○辻(第)
委員 それで、用途
地域の変更について住民の意向を尊重していただきたいということになるのですが、時間がありませんので、奈良市法蓮町というところで五階建てのマンションの建設が予定されたのです。この例でいきますと第一種住専
地域が住居
地域に変わった、たしかそういうことだと思うのです。その隣の変わっていないもとの第一種住専のところ、そこの方から見てまいりますと、突然五階建てのビルができていろいろな問題が出てくる、景観も阻害されるということですね。ここは大体風致第三種というふうな
地域なのです。
またもう一つ、帝塚山の問題もあるのです。たくさんこういう例はあるのですが、結局この用途
地域の変更をやられるときに、その周辺の住民に結果的に全然知らされないのですね。こういうビルが建つということになって、そこのところで、あっ、あそこのところが住居地区に変わっていたなということに気づくというようなことなんです。奈良市の御当局は、「奈良市のつながり」とかいう文書が出るのですが、その中には、奈良市で住居
地域に変わったという非常に大まかな表示でこれまで書いておられたそうでありますが、そういうことで、この用途
地域の変更については周辺の住民は大体知らぬのです。それは知らぬ方が悪いと言われれば話は別ですけれ
ども、もっと知るようにしてもらわぬと、我々も用途
地域が変更になるかなるかといつも考えているわけじゃないので、そういうことが起こるわけです。
そういうことについては都市計画審議会、都計審でいろいろ手続がありますね。もう時間がありませんから詳しく申し上げることができませんけれ
ども、それは公聴会であるとか縦覧であるとか説明会とかいろいろ書いてあるわけですが、実態として余りやられていないという
感じが私
どもするんです。いや、やられているけれ
ども本当に周知されているような状態でやられていない、こういう言い方をせぬといかぬですな。失礼しました。まあそういうことだと思うのです。それで知らないうちに変わっているというようなことがあるし、あるいは公聴会で
意見を述べられてもそれが認められないとか、そういうケースがいろいろあるのです。ですから、もっとそういう点で本当に周辺の住民の人に情報を公開をしていただいて、十分知って、その人たちが
意見を述べて、そして住民の合意の上に事が進むというようなやり方をぜひやっていただきたいというのが一点でございます。
もう時間がないので続いて言いますが、こういう
地域では、マンションを建てようとしますと都市計画とかあるいは建築基準には大体合うのです。それで建てよう。すると後で住民の
皆さん方は、そんなもの納得できないということになります。そこのところでいろいろ問題が起こる。市役所がその中に入って大変御
努力をいただいているわけですけれ
ども、そういう場合に自治会長の判こをもらってそれで
業者は合意という格好で言うケースがあるのですね。そうなりますと、またこれでもめることになるわけです。
私は、やはりそういう問題については周辺の住民の
皆さん方の、百人なら百人全部とか五百人全部というわけにはいかぬでしょうけれ
ども、知らぬうちに自治会長さんが合意して判こを押しているというようなことで認められるのじゃなしに、実態として周辺の住民の合意というものが非常に大事だと思うんですね。そういうことをぜひやっていただきたい。
五十八年七月、
建設省の「
宅地開発等
指導要綱に関する措置方針」、こういうのが出ました。この中で、開発許可
制度における規制緩和がやられたわけですね。そういう中で、中高層建築物に関する
指導を含む各地の開発
指導要綱は住民本位の町づくりにとって重要な役割を果たしてきた、私はこう思います。ところが
建設省のそのときの
指導は、「周辺住民の同意書の提出まで求めることは、建築行為を遅延させるなど建築主の権利の行使を制限することとなるおそれもあり、適切でないと考える。」こういうことになったわけです。そうなりますと、いろいろ調整をし非常に御苦労いただく市役所としては一層大変な御苦労をいただくことになるわけであります。ですから、これは奈良市の
指導要綱なんですが、「事業主は建築物の設計に先立って、日照の影響について市と協議するとともに影響を受ける付近住民の同意を得なければならない。」こういうものは本当に認めていただくという立場ですね。
法律と条例の問題とかいろいろ難しい問題があろうかと思いますけれ
ども、こういう点についてはもっと
地方自治体に権限を与えていただいて、先ほど
大臣も申されましたけれ
ども、そういう見地で御対応いただきたいというふうに考えるわけであります。
そういうことで、具体的には周辺住民の合意ということを非常に尊重をしていただきたいというふうに思うのですが、御答弁をいただきたいと思います。