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1988-08-03 第113回国会 参議院 本会議 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年八月三日(水曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第四号   昭和六十三年八月三日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第三日)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、永年在職議員表彰の件  一、日程第一  一、議員辞職の件      ─────・─────
  2. 藤田正明

    議長藤田正明君) これより会議を開きます。  この際、永年在職議員表彰の件についてお諮りいたします。  議員植木光教君は、国会議員として在職すること二十五年に達せられました。  つきましては、院議をもって同君の永年の功労表彰することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤田正明

    議長藤田正明君) 御異議ないと認めます。  同君に対する表彰文を朗読いたします。    〔植木光教君起立〕  議員植木光教君 君は国会議員としてその職にあること二十五年に及び常に憲政のために力を尽くされました  参議院は君の永年の功労に対しここに院議をもって表彰します    〔拍手〕     ─────────────
  4. 藤田正明

    議長藤田正明君) 土屋義彦君から発言を求められました。発言を許します。土屋義彦君。    〔土屋義彦登壇拍手
  5. 土屋義彦

    土屋義彦君 私は、本院議員を代表いたしまして、ただいま永年在職のゆえをもって表彰せられました植木光教先生に対し、一言お祝い言葉を申し述べさせていただきます。  植木光教先生は、昭和三十八年、参議院京都地方区補欠選挙に三十六歳の若さで当選され、自来四たびの通常選挙において選挙民の強い支持を得て当選を果たされ、今日まで二十五年の長きにわたり、本院議員として御活躍をされてこられました。  この間、先生議院運営委員長予算委員長外交総合安全保障に関する調査特別委員長など枢要な役職を歴任され、本院の使命達成のため多大の貢献をしてこられました。  また、第二次佐藤内閣通商産業政務次官三木内閣総理府総務長官沖縄開発庁長官に就任され、その卓越した政治手腕を遺憾なく発揮されました。  一方、党内におきましては、参議院自由民主党国会対策委員長、同議員会長を歴任され、現在は自由民主党両院議員総会長の要職につかれておられます。  このように植木先生は、高邁なる人格とすぐれた識見によりまして、我が国議会政治発展のため力を尽くしてこられたのであります。  ここに、我々議員一同は、植木先生の二十五年間の御功績に対しまして深甚なる敬意を表しますとともに、本日はえある表彰を受けられましたことに対し、心から祝意を表する次第であります。  現下、我が国をめぐる内外の諸情勢はまことに厳しく、本院に対する国民期待もますます高まっておるのであります。どうか植木先生におかれましては、この上とも御健康に留意せられ、ますますの御活躍を願い、本院の権威高揚我が国議会制民主主義発展のため、より一層の御尽力を賜りますよう切にお願い申し上げる次第であります。  簡単でございますが、お祝い言葉といたします。(拍手
  6. 藤田正明

    議長藤田正明君) 植木光教君から発言を求められました。発言を許します。植木光教君。    〔植木光教登壇拍手
  7. 植木光教

    植木光教君 ただいまは、永年在職のゆえをもちまして、院議により御表彰を賜り、さらに御丁重な御祝辞をちょうだいいたしました。まことに感激にたえません。厚く御礼申し上げます。  昭和生まれの私が本日の栄誉に浴することができましたのは、ひとえに先輩、同僚の皆様の御指導と長年にわたる郷土の有権者の方々の御支援のたまものでありまして、ここに深く感謝申し上げる次第であります。  私が、昭和三十八年十二月、最初に当選いたしましたのは池田内閣のときでありました。当時三十六歳、自来五回の試練を受け、ただ一筋に議会活動に専念してまいりました。この二十五年間の議員生活を顧みますとき、まことに感慨無量なるものがございます。  今や我が国は、国際的にも国内的にも多くの問題を抱えております。それだけに国会の果たすべき責務もまた重く大きいと申さなければなりません。特に、参議院独自性の確立、権威高揚を図ることが肝要であります。  この際私は、微力ながら、初心に立ち返り、議会政治発展のために全力をささげてまいりたいと存じます。  何とぞ今後とも変わらぬ御指導と御交誼を賜りますようお願い申し上げ、お礼の言葉といたします。  ありがとうございました。(拍手)      ─────・─────
  8. 藤田正明

    議長藤田正明君) 日程第一 国務大臣演説に関する件(第三日)  昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。黒柳明君。    〔黒柳明登壇拍手
  9. 黒柳明

    黒柳明君 私は、公明党・国民会議を代表しまして、総理及び関係閣僚質問させていただきます。  質問に入ります前に、まず、第一富士丸の亡くなられた方々に心から御冥福をお祈りするとともに、過日西日本を中心にしました大雨の災害で罹災された方々に、同じく心よりのお見舞いを申し上げます。  総理、最近の新聞投稿欄に次のような川柳が出ていました。「法律に触れなきゃ良いさとあぐらかき」。  総理、聞いていただけますか。この際、老婆心ながら一言申しますけれども、テレビに総理のその下を向いて鉛筆を走らせる姿は、国民からは余りよく映っていませんよ。一生懸命勉強されている、こういうふうにとる人と、何か役人の原稿に一生懸命終始している、こういうようにとる人がいるんです。身は小なりといえども大宰相ですから、もうちょっとひとつ堂々と貫禄を示していただけますか。(発言する者多し)ここは国会の場ですから、お互いに論戦をする場です。公明・武田軍が風林火山の旗を掲げて上杉・自民と闘う場ですから、ひとつ総理、野党の話もよく聞いてください。お隣の宮澤さんは堂々として聞いていらっしゃいますから、総理大臣のために私は御忠告したい。済みません、余分なことで恐縮でございます。  さらに、このような川柳も出ていました。「代議士は道義秘書に一任し」、「リクルート食べたお皿を秘書洗い」。これは今のリクルート問題に対しての国民の鋭い批判の一部の声ではないでしょうか。  総理、これから税制改革しまして、そして新しい税負担国民にお願いしよう、こういうときであります。であるならば、政治家なかんずく総理閣僚は一点の疑惑国民に与えてはならないはずであります。にもかかわらず、インサイダー取引すれすれの行為で、あるいは民衆、庶民の手の届かないところで数千万ものもうけもし、そして一晩に自民党の派閥が十億もの金を集める、到底これは国民には理解できません。総理はきのうおととい、国民感情としてどうしても納得できない、こういうことをおっしゃいましたが、それどころではありませんよ。このリクルートの問題で国民政治に対する大きな不信、怒りは渦を巻いております。  こういうような現状を踏まえまして、総理、まずどういうふうに御所見をお持ちかお聞かせいただきたい。  秘書がやったことだから構わないじゃないか、法的に問題はないのさ、こうおっしゃる意見、百歩譲ってこれを認めたとしましても、政治社会から遊離し、国民不信を買ってはいけないことも、これは明らかであります。  今国民疑惑を浴びているのは元秘書秘書あるいは家族ではありません。総理であり、大蔵大臣でもあるわけであります。この際、すべての弁解は棚上げにしていただきまして、秘書を監督する責任議員にもあるわけであります。その観点から、リクルート関連株でもうけたと言われる利益を社会総理、還元したらどうでしょうか、社会福祉等に寄附したらどうでしょうか。あるいは宮澤大蔵大臣にも同じような提言をいたしたい、こう思う次第であります。  田村通産大臣は、この問題に関しまして、不法ではないけれども不当だ、こう新聞で報道されておりました。また林田法務大臣、同じくこの問題につきまして、法律上問題はないかもしれないが道義上問題はあろう、こうも発言されたと報道されておりますが、この場でまたひとつ法務大臣、代表しまして御見解を吐露していただきたい。  次に、朝日新聞社に私お願いさせていただきます。  このリクルート関連のスクープに対しまして、見事な御努力、私はこの場で心から敬意を表したいと思います。ただ、残念ながら全貌解明されておりません。それどころか、七十六人が何かうまみを得たのではなかろうかと、こう言われておりますが、その一部だけしかまだ公表されておりません。もし、もしもであります、その公表されていない部分を朝日新聞が持っていたとしたならば、もしかすると私の推測ですから誤りだったら失礼いたします。としたら、未公表の氏名を公表していただけないでしょうか。もし差し支えがあるとするならば、ひとつ政治家の分だけでも教えていただけないでしょうか、心からお願いする次第でございます。  そして総理大臣、同じく、この臨時国会に当たりまして、リクルート問題解明全貌を明らかにしないと税制改革本格的審議に入れないわけであります。私のこの提案に対してぜひ御賛意を示していただけないか、お伺いする次第であります。  さらにリクルート問題を続けます。  江副会長は、先日、新聞のインタビューで、政治家の多くが秘書家族名義で株を購入している点につきまして、家族秘書にはつき合いはないと明言し、政治家本人への譲渡との認識を明らかにし、国会喚問に応ずると言っております。総理大蔵大臣、私は江副会長が全くうそをつくことはないとは思うんですが、これを否定されるかどうか、ひとつ見解をお伺いしたい。  また、竹下総理、あなたの元秘書リクルートコスモスから未公開株を譲り受けたという事実は認めたものの、その内容は不明瞭であります。道義的責任を言うならば、何株譲渡され、幾ら売却し、譲渡益幾らだったのか、ひとつ明瞭にしていただけませんでしょうか。  大蔵省は、今回の一連の不祥事について、証券取引法違反との疑念から、リクルートの主幹事である大和証券初め関係証券会社から事情聴取を行ったと聞きますが、その結果、証取法違反の事実、株式の流れの全容はつかんだのかどうかお伺いいたします。  さらに、リクルート関係者より証取法四条違反疑いから事情聴取を行ったようだが、結果はどうであったのか。また、入院中とはいえ、江副会長から事情聴取していない、これは非常に私おかしいと思うんですが、この点はいかがなんでしょうか。今回の事件は、社会的、道義的責任の上からも、事情聴取の結果違反の有無にかかわらずその調査内容国民の前に明らかにすべきだと思いますが、どうでしょうか。また、全容解明のためには、証取法二十六条に基づく検査リスト提出等の強権を発動すべきだと考えるが、あわせて総理決意大蔵大臣見解を承りたい。  また、川崎市の助役リクルート関連の未公開株を譲り受けたケースについては、助役職務権限に深くかかわる疑いがあり、私の調査によりますと、かわさきテクノピア計画に伴うリクルート疑惑に関し神奈川県警が本年三月より市職員数名を事情聴取した、調査したと、こう認識しておりますが、どのような容疑で捜査をしたのか教えていただきたい。  ともあれ、全容解明手段は何よりもリクルート譲渡先リスト公表であります。今回のリクルート疑惑について、国民政治家に対する不信を募らせています。こうした不信を払拭するためにも、この際、藤田議長にお願いいたします。国会法第百四条に基づいて、リクルート関連会社並びに関係証券会社等資料要求の手続をおとりいただくよう要望いたしますが、いかがでしょうか。  次に、潜水艦「なだしお」の衝突事故についてお伺いします。  まず、事故原因解明は急務でありますが、いつごろ明らかになるのか、その見通しをお伺いしたい。  潜水艦一連行動に対して艦長のとった処置が疑問視されていますが、事故原因解明には潜水艦行動マニュアル公表が不可欠であります。防衛庁は、先日の連合審査会におきましてマニュアル提出を拒否しながら、海上保安庁、海難審判庁に対してはマニュアル提出しています。こうした防衛庁姿勢国会軽視も甚だしい、こう言わざるを得ません。速やかにこの事故究明のため必要なマニュアル国会提出すべきだと考えますが、総理見解をお尋ねいたします。  また、世界一過密で危険な東京湾では、大型民間船には水先人またはエスコート船をつけることが法律で義務づけられております。事故再発防止のために自衛隊にも例外なく水先人エスコート船をつけるべきではないでしょうか。さらに、事故発生に結びつく可能性がある艦隊行動東京湾内では禁止すべきであると思いますが、あわせて総理見解をお伺いしたい。  また、横須賀には米海軍原子力艦船が頻繁に出入りしており、もし原子力艦船原子炉事故を起こせば、横須賀から百キロ圏全体で約八万人が死亡すると予測されております。一たび事故が発生すれば極めて甚大な被害が生ずるのは明らかです。この際、米艦船についても、地位協定を改定し、エスコート船をつけ、艦隊行動も慎むよう強く米側に要望すべきであると思いますが、総理見解をお伺いいたします。  次に、税制改革に移ります。  総理、今臨時国会の会期は七十日で、あと残り五十五日しかありませんが、この短い間に消費税法案を本当に成立させるつもりなんでしょうか。六十四年四月から施行するということですが、この考えにも絶対に変わりはないのでしょうか、お伺いいたします。  確かに、この消費税法案が再び廃案となれば、竹下総理、あなたの政治生命に大きな影響が出るでしょう。しかし、事は国民税負担に大きくかかわる事柄であります。竹下総理個人政治生命国民負担という重要な問題との重さを比べてみるとき、一国の指導者としてとるべき手段はおのずから明らかではありませんか。いかがでしょうか。  政府が今国会税制改革に当たって提出している税制改革法案は、本来、改革理念とともに、税制と裏腹の関係にある行財政改革必要性と、不公平税制の是正への筋道と手順とを提起すべきものであります。  そこで、総理にお尋ねいたします。  まず第一に、真の意味の増税なき財政再建を貫き、行政改革を徹底させ、むだな補助金や経費をこの際さらに根本的に洗い直すべきであると思いますが、いかがでしょうか。  第二に、医師優遇税、キャピタルゲインの根本的見直し、みなし法人公益法人等の不公平をなぜ見直ししないのか、一つ一つその理由を説明してください。  第三には、政治家パーティー収入政治献金への課税等政治資金課税適正化を図るべきであると思いますが、いかがでしょうか。  第四には、納税環境整備のために、先進諸国で行われておりますプライバシー保護前提としての納税者番号制度導入を図るべきだと思いますが、いかがですか。  さらに、今回の消費税導入に対して八つの罪状を明らかにしつつ質問を続けます。  第一は、売上税のときと同様、今回示されている税制改革理念消費税がことごとく相反するということであります。  今回の改革理念は公平、中立、簡素だと言われておりますが、まず公平について、先ほど申し述べましたように、所得税中心とした不公平税制をそのままにして消費税導入することがなぜ公平につながるのでしょうか、お尋ねいたします。  また、逆進性が強まって垂直的不公平が生ずるのは火を見るよりも明らかでありますが、総理はどう弁明されますか。  第二に、この消費税が簡素だと言えるでしょうか。  帳簿方式にしたり簡易課税制度を広げてみても、簡素化と言うにはほど遠い代物であります。そして、最終的に消費税負担する消費者も、買い物の都度、果たして適正に負担したかどうか全くわからないということになりますが、このような疑問に対してどう説明されるのか、御答弁ください。  第三に、中立についてであります。  売上税のときと同様に、消費税についても、課税売上高三千万円を境に一物二価が生ずることは自明の理でありますが、今回はそれに六千万円までの限界控除制度があるために、現在の商品の価格体系が崩れ、一物三価あるいは一物四価という現象があらわれることになります。  しかし、現実には、売上高三千万円以下の零細な免税事業者は、競争相手である課税事業者から仕入れ税額分値上げだけではなく三%の値上げを強要されることも十分に考えられます。そうなりますと便乗値上げが行われることになります。つまり、厳密に転嫁させれば中立性が損なわれ、中立性を保とうとすれば便乗値上げが横行することになるのですが、どのように弁明されるか、お聞かせください。  第四は、消費税増税分は、低目に抑えた政府の計算で約二兆円で、これは圧倒的大部分個人負担することになるのですが、法人減税は一兆八千億円となっており、法人減税分個人が背負うことになるのであります。  国際的に見ましても、今、法人企業負担個人が肩がわりしなければならないほど企業活動が衰えているのでしょうか。現実は逆で、個人消費支出をふやし、内需拡大を図るのが国際的立場からも我が国がとるべき道なのではありませんか。総理大蔵大臣はこの点をどのように認識しておられるのか、お聞かせください。  第五は、今回圧縮したはずの非課税についても、数えれば問題は際限なくあります。  例えば、教育のうち、授業料受験料非課税でありますが、私立大学などでは消費税節税対策から、課税対象である入学金施設費などは下げ、受験料授業料値上げされることになるのではないでしょうか。教育公共性という見地から見ても、消費税はこれを崩壊することにはなりませんでしょうか。これについて対応策を伺います。  第六に、医薬品が課税対象となっていたり、第二種社会福祉事業のうち、身障者や寝たきり老人へのホームヘルパー派遣料課税対象となっていますが、利子や地代が非課税となっているのと比べると、論理的にはわかるとしても、庶民感情としてはどうしても割り切れないものが残るんですが、総理から納得のいく答弁を求めます。  第七は、帳簿方式の特徴として事業者転嫁、つまり価格上乗せを可能にするため、消費税転嫁カルテルを認めることとしておりますが、事業者側については独禁法の例外を認めながら、便乗値上げや、やみカルテルの横行を排除できる保証は何一つないではありませんか。  あわせて、転嫁カルテルを認めるということであれば、税の負担者である消費者に、税額を別記し、適正な価格形成が行われていることを示すシステムをつくるべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。  第八は、仕入れをすべて非課税業者に依存している課税業者が、仮に売上高仕入れ高を下回ったときに、仕入れには消費税額がかかったものとしてその税額が還付されるという、うそのような事実が現実となるのが今回の消費税であります。このようなことがあってよいのかどうか。払いもしない税金を還付するための源は消費税であり、これを負担しているのは消費者ではありませんか。  これで自民党税制抜本改革でうたわれている二十一世紀を展望した税制と言えるかどうか、甚だ疑問であります。総理、御答弁願いたい。  次に、外交、防衛問題についてお伺いいたします。  さきのインドネシアにおける非公式協議で、カンボジア和平実現へ向け関係者の対話が進展したことはまことに喜ばしい限りでありますが、総理は今回の協議をどのように評価しておられるのか、お伺いいたします。  また、政府シアヌーク殿下支援を打ち出しておりますが、殿下訪日への対応を含め、殿下中心とした和平への動きに今後具体的にどのように支援するのか、外務大臣の御見解をお伺いいたします。  さらに、和平実現の際に要員派遣などの協力を行う考えはないか。また、カンボジア復興のために我が国の経済、技術協力への期待は大きいものがあると思いますが、和平実現を促す上からも何らかの具体的プランを示す考え外務省にあるかどうか、あわせてお伺いいたします。  日ソ関係につきましては、ソ連がアジアの諸問題に本格的に取り組む意思を示した今日、解決すべき絶好の機会であると思います。  北方領土問題について、ソ連が最近打ち出しております国境線確定論共同統治方式については我が政府外務省はどのように分析しているのか、お聞かせください。  さらに、さきの中曽根前総理訪ソの際におけるゴルバチョフ書記長の対日姿勢、領土問題に対する態度をどう受けとめているのか、書記長訪日見通しとあわせてお聞かせください。  次に、イージスシステムについて伺います。  防衛庁は、七月三日に発生した米イージス艦ビンセンスによるイラン民間航空機撃墜事件に関しまして、イージスシステムは性能要求どおり正常に作動したとの見解をまとめておりますが、その根拠を明らかにしてください。  特に、米議会会計調査局イージスシステムは事前に十分な性能試験をしないまま配備されたことを明らかにしておりますが、政府はこの事件をどう把握し、また今後どのように対処するおつもりか、あわせてお聞かせください。  また、クロウ米統合参謀本部議長イージス艦識別機能が完全でないことを示唆し、米海軍首脳イージス艦の弱点は真正面から飛来する目標の識別に難点があることと述べております。高度な迎撃能力を保持するゆえに、この不十分な識別能力の問題は今回の事件のように重大な惨事につながるおそれがあると危惧しますが、政府はこのイージス艦識別能力についてどのような認識を持ち、またどう対処されていくのか御答弁をお願いいたします。  さらに、イージス艦導入に当たって防衛庁は、洋上における脅威増大をその理由としていますが、一体具体的にどのような脅威に対処するのか明らかではありません。この際、一、イージス艦導入決定に当たっての防衛庁内の検討経過。二、導入前提として想定された具体的な脅威内容。三、現有ターターシステム能力不足とされた項目。四、イージスシステム以外に選定対象となったシステムの種類。五、イージスシステムが有効と判断された理由。六、自衛隊導入する原型艦米艦アーレイ・パーク級とした理由について、詳細に説明してください。  また、一千二百二十三億円もの国民の血税を使うイージス艦導入に当たって、その能力について米海軍製造企業カタログ的説明をうのみにしているのではないかとの疑問がありますが、政府見解をお伺いいたします。  さらに、米上院歳出委員会は、イージスシステムの対日売却に関し、日本がイージス艦の船体の購入に同意しなければ同システム売却を停止するとの条項を一九八九会計年度国防歳出法案に盛り込んだことが明らかになっておりますが、仮にこれが成立した場合、政府はどのように対応するつもりでしょうか。あくまでもイージスシステムだけを購入するつもりでしょうか、所見をお伺いします。  最後に、当面の重要課題についてまとめてお伺いいたします。  本年二月の十二品目に続き、牛肉、オレンジと農産物自由化によって深刻な危機にさらされている生産農家に対し、国内対策及びその財源の確保に向けて、総理決意のほどを明らかにされたい。  また、自由化による輸入量増大に到底対応できない現在の検査体制を放置したまま自由化を強行することは、国民生命と健康を守る上からも問題があると考えますが、見解をお示しいただきたい。  新貿易法案が、早ければ明後日、米議会で成立するという報道がけさワシントンから流れてまいりました。これには大統領は拒否権は使わない、これも明言されております。しかも、前回の包括法案の中身、対日報復問題はそっくり含まれておるわけであります。日米貿易摩擦の中におきまして、この新貿易法案成立に伴う政府対応姿勢についてお伺いいたします。  整備新幹線建設問題は本年八月の最終結論の時期を迎えておりますが、大詰めの段階を迎えて、どのような基本姿勢のもとに取り組んでいくつもりか、建設費はどうするのか、収支についての見通し、在来線との関係はどうするのか、まとめてお伺いいたします。  小口金利の自由化について、大蔵省はいつごろから自由化を実施されるのか。また、関連して、過日の臨時行政改革推進審議会の意見書の中で事実上郵貯事業の民営化を打ち出しておりますが、総理考えをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇拍手
  10. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) まず、答弁に入る前に、私がメモをとっておるということについての御意見がございました。  国会国民の代表の皆さん方に対する答弁は、皆さん方の国会の長年の慣例の蓄積の中で、答弁漏れというのは最も避けなければなりません。したがって、私は、私の答弁書にメモをいたしておるわけではございません。せっかくちょだいをいたしました原稿に対して、すべてこれを整理するために黒柳さんの原稿に対して私なりに線を引かしていただいたりしておりますので、その点は丁寧だと思ってお感じいただければ幸いでございます。  そこでまず、問題とされておりますリクルートコスモスの株式の取引についてでございます。  御指摘のありました政治家、その関係者を含め、現行制度のもとにおきまして、それぞれその取引に当たった本人の責任において行われたものであるといたしましても、また個々の取引がたとえ許された経済取引であるにいたしましても、国民感情として割り切れないものがあるという批判については、これをしっかり受けとめなければなりません。李下に冠を正さずとの例えのとおり、私自身を含め、一人一人の政治家が十分心していかなければならないと考えております。  なお、同株式の公開に至るプロセスが投資家保護及び公正な証券取引の確保といった見地から適切な規制のもとに行われていたかという点につきましては、まず現行法の定めるところによって調査検討を進めますとともに、我が国経済社会における健全かつ公正な証券取引の確保という観点から現行制度に欠けるところはないのか、各方面の意見を十分承った上、改善すべきはきちんと改善すべきであると思います。  次に、リクルート株利益の社会還元の御提言とでも申しましょうか、ございました。  その提言は提言といたしましても、当事者でない私自身がその処分について意見を述べることは差し控えさしていただきたいと思います。  それから、新聞社に対しますリスト公開の要請がございました。  これは社会の公器たる個々の新聞社の判断にまつべきものであろうというふうに考えております。  次の、江副会長発言でございますが、正確な文脈を承知しておるわけではございませんけれども、御指摘のような発言が報道されていたことは記憶にございます。その取引の内容はそれぞれ異なった内容でもございましょう。しかし、だから一概に政治家だと決めつけるということについては、個々の事情の相違があることも考えるべきだと思います。  また、私自身の問題であります。私の元秘書の件につきましては、新聞報道があった際本人から、自分の責任で行った個人取引であるとはいえ軽率でありましたとの釈明を受けております。質問通告をお受けいたしましてから今まで調査をいたしましたが、現段階でお尋ねの点一つ一つにつきましてはまだ確認をいたしておりません。  次の問題は、捜査当局の関心の問題であります。これは法務大臣からお答えを申し上げます。  潜水艦事故原因についてお答えいたします。  現在、事故原因を速やかにかつ徹底的に究明すべく全力を傾注しているところであります。一日も早く解明し、事故防止に役立てたい、このように考えます。  行動マニュアル提出の問題でございますが、防衛上の見地から制約はございますが、国会の審議に際しては可能な限り資料を提出してまいる、こういう考えは昨日も述べたとおりでございます。  さて、航行安全対策であります。  自衛隊の艦船におきましても、東京湾内等の交通のふくそうする海域におきましては、法令上は水先案内人を乗せる義務はございませんが、実質的に水先案内人に相当する訓練を経た隊員が常時乗っておるということが実情でございます。したがって、海上自衛隊の艦船も海上交通安全法規を遵守して航行しなければならないことはもちろんであります。今回の事故の例にもかんがみ、航行安全対策につきましては今後より一層徹底させてまいりたい、このように考えます。  米原潜航行にもお触れになりました。  米軍艦船の航行に際しましては、海上交通関係法令を遵守して安全確保に万全を期しているものと承知しております。米側は、今回のような事故があったことにもかんがみまして、改めて安全確保に万全を期するよう一層の徹底を図りたいとしているところであります。政府としても、今後とも米軍艦船の航行安全の確保については一層留意してまいりたい、このように考えます。  さて、税法にお触れになりました。  所信表明で述べましたとおり、現行税制のゆがみを直して、国民が納得できる公平で簡素な新しい税制を実現することが現下の急務であると、このように確信をいたしました。したがって、この臨時国会の召集をいたし、会期等をお決めいただいたところであります。消費税を含む税制改革を実現することが政治の使命であると考えまして、私の根限りの努力をもってこの課題に取り組んでまいります。したがって、国民の代表たる皆様方に十分な御審議を心からお願い申し上げる次第であります。  さて、増税なき財政再建から触れて、税制改革の手順についてお述べになりました。  たびたび申し上げておりますとおり、行財政改革税制改革と車の両輪であります。引き続き財政のむだを省き、行政改革を進めるための努力を続けてまいります。  負担の公平は、税制に対する納税者の信頼の基礎となるものであります。今次改革案では医師税制につき思い切った見直しを行いました。有価証券譲渡益を原則課税に改めるなど、不公平税制の是正が盛り込まれております。なお、これらの点については十分御議論を賜りたい、このように考えます。  税収動向につきましては、株式、土地取引の活発化等いろいろ理由がございました。一生懸命やりましても、上にも下にもいわば見通しの狂ったことが過去にもございます。いずれにしましても、多年にわたる論議を踏まえて、それこそ改革を実現することが急務であると思います。  政治資金課税のあり方にもお触れになりました。  まさに国会の場において御意見を拝聴すべき課題であるというふうに考えております。  納税者番号制度につきましては、今税制調査会の小委員会で検討をしていただいておるところでございます。その結果を見て対応すべき課題であると思います。  消費税の諸問題について、八つについてお尋ねがございました。  転嫁があいまいで事業者消費者の双方から批判があるとの指摘につきましては、消費者事業者等に対し広範かつきめ細かい広報を行いますとともに、一定の要件のもとに表示方法や転嫁方法に係る共同行為を認める旨の暫定的かつ例外的な措置を認めるなどで適切に対処してまいります。  公平あるいは逆進性の問題は、税体系全体として、また税の世界だけでなく歳出等も含めましてとらえるべきものであると考えます。  さらに、いわゆる不公平税制の是正は、今次の税制改革において取り上げておるところでありますが、なお先ほど申しましたように十分な御議論をいただきたいと思います。  簡素の問題でございます。  帳簿方式簡易課税制度が、中小事業者中心に納税事務を大幅に簡素化することは明らかであります。また、このような制度のもとで、消費者にとっては販売価格に三%の税が課せられているということに違いはないというふうに考えます。  中立にもお触れになりました。  免税点制度が価格形成の滑らかさに影響するという御指摘は、いわば税制に関する基本的要請でありますところの簡素とそして中立とのトレードオフの問題でありまして、今次改革案はこれらの要請のよき調和点を求めたものではないか、このように考えます。  法人負担個人が肩がわりするとの御指摘につきましては、所得、消費、資産等の均衡ある税体系の構築という観点から見まして、何ら非難されることではないと思っております。  なお、今次税制改革内需拡大に資する、これは疑いを持っておりません。  非課税に関して文教関係にお触れになりましたが、教育に係る経費について具体的にどのような負担を求めることになるか、これは各設置者の判断にまつべきものでありまして、一概にこれを断定することはいかがかと思っております。  広く、薄く、公平にという観点から消費税非課税取引は極力限定されておりますが、生活保護、在宅福祉など真に手を差し伸べるべき方々に対しましては、これは先ほども申しましたように、財政面を含めて適切に対処したいと考えます。  暫定的、例外的カルテルに対する疑念でございます。  消費税転嫁方法の決定に係ります共同行為は、あくまでも消費税税額部分についての上乗せに限って認めるものでございまして、本体価格は当然のこと、これは市場メカニズムで形成されるものであります。  便乗値上げあるいはカルテル等に対する懸念につきましては、これは厳正に各法規、法令、行政指導等で対処してまいります。  なお、税額別記の件については、今後十分に検討をお願いしたいと思います。  さて、その次のお尋ねは大変技術的な問題でございますが、一般的に売り上げが仕入れを下回るときには税額の還付が生じることなどから必ずしも合理的でないということはないと思います。  いずれにせよ、この問題については、御審議を速やかにそして十分に願うことによってそれぞれ懸念が中和、解消されるものである、このように考えておるところであります。  次に、外交問題にお触れになりました。  まず、カンボジア問題につきましての基本的な考え方を申し上げます。  先般行われましたジャカルタ非公式会合におきまして、カンボジア四派とそしてベトナムを含む関係当事者すべてが初めて一堂に会しまして、カンボジア問題の政治解決について意見交換が行われ、議長声明の発表にまでこぎつけましたこと自体は、私は積極的に評価すべきであると思っております。  また、実体面でも、四日間議論を尽くしたことで論点が絞られて、和平達成へのモメンタムが高まったことは今後の和平過程の進展を促す重要な成果であったというふうに思っております。  他方、我が国は、従来よりカンボジア和平の各過程において相応の協力支援を行う用意がある旨を表明してきております。  今後、和平プロセスが具体化する暁には、自由選挙実施の際の国際監視要員の派遣を含めた具体的貢献策について積極的検討を行ってまいる考え方であります。  カンボジア問題解決後のインドシナ復興については、これは我が国としても、従来より、その復興のため経済、技術協力等を通じて可能な限り貢献していく方針を明らかにしてまいっておりますが、このような協力の具体的あり方につきましては、それこそ解決の帰趨を見きわめた上で決めるべきものであるというふうに考えておるところであります。  日ソ関係についての、これも基本的な考え方を申し述べます。  ゴルバチョフ政権は、その成立後、内政、外政ともどもに従来とは異なるダイナミックな政策というものを表明し、あるいは展開しておられます。しかしながら、ソ連の対日政策について、現在のところ領土問題等基本問題について変化は見られておりません。先般中曽根前総理が訪ソされました際、ゴルバチョフ書記長との会談におきまして、領土問題を含む日ソ関係につき前総理が述べられた率直な見解に先方は耳を傾けておられたが、これらの問題について、されば先方からの発言内容はどうであったかというと、現状においてソ連の従来の立場を維持しておられると、こういうことでございます。  政府としては、真の相互理解に基づく安定した日ソ関係を確立いたしますためには、北方領土問題を解決して平和条約を締結することが不可欠との基本方針を堅持いたしております。  我が国固有の領土であります北方領土について、四島一括返還、これを引き続きソ連側に強く求めていく考えでありまして、国境線確定論等この実現に至らないような諸提案を受け入れる立場にはございません。こうした基本的な方針を踏まえて、今後とも政治対話の拡大強化を通じまして日ソ関係進展のため努力をしてまいる所存でございます。  ゴルバチョフ書記長の訪日につきましては、前総理と書記長との間で早期実現に努力する旨了解されたわけでございますが、依然として正式提案を今では待っておるという状況でございます。今後のソ連側の具体的対応に注目をいたしております。  ただ、いずれにいたしましても、例えば領土問題で忌憚のない意見の交換をする、あるいは研究所等でスピーチを行う、またテレビ出演においてそれをノーカットで放映する、そういう条件というものが訪ソに当たって認められたということは、私は、そういういわゆるダイナミックな政策の展開というものの一つのあらわれではないかということに対して評価と期待を持っておることも申し上げておきます。  次に、イージスシステムの対日売却、アメリカの上院要求等にお触れになりました。  アメリカ上院に提出されております米国防予算歳出法案に、船体の建造を米国で行わない限りイージスシステムを日本に売却してはならない旨の条項が含まれていることは承知をいたしております。しかし、我が国としては、このような条件が付されない形での購入を強く希望しておるところでありまして、米政府我が国の立場を支持しておるという状況でございます。今後とも、米議会の動向を見守りますとともに、我が国が希望する形でイージスシステムの購入がなされるように対処してまいるべきものというふうに考えております。  さて、自由化関連対策等について決意を述べるということでございます。  先般の日米、日豪合意が関係農家にとり極めて厳しい試練であることは私も十分認識いたしております。今後、厳しい条件のもとで我が国農業の存立を守りその体質強化を図っていくとの基本的考え方にのっとりまして、所要の国内措置について最大限の努力を傾注してまいりたい、このように考えます。  具体策といたしましては、牛肉については、国内肉用牛生産の振興合理化を推進するため肉用子牛の価格安定等に関する立法措置等について検討をいたしますとともに、当面懸念されております価格変動等に対処するための緊急対策についても、今まさに鋭意検討を進めておる段階でございます。  かんきつにつきましては、品質及び生産性の向上を通じ体質強化に努めますとともに、当面の需給、価格の安定等を図りますため、所要の具体的措置について鋭意検討を進めておるところでございます。  また、農産物十二品目につきましてもお触れになりました。  各品目ごとの生産、流通、消費等の実態を踏まえました国内措置につきまして、最大限の努力をこれまた続けてまいる所存であります。  いわゆる輸入食品の検査問題であります。  食品の輸入件数の増加に伴いまして、その安全性の確保は極めて重要な課題であります。現在、全国各地の検疫所におきまして衛生上の検査を実施しておりますが、今後とも輸入食品の検査体制の充実に努力してまいる所存であります。  それから、米の包括貿易法案についてお触れになりました。  米国のこの法案は、七月十四日に下院を通過して現在上院で審議中、そして、御指摘のとおり、いろいろな情報が今入っておるところでございますが、我が方はこれまで米議会の包括貿易法案の動向に強い関心を持って注視してきておりまして、この法案に対して、依然として多くの問題条項を含んでいることから、引き続き米側に対して我が方の立場につき理解を得るべく働きかけていく考え方であります。  我が方としては、レーガン政権が今後とも断固として保護主義と闘って、保護主義的色彩の強い法案が最終的には成立しないことを期待しておるということであります。  整備新幹線にお触れになりました。  この問題は、国土の均衡ある発展、地域格差の是正等に資するプロジェクトとして、その推進について極めて強い要望があることは長い間承知しておるところであります。そこで、現下の財政事情から、また一方慎重な取り扱いも求められておるところであります。  こうした状況下にありまして、この取り扱いにつきましては、御指摘の点を含め、昨年末の政府・与党間の申し合わせによりまして設置されましたいわゆる整備新幹線建設促進検討委員会、これで八月末までに結論を得べく検討を行っているところでございまして、その適切な検討結果が出ることを今期待しておるという実情でございます。  それから、金融の自由化から来る小口金利問題にお触れになりました。  預金金利の自由化につきましては、信用秩序に配意をしながら前向きに進めていくこととしておりまして、金融情勢等を勘案しながら大口のものから順次段階的に今日に至ってまいりました。いわゆる小口預金金利についても、郵便貯金と民間とのトータルバランスの確保等の環境整備を図って、中小金融機関経営に与える影響をも考慮しながら、小口市場金利連動型預貯金を創設すべく引き続き努力をしてまいる、こういう過程にございます。  それから最後に、いま一つ郵貯の問題にお触れになりました。  行革審の意見書におきまして、「将来、金融自由化が実現した段階においては、その経営形態及びその関連において財政投融資制度の在り方について検討を行う必要がある。」、こういう指摘を受けております。この指摘の趣旨を踏まえまして、将来においてどういうふうな状態であるか、現在、御承知のように郵便貯金が財政投融資資金の主要な原資となっている。こういう現実も踏まえまして、非常に慎重な立場から検討をすべき課題であろうというふうに今のところ私なりに心の整理をいたしておるところでございます。  残余の質問については各閣僚からお答えをいたさせます。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇拍手
  11. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) リクルート株式の売却益を社会還元したらどうかという御提言がございまして、これについては先ほど総理がお答えになられたとおりと存じます。私から意見を申し述べることを差し控えさせていただきたいと存じます。  次に、江副さんの御発言でございますが、私もそういうような御発言が報道されていることを承知いたしております。これに関連いたしまして、私の事務所の判断に慎重を欠いた点がございました。仮にそのようなことがあったといたしますと、これは私といたしまして監督が不十分であったと反省をいたしております。今後十分注意をいたします。  次に、このリクルート問題について、証券会社との関連についてお尋ねがございました。  証券会社またはその役職員が証券取引法上問題となる行為を行っていたかどうかという、そういう観点から今回の件に関しまして幹事証券会社から事情を聴取したところでございますが、これまでのところ、証券会社やその役職員について証券取引法上特に問題となる行為はございません。また、幹事証券会社からは、報道されているような内容の、リクルートによるリクルートコスモス株式の売却について関与をしている事実があるということにつきましては、そういう事実はなかったという報告を受けております。  次に、証券取引法第四条違反の問題にお尋ねがございまして、現在関係者から昭和五十九年十二月のリクルートコスモス社株式の売却に関して、証券取引法第四条に言う売り出し行為にこれが該当するか否かについて事情聴取を行っているところでございますが、ただいまのところまだ結論に至っておりません。この場合、「売出」と申しますのは、不特定かつ多数の者に対する均一の条件による既発行有価証券の売却と定義されておりまして、その行為に該当するかどうかについて事情聴取を行っているところでございます。  次に、事情聴取の結果を明らかにすべきである等々につきまして、現在行っている事情聴取は証券取引法の適切な執行という立場から進めているものでございまして、同法の趣旨、目的の範囲内のものでございます。  なお、江副氏から直接事情聴取をしたかどうかということにつきましては、今日までそのような報告は受けておりません。  これらの調査の結果につきましては、行政当局の立場から法令上許される範囲内でできるだけ明らかにいたしてまいりたいと存じます。  次に、証券取引法第二十六条による検査あるいは資料の提出等を行うべきであるということにつきまして、証券取引法第二十六条は、企業の内容開示制度、いわゆるディスクロージャーを適切に行うために、それを担保するための規定でございまして、公益または投資者保護のため必要かつ適当であると認められる場合にこの条項を発動いたします。したがいまして、この二十六条はディスクロージャー確保の趣旨を言っておるのでございまして、個々の取引内容を知ることのみを目的に検査を行うということはこの条文の趣旨ではないというふうに考えております。  次に、税法につきましてお尋ねがございまして、これは大部分総理がお答えになられましたので、一、二補足をさせていただきます。  まず、簡素ということと公平、中立ということが必ずしも一致しないではないかと言われることは、そういううらみは確かにございます。ただ、この帳簿方式にいたしましたのは、いわゆる税のための特別の書類をつくらずに、帳簿や納品書などでいいということ。それから簡易税制は、殊に中小企業者の場合、売り上げだけから消費税税額が計算できる、こういう制度といたしましたので、いずれも中小企業の方々に徴税事務をなるべく複雑にしたくない、こういう配慮から出たものでございます。  また、免税点制度、限界控除制度はそれぞれ年間売り上げ三千万円、六千万円以下の事業者に限って認めるものでございますので、このことが市場形成、価格形成という点で決定的な影響を持つとは考えにくうございますので、したがって中立性を害することはないであろうと思っておるところでございます。  押しなべて、御指摘のように、これらの制度は確かに若干精密さを犠牲にするという要素がございますけれども、それ以上に納税者の納付について中小企業者等の事務負担を軽減することが大事である、そういう観点からやらせていただきたいと考えているものでございます。  それから、法人税につきましては、今日のような国際化の時代に我が国法人税負担も国際的な水準に近づけるという必要があるということは御理解を賜りたいと存じますが、今回の税制改革が景気に対してどのような作用をするかということにつきましては、今回は結局ネットでは二兆四千億円の減税になります。私どもはこれは経済に対してプラスの要因であると考えますし、また直接税を減らしておりますので、勤労意欲あるいは事業意欲に対してもプラスの影響があるであろうと。経済企画庁の試算によりますと、中期的には実質成長率を〇・二%程度押し上げるということでございますが、そのように考えております。(拍手)    〔国務大臣林田悠紀夫君登壇拍手
  12. 林田悠紀夫

    国務大臣(林田悠紀夫君) 私は、過般の閣議の後の新聞記者会見におきまして、記者からいわゆるリクルートコスモス問題についての見解を求められたのに対しまして、国民感情として割り切れない道義的な面はあるが、単なる株式の売買は一般論としては法に触れない、ただ、違法行為があれば検察が適切に対処すると思うと述べたことが報道されたものと思います。  いわゆるリクルートコスモス問題については、検察を含めた捜査機関が、もしそこに犯罪の嫌疑がありとすれば厳正に対処するものと確信をしております。(拍手)    〔国務大臣宇野宗佑君登壇拍手
  13. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 外交問題に関しましてはおおむね総理から御答弁がございましたが、若干補足をさせていただきたいと思います。  まず、先般のジャカルタにおけるカンボジア和平に関する非公式会談でございますが、仰せのとおり一つの前進をしたと評価いたしておる次第でございます。総理もおっしゃいましたとおり、カンボジア四派が当事国であるベトナムを交えて話されたことが第一点。第二点は、議長のアラタスさんが声明を出された。これは大きな進展であると私たちは評価をいたしております。  しかし、ベトナム軍がことしじゅうに五万撤兵すると言われておりますが、さらに残余の兵力はいつ撤兵するかという問題並びに撤兵後のカンボジアにおける治安の維持の問題、さらにはどのような中立政権が誕生するか、そのプロセスの問題、こうした問題も議論されたわけでございますが、もちろん結論を見るには至っておりません。しかし、高級事務レベルの会合がことしじゅうに行われますので、そうした経緯を眺めていきたい、そうして私たちもできる限りの和平への努力をいたしたいと存じております。  なおかつ、この間の非公式会議に関しまして、私はASEANの拡大外相会議において次のとおりに我が国の立場を表明いたしておきました。それは、カンボジアの和平に関しましては監視団を派遣するであろうが、その要員は日本からも出します。また、平和維持軍の活動経費に関しましては日本は協力をいたします。このように申したところでございます。  なお、シアヌーク殿下は八月八日に御来日の予定でございます。数日滞在されまして総理を初め私等々と会談をなさいますので、我々といたしましては、シアヌーク殿下に全面的な協力をいたしたい、その意思を再びお伝えすることにもいたしたいと思っております。と申し上げますのは、この間のASEAN拡大外相会議におきましても、あるいはサミットにおきましても、それぞれカンボジア和平後の新生カンボジアのヘッドはシアヌーク殿下以外にないということが確認されておりますから、やはりこの方を中心といたしまして今後の和平実現近きを我が国といたしましても期待し、それに対しまして御協力を申し上げるという所存でございます。  さらに、ソ連の問題でございますが、確かに仰せのとおり米ソ会談によりまして一つの対話の継続ということが重要な時代となってまいりました。もちろん我が国も、ソ連は大切な隣国でございますから、さらにいろいろな問題におきまして関係の改善に努めたいと思っております。  貿易、経済、文化等に関しましては大きな進展を見ておりますが、肝心かなめの四島問題に関しましては現在もなおかつソ連の主張に変化を見ることはできません。しかしながら、過般、前総理中曽根先生がお行きになられまして二時間四十分にわたってゴルバチョフ書記長と会談をされましたことは、私は重要なことであると考えておる次第でございます。それまで、ソ連指導者によりましては、北方四島問題に関しましていろいろと議論が分かれておりました。しかしながら、一九四五年、終戦直後のソ連の四島の不法占拠、この一点、さらには一九五六年の日ソ共同宣言、この一点、そして、さらには過般の中曽根・ゴルバチョフ会談におけるこの一点、この三点は私は一つの線として整理整とんされたのではないかと思うのであります。もちろん、ソビエトがそれをどういうふうにとっておるかはまた別の問題であって、あのときの会談におきましては決して前進的な話は出ておりません。  なおかつ、黒柳議員も申されましたとおりに、二島返還論であるとか、あるいは国境確定論であるとかいろいろな説が流れておりますが、私たちはそうしたものには耳は傾けません。あくまでも四島一括返還、これが我が国の変わらざる方針であることを私たちは伝えなければならないと思います。その意味でも、ゴルバチョフ書記長が真剣に中曽根前総理の話、歴史的な話、あるいは国際法的な話に耳を傾けられたということは、我々といたしましても一つの大きな時点であった、かように解釈しておる次第でございます。もちろん今後とも努力をいたしまして、私たちの四島返還、これに関しましては最大の目標として私たちはその解決に邁進をしなければならない、かように考えておる次第でございます。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣瓦力君登壇拍手
  14. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 私に対しましての御質問イージス艦についてのことでございますので、お答えいたします。  まず、イラン航空機撃墜事件におきましてイージスシステムが正常に作動したとの見解防衛庁がまとめたとの報道についてでございますが、同事件につきましては現在米国で調査が行われているところであり、防衛庁として見解を述べる段階にはなく、このような見解をまとめたという事実はございません。  御指摘の米議会会計検査院の報告の目的は、武器システムに関する米国防省の運用試験及びその評価の方法の適切性等を調査することにありまして、同報告書はイージスシステムを含む六つの武器システムをその調査の対象に取り上げておりますが、イージスシステム自体の性能についての評価を行ったものではないと承知しております。いずれにせよ、イージスシステムについては、米国において海上でのミサイル射撃試験等を含む各種の試験がなされ、その性能が確認されたものと承知しております。防衛庁としてイージス艦の性能に問題があるとは考えておりません。  イージス艦が対空目標を識別する場合にも、レーダー情報だけでなく、敵味方識別装置等各種の手段から得られた情報を総合的に判断して行う必要があり、この点は他の艦も同様であります。特に問題があるとは考えておりません。  次に、イージス艦導入についてでありますが、防衛庁内の検討の経過につきましては、まず、海上交通の安全確保を図る場合の洋上防空のあり方について検討し、その成果を踏まえ、次に護衛艦の対空ミサイルシステムの性能向上について検討した結果、イージスシステムが最適であるとの結論を得たものであります。  この検討の際前提とした具体的な経空脅威内容は、近年航空機の航続力、速力が増大し、長射程、高速のミサイルが出現したこと等を念頭に置いたものであります。現有のターターシステム能力上の問題とされた点は、同時に多目標に対処する能力や射程、リアクションタイムなどであります。イージスシステム以外に検討の対象となったものは、現有のターターシステムを性能向上したターターCシステムやターターDシステムであります。  イージスシステムが最適と判断した理由は、他のシステムに比べ費用対効果がすぐれていることでございます。  米海軍のアーレイ・バーク級との関連についてでございますが、今回導入するイージス艦米海軍のアーレイ・バーク級とおおむね同等の性能を有するものと考えておりますが、これはあくまで我が国の運用構想に基づくものであり、アーレイ・バーク級を原型としたものではございません。  イージスシステム導入に当たっては、米海軍が実施した各種試験等に基づくデータを含め、数次にわたり米海軍担当者等からの説明及び資料提供を受けて、その性能、能力について確認しているところであります。米海軍等のカタログ的説明をうのみにしているということではございません。(拍手)     ─────────────
  15. 藤田正明

    議長藤田正明君) 内藤功君。    〔内藤功君登壇拍手
  16. 内藤功

    ○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに関係大臣に質問いたします。  西日本の集中豪雨により亡くなられた方及び御遺族に心からの哀悼の意を表明し、被害を受けられた方にお見舞いを申し上げます。  政府はその災害対策に万全を尽くすよう要求いたします。  また、潜水艦「なだしお」の衝突事件による犠牲者の方と御遺族に心からの哀悼の意を表明するものです。けがをされた方、被害を受けられた方にお見舞い申し上げます。  さて、昨日総理は、衆議院本会議で不破哲三議員質問に対し、自衛隊には軍事優先はないと明言をされました。しかし総理、一日通航量平均七百二十隻、超過密航路の浦賀水道を海上自衛隊米海軍の艦艇が編隊を組んで横断するのを認めてきたのは軍事優先ではありませんか。これこそこの事故の根本原因ではありませんか。  第一に、潜水艦「なだしお」は、海上衝突予防法に定める避航義務に違反して全く回避の措置をとらず、十一ノットで直進し第一富士丸の前方を横切ろうとしたのであります。第一富士丸がやり過ごすほかなしとして三ノット減速したのは、横須賀港に出入りする海上自衛隊の艦艇は回避しないものという従来の恐怖の体験からだったと報道されております。潜水艦「なだしお」がもし法に基づく回避措置をとっていれば、悲劇を避け得たことは明らかではありませんか。  第二に、衝突直後、米海軍への連絡は数分後にとったのに、海上保安庁への連絡は二十一分もかかったこと、遭難信号を発しなかったことなど、全くの怠慢であり、人命軽視であり、その責任は重大であります。  第三に、目の前の海中で必死に救助を求める人がいるのに、飛び込んで積極的に助けた乗組員はたったの一人とは何事ですか。助けを求めているのに甲板上から見ているだけと、生存者は証言しているではありませんか。国民生命を守るどころか見殺しにしたものと言うべきであり、船員法十三条に違反するものではないか。  以上三点について、運輸大臣の答弁を求めます。  以上、全経過を通して、潜水艦「なだしお」の重大犯罪であり、損害賠償責任、刑法上の業務上過失致死傷罪、業務上過失往来危険罪の責任を負うのは当然であり、いわば情状悪質と言うべきであり、加害者でありながらテレビを使って自己弁護するなどもってのほか。身柄拘束を含む強制捜査と責任追及が必要と思います。  総理防衛庁長官は再発防止のためということを繰り返していますが、適法であったなどと居直っています。責任をあいまいにして事故再発防止の正しい教訓が引き出せないことは明白です。法務大臣、運輸大臣、防衛庁長官の答弁を求めます。  本件は、国民の血税で高価な艦船を多数取得し、東京湾でルールも守らず、救助にも怠慢の限りを尽くし、三十人の人命を奪った重大な事故であります。所信表明や答弁総理は、みずからの責任について言及を避け、全く陳謝せず、国民の怒りと批判が強まっています。総理は、自衛隊の最高指揮監督者として、犠牲者、遺族、被害者、全国民に陳謝し、改めてみずからの責任を明らかにすべきでありますが、明確な答弁を求めます。  栗原前防衛庁長官は、昨年七月の予算委員会で、八五%の人が反対する三宅島NLP基地を断念せよとの私の質問に対し、生活より安保が大事と答弁し、世論の批判を浴びました。政府防衛庁のこの軍事優先の考え方こそが今回の事故を生み出した根本原因の一つであり、総理はこれを反省し、改めるべきではありませんか。  東京湾は、米軍、自衛隊優先の海ではありません。海上交通、漁業、スポーツ、レジャー等国民共有の海であります。根本的には、安全のためには東京湾の入り口近くに存在する横須賀基地自体を撤去すべきです。当面、緊急の措置としては、安全最優先の航路管理方式に改め、浦賀水道での自衛隊、米軍艦艇の編隊による横断を直ちに禁止すべきでありますが、総理の決断を求めます。  さらに重大なことは、原子炉を積んだ米原子力潜水艦が昨年三十隻も横須賀に入港しています。万一事故が起きた場合、放射能被害は甚大です。原子力艦船の出入りは禁止すべきではないか。総理答弁を求めます。  次に、竹下内閣のもとで、砂利船、明電工、総理府、リクルートなどの一連の汚職腐敗事件が明るみに出ています。ところが、所信表明では具体的に一言も触れなかったのは、真剣に政治的、道義的責任を明らかにする姿勢がないと言わざるを得ません。  今、国民の間に怒りが広がっています。「ちょっと首を縦に振るだけで何千万円、私が一生かかっても目にすることもできない金が転がり込んで税金がかからない。」「私も一円だって税金を払うのがばからしくなってきます」、これは東京の七十歳の洋服仕立て業の女性の新聞投書です。  これら一連事件全容解明責任追及が今国政に課せられた緊急の任務であります。中でもリクルートの未公開株に関する事件は、政界中枢に及ぶ一大疑惑事件であります。  最高裁判所の七月十八日付決定は重大です。一般人の入手困難な値上がり確実な株を内々に譲渡することもわいろになるという趣旨であります。当然の結論であります。  江副会長は、中曽根内閣のもとで、政府税調特別委員、新行革審土地対策検討委員、文部省教育課程審議会委員、大学審議会委員に任命されています。リクルート教育関係の情報が重要な仕事であり、リクルートコスモスはマンション業界第二位の地位を占める会社です。政府によるこれら役職への任命が、リクルートグループの事業に情報と利益をもたらしたのではないか、重大な疑惑があります。  我が国最大の情報、最高の機密を持つ竹下総理宮澤大蔵大臣、中曽根前総理初め主要な政治家たちが、リクルート江副氏からもしこのような株の提供を受けるとするならば、そのこと自体、職務の公正さを疑わせるものではありませんか。総理、この疑問に何と答えますか。  総理大蔵大臣を初め名前の挙がった政治家は、秘書がやったことで自分は無関係と言っております。竹下総理、あなた自身、よいことではないわなと、まるで他人事のように無責任な言辞を弄しながら、あなたの秘書名義の株数も、売却金額も、譲渡を受けた趣旨も一切明らかにしていないのは言語道断です。この際、国民の前に明らかにされたい。  江副会長は、インタビューに答え、これまで名前が挙がった政治家の多くが秘書家族名で購入している点について、家族の方は存じ上げていない、秘書ともつき合っていないと明言、あくまで本人に譲り渡したとの認識を述べているのであります。我が党は、既に十一人の証人喚問を要求していますが、江副氏は証人に喚問されれば出てもいいとまで言っているではありませんか。  総理大蔵大臣、ここまで言われてもまだ秘書がやったと押し通すつもりですか。国民は納得しないでしょう。総理大蔵大臣、それぞれ事実経過を明確にされたい。  大蔵大臣は、事務所の判断に慎重を欠いたと言われるが、どういう事実なのか明確にされたい。  ぬれ手にアワで数千万、一億単位をもらったと見られる政治家の名前が、消費税導入の推進メンバーにずらりと並んでおります。だからこそ税制改革より政治家改革だという国民の怒りの声が上がっているのは当然であります。総理らには、税制改革とか消費税とか痛みを分かち合うとか説く資格はないと言わざるを得ません。総理、この批判にどう答えますか。  次に、税制改革を表看板に導入しようとする消費税問題であります。  第一は、公約違反という決定的な問題であります。  八六年衆参同時選挙で当選した自由民主党衆議院議員の八五%、二百五十七人の方が、選挙公報等で大型間接税反対を公約しました。竹下総理自身も、大型間接税反対中小企業連絡会に反対の誓約書を渡しておられます。現在の国会は、大型間接税反対を選挙で公約した議員が圧倒的多数で構成されております。したがって、議院内閣制に基づき国会から選出された現内閣に消費税を上程する資格はありませんし、国会にはその提案を採択する資格もないことは明白であると思いますが、いかがですか。  第二に、消費税は一九七九年十二月の国会での自民党も含む全会一致の決議に違反するものです。  同決議は、「いわゆる一般消費税は、その仕組み、構造等につき十分国民の理解を得られなかった。従って財政再建は、一般消費税によらず、」としております。一般消費税という名称のものだけでなく、同じ仕組み、構造を持つ大型間接税全体を否定したものであることは、この決議の文言全体から見て疑問の余地なく明瞭であります。目的が財政再建だったから今度のものとは違うというのは、全くの詭弁であります。今回の消費税帳簿方式累積排除型と言われ、国会決議が否定した一般消費税と全く同じではありませんか。  第三に、我が党はかねてより、消費税法案は撤回すべきであるし、あくまでやるのなら解散して国民に信を問えと主張しておりますが、総理議員の任期を大事にと言って、これを拒否しております。総理は所信表明で、つじ立ち、つじ説法をしてもあくまで消費税をやると言われましたが、それほどつじ説法をなさりたいのであれば、街頭で主権者に訴えるべきではありませんか。解散して民意を聞くべきではありませんか。消費税の是非を争点とする選挙の結果選出されたる新たな議席分野の国会に諮ることこそ政治の筋道、議会制民主主義の大原則、憲政の常道ではありませんか。明確に答えていただきたい。  総理、今あなたがやるべきことは、消費税という最悪の不公平税制、最悪の大衆課税の導入を断念して、国民生活の向上にこそ意を尽くすべきであります。  以下、国民生活に関する若干の緊急問題について具体的に質問いたします。  まず、農産物の輸入自由化問題であります。  それが農業に与える打撃は壊滅的です。農林水産省の農業総合研究所の試算によりますと、牛肉が完全自由化された場合、我が国特有の和牛の飼育頭数は十分の一に激減、米の自由化では国産米の生産が三分の一に減ってしまいます。  輸入農産物の安全性の問題にも国民の関心が高まっています。長期の輸送や貯蔵による食料の腐敗、変質を防ぐためには、農薬や添加物の大量の使用が避けられないことにも問題があります。輸入自由化国民の健康を脅かします。  政府が牛肉、オレンジをめぐるアメリカの要求に全面的に屈服したことは、経済主権を放棄し、日本農業を崩壊に追い込む暴挙ではありませんか。総理は、この批判にどうこたえますか。牛肉、オレンジの自由化決定の撤回を強く要求するものであります。  次に、地方自治体への国庫補助負担率引き下げを復元する問題です。  最近、私は東京都下二十六市の市長、行政担当者のお話を直接伺いました。特に生活保護、保育所、老人保護、身体障害者、精神薄弱者、在宅重度障害者、母子寮入所等への影響は甚大であります。保育料値上げを初め住民への負担は深刻であります。国庫補助負担率をもとに戻すことは全国自治体の切実な要望です。総理、この補助率の復元を確約していただきたい。  さらに、生活保護費は、昭和六十三年度予算で前年度より約二百五十億円の減になりました。生活と健康を守る会の調査によると、実際は窓口で面接相談と称して申請をあきらめさせる、根掘り葉掘りプライバシーまで聞きただすなどの人権無視が、国の事実上の指導のもとでふえています。  本年三月二十四日、札幌弁護士会人権擁護委員長が札幌市長あて警告書を発しました。昨年一月、三十九歳の母親が三人の子供を残して餓死する悲惨な事件がありました。保護申請を受け付けてもらえなかったことが最大の原因です。警告書は、「市民の一人から、母親の健康が悪化し、生命に危険があるとの通報があったのに、緊急の措置をとらなかったのは憲法に反する人権侵害」と警告しています。  総理、これは形は市長への警告ですが、生活保護という国の行政の根本姿勢が問われているのであります。この事件及びこの警告からどういう教訓と反省を引き出しているのか、お答えください。  あわせて、このような社会保障体制をこのままにして、生活保護世帯などにまで新たに三%の消費税の課税をするとは何事ですか。アメリカの戦略的打算の多い政府開発援助費などを削減して、これを国民が緊急に是正を求めている問題の解決にこそ充てるべきであります。明確な答弁を求めます。  ところで、竹下内閣があえて消費税を強行し、国民生活に犠牲を負わせようとする真の目的は何か。その根源には、日米軍事同盟があると言わざるを得ません。竹下内閣は、INF条約調印以来の世界の流れに反し、核抑止力論の立場に立ち、我が国の核基地化を進め、レーガン政権の戦略に忠実に従い、西側軍事同盟の一員としての危険な役割を果たそうとしております。  第一に、広島、長崎に原子爆弾が投下されて四十三年になります。総理は、国連軍縮特別総会での演説で、核廃絶は究極目標と述べました。これは、核兵器廃絶を緊急課題ではなく、棚上げするものと言わねばなりません。また、総理は、軍縮は全兵器体系のバランスを考慮に入れてやると述べました。これは結局、通常兵器がなくなるまで核兵器もなくさないという核兵器永久保有論の立場であります。  このような総理演説は、唯一の被爆国国民の願いに反するものであります。この演説は、均衡と抑止のために核兵器があくまで必要だという勢力の一翼となっていることを示したものであります。総理答弁を求めます。  第二に、日本政府も賛成した国連第四十二回総会の軍事費削減決議は、軍事費に関する自己抑制を実施し、節約された軍事費を経済発展に向けるとうたっております。しかるに、政府の六十四年度予算概算要求枠では、軍事費が六・四%増、政府開発援助が九・四%増と特別の優遇を与えています。政府自身、国連の場で表明した態度に反し、世界の流れに逆行するものではありませんか。明確にお答えいただきたい。  第三に、米国会検査院の報告によると、あのイージス艦の性能検査は不正確で不完全であったと、かように指摘されているではありませんか。かような欠陥兵器に一隻千二百億円もの血税を注ぎ込むむだ遣いは絶対やめるべきです。総理の明確な答弁を求めます。  第四に、竹下総理は、外交、防衛、治安、教育社会資本の整備が必要、しかし天から金は降ってこないと全国経営者大会の席上御発言になったと承っております。渡辺政調会長はさらに本音を語り、六十五年までは年々五・四%ずつ実質的に防衛費を伸ばすという約束がある、ますます財源が足らなくなると述べています。総理は、昨日、衆議院本会議で、不破哲三議員に対する答弁でこれを否定しましたが、消費税は米政府、軍部から執拗に要求される今後増大する軍事費の財源確保が一つのねらいであることは否定し得ないではありませんか。答弁を求めます。  最後に、消費税導入リクルート事件潜水艦事故で示される竹下内閣の政治は、前代未聞の公約違反、軍事優先、汚職腐敗、国民犠牲、国民見殺しの政治であります。公約違反消費税は断念せよ、さもなくば選挙で民意を問え。日本共産党は消費税に反対するすべての国民とともに全力で闘う決意を表明して、私の質問を終わるものであります。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇拍手
  17. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) お答えいたします。  まず、西日本水害対策にお触れになりました。  これに対しましては、今後対策に万全を期さなければならない、そのように考えております。  次が、いわゆる潜水艦と民間船舶との接触の事故責任についてであります。  今回の事故は、少なくとも海上自衛隊を一方の当事者とする事故であることは事実であります。この事故によって多くのとうとい生命が失われましたことはまさに痛恨のきわみでありまして、遺憾この上もない、このように考えております。  私としては、このことを厳粛に受けとめ、かかる事故が二度と起きないように、事故原因の早急かつ徹底的な究明と再発防止策の確立を図りますとともに、自衛隊に対する国民の信頼を一日も早く回復すべく、御指摘のとおり、自衛隊の最高指揮監督権者の立場から誠心誠意対処していく、これが私のとるべき責任であると思っております。  しかし、いずれにせよ、御指摘のありました軍事優先、国民軽視、こういう考え方があるとは私は考えておりません。  なお、今回の事故に関しまして、海上自衛隊から米軍への御指摘のような通報はなされていないというふうに承知をいたしております。  航行安全対策にお触れになりました。  海上自衛隊の艦船も海上交通安全法規を遵守して航行しなければならないことはもちろんでございます。今回の事故の例にもかんがみまして、航行安全対策を今後より一層徹底させていかなければなりません。  国民共通の海域という御指摘もありました。そのとおりであると思います。  米軍の艦船の航行に際しましては、海上交通関係法令を遵守して安全確保に万全を期しているものと私も承知しております。米側は、今回のような事故があったことにもかんがみまして、改めて安全確保に万全を期するよう一層の徹底を図りたいとしておるところでありまして、政府としても今後とも米軍艦船の航行安全の確保について一層留意してまいりたい、このように考えます。  また、米原潜は横須賀、それから佐世保及び沖縄ホワイトビーチに寄港しておりますが、安全保障条約及び関連取り決めに基づきまして、原潜を含め米軍艦船の我が国の港への入港は、一般的に条約上の権利として認められておるところでございます。したがって、御指摘のように、いわゆる出入りの禁止を行うというようなことは考えておりません。  次に、リクルート株についてお触れになりました。  政治家やその関係者が行った取引につきまして、たとえそれが現行制度のもとでの経済取引であるということにいたしましても、国民感情として割り切れないものがあるという批判は、これをしっかりと受けとめまして、私を含む、李下に冠を正さずとの例えのとおり、政治家一人一人が十分心していくべきものであると思います。  なお、この問題につきまして、今、具体的な点についてお尋ねがございました。  先ほども黒柳議員にお答えいたしましたとおり、自己責任で行った個人的取引であるとはいえ非常に軽率でしたとの釈明を受けておりますが、質問通告を受けて、調査をいたそうとしておりますが、現段階で具体的な点を確認いたしておりません。  江副会長発言でございます。  このことは、どのような文脈であるかはわかりませんけれども、そういう報道があったことも私は承知いたしております。しかし、それぞれの個々のいろいろなケースがございますので、すべてを政治家だと、こう決めつけていくということには私は賛成をいたしません。  税制改革国民への理解の問題でございます。  税制の抜本的改革は、所信表明演説で述べましたとおり、現下の最も重要な課題でございまして、税制のゆがみを直し、国民が納得のできる公平で簡素な新しい税制を実現することが現下の急務である。したがってこの国会もお願いしておる次第でございます。だからこそ、税制改革関連法案につきまして十分な御審議を賜りますことをお願いいたす次第であります。  それから、選挙公約違反でございますとか財政再建決議等々、また最後にもお述べになりましたが、いわゆる選挙等についてお触れになりました。  どんなに苦しくとも、時代の変化に即応して、各種の政策課題に対する民意が那辺にあるか、これを模索しながら政策を実現していくということが責任政党としての務めである、私はこのように考えております。  さきの選挙の際の中曽根前総裁発言を踏まえまして提案をいたしました売上税の廃案といった事実の上に立って、謙虚にその反省の上に立ってまさに税制改革案を取りまとめ、提案したわけでございます。  また、いわゆる昭和五十四年の国会決議、当時も私は大蔵大臣でありました。したがって、その趣旨等については十分私も承知いたしておるところでございます。その手順に沿って種々検討し、今日に至ったわけであります。  それから、まさに究極的に申し上げますならば、それこそこの消費税導入ということを含む税制改革の実現、これが現下の急務であるという認識の上に立っておりますから、どうか十分な御審議をちょうだいしたいと思います。  なお、選挙によって選ばれた議員の任期というものは、君はこう言うだろうと、こういう前提の上に立っての御質問がございましたが、これは何回聞かれましても、この国民から与えられた任期というのはそれこそ大事に大事にしなきゃならぬ問題だと、このようにいつも申し上げておるとおりでございます。  さて、生活問題について、牛肉、かんきつにお触れになりました。  今回の交渉において、佐藤農水大臣を初めとする関係者が粘り強い交渉をしてまいりました。 まさに共同作業によってその決着を見たわけであります。我が国としては、輸入数量制限をめぐる厳しい世論とか我が国が置かれておる国際的な立場、ぎりぎりの決断をいたしました。今後、牛肉、かんきつの生産の存立を守るという基本的な考え方に立って国内対策等を講じてまいります。  輸入農産物の安全性確保ということについてもお触れになりました。  輸入農産物の安全性確保、これは重要な課題であります。輸入農産物の残留農薬についての情報収集に努めまして、基準の整備を図るなど輸入農産物の安全性の確保に努力してまいることは当然のことであります。  それから、自治体の国庫補助負担率にもお触れになりました。  この暫定措置は、期間終了後における国庫補助負担率の取り扱いについて、これまでの経緯や措置の性格を踏まえまして、諸情勢の変化、それから国と地方との役割分担、そして財源配分のあり方、これらを勘案しながら適切な対応をしてまいります。  それから、生活保護問題について事案の概要を申し述べながら御質問がございました。  生活保護は国民生活の最後のよりどころとなるものと認識いたしております。今後とも、必要な方には必要な保護を確保する、これに万全を期するのは当然のことであると思います。  そこで、この生活保護問題について、消費税の関連についてお触れになりました。  これはいつも申し上げているところでございますが、消費税は物やサービスの価格を通じて消費に広く薄く負担を求めるものでありますので、生活保護世帯などにも負担が及ぶことはこれは御指摘のとおりであります。しかし、生活保護世帯など真に手を差し伸べるべき方々に対しては、施策において、消費税導入によりましての物価への影響が生じる場合等、これは適切な配慮を行うこととしておりますので、したがってその税制だけを考えるのではなく、歳出を伴う全体でもってこれを判断していただくべきものであると、このように考えておるところであります。  それから、軍縮特総演説について御批判をいただきました。  言うまでもなく、核兵器の廃絶は我が国の究極的目標であります。しかし、このためには、核兵器を含めた力の均衡に基づきます抑止によって今日の国際社会の平和と安定が保たれてきたという現実を踏まえて、均衡を維持して安定を崩すことなく、確実な保障のもとに核兵器が削減されていくよう粘り強い交渉が行われることが必要だと、こういう考え方に立っております。究極的核廃絶というのはその結果として初めて実現するものであるというふうに考えております。私が演説いたしました基本的考え方もそこにあるわけでございます。  さて、御指摘の国連決議は、すべての国、特に軍事超大国に対して軍事費に関する自己抑制を行うこと等を要請するものであります。このような趣旨は、各国の安全保障を損なうことなく軍備の水準を可能な限り引き下げるとの我が国が従来より主張してきております軍備管理・軍縮の考え方にも一致するもので、賛成をいたしたものでございます。  他方、我が国の防衛力整備は、憲法及び基本的防衛政策を踏まえまして、我が国が平時から保有すべき防衛力を定めました防衛計画の大綱、これに従って進めておるものでございますので、これは国連決議と矛盾するということは全くございません。  それから、イージス艦の取得問題にもお触れになりました。  イージス艦の性能、能力については、米海軍の実績もありまして、また米海軍からの累次の説明によってこれは確認済みであります。同艦は、我が国の海上交通の安全確保にとっての近年の経空脅威増大に対して効率的に対応する必要があるためその導入を図るもので、見直す考えはございません。  それから、きょうもまた消費税と軍事費の関連についてお触れになりました。  もとより所得、消費、資産等の間で均衡のとれた安定的な税体系を構築するというのが税制改革でございますので、これが歳出の間において軍事費と連動する、こういう考え方は私どもの全くとらないところでございます。  以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣石原慎太郎君登壇拍手
  18. 石原慎太郎

    国務大臣(石原慎太郎君) 衝突事故部分的状況に言及しての御質問でございましたが、今回の事故全般について、現在、海上保安庁が厳正かつ公平な捜査を実施しているところでございまして、現時点で関係者の過失の有無等について言及することは差し控えたいと思います。  また、政府としては本件は極めて重大な事件であると認識しており、現在、海上保安庁がその刑事責任の有無を明らかにすべく、何に遠慮することもなく、厳正かつ公正な捜査を実施しているところでございます。(拍手)    〔国務大臣林田悠紀夫君登壇拍手
  19. 林田悠紀夫

    国務大臣(林田悠紀夫君) 今回の第一富士丸潜水艦「なだしお」の海上衝突事故につきましては、現在、横須賀海上保安部におきまして捜査中と承知しておりまするが、横浜地方検察庁におきましても、今回の事故の重大性にかんがみまして、担当検事を指名して、横須賀海上保安部と緊密な連絡をとりながら、実況見分に立ち会わせるなど所要の措置を講じているところでありまして、今後とも厳正な捜査を行うものと存じております。(拍手)    〔国務大臣瓦力君登壇拍手
  20. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 自衛隊潜水艦と民間船舶の衝突事故責任についてのお尋ねでございますが、私は、今回の事故において多数のとうとい人命が失われたという事態の重大性については十分認識いたしております。残念、痛恨のきわみであります。  今回の事故の原因につきましては、海上保安庁、海難審判庁等において調査が行われておりますが、被害者に対する補償につきましては、これらの調査の状況を見きわめつつ、適切に対処していく所存でございます。  なお、刑事責任の問題につきましては、司法当局の判断にゆだねるべきことと考えております。(拍手)    〔国務大臣宮津喜一君登壇拍手
  21. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほどもお答え申し上げましたが、リクルートの問題について御指摘のような発言が報道されましたことは私も承知をいたしております。本件については、私の事務所がもっと事を重く考えて処理すべきであったと考えておりまして、その点慎重を欠いておりまして、私としては、監督者として責任を感じております。今後注意をいたします。(拍手
  22. 藤田正明

    議長藤田正明君) これにて午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ─────・─────    午後一時二分開議
  23. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  国務大臣演説に対する質疑を続けます。山田勇君。    〔山田勇君登壇拍手
  24. 山田勇

    ○山田勇君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、総理の所信表明に対する質問を行うものであります。  まず、質問に先立ちまして、先月西日本を中心とする集中豪雨の被災地の方々に対しお見舞いを申し上げますとともに、政府に対し災害対策の充実を求めるものであります。  また、先月二十三日に発生した第一富士丸と海上自衛隊潜水艦衝突事故につきましては、亡くなられた方及び御遺族に対し謹んでお悔やみを申し上げます。  今回の事故及び事故直後の自衛隊対応は、これまで国民の間に培われてきた自衛隊に対する信頼を大きく損ないかねない重大な問題であります。その意味でも、これからの政府対応が極めて大切であります。事故原因の徹底解明と再発の防止はもちろんのこと、補償を含めた適切な処置を政府に強く要求する次第であります。  さて、現在、我が国国民生活は以前と比べて確かに豊かになりました。GNP、国民総生産が世界第二位という経済大国であり、給与所得水準も世界のトップになっております。しかしながら、企業大国、生活小国などと言われるように、個人個人の生活がそれに見合ったものではなく、むしろ他の先進国に比べ食料費は高く、住居は狭く遠く、労働時間も極めて長いなど、多くの問題が残っております。  今後政治に求められる最大の課題の一つは、いわゆる経済だけではなく、生活の面でも先進国となるということであります。日々の暮らしが豊かでゆとりあるものでなければなりません。そのためには、戦後国民が懸命に働き、築き上げてきた現在の繁栄、経済力の成果を国民全体に、すべての人々に公平、公正に還元し、分配することであります。その具体的なルールづくりを急がなければなりません。  そこでまず、円高差益の還元、内需の拡大を一層推進することであります。内需拡大についてはその成果が徐々にあらわれているようではありますが、これは国際的な公約でもあり、今後一層の拡大を図るため、政府としては規制をさらに緩和すべきであります。また、好景気でだぶついていた資金を、内外の土地や株の投機に向かわせることなく、都市基盤の整備や住宅建設などの国民生活に実際に役立つものに向かわせるよう政策的に誘導しなければならないと考えますが、その点、総理はいかがでしょうか。  次に、労働時間の短縮の問題であります。  もし週休二日制が完全に実施された場合、GNPが五兆円ふえるという試算もあります。労働時間の短縮は、ゆとりある国民生活のためにも、ひいては内需の拡大のためにも早急に実現をしなければなりません。総理政府としての取り組み方、実施の具体的なスケジュールをお聞かせください。  次に、税制改革についてお尋ねをいたします。  竹下内閣は、今国会において消費税導入を柱とした税制法案を成立させようとしておりますが、これまでの税制論議を振り返ってみるとき、政府はいかにして税金を取り立てるかという徴税の理論ばかりが先行し、税金を取り上げられる国民の立場を余りにも軽く見てきたのではないでしょうか。  何よりもまず、国民が納得のいく税制でなくてはなりません。その場合、不公平の是正が第一の問題となります。ところが、医師優遇税制についても実質優遇は温存されたままになっており、宗教法人を含めた特殊法人に至っては手つかずのままであります。  一方、納めた税金がどう有効に使われているか、会計検査報告などを見ても、毎年数多くのむだ遣いが指摘されております。石油ショックだ、円高ショックだと、過去においていろいろなことがあるたびに、民間では徹底した合理化を行い、その苦しい中で企業は倒産を食いとめてきたのであります。また、国民が必死になって税金を納めているのに、高級官僚たちが特殊法人に天下りをして数年で何千万円という退職金を受け取っている、このような状況も一向に改善されていないではありませんか。  行政改革は多くの課題を残したままで、なお一層の改革が必要と言わざるを得ません。消費税導入国民に求める前に、行政府みずからが骨身を削り、税のむだ遣いを正し、効率化に努めなければなりません。そのためには、行政改革五カ年計画を策定し、改めて行革に積極的に取り組む姿勢を示すべきであります。総理決意のほどはいかがでしょうか。  さて、総理は、税制改革を行う理由の一つに高齢化社会への対応を挙げておられます。確かに、今後高齢化が一層進むに伴い、老後の生活の安定は重要課題であります。それにはまず福祉ビジョンを策定し、年金、住宅、医療など老後に不安を持つ国民のすべてに安心感を与えることであります。そのことなくして、国民の皆さんに税金を負担してくださいとつじ説法で幾ら訴えても、理解は得られないのではないでしょうか。  さらに、税金の問題と並行して、社会保険料のあり方についても議論をしなければなりません。ここにサンプルがございます。現在、中小企業に勤める平均的サラリーマンの世帯が負担する税と社会保険料の割合は、一対二であります。今後は社会保障費の増加を増税でやるのか、社会保険料の増額で補うのか、出ていく財布は同じでも意味が違ってまいります。老後の生活がどのように保障されるのか、国民一人一人の負担がどのようになるのか、こうしたことをはっきりさせるのが政府責任であると考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。  次に、教育問題に移ります。  去る七月八日、東京目黒区で、中学二年生が両親と祖母を刺し殺すというまことに痛ましい事件が発生いたしました。思春期の子を持つ親だけでなく、社会的にも重大な事件であったと思います。最近の子供たちの心の荒廃を示す例としては極端過ぎるかもしれませんが、私たちの子供のころと比べると、現代の子供たちが置かれている環境は、物が豊かで一見大変恵まれているように見えます。しかしその中で、親と子や教師と生徒との温かい心の触れ合いとか、命のとうとさを語り合う機会が次第に失われているのではないかと思うのであります。昔、家貧しゅうして孝子出づという言葉がありました。そういえば、親孝行というような言葉を聞くこともほとんどなくなりました。  また、最近のNHKや民放でも、一日じゅう何度となく円相場が上がった、下がった、株がどうなったとか、くどいほど放送しています。一般国民の日常生活にどれだけ必要性があるのか疑問に思えるのであります。もちろん経済の動きを知ることは大切なことでありますが、これも社会全体が物中心、金万能主義に陥っている一つのあらわれではないでしょうか。心の豊かな子供たちを育てるために、親も学校も社会も、教育ということについてもう一度原点に立ち返る必要があると思われますが、総理はどのように思われますでしょうか。  次に、政治倫理の問題であります。  政治倫理の確立が叫ばれてから既に久しいものがあります。にもかかわらず、政治家国民から信頼され尊敬されるという状況は一向に生まれておりません。リクルートコスモス社の非公開株譲渡や明電工事件に見られるように、政治家には常に金の問題、ひいては汚職腐敗の疑惑がつきまとっております。一般の国民が額に汗して得たお金にはがっちりと税金がかけられ、一方、値上がり確実の株で莫大な金をもうけた政治家は税金をびた一文も払わないで済む。こんなことでは、国民としていかに納税の義務があるとしても、余りにも納得がいかないのではないでしょうか。  総理は、江戸時代の思想家石田梅岩の言葉を引用し、消費税導入に対するかたい決意を述べられましたが、梅岩の別の言葉をここに申し上げます。「上に立つもの下よりまいない受けて政道立つべきや」というのがあります。御存じでしょうが、総理の御感想と御見解をお聞かせください。  政治に金がかかる、選挙に金がかかる、そのために金づくりが大変だとよく言われます。参議院議員選挙でも、全国区制度に金がかかり過ぎるということで比例代表制が導入されましたが、その結果はどういうことになっていますか。選挙に金がかかるのではなく、かけ過ぎるのが問題ではないでしょうか。それは政治家各人の良識にまつほかはないとも思いますが、総理はどのようにお考えでしょうか。  また、我が国政治資金規正法がアメリカ等に比べて甘過ぎると言われておりますが、アメリカでは年に四回収支報告の提出が義務づけられ、不動産の売買はもちろん、二百ドル、日本円にして 約二万六千円以上の寄附はすべて氏名、金額、日時などを記載しなければならないほか、百ドル以上の所得、贈与、謝礼、また同じく千ドル以上の株式売買などはその出所、期日、金額等漏らさず報告をしなければなりません。政治家の資産公開は我が国と比べられないほど徹底しているのであります。政界における自浄作用がはかばかしくなければ、やはり政治資金規正法を厳しく見直し、政治家の資産公開をより厳正にするなど、国民に実態を示すことが政治に対する信頼を取り戻す近道ではないかと考えます。総理の御所見はいかがでしょうか。  最後に、国際問題についてお尋ねをいたします。  振り返ってみますと、第二次大戦後四十数年、戦禍の中から今日の経済大国と言われるまで繁栄、発展をしてきたのは、戦争に巻き込まれることなく平和を保ってきたからであります。それは国民の英知と努力によるものであることは言うまでもありませんが、世界の平和が大枠として東西の軍事バランスにより維持されてきたことも見逃せない事実であります。そのような中で経済繁栄をなし遂げた我が国は、平和の最大の受益国であるとも言えるのであります。  最近の米ソの核軍縮の進展や、アフガニスタンからのソ連軍の撤退、またイランの停戦受け入れ表明、カンボジア和平会議の開催など、紛争の解決、世界平和に向けて大きな動きが始まりつつあります。今こそ我が国としては、こうした動きを定着させ、世界平和の確立に積極的に貢献しなければなりません。  そのため経済協力の拡充は当然のことでありますが、私が特に申し上げたいのは、人材の派遣の問題であります。  よく、日本は何でも金さえ出せば事足れりと考えていると国際的に批判を浴びています。海外青年協力隊、国際緊急援助隊、各種国際機関の要員、さらには国連の停戦監視団、その他あらゆる分野に日本人が進出して貢献できるように政府として積極的に取り組むべきであります。単に金を送るだけではなく、世界平和のために日本人も汗を流すことが国際間の交流また信頼関係を強めることになると考えます。  我が国の経済繁栄と世界平和、また、これからの日本のとるべき針路について総理決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇拍手
  25. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) まず、西日本の災害復旧のためには全力を挙げることをお誓いいたします。  次に、潜水艦と民間船舶の衝突事故の問題であります。  多くのとうとい生命を失い、まことに痛恨のきわみであります。政府といたしましては、今後事故原因を速やかにかつ徹底的に究明いたしまして、事故再発防止に全力を尽くす考え方でございます。  事後対策こそ重要だとおっしゃっていただいた意味は、私どもにも痛いほどわかります。そして、それだけに具体的には、補償の問題にもお触れになりました、被害者の方々に対する補償につきましても、事故原因調査結果を踏まえ、適切に対応していくつもりでございます。  さて次に、企業大国、生活小国から生活大国に進めるべきだ、こういう御意見でございます。それに当たっての規制緩和についての御所見をお述べになりました。  民間経済活動に対する公的規制を見直しまして民間企業が自由に活動し得る領域をより一層広げてまいりますことは、我が国経済の成長基盤を活性化させ、おっしゃったとおり、内需主導型の経済成長の定着を図っていく上で重要な課題であります。公的規制は、本来それぞれの目的を持って行われているものではございますが、社会経済の変化の中で常に見直しが行われるべきものである、このように考えます。  そのあり方につきまして新行革審で今御審議をいただいておる最中でございます。この答申をも踏まえまして、規制緩和の一層の推進を進めるべきである、このように考えております。  それに関連して、民間資金活用の問題にお触れになりました。  我が国経済の成長基盤を活性化させて豊かさを実感できる国民生活の実現を図る、これには民間活力を最大限活用していくことが喫緊の政策課題であります。政府としては、六十三年度予算におきましても民間活力が最大限発揮されるよう配慮しておるところであります。今後とも、御指摘のあった都市基盤の整備、住宅の建設、これら国民生活基盤の整備に民間資金を積極的に導入していく政策を立案し、かつ実行していくべきであると考えます。  労働時間の問題にお触れになりました。  労働時間の短縮は、先般決定いたしました新経済運営五カ年計画におきましても最も重要な課題の一つとして位置づけております。おおむね計画期間中に週四十時間労働制の実現を期す、このように書かれてありますが、そういうことであります。このため、完全週休二日制の普及促進を基本に、改正労働基準法の円滑な施行に努めるなど、労働時間短縮の積極的な推進に努めてまいる所存であります。  それから、行革五カ年計画と行革への決意について御指摘がありました。  行財政改革、これは行革審答申等によりまして、それを最大限に尊重して今日まで着実に行ってきております。今後とも、改革に対する努力をいささかも後退させてはなりません。  行財政改革の中期計画を示せ、それが五カ年計画という御趣旨であると思いますが、国民の必要とする行政サービスの水準は、毎年度の予算編成過程等を通じて決定して国会の御審議をいただくべきものでありまして、内外の経済社会情勢が流動的な中で、行財政についてのみ将来を先取りして拘束性のある具体的な計画を示しますことについてはいろいろ困難な問題もございます。しかし、国民の理解と協力を得て税制改革を実現するためにも、行財政改革を一層推進する必要があるということについては御指摘のとおりであります。したがって、今後、行財政改革の方向を示していただきました新行革審の意見等を踏まえまして誠意を持って検討し、進めなければならぬ問題だと思っております。  徴税という立場よりも、いわばタックスペイヤーの立場に立って物を考えろということから、重ねて福祉ビジョンの策定についてお触れになりました。  今後の長寿社会の対策の指針として、昭和六十一年、長寿社会対策大綱を閣議決定して、これに沿って各種施策を推進してきておりますが、ことしの三月に、二十一世紀初頭における社会保障を展望していただくために、人口の高齢化状況や社会保障の給付と負担見通し等について明らかにいたしました。  これについては、いつも御批判をいただいておりますことは、現行の制度、施策をそのままの前提であるではないかということでございます。そういうことも確かにございます。したがって、いろいろこれからなお御趣旨に沿うような工夫、検討を進めていかなければならぬということを考えておりますので、これについての御協力もお願いしたいと思います。  次に、教育問題について、原点に返れ、こういう御趣旨であります。  科学技術の進歩でございますとか経済の発展は、物質的な豊かさをもたらした反面、最近の児童生徒の生活行動や意識に大変な変化を及ぼしておる、このように思っております。昨年末の教育課程審議会の答申は、このような認識に立って、豊かな心を持ち、たくましく生きる人間の育成を図ることなどをねらいとして、道徳教育の充実、体験的学習の重視などが提言されておるところでございます。こうした答申を踏まえまして、ただ学校だけでなく家庭、地域の連携、そういうことを図りながら次代を担う心身ともに健全な国民の育成に努めてまいる、このような考え方であります。  次は、有価証券譲渡益課税にお触れになりました。  いわゆる有価証券譲渡益は、譲渡者が政治家であれだれであれ、原則非課税というものでありましたのを、今回の税制改革におきましてはすべて課税する、原則課税、こういうことになったわけであります。このことも負担公平の確保を図るための一環でございます。したがって、今後ともこの問題については御議論を賜りたいと思っておるところであります。  次が、私が所信表明で引用した石田梅岩先生言葉でございますが、これは私どもの先輩がよく演説でお使いになっておることを学生時代に承知しておりまして、私が使った言葉でございます。今引用された言葉は、その出典につきましては正確に承知しておりません。しかし、いつの世でも政治に身を置く者として当然心得るべきものという率直な印象を持ちましたことを申し上げます。  選挙に金がかかるというところから政治資金問題にお触れになりました。  今日、政治に金がかかる、選挙に金がかかる、これは否定しがたい現実であると私自身も同じ認識を持っております。今日の政治において重要なことは、政治を一般国民により身近なものにし、また多くの国民が主体的に参加できるようにすることである、こういうふうに私も考えます。これを効果的に行おうとするとどうしても政治に金がかかるという状態はある程度避けがたい問題である、このようにも思います。だから、無理な資金集めをするとか、そしてそれが国民の信頼を失う結果になるとか、そういうことであってはなりません。実効あらしめるための政治資金規正法の改正、あるいはこれを厳しく見直していく。そして、今おっしゃいました資産公開でございますとか、いろいろな主張がございました。これらこそ国会内で御議論を重ねていただくべき課題ではなかろうか、このようにいつも考えておるところであります。  さらに、平和の最大の受益国である我が国はと、こういう前提に立って世界平和のための人材派遣にお触れになりました。  我が国は、国際社会に積極的に貢献していくとの認識のもとで、経済協力の分野と並んで、先般、平和のための協力、これを推進していく考え方を発表いたしたところであります。資金面のみならず要員の派遣を通ずる協力を進めていこう、こういうことであります。  この一環として、まずアフガニスタンにおける国連の監視活動、これに対しまして要員を派遣することにいたしましたが、今後国連等の平和維持活動に対して可能な範囲で協力を行っていこう、これは当然のことであります。また、青年協力隊に対しての評価をいただきましたが、これらの活動を進めていくことはもとよりのことであります。  そこで、日本のとるべき指針とは何ぞや、こういうことでありました。  国際社会の平和と繁栄は日本の生存と発展の基礎であります。我が国は、今や国際秩序の主要な担い手の一人として、我が国の豊かさを世界の平和と繁栄のために率先して生かしていくことが肝要であると心得ます。  具体的には、西側先進民主主義諸国との連帯の強化と協調の強化、そして二番目にはアジア・太平洋諸国との友好協力関係の増進、三番目には平和と軍縮の推進、四番目には世界経済の健全な発展への貢献、五番目には開発途上国の安定と発展への協力、これらの課題について積極的に取り組みまして、御指摘のありました「世界に貢献する日本」、この考え方で平和のための協力、そして文化協力政府開発援助の拡充、この三つの柱から成ります国際協力構想というものをこれから推進していこうと。御協力のほどをお願いいたします。  以上でお答えを終わります。(拍手)     ─────────────
  26. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 梶原敬義君。    〔梶原敬義君登壇拍手
  27. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、竹下総理並びに関係閣僚に対し質問を行ってまいります。  まず、私は冒頭、総理の所信表明演説に対して、具体的質問に入る前に、率直な見解を一言申し上げておきます。  総理、あなたは消費税導入に身命をささげると述べ、強い決意を表明されました。もともと、国民が望む税制改革不公平税制の是正でありました。しかし、総理は、不公平税制の是正に関しては言葉が少なく、かつあいまいであり、全く決意がうかがえません。総理が進めようとしている税制改革は、まるで木の葉が沈んで石が流れるの言葉のとおり、道理に反したひどい強弁であります。  あなたは、つじつじに立ってでも消費税導入について訴えたいとおっしゃっていますが、前総理やあなた方が絡んだリクルート関連株事件のことは全くそっちのけにして、大衆を前にしたつじ説法を実際に行えますか。それはできないことでしょう。いかがですか。人もまともに聞いてくれませんよ。  さて、総理、あなたは昨年の本院本会議において、憲法改正を政治日程にのせる考えは全くないと言明されました。当然のことであります。今日我が国が繁栄の時代と高い国際的地位を享受している背景には、主権在民、基本的人権、平和主義を制度として保障してきた世界に誇れる憲法があったことを決して忘れてはなりません。  憲法第九十九条には、国務大臣国会議員、裁判官その他の公務員は憲法を尊重し擁護する義務を負うことが特に明記されております。しかし、竹下総理には、一々事例を指摘しませんが、この九十九条に反する言動や行動が多々見受けられるのであります。いま一度、総理の憲法に対する基本認識をしっかりと承りたいのであります。  あわせて、我が国の国是となっている、核兵器をつくらず、持たず、持ち込まずの非核三原則をしっかりと守っていくべきだと考えますが、いかがですか。  次に、我が国の豊かさと地方の問題について、総理がどのような認識を持っておられるか、お尋ねいたします。  我が国の一人当たり国民所得は、円高等によって統計上はアメリカを抜き、また世界一の債権大国となっているにもかかわらず、国民の暮らしは、狭くて劣悪な住宅、円高メリットの生かされない高い生計費、長い労働時間等に象徴される生活小国であります。しかも、土地や株式等の資産インフレによって新たな不公平と所得格差が拡大し、首都圏のサラリーマンは、生涯の賃金を注ぎ込んでも一軒の家すら持てないという絶望的な状況に追いやられております。一方、過疎地に住めば職場がなく、収入が乏しいのであります。  我が国国民は、果たして豊かなのか貧しいのか。東京で見るのか地方で見るのか、どの階層で見るのか。見方によって全く違った結論が導き出されます。あるいは物の豊かさだけでなく、生活のゆとり、心の豊かさが非常に大切な要素であります。子供たちを取り巻く最近の不幸な事件は、受験競争、学歴偏重の社会のあり方に警鐘を鳴らすものであります。  総理の、豊かさに対する現状認識はどうか。また、住宅問題を初め豊かな国民生活の実現に向けてどのような具体的手法で臨もうと考えておられるのか、明らかにしていただきたい。御所信を伺います。  総理が対外公約と位置づけている貿易不均衡是正のための産業構造調整は、農業や地場産業等に甚大な打撃をもたらし、これら産業に依存する地方経済に深刻な傷跡を残しております。一方、サービス、金融等の情報・都市型産業は東京への集中を一段と強めており、まさに地域経済は二極分解にさらされているのであります。  特に厳しいのは、首都圏から遠く離れた九州や北海道等の地域であります。例えば東九州は、東京への往復航空運賃が五万円以上もかかる上、高速道路が一本もなく、大分から宮崎、鹿児島に向かうJR線はいまだに複線化されておりません。また、その見通しもありません。こういう交通の便の悪い地域ほど過疎化が進み、ますます厳しい状況に追い込まれています。一村一品運動に代表される地方の知恵と努力による頑張りも、もはや農産物の自由化や国内農産物価格の抑制等も加わり、限界にあると言っても過言ではありません。  かつて、神奈川県の長洲知事は地方の時代と言われましたが、大分県の平松知事は地方の時代は終わった、今や地方試練の時代だと言い始めました。それが最近になり、熊本県の細川知事は試練の時代はもう終わった、今や地方反乱の時代だとさえ言っているのであります。  今、竹下内閣のなすべきことは、ふるさとの荒廃をもたらした中曽根政治継承の政治姿勢を改めることであります。私は、今述べてまいりました二つの不均衡を解消し、豊かな国民生活の実現のために、まず地方経済が持てる力を出し切れるような総合地域開発政策を何よりも優先して実行に移すべきだと考えます。いかがですか、お尋ねいたします。  また、例えば地域的におくれている東九州と四国西部を活性化するために、大分県と愛媛県を結ぶ豊予海峡トンネルの実現に向けて早急に取り組みを開始すべきだと考えます。国土の均衡発展を目指す竹下総理並びに建設大臣の積極的な御見解を承りたい。いかがでしょうか。  次は、農産物自由化の問題であります。  牛肉、オレンジ問題やガット十二品目の問題は、いずれもアメリカの強引な要求に竹下内閣が一方的に譲歩する形で決着いたしましたが、農家や地域経済に与える影響たるや極めて深刻です。私は、国会閉会中に大分県のミカン農家、畜産農家を精力的に訪ね、話し合ってきたのでありますが、農家の皆さんの政治に対する不信、憤りは非常に激しいのであります。苦しくともあすの農業、将来への展望があるならば、多少の我慢もできましょう。しかし、政府の農政には今やそれもなし。私が訪ねた農家の人たちは、これから農業を生かすのか殺すのか、どっちかはっきりさせてくれと叫ぶのであります。総理、この声がおわかりになりますでしょうか。  自由化によって多額の負債や過剰生産に苦しむ果樹・畜産農家を救済し、犠牲者を出さないためにも、国内対策を早急に実施すべきであります。日米農産物交渉における無残な敗北の償いとして、きめの細かな対応と必要な予算は緊急に別枠で対処すべきであります。いかがですか。  また、このような無原則な譲歩をこのまま続けていくことになれば、結局は米の自由化を許すことになるのではないか。日本の農業、国民の安全な食糧を守る上から、断じてそうさせてはなりません。大幅減反、米価の二年連続引き下げと米の自由化におののく稲作農家の不安をどのように解消するのか、総理並びに農林水産大臣に明確な御答弁を求めます。  最後は、税制改革についてであります。  既に昨日、同僚の野田議員から、消費税導入に対する公約違反の問題、不公平税制の見直しあるいは所得税減税など、我が党の見解の表明と問題点の指摘が行われておりますので、ここでは多くを申し上げません。  しかし、消費税はまさに悪税であります。空気以外のあらゆる商品やサービスに税金をかけようとするものであります。赤ちゃんのミルク代や子供の学用品から寝たきり老人のすべての生活の部面に至るまで、まさに揺りかごから墓場まで税金を取ろうとするものであります。しかも消費税は、消費者に税の痛みを感じさせないで取り、三%の税率は容易に引き上げられる。また、税額を価格転嫁できない中小企業や農業の方々は自腹を切ってでも税金を納めさせられる。あるいは所得の少ない人ほど所得に対する税負担の割合が高くなるという極めて強い逆進性の問題など、新たな不公平税制をつくり出すという多くの重大な欠陥を持っているのであります。  そして、消費税で集めた税金の使い道たるや、ペルシャ湾でイランの民間航空機を撃墜した一隻一千二百億円もするイージス艦や一隻三百億円もする潜水艦を買うのか、社会保障や社会資本の充実に充てようとするのか、全く不明であります。あたかも高齢化社会の到来がすべての財源を必要とするような意図的な政府の宣伝は、国民を欺くものであります。  さらにまた、ここで指摘をしておかなければならないのは、六十二年度の税の自然増収が当初予算で見込んだ額を大幅に上回り、実質で七兆四千億円を超える巨額に達していることであります。何と、税収全体の二〇%近い見込み違いであります。五期も大蔵大臣を務めた竹下総理宮澤大蔵大臣という財政通の両ベテランがそろっていながら、これは一体どうしたことでありますか。財源不足を殊さらに強調し、大型間接税を導入するための意図的な布石だったとしか考えられないではありませんか。これほどまでに税収見積もりの過ちを犯した原因は一体どこにあり、責任はどこにあったのですか。総理大蔵大臣見解をしかと伺います。  総理、あなた方はちょうど二年前の衆参同時選挙で、大型間接税、つまり今回の消費税のような税制導入することはしないと公約なさってきたのであります。よもやお忘れではないでしょう。また、リクルート関連会社から株式の譲渡を受け、莫大な利益を稼いでいたのは一体だれでありましょう。ほかならぬ政府自民党のリーダーの方々ではありませんか。この不公平を正さずして何が税制改革かということであります。  率直に申し上げましょう。総理が今臨時国会に提案し、成立をもくろんでいる税制改革案なるものについては、そもそも政府自民党には提案する資格のないことが明瞭であります。したがって私は、消費税導入を盛り込んだ税制改正案なるものの国会提案を直ちに撤回なさるように強く要求いたします。どうしてもそれが無理というのであれば、衆議院を解散して国民に信を問うというのが筋ではないでしょうか。総理国民の心を心とするというのならば、今こそ国民の声が正しく政治に反映されなければなりません。総理の賢明なる御答弁期待いたします。  最後の最後になりますが、これまでの総理答弁を聞いておりまして、ぜひ重要な二つのことについて総理責任を明確にしていただかなくてはなりません。  一つは、潜水艦衝突事故に対する責任の所在であります。  総理は、痛恨のきわみと再々語っていますが、なぜ率直に謝らないのですか。原因究明が進むにつれて潜水艦の非は動かしがたいものになってきているではありませんか。総理はいつの段階で被災者やその家族に謝罪するのですか。明確にしていただきたい。  もう一つは、リクルート関連株事件であります。  我々が問いただしているのは、疑惑を招いている一人である総理自身にかかわる真相究明と責任についてであります。一部その非を認めた宮澤大蔵大臣に比べて、総理には全く反省がありません。総理国民に謝罪する気持ちはないのか。総理の信頼する元秘書リクルート会長江副氏との関係はどうなっているのか。あるいは売却益は幾らか。また、竹下事務所にその売却益が入れられているのかどうか。私は、江副リクルート会長はもちろん、疑惑を招いている総理並びに宮澤大蔵大臣を予算委員会等に証人として出ていただき、全容解明に全力を尽くすべきと考えます。竹下総理並びに宮澤大蔵大臣は、証人喚問に応ずる用意はありますか、お尋ねいたします。  以上をもちまして私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇拍手
  28. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) まず、税制改革に対する御質問が最初でありました。木の葉が沈んで石が流れる、こういうことであってはならないという御趣旨であります。  税制の抜本的改革は、所信表明演説で申し述べましたとおり、現下の最も重要な課題でありまして、税制のゆがみを直して国民が納得できる公平で簡素な新しい税制を実現する、これが現下の急務である。それでこそ臨時国会をお願いすることにもなったわけであります。今後、税制改革関連法案につきまして、国会でまさに十全な御審議を賜りますことをひたすらお願いする次第であります。  次に、憲法問題にお触れになりました。  憲法の基本的原則であります民主主義、平和主義、基本的人権の尊重等の理念を高く評価して、この理念を将来にわたって堅持すべきものと、この考え方は同じくいたしております。  ただ、私に対する御懸念が仮にあるといたしますならば、私どもがかつて若いとき、例えば憲法八十九条、公の支配に属せざる慈善、宗教、教育等に公金を支出してはならないとか、あるいは本院においてもいろいろ御議論をちょうだいします旧憲法、他の国の基本法等に比べまして暫定予算制度というものに対するいろいろな懸念があるとか、そんな勉強をするのは結構じゃないかと、こういうことをいつも申しておるのでありまして、基本理念は全く等しくいたしておると思っております。  それから、非核三原則の問題でありますが、これは歴代内閣によって堅持されてきたものでありまして、今後とも堅持してまいります。  次に、豊かな国民生活の実現に向けての具体的手法、いろいろな御議論を交えてのお話でありました。  我が国においては、戦後の経済発展の結果、所得を初め経済的豊かさにつきましては、他の先進国に比肩し得る水準に達しているものと認識いたしておるところであります。しかし、今おっしゃいました住宅、社会資本の整備の状況あるいは労働時間、そして食べ物が高いこと、また余暇関連費用等に見られますように、いわゆる国民生活の豊かさそのものを実感させるというようなものに満たされていない要因が存在することも事実であると私も思っておるところであります。  そこで、先般策定いたしました新経済計画、これに示されておりますように、豊かさを実感できる多様な国民生活の実現に向けてこれらの課題の一つ一つに全力を挙げて取り組んでいく、これが基本的考え方であります。  そこで、総合地域開発政策というようなものも当然必要になってくるわけであります。東京一極集中を是正して、それこそ四全総の目標といたします多極分散型国土の形成を図って、豊かで住みよい地域社会の実現を図ることが内政上の重要課題だと私も思いを等しくいたしております。このために交通、情報・通信体系等これら地域づくりのための基礎的な条件を全国にわたって整備いたしますとともに、地域の資源や人材、そして技術力等を活用した産業の振興等地域みずからの創意と工夫、これを基軸として地域整備を強力に推進してまいる所存であります。  いろいろな知事さんのお言葉も御引用になりました。しかし、一村一品運動というようなものがやはり大きな一つの活力の源泉になっておるということは、私も常日ごろ評価しておるところであります。  また、いわゆる大分県と愛媛県の間の海峡トンネルの問題でございます。  これは私も昔建設大臣をしておりまして、昔といいましても明治時代ではございません、十数年前でございますけれども、話の内容を幾ばくか承知しております。当時議論をいたしましたのは、青函トンネルの水深とその海峡の水深がどうであるとかいうような技術的な問題もいろいろあったと思いますが、これについては建設大臣からお答えがあろうかと思います。  それから、自由化に対する国内対策をしっかりやれということであります。  本当に、今日緊急課題としてそれぞれの品目ごとにその検討を急いでおるという状態であることをこの際申し上げておきます。  そして、主食である米、この問題でございますが、まさに我が国農業の基幹作物であります米につきましては、生産性の向上を図りながら、国会における米の需給安定に関する決議、これが存在しておるわけであります、それを体して、国内産で自給するとの基本的な方針でこれからも対処してまいる所存であります。具体的にはこれも農林水産大臣からお答えがございます。  それから、税収の見込み違い、こういう問題でございました。  私も梶原議員に、一%は誤差のうちとかそんなことをお答えして、あのお答えはしなきゃよかったなあという反省をしたことも率直にございます。しかし、私どもは、やはり利用可能な資料の限界の中で最大限の努力をしてきたわけでございますので、これからも精度の向上等に努力してまいります。  したがって、少なくとも、消費税導入するための意図的な見積もり、見込み違いであったなどということは、全く当たらない御指摘だと思う次第であります。  さらに次には、解散して国民の信を問え、こういう御指摘でございます。  前総理・総裁の発言は私も承知しております。したがって、いろいろな経緯を踏まえまして、その反省の上に立って、国民の皆さん方の各界各層の意見を聞きながら検討を進めてきたのが今度の税制改革であるわけでございます。したがって、それこそこの与えられた任期の中で国民のニーズに可能な限り苦しみながら対応していくというのが、与えられた任期における私どものあるべき立場ではなかろうかというふうな考え方を持っておるわけであります。したがって、今解散をするなどという考えは私の念頭には全くございません。  それから、最後の最後と仰せられて二つのことの御指摘がございました。  私がいつも申しております多数のとうとい人命が失われたこと、これの一方の当事者が海上自衛隊潜水艦であった、こういうことからいたしまして、遺憾、痛恨のきわみでありますということが私のすべての心境を申し上げておる言葉にほかならない、このようにお考え賜りたいと思うのであります。  事故原因の問題につきましては、さらに徹底的な追求をいたしてまいることは事実であります。  次は、リクルート問題についてでございます。  お尋ねの私の元秘書の件につきましては、新聞報道がありました際、新聞社の取材に答えた後でございますが、私個人の取引であるとはいえ軽率であったという釈明を受けております。  したがって、現行制度のもとでの経済取引でありましょうとも、李下に冠を正さずとの教えのとおり、私自身を含め、厳粛に対応すべきものであると考えておるところでございます。  さてそこで、お尋ねの証人喚問という問題でございます。  これは、まさに国会において話し合いをいただくべき問題であるという基本原則に立っております。  昭和二十二年以来の経過につきましては、私も長い間そのような立場に国会議員としてございましたので、議院証言法問題でございますとか、あるいは昭和二十三年でございますか、隠退蔵物資摘発委員会等で発生した問題でございますとか、そのほかいろいろな議論がありましたことは個人としては熟知しておりますが、この証人喚問問題は、今行政府の立場にある私から申し上げるべきことではなく、国会における話し合いをいただく、こういう立場にあろう、このように考えております。(拍手)    〔国務大臣越智伊平君登壇拍手
  29. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 豊予海峡トンネルの問題についてお答えをいたします。  西瀬戸内海を中心とした広島県、山口県、大分県、愛媛県などの西瀬戸地域は一体となった経済圏を構成するものであります。本地域においては本州四国連絡橋等の基盤プロジェクトが整備されつつありますが、さらに交流の促進による活性化が期待される地域であると認識をいたしております。また、四全総においては、長期的な視点から、本州、四国、九州との広域的な圏域の形成を図るための交通体系について検討することとしております。  建設省といたしましても、関係省庁と協力して西瀬戸地域の総合的な整備計画に関する調査を本六十三年度より推進してまいる考えであります。  また、お話にございました道路網につきましては、九州横断道路あるいは東九州自動車道その他の道路、鋭意促進をしておるところであります。(拍手)    〔国務大臣佐藤隆君登壇拍手
  30. 佐藤隆

    国務大臣(佐藤隆君) まず牛肉、かんきつの自由化についてであります。  先般の日米、日豪合意が関係農家にとり極めて厳しい試練であることは十分認識しているところであり、今後、国内措置につき最大限の努力を傾注してまいりたいと思っております。  このため、厳しい競争条件のもとで、牛肉、かんきつ生産の存立を守りその体質強化を図っていくとの基本的考え方にのっとり、所要の対策を具体的にしていく必要があると考えております。現在、このような方向に沿って、牛肉につきましては、国内肉用牛生産の振興合理化を推進するため、肉用子牛の価格安定等に関する立法措置等所要の法制の整備について検討を進めるとともに、あわせて、当面懸念される価格変動等に対処するため、肉用子牛の価格安定、肥育経営等の安定、肉用牛の低コスト生産の推進、牛肉の流通の合理化等の緊急対策についても鋭意検討を進めているところであります。  また、かんきつにつきましては、需給及び価格の安定等を図るための緊急対策として、ミカン園の再編整備の推進、果汁原料用ミカン等の価格安定対策の拡充強化、果汁工場の設備の近代化、合理化、需要の拡大のための措置等を検討するとともに、国内かんきつ生産の競争力の確保を図るため、優良品種への転換、園地の整備等の推進を中心に鋭意検討を進めているところであります。  米の問題でございますが、米は日本国民の主食であり、我が国農業の基幹をなすものであること等その重要性にかんがみ、今後とも、国会における米の需給安定に関する決議等の趣旨を体し、国内産で自給する方針に変わりありません。  終わりに、我が国の稲作の今後の展望についてであります。  現在の稲作をめぐる情勢は、米の潜在的需給の不均衡が拡大する傾向にあること、内外価格差の縮小が強く求められていることなど、大変厳しい情勢にあります。こうした情勢のもとで我が国の稲作農業の将来を切り開いていくためには、さきの農政審報告にも示されているように、米の需給均衡化対策を推進するとともに、水田というすぐれて我が国の風土になじんだ生産資源を生かすとの観点から、稲作、転作作物等を組み合わせた水田の有効利用により、水田農業の総合的な生産性向上を図ることが必要であります。このため、土地基盤整備、担い手の育成、規模拡大や生産組織の育成、中核的施設の整備、技術の開発普及等により、二十一世紀に向けて生産性の高い水田農業を実現してまいる所存であります。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇拍手
  31. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 税収につきましてでございますが、昭和六十二年度の税収は、御承知のように株式、土地等いわば資産取引が非常に活発であったこと、あるいは円高差益も関係いたしたと思いますが、多分に一時的なと思われる要因を背景に企業収益が大変急激に上昇をいたしました。法人税を中心に大幅な増収を生じたものであります。  この六十二年度の税収でございますが、GNP弾性値は実に三・三三というまことに異常な弾性値でございました。過去十年間の平均は大体一・一ないし、一・二でございますので、三・三三というのはいかにも異常であったわけでございますが、しかし過小見積もりも過大見積もりもいずれも誤りでありまして、誤りであったという点では同じことでございまして、御批判は甘受しなければならないと思います。  これからの問題でございますが、どういうところが一時要因であったのかということを分析してそれを洗い出すということは一つ大事なことであると思っておりますが、他方で、我が国の経済が随分ここに来て体質が変わったのかもしれない。例えば、よくサービス化ということが言われますし、あるいは経済全般にハイテク化ということが言われます。為替の上昇もあったかと存じますし、国際化ということも急激でございますので、そういう新しい日本経済にどういう手法をとっていったら正確に税収が見積もれるかということを省内で、主管局の主税局ばかりでありませんで、少しよその考え方、よそと申しますか、その他の人々の考え方も入れまして実は検討を開始したところでございます。  どうも大変に見積もり違いをいたしました。ただ、これは決して消費税導入するための布石というようなことではございませんで、そんな知恵は働いてはおりませんので、その点はどうぞ、思いも及ばぬことでございます。  それからもう一つ、予算委員会におきまして証人として出るべきではないかというお尋ねにつきましては、先ほど総理がお答えになられました、国会におきましてお話し合いをしていただくべき問題であると考えております。(拍手
  32. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  33. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) この際、お諮りいたします。  昨二日、佐藤栄佐久君から議員辞職願が提出されました。  辞表を参事に朗読させます。    〔参事朗読〕     辞職願  今般一身上の都合により議員を辞職いたしたく御許可相成るよう御願い申し上げます   昭和六十三年八月二日          参議院議員 佐藤栄佐久   参議院議長 藤田 正明殿
  34. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 佐藤栄佐久君の議員辞職を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 御異議ないと認めます。  よって、許可することに決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時十一分散会