洋紹介)(第四九九号)  同(近江巳記夫紹介)(第五〇〇号)  同(工藤晃紹介)(第五〇一号)  同(佐藤祐弘紹介)(第五〇二号)  同(坂井弘一紹介)(第五〇三号)  同(柴田睦夫紹介)(第五〇四号)  同(辻第一君紹介)(第五〇五号)  同(中島武敏紹介)(第五〇六号)  同(野間友一紹介)(第五〇七号)  同(東中光雄紹介)(第五〇八号)  同(三野優美紹介)(第五〇九号)  消費税廃止国民本位税制改革に関する請  願(安藤巖紹介)(第四七一号)  同(石井郁子紹介)(第四七二号)  同(岩佐恵美紹介)(第四七三号)  同(浦井洋紹介)(第四七四号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第四七五号)  同(金子満広紹介)(第四七六号)  同(経塚幸夫紹介)(第四七七号)  同(工藤晃紹介)(第四七八号)  同(児玉健次紹介)(第四七九号)  同(佐藤祐弘紹介)(第四八〇号)  同(柴田睦夫紹介)(第四八一号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第四八二号)  同(田中美智子紹介)(第四八三号)  同(辻第一君紹介)(第四八四号)  同(寺前巖紹介)(第四八五号)  同(中路雅弘紹介)(第四八六号)  同(中島武敏紹介)(第四八七号)  同(野間友一紹介)(第四八八号)  同(東中光雄紹介)(第四八九号)  同(不破哲三紹介)(第四九〇号)  同(藤田スミ紹介)(第四九一号)  同(藤原ひろ子紹介)(第四九二号)  同(松本義明紹介)(第四九三号)  同(村上弘紹介)(第四九四号)  同(矢島恒夫紹介)(第四九五号)  同(山原健二郎紹介)(第四九六号) 同月十七日  消費税廃止国民本位税制改革に関する請  願(正森成二君紹介)(第五三六号)  公団住宅家賃等への消費税課税反対消費税  廃止に関する請願外四件(井上和久紹介)(  第五三七号)  同(貝沼次郎紹介)(第五三八号)  同(木間章紹介)(第五三九号)  同外一件(二見伸明紹介)(第五四〇号)  同(古川雅司紹介)(第五四一号)  同(矢島恒夫紹介)(第五四二号)  同(小野信一紹介)(第五五四号)  同(小林恒人紹介)(第五五五号)  消費税即時廃止に関する請願高沢寅男君紹  介)(第五五三号)  消費税撤廃に関する請願大久保直彦紹介  )(第五六五号)  同(藤原房雄紹介)(第五六六号)  同外三件(大野潔紹介)(第六六九号)  同(竹入義勝君紹介)(第六七〇号)  同(伏木和雄紹介)(第六七一号)  同(矢野絢也君紹介)(第六七二号)  消費税廃止に関する請願野坂浩賢紹介)(  第五六七号) 同月二十七日  消費税廃止に関する請願井上一成紹介)  (第六九七号)  同(左近正男紹介)(第六九八号)  同(中村正男紹介)(第六九九号)  同(沢田広紹介)(第七二八号)  同(渋沢利久紹介)(第七二九号)  同(村上弘紹介)(第七七八号)  同(村上弘紹介)(第七八二号)  同(安藤巖紹介)(第八〇六号)  同(石井郁子紹介)(第八〇七号)  同(岩佐恵美紹介)(第八〇八号)  同(浦井洋紹介)(第八〇九号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第八一〇号)  同(金子満広紹介)(第八一一号)  同(経塚幸夫紹介)(第八一二号)  同(工藤晃紹介)(第八一三号)  同(児玉健次紹介)(第八一四号)  同(佐藤祐弘紹介)(第八一五号)  同(柴田睦夫紹介)(第八一六号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第八一七号)  同(田中美智子紹介)(第八一八号)  同(辻第一君紹介)(第八一九号)  同(寺前巖紹介)(第八二〇号)  同(中路雅弘紹介)(第八二一号)  同(中島武敏紹介)(第八二二号)  同(野間友一紹介)(第八二三号)  同(東中光雄紹介)(第八二四号)  同(不破哲三紹介)(第八二五号)  同(藤田スミ紹介)(第八二六号)  同(藤原ひろ子紹介)(第八二七号)  同(正森成二君紹介)(第八二八号)  同(松本善明紹介)(第八二九号)  同(村上弘紹介)(第八三〇号)  同(矢島恒夫紹介)(第八三一号)  同(山原健二郎紹介)(第八三二号)  公団住宅家賃等への消費税課税反対消費税  廃止に関する請願新井彬之君紹介)(第七〇  〇号)  消費税撤廃に関する請願鳥居一雄紹介)  (第七〇一号)  同(吉井光照紹介)(第七〇二号)  同(権藤恒夫紹介)(第七五八号)  同(伏屋修治紹介)(第七五九号)  同(沼川洋一紹介)(第八三三号)  公営住宅家賃にかける消費税廃止に関する請  願(大野潔紹介)(第七七六号)  同(辻第一君紹介)(第七七七号) 五月九日  消費税廃止国民本位税制改革に関する請  願(佐藤祐弘紹介)(第八八七号)  同(寺前巖紹介)(第八八八号)  同(藤原ひろ子紹介)(第八八九号)  同(工藤晃紹介)(第一〇二五号)  消費税廃止に関する請願寺前巖紹介)(  第八九〇号)  同(中路雅弘紹介)(第八九一号)  同(東中光雄紹介)(第八九二号)  同(藤原ひろ子紹介)(第八九三号)  同(正森成二君紹介)(第八九四号)  同(矢島恒夫紹介)(第八九五号)  同(岩佐恵美紹介)(第九四八号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第九四九号)  同(金子満広紹介)(第九五〇号)  同(中路雅弘紹介)(第九五一号)  同(松本善明紹介)(第九五二号)  同(工藤晃紹介)(第一〇二六号)  同(中島武敏紹介)(第一〇二七号) 同月十五日  貸金業金利引き下げに関する請願正森成二  君紹介)(第一〇八二号)  消費税廃止に関する請願中島武敏紹介)  (第一〇八三号)  同(不破哲三紹介)(第一〇八四号)  同(石井郁子紹介)(第一一二〇号)  同(経塚幸夫紹介)(第一一二一号)  同(野間友一紹介)(第一一二二号)  同(東中光雄紹介)(第一一二三号)  同(藤田スミ紹介)(第一一二四号)  同(正森成二君紹介)(第一一二五号)  同(村上弘紹介)(第一一二六号)  同(安藤巖紹介)(第一一八二号)  同(石井郁子紹介)(第一一八三号)  同(岩佐恵美紹介)(第一一八四号)  同(浦井洋紹介)(第一一八五号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第一一八六号)  同(金子満広紹介)(第一一八七号)  同(経塚幸夫紹介)(第一一八八号)  同(工藤晃紹介)(第一一八九号)  同(児玉健次紹介)(第一一九〇号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一一九一号)  同(柴田睦夫紹介)(第一一九二号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一一九三号)  同(田中美智子紹介)(第一一九四号)  同(辻第一君紹介)(第一一九五号)  同(寺前巖紹介)(第一一九六号)  同(中路雅弘紹介)(第一一九七号)  同(中島武敏紹介)(第一一九八号)  同(野間友一紹介)(第一一九九号)  同(東中光雄紹介)(第一二〇〇号)  同(不破哲三紹介)(第一二〇一号)  同(藤田スミ紹介)(第一二〇二号)  同(藤原ひろ子紹介)(第一二〇三号)  同(正森成二君紹介)(第一二〇四号)  同(松本善明紹介)(第一二〇五号)  同(村上弘紹介)(第一二〇六号)  同(矢島恒夫紹介)(第一二〇七号)  同(山原健二郎紹介)(第一二〇八号)  消費税廃止大幅減税に関する請願不破哲三  君紹介)(第一一一九号)  消費税撤廃に関する請願長田武士紹介)  (第一一二七号) 同月十七日  消費税廃止に関する請願緒方克陽紹介)  (第一二二四号)  同(小澤克介紹介)(第一三〇八号)  同(坂口力紹介)(第一三〇九号)  同(新村勝雄紹介)(第一三一〇号)  同(中沢健次紹介)(第一三一一号)  同(不破哲三紹介)(第一三一二号)  同(前島秀行紹介)(第一三一三号)  同(松本善明紹介)(第一三一四号)  貸金業金利引き下げに関する請願中村正男  君紹介)(第一二二五号)  同(森田景一君紹介)(第一三一五号)  消費税撤廃に関する請願(有島重武君紹介)(  第一三〇五号)  同(大野潔紹介)(第一三〇六号)  同外九件(木内良明紹介)(第一三〇七号) 同月十八日  消費税廃止不公平税制の是正に関する請願  (中村正男紹介)(第一四三一号)  同(木内良明紹介)(第一五八〇号)  消費税廃止に関する請願外三件(伊藤茂君紹  介)(第一四三二号)  同(安藤巖紹介)(第一五一三号)  同(石井郁子紹介)(第一五一四号)  同(岩佐恵美紹介)(第一五一五号)  同(浦井洋紹介)(第一五一六号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第一五一七号)  同(金子満広紹介)(第一五一八号)  同(経塚幸夫紹介)(第一五一九号)  同(工藤晃紹介)(第一五二〇号)  同(児玉健次紹介)(第一五二一号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一五二二号)  同(柴田睦夫紹介)(第一五二三号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一五二四号)  同(田中美智子紹介)(第一五二五号)  同(辻第一君紹介)(第一五二六号)  同(寺前巖紹介)(第一五二七号)  同(中路雅弘紹介)(第一五二八号)  同(中島武敏紹介)(第一五二九号)  同(野間友一紹介)(第一五三〇号)  同(東中光雄紹介)(第一五三一号)  同(不破哲三紹介)(第一五三二号)  同(藤田スミ紹介)(第一五三三号)  同(藤原ひろ子紹介)(第一五三四号)  同(正森成二君紹介)(第一五三五号)  同(松本善明紹介)(第一五三六号)  同(村上弘紹介)(第一五三七号)  同(矢島恒夫紹介)(第一五三八号)  同(山原健二郎紹介)(第一五三九号)  同(工藤晃紹介)(第一五七四号)  同(中路雅弘紹介)(第一五七五号)  同(村上弘紹介)(第一五七六号)  同(安藤巖紹介)(第一六二〇号)  同(石井郁子紹介)(第一六二一号)  同(岩佐恵美紹介)(第一六二二号)  同(浦井洋紹介)(第一六二三号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第一六二四号)  同(金子満広紹介)(第一六二五号)  同(経塚幸夫紹介)(第一六二六号)  同(工藤晃紹介)(第一六二七号)  同(児玉健次紹介)(第一六二八号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一六二九号)  同(柴田睦夫紹介)(第一六三〇号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一六三一号)  同(田中美智子紹介)(第一六三二号)  同(辻第一君紹介)(第一六三三号)  同(寺前巖紹介)(第一六三四号)  同(中路雅弘紹介)(第一六三五号)  同(中島武敏紹介)(第一六三六号)  同(野間友一紹介)(第一六三七号)  同(東中光雄紹介)(第一六三八号)  同(不破哲三紹介)(第一六三九号)  同(藤田スミ紹介)(第一六四〇号)  同(藤原ひろ子紹介)(第一六四一号)  同(正森成二君紹介)(第一六四二号)  同(松本善明紹介)(第一六四三号)  同(村上弘紹介)(第一六四四号)  同(矢島恒夫紹介)(第一六四五号)  同(山原健二郎紹介)(第一六四六号)  同(金子満広紹介)(第一七〇七号)  同(工藤晃紹介)(第一七〇八号)  同(不破哲三紹介)(第一七〇九号)  同(藤田スミ紹介)(第一七一〇号)  同(伊藤茂紹介)(第一七六〇号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第一七六一号)  同(加藤万吉紹介)(第一七六二号)  同(工藤晃紹介)(第一七六三号)  同(左近正男紹介)(第一七六四号)  同(新村勝雄紹介)(第一七六五号)  同(中村正男紹介)(第一七六六号)  同(中路雅弘紹介)(第一七六七号)  公営住宅家賃にかける消費税廃止に関する請  願外七件(中村茂紹介)(第一四三三号)  貸金業金利引き下げに関する請願安倍基雄  君紹介)(第一四三四号)  消費税撤廃に関する請願草川昭三紹介)  (第一五七七号)  消費税撤廃に関する請願外一件(大久保直彦君  紹介)(第一五七八号)  同(木内良明紹介)(第一五七九号)  かんきつ園地再編対策助成金に係る税制上の特  例措置に関する請願魚住汎英紹介)(第一  六一八号)  日本鉄道共済年金財源確保に関する請願(魚  住汎英紹介)(第一六一九号)  消費税撤回に関する請願外四件(安井吉典君紹  介)(第一七五九号) 同月十九日  相続税に関する請願中村靖紹介)(第一八  四四号)  消費税廃止国民本位税制改革に関する請  願(松本善明紹介)(第一八四五号)  消費税廃止に関する請願井上一成紹介)  (第一八四六号)  同(上田哲紹介)(第一八四七号)  同(大出俊紹介)(第一八四八号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第一八四九号)  同(工藤晃紹介)(第一八五〇号)  同(中路雅弘紹介)(第一八五一号)  同(松本善明紹介)(第一八五二号)  同(市川雄一紹介)(第一九〇八号)  同(川俣健二郎紹介)(第一九〇九号)  同(渋沢利久紹介)(第一九一〇号)  同外八件(竹内猛紹介)(第一九一一号)  同(伏木和雄紹介)(第一九一二号)  同(前島秀行紹介)(第一九一三号)  同(安藤巖紹介)(第一九一四号)  同外一件(石井郁子紹介)(第一九一五号)  同外一件(岩佐恵美紹介)(第一九一六号)  同(浦井洋紹介)(第一九一七号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第一九一八号)  同(金子満広紹介)(第一九一九号)  同(経塚幸夫紹介)(第一九二〇号)  同(工藤晃紹介)(第一九二一号)  同(児玉健次紹介)(第一九二二号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一九二三号)  同(柴田睦夫紹介)(第一九二四号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一九二五号)  同(田中美智子紹介)(第一九二六号)  同(辻第一君紹介)(第一九二七号)  同(寺前巖紹介)(第一九二八号)  同外二件(中路雅弘紹介)(第一九二九号)  同(中島武敏紹介)(第一九三〇号)  同(野間友一紹介)(第一九三一号)  同(東中光雄紹介)(第一九三二号)  同(不破哲三紹介)(第一九三三号)  同(藤田スミ紹介)(第一九三四号)  同(藤原ひろ子紹介)(第一九三五号)  同(正森成二君紹介)(第一九三六号)  同(松本善明紹介)(第一九三七号)  同(村上弘紹介)(第一九三八号)  同(矢島恒夫紹介)(第一九三九号)  同(山原健二郎紹介)(第一九四〇号)  公団住宅家賃等への消費税課税反対消費税  廃止に関する請願中村茂紹介)(第一八五  三号)  消費税撤廃に関する請願長田武士紹介)(  第一九四一号)  消費税撤回に関する請願外一件(安井吉典君紹  介)(第一九四二号) 同月二十二日  消費税廃止に関する請願伊藤茂紹介)(  第二〇九六号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第二〇九七号)  同外四件(小川国彦紹介)(第二〇九八号)  同(加藤万吉紹介)(第二〇九九号)  同(川俣健二郎紹介)(第二一〇〇号)  同(上坂昇紹介)(第二一〇一号)  同(佐藤敬治紹介)(第二一〇二号)  同外二件(竹内猛紹介)(第二一〇三号)  同(永井孝信紹介)(第二一〇四号)  同(橋本文彦紹介)(第二一〇五号)  同(松前仰君紹介)(第二一〇六号)  同(薮仲義彦紹介)(第二一〇七号)  同外一件(安藤巖紹介)(第二一〇八号)  同(石井郁子紹介)(第二一〇九号)  同(岩佐恵美紹介)(第二一一〇号)  同(浦井洋紹介)(第二一一一号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二一一二号)  同外一件(金子満広紹介)(第二一一三号)  同(経塚幸夫紹介)(第二一一四号)  同(工藤晃紹介)(第二一一五号)  同(児玉健次紹介)(第二一一六号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二一一七号)  同外一件(柴田睦夫紹介)(第二一一八号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二一一九号)  同外一件(田中美智子紹介)(第二一二〇号  )  同(辻第一君紹介)(第二一二一号)  同外一件(寺前巖紹介)(第二一二二号)  同外二件(中路雅弘紹介)(第二一二三号)  同外一件(中島武敏紹介)(第二一二四号)  同(野間友一紹介)(第二一二五号)  同(東中光雄紹介)(第二一二六号)  同(不破哲三紹介)(第二一二七号)  同外一件(藤田スミ紹介)(第二一二八号)  同外一件(藤原ひろ子紹介)(第二一二九号  )  同(正森成二君紹介)(第二一三〇号)  同(松本善明紹介)(第二一三一号)  同(村上弘紹介)(第二一三二号)  同外三件(矢島恒夫紹介)(第二一三三号)  同(山原健二郎紹介)(第二一三四号)  同外一件(石田幸四郎紹介)(第二二九六号  )  同(稲葉誠一紹介)(第二二九七号)  同(柴田弘紹介)(第二二九八号)  同(竹内勝彦紹介)(第二二九九号)  同(鳥居一雄紹介)(第二三〇〇号)  同(西中清紹介)(第二三〇一号)  同(二見伸明紹介)(第二三〇二号)  同外二件(早川勝君紹介)(第二三〇三号)  同(水谷弘君紹介)(第二三〇四号)  同(冬柴鉄三君紹介)(第二三六四号)  貸金業金利引き下げに関する請願伊藤英成  君紹介)(第二三〇五号)  消費税撤廃に関する請願(鈴切康雄君紹介)(  第二三〇六号)  同(中村巖君紹介)(第二三〇七号)  消費税廃止不公平税制の是正に関する請願  (新井彬之君紹介)(第二三〇八号)  消費税撤回に関する請願外十八件(五十嵐広三  君紹介)(第二三〇九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十日  消費税廃止に関する陳情書外十七件  (第六四号)  相続税等に関する陳情書  (第六五号)  日本鉄道共済年金財政確立に関する陳情書外七  件  (第六六号)  かんきつ園地再編対策助成金に係る税制上の特  例措置に関する陳情書  (第六七号) 五月十七日  日本鉄道共済年金の財政対策に関する陳情書外  二件  (第一三四号)  税金徴収制度の改正に関する陳情書  (第一三五号)  消費税廃止に関する陳情書外二十件  (第一三六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五一号)  日本開発銀行法の一部を改正する法律案(内閣  提出第五二号)      ――――◇―――――
  2. 中村巖

    中村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案及び日本開発銀行法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  順次趣旨の説明を求めます。村山大蔵大臣。     ―――――――――――――  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案  日本開発銀行法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 村山達雄

    村山国務大臣 ただいま議題となりました日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案及び日本開発銀行法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  累積債務問題の解決への貢献、地域経済の活性化、多極分散型国土形成の促進という緊要の課題に的確にこたえ得るよう、日本輸出入銀行及び日本開発銀行について、民間金融の質的補完、奨励を行う観点から、その機能の整備を行うため、両法律案を提出した次第であります。  まず、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、累積債務問題解決のため、開発途上国に対する資金還流を円滑に進めるための手段をできるだけ多様化する必要があること等にかんがみ、本邦外において事業を行う者に対し、その事業に必要な資金を出資することができることといたしております。  第二に、開発途上国経済の発展に貢献し、資金還流を促進する観点から、民営化企業等大蔵大臣が定める外国法人に対し、本邦との輸出入と直接 結びつきがない資金の貸し付けを行うことができることといたしております。  第三に、輸銀の出資を受けた者が行う長期資金の借り入れに対して債務の保証をすることができることとするほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。  次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、地方における社会資本整備事業は、立ち上がり期における事業者の初期負担が大きく、民間金融のみでは適切な対応が困難な場合が多いことにかんがみ、産業の開発及び経済社会の発展に寄与する設備が大蔵大臣の定める事業の用に供される場合には、当該設備の取得等に関連する事業資金の貸し付けを行うことにより、こうした事業の立ち上がりを支援することができることといたしております。  第二に、地域活性化等の要請にこたえ、社会資本整備事業、地方開発事業等の分野での資金ニーズに的確に対応できるよう、借り入れ等及び債券発行の限度額を資本金及び準備金の合計額の十倍から十一倍に引き上げることとするほか、所要の規定の整備をすることといたしております。  以上が、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案及び日本開発銀行法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 中村巖

    中村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 中村巖

    中村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。早川勝君。
  6. 早川勝

    ○早川委員 日本輸出入銀行法と開銀法の改正案に関連いたしまして質問させていただきますが、その前に、今当両国民の大きな関心を呼んでおります問題につきまして、二点伺いたいと思います。  御存じのように、きのうは為替レートが百四十三円を超えてしまうというような状況が生まれたわけですけれども、現在のドル高状況につきまして、また、急激なドル高が生まれた背景と原因をどのように考えられているのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  7. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 お答え申し上げます。  委員御承知のとおり、為替市場の動向というのは必ずしも理性的な説明が可能なものではないものですから、そういう限界を置いてお聞き取りいただきたいと思いますが、まず、何カ月か先というようなオーダーで見た場合には、依然としてドルの先安感というものも根強く存在しているわけでございます。そういった背景の中におきまして現在ドルが強くなっていることについては幾つかの説明がなされております。  第一の説は、米国の金利高でございます。第二の説は、原油の価格が上がっているということはそれだけ米国にとっては有利であり、原油輸入に全面的に依存している日本やヨーロッパの国にとっては不利だというファクターを強調する説でございます。それから第三には、世界の政治の中の不安定要因、例えばパナマ、中国情勢というようなものをもちまして、有事に強いドルというファクターを強調する意見もあります。それから四番目には、米国の通貨当局はドル高を容認しているのではないかというマーケットのパーセプションも一部にあるいはかなり根強く存在していることも事実でございます。  しかしながら、この辺をよく見てみますと、最近の急激なドル高局面、これは本当にこの一週間ぐらいですが、その間においてはむしろ前に比べますれば日米あるいは米独の金利差は長期、短期ともに縮小しているので、どうもこれをもっても説明しがたい。それから、原油についてもこのところ上げどまっていることは委員御高承のとおりでございます。それから、米通貨当局のドル高容認説については、これは明らかな誤りでございまして、昨日ホワイトハウスがはっきりとこれを否定し、米国は、これ以上のドル高あるいはこのようなドル高が続くことは各国の国際収支調整努力にむしろ水を差すものだということを明らかにしております。  そうやって考えてくると、現在のドル高というものは理性的になかなか説明することが難しく、ある意味では、いろいろなマーケットがそういう要素をいろいろ言いながら、ややファンダメンタルズと離れた形での動きをしている要素の方が強いように思われます。
  8. 早川勝

    ○早川委員 そうしますと、今の状況は割と投機的な要素が強い、一部には、いやそういうことじゃなくてもっと構造的な原因があるのではないかという見方を指摘される方もいるわけですけれども、その点は割と理性的に整理できないということは、かなり短期の動きの中で終息していくだろうというふうに考えてよろしいわけですか。
  9. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 今、委員の御指摘のとおりではないかと思っております。やはり基本的な要素から離れた動きというのは、一時的にはそういうふうにマーケットが大きな潮のごとく動きましても、いずれは自律的な是正の動きが起こってくるものでございます。また、その間におきまして主要国におきますいわゆる協調体制をマーケットにおいて確固として維持していくことが大事だと思っており、また、そういう形でしっかりと対処しているところでございます。
  10. 早川勝

    ○早川委員 そうしますと、最近の急激なドル高等の日本経済への影響ということはそれほど大きくないというふうに帰結するわけですけれども、かといって、今の状況をそのまま放置しておいてよしとするのか。いわゆる国際協調を進めていくことと、他方、国内的に何らかの金融政策を講じなければいけないのじゃないかということと、二つ考えられるわけですね。対外的な対応と国内的なみずからの対応の問題があるわけですけれども、その点についてはどのようにお考えですか。
  11. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 こういったドル高の動きが仮に一時的であったといたしましても、やはりいろいろな意味で問題を起こし得るわけでございます。第一点は、実態から離れた動きをし、またそれが、マーケットが逆に目覚めてきたときに乱高下という格好でハードランディングが起こるとすれば、これは世界経済にも日本経済にも大変不安定な要因になります。それから、そういった形で基礎的なものから離れた動きがある程度続きますれば、これは当然のことながら各国の貿易収支是正の動きにも悪影響が起こるわけでございます。  ただいま委員、国内の問題について言及されましたが、物価という点で見ますと、為替の物価に与える影響というものは、かつて二年か二年半の間に一ドルの円ではかった価値が半分になりまして、その間それが卸売物価をある程度、一けたですが三角にしてきたことは事実でございますけれども、ではこれ自体がもっと下がったかというとそれほど下がっていなかったわけでございますし、そういった経験からいたしましても、この程度のことで急激に国内の物価に影響があるかどうかということには私は個人的にはちょっと疑問を持っておりますが、いずれにしても十分注意する必要はあるとは思いますけれども、現在のところはそういった感じではないんではないかなというふうに思っております。
  12. 早川勝

    ○早川委員 そうしますと、昨日の記者会見で大蔵大臣は、明日の卸売物価の状況と二十六日、明後日の東京都区部の消費者物価あるいは全国消費者物価の発表を待って金融政策について判断するというような発言をされているようです。また、G7ですか、蔵相会議も、国際協調の絡みでそういうことも考えなくてもいいんじゃないかという発言をされたわけですが、今の局長のお話ですと、為替レートはそれほど国内の物価には影響を及ぼさないだろうという見方も示されたわけです。  そうしますと、明日あるいは明後日の物価の動向というのはレートの問題ではないというふうに考えざるを得ないわけですけれども、そういう絡 みでいいますと、国内の金融政策というのは当面変えなくてもいいんだというお考えですか。
  13. 村山達雄

    村山国務大臣 金融政策は、言うまでもございませんけれども、実体経済のもろもろの指標、成長率であるとか雇用の問題であるとか、それから、とりわけ今は、この今の景気が長続きするかどうかというキーポイントが物価にあると言われておりますし、私もそれが一つの大きな要素であると思っております。そういう意味で物価は注視しますということでございます。四月のCPI東京都区部の速報、それからWPIの全国の指標、こういうものを見ておりまして、基調としてはまだ安定しておると見ておりますが、物価というものは一時点の指標だけではなくてずっとトレースしなくてはならぬ、そういう意味で二十六日に発表される物価を注視しておりますということを申し上げておるわけでございます。  したがいまして、物価というものをずっと長期にわたってトレースしていくという意味で申し上げておるわけでございまして、この二十六日の物価でどうするこうするということを直ちに意味しているわけではございません。
  14. 早川勝

    ○早川委員 今のドル高で、先ほど局長の答弁で、中期的に見ていけばドル安の傾向があるんだということで考えますと、当分それぞれの分野でそれぞれの対応をしてもらうということで推移を見ることにならざるを得ないかなというふうに考えます。  次に、もう一つの、というよりも一番大きな関心事であります消費税について伺いたいと思います。  消費税が四月一日から実施されまして、やがて二カ月がたとうとしているわけですけれども、今日の状況について、再三、定着するように、あるいは定着しつつあるとか、四月の導入された直後は割と混乱なく導入されているというようなとらえ方をされているわけですが、今の時点でどんなとらえ方をされているか伺いたいと思うのです。
  15. 村山達雄

    村山国務大臣 消費税の定着という問題を考えるときに、二つ問題があると思います。一つは、導入直後の転嫁が適正に行われているかどうか、こういう導入時における問題がございます。それから、これはやがては納税していただくわけでございますが、そのときに経理処理がどうなっているのかあるいは納税事務が円滑にいっているかどうか、こういう問題がございます。後の問題はこれからの問題でございまして、一番早くわかりますのは九月の納税期になるわけでございます。  とりあえずの導入についてどうかということになりますと、一つはそれぞれの値上げの状況がリーズナブルであるかどうかという問題、あるいは売り場の現場において精算事務が円滑にいっているかどうかという問題、あるいは卸売物価なり消費者物価にどのように反映されておるか、こういう問題であろうと思います。その三つの点から申しますと、概括的に見ればまずまずの線ではなかろうかということを申し上げておるわけでございます。  すなわち、値上げにつきましては、通産省の調査それから経済企画庁の調査、それから東京都の調査とございますけれども、いずれも一般的に申しますと値上げ率は三%以内におさまっております。あるいは、物品税等の減税になる分についてはほぼ見通した線で値下げが行われるという問題。それから、一部便乗値上げがあることは事実でございますが、その業種が非常に限定されており、しかもその業種の中でも一部のものに限られているという問題。あるいは、経済的に弱い下請業者の方々、そういった人に対して買いたたきが行われているかどうかという問題、これは通産省あるいは公取で調べているわけでございますが、それもあることはあるようでございますけれども比較的少ないというようなことからいたしまして、転嫁の問題については比較的まずまずにいっているのじゃないか、こう見ております。  それから、精算事務でございますが、これも一部つり銭の問題等がありましたけれども、現場に見る限りには大体混乱はなくて、それぞれ売り場における精算もまずまずスムーズに行われている問題。  それから、物価に及ぼす影響でございますけれども、これも予測された線にほぼ近いところであるということ。具体的に申しますと、東京都区部の速報で見ますと、三月に比べて値上げ状況が、上がったもの、下がったものを入れまして、消費者物価としては一・五%であるけれども、生鮮食料品を除く季節調整後の数字で見ますとそれが一・二%におさまっておる。それから、対前年物価上昇率では二・六%が出ているわけでございますが、東京都区部と全国との比較をとってみますと、やはり〇・三から〇・六ぐらい東京都区部の方が割と高く出るというようなもの、こういった点を見ますと、値上げの段階でございますけれども、これはまずまず順調にいっているのではなかろうか。もちろん先ほど申しましたもろもろの点でまだ問題があるということは事実でございますけれども、まあまあ比較的順調にいったのではなかろうか、こんなふうに考えておるところでございます。
  16. 早川勝

    ○早川委員 そこで、まあまあうまくいったというとらえ方をされているわけですけれども、最も予想外だったなという点ですね。今の説明を伺っていますと、すべて割と予測していた範囲におさまってしまってきているというとらえ方をされているようですけれども、実施されて、七割、八割の人が廃止すべきだ、あるいは手直しすべきだというような世論調査結果が出ていますけれども、そういうのも当初見込まれていた問題、現象だったのかどうか、ちょっと伺いたいと思います。
  17. 村山達雄

    村山国務大臣 これもいろいろあるだろうと思います。一つは、やはり初めての税でございまして、特に買い物をなさる奥様方から見ますれば煩わしい。それから、こんなに消費税というのは払わなければならぬのかという痛税感が非常にあるということ、それから煩わしい、こういうことが一つあると思います。  もう一つは、やはりこれと並行してやりました税制改革の一環であります所得税、住民税がどれだけ減税になっておるかということが、買い物をなさる方々には必ずしも理解されていない。これは、周知度で見ましても、消費税に関する一般の消費者の方々の周知度は八〇%、ほとんど消費税は知っておられる。所得税、住民税がこれだけ大きな減税になっておるというのは知っている方は二割だというのが出ているわけでございます。しかも所得税、住民税の減税、まだ住民税の減税は、税率の分、これは六月からしか出てまいりません。そういったことからいいまして、所得税というのがほとんど大部分が源泉徴収で減税しているわけでございますので、なかなかわかりづらいという問題があるだろうと思っております。  これに反して、消費税の方はほとんどが外税になっておるものでございますから、痛税感が非常に強いというようなこともやはり一つの不満の種ではないかと思っておりまして、今後はこういう点を積極的にPRして、そして消費者の方に差し引きこういうことになっておりますということをよく御理解願う必要があるのじゃなかろうか、そういうふうにも思っておりまして、これからは推進本部の既定方針に従いましてやはり積極的なPR、あるいはいろいろな御相談に親切に応ずるとか、あるいは御質問があるときには親切な、適切な指導をやっていく、こういうことによってやはり粘り強く定着を図っていく必要があるのじゃないか、このように思っております。
  18. 早川勝

    ○早川委員 これは主税局長にお答えいただいた方がいいと思うのですけれども、導入した後で不満が高まったということがある。率直に認められなかったと思うのですが、恐らく予想外の比率だったのではないかなというふうに思われているのじゃないかと思います。  実務等を考えてみますと、転嫁カルテルが一体、今現在どれぐらい出されているか。三月三十一日現在ですと、例えば四千三百二十七件もカルテルの届け出が出ているとか、それから地方自治体が転嫁を見送っているとか、それから外税と内 税の比率が出ていれば教えていただければありがたいのですが、一体この比率が、具体的には割とまだ業種によってばらばらなんですが、これは当初見通していたような状況なのかどうか。それから、実施までの三カ月間の期間の短さに対する不満が非常に強いわけですけれども、これらもすべて織り込み済みであったというふうにお考えかどうか、伺いたいと思います。
  19. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 消費税の実施後の様子につきましては先ほど大臣から申し上げたとおりでございまして、私どもも同じように考えております。  いろいろ、特に主婦の方にとりましては、御自分で税金を払うというような実感を味わうのは今回が初めてという方が大変多いのだろうと思います。所得税減税等につきましても、それは御主人の月給の問題でありましても、なかなか奥さんのところまで実感として伝わっていない。ところが、日々の買い物では消費税と書いてあるレシートを受け取るというところから、やはりその税に対する抵抗感が当初あるのはやむを得ないことであると存じますし、なぜそういうものが必要であるのかということとか、全体の税制改革の姿であるとか、今後一層説明に努めてまいりたいというように考えております。  カルテルの数でございますが、ちょっと大ざっぱな数字でございますけれども、大体現在転嫁カルテルで二千、表示のカルテルで二千五百、四千五百ぐらいであろうというように承っております。  それから、地方自治体におきまして、条例の改定等につきましていろいろな議論がございました。ひところ混乱というように伝えられましたが、その点も次第に内容が御理解いただけてきているように存じます。大体総じて八割程度のものは転嫁が行われておりますし、そのようなものにつきましても、結局転嫁がなければ地方自治体の負担になる、ひいては住民の税負担に転嫁されてくるという話でございますので、国税と地方税との関係の調整等もございますから、おいおい御理解いただけるものであろうかというように存じます。  それから、外税と内税でございますが、ちょっと正確な数字は後ほど申し上げますが、業種によって違います。それから企業の大小によって違います。それから物の流れの下流と中間の段階によって違いますけれども、大体これも総じて八割程度のものが外税の形になっていると思います。物の製造、流通の途中の段階までは大部分が外税ということであろうと思います。小規模の企業におきまして内税の部分がふえておりますけれども、後ほどその正確な数字は申し上げさせていただきたいと存じます。
  20. 早川勝

    ○早川委員 何かみんなうまくいっているような話ばかり出されるのですけれども、そうじゃないと思うのです。  いわゆる定着するというような状況ですが、一体定着するというのはどういうふうにとらえるかという問題があるわけでして、税として国民に受け入れられて、日々の取引あるいは納税者、担税者含めてそれほどの実務的な支障もなく、不満もなく、その税が生活の中に入り込んでいるというようなとらえ方をした場合、そういう状況が生まれる、いわゆる定着するまでには一体どれぐらいの時間を考えられているのかなということを伺いたいと思うのです。  というのは、公取の委員長は、下請の問題については例えば一年間監視し続ける必要があるだろうと言われておりますし、カルテルは二年間ですか、それから大臣のいろいろなところでの答弁で、何か導入直後にすぐ見直しをされるというような、不見識だと思うのですけれども、だったら初めから見直せばいい、手直ししたものを入れればいいわけでして、まあいろいろなことを考えますと、政府としてこの消費税が定着する、それまでにはどれくらいの時間が必要だというふうに考えておられますか。
  21. 村山達雄

    村山国務大臣 先ほど申しましたように、導入に伴う値上げの状況、こういったものにつきましては、これもまだわかりませんが、ずっと見ているわけでございますが、特に経理処理とか納税事務になりますと、これはもう御案内のように、一番最終的なところで、法人の大部分が三月決算でございますからその申告納付は来年の五月になります。そのときまでずっと状況を見守らないと、この税が最終的にどの程度定着したかということの判断は難しいだろうと思います。したがいまして、ずっと引き続き検討を進めてまいりますけれども、どんなに早くても来年の五月以降の問題になろうか、このように考えているわけでございます。
  22. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 失礼いたしました。  先ほどの外税、内税の表示の問題でございますが、公正取引委員会が消費者モニターを用いまして調査をした結果によりますと、対象二十二商品、延べ一万九千九百十二品目の調査でございますけれども、そのうち店内表示、商品ごとの表示などによりまして消費税が抜きであるかあるいは消費税込みであるかということが明らかになっていたもの、それが八七・四%でございます。その八七・四%のうち、消費税抜きで価格表示がしてございましたものが八〇%、それから消費税込みで価格表示をしておりましたものが二〇%でございます。
  23. 早川勝

    ○早川委員 この消費税の問題については、来年の五月以降ですか、今から一年後に、本当に定着しているのかどうか、また国民が受け入れているのかどうかわかる時期が訪れるわけですけれども、今現在、ある新聞の消費者の行動調査によりますと、消費税廃止は五三%という数字が出ているわけです。恐らくいろいろな機関、マスコミ等がまた世論調査されると思うのですけれども、そういったときに同じように過半数以上の人たちがやはり消費税はなじまないよというような意思表示をされた場合に、手直し、見直しという場合には、その見直しの中には廃止も含まれるというふうに普通考えるのですけれども、そう理解してよろしいですか。
  24. 村山達雄

    村山国務大臣 廃止ということは実際問題としては非常に難しいだろうと思っております。というのは、今度の税制改革というものの全体の構想を考えますと、やはり消費税というものが一つの中核をなしているわけでございまして、個別消費税の持つ根本的な矛盾、それを広く薄い消費税で代替しようという問題と、それから税制改革全体の枠組みの中の一つになっているわけでございますので、もちろんいろいろな御批判も謙虚に承りますし、手直しすべき点があれば手直しせざるを得ないと思いますが、今この段階でまだ廃止を云云する段階では少なくともないであろう、こういうふうに思っております。
  25. 早川勝

    ○早川委員 税金、納税というのは国民が納得して納めるから納税だという説があるわけですから、その時点で国民が納得しなければ、手直し、見直し、その中には基本的に見直すということも含まれて当然ではないかと思います。  そこで、輸出入銀行の問題について改正案に関連しまして質問させていただきます。  最初に、冒頭ドル高の問題にも触れたわけですけれども、今後の国際金融のあり方で、私なりに一番大きな問題は、発展途上国の累積債務問題じゃないかなと思うわけです。この問題について我が国として基本的にどんな取り組みをしていくのか、またしていかなければいけないのか、どんな役割を担わされてきているのか、そのあたりをちょっと伺いたいと思うのです。
  26. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 ただいま御指摘の債務累積問題、特にいわゆる中所得開発途上国、中南米の国々を中心といたしましたこれらの国々の債務累積問題は、現在世界経済の最も深刻な、のどに刺さったとげのようなものであることは事実でございます。これの処理を誤りました場合には、世界の経済が不安定になるだけではなくて、金融システム全体にも影響のある問題だというふうに認識しております。  この中におきまして、我々が好むと好まざるとにかかわらず、日本というものの存在が、債務国 側からもまた主要先進国の中からも重要な役割を果たすことを求められているということも事実でございます。したがって、こういう中におきまして、私どもといたしましては、日本の納税者や日本の預金者が特に不利になったりばばをつかむというようなことがないように十分配慮しながら積極的な役割を果たすことが重要だと思っておりまして、昨年の債務累積問題についての日本提案もその一つでございますし、また、こういったものを多く取り入れましたいわゆる新債務戦略につきましても、これを積極的にサポートしながら協力して推し進めているところでございます。
  27. 早川勝

    ○早川委員 日本はこれから国際金融の中でも累積債務問題に取り組まなければいけないわけですが、それとの絡みで、今回の輸銀の法律の改正の中にもそれが大きな目的の一つになっているわけですが、まずその点について総裁の総括的な御意見を伺いたいと思います。
  28. 田中敬

    田中説明員 今回の改正につきまして私どもが政府当局にお願いを申し上げ、また政府当局と見解の一致しています点は、ただいま国金局長がお話しになりましたとおり、累積債務問題というものが非常に緊急な問題であり、かつまた我が国に期待をされている側面が非常に多いということで、資金還流措置が一九八七年から始まっておりますが、その資金還流を行いますに当たりまして、私ども輸出入銀行に期待されておりますところの役割が非常に大きくなっております。  私どもの輸出入銀行といたしましては、資金還流というのは、もともと日本のどこに資金があるかというと、民間部門でございまして、パブリックセクターは御承知のような財政状態でございます。この民間資金をいかにしてうまく還流をさせるか、そういう触媒的な役割を果たす意味において、輸出入銀行が行います資金還流というのは非常に重要な意味を持っておるというふうに考えております。  と同時に、先ほど申されたように資金還流を活発に行いますためには、資金還流のための手段をいろいろ与えていただきたい。従来のような法律の範囲内の融資業務でありますと、やはり何か十分でない点がある。  例えば、私ども今輸出入銀行法で、外国にアンタイドローンを出します場合は、外国政府あるいは地方政府、あるいは外国の政府機関、そして外国の金融機関というようなところにはアンタイドの資金を還流するということが法律上認められておりますけれども、御承知のように、最近は開発途上国におきましても民活化、民営化が進んでおります。従来政府関係機関でありました電力あるいはガスあるいは交通というようなセクターの政府機関がだんだん民営化してまいります。そういうところに資金を還流してそれらの国の経済力あるいはインフラの基盤を整備するということは非常に意味のあることでございますが、今の法律によりますと、こういう民営化された法人というものには資金が供与できないという規定になっておりますので、これらを緩和していただいてそういうところに資金を出す。  あるいは資金の還流手段として、融資業務のみならずこれから海外直接投資というものが非常に有効な資金還流手段であることは御承知のとおりでございますが、この海外直接投資を積極的に支援するため、輸出入銀行としても出資機能を与えていただいて、民間の外国直接投資についても、一部のリスクを輸出入銀行からとることによりまして一般民間企業の直接投資を推進する、こういう役割が果たせるというようなことを考えまして、と申しますのは、総括的に申し上げますれば資金還流手段の多様化をお願いするという意味で今回の改正をお願いした、こういうことだろうと存じます。
  29. 早川勝

    ○早川委員 輸銀の最近の融資目的別の動きを見ておりますと、最近になりましてアンタイドローンの比率が非常に高まってきているわけですね。例えばアンタイドローンのところだけピックアップしてみますと、八五年度ですから今から四年前ですけれども、ウエートにして一一%、一割程度ですね。ところが、翌年度以降になりますと、三三%ですから三割、三分の一がアンタイドローンに変わって、昨年の比率で見ますと六三%、六割を超えているわけですね。  そうしますと、金融問題が、累積債務問題、資金還流がこれからの世界経済の課題であり国際金融市場の大きな課題だとなりますと、輸銀の融資目的というのもアンタイドローンのところへどんどんウエートがかかっていかざるを得ないだろう。また、この傾向が、六割以上が高まるのかどうかわかりませんけれども,大体これぐらいの比率がずっとこれから推移していくというふうに見通してよろしいものかどうか。また、そういう要望があればそういう形でこたえていくということで対応していけば、この比率がそのままこれから当分続くというふうに見通されているのかどうか、伺いたいと思います。
  30. 田中敬

    田中説明員 委員御指摘のとおりに、例えば一つの数字を申し上げますと、昭和六十年度におきましては輸出入金融の承諾額が六八%、海外投資金融が二一%、そして今問題になっておりますアンタイドローンが一一%でございましたが、昨昭和六十三年度について見ますと、輸出入金融はわずか一九%、輸出がこのうち一二、三%でございます。それから海外投資金融が二一%、アンタイドローンが五九%というふうに、委員が申されましたように六〇%をアンタイドローンが占めるという日はそう遠くない、恐らく本年度におきましてはそういう状況になろうと思います。今、資金還流措置を推進している最中でございますので、傾向といたしましては、私自身もこのアンタイドローンというものがここ数年は相当大きな比重を増していくというふうに考えております。  しかしながら、私どもの銀行といたしましては、単なるアンタイドローンだけでなくて、資金還流という手段をとるにいたしましても例えば直接投資という手段もございます。それからまた、いろいろ問題とされておりますけれども、日本にとりましてはやはり輸出というものは非常な日本の経済政策の遂行手段でございますし、また、輸入も非常に緊要であるということを考えますと、単にアンタイドローンの増勢をそのまま続けるだけでなくて、投資金融あるいは輸入金融あるいは必要な開発途上国等へのプラントの輸出、それによる技術移転、そして開発途上国の経済力を大きくし雇用創出効果も生ませるというようなことを考えますと、私どもはアンタイドローンの増勢と同時に、今申し上げました別途の還流手段、すなわち、投資あるいはプラント輸出等による技術移転というような方法も進めてまいりたいと思います。  傾向とすれば、ここしばらくはアンタイドローンの比重がふえていく、そういうふうに考えております。
  31. 早川勝

    ○早川委員 今回の改正には民間企業いわゆる第三セクター等への融資も入っているわけですけれども、たしかブレイディ構想のときは民間は切り捨てをやるわけですかね。公的な資金についてはどういう扱いをされるのかということをまた伺いたいと思うのです。
  32. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 ブレイディ構想は、民間銀行と債務国との間で話し合いましてメニューをつくる、そのメニューの中で、今まで例えば百という額面の銀行債権は、状況に応じて例えば六十とか七十とかいう、元本の保証はつくけれども、ある程度ディスカウントというか債務の削減も含む、あるいは金利の引き下げも含むということがございます。しかしながら、基本的にはそういうことを通じていずれはまたこの国ができるだけ早く民間のマーケット、金融市場に戻ることを期待しているという、これが基本的な筋合いでございますから、民間の方は切り捨てて公的な方に移ってしまうということではないわけでございます。  他方におきまして、公的なもの、例えば世銀とかIMFからの資金、それからIMF・世銀と協調いたしまして先ほど来の輸出入銀行の協調融資というようなものも、それに力をかすということはありますが、これは全面的にそっちへ行ってし まうのではなくて、そういう形で正しい経済政策をとることを慫慂しながら、また民間のマーケットに戻ってくるということを基幹としてできているものでございます。
  33. 早川勝

    ○早川委員 そこで、輸銀として、これはあくまでもやっぱり金融機関であるわけですから、金融機関としての健全性を守るということは基本にあるわけですが、そしてアンタイドローンのウエート増が当分は続かざるを得ないだろうし、必至の傾向だろうということになりますと、その金融機関としての健全性と、リスクと言っていいかどうかわかりませんけれども、そういった民間部門にも融資していくし第三セクターのところまでも対象に含んでいくとなりますと、今まで以上にそういうリスクというのは高まると思うわけですね。  そういうことに対しての対処、従来の方針と、またこれから新しい何らかのそういうプロジェクトリスクに対する評価ですか、事前審査を含めて何らかの手法なりを考えていかなければいけないのじゃないかと思うのですが、その点についてどういうお考えですか。
  34. 田中敬

    田中説明員 御指摘のとおり、輸出入銀行法の十八条の二によりますと、償還確実なものでないと融資をすることはできないということで、サウンドバンキングの原則がうたわれております。そういう意味で、私どもの銀行といたしましては、いかなる国内案件であれ、アンタイドローン、外国融資案件であれ、単にその担当の業務部門がそのフィージビリティーその他につきまして審査するのみならず、他部門のダブルチェックと申しますか、他部門におきまして当該案件の同じようなフィージビリティーあるいはカントリーリスクというようなものについても審査を行うということによって、まずスタートの時点から十分その健全性に注意をしてまいっております。  さらに、累積債務問題に絡みましての協調融資等でございますけれども、最近も資金還流の大部分は、私どもはIMFあるいは世界銀行あるいは米州開発銀行、アジア開発銀行等国際機関との協調融資を原則として行っております。その協調融資を行うことによりまして、これら国際機関が持っております豊富な経験やノーハウを十分活用することによりまして、やはりリスクの回避を図っていくという手段をとっております。  あるいはまた、世界銀行等との協調融資におきましては、クロスデフォルト条項というのを設けまして、一方に対する延滞があれば他方に対する延滞もあったとみなすということにいたしまして、国際機関に対する延滞を累積債務国、途上国が行いますと大変なことになりますので、そういうクロスデフォルト条項を設けるということによって輸出入銀行の債権の保全を図ることもいたしております。  こういうことで債権の保全を十分図っていく所存でございますし、従来はそれによりまして償却をしたような例もございません。現在はすべてが円滑に償還をされておるわけでございます。  しかしながら、委員が御指摘されましたように、こうしてアンタイドの資金が開発途上国に今後出ていくということになりますと、やはり私どもが念頭に置かなくてはなりませんことはカントリーリスクでございまして、私どもの銀行といたしましても、独自の手法で当該国の、あるいは流動性、支払い能力、リクイディティーとかソルベンシーとか申しておりますけれども、こういう両面からその国のカントリーリスクを分析をいたしまして、当該国への貸付残高と私どもの銀行の自己資本比率との関係、そういうような観点からこういうリスク管理をどういうふうに図っていくかということについても、部内で十分検討を進めて今後の対応を図っているところでございます。
  35. 早川勝

    ○早川委員 そこで、今回の法案には盛られていないわけですけれども、輸出入銀行は昭和二十五年にできている機関なんです。第一条の目的を読んでみますと、「日本輸出入銀行は、金融上の援助を与えることにより本邦の外国との貿易を主とする経済の交流を促進するため、一般の金融機関が行う輸出入及び海外投資に関する金融を補完し、又は奨励することを目的とする。」こういう目的の条項があるわけですけれども、確かにスタートしたときは、冒頭触れましたような融資目的を見ましても、八割とか四分の三を輸出金融に回していた、それがだんだん輸入金融にウエートが移ってきて、今やアンタイドローンのところまできてしまうというふうになると、いわゆる先ほど読みましたような目的条項からすると、何か物の流れのところじゃなくて、まさに金融そのもの、金の流れそのもののところヘウエートがかかっているというふうになると、果たしてこういう目的規定でいいのかということを考える時期を迎えているんじゃないか、考えなければいけないんじゃないかという感じがいたします。  ということは、同時に、日本輸出入銀行という名称が一体なじむのかどうかという感じも持つのですけれども、その点についてはどんな感じでこれからの変化に対応されていこうとされているか、その名称、目的等の絡みでお聞かせいただきたいと思います。
  36. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 先ほど輸銀総裁からお話がございましたように、かつまた委員からもお話がございましたように、最近では輸銀の仕事のウエートが輸出入金融等から投資金融またはアンタイドローンへ移ってきているということは、そのとおりでございます。  ただ、内容を見てみますと、承諾件数では輸出入金融に関する業務がまだ多いわけでございますし、それから、一時的にふえているという要素もあるわけでございます。かつまた、輸出入銀行につきましては、取引先といいますか、そういう一般の人たちは、輸出入金融ばかりでなくて投資金融やアンタイドローン等も供与する多機能型の銀行であるという認識は、世の中で十分に広まっているわけでもございますので、今の段階であえて名称変更にまで踏み切るのはいかがかなというふうに考えておるところでございます。
  37. 早川勝

    ○早川委員 多分、日本輸出入銀行というのを外国でそのまま訳すと、また日本は金は出してくる、また日本の輸出を促進するためのという感じを受けるんじゃないかと思うのです。局長は一時的じゃないかと言われたのですけれども、一時的というのはどれくらいの期間かはなんでありますけれども、そうではなくて、これからの傾向としてはアンタイドローン等その投資のところがウエートはずっと高い水準で推移していくんじゃないかなと思いますので、機会があれば検討していただけたらと思います。  それからもう一つは、これは後ほど触れさせていただく開銀にもかかわることなんですけれども、いわゆる原資の問題で財投の問題がこれから恐らく検討の時期を迎えてくるのじゃないかと思います。そういうことを考えたときに、輸銀の融資の方はわかったのですけれども、原資、元本の方をどういうふうに考えられているのか、それだけをお聞きしたいと思います。
  38. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 原資の方の問題は理財局の所管ではございますが、理財局長は参っておりませんので、私から答弁させていただきたいと存じます。  委員御指摘のように、その点は恐らく今後いろいろの角度から検討を要する点が出てくるのではないかというふうには考えております。ただ、現段階ではまだそこまで問題が立ち至っていないというのが私の個人的な感じでございます。
  39. 早川勝

    ○早川委員 総裁、ありがとうございました。  そこで、次に開銀のことについて伺いたいのですが、開発銀行の問題を考えるとき、いつも――いつもと言うのは失礼なんですけれども、政府関係金融機関、輸銀を含めてなんですけれども、無用論が時々聞かれるわけです。その無用論につきまして総裁はどんな反論というのですか、意見を持たれておりますか。
  40. 高橋元

    ○高橋説明員 昭和六十二年の行革審の答申、それから政府の行革に関する決定、その辺に集約的にあらわされておりますように、政策金融機関としての開発銀行の金融自由化の中で果たさなければならない仕事というものは、政策金融の効率化 たというふうに思うわけでございます。  この十年ぐらい金融環境というのは非常に変わってまいったというふうに承知しておるわけでございますが、今も御指摘のありましたように、民間の金融が充実してきている中で、従来開発銀行がやってまいりました仕事は、えてして量的補完というふうにとられておった面もございます。また、産業設備に対する金融というものを主としてやっておったのではないかという御批判もあったと思います。政策金融機関でございますから、世間でございますいろいろな批判を率直に受けとめて業務の改善に努めなければならないことはもとよりでございますけれども、そういう観点からいたしますと、最近の政策金融の課題というものが依然として、変わりつつはあるけれども、その重要性においてかつての十年間に劣らない、むしろふえてきておるということが言えるというふうに思います。  つまり、政策金融として私どもの開発銀行が一番あれしておりますのは、例えば金融の自由化とか国際化の進展、地域経済社会の基盤充実に対する要請の高まり、こういったことが一番基幹になるかというふうに存じますけれども、そういうことに対応してまいりますためには、従来行っておりましたような産業設備に対する金融についての量的補完というものをできるだけ縮めて、今申し上げておりますような基本的な政策課題に対応する業務のあり方というものを集約的に効率的に展開していくということが必要であろうというふうに思っております。  そういう形で今回法律の改正をお願いをいたしておるわけでございますけれども、一昨年の行革の政府の御方針にも対応いたしまして、現実行ってまいりました、また現に行いつつあります融資のやり方というものについても改善を図っておるということは申し上げられると思います。  資金量の増加というものは、例えば六十三年度と平成元年度では同額ということにして、その中で重点項目の入れかえをやっておる。その重点項目とは何かと申しますと、例えば現在の一極集中の国土のあり方に対する地域開発、または産業構造調整の金融に対する重点の置き方、それから都市の問題については都市開発に対する重点の置き方、そういうものを非常に優先させまして、今お話のございましたような無用論というものが現実は当たらないということを実際の形で世の中に認識していただくというのが私どもの務めだというふうに考えております。
  41. 早川勝

    ○早川委員 もう少し具体的に、これからやはり開発銀行は必要なんだ、これからやっていくということもそうなんですけれども、やっていっていただくのは当然としても、例えば民間の金融機関に向かって開銀としては、だから開銀が必要なんであって存在価値があるんだというようなことで、それこそ無用論は無用だというぐらいに言える具体的な事例を含めて、もうちょっとお聞かせいただけたらと思います。
  42. 高橋元

    ○高橋説明員 政策課題の変化について先ほどから申し上げておるわけでございますが、開発銀行が政策金融を通じて供給してまいります資金の質について最近非常に変化が起こっておるというふうに申し上げられるのではないか。先ほども申し上げたことでございますが、産業設備に対する金融というものが自由な金融マーケットの中で調達が可能になったといたしましても、なおかつできないことがいろいろあるはずでございまして、例えば資金のリスクが非常に高い研究開発でございますとか、ましてや研究開発のための諸施設の整備ということになりますと、非常に収益性が乏しくて企業として果たしてそれを営むことが可能であるかどうかという問題があると思います。また、非常に長期の懐妊期間を要する投資に対する資金の供給、これにつきましては、民間の金融市場で調達できる資金が例えば期間が十年といたしますと、それを超えて私どもの銀行は二十五年まで、平均して十六年ぐらいの貸付期間で貸し付けをしておりますけれども、長期のいわば期間補完というものも必要になってくるのではないか。それからまた、開発銀行が中立的な政策金融機関として出資または融資を通じまして力をかすことによって、企業体の信用がふえて民間の金融機関からの資金が集まるようになる、そういういわば信用補完という面もございます。  そういった各種のリスク補完、信用補完、そういったことが質的補完の主なものでございますけれども、また最近では、市中金利と開発銀行の政策金利の利幅というものも漸次減ってまいりましたが、やはり低利の金融でございますから、低利長期の資金を求める要望というものが強いわけでございます。  手前みそのようなことを申し上げて恐縮なんですが、平成元年度に私どもが業務計画として大蔵省に認めていただいております資金の枠が一兆三千九百三十億でございまして、それに対して年度当初資金の融資期待というものを集めて調べてみましたところ、大体それを五割以上上回っておる融資期待が寄せられておる、実際に融資先の需要にこたえて融資先で生きた使い方をしていただけるというような資金を供給いたしますことは金融機関としての共通の任務だと思うわけでございますが、そういう意味では開発銀行の仕事というものが評価されているのではないかというふうに考えます。  質的な問題で申しますと、さっきもちょっと触れたことでございますけれども繰り返させていただきますと、社会資本関係、環境または社会資本、非常に広い意味での社会資本、そういうものに対する需要が産業設備に対する需要を超えてふえつつあるということは申し上げられるかというふうに思います。例えば国際会議場、コンベンションホールでございますとかリサーチコアでございますか、テレコム、テレポートでございますとか、そういう最近の経済の変化に即応して従来のハード的なものからソフト的なものへ、また直接の企業設備的なものから環境的なものへというような資金の需要の変化がございまして、それに応じて逐次私どもも新しい形で制度の改正もお願いをし、また前の制度のあり方も検討いたしまして対応してきておるわけでございます。今回お願いしております立ち上がり支援資金などもその一つの例かというふうに思います。  現在、制度の対象にしたいと考えておりますのは、NTTの無利子資金の融資の対象になります第三セクターを通ずる社会資本整備でございますが、こういった事業主体は、第三セクターでございますから事業金融というものに余りなれておりませんので、したがって民間の金融機関のサポートを期待することが非常に難しい。そうなりますと、立ち上がり期に必要な設備資金を超えた人件費でございますとか、それから賃借料でございますとか固定資産でございますとか、そういったいわば運転資金の一部、立ち上がり期の運転資金というものを含めてお貸しをすることがどうしても必要になると思います。  また、過般の六十二年の改正でお認めいただいた研究開発資金でございますが、これはソフト資金でございます。設備投資と同時に、それと並んで研究投資というものが日本経済にとって非常に必要になってまいったわけでございます。ところが、研究投資というものは人件費の塊のようなものでございますから、従来の開発銀行の設備金融の中では賄い切れないわけでございます。したがって、六十二年の法改正ではそれをお認めいただいたわけでございます。  そういうものを通じて、新しい政策課題、新しい資金需要の質、また新しいツールの開発というものを通じて、市中金融機関ではともすれば難しい資金の供給ということに努力しているわけでございます。
  43. 早川勝

    ○早川委員 今回の改正に関連して、これはいわゆる竹下首相の「ふるさと創生」ですか、それとの絡みもあるのだ、またそれを金融的な機関としてフォローするのだという背景もあるようでございますけれども、その一億円をどう使っているかというのは、それこそ外国旅行に使っておるところもあるわけです。そういうのは論外といたしまし て、少なくとも地域の開発に使おうというところがあると思うのです。また、それとは別に各省庁がやっているそれこそリゾート開発計画という構想は、幾つか中央省庁も考えているようですし、また地方、県、市町村含めて地方自治体も考えているわけですけれども、なかなか具体化されていない模索の段階じゃないかなというような感じを僕なんか受けるわけですね。  それともう一つは、民間金融機関が資金的な軸になっていきますと、私企業としての利益という第一の原則があるわけですから、そうすると、全国的な、日本全体として同じようなものがすべて各県にあってもどうかなという感じを持つわけですし、全国的なレベルでの総合性といいますか計画性といいますか、そういうものも必要になるのじゃないかと思うのです。そういうときにこの開銀というのはそれなりの働きができるのじゃないかなと思うのですけれども、この点は何か構想みたいなことがございますか。
  44. 高橋元

    ○高橋説明員 平成元年度、六十三年度も同様であったわけでございますが、より一層強く地方開発資金の供給ということが必要になってまいりました。全体の資金枠は前年度と同額ということを先ほどお答えしたわけでございますが、その中で他の項目を削って伸びを大きく見込んだのが三つございます。一番高いのが地方開発でございまして、前年度に比べて二割アップという資金の融資を予定いたしております。あるいは二割じゃ足りないかもしれません。それからもう一つは、内需型の経済に切りかえていきますため、産業構造調整融資というものでございます。これも約二割の伸びを見込んでおります。その他都市開発につきましても重点を置いておるということで、これらは今御指摘のございました地方開発、一極集中型の国土のあり方に対する政策的ないわば是正措置ということに重点を置いたものであります。  地域経済の活性化を促進をいたす、そのために社会資本整備に寄与するプロジェクトに対する支援を図るべく低利融資制度もまたこれにあわせて、つくっていきたいというふうに考えておりますし、先ほども触れました立ち上がり支援資金もその一環であるということが申し上げられると思います。  それから、第二にリゾートについてお尋ねがございました。現在リゾート構想で承認を受けたものが全国で十三道県あると承知しておりますが、その中で北海道、東北地域以外、つまり開発銀行の地開資金をもって対応いたすものが八つございます。現在構想は着々進捗中でございまして、まだ現実に融資期待があって貸し応じたというものはたしか二県であったかというふうに思いますが、これに対応いたしましては地方開発資金の中の特別金利、現在五・〇五%という金利水準で融資をいたすほかに、NTTの無利子資金の融資も可能でありますし、現実に貸してもおります。それから出資もいたせるということになっておりまして、第三セクターを通じて行うリゾート設備資金需要に対する支援というものがこれから進んでまいるだろうというふうに思います。  それから、第三点にお尋ねのございました計画性ということでございますが、私どもの銀行は、現実に融資案件に至らないものも若干はあるわけでございますけれども、非常にたくさんの地方開発プロジェクトに対していわばコンサルティングという仕事をいたしております。昭和五十年代から地方を回りまして各県の開発プロジェクトについて具体的に御相談に応じながら、プロジェクトおこし、プロジェクトまとめということをやってまいりました。そういうことを通じて現実に地方開発プロジェクトが幾つか進んでまいったわけで、現在手がけておりますプロジェクトは全国で四百五十ぐらいあるというふうに思います。  そういったコンサルティングを通じて開発しましたノーハウ、そう申しましてよろしければ、そういうノーハウを地方の方に役立てていきたいということも、地方開発にとって私どもが期待しております、また私どもの機能を地方開発を通じて発揮してまいりたいと考えておるというような点でございまして、そういうノーハウをお使いいただくことによって、計画性、中立性と申しますか、地方の目だけで見たのではあるいは過剰投資になってしまうかもしれないものについて、そういうものでなくてもっと伸びる力のあるプロジェクトを現実にこうやっていただいたらどうでしょうという具体的なサゼスチョン等を含めて、地方のお役に立っていけるのではないかというふうに思っております。
  45. 早川勝

    ○早川委員 輸銀のときも最後にお尋ねしたわけですけれども、現実に財投ですね、年金資金の問題だとかいろいろな問題を含めて原資の問題が一つこれからの検討課題になるということを考えますと、開銀の場合でも、市中一般民間の金利との差がだんだんメリットが少なくなってきているという傾向はこれからももっと逆に進むのじゃないかと僕は思うのです。そうしたときに、だから開銀は必要なんですと、金利だけじゃなくて期間の問題もあるわけですけれども、いろいろな面で、先ほどノーハウあるいはコンサルト業務も含めて言われましたが、単に金利面だけの優位性じゃなくて、開銀というのはこれからも必要なんだということがもっと明確に、先ほど来説明を伺いましたけれども、そういうところに有用論、それがこれからの課題じゃないかと思います。  そこで、最後になりますけれども、政府系金融機関というのは中立的だということで、金融自由化がどんどん進んでいくということは、反面、利益第一という傾向がどんどん強まるということも考えざるを得ないわけですから、そういうことを考えたときに、やはり政府系金融機関というのは、輸銀、開銀を含めてまさに中立の機関としてこれからますます重要になるんだというふうに一般的には考えるわけなんですけれども、そういう意味での政府系金融機関がますます必要だということについて、もしこの機会に無用論に対して大臣の立場から有用論を聞かせていただけたらと思います。
  46. 村山達雄

    村山国務大臣 金融の自由化、国際化が非常に進んでいるわけでございまして、それはそれ自身として日本がこれからあるべき姿であろうし、資金の効率的な運用という問題から非常に歓迎すべきことだと思います。それだけに今度は逆に、やはり民間金融ではどうしても対処できない部面というのは必ず残るということは、今まで終戦後から今日までの金融の融資分野の対象の変化の跡を眺めてみますと、これはもう当然言えるだろうと思うのでございます。  私はこれからもそういう部面がたくさん残ってくるであろうと思っております。地方開発であるとか、あるいは多極分散型のものをやるとか、いろいろなものが今でもあるわけでございますが、例えばこれから環境保護というような問題が大きく取り上げられてくる、そのときにやはりそういうものについて民間企業が何ほどかやらなければならぬとすれば、それに伴う金融というものも、具体的にはわかりませんけれども当然考えられるわけでございます。それからまた、日本の技術分野におきましても、まだまだ伸ばさなければならぬ分野がたくさんありましょうし、その技術の懐妊期間というものが非常に長いということも想像されるわけでございます。  世界がこれだけ大きく目まぐるしく動き、そうしてまたその世界経済の変化に応じて日本が求められておることを考えますと、やはり民間金融がいかに国際化、自由化したといっても、民間金融では応じられない部面というものは必ず出てくる、それも大きい局面で大きい分野で起きてくるということは十分考えられるわけでございます。そういう意味でやはりこういう政策機関をバッファーとして持っておることが必要であろうということは、現在の時点からも考えられますし、終戦後から今日までの経過を考えてもやはりそれだけの用意はあってしかるべきだ、このように考えておるところでございます。
  47. 早川勝

    ○早川委員 最後になりますが、輸銀も開銀も早期成立の必要性というふうに教えられて、大分おくてた、聞いたときから一カ月たっているのです けれども、余り支障がないとすればまだいいのかなという感じもします。まあ冗談ではなくて半分本気、半分と言うと失礼ですけれども、つまり必要性というのは、早ければ早いほどいいのか、あるいは別に一カ月おくれても二カ月おくれてもそれほど支障がないものなのかどうか、何かよくわからない。これは委員長の判断がかなり入るかもしれませんけれども、時間をとって十分審議していただくことがこれからも必要なんじゃないかなという感じを述べまして、終わります。どうもありがとうございました。
  48. 中村巖

  49. 森田景一

    森田(景)委員 本日は輸銀法と開銀法の審議でございますが、法案の審議に入ります前に少しお尋ねしておきたいことがあります。  通告をしておりませんでしたので大変失礼かと思いますが、きのう、円が百四十三円になったということで新聞等でも大きく報道されたわけでございます。このことにつきまして、公定歩合の引き上げも考えなければいけないのじゃないか、こんなふうにも言われているわけでございます。大臣は、あした、あさってあたりの状況を見た上で判断する、こんなふうなコメントもあったようでございます。  この円とドルの動きを見てみますと、昨年の十一月二十四、二十五日、このときに一ドルが百二十一円十五銭、こういうことで、その後ずっと、多少の高下はありましたけれども、押しなべて円か安くずっと推移してきているわけでございまして、こういう状況は現在の日本にとっては好ましくない、こういう御判断だと思いますけれども、一体、円がどこまで下がったら公定歩合を上げるのか、こんなふうなところを大臣に最初にお伺いしておきたいと思います。
  50. 村山達雄

    村山国務大臣 去る四月にG7が開かれまして、そしてプラザ合意以来の先進国の政策協調あるいは為替市場における共同歩調、これが再確認されたところでございます。その基本とするところは、やはり為替相場の安定ということが先進劃のみならず世界の経済にとって大事だということ、それから政策協調は大体功を奏しておる、こういうところに貫かれておるわけでございます。  最近においてドルが非常に上がっているということは事実でございますけれども、先ほども国際金融局長が述べましたように、その背景というものが余りはっきりしていない。考えられる要素はたくさんあるわけでございますので、とりあえずはやはり各国間の政策協調を通じて今のドルの急激な高騰を鎮静していこうということにあるわけでございます。  一方、金融政策は単に為替相場だけで動かすものでないことは当然でございまして、実体経済のもろもろの状況を踏まえ、また、とりわけ現在の景気の持続について物価という問題が非常に大事だということがありますので、今の成長あるいは雇用、そういった点は非常によろしいのでございますけれども、やはり需給の非常に逼迫しているという問題、あるいは労働需給がまた非常に逼迫しているという問題、あるいはコスト面からの物価がどうなるか、こういう問題に十分に注意しながら金融政策というものは動かすものだろうと考えているわけでございます。  したがって、消費税が導入されました後の物価というものを注意していくことは当然でございますけれども、先ほども申し述べましたように、消費税の導入は物価に対してはまずまずリーズナブルなところにある。しかし、日銀も言い、大蔵省も考えておるわけでございますけれども、物価の動向というものは一時だけではなくてずっとやはり追跡していかなくちゃならぬ、そういう意味で、二十六日に発表される物価指数に注目しております。それを見たからすぐどうということではございませんが、そういうものを総合的に判断いたしまして、そして金融政策というものは考えていくべきものであろう、こういうことを申し述べたところでございます。     〔委員長退席、中川(昭)委員長代理着席〕
  51. 森田景一

    森田(景)委員 たしか今、日銀総裁は外国に行っていらっしゃるようでございます。ゆうべのラジオのニュースを聞いておりましたら、やはり公定歩合は引き上げる段階に来ているんじゃないかというコメントがあったようでございます。大臣としては、今答弁もありましたけれども、あさってまで様子を見よう、こういうことですが、気持ちとしては、やはりこういうふうに円安が続いている状況下では公定歩合は引き上げざるを得ない、こういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか、どうでしょうか。
  52. 村山達雄

    村山国務大臣 為替レートだけで考えるべきものではないであろうということを言っておるわけでございます。それが物価に最終的にどういうふうに影響を及ぼすか、今の動きが一時的であるとすれば、これは仮定の問題ですが、今度は逆に円が上がってきたら、またそれならば動かすのかどうか、こういう話でございますので、為替相場のその動きだけで金融政策というものは決めるべきものではなかろう、原則的にはそういうふうに考えております。しかし、やはり物価に及ぼす影響というものももちろんあるわけでございますし、そういうものを総合的に考えるべきであろうと思っております。  詰めて申しますれば、今の状況で直ちに金融政策の基本あるいは公定歩合、これは公定歩合というのは日銀総裁の所管事項でありますけれども、金融政策の基本というものは、やはり、それはごく一つの要素にすぎない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  53. 森田景一

    森田(景)委員 いずれにしても、この円安という状況、大変大きな問題でございますので、十分な対応をお願いしたいと思います。御存じのとおり、四月一日から消費税が実施されました。この実施後三週間のうちに全国五百十九の税務署など国税庁関係機関に寄せられました向い合わせとか苦情、これが合計で三十一万九千件にも上ったということでございます。これは四月の二十七日の全国国税局長会議で報告された模様でございますが、その内容はどんなものであったのか明らかにしていただきたいと思います。
  54. 宮島壯太

    ○宮島(壯)政府委員 お答え申し上げます。  委員御指摘のように、四月一日の消費税導入後、私の手元では、その後の一カ月間にさらにふえまして、国税庁、国税局、税務署に寄せられました消費税に関する質問、相談、意見、苦情等の件数は三十七万六千件ということになってございます。この内訳でございますが、大部分は質問や相談でございまして、これが約三十四万件、九割強に相当いたします。それから残りの一割弱が意見や苦情等でございまして、三万一千件となってございます。  御参考までに一日当たりの件数をちょっと見てみますと、ピーク時、これは四月の三日でございました。ピーク時には三万五千件、一日にありましたが、四週間後の四月二十八日には約一万一千件ということで、大幅に減少してございます。  問い合わせ等の内容でございますが、まず質問や相談では、課税、非課税の判定であるとか各種経過措置あるいは経理処理の方法など、制度の個別、具体的な内容が主でございました。また、意見、苦情等では、便乗値上げ関係が大きくございまして、その中には、一般消費者に対する減税を含む税制改革についての広報が必要であるというような意見もございました。以上でございます。
  55. 森田景一

    森田(景)委員 一カ月のうちに三十七万六千件、これほどたくさんの問い合わせ、苦情があったというのは、恐らく国税庁始まって以来じゃないかと思います。これはいろいろな意味があると思いますけれども、一つは、消費税の法律が成立しましてから施行まで三カ月ほどしか期間がなかったという問題、内容がわからないまま消費税が実施された苦情等もたくさんあったわけでございまして、こうした状況について大臣はどのような所見をお持ちでしょうか。
  56. 村山達雄

    村山国務大臣 消費税が問題になりましてから一番長い期間をとりますと十年、こう言われるわけでございます。昨年、この法案が通ってから導 入までが三カ月、一番短い、こういうことを考えまして、やはり具体的な周知度は非常に期間が短いから少ない、そういうことで弾力条項を設けまして、すべての届出書であるとか納税のところを九月まで延ばしたわけでございます。  したがいまして、今やっておりますのは経理処理とか納税事務ではなくて、導入に伴う値上げをどうしたらいいのか、適正転嫁の問題、過剰転嫁の問題、弱い者いじめの問題、カルテルの問題、それから、それぞれの事業者の税法上における位置づけがあるわけでございます。納税義務者の手数を考えてやるとか、そういうものも含みましてこの競争場裏における市場においてどういう値づけをするか、こういう問題でございます。したがいまして、ほとんど値決めの問題あるいは値上げの問題、そういうものに集中できるように弾力条項を設けた、こういうことでございましたので、そこのところの期間が少ない点はその点で救われておるのではないか、こういうふうに思っております。
  57. 森田景一

    森田(景)委員 大蔵大臣の方は実施している方ですから、なるべく都合の悪い話はしないということだと私は理解しておりますが、消費税に対する大変な怒りの声といいますか、もう消費税撤廃しなければいけないという声もたくさん今寄せられておりまして、そういう声は各報道機関とか消費者団体の事務所等に寄せられていることが報道されているわけでございます。  そういう状況を見て、それにこたえようとしたのかどうか知りませんけれども、竹下首相が新税制実施円滑化推進本部、本部長が竹下首相のようでございますが、五月十九日に第五回の会合が行われて、そこで首相が自分から表明した九つの懸念、これに対する見解を取りまとめたメモを発表したといいますか配付した、こう伝えられているわけでございます。そのメモの内容について御報告いだだきたいと思います。
  58. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 ただいまの委員のお話のように、五月の十九日の新税制実施円滑化推進本部におきまして総理のごあいさつがございまして、総理御自身がかねて申されておりました九つの懸念につきまして、消費税が実施された現段階の状況を踏まえまして改めて考えを整理してみたということでメモを配られました。  その内容でございますが、九つの懸念は御承知のことかと思いますけれども、総理が順序をちょっと並べかえてみたいということで並べかえておられますので申し上げますと、第一の懸念は、「逆進的な税体系となり、所得再分配機能を弱めるのではないか。」第二の懸念は、「結局、中堅所得者の税の不公平感を加重するのではないか。」第三の懸念は、「所得税のかからない人たちに過重な負担を強いることになるのではないか。」それから、第四の懸念としまして、「いわゆる痛税感が少ないことから税率の引上げが容易になされるのではないか。」第五の懸念といたしまして、「物価を引き上げ、インフレが避けられないのではないか。」第六の懸念といたしまして、「商品価格に転嫁できるか。」そこまでが昨年の三月に衆議院の予算委員会で総理がおっしゃいました懸念でございます。――失礼いたしました。並べかえておりますのでちょっと順序が変わっておりますので、私の申しましたこと、正確ではございませんが、昨年三月、まず六つお話しになりまして、その後三つ追加になっております。  それから、第七の懸念といたしまして、「新しい税の導入により、事業者の事務負担が極端に重くなるのではないか。」第八の懸念といたしまして、「簡易課税制度、事業者免税点制度などにより、消費者が負担した税が納税されないことになるのではないか。」第九の懸念といたしまして、「地方税等の減収により、地方団体の財政運営に支障が生じるのではないか。」これが九つの懸念でございまして、それぞれにつきまして総理の現在における御見解が示されております。  第一から第三までの懸念は、いわゆる所得階層別の負担の変化に関するものであるということで、概略申し上げますと、第一の懸念の「逆進的な税体系となり、所得再分配機能を弱めるのではないか。」と第二の「結局、中堅所得者の税の不公平感を加重するのではないか。」この二つの懸念につきましては、税制改革全体の中で対応をしているということを申されております。主要諸外国と比較しますと、我が国の所得分配の上下格差が小さい、それから、税制改革後においてもなお所得課税のウエートが依然高い、かつ、累進度の高い税制となっている、そのようなことを挙げられ、また、中堅所得者については、税率のフラット化を行い、配偶者特別控除や割り増し扶養控除を設けるなど、四十代、五十代の、働き盛りで収入が多いが支出も多く生活に余裕のない中堅所得者の税負担の軽減に配慮しているということをお話しになっておられます。  それから、所得税、住民税について、主婦層などにさらに一層理解していただくように努めてまいりたいというようなこともおっしゃっておられます。  それから、一番字数を費やしておりますのは、第三の「所得税のかからない人たちに過重な負担を強いることになるのではないか。」という懸念でございまして、種々の指摘をいただいているということを申されました後、その御指摘の中で最も多いのは年金生活者や心身障害者の方々からの訴えである。広く薄く負担をお願いする消費税の性質上、そうした方々にもその負担が及ぶことになるというように申されまして、しかし、社会福祉の観点から、生活保護世帯や老人、障害者、母子世帯など真に手を差し伸べるべき方々に対しては歳出面で最大限の配慮を行った、昭和六十三年度の補正予算では、老齢福祉年金の受給者等に対し臨時福祉特別給付金等を支給したほか、平成元年度予算でも生活扶助基準の適切な引き上げを行う、それから、在宅福祉施策の大幅な拡充等の措置を行っているというようなことをおっしゃっておられます。  それから、公的年金につきましては、平成元年度が財政再計算の年に当たることから、四月からの物価スライドのほか、十月からの給付水準の相当の引き上げを行うこととし、政府は現在、そのための改正法案を国会に提出しているということを申されております。この改正によりまして、来年度は消費税の影響を含むことしの消費者物価上昇率に対応して給付額が物価スライドされるということも申されております。  総理はしかし、そういう手当てをしているけれども、年金生活者の方々に負担が及ぶこと自体に対して抵抗感を感じられる方もおられると思いますというように申されておりまして、しかし、高齢化社会への対応は、単なる将来の課題ではなく、まさに現実の問題となっている。年金を初め医療保険、高齢者福祉施策などの公共サービスを維持拡充していくためには、安定した健全な財政構造の確立が不可欠である。そのためにも経済社会の実情に即した税の仕組みがどうしても必要だと申されております。広く薄く消費に負担をお願いする消費税の創設はこのような要請に沿うものである。したがって、年金生活者の方々も、こうした広い視野のもと、消費税という新しい仕組みに参加していただきたいと思いますというように御見解を述べられております。  それから、心身障害者の方々につきましては、例えばこれまでの自動車等に対する物品税の特殊用途免税制度の特典が失われ、それだけ生活が圧迫されるといった批判もいただいておりますが、消費税制度は、その仕組み上、負担者である消費者の個別の事情に配慮することが難しいという問題があります。そこで別途配慮を行っているということで、具体的例といたしまして、自動車については世帯更生資金貸付制度を思い切って拡充した超低利の融資を行うということとした。それから車いす等の公費による給付制度の面、それから税制面でも障害者控除や医療費控除などで特段の配慮をしているということを申されております。  それから、やや変わったものといたしまして、子供が買うものにまで税金がかかるのはかわいそうだという意見がありますが、児童生徒は消費税 に一方でとまどいながら、同時に税というものを身近に感じ、関心を持ち始めている面もあるのではないでしょうかということを申されておりまして、この関心を大事にはぐくんで、これからの我が国を担う子供たちに税の持つ意味を的確に理解させることができれば、むしろ我が国の将来にとって有意茂ではないかと考えると申されております。  それから、食料品のような生活必需品――よろしゅうございますか。それではあと省略させていただきます。
  59. 森田景一

    森田(景)委員 せっかく御説明いただきながら途中で申しわけありません。私が言いたいのは、こういう大事なことは、せめて大蔵委員のメンバーに資料を届けてくれるぐらいの親切な好意があっていいんじゃないかと思うのですね。非常に大事なことだと私は思うのです。  それで、実はけさいただいたのですけれども、この内容を拝見しますと、この中で総理は、簡易課税制度や年商売上高三千万以下の納税を免除するいわゆる事業者免税点制度については、来年五月以降に見直しを検討する方針である、こうなんですね。総理を辞任すると発表した首相が来年五月以降に見直しをするなんて、こういうことを言うこと自体が私はおかしいと思うのです。  それから、今もありましたけれども、子供が買うものにまで税金がかかるのは税に理解を深めて結構なことだと。これはやっぱり一億六千万もリクルート関係からもらうような方と百円握って買い物に行く子供、庶民の生活とはっきりした乖離がここにあらわれているんじゃないか、このように私は思うのです。  それで、実はきょう自治省においでいただいておりまして、自治省から全国自治体の公共料金への消費税転嫁状況を報告していただくことになっていたのですが、これをやっていますとまた時間がなくなってしまいますから、私の方で申し上げます。済みません。  政令指定都市を除く三千二百三十四市町村のうち千五十七市町村、全体の約三分の一が公営住宅など普通会計分について全面的に転嫁を見送っております。このうち水道事業など公営企業についても転嫁を見送ったのは五百四十二市町村である、これは間違いないでしょうか。もう少しいってから確認しますや  それから都道府県では、普通会計分については一部見送りも含め二十一都道府県が見送り、うち六都府県が全面的に見送った。政令指定都市、十一ありますが、この中で転嫁したのは広島市だけである、こういう状況のようでありますが、これは間違いないでしょうか。自治省、この点だけ。
  60. 松本和雄

    松本説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおりであります。
  61. 森田景一

    森田(景)委員 ありがとうございました。せっかくおいでいただいて、本当は説明いただくはずだったのですけれども、恐縮でございます。  この地方自治体も十月から消費税の納付というのですか、取り立てというのですか、これが始まるわけでございますね。これで転嫁してない市町村は大変な混乱が起こるだろうと思うのです。これはもう大蔵大臣も御存じのとおり、地方自治の本旨というのが憲法にも明記されているわけでございまして、地方自治体は住民のために条例をつくって対応することになっているわけです。当然この消費税法が施行される段階で、地方自治体の条例も整備されなければならなかったのです。それが、そちらはほっぼらかして法律だけを通した。それで実施しろ、こういったところに大きな混乱が起こっているわけです。九月、十月になって、転嫁してない地方自治体は大きな問題になるだろうと思うのです。総理や大蔵大臣は、みんな選挙が絡んでいるからそういうことをやらないのはけしからぬなんて、そういう意味の発言をなさっているようですけれども、そういう発言をすること自体が私はけしからぬことだと思うのですね。これは大変な問題なんです。  それから、売上高の多い事業所、ここもやはりもう消費税は転嫁して、九月まではその消費税は保管というのでしょうか、預かってあるわけですね。売上高の多い事業所においては預かった消費税で堂々と財テクができる、こういう状況になっているわけです。私も調査が不十分ですけれども、日本経済新聞の五月二十一日の中間集計というのを見ますと「全国上場企業の業績」というのがありまして、製造業の百五十三社では八九年三月の売上高を見ますと十三兆六千九百七十四億円、非製造業七十三社では同じく八九年三月で売上高が十兆四千七百五億円、こういう状況です。単純に平均しますと、例えば非製造業で計算しますと、十兆四千七百五億円を七十三で割りますと、一社当たり売り上げが平均千四百三十四億円、こうなるわけです。これに三%の消費税をかけますと四十三億円になるのです。     〔中川(昭)委員長代理退席、大島委員長代理着席〕この四十三億円を幾らの利息で運用するか。仮に五%と計算しますと二億一千五百万円になるのです。これは年当たりですから、半年で計算しますと一億円を超える財テクが可能である、こういう状況になるわけです。預かった税金でまた金もうけができる。今回の消費税で大手が反対しなかったのも、こんなところにあったのかなと今になって思い当たるわけでございます。  私たちはかねがね、不公平税制の是正を徹底して行えば消費税を導入しなくても十分にやっていかれる、こういうことを主張してきたわけでございます。九つの懸念の見解メモを見ましても、全部は説明していただけませんでしたけれども、消費税は相変わらず欠陥だらけである、こう言わざるを得ないわけでございまして、欠陥消費税であるがゆえに早急に消費税廃止をしなければならない、このように申し上げまして、時間がありませんので次に進みたいと思っています。  輸出入銀行の田中総裁、大変御苦労さまでございます。田中総裁は、何かブラジルにお出かけの予定をこの法案が通らないために延期せざるを得ない、こういう状況だったそうでございまして、大変お気の毒に思っているわけでございます。  これももう時間がなくなってしまいましたので、駆け足でお尋ねせざるを得ません。日本で政府開発援助というのがあるわけでございまして、このいわゆるODAというのがいろいろと発展途上国に対する援助、それから一面ではリクルートとかNTTみたいなこれに関連した疑惑がある、こんなことから大変関心を集めているわけでございます。  きょうはそれはさておきまして、このODAと輸出入銀行の役割、こういうものについてひとつ御説明をお願いしたいと思いますが、あわせて、この機会でございますので、日本輸出入銀行のこれまでの実績等についてもお話しいただきたいと思います。
  62. 田中敬

    田中説明員 ODAと申しますのは、御承知のように政府開発援助、いわゆる非常にソフトな条件で途上国に援助を行っておられるそういうもの、あるいは無償資金の供与というような形のものがODAと存じております。  今、日本に求められております資金還流というのは、このODAに基づくソフトなものと、そしてまた私ども輸出入銀行が行っています準コマーシャルベースの形の資金還流があろうと思います。いわゆる政府資金の還流、それとまた私ども輸出入銀行等が行います。その他政府資金の還流、そしてまた民間資金の還流、この三つが一体となって資金還流が遂行されるものと思っております。私どもの輸出入銀行といたしましては、このODAと並行いたしまして、今後も二百億の資金還流計画あるいは従来のベーカー・プラン、あるいは今回のブレイディ提案に従いまして資金還流を促進してまいりたいというふうに考えております。  実績でございますが、いわゆるアンタイドローンの実績と申しますと、アンタイドローンに二種類ございまして、昭和六十二年から始まりましたいわゆる資金還流計画に基づきますアンタイドローンと、それ以前にございます国際金融機関あ るいは中国、メキシコ、マレーシア等の資源開発のためのアンタイドローン、こういう二つのものが従来行われておりましたが、現時点におきます実績を申し上げますと、アンタイドローンが始められました昭和四十八年度以降、累計で融資承諾をいたしました金額が二兆一千八百八十四億円でございます。うち、資金還流分が一兆一千六百十二億円でございまして、残余の約一兆円というものが資金還流計画以外の資源開発等のアンタイドローンの実績でございます。  また、二百億ドルの資金還流計画との関連で実績を申し上げますと、全体の話は政府から御答弁があろうと思いますが、私ども輸出入銀行が分担しております約九十億ドル以上と申します資金還流につきましては、平成元年三月末現在におきまして約六十六億ドルを達成いたしております。大体この六十億ドルの配分と申しますのは、アジアが五十数%、そしてまた欧州、アフリカ、中近東あたりが二十数%で、問題の中南米がまだ十数%、非常にシェアが低くなっております。御承知のように、今ブレイディ構想でいろいろ言われております。新しい提案が実現いたしますと、従来これの成立を待っておりましたメキシコ、ベネズモフ、ブラジルあるいはチリ等、中南米への資金還流が促進されていくものと存じております。
  63. 森田景一

    森田(景)委員 輸銀法の改正で、アンタイドローンの対象を拡大するとかあるいは保証業務を拡大するとか、こういうことが盛り込まれているわけでございますが、そういう改正によりましてどういう効果が出るのか、その辺の御説明と、それから保証業務を拡大していきますと、当然リスクも拡大するのじゃないかと私は単純にですけれども考えるわけでございます。特に今お話がありましたブラジルとかメキシコ、アルゼンチン、ベネズエラ、こういったところは累積債務でもナンバーフォーに入っていると言われておりまして、大変難しい状況下にあるわけでございますが、こうした累積債務の問題等を含めてリスクをどう回避するか、そういった点について御説明をお願いしたいと思います。
  64. 田中敬

    田中説明員 資金還流を有効かつ弾力的に実行いたしますためには、いろいろの手段が必要でございます。  対象につきましても、先ほども申し上げましたが、相手国のニーズに応じまして、新たに民営化された対象法人あるいはまた第三セクターというふうなものに対しまして、現行法ではこれが融資対象になり得ませんので、こういうものを拡大していただくことによって、より資金還流が円滑に行われるということを期待いたしております。  それから保証の拡大でございますけれども、今回の法律でお願いいたしました保証業務の拡大は、輸出入銀行に新たにこの法律改正によりまして出資機能が付与されることに伴いまして、輸出入銀行が出資をいたしました現地法人等が輸出入銀行以外から金融を受けます際に輸出入銀行はこれを保証する、その際の輸出入銀行の保証は出資者として、株主の立場として株主責任としての保証でございますので、そういう出資の限度に応じた保証をやっていくということでございます。これがいわゆる健全性との関連でいろいろ議論をされますけれども、出資自体を行います際の審査によりまして、将来償還確実あるいはフィージビリティーのあるものに限っておりますので、この保証業務の拡大によってリスクが増大するというふうには考えておりません。  それから、メキシコ等今後難しい国がたくさんある問題につきましては、私どもも国際金融機関その他と協力して対応してまいりたいと存じますが、この点につきましては国金局長からお話しいただきたいと思います。     〔大島委員長代理退席、委員長着席〕
  65. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 我が国の政府機関、例えば輸出入銀行の資金というのは基本的には郵便貯金等の預金者でございます。このリスクの問題は我我も無視することはできないと思っております。  そこで、新しい債務戦略におきましてこの点についてどういうふうに考えるかということでございますが、民間銀行が一部債務をディスカウントするというようなことによって、その国の債務の重荷が一方において軽くなります。また、IMFとの間において合意をいたしました三年間の経済再建計画によりまして、その国への経済的な信認も当然のことながら増すものというふうに考えており、そういうものの全体の姿の中でこちらが協力するということにしているのも、そのような配慮でございます。
  66. 森田景一

    森田(景)委員 海外経済協力基金というのがありますね。これと輸銀との関係はどうなんでしょうか。
  67. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 海外経済協力基金の任といたしますものは、先ほど御指摘のいわゆるODA、つまり、通常の市場金利よりも安い金利によりまして長期の資金を供給するという、いわゆるODAの実施機関でございます。  これに対しまして輸出入銀行の方は、先ほどのお話のように、当初は通常の貿易から始まったわけでございますが、これを中心とした経済の外国との関係を円滑化するために、民間金融機関のいわば補完をするということから始まりましたが、最近は先ほども御指摘がありましたように、物の輸出入に伴うものよりも、いわば準民間機関というか準市場金利といいますか、そういったものでの資金還流というものを大きな目的とするように変わってきております。一言で言えば、一方はODAの実施機関、一方は準民間的な条件で資金還流を行う機関、こういうのが最近における姿でございます。
  68. 森田景一

    森田(景)委員 輸出入銀行も世界各地に、普通ですと支店ですね、駐在員事務所というのでしょうか、これが置かれているようでございます。一番時差の大きいのがちょうど地球の反対側にあるアメリカということになろうかと思いますが、十二時間、昼と夜とが日本と逆になるわけですね。そうしますと、いろいろと業務を遂行する上で現地と本店といいますか、こちらと連携をとるというのが困難なこともあるんじゃないだろうかな、こんなふうにも思うわけでありますが、そういった業務の体制はどう進めていらっしゃるのか。  それから、恐らく大使館と違いまして、通訳を一々置いてというわけにはいかないんだろうと思いますが、そうなりますと当然、これは銀行員というのでしょうか職員というのでしょうか、そういう方々は現地で現地の言葉あるいは英語等を使って話を進めていかなければならない、契約もしなければいけない、こういうことになるんだろうと思うのです。当然職員の方々も、そういう外国語に堪能でなければ話はまとまらないわけですね。こういう職員の研修といいますか教育といいますか、最初からそういう技術といいますか能力を持っていらっしゃる方を採用なさるのか、あるいは採用してから研修を重ねて海外に派遣なさるのか、その辺の対応はどのようになさっているのでしょうか。
  69. 田中敬

    田中説明員 委員から私どもの銀行の業務内容について御理解ある御質問をいただいて、感謝を申し上げます。  御承知のように、私どもの輸出入銀行だけでなく、あらゆる企業、金融機関は国際化に従いまして国外との関係が非常にふえております。私ども世界各地十五カ所に駐在員事務所を設けております。  従来の輸出入銀行の業務は、プラント輸出あるいは船舶輸出というような国内に対する金融で定型的なものが多うございましたが、このような資金還流に従いましてアンタイドローン、いわゆるそれぞれの国に違った形の資金をその都度融資をしていくということで、一件一件手づくりの案件になってまいりまして、非常に業務が複雑多様化しております。職員一人一人が当該国の政府あるいは政府機関と交渉をして仕上げるということになりまして、御指摘のように語学の問題もございますし、金融知識、法務知識の問題もございます。  採用に当たりまして、十分それらの素養を見た上で採用いたしておりますが、採用後も私どもが 努力いたしまして研修を重ねております用語学研修あるいは金融業務、法務研修というものをいたしまして、新しいニーズに対応するようにいたしております。と同時に、政府当局におきましても十分私どもの立場に御理解をいただきまして、予算的にも人員的にも措置をしていただいておりますので、私どもはその範囲で一層自己努力をいたしまして、効率化、合理化に努めて、職員の負担もなるべくかからないように、かつ効率的に仕事をやってまいりたいと考えております。
  70. 森田景一

    森田(景)委員 いろいろ大変なお仕事だと思いますけれども、しっかりと頑張っていただくようにお願いしておきたいと思います。田中総裁にはこれで終わりますので、御苦労さまでございました。  引き続きまして、開発銀行総裁にお尋ねしたいと思います。  せっかくの機会でございますから、開発銀行の実績等についてこの際お聞かせいただきたいと思います。
  71. 高橋元

    ○高橋説明員 開発銀行は法律で設けられました総合政策金融機関でございまして、国民経済のときどきの政策課題に対応した政策金融というものを実施してまいったわけでございます。  政策金融機関でございますから、そのときどきの政策課題の変化に対応してまいるということが大変必要になってまいるわけでございまして、とりわけて最近十年間に絞って申し上げますと、五十年代の初頭は、エネルギーの供給確保でございますとか自主技術開発の促進でございますとか国民生活の質的向上等に意を用いてまいったわけでございますが、五十年代の末になってまいりまして、いわゆる国際摩擦が激しくなってまいった。また、輸出依存体質からの脱却が強く求められるようになった。また、いわゆる構造不況という問題も展開してまいった等々の事情を受けまして、民間活力を活用した社会資本整備、それから内需拡大、産業構造調整、こういった課題に重点を置いた出融資を展開してまいったわけでございます。  昭和六十年代に入りますと、民間活力を活用した社会資本整備でございますとか内需拡大でございますとか産業構造調整の課題に対応すべく、都市開発、地方開発に重点を置いた融資を行っておりますし、また、質的な側面から申しましても出資業務をかなり大幅に認めていただいて、都市開発、交通事業その他、融資だけでは対応し得ない事業に出資をいたして、それを援助するということもございます。また、六十二年度の後半からは、NTTの株式の売り払い収入、これを産投会計から貸していただいて、無利子で民間に貸し出しをするという無利子貸付制度を活用いたしております。これらによって、ただいま申し上げましたような社会資本の整備促進に一層貢献をしてきておるというふうに自負いたしておるわけでございますし、なおまた一般の御批判にこたえてさらに業務の改善を図りたいと思っております。  以上のことで、六十三年度を取り出してみますと、私どもの出融資全体が一兆三千五百三十五億でございますが、その中で三割弱が資源エネルギーに対する貸し付けでございますけれども、非常に伸びてまいった項目としては、技術振興が一五%、都市開発が二〇%、地方開発と産業構造調整で一五%というふうに、全体一兆四千億弱の枠の中でさように対応してきておるわけでございます。
  72. 森田景一

    森田(景)委員 時間がなくなってしまいましたので、最後に一つだけお尋ねしておきます。  今度限度額の引き上げがこの法案の中にあるわけでございます。現行十倍であるものを十一倍に引き上げよう、こういうわけでございますけれども、一体これでどのくらいもつのかということですね。また来年足りなくなりましたということではしようがないので、やはり三年なり五年なりという先を見通していかなければいけないのじゃないかと思いますが、これでかなりの間対応できるのでしょうか。これは最後の質問になります。
  73. 高橋元

    ○高橋説明員 この限度額は昭和四十七年に十倍に引き上げていただきまして、それから現在まで約十七年間やってきたわけでございますが、最近十・六倍、本年度の資金計画を円滑に達成しますためには、限度を修正していただかないといけないということで、法案をお願いしているわけでございます。  そこで、限度倍率を一倍上げました場合にどのくらいもっかということでございますけれども、これは過去の開発銀行の実績を見ましても、翌年改正したこともございますし、一倍上げただけで三、四年もったこともあるわけでございます。したがって、今後の出融資希望が社会発展の中でどういう役割を開発銀行に期待されるかということにかかっておるかと思いますが、私どもとしても質的補完という臨調なり行革審の基本的な精神に沿って、限度倍率は一倍上げていただきたいというお願いにとどめたわけでございますが、できるだけこの範囲で質的な補完に徹して仕事をしてまいりたいと思います。いずれまた、時代の趨勢にこたえて、限度倍率についてさらに御改正のお願いを申し上げるという時期も来るかというふうに存じております。  以上でございます。
  74. 森田景一

    森田(景)委員 時間でございますので、これで質問を終わります。
  75. 中村巖

  76. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 まず最初に大蔵大臣にお伺いいたしますけれども、今の為替レートの水準等に関連しての見解をお伺いしたいのです。  為替レートは、いずれにしても安定をしていることが最も重要なことだと思っているのですけれども、最近は大きく変動をしておりまして、きのうですと一時は百四十三円まで上がっているというくらいの状況なんですね。そしてまたその一方、日米間の貿易収支等を見てみても、ドル高のためということもあると思うのですが、なかなか改善はされていないということでありますし、そしてまた国内の物価の状況を見ましても、先日発表されたものによりますと、総合卸売物価指数でも前月に比べて一・七%、それから消費税の転嫁もあるのでしょうけれども、国内物価一・八%、輸入物価については二・八%上昇しているというような状況なんですね。そういう中で、この急激な為替相場の変動に対してどのように対処しようとされているのか、インフレ懸念も否定できないというふうに思うわけでありますけれども、その対策の実施の問題についてお伺いをいたします。
  77. 村山達雄

    村山国務大臣 ごく最近の為替レートがドル高の方向に急激に動いていることは、もう事実でございます。ただ、これにつきましては、G7での合意事項であります為替市場における主要国の協調が行われている、十分に機能していると我々は判断しておりますし、昨日はホワイトハウスが、現在のドル高は好ましくないということをはっきり言っているわけでございます。したがいまして、当面はやはり各国と協調しながら、このドル高傾向の是正方について力を尽くしてまいりたいと思っております。  物価につきましては、消費税導入に伴っていろいろの懸念がございましたが、まずまずというところではないだろうか、こう思っております。ただ、その基調となる物価については、おっしゃるようにコストプッシュの面から、あるいはデマンドプルの面から懸念されるところが多いことは事実でございますので、この点については引き続きやはり注視してまいりたい、こう考えているところでございます。
  78. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 本日は輸銀法、開銀法の改正の問題でありますけれども、両総裁にも来ていただいているわけでありますが、ODAの方、政府開発援助の問題についてきょうは外務省の方にも来ていただいておりますので、私はそれを中心にして、途上国の債務負担の問題に関しても触れさせていただきたい、こういうふうに思います。  まず最初にODAの評価の問題でありますが、御承知のとおりに日本の政府開発援助の事業規模が大変な額になってきているわけです。一兆四千億ぐらいにもなってきているわけでありますし、 今度の第四次中期計画でいきますと、八八年からの五カ年間で今までの倍以上の五百億ドルになるというような状況にあるわけでありますが、こういうふうに増大するODAについても国民に理解をされなければならぬし、そして援助する相手国に役立つものだ、有効なものだというふうに感謝されるようにならなければならないわけです。  そういう意味で、世論調査等で見てみたときに、去年の年末にある新聞ですが、その結果もことしになってからですけれども報道されておりました。それから総理府の調査等で見ましても、今よりもふやすことに反対をする人が五二%ぐらいまでいったりしているのです。だから、国民の理解は十分得られているというふうにはなかなか言いがたいと思うのですが、その理由は一体どこにあるのか。相手に役立っていないのか、あるいは国民の理解の仕方が悪いのか、あるいは不正か何かがあると思われているのか、その理由を何と理解をされていらっしゃいますか。
  79. 茂田宏

    ○茂田説明員 お答えいたします。  まず最初に、諸外国が日本のODAをどういうふうに評価しているかという点について述べたいと思います。  我々、外務大臣、総理が開発途上国の要人と会う機会がたくさんあるわけでございますけれども、そういう場合には、日本の政府開発援助についての謝意の表明というのがほとんどの場合にございます。したがいまして、開発途上国の政府の方というのは、日本のODAというのを非常に高く評価してくれております。  では、国民のレベルではどうかということですけれども、これは私きょうはASEANで行われました世論調査、六十二年に行ったものですけれども、これについて資料を持ってまいりましたが、日本のODAが自国のために役立っているという答えをした人がインドネシアの場合には九八%です。マレーシアの場合には八六%、フィリピンの場合には八一%、シンガポールが八八%で、タイが八八%でございます。したがいまして、日本のODAに関しましては、政府のレベルにおいても国民のレベルにおいても開発途上国における評価は非常に高い。その評価を踏まえまして、日本に対しては今後ともODAを質の面でも改善し、かつ量の面でも拡大してほしいというのが国際的な情勢であると認識しております。  日本国内ですけれども、これ以上ODAをふやす必要はないのではないかという意見がかなりたくさん出てきているということは、先生御指摘のとおりでありまして、これに関しましてはその原因が那辺にあるかということですけれども、私たちは、被援助国の側で日本のODAというものが非常に高い評価を受けている、それがどういう役割を果たしているのかということについての広報等の努力において、我々の努力が少し足りないのではないかというふうに考えております。したがって、どちらかといいますと、もっとよく知っていただいて評価をしていただきたい、かように思っております。
  80. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今はいいお話だけいろいろされたような印象でありますけれども、聞くところによりますと、東南アジア等に聞いてみても、実際に今参事官が言われたほどの評価ではないと私は思うのです。これは私はフィリピンに行ったときもアキノ大統領からも直接言われました。要するにもっと国民生活に密着したもの、生活に身近なものの援助をしてほしいということを直接私も二回ほど言われたりいたしました。そして日本で世論調査をしてみても、今後の経済協力の重点分野というのは、医療だとか保健だとか飲料水だとか、そういうものをやってくれという話が最も多いのですね。約七割の人がその意見を出しているわけであります。だから私は、実は援助の相手先がプロジェクトの選定をするときに、選定の仕方がいいんだろうか、あるいは選定のメンバーがいいんだろうかということについて若干の疑問を持っているのですね。  そういう意味でお聞きしたいのですが、実は「経済協力参加への手引」というのがあります。この「経済協力参加への手引」で見たときに、これは円借の問題でありますが、このメカニズム、円借の仕組みというのを見ますと、これは相手国の要請によって検討が始まることになっておりますよね。ところが英文で出しております「ア・ガイド・ツー・ジャパンズ・エード」というこの英文のものには、そのメカニズムをフローチャートにしておるものから見ますと、相手国の要請の前段階には、日本の政府やらJICAやらあるいは大使館等がいわば相談をして決めるような格好、そしてそれを受けてJICAのフィージビリティースタディーをやって、それで要請をしてくると思われる説明書になっておりますよね。こういうのもプロジェクトを決定する際に、相手国に日本側の意思が非常に反映をされた格好になっているの、じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  81. 茂田宏

    ○茂田説明員 お答えいたします。  まず最初に、日本の援助の中で国民生活に密着したものの重視ということが必要じゃないかという先生の御指摘ですが、これは我々そのとおりだと考えております。円借款に関しましては、いわゆる経済インフラ、これは道路ですとか運輸関係、エネルギー部門等を重視しておりますけれども、無償資金協力ではその大半を医療ですとか教育ですとか、国民生活に密着したものに向けていっているということであります。  要請主義の関連で、日本は要請に応じて援助する、これは日本が開発途上国の自助努力を助けるという意味で、我々は要請主義というのを原則にしております。では、要請が出てくる前に、日本国政府は相手国政府との間で取り上げるべき案件について何の話もしていないかというと、そんなことはございません。我々は我々の目で見て、例えばいわゆる人間の基本的な必要性といいますか、ベース・ヒューマン・ニーズというものについて無償では力を入れていきたいんだ、日本としての意見は申し述べるということをしております。これは今後とも、日本の経済協力の額がふえていくに従いまして、相手国との政策対話というものは強化していくべきだろうと思います。ただ最終的には、先方がそういうことを踏まえて要請してこない場合には、我々としては対応できません。そういう意味で要請主義というのを踏まえている。  先生が今御指摘になったフローチャートのことですけれども、OECFが借款を検討する前に、借款についての要請が来る前に、JICAの方でそのプロジェクトについてのフィージビリティースタディー等を行うことがございます。それをその英文のところには書き込んだというのが実情のようでございます。
  82. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今フローチャートの問題について、それが実情のようでありますというお話をされましたけれども、日本に援助を要請するときにどういうふうにしようかというふうにその相手先の国が考えたときには、これは当然の話として、日本側と事前にかなり相談をしてやらないと要請もできないような感じじゃないかと私は思うのですね、素直に読めば。これは英文で出ているわけでしょうから、相手国に行っているということになるでしょう。もちろんもっと細かいものも行っているんでしょうが、そういう形だと思うのです。  だから、現在の日本の援助の実態というのは、どうしても例えば経済分野とか生産分野に非常に特化をしていますよ、実際には。そして先ほど申し上げたように、日本の国民もあるいは相手の国民も、もっと生活に密着したものをというふうに言っているわけですが、日本が援助をしている実際の状況は、例えばDACの資料を見れば、主要援助国二国間のODAの分野別配分等を見てみれば、日本は経済インフラ、生産分野に非常に特化をしておる。ところが、フランスとかドイツとかアメリカ等にいきますと、いわゆる社会行政インフラと言われる教育の問題とか保健とか、その他等の問題が圧倒的に多いというような状況になったりしていますね。そういう意味では、やはりもっと考えていくべきではないかと私は思います。  それから、そういう意味も含めてお伺いするの ですが、プロジェクトの事後評価ですね。それをするときに、私はこれは一つの提案なんですが、今までも各関係者がいろいろな改善等もしているわけですが、その評価のメンバーの中に、他の先進国の人だとかあるいは被援助国の学者とかジャーナリストとか、あるいはNGOの人とかいうような人を入れるということを検討されたらいかがかと思いますが、どうですか。
  83. 茂田宏

    ○茂田説明員 お答えいたします。  経済協力のプロジェクトの評価に関しましては、例えば六十二年度ですけれども、約百六十件評価を行っております。これは外務省で行っている場合、在外公館で行っている場合、実施官庁で行っている場合、実施機関、すなわちJICA及びOECFで行っている場合がございますけれども、もっと公正、客観的な評価を行うべきではないかということで、先生が今御提言になりましたような形での評価も行っております。例えば、海外の援助専門家の方に参加をしていただいて評価を行っていただく、日本のジャーナリストに入っていただく、日本の有識者の方に入っていただいて評価をする、それから現地で在外公館が行う場合に、その国の政府の人にも入っていただくというようなことで、評価をより公正なものにするということに努力しております。先生御指摘のような方向で今後とも努力をしてまいりたいと思います。
  84. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今のは、相手からいわゆるヒヤリングをするということだけじゃなくて、実際に評価するその当事者としてのメンバーに入ってもらうというようなことで検討していただいたら、こういうふうに思うのですね。
  85. 茂田宏

    ○茂田説明員 例えば例を申し上げますと、六十二年度に、NGOのメンバーで南方圏交流センター代表の加藤憲一さんという方がいらっしゃいますが、この方にパキスタン、スリランカというところを回っていただきまして、この方に見ていただいて報告書を出していただいております。六十二年度、同じくインドネシアですけれども、イギリスの元海外開発庁農業部首席顧問でありましたアンソニーという方にお願いをしまして、インドネシアの農業分野における日本の援助というものについて評価をしていただいております。これはヒヤリングをしているのではなくて、現地に行ってプロジェクトを見て、いろいろな方に議論をしていただきまして、それで報告書をいただいておる、こういうことであります。
  86. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 円借のやり方という意味で、こういうのはどういうことかなということでちょっとお伺いしたいのですが、具体的なフィリピンの例で、フィリピンにフィルセコという会社があります。これは一九七六年度に交換公文が締結されて、第五次円借款の計画においてスービックの修理造船計画というのがありました。このプロジェクトに一九七七年にローンアグリーメントが結ばれた。そして一九七九年に完成をしたのですね。このプロジエクトに円借款として百十二億三千万円、総費用の六〇%強が使われたと思います一このスービックの修理造船計画によって建設された造船所の経営母体が日比合弁の今のフィルセコ、  フィリピン・シップヤード・アンド・エンジニアリングという会社で、その会社の株式構成は、フィリピンのナショナル・インベストメント・アンド・デベロプメントというところが六〇%で、日本のある企業が四〇%持っているということですね。  そして、こういう円借款になじむかどうかという意味で、例えばこういうマニュアル等を、手引なんかを見てみましても、いわゆる借款になじまない案件として、軍事協力に結びつくかどうかとか船舶だとか航空機等の案件、あるいは外航船舶等の場合等々というのが挙げられたりしております。そのときに、このフィルセコという会社は、これはもちろん収益性もある事業体でしょうし、どうも民営化をこれから予定をしているようでありますが、そういうこともあり、フィリピン最大の造船所ということでもあるようですね。二、三万トンの大型船舶を扱ういわばフィリピンで唯一の造船所のようであります。そしてまたここの会社は、今はないのだと思いますが、一時はウラジオストクにベースのあるソ連の船の修理をやろうとしたりしたこともあった。しかし、あのスービックという湾の中にあるものですから、アメリカの第七艦隊との関係もあって結局はしなかったと私は思いますが、いかにも円借でこういうのをやっていいのかなという印象を抱くわけですが、いかがですか。
  87. 茂田宏

    ○茂田説明員 お答えいたします。  円借款を供与してどういう事業を取り上げるかという場合に我々が判断する基準ですけれども、これは、その事業がその国の経済社会の発展に大きな利益をもたらすかどうかという点から判断いたします。  このスービックの造船所に関して言いますと、フィリピン船がシンガポールへ行って修理をしていたということがフィリピン側が外貨を使う理由になっておりましたし、かつあの付近に船舶の修理所を設けるというのはフィリピンの外貨収入の手助けになる、こういう観点から、この造船所はフィリピンの経済社会開発に非常に資するものであるという判断で、我々としては円借款をフィリピン政府に対して出しまして、フィリピン政府がこの会社に転貸している、こういう形になっております。こういう例はほかにもありまして、例えば非常に話題になりましたイランのIJPCもそういう形のものでございます。  それから、先生からこの造船所の軍との関係について若干言及がありましたので、私ここで明確に申し上げておきたいのですけれども、この円借款の供与に際しましては、フィリピン政府より、この造船所を軍事目的に使用しないということについては明快な確認を得てございます。
  88. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 この問題は、今後ちょっと注目しながらまた見ていきたい、こういうふうに思っております。  それから、時間が余りありませんので、被援助国の財政負担の問題について、これは外務省と大蔵省、大臣にも御意見をお伺いしたいのですが、幾つかの問題をちょっとまとめて御質問したいと思うのです。  被援助国の財政的負担というのは今大変な状況になりつつあるなということで、これは何とかしなければいけないのじゃないかという観点でお伺いするのですが、まず第一には、援助をしたときにローカルコストというのが発生をいたしますね。まずこれが大変な水準で、例えばフィリピンの例でいきますと、これは昨年の行政監察結果の報告書の中にも触れられておりますけれども、フィリピンでは七〇年から七九年の間にこのローカルコストが二百四十八億五千万ペソということで、総プロジェクトの四六%を占める、そしてその金額が政府支出の一五%にも達しているようであります。こういうようなときに、その支援策ということを何か考えなくていいのかどうか、考えるべきじゃないかということが一つ。  それから、御承知のとおりに円高による債務負担というのが大変な水準になっておりますが、その解決策をどうするのか。例えばフィリピンの例でいきますと、一九七〇年と八六年とを比べますと、円とペソの関係でいきますと七分の一になっているのですね。要するにペソの価値が円に対して七分の一になっている。日本側は日本側の理論があるのでしょうが、フィリピンサイドにしますとこれは大変なことだという状況ですね。したがって、この間、総理がASEANを回られたときも、実際にマハティール首相からも具体的に案を提示されて、こういうことで何とかしてくれませんかということで要請もされたことが新聞にも報道されております。こういうものをどうするのか。  また、こういうものの背景として、先ほどの議論にも一部ありましたけれども、いわゆる資金の流れというのがかつては先進国から途上国に流れておりましたが、一九八四年からは流れが逆転をしておる。八四年ですと、年間百七億ドルが途上国から先進国に流れてきている。八五年にいきま すと二百六十三億ドル、八六年にいきますと二百九十億ドルが途上国から先進国に流れているとうことが背景にあります。  それから、今度は日本と途上国あるいは国際機関との流れだけを見ますと、同じように途上国の日本への債務支払い額が日本の無償援助とほぼ近いくらい、前も凌駕したときがありますが、実際にはそのくらいの状況になってきています。これは日本の円借の比率が結構高いままで動きますと、これから日本がどんどんと援助をふやしていくと考えますと、これは大変な問題になってくると思わなければなりません。だから、そういう意味で、これは日本とそれぞれ途上国との関係を見てもしかり、それから国際的な機関から見ても、今の日米等のいろいろの摩擦じゃありませんが、経済大国日本だから、日本はもう少し何かしなければいかぬのじゃないかという勧告等がいろいろ出てもおかしくないぐらいの状況だと私は思うのです。今、一部出たりしておりますが、この動きはさらに強くなると私は思うのです。  そういう意味で、先ほどの解決策並びに今の円借のあり方、したがって、その中には財投の投入の仕方等の問題について今後真剣に考え直していかなければいけないのじゃないかと私は思うのです。そういう意味で、外務省と大蔵省、大蔵大臣にも見解をお伺いしたい、このように思います。
  89. 茂田宏

    ○茂田説明員 お答えいたします。  我々がプロジェクトをやることに伴いまして、援助を受けておる側の政府のローカルコストがどんどんふえてくるという問題に関しましては、これはそういう状況がございます。したがいまして、我々としては、我々の援助の中でローカルコストもある程度配慮していくということを考えていかなければならないと思います。ただ、基本はやはり相手国の自助努力の支援ということでございますから、これは向こう側にもそれなりに負担をしていただかなければならないということだと思います。  円高に関連した債務返済負担の増大ということですけれども、これは変動相場制という一つのシステムであって、そこからは日本に対する輸出が容易になるとか、いろいろなほかの効果もございます。したがいまして、いろいろなことを考えながら対応しなければならないと思いますけれども、とりあえず円借款の条件の改善というようなことで対応していくことにしております。  それから、資金の流れの関係ですけれども、先生御指摘のとおり逆流が起こっているというようなことでございまして、この点はやはり何とか是正していくべきものだろうと思います。開発途上国に対する資金フローを確保するために、資金環流措置ですとか円借款ですとか、いろいろなことを行っているということでございます。  円借款に関連して、今後このあり方を考えていくべきではないかという御指摘がございました。円借款というのが日本の経済協力の中で大変大きな役割を果たしたし、今も果たしつつある。開発途上国からも、円借款によって無償等では供されないような大きな量の援助が欲しいのだという要請がございます。したがって、この円借款というシステムは大切にしていかなければならないと思いますけれども、同時に、日本の経済協力の中で、DAC諸国の中でも贈与比率が非常に低いという問題があります。これは贈与比率を高めていくということで、今後質の改善を図っていく必要が日本国としてあろうと思います。
  90. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 まず第一にローカルコストの点でございますが、これは先ほども委員御指摘のとおり、援助あるいは借款を要請する方にどの程度の意欲があるかということを考えますときには、やはりローカルコストを用意するから、そちらの方もそれなりにやってもらいたいということの一つのメジャーになるということも御勘案いただきたいと思います。もっとも、御指摘のような点も考えて、徐々にローカルコストヘの融資割合をふやしていることは事実でございます。  それから第二に、円高による負担増の問題でございますが、まず基本的に我が国の基幹的な政策としての資金提供でございますので、これは円建て以外でやるということはまず考えられません。また、これを実質的にほかの通貨にリンクするような形での措置というのも難しいと思います。かしながら、よく中身を見てみますと、例えば円高によって一番大きな負担増を受けているというインドネシアの場合でも、円借款による返済部令というのは全体の返済の五%程度でございます。それがゆえをもって大変でないという気持ちでけないのですけれども、全体の中で、先ほど外務省からの答弁にもありましたように、金利の引き下げあるいはニューマネーの供与によってリクイデイティーを提供することによって対処していくということで配慮をしているところでございます。  それから、第三番目の御質問の開発途上国への資金の流れの逆転の問題、これは一つには一九八三年、八四年ぐらいまでの先進国の低成長がありまして、そういう背景で、まず開発途上国の方のプロジェクト需要が相当減退したということが歩ります。それから第二に、債務累積問題の深刻化に伴いまして、民間金融機関がなかなかニューマネーを出すことにリアクタントにならざるを得なくなったという事情があります。この中で、我が国だけは実際にニューマネーの方が返済よりも多いという形で貢献はしているわけでございますけれども、そういう意味で、私ども資金還流については十分意を用いていく必要があると思っております。しかしながら、委員御指摘の債務支払い額と無償との比較という議論は、ちょっと私どもとしては乗りかねると思います。民間銀行を含めた利払いについて、それ以上の無償というような形での比較は、政策としてはとり得ないのではないかと思っております。  なお、財投の使い方の問題でございますけれども、基本的には、我が国は全体的に援助の中で借款の割合が多いということはありますけれども、それはどちらかというと、お金をもらうよりも、より多額のお金を借りて開発をしていきたいというアジアの国に対する資金供与の割合が多いということがあることを御理解いただきたいと思います。  以上でございます。
  91. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 ありがとうございました。この問題はまた別の機会によろしくお願いします。
  92. 中村巖

  93. 矢島恒夫

    矢島委員 私は、まず最初に株式会社日本国際協力機構、いわゆるJAIDOの問題につきまして大臣にお聞きしたいと思います。  この会社の目的は、開発途上国の産業開発または経済の安定に資するプロジェクトに対する出盛等となっているわけですが、これが累積債務国からの資金流出に貢献するものと考えていらっしゃるのかどうか、その点について……。
  94. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 ただいま御指摘のJAIDOについてでございますが、これは民間資金を直接投資という格好で、債務累積国を中心といたしまして、そういった国々の経済の活性化に直接役立てていこう。また同時に、これは経団連の支援に成るものですから、経団連のメンバーである会社は、どういう商品をつくれば日本にこれを輸入することができるということを一番よく知っておりますので、単にその国の経済の活性化ということだけでなくて、その国の日本への輸出の増加、日本の黒字の減少という形にも役立つというふうな目的でつくられていると思いますし、私どもはそれに十分の期待を持っているわけでございます。
  95. 矢島恒夫

    矢島委員 時事通信社が発行しております「金融財政」という雑誌のことしの三月二十七日号、これによりますと、JAIDOの現在の由布社長がこういうことを言っていらっしゃるわけです。「米国好みのプロジェクトになる可能性が大きい。米国の関心はフィリピン、カリブ海、中米、南米あたりだから、その辺のプロジェクトなら――」と対象地域について言及しておられるわけですが、このJAIDOは、中南米への累積債権に困っているアメリカの肩がわりをして開発を進める、資金還流を図ろうという性格を持ったもので はないかと思うのですが、ひとつ大臣。
  96. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 雑誌の記事について私がコメントするのは適当でないかと思いますけれども、ただ、結果的にアメリカと日本とが債務累積問題の解決に同じ利害を有している部分は当然あるわけでございまして、それは私は何ら否定すべきものではないと思っております。
  97. 矢島恒夫

    矢島委員 いずれにしろ社長になられる予定の方の発言ですから、極めて真実性大であり、また本音を述べられているのではないかと思うわけです。  このJAIDOは、開発途上国への援助を柱にしておりますけれども、赤字大国になったアメリカの肩がわりをすると同時に、リスクが大きくて投融資をためらう大企業に投融資をしやすいように、例えばOECFだとか輸銀だとか、それにインフラ整備を行うODA、こういうふうなところも含めて政府と公的機関によって至れり尽くせりの手を打つ、そういうものではないかと思うわけです。結局、政府の援助によって大企業に投融資先を与える、外資を稼がせるという性格があるのだ、このように思うわけです。  私は、今JAIDOの問題だけを取り上げてきておりますが、今度の法改正に関連する累積債務に対する日本の対応について、途上国からいろいろな批判の声が出ております。例えば経団連の経済協力委員長の発言などによりますと、日本は官民一体となって輸出拡大に努めるのかという批判もある、あるいは日本の行動は途上国の国民のことを考えてのことか、それとも米国政府や米国の銀行の利益のためなのか、こういう批判が生じているということですけれども、これについてのお考えをお聞きしたい。
  98. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 あらゆることにはいろいろな角度からの批判があるというのは、人間の世の中では当然だと私は思いますので、現在JAIDOの目的としているところ、あるいは債務累積問題についての日本政府としての取り組みは、先ほど来本委員会において御説明しているところであり、そういった意味で日本が適切な役割を果たすということは、極めて重要であると私どもは思っているわけでございます。
  99. 矢島恒夫

    矢島委員 いずれにいたしましても、この累積債務国の声をよく聞き、耳を傾けるべきだ、こういうことを申し上げて、次に、法案とは少し離れますが、銀行局長お見えでございますので、銀行局関係の行政を正していただきたいということでお伺いしたいと思います。  マル優の廃止やあるいは預金金利の低下によりまして、国民の預貯金が利回りの高い商品にシフトされている状況につきましては、貯蓄広報中央委員会などでつくりました生活設計と貯蓄の統計を見ましてもあらわれているところであります。  こういう状況のもとで、銀行は資金の調達と運用というものの競争が非常に厳しくなっているわけですが、最近、銀行が保険業にまで手を出しているということをよく聞くわけであります。保険業は、保険業法第一条によりまして、大蔵大臣から免許を得なければならないことになっていると思います。また、銀行法の第十条によりますと、銀行の業務範囲というものは限定されていると思うわけです。ですから、銀行が保険業を営んだり、あるいは行員に保険の募集を行わせるということをやりますと、保険業法や銀行法、さらには保険募集の取締に関する法律、こういうようなものに違反するのではないかと思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
  100. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 委員が今おっしゃいましたように、法令上それぞれの業務はだれがやるかということが明確に規定されておりますので、その範囲を超えましてはかの業務をやるということは、問題があるということでございます。
  101. 矢島恒夫

    矢島委員 銀行が保険業の申請をすれば、保険業を認可されて、免許が取れて、実際に行うことができるのでしょうか。
  102. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 現在の法制の上では、そのような兼業を認めていないと考えております。
  103. 矢島恒夫

    矢島委員 そこで、具体的な例を挙げまして、これらの法律に違反する問題であると思うので、質問いたします。  それは、駿河銀行がやっております「年金保険ローン:ステップ」というのであります。これを銀行局長にちょっとお見せしたいのですが……。
  104. 中村巖

    中村委員長 どうぞ。
  105. 矢島恒夫

    矢島委員 二つのパンフをお渡しいたしましたが、一つは日産生命のパンフであります。「ウイル・ウエル」というのが表紙に書いてあると思います。このパンフを見ますと「保険料一括払は、〈するが〉の〝ステップ〟で」というので、今度は駿河銀行の方の紹介が、実際に表には駿河銀行と日産生命の両方の名前が入っています。  それから、もう一つのパンフは駿河銀行のパンフレットです。中をあけていただきますと、表紙の裏に「保険料がおトク。」というので、いろいろとお得になる例が書かれているわけです。銀行の行員がこの二つのパンフを持って年金保険の勧誘に行くわけです。これは違法行為だと思いますけれども、いかがですか。
  106. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今初めて拝見しましたので、具体的にどのような法令上の規定等に抵触するのかという点は現段階で明確ではございませんが、いずれにいたしましても、金融機関が法令で許される範囲を超えまして仕事をするということは、やはり問題があると考えております。
  107. 矢島恒夫

    矢島委員 そこでさらに、今資料をお渡ししましたので、銀行局長もすべてについてお答えいただくという状況ではないと思いますが、ここに「年金保険プラン“ステップ”申込書」と「積立年金保険契約申込書」、日産生命で出したのと駿河銀行が出したのがございます。これもひとつ……。
  108. 中村巖

    中村委員長 どうぞ。
  109. 矢島恒夫

    矢島委員 今お渡しいたしました二つの書類が「年金保険プラン“ステップ”申込書」と保険契約の申込書であります。この両方を持ちまして銀行員が勧誘に行くわけであります。ですからその行為そのものは、実際にパンフそのものにつきましては、あるいはパンフだけでは実際に調べてみなければわからないという点があろうかと思いますけれども、この駿河銀行そのものは銀行法の第十二条に明確に違反しているのではないか。また、保険の募集をする行員につきましては、いわゆる九条違反ということになります。こういうようなことになるのではないかと思うのですが、そう理解してよろしいでしょうか。
  110. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今お示しいただきました申込書及びもう一つの契約申込書の方を具体的にどのように行員が勧誘に当たって使用したかという具体的な事実がわかりませんので、法令上どういう問題があるかということにつきましても、この場で御答弁するのは差し控えさせていただきたいと思います。
  111. 矢島恒夫

    矢島委員 そこで、それでは具体的にどういうことをやっているかを、それがわからないとということですので、具体的な例を挙げていきたいと思います。  ここに駿河銀行が出しました年金保険プランの取り扱い開始についてという通知があるわけです。それぞれ営業総本部長の名前で支店長そのほかに渡しております。この中に「高齢化社会の到来から、老後経済生活安定の為の生活設計について大きな関心事となっている。又自助努力の必要性も云われている。」という書き出しがら始まりまして、「積立保険「保険料」を一括融資するローンの取扱いを下記により開始する。」以下、目的「日産生命保険相互会社の積立年金保険の保険料を融資する。」「顧客に対し積立年金保険料の前納保険料(一括払)を融資し前納による保険料負担の軽減を可能とする。」「愛称ステップ」というところまで、いろいろと書いてあるわけです。  同時にもう一つ、今度はそれを具体的に取り扱うときの要領の説明がございます。ここへ事細かに取り扱いの仕方が書いてあるわけですが、その中にこういう文章があるわけです。「保険契約の勧誘並びに受付は「保険募集の取締に関する法律」第九条により銀行員が行うことは禁止されているので注意のこと。〔本件はたてまえでのことであ ります。〕」まさに違法と知って行員に次々とこういう通知を出して、そしてやっているというのがこの通知からもはっきりわかるわけです。  この駿河銀行というのは、もちろん保険業の免許を取っているわけではないと思います。ですから、これは銀行法あるいは保険業法ともに違反しているわけですから、直ちに検査に入るべきだと思うのですが、いかがですか。
  112. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今初めて具体的なお話を伺いましたので、行政の上で今後この問題につきまして対応をしてまいりたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、具体的な点を伺いませんと、現段階でどのような問題があるかという答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  113. 矢島恒夫

    矢島委員 そこで、この問題は、実は大蔵省の銀行局に既に昨年の六月八日に行員の皆さん方がお伺いしていると思うのです。そのことの参考のために申し上げますと、この駿河銀行の従業員組合の方々が六月八日大蔵省にお伺いしていると思うのです。その内容というのは、各支店長あてに至急という連絡があって、「ステップ目標再度徹底の件」というので「当ブロック女性ローン推進会議の個人個人の目標を今朝の朝礼にて再度全員に徹底のこと」というような内容で、目標として、渉外男子は一人十件以上とか、女子は一人五件以上、内勤の男子は一人三件以上、女子は一件以上、「以上を最低目標とする。」こういう通達などが出される中で銀行局にお伺いしたのだと思うのです。  で、この銀行局の係長の対応の中で「保険募集を銀行がやることは違反だ」「省に持ち漏り、処置を後日返事をします」昨年の六月八日のことなんですけれども、このことの事実は御存じでしなうか。
  114. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 それにつきましては私は存じておりませんが、いずれにいたしましても、行政上問題がある場合には、一般論といたしまして、行政としては適切に対応してまいっているところでございます。
  115. 矢島恒夫

    矢島委員 そういうことでぜひ対処していただきたいと思います。  その次に、この保険契約が成立しますと手数料が支払われるわけですが、銀行員総出で勧誘して、その手数料は非常に莫大なものになるわけです。その手数料は銀行に入らない仕組みになっている。もちろん銀行が手数料を取ったらまさに違法ですから、そこで銀行の関連会社であります駿河代弁株式会社に入るようにしてあるわけです。この駿河代弁株式会社には毎月二千万円前後、多いときには三千万円の手数料が入っているわけです。ここに営業報告書があるわけですが、これを見ますと、第六十一期、昭和六十二年の四月一日から六十三年三月三十一日まで二億四千百五十四万円、第六十二期になりますと、次の年度ですが、六十三年四月一日から平成元年の三月三十一日ですが、三倍の七億三千百三十三万円となっている。この社員が二十人くらいのいわゆる代弁株式会社の方に銀行員の勧誘によって得られる手数料が全部入ってきている。こういうことが許されるのでしょうか。
  116. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 一般論として申し上げますと、例えば事業法人等で保険を扱う子会社を持つという場合に、その子会社に保険に伴う手数料が入るということはよくあることでございます。したがって、具体的な場合にどのようにやっているのか、その点が具体的、明確になっておりませんので、法令上あるいは行政指導上問題があるのかないのかを含めまして、現段階ではお答えはできないということでございます。
  117. 矢島恒夫

    矢島委員 そして、この会社、いわゆる駿河代弁株式会社の利益金処分計算書によりましても、六十一期と六十二期との間で約五倍に増大しているわけです。この代弁会社というのは駿河銀行の会長の三男が代表取締役である。そういう親子会社になっている。極めてあこぎなことをやっているのだということですが、社会的責任がある銀行のやるべきことではないのじゃないか。この駿河代弁株式会社も募取法の第二十条に該当するのではないかと思うのです。事実とすればそのための検査を行うべきだと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  118. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 先ほども申し上げましたように、いやしくも公共的機関である金融機関が法令、通達等に違反する行為を行ってはならないわけでありまして、それにつきましては大蔵省といたしましては常時行政上の対応を行ってきているところでございまして、そういう中で今おっしゃるような問題も適切に対応してまいりたいと考えております。
  119. 矢島恒夫

    矢島委員 何か聞くところによりますと、この「ステップ」という商品につきましては、余り異常に伸びましたので、ほかの保険会社から相当のクレームがかかった。現在やめたとも聞いておりますし、まだ続けておるとも聞いておりますが、ぜひひとつ調査していただくということ。  もう一つは、一つのそういうような違法行為を行いますと、次には変えまして、今現在企業年金保険というのを始めたのです。これも同じように保険会社とのタイアップの中で行っている。そして銀行員にその勧誘を割り当てているということです。  念のために、この駿河銀行では一九八四年十月に従業員組合の執行委員五名を解雇しました。その後何回となく地裁、それから地労委、中労委、東京高裁、いずれもこの解雇無効の処分決定がなされているのですが、この経営者は一向にそれに従おうとしない。法を無視して保険業務をやるような会社である。こういう行為は銀行の信用をまさに失墜させるものだ。社会的責任のある銀行が行うべきことではないと思うわけです。  駿河銀行を取り上げてきましたけれども、その他多くの金融機関、銀行だとか相互銀行、こういうようなところが同じような業務をやっておると聞いておるわけなんです。金融機関といいますと、リクルートの問題やインサイダー取引でも批判の的になっているわけですから、銀行局はこれらの実態というのを直ちに全体的に、駿河の問題は私が今細かく申し上げたとおりでありますけれども、他の銀行についても実態を調査するということをぜひお願いしたいのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  120. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 先ほども申し上げましたように、常時、行政としては適切に対応してまいりたいと考えております。
  121. 矢島恒夫

    矢島委員 終わります。
  122. 中村巖

    中村委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  123. 中村巖

    中村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、順次採決に入ります。  まず、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  124. 中村巖

    中村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  125. 中村巖

    中村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 中村巖

    中村委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  127. 中村巖

    中村委員長 次回は、公報をもってお知らせす ることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十九分散会      ――――◇―――――