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1989-02-15 第114回国会 衆議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年二月十五日(水曜日)     午後六時七分開議 出席委員   委員長 中村正三郎君    理事 衛藤征士郎君 理事 大島 理森君    理事 中川 昭一君 理事 中西 啓介君    理事 平沼 赳夫君 理事 中村 正男君    理事 森田 景一君 理事 玉置 一弥君       粟屋 敏信君    井上 喜一君       遠藤 武彦君    金子 一義君       木村 義雄君    戸塚 進也君       虎島 和夫君    鳩山由紀夫君       村上誠一郎君    小野 信一君       沢田  広君    野口 幸一君       早川  勝君    堀  昌雄君       武藤 山治君    橋本 文彦君       矢追 秀彦君    安倍 基雄君       正森 成二君    矢島 恒夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 村山 達雄君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      大出 峻郎君         経済企画庁調整         局長      星野 進保君         大蔵政務次官  太田 誠一君         大蔵大臣官房総         務審議官    土田 正顕君         大蔵大臣官房審         議官      土居 信良君         大蔵省主計局次         長       篠沢 恭助君         大蔵省主税局長 尾崎  護君         大蔵省関税局長 長富祐一郎君         大蔵省理財局た         ばこ塩事業審議         官       松田 篤之君         大蔵省証券局長 角谷 正彦君         大蔵省国際金融         局長      内海  孚君         国税庁次長   伊藤 博行君         厚生省年金局長 水田  努君        郵政省電気通信        局電気通信事業        部長      五十嵐三津雄君         自治省税務局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         法務省刑事局参         事官      鶴田 六郎君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ————————————— 委員の異動 二月十五日  辞任         補欠選任   江口 一雄君     虎島 和夫君   笹川  堯君     木村 義雄君   杉山 憲夫君     粟屋 敏信君   村山 喜一君     小野 信一君 同日  辞任         補欠選任   粟屋 敏信君     杉山 憲夫君   木村 義雄君     笹川  堯君   虎島 和夫君     江口 一雄君   小野 信一君     村山 喜一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の会計税制及び金融に関する件(財政金融  の基本施策)      ————◇—————
  2. 中村正三郎

    中村委員長 これより会議を開きます。  国の会計税制及び金融に関する件について調査を進めます。  まず、財政金融基本施策について、大蔵大臣所信を聴取いたします。村山大蔵大臣
  3. 村山達雄

    村山国務大臣 今後における財政金融政策につきましては、先般の財政演説において申し述べたところでありますが、本委員会において重ねて所信一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。今後我が国の進むべき道は、これまでの成長発展の上に立って、対内的には、豊かで活力のある経済社会の構築を進め、対外的には、調和のとれた国際関係を形成し、世界経済安定的発展のために我が国にふさわしい貢献をしていくことにあります。現在、我が国経済は、落ちついた物価動向のもとで、内需中心として力強い拡大を続けております。個人消費は堅調に推移し、設備投資も増勢を強めるなど、民間需要は順調に推移しております。経常収支の不均衡是正も進んでおります。  国際経済情勢を見ますと、景気拡大が続く一方、主要国対外均衡は、改善傾向にあるとはいえ、依然大幅なものであり、これを背景として保護主義的な動きにはなお根強いものがあります。さらに、累積債務問題につきましては、積極的な対応が迫られております。  私は、今後の財政金融政策運営に当たり、我が国を取り巻く状況を踏まえ、以下に申し述べる諸課題に取り組んでまいります。  第一の課題は、内需中心としたインフレなき持続的成長を確保していくことであります。  今後の経済運営に当たっては、物価の安定を維持しながら、内需主導型の自律的な成長をできる限り長期かつ安定的に持続することが肝要であります。  このような見地から、平成年度予算につきましては、内需の自律的な拡大基調背景として、財政改革をさらに推進するとの考え方のもとに編成いたしました。  また、金融政策運営につきましては、内外経済動向及び国際通貨情勢を注視しつつ、適切かつ機動的に対処してまいる所存であります。  持続的な経済成長を確保する上で、為替相場の安定が重要であることは申し上げるまでもありません。主要国政策協調努力もあり、為替相場はこのところ安定的に推移しております。  我が国は、他の主要諸国とともに政策協調の積極的な推進に努めてまいりました。先日開かれた七カ国蔵相・中央銀行総裁会議の場においても、これまでに構築されてきた主要国間の協調の枠組みを確固として堅持していくことの重要性が再確認されたところであります。今後とも、政策協調のための努力を続けてまいる所存であります。  第二の課題は、財政改革を引き続き強力に推進することであります。  政府は、平成年度までの間に特例公債依存体質から脱却し、公債依存度引き下げに努めるという目標を掲げ、財政再建を着実に進めてまいりました。平成元年度の予算編成に当たっても、経済が好調に推移しているこの時期にこそ、目標達成に向けて確かな歩みを進めることが何よりも重要であると考え、緩むことなく歳出の徹底した見直し合理化に取り組んだところであります。その結果、特例公債発行額を前年度当初予定額に比し一兆八千二百億円減額することができました。また、公債依存度についても、前年度当初予算の一五・六%から一一・八%にまで低下しております。  しかしながら、来年度末の公債残高は百六十二兆円程度に達する見込みであり、これから生ずる国債利払い費歳出予算の約二割を占めており ます。財政は、基本的にはなお極めて厳しい状態にあると申し上げざるを得ません。  将来の高齢化社会においても、経済社会活力を維持し、国際社会における責任の増大にこたえていくためには、今のうちにその基盤ともいうべき財政対応力の回復を図ることが不可欠であります。また、今次の税制改革を円滑に実施する上で国民理解協力を得るためにも、行財政の効率的な運営を図っていく必要があります。  今後とも、各般にわたり行財政改革推進に不断の努力を傾注してまいる所存であります。  第三の課題は、新しい税制の円滑な実施を図ることであります。  政府は、新税制実施円滑化推進本部を設置し、今般の税制改革意義及び全貌について国民理解を深め、新しい税制の円滑な実施を図るための対策を総合的に推進することとしております。特に、新しく導入される消費税については、便乗値上げの防止に配慮しながら、その円滑で適正な転嫁のため、各般にわたりきめ細かな対策実施することとしております。  どのような税制も、その導入当初は、種々の懸念や戸惑いを生じやすいものであります。なかんずく、消費税の執行に当たりましては、この種の税になじみの薄い我が国の現状を踏まえる必要があります。このため、制度導入当初においては、積極的な広報、親切な相談、適切な指導を中心とした運営を行い、制度意義、仕組み、手続等について国民の十分な御理解をいただき、混乱や不安が生じないよう配意してまいります。  第四の課題は、金融資本市場自由化国際化を着実に進めていくことであります。  これまでにも預金金利自由化外国金融機関アクセス拡大等措置を逐次講じ、短期金融市場国債発行流通市場先物市場整備拡充等に努めてまいりました。  さらに、証券市場につきましては、内部者取引規制整備及び株式公開制度改善等を進めております。  今後とも、我が国金融資本市場内外経済発展に十分な貢献を果たし得るよう、諸外国との協調を図りながら一層努力してまいります。  第五の課題は、調和ある対外経済関係の形成に努めることであります。  自由貿易体制は、世界各国経済発展福祉向上の基礎であり、各国との協力のもとに、その維持強化に努めていく必要があります。ウルグアイ・ラウンドにつきましても、引き続き積極的に推進してまいります。  また、対外均衡是正の問題は重要な課題であり、我が国としては、国民生活質的向上を図る見地にも立って、内外価格差是正市場アクセス改善等推進し、貿易拡大均衡を図ることが必要であります。  関税制度につきましては、来年度において、熱帯産品等関税引き下げ撤廃等改正を行うこととしております。  経済協力につきましては、開発途上国自助努力を支援するため、厳しい財政事情のもとではありますが、政府開発援助の着実な拡充に努めております。  累積債務問題につきましても、最貧国について債務軽減措置実施する等、積極的に取り組んでいるところであります。  今後とも、関係国との対話を深めながら、我が国国際的地位にふさわしい貢献を行ってまいる所存であります。  次に、平成年度予算の大要について御説明いたします。  平成年度予算は、内需持続的拡大に配意しつつ、財政改革を強力に推進することとして編成いたしました。  歳出面におきましては、引き続き既存の制度施策見直しを行い、経費節減合理化に努めるとともに、限られた財源を重点的、効率的に配分するよう努めました。  一般歳出規模は三十四兆八百五億円となり、これに国債費及び地方交付税交付金等を加えた一般会計予算規模は、六十兆四千百四十二億円となっております。なお、消費税影響額につきましては、適切に計上しております。  また、補助率等につきましては、昭和六十三年度まで暫定措置が講じられてきましたが、改めて、最近における財政状況、国と地方機能分担費用負担あり方等を勘案しながら検討を行い、見直しを行うこととしました。厚生年金国庫負担金繰り入れにつきましては、所要の特例措置を講ずることとしております。  次に、歳入面におきましては、税制につきまして、税制改革の円滑な実施に配意する措置及び地域活性化社会政策上の配慮等の当面の政策的要請対応する措置を講ずるほか、租税特別措置整理合理化を行う等の改正を行うこととしております。  公債発行予定額は七兆一千百十億円であり、その内訳は、建設公債が五兆七千八百億円、特例公債が一兆三千三百十億円となっております。なお、借換債を含めた公債の総発行予定額は、二十二兆三千百四十九億円となります。  財政投融資計画につきましては、社会資本整備地域活性化及び資金還流措置推進等政策的要請にこたえ、資金の重点的、効率的な配分に努めました。  この結果、財政投融資計画規模は三十二兆二千七百五億円となり、このうち資金運用事業を除いた一般財投規模は二十六兆三千四百五億円となっております。  この機会に、昭和六十三年度補正予算について一言申し述べます。  昭和六十三年度補正予算につきましては、消費税創設等税制改革関連経費農産物輸入自由化等関連対策費貿易保険特別会計への繰り入れ厚生保険特別会計への繰り入れ等、特に緊要となった事項について措置を講ずることとしており、この結果、昭和六十三年度一般会計補正予算の総額は、当初予算に対し、歳入歳出とも五兆一千五百二十億円増加して、六十一兆八千五百十七億円となっております。  以上、財政金融政策に関する私の所見の一端を申し述べました。  本国会に提出し御審議をお願いすることを予定しております大蔵省関係法律案は、平成年度予算に関連するもの八件、昭和六十三年度補正予算に関連するもの一件、その他一件、合計十件であります。今後、提出法律案の内容について、逐次、御説明することとなりますが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  4. 中村正三郎

    中村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  5. 堀昌雄

    堀委員 村山大蔵大臣が御就任になりまして初めての大蔵委員会、私は村山大蔵大臣がまだ大蔵省に御在任のときから当委員会委員としてやらせていただいておりまして、ここに大蔵大臣に再度御就任になりまして、大変御苦労さまでございます。専門家大臣を迎えて、私どももいろいろな論議をいたしますについても、率直に大臣お答えが聞けるということは大変ありがたいことだと思っております。  私は、実は税制についていろいろな問題提起をしてまいりましたけれども、残念ながら前回の臨時国会ではいろいろな事情で発言の機会を得ておりませんので、きょうはこの新しく四月一日から行われる税制の問題については、今すぐということではありませんけれども、やはりどうしても考えていただきたい問題がある。そのことをきょうは中心にひとつ質問をさせていただきたいと思います。  そこで、まず最初に伺いたいのは、現在大変日本経済は調子がよろしいわけであります。一般的に世論調査等でも、自分は中流と思うかどうかというような問いに対して、非常に多くの皆さん中流ないしは中流の上であるというお答えがされておるのでありますけれども、確かに全体としては国民生活はかなりレベルが上がったと私は思う のでありますが、しかし全体が上がっても、依然として所得の少ない皆さんがあるということを私どもは忘れてはならないのではないか、こう考えているのであります。  そこで、今回の消費税というものは、私も六十年二月の予算委員会EC型付加価値税を提案しておりますから、この税制逆進性が非常に強いという問題を十分承知しているのでありますけれども、今回大変大きな減税が行われている割には、どうも私は所得の低い皆さんに対する配慮が必ずしも十分でないような気がいたしてなりません。  ですから、後で経済見通し問題等論議をさしていただきますけれども、まず最初お尋ねをしたいのは、現在、これからも、少なくとも本年、一九八九年は大体政府見通しよりいいように思いますが、その先がいつまでもそうなるとは思いません。この長い成長の過程を通じて、その成長影響プラスに受けとめた皆さんと余りプラスとして受けとめられなかった皆さんがある、こう思うのでありますけれども、これらの問題についての大蔵大臣御所感をまず承りたいと思います。
  6. 村山達雄

    村山国務大臣 堀委員にはもう本当に現役のときから大変お世話になって、改めて御礼申し上げます。  ただいまの問題でございますが、一つ景気が、六十一年の十一月が谷になっておりますので、今のところもう二年余り続いているわけでございます。これをできるだけ長く続けさせたい。委員承知のように、今の循環は非常にいい循環をしている。企業収益が上がる、それが大なり小なり給与に還元されていく。そういたしますと企業の方は、余力がありますからなおそれで設備投資をどんどんやっていく。家庭の方は消費がふえていく。今、内需拡大というのはまさにそういうところに来ているわけでございます。  そしてもう一つ、国際的な協調が言われておりますプラザ合意がございますが、あれは委員承知のように、対外均衡が余りにも大きくなって、このままでいったら世界経済全体として拡大が続くかどうか非常に不安なので、最初は恐らく為替協調ということであったでしょう、それからだんだん政策協調に入りまして、そして日本のような黒字国内需拡大でいこうじゃないか、それからまた為替レートについては適当な水準まで上がるということも望ましいことじゃないか、こういうことでやったわけでございます。これをずっと見ておりますと、効果についてはいろいろありますけれども、少なくとも経常収支は毎年毎年着実に縮小しているわけでございます。そういった意味で、これをずっと続けていきたいというのが我々の念願でございます。  今どういう阻害要因があるかというようなことにつきましては、また御論議のあるところであろうと思いますが、何よりもやはり好循環が続くということが一番大事だと思います。  それから、そういたしますと、当然のことでございますけれども、回り回ってだんだん各階層とも所得水準がずっと上がってまいるだろうと思います。その間の格差縮小の問題でございますけれども、ちょうどシャウプのころでございますが、第五分位の第一分位に対する倍率が五・八倍というのが、今のところ二・九倍くらいになっておる。各国比較を見てみても、この二・九倍というものはかなり平準化しているといいますか、所得配分が非常に平準化してきておる。このことは私は非常に大事なことじゃないかと思っているのでございます。言うまでもございません、同じ所得があるときに、それが平準化をした方が消費もありましょうし、その一つ一つ家庭消費も健全であると私は思うのでございます。そういう意味で長続きするでありましょう。  同じように企業の側も、同じ企業収益があるとしても、中小企業まで含むすべてのところで所得がよくなり、特に企業健全化が行われれば同じ理屈でありまして、同じ投資が行われても、総量は同じでありましてもその投資には永続性がある、こういうことでございますので、所得平準化企業所得家計所得循環需要内需が次に回転していく、こういう格好が望ましいのだろう、こう思っておるところでございます。
  7. 堀昌雄

    堀委員 そこで、ちょっと具体的にお尋ねをしたいのですけれども国税庁、入ってもらっておりますね。  実は私がちょうだいしておる資料、今持っておるのは昭和六十年の資料しかなく、最近の資料でどうなっているかわからないのですが、六十年の資料で見ますと、その他所得というのは、ダブっておりますからこれは除いて計算をいたしまして、給与所得者数農業所得者数農業以外の事業所得者数から納税者数合計を差し引きますと、統計上一応一千百六十二万人というのが出てくるわけでありますが、資料が古いですから、最近年次で所得税の非納税者というのは一体何人くらいあるのか、個別のジャンルは要りませんけれども国税庁の方でお答えいただきたいのです。
  8. 伊藤博行

    伊藤(博)政府委員 私どもの手元にある資料、若干の推計が入っております。これは統計の性格上従来もそうであったかと思いますが、六十一年度数字で、所得者数から納税者数を引きました計数は千百四十七万人程度と推計しております。
  9. 堀昌雄

    堀委員 いろいろと関係者お話を聞きますと、このデータというのは、納税者数の方ははっきりしているようですけれども、土台の方の所得者数労働力調査とかいろいろなものから出してあるので、必ずしも正確でないと思うのです。一割くらい引いても、約一千万人の所得税を納めていない人たちがいるということは推計していいのじゃないかと思うのですが、大臣、いかがでございましょうか。
  10. 村山達雄

    村山国務大臣 多分その程度数字になっておると私も思っております。
  11. 堀昌雄

    堀委員 そこで、国税庁の方に伺いますけれども、今こういう経済状態の中で、さっき大臣お話しになりましたように、上と下の格差が一番開いているのはフランスとアメリカであって一番平準化しているのは日本だというのはOECDの資料でも明らかになっておりまして、そのことは、日本経済が大変健全であるし、日本国民もそれなりに幸せな条件にあるなということを私も理解するのであります。にもかかわらず今の課税状態ですね。六十一年というときは標準世帯課税最低限は幾らですか。
  12. 尾崎護

    尾崎政府委員 二百三十五万七千円でございます。
  13. 堀昌雄

    堀委員 年間の収入が二百三十五万七千円以下の人、標準世帯でそれだけの人というのが約一千万人いるということになると思うのでありますが、この一千万人の中身ですね。これを私は今後大蔵省自治省協力していただいて、どういう階層で、どういう年齢で、どういう方たちがそういう一千万の中にあるのかという問題を一遍調査をしていただく必要があるのじゃないか。  要するに、上の方はほっといてもどんどん所得がふえる。それから、おっしゃるように、給与所得者という立場から見ますと、よほどの零細企業の場合に、非常に家族が多ければ今の二百三十五万円以下になるのだろうと思うのでありますけれども、どちらかというと、就業している人というのは割に皆納税者になる確率の方が高いのじゃないか。一番はっきり出るのは、年金だけで生活をしておる皆さんというのが私は恐らくここへ入るだろうと思うし、また、例えばまだ若い人が一人で生計を立てているというようなときには、そういうことがあるかもしれません。ただ、この実態を私どもは上の方ばかり見ないで、ひとつここはどういう状態になっているかということを、これはサンプル調査で結構ですから、どういう階層でどういう人たちが非納税者中心になっているのかということを、一千万人の人がいるのですから、これは我々として将来のいろいろな問題を考える場合のベースになる重要な課題だと私は思っております。  そこで、これをいろいろと検討してみましたけれども、聞きますと、税務署の方では、源泉徴収 をされている人たちが納税しているかどうかはわからないということもあるようでありますし、いろいろと御検討いただかなければならない問題もあります。  きょうは自治省税務局長も入っていただいておりますからあれですが、私の考えでは、地方自治体の中で地方税の均等割しか払ってない方というのは、大体その地域における所得の低い層ということになるのではないか、こう思いますので、これはひとつ自治省の方にも御協力をいただき、国の国税の方も協力をして、今後の日本社会保障の問題あるいは税制の問題、これは私が後で問題を提起するわけでありますけれども、この今の二・九倍のお話をさらに少しでも縮めるように、そして、それは上の方を下げる話じゃありません、下の方にどういうふうにして憲法が保障しておる健康で文化的な生活ができるようにするかというのが、私たちの今日の非常に大きな課題ではないのか。上の方はほっといても、この日本経済状態ですから、所得がふえるのは間違いないのでありますが、ここの非納税者所得皆さんの問題に一番光を当てて、私どもが十分これを認識をし、それに対する具体的な対策、そういうものを考える必要があるのじゃないか、こう思うのでありますが、大臣、いかがでございましょうか。
  14. 村山達雄

    村山国務大臣 この問題は、今結論からいいますと、恐らく自治省資料の方がおよそマクロでいいますといけるのじゃないかと思いまして、一遍自治省の方の資料と突き合わせてやってみたいと思います。  ただ、私も前からその点は非常に気にしておったわけです。それで、捕捉が悪いことによって落ちているのか、そうでないのかというのが問題なんであります。農業が一番よくわかるものですから、かつて私も調べたことがあります。たしか農業所得者農家世帯というのが四百五十万。そのうち、たしか専業者が六十万、それから第一種兼業者が七十万の百三十万。残りはみんな第二種兼業。したがって、税務統計では第二種の方はあらわれてこないわけでございます。これはほとんど半分、主たる業務は恐らく月給取りでございましょう。我々の方はほとんどそうでございます。  そこで専業と第一種、第二種の経営面積をずっと調べてみたことがあります。そうしますと、大体経営面積はわかりますが、意外に小さいのです。ですから反当たりこれぐらいとれるとして、大体米作農家でございますから、そのときどれくらいの収入、所得になるかということを考えてみますと、しかもそこには大体稼得者が二人おるのです。家計としては農家としてはありますけれども、御承知のように税は個人単位でございます。そういうものとして計算してみていきますと、これはなかなか落ちるかもしれぬな。御承知のように専従者控除があります。青色申告になれば当然もう落ちるでございましょう。しかし、白色だとしても、専従者控除その他をやると、これは落ちるかもしれぬなという感じがしたということだけ申し上げておきます。  ですから捕捉の問題は、むしろ我々は事業なんかにつきまして国税庁、税務署の方で事後調査をやります。あの査察の分とか特別調査とかは別にして、一般調査調査後の所得に対して当初申告は幾らであったか、ここを実は私は、私自身でございますが見ているのです。国税庁はなかなかそういうことを言いません役所でございますが、私が見たところでは大体二割ぐらい落ちておる、そう見ておるのです。  そうしてみますと昔、賦課課税の当時、我々は税務署長をしておりました。あのときは守秘第一号というのがありまして、いわゆる取り扱い通達ですね。これは公開しておりません。もう税務署長とか局の幹部とか、そういう者だけが持っておるのです。その守秘一号に、収支実調したるものについては二割減額することを旨とする。これは調査会にかけてやるのです。だから調査会にかけるときに、大体二割ぐらい減額してちょうどバランスがとれるのです。こういう意味だと理解しておるのです。ですから、昔も今もどうも二割くらいはあるのだな。必ずしもそれは納税者がごまかしておるとかなんとかいう、そういう人もあるかもしれませんが、それも家計費というものと本当の意味の事業用の経費というものがよくわからないとか、いろいろな要素が加わっての二割だろうと私は思っておるのでございます。そういう意味で、やはり所得調査というものには一種の限界があるなということをつくづく感じたのでございます。
  15. 堀昌雄

    堀委員 私が今言っているのは、結果的に実際所得があってそんなに困っていないけれども、納税してないという場合があり得ると思うのです。今、村山大臣のおっしゃったことは、私、六十年二月の予算委員会で付加価値税をやろうというときに例証しました。  最近一番新しいところでいきたいのですが、東京国税局がこの間事後調査をやった。今大臣のおっしゃったように査察でも特別調査でもない事後調査、営庶業の事後調査についての新聞発表が出ておりましたので、国税庁の方からそのポイントだけちょっとお答えいただきたいのです。
  16. 伊藤博行

    伊藤(博)政府委員 先生お話しの資料は東京局管内の局地的なものでございます。それの六十二年分の営庶業所得者の事後調査、それはしかも年間を通してではなくして、六十三年四月から十二月までというやや限られた期間での調査結果でございます。その間の調査件数が二万八千五百八十六件、このうち申告漏れがあったものが二万七千七百三件、申告漏れ所得金額が千二百九十八億円というのがマクロ的な計数でございます。その結果、申告漏れ所得の割合というのを見てまいりますと、今申し上げました調査に関する部分では一七・八%になっております。
  17. 堀昌雄

    堀委員 私は申告所得税(営庶業所得)の事後調査状況というのを昭和五十年度から六十二年度まで、国税庁にお願いをして資料をとってみました。今のは六十二年度ですね。ベースがちょっと違いますが、今ので見ますと実は申告漏れ所得割合はだんだん減っておるのです。五十年のときは申告漏れ所得割合は二三・八%あったのですが、それが一九・八%と、さっき大臣がおっしゃったほぼ二割というところに来ております。申告漏れ件数割合の方は、五十年は八七・五%だったのですが六十二年は九五・六%。九五・六ということは九六%ですから、ほとんど事後調査をやった件数ですね。この六十二年の事後調査件数は十六万二千件です。  確かに、事後調査は多少疑わしきものをやっていますから、それは高い比率が出るのはわかりますが、それにしても、たしか六十二年ですかの資料で見ると、納税者中に占める給与所得者の割合は九二%でございまして、要するに源泉徴収で納めておる給与所得者所得税納税者の九二%だ。そうすると、残りの八%が営庶業と農業なのです。農業の方は、ちょっとこれは国税庁でも必ずしもそんなに自信がないとおっしゃっているのですけれども、その方で見ましても、やはり申告漏れ所得割合は推計でおおむね二〇%、申告漏れ件数割合は大体七七%と、五十七年から六十一年の資料をいただいているのですが、この方は逆に五十七年には八九・二だったものがだんだん減っている、こういう経過なのであります。  いずれにしても、これはちょっと問題があるので、私は実は六十年二月に、インボイスのついた付加価値税でひとつ税だけは皆さん公平に払っていただきましょう、そのかわりこの営庶業、農業皆さん年金で大変な差別があります。要するに、給与所得者は二階建ちの年金、物によっては三階建ちのような年金がありますのに、国民年金皆さんだけは将来とも基礎年金だけというのは憲法十四条に言う法のもとに平等でないではないか、そこでどうしてもこの国民年金を二階建ちにするように考えなければいかぬ、こう言ってきまして、まだ年金二階建ちじゃないのですけれども、今度は国民年金基金というものを厚生省では考えられて、まあ少なくともやや上に物が乗るということになって、それは私、大変結構な方向だと思っておるのであります。  そこで、まず今の問題については、できる範囲でいいのですが、どこかの地域にサンプルをとっていただいて、それはもうどこかの自治体に、例えば何十分の一とか何分の一というサンプルでやっていただかなければなかなか調査のできない問題でしょうし、どういうふうにできるか私も自信がありません。ありませんが、努力をして、そういう非納税者の実態を我々が承知するということが今後の政策を運営していくために非常に重要な、基礎的な材料になると思いますので、ひとつ御検討いただきたいと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
  18. 村山達雄

    村山国務大臣 まずその調査の方から申し上げますと、御案内のように、この新税制を定着させるために今猫の手も借りたいところでございます。したがいまして、この定着するところまでは、一番大事な仕事でございますのでそれをやらせていただいて、それで向こうの方の資料も突き合わさせていただいて、必要な補充調査を暇を見てやらせていただきます。  それからもう一つ、私はずっと長いこと所得税の実務をやっておりましたのでよく知っておりますが、課税漏れの割合というのと課税漏れの件数ですね、これは必ずしも悪い状況になったということばかりじゃないと思います。ということは、どうせ実調率は二割とか一割しかやれないのです、実際。そのときにどこに目をつけるか。そうすると、大体申告されたいろいろな勘定科目とかそういうものを見て、もうおかしいというのは専門家はわかるわけですね。それがだんだんすぐれてくればヒット率は高いのです。ですから、我々はいつもヒット率が高いのを見て、大分税務行政は充実してきたな、こういうことを申し上げておるので、御参考までに申し上げたいと思います。
  19. 堀昌雄

    堀委員 確かに、私どもは出されたデータだけを見ておりますから、今大臣のように実務をおやりになった方がおっしゃることを私は信用したいと思います。ただしかし、それにしても大臣もさっきおっしゃったように、どうも二〇%ぐらいは張りで給与から払っている九二%の立場から見ると、やはり何とかしていただかなければならぬ問題かと思います。  そこで、これはそこまでにいたしまして、次に主税局にお願いしたいのですけれども、実は課税最低限が二百三十五万、次は二百六十一万でしたか、ことしから三百十九万、こういうふうになりましたね。そこで今度は、所得のある人たちが三回の所得税減税でどのぐらいプラスを得たかというのを、五百万円、一千万円ぐらいのところで結構ですが、ちょっと今の三段階について主税局長の方からお答えをいただきたいと思います。
  20. 尾崎護

    尾崎政府委員 昭和六十二年の九月に大きな所得税の減税をいたしておりますが、その改正前をまず申し上げますと、これは標準世帯、夫婦子二人ということで計算しておりますけれども給与収入五百万円で所管税の額が二十二万五千四百円でございます。それから、一千万円の方は所得税の額が百十六万九千円でございます。その税額の給与収入に対する割合は、五百万円の方が四・五%、一千万円の方が一一・七%でございました。  六十二年九月改正が行われまして、給与収入が五百万円の方は所得税の額が十七万七千九百円に減りました。改正前は二十二万五千四百円でございましたが、それが十七万七千九百円となりまして、その割合も三・六%に下がりました。それから、一千万円の方は所得税の額が百二万円となりまして、収入一千万円に対します割合が一〇・二%となりました。改正前は百十六万九千円でございましたから、十四万九千円ほど減税になったわけでございます。  六十三年十二月の抜本改正の結果といたしまして、収入五百万円の方は所得税が十三万五百円、五百万円に対します税額の割合が二・六%というように下がりました。給与収入一千万円の方は所得税が八十二万一千円ということになりまして、その収入に対する割合は八・二%となりました。  つまり、六十二年九月の改正前と比較いたしますと、五百万円の方で減税額が九万四千九百円、一千万円の方で減税額が三十四万八千円ということになりました。その税金の軽減割合は、六十二年九月と今回の抜本改正後を比較いたしますと、収入五百万円の方は四二・一%の軽減が行われた、一千万円の方は二九・八%税額が減っている、こういう結果になっております。
  21. 堀昌雄

    堀委員 今課税最低限は幾らでしたかな。三百十九万八千円でありますから、五百万円の方というのは課税最低限のすぐ近くになったわけです。  私がこれを伺ったのは、所得のある者は、この間三回の減税で実は大変な減税のプラスを享受しておるわけでありますね。それが所得の多い人ほど実は大きな金額のものになっている。私は、これからことしの個人消費というものがかなり堅調にいくだろうと思いますのは、これだけ減税になりますと、やはり物価は安定しておりますから、相当に消費が安定して継続するだろうと思うのであります。一方、これだけあれば、消費税の三%の負担がこの方たちはそんな大きな負担にはならないと思うのですけれども、今度は非課税の方で、六十三年度補正で生活保護とかそのほかに対して手当てが行われておりますね。この問題についてひとつ主計局の方から、一体どのぐらいこの非課税皆さんに対してはプラスが行われたかをちょっと伺いたいと思うのであります。
  22. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 六十三年度補正予算、現在御提案を申し上げておりますが、この中で消費税導入に対しましてその激変緩和と申しますか、消費税創設等に伴う老齢福祉年金の受給者の方などの激変の緩和というような趣旨で、一時金を差し上げるということにしております。福祉年金の受給者の方々、それから高齢の低所得者の方として市町村民税の非課税世帯に属する七十歳以上の方方、あるいはいわゆる児童扶養手当、特別児童扶養手当、特別障害者手当などをもらっていらっしゃる方々、それから生活保護の受給者、全部を尽くし得ませんが、これらの方々につきまして、全 すると対象はトータルで何人ぐらいになるのですか。
  23. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 先に申しました一人一万円の一時金の方でございますが、合計で五百六十七万人でございます。失業対策事業の就労者がほかに若干いらっしゃいますので、これを入れますと五百六十九万人ということになると思います。在宅寝たきりの方は、先ほど申しましたように二十万人ということでございます。
  24. 堀昌雄

    堀委員 まあこれで見ると、今の一千万の中の半分くらいはこれを受け取られるわけですが、それにしても一万円なんですね。片一方の減税額に比べると著しく小さい額だ。  そこで、私はこの前、国会で発言ができないものですから、十月二十日、二十一日の二日間の読売新聞の「論点」という紙面をかりて私の考えを述べました。きように関する部分だけのことを申し上げますと、やはり今度の消費税といいますか間接税を、何とかひとつ社会福祉目的税という税にしてほしいなというのが私の基本的な考え方でございます。そこで述べておりますことは、要するに所得税の非納税者というものが、これは税務署だけでわからないということでいろいろ検討を要するわけでありますけれども、今すぐやってくださいという話じゃありませんので、用意をしていただいて、そこで地域の住民が、自分は所得税を払っていませんという人、言うなれば——ちょっと自治省の方に伺いますけれども、自治体は全部住民税を取っていますから、その中で均等割だけしか納めていない人は所得税を納めていないと見て大体いいのじゃないかと思いますが、税務局長、いかがでしょうか。
  25. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 個人住民税の所得割につきましては所得税よりも課税最低限が低うございますから、所得税がかからない方でも所得割がかかるという方がまずございます。それからその課税最低限にも達しない方々については、おっしゃるとおり均等割だけが課税されるという方があるわけでございます。それからさらに生活扶助水準ぐらいの方々を基準にいたしまして、その方々よりも低い所得の方々には均等割も課税をしない、こういう形で、均等割も非課税、それから均等割は課税され所得割も課税される、それから所得税所得割も課税される、こういう段階になるわけでございます。  私どもは、所得税課税されないけれども所得割が課税されるであろうという方々の捕捉を十分しなければいかぬということで、市町村はいろいろな形で努力をしているわけでございます。また均等割だけの方もできるだけ捕捉をしようということでやっているわけでございますが、そのほかに均等割も課税されていないという方々もおられますので、この辺の捕捉のやり方等につきましては今後勉強していかなければならぬ問題だろうと思います。     〔委員長退席、中川(昭)委員長代理着席〕
  26. 堀昌雄

    堀委員 ありがとうございました。  そこで、所得税を納めていない方は自治体の窓口か税務署の窓口へ行って、私は所得税を納めていませんという証明をください、こう言って出していただく。それはこれから準備が必要なんでありますけれども、そうしたら自治体と税務署でいろいろ調べた結果、確かに所得税を納めていない。その人たちに対して、社会保険出張所か自治体の国民年金の処理をする部分かで、要するに社会保障番号簿というものをひとつ備えていただいて、そこでその人たち社会保険出張所か自治体の年金の窓口へ行きまして今の非納税者だという証明を出したら、そこで今の方を番号簿に載せて、登録番号をひとつその方たちに渡してカードを渡すということにいたしますと、何人になるのかあれですが、少なくとも今の私どもの認識では、約一千万人の人が非納税者であるという意味での社会保障番号簿の登録番号がもらえることになる。  私その当時、大体十月に書きましたときにも、政府税調でも、これからキャピタルゲインその他の課税をするためにひとつ番号制をやろう、その番号制は、どうも私の見ているところではアメリカ式のソーシャル・セキュリティー・ナンバーの番号簿になるような雰囲気の報道がありました。私は実は番号問題というのは大変古くからやっておりまして、その一つの具体的な問題としてグリーンカードが法律になったんでして、私はあのときに、これでひとつ税の公正が図れるかと思ったら、御案内のように、法律は通っておりましたけれども処理はされなくなった。今度はどうやら国民全体としてやはり番号が必要だ、こういう雰囲気でありますけれども最初納税者番号というような感じの社会保障番号でキャピタルゲインもらいますよというのは、私は何とも番号のスタートでは望ましくない。  そこで、今の私の提案のようにやりますと、これでこの番号を受けた者はどうするかといいますと、一部の例外がありますけれども、実は今国民は、年金の保険料というのは、これは勤労者であろうと営庶業の方であろうと農業の方であろうと、国民年金に入っているか被用者年金に入っているということでありますから、そこで、この登録番号の方には幾ら引いてさしあげるかは別としても、カードを持っていった人はそういう何らかの額をひとつ年金を納める部分から控除をしてあげましょう。そうすると、これはずっといくわけですね。一時金で一年こっきりではなくて、毎年そうやって——所得が出てくる人もある、納税者になる場合もあるわけですから、納税者になったらその年はそれはもうありませんよ、納税者になったら減税の方がきくわけでありますから。  そういう意味で、毎年毎年それをチェックしながらそういう番号の処理をするということにすれば、実は社会福祉番号というものが、最初年金を返してもらうために使われる。それが一千万になるのか八百万になるのかわかりませんけれども、非常にさい先のいい社会福祉番号ということでスタートできるのではないか、まず第一点こう考えるわけでありますね。  その次に、しかしそういうふうにして年金会計から保険料を割り戻ししますと、今度は年金会計の側に穴があきますから、これは問題があるわけです。そこで、その年金会計の問題は穴を埋める何らかのシステムをやはり考える方が妥当ではないだろうか、こう考えるわけです。  そこで、私がかねてから社会福祉目的税ということを言っておるベースになりますのは、まず医療ですね。医療というのはすべての国民が受けるものでありますから、すべての国民に関係がある。次に年金、これも皆年金で、すべての皆さんがある年齢になれば年金を受けることになるのでありますから、すぐ受けるわけではありませんけれども、すべての皆さんに関係がある。もう一つ老人福祉の中の措置費ですね。あと、建物を建てたりいろいろするのは、これは国が当然やるべきことでありますけれども、少なくとも老人福祉の措置費だけは全部国民に行き渡る。  ですから、生活保護の皆さんから年金の、今ここで篠沢次長がお話しになりました五百六十七万人の皆さんも全部消費税の負担をされるわけであります。この消費税の負担というのは国民のすべての皆さんからいただくのですから、これはほかへ使わないで全部国民皆さんにお返しします、要するに医療と年金と老人福祉、これだけを包括して、この部分に主として使います、こういうやり方をとったらどうかという私の考えがあったわけであります。三年ぐらい前から大蔵省関係者に大体どうなるだろうか、それが将来はどういうふうにいくだろうかというふうないろいろな試算をしてもらって、私は私なりに、今後の日本社会保障の費用がどれだけ大きくなるのかという試算を承知をさしていただいておるのであります。  そこで、篠沢次長にちょっと伺いたいのでありますけれども、今度の平成元年予算に組まれておりますところの医療の国保、政管健保、組合健保、船員保険、老人保健、それから年金の国年、厚年、福祉年金、共済、それから老人保護、福祉という問題についての年間の予算上の支出というのは幾らになるのか、お答えいただきたいと思い ます。
  27. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 平成元年度の予算に組まれております医療の関係の支出は四兆二千百億でございます。それから年金は三兆一千八百億でございます。それからお話しのございました特別養護老人ホームあるいは老人ホームのいわゆる老人保護に係る措置費、これは二千百億でございます。今の御指摘の三つの要素で合計七兆六千億という数字に相なります。ただ、これらにつきましては、御承知のとおり政管健保の繰り入れ特例でございますとか、厚生年金への支払いの繰り延べ額等がございます。若干調整された数字になっておりますので、これらにつきまして本来額という形で改めて合計いたしてみますと、ただいま七兆六千億と申しました数字が本来額で約八兆一千八百億程度ということに相なります。
  28. 堀昌雄

    堀委員 今私がお尋ねをしたのは、平年度化のベースで考えませんと、厚年の割り戻しや何かでちょっとあれになりますので、今伺って、約八兆一千八百億というのが平成元年予算上の今私の言っておる社会福祉のトータルだ。  そこで、今度の消費税ですね。私、新聞で承知しているところでは、最初五兆四千億と言っていたのが、どうやら五兆九千億くらいの年間収入になるように新聞で見ましたが、主税局長、いかがでしょうか。
  29. 尾崎護

    尾崎政府委員 平成元年度の税収見積もりにおきましては、消費税の税収を三兆六千百八十億というように見ておりますけれども、これは国税分だけでございますし、それから初年度でございますから、初年度を平年度に直して考えますと、五兆九千四百億円というように見込んでおります。
  30. 堀昌雄

    堀委員 この前、国会で竹下首相が答弁をしておられる中で、私の在職中は消費税の税率を上げることはいたしません、こういうお話をしておられますね。在職がどごまでになるか、これもきょう判断することはできないのでありますけれども、恐らく私の推測では、竹下さんも自民党の党則の範囲内で、総裁の二期というのはやりたいというふうに思っておられるんじゃないか、こう思います。これから野党の私どもは竹下内閣を大いに揺さぶろうということを決定しておるのでありますけれども、それはどうなるか、私も全然わかりません。しかし、仮に竹下さんがこの十一月ですか、再選されてあと二年やるとすると、消費税の税率というのは、今の三%があと年度でいくと一年、二年延びるわけであります。  そうしますと、消費税の方は三%で五兆九千億、こうなりましょう。個人消費全体は少しはふえますけれども、それは大して大きなことではない。しかし、実は今のお話のように医療費も年金もだんだん伸びていきますね。ですから、そういう伸びていくという過程を通じて見ると、この八兆一千億というのは三年先にはかなりの金額になる。下の方は動かない。相当な開きがある。私は、社会福祉目的税論というのを、何か特別会計をちゃんとつくって、そしてその特別会計とこれがリンクをして、それ以外にどうこうというようなかたい考えは全然持っていないのであります。しかし、少なくとも国民皆さんが、すべての貧しい方も何も、さっきお話ししたような方が払う税金ですから、これはひとつ皆さんの医療と年金と老人福祉、皆さん方の福祉に全部使いますという意味で、大臣、これをひとつ社会福祉目的税というネーミングをしても、財政上、目的税は要するに使途を固定してうまくないという一般論ではなくて、国民として最も理解しやすいことではないか、私はこう思うのですね。  そこで、きょうは水田年金局長にも来ていただいているのでありますけれども、今度六十五歳の問題が出ているのでありますけれども、私はこの前、昨年の四月二十二日の大蔵委員会でも話をしたのでありますが、所得のうんと高い人たちも公的年金を受ける、所得の低い人も同じ公的年金を受ける。これから先になってみると、さっきの所得減税の姿なんかを見ていますと、要するに払っていただいたけれども、公的年金を受け取る者は、一定の所得以上の皆さんは先で少し遠慮してもらったらいいんじゃないだろうか。皆さんが非常に苦労してためた年金を、これだけ所得のある人にも下の人にも同じに払う。確かに年金ですから、制度としてはそうなるのでしょうけれども、六十五歳問題の前に、所得との関係での何らかの対応というようなものも少し考える余地がないのかな。同時に、所得のある人は私的年金をひとつやってください。たしか国民の個人貯蓄は今の時点なら恐らく六百兆を超えているのじゃないかと思うのですが、土田審議官、答えられますか、ちょっと私、連絡はしていなかったけれども。去年の六月の報告しかないのかもしれません。
  31. 土田正顕

    ○土田政府委員 突然のお尋ねでございますので、手元にあります資料だけで申し上げますが、六十二年の三月末、個人貯蓄残高四百四十兆円という数字を持っております。これは金融資産になっております分だけでございます。
  32. 堀昌雄

    堀委員 私が承知しておるところでは、たしか昨年の六月で五百五十兆を超えていると思います。ですから、現在でいきますと、それから半年以上たっていますから、もう六百兆に近いぐらいの個人貯蓄がある。ですから、国民は資産があるのですね。その資産を要するに私的年金に道を開いて、所得のある方は公的年金の方を遠慮していただくけれども、私的年金の入り口の税金を下げる。今諸外国は皆公的年金だけでは大変だというので、私的年金の方にシフトしようという全体の政策があるものですから、そういうふうにしたらどうかということが一点。  もう一つは、この年金資金運用の運用率が一%違いますと、年金の額、保険料その他の額とすると約二〇%ぐらいの節約になるというふうに開いているのですが、水田年金局長、そこらのところちょっとお答えいただけますか。
  33. 水田努

    ○水田政府委員 昨年OECDの社会保障担当大臣会議に私も出席させていただきましたが、OECD各国、先生御指摘のとおり、年金問題の運営に大変苦慮をいたしているわけでございます。世界各国皆さんの老後のニーズというのは非常に多様化している。各国大臣がこもごもに発言しておられたことは、我々が社会保障をつくった時代に比べて国民は非常に豊かになっている、したがって、公的年金といわゆる企業年金なり個人年金なりとのパートナーシップで多様化した老後生活を守っていくという方向を模索すべきである、こういうのが非常に主流として流れていたところでございます。  ついては我が国はどうか、こういうことでございますが、前回の六十年の大きな年金改革で給付水準の適正化をやったところでございまして、私どもとしましては六十年で設定されました給付水準というものはやはりべーシックなものとして、公的年金として維持をしていく努力をしなければならない。ただ、先生御指摘のとおり、後代の方がこの公的年金を支え切れなくなるということは大変な問題でございますので、十分な準備期間を置いて段階的に厚生年金の開始年齢を引き上げるということを提案させていただこう、このように考えているわけでございます。  一方におきまして、先生御指摘のとおり、私ども企業年金の普及というのは今までも進めてまいったつもりでございますが、今後一層それに努力をしてまいらなければならぬ、どのように思っている次第でございます。  次に、運用利回りの点でございますが、先生御案内のとおり、我が国の公的年金制度というのは、完全積立方式から欧米先進国と同様に賦課方式の方に移行してまいっているわけでございまして、二十一世紀に入りますと、積立金というのが最終的には支払いの一年程度の備金という性格のものに変わってまいります。したがいまして、積立金の運用利率だけに着目した年金財政の設定をしていくことは、公的年金制度を預かる者としては非常に危険だ。当面大変な問題としては、運用収入というものが年金財政の上に寄与しておりますので、それの運用利回りの確保については、大蔵省ともどもどもも大変努力をいたしているつもりでございます。
  34. 堀昌雄

    堀委員 大臣、もう時間がありませんのでずらずらとたくさん申しましたけれども、今の年金の問題も含めまして、この際、今のこの消費税というものをひとつ福祉目的税という格好にしておくことが今後の日本社会福祉の問題の対応に対してもいいし、また払う皆さんも、これが防衛費に行くとかODAに行くとか、あるいは公務員の月給になるのだというよりも、これは全部自分たちの必要な社会保障の費用に充てられるのだということが、今のようにこう格差があるわけですから、税率の方は国会の承認がなければ上げられないわけですから、そんなにどんどん社会保障の費用がふえるのにこっちの税率は上がっていくなんということはあり得ないわけでありますから、私は社会福祉目的税というネーミングをつけてほしいということがまず一つ。  それからもう一つは、当面はできるだけこういう年金類は自主運用の比重を高めて、さっき申し上げたように一%で二〇%違うというほどの大きな問題でありますし、ちょうどこれから、今時間がありませんからやりませんが、財投見直しその他の問題を私は四月二十二日の大蔵委員会問題提起しておるわけでありますけれども、いろいろなシステムをここへ来て考えなければいかぬ。  これはもう要望だけにしますが、主税局長にもお願いをしたいのは、実は今退職企業年金その他、特別法人税一%というのがついているのですね。これを私やりましたときに、当時の細見税制一課長と私と滝井さんで随分論争しまして、アメリカにはこんな税金ついていない、年金にそんなに税金取ることないじゃないかと言ったのですが、細見さん頑張って、どうしても私どもの言うアメリカ並みというのが通りませんでした。細見さん、このごろ大変デレギュレーションで国際派になって、私をえらい応援してくれているのですが、この前もパーティーで、あなた変わったな、かつてあの特別法人税をやったときはかたかったよと言ったら、そんな昔の話を言ってくれるな、こういう話でございましたけれども、やはり年金に対する課税問題というのは一遍再検討していただきたい。入り口でかけなくて、出口で取られるのならいいのですよ。入り口では皆さんが個人年金に入りやすいように制度を考えていただきたい。それが国の財政にも関係するし、また国民の将来の生活に非常に大きな関係がある、こう思うのであります。まとめてひとつ大臣の御答弁をいただきたいと思います。     〔中川(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
  35. 村山達雄

    村山国務大臣 非常にドラスチックな提案だろうと思います。この消費税については、非常に導入しやすいようにするために、今言ったように目的税という議論も我が自民党では行われました。随分やりましたけれども、最終的にはやはり所得税、それから法人税その他を減税して、それは租税体系の話でございますけれども、これはこれとして、将来高齢化社会を迎えるとかいろいろなことを考えますと、やはり消費一般にかけるものを入れた方がよろしい、これは別の議論でございますけれども。  そのときに、今言ったようなことからいたしまして、やはり目的税というのはどうしても資源配分からいっておかしくなるし、また財政硬直化になる最大の理由じゃないだろうか、こういう一般の財政論が勝ちを占めまして、それでこれはやはり一般歳入ということにしましょう、こういうことになったのでございます。先生のおっしゃるのは、そこはそういうことなんですが、先生は目的税でもってやったらどうか、そこのところはやや違うわけでございます。  それから、それを保険料の軽減に充てろとかなんとかいう問題になりますと、これはまた年金の基本にかかわる問題でございまして、言うまでもなく給付と保険料というのが見合って、それで年金会計は成り立っているわけでございます。言ってみますと、いわば相互扶助であるけれども、確かに強制はしておりますけれども、中身は受益者負担金的なところが非常にあるわけですね。だから、保険料と給付というものはあくまで見合わにやいかぬ、こういうことで今の年金会計はできているわけでございます。ですから、その基本にかかわる問題になりますので、非常にドラスチックな案でございますけれども政府としては、それじゃひとつ検討してみましょうかというところまではなかなかいかないのでございまして、とりあえずは消費税を含む税制改革を定着させていく、その実施状況を見なければなかなか答えは出ない問題だ、率直に申し上げましてこのように思っておるところでございます。
  36. 堀昌雄

    堀委員 時間がありませんから、どうせこれから大蔵委員会しっかりありますので。  きょうお聞きになった皆さんは、私がどういうことを言っているかというのはわかっていただいたと思うのですよ。所得のある者は大変フェーバーを受けて、所得のない者は一年こっきりで、一万円もらったらおまえたちしまいだよ、来年から一円もないよ、そんな冷酷な政治を自民党政府はやるのかということになるわけですね。そして、私が社会福祉目的税と言っているのは、特別会計をつくってリジッドにやれというのなら財政上の問題もありますけれども、そうではない。要するに、これは専ら社会保障に使うんだということでそうなるんですから、天井の方が高いのですから、ずっと何十年たってもそうなる。  それならば、そういうことにしておいたときに、次に税率を上げるときに、皆さん、今度税率を上げますが、これだけ社会保障の費用がふえたので、申しわけないけれども税率をこういうふうにしてくださいということが、目的税ということなら国民に訴えやすいけれども、あなたが今おっしゃるような財政派が勝つような硬直した態度では、次の税率を上げるときにはもう大混乱が起きて、あるいは自民党が野党とかわるような事態になるかもしれないということをちょっと予告を申し上げて、きょうはこれで質問を終わります。
  37. 中村正三郎

    中村委員長 森田景一君。
  38. 森田景一

    ○森田(景)委員 大臣、きょうは朝早くから夜遅くまで大変御苦労さまでございます。  実は、私の質問の内容は、先ほど政府委員の方が聞きに参りまして、自治省の関係とか通産省の関係とかあるからそちらの方を呼ばないと答弁ができませんという話がありました。それで、こんな夜遅い時間にそっちこっちに来ていただくのも大変お気の毒だと思いまして、何しろ予算編成をなさった大蔵大臣ですから、大蔵大臣に全部答えていただければわかる、こういうことでございますので、担当が、もし所管が違って言いにくいということならば、これは言いにくい、こういうふうにはっきりおっしゃっていただきたいと思います。それで、後々また関連して質問していきたい、こう思っております。  最初に、私はふるさと創生ということについてお尋ねしたいと思います。  先日の総理の演説の中で、ふるさと創生という問題について大変力を入れた演説がございました。恐らく、税制改革も終わってこれから竹下色を出そう、こういう方針かなと私は伺っておりました。このふるさと創生でございますけれども、これは自治省が担当していらっしゃるということでございまして、地方交付税の交付団体に一律一億円を支給して、使い方は自由である、ふるさと創生のためにいろいろと知恵を出して、地域活性化あるいは住んでいる方々がふるさとと呼ぶにふさわしい地域をつくろう、こういう趣旨のようでございます。  ただ、私は一律一億円というのはどうも納得いかないわけでございまして、しかもそれは一回限り。先ほど堀先生もお話ありまして、これは福祉の方でございますが、これも一回一万円限り、似たような発想でございます。行財政改革をさらに進めよう、むだな経費は削減しなければいけない、こういう方針でいらっしゃる大蔵大臣が、どうしてこの一律一億円という予算をおつけになったのか、その辺のところをまずお聞かせいただきたいと思います。
  39. 村山達雄

    村山国務大臣 これは、御案内のように交付税の使い方の話でございます。そしてその一億円と いうのも、補正予算では二千万、あと八千万は元年度予算、こういうことになっておるわけでございます。これは普通の交付税の内枠なんですね。そうすると、交付税というのは本来は一般財源なんですね。だから、法律的に言えば、これは何もひもがつかない、自治体が何に使おうと構わない性質のものでございましょう。補正予算と元年度を通じて、一市町村、県も同じでございますが、一億円でもってふるさと創生を考えてくれないか、こういうことを言ったということでございます。  その背景は、言うまでもない話でございますが今度の四全総の考え方。それから、現在確かに日本は非常に好況でございますが、しかし地域別に見ると非常に違っているということは御案内のとおりなんですね。一番いい指標は有効求人倍率、これが一・一になっておるというのですから、こんな好況のときはなかったでしょうね、有効求人倍率から見る限り。しかし、地域別に見ますと全く違っておる。確かに北海道もよくなり九州もよくなり四国もよくなっていますけれども、まだ格差はうんとあるわけです。そうすると、当然のことですけれども経済単位が平準化した方がいいと同じような意味において、地域的にも、もし同じGNPが求められるなら、それはやはり平準化して地域にまんべんなく行った方がいいに決まっている、こういったことは私は一般論としては言えるだろうと思うのです。そこで、とにかくこれをひとつ地元開発の起爆剤として考えてみないか、こういうことで一市町村全部一億ということにしたんだろうと思います。  問題は、だからどういうものを考えていくか、その考え方の中身ですね。ですから、とても一億なんというのは自分の村じゃ使ってみようがないということになれば、これは私の個人的な見解ですけれども、例えば広域的にやって、一億をずっと集めて、ふるさと創生の案もやはり広域的に考えるということもあり得るだろうし、いろいろな考えがあるんじゃないかと思います。だから、それがすぐむだになるかどうかという話は、これからどういう案をつくってくるか。アイデアとしてはそんなにおかしくないな、ただ、一律一億というから、さあどうかな、こういう感じがしないわけではありませんが、結局言わんとするところは、どういう案で考えてくるか、その内容にかかると思っています。  それから、不交付団体にはもちろん行かぬわけですが、これはもう不交付団体ですから状況がいいに決まっているわけですね。それでも、やはり自分たちの税収の中で自由に使える金が幾らでもあるわけですから、単独、本来の税収は何にもひもがついていないわけでございますから、やはり考えていい。ただ、どちらがそういう自助努力を要請されるかといえば、国民経済的に見れば交付団体の方であろうということだけは言えるんじゃないかと思います。
  40. 森田景一

    ○森田(景)委員 大臣が御説明になりましたように、地方交付税法の三条二項では、「国は、交付税の交付に当っては、」「条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」こういうことになっておりますから、使い方は自由。だから、総理の意図するところと違ったところになっても国としては文句の言いようがない、こういうことになると思うのですね。  実は、ある新聞が全国の交付団体にアンケート調査を出した結果が出ておりまして、現在その構想が固まっているところが大体六%ぐらいだそうですね。あとはこれからということのようです。それで、いろいろなことを考えているところがありますけれども、やはり近くに温泉のあるところは、温泉を掘削、ボーリングをやってみたい、これは幾つもあります。  あるいは、恐らく過疎の村なのだろうと思うのですけれども、「村民全体でジャンボ機をチャーターして内外の観光都市を巡る「空飛ぶ過疎村」構想」、こういうのもあるのだそうです。これは別に、お考えになったことを私が何だかんだ言うわけにもいきませんけれども、こういうことがふるさと創生になるんだろうか。これは恐らく一億円で村民全部が乗れるんだと思いますが、一回で終わりだと思うのですね。そうすると、さっきのように、また来年も一億円でジャンボ機をチャーターして乗る、そういうのが定着すれば、あそこの村へ行けば飛行機に乗って空を飛んで歩げる、こういうことになって非常に活性化するかもしれぬ。こういう構想が実際に実現するものかどうか、これからが問題ですけれども、やはりその回答のなかった大部分のところは、どうしようか実際頭を悩ませていらっしゃるようでありますが、これからいい知恵もわいてくるんだと思います。  一つ私も申し上げておきたいのは、せっかく日本国民の大多数の方々が、我が町、我が村を活性化させよう、ふるさとと呼ぶにふさわしい町をつくっていこう、村もつくっていこう、こういうことで知恵を出しますのに、この一回限りでは後が続かないという問題も当然起こってくると思うのです。そういう場合には引き続いて交付税の対象になさるおつもりはありますか。
  41. 村山達雄

    村山国務大臣 来年以降どうするかというのは、交付税の話でございますので大蔵大臣としては何とも申し上げられないのでございますが、やはり自分の郷土愛というのは大変なものでございましょうから、少し本格的に知恵を絞ってみないか、こういうことだろうと思うのです。県によりまして、我々の県でもそうでございますが、地域的には少し大ざっぱですけれども、この地方は大体こういうのでやった方がいいとか、県の方は非常に研究していますからね。この地方は大体こういうのでやった方がいいというような区割りをしてやっておる県はたくさんありますね。だから恐らく県も従来のアイデアをさらに詰めていくんじゃないか。  県も市も町村も知恵を出し合って、何ができるか。問題は一億にあるのでなくて、そういう知恵を出しなさい。もう少し、自分の愛する郷里を本当によくしたらどうか。今まで大体役所の方がいろいろ考えた、中央官庁が考えておりましたですからね。それをもう一遍今度は裏返しにして、当該市町村自体あるいは県自体の方からひとつ考えてみたらどうか、こういう一つの起爆剤といいますか、研究開発費みたいなものですけれども、こういう刺激を与えたのじゃないか、私はそういうふうに受け取っております。
  42. 森田景一

    ○森田(景)委員 新聞で拝見しますと、野党各党は、これは自民党の参議院選挙対策だ、ばらまきだ、こういう批判が掲載されておりました。  それはそれとしまして、せっかくこういう動きになったわけでありますから、これは使い道に制限はしないと言いながら、実際はどういう使い方をしたかということを報告をさせるような動きもあるようでございます。また、継続して進めるべきものについては、これは自治省の方からいろいろと報告があろうと思いますが、予算の方、削る方は大臣の方でしょうから、削らないで、要するに日本活力のために、これは先の話ですから、十分な対応をお願いしておきたいと思うわけでございます。  先ほど大臣所信表明の中で「新しい税制の円滑な実施」ということを申されました。  先日の代表質問におきまして我が党の矢野委員長は、消費税実施を一年間凍結せよ、こういう主張をしたわけでございます。その理由としては、国民合意の税制改革とは言えない、弱者への税負担増の緩和が十分でない、便乗値上げの防止対策はない。また、実務面における問題としましては、実施までの期間が余りにも短く、コンピュータープログラムの修正が間に合わない、あるいは企業は転嫁できるか悩んでいる、あるいは簡易課税の適用基準に混乱があるのではないか。また、転嫁カルテルの期限切れの対応が余りにも不明朗である。そして最後に、弾力的運営に係る諸措置の基準が不明確である、こういうことを申し上げまして、したがって、この消費税実施は一年間凍結すべきであろう、こういう主張をしたわけでございます。  竹下総理は、凍結の意思はない、こう言ってお られました。しかし、私は、やはりこれは一年間ぐらい凍結しておかないと大変な混乱になるのではないかということを、現地のいろいろな方々のお話を聞きまして感じているわけでございます。  総理は八つの懸念ということを申されまして、きょうも参議院の本会議の中でいろいろと御説明になっていらっしゃったようでございます。その六番まではさておきまして、七番目の、商品価格に転嫁できるかどうか、これが今、小売とか業者の方々、事業者の方々の大きな悩みになって、問題になっているわけでございます。転嫁できるかどうかというのは通産省の問題だというような話だったのですけれども、主税局の方では転嫁に対するいろいろな資料も私の方にちょうだいいたしておりますし、この転嫁できるかどうかということについて、今、各地域で事業者等に対する説明会をやっているようでございます。その説明会の内容等を踏まえまして、どういうお話をなさっているのか、ひとつお聞きしておきたいと思うのです。
  43. 尾崎護

    尾崎政府委員 新しい消費税におきまして転嫁の問題というのは非常に重要な問題であるわけでございますが、税制改革法の中でもこの消費税の性格を明らかにいたしまして、円滑かつ適正な転嫁ということにつきましての事業者の義務を明らかにしておりますと同時に、国が必要な施策を講ずべきことを明確に示しているわけでございます。したがいまして、それを受けましてただいま新税制実施円滑化推進本部というようなものが設置されまして、政府を挙げましてこの転嫁問題その他の諸問題に取り組んでいるところでございます。  お話にございましたように、消費税の性格や仕組み等につきまして説明会を開き、あるいは数々のメディアを通じましてその説明をするというようなところから始まりまして、制度といたしましては、一定の要件のもとで消費税の転嫁方法それから表示の方法の決定に係る共同行為を認めるというような暫定的な立法措置を講じたりしているわけでございます。そのようなことで各省庁こぞってこの適正な転嫁ということに取り組んでおりますし、また、その裏腹の問題でございますが、便乗値上げがあってはいけないということもございまして、その面の監視も兼ねまして種々の措置を講じているところでございます。  大蔵省といたしましては、所管の酒類業の団体やたばこ関係業者などに対しまして、消費税の円滑かつ適正な転嫁、それからその転嫁の受け入れ、自分が転嫁するだけではなくて仕入れ先の転嫁も受け入れるようにというような要請を行っております。また、銀行、保険、証券の各業界におきましては、協会長会社でございますとかあるいは協会から、納入業者等からの仕入れについては消費税額を上乗せした価格で購入する等、転嫁を適正に受け入れるという趣旨の方針等が表明されているところでございます。いろいろの手段を講じましてこの転嫁が適正に行われるように努力をしてまいりたいと考えております。
  44. 森田景一

    ○森田(景)委員 いろいろと転嫁の問題につきましては申し上げたいことがたくさんあるのですが、何かもう既に法律ができちゃって、できる前に論議すべきことを後でやるような感じがありますけれども、時間の関係で一つだけお聞きしておきたいと思います。  商品券とプリペイドカードの関係についてお尋ねしておきたいと思います。  今度の税制によりまして印紙税が廃止になりました。ところが、商品切手発行税というのが、これは地方税でそのままになっているわけですね。これは十八都市で行われているそうでございます。この商品券はどうして印紙税だけが廃止になって地方税だけ残したのか。これは大変な矛盾になってくると思うのです。この点についてはどう思いますか。
  45. 村山達雄

    村山国務大臣 今の地方税の方の商品切手発行税、これは法定外独立税でございますので、原則として、この税を法定外独立税でやりたいと自治団体が言ってきますと、これは特に支障がない限りは認めざるを得ない、そういう仕組みになっておるわけでございます。ですから、これはいわば自治団体の自治に関する方からきた問題でございまして、特に国民経済上困るとかあるいは二重課税になるとかなんとかいういろいろな問題がない限り、そこは与えなくちゃならぬわけです、申請してきますと。そういう仕組みでございますから、これは国の方で言うわけにはなかなかいきかねる、そういう問題でございます。
  46. 森田景一

    ○森田(景)委員 国の方でそう言うわけにはいかないと言ったって、ほかの地方税だって廃止したじゃないですか。だから、やはり商品券に地方税の商品切手発行税が二%ないし四%かけられる、それで品物を買えば三%の消費税が入ってくるわけですね。だから、こういう大きな税制改正のときにやはりすっきりさせなきやしようがないのじゃないですか。私はこれは問題だと思うのですね。  それで、もう一つ問題なのは、これからいわゆるプリペイドカードが非常に普及して、商品券と変わらない状況になるだろうと言われておるわけです。そのときどうするかということもあるわけです。プリペイドカードというのは、今は何の制約もないわけです。これに対して何らかの措置を講じておかなければならないと思うのですが、この辺の関連、どうでしょうか。
  47. 尾崎護

    尾崎政府委員 プリペイドカードも、その内容が物品の引き渡しに関するものでございますと物品切手と同じように取り扱われまして、現在印紙税の対象になり得るものでございます。ただ、現実には免税点や何かの関係でプリペイドカードから税収が上がっているということはございません。したがいまして、印紙税の方は今回廃止することとなっておりますのでその問題はないわけでございますが、御指摘の市町村の法定外普通税につきましては、そういう問題は確かに出てくる可能性がございます。  大臣から御答弁申し上げましたように、何分にも市町村の法定外普通税でございまして、廃止いたしました地方消費税のように地方税法で法定されているものではないわけでございまして、地方の自治との関係がございます。しかし、御指摘でございますので、自治省の方にもお話がございましたことを伝えたいと存じます。
  48. 森田景一

    ○森田(景)委員 八つの懸念の八番目、地方税等の減収により地方団体の財政運営に支障が生ずるのではないか、こういうことで地方団体では今大変な苦労をしているわけでございます。  去年の消費税関連六法案を閣議決定する前に大蔵省の試算が出ているわけでございますが、現行間接税の廃止が八税目あるわけですね。国税が砂糖消費税、物品税、トランプ類税、入場税、通行税、地方税は電気税、ガス税、木材引取税。減税になる部分が、地方税で娯楽施設利用税、料理飲食等消費税、たばこ消費税、不動産取得税、こうなりまして、これによって減収は、国税五税の廃止で二兆三千三百億円、地方税三税の廃止で四千六百三十七億円、地方税四税の軽減で六千三百五十七億円、合計して三兆四千二百九十四億円である。  これだけ減税になるわけですが、今度、消費譲与税というのが第十五条で導入されました。これは消費税収の五分の一を消費譲与税に充てることになっているわけでございます。消費税収の見積もりが、去年の六月の時点では五兆四千四百二十五億円となっておりまして、先ほどお話がありましたように、実際は平年度では五兆九千億ぐらいになるということでございますね。当初の試算よりも上回ってくるようになってきているわけでございます。消費譲与税が一兆八百八十五億円、これが去年の大蔵省の試算だったわけでございます。それから「消費税地方交付税の対象税目に加える。」というところが十六条にありまして、この交付税の割合が消費税収の二四%、この金額が一兆四百五十億円になるということです。  いろいろ細かい数字がありますが時間の関係で省略しますと、国の手取りとしては九千七百九十億円プラスになる、地方の立場でいけば八千五百 五十億円減になる、こういう試算が出ているわけでございます。  それで、具体的に大阪府の「消費税導入に伴う影響額」というのを拝見いたしますと——これは資料がないとおわかりになりにくいでしょうから大臣に差し上げたいと思いますが、委員長、よろしいでしょうか。
  49. 中村正三郎

    中村委員長 どうぞ。
  50. 森田景一

    ○森田(景)委員 消費税導入に伴う影響額は、一般会計で試算しますと、平成元年度では府税及び消費譲与税で約二百九十億円のマイナスになる。内訳としては、府税、要するに個人府民税、法人二税で二百五十億円のマイナス、消費税地方間接税との調整でマイナス四百二十億円で、府税としてはマイナス六百七十億円になる。そして、消費譲与税が三百八十億円入る計算になるわけです。したがって、府税及び消費譲与税をプラス・マイナスしますと、それでも二百九十億円のマイナス、こうなるわけです。これは平成元年度です。平年度で計算しますと四百十億円。  それから、使用料・手数料は約九億円。そのうち府営住宅使用料が約八・四億円。そのほか、歳出の中に三%含まれる分がありますが、これが約九十億円。  こういうことで、入る方はうんと減るし出る方は出ていく。大阪府というのは交付団体と不交付団体のちょうど間にいるような財政状況だと向いておりますけれども、これは一例でございますけれども、こういうことで地方の公共団体は消費税で大変苦労しているわけですね。実際にこの計算からいっても消費税地方はマイナスになる、こういうことなんですが、大臣としては地方自治団体にどういう対策を考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたい。
  51. 村山達雄

    村山国務大臣 今度は、言うまでもなく、一つ消費税を起こすかわりに、国で五つの間接税、地方で三つの間接税をなくすわけですね。そのほかに所得税、法人税、こういったものの大幅な減税があるわけです。それから、酒税も減るわけですね。  そこで、どういう計算をしているかといいますと、ごく大ざっぱに言いますと、つぶれた間接税、地方の分、その分は消費税の中の譲与税で賄いましょう。だから、ほぼ同じ金額が行っております。それから三税、つまり所得税、法人税、酒税、それが減税になりますね。実はそれの三二%をもらっておるわけです。ですから、その分は何で補てんするかといいますと、譲与税が五分の一行きますから、新しい国の取り分である五分の四の中でその分を賄いましょう。それで補てんしておる。それで計算してみますと、そのルールでいきますと約千四百億、譲与税と交付税、消費税、とんとんでいいというのなら別でございますが、率がそれぞれ五分の一とか、あるいは残りの交付税率を二四%と決めておりますから、結果として国から地方に対して千四百億ぐらい余計やる計算になるわけです。ここはそういうことなのです。  しかし、所得税、住民税、法人税、この減税分はどうしてくれるのだ、こういう話なんですね。これは大づかみの計算でいいますと、それは自然増収があるのだからその中で賄いなさい、こういう仕組みでできているわけです。ですから、全体でいいますと、いろいろやっているがネット減税二兆六千億、こう言っておるわけですね。その二兆六千億のうち、結果において国が幾ら受け持って、それから地方が幾ら受け持っておる、こういうことになるわけです。  ですから、その府県から言いますと、それはネット減税でございますから何ほどか減るでございましょう。それは自然増収で賄ってくださいよ。それで、譲与税を今度はどこに配るかという話はまた別なんです。今言ったのは、国対地方の全体のスキームはそうできております、譲与税をどういうふうにして配りますか、あるいは交付税はどういうふうにして配りますか、これはまさに地方の方の配分の関係になるわけです。ここは非常に苦労しておるところでございましょうけれども、そこにいろいろな経過措置を置きながら大体激変緩和の方向でやっておると我々は承知しておるわけでございます。
  52. 森田景一

    ○森田(景)委員 計算でいろいろお話がありましたけれども消費譲与税の方はどこへも、これは減収になったところへ配賦されるというのですね。けれども、交付税の方はそうはいかないのですね。不交付団体には行かないのでしょう。そういうところで困るところも出てくるわけですね。そういう点で、いずれにしても十分なきめ細かい対応をしてもらわなければ大変なことになると思いますので、その点も御要望しておきます。  時間がありませんので最後にお尋ねしますけれども、先ほど、税務署の方々が事業者に説明会をやっていらっしゃるというお話を申し上げました。なかなか担当者も骨を折っていらっしゃるようです。いろいろな質問がありまして、私の聞きました中では、聞けば聞くほどわからなくなるという話があるのですね。それから、ある会合では、説明を聞いた後で、私は食パンを売っているのですけれども、食パンを売るのはこれからどうしたらいいのでしょうかという質問があって、担当者が何にも答えられなかった。いろいろな意味があって答えられなかったのでしょうけれども、答えないということは、ほかの参加しておる方に対してもやはり不信感を植えつけることだと思うのですね。そういうことで、担当者は本当にわかりやすく説明できるように配慮してあげませんと、それだけでも大変な混乱になる。特に皆さん困っているのは、これから記帳がどうなるか、その辺を非常に心配しています。  それで、実は私も、説明の資料になっているのだと思うのですけれども、「消費税法取扱通達」というのをもらいまして読んでみたのです。難しいですね。これで担当者が説明したんじゃ、それは聞く方は余計わからなくなっちゃう。大臣は税務署長さんも経験していらっしゃるということですから、ちょっと私が読んでみます。こうなんです。  例えば「納税義務が免除される課税期間」というのがあります。  一−四−一 法第九条第一項本文《小規模事業者に係る納税義務の免除》の規定は、同項に規定する課税期間に係る基準期間における課税売上高(以下一−四−六までにおいて「基準期間における課税売上高」という。)が三千万円以下の場合に、当該課税期間について消費税の納税義務が免除されるのであるから、当該課税期間における課税売上高が三千万円以下の場合であっても、基準期間における課税売上高が三千万円を超えているときは、当該課税期間について同項本文の規定は適用されないのであるから留意する。 わかりますか。私はよくわかりません。  では大臣、ひとつ説明していただきまして、質問を終わります。
  53. 村山達雄

    村山国務大臣 それは取扱通達で実際は内部用なんですね。だから、それをいかに担当者が頭の中に入れて、そして具体的に相談があった人に砕いて言うか。基準期間というのは、個人であれば二年前ですよ、法人であれば二事業年度前ですよ、こう言って、わからぬときは一月、二月の売上高で代用することができるのですから、その金額がはっきりしないときは六倍すればいい。だから、まず、あなたは免税者ですかどうですかというところを確かめるのが最初でしょうね。そして免税者であったら、それでは余り心配ないですな、あとはもうあなたは、幾らで売りますか、こういう話だけになりますね。ですから、そこのところはその人に具体的にやればいい話です。  それから、あれは全部の業種に適用になっていますから、その人にとって大事な条文なんというのは幾らもありません。恐らく二条か三条ぐらいでしょう。ですから、その状況に応ずるわけですよ。そしてまた、帳簿は所得税、法人税の帳簿でいいのですから、帳簿はそれでよろしいですと、違うところはありますけれども、違うところはこういう点ですと、それだけ教えておけばいいのです。
  54. 森田景一

    ○森田(景)委員 私は読んでおりますからよくわかりますと言ったのですけれども、どうもさっぱ りわかりません。  それから、これは内部資料だとおっしゃいますけれども、実は一般の書店で税務関係の雑誌等の付録で出ているのです。それを買って読みましたら、今のところは、三千万を超えても課税の対象になるとかなんとか書いてありますから、これは間違いじゃないだろうかと思って、こっちから取り寄せていただいたわけです。そうしたら、同じなんですね。これではわからないということで、私の言いたいことは、やはり納税者の方々、事業者の方々はもう本当に心配てしようがないから、わかりやすく説明するようにしなければ混乱が起こる、これを申し上げているのです。  これで終わります。
  55. 中村正三郎

    中村委員長 安倍基雄君。
  56. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 大臣、一口じゅうどうも御苦労さまです。  大臣に質問するのは初めてでございます。私がちょうど税をやっていたころは、もう大臣はおられなかった時代でございます。  きょうは冒頭でございますからたくさん質問を用意したのですけれども、考えてみると、二十分くらいしかないものですから、私が出した質問のうちで、きょう当たらない部分もあるいはあるかと思いますけれども、それはまた後で出るということで、きょう出てこられて当たらなかった方にはあらかじめおわびしておきます。  大臣、今度ブッシュが出したいわばプログラムですか、大分思い切った赤字削減を打ち出してはおります。この点ではある程度評価されるかと思います。主として防衛費あたりを思い切って切る、しかし、見方によると、結構経済成長を高目に見ているものだから、その赤字幅がどっちかというと見かけよりも縮み過ぎているんじゃないかという説もございますけれども、このブッシュの今度の発表をどうお考えですか。
  57. 村山達雄

    村山国務大臣 ブッシュの予算教書を見てみますと、赤字削減はこの九〇年度について言いますと九百四十八億ドルでしたが、グラム・ラドマン法のあれで言うと大体千億ドル、アローアンスを入れて千百億ドルですから、だから相当の決意を示しているという感じがいたします。私も行ったときに、ちょうどだまたまでございましたが総理が行かれたときと一緒になったものですから、首脳会談に出させていただきました。赤字削減の決意は非常に強かったですね。  それからもう一つは、やはりG7でもブレイディさんは赤字削減をやるんだという非常に強い決意を言っておりました。それからなお、そのときに大使館筋も言っておりましたし、ブレイディさんも言っておりましたけれども、あそこは今議会が民主党の方が多いわけでございますが、どうも今までぎくしゃくしておった、だから赤字削減について議会筋と意思疎通をやろうということを盛んに言っておりました。  ですから、我々は、とにもかくにも赤字削減、各国が全部協調政策の関係で求めておったこと、それについてグラム・ラドマン法以上に切り込むという決意を示したということを評価しているわけでございます。
  58. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私も冒頭で申しましたように、相当思い切ってやっているな、ただちょっと歳入見積もりを、成長率をどう見るかによって違うわけですから、成長率の見込みがあるいは高過ぎるんじゃないかという議論もありますので。しかしおっしゃるように、増税なき財政再建というような同じようなったい文句を使ってございますけれども、一応評価される。  ただ、やはり心配なのは米国の国際収支が引き続きずっと赤字だということでございまして、御承知のように、レーガンのころは資産と負債とを比べますと資産超だったのが、今やもう累積債務ですね、非常な額になっている。念のため資料から出していただきましたけれども、一番最近時点におけるアメリカの累積債務はどのくらいになっているか。そして、債権から債務を引いているわけですけれども、債権の中にも相当不良債権もあるということで、不良債権を引けばもっともっと要するにネットポジションが悪いんじゃないかと言われておりますけれども、その辺はどういう数字になっておりましょうか。
  59. 土田正顕

    ○土田政府委員 計数の御説明でございますので私の方から申し上げますが、このアメリカの最新のデータというのは一九八七年末のポジションであろうと思っております。三千六百八十二億ドルの債務超過という形になっております。  ところで、これのネットについての評価そのものを直接にやっておる資料はほとんど見たことはございませんが、これは御参考までに申し上げますと、大統領経済報告の背景になりました経済諮問委員会の報告の中で、いろいろな理由を挙げまして、ネットで依然として五百億ドル程度の資産超過になっているのではないかという記述がございます。そのほかにこの内容について再評価をしたような数字は聞いておりません。
  60. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 資産をどう見るか、恐らく今までの資産というのが過小評価されているということを考えるとプラスという意見もあるかと思いますけれども、一応私が今言いましたのは、逆に債権の中にも中南米に対する債権とかいろいろ価値の随分少ないものもあるということでございまして、四千億ドル、一応今の三千六百億ドルと見て四千億ドルというネットになっておる。しかも年年国際収支が千五百億ドルくらいの赤が続いておる。最近若干もとへ戻っているというか赤字幅が減ってきているということが言われますけれども、例えば四千億ドルにあと一千、二千と加えていくと、じき五千億ドルになる。となりますと、利子だけでも、一割としたら年間五百億ドルくらい払っていかなければいかぬ。こう続いていきますと、非常に先行きも心配である。  ただ、まあ確かに双子の赤字の一つである財政赤字を減らしていくわけですから、その点はある程度評価すべきと思いますけれども、先行き、これはなかなか当局として為替相場は容易にいかないと思いますが、累積赤字が続いていったときに、いわば将来、ドルの切り下げというか、ドル相場の低下はないと思っていらっしゃいますか、その辺についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  61. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 委員みずから御指摘のように、私どもが相場の見通しを申し上げられる立場にないことは言うまでもないことでございます。相場自体はいろいろな要素によって支配されることは御承知のとおりでございまして、国際収支の状況あるいは経済状況、石油を初めとする一次産品の価格の状況、その他もろもろのものによって支配されるものでございますので、一義的にこうということは申し上げられないと思っております。
  62. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私もようやくブッシュが思い切ったことを言い始めたのである程度安心はしているのですけれども、しかし私は今までよく言っておりましたのは、いろいろ日本の余剰資金が結局アメリカの国債を買って、それでもって向こうの財政を、経済全体を支えているという要素が非常にある。アメリカ側はしきりに日本ただ乗り論とか、援助をふやせとか、いろいろ言ってきておりますけれども、実質的に日本がどのくらいアメリカの経済を支えているか、財政を支えているかということについての認識が非常に薄い。この点をこれからの外交交渉でもっともっと主張すべきではないか。もし日本のそういった機関投資家がアメリカの債券を買わないとなったら、これはもうアメリカは大変な赤字になる。  でありますから、恐らくこれからの年の半ばくらいからいよいよアメリカがいろいろの負担、いわば防衛の分担とか、あるいは援助の増額とか肩がわりとか、そういうことを非常に打ち出してくるだろう。その際に、日本がどのくらい彼らの経済を支え財政を支えているかという要素を十分念頭に置いて対処していかなきゃいかぬじゃないかと私は思います。私は後でODAに触れますけれども、どうも、あれもしろ、これもしろ、おまえはただ乗りしていると言われております日本が、実質的にはアメリカの大きな部分を支えていると いう要素をもっともっとカウントすべきじゃないかと思います。この点、大臣はどうお考えですか。
  63. 村山達雄

    村山国務大臣 資本は今もう完全に自由化しているわけでございます。したがって、市場がどこに何を買うか、これを規制するわけにはまいらぬわけでございます。  それで、今の開発援助の話でございますが、日本は当然日本の立場で、これだけ経済が大きくなったからどれだけ国際的に責任を持たなければならぬか、こういう意味でやらざるを得ないと思います。それで、アメリカがどうするかという問題は、これはアメリカの問題でございます。したがって、日本としては、まあアメリカはいろいろ言うこともあるかもしれません、それは例えばあるところを一緒にひとつ助けようじゃないかという話はあるかもしれませんが、あくまでもやはり日本日本の立場で考えていく、当然そうなってくるだろうと思っております。  それから、アメリカの経済が危ないなんということを今言っている人はだれもないのでございまして、言っておりますのは、向こうが貿易摩擦、不均衡がある、こういうことを言って政策協調をやっておるものでございますから、そういう意味で、その政策協調を有効にするためにはあなたの方は財政赤字を減らさなくちゃいかぬじゃないですか、こういうことをまず第一に言っているわけですね。あるいは家計の方も、貯蓄率は少なくて随分消費が多いのかもしれません。しかし、これはまたそんなところを文句言うわけにはいかぬのでございまして、これはそれぞれアメリカの国民が考えていること。言えることは、アメリカの財政については、これは政府でございますから、しかも政策協調をやっているわけでございますから、その意味で支障があるということを言っている。向こうもまた同じでございまして、内需拡大をやってくれよ。  こういうことを言っているのは、今日国際化してお互いに影響し合うわけでございますから、世界経済拡大基調というものを崩さぬようにしよう、それからまた貿易摩擦が中心になって自由貿易主義のようなものが圧殺されないようにお互いにやっていこう、そこの目的については全く合意しておるのでございます。
  64. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 この問題は、きょうは時間も少しですから、もう一度ゆっくりと詰めた議論をしたいと思います。  私は、最近は余り言っていないのですけれども、一時期ドルが下がったときに差損問題を大分取り上げました。現在、これから投資するものについてはそれほどかつてのような差損は出てこないだろうと期待しておりますけれども、これはアメリカの経済政策いかんによるわけです。簡単に言えば、要するに彼らは政策力が不十分のところに需要ばかりふやす。それが結局、普通の国だったらダウンするところが、ドルが基軸通貨であるために、いわばドルの下落で解消されてきた。だから、このドル高からドル安に変わったときにおける全体的な差損というものはどうしても厳然としてあったと私は思います。時間が短いですから、この話はまた改めてゆっくりお話ししようと思います。  次に、ODAの問題です。  私は、去年エコノミストに「あえてODA増額に反対する」という論文を書きました、あるいは読んでいらっしゃるかどうか。それからしきりとODA問題が、私はその以前、春ごろからODAのことを言っておったのです。率直に言うと二、三年前から言っておったのですが、今や本当に大きな伸び率になってきている。私がそこで指摘したのは、ドルが半分になれば同じ円でも実質的に倍になる。一つの病院を十億円でつくれたら、今度はドルで調達すれば二つつくれる、そういったことで、この二、三年のうちに本当に倍増している。それをどんどんとふやすから、まさに不消化を生じている。  私は、恐らくこの国会でODA問題が大きく取り上げられると思います。特に私は去年の春、もし消費税を議論するならODAのことについて姿勢を正せ、外務大臣や総理が外国に行った途端に、さっきのばらまきじゃないですけれども、すぐ胸をたたいて出してくる、こんなことじゃ消費税論議はできないじゃないかということを言ったことがございます。外務委員会でもあり、大蔵委員会でもございます。それにもかかわらず消費税導入されて、今や世界一の援助国になっている。  私がここで提起した議論は、ODAは一つ対外的な日本の責務かもしれぬ、しかし、それとともに防衛分担に対する要求も出てくるし、あるいは市場開放に伴ういろいろの措置も要る。今度も農産物の自由化で一千億円のあれをつけておりますね。そういったものを全部トータルすれば、それは相当の伸びだ。だから、ここでODAだけやっておいて、あと市場開放に要するお金はまた別だ、軍備も別だというやり方はおかしいじゃないか、国際的責務を果たすための経費というものをトータルの中で考えねばならぬのじゃないかと、そこで私は言っておるわけでございます。  そこで、今度の農産物関係とか、いわば市場開放に伴う経費というものがございますね、こういったものがまた次々と出てくるのであるのかどうか。それが出てくるとするならば、ODAは別枠ですよ、ほかのものはまた別ですよということで、ばらばらにどんどん足していっていいものかどうかと私は考えるのです。この点ひとつ、あと五分しかないので残念ですけれども、国際的責務を果たすための経費というものは、要するに従来から比べてまとめてどのくらい伸びつつあるのか、この前の思いやり予算なんかもその一つでございますけれども、そういったものを全部足していったときに、ODAだけはどんどん聖域みたいに伸ばしておいて、ほかのものはまた別々に考えなければいかぬというのはちょっとおかしいじゃないかと私は思います。  この点について、大臣の御感想というか考え方をお聞きしたいと思います。
  65. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 大臣お答え申し上げます前に数字を簡単に申し述べておきますと、最近五年間でとりますと、ODAは五十九年度の約五千三百億から平成元年度で七千五百億台に四三%伸びております。それから、防衛関係費が二兆九千三百億から平成元年度三兆九千二百億程度ということで、三三%台伸びております。そういうことで、これを合わせて考えてみますと、ODAと防衛関係費では五年間で三五%、水準の増加があるということでございます。  このほか、市場開放に関する補助金といたしましては、特に最近問題となりました農産物の輸入の自由化関連ということで、六十三年度補正予算の限りという形でございますが、補正予算で一千四十六億円が計上されております。この関連で、元年度予算でいわばその同じ関連のものといたしましては百四十八億円という数字が計上されております。
  66. 村山達雄

    村山国務大臣 これは一つの考え方の問題じゃないかと思いますけれども、極端に言いますと、あっという間に日本がトップランナーになってしまった。そうなると、今、世界はもう経済も文化も非常に国際化していっております。この趨勢というのはますますそうなるだろうと思います。なぜなら、世界経済にとってその方が合理的だからだと思います。その場合に、日本の置かれた立場からいいまして、物、サービス、技術、資本それから人の交流、この自由化で最も利益を受けるのは正直に言って日本だろうと思います。そうなると、日本国際化の中でその役割を分担してくれと言われるということはおのずから当然であり、また日本自身が伸びていくためにも当然のことであろう、やはり国際化の中で伸びざるを得ない、こういうことだろうと思うのです。  それで、今の防衛の問題は、まあ全然違うのでございますけれども日本はやはり安保条約を基軸にして自分の安全を保っておる、これを外交方針の基本に据えているわけでございます。そういう意味で、中期防衛計画を確実にやろうというこ とでやっております。しかも、あれは上限でございましょう。ですから、その範囲において効率的にやっていくということだろうと私は思っております。
  67. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 本当にたくさん用意したものがほとんど消化できないのですけれども、今のあっという間に伸びたということは、基本的にはドルが一遍に下がってきた、それを円ベースでどんどんやっていけばあっという間に伸びてしまうわけですよ。かつて予算委員会で公明党の大久保書記長でしたか矢野委員長でしたか、防衛費における円高メリットという話をされました。援助などというのは文字どおり全額が円高のメリットを受けているわけです。これは必要以上にというか、同じ額でも丸々倍増してしまうわけです。それをまたほかのものと比べてどんどん伸ばしていくから、文字どおりあっという間になるわけですよ。この辺についての考え方がおかしいのじゃないかな。それほどの急ペース、急ピッチで伸ばしていくから消化不良も起こってくる。恐らく今度の予算委員会でも永末さんが大分ODAを取り上げると思いますけれども、私が「あえてODA増額に反対する」とエコノミストに書いたのを、大臣読まれましたか。  そういうことで、きょうはもうやめておきましょう。残念ながら、二時間ぐらいの質問時間じゃないとこれは論じられないですけれども、ひとつよく考えていただきたいと思います。聞かなかった人には申しわけない。また今度聞きますから。
  68. 中村正三郎

    中村委員長 正森成二君。
  69. 正森成二

    ○正森委員 大臣、お疲れさんでございます。遅くなりましたので、所信表明について三点ぐらい、できるだけ簡単に聞かせていただきます。  まず第一点は、今年度予算編成では赤字公債の削減が大分できまして、残るところは一兆三千三百十億円ぐらいということになっておりまして、昭和で言いますと六十五年度赤字国債脱却は射程距離に入った、こう言われております。しかし国債の残高は百六十二兆ですから、新しい財政再建目標というものも考えなきゃならないと言われておりますが、大臣はどう考えておられますか。ごく簡単で結構でございます。
  70. 村山達雄

    村山国務大臣 単年度予算でございますので、一つは六十五年度の脱却を確実なものにしていきたい、とりあえずはこれに最重点を置いていきたいと思います。  仮に脱却した場合に、それなら日本財政は健全かというと、決してそうではないことは今委員のおっしゃったとおりだろうと思います。そのときにそれではどういう手だて、目標でいくか、これについては恐らくいろいろな考え方が出てくるであろう、今度の国会あたりではさんざん言われるのだろうと思うのです。そういう論議を踏まえて、そしてまた、いずれこれは財政審にかけてまいりたいと思っております。そういう中で具体的なものをつくってまいりたいと思います。  ただ、今、残高だけ、それから利払いだけでございますが、もう御案内のように、今ずっと定率繰り入れを停止しているわけです。これはNTTの株でもってやっているわけでございまして、間もなくなくなるわけでございます。そういう問題を考えたり、あるいは繰り入れを繰り延べておるものがたくさんあります。こういったものを考えますと、当面はいずれにせよ厳しい財政運営をせざるを得ないのじゃないかな、こういう感じがいたしております。
  71. 正森成二

    ○正森委員 今お答えになりましたけれども、いろいろ言われている中では、お話がございました隠れ国債といいますか、そういうものをなくしていくとか国債費の比率を下げていくとか、あるいはGNPに比べての国債残高の割合を減らすとかいろいろ指標が言われておりますが、なお、きょうは第一回目の質問でございますので、財確法等の質問で再度お話をさせていただきたいと思います。  それから、今度は消費税導入について伺いますが、税制改革法の十七条の二で、「国税当局においては、昭和六十四年九月三十日までは、消費税になじみの薄い我が国の現状を踏まえ、その執行に当たり、広報、相談及び指導を中心として弾力的運営を行うものとする。」というように定められております。それに基づいて国税庁長官もいろいろ訓示でそれと同様のことを言われまして、「悪質な不正事案を除き、制度導入当初においては、納税者の不慣れによる経理処理や計算の誤り等が生じることを十分考慮し、その誤りについては、丁寧に説明・助言し訂正を求めることとする。」これらについては過少申告加算税は賦課しないというようなことが決まっておりますね。  そこで伺いたいのですが、十月一日からはどうされるのですか。九月三十日までは懇切丁寧だが、十月一日からは強権的に大いにやる、こういうことですか。
  72. 伊藤博行

    伊藤(博)政府委員 消費税の執行に当たりましては、今、先生お話ございましたように、税制改革法第十七条第二項に示されました趣旨にのっとりまして、この種の税になじみの薄い我が国の現状を踏まえまして、平成元年九月三十日までは積極的な広報、親切な相談、適切な指導ということを中心といたしました施策推進することによりまして、消費税の性格、仕組みあるいは申告納付の手続等につきまして納税者の御理解を深め、制度の円滑な定着に努めてまいりたいというふうに考えております。  御質問の、では十月一日以降はどうするのかという点でございますが、これは、消費税制度の定着度合いを的確に見きわめながら判断してまいりたいということで考えておるところでございます。
  73. 正森成二

    ○正森委員 今の国税庁次長の答弁にありましたように、十月一日からは的確に判断して運営してまいりたいというようなことで、どうやら懇切丁寧とは変わるみたいな感じですね。  ところが、売上税のときはどうだったかというので、「国税広報」というのがあるのですが、それを引っ張り出して調べてみましたら、売上税が廃案になる直前の六十一年十二月二十三日に全国国税局長会議を開催して、当時の長官である梅澤さんは次のようなあいさつをし、そして「税制の抜本改正に伴う執行体制のあり方について」というのを出しているのです。そこではどケ言っているかというと、「売上税の執行に当たっては、制度意義・仕組み、手続等について納税者理解を深め、無用の混乱や不安を生じさせないよう配意することとし、」いいですか、「新制度導入後両三年の間、指導、広報を中心とした運営を行い、制度の円滑な定着に努める。また、指導等に際しては、納税者の主張に十分耳を傾け、親切な態度で接する。なお、これに関連して、苦情処理機能の強化を図る。」こうなっているのですね。つまり、売上税のときは両三年間親切にやる、苦情処理機関も設ける、こう言っているのですね。  そうすると、去年野党などのいろいろのお力によりまして、私どもは参加しておりませんでしたが、弾力的運営で非常に譲歩をかち取ったというふうに見えているけれども、あれだけ中曽根内閣が強権的にやろうとした売上税のときでも両三年は親切にやると言っているのに、実質上は半年ということになれば六分の一に値切られたということになるのです。だから、おかしいじゃないですか、国税庁次長。売上税のときには三年間こうやると言っているのに今度は六カ月で、十月一日以降はその間の諸般の事情を考えてやるなんて、いかにも、待つとれ、十月一日になったらやったるぞというような、そんなことではしようがないのじゃないですか。
  74. 伊藤博行

    伊藤(博)政府委員 売上税のときに先生お話しのようなことが考えられておったことはおっしゃるとおりでございます。今回同じ言い方をなぜしなかったかという点の御質問かと思います。  これは、御案内のように、法律の十七条という問題がありまして、それは、私が先ほど申し上げました執行、いわば第一線における執行のことだけではなくて、そのほかのいろいろな法律または政令等々も含むような規定がある。したがいまして、便宜九月三十日までのことをその流れにおい て申し上げたということで、十月一日以降直ちに反対解釈していくということを申し上げているつもりではございません。当然のことながら粘り強くこの税の定着に努めてまいりたいというふうに思っております。もちろん親切にやってまいります。
  75. 正森成二

    ○正森委員 売上税のときでさえ両三年と言っていたのですから、いやしくも十月一日から態度が一変するということのないように、親切丁寧に指導を中心としてやっていただきたいということを申し上げておきます。  それから三番目に、所信表明では証券行政についてもお触れになりました。そこで、その問題について伺いたいと思いますが、法務省見えておられますか。——それでは伺いますが、十三日に江副浩正ほか三名が逮捕されました。それで、おおよそのことは新聞に出ておりますけれども、被疑事実の構成要件的要旨ですね、経歴のところなんかはいいですから、それを簡単に説明してください。
  76. 鶴田六郎

    ○鶴田説明員 それでは御説明申し上げます。  ただいま委員が御指摘になりました一昨日の逮捕に係る事実でございますが、NTTの長谷川元データ通信事業本部長の逮捕事実の要旨は、昭和六十一年九月三十日ごろ、リクルート本社において同会社の江副社長らから、リクルートが営むRCS事業に使用するクレイ製スーパーコンピューターの調達及び技術支援につき好意ある取り計らいを受けたことの謝礼等の趣旨のもとに、店頭登録後確実に値上がりすることが見込まれ、一般人が入手することが極めて困難であるリクルートコスモス株一万株を特に一株三千円で取得する利益の供与を受け、もってわいろを収受したというものであります。  それから、リクルートの江副元社長の逮捕事実でございますが、長谷川元事業本部長の関係のものと式場元事業部長の関係のものとがありますが、長谷川元事業本部長の関係の逮捕事実の要旨について申し上げますと、ほか数名の者と共謀いたしまして、昭和六十一年九月三十日ごろ、株式会社リクルート本社等において長谷川寿彦に対し、前同様の趣旨のもとに前同様の利益を供与し、もってわいろを供与したというものでございます。
  77. 正森成二

    ○正森委員 説明がありましたように、その核心は、六十一年十月三十日に日本証券業協会に店頭登録が予定されており、登録後確実に値上がりすることが見込まれ、被疑者らと特別の関係にある者以外の一般人が入手することが極めて困難である株式会社リクルートコスモスの株式一万株を特に一株三千円で取得する利益を供与したとか、されたとかいうもので、ここに被疑事実の要旨を持っておりますが、そういう内容のものであります。  そこで、またさらに二人が本日ですか、六十一年八月末から同年九月三十日にかけ、リクルート本社など二十七カ所で七十四人に対しリクルートコスモス社の非公開株計六十八万七千株を、一株三千円、計二十億六千百万円で売却したということで、証券法四条違反ということが報道されております。  恐らくそういう内容であろうということで、時間がございませんので参事官に改めて伺いませんが、そういうことだとしますと、大臣及び証券局長、証券局長は去年の十二月参議院の答弁で、この再還流の株の再譲渡というのは随分いかがわしい行為であるという趣旨の答弁をされたことがあります。しかし、それまで衆議院段階では終始それを否定するような答弁をしておられたんですね。ところが、その後新聞等、あるいは検察でも調べが進んでいると思いますが、実際上は、売買のあっせん、仲介をしただけだというのが、そうではない。江副浩正氏がほか数名と共謀して直接還流させ、そして譲渡を行ったんだ。しかもその資金はファーストファイナンスの融資によるもので、そして売買のときの口座の開設も振り込みも全部リクルート関係社員がやっておる、事実上現金贈与と同じであるということで検察が今度踏み切っているんですね。  そうだとしますと、証券行政をやる大蔵省としては、こういう行き過ぎた、あるいは、ずばり言えば、証券法四条による届け出もしないで、そして実質上は証券法五十八条による不正の行為というか、技巧といいますか、計画をもって株の売買を行うという実質犯にも該当するおそれがあるというような場合には、当然大蔵省が検察庁に対して刑訴二百三十九条に基づいて告発すべきじゃなかったんですか。刑訴二百三十九条というのは、二項ですけれども、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」という義務があるのですよ。当たり前なら証券局長あるいは大蔵省が告発をして、そして協力して検察が逮捕するということだのに、検察がもう既に一歩先に逮捕しておっても何ら行動を起こさない。これは国民から非常に公正さを疑われても仕方がないんじゃないですか。  そして、現金贈与と同じ、大蔵省に対して届け出をしない、そういう株の譲渡を事もあろうにまさに大蔵大臣宮澤喜一君が受けていたんでしょうが。そして、そのことがあるからもし証券局が十分な調査もできず告発もできなかったとすれば、それによって江副一派は株譲渡の目的を、宮澤大蔵大臣に対して行った目的を達しておると言わなければならないじゃないですか。それは、伝統があり権威がある大蔵省として甚だ遺憾なことだと思いませんか。  私は今度この二人の逮捕という事実を見て、しかもそのうちの一人は、宮澤大蔵大臣に一万株の株の譲渡の話をするときに接触した人物の可能性さえあるんですね。そう出ているんです。「李下に冠を正さず」と言いますけれども、証券局としてはもっと検察と協力して、正すべきは正すという態度をとらなければいけないんじゃないですか。
  78. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 ただいまの、現金贈与になるかどうか、これは刑法上の判断でございますので私どもがどうこう申し上げる立場にはございません。  ただ、証券取引上の問題といたしまして、ただいま御指摘がありました六十一年九月の七十数名に対しますところの販売行為といいますか売り出し行為といいますか、これがいわゆる証取法四条に言うところの売り出し行為に該当するかどうかといった問題については、これは先ほど委員からもお話がございましたように、私どもといたしましても、かなりいかがわしい行為であるというふうに思っておりましたし、事実問題として、そういったことについての事実関係あるいは法律適用上の問題についてもいろいろ調査してみたいということは申し上げたところでございます。  そういった意味で、私どもは、ほかの役職員に対する還流の株の問題と関連いたしましていろいろ調査をしておりましたけれども、ただ、この問題は、先ほど委員が御指摘のように、江副さんが国会証言で、それぞれ五社からあっせんしただけであって、その一つ一つについて直接関与したわけではないというような話がある。しかしながら、事実問題としてどの程度関与しているか、実際上江副さんのところに還流していったのかどうか、かなり事実認定にかかわる問題でございまして、調査をしておりましても、これは関係資料等が検察庁に押収されている等々の事情がありまして、なかなか進まなかったということも事実でございます。  他方、この問題については検察当局も相当関心を持っておられるということは、私どもも何となく知り得るような状況にございましたので、こういった事実認定の問題については、やはり専門家である検察庁の方の御判断の上に立って私どもも判断するのが適当であろうかと思って、今まで私どもとしては結論をまだ得ないままに推移してきたという状況でございます。  こういった状況のもとに、実は本日、検察庁が証取法四条違反の容疑といったことで強制捜査に着手されたということでございますので、私ども といたしましても、検察庁と協力しながらこの事案の解明に努めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  なお、この件に関しましては、告発云々というお話がございましたが、証取法四条違反というのは特段、告発が要件になっているわけではございません。これはやはり当然のことながら、証取法といえども犯罪に関しましての捜査あるいは立件、こういったことは、今の行政上の問題といたしましては、検察庁においておやりになるのであれば、きちんとした事実認定をしていただく上で、むしろ私どもよりも正しい判断ができ得る立場におありになるということもまた事実であろうということを付言させていただきたいと思います。
  79. 正森成二

    ○正森委員 法律の解釈が全く間違っているのですよ。刑事訴訟法の二百三十九条というのは、そんな、大蔵当局に告発の義務を課しているか課していないかにかかわりなく、およそ公務員は犯罪があるということを職務に当たって知れば告発しなければならぬ、こう書いてあるので、何も証券法の四条というのは大蔵省が告発しなければ検察が捜査できないとか、そんな意味で言っているんじゃないので、そういうことを言ったらいけませんよ。  それから、もう時間が来ましたのでやめますけれども、あなた、こういう事実関係に関することは検察に任せておくのがいいんだという意味のことを言いましたけれども、それなら去年から数カ月にわたってなぜ事実関係に関することについてあなたはずっと答弁してきたのですか。初めから、私どもは事実認定の能力がないから検察が動き出すまで待つよりしようがないと言えばいいじゃないですか。ところが我々に対して、昭和五十九年十二月の株の譲渡についても、これは決算対策のためであるとか、それから証券業協会の内規違反の事実はございませんとか、事実に関することをいっぱい言ってきたじゃないですか。そういうことを言っておきながら、いざ証券取引法四条で逮捕になったということになれば、事実に関することだから我々よりも専門家の検察に任せた方がいいと思うと言って、あたかも自分は事実認定の能力がないというように言うのは首尾一貫しないじゃないですか。それなら初めから去年そういうように言うべきだ。  ただ、最後にあなたが、大蔵省は検察と協力してこれからも頑張りたいと言っておられますから、私どもはこれから以後のことを注目することにして、きょうはこれで質問をやめさせていただきたいと思います。  終わります。
  80. 中村正三郎

    中村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時五十三分散会