○福間知之君 私は、日本
社会党・護憲共同を代表して、ただいま
趣旨説明が行われた
税制六
法案に対して、
総理並びに関係大臣に質問を行うものであります。
消費税という名の大型間接税の導入を柱とするこの
税制六
法案は、
衆議院において強行
採決を重ね、かつて前例を見ない変則かつ異常な形で
修正議決され本院に送付されてまいりました。
本案件は、
衆議院の
税制問題等に関する調査特別
委員会において、
法案そのものの総括質疑は三日間行われただけであり、今月十日、自民党単独で強行
採決されたのであります。
総理や大蔵大臣は、これほど時間をかけて
審議した
法案はない、議論はほとんど出尽くしたなどと白々しくも公言していますが、徹頭徹尾、事実に反する言動であり、多数による強行
採決を正当化しようとする極めて理不尽な言い分であると言わざるを得ません。
政府・与党首脳は
審議時間は十分だったと言われるが、
税制改革論議の大前提であるところの不公平
税制是正の問題、
税制改革に対する基本的な考え方についての論議の段階であったのであり、それとてまだまだ議論が尽くされてはおらず、結論も出ていない
状況でありました。不公平
税制の是正はもちろんのこと、将来の高齢化
社会の展望についても
福祉充実に逆行する年金支給年齢の六十五歳への引き上げが示されたにすぎないのであります。
また、今回も、昨年の
税制改革法案と同様に、新税によって
国民に広く
負担を求めようとする
税制法案であるにもかかわらず、重要な部分が政省令に任されているため、我が党は
政府が
法案成立以前に既に準備しているであろうと思われる政省令案の全文を要求したのでありますが、到底政省令の案文とは言えないものが
委員会に提出されたのが今月八日でありました。
ですから、
衆議院の
委員会では、
税制六
法案の細目と照らし合わせて
消費税法案などが議論されたことは全くないのであります。この一事をもってしても、十分な議論がなされたなどとは到底言えるものではありません。
税制法案の全体を論議するための前提条件さえ全く整っていない
状況だったのであります。
にもかかわらず、自民党が
衆議院において強行
採決を繰り返したのは、
税制を仕上げることで政権の延命を図ろうとする竹下
内閣の妄執にほかならないと断言できるのであります。このような税
制
改革は決して
国民に信頼を得られないことを肝に銘ずべきであります。
したがって、我が党が
委員会強行
採決を白紙撤回し、
法案を
委員会に差し戻すよう主張したのは全く正当なことでありました。その後
衆議院では、リクルート問題調査特別
委員会の設置、リクルートコスモスの未公開株
譲渡リストの公開、江副氏、加藤氏、高石氏三名の
証人喚問の約束と若干の
法案修正によって自民党単独は免れたとはいえ、極めて変則的で異常な
衆議院通過であったことに変わりはありません。
このことは、シャウプ勧告以来四十年ぶりの歴史的とも言われる
税制論議と、すぐれて
国民の理解と合意を必要とする
税制審議というものを破壊する暴挙と言わざるを得ません。
衆議院を通過した際の竹下
総理や
宮澤大蔵大臣、そして自民党首脳の笑顔に憤りを覚えたのは私ひとり、我が党だけではないのであります。
衆議院通過をもって
総理はほとんど
税制法案は山を越したかのような感想を漏らし、今国会での成立に余裕を持ち始めてさえおられるようでありますが、
総理には大多数の
国民の怒りの声が聞こえないのでありますか。いまだなお
国民の三分の二以上は
消費税に反対しており、
衆議院でのごり押しに
賛成している人は極めてわずかにしかすぎないのであります。
総理のもとには、政権の構造汚職であるリクルート疑惑に浸ったままで正当な議論を封殺する数の政治への批判が必ずや寄せられているはずであります。
我が党は、公約違反である
消費税の撤回か、さもなければ
衆議院解散総選挙で
国民に信を問うべきであると主張してきました。だが、残念ながら、本日こうして本院での
税制改革の議論が開始されたわけでありますが、私はこの場でもう一度問いただします。
総理、あなたは国会のみならず
国民に対する背信行為を続け、憲政史上に一大汚点を残して、あくまでも
税制法案の成立を強行しようとするのでありますか。それとも、潔く
法案を撤回し、歴史にさん然と名を残す考えは毛頭持ち合わせてはいないのでありますか。延長国会の会期はあと三日、今月二十四日で、本院において十分な論議などできようはずがないではありませんか。
衆議院と同じように強行突破を図ろうとしても、今国会中に
法案を成立させることは不可能であります。よって、
総理、潔くあきらめるべきではありませんか。
そもそも今回の
税制改革法案は、議論の初めから異常なものでありました。
それは、
消費税という名の大型間接税の導入が、昨年
国民の総反対によって廃案となった売上税を
中心とした中曽根前
内閣の
税制改革とほとんど変わるところがなかったからであります。減税や間接税に技術的な
修正を多少施したからといって、その基本的性格は、中曽根
内閣当時の選挙公約、さらには大平
内閣当時の国会決議に反することは明らかであります。
総理は、
内閣がかわったとか、国会決議は財政再建を目的にした一般
消費税についての否定だとか、売上税の廃案で公約は洗礼を受けたとか、間接税論議の機は熟したなどと述べ、
政府・自民党の
国民に対する約束をほごにする考えのようでありますが、大型間接税は導入しないとした選挙公約、国会決議などは全くクリアされてはおらないのであります。それどころか、リクルート疑惑という巨悪、根深い腐敗構造を考え合わせて、
国民は
内閣総辞職、
衆議院の解散総選挙を求めているのであります。
総理、あなたは、公約違反の
消費税の導入を柱とする
税制改革の実現のためには、少なくとも与野党の合意が必要不可欠であり、その合意すら成立しないとすれば、選挙で民意に問うという民主政治の基本を心得ておられるのでしょうか。我が党は、民主政治の常道としても、また国の根幹をなす税法というものの重みからいっても、本
法案の強行成立を許すことはできないのであります。
今回の
衆議院における強行
採決の繰り返しは、またリクルート隠しでもあります。
衆議院本
会議での
税制法案の
採決に至る過程で、リクルート問題調査特別
委員会の設置、
株式譲渡先リストの公表、江副、加藤、高石三氏の
証人喚問が決定されておりますが、これは
税制法案の
衆議院通過の
取引材料とされた感があり、
政府・自民党が疑惑解明に本気で取り組む姿勢のあらわれであるとは到底考えられないのであります。一事不再議にすらもとる新たな特別
委員会の設置は、リクルートの解明ではなく、
税制法案審議との切り離しに本当のねらいがあったのではないですか。
税制改革案がリクルートに汚染された税調、
政府・与党の関係メンバーによってつくり上げられたことを思うとき、私は、
法案審議とリクルート解明はまさに不離一体のものであるばかりか、これに深くかかわった
総理、大蔵大臣には
税制改革を提案する資格なしと断ぜざるを得ないのであります。
今回
衆議院で公表された疑惑リストは、我が党の調査を初め既に白日にさらされた政官界関係者に限られており、目新しいものではありませんでした。法務大臣は御丁寧にもこれ以上のものは出ないとコメントされたが、果たして弁護士、会社役員、文化人、学者などとして名を伏せられた者の中に、政治家とかかわりのある者、
政府審議会などで職務権限上問題となる者、当時は会社役員でもその後政官界関係者になった者などがいないと断言できるのですか。
法務大臣の発言は、その職責上重大で、責任問題にもかかわるものであり、ここで大臣の真意を問うものであります。
我々は、このリストの信憑性を疑い、また、このリストですべてが尽くされているとは到底思えないのであります。現に、リスト公表後、田中角榮元首相の当時の秘書が未公開株二万株の
譲渡を受けていた事実が明らかになり、その他にも名前が挙がっており、リストの信憑性は既に崩れ去っているではありませんか。
ただいま
衆議院のリクルート特別
委員会における江副氏の
証言で、警察関係にも
譲渡を受けた者がいることが判明いたしました。リストの信憑性は既に崩れ去っているではありませんか。速やかにリストの伏せ字の部分を起こすことはもちろん、ルートの違う他の事実も調査し、公表することを要求するものであります。
また、
証人喚問が決定されたのはよろしいが、
法案が
衆議院を通過したことによって
証人喚問が形式だけのものに終わってしまうのではないかと危惧する声も出ています。何にも増して、
総理自身のリクルート疑惑解明に対する態度が問われて
いるのであります。法的責任はおくとしても、リクルート疑惑に関しては、
総理や大蔵大臣などが、当事者でありながら、自分は知らなかったと言うだけで、政治的道義的責任を
国民の前に何も明らかにしないのは極めて遺憾であります。みずからの責任をあいまいにしたままで、公正を重んずべき
税制、しかも
消費税によって大衆
課税しようというのは余りにもずうずうしいと言わねばなりません。これでは
国民はますます政治に対する不信、
税制に対する不信を募らせるでありましょう。潔く身を清めてから
税制改革を持ち出すのが筋ではありませんか。
総理、大蔵大臣、そして現、元閣僚あるいは党幹部の皆さん、あなた方はリクルート疑惑の解明に本気で取り組む気構えがあるのですか。今、世間ではリクルートのことを利に狂う人という当て字で呼ぶ向きもございます。言い得て妙じゃございませんか。政治的道義的責任を潔くとられる考えは、
総理、大蔵大臣、ないのでございますか、はっきりとお答え願います。
次に、
税制改革論議の前提となる基本的な認識について質問します。
ただいまの
法案の
趣旨説明を伺いましても、
衆議院での議論を聞いておりましても、そもそもなぜ今
税制改革なのか、全く疑念が晴れないのであります。私は、いまだに多くの
国民が私と同じような疑問を持っていると信ずるのであります。
政府は、産業構造、就業構造の変化、
所得の平準化、
消費の多様化・高度化、
経済取引の国際化等の
経済社会の変動に
現行税制は対応できていないため税に対する
国民の
不公平感が拡大している、それを解消するために
税制改革が必要であると説明しているようであります。そのためには
所得税、
法人税を
中心とした直接税に偏重した
税制を改め、
所得、
消費、
資産課税等で
均衡のとれた
税制の構築が必要であるとし、
所得減税と若干の
資産課税の
改正を伴いながらも、とどのつまりは
消費税の導入が導き出されているのであります。
しかし、産業・就業構造に
現行税制は対応できないと言いますが、具体的には何を指しているのか、対応できないとしたらその原因は何か、なぜ
消費税でなければならないのか、そのことは決して明らかではありません。
所得の平準化が強調されてはおりますが、戦後の混乱期と比較すれば平準化しているのは
当たり前の話で、問題なのは、ここ十年余り
所得格差は縮小どころかかえって拡大傾向さえ見られることです。また、ここ二、三年の
土地や株の高騰による
資産格差の拡大は著しいものがあります。これは、先般公表された
国民生活白書を見ても、また
衆議院に提出された収入階級別の貯蓄残高の比較に関する
政府資料においても明らかであります。このような情勢にあるとき、なぜ意図的に
所得の平準化を持ち出すのか理解できないのであります。
総理や大蔵大臣は、好景気が続き、
所得格差は趨勢的に縮小していくと言っておりますが、それは余りにも楽観的に過ぎます。こんな時期に
所得に対して逆進的な
課税である
消費税を導入したら、
所得格差がますます拡大することは間違いないではありませんか。不公平
税制の是正が
税制改革の目的とも言われておりますが、
消費税そのものが不公平
税制であると言えるのであります。
衆議院で多少の
修正はあったものの、
税制全般を見ても、
財政運営全体を見ても、確実に財政の
所得再配分機能が弱められようとしているのであります。こうした
税制改革の前提となる基本的な認識においても、いまだ明確な回答は示されていないではありませんか。
以上指摘しました疑問点につき、
総理並びに大蔵大臣の明確な答弁を求めます。
次に、
消費税そのものの問題点について何点かお尋ねいたします。
所得に対して逆進的な
消費税そのものが不公平を拡大する税金であることは今さら申すまでもありませんが、
事業者に配慮して帳簿式の付加価値税にしたこと、また限界
控除や簡易
課税を大幅に認めたことなどから、最終的な
税負担者である
消費者からすれば、一段と公平、公正さを欠いた税金になっていると言えます。
そこで、
修正でも簡易
課税などの問題点が指摘されているのでありますが、その改善方向、方途は全く不明瞭であります。
政府の提出資料によっても、業種別、企業規模別の付加価値率、粗利益率に極端な相違が存在しており、簡易
課税によって不公平、不公正が拡大することは明らかではありませんか。
また、
修正で、
法律施行後半年間は税務執行を弾力化するとされているが、これはいかなる意味でありますか。一部には、
施行期日を半年延長したことと同じであるとも言われておりますが、それは事実なのでありましょうか。この点について、大蔵省は既に異論を表明しているではありませんか。先ほどの大蔵大臣の答弁でもいま一つ理解することは困難であります。
修正では、また、低
所得者へ配慮した寝たきり老人減税の拡充、生活
保護など歳出面での手当て策などが盛り込まれたと言われておりますが、とすれば、
消費税の欠陥を塗り隠すためのいかにも小手先の、場
当たり的な対処策であるという印象が強いのであります。金を余りかけず、
福祉への配慮を見せかけようという意図が明らかで、
政府にとってはまことに好都合な譲歩だったのではありませんでしょうか。しかし、そうすることによって、かえって
消費税の矛盾点が際立ったことも事実ではありませんか。
また、
消費税における大きな問題点は、
総理も認めるように、
事業者の
税負担の価格への適正な
転嫁ということであります。
我が国の産業構造は、生産、流通とも大変複雑であり、また過当競争とも言われるほど
事業者間の競争が激しい実態にあります。このような中で大型間接税を導入しても、
転嫁が円滑に行われないことは明らかであります。例えば、過当競争の中で
消費税の価格
転嫁の最前線に立っている中小小売業者や、親企業に対して価格交渉力などの面で弱い立場にある下請業者がこぞってこの
消費税に大きな懸念を抱いていることは、まさにこの問題があるからであります。
消費税という名称とは反対に、第二
法人税・事業税となることを強く危惧しているからであります。
総理はこのような中小業者の声にどのようにこたえるのでありますか、御答弁をお願いします。
また、
消費税法案では、この価格
転嫁の困難性に配慮して独占禁止法のカルテル禁止の
緩和措置が打ち出されているのでありますが、これが逆に大きな矛盾をはらんでいるのであります。それ
は、便乗値上げの余地を拡大する危険性とともに、諸外国に日本の
取引慣行に対する一層の不信を与えるおそれがあるということ。また、統一的販売価格の決定といった範囲を超えた価格カルテルが行われるおそれがありはしないかということ。
消費税の
転嫁が容易な大企業にまで価格カルテルを認めることになり、競争上弱い立場にある中小企業が不利な結果になりかねないのではないかということ。さらに、
一定期間のはずのカルテルが業界に定着し、カルテル依存体質を強化することになるのではないかなどであります。
以上、簡単に見ただけでも、
消費税の矛盾は根深く、小手先の
修正で対処できることではありません。
審議を尽くして問題点をさらに明らかにしなければならないのですが、
総理並びに大蔵大臣の御答弁を求めます。
今回の
税制改革法案におきましては、
衆議院での
修正を踏まえても、不公平是正は全く不十分であると断言せざるを得ないのであります。
キャピタルゲインの
課税強化については、リクルート疑惑に
関連させて未公開株の売却益に対する
課税強化策が講じられただけで、
資産格差の拡大の現状に照らして見れば、抜本的な改善策と言えるものではありません。分離
課税の拡大によって、かえって基本的には不公平を助長することになったとも言えるのではありませんか。
株式譲渡益を
原則非課税から
原則課税にすることになったからといって、不公平が解消されるというものではありません。
四年後の
利子課税の
見直しに合わせてキャピタルゲインについても総合
課税への移行を実現するとか、
納税者番号制については
政府税制調査会で検討しているといったあいまいな言いぐさで逃げるのではなく、例えば、
資産取引については創意工夫を凝らした番号制によって
所得の捕捉と総合
課税を徹底するといった明示があってもいいのではありませんか。
また、抜本的な
土地税制の
改革、不公平
税制の焦点とされてきた政治家の資金集めパーティーへの
課税、医師優遇
税制、宗教
法人課税、みなし
法人課税などの
改革について、具体的改善の方向を明示するぐらいの踏み込みがなければ
国民の納得を得ることは到底不可能であります。
消費税に反対する声とともに、不公平
税制の是正は全く不十分であるという圧倒的な世論があるのでございます。
法人税については、
経済活動の国際化の進展に伴い、
法人税負担率の格差によって産業空洞化が危惧されるとして、
基本税率の引き下げが行われようとしております。しかし、国際比較を行うのであれば、
課税ベースの相違をも念頭に置かなければなりません。アメリカの場合でも、
法人税の表面
税率を大幅に引き下げましたが、投資
税額控除の
廃止など特別
措置の
見直しによって
課税ベースの大幅拡大を
実施しているのであります。単に表面
税率だけを比較するのではなく、実質的な
税負担をも考慮に入れるべきであります。
大蔵省は、今回の
法人税の
基本税率を引き下げるに当たって、外国
税額控除の適正化や
配当などについて
課税の適正化を行っていると説明しているようであります。さらに、ここ二、三年のうちに賞与引当金、退職給与引当金、貸倒引当金の圧縮などによって三千億円の増収を予定していると答弁しておりますが、そうであるならばなぜ
法案に盛り込まないのか、余りにも不自然ではありませんか。
不公平
税制の是正について
国民の合意がなければ
消費税の導入など到底認められないのではないかと思いますが、不公平
税制の是正に対する
総理及び大蔵大臣の
決意をお聞かせ願いたい。
次に、今回の
税制改革は、
地方財政に直接的な悪
影響をもたらすことはもちろん、税源の配分において地方自治を大きく後退させるものであることが明らかであります。
地方財政への国の不必要な介入、補助金の一律カットなど
地方財政への圧迫が続いているのでありますが、今回の
税制改革もその基本方向を継承する
内容となっております。本来、
福祉、高齢化
社会への公的対応に対して地方自治体の役割は極めて重要であり、その
充実を目指すのであれば、当然、国と地方との
財源配分を含めた
地方財政の
充実を図るべきなのですが、実際はこれに全く逆行しているのであります。
消費税を
中心にした今回の
税制改革については、地方自治の見地からすればまさに有害無益と言わなければなりません。
歳入の面では、住民税減税、
法人税と
所得税の減税による交付税の収入減、
法人税の
基本税率の引き下げに見合う
法人事業税の減収、さらには
消費税と
現行地方間接税との調整、つまり
電気税、
ガス税、
木材引取税の
廃止、料理飲食税、
たばこ消費税、
娯楽施設利用税の調整などによって大幅減収になるのであります。一方増収は、
消費税導入に伴う
消費譲与税の
創設、
消費税の交付税算定税目への算入、その他
株式譲渡益課税や
法人税制の
見直しなどによって行われるのだが、差し引き大幅減収になることは必至であります。
それに加えて、歳出面において
地方財政も
消費税の
負担を強いられるのであります。
政府提出の資料によれば、
地方財政計画全体で
消費税負担額は六千億円に達すると見込まれております。いささか過小見積もりとは思いますが、ともあれ、これは自治体や公営企業が行っている事業の料金が値上がりすること、つまり住民
負担がふえることを意味しております。上下水道料金の値上げ、公営住宅の家賃値上げ、自治体病院の統廃合など深刻な問題が続出するのではないでしょうか。
つまり、今回の
税制改革が自治体に及ぼす悪
影響は放置することができないほど大きなものであります。
課税自主権が侵害され、自主
財源が剥奪されて一般
財源が不足し、公債依存が一挙に高まる危険性があります。
消費税によって歳出増も余儀なくされ、その結果、住民へのサービス低下、住民の
負担増、
福祉の後退など深刻な事態が生じかねないのであります。
毎年悪化を続ける
地方財政に対して、
地方交付税算定税目の拡大、交付
税率の引き上げが要請され、地方自治体の財政構造の変化に対応できる財政調整
制度の確立が待たれている
状況なのではありませんか。また、補助率削減
措置についても、
政府が約束どおり
廃止を明確に示すことが急務なのではありませんか。
税制改革が
地方財政に与える
影響、それへの対処策について、
総理並びに自治大臣の明快な答弁を求めます。
これまでにもるる強調してまいりましたように、我が党は、リクルート疑惑の解明、公約違反問題の解決、不公平
税制の徹底的是正、防衛費優遇の停止など
財政運営の抜本的転換、高齢化
社会の進展における
福祉充実に向けた将来展望の明示
などが、
税制改革の不可欠の前提条件ではないのかと考えているのであります。リクルート疑惑については、
証人喚問を形式的にせよ
実施すれば
税制改革法案を成立させてもよいというような二者択一の問題でもなければ、いわんや
法案成立のための
取引材料でもないのであります。また、小手先の
法案修正では、我が党はもちろんのこと、
国民の合意を得ることは全く不可能であります。
総理は
税制改革法案の今国会での成立にあくまで固執しておられるが、それは政権維持にとらわれる余り、
国民、国家をないがしろにするものと断じざるを得ません。