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1989-06-14 第114回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    六月七日  野呂田芳成君委員長辞任につき、その補欠とし  て東家嘉幸君が議院において、委員長選任さ  れた。 ————————————————————— 平成元年六月十四日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 東家 嘉幸君    理事 金子原二郎君 理事 北川 正恭君    理事 北村 直人君 理事 古賀  誠君    理事 野中 広務君 理事 中村  茂君    理事 古川 雅司君 理事 西村 章三君       榎本 和平君    大原 一三君       中山 成彬君    野呂田芳成君       松田 岩夫君    松田 九郎君       松永  光君    三原 朝彦君       小野 信一君    木間  章君       小林 恒人君    三野 優美君       大野  潔君    伏木 和雄君       田中 慶秋君    滝沢 幸助君       辻  第一君    中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 野田  毅君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 野中 英二君  出席政府委員         国土政務次官  自見庄三郎君         国土庁長官官房         長       公文  宏君         国土庁計画・調         整局長     長沢 哲夫君         国土庁土地局長 片桐 久雄君         国土庁大都市圏         整備局長    北村廣太郎君         国土庁地方振興         局長      森  繁一君         運輸省地域交通         局長      阿部 雅昭君         建設政務次官  木村 守男君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設大臣官房総         務審議官    木内 啓介君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 真嶋 一男君         建設省河川局長 萩原 兼脩君         建設省道路局長 三谷  浩君         建設省住宅局長 伊藤 茂史君  委員外出席者         国土庁長官官房         参事官     島田 豊彦君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部施設課長   澤田  諄君         建設大臣官房技         術審議官    森本 裕士君         建設大臣官房官         庁営繕部長   清水令一郎君         参  考  人         (本州四国連絡 岡田 哲夫君         橋公団理事)         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ————————————— 委員の異動 六月三日  辞任         補欠選任   大塚 雄司君     桜井  新君   木村 守男君     野中 広務君   鈴木 宗男君     松田 九郎君   近岡理一郎君     榎本 和平君   中村喜四郎君     愛野興一郎君 同月六日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     松田 岩夫君 同月十四日 辞任          補欠選任   武村 正義君     三原 朝彦君   小沢 貞孝君     滝沢 幸助君 同日  辞任         補欠選任   三原 朝彦君     武村 正義君   滝沢 幸助君     田中 慶秋君 同日  辞任         補欠選任   田中 慶秋君     小沢 貞孝君 同日  理事木村守男君及び近岡理一郎君同月三日委員  辞任につき、その補欠として野中広務君及び北  村直人君が理事に当選した。 同日  理事金子原二郎君同日理事辞任につき、その補  欠として古賀誠君が理事に当選した。     ————————————— 六月十四日  土地基本法案(第百十二回国会衆法第一五号)  の提出者伊藤茂君外二名」は「伊藤茂君外三  名」に訂正された。     ————————————— 六月十三日  北関東自動車道建設促進に関する陳情書(第  一七五号)  主要幹線道路建設促進に関する陳情書(第一  七六号)  四国縦貫横断自動車道等整備促進に関する  陳情書(第一七七号)  南九州西回り自動車道早期実現に関する陳情  書(第一七八号)  本州四国連絡橋建設促進に関する陳情書(第  一七九号)  島原・天草・長島架橋建設促進に関する陳情  書(第一八〇号)  下水道整備事業促進に関する陳情書(第一八  一号)  過疎地域振興のための法的措置に関する陳情書  外一件(第一八二号)  留学生に対する公営住宅への入居制限緩和に関  する陳情書(第一八三号) は本委員会に参考送付された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  参考人出頭要求に関する件  大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一  体的推進に関する特別措置法案内閣提出第六  四号)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 東家嘉幸

    東家委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  このたび、私が建設委員長就任いたしました。まことに光栄に存じます。  御承知のとおり、本委員会使命は、住宅道路河川等社会資本の充実など広範、多岐にわたり、国民生活に密着したものでございます。  持続的経済成長、豊かさを実感できる国民生活実現が重要な課題となっております今日、本委員会に寄せる国民の期待と関心は一層高まっております。  このような時期に本委員会委員長就任し、その職責の重大さを痛感いたしております。  つきましては、委員各位の御協力を得まして、円満な委員会運営に努めてまいりたいと存じますので、何分ともよろしくお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  3. 東家嘉幸

    東家委員長 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事金子原二郎君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 東家嘉幸

    東家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任及び委員辞任に伴い、現在理事が三名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 東家嘉幸

    東家委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事に       北村 直人君    古賀  誠君    及び 野中 広務君を指名いたします。      ————◇—————
  6. 東家嘉幸

    東家委員長 建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、野田建設大臣野中国土庁長官木村建設政務次官及び自見国土政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。野田建設大臣
  7. 野田毅

    野田国務大臣 このたび建設大臣を仰せつかりました野田毅でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  御承知のとおり、建設行政は、住宅宅地の供給、道路河川下水道、公園の整備等いずれも国民生活に密着した極めて重要なものであります。したがって、国民の要望に的確にこたえつつ、二十一世紀に向けて活力ある経済社会と安全で快適な国民生活実現するため、その基盤となる住宅社会資本整備を積極的に推進していくことが必要であると考えております。  また、内需主導型経済成長の定着、地域活性化推進を図る上でも、公共事業を通じて建設行政の果たす役割には極めて大きなものがあります。  このため、今後、継続的な公共事業積極的拡大を図るとともに、総合的、効率的な建設行政推進を図るため最大限の努力を払ってまいる所存であります。  委員長初め委員各位の格別の御指導と御協力を切にお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手
  8. 東家嘉幸

  9. 野中英二

    野中国務大臣 このたび、国土庁長官を拝命いたしました野中英二でございます。  国土庁使命国土の均衡ある発展を図り、豊かで住みよい国づくり地域づくり推進していくことであると考えております。  このためには、第四次全国総合開発計画に基づき、地域みずからの創意と工夫を基本として、多極分散型国土形成促進法に基づく振興拠点地域開発整備等の諸施策を総合的に推進することが重要であります。  内政上の重要課題である土地問題に対処していくため、総合土地対策要綱に基づき、引き続き政府一体となって各般の施策推進してまいる所存でありますが、土地についての共通の国民意識の確立と土地対策の総合的な実施を図るため、本国会土地基本法案を提出しております。同法案につきましては、一日も早い成立をお願いしているところであります。  国土の均衡のとれた発展のためには地方振興が必要であり、地方開発促進計画の策定とこれに基づく振興施策の遂行を図るとともに、リゾート地域整備過疎地域振興対策等の諸施策推進し、引き続き個性豊かな魅力ある地域づくりを積極的に支援してまいりたいと考えております。  さらに、大都市地域における良好、安全な都市環境整備大都市圏の秩序ある発展を図るとともに、国の行政機関等の移転につきましては、これまでの方針どおり着実に推進してまいります。  また、安全で潤いのある国土を形成するため、長期的な視点に立って総合的な水資源対策推進するとともに、災害未然防止、迅速的確な応急対策復旧対策推進など、災害対策の総合的かつ積極的な推進に努めてまいる所存であります。  委員長を初め委員各位の御指導、御協力をお願い申し上げまして、私のごあいさつといたします。(拍手
  10. 東家嘉幸

  11. 木村守男

    木村(守)政府委員 このたび、建設政務次官を拝命いたしました木村守男でございます。よろしくお願い申し上げます。  もとより、微力でございますが、野田大臣のもとで誠心誠意建設行政推進のために努力を重ねていく所存でございますので、委員長初め委員各位皆様方の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げ、ごあいさつといたします。  ありがとうございました。(拍手
  12. 東家嘉幸

  13. 自見庄三郎

    ○自見政府委員 このたび、国土政務次官を拝命いたしました自見庄三郎でございます。まこと繊力でございます貧ども野中国土庁長官をお助けしながら、国土行政推進のため、全力で取り組んでまいる決意でございます。  委員長初め委員各位の御指導、御協力を心よりお願い申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。  どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  14. 東家嘉幸

    東家委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として本州四国連絡橋公団理事岡田哲夫君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 東家嘉幸

    東家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  16. 東家嘉幸

    東家委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三野優美君。
  17. 三野優美

    三野委員 新しく委員長就任されて御苦労さまです。よろしくお願いいたします。  両大臣並びに政務次官、御就任おめでとうございます。  若干質問させていただきたいと思いますが、今内閣は、御承知のとおり今日の政治不信、これをどう克服していくのか、いわば政治改革がその中心的課題だろうと思うのです。その宇野内閣のもとで新大臣がそれぞれ就任されたわけですが、まず建設大臣にお尋ねしたいと思うのですけれども、この政治不信を乗り越えるための施策は何なのか、そして政治改革をやるために建設大臣として何をしようとしておるのか、この点をまずお尋ねしたいと思います。
  18. 野田毅

    野田国務大臣 昨年来発生いたしましたリクルート事件、これによりまして、国民の中に非常に大きな政治に対する不信感が蔓延をしたということはまことに残念なことであります。私ども政治家一員として、これを単に他人ごとではなくてみずからの問題として受けとめて、そしてみずから自身の襟をさらに一層正していかなければならない、これがまず原点的な問題だと思っております。  しかし同時に、そういった単なる個人の倫理に帰せられない、政治家一人一人だけに帰せられない部分があると存じております。それはやはり長年の間に構築された今日の政治制度といいますか、いろんな仕組みにおいてやはりそういう構造的な要因もあるわけでありまして、大事なことは、我々自身国民皆さんに向かっておわびをすると同時に、今後再発防止に向けてどのような改善策を講じようとしておるのかということが極めて大事な部分であると思います。そうでないと、何年かに一遍、またそのときそのときで終わって、新たな似たような事件が発生するということであったのでは、私ども甚だ申しわけないと思います。そういった意味で、今国会においても、これは与党提案でありますけれども、そういった幾つかの政治制度そのものについての改正案提案をされておるわけでありまして、私どもみずからの問題であると同時に、制度の問題として、両面からこれらについて謙虚に反省しつつ、改革  の熱意をさらに一層固めていかなければいけな  い、このように感じておるわけであります。
  19. 三野優美

    三野委員 そこで、大臣、ちょっと聞きにくい話というか、あなた自身が言ったようでありますが、何か大臣リクルートから政治献金があったとか、パーティー券とかいうのですか、それはいつごろ、幾ら、どういう仕組みでいただいたのか、この点ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  20. 野田毅

    野田国務大臣 ちょうどいい機会でありますので、申し上げたいと思います。  私自身に関することでありますので、いろいろ調べてまいりまして、ちょうど六十二年の夏でありますが、私の学生時代友人との会合に、大変私は感謝しておりますが、その友人が私に対して政治活動を支援しようということで、数名一緒に話をしたことがございます。そういった中に、リクルート社ではなくてリクルートコスモスの役員の方が一人、友人友人ということで入っておったわけでございます。私自身、当時まだ大変うかつでありまして、そのリクルートコスモス社というのがどういう仕事をしているのかさっぱりよく知らなかったのですが、言うならば友だち友だちが、そうやっていわゆる利害対応関係なしに、私は本当にありがたい浄財だという気持ちで後援会員になっていただくことを感謝をしたわけであります。そして、それが六十二年でありますから、月二万円の後援会員になっていただいたわけであります。それが事実関係であります。  私は、この機会に申し上げたいのは、ちょうど六十二年という年は大変、こういうことを申し上げていいかどうかわかりませんが、そのとき四月でありましたか、ある新聞社の全面広告の中でリクルート社のあれが出ておりまして、「就職おめでとう」という企画がございまして、その中にはある政党の委員長さんも似顔絵入り就職おめでとうと、こうやっておられるわけであります。私自身、そのことをとやかく言うつもりはありませんが、少なくとも二年前というのはリクルートという名前がそんなに悪いものだという感じは実は持っておりませんでした。しかし、残念ながら昨年来このような形で推移してまいりますと、私ども李下に冠を正さず、こういうことで昨年来は関係がなくなってしまっておる、こういうことであります。  私ども、できるならば今回の事柄を契機にして、なかなか人づき合いというのは難しいなと率直にそんな感じをしております。この辺お知恵があればお聞かせもいただきたいし、政治家としてはできるだけ幅広い方々のいろんな御意見をちょうだいをする、大変大事なことだと思いますが、一方でこういう公の立場にあるということを考えますと、そういった人づき合いの選別の仕方ということも非常に難しいものだな、このように反省もいたしておるわけであります。
  21. 三野優美

    三野委員 率直に言いまして、別にリクルートコスモスだけでなくて企業から政治献金をもらっている議員さんはたくさんおるだろうと思うのです。ただ、私はこの際一つ申し上げておきたいと思うのですが、宇野総理が、事件発生後もらったのが悪いのであって前のはいいんだよ、そういう言い方を本会議でしているのですね。これは国民はだれも納得しない話だと思うのですよ。いわば事件が明るみに出る前にさまざまなことがあって、国会議員が二人起訴されるという事態があったわけでしょう。前のが問題なんですね。ああいうことを国会で言うというのは、だれも納得しないし私も納得していないわけです。  そのことは別としまして、どうでしょう。今も、構造的なものだ、こう言われる。宇野総理構造的汚職だと言っているわけですね。構造的というのはどういうことを指すのでしょうか。宇野総理宇野総理なりに言ったのですが、大臣はどうお考えですか。
  22. 野田毅

    野田国務大臣 私が構造的と申し上げたのは、実はいわゆる政官財と俗によく言いますけれども、むしろ私が今申し上げたような構造的というのは、率直に言うと、今日の選挙制度の問題であったり、政治資金そのものの集め方あるいは使い方、いろいろな事柄に対してやはり我々自身制度としてやるべきことがあるのではないか、特に現在の選挙制度、中選挙区制で本当にいいのだろうか、本来憲法の精神からいえば、政策基本にして国民に選択をしていただくという建前でなければならないのが、いつの間にやら、中選挙区という形になりますと、どうしても人脈中心型の訴え方になっていく、そのことがひいてはそういった後援会中心政治活動になっていく、そういう部分もあるのではないか、さまざまな角度が入っておると思っております。
  23. 三野優美

    三野委員 宇野総理も本会議場政財官の癒着ということを言われたわけですね。大臣も今そのことを否定はしなかったようでありますが、実は問題はそこだろうと思うのです。戦後の国会議員が関連した汚職疑獄事件一覧表を見ますと、十五件、四十人を突破している。これは起訴された人ですよ。それ以外にうわさされ灰色と言われた人も入れると何百人になってしまうのですね。この事件を見ますると、実は財界からの政治献金とこれに伴う事件ばかりなんです。個人政治献金ではないのです。問題は、構造的という場合に、政財官、ここの金銭授受が常に問題になっている。このことを我々はやはり十分に注意する必要があるだろうし、このところを正さない限りうまくないだろうと思うのです。  実は私はおととい、月曜日の朝高松から上京してまいりました。たまたま乗った新幹線の同じ十二号車に自民党の元大臣経験者の二人の先輩の方が乗られました。食堂車から若い人が三人通っていったのですが、バッジを見て、あれ、国会議員じゃないか、代議士だ、こう言って、いかにも国会議員というものを斜めに見ている。これを見て私は本当に寂しく思ったわけです。それほど今日の政治が地に落ちているわけです。これはやはり何と言っても消費税その他いろいろあると思いますが、今日の政策上の問題よりも、まさに破廉恥的だと言ってもいいほどの構造汚職の問題だろうと思うのです。ここを正さない限りいかぬと思うのです。  そこで、それともう一つは、あなた方は制度で縛ろうではないかという話がある。法律で何とかしょう、こう言っていますね。私は考えてみましたのです。法律をつくる政治家がみずからを縛る法律をつくらなければ、今や今日の構造的汚職は払拭できない。地域に帰って座談会をしてみたら、奥さん方は笑ってしまったですよ。言っている私もはっとして、これは大変なことになってしまったなと思っているのです。法律をつくることがいかにも当たり前みたいになってしまっている。それはここまで来ればつくらなければしようがないでしょう。しかし、そこのところは私は政治を行う者の理性だと思うのですね。この点が忘れられてしまって、制度だ、いや法律だなんというしことを言っているところに問題があるということもともに考えなければならぬと思うのです。  さて、そこで一つお尋ねしますが、一般的なことは別として、たまたま建設大臣就任されました。大臣就任中に建設業界主催パーティーを開くだとか関係業者から献金をもらうというようなことは大臣はやりませんか、ひとつここでこれのお答えをしかと聞いておきたいと思うのです。どうでしょう。
  24. 野田毅

    野田国務大臣 李下に冠を正さずということでもありますから、私自身長い間、今日までもう十七年政治活動をやっているわけでありますので、私の後援会の中に、調べてみれば、複数の小さなあるいはいろいろな形での建設省所管業者になるものがあるいは入っておるかもしれません。全部調べ上げてということもなかなか難しいところもありますけれども、極力特定建設業者との関係皆さんから誤解を招くようなことだけは慎みたい、このように考えております。
  25. 三野優美

    三野委員 これはお願いですが、大臣にどうぞひとつ任期中はそれを断ち切るぐらいなことを示してもらいたい。そうでなければ政治改革に乗り出した責任ある閣僚の一人とは言えないと私は思うので、このことは特に要望しておきたいと思います。  それからもう一つ聞いておきたいのですが、過去の例に、実は率直に言いまして、建設大臣も、今派閥を出ているのかどうか知りませんが、中曽根派ですね。中曽根派がずっと歴代建設大臣を持っていたわけ。そうすると、建設大臣になった人が地方へ出ていって中曽根派の人の応援をする。関係自治体の長やあるいは議員も一部入っているのでしょうが、業者を集めて、全国を回って特定の人の応援をするわけ。建設大臣というのは、一政治家であると同時に行政を預かって、これは国民の負託にこたえてやっているわけなんですね。それを言っている人の中でも、あれは何だ、派閥代表みたいにやっているな、こういうこともあるわけなんですがね。この点については今までの経験を見ていて与野党ともに若干批判があるようです。必ずしも私だけではなしに、自民党の中にも、あれは何だ、派閥代表みたいにして集めてやっているじゃないか、全国回って、こういう話もあるのですが、私は、建設大臣という地位を高める意味でも、国民からそういう理解をされないようにひとつ対処すべきだと思うのですが、どうでしょう。これは私どもも率直に言いまして、法案を出してきたのに協力せい協力せいと言われるのはおもしろくない話なんで、だからそこらをひとつ聞いておきたいと思います。
  26. 野田毅

    野田国務大臣 もう既に御案内と思いますが、私ども派閥離脱、こういうことになりまして、閣僚派閥からの要請で動くことはしないということは申し合わせをいたしております。我々も党人でありますから、党の要請に基づいて、党の一員としての政治活動ということは、これはお認めいただかないと、我々自民党まで離党するわけにいきませんので、そこはひとつ御了解を願いたいと思っております。
  27. 三野優美

    三野委員 国土庁長官、ひとつあなたの政治改革決意だけ聞いておきたいと思います。
  28. 野中英二

    野中国務大臣 政治家は原点に返らなければいかぬ、こう思っております。国民から信託を受けて政治活動を行っているわけでございますから、公平に厳正に主権者である国民に返していく、これが必要だと思います。同時に、おのれを持していくのに厳でなければならない、そのことを今後もしかと踏まえてやっていきたいと思っております。
  29. 三野優美

    三野委員 長官、先ほど私は建設大臣といろいろとやりとりをして、建設大臣からも積極的な御答弁をいただいたのですが、そのことを頭に入れながら、ぜひひとつ政治改革の先頭に立ってもらいたいとお願いしておきたいと思います。  続いて、消費税のことについてお尋ねしたいと思うのですが、建設大臣は税制の専門家でありますし、かつて消費税推進のチャンピオンだったわけなんですから、これは私がお尋ねするまでもなく百も承知のことだろうと思いますが、実施後の建設業界における今日の現状と影響についてどういうふうに理解しているのかひとつ聞いておきたい。
  30. 野田毅

    野田国務大臣 実ば五月に建設業者団体に対するヒアリングを建設省として実施をしたわけでありますけれども、その結果から見ますと、建設業界における消費税の転嫁は、現時点ではおおむね順調に行われておるものと、このように認識をいたしております。  ただ、我々がこの消費税を立案するときに非常に心配したのは、弱い者にしわ寄せがされないかということでありまして、この点だけは与党としても非常に注意をしてきたわけであります。  そこで、建設省としては、まず第一に、下請契約などにおきまして、いやしくも自己の取引上の優越的な地位といいますかその強い立場を利用して不当に当たるような行為を行わせてはいけない。そこで、消費税額分を適正に上乗せした契約を締結するように、あるいは公取からもガイドラインが出ましたが、消費税の転嫁のための共同行為、これは認められておりますので、それを積極的に活用しなさい、こういうことで今日まで転嫁の指導を行ってきたわけであります。あるいはまた相談窓口を建設省内に置いたり、あるいは関係機関も活用しながらやってきたわけでありまして、その結果、今申し上げました五月時点におけるヒアリングの結果では、おおむね順調に転嫁が進んでおる、このように考えておるわけであります。
  31. 三野優美

    三野委員 六十三年度の建設投資見通しというのは、それらの数字のとり方があるのですが、建設省はこれをどう見ていますか。  それで、六十三兆円とも四兆円とも、あるいはもっと七兆円ともいう意見もありますが、そこで消費税が消費者から、これは公共事業の場合には国、県が消費者になってしまう。これは国民が消費者ですが、納める総額というのは幾らになるのでしょうか。  そして、同時に、今度の税制の中で、三千万以下非課税、三千万から六千万円までが簡易課税、あるいは限界控除その他の制度がありますね。これを適用した場合に、消費者である国、県あるいは一般市民が納めた額と国に納付された額との差というのはどういうように出ていますか、どういう見通しですか。
  32. 望月薫雄

    ○望月政府委員 六十三年度の建設投資は大体六十七兆円程度だったわけでございますが、先般私ども推計しました平成元年度の建設投資というものが七十兆円余り、細かく言うと七十兆一千百億円と今見込んでおります。こういったいわば建設工事にかかわる契約ということになるわけですが、それに伴う消費税がどのくらいになるかという御指摘です。  実はこの七十兆円何がしという工事は、率直に申しまして昨年の十二月三十日以前に契約されて、いわゆる消費税の経過措置適用工事になるもの、これが相当含まれておるということがまずあります。ただ、私どもこの実態をつかんでございません。それからもう一つは、やはり個々の請負契約について、いわゆる非課税業者、免税業者あるいは簡易課税業者、こういった業者がどういうふうに契約に入ってくるかということはちょっと推計ができないものですので、今のところ、御質問のどのくらいの消費税額になるかということは、ちょっと私ども推計のしようがなくて、手持ちに資料がございません。  それから、お尋ねのいわゆる免税業者等にかかわる部分、いわば三%の消費税と実際国庫に納める税金の差というものがあるんじゃないかという御指摘かと思いますが、これは確かにそういった現象というのは出てくる部分があろうかと思います。ただ、これにつきましても、正直言って、どういうふうな個別契約が結ばれるのか等々の内容にかかわることでございますので、私ども建設省の立場として、現在の時点あるいは今後ともそうですけれども、ちょっと推計のしようがないというのが率直な現状でございます。
  33. 三野優美

    三野委員 建設大臣から先ほど、業界の代表者を呼んだらおおむねいっているみたいな話がある、こういう話ですね。実は、業界の代表者というのはかなりしっかりした業者代表者になっているのです、率直に言いまして。私はちょっと調べてみたのです。そうしたら、私のところは実は香川県なんですが、香川県の工事の出来高をずっと調べてみると、いわゆる特Aというのは県外業者、大手業者なんですね。特Aで年間の完成工事高の官公庁のが三四%ちょっと、民間は〇・〇二%、下請が六三%。それからB業者は、やはり官公庁が九・九%、下請が八九%。特Aと言われる業者の中でこんなに下請が多いのはなぜかといいますと、実は裏ジョイントなんです。裏ジョイントの部分は、国、県が発注した事業については三%が乗っているわけ。裏ジョイントですから、当初契約段階から、ジョイントでいこうぜ、こうなっていますから乗るわけ。ところが、今度県内の業者を見てみると、県内の業者でも、Aクラスで三億ぐらいやっている業者で官公庁が七〇%、その中で下請が二七%、これはイーブンなんです。ところが、今度はCクラスになりますと、官公庁の元請が二五%で下請が七四%ちょっと、七五%近くになっちゃうんですね。下へ行くほどだんだん下請が多いわけ。B、C、特にC、D、ここらになりますと、土地改良やいわば市町村工事なんです。ここらになると、町長さんがおい乗せてるぞと言ってみたって、いわば契約金額でも抑えられているものですから、実は、従来、消費税実施前よりも敷札が下がっている、こう言う。  実は、私、業者を集めてみたのです。ここで議論するのは抽象的じゃいけませんから集めてみました。土木、建築、電気その他と集めてみたのです。そういうことで、とてもじゃないけれども、これはもう我々中小下請は、まして下請、孫請は消費税どころじゃない、こう言っているわけです。しかも、御承知のように今度の法律は、消費者に納める義務を法律では義務づけてませんわな、業者は納付義務があるわけであって。したがって下請、孫請というのはだめ。特Aがとった国なり県のは、これはついてるでしょう。大体ついてるという見方です。ところが、もうほとんどそこでとまっちゃって、下請、孫請になるとまずだめ、こういうことでございました。建築も同じことです。しかも、電気設備なんかになると、地方に行きますと分離発注は難しいものですから、電気、水道その他の管工事になりますと一括工事でしょう。そうすると、ほとんどは地元の県内で、Aクラスで八二・二%の下請、Bクラスで八五%、Bのある業者は九六・六%が下請、Cクラスになると九七・八%が下請。元請というのはもうほとんどないわけ。ここらになりますと、上からは消費税はつけてやる、こう言う。しかし、おまえまけてくれということで、いわば消費税部分はちゃんと値切られてしまって、それで消費税をつけたよ、こう言う。一方、材料を買うのは、これはもう製品がほとんどメーカー物ばかりでしょう。完全に消費税がついてくるわけです。上と下とのサンドイッチで、とてもじゃないけれども、もう事業税の二重払いだ、持てない、こう言っているわけですね。こういう現実は建設省は当初予想されたことだろうと私は思うのです。どういうように具体的にこれが完全に転嫁されるような指導仕組みをやったのでしょうか、これを聞いておきたい。
  34. 望月薫雄

    ○望月政府委員 個々の取引の過程で今先生の御指摘のような事象が全くないかということについて、私どもないという確信を実は持てない、心配もなしといたしません、率直に申しまして。そういうことも頭に置きながら、私どもとしては、先ほど大臣からも御答弁申し上げさせていただきましたように、要するに取引上の優位性、地位の優位性というものを背景にしてのいわゆる圧力は一切してはいけないということを関係団体に厳しく指導させていただいているわけですが、これが末端までどう浸透していくかということが非常に関心のあるところでございます。  そういった中で、先ほども大臣が御答弁申し上げましたように、私どもとしては、建設本省はもとよりでございますが、そのほか建設業振興基金だとか三保証会社などにいわゆる相談窓口を置かしていただきまして、そういったこともPRしながら今日を迎えているわけでございます。その中で四月、五月の実績を見ますと、私ども承知している件数で言いますと、三百四件の照会あるいは苦情等が来ております。ただ、このほとんどがいわゆる消費税制度にかかわる、制度の内容にかかわる照会、こういったものでございまして、全くそういう意味では制度がよくわかっていないという面が主でございましたが、中には数件、おっしゃったような意味で、消費税をまけろとか、あるいは消費税分にかかわる金額の支払いは税金を納めるときまで待てというようなことをしている事例が私どもの耳にも入っております。こういったものにつきましてわかった都度、私どもは直ちに、大体知事免許業者が多いものですから、関係都県を通じてそういった業者に対して個別指導もあわせて行っている、こういったのが現状でございまして、私どもとしてはできるだけ濃密な指導をやっているつもりでございます。  それからもう一つ、おっしゃったように零細企業を対象として多いと思われるいわゆる市町村工事等の関係でございますが、この消費税の問題と同時に大事なことは、いわゆる歩切りというものが余り横行するようでは消費税の適正転嫁というものもなかなか難しい、むしろそちらの方もあわせて大事なことであるということで、私ども消費税制度が導入されるときをつかまえまして、再度歩切りについての厳正な対処というものについて自治省ともども指導させていただいている次第でございます。
  35. 三野優美

    三野委員 業者はなかなかあなたのところへ言ってこないわけ。下請、孫請ですから、言ってきよったら指名を外されるわけ、仕事を。だから言ってくる仕組みになっていないのです。私どもが行きますと、やはり言っちゃうのです。何とか制度そのものを、これはやはりおかしい、こう言っているわけです。  それと、これは大臣の方ですけれども、電気なり水道なりの設備業者も商品を買うでしょう。品物を買いますね。これは三%というけれども、やはり業者はこう言うのです。工場で生産されたときに三%のコンピューターを打つ、それが次には元売業者に行く、そこでもまた消費税の手続が行われる、三番目に仲買業者、そして最後のところが私のところに持ってくる業者だ、四回。その間トラック輸送が二回、三回ある。運賃にも消費税がかかるから、これまたコンピューターが動く。そうすると、物が生産されてから消費者のところに来るまで最低六回ないし八回、九回の消費税のコンピューターが動くんだ。これはコンピューターを新しく入れたところもあるでしょう。ソフトの組みかえもしたでしょう。これを取り扱う事務員の給与、経費というものが、次々と三%の上に乗せながら全部来てしまうんだ。だから、三%乗せてくれただけではとてもじゃないけれども計算に合うようになっていないんだ。便乗値上げもあるでしょう。したがって、実際には現場では五%、七%になっているという現実。これが今度の消費税の問題点であったということはお認めになりますか。
  36. 野田毅

    野田国務大臣 それが六になり七になるというのは、率直に言ってちょっとまだ合点がいきにくい部分があるのですが、確かに流通が、だんだん累積されていくということになれば大変なことでありますから、そういう意味で今回の消費税では控除方式を採用して、とにかく累積を排除しなければいけないという仕組みになっておるわけです。同時に、いろいろな事務コストはかなりあるでしょう。こういうことから、一つは法人税なり所得税の減税という部分をカウントしていただきたいということと、それから、何よりも今回の消費税導入円滑化対策という中で、特に中小企業については、そういう事務のコンピューターに乗せるための諸経費だとか、そういった事柄を別途予算、金融面で、あるいはまた別途税の上において即時償却を認めるとか、そういうことにも配慮しておるということもあわせて御理解いただきたいなと思っております。
  37. 三野優美

    三野委員 これはまだ私も大臣の言ったことで腑に落ちない点が相当ありますが、改めてまた議論したいと思います。  きょう本四公団から御出席いただいておるのでありますが、地元のことで非常に申しわけありませんが、瀬戸大橋の列車騒音について、香川、岡山両県からそれぞれ再三にわたる陳情をしている。本四公団の方は、発生源対策としてはなすべきことはすべてした、橋梁に対する防音装置をやった、これ以上のことはもうできない、こう言っているわけであります。  そうしますと、あと残されているのは、結論から言うと、一つは、これは運輸省になってしまいますが、車両の取りかえがあります。どうも新型の車両よりも従来のディーゼルの方が音が高いと言っているわけですが、これを取りかえるのですけれども、四国内が全部電化してないものですから、なかなかうまくいかない。ここのところを一体どうするのか。  もう一つは、岡山県が特に強く主張しているし、香川県も当面はよかろうと言っているのは減速の同題、これがあるのです。それ以外に、受音点対策としては、空港周辺並みの防音対策が行われているわけですけれども、私の仄聞したところによると、今週中にも結論が出るということを聞いているわけであります。  この際、答弁をいただく前にちょっと申し上げておきますが、委員会では確たる答弁をしないで、その後一日か二日、三日、五日たったときにちゃんとした方針が出るなんということはないようにしてもらいたいと思うのです。全く委員会軽視の傾向があるわけです。やはりこの国会というのは国民代表するところなのですから、その時点における最大限の答弁をするということを含めてお願いをしたいと思うのですが、今の取り組みの現状、どういうことでこれを処理しようとしているのか、まず公団の方から聞いておきたいと思います。
  38. 岡田哲夫

    岡田参考人 お答え申し上げます。  本四公団としては、ここに道路鉄道併用橋ということで走る、その施設について管理する立場にあるということでございまして、その施設面で防音工事をやってまいり、また追加工事もやってまいったわけでございますけれども、環境保全努力目標を超える部分も残っておりますので、これについて今後どうやっていくかということで、民家防音工事による対策が公団としてできる対策であると思っております。そういうことについて関係機関とも協議し、調整し、努力してまいっておるわけであります。  先生御指摘の車両の問題それから列車のスピードの問題については鉄道事業者の問題でございますので、そういうこととまた防音工事がどう関連するかということについては御相談したいと考えております。
  39. 三野優美

    三野委員 公団にもう一つお尋ねしたい。  あなたのところはこれ以上だめというくらい施設をやった。次に、車両の運行の問題はもちろん運輸省と協議しなければならぬが、運輸省の方が減速その他において当面処理をしようということになれば別として、それができない場合には民家の防音対策装置、施設もやるという考え方があるのかどうか。その場合に、地元が主張していると十五ホンを基準にしろと知事が言っておるのだけれども、この点についてはどう受けとめているのですか。
  40. 岡田哲夫

    岡田参考人 防音工事については環境保全努力目標ということで、在来線でございますので八十ホン、こういうことでこれまで環境影響評価もやってまいっておりますので、防音工事は列車の方の問題と関係がないわけではございませんけれども、防音工事は引き続き関係機関と協議して進める方向でございますが、その場合のガイドラインと申しますか、考え方といたしましては、在来線には基準がございませんけれども、そういう意味で本四をかける場合の環境保全努力目標の数値を基準に考えていきたいと思っております。
  41. 三野優美

    三野委員 御承知のように、新幹線は七十五ホンですね。私はせんだってこの委員会に環境庁を呼んできたところが、環境庁の方は、新幹線は七十五で在来線は八十でいいということにならぬだろうね。あの橋は御承知のように新幹線が通る構造になっている。今は通さないが、もし通した場合には七十五ホンを守らなければならないわけです。新幹線は七十五で、在来線は八十でいいということにはならぬ。  そこで、そういう意味で地元なり県は、特に香川県知事はどうしても七十五ホンを守ってもらいたいと言っているのですが、これに全然応じる構えばありませんか。話し合いによってはそれは理屈が通っているからすぐ相談に乗るかという気持ちはありますか。
  42. 岡田哲夫

    岡田参考人 環境保全努力目標として関係省庁とも協議し、御指導を得ながらまいっておるわけでございますので、本四公団として独自の判断で新幹線を適用する。事・実、新幹線も長期的には通れる構造ではありますけれども、前後も新幹線の工事も一切できておりませんし、新幹線が通る計画も今具体の問題になってございませんので、そういう意味で新幹線並みの基準をここに適用するということは公団としてはやるわけにまいらない、こういうふうに考えております。
  43. 三野優美

    三野委員 もう一つお尋ねしますが、今話が出ていますように、いわゆる橋の構造そのものは対応し切った、これ以上できません。そうなると、岡山県は減速をと言っているわけです。香川県もいわば受音点対策、民家の防音装置も含めて解決するまで、夏場が来て戸をあけなければならぬのにあけられないのだが、当面それが解決するまで減速拡大ということについてやってもらいたいという陳情があなたのところに来ていると思うのですが、これに応じる構えばありますね。結論だけ言ってください。
  44. 澤田諄

    ○澤田説明員 先生御指摘の鉄道騒音対策というのは、私ども施設及び車両側での音源対策が基本だと考えております。従来からも特に本四公団のお力を得まして橋梁上における防音工事について鋭意進めてきたところでありますが、今後さらなる音源対策の可能性につきまして、現在、鋭意検討しているところでございます。  列車の減速運転につきましても、やはり大量高速交通機関としての鉄道の役割ということを損なう面もありますが、基本的には列車の円滑な運行を保ちつつ、騒音対策の可能性が、できるかどうかということについて現在検討しているところでございます。(三野委員「いつごろ結論が出るの。今週中」と呼ぶ)これにつきまして現在鋭意やっておりますが、一年以上たっておりますが、具体的な方策について現在関係者と最終的な詰めに入っております。いましばしあれですが、なるべく早く、できるだけ早くしたいと思っております。
  45. 三野優美

    三野委員 もう時間のようですからこれで終わりますが、ただ公団に言っておきます。とにかくこの問題の解決は、騒音だけではなしに、あれだけの大工事をやったものですからその他さまざまな問題点が出てきた。それが地元の坂出市やあるいは玉野市、岡山県、香川県に出てきているわけです。それを一挙に解決しないと、次々に出てくるのはまずいからこれを全部まとめてしまって、国として鉄道側がどうする、公団側がどうするということを明らかにして、自治体に地元対策を処理してもらうということでなければできないということを参考までに申し上げておきます。  こういうようにこれでひとつまとめてくれということをしなければ、あなたのところから東京からえいこらえいこら言ったってJRなんて出てもいかぬでしょう、岡山の県議会に会わぬというのですから。だから頭がかっかきているわけです。まとめて地元にお願いする。私は案を申し上げておきますが、それをなぜやらないのだ。そして地元がどういうようにするかは地元と住民、自治体と住民、こういう形で処理することをお願いして、当面のことは今週中にできるはずなんです。だからそれを特にお願いをして終わりたいと思います。ありがとうございました。
  46. 東家嘉幸

    東家委員長 小野信一君。
  47. 小野信一

    ○小野委員 最初に国土庁長官にお尋ねいたします。  戦後、我が国の土地取得ひいては住宅取得は年年難しくなっております。現在三十年、四十年勤めた平均的サラリーマンでは戸建ての住宅を持つことが難しくなってしまいました。なぜ戦後一貫して土地が高騰し、住宅の取得が困難になったのでしょうか。大臣は、この問題についてどのような要因でそのようになったのだとお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  48. 野中英二

    野中国務大臣 お答え申し上げます。  御存じのように、戦後、経済構造というものが大変大きく変転をいたしてまいりまして、特に交通、通信、情報、こういうようなことでございまして、やはり一極集中の形がとられてきたわけでございます。これが一つの引き金となって、価格形成というものは大きな要因が何といっても需要供給の関係でございますから、こうしたものによって地価高騰というものが起きてきた。それで住宅取得が困難になってきたのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  49. 小野信一

    ○小野委員 都市開発協会の調査によりますと、東京十キロ圏でのマンションは一戸当たり六千六百七万円、平均的サラリーマンの年収の十一倍になります。二十キロ圏では四千八百十五万円で約八倍になります。マンションすら一般サラリーマンにとっては高ねの花になってしまいました。  経済企画庁の六十三年地域経済レポートの中で、東京の場合、土地代込みで八千五百十四万円で家を購入するとなると、頭金は五百九十九万円、残りがローンということになります。一カ月のローン返済額は約五十五万八千円で、一カ月の可処分所得約四十五万三千円の一・二倍となって生計は不可能になります。  この平均的勤労者の何年分の収入で住宅が取得できるかという国際比較を見ますと、一九八五年時点でアメリカ三倍、一九八六年時点でイギリス四倍、一九七九年で西ドイツ四・八倍、一九八七年、日本で五・六倍となります。現在では恐らく十倍強になるだろう、こう予想されております。国際的に見ましても異常な事態と位置づけなければならないだろうと思います。  大臣、大都市の四十歳前半の中堅サラリーマンが自分の家を持てないというこの事態についてどのような認識をお持ちになるか、建設大臣でもよろしゅうございます、お答え願いたいと思います。
  50. 野田毅

    野田国務大臣 これは最近だけでなくて、戦後一貫して日本の政治行政の重点課題住宅対策であるということはもう御案内のとおりであります。そういった中で何とか四十代では少なくともマイホームが持てる、この夢を何とか実現していかなければならぬ、こういうことで今日まで鋭意いろいろな方々が御苦労いただいたわけでありますが、御指摘のとおり、現在のところ、甚だ残念ながら四十で直ちに持ち家が持てるという環境にない、なかなかこれは大変なことだ。そこで、先ほど来国土庁長官からも申し上げておりますとおり、我々、今度のこの内閣においてもさらに住宅、特にその中で大事な部分は宅地をいかに手の届く形で供給をするか、こういうことにある、こう認識をいたしておるわけであります。  そのためにも、これは余談になりますけれども、今度常磐新線の問題もありますが、そういった大都市地域における宅地の供給について、我々も法案をお願いしておるわけでありますので、ぜひひとつこの審議の方もあわせてよろしくお願いをいたしておきたいと思います。
  51. 小野信一

    ○小野委員 経企庁で発行している昭和六十二年度の国民経済確報、この資料を見ますと、我が国の課税対象の土地資産額は六十二年度末で千六百三十七兆円、前年対比実に二九・六%ふえております。評価増は三百七十一兆円。御存じのように名目GNPは三百五十一兆円ですから、土地評価増の方が一億二千万の日本国民のGNPよりも大きいという成長率です。同期のアメリカの土地資産は四百三兆円、一ドル百二十二円で計算しますとそうなります。実に日本の土地は米国の四・一倍。国土面積が二十五分の一、アメリカの方が二十五倍なんですから、単価に直しますと実に百倍ということになります。  今大臣が答弁しておりましたけれども、地価が高騰した理由は、私はいろいろあるだろうと思うのです。まず国土が狭隘であること、経済成長率が先進諸国に比して非常に高かったこと、国土庁長官がおっしゃった都市への一極集中が大きかったこと、金余り、金融、投機、これらが重なってこうなったのだろうと思います。その中で経済的な理由によって国の責任のないものあるいは自然的条件によってどうにもならなかったものもあることを十分私は承知しております。問題は、その中で、国が実行すれば土地騰貴を抑えられたにもかかわらず、それを放置したために現在のような土地騰貴が起こったとする要素は、要するに国の責任は何と何を行うべきだったのか、それを行わなかったためにこうなったのか、国の無策の要素について御見解をお聞きいたします。
  52. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 今回の地価高騰に際しまして、投機的土地取引がかなりの地価高騰を増幅させる役割を果たしたことは事実であると思います。  私どもはこれに対しまして、監視区域制度の機動的運用とか、それからまた超短期重課制度を六十二年十月から創設するとか、それからまた居住用財産買いかえ特例を原則廃止するとか、それから金融機関、不動産業者に対する指導の強化、そういうものを通じまして地価の抑制に努めてまいった次第でございます。今後とも引き続き監視区域制度の積極的活用を初めといたしまして、また諸機能の地方分散とか住宅宅地の供給促進策、そういうものを総合的に実施しながら地価の安定、ひいては地価の引き下げに努力してまいりたいというふうに考えております。
  53. 小野信一

    ○小野委員 今の答弁はこれからやろうとする政府の考え方でございまして、逆に考えると、そういうことをやらなかったために地価が高騰し住宅取得が困難になったのだろう、そう私は理解して、次の質問に入らせていただきます。  我が国の居住水準を第四期住宅建設五カ年計画で定めた目標で見ますと、最低居住水準に達していない世帯は三百九十五万、約四百万世帯になります。この最低居住水準未満を所有関係で見ますと、民営借家百八十二万戸、約半数であります。公共借家八十八万世帯、給与住宅二十五万世帯。地域別に見ますと、関東臨海で三五・九%、最も多いのです、近畿二二・六、次いで東海八・六、三大都市圏に集中いたしており、約三分の二を占めております。この状態を政治の立場から見た場合に、大臣、どのような御感想をお持ちになりますか。
  54. 野田毅

    野田国務大臣 率直に言って、十分な状況ではない、こういうことだと思います。
  55. 小野信一

    ○小野委員 今の我が国の住宅水準、経済大国日本という経済力を背景にした場合に、まことに質しい水準にあることをお認めいただいたと思います。  そこで、我が国の住宅政策は今の国政の中でどのような位置づけをしているのだろうか、国は住宅行政についてどこまで責任を持つことが近代国家としての最低の義務になるのだろうか、この最低の義務について大臣のお考え方をお聞きいたします。
  56. 野田毅

    野田国務大臣 これはなかなか、どういう表現が適切なのか即断しかねますけれども、少なくとも欧米に比べて、今日まで予算、税制の面において国が支援する割合というのはかなり低水準にあったということは認めなければならぬと思います。最近、皆さんの御尽力、御協力を得まして、・かなりヨーロッパに近い形の支援割合というものを確保できるようになっておりますが、まだまだ不十分な状況にあろうと思っておりますが、基本的にこの住宅に対する支援というものがいわば個人の資産形成に対する支援という側面も一方ではあるわけでありまして、そういった部分をどう考えていくのか、特に公的住宅個人の持ち家の促進との兼ね合いですね、このあたりをどのように考えていくのか、我々十分そのところを、国民の資産形成の状態等をも考慮に入れながらやっていかなければならぬと思っております。  ただ基本的に、先ほど来御指摘のとおり、やはり心の豊かさというか、そういうものが住環境から発生してくるということ、これは原点的に我々は政治の分野においては考えなければならぬ事柄である、このように思っております。
  57. 小野信一

    ○小野委員 地価の高騰、住宅取得の困難がこれから国民生活、特に今大臣がおっしゃいました日本人の心の問題、勤労意欲の問題にどのように影響していくだろうか、私は、いい影響を与えるとはもちろん思いませんが、どんな影響があるだろうか、どういう予測をお持ちになりますか。
  58. 野田毅

    野田国務大臣 率直に言って、一生働いても家が持てないという人が多くなっていくということになれば、当然社会的にも不安定な要素になるでしょうし、あるいはまた最近の地価の高騰がいわゆるニュープア、ニューリッチ論ということに見られますように、土地の値上がりを一つの基軸にして非常に階層分化が進んでいるのではないか、こういう受けとめ方、やはり我々政治家としては放置するわけにはいかない、このように思っております。
  59. 小野信一

    ○小野委員 地価の高騰が行き着くところ、住宅取得の困難に収れんするというのですか、集中的にあらわれております。先ほど申し上げましたように、平均的サラリーマンでは大都市では戸建ての住宅を持つこともできなくなりましたし、マンションすら無理な状態になりました。そこで経企庁が、いろいろな所得から生活水準、支払い能力を勘案した場合に、住宅支払い能力は平均的サラリーマンで年収の五倍以内でなければ生活を破壊する、こういう結論を出して公表いたしました。大臣は、この年収の五倍以内で住宅を取得させなければならないということについて、政策としてこれを実行する、認める、そういうお考えはございますか。
  60. 野田毅

    野田国務大臣 できれば安ければ安い方がいいわけであります。今御指摘のとおり場所によっては八倍になったり、現在の予測値といいますか、これから家を持ちたいという方々が大体考えておられるその数値、年収と、それから自己資金あるいは借入金、いろいろなことを総合したところでは大体六、七倍くらいのものを持ちたいという願望を持っておられるやに報告を受けております。実績からいっても大体五、六倍くらいになっておる、できるだけこれを五倍以内に倍率を引き下げられるような方向に努力していくということは当然のことだと思いますが、厳格に五という数字がいいのか、四がいいのか六がいいのか、それは低ければ低い方がいいに決まっているわけでありますが、その中で最大限の努力をこれからも引き続いてやっていきたい、こう思っております。
  61. 小野信一

    ○小野委員 今大臣は七ないし八倍という言葉を言っておりましたけれども、先ほども申し上げましたように、それは無理だと思います。生活自体を破壊することになります。やはり国際的に見ましても五倍以内じゃないと無理なような感じがいたします。もしその数字をお認めくださるとするならば、政府は当然その範囲内で平均的サラリーマンが住宅を持てるような政策、年次的に、計画的に地価を下げていく、国民の要求にこたえる政策提案することが当然の責務だと私は思うのですが、大臣、いかがでしょうか。     〔委員長退席、古賀(誠)委員長代理着席〕
  62. 野田毅

    野田国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、そういう趣旨を実現するために、先ほど申し上げましたけれども、宅地と鉄道と一体的に開発して宅地供給をふやしていかなければいけない、あるいはまた、大都市部においてもこれから道路等の一体的な利用を図っていく、こういうような道路法の改正、いろいろそういう制度面における手当てもしていかなければならないわけであります。私どもとしては、今お話しの趣旨にのっとってさらに努力をしてまいりたいし、同時にまた先生方にも御協力をお願いを申し上げたい、こう思っておるわけであります。
  63. 小野信一

    ○小野委員 やはり経企庁の試算ですけれども、目標を設定した資料が出ております。敷地面積百二十ないし百五十平方メートル、延べ床面積九十ないし百平方メートル、平均的勤労者の年収の五年分の所得で確保できること、通勤可能な範囲三十ないし三十五キロ。貯蓄動向調査によりますと、四十一歳から四十五歳までの年収の平均が五百八十八万四千円、それらの人々の貯蓄を見ますと、年間収入の一・五倍、こういう前提。そして、先ほど大臣がおっしゃったように、金融機関が採用する最高限度額の借り入れ、年収の三・五倍、二十年返済、元利均等償還、年収の三五%以内。そうなってみますと、年収の五倍は現在三千五百万円、建築費千二百四十万円、坪単価四十五万円程度、こういう前提に立って地価を計算いたしますと、一平米十七万円から十八万円でなければなりません。一坪五十万ちょっとになります。今の年収の五倍ということで国民住宅を持てるような政策を立てるとすれば、当然地価を坪当たり五十万以内、一平米当たり十七万ないし十八万と設定して現在の価格を下げていく制度をつくらなければ実現不可能ということになります。したがって、基本法をつくっても、このような具体的な政策国民の前に提示されるのでなければ、国民は屋上屋を架するだけだ、こういう批判でますます政治に対する不信を増大していくだろうと私は思います。  したがって、建設省でも国土庁でも、この十七万ないし十八万という価格に、私は三年、五年でできるということを言っているんじゃありません、十年でも二十年でもきちっとした計画の中で国民の期待にこたえるという政策をはっきりと提示をすべきだと考えるのですけれども、私の提案は無理でしょうか。大臣の所見をお伺いします。
  64. 野中英二

    野中国務大臣 先生のおっしゃられたとおり、この衣食住のうち住を満たしていくということは最大の私は政治課題であろうと思っておるわけでございます。  なお、先生が引用されましたイギリスにおいては四倍、アメリカにおいては三倍ということでございますが、我が国におきましては六十三年に急激に上がってまいりまして七倍になってしまっているわけです。六百八十二万円の所得に対して、マンションの場合には四千七百五十三万というのが首都圏におけるあれでございますし、また、建て売り住宅の方では五千八十五万というので七・五倍になっている。お説のとおり、その高騰の最大の原因が土地にあったということは認めることのできる問題だと思っておるわけでございます。  したがって、国土庁としては地価をスローダウンしていきたい、こういうことで、また安定をさせていきたいというために、監視区域を設けたり、あるいは中央省庁の移転を行ったり、そういう施策をやってきているわけでございます。五年間という限定された範囲内においてそれが可能かどうかということはここで私が申し上げるわけにはまいりませんけれども、しかし、私たちはできるだけ最大の努力をしていかなければならない、これだけは事、実だと思っておるわけでございまして、そのために土地基本法を出しまして土地に対する一般の考え方、通念というものを確立して、そして、これが先生のおっしゃるような線に沿うように努力をしてまいりたいと思いますので、ぜひ土地基本法の成立をお願いを申し上げておる次第でございます。
  65. 小野信一

    ○小野委員 先ほど建設大臣が、住宅取得に対する我が国の財政援助も先進ヨーロッパ並みになった、こういう答弁をいたしましたけれども、なっておらないのが現実でございます。  その内容々見てみますと、国の歳出総額に占める住宅対策費の割合は、フランス四・三%、イギリス二・二%が高くて、日本は一・五%、まず中くらいです。アメリカ一・四%、西ドイツ一%。普通収入に占める住宅関係減免税額の割合は、日本の場合に他国と比較してまことに小さいです。最も高いのがアメリカで四・八%、イギリスが四・二%、フランス一・五%、西ドイツ一・三%、日本は篤くなかれ〇・五%で、アメリカの十分の一弱です。こう数字を見てみますと、我が国の税制面での優遇度が大変劣っていることが明らかであります。この住宅対策費と減免税額の合計額が歳出総額に占める割合、両方でやってみますと、イギリス六・一%、アメリカ、フランスが五%台、西ドイツ二・二%、日本は一・九%とまことに少ないこと、異常に低いことが理解していただけると思います。もちろんこの数字は制度が違いますから単純に比較することは無理だとは思いますけれども、日本は他の先進諸国に比較して住宅取得に対する財政的な援助が大変劣っていることを示す数字であることだけは間違いございません。  私は、住宅基本法ももちろん必要です、住宅基本法を中心としてあらゆる関連法律を機動的に、有効的に、適切に活用することはもちろん大切と思いますけれども、それをより実効あらしめるためには、少なくともこのような財政援助が、国民住宅取得が困難な時代であればあるほど先進諸国に比較して圧倒的な数字でなければ、国民は理解しないだろうと思います。大臣、これからの住宅政策に対する所見、決意を改めてお聞きいたします。
  66. 野田毅

    野田国務大臣 日本の財政的支援の水準がヨーロッパと肩を並べるほどまでいったといううぬぼれは持っておりません。まだまだ不十分なところがある、大変離れていたのが若干差が縮まった、この程度かなと思っておりますが、さらにいろいろな形で住宅に対する国からの支援措置というものを研究していかなければいけない。その中身において、特に財政の支出という側面で持ち家にどのように重点を置いていくのか、あるいはまた賃貸の方にどうするのか、あるいは税制面においても住宅取得促進のためのいわゆるローンのところに重点を置いていくのか、あるいは一方で新築貸し家に対する特別割り増し償却だとかいろいろな形が絡んでおりますけれども、そういったものをもう少し重点化をしていかなければならぬのではないかというふうにも思います。先ほど来お話がありましたけれども基本的には所得水準と、それから宅地を含めた住宅価格とのバランスであります。そういった意味で一つの方向は国民の所得水準が高まっていくということも大事なことでありますし、何よりもまた我々の行政のサイドでいえば、宅地を含めた住宅の価格がより安価な形で維持されていくということが大事であります。  そういった意味で、いわゆる中長期的な部分あるいは短期的な部分が含まれておると思っております。長期的な部分は御案内のとおり、やはり高速交通ネットワークを全国的に展開をしていくということが、いわば東京への一極集中を排除していく、このことが大きな意味での地価対策にもつながっていくわけでありますし、あるいはまた今関係審議会にも御検討をお願いしておりますけれども、都心部における土地の高度利用、有効利用というものを促進していくということもまた大事な部分であります。  一方でより直蔵的なやり方としては、国土庁長官からもいろいろお話ございました。今土地基本法をお願いいたしておりますが、それに基づいてより機敏な、あるいは監視区域なりというものの従来の手法を活用するということと同時に、新しくお願いをしております土地基本法の精神にのっとって、やはり土地というものが基本的には単なる投資の対象、投機の対象というようなものではない、私権ではあるけれども、少なくとも国民全体の財産なんだ。そして、その土地というものは利用を中心に考えるべきものである、こういったものがいろいろな行政仕組みの中に定着をしていくということもまた大事なことだと思っておりまして、あらゆる角度から、今仰せのとおり住宅を平均的なサラリーマンが手が届くような形でいかに供給できるか、我々もさらに知恵を絞って努力をしてまいりたいし、またいろいろとお知恵をおかし願いたい、このように思います。     〔古賀(誠)委員長代理退席、委員長着席〕
  67. 小野信一

    ○小野委員 地価が高騰して平均的サラリーマンが住宅を持てない、マンションが高くなってこれまた持てない、こうなった場合に今大臣がおっしゃっているような政策は当然実行し、これを実現させなければならないものだと私は思います。しかし、それよりも先にやらなければならないのは国公有地、工場跡地、農地等の活用による住宅供給推進が真っ先に行われて国民の要求にこたえなければならないものだと私は思います。  そこで、公有地の拡大の推進に関する法律に基づいて土地の買い取り状況を調べてみました。昭和四十七年から五十六年まで、買い取り面積五千四百六十一ヘクタール、買い取り金額七千六百四十三億円。年々減少いたしまして、昭和六十年、買い取り面積七百十五ヘクタール、買い、取り金額  一千百十八億円にすぎません。  国公有地の公共住宅への活用状況を見ますと、首都圏で五十三年から六十一年までの九年間で六千七百七十九戸建てておるのです。一年平均わずかに七百五十三戸です。公有地では一万二千七百十四戸建てておりますが、一年平均千四百十二戸強。旧国鉄用地ではわずかに二百八十一戸、一年に四十二戸強にすぎません。地価が高騰して買い取りが無理だ、こうなった場合に当然行わなければならないのは公有地に対する住宅地への転換でなければならないのに、実態はこのような現状です。大臣、どうですか。国公有地を優先的に住宅地に開放していく、国民の期待に直ちにこたえる、この政策を実行するとお考えになれませんか。
  68. 野田毅

    野田国務大臣 私からお答えをするのが適当かどうかよくわかりませんが、かつて、特に国有地の処分の仕方についていろいろな考え方の歴史があったことは御案内のとおりであります。終戦直後はやはり日本の経済復興ということが最優先である、こういったところから基幹産業に傾斜的に払い下げがなされる。あるいはさらに、二十年代の後半になりますとやはり住宅問題が当時の非常に大きな政治課題でもあった。そういったところからあるいは学校あるいは住宅、こういったところに優先的に国公有地を払い下げろ、こういう時代がありました。その後いろいろな都市施設が必要になってきた。そういったところから、用途は別として地方団体に優先的に払い下げろ、こういう時代もありました。そういったことを考えますと、現時点、今御指摘のとおり新たな公有地の拡大というか取得ということが非常に難しい環境になってきておる。そういった中で限られた国としての手持ちの国有地を今直ちに住宅に優先的に開放すべきであるということが、全体としての土地政策の中で、我々は住宅の責任を負うておりますからそういうことの必要性を十分理解しなければいけないと思いますが、果たしてそれだけですべて国公有地の払い下げのやり方を考えていいのか。あるいは最近、先ほど来御指摘がありましたが、やはり大都市の中における国有地の活用というものを、もっともっと別な都市の再開発なりあるいはいろいろな形での使い方というものを国民全体の財産であるという角度から、住宅を含め、あるいはいろいろなそのほかの都市施設を含めた角度の中で考えていかなければならぬのかな、実はこのようにも感じておるわけであります。  ただ、その前に御指摘がありました農地につきまして、市街化区域内における農地の活用方法、これも我々はもっと知恵を出していいのではないか、画一的な取り扱いだけで果たしていいのかどうか、この点についてもこれは関係の官庁とも十分意見をすり合わせながら、こういった部分をさらに住宅を含めたそういう都市施設の用途に用いるような方策はないものか、このことを真剣に考えていかなければならぬと思っております。
  69. 小野信一

    ○小野委員 大臣の言わんとすることを私は理解できないわけじゃございません。ただ、これだけ長期にわたって住宅が不足し、国民住宅に対する需要が大きいときに、国公有地に対する使途目的がまだ政府自体に結論が出ないというこのことが私にとっては歯がゆいのです。国公有地はこういう方向で使いますよ、住宅には半分使いますよ、こういう方針がしっかり確立されて、国民に  一年には一万戸、十万戸提供できるのですよという計画が明示されるべきじゃないのでしょうか。私はそのことが今政府が国民に批判されている要点ではないだろうか、そういう気がするわけです。同時に、やはり私は今大臣がおっしゃっているように、住宅に対する認識、傾斜配分方式を含めて戦後の復興期には主要産業の経済復興の方が先だという問題点などがあると思います。  しかし、私は何度もこの質問はしているのですけれども、西ドイツのアデナウアーは第二次世界大戦の敗戦後にケルンの瓦れきの上に立って、西ドイツの復興は住宅建設からだ、都市計画からだと訴えました。私は、やはり大きな見識だと思います。アメリカのルーズベルトは一九三〇年代のニューディールの際に、土地から来る資産格差、富の不公平は人間を幸せにしないと言って、住宅建設をニューディールの中の大きな柱にいたしました。日本のある総理大臣は、ムジナでさえも自分の体に似せて穴を掘る、まして人間は自分でつくりなさいうちをつくりなさい、こう言いました。私は、この住宅に対する、都市計画に対する認識の違いがアメリカ、西ドイツと日本の住宅の現状の違いになったのだと思うのです。過ちを改むるにはばかることはないと私は思います。今からでもいいですから、野田大臣の時代に国公有地を使って国民のために何割は住宅に使いますよ、はっきりした計画を提示していただきたいことをお願いを申し上げます。  最後に、大臣の所見を聞いて、終わりといたします。
  70. 野田毅

    野田国務大臣 住宅問題に対する小野委員の大変な熱意、私も心から敬意を表します。  国公有地の処分について、我々気持ちは通ずるところ、十分にあるわけであります。ただ、この国有地というものがどういう分布状況にあるか、やはり非常に限定されたその土地の周辺の環境、いろいろなことを念頭に置きながら、かなりケース・バイ・ケースということが大事な要素でもあるわけでありますので、なかなか画一的に処分方針を出すということが、これまた一遍政府が決めますと、ひとり歩きするものですから、そこもひとつ御事情を御理解願いたいと思います。  御意見の趣旨を十分我々も尊重して、これから処分方針を考える場合の参考に供したい、こう思っております。
  71. 小野信一

    ○小野委員 終わります。
  72. 東家嘉幸

    東家委員長 ありがとうございました。  木間章君。
  73. 木間章

    ○木間委員 この機会に、日ごろ感じておることを若干意見を交えて御質問を申し上げたいと思います。  最近、建設省国土庁の事務事業にかかわる制度で特徴的にあらわれておりますのは、特定地域といいますか特定地方自治体のみに適用される法律案がすこぶる多いという現象であります。  例えば、明日も本委員会で審議が予定されております常磐新線の法案がありますが、この種の法律案は憲法第九十五条とはどういうかかわりを持っておるのでしょうか。憲法九十五条はいかなる場合に発動されるのでしょうか。建設省のお考えをまずお尋ねしたいと思います。
  74. 望月薫雄

    ○望月政府委員 憲法九十五条、先生お話しのように、一の地方公共団体のみに適用される特別法、この場合には住民投票に付さなければならない、こういう規定があるわけでございますが、この解釈等につきましては、昭和四十六年の六十七国会で法制局長官も御答弁なされておりますけれども、あくまでも地方公共団体を対象とするものであって、特定地方公共団体の組織、運営の一般的方式あるいは機能について特別な規定を設ける、こういう法律が九十五条に該当するものとして住民投票に付さなければならない、こういうふうに理解されている次第でございます。  今御指摘のように、私どもは今般、大都市地域におきます宅地開発鉄道整備の一体的な推進に関する法律の御審議をお願い申し上げているわけでございますが、この法律につきまして申し上げさせていただきますと、これはあくまでも三大都市圏を一般的に対象とした法律であるわけでございまして、特定地方公共団体のみを対象とするものではない、これが一点でございますのが一つ。もう一つは、その法律の内容でございますけれども、これまた後ほど御審議賜るわけでございますが、必要な基本計画を策定するというようなことなどを定めているものでありまして、特定地方公共団体の組織だとか運営あるいは機能、こういったものについての特例規定を設けるものではないというふうに理解している次第でございます。  そういった意味におきまして、私どもがお願い申し上げております宅地開発鉄道整備の一体的な整備に関する法律については、この憲法九十五条に言う法律には該当しない、こう理解している次第でございます。
  75. 木間章

    ○木間委員 私は、憲法問題につきましては深い研究はもちろんしておりませんけれども、憲法は国民に対してすべからく健康で文化的な生活を保障しております。また、憲法九十五条は、地方公共団体の平等権を保障しているものでありまして、特に解説等を読みますと、不利益な取り扱いを禁じておるものでもあります。  確かに最近の建設省国土庁の事務事業の推移を見ておりますと、東京湾に橋をかけよう、これは東京都を初め、首都圏の交通緩和に役立つものでありましょうし、あるいは常磐新線をつくろう、同時に宅地開発をやろうというのはこの近くの、先ほども議論になっております住宅緩和策などなどにも大いに役立つものでありましょうし、その単独法を見る限りは、今局長がおっしゃったような意味合いを持つものでありまして、むしろプラスの要素が多かろうと思うものであります。  ところが、先ほどからも議論を続けておいでるわけでありますが、一極集中を廃止しなければならない。特に六十二年六月に国土庁が長い歳月をかけられて各省庁を督励されて、第四次全国総合開発計画をまとめられたのでありますが、ここにもいろいろ項目を追って整理されております。国土の均衡ある発展国土計画の項目があったり、多極分散型国土あるいは一極集中の是正などなどたくさんありますけれども、どうも皆さんのまとめておいでることと、日々やっておいでることと異なった結論が今日既にあらわれつつあるのではなかろうか、私はこう思えてならないわけであります。  例えば、さらに今後とも東京湾の臨海部の開発が行われていくであろうし、あるいは国鉄用地の跡地利用がどうなっていくのだろうか、あるいは都心部の弾丸道路の建設やリニアモーターカーでさらに東京を起点にして結んでいくなどなどなりますと、東京は働く職場も多いだろうし、賃金、待遇条件もすこぶるいい条件に恵まれるだろうし、住宅政策も、近郊にそういったものが配置されていきますと、東京は住みいいぞ、いよいよ一極集中がさらに加速をするのじゃないだろうか、私はこう思えて仕方がないのであります。ですから、先ほど建設大臣も胸を張っておっしゃっておいでますけれども、お隣に国土庁長官もおられますけれども、どうも皆さんの胸のうちは、一体東京をどうされようとするのか、私はどうも理解に苦しむところであります。ですから、単独の法律制度そのものはむしろ歓迎されるべき中身は持っておりますけれども、総体的に描いた場合に果たして都民に喜ばれるのかどうか、私どもの孫子の時代に、何をやってくれたんだ、そういう声すら聞こえてきそうな気がしてならぬわけであります。そうなりますと、いよいよやはりこういった制度を将来に向けてつくることがいいのかどうか。私は憲法九十五条の精神がどう生かされておるのかどうか、このことをやはり考えてみる必要があるのじゃなかろうか、実はこう考えるものであります。  そういった点で、目の前の小手先だけの問題をお互いに議論をしただけでは何にもならぬわけでありまして、もっと中期、長期の展望を持ちながら、たとえ建設行政であろうと国土行政であろうと、そのことを真剣に考えるチャンスが今来ておるのじゃないだろうか、私はこう思えて仕方がないのです。新任の建設大臣にこういったことを突然に申し上げてぶしつけでございましたけれども、私はかねがね、この建設委員会で幾つかの法案を処理をさせていただきながら、いっかこの問題に触れて皆さんと議論を交わしながら所見をお尋ねし、そして悔いのない二十一世紀を私たちは迎えたい、こう実は考えておる一人でありまして、せっかくの機会でありましたので、重ねて、今度は大臣の方から御決意のほどを、まず建設大臣の方からお願いをしたいと思います。
  76. 野田毅

    野田国務大臣 大変大所高所からの御議論、傾聴させていただきました。  確かにこういった土地住宅政策というものは非常に長期的な視点を必要とする大事なことだと思います。ただ、率直に申し上げて、既に自分なりの住宅なり宅地をもう持っているという人から見れば、新たな住宅取得の欲求の度合いというのはやや低いかもしれません。そういう意味女既に現在東京の都内で住んでおるそういった方々のニーズというよりは、まさにこれからよりゆとりのある住宅に住みかえたい、あるいは自分の持ち家を持ちたい、あるいはもう少しゆとりのある、貸し家でもいいからゆとりのあるものが欲しい、やはりこういった広範な切実な願いというものを政治というものが無視するわけにいかない。  そういった意味から、先ほど来るる御議論をちょうだいをしてきたわけでありますが、やはり政治の場、特に建設行政としては、そういう広範な住宅宅地に対する国民の要望にどうやって誠実におこたえをしていくべきか、この点はそう遠い、自然に任せていっていいようなものではない、大事な政治課題である。そういったところから、先ほど来るる申し上げましたとおり、少なくとも大都市地域においては土地の高度利用あるいは有効利用、こういったものを図りながら、そしてまた、長期的には東京への一極集中を排除して、極力日本列島全体が活性化をしてそれぞれが核になっていくような多極分散的な国土形成を図っていかなければいけない。しかし、それだけではない。やはり当面中期的に見れば、少なくとも今世紀中には何とか首都圏において緊急に必要とされる住宅宅地の供給を手当てしなければいけない。そういったところから、今お話のございました、今度宅地と鉄道と一体的に整備しようという法案を用意をしたわけでありまして、このことは必ずや地域の住民の皆さんにもいわゆる地域発展をしていくという側面において歓迎をされることではないか、そしてまた、宅地をのどから手が出るほど要望しておられる広範な皆さんにも喜んでいただけることではないか、私はこのように認識をいたしておるわけであります。
  77. 木間章

    ○木間委員 常磐新線の、そして宅地開発法案は明日また議論をいたしますから、そこに的を絞ったわけでは決してございませんで、ただでさえ過密な東京圏にさらにさまざまな手法で都市改造をやられる、それが東京を、極端な表現になってお許しをいただきたいのでありますけれども、東京解体になるのかどうか、再生になるのかどうかという問題なんですね。今までやってこられたこと、あるいはまた今それぞれがプロジェクトを考えておいでることなどを考えますと、総体的にはさらに集中がより過密になるのじゃなかろうか、こう私は考えるものです。ですから、これは建設大臣の所管よりもむしろ国土庁長官の所管じゃないだろうか、こう思っておりますけれども建設大臣は、住宅が困っておいでれば住宅を何とか安くつくろうじゃないか、こうおっしゃる向きもわからぬではありませんけれども、しからば、お隣の国土庁長官が各省庁をフルに動員して、せっかく将来展望を立てられた四全総が一体どのように生かされていくのか。そういった意味では、今度は国土庁長官のこの一極集中に対する、今後どのようにして国土の均衡ある発展を、富山県までもっと活性化をさらに進めてもらいたい、今すぐやってもらいたいとやぼなことは申しませんけれども、この東京を何とかしてほしいのですよ。そういった意味で、今こういう法律を出そうとする、あるいは東京湾横断道路をつくるときに、こういったものを将来含めていいか悪いか、その関係者に意思を問うということだってあってもいいのではなかろうか。そういった意味で、憲法九十五条の持つ精神を皆さんがどのように理解しておられるか。場合によっては住民投票があってもいいのではなかろうか。住民がイエスという道を選ばれれば、二十年先、三十年先少々混雑してでもあのとき選んだのだからというものも出てくるかもしれませんけれども、私はそういう気がしてならぬわけです。そういった意味で、ぜひこの機会に新任の国土庁長官のお気持ちなり御決意をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  78. 野中英二

    野中国務大臣 国土の高度利用、しかも均衡ある発展ということを我々は常に念じておりまして、したがって、今度の四全総におきましても、東京一極集中というものを排除して、そして多極分散をしよう、こういうのが四全総の精神でございます。この精神にのっとりまして、国土庁といたしましては中央官庁の機関を移転させていこう、七十九機関、そしてこの八月末までには移転先を決定していこう、この願いを込めて、一極集中をまず中央官庁の移転によって誘導させていく地方分散を行っていこう、こういう考え方に立っているわけでございます。したがって、私たちとしては単に、一極集中ということに重点は置いておりますが、同時に過疎地帯に対してどう均衡ある発展が遂げられるか、こういうところにも竹下内閣のふるさと創生というような問題もありまして、住民の皆さん方の御意見によって豊かなふるさとづくりをやっていこう、こういうふるさと創生、その精神を酌んで私たちはとにかく国土の均衡ある発展に資していこう、こういうふうに考えておるわけでございます。また、それに対する交通機関の対策等々、四全総のあれがございますけれども、まず基本的な問題だけを申し上げておきたい、このように思うわけでございます。
  79. 木間章

    ○木間委員 私の申し上げておる意味がなかなか両大臣に通じてないようですが、要約いたしますと、交通も通信も情報も人口も東京に集まり過ぎて、もう既にあっぷあっぷの状況なんですね。これ以上ほうっておくともう窒息しますよという状況で、何とか一極集中を排除しよう、さっきの大臣のお言葉を聞きますと、排除するのだ、こういう御決意なんです。ところが、お返事はなかなかそうはなっていないのです。ですから、この九十五条の精神はやはり私ども絶えず念頭に置きながら行政を進めていかなければならぬのではないでしょうか。そういった意味で、今後とも常に肝に銘じながら行政を執行していただきたい。両大臣にお願いをしておきたいと思います。  次に移らせていただきますが、若干予算のことについて私の見解をお示ししながら建設省のお考えもいただきたいのであります。  平成元年度の所信表明の中で、建設大臣は「建設行政基本的な使命は、住宅社会資本整備等を通じて、国土の均衡ある発展促進し、活力ある経済社会と安全で快適な国民生活実現することにあります。 建設省としては、こうした課題にこたえ、所管行政を鋭意推進しているところでありますが、内需主導型経済成長の定着を図り、豊かさを実感できる国民生活実現する」このように述べられております。文言は大変きれいでございまして、だれも異論を差し挟むわけではないのでございます。  ところが、平成元年度の予算を見ますと、新大臣の責任ではないのでございますけれども、役所の皆さんの集約の結論がそうなったのでございましょうが、国全体の予算に占める建設省の予算の位置はどうだろうか、調べてみました。一般会計総額に対しまして建設省予算は八・六%の割合ですが、昨年度は八・九%でございましたので、〇・三%の後退となっております。公共事業、例えば道路、治山治水、住宅下水道の国費分では前年度より二%アップしています。  ところが、中身をずっと調べてみますと、結果的にはここも後退をしておるのであります。御案内のとおり、本年度から消費税が導入になりまして、公共事業も聖域ではございませんで網がかかりましたので、このアップ分は全く消費税で消えていく代物であります。さらに、資材費の値上がりや人件費の増高などを勘案いたしますと国費分のマイナスは決定的でありましょうし、また、NTTタイプが入っておることも考えますと行く先が案ぜられて仕方がないのであります。また、国費がどんどん後退をしておりまして、どこでつじつまが合っておるのだろうか、つまり、財投で大幅に増加をしておるということであります。  この財投の推移を見てみますと、十年前は国費が四七・二%に対しまして財投は五二・八%でございました。おおよそ半々ほどでしょうか。六年前は国費が急に下がっておりまして、三七・九%に対して財投は六二二%、本年度は三七・一%に対して財投は六二・九%です。本年度分は八八年、去年からNTTが入りましたので何とか五年前と変わらぬような数字にはなっておりますが、国費分の状況を見ますと寒いような気がしてなりません。やはり本来の建設行政のあり方からいって、国土庁もしかりでございますけれども、国費をもっと大幅に投入する必要があるのではなかろうか。民間活力の活用といったって、住宅を建てるにいたしましても、それぞれ財投資金を投入して、つまり国民皆さんが借金を担いで住宅を建てるわけでありますから、借金地獄にはまり込むようなやり方というのはいかがなものかと私は思えて仕方がないわけであります。そういった点でぜひこれから前向きに取り組んでいただきたい。このことに対して建設省決意をまずお伺いしておきたいと思います。
  80. 野田毅

    野田国務大臣 御指摘のとおり、確かに本年度の予算編成では国費の伸びは対前年度二%増でありまして不十分という印象が非常に強いところでありますけれども、事業費で見ますと、今お話がありましたとおり、財投資金の活用あるいはNTT株の売却収入の活用、これらの工夫を講ずることによりまして、事業費ベースでは対前年度五%増という公共事業費の確保ができたところであります。今後ともこの国費の獲得についてはさらに努力していかなければならぬと思いますし、何よりも大事なことは、この公共事業の予算の枠がどのように確保されるか、事業費をいかに確保するか、こういうことでもございます。両面において我々はさらに努力していかなければならぬ、このように思っております。
  81. 木間章

    ○木間委員 ぜひひとつ今後の皆さんの御活躍を切に期待申し上げます。お願いいたします。  次に、この機会に過疎問題について若干の御意見を申し上げながら認識をさせていただきたいと思っております。  過疎地域のほとんどは概して第一次産業を基盤として成り立ってきたと私は判断しております。今日まで、高度成長経済の過程で行政は有効な手を打たなかったために、二次産業、三次産業との間にさまざまなギャップを生じてきたと思います。さらに、交通網等の環境整備のおくれは都市部との落差が起こって、また近年では、貿易の拡大政策は食糧すら自由化を許すところとなりまして、あるいは国鉄、JRの公共輸送網の撤退、廃線が拍車をかけていったと思います。この事例は国土庁ではどのように理解されておるのでしょうか、まず認識をお示しいただきたいと思います。
  82. 森繁一

    ○森政府委員 過疎問題のよって立つゆえんにつきましてのお話がございました。  委員御案内のとおり、過疎問題は、言うならば昭和三十年代以降の日本経済の高度経済成長に伴いまして生じたもの、私どもはそういう認識をいたしておるわけでございます。それに対応するために、御案内のように昭和四十五年及び昭和五十五年の二度にわたりまして特別の法律が制定されまして、今日まで積極的に過疎対策が進められておるところでございます。ただいま委員のお話がありましたとおり、国の政策の運用によりまして過疎現象が生じた面があるということは決して否定できないことだろうと思います。  ただ、それは個々の地域を見ればある程度は当てはまると存じますけれども、全般的に申し上げますと、例えば石炭の例で申し上げますとエネルギー革命というものがございましたでしょうし、米の問題をとってみますと国民の食生活の嗜好の変化という問題もございましょうし、日本及び世界の経済社会の大きな流れが基本的なものとして底流にあるのではなかろうか、こういう考え方を持っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、過疎対策の課題といいますのは国土の均衡ある発展を図っていこうということでございますので、私ども他の地域施策と相まって効果を発揮できますよう今後とも十分努力してまいりたい、かように考えております。
  83. 木間章

    ○木間委員 今局長の方から、国の政策ともかかわっておるという認識の開陳もあったわけです。  ところが、本年五月、過疎問題懇談会の方で「これからの過疎対策について」というレポートが発表されております。私も二、三度繰り返して読ませていただいたわけでございますが、この中身にはそれらの問題については記述がございません。残念でございますけれども、ないわけです。もちろん過疎問題というのはそれだけではなくて諸条件が重なり合って起きた現象には違いないわけでございますけれども、国の政策部分的には深くかかわっておるということが言えるだろうと思うのです。北海道のある都市では炭鉱が閉山になりまして、今日ではとてもじゃないが都市要件を満たさないまでに人口が減っているという事実も皆さん篤と御存じのところであります。ですから、私は今後の過疎問題を考えるときに、そういった政策の変更抜きではあり得ぬのじゃないだろうか、こう実はしみじみ感ずる一人でございます。そういったことを十分お互いに理解をし、受けとめながら、今後の過疎対策に取り組んでいくべきだろう。  それで、その中にいま一つ問題点がございます。これを見てみますと、個性豊かな地域づくり推進するため、地方がまず知恵を出しなさい、その求めに応じ中央が支援いたします、こうなっております。確かに地方自治は、読んで字のとおり、地方地方がみずから治める、自主性を尊重されておる姿はわかります。しかし、人口の推移を見ましてでも他の地区よりも十五年も十七年も早く高齢化が進んでおる中で、知恵を出せといっても知恵の限度もありましょうし、仮にまた農業にいたしましても減反を押しつけるんじゃなくて、うちの方でむしろ一〇〇%、一二〇%農業をさせてもらいたいと言ったってなかなか中央に届かないという今の現実があろうと思うのです。それで、知恵を出しなさい、中央は援助いたしますでは、私は果たして過疎問題が進むだろうか、こういう危惧を抱かざるを得ないということでございます。こういったこともぜひ念頭に置いてお願いをしておきます。  それから、局長がおっしゃいましたように、今まで二十年進めてきました。来年三月、二十年を終わろうとしております。この二十年間の過疎対策は人口の動態と財政指数が物差しになったのでございますが、今後の対応はもっとファクターをたくさん広げて、そして中期、長期の展望を持ったものでなければならないのじゃないだろうか、こう考えるものでございますが、そういった点で人口だけとかあるいは財政力指数だけではいかぬと思いますけれども国土庁のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  84. 森繁一

    ○森政府委員 地域振興立法に大変御造詣の深い木間先生から、過疎問題の本質にかかわります三点につきましてのお話がございました。  まず第一点の、過疎問題は過疎独特の問題としてとらえないで、他の施策との関連を十分に考えて実行すべきである、こういう御意見でございます。  私ども、先ほど申し上げました点も含めまして、過疎問題は過疎単独の問題でなく、ほかの施策とあわせ協調して実施をしなければその効果は上がらない、こういうふうに認識をいたしております。過疎問題の懇談会におきましても、議論の過程では先ほど先生お示しのような議論もございました。レポートといいますか文面としては明確には載っておりませんが、議論の過程としてはそのような議論がありましたことを申し添えさせていただきたいと思います。  それから第二点の、地方は知恵を出せ、中央は支援をする、これだけでは足りないので、もっと条件の改善に重点を置くべきではないか、こういうお話でございます。  御承知のように、過去二十年間やってまいりまして、市町村を中心にいたしました基幹的公共施設の整備はかなり進んだ、こういう認識をいたしておるわけでございます。過疎の市町村の中では、その主体性あるいは創意工夫を十二分に発揮した地域づくりに取り組んでおる、そういう市町村も現に見られておるわけでございます。私どもとしましては、そういう市町村の動きというのをできるだけ支援をする。その意味過疎地域にとりまして人材の養成というのも大変な課題でありましょうし、それから知恵の出し方というのもいろいろな工夫が要るかと思いますが、そういう地方の動きというのを中央は全面的に支援をして地域活性化を図っていくというのが、この過疎懇のレポートの主要テーマになっておるわけでございます。  ただ、そうは申しましても、先ほど御指摘のとおり、過疎地域は条件面では必ずしも恵まれていない、そういうところが圧倒的に多いわけでございます。自主的な努力だけではおのずから限界があるというのも現実の問題として当然視野に入れなければいけないことだろうと思います。そのために、私ども今後過疎法が切れます本年いっぱいの間に、いろいろな関係方面とも十分相談をさせていただきながら、そういう条件の改善面での具体的な支援措置がどの程度講じることができるだろうかという点をもう一度考え直してみたい、こういうふうに思っております。  それから第三点の、過疎の基準ともいうべきお話がございました。  御案内のとおり、これまでは人口の減少率それから市町村の財政力の強さというのを基準にいたしておるわけでございます。人口の減少率について申し上げますと、旧法と申しますか、昭和四十五年の法律では五年間で一〇%以上の人口減少、それから現行法では十五年間で二〇%以上の人口減少というのが一つの物差しになっておるわけでございます。ただ、この人口の急激な減少に対処するという目的でこれまでつくられてまいりましたいわゆる両過疎法というのは、近年ではその面ではおおむね目的を達成しつつあるのではなかろうか、こういう認識が一般的でございます。といいますのは、現在過疎市町村千百五十七ございますけれども、このうち既に人口が増加に転じておりますのが二百団体ございます。逆に、五年間で一〇%という旧法の基準を使いますと、それに該当いたしますのが百七でございます。あとは微減、こういう状況でございます。  ただ、これもいろいろな分析をしてまいりますと、なかなか出ていく人が少ないために人口減少が歯どめがかかった、こう見られる向きもありますし、さらに先ほどお話にございましたように、過疎市町村は全国の十七年先を行く高齢化の地域になっておりますので、いずれそういう方々がお亡くなりになれば人口減少がまた始まってくる、こういう認識を持っておるわけでございます。その意味で、人口減少率というのも一つの視野にはしなければいけない、こう考えますが、他方、これもお話がありましたように、若年層が出ていってなかなか戻ってこない、こういう現実の姿あるいは高齢者が非常に多い、こういう姿というものも今後の基準の一つとして想定をし検討していくということが必要ではなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。  さらにまた、財政力指数につきましても、財政力の非常にいいところは一般的には過疎ではないわけでございますけれども、そういう財政力の問題も当然のことながら視野に入れて考えていかなければいけない、こう考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、こういう具体的な対象基準につきましては今後関係方面とも十分御相談しながら進めてまいりたい、かように考えております。
  85. 木間章

    ○木間委員 いずれにいたしましても、明年三月で期限切れになるわけでありまして、今政府の方でも鋭意御努力をいただいておりますし、また各党の方でも積極的に取り組んでおられます。私ども社会党でも努力をしておりますので、本年度中に成案がまとまりますように努力をいたしますので、ぜひ国土庁の方におかれましても、特に長官の方におかれましても過疎地域の実態を御賢察いただきまして、住民の皆さんが納得されるようなそういう方向でまとめ上げていくことをお互いに認識を確認し合いたいと思います。  以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  86. 東家嘉幸

    東家委員長 小林恒人君。
  87. 小林恒人

    ○小林委員 大臣におかれましては就任早々で、行政は継続するものでありますからとはいいながら、前大臣は約半年間の任期で新たにまた大臣がかわられる、こういうことでありますので、年度を通じて建設省として推し進めるべきもの、二十一世紀を前にして今後具体化をしなければならない課題等については精いっぱいの御尽力をいただきながら、私ども意見も可能量大限受け入れていただいて、立派な建設行政が進むような努力を積み上げていただくようにまず冒頭お願いを申し上げておきたいと思っております。  六十二年度に策定をされました四全総がございますけれども、多極分散型国土の形成を目標にして非常に内容の豊富なものが示されましたけれども、この四全総の中における数々の課題の中で、建設省があるいは国土庁が所管をする課題というのは大変重要な役割を果たさなければならないのだろう。実は、私は長いこと運輸委員会で交通体系を勉強してきた経過もあるだけに、四全総の中に示されたいわゆる一日交通圏というものについて大変大きな興味を持っているわけです。それと同時に、一日交通圏も大事なことでありますが、それは社会資本整備をされなければ実現しないわけでありますし、国民生活と直接かかわり合いのある事柄なだけに、高ければ利用しづらい、可能な限り低廉で一日交通圏が拡大をされていくということを望んでいるのが国民の期待なのだろうと思うわけです。そんな見地から、交通体系のあり方について、道路、鉄道、空路、海路とございますけれども建設省が所管をする部分でぜひこれだけはやりたいというものなどについてお考えがあれば、まず冒頭大臣から所見を伺っておきたいものだ、こう思います。
  88. 野田毅

    野田国務大臣 御激励ありがとうございます。やりたいことは山ほどあると思いますし、また四全総をつぶさにもう一度みずから点検をしてチェックしなければならぬと思っております。  最初に、今御指摘の中で、そういった高速交通ネットワークの形成について、私どもとしては特に高速道路網の整備ということが緊急課題でございます。この点についてはもう既に御案内のとおり、二十一世紀初頭には何とか一万四千キロの高規格幹線道路をつくりたい、こういうことを打ち出しておりまして、現在約四千五百キロ程度の整備でありますから、これはかなり本当に力を入れてやっていかないとこの目標達成はおぼつかない、そういう意識を持っております。よろしく今後とも御協力、御支援をお願い申し上げたいと思います。
  89. 小林恒人

    ○小林委員 高規格幹線道路網一万四千キロという問題について、基本的な部分でちょっと私は疑問を感じている部分もありますので、これをお伺いしておきたいと思っておりますが、今日まで進めてきた道路整備計画というものについては、その計画と実行が果たした役割というのは大変大きなものがあると思っているのです。ただ、有料である、こういったところにいささかの疑問を持ちます。  最近、雑誌を読んでおりましたら、これは有名な話ですから大臣も御案内だと思いますが、ドイツのアウトバーンのお話が出ておりまして、かつてヒトラーが失業救済で工事着工をした、東部から西部へ、南部を結ぶ大変広大な構想の中でアウトバーンが建設をされていく、戦後になって大半が高速化に対応し得るようなつくりかえをされた、こういうぐあいに記載をされているのを読んで、ここは私も一度お邪魔をした際にしみじみと感じたのですが、通行料無料、片側三車線、およそ百五、六十キロくらいで走れるすばらしい道路になっているわけですね。道路というのは社会資本としての位置づけがされているだけに、こうしたものを見るにつけ、最近は加えて西ドイツは東ドイツに経済援助という形で工事が進みつつある。こういう状況を見ますというと、我が国は何とすべてが有料なのか、こういう点で大変疑問を持たざるを得ないわけですね。これは建設委員会だけではなしに、幾つかの関連する委員会の中で高速道路料金というものについて議論されてきた経過がありますが、可能量大限早期に無料化をしていくというプログラムをどう組み立てていくかというのは大事な課題なのではないかと思いますが、いかがお考えでしょう。
  90. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、四全総で全国一日交通圏の構築ということで交通ネットワークの構想がございまして、それに基づきまして高規格幹線道路網約一万四千キロ、こういう整備をすべしというようなことがうたわれております。それを受けまして、建設省では、一万四千キロの高規格幹線道路網の構築、二十一世紀の道路整備の長期計画、こういうものをつくりまして、現在、その一環といたしまして、昭和六十三年度を初年度といたします第十次道路整備五カ年計画を推進しているところでございます。  この計画では幾つかの主要課題がございますが、中でも一番大きな柱といたしまして、高規格幹線道路網の整備、こういうものを掲げておりまして、この期間中に六千キロ、さらに二〇〇〇年には九千キロ、二十一世紀の初頭には一万四千キロ、こういう整備をしようというふうに考えております。大変残念なことに、道路整備の水準が先進諸国に比較をいたしまして大変おくれておりまして、高速道路整備が非常に急務とされているところでございます。したがいまして、この道路整備につきまして現在とられております制度道路特定財源制度、これでもって財源を確保する、一方、有料道路制度を活用いたしまして、非常な資金を要します、かつ早期に整備をしなければいけない高速道路につきまして、有料道路制度というものを活用して現在まで整備を進めてきたところでございます。  一万四千キロの中は二つに分かれておりまして、いわゆる国土開発幹線自動車道と称します高速自動車国道と一般国道等の専用道、こういうものに分かれておりますが、その高速自動車国道一万一千五百二十キロにつきまして、残念ながら現在の時点では四千四百キロ程度しかまだ供用してないのが実情でございまして、これを早期に整備する、あるいは巨大な資金を確保するという観点から有料道路制度整備を進めさせていただいておるところでございます。
  91. 小林恒人

    ○小林委員 考え方についてはわかるのです。ただ、今日まで進めてきたもの、それからこれから進めようとするもの、こういう大綱については既に示されているものがあるわけですが、この中で、この高速自動車国道の整備については全面プール制のもとで借入金によって道路をつくっていく、三十年間で償還をする。一つは、全面プール制というのは、ある意味では日本全国どこに行ってもキロ当たり単価が同じだということにつながるわけですから、このことについてとやかく言うものではありません。しかし、これからの道路整備計画の中では、必ずしも採算性という意味では、東京都内やあるいは近畿圏の高速道路と北海道のようなところと同じ密度で車が上がるかというとそういうことには相ならぬわけでありまして、そんな意味では、このプール制の維持というのはどこまで建前論が通用するのか、こういった問題があるんだと思います。  それからもう一つは、三十年間で償還するという考え方ですね。これは普通の耐久建設物の耐用年数などを考えますというと、五十年であったとしても何も不思議はないわけで、三十年に限定する必要はないのではないか。これは償還期間というのは即料金にはね返ってくるという性格を持っているだけに、ここら辺の検討はいましばらく進められるべきではないのかな、こんな気がいたしますが、ここはいかがですか。
  92. 三谷浩

    ○三谷政府委員 まず、プール制でございます。  今お話がございましたように、多極分散型国土の形成になくてはならぬ高速自動車国道を全国にわたって整備をする、考え方において、利用者に高速の交通サービス、これは速さあるいは定時で行ける、こういうようなものだと思いますが、こういうものが、利用者に等しい高速の交通サービスを提供することというのがまず目的だろうと思っております。したがいまして、高速自動車国道の利用によってその利用者が利益を享受できることが同じ条件であるということが必要ではないかというふうに考えております。昭和四十七年以降そういう考え方のもとに、道路審議会等の議論も踏まえまして有料制をもって整備をしております現在の高速自動車国道については、料金の額、それから徴収期間に全体として一貫性を持たして、どの高速道路を利用しても同じ水準の料金で利用できるというようなことでプール制を採用しておるわけでございます。  ただ、御指摘のように、非常に採算の悪い、あるいはそういうようなことが入ってきたときにどうなるんだ、こういう御指摘もございます。それにつきましては、実は高速自動車国道の整備が今縦貫道から横断道路というふうにどんどん進んできております。当然ながら、縦貫道に比較をいたしまして横断道路でございますと交通量もある程度少ない場合もある、それから、構造物等が多くてどうしても工事費等が余計かかる、こういうも  のがございます。したがいまして、そういうものを整備する際には国費で助成をいたしまして、なるべくそういうものについては採算性を確保するために資金コストを下げてやる、こういう仕組みを今とっております。具体的には横断道につきまして資金コストを三%まで下げるような国費を入れております。  さらに、新しく整備をする、こういう路線を入れる場合、プールに編入する場合は、一定の条件のもとでしか入れないようにしております。それはどういうことかと申しますと、やや専門的でございますけれども、その路線またはその区間の内部補助の額が料金収入と国費とを合わせた額を超えないように配慮している。つまりどういうことかと申しますと、非常に採算性のいいところからお金を動かすのをある程度、例えば自分で稼ぐ量あるいは国費の額、それ以上にもらうのが多いのは、もっとほかのことを考えて整備手法を考えていったらどうだというようなことで、やはりプールに入れていく場合もそういうことを考えながらという整備手法で現在まで整備しているところでございます。  いずれにいたしましても、プール制の制度は、先ほどお話がございましたようにいろいろな御意見もございますけれども、全国民が等しい交通サービスを享受できるという観点からやはり当面続けていく手段ではないかというふうに考えております。  一方、有料道路でございますから償還期間の問題がございます。現在はその償還期間について三十年という考え方をしております。三十年という考え方をどうやって決めたかということでございますが、これは有料道路でございますから、普通の民間会社と同じように、例えば交通量で料金を払ってそして償還をしていくというようなことで償還の計画をつくります。そうしますと、その計画の確実度といいますか間違いなさというのはどのくらいかということで、いろいろなほかの、例えば経済社会情勢の長期の予測というものがどのくらいで行われているか、例えば四全総等については十五年というような考え方もあろうかと思いますし、そういうようなことを考えますとおおむね三十年程度が限度ではなかろうか。延ばせば延ばすほど、御指摘のように値段の問題に効いてくる場合もありますけれども、それと同時に交通量の変動とか、あるいはその間の物価の経済情勢、こういうものが変わっていきますと非常に影響が大きくなる、つまりいろいろな問題が起こる可能性も多くなるというようなことで、総合的に三十年ということを考えております。なお、有料道路について諸外国の例等も見ますと、三十年というようなケースが非常に多うございます。  いずれにしましても、これを今直ちに延長するというようなことはちょっと時期尚早ではないかというふうに考えておりまして、今後の検討課題というふうに考えております。
  93. 小林恒人

    ○小林委員 別に逆らうつもりはありませんけれども、三十年間という償還期間について私はちょっとこだわっているものですからね。今幾つか羅列された要素、これはやはり道路をつくる以上はいかに国家的に政策誘導を図っていくかということがついて回らなければいけないわけであって、無原則的に道路地域陳情だけででき上がっていくという性格のものではないわけですね。そんなことを考えると、これは今の段階で時期尚早か、しからば十分に国民が納得し得るような要素が出てくるのかというと、私は非常に薄弱なものに終わっていくような気がしてならないわけです。  私は北海道ですから、北海道のことだけ言うつもりはありませんけれども、こういう図面を見ますというと、随分我が北海道は空っぽだなという感じがしないわけではないのです。用地買収費も非常に安いのにどうしてできないんだろう。札幌は北緯四十三度ぐらいですよね。地球儀を北緯四十三度くるっと回しますと、これはもう紛れもなく文化圏だと私は思っているんです。ところが、  この日本列島の中で北緯四十三度なんというのは、北国で雪が深くてしようがない、よくそんな寒いところで暮らせるものだ、こんな極論を吐く方もいらっしゃる。これは余談でありますが、ぜひ正確な意味での、日本列島総体にかかわっての国の行政というものを、四全総というもの自体が建設省国土庁、非常に大きな役割を担わなければならないという認識を持つだけに、性根を据えて考えていただく、どんな小さなことでも具体的に詰めを図っていく、こんなことが必要ではないのかなという気がしておることを申し述べておきたいと思っています。  ところで、話はちょっと変わりますが、高速自動車国道の料金改定というのが六月一日から行われました。平成元年の五月二十三日に運輸省、建設省から示された文書を読んでいて、野田建設大臣消費税にかかわっては大変な御執念で国会通過まで尽力をされたお一人でありますから、私はあえて意地悪いようですが御質問しておきたいのは、文書を見ますると「平成元年三月三十日、日本道路公団総裁から運輸大臣及び建設大臣に対して、料金改定に関する認可申請が行われた。」消費税は一体いつからやると政府は決めようとしてかかったのか、全く私にはわからない。年度末ぎりぎりいっぱいになって料金改定を提案をしてくる。かてて加えて、消費税分上乗せだけではなしにその他の項目までだんごにして乗っけてきて、今回の料金改定というのは平均でもって八・九%も引き上げをするという形になった。政府は少なくとも便乗値上げについて一切認めないぞという認識で取りかかったはずだ。いろいろ伺ってみますというと、車種区分の改定等もしたのであります、もうそろそろやらなければならない時期だったのです、こうおっしゃるが、これは紛れもなく、道路公団そのものが三月三十日に示したものは、消費税と車種区分改定とを同時進行させたにほかならない。これは明らかなんです。これは政府が、建設大臣と運輸大臣は認めたことになる。三月三十日になってこの種のものを建設、運輸に提起をしてくるということを含めて、いささかずさんな取り扱いではないかと思いますけれども建設大臣はいかがお考えですか。
  94. 三谷浩

    ○三谷政府委員 現在高速国道の整備は、先ほど申し上げましたように全国プール制あるいは有料道路制というものを活用して進めているわけでございます。今お話がございましたように、前回高速自動車国道の料金改定というものは六十年に行っておりますが、実はその後いろいろな事態の変更が行われてきております。  一つには、高速自動車国道の整備をどんどんしてまいりますものですから、ネットワークをさらに充実したいということで、六百三十三キロさらに追加をして償還対象を延ばして整備をしていきたい。それから大都市周辺の地価高騰あるいは用地費の上昇、それからいろいろなサービスの向上のために、具体的には、例えば情報提供装置の充実等々につきまして償還計画を見直さなければいけないというようなことが出てきたわけでございます。それから先ほどもお話がございましたように、これは昨年の十月でございますけれども、料金の徴収に当たりましてできるだけ利用者に対する公平を保持するという観点から道路審議会の答申が出されたわけでございます。それまで料金の車種別が三種類でございました。普通車の範囲がかなり広かったわけであります。この三種類のものを五種類に直すべきであるという提案を審議会からいただいております。それから当然ながら、四月からの消費税の問題がございました。  こういうような前提で道路公団はずっと検討してまいってきておりまして、当然ながら経費の節減をする、あるいは国費の助成、先ほど申し上げましたように、横断道路などに対する国費の助成の充実を行ってもなお不足するものについて今回料金改定を実施したものであります。  車種区分の問題についてもう少し説明をいたしますと、技術的な問題でございますが、車種区分を直すためには通行券を磁気カード化しなければ容量ができません。実はこれは十二月に全部完了いたしました。それから当然利用者に非常に負担をお願いする話でございますので、特に今回道路公団は、全国の十一カ所でハイウエー懇談会、道路モニター合同会議というものを開催いたしまして、非常に準備に時間をかけて利用者の方々のいろいろな御意見をつぶさに聞かれております。そういう結果、三月三十日に出されたわけだというふうに私ども理解しております。  私どもは、実は、申請を受けまして建設、運輸両省で今回初めて四月二十八日に公聴会を開かせていただきました。そういうことで先はどのような判断を私ども十二分に行いまして、経費が節減できないかあるいはいろいろな国費の問題がどうだろうかというようなことを考えていろいろ慎重審査した結果、逆に言いますと、今回道路公団からは九・六%というような申請が出てまいっておりますが、消費税あるいは車種間変更というものを含めまして八・九というふうに圧縮して認可をしたわけでございます。  なお、消費税が四月一日から導入されたのは御案内のとおりでございますが、ただ、四月一日に消費税の転嫁を行い今回料金をまた改正するということは、短期間に二度も料金改定を行うことはこれまた大変問題があろうというようなことで、今回六月一日に、あわせて車種間変更、消費税の転嫁それから採算性の確保のための改定、こういうもので実施したところでございます。
  95. 野田毅

    野田国務大臣 今、道路局長が申し上げたとおり、さまざまな要素ということを勘案して、平均八・九というアップ率になった、こういうことだと思っております。消費税そのことだけの云々ではない、これはもう御案内のとおりであります。
  96. 小林恒人

    ○小林委員 余り答えになりておらぬのですね。  これを認可するに当たって経費削減等具体化するために努力をさせるのだ、したがって、申請よりは少しく圧縮をしたのだぞ、そう言いながら、一方では今回の改定に当たって今後日本道路公団が努力すべき事項について、運輸省の運輸政策局長建設省道路局長から公団に対して以下の指示を行った。イ、ロ、ハ、ニとあるのです。  「イ」とは何かと言えば、「事業の効率化に一層努めること。」「ロ」は「東名・名神高速道路の拡幅やインターチェンジの改良」等々を積極的に講じていきなさい。「サービスエリア、パーキングエリアの拡張、トイレの増設」、これは経費節減とどういう関係ですか。サービスというのは、やはり避けて通れないわけでしょう。サービスというのは、料金を取る以上は避けて通ることのできない課題がこれだけは少なくともありますぞ、こういうことを明確にしているようなものなのです。だとすれば、四月一日から実施をするのだぞと決めた消費税分三%の取り扱いをどうするのかという議論と、料金を取る以上はサービスをどう取り扱うのかという問題、日本全土に高速道路網をしっかりと張りめぐらして、国民ひとしくその恩恵を享受することのできるような国土形成の一役を担っていくといったことは整合性がなければならない。今のお二方からの御答弁では、六月一日に二カ月間も延ばした理由が全く見当たらない、ずさんだと言わなければなりません。  この点については、きょうは時間がありませんから、これ以上申し上げませんけれども、せっかく公聴会までやったという熱意については、私は評価をします。ぜひこういう建設行政をやっていただきたい、こういうことは評価をしつつも、内容的には、結果的には料金が便乗して上がっただけかという不信をぬぐい去ることができなかったことにつながるわけであります。  以降、また機会を求めてこの種の質問、道路行政に限定をして論争させていただきますので、きょうはこの辺で質問を終わります。
  97. 東家嘉幸

    東家委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  98. 東家嘉幸

    東家委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大野潔君。
  99. 大野潔

    ○大野(潔)委員 建設大臣の所信表明において、活力ある都市活動を支えるため交通渋滞対策を推進する所存である、このようにその中にございますが、私もこれはもう大賛成で、渋滞というものはいろいろな意味で大変マイナス要素が大きいわけでございますので、どうかひとつ大臣は責任を持って進めていただきたいと思います。  そこで、まず首都高速道路の渋滞問題から若干お伺いしたいと思うのですが、基本的には五百円の通行料金が六百円になったということで大変不満がある。ところがなかなかこの渋滞の方が解消しない。また、ちょうだいしました「首都高速道路その現状と将来」、これを拝見しましても率直に渋滞状況について認めておられる。要するに、車の走行速度が二十キロ時以下を渋滞と規定して書かれているわけですが、確かにそのとおり。渋滞が多く発生している場所としては、四号線の三宅坂、五号線の竹橋、六号線の江戸橋インターチェンジ、また九号線の箱崎インターチェンジ、湾岸線の昭和島、それからまた横羽線の羽田トンネルの六カ所ですか、まさに慢性的で、しかもこれはだんだんひどくなっておると思うのですよ。私もちょいちょい中央高速から首都高速に入って使うことがあるのですが、たしか十年ぐらい前のときには外苑ぐらいまで来たものが、最近ではだんだんと、外苑どころじゃない、その手前でおりなければならない。三宅坂から十キロも手前の永福あたり、ひどいときには十三キロ手前の高五尺この辺でおりなければならない。むしろ一般道路を走った方が早い。こういうことで、これは不満が出るのが当然だと思うのであります。これについて大臣は、現場を御承知であるか、またどのように考えておられるか、ちょっとまずお答え願いたいと思います。
  100. 野田毅

    野田国務大臣 首都高速道路における渋滞ぶりについては、私も大野委員同様にいらいらしながら巻き込まれた被害者感覚を持った一人でありまして、痛いほど承知をいたしております。
  101. 大野潔

    ○大野(潔)委員 首都高速の歴史を振り返ってみますと、まず公団が設立されましたのは三十四年の六月、その時分には四輪車の保有台数が約百万台であったらしいですね、そのときに大体計画された。そして、その五年後、三十九年のオリンピックの年に約三十二・八キロが首都高として開通した。この時点では車もふえて約五百万台になった。  ですから、公団設立当初の計画は、延長は七十一キロですか、これを昭和四十年までに完成させよう、これが大体目標のネットワークであったらしい。ところが、これが六十三年の初めには車の保有台数が五千万台、予想をはるかに超える台数になっている。この中でも特に首都高速を利用するであろうという首都圏の東京、神奈川、千葉、埼玉、この一都三県だけでも保有台数が一千万台を超える、こういう状況になっているわけですね。しかも、首都高速の実際の利用というのは一日百万台を今超えつつある。  こういう状況で、私が申し上げたいことは、要するに計画、升が小さな升であって、こんな今日の状況を想定してなかったのではないか、そう私は考えるわけでございますが、その辺は、ここは大臣なのか事務当局なのかわかりませんが、ひとつその辺についてどのような状況になっているのか御説明を願いたいと思います。
  102. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えをいたします。首都高速の計画でございますけれども、これは東京都区部それから周辺地域におきます自動車交通の円滑化を図るために国で決定いたしました首都圏整備計画、こういうものに基づいて建設を進めているわけでございます。この計画自身は社会経済状況の変化に応じて見直しをしておりまして、昭和六十一年が一番最近の改定でございます。ただ、先生のおっしゃられるように、非常に増大をいたします交通に対して、首都高速がネットワークとして大変渋滞をもたらしているということは事実でございまして、やはり実際の交通量は首都圏の交通量の増大、それから幹線道路整備のおくれなどから計画を上回っているために、渋滞が生じているわけでございます。  なかんずく、首都高速の交通量について分析をいたしますと、今一日百万台でございます。御案内のとおり、横浜線と東京線に分かれているわけでございますが、東京線について見ますと、大体七十五万台。その七十五万台のうちの約六割が都心環状線を使っております。その六割の車のうちのさらに半分が実は都心の環状線をただ通過するだけに使っておる。言うならば、道路網の整備の観点から見ますと、環状道路整備のおくれで首都高速の一番中心の環状道路のところへ交通が殺到しておる、こういうのが現状でございます。したがいまして、渋滞対策といいますのは、いろいろな対策を私ども懸命に試みておりますけれども、長期的な計画あるいは短期的な計画、ハード計画、ソフト計画、こういうのがございましょうけれども、いずれにいたしましても、首都高速について申せば、中央環状線の完成、さらにその外側の外郭環状、首都圏中央道路、こういうような環状道路整備が最も効果的だというふうに考えております。  ただ、こういうものの整備というのは時間等が非常にかかるものですから、緊急的な対策として、局部改良であるとか、あるいは渋滞対策としてのソフト的な、利用者に情報を与える設備の拡充、あとさまざまなことについて現在懸命に試みておる段階でございます。
  103. 大野潔

    ○大野(潔)委員 まさにふだんから伺っているようなお話をまた重ねて伺ったというだけのことであって、私が心配しておることは、私どもは反対しておりますけれども、今度消費税の導入ということによって物品税がなくなってきた。そのため車が非常に買いやすくなってきた。それで、これは大変結構なことなんでしょうけれども、結局一家でもって一台ではなくて二台も三台も、いわゆる奥さんが買い物に行くための軽自動車もふえていれば、また家族そろってどこかへ出かける車と二台も持つような時代。だんだんふえる一方である。こういう環境のもとで、建設省というのはやはり先手を打った手だてをしていかなければならないのじゃないか。そうなれば、今御説明のあっただけのことではとてもとても済まないと私は思うのですよ。  そこで、私はもう少し申し上げますと、渋滞というのはもう昭和四十四年ごろから始まっちゃっているわけですから、これはもうまさにある意味では設計が、想定が余りにも小さ過ぎたというところに大きな問題があるのじゃないか。そこでこの際、思い切って現在の高速道路を二段にできれば二段にするとか、横に広げるとか、そういうことで思い切った手だてをしていかなければ間に合わないんじゃないか、そう思いますが、その辺のお考えがあるかどうか伺いたいと思います。
  104. 三谷浩

    ○三谷政府委員 現在ございます首都高速を立体化という問題でございますけれども、構造上の問題、それから環境上の問題がございます。  例えば、構造上の問題といたしますと、新しい橋脚を、従来そういう構造にしておりませんので、当然ながらそういう橋脚を建てるとしますと、そういうための用地の問題、それから構造的にそういうことができるかどうかという問題がございましょうし、それから環境上の問題がございます。これはもちろん全部というわけではございませんが、こういうデッキの上にデッキということになりますと、日照の問題あるいは騒音、排気ガス、こういうものが、大変多くの解決すべき問題がございます。一つの御提案だと思いますが、実施をすることはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。
  105. 大野潔

    ○大野(潔)委員 そうしますと、先ほど御説明あった中央環状であるとか外郭環状であるとか、それができれば、今問題になっている渋滞がほぼ緩和できる、このようにおっしゃるわけでございますか。
  106. 三谷浩

    ○三谷政府委員 いずれにしましても、東京都内で申し上げますと、放射状の道路は比較的整備されておりますが、いわゆる放射状の道路で入ってきた、あるいは出る、こういう道路についての、迂回等をさせます環状道路、こういうものが非常に整備がおくれていることは事実でございます。  目下、私どもで東京都の交通流動調査というものをやっております。六十年に、いろいろ調査をいたしますと、東京都の中では五百六十万台ぐらい一日動いておるわけでございますけれども、東京都の外から向かってくる車というのは、実は百六十万台ございます。したがいまして、環状道路整備できますと、外から来る車と中の車というのがうまく分割ができようというようなことで、先ほど申し上げましたように、大きな環状線をその外側に考えております。首都圏中央道路あるいは外郭環状道路、それから首都高速につきましていえば今の環状道路の外側の中央環状道路、こういうものでございます。  したがいまして、なかなか今苦労しておりますけれども、こういうものが整備できれば、こういうような渋滞についての問題がかなり解消するのではないか、かように考えております。
  107. 大野潔

    ○大野(潔)委員 どうも、かなり解消するのではないかというようなことで、余り自信がある公弁じゃないわけでございますが、こればかり突っ込んでいてもあれですから。  そこで、一つの緩和策としては、確かに、先ほどおっしゃっていた中央環状線、そしてまたさらには外郭環状線、こういうことになるのでしょうけれども、特に今、外郭環状線、これによって都心に入ってくる車を減らすことができる。しかしながら、対応が余りにも遅いために、結局東京から神奈川にかけて、埼玉県の方は若干それまではいいとしても、東京から神奈川へかけては、住宅密集地へ道路をつくっていこう、しかもいわゆる市民活動に必要な通常の道路ではなくて、ただ通り抜けするための高架道路である、こういうことで地元としては大変な反対運動が起きていることはもう御承知だと思うわけでございますが、一体全体こんな状況で、ただこういうものができれば緩和できるんだ、できもしない問題を挙げて、いかにもできるんだというようなことは、ちょっと私もおかしいんじゃないかと思うのですが、そういう反対の中で、こういう手だてで御協力を願いたい、このように考えておる点があるならば御説明を願いたいと思うのです。
  108. 三谷浩

    ○三谷政府委員 今、環状線のことを幾つか申し上げました。  まず、首都高速でやっております中央環状線の整備でございます。これは、全体の延長は四十六キロございまして、一昨年そのうちの二十キロについて供用をしたわけでございます。今引き続き中央環状線、板橋足立線の早期の整備を進めようとしております。  特に首都高速の板橋足立線、この早期整備を図るために、平年度の予算で下の関連街路とあわせて首都高速道路事業を早期に実施をするために、NTTの貸し付けを利用いたしまして、渋滞対策特定都市高速道路整備事業というものを創設して整備推進しようというふうに考えております。  それから、その外側の外郭環状線でございますが、これは先生御案内のとおり、ちょうど東京の中心から半径十五キロぐらい、延長が八十五キロございます。都心に集中する交通をここで分散、導入しよう、こういうものでございますが、特に先ほど申し上げました交通量の分析等から見られますような、都心に起終点を持たない交通をバイパスさせる、こういうようなことで東京都市圏の道路網体系の確立を図っておるわけでございます。  現在工事をしております関越の練馬インターから常磐道の三郷インターに至る間、この間約三十キロございますが、これについては東京都内分一・五キロを含めまして道路公団が鋭意事業をしております。かなり仕事の方は進んでおりまして、第十次道路整備五カ年計画、これは昨年度から発足させておりますが、この期間中に供用ができるというふうに考えて整備を進めております。  それから関越道の南の区間、これについては稠密な市街地を通過するところでございまして、まさにその環境に配慮した道路の構造、整備手法等につきまして現在検討を行っているところでございまして、関係機関と密接な連絡調整を図りながら調査推進を図ってまいりたい、かように考えております。  一方、市川の方についてもいろいろ関係当局とも相談をして、あるいは自治体ともいろいろ検討をしている段階でございます。
  109. 大野潔

    ○大野(潔)委員 どうも千葉、埼玉の方にウエートを置いてお答えがあって、肝心な方にちっともお答えが出ませんが、私は東京、神奈川の方の、猛烈に反対している方の地域はどうするんですかと聞いておるのです。改めて伺いますが、断念なさるのですか、それともこういう手だてで地元と折衝したい、東京、神奈川に限定してお答え願いたいと思うのです。時間がないので短目に。
  110. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  昭和四十一年に都市計画決定で四十メートルに決めまして、いろいろな構造を決めたわけでございます。その後昭和五十七年、ここにつきまして練馬の市議会議長より計画の取り扱いについて都知事に提出がありまして、関越以北と切り離していろいろ考えるというようなことでやっているわけでございます。  確かに先生の御指摘のようないろんな問題があることは事実でございます。ただ私どもも、先ほど申し上げましたように、この交通問題について、この整備が重要な意味を持っていることも事実でございます。さりとてやはり環境問題、それから今の皆様方の御理解、こういう問題がございますので、先ほど来申し上げたようなことで、具体的に一つの手だてで解決をするというわけになかなかいかないと思っております。  ただ私ども、いろいろ環境に配慮した道路の構造とか整備手法とか、こういうものについて検討をして何とか整備促進させたい、かように考えておるわけでございます。
  111. 大野潔

    ○大野(潔)委員 きっぱりわからない。いずれにしても、これは大変難しいことなんで、こういうことと言いづらい点があるのではなかろうかと推察するわけでございますが、きょうは、要するに答えづらいからそれしか言えないんだろうというふうに思いまして、その辺にしておきます。  では、その先の圏央道、これは首都高速ではないわけでございますが、圏央道もやはりその外郭環状線と同じような目的で首都高速の渋滞緩和に一役果たす、こういうことで進められるようでございますが、この進捗状況についてお聞かせ願いたいと思います。
  112. 三谷浩

    ○三谷政府委員 首都圏中央道路は、その外郭環状のさらに外側でございまして、ちょうど東京都心から半径が四、五十キロの地域を連絡する道路でございます。延長が二百七十キロございまして、高規格幹線道路網で考えておるわけでございます。こちらの方の道路は、首都圏の道路交通の円滑化を図るだけではなくて、都市構造を都心一極集中型から多核多圏域型へと誘導する上で重要な道路というふうに私ども考えておるわけでございます。  整備の中身でございますけれども、東京都内については、国道二十号線から埼玉県境に至ります二十二キロの区間につきまして環境アセスメントが実施され、この三月十三日に都市計画決定がなされたわけでございます。したがいまして今後、測量、地質調査、詳細設計等を早急に行う予定であります。  なお、当然ながら、事業の実施に当たりましては環境アセスメントの結果を踏まえまして、自然保護を初めとする環境保全の観点から必要な対策を進めていきたい、かように考えております。
  113. 大野潔

    ○大野(潔)委員 環境を破壊しないようにという御配慮をされているということでございますが、やはり反対している一番大きな理由というのは、あそこに高尾山という山があるわけですが、その自然をどうしても保護していきたい、この下へ道路を通すことによって自然破壊に結びついていくのじゃないかというのが一番大きな理由のようでございます。その辺の配慮はどうなっておられるのか、一言お答えを。
  114. 三谷浩

    ○三谷政府委員 御指摘のとおり環境アセスメントを実施いたしまして、この三月十三日に都市計画決定がなされたわけで、測量、地質調査云々ということを申し上げました。ちょうど高尾山のところについてはトンネルで私ども計画を考えております。この高尾山は、豊かな自然と野外レクリエーションの場として非常に親しまれているところでございますし、それからまたカシとかイヌブナとか、こういう植生に対する直接的な影響、こういうものはトンネルでございますので私ども影響は少ないと考えておりますけれども、工事に先立ちまして、先ほど申し上げましたように詳細な地質あるいは地下水の調査、こういうものを行いまして、さらに最適な工法を採用して、もちろん水が抜けないようにする、あるいは水枯れを防止する、それから動物もおりますので、例えばけもの道を確保する、動物の生息環境の保全にも留意してまいりたい、こういうふうに考えております。  高尾山を初めといたしますすぐれた自然環境の存する地域にあっては、環境影響評価の結果も踏まえまして、自然保護の観点から必要な対策を行っていくこととしております。もちろん専門家の意見を伺いつつ、適切な環境保全に努めてまいりたい、かように考えております。
  115. 大野潔

    ○大野(潔)委員 ぜひいろいろな研究とともに他のデータも公表して、安心できるようにしてやっていただきたいと思うのです。例えば上野の山、あそこは京成電鉄の始点でもあるし、駐車場もあるわけで、あの辺の環境がどういうふうに変化しているのか、その調査データなども示すことが大事だろう。またオーストラリアでは、国立公園の中のスキー場を、中級、上級者のために相当上の方までトンネルを掘ってスキーヤーが上がれるようにする、こういういろいろな工事をやはり自然環境を守るという立場から研究しながら進めていく、そういう問題等もあるようでございますから、そういったデータを示して、地元民が安心できるような対応をされながらぜひ進めていただきたい。  非常に短い時間でやっておるものですから次に参りますが、一般高速道路に移行してまいりますけれども、去る五月二十三日、建設、運輸両省は、六月一日から実施する消費税込みの平均八・九%値上げの高速道路料金を認可されたようでございます。これによって従来の三区分から五区分になった。そのために軽自動車やオートバイが普通車から分離されまして一三%ほど値下げになった。しかし、台数の圧倒的に多い他の乗用車、小型車、中型車その他はそれぞれ高率な値上げになっておる、こういう不満が大分あるようですけれども、これはひとつ大臣の方からこの事実をどう思われるかお答え願いたいと思います。
  116. 野田毅

    野田国務大臣 御案内のとおり今回の料金改定は、既にお話がありました車種区分の変更の問題あるいは今後予想されます全国的な高規格幹線道路、なかんずく高速道路の建設をどのように進めていくか、そういった角度から検討が既になされてまいったものでありまして、そこへ加えまして四月一日から導入されました消費税への対応、こういったことを含めて御案内のとおりの六月一日からの料金改定に踏み切った、こういう経緯であります。  道路利用者からすれば、当然値上げを避けるのが一番望ましいことだろうと思いますけれども、他方でやはり消費税への対応、あるいはただいま申し上げましたできるだけ早期に、しかもこの二十一世紀初頭には全国で一万四千キロの高速ネットワークをつくっていかなければいけない、しかも巨額の建設費用をどのように賄っていくかという角度もこれまた無視し得ないわけでありまして、そういう点で今回の料金改定についてはぜひひとつ御理解を賜りたい、このように考えております。
  117. 大野潔

    ○大野(潔)委員 今回の料金改定を前にしまして、初めてですか、公聴会を開かれたようでございますけれども、その出ました意見の大体の内容につきましてちょっと御説明願いたいと思うのです。
  118. 三谷浩

    ○三谷政府委員 三月三十日に道路公団から値上げの申請が出てまいりました。この料金改定の中身のチェック、あるいは認可に当たりまして広く利用者の御意見を聞くということで、公聴会を四月二十八日に初めての試みでございますが開催させていただいております。  二十人の公述人の方々から、賛成の立場、反対の立場から大変貴重な御意見をいただいたわけでございます。種々の御意見がございましたが、その主なものだけをちょっと紹介させていただきますと、まず料金改定そのものでございますが、賛否両論の方がいらっしゃいました。反対の方はもちろんいらっしゃいましたし、やむを得ない、あるいは条件つきでというようなことでいろいろな御意見をいただいております。  それから、先ほどちょっとお話がございましたように、今回車種区分ということで三種類の自動車の種類を五種類に分けております。したがいまして、いろいろな自動車の型式といいますか、この方々のいろいろな立場からの御意見、例えば二輪車の方々について申せばもう少し下げるべきだという御意見もございましたし、あるいは乗用車、トラックそれぞれ立場が違っておりますものですから、相異なる種々の御意見をいただいております。  それから高速道路整備のあり方でございますが、高速道路は四十七年以降プール制を採用しておりますけれども、このプール制の良否、それから国費助成の充実について、あるいは環境問題等、こういうものについても種々の御意見をいただいております。  それから道路公団の方に対しますサービスの向上の問題あるいは経営努力についても御意見をいただいたわけでございます。  運輸省と建設省はこれらの意見を踏まえまして、料金改定の利用者の負担をできるだけ軽減するために厳正な審査を行いまして、八・九%の料金改定について認可したものでございます。
  119. 大野潔

    ○大野(潔)委員 日本では高速道路、ある場合には有料道路などと言っておりますが、アメリカや西ドイツは有料道路はない、高速道路はすべて無料である、こう聞いておりますが、現状はどうなっておりますか、簡単に御説明願いたいと思います。
  120. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えします。  国によって違っております。アメリカにつきましては州際道路を含めまして八万キロのうちの約四千キロが有料道路でございます。それから、西ドイツ、イギリス、こういうものについては高速道路はすべて無料でございます。それから、フランスは高速道路のうちの七六%が有料道路、イタリアについては八六%が有料道路でございます。
  121. 大野潔

    ○大野(潔)委員 私が聞いたのはアメリカと西ドイツだったのですが、フランスその他もお答え願って大変痛み入るわけでございます。その割には中身は大分不親切でございまして、要するに、アメリカの方はガソリン税だとか日本で言う揮発油税ですか、また自動車重量税、そういったようないわゆる一般道路で使っているような予算で高速道路をつくっている、これがアメリカ型、西ドイツ型だと思うのです。それからまた、今御説明が若干あったイタリア、フランスというのは、いわゆる首都高速分は今申し上げたようなアメリカや西ドイツ型、そして都市と都市をつなぐ高速道路については民間会社に委託する、よって有料である、大体こういうやり方になっておるのじゃないか、そっちが答えないからこちらから答えておきますけれども。  そこで大臣、先ほど公聴会の話もされました。大分建設省に都合のいいような報告しかなさらなかったのじゃないかと思うのですが、もっと率直な意見というのは、マイカー利用者にとって通行料を払うのはもう限度だ、もうこの辺にしてもらいたい、これ以上ブール制を理由にして料金を上げていくのは勘弁してもらいたい、国の方で何か対策を考えてもらいたい、これが大体公聴会で一番言いたかった点ではなかろうかと私は思うわけでございますが、その点について大臣の方からお答えをいただきたいと思うのです。  というのは、もう少し申し上げますと、要するに、高速道路の計画が私のちょっと聞いた範囲では二十一世紀の初めまでに一万一千五百二十キロ整備する、これは間違いありませんか、いいですね。それで、現在完成しているのは四千四百キロで全体の完成率は約三八%である、これもこれでよろしいですか、いいですね。そうしますと、残る六二%をさらにまだつくるわけですから、そのたびに、地価が上がった、工事費が上がったということでそれを全部転嫁されたらたまったものじゃないというのが利用者の声だろうと思うのです。  そこで、これは大蔵大臣に伺うわけじゃないのでございますけれども、やはり建設大臣として大蔵省とかけ合いまして、きちっと一般財源に入っているもの、それをもうここまでくれば予想以上の車の台数の増加であるとか、そういった予想しなかった問題がふえてきておるわけですから、国費をさらに導入する、増額する、こういった交渉をなさるべきだと思うのですが、大臣、いかがなものでしょう。
  122. 野田毅

    野田国務大臣 確かに仰せのとおり道路利用者の負担増に対する懸念といいますか大きなものがあると思っております。道路整備のための財源をどのように工面するかということでもありますが、他方で、日本の場合、御指摘のとおり欧米に比べて道路整備への国家的投資のスタートが大変おくれておったということもあり、そしてまた、大変急速な経済発展に伴って早期に整備していかなければならぬ、こういう非常に切実な要請もあるわけでありまして、そういった道路財源をどのような形で国民的に御負担願うか、そういう幅広い角度から今日まで検討も加えてきたわけであります。  そうした中で、当面全国的なそういう高速交通ネットワークをどうやって形成するか、特に四全総との関係においてそういう高規格幹線道路を二十一世紀初頭には一万四千キロつくる。現在の五カ年計画においても、高速道路を現在の約四千五百から六千キロに広げていかなければならぬ、こういった当面緊急を要する課題がございます。そういった点で、どうしても建設資金の大部分をこういった形で、あるいは有料制、そしてまたそれをプール制を加味した形でお願いしていかなければならぬ。しかし、それだけでいいのかということについては、私どももこのままでいくならばやはりぐあいが悪いということで、一つは内部のさらに一層の経費の節減合理化をやっていかなければならないが、あわせてまた国費の投入割合もさらにふやしていくように我々も全力を挙げて努力をしていかなければならぬ、このように思っております。既に御案内のとおり利子の負担措置の導入を開始いたしておりますので、我々もその部分の拡大を目指して、道路財源の確保ともあわせてさらに努力を続けてまいりたいと思っております。
  123. 大野潔

    ○大野(潔)委員 ぜひ全力を挙げてやっていただきたいと思うのですが、今の御答弁の中でもう一つ加えてほしいなと思うことは、プール制にするものはその地域を幹線なら幹線に限って、枝道は含まないというふうな整理もなさるべきじゃないかと思うのですよ。はっきり言いますと、今高速道路と言えばつながっていれば全部一緒くたにしてしまってプール制の中である、こう考えておるようでございますけれども、幹線道路は幹線道路だけでプール制、これはやむを得ない部分もあると思うのですが、枝道は枝道でそれの部分における償還をする考え方、基本的な幹線なら幹線として、それをきちっとプール制ならプール制で行う、こういった整理なども加えてやるべきじゃないかと思うのです。若い大臣就任されたわけでございますから、ひとつ精力的に先陣を切ってやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  時間が非常に切迫しておりますので問題を次に移してまいりますが、今度宇野総理大臣が、国土発展をもたらすかぎの一つとして地域が主体性と責任を持って地域づくりに取り組むことが基本である、こう所信表明で述べられておるわけです。また、前内閣のふるさと創生を継承する方針を示されたようでございます。また建設大臣も、地域創生総合都市開発事業の創設と各地域活性化に意欲を示されておられる。  そこで、二、三ちょっとお尋ねしたいのですが、まず最初は、一つの市が鉄道によって分断されてしまって、そのために地域の町づくりに大きな障害となっている、こういう問題があるわけでございます。  ちょっと長話になりますが申し上げますと、東日本鉄道の中央線を例にするわけでございますが、この中央線がことしはちょうど開業百年になるのだそうです。明治二十二年、一八八九年四月に甲武鉄道として新宿−立川間が開業された。その当時は上り下りともに午前が二本、午後が二本ということで今考えるとびっくりするような状況なんですが、そんなことで地元の地主さんたちも非常に喜んで、それこそ土地買収などというのはしないでどうぞ使ってくれ、使ってくれということで、まさに民有地へその鉄道が通るというような状況でスタートしたらしい。ところが、これが鉄道自体の努力もあったのでございましょうけれどもだんだんと込んでまいりまして、今ではラッシュ時間になりますと軒並みにあかずの踏切になってしまった。ワーストワンのところは小金井街道の道路だそうでございますけれども、何と六十分のうちに五十七分間も閉まっている。あくのはたった三分間だ。これはワーストワンでございますが、そんな状況まで立ち至っている。もちろん踏切なら通ろうったって通ることができませんので、その沿線の都市が全部で六市あるのでございますが、そのためにそれは全部分断されてしまって町の発展が非常に阻害されている。もちろん中には、全部で二十五本の道路がそこを横断しているらしいのですが、そのうち七本だけは一応立体交差している。しかしながら非常に使いづらいところで立体交差になっているのですね。便利なところが全部踏切になっている。それが十八本もあるわけでございますが、これが大なり小なり、今申し上げたようにラッシュ時には数分間しかあかない、こういう状況になっている。何とかしてもらいたいという声が強いわけでございます。  そこで私たちも、何とか道路を下へくぐらすか、または鉄道を上げる以外にないだろうということで、中央線の連続立体交差を進めるべきだということで大分主張して今日までやってきたわけでございます。また建設省としても五十五年、五十六年、国から補助を行いましてその調査などをなさった。そこで、その調査結果はどういうふうになっているかお聞かせ願えますか。その辺ちょっとお伺いします。
  124. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えいたします。  昭和五十五年度、六年度の二年間にわたりまして、建設省が東京都の要望を受け入れまして調査を行いました。そのときの調査は、土地の利用状況、交通量の調査、関連の都市計画あるいは高架化すべき区間の検討等、基礎的なデータの整理を行ったものでございまして、金額は昭和五十五年度につきましては千八百万円、昭和五十六年度につきましては二千五百二十万円でございます。このデータをもとにいたしまして、現在のところ東京都及びその沿線の各地さらにはJR東日本において種々の調整行為を行っておるというふうに承知をいたしております。
  125. 大野潔

    ○大野(潔)委員 運輸省は来ていらっしゃるのかな。当時、国鉄の監督官庁である運輸省、これはどんなふうに聞いておられますか。
  126. 澤田諄

    ○澤田説明員 本調査は、三鷹−立川間十三・三キロの区間について関係する六市の市勢動向並びに鉄道沿線の現況、地域交通の状況、各市の町づくり計画などを調査し、踏切の立体化を図る連続立体交差化事業の計画原案について検討を行ったということで承知しております。
  127. 大野潔

    ○大野(潔)委員 御承知のとおり、補助金というのは二年間限度でございますので、結局調査もそんな程度でもって終わってしまったものですから、あとは都の方と国鉄の方で出し合いまして、さらに三年間約七千万円かけて調査をしているわけですね。私の仄聞しているところでは、これはやはり連続立体交差をやるべきだという方向がほぼ出たのですが、たまたまその時点で国鉄からJRに変わってきた。どうも話がもとへ戻ってしまったのではないか、こんな気がするわけでございますが、建設省はどんなふうに受けとめていらっしゃるか、それを伺いたいと思います。
  128. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 国鉄からJR東日本に変わったことに伴って、その事業が後退したということについては直接伺ってはおりません。
  129. 大野潔

    ○大野(潔)委員 運輸省はいかがですか。
  130. 澤田諄

    ○澤田説明員 本計画、調査をしましたのは三鷹−立川間の線増連続立体交差化ということでの勉強でございますが、中央線の新宿以西の輸送需要の動向はここ数年来横ばい状況であったわけですが、近年になりまして若干の増加傾向が見られております。JR東日本としては、列車本数の増発あるいは緩行線、快速線の方向別化等の計画を進めておりまして、これにより当面の輸送力は確保できるのではないかと考えてはおります。したがいまして、いわゆる三鷹−立川間の線路増設ということについては長期的な課題というふうには考えております。しかしながら、踏切の交通渋滞問題ということもございます。列車本数もふえるということもございます。したがいまして、それらを勘案いたしますと、三鷹−立川間の線増連続立交というものを一気に今すぐ進めることは困難でありますが、当面踏切の対策ということも図るべく段階的な整備について現在検討しておると聞いております。
  131. 大野潔

    ○大野(潔)委員 実は私も立川からそのJRを利用して国会に来させていただいているわけでございまして、本数もふえたしスピードアップもされた、大変感謝しているのですが、その分だけ地域では先ほどから申し上げているように踏切があかなくなってしまったり、それによって同じ一つの市が線路によって分断されて非常に発展の阻害になっている、こういう現実があることは間違いないわけです。  そこで、こういう問題をどう処理していったらいいのか、大臣、何とかこの辺で、急に言って申しわけないかもしらぬけれども、これは総理が言っていることと相反する状況になっているわけでございますからひとつ……。
  132. 野田毅

    野田国務大臣 これはなかなか切実な問題だと率直に思いますね。ただ先ほど来、都市局長初め関係の方から答弁しておりますけれども、連続立体化の事業そのものはやはりその地域関係者が主体的につくっていかなければならぬ計画、そういう点で東京都なりJRの方でそうした計画をきちんとつくっていただく、それを国の方がバックアップして支援をしていく、そういう枠組みになっているものですから、我々、住民の立場になって考えるとなるほどこれは放置はできない、率直にそのように思いますが、手順といいますか手続的な部分も実はありますので、現在の枠組みを飛び越えてどうのというのはいささか国としても出過ぎなのかなと思います。しかし私どもは、現在関係者で意見調整を進めておられる、こういうことでありますので、できるだけ早期にそれらについての具体的な計画が上がってくることを期待をしておる段階でございます。
  133. 大野潔

    ○大野(潔)委員 いきなりそちらへ質問したのでそんな程度しか物を言えないのじゃないかと思うのですが、いずれにしても総理が町づくりについて述べておられるわけでございますから、ひとつ運輸省におかれましてもしっかり監督して進めていただきたいと要望しておきます。  ますます時間がなくなってまいりましたが、今度は前回質問した問題についてその後どう努力されたかということについて伺うわけでございます。  前回ミニ公園について御質問いたしました。昨年の三月でございますが、当委員会で私が、政府が進めようとしているふるさと創生論に逆行する問題があるということで質問したわけでございますが、一つは市や町で地主から土地を借り上げてミニ公園それからまたスポーツ広場、このように活用している。あとは固定資産税の免税とか、また中には無償で借用しまして行っている。ところが、これが相続税の問題で返還要求されている。要するに、地目からいえば公園であるとかスポーツ広場などというものは雑種地になる。雑種地は結局相続のときには宅地並みになる。そのために結局それを返還を求めて、そこへ果物がなるような木を植えたり菜っぱを植えたり、そういうことで農地でございますということにすれば、これが相続の場合にはいわゆる農地並みになるということで返還要求している。これは決してばかにならないような数字でございまして、昨年までの三年間で東京ドームの十個分くらい、東方都の市だけでそれほど大きな面積が返還要求を受けて農地化されている。こういうことで、これは大変な問題だ、ふるさと創生に逆行する問題だということで御質問申し上げた。  そのときに越智建設大臣は、利用している雑種地、特にミニ公園などに利用している場合は十分検討してまいりたい、このように答弁されたわけでございますが、一年たちました今日どのような方向になっているのか、お答えを願いたいと思います。
  134. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えをいたします。  いわゆる借り上げ公園で地主から相続対策として返還要求が出てきて困っているという実情はそのとおりでございまして、その後私どもで実態を調査いたしました結果、大体これには二種類ございまして、借り上げている土地を都市計画法上の都市公園として設置管理している、相当永続的に使われることが担保されているというものと、それからスポーツ広場等で地方公共団体との間の短期契約によって開設されているものがございまして、地主からの返還要求が多く、そのために非常に困っているというのはどちらかというとスポーツ広場の場合でございます。都市公園の場合でございますと、順次所有権の移転を行う等のことで存続に努めているところでございますが、短期契約のものにつきましてはなかなかそういう御理解を得がたいという実情がございますので、都市公園化をすることが適切なものについては、用地を積極的に取得して、都市公園としての永続性が担保されますように、公共団体に対して指導をしているところでございますが、なお一層この対策について検討を進めてまいりたいというところでございます。
  135. 大野潔

    ○大野(潔)委員 どうも余り明快に進んでいないような気がしますので、もう一度税制面その他について大蔵省とも十分検討していただくよう、またいずれ結果について伺いますのでよろしくお願いします。  もう一つ伺いますが、今度は保存指定樹木。この問題も前回一年前に取り上げましたので、この結果を伺いたいのでございますが、これは部かの青梅街道や五日市街道のわきに百年を超したと思うような直径一メーター以上のケヤキが何本も残っている。ところが、この十年間でその数が半分に減ってしまったという。その理由は何かといいますと、今のお話とちょっと似ているのですが、木が植わっている部分が私有地、いわゆる雑種地、そのために相続税絡みの問題が発生して、結局その木を切り倒して畑にする、農地にする、そういう事情のようなのです。  この問題につきまして、地元ではあと十年もすればこういう貴重な木がなくなってしまうのじゃないか、このように各市長がそれぞれ心配しながらはらはらしている。もちろん市でもほうっておるわけじゃないのです。市の方では一年間三千円なら三千円くらいの補助金を出して守る。ところが、五年ごとの契約になっているわけでございますから、五年たってどうしますかと聞くと、いやもうそろそろ切らせてもらいますと言われれば公的にはそれを阻止する方法はない。結局地主さんの好きなようにさせる以外にない。こういうことでだんだん減っているというのが現況でございまして、前回も詳しく申し上げました。  そのときの越智建設大臣の答弁は、市や都とよく連絡をとり保存の方法、また税制面の対応など今後大いに勉強させていただく、こういう答弁だったのですが、一年間勉強されてどんな結果が出たのか、どんな方向が出たのか、しかと伺いたいと思います。
  136. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 この問題も今ほどの公園の問題と同じく悩みの大きいところでございますが、いわゆる樹木保存法につきましては、先生御承知のとおり、所有者の保存義務というものに期待しているというところでございまして、特別の行為規制ということが法律上は行われておりませんし、また地方公共団体の条例による樹木保存制度もほぼ同じ扱いになっておりまして、十分に対応し得ない状況になっていることは事実でございます。公共団体におかれましても、樹本当たりに補助金を出したりして御尽力をいただいているところでございますが、ただ全体の本数といたしましては、地域によっては随分減っているところもございましょうけれども、ここ四、五年は少しずつ保存樹林が伸びているというところでございます。私どもとしては、一本一本の木のことはなかなか難しゅうございますけれども、都市内の樹林地としてそういう一定のエリアを恒久的に保存するということに力を注いでまいりまして、一定の基準に該当する良好な樹林につきましては地権者の協力を得て買収して都市公園にするとかあるいは保存緑地として指定するとかいうようなことで、都市の環境の保全、景観の維持ということに努めてまいるようにいたしたいと考えております。
  137. 大野潔

    ○大野(潔)委員 何か、何も対策をしないでもって木が残っているみたいなお話のように承ったのですけれども、もう少し申し上げると、これは私有地とさらにまた都有地とありまして、それで玉川上水だとかそういういろいろな史跡に近いようなものがある。その辺の木は減らないのですよ、都有地や何かですから。ところが、私が問題にしているのは民有地にある、今申し上げた青梅街道とか五日市街道というのは、なぜかそういう大木が民有地側に入っているのですね。それが減っている。決してこれはずっと残っているということではないと思う。私見ていて、またあそこ減りそうだな、しばしばこれは見ているのですけれども、本当に悲しい思いで見ているわけでございまして、もう少し明快にこういったところを税制面で、木の生えている分は農地の中でも特別な扱いをするとか、何か税制面の対応でも早急にしなければこれはもう減る一方であろう、こういうことで今お伺いをしているわけでございまして、また勉強した結果がそこにこなければならないと私は思うわけでございますが、もう一度その辺について御答弁を願いたい。
  138. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 私有財産のところに関しての保存方法というのは、議論してまいりますと、今先生お話しのような方法が一つ残っているわけでございますけれども、内部的にも実は議論をいたしておるところでございますが、これでいこうという成案を得るところまで参っておりませんが、なお一層検討を進めてまいりたいと思っております。
  139. 大野潔

    ○大野(潔)委員 新大臣がこんなことを急に聞かれてまた目を丸くされるといけないのですけれども、前回の越智大臣も非常に心配されまして、これは真剣に勉強してやらなければならぬ、こう申されておりましたので、恐らく引き継ぎを受けていらっしゃると思うのですが、突然で恐縮でございますけれども、その御決意をひとつ述べていただきたいと思います。
  140. 野田毅

    野田国務大臣 越智大臣の後、小此木大臣になりまして、その後私になったのですけれども、今御指摘の事柄は本当に我々大事にしなければならぬ部分だと思っております。これはいきなり税制という仕組みができるのかどうか、恐らく保全緑地なり何か、そういう行為規制なりそういったものがまずあって、そういう枠組みをつくる、それを受けてそこで個人の私有財産といえども自由な処分にゆだねられないそういう一つの枠組みというものが先にあって、そしてそういう規制があるから、あるいは相続税の評価の上でもその部分はどのように落とすとか、そういうような発想になってくるのかな、このようにも感じます。そういう税制上の問題のみならず、そういった大事な樹木、樹林というものをどうやって保存していくかというその仕組みをさらに勉強させていただきたいと思います。
  141. 大野潔

    ○大野(潔)委員 やはり法律はある面では大変冷たいものでございますけれども、しかし、こういった環境を守る問題というものは柔軟な対応が必要だと思いますので、十分ひとつ行政面で対応していただきたい。今大臣の御答弁大変心強く承ったわけでございますが、また次の機会に結果はどうなったかと伺いますので、御努力のほどをお願い申し上げます。  さて、同僚委員から続けていいよという御承認を得ましたので、住宅問題に移ってまいります。  所信表明に特に住宅宅地問題を強調しておられましたので大変意を強くしておりますし、また、午前中の各党の質問におきましても住宅、さらにまた宅地問題について述べておられました。その点私は先日郵政省所管の郵政研究所がこの三月に発表されたデータを見まして本当に驚いたわけでございますが、その内容というのは三千九百世帯を対象にして住宅に関する問題、これを一人一人面接しながらそのデータを出していった、こういうことでございます。  その結果として出ているのは、東京のサラリーマンは土地つきの持ち家計画を立てたくてもその実現は無理だ、こういう結論が出たという内容でありました。サラリーマンの最低の夢というものは、定年まで一生懸命頑張って子供に一定の教育を与えて独立させる、あとは老夫婦がゆっくり過ごせる自分の家を、というのが大体日本のサラリーマンの考え方であったと思うのですね。そういうささやかな願いが無理な時代になってしまったというのは重大な問題じゃないか。一方では経済大国日本、こう言われていながら、国民の大多数を占めるサラリーマンの夢がとても不可能だ、こういう状態というのは私は大変悲しいと思うわけでございますが、大臣から、サラリーマンよ夢を抱け、こういう力強いお声をお聞かせいただきたいと思いますが、いかがですか。
  142. 野田毅

    野田国務大臣 現在、特に大都市圏においてサラリーマンからする持ち家の取得というものが非常に困難になりつつあるということはまことに憂うべき事柄であると思いますし、ただいま大野委員御指摘のとおりの認識をいたしております。今日まで建設省も五カ年計画に基づきそれぞれ所要の整備を進めてきておりますものの、まだまだ十分にニーズに即応し切れていないわけでございます。  そこで今回、まずそのもとになります地価といいますか宅地の供給、これをどのように促進するか、こういうことでありまして、御案内のとおり、より長期的な視点で言えば、少なくとも東京への一極集中ということを極力避け、そして国土の均衡ある発展といいますか、地域活性化に資するためにも多極分散的な国土形成を図っていかなければならぬ。そういった意味での高速交通ネットワーク網の早期完成ということは、これはやはり大枠としての大事な問題であると思いますし、中期的には少なくとも今世紀末、当面この首都圏において需要の見込まれます多くの宅地の供給について、今回国会に御提案を申し上げております宅地と鉄道とを一体化した開発という手法をぜひひとつ御審議をいただきお願い申し上げて、そういった宅地供給の円滑化にも資したいし、あるいはまた都心部においては特に土地の高度利用をさらに促進していく、こういった角度から宅地に対する手当てを長期、短期あわせてやっていかなければならない。  我々、これで十分かと言われると、まだ胸をたたけるほど、あるいはまたサラリーマンの諸君よ、皆さん夢を持ちなさいと本当は言いたいところでありますが、余り大きなことを言いますと公約違反と言われますからそれ以上のことは申し上げられませんが、我々の気持ちとしては政治家としてもそういう住宅というものが心に豊かさ、ゆとりを与える非常に大事な原点なんだ、このことは肝に銘じてこれからも住宅政策推進してまいりたい、こう考えております。
  143. 大野潔

    ○大野(潔)委員 大臣から、公約違反になるといけないからなんて自信がないのでは困ってしまうのだけれども、あなたのお父さんも自治大臣をやられて、私もお父さんとおつき合いしたこともあるわけです。二代にわたってやっているのだから、もう少し自信を持って頑張ってもらいたいと思うのです。  同じような質問になってしまうかもしれませんけれども、同郵政研究所の調査内容で、借家に住んでマイホーム取得という夢を断念している数、これは全体の五三%、過半数を超えている、こういうデータがあります。その理由の第一は、土地住宅が高過ぎる、これが四〇%を超えている。これは複数の回答を得ているようでございますが、第二の理由は、資金の当てがつかないというのが三七%を超えている。これは第一の理由と裏表をなすような理由だと思うのですが、第三の理由は、将来どうなるか不明である、こういうことでございます。この第三の理由は別にいたしまして、第一、第二の理由は、サラリーマンが一生働き通し、子供を育て、貯金をし、またさらに退職金を充てても持ち家は無理だ、こういうことで断念したというわけですね。本当に私は、今も大臣から御答弁ございましたけれども、やはり何とか私たちの努力によって家が持てるようにしていきたいと思うわけでございます。  次にもう一つ、マンションの問題をちょっと伺っておきたいと思うのですが、土地つき住宅だけでなしにマンションについてもやはり大変難しくなってきている。これはまた別な大手の専門業者調査した「首都圏マンション購入者分析」という発表でございますけれども、これは東京、神奈川、千葉、埼玉、いわゆる首都圏ですね、この一都三県で八八年に新規の発売された民間マンションの購入者二千六百五十人にアンケートを出して調査した、その結果をまとめたというものでございます。その平均数値を見ると、マンションを買つた人は年齢が三十九・六歳、四人家族、年収が七百十五万円、自己資金は一千九百三十三万円、これは貯金だとか持っている不動産を処分してつくったお金ということですね。結局買った物件というものは四千三百七十九万円、こういうマンションを購入した。これは平均的な結果だそうでございます。  これを四年前の調査と比較すると、主な点を申しますと、四年前には三十歳未満が大変多かったらしい。ところが、もう三十歳未満ではとても買えない。ですから、今申し上げましたように平均が三十九・六歳と十歳もおくれて買うようになった。それだけ若い人には買いづらくなってきている。また購入価格も八九・七%も上がっているという結果が出ている。また年収比も四・九倍から六・一倍に上がっているという。自己資金も二・八倍にふえている。結局、この結果というものは、マンションを購入する夢もだんだんと厳しくなっている、こういう状況じゃないかと思うのです。これについてはいかがでございますか。
  144. 伊藤茂史

    伊藤(茂)政府委員 今マンション価格の上昇、それからそれが所得の上昇にも追いつきませんし、貯蓄のふえ方にもまた追いつかないという状況で、最近にない厳しい状況になっているということでございますが、先生今おっしゃいました調査のほかにも、いろいろな団体あるいは国の調査がございますけれども、ほぼ同じ状況にあると私どもも認識しております。
  145. 大野潔

    ○大野(潔)委員 私はただ状況を説明してくれと言っているわけではなくて、こんな状況なのにどうする気なんですかと伺っているわけでございます。その状況は私が申し上げたとおりでございますので、それに対してどのようになさるのか、夢を与える立場からお答え願いたいと思います。
  146. 伊藤茂史

    伊藤(茂)政府委員 こういう状況に至りましたのは、御案内のとおり近年の東京圏を中心とします地価高騰に起因していることはもとよりでございます。したがって、私ども住宅政策を担当している者としましては、大都市圏の居住水準がこれで相当おくれをとるということを非常に大問題だというふうに認識しております。  昨年六月に、政府としましても総合土地対策要綱というものを閣議決定しまして、土地対策を各省万般にわたって進めるということで閣議決定になっているわけでございます。その中で、住宅政策住宅五カ年計画に従って整々とやっていけ、こういうことで閣議決定となっております。したがいまして、平成元年度予算あるいは平成元年度の税制その他もろもろの制度改善におきまして、そのときどきに努力をいたしております。金融税制上の措置を拡充する、そういうことによりまして住宅取得能力ができるだけ価格の上昇に追いつく努力をする、これはなかなか一年でさっと追いつくというわけにはいきませんけれども、毎年毎年努力をしていきたいということでございます。と同時に、公団でありますとか公社でありますとか公営でありますとか、そういう公共主体による良質な住宅供給にも努力をするということでございます。  それにしましても、東京圏におきます住宅取得状況というのは先生御指摘のとおり非常に厳しゅうございますので、現行の施策のままで格段の努力をしましてもなかなか先が見えてこないというところがございます。そういうことから、一層の促進を図るということで、現在、住宅宅地審議会で次の五カ年計画の御審議をいただいておりますけれども大都市圏につきましては若干日程を早めて、今の政策にプラスして何かいい知恵はないかということで御審議をいただいております。その中には住宅供給促進の方策あるいは宅地の計画的な供給促進の方策、そういうものが織り込まれる予定になっております。できるだけ早い時期にこの審議の結果、御意見をいただいて、来年におきますいろいろな施策の展開にまた一層の努力をいたしたいというふうに考えております。
  147. 大野潔

    ○大野(潔)委員 中身的には教科書的なものを伺ったような気さえするのでございますが、いずれにしても本気になって取り組んでいただきたいと思うのです。物の価格は需要と供給の関係で決まる。別に私は今、大臣建設省に向かって経済学を説法する気は全くございませんけれども、ある外国の方の木に、「土地の利用度を抑えていくというのが、今の日本の土地政策ですね。例えば土地の容積率でも、うんと低く抑えるようなことをやって、土地がない、住宅地がないと騒いでいる。その一方で農地のあいている分はお金を払って、お米をつくらせないようにしているんですから、こんな矛盾したことがありますか。」こういうふうに書いているわけですね。  もちろん私は住宅地と田んぼをイコールだとは思っておりません。しかしながら、日本の国土は七割が山なんですから、我々口氏が生活に使えるのは三割しかないわけですから、その三割をどのように有効に使っていくか、この辺に政治関係する我々の知恵を出していくところ、また行政を行っていくところがあると思うのでございます。私は、遷都論を言うつもりはありませんので、まず冒頭にお断りしておきますけれども、午前中の質問の中で、官公庁の一部地方移転、その跡地利用といったことを盛んに言われておりました。これは大いにやるべきだと思うのですが、それだけではなしにもつとやるべきことがあるんじゃないか。要するに、一つは容積率の規制、これも大幅に緩和していいんじゃないかと思うのです。何となく駅なら駅を基準にしてだんだんに率を下げていく、何かの一つ覚えみたいに全く同じようなことをやっている。これももう一度基本的に研究し直していくべきじゃないか。それが供給量をふやす一つの手だてだと思うわけです。さらには、時限立法でもいいから税金の特例をつくって、市街化区域内の農地を宅地にして放出させる、そういう思い切った手だても必要だと思うのです。まあこれは永久的にやることは大蔵省も反対でしょうけれども、二年なら二年、三年なら三年と限定して思い切ってやるべきだ。そうやれば供給量も相当ふえてくる。また、若干意味が違ってきますけれども、農家が良好な貸し家を建てた場合には一代に限って相続税を減免する。  このようなあらゆる手だてを、今までやったことのない手だてを思い切ってやる、こういうことによって今のこのばかげた土地の値上がりを抑えられるし、住宅の問題も相当緩和されるんじゃないか、こう思うわけでございますけれども大臣いかがでございますか。
  148. 伊藤茂史

    伊藤(茂)政府委員 先生、二つお示しいただいたのでございますが、前半の容積率の問題でお答え申し上げます。  先生お話しのとおり確かに検討すべき大きな課題だと存じます。私どもも、職住近接という形で住宅を何とか確保したい、あるいは東京の二十三区、相当な数の区が人口の減少というような事態を招いておりますので、できるだけ仕事場と住宅が近いところであって、しかも土地の高度利用を図りながらそれを確実にしていくというようなことは重要な課題であろうと思います。現行の制度から申し上げますと、一律に容積率を緩和するという形は、日本の都市の状況、つまり都市の基盤施設が非常に弱体でございますのでなかなかできないということから、現在では、住宅供給に資する良好なプロジェクト、しかも市街地環境も住宅環境もある程度確保できるというオープンスペース等を確保しながらのことでございますけれども、容積率の割り増しを行います住宅総合設計制度というのがございまして、これが相当広く使われております。こういうことで大いにやっていきたいと思っておりますが、今後は、工場跡地の未利用地の利用でありますとか、産業の構造が変わる過程でどんどんと土地の利用の転換が行われますので、そういったものを活用した再開発。昨年創設した再開発地区計画制度というのがございますが、これもこの住宅供給に活用いたしたいと考えておりまして、市街地住宅供給の促進のために積極的に利用していきたいと思っております。  先生がおっしゃいましたような全体の都市計画の中での容積率の緩和の問題というのは非常に大きな課題であろうと存じますので、若干検討には長期を要するかと思いますが、まずは現行制度をできるだけ御趣旨の方向に沿って活用いたしたい、かように存じております。
  149. 大野潔

    ○大野(潔)委員 事務当局から前向きの御答弁をちょうだいしたわけでございますけれども、やはり事務当局だけでは進まないわけでございまして、建設大臣もまた国土庁長官も長時間おつき合い願ったわけでございますので、時間が若干ございますから、それぞれ決意表明を聞かせていただいて、この次の材料にさせていただきたいと思います。  もう一度重ねて申し上げますと、何といいましても、やはり需要と供給との関係でございますから、我々としては供給量をいかにしてふやすかということをやるべきであるし、特にそれをやられるのが建設省国土庁の仕事でございますので、ひとつ御決意をお聞かせ願いたいと思います。
  150. 野田毅

    野田国務大臣 御激励を賜りまして本当にありがとうございます。  容積率の問題については、今住宅局長からお答え申し上げたとおりでありますが、住宅宅地審議会初め関係審議会にも今御検討をお願いしておりまして、この夏にでも報告が出てこようかと思いますが、特に都市地域における土地の高度利用の方策は非常に大事な視点であると我々も認識をいたしております。  それから、特に市街化農地の問題についてお触れになりましたが、私どももこれに対する取り扱い、今度の暮れに行われます税制改正作業の中で、そういった問題を含めて、土地あるいは宅地供給、いろいろな角度から、土地税制について基本的な見直しをぜひ政府としてもやりたい、このように考えております。御指摘の点を踏まえて、我々も前進できるような案をまとめていきたいと考えております。
  151. 野中英二

    野中国務大臣 大野先生の大変含蓄のあるお話を承りまして、私もうなずいておったわけでございます。どうも建設省国土庁土地と建物というのはワンパッケージになっておりまして、どっちが答弁したらいいのかわからないわけでございます。したがって、私ども土地の問題を中心にしてお答えしたいと思っておるわけでございます。  先生もおっしゃるとおり、六十二年ごろから大変土地の高騰がありまして、マンションも上がる、あるいはまた持ち家も上がるというようなことでございまして、今まで、所得と住宅の取得価格というものが四倍程度で推移しておったのでございますが、急遽七倍、持ち家の場合は七・五倍というようなことになってしまいました。その元凶が土地なんだというふうに決めつけられているわけでございますから、この土地の鎮静化、安定を図っていかなければならない。これは重大な、住宅政策とともにワンパッケージで必要なことだと私は考えておるわけでございます。  したがって我々としては、まず第一に、今度提案申し上げます土地基本法によって土地に対する国民の意識を明確にしていただきたいと思っているわけであります。いわゆる土地の公共性を認識していただきたいと思っておるわけでございまして、この土地基本法が成立いたしますれば、これを受けて各省庁の法律整備していこうというわけでございます。  したがって、今申し上げました、これは建設省の方に触れて気の毒なんですが、私の数字に誤りがなければ、山手線内の容積率を上げていきますと、今大体二・五階程度でございますから、これを五階にするとかということになれば、そこに高度利用ができる土地が生まれてくるわけであります。これは私どもの所管じゃなくて建設省ですから、まず私の方は基本法を通していただいて、それを各省庁が受けてやっていただきたい。そして、先生の言われました含蓄のある施策に対して遂行できるように努力してまいりたいと思っておるわけでございます。
  152. 大野潔

    ○大野(潔)委員 何だかおだてられたり、また力強いお言葉をいただいたり、複雑な気持ちで受けとめましたけれども、お断りしておきますけれども、私は何でもかんでも全部全国的に容積率を上げる、高層化するということを言っているわけではありません。  私も海外なんかへ参りまして、古い都市へ参りますと、その都市の形を残していこうという努力をしている姿を見ますと、本当に感銘を受けるわけですね。それから見ますと、日本の京都や奈良が果たして今のままでいいのか。非常に古い建物がある中に高層ビルが建っている。これでいいのかという点もあるわけです、今の話と矛盾する話かもしれませんが。また一方では、今も国土庁長官からもお話がありましたように、二十三区内は本当に低い建物がずっと建っている。もっとこれを高層化すれば解決するのじゃないかと思う部分もあるわけです。これはそれぞれの都道府県に任せるのじゃなくて、建設省なり国土庁がきちっとリーダーシップをとってこの点を進められて、国の整備をきちっとされていく。やはり大切な日本の国でございますので、その辺の大方針をしっかりと立てていただきたい。その点を申し上げまして、ちょっと時間が余っているようでございますが、終わらしていただきます。ありがとうございました。
  153. 東家嘉幸

  154. 滝沢幸助

    滝沢委員 委員長、御苦労さまです。発言の機会をちょうだいしましてありがとうございます。大臣初め政府委員皆さん、御苦労さまです。  さて、大変素朴な質問でありますが、そろそろ来年の予算要求ないしは予算に備えての作業が始まるときと思います。マイナスシーリングなどということが言われて久しいのでありますが、来年度の予算要求等の作業の日程とその精神と申しますか、承りたいと思います。
  155. 野田毅

    野田国務大臣 御案内のとおり、社会資本整備を長期目標に向けて着実に進めていくということは極めて大事なことでありますし、建設省所管の道路河川、公園、下水道住宅、どれをとりましてもいずれも国民の生活に極めて密着した事柄であります。また、これらの整備をやっていくことが内需主導型の経済成長を達成していくという国家的あるいは国際的命題からいっても大事なことでありますので、私どもは引き続いてこの着実、計画的な推進のために全力投球して、必要な予算措置を講ずるように努力をしてまいりたいと思っております。平成元年度予算におきましては、御案内のとおり国費の伸びは二%でありましたけれども、事業費全体で見ますと財投あるいはNTTの資金等の活用もありまして五%の事業費の増加を見たところであります。さらに来年度に向けても引き続き着実に、しかも積極的に努力をしてまいりたい、その事業の推進努力をしてまいりたい、こう思っております。
  156. 滝沢幸助

    滝沢委員 大変適切なお考えを承りました。  そこで、実は大臣おっしゃるとおり、むだはいけません。むだはいけませんけれども国民生活のために必要大切なことは大胆積極的にこれを予算化するということは、国政運営の前提かと思うわけであります。その点につきまして、何といっても道路、すべての道はローマに通ずるというのでありますが、国会なんかもいろいろと道を失って迷っているようでありますけれども、そのような意味で、我々いわば白河以北は一山三文とか言われたわけでありまして、何といっても東北という立場におりますれば、首都圏、関西方面に比して道路が悪いという認識に立っているわけであります。そのような意味で、国道昇格の認定作業、これはどのように今進んでいるものか。承ればそろそろ見直しの時期であるかと思うわけでありますが、何か福島県当局に聞きましたら、九月ごろを目途に来年以降要求していく県道の昇格の候補者を絞りたい、こういうことを言っておりまして、九つの路線について要求の準備をしていきたい、こう言っておるようであります。  実はそうした中で、県政のことで恐縮でありますが、例えば須賀川田島線というのが重要な道路としてありまして七十二・九キロ。それにまた須賀川米沢線というのがありまして、これが七十九・七キロ。そして、ちょっと大きいのでございますが、福島新発田線という新潟まで通ずるものもありまして、これが百二十二キロ。それにまた、いわき日光線、これも二県にまたがるわけでありますが、九十七・六キロ。あるいはまた喜多方湯津上線というものもございます。それらこれらあるのでございましが、いずれも福島県にとっては必要欠くべからざるもの、しかも何年いろいろな予算を要求してもなかなかよううまくいかぬというものでありますからぜひとも国道に昇格を願って、ひとつすべてにこれが改修改善を図りたい、こう申しておるのであります。  これらのいわゆる認定見直しの作業と、今申し上げましたような路線についての、これは候補者にも有力候補と泡沫候補がありまして、そういう点につきましてもお漏らしを願えれば幸いと思います。
  157. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。   一般国道の昇格いわゆる国道昇格につきまして、一番最近では昭和五十七年四月一日に八十三路線五千五百四十八キロの追加指定を行いまして、現在国道の総延長が四万四千甘七十五キロということになっております。  国道昇格に当たりましては、国道の上位といいますか上の道路、必ずしも上下というものではございませんけれども、高規格幹線道路網計画と調整をとらなければいけませんし、また現在の既存の国道網を含め全体としての国道ネットワークの再編成、こういうものについても考えていかなければなりません。さらに、その地域振興、均衡ある国土の利用、人口等々の度合い等から必要な路線を選定する必要がある、こういうふうに考えております。  そこで、全国から一般国道へ昇格する要望は現段階で実は一万キロを超えている状況でございます。今後、先般策定されました高規格幹線道路網計画を踏まえまして、先ほど申し上げましたような一般国道の整備進捗状況等も勘案しつつ国道昇格のことについて考えていきたいというふうに考えております。  なお、先ほど申し上げましたように要望路線の整備状況を示す改良率あるいは路線の重要性を示します交通量とか人口、製造出荷額等々のいろいろな指標につきまして関係当局で調査をした後、昇格の作業、こういうことになろうかと思っております。こういうことにつきましてかなり時間もかかろうかと思っておりますので、秋以降いろいろなそういう調査について進めてまいりたいというふうに考えております。そういうことを踏まえまして、第十次道路整備五カ年計画期間の中で国道昇格の選定をしていく、かように考えております。  それから、御指摘のありました福島県からの要望路線でございますが、これは一般論でございますけれども、先ほど申し上げましたように全国の要望路線、今一万キロを超えるところが出ておりますが、こういう路線の特性等を示します社会経済指標等の調査を行いまして必要な路線を選定する必要があるわけでございますので、今お話がございました福島の路線につきましても所要の調査を行いまして、次期一般国道の追加指定の際に検討をしてまいりたい、こう考えております。
  158. 滝沢幸助

    滝沢委員 模範答弁ですが、一万キロと目される中で何キロくらいが次期に考え得るものだろうか、そしていわゆる作業日程をもう少し具体的におっしゃっていただきたいと思います。
  159. 三谷浩

    ○三谷政府委員 国道昇格の規模でございますが、先ほど申し上げましたように現在国道が四万四千キロくらいでございまして、ですから将来、長期構想として国道がどのくらいにあるかということをまずいろいろなことから検討していかなければいかぬ、こう思っております。現時点で何キロ、こういうことをはっきり申し上げるわけにいかないわけでございますけれども、昭和五十七年の国道昇格をいたしました延長は先ほど申し上げましたように五千五百四十八キロでございます。その前が、昭和五十年にやっておりますが、やはり五千八百六十七キロ、こういうような国道昇格を実際に行っております。  現時点につきまして、日程でございますが、先ほど申し上げましたように、地方主要道とかそういうようなところからの要望が多いわけでございますが、そういうものについてもまず国道としての要件、これは道路法等でも決められておりますし、またその他実態の数字、社会経済指標、こういうものをこれから秋以降調査をいたします。この調査についてはかなり時間がかかるのではないか、こう思っております。したがいまして、次の国道昇格をいつということについてはまだ明言はできないのですが、いずれにしても昨年度から発足をしております第十次道路整備五カ年計画の期間中に昇格をしたいというふうに考えております。
  160. 滝沢幸助

    滝沢委員 これはいろいろの思想もあるのですが、私生活においてもそうでありますけれども、地道に、後でよくするために今我慢して頑張るのも一つの方法です。しかし、早く思い切って直して利用しながら穴埋めをしていくということも必要でありまして、ここら辺は建設国債はいわゆる赤字国債とは違うのだという理解の原点でありまするけれども、物価指数は上がりまするし、きょう世にあるものあした必ずしもあるわけじゃありませんから、先輩方の御存命中にいい道路をつくって利用していただくことも必要と思いまするし、そういう意味では大臣、建設国債はいわゆる赤字国債、怠けたための借金とは違うのだという思想は、私は御同意いただけると思うわけであります。そうした精神に立って、積極的なる国道昇格の認定と、それに対する予算の割り振りをお願いしたいのでありますが、いかがなものでありましょう。
  161. 野田毅

    野田国務大臣 国道昇格の問題については、ただいま道路局長から申し上げましたような手順を踏みながら検討していかなければならないことだと思っております。  一方、道路整備の財源、これは幅広く社会資本整備公共事業の財源問題としての建設国債の考え方でありますが、基本的には、いわゆる俗に言う赤字国債と建設国債はおのずから違う。違うからこそ財政法の中で異なった規定がなされておるわけでありまして、そういう意味で、経常的な経費、いわゆる費消してしまう一般行政経費と、こういう社会資本に投資をしていく、こういう側面とはおのずから質の異なる部分がある。ただ、よく言われますことは、いずれも元本は償還しなければならないこと、あるいは利息がついてくること、この側面においては、これは赤字国債であれ建設国債であれ共通する部分があるわけでありまして、そういった点で昨年来、税制改革作業をいろいろやっていく中で、私ども本当にこの社会資本整備というものもまだまだ今日満足できる水準にあるとは思っておりません。この社会資本整備を何とか一刻も早く進めたい。  今、滝沢委員おっしゃいましたとおり、御年配の方の皆さん方も、元気なうちに道路が通ってほしい、これは夢だと思います。そういう夢を一刻も早く実現をしていくことは政治としても非常に大事でありますし、国土のいわゆる多極分散型の形成を図っていく、それがまた地価問題にも響いてくる。あらゆる事柄から考えても大事なことである、こう思っておりますが、そういう意味で建設国債の取り扱い、これは他方、一般財源の充実ということとあわせて私ども努力をしていかなければならない。そして、両々相まって私どもはこの社会資本整備促進にさらに力を入れていかなければならぬ。このように思っております。
  162. 滝沢幸助

    滝沢委員 大臣と全く認識が一致いたして力強く感じますが、どうかひとつ大いに頑張っていただきまして、我々の期待にこたえてちょうだいしたいと存じます。  さて、道路といえば次は河川です。しかし、私は正直言って、先ほど大臣おっしゃったとおり、世界で一、二の豊かな国と言われながらも社会資本の充実は十分とは言いにくい。しかし、その道路においてもそうなのだけれども、さらに河川というものはおくれていると私は見ているわけであります。特に中小河川です。この中小河川の改修は非常におくれておりまして、これがいわゆる災害のほとんどのもとになっております。国に何本という大きな川のはんらんは今はほとんど珍しい。いわゆる中小河川の改修の不十分なることが災害のもとになっていると見るものですから、これにひとつ大いにきめ細かい措置をお願いしたい、こういうふうに思っておるわけです。  これも県にいろいろと問い合わせましたら、何といっても会津における湯川あるいはいわきにおける鮫川、そして中通りにおける夏井川というようなもの、これは中小河川代表的なものだ、こう言っているのでありますが、どうか親切な御配慮をお願いしたいと思います。いかがなものでしょうか。
  163. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  御指摘の三つの川でございますが、まず会津若松のちょうど中心部を流れております湯川でございますが、羽越災害というものを契機にいたしまして、昭和四十二年から中小河川改修事業ということで工事をやらせていただいております。現在までに考えております仕事量の七割方を仕上げたかと思っておりますが、平成元年度、今年度につきましても年間で約四億四千万円を投入いたしまして、堤防づくりなり護岸をつくることをやっていこうと思っております。  また、いわき市の南部を流れております鮫川でございますが、これも昭和五十一年から中小河川改修事業の名のもとで工事を始めております。こちらはまだ全体の三割方しか終わっておりませんが、これも新しい年度につきましては四億四千万ほどを投入いたしまして、堤防をつくるための用地の買収とか堤防づくりをやっていこうかと考えております。  最後に中通りの夏井川でございますが、これも五十二年度からやはり中小河川改修事業という費目の中で仕事を起こしておりまして、目標に対して三割ぐらいいっておろうかと思いますが、新しい年度では九億二千万円投入いたしまして、川底の掘削でございますとか堤防づくり、護岸をやっていく予定にしております。  一生懸命やらせておりますので、よろしくお願いいたします。
  164. 滝沢幸助

    滝沢委員 これらの中小河川、またその他数々あるわけでありますが、福島県は水どころであります。したがって、水力発電のごときも全国でも屈指の量を生産しているわけであります。そのような意味では、河川に対する御投資も十分いただかなければならぬということでありますから、ひとつ大いに御努力をお願いしたいと思います。  次に国体、体育大会です。昔は国体といえば万世一系の……。今は国体といえばスポーツになりまして、これは戦後のさま変わりでありますが、いずれにしましても平成七年に第五十回の国体を福島県は約束されまして、県を挙げてこれが準備にいそしんでいるわけであります。これはひとり建設省のみならず、いわば国政の一つの大きな祭典でありますから、そういう意味では、安心して国体の準備ができまするように、一つは道路であります。そしてまた都市公園あるいはいろいろのコートとかいうものになりましょうけれども、これはいかが進められるべきものでありましょうか。これをお願いします。
  165. 野田毅

    野田国務大臣 平成七年ですか開催予定の福島国体に関連する整備でありますけれども、必要な道路などにつきましては、当然のことながら県の意向を踏まえ、そして施設計画との整合性を図りながら鋭意整備してまいりたい、そして間に合わせたいと思っております。
  166. 滝沢幸助

    滝沢委員 これは、さっき申し上げたとおり建設省だけにお願いする筋合いのものではありませんけれども、何といっても建設省さんが文部省さんをむしろ鞭撻して、こういうことを一つの——オリンピックなんかもそうですけれども、オリンピックをやることによって、オリンピックそのものもさることながら、社会資本が充実するというメリットがあるわけでありますから、そういう意味では国体も同様なことですので、国体をいわば言いがかりにして予算をたくさんちょうだいするようにひとつお願い申し上げたいと思います。  最後に、福島空港でありますが、一つ追加さしていただきますが、ようやく始まりまして、アクセス道路を初めいろいろと準備が進んでまいっておりますが、これが開港のときの世界経済、日本経済の状況いかんということもありまするけれども地方にとりましては大きなる夢をここに託しているわけであります。これも大体いい形でつき合っていただいているのでありますが、これに対する建設省管轄の関連した事業というものをさらにさらにひとつ促進してちょうだいしたいという考えであります。ひとつ腹蔵のない御意見を賜りたいと思います。
  167. 三谷浩

    ○三谷政府委員 道路網の整備、当然ながらいろいろな関連施設を有機的に結ぶというのが大事な仕事でございます。具体的に今先生から御指摘のございました空港計画、こういうものにつきましてもいろいろまた相談をして、関連道路整備についてもいろいろ遺漏のないようにしてまいりたい、かように考えおります。
  168. 滝沢幸助

    滝沢委員 最後の最後のような話で、答弁を短くしていただくとこちらの話も先に進みますけれども、雪害ですね。雪国に対する施策、これは建設省という立場に立てばスノーシェッドとかいろいろあるわけであります。あるいはまた雪害というものに対する理解は甚だ、実はこれは災害委員会で申し上げた方がいいことかしれませんけれども、いわばおくれているというふうに私は認識をいたしているわけであります。つい最近も、柳津町に訪れましたら、ここに大変危険な場所がありました。しかし、昨年雪が少なかったために融雪災害というようなことにならぬで大変困っているというふうにおっしゃっておりました。ところが、私は雪害というものに対する認識が、雪が降ったことによって施設が壊れたということだけを雪害というのではなしに、施設を壊さずに春を迎えたという努力が評価されなければ、そしてまた出費ということを評価されなければ、これは個人の生活にとっても公共の施設にとっても耐えられることではないというふうに思いますので、雪が降っても生活が脅かされないだけのいわば対策と申しまするか、これをひとつ検討してちょうだいしたい、これを政治の大きな課題として取り上げていただきたいというのは、東北、裏日本ないしは北海道等の声かと思いますので、大臣に最後に一言御決意を承って、終わりにさせていただきたいと思います。
  169. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  雪害対策でございますが、先生御指摘のように、例えば鉄道でございますとか道路とか、施設を守ることについては在来それぞれの部署の者がやってきておろうかと思いますが、おっしゃいますように総合的な施策というのがおくれていることは私どもはそのように考えます。私ども水を所管するという立場から、まだ数年前、六十年からでございますが、いろいろな雪害の中で、やはり人命を損ないます雪崩に対しましては、遅まきながら雪崩対策事業を起こさしていただいておるわけでございます。事業そのものはまだ数十億のものでございますが、特に積雪地域の県からは大変御期待をいただいておりまして、一緒に勉強しながら、できれば将来は法制度等も含めて考えようと思っておりますし、その他、流雪溝の問題とか総合的に考えることはたくさんあるように思っておりますので、省の中でもいろいろ横断的に議論を始めておるところでございます。いろいろまた御指導をいただきまして具体化していければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  170. 滝沢幸助

    滝沢委員 大変ありがとうございました。大臣、どうも御苦労さまでございました。田中議員にかわります。
  171. 東家嘉幸

    東家委員長 御苦労さまでございました。  田中慶秋君。
  172. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今、首都圏における交通渋滞というものは大変甚だしいものがありまして、実はきょうも交通安全対策委員会で現場調査をしてまいりましたけれども、目的地へ行くのに大体三十分以上おくれるというのが現状であります。  そういう点で、例えば横浜新道というのが今建設省の肝いりで拡幅工事をやっているわけでありますが、御承知のように横浜新道を幾ら拡幅したところで、首都高が入り、第三が入り、あるいは一般道が入るところにトンネルがあるわけでありまして、建設省みずからそれがボトルネックなんだということを言われているぐらいです。私はこの問題について何回か質問をさせていただいたわけですけれども、少なくともこのトンネル対策をしなければ、有料道路であるけれども、現実にはもう毎日、二十四時間と言ってもいいぐらいの混雑があるわけでありますので、これらに対する対策が現実にどうなっているのかお伺いをしたいと思います。
  173. 三谷浩

    ○三谷政府委員 横浜新道のお話をする前に、若干でございますけれども渋滞対策のことについて紹介させていただきたいと思います。  確かに横浜市の幹線道路整備は大変不十分でございまして、問題でございます。特に環状道路整備が非常におくれているために、横浜市を貫通するような感じで国道一号線が、第三京浜から横浜新道というのが入っておりまして、そこに今先生のお話がございました横浜新道から第三京浜へつながっております常盤台トンネルの改良が御指摘の課題だろう、こういうように考えております。  建設省は、渋滞対策の緊急実行計画ということでアクションプログラムを昨年来つくっておりまして、その中で、個々の具体の非常に込んでいるところについて緊急的に整備をしようということで、横浜市の道路政策を解決するためにはやはりボトルネックの解消だけではなかなかいかないと思っておりますが、第三京浜の拡幅も一つの課題として懸命に取り組んでいるわけでございます。この横浜新道の六車線工事というのを今大変苦労をしながら現場では進めておりますけれども、この六車線拡幅ができれば、少なくともかなり解消ができるのではないかと考えております。三ツ沢ジャンクションヘの交通の集中を避け、この地域の渋滞を解消するためには、横浜高速二号線とか湾岸線の整備も非常に重要なのではないかと考えております。  なお、常盤台トンネルのジャンクションの中でいろいろな改良をそこだけについてやるというのは、なかなか交通がふくそうしているために、新たなトンネルをつくるというのもなかなか難しいのではないかというふうに考えております。
  174. 田中慶秋

    田中(慶)委員 この問題は前々大臣の越智大臣のときにも私は申し上げてまいりました。  局長さん、あなたは現場というものを全く認識していないからこういう答弁が出てくるのだと思います。片方を幾ら六車線にしようが、真ん戸が一車線ずつなんですから、これは子供が考えたってトンネルで交通渋滞が起こるのは当たり前のことなんです。道路関係の設計屋さんあるいは専門家に聞きましたら、これは完全なるペーパープランニングであって、設計不良ではないか、こんなふうな話まで出るぐらいの問題なんです。あなたの答弁では絶対にこれは納得できないわけです。そうでしょう。トンネルがあって、片方を幾ら六車線にしようが、逆にそれこそ六車線入ってきているのですから、それで絞られているトンネルだけが二車線なのですから、これは交通渋滞が緩和するわけがないのです。越智大臣は現場を見て、少しでも善処いたしましょう、こういう考え方で前向きに答弁されたのですよ。あなたの考え方は、今まさしくそれじゃ前向きどころか現状もよく認識されてないのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  175. 三谷浩

    ○三谷政府委員 やや個人的なことでございますけれども、この地域につきましては、私自身建設省に入りましたときに一番初めにタッチしましたトンネルがこの常盤台トンネルでございますので、現地はよく存じ上げておる次第でございます。  ただ、今先生の御指摘のように、例えば横浜新道が十万台を超す交通であるということ、これは事実でございます。その緩和策ということで、やはり横浜新道の拡幅というのは大変苦労があってもやらなければいかぬ仕事だというふうに我々も考えておりますし、当初やればもう少し簡単にできたという御指摘はあろうかと思いますけれども、そういう意味で、今二車線を三車線、往復で六車線というふうに拡幅しておるわけでございます。あわせて、やはり横浜の交通流の全体という流れでもって貫通する交通を迂回させるための湾岸道路云々、こういうものについても整備が必要であろうというふうに私は考えておったわけでございます。  なお、あわせて申し上げますと、横浜新道のところへ入っております十六号線等の取りつけの部分についてもやはりまず三車線にするということが一番大事であろうというふうに考えて、今大変苦労しながら現地で仕事を進めている、こういう状態でございます。
  176. 田中慶秋

    田中(慶)委員 苦労されている苦労話はよく理解もできますけれども、あなた、どう考えても子供でも、いいですか、六車線で来るものが真ん中で二車線に絞っていたらどうなりますか。専門家の話を聞かせていただいても、これは完全なる設計的なミスでしょうね、例えば三ツ沢ジャンクションをつくるときに今の既存のトンネルを利用しながらもう一回上の部分を抜いていくとかいろいろなことが何かできたのじゃないか、こういう話まで出ているわけです。ここでこの問題だけあなたとやりとりしてもしようがないわけですけれども、抜本的な対策をしない限り、幾らスピードを出して有料道路で来たところで、両側でここで完全にとまってしまうわけですから、やはりこの辺は謙虚に受けとめて検討していただきたい、要望しておきます。このことで幾らやってもかみ合わないといけませんから、要望しておきます。  そこで、高速湾岸道路がおかげさまで工事が進んでおりますけれども、実は金沢の埋め立てから横須賀、いいですね、わかりますね、あそこは少なくても十六号線の交通混雑対策のためにも必要なところなのです。やっと横浜と横須賀でそれぞれ縄張り争いみたいなものが解決したわけです。そうすると、これから建設省が一日も早くその具体的な計画を進めていただきたいというのが現地の声なのですけれども、これについてどのようにお考えになっていますか。すなわち三五七ですね。
  177. 三谷浩

    ○三谷政府委員 高速湾岸線の早期整備という問題だと思います。これにつきましては大変多くの要望が寄せられておりますし、現在首都公団で整備をしているわけでございます。  横浜ベイブリッジを含みます横浜高速湾岸線、これはちょうど延長が七・四キロございますけれども、これは大変いろいろ工夫をいたしまして、おかげさまで本年の九月末に開通する予定でございます。  それで、その前後でございますが、一つは東京の環状八号線から大黒埠頭まで、これは私どもは、湾岸線の三期の一部と湾岸線の四期、こう言っております。これについては沈埋の工程がございますのでなかなか大幅に短くするというわけにいかないのでございますが、いろいろ努力をいたしまして、平成六年度に供用をしたいというふうに考えております。  それから、ベイブリッジから先の部分、これは湾岸五期と言っております。これで最後、並木から横浜横須賀道路、こういう方向へ行くわけでございますけれども、これについては今用地を買収しておりますので、この早期整備を図れるよう、その用地買収を含めて努力をしたいというふうに考えております。
  178. 田中慶秋

    田中(慶)委員 その辺の努力はわかりますけれども、私の質問しているのはその部分じゃないのですよ。いいですか。今の横横に並木から取りつける部分は一生懸命頑張っていただいておりますけれども、よく質問を聞いてくださいよ。横浜の埋め立てから横須賀部、あの海の部分については、十六号線対策を考えると具体的な計画が進められていない。今まではどちらかというと横浜と横須賀の間で境界を含めていろいろな形で議論しておりましたけれども、やっと解決をしたわけですから、そういう点では、この三五七を逆に横須賀の方に取りつけをしない限り十六号線の交通対策にはならないわけでありますから、その辺はどうなっていますかという質問をしているのです。限られた時間ですから答弁の方もその辺をちゃんとしていただきたいと思います。
  179. 三谷浩

    ○三谷政府委員 二つございまして、まず……(田中(慶)委員「後の口でいいです」と呼ぶ)後のロは合意いたしておりまして、今検討しておりますので、もう少し調べさせて正確に御答弁させていただきたいと思っております。
  180. 田中慶秋

    田中(慶)委員 よく理解していないようですから、ここで答弁を求めても無理かもわかりません。ただ言えることは、十六号線対策は、あの埋め立てから横須賀のす住友浦賀ドックの方に、あの辺を含めてやっていかない限りは十六号線の交通混雑対策にならないわけですから、その辺を踏まえて計画を促進しておいていただきたい。いいですね、促進してください。  そこで大臣、実は東名も非宿に交通量が多くなって、それぞれのインターのところはいつも交通渋滞を来すというのが実態であります。東名横浜インターのところも同じような形なんですね。ですから、そういう点ではインターの改良とか、あるいは計画の中で横浜横須賀道路の上川井インターまでの二重構造といいますか、ダブルデッキといいますか、こういう計画があるというふうに承っているわけですけれども、これは大臣に、大きな問題ですから、インターの改良とかそういうことを含めての問題ですから、その辺を御認識をしていただければ、していただいていると思いますので、答弁をお願いしたいと思います。
  181. 三谷浩

    ○三谷政府委員 それでは、現状がかなり進んでおりますので、ちょっとそれについてだけ御説明させていただきます。  今のお話は、横浜インターから国道十六号線の保土ケ谷バイパスに直結する道路でございますが、この高架道路、これは現在事業中でございます。  確かに御指摘のとおり、横浜インターは七万四千台の交通量、それから国道十六号線は四車線で七万八千台、こういうことで大変込んでおります。ここの横浜インターと保土ケ谷バイパス上川井インターを高架で結ぶ事業、これを大和拡幅事業と言っておりますが、これは昭和六十二年度に着手をいたしまして、元年の五月に都市計画決定がなされたわけであります。用地買収は今順調に進んでおりますので、平成四年度の供用目標を掲げて鋭意進めております。
  182. 田中慶秋

    田中(慶)委員 これはいずれにしても、あの辺の渋滞というのは大変なところです。大臣もあの辺よく通ると思うのですよ。時計を見ながら大変はらはらしていらっしゃると思いますけれども、そういうことですから、今平成四年ということですが、これは本当に積極的に進めていただきたい。何か陳情みたいな要請みたいなお願いみたいなことになりますけれども、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  関連して丸子中山茅ケ崎線、保土ケ谷バイパスの話も今出ました。加えて、十六号線の梅ノ木のインター、梅ノ木の交差点ありますね。あれが、横浜のことばかり言って大変恐縮なんですけれども、何しろ一日に何十万という車が通るものですから通過車両を含めて大変な状態になっていますので、経済的に及ぼす影響、精神的に及ぼす影響も大きいわけで、やはりこういう点の改良は必要だと思うのですが、この辺についておわかりですか、梅の木も含めてお願いしたいと思います。
  183. 三谷浩

    ○三谷政府委員 国道十六号線の梅ノ木交差点の問題だと思いますが、これは確かに朝夕非常に交通がふくそうしております。一般国道が現在二車線でございますが、自動車交通量は三万一千台ということで、横浜方向、八王子方向に二キロの渋滞というのが実態でございます。これも先ほど申し上げました渋滞対策、六十三年度にいろいろ計画を固めまして平成元年度から実行しようとしております渋滞対策の一環といたしまして、この対策について対策案を見つけるべく今調査をしておるところでございます。  ただ、渋滞対策でございますから早急に緊急対策を行いたいということで、緊急に実施ができる対応策、ですから、具体的には右折車線あるいは左折車線の設置とか交差点の局部改良、こういうようなものがまずの対応策だと思いますが、これは元年度中に取りまとめたいと考えております。それで、調査でそういう結果がまとまればこれは事業を実施したい、こういうふうに考えております。
  184. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、この十六号線とか一号線とかいうところはもう大変な交通渋滞でありますので、この辺は首都圏における交通量のことを考えても整備が必要であろうと思います。  神奈川県は交通事故全国一という大変不名誉な形になっているわけでありまして、これを何とか解消する意味でいろいろな工夫をされておりますけれども、例えば踏切の立体化というのもその一つなんです。ところが、京浜急行の踏切の立体化はおかげさまで大変進んでおりますけれども、相鉄沿線の踏切の立体化、天王町駅以西、これらについてはまだまだおくれているのではないかと思っておりますけれども、この辺について、調査やあるいは進行状態がわかれば教えていただきたいと思います。
  185. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えいたします。  天王町以西での相模鉄道の連続立体でございますが、実は、あそこは幹線道路が鉄道とクロスしておらないという実情なために、私ども国庫補助事業としての連続立体交差事業は今のところ対象とはいたしておりませんが、実態は、横浜市と相鉄の間で鉄道の高架化についての話し合いが進められていると伺っております。
  186. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今都市局長が言われること、よくわかるのですけれども、御承知のように国道一号線あるいは国道だけの立体化とあるいはまた地方道あるいは市道との立体化、これは横浜市が幾ら指定都市だからといって横浜市だけにお任せしていたのではその進行状態が大変危ぶまれるわけでありまして、そういう点では、横浜は今どちらかというと京浜急行を主体的に立体化をしております。ですから、そういう点で相鉄というのは国がしりをたたきながら何とかやっていただかないと、はっきり申し上げて現実問題として国道一号線から道路はつながっているわけですから、車が全部そこに流れてくるわけですから、今のような形で、いや、国は余り関係ないのだというような形じゃなくして、協力をしていただくとか応分な形での負担とか、いろいろなことを含めてやっていただかない限り、横浜なんていつまでたったって整備はできないわけでありますから、その辺を申し上げているわけです。局長、もう一回。
  187. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 連続立体交差事業の補助につきましては、今先生御指摘のようなことが実は全国的に非常に要望の強い中で、私どもはこれまでのところは幹線道路ということが前提であると考えておりますので、これを広げていくのは率直に申しましてなかなか難しいだろう、こう思っているのでございますが、今度のこの件に関しましては、横浜市と相鉄が一生懸命御相談になっているというふうなことを伺っていますので、どんなふうになっていくのか、もう少し見守っていきたいなと思っております。
  188. 田中慶秋

    田中(慶)委員 それでは納得しないわけですよ。交通事故死は日本一になっているわけです。それというのも車の渋滞とかそういうものです。横浜市には通過車両を含めての一日の交通量というのは大体四十万台以上あるわけですから、そういう点ではあなたがおっしゃるとおり幹線道路との立体、こういう形で、それは国が何とか検討しましょう。地方道や、幹線道路じゃなくても幹線道路に近い形の中でバスが通ったりいろいろなことをしているわけですから、その認定は一つの基準として幹線道路と言われても、そこを利用される人たちは大変迷惑しているわけですし、一人の人間の命というのは大変重いと言われているわけですから、そういう点を含めて、余り今のような形じゃなくしてもっと積極的に取り組んでいただきたい。これは大臣、答弁してくれませんか。
  189. 野田毅

    野田国務大臣 地元の住民としてのニーズといいますか御要望というのは切実なものがあると承っておりました。  事柄については、先ほど局長から申し上げましたように、一応制度の枠組みとして相鉄側と特に横浜市が今御相談をされておる、こういう状況であります。したがって、その相談の結果どういう形でまとまってくるのか、そしてその中で国に対してはどこをどのようにせよとおっしゃるのか、その辺をやはり私ども見きわめつつ、十分できるだけのお手伝いをしていきたいと思っております。  先ほど来いろいろお話がありました交通渋滞、私も御指摘のいろいろな道路については、よく利用する一人でもありまして、御発言の趣旨は痛いほどよくわかります。特に横浜は交通量も多いわけでありますから、そういった点で毎日のように苦情が殺到しているであろうことは推察をいたしております。建設省も先ほど来道路局長が申しましたとおり現在一生懸命努力を続けております。単なる路線拡幅だけではなくて、バイパスをつくっていかなければならぬ、そういった意味での湾岸線の問題であるとか、いろいろなことにもあわせて努力をしてまいりたいと思っております。先ほど来の御討議を聞いておりまして、熱心なお話、傾聴いたしておりました。
  190. 田中慶秋

    田中(慶)委員 どうもありがとうございます。いずれにしても、こういう一連の首都圏の悩みというのがあるわけですから、ぜひお願い申し上げたいと思います。  そこで、都市局長に質問させていただきたいわけですけれども、実は大船駅前の西側、わかりますね、観音様側。あそこはかねてから再開発の問題とかバスターミナルの問題あるいは駅前の具体的な整備の問題、これを私は二十年来言い続けてきているわけなんです。利用者の一人というばかりではなくして、全体的な町づくり、こういうことを含めて、このことを県会のときから申し上げてまいりました。国の話だと言うから、国の話として実は水野建設大臣のときもこのことを申し上げてまいりました。前向きに検討させていただきましょうということでそれから数年たっているわけですけれども、いずれにしても、こういう問題を含めてあそこの問題に対する取り組みといいますか考え方を用かせていただきたいと思います。
  191. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えいたします。  大船駅の西口の問題、あそこは交通結節点として非常に重要な役割を担っているところでございますが、実態は、実は駅前広場が未整備であるとかいうようなことで、都市施設の整備水準がなかなか整っていないということで、駅前における広場とか街路等の総合的な整備が鎌倉市としても非常に緊急な課題として取り組まなければいけないという状況にあることは伺っております。  ただ、先生も御存じでいらっしゃると思いますけれども、柏尾川という川があったりして駅の付近の地形になかなかうまくいかないところがあって、それをどういうふうにうまく処理していくかというのが今の課題でございます。市当局においても、まだ成案は得ておりませんけれども、何とかその辺の地形条件の制約を克服するということで御努力をいただいているというふうに承っております。  私どもとしては、そういうことで市が、こういう案でどうだろうということをお持ちいただければ真剣に対応してまいりたいというふうに考えております。
  192. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしてもこの問題は、今局長が言われている河川法との問題もあるわけですけれども河川法で攻めていくと全然らちが明かない。ですから、駅前の都市整備といいますか、こんな形でやることによって、ほかにも横浜駅前西口、ここにも例があるわけでございます。その辺を踏まえて、神奈川県はすばらしい図面を  一回かいたのです。ですけれども、なかなか建設省の方がそういう点ではこの問題に消極的であったわけでございます。これはすばらしい図面ができておりますので、そのうち図面をお見せしますから、それに基づいてぜひ御検討をいただきたい、こんなふうに思います。  限られた時間でありますが、実は、御承知のように昭和四十五年六月十日、新都市計画法に基づく線引きが行われているわけでありますけれども、線引きの見直しの問題なり、あるいはまた用途の見直しの問題、特に首都圏における地価の高騰というのは著しいものがあったわけであります。そういう点を考えてみますと、用途の見直し、あるいは線引きの見直し、こういうことが言われて、あるいはまた要望が多いと思うのです。そういう点では、具体的にこのような線引きの見直しについて一部着手をされているというお話も聞いております。年内には具体的に作業にも進もうかという話も聞いております。しかしまだその辺が明確でありませんので、この線引きの見直し等について、あるいはまた用途の見直し等について考え方があったらお聞かせをいただきたい。
  193. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 初めに線引きの見直しの状況について御説明を申し上げます。  線引きにつきましては、積極的にかつ弾力的に公共団体が御尽力をいただいた結果、線引きの対象として当時挙げられております都市計画区域二百八十二区域につきまして、この平成元年三月までに二百八十区域の見直しが完了をしておるところでございまして、その結果、五十八年四月以降、その時点と比較いたしますと、住宅戸数に換算しますと、おおむね百三十万戸に相当いたしまする六万八千九百二十三ヘクタールの市街化区域が拡大したというところまで参っております。また、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県等におきましては、既に次の見直し作業に着手を始めたところでございます。  それから、用途地域でございますが、これは今各地で行われておりますが、特に東京都区部におきましては、今その一斉見直しの最終段階を迎えておりまして、今年十月を目途に作業を完了したいという予定でございまして、相当今までと違った、住宅地の供給ということを頭に置いた用途地域の塗り直しが行われるものというふうに承知をいたしております。
  194. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今の線引きの見直しは、それぞれ今行われているということでありますからそれで結構だと思うのですが、用途の問題については、やはり基準を明確にしない限り、路線の問題なり一種住専、二種住専、住居等の問題がいろいろな形で錯綜しておりますから、建設省としてその辺について明確にしておいた方がよろしいと思います。路線住居があって一種があって奥が二種なんというのはおかしなことなんですから。普通ならば反対でありますから。スタートの段階でのことでありますので、見直し作業をする段階でその辺の基準を明らかにしておいていただきたい。これは要望しておきます。  最後になりますけれども、国道一号線、横浜の戸塚の原宿の立体化は、計画決定をしておりますが、いろいろな問題があって遅々として進まない、こういう問題。あるいはまた、御承知のように横浜環状二号線の建設促進、すなわち全線供用開始がいつになっていくのか、あるいは区間的な供用開始がいつになっていくのか。その辺を時間がありませんのでまとめて御答弁をいただきたいと思います。
  195. 三谷浩

    ○三谷政府委員 それでは、道路局の方で原宿交差点の方だけをちょっと御説明させていただきます。  御案内のとおり、原宿交差点は主要地方道の原宿六ツ浦線との交差点でありますが、六万一千台の交通が現在流れておりまして、朝夕を中心に最大二キロ程度の渋滞が生じております。こういうことで、国道一号線をアンダーパス、つまり下を通ります四車線の立体交差の計画を私どもつくりまして、昭和六十三年の一月に都市計画決定をいたしました。  建設省におきましては、今地元の協議を行っておりますが、やはり生活用地の削減の問題とかあるいは生活環境の悪化、こういうようなことで反対もございます。地元の戸塚区を通じまして地元の方々に理解を求めるべくいろいろ努力をしております。やはり私どもの事業の実施の際に地元の理解を得ることが一番大事でございますので、ここはなかなか難しいところでございますが、鋭意努力をしてやっておるところでございます。
  196. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 横浜環状二号線の事業の進捗状況、供用の見通しでございますが、全長二十四・五キロのうち供用中のものが七・一キロでございまして、残り十七・四キロについては今事業が行われておる最中でございます。  今後の見通しでございますが、平成元年度末には羽沢地区の暫定供用、平成三年度においては上永谷地区の供用を行いまして、平成六年度までには全線供用すべく積極的に事業を推進することといたしております。
  197. 田中慶秋

    田中(慶)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、いずれにしても、横浜のことばかり申し上げて大変恐縮だったのですけれども、横浜というのがそういう点で大変交通渋滞やいろんな問題で悩んでおりますので、特段の取り組みをしてしただきたしということを最後にお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  198. 東家嘉幸

    東家委員長 辻第一君。
  199. 辻第一

    ○辻(第)委員 久しぶりの一般質問でございますので、いろいろとお尋ねをしたいと思います。  まず最初に国土庁長官にお尋ねをいたします。御就任早々に厳しいお尋ねをするかもわかりませんけれども、よろしくお願いしたいと思います。  国土庁は四月に一九八九年の地価公示価格を発表されました。まさに地価高騰の地方分散というような状況であります。特に大阪圏は異常に地価が上昇しております。都市別では奈良市が、住宅地で四八・七%、商業地が六一・四%、全国一の上昇率を示しております。地価上昇率第一位も奈良市学園前で八八・九%、こういうことでございます。東京圏は地価の上昇率は横ばいあるいはマイナスということでありますが、これはまさに異常な高値での安定ということであろうと思います。こういう状況の中で、大阪圏だけではありませんが、地方の地価の高騰という状況の中で、庶民の皆さん方のマイホームの夢は遠のく、また住民の皆さんやあるいは中小業者皆さん方の生活や営業に非常に影響を及ぼしてくる、また地方自治体の公共用地の取得に非常に困難を来す、こういうようないろいろと深刻な問題が起こってきているわけでございます。  こうした事態の中で、東京でのああいう経験があっていろいろ対応をとられたわけでありますが、この地方の地価の高騰ということについてはまず効き目がなかったというのが実態だと思うのですね。しかも、そういう非常に深刻な状態が起こってきているわけでありますから、これは本当に抑えなくてはならない重要な課題だと思うのです。こういう問題に対して国土庁長官としてどのようにお感じになっているのか、 一点。  それから、これまでどういうふうにやられてきてうまくいかなかったのか、これから本当に抑えるためにはどのようにしていこうと思っていらっしゃるのか、このあたりをお尋ねしたいと思います。
  200. 野中英二

    野中国務大臣 ただいま辻委員からの御質問でございますが、確かに東京圏とそれから大阪圏、特に奈良市、こういうところには格差がありまして、一般的にはかなり低い水準に奈良もあったと思うわけでございます。そういう割安感というものがあったわけでございまして、今先生もおっしゃられたとおり、平成元年住宅地の上昇率というのは四八・七、商業地域においては六一・四。東京におきましては、住宅地が六十三年が六八・六、商業地が六一・一。大阪で見ますと、住宅地が六十三年には一八・六、商業地が三七・二。こういう数字でございまして、関西の方は割安感が非常に強かった。したがって、これからの先高感というものから地価の上昇が始まってまいりまして、国土庁といたしましては、とにかく監視区域を活用して関係公共団体を指導いたしてきたところでございます。  したがいまして、奈良市に例をとりますと、奈良は六十三年の四月までは五百平米以上、こういうことでございましたけれども、本年三月に入りまして、地価上昇もにらみ合わせまして三百平米以上というふうに改めたわけでございます。今後も国土庁といたしましては一層監視区域の制度というものを活用して御期待に沿っていきたい、かように考えておるところでございます。
  201. 辻第一

    ○辻(第)委員 事態は深刻でございますので、私どもとしては規制区域の発動もというような考えもあるわけでございますが、監視区域の面積の引き下げというようなことも含めて十分な対応をしていただいて、これ以上地方に地価の高騰が広がらないようにやっていただきたい、重ねて要望いたします。  次に、建設大臣にお尋ねをいたします。  土地問題とあわせて住宅問題、けさからいろいろ貴重な御議論があったわけですが、大変重要な問題でございます。このように土地が高騰いたしますと、先ほど申しましたようにマイホームというような夢は遠ざかりますし、あるいは家賃も上がっていくということにつながってくるわけでございます。経済大国と言われながら日本の住宅事情、量的には一定の段階に達したというお話でありますが、質的に見てまいりますと、殊に大都市、大都市の周辺というのは深刻な状況であります。どうしてもここで私どもは安くて住みよいそういう公共住宅を大量に建設をされるべきだというふうに思うわけでございます。  後で述べることに関連が出てくると思うのですけれども、こういう状況ですと、民間活力なんておっしゃっていますが、そういうものじゃなしに、良質でない住居が無秩序にできてくるという状況もあるんですね。ですから、やはりそういうことも含めて、安くて住みよい、環境のよい、そのような公共住宅を大量に建設をしていただくということに、来年度の予算のそろそろ検討に入られるということでありますが、野田建設大臣はぜひ私どもの要望にこたえていただきたい。御決意のほどを伺いたいと思います。
  202. 野田毅

    野田国務大臣 御指摘のとおり、一方では平均的なサラリーマンにとっても持ち家住宅というのが夢ではないようにしなくちゃならぬ、この施策も進めてまいらなければなりませんが、同時にあわせて、御指摘のとおり住宅に困窮する低額の所得者だとかあるいは都市の勤労者、こういった方方の賃貸住宅、これの需要にもしっかりとこたえていかなければならぬと思っております。御案内のとおり、現在五カ年計画のもとで四十二万五千戸の公共賃貸住宅を供給することになっておりますので、これの着実なる実施を図ってまいりたい、こう考えております。
  203. 辻第一

    ○辻(第)委員 これまでの並びではとてもとても私どもは足りないというふうに思いますので、さらに積極的に大幅にふやしていただきたいということを重ねて要望いたします。  次に、町づくりの問題でお尋ねをしたいと思います。  中曽根内閣以来、いわゆる民活、そして規制緩和というような状況の中で、今全国的にもいろいろあろうと思いますが、奈良県はいろいろな問題が出てきておるわけでございます。  一つは、奈良市あたりの景観の問題で問題が起こってきているわけでございます。建設大臣の私的諮問機関で都市景観懇談会というのがございます。さきに「良好な都市景観の形成をめざして」と題する提言を発表されました。それの中に「今後の都市整備を進めるにあたってはその都市に住む人々がいつまでも住みたいと願うとともに、そこに住むことに誇りを持ち、またその都市を訪れる人々が魅力を感じ、国際的な評価にも値する美しく、個性豊かな都市としていくような配慮が特に必要である」、このように書いてあります。さらに、「地域の生活様式、歴史、産業活動等の総体としての地域の文化を適切に評価し、都市景観の形成に生かしていくこと等により、地域社会の活力を生み出すものとなるよう配慮することが必要である」、このようにいろいろ書いてあるわけでございます。そして、「景観形成のための土地利用の誘導として、美観地区、風致地区、地区計画、建築協定、特定街区、古都保存制度、伝統的建造物群保存地区等の制度の一層の活用を図る必要を指摘」しておられるわけでございます。  ところが、先ほど申しましたように現実は、一九八五年の行革審答申で、高度利用のための都市計画、建築規制の見直し、それは用途地域の見直しであり、容積規制の緩和であり、都市計画の見直し、こういうことを掲げているわけです。これを受けて政府は規制緩和を各自治体に通達をされた。こうした政府の動きの中で、奈良県も規制を緩和して、場所によっては現在より容積率のより大きい、より高い建物を建てることを意図したわけでございます。これまで最高二十五メートルだったものを最高四十メートルにしよう、塔屋を含めますと五十二メートルまでの高層建築物が建てられることになるわけであります。これまでに比べますと非常に高くなるわけです。こうなりますと古い都でございました奈良の景観はまさに破壊をされると言って言い過ぎでない状況になろうと私は思うわけでございます。  古い歌にいろいろとあるわけでありますが、奈良の都というのは日本の心のふるさとと言われてきているわけでございます。そういう状況の中で、事態を憂慮した学者、文化人四十八人の呼びかけによって、古都奈良の景観保全を考える会が結成され、外国人を含む広範な人々による署名活動が展開されました。また、同様な趣旨で新聞社のシンポジウムも開かれる、こういうことがありました。今や古都の景観を守れという世論は、思想、信条を超えて、階層を超えて、国籍の違いを超えて共通の声となっているというのが現状でございます。  ここで、日本歴史にとってかけがえのない古都の町並みと景観を破壊する、そういうことではなしに、本当に規制をもとどおりに戻していただいて、この奈良のすばらしい景観を守っていただきたい、それはまさに国家百年の計であろうと思うわけでございます。そういう点について建設大臣の御見解を伺いたいと思います。
  204. 野田毅

    野田国務大臣 奈良というのは我々日本人全体にとっての大事な古都でありますし、その景観を守っていくということは大変大事なことだ、これは私どももそのように思います。  ただ、いわゆる規制緩和ということについては、これは全国的なレベルの問題であろうと思いますが、一方でやはり都心としてどうやって整備していくか、これは午前以来のいろいろな御議論がございましたように、やはり高さ制限ということについて、今のままでいくならば土地の高度利用も有効利用も図れないではないか、そういった角度からの議論があることも御案内のとおりであります。  そういった点で、今回そういう景観なりあるいは生活環境の保全なり、いろいろな角度から守っていかなければいかぬというところは逆に高さを制限するということも結構であります。一方で都心として整備をしていかなければならぬというところについては、従来の高さの制限というものが余りにもシビア過ぎて都市の整備が進まない、こういうところについては高さ制限について緩和をしていただくということも結構である。こういった事柄を、やはり主体的には地元の奈良県を中心とする、あるいは県民を中心とするそういった方方が自主的に御判断をされて、その結果、今御指摘のような幾つかの見直しが行われたというふうに我々も承っております。そういった中で総合的な判断をなされたことであろうと我々は思っておりますし、その点は、その自治体の御判断は国としても尊重していかなければならぬということもあることを申し上げておかなければならぬと思います。
  205. 辻第一

    ○辻(第)委員 地方独自のいろいろな御判断というようなお話もあったわけでありますが、しかし、もとはやはり民活、規制緩和、都市計画の見直しというような流れの中でこういう問題が起こってきている。政府としても関係のないことではないというふうに思うわけで、何としても奈良のすばらしい景観を守る、景観の問題だけではなしにJRの奈良駅の近辺の都市再開発があるわけでありますが、殊にそういう問題ではいわゆる環境の問題もあるわけでありますし、また、都市の構造として人の流れ、物の流れが変わるわけでありますから、非常に大きな問題があるということで反対の運動が起こっているわけであります。  私は、すばらしい奈良の風景が高層の建築で顔に傷をつけるような思いがするわけであります。いろいろなユニークな核を中心とした低中層の町づくり、それがやはり奈良としては本当に大事なのではないかということを思うわけであります。そういう点で再度大臣の、先ほどの御答弁でなしに御再考いただきたいということをお願いをして、次に移っていきたいと思います。  今景観の問題を申し上げましたが、もう一つは、端的に申しますと、中高層の住宅なんかが今奈良にはどんどん建ってきているわけですね。しかも、それの用途地域の変更という問題、そういうところで住民の意向が十分反映しないというような形で行われている。そういうことで突如として住民の皆さん方は、静かな低層の住宅地域のところにいわゆる中高層のビルが建つということを知らされる、これは大変だ、日照の問題あるいは風害の問題あるいは電波の妨害の問題、交通の問題、そこのところにはいろいろ問題が起こってくるわけであります。そういうことで、建てる側の人と、もとからおられる周辺の住民の方との間に問題が起こってくるわけです。古い奈良の町並みなんかにもそういうのが建つのですね。これは古いままで化石みたいにするわけにいきませんけれども、そういうところにぼこっと建ってまいりますと、長年、奈良を愛し住んでおられる方にはたまらぬのですね。そういう状況も起こるわけでございます。  そういうことで私どもは、やはり町づくりをしていく基本というのは、ちょっとさっきの話と逆みたいになるのですが、まず地方自治ですね、地方自治体、その地域住民、そこのところを本当に尊重していただきたいという考え方が一つですね。それから住民が参加をしていく、それから住民合意、そういうような町づくりでございますね。それから総合的、長期的な観点に立った町づくり、そのようなこと。まだほかに申し上げたいことがあるわけですが、その辺のところを本当に尊重していただきたいなというふうに考えるわけでありますが、建設大臣いかがですか。
  206. 野田毅

    野田国務大臣 今御指摘になりました地元の自治体の意思を最大限にまず尊重すべきである、同時に、その自治体の意思決定に際しては地元の住民の意思が十分反映されるようなことがまた大事である、そしてまた決定するに当たっては、そういう景観なり、古都という特性なり、いろいろな角度から配慮されなければならぬ、私はもうそのとおりだと思いますね。同時にまた、では何にもしないでいいのかというと、また自治体としても困る。そういった中で、都市としての機能を向上させていかなければならないという一つの要請もあるでしょうし、さまざまな角度から御検討いただかなければならぬ、このように思います。
  207. 辻第一

    ○辻(第)委員 それで、用途地域の変更について住民の意向を尊重していただきたいということになるのですが、時間がありませんので、奈良市法蓮町というところで五階建てのマンションの建設が予定されたのです。この例でいきますと第一種住専地域が住居地域に変わった、たしかそういうことだと思うのです。その隣の変わっていないもとの第一種住専のところ、そこの方から見てまいりますと、突然五階建てのビルができていろいろな問題が出てくる、景観も阻害されるということですね。ここは大体風致第三種というふうな地域なのです。  またもう一つ、帝塚山の問題もあるのです。たくさんこういう例はあるのですが、結局この用途地域の変更をやられるときに、その周辺の住民に結果的に全然知らされないのですね。こういうビルが建つということになって、そこのところで、あっ、あそこのところが住居地区に変わっていたなということに気づくというようなことなんです。奈良市の御当局は、「奈良市のつながり」とかいう文書が出るのですが、その中には、奈良市で住居地域に変わったという非常に大まかな表示でこれまで書いておられたそうでありますが、そういうことで、この用途地域の変更については周辺の住民は大体知らぬのです。それは知らぬ方が悪いと言われれば話は別ですけれども、もっと知るようにしてもらわぬと、我々も用途地域が変更になるかなるかといつも考えているわけじゃないので、そういうことが起こるわけです。  そういうことについては都市計画審議会、都計審でいろいろ手続がありますね。もう時間がありませんから詳しく申し上げることができませんけれども、それは公聴会であるとか縦覧であるとか説明会とかいろいろ書いてあるわけですが、実態として余りやられていないという感じが私どもするんです。いや、やられているけれども本当に周知されているような状態でやられていない、こういう言い方をせぬといかぬですな。失礼しました。まあそういうことだと思うのです。それで知らないうちに変わっているというようなことがあるし、あるいは公聴会で意見を述べられてもそれが認められないとか、そういうケースがいろいろあるのです。ですから、もっとそういう点で本当に周辺の住民の人に情報を公開をしていただいて、十分知って、その人たちが意見を述べて、そして住民の合意の上に事が進むというようなやり方をぜひやっていただきたいというのが一点でございます。  もう時間がないので続いて言いますが、こういう地域では、マンションを建てようとしますと都市計画とかあるいは建築基準には大体合うのです。それで建てよう。すると後で住民の皆さん方は、そんなもの納得できないということになります。そこのところでいろいろ問題が起こる。市役所がその中に入って大変御努力をいただいているわけですけれども、そういう場合に自治会長の判こをもらってそれで業者は合意という格好で言うケースがあるのですね。そうなりますと、またこれでもめることになるわけです。  私は、やはりそういう問題については周辺の住民の皆さん方の、百人なら百人全部とか五百人全部というわけにはいかぬでしょうけれども、知らぬうちに自治会長さんが合意して判こを押しているというようなことで認められるのじゃなしに、実態として周辺の住民の合意というものが非常に大事だと思うんですね。そういうことをぜひやっていただきたい。  五十八年七月、建設省の「宅地開発指導要綱に関する措置方針」、こういうのが出ました。この中で、開発許可制度における規制緩和がやられたわけですね。そういう中で、中高層建築物に関する指導を含む各地の開発指導要綱は住民本位の町づくりにとって重要な役割を果たしてきた、私はこう思います。ところが建設省のそのときの指導は、「周辺住民の同意書の提出まで求めることは、建築行為を遅延させるなど建築主の権利の行使を制限することとなるおそれもあり、適切でないと考える。」こういうことになったわけです。そうなりますと、いろいろ調整をし非常に御苦労いただく市役所としては一層大変な御苦労をいただくことになるわけであります。ですから、これは奈良市の指導要綱なんですが、「事業主は建築物の設計に先立って、日照の影響について市と協議するとともに影響を受ける付近住民の同意を得なければならない。」こういうものは本当に認めていただくという立場ですね。法律と条例の問題とかいろいろ難しい問題があろうかと思いますけれども、こういう点についてはもっと地方自治体に権限を与えていただいて、先ほど大臣も申されましたけれども、そういう見地で御対応いただきたいというふうに考えるわけであります。  そういうことで、具体的には周辺住民の合意ということを非常に尊重をしていただきたいというふうに思うのですが、御答弁をいただきたいと思います。
  208. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 初めに、都市計画の決め方についての住民との関連についてでございますが、法律上、先ほど先生お話のございました幾つかの段階がございますが、さらに都市局長名をもって通達を出しておりまして、「都市計画は、関係市町村の住民の利害に深い関係を有するので、その設定に、当たっては関係市町村及び住民の意見との調整について十分配慮するため、その意見の聴取等に遺憾のないよう期すること。」ということといたしておりますが、なおこの趣旨の徹底を図るようにいたしてまいりたいと思います。
  209. 伊藤茂史

    伊藤(茂)政府委員 先生お尋ねの後半の部分でございますが、五十八年の八月に出しました「宅地開発指導要綱に関する措置方針」の中の中高層建築物に関するところで、住民の同意の問題が出ておりました。あのときの通達は、要するに建築基準法上は、確認申請を受理いたしますれば必ず中身を審査して七日間のうちに審査して法律に違反することがなければすぐ確認をする、こういう建前になっておるわけでございます。ところが公共団体によりましては、要するに住民の同意を前提条件にするという指導要綱をつくっているところがある。あるいは住宅を建てるときにはいろんな公共施設が要るから、この際寄附金を大いに取ろうというので指導要綱で定めているところがある。それは本来の法律の建前からすると行き過ぎではないか、こういう立場で是正通達を出したわけでございます。したがいまして、その建築計画が住民側にできるだけ受け入れられて、町づくりの一環としてその公共団体、住民の納得で行われるということ自体につきましては、決して悪いことではないわけでございます。  したがいまして、私どもは、中高層建築物の建築に当たりまして、周辺住民の同意を義務づける、あるいは要綱遵守の担保措置を建築確認申請の受理にかからしめるといったことは行き過ぎだけれども住宅宅地の円滑な供給と建築行政の適切な運営の観点から、行き過ぎだけはやめてください、こういうことで指導したわけでございます。したがって、周辺住民との調整につきましては、本来必要に応じて公共団体が相談、あっせんに努めるべきでありまして、公正な手続によって調整を図る方策を講ずる、そういうことでいろいろと定めをつくることにつきましては結構なことでございますので、建築行為が円滑に進むという方向でいろいろと工夫をしていただきたい、かように存ずる次第であります。
  210. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。
  211. 東家嘉幸

    東家委員長 中島武敏君。
  212. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は、きょうは建設業者の公共工事における労賃相当額の単価問題について最初にお尋ねしたいと思っています。  まず、東京都では都営住宅の建設などが入札に当たって不調が続出をしている、これはテレビでも報道されて非常に広く知られている事実であります。建設省はよく御存じだと思いますけれども、東京都における都営住宅の全契約案件中どの程度が不調になっているかについてお尋ねをしたいと思います。
  213. 伊藤茂史

    伊藤(茂)政府委員 お尋ねの東京都の公営住宅の入札不調件数でございますが、具体的な工事を発注する際にはいろいろ分けてやりますので、その建築本体工事を含めた建築関連工事全体ということで数字を説明したいと存じます。六十二年までにつきましては、都営住宅の入札不調については特に聞いておりません。これはなかったものと思います。六十三年度の事業におきましては、建築本体工事を含め建築関連工事全体で千三百六十五件の工事件数を発注したわけでございますが、契約に至らなかったものは三十九件でございます。したがって、全体に占める比率は約二・九%ということで東京都から報告を聞いております。
  214. 中島武敏

    ○中島(武)委員 ただいま都営住宅について二・九%ということで、それまではほとんどゼロだったと考えているわけですけれども、しかし、二・九%と六十三年度に非常に急増しているというのが今のお答えだったと思います。  私は東京都に、全契約案件中一体どれくらいが不調になっているものかということを尋ねてみました。そうしますと、契約の案件の数え方がいろいろありますから、今も非常に大きな数が出たのですけれども、これは小さい数で出ているわけですが、しかし小さいともいえないかもしれませんが、六十二年度は二十五件で一・一%、六十三年度は百七十三件で五・八%、こういう数字を財務局の方で言っているわけです。  どっちにしても公共工事、都営住宅と限りませんけれども、しかし、都営住宅も今までは不調がなかったのにかなりの入札不調が出てくる、こういうことになるわけですね。この原因は一体何か、どういうふうにお考えでございますか。
  215. 伊藤茂史

    伊藤(茂)政府委員 私ども全国的にどうなっているかということでいろいろ調べてみたのでございますが、これは東京だけの現象でございます。したがいまして、東京圏の一帯で建築工事が非常に盛んに行われるということで工事量が非常に多くなった、こういうことから主として技能工の不足といいますか、こういうことが起こって工事費が上がった。したがって、民需の方で仕事があるし、公共工事はそんなことではなかなか仕事はできないよ、こういうことで影響を受けているのではなかろうかというふうに思っております。
  216. 中島武敏

    ○中島(武)委員 要するに、実際に請け負おうと思ってもそれをなかなか受けられない、発注単価との開きが非常に大きいということでございます。受ければ非常に赤字になってしまう、だから本当は受けたいのだけれども受けられない。これは非常に深刻な問題であります。  さらにお尋ねしたいのですけれども、公共工事の発注で東京における型枠工事と鉄筋工事の平米当たりあるいはトン当たりの積算単価はどれくらいか、これについて建築と土木に分けてお答えいただきたいのです。
  217. 森本裕士

    ○森本説明員 お尋ねの積算単価でございますが、積算単価は予定価格の基礎となる数字でございまして、予定価格の秘密保持の趣旨にかんがみまして公表は差し控えさせていただきたいと思います。
  218. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私も予定価格の基礎になることは承知しておるのです。だけれども、予定価格の基礎になるとはいいましても、私は予定価格そのものを聞いておるわけじゃないのです。そして、入札のときは総額でやるわけでありまして、これはその中のごくごく一部分の話なんです。だから、そういう点では別に予定価格にかかわらないわけですから、ざつくりいえばかかわらないのですから、それくらいのことはおっしゃっていただくのがいいのじゃないか、当然じゃないかと思うのですが、どうなんですか。言ってくれませんか。
  219. 森本裕士

    ○森本説明員 ただいま申し上げましたとおり、予定価格というのは入札の非常に重要な公平性を必要とするものでございまして、それの基礎となる積算単価は公表を差し控えさせていただきたいということでございます。
  220. 中島武敏

    ○中島(武)委員 それじゃ私の方から言いますけれども、建築の場合で、一般ラーメン構造の普通型枠工事で平米当たり大体四千八百円から四千九百円くらいと私は聞いておりますが、大体そんなものですか。当たらずといえども遠からずですか。
  221. 森本裕士

    ○森本説明員 市場の取引価格と申し上げますと、施工条件等によりまして一概には言えないわけでございますが、ただ、建設資材等の市場取引価格を専門に調査しております調査機関の資料、例えば建設物価調査会の資料によりまして一例を示しますと、ラーメン構造の階高が三・五メートルの普通ビルの打ちっ放しの型枠工事では、東京地区では平米当たり五千六百円と記載されております。
  222. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は市販されておるそのものについてお答えをいただきたいと申し上げたのじゃないのです。それは私も見て知っておるのです。そうじゃなくて、実際に積算する場合の公共工事における、例えば建築なら建築における一般ラーメン構造でこれくらいのことを計算しておりますかということを私は聞いたのです。だけれども、先ほどの答弁と同じでなかなかおっしゃらないですね。私はこういうのは別に予定価格にかかわるわけじゃないのだから言ってもいいと思うのです。いいと思うのですけれども、おっしゃらないからこれはしようがない。  そこで、先ほどからお話があったように、政府は内需拡大策をとっております。したがって、東京だけじゃないのですけれども、東京における建築ブームというのは相当なものでございます。だから人不足も生じてくる。したがって、労賃相当額も非常にはね上がってくる。言うまでもありませんけれども、特に大変なのは型枠工、それから鉄筋工です。これの労賃相当額が非常にはね上がっていることは、むしろ皆さん御存じのとおりだと思うのです。  それで、型枠工事の平米当たりの実勢単価をどうつかんでいらっしゃるか。先ほど、市販されているものについて五千何ぼでしたか六百円でございましたかというようなお話がありましたけれども、実勢単価についてつかんでいらっしゃいますか。
  223. 森本裕士

    ○森本説明員 ただいまお話ししましたとおり、実勢単価というのは各施工条件によりましていろいろとございまして、我々としては把握しておりません。
  224. 中島武敏

    ○中島(武)委員 いろいろそれはあります、当たり前のことを何か答弁されるので、私も幾らかがっかりする向きがあるんだけれども、結局、入札が不調になってしまう、工事が赤字になる、実に大変なんです。何とかしてほしい、こういう要望は私どもの方にも頻繁に参ります。  これは、ある会社で、民間の工事の場合ですけれども、実に大変な値上がりなんです。六十三年、昨年の三月で一般型枠が三千八百円、打ち放し型枠で四千円。ところが四月には四千八百円、五千円、こういうふうに上がるのです。それから八月の段階で四千五百円、五千円。ところが十二月の段階になると五千九百五十円、六千八百円。それから、ことしの三月段階で四千九百円、五千百円というような数字になっています。これは、実に大変な値上がりをばあっと六十三年度は起こしているということを、このことははっきり示しているわけであります。  私も多くの中小ゼネコンの人たちにも聞いてみたのです。公共住宅や何かで、現在大体五千五百円から五千六百円ぐらいというふうに言われておるわけです。さっきも言いましたように、特に型枠とか鉄筋、こういうところが大変なんです。実勢単価との間に仮に平米当たり千円近い開きがあるということになったら、これは膨大な数字になってしまうわけでありまして、赤字も何百万とか何千万とかいうようなことになってくるわけなんです。だから、非常に深刻な話であります。  これは、建設通信新聞の八九年六月十二日、つい最近の記事です。関西版なんですけれども、「工事原価割れは六五%発注機関の区別なく軒並み」、こういうような記事も載っているわけであります。だから、中小ゼネコンの人たちは大変な悲鳴を上げている。この問題はどうしても解決しなければならない。  同じことを別の面からお尋ねしたいと思うのですけれども、公共工事の発注の場合に、労務単価というのは三省協定に基づいて計算をするわけですね。
  225. 望月薫雄

    ○望月政府委員 おっしゃいますとおり、公共工事の積算に当たりましては、いわゆる三省協定で定めまする労務単価によっているのが一般的でございます。  ただ、この数字につきましては、先ほど別途御答弁ありましたように、公表は差し控えさせていただいているところでございます。
  226. 中島武敏

    ○中島(武)委員 重ねてお尋ねします。  今の労務単価の問題ですけれども、型枠工は東京で一日幾らというふうに三省協定でなっておりますか。
  227. 望月薫雄

    ○望月政府委員 ただいまお答えしましたように、労務単価そのものは公表を差し控えさせていただいておりますが、実はその前提になりますといいましょうか、毎年十月に公共事業労務費調査というのをやっております。これの昨年の十月に行ったもので見ますると、型枠工一日八時間当たりの単価が一万三千八百九円、こういうことになっております。ついでに東京、神奈川でいいますと一万六千九百五十八円でございます。くどいようですが、これはあくまでも労務単価そのものではなくて、昨年十月に実際に支払われた賃金を賃金台帳によって調べたその結果でございます。
  228. 中島武敏

    ○中島(武)委員 ゼネコンが下請に支払う型枠工の労賃相当額、これは一体一日一人当たり幾らだ、現実にどれだけを払っているというふうにお考えでございますか。
  229. 望月薫雄

    ○望月政府委員 いわゆるゼネコンが下請に出す場合の出し方としては、どちらかというと平米当たり幾らという格好でなされているのが通常と理解いたしておりまして、そういった意味で、労務単価が幾らであるという出し方はしていない。ただ、私先ほど申しましたように、それを受けとめた労務者が一日当たり幾らもらったかということを賃金台帳で調べた結果が先ほど申し上げた数字である、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  230. 中島武敏

    ○中島(武)委員 三省協定そのものの問題についても議論したい問題がたくさんあります。だけれども、それはちょっとおきます。きょうはとても時間がありませんし、それはおきます。  それで、実際に平米当たり幾ら、それもよく承知しています。だけれども、実際にそれを換算して幾らになるかということを私の方から申し上げますと、二万七千円あるいは二万八千円、二万九千円、こういうところなんです。ところが、先ほどお答えになったように一万七千円弱でしょう。だから、一万円という大変な開きがあるのです。それは労働者がそれだけもらっているというわけじゃないですよ。そうじゃないけれども、それだけ出さなければ今の人手不足のもとで建築ブームで仕事を下請にやってもらえない、こういう事態にゼネコンはあるわけです。ゼネコンと下請との関係という同題もありますよ。ありますけれども、それもまたきわめなければならない問題なんですけれども、それはきょうは差しおいて、とにかく官庁のやっている積算単価と実際の乖離というのが現実には非常に大きいということをこのことは示しているのです。これはもう申し上げるまでもないのです。  それで、僕は大臣にお尋ねしたいのは、やはり実際に合った積算単価を公共工事では使うべきじゃないかと思うのです。こんな離れているんじゃしようがないでしょう。実際に合ったものを使うべきじゃないか。こういうふうに思うのですけれども、どうでしょう。
  231. 森本裕士

    ○森本説明員 公共工事の発注に当たりましては、従来から適正な積算単価をもとにしまして予定価格を定めております。今後とも的確に執行するよう努力してまいりたい、このように考えております。
  232. 中島武敏

    ○中島(武)委員 適正じゃないから不調が起きているのですよ。だれが好きこのんで仕事を不調にするものですか。そんな答弁じゃ本当にさっぱり納得できない。  だから、大臣に申し上げておきますけれども、やはり積算の単価は実勢に合っているというふうにしませんと、今申し上げたような、赤字になるけれども引き受けるとかあるいは不調になるとか、こういうことが続出をするわけです。特に東京はそうですけれども、何もこれは東京だけの話ではありません。全国的な、特に大都市においてはこういう傾向が強いわけです。ですから、やはりそこのところを積算単価は実際に合ったものをぜひひとつ使っていただきたいということを申し上げます。  それから、さらに関連して大臣にお尋ねしたいのです。  さっきも申し上げたように、実際にはこの一年間にばあっと上がってくるわけです。こういう変動が非常に大きいということは社会問題にもなりつつある。テレビでも報道されている。そうすると、工事の途中であっても請負金額の変更を行うべきじゃないのかということを思うのですね。  具体論で言います。具体的にどうするか。つまり一年を経た後、残余の工事についてのみ賃金それから物価の変動の激しいときには認める、こうなっているのですね。しかし、一年を過ぎた後に残余の工事についてのみ、こうなってきたら、これは大変ですよ。だから、もしこの方式を使うのだったら三カ月、こういうぐあいに一年を三カ月というぐらいに下げるべきじゃないか。  それから、もう一つ言います。もう一つは、請負契約の中に、例えば、どれでもいいのですけれども、住都公団の場合だったら二十一条、「賃金又は物価の変動に基づく請負代金額の変更」というところがあります。それが第一項から第八項まであって、その中に今申し上げたようなことが含まれているのですけれども、その一番最後の八、項に、「工期内にインフレーションその他の予期することのできない特別の事情により賃金又は物価に著しい変動を生じ請負代金額が著しく不適当となったときは、前各項の規定にかかわらず、甲乙協議して請負代金額を変更するものとする。」こうなっている。  こういうふうな不調なんかが続出するというようなときには、やはりこうした問題についてもこの第八項、こういうのを積極的に活用して問題解決をするように、政府機関それからまた地方自治体に対しても指導あるいは要請、通達なんかも出して、きちっと応じなさい、適切にやりなさい、これくらいのことは野田建設大臣、ずばっと言う、これは必要じゃないかと思うのです。  以上二つについてお答えいただきたい。
  233. 森本裕士

    ○森本説明員 請負契約締結後の賃金、物価の変動によりまして当初の請負代金額が不適当になつた場合における当該代金額の変更につきましては、建設省直轄工事につきましては請負契約書の第二十条でいわゆるスライド条項、単品スライド条項及びインフレ条項について規定しておりますが、これらの要件を満たす場合には適切に対応してまいりたい、このように考えております。  さらに二つ目の、スライド条項につきましては請負契約締結の日から十二カ月を経過した後でなければ変更請求はできないこととなっておると言われましたが、これにつきましては十二カ月を経過した後に適用できることといたしましたのは、一般的に言いまして労働者の賃金につきましては十二カ月をめどとして改定が行われていること、それから予算制度が原則として単年度によっていること、こういったことによるものでございます。  以上です。
  234. 野田毅

    野田国務大臣 今大体お答え申し上げたとおり、やはり基本的にはそういう実勢価格が反映されるのが望ましいというのは常識的な考え方だと思います。  ただ、現実に今答弁しましたように、どうしても単年度単年度の予算というその枠の中でやっている、それから実勢価格をどうやって把握するかという問題、それから予算を組んだときと実行するときとのいろいろタイムラグが出てくる、そういうような問題もあろうかと思いますし、それから予算の地域配分。これは、こんなことを言っていいのかどうかわからぬけれども、田舎の方からすると、田舎の方はうんと安いわけですね。都心部は高い。特に労賃なんか、どうやって人を集めるかということでみんな苦労をしておられる。そういった予算の配分の問題にも実はかかわってくる話でもありますし、これからも十分実勢価格というものを念頭に置き、その中で適正な価格を算定して発注していく。できるならばそういう不調になるようなことのないように合わせていかなければならぬという努力は続けていかなければならぬ、こう思います。
  235. 中島武敏

    ○中島(武)委員 結局合わせていくのは一般論としてはそうなんですけれども、先ほど答弁があったように、じゃ現在要件を満たしておるのか、こういうことが問題になってくるのですよ。だから、現在のような場合が要件を満たしてないということになりますと、なかなか適用されないということになってくるのです。そちらの方から答弁があった、こういうふうに今方々で不調が続出する、今まではそんなものは一件もなかったのが、先ほどのお話では六十二年度に始まって六十三年度はもっとひどい、こうなっておるわけですから、こういうためには今こそやはりきちっとやるべきじゃないか。  それからもう一つは、単年度で予算が組まれているとか、あるいは労賃は一年ごとに決まっているとか言うのですけれども、しかし実際に何も一年で決まっているのじゃないですよ。建設関係で働く労働者は一年間賃金が全部きちっと決まっているわけじゃないのです。毎回、仕事ごとに違うわけですよ。そういう実態とまるきり離れたことを言われると、何でそんな答弁をするのかと私は思うんだな。私は、建設行政はやはりちゃんと本当に実態をよく見ているな、そして実態を見てみんなに喜んで働いてもらおうというふうにやっておるな、こういうふうにならなければうそだと思うのです。  大臣、もう一回ひとつ言ってください。
  236. 野田毅

    野田国務大臣 その辺いろいろ、どういうふうに実態に合わせるか、かなり技術的な問題があると思うのですよ、先ほど来やりとりを伺っていまして。そういう点でさらによい知恵があれば教えていただきたいが、当面、今日まで長年の間慣例化しておる一つの手法にのっとってやっておるわけでありますが、さらに検討を加えて改善する余地があれば改善を加えていく、これは当然のことだと思います。
  237. 中島武敏

    ○中島(武)委員 もう一つ別のことで大臣にちょっと伺いたいのです。それは消費税の問題なんですけれども、建設業界でこれがどんなふうに実際に扱われているかは御存じでしょうか。
  238. 野田毅

    野田国務大臣 ちょっと御質問の趣旨が判然としなかったのですが、どのように扱われているかというのは要するにちゃんと転嫁されておるかどうか、こういう御趣旨であるとすれば、マクロから言えばおおむね順調に転嫁をされておる。マクロから言えばですね。この点は朝もどなたかに御答弁申し上げたわけでありますが、五月に建設各業界からヒアリングをした結果、おおむね順調であると受けとめておる。もちろんそれが一〇〇%大丈夫かと言われたら、そこのところはさらに実情に即して指導し、改善を加えさせたという点も二、三ある、こういう報告を受けております。
  239. 中島武敏

    ○中島(武)委員 大臣、この問題、本当は専門家なんだよね。だけれども、私もいろいろ心配していろいろな人の話も聞くし、またいろいろなことを言われます。実際には、例えば家なら家、住宅なら住宅をつくって最終消費者であるお客さんに渡す。そのときに消費税三%を乗っける。そうすると、いやそんなものをやられたのじゃ困る、こういう話が出てきて、相対で話になる。どうしても嫌だと言う。じゃ、三%じゃなしに一・五%にしますか。仮の話ですよ。そういう話というのは方々でやられているんですよ。だから完全にマクロで言えば、こういう大臣の答弁なんですけれども、マクロで言えばあるいはそうかもしれませんけれども、そうでない場合も随分これありなんです。そうすると結局どうなるか。結局建設業者がその分泣く。仕入れにはかかってしまっているわけですから泣かざるを得ないということになる。これは大変なんですね。これは適正な利潤が保証されないということになるのです。これをやったってだめなんです。  それからもう一つの方法は、これも余り言いたくないのですけれども、だれしも思うことは、それをした場合に建築物の質を落とすということがやられるかもしれない。わかりませんよ、わかりませんけれども、そういう危険性はあるわけですよ。消費税をこういうところにかけるとそういう危険性を持ってくるのじゃないか。大臣は建設関係もそれはお詳しいでしょうけれども、むしろ税金の方がもっと一層詳しいのじゃないかと思うけれども、そういう危険性を打っているようなものは、結局質を落とすとか、あるいは業者が泣かなければならないとか、そういうものはやはり率直に言っていい税金じゃない、こう私は思うのです。そういう点ではこれはもう一日も早くやはり廃止をするということが非常に大事じゃないかと思うのですね。もう時間が来たらしいので、大臣、答弁があったら答弁を聞いて終わります。
  240. 野田毅

    野田国務大臣 御主張はよく承りましたが、今さら申し上げるまでもないと思いますが、基本的に税の転嫁もさることながら、先ほど来いろいろ御論議がありました、いろいろな建築資材の値上がりの問題もあったり、あるいは人件費の値上がりの問題があったり、そういった中で特に相対でそういう請負代金を決める場合に値段の交渉で極端な低価格を強要するようなことになれば当然その工事の質に影響を及ぼし得る、これは常にあることでありまして、必ずしも消費税云々の話だけに限ったものではないと思っております。  消費税の問題は、これは建設業界のみならず、やはりこれからの高齢化社会に対応して幅広くみんなで少しずつ負担をし合おう、そうでないと本当に長寿社会は維持できません、こういう角度から設けられているわけでありますから、なお一層国民皆さんの御理解を賜りたい、こう思っております。
  241. 中島武敏

    ○中島(武)委員 まだいろいろ言いたいことがありますが、これで終ります。      ————◇—————
  242. 東家嘉幸

    東家委員長 次に、内閣提出大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。野田建設大臣。     —————————————  大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  243. 野田毅

    野田国務大臣 ただいま議題となりました大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  首都圏等の大都市地域における土地対策につきましては、政府において、昨年六月に総合土地対策要綱を閣議決定し、各般の施策を総合的に推進しているところであります。中でも住宅地の計画的供給は極めて重要な課題であり、このためには、都心からの距離等から見れば宅地開発適地であるにもかかわらず、交通手段としての鉄道が未整備地域において、新たな鉄道の整備を行うとともに、宅地開発促進することが極めて有効な方策であります。  このため、大都市地域のうち新たな鉄道の整備により大量の住宅地の供給が促進されると見込まれる地域において宅地開発鉄道整備を一体的に推進するために必要な特別措置を講ずることとし、ここに大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法案として提案することといたした次第であります。  以上が、この法律案を提案した理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。  第一に、都府県が、大都市の近郊と都心の区域を連絡する新たな鉄道の整備と当該鉄道の周辺地域における宅地開発との一体的推進に関する基本計画を作成し、運輸大臣建設大臣及び自治大臣の承認を申請することができるものとしております。この基本計画は、鉄道の計画路線及び駅の位置の概要、住宅地の供給目標等を定めるほか、特に、駅予定地の周辺の地域における計画的開発に留意して作成することとしており、また、鉄道事業の免許申請については、基本計画に従った内容のものでなければならないこととしております。  第二に、鉄道の周辺地域における地価の安定を図るため、監視区域を積極的に指定することとするとともに、監視区域の指定期間について特例を設けることとしております。  第三に、宅地開発及び鉄道整備推進のために、次の措置を講じております。  その一は、承認を受けた基本計画に従い両事業を一体的に推進するため、協議会を組織するとともに、両事業者による協定の締結を義務づけていることであります。  その二は、駅予定地の周辺の地域におげる土地区画整理事業について、鉄道用地の確保のため鉄道の用に供する土地の区域に一定の者の有する土地を集約して換地する特例措置を講ずることであります。  その三は、鉄道の周辺地域大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法及び大都市地域における優良宅地開発促進に関する緊急措置法の大都市地域とみなして、両法の規定を適用することであります。  その四は、地方公共団体による鉄道事業者に対する出資、助成及び土地の取得のあっせん等の措置並びに鉄道整備のために必要な経費についての地方債の特例措置を講ずることであります。  以上が、この法律案の提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  244. 東家嘉幸

    東家委員長 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  次回は、明十五日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時七分散会      ————◇—————