○
丹羽政府委員 まず
JR負担の
考え方でございますが、昨年の夏に私どもが
運輸省案を発表いたしましたときの
JR負担は、路線別に計算いたしまして二〇%、二〇%、五%という形を
考えたわけでございます。
その場合の
前提は、私どももせっかく一生懸命国鉄政革をやったわけでございますから、国鉄改革後の新生
JRに対してその経営に悪影響を与えない、つまり「第二の国鉄」をつくることは絶対に避ける、そういう物の
考え方を
基本といたしまして、この
整備新幹線ができまして開業後に、長い、三十年ぐらいの期間で
JR側が受益するその受益部分をまずは
JR負担ということで
考えたわけでございます。したがいまして、それは
整備新幹線をつくることによって
JRが受益する部分でございますから、現在の
JRに悪影響を与えないという形になるわけでございます力それで、その結果は先ほど申し上げました二〇、二〇、五という形になったわけでございます。
今回御提出申し上げております
法律の中の
JR負担の
考え方は五〇%ということでございますが、その五〇%は二つの部分から成り立っておりまして、
一つは、先ほどと同じように開業後の
JRが受益する部分につきましてその貸付料とし
て、鉄建公団が
建設主体でございますが、鉄建公団に払うという部分でございまして、この
考え方自身は夏のその計算をしたときの
考え方と全く同じでございます。したがいまして、
JRの経営に悪影響を与えないという線の中で受益する部分だけを貸付料として出してもらう。
ただ、その
前提として今回
考えましたのは、
新幹線保有機構が保有して本州の
JR三社に貸しております営業中の
新幹線四線につきましてのリース料の配分の仕方につきまして、従前のやり方ですと、そのリース料の中に
輸送量の増減に応じてリース料が増減するという連動
関係がありましたので、
整備新幹線をつくりますと、それによって既設の
新幹線の
輸送量がふえた場合にリース料も上がる、こういう
関係がございますものですから、
整備新幹線ができた結果
JRが受益する部分というのがリース料の増高で相殺される部分ができて、結果的には先ほどの二〇%程度の
負担しかできない、こういうことになっていたわけでございます。
今回はそこの部分を、各
JR会社のリース料の配分の仕方につきまして、配分率を固定するという
前提で
考えますと、先ほど申し上げましたような他社に流れていく部分というのがとまるわけでございますので、
JR負担分が夏に計算したシェアよりももっとパーセントが上がるという
関係が
一つ出てきたわけでございます。
もう
一つは、
新幹線保有機構
自身の中で計算しております長期債務の利子
負担、その利子率の、最近の低金利傾向から出てきます。その余剰を、これは今の
新幹線保有機構法でありますと、その部分は
JRのリース料の方にはね返って安くなるという形になる部分を、従前どおりのリース料で
考えた場合に余剰が出るわけでございますから、そこを
JR負担分として回す、こういうことを
考えますと、結局夏に
考えました
JR負担の
考え方と
基本的には全く同じでございまして、それに新たな
負担を課さない形での保有機構からの交付金が入る、こういう形で五〇%というのが出てきたわけでございます。したがいまして、「第二の国鉄」をつくらないとか
JRの経営に悪影響を及ぼさないという部分については
基本的に全く同じことになるわけでございます。
それからもう
一つ、今後の問題といたしまして、
建設費の増高のおそれがあるではないかと御
指摘がございました。確かに、上越
新幹線、東北
新幹線の
建設費につましては、当初予定していた
金額よりも上がったということはございます。
これは、
建設の最盛期が両
新幹線につきましてはおおむね昭和四十六年から昭和五十七年でございまして、この間に二度にわたるオイル・ショックによる異常なインフレ
状況の中で
建設を行ってきたという事情がございます。それから、今の異常なインフレの物騰分を除いた場合でも、当初計画の三割から五割くらい増加しているということはございますけれども、これは当時東北・上越
新幹線の
建設計画が、沿線住民ばかりでなく沿線
地方公共団体の
方々とのすり合わせが十分に行われていなかったものですから、地元とのいろいろな協議が難航した。それから、
調査期間が短期間だったために、トンネルの地質などの技術上の
調査が不足していたとかということによる工事計画の変更がございまして、それによって
建設費がふえたこと、営業主体である国鉄の営業部門との協議が十分なされていなかったという事情がございまして工事着手後の変更が多かったこと、そういったような事情がございました。
今回の
整備新幹線の
建設費の算定に当たりましては、この
整備新幹線は先ほど来この
委員会で御議論いただいておりますように相当の長期間にわたっていろいろと、
基本計画から始まって
整備計画、ずっとやってきたわけでございます。それで、その間にいろいろな
調査が行われた結果、
建設費の内容につきましても、
地方公共団体は環境アセスメントその他で十分計画は周知しておりますし、営業主体として当初
考えていた国鉄、その後の
JRとは十分協議を重ねることができましたので、今の推計しました工事費が今後増高する要素というのは余り大きくない、かように
考えておりますので、この辺の御心配につきましても大丈夫なのではないかと
考えております。