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1988-11-10 第113回国会 参議院 文教委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十一月十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月九日     辞任         補欠選任      田辺 哲夫君     中村 太郎君      本岡 昭次君     久保  亘君      勝木 健司君     関  嘉彦君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         杉山 令肇君     理 事                 仲川 幸男君                 林  寛子君                 粕谷 照美君                 佐藤 昭夫君     委 員                 小野 清子君                 木宮 和彦君                 山東 昭子君                 田沢 智治君                 竹山  裕君                 寺内 弘子君                 柳川 覺治君                 安永 英雄君                 高木健太郎君                 高桑 栄松君                 関  嘉彦君                 下村  泰君    国務大臣        文 部 大 臣  中島源太郎君    政府委員        文部大臣官房長  加戸 守行君        文部省生涯学習        局長       齋藤 諦淳君        文部省初等中等        教育局長     古村 澄一君        文部省高等教育        局長       國分 正明君        文部省高等教育        局私学部長    野崎  弘君        文部省学術国際        局長       川村 恒明君        文部省体育局長  坂元 弘直君        文化庁次長    横瀬 庄次君    事務局側        常任委員会専門        員        佐々木定典君    説明員        総理府賞勲局総        務課長      平野 治生君        厚生大臣官房厚        生科学課長    谷  修一君        厚生健康政策        局医事課長    丸山 晴男君        厚生省保険局医        療課長      小林 秀資君        通商産業省産業        政策局消費経済        課長       近藤 隆彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査  (リクルートコスモス未公開株譲渡問題と文部行政との関わりに関する件)  (三省堂英語教科書書き換え問題に関する件)  (教育関係書籍訪問販売に関する件)  (著作権制度の整備に関する件)  (スポーツにおけるアマチュアリズム必要性に関する件)  (大学における東洋医学教育に関する件)     ─────────────
  2. 杉山令肇

    委員長杉山令肇君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨九日、本岡昭次君、田辺哲夫君及び勝木健司君が委員を辞任され、その補欠として、久保亘君、中村太郎君及び関嘉彦君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  3. 杉山令肇

    委員長杉山令肇君) 教育文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 粕谷照美

    粕谷照美君 きのうは午前中は決算委員会で、そして午後からは本会議で、高石文部事務次官リクルートの問題とあわせまして、帝京大学から八億円の寄附を受けて、予定している選挙地域財団法人をつくったということについての質疑が行われました。一連文部大臣答弁を私聞いておりましてはっきりしないわけであります。  一つには、高石さんの行動が慎重さを欠いて、まことに遺憾であったということは、どうもかばっているのではないか、リクルート問題に対して厳しい態度がない、そういうふうに思います。それから、帝京大の八億円寄附の問題については、どのような調査をやってこれは問題がないというふうに御報告をいただいたのか。その辺もよくわかりませんので、一応経過の御説明文部省からこちらはいただきたいというふうに思います。
  5. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) 御質問の生涯学習振興財団福岡県に設立されました福岡教育委員会所管財団でございまして、私ども事情聴取をいたしました範囲内におきます事柄としましては、七月六日に許可申請書が提出され、二日後の七月八日に設立許可がされているということでございます。ただ、これは形式的な書類を完備してからの手続でございまして、事実上は六月中旬から事前に十分の設立相談があり、申請時には書類が完備していたということでございます。なお、この二日間が早いではないかという御疑問もあったわけでございますが、県の法人許可に当たりましては事前相談が通常行われておりまして、正式書類が提出されましてから許可されるまでの間には、過去の例としましても数日間での例も幾つもあるようでございます。  それから、資産につきましては、基本財産六億円、運用財産二億円が寄附されているわけでございますけれども、この資金出捐者については、福岡教育委員会としてはだれが寄附をしたかということは従来から外部には公表していないということで明らかにできないという回答でございましたので、報道等に基づきまして学校法人帝京大学に照会をさしていただきまして、学校法人帝京大学の方からは八億円を寄附したということは確認さしていただいております。
  6. 粕谷照美

    粕谷照美君 私も自分自身調査をする時間がありませんでしたから、きょうのところは簡単な質問にいたしまして、後で自分自身調査をいたしましてから厳しく追及をしていきたいと思いますけれども文部省調査は、少し忙しいですから、衆議院、参議院と質問が相続きまして、ゆっくりと事情など聞いている暇もなかったかもしれませんけれども、例えば私学振興財団というのはこれはこのトップ文部省から天下りといいますか、下がっていくわけでございましょう、役員トップというのは。それから福岡県の教育長ですか、これは文部省からやっぱり下がっていっているんじゃないんですか。そういう意味で、どうも仲間同士助け合っているのではないんだろうか、こういう感じがしないわけでもありません。  それで一つ財団理事長高石氏がなったわ けでありますけれども、この財団役員名簿一覧表と、それから規約みたいなものもぜひ取り寄せていただきたいというふうに思います。  それから、私学振興財団帝京大学に対する二十四億五千万円というのは、これはもう機械的にといいますか、きちんとした計算基準があって出されたものだというように考えますけれども、一応その計算基準をこちらの方にも知らせていただきたい。  それから、全然見返りも考えないで帝京大学が八億円のお金を出すということがちょっとわからないわけなんですけれども、八億円のお金運用資金で出せるというような私学経営実態なんでしょうか。そういうことを考えますと、私学助成金などというのは、足りない足りないなんて言うことないんじゃないか、こう考えるんですけれども私学というのは大変だから私学助成をやっているわけでしょう。月謝をなるべく上げないようにするためにも、教員の待遇をよくするためにも出しているお金だというふうに思いますので、その点についてもぜひ私は文部省としての意見を聞きたい、こう思うんです。
  7. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) まず私の方から、ただいまも御指摘ございました私学振興財団トップ理事長でございまして、これは私学関係者から通常選任されておりまして、文部省からの天下りでは従来からもございませんし、現在もございません。  それから次に、資料でございますが、役員名簿、それから寄附行為、いわゆる約款に相当します寄附行為につきましては、入手次第本委員会に提出さしていただきたいと思います。
  8. 國分正明

    政府委員國分正明君) 私学振興財団から帝京大学に対する補助金二十四億円余り出ているわけでございますが、この数字を算定します場合には、先生御案内のとおり、基本的には教員数あるいは学生数というのが基本であるわけでございますが、それ以外にいわゆる傾斜配分という形で、教育研究条件の計数を掛けてやるという、そういう仕組みになっております。その仕組み自体については御説明申し上げたいと思いますが、個別の教育研究条件がどうなっておったかということになりますと、一般的に個々大学のそれを明らかにしておりませんので、この辺はひとつ御理解賜りたいというふうに思うわけでございます。
  9. 粕谷照美

    粕谷照美君 あわせまして、帝京短期大学が認可をされるに至りました大学設置審、それから私立大学審議会、これもきちんと出ているということで、まあ形式的にはちゃんと整っています、大丈夫です、こういう御回答でございますけれども、私はもう一つ文部省に要求をしたいのは、帝京大学からそれをつくりたい、こういって申請が出された、その申請を出されて許可がおりるまでの間の期間というものも、ひとつ資料として出していただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  10. 國分正明

    政府委員國分正明君) 基本的な流れについては、お出ししたいと思います。
  11. 粕谷照美

    粕谷照美君 我が党の調査で、また現職東大教授が一人、リクルート株を購入したということで名前が挙がっているわけでありますが、国家公務員がこういう行為に当たることは、今までの文部大臣がおっしゃったように、軽率、慎重さを欠いてまことに残念だという御答弁だけで終わるものなんでしょうか。いかがでしょうか。
  12. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) お尋ねは、恐らくけさ報道されました東大教授株譲渡の件ではないかと思いますが、以前同じように公文俊平教授についての問い合わせが別の委員会等でもございましたが、この井上氏の件に関しましては、国立大学の教官でございまして、職務とはかかわりなく個人資産運用の問題として購入されたというぐあいに私どもは理解をしているわけでございます。特に、この方は大学の学部が江副氏の先輩に当たられるようでございまして、個人的な関係におけるものではないかと私どもは想像しております。
  13. 粕谷照美

    粕谷照美君 それはわかるんですね、新聞に書いてありましたから。個人的なものでないだろうかということはわかるんですけれども、いわゆるもう値上がりがちゃんと約束をされている株を取得し、そしてそれを売ったのかどうなのか、それもはっきりしないんですけれども、多分売られたんだと思うんですね。こういう行為そのもの最高裁判決とも絡まっているわけで、職務権限がどうだと、それとはちょっとこの井上教授は違うように思いますけれども、しかしそのことを承知でおやりになったとすれば、これは問題があるんではないか。生徒の上に立って教えなければならない、しかも東大先生なんですから、大変問題があるんじゃないかと思いますけれども文部大臣いかがお考えですか。
  14. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 今最後に話題になっております方につきましては、私もけさ報道で知り得たところでございまして、なお詳細につまびらかにしていない部分もあることは事実でございます。ただ、粕谷委員の御質問を伺っておりますと、一連のこととしてお聞きになっているというふうに思います。例えば前文部事務次官の問題、それからけさ報道の問題、あるいは個人名を挙げれば公文氏の場合、それから福岡財団の問題、こういうものを含めてのお気持ちのように思います。  個々にはつまびらかにしておりませんので重複をいたすかもしれませんが、前文部事務次官の問題につきまして、これは大変慎重さを欠いて残念だと申し上げております背景は、御当人から電話で聴取をいたし、また直接会って聴取をせしめたわけでございます。これは奥さんが株の譲渡を受けられまして、そして御本人の名義で譲渡を受けた、御本人は十一月二日まで知らなかった、こういう事実関係はございます。しかし私はそれで済まされるものではないであろう。そこで私は、それが御本人であれ奥さんであれ、やはり御本人が一高級官僚現職にあったときのことでございますから、これは奥さんがなされたことで知らなかったとおっしゃっても、これは同様に大変慎重さを欠いたもので残念だ、こういうふうに申し上げたわけでございます。  また、その他の問題は、手続その他に遺漏はないということが事実関係でございますけれども、一般的にこういう問題をくるめて、文教行政に対して少しでも陰りを生むようなことがあっては大変申しわけない。そういう点で私は、ただすべきところはただす、聞くべきところは聞く、そしてつまびらかでないところはさらにつまびらかにしてまいりまして、御説明できるところははっきり御説明を申し上げたい、こういう態度でいるわけでございまして、最後部分についてはつまびらかな点がなくて申しわけないんですが、全体の感想と取り組み姿勢については私はそのように考えているところでございます。
  15. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は、文部大臣がやっぱりこういうふうに答えていただきたいと思っておりましたのね。公務員としてそういうことはやってはいけないことなんだと。そのことがきちんとしなきゃいけないと思うんですね。例えば教室の中で、道徳教育道徳教育なんておっしゃるけれども、あなたのやったことはいいことなのか悪いことなのかと、こう聞かれたときにきちんと判断しなきゃいけない。よくもない悪くもない、慎重さを欠いて残念だったなんて、先生はそう思うよなんて、そんな授業というのはないと思うんですけれどもね。  大体、高石さんに事情を聞かれたのは、大臣が直接お聞きになったわけじゃないんでしょう。本当に妻がそれを買って私は知らなかったのかどうなのか。その辺のところも国民は、そんなことありやしない、三千万円以上の借金するときに、夫に報告しないようなそんな借金のあり方を女房がするわけないと、こういうふうに言うんですね。きのうの佐藤委員じゃないんですけれども女房に罪を着せちゃって男らしくないという話があった。我が党の中でもそういうふうなのがありましたよ。男の風上にも置けないと言ったから、それは女性が言うんじゃなくて男性が言いなさいと、こういうふうに党内でも話をしていたんですけれ ども、それはやっぱり私は正直じゃないと思います。大臣もう一度、いかがですか。
  16. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) お気持ちはわかります。ただ、私どもは事実関係を確認をいたし、そしてはっきりと御説明できるように努めてまいりたいと思います。
  17. 粕谷照美

    粕谷照美君 まだ文部大臣逃げていらっしゃる。事実関係というのは、帝京大学の方はまだ事実関係はっきりしないから、私はそれはそれでよろしい。リクルートに関してはまだ事実関係わからない部分あるんですか。例えばまだ四千株残っていますという、その四千株が本当に残っているのかどうなのか、そういう事実関係がわからないというなら、まだ私はわかります。まだ高石前次官からの報告で十分でないというふうにおとりになっていらっしゃるんですか。
  18. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 今までおっしゃっているところ、つまりこちらが聴取いたしましたところはそのとおりであろうと思っております。そのとおりであるとすれば、奥さん行為でございます。しかし私どもは、奥さん行為だから御当人知らなかったであろうということでは済まされない問題であろう、こう思うわけでございます。そこで、私の答えとしては、本人であれ夫人であれと、こういうことを申し上げておるわけでありまして、今まで聴取した点はそう思います。しかし、さらにつまびらかでない点は、これからもただすべきところはただしてまいりたいと、こういうこともつけ加えまして、より正確に御説明できるようにいたしたい、このように考えておるということを申し上げているところでございます。
  19. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は、文部省はもう道徳教育重視だなんということを指示できないと思いますね、そういう態度では。文部大臣、こういうことは、国会に現職当時に行ったことについて前事務次官証人喚問を受けるなんというようなことは、これ大変なことですね。そういう意味できちんと、これはよくないことだということをおっしゃっていただきたかったということを申し上げます。  それで、どうも文部省関係にそういうことがあるんではないかというのもおかしいんですけれども、この間も、役人がどうして何千万円もするようなゴルフ会員権を持っているんだろうかというお話が自民党先生から麹町の宿舎からバスで会館に来るまでの間に話が出ました。お役人でもゴルフ会員権ぐらい持つ方いらっしゃると思いますね。現場の小学校、中学校の先生でも、土地があったりその土地を売ったりしますと、そういう会員権持っていらっしゃる方いますから、それはどうということないんですけれども、前の諸澤文部事務次官教科書協会会長さんの稲垣さんから千葉県の有名なゴルフ場会員権をもらったということが新聞に随分大きく出ましたね。大体、文部事務次官教科書協会会長さんからゴルフ会員権を安く譲り受けるなんというようなこと、私たちは信じられませんですね。教科書無償無償だ、国のお金教科書会社へ払ってやるんだ、そういうところのトップの方からゴルフ会員権をもらったなんというようなことはもう不思議でたまらない。とてもこういうことは許せないというふうに思っておりました。  でも、また考えてみますと、その当時、その当時でもありませんけれども、あれは昭和五十五年の政治資金報告書が公表されたときに、これが公表されたのは五十六年の八月三日ですけれども国民政治協会に、ずらっと教科書協会理事会会社が十七社献金リストに並んでいるわけですね。そして、七年間にわたって一億円を超えるお金が議員のところに渡っているわけですよ。大体文教族中心にと言いましたから、文教族というのは考えられるわけですけれどもね。Aランクが五十万円でBランクが三十万円です。税金が還流されたと考えられるそのお金は一体どこに行ったかといいましたら、坂田道太海部俊樹内藤誉三郎、稻葉修、森喜朗、みんな文部大臣をやられた方々のところに流れていっているんですよ。文部大臣をやられない方は文教族の中の西岡、こういうふうに出ておりましてね。そんな政治家姿勢を見れば私は文部省の中が汚染されていくのではないのだろうか。したがって、本当に政治家倫理というのは極めて大事にしていただかなければならない。  きょうのニュースを見ますと、超党派でこのリクルート問題を中心にして政治家倫理を考える会をつくろうというような動きが出ているようでありますから、私たち自身の反省も込めまして、この問題については文部省としてはきちんとした態度をとっていただきたいということを要望いたしまして、次の質問に移ります。  最初、三十八分間を教科書問題でと思っておりましたけれどもリクルート問題にとられましたので、教科用図書検定調査審議会中間報告の分については次のチャンスに譲りたいと思います。それで、英語教科書書きかえ事件についてお伺いいたします。  今度検定制度が変わりまして、検定が楽になりましたよ、簡素になりましたよ、こういうふうに言われますけれども、私たちは、その検定は決して、簡素になった、確かに若干簡素になったかもしれない、しかしこれは非常に厳しい検定制度になった、こう考えているわけですけれども、なぜ厳しい検定制度になったかというと、今まで、調査官とやりとりをすることによって大体条件つき採用になってくると教科書はもう採用されるような形になっていましたね。それが今度は審議会の審査を念入りに行うことによって公正な検定を行う、こういうふうに言われますけれども審議会でだめと言われればもう次はなくなってしまうんじゃないだろうか、こういう心配があるわけであります。  不合格扱いにするというのは、非常に教科書会社にとっても大変ですしお書きになった方にしても大変な問題でありますが、この問題に絡まりまして、去る十月の初めに行われました検定パス高校英語教科書書きかえ事件について、その経緯と内容問題等を簡単に御報告をいただきたいと思います。
  20. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 三省堂英語教科書の件でございますが、この教科書は来年の四月から高等学校の二年で使用する英語教科書でございます。そして、これについては六十二年度におきます検定ということで検定を終了し、合格ということで通知したわけでございますが、その後、九月の二十九日でございますが、三省堂からその教科書の「戦争」、「ウオー」という教材について、学習を進める上に支障があり、近々に訂正を要したいという申し出がございました。そういった相談がございましたので、文部省としても相談に乗りまして、じゃ次の教材の、返ってくる教材というものを整えて正誤訂正を出してくるようにということで御相談をいたしまして、十月三日に三省堂から新しい教材に差しかえられたものが出てまいりまして、これは正誤訂正承認を得るという申請書が参りましたので、私たちとしては正誤訂正承認をいたし、今度の教科書はそういう中身にかわったということでございます。
  21. 粕谷照美

    粕谷照美君 局長三省堂の方から正誤訂正申し入れがあったのでよろしいと、こういうふうになったのだということですけれども、これは極めて異例のことでしょう。何でそんな検定合格寸前の、ほとんど合格したと言ってよろしいその教科書正誤訂正、しかも字句に誤りがあったわけでも何でもない教科書正誤訂正ということで、正誤訂正じゃない、もうまるっきりかえているわけですからね、「ウオー」から「マイ・フェア・レディー」に。そのことをどういうふうに文部省としては受けとめていますか。
  22. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) この教科書、「ウオー」という内容につきましては、私たちもやはりある程度中身として問題点があるというふうな認識を持っておりました。ただ、いろいろな著者との間でそのところについて十分なお互いにやりとりをしながらやっていくわけでございますが、ある程度のところで教材としていいということにいたしたわけでございますけれども、御承知のとおり外の、外部からの批判もかなりございました。そう いった点を教科書会社の方でごそんたくされて、私はそういった差しかえということが入ったんだろう。これは教科書会社側申請をされたわけですから、そっち側の考え方を私どもでそんたくするのは非常にちょっとやり過ぎだと思いますけれども、そういったことで急遽訂正をいたしたいということで申し出がありましたので受け付けたということでございます。
  23. 粕谷照美

    粕谷照美君 これは文部省地下水面下の交渉じゃないのですか。外部からと言いますけれども新聞を見ましたら、この件が公になってからの新聞や雑誌の報道を私も読みました。日本歴史学者である皇学館大学前学長の田中卓教授神社新報に対する投稿、これを紙面で知った自民党国家基本問題同志会、私たちこれ自民党の中の右派、極右派だとこう思っておりますけれども文部省古村局長を呼びつけ叱咜し、また中島文部大臣にも、あなたの責任において具体的措置をとれと迫り、善処を訴えたと報ぜられている。これ私、新聞のコピーも持っていますけれども、これ間違いありませんですか。
  24. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) そういった御意見があったというふうに記憶いたしております。
  25. 粕谷照美

    粕谷照美君 大臣いかがですか。
  26. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) この件についてはそういう御意見もございました。また、他の御意見もございました。しかし、それと出版社側からの正誤訂正とは関係ない時点であろうと、こう思っております。
  27. 粕谷照美

    粕谷照美君 しかし、このことはお二人ともお認めになったわけですから、それと関係ない、もう教科書会社の自主的な問題だと、こういうふうにおっしゃいますけれども、これはやっぱり私は特定政党の教育行政への不当な圧力である、教育基本法に反する問題だと、こう思いますけれども局長はどういうふうにお考えになっていますか。
  28. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) これは教科書会社がどういう判断でもって正誤訂正を出したかということは教科書会社側の御意見を聞かなければはっきりしないわけでございますが、私たちが当時の新聞を見てみますと、教科書会社の責任者は、これについてどこからもそういった変えるというふうな圧力はなかった、なかったけれども、我々の自主的判断で正誤訂正を出したんだということをおっしゃっていらっしゃいますので、私たちは自主的に出てきたものというふうに思っております。
  29. 粕谷照美

    粕谷照美君 しかし三省堂もいいかげんな会社ですね、そういうことになりますと。ちゃんと文部省調査官とこの著者との間で話し合いが済み、そして三省堂との話し合いも済んで、大体もう合格線になっていて、そういうときに一方で火の手が上がった。そして古村局長が呼びつけられて叱咜された。文部大臣まで御注意を受けた。そういう記事を見てびっくりして出していったんでしょうけれども。しかし文部省が毅然として、それは心配ないと、こういうふうに言ってくだされば、私は三省堂はこんなことしなかったと思うんです。文部大臣、いかがお考えですか。
  30. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) これは今も御答弁申し上げましたように、そういう御意見があったことと、それから出版社からの正誤訂正とは直接関係ないと私どもは受け取っております。三省堂さんからは九月二十九日でございますか、非常に向こうから、こちらからは何も申し上げない、その間に三省堂さんから正誤訂正が出されたというのが事実でございます。
  31. 粕谷照美

    粕谷照美君 報道されているところによりますと、三省堂正誤訂正のための書類文部省に持ち込んだのが十月三日の午前十時だっていうんですね。それに対して文部省承認だと、こう言ったのがその日の零時半、二時間半しかないわけでしょう。余りにも簡単過ぎませんか。文部省が大体一度検定パスを与えているわけでありますから、その正誤訂正申請の是非について、本来ならばもっと時間をかけて慎重にいろいろな意見を出して私は許可をすべき問題だと思いますけれども、それは局長、どうでしょうか。
  32. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) 正式に書類として出されましたのは、確かにおっしゃるとおり十月三日で、同じ日に承認をいたしたということでございますが、先ほど申し上げましたように、九月二十九日に差しかえたいということで御相談がございました。そして新しい「マイ・フェア・レディー」という教材とこれとの差しかえであるというふうな御相談もございましたので、これにつきましては、私たちといたしましても、本来正誤訂正であれば検定審議会にお諮りすることは必要はないのでございますが、検定審議会の部会長との相談を行い、そして各委員の御了解も得てという手続きを九月二十九日から十月三日までの間になした上で十月三日に承認をいたしたということでございますので、私たちとしては、形式的には三日、当日受け付け、当日承認でございますが、内容的には十分審査をした上であるというふうに思っております。
  33. 粕谷照美

    粕谷照美君 何か先ほどの帝京大学の、あるいは財団の審査、認定みたいな話ですね。さっき局長新聞見てもそういうことないとおっしゃっていますけれども三省堂教科書出版部は「この教材は、諸外国の人々との友好と、真の国際理解を深めるねらいで、戦争のもつ避けがたい非人間性を指摘したものだが、意図通りに理解されないおそれがあることがわかったので」、こうこうこういうふうにした、「外部からの圧力、干渉は一切ない」と、こういうふうに言っていらっしゃるということを一つの根拠にしていらっしゃるんでしょうけれども、しかし逆に、峯村勝というんですか、英語教科書編集長は、「いったい、あの文章のどこが問題なのですか。戦争はいけないと、当たり前のことを書いてるだけでしょうが。現場の先生や生徒に使ってもらわないうちに潰されるなんて、実に無念」だと、こう述べていらっしゃるわけでありますね。私はやっぱりこれは文部省の、あるいは圧力をかけてきた団体の非常に問題がある、それに屈したということはまことに残念なことである。そういう考え方で、嶋崎譲衆議院議員、金子みつ衆議院議員が文部大臣にお会いして、あれはもとどおりにしておきなさいという申し入れをしているわけであります。  しかし、考えてみますと、ことしの三月の新聞に、東京の私立正則高校の先生と生徒がシンガポールの中学校の教科書を翻訳して出版したことが報道されておりますね。そして、このことを知って本当に生徒たちはショックを受けているわけですね。日本軍がシンガポールでひどい行為をしたことがるる紹介されていた。こういうことを自分たちは学校で習ってこなかった。ところが、そういう教育を受けてきた人たちが見る日本人というものは全然別なんですね。今回のソウル・オリンピックに行っても本当にそう思いますね。韓国では大体日本の歌を日本語で歌ってはいけないとか、著作権交渉のときにも非常に問題が出ているというのもそういう教科書問題とも絡まっているわけでありまして、私は文部省姿勢というものを強く要求をしていきたいと思います。  それで、教科書の問題というのは、何度も何度もこの文教委員会で問題がありましたね、外国からのあれがどうだのこうだのという。私はやっぱり真実を子供たちに教える、そのことを教科書の中に取り入れると言ったら、やっぱりそのことは文部省としては守っていただきたいと思うんです。例えば、西ドイツでアウシュビッツの問題を教科書の中に取り入れている。そしてナチスがいかに残虐であったかということを子供たちにも教えている。そうして、我々はそういうことをもうしないようにということを教育の中でやっているというんです。それは現物を国会図書館から借りてきて、この委員会の中でも審議がありましたから十分御存じだと思いますけれども、この教科書問題が起きましたときに、私のところに近代中国出版社発行というので送られてきたんですね。文部省姿勢大変悪いというんで送られてきたんですけれども、女性として何かもう見ていられない。スメラミコトの命令のままに行った皇軍の残虐行為、写真にもぴっしり載っているわけです よ。私は載っているものをすぐそのまま教科書に出しなさいとは言わないけれども、戦争というものはいかにどういうふうなことを相手の国に与え、相手の国民に大きな心理的なものを与えていくかという、こういうことを教育の中でしっかりと教えていく任務があろうかというふうに思います。そういう意味で、今回のこの英語教科書書きかえを安易に許可した文部省姿勢というものを強く批判をしておきたいと思うわけであります。  それと同時に、この写真と一緒に十月一日に在日同胞の生活を考える会・オモニの会という代表の方が私のところに参りまして、自分たちは七十万人日本にいる。そして、自分たちの子供もほとんど日本の学校に通っている。そういう中で私たちは、天皇裕仁の名のもとに国を奪われ、言葉を奪われ、民族の名前を奪われ、そして多くの人々が戦争に駆り出されて犠牲になりましたと、こういうことを言っているわけで、そういうことを教えないから、学校の中で教えることをためらっているから、私たちは本当にアジアの国々から批判をされる行為を恥ずかしげもなくやる人たちがふえているんじゃないのか、こういうことを考えているところでございます。  さて、時間が終わりますので、最後に、中途半端な質問になりましたけれども最後にちょっと確認をしておきたいんですけれども、今連絡が来まして、高石事務次官文部省内のOB室を選挙準備の部屋として使っていたと、こうテレビに報道されたというんですね。今、我が党の坂上議員が現場確認に文部省に行っている、こういうんですけれども文部大臣、この件については御存じですか。御見解いかがですか。
  34. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) そういうOB室が設けられたということは承知をいたしておりますが、それが今御指摘のような個人の問題について使用されたということは全く承知しておりません。
  35. 加戸守行

    政府委員加戸守行君) OB室ということに関しましては、実は私が官房長に就任しましてからその考え方を実施していただいたわけでございますが、従来からOBが文部省へ参りましても足をとめる場所あるいは御相談なさる場所等もございませんものですから、そういった要望がございまして、七月の中下旬であったかと思いますが、五階の会議室の控室をOB室に転用さしていただきまして、名称は応援室と呼んでおりますけれども、そこで、OBの方がおいでいただいた場合の省内の関係者との会合あるいはお休みの場所等に御利用いただくという観点で準備さしていただきました。  現在までOBの方で利用回数の多い方は十数回利用されている方もございますが、高石前次官は多分二、三回お立ち寄りになった程度だと思っております。そういう意味で、御疑問のようなことは全くないと私ども考えております。
  36. 粕谷照美

    粕谷照美君 終わります。
  37. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 通産から来ていただいておりますので、この問題から先にやりたいと思います。通産省の方、前へ出てください。  まず通産省の方へお尋ねをすることからと思います。まず、訪販法が成立をいたしました。そしてその後政省令を出しましたが、それによって影響の起こるところということでお尋ねをいたしたいと思います。時間が大変ございませんので一緒にお尋ねをいたしておきます。  その中で、雑誌という品目が加えられたのは、立案するときにどういう考えの中から雑誌というものをお加えいただいたか。私が言わんとするところをまず申し上げておかなければならないと思うのですが、通産省が考えるこの雑誌というものと教育周辺にあります補助教材を含める雑誌というものとの御認識があったのかどうなのかということをまずここでお答えを願いたいと思います。  もう一つは、国会審議の中で、審議官は、五千円から一万円ぐらいは下限にすることが適当であろうと言った。このあたりから、私の方の委員会ですと、審議官なり政府の責任者が言ったことが政令でその趣旨が変わるときには必ず何かのアプローチがあり、理解を求めながらやっておるわけであります。よその委員会でございますから、そのことは申し上げませんが、それはどういうことで三千円ということに下限がなったのか。このことは、あなた方が今度入れられた雑誌という範囲内にある教育周辺のものについての一般、まあ今の教育周辺といえば一億総教育でありますから、その人たちが手に入れるために煩雑なものが起こることの最下限ということでありますから、大変重要なことであると思いますので、お尋ねをいたしておきます。一応出してきていただいたデータを見ますと、なるほど三千円から四千円のものに集中をしておることもまず思えますが、そのデータの中に雑誌というものは含まれておらないわけでございます。  もう一つ、私が不思議に思いましたことは、十一月三日の産経新聞に十品目というものを出しておるわけなんです。その中には教育教材というものは一切入っておらないから、私たちはああさすがに通産省、よく文部省と協力をし、連絡をして次官会議などで理解をしたなと思っておりましたら、いやあれは新聞に重要なものでなかったから落ちたんだというようなお話でございました。重要なものでないのならつくらなくてもよかったと思うのですが。教育関係の子弟、保護者に、これは全国民といっていいほどですが、大きな煩雑と不安が起こります。  もう一つは、これをつくって販売をし、手元へ届けておる訪販なり通信販売なりしておる方も、おっしゃるような煩雑なものができたものはどこへかかってくるかというと、コストへかかってきて、百八十円のものが、その次に、通産省がやったからなるがゆえに千九百円になったんでは、これは私たち黙することはできない、こういう意味でお尋ねをいたしておりますので、四点ほどお尋ねをいたしました。お答えをいただきたいと思います。
  38. 近藤隆彦

    説明員(近藤隆彦君) お答え申し上げます。  前国会で訪問販売法の改正をお願いいたしまして実現をしていただいたところでございますけれども、この背景は幾つかございます。  一つは、現行法では商品の販売だけを訪問販売としまして規制の対象としておりましたけれども、最近のようなサービス産業が随分発達しまして、いろいろな形のサービスが訪問販売でも提供されるようになりました。こういったことを規制の対象に加える必要があったということが第一点でございます。  もう一点は、訪問販売の手口が大変巧妙化、悪質化しまして、現行法では規制できないようなことが随分起こってきたわけでございます。その一つが、通常いわゆる住居を訪問しまして物を売りつけること以外に、例えば道路でつかまえましてアンケートを云々と言って寄ってきてはお店に連れ込んで物を売るとか、あるいは電話等で全然違う理由で来訪を要請しまして、店に訪問させまして、そこでまた物を売り込むとかいったことが起こったものですから、このようなキャッチセールスとか、いわゆるアポイントメントセールスとかといったことを今回の規制の対象にしようということが一点でございます。  もう一点が、やはり非常に悪質な行為、例えば契約を結ぶにつきまして非常に重要な判断根拠につきましてうそを言うとか、あるいはおどかすとかといったことが随分出てきたものでございますから、さらには長時間粘るとか、早朝深夜を襲うとかといったこともあったものでございますから、こういったものを禁止をしたり、ないしは不当行為としまして規制をしまして、場合によっては罰則をかけるということにいたしております。  さらに三つ目は、クーリングオフと申しまして、その契約をしましたが、一定期間の間は、その消費者が冷静になって考え直しまして契約をやめたいといったような場合に無条件で解約できるようにしておりまして、現行法では一週間の間、無条件で解約できますけれども、現行法では、それが現金を全部払っちゃいますと、もうそこで契 約おしまいということで引き取らなかったわけでございます。そうしますと悪質な業者はしゃにむに現金を取ってしまいまして、何とか理由をつけては、場合によっては銀行に一緒に行きまして、その預金からお金をおろさせまして、その場で現金を、支払いを受けちゃうということがあったりしまして、大変悪質なことが出てきたものでございますから、原則としまして現金取引であってもクーリングオフはできるということにしていただいたわけでございます。  このように今回の改正は、訪問販売内容の変化と、さらには業者の訪問販売の手口の悪質化、巧妙化に対しまして有効な規制ができるようにということから、そういうことを主眼としまして改正をお願いした次第でございます。  このようなものでございますので、原則的にはそういう悪質な業者が対象となるわけでございます。例えば書面の交付等につきましては、場合におきますと健全な事業者もその義務はかかりますけれども、通常健全な業務であれば当然交付されるような書面をプリントとしまして、それに例えば消費者がクーリングオフができるといったようなことを若干追加していただくということでございますので、前提は通常の健全な商売であれば当然交付されるような、そういった書面を提出していただく、かような状況でございます。  問題は教材の件でございますけれども、雑誌につきましては、これは現行法でも商品の販売ということで対象となっておりまして、いろいろな雑誌とか、あるいは教材関係でも随分実はトラブルが発生しておりまして、特に英語関係は、これは随分昔からでございますけれども、最もトラブルの多い案件でございまして、現行法でも教材の販売ということは規制等はしておりましたけれども、最近は大分巧妙化しまして、単なる教材の販売ではなくて、家庭教師を一緒に派遣するとか、あるいは海外への実地の研修つきとか、さらにはスポーツ施設とかレジャー施設を一緒に利用できるといったような、いわば英会話サロン的なものも随分出てきまして、そういうことで一件当たり数十万のオーダーで販売をしておったということが随分都道府県のセンター等にもクレームとして出てきたわけでございます。  そういったことから、現在家庭教師の派遣といったものも含めまして、これから規制の対象としておるわけでございますけれども、従来から行っておりますような健全な教材の販売といいますものは、継続的な契約に基づきまして、毎月毎月それに従いまして一定の何千円だかの教材を定期的に配付をするというふうに伺っておりまして、こういうものでありますと、もちろん訪問販売というものではございませんので、現行法でもさらに今後規制が強化されまして、特に新しい義務が課されることもないというふうに考えております。  三千円ということにしましたのは、例えばドアの開閉の道具とか、ノブとか、そういった若干の建具、さらには門の名札とかいったものにつきまして随分出ている例がございまして、そういったものを規制しないといかぬということでございます。  このようなことで、いろいろ全体調べまして三千円ぐらいで随分トラブルが発生しておるものですから、そういったものを規制等をしないと問題があるということで、三千円まで現金取引であってもクーリングオフができることにしたわけでございますけれども、今申しましたように、教材も従来行われておりますような営業ですと、継続的な契約といいますものがベースでございますので、一回一回が数千円のものでありましても、それは問題は全然ないというふうに考えておるわけでございます。  このようなことでこの法律を適正に運用しまして、むしろ訪問販売に対します信頼を回復しまして、健全な訪問販売というものの発展を図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  39. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 お答え大変丁寧だからありがたいんですが、レクチャーを受けるときのようなことじゃなくて、今私がお尋ねをしたときのようなものでお答え願います。  そもそも訪販法の今度の改正というのは、不法な訪問販売、通信販売など消費者をそれから守るということが目的であったことで、今るるお話あったが、そもそも商取引の全体から見ますと、流通の全体から見ますと、その被害者の数は私はごく少ないと思うんですよ。少ないからいいということとは違うんです、私の言っておるのは。双方の売買契約の中で認識の不足もあったりして、いろいろあるんですが、その不法者に犯されておるんですから、当然義務として我々でその保護をやらなければならないが、ここで考えなきゃいけないのは、それは万分の一であろう一部の人を規制するために、その法律が現在まで正常に動いておる間に、何の不都合もなく大変便利な形でやっておった者に対して、またそれを受けておった者に対して、今後この法律で少しも変わることのないようにしないと、これでいろいろ善良な人たちまで手をくくり足をくくりしてはならないと思うのであります。  ちょっと私は、文部省、これどなたがお答えになるのかわかりませんけれども、少し通産がこの法案を出すときに文部省周辺のこれにかかわる話という、雑誌その他のもの、教材というものについての配慮が足らなかったんではなかったかなと。これは次官会議もやってのお話のようですが、その点について文部省どうお答えしますか。
  40. 齋藤諦淳

    政府委員(齋藤諦淳君) 今、仲川先生御指摘いただきましたように、正常な取引がこのことによっていろいろ拘束されてはならない、そういう立場から私どもも通産とはいろいろ議論しておったわけでございますが、三千円のその基準を決めるときには、今説明がありましたが、どうしてもほかの商品でそういうものが多いのだという、こういうことがあったりいたしまして、なお今、仲川先生から御指摘いただきましたが、この法令の運用につきましては、特に教材等でまじめな通常の営業を行っておる、そういうことを阻害しないように今後ともさらに十分通産省と運用について調整を重ねていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  41. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 お話はわかりましたので、この件はこれで打ち切りたいと思いますが、お話を集約して一応ここで確認を御両省にいたしておきます。  それでは、現在まで善良に行われておることについては、私は法律を見て、あなた方は先般、五日ですか四日ですか、閣議にかけて政令を決めました。政令を見てみると、その法律はひとり歩きをするんではないかなという心配がありますから、ここであえて議事録に残るものとして確認をいたしておきたいと思います。現在まで善良な取引、これは受ける方もあります。出す方もありますが、善良な取引をしておることには、毫もその問題には足を踏み込まない、こういうことを約束しておいていただきたいと思います。
  42. 近藤隆彦

    説明員(近藤隆彦君) 現在私ども承知しております教科書……
  43. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 もう長いこと要らない。約束をするかどうか。
  44. 近藤隆彦

    説明員(近藤隆彦君) 現在行われておりますような教材の販売につきましては、そもそも訪問販売ということではございませんので、問題なく続けたいと思っております。
  45. 齋藤諦淳

    政府委員(齋藤諦淳君) 御質問の趣旨を踏まえまして、さらに通産省と協議を重ねていきたい、このように考えております。
  46. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 それでは著作権の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  文化の振興と著作権の問題をここの部屋においでの人にちょうちょうと私が申し上げる必要はもうないと思いますから、前段は省きたいと思いますが、先般、部分的なものでございますけれども、著作権の改正を行われまして、大変快くいたしておるところでございます。  まあそう言いましても、一言何か言わなきゃならぬと思うんですが、やっぱり部分的なものかも しれないんだけれども、私は、文化というものはたくさんな人がつくり上げるものと、一人がつくり上げるものと二種類あるんではないかと思いますが、その一種類の一人がつくり上げるものをどう保護するかということであろうと思うので、新しいすばらしい文化をつくり出そうと、それは文化財的有形無形いろいろありまして、それは音楽であり演奏家であり、そして演劇であり、そういうものを社会に送り出すそのものについて、先般まとめましたものの後に附帯決議をつけております。  その附帯決議がたくさんついておるわけでございますが、それについて、一応附帯決議をどうしていただけるかということについてお尋ねをした方がいいんですが、大臣、これ今の空気からすると次の国会で、まあ著作権というのは、この間私たちが素直な言い方で言いますと四分の一ぐらいできたかなと、こう思うのですね、著作権保護が。そういう感じ、これは仲川幸男の考え方ですが。まあ半分できたと言う人もあるであろうし、一割しかできていないと言う人もあるだろうが、もう海外の、外国との問題も含めまして、また著作権自体でなしに周辺の問題も含めまして、隣接権も含めまして何とかしなけりゃならないような状態になってしまっているので、ひとつできますことなれば、余り長い話をしたくないので、次の国会にひとつ整理をして出していただくようにお願いしたい。どうも文化庁、文部省の中の空気もそういう空気が流れておるのではないかと思うんですが、いかがでございましょうか、大臣
  47. 横瀬庄次

    政府委員(横瀬庄次君) それではまず私から、ただいまの御質問に対して事務的な進捗状況について申し上げます。  ただいまの御質問は隣接権条約への加入問題であろうかと存じますが、これはことしの一月にもう既に著作権審議会の第一小委員会で審議経過が出ておりまして、ここで、我が国におけるレコード及び外国のレコード、及び放送についての利用について円滑な秩序が形成されることについて十分に見通しが立てば、得られれば速やかにその隣接権条約に加入することが適当であるというような御答申をいただいておるわけでございまして、この条件整備について幾つかあるわけでございますが、主なものは、国内の権利者団体と外国の権利者団体の間でいわゆる二次使用料を受ける権利を中心とした権利の行使の委任について、これをお互いに契約を進めること、それからこれらの団体と放送事業者との間で主に二次使用料の徴収のあり方についての見通しをつけること、この二つが主な点であろうと思います。  そこで、現在これはその内外の権利者団体との間の交渉とか、あるいは国内の権利者団体と放送事業者との間の交渉であるとかということで、現在その話し合いが進められるところでございまして、文化庁といたしましてはそれが早く行われるように、もちろん関係者がまず中心でございますので、その努力に期待するところでございますけれども、必要に応じまして、特にその放送事業者にとって影響が大きいと予想されます二次使用料のことにつきまして合理的な秩序が形成されるように促進を図ってきたところでもございますし、これからも図っていきたいところでございます。  そこで、この条約加入の時期というのは、条約加入に伴う法改正の時期というのは、これは今の条件整備についての進捗状況次第でございますので、しかとは申し上げられませんけれども、私どもとしては強い希望を持って次期通常国会に関係法案を提出するようにその見通しを早くつけてほしいということで現在進めているところでございます。
  48. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 努力の方向はよくわかりましたが、今お話のありました件は六項目の附帯決議の中の一項目だけのお話なんですよ。私が今お尋ねをしたのは、それができたら、今のお話を反対に聞きますと、放送局があったりしていろいろ気兼ねをしながらやっているということもよくわかるんですけれども、それではなかなかいつまでたっても成立しない、長い間言ってきたことですから、ひとつ勇気を持ってやっていただきたいと思うのです。  それは附帯決議をつけました一項目のもので、あとの五項目の問題についてはどうかというお尋ねをする前に、今あなたのお話ですと、もうそれができない、できるように努力を次の国会までにしてみるという話ですけれども、私はその問題は一つの問題、それができようができなくてもやらなければならない問題は著作権の問題にはたくさんあるわけです。言うまでもないことをおいおい言わなければならないようになるんですけれども、それはヨーロッパを視察をいたしまして、いろいろこのことをやりますと、ドイツやフランスにおいて大変手厚い著作権というか、そういう長い間かかって汗みどろで、ある意味では一生かかって一つのものをつくり上げた、それが明くる日でき上がったらコピーせられてテーピングせられて出てしまうというような、そんな悲しいことではやはりやる者はなくなりますよ、一生懸命にやる人がなくなる。高度な文化が育たないと思いますので。  ちょっと調べたところによりますと、そうですね、大体フランスやドイツ、一部分の問題としても五十億円ぐらい、フランス、ドイツで五十億か七十億ぐらいかけているんですね、そのことについて。まあ日本の人口にしましたらちょうど百億ぐらいかかってもいいという、まあいずれにしても、機器が発達し過ぎて、ホームテーピングの問題などは日常茶飯事で、当たり前のことで、犯罪的な意識というのは全然家庭で持っておらない。恐らく千軒調査しても、それをやってはならないんだと思っている家庭があるだろうかと思うんですが、そのあたりもやはり教育の中なり何かでやらないと、私は、日本に立派な文化が育たなくなってしまうんじゃないかな、こう思いますので、その意味におきまして、そのことは、今のお話のあった分については、国際的な問題についてはいろいろありましょうから、それは今までなかなか、言って言って言って、もう一遍ぐらい言ってもいいが、言ってできにくいことですから、来国会に出すといって、必ずしもそのことが一〇〇%できるかどうか、まあやっていただきたいんだが、心配ですけれども、そのほかの問題も含めてひとつ御検討を願い、大臣にもお願いをして、ぜひ次の国会にはこの間のいろいろな問題の残っておる問題を処理していきたい。この場でございますから余り細かいことを申し上げられないと思いますので、大臣にお願いをいたしておきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  49. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) おっしゃいますように、著作権問題は、著作者の権利を保護することによりまして知的な創造性を高める、そして文化活動の基盤としてぜひ必要な部分であるということからいたしまして、後段におっしゃいました教育面でも、小中高で、まず小学校からも、他人の権利を尊重するという思想から始まりまして、中学、高等学校でも教育を行っておるところでございます。また、国会で御承認いただきました以外、附帯決議といたしまして数項目の決議をいただいております。また、障害者の方々に対する御配慮も新たにつけ加えていただきました。そういう点も含めまして周辺整備も急ぎ、また次期国会に御審議をいただきますものがありますれば、速やかにこれを事務的に進めますように促進してまいりたいと思っております。
  50. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 私が第二段でお尋ねをし文部省へお願いをいたしておきたいと思ったことの大部分、今大臣の御答弁の中にありました。  この前に、これはどの局長がお答えをいただいたかわからないのですが、教育教材の問題、それにまつわるもろもろの同類の問題について、著作権という認識が十分できてないのではないだろうか。というのは、準備室で先生たちが、それぞれの教材の中から五つ寄せて、あちこちコピーしながら一つのものをつくって出している。それをすぐに三百枚でもつくっている。それ一つも、当たり前なことのように小中高やっておるわけなんですね。そのことをお尋ねをして、それは注意を促 すべきではないかということを私がお尋ねをしたら、局長から、それは各県の教育長会議ないしは担当者会議のときにお話をして徹底をさしたいという御答弁であったと思うのですが、この問題についてだれか責任者からお答えをいただきたいと思います。
  51. 古村澄一

    政府委員古村澄一君) その問題につきまして、先国会におきまして前任の初中局長西崎さんからそういったお答えをいたしたわけでございます。そこで、ことしの九月に行われました全国都道府県教育委員会の指導部課長会議におきましてこの点は強くその点についての注意を喚起いたしたわけでございます。と同時に、都道府県の教育長協議会におきましては、各都道府県はどういうふうにして各学校に対して指導を行ったかというふうな指導の実際についても今調査をいたしております。そういった点を通じて、今後もさらに強く都道府県に対して御指導をしていきたいというふうに思っております。
  52. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 重ねて申し上げたいと思うのですが、子供たちに人の権利を認めるというこの重要な教育というのを十分していただかなければならないと、こう思っておりますから、重ねて申し上げておきたいと思います。  それでは次に、文化諸案件と思いますので、第二国立劇場をいろいろ私も論じてまいりましたが、どのあたりまで進行して、どういう程度でありましょうか、お尋ねをいたします。
  53. 横瀬庄次

    政府委員(横瀬庄次君) 第二国立劇場につきましては、最初のきっかけから申し上げれば、二十年来の関係者の強い宿願でございました。文化庁としても鋭意努力をしてきたところでございます。具体的には、設置場所につきまして、これは東京都渋谷区の東京工業試験所の跡地に内定をしていただいたのは五十五年でございます。それで、昭和六十一年と六十二年の二カ年度にわたりまして基本設計を実施いたしまして、現在は昭和六十四年の、来年の十月完了を目途に実施設計を行っているところでございます。今後はこの実施設計完了後直ちに建設工事に着手したいというふうに考えておりまして、六十四年度の概算要求におきまして所要の経費を要求しているところでございます。私どもとしては、一日も早い開場に向けて最大限の努力をしていきたいというふうに考えております。
  54. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 きょう、私も知らなかったのだけれども、賞勲局というのは局長が一人と課長が一人という、その課長さんがお見えをいただいておるようでございますので、この方にお話を聞いて早く帰っていただきたいと思っております。  私たち、大変この慌ただしい政局、その他ともに慌ただしいところで賞勲局から話を聞くという、優雅な話でございますから、これが文教委員会でございますが、それは、私は文化振興のために勲章の役割というのを大変重く見ております。そこでお尋ねをいたしたいので、というのは、これまことに初歩なお尋ねで、大体賞勲局が持っておられる勲章というのは、勲章といいますか、勲章という言葉で総体をあらわすかどうかわかりませんが、どういうものがあるのでしょうか。この際に一回ひとつお教えを願いたいと思います。
  55. 平野治生

    説明員(平野治生君) 私ども賞勲局で所管いたしております国の栄典の事務の内容にわたるわけでございますが、一つは、今先生から御指摘がございました勲章というものがございます。菊花章というのから始まりまして、勲一等とか二等とか、先般十一月三日の日にも秋の叙勲が行われたわけでございますが、そういう系統のいわゆる勲章というものがございます。国家、公共のために功労のあった方々に差し上げるというものが一つございます。それからもう一つは褒章というのがございまして、これは、あるいろいろな事績につきまして非常に努力をされたということでございまして、例えば紫綬褒章というのがございまして、先般も新聞等で、例えば渥美清さんが紫綬褒章をもらわれたということが大きく報道されましたけれども、その道において極めてすぐれた功績があるという方々に出される褒章というもの、大きく分ければこの二つがあるのではないかというふうに思っております。
  56. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 私は、久方ぶりによくぞ言ってくださったと思うものが一つ、まあ一つでない、たくさんあるんですが、その一つに、先日、田村通産大臣が、閣議であったんでしょうか、これは閣議でしょうか。閣議で勲章、叙勲は官尊民卑ではないかという御発言があった。これはもう手をたたいて同感の意をあらわしたわけであります。  私たちもその官の中のどこかへ入るんでしょうから論じておかなければならないと思うのですが、大学先生方、そこにも大学の大先生がおいでになりますけれども大学教授になると勲章が大体、また役人がやめると確かに年齢が来ると勲章になる、こういうようなことのようです。私たちも、おまえ勲二等をやるがもらうかもらわぬかという話があっておるわけですから、恐れ多いことだと思うのですが、私は、勲章というものは民間で大変下積みで御努力しておる人も、またそれぞれ教育界で御努力しておる人の重さも違わないと思うので、そこらあたりに賞勲局の配慮があってしかるべきではないか。まあ課長さんにここで申し上げても、なかなか大きな問題ですから、やはり田村通産大臣のような閣議でぱんと打ち出すということは、大変私は意義深いものであると思うけれども、さりとて私たちはいろいろの問題と関係があるということで、きょうお尋ねをしたわけであります。  ここから向こうは、文部省が出しております、また文化庁の長官が出しておりますことに触れていきますので、これでお帰りをいただいて結構だと思いますが、そういう声が文教委員会の中にも出ておったということだけは、きちんとしかるべき責任者までお伝えをしておいていただきたい、こういうことであなたに来ていただいたわけであります。  さて、それから文化庁にお尋ねをいたしたいと思います。私は、やはり先ほどからの基本的なものとして、文化の振興の中にこの表彰というものが大変大きな役割をすると思うのですが、文化庁からお答えをいただいて大臣にもお話を承りたい、こう思います。
  57. 横瀬庄次

    政府委員(横瀬庄次君) 先生御指摘のとおりでございまして、芸術文化の振興のための施策の中の一つとして大きな位置を占めているものに、この功労のあった者に対する表彰といいますか、顕彰と総括されると思いますが、という事項が非常に重要であるというふうに考えております。  現在、文化関係で、文化の振興に寄与された方々に対する顕彰を行う制度といたしまして、先ほどの賞勲局で担当されております一般的な叙勲とかあるいは褒章のほかに、文化功労者の制度あるいはその中でも文化勲章の制度というものもございます。さらに、芸術上の功績顕著な芸術家を優遇するための栄誉機関といたしまして日本芸術院というのがございますが、この日本芸術院の会員への任命、それからその芸術院が芸術作品等について授与いたしております日本芸術院賞あるいは恩賜賞というような制度もございます。それから、芸術の各分野においてすぐれた業績を上げて、これを顕彰する制度といたしまして、芸術選奨文部大臣賞あるいは芸術選奨の文部大臣新人賞という制度もございます。それから、映画、放送、レコード等の各分野の芸術作品を制作した者に授与いたします芸術作品賞、あるいは芸術祭に参加された公演のうちで優秀なものに対します芸術祭賞、それから地域文化の振興に功労のありました地域文化功労者表彰というような制度もございます。その他文化庁長官の表彰の制度もございまして、これら文部大臣表彰あるいは文化庁長官の表彰の制度をいろいろ弾力的にきめ細かく運用することによりまして、先ほど御指摘の顕彰の運用をしているところでございます。
  58. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 先生から大変有意義な御指摘をいただきまして感銘をいたしながら拝聴いたしておりました。  この勲章、褒章、いろいろの種類がございますけれども、その中で特に下積みの方、この言い方 がいいか悪いかわかりませんけれども一つの芸術を生んでいく、一つの功績を上げていく中で、特に総合芸術、総合文化という部類におきましては、その中で表にはあらわれませんけれどもその方がいなければ一つの芸術作品が完成していかないという重要な部分を受け持っていらっしゃる方々が多いわけでございます。そういう方々に何とかその御功績、事績を表彰して差し上げたいという気持ちは大変大切なことでございまして、今後、今文化庁次長からいろいろ申し上げましたいろいろな種類がございますけれども、その点で仲川先生のおっしゃいます方向をぜひあらわす方法をいろいろと知恵を出し合って、仲川先生の意義ある御発言をあらわせるようにいたしてまいりたい、このように考えております。
  59. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 この二、三日、労働省の「名工」という枠をとってテレビが放送をしております。けさは例のエンジン、747、日本航空、JALのエンジンをやっている人がこのたび受賞して、そのテレビが順々に放送しておる「名工」ということで、労働省のものなんですが、私はそれを見ている人の感激というのは、先ほど言いましたように、大分偉い人がもらったものの感激とは全然違った感激を持って、その人はもちろんそうなんですが、見ていると思うんですよ、日本全国の人が。このあたりに文化の振興の真骨頂があるのではないかなと。文部省もちょっとPRが足らぬのではないかと思うんですけれども、まあ文化的な、私は文化勲章までというお話をしておるのではありませんが、そのあたり文化庁長官賞あたりをもっと有効にひとつたくさん出していただいて、たくさん出したようですけれども、勲章を出すときにたくさん出しますと、粗製乱造的になってありがたみが薄いのではないかと、こうおっしゃったことがあるんですが、日本じゅう広うございますから、東京で千出したようでありましても私たちの県には五つか七つかしかありませんので、大きな市でも十二あるということですから、余りたくさん出して粗製乱造になってありがたみが薄くなるとかいう物の考え方をしていただかなくていいと思いますが、これはお答えは要りませんのでお願いを申し上げておきたいと思います。  さて、もうこれからのお答えは大臣だけで、大臣、予算期がぼつぼつ近づいてまいっております。私は、臨教審とも公的に、私的に何回か、ひとり相撲であったかもしれませんけれども、取り組みながら言ってきたことは、あなたたちが立派なことをたくさんたくさんお並べをいただくが、そのことは大蔵省から金をもらってくるという裏づけがなければ、何ぼ立派なことを言われてもそれは絵にかいたもちになりますと会長にも石川さんにもそういうことを言ってまいりました。明けて立派なものがたくさん、目をみはるようなものもありました。初任者研修もそれでありましょう。立派じゃないと言う人もありますけれどもそれはそれとして、その流れをくんでやっておるわけですが、そのときに一番心配いたしましたことは、大蔵省概念で言いますと、文部省にはこれだけの枠というものの枠がおおよそ頭の中で決まっておって、そして新しく臨教審がふやしたものを全部はそれを文部省の枠の中からとろうとはしておりませんけれども文部省も百億ふやすのなら三十億は現在文部省の枠の中でやろうよと、七十億を、これ大体反対のことの方が多いんですが、そういうことで文部省との取り組みが以後続いておるわけであります。この間からちらちらと教科書無償についての問題が、有償にしてもいいのではないかとまでは言わないが、検討をすべきときが来たのではないかと、どこからかそういうことを言っております。これは私の杞憂かもしれません。  そこで大臣、やはりこの問題は、ポスト臨教審もつくられるそうですが、私は、これをつくるといったときに、これは事務局は大蔵省へ持っていってもらってくださいよと、こう言った。文部省の中に置いておいてもらったのではポスト臨教審にはなりませんよ、ポスト臨教審が物申すのなら大蔵省で予算ももらってくるという裏づけがあって物申してくださいと、こう言ってきましたので一番弱いところからとられる心配はないかな、こんなことを実は心配いたしております。  それで、大蔵省絡みでございますから大臣も御答弁がしにくいと思いますけれども、私は万全を期して予算対策には今のようなことを十分踏まえながら、ひとつ総がかりでというのは、大臣文部省だけではありません。与野党を通じて、結局文教族との名を持っておる連中で後援をしますので、ひとつ覚悟を決めていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
  60. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 文教予算全体につきましては、御存じのように大変厳しい状況でございます。本年度におきましても前年度比一・二%アップというあたりで限られておるわけでございます。  本心を申せとおっしゃられれば、私はこの文教予算そのものが枠外に置かれて、そして教育改革をつつがなく進めたいというのが本心でございますけれども、現在の財政状況の中でシーリング枠を我が文部省だけがえんじないというわけにもまいりません。ただそういう中で、個々に出される問題につきましては全力を挙げまして文教行政の推進のために努力をしてまいりたいと思っております。その一つに今申されました義務教育教科書無償給与制度でございますけれども、これは申し上げるまでもなく憲法第二十六条に掲げる義務教育無償の精神を具現するものでございまして、私どもはこれは財政問題とは別といたしまして断固として守っていかなければいかぬ問題である、このように考えて努力をいたしてまいるつもりでございます。
  61. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 私が予想をしておった御答弁よりも大変力強い御答弁をいただいて気を強くしたわけですが、この問題は長い間いろいろの変遷を経て現在まで来ました。というのは、必ずしも今までに問題がなかったわけでは教科書の問題もありませんで、非常に文部省が強く要求をしなければならない予算ができるたびに、ちらちらとこの懐刀を出してやる大蔵省のやり方というのは実は腹に据えかねているんですよ。ひとつ覚悟を決めてやっていただきたいと思いますので、省を挙げて、また文教関係者を挙げてひとつ守らなければならないと思います。  それで、大分時間も終わりになりかけましたので、ここでひとつ大臣高石前次官の問題に、私たち自由民主党であろうとも、私たちは長い文部に関係をしております友人であろうとも、言うだけのお話はしておかなければならない、申し上げるだけのことは申し上げておかなければならないと思うわけであります。  いろいろ各党の皆さん方からもお話がございました。もう十分御認識をいただいておると思いますけれども、私のことを申し上げておきたいと思うのですが、私は文教におりますことを大変誇りに思っております。そのものの一つは、地方へ帰りましても東京におりましても清潔だということがその文教におるというものの一つであります。これは恐らく私だけでない、皆さんがそう思っておるんではないでしょうか。もう一つは、文教の人たちは、あの人たちは悪いことをしないんだと、こう地元では言っていただいておるわけであります。  その意味において、奥さんであろうとも、まあ奥さんですからね。法的には私はこれはそれぞれの手当てがしてあるから、私はこの問題で法的にどうということは知りません。知りませんし、そうでなかろうと思っておりますが、私たち文部省も含めまして大変不名誉なことが起きたということだけは大臣十分御認識をいただいておるんだと思います。さすれば、本人がどういう態度をしなければならないということも必然的に識者でありますからわかるはずであります。  私は、皆さんが割合御無理なことを言うておるなというのは、それを調べたかと、こういうお話であります。全部次官当時に後輩であって、その下に仕えておる今の幹部に、本人を呼んでお調べなさいだの言って、そんなことは世の中ではなか なか通じないんですよ。お見舞いを言うぐらいなことになるんですよ。いや、それはポストがかわっておるんで、官房長も次官もそれぞれにおいでになるから、ポストではきちんと襟を正し、背を伸ばして物を言うでしょうけれども、なかなか弱々しい話なんですよ。そこは大臣がきちんと仕切りをつけなきゃならない。このことは私はきょう特に大臣に申し上げておきたいと思うわけであります。  法的な問題は別です。法的な問題を申し上げておるのではありません。ありませんが、御本人がこのことが文教一族に大変御心配をかけて申しわけないことでございましたと言うことだけは、これは呼ぶのでないんですよ。本人さんが出てきてそのことを言うべきだということ、これをやってこそ本当のやはり文部省の次官であったなということを言われ、それぞれにやっておる手違いの中から起こったこと、奥さんで本当に知らなかったかもしれない。私も知らなかったかもしれないというのにはいろいろ問題もあると思いますけれども、そういう表現でありますから、知らなかったかもしれないということも、そのことも大変大きな形で了解したとしても、今の本人姿勢をきちんと正すべきであり、そして本人から事情聴取するのは私は文部省役人ではならない、それは大臣がみずから自分のもとでやるべきだと、こう思っております。まあいろいろ九州の問題もありましょう。私は今度のことをまだわかりませんけれども、総合して私が国会へ出てくるまで、出てきてからの文部省という知る人々の中でこれほど大きなショックを受けたことはありません。あえて申し上げておきたいと思います。  御答弁がございましたら御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  62. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 仲川委員から、御自身のあるいは文教委員としての代表してという意気込みで率直な御意見をいただきまして、ありがたく受けとめさせていただきます。  事実関係は事実関係聴取をいたしますが、私が一番残念に思っておりますのは、先生方からおっしゃっていただいておりますように、現在文教行政を誠心誠意特に進めていくべき教育改革の重要な第一歩を今与野党挙げまして御熱意ある御審議をいただいておるところでございます。また、常々一億総国民教育に関しましては何よりも高い関心を持っていただいて、そしてまさに今生涯学習ということで、生涯をかけて何歳の方でもさらに学び補い、学び加えていかれようとしている一環で、また次代を担います青少年をいかにたくましく心豊かに育てていこうかという時期に当たりまして、その文部省の重要な一角にあります者が、その事実関係はどうであれ、私は国民の目から見て大変文教行政の信頼を損ねたということは残念という言葉では言いあらわせないほどの無念さを持っております。この点は正すべきところは十分正してまいりたい。そして文教行政の信頼を損なうことないように一層心して高めてまいりたいと、このように考えております。
  63. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 ありがとうございました。終わります。
  64. 高木健太郎

    高木健太郎君 先ほど仲川委員がお話なさいましたように、文化庁なり文部省から、隠れた文化功労者に、文化に尽くした人に対して出し惜しみをするなと、私もそれに賛成でございますので、どうぞそういうふうにお進めいただきたい。先般アメリカにおりまして、がんにかかってもう死が迫っているという方に文部大臣から感謝状をいただきました。私、大変学者を勇気づけていただいたと、こう思って喜んでおります。  また、もう一つの問題はいわゆる義務教育費の無料化、無償化、あるいは教科書無償化ということでございます。西ドイツでは高等学校まで授業料はない、そして教育費が非常に安い、生活費も安い。同じようないわゆるGNPを持っておりまして、戦争に負けた国でございますけれども、何かもっとゆったりしておって、しかも学問のレベルも高い。そういうことを見ますと、教科書無償化をやめてまで何かやらなきゃならぬというのはどうも私には納得いかない。豊かな教育というのは何かそういうところから始まるのじゃないかなというふうな気がいたしますので、そういう意味でも今の仲川委員の御提案を私サポートいたしたいと思っております。  昨日でしたか、一昨日の朝、元東大総長の茅誠司氏が亡くなられました。文化勲章をもらわれた立派な人であることは御存じのとおりでございますが、あの方が総長のときでしたと思いますが、小さな親切ということを運動を起こされたと思うんです。そのころ一時非常に新聞でも取り上げられ、一般の国民も大変それによって気持ちが洗われたようなことがあったと思うんです。最近、どこから起こってきたか知りませんけれども、私の耳に入った言葉に小さな親切大きなお世話という、そういう言葉があるんですね。まあこのほかにも現代の青少年を風刺するかのようなそういう言葉がたくさんあるわけなんですが。まじめに考えて、小さな親切から掘り起こしていけば世の中もう少し明るく豊かになるのじゃないかというお気持ちで茅先生が言われたと思うんですけれども、これは照れ隠しでそう言われたのか、本当に青少年がそんな気持ちなのか、あるいはそういうことを言うことによって青少年の気持ちがかえって私悪くなるのじゃないかと、こう思うんですけれども文部大臣はこれに対してはどのようにお考えでございますか、御意見がありましたらお聞きしたいと思います。
  65. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) まず、お答えする前に、茅先生お亡くなりになりまして、立派な物理科学者であり、教育者であり、また文部省の顧問をしていただいた方でございますので、改めて御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。  その小さな親切運動、これが少なくとも自分の周辺から、そして社会へ、そして国際的な交流へと高まっていくその原点であるということには大きな意義があると思っております。恐らくそういう小さな親切運動、その原点から広まることの輪の大きさを心から期待をされた言葉であろうというふうに解釈をしております。残念ながら、今おっしゃった小さな親切大きなお世話という言葉を私は日常語として聞いておりませんものでしたから、その解釈についてはちょっと御遠慮さしていただきたいと思います。
  66. 高木健太郎

    高木健太郎君 ほかにもいろいろありまして、笑っていいものやら、あるいは真剣に考えるべき問題やら、だれが言い出したのやらわかりませんけれども、人がまじめに考えたことを、そういう茶化したものが新聞にも出てくる、雑誌にも出てくるということになると非常に残念に思うんですね。こういうことは何とか、学校の中でも言われていることでしょうけれども、それだけに流行して、人の気持ちを損なっていくということは私残念なことだと思っておるので申し上げたわけでございます。ほかにもたくさんありまして、カラスが鳴くのは勝手でしょとか、そういう言葉もございます。  それはそれとしまして、最近藤ノ木古墳の発掘の状況がテレビやら新聞なんかで報道されております。前には高松古墳が発掘されまして、きれいな壁画が出てきまして当時非常に感激を私は受けたわけでございます。これは日本の文化の発生あるいは韓国その他の国々との文化の交流ということを示唆しておりまして、私たちも祖先のことを知り、また自分たちの郷土というものを知る上において非常に私は関心を持っているわけでございます。この発掘に努力をささげられましたいろいろな方がおられます。ボランティアの方もおられるんじゃないかと思いますが、文部省としてはこういうことに対してどのような助成あるいは研究費あるいは人件費等を使っておられるんでしょうか。
  67. 横瀬庄次

    政府委員(横瀬庄次君) 藤ノ木古墳は、奈良県の法隆寺のございます斑鳩町に所在する六世紀の終末期の古墳でございます。これは昭和六十三年の五月から七月にかけまして石棺内部の遺物の状況についての予備調査を奈良県の教育委員会が実施をいたしまして、これが未盗掘のものであると いうことで大変騒がれたわけでございます。先生おっしゃいますように、これは大変に重要な我が国の歴史上、また重要な時期における文化財であるというふうに認識をしておりまして、これに対してはできるだけの助成をしたいというふうに考えておりますが、具体的にはこの最初にやりました六十三年五月から七月にかけての予備調査の際に国庫補助、これは補助率二分の一でございますが、二百五十万円を交付いたしまして、これは奈良県の教育委員会に対して交付をいたしまして実施をしていただいているところでございますが、さらに現在この古墳につきましては、十月の初めから中をあげまして、その一つ一つを取り出して整理をしているというところでございます。それに対する経費につきまして地元からもいろいろ御要望がございまして、現在のところ七百五十万円の追加支出を考えているところでございます。これは全体になりますと、したがいまして一千万円の補助金を出すということになろうかと思います。  さらに、古墳から出てまいりました出土品の今後の保存、修理につきましては、これは来年度の問題になりますけれども、来年度予算において相応の対応をするように現在予算要求もしているところでございまして、十分にこの点については考えていきたいというふうに考えているところでございます。
  68. 高木健太郎

    高木健太郎君 ぜひ十分な手当てをしていただきたい。またと我々の手に入るものではないということでございますから、私強く要望をしておきたいと思います。  次は、スポーツとアマチュアリズムのことをお聞きしたいと思います。古代オリンピックの初期には、優勝の栄誉というものの印には野性のオリーブの小枝を頭にかぶせただけであったわけですけれども、次第に大きな報酬や特権というようなものが与えられるようになりましてプロ化をしていったわけです。八百長や買収も横行するようになりました。オリンピックは堕落して衰退し、やがて廃止されるに至ったと聞いております。古代オリンピックというのは、大体いつごろ始まって、廃止されたのはいつごろでしょうか、そして私が申し上げたような理由で廃止になったのでしょうか、その点をまずお伺いいたします。
  69. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 古代オリンピックの起源は、紀元前七百七十六年ギリシャで始まったものでございます。古代オリンピック当時のギリシャは幾つもの都市国家を形成しておりましたが、オリンポスの山に住むゼウスを初めとする十二の神を信仰し、崇拝する神々のために神殿を建立し、五穀豊穣、無病息災を祈り、穀物や家畜のほかに詩やスポーツをささげていたわけでございます。中でもゼウスの神をあがめるオリンピアでは、四年に一回、今先生が御指摘になりました盛大な祭典を開いており、スポーツの競技を開いていたのが古代オリンピックの実情であったようでございます。勝利者には、先生御指摘のオリーブの冠だけを与えておったようでございます。  この古代オリンピックは、やがてローマのギリシャ征服によって衰えていったものでありますが、先生御指摘のように、ローマのギリシャ征服によって衰えていったのが直接的な廃止の理由でありますが、その前に、大会に参加する競技者たちも初めの大会の精神を忘れまして、今先生が御指摘のような、いろいろな八百長とかあるいは優勝で名声を売ったり、競技によって生活するような状況にもなったというようなことなどもかみ合いまして、ギリシャ教がローマの国教となったため異教崇拝が厳禁されたということがストレートな、直接な廃止の理由でありますけれども、やや古代オリンピック精神がそういう意味で損なわれておったということもありまして、紀元三九三年でその幕を閉じたというふうに私ども承知しております。その間開かれた古代オリンピックの数は二百九十三回、約千百七十何年にわたって開かれておったようでございます。
  70. 高木健太郎

    高木健太郎君 近代オリンピックは、御存じのように創始者はクーベルタン男爵でございまして、この男爵はプロの参加に強く反対をしたということは有名でございます。また、元IOCの会長であるブランデージは、ミスターアマチュアと言われるぐらい商業主義の侵入に厳然たる態度で臨んでおりました。一九七二年に札幌のオリンピックで、アルペンスキーヤーのオーストリーのカール・シュランツ選手を、彼はアマチュアでない、走る広告塔であるということを評して参加を拒否したということは御存じのとおりでございます。  ブランデージを継いだキラニン会長は、現実路線に転換をしまして、一九七四年にオリンピック憲章を改定いたしまして、世界のアマチュアを結集するオリンピックというものが、世界のアスリートを結集するオリンピックというふうに憲章が変わったと聞いております。オリンピックの目的も、アマチュアスポーツの振興ということからスポーツ振興ということに変わったということであります。この改定の主な理由はどのようにとらえておられますか。
  71. 坂元弘直

    政府委員(坂元弘直君) 結局アマチュアリズムというのは必ずしもその概念が明確じゃございませんが、端的に申し上げますと、スポーツで何らかの報酬を得ない、それからスポーツによって生活、生計を立てない、まあ端的に言うとこの二つに尽きるんじゃないかと思いますが、ところが一方で、近代オリンピックがずっと開かれて、その一九七四年の、特にオリンピック憲章が改正されるまでの間におきましても、御承知のとおり東欧圏ではステートアマの問題が起きておりまして、スポーツだけで生活をしておる、あるいはスポーツでオリンピックで金メダル等を取ると年金をもらえるというようなことは、一体アマチュアなんであろうかというようなことが西欧圏の方から問題が提起されてまいりまして、それならばいっそのこと、もう少しスポーツを、アマチュアにせよプロにせよ、人間の肉体の限界に挑戦するという意味ではスポーツとして変わりはないんではないか。それならば、四年に一回の世界の競技者を集めて行うオリンピックにおいて、西欧圏のプロの選手にも道を開いてもいいのではないかというような考え方も一部に強く出てまいりまして、七四年に憲章を変えたというふうに私ども承知いたしております。  ただ、七四年の段階で変えた憲章ですと、まだオリンピック、例えば七四年のその二十六条でこの資格が決まっておるわけですけれども、その参加資格条項の中で「この規則の細則に許されている範囲を除き、みずから競技に参加することに関連して、いかなる金銭的報酬も物質的恩恵もこれまでに受けたことがあってはならない。」、それから、あるいはその細則でございますが、いずれの競技かを問わず、プロ選手またはプロコーチとして登録されてきた者はだめだというような規定になっておりまして、かなりこれ、七四年の改正の条文だけですと、プロが参加することは難しいというような規定になっておったわけでございますが、ところが、オリンピックが開催される前にIOCの理事会を開きまして、オリンピック憲章の二十六条の規定があるにもかかわらず、その二十六条の規定を改正するという前提で、理事会でプロの選手の参加を認めるという決定をして、プロの参加を認めてきておるわけでございます。  例えば今回のソウル・オリンピックの選手につきましては、六十二年二月十一日にIOCの理事会を開きまして、一九八八年のソウル・オリンピックについては、こういうものについてはプロも参加していいんだというようなことをそこで事実上決めまして、そして参加を認めてきておるというのが実情でございます。    〔委員長退席、理事林寛子君着席〕  例えば、本年のソウルで行われた夏季のオリンピックでのプロの参加をしてもいいというIOC理事会の決定内容は、例えば陸上で申し上げますと、陸上競技以外の他競技プロの参加可能、これはアメリカンフットボールの選手で、百メートルを相当に遠く走れる選手もおるわけですが、そういうプロの陸上競技以外の他のプロの選手は、陸上競技に参加してよろしいと。  それからサッカーで申し上げますと、欧州と南米のワールドカップ出場選手を除くすべてのプロは参加してよろしいということ。言いかえれば、端的に申し上げますと、マラドーナは参加はいけないけれども、かつて西ドイツでプロをやっておりました、日本の今古河鉱業に属しております奥寺ならば参加してもよろしいというような決め方。それから馬術につきましては、いわゆる欧州に多いプロライダーについても、国際馬術連盟の承認があれば原則的に参加は可能だというようなこと。  それからテニスにつきましては、すべてのプロの参加が可能というふうに決められたわけでございます。ただし、五輪の期間中にこれらプロの選手が参加しておって、その本来のプロ的活動は禁止する。言いかえれば、五輪参加中にたまたまプロのテニスの競技スポーツがあって、きょうは五輪に、あしたはプロのテニス競技にというような参加の仕方はだめだというような条件はついておりますけれども、まあ大体そんなようなことで、オリンピックが具体的に始まる前の年ぐらいに、プロの参加についてIOCの理事会でこういうようなことが決められて今日まで来ているわけでございます。  早晩、IOC憲章の二十六条そのものも改正されていくのではないか、そういう方向にあるんではないかというように私ども予想しているところでございます。
  72. 高木健太郎

    高木健太郎君 今お話しになったように、サマランチ会長になってから随分はっきりアマチュアリズムが壊れつつあるというように思うわけです。これに対してはIOCの内部にもかなり私は反対はあったと思うんですけれども、私が聞きたいのは、こういうようにオリンピックという、いわゆるアマチュア精神をとうとんで発生してきたオリンピックが、それを、その精神がどこか飛んでしまって、そしてこれが一種の生活保障とか、あるいはそれによる利潤獲得であるとか、そういうふうに流れていっているということを私非常に困ったことであると。これがやがては日本の国内のいろいろなスポーツにも響いてくるだろう。  いろいろのこのごろ批判も日本の国内のスポーツについてもあるわけなんですけれども、これに対して日本はぜひ私はアマチュアリズムというものを守っていただきたい。プロはプロとして、アマチュアリズムを守っていただきたい。例えば高等学校大学のスポーツがございますけれども、そういう本来の学業というものがやっぱり主体であって、それと完全に両立するようにしてもらいたい。それを何かスポーツの選手は一種の職業であるかのごとくそれを取り扱い、それに対していわゆる利潤が絡んでくるということが全体としてスポーツの堕落ということにつながっていくのではないか、こう思うのです。  また、ドーピングというのは勝とうと思えば私はいろいろな薬ができると思います。現在は何種類かの検査方法によってほとんど全部が検出できると言っていますけれども、その網を逃れる製剤はつくろうと思えばまたできるわけでして、これはイタチごっこである。それならば見つからないようなドーピングを使って勝てばいい、賞金をもらえばいいというようなことになってくる。いわゆるスポーツは金もうけの手段になってくる、感動的なスポーツはもう全く見られない、金で汚染されたスポーツになるんだということに私はなると思うんですけれども文部省としてはこういうものに対してどのような対策をおとりになるか、あるいは文部大臣はスポーツが利潤化していく、金もうけの手段になるということについてどのようにお考えか、ちょっと御感想を伺っておきたいと思います。
  73. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 具体の方法がお尋ねであれば政府委員からお答えさせますが、私は現在までのところを振り返ってみまして、アマチュアリズムというものが我が国のスポーツを振興させてきた、その大きな意義があったということはもう事実であろうと思うわけであります。したがって、スポーツ振興の根本に今後ともやはりアマチュアリズムというものは置いていくべきであろうと私自身は考えております。  ただ、そういう方々を育てる環境というものがやはりございます。コーチの方々の環境、あるいはまたオリンピックでもコーチの方々が練習場を探し探して朝早くから御苦労なさっている、これでいいのかという点もございまして、コーチの方々は一方で社会人でもあり、その社会人としての時間を割いて後進の指導に当たられるという場合には、やはりそれなりの報償というものが必要であろうと思いますので、そういう点を加味いたしながら、根本的にはアマチュアリズムを崩しませんよと。ただ周辺整備その他の問題では世界の動向、あるいはどうあればいいかということを心して検討していく段階に来ておるというふうに考えております。
  74. 高木健太郎

    高木健太郎君 国内のスポーツ、特に学生スポーツがそういうものに汚染されないように十分私は注意をしていただきたいと思います。それで、オリンピックがそうだから国内でもということになりやすい。次第にそれが広がっていくということを私は心配するからでございます。  最近、金もうけに絡む犯罪やスキャンダル、あるいは不祥事が続発しておりまして、私は異様な世相であるというふうに思っております。財テクに狂奔し、経済人としてのモラルも喪失したように思えるのであります。ちょうどオリンピックでベン・ジョンソンがドーピングをやってまで金をもうけようとしたのは、それはアマチュアリズムの崩壊の氷山の一角であるというふうに思いますが、今回のリクルートもまた経済界モラルの崩壊の氷山の一角にすぎないというふうに思うわけであります。既成のリーダーが少しずつ倫理観が薄れていっている、そのために若い新進の事業家が暴走した結果が今度のリクルートではないかと、こう思います。法に触れなければ何をやってもよろしいという風潮が広くびまんしていくおそれがないかということであります。これに対する歯どめというのは教育しかないんだろう、こう思うんです。オリンピックもだからそういう意味で私は非常に重要である、こう思っております。  高石元次官は、在任中に富に処する教育というのが持論でありまして、物質的な豊かさの中で耐えることのできない子供が増加したことに現代の教育の諸問題がある、こういうことを言っておられますし、教育課程審議会の答申にも、豊かな心を持ち、たくましく生きることのできる人間の形成とか、みずからの意思で社会的規範を守る態度を育てる、こう言っておられましたけれども、こういう風潮が広まってそれをそう気にとがめないという、そこにおぼれてしまった、汚染の中におぼれてしまったということが非常に大きな原因でないか。こうなりますと、文部省全体にそういう風潮がありはしないかという疑惑を持たれるということを私は心配をしております。オリンピックということに関しまして財界、企業の方にもこういう風潮がびまんしていくということは、これは教育が、ここでひとつ文部省はしっかり腹を決めて、そしてそういうことを食いとめるのは文部省しかないんだ、歯どめになるところは文部省しかないということでひとつ決意を新たにしていただきたい、こういうふうに思います。  次は、厚生省の方、長いことお持たせしましたので、漢方医学のことを少しお聞きしたいと思います。  今日、日本の宗教法人というのは非常にふえまして十八万三千ぐらいありまして、宗教人口というのは約二億千三百五十万ある。これは幾つかの宗教に入っているということであります。そして、これらは神秘と奇跡を強調して、そして霊術による病気の治療というものを特徴としているという法人が大多数である、要するに病気を治しますよということです。これは三浦綾子さんなんかが大阪で何かそういうがんを治すミルク療法とかいうところに入っておられたことも御存じのとおりですが、事実治った人もあると聞いているわけです。確かめたわけじゃありません。しかし、これのみならず催眠療法とか超心理療法というのも あります。  これらと違いまして長い歴史と実証を有するヨーガだとかあるいは気功療法、そしていわゆる鍼灸とか漢方というものがその内側にあると思うんです。こういう現象に対しまして、非常に多くの国民が、鍼灸は除いた東洋医学、厚生省が正式認可しているそういう現代の医学、医療というもの、それに対して非常にたくさんの患者が西洋現代医学からそういうところへ流れていくというその原因はどこにあるとお考えでしょうか。
  75. 丸山晴男

    説明員(丸山晴男君) お答え申し上げます。ちょっと長くなりますが。  西洋医学の成果が今まで医療の分野に取り入れられまして、人類が長く苦しんできました各種の伝染病がかなり撲滅をされておりますし、公衆衛生の水準も先生承知のように大変向上をしているということでございますが、同時に、西洋医学の場合にややもしますと臓器を見て人を見ないといったような現代の最先端医療の分野では、絶えず反省されるべき問題点があるのではないか。それから、化学物質の薬理作用に比べまして穏やかな安定した効果のある生薬を中心とします漢方という考え方は、全人医療という意味で今後関心を持たれる分野ではないか。特に今後高齢化社会が進行しまして、長い生活習慣とのかかわりで老人の慢性疾患が増加していく、こういうことを踏まえた場合に全人医療的なことをやってこられております漢方に対する関心というのは一層高まっていくだろうと。  先生質問のそういった傾向があるとすれば、やはり西洋医学の面で、例えば医師が十分患者の話を聞かないとか、あるいは治療に走って患者の訴えに十分耳を傾けないとか、そういった反省されるべき点があるとすればあるんだろうというふうに考えるわけでございます。
  76. 高木健太郎

    高木健太郎君 そういう末梢と言っては悪いんですけれども、そういうことじゃなくて、非常にたくさんの人が漢方とか鍼灸を問わず今の宗教法人がたくさんあって、そこに大勢の患者が行ってそこで治してもらっている。それは西洋医学から離れていっているというわけです。だから、何かもっと大きな原因がそこになくちゃならない。何も漢方、鍼灸だけではないわけです。ほかの、大勢の人がそういうところへ行っているということなんです。    〔理事林寛子君退席、委員長着席〕 私は現代人がどんな病気をしているのか、どんな病気に悩んでいるのか、どんな病気が今の現代の病院あるいは医療で救われないかということをこれは物語っているんじゃないか。いわゆる現代医学では救われない、そこへ行くよりか仕方がないということをこれは物語っているんじゃないかと思うんです。だから、現在厚生省がやっているいわゆる疾病対策といいますか、健康保持、医療というものは全部じゃないんだ、それはごく一部分をやっているんだということをこの際私認識しておく必要がある、もう国民は外に逃げていますよということをここで申し上げたかったわけであります。  現代の病の特徴は、西洋医学は病原体という一つの病因を特定しないとできない、そういうことが西洋医学の特徴である。ところが、病因が、病気の原因が外からというよりも内からの乱れ、あるいは自己回復力、あるいは自然治癒力、あるいは自己免疫力の低下が原因である、あるいは心身相関の病であるとか、人と人との間の関係が病気の原因であるとか、こういうことは現代の医学だけでは救うことができないのではないかと思うわけであります。こういうことは厚生省としても十分考えておきまして、西洋医学が万能ではないんだということに目を向けておかなければいけない。ただ規則でそれは医療でないからとめるとか、そういうことだけではこの問題は片づきませんよということをまず申し上げたかったわけであります。  本日は、話を絞って漢方だけの問題にしたいと思います。現在、漢方を使っているお医者さんというのはどれぐらいおられるでしょうか。あるいは、その増加の傾向というものはどうでしょう。それから大体何%ぐらい、それから漢方に使われている医療費、あるいは漢方の生産高、それはどれくらいかおわかりでしょうか。それだけをお聞きしておきましょう。
  77. 小林秀資

    説明員(小林秀資君) お答えいたします。  まず、保険で漢方医療を使っているお医者さんはどれぐらいいらっしゃるのかということですけれども、まだ厚生省としてはそういう考え方の調査はしたことはございませんので数字は把握いたしておりません。ただ、レセプト請求というのがありますが、そこから実際の処方をしている状況を見ればある程度の推測はつくかとは思いますが、それにいたしましても漢方療法を行う先生というのを、少し行われる先生、それから主体としてそれを行われる先生、それをどのように定義をつけるのかというような問題等もございまして、今のところはよくつかみ切っていないというのが現状でございます。したがいまして、医療費としても漢方にかかる医療費はどの程度あるかということもわからないというのが現状でございます。  なお、医薬品の総生産額のうち漢方がどのぐらいあるのかということでございますが、九百二億三千三百万が漢方製剤の生産額でございまして、全医薬品の総生産額の二・一%に至っております。
  78. 高木健太郎

    高木健太郎君 おわかりにくいだろうと思うんですが、これは全体を調べるわけにいきませんので抽出したアンケートで見ますというと、よく漢方薬を用いる、時々使うという人を加えますというと大体七五%の医者がそれを使っている。これはどれぐらい、標本が正しいかどうかわかりませんが、かなり使っている。全く使用しないという人は二五%くらいしかないということでありまして、漢方が非常によく使われているということであります。漢方的な診断はどういうふうにしているかというと、証ですね。いわゆる証だけでやっている人は三〇%ぐらい、それから証と病名、現代医学的な病名と一緒に絡めて診断をしている人が大体五〇%ぐらいということでございますが、とにかく証というものも使って診断をして、そして七五%ぐらいの医師が漢方を使っているということであります。  なぜそれじゃ漢方を使うのか、その目的と動機なんですけれども、西洋医学では治療が十分でないという人が四〇%、それから副作用が少ないという人が一五%から三〇%である。あといろいろございますけれども、そういうことでございます。病気の名前なんか挙げると長くなるのでありますが、高血圧であるとかあるいは肝炎、ぜんそく、あるいは糖尿病という皆さん方御存じのようにいわゆる年寄りの慢性病に非常によく使われているということでありまして、しかもそれがかなり治療効果があるということであるので使われているのだろうと思うんです。こういうことから見ますと、漢方というのは我々、私たちが想像しているよりも、あるいは厚生省がお考えの、あるいは想像しておられるよりも、はるかに広くこれは利用されているものであるということはこの際知っておく必要があろうかと思うんです。  そこでお尋ねいたしますけれども、漢方を請求して支払い基金から払ってもらうわけなんですが、そのときに六・三%ぐらい、そう多くはありませんけれども六・三%までが払ってもらえない。いわゆる減点されたり削除されたりして払ってもらえないというわけです。その理由としては、多過ぎるとか、あるいは適用外であるとか西洋医学との併用であるとかというような理由で返却されるわけなんです。これを私はちょっと不思議に思いまして、というのは、時間がきょうはなくなりそうですけれども、漢方というのは大学で授業の正式のカリキュラムの中には入っていないわけです。少なく見ても大体六〇%から七〇%の医師が漢方を実際患者に処方しているわけです。与えているわけです。与えているのに大学あるいはその他で漢方が、自分で勉強する人は別ですけれども、それは正式には教育課程の中に入っていないということです。  そうすると、支払い基金に出したものを審査する、これはお医者さんですけれども、お医者さんの何人が正規にどこかで本当に勉強したかどうか。知らない人がその審査をしているという危険性が私はあると思うんです。それはどんなふうにお考えですか。そういうことをさせていいと。これは悪いとも何とも言えないでしょうけれども、私はそういうことがあってはならないと思うんです。そういう意味で、ぜひこれは文部省厚生省も、漢方がこれだけ使われているということであるなら、漢方を正規、そして厚生省がこれを保険の基準薬として認めている、そういうことであるなら、何とかこれを教育面でカバーすべきじゃないか。一番迷惑しているのは私は患者ではないか、こう思うのでこれを申し上げているわけです。これはお答えはいいです。けれども、そういう不合理があるではありませんかということをひとつ胸にとめておいていただきたいと思います。  漢方の教育のことについて文部省にちょっとお伺いしたいと思います。現在、大体どれぐらいの大学で漢方の教育がされているかということです。
  79. 國分正明

    政府委員國分正明君) 漢方についてどの程度大学で教えているかということでございますが、講義の中でいろいろ触れるというようなケースについてはちょっと把握しにくいわけでございますけれども、現在、東洋医学という形で特別の授業科目を設けている医学部が十二校ございます。また、歯学部などについて見ますと、東洋医学という授業科目を設けているのが十一大学十二学部、こういう状況になっておりまして、幾つかの例を見てみますと、その東洋医学の講義の中身としまして漢方というようなものも入っているようでございます。また、特別の授業科目を設けずに、それを基礎でやるか臨床でやるか私も専門的にはよくわかりませんけれども、漢方を含めた東洋医学について講義しているという例もあろうかというふうに考えております。
  80. 高木健太郎

    高木健太郎君 十二校というお話でございましたけれども、私はある専門雑誌で調べて、これはアンケートをとって、八十校にアンケートを出して、それで六十三校から回答が来て、約七九%の回答率でありますけれども、それで見ますというと、六十三校のうち五校、約八%の大学で教えている。それも中身はやっぱりはり麻酔であるとか、そういうものが多くて、本当に教えているというのは御存じの富山薬科医科大学、ああいうところではかなりしっかり教えておられるように思うんです。これは前にもちょっとお聞きしたわけなんですけれども文部省としても、これはこの教科を教えなさいと言うことはできないんだそうですね。これはどういうふうにしたらそれじゃ教えられるようになるか。あるいは今必要性はこれはもう納得されたと思うんですね。七十何%の医者が漢方を使っているんだと。  しかも、西洋医学と東洋医学というものは全く異質のものでありまして、考え方が違うわけなんですから、新しく習わなければそれはもう無理なんですね。ただ製薬会社からもらった薬を、これは胃の薬ですと言ってそこらの売薬で買うならいいですけれども、しかし処方するということになって、しかも保険でそれを支払われるということになると、これはやっぱり責任が私はあると思うんですね。それの教育がない。しかもそれは文部省からは教育しなさいと言えない。これは大学の自治で言えない。だれが一番悪いかというと患者が一番どうにもならない。どこへ訴えていいかわからない、こういうことになるんじゃないか。私が調べたところではそんなに少ないんですね。だからこれはもう一度よく文部省としてもお調べになって、何とかして何らかの形でこれをカバーするようにされたらどうか。  参考になるデータがありますのでちょっと申し上げますけれども、実施をしてない学校が今のところ六十三校のうち五校ですから五十八校ですか、五十八校は講義は全然東洋医学には触れてないわけですが、それで、何でやらないんですかと、そういうやつを聞きますと、非科学的である、それが六%、それから政府や学会が教育必要性を認めていないというのが九%、それからその次が、教育の時間がありません、それから教官の人材がいない、これがそれぞれ五四%、六一%でこれが一番多いんです。どこかでこれをカバーしてやればできるようになるんじゃないか、こう思うんですが、何か文部省としても今まで御検討になったことはございますか。
  81. 國分正明

    政府委員國分正明君) 先般、先生も御案内のことでございますが、昨年の九月に医学教育の改善に関する協力者会議というものを行いまして、そのまとめをいただいたわけでございますが、そのまとめの中でも漢方薬、はり、きゅう等を活用する東洋医学の教育というのが今後要請が高まる分野というふうにわざわざ具体的に指摘しているわけでございます。  したがいまして、今後このまとめを参考にいたしまして、医学部、歯学部あるいは薬学部等において漢方の研究あるいは教育というものが充実することを期待しているわけでございますが、現在の仕組みとしましては、先生もお話ございましたように、私どもが各大学に漢方を教えるとかそう言うわけにはいかないわけでございまして、各大学教育方針でやるということになるわけでございますが、これも御案内のことでございますが、従来、医学部などにおきましては、個々の授業時間の比率、例えば解剖学は九%あるいは生理学は六%というように授業科目の時間比率というものを決めておったわけでございますが、もう少し各大学がそれぞれの特色を生かした教育ができるようにということでもう少し大まかにいたしまして、例えば基礎医学は二〇%から二五%、臨床医学は四〇%から五〇%というようにごく大まかの分野を大まかな比率で示して、あとは各大学がそれぞれ御工夫いただく、こういうような仕組みに変えたことも御案内のとおりでございます。  こういうようなことでございますので、各大学がただいま申し上げました一つの最終まとめというようなものを参考にしていただいて、漢方というものの研究あるいは教育というものの充実をしていただくことを私どもも期待している次第でございます。
  82. 高木健太郎

    高木健太郎君 最後になりますけども、今度厚生省の方では何か研究所をおつくりになるそうですね。長寿何ですか、そういう計画があると聞いておりますが、長寿科学研究センターというものをおつくりになる。これは内容は私全然知りませんけれども、まだ設置場所も決まってない、しかし何かおつくりになるという、それはそうでございますね。そういう計画があるということですか。
  83. 谷修一

    説明員(谷修一君) 長寿科学研究センター、これは仮称、いわゆる仮の名前でございますけれども、こういうものをつくっていこうということで専門家を集めた検討会を開催いたしまして、昨年一応そういう基本的な構想がまとめられたという段階でございます。
  84. 高木健太郎

    高木健太郎君 先ほど申し上げましたように、なぜ東洋医学の教育をしてないのか、こういいますと、その教官の人材がないということがあるんですね。今さら中国の人を呼んできてそれを先生にするというわけにもいかないでしょうし、アメリカやあるいはヨーロッパの人を呼んでくるわけにもいかないと思うんですね。そういう意味では自分自身で、もう物はあるわけですから、そういうものを集めて研究所あたりでそういう人材をつくっていくということも一つ考えられると思うんですね。その点は私は厚生省と文部省とよく話し合って、そういう長寿化の研究センターができる、そういうところにそういう研修のセンターもつくっていただく、こういうふうにすればある程度片づくのではないか、ある程度要求に応じられるのではないか。  それから、教育の時間がないということなんですけれども、これは医学がどんどん進んでいきますと、我々のときも四年間ですね。今もやっぱり教養部が二年で、あと四年間なんですけれども、教養部の方に食い込んだり、いろいろなことをし ていて教養部としょっちゅうトラブルがあるわけなんです。ところがレントゲン、いわゆる放射線医学というのは猛烈に大きくなったわけです。それでも昔の四年間なんですね。だからどこかにしわ寄せがいってもう入り切らない。入り切らないのがわかったら、いっそこれで五年とか六年とか医学の課程を少し延ばすことを考えないと、どこもかも中途半端になっちゃうというようなことも起こり得ると私は思うんですね。もう解剖は形態学なんか要らぬからというと解剖の教授はかんかんになるわけですけれども、しかしそういうことではなくて、やらなきゃならないということはやっぱりやっておかなきゃいけない。そういう意味では、時間が足りないということで要求があれば、私は何とかして引き延ばすことを考えなきゃもう枠にはまってこないんじゃないかなと思っております。ほかの国の大学のあれも考えてひとつこの点は十分検討をしていただきたいと思います。  時間が来ましたので、あといわゆる卒後研修とか鍼灸のお話も聞く予定でございましたが、時間がなくなりましたのでこれでやめておきたいと思います。
  85. 杉山令肇

    委員長杉山令肇君) 午前の調査はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕