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1988-12-15 第113回国会 参議院 文教委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十二月十五日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  十二月八日     辞任         補欠選任      木宮 和彦君     岡野  裕君  十二月九日     辞任         補欠選任      岡野  裕君     木宮 和彦君  十二月十四日     辞任         補欠選任      久保  亘君     本岡 昭次君      高桑 栄松君     中野 鉄造君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         杉山 令肇君     理 事                 仲川 幸男君                 林  寛子君                 粕谷 照美君                 佐藤 昭夫君     委 員                 小野 清子君                 木宮 和彦君                 山東 昭子君                 田沢 智治君                 竹山  裕君                 寺内 弘子君                 柳川 覺治君                 本岡 昭次君                 安永 英雄君                 高木健太郎君                 中野 鉄造君                 勝木 健司君                 下村  泰君    国務大臣        文 部 大 臣  中島源太郎君    政府委員        文部大臣官房長  加戸 守行君        文部大臣官房総        務審議官     菱村 幸彦君        文部省生涯学習        局長       齋藤 諦淳君        文部省初等中等        教育局長     古村 澄一君        文部省教育助成        局長       倉地 克次君        文部省高等教育        局長       國分 正明君        文部省高等教育        局私学部長    野崎  弘君        文部省学術国際        局長       川村 恒明君        文部省体育局長  坂元 弘直君        文化庁次長    横瀬 庄次君    事務局側        常任委員会専門        員        佐々木定典君    説明員        人事院事務総局        職員局職員課長  武政 和夫君        大蔵省主計局主        計官       福田  誠君        文部大臣官房審        議官       熱海 則夫君        厚生省児童家庭        局母子福祉課長  炭谷  茂君        郵政省放送行政        局業務課長    團  宏明君        労働省婦人局婦        人福祉課長    堀内 光子君        自治省行政局公        務員部公務員第        一課長      石川 嘉延君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査  (幼児教育重要性とその対策に関する件)  (小・中学校のNHK受信料免除廃止問題に関する件)  (児童・生徒の登校拒否の原因とその対策に関する件)  (障害を持つ海外子女教育に関する件)  (高石前文部事務次官に関する件)  (私学助成制度の堅持・拡充に関する件)     ─────────────
  2. 杉山令肇

    委員長杉山令肇君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十二月十四日、久保亘君及び高桑栄松君が委員辞任され、その補欠として本岡昭次君及び中野鉄造君が選任されました。     ─────────────
  3. 杉山令肇

    委員長杉山令肇君) 教育文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 高木健太郎

    高木健太郎君 差し上げました質問の順序と少し違いますけれども、他の省庁の方もお見えになっておりますので、その関係の方面から御質問申し上げたいと思います。  最初に取り上げたいのは、幼児教育、それと家庭教育との関係をお尋ねしたいと思います。  御存じのように、これはレクチャー風になりまして甚だ恐縮でございますが、ここ五十年ぐらいの間、私が大学を出ましてから五十年ぐらいになるんですけれども、五十年ぐらいの間に、脳神経の科学といいますか、そういうものが非常に進歩をいたしまして、教育というものもそういう脳の機能であると思いますから、そちらのことを根底に置いて教育というのは考えなければならぬ時期にだんだん来ていると思います。  現在、文部省の管轄しておられる教育というのは三歳からですか、四歳からの幼稚園、そして小学校というふうに進んでいるわけでございますけれども、実は、子供胎児の七カ月ごろには皮膚の触覚あるいは圧覚といいますか、皮膚感覚がもう既にできておりまして、そういう意味では、最近流行しております胎児教育というものもこれ考えなければなりませんけれども、そこまで踏み込まなくとも、ゼロ歳から教育というものを念頭に置かなければならない。しかも私が強調したいのは、ゼロ歳から三歳、あるいは小学校に入る前に既にかなりの基本的な脳の構造あるいは機能ができておりまして、それまでにインプリントをされたものは将来その子供について回るものである。極端に言いますと、いわゆる七歳あるいはそれ以後に教育されたものは、それを修正するにとどまっておりまして、基本的なものを変えるということはできないといってもよい部分がある。全部ではありませんが、部分があるということを考えますと、ゼロ歳から七歳まで子供をどのように育てていくかということに今後さらに大きな努力と考慮を要するのであろうと私は思います。  子供が生まれましたときには、大脳の細胞は百四十億ぐらいございまして、この細胞の数は終生ふえることはありません。いわゆる脳細胞はもう細胞分裂をしないということでありまして、大人細胞の数と子供は全然変わりがないということでございます。二十歳で脳の配線はほとんど終わりまして、それ以後毎日十万ないし十五万個ぐらい脳細胞の数は減っているわけでありまして、私 なんか恐らくもう七〇%か八〇%ぐらいしかないと、こう思っております。ただし、細胞はふえませんけれども神経繊維による配線は、回路配線教育によって、幾らでもということはありませんけれどもかなり大きく変化していくものでありまして、それによって人間というものが完成していく。この配線は七十歳、八十歳になってもやはり続けられているのでありまして、生涯教育というものはそういう意味で私は大きな価値があると、こう思っております。  しかしながら、一方ではまた臨界期というものがございまして、ある機能はある時期を過ぎれば、これはもう後には戻らないという時期がございます。例えば目の視覚でございますが、視覚は大体人間では三歳ぐらいまでにいろいろなものができ上がってしまう。また、言語は七歳ぐらいまでにかなり部分ができ上がっている。こういうことは動物実験なり、あるいは人体の実験ではありませんが、そういう経験から結論をされているところでございます。例えばこれは人間ではできませんけれども動物を使って、生まれてからすぐに目をふさいでおく、全然物を見せないというふうにしておきますというと、その幼児は、あるいはその幼弱の動物は、それ以後その覆いを取ってやりましても、神経細胞なり目の器官は十分に発達しておっても物を見ることができない。また、片目だけをふさいでおきますと、後でそれを取ってやりましてももう見ることができないので、その動物立体感がない。あるいはまた猫を生まれてから縦じまだけの部屋に入れる、あるいは筒の中に縦じまを書いた部屋に入れる。そうやって育てた猫は、横の線は見えない。また横じまだけの筒の中に入れて育てるというと横じましか見えない、そういう神経細胞があるいは回線が発達しない、そういうことをやりまして、この実験結果はノーベル賞をもらった実験結果でありまして、かなり私は確かなものであろうと思っております。  このようなことで、それはしかし、我々成人になってから目をふさぎましても、それは目が見えないとか、あるいは縦じま部屋に三カ月ぐらい置きましても、それで我々は縦じましか見ることができない、縦しかわからないということはない。だから、ある時期にある状況に置かれると、それが一生ついて回るということであるわけです。これを臨界期と言って、それまでにやっておかなければならない教育といいますか、環境といいますか、その子供環境条件を整えておかなければ、それだけ欠陥のある子供が育っていくということが想像できるわけでございます。聴覚その他につきましても同じような実験結果が出ておりまして、我々大事なことは、ある機能についてはある時期までに何かをやらなければだめなんだということと、ほかのある機能は一生の間変えていくことができる、そういう可塑性と言いますけれども可塑性があるんだというこの二つをわきまえて教育というのは行われなければならない。そういう意味で、この臨界期のある機能につきましては、いろいろのものがございますので、幼児期あるいは小学校に入る前にかなりのものが必要であろうと思います。  例えば、猿を生まれてから一匹だけかごに入れて育てた猿と、大勢、まあ大勢というかたくさんの猿を一緒に入れて、そこに遊び道具を置くとかそういうふうに育てた猿とは、同じようにえさは十分に与えてやりましても、脳の発育に非常に大きな差がある。そしてまた体重の増加も非常に違ってくる。また性格も非常に違う。例えば一匹だけで育てると自閉的な猿ができる。自分を抱きしめるような行動をする。いろいろの変態的な行動をその猿はとるようになる。そういう実験結果も得られております。だから、ある意味で集団的に、そして広々とした遊び場があり遊び物がありというように、お互いのコミュニケーションを持った状態で育てることがいかに重要であるかということもわかるわけであります。  御存じのように、スキンシップというのがございますけれどもスキンシップは、いわゆる皮膚に当たるいろいろな刺激、さわる、押さえるあるいは抱きしめるとか、いろいろ皮膚に働く刺激がございます。これは先ほど申し上げましたように、既に胎生七カ月ぐらいでできておりまして、一番感覚器の中では早い部類に属します。例えば生まれた猿を、生後、針金でつくった人形に哺乳瓶をつける。もう一つはぬいぐるみの中にそれをつける。もう一つは、人間が抱いて育ててやる。こうしますと、哺乳瓶はあるけれども針金であるという猿は、全然ほかの猿と違いまして、やはり異常行動が起こってくるけれども人間が抱いて育てたやつはかなり部分は行きますけれども、猿の母親が抱いた猿とは非常に大きな差異がございます。こういう意味で、今まで言葉ではスキンシップと言いましたけれども、このスキンシップというものもその他のいろいろの実験からよくわかっております。  アメリカ人日本人とはいろいろ文化的に差がある、考え方が違う、アメリカ人は非常に個性的であるが、日本は集団的であるというようなことが言われておりましたり、あるいは日本人は非常に情緒的である、しかしアメリカ人は非常に理性的である、ロジカルである、こういうことをよく言われます。あるいは日本人は右脳である、右は情緒的な脳である、左は理性的の脳であると言われますが、日本人は左の理性的の脳の中に情緒的のものがまじっておって、日本人の物の考え方かなり情緒理性がこんがらがっている、混在をしている。こういう点がアメリカ人にはなかなか理解がしにくいということがありまして、これは漱石の小説にも「情に棹させば」というようなあの有名な文句がございますが、どうも日本人というのは情緒理性を分けてなかなか考えにくいという点もあるわけですが、それを「タッチング」といいましてモンタギューという人が書いた本でございますけれども、その中で、日本母親アメリカ母親子供の育て方というものがかなり大きく違っておって、アメリカ個性化であり日本は集団的であるというものの差はそこから出ているのではないか。添い寝をしてやる、あるいは兄弟一緒に寝せる、おふろは一緒に入る、寝室は一緒である、そういういわゆる日本家庭子供の育て方は、アメリカ家庭とは、あるいはドイツも見ておりましたけれどもドイツの育て方とは非常に違うんだ。これがそのような日本人らしい、あるいは日本独特の、いいか悪いかは別として、日本人らしい人間が育っていくのであろう、こういうことをこの「タッチング」に書いてございます。  こういう意味で、私は、生まれてからの育児環境というものをもっと重視しなければいけない。最近は日本家庭母親社会進出をするのが非常に多くなりましたし、また社会女性職場進出を求めております。あるいはまた、生活を豊かにするために母親は外に出て働かなければならないような状況にもある。そういう状況になりますし、ある程度欧米風幼児の育て方をしているという面も見られるわけでありまして、それは何の理由もなく、ただ欧米がよいという意味でそういうことを模倣しているようでございますけれども、どちらがよいかは別といたしまして、幼児教育というものを研究し、またこれを重視しなければならない時期に達しているのではないかと私は思うわけでございます。  さらに、アメリカでは御存じのように家庭の中に麻薬が入る、例えばコカインあるいはヘロインというようなものが入ってくる。あるいは離婚が、最近は少し減っているということでございますけれども離婚が多い。またフリーセックスであるというようなことで、エイズその他の感染につきましても非常に政府が心配している。あるいはまた、子供が早くからいわゆる妊娠をするとか、そういう行為がございまして、子供を通じた、あるいは大人子供関係からエイズというものが広がるのではないかということも心配をしているわけでございまして、先般の質問でも申し上げましたように、もう子供小学校のときから避妊器具の使い方をはっきり教育の中に入れる。日本 は幸い島国でございまして、そういう麻薬その他が外から入ってくるというときに水際作戦がとれますので、その点私は幸せしていると思いますけれども欧米では極めてこれはシリアスな問題として取り上げているわけであります。  私は、厚生省になるのか、あるいは労働省になりましょうか、御質問をまずしたいと思います。  女性社会に出て働く、家をあけなければならないということは、文明の発達に伴って一つのやむを得ない傾向であろうかと思います。これをとめるということは私はできない。できれば子供のとき、ゼロ歳とかあるいは三歳ぐらいまでは女性が今までどおり家庭子供を抱いてやる、あるいは添い寝をするというような日本的な私は育て方がいいのではないか。あるいはその間に十分なしつけをする。おはようと言う。あいさつをする。人のげたをそろえてやる。そのようないわゆるしつけと言われるものは小学校に入っては遅いわけでありまして、それは三歳ぐらいまでの間にやらなければならない一つ教育でないかと私は思っております。そういう意味で、それはゼロ歳のときから母親がやる。父親は自分職場に行く。こういうことになると子供を何とかしなければならない。実際は最近は核家族でございまして、おじいさん、おばあさんのいる家庭が非常に少なくなってきているという状況考えてみますというと、すると子供をどこかに預けなければならないという、そういうやむを得ない環境がだんだん広がっていっております。  あるいはまた、一方では高齢化が進みまして、年寄りをどこかで見てもらわなければならない。年寄りを見るのは男性は余り見る人がいないわけです。これは女性側から言われると、それはおかしいじゃないかと言われるかもしれませんが、男性は今までどおり日本では職場に出る。すると、それが義母であろうが、本当の母親であろうが、あるいはお父さんであろうが、その世話を見るのは女性である。そうすると、子供を育てながらその両親の看護もする、ケアをするということはだんだん難しくなる。女性に対する負担が極めて大きくなる。そこで犠牲になるのは何かというとやはり子供であろうというふうに思います。  そこで、厚生省あるいは労働省のどちらに属するかわかりませんが、まずお尋ねしたいのは、保育園あるいはベビーホテルというのがございますが、その実態はどうなっているのだろうか。各県どれぐらいありまして、それが十分現在の事情に適切に適合しているくらいに整備されているのかどうか。そしてまた、そこで働くのはほとんど全部が女性であろうと思いますけれども、その女性保育あるいは教育保育園教育をするところでないというふうに法律には書いてございますけれども、しかし教育の観念もなくてはならない時期に到達している。その保母さんのいわゆる教育資質、それはどのぐらいになっているのか。何歳ぐらいの人がやっているのか。そしてその保母さんが結婚しているとすればその家庭はどうするのか。そういうことについてまずお尋ねしたいと思います。
  5. 炭谷茂

    説明員炭谷茂君) まず、先生お尋ね保育所整備状況について御説明さしていただきたいと思います。  私ども保育所におきましては認可保育所、これは市町村または社会福祉法人が経営に当たっているものでございますけれども、これは現在全国で約二万二千カ所程度ございます。これによって定員が約二百万人あるわけでございますけれども充足率が現在八五%程度定員に対する実員の割合、充足率というふうに私ども申しておりますけれども、それが八五%ぐらいでございます。したがいまして、一五%程度余裕があるという状態になっております。したがって、このような状況から見まして、私ども認可保育所整備につきましてはほぼ物理的、施設的な面では充足しているのではないだろうかというふうに考えているわけでございます。しかし一部の地域、例えば東京近郊で申しますと千葉県とかそのような人口急増地域においては、いまだ施設整備が必要となっているというところがあろうかと思っております。このようなものにつきましては、厚生省といたしましては助成措置ということで整備を進めてまいる所存でございます。  次に、先生の御質問されました保育所における教育の問題でございます。保育所養護教育一体となって保育に欠ける乳幼児に対して児童の育成に当たっているというところでございますので、教育の面もなおざりにはできないわけでございます。したがいまして、教育の面におきましても私ども十分養護一体となってやっているわけでございます。それに当たっております保母の数は、現在全国で約十七万人いるわけでございます。この資質の向上につきましては、常日ごろ私ども十分努力いたしているつもりでございますが、なお時代の要請、例えば現在保育所保育指針というものの改定をやっております。これは保育所における保育内容を定めるというものでございますけれども、この保育所保育指針改定をやっておりますので、この改定内容を見ながら、さらに保育所における保母さんの養成というものについて検討を重ねてまいる所存でございます。  また、先生質問されました保母の現在の年齢等でございますけれども、大体短大程度卒という方が保母さんになられまして、ほぼ平均七年でやめていかれるというのが実態でございますので、大体そういたしますと平均二十代の中ごろでございましょうか、それぐらいが保母さんの現在の第一線で働いていらっしゃる方の実態ではないだろうかというふうに考えているわけでございます。
  6. 高木健太郎

    高木健太郎君 ベビーホテルの方はどうなっているんでしょうか。
  7. 炭谷茂

    説明員炭谷茂君) 大変失礼いたしました。  ベビーホテルのことは、ことしの三月三十一日現在で調べましたところ四百六十三カ所ございます。この数をどのように評価するかでございますけれども、昨年の同時期に比べまして約一割程度ふえております。ベビーホテルにつきましては、必ずしも適切な保育環境が満たされていないというふうに私ども考えておりまして、これの指導監督というものも今後やっていかなくちゃいけないだろうというふうに考えております。
  8. 高木健太郎

    高木健太郎君 聞くところによりますと、ベビーホテルには非常に設備のいいホテルも、まあホテルというのはおかしいですけれども、そういうところもあるし、あるいは非常に劣悪な環境のところもあると聞いております。また、それは一方では非常に高価な収容費を取る、一方では安いけれども非常に劣悪である、そのことについてはどんなふうにお考えですか。
  9. 炭谷茂

    説明員炭谷茂君) 現在、先ほど数字で申し上げました四百六十三カ所というベビーホテル実態でございますけれども、私ども承知している限りでは必ずしも認可保育所に比べて適切な保育環境は持っておらないというふうに承知いたしております。中には、少数ながら先生おっしゃったようなベビーホテルもあるかもしれませんけれども、大多数のベビーホテルというのは必ずしも子供を育てるには、育成するには適切ではないと思っているわけでございます。
  10. 高木健太郎

    高木健太郎君 これはまあ厚生省ですか、大臣がお見えになりませんからお伝えを願いたいと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、ゼロ歳から三歳、しかもその間が非常に子供の成長にとっては重要な時期である。母親は好んでそこに入れているわけではないだろう、それは特殊な母親もおりますけれども新聞紙上をにぎわすような母親もおりますけれども、大部分日本母親自分子供をやはり立派な子供にしたい、こう考えているわけです。しかし、ほかに方法がない。そういう意味ベビーホテルに預けざるを得ないという、そういう状況を十分に考えて、これは国家があるいは自治体が十分にこれに力を入れて、そして将来そういう悪い子供が生まれないように私はする必要がある。  また、短大を出たという、短大の中でやはり十分ベビーをゼロ歳から三歳、あるいはそういう幼児をどのように育てるかというそのカリキュラム は私は存じませんけれども、単におけいこごと、お炊事をする、裁縫をする、そういうことばかりじゃなしに子供を育てるんだ、人間というものを、子供を育てるんだ、そういうことを十分認識した上のカリキュラムをこれは短大の方に十分私は要求する必要があると思う。これは文部省の側に短大カリキュラム幼児教育というものの重要性を認識して、そしてそのような資質を上げるように、これは教免もございましていろいろ一種、二種というようなことをお考えになりますけれども、私は短大がそれが育児を引き受けているというならば、短大教育をもっと実践的な、そしてそういうことをよく心得たそういう教師を養成する必要が私はあると思っております。このことについてはまた後で申し上げたいと思います。  それから、これは労働省の方もお見えになっていると思いますけれども、現在欧米では日本と比較していわゆる育児休暇というのがどのようになっていますか。日本はどうなっているか。教師看護婦につきましては育児休暇が一年というようなことを聞いておりますが、現在の育児休暇はどんなふうになっていますか。
  11. 堀内光子

    説明員堀内光子君) お答えさせていただきます。  今先生の御指摘がございました欧米主要国育児休業でございますけれども西ヨーロッパ諸国では、西ドイツでございますとか、フランスでございますとか、イタリアでございますとか、そういった国々で法律によりまして、両親のいずれかが育児休業を請求できる権利が認められているというのがかなり広く見受けられるというふうにお答えできると思います。  それから、日本状況でございますけれども、今先生が御指摘ございましたいわゆる国公立の教員の方、それから医療施設の看護婦さん、そういう特定の方の育児休業法のほかに、私どものいわゆる男女雇用機会均等法の二十八条におきまして、育児休業を実施するように事業主に努力義務がついているわけでございますけれども、これを受けまして一般の民間の事業場で育児休業を実施いたしております事業場の割合は、私どもが把握しております調査では一四・六%という数字になっているところでございます。私どもの方としましては、先生御指摘ございましたように働く女の方がふえておりますし、特にそういったお子さんを持ちながら働く女性の方という方もふえておりますので、そういった女性の方々がお子様を健全に育てながら、安心して働けるような、そういった制度を整備いたしていくのが私どもの責務であるというふうに思っているところでございます。
  12. 高木健太郎

    高木健太郎君 育児休暇の長さはどんなふうになっておりますか。
  13. 堀内光子

    説明員堀内光子君) 大変失礼いたしました。  先ほど申し上げました男女雇用機会均等法に基づきます育児休業を私ども奨励いたしておりますのは、子供の年が満一歳になるまでの間ということで奨励をいたしているところでございます。
  14. 高木健太郎

    高木健太郎君 ドイツだったと思いますけれども、三年の育児休暇ということも聞いておりますが、欧米ではどういうふうになっておりますか。
  15. 堀内光子

    説明員堀内光子君) 国によりまして実態が違うんでございますけれども、私どもが把握している限りでございますけれども、今先生御指摘がございました西ドイツ子供が十二カ月になるまでの間というふうに私ども把握をいたしておりますが、あるいはフランス等につきましては二年を限度、それからイタリアでございますと生児が一歳に達するまで、それからスウェーデンでございますと原則としまして生後二百七十日……
  16. 高木健太郎

    高木健太郎君 ちょっと声が聞きにくいので、少し大きく……
  17. 堀内光子

    説明員堀内光子君) 大変申しわけございません。大変失礼いたしました。  最初から申し上げましょうか。
  18. 高木健太郎

    高木健太郎君 いや、まあいいですけれども
  19. 堀内光子

    説明員堀内光子君) 申しわけございません。  国によりまして、諸外国の場合にはその子供が何歳になるまで育児休業がとれる期間があるかといいますのは、国によりまして違いがございますけれども、例えば先生御指摘がございました西ドイツですと子供が十二カ月になるまで、フランスですと二年になるまで、イタリアですと満一歳になるまでというような期間が決められておりまして、多くの国では子供が満一歳になるまでというのが比較的多く見受けられているというふうには申し上げられると思います。
  20. 高木健太郎

    高木健太郎君 私どこかの国で三年ということも聞きました。しかも、その三年というのは別に丸々三年休むというんじゃなくて、半日ずつ休んでいってもいい、そして年数を延ばす、そういう制度もあるように聞いておりました。私も、まあ三つ子の魂と言いますけれども、何も三歳までに何もかもでき上がってしまうというわけではないわけですけれども、やはり三つぐらいのころまでは今の保育園に預けるぐらいの年までは母親と子が接する時間が長い方がいいと思うんです。そういう意味では例えばその育児休暇の長さを長くして、そして丸々一日でなくてもよろしい、日に何時間かは子供を見る、あるいは子供と接する機会を多く与えるということを私ぜひ考えていただきたい。  と申しますのは、後で申し上げますように、現在それはいじめも減りました。学校暴力も減りましたけれども、しかし、後でお尋ねしますように、登校拒否というのはふえているわけですね。あるいは先生の暴力はふえる、あるいはまた校則が非常にやかましくなってくるということは、子供が手に負えないから校則の方で縛ろう、こういう両方イタチごっこのような状態になっているわけですね。  それはもう子供のときにできている。要するに、人間というのは生まれてから今日に至るまでの歴史が脳の中に、遺伝も三〇%はありますけれども、あとの七〇%というものは生まれてからの教育というものに我々の人格なり個性というものがそこでできていくわけでございますから、個性が初めからあるわけじゃないわけなんですね。そういう意味ではそこでつくられたものは小学校、中学校、いつそういうものが出てくるかわからないわけですけれども、そういう意味では最初からが大事なんだという意味でぜひ育児休暇の方を何とかもう少し合理的に、しかも脳の発育というものを十分考慮して、今までのようにただ子供を預かっていればいいんだと。預かり所ではないんだ、もうそれは一種の教育の場である、こういうことをぜひ心にとめていただきまして、これは厚生大臣にもその点をぜひお伝え願って、文部省と協力してその点の改善といいますか、そういうものをお考えいただきたい。  私立の劣悪なべビーホテルをよく監視する、あるいはそういうものは許可しない、あるいは預けるところもないというようなことがないようにするということが非常に私は重要なことである。また、そういう保育所が十分でないために母親子供を産まない。三人産みたいんだけれどもやっぱり二人でやめておこうということで現在出生率が減っていっているんですね。実際ドイツでは非常にそれを苦慮しているわけです。だから子供を産めと言うわけには我々いかないわけで、これはその人たちの自由でございますけれども、しかし次に世代に出てくる人が減っているということは、これは日本の国にとって極めて私は重大なことであろう。それは産んでも自分は育てられない。金銭的だけじゃなくして育てられぬ、預けるところもない、そういうことがそれを抑制している、子供を産むことを抑制している。出生率に響いていく。そして老人ばかりがふえていく。こういう状況で将来の日本というのは私は決してよくならない。こういうふうに思いますので、これは文部省と十分御相談いただいて、真剣にこの問題をお取り上げいただくように、ここでお願いを申し上げておきます。  次に、ちょっとお尋ねしますのは、いわゆる登校拒否の問題でございますが、余りこれに力を入れましたので何も聞かないで終わってしまいそう でございますけれども登校拒否というものを先般文部省でお調べになりまして、小学校では一・八七倍、あるいは中学校では五十年度に比べて四・二五倍、合わせて三万八千人の登校拒否子供がいる、これはふえていっているんだということを聞きます。それからまた、学校の中には校則というものがありまして、いつかもテレビで西崎さんでしたか、初中局長が何か御報告されたことがございまして、校則に対しては文部省の態度はこうなんだということをお示しになったと思いますが、登校拒否の現況と、それから校則というものと、今どういうふうに文部省は指導をされておられるのか、その点をまずお聞きしたいと思います。
  21. 熱海則夫

    説明員(熱海則夫君) 登校拒否の問題でございますが、今先生が御指摘のように、小学校、中学校合わせて昭和六十二年度は約三万八千人の登校拒否、これは増加傾向で大変心配をしているわけであります。これらの原因その他につきましては、昭和六十二年度に、どういう理由で登校拒否をするか、あるいはその原因となっているものはどういうものなのか、こんなことについてもいろいろ調査をいたしておるわけであります。  登校拒否につきましては、本人の性格、傾向と申しますか、そういったものも相当大きいウエートを占めておりますし、また、家庭状況あるいは学校での不適応、人間関係の問題、こういったものもいろいろ複雑に絡み合って、そういう問題が起こっているというようなことがはっきりしているわけであります。文部省でも従来からこういった登校拒否については、教師向けの指導資料を発行したり、いろいろ学校に対する指導、研修、そういうものも続けてまいったわけでありますが、こういう増加傾向にありますことから、昭和六十四年度に高校の中退者も含めて不適応対策の推進ということで新たな予算をお願いしよう、こういうことで今考えておるところであります。  なお、校則の問題でありますが、校則につきましては、学校は集団生活の場でございますから、これは当然必要だ、こういうものが必要だ、それ自体は意義のあることだという認識は持っておりますけれども、ただ内容とか、こういった問題につきましては、例えば今校則の実情を見ますと、必ず守らなきゃいけないとか、あるいは努力目標というようなものまで全部含めて学校が決めているケースが多いし、それから児童生徒の自主性に任せた方がむしろよいのではないかというようなものも含まれておりますから、こういったものも含めて実際に見直しが必要だというようなことで、先般、全国の都道府県の指導課長会議、そういったところで改めて初等中等教育局長からそういった校則の見直しの要請をしたところであります。やはり校則もそういった意味ではもう少し子供の自主性といったものが大事にされなきゃならないというようなところを主眼に今見直しをしている、こういう状況であります。
  22. 高木健太郎

    高木健太郎君 大変御苦労されていることには私は敬意を表します。極めて重要なことであるし、学校の先生方も大変苦労をされているんだろうと思うんです。しかし、先ほど私申し上げましたように、小学校や中学校で登校拒否がふえたというような事実は、単に学校の校則があるということももちろんありますけれども幼児からの教育がそこに出てきたんだと。私は医者の端くれでございますが、ある病気が出てくるときに、その病気が、ああ、きのう飲んだからこうなったんだというような病気は少ないんですね。もう十何年も、何年間も飲み続けておった、その結果が肝臓というところへ出てきて病気になるということでございまして、今、小学校や中学校で、あるちょっと異常な行動が出てきたということを、校則があるから、あるいはその子供がズベだからというようなことでは私は済まないんだ、そういう意味で最初に幼児教育というものを私はもっと重視しなきゃいかぬ。原因はもっと前からあるんだ、生まれたときからあるんだ、これは遺伝は仕方がありませんけれども、それ以後の教育小学校や中学校で出てきているんだということを私は考えなければいけない。余り近視眼的に人間を眺めちゃいかぬ。人間というものはある歴史を持って現在があるので、その歴史をよく考えなければいけないのだという意味一つこういうことを申し上げているわけです。  例えば、登校拒否のときに、この子供は成績がどうだとか、あるいは担任の先生がどうだとか、現在のことをお調べになるのはいいですけれども、その子供が生まれたときから家庭ではどういうふうな環境に育ってきたかということも調査の対象にしないというと、本当の意味対策は打てないのじゃないか、私はこう思うんです。自主性に任せていいものというのは、ただそこの場の対策でありまして、全体の歴史を眺めないで、ただここだけで何とか収束しようと思っても、これは無理な話ではないかなと私は思いますので、一度、もしもやられるならば、そういう面も調査をして、父兄とも十分話し合った上でじゃなければ本当の対策は生まれない、小手先だけでは私はうまくいかないのではないかと思います。  もう一つは、例えばこれは一つの例でございますが、公安関係の方、お見えになっていますかしら。これはバイクは十六歳で免許証が取れるんですか、それから自動車は十八歳ですか、で取れる資格がある。だから高等学校になるとバイクを持っている人が多い。交通事故の話もお聞きしようと思ったんですが、ことしは一万人を超えるんじゃないか。交通事故というものは絶対に起こるんだという、そういう頭がもう我々にしみついていまして、一種の確率問題になっている。あしたは雨が降るか降らぬかはどれくらいだというような、そういう問題に置きかえられてしまって、どうにもならない問題である。それを少しでも減らせればいいというぐらいの話ですけれども、私は減らせないことはないんだ。だから、今の対策はやっぱりその場その場の対策だからいけないんだ。例えば学校の中で、バイクに乗ってきてはいけないという学校もあるわけですね。あるいは法律で許しているんだから、なぜバイクに乗ってはいけないんだと子供から聞かれると、家庭もまた教師もその返答に窮するわけです。これはやはり一応どういうふうにするのだと。  国の法律と学校とが別々ということもおかしな話じゃないか。免許を取ることさえも禁止している学校がある。また、交通事故を起こした場合の罰則も学校によってばらばらである。国が罰することはできるわけです。しかし、学校によって、いや停学だ、あるいは退学だ、何回やったら退学だ、そういうことが学校でできるということがちょっとおかしいような気もするわけです。こんな意味で例えば学校の子供に聞きますと、バイクの免許取得を禁止するということは六〇%の子供がとんでもないと言っているわけですね。だから、自主性に任せるものとかということも大事ですが、生徒と先生がよく話し合うということが私は大事であろうと思いますので、その点もひとつお考えになっていただきたいと思います。  時間が追ってきましたので、ちょっと質問がうまくいきませんけれども、非常に私ショックを受けたことがありますのでお聞きいたしますけれども、昨年の東京都の都立の高校では四千七十三人が中退していった。そして、中には全校生徒の八・一%に当たる百三人もの生徒が退学しちゃったということです。ところが、ある学校では弁護士と穏健派の教師が協力して退学処分の撤回に成功したというところもありますし、強硬派の教師が弁護士にうまくやられたと、そのときに言って巻き返しをしまして、ほかの生徒が同じような事例を起こしたときに穏健派の知らぬうちに共同謀議をして手際よく退学させてしまった。それも退学を命ずるというと、これはちょっと事が面倒になるんですね。そこで、本人に退学をするようにしむけていく、そして本人から退学を願いますという形をとる。そうすると、いかにも本人が嫌で学校をやめたように見えますから、履歴を傷つけないという配慮もあるけれども、そうやってやめさせた方が教育委員会の面倒な手続が要らないで手軽になるからだと。こんなことを私はちょっとこれ で見まして、こんなことがあっていいのかな、こういうことを子供にしていいのか、こういうふうな考えを持ちますけれども、これはこれだけにしておきます。  一方におきましては、御存じのように豊川の校長先生が今度、ことしかわりました。これは御存じのように長野の方からやってこられた先生ですね。その先生は退学ゼロを目指している、そういう学校なんです。それはよく子供と話し合う、あるいは家庭とも話し合う、退学をゼロにしよう、こういう運動を起こしている学校があって、だんだん退学者が減ってきまして、非常に学校がよくなったというところがございます。  だから、学校側もあの子は登校してこない、あるいはあの子はどうも我々には手に負えない、ああいうのはいない方がやりやすい、だから退学にしよう、こういうふうにやっているということは非常に私はよくないと思うんです。だからその先生が言うのは、学校を魅力あるものにしておもしろくしなさい、それから子供に学校に来ることを喜ぶようにしなさい、そういうふうな、全部は読めませんけれども、そういうことをしてこの豊川の若林繁太という先生が非常に成功している。講演も方々でやられて非常に教師に大きな感銘を与えているということもございます。  だから登校拒否、退学というものはこれ皆つながっておる。その前に幼児教育というものがつながっている。だから学校教育を直そうと思うなら目先のいろいろな処置ばかりではなしに、幼児教育から、現在の我々のあり方から、家庭あるいは子供と実際によく話し合ってやる、一緒に飯でも食おうと言ってやる、こういうふうにやっていかなければ本当の意味の学校教育というものは私はうまくいかないのじゃないか、こういうふうに考えるわけで、きょうはそれだけに終わってしまいましたけれども、時間が来ましたのでこの辺でやめさせていただきます。  最後に文部大臣にひとつ、学校教育もただ小学校からの教育ということじゃなしに、幼稚園、保育園も含めて、それからまた現在の日本の変化ということも考えて、そして幼児教育ということもぜひこの際頭に入れていただいて、全体として厚生省労働省そして文部省、この三者が集まって衆知を結集して将来の日本人をつくる、それから日本の国を立派な国にしていく、こういうふうにしていただきたいということを希望して、大臣に一言御発言をお願いして質問を終わりたいと思います。
  23. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 高木先生の御質疑、御指摘を拝聴いたしておりまして、確かに私ども登校拒否問題その他、目前で解決しなければならない問題が多々あります。そのために今政府委員からお答えしましたように、学校不適応対策の推進というようなことを対策を立ててまいる。これも必要でございますけれども先生がおっしゃいますように、そのもとでありますいわゆる幼児教育、私どもももう子供が三十近くになりましたけれども、小さい子供のころのことをきのうのように思い出しますし、またこれで孫ができればこれまた大変なことだと思いますが、確かに私ども考えてみましても、幼児の時代にある程度の人格を形成してしまうのかなと。我々でもたまに同窓会がありましても、やはり昔と、小学校のころと性格はそう変わらぬというような感じがいたしまして、それだけ幼児教育は必要であろう。  そうなりますと、またそのお母さまの教育というか、教育に関するやはり知識とか環境整備、こういうものが確かに必要でありまして、それを考えますと教育の継続性と申しますか、これが一番重要であって、確かに教育は百年の大計と言われますように、目前のことだけを追っていってもなかなか、その先その先と幅広く目を配らなければいかぬことだなということをつくづく感じながら拝聴いたしておりました。  この点は確かに文部省と、それから各省の協力も必要な点が多々あろうと思いますので、今後私の方からも積極的に御相談を申し上げ、各省の協力を得て万全を期してまいりたい、こういうような決意を新たにしたところでございます。  ありがとうございました。
  24. 高木健太郎

    高木健太郎君 終わります。
  25. 下村泰

    ○下村泰君 今高木先生のお話を承っておりまして、なるほど子供教育はえらいものだなとつくづく思います。私自身も今高木先生の話を聞いて反省させられましたのは、孫が二人おりまして、殊に娘の孫が初めてなものですから、娘の孫と言うのもおかしいですけれども、娘の孫というのは初めてなものですから、本当にそれこそかわいくてかわいくて何をしても怒らない、何をしても許すというような余りにも今甘やかし過ぎるじじいの存在で、なるほどな、そういう時代からこれは気をつけにゃいかぬなとつくづく反省させられました。ありがとうございます。  ところで、郵政省来ていましょうか。——既に報道でも国会でも取り上げられておりますけれども文部省もそして厚生省も見解を示されておりますNHKの受信料免除措置の廃止、これが大変な問題になりますので、このことはちょっと伺っておきたいんです。  郵政省に伺いますけれども、今NHKさんが言っているのはすべての免除を廃止するということなんでしょうか。
  26. 團宏明

    説明員(團宏明君) お答えいたします。  NHKは厳しい財政事情でもございますので、逐次免除措置について廃止していきたい、最終的にはこれをすべて廃止するという方向で検討しているということでございます。
  27. 下村泰

    ○下村泰君 今までも教育関係のものはどしどし廃止されてきているんですけれども、今残されているのは、郵政省も御存じだと思いますけれども児童福祉施設、それから身体障害者更生保護施設、それから学校、貧困な身体障害者、半額免除になっているのが視覚聴覚障害者、それから重度の肢体不自由者、それから重度の戦傷病者と、こういうふうになっております。文部省はこのNHKの案にどういうふうに御回答になっていますか。
  28. 齋藤諦淳

    政府委員(齋藤諦淳君) 特に幼少年期、そのほか教育における学校教育放送というものは非常に意義があると思います。大体NHKにも免除規定があるというのは、そういう公共的な性格のものについては放送法で免除するという、そういうふうな考え方がそもそもあるのではないか、そういうふうな前提に立ちまして、ぜひ義務教育とかあるいは盲聾養学校並びに幼稚園については廃止することのないように強く要望したいと思います。こういう要望をNHK並びに郵政省に対して出しておるところでございます。
  29. 下村泰

    ○下村泰君 これはあくまでもやっぱり要望でしょう。
  30. 齋藤諦淳

    政府委員(齋藤諦淳君) そうでございます。
  31. 下村泰

    ○下村泰君 そうですね。そんなことしちゃ絶対に困るなということは言えないわけです。で、郵政省は、廃止しようとする際NHKは手続上はどういうふうになりますか。
  32. 團宏明

    説明員(團宏明君) これは放送法という法律に基づきまして、受信料というものはその関係が規定されております。この三十二条によりまして、言ってみればテレビを設置している者はすべて契約をして、受信契約をして受信料を払わなくちゃいけないということでございますが、その三十二条の二項によりまして、基本的に公平負担ということでございますけれども、あらかじめ郵政大臣の認可を受けた基準によるという者からは、これを免除してよいという規定がございまして、その免除の基準につきましては三項によりまして郵政大臣の認可が必要であるということでございます。したがいまして、この放送法に基づきます免除の基準というものの認可ということに係るわけでございます。
  33. 下村泰

    ○下村泰君 これは今まで過去において国会の方では衆議院よりも参議院の方でやっているんですね、これは五十年の三月二十七日に。このころから何かこの問題がちょろちょろ出てきて、NHK何かいい条件を与えたような感じがしているんですけれども、これが実際に廃止されますと支払う のはこれは地方自治体になりますか、どうでしょうか。
  34. 齋藤諦淳

    政府委員(齋藤諦淳君) 公立学校につきましては、設置者としての地方自治体でございます。私立学校であれば私学の学校法人、国立学校の附属学校であれば国と、こういうことになります。
  35. 下村泰

    ○下村泰君 そうすると、ある市では文部省関係、小中盲聾養だけで二千三百万と、これは年間の支出が大分物すごくなりますね。それから、ある種の報道によりますると、これ全部まとめてやると五十六億から五十七億円ぐらいになるというような、NHKにしてみれば五十六、五十七億円というのは大変によだれの出るほどの収入ですわね。ところが、私は余りNHKの経営状態のこと言いたくはありませんけれども、これは一度前に、何年か前でしたが、予算委員会でやって、えらいしくじったことがありまして、NHKの経営状態をこっちはつっついたもんだから、うちの弟子どもがNHKに出してもらえなくなったことがあるんです。どこでどういうからめ手にひっかかるかわからぬもんだ。はっと気がついたときはもう既にしゃべった後で遅かったんですけれども。  実際のことを言って、民放と、私は両方へ行っていますからようわかるんですけれども、民放のやり方とNHKのやり方では全然違う。民放のやり方でやると、まことに申しわけないけれども、今のNHK半分で人間は済みますよ。NHKが今やっている衛星放送であるとか、あるいはハイビジョンであるとか、日本の技術はそれはもう大臣、大したもんです、これは。前のモントリオールのオリンピック中継のときに、NHKはもちろんやっておったんですけれども、あのときに日本の各御家庭で競技がNHKが中継して中断したことは一度もない。それから絵がずっこけたこともない。きれいに鮮明に映っておった。ところがヨーロッパの方はどうかといったら、ちょうどテレビの初めごろによく霜降りみたいになりますね、ああいう状態になったところが何カ国かあるんですね。ですから、そういった中継技術とか、ああいったテレビ、いわゆるメカ、まあメカに私は弱いんですけれども、そういったことに関しては非常にNHKというのは進んでおる。  ですから、そちらの方へ予算をかけ過ぎているんじゃないかなという気もしますけれども、それはそれとして別にして、むだなところが非常に多いんですね。官僚的な感覚で今日まで来ているとまだ思いますよ、私はあそこは。ですから、比較的聴視料がお客さんからぽこぽこ取れるものだから、比較的楽な気持ちで使っているんじゃないかと思うんですよ。NHKでなければできないドラマがありますわな。例えば今やっている「武田信玄」なんというのは、あれはもう大変なんです。ここにいらっしゃる林先生なんかよく御存じだと思う。よろい一つでも大変な額です。それからちょんまげ一つでも大変な額。殊に女性の場合のかつらなんというのはえらい高いんです、あれは。ああいうものができるというのは国民の皆さんがスポンサーだからできるわけですね。いや、それはまあしかしそれをやめろとは言いません、私は。  そのほかに私は今の状態はちょっと残念ながら首を突っ込んでおりませんのでわかりにくいんですが、私がまだいたころには、一つ部屋に参りますと、そこに部長がいて課長がいたとしますね。そうすると、この部長と課長と同級の人がいるんですよ。第一室長とか第二室長、それで足りなくて第一主幹、第二主幹、一つ部屋にですよ。その人たちは何をしているかというと、端っこの方にいるわけですよ。待遇は何ですかというと、部長待遇とか課長待遇という待遇で給料もらっているわけですよ。今多少なりともそういうのはなくなってきたかと思いますけれどもね。そういういわゆる余剰人員というんですか、こういうことの整理をすればもう少し楽な経営ができるんじゃないかなと思うんです。もっともこれは逓信委員会でやることであって、文教委員会でやることじゃないとは思いますけれども、そういったことがあるんで、ある程度のNHK自身の合理化というものを進めればこういった方面の聴視料を徴収しなくても済むというふうな感覚がするんですけれども、郵政省どうかね、それは。
  36. 團宏明

    説明員(團宏明君) これはこの免除の問題に限らず、受信料といいますものは法律で契約を強制して国民、聴視者の方からいただいているわけでございますので、その運営に当たりましては、先生御指摘のとおり効率化、合理化というのをきちんとやらなくちゃいけないということでございまして、常々郵政省としてもそういう意見を言っている次第でございます。  具体的に申しますと、人員の関係等ございますけれども、私たちとしましても逐次人員の削減をやっておりまして、具体的に申しますと例えば今年度も三百人削減するというふうなことで一時期一万七千人程度おりましたが、一万五千人の体制に持ってきております。例えば来年度につきましてもおおむね三百人程度を削減しまして人件費で三十億ぐらいは削除したいという努力はしておるわけでございます。この程度で十分かどうかということにつきましては、引き続きほかにも合理化の道はないかということを求めていくということは当然というふうに考えておりますが、そういう状況の中でもなかなか財政上実情は厳しいということが現状でございます。
  37. 下村泰

    ○下村泰君 これは我々の方はお願い事項であって、法律で上げちゃいかぬというようなことは言えないわけでしょう。それを免除されているものをそのまま続けろという法律はあるわけじゃない。あくまでもお願い事項なんです。そこのところなんですな、問題は。何とかして法律をつくってこういう関係だけは免除せいというようなことができないものなんでしょうかな、今のところ。郵政省どうなんですか、これは。
  38. 團宏明

    説明員(團宏明君) 確かに長い期間これを免除ということでまいっておりますので、ただ法規定に従いまして一方的にやればいいということではいろいろ混乱も生じますので、夏以来、八月でしたか、七月以来関係方面に御理解を求めるべく努力をしているところでございまして、引き続きそういうことを続けてまいりたいという状況でございます。
  39. 下村泰

    ○下村泰君 NHKの放送文化研究所の放送研究部ですか、ここがまとめた「特殊教育諸学校における放送利用」のデータというものがあるんですけれども、これを拝見しますと、聴覚に障害がある聾学校、ここらあたりでも九〇%以上利用しておるんですね、このNHKの放送を。例えば手話の放送が大分ふえてきています。それを見ることによって聾学校の口語教育、口話教育を混乱させるので困ったもんだなんて、こういうことを言う方もおるんですが、そういう設問といいますか、質問に対しまして、そうは思わないと回答があったのは五七・一%、どちらとも言えないが三九・八%あったといいます。じゃ、こんな放送やめた方がいいかといったら、それは全然答えがやっぱりゼロ、やった方がいいと。  殊に、何といいますか、手話というような問題、これはいつかここで私も申し上げたことがあったかと思いますけれども、手話そのものにも地方のなまりがあるんです。これ御存じでしょうね。御存じない。手話にもなまりがあるんです。この間その実験をちょっとしてみたんですが、九州の方へ参りまして、たまたま全国のリハビリテーションの方たちの集まりの会に行きまして、私の横に手話がついていらっしゃるんです、手話の通訳士が。その方にその話もしまして、全国のいわゆる統一をせにゃいかぬだろう。要するに、この間NHKの方でやりましたのは、「國語元年」なんという番組があって、日本の今の国定教科書がどうしてできたかというような過程をドラマ化したことがありますが、あれと同じように日本全国に通ずる手話というものがなきゃいかぬのですね。たまたま手話をやっていてくださった女性に、九州で寒いという表現はどうやるんですかと言ったら、体をこう両方の手を使ってやる。それじゃ、いきなりしばれるはと言ったんです。わからぬですと。これは北海道の言葉ですからね。そうすると、 九州では寒いという表現でこういうことやるんで、これは恐らく私は北海道へ行ってもしばれるといったらやっぱりこうやるんじゃないかと、まさかこんなことはしないだろうと思いますよ。両方の手を出して手錠をはめるなんて、そんなワッパみたいなことはしないと思いますからね。そんなように手話自体が違うんですね。ですから、本来ならNHKのいわゆる番組を通じて全国に通用する手話というようなものもやらなきゃいけないんじゃないかなと痛感するんです。  そうしますと、ますます義務教育の課程ですとか、社会福祉関係のこういうものから余り徴収してもらいたくないな、この免除は継続してもらいたいなと、こういう気持ちになるんです。郵政省の方からも一言、ひとつNHKの方にお願いするという言葉をいただいて、文部大臣からもひとつ何か言葉をいただければ幸いでございます。
  40. 團宏明

    説明員(團宏明君) 今の教育関係でのNHKの役割ということでございますけれども、NHKは公共放送ということでございまして、民放と違いましていろいろな視聴率とかそういうものを直接気にすることなく番組をつくってきたというふうなことが一つの役割でございまして、したがいまして、教育放送等につきましてもあるいは福祉的なことにつきましてもかなり力を入れてやってきておるわけでございます。  そこで、NHKの役割ということから考えますと、そういう視聴率では〇・〇というふうなことしか出ない放送につきましてもやはりこれは大切にして、人材も使いまして放送していくということが第一義的な役割ではないかというふうなことでございます。そこで、その役割の分担から言いますと、NHKはその受信料によりましてそういう番組にも力を入れていくということでございまして、その料金、受信料までも免除するということが必然的にNHKの役割かということにつきましてはいろいろ議論があるのではないかと思います。教育につきましては、その分野での御負担をお願いするということがあってもよろしいんじゃないかということで御理解を求めるべく努力しているという現状でございます。
  41. 下村泰

    ○下村泰君 ちょっと待ってください。大臣の言葉いただく前にもう一言申し上げたいんですが、例えばNHKが聴視料取りますわな。これ各家庭は取りやすいわね。見ればアンテナがほとんどある。ところが意外なところに意外な穴があって、この意外な穴が物すごく数が多い。ホテル、今ホテルは各部屋にある。あれは一個一個徴収したら何ぼになりますか。喫茶店、意外とこれはやってないんだ。このホテルとか喫茶店だけで、日本全体ですよ、いいですか。ホテルと喫茶店だけで日本全体と見て百三十四万円しかNHKに入っていない。こんなばかなこと考えられるか。そうすると、このホテルとか喫茶店からも全部まんべんなく取ればこのぐらい埋まるはずなんだ。そのぐらいの数あるはずだ。そういう御指導も郵政省がやれるかどうかわからぬけれども、監督官庁なんだから、そのぐらいのことをやって、おまえら銭を集めてこいよぐらいのことを言ってもいいんじゃないかというような気がするんだけれども、どうだ、これは。やってないんだから。
  42. 團宏明

    説明員(團宏明君) 先ほど申しました受信契約ということの中で、当然そういうホテル等につきましても一台ずついただくということになっております。そういうところについて契約ができてないところがあるんじゃないかという御指摘でございまして、これは受信契約上も当然契約をしていただいて受信料をいただくということでございますので、今後ともそういう契約についてちゃんとやっていただく。従来もそういう指導をしておりますけれども、引き続きそういう指導はやってまいりたいと、こういうふうに思っております。
  43. 下村泰

    ○下村泰君 あなたの立場じゃ言えないでしょうけれども、こういう関係だけは免除をしてあげたいですねぐらいのことは言えないかね、大臣にそう言いますぐらいのことは。それは別にあなたの罪にはならぬでしょう、言ったからといって。もし何か言ったら、私は郵政大臣に言うよ、あなたの立場をちゃんと説明するよ。それぐらいのことをちょっと言ってみないか、つらいだろうけれども
  44. 團宏明

    説明員(團宏明君) これは従来いろいろ教育的なあるいは社会福祉的なところに免除してきておりますので、それはできればこれが継続されるということは非常に結構なことではありますが、現在の状況、それからそういう行政の分担から言いますと、なかなかそうはいかないのかなという感じでございます。
  45. 下村泰

    ○下村泰君 かわいそうだね。私は気の毒だと思う、郵政省を代表して来てそれしか言えないんだから。それにちょっと色気つけるようなことを言ったっていいと思う。もうそれ以上言っても無理でしょう。余り追及するのも気の毒だ。  そこで、大臣ひとつ文部省としての御覚悟をお聞かせください。
  46. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) これは先ほど政府委員からお答えしましたように、文部省からは郵政省さん並びにNHKさんに強く要望いたしておるところでございます。これは免除措置を継続してもらいたいということなんでありますけれども、実は局長からもこの相談がありまして、それで強く要望していきたいということでございましたので、これは言っていいかどうかわかりませんけれども、しかし、それは要望にとどまる立場でありますので、本来ならば、これは逐年、図書館ですとか大学、高校ですとか公民館ですとか、だんだん免除措置がなくなっていっておるわけであります。これは過去のことでありますけれども、本来これからは二つありまして、こういう図書館とか公民館というのは単に人が集まるというだけでなくて、情報伝達というか、そういう全国に広がる情報機関としての重要な位置を占めていくんだから、今まで免除措置が切れたところも免除を復活してくれと、こうまず要求すべきだと、こう申しまして局長とはそういう方向で打ち合わせをいたしてやっておるところでございます。ただ、正式にはこの免除措置を廃止したいという御相談があったものですから、これに対しては強くこれを継続してくれと、こういうことを申し上げておるわけであります。  細かいことは申し上げませんが、特に大学、高校と違いまして、小中それから養護学校、その他盲聾、特に重要なところでございますし、これを教室数でというのはこれはわかりません。また、視聴時間というのは、それは家庭と違いまして、ごく一部重要なところを使わしていただいて非常に効果が上がっておることも事実でありますし、この点を参酌してもらいまして、この点は免除措置ということでありますが、これはもう継続をしていただくのが当然であるということで、強く要望を続けておるところでございます。今後とも理解を得られるように努力は続けてまいりたい、こう思っておるところでございます。
  47. 下村泰

    ○下村泰君 今税特法案なんて、税制特別なんとかかんとかなんて言いまして国民から余計三%の税金取ろうなんて話をしている最中に、こういうことの免除廃止なんと言ったら国民はますます納得しませんよ。そのためにこのやろう税金上げるんじゃないかと——ごめんなさい、口は悪いですからね。国民はそういう感情になるんですね。郵政省、御苦労さまでした。  それでは次に、言語障害教育について伺いますが、現在言語障害を持った児童生徒への教育はどういうふうに行われておりましょうか。
  48. 熱海則夫

    説明員(熱海則夫君) 現在言語障害児に対する教育は、重度の者については聾学校で行っておりますし、また軽度の者については普通学級、特殊学級で教育を行っているところであります。
  49. 下村泰

    ○下村泰君 それからもう一つ、言語障害児の通級制の問題、今これが認められなくなりつつあるということなんですが、これは本当ですか。
  50. 倉地克次

    政府委員(倉地克次君) 私ども認められなくなりつつあるというふうにはちょっと認識しておりませんけれども、いろいろ定数配置上、この辺については問題があるという認識は持っている次第でございます。  若干御説明さしていただいてよろしいでしょうか。定数配置上の問題からいいますと、通級学級についての直接的な法律上の規定がない次第でございます。それで、特殊学級の対象となる児童生徒のいるところにつきましては、特殊学級を編制しまして、そこへ通級していただくという措置をとっているわけでございますけれども、そうした学校につきまして特殊学級の対象となる子供がいなくなったときにどうするかという問題があるわけでございます。それで、現行法上では、その場合には直接的に定数を置く措置がございませんので、都道府県によっては特殊学級の対象となる子供のいるところに特殊学級を置いて、そこの先生を通級学級のあるところへ併任するというようなことでいろいろ工夫しているところもあるわけでございます。だから私どもとしては、そういう工夫を一層やっていただくように今後いろいろ指導していきたい、そのように考えている次第でございます。  それからもう一つ問題ございまして、通級学級につきましては臨教審でも、それからこの間の教育課程審議会の中間報告におきましてもいろいろ制度を整備すべきだという御報告とか答申をいただいている次第でございます。それで、今教職員定数計画というのが進行中でございますけれども、これがいずれ終わった時点においてさらにどうこうするというような時期が来ましたときには、この問題について十分検討いたしまして、しっかりしたことを考えなければいかぬのじゃないか、そういうふうに認識している次第でございます。
  51. 下村泰

    ○下村泰君 この言語障害児というのは、私子供の時分にやっぱり経験もあるんですが、通常言語障害というのは吃音とかあるいは脳性麻痺とか、そういう病気によって思うようにしゃべれない、あるいは知恵おくれのお子さん、こういうふうに考えておったんですが、そうでない子がまたいるんですね。例えば早口になってしまって言葉が言えない。だから卵とは言えない。タ、タ、タ、タとなるんですね。どもるのとはまた違うんですね。そうかと思うと今度は空気が抜けるみたいにターマゴというようなこと。そういったいろいろな言語障害のお子さんがいらっしゃる。こういうお子さんに対する教育というのは大変なものだと私は思うんです。  これは文部省が昭和五十八年に出しているものです。その中に「言語障害児の教育の場は、その子供の障害の状態によって様々です。精神発達遅滞に伴う言語障害児は精神薄弱養護学校で、脳性まひに伴う言語障害児は肢体不自由養護学校で、聾児、難聴児は聾学校や難聴特殊学級で、また情緒障害に伴う言語障害児は情緒障害特殊学級においてそれぞれ教育されています。他の障害を伴わない言語障害児は、おおむね通常の学級で学習をしながら、その障害に即した特別の指導を言語障害特殊学級で受けています。」この「他の障害を伴わない言語障害児」というのが私が言ったことなんですけれども、こういう子供たちというのは、ほかの学問に対しての知能指数というのは別に低いわけでも何でもないですね。むしろ中には非常に頭のいい子がおる。ただ、頭いい子なんだけれども、人とお話をするときはお話がうまくできない。そのために特殊学級へ通う。  養護学校とか、今申し上げたその中にある特殊学級に通う子供はいいわけですけれども、例えばほかの特殊学級へ、ほかの学校に、自分の校区じゃない方の校区に特殊学級があって、そこへ通わなきゃならない。先ほど局長がおっしゃった。中には自分のおうちを売り払ったりして自分子供の言語障害教育のためにクラスのある校区へ引っ越す方もいらっしゃる。引っ越せる方はいいんですよね。引っ越しのできない経済状態にある子供はどうするかということ。今おっしゃったように、そういう子供さんがだんだん少なくなれば統廃合しなきゃならないとなって、統廃合されたあげくの果てが通えないような状態になったらどうするかという問題があるわけですね。こういうことどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  52. 倉地克次

    政府委員(倉地克次君) 定数上の観点からまいりますと、私ども一人でも障害児がおられた場合には特殊学級が編制できることにはなっている次第でございます。ただ、実際問題といたしまして定数にも限度がございますので、市町村は都道府県とよく相談しまして、一定数の障害児がお集まりになった学校に特殊学級を置くというようなことをやっているかと思う次第でございます。  ただ、今先生がおっしゃいましたように、もう遠くなってどうしても通えないというような実態があれば、その辺は市町村におかれてもよくその辺を把握されて、特殊学級の設置の方針について弾力的にお考えいただく必要があるんじゃないかというふうに考える次第でございます。そういう点につきまして、今先生の御質問もあったことをよく会議などで伝えまして、その辺について市町村、都道府県も弾力的に対応できるようにひとつ指導してまいりたい、かように思っております。
  53. 下村泰

    ○下村泰君 ありがとうございます。こういう問題というのは、やらなきゃならないという際立って、何といいますか、押しつけがましくできる問題でもないし、やっぱり人間の問題ですからね、根底にあるものは。ですから、各地方自治体でもそういったことに対しては、弾力的なんという言葉あるけれども、融通きかしてうまいこと処置していただけるようにひとつ御指導のほどをお願いしておきます。  そこで、大臣、こういうのがあるんですがね。カラオケを使って大変うまく効果が上がっているというのが出ているんですけれども、長崎市の長崎大附属養護学校、ここでカラオケを使ってやりまして、子供たちが歌が大好きで、自分から進んでマイクを持って人前で歌うことが自閉症などの克服に役立っている。それから、この学校に錦戸良久さんという教頭がいらっしゃるんですけれども、「一言もしゃべらなかった子がカラオケセットを使って人形劇のナレーターをやったり、脳性マヒで言葉が不自由な子がリズムに合わせて体を揺するなど、自己発表できるようになった。国語の時間には音楽を通じて言葉の勉強も、とカラオケの利用状況を説明する。」、こういう効果も上がっているんですね。  それから、宇都宮市にある栃木県立野沢養護学校はことしの三月にやっぱりカラオケを購入して、脳性麻痺による言語障害の児童生徒が多く、積極性を養うのが目的なんですが、「伴奏のリードがあって、エコーがかかるカラオケは、吃音の子もあまり緊張せずに歌うことができる。」んだそうです。卒業して社会に出て、カラオケで一曲求められることがあった。そういうふうにまで歌えるようになったというんですね。それから、ある学校でこんなことを言っていますね。長崎県の諫早市の県立諫早養護学校で、この六月に購入したばかりですが、この校長先生が「私もちょっと首をひねったが、厚生設備としてこの程度ならいいんじゃないか、と思った。障害児はどうしても人見知りで、孤独になりがち。ひととふれあう、という意味からもカラオケの効果があるだろう」と、こういうふうにおっしゃっている。それで文部省特殊教育課のお話。「障害児の能力開発にはさまざまな試みが行われているが、カラオケというのは珍しい。音楽を使っての指導、ということだが、どんなアプローチが出来るのか、興味深い。ただ、カラオケセットを公費による補助対象教材とするにはまだどうも……」と、もう何か銭を取られるんじゃないかと思って逃げているんですね、ここのところも。まだそこまでいってないんです。  こういったように、意外とこういうことが効果が上がって、いつかも大臣にもお話ししましたけれどもアメリカから来たエアロビクスの先生に、まるで縛帯されて、縛られている子供さんの前でエアロビクス体操と。すると、何の効果もないだろうと私は申し上げて恥かいたんですけれども、とにかく体を動かそうとするだけでも効力があるんだから、まして言語障害といったような子供さんたちがこういうことで効果があるとすれば、やはりこれ何か考えなきゃならないんじゃな いかなというふうな気がするんですけれども、いかがでしょうか。
  54. 熱海則夫

    説明員(熱海則夫君) 今先生から御紹介ありましたように、一部の養護学校で例えば言語障害の改善だとか自閉症の克服とか、こういった面でこういうカラオケセットを活用しているケースも幾つか我々も聞いておるわけであります。文部省でも今特殊教育設備費補助というのがございますが、これはステレオとかテープレコーダー、つまりハードの部分については補助対象にしているわけです。ただ内容、またソフトの部分が果たしてそれで入るかどうか、こういうところが今勉強中のところであって、ハードはいいんですが、ソフトの部分、つまり中のテープまで込みでという形になると、これはちょっとまだその辺の考え方が固まっていない、こういうことであります。
  55. 下村泰

    ○下村泰君 それでは、去る七月二十七日ですか、大阪府の学校教育審議会が「病弱・身体虚弱教育の充実について」という答申を出した。その中でこういうことを述べているんですね。   審議の中で、不登校(いわゆる登校拒否)の状態にある児童・生徒の教育の場及び教育指導の基本的なあり方については、相当論議された。   しかしながら、こうした教育については、教育・心理・医療などを含めた幅広い見地から、総合的に研究する必要があると考えられるので、関係者による検討の機会を設けられることが望ましい。   また、教育と医療の連携のあり方についても、当面の対応策とともに、将来的には両者が組織的・体系的に提携すること等について、関係者による検討の機会を設けられることが望ましい。 と、こういう御意見なんですけれども、府教委の方で、吐き気それから強迫観念など心身症状を伴っているので、入学を拒絶できないといって養護学校の方が引き受けるんですね。全国的に見ていわゆる登校拒否児童、これを養護学校が受け入れているということは、これは文部省の方にもやっぱりおわかりになっていらっしゃいますか。
  56. 熱海則夫

    説明員(熱海則夫君) この登校拒否につきましては、先ほども申し上げましたようにその理由というのはいろいろございます。ですから、これに対応していろいろな指導体制を組んで、また必要な場合はそういう医療機関その他でいろいろやらなきゃならないケースがございますが、この養護学校に関して、例えば養護学校の教育の対象になる児童につきましては、当然これは養護学校に入ってきますが、必ずしもそういった例だけではなくて、これはごく限られた部分ではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  57. 下村泰

    ○下村泰君 だけれども、この大阪の方でこういう研究成果が発表されているということは、つまり普通の学校に行けないんですよね、この吐き気とか強迫観念。それをつまり養護学校の方で引き受けざるを得ないというような状態が生じているということなんです。こういう報告というのは、文部省の方はどうなんですか。
  58. 熱海則夫

    説明員(熱海則夫君) まだその詳しい実情その他については伺ってはおらないんですが、今後その辺は聞いておきますが、病弱の子供に対してはそういうふうな対応も必要ではないかと、こういう考え方ではないかと思います。
  59. 下村泰

    ○下村泰君 いずれにしても、先ほどの高木先生もおっしゃっておりました登校拒否の問題、もういろいろな形が今あるわけですね。こういうのも出てきているわけです。ですから文部省の方としてもひとつ研究してみてください。  それで、九月十六日にこういう新聞記事が出ているんですね。今登校拒否をしている子供たちがいるわけです。この今登校拒否をしている子供たちが小学校、中学校、高校に行きます。じゃ、それで自然的にこういう状態が治るのかというと、これは二十、三十まで続くというのです、私もびっくりしたのですけれども。「登校拒否症はきちんと治療しておかないと、二十代、三十代まで無気力症として尾を引く心配の強いことが、約五千人の治療にあたってきた稲村博・筑波大助教授(社会病理学)らの研究グループでの約五年間にわたる相談・治療の結果、わかった。」というのですね。二十、三十まで、これは大変なことだと思う。こういう無気力な子供たち、ちょっと例を申し上げますと、あるAさんという二十四歳の男性なんですね。  中学二年の時に転校先でいじめにあい登校拒否に。担任教諭が温かく相談に乗り、なんとか高校には合格したが、一学期の中間テストで成績が悪く、再び登校拒否に。高校になると学校側もかまってくれず、「別の高校を受け直す」と中途退学。翌年、レベルの高い高校に合格し、親も「これで大丈夫」と思ったが、今度は、四日間通っただけで登校拒否し、留年。「大学入学資格検定試験を受ける」と退学したが、昼に起きて夜はテレビばかり見ている生活。暴力も振るうようになった。   稲村助教授は「中学時代の登校拒否は、社会不適応の発端だった。十分治ってなかったため、競争の激しい高校に入り、こじれた。こうなると学校をやめても同じことだ」 とおっしゃっています。この人の場合は、  規則正しい生活、友人作りやスポーツ、遊びなど、自発的に活動できる力をつけるトレーニングや、集団カウンセリングを盛り込んだキャンプ療法をはじめ、三カ月間ほど民家に泊まっての土いじりやスポーツ、読書など、「生きているのはおもしろい」と感じさせるための宿泊療法をほどこした。もともと好奇心の強い生徒で、回復も早く、その後カウンセリングを重ね、いまではほぼ回復、アルバイトをしながら大検の勉強に取り組んでいる。 こういうんです。  そうしますと、先ほど高木先生がおっしゃっていましたけれども、小中で登校拒否、いろいろな状態があるんでしょうけれども、起こした子供が、それじゃ大人になったら治るのかといったら、大人までまだ尾を引いていると、こういうことになってくるんだよ。これはえらいことだ。文部省としても新しい問題としてこれは取り組まなくちゃいけないような気がするのですけれども、いかがでしょうか。
  60. 古村澄一

    政府委員(古村澄一君) 登校拒否の問題につきましては、いろいろな態様がさまざまである。例えば勉強が嫌だというのから、精神的な情緒不安定というようなこともありますし、その発端というのは何だといえば、友人問題から来たとかあるいは勉強がよくわからなかったから来たとか、そういったことでいろいろなさまざまなんですね。したがって、登校拒否についてどういうふうな対応をすればいいか。非常に具体的なケース・バイ・ケースによるであろうということは私たちも認識いたしておりますけれども、基本的にそれに対してどういう対処をしていけばその子が将来的に伸びていくかということについては、私たちもまだ未解明であるということから、来年ひとついろいろな専門家の御意見を入れてその研究を進めて、そして市町村の教育委員会なり学校において対応ができるような処方せんというものができればいいということで、来年度の予算要求においてやっているわけでございます。
  61. 下村泰

    ○下村泰君 この記事に関しましては大変いろいろなところから抗議もあるそうです。一方的な発表であるとか、あるいはそんなことはないとかいろいろありましょう。ただ、少なくともそうした方たちがそういったことに取り組んで一応こういう記事にもなっているということになれば、やはりそれはそれなりに考えていかなきゃならないというようなことだと私は思うんです。それで一言申し上げました。  次は、毎度お話ししておりますけれども、円君のことなんですが、実は先般愛知県の岩倉へ行ってまいりまして、市の教育長やなんかとお会いして何とかしてくれぬかというふうにお願いしてきたんです。お母さんとも話しまして、ほうっといたんでは、また就学できないという状態じゃ困るから、とにかく一応養護学校へ行ってくれと。そ の後で県の教育委員会の方も、養護学校に通っていただいて、その上でもう一度市の教育委員会とお話をして、できれば岩倉市の方の学校へ行ってもらいたいという形になるかもしれぬからぜひ行ってくれというふうにお願いしてきた。そうしましたら、あちらから返事が参りまして、十二月九日から通い始めたという通報が来ておるんです。もちろん局長の方にもいろいろと通知は来ておると思いますけれども、何かどうもただ単なる教育長の何だかんだというのでなくて、何か後ろの方で土地の市長さんだとかいろいろなのが絡まり合って、教育長という方がどうしたのか知りませんけれども、何か岩倉市の抱えている政治的な問題にまで発展してしまって、単なる登校拒否がどうのこうのじゃなくなってきているような感じが今するんです。  ただ、この教育長という方も何かいこじになりまして、文部省の言うことはそんなもの聞けるか、県の教育委員会、そんなもの聞けるか、おまえらに現場がわかるかというようないこじな態度になってしまっているんですね。ですから、これを何とか解きほぐさにゃいかぬなとは考えておるんですけれども、今どういうふうに見ていらっしゃいますか。
  62. 古村澄一

    政府委員(古村澄一君) この問題につきましては下村先生が大変御努力いただいて、具体的にはおっしゃいましたように十二月九日から養護学校に通うようになったという一つの解決の兆しが出てきたことにつきましては大変御礼を申し上げたいと思っておりますが、確かに、おっしゃいますようにことしの二月にこの問題について市議会の全員協議会で今やっておる市の教育委員会の方針はいいよという一つのお墨つきをもらったんですね。そういった政治的な問題に発展していったという背景があって、なかなか解決は困難であったというふうに私は見ております。  そこで、こういう養護学校進学問題についていろいろなところでトラブルがある程度何件か起きておりますけれども、要はその子供がどこの学校へ行ったら一番いい教育が受けられるかということでして、私たちは養護学校というのは教育条件の整備というのに非常に力を入れてやってきておりますし、クラスの編制にしたって小さいクラスにしてありますし、そういった点で教育条件は非常にいい。だから、そっちへ行っていただいた方がその子供にとっては教育条件としては非常にいいのではないかという判断から養護学校の義務制ということをやってきたわけでございます。  そういう方針で、市町村の教育委員会も養護学校へ行くようにというお勧めをし、そのときに就学指導委員会といったお医者さんも入れた専門家の委員会の判定も受けた上で御指導をしてまいりますが、それが保護者との間でトラブルが起きてきた。この問題は私は両方あって、市の教育委員会としてはやっぱり保護者の意見というものを十分聞くということが一つ必要である、保護者としてもやっぱり市の教育委員会の教育に対する姿勢というものを十分理解してもらう、その両方の歩み合いの中から一つの解決方針が出るんではないかということで、そういった点で、よくそういう意思疎通を図りなさいということを御指導してまいったわけでございます。
  63. 下村泰

    ○下村泰君 今局長のおっしゃったので私は間違いないと思いますけれどもね。ただ、こういうことをおっしゃる教育者もいらっしゃるんですね。知恵おくれの子供は知恵おくれと親が認めろと。自分の子じゃないか、自分の子が知恵おくれなら知恵おくれと認めなさい、それを健常者の子供たちと一緒教育してもらおうということが誤りなんだ、こういうことを言う教育者がおる。それはそれでいいでしょう。しかし知恵おくれのお子さんの中にもすばらしい能力を持った子供がいるということ、これも事実ですわね。例えば山下清がそうですね。そのほかにもたくさんそういう方がおるんですよ。突如としてすばらしいひらめきを持ったお子さんもいらっしゃる。そうしますと、知恵おくれは知恵おくれとして認めればいいんだというふうな、何か掃きだめに人間を捨てるような言い方をする教育者というのは私これ本当の教育者なのかなという気がするんです。大学の先生にいらっしゃる。名前言いません、大学も言いません、そういう方がいらっしゃる。そんなことで果たして国民というものを抱えた国の政治というものがあるんだろうかと思うんですね。  あのケネディ大統領のたしかお姉さんでしたか、やっぱり知恵おくれですよ。ですから、ケネディさんという方は大統領になった瞬間に、そういった知恵おくれの子供たちのための協会をつくってその子たちの面倒を見ようじゃないかと。それから今のレーガン大統領の奥さんもそう言っていますね。ああいったトップレベルと言われる方々というのは必ずそういったことを取り上げて、そういったことがきちんと、ほかの国から見られた場合に、あの国はすばらしい国だ、ああいう方々をああいうふうに扱っている、これがその国の文化を示すバロメーターだとみんなおっしゃっている。ところが、日本の国はそういうことを言わない。非常に悲しくなりますね。これだけいろいろな物があって、そんなすばらしい日本の国の中でまだこんなことが論議されるということは、私は非常に寂しいと思うんですね。そういう意味からもこういう問題がもう少し円滑に解決できる方法はどこかにないものかな、こんなふうに考えるんです。局長、もうひとつ。
  64. 古村澄一

    政府委員(古村澄一君) 私たちは人間一人一人の個性、能力というものを最大限に伸長させていくのが教育であるという角度から、そういった子供についてどういう教育を施したら一番その個性、能力が伸長するんであろうかということだと思います。したがって、知恵おくれの子供についてはどういった教育をしたらその子はほかの面で活躍し、あるいはその能力が少しでも伸びていくかということから、特殊教育というものが非常に重要であるということで私たち取り組んでまいったわけでございますが、それについていろいろとおっしゃいますように、父母の方の御意見とか、あるいは学識経験者の御意見もございますけれども、要はその子供の個人の能力、適性を伸ばし得る教育条件というのをいかに整えてやるか、そのためにはどこの学校で教育をした方がいいのかということに着眼して、みんなの関係者が共通の理解を持つべきだろうというふうに思うわけでございます。
  65. 下村泰

    ○下村泰君 とにかく局長御存じでしょうけれども、余り規則規則で、これこれこれに適するからおまえはこうだ、これだからこうだというのでなくて、やっぱりそこのところは幅広く考えて対応していかないと、こういう子供たちの面倒は見切れない。これは釈迦に説法かもわかりませんが、よろしくひとつそういった御指導のほどをお願いしたいと思います。  それではこの問題は後にして、この間大臣にお願いしておきましたが、ニューヨークですね。日本人が非常に商社の方たちその他で進出するのは結構なんですが、単身赴任じゃなくて御家族で行きますと結構知恵おくれのお子さんがいらっしゃるということが出まして、ニューヨークの方で今大変な問題になっておる。一番困るのは、知恵おくれのお子さんですから日本語でさえも一生懸命教育してもわかりにくいところへ英語でもやらなきゃならない。向こうの日本人の学校にそれありませんから、アメリカ人の方の学校へ入るわけですね。そうすると、向こうの先生は向こうの先生でそういう特殊教育をする先生もおるんですが、二つの国の言葉でやらなきゃならないから知恵おくれのお子さんがこれひどいことになりますわ。何か聞くところによりますと、アメリカの方では日本人のお子さんでも年間三万ドルから五万ドルというアメリカの国の方で費用を出して日本人子供さんも面倒を見てくれる。こんなことではかわいそうだというんで、この間大臣にも会っていただいたわけでございますけれども、カウンセラー、カニングハム・久子さんとおっしゃるんですが、この方が一生懸命やってくださっておるんですけれども、それに対して文部省の方は何か形が出ましたでしょうか、ちょっとお聞かせ願いた いと思います。
  66. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 下村先生の御努力に本当に感謝を申し上げます。カニングハム・久子さん、先生がこの間わざわざおいでいただいて、そして特殊教育の研究所にお勤めだったと記憶しておりますが、実情も拝聴いたしまして、本もいただいておりまして、局の方へ直ちにおろしまして、これは局の方からお答えする方が正しいと思いますけれども日本人学校、ニューヨークの場合には日本人学校がありまして、その運営には運営委員会がつくられておりますから、当然そこで決まっていくことではありますけれども、そういう障害児の方々に対する教育、こうなりますと、それの受け入れ体制、受け入れていただくと同時に受け入れ体制も必要でありましょうから、専門的な教育者をこちらから派遣をするということも考えなければならぬ、そういうことも考えていこうということで局の方へおろしておりますので、具体にはちょっと政府委員からお答えさせますが、私からはちょっと感謝だけ申し上げます。
  67. 倉地克次

    政府委員(倉地克次君) 大臣の方からいろいろ御指示もいただきましたし、また担当課長も出向きまして御本人にお会いしていろいろお話を伺った次第でございます。私どもといたしましては、その御本人の陳情の内容を現地の学校へお伝えしたいというふうに考えている次第でございます。ただ、第一義的にはどういう方々を日本人学校へ入れるかというのは、現地の学校の運営主体がお決めになることでございますけれども、先ほど申し上げたように、陳情の内容を十分お伝えすると同時に、現地の学校がそういう方を入れるということを決定されたときには、私どもの方として教員の派遣等についても十分考えて援助していきたい、そういうふうに考えている次第でございます。
  68. 下村泰

    ○下村泰君 おしまいですから一言申し上げますけれども、とにかく久子さんのお話によりますると、ニューヨーク州周辺は日本人が非常に多くて、学齢児だけで五千人、障害児の数は確定ではないんですけれども、この久子さんという方の推測では百人以上はいるという、百人以上となるとこれは大変なことですからね。一日も早く向こうへそういった日本人学校で特殊教育のできるような設備、施設を何とかして一日も早くできるようにお願いをしておきます。  終わります。
  69. 杉山令肇

    委員長杉山令肇君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  70. 杉山令肇

    委員長杉山令肇君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  教育文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  71. 安永英雄

    ○安永英雄君 高石氏がきょうは来ないということですから、主として大臣を中心に質問をいたします。  十三日の日に高石氏が声明文を出しました。今回の一連の問題について文部省初め全国の皆さんに多大の迷惑をかけたという。そして、さきの立候補声明を白紙に戻す、準備を取りやめたい、こういう趣旨の声明書でありましたが、まず大臣、この声明書に対して大臣の所見を承りたいと思います。
  72. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 十三日に高石氏が出された声明文、これはたまたま委員会が開かれておりまして、その途中で声明文を目にいたしたわけであります。高石氏個人としては周囲の状況を勘案して、御自分で十分に熟慮した結果決められたことと思いますので、私は、まずその御当人の決められました結果を尊重して受け入れると、こういうことに間違いございません。  ただ、高石氏個人としては今までの、立候補と申されておりますけれども、立候補という言葉があながち正しいとは思いませんけれども、政治活動に対する準備活動をなさっておった。これを白紙に戻す、つまりそういうことはしない、こういうことでありましょうから、一つのけじめをつけられたというふうに私どもは受け取っております。ただ、受け取りました私どもとしては、これを機にさらにこの高石問題につきまして、教育行政の信頼が損なわれた点、これを回復し、さらに理解を求めるための努力を一層傾注しなければならない、そういう感じを強く持ちながらこの声明文を拝見した次第でございます。
  73. 安永英雄

    ○安永英雄君 多大の迷惑を文部省にかけたということを言っておりますが、この声明を発表する前に後見人であります剱木さんとか、あるいは地元の柳川高校の後援会長、こういったところに今の声明書の趣旨について前もって相談をした形跡があるわけです。これは新聞にも発表になりました。このことについて、大臣にこの声明を出す前に相談がありましたか。
  74. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 実際は全くございませんで、今申し上げましたように、その声明文も委員会の途次目にしたというのが事実でございます。
  75. 安永英雄

    ○安永英雄君 今までの委員会の中で高石氏の問題について質問がいろいろ出ましたけれども大臣が十一月の二日以降ほとんど、まあほとんどというか全然高石氏には会っていないですね。しかも、大臣自身が質問を渡してもそれに対しての回答も来ない。いわゆる直接文部省を代表する文部大臣に対してのおわびというものについては、本人と直接会って受けたことはないというふうに、私ども一連の質問の中から感じるわけですが、私は国民にもこれは迷惑をかけ、特にやっぱり文部省に大迷惑をかけて、文部行政、とにかくこれを行き詰まらせるような報道があっておるわけですから、大臣としては、この声明の中で、今もちょっと読まれたようでありますが、まだ次の選挙に出ないということははっきり言い切っていない、これは。白紙だと、こう言っている。ここで、大臣は高石氏を呼んで、はっきりと次の選挙には出馬してはいけない、あなたは出馬すべきでないという勧告をあなた自身やられる気持ちはありませんか。
  76. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 三つ御指摘があったと思います。  今まで私が高石氏と直接十一月二日以降会った時点がないというのは、残念ながら事実でございます。ただ、高石氏の方からは電話並びに書面をもちまして、おわびを申し上げる、申しわけないという意思表示がありましたことは事実であります。私が高石氏と直接お会いしなかったのは残念というか、私の至らなさと申しますか、まあ私に徳がなかったのであろう、こう思っております。長くなりますからその点は省略をいたします。  第二点は高石氏の声明文でありますが、私はこれは御当人の言い回しいかんにかかわらず、やはり一つのけじめをつけられた、こう思っておるわけでございまして、恐らく、文法上正しいのかどうか、立候補はしない、立候補というのはちょっとおかしいんですけれども、そういう時点が来てもしない、こういうことであろう、こう受け取っております。  最後に三点目として、私から改めて御当人に勧告をする気はないか、こういうことでありますが、この政治活動につきまして、私は、例えば文部省に対すると同時に、関係各位というのは本当に教職にあられる方々、あるいはまたそこに学ばれる方々も含めまして、高石さんの気持ちの中には全国民にという気持ちを含めて、関係者各位に多大の御迷惑をかけたという言葉を言っておられると、こう思うわけでありまして、その点は私は高石さんにもお会いする機会があれば強くこれを伝え要望したいと思っておりますが、事政治活動につきましては御本人がお決めになることである、このように感じておるところでございます。
  77. 安永英雄

    ○安永英雄君 会ってぜひ話をして注意もしたいという意向はわかりますけれども、私が申し上げたように、この高石氏の問題は、ただ単にリクルートから株をもらった、ぬれ手にアワという、 あるいは職務権限に抵触しないかという問題以外に、今までずっと続いてきたこの論議の中では、政治活動なんですよ、出馬ということなんですよ。これがとにかく文部行政をゆがめておるわけです。それに対して、最高の責任者である文部大臣が、はっきりとこれは確かめて、もうあんたは選挙に出るべきでないということを言うことが、あなたが先ほども言ったように、けじめはついたけれども文部省としては教育行政、教育に与えた影響、こういったものの収拾について全力を挙げると今おっしゃったけれども、それをやるとするならば、文部大臣が毅然とした、もう選挙運動に出ることはできないということを、引きずってきてでもあなたは言わなきゃならぬ。その態度がなけりゃ、これは本人の問題ですからということで済ましては、これはけじめはつきませんよ。どうですか、再度お伺いいたしたいと思いますが。
  78. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) お気持ちはよくわかります。ただ、御当人の、まあ私は正しく言えば先生がおっしゃるのが正しいんで、政治活動の準備活動を進めておったと、こういうことであります。これをやめる、こういうことでありますので、私としては、これは時期が来ても立候補しない、こういう意味に受け取っておると、こういうことでございます。それで、この御当人が意思表示をされたというのを一つのけじめとして私は尊重して受け入れると、こういうことを申し上げておるわけでありまして、これは確かめるということであれば確かめるということでありますが、既に御当人がそういうことを声明されておるということを厳しく受けとめるというのが正しい態度ではないか、こういうふうに考えておるところでございます。
  79. 安永英雄

    ○安永英雄君 ここで時間をとりたくないんですけれども、要するに会う機会があればと、こういう話ですけれども、私は積極的に出てこいと、そして文教委員の皆さんにもここで釈明すべきではないか。私どもは参考人として呼びたい。私はぜひとも早急に、会う機会があればという待ちじゃなくて、あなたの口から東京に出てこいと、文部省に。そしてとにかく釈明せい、文教委員会にも参考人として出ろと言うくらいの、これはかつての上司として、先輩としてはっきり言うのが本当じゃないかと思いますが、どうですか。
  80. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) お気持ちはよくわかります。私としても、再三今まであらゆる連絡の方法をとりまして、御当人にも意を伝えておるところでございます。なお今後とも意は伝えたいと、このように考えます。
  81. 安永英雄

    ○安永英雄君 高石氏は今どこにおるんですか。北九州におるという話は聞いているんですが、北北州のどこの病院に入っているのか。
  82. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 高石前次官が入院をしているという情報は得ておりますが、どこの病院であるかということは確認できておりません。
  83. 安永英雄

    ○安永英雄君 診断書が出るそうですから、診断書を見れば大体わかるでしょうけれどもね。  私は、今の大臣の言葉はなかなか通りのいい言葉のように思いますけれども、あなた自身がけじめをやっぱりつけなきゃだめなんですよ。今後とにかく文部省の綱紀粛正、いろいろなことをやるとしましても、そういったぐらいのきちっとした態度をあなたとらないと、私どもから見れば、いかにも文部省こぞって高石氏をかばっているような、こんな感じを受けるんですよ。おるのはわかっておっても出さぬのじゃないか。文部大臣だって一回も会ってないんですから。  そして、今聞きますと、出馬するとかしないとか、それは本人のあれですと言いますけれども、起こしたことは全部政治活動の中から出てきた問題ばかりなんですから、これはぜひとも、今さっきおっしゃったように、引きずってでも、とにかくやるということで私も了解をいたします。ただ残念なことに、今までやっぱり大臣として現職中の高石次官に対する指導といいますか、こういったものについて私は非常に手抜かりがあったんじゃないか。やっぱりあれだけの行政を乱すようなことをやったのは、大臣にも私は大いに責任があるというふうに思います。  時間がありませんけれども、三月の二十二日、現職中ですが、このあたりからもう盛んに選挙運動に九州、福岡に飛んでおった時期で、とにかくこの日は九州大学に行って、そして高校選抜庭球大会のあいさつをした後は、一挙にとにかく市内を駆け回り、地元を駆け回っておって批判を浴びたところでありますが、その晩に地元のRKBという放送局、ここで事実上の出馬宣言をやったんです、私は出ますという。しかも、国政選挙の中から見てみると、衆議院というのがいいんで参議院はどうも政治力の発揮するところじゃないと、要らぬこと、参議院侮辱のとにかく発言もやったわけでありますが、この点につきまして、ここにも本岡さんいらっしゃるんですけれども、議運も怒って、議運も呼びつけて、そしてこれはきつく議運の委員長から注意を受けた。そのときの大臣のこの処し方というのはなまぬるかったですね。  この四月の二十六日、議運に呼びつけられたときに、何を考えたか私の部屋に来ました。高石氏は私の部屋に来た。そして結局そこはお手やわらかにということでしょうけれども、参議院の議運の、そのときにはっきり、私はもう本日、大臣に次官の辞表を渡してきました、だからこれ以上はという意味で私に明言をしたわけです。渡っていましたか、大臣。次官の辞表というのはお受けになりましたか。
  84. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 当時、意思表示はございました。ただ私が、事実を申し上げますと、百十二国会の重要な審議の最中でございましたので、きつく二点でございますが、そのような自分の次の進路について誤解を招くような行為をしてはいかぬ。それから二つ目は、その中心は、職務の専念の義務があるはずだ、この百十二国会、少なくとも今そのようなことは一切考えずに職務に専念をしてくれ、私も文部行政を預かった以上は全力を傾注するということで、以後百十二国会が終わりますまで、すべての点で職務以外のことは一切聞かないと、こういうことと、聞かないことはもちろんでありますが、百十二国会の審議に専念をするということを二人で申し合わせまして、その辞意表明に対しまして、私は百十二国会を務め終わるということを心から勤め、戒めたのが事実でございます。
  85. 安永英雄

    ○安永英雄君 私はそこに立ち会ったわけじゃないですけれども、私はそのときになぜ、辞表を出しなさい、選挙運動やるなら辞表を出してすっきりしてやりなさいと。辞表を出さなかったとあなたは言っているけれども、本人は出すと言っているから、今度参考人で出てきたらはっきりいたしたいと思うんですけれども、あなたの立場からいって、辞表が出ていなかったと。あなたが辞表を出しておるのをまあまあと返したならこれは大きな責任があるけれども、これは今度参考人で出てくればはっきりしますから。しかし、そうでなくて大臣がおっしゃるようだったら、なぜそのときに、もう辞表を出して選挙でも何でも専念しなさいと、こう言ったり、あるいはあれだけ問題になったんだから、このときには応分の処分を私はすべきでなかったか。これをやっていないから、今さっき言ったように、国会におって専念しなさいと言うだけの話では、高石氏はその当時何をしておったか。このときが問題の生涯学習の振興財団、これをつくりたいので帝京の方に働きかけている、これにひとつ協力してほしいと。帝京は五月ごろ理事会を開いて、問題の八億、これを拠出するということを決めておる。しょっちゅうとにかく帝京、帝京に行ってそれを沖永という人と話し合いながらやった盛りですよ。これが五月。  あなたの三月のときの選挙の問題も、あなた素人じゃないんだから、選挙の事前運動をやっているというのと、公務をほったらかして九州に行っているというこの二つの要素で、あなたはしからなきゃならぬのですよ。国会におれ、国会におれ、専念せいと言うだけじゃだめなんですよ。それをやっておれば、少なくとも辞表を出しておるとか、あるいは辞表を出せと言われるとか、処分をしたと、こういったときには、恐らく財団法人の この仕組みはできていなかったと私は思う。あるいはその後たびたび九州、福岡に出向いていったと今批判されるけれども、これで厳重な区切りをつけておけば、そういうこともなかったんじゃないのか。私、今さっきの連れてきてわびさせろ、委員会にも連れてこいと、こういったことを私は言ったんだけれども、そういったことについての反応はどうも鈍いようですけれども、あなたの場合は、既にこういったことを私は感じておったわけなんで、この点についてあなたはどう思いますか、その点。
  86. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) おっしゃることはよくわかります。そういうことを私も常々この問題が起きましてから痛感をいたしておりました。したがって、各委員からは高石氏の行動についていろいろ厳しい御指摘をいただいたわけであります。私もそうは思いますが、その言葉は自分自身に浴びせる言葉であるというふうに受け取っておる、こう申したのはまさに安永先生おっしゃるとおりでございまして、私の代になりましてから高石氏の行動が表に出たわけでありますけれども、それはまさに私と、それから高石氏の現職中にさかのぼるわけでありまして、その点の監督不行き届きと申しますか、あるいは措置の甘さと申しますか、これはひとえに人を責めることではなくて私自身の責任としてみずからを自戒し、責めるべきことである、このように常々感じておりまして、その気持ちを内に持ちながら、今までもお答えをいたしたつもりでございますし、現在もその心境に変わりはございません。
  87. 安永英雄

    ○安永英雄君 時間がありませんから次に進みます。  この九月十六日の赤坂のホテルで「高石邦男君と語る会」という、これはパーティーがあったわけでありますが、そのパーティー券をめぐっての問題です。時間もありませんから端的に聞きますが、このパーティー券について、さきに文部省の方でこのパーティー券を押しつけるために文部省の職員、こういった者が盛んに各都道府県の教育委員会、それぞれの方向に強制をしながら、そして四億円の収入を上げてパーティーを行ったと、こういうことであります。いわば文部省ぐるみでこの高石氏の政治活動資金つくりということについて全力を挙げたということでございますが、その実態について、先ほど十二月の十三日、文部省の方から、大臣からですかこれ、大臣の方から正式に記者発表があって、その実態というものについて発表がありましたが、その点について県数はいろいろ承りましたけれども、これは変わりありませんか。その後の調査その他でふえたとか、あるいは減ったとか、発表の数、変化はありませんか。
  88. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 閣議後の大臣記者会見の席で記者クラブの方から御質問がございまして、私の方から答弁さしていただきましたほかに、税制特別委員会等でもこういうようなお尋ねがございまして、その日時がそれぞれ違っておりますので、中間的な形で数字は約二十県というような形で申し上げてまいっておりますが、現段階までに把握いたしております数字としましては、このパーティー券を県教育委員会の幹部が購入されたというその県の数といたしましては十九県、購入はしていないという県が二十五県、それから個人的なことなのでわからないという県が三県ございます。そのうちの一県は、県教委幹部が購入したのではなくて、公立学校施設整備期成会というところで購入されたように承知をいたしております。  それから、教育委員会からの報告によりますと、そのうち文部省の職員と県教育委員会の幹部職員との間で会話の中、あるいは電話事務連絡の中等で、このパーティーがあるという事実を聞いたことがあるという県が十県ございます。そのうちの数県につきましては、単にパーティーがあるということを聞いただけではなくて、依頼的なニュアンスあるいは口添え的なニュアンスとして受けとめたという県が数県ございます。  そういったような状況でございまして、事は人と人との会話の中で出た言葉でございますので、過去のことでもございますので、精緻に詰めていくことは非常に難しゅうございますが、現段階、文部省として各都道府県に対しまして照会申し上げて、把握している状況は以上のとおりでございます。
  89. 安永英雄

    ○安永英雄君 これ初めて文部省の方から内部の実態調査されて発表された。初めてであります。私どももとにかく文部省がこぞってこの高石氏パーティーを成功させるために全力で、省ぐるみでやったというふうには私ども考えておったんですけれども実態が初めて明らかにされた。  そこで、私はこの職員の地位利用、あるいは職権乱用、あるいは飛んでいっているところもありますが、職務専念の義務、いわゆる公務員法違反、これを犯しておると私ははっきり思うんですけれども、どうもこの前の大臣のこの問題については、教育の中立性が疑わしいから、軽率、不注意な行為である、したがって関係機関に粛正を通知することにしたということで、今後改めなさいよというふうなことですが、こういったはっきりとした公務員としてやってはならない法的な違反を私は感じるんです。一つ一つ挙げたら時間がありませんけれども、明らかにこれは公務員法違反です。あるいはまた地位利用です。だから、何か大臣ははっきり調査された職員のけじめというのはどういうふうにおつけになるつもりですか。
  90. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 今の内容については、官房長からお答えをしたとおりであります。  私の偽らざる気持ちを申し上げますと、これはワン・オブ・ゼムという、幾つかの中の一つとい・うことでは律し切れぬ問題であろう。少なくともこれは私から、おしかりを受けるかもしれませんが、これは文部省ぐるみという気持ちは毛頭なかったということを申し上げさしていただきますが、しかし一人でも、例えば幾人なら仕方がない、幾人なら悪いという問題じゃなくて、例え一人でもそのような言葉を伝えたということがあれば、それはその言葉がどうであれ、少なくともこのパーティー券の購入を強要したのか、あっせんしたのか、あるいは紹介したのか、ただこういうことがあるということだけを言ったのかということをせんさくしても始まらぬ。  はっきり申せばそういう言葉を一人が発しただけでも、これはやはり教育の中立性を保たなければならない文部省職員であり、また申し上げた先が教育委員会、これまた教育の中立性を最も守っていただいておるところでありますから、例え一人の人間がどのような言い方をしたとしても、同じように受けとらなければいかぬ問題であろうというふうに思っておりまして、私はこれが十九県であるか、十八県か、二十一県かというのは、それはもう同じことだ。これは厳しく受けとめなければいけないという気持ちでおりました。したがって、私がお答えをしたような言葉になったわけでございます。  そして、そういう処分でございますが、処分というお言葉を使われたと思うんでありますが、私はそういう個々の方々の処分ということになるのだろうかなと、これは文部省ぐるみということを否定はさせていただきましたけれども、職員の中にたった一人でもそういうことがあるとすれば、やはりこれは何か文部行政に対する精神的なたるみがあるんではないかと言われても仕方があるまい。その点でやはり総理もおっしゃっておりますように、やはりその長にある者が自粛、自戒しなければいかぬということになるならば、そのだれを処分するということでなくて、私自身が先頭に、先頭にというか、まず自分で自戒しながら、そして文部省全体がもう一度綱紀の粛正に身を引き締めていこう、こう私も言い、全職員がそれを確かめ合うということがまず必要なのであろうと、こう思いまして先ほどのような御答弁になったわけでございます。
  91. 安永英雄

    ○安永英雄君 私は、あなたのそういう人柄ですからあれですけれども、これはやっぱり行政の責任者としては厳正な立場でいかなきゃならぬ問題だと思うんです。そこにやっぱり高石氏の今度の ああいった行為というのが生まれてきたんじゃないかという気も先ほど申し上げたようにあるんですよ、これは。だから、精神訓話で綱紀粛正綱紀粛正、精神訓話ではこの問題はまた起こりますよ。  とにかく九州方面を歩き回って、そして自分の選挙ばかりやりながら、そうして財団をつくりましょうとか、大学つくりましょうとか、後で申しますが、プールつくりましょうとか、走り回ってやっておるその機会を、辞表は辞表でも本人は出したと言うんですけれども、出そうというふうな気持ちでおるのに、そこらあたりをあなたはやっぱりくぎ刺していない。  今度の問題だって、これは普通の者がやったんじゃないですよ、これは。はっきりけじめつけなきゃ。あなた方は、これは参考に言いますが、毎国政選挙が始まる前になりますと文部省は「教職員の選挙運動等について」という通知、通達を出すわけです。  一番近いのが六十一年の五月八日、これは今の次官の阿部さんが助成局長のときに出している。これが今生きている。これでもって行政指導をやっているんですよ、各県の教育委員会は。これ全部読むと時間がありませんけれども、「教育の政治的中立性を疑わしめる行為をすることにより、国民の教職員に対する信頼を損うことのないよう服務規律の確保について格段の配慮をされるとともに、非違を犯した者があったときは、厳正な措置をとられるようお願いします。」、次の「記」のところには、こういうことをやれば選挙運動禁止というところの何々の条項で処罰をしろ、こういった場合にはこうやれ、選挙資金を集めるときにはこうやれと。まさにこの規定どおりのことを文部省はやっているんですよ、禁止条項を。これは全部文部省の職員にでも通達しなきゃならぬ問題です。実行しなきゃならぬ問題です。  それを今さっきのような形で私はけじめをつけるというのは、こういう同じような立場で処分しなさいと私は言っておるわけです。その考え方はないかと言ったら今みたいな話ですけれども、これはもう出せませんよ、文部省教育委員会に対して。自分のところでこういうことをやっておって、そしてそういうことの処罰もなくて、そしてまた恐らく来年の七月あたりは参議院選挙がありますが、その前になるとこれを出すんです。これを出したら教育委員会これを持って走り回って校長を集めて、こういうのが一人でもおったら処罰せよ処罰せよと、こうくるわけです。そうして処罰された者も現におる。文部省の方で、今みたいな大臣の答弁では、これはもうことしは出せませんね。この点のけじめというのははっきりつけてもらわなきゃならぬです。どうですか。
  92. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 教職員の選挙活動等に対します通達の内容といたしましては、つとに国家公務員法、地方公務員法、教育公務員特例法あるいは公職選挙法といった法の規制に抵触するような行為に関しまして通達を出しているわけでございます。  それで今回のケースにつきまして、理屈を申し上げるわけではございませんが、高石前次官は公職の候補者でもございませんし、あるいはこの「語る会」という形のパーティーの参加会費というような形で実際に行われたわけでございますので、これらに関与することが法令に抵触するわけではございません。ただ、そういった誤解を招くような不注意な行為であったということにつきましては大変恐縮に存じておるわけでございますけれども文部省といたしましてはやはり法令の規定に違反しないような通知を出すことは当然の職責ではないかと考えております。
  93. 安永英雄

    ○安永英雄君 出せるかどうかというのは、今あなたのところの責任を私は言っておるんであって、こういう通達を出しちゃいかぬとかなんとか言っているんじゃないですよ。出せるような資格があるかということを言っておるわけです。  あなた自身だってそうでしょう。問題になった六十三年の三月二十九日、あなた自身が「教職員の服務規律の確保について」という、加戸助成局長がごく最近のことですが出している。これ見てごらんなさい、あなた。教職員の服務規律確保について厳重にひとつ指導を願いますと。問題に国会でもなったけれども、今の事務次官、そして官房長、これは当時こういったことで出している。私は出しちゃいかぬということじゃない。注意をさせにゃいかぬ。しかし、出す資格があるような文部省の体制をつくりなさいということを私は言っておるわけです。しゃあしゃあと、とにかく出せぬことはありませんとか、そういうことにこだわっておるんじゃないです、私は。そういう答弁をしちゃいかぬです。あなた、どうですか。こういったことについて文部省内の職員がはっきりと言っている。リクルートという問題の資金集めに文部省から地方教育委員会に対してそのパーティー券を買え、こういうことを言ったのがはっきり出てきているんです。私は何人とか、まだ出てくるだろうと思うけれども、出てきた限りにおいてはその問題についてはけじめっけなさいと言っているんだ、こういうことを出した立場の者は。官房長なんてそれが係でしょう。官房長、どうですか。
  94. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 確かに文部省の職員が会話の中で、あるいは事務連絡の中でパーティーがあるという事実を紹介した職員がいることを私ども調査実態によりまして把握をしているわけでございまして、ただ、だれがいつだれとそんな話を、どんな内容の話をしたかということは、これは記憶にたどるしかないわけでございまして、そういったことが軽率不注意に話したことがあるかもしれないという程度で、その具体的な職員についての処分を問うことは極めて難しい問題だと思っております。基本的にはこういったことがなされないように、私どもが今後の対応につきましてきちんとすべきものであることは重々自戒をさせていただいております。
  95. 安永英雄

    ○安永英雄君 これは私は時間をかけてこの問題は一遍やらなきゃいかぬと思うんです、あなたと。  そこで文部大臣、先ほど私は文部省総ぐるみでやったというふうに私どもは思っていると、こう言ったら、そうでもないんじゃないかと、こういうことがありましたが、今の調査はまださらに続けるわけでしょう、各県にパーティー券を売るのを押しつけた行為をやった省内の人間については。私はそれはまださらに進めなきゃならぬ。私どもはやっています。  そのほか、総ぐるみというのは私はこういうことですから調べてもらいたい。これは注文です。体育協会、ここにはパーティー券百三十枚行っていますよ。教科書の業界、日本芸能実演家団体協議会、全国史跡整備の市町村協議会、学校栄養士会、国立大学、私立大学、私どもはこれはシラミつぶしに今調べておるわけですけれども、ここらあたりはもう文部省からずっと指導がいって、そしてそれに対して出しているんですよ、パーティー券を。これを知らないと助成課ばかり調べたってだめですよ。全部の、とにかく文部省のそれぞれの今みたいなことを担当しているところを全部調べてください。よろしいですか。
  96. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 今回のパーティーに関しましては、「語る会」の事務局からパーティー券の購入依頼なり送付なりがあったわけでございまして、文部省の職員がそのことを話題に供した、あるいは関係団体の方々と会われたときにどのような会話が交わされたのかということを逐一調べることは不可能でございますし、日常会話の中で仮に出たケースがあったといたしましても、当人も失念しているような状況ではないかと私は思いますし、そういった意味で、全省的にこれをすべての全職員について、今まで「語る会」のことを話題にしたことがないかどうかということまでを厳密に調査することは不可能であると思っております。
  97. 安永英雄

    ○安永英雄君 調べるすべがないなんていうような、そんなことで逃げちゃだめですよ。あなたたちはいつでも報告を求めるときにはそういうことを言うじゃないですか。調べるすべがないと言っ たら、調べろと。つくって出しているんですよ、今その地教委の、大学の報告は。調べなさい。私が言ったのは調べますか。局を言いましょうか。今私が言ったのは、それぞれの局、そこから行っていますよ。文化庁からも行っているんですよ、著作権の関係で。全部調べてもらいたい。次のこの委員会には報告してもらいたい。  助成課だけではない、私のあれでは。今申したところだけでも局の名前すぐ言えるでしょう、関係の。そこから行っている、図書会社にしたってどこにしたって。調べなさい、それ。いいですか。私から言わせれば文部省総ぐるみですわ。各局全部じゃないか。調べますか。
  98. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 確かに、「語る会」の方から購入依頼がありました、先生今おっしゃいました団体は、文部省所管の団体でございます。そういう意味におきまして、団体に対する照会あるいは省内の職員のという形で、これは膨大なことでございますけれども、ただどのような会話がなされたか、あったかなかったか、どんな内容であったか、そういう記憶をすべて文部省職員全員からとるということは不可能なことでございますし、私ども今のようなことを調査することは実態的に極めて難しいと思います。  ただ、一般的な意味におきまして、各団体に、文部省職員との会話の中でそのパーティーに関する話が出たかどうか、それをどう受けとめたかということの問い合わせをすることは不可能ではございません。
  99. 安永英雄

    ○安永英雄君 私は余り時間がありませんから、九州でいろいろ各調査をしましたが、次の委員会で私はそういった点についてはやります。したがって、私は今の調査をぜひやってもらいたいということで今申し上げたが、次のことについて文部省として態度をはっきりしてもらいたいという項目がございますので、それを申し上げておきます。  と申しますのは、高石氏がリクルートの会社から未公開株を次官室で話し合いをして、そしてそれを一万株譲渡された。こういったことで、リクルートと高石氏との関係というのは、どうしても高石氏がここに来ないと私は解明できないから、別の問題として、その問題から波及してきたリクルートと文部省との関係、高石氏じゃない、文部省との関係、これについてぜひひとつ、これだけ文部行政がめちゃめちゃにされたわけですから、これを修復するためには精神訓話じゃだめです。総理も何か綱紀粛正とかなんとかいって通知をするという、そういう何か事があると精神訓話をやって、それで済まそうとするから次のときにまた出てくる。そういった意味で、文部省としては高石氏の問題は徹底的にやりましょうし、これは検察当局もやるでしょうが、文部省とリクルートの関係でこのおぞましい格好が出てきているという点について指摘をしますので、この点についての反省、調査、そして今後のとにかく文部省の態度、方針、これを次の項目について示してもらいたい。今から質問していると、とにかく時間がありません。次の委員会でやります。  一つは、歴代の文部大臣がリクルート主催のセミナー、こういったあたりで講演をするということで、これは大臣も行かれたということですけれども、当然じゃないかというような顔をしておられたけれども、そうじゃないんで、これが何で問題になるかということはもうおわかりと思うんですよ。こういったときの文部大臣の、リクルートに限らず、そういった商社とかなんとかいうところから呼ばれて、文部大臣がこれに出席をする。まあ大臣はもらってないと言うんですけれども、リクルートから百万ぐらいもらった大臣もおるそうでありますけれども、こういったことは今後どうあるべきかというのが一つ。  二番目に、累積赤字の一億六千万の日本女子会館、これは文部省所管の財団法人日本女子社会教育会、この経営をリクルートグループのホテルがこれを肩がわりをしておる。これはもう全くリクルートとの関係文部省に出てきた汚点ですよ。こういった場合の、いわゆる文部省所管の財団法人と、こういったものについての処し方という問題について、どういう事実があって、どういう反省を今からしなきゃならぬかという方針を示していただきたい。  三番目に、リクルート社から江副氏のほかに三人の文部省委員が出されておる。これは私的諮問機関その他にもどんどん出てきておる。これは文部省の方もびっくりした、他に比べてとにかく多過ぎるということを認めたわけであります。そのほか、けさの新聞によると、牛尾氏も大学審の委員辞任する。江副氏その他公文ですか、三人今大学審の欠員がある。そういった形の中で、大学審の今後の人選の仕方、方針、反省による。  それから、今言ったリクルートあたりのところから委員が出てくる。そういった一連の文部省の各種の委員会、審議会、こういったものについての人選のやり方、それからシステム、こういったものについて反省すべきところがあったと私は思うんです。例えば江副氏の問題については、盛んに、局長がそこはまとめてとか、局長に聞けば、下の方が何かやってとか、次官のところに来たときには、めくら判を押せばいいんだというふうなことを言っておるわけでありますけれども、これでいいのか。我々はとにかくガラス張りでやれと。そして何か文部省の何とか意見の一致するような人ばかりをえってくる。これについては長い間我々としては批判をしてきたわけです。  私はこのリクルートの問題に関して、文部省の人事、人選方法、これが大きく疑われておるし、批判をされておる。この機会に正さなければならぬと思うが、今後どういう方針で具体的にこの人選その他について、人事問題について対処していくか、それを明らかにしてもらいたい。  それから、文部省所管法人の高等教育研究所、これが次官をされておった天城さんが理事長でありますが、十年間家賃払わず、五十四年に設立して今までただですよ。しかも、リクルートから二千万ぐらいの資金を出してもらって悠々とここに入っている。これは天城さんがやったこととか、文部省関係ないというわけにはいかないんであります。これは文部省所管の法人であります。こういった場合の、今私が例を挙げたんですが、運営の仕方、資金の持ち万、そういったものについて、これは反省すべき点が多いと思うんですよ。この点も先ほどの日本女子会館とよく似ているんですけれども、内容はちょっと違うんです。  以上を私は申し上げたが、この点について十九日の夕方までに文書で私のところに持ってきてもらいたい。二十日の委員会ではこれやりますから、徹底的に。時間とりますから、これだけの文部省調査、反省、そしてこれについての今後の方針、これについて出していただきたい。よろしいですか。
  100. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 今回の一連の問題に関しまして、文部省には毎日毎日多大な、膨大な資料要求がございまして、連日職員は徹夜状態でございますが、先生十九日の夕方までにという御指示でございますので、他に優先してこの資料の作成に努力させていただきたいと思います。
  101. 本岡昭次

    本岡昭次君 大臣にまずお尋ねします。  私は、十二月八日の税制問題等に関する調査特別委員会で、文部省の各種会議の委員になっているリクルート社の皆さんにこの際辞任してもらいなさい、そしてリクルート社と文部省関係を一切断ち切るべきだということを求めました。大臣は精査すると答えられましたが、この精査の結果を報告願いたい。
  102. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 先日厳しい御指摘と申しますか、ありがたい御指摘と申しますか、精査をいたすということをお約束いたしました。その結果をまず一言申し上げておいて政府委員からお答えさせます。
  103. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 本岡先生から御質問のございました時点で、リクルート関連会社の方が文部省調査研究協力者会議の委員として二人御協力をいただいていたところでございます。  お一人が戸張捷様でございまして、これはリクルート常務取締役でございますが、今年一月十一 日より生涯学習局所管の青少年の学校外活動に関する調査研究会の委員に委嘱されていたわけでございますが、十二月十二日に本人より委員を一身上の都合により辞任したい旨の申し出がございまして、文部省といたしましては本人の意思を尊重し、同日をもって委員をおやめいただいたということでございます。  もう一人、リクルートリサーチの調査部長で大江淳良氏が本年五月二十六日より初等中等教育局所掌の進路指導の総合的な実態に関する調査研究協力者会議の調査研究協力者を委嘱されていたわけでございますが、同じく十二月十二日付で本人より調査研究協力者を辞退したい旨の申し出がございまして、文部省として同様に同日付をもって調査研究協力者をお引き取り、おやめいただいたという状況でございます。
  104. 本岡昭次

    本岡昭次君 私がそうした指摘をするまでもなく、文部省みずからが私はやるべきことであったと思います。  次に、昨日リクルートコスモス株の譲渡があったウシオ電機株式会社会長の牛尾さん、秩父セメント株式会社会長の諸井さんが経済同友会の役員を初め、政府関係の公職から身を引くというふうに声明を出されました。この牛尾さんは文部省の大学審議会委員、諸井さんは大学審議会の副会長と聞いております。また、教育課程審議会の委員であります。そして、江副さんとは十年近くにわたってまさに二人三脚的に文部行政にかかわってこられた方でありますが、このお二人はいつ辞表を出されましたか。
  105. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) お話ございました牛尾治朗氏並びに諸井虔氏は、六十二年の九月十八日より大学審議会委員に任命されているわけでございますが、十二月十三日に御両人から都合により大学審議会委員辞任したい旨の申し出がございまして、文部省といたしましては御両人の意思を尊重いたしまして現在辞任の事務手続を進めているところでございます。
  106. 本岡昭次

    本岡昭次君 お二人が委員となっておられたこの大学審議会は十八人の委員で構成されています。その中で経済界から六人送り込まれております。特に、今問題になりました江副さん、牛尾さん、諸井さんのこの三人は中曽根ブレーンとして中曽根総理の肝いりでこの大学審議会に送り込まれた方であるというふうに承知しております。もちろん当時の高石文部次官の強い後押しがあったということは容易に想像されることであります。とすれば、十八人中の三人、経済界から送り込まれた六人のうちの三人、それがリクルート汚染という形でまさに公職から身を引かなければならぬという状態にあります。一体この大学審議会、これをどういうふうに考えたらいいのかということになります。ある意味では抜本的に大学審議会そのもののありようから、人選から考え直さなければならぬのじゃないかと私は思いますが、いかがですか。
  107. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 大学審議会の委員、御指摘のように十八人で発足したわけでございます。発足当時の人選に当たりましては、既に御案内のとおり、大学問題というものが今日社会全体に深くかかわっておるというようなことから、大学人を中心としつつも広く各界各層の有識者に参加していただこうということで、ほぼフィフティー・フィフティーで入選をしたわけでございます。ただいま御指摘の御三方は、広く各界から、主として経済界からという形で委員に御就任をいただいたわけでございますが、今回御案内の事情で三人の方が辞任されたということは、大変残念に思っておるわけでございます。  今後のことについてはまだ文部省として私自身も大臣とも御相談しておりませんし、これからの補充ということについては今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  108. 本岡昭次

    本岡昭次君 大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  109. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) この大学審あるいは教育課程審、今まで私もこういう審議会が継続しております間に委員がおやめにならなければならなくなったということは大変残念なことであると、こう申し上げてまいりました。そこへまた諸般の情勢からお二人御辞退されるということで、手続はこれからとるわけでありますが辞任をされるわけでありまして、まことに残念なことだと思っております。  ただ、大学審、教育課程審ともそれぞれ他の委員の方々の大変な御熱意をいただいてきたところでありますし、これによって、御審議いただいた、またいただきつつある点、これが支障なくいろいろな御意見を私どもにいただいて教育、文教の行政の推進に資していただけるよう、また私どもそれにこたえていかなければならぬ、以上二つの点を考えながらこの辞任のお受けをしたところでございます。
  110. 本岡昭次

    本岡昭次君 時間があればもっとそこのところをただしていきたいんですが、次の機会にします。  それで、文部省が協力者会議とかあるいは審議会とかいろいろな会議をつくってその協力者なり委員を任命していくときに、文部省から出した資料によると、当時の局長名、当時の課長名、委員委嘱者名というのがあるんですが、この委員委嘱者名というのは、これはどういう職責を持った人がここに出てくるんですか。
  111. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) それぞれの課の所掌事務を進めます場合に、関係者の方々のいろいろな貴重な御意見をいただき、あるいは協力いただくという趣旨でございますが、通例の場合、いろいろなスタイルございますけれども、多くの場合には事務次官裁定によりまして要綱が定められ、それに基づきまして各局で事務処理をいたしますが、通常は局長が委嘱をするという形式で選ばれております。
  112. 本岡昭次

    本岡昭次君 委嘱をするという行為は、委嘱をする場合にその委嘱する相手を一人一人熟知して適当な人かという問題を局長なりに判断をしなければならないと思いますが、どうですか。
  113. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 現在文部省にはこういった調査研究協力者会議のような性格のものが三十九ございまして、その協力者の数は延べ人員にいたしまして千二百名でございます。したがいまして、こういったケースにつきましては、各課長がその課の仕事として委員を人選し、そして局長の判断を仰ぐということで、逐一局長がみずからこれに裁断をするということは極めて不可能な状況にございます。
  114. 本岡昭次

    本岡昭次君 局長が判断をするんですから、判断するにはその委員、あんたたくさん言いましたけれども一つの局にそれだけたくさんあるわけじゃないでしょう。一つ自分の局の中の局長がやるんですから、上がってきたものを今判断する。判断するためには八人おれば八人が適切であるかどうかということの基準がなければ判断のしようがないわけですね。はい、わかりました。  そこで、高石さんは衆議院のリクルート調査特別委員会で次のような証言を行っているんです。「協力者会議というのは大体各課単位で人選が行われ委嘱をする」、これはいいです。一々私が認識するような形の事務処理は行われていない、こう言っているんですが、高石局長がこの委員委嘱者となっている会議が幾つかあります。それは、リクルートの関係者が昭和五十八年あたりからずっとなるのに高石局長はそれの委嘱者になっておるわけなんです、ずっとね。にもかかわらず、今のような形で言い抜け、また十年来文部省自体がリクルート関係の、リクルートの会社とどのような仕事のかかわり合いがあったのか。「もうほとんどないと言っていいぐらいの認識」でございますというふうな証言もやっているんですね。ほとんどないというその認識なり一々私が関知することではないと。しかし、委員委嘱者が関知しなければ、この委員が任命できないわけなんですよ。だから、高石証言というのは実にでたらめな証言をやっているわけです。  それは、妻が妻がの高石さん、秘書が秘書がの宮澤さんとかいうのがあるけれども課長課長のこれは高石さんということにこれもなりそうで、 みずからが委員委嘱者という職責にあって、昭和五十八年からリクルート社の人を次々と委嘱していきながら私は関知しないということをやっている。これは恐らく衆議院で高石さんは偽証ということになると、こう思うんですよ。  だから、絶対にここのところは、ここでそのときの担当課長局長になっておられる方もおるわけで、現に課長になっておられる方もおる。高石さんの言うとおりのような形で、果たしてこの人たちの委員が委嘱されてきたのかどうかということを文部省自体が明らかにしなければ、局長はすべてめくら判を押してやってきたんだということで、一体文部省行政、委嘱者の責務は何なのかということを問われかねぬ問題を持つ。だから、どんなことがあっても高石さんをここに呼んでこの事実解明を文部省自身がしなければならぬ。高石さんは偽証ですよ、これは明らかに。そして、自分の職務権限の問題を外した。  職務権限の問題で言えば労働省の加藤さんが五千株、高石さんが一万株。大体江副さんが配った株数というのは、自分にどれだけ便宜供与を与えてくれたか、自分をどれだけ助けてくれたかということの謝礼として株数が決まっておる。多い人が三万、二万、一万、五千、三千、二千と来ておるんですよ。それをずっと見れば高石さんとどういう関係にあったか、どういう利害関係にあったかということでその株の評価がきちっと決められておる。とすれば、文部省が一万株に値する何があったのか。労働省は五千株であったと。(「三千株」と呼ぶ者あり)それは何も高石さんの奥さんが、私のだんなは加藤さんより偉かったんやといった問題ないわけですよ。労働省よりも文部省がどれだけ深くかかわったかということの証左があらわれてきた。あるいは真藤さんの問題もそうですよ。なぜ真藤さんの秘書に一万株かという問題は、秘書ではなかったわけで、真藤さんであったわけなんだ。そういう意味でこの高石さんの問題は私は重要な問題があると、こう見ているんですよ。だから、今のような問題も、文部省自身が高石氏をかばうんじゃなくて、職務権限のあった高石氏が何をしたかということをきちっとやり抜くことが文部大臣の言っている文部省みずからが持つ自浄作用の私は問題だと。私はそれをやったら文部省を信頼する。  それから、時間がないからもう言いっ放しにしますが、その問題、どんなことがあっても最後は私は高石さんを呼ばなければ今の問題は、まあ加戸さんも判断をするとおっしゃったんだから、判断をした人が知らないはずはないわけであります。  最後に、もう三分しかないので申しわけないです。それからさっきの高石さんのパーティー券の問題ですけれども、兵庫県へ私も行って直接聞いてきたんですよ、何人か。そうするとこういうことなんです。よう聞いておってくださいよ、文部大臣。  八月上旬に兵庫県の学事課長が施設関係のことの説明なり依頼なりに文部省へ行ったんですよ。そうすると施設助成課の人が、ちょっちょっちょっとこうやって、九月にパーティーがあるからよろしく頼むと。その人は何のことかようわからなんだ。はあ、はいはい。どういう関係があるかわかるでしょう。施設助成課というものと学事課。学校を、公立学校を建ててもらうためにお願いに上がらないかぬのですよ。その人のさじかげんで学校が建ったり建たなんだり、増設できたりできなかったりするんですから、大変な職務権限の上下関係にあるんですよ。その人がよろしく頼むといって声をかけた。帰ってきたら、八月中旬にどさっと物が来た、「語る会」からです。それも二十枚が一つ一つ個別の封筒に入っておればよろしいよ。しかしそれが、二十枚をばらばらにやって、この課長がそれを、パーティー券を何で種類分けをせないけないんだ。組織的というのはこういうのを組織的と言うんですよ。本来分けてほしいんなら、二十枚を封筒に入れて、それぞれそこに語る会からの依頼状とか何かが添えてあったらいいが、それも何にもない。それでその課長は、あっ何が来たんだろうと考えた。あっそうか、あのとき文部省へ行ったときに九月になったらよろしく頼むと言われたのがこれかと気がついて、慌てて教育長のところへ相談に行く。さあどうしようということになって、教育長は三枚、さあおれは何枚といって、ずっと皆が仕方がないからというので、高石さんに世話になったからといって、それはそういう個人的なところはいいけれども、お世話になったからといって買うた。そうしたら十一枚は消化したけれども九枚が消化できない。  そこでその課長が困った。仕方がないので頭に浮かんだのが兵庫県公立学校期成会ですか何かあるんですか、これ。兵庫県公立学校施設整備期成会というのがあるんですよ、各市町ごとに、公立学校を建ててもらうために。そのことが頭に浮かんだというのや、やっぱり頼みに行くについて。さあそれでどこへ頼んだらいいか。私の住んでおる三田にも来ておるわけです、一枚だけね。ああ三田にはたくさん学校建ててもらわないかぬから、またそれで頼んだのかなと、こういう思いもするわけです、はっきりね。だからこういうことをやって整理をしておるんですよ、その二十枚というのをさばいた。窓口はこの施設助成課がやっている。明らかに文部省教育委員会における職務権限の中でやっておるんですよ、断ったら大変なことになるというね。  私は、文部大臣が先ほど安永委員質問に対して何か抽象的な一般的な答えをされたけれども、私は文部省ぐるみという実態は知りませんが、少なくとも今のこの数字を見れば、文部省の施設助成課、助成局の私は職務権限を行使したパーティー券の売りさばきであったというふうに言わざるを得ぬわけです。これをやった課長、施設助成課の課長局長、明らかにこの問題に対する私は責任問題が現に存在する。このことによって十九県か二十県が買わされたという問題があるわけなんです。この問題もよう裁かぬような文部大臣やったら私はどうしようもないと思う。助成局の責任をとらせてください。課長の責任をとらせてください。一体助成局というのは何ですか、これは。先ほど安永委員が言うたように、日教組がどんな運動方針をつくったか、つくったらそれを守らせてはいかぬというようなことを通達出すところなんですか。これを見ると大変な権限を持ったところだと思うんですよ、助成局というのは。それがパーティー券の売りさばきをやっているということを重ねてみると、私はそんな抽象的なことでは済まされない。ひとつ文部大臣、きちっとこのことは処分をして、責任の所在を明らかにしてください。いかがですか。それで終わります、あなたの答弁を聞いて——大臣の答弁を聞きたい。官房長の裁ける問題ではないでしょう、それは。
  115. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 御指摘のお気持ちはそのまま素直に拝聴させていただきます。これからどのようなことが適切であるか、そして再びこういうことが起こらないことを目指すということが目的でありましょうから、どのような方法が最も適切であるか、私なりに考えさせていただきたいと存じます。
  116. 田沢智治

    ○田沢智治君 人事院から来ていますか。  日本国憲法十五条二項に「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」と規定しています。それを受けて国家公務員法第百一条一項には、職員は「その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。」と、職務に専念する義務が課せられていると規定しておりますが、そのとおりですか。
  117. 武政和夫

    説明員(武政和夫君) お答え申し上げます。  今、先生御指摘のように、憲法十五条及び国家公務員法百一条におきましては、国家公務員につきましては公務の民主的、能率的な運営を図るという観点から、職務上の注意力というものを勤務時間中についてはすべて職務に専念しなければならないというような職務専念義務が課されております。
  118. 田沢智治

    ○田沢智治君 そこで、高石前次官が次官室でリ クルート株の取引をしたということは、国家公務員法の職務に専念する義務規定違反にならないかとお尋ねします。
  119. 武政和夫

    説明員(武政和夫君) お尋ねの件でございますが、具体的な事実関係、私どもまだ詳細に存じておりませんので、ここで断定的なことは申し上げかねますが、勤務時間中に明らかにその職務を離脱していると認められるような事実があったとすれば、職務専念義務に違反しているおそれがあるというふうに考えております。
  120. 田沢智治

    ○田沢智治君 あなたね、そんなばかなことを言ってはだめだよ。もう既に衆議院のリクルート委員会で本人が呼ばれていろいろ言っているのだから、そんなことぐらいちゃんと勉強していなさいよ。あなた、公務員でしょう。だから、そういうようなものを、実態をあなたも調べて、これが職務専念義務に違反しているんだと。何も高石さんばかりを僕は言っているんじゃないよ。違反していることをやった者は違反しているのだという、やはり公正中立なそういうものをきちっと管理するのが人事院なんだよ。あなたのところがでれっとしているからこういう問題が起こるんだよ。だから、きちっと勉強して回答してください。
  121. 武政和夫

    説明員(武政和夫君) 今、先生のお言葉をよく踏まえまして対応したいと思いますが、やはり現段階では必ずしも詳細に伺っておりませんので、先ほどの答弁をさせていただきました。
  122. 田沢智治

    ○田沢智治君 それ以上勉強していないというのなら勉強してほしい。  私はそう思うのだ、これは職務上の次元では違反行為をしていると。ということになると、これは懲戒処分の対象になるわけだけれども、この懲戒処分の対象としては、本人が既に退職してしまっているからこれは懲戒処分をしたくたってできないというような規定になっているが、そのとおりですか。
  123. 武政和夫

    説明員(武政和夫君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
  124. 田沢智治

    ○田沢智治君 そういうふうに答えればいいんだよ。  そこで問題は、その株購入が職務権限との関係から収賄とみなされ刑事罰が確定すれば、就官能力の欠如とみなされるとともに、退職手当の返納、恩給資格剥奪や共済の長期給付の支給制限が行われることになると認識しているが、そのとおりですか。
  125. 武政和夫

    説明員(武政和夫君) 退職手当、共済等の関係につきましては、私どもの所管ではございませんので断定的なことは申し上げかねますが、そのようになっていると私自身は承知しております。  あと、就官能力の件についても、これは国家公務員法でございますが、そのようなことが規定されていると思います。
  126. 田沢智治

    ○田沢智治君 ということは、公務員である人が在任中、勝手なことをやって刑事事件に巻き込まれ処分されたということになれば、要するに刑が確定したということになれば、そういう制約がされるのだ、そういう制裁があるんだよということを、やはりきちっと国民も知ってもらいたいんだよね。高石さんは好きなことをやって退職しちゃって、はいさようならというふうにできるんじゃないかなんて国民が思っているから、そうじゃないよと、こういう問題についてはこういうような規定があって、公務員在任中の責務というものは、刑法上問題があり、裁判で刑事罰として確定されるならば、やめても制裁措置があるんだよということをきちっと位置づけないと、日本の公務員というものは好き勝手なことができるんだという印象を私は与えるということは非常にいかぬと思うのであなたに確認したわけでございます。  そこで、先般労働大臣が行った、リクルート江副前会長らと会食をした幹部職員に対して厳重注意措置などをしたようなことを私は聞いておるんですが、この厳重注意措置というものはどういうような性格であるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  127. 武政和夫

    説明員(武政和夫君) 公務員につきましては一定の義務が課されておりますが、これに反する義務違反がある場合には、公務員関係の秩序を維持するという観点から懲戒処分制度が定められております。懲戒処分の種類には、重い順に免職、停職、減給、戒告の四種類がございます。懲戒処分は以上の四種類でございますが、これ以外に、職員の職務履行の改善向上を図るという点から指導監督を行う具体的な措置として、先生御指摘のような厳重注意を行われることがあります。  お尋ねの厳重注意は、大臣が上級監督者として部下に指導監督上の措置をとった、これに当たるものというふうに考えております。
  128. 田沢智治

    ○田沢智治君 このような措置が、国民的な関心の深い今回の問題に対して、一般国民から見れば甘い措置じゃないだろうかという意見もかなり私のところへ来ております。こういうような問題に対してこの措置が適当なものであるか、適切なものであるか、あなたがどういうふうに人事院として考えたのか、所見があれば教えてください。
  129. 武政和夫

    説明員(武政和夫君) お尋ねの措置につきましては、職員の服務を統督する立場にあるのは、労働省関係で言えば労働大臣であります。その任命権者において具体的な事実関係を十分確認の上、そして行政への影響等、諸範の事情を考慮して、そこにそういう措置をとったというふうに私ども考えております。
  130. 田沢智治

    ○田沢智治君 何もしないよりやった方がいいことは事実だけれども、やっぱり国民が非常に関心を持っている今回の問題については、行政側がきちっとした姿勢で臨むというところによって国民の安堵感があるんじゃないだろうかなと、私はこう思って、こういう問題に対してはきりっとした姿勢を行政の長はとるべきであるという考えを持っております。  そこで、官房長にお聞きしますが、生涯学習振興財団設立準備構想は一体いつごろから出てきたのか。高石前次官に話があったのは、いつだれが相談に来たのか、その経過がわかればちょっと教えてもらいたい。
  131. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 高石前次官が衆議院のリクルート問題調査特別委員会で証言をされていることでございますので、宣誓の上の言葉でございますので、それが一番正確かと思いますが、その日時については触れておりませんで、ただ事務次官在任中に帝京大学総長の方から御相談を受けて、結構なことだという構想の賛意を表したということはございます。  それから、具体的な日時といたしまして把握しておりますのは、五月二十七日に、学校法人帝京大学が生涯学習振興財団への寄附の決定をいたしております。理事会決定でございますので、これは日時として確定いたしております。六月十日に高石前次官が退官されました後に理事長就任の要請があったということでございまして、その後、七月の八日に福岡県教育委員会から財団の設立の許可がおりた、こんな時系列になっておるわけでございます。
  132. 田沢智治

    ○田沢智治君 その五月二十七日の帝京大学理事会で寄附、基金を出すことを決議したというんだが、その決議するについては、設立関係の資料を配って、こういうような構想のもとにこういう定款でこういう発起人のもとでこういうものをやりたいので、これにかかる基金を出してほしいと多分言ったのじゃないかと思うんですね。そのときに、現職である高石さんの名前がその設立関係資料の中の発起人の一覧にあったかどうか、このようなことについて確認はできませんか。
  133. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) ただいま先生の御質問の件につきましては確認できておりませんが、ただ、私どもが承知しております範囲では、福岡県教育委員会の方に設立の事前相談がございまして、六月の中、下旬だと思いますが、その段階から内部的な詰めをしまして、具体的な寄附行為であるとかその他の事業計画が実質的に固まりまして正式の申請が出たのが七月六日でございますので、その事前相談の以前の段階、つまり五月二十七日の寄附行為の決定の段階におきましては、そういったような資料が整っていたとは到底思えな いわけでございます。
  134. 田沢智治

    ○田沢智治君 資料が整っていなくて、あなた、八億の金を寄附しますよと理事会で決議したというなら、そんな理事会はインチキ理事会だよ。そんなのだめだよ。その辺のところは後にいたしたいと思います。  そこで、高石前次官は、去る十一月二十三日に財団の理事長、理事を辞任すると表明したが、その後、実際にそういう辞任手続とか辞任効果というものがあったのかどうか、確認はされていますか。
  135. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 当該生涯学習振興財団の寄附行為におきましては、役員の辞任に関する規定は設けられていないわけでございますが、この場合は、役員の当該法人に対します一方的な辞意表明により直ちにその効力を生じて、理事会の承認等を要しないと解されているわけでございます。  ところで、高石前次官は生涯学習振興財団の理事長及び理事を十一月二十三日に辞職したと聞いておるわけでございますが、具体的に辞任の登記は十二月二日に行われております。
  136. 田沢智治

    ○田沢智治君 十二月二日に行われていると。これだけは早いね、ほかは余り早くないけれども。これは、それできちっと位置づけられたということは、私は文部省も努力したなという評価をしたいと思います。  ところが、財団の役員構成を見ると高石氏に関係のある人が多い、こういう実態があると聞くが、その内容はどうですか。
  137. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 財団の設立当初は九名の理事で構成されているわけでございますが、高石前次官が理事長及び理事を辞任されておりますので、現在八名でございますが、その中の二名の理事が高石前次官の市町村後援会の責任者でございまして、それからほか一名に文部省時代におきます高石前次官の先輩がおられますので、高石さんと関係の深い方が中にいらっしゃるということは事実でございます。
  138. 田沢智治

    ○田沢智治君 そこがやっぱり私は問題が残ると思うんです。だから、財団役員に高石後援会の役員が入っている、その理事長である高石さんがやめたけれどもほかの人がやめないというのも、これは誤解がやはりまだ残ると思うんです。私は、生涯学習という意味の財団は、この目的、趣旨からいって、これからの世の中にとって非常に大切な機能を果たすものである、その存在を否定することはしちゃいかぬと思うんです。しかし存在を否定しない限りは、その存在、目的、使命が遂行できるような理事者体制を健全化して、やはりきちっと機能できるように指導、育成するというのは、産み育てなければならない所管庁の仕事であろう、こう思うんです。そういう意味で、これはお二人さん、河口さんと新開さんという人が後援会の中心の責任者のようでございますので、このお二方についてもこれはきちっとしたけじめをつけた方がいいと思うんですが、大臣、どうお考えでございますか。
  139. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 法人をつくりますときには、その趣旨、目的あるいは事業に賛同した関係者により進められるのが通例でございますから、一般的に申しますと、その生涯学習振興財団の目的、事業に関心や知識、経験を有する方とか、あるいは理事長予定者と交友のある者という形で構成されるのが通例でございます。そういう意味でそのような形になっていると思いますが、この財団自体の役員構成につきましては財団の自律性によってお決めになることでございまして、これを所管いたします福岡県教育委員会が具体的な法律上の立場におきまして指導助言をすることが適当かどうかという問題がございます。ただ、そういったような御指摘があるということは福岡県教育委員会にも申し伝えたいと思います。
  140. 田沢智治

    ○田沢智治君 申し伝えるんじゃなくて、やっぱり国民世論というのは、民主社会においては、国民合意の政治、国民合意の行政をするというのが民主社会なんですよ。国民の皆さんが疑義を持ち疑惑を持っている集団に対しては、やはりその疑惑なり疑義を持つ要素をなくしていく努力というのを行政がやらなければ、行政の機能浄化というのはだれがやるかというなら、政治がやらなければならないとするなら我々がやりますよ、それは。しかしそんなところまで手を突っ込む必要性はないわけですよ。  ですから、やはり疑義を持たれないような、その財団そのものの存立はすばらしくて、私らは全国各地にこういうものができて、生涯学習というものの実益を上げることによって、日本はより健全化し心豊かな国民が育つという、こういう大事な仕事をするんだから、疑義を持たれないような役員構成を指導するというのは当然だと思うんだ。そういうものすら私らはできませんよというような根性では、これはだめですよ。その辺のところは大臣どうですか。  私はきちっとした形でやっぱり疑惑あるものは整理整とんして、その疑惑に対してこたえ、その趣旨、目的のいいものは積極的に育てていくという行政側の姿勢があってこそ、こういう問題に対して適切に処置もでき、こういういい発想、いい内容をいい人がやれば、みんなはまた喜んでくれるんじゃないかと思うんだ。だから、そういうような努力を私はなさってもらいたいと思うんですが、大臣、いかがですか。
  141. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) おっしゃることはよくわかります。  こういうせっかくできました一つの財団、それを正しく運用しようとすれば、一点疑義のあるものはただしていくべきだと、こうおっしゃるわけでありまして、一般の方から見てもそうでございましょう。また国会議員たる田沢先生が個人的なことも、お名前も含めておっしゃったということは大変重く受けとめるべきであろうと思って聞いておりました。どのような指導が一番適切であるか、最も適切な方法をしてみたい、こう思っております。
  142. 田沢智治

    ○田沢智治君 大臣の答弁はすばらしいですよ。そのとおりやってください。  それから、今問題になっている、九月中旬に高石さんが東京で行った「語る会」のパーティー券、県教育長が公費で買ったとか買わないとか新聞報道されているけれども、ひとつこの点について、これが事実だとすれば地方公務員法上問題があるんじゃないかと私は思うんですけれども、どういう見解を持たれているか、聞かせてください。
  143. 石川嘉延

    説明員(石川嘉延君) 御指摘のパーティー券のあっせんの件でございますが、現在のところ、私どもで承知している、このパーティーの主催である「語る会」の性格から判断いたしまして、地方公務員法第三十六条で制限している政治的行為に直ちには当たらないのではないかというふうに考えております。  なお、政治家等の主催する政治的な会合のパーティー券を職員があっせんすることにつきましては、既に自治事務次官通知をもちまして、各地方団体に対してこれを行わないように指導しているところでございまして、こういう観点からしますと、必ずしも好ましい事例とは考えておりません。
  144. 田沢智治

    ○田沢智治君 違反には当たらない、しかし政治家がやるようなものに参加してはならぬということについて規定が厳しいので妥当性については問題がある、こういうふうに理解してよろしいですか。  次に、これは文部大臣にお伺いしたいんですが、高石前次官のもろもろの件、カラスが鳴かない日はあったって高石さんの問題が出ない日はないというほど、これほど国民的に批判されている、次から次へいろいろ出てくる、こういうような次元。しかし出るべきものはもうほとんど出て、大体はあとそれをどう整理整とんして、だれがどうかかわったのかというような問題の整理整とんの段階だろうと、大筋においては私はそう思っておるんですが、そういう意味では文部省内における決着を大臣はどういうふうに考えているのかなと、やっぱり一応の決着をきちっとなさられて、国民自身の疑惑にこたえてあげるというこ とも必要じゃないだろうか。  私は今回は、この高石問題は文部省にとって災い転じて福となすために、これを契機に省内の綱紀粛正をするよい機会であるとも思うんです。それゆえ、綱紀粛正の実益を上げるというような有効的な措置を大臣を含めて断行されるとするならば、教育行政に対する国民の不信感を払拭することができるのではないだろうか、そういうような意味大臣の決意をお伺いさしていただきたいと、こう思いますが。
  145. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 田沢先生から厳しい御指摘をいただきました。災い転じて福にしたらどうかということであります。それにしては余りにも大きい災いと言わざるを得ないと思いますので、これを福に転じますには相当な努力、あるいは信用を回復するにはある一定の時間が必要かもしれません。本当に出てきた時間からいたしますと、急激にことしの夏以降いろいろな問題が出まして、そこから与えられました不信感というものは相当大きなものというふうに自覚をいたしております。それだけに、文部省がこの際せっかく体質を変えていこうと、また外に向かっても教育改革を呼びかける省庁としての自覚を持ちつつあったところでございますので、ここでせめて福となすとすればみずからの心も含めまして体質改善をしていく、その先頭に立って自律自戒するのは私自身と、このように考えております。今までも綱紀の粛正、厳正な職務の遂行、これを徹底してまいったということは事実でありますが、それが精神訓話で終りませんように、具体にどのような厳しさを持って一つの転機となし得るか、これを最大限の知恵を絞ってわかりやすい形を模索し、そしてできれば近い機会にそれをあらわしてみたいと、それを転機にできれば、一番せめてもの一つの一石になればということを考えてみたいと思っております。
  146. 田沢智治

    ○田沢智治君 私は大臣は気の毒だと思うんですね。自分が任命した次官ならこれは責任を一手に引き受けなきゃならぬと思うが、任命してないからといって責任は逃がれられないんで、これは塩川大臣が任命された方でございますが、今の決意の中で近いうちにそれ相当のことを考えて、二度と再びこのようなことが起きないような措置を行いたいというお気持ち、了とします。どうかそういうことで国民に対する信義を回復してもらえるような行政的措置を考えていただきたいと思います。  次に、私学助成問題で二、三お聞きしたいんですが、帝京大学の八億円拠出問題を契機に私学の助成が削減されるんじゃないだろうかということで、私学振興を推進する私たち与野党の国会議員も含めて私学関係者も大変危機感を持っておるのでございます。私は、帝京大学の八億の問題と私学助成は、これは別個なんだ、これは異質のものだ、こんなものを一緒くたにして、官僚的感覚で、だからもう私学助成なんかすっきりしちゃった方がいいんだというような物の考え方に立つとするならば、日本教育危機というものはもっと身近に感じて闘いに立たなきゃならぬだろう、こういうふうに私は思っておりますけれども、そんなばかみたいなことはやらぬということのようでございますので、安心はできませんけれども、安堵はしてということでございますが、私立学校振興助成法の立法精神を遵守して、経常的経費の二分の一を目標に私学助成というものを今後も全力を挙げてやるというような姿勢が文部大臣にあるのか、その決意を表明いただきたいと思います。
  147. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) これは先生からの御指摘はもう強く心にとどめ、また私学関係の方々、あるいは私学に学んでおられる方々、その御父兄に対しても声を大にして、むしろ私の方から呼びかけをさしていただいて、御理解をいただきたいと思っております。  これはまさに議員立法でありますが、昭和五十年にこの私学振興助成法ができました。その立法の精神の中にも私学の振興、同時にもう一方で、そこに学ぶ方々の経費負担の節減、軽減ということもうたわれておるわけでございます。その点からいたしますと、二分の一以内の補助と明記されておりますし、また附帯決議で二分の一、五〇%補助を目指して努力するようにという決議をいただいておるのもよく存じておるわけでございます。  まさに、特に幼稚園、大学は七割が私学に依存しておるわけでありますし、また私学経営者の方々はそれぞれ最大の努力をして、今献身的な努力をしていただいているわけでありますので、その経営者の方々にも、またそこに学ぶ方々の経費の軽減の上からも、私学助成はさらに拡充をしていかなければならない途中にあるということを私も大前提に置いておるわけでございます。これを今後とも進めていくということを声を大にして御理解をいただきたい。その中で、さらにそれに沿っていいお知恵を拝借したい、こう申し上げておるところでございますので、御理解をいただきつつ、私どもも努力をしてまいる決意でございます。
  148. 田沢智治

    ○田沢智治君 大変ありがとうございます。私たちと一緒になってひとつやりましょう。  それから、まだ消費税が成立するかしないかは、これまだ不確実があるのでございますが、もし消費税が明年四月から実施された場合、昭和六十四年度の私学の入学者は、六十四年の三月までに入学金を完納すれば消費税の対象から外れる。しかし聞くところによると、施設設備費はその対象から外れないんだ、三%かかるんだというような話もあるんですが、ちょっと確認をさしてもらいたい。
  149. 野崎弘

    政府委員(野崎弘君) まだ消費税法案が成立しておりませんけれども、消費税法案によりますと、授業料は非課税ということになっているわけでございますけれども、基本的な考え方としまして、消費税の納付義務というのが財貨サービスの提供が行われたときに発生するという考え方で整理をされております。したがいまして、私学における入学金につきましては、学生、生徒の地位取得の対価である、それで入学にかかる経費に対する手数料としての性格をあわせ有するものと、こういうことで一般に考えられておりますので、消費税の施行日以前に納付されました場合には課税の対象外になると、このように理解をしております。ただ、その他の納付金につきましては、それぞれ性格があるわけですが、一般的には入学後学生、生徒が受ける財貨サービスの提供の対価と、このように考えられますので、施行日以前に支払われたものにつきましても課税の対象になるものと解されるわけでございます。
  150. 田沢智治

    ○田沢智治君 本来は入学金とか施設設備は、結局授業料が大体五十二、三万ですよ。入学金と施設設備費が二十一万で、合わせて二分の一になるんですね。ですから、授業料が百万円なんですよ、本当は。それを便宜上そういうふうに区分けして私学経営というものがやっているんで、授業料だけ消費税から外して、あと二つをかけるなんというのはもう常識外の常識をやっちゃっているわけよね。要するに常識じゃないことをやっちゃっているということ。本当は我々も反対をしたんだけれども、それがわからないようで、まあ後ほど検討しましょうと、ごまかされちゃったようなもんでございますけれども、これはやはり将来の中でこれたださなきゃだめだと思う。  それはなぜかというと、六十四年度の施設設備費が大学、短大、高校、幼稚園だけでもこれ六十四億円あるわけね。六十四億円、消費税かかるわけ。三%。で、六十五年度になると、施設設備費と入学金を合わせて、六十三年度の学生生徒数に単純比例で割ると、やはり百三十四億円政府に払わなければいけないわけだ。これを、じゃ、父兄に転嫁することができるかというと、授業料値上げということになり、入学金の値上げ、あるいは施設設備費の値上げということになると、大体これ大変な額になっちゃうんじゃないだろうか。入り口で税金取られるわけだ、収入の窓口で。で、今度は支出はどうかというと、御承知のとおり建物を補修したり建物を建てたり教育機器を買っても三%かかるし、教育経費、鉛筆一本買うにしろ 何買うにしても全部かかるというと出口でまた取られちゃうわけですよ。入り口で三%取られて出口で三%取られると、これは二、三百億ぐらい支出増になっちゃう。  だから、こういうような現実的な内容の実態を踏まえたときに、私はやはり教育は、列国先進諸国はほとんど無税になっているんだが、ここを今言うとまた修正だ何だかんだでつぶされちゃうと困るから、あえて声を小さく言いますけれども、将来性の中でこれが除外されないとするならば、やっぱり消費税に取られる分については何らかの私学助成の配分の対象補助にしてもらいたい、こう考えるんでございますが、こういう物の考え方についてどう考えるか、最後にお願いしたいと思う。
  151. 野崎弘

    政府委員(野崎弘君) 消費税は、これはもう十分御存じのことでございますけれども、税を価格に上乗せするということで、性格としましては消費者に転嫁する、こういう基本的な性格があるわけでございますが、今回の法案では、教育の対価の中心的要素である授業料を非課税とする、こういう措置をして、極力影響を少なくするように努めておるのが現在の法案でございます。  文部省は、従来から父兄負担の軽減のために私学助成とか給食事業の充実には努めてきたわけでございます。六十四年度の私学助成予算につきましても、先ほど大臣の御答弁の意向、また先生の御指摘等も踏まえまして十分努力をしてまいりたいと思っております。
  152. 田沢智治

    ○田沢智治君 最後に一言いいですか。大臣、そういう実態なんですよ。だからこそひとつ私学助成に力を入れて、もう来年度より以上にひとつとってもらいたいを思うんですが、もう一遍感想だけでも言ってください。
  153. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) その面を含めまして一層努力をいたしてまいります。
  154. 中野鉄造

    中野鉄造君 きょうは私は当委員会で質問するのは初めてでございますが、    〔委員長退席、理事林寛子君着席〕 本来、本日は高石氏をこの委員会に召喚すると、こういうようなことを伺っていまして、高石氏に対して、あれも聞きたい、これも聞きたい、こういうふうに準備をしておりましたけれども、来られないということで、思いつくままにお尋ねしたいと思います。  今申し上げましたように、従来までのいろいろな質疑の中であったことと重複する点があるかと思いますが、その点はひとつお許しをいただきたいと思いますが、高石氏はきょうはどうして来られないんですか。
  155. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 高石前次官は現在入院中でございまして、体の御都合等があったと思いますが、まだ当委員会の方から正式に参考人招致を受けているわけではございませんので、きょう来れなかった事情については把握いたしておりません。
  156. 中野鉄造

    中野鉄造君 正式な召喚はしていないということはあってみましても、当委員会で召喚の話が持ち上がっているということは十分に御承知のはずであったと思いますし、先ほど来文部大臣からもいろいろ今回の不祥事を通して遺憾の意を表明されておりますけれども、そこまでいろいろ文部省としても思われているのであれば、高石氏の最近のいろいろな消息ということについては当然把握しておられると思うのが常識なんですが、いかがですか。
  157. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 私どもといたしましては、当委員会で参考人招致の考えが与野党間であるということにつきましては、その空気につきましてその都度高石事務所の方には連絡は申し上げていたわけでございますから、当然に高石前次官もこの事情は御承知のことと思っております。
  158. 中野鉄造

    中野鉄造君 それで、先ほどからの質疑を聞いておりましても、今どこに入院しておられるのか、またどういうような病状であるか、そういう点についても余りつまびらかでない。ここいらが非常に私は何かおかしな気がするんですけれども、本当にどこに入院しておられるのか、どういう病状であるのか、何にもわからないんですか。
  159. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 入院しております病院名につきましては、当方の方も照会はさしていただいておりますが、現地の方からの連絡によりますれば、入院している病院に迷惑をかけることになるということ、それはいろいろな状況等ございますが、現下のこのような状況の中では病院に迷惑をかけることになるので病院名は教えることができないということの連絡をいただいております。  なお、病状につきましては現在問い合わせ中でございますが、私どもきょうの段階で聞いておりますのは、腎臓と血液系統に異常があるというやに聞いております。
  160. 中野鉄造

    中野鉄造君 みんな、ああそうだったのか、そうですかという気にはなりませんね。どうしても、そこは知っていながらも何か文部省ぐるみでひた隠しに隠しているというような感じさえ受けるんですけれども。  それからまた、いま一つは、高石さんの秘書か何かを通してのそういうコメントだと思いますけれども、本当に文部省が、大臣がおっしゃっているように、今回の件についてこれだけ教育行政に対する国民の信頼を失墜させたというようなことを痛感しておられるならば、ここで高石氏に対してそうした釈明なり国民に対するおわびの場をつくってあげる、積極的なそういう姿勢があってしかるべきだと思いますし、高石さんの秘書がこう言った、ああ言った、ああそうだったんですかと、それで諾々として引き下がるということ自体が私は解せないわけなんですが、いかがですか。
  161. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) その辺の状況はつまびらかでございませんが、先般十三日の高石前次官の立候補表明の白紙還元並びに選挙準備の取りやめの声明も、秘書が記者クラブに高石前次官の声明文をもって読み上げたということでございますので、記者会見あるいはその声明の発表にも出れない状況ではないかと推測をいたしております。
  162. 中野鉄造

    中野鉄造君 幾ら言っても、これはらちが明きませんね。  そこで、本日まで文部省内で高石氏以外に、このリクルート問題で地検から事情聴取なりあるいは参考人としていろいろなことを聞かれた、そういう方いらっしゃいますか。
  163. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) この件に関しましては司法当局の調査に係る事柄でございまして、私どもからお答えすることは差し控えさしていただきたいと思います。
  164. 中野鉄造

    中野鉄造君 そこで、いずれにしましてもこれだけの疑惑をもたらしたわけでございますけれども、高石氏すなわち文部行政の頂点に位した人でありまして、彼が持論として掲げたいろいろな高邁なその著書の内容とは全く裏腹な波の一連の言動を思いめぐらしますときに、彼自身の人格が二重三重に思えてならないわけなんです。皆さん方も御承知と思いますが、この国会には土日以外は毎日のように小中学校の生徒が国会見学にやってきております。私は彼らが一体どういう気持ちでこの国会を見学しているんだろうなということを時々思うわけですけれども大臣、いかがですか。
  165. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 今、先生から御指摘を受けまして、私も胸に刺さるような気がいたしました。確かに多くの小学生を含めました生徒諸君が来ておられます。今まで私も経験がございますけれども、初めて来る、初めて見学するところにはそれなりの新しい感銘があるわけでありますので、そのとき受ける感銘というのは相当生涯に残るわけであります。それが大変立派な清潔な感銘を受ける場であるべき国会見学に、そういう少年少女諸君がたとえ国会議事堂という物理的なものを見るにせよ、そこに何か一抹の曇りを一緒に感ずることがあったとすれば大変な印象を植えつけてしまうな、もし我々文教行政の中でその曇りの一端をつけてしまった責任があるとすれば非常に大きいことだな、今先生が少年少女諸君の国会見学を例にとられました瞬間に、痛切にそう感じた次第でございます。
  166. 中野鉄造

    中野鉄造君 今大臣もおっしゃっておりますよ うに、今日まさに政治に対する国民の不信というものはその極に達しております。この間もテレビでやっておりましたけれども、今日本の中であなたが心の底からばかやろうとどなりたい人たちはどういう人たちですか、こういうような問いかけに、一番多いのが政治家、高級官僚、不動産屋、こういったような順だったと記憶しておりますけれども。この間まで私もさほどじゃなかったんですけれども、もう最近は駅だとかホテルだとか、ああいうところで議員バッジなんかつけているのが気恥ずかしくてならないようなそういう気がいたします。  ある人が言っておりましたけれども、今日低学年の子供の中には、偉い人はうそつきで悪い人だ、こういうような考え方が定着しつつある。これはもう何も子供だけじゃなくて一般庶民の中にもそういった潜在的なものが根を張りつつあるんじゃないのかな、こういうことを考えると、これ大変恐ろしいことだと思うんです。私たちもこれは大いに反省しつつあるところなんですけれども大臣自身どのようにお考えですか。
  167. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 全く先ほどの印象を繰り返すことに相なります。確かに気恥ずかしさを感ずるということもございます。  それからまた、さっきのことへ戻りますが、見学に来られた少年少女諸君が列をなして歩いておられるところへ、私は前なら声をかけたんですけれども、やや声をかけるのをちゅうちょするような感じがいたします。その少年少女諸君が国会議員の乗っております車を見て、みんな高い車に乗っているねというその言葉だけでも、高い車に乗っているねという言葉を小耳に挟んだだけでも、何となく心が痛むというか肩身が狭いというか、何でそういうことを感じなきゃいかぬのか、そういうことを感じなきゃならなくなった国会というものを大変残念に思うわけであります。しかし、これは残念に思っておるだけではいけませんので、私ども自身が一人一人やっぱり努力する。私は特に文教行政を担当しておる身でございますから、特に痛切に感じておるという率直な感想だけ申し上げさしていただきます。
  168. 中野鉄造

    中野鉄造君 私も全く大臣と同じような今気持ちでございますけれども、その意味からもやはり先ほどの話に戻りますけれども文部省としてはそういった国民の不信を少しでも払拭していく、そして反省の態度を示していくということからもこうした公の場に高石氏をまずは招喚して、そしていろいろと釈明の場を与えていくということが大事じゃないかと思いますが、先ほどから、冒頭やりとりをしましたように、何らその努力の跡というものが文部省として見受けられない。そういうように私は思えてならないんですが、何か努力というか、何かやっておられますか。高石氏に対して、こういうようなちゃんとした釈明をすべきだとか何だとか、彼にアドバイスというか、そういう努力の跡を示すことができますか。
  169. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 参考人の招致は国会がお決めになる事柄でございますが、既に退官された方でもございますし、私どもが申し上げる立場にはないわけでございます。しかしながら、私どもの立場といたしましても文教行政の信頼回復のために高石前次官がそういった方向でのいろいろなお助けといいますか、文部省の、あるいは文教行政の信頼回復のための一助となるようなことをお考えいただけばありがたいという気持ちはございます。
  170. 中野鉄造

    中野鉄造君 そこいらが非常に私は消極的に思えてならないんです。もう彼は文部省人間ではない、一般のいわば民間人だ、だからこちらからそういう半強制的に拘束することも何もできない、だから彼の良心にまつしかないといったような、そういう消極姿勢が私はどうも納得しがたいんですが、これだけの教育行政に対する不信感、これから先の行政を施行していく場合の、その支障になるような信用を失墜した。本来ならば、もう大臣にはもとよりのこと、後輩の皆さん方に対しても土下座してでも本当に申しわけないことをしたと彼はおわびをしなくちゃいけない。ところがどうでしょうか。来庁しても、大臣に対してただ一片の名刺の裏に非常に申しわけないことをしたといったような、そんなメッセージを書いて立ち去ったということも聞いておりますが、大臣に対してでもそのくらいの態度ですから、かつての部下の人たちに対して、そんな申しわけないことをしたななんていうような、そういう言葉があろうはずはないということは想像にかたくないわけですけれども、しかしながら、また一方あなた方の方でもそれをまた諾々として受け入れるというような寛容さを持って臨んでおられる。というよりも、むしろ文部省ぐるみで彼をかばっているんじゃないのかな、こういう気さえもするんですが、いかがですか。
  171. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 私は一人の人間を誹謗して終わる問題ではないということを常々申し上げております。また逆に、省内の者に対しましても誹謗はせずとも絶対にかばうことがあってはいけない。もしかばうことがあるとすれば、文教行政の信頼を守りかばうのであれば、それには全員が挺身していこう、そして一人の人間をかばうことはむしろ文教行政の信頼を損なっていくことを大きくする。そのためには、逆に申せば、おわかりのとおり文教行政の信頼を取り戻し回復するためには、身内の者に対して、自分も含めてでありますが、厳しく対処しよう、内輪をかばうことによって文教行政が守れるというような錯覚を払拭しなければいかぬということは、この問題が起きました当初に打ち合わせをいたしたことでもございます。  したがって、高石氏に対しましては私自身彼に連絡をとることをずっと継続しておりますし、残念ながら人を介してとか、あるいは申しわけないんですが、プレスの方を通して私が伝えたい言葉を当人に伝わるようにということは、はっきり申して隔靴掻痒の感がいたします。また、これは院でお決めになることでありますので私からは申し上げられませんが、院の御決定には文部省が挙げてそれに沿うように努力をするのが当然であろう、このように感じておりまして、万が一にも文部省が、そして私を含めまして隠し立てをするというようなことはありませんし、ただ、あるように見えるということはまことに残念でございます。  以上が現在の率直な感想でございます。
  172. 中野鉄造

    中野鉄造君 そこで、少し問題を変えたいと思うんですが、大学審議会発足当時、高等教育局長であった現在の阿部事務次官は、かつて大学審議会委員の人選についてこのように言われております。その人たちの人選については私のところでつくった案そのままであるということをこの前の委員会で阿部次官答弁しておられますけれども、そして大学審議会委員の江副氏の選任については高石氏関与は全然なかったということを肯定して、まあ暗に高石氏をかばった形での表明となっておりますけれども、一方、十一月四日の記者会見で大臣は、高石氏がその「選任についてはタッチしうる立場にあったことは事実」である、こういうこともおっしゃっております。「だからこそ、本人であれ夫人であれ、」云々という言葉がその後に続くわけですけれども、そうなりますと、大学審議会、その当時事務次官の高石氏も現在の阿部次官の選任案にたまたま一致した、こういうことでしょうか。
  173. 國分正明

    政府委員(國分正明君) これを職務権限があるとか、あるいは関与という言葉をどうとらえるかという問題は一応ございますけれども、事実関係を申し上げますと、これも先般も本席でお答え申し上げたかと思いますけれども、大学審議会の委員の人選につきましては、局で原案をつくり、その原案、もちろんその原案をつくるに当たりましては、大臣の御意向を踏まえたり、あるいは国会での御議論等もあったわけでございますので、それらを踏まえまして具体的な人選をし、それを原案として次官あるいは大臣の御了承を得る、こういう手続を進めているわけでございまして、その過程におきまして高石前事務次官から特段の指示はなかった、こういうことでございます。したが いまして、もちろん、了承しあるいは決裁するという立場におきましては、そういう意味におきます関与というのは当然あり得るかと思います。
  174. 中野鉄造

    中野鉄造君 先ほど同僚議員の質問の中にももろもろの委嘱委員が約千二百人いらっしゃる、こういうように聞いておりますけれども、これらの委員の選任についての、その基準といったようなものはどういうものでありましょうか。
  175. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 先ほどもお答え申し上げましたが、文部省内に調査研究協力者会議あるいはこれらに類するものの会議が三十九ございまして、延べ人数が千二百名でございまして、大体通常一年間の期限を切っておりますので、事実上毎年千二百人の方が発令されるわけでございますが、これらの人選の問題につきましては、それぞれ抱えております調査研究協力者会議の課題、検討テーマあるいはそういった調査研究の対象となる事柄の事項に関連いたしまして専門的な知識を持っていられる方、あるいは幅広い視野から御協力をいただける方、そういった当面する文部省の課題の解決に文部省に対して力をかしていただける、御協力いただけるというような視点からの選び方でございますので、今申し上げましたように、エキスパートの方もいらっしゃれば、幅広い視野を変えて別の角度からも御意見をいただける方、そういうことで特定の基準が統一的にあるわけではございませんが、その研究、協力、調査をいたします目的に即して各課でそれぞれ判断をしているというのが実情でございます。
  176. 中野鉄造

    中野鉄造君 どんなエキスパートの人であったとしてみても、やはりそうしたいろいろの回を重ねて行われる審議会に出席するということが一番大事なんですね。  そこで、そういういわば欠席の常習者ではこれはしょうがないわけですけれども、まず精励でき得る委員というのがこれは第一条件のはずじゃないかと思うんですが、ところが、江副氏の場合六十年九月当時、高石氏が初等中等教育局長であった当時、教育課程審議会委員に任命されております。しかし、これがその後一年間約二十回の総会が開かれているわけですが、そこで江副氏はわずか八回しか出席されていないんです。そのほかはすべて欠席、そして、その後さらに一年間の中で十六回にわたる会合にはすべてこれ欠席、こういういわゆる前歴の持ち主なんですね、江副氏は。およそ精励を第一条件とする委員の選任には全くこれは不適格な人物なんです。それが何ゆえにこの二年後の六十年九月より発足した大学審議会委員に選任されることになったのか、その辺の理由をひとつ聞かせていただきたい。
  177. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 大学審議会の委員の選任に当たりましては、審議会の審議事項に照らしまして適任かどうかという観点から委員をお願いしているわけでございます。江副氏につきましてもそういう事情でお願いしたわけでございますが、大学審議会の場合、江副氏は在任中大学審議会九回開かれておりますが六回出席している、こういう状況でございます。
  178. 中野鉄造

    中野鉄造君 それは大学審議会になってからは彼はもう積極的に来ていますよ、魂胆があったんだから。だけれども、その前はそれだけの欠席常習者なんです。そういう人を何ゆえに大学審議会委員として再選したのか、それを聞いているんです。
  179. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 教育課程審議会での出席状況ということが新聞等にも報道されましたので、私ども当時携わりました者にその間の事情について聞いたわけでございますが、審議会の委員にお願いします場合に、政府全体の申し合わせといたしまして最高四つまでと、これは正規の審議会の場合でございますが、四つまでという申し合わせがございます関係上、人選の段階でこの委員はほかの委員をやっているかどうか、こういうことをするわけでございます。江副氏についても教育課程審議会の委員をやっているということはそういう過程でわかるわけでございますが、率直に申し上げまして、そこでの出席状況というところまでは確かめていなかったというのが実情でございます。
  180. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 教育課程審議会での出席状況でございますが、総会二十一回のうち八回ということでございますが、もちろん江副氏自体が多忙な方であるということと同時に、教育課程審議会はいろいろな多方面にわたります各種の学習指導要領の改定教育課程の改定の問題でございますので、自分の例えば進路指導の分野とかいう点には御関心が強くても、その他の分野というのにつきまして仕事の兼ね合いでそういう結果になったのではないかというぐあいに推測はいたしておるわけです。
  181. 中野鉄造

    中野鉄造君 そういうことから、事ほどさように文部省と、あるいは率直に申しまして江副氏と、あるいは高石氏との関係が通常の関係であったと言われてみても、どうしてもいろいろなものがにおってくるわけなんです、そこは。それに対して、いや、そうではない、こうこうしかじかの理由で大学審議会委員にも任命しましたというような明確な納得できるような説明はつかないわけなんですね。これを突き詰めると、今おっしゃったようにそれはその出席状況までは把握していなかったというそういうことでしかないわけなんです。そういう点も全然私どもは納得いきません。次に、先ほどいろいろ出張の問題でも質疑をやっておりましたけれども、公費出張しながらその実は自分自身の選挙出馬への地盤固めをしていたというような実態が言われておりますけれども、こういうことについては省内でいわゆる局長、次官が出張する場合にはどういうような手続が要るわけですか。手続。
  182. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 出張手続は旅行命令簿によりましてそれぞれ旅行命令権者の決裁を受けることになっております。事務次官の出張につきましては旅行命令権者であります文部大臣の決裁を受け、また局長の出張はこれは文部省の内部訓令で出張権限が各局につきましては局長に内部委任されておりますので、局長自身が旅行命令権者ではございますが、事務次官の決裁を受けるという慣行で取り扱っているところでございます。
  183. 中野鉄造

    中野鉄造君 言ってみれば、次官自身の出張等についてはもうその次官自身の良識に任せるというようなことなんですね。  そこで、高石前次官が在任期間中に三十六回にわたって出張していると聞いておりますけれども大臣は何回ぐらい御本人から報告を受け、どのような点をアドバイスされたのか、その点をお尋ねしたい。
  184. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 今考えてみますと、事務次官の出張に対してアドバイスをしたということは幸か不幸かなかったと思います。それ今私もこういう事態が起きましてから御指摘もありまして、事務次官が何回ぐらい出張し、そして例えば地元というのはちょっと微妙な言い回しでありますけれども、何回ぐらい行かれたのかということを改めて聞いてみまして、なるほど、そういうちょっと内容がわかりませんけれども、全出張の三分の一程度は地元に近いところに行っておったということでありますので、そこまで私は事実その都度は深く認識しておらなかったというのが、当時のことを考えますとそういうことでございます。
  185. 中野鉄造

    中野鉄造君 そうすると、大臣としては高石次官が出張されるその回数はなんですけれども、その内容等については余り御存じなかった。    〔理事林寛子君退席、委員長着席〕 またそして、非常に行く地域が偏っておったとか、その出張の目的あるいは内容というものが把握できないままであったと、こういうことなんですね。
  186. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 今の出張は全部で——これは失礼いたしました。高石氏が事務次官になってからやめられるまででありますので、私が就任いたしましてからは全部の出張は三回ぐらい、地元への出張は三回ぐらい、こういうことでございます。
  187. 中野鉄造

    中野鉄造君 そうすると、まあ次官クラスの人たちを含めてこういう出張だとかなんとか、そう いうような場合の何ですか、チェック機能といいますか、これは一体どういうふうになっていますか。
  188. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 次官、局長の出張は当然のことではございますが、公務を遂行する上で必要に応じて行われるものでございまして、年何回という基準はないわけでございます。特に次官、局長になりますと各県からの出張要請あるいは会議への出張要請、あるいは祝辞、その他各般の要請、あるいは地域の実情視察等の要請が参るわけでございますので、その御要請のほとんどをお断りしながら数を絞って出かけざるを得ないというのが実態でございます。
  189. 中野鉄造

    中野鉄造君 要するに、これからの問題ではございますけれども、少なくとも今まではそういったようなものが悪く言えば野放しというか、次官なら次官の良識に任せるというようなことでしかなかった、非常にずさんな結果がこういうことになっていると思うんですけれども、これらについて今後大臣の御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  190. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 今後ということはもちろん心してまいります。  また、高石氏の場合には、この出張の後刻に政治活動の準備活動に入ると、こういうことを言われたわけでありまして、時系列的にはまだそういう意思を全然知られない大臣のときもおありになったわけでありますから、それまで言及するのは前大臣に失礼だと思います。今後はそういうことのありませんように、これをどう言葉で表現したら一番適切かはちょっと考えさせていただくことにいたしまして、そのようなことが——そのようなことがというのはちょっと難しいのですが、表現を改めまして今後の戒めとしたい、こう考えます。
  191. 中野鉄造

    中野鉄造君 要するに、ずばり申しまして、先ほど冒頭からもいろいろと言っておりますけれども、どうも一般国民の目から見ても、あるいは私たちも含めてですけれども、高石氏だけを余り責めるにも責められない。今回の一連のリクルート疑惑によって明るみに出てきた諸問題、すなわち各種委員の任命にかかわる手続や、あるいは次官当時の目的、理由の説明のつきにくい出張だとか、あるいはパーティー券の売り込み等、新聞記事になったものだけでも相当数あるわけなんです。それらを一々高石氏をここに呼んできてほじくられると自分たちにも累が及ぶおそれがなきにしもあらず。あるいは言葉は悪いですけれども、同じ穴の何とやらというようなそういう見方さえもあるわけなんです。だから省ぐるみでいろいろなかばった形でかばっているんじゃないかというような、先ほどから言っておりますようなそういう気さえしてならないわけなんです。  私は、ここでまた何回も何回も言うのはもうやめますけれども、いずれにいたしましてもこういった大臣の天下りだとか、あるいは退職高級官僚のこういう選挙出馬の際のパーティー券の強制、半強制的な売りつけだとか、もろもろのこういったような日本の政界、官界の慣行というものが、昨日もNHKの解説の中でも言っておりましたけれども、今や海外からは日本の常識は世界の非常識とまで酷評されているわけなんですね。  ですから、大臣を初めいろいろと反省のお言葉が今あっておりますけれども、これはやはり言葉だけではもはや国民はもう信頼しないわけなんです。ですから今日この一連の疑惑を契機として、今後に対する警鐘乱打ととらえまして、今各党各会派それぞれ襟を正して、具体的ないろいろな改革案を今模索しあるいは実行しようと、こうしているわけですけれども、そこで文部省としては他省に先駆けて、綱紀粛正の範を垂れていく。いろいろな精神訓話的なことだけじゃなくて、抽象的なことだけじゃなくて、具体的にこういう点はこのようにしていく、この点はこういうように改めていく。そういったようなものが考えておられるのか、その点お尋ねいたします。
  192. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 私としても率先して、特に文部省、文教行政をあずかる官庁でございますから、率先して改めるにやぶさかでない。正すべきところは正し、今後の指針になるべきところは指針をつくっていきたいと、こう思っております。  現在までも綱紀の粛正あるいは厳正な職務の遂行と、これを徹底をいたしてまいったと申し上げておりますが、おっしゃる点は確かに先生方から見てももう一つわかりにくいということがあれば、全国民の方から見て非常に歯がゆい点が多いのであろうと。現在までも気持ちとしてはそれを徹底してまいりました。ただ、それを規範でなく何かわかりやすい、わかりやすいと言うと失礼でありますが、明確に打ち出す、今どうしたらいいか、ちょっとお時間をいただきつつ、これを率先して打ち出してみたい、どのような形が一番明快に、そして一般の国民の方々にもおわかりやすい形がとれるのかということに時間を少しかしていただければと、こう思っております。
  193. 中野鉄造

    中野鉄造君 もう幾ら綱紀粛正だなんだ、襟を正すと言ったって、そんなこと何回口を酸っぱく言ったって国民はそんなことじゃもう信用しないわけなんですからね。何か具体的な、ひとつ形あるものを実行に移すように、せっかく努力していただきたいと、こう思います。  以上で終わります。
  194. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 昨日の税特委で、私も高石氏を焦点とする文部省をめぐるリクルート疑惑、特に選挙問題について質問いたしましたが、時間の制限で十分掘り下げ得なかった点を重ねてお聞きをします。  まず、この審議会の人選、委員の人選問題でありますが、國分局長は昨日の私の質問に対する答弁で、一般論で申し上げれば、その人選の方針あるいは具体の人事、人選等について意見、事務次官、上司が意見を言うということはあり得るわけでございますけれども、本件につきましては、大学審につきましては、特に具体の指示はなかったということでございますと。そこで私が、しからば定数どおり局から名簿が上がってきたそのものを、事務次官は判こをついたことだけかと、こう聞きますと、最終的な決裁の段階ではそのとおりでございますということなんですが、名簿が上がってくる、局から上がってくる、大学審、上がってくるその前段階で事務次官から何か意見を述べたということはありませんか。
  195. 國分正明

    政府委員(國分正明君) ございません。
  196. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ない。
  197. 國分正明

    政府委員(國分正明君) はい。
  198. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 教育課程審議会委員の人選の場合、このときには彼は初中局長でありますけれども、そのときも下から上がってきたものに判こをついただけですか。
  199. 古村澄一

    政府委員(古村澄一君) 教育課程審議会の委員の人選は、教育課程に関係する初中局の部課及び体育局というのが関係いたしますので、その各課課長からの御判断で人選を、候補者といいますか、そういった人を、担当する課は小学校課でございますので、小学校課長の方へまとめていく。そこへ上げていく。小学校課長の方で関係課長が集まって出てきた中で精査していくというふうな手続を経てまいるわけでございますが、そして最終的には局長の了承をとる。当然局長でございますから、局長は了承ということでございます。そういう手続で、審議会の委員というのは最終的には、局としての判断としては局長ですけれども局長大臣の御了解をとるという手続を経るわけでございます。そういったことの中で、今私たちが調べましたところでは、大体課長会議でまとめたものを局長のところで了解をとったということでございます。
  200. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いや、大体というあいまいなことを言わないように。局長として特に意見を述べなかったし、指示をしたということはないということですか。
  201. 古村澄一

    政府委員(古村澄一君) 局長として特に具体的な指示をしたということは聞いておりません。
  202. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 皆さん、これ信じられますかな。一般論としては、事務次官なり局長なり上司が人 選の方針あるいは具体的な人選について意見を述べるということは一般論としてはあり得る。しかし、事、今疑惑の焦点になっている江副氏が入った。この疑惑の焦点になっている教育課程審並びに大学審についてはそういうことは全くなかったという、そのことが一体どうして、まさに話ができ過ぎている。でき過ぎておるというか、つくられ過ぎておるということで、これはおよそお人よしでない限り信じられない話ですよ。  次の問題。私きのう大学審の人選の最終段階で、中曽根前首相がこれに介入をしたんじゃないかということを言いましたね。文部大臣は、中曽根前首相の介在があったとは承知していませんという御答弁でした。しかし、実は九月九日の日、当時、ですから昨年九月の九日の日に、首相官邸で当時の塩川文部大臣と中曽根総理が、分刻みで動いておる総理にとっては相当の長時間話し合いをやっておるという事実を御承知の上できのうの御答弁なさったんでしょうか。
  203. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 私の答弁でございますので、その前段がありまして、六十二年九月時点のことでありますので、政府委員からお答えするのがより正しいかと思いますのでお許しをいただきたいと思いますと申し上げた直後に、先生から、そういうことはあるかとおっしゃられましたので、私は、当時のことでありますから、むしろどちらが答弁した方が正しいのかは別といたしまして、私は率直にそういうことは承知しておらないと、こう申し上げたわけで、周囲の状況を勘案して申し上げたとまでは気を配った答弁ではございません。私は当時いなかったものでございますから、承知しておらないと言うのが私からは正しい答弁と思って申し上げた次第であります。  あとは、もし補足があれば政府委員から申し上げます。
  204. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 政府委員、何か加えることありますか。
  205. 國分正明

    政府委員(國分正明君) この大学審議会の人事につきましては、学校教育法で、内閣の承認を経て……
  206. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 あのね、私聞いているのは、総理官邸で総理にとっては長時間とも言うべき話し合いを文部大臣とやっているという事実を承知の上できのうの答弁になっているのかという、ここ、イエス、ノーで答えてください。
  207. 國分正明

    政府委員(國分正明君) こういういわば閣議の了承を得る人事というのは、これは文部省だけでなくて、各省共通でございますが、閣議の案件にかかる前に、大臣から総理大臣に御説明申し上げ、理解、御了承を得るというのが通例の取り運びでございますので、そのことは当然あり得ることでございます。
  208. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 答えになってない。言いましょう。  九月の九日の日の午後三時五十七分から総理と文部大臣の話し合いが始まっているんです。そしてそれから五時三十八分、総理は迎賓館へ行っているんです、官邸から。官邸から迎賓館へ移動するのに十五分ぐらいで行くんじゃないですか。まあ多少ちょっと文部大臣と話し合いをして、後お茶一杯ぐらい飲む休憩をとったとしても一時間以上にわたる会談をやっているんですよ。このときは大学審議会委員の人選の大詰めの時期なんです。だから私は、一時間の会談というのは総理大臣にとっては、分刻みに動いている総理大臣にとっては相当の長時間ですよ。だから中曽根前総理の人事介入がどうも疑惑があるということで、私申し上げているんです。  そこで言いますけれども一つは具体的な人選について余りにでき過ぎているというか、そんな人を食ったような、一般論としては事務次官や局長が人選の方針なり具体的に人選についていろいろと発言をするということはあり得るけれども、事教育課程審と大学審については全くなかったということを信じろと言ったって私は信じられない。  それから二つ目。具体的に今時間を挙げて、この時間は作り話じゃないですよ。当時の新聞めくってください。総理大臣の日程についてはちゃんとどの新聞もばあっと書いておるんだから。ということで、総理大臣にとっては相当の長時間の話し合いを文部大臣とやっているんだから、ひとつもう一遍よく調査をして次の質問のときまでにきちっと回答ができるようにしておいてください。文部大臣に頼んでおきます。
  209. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 御趣旨はわかりますが、ちょっと、どう調べられるか政府委員からお答えした方がいいと思います。
  210. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 まあいいですよ、調べる方法は任せますから。  次の問題です。  官房長、あなた、十二月の六日、要するに当委員会が途中で八日に参考人質疑やりましたその前、野党の第一巡目法案質疑をやったあの日です。私を初めとして大体各議員、高石問題に大なり小なり触れました。あのときに、パーティー券の売り込みというか持ち込みというか、これについて文部省が関与しているじゃないかということについて、あなたはかなり語気を強めて、文部省としてそんなことはやったことありませんと。言うなれば支持者個人がやっていることはあるか知らぬけれども、そこまではわからぬけれども文部省として関与したことはありませんというふうにあんた言い切っておったけれども、しかし今や明らかになってきたじゃないですか。さっき言っているように、この助成課が、これが仕事のついでに出張してきた人に対して、あるいはわざわざ電話をして、公務である仕事に結びつけてパーティー券をひとつ協力してくれという話をしている。これは紛れもなく文部省の公務と結びつけてやったということですよ。だからこそそういうことで、引き受けたのは二十件ですか二十二件ですか、それからあれがそういう形、私が言っているような形でやっているという、これは文教委員会に対する重大な食言ですよ。ろくろく調査もしないで、ああいうでたらめなこと言ったことについて反省していますか。
  211. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 今回の調査状況でございますが、今先生具体的な課の指摘もございましたけれども、ちょっと釈明めいて恐縮でございますが、当時予算編成の時期でございますし、また年間を通じて各県との連絡折衝というのは数十回あるわけでございますから、当然そういった職員と県教委の幹部の間に個人的な親しさが生まれるのも当然でございますし、気安い仲でパーティーがあるということが話題に出ることは当然にあり得ることであります。ただ、これはもちろん不注意なことでございますけれども、そういう意味で、私ども文部省として関与した事実はございませんと申し上げた趣旨は、そういった組織とかあるいは文部省の意思とか、あるいはだれかのさしがねでという意味ではなくて、職員個人の中にそういう職員がいたということを、そのまた言葉のあやでどういう形で受けとめられたか、その辺につきましては、大変不注意な行為であり恐縮しておるということを昨日も答弁申し上げた次第でございます。
  212. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 余りあれこれ弁解すると、あなた自身もやったのか、だからいろいろとへ理屈をこねているのかという疑いが出てくるんですよ。そうしたら、いっそのこと加戸官房長を証人喚問しようか、そしてうそをついたら罰せられるということでひとつやるかという話を言わざるを得ぬようなことになるわけだ。だからもっと素直な答弁をしなさいよ、反省しているなら反省していると。調査不十分のままで、要するによくわかりませんと言ったんじゃないんだよ。文部省として関与しているようなことはありませんと、こう言い切ったんだから、それがぼろが出てきたんだから反省をしてしかるべきです。  次の問題、文部省のぐるみ選挙問題で、私は昨日の税特委で半強制的なパーティー券代と称するカンパを課長補佐以上に集めておるんじゃないかということを言いました。文部大臣、よく調査してみるということで、きのうのきょうですからこの答えは求めません。次回までによくひとつ調査 をしていただいて、実態はどうであったかということを調べておいていただくということですが、もう一つのぐるみ選挙の例として、前回もどなたか、久保先生だったかな。おっしゃった。いや安永先生だったかな、五階にOB室がある。要するにOBの人が東京へ出てきたときにいろいろくつろいで雑談もしてもらえるためのそういう部屋を置いておるという名目ですけれども、しかしこれが事実上、高石氏の選挙事前活動のための、言うならアジトになっているんじゃないかというこの疑い。というこの点で、実は私、見に行ったんですよ。そうしたら女性の専従職員がおるんです。電話が二台あるんです。かけてみようかと思ったけれども、勝手にかけてまた何だと、こう言われたらいかぬから。二台あるということは一つは内線電話ですね。一つは外線にかかる電話だと。  そこで、ずっと私各省庁に全部電話したの。あなたのところの省ではOBのためのそういう部屋はありますかと言ったら、ない。ないんですよ。農水省だけがむしろこれは労働組合サイドといいますか、労働組合が退職者の職員を今のこういう高齢化時代にいろいろな運動に組織していますね。この労働組合側から要求をされて一部屋ちょっと提供してくれぬかということで農水省がつくっているだけ。文部省のようなこういうOB室をつくっているというのはないんです。  さっき、総理府に聞いてみた。あなたのところで状況をまとめているかと言ったら、総理府もそんなことを総理府が全体まとめて調べるべき立場にないので、何とも言えませんということですけれども、ずっと全部電話して聞いたんだから。この点でも本当に文部省のやり方というのはひどいものだ。しかし、格好つかぬようになってきたから、何か最近閉めておるそうですな、余りに都合悪くなったから。しかし、またそのうちにあげるんじゃないか。この点でもこれはぐるみ選挙だと。  そこで、こういった点で明らかに公務員法違反、地位利用じゃないかということを安永先生からもありましたけれども、私全くそうだと思うんです。それで、しかも大臣みずからがワープロ打って五十項目の質問出した。それはその中の相当部分は十一月二十一日の衆議院の証人喚問のときの証言で言われている内容もあるかしらぬけれども、しかしともかくまだ残っている部分もあるというわけなんだけれども、これについてはいまだに回答を寄せないという不届き至極な男だよ、あれは。だから、こういう者に対しては一遍きちっとおきゅうを据えなくちゃならぬ。そこで田沢さんも少し触れられたけれども、おきゅうを据える方法がある。  文部省に聞くけれども、高石氏に支払った退職金は幾らですか。それで彼は定年前に、事前運動やっているという批判の中で、定年前に退職したから優遇措置があるんですよ、むしろ。五条適用か、優遇措置。これ要求しておきましたけれども、退職金総額、それから定年前に退職をしたということに伴う優遇措置の額、それから事務次官の地位にあって悪いことやっておったんですからね。事務次官でなく局長でやめていったらという、それと比較して事務次官でやめたためにふえている部分、これを言ってください。
  213. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 高石前次官の退職手当は、国家公務員退職手当法の規定に基づきまして正規に支給をされておるわけでございまして、その金額につきましては高石前次官個人のプライバシーに属する事柄でございますので、答弁を差し控えさしていただきます。
  214. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 何がプライバシーだ、そんなもの。国民の税金、公金だよ。しようもないことでプライバシー云々、そんなことでプライバシー使うなよ、プライバシーの言葉が泣くよ。そんなもの調べようと思ったらすぐ調べられるよ。  で、私が思うのは、一遍彼におきゅうを据える意味で、事務次官の地位で悪いことやったんだから事務次官ということに伴ってふえている部分、それから定年前に退職をしたということに伴って優遇されている部分、せめてこの部分ぐらいは返せということで、本人がみずから辞退をするというふうに積極的にひとつしむけるということでおきゅうを据えるということぐらいやって私はしかるべきだと思うな。ひとつ文部大臣検討してもらいたいんです。首を振っておられますから、検討してもらえますね。
  215. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 二つ申し上げますが、今おっしゃった中で私はプライバシーとは思えない。また検討いたします。
  216. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 こうなるから、いよいよ官房長どうも片棒担いでおるんじゃないかということになる。  そこで、これは田沢先生も触れられた私学助成問題です。きのうの税特委でも私質問しましたね。帝京大学の不正常経営にメスを入れる問題と、私学助成をもっと増額をする、二分の一経常費助成に向けて政府として努力するということで、大臣はその点は佐藤議員と全く意見は同じと、総理大臣どうかと聞いたら文部大臣と同じということで、大変いい御答弁をいただいたというふうに思っておるわけですけれども、その際に、もしも消費税が導入されたら大学の経営に大きな影響が出るということを田沢議員言われました。文部省と大蔵省、どういう影響が出るということを試算していますか。
  217. 野崎弘

    政府委員(野崎弘君) 消費税におきましては、学校が購入する物品等におきましても課税対象となっていますから、私学の場合におきましてもその分がコストとして支出増になることがあるものと考えておるわけでございます。ただ、それに伴いまして収入支出にどの程度の影響が生ずるかということにつきましては、細目ごとの金額とか購入先ということがこれは不明でございますので、試算することは困難である、このように考えております。
  218. 福田誠

    説明員(福田誠君) ただいま文部省の私学部長から御答弁したことと同様でございます。
  219. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 怠慢だよ。政府として消費税を含む税制関連六法案国会へ提出してもう何日たっているんだ。その質問が当然出るでしょう、一体学校経営、これは私学は特に影響大だと思うんだけれども、国公立にも影響ありますよ。いろいろな購入する資材に関して税金かかるんだから、光熱水費にもかかるんだから。どういう影響が出るかということについて、当然それに伴ってどういう手当てをしなくちゃならぬか、試算もしてないというようなことでは、大体それだけでも消費税法案を提案した資格がない、撤回をしてもらいたいということをいよいよ声を大にして言わざるを得ないということだけれども、しかしこれ本当に、もう時間ないからあれですけれども政府の重大な怠慢ということで、ひとつ文部省としても大蔵省としても次回までにちゃんと試算をして示してもらいたい、数字的に明らかにして。  私の知っている私学関係の教職員組合の試算をしたところによると、私学助成が実質一五%ぐらいの目減りになるんじゃないかという試算を聞いているんです。ここの数字の精査はこれあなたらは専門家だからよく出してみたらいいんだ。  そこで委員長、最後に、同僚議員からも多々高石問題をめぐって議論がありました。本来であれば、きょうというよりももっと早く出てくるべきところを、最近に至って病気だなどと称して、診断書も出さないで、とにかくここへ出てくるのを事実上拒否をしている。こういう状況ではこれはもう縄をつけてでも引っ張り出す。ただ病気だと言うんだから、それはドクターをつけて、もしちょっと無理できぬというときには尋問を中断するとか、あるいは途中で打ち切るとか、こういうことだってあり得るんでありますから、私は高石氏をもう証人喚問に切りかえる。そういう断固たる態度をとるべき必要があるということを要求をして、委員長のひとつ御判断をお願いをしたいというふうに思います。
  220. 杉山令肇

    委員長杉山令肇君) ただいまの佐藤君の問題につきまして、重要な件でありますので、よく理事会で相談をいたします。
  221. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 終わります。
  222. 下村泰

    ○下村泰君 私の方は障害者に関することのみのお願いで、余りどうも文部省の方に強いことも言える立場じゃございません。したがいましてその高石事務次官が云々ということも、本来ならばやらなければいけないことなんだろうとは思いますけれども、略させていただきますけれども人間の常識的に考えて高石という方のおやりになったもろもろの事柄というのは、何となく高石という方が初めてやったとは思えない、そんな感じがする。人間なんてものは何かこういうことをしちゃ悪いから、こんなことしたら何かあるんじゃないかなという懸念はだれでも持つんですよ、そういう恐怖感とか危機感というのは。ところが前例があると、あれも平気だこれも平気だという感じになる。だから高石さんという方が今度やったことが私は初めてのようには思えない。だれか常習者がおるんだろうと思うんです。よく子供がそうでしょう。長靴新しく買ってもらうんですよ。その長靴履いて歩いているのに水たまりをよけるんです。長靴というのは本当は水たまりに入るために履く靴なんです。ところが新しいうちはよける。一たん泥がくっつくと今度はジャボジャボ入っていく。あれと同じ感覚が高石という人にあるんじゃないかと思うんですよ、私は。  もう一つは、こういう感覚を持った人というのは一見非常に豪放らいらくに見える。よそから見ると非常に男らしいんです。だから文部省の恐らく下で働いていた方々で、あの人はいい人だ、気持ちのいい人だ、腹の大きい人だ、頼りがいのある人だと言う人はいっぱいいると思うんですよ。そういうふうにあこがれている人がこういうことになると、みんな隠しますわな、これは。何かこうやって顔を見ると、みんな隠しているような顔に見える、それぞれがかばっているような。皆さん方のお話を聞いているとそういうふうに感じるんだ、余計また。よくこういう話になるとジャン・バルジャンやなんかが問題になりますけれども、引き合いに出されるんですけれども、ひもじさの余りに一かけらのパンを盗んで罰せられる人もいる。この高石さんという人のやっていることなんというのは、ひもじさで思わず一切れのパンを盗んで罰せられる人以上のことをやっているよね、形からいえば。ただ、表面的に非常に理にかなって、法に触れないというだけで。  だから、先ほどからほかの委員の皆様方が指摘されているとおり、こういうことが公になって、親が例えばテレビを見ながら子供達に説明した場合に、その子供たちがどういう感じを持つかということですよ。これが一番恐ろしいんだ。しばしば私の家の例を出しますけれども、孫が私のテレビに出ているのを見て、おじいちゃんこっち向いてと言ったけれども向かなかったと言う。子供は知りませんからそういうことを平気で言うんですよ。それと同じように、このおじさんがどうしてこうなっているんだとか、このおじさんどうしたのと言ったときに、その親が説明したらどうなりますか、その子供の受ける影響というのは。これ文部省なんというのはがたがたになりますよ。だから本当に気の毒なのは文部大臣だ。何にも知らないで災難こうむっているんだ、ひとりで。ゴルフやっていて後ろから球が飛んでくるようなもんです。御同情申し上げます。それから各局長もみんなそうなんだ。本当は答えたくないことでしょうよ。ばかにしやがってと思っているでしょうけれども、同僚にそういう人がいたんだからあきらめて、いろいろとお答えにならなきゃならないと思います。  さて、私はそういうことじゃなくて、例によって例のごとくのことを御質問申し上げますけれども、今度の問題で一番困るのは、私学の助成の見直しということになるんですよね。私は、見直しの基準にぜひとも障害学生の受け入れ状況、これもひとつ頭の中に入れていただきたいと思うんです。そこで、放送大学、通信大学における障害学生の入学者数は一体どういうふうになっておりましょうか。
  223. 國分正明

    政府委員(國分正明君) ちょっと突然でございまして、手持ちに資料ございません。申しわけございません。後ほどお届けさしていただきます。
  224. 下村泰

    ○下村泰君 普通なら、ここでどなり散らすところなんでしょうけれども、これは通告してあるんですから。ですから、いわゆる放送大学、通信大学における障害者学生の入学数はどのぐらいだろうかということをお尋ねしたんですけれども、おわかりにならなきゃ数は後でも結構です。  そういう人たちのスクーリングや認定試験、さらには点字の教科書に対する保障、こういうものはどうなっているんでしょうか。——通告してありますから、後で答えてください、今答えられなければ。  次へいきます。これは後からお答えをいただくとして、留学生の受け入れ態勢、計画、こういう姿勢についてお伺いしたいと思います。具体的に実現するための方法として、障害を持った留学生が今どれくらい日本に来ているのか、そのまた置かれている状況はどんなものか、それをちょっと伺いたいと思うんですけれども
  225. 川村恒明

    政府委員(川村恒明君) ただいま我が国に参っております留学生の数が、昨年の数字で二万二千人、現在、多分ことしは二万五千人ぐらいになっておるかと思っております。そこで、この人たちの中でいろいろな形の障害を持った方が何人ぐらいいるのかと、こういうことでございますけれども、大変申しわけございませんが、その全体について網羅的に調査したものはございません。個別の事例として、例えば目の不自由な方でございますとか、その他不自由な方が入っておられるということは聞いておりますけれども、正確な数字としてはまだ承知するに至っていないと、こういうことでございます。
  226. 下村泰

    ○下村泰君 一度やっぱり、もしでき得ることならば、詳細にわたってひとつ調査してみてください。と申しますのは、ここにある新聞記事がありまして、この人は韓国の方なんですけれども、四歳のときに天然痘にかかって目が見えなくなった。失明しまして、ソウルの盲学校の高等科を卒業してから日本へ参りまして、県立の千葉盲学校から和光大へ進みました。それでその盲学校の職員だった御婦人と結婚して二男一女の五人家族で、金治憲さん、四十一歳の方です。この方は、アジアの中で視覚障害者の自立率が高いのは日本ですと。ほかの国では肩凝りという名詞がない。日本ではり、きゅう、マッサージ術を学び自分の国へ帰って指導者になってほしいと、この人みずからがアジアの人たちの留学を自分が受けて面倒を見ていらっしゃるんですね。  大体どういう方向から来ているかと申しますと、さすがに中国はいらっしゃらないかわりに、韓国、台湾、香港、シンガポール、もう二十人近く今まで受け入れているそうです。そして大体、このクラブがございまして、この受け入れのクラブが、そのクラブの方々が毎年六月ごろ、アジア各国の盲学校に奨学生募集案内を送ります。九月ごろ数多い応募者の中から、学業成績や日本語能力にすぐれた一人を選んで、盲留学生として正式に受け入れてきた。この人が今までやってきて、またこの方を応援してくださる方々がいて何とかやってきたんですけれども、もちろんそれがだんだん苦しくなってきている状況なんですね。  こういったように、もし我が国の側の方がこういう方々の受け入れ態勢をきちんとしてやるならば、それこそアジアにおける日本という国の位置づけというものが大変変わってくるんじゃないかというふうに考えているんですけれども文部省にこういうことに対する何かございますか。もちろん厚生省ともかかわりますけれども
  227. 川村恒明

    政府委員(川村恒明君) ただいま御指摘のございました点、私どももそういうことを新聞記事等で拝見をして承知しております。これから十万人留学生受け入れを進めていく際に、この問題やっぱり大変大切な問題だというふうに思っております。  かつてこういうことで私どもも議論したことがございまして、ただ、ただいま先生御指摘のございましたように、幾つかの問題がある。例えば教材の問題、日本語の問題でございまして、今先生 が御指摘の事例は、そういうことだから日本語が多少わかる者を選ぼうということで民間の方が苦労しておられる。本当はそれじゃ困るんで、こっちへ来てやはり日本語をまず勉強していただかなきゃいかぬ。そうすると、点字の日本語の教材というのはもうほとんどないんですね、今のところ。一部の筑波大学なんかでそういう研究はしておられますけれども。やっぱりそういうこと、目の不自由な方には点字による教材、まず日本語の教材を開発し、そういうものをまたどうやって効果的にその教育に生かしていくかというようなことで、大変そういうことで正直申しまして申しわけございませんが、そういう留学生についてこれを具体のものとしてどうやって積極的に取り組んでいくかというのは、まだこれからの課題でございます。  しかし、この問題は、先ほど申しましたように、十万人計画を考え、あるいは留学生というものの重要性考えるときに、避けては通れぬ問題だという問題意識は持っておりますので、これからそういうことで、いろいろな形での受け入れ態勢を進めていく中で、十分に検討してまいらなければならないというふうに思っております。
  228. 下村泰

    ○下村泰君 いずれにしましても、アジアにおける日本の立場ということからかんがみますと、こういうことはなおざりにできないような感覚がするんですけれども大臣ちょっと、話を聞いていていかがでございましょうか。
  229. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) この金さんとおっしゃいますか、新聞記事も読ませていただきました。少なくとも日本へ来られて鍼灸、マッサージという職場、その職を得ることによって自立できるという道が我が国にあったかということで、一つはそういう点でお役に立っておるのは結構なことだと思うんですが、それだけにここでもやはり宿舎難ですとか教材難ですとかということを訴えておられるわけであります。具体の御希望もあるわけでありまして、まず、その受け入れ、各国から上がってくるこちらで受ける国費留学生の数は把握しておりませんし、そう実態は把握しても多くないと思いますけれども、こういう方々の受け入れにできるだけ沿うような形を鋭意整えていくべきだというふうな感想を交えて拝聴いたしておりました。
  230. 下村泰

    ○下村泰君 これは早急にという問題じゃございませんし、また、できもしないだろうと私も思うんですが、徐々にひとつその体制を整えていってほしいとお願い申し上げておきます。  今度、障害児に対するいじめの問題をちょっと取り上げたいんですけれども、先般、富山県の高岡市営プールでの差別問題を取り上げました。そのときに大臣はこういうふうにお答えくださったんですね。  実際にその五十万人目の方がたとえお子さんであれ御老人であれ、それはわかりませんけれども、その人格を尊重するということにつきましては、人権の問題は平等でございまして、そこにその時点でどのような状況であったにいたしましても、起こってはならないことが起こったなという感じをその瞬間に持ちました。大変不幸なことだと思っておりますし、また、反省面といたしましては、たまたまこの方が肢体不自由なお方であったということでありますので、そういう方々に対する啓蒙、教育が徹底していなかったかなという点で反省を持ったことは事実でございます。 と、こういうふうに大臣がお答えくださった。そして、体育局長の坂元さんですか、は、  私どもとして日ごろ住民のスポーツの振興に当たるべき社会体育関係職員が本件のような事例を起こしたということはまことに遺憾なことだというふうに思っておりますし、私どもとしましては、従来から心身障害者についての理解を深めるべく各都道府県教育委員会等に指導をしてきたところでございますが、今後ともこのようなことのないよう一層の努力を続けると同時に、改めて保健体育関係課長、担当者等については、ぜひ二度とこのような、この事例を紹介いたしまして、このようなことが起こらないように指導を徹底してまいりたいと、今考えているところでございます。 と、こういうふうにお答えくださった。この質問をしたのが六十三年十月二十日なんですね。  ところが、十月の二十八日ですよ。これはたしか毎日新聞の「記者席」に書かれていた記事なんですが、ソウル五輪で日本選手が不振であったというところから、皆さんがどうしてこんなふうなんじゃ、もうちょっと日の丸が上がらぬかいなという、これはだれでもそういう気持ち持ちますわ。国民全部もそんな気持ちになったと思いますよ。そこで、十月二十八日に開かれた、これは自民党ですわ。「同党のスポーツ振興に関する特別委員会(森喜朗委員長)とスポーツ振興議員連盟(砂田重民会長)の合同会議でも議論が過熱、ついには守勢一方の文部省幹部から問題発言が飛び出す一幕も。」あったと。例えば、松田九郎という方が、「ロス五輪金メダリストの山下選手がコーチを務めなかったのは、柔道界の派閥争いのせい。日本で一番遠い橋本聖子選手が自転車ロードレースに出場しなかったのもおかしい。」なんていろいろなことを言い張る。「こんな中で四面楚歌だった文部省幹部。「わが国のスポーツのすそ野の広さは世界一」と、」、ここで胸を張ったんですが、「「すそ野を広げるだけではメダルは取れない。「この種目だけしかできない特殊な選手」を作らねば勝てない」と言おうと、身障者を差別する表現をしてしまった。これには居並ぶ自民党議員も口をあんぐり。あわてた同幹部は「体操の女子のように小さいころから体重を抑えなくてはならないということで……」と弁解。よせばいいのに「ソウルで陸上の決勝を見ても、選手は黒人ばかりで、日本はなかなか難しい」」、こういうことを言った。「またもや脱線。」したんですな。それで、「密室の会議なので、とお目こぼしされたが、ある議員」さん——もちろんこれは自民党の方ですよ。「ある議員は「あれが教育を預かる文部省の官僚かネ。スポーツ振興どころか、日本の将来も暗いな」。」、こういうことをおっしゃったそうです。もう言わずもがなということになりますけれども、こういう記事が出ておったんですけれども、こんなことはばかばかしくてせんさくをする気にもなりません。で、これ、障害を背負って生きている人というのは、それを支える親とか兄弟、それから周りの人たち、こういう方たちが失望するようなことだけは二度と言わないでほしいし、やめてほしいと思います。本当なら全局長、官房長、大臣に聞きたいんですけれども、こういう今の記事をお読みしたんですけれども大臣はどういうふうにお考えになりますか。  それと、もう一つは、こういうことは次の文部大臣にも申し送っていただきたいんです、私は、こういう人間がおるぞと。こういうことだけはもう気をつけなきゃいけないよということを申し送っていただきたいんです。それに関しまして何か大臣御感想があったら。
  231. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) まことに恐縮でございますが、大臣に御指名ですが、私の発言でございますので私から私の真意を御説明させていただきたいと思います。  確かに、御指摘の件は、十月二十八日の自民党のスポーツ関係の合同会議の席での発言でございます。私の真意は、生涯スポーツのすそ野を広げれば競技スポーツの向上につながるということは昔から言われておるわけでして、現実にそのとおりでありますが、だからといって直ちにそれがオリンピックのメダルに結びつかないんではないか。特に、オリンピックの競技人口が大変若くなっておる女子の体操などでは、外国などではちょうど十歳ぐらいから相当厳しい訓練が始まるわけですが、まさに成長期に食べる物もある程度制限させて、そして本当に厳しい鍛え方をしてオリンピックに訓練をして出してくるわけでございます。そういうことまでして子供たちを鍛える、オリンピックにメダルをとらせるというのは一体どうなのか。その点については国民全体でコンセンサスを得てからやらなきゃいけないんではない でしょうかと。いずれにしましてもオリンピックでメダルをとるためには、日本人に合った、日本人の体力、素質に合った競技に重点的に選手を訓練してオリンピックに出さなきゃなかなかメダルはとれないんではないでしょうかという説明をした際に、まことに恐縮ですが、不適切な表現をしたことは事実でございます。私は深くその点については反省をしておりますし、おわびする次第でございます。  それから、黒人選手の件は、これは全く、先生、逆でございまして、私は日本人に合った競技とは何かという場合に、その百メートルのオリンピックの決勝を見てもおわかりのとおりに、陸上の百メートルは黄色人種も白色人種もとても出られない、あの瞬発力のある、黒人の筋肉と瞬発力というのはとても素質的に我々日本人には追いつかないものなんじゃないでしょうか、そういう意味でオリンピックで百メートルでメダルをとるということは最初からそもそも目標にするのが難しいんではないでしょうかと。要するに、日本人に合う種目というのを十分考えなきゃいけないというときに例に出したわけでございまして、むしろ私は黒人選手の瞬発力、筋肉の強さというものを褒めたといいますか、そういう例で出したわけでございまして、その点は私は黒人選手を何らかの形で侮べつするというような意思は毛頭ございません。
  232. 下村泰

    ○下村泰君 それじゃ、あなたがこれおっしゃったんですね。じゃ、これ、ぶしつけな話、えらいことを言ったものだなと思いますけれども。  ただ、今お話ししていて、あなたがどういうことを言いたいかというのはわかりますよ。わからないではない。私もスポーツマンの端くれですからそのくらいのことはわかります。それから、今の黒人選手のこともわかります。ただ、時によって感情に走ると言葉が足りなくなるという、これは一番いい例ですな。  そのことをどうのこうのじゃございませんが、いっときは非常にいじめなんかもあったけれども、非常に陰湿になっているんです、今。隠れておるんですな、いじめ方が。で、九月の五日から十日にかけて兵庫県の尼崎で登校途中の脳性麻痺で車いすに乗った女子高生が中学生風のグループから石を投げられるという事件があったんですね。それで別の日に、今度は同じグループが同じ女子高生の車いすを突き飛ばした。障害児に対するこういういじめというのはどうしても許せません、こういうのは。こういう子供教育している学校の、今度は私はそれを疑いたくなるんですね、教育の仕方を。  そうかと思うと、二年前に大阪、これ市立です。加美中学というところで、教師ですよ。教師数人が特殊学級の男子生徒を無理やりプールに連れていって衣服をつけたままほうり込んだんです。プールへ、着たまま。これは最近発覚したんだ、この事件は。そうしましたら、その教師の一人が指導上行き過ぎがあったと。これは指導上ですか、これ。もしこのプールに入って命落としたらどうするんですか、これ。これ先生ですよ。情けない。こんな感覚でよく人の教育なんて偉そうな顔できますな。大阪の法務局は何をしているのか。しかも市の教育委員会は口頭で注意をしただけだというんです。こんなばかなことが許されていいものではありませんよ、これは。だからこういうのを私は聞くと、かあっとくるんですね。血の気が一遍に頭に上ってくるんですよ。私だけじゃなくたって今ここにいらっしゃる委員の方々でも恐らくみんな頭にくるでしょう、こういう話は。こういうのが文部省の管轄の下にいるんですから、よほど皆さんしっかりしていただかないと困るんです。  時間が来ましたのでこれ以上お話ししませんけれども、こういうことに対して文部大臣としてますますひとつお願いをしたいのは、文部省っていうのは一体何なんだ、文部大臣とは何なんだ、文部官僚って何なんだって、そういう疑問を持ちますものね。よろしく一言あってしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  233. 中島源太郎

    ○国務大臣中島源太郎君) 下村議員の特に障害者の方々に対する御関心には敬服をしておりますが、先ほど、これは申し伝えてもらいたいという強い御希望がありました。もちろん私も任にあります間は全力を尽くしますし、また次の文部大臣に、立派な方がなられると思いますが、下村議員の御熱意も含めまして趣旨は十二分に申し伝えてまいりたいと思っております。  また、先ほどもお願いしたんですが、いつの日か、任を終わりましても、障害者の方々の社会復帰のいろいろな施設がございまして、見にいきたいと思いながら、通年国会でありまして見にいけなかったところが多々ございます。任が終わりましてもどうか同道していただければ幸いに存じますことをつけ加えさせていただきます。
  234. 下村泰

    ○下村泰君 委員長、一言だけお願いします。  先ほどの放送大学と通信大学の件につきましては後日ひとつ伺いますのでよろしくお願いをいたします。  でき得ることならば中島文部大臣に私は留任を要望したいと思います。  ありがとうございました。
  235. 杉山令肇

    委員長杉山令肇君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時十三分散会