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1989-06-21 第114回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年六月二十一日(水曜日)     午前十時三十分開議 出席委員   委員長 中村  靖君    理事 魚住 汎英君 理事 尾身 幸次君    理事 岡島 正之君 理事 杉山 憲夫君    理事 谷津 義男君 理事 渡部 行雄君    理事 草川 昭三君 理事 大矢 卓史君       天野 光晴君    志賀  節君       松野 頼三君    宮崎 茂一君       宮下 創平君    上田  哲君       小川 国彦君    新村 勝雄君       三野 優美君    小川新一郎君       古川 雅司君    野間 友一君  出席国務大臣    法 務 大 臣 谷川 和穗君  出席政府委員         法務大臣官房長 井嶋 一友君         法務大臣官房会         計課長     石川 達紘君         法務大臣官房司         法法制調査部長 則定  衛君         法務省民事局長 藤井 正雄君         法務省刑事局長 根來 泰周君         法務省矯正局長 河上 和雄君         法務省入国管理         局長      股野 景親君         建設大臣官房会         計課長     鹿島 尚武君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局経済部団         体課長     知久多喜真君         公正取引委員会         事務局審査部第         一審査長    鈴木  満君         総務庁行政管理         局管理官    川邊  新君         外務大臣官房外         務参事官    田辺 敏明君         外務省北米局北         米第一課長   岡本 行夫君         大蔵省主計局司         計課長     緒方 信一君         大蔵省主計局主         計官      若林 勝三君         国税庁調査査察         部調査課長   佐々木秀夫君         文部省学術国際         局教育文化交流         室長      西澤 良之君         厚生省保険局保         険課長     真野  章君         中小企業庁計画         部下請企業課長 沖   茂君         運輸省航空局飛         行場部関西国際         空港課長    相原  力君         建設省道路局企         画課長     藤川 寛之君         会計検査院事務         総局第二局長  澤井  泰君         会計検査院事務         総局第三局長  川崎 恒夫君         最高裁判所事務         総長      大西 勝也君         最高裁判所事務         総局総務局長  金谷 利廣君         最高裁判所事務         総局人事局長  櫻井 文夫君         最高裁判所事務         総局経理局長  町田  顯君         最高裁判所事務         総局民事局長  泉  徳治君         決算委員会調査         室長      竹尾  勉君     ————————————— 委員異動 六月十四日  辞任         補欠選任   野間 友一君     村上  弘君 同日  辞任         補欠選任   村上  弘君     野間 友一君 同月十五日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     五十嵐広三君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     小川 国彦君 同月二十一日  辞任         補欠選任   三野 優美君     新村 勝雄君 同日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     三野 優美君 同日  理事堀内光雄君同月三日委員辞任につき、その  補欠として岡島正之君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  閉会中審査に関する件  昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十一年度政府関係機関決算書  昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和六十一年度国有財産無償貸付状況計算書  (裁判所所管法務省所管)      ————◇—————
  2. 中村靖

    中村委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村靖

    中村委員長 御異議なしと認めます。  よって、岡島正之君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  4. 中村靖

    中村委員長 次に、昭和六十一年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、裁判所所管及び法務省所管について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  裁判所所管審査に関し、国会法第七十二条第二項の規定による最高裁判所長官の指定による代理者から出席説明する旨の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱いは委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中村靖

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  6. 中村靖

    中村委員長 次に、最高裁判所当局及び法務大臣概要説明会計検査院検査概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 中村靖

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————    昭和六十一年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算概要                 最高裁判所  昭和六十一年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算概要を御説明申し上げます。  一 裁判所所管歳出につきましては、当初予算額は二千二百九十七億九千二十六万円余でありますが、これに、大蔵省所管からの移替え額五億六千三百六十二万円余、昭和六十年度からの繰越額二億二千六百七十八万円余、予算補正追加額二十億九千三百二万円余、予算補正修正減少額五億八千七百六十六万円余、予備費使用額一億八千八百六十八万円余、差し引き二十四億八千四百四十六万円余が増加されましたので、歳出予算現額は二千三百二十二億七千四百七十二万円余となっております。  これに対しまして、支出済歳出額は二千三百十億二千六十二万円余であり、歳出予算現額との差額は十二億五千四百九万円余であります。この差額のうち、翌年度へ繰り越した額は三千二十二万円、不用額は十二億二千三百八十七万円余であります。不用額となった経費は、人件費九億二千八十八万円余と、その他の経費三億二百九十九万円余であります。  二 裁判所主管歳入につきましては、歳入予算額は十九億五千七百一万円余であります。これに対しまして、収納済歳入額は二十八億九千十二万円余であり、歳入予算額に対し九億三千三百十一万円余の増加となっております。この増加は、相続財産相続人不存在のため国庫帰属となった収入金増加等によるものであります。  以上、昭和六十一年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算について御説明申し上げました。     …………………………………    昭和六十一年度決算裁判所についての検査概要に関する主管局長説明                会計検査院  昭和六十一年度裁判所決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     —————————————    昭和六十一年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算説明書  昭和六十一年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算の大要を御説明申し上げます。  一 まず、一般会計決算についてであります。  (一) 法務省主管歳入につきましては、歳入予算額は七百九十九億九千六百三十四万円余であります。これに対しまして、収納済歳入額は八百三十三億九千八百三十一万円余であり、歳入予算額に比べると三十四億百九十七万円余の増加となっております。この増加しました主な要因は、罰金及び科料十六億九千五百四十二万円余、刑務所作業収入十三億五千三百三十六万円余、没収金三億三千百四十三万円余が増加したことによるものであります。  (二) 次に、法務省所管歳出につきましては、当初予算額は三千九百二億二千七百二十三万円余であります。これに、予算補正追加額三十億五千五百七十八万円余、予算補正修正減少額十二億八千二百九十四万円余、前年度からの繰越額二億九百三十三万円余、予備費使用額四億五千五百七十七万円余があり、差し引き二十四億三千七百九十五万円余の増加がありましたので、歳出予算現額は三千九百二十六億六千五百十九万円となっております。これに対しまして、支出済歳出額は三千八百九十三億千三百十六万円余であり、その差額三十三億五千二百二万円余は不用額であり、その主なものは人件費であります。  支出済歳出額のうち主なものは、人件費二千七百八十九億四千七十一万円余、外国人登録事務処理経費十五億三千七百五万円余、検察事務処理経費三十億二千八百九十九万円余、矯正施設における被収容者収容作業等に要する経費二百四十三億三千三百六十九万円余、補導援護経費四十億二千二百四万円余、出入国審査難民認定及び被退去強制者収容送還等に要する経費六億九千四百四十九万円余、暴力主義的破壊活動団体等調査に要する経費十八億二千二百二十八万円余、施設費百九億八千二百二十九万円余となっております。  二 次に、法務省所管登記特別会計決算についてであります。  (一) 収納済歳入額は九百十八億二千二百六十八万円余であり、支出済歳出額は八百三十八億六千二百七十三万円余で、差し引き七十九億五千九百九十四万円余の剰余を生じました。この剰余金は、登記特別会計法第七条の規定により翌年度歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。  (二) 次に、歳入につきましては、歳入予算額は八百八十三億七千五百二十三万円余であります。これに対しまして、収納済歳入額は九百十八億二千二百六十八万円余であり、歳入予算額に比べると三十四億四千七百四十五万円余の増加となっております。この増加しました主な要因は、前年度剰余金受入十八億六千九十三万円余、郵政事業特別会計より受入十四億九千五百六十七万円余が増加したことによるものであります。  (三) 次に、歳出につきましては、歳出予算額は八百八十三億七千五百二十三万円余であります。これに、前年度からの繰越額一億七千七百四十八万円余を合わせた歳出予算現額は八百八十五億五千二百七十一万円余となっております。これに対しまして、支出済歳出額は八百三十八億六千二百七十三万円余であり、その差額は四十六億八千九百九十八万円余となっております。この差額のうち、翌年度へ繰り越した額は八千五百四十九万円余であり、不用額は四十六億四百四十八万円余で、不用額の主なものは予備費であります。  支出済歳出額のうち主なものは、人件費六百三十一億千二百九十四万円余、登記情報管理等事務処理経費百二十五億四千九百九十五万円余、施設費六十億七千九百九十八万円余となっております。  以上、昭和六十一年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算について、御説明申し上げました。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。     …………………………………    昭和六十一年度決算法務省についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十一年度法務省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項一件であります。  これは、職員不正行為による損害を生じたもので、福岡刑務所会計課職員が、差入金受付等事務に従事中、被収容者あて差入金郵送等があってそれを受け入れた際、所定の引継手続を執らないで、受け入れた現金のうちから七十九回にわたり計百八十五万五千円を領得したことによって生じたものであります。  なお、本件損害額については、六十一年十二月、全額が不正行為者から返納されております。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。     —————————————
  8. 中村靖

    中村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部行雄君。
  9. 渡部行雄

    渡部(行)委員 まず最初法務大臣にお伺いいたしますが、それというのは、大臣が本委員会答弁したことは、たとえ大臣が何回かわろうともそれが生きたものとして現大臣はその責任を果たすまで引き継がれるおつもりかどうか、その辺の心構えについてお伺いいたします。
  10. 谷川和穗

    谷川国務大臣 前任者が本委員会あるいは国会答弁されましたことは極めて重大な意義を持っていると存じまして、私もその線に沿って慎重に答弁をさしていただく覚悟でございます。
  11. 渡部行雄

    渡部(行)委員 慎重に答弁をしてくれという要求ではなくて、前大臣答弁責任を受け継がれるかどうか、こういうことです。
  12. 谷川和穗

    谷川国務大臣 法務省を代表していたされました前任者答弁は、私はこれを受け継いでまいります。
  13. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、実は昭和六十三年四月十五日の法務委員会で、私が、日本法律はこれから全部国民にわかりやすい口語体に直すべきではないか、こういう質問をしたわけですが、それに対して当時の林田法相は、法制審議会において十分審議をしてそういう方向へ進めてまいりたいという旨の答弁をされたのでありますが、現在その作業はどの程度進んでおられるのか、その辺についてお答えを願いたいと思います。
  14. 則定衛

    則定政府委員 お答えいたします。  先生御存じのとおり、法務省所管民事刑事に関します基本法につきましては、法制審議会の議を経て法案の形で提出させていただくわけでございますが、その場合に、いわば全面的な改正にわたります場合には御指摘のとおり現代用語を用いて行うという方針で臨んでおるわけでございます。例えばこの国会に提出させていただきました民事保全法等につきましては、民事訴訟法及び民事執行法該当部分を一括いたしまして、現代時代要請に合うような内容を盛り込みますとともに、用語につきましても現代用語を用いるというような形で現実にやらせていただいておるわけでございます。また、刑事に関します基本法一つと言えます監獄法につきましても、御案内のとおり刑事施設法案という形で、中身とともに用語につきましても現代用語を用いて行うということにいたしておりますし、さらに加えまして、民事に関しましてこれまた基本的に重要な借地・借家の問題につきましても、現在いわばその相当重要部分を全面的に改正するということにいたしまして、その用語につきましても現代用語にするという法案を策定中でございます。  そのように、基本法令につきましても、中身を全面的に見直す場合につきましては、用語につきましても現代用語に改めるという方針で準備をさせていただいておるわけでございます。
  15. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この法改正の機会をねらってそういうふうに口語体やあるいはわかりやすい用語に直していかれるということでございますが、そういう姿勢では百年河清を待つがごとしじゃないか、こういうふうに私は思うわけでございます。もちろん改正する法律についてはそういう姿勢が必要ですが、たとえ改正しなくとも、一国会法務委員会で何件か、これはこういう用語改正であるあるいは文章の改正である、そういうことで、実質内容が変わらなくともそういう改正を思い切ってやっていかないことには、六法全書全部が口語体になるまでには大変な時間がかかると思うのです。そういうことについてはどう考えておられるか。また、全体が口語体になるまでは何年くらいかかると考えておられるか。その辺についてお伺いいたします。
  16. 則定衛

    則定政府委員 御趣旨はよくわかるわけでございますけれども、現在施行されております文語体でかつ片仮名まじりの法律を、これを単に現代用語に改めるというに際しましても、用語一つ一つが、従来長く施行されております中で、御案内のとおり例えば判例、学説その他で非常に重要な要素として機能しておるわけでございまして、これを御指摘のように、単に漢字をいじり片仮名を平仮名にするという一見極めて簡単なようでございますけれども、実質的に考えます場合に非常に重要な変更を伴うということもございます。そういうようなことで、私どもといたしましては、内容変更、つまり時代要請に適応できます姿にいたしますときに、逐次今申しました観点から現代用語に改めていくというのが実利的であろうと思っておるわけでございます。そういう意味で、御指摘のとおりなかなか短期間にいかないわけでございますけれども、現在法務省所管法律基本法につきまして逐次見直しをしておるわけでございますので、なお必要な時間をおかしいただきたいというふうに思っておるわけでございます。
  17. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間の関係で十分議論できませんけれども、これはまた後日に譲りまして、次は大臣にお伺いいたしますが、リクルート事件に対するけじめの問題でございますが、法務大臣としてはこれはもう新しく大臣になったばかりでございますから、今の法務大臣を責めるのは酷かと思いますけれども、しかしその職責上、一体これでけじめがついたのか。また、どういうけじめつけ方が本当に国民に信頼されるけじめつけ方か。その辺に関する大臣考え方をお示し願いたいと思います。
  18. 谷川和穗

    谷川国務大臣 まず、東京地検捜査についての御報告でございますが、東京地検は厳正公平、不偏不党の立場を堅持しながら法律の定める手続にのっとって事案の解明に当たった、法と証拠に照らして厳正な事件処理を行ったものでございまして、リクルート事件については、こういう形で刑事事件として取り上げるべきものがあるか否かの観点から検察のなすべきことはすべて行った、終わった、こういうふうに私は考えております。検察刑事事件としての観点から行った行為はすべて終わった、こういうことであったかというふうに考えておるわけでございます。
  19. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それは法務省としての、法務大臣としての今までのやり方に対するお考えでしょうが、これを国民の側に立って見た際に、国民の方が満足しておると思いますか。それとも、国民考え方というのは、このリクルート事件に対してその処理の仕方についてどういうふうに考えておられると思いますか。
  20. 谷川和穗

    谷川国務大臣 極めて複雑多岐にわたった事件でございましたし、それから検察捜査そのものも二百六十日に及んだ事件でございました。その間、新聞の報道あるいは国会におきまする御審議などを通じて、国民の方々は極めてこの問題について関心が高まった、と同時に、特に政治関連につきましては、政治に対する不信の念もここで高まったのかと存じますが、検察捜査はすべて刑事事件捜査としては終わったわけでございますが、これから後の政治的道義的責任あり方の有無について国会の方で何らかの御審議があるという場合には、私どもは、国会からの御要請があれば、それにのっとって、法令の許す限りにおいてできる限りの御協力はさせていただかなければならぬ、こう考えておるところでございます。
  21. 渡部行雄

    渡部(行)委員 けじめつけ方というのは、一つ法律的につけていくこと、もう一つ政治的につけていくという二つの面があると思うんです。そこで私は、政治的につけるという点についてはむしろこれは内閣総理大臣に対して言った方が適切でありますので、ここでは、法律的にこういうつけ方でいいのかどうかという点についてお伺いしたいと思うのです。  それは、国会開会中に国会議員を呼び出して事情聴取をする、こういうことは相当の確証でもなければすべきではないのではないか。少なくとも憲法五十条で不逮捕特権というものが議員にはあるわけでございまして、それだけ国会というものが重要視されておるわけでございます。したがって、万が一そういう容疑で事情聴取をされるとなれば、これは間違いない、絶対に起訴できる、そういう自信の上に立ってやらなければ、呼ばれた人も大変な迷惑だし、あるいは場合によっては次の選挙で落選するかもしれない。そういうことについてはどういう配慮をしたのか。しかもその発表の仕方は、最初は大物をばさっとつかんだから、これはうまくいって相当広がって、今度の刑事局長は相当本気でやるなと思っておったら、「大山鳴動ネズミ二匹」という大見出しで新聞に出る始末なんですよ。これは日本法律の権威が冒されていくんじゃないか、私はこういうふうに思うわけですが、それに対する考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  22. 根來泰周

    根來政府委員 まず、当初お話のあった、国会議員取り調べをどういうふうにしてするかという問題でございます。  今回の事件につきまして国会議員を何人調べたかということについては、従来からお答えしないということでお許しいただいておるわけでございます。もっとも起訴されたお二人については取り調べをしたことは事実でございまして、これは公知の事実になっているわけでございます。お説のように、国会議員というのは国民から信託を受けて、特に国会中は国政を担当されているわけでございますから、御指摘のような点は十分考えまして検察庁も対処しているものと考えております。  次に、この事件の結果についての御判断でございますが、これは私ども国民の側からいいましても決して喜ぶべきことではないと思いますけれども、やはり、元役人といいますか、次官経験者が二人起訴され、あるいは国会議員が二人起訴され、あるいは大企業の社長が起訴されという結果に終わっておるわけでございまして、これは従来の事件からいうと相当大きな大事件であるわけでございます。  ただ、今度の事件について特徴的なことは、情報がまず飛び交いまして、情報一つの幻といいますか虚像ができまして、それがため、検察庁が要するに刑事訴訟法という武器で証拠を固めていくというのについて、非常に難しい事態になっていったわけであります。したがいまして、その辺の初めの虚像といいますか一つの形とその結果とが多少そぐわない結果になったと思いますけれども、これは十分御運解いただいておることと思いますが、検察の方は証拠によって事実を確定していくわけでございます。どんな事件であっても証拠がなければどうしようもないわけでございます。そうして、先ほど大臣がおっしゃったように、二百六十日間寝食を忘れて検察官、検察事務官が努力した結果こういうことになったわけでございまして、これ以上のことを望むということはむしろ法律的に問題があろうと考えております。
  23. 渡部行雄

    渡部(行)委員 寝食を忘れて一生懸命職務に取り組んだことについては敬意を表しますが、ただ私たちは国民立場に立って物を言うわけですから、国民から選挙で選ばれたからこそ、そのあり方国民に納得できるやり方であったかどうか、こういうことで御質問しているわけですから、あなたが、非常に部下が一生懸命やった、これ以上はとても無理だと言われても、それじゃなぜ事情聴取をいろんな人からしておいて発表した人と発表しない人をつくったのか。こういう差別と申しますか、その程度とか度合いによってそういうふうにしたのか。その辺について、全然何もかかわりがなかったからこの人たちは発表しない、こういうふうなのか。もし全然何もなかったとなれば、それじゃなぜこれほど重要な立場にある国民の代表をそう簡単に呼び出して事情聴取をしたのか、この点についてお答え願いたいと思います。
  24. 根來泰周

    根來政府委員 御質問の趣旨でございますけれども、私どもが発表したというのは、結局起訴された方、あるいは強制捜査を受けた方については発表しておりますが、そのほかのことについては一切具体的な名前は公表しておりません。また、先日行いました最終報告につきましても、起訴された方はともかくといたしまして、その他の方々については一切名前を伏せておるわけでございます。ただ、その後、参議院の予算委員会で、未公開株を受けた十一人の方についてその名前を明らかにしろ、こういう強い御要請がございました。そのうちで四人の方については名前を申し上げました。といいますのは、この四人の方々は国会で証言されあるいはみずから国会でいろいろ御説明なさった、その方について、四人はこの十一人の中に入っていない、あるいは入っているかどうかということについて私どもは申し上げないというのはいかにも強弁に過ぎるというふうに考えましたので、この四人の方については申し上げたわけでございまして、そのほかの方のお名前については一切申し上げていないのでございます。
  25. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そのほかの方について申し上げていないのを私は了としているわけではないのですよ。でも、その発表された四人の方も実際は起訴されないで、ただ抽象的な職務権限があったというような表現であったわけです。しかし、厳密に国民から見た場合、少なくとも、こういう問題にかかわると、国会議員であればみんな抽象的な責任は当然生まれてくるのですよ。国会議員だから物を頼みに来るし、そして、国会議員だからいろいろまた有効に仕事をしてやることもあり得るのです。そういう国会議員の権威、権力というものについて、国民的な立場から見てやらなければそれはわからないのですよ。一般の刑事被告人のような気持ちで眺めたらとんでもない話で、そういうものでなくて、もしこういう発表で刑事事件としてのけじめはつけたということにいたしますというならば、これだけの国会議員の中で、これ、これ、これは全然刑事処罰の対象にはなりません、この方たちは若干疑いはあっても、しかし訴訟の過程で勝てるという確信が持てません、そういうことで何ともこれ以上、私たちは手を変え品を変えてやったが、すべて力尽きました、どうかひとつ、国民の皆さん、我々のやったことを了解してくれと、国民に対して明らかにしながら謝らなくちゃならないのじゃないですか。そういう態度はどうなんです。
  26. 根來泰周

    根來政府委員 端的に申しまして、国会議員につきましては二名の方は公判請求しておりますが、その他の方については犯罪がなかったという認定をしているわけでございます。その犯罪がなかったというのは、いろいろ理由はあると思いますけれども、その理由についていろいろ申し上げることは若干問題があるわけでございますし、また起訴猶予という制度がございますけれども、これはともかくといたしまして、裁判にならない方は色合いのつけようがないわけでございます。したがいまして、裁判にならなかった、犯罪が認められなかった方々はいずれにせよ犯罪が成立しないという一言で御説明するしかほかはないわけでございます。
  27. 渡部行雄

    渡部(行)委員 だから、犯罪がない人は無罪で真っ白いということになるわけでしょう。ところが、それが一たん検察に呼ばれて事情聴取されると、今度は灰色と言われているのですよ。白と灰色ではこれはまるっきり違いまして、白か黒かを明確に国民の前にすべきじゃないでしょうか。灰色という看板を背負ったまま選挙に出たら大変なことですよ。そういうふうにすべて国民とのかかわり合いの中に議員の位置というのはあるわけですから、そういうことをもっときちっと考えて今後法務行政に当たってもらわないと、結局、今あなた、新聞を見るとあきれて物が言えないじゃないですか。警察官が人を殺してみたり、そして、あれほどの悪い事件が、幼児殺しや誘拐が出ているのに一人もっかめないじゃないですか。そうしてグリコの事件だって、何年にもなるが、これまた全然わけがわからない。こういうような世情についてあなた方はどういうふうに考えているのですか。まずこれについて今後どういうふうにしようとするのか、大臣からお伺いいたします。
  28. 谷川和穗

    谷川国務大臣 検察が厳正公平、不偏不党の立場から法と証拠に照らして適正な事件処理を行ったということにつきましては、国民の皆様方にこの国会を通じて既に御報告をさせていただいたことでございます。この件につきましては、検察として二百六十日にわたってまさに不眠不休努力したことについて、国民の皆様からは十二分に、十二分にというのは言葉は過ぎますが、十分御理解いただけることだと存じますが、今後国会の方で、さらに政治的、道義的責任の有無についてこれを明らかにしなければならないというような御判断で国政調査権に基づく御要請がございましたときには、法令の許す限りにおいてできるだけの協力をさせていただかなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。
  29. 渡部行雄

    渡部(行)委員 もう時間がありませんから先を急ぎます。  次に、六十一年度歳出の退職手当の項目で、五千五百五万二千円の流用減額がされているのに、四億六千六百十九万四千八百九十六円の不用額を出しているのはどういうわけか。これはこの積算が非常に甘過ぎたのじゃなかろうか、こういうふうに私は思います。また次に、この施設整備費も、一億七千七百四十八万七千円の前年度繰り越しを出して、八千五百四十九万六千円の翌年度繰越額を出している、かつ、一千四百九十四万四千七百六十三円の不用額をまた出している。  こういう予算処理の仕方というのは、私、非常に矛盾を感じるのですが、こんなに翌年度繰り越しや不用残を出すようでは、最初からそんな多く組まなければよかったのじゃないでしょうか。
  30. 石川達紘

    ○石川(達)政府委員 まず退職手当金について申し上げますと、確かに退職者が年度当初の推計よりも結果的に少なかったということでございます。こういうふうな原因でございますけれども法務省は御案内のとおり終戦直後多数の職員を採用いたしまして、それが最近定年あるいは勧奨の対象になるということで、かなりの勧奨等も含んでおったわけでございますけれども、それが順調に進まなかったということもございますし、さらには、検察事務官の場合は副検事になられる場合もございましたり、あるいは保護観察所の関係では中央更正保護審査会の委員になるというようなこともございまして、こういった不用額が生じてしまったということでございます。ちなみに、法務省では大体五万人の職員を抱えておりますのでどうしてもこういうふうな差異が生じてしまうわけでございまして、今後は十分気をつけたいというふうに考えております。  次に、施設費関係でございますけれども、この施設費の方は、不用額の方は一般会計におきましては一万八千円でございますし、登記特別会計では七万三千円でございます。ただ、繰越額が登記特会の関係で八千四百万円あるということは御指摘のとおりでございます。この不用額の点ですけれども、何分、当省では、検察庁を初めとしまして二千五百ぐらいの施設を持っておりまして、毎年新営工事あるいは改築工事等をやっております。そういった関係で、この程度の不用額が生じるのはある程度やむを得ないということで御理解いただきたいと思います。  それから、繰越額でございますけれども、これは建設中に埋蔵文化財が出ましてその調査のためにできなかったということと、それから仮庁舎の方の確保に不測の期間を要したというようなことで繰越額が生じたわけでございます。その点御理解いただきたいと思います。
  31. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは今回、六十一年度だけじゃありませんから、六十年度から六十二年度みな見てもらえばわかりますから、時間の関係で私はこれ以上追及いたしません。  そこで次に、福岡刑務所における不正行為に対しての問題ですが、これは昭和五十七年七月から六十一年の二月まで、会計課の職員が被収容者あて差入金の中からちょいちょいとこれを引き抜いて、合計七十九回にわたって百八十五万五千円を横領した、こういう事件があったわけですが、一体会計のあり方がこういうことができる仕組みになっているのですか。それから、こういうのは福岡だけだったのか。あるいはその他にもあるんじゃなかろうかと思われるのです。しかも、これは毎年一回法務省の内部監査がなければならないので、その監査はどういうふうにして通ってきたものか。また会計検査院はこれについて調査をやったのかどうか。この点について明らかにしていただきたいと思います。
  32. 河上和雄

    ○河上政府委員 まず、職員がこういう事故を起こしたことはまことに申しわけないことでございます。  御指摘の何点かについて順を追って申し上げますと、法務省の場合も、出納官吏に係る検査につきましては、予決令に従いまして毎年三月末、それと出納官吏の交代のとき、あるいは必要と認める時期にそれぞれ監査をしております。そのほかに、法務省の場合は毎月一回出納官吏の帳簿金庫を検査することとしておりまして、監査体制としてはきちっとしたものができ上がっておりました。  では、なぜこういう事故が起きたかということになるわけですが、結局この事故は、被収容者に対して現金為替で差入金が送られてくる、そうすると、法務省の内部手続では、現金為替は庶務係が受け取り、それを会計課長に渡し、会計課長がその中で封を切って金額を改め、そして現金は自分が保管し、空の封筒だけをこの事故を起こした職員の方に回す、こういう手続になっていたわけですが、そこをいわばサボりまして、職員を信用するの余りそのまま現金為替を渡していた、こういうことになっていたわけでございまして、結局職員のたるみがこういった事故につながったのだろうと思います。  こういうことがあってはいかぬということで、今度は一連番号を必ず付して現金の流れとそれから書類の流れとを別にする、そういうふうな手続をとることにしております。  それから、御指摘の福岡以外にそういうことはなかったかということでございますが、残念ながらもう一つ昭和五十四年でございますが、釧路刑務所のやはり会計係の職員が、刑務所というところはいろいろ品物を生産するわけでございます、依頼を受けて下請のような生産行為をするわけですが、その相手の業者から受け取った作業関係の現金約五十万円ほどを横領した事件がございます。この事件について、当時懲戒免職、それから御指摘の福岡についても本人は懲戒免職しておりますが、釧路の事件については、懲戒免職した上、さらに起訴されて有罪判決が確定しております。  それから、会計検査院の方の関係は私どもとしてはちょっと申し上げかねます。
  33. 澤井泰

    ○澤井会計検査院説明員 福岡刑務所のこの不正行為が行われた期間につきましては、二回ほど会計実地検査を実施しております。しかし、この差入金の経理につきましては、受け払い件数が多いようなことから、帳簿や帳票を中心に検査を実施しております。しかし、本件の場合には、この差入金が帳簿や帳票に記載される前に行われた事態でございますので、私ども検査ではなかなか気づくことができませんでした。その点で、法務省の方で、職員の自覚とそれから内部監査の充実等をお願いする次第であります。
  34. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この問題はうんと議論のあるところですが、時間がありません。  そこで、一言前に進んで、今借地・借家法の改正が準備されておるようでありますが、これはいつごろをめどにやろうとしておられるのか。また、その内容は結構ですから、いつごろやろうとしておられるのかお伺いします。
  35. 藤井正雄

    ○藤井(正)政府委員 本年三月に借地・借家法改正要綱試案を公表いたしまして、関係する各界に非常に幅広くお配りして意見を求めております。現在まだその意見が戻ってまいっておりません。この秋ごろに意見が出そろいまして、それを整理いたしましたならば、法制審議会民法部会の方で改めてそれに基づいて審議を進めますが、この結論が出ますのはやはりそれから先一年ないしそれ以上かかるのではなかろうか。したがいまして、いつごろ国会に出せるのかというお尋ねでございますと、これは次の次の通常国会というあたりを目指したいというふうに考えています。
  36. 渡部行雄

    渡部(行)委員 まあ一年以上かかるというお話ですが、次の通常国会あたりにかかるという話もあるのですが、そうすると、そういうことはないというふうに考えていいわけですね。
  37. 藤井正雄

    ○藤井(正)政府委員 次期通常国会には提出することは無理であろうと思っております。
  38. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次に、裁判所の方にお伺いいたしますが、過去十年の民事刑事の通常訴訟既済事件の平均審理期間の資料をとって見たのですが、いずれも大変時間がかかり過ぎているのではないか。地裁あたりで大体民事で十二、三年というのが普通、それから刑事で三年から四年になっている。高裁にいくとさらにこれが延びているわけでございます。そして、刑事事件で最高裁は六十三年度で今までになく一番時間がかかっているわけです。これは一体どういうことかという問題なのですが、また、こういうのろのろ判決について何か考えたことがあるのかどうか。  一つは、私は今度のシベリア抑留者に対する判決を見て驚いたのですが、一つの事案を審理されていわゆる起訴から結審に至るまでの間に物すごく判事がかわっているのですね。猫の目のようにと言うが、本当にたまげるほどかわっているのですよ。これじゃどうして本当の審理ができるだろうか。かわれば前の書類からまた目を通さなければならない。目を通しただけではだめなのですよ。やはり、いろいろな議論の中に出てくる表情やあるいは目の色や態度の変わりぐあいとか、そういうすべてを通して、これは真犯人かそうでないか、そういうものがわかるわけなんです。時間がありませんから読みませんけれども、こんなにかえたらどうしようもない。しかも裁判長までかわっている。これじゃ判決の書きようもないじゃないですか。  そして問題なのは、判決を書かせるに至るまで、事件によっては、例えば民事なら民事の中でも、何法においてこの方は専門的であるとかあるいはまた国際法について非常に詳しいとか、そういう適材適所に裁判に充てていないじゃないか。ただ数学をやるみたいにいいかげんにばっぱっと、順序で人事をやっておるようにしか見えないのですよ。その点はどういうふうに考えておられるのか。  また、今のこういうやり方をいつまで続けるおつもりなのか。もう法務省の中でも、法務局の方の関係、登記関係はコンピューター化されて、事務の近代化というものに真剣に取り組んでおるけれども、私はむしろ人間の判断より今はコンピューターの判断の方が正しいのじゃないかと思うのですよ。全部判例等六法全書をインプットしておいて、そして事件の事案をずっとやっていったら必然的に結論が出てくる。何もたまげる必要はないので、そういう正確な判決を要求されればされるほど今の裁判のあり方あるいはその判決文の書き方、そういうものについて考えるべきじゃないか。  このことをお伺いいたします。
  39. 櫻井文夫

    ○櫻井最高裁判所長官代理者 いろいろ御指摘がございましたけれども、まず民事刑事の裁判に要する審理期間の問題でございますが、それにかかりました単位は月でございまして、例えば地裁の民事事件ですと、昭和六十三年で申しますと、十一・九年ではございませんで十一・九カ月ということでございます。仮にその単位が月でございましてもある程度の時間がかかっているというのは事実であります。  裁判官の交代が審理の長期間ということに影響をしているではないかという点につきましては、確かに裁判官が異動いたしますとある程度これが一時的な事務の渋滞を来すということは事実でございます。ただ、異動といいますのは、例えばその裁判官が一つの任地に長期間いますといろいろと弊害が出てくるというようなことがございます。仕事に倦んでくるというようなこともございますし、気分の一新を図らなければならないとか、あるいは都会地の任地にいる者と地方の任地にいる者との機会均等を図らなければならないとか、いろいろな配慮から異動が行われているわけでございまして、一時的な事務の渋滞という点はございましても、異動によって得るまた別の面でのメリットということも考えて行われているわけでございます。ただ、私たちとしましては、機械的な異動をやっているわけではありませんで、なるべく事件の渋滞の面を来さないように、事件処理が著しくおくれないような時期の異動ということを考えながらやらしていただいておるつもりでございます。  裁判のコンピューター化というお話もございましたけれども、私たち民、刑事の裁判について国民の要望にこたえちれるようにいろいろな工夫をしていかなければならないというふうに思っております。ただ、コンピューターにすっかりかえてしまうというのは実際問題としてはなかなか困難なものがあろうかというふうに思っております。
  40. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間が参りましたのでこれで終わります。どうもありがとうございました。
  41. 中村靖

  42. 新村勝雄

    新村委員 隣国の中国で不幸な事態が進行いたしておりますが、それに関連をして、いわゆる政治亡命ということが既に起こっているとも言われておりますし、あるいはまたこれからもそれが予想されるということでありますが、この政治亡命ということについての政府の基本的な考え方を伺いたいと思います。
  43. 股野景親

    股野政府委員 お答え申し上げます。  政治亡命という点についてのお尋ねでございますが、我が国といたしましては、政治亡命に関係する法的制度としては、出入国管理及び難民認定法がございます。そこで、もし政治亡命を希望するというような場合に、この方が、まずどこに亡命を希望するのかということも一つ考慮しなければならない点でございますが、もし第三国へ亡命を希望する、こういうような場合でございますと、我が国としましては、その方の抱えている事情というものを個別に、慎重に見た上で、またその人の希望も考え人道的な見地から対処していく、こういう手続になると思います。  それから、もしこの人が日本への亡命を希望されているということであれば、ただいま申し上げました出入国管理及び難民認定法の規定に基づきまして、亡命の根拠となる政治的迫害の申し立てに十分根拠があるかどうかという点を慎重に検討いたしまして、根拠があると認められる者については、人権の尊重さらには我が国として考慮すべきいろいろな事情を勘案しました上、在留を適当とする事情のある者についてはこの法律の所定の手続によって在留を許可する、こういうことになると思います。
  44. 新村勝雄

    新村委員 そうしますと、法的には政治亡命についての規定は何もない、ただ、実際にそういう事態が起こった場合には難民条約に準じて難民条約の規定を適用して対処する、こういうことでございますか。  難民の概念というのは政治亡命とは大分違うし、また、最近我が国に来航というのか漂着というのか知りませんけれども、そういう着いた方々とも若干違うのではないか。難民の定義というのは戦乱等によって生活の根拠を完全に失ってしまった場合等に言われる概念であって、亡命とも、それからまた他国へ行って新しい生活を再建しょう、そういう意図で来ることとも違うというふうに思うのですけれども、難民の概念を伺いたい。
  45. 股野景親

    股野政府委員 今委員指摘の亡命ということと難民ということの扱い、さらに難民と言われる者の中に例えばボートピープルのような人たちもあるが、そういう点での概念の区別はどうなんだろう、こういうお尋ねであると承知いたします。  まず、亡命と難民ということについての一般国際法上の定義を申しますと、これは明確な区別が必ずしもございません。そこで日本としては、この点については、もし亡命ということを言われるのであれば、我が方の法体制としては出入国管理及び難民認定法に基づく難民認定手続で対応する、こういうことになるわけでございます。  他方、それでは難民の中に概念の違うものがあるのではないかという御指摘でございますが、この点は、実は私ども日本で今対処しておる難民問題には二つのものがございます。  一つは、出入国管理及び難民認定法のもととなっておりますところの難民条約の規定に基づく難民という扱いでございます。したがいまして、こちらは難民条約の中にある難民、これは一口に言うと本国で迫害というものがあるという点を認定するかどうかという点がポイントになるわけでございますが、これについての認定を法の手続で行う、まずこういうグループの難民があるわけでございます。それからもう一つは、最近非常に報道等で話題になっておりますいわゆるインドシナ難民でございますが、これは、我が国の体制としては、難民条約に基づく難民の認定の対象としてそのまますべてを扱うわけではございませんで、何かいろいろな理由があって故国を脱出してそして日本へ漂着するということでございますので、これについては累次の閣議決定に基づきまして一次庇護をまず与える、日本に着いた人はとにかく人道的な配慮から一次的な庇護を与えて、その方々の希望に応じて第三国への定住を希望する人にはそういうことをあっせんする、あるいは日本へ定住することを希望する人にはまた日本への定住についてもあっせんする。そして、その中でさらに、いや、自分は難民条約に基づく難民の認定を欲しい、こういうことを申し出る方があれば、今度はさらに一歩進んだ先ほど申し上げました難民条約に基づく難民認定、こういう手続をとる、こういう構えになっております。
  46. 新村勝雄

    新村委員 政治亡命と難民とは概念も違うのですと思いますけれども、今ここで議論する時間もありません。  そこで、大臣にお伺いしたいのですが、今隣国で不幸な事態が進行しておりまして、先般大使館の女性が亡命を希望しておるというようなことも伝えられております。しかし、これは日中の隣国としての特殊な関係、あるいは基本的に友好を維持していかなければならないという両国の関係もございます。一方また、人権の尊重といテ点からすれば、政治亡命についても日本政府として、日本国として誠意を持って対処をしなければならない問題だと思います。また我が国には政治亡命に関する法制が整備をされていないようでありますけれども、この問題については、近代国家の共通の認識として、基本的な人権を踏まえた上での政治亡命に対する対処の仕方についてはほぼ一定の方式が国際的にも確立をされているというように聞いておりますけれども、そういったことを踏まえた場合には今回の対応をどうなされますか。
  47. 谷川和穗

    谷川国務大臣 まず最初に、私といたしましては、隣国中国で生じております事態につきまして極めて懸念をいたしておりまして、一日も早く平静の状態を取り戻すことを心から願っておるわけでございます。  それから、ただいま御指摘の個々の問題につきましては、これは極めて具体的な事例でございますので、政府委員の方かぢ現状について御報告をいたさせます。
  48. 股野景親

    股野政府委員 ただいま委員御下間のございました日本におります中国大使館の館員の問題でございますが、これは、私どもとしてはただいま大臣が申されました立場に基づいて対処することにしております。現在既にこの件は報道されているような事態が起こっているということでございますが、本人の第三国への亡命の目的等について現在手続中でございます。亡命ということにつきましては本人の保護ということを第一に考える必要もございますので、そういう点で今手続が進行中でございますので、具体的な中身については現段階では御説明するのを差し控えさせていただきたい、お願いしたいと存じます。
  49. 新村勝雄

    新村委員 次の問題に移りまして、これは医療保障の手続の問題でありますが、現在の医療保障については社会保険、健康保険、国民健康保険、大きく分けて三つになると思いますが、そのうちで国民健康保険については都道府県ごとに連合会があってそこで審査をし、支払いをする、それ以外の保険についてはこれまた都道府県ごとに社会保険診療報酬支払基金あるいはその支部ですかというものがありまして、そこで実際に審査をし、支払いをする、こういうシステムになっているようですね。そして、医療機関が各種の保険に加入をしている被保険者を診療した場合には、医療機関が診療報酬請求書、いわゆるレセプトをつくってこれを保険者に提出をする、請求をする。これを受けた保険者は、健康保険については都道府県ごとの連合会、それ以外の保険については支払基金で審査をしてそれ相当の報酬を支払う、こういう流れになっておるようであります。  この場合に保険者は、各審査会で審査を受けたその結果を支払いの前に保険者の責任において審査の点検をして、その確認をした上で基金あるいは連合会から、そこに委託をしておるわけですから支払いをしてもらう、こういうことになっておるようですけれども、最近、保険者が審査点検をする段階で、その事務を民間企業あるいは個人に委託をしているという実態がかなりあるようであります。この実態について当局はどういうふうに把握しておられますか。
  50. 真野章

    ○真野説明員 保険者が診療報酬についてレセプトを点検いたしまして、支払いをするということになっております。それは医療費の適正化という観点、それから保険者でなければわからないような事項も多々ございますので点検をいたしておるわけですけれども内容にわたりますと大変専門的な知識が要るというようなことから、先生御指摘のように外部に委託をされているという実情もあるというふうには聞いておりますが、厚生省としては、どれくらいの件数が委託されているとか、その内容につきましては今のところつまびらかにはいたしておりません。
  51. 新村勝雄

    新村委員 実はこれが今一部で問題になっておるわけでありまして、保険者が保険者の責任において点検をするということが本来の流れであるわけでありますけれども、それをそっくり外部に委託するということになりますと、事柄の性質上、患者のプライバシーの侵害あるいは保険運営の適正を欠くような結果が出てくるのではないかということで心配をされておるわけです。しかも、この民間の業者というのは法的な立場も何もないわけでありまして、また資格要件についても何ら決められていない。要するに、保険者としてはみずから行うべき審査を、事務の簡素化というか経費の節約というか、あるいはまたそれによって過払いを指摘していく、摘発していく、そういうことのためにこういう方法が出てきたと思うのですけれども、これについてはやはり法制度でも予想していない事態だと思うのですね。そうしたことが行われていることについては大体お認めのようでありますけれども、そういうことについての評価、その点はいかがでしょうか。
  52. 真野章

    ○真野説明員 先生御指摘をいただきましたように、レセプトの点検につきましては、保険者が医療費の適正化を期す、それから自分が運営をいたしております保険財政の健全化を図るということから大事な問題でもありますし、さらに、レセプトには加入をいたしております被保険者なり被扶養者の受診状況がわかるわけでございまして、保険集団として健康の増進に努めるということからまいりますと、そういう健康情報を保険者みずから把握いたしまして、健康な被保険者として保険を運営していただくというのが最も望ましいわけであります。  私どもといたしましても、従来から、保険者がみずからレセプト点検を行うようにという指導をいたしてきておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、診療内容ということになりますと専門的な知識が要るというようなことから、一部の保険者では、そういう職員の確保が難しいというような観点から、外部の委託が行われているのではないかというふうに考えております。  外部の委託を行う場合にも、先生御指摘がありましたプライバシーの保護という観点から、保険者とその外部への委託の場合の委託条項でプライバシーに配慮するように当然措置をいたしておるというふうに思っておりますが、今後ともそういう面で一層の指導をしてまいりたい。原則としては保険者みずからレセプト点検をやっていただきまして、やむを得ない場合にはそういう的確な措置をした上で委託をすべきものというふうに考えております。
  53. 新村勝雄

    新村委員 その診療が妥当なものであるかどうかということの判断については、当然支払基金に設置されておる審査会あるいは連合会の審査会がやるべきものであって、保険者は別としても、これは第三者に委託すべきものではないわけですね。あくまで医療の適正化という観点からの審査審査会がやるべきものだ。保険者がやるのは点数の配当が適当であるのかどうか、あるいは計算が間違っていないかどうかというようなこと、いわゆる事務的なものであって、医学的な判断ではないでしょう。ですから、医学的な判断による審査というのはあくまで審査会がやるわけであつくあと事務的な点検は保険者が念のためにやるということでありますから、それはどちらかというと主たる審査というのは審査会がやって、念のために事務的な間違いがないかどうかということを保険者がやる、こういう建前だと思うのですが、それでいいですか。
  54. 真野章

    ○真野説明員 原則といたしまして、診療内容審査というものが支払基金なり連合会に設けられております審査委員会が行うべきものというのは先生がおっしゃるとおりでございます。ただ、支払基金なり連合会で行う審査というものは毎月の審査でございまして、提出されましたレセプトというのは月単位でございますので、毎月毎月の審査を行っております。例えば縦覧点検と申しておりますが、三カ月ないし半年というふうに被保険者の受診状況に着目をいたしましてその診療内容を点検するとかそういうことになりますと、現在の支払基金なり連合会ではそれはできませんので、したがいまして保険者にも支払基金なり連合会でできない分野についての審査というものは医療内容についても残っておるし、それはまた保険者がみずから行うべきものだというふうに思っております。  ただ、その場合でも、支払基金なり連合会の審査委員会審査を経て支払うということになっておりますので、そこは保険者が勝手に決定をできませんので、支払基金なり連合会の方に再審査請求という形で戻していただきまして、支払基金なり連合会がもう一度審査をするということになっております。そういう意味では、先生おっしゃるとおり支払基金なり連合会の審査委員会が診療内容について審査をするというのはおっしゃるとおりでございます。
  55. 新村勝雄

    新村委員 そういうわけですから、医学的な判断についてはあくまで支払基金の審査会がやるということですよね。保険者はそれに基づいての事務的な未整理あるいは錯誤はないかどうかということだと思います。だとすると、これは当然保険者の責任においてやるべきことであって、それを便宜的に外部にレセプトを持ち出して事務委託をするというようなことは、保険行政の流れからいっても全く間違いだと思います。いかがでしょうか。
  56. 真野章

    ○真野説明員 原則論といたしまして保険者がみずからのレセプトについて点検をすべきだというのは、先生のおっしゃるとおりだと思います。私どももそういうふうに保険者を指導いたしておりますが、実際に保険者がレセプト点検を行う事務やり方をどういう形でやるか、必ず職員がみずから全部、全件についてやれるか、そしてまた御承知のとおり保険者にもいろいろレベルがございますので、そういう事務能力を全部確保できる保険者かといいますと、なかなか個々千差万別ではないかと思いますので、万やむを得ず、みずからの職員でできないという場合にいろいろな対応をとられるというのは、ある面ではやむを得ない面もあるのではないか。ただその場合に、先生御指摘になりましたような問題点がないような形の担保を委託その他の条項で確保すべきだというふうに思っております。
  57. 新村勝雄

    新村委員 民間委託をしておるという実態を御存じないというさっきのお話だったのですけれども、そういう事務の流れについては当然指導し、把握をされていなければならないわけでありまして、そういう実態を把握しておられないということ自体が、やり方について不正常な、あるいは法の予想しない事態だということがそこからも言えるのではないかと思うのですね。  それで、これは保険行政を健全化する、あるいは支払いをできるだけ節約をするという発想は悪いことではないと思いますね、ないと思いますけれども、このやり方は、審査会で審査をしたものの過誤を、特に過払いを指摘するということに専ら重点が置かれているわけなんです。それで、業者との契約の内容等もこういった条項があるのですね。「前条の委託の対価は、乙が」、というのは民間の企業が「審査点検を委託されたレセプトについて実際に過誤精算された診療費の額の」例えば六〇%の額とする、こういう内容の契約があるわけですよ。そうしますと、その業者が過払いを摘発すれば、それの六割なら六割は報酬としていただきますよという契約の内容になっておるわけです。そうしますと、これは明らかに医療機関、そして保険者、基金、この関係のスムーズな機能を阻害するという危険があると思うのです。途中でこういう専ら営利中心で、しかもその過誤を摘発すれば摘発の何十%は報酬になりますよ、こういう契約だと、これは医療行為に対する不当な圧迫にもなるし、それからまた医療保障の精神からいっても好ましくないのではないかと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  58. 真野章

    ○真野説明員 契約の内容につきましては承知をいたしておりませんが、先生御指摘のとおり、過誤が認められた額なり過誤請求した額のいわば出来高というような契約の内容につきましては、医療分野における相互の信頼感というものに影響があるということで好ましくないというふうに思います。
  59. 新村勝雄

    新村委員 こういうことがまかり通りますと、正当な医療行為でやっても、これは過誤だ、これは過剰診療だということで、保険者の立場からそういう主張がされてそれが通りますと、これは医療機関に対する不当な圧迫にもなるし、保険行政の円滑な運用を乱すことは明らかだと思うし、今の御答弁でもそれは認めていられるわけでありますけれども、今こういう民間委託が行われているという事態を把握されていないということ、これ自体がおかしいわけですよ。これは実際にかなり行われているわけですから、もし御存じないとすれば、ぜひ早く調査をされて、内容等についても検討される必要がある。もし保険者の方の事情あるいは保険制度全般の事情からしてこういう業者が必要であるというのならば、この業者をオーソライズするような措置が必要ではないか。一定の資格要件を要求するとか、あるいは審査についても一定の条件を要求する、その条件に合っている業者については認める、認めるかわりに公務員と同じような守秘義務を課すというようなことが必要だと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  60. 真野章

    ○真野説明員 保険者のレセプトの外部委託の状況につきまして、私ども今正確な実情を把握いたしておりませんので、その実情の把握ということにつきましては努力をしたいと思っております。  ただ、御指摘ございましたレセプト点検をやっている業者の何らかの法的規制という問題につきましては、まず私ども原則としてレセプト点検はみずからが行うべきというふうに考えておりますので、その実態を把握した状況で、どういう契約が行われているか、それからまた、どういう方々がそれに従事をされているかという実情を把握させていただきましてから検討させていただきたいと思います。
  61. 新村勝雄

    新村委員 いずれにしても現状のままではいけないと思いますよ。それはお認めになりますか。
  62. 真野章

    ○真野説明員 実態がなかなかはっきりしていないという問題につきましては、行政官庁としてその実態を十分把握したいと思っております。
  63. 新村勝雄

    新村委員 既にこういうことが行われているという実態を御存じないというのは一つ問題がありますよ。それから、仮にその実態が十分調査の上でわかったという段階でもやはり問題が残ると思うのですよ。ですから二つの問題があるわけですから、なるべく早くこの実態を調査をしていただいて、その実情が明らかになった段階で善処をしていただく。  私は、こういう人たちを全部締め出せと言っているのじゃないのですよ。締め出せと言っているのじゃないですけれども、現在の状況は決して正常だとは言えない、健全だとは言えないわけですから、その点について一日も早くこの実態を調査をしていただいて、実態がわかった段階で適正な処置をしていただきたい。締め出せと言っているわけではありませんから、これは誤解のないように。締め出さなくても、一定の条件を付すなり行政的な配慮をすれば、こういう人たちにやってもらっていいかもしれません。いいかもしれませんけれども、現状ではこれは不適当だということであります。もう一回伺います。
  64. 真野章

    ○真野説明員 現在のレセプト点検の外部委託の状況の実態をなるべく早く把握させていただきまして、それの状況を見まして対応を検討したいと思っております。
  65. 新村勝雄

    新村委員 次の問題に移ります。  外務省にお伺いしますけれども、今世界情勢、特に中国の情勢あるいは中国に対する例えば米中の問題、あるいは日中の問題、その問題に関連をする日米の問題、いろいろ問題があると思いますが、そういう中で外務大臣があしたですかあさってですか訪米をされるようですが、この外務大臣の訪米については主たる目的は何であるのか、あるいはどういうお考えで、またどういう成果を期待していらっしゃるのか、それを伺います。
  66. 岡本行夫

    ○岡本説明員 二十六日に日米外相会談が行われる予定でございます。今回外務大臣が訪米いたしますのは、本年の二月、二回にわたりまして日米首脳会談が行われました後、日本側の新内閣の発足がございました。それを受けまして、改めて日米関係の重要性を確認し、また二国間問題について話し合い、そして両国が共通の関心を有します国際情勢について意見交換を行う、このようなことが目的と私ども認識しております。  今後の対米外交でございますけれども、私ども日米関係が私どもの外交の基軸であるという認識でございまして、そのために日米の二国間案件は静かな対話、そして静かな努力ということで解決していく、そして国際情勢につきましても、日米両国それぞれが有します重要性にかんがみまして、両国の間で非常に緊密に話し合っていく、そして政策協調と、案件によりましては共同作業を図っていく、そして国際社会全体の福祉と安定のために貢献していく、こういうことが私どもの認識でございます。
  67. 新村勝雄

    新村委員 外務大臣は最近の発言で、訪米に関連をして、これは日米、日中、米中の関係に関連をしての御発言だと思うのですが、日本の果たすべき役割があれば、経過を見きわめつつ、機会があればアプローチするのにやぶさかでない、調整役やあっせん役ができるかどうか出発までに考えを整理したいと言われているわけですけれども、今中国をはさんでというか、対中国政策、これは日本としてはアジアの一員、西側の一員という基本的なスタンスはあるでしょうけれども、同時にまたアジアの一員ということも忘れてはならないわけでありますから、そういう意味で、あるいはまた歴史的ないろいろな事情もあって、米中と日中の関係はこれは当然違うと思います。そういうことで政府も慎重な対応をされておるようでありますけれども、そういう日中、米中、日米、こういうことを考えた場合に今日本の果たすべき役割はどういうことになりますか。アメリカに対してこの中国問題を踏まえた場合にどうするのかということはどうなりますか。
  68. 岡本行夫

    ○岡本説明員 中国情勢は、我が国、米国いずれにとりましても大変重要な問題でございます。そのために緊密な意見交換を行いたいと私どもも考えておるわけでございます。ただ、両国の中国に対する政策についての橋渡しのようなものができるかどうかというお尋ねかと思いますけれども、米国はみずからの判断に基づいてただいま対中政策を進めてきているところでございます。したがいまして、米国から求められれば別でございますけれども、現時点で我が国が米中両国の橋渡しあるいはあっせんを行うという状況にはないと考えております。  ただし、先ほど申し上げましたように、中国問題というのが極めて重要でございまして、これに世界全体の平和と安定の見地から日米両国対処しなければいけないわけでございますから、当然緊密な意思疎通、そして協調というものを米国との間で図っていかなければならないと考えております。
  69. 新村勝雄

    新村委員 戦後の日本の外交はいわゆる対米従属、そうじゃないと言われるかもしれませんけれども、そういう感が深いわけですね。米中の関係と日米の関係あるいはまた日中の関係、それぞれ違うわけでありますが、この問題については、今まで言われるように対米従属ということだけでは済まされない重要な要素を持っているのじゃないかと思います。そういう中で三塚外相がそういったことも踏まえて訪米をされると思うのですけれども、今米中の中に立ってあっせんをする考えはない、こういうお答えでありましたが、そうではなくて、やはり西側の一員ということを認めながらもアジアの一員であるという基本的なスタンスは忘れてはいけないし、またそういう姿勢でこの問題に臨まなければならないと思うのです。そういった意味からすれば、これは外相も言っておられるのですけれども、調停役、あっせん役ができればやりたい、そのくらいの意気込みあるいは外交の構想を持つべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  70. 岡本行夫

    ○岡本説明員 私、先ほど、日本が米中両国のあっせんを行う状況に現段階ではないとお答えしたわけでございます。日本とアメリカそれぞれ自主的、独自の外交政策をあらゆることについて持つこと、これは当然でございます。私が先ほど来申し上げておりますのは、ただ、日米関係の重要性にかんがみて、あくまでも両国の間で十分な意思疎通と協調が図られなければならない、我が国の対中外交というのが我が国の立場から行われること、これは言をまたないわけでございますけれども、どのような我が国の外交政策の遂行に当たっても、同盟国であり最大の友邦である米国との間で十分な相互理解を確保しながら行っていく、こういう趣旨を申し上げたわけでございます。
  71. 新村勝雄

    新村委員 日米関係の重要性、これは否定するものではありませんし、それは十分アメリカの意図等もそんたくをしながらやらなければいけないと思うのですけれども、今まで言われているように、常に日本の外交は対米従属だということが言われているわけですよ、そうじゃないとおっしゃるでしょうけれども。ですから、そういう今までの経過の中で、この対中問題はその試金石ではないかと思うのですよ。対米従属なのか、あるいは対米基軸外交は維持をしながらもアジアの一員として行動できるかどうかということが今問われておるわけです。そういう観点からどうすればいいのか。  それからまた、今アメリカに対して日本考え方を述べられるつもりは全くありませんか。それとも、これからしばらくずっと静観をしていて情勢が動くのを見てやるのかということになりますと、これは日本の外交の自主性がどこにあるのかということになりますから、そこらの点もう少しはっきりしていただきたいわけです。大臣がいらっしゃればいいのですけれども大臣いらっしゃらないのですが、大臣の意を受けて日本外交を進めていらっしゃる課長ですから、そのくらいの見識がなければいかぬと思います。
  72. 岡本行夫

    ○岡本説明員 中国情勢は毎日変化しております。したがいまして、二十六日までの間にさらにどのような進展があるのか、私ども最新時点までの情勢を十分見きわめた上で私ども考え方を整理して、そして米国に伝えるつもりでございます。どのような問題につきましても、私どもが米国側の言うことに唯々諾々とそのまま従うということはあり得ません。あくまでも我が国の国益を踏まえた上での対米外交であることは先生御指摘のとおりであります。
  73. 新村勝雄

    新村委員 時間ですから終わります。
  74. 中村靖

    中村委員長 小川国彦君。     〔委員長退席、魚住委員長代理着席〕
  75. 小川国彦

    小川(国)委員 私は最初法務大臣にお伺いしたいのですが、最近日本語学校という学校が日本の国内の全国各地にたくさんできているわけです。その日本語学校について大臣はどんな認識を持っていらっしゃるか、最初にそれをお伺いしたいと思います。
  76. 谷川和穗

    谷川国務大臣 我が国が国際化を果たしつつあり、また経済的にも極めて影響の大きい国柄になりましてから、我が国の言語であります日本語を学びたいと思う方々が数多くふえておられることはまことに喜ばしい限りだと思っております。  俗に言われます日本語学校の実態につきましては、いろいろ報道されているような言うならば本来の日本語教育とはいささか外れたような形のものがあるとすれば、将来のこともあわせ考えますときに、本来の日本語教育のあり方として進んでいってもらいたいものだ、こういうふうに考えております。
  77. 小川国彦

    小川(国)委員 はしなくも大臣は、本来の日本語教育を外れたものがあれば将来を考えなければならぬ、こういうことをおっしゃったわけでありますけれども、現在日本語学校というのが全国で三百三十四校あるわけですが、そのうち専修学校とか各種学校でない日本語学校というのが二百九十三校も認められているわけであります。これについて私どもがいろいろ調査しましたところ、法務省が適格と判断した日本語学校の実態というものを本当に把握されているのかどうか、その点について現状においては非常にゆゆしい問題がたくさん山積しているように思うわけです。そういう点で、以下、問題点をお伺いしてその改善策を求めてまいりたいと思うわけであります。  最初に、学校法人とか各種学校ではない株式会社、有限会社、個人による日本語学校というものがあるわけです。これが二百九十三あるわけですが、この代表者が学校経営以外の営業をあわせ行っているのは何校、何割くらいあるのでございましょうか。
  78. 股野景親

    股野政府委員 ただいま委員指摘日本語学校のあり方という問題については、ただいま大臣も申されましたとおり、我々も日本語学校の本来あるべき姿というものをしっかり確立するよう行政当局として大いに努力をしていかなければならないと存じておりますので、以下、そういう気持ちで私どもも御質問にお答え申し上げたいと思います。  ただいまの御指摘の、学校の中に株式会社形態等をとっておるものがあってそれがどういう実態であるかという御指摘でございますが、この点については、我々入国管理当局として、日本語学校に対する基本的な取り組み方の観点から一言御説明申し上げたいと思います。  すなわち、日本語学校というものについての法務当局の関与の仕方は、外国人が日本語を日本で勉強するために入国をする、その審査に際しまして、日本語を勉強するその就学先として適当であるかどうか、こういう観点からの判断として関与してまいったわけでございます。したがって、日本語教育そのものについて教育行政的な見地からこれに関与するということは法務省としてはこれを行う立場にはなかったわけでございますが、その観点でいろいろ問題点も最近感ぜられますので、先般来、教育行政を預かる文部当局とも提携の上、文部省側の御協力も得ながら是正していく、こういう状況でございます。したがいまして、法務当局としては、今の経営陣そのものについての判断を、これまでの扱いでは、必ずしもその就学生が勉強する際の学校が就学生が来るに適当か不適当かという判断の中に統一的に判断基準としては入れてなかったという状況がございます。したがって、ただいまの御質問については法務当局として今お答えする状況にはないわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  79. 小川国彦

    小川(国)委員 私の方であなたの方に、法務省日本語学校として認めたすべての学校名、それからその所在地、代表者名、その理事長とか学校長の前歴、資本金、生徒数、教員数、教室数、学校施設の内容、認可年月日、授業料等経費一切の内容、こういうことでお願いしたのですが、この中で資本金を見ますともう千差万別なんですね。五百万円、三千万円、三百万円、四億円、五百万円というようなのから一千五百六十五万円とか、中には五十万円、二億円ということで資本金がまちまちなんです。  それから、個人でも学校法人でもない、それでいて資本金がどうなっているのかわからないのです。具体的にお尋ねしますと、例えば品川にウイズ外語学院というのがあるのですが、これは資本金が出てないのです。こういうのは資本金がない学校法人なのか、専修学校なのか、各種学校なのか、あるいは民間企業なのか。それから新宿区百人町にある国際工芸日本語学校、これも資本金が不明なんです。それから千代田区にある東京ビジネスカレッジというのも資本金不明なんですが、こういうところは、皆さんの方が学校の資料を提出させたときに、就学先として適当かどうかということを見ましたときに、この資本金というのは把握されなかったのでしょうか。経営形態は何になっているのでしょうか。
  80. 股野景親

    股野政府委員 ただいまの委員の御指摘の点、私ども先ほど申し上げました状況で必ずしも経営の中に踏み込んだ把握というのはしていない面もございました。ただいま先生の御指摘の、資本金がそこの我々の御提出申し上げた資料の中に書いてないのはどういうことか、こういう点でございますが、これは個人で経営しているといったようなものがこれに該当すると思います。我々現在、先ほど申し上げました文部省との提携のもとに新しい審査体制というのをつくってまいります中で、さらにそういう点についてもきちんと審査ができるような体制づくりをこれから図っていかなければならぬと考えておりますが、従来の入国管理局のこれに対する関与の仕方の中では必ずしもその点を統一的に把握していなかったという事情がございます。
  81. 小川国彦

    小川(国)委員 文部省は、この学校を認めるに当たって何かこれに関与されておりましたですか。
  82. 西澤良之

    ○西澤説明員 ただいまお尋ねのございました各学校等につきましては、法務省がこれを入国管理の観点から審査されたということで、文部省としては、個々の学校につきましての審査等を、いわゆる各種学校、専修学校等の認可を受けているものを別といたしまして、個別の学校についての審査等は行っていなかったというのが実情でございます。
  83. 小川国彦

    小川(国)委員 「日本語教育施設設置基準一覧」というのを見ますと、例えば校長は「教育に関する見識を有し、かつ、教育、学術又は、文化に関する業務に相当期間従事した者であるものとする。」こういうふうになっているのです。それからまた設置者ですね。設置者は「日本語教育施設を経営するために必要な経済的基礎を有すること。」「設置者が日本語教育施設を経営するために必要な知識又は経験を有すること。」「設置者が社会的信望を有すること。」こういうふうになっているのですが、私ども調査した中では、例えば設置者は貸しビル業者であって、クラブとかスナックとかパチンコとか、そういうところにお店を貸している貸しビル業者がこのいわゆる設置者になっているのですね。そうすると今言った条件には該当しないと思うのです。それからまた、教育に関して見識を有する人が校長ということになっているのですが、私ども調査したところでは、校長先生は一週間に一遍しか出てこないというのですよ。  そうすると、設置者も校長さんも教育施設を預かるのに果たしてこれで適任なんだろうか。わずか数カ所の調査でそういう実態が出てきているのですが、そういうところを就学先として適当というふうに判断をしながら、その学校が二百九十三にもなってしまったということですね。文部省は関与せず、それについて就学先として適当という判断を下すとそれで学校がつくられてきちゃった、そして二百九十三も学校ができちゃったということなんですね。  私どもが行ってみると、今言ったように雑居ビルの中で、教室はあるけれども、例えば図書室といえば本は一冊も置いてない、コピー機が一台ある、掃除の道具があるだけとか、それでも看板が出てるのはいい方で、ほとんどはそういうものはない。図書室とか保健室、LL教室なんてものは全くない。だから学校の体をなしてないのですね、どこを回ってみましても。そういうのを就学先として適当というふうな判断は一体だれがなしてきたのでございましょうかね。
  84. 股野景親

    股野政府委員 ただいまの委員指摘は、現状の日本語学校の中にいろいろ問題点と思われるところがあるという御指摘でございまして、我々もそういう御指摘に対しては謙虚にこれを受けとめて対応していく必要があると考えております。先ほど来申し上げております文部省との提携関係というものも、まさにそういう考えに基づいて現在努力をいたしておるところでございます。  実は、この日本語学校という施設はここ数年の間に急速に数がふえた、そういう教育施設でございますが、先ほど来申し上げておりますように本来法務省も教育行政そのものに関与する立場にはなく、他方、これに就学しようとする外国人の学生の入国審査ということはこれは立場上義務を負っておるわけでございますので、そういう観点で、最近急速にこの日本語学校の数がふえてきたということについて法務省側でもそれに対する対応を今新しい状況に照らして行っている、実はちょうどいろいろな意味で物事が動いている、そういう状況でございます。したがって、先ほど委員指摘のございました、例えば学校の校長についての一つの基準というものも、昨年文部省側とも協力をいたしまして、新しい日本語学校の基準というものを設けようという中で編み出されてきた一つの基準でございます。  従来につきましては、法務省としても教育行政そのものを預かる立場にございませんので、例えば各種学校というものが従来ございましたので、その各種学校の運営基準に準じた扱いということでしてまいりました。したがって、先ほど委員指摘の例えば学校長になる人の要件というものも、先ほどのお読みになられました新しい、今後適用していこうという基準と違って、従来については、必ずしもそれの条件そのものでなく、それに準ずると考えられたというような状況についても、学校の施設が整っておって教員もおって勉強しているということができるということであれば、必ずしもその学校の代表者についてまで踏み込まないで判断をしてきたという経緯も確かにございます。  しかしその点についての問題点も、こういう日本語学校が非常にたくさんふえてきて委員指摘のような問題点も感ぜられるという状況もございますので、これに対応するべく、私どもも今そういう意味での新しい審査基準を設けた、その運用に取りかかってまいる、こういうことでございます。  そういう意味で、法務当局として従来ただいま委員指摘のありましたような学校について対処してまいったわけでございますが、不備な点があったとすれば、これはやはり今後の改善すべきポイントとして、ちょうどこの新しい基準での審査体制というものに既に移行が図られているわけでございますので、その中で改善を図ってまいりたい、こう存じております。
  85. 小川国彦

    小川(国)委員 私が資料請求しましたときに、代表者名、学校長の前歴、それから資本金があるのですから、社名があってその社の業務、本来的業務、学校を副業の方でやっているところがかなり多いようなんですが、そういうことについての資料は皆さんの方で把握していらっしゃるわけですね。
  86. 股野景親

    股野政府委員 ただいま御説明しましたように、この日本語学校自体の制度、そしてその運営というものが最近非常に急速に伸びてきた状況でございましたので、私どもこの問題に関与するようになりましてからの取り扱いも、現在でこそ文部省側との提携に基づく一つの仕組みというのができてきておるわけでございますが、流動的な扱いが従来ございましたので、そういう意味で今御指摘の明細のすべてにわたって私どもとして現状を必ずしも把握していない点もございますけれども、我々なりに今後についてはそういう点についてもよく把握に努める必要があろうかと思います。
  87. 小川国彦

    小川(国)委員 一つずつ伺いますが、資本金というのが物すごく千差万別なんですね。この資本金は日本語学校の資本金なのか、例えば不動産業とか貸しビル業とかその他の業をやっているものの資本金なのか、そこのところははっきりしているのですか、皆さんの方は把握しているのですか。
  88. 股野景親

    股野政府委員 確かに御提出申し上げました資料の中で数字がいろいろございまして、私ども自身もこの点についてさらに掘り下げて分析をする必要があると思いますが、御提出申し上げました数字は必ずしも日本語学校そのものだけではなくて、それのいわば経営母体になっているものについての資本金も含まれております。
  89. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、学校の経営主体というものが明確でないわけですね。株式会社でいろいろな、輸入業者をやったり不動産業者をやつたり貸しビル業者をやったり遊技業をやったり、さまざまな業種の人がビルがあいているから日本語学校をやろう、こういうので始められたという例も非常に多いというのですよ。だから、さっき言ったような遊興飲食街の中にこういう教育施設ができてしまったりしている部分がたくさんあるのです。だからそこをひとつはっきりさせること。  それからもう一つは、代表者名や学校長名、こういうものもやはり就学先として適当というふうに皆さんが判断をするには代表者や学校長がさっき言った基準のようなものにマッチしているかどうかということを見るべき必要があったのですね。これは、皆さんが就学先として適当という判断をするときにはこういうものは資料としてはおとりにならなかったのですか。
  90. 股野景親

    股野政府委員 従来私どもの扱いも、短期間の間に非常に情勢が変化いたしましたので、統一的な把握という点には必ずしも踏み込んでいなかったという点がございます。
  91. 小川国彦

    小川(国)委員 統一的な把握というと、全体としてそれはとっていなかった、そういうそれぞれ前歴のある人が代表者なり学校長になっているかということの資料はとっていなかったということですか。
  92. 股野景親

    股野政府委員 全体としてはとっていない面がございました。最近、私どもも、こういう日本語学校に関する問題点がいろいろ感ぜられるようになりましてから、新たに学生を入れたい、こういつて入国申請の書類を出してきたものについてはそういうことについても見る、こういうことでございますが、時系列的に申しますと、既に日本語学校として学生を受け入れているものについて、ある一定の段階、時間的な段階までは、必ずしもそこに踏み込まないで、我々として日本語の就学生の受け入れ先として就学生を入国させるという取り扱いをしていたケースはございます。
  93. 小川国彦

    小川(国)委員 およそ何割ぐらいが前歴をとっていない形になっていますか。
  94. 股野景親

    股野政府委員 我々としても今把握に努めているところでございますが、最近非常に学校がふえてきたという状況もございますので、最近のものについてはそういうことも見る。そうすると、最近のものというのは全体の数の中では五割近くになろうかと思います。
  95. 小川国彦

    小川(国)委員 皆さんの数のふえ方を見ると、入国者の数でいくと、就学生が昭和六十一年に一万二千六百三十七人だったのが、六十三年になると三万五千百七人と三倍近くふえているわけでありますから、そうすると半分近くがとったというと、六十一年、六十二年のころまでは実態的にはそういう資料をとり得ないできてしまった、こういうふうに理解されるのです。  それからもう一つは、東京都の総務局学事部学事課による「私立各種学校設置基準一覧」というのでいくと、「教育に関する識見を有し、教育・学術・文化に関する業務に五年以上従事した者」というふうになっているのですが、皆さんの方で今度つくったのでいくと、「五年」を「相当期間」というふうに変えてしまっている。そういうことがあったり、それから「私立各種学校設置基準一覧」では、学校の校地とか校舎は「自己所有」こういうふうに東京都の場合はなっているのですが、皆さんの方の日本語学校では「校地を備えることが望ましい。」というふうになっておりまして、これも後退した規定になっている。それから校舎も「必要な校舎を備えるものとする。」というふうになっているのですが、これもまたただし書きがついて、「校舎の自己所有が困難な場合には、賃借権が適切に設定され教育施設として安定的に確保されているものとする。」確保されていればいい、こういうふうになっていて、これも後退しているんですね。それから校舎には「なるべく図書室、保健室等を備えるものとする。」となっているのですが、これはほとんど皆無の状態、こういうようなことで、こういう日本語学校の設置基準というものが全く体をなしていないというふうに思うのです。  ですから、本来法務省がこういうふうに二百九十三も、専修学校、各種学校では、専修学校では十六、各種学校では二十五の日本語学校がありますが、その他というので二百九十三も、こういう学校を法務省による適格性ありという学校の判断をしたということは、本来的には、学校の就学先として適当かどうかという判断をするときに、文部省に、こういうことで就学したいという者が来ているけれどもこの学校は学校として適切なのかどうか、そういう条件を具備しているものかどうかというのを、法務省はその段階で、こういうものを、こんな大量に学校をつくらせ、生徒を迎え入れてしまう前に、やはり文部省にそのことをきちんと協議すべきではなかったのか。この点がやはり法務省の行政のあり方としては責任を問われるところじゃないかと思うのですが、この点いかがでしょうか。
  96. 谷川和穗

    谷川国務大臣 法務省といたしましては、入国審査上の手続を申請のときに審査しなければならないという仕事がございますが、外国人が日本に入ってくる場合に、特に言葉を学びたいという目的を持って入ってくるような場合、今御指摘のように、関係する省庁と事前に十二分に協議ができておればベターである、そのとおりであろうと思います。     〔魚住委員長代理退席、委員長着席〕 ただ、日本語教育というのは、これは恐らく文部省でもいろいろお考えになるところがおありになるのではなかろうかと思います。その意味では、今言われておりまするいわゆる日本語学校というものの実態につきましては、やはり関係する省庁と十二分に協議をしなければならない。何せ、局長が御答弁申し上げさせていただきましたように、ここ数年来極めて大きな、むしろ社会的な事象とすらなっておるような事態でございまして、特に省庁それぞれに努力をいたしまして一つ審査基準を新たにつくり上げたわけでございますから、今後入国の審査につきましては、その審査の基準にのっとった学校というものを念頭に置きながら審査するでありましょうし、さらに、特に数多く申請の出されるようなところからは事前審査手続も踏んでもらうというような形もとられていくんだろうと思います。  いずれにいたしましても、御指摘のように、関係する省庁とこの問題につきましては今後とも十二分に協議を要する問題ではなかろうかと考えております。
  97. 小川国彦

    小川(国)委員 そういう中で、入国管理局のOBの方が十三名日本語学校に天下っている。それから、さらには現職の入国管理局の監理官が日本語学校に頻繁に出入りをしている、そしていろいろな業務指導を行ってきた。こういうような問題が指摘されているわけです。特に入国管理局の統括審査官が週二回明け番の日はほとんどその学校に登校して、長時間、朝から夕方まで理事長室といいますか事務室でいろいろな作業に当たっていた、こういうようなことも指摘されているわけなんで、こういうような問題については、十三名の天下りというのは一体どういう学校に十三名の方が天下りされたのか。  それから、現職のそういう統括審査官が勤務明けにはそういう日本語学校に出入りしている。しかも、本年の三月二十一日には興和日本語学院というところの水越理事長と水村という統括審査官が五泊六日で台湾旅行を行っている。これは私ども水越理事長に確認をしてきたのですが、こういう場合の休暇はどういう理由で休暇届が出されていたのか。そういうようにやはり入国管理局の姿勢というものが問われている問題が起こっているわけですが、この点はどういうふうになっているのでございましょうか。
  98. 股野景親

    股野政府委員 ただいま委員指摘のOBの問題とそれから現在の現役の入管職員の問題と二つの問題でございます。  まず最初のいわば入管をもう既に退職した人たちの問題でございますが、これは、入国管理局としてはこういう人々の日本語学校との関係については一切あっせんするという立場にもございませんので、入国管理局としては、そういう意味で、この入国管理局を退職した人たちが日本語学校に就職するというような問題について一切関与はしていないわけでございます。したがって、個人としてこれらの退職した人たちが確かに十三の学校に現在就職しているという状況があると承知しておりますが、これらについても、私ども入国管理局としては、そういうことが審査の公平性ということに何らかの疑いの目を持って見られるというようなことがあってはならないと考えておりますので、この点は実際に審査に当たる事務をとる職員に厳正な手続をとるよう常々十分注意をいたしているところでございます。  ただ、この日本語学校の問題は、先ほど申し上げましたようにここ最近非常に急速に伸びてきた問題であり、それに伴う問題点もいろいろございまして、したがって、我々もそういう意味では日本語学校の指導ということについてもいろいろ心を砕いているわけでございます。その指導の中には、やはりきちんとした学生を日本に迎える、そういう手続をとるということも必要でございます。そういう意味で、こういうOBの人たちが、職務とは全く関係なく、単に従来持っている入国及び在留に関する手続について何らかの助言を学生に与える、このこと自体はそれはそれなりの意味もあるであろうと考えております。しかし、先ほど委員の御指摘のような問題があるというような疑いを招くこういう行為は、私どもとしても慎むべきだと思いますので、そういう意味でのOBの役割というのは、あくまで入国ないし在留手続に関して学生に対するよき指導を行う、そういう役割を果たすべきものと考えているわけでございます。  それからもう一つ、ただいま御指摘のありました現職の成田の入国審査の係官が、ただいま先生の御指摘のありました川崎市にある日本語学校の経営者と大学以来の友人であるということでそこに交際があったという点については、私どももこれまでの調査で事実であったと認めているわけでございます。ただ、それでは実際どういうことがあったのかという点についてはなお我々として調査を続行中でございまして、この係官は仕事の立場からいいますと成田の空港の入国手続に当たるものでございますから、日本語学校あるいは就学生の入国審査ということに職務上関与する立場には一切ございませんでした。したがって、個人的にこの経営者に対して一般的な助言をした、こういうこととして我々の方には説明が来ておるわけでございますが、しかし、なおいろいろ今御指摘のような問題点があってはいけないと思いますので、引き続きその実情についてはよく調査をいたして適正に対処してまいりたいと考えております。
  99. 小川国彦

    小川(国)委員 今公務員の場合には休暇届というものが必要だというふうに思うわけなんで、それがどういう形で出されていたか、また御一緒に行かれた場合、航空会社への費用の支払い、これはだれが行ったとか、そういう点の事情の聴取は役所としては行われたんでございますか。
  100. 股野景親

    股野政府委員 現在その点も含めまして調査をいたしておるところでございます。
  101. 小川国彦

    小川(国)委員 もうこの問題が起こってから大分新聞にも報道されたりしているわけですが、いつごろこの問題についての結論は出るんでございますか。
  102. 股野景親

    股野政府委員 できるだけ早期に調査を終えたいと思っております。
  103. 小川国彦

    小川(国)委員 この問題の調査については法務委員会でも問題になったということを伺っておりますので、やはり結論についてはきちんと報告をしていただきたいと思います。
  104. 股野景親

    股野政府委員 調査結果についてはしかるべく御報告申し上げます。
  105. 小川国彦

    小川(国)委員 それから、今までこうしたさまざまな日本語学校の運営基準というものが明確でなかった、あるいは教育施設の審査認定についてもそういう明確な基準がなかった、こういうことについて、本来これは法務省や文部省で法律なりあるいはまた政令なり規則なり通達なりそういう何らかの行政措置によって決定し、こういうことに対しての指導を行うべきであった。これは相談しなかった法務省責任があるけれども、そういうことを見ていて何らそれに対しての協力体制を組まなかった文部省、私は両省にこの問題の責任があると思うのですが、両省はこういう問題に対しての行政的な指針というものを出すんではなくて、何か現状を見ていますと、今両省の指導のもとに日本語教育振興協会というものを設立させて、将来これを財団法人化を目指しておる。そういうことで、この法人化のために発起人が七名の方でつくられて、そしてその理事長の方は文部省出身だし、これは現在国際学友会の理事長さんということですが、さらに専務理事が今度は外国人就学生受入機関協議会の会長さんで、この人は入国管理局出身の方というふうに承っている。理事長は金田智成さんという方で、専務理事が岩本晃さん、また事務局長が文部省出身の方、こういうことなんですね。ここで既にこういう日本語学校をつくる審査委員会というようなものを三十人のメンバーでつくっておる。ここには学識経験者、学校経験者、行政官庁のメンバーも入ってやっていく。こういうことになりますと、何か天下り団体じゃないんですが、文部省や法務省の外郭団体をつくって、それに業界から業者から出資金を集めて、入会金を集めて、それでそれを財団法人にして、そこにいろいろな審査やなんかを委任していこう、こういう感じが見られるのですが、私どもはこれもまた行政が後追いなんじゃないのか。やっぱり文部省なり法務省がきちんとこういう日本語学校の設置基準に対する方針というものを明確に省の方針として出して、そしてそれに基づいてこういうものがつくられて、そういうところにまた委託されるなら話がわかるのですが、そういう外郭団体づくりが先行して、そして文部省や法務省方針というものが出てない。何かこの日本語教育施設の運営に関する基準というのを、日本語学校の標準的基準に関する調査研究協力者会議というのが去年の十二月二十三日にできて行われたようなんですが、これはだれの委嘱で、だれの費用でこういうものを行ったのか。これがもし仮に文部省なり法務省のお金でもって行われたというのなら、やはり文部省なり法務省責任でこれをそういうものの指針にするのだということを明確にして、そういうものがあってから、そしてそれはどこでやっていくのか、文部省がやるのか法務省がやるのか、そこではどうしてもできないからあるいは新たな法人に委託をするのか、そういうところの後先が、順序がまたひっくり返っているように私は思うのですよ。何か皆さんの天下りの外郭団体づくりが先に行ってしまって、そしてこういう行政がまたその後を追っていっている、そういう感じなんですね。これじゃちょっといけないんじゃないかというふうに思うのですが、その点はどうなっているのでしょうか。
  106. 股野景親

    股野政府委員 ただいま委員指摘日本語教育振興協会というものについて、既にその設立を見まして、新しい審査体制に移行しているわけでございます。  今委員の御指摘の点につきまして、まずこの新しい協会設立に臨みました私どもの態度といたしましては、第一に、委員これまでも何度も御指摘いただきましたように、この問題についてはまさに法務行政と文部行政の双方の観点からの対処ということが必要である、そういう観点に基づきまして、この問題について文部省側と昨年話し合いを重ねまして、こういう方式を編み出したわけでございます。したがって、そういう協会をつくりました経緯の中には文部、法務両当局の考え方というものももちろん十分入れてあるわけでございます。  さらに、この問題の性質にかんがみまして、学識経験者、日本語教育に携わって長年の経験を持っている方たちの御意見というのは十分踏まえたい。さらには、現実的に考えまして、日本語学校を今運営している当事者の意見も参考にすることが必要と考えられる。特に日本語学校の中には、委員指摘のように問題点の感ぜられる存在もございますが、しかし非常に良心的に日本語教育振興のために尽力されておる方々も数多くあるわけでございますので、そういう方たち御自身も日本語学校の最近の問題については本当に心を痛めておられる、そういう問題意識もまた関係者から十分我々は伺っておったところでございます。したがって、実はこの協会発足に当たりましては、日本語学校で本当に真剣に日本語教育に取り組んできておられる実績のおありの方々から、やはり自分たち自身もこういう状態についての改善を図りたい、こういう熱意の表明もございました。  そこで、それでは法務、文部、さらには学識経験者と、そして良心的な日本語学校の責任者の人たちが衆知を集めて新しい体制をつくっていこう、こういう考え方で実は民間団体としての発足をいたしたわけでございます。民間団体ということについてはそういう経緯がございまして、その中に確かに文部省のそういうような経験を持っておられる方、あるいは法務省の入国管理行政の実務の経験のある人が入っておりますが、これはそういう意味での実務経験を生かすという観点からの考え方でございますが、決してそれ以上のことを考えておるわけではございません。  他方、それじゃ当局はこれにどう対応するのかという点でございます。これは現在法務、文部両省で引き続きこの新しくできた組織をいかに生かしていくかということについていろいろな検討を重ねているところでございますが、従来この協会が発足するに先立ちまして私どもがあらかじめ考えてまいりましたラインとしては、この協会自身に先ほど委員指摘の学識経験者の参加も得て新しく日本語学校を審査する、こういう役割を果たしてもらう、その結果を踏まえながら、法務当局はあくまで入国管理法の規定に基づいた対処をする所存でございます。また文部当局も、当局としてのそれに対する特に行政指導という点で適正な措置をとられる、こう伺っております。さらには、法的には私ども現在国会に提出申し上げております入管法の改正案の中で新しい審査基準づくりということも手がけることにいたしておりますので、そういう中で、こういう問題についての対処ができるよう法務当局としても十分今後についても努力してまいりたい、こういうことでございます。
  107. 小川国彦

    小川(国)委員 最後に大臣に。  私は、こういう日本語学校の実態をつぶさに調査してみると、非常に行政が実態から遅れている、そういうふうに感ずるわけだし、今度のこの新しい協会づくりもやはり行政が後追いになっている。そういうことではならない。国際信義の上からも、国際社会の中で日本語学校の位置づけはなお重要の度を加えていくと思いますので、大臣も、法務大臣としての御指導の中で、従来犯してきたような失敗を繰り返さないように、また、ここには保証人の問題とか就労先の問題とかさまざまな非常に大きな問題が含まれておりますので、それをしっかり把握していただいて、行政が後追いにならないような取り組みをぜひお願いしたい。その点で大臣答弁をお願いします。
  108. 谷川和穗

    谷川国務大臣 私は、世界各国の方々が日本語を学びたいという情熱を持ってくださることについて非常にありがたいことだと思っております。と同時に、今御指摘のございましたように、いよいよ日本日本語を学ぶという目的で入国してこられる方々の査証事務については、これは法務省責任でございます。さらに、日本に勉強の目的を持って、就学の目的を持って在留してくださるということを審査することも法務省責任でございます。そういうことから言いますと、やはり法務省だけでは御指摘のように後追いになるおそれすらあるくらい急速に伸びている現象だと思いますので、ただいま御意見賜りましたように、私もこれから懸命になりまして省内を指揮監督しながら、各省庁とも話し合いを進めるように努力をさせていただきたい、こう考えます。
  109. 小川国彦

    小川(国)委員 終わります。
  110. 中村靖

    中村委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十七分休憩      ————◇—————     午後一時四十七分開議
  111. 中村靖

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。草川昭三君。
  112. 草川昭三

    ○草川委員 草川であります。  まず最初に、リクルート事件捜査結果に関する報告についての質問を二、三いたします。  十二日の予算委員会におけるリクルート事件捜査結果に関する報告を我々も読ませていただいたわけでありますが、政治資金関係について政府は、「リクルート関係政治献金につきましては、コスモス社の未公開株式の譲渡やいわゆるパーティー券の購入も含めて、」「政治資金規正法違反の嫌疑の有無について所要の捜査を行い、」こう述べています。未公開株式が贈賄となり得ることについては殖産住宅事件の最高裁判決、これは有名なところでありますけれどもリクルート事件に関する報告書は、未公開株式の譲渡も政治資金規正法の対象となり得るとの立場捜査を行ったのではないかと思うのですけれども、そう解釈をしていいのかどうか。また、未公開株式の譲渡を政治資金規正法の対象として今回捜査を行った事例はあるのか。この点についてお答えを願いたいと思います。
  113. 根來泰周

    根來政府委員 従来御説明をしておりますように、未公開株式をめぐる法律問題ということについては検察庁といたしましても十分検討したと思います。したがいまして、例えば未公開株式の譲渡が政治資金規正法上の寄附に当たるかどうかという見地からもいろいろ検討したと思いますけれども、結論的に申し上げますと、その未公開株式の譲渡というのは政治資金規正法上の法律上予定された寄附に当たるということについては相当の疑義があって、それは犯罪というふうに認められないという結論に達したものと考えております。
  114. 草川昭三

    ○草川委員 では、二番目に質問があるわけでありますけれども、今衆参両院の法務委員会等で、俗に言う灰色問題というのが出ているところであります。リクルートコスモスの株を譲渡されながら刑事事件として立件されなかった灰色議員の公表問題、こういうことになっているわけでありますけれども、この問題はもうかなり議論が詰まっておりますが、我々の期待する答えにはなっていませんし、院の問題だということで院の方での議論も行われているところでありますが、結論が出ておりません。  そこで私は、きょうは別の視点に立って、昨年この証人喚問が行われたわけでありますけれども、私自身もリクルート問題特別委員とし、高石証人の喚問に参加をいたしました。時間が十二分か十三分という非常に短い時間でしたので意を尽くせなかったわけでありますけれども、その経緯を含めて、国政調査権と公判開廷前における書類の公開でございますが、これも刑事訴訟法四十七条ただし書きをめぐる問題点というので議論になっておるわけでありますけれども、その点について質問をしたい、こう思うわけであります。  私はこのリクルート問題特別委員会でどういう質問をやったかといいますと、これは昨年の十一月二十一日でありますが、もうわずかなところでありますが、高石証人に「じゃ、最近、退官をされてから、リクルート社から政治献金を受け取られたことはございますか。」こう私が質問をしたわけであります。高石証人は「ございません。」こういう短いやりとりでそのときは終わりました。  ところが、その後いろいろとこのリクルート問題等についての新聞情報でありますけれども、三月一日の新聞を見ますと、これは夕刊もあり朝刊もあるわけでありますが、「高石前次官、リ社献金も 疑惑発覚後二百万円 社名隠し?二口に分散」というのが関係者の証言などで明らかになった、こういう記事がそれぞれ出ているわけであります。当然その記事の中にも、昨年の十一月二十一日のリクルート問題特別委員会の証人喚問でリクルート社からの政治献金を受けたことはないかとの質問に「ございません」と明確に否定していた、今回の献金が明らかになったことは云々、こういうことで偽証ではないだろうかというような報道がなされているわけであります。  そこで問題は、私自身、いわゆる国会議員の一人として、これは議院証言法による偽証罪の疑いがあるのではないか、その疑いの有無を明らかにすることは一般の場合よりもさらに公益上必要ではないだろうか、こう思うわけであります。もちろん私どもも、この刑事訴訟法四十七条のただし書き、「但し、公益上の必要」云々というもの、あるいはこの法律の解釈については、リクルート以前のロッキード時代に、当時の三木総理あるいは政府委員の吉國法制局長官、その他の方々がいろいろと議論をしておるわけでありまして、「公益上の必要」という中に国政調査権の問題が入るということはもう当然のことだというような経過を踏まえて、私はこの際刑事局長にお伺いをしたいわけでありますけれども、私のような質問があった場合に、刑事局長はその経過についてどのようにお答えになるのか、お答えを願いたい、こう思います。
  115. 根來泰周

    根來政府委員 まず刑事訴訟法四十七条ただし書きの問題でございますが、公益の目的というのは国政調査権ということも含んでいるということは通説でございます。ところが、その国政調査権の公益上の目的に合いましても、それが相当かどうかという検察官の判断のもとに資料の公開ということが結論をするわけでございますが、基本的な問題といたしまして、資料の公開に私どもが消極的であるという点について三つの理由があるわけでございます。  一つは、今回の事件も非常に顕著であったと聞いておるのでございますけれども、参考人の協力というのが非常に必要なことでございますが、なかなか最近参考人の協力というのが得られないわけでございます。これは参考人の取り調べにしろ被疑者の取り調べにしろ刑事訴訟法にのっとってやるわけでございますけれども、参考人を取り調べる際に、要するに検察官が、刑事責任を明らかにするからひとつ協力してくれということでお願いして協力していただいているわけでございます。そうして集めた証拠が、あるとき、刊事責任の追及ではなくてほかのところで突然出てしまう。それは、どういう方を調べたかとかあるいはどういう内容の調べをしたかとかいうことについてはかのところへ出てしまうということになりますと、そういう説得のもとに協力していただいた参考人の信頼を極めて裏切ることになるわけでございます。そうしますと、将来検察の運営を考えていった場合に、参考人に協力してくれと言いましても、どこでそれがばれてしまうかわからない。ばれるという言葉がいいか悪いかは別としまして、そういうことでございますので、参考人の協力がいよいよ得られなくなるという心配が一つございます。  それから二つ目は、やはり基本的な人権の問題がございまして、刑事責任を追及するにしましても、いろいろのプライバシーといいますかそういうことが集められるわけでございます。刑事責任追及の問題については証拠によってその裏づけをしていくわけでございますけれども、そういうもろもろの情報が入っているものですから、未確認情報というのがいっぱい入っているわけでございます。そういうものがオープンになりますと、あたかもそれが本当のようなことになりまして、その未確認情報がひとり歩きするわけでございます。そういうことで人権上の配慮もいたさなければならない。  三番目には、やはり裁判への影響でございます。これはやはり同種事案が裁判になるわけでございますが、そういう裁判への不当な影響といいますか、そういう影響もございます。  そういう三つの理由から、私どもは資料公開について極めて慎重にならざるを得ないという立場をひとつ御理解いただきたいと思うわけでございます。  それから偽証の問題についてお話がございましたけれども、偽証の問題というのは、再三申し上げておりますように、国会でまずお決めになって、それが告発という形で検察庁の方へ来るわけでございますが、基本的には国会で十分御議論いただきまして、その上で検察庁あるいは法務省に協力せよとおっしゃるときには、資料公開ということではなくて、私どもの意見を申し上げられる場合もあると思います。ロッキードの場合もそういう経過をたどって告発になったわけでございます。まあ、前提といたしまして、国会で十分御議論いただきたいというのが私どもの気持ちでございます。
  116. 草川昭三

    ○草川委員 私が今質問したのは前段の一、二、三の問題ではないわけです。ですから、私はきょうここで灰色議員の公開とかということを言っていないのです。私自身が特別委員会で証言を求めたその内容について、新聞報道等によると偽証の疑いがあるということが出た。だから、当然質問をした私は責任があるわけですからフォローしなければいかぬわけですよ。フォローする材料を提供願いたい。それは公益上相当性があるのではないか。それで、それを得て私自身が国会の中で、例えばリクルート問題特別委員会理事に、しかじかかくかくだから、これは偽証だから取り上げてもらいたい、あるいは各党の話し合いによってリクルート問題特別委員長が、今おっしゃったように国会の中の問題として、私の提議を受ける受けぬは別ですよ、しかしその前段に至る資料提供が少なくともあってしかるべきではないでしょうか、こういう質問なんです。ここをきょうは私はぜひ刑事局長に質問をしたい、こういうことでございます。
  117. 根來泰周

    根來政府委員 御意見はごもっともな話でございますけれども、先ほど申しましたように、偽証という問題については国会でまず御議論いただくわけでございますので、そこの御議論の結果、私どもに対してその点についてどうかというお尋ねがあれば、そのときに協力できるかどうかを十分に検討したい、こういうことに相なろうと思うわけでございます。当該委員会でひとつ十分御議論いただいて、その結果、私どもの方に御要請があれば、検討するかどうかを十分検討させていただく、こういうことでございます。
  118. 草川昭三

    ○草川委員 そうすると、国政調査権のとり方なのですけれども、リクルート問題特別委員会ができた、ここで証人喚問という一つの舞台があった、それで終わるわけではありません、その後いろいろと動くわけですし、検察の方は起訴するわけでありますから、その間の動きの中での材料提供は、国会が院の決議として持ってこなければ検察庁は答えられないのか、あるいはそこまで持っていく間に、かくかくしかじかこういう事件があるから、偽証の疑いが濃いからこの際正式に取り上げてもらいたいということを院の中で発言しなければいかぬわけですよ。そうすると、国会議員としてせっかく証人喚問という場を与えられながら、あとはもうじっとしている以外にない。これは国政調査権の行使の制限になるのではないか。それはどういう形であろうと、個別案件で私はいいと思うのですよ、先ほど局長が言われた一、二、三の問題とは全然関係ないわけでありますから。偽証ということを提議しようという一人の国会議員、それは過去の自分の経験から物を言おうというので、それが国政調査権ということで、どういう経過があるんですか、差しさわりがなければ私に材料を提供していただきたい。それはいろいろなやり方があると思いますよ。私の方が全くとぼけた全然違っておることを言っておるならもう話になりませんけれども、少なくとも自分が取り上げた、しかも国民の目の前で取り上げたことですから、あなたの聞いたことが新聞に出ているじゃないか、偽証じゃないか、あなたは何をやっているんですか、ノーアクションじゃないですかというような批判があるならば、それは国会に対する不信感にもつながるわけです。ここは非常に重要な点ですから、再度お答え願いたいと思います。
  119. 根來泰周

    根來政府委員 個々の議員の方の御質問の重さというのと、それから委員会の決議といいますか委員会の御意思としての国政調査権の行使というのは、私どもはやはり法的には同じであろうと思います。しかしながら、実質的に申しますと、私どもやはり行政機関でございますし、そういう資料の提供ということについては、先ほども申しましたように憶病といいますか慎重でございます。そういう点で、個々の議員からお話があったときは、確かにおっしゃることはごもっともですけれども、やはり相当慎重というか憶病にならざるを得ないわけでございます。個々の議員が個々にこの資料をよこせ、あの資料をよこせと言われたら、要するに資料を全部公開してしまうことになるわけでございますから、お願いとしては、委員がその委員会の中で十分御議論いただいて、そして委員会の御意思ということで私どもに御下令あれば十分検討させていただく、こういうことに相なろうかと思います。これは運用面の問題だろうと思いますけれども、そういう感じはいたします。
  120. 草川昭三

    ○草川委員 運用面だというお話でございますので、それは本件の場合で言うならば、リクルート問題特別委員会の中で議論をすべきではないだろうか、それで一つの提言があるならば相談に乗ろう、こういう趣旨だと思います。その場合でも相当性の判断というのは検察庁の方が持っておみえになるわけでありますから、この議論は何回か繰り返してもしようがないと思うので、この話は終わります。  そこで、ざっくばらんにお伺いをしますが、国会での証人喚問が今回何回か機会があったわけでありますけれども、非常に時間が短くて、正直なことを言いまして、私どもも十二、三分で一人の方の証言をとろうということについてはこれはもうどだい無理だと思うのですね。しかし、限られた時間内でそれぞれが努力するということで私どもも申し上げたわけでありますけれども、例えば高石証言のことについても、政治資金をもらったのですかという問いかけをしたわけですが、今から考えてみれば、個人としてリクルート社からもらったこともあるかないか、あるいは後援会、自分が持つ政治団体にお金が入ったことがあるかないか、そして全体を含めてあなたももらったことがあるかないかという詰めをすれば、今回の一つの事例研究になるわけですけれども、偽証になる重みというのはもっと強かったのではないかと自分自身では私は反省しておるわけです。こういうことがほかの方の質問にもあったのではないだろうか。まあ、ほかの方の要らぬことを言うつもりはありませんけれども、今回の議院証言法の経過ですが、検察庁、本件の立件に当たって国会でのこの証人喚問は参考になったかならぬか、ひとつ率直な御感想を願いたいと思うのです。
  121. 根來泰周

    根來政府委員 国会における証人というのは国会でお決めになった話で、国会の中で十分御議論になった話だと思います。当然検察庁もそれを関心を持って見ておったわけでございます。どの程度参考になったかということになると、またその内容にわたりますので申し上げかねますけれども、我々も検察官として現場で人に尋ねるとき、あるいは公判で証人尋問するとき、なかなか難しいわけでありまして、後でいろいろ証人尋問調書なんかを見たときに、ああ、あれも聞けばよかった、これも聞けばよかったというような話もあると思います。だから、国会でも証人を尋問された方はやはりそういう感じを抱かれるのではないかと思いますが、検察庁としては十分参考にさせていただいたということを申し上げます。
  122. 草川昭三

    ○草川委員 じゃ、この件については以上で終わります。  第二番目に、入国管理の現状について質問をしたいと思います。  実は出入国管理行政をめぐる諸問題というのは、特に外国人労働問題を含めましてかなり国会でも議論になっているわけであります。私は、この問題は以前からも何回か取り上げてきておるわけでありますけれども、最近、出入国管理行政をめぐる諸問題というのは、波及効果というのです か周辺に非常に多くの問題があるということがわかってまいりました。そこで、きょうは実は大蔵省から外務省、総務庁等にも来ていただきまして、今の入国管理の現状というものを財政的にも人員的にも少し真剣に見詰め直していただきたい、こういう趣旨からまず現状を質問していきたいと思います。  最近の国際化の進展に伴いまして、国際交流が非常に活発化してきておるわけであります。当然出入国者数は増加していると思うのですが、十年前に比べてどのようになっているか。例えば昭和五十四年と、一番新しい数字が六十三年か六十四年か知りませんけれども、何倍くらいになっておるのか、アバウトで結構ですからお答え願いたいと思います。
  123. 股野景親

    股野政府委員 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘のとおり、我々出入国管理行政に当たっておる者といたしまして、我々の行政対象となります外国人の出入国あるいは在留の実態というものの変化が非常に激しいということがございます。これを踏まえての対処ぶりを我々なりに適正に行うよう努力をしておるところでございますが、まずその最初の前提となります外国人の出入国の数でございます。  昭和六十三年、これが一番最近の我々の統計でございますが、外国人の入国者が二百四十八万八千八百四十八人、同じ年の外国人出国者が二百三十八万六千人となっておりまして、これはいずれも過去最高の数字でございます。最近の動向を見てみますと、例えば五年前ということでありますと、まず外国人の入国者が二百十万百七十一人、出国者は同じ昭和五十九年で二百六万九千七百六十二人、こういう数字になっております。五年間をもってもこのように非常に変化が激しいわけでございます。十年前ということになりますと、昭和五十三年でございますが、昭和五十三年に外国人の入国者の数、これが百一万七千百四十九人、こういう数を外国人の入国者の数として持っております。
  124. 草川昭三

    ○草川委員 十年前に比べて二倍を超す、こういう数字であります。  そこで今度は、外国人が年間二百三十万とか二百四十万の出入りがあるわけでありますけれども、五年前に比べても十年前に比べても激増している、こういうことが今答弁になっておりますが、当然外国人の不法入国、不法残留もふえていると思うのでありますけれども、これも今のような形で報告をお願いしたい、こう思います。
  125. 股野景親

    股野政府委員 ただいまの不法の残留者あるいは不法に日本でいろいろな違反事件を起こしている人の実態、あるいは入国するに先立ってそもそも入国目的が適正と見られないことによって上陸拒否を当局として行うもの、こういう実態を御説明申し上げたいと思います。  まず、最初に申し上げました不法残留者の問題でございますが、これは入管法の違反者の摘発、こういう数として私ども行っているわけでございます。というのは、この不法残留の実態についてはなかなか把握しがたいところでございますが、ただ、この不法残留を我々として摘発する、こういう努力を行っておりまして、そういう点での努力から不法の残留の実態というのも見られるわけでございます。  そこで、その不法の摘発という観点法令違反事件、入管法違反事件、こういうことでの総摘発数を見てまいりますと、昨年昭和六十三年でございますが、この違反手続対象者となった、この摘発の対象者となったものは一万七千八百五十四人という数になっております。これを十年前の昭和五十三年に比較いたしますと、十年前にはこの違反の摘発者数は二千百九十七人、こういう規模でございましたので、入管法違反事件として摘発したものだけの数を比較いたしましてもこの十年間で約八倍の増、こういうことになっているわけでございます。  それからまた、もう一つ、入国するに先立って上陸審査の段階で不適正な入国目的を持っておると判断されて上陸の拒否を行うということ、これが違反事件を防止する一つの重要な措置でございますが、その上陸拒否という数で先生の御質問にお答え申し上げますと、昨年一年間、昭和六十三年に上陸拒否を行った件数は一万一千百七人という数になっております。これに対して五年前にこれを比較いたしますと、五年前が千三百十四人でございますから、この五年前の昭和五十九年に比較いたしましても、上陸拒否というそういう事務だけでも大幅な伸びがあった、それだけ上陸審査事務というものの難しさというものも増大している、こういう状況でございます。
  126. 草川昭三

    ○草川委員 ちょっと今の私の質問が悪かったのですけれども、違反調査あるいは引き渡し件数を聞くべきでございまして、まあ今の答弁で結構であります。  それで、今の中に水際というのですか、事前のチェックあるいはその後の調査、こういうことで摘発者も七倍あるいは十倍になっておる、こういうことがわかったわけでありますが、当然不法就労の外国人も激増しているというふうに聞いております。これは正確な数字は把握できないと思いますけれども、少なくとも十万人は超えているだろうというふうに思います。十万人にふえているだろう、こう思うわけでありますけれども、この不法の残留者の激増、特に違反内容が悪質で巧妙化しておるのではないかと言われておりますが、その点の現状はどうなっておるのか、お答え願いたいと思います。
  127. 股野景親

    股野政府委員 ただいま委員指摘のとおり不法残留、またそれに伴う不法就労ということが、我々入国管理局にとっての大きな一つの対処すべき課題となっております。  で、不法残留の数は、これは一つの推計を行うことになりますが、外国人の出入国記録を入管局として一つの統計を持っております。それを統計の中で入国をした人の数とそれから今度は出国をした人の数を比較をいたしまして、さらに与えた在留期間というものをこれにかみ合わせて、そうして見ると、本来もう在留期間が切れて出国していなければならない人の数がまだ日本国内に残っておる、こういう状況になりますと、これが不法残留として推計されるわけでございます。そして、この不法残留についてそういう推計を加えてみて、さらにこのほかに我々としまして問題にしますのは、今の御指摘の不法就労でございますが、これはこういう不法残留をしている人たちはおよそ何らかの収入を上げる活動に従事しているのでそのために残留している、こういう形態がまず大部分と思われますので、そういう意味で、この不法残留者が不法に就労しているそういう外国人であると考えられます。  そのほかにも、在留期間についてはまだ有効期間内にあるけれども、本来日本に入国するために与えられた在留資格から来るところの活動の範囲というものを超えて、本来目的以外の収入を上げるような活動、いわば資格外活動ということになりますかこれを行っている人間も、これは在留期間の上では問題ございませんが、不法就労という点では同じく問題でございます。  そこで、この両者を合わせた推計を私どもなりにいたしているわけでございますが、これがただいま先生御指摘のとおり、我々の推計では昨年昭和六十三年の十二月末で約十万人は下回らない、こういう数になっておると思いまして、この点が昭和六十二年、これはもう一年前の段階でございますが、これが五万人であったという推計でございます。で、昨年の六月末ではそれが七万人。したがって一年余りの間に、六十二年末で五万人であったものが六十三年末には十万人と急速な勢いで増大している、こういう非常に危惧すべき状況が生じております。
  128. 草川昭三

    ○草川委員 それで、不法就労の問題は少し後にもう一回やりますけれども法務大臣、実は私きのう東京入管へ行ってきたんです。その前に、私は愛知県の出身でありますから名古屋の入管へもいろんな用事があってお伺いをするわけでありますが、それはまあ実態はひどいものですね。東京入管はもと労働省の建物でありますし、労働省へも私よく行ったんですが、もう今は玄関に、非常に広い玄関、フロア、二階は中二階になっておりますけれども、もう外国人ばかりですよ、子供を背負った人もいて、それでもう動きがっかぬのですよ。とにかく私どもが中へ入れないのですよ。スーパーの何か大売り出しぐらいの人出なんです、大変例が悪いんですけれども。あれは大臣、一回速やかに見て早急に手を打たないと完全にお手上げではないでしょうか。そこで職員の方に聞こうとしても、私が部屋を聞くのも聞けない状況ですね、もうずっと並んでいるわけですから。それで、在留資格だとかの審査件数、その中の延長だとか切りかえだとかいろんなことをやっているわけですが、言葉がうまくいきませんから、大変な状況をさばいているのです。  ちょっと大臣答弁の前に、在留資格等の審査件数はどの程度ふえておるのでしょうか、大変数が多いというふうに聞いておりますが。
  129. 股野景親

    股野政府委員 ただいま委員指摘いただきましたように、東京入国管理局、これは大手町に本庁舎があるわけでございますが、最近の外国人の入国者数及び日本にいる在留外国人の数が大変ふえ、かつ、活動内容が非常に広がってきたということに伴いまして、窓口業務も大変な混雑をしておるという状況は事実でございます。私どもは、これの緩和のためにいろいろな合理化等の努力を行っておるわけでございますが、その前提となる審査の件数という点については確かに大きな変化がございます。  それで、一つには、まず入国審査の方でございますが、これは先ほど申し上げました外国人の入国者の数、これは当然それなりの審査を全部受けた数になります。この中には、外国人であって既に日本に一遍在留をしておってそれが外国に一たん出て再入国するという例と、それから新規に入国する、こういう例がございます。昨年の例で申し上げますと二百四十一万四千四百四十七名という外国人が入国をいたしましたが、そのうち、新規に入国した者は百九十六万三百二十名、それから日本に既におって外国に一たん出て再入国をした者が四十五万四千百二十七名、こうなっております。そして、このいずれもがそれぞれの入国審査あるいは再入国審査という事務を受けておるわけでございますので、それは先ほど申し上げました外国人の入国者数に比例して業務量がふえている。これが外国人の入国者の数でございます。  また、そのほかに、日本におります人の在留資格の延長であるとかあるいは在留資格の変更、こういう事務が入国の事務とはまた別途ございます。これにつきましては、昨年昭和六十三年でこういう事務をいたしました取扱件数が六十九万五千五百七十三件、こういう数になっておりまして、昭和五十四年、十年前にこの同じ数が三十六万三千六百十四、こういう件数であったのに比べまして、またこれも大幅な伸びがあるということでございます。ただ、この在留資格件数の中では、日本におられます外国人の中でかつて入管法の改正に伴いまして永住権を新たに付与された旧日本籍であった方たちの事務というのが一時的にございましたので、これを在留資格の数の中に含めますと全体としての数の伸びが必ずしも正確に伝わりませんので、この数は、そういう旧日本籍であった方たちが永住権を取る昭和五十六年の法改正の際の事務量というのは外した数でございます。
  130. 草川昭三

    ○草川委員 いずれにしても大変仕事量がふえたということだと思うのです。  新聞を見ますと、「東京入管パンク寸前 七時間待つ」、こういう新聞もありますし、「処理件数急増し職員不足深刻 不法就労の摘発も思うに任せず」あるいは「不法就労外国人 男性、女性上回る」とか「人手不足、急増で波紋」「不法残留が続出」「深刻な審査官不足」というようなのがずっと出ておるわけであります。私自身もお話をしてみて、本当に気の毒だと思います。いや、お話をする暇がない、こういう状況でございます。  そこで、ちょっと私は聞いたわけでございますけれども、この数字があれかどうかわかりませんが、定員というのがわずか六人しかふえていないというような話でございますけれども、定員についての要望を法務省関係省庁にやっているのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  131. 股野景親

    股野政府委員 ただいまの業務量の大変な伸びということに対しまして、法務当局といたしましても、まず事務の合理化、機械化、こういうことで対処するということ、これがぜひ必要であると考えまして、そういう面での対処ぶり、さらには手持ちの人員の中でのいわば機動的な再配置ということによる内部努力、こういうことを必死になって続けてきているわけでございます。こういう努力というもの、さらには、現在国会に御審議をお願いいたしておりますところの法改正に伴う審査事務のさらに迅速簡易化、合理化、こういうものについても引き続き努力をしてまいるというところでございます。  そういった努力をあわせながら、なお足らざるところも出てまいると思っておりますし、そういう点については政府部内全体としての御検討をいただくということで我々としても臨んでおります。
  132. 草川昭三

    ○草川委員 今度は、海の外から日本に入国を求めてくる場合には、外務省の領事業務のところでもより一層の配慮をしてもらわなければなりませんね。ですからこれは外務省としても一枚かんでおると思うのです。だけれどもたくさんの方が入ってくる。それは観光旅行で入りながらそのまま残留するという場合もあるでしょうし、またこちらへ来て結婚する場合もあるでしょうし、いろいろな場合があると思うのですけれども。  そこで、外務省の見解を、まず領事移住部というのですか、領事業務としてどのように受けとめているのか、現状はどうか、お伺いをしたいと思います。
  133. 田辺敏明

    ○田辺説明員 お答え申し上げます。  外務省の場合領事移住部というところでやっておりまして、在外では領事及びその査証部門がこの辺を担当しております。  昨今の状況を申し上げますと、先生も御存じのとおり、去年の段階で外国に出ていった日本人というのは八百二十四万人、これは対前年比だけで二三・四%というふうな増になっております。それから、これに伴って当然の話としてというと残念なんですけれども、いろいろ事故に遭う件数もふえておりまして、これはちょっと統計の年度のとり方が古いのですが、六十二年度で五千八百七十九件、対前年比で五三%ふえている。これはあくまでも大使館なり領事館なりに届け出があった数字でございますから、実際にはこれ以上に、邦人の方で外国で例えばすりに遭ったとか物をとられたとか事故に遭ったとかという方はふえているのだと思います。先生も御存じのとおり、このごろは、今の中国情勢のようなああいう激変だとかあるいはちょっと前の若王子事件だとか、ともかく普通の在外における邦人の保護に加えて突発的でかなり大きな事件もふえてきているというようなことで、相当な負担増にもなっている。  それから、日本に来る外国人について見れば、先ほどの入管局長からの御説明にありますように二百万を超えておりますし、これに伴って査証件数も相当ふえている状況にございます。  しかしながら、我が外務省として、実際に領事担当の者、それから査証担当の者一これは領事担当の者で百八十三名、査証担当の者が五十八名というような状況でございまして、ことしになって対前年比三・八%ふえたというようなことでございますが、今御説明したような状況からすると、とてもまだまだ人が足りない。しかも、これだけ多くの人が安全に海外で活躍していただくためにはその縁の下の力持ちになるようなこういうところをぜひふやしていかなければならぬということで、今後とも関係方面の御支援もいただきましてぜひふやしていきたい、こう考えているところでございます。     〔委員長退席、魚住委員長代理着席〕
  134. 草川昭三

    ○草川委員 今、海の外の方も大変だ、こういう話がありましたが、東京入管の場合、夜の十一時まで職員が帰れなくて一生懸命対応している現状、これは東京入管ばかりではなくて、各飛行場あるいは海、いろいろな点もあるでしょうし、不法残留の摘発業務も大変だと思いますね。そういうことに対して大蔵省の主計局あるいは総務庁、これは定員法の関係があるわけでありますけれども、どういうように現状を認識しているのか、あるいは今後ふやすという考え方があるのか、それぞれ二つの省庁から答弁を願いたい、こう思います。
  135. 川邊新

    ○川邊説明員 総務庁でございます。  入国管理部門関係の業務量が大変増大しているという件につきましては、私どもの方も法務省から十分説明を聞いているところでございます。例えば、平成元年度におきまして国家公務員全体では三千人を超える純減を行ったところでございますけれども、入国管理部門につきましては、こういう業務量の増大という事情を十分勘案いたしまして、法務省要求に対しましては最大限配慮をした増員を行ったところでございます。
  136. 若林勝三

    ○若林説明員 お答えいたします。  近年、我が国の各分野におきます国際化の進展ということがございまして、出入国者数が極めてふえておるということは先ほど来御指摘があったとおりでございます。こうした事態に対処いたしますために、元年度におきましては予算面においては事務の機械化等による合理化等の措置を講ずるというようなことで道を探るということ、また定員におきましては今総務庁からお答えしたような配慮をしてきたわけでございます。  今後どうするかということでございますが、これは入国管理業務につきましては関係行政機関との協力を強化するというようなことで合理化を図っていく工夫もまたあるのではないかな、そんなこともひとつぜひ御工夫をいただきたいと思っております。  いずれにいたしましても、財政当局といたしましては厳しい財政事情というのもまたこれは踏まえる必要がございますし、さらに、今までるる御指摘ございました業務量の増高ということも十分踏まえまして適切に対応さしていただきたいと思っております。
  137. 草川昭三

    ○草川委員 人員について配慮したと言うのですけれども、十年間で六人ふやした程度ですよね。私どもも行政改革に賛成ですからそういう立場に立って物を言っているつもりなんです。だけれども、合理化のやりようというのですか、それも、人がどんどん入ってくるわけですから限界があると思うのです。  結果として今どういうことになっておるかというと、私どももそうなんですが、地元の後援会に行きますと、中小企業は非常に外国人労働が多いんです。中小企業のおやじは、草川さん、あんた文句を言うんなら親会社へ行って文句を言ってきてくださいよ、これだけ単価を切り詰められたらこういう労働力を使う以外にないじゃないですか、現場はこういう話なんですよ。我が愛知県の中にも残念ながら、建設でも機械工場でもプレス工でもそういうのが随分あるんです。それで、なぜそういう方々が多いかというと、賃金が安いからでしょう。賃金が安いから入ってくるわけですよ。また日本人もそれを使うわけです。  やがて、これは数がふえてきたらどうなります。趣旨が違いますけれども、最近では外国人の方々が日本の国内でデモをやっているじゃないですか。そのうち彼らの労働組合ができますよ。日本の労働組合の組織はようやらぬと思いますね。彼らの組織は、やはり外国人の労働組合、ユニオンが来て日本で組織して交渉を要求してきますね。それに対して日本の中小企業は対応できませんよね。大変なトラブルが出てくる。じゃあ、今議論になっておりますけれども、研修生という形で受け入れたらどうだ。結婚しますでしょう、子供が生まれるでしょう、子供はどこへ行くか。今行く学校ないでしょう。日本の国内でそういうブルーの連中の子供に学校で授業できますか。結局ゲットーができる。これはもうその段階になると、言葉は悪いですけれども、追い出しができないですよ。そのときの予算を考えたら、入管業務で今きちっとしておくべきだと思うし、外国人労働に対する日本のコンセンサスというのを早くやりませんと、西ドイツの例を私どもも若干聞いておりますけれども、大変苦労しておるわけですね。  今、日本の中でも、私どもの党の中でも多くの議論があるのですよ。外国人労働を認めるか認めぬかいろいろな議論がある。もう現状を追認する以外にはないんじゃないかという議論もあるのです。しかし、将来もし外国人の労働者がどんどん入ってきてユニオンをつくる、子供がある町をつくる、そこで騒ぎが起きるとなったら、日本人は対応できませんよ。そういうようなことを考えるならば、今少なくとも入管の職員をふやしておいて最大限の非常に厳しい態度をする。そして、本当に研修生として限界はどうなのか、基準についても変えるものは変える、そういうことをきちっとしておかないと未来のために大変失敗をしてしまう、恐ろしいことになるのではないかと私は思うのです。  ですから、谷川大臣にここで余りくどくどと申し上げませんが、一回入管を見に行ってください。そして、見に行かれるときには大蔵省の主計局と総務庁の定員管理をしている人を必ず連れていってください。何なら私どもも一緒に行きますし、決算委員会、大いに協力するにやぶさかでありませんから。これは日本の国の将来のために必要だからぜひやっていただきたいということを要望して、大臣答弁を求めます。
  138. 谷川和穗

    谷川国務大臣 入国をしてまいりました者の単純労働問題、これはまた別におきまして、入管業務についてただいま大変ありがたい御指摘をちょうだいいたしました。  出入国管理事務が二千万を超しましたのは昨年だと思います。二千百万以上だと思います。そのうちの五百万近くが外国人の出入国という事態になってきたということでございますが、さらに、もう数年後には成田でもう一本新しい滑走路が完成されます。さらに四年ないしは少なくとも五年以内には関西の新空港が恐らく開港するだろうと思います。当然日本に入ってこられる外国人の数も現在のような数字ではなかろうという感じがいたします。さらに、日本の近辺の国々、特にNIESはそれぞれみんな経済事情がよくなっております。したがってその国から外に出る許可が随分緩くなりました。韓国のごときは、ことしの一月一日から全く出国自由に近い状態に入ってきておりますから、当然お客様が日本にたくさん来られる。したがって、入管事務だけを見ましても、言語も人種もまことに違ったいろいろな方々が激増いたしておりまして、それに対処する我が方の入管行政といいますか事務取り扱いは、今も御指摘いただきましたようにまさに大変な状態に入ってきていることは事実でございます。  私どもといたしましても、この時期、ここでしっかりした踏ん張りをしておかないといかぬのではないかということをつくづく感じている次第でございまして、よろしく御支援、御指導を賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。
  139. 草川昭三

    ○草川委員 ぜひ、総務庁と大蔵省の主計局にお願いをしますが、ひとつ将来展望を立ててこの入管業務の定員増については取り組んでいただきたい。何も私、入管に頼まれてしゃべっておるわけじゃないですから、これは誤解のないようにしてもらいたいのです。私の体験上から、えらいことになるよ、こういうことを言っておるわけですから、十分承知をしていただきたい。以上でこの話は終わります。  今度は裁判所の方に質問をしたいと思います。  まず裁判所の窓口業務でありますけれども、最近、各種行政機関の窓口については行政監察の結果が出ておりましていろいろな指導をしておるわけでありますが、行政監察の及ばない裁判所の窓口の対応について本当に当局が教育なり研修を行ってみえるのかどうか疑問がある、こういうことがあるわけであります。なぜそういうことを言うのかといいますと、裁判所はそれなりの教育をしておる、研修をしておるということを言われると思うのでありますが、例えば東京地裁の民事九部、保全処分の専門部、あるいは二十一部、強制執行の専門部、ここの窓口における一部裁判所職員の対応が非常に悪いということが、窓口を訪れた法律事務所の職員から私の方にも随分寄せられているわけであります。大変仕事が忙しい、忙しいがゆえにどうしても対応が不親切になるというようなこともあると思うのでありますが、その点どのように把握してみえるかお伺いしたいと思います。
  140. 泉徳治

    ○泉最高裁判所長官代理者 民事事件の受付事務あり方につきましてはこれまでにもいろいろ御指摘をいただいておりまして、私どもといたしましても、裁判所国民にとって親しみやすいものにするため、また民事裁判手続を利用しやすいものにするために、窓口受付事務を充実し、サービスを向上することは大変重要なことであると考えております。  このような観点から、特に国民に身近な存在でございます簡易裁判所の受付事務を改善すべく、ここ数年、内部におきますブロック会同でありますとか協議会においてこのテーマを取り上げて、重点的に協議しております。また各庁におきましても、受付担当職員にベテラン職員を配置する、また受付担当職員の研修を実施する、あるいは受付相談用のマニュアルを作成するなどといった方策を講じております。地方裁判所におきましても、同様な内部での研修を実施いたしております。私どもといたしましては、各庁の中でつくりましたすぐれたマニュアルなどを全国に配付しているところでございます。  今東京地裁の九部、二十一部について御指摘を受けましたが、ここの九部、二十一部では一日の間に大量の事件が来るためにあるいは不愉快な印象を与えたかと思いますが、その点は十分反省してまいりたいと思っております。
  141. 草川昭三

    ○草川委員 こうした部で事件の相手方、被申立人あての文書を郵送するあて名書きを申立人がするわけですね。あるいは申立人の代理人なりその事務所の事務員がやるわけでありますが、それに封筒を交付してあて名書きをさせておるという例があるわけですが、御承知でしょうか。
  142. 泉徳治

    ○泉最高裁判所長官代理者 ただいま委員が御指摘になられましたように、東京地裁の民事九部は保全部でございます。それから民事二十一部は強制執行部でございますが、そこにおきましては保全命令、いわゆる仮差し押さえ、仮処分命令でございます、それから不動産の競売開始決定、債権の差し押さえ命令の送達用の封筒の名あて書きについて、出頭いたしました弁護士事務所の事務員や金融機関の職員に協力を求めているという事実がございます。
  143. 草川昭三

    ○草川委員 今すぐれたマニュアルで指導しているというのですが、そういう中には入っていないのでしょう。多分マニュアルの中にはそういうことはやっていいとは書いていないと思うのですよ、これは嫌みですけれども。  それで、これは忙しいからやむを得ないということもあると思うのです。忙しいからやむを得ないから、じゃあやらなければあなたの方が遅くなるだけだよ、こういう言い方になってしまうと思うのですけれども、もし裁判所の名前の入った封筒等が流出して悪用された場合に、当局としての責任も非常に重要になってきますね。ですから、そういう意味では私は、もしその封筒が流用されて損害賠償なりの事件でも起きたら大変なことになるので、慎重な配慮をしていただきたいと思います。  それから、忙しいからやむを得ないということからこの問題が出たかもわかりません。これは当然その裁判所職員の不足ということになるかもわかりませんけれども、例えば東京高裁の刑事各部の法廷の実態を見てみると、一日に証拠調べが一件だとか判決が一件などという非常に閑散とした部門がある、こういうわけですね。これは当然のことながらそこにも職員が配置されるわけでありますから、職員の配置の再配置ということなりあるいは流動化というようなことも一応考えてあげないと、今言われた九部だとか二十一部に集中するわけですから、そこはいささか気の毒だという気がいたします。こういう点では、最高裁の中にいわゆる民事刑事の言うところの縄張り意識というのがあるのではないだろうか。司法行政の見地から適切な配置を考えてもらいたい。  同様なことは統計上、事件の極めて少ない地方の庁、例えば民事三名とか刑事三名、家裁一名の裁判官の人員配置になっておるわけでありますけれども、こういう点も、刑事が例えば私ども暇だ、こういう言い方をすると、裁判所の方は、不意に勃発するようないろいろな危険な状況というのはあるのだから、いつもそれに備えなければだめだ、そう余り簡単に物を言うな、こういうことになると思うのですけれども、それにしても人員の適正配置ということは考えるべきではないか、こう思いますが、どうでしょう。
  144. 金谷利廣

    ○金谷最高裁判所長官代理者 ただいま委員から御指摘の点は、私どももそのとおり思っております。  まず最初にお尋ねの東京高裁の刑事部の例でございますが、御承知かと思いますが、刑事事件の場合は一つ事件で法廷を開きます回数は民事事件に比べると少のうございますが、一回開きました場合の開廷時間は長うございます。そんな関係で、一日に一件審理するというような場合もございますし、半日に一件しか入っていないということもございますので、黒板だけ見ていただきまして暇かどうかということを言われると困るのでございますが、その点は別といたしましても、最近、確かに東京高裁におきましては刑事事件の方は減少いたしまして、民事事件の方は相当事件が大量にあるという状態にあることは御指摘のとおりでございます。そういう場合に、例えば民事部と刑事部の裁判官の配置等を常に点検して調整する必要があることはそのとおりでございまして、現に東京高裁でも、最近でも例えば刑事部の裁判官を三人減らして忙しい方に回すというようなことをやっております。こういう各裁判所におきます民事部と刑事部の調整あるいは少し手のすいてきた部門から忙しい方の部門に向けるということは、それぞれの裁判所でも行っておりますし、また全国的な視点から、ある裁判所事件量がふえた、他の裁判所はそれほどでないというときに、その調整をいたすのは最高裁判所の総務局の方で原案をつくってやっております。  そういうことで、民・刑の縄張り争いとかそういうことは関係なく、私たち、毎年毎年その点検は一生懸命慎重にさせていただいている状況でございます。今後もそういうことで努力はしたいと思っております。
  145. 草川昭三

    ○草川委員 これは要望になりますけれども、今申し上げたように、封筒のあて名書きあるいは裁判書きの一部、例えば仮差し押さえ決定の目録なんか全部つくらせてホッチキスを押すだけだ、そういう場合に、法律事務所の事務員に対する言葉遣いも乱暴で対応が非常にひど過ぎる、こういう苦情が大変ございますので、一番最初答弁がありましたようなしっかりとした対応を指導していただきたい、こう思います  続いて、裁判の国際化への対応について二、三お伺いをしたいと思うのです。  日本企業の外国進出あるいは外国企業の日本への進出が非常に多くなりまして、紛争も当然増大をしております。最高裁も裁判官を民間企業に出して研修をさせるというような対応を立てていると思うのでありますけれども、国際司法共助の手続の迅速化、簡便化という問題についてひとつ答弁をしていただきたいと思うのです。  外国人と日本人との間の紛争が日本裁判所に係属をした場合に、訴状の送達その他国際司法共助の手続による、こういうことになっております。しかし、この国際司法共助手続は、日本の地裁、最高裁、それから外交当局ですから外務省ですね、それから相手国の外交当局、相手国の最高裁、地裁というように幾つもの機関の間を文書が往復しなければいかぬ。だから、このために訴状の送達だけでも半年から一年かかる事例があると聞いております。中には、半年先の期日を指定して訴状と期日の呼び出し状の送達を行ったところ、当該期日が経過した後に外国の裁判所からの送達報告書が届いたために、期日指定がむだになってしまう、またやり直さなければいけない、こういうような苦情があるわけでありますけれども、最高裁はどのように把握をしておられますか、お伺いをします。
  146. 泉徳治

    ○泉最高裁判所長官代理者 外国に訴状を送達いたします場合には、御指摘のように最高裁、外務省等を経由しなければならないために、一般の国内の送達に比べまして多くの日時を要していることは事実でございます。ただ、極めて特殊な例を除きまして、送達に一年近く要するということはないようでございます。  送達手続の完了までにどの程度の期間を要するかということは、国によりまして、また送達の実施機関によりまして異なるわけでございますけれども、一般的に行われております領事送達、これは外国に駐在いたします我が国の外交官または領事官に嘱託して送達を行うものでございますけれども、これによった場合には大体二カ月程度、それから、外国の機関を経由いたしました場合には三カ月ないし四カ月を要しているというのが実情でございます。
  147. 草川昭三

    ○草川委員 一年以上はないと言われるのですが、私の方は,年かかる事例があるということで、ともかく一年近い例があるということでこの問題を提起しておるので、後ほどまた具体的な事例は最高裁の方にお渡ししたい、こう思います。  それで、非常に訴状の送達がおくれるということは今日の国際化に対応しない、これはもう当然なことなんです。  ところで、日本は、民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約、この条約を批准しておるわけでありますけれども、この条約に基づき外国の中央当局に送達の要請をすることができるのは外務大臣なんです。  そこで、私どもに寄せられた意見をいろいろと聞いていただくと、そんな外務大臣を通じてやっておるようでは通常の国際司法共助手続に基づくやり方と変わらぬではないか。例えばアメリカだとかイギリスにおいては弁護士が直接外国の中央当局に訴状の送達要請ができるということになっている。こういうように事件の依頼を受けた弁護士が直接外国の当局に送達の依頼をできるとした方が早いに決まっておるわけですから、日本の場合もぜひそういうことができるように弁護士に送達を行う権限、少なくとも外国の送達当局に対して送達の要請をする権限を与えてもよいのではないかと思うのですが、これは法務省の中でも議論なされておるのかあるいは裁判所の方の御意見になるのか、どちらか関係の方から答弁を願いたい、こう思います。
  148. 藤井正雄

    ○藤井(正)政府委員 法務省の方からお答えを申し上げます。  弁護士が裁判所から権限を与えられて、直接に他国の当事者に裁判書類を送達することができるとしている外国の法制はございますが、これをもし我が国で認めるということになりますと、我が国の国内における国内当事者間の裁判書類についても同じような方法を認めなければならない、しかし、現在国内ではそういう法制はとられていないわけでございます。  我が国ではそもそも民事訴訟において弁護士強制という制度は採用されていないわけでございまして、訴訟に必ず弁護士がつくとは限りません。それからまた、裁判書類というような重要な文書を受領するのに、公的な機関を通さないで行うということについて国民的な合意が得られるか、国民がそれを受け入れるかということなど、かなり難しい問題があると考えております。外国への送達あるいは外国からの送達ということ、いろいろ考えていないわけではございませんけれども、現状ではそのような法制を取り入れることは大変難しいのではないかと思っております。
  149. 草川昭三

    ○草川委員 難しいからこういう問題提起をしておるわけなんで、しかも国際化ということに対応できないのではないか。今の局長答弁は現状をそのまま言われただけの話ですから、だから、国際化という前提に立って少し議論をぜひしていただきたいということを要望しておきたいと思います。  それから、外国人が日本で訴訟を提起しようとする場合に、その印紙額が非常に高額であるという不満が言われております。例えば一億円の訴訟になりますと五十万七千六百円の印紙を張らなければ第一審の訴訟を提起できない、イギリスやアメリカではその訴訟提起に際してこのような印紙はない、もちろん乱訴を防止するという意味で印紙は必要だと思うのですけれども、それにしても金額は少し下げるべきではないだろうか、こういう要望があるのですが、これは最高裁になりますか法務省になるのか、お答えを願いたい、こう思います。
  150. 泉徳治

    ○泉最高裁判所長官代理者 訴えの提起の手数料を納付させます目的でございますけれども、ただいま委員から御指摘のございました乱訴の防止という点がございますが、そのほかにも、国が負担で運営しております民事訴訟制度を利用する者と利用しない者との負担の公平を図るという趣旨で、利用した者について一種の受益者負担として御負担をいただいております。  この裁判所に納める手数料がどの程度が妥当な額かということはなかなか決めがたいわけでございますが、結局のところは、司法事務に対する国民の感覚あるいは一国の経済事情、それから当該手続により受けます当事者の利益の多寡等によりまして決まってくるものかと思います。アメリカにつきましては、今委員から御指摘のありましたとおり、訴えを起こすについて常に百ドル程度の一定額の手数料を納めるだけで済ませているのがございます。これは各国によって違うわけでございますが、我が国が手本といたしましたといいますか、類似しております手続に西ドイツがございますけれども、西ドイツでは我が国と同じような体系をとっておるわけでございますが、そこで納める手数料は我が国と比べますとかなり高くなっております。  しかしながら、手数料をどういうふうに決めるかということは、訴え、国民の裁判を受ける権利とも密接に関連する問題でございますので、立法を担当しております法務省とも協議しながら検討を進めてまいりたいと思っております。
  151. 草川昭三

    ○草川委員 これは現状からそういう苦情というのですか異論があるわけでありますので、ぜひ検討をお願いしたいと思います。  それから、現在国際紛争の解決の手段として仲裁手続というのが非常に広範囲に利用されているというように聞いております。我が国の民事訴訟法には第八編でございますか、仲裁手続に関する規定があります。このうち民事訴訟法の第七百八十八条ないし七百九十二条は仲裁人の選定についての規定ですけれども、これらは各当事者が一名ずつ選任すべき仲裁人の選定に関する規定になっておるわけですが、二名の仲裁人の意見が分かれた場合に、当該仲裁人が選任をすべき第三者の第三の仲裁人に関する規定が全く存在しない、だから各当事者が一名ずつ仲裁人を選定した場合には、往々にして意見が二つに分かれますね、お互い当事者同士ですから、ですからその指名を受けた仲裁人がどうしても当事者に有利な判断をすることがよくある、これは当然だと思うのですが、このような場合に、仲裁人双方の合意により第三の仲裁人を選任するということが必要だと思う。このような仲裁人の意見が分かれるケースが随分あると思うのですけれども、特にこれは国際紛争の場合にありましては泥沼化しているという例もあるようでありますが、早急にこの点についての法律改正するかあるいは何らかの対応があってしかるべきだと思うのですけれども、これは法務大臣になりますか法務省になるのか、お答え願いたい、こう思います。
  152. 藤井正雄

    ○藤井(正)政府委員 民事訴訟法の七百八十八条の規定はただいま御指摘になられましたとおりでありまして、仲裁契約で仲裁人の選定について特に合意がなかったときには、各当事者がそれぞれ一入ずつ仲裁人を選んで行うということになっております。そこで、その仲裁人の意見が可否同数の場合に備えまして民事訴訟法上どのような補充的な規定を設けるべきかということにつきましては、これは、当事者の通常の意思のほかに、仲裁手続というものを紛争解決制度の中でどのように位置づけるかという基本的な問題にかかわってくる点があろうと存じます。現行法では、仲裁手続について、仲裁人の判断が一致する限りでは仲裁による解決を図るけれども、仲裁人の判断が一致しない場合には七百九十三条の二号によりまして仲裁契約が効力を失うという定めになっております。これは仲裁による解決を放棄いたしまして訴えによって解決をするのである、こういう基本的な考え方になっているわけであります。     〔魚住委員長代理退席、委員長着席〕  しかし、他方、仲裁契約があるのならばなるべく仲裁によって解決を図ってその手続のむだを省くべきだというのがこの点に関する改正論でございます。この基本的な問題をどのように考えるかというところにかかわってまいりますので、これは、これから先、仲裁制度の全般的な見直しをする際にはどうしても考えなければならない非常に重要な問題であるというふうに認識をいたしております。
  153. 草川昭三

    ○草川委員 今答弁がありましたように、なるべく仲裁をするという方がいいに決まっておると私は思うわけですから、ぜひ第三の仲裁人を選任することになるのかあるいは当事者同士の仲裁だけでは意味がなければ改正を進めていただきたい、こういうように考えるわけであります。  それから、裁判の迅速化ということですけれども、これは国際的にも非常に重要性を増してくると思います。しかし、第一審の訴訟手続が終結するために三年なり四年かかる例はざらだ、こうなっているようです。特に証人尋問期日が、いろいろな事情があるにしろ二カ月もしくは三カ月に一回、しかも一回の時間が一時間もしくは二時間しか開廷をしない、こういう実情があるわけでありますけれども、こういうことになりますと、例えば同一の証人について二カ月もしくは三カ月に一回ずつ行う、これは仮に四回行うとしても一年もかかることになるわけであります。要するに迅速な裁判に非常にほど遠い。これはいろいろなところでも言われておるところでありますが、例えば海難審判というのがあります、これは運輸省になるわけですけれども、海難審判だと、期日を午前九時半なら九時半と定めますと、その日一日じゅう一つ事件の審理に集中するわけですね。海難審判の場合は非常にスピーディーに話が進む。なぜ裁判所においてこういう審理方式の形態がとれないのか。これはいろいろな議論があると思うのでありますけれども、十分検討していただきたい、こういうように思います。特に少額の事件については半日もしくは一日程度の審理で迅速に結論をおろすというシステムをぜひ検討していただきたい、こういう意見を持っておるのですが、その点どうでしょう。
  154. 泉徳治

    ○泉最高裁判所長官代理者 民事訴訟の迅速な処理ということは、その内容の適正とともに、民事裁判制度の常に目標としなければならないところでございます。私ども民事裁判の運営に携わる者といたしましては、訴訟遅延に対する御批判を深刻に受けとめて、その解消のために努力を続けていきたいと思っております。  幸い、ここ数年、徐々にではございますが、民事通常訴訟の平均的な審理期間は短縮化を見せております。ただいま御指摘のありました少額事件など、いわゆる民事事件の六割程度を扱っております簡易裁判所におきましては、平均いたしますと三カ月程度で審理が終わっております。それから、あとの四割程度を担当しております地方裁判所におきましても、平均いたしますと約一年程度で終わっているわけでございます。今後ともこういった訴訟遅延解消のための努力を一層続けてまいりたいと思っております。  それから、なぜ我が国で集中審理が活用できないかという御指摘がございました。集中審理といいますのは、訴訟の迅速処理のために最も望ましい方式であろうというふうに考えております。これがなかなか利用されない点は、当事者が審理のための準備を十分に尽くして訴えを起こさないものですから、当事者の準備が間に合わないという点がございます。それから、証人の不出頭などで期日が流れてしまいますと一日丸々むだになってしまうということをおそれる裁判官の心理がございます。それから、長年にわたる訴訟慣行がなかなか改められないで、関係当事者が現在の審理方式を前提にして行動しているといったようなことが考えられるわけでございます。  しかしながら、最近におきまして、東京、大阪、名古屋あたりの地方裁判所におきましてこの集中審理で事件処理できないかという試みを始めておりまして、弁護士会でもこれに協力するという動きが出てまいっております。  私どもは、常に、従来の訴訟慣行にとらわれることなく、これを反省しながらよりよい訴訟運営を目指していきたいというふうに考えております。
  155. 草川昭三

    ○草川委員 時間を協力する意味で、これで最後にしますが、ぜひ最高裁にもお願いしたいのは、今迅速な裁判ということを言ったわけでありますけれども、率直な言い方をしまして、裁判に携わっていない裁判官の数が多過ぎるのではないかという意見があるわけであります。裁判官でなくともなし得る通常の事務手続については裁判所事務官をどんどん起用するということも考えるべきではないだろうか、こういう意見がございます。ひとつそういう点もぜひ検討していただきたいわけでありますし、なお、国際化時代になってまいりますと、例えば裁判所の書面の規格についても、今判決の書面はB四判の縦書きになっておりますけれども、国際的にはA四判の横書きの書式が主流になっておるわけです。そういう意味でも海外からも日本裁判所に対する要望も非常にあるようでございますが、ひとつそういう点も含めて最高裁の国際化に対応する指揮、指導ということを十分検討していただきたいということを要望しておきたいと思うのです。  最後のこの質問について答弁をしていただいて私の話を終わりたい、こう思います。
  156. 櫻井文夫

    ○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判所では、裁判に携わらないでいわゆる司法行政事務を担当している裁判官がある程度の数おります。これらは、裁判に携わっていないとは申しましても、裁判事務と特に密接な関係のある、司法行政事務の中でも特に裁判事務と切り離せないような部門の仕事を担当する必要があるために、私どもとしましては必要最小限の人間をそこに配置しているつもりでございます。もちろんこの数をできるだけ少なくとどめるように従来から検討いたしておりますし、また、裁判官を行政上のポストに充てております場合でもなるべく一人で二つのポストを兼務させるとか、そういったような形でできる限り最小限にとどめるように従来から努力をいたしているわけでありまして、今後ともこの点は検討を続けていきたいというふうに思っております。
  157. 泉徳治

    ○泉最高裁判所長官代理者 用紙の大きさにつきまして御指摘がございましたので、その点について補足させていただきます。  御承知のように、判決を含みます訴訟書類は、これを編綴いたしまして記録にするために用紙の統一化が必要でございます。現在のところ、我が国の民事訴訟規則では、B四判の用紙を使って、これを二つ折りにして使うということが決められておりますので、現在のところは判決はほぼ例外なくB4の用紙を使っております。我が国におきましてB4の用紙が一番よく利用されているという実情にございますために、今直ちにこれを改めることは無理かと考えております。しかしながら、民事裁判全体を含めまして国際化に向けましてそれに適合したものにするべく、なお内部でいろいろ検討してまいりたいと思っております。
  158. 草川昭三

    ○草川委員 以上で終わります。
  159. 中村靖

    中村委員長 大矢卓史君。
  160. 大矢卓史

    ○大矢委員 まず、新しく就任されました谷川法務大臣、三木先生の流れをくむ方でございまして非常に厳正また中立て、この政界を浄化をしていくのに大変重要な法務大臣に御就任になりました。心からお祝いを申し上げたいと思います。  そこでまず、現在の国際情勢の中で中国のあの忌まわしい事件でございますけれども日本におります中国人の方々が日本におられる期間を過ぎてなお希望されるというような場合に、当然大臣の権限で在留を許可することができると思いますけれども、これにつきましてまず大臣の御所見を承りたいと思います。
  161. 谷川和穗

    谷川国務大臣 中国は何せ我が国の大変大事な隣国でございます。その隣国内で起こりました事柄につきまして、私といたしましても一刻も早く平静を取り戻すように心から願っておるところでもございます。  御質問のございました日本の国内におる留学生等の在留期間の延長に対する申請などの要請が出ましたときには、その出ました時点において個別の事情を審査しこれを弾力的に処理、対処いたしていきたい、こう考えております。
  162. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういうことも含めまして、先ほども草川委員からの発言もございましたように入管の事務というのは非常に停滞をしておるように聞くわけでありますが、この点につきましてもこれの充実を図っていただきますように要望をいたしておきたいと思います。  そこで、中曽根民活ということで、東京湾横断道路事業と並んで、二十四時間空港ということで日本で初めての海上空港を建設する、関西新空港、大変なプロジェクトチームを組まれまして、これはもう国家的な事業であると同時に、東京一極集中主義から関西の経済の復興ということもまた、そこにおります中小企業の皆さん方の非常な期待を集めてこの工事が始まったと思います。  そこで、まずお伺いをいたしたいのは、現在中小企業庁の方で官公需に対する中小企業の受注確保について非常な御努力をしていらっしゃると思いますけれども、昨年度の目標と昨年度の実績、また本年度の目標、そして将来に向けての官公需に対する中小企業の分野の確保と申しますか量の確保、これはどのようになっておりますか、お答えを願いたいと思います。
  163. 沖茂

    ○沖説明員 お答え申し上げます。  官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律第四条に基づきまして、毎年度中小企業者向けの官公需の契約目標額及び契約目標比率等につきまして閣議決定がされているところでございまして、昭和六十三年度につきましては契約目標率が三九・九%とされた次第でございます。六十三年度実績につきましては現在集計中でございますが、最新の実績では昭和六十二年度につきまして実績が三九・六%というのが出ております。なお、今年度の目標の作成作業につきましては現在関係省庁等との間で作業中でございます。  もう一点、先生から御質問ございましたその比率についての考え方なんでございますが、この法律の立法当時におきましては、将来的に中小企業者向けの官公需目標として国等及び地方公共団体合わせまして五〇%を確保することを一応の目安としておりまして、その数字は、昭和四十一年度に四〇・六%であったものが最新の昭和六十二年度におきましては五九・四%というように、当初の目安を上回るに至っております。最近におきましては、行財政改革の推進等の影響もありまして中小企業者向けの契約比率の引き上げは年々困難となっておりますが、通産省といたしましては、関係各省庁等の協力、中小企業者の自助努力等と相まちまして、できる限りこの比率を高められるよう今後とも努力してまいる考えでございます。
  164. 大矢卓史

    ○大矢委員 今空港の進捗状況は、空港本体については予定どおり進んでおるようでありますけれども、交通アクセス等の陸上部門はどういうふうになっておりますか、お答えを願いたいと思います。
  165. 藤川寛之

    ○藤川説明員 今お話がございました関西空港に関連いたします、建設省といたしましてはアクセス道路の整備を担当しているわけでございますが、そのうち阪神高速道路公団が担当しております大阪湾岸線の進捗状況でございますけれども、既に港晴から堺出島西町までは供用中でございますが、出島西町から臨海町の間につきましては現在工事を進捗しておりまして、平成三年度に供用する予定でございます。それから臨海町から貝塚までの区間につきましては現在用地買収、工事に着手しておりますが、泉大津旧港、それから岸和田旧港との調整の問題がございまして空港開港までには供用できない、若干おくれる見込みでございます。ただ、この間につきましては府道の大阪臨海線が平成四年に供用する予定でございますので、これは代替路に使えるのじゃないかと考えているところでございます。それから貝塚から泉佐野の区間につきましては既に用地買収等着手しておりまして、空港開港までには間に合うと考えております。  それから、空港に連絡いたします関西国際空港線でございますけれども、これにつきましては現在用地買収を鋭意進めているところでございますが、最近の地価の高騰の問題等もございますし、それから非常に関係者が多いというようなこともございまして、用地交渉が難航しておるところでございます。この区間につきましては、代替地のあっせん等を鋭意進めているところでございまして、できるだけ早く用地交渉をまとめまして、空港開港までに間に合わせるように今後努力していきたいというように考えております。  それから、近畿自動車道の紀勢線でございますけれども、これにつきましては今のところ比較的順調に事業が進んでおります。ただ、埋蔵文化財等もございましてその発掘調査に手間取っているところもございますが、一応空港開港までには供用できるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  166. 大矢卓史

    ○大矢委員 余り時間がございませんので私から申し上げますと、大変海上部門は仕事が進んでおるようでありますけれども、陸地の部門につきまして買収等がおくれているようであります。この一つの理由に、当初から言われておりましたように、新空港が建設されて地元では人件費等の値上がりがあるだけで何の恩恵もないんだということがよく言われております。しかしそういうことでなしに、国家的なプロジェクトでありますから、中小企業の方々も含めてあらゆる恩恵に浴されるということで期待をしてまいりました。しかし、先ほどの中小企業庁の国の中小企業に対する受注の割合は、四〇%を目標にして本年は三九・九%だ。昨年はその実績においては三九・八%が結果的には〇・二%差の三九・六%まで達成できた。そういう中で、この空港におきます現在までの仕事量の関係はどういうふうになっておりますか、お答え願いたい。
  167. 相原力

    ○相原説明員 お答え申し上げます。  関西国際空港の建設工事につきましては、御承知のように関西国際空港株式会社において実施しているわけでございますが、現在までの契約状況につきまして御説明いたしますと、建設工事のうち契約件数百四件、契約金額で約三千七十億円でございます。このうち、先生御質問の中小企業の関係でございますが、地元中小企業ということで限定いたしますと、契約件数で三十一件、これは全体の約三〇%。それから契約金額では約六十億円、全体では二%に該当いたします。  なお、地元中小企業ということで本社が大阪府と兵庫県、和歌山県ということで限定しておりまして、資本金一億円以下、従業員数三百人以下ということで示した数字でございます。  以上が実績でございます。
  168. 大矢卓史

    ○大矢委員 今お聞きのように、中小企業庁が一生懸命努力をして〇・二%の差だとか、また〇・一%どうするとかいうような努力にもかかわらず、この契約の金額からいきますと三九コンマどころではなしにただの二%というのが実態であります。建築工事だからどうのこうの、また新しい工事だからどうのこうのということをおっしゃいます気持ちはあろうと思いますけれども、ゼネコンというのは建築業者また土建業者と言われておりますけれども、これは商社である。大きな商社であって、その実態は下請、孫請、ひ孫請というような人々がやっているのであって、決して大企業でなければできないということではないわけであります。そういうことが余りにも期待をいたしておった割に裏切られたということで、これからの空港の陸地部門の地権者を含めてこれに対する非常な反対が多いということもわかっていただきたい、こういうことだけをまず申し述べておきたいと思います。  そこで、当委員会、昨年九月二日の決算委員会で同僚委員から御指摘ありました海土協の、いわゆる関西空港に土砂を納入いたしております海上埋立土砂建設協会、通称海土協の談合問題について、いち早く公取の方で調査に入っておられると思いますけれども、報道によりますと、今日まで、この処分を軽くしてもらうために上申書を提出して、この海土協の解散をしたいというふうに言っておられるということでありますが、その点いかがでありますか。
  169. 鈴木満

    ○鈴木説明員 御説明申し上げます。  海上埋立土砂建設協会、いわゆる海土協事件につきましては、現在海土協の行為を独占禁止法違反の疑いで調査を行っております。しかしまだ結論を出したわけではございません。  それから、先ほど御指摘ございました上申書なるものでございますが、海土協から上申書が提出されているのは事実でございますけれども、その内容につきましては、事件審査にかかわることでもございますので答弁を差し控えさしていただきたいと思います。  一般論として申し上げれば、上申書というのは、事件関係人が文書で意見や要望を表明するものでございまして、こういった上申書が提出されること自体はそれほどまれなことではございません。関係人から上申書が提出された場合には、公正取引委員会としましては参考にすることはございますが、結論は証拠等を総合的に判断して出すこととしております。
  170. 大矢卓史

    ○大矢委員 談合等があったということにつきましては、いろいろな資料等を通じて私どもも見てまいりまして、うなずける点があるわけであります。  その中で、関西国際空港がお決めになりました単価が一立米当たりが千二十八円だと言われている。それが逆に、海土協からそれを買わされる業者の方々が千百三十円でこれを買っておるという。関空の方で見積もりをいたしておりますのが千二十八円で、海土協に対して支払いをするのが千百三十円だと言われておる。その百二円の差額、これが海土協傘下の八社に入っておるのか、それとも海土協という任意団体に入っておるのか、海土協を仕切っておったと言われておる大林の当時の平島常務に入っておるのか、それを平島さん個人がお使いになったのか、また政治家に回ったのか。そのようなことも報道され、取りざたをされておるわけであります。  これについて、関西における談合の実態というのは、私もこの前の決算委員会のときに申し上げましたけれども、東大阪市において下水道事業を発注いたしましたところ全員の業者が五割増しで入札をした、そういうことでこの業者を全部排除して新しく指名業者を決めましたところが全員が辞退をした、それほどのすごい談合体質を持っておるところである。それを仕切っておったのが海土協の代表と言われておる人だそうであり、こういう中で、もし公取の方で、この結論が独禁法に触れるのだということ、談合の疑いがあったという結論が出ましたときには、これまた従来の談合罪によりますと、なるほど法文にはございますけれども、直接金が動いておらなければ問題はないというような形で見過ごされておったと思います。しかし、今申しましたように、歴然と一立米当たり百円の金、今現在三十億とも四十億とも言われておる金が海土協傘下の八社に一応渡り、そこからどこに行っておるのか、それが今申しましたように政治家のところへも行っておるのではないかというような疑いをかけられておるわけであります。  今、リクルートでこれだけの大きな政治不信を持たれておる、その上にこういうことが報じられて、これに対して、やはりこの東京だけでなくして、大阪は大阪でおとといから、朝日新聞も連日この関西新空港の利権の問題を取り扱っております。これらの政治家が姿勢を正さなければならぬそのときに、こういうことを報じられて、リクルートにおきましては精いっぱい検察の皆さん方は頑張っていただいておると思いますけれども、まだまだ国民からすると大変な不満足な形で終わっておる、その中にまた中曽根さんがお考えになった民活の一大プロジェクト、この中でまたそういうことが行われておる。そういうことにつきまして、検察当局、もしこういうことに結論がいくといたしましたなら、それに対しても大きな関心を示されることと思いますけれども、お答えを願いたいと思います。
  171. 谷川和穗

    谷川国務大臣 個々の事例につきましてはつまびらかではございませんが、いずれにいたしましても、検察当局としては、刑罰法令に触れるような事実があるとすれば厳正にこれに対処していくであろうと私は確信をいたしております。
  172. 大矢卓史

    ○大矢委員 東大阪の問題は、私も具体的に申し上げましたけれども、こういう解釈をしておられる方がおりました。それは、談合罪というのはみんなが寄って落札をする人を決め、そして落札の価格を決めたら談合罪になるけれども、この場合は落札をだれもしておらない。全員が五割増しを入れた、全員が辞退をした、だから談合罪に当たらないのだと言う方もいらっしゃいました。しかし、私がこの談合罪の法文を読ましていただきました限りにおいては当然談合罪に当たると思いますけれども、いかがでございますか。
  173. 根來泰周

    根來政府委員 具体的な案件は、従来お答えいたしておりますように、それが犯罪になるとかならぬとかいう問題は申し上げる立場にないわけでございますが、刑法の九十六条ノ三に「偽計若クハ威カヲ用ヒ公ノ競売又ハ入札ノ公正ヲ害スヘキ行為ヲ為シタル者ハ」ということで、犯罪になるということでございます。二項は「公正ナル価格ヲ害シ又ハ不正ノ利益ヲ得ル目的ヲ以テ談合シタル者亦同シ」ということでございますし、この解釈についてはいろいろ判例の集積もございますから、そういう集積に照らしまして犯罪になるということになれば適切に対応するものと考えております。
  174. 大矢卓史

    ○大矢委員 そこで、私が先ほど指摘をいたしました、また報道されております、関空が一立米当たり千二十八円という見積もりをいたしております。これは決して間違いではない、正しいものだと思います。しかし、その千二十八円、それしか見積もれないものを百二円多い千百三十円で支払いをしておるというゼネコン側のこの考え方に対して、どうお考えでございましょうか。
  175. 根來泰周

    根來政府委員 具体的な問題はさておきまして、先ほど申しました刑法の九十六条ノ三に当たるかどうかということについては、先ほど申しました構成要件の解釈等にわたるわけでございますが、今お尋ねの点につきましては、公正なる価格を害する目的ということに相なると思います。これは全く事実関係は別にしましてのお答えでございますけれども、入札において公正な自由競争が行われたならば、すなわち談合がなかったならば成立したであろう落札価格を殊さら引き上げ、または引き上げる意図を持ってする行為を言うというふうに判例は言っておるわけであります。そういう判例に当たれば犯罪になる可能性はあるし、その辺が分かれ目のお話だと思います。これはあくまでも具体的な案件を念頭に置いているわけではございません。ただ解釈でございます。
  176. 大矢卓史

    ○大矢委員 法務当局は厳正な判断でこれからも行動していただきたいと思います。  そこで、関空担当の運輸省と、会計検査院お越してございますのでお聞きをいたしたいのでありますけれども、この単価を決めますときに、千二十八円というのは私は妥当だと思いますけれども、それを支払うときに百二円も多い金額で支払わなければならぬ、こういうことになりますと、この千二十八円が低過ぎたのか、それとも千百三十円というのが不当なものを支払わされておったのか。当然その百二円というのは立米当たり各ゼネコンが損をするわけである。損をして、ああ、そうですがということで済まないわけでありますから、やはり自分の仕事の金額の中でつじつまを合わせていく。そうなりますと、自分の得られるべき利益からそれがなくなったのか、それともその利益だけ上乗せをしてゼネコン側に発注をしたのか、それらのことを十二分に調査をしていただかなければならぬと私は思います。運輸省並びに会計検査院のお考え方をお聞きしたいと思います。
  177. 相原力

    ○相原説明員 御説明申し上げます。  まず先生御指摘の関空の工事用土砂の件、海土協の関係でございますが、これの事実関係について先に御説明させていただきたいと思います。  この関空工事用土砂でございますが、関西国際空港、御承知のように大規模な埋め立てをやる必要がございまして、それの護岸用、それから埋立区域の地盤改良工事、それから現在開始しております埋め立て等に必要な山土、これの関係の土砂でございます。ただ、契約関係につきましては、関西国際空港株式会社から、土砂だけではなくて、土砂とそれから例えば護岸工事の場合は護岸の造成、あるいは地盤改良まで、全体的な形で建設共同企業体、ジョイントベンチャーでございますが、この建設共同企業体に分割して発注しているということでございます。  先生今御指摘の海土協の関係は、この建設共同企業体が兵庫県の淡路島等の民間の土取り地から直接調達している件ということで、関西空港株式会社と直接の契約関係にはわたっていないというのが一つの事実関係でございます。したがって、その土砂の単価等についても、それは関空会社から発注している建設共同企業体と土砂を持っている山元との契約関係ということになるわけでございます。  なお土砂の単価ということでございますが、先ほど御説明いたしましたように、関西空港株式会社は土砂だけということで発注しているわけではございませんで、例えば護岸の造成工事であればそれを一括という形で総価計算ということで発注をしているわけでございます。当然その中で積算上は積算上の単価があるわけでございますが、これにつきましては企業の秘密あるいは将来の契約上も問題になりますので明らかにはできないわけでございますが、いずれにいたしましても、土砂だけではなくて、必要な資機材の価格につきましては市況等を参考に適正かつ公正に積算を行っているところでございます。  以上でございます。
  178. 川崎恒夫

    ○川崎会計検査院説明員 お答え申し上げます。  会計検査院といたしましては、談合の有無そのものにつきましてこれを究明する使命といいますか立場にはないわけでございますけれども、これまでも、関西国際空港の各種工事につきましては、私どもとしまして、契約価格が経済的であるかというような点から見まして支出の検査を重要な観点一つとして検査してきておりまして、過去の契約の先例ですとか他の契約例、各種市場価格等に照らして契約額の適正性、妥当性を検討してきているところでございます。  今後とも、こういった談合の疑いが提起されたような場合、それが契約価格の不経済に結びつくものであるのかどうかというような点については十分留意して検査していくことといたしております。
  179. 大矢卓史

    ○大矢委員 会計検査院もしっかりやっていただきたいと思います。  そこで、この百円の差益がどういう流れでどういうところに行っておるのか。そうなりますと、任意団体の海土協というものからどこへどうその金が行っておるのか、そしてまたそれが個人に流れ、またそれがどういう使われ方をしておるのか、それによってやはり税務上の問題が起きてこようかと思います。国税庁はどのような御見解をお持ちですか。
  180. 佐々木秀夫

    ○佐々木説明員 まず、御指摘の法人格を持たない任意団体の課税関係というのを一般論的に申しますと、これは御承知のいわゆる人格のない社団に該当する場合と、それからそれ以外のいわゆる任意組合的な団体の場合とで取り扱いが異なってございまして、まず人格のない社団の場合につきましては、御案内のとおり収益事業を営む場合に限って納税主体になり課税関係が生ずるということになりますが、いわゆる任意の組合的な団体でございますと、独立した法人税の課税主体とはなり得ませんで、その構成員のおのおのが課税主体ということになります。したがいまして、その団体の行為というのは構成員それぞれが行っているということになるわけでございまして、団体としての法人税の課税問題は生じないということに扱いがなっております。  個別の具体的な事柄につきましてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、課税上の問題があるかないかにつきましては常日ごろから私ども資料、情報収集に努めておるところでございまして、適正な課税を実現するというためには、そういった課税上の問題があるかどうかを含めて実地調査を行い、適正な処理に努めているところでございまして、今後ともそのような基本的な考え方で対処してまいりたいと存じております。
  181. 大矢卓史

    ○大矢委員 それでは、国税の立場でこれを追及していっていただきたいと思います。  そこで、これは公取にもう一度お伺いし、法務省にお伺いをいたしたいのですけれども、公取が出していらっしゃいます昭和五十九年二月二十一日「公共工事に係る建設業における事業者団体の諸活動に関する独占禁止法上の指針」、いわゆる公取のガイドラインが出ております。これは前文で、一定のルールを定める等により受注予定者または入礼価格を決定したりするようなことのない限り独占禁止法に違反をしないということで、グループを組んで情報収集でございますとかいろいろなことをやってもよろしいということである。そうなりますと、当然そこで結果的に落礼者が決まり、結果的に入礼の予定価格がいろいろと調査をしてそれで決定をされていくわけであります。ただ昔のように、談合といいますとみんなが寄って一杯酒飲んで金のやりとりをしてというような、そんなばかげた談合をやるところはもうどこにもないわけでありまして、一つの仕事の貸し借り、点数表でもってずっと回っておる。しかし、公取としてこういうガイドラインで、そのときそのときの情勢がございますから、つくられたときには非常なたたき合いで業者が困られたという事情はありますけれども、現在はなかなか建設業も強気であります、そういう時期にこういうことで指導されることが果たしていいのかどうか。こういうことがひいては刑法上からいきますと、公取がいいということでやっておったことが刑法上で談合罪で罰せられるということがないのかどうか、それを御両者からお聞きしたいと思います。
  182. 知久多喜真

    ○知久説明員 ただいまの建設業ガイドラインについて若干御説明申し上げます。  五十九年にできたと先生から御指摘ございましたが、若干経緯を申し上げますと、一つは、御案内と思いますけれども昭和五十七年、私ども勧告をいたしました静岡県下の建設業団体の受注予定者、いわゆる入礼談合事件、これを一つの契機としまして社会的に建設業界の独占禁止法の関係なりかかわりといったものについて関心なり認識が非常に高まってまいりました。一方その中で、公共工事にかかわる建設業は一般産業と異なる諸特性、例えば単品受注でございますとかあるいは中小企業がほとんどでございますとか、官公庁の発注に係る競争入札制度、特殊な指名入礼制度とか、そういった制度下にあるといった特殊な業界でございますので、それまでも一般ガイドラインが五十四年に出されましたけれども、一般ガイドラインだけではなかなか理解していただくのは難しい面もあるかもしれないということで、私ども公正取引委員会は、先ほど御指摘のいわゆる建設業ガイドライン、「公共工事に係る建設業における事業者団体の諸活動に関する独占禁止法上の指針」を昭和五十九年に作成、公表したわけでございます。  要するに、この建設業ガイドラインなるものは、その前にあります昭和五十四年に作成されました一般の団体に関しますがイドラインを踏まえつつ、公共工事にかかわる建設業の諸特性を勘案して、できる限り建設業の実態に即したものになるように、建設業界独特の用語とかを用いるなどいたしまして、建設業関係の方々にもわかりやすいよう、いわば具体的、それから一般ガイドラインの確認的な意味で取りまとめたものでございます。  それから、その中で先生御指摘情報活動についてでございますけれども情報活動については、一般ガイドラインの方でも、事業者団体が構成事業者の事業に関する経営技術、市場実態、需要動向等について情報または資料の収集と提供を行うことは一般的に事業者の合理的な経営判断を助けるものでありまして、一般ガイドラインにおいてはその限りにおいては独禁法に違反するおそれがないとしていることは御指摘のとおりでございまして、建設業ガイドラインで情報活動、それから経営指導等書いてございますけれども、これらは中身的には過去の客観的な事実に係る情報の提供等ならば構わないということでございまして、いわゆる一般ガイドラインで認められている情報活動の範囲内のものを述べております。  それから、それに関連して談合というお話でございましたけれども、一般ガイドラインでも受注側のいわば事業者団体による入札予定価格の決定どか受注の配分、受注予定者の決定等について具体例を挙げております。これは建設業そのものを具体例に挙げているわけではございませんで、資材関係とかでございますが、具体例を挙げて独禁法違反となる旨を示してございますし、あるいは今御指摘の建設業ガイドラインでも、受注予定者あるいは入札価格を決定するそういった談合行為といったものを行いますと独禁法違反になりますということを前文のところで言っております。  私ども公正取引委員会といたしましては、そういった独占禁止法違反行為に対しましては今後とも厳正に対処してまいりますとともに、今の一般ガイドライン、建設業ガイドラインといったものの普及、趣旨の徹底を図ることで、今後とも独禁法違反行為の予防に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  183. 根來泰周

    根來政府委員 繰り返すようでございますが、具体的な案件を頭に置いての話でございませんが、お話しのような話になりますと、一つは刑法上の談合罪の話、二つ目は先ほど公正取引委員会からお話がありましたいわゆる独禁法違反のお話、こう二手に分かれると思います。  最初の談合罪の話は、これは刑法の話でございまして、先ほど申しましたような構成要件に当たる事実があるかどうかという判断に係るわけでございます。その判断の際に、公正取引委員会がいろいろ解釈を出していることが果たしてどの程度しんしゃくできるかという判断でございまして、これが具体的な判断になるわけでございます。  二番目のいわゆる独占禁止法違反の事件につきましては、これは三条あるいは八条違反ということで、たしか八十九条か何かに罰則が設けられておりますけれども、これは公正取引委員会からの告発を待って論ずる、こういうことになりますので、公正取引委員会の御判断がまず前提になることになると思います。
  184. 大矢卓史

    ○大矢委員 この公取のガイドラインがあります限り、これを隠れみのにいたしまして、業者団体が集まって、いいと思ってやっていたことがまた談合罪に問われるということに相なると思いますので、この際、この問題について御検討願いたい。  そこで、時間がございませんので申し上げますけれども、今まで関西の特殊な談合体質については申し上げました。またそれを仕切ってこられた方、十年、二十年でなくして三十年以上やっておられるわけでありますから、あの立派な中曽根さんですら五年でおやめになったわけですから、そこには大きな権限ができてくる、その人が実力者としてすべての土木工事を仕切っているということ、これが改善されない限り、関西ではこれからも大変な無理が生じてくるということは私が考えておるところでありますけれども、今度のこの空港につきまして私なりに考えたことを申し上げて、大臣の御所見を承りたいと思います。  これは国家的なプロジェクトと言われながら、中曽根さんを初め中央において、運輸省を中心にした、マリコンという海上建設会社を中心にした、それらがこれを全部仕切って、すべての工事の発注から利益からすべて、一切合財これをやっていこうということは決まっておって、そしてそのチャンピオンとして竹内さんが社長に就任をされた。それについて関西は関西だということで、それに対していわゆる関西の談合の長と言われておる人が、関西の大手ゼネコンに任せてもらいたいということで大げんかをした。これは竹内さんも言っておることであります。そして大げんかをした中で、これでは今までの調子と違うのだからということで、平島さんが自分の息子さんが秘書をしておった大物政治家にこの陳情をして、関西は平島に仕切らせるようにということでの連絡をした。そして、それではまた竹内さん自身がやっていけないということで、政治家を歴訪して、その中でようやく大阪で、東京からも全部ゼネコンの代表者を呼び、竹内社長出席のもとに手打ちをしたと言われておるわけであります。そういう中で、やはりそういう一つの大きな官僚機構がすべてのそういうものを支配していくというのは、決して民活でも何でもないわけであります。民活で地元が喜ぶ、そしてこの空港を世界で初めての二十四時間空港として本当に立派につくっていただける、私どもも最終的には三つの滑走路ができた立派な空港に仕上げてもらいたいというふうに念願をしておるのでありますけれども、その発想自体が、そういう立派なものをつくることが発想でなくして、そういうものに群がってくる利権集団、これが思うようにならなかった、そこへ関西の談合屋がかみついた、それをまた政治家の根回しで手打ちをして現在おさまっておる。外国からはアメリカの参入と言われて、これまた上物については外国企業も入れた中で落ちつくところへ落ちついていく。そういうようなことで、決して地元の中小業者は喜んでおらない。そして、この海土協にいたしましても、これは解散してもその整理をどこかがしなければならぬ。しかし、表面上の解散にしてもどこかで土砂をやっていくということでございますので、これからも一立米百円の金かまたどういう集まり方をしてどういう散り方をしてと、こういろいろ言われておりますことについて、政治家がそのような、今不信を受けているときにこのようにどんどん毎日毎日政治家の名前が大阪では出ておるわけでありますが、そういうことにならないように、全体も含めて、これからも公正な行政をされます大臣、そういうことで、大臣のこれからの御奮闘を期待して、最後に一言御感想をお聞きして、終わりたいと思います。
  185. 相原力

    ○相原説明員 運輸省の方から一言だけ御説明させていただきたいと思います。  先生の御指摘の中にございましたように、関西国際空港プロジェクトは世紀の大プロジェクトと言われておるわけでございますが、昭和六十一年以降、日米貿易摩擦の一つの最大の争点として、外国企業の参入問題で発注手続等についても関西国際空港株式会社にいろいろと要求があったわけでございますが、この日米貿易摩擦を持ち出すまでもなく、関西国際空港株式会社におきましては、当初より発注手続等については公明性、透明性を十分徹底するということで対処をしてきたところでございます。空港島護岸等の発注に当たりまして先生からいろいろお話がございましたが、これにつきましても、各建設会社の専門分野あるいは過去の経験、実績等を勘案して指名を行って、公明正大に行ってきたということでございますので、よろしく御理解いただきたいと思っております。  なお、工事の発注に関しまして特定の政治家から関空会社に対して圧力がかかったということは一切ないというふうに聞いております。  運輸省といたしましては、今後とも、関西空港プロジェクトの発注につきまして適正に行われるよう関空会社を指導してまいりたいと思っております。よろしく御理解いただきたいと思います。
  186. 谷川和穗

    谷川国務大臣 特定のこの件自体についての報告はまだ受けておりませんが、いずれにいたしましても、検察当局としては、刑罰法令に触れるような事例があればこれに対して適正に対処していく、私はそう考えております。
  187. 大矢卓史

    ○大矢委員 今の御答弁で終わらせていただくつもりでございましたけれども、運輸省側からそういう事実が全くなかったということを言われておるわけであります。私もそういうことを私なりに調査をいたしました。そういうことで、なかったとおっしゃるなら、私は、関空の責任者の方、また平島さんの名誉のためにも、参考人なり証人として、次の委員会のしかるべきときに両者の御出席を願うということを委員長に要望して、終わらせていただきます。
  188. 中村靖

  189. 野間友一

    野間委員 きょう最後の質問者であります。  まず、リクルートについてお聞きしたいと思います。リクルート事件というのは、御案内のとおり空前の規模の大疑獄、法務省の出された捜査報告によりましても、調べた数が延べ三千八百人、捜索箇所が八十カ所、押収物が九千点、すごいものであります。戦後たくさんの疑獄事件がありましたけれども、これだけ全国を震憾させた大疑獄はかってなかったと思いますが、その点の認識について大臣にお伺いしたいと思います。
  190. 谷川和穗

    谷川国務大臣 分量もさることでございますが、私は、今回の事件は別の面でもちょっと特異な事件であったと思います。参考人の数あるいは押収物件、そういったものにつきましては、ほかにもこれ以上の事件もあったかと思います。事実、ロッキード事件におきましても、分量におきましてはこれより少しく数は多いと報告はされております。しかしながら、今回の事件は性格上違った面もございましたし、それから、新聞の報道あるいは本国会におきましてなされました種々の議論によって起こりました政治不信というものは、非常に大きなものがあったというふうに判断をいたしております。
  191. 野間友一

    野間委員 法務大臣もあるいは刑事局長も、法に基づき、あるいは法と証拠に基づき厳正、公正に捜査をしたのだということを常に言っておられました。しかし、この捜査の結果報告が出た後も、いろいろな世論調査があります、これは東京新聞でありますが、「ほとんど解明されなかった」というのが四四・九、「全く解明されなかった」というのが一七・七%、朝日によりますと、「不満」が七九、「満足」が九%、こういうことなのです。私は、こういう中で一体検察庁何しておるのかというのがここに凝縮されておると思いますが、そういう点で、我が党は常に、捜査の終結を撤回して、続行しなさいということを主張してきたことは御案内のとおりであります。  時間がありませんから質問を進めますが、初動捜査がおくれたんじゃないか、特に強制捜査です。これは御承知のとおり六月の終わりごろからマスコミでずっと出てまいりました。もっとさかのぼりますと、これは去年の三月、例の川崎の問題、ここから神奈川県警あるいは検察庁がずっとやってきたわけです。新聞をずっと拾ってみましても、相当出ておるわけですね。この時期と申しますか、楢崎さんが九月六日告発されましたけれども、この以前にずっと出ておるわけです。だから、そのころにきちっと初動捜査、強制捜査を含めてやっておれば、証拠隠滅も含めてこれが回避されて、もっと証拠が保全できたんではないかというふうに私は思うのですけれども、初動捜査のおくれについてはどういうふうにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  192. 根來泰周

    根來政府委員 これはもう十分御承知の上で御質問になっておると思いますけれども刑事訴訟法はいろいろな手続がございます。それには、例えば強制捜査をするにしましても、国会でもいろいろ議論がございますけれども、いろいろの証拠が必要でございますし、その証拠に基づいて裁判所に令状を請求して、令状をとってそれを執行する、こういうことでございます。その前に被疑事実の特定も必要でございます。そういうあらゆる観点からいいまして、私は、いろいろ弁解もしたくはありませんけれども、初動捜査がおくれたという御批判は当たらないのではないか、こういうふうに思います。
  193. 野間友一

    野間委員 この発覚から、この事件の発覚は外に出た時期ですけれども、強制捜査まで約四カ月かかっておるわけですね、強制捜査は十月の十九日ですから。この間いろいろな報道にもありますけれども、リクルート社が証拠書類を破棄したりあるいは供述調書への署名拒否作戦を指示したとかさまざまな形で、検察庁証拠物の押収には大変困ったんではなかろうかと思うわけでありますが、端的にリクルート社による証拠隠滅工作、これがあったのかなかったのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  194. 根來泰周

    根來政府委員 証拠の隠滅工作という言葉で表現いたしますと、要するに刑事事件としての証拠になるかどうかという厳密な議論をしなくてはならないと思います。そういうことでなかなかそれはお答えしにくい問題でございますけれども、一般的に申しまして、今回の事件はなかなか参考人の協力も得られなかった、いろいろの障害もあったということは事実であろうと思います。
  195. 野間友一

    野間委員 真藤前NTTの会長あるいは長谷川元取締役、彼らに対する控訴事実を見ますと、いわゆるスパコンの調達についてこの謝礼並びに今後も同様の取り計らいを受けたい趣旨で供与されたものである、これが控訴事実、起訴事実の中にあるわけで、この点からしますと、スーパーコンピューターの調達そのものが一つの具体的な被疑事実の大きな要素を占めておるわけであります。そういう点からしますと、これはクレイリサーチ社から入れたわけですから、訪米してアメリカの方で、強制だけではなしに任意捜査これも含めて、検察官を派遣して証拠の収集ということをやるべきではなかったかと私たちは思うのですけれども新聞報道でもいろいろな情報がありましたけれども、結局やらなかったと思うのですね。この理由についてはどうなんですか。
  196. 根來泰周

    根來政府委員 控訴を提起しました真藤氏あるいは長谷川氏の関係につきまして、クレイ社のスーパーコンピューターの導入についての趣旨ということが記載されていることは事実でございます。この点については、国会でも御説明いたしましたけれども、国外に対して捜査の共助というようなことはしていないことは事実でございます。これはあくまでも検察庁の判断でございまして、そこまで必要なのか必要でないのかという判断でございまして、必要でないという判断のもとにそういうような処置になったものと考えております。
  197. 野間友一

    野間委員 私ども共産党もアメリカに派遣しまして、スパコン、それから回線リセールの電気機器、これはモデムとかTDM、こういうのですけれども、こういうのも全部会社に当たっていろいろな調査をしてきたわけですけれども、いろいろな疑惑が深まったわけです。私はやはりそういう調査をロッキードのように派遣をしてやるべきではなかったかというふうに思うわけであります。大変遺憾だと思います。  それからもう一つ、大阪の岩崎善四郎さんを初めいわゆる市民のオンブズマンの方々が、中曽根元総理に対して刑法百九十七条一項受託収賄罪でこれを処罰しろという告発状が出されております。これはたしかことしの四月五日だったと思いますが、これについてまだ返事がないわけですね。告訴というのは、これは立件されていろいろやっておられるわけですけれども、これについては法律規定で告訴について処分をしなければなりませんし、処分の中で通知をしなければならぬ、こういうふうになっております。いつの時期に、これはあしたで国会が終わるわけですけれども、結論をいつ出すのかということ。それから、その通知の中には事詳細に、これだけ大きな事件ですから皆さんが納得いくような理由を書くべきだと思いますけれども、いかがですか。
  198. 根來泰周

    根來政府委員 ただいまお尋ねの、大阪在住の方から告発が出されていることは事実でございます。告発状の内容は、仰せのように、中曽根元総理が、いわゆるスーパーコンピューターの問題あるいは政府税調委員の就任等について便宜を図った謝礼ということで、未公開株の譲渡を受けたという告発でございます。この問題につきましては最終報告に触れておりますように、犯罪と認めるに足る証拠がないというか犯罪がないというか、そういう結論を出しているわけでございますが、事件自身についてはいまだ帳簿上、書類上の処理はしておりません。した段階には当然告発人には通知する予定でございますが、通知の内容といたしましては従来からフォームが決まっておりまして、それ以上のことは通知申し上げるつもりはないと考えております。
  199. 野間友一

    野間委員 私はやはり具体的に、その処分の結果及びそれに至る経過、過程、理由を詳細に書いて告発人に通知されたいということを強く要望しておきたいと思います。  捜査結果についてお伺いしたいと思います。  政治家について、先ほども渡部委員からも話がありましたが、大山鳴動ネズミ二匹という状態でありまして、非常に私どもも不可解であります。政治家に対する特にコスモス株、未公開株の譲渡に関しての記載のところですけれども、五十九年十二月の部分ですね、これは国会議員三名の部分ですけれども、これについては犯罪の嫌疑はない、認められませんという記述があります。それから六十一年九月、これについては要するにコスモス社の未公開株そのものがわいろ罪の客体となるという判断をして、そして捜査をずっとやられたわけですけれども、この記述を見ましても、重さというかそれが違うわけですね。  五十九年十二月の分については、六十一年九月のところで記載されておる「捜査収集した証拠に基づいて検討を加えた結果、」というのが全く欠落しておる。これは恐らく、五十九年十二月の分については時間的にもかなり店頭登録まであるから、これはわいろ罪、財産上の利益になり得ないという判断で、これはそこでもうけっておられる。ところが六十一年九月の分については、これは判例もこれあり、一応わいろ罪の客体となり得るという点で、あとは贈収賄罪の有無についての構成要件該当の有無ですね、これを詳細に検討したということで、かなりウエートが違うと思いますね。ですから、六十一年九月の分については、藤波、池田議員を除く十一名の国会議員に係る十万株とありますね。これについてかなり具体的に踏み込んで構成要件該当の有無について捜査した。その結果が「贈収賄罪の対象となるものは認められませんでした。」これが結果、結論ですけれども、最後のこの表現も、最初は、これは財産上の利益にならないから嫌疑は認められません。後の六十一年九月の分については表現が違いまして、贈収賄罪の対象となるものは認められなかった。これは嫌疑不十分も含めてこういう表現になっておると思いますけれども、いかがでしょうか。
  200. 根來泰周

    根來政府委員 大筋は仰せのとおりだと思います。昭和五十九年十二月の場合でございますが、これは未公開株の譲渡を受けた方が三人おられます。譲渡を受けた国会議員に係る者が三議員あります。だけれども、これの未公開株というのは、公開の一年十カ月前でございますので、それは贈収賄罪における財産上の利益というのには少しほど遠かろうという考え方であります。  それから、六十一年九月の分につきましては、最高裁の殖産住宅の判例に徴しまして、やはり財産上の利益ということになり得るという観点からいろいろ検討したものと考えております。
  201. 野間友一

    野間委員 いずれもこれは犯罪捜査をした結果がここに記述されていることは間違いないのですけれども、今冒頭にも言われたように、やはりウエートが違うわけですね。  そこで、ちょっと具体的に聞きますが、「捜査収集した証拠」という記述がありますが、この「捜査収集した証拠」にはもちろん物的証拠、人的証拠両方含まれるわけでしょう。
  202. 根來泰周

    根來政府委員 これは当然のことでございます。
  203. 野間友一

    野間委員 その中には、国会議員に係る十一名云々がありますが、この当事者についても、当然これは被疑者ですから、犯罪の嫌疑がある人たちですから、十分調べた上での結果でしょうか。
  204. 根來泰周

    根來政府委員 必要な限度におきまして関係人は十分調べたと思います。ただ、具体的に国会議員を何人調べたかというお話になると、これについては従来から答弁は差し控えさせていただいております。
  205. 野間友一

    野間委員 そうしますと、国会議員を何人調べたかということについては答弁を差し控えるということは、調べたけれども、具体的にはだれをいつ調べたかということは言えないということを意味するわけですね、今の答弁からそうなるわけですけれども。  そこで、犯罪の嫌疑があるから、今申し上げたように、実態的な具体的な証拠に基づいて事実認定の判断を踏み込んでされたわけでありますけれども、これは職務権限とかあるいは請託の有無とかあるいはわいろの認識があったかどうかというようなこと等々がそれだと思います。今申し上げたように、表現が「贈収賄罪の対象となるものは認められませんでした。」と、「嫌疑は認められませんでした。」とは違うわけですね。だから、この六十一年九月の分については嫌疑不十分というのも当然あるとこの文脈から私は判断しているのですけれども、間違いありませんか。
  206. 根來泰周

    根來政府委員 さきに戻りますけれども国会議員を調べたか調べないかということを含めて申し上げられないということを従来から申し上げております。  それから、その十一人について嫌疑不十分か嫌疑なしか、罪とならずかというような内部的な区分けがございますけれども、そういうことについては一切お答えいたしかねます。
  207. 野間友一

    野間委員 答えられないということは、あえて否定しないということなんです。嫌疑なしというのは確かに不起訴の理由の立派なものであって犯罪にならないわけです。ところが嫌疑不十分というのは、いろいろな証拠上限りなくクロに近いけれどもクロという段階までなかなかそれらの証拠が固まらなかったいうことですから、これを称して世上我々は灰色高官、こういうふうに称しておるわけであります。  それからもう一つ、この職務権限の問題で、抽象的には職務権限があるけれども対価関係はなかったというのもあるんだ、こういうのも一つありますね。しかしこれは、受託収賄罪ならともかくとしても、単純収賄なら、職務権限があってそしてわいろ罪の客体となる株の受け渡しがあれば単純収賄罪が成立するのに、その点についてはどうしたのかということを私は疑問に思うのですが、いかがですか。
  208. 根來泰周

    根來政府委員 これは従来から申し上げておることでございますが、職務権限が極めて狭い者については単純収賄罪というのは簡単に認定できる場合がございます。国会議員については職務権限あるいは生活関連といいますかそういうのが極めて広いわけでございまして、そうは簡単に単純収賄という言葉で表現はできないわけでございます。  いずれにせよ、単純収賄にしろ請託収賄にしろ、「職務二関シ」ということが必要でございます。ですから、その報告書にありますように、端的に法文に則して申しますと、「職務二関シ」というところが認められなかった、こういうことに帰着するものと考えております。
  209. 野間友一

    野間委員 職務に関してという点、それは確かに刑法上の構成要件ではそことのかかわりだと思いますけれども、この表現にもありますように、職務権限内の事項であると認められたものの対価関係は認められないということですから、今の答弁では大変表現が不足だと言わざるを得ないと思うのですね。  それから、事業遂行上の懸案事項について幾つか例示されております。「等」があります。私はこの「等」の中には税調特別委員あるいは土地臨調検討委員、それから大学審議委員、教育課程審議委員、この選任も当然含まれておると思いますが、これはいかがかということと。それから、スーパーコンピューターの導入とあわせて回線リセール業務、これも業務遂行上の懸案事項であったと思いますけれども、これも含まれておると思いますが、いかがですか。
  210. 根來泰周

    根來政府委員 その報告書の中に「等」という表現で記載しているのは、その他たくさんございます。しかしリクルートとして重要な懸案事項といいますか、そういうことを例示したものでございます。したがいまして、例えば回線リセール業の問題とかそういうこともあるいは含まれるかもわかりません。あるいは大学審議会というのも含まれる可能性もあると思います。要するに、すべてそういうふうなリクルートの抱えておる懸案事項といいますかそういう事項、それと国会議員の職務といいますかそういうものとを照らし合わせて検討した、こういうことでございます。
  211. 野間友一

    野間委員 時間の関係で次に進みます。  この十一名、十万株ですが、五十九年の十二月にコスモス株を譲り受けて、そして六十一年の九月にこれをさらに還流によって譲り受けた国会議員もおりますけれども、これはこの十一名の中に入っているのですか、どうですか。
  212. 根來泰周

    根來政府委員 その内容については従来からお答えいたしておりませんが、何とお答えしていいかよくわかりませんが、入っていない可能性もあるのではないかと考えております。
  213. 野間友一

    野間委員 「六十一年九月に行われたコスモス社の未公開株式の譲渡につきましては」云々、こういう書き出しがら始まっておりますから私はあえてお伺いしたのですけれども、そうすると、五十九年十二月に受領した人から六十一年九月にさらに還流によって受け取ったというのは入ってないという、非常に消極的なあれが今ございましたね。それはそのようにお聞きしておきたいと思いますが、これは森喜朗氏から安倍晋太郎氏に対する一万五千株しかありませんから、それなんですけれどもね。  そこで関連して、去年の十一月十五日にリ特委の委員長に対して、リクルート、それからリクルートコスモス両社の代表取締役から、いわゆる政治家あるいはそれに関係する者に対する株の譲渡、これについての要請に対する回答がありますね。リストー、リスト2というのがありますけれども、これは送った方が自認したものですね。この信憑性については法務省も認められておると思いますが、いかがですか。
  214. 根來泰周

    根來政府委員 株式会社リクルートあるいは株式会社リクルートコスモス名義で国会に出された分につきましては、その内容について肯定も否定もしないというのが私ども立場でございます。これはいろいろ新聞でも報道されているように、間違っているという報道もあるわけでございまして、私どもは公的にそれを肯定するあるいは否定するというところには至らないわけでございます。  また、先ほどちょっとお触れになりました具体的なお名前を出された件については、私どもとしては肯定するわけではございませんので、その辺了承願います。
  215. 野間友一

    野間委員 まあ、とにかく憶病という言葉を午前中にもだれかが言っていましたけれども、公知の事実ですからね。こんなことは言ったって一向に差し支えないわけですよ。肯定もしない、否定もしないとよく根來さん言われますけれども、これはこれしかありませんからね。あなたはわかっておるし、僕もわかっておるわけです。大臣、笑っていますけれどもそうなんです。  それから、この十一名の中で、今までの答弁を見ますと、国会で認めたとして中曽根氏、竹下、宮澤、それから塚本三郎、この各氏については十一名の中に入るということは今まで認めておられるわけですね。加藤六月氏あるいは安倍晋太郎氏、これはいかがですか。といいますのは、この捜査報告の中に出ているわけですが、例えば清水二三夫氏というのは安倍晋太郎氏の秘書であるとか、あるいは片山紀久郎という人は加藤六月氏の秘書であるとか出ておるわけです。リクルートがつくりました回答書の中、リストの中に今それぞれ名前を挙げた方々が、還流株ですが、これを受け取ったということを会社は認めておるわけですから、これについては十一名の中に入っておることはお認めにならざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
  216. 根來泰周

    根來政府委員 私どもは、十一名の中に入っているというのは四万のみでございまして、そのほかについては何とも申し上げかねます。
  217. 野間友一

    野間委員 そうすると、別の質問をしますが、先ほど名前を挙げたように清水二三夫氏が安倍晋太郎氏の秘書である、片山紀久郎氏が加藤六月氏の秘書である、これはお認めになるでしょう、書いてありますから。
  218. 根來泰周

    根來政府委員 その報告書に書いてあります内容については、それは肯定することでございます。それはそのとおりでございます。
  219. 野間友一

    野間委員 その二人が受け取ったという記載がこの回答書のリストの中にあるわけです。これは江副氏も、国会の中で証人として喚問されたときにも、会社がつくってそのとおり出したものだということを認めておるのですから。そうしますとこれは、この十一名の中に入るということに論理的にならざるを得ないと思うのですが、これは否定しますか。
  220. 根來泰周

    根來政府委員 先ほどから再々お尋ねになりましたれども、私ども立場としては、お名前を出すことは差し控えておるわけでございます。これはもう十分おわかりのことでありますし、おわかりになることについて私どもがお答えするということもまたおかしな話でございますけれども、私どもは、国会での御議論、いろいろなことについてなるべく、なるべくといいますかできる限り口を挟まない。私どもがこういうふうに名前を挙げると、その方がすなわち灰色高官の示唆というようなことに相なるわけでございます。私たち行政機関といたしましては、行政機関の節度を守りまして、国会議員について、あなたは灰色であるとかあなたは灰色でないとかいう議論について入ったくないから申し上げたくないわけでございまして、それは私どもそういう立場で申し上げていることを十分御理解賜りたいと思うわけでございます。
  221. 野間友一

    野間委員 お認めになった以外の者で、本人名義は加藤紘一、渡辺秀央、それから田中慶秋氏ですよね。それから渡辺美智雄氏が渡辺喜美という息子さん、これは秘書で、その名義。それから上田卓三氏が吉田勝次という元秘書の名義。これと先ほど挙げた加藤六月氏、安倍晋太郎氏を足しますと、ちょうど十一名になるわけですね。これは否定しないでしょう。
  222. 根來泰周

    根來政府委員 再三にわたる御追及でございますが、これは何とも申し上げかねます。
  223. 野間友一

    野間委員 いや、否定しないでしょうという質問です。
  224. 根來泰周

    根來政府委員 大変恐縮でございますけれども、そういうお考えならそれはそれで理由のあることと思っております。
  225. 野間友一

    野間委員 安倍晋太郎氏の一万五千株を除きますと、ちょうど十万株になるわけですよ。だから、人も株数も皆ぴたりと合うわけですね。それは局長も暗に今お認めになったので、進めていきたいと思います。  それからボランティア資金の問題ですが、「訴追するに足るものは認められませんでした。」とありますね。これは要するに、いろいろ表現は違いますけれども、「訴追するに足るものは認められませんでした。」という趣旨は、いろいろな容疑はあるけれども、訴追の中には嫌疑なしとか起訴猶予とかいろいろなものがありますが、そういうことを含めて言っておられるのかどうか、そのあたりが表現上よくわかりませんので……。  それからもう一つは、ついでに聞きますと、これは「同違反」ですから政治資金規正法違反としての評価、記述になっておりますが、NTTが贈賄側としてのいろいろな情報があるわけでしょう。その点からすると、NTTが贈賄側としてのこういう捜査については依然としてまだ残っているというふうに私はとるのですが、いかがですか。
  226. 根來泰周

    根來政府委員 今のボランティア資金でございますけれども、これは管理職の者が金を拠出いたしまして、いろいろつき合いに使ったということでございます。そういうことでいろいろ調べましたけれども、これは犯罪になるものが認められなかったという趣旨で、訴追に至るものがなかったという表現を使っているものと考えております。  なお、NTTからほかに贈賄があったのではないかということでございますけれども、これはこの報告書にありますようにリクルート事件を主体にして記載したものでありますから、そこははっきり書いておりませんけれども、要するにNTTについてもそういうボランティア資金ということについて調べているわけでございますから、それについては贈収賄というような嫌疑はなかった、こういうふうにお読み取りいただいて結構でございます。
  227. 野間友一

    野間委員 それは異議があるし、この報告書からそれは全然読み取れません。ただ、時間がありませんのでやむを得ません、あとは最高裁判所についてお聞きしたいと思います。  一つは、地家裁の乙号支部の廃止の問題についてでありますが、六月十四日にあなたのところに私ども共産党から参りまして、臨調行革の裁判所版だ、これは許せない、あくまで経済効率とかそういう裁判所側から見た廃止の方針であって、裁判を受ける側の観点が欠落しておるということで申し入れをしたわけです。相関表なども最高裁からもらっておりますけれども、これを見ても、事件数がどうであるとかあるいは裁判所までの所要時間がどうであるとか、こういうものが書かれておりまして、結局これも裁判の効率化というような観点からの記述にしかすぎないと思います。  そこで、その方針について、最高裁判所の「骨子」を私もらっております。この中にあります自治体との関係ですが、これは「意見も聴きながら、」云々という表現があります。それから、単に自治体だけではなしに単位弁護士会、あるいは裁判所職員は全司法という組合がありますね、それから調停協会、執行官、司法書士会と、いろいろな関係者の団体があるわけですね、当然地方自治体も含めてですが、こういうところも含めて全国から、五十八庁、同意なしにこういうものは廃止すべきじゃないという反対の意見が上がっております。この点についてが一つ。  それから、その中でもう一つ、「併置簡裁の取扱い」というのがありますね。将来どうするのか検討するというのが「骨子」の中に書かれておりますが、去年の十月十七日の法曹三者協議会の中ではこれを廃止するということを最高裁がぶち上げた、ところが反対があって、十二月十九日にはこれを撤回したという経緯があります。これについての事実の確認と同時に、こういう経過から見ますと、とにかく将来どうするのかについては検討するといいますけれども、本音は、乙号支部を廃止したところは独立簡裁にそのときはなりますが、これも廃止するということじゃないかという危惧が非常に強いわけでありますから、その点についての答弁を求めたいと思います。  同時に、時間がありませんからもう一つ、和歌山では御坊の地家裁、妙寺の地家裁、これは反対陳情が随分とふえておりましたね。これも事件数がどうである、所要時間がどうである。これは裁判所が考えておられますのは机上の計算であって、家を出て着くまでどれだけかかるのか、相当乖離があるわけですね。これは陳情書等でよく御存じのとおりであります。事件数についても、例えば妙寺の地裁の場合には刑事事件をやってないわけですね、昭和四十九年ですか、だからその後はゼロになっておるわけです。それはカウントされない。その以前の数を加えますと、相関表のボーダーラインをはるかにクリアするわけですから、その点も十分見ていかなければならぬ。  幾つか質問しましたけれども、私は、廃止をすべきじゃないという立場から最高裁判所の見解を聞きたいと思います。
  228. 金谷利廣

    ○金谷最高裁判所長官代理者 まず、最高裁の方から提示いたしました相関表が事件数と隣接庁への所要時間ということで基準をとっているという点につきまして御批判があったわけでございますが、これは必ずしも裁判所本位の観点からこれを選んだというわけではございませんで、むしろ、そこの支部を廃止した場合にどの程度の数の住民に御不便をおかけするか、隣接庁まで所要時間を見ましたのはその程度はどういうものか、要するにどの程度住民に御不便をかけるかというものを見る尺度として、この相関表を提示させていただいたわけでございます。それが一点でございます。  それから、自治体あるいは調停協会その他の関係機関に対して今後どういうふうに対応していくのかという点でございますが、これは五十八の廃止を検討する支部の名前を出しました昨年十二月以来一月にわたりまして、それぞれの地方裁判所、家庭裁判所の所長から、当該支部の管内の各自治体、あるいは御指摘のような各関係機関に対して御説明に上がりました。その時点ではまだ説得とかいうことではなしに、こういうことになってこういう問題提起をしましたという状況の説明をさせていただきました。  その後、今日までの間に、相当多数の関係自治体の方から、地方裁判所、家庭裁判所の方に陳情があったり、あるいは私ども最高裁の方にも直接陳情がございました。そういう中でいろいろ御意見を聞かせていただき、また当該支部管内の固有の特別な事情をいろいろ御指摘いただいて、私どもも事前には十分調査はしておりましたが、さらにまたそういう機会に管内の事情をよく把握させていただくという機会を得たわけでございます。  今後につきましても、また節目には地裁・家裁の所長に関係機関の方に回っていただきまして十分意見を拝聴し、当該支部につきまして考えなければならない個別事情というものを十分把握させていただきたいと思います。  ただ、お言葉を返すようではございますが、今回のような作業の性質上、私ども作業全体についてはある程度御理解をいただきましても、自分の町の裁判所の支部がなくなるということにつきましてそこの自治体から賛成だということを得ることは大変困難でございますので、合意を条件に支部の適正配置をやるというお約束はできませんが、自治体を含めまして関係機関の御意見を十分拝聴し、そしてその管内の事情をよく把握させていただきまして、慎重かつ公平に作業を進めてまいりたい、こう考えております。  それから第二点の併置簡裁の取り扱いでございます。  私ども、昨年六月に支部の適正配置につきまして三者協議会に問題提起をいたしました時点では、その前に簡易裁判所の適正配置に関します法制審議会の答申がございます。それの基準に適合するところについては支部をなくしますと、おっしゃいますとおり独立簡裁になりますので、それが法制審議会の答申の基準に当てはまる場合にはやはり検討しないと法制審議会の答申の趣旨を尊重しないことになるのではないかといったことで、検討もあり得るということを申し上げました。そして十月には御指摘のような発言もいたしました。そういたしましたところ、日本弁護士連合会等から反対の御意見がございました。私どもも慎重に検討いたしまして、今回、支部にあわせて簡易裁判所もなくなるということになりますと一住民感情としてもそれは困るとおっしゃる点もわかる、それから簡易裁判所について多数の統合をさせていただいてから日も余りだっていないというような点を考慮いたしまして、支部の適正配置とともに併置簡裁の適正配置をすることは断念するということにしたわけでございます。  その点につきまして、今回は断念するけれどもすぐまた続けて簡裁の見直しをやるのではないかという御質問ではございますが、ただいま申し上げました経過等から御推察いただきますとおり、私どもとしては、昭和五十九年から始まりました裁判所の適正配置の作業は今回の支部の配置の見直しで一区切りとさせていただきたい、こう考えております。続けて残った併置簡裁をどうするかについて、現在では頭の中に具体的なスケジュール等は全くございません。むしろ、残った簡易裁判所を、国民に親しまれ、より利用しやすいものにするためにどう充実していくかというところに力を注いでまいりたいと思います。  第三点の御坊、妙寺の点は、これからもよく事情を見させていただきまして慎重に検討させていただきます。
  229. 野間友一

    野間委員 時間がありません。  最後に、今念のため誤解があってはいけませんので言いますけれども、併置簡裁そのものを廃止を認めて独立簡裁にしてそれをまた廃止するとか、そういうような前提で物を言っているのではなくて、この骨子の中に書かれておる併置簡裁、これについて将来は検討する、こうあるから、これは今までの経緯からしたら、地家裁廃止をして、それで経緯があるから今は将来云々と言っておるけれども、結局廃止するのじゃないかという観点からの質問ですから、廃止を認めた上で簡裁をどうするとかそういう質問ではありませんから、念のため、誤解のないように。  それから関係機関ですけれども、先ほど具体的に挙げました単位弁護士会、裁判所職員、調停協会、それから執行官、司法書士会、私はこういうものを関係機関として具体的に指摘をしたのですけれども、あなたはそれらの意見を十分尊重してと言われましたけれども、その中には今指摘したこれは皆入っているわけですね。
  230. 金谷利廣

    ○金谷最高裁判所長官代理者 最初の併置簡裁の関係につきましては、将来云々というようなこと、御指摘のようなことを前に申し上げましたのは、もとより社会情勢がどのように変わるかということとも関係がございまして、そういう点につきまして、将来のことを今から絶対やるとかやらないとかいうようなことを私ども申し上げる立場にはないので、そういう言い方になったということでございます。  それから関係機関の点につきましては、昨年十二月から一月にかけて御説明に上がりました際も、司法書士会もその他、御指摘のところを含めまして御説明させていただいております。今後もそういう方面の御意見をよく聞かせていただきたいと思っております。
  231. 野間友一

    野間委員 終わります。      ————◇—————
  232. 中村靖

    中村委員長 この際、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、決算の適正を期するため  一、昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算  二、昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算  三、昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書  四、昭和六十一年度政府関係機関決算書  五、昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書  六、昭和六十一年度国有財産無償貸付状況計算書昭和六十二年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和六十二年度国有財産無償貸付状況計算書昭和六十二年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)昭和六十二年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書昭和六十二年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)以上三件の承諾を求めるの件  七、昭和六十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)    昭和六十三年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その一)    昭和六十三年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管    経費増額調書(その一)    以上三件の承諾を求めるの件  八、歳入歳出の実況に関する件  九、国有財産の増減及び現況に関する件  一〇、政府関係機関の経理に関する件  一一、国が資本金を出資している法人の会計に関する件  一二、国又は公社が直接又は間接に補助金、奨励金、助成金等を交付し又は貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計に関する件 以上各件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 中村靖

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中審査案件が付託になり、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行うこととし、派遣委員、派遣期間、派遣地等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  234. 中村靖

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十八分散会