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1988-10-18 第113回国会 参議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十月十八日(火曜日)    午前十時三分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         福田 宏一君     理 事                 岡部 三郎君                 鈴木 貞敏君                 水谷  力君                 村沢  牧君                 刈田 貞子君     委 員                 青木 幹雄君                 上杉 光弘君                 浦田  勝君                 大塚清次郎君                 北  修二君                 熊谷太三郎君                 高木 正明君                 初村滝一郎君                 星  長治君                 一井 淳治君                 菅野 久光君                 八百板 正君                 下田 京子君                 橋本  敦君                 喜屋武眞榮君                 山田耕三郎君    国務大臣        農林水産大臣   佐藤  隆君    政府委員        外務政務次官   浜田卓二郎君        外務省経済局次        長        内田 勝久君        農林水産大臣官        房長       浜口 義曠君        農林水産大臣官        房総務審議官   鶴岡 俊彦君        農林水産省経済        局長       塩飽 二郎君        農林水産省構造        改善局長     松山 光治君        農林水産省農蚕        園芸局長     吉國  隆君        農林水産省畜産        局長       京谷 昭夫君        農林水産省食品        流通局長     渡辺  武君        農林水産技術会        議事務局長    谷野  陽君        食糧庁長官    甕   滋君        林野庁長官    松田  堯君        水産庁長官    田中 宏尚君    事務局側        常任委員会専門        員        片岡  光君    説明員        法務省刑事局刑        事課長      古川 元晴君        厚生省生活衛生        局乳肉衛生課長  難波  江君        農林水産省経済        局統計情報部長  海野 研一君        建設省道路局有        料道路課長    松延 正義君    参考人        北海道東北開発        公庫理事     角田 修一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○農林水産政策に関する調査  (当面の農林水産行政に関する件)     ─────────────
  2. 福田宏一

    委員長福田宏一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産政策に関する調査のため、本日の委員会北海道東北開発公庫理事角田修一君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 福田宏一

    委員長福田宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 福田宏一

    委員長福田宏一君) 次に、農林水産政策に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 村沢牧

    村沢牧君 異常気象による冷害については、先日の参議院本会議でも質疑の行われたところでありますが、被害現状作況それから政府が講じてきた対策、今後講じようとする施策について説明してください。
  6. 鶴岡俊彦

    政府委員鶴岡俊彦君) まず、被害の概況でございますけれども、御案内のとおり、本年六月以降の低温、日照不足等の不順な天候によりまして、東北関東地方水稲作等中心に農作物に大きな被害が発生しました。十月十八日現在までに県から報告を受けております状況によりますと、被害総額で二千百四十五億円に達しております。作目別では、水稲が全体の約七〇%の千五百十七億、次いで野菜が三百四十五億、果樹が八十八億、飼料作物が六十億というふうになっております。それから、県別に見ますと、宮城県が最も大きくて五百億円、次いで福島県が四百九十五億円というふうな状況でございます。  これら被害に対しまして、農林水産省といたしまして現下の厳しい農業情勢の中、被災農家の経営の安定を図るため、これまで既に農業共済損害評価適正実施早期支払い借入制度資金償還条件の緩和、水稲等次期作用の種子あるいは越冬用飼料確保、また農林水産関係公共事業実施に当たって雇用確保等の指導を行っているところでございます。  今後、さらに被害状況早期的確な把握に努めますとともに、実施可能な対策につきましてできるだけ早く適切な措置が行えるよう対策に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  7. 村沢牧

    村沢牧君 そのような被害で、稲作作況指数はどのぐらいになるというふうに思いますか。  それから、今回の被害東北のみならず、私の県の長野県などにおいても冷害地中心として非常に大きい。今説明のあった政府対策は、従来講じてきたような対策とほとんど同じだけれども、今回の被害にかんがみて何か特別な対策を講じようとすることがあるのかどうか、その点について。
  8. 鶴岡俊彦

    政府委員鶴岡俊彦君) 作況でございますけれども、十月十五日付で最終的に取りまとめておる段階でございまして、今私どもが持っております作況は九月十五日現在でございます。それによりますと平均で九八ということになっております。十月十五日現在の作況につきましてできるだけ早く取りまとめて、また御報告申し上げたいというふうに思っておるわけでございます。  それから、災害対策につきましては、従来からの災害の経験にかんがみまして各種制度とも整った制度がとられておりまして、私ども今次災害におきましても、それらの制度を極力活用して対応していきたいというふうに思っております。
  9. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、その対策について、例えば天災融資法だとか、激甚地指定あるいは自創資金関係等について早期発動してもらいたいという要請があるんですけれども、そのめど、スケジュール等についてどのように考えていますか。
  10. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 天災融資法あるいは激甚災害法発動につきましては、それぞれの法律に基づきまして、政令によって具体的な災害を指定して発動をするということになっておることは御案内のとおりでございます。先ほど総務審議官の方から御報告申し上げましたように、十月十五日現在の被害状況を早急に取りまとめるということで作業をやっておるわけでございますが、その結果に基づいてできるだけ迅速な発動ができるように、私どもは目下準備を進めているところでございます。具体的な日取りについては、現時点でまだ定かにいついつということを申し上げることは困難でございますが、一日も早く災害の的確な状況を把握した上で迅速な対応ができるように、政令発動に遺憾のないように対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  11. 村沢牧

    村沢牧君 大臣大臣災害激甚地現地調査したようであるけれども、いろいろと要請も受けているというふうに思いますが、今説明のあったような諸制度については早急に取り組んで、被害農家をひとつ救済してもらいたいというように思いますが、大臣決意について。
  12. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) このたびの異常気象による被害というもの、まことに甚大なものがあると承知をいたしております。現地での要望あるいは各党から御要請のあったこと、あるいは地方関係行政議会筋からも要請があった一番大きな問題は、やはり強い要請天災融資法早期発動、それから激甚災地域指定、この二つが一番大きゅうございます。私といたしましては、天災融資法発動は早々にやらなければならぬ、また激甚指定の問題については窓口国土庁でございますけれども国土庁窓口として判断するに足る素材は即刻提供をすることについて遺漏のないようにしたい、あわせて早期対応をしたいという言葉をもって竹下総理も本会議等を通じて答えておられますし、私自身もまたそういうことでそれぞれにお答えを申し上げておるわけでございます。  天災融資法発動をいたしますについても、実は具体的な財政当局の詰めを実務的にやらせなければなりません。それには、どの程度資金需要があるのかというようなことは、やはり現地から上げてもらいたいということで、先般も、ごく最近でございますけれども東北五県の知事さんがお見えになったときも、あるいは各党から御要請のあったときもひとつ御協力願いたい、現地大変お忙しいだろうけれども早くひとつまとめてくれ、それによって早急に対応したいということなんで、早急に対応したいということは早期発動をするあるいは地域指定をする、こういうことに当然つながるわけでございますので、そういう意味を込めてお願いもいたしておるところでございます。従来もいろいろな手数がかかっておりますけれども、それを乗り越えてさらに早急にやることができるかどうか、それも含めてひとつ御協力を願いたいと心のうちを申し上げておるわけでございます。  以上でございます。
  13. 村沢牧

    村沢牧君 冷害については、これから同僚議員からも質問もあろうというふうに思いますので、私はこの程度にとどめておきまして、これから米問題に関連をして質問しますが、本論に入る前に次の事柄について数字でもって説明してください。  農業基本法制定当時と比較した農産物輸入数量指数、最近年度における食用農産物輸入数量及び金額農産物輸入に対する米国シェア、総輸入額に占める農産物輸入割合推移食用農産物及び穀物自給率推移説明してください。
  14. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 農産物輸入数量指数あるいは金額についてのお尋ねにつきまして、私の方からお答えを申し上げます。  まず、農産物輸入数量指数でございますが、農業基本法制定された時点と比較して最近はどうかという御質問でございます。農業基本法昭和三十六年に制定されたわけでございますが、統計の都合上、昭和三十五年を基準年次に使わせていただきますと、昭和三十五年の我が国世界からの農産物輸入数量を一〇〇といたしまして、昭和五十五年にはそれが五四〇・五、約五・四倍に膨れたわけでございます。さらに昭和六十二年になりますと、それが七六一・一と約七・六倍、基本法制定当時に比べて我が国世界からの農産物数量がそれだけ拡大したわけでございます。  それから、輸入金額でございますが、昭和六十二年の我が国農産物輸入金額ドルベースで見ますと二百十一億ドルになっているわけでございます。このうち、アメリカからの輸入額について見ますと七十三億ドルでございまして、三四・七%が我が国農産物輸入のうちアメリカから輸入しているもののウエートになるわけでございます。また、主な農産物輸入について見ますと、穀物あるいは大豆といったものが我が国農産物輸入主力産物でございますが、トウモロコシにつきましては千六百五十万トン、アメリカからそのうち七七・七%が輸入されております。大豆につきましては四百八十万トン、アメリカからが八六%程度、小麦につきましても五百四十八万トンで、アメリカから五六・七%の輸入シェアになっておるわけでございます。  それから、総輸入額に占める我が国農産物輸入額ウエートを見てみますと、昭和三十五年には我が国の総輸入額に占める農産物輸入額ウエートは三八・五%ございましたが、最近時点昭和六十二年度を見ますとそれが一四・一%に低下をしてきております。ちなみに、農産物以外の水産物あるいは林産物も含めますと、我が国の全体の輸入に占めるこれらの一次産品の輸入は約二五%を占めているわけでございます。
  15. 浜口義曠

    政府委員浜口義曠君) ただいま先生御質問の、食用農産物及び穀物自給率推移についてお答え申し上げます。  食用農産物総合自給率でございますが、先ほどの数字と合わせて三十五年の数字から申し上げますと九〇%でございますが、これが徐々に低下をいたしまして五十五年には七二%、公表されております最新年度の六十一年度には七〇%という数字になっておるところでございます。一方、飼料用を含めました穀物全体の自給率でございますが、昭和三十五年の八二%から五十五年には三三%へと低下をいたしておりまして、その後、ほぼ横ばいで推移しております。六十一年度には三一%になっております。
  16. 村沢牧

    村沢牧君 今答弁があったように、我が国は年とともに農産物輸入が増大をしてきた。 そして、今世界最大農産物輸入国となり、輸入に占める米国シェアが非常に大きい。輸入の増加につれて食糧自給率低下して、これは先進諸国最低自給率になってしまった。大臣農基法制定以来三十年近くなるけれども、この一事をもってしても農基法精神、目的とは大変に逸脱しており、それによって農民も大変苦しんでいるわけなんです。  そこで大臣は、農基法精神に照らして今の農業現状をどういうふうに見るのか、今まで進めてきた自民党農政についてどういう反省をしておるのか、それからこのように自給率低下して我が国の将来への食糧安全確保について不安はないのか。農業白書では、世界食糧事情は中長期的に楽観を許さないものがあるとみずから皆さん方は指摘をしておるんですけれども、これ以上輸入をふやして食糧自給率を下げるわけにはいかないではないか、どのようにお考えになりますか。
  17. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) おっしゃるように農業基本法、その法の精神に照らして具体的な政策というものが整合し、そして全く不安はないか、不満はないかということになりますと、私自身率直に申し上げて内心じくじたるものがございます。 そういう中にあって、食糧安保あるいは農業の将来展望から考えますと、今先生おっしゃるように、国際的には世界中長期的食糧展望をいたしたときに、一部では過剰過剰という声も大きくなっておりますけれども、部分的には極めて不足地域もあり、その将来は不安定であるということを私自身も率直に申し上げてきたところでございます。  そういうことから考えますと食糧自給率は、今おっしゃられるように、これ以上下がっていいのかと言われますれば、全くそのとおりこれ以上下がってはならぬと、こういうことで全力を挙げておるところでございます。もちろん、背景として食生活の変貌あるいは人口年齢構造等々いろいろ変化はございます。ございますけれども、一口に言えば、私は政治行政責任である、こう考えておりまして、重ねて申し上げますが、内心じくじたるものがある。たまたま私が食糧関係についての責任ある立場におりますので、何としても私自身が、そういう自給率の問題についても農業基本法精神を忘れずに、ひとつ実務的な督励をいたしてきたところでありますし、これからもそのように考えてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  18. 村沢牧

    村沢牧君 去る九月十四日、米国全米精米業者協会日本市場開放について通商代表部提訴を行った。十品目牛肉オレンジ、次々に自由化を持ち込まれて最後のとりでとなった米まで自由化要求するということは、これは日本の国民として全く憤慨にたえない。たとえそれがRMA提訴にいたしましても、このような米国国内の動向に対して大臣はどういう感じを持っていますか。  それからまた、RMA提訴した背景についてはどのように理解していますか。
  19. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) RMA提訴背景ということになりますと、今までの経緯を考えまして申し上げなければなりません。このたびの提訴は、まさに再提訴でございます。一昨年提訴が行われました。その前からも、いろんな場において米の自由化等も含めた自由化問題というのがございました。さかのぼれば、牛・かん等につきましても、農産物全般について言えば二十年前のケネディ・ラウンド、関税交渉、それにさかのぼるわけでございます。中間的に言えば、十一年前の中川・ストラウス会談、このこともあるわけでございます。そういう一連自由化要請、その中にあっていよいよ問題が難しくなっております。それは、私自身は正直申し上げて他国の選挙のことについて触れたくはございません。 その前提だけはしっかり申し上げておきたいと思います。 公の立場でございますから。  しかし、事実報道されておるように、アメリカで四年に一回の大変な選挙がある。その選挙に、また米の問題が関連をして報道されておることは事実でございます。そういうことはいかがなものかなと、私はそういう感想を持っております。  そういう中にあって、USTRがこのたびの再提訴却下してくれればいいがなということであらゆる手だてを、全部申し上げるわけにはまいりません、まさに外交交渉一連関係でございますから。じゃ、だれとだれをパイプにしてどうしてああしたとか、そういうことを申し上げる状況にはございません。ございませんが、あらゆる手だてを講じて却下を強く要請しておる。その中にあって今ぎりぎりのときであります。私の発言が、一粒も入れないと言ったとかどうだとか、もう一つ一つ言葉をワシントンで報ぜられる。そのことが、また日米関係に影響をするというようなことを考えますと、殊のほか慎重になるということでございまして、私は従来の経緯を含めて冷静厳格にこれに対応している、こう申し上げておるわけでございます。一日も早い却下が実りますよう、心の底から念じておる次第でございます。  残余のことにつきましては、足らざるところがあれば食糧庁長官等からお答えをさせていただきたいと思っております。
  20. 村沢牧

    村沢牧君 私は、今の大臣答弁にあるいはその政治姿勢に納得しないんです。あなたは、これからいろいろ交渉があるから、この場ではいろいろ言えないという話だけれども日本の国がどういう決意を持っているんだ、気持ちを持っているんだ、そのことはやっぱり内外ともに明らかにしなければいけないのではないのか。委員会でなぜ言えないか。以下質問しますからそんな態度じゃ困る。それでは納得しませんから。  そこで、だんだん進めてまいりますけれども、今はRMA提訴で全く翻弄されている。 米の市場を開放せよという要求は、ひとりRMAに限らずアメリカ国内には一貫してある。あるいはケアンズ・グループ等についてもそういう要求がある。こういうことはお認めになりますか。
  21. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 私、先ほどお答えをいたしました補足からお答えをさせていただきたいと思います。  私は、竹下総理とともに、国会会議において米を自給する方針に変わりはない、こう申し上げてきたのでございまして、決してこの委員会を軽視するわけではございませんが、それは変わらないことでございますので、その姿勢を持ってウルグアイ・ラウンドにおいては、いずれの国々もいろんな困難な問題を今おっしゃるように抱えてまいりました。それがいろいろ言われております。その中にあって私どもは、日本の国として孤立をしてはならない、しかし我々の食糧政策は貫かなければならぬ、この二面からの基本的な考え方を持ってウルグアイ・ラウンドにおいて協議をすることはやぶさかではない、こう申し上げてきたわけでございます。  私の前任者からそうでございますが、前任者といわずも私自身、その当時からそう思っておったわけでございまして、ウルグアイ・ラウンドにおいて議論すべきことを今直ちにどうだこうだと言われても、それ以上もそれ以下のコメントもない、こう内外に答えておるところでございます。
  22. 村沢牧

    村沢牧君 ウルグアイ・ラウンドでどんな協議をしようなんということを私は質問しているわけじゃない。日本政府農林水産大臣としての決意態度を私はこれから聞こうとしているんです。  そこで、総理も農相も今お話がありましたように、国会決議を踏まえて米は国内生産で自給していく、こういう基本方針で対処していく、そういうことをたびたび述べておられる。政府国会決議を尊重して行財政を運用することは当然のことであるけれども農業問題に関しては国会決議が従来軽視をされてきた。私は一々ここで申し上げませんけれども、本院委員会並びに本会議でもって、例えば自由化の問題についても自給率向上の問題についても何回か決議をしている。しかし、結果というのはどうだ、十二品目牛肉オレンジ、すべて国会決議を踏みにじられているのではないか。  そこで、大臣に聞くけれども、米問題についてはあなたは政治生命をかけても国会決議を尊重して遺憾なきを期していく、そういう決意をお持ちですか。
  23. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 委員会でのお答えも重要でございますし、本会議での私ども答弁もまた重要でございます。いずれにしても、国会の場における私自身が申し上げてきたことに責任を持つのは当然でございます。改めて申し上げますが、先般参議院本会議で御決議をいただいた際、政府を代表して私が所信を申し述べました。   我が国において格別に重要な地位を占める米及び稲作について、現在生産者の多大な努力により、消費者の御理解と御支援を得ながら、需給均衡努力合理化努力を懸命に行っているところであります。   政府といたしましては、このような情勢を踏まえ、ただいま採択されました御決議の趣旨を体し、遺憾のないよう対処してまいりたいというこ とを申し上げ、なおかつ先ほどの質問に触れておきますが、米を自給する方針に変わりなしとしばしば答弁を申し上げておるところでございます。それを信じていただきたい。
  24. 村沢牧

    村沢牧君 国会決議を尊重することは当然のことだ、改めて申し上げません。  そこで、外務政務次官出席しておりますが、外務省としても国会決議を尊重して決議に沿った外交交渉を進めていく、これも当然ですが、よろしいですね。
  25. 浜田卓二郎

    政府委員浜田卓二郎君) それはもう当然でありまして、我々も国会決議を十分に踏まえて対処していきたい、また従来も対処をしてきたということを申し上げたいと思います。
  26. 村沢牧

    村沢牧君 米に関する国会決議で、参議院は衆議院よりより強い態度を表明している。大臣、御承知ですか。
  27. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 決議は読ませていただいております。承知をいたしております。
  28. 村沢牧

    村沢牧君 承知をしているなら、どういう強い態度か言ってください。
  29. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) それは完全自給の話じゃないですか、私間違ったらいけませんから。しかし、私はお聞きをする立場にはございません、答える立場にございますから、私はこれ以上申し上げませんけれども完全自給のことをおっしゃっておるのかな、感じを申し上げておきます。
  30. 村沢牧

    村沢牧君 そうです。参議院は米の完全自給決議している。昭和五十九年、百一国会で参議院本会議決議は、米については「国内生産による完全自給方針を堅持する」、こういうふうになっており、それを受けて先般九月二十一日の本院本会議の米の自由化反対に関する決議では、「米の完全自給を図るため、」云々となっているんです。大臣承知のとおりであります。参議院が米の完全自給決議した理由について、当時の関係者として申し上げたいというふうに思うのであります。  国内では米の大幅減反を進めている中で、米が足らなくなり韓国から輸入するという異常事態になった昭和五十九年、農業団体や我が党はこの政治責任を徹底的に追及して、本院では農林水産委員会中心に、特に百一国会、六月二十五日の当委員会では中曽根総理出席を求めて議論しました。私も農林水産委員会関係して十年以上たちますが、総理が当委員会に出たということは、私の知っている限りにおいてはこれが初めてなんであります。  こうした中で、当時の山村新治郎農林水産大臣は私の質問に対して、今後は加工米といえども輸入はいたしません、こういう答弁をしており、中曽根総理もそのことを認めているんです。完全自給という文字は、これを入れるかどうかについては農水省は非常に抵抗した。しかし、委員会の議論と時の大臣決意を踏まえて米の完全自給という表現になったのです。しかし、沖縄のしょうちゅう原料米等については、以前から続いているのだからこれは別問題だということも、その当時の決議をされるときに話し合いがされております。こうした経過があります。国会決議を尊重すると言うならば、主食はもとより加工米といえども輸入してはならない、このことについて改めて農林水産大臣の見解を求めます。
  31. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 完全自給という字義について、完全という言葉の字義について、私よりも見識のある実務者がおれば補足をしてもらいたいと思っております。それをまずあらかじめ御了承を得ておきたいと思います。  今、沖縄の話も出ましたけれども、かつて韓国にお貸しをした米を返していただきたい……
  32. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、きょう私時間がありませんからそんなことはいいんですよ。私の質問に答えてください。
  33. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) いやこれも、おっしゃられますけれども、ちょっと丁寧に答えさしていただきたいと思います。申しわけありません。
  34. 村沢牧

    村沢牧君 いいですよ。そんな沖縄のことを聞いているわけじゃないんです。ただし、沖縄もこういうことがあったと申し上げたきりなんです。
  35. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) しかも、国会決議の所信表明にも申し上げているように、消費者の御理解もいただきながら、お互いが自覚を持って完全なものにしていこうという努力を重ねておるときでございます。そういうときに完全という字義がどのように反応するかいささか危惧をいたしております。それには、沖縄の問題もありますけれども、やはり自然現象、第一次産業、平たく言えばおてんとうさま次第、こういう中にあって、しかしそういう中にあっても、二度と再びよその国の米に頼らざるを得ないなんてことがあってはならぬのだという願いを込めて努力をしておるということを申し上げておきたいと思います。
  36. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、私はそんなことを聞いているんじゃないんです。こういう決議がある。経過はこうだ。ここに私は議事録を持っております。だから、この決議を踏まえて、私が今言ったようなことを大臣として責任を持って履行すべきだ。完全自給という意味はそうなんです。この会議録を全部読んでいる時間はありませんけれども、それについてはどういうふうに考えますか。
  37. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) ただいま申し上げたとおり、国民全体に、私どもは自給する方針ということを堅持しておるわけでございまして、いささかも誤解のないように私どもは、自給について私は間違いのないように取り運んでまいりたい、こう思っております。
  38. 村沢牧

    村沢牧君 この国会決議を尊重するかどうか、そのことを答えてください。
  39. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 先ほどから申し上げておりますように、国会での御決議は重いものだと思っております、それは本会議であれ委員会であれ。こう申し上げておるわけでございます。それを尊重するのは当然のことでございます。
  40. 村沢牧

    村沢牧君 委員会でも本会議でも同じだけれども、これは本会議決議なんですよ。そのことを承知しておいてください。  そこで、今回のRMA提訴でも、日本政府が四年以内に国内需要の一〇%分の米を輸入せよという内容になっている。あるいはケアンズ・グループも一九八九年には国内需要の三%、一九九〇年には三・三%の最低限度の輸入を認めよ、こういう提言もしておる。ごくわずかな輸入であっても結局は自由化の第一歩になることは大臣承知のとおりです。したがって、政府は毅然たる態度をとって、この完全自給という国会決議を尊重するならば、たとえわずかな輸入たりとも認めてはならない。大臣決意を改めて伺います。
  41. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 重ねて申し上げますが、米を自給する方針に変わりはございません。RMA提訴については強く却下要請しておるところでございます。
  42. 村沢牧

    村沢牧君 政府は毅然たる態度をとって、たとえわずかな米なりとも輸入はしない、その決意を聞きたいんです。
  43. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 自給する方針でございますから、それでもうおわかりいただけると思っております。強く却下要請しておるところでございます。
  44. 村沢牧

    村沢牧君 そのことは、私の申し上げたことについて大臣がそういう決意だということは、結局的に言うならば、米はさっき大臣がいみじくも言っておったように一粒たりとも輸入しないということにつながってくる。大臣はそういうことを言えないと言ったんだけれども、そのことにつながってくるのですよ。そういう決意を、米は輸入いたしません、一粒たりとも輸入しません、その決意を当委員会でまた内外に明らかにしてください。
  45. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) ニューラウンドの場において、それぞれの国が困難な問題をひとつまないたの上に上げて議論をしよう、日本もそれでどうだ、こういう話し合いの中で議論をすることはやぶさかではない、こういうことを申し上げてきたわけでございます。その前にああだこうだと言うことは、また誤解に誤解を重ねる結果になりますから、それ以上もそれ以下のこともないと先ほども申し上げたとおりでございます。
  46. 村沢牧

    村沢牧君 ウルグアイ・ラウンドでどういう議論をしようと私は聞いているんじゃないですよ。日本国としての決意態度をこの委員会で明らかにしてください。もしあなたがそんなことを言っておったら、この決議会議録でもう一回やりましょうか。ちょっと休憩して読んでください。
  47. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) ウルグアイ・ラウンド、ニューラウンドで議論をすることはやぶさかではないと、こう申し上げておるのでございますから、その前にアメリカとどうだということは考えておりません。であればこそ却下を強く要請しておる、こういうことでございます。
  48. 村沢牧

    村沢牧君 私は、そのことを聞いているんではない。米は輸入しないという決意を、政府の統一見解をここの場で明らかにしてくださいと、それがなぜできないんですか。
  49. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 米は輸入をしようとは思っていないから自給をする方針に変わりはない、こう申し上げておるのでございます。
  50. 村沢牧

    村沢牧君 議論がかみ合いませんけれども、まだ大臣は本院本会議決議した完全自給ということについて正確に理解しておらない。完全自給ということはそれまでの経過、私もその決議に加わっているんですよ、起草に加わっている。だから大臣答弁には納得できない。 完全自給というのは、加工米といえどもあるいはその他の米であっても絶対に輸入いたしません、この議論があって、そのことを踏まえて決議をしているんです。完全自給というのは米は一粒たりとも輸入しませんよと、そういうことなんだ。ですから、そのことについて大臣決意を聞いているんです。
  51. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 再々申し上げておりますように、先ほどもまた申し上げましたように、米を輸入するという気はないのでございますから米を自給する方針に変わりなしと、こう申し上げておるのでございます。  RMA提訴の問題についてはウルグアイ・ラウンドで議論をするということで、その取り扱いが意見の一致を見ておるのでありますから、その前に日米間と話し合う気はない。しかし、向こうは提訴アメリカ政府RMAはしてきた、そういうものは取り下げてくださいと強く要請をしておる、こういうことをまとめて申し上げておるわけでございます。
  52. 村沢牧

    村沢牧君 だめだ、そんな答弁じゃ。できない、だめですよ。国会決議を聞いているんです。  そこで、先ほどウルグアイ・ラウンドのことを言っているんですけれども大臣はこのウルグアイ・ラウンド、米市場の参入も含めて多国間交渉で検討しようとしているんですか。
  53. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 各国が、今までの経緯の中で困難な問題を抱えてきた、そのことをこの国際化の中でいろいろ検討しよう。 そして、ガットのルールもいささか今日の実態に合うのかどうか、合わない部分もあるのではないか、そういう意味においては新しいルールづくりということにもなるのではないか、その際は我が方も議論をすることにやぶさかではない、こう申し上げておるわげでございます。だから、その中に米もあれば何もあればいろんなものが入っておると想定されて結構でございます。
  54. 村沢牧

    村沢牧君 我が国が、米は輸入する気持ちはさらさらないということならば、日本の米市場へ参入も含めて多国間で検討しよう、そういう考え方、言い方はおかしいんじゃないですか。
  55. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 私は、参入を含めて検討しようなんて言うておらぬのでございます。
  56. 村沢牧

    村沢牧君 わかりました。  それでは、参入を含めて検討するなんということは大臣は考えていない、こういうことですか。
  57. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 先ほど来申し上げているとおりでございます。
  58. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、農林水産大臣は米の参入も含めて検討するなんということは考えていないと、こう言う。  浜田外務政務次官、あなたは先ほどのガットの非公式閣僚会議で、米の市場への参入も含めてガットの場で協議をするということを表明したそうであります。また、日本の米市場への参入の検討を回避しないと、こういうことを言われたそうでありますけれども、このことは、日本政府に米を自由化する用意があるということになるのではないか。あなたはそういう気持ちで言わぬとしても、これを聞いた内外では、日本にそういう気持ちがあるんだという印象を与えたことは事実なんです。  それで、あなたは新聞のインタビューで米は逃げの論理ではだめだと言っている。日本政府に米を輸入しないという確固たる方針があるならば、諸外国に理解を求めてその方針外交交渉でつなげていく、そういうことを展開すべきであると思うんですが、これは決して逃げの論理ではない。農林水産大臣の今の発言とあなたが先ほど発言した内容とは随分食い違っている。どういうことなんですか。
  59. 浜田卓二郎

    政府委員浜田卓二郎君) 私が、今度のイスラマバード会議出席をして発言した趣旨を問われているわけでありますが、これは農林省、農林大臣、当然のことながら十分協議して出席をし、かつ発言をしているわけでありますから、私どもは食い違いは全く農林省とないというふうに思っております。  私が申し上げた真意は、我が国の場合は米を考えているわけでありますが、基礎的食糧という新しい概念を提出しているわけでありまして、これを国際的な農業取引のルールの中にきちんと認めさせたい、特別な扱いをもって認めさせたいというのが私どもの今考えている真意であります。これを国際的ル丁ルの中で議論していく場合に、それはアクセスの問題というものが出てくることは予想されるわけでありますから、議論の入り口としてその問題を避けて通るつもりはない。 つまり、これから基礎的食糧の国際的取引ルールについて十分協議をしていこうと、そういう意思表示でありまして、いわば米を含めた農業取引のルールづくりというものが本格的にウルグアイ・ラウンドの場に入ってきたということを意味するわけであります。  私が、逃げの論理ではだめだと言った趣旨は、ちょっと今委員御指摘の点とは違うわけでありまして、つまり今議題になっておりますように、RMA提訴という問題があります。ですから、これを従来の経緯からして我々は日米二国間で協議して決めるということではなくて、ウルグアイ・ラウンドのルールづくりの場で協議すべきである、そういう了解に達しているわけでありますから、それを前提とした発言でありまして、つまりUSTRに却下をしてもらいたいという、そういう願いだけで基礎的食糧という議論をあるいはまたウルグアイ・ラウンドという場を言っているわけではなくて、まさに本格的な農業のルールづくりをやる。その中にきちんと米の特殊性というものを入れ込んでいく、それが長期的に見て我が国の利益になるものである。そういう考えのもとに、このインタビューに対して逃げの論理で我々は議論をしているわけではないんだということを申し上げた経緯であります。  以上です。
  60. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、今新ラウンドでいろいろ検討しようということでありますけれども日本がいかに自国の特殊性を踏まえて論理を展開しても、従来のように大国の論理がまかり通っている、これでは結局新ラウンドへ持ち込んでも日本の主張は通らない。そうして、そうなれば新ラウンドで対処するということは、新ラウンドで決めた結論には従っていくということになるわけですけれども、そういうことですか。
  61. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 結論がどのように出るかは、私が今の時点で言うべきことではございませんけれども、私どもは整々とした日米間は日米間、ウルグアイ・ラウンドの場においては整々とした我が国方針というものを説明するのは当然のことでございます。これを主張し、貫き通すという気概を持っておるわけでございます。しかし、そのことがまた誤解に誤解を生むというようなことがあってはならない。具体的には提訴却下という問題につながるとするならば、これは私をして必要以上に慎重ならしめる。だから、私は今日の段階においてはそれぞれの歴史的経緯の中で、私どもは私どもとして冷静厳格に対応をしている、こう申し上げておるところでございます。
  62. 村沢牧

    村沢牧君 大臣の今までの発言を聞いておっても極めて、慎重という言葉はいいけれども、慎重しかなくて、自分の決意なりあるいは農林水産省政府全体の統一見解というものについてはっきりしたことを述べておらない。私は、そのような姿勢では日本農業は、農産物はさらに自由化が増大をしてくる。政府のこれまでの、今までの農産物交渉アメリカの圧力に屈して譲歩に譲歩を重ねてきた。そして、輸入枠を拡大するだけでなくて重要農産物自由化まで受け入れてきた。全く受け身一辺倒であります。昨年の日米農産物交渉では、アメリカは米について二国間交渉で決着をつけたいという、こういう提案をしてきた。それで、日本は困るということで、この提案については応じなかった。二国間交渉で米について決着しようとおどかされて、結果的には牛肉オレンジ自由化を認めてしまった。日本には強く当たれば当たるほど必ず折れる、こういう自民党政府の足元を見られ過ぎておるんですよ。こんな弱腰外交で日本農業を守り、食糧の安全確保ができるんですか。農水大臣、どうですか。
  63. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 私が考えておりますことは、いろいろ申し上げてまいりましたけれども、私自身は、私が今とっておる姿勢方針、それについて自信も持たなければなりません、責任も持たなければなりません。従来とも農政審報告のその線に沿ってと申し上げてまいりましたけれども、議員御指摘のように、昨年来十二品目これあり、牛・かんこれあり——牛・かんについては米との連動問題ではなくて二十年来にわたる懸案であったということも考えながら、私どもはいろいろな検討をしてまいりました。そういう中にあって、私ども自身責任を持たねばならぬということで議論を進めておるわけでございますから、それを、まあそうはいってもおまえそれでやり通せるのかと言われれば、私はやり通さねばならぬと心得ておる、こう申し上げているんです。
  64. 村沢牧

    村沢牧君 政務次官、どうですか。
  65. 浜田卓二郎

    政府委員浜田卓二郎君) 私どもは、今委員御指摘のようにやられっ放しという感じは持っていないわけでありまして、例えば今話題になりました牛肉・かんきつの問題等につきましても、農林水産大臣を先頭にして政府一体になって米国当局と粘り強い交渉を展開してきたわけでありまして、当然のことながら、自由化の時期あるいは国境措置等につきまして米国の相当の譲歩もかち取った上で、いわば米国と共同して決着をしたという経緯だというふうに私どもは申し上げられると思うわけであります。いずれの問題につきましても、農産品が国内において占めている重要な位置づけ、と同時に我が国自体が国際的に置かれている位置づけ、そういうものを総合勘案しながら、政策当局である農林省とそしてまた直接折衝に当たる外務省と十分な協議を行いつつ当たっているわけであります。  今回の米を含めた問題につきましても、我々はむしろ基礎的食糧ということで、きちんと国際的ルールの中にそういうものを入れていくことが、むしろ長期的に見て我が国農業あるいはまた国民生活全体にとってプラスであるという考えのもとに、鋭意米の特殊性というのを踏まえたルールづくりを国際会議の場で議論しているということでございます。
  66. 村沢牧

    村沢牧君 それで、米は二国間では協議をしない、ウルグアイ・ラウンド協議をしましょうということが日米両政府の了解事項だ、そういうことを言われているんですけれども、そういう了解事項があるならばアメリカ政府は、今のRMA提訴について直ちに却下をすべきではないか、それがなぜ却下をしないのか、なぜできないのか。それについてはどういうふうに判断しますか。
  67. 浜田卓二郎

    政府委員浜田卓二郎君) 既に、佐藤農林水産大臣から御答弁のあったとおりでありますが、私の方から若干補足的な意味合いも含めてお答えをしたいと思います。  米を二国間の協議でやらないという国際的な、正式な約束というのはこれはないわけであります。しかし、本年六月二十日に牛肉・かんきつ交渉で来日したヤイター通商代表と佐藤農水大臣との間に、さらに七月十九日に東京における日米外相会議の席上での宇野大臣とシュルツ国務長官との間のやりとりの中で、米問題は二国間ではなくウルグアイ・ラウンドで議論することが適当だということを口頭で確認し合っているわけであります。そういう意味におきましては、こういう経過に照らせば今委員の言われたような了解があるというふうに申し上げられるわけです。  しからば、なぜすぐ却下をしないのかという御質問でありますが、御承知のようにRMA提訴があったわけでありまして、通商法三〇一条における米国内の手続というものが当然のこととして出てくるわけであります。しかも、それが来るべき大統領選挙をにらんだ形で行われているわけでありまして、通商代表部としてもそういった微妙な、政治的な配慮というものが必要とならざるを得ない。そういうことでありますので、この問題の政治的な性格について、通商代表部の方で慎重に今検討がなされているというふうに我々は理解をしているわけであります。  そして、我々はこれに対して今までの経緯を踏まえてウルグアイ・ラウンドの場で議論をしていくべきである。我々は、そういう真剣な態度ウルグアイ・ラウンドに臨んでいるのであるから当然却下すべきであるという強い要請を、今政府挙げて米国当局に対して行っているという経緯でございます。
  68. 村沢牧

    村沢牧君 今の答弁を聞いていれば、米は日米二国間でやろう、決して確たる了解事項でもないんだと。そうなればこれから、きょうあたりからまた日米の事務レベル協議の話もあるであろうけれども、そこでまた要求をされてくる。そうすると、今までの政治姿勢で言うとウルグアイ。ラウンドでやりましょう、それだけでは済まされない。そうすると、何らかのまた譲歩をそこで出してくる。例えば、今政務次官が言ったように、米の市場参入も含めて検討しましょうと、そんなことをまたアメリカとこれから話をするんじゃないですか。そんなことがあっては絶対にいけないんですけれども。そこでまた一歩譲る、そして次のウルグアイ・ラウンドへ持ち込む。今までの日本政府はそういう態度だった。そんなことはありませんか。
  69. 浜田卓二郎

    政府委員浜田卓二郎君) 今委員の御質問の点、一つ訂正をさしていただきますが、参入を含めて議論しましょうと言っているわけではありませんで、基礎的食糧を議論する際には、他国の持っている困難な農業問題と同じ土俵で、かつ参入の問題を回避しないということを言っているわけでありまして、つまりそれは、これから全体として議論をしていく当然の前提を言っているということでありますので、その辺非常に微妙な点でありますからあえて申し上げたいと思います。
  70. 村沢牧

    村沢牧君 私が今質問したことは、政務次官、日米で米の問題は当然協議をする、そこでまた何かの口実を与えてウルグアイ・ラウンドへ持ち込まれるということ。今までの経緯を見ていると非常に心配になってくるんです。日本政府はそのぐらい弱腰なんですよ、外交姿勢ね。そういう心配はないのかどうか。
  71. 浜田卓二郎

    政府委員浜田卓二郎君) 私は、逃げの論理ではだめだということをインタビューで答えた真意は、まさに二国間でずるずるとやるよりは、むしろ積極的に国際的取引ルールの中に米というものを位置づける、そういうことがよろしいのではないかという個人的な考えに基づいて申し上げたわけであります。私どもは米について、そしてまたそれは米を含む基礎的食糧という概念を提出しているわけでありますが、これについての特殊性というものを十分ルールの中に実現していかなければいけない。そういう不退転の決意をもって臨んでいるということを申し上げたいと思います。
  72. 村沢牧

    村沢牧君 いずれにしても、日米間にしても、ウルグアイ・ラウンドにしても日本政府姿勢というのは、大臣も先ほど来遠回しの答弁をしているけれども、やっぱりはっきりしなくちゃ米問題については特にこれから強い交渉はできないと思う。  大臣、またくどいようだけれども、先ほど申しました国会決議参議院決議を本当に尊重するのかどうか。またそのことへ戻ってくるでしょう、今までの答弁を聞いておっても。もっと明快に答弁してください、輸入をしないことはわかっている。国会決議は、参議院決議輸入をしないことはわかっているけれども、それ以上一歩出たものである。答弁してください。
  73. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 先ほど来から申し上げていることに私は責任を持ちたいと思っております。持ちます。  重ねての御質問でございますが、国会決議は尊重するのか、尊重をいたします。当然のことである。私先ほども、このことも申し上げたとおりでございます。  なお、先ほど来承っておりますと弱腰だ、弱腰だとこう言われる。その批判は、結果論についての批判は私は避けようとはいたしません。しかし、弱腰でないつもりでやっておる我が方に対して御支援、御協力を願いたい。ここでの議論は直ちにワシントンに通ずることでもあり、おまえはだめなんだ、だめなんだということを言われたのでは、私の方のまた迫力も鈍ると言っては大変言い過ぎかもしれませんけれども、どうか御支援をいただきたい、心からお願いを申し上げます。
  74. 村沢牧

    村沢牧君 最後になりますが、私は今大臣が言われたように、ここでの論議はワシントンに通ずるから、あなたははっきりした答弁をしなさいということなんだ。我々も日本政府日本農業、米の現状の中からこの日本農業、米を守っていこうという立場に立って申し上げているんです。日本社会党も、衆参両院議員の署名を持ってこの提訴却下してくださいということでアメリカ政府にも言っているんです。ですから、そういう立場であるから余計あなたがこの国会委員会の場において、日本は、米は先ほど申しましたように一粒たりとも輸入をしません、こういう国会決議がございます。農林水産大臣として当然のことながらこの国会決議に従ってやりますと、そのことを明らかにしてもらいたいんです。幾ら言ってもあなたははっきりしたことを言わないけれども
  75. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 同じことを言ってもなかなか信頼していただけないようでございますので、変わった事実関係を一言だけ申し上げておきます。  RMA提訴、強く却下要請する、そのことに、ついて農林水産省の私の部屋にマンスフィールド大使閣下に先般おいでをいただきまして、その際に今までの経緯説明し、全くそのとおりであるということで大使閣下は申されました。熱意を持って日本の文化的、宗教的——宗教的という意味は私には解説する能力はございません。これは別といたしまして、とにかく熱意を持って政府却下するよう本国政府に伝えます、こう言われているのでありますから、そのことだけをつけ加えておきます。
  76. 一井淳治

    ○一井淳治君 そういうことで国会決議は完全に、厳重に守ってもらわなきゃいけないというふうに思いますけれども、これを今後どのように大臣、これを実現していくのか。特に新ラウンドにおいてどのように対処していかれるのか。その点についてお願いしたいと思います。
  77. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 米の問題をニューラウンドでどのように運ばれていくのか、こういう御質問でございます。私自身は、今までニューラウンドにおいて各国が抱える困難な問題をテーブルの上にのせて、そしてそれぞれが率直な議論をしよう、その議論を避けて通るものではない。その際、整々たる論議をいたしたい、そのためには今、日米間でこの問題を取り扱うというようなことはすべきではない、こう思っております。  なおまた、国会決議等あり、各党からの要請もあり、各団体からの要請もありまた地方それぞれの団体等からも、行政機関等からの要請もあり、私どもはしばしば竹下内閣として申し上げておることは、米を自給する方針に変わりはない、こういうことを明確に申し上げておるわけでございまして、またここでのやりとりがワシントンにどのように反応するか、今までの経緯を考えますと内心じくじたるものがございます。そういう意味では、私はニューラウンドにおける扱い、その中身について、それは今日自給する方針に変わりはないという以上のことも以下のこともない、冷静厳格に対応していく、こう申し上げておるわけでございます。
  78. 一井淳治

    ○一井淳治君 それは当然そうあってしかるべきと思いますけれども、具体的にどのような態度で、どのような方策でいかれるのかということをお尋ねしているわけです。
  79. 甕滋

    政府委員(甕滋君) ただいま大臣からお答え申し上げましたように、ウルグアイ・ラウンドにおきまして米の問題について当方も各国の抱える困難な農業問題あるいは制度について議論を行うのとあわせましてやっていこう、こういう態度をとっておるわけでございまして、その際私どもは、食糧自給率の低い国、輸入国でございますが、この立場から国民生活の維持にとって不可欠な基礎的食糧という概念を持ち出しまして、それにつきましては特別な扱いを認める必要があるといったことで当方の提案を昨年来行っておりますから、この提案を軸にいたしまして全体の論議を進めていく。 その中で、各国の問題と並んで米の問題等についても、その段階段階に応じた論議を進めていきたいというふうに考えております。
  80. 一井淳治

    ○一井淳治君 米の問題を含めてこのニューラウンドでどのように対処されていくのか、もう少し具体的に説明いただけませんでしょうか。
  81. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) ウルグアイ・ラウンドにおきます農産物交渉についての米を含む我が国の全体の取り組みについてのお尋ねだと理解したわけでございますが、これにつきましては昨年の十二月に、我が国の提案をガットの農産物交渉委員会に既に提案をしているわけでございます。その我が国の提案の基本的な考え方を申し上げますと、先ほども質問お答えしたわけでございますが、世界の主要国の中で最も農産物輸入が多い、輸入依存度の非常に高い国である。一方、その反面といたしまして食糧自給率が先進国の中では最も低下しているという、非常に大きな特色といいますか、そういう性格があるわけでございますので、そういった我が国自給率の非常に低下した事態をそれ以上低下させない、しっかり自給率を維持していくということが基本的に大事なことでございますので、そういうことをいかにして確保するかという見地に立っての提案をしているわけでございます。  具体的には、今回の農産物交渉では、単に関税をどうするということだけではございませんで、各国の農業支持政策を全体としてとらえて交渉しようという動きになってきておりますので、私どもといたしましては、農業政策が各国のそれぞれの事情に応じて行われている実態というものが十分尊重されるようなそういった交渉、提案をするという見地から出しているわけでございます。
  82. 一井淳治

    ○一井淳治君 外務政務次官がおられますので、その点について政務次官としての御意見もお聞きしたいと思います。
  83. 浜田卓二郎

    政府委員浜田卓二郎君) 今、農林省当局から御説明申し上げたとおりでありまして、余りつけ加えることはありません。  ただ我々は、日本農業、特にお米の持つ特別な意味合いというものを実は、国際会議の場では、本日村沢先生がおっしゃられたような論理をもっと強く展開しつつ大いに弁じているわけでありまして、もちろん相手国との、多くの国とのやりとりの問題があるわけでありますが、その中で、今農林水産当局からお話を申し上げたとおり、日本の米を含む農業の重要性、特別な扱いが必要であることの必要性というものを粘り強く主張して、これから十二月にモントリオールで中間レビューがあり、さらに今後二年間の議論があるわけでありますから、その中で我が国の主張が十分反映されるように大いに頑張っていきたいということでございます。
  84. 一井淳治

    ○一井淳治君 それでは、外務省の方にはお帰りいただいて結構でございます。御苦労さまでございました。  質問が変わりますけれども、この十日で瀬戸大橋が開通して六カ月目になるわけでございますが、例えば新鮮さが一番大切な野菜などの農産物、四国で言いますと香川県にはイチゴがあり、レタスがあります。また、高知県ではキュウリなどのハウスによる促成栽培をいたしております。そういう農産物の荷動きについて、瀬戸大橋ができたことにより何らかの物流に変化が出ているかどうか。瀬戸大橋が農産物の出荷等について十分に活用されているかどうか。その点につきまして、現在までのありのままの姿というものを簡単で結構でございますから御説明をお願いしたいと思います。
  85. 渡辺武

    政府委員(渡辺武君) お答え申し上げます。  瀬戸大橋の開通によります青果物の流通についての変化があるかどうかという御下問でございますが、橋ができましたことによりまして、御承知のように輸送時間が短縮されるといったようなことあるいは安定的な輸送が、気象条件等に余り影響されないで輸送ができるということで効果が期待されているところでございますけれども、まだ橋が開通いたしまして半年ぐらいしかたっておりません。また、青果物の海を渡る流通は主として四国地域で生産されます青果物が本州の方へ出荷されるという荷動きでございますが、四国地域で生産される青果物は冬、春物が主に海を渡って本州に運ばれるということでございまして、そういう観点もございまして、今までのところ、青果物の流通に橋ができたことによります大きな変化というのは認められない状況にあるわけでございます。今後、この推移につきましては注目してまいりたいと考えておる次第でございます。
  86. 一井淳治

    ○一井淳治君 建設省の方にお尋ねしたいわけでございます。  車について言いますと、最近世間で言われておるところでございますけれども、予想の六割ぐらいしか橋を渡っていない。人の動きの方はかなり見られるけれども、物流の方が予想に比較して非常に少ないということが言われておるわけでございます。予想との比較をしながら利用状況の実情というものについて御説明をお願いしたいというふうに思います。
  87. 松延正義

    説明員(松延正義君) 瀬戸大橋は、本年四日十日に開通したわけでございます。それで、現在の交通量でございますが、八月末までで一日当たり平均一万四千六百台でございまして、予測交通量が一日当たり二万四千九百台でございますので、約六割ということになっております。  それで、この予測と現実の通行台数との主たる乖離の原因でございますけれども、先生御指摘のように、観光バス以外のやはり大型車が少ないということがその原因であろうかというふうに考えております。
  88. 一井淳治

    ○一井淳治君 私どもは、この瀬戸大橋に対して大きな期待を持っておりました。期待といいますのは、四国と本州が一体化して国土の均衡ある発展を図ろう、地域開発を通じまして多極分散型国土の形成を進めていこうという大きな期待を持っておったわけでございます。人の動きはかなりございますけれども、物流がどうもぱっとしない。せっかく大変な予算を投じて瀬戸大橋を架橋したわけでございますけれども、経済効果が半減の状態である。そういった状態が半年後の現在出ておるように思うんです。やはりせっかくの瀬戸大橋ですからこれを生かしていかなきゃいけない。そのためには、営業努力も当然でございますけれども、料金の値下げというものをこの際検討いただかねばならないというふうに思うんですが、そのあたりのことはいかがでございますか。
  89. 松延正義

    説明員(松延正義君) 瀬戸大橋の料金につきましては道路整備特別措置法等、関係法令に基づいて定められております。  確かに、御指摘のような現行の料金が高いという御意見もございますが、瀬戸大橋は瀬戸内海を横断する世界でも類を見ないような大規模なプロジェクトでございまして、その建設に多大の事業費を要しております。それから、瀬戸大橋の供用によりまして本州—四国間の所要時間が著しく短縮されまして天候に左右されずにいつでも利用できる、こういったメリットがございます。また、フェリーとの運賃の比較でございますが、大型トラックについては平均的にフェリーより安くなっておる。それから、乗用車につきましては同乗者が三人おりますとほぼ同じような料金になっておる。こういったことから勘案しまして、現在の料金は妥当なものというふうに考えております。  ただ、利用交通量が予測交通量を下回っている。この原因でございますけれども、これはやはり関連道路網の整備がまだ十分進んでいない、そういうことが一点。さらに、瀬戸大橋を利用する物流システムの整備や、瀬戸大橋の供用により開発される交通の発生、こういうのが、まだなお時間を要するのではなかろうか。ただ、まだ六カ月しかたっておりませんので、今後の推移を見守っていきたいというふうに考えております。  それから、現行の料金につきましては、実はいろんな割引制度がございます。例えば、トラック等につきましては別納回数割引制度、普通車とか軽自動車につきましては回数券割引制度、これは八回で九回乗れるということで一一%引きあるいは往復割引制度、これは一割引きでございます。こういった割引制度がございますので、こういったものが一層活用されるように本四公団の方を指導してまいりたいというふうに考えております。
  90. 一井淳治

    ○一井淳治君 料金の改定が容易でないというのは、私どもも十分理解できるわけでございます。恐らく今のままの状態では年に百億単位で赤字が出るということもあるのじゃないかと思います。そういう意味も含めまして、やはり料金問題の実情はどうか。例えば、フェリーとの比較ということを今言われました。建設省の方がつかんでおられるのは、認可運賃が幾らであるかということはつかんでおられますけれども、現実にフェリーが幾らでトラックを運送しているかということは恐らくつかんでおられないような感じを持っております。  それからまた、中間地方経済連合会が、ことしの六月に経営者の間で調査を行っておりますけれども、経営者の七割が、中・四国においては高速交通体系のおくれが地域活性化の制約になっているというふうな意識を持っておるわけでございます。そういう意味で、料金問題について調査検討をするのがやはり現在の時代の感覚ではないかというように思うんです。すぐに料金改定をどうこうということは言えないかもしれませんけれども、やはり料金問題についての調査検討はもう少しおやりになるということが必要ではないかと思うんですが、その辺はどうでしょうか。
  91. 松延正義

    説明員(松延正義君) 先ほど申し上げましたように、まだ開通後六カ月ぐらいしか経過しておりませんで、料金の見直しは考えておりません。我々としましては、関連道路の整備にかなり努力してきたわけでございますが、まだかなりおくれているということで、むしろこれに全力を挙げることが我々の務めではなかろうかというふうに考えております。
  92. 一井淳治

    ○一井淳治君 関連道路の整備ももちろん必要でございますけれども関連道路の関係で言えば乗用車も大型トラックも同じでございまして、関連道路を整備したから大型トラックが入りやすくなるだろうということにはならないんじゃないかと思いますので、実情を今後ともよく見ていただきたいというふうに思います。  それから、十月七日に建設大臣が道路審議会に「本州四国連絡道路の整備と採算性の確保について」ということで諮問をされておるわけでございます。そういう中で、やはり通行料金の値下げという問題も含めて検討していただきたい、私どもはそういうふうに期待しておるわけですけれども、その点はどうなんでしょうか。
  93. 松延正義

    説明員(松延正義君) 今日七日に道路審議会に対しまして「本州四国連絡道路の整備と採算性の確保について」ということで諮問を行っておりますが、道路審議会におきましては、今後の整備のあり方あるいは採算性の確保の方策、こういったものを幅広く御議論をしていただくということになっております。ただし、道路審議会で審議されます内容は、いろんな制度あるいは仕組みに関することでございまして、具体的な料金の額についての議論はその中に含まれていないというふうに考えております。
  94. 一井淳治

    ○一井淳治君 先ほども言われましたように、利用効率をともかく高めることが必要だと思います。そのためには関連道路の整備というのが必要だと思います。特に山陽自道車道を東に延ばして関西の経済圏との交流を進めることとか、岡山、高松、高知等の県庁所在地の大都市を早く結んでいくということが必要ではないかと思います。そういったことで、本土側、四国側の高速道路の整備について、特に予算面等で重点配分をいただく等の御配慮をいただかなくちゃいけないと思いますけれども、その点についてのお考えをお尋ねしたいと思います。
  95. 松延正義

    説明員(松延正義君) 瀬戸大橋の開通に当たりましては、関連道路網の整備に今までも努力をしてきたところでございます。確かに、先生御指摘のように、高速道路が山陽道の東側あるいは四国縦貫道路の善通寺—高松間、こういったものがまだできておりませんで、これがやはり橋の十分な利用にっながっていないということの一つの原因ではなかろうかというふうに考えております。それで、関連道路の整備につきましては、今後重点的に最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。  なお先般、国、公団、関係自治体によりまして本州四国連絡道路利用促進協議会というのを発足させておりまして、こういった協議会を通じまして関連道路の整備促進等には十分、最大限の努力をしていきたいというふうに考えております。
  96. 一井淳治

    ○一井淳治君 最大限の努力をお願いしたいというふうに思います。  それから、質問を変えますが、岡山市の新福地内に場外馬券売り場を新設するということで、かなり前から問題が起きております。この九月二十七日には建設予定地で地鎮祭が行われた。その後建設機械を入れて整地作業が進むという状態が発生したわけでございますけれども、私どもは、場外馬券売り場の新設の許可も受けていないのにどんどん建築をして既成事実をつくるというのはむちゃくちゃではないかというふうに考えておるんですが、最近のこの建設予定地の状況について農林省の方ではどのように把握しておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  97. 京谷昭夫

    政府委員(京谷昭夫君) ただいま御指摘がございましたように、岡山市新福地のボウリング場跡地を利用いたしまして中央競馬の場外馬券売り場を開設するという構想がございまして、その前提となります地元調整を行ってきておるわけでございますが、私ども承知をしている限りでは、この地元調整が落着をしたというふうには考えておりません。そういった状況下で誘致業者が、このボウリング場施設の撤去作業に着手をしたという事実を私ども承知をしておりますが、いずれにいたしましても、この場外馬券売り場の設置につきましては、中央競馬会が農林水産大臣の承認を受けた上でなければ設置をできないという性質のものでございまして、ただいま申し上げました状況下におきまして、中央競馬会からはまだ当方に対してこの場外馬券売り場の設置に関する承認申請は提出されておらないという状況でございます。
  98. 一井淳治

    ○一井淳治君 私がお尋ねしたのは建設工事でございますけれども、農水省の方では建設工事が進んでおるというふうに把握しておられるんですか。建設工事は進んでいない、なされていないというふうに現状を把握しておられるんですか。その点はいかがでしょうか。
  99. 京谷昭夫

    政府委員(京谷昭夫君) 現在、現地において行われております仕事は、私ども承知をしている限りでは、従来ございましたボウリング場施設の撤去のための仕事が行われておるというふうに理解をしておりまして、新たな建物を建てるための工事にはまだ着手をされていないという認識を持っております。
  100. 一井淳治

    ○一井淳治君 これは許可申請が出ていないわけですから、果たして許可するかどうかというふうな論議もまた不可能であるというふうに思いますが、ことしの三月一日の衆議院の農水委員会、三月二十二日の参議院の農水委員会におきまして、農水省とすれば場外馬券売り場の新設の許可申請を出し得る状態ではないんだという認識を明らかにされたわけでございます。この農水省の方針については現在も変わりはないというふうにお聞きしてよろしいでしょうか、どうでしょうか。
  101. 京谷昭夫

    政府委員(京谷昭夫君) 先ほども申し上げましたとおり、中央競馬会の場外馬券売り場の設置につきましては、中央競馬会が農林水産大臣の承認を受けてでなければ設置できないという建前になっております。現在のところ、先ほど御報告申し上げましたとおり、中央競馬会からの承認申請は行われておりません。私ども、この承認に当たりましては、当然の要件といたしまして地元調整が完全に行われておるということを要件として考えておりまして、ただいまの状況からいたしますと、中央競馬会が承認を申請するような状況にはないのではないかという認識を持っておるわけでございます。
  102. 一井淳治

    ○一井淳治君 大臣も同じ御意見なのでしょうか。
  103. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 同じです。
  104. 一井淳治

    ○一井淳治君 それから次に、漁業災害補償法の関係でお尋ねします。  この十月一日から施行されるようになりました。法律の改正以外にも多くの改善がなされまして、全体の整合性を合わせながら本当に大変な作業だと思いまして、私も御苦労には敬意を表したいと思います。また、私が五月十二日に、この委員会で指摘いたしました掛金の問題につきましても熱心な検討をいただきまして感謝しておるところでございますけれども、二点ばかり要望したいわけでございます。  一つは、今回の改正がなされたわけですが、非常に困難な難しい問題を多く含んでおるわけでございまして、将来これを厳密にトレースをしていく、どのように実態の変化や適用がなされておるか十分に調査を進めていかないと大いなる発展が得られないのじゃないかというふうな気がするものですから、特に調査やトレースをお願いしたいという点でございます。  それからもう一つは、次の法改正といえば非常に失礼なんですけれども、私は将来全員加入の方向に持っていかなければいけない、赤字もそう容易には克服できないだろうということで、そのうちにまたもう一遍見直しということが必要になるのじゃないかというふうに思います。その際に、金額の査定を第三者機関が行うことが必要ではないか、そのこともひとつ検討事項の一つに加えてもらいたいと思うわけでございます。その二点を要望したいのでございますが、いかがでございましょうか。簡単で結構でございます。
  105. 田中宏尚

    政府委員(田中宏尚君) 最初の第一点でございますけれども、先国会でせっかく御審議いただきまして成立させていただきました漁災法の改正でございますので、我々といたしましてもその適正な実施あるいは効果の十全な発掘という点につきましては同じ気持ちでございまして、何とか法改正の実施状況なり今後の動きというものを的確に把握するなり、トレースは十分してまいりたいと思っております。  それから第二点の損害査定の厳正公正化のための第三者機関という話でございます。我々といたしましてもこういう制度が永続するためには、何といいましても査定が厳正に、公正に行われるということが基本でございますので、そういう点に立ちましていろんな査定に携わる方々の知識の向上なりというものを系統ぐるみで努力させてきておるわけでございます。しかし、第三者機関をつくるということになりますと、やはり漁業共済は御承知のとおり非常に地域的特性を持っておりますし、それから日々の漁業の操業というものとも深くかかわり合っておりまして、そういう知見を持っております第三者機関というのは現実に存在するかどうかという問題もございます。  それから、第三者機関に委託というようなことになりますと、それが当然賦課掛金率にもはね返ってくるというような問題もございますので、当方といたしましては現在のチャンネルでの査定ということが最も現実的である。そういう現実的な中でどうやって公正厳正な査定を確保していくかということにつきまして、従前以上にいろんな指導なり監督というものを強めてまいりたい思っておる次第でございます。
  106. 一井淳治

    ○一井淳治君 そういうふうな弊害が起こらないで、例えば現場の人たちに第三者機関に加わってもらうとかいうふうな何らかの工夫をお願いいたしまして、次の質問に移らさせていただきます。  水稲の生産コストを下げるためには生産費の中で一番割合の大きい農機具費、六十二年度は三一・五%になっておりますけれども、農機具費の低減ということが必要ではないかというふうに思います。特に、その問題につきましては恐らく農水省では共同購入とか共同使用ということをひとつお考えだと思います。  それからもう一つは、私どもが特に要望したいのは、農機具の価格自体を下げるという点でございます。農民はもう二年連続生産者米価を大幅にダウンされました。ところが、他の肥料や農薬の方はかなり下がる方向に向かっておりますけれども、農機具の方はなかなか下がらない。なぜ農民だけが大変な負担を負わねばならないのか。やはり三〇%以上を占める農機具費も下げるように、農水省としてもいろいろな方策を立てて行政指導等をしてもらう必要があるのじゃないかというふうに思います。共同化の関係は結構でございますが、価格自体を下げるという点でいかがでございましょうか。
  107. 吉國隆

    政府委員吉國隆君) 農業機械費の削減は、先生おっしゃいましたように、利用面の問題と供給面の問題とあるというふうに考えております。  先生御承知のところでございますが、農業機械の価格については、全農と製造業者とが交渉して決めた価格が目安になって価格が形成されているという状況でございまして、最近の動きとしましては円高等もございまして、外国産のトラクター等で値下げが行われているというような状況が生まれてまいっております。  私どもは、御指摘のような状況がございますので、製造メーカーの方々におかれましても一層の合理化を進めていただいて、コストダウンを図っていただくと同時に、特にメーカーサイドでも動きが出てきておりますけれども、シンプルな機械を普及していくということについても努力をし、またこれは使う側に対する啓蒙ということもあろうと思いますが、そういう点も含めまして機械費の低下ということについて努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  108. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 山形県の出身者としまして冷害中心にいろいろお伺いしたいと思うわけでございます。  冷害につきまして私も小さいとき、昭和九年の冷害でございますが、あの当時の悲惨さ、こういったものが非常に鮮明に記憶に残っているわけでございます。半作でもう冬は越せないというようなことで、娘を身売りしないともうこの冬は越せないというようなことで大変悲惨な目に遭ったということを小さいとき聞きまして、そのような記憶が鮮明に残っているわけでございます。現在技術の発達あるいは品種の改良その他いろいろな面を含めまして収入が皆無になるというようなことがない。そういうことで冷害といいますと、何かこう全国的でないということもあろうと思いますが、深刻さというか、そういったものが全国民的に余りあれじゃないかというようなことを危惧する者の一人であるわけでございます。  しかし、私も現地に参りまして見ますと予想外にひどかったな、こういう実感であったわけでございます。しかも、今回の冷害は先ほど来いろいろ御議論がありましたように、生産者としまして厳しい環境の中にある。三年後には牛肉自由化になる。それまでは毎年、三年間の間六万トンずつ輸入枠をふやすというふうな、そういう厳しい情勢があるということが一つ。さらにまた、先ほど来御議論のありました全米精米業者協会、これが日本の米の市場開放を求めましてアメリカ政府に再提訴をしているということで大変不安がっているというふうな背景がある。さらにまた、この両年にわたりまして米価が五・九五あるいは四・六%ということで二年連続引き下げになっておる。こういうふうないろいろな背景、さらにまた、一面においては減反政策が続いておるという中での冷害であるわけでございまして、いずれの面から見ましても極めて厳しい状況の中でのこのたびの冷害である、こういうことであります。  私もそういう意味で、この山形県は、やませといいますと太平洋沿岸だけが関係県かというふうな認識を持っておられる方もあるようでございますが、やはり山形県も奥羽山脈のはざまといいますか、あそこから東風が入って大変な被害を受けるという国でございまして、そういう意味で現地に参りまして不稔障害の稲あるいはいもち病の稲等をさわっている農民の姿、あるいはわせをつくろうということでつくったそのわせの品種が大方やられておるということで、非常に心理的にショックが大きいと、こういうふうないろいろな面を考えますと、救済措置をとにかく一日も早く急いでやっていただきたいという気持ちを強く持っているわけでございます。  大臣におかれましては早速、福島、宮城等を御視察になられるということで、またそういう記事を見まして、いろいろの御努力をされるということで生産者も非常に心強く思っている面もあるわけでございますが、大臣被害現況を視察されての御感想、そういったものをまずお伺いしたい。そしてまた、大臣が行かれなかった山形につきましての現況というものをひとつ関係者から御説明願えればありがたいと思います。
  109. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) このたびの異常気象に基づく冷害あるいは病害は極めて深刻な事態であると思っております。心から被災された皆さんにお見舞いを申し上げると同時に、私自身一日も早く現地に行ってみたいなという考えを持っておりましたのも、二十年余にわたってささやかな体験ではございますけれども、防災対策、救済対策について関心を持ってきた一人といたしまして、まずはお見舞いを申し上げ、そして打つべき手は早急に打たなければならぬという考え方で、宮城県下あるいは福島県下を視察させていただきました。東京でテレビ、報道等を見ておることあるいは要請、陳情を受けておることとは、また現場の実態というものは一段と厳しく私には感ずるわけでございまして、悲惨な状況の中にいっときも早いひとつ立ち直りを、立ち上がりをしてもらうために何ができるかということについて真剣に考えさせられたということでございます。  全部の被害県を回ればいいんですけれども、なかなかそういうわけにもまいらず、この場をかりて被害を受けられた地域地域の皆さんにお見舞いを申し上げ、とるべき措置はとる。そして、自然災害を受けた方々が、今までよりも少しは早くやってくれたな、あるいは少しは手だてを考えてくれたなと思われるように努力をせなければならぬと強く感じた次第でございます。
  110. 鶴岡俊彦

    政府委員鶴岡俊彦君) 本年の異常低温等によります山形県の被害状況でございますけれども、県からの報告によりますと、十月十八日現在で被害額が百三十億円ということになっております。作物別にはそのほとんどが水稲でございまして百二十八億円、それから野菜がスイカ、メロンなどで二億円というふうに報告を受けております。地域別では置賜、村山地方での被害が大きい。稲の作況でございますが、今私ども、九月十五日現在のものしか数字としてはございませんけれども、山形県全体で九六、置賜地域は九二ということになっております。それ以後の気象条件は、御案内のとおり芳しくなくて十月十五日現在取りまとめておりますけれども、さらに下がるのではないかということが懸念されております。  以上でございます。
  111. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 おっしゃいましたように、山形の場合も七月中旬から下旬にかけましての開花期に異常低温、そして日照時間が非常に少なかったということで稲の受精ができなかった、こういうことで被害が広がったわけでございまして、山間部を中心に平たん部にも広がっているというふうな状況であるわけでございます。  今御説明のように、百三十億の被害と、こういうことでございますが、山形県の調査等を九月三十日でございますか、これで聞きますと不稔率が二〇%以上の面積が、山形県水稲作付面積の二〇%に当たるものが一万七千ヘクタールある、こういうことも聞いてまいったわけでございます。また、地区別では山形県の北の方でございますが、最上地方、それから村山、置賜と、こういうふうにまんべんなくそれぞれ地域的にございまして、特に先ほど言いましたように、わせのキョニシキ、こういったものの被害が非常に大きいというふうな状況でございまして、山間部等の一部では不稔障害が八〇%以上、こういうふうな地域もあるというふうなことでございます。  十月に入って稲刈りは大体終わっているわけでございますけれども、実は稲刈り時期に入りましてこの影響が予想外に大きい、当初の予想よりははるかに上回っているというふうなことのようでございまして、私も現地に参りまして生産者の方々から、いざ刈り取ってみると見た目以上に収入が上がらない、収穫が上がらない、収量が上がらない、発表された作況指数というのはおかしいんじゃないか、こういう声を非常に頻繁に聞いたわけでございます。その原因は、玄米の粒の大きさが低温の影響で例年より小さい、これが原因ではなかろうか、こう思われるわけでございます。最も近い作況指数、ひとつこれがどういうふうになっておるか。そしてまた、その中で不良あるいは著しく不良という該当県がどこどこであって、その作況指数というのはどういうふうになっておるかということをお伺いしたい。  それからまた、稲の作況指数の求め方につきまして具体的に御説明願いたいと思うわけでございます。
  112. 海野研一

    説明員(海野研一君) お答え申し上げます。  直近の作況指数でございますが、実はきょうよりも、もう過ぎた日の十月十五日現在というものを調査いたしておりまして、現在それを脱穀したり、もみずりしたりいろんな分析をいたしておるわけでございますけれども、私どもとして数字がございますのは九月十五日現在が一番新しいものでございます。  九月十五日現在の作況は全国平均で作況指数九八ということでございますが、特にいわゆる著しい不良ということになっておりますのが青森県、岩手県の九〇、宮城県、福島県それぞれ八四、八六ということになっております。私ども不良と言っております九〇から九四の間に入る県が茨城県、栃木県、山梨県、沖縄県と四県あるわけでございます。ただ、あくまでも私ども、これは九月十五日現在穂数ないしは粒数を数えて、その他見回りのいろんな状況を総合いたしまして、その後の天候が平年並みに推移するならばということで推定をいたしたものでございます。  この作況指数と申しますのは、ただいまお尋ねの実際の作況指数のつくり方でございますけれども、これは何と申しますか、今申しましたようなサンプルになるような圃場の穂数、粒数を数えまして、それに見回り調査その他の情報を総合いたしまして、いわば県単位で年平均何キロの収穫が見込めるかということを計算いたしまして、これをあらかじめ過去の趨勢からはじいておりました平年収量に対して何%に当たるかということをはじいたものでございます。したがいまして、例えば大きな被害があったときでも作況指数自身は一〇〇を超えるというような事態も出てくるわけでございます。
  113. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 今の御説明で全国九八、山形九六、こういうことのようで、これは九月十五日現在であるわけでありますが、東北では九一、こういうふうな数字であるようでございます。宮城が八四で一番悪いという数字になっておるわけでございますが、私現地に行きまして、先ほどのやませ、これの一番被害を受けるいわゆる最上郡、尾花沢とか最上町、こういった現地に参りますと、あの九月十五日付の発表であの郡は九九の指数であった。こういうことで、これはおかしいというふうなことで大分関係の市町村初め関係者の方大変怒り心頭に発するというか、これは信用できないというふうなことの声が非常に強かったわけでございます。山形全体としても九六、やや不良ということは、私自身も、これは相当先ほどの御説明よりも下がるんじゃないかというふうなことでございましたが、山形県の方としましても九〇ぐらいになるのかなというふうなことも聞いておるわけでございます。  いずれにしましても、十月十五日段階の統計が出るわけでございますので、これに関心を持っているわけでございますが、現段階での作況指数、これが九月十五日段階と見て一体どういうふうなその辺の変化があるかということ、それからまた最終的の作況指数、これの決定時期はいつであるか、この点ひとつお知らせいただきたいと思います。
  114. 海野研一

    説明員(海野研一君) 九月十五日以後の天候で作況の推定をせよというお尋ねでございますけれども、ことしのような、特に七月のあのような低温と日照不足ということで稲体が非常に軟弱になっておるという場合には、特にその後の気象変動による影響を非常に大きく受けるというようなことがございます。その後、九月十五日以降日照時間が少ないというような事態もございますけれども、私ども時点で最終の作柄が幾らになるということを予測することは困難でございます。ただ、先生今おっしゃいましたように、十月十五日現在の予想収穫量調査につきましては、これは早場米地帯、山形県を含みますけれども、これではほとんど収穫は終わっている。少なくともその地区で代表的なサンプルはほとんど得られているというような状況でございますので、私どもこれは単に穂を外からさわるだけではなくて現実に坪刈りをやりまして、刈り取りをやって脱穀調製までした上で正確な数字をはじきたいと思っております。
  115. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 作況指数と作柄の良否の関係についてでございますが、一〇六以上は良、九〇以下が著しい不良というふうなことで六つのグレードに分かれておるというふうなことでございますが、局地的に指数が四〇、五〇になっても、グレードが六つしかありませんから九〇以下の著しい不良、こういうグレードに入っちゃうということになろうと思うので、九〇台で不良とかいうのは何といいますか、通信簿じゃございませんけれども、何か非常に感覚的に、九〇で著しく不良とか、その辺私も、ちょっと素人的に何か一〇〇を五年平均のあれと比べて九〇でもう非常に悪いんだということがぴんとこない、数字的に。そういう印象を受ける。  それから、何といいますか、統計上も作付面積それから収穫量、こういうのが中心に載っているわけでございますが、こういう時期になりますと量よりも質といいますか、こういう面に相当やはり関心を持ってもらわぬといかぬというふうな感じを強く持つわけでございますが、そういう面を含めまして今の作況指数と作柄良否の関係、こういったものについて昭和初期以来の歴史的な統計のあれでずっと続いているようでございますけれども、考え直す余地がないかということを一つお伺いしたい。  それからまた、戦後でよろしゅうございますけれども、敗戦後冷害という年が一体何回あったのかということ。それから、指数が八〇台ですね、こういう年が何回あったのか、これをひとつお知らせ願いたいと思います。
  116. 海野研一

    説明員(海野研一君) お答え申し上げます。  作況指数につきましては、これは私ども正確には九〇幾らとかいうような数字で申しておるわけでございますが、ただ、ある程度大づかみに言うというようなことで、先ほど先生おっしゃいましたような、幾つから幾つまでは不良であるとかいうようなことでやってきたわけでございます。  それで、今の区分が妥当かというような問題がございますが、実は私ども米に限らずいろいろなものにつきまして、単に数字で言ったのではなかなか感じがわからないということのために、そのような上下一%は平年並み、それから二%から五%まではやや良とかやや不良とかいうような格好でやってまいりました。実は、これで長年継続してきたわけでございます。ただ、五十五年の冷害の際に、それだけではなかなかあらわし切れないということで九〇以下について著しい不良というような区分を設けたわけでございます。私ども、別に現在唱えている名前に必ずしも固執するものではございませんけれども、ただ長年そういうことで人口に膾炙してきたということでございますので、統計の連続性といいますか、そういうようなものも考えながら物を考えていきたいというふうに考えております。  それから、品質についてこれを加味できないかというお尋ねでございます。  この作況調査自体は、ある意味ではそういう全国的な、ないしは県単位収穫量がどのぐらいあるかということをねらいとして調査をしているものでございます。したがって、その場合の指数も数量について出るわけでございます。一つは、これは国のいろんな機関の中の分担でございまして、品質につきましては現在米の場合は全量、少なくとも販売するものについては全量検査ということになっておりますので、検査機関の方で品質は出てくるということでございます。  もちろん、今先生おっしゃいましたように、検査機関の検査を受けるまでもなく立毛の段階とか刈り取り直後に品質がわかったらいいなというふうなこともあろうかと思います。ただ、実は米の品質、これは御案内のように乾燥の仕方でございますとか、さらには調製するときに被害粒をどの程度除いていくかということで動いてまいるものでございますので、現実に流通する前にその辺を調査するということはなかなか難しい課題であるというふうに考えております。  それから、戦後の冷害が何回あったかというお話でございます。実は、局地的に見ますと冷害のなかった年は一度もございません。特定の地区、特定の農家へ行きますと相当ひどい冷害というものが毎年必ずあるわけでございます。ただ、全国の作柄なりというものに影響を及ぼすということで私ども冷害として整理をしておりますのは、戦後、私どもの現在の作物統計ということが始まりました昭和二十二年以降で考えますと、二十八年、二十九年、三十一年、三十九年、四十年、四十六年、五十一年、五十五年、五十六年、五十七年、五十八年と計十一回ございます。そのほかに、現在のような調査方法で調査したものではございませんけれども昭和二十年、大変な冷害であったというふうに言われておりますので、これを含めれば十二回になろうかと思います。  その中で、作況指数が八〇台の年、全国平均で作況指数が八〇台に落ちましたのは昭和二十八年、冷害年でもございます。ただ、二十八年の場合は、まだ河川の決壊とかいろんなものがございましたので、必ずしも冷害がどれだけの影響を持ったかわかりませんが、二十八年に八四という作況指数が出ております。五十五年には、これは冷害が主たる災害でございました。そのときに八七というのが、全国平均で八〇台になったのが二回ございます。
  117. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 それで、こういう第三次の過剰のおそれというふうなことを言われるような時期で、こういう質問はどうかと思われるかもしれませんけれども、見ますと相当頻繁に冷害、全体的あるいは局地的にしろ五年刻みぐらいの頻度でやっぱりあるというふうなことで、おてんとうさま相手のこの農業の難しさということを痛感するわけでございますけれども食糧の危機管理といいますか、大臣も先ほど食糧安保という言葉を使われたわけでございますが、そういう観点から農水省としてはこの作況指数が戦後、二十八年が八四でございますか、ということでございますが、今の状況でどのくらい作況指数が落ち込むことを覚悟しているか、そういう予測をしているか。そして、それに対してどんな一体もろもろの危機管理対策、クライシスコントロールを考えているかということを概括的にお答えできればお願いします。
  118. 甕滋

    政府委員(甕滋君) ことしの作況がどうなるかといったことにつきましては、私どもとして前回の作況指数の公表、それからその後の天候の推移等を見きわめながら慎重に、注意深くこれを見守っておるところでございまして、十月十五日現在がまた近々出るということで、その結果いろいろな判断を、災害対策を含めましてしていかなければならない状況にございます。  ただいまお尋ねの、それでは米の需給の面でこれがどういう影響になるのかというお尋ねでございますけれども、これは前回の作況を直接の手がかりとして申し上げますと、不幸にして東北、関東などの一部の地域でかなりの減収が見込まれる。一方では、また全国的に見ますと、北海道、九州はむしろ平年作を上回る水準にあるというような状況にありまして、全国平均では九八のやや不良ということになったわけでございます。これが、その後の天候につきましては、むしろ必ずしも芳しくないという地域が多うございますから、これをややさらにまた下回ることも懸念されるわけでございますけれども、その意味では、当初予定をいたしました数量を需給計画上はある程度下回るという結果になるわけでございます。  他方、米需給全体から見ますと、これは御案内のとおりでございますけれども、昨年からの大量の持ち越し米がございまして、本年十月末の在庫につきましても適正水準を大幅に上回る見通しにあるわけでございます。それからまた、消費の方も残念ながら減退傾向も強まっておるというような状況からいたしますと、米の需給は当面全体的な判断といたしましても、引き続き過剰基調ということには変わりないというふうに思っております。  今後とも供給に不安はないかという点につきましては、当面そういうことでございますが、仮に不作が、さらにあってはならないことでありますけれども、続くというような不測の事態についてはどうかということでございますれば、これにつきましては今後も需要に対応した生産を行うという、生産調整によりまして潜在的な過剰を調整しているという状況でございますから、その調整をどうするか。それから、これからも適正在庫水準は政府が保有していくということにいたしておりますから、米の安定供給を確保する上でそういった適切な対応が可能である、このように考えております。
  119. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 時間もあれでございますので、先に進みます。  統計の面でございますけれども、もう一回お願いしたいのでございますが、八千余名でございますか、統計調査部員ですね、全国で大変いろいろの、たくさんの統計資料の作成に努力されておる、まことに敬意を表する次第でございます。  また一面において私、現場に参りまして聞くわけでございますが、この統計情報事務所と農業共済組合、この調査の結果の数字の乖離が極めて大きいという声を各地で聞くわけでございます。農業共済組合の調査を信用してくれ、こちらを重視してくれというふうな声を聞くわけでございます。いずれにしましても、こういった米の全量管理という観点から非常に大切な調査でございますし、やはり統計というものの信頼感といいますか信頼性といいますか、これが大切だと思うわけでございますが、えてしてこういう冷害というようなものになりますと、そういう声が歴史的にもいろいろあったのだろうと私は想像するわけでございます。何せ出てきた数字が税金を初めいろいろの、やはり一つの基礎的なデータになる、こういうものであろうと思いますので、何といいましても統計に対する信頼性、これが絶対私は必要であろうと思うわけでございます。  そういう意味で、血の通ったひとつ調査によりまして生産者に異論がない、こういうふうなことであってほしいということを強く感ずるわけでございます。この点につきましての、特に米の作付、収穫調査だけに限ってよろしゅうございますけれども、御見解、お考えをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  120. 海野研一

    説明員(海野研一君) お答え申し上げます。  今、先生は統計八千人とおっしゃいましたが、実は私ども現在二千名の人員削減の最中でございまして、既に七千人強ということで、六十五年までに六千五百人までに落とさなければならないというようなことで、現在いろんな合理化に努力中でございます。  ただ、それにいたしましても、今先生おっしゃいましたような、特に関係者の利害にいろいろ絡まってくるような重要な調査につきまして信頼度を落としてはならないことはもとより、できる限り信頼性を高めていかなければならないということで、一つはサンプルをどれだけとるかというような問題もございますけれども、特に重要であり、関係者の信頼をかち得なければならない調査につきましては、サンプル数をできるだけ確保して信頼を得られるような調査を行ってまいりたいと考えております。
  121. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 それから、現地へ参りましての要望なんで、実は一つお伺いしておきたいわけでございますが、農業共済損害評価、これにつきましての特例措置について、ひとつぜひお願いしたいという要望あるいは特別事務費の助成についていろいろの要望を聞くわけでございますけれども、この点についての措置につきましてお伺いしたい。
  122. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) お答えを申し上げます。  災害が起きました場合の農家に対する救済措置の一つとして、お話のございました農業共済があるわけでございます。特に、稲作につきましては当然加入制度ということで、一定規模以上の稲作農家はすべて共済の対象になっているわけでございますが、その共済の共済金の支払いの基礎になりますのが損害評価でございます。これは、それぞれの被害地域に立地をいたしております共済組合並びに当該県の全体を所掌しております農業共済組合連合会、この二段階で損害評価を行いましてそれをベースに共済金の支払いが行われるわけでございますが、その損害の評価は、基準量に対しましてどれだけ被害冷害によりまして減収があったかという量的な減収を把握するというのが基本になっているわけでございます。  ただし、冷害その他の災害を受けたということに伴いまして、単なる減収量の量的な把握だけでは不十分であろうということから損害評価の特例措置というのが設けられておりまして、異常な災害によって広範囲の地域に、政府の買い入れの対象とならないような低品質の米が発生したというような場合には、その減収量の具体的な把握のやり方におきまして、政府の買い入れ基準に達するまで被害粒を除くといったような方法を加味することによりまして、単なる物量的な減収量以外の要素を加味して実質的な減収量を把握するというやり方を適用することになっております。今回の災害におきましても被害の実態を見ながら、今申し上げたような特例措置の適用について適切に対処してまいりたいというふうに考えております。  それから、第二の御質問損害評価特別事務費についてのお尋ねでございますが、ただいま申し上げたような損害評価につきましては組合あるいは連合会段階における、そのための評価に赴く調査員の旅費等の事務費がその分だけ余計にかかるわけでございます。そういった場合に備えての国の助成が予算措置として計上されておるわけでございます。その特別事務費の活用につきましては、農業共済組合等が実測で行った抜き取り調査の実績に応じて助成が行われるように措置を講じてまいりたいと考えております。
  123. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 次に、観点を変えまして、災害を最小限度に何とか食いとめるためにいろいろの手だてがあろうと思いますが、気象状況早期に把握する、あるいは関係機関との的確な作況調査なりあるいは諸対策についての情報伝達を的確にやるとか、あるいは生産技術指導を徹底するとか、さらにまた、冷害に対する科学的な研究を常日ごろ続けていくとか、いろいろの問題があろうかと思いますが、先ほど言いました東北地方特有のやませ、これについての研究体制がどうなっておるか、まさに個人の能力を超えた国の立場で大いに力を入れてもらわなくちゃいかぬ問題でございまして、これが一つ。  それから、さらにまた今回わせの品種がやられたわけでございますが、いわゆる耐冷性の品種の研究というものはどうなっているか。わせの中でも中くらいの品種のやつも、やはり山形の場合も相当やられているわけでございますが、そういう意味で耐冷品種の育成なり研究開発がどうなっているか、この二点をひとつお答え願いたいと思います。
  124. 谷野陽

    政府委員(谷野陽君) まず、第一点のやませの研究でございますが、御指摘のようにやませは東北地方におきます特異な気象ということで、農業関係の研究開発の上でも極めて重要な課題であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。  これにつきましては、昭和六十年に東北農業試験場にヤマセ対策研究官という、やませを専門に研究するチームを主宰いたします担当官を設置したわけでございます。このやませ研究官のもとでいろいろなプロジェクト研究を組みまして、各地域農業試験場の部ばかりではなく、各県の農業試験場とも連携をとりましてやませに対する科学的な研究、さらにこれに対応いたします栽培技術、あるいはやませというのは大変地域性があるわけでございます。細かい地域に影響された微気象の世界もあるわけでございまして、そのような地域区分を検討いたしまして地域によりましては、むしろこのような冷涼な気候を活用いたしまして夏の野菜の栽培を行う、こういうようなことを含めまして研究を進めてきたわけでございます。  さらに、今年の十月一日に各地域農業試験場の組織を改正いたしまして、地域の特別の課題を検討する地域基盤研究部を設置したわけでございますが、東北農業試験場におきます地域基盤研究部におきましては、やませを重要な課題として取り上げまして、従来のやませ研究官が統括をしておりました研究をこの部に集めまして、各研究室が分担をいたしまして、さらに各県の試験場とも連携をとりまして研究を進めるべく体制を強化したところでございます。  次に、耐冷性の品種の育成でございますが、先ほど来過去の冷害のお話がございました。昭和初期の冷害に対しまして藤坂に試験地が設けられまして、藤坂試験地あるいは各県、さらには北海道の試験地等を用いまして耐冷性の品種の開発を行ってきたわけでございます。いろいろの品種が既につくられまして、かなり品種の力といたしましては耐冷性が全般的には水準として向上してきているわけでございます。  しかしながら、耐冷性の品種をつくってまいります上での問題といたしまして一つには品質との関係、収量との関係があるわけでございます。耐冷性を強く持っております品種が日本の伝統的な品種の中にもあるわけでございますが、これをかけ合わせますとどうしても品質、収量が落ちる、こういう悩みがあるわけでございまして、そういう中で品種の開発を行い、幾つかの品種を発表してきておるわけでございます。今年の冷害におきまして、かなり品種によりましてその被害の度合いが違うということはただいま御指摘がございました。私どももそういう状況を把握いたしております。低温がありました時期によりまして、その時期が稲の開花期等に非常に重要な時期に当たっておるというものが被害を受けるというようなこともございますし、また品質あるいは収量を重視いたしまして栽培が行われる結果、品種の選択等におきまして冷害等に多少弱いというようなものが植えられるということも実際問題としてはあるわけでございます。  品種改良の目標といたしましては品質、収量さらに耐冷性を兼ね備えた品種がこれは最も望ましいわけでございまして、今回の冷害の実態を私どもといたしましてもさらに分析をいたしまして、品種の改良に一層の努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。藤坂の試験地等におきましては、日本国内の品種ばかりではなく、インドネシアでございますとか、雲南でございますとかそういった海外からも耐冷性の品種を導入いたしまして、これを育種素材として使っていくというようなことを既に始めておるわけでございます。このような体制の中で、さらに努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
  125. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 時間もあれでございますが、午後から星議員からも冷害関係いろいろ質疑があろうと思います。また、本会議でも大河原議員から全般にわたりまして質問があり、大臣の御答弁もいただいているというふうなこともございますけれども、このたびの冷害地域差あるいは個人差が非常に目立つということが特徴であるわけでございまして、それだけにきめの細かい配慮を払いまして、公平な救済措置がまんべんなくひとつ行き渡るように心温かい配慮をお願いいたしたいと思うわけでございます。冷害対策といいますと非常にルーチン化しちゃって、何かいろいろぱあっとやれば問題ないというふうなことになりがちだろうと思いますが、弱いところに光を当てる、これが政治なり行政の要諦であろうと思いますので、ひとつ各般の冷害対策につきまして全力投球で対処をしていただきたいということをお願いしたいわけでございます。  そういう点について大臣の、冷害に対する政府の受けとめ方なり対策に取り組む基本的姿勢、これをひとつ簡単にお願いしたいということと、もう一つ、先ほど来RMA提訴問題、その他についていろいろございましたけれども、私も個人的に国際化という問題、これに関連しまして非常に個人的にも疑問に思うわけでございます。  例えば、外国人単純労務者を入れたらどうだという問題、さらに米の問題、こういった問題を含めまして、私個人の考えといたしましても国際化とは何であるか。決して日本が西欧化することじゃない、やはり日本人として、日本としてのアイデンティティーをしっかり持ちながら世界とスクラムを組んでいく、そういう一つのルール、筋道といいますか、そういったものをつくっていかなくちゃいかぬと思うわけでございまして、農政面におきましても生産者を含めてこの米の問題、先ほど来の文化的、歴史的な米をいかにひとつ守っていくかという面は全国民的な関心であるわけでございます。  そういう意味で何かやはり米についての哲学あるいは理論的武装といいますか、そういったものは決して今回のRMA提訴だけに終わるのじゃなくて、これからのニューラウンドなりその後に引き続く非常に長い間いろいろ国際的に議論されていく問題だと思うわけでございまして、先ほど来基礎的食糧という概念規定というものを打ち出して、日本の米というものの特殊性というものを強く全世界にアピールしていく、こういうことでございますけれども、ひとつそういう面で外交の一元化ということでございますが、関係者力を合わせまして、そういう面でひとつ主張を貫き通していただきたいということを私からもお願いいたしまして、その辺の見解も含めて大臣の最後の締めくくりをお願いしたいと思います。
  126. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 全体的におっしゃること、私そのとおりだと思っております。  冷害対策を含めた自然災害対策、そういうものは公平に、そして一日も早く立ち上がることができるように迅速な対応が必要である。そして、今まで予想していなかったことが、事態が起こるということを考えますと、今までやったこと以上に何ができるかということもあわせ考えながら対応をしていかなければならない。そういう姿勢を持って事に当たらなければならない、こう思っております。  もちろん、おっしゃいますように国際化の中で、国際化というのは一体何なんだろうという疑問、私も牛・かん交渉を通じて国際化というのは何であろうかなということを自分自身考えさせられたことがあります。内政干渉は当たり前だというふうにも、そういう時代なのかな、それを国際化と言うのかなという私なりの雑な考えも持ったこともございます。  いずれにしても、どう国際化が進もうとも主権を守る、国家主権を守るということは貫かねばなりません。同時に、国際化の状況はみんなが認識しておるところでございますから孤立はしてはならない。そういう中にあって日本たたき、農業たたきと言われる背景があることも承知をしておりますだけに、食糧政策については極めて冷静に我々は真剣な対応をしていかなければならぬ。その場で事終われりということではなしに展望を開いていかなければならないと、こう思っております。  そういう意味で、農政審報告を基本としながらも、今日国際化の波を一つ一つ御不満はございましょうけれども、こなしてまいりました私といたしましては、さらにニューラウンドに向けて我々の主張を貫いていく。特に米については、先ほど来申し上げておりますように、またアメリカの大使が評価をしてくださっておりますように、日本の国の伝統的、文化的、宗教的ということまでもつけ加えて、私はその宗教的部分にはちょっと理解、どう解説をしていいかわからない部分ではございますけれども、いわばもう特異なものであるという認識の中にあって新しい交渉の場あるいは結論づけの時期が来るとするならば、整々とした議論を展開して初心を貫いていかねばならぬと、こう考えておるところであります。自給する方針に変わりはなし、こう申し上げているところでございます。
  127. 福田宏一

    委員長福田宏一君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      ─────・─────    午後一時三十二分開会
  128. 福田宏一

    委員長福田宏一君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  129. 星長治

    ○星長治君 大臣、十月一日には宮城県にわざわざ冷害調査、視察していただいて本当にありがとうございました。続いて福島県も見てもらったそうでございますが、私はその後福島県も岩手県も参ったのでございます。大臣が参って本当に農家の方々は、何とかあの大臣ならば、必ず我々農家のためにやってくれるだろうと大きな期待を持っているわけでございます。まずもって、御礼を申し上げたいと思います。  そして、大臣が実地に視察いたしました角田市の北郷、あそこの惨状を見てもらったのでありますが、これがその後の経過でございますので、こういうような実態になりますので、ひとつ見ていただきたいと思うわけでございます。(資料を手渡す)どうぞ、これが大臣が見ていただいたあの囲い、一町四畝分のものなのでございます。局長さん方も集まって田を見たわけでございますが、よく見ていただきたい。そして、御案内のとおり、宮城県、福島県、岩手県、私も災害対策特別委員会で参りましたが、本当に目に余る災害、五十五年以上の被害を受けているということでございます。そのほかの県も被害を受けているわけでございますが、総計で約二千億と、こう聞いておるのであります。やはりこういうような状況を踏まえまして、農家の実態というものはまことに悲惨なものである。特に宮城県下が五百億円を突破しているわけでございます。  それで、宮城県の経済連のいわゆる十月十五日の現状を申し上げますと、昨年度は百十一万六千六百五十俵、これが集荷したわけでございますが、本年の十月十五日現在では十六万四千二百十一俵しか集荷できていない、これが現状です。そして、一等米は、昨年同期は七八・二四%でございましたが、今年度は四八・七七%と、こういうような状態になっています。そして、宮城県の経済運の調査によりますと、六十二年度はいわゆる六百二十二万四千俵出ているわけでございますが、そのうち一等米が七七%あったわけでございます。最終がどのくらいできるかという見込みも立たないというのが今の宮城県の実態でございます。そういうわけでございますから、農水省としてもいろいろな対策をとっていただいておるだろうと思いますけれども、その深刻さに我々はあきれるばかりでございます。  それで、御案内のとおり、大臣に見ていただいた角田市の一つの例を取り上げますと、あそこの市長さんというのは七月に市長さんになったばかりでございまして、お医者さんでございます。とにかく就任後この冷害に遭っていろいろ苦労しておるわけでございます。それで、ぜひこれをもう一遍大臣にお願いしてくれと、こう私も言われたものでございますので、ありのままをひとつ申し上げたいと思いますが、あそこの地区は、御承知のとおり土地改良が九八%も進行している土地です。宮城県としては穀倉地帯と言われている土地なんでございまして、いわゆる角田市といえば宮城県でも優秀な米どころと、こう言われておるのでございますけれども、いわゆる専業農家ほどひどい被害を受けているというのが今の状態です。あそこの土地は、大体水田が三千ヘクタール、そのうち収穫皆無というのが千八百ヘクタールになるだろう、こう予想しているわけでございます。  こういうような状況でございますので、とにかくこういうような悲惨な町が、角田市ばかりでなく他地区にもあるだろうと思いますが、私はこの機会に、ひとつ大臣初め幹部の方々にこの問題に対してどうすればいいか、今後どういうような対策をとって、農家の方々に対して元気をおつけしなければならないかと思うのでございますが、まずもってその心構えをひとつ大臣にお聞かせを願いたい、こう思うわけでございます。
  130. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 十月一日、宮城県に視察に参りました際は、現地でも皆さんに申し上げたところでございますけれども、私としては一カ所でも二カ所でも実情に触れて、そしてまた感慨新たに取り組まさしていただこう、こう思って伺いました。かえってお騒がせをした結果になったのではないかということも現地で申し上げながら、その対応については積極的に取り組み万全を期したい、こう申し上げたところでございます。  なお、農政全般について各般の、実際その仕事に携わっておられる方々からそれぞれの問題点の意見御開陳、一日農林省的な懇談の機会、話し合いの機会も計画をしたわけでございますが、何人かは時間の都合で御意見を私がお聞きすることができなかったわけでございます。まあ近いうちに、落ちつきましたらひとつせっかくおいでいただいた、また御意見を御用意していただいた方々の御意見というものを東京において、私がちょうだいするわけにもまいりませんけれども、でき得ればおいでをいただいて、私と話し合いの機会を持ちたいものだなと、そういうことがいかに大事なことであるかということを感じた次第でございます。被害の実態につきましては悲惨な状況、しかし十月一日のあのときは、私は技術的にも全く素人でございますけれども、私の実感からしてどうよくなるのであろうか心配をいたしました。なかなかその後よくなるどころではないという状況にございます。極めて残念なことでございまして、重ねてお見舞いを申し上げたいと思います。  あの際、私も説明を伺いましたが、専業農家ほど多くの被害を受けたという実態もあるようでございまして、これからの担い手育成あるいはお互いが国際化の中で内外価格差というものも頭に置きながら、そして企業農業として努力をしておられるその中にあって、このたびの災害という体験、これをどう乗り越えることができるか。それには何をさておいても天災融資法を初め、もちろんあわせて激甚災害の地域指定、こういうものを組み合わせながら救わねばならない。  そのほかの関係につきましても、既借入金等につきましても具体的なことを言えば切りがございませんけれども、私から率直に申し上げて、今までの配慮にまた配慮を重ねた形で丁寧に接する必要があるのではないか、こう思い、事務方を督励し、また知事さん方もこの間もお見えになりましたので、お忙しいではございましょうが、被害の実態、数値の取りまとめ、また天災融資法絡みになりますと資金需要の要望等枠の問題にもかかわることでございますので、早速ひとつ御準備をいただき、取り運んでいただき私の方に上げてきてほしい、こういうことを申し上げた次第でございます。早々にそれが整えばいっときも早く天災融資法発動激甚災地域指定、これを行うことの考え方は当然のことでございます。  以上でございます。
  131. 星長治

    ○星長治君 どうもありがとうございました。  それで、今度は具体的に局長さんたちにお伺いしたいと思いますが、まず第一に作況指数の実態を正しく反映して現状と乖離しない内容としていただきたいと思いますが、この状況についていかがですか。
  132. 海野研一

    説明員(海野研一君) 作況につきましてはつい最近、十月十五日現在調査を行いまして、特に早場米地帯では刈り取りも進んでおりますので、私ども、これは現地に坪刈りを行った数値が入ってまいっております。これを踏まえまして最終的な結果に近いと思いますが、ほとんど最終的な結果になるように正確な数字を出したいということでやっております。
  133. 星長治

    ○星長治君 そうすると、ここでは発表できないですか、どうなんですか。最終的にはまとまったというのですが、ここではできないのですか、いかがですか。
  134. 海野研一

    説明員(海野研一君) 十月十五日現在まででいろいろ刈り取りは行っておりますけれども、その後乾燥してもみずりを行って最終的にはかって、特に、先生見せていただいたようなああいうものでございますとはかっただけでもいけない、ふるった残りを被害粒を除去して、その残りを食糧事務所へ持っていって、これは買えるものか買えないものかというようなことまでやってまいるものですから、ということを現在各出張所で作業中でございます。できるだけ早く取りまとめたいと思っております。ただ、できるだけ正確な数字を出さなきゃならないということもまたございますので、御理解いただきたいと思います。
  135. 星長治

    ○星長治君 先ほど、大臣から天災融資法発動とか激甚災害の指定を早期にやるということも言われましたのですが、一体これはいつごろまでの目安でやられるのでしょうか。  あともう一つ、農業共済災害保険金の早期支払い、それから損害評価の特例措置を講ずる、こういう問題がどの程度、いつごろ見通しがつくか、その点をひとつ担当からお願い申し上げます。
  136. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 天災融資法発動あるいは激甚法の発動につきましては、先ほど大臣の方から御答弁がありましたようにできるだけ早くやるということでございますが、現在、統計情報部におきまして十月十五日現在の調査実施し、その集計を急いでいるわけでございますが、それが出たところで、私どもはその発動をできるだけ急いでやるということでございます。  また一方、天災融資法発動に当たりましては、一体天災融資法で手当てをすべき資金需要はどれぐらいあるかということを把握した上で発動する必要がございますので、統計情報部の調査と並行いたしまして各県を通じて被災農家資金需要の把握に努めているわけでございます。これらの被害状況あるいは資金の需要をつかんだ上でできるだけ早く発動ができるように対処したいと思っております。  これまでの冷害の事例で申し上げますと、昭和五十五年の冷害の場合には、十一月十日に政令発動になっておりますが、これは非常に特殊な災害対応であったということから、天災融資法発動が非常に早い時点で行われたケースであるというふうに考えられまして、その後の五十六、五十七、五十八の冷害の場合には十二月十日前後に政令発動がなされておるわけでございます。私どもは、五十五年の冷害の十一月十日ほど早い時期には、かなり無理があるのではないかと思っておりますが、そういう事例も念頭に置きつつできるだけ早く発動が可能になるように作業を急ぎたいと思っております。  それから、共済金の支払いの問題につきましては、現在対象地域農業共済団体等に悉皆調査による実態の調査をお願いしておるところでございます。この損害評価を迅速的確に行うことによりまして、共済金の支払いができるだけ早く行われるように、関係農業共済団体等に対する指導に努めているところでございます。
  137. 星長治

    ○星長治君 自作農維持資金の災害融資の確保とか、貸付限度額の引き上げ並びに各種制度資金の被貸付償還期限の延長及び利子減免等、条件緩和の措置ということもそれに関連してくるのですか。いかがでございますか、この問題について。
  138. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 私の方から自作農維持資金の関係についてお答えしたいと思います。  まず、融資枠の問題でございます。資金需要とのかかわりがございますので、現在行っております調査の結果を踏まえた上で適切に対処していきたい、このように考えております。  貸付限度額の特例でございますが、特例をつくるということでございますから種々検討を要する点があるわけでございますが、この点につきましても農業者の被害の実情等を十分見きわめながら検討を進めていきたい、このように考えております。
  139. 星長治

    ○星長治君 水田農業確立対策におけるところの転作等の面積のいわゆる軽減措置、被災農家の他用途利用米についての事前売り渡し限度の数量の枠内での主食用への転用を認める等、いろいろな問題があると思いますが、これについていかがでございますか。
  140. 吉國隆

    政府委員吉國隆君) 六十四年度の水田農業確立対策の進め方につきまして、先生御承知のとおり、六十二年度から水田農業確立対策がスタートしまして、基本的な枠組みが設定をされて進められてまいっているわけでございます。  来年度の具体的な面積等につきまして、米の需給動向なりあるいは全国的な水稲の作柄、こういったものがまた全体の需給に影響を及ぼすわけでございます。また、ことしの対策実施状況、こういったことも踏まえながら最終的には確定をさせていくための検討をしなければならないという状況になっているわけでございます。御承知のとおり、米の持ち越し在庫が非常に高い水準になっている。また消費の問題についても、各地域でもいろいろな取り組みをしていただいておるわけでございますが、減退傾向が強まっているというようなことで需給事情は一言で言って厳しいという実情がございます。  私ども、水田農業確立対策におきましても、また昨年から行われております米需給均衡化対策におきましても生産者生産者団体と行政が一体となって検討しながら推進をしていくということになっております。いずれにいたしましても、そういう検討を行っていく中で、今後の取り組みについて進めてまいるということが必要であるというふうに考えております。
  141. 星長治

    ○星長治君 それでは、多量に発生すると見込まれている規格外米の問題でございますが、政府に全量買い上げの措置を講じていただきたい、こういう要望がございますけれども、これとあわせて病虫害の防除及び次年度稲作生産に支障のない種もみの確保、こういう問題についていかがでございますか。
  142. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 規格外米のお尋ねにつきまして私からお答え申し上げたいと思います。  このような災害に当たりましては、規格外米が多量に発生する例でございますけれども、これにつきまして政府が特例的に買い入れられないかというお尋ねにつきましては、現在の食糧管理の状況は、御承知のように大変過剰な中に大量の在庫を抱えておるというような状況でございまして、近年この規格外米の買い入れにつきましてはこれを行っておりません。今回の取り扱いにつきましても率直に言って難しいと思っておりますが、こういった規格外米につきましては、自主流通米として円滑な流通が行われますように、集荷業者等とも十分相談をして今対処をしつつあるところでございます。十月七日に各食糧事務所長あるいは全国集荷団体あてに通達を出しまして、その手続を定め指導を徹底させておるところでございます。  それから、先ほど他用途利用米の主食転用といった点にお触れになったかと思いますので、あわせて申し上げておきたいと思います。  お尋ねのように、災害で他用途利用米の契約数量の出荷が困難となるという場合につきまして、いわゆる作況調整という措置で契約数量の変更を行う道が開かれておるわけでございます。これは、これまでも毎年行ってきておるところでございますが、今回のような災害に当たりましてこれをさらに特別措置として減量できないか、主食用米に転用できないかといった要望がございます。これにつきましては、もともと他用途利用米の制度本来の趣旨がございますし、実需者と結びついている問題であるということもございまして、一般的に申しますとなかなか難しい問題があるわけでございますけれども、ただ、今回のような災害の場合にそこを何とかできないか、何らかの措置が検討できないかというようなことにつきまして現在検討をしておる状況でございます。なお、初めてのことでもございますので、十分検討を詰めまして御報告したいと思っております。
  143. 星長治

    ○星長治君 予約概算金の返納分割及び金利の免除等の必要な措置はどうですか。講ずることができないんですか。どうでしょうか。
  144. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 今のお尋ねは、政府買い入れ代金の前払いとして支払った概算金の返納の問題でございますけれども、そういった事情に迫られた農家につきましては天災融資法発動されます。被害程度に応じて、一定の基準によって返納金利子の減免を行うことにしております。これは、これまでもルールとして決めておる線がございますので、その線に沿って的確に措置をしてまいりたいと思います。
  145. 星長治

    ○星長治君 被害農家の負担の軽減を図るための所得税とか地方税とか市町村税、これは自治省でしょうが、一応農水省の考え方としていかがですか。こういうのは大きな問題ですからね。
  146. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 被害を受けられた農家の税につきましての負担の軽減を図る措置は、既に国税及び地方税の双方につきまして特例の措置が制度化されているわけでございます。例えば、災害によりまして資金繰りに非常に困難があるというような場合の納税を猶予する措置でございますとか、あるいは所得税の予定納税の減額制度とか、いろんなタイプの特例が既に制度化されているわけでございます。そういった特例措置が税務当局において的確に行われることが、我々としてもぜひそうしていただきたいということで、十月十三日付をもちまして国税につきましては国税庁長官、地方税については自治省の税務局長に対しまして、被害農家の実情に即した適切な特例措置の適用が行われるように農水省としての要請を行っておるところでございます。
  147. 星長治

    ○星長治君 構造改善局長にお伺いしたいのですが、この被災農家の経済的な問題を救済するために、まず救農土木の実施、さらに土地改良の用排水施設の維持管理費に対する助成、こういうような問題、いかがですか。
  148. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 基盤整備事業、御案内のように地方を中心実施されておるわけでございまして、そういう意味では、農村地域におきます雇用なり不況に対応する措置という性格を持っておるわけでございます。ことしの農業基盤整備事業、既に実行段階にあるわけでございますけれども、今回の被害の実情にかんがみまして、その実施に当たりましては、地域におきます農家の就労希望等を的確に把握いたしまして、被害の実態に応じて農家の就労が円滑かつ効率的に行われるようにしっかりやってほしいという趣旨の通達を既に発しまして、関係地方農政局を通じまして種々指導をしておるところでございます。  あと、土地改良施設の維持管理につきましては既にある程度の、中身いかんではあるのですが、助成はしておるわけでございます。今ここで、それ以上のことを新たにやるということには困難があろうかというふうに思っております。
  149. 星長治

    ○星長治君 それで、先ほど私、大臣初め皆さんにお見せした見本です。私は、福島と岩手の雫石と滝沢村、これを見てまいりました。それから、宮城県の北郷または以南の県下なんでございます。専業農家が大体一町四畝で収穫したなにが百八十キロ、一反当たり十七キロなんですね、それも十七キロのこういうような米だった。これは滝沢村で私これを見てきたんです。そういうような各地で一町も二町もつくっておる方々の個人的な被害は甚大なものがあるんです。こういうような農家に対して特別な配慮ができないでしょうか、どうでしょうか。なかなか難しいだろうと思いますが、これは調べてもらえばわかりますけれども、各地区でそういう実態があるんです。一町も一町五反もつくっているのに全滅したというようなのがあるんです。特別な配慮ができないものですか。それをひとつお伺いしたいと思います。
  150. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 部分的であっても極端に生活が困る、営農を続けられないという打撃を受けられるような方々に対してどのような措置ができるか、それぞれのそういう部分についての農家が既借入金でどうなっておるのか、当面の生活資金がどうなのか等々をやっぱりきめ細かく診断をする必要があると思います。そういう意味においては、一括指導という感覚ではなくて、特に困っておる方々の実態というものを把握すべきである、かように考えておるわけでございます。
  151. 星長治

    ○星長治君 冷害の方はひとつ終わりまして別の問題をお聞きしますが、六十二年度で米の余剰米が二百三十万トンあった。そしてまた、この緊急対策事業をやった。この経過をひとつ教えください。どうなっているのか、現在幾ら余っているか、どうするかひとつお伺いしたい。
  152. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 米の生産それから需給の事情につきましては、御案内のとおり近年生産力は徐々に上がってまいります反面、需要が残念ながら減退という傾向をたどっております。そのために、そのギャップを生産調整といった形で、これまでも水田利用再編対策に続きまして水田農業確立対策昭和六十二年度から前期三年間を目途にスタートをさしております。本年度がその二年目ということで七十七万ヘクタールの生産調整に取り組んでおるわけでございます。  ところが、その後豊作が連年続きましたのと消費の減退が当初の予想以上に激しかったということもございまして、緊急的に生産調整をさらにする必要があるという事態がございまして、米需給均衡化緊急対策という形で三十万トン分につきまして、昭和六十二年度にさらに追加して実施をしておる状況でございます。水田農業確立対策につきましては、これまでの計画ベースで実行が一〇二%程度、それから米需給均衡化緊急対策につきましては一〇三%程度ということで、おおむねその計画どおりの実行が図られるというふうに思っております。  その枠組みの中で米の在庫につきましては、本年度末当初の見通しが二百三十万トン程度になる、こういうことでございまして、これは現在まだ米を売っておる最中でございますので、確定した数字ではございませんけれども、それが最近の作況から新米出回りがおくれているという事情もありまして若干減ってくるということは見通されますものの、適正在庫百万トン、それから政府持ち越し量の上限としてこれまで考えております百五十万トンを非常に大幅に上回る在庫というものが見通される状況には変わりがないわけでございます。  今回、ことしの作柄につきましては、これが六十三年度産米としまして、来米穀年度これを販売していくということになりますが、来米穀年度末の在庫につきましても今年からの継続でございますから、やはり相当持ち越し在庫量の上限を上回る在庫が見通されておる。来年度の需給均衡化対策をどのように取り運んでいくかということをまた、この秋にかけまして検討を進めなければならない状況にあるということがこれまでの経過と現状でございます。
  153. 星長治

    ○星長治君 そうすると、六十三年度の産米は幾らぐらいを予想していますか。これが、六十二年からの余りがあるとするならば六十三年度どのぐらいの生産量を見込んでいますか、どうですか。
  154. 甕滋

    政府委員(甕滋君) これは、先ほど統計情報部長から申し上げましたように、十月十五日現在の作柄を、現在作業を進め、近々なるべく早くということでございましたが、公表される運びになっておりますので、その作柄を踏まえて今後の検討をする必要があろうかと思っております。
  155. 星長治

    ○星長治君 そうすると、まだ六十三年度の生産の見通しというのはつかないということですね。  それでは、私今度角度を変えまして質問しますが、今の我が国食糧自給率ですね、これは先進国と比べてどういう対比になるか、ひとつお知らせ願いたい。例えばイギリスでもいいし、フランスでもいいし、西ドイツでもいいから、今の自給率が何%になっているか。いわゆる西ドイツ、フランス、イギリスは何%になっているか。それをひとつお聞かせ願いたい。
  156. 鶴岡俊彦

    政府委員鶴岡俊彦君) 穀物自給率で比較してみますと、日本の場合には約三割ということになっております。今お話がありましたイギリスの場合には一〇〇%近い、年によってはそれを超えるというようなことになっております。
  157. 星長治

    ○星長治君 三割というと三三%ですか、三〇%ですか、どっちですか。そこを正確にひとつ。
  158. 鶴岡俊彦

    政府委員鶴岡俊彦君) 八二年には三三%ということでございます。
  159. 星長治

    ○星長治君 そうすると、一億三千万人の国民を有していて三三%の食糧自給率でいいのかどうか。やっぱり将来何年後にはどのぐらいの方針で進むのか、その方針はどうなっているか、それをお聞かせ願いたい。減るのかふえるのか、それをひとつ。
  160. 鶴岡俊彦

    政府委員鶴岡俊彦君) 私ども国土条件にいろいろな差がございます。いろいろな制約はございますけれども、限られた国土を利用して、極力安定的な価格で供給できるものは供給していくという姿勢で施策を進めておるわけでございまして、現在長期見通しの改定作業をやっているわけでございますけれども、まず現状自給率を維持する、できるだけ高めていくというようなことを主眼に置いて対応していきたいというふうに思っております。
  161. 星長治

    ○星長治君 そうすると、将来とも現状を維持していくということですか。もう一回重ねてお伺いします。
  162. 鶴岡俊彦

    政府委員鶴岡俊彦君) 先ほども申しましたように、極力国内で安定的に、しかも合理的な価格で供給できるものは供給していくというような姿勢で考えておるわけでございまして、現在に甘んじておるわけではございませんけれども、いろんな制約その他から当面とりあえず今のものを維持し、それを将来の向上につなげていくというような姿勢といいますか、気分で進めていきたいと思っております。
  163. 星長治

    ○星長治君 我が国の水田は大体三百万町歩、そのうち七十八万五千ヘクタールですか、いわゆる転作しているのが。そうすると、二百二十二万ヘクタールが今水田として利用されています。水田はあくまでも水源涵養地帯だ。そのために水害を防止する役割を演じておるというんですが、日本国土の水害をいわゆる防止するためには幾らの水田がなければならないか、その点お知らせ願いたいと思います。いかがですか。
  164. 鶴岡俊彦

    政府委員鶴岡俊彦君) 水田の農業生産以外の効用についてもいろいろ勉強したところがあるわけでございますけれども、今先生がおっしゃっているような観点、幾らあれば水害が防除できるのか、そういう観点の資料はございません。  ただ、私ども農業生産以外に水田が、今おっしゃったような機能を含めまして多様な効用を持っているわけでございまして、健全な水田の運用、管理という点は農業生産の立場からだけでなくて考えていかなければいけないことだというふうに認識しております。
  165. 星長治

    ○星長治君 私は、なぜこういうことを聞いたかと申しますと、今アメリカから精米業者が、いわゆる通商法三〇一条によりまして恐らく十月の二十四日か二十五日にどうなるかはっきりするだろう、こういうふうな予想をされておりますが、これについて、両院におきまして大臣から力強い御回答をちょうだいしたわけですけれども外務省の見解をいま少しわかりやすく言ってください、お願いします。外務省はどう考えているのか。
  166. 内田勝久

    政府委員(内田勝久君) お答え申し上げます。  ただいまの御質問は、特に米の問題に焦点を当てられまして、今後の対外的に求められております自由化ないし農産物の貿易のあり方を外務省としてどういうふうに進めていくのかということのように理解いたしました。  現在米の貿易問題につきましては、委員御案内のとおり、一つはアメリカRMAからの提訴の問題、もう一つはウルグアイ・ラウンドにおきます農業交渉の中で米がどういうふうに取り扱われているのか、二つの側面があろうかと考えております。  RMA提訴の問題につきましては、従来からの経緯にかんがみましても、当然アメリカ政府がこのRMAからの提訴を速やかに却下することを私ども強く期待し、かつそのために米国関係筋に強力に働きかけを行っているところでございます。ただ、その理由といたしまして、これも従来からの経緯で、米の問題についてはウルグアイ・ラウンドの中で、各国が持っております農業関連の主要な問題あるいは制度というものを議論していく過程におきまして、その中で米の問題についても討議することは、これはこれに反対するものではない、その討議に参加するにやぶさかではないという立場を私どもとっておりまして、そのようなことからアメリカに対しても強力に働きかけているということでございます。  したがいまして、今後ウルグアイ・ラウンドでどのような発展が見込まれるのかということになろうかと思いますが、現在ウルグアイ・ラウンド農業交渉グループにおきましては、農業貿易の現在の市場メカニズム、市場機能がより一層現在よりも働くようにというような観点から、長期的に農業貿易をどういう仕組みでやっていったらいいのかということにつきましてルールづくりが検討されております。  我が国といたしましても、このようなルールづくりに対して積極的に貢献していくという観点から、昨年十二月には日本提案を出した次第でございますが、その日本提案の中で私どもが強く主張しておりますのは、農業の持つ食糧安全保障の問題もございますが、委員ただいま御指摘のとおり、いろいろな非経済的な役割も負っているわけでございますから、そのような農業の持っている多方面の、多面的な役割にもかんがみまして、ひとつ各国にも、日本もそうですが、各国にも基礎的な食糧といったものについては特別な取り扱いをする必要があるということをそのルールの中にはっきり書いてほしい。そういうルールをつくってほしいということを日本の主張といたしまして強く要求しております。このような基礎的食糧の特別な取り扱いということを軸といたしました我が国立場を現在ウルグアイ・ラウンド交渉の中で積極的に主張し、かつ各国の理解を求めていくべく努力しているというのが現状でございます。  以上でございます。
  167. 星長治

    ○星長治君 そうすると、ちょっとあなたにまだ聞くんだが、先ほど局長なり審議官が申しましたもので、日本が一億三千万の国民を持っている、三三%の食糧自給率でいいのかどうかということが一つ。それから水源の涵養地帯である。いわゆる水害を防止する大きな役割を演じているんだ。ところが、今の三三%でいわゆる完全自給して余っているのは米だけしかないんです。よその物では自給しようとしてもできない、これはやっぱり農家のためじゃない、私は国民のためだと思っている。そのために、やはり外務省として新たな決意で臨んでもらわなくちゃいけないと私は思うんですが、いかがですか。
  168. 内田勝久

    政府委員(内田勝久君) 我が国穀物自給率三三%という数字が、国民生活を今後とも確保していく上にどの程度のものであって、それだけで大丈夫なのかということに対しましては私、外務省の人間といたしまして浅薄ではございますけれども、少なくともこれが先進諸国の中で最も低い水準のものの一つであるということはよく承知しております。ただ、私どもといたしましては、食糧の安定供給の確保という点につきましては一定限度の国内生産を堅持していかなければいけないと同時に、安定的な輸入確保していくこと、あるいは備蓄といった適切な政策の組み合わせが必要であるのではないかというように考えている次第でございます。  それから水害につきまして、農業が国土の保全、環境あるいは雇用も含めた非経済的な役割をいろんな面で負っているという点につきましても十分認識しておりまして、そのような観点から、単に食糧確保という観点を超えた形での農業政策確保されなければいけない。そのようなためにどのような国際貿易、国際農業貿易を考えるに当たりましても、そういう視点が十分取り入れられた上で農業貿易のルールというものも策定されていかなければいけないというように認識しておりまして、そのような観点から国際会議の、今度のウルグアイ・ラウンド農業交渉の場等々におきましてそのような主張を、関係各国にも同じような主張がございます、そのような各国との連携を図りつつ強力に主張していかなければいけない、このように決意している次第でございます。
  169. 星長治

    ○星長治君 私は外務省に対して、ひとつ強硬な姿勢で臨んでいただきたいと思うんです。漁業の実態もどうですか、二百海里から締め出され、サケ・マスが締め出され、それであと牛肉オレンジ交渉でこのとおり押しまくられ、まだ米の問題が出てきておる。第一次産業は崩壊しますよ。やっぱり外務省として毅然たる態度でひとつ臨んでもらいたいんですが、もう一遍私はしつこくお伺いしたい。
  170. 内田勝久

    政府委員(内田勝久君) ただいまの御指摘、十分受けとめさせていただきたいと思います。私ども外務省ではございますが、当然のことながら農水省と十分協議いたしまして、政府が一体となりましてこの農業問題あるいは漁業の問題も含めまして諸外国からいろいろ要請もございますけれども日本農業あるいは日本の国益というものを守るために十分働きたいと考えている次第でございます。
  171. 星長治

    ○星長治君 いよいよこれは十月の二十四、五日ころどういうふうになるか、これは判定が下されると思うんですが、最悪の場合どうしますか外務省として、どういう措置をとりますか、それをひとつお伺いしたい。
  172. 内田勝久

    政府委員(内田勝久君) ただいま私ども日本政府といたしましては、米国政府あるいは関係筋に対しまして、RMA却下が何としてでも実現すべく努力をしている次第でございますので、そのRMA提訴が受理されたという仮定に立ったお答えをここで申し上げるのはいかがかと思いますので、私からは却下に向けて外務省日本政府として全力を尽くしているということを申し上げさせていただきたいと思います。
  173. 星長治

    ○星長治君 そうすると、我々は当然これは却下せられると、こう解釈していいんですか、いかがですか。
  174. 内田勝久

    政府委員(内田勝久君) 従来から米国政府筋は、このお米の問題はウルグアイ・ラウンドの中で取り扱われることが適当であるということを申しておりました。 そのような従来の経緯からいたしましても、私ども却下を強く期待している次第でございますが、そのような期待が実現すべく私ども強力に現在米側に働きかけているということでございます。繰り返しになりますが答弁にさせていただきます。
  175. 星長治

    ○星長治君 終わります。
  176. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 公明党の刈田でございます。  質問させていただきますが、先ほど来から東北地方を中心とした冷害の問題については種々御質疑がございましたので、私はその中で何点かについてだけ改めて伺わせていただきます。  一つは、今回の冷害に対して救済の対象にならない、特定のさまざまな条件がありますので、対象にならない家庭、強いて言うならば飯米農家みたいなところでも、やっぱりお米がなくなっているというようなこともあり得ると思うんですけれども、こういう適用から漏れる農家に対しての救済というものはどういうふうに私ども考えればよろしいのかという質問からまずさせていただきます。
  177. 鶴岡俊彦

    政府委員鶴岡俊彦君) 各種対策があるわけでございまして、具体的にどのようなことを念頭に置かれた質問か、ちょっとわかりかねて具体的な答弁になるかどうかわかりませんけれども、私ども各種施策、これ要件があることは間違いないわけでございますけれども被害の態様に応じましてそれぞれの対応ができるのではないか。例えば、農家が資金の不足をする場合には天災融資法対応するとかあるいは生活資金であれば自作農関係の資金で対応し、またいろんな資金その他の支払いが困難な、制度資金の困難な場合には条件緩和措置を講ずるというようなそれぞれの対応をしていく。  またさらに、先ほど具体的にお話のあった飯米農家等につきましても、もちろん一般のお米屋さんから必要なお米は買っていただくし、もしどうしてもそれで対応できないときには政府米の売却というような方法もございます。それから、どうしても被害程度が低い農家につきましては、やっぱり既存のプロパー資金その他で対応したいというようなことで、それぞれの実態を見ながら適切な指導とか、対応の仕方を指導していきたいというように思います。
  178. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 だから、言いたいことは、かなりきめ細かい対応が必要であろうということの問題でございますので、よろしくお願いしたい、そういうことですね。  それから二番目には、各種の低利融資の、低利長期でしょうか、のいろいろな融資等がこれからまたいろいろな形で出てくるわけです。激甚とかあるいは天災融資法等を適用しながらいくわけですけれども、基本的には、考えてみればそれは農家が借金をしょうことには変わりないわけでしょう。農家の借金がふえていくということには変わりないわけで、岩手あたりですと先般五十七年ですか、五十七年のときの災害の借金が返し終わったか終わらないかというような形の現状にある中で、再び今回の冷害を受けているというような農家もあるわけです。  したがいまして、こうした農家がしょいます負債というものをどういうふうに考えればいいのかということでございますが、先ほどそばへ来て説明していただいたところによると、農家は貯金があるからと、こういう話ですけれども、私がこの統計情報部の農家経済調査報告で見る限りにおいては、五十七年度東北農業所得、もちろん平均でございますが、百十七万八千円に対して、借入金の方は二百十万八千円というふうに借入金の方が上回っておる。これをずっと見ますと、全部農業所得よりは借入金の方が上回っている。特に六十一年になりますと、百二十七万一千円が農業所得だとすれば借入金は百九十七万一千円というふうに皆借入金の方がオーバーしているわけです。 だから、何々天災法、激甚とは言われても、やっぱり数字で見た上では私たちは借入金がふえていくというふうにこう思うんですけれども、これはどういうふうに考えればよろしいんでしょうか。
  179. 鶴岡俊彦

    政府委員鶴岡俊彦君) 今の先生の借入金の資料、私ちょっと具体的にわからないんですけれども、一般に借入金の場合に、固定施設を購入するための借入金のようなもののほかに、調査する主体によっては例えば資材費、えさ代でありますとか農薬とか肥料とか、そういう当座の運転資金的な借入金のようなものも含めて借入金と言っているケースもあるわけで、直にそれを体して物を見るのが正確な実態を見るかどうか、ちょっとその辺は疑問に感ずるわけでございますけれども、先生御指摘のように、農家に負債をふやすということはできるだけ避けるべきであるということは基本だと思っています。  それで、天災融資法その他、御指摘のように借入金でございます。しかし、どうしてもつなぎ的にそういう対応をせざるを得ない場合には、やっぱりそれを借り入れていただいて、あすの、来年以降の農業生産の展開にしていただくというようなことを考えざるを得ないのではないかと思っています。  それから、現金収入につきましては農業共済金、これは先ほど来論議になっていますけれども、農家の方に入る金でございますので、早急に実情を把握して早期支払いができる、これで当面の資金に充てていただくというような対応をしたいと考えています。また、先ほども救農土木事業という話もあったわけでございますけれども、寒冷地帯でこれからの新しい救農土木事業自身は効果についていろいろ疑問があるようでございますが、まだこれから当期の農業あるいは林業、水産業関係の基盤整備事業の残事業もございまして、それらの執行に当たりましては被災農家の実態とか、農家の希望を聞きながらできるだけ雇用をするとか、そういう現金収入減を補うような対応も極力考慮しながら対応していきたいというように考えておる次第でございます。
  180. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 北海道の農家なんかから見れば、東北の借財は少ないというような話もいろいろ話の中で出たことがありましたけれども、いずれにしても、農家にとっては借金であることには間違いないわけで、その辺の救済の仕方のあり方については、やはりいろいろ考えていかなければならないのではないかなというふうに思います。  それから、大臣ね、この間、本会議質疑をさせていただきましたときに、たまたま私も消費地におりますものですから、消費地における野菜の高騰について御質問させていただきましたら安定しておると、そして諸般の手を打ったので、これはほぼ横ばいで推移しているという形のことをおっしゃいましたけれども、そうでないんですね。やっぱり依然として消費地ではこの冷害による低温、そして長雨等によります野菜への影響というものが非常に大きゅうございまして、恐らく九月度、十月度の消費者物価指数をかなり押し上げるであろうというふうに私思っております。これは、九月の東京都区部の消費者物価指数で言えば、やっぱりキャベツは六八・二、白菜が五七・七、レタスが五五・四、タマネギが五一・七というふうに上がっているんですよ。それで高いんです。  きょう皆さんにお願いして持ってきたわけです。こちらも持ってきたけど、私もこれを持ってきたんです。大臣、これね、普通だと私、この手のあれで二十円ぐらいで買えるんですよ。今大根って本当安いんです。せやけど、これ幾らだと思いますか、これ二百円。それで、丸のままで置いているところはやっぱり少ない。大体二つに切って売っています、今これ。二百円なんでございますの。これは非常に消費者にとって痛い価格なんですね。それからもう一つ、これキャベツだけど、これだと大臣幾らすると思います。これはね、私本当に厳しいんですよ。  対策をなさってないとは絶対申しません。なさっていらっしゃいます。だけど、この手のことが、やっぱり価格が解消されてないわけ。だから、あるスーパーなんかでは特定のルートからそれこそ自分たちのたまたまの何か、何というのかな、方法で安売りをやると朝から並ぶというくらい、野菜ってまだまだ首都圏では大変なんでございます。これ三百円です。これは丸のまま売っているからよろしいんですけれども、大体は丸が見られませんで半分です、今キャベツは。ほとんど半分で並んでおります。大体百五十円とか二百二十円半分でしておるわけです。  私、いつも野菜の話をしますけれども、野菜のようなあるいはお魚のような生鮮食品が消費者物価指数に与える影響が非常に大きいものですから、これも農水省にかなりの責任があると思うんです。それで、八百屋さんはこれを売るとき、おれのせいじゃないおれのせいじゃない、天気のせいだ、もう一つ言えば役所のせいかもしれぬとここまで言って売っておりまして、彼らも売りにくそうなんですね。  そこで、消費地対策について改めて大臣にお伺いいたします。
  181. 渡辺武

    政府委員(渡辺武君) お答えいたします。  ことしは、御承知のように七月から九月にかけましてかなり記録的な天候不順がありました。お天気のせいにしてはということの御指摘がございましたけれども、やはり天候に非常に左右される作物でありまして、このような天候不順の結果、作柄が多くの産地で平年作を下回るというような状況がずっと続いておりました。特に葉物類を中心に価格が高く推移をしてきたわけでございます。若干最近になりましてその傾向が薄まってまいっておりまして、非常にドラスチックに申しまして七月が大体平年一割高、八月が二割高、九月が三割高とこうきたわけでございますけれども、十月に入りまして最近では前年の二割高ぐらいにおさまっておるということでございます。 ただ、二割高といいましても非常に高い水準でございまして、入荷が一割ぐらい減っておるから二割高ぐらいになっておるということでございます。  今までは夏秋物というものが中心でございました。今から秋冬物に切り変わるわけでございますけれども、その秋冬物につきましても、播種したり定植したりした八、九月の天候の影響が残っておりまして、やや生育はおくれぎみでございます。したがいまして、今後とも高値が続くということになっては困るわけでございまして、私たちといたしましてはできるだけ今後とも栽培管理の徹底を図るということの技術的な指導をやっておるほか、早出しにやはり努めていただく。これは今までもずっと早出しに努めていただいたわけでございますけれども、いかんせん非常な記録的な天候不順のために物がなかったわけでございます。今後若干状況は改善すると思いますけれども、なお早出しに努めていただきまして、供給量の確保を図りまして価格の安定に努めてまいりたいという考え方を持って行動しておる次第でございます。
  182. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) お役人の答弁がございましたけれども、私自身実は必要以上に関心を持っております。できないながらも関心を持っておることだけは申し上げておきたいと思います。  四十六年、今から十七年前になりますけれども冷害の年でございました。私、当時政務次官をやっておりました。テレビのスタジオに引っ張り出されていろんな注文を、毎月第三金曜日に準レギュラーとして引っ張り出され、そして、そのときそのときの米の値段、肉の値段、野菜の値段、随分消費者を前にしていろいろ質問を受けた経験がございます。その当時は、今のことではございませんけれども、例えばデパートの生鮮食料の地下の売り場であるとかあるいは近所の八百屋さんであるとか、そういうところを前日には必ず見て私自身の勉強をしたこともございます。  最近ちょっと雑用に追われていまして、そういう勉強もままなりませんけれども、このたびの異常気象関連をいたしまして、七月の末であったかと思いますが、私が直接指示をいたしまして、そして本省から産地あるいは地方農政局から産地、こういうことで早出しの出荷であるとか、そういうことを私が指示をいたした経緯がございます。書かれてから、また映されてから言われたのでは責任もあることでございますので、そういう意味から私が指示をいたしました。  その後、九月の半ばから末にかけて若干値が落ちついたことは事実でございます。その落ちついたときのことを言っておるのでございまして、特に最近になりますとまた上がってまいりました。甚だ遺憾だと思っております。  私自身キャベツの産地にも伺ったこともございます。今まではそういう生鮮食料というのは、例えば露地野菜にしてみれば三年に一遍はもうかる、あとの二年は損するというようなことがリンクされて繰り返されているんだというようなこともちまたの茶飲み話になってきたことも事実でございます。  今、そこでお示しになりましたそのキャベツ、目方は何ぼあるか、目方によって違うんです。私はこれが一個幾らかと言われても、それに直ちに答えることはできません。七月、私が役人に指示をしてからあちこちで見ましたのは百グラム五十円ぐらいでございます。これは、しかし小売価格でございます。卸売価格で役所は一応把握をしております。その卸売価格でいいますと小売価格と若干ニュアンスが違います。小売価格でいいますと、小売屋さんはいろんな産品をプールして値づけをやられるというのが一つの常識にもなっておるようでございます。でありますので、そういう実態を頭に置きながらも、やっぱりもとをただせば産地をどう督励するか、まさにおっしゃられるように私ども責任でございますから、これが消費者物価を押し上げる大きな要因になっておる、これも事実でございますから、そういう意味で努力をいたしておるところでございます。
  183. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 この間農水省の人が来て、すき焼きをやるんだけれども、ネギが一本百円なものだから、しようがないのでネギを減らしてコンニャクを余計入れたという話も聞いているくらい、農水省の人たちも家に帰れば消費者ですから皆やっぱり苦労しているわけでございまして、こんなふうなときにもできるだけ価格に、消費地にそういうものがはね返らないような政策、大変だろうと思うけれども、ぜひお願いしたいというふうに思います。  もう一つ私が疑問に思いますのは、長野県の高原キャベツをつくる産地に電話をいたしまして、出荷の段階でキャベツの値はいいだろうというふうに問い合わせたらば、ここは変わりないんですね。変わりないどころかむしろ逆にたたかれているような感じがあるわけ。  私が言いたいのは、私の立場のものは消費地と生産地の両方に目配りをしながらの発言を常にいたしておりますものですから、こういう関係からいきますとなおさらこの高値が許せない、こういうことになるんです。付加価値がある。いわゆる生産量が少なくなったということは、ある意味では生産地にとって高付加価値生産ができるということにもつながるので、だからそういうときにはいい値がつけばいいわけなんです。ところが、そうでないところに私は問題があるのじゃないかと思って、この辺の実態調査もぜひ私はお願いしたいと思うんですけれども、これあわせていかがでしょうか。
  184. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 流通につきましても当然のことながら配慮をすべきものと心得ております。なお一層の努力をいたしたいと思っております。
  185. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 ぜひよろしくお願いいたします。  私はきょうは、本来は畑作の問題についてお伺いをしようと思って質問を用意いたしておりました。時間の中で間に合う中でやらしていただきたいと思います。  六十三年産畑作物の価格決定が明日なされるのではなかろうかというふうに思って聞いておりますが、ことしの畑作物の価格決定に対してどんな基本姿勢をお持ちになっておるのか、これはまず大臣から伺うわけでございます。ことしは、特に我が国農業を取り巻く情勢が違う、こういう条件の中で将来も見据えつつ、しかも生産者の生産意欲をなくさない、こういう形を基本に畑作物価格の決定をしていただくんだと思うのだけれども、まずその基本的考え方をお伺いいたします。
  186. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 農業をめぐる情勢というものを常に背景にしながら、あらゆる具体的な対策を考えていかねばならぬ、私もかように思っております。  六十三年産畑作物の価格決定のことについてお触れでございますが、てん菜、サトウキビ、カンショ及びバレイショの生産者価格については、農業パリティ指数に基づいて算出される価格を基準といたしまして、物価その他の経済事情を参酌して決定することとされております。六十三年産については、生産性の向上の動向あるいは畑作物間のバランスを総合的に勘案することに加え、農業をめぐる先ほど申し上げました情勢というものも当然含めまして、需給事情のもとで制度の円滑な運用が確保できるよう適正に決定してまいりたい、かように考えております。  また、大豆につきましては、大豆なたね交付金暫定措置法に基づき生産費その他の生産事情、需給動向及び物価その他の経済事情を参酌して決定することとしておりまして、これを基本に大豆をめぐる厳しい事情を考慮し、生産性の向上、品質の改善、畑作物相互間の価格関係等にも配慮をいたしまして適正に決定をいたしたい、こう思っております。
  187. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そこで、具体的にお伺いをいたしますが、まず大豆ですわ。この大豆については昨年からの等級間格差を導入した、これで農家にどういう影響が出てきたのかということをまず伺います。  それからその次は、さらに六十三年産については、この等級間格差の幅を広げるということが報道されているのですが、これは本当ですか、いかがでしょうか。
  188. 吉國隆

    政府委員吉國隆君) ただいま先生お話しのように、昨年、大豆の価格につきましては等級間格差が導入されたわけでございます。その意図するところは、先生も御案内のように、高品質の大豆への生産誘導を図っていきたいということが基本になって進めているわけでございます。各産地の状況としては、こういった状況の中でできるだけ上位等級に調整をして出荷をするというような動きもふえてきつつある。また、従来規格が、規格のその一とその二とございますけれども、その二の、これは実需に合った形で調整をして出荷をするという、そういう部類のものでございますが、わずかではございますけれども、そういうものが増加をしてきつつあるというような努力が誘発をされてきている面があるというふうに思っております。ただ、残念ながら上位等級がどれだけふえてきたかということについては、この六十三年産の実態等まだよくわかっておりませんので、計数的に申し上げられる段階に至っておりません。  今後の拡大をどうしていくのかという点についてでございますが、昨年格差を導入いたしました際の考え方としましては、これも先生御案内のとおり、整粒歩合等の価値差があるわけでございますので、これに着目をいたしまして、また導入初年目であるということで激変緩和にも配慮しながら実は算定が行われたという経過があるわけでございます。この格差を、格差との関係でどういうふうに拡大していくかという点につきましては、産地側にも率直に言っていろいろ心配な声も聞かれますので、私どもそういった各方面の意見も伺いながら、適切なテンポでこれを進めていくということで調整を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございまして、現段階で具体的なことを申し上げられる段階まで進んでおりません。
  189. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 これは、報道によると十九日ということになっていますけれども、あした一応決まることになるのですか。
  190. 吉國隆

    政府委員吉國隆君) 食品流通局長も見えておりますが、畑作物価格につきまして、私どもなるべく早く決定をしたいということで各方面の調整を急いでおりまして、あすかというお話がございましたが、できるだけ早くあるいはそれ以前にもできるだけ早く決められように取り運びたいというふうに思っておりますが、確定的にいつ決まるかということについては、ちょっと申し上げられる段階に至っておりませんので、御了承を賜りたいと思います。
  191. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それから、この銘柄間格差研究会、これから出てくるところの銘柄間格差の導入について、どういう見解を持っておられるのか、我々はまたどういう理解をすればいいのか、この点についてもあわせて伺わせてください。
  192. 吉國隆

    政府委員吉國隆君) 銘柄間格差につきましても、消費者のニーズにできるだけマッチした形で良品質大豆の生産を伸ばしていきたい。こういう考え方から昨年の法改正におきまして等級間格差とあわせまして、その導入の規定が盛り込まれたわけでございます。私ども、基本的には、この改正の趣旨に沿いましてできるだけ早くこれを導入すべきものというふうに考えておるわけでございます。  もちろん、これを進めていきます際には、流通の実態をよく把握する必要があるわけでございます。特に、銘柄別の価格関係あるいは市場におきます評価、また銘柄別の出回り量、こういったことについても調査を進めていく必要があると思っております。また、農家段階でどういった銘柄別の作付か等も子細に調べておきたい、こういうことで本年度調査実施しているところでございます。こういうものの回収なり集計ということも進めており、また先生お話しがございましたように、銘柄等格差小委員会も設けていただいて検討も何度か行ってきていただいております。  こういった状況を踏まえて、銘柄間格差の導入をいつからどういうふうに進めていくかということについて検討を進めておりますが、具体的な時期等について、これまた明確に申し上げられるような状況に至っておりません。ただ、この実態の把握についてはかなり時間を要しているという実情があることだけ申し添えさせていただきたいと思います。
  193. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は、この銘柄間格差のような種類のものについては、そんな早急に導入する種類のものじゃないだろうというふうに思っているんです。それは、適地適作というような言葉があるように、その地域、その他城にできる大豆というものがあるでしょう。そういうものを、いい銘柄のものを早く定着させろと言うても、何しろ土との勝負だからそんなにすぐに銘柄物がそこでできるというわけでもないわけですよね。ということは、一方からいえばある地域のものについてだけ保護してあとは切り捨てる、こういうことになっていくと考えるんですけれども、これはどういうふうに考えればいいのか。私はどうしてもこの銘柄間格差という問題わからないんです。 取り入れる事情がわからない。
  194. 吉國隆

    政府委員吉國隆君) 土地条件等によりましてどういった銘柄の選択が可能かというところは、先生おっしゃるように、いろいろな問題があろうというふうに思っております。  ただ、基本的に申しますと、国産大豆というものは食用大豆中心に考えているわけでございますが、輸入品に対してもう少し国産の優位性というものを確保できるような販売ということも可能なのではないか。またそういうことによりまして、率直に申し上げて財政負担の節減ということも考慮していかなければなかなか大豆の将来の生産につきまして展望を描くことも難しくなるおそれがある、こういう客観情勢だと思います。  そういった意味では、やはり国産の優位性というものをできるだけ発揮できるような、またそういう形で、実需者の方から申しましてもこれまた先生御案内のとおりでございますが、できるだけまとまった均質なロットで自分たちの欲する品質のものを欲しいという声は非常に強いというふうに私ども思っているわけでございますので、そういった希望をかなえつつ販売力の強い大豆というものを生産していく。こういう点に立ちますと基本的には、この導入を急いでいく必要があるのではないかというふうに思っております。  もちろん、実態の把握ということにも先ほど申しましたように努めながら、またこれは鶏が先か卵が先かというような面もあるわけでございまして、ある程度各方面の御意見も伺いながら政策的な判断で、ある程度試行錯誤的な進め方ということもこういったたぐいの問題については必要であろうかというふうに思いますが、基本的な方向としては早期の導入を図るべく努力をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  195. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それから、昨年からですけれども、最低標準額の制度を導入するということで、販売代金精算額と最低標準額の差額については交付金を支給しない、こういう形の制度を導入しましたね。これも大豆なたね交付金暫定措置法のときに随分検討されたのじゃなかったかと思うんだけれども、これは考え方としてはさっき私言うように、やっぱり切り捨てていくということと同じ考え方なんです。冒頭で言われたように、高品質大豆を生産するための政策だというふうに言われれば理解できなくはない。けれども、私、きょうもっとほかにやらなきゃならないことがたくさんある中で、畑作物価格があした決まるんじゃないかというふうに聞いたことと、それから畑作というもの、これは日本稲作の問題とやっぱり連動して考えていかなきゃいけない一つのテーマだというふうに思うものだから、特に大豆なんかは転作作物の優等生だというふうに言われている種類のものですよ。  それだけに、大豆みたいなものに対して、私はもっと考え方の基本をしっかりさせていかなきゃいけないんじゃないかなというのが、財政当局の言い分でなく農水省の論理として積み上げていっていいはずのものがあるのじゃないかというふうに思うものだから、私はあえてこの大豆にこだわって今言っているわけです。この交付金の問題について説明いただきたい。
  196. 吉國隆

    政府委員吉國隆君) 大豆の、特に水田農業とのかかわり合いにおきましての位置づけについてお話があったわけでございますが、私どももその点についてはそのとおり認識をいたしておるわけでございます。  また、御承知のように、北海道の畑作地帯におきます輪作体系という点からしましても非常に重要な位置づけを占めるものでございます。そういった意味で、大豆の生産というものをいかに今後健全に発展をさせていくかということは非常に重要な政策課題であるというふうに考えている次第でございまして、私ども交付金の財政負担ということだけでもちろん考えているわけではないわけでございますが、実際問題として、今の大豆のつくり方には地域によりまして、また経営によりましてかなり差があるという実態がございますので、できるだけやはり生産性向上のスピードを高めて、生産者の手取りが、ほとんど財政負担によってカバーされるというような実態ではない生産構造というものをできるだけ早くつくり上げていくという努力もやりながら、大豆の先ほどお話のございましたような大事な位置づけというものを確保してまいりたいというふうに考えております。  また、最低標準額の点についてのお尋ねでございますが、これは先ほども申し上げましたような、国産大豆の優位性を本当に活用できるような販売体制というものをできるだけつくり上げていくということが必要でございますので、そういった販売努力の目標というような性格で導入をされ、運用をしてまいっているわけでございます。これが、単にちょん切る手段というようなお話がございましたが、私どもとしては、そういった国産大豆の優位性というものの判断に当たりましては、実際の輸入価格とそれから国産価格との差、そういったようなものもベースに置きまして適正な目標設定が行われるべきであるという考え方で調整を進めている段階でございます。
  197. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 畑作の中では、カンショ、バレイショの問題もありますし、それからサトウキビ、てん菜の話もあって、たくさんお伺いしなきゃならないことがあるんですけれども、私もう時間がございませんので、一つだけバレイショ、カンショにかかわってでん粉の問題とあわせてお伺いしておきたいのは、例の農産物十二品目のガットの違反勧告を受けて後の問題がありますものですから、それとひっかけてお伺いをしてみたいというふうに思うのでございます。  我が国の北海道のバレイショ、それから鹿児島等を中心としたカンショですね、これはでん粉に主原料としてなっていく。この問題が十二品目自由化論のときにかなり出ました。事実上、このでん粉についてはガットの勧告から日米協議において自由化免除という形が一応とられましたね。だけど、この六十四年以降についての私はコーンスターチと国産でん粉との抱き合わせ論の問題についてとても疑問を持っているんです。  それで、この国産でん粉とコーンスターチの抱き合わせ論についてどういう見解を持っておられるのか。私は、その抱き合わせ比率、ずっと十年分ぐらいさかのぼってこれを調べました。もっと上はカンショ、バレイショ別々で比率をつくってあります時期がありますね。ある時期に一本になってきています。だけど、この抱き合わせの比率というのはずっとあることはある。だけれども、今回六十四年からは国産でん粉の比率をうんと小さくするという、私のこれは一九八七年のデータだと上期七・五、下期七・六の比率で国産のでん粉をコーンスターチに混入しているだけなんだね。これが今後、国産でん粉の比率を小さくするということは一体どのぐらいになるのか。 時間がないからまとめて聞きます、それが一つ。  それと、トウモロコシの二次関税率を引き下げること、これも出ていますね。一体幾らに引き下げるんですかということ。それによっては、要するにでん粉は自由化に全く丸腰と一緒でしょう、どうですか、これ。
  198. 渡辺武

    政府委員(渡辺武君) でん粉につきましては、ガットのいろいろな御指摘もあったわけでございますが、私たち対米折衝をいたしまして、まずIQ、自由化をしないということにいたしました。  その次に、今先生御指摘の国産の芋のでん粉とトウモロコシからつくりますコーンスターチを抱き合わせまして国産でん粉の消化を図っておる、需要を確保しておるという措置を講じておるわけでございますが、これを廃止しろというアメリカの強い要請があったわけでございますけれども、それを守った。抱き合わせ制度を守って原料である芋でん粉の安定生産体制を確立したというか、維持したということになっておるわけでございます。ただ、この抱き合わせ制度につきましては、アメリカとの折衝の結果、先生おっしゃっておりますように、抱き合わせの比率について改善をするということと、二次税率について改善をするという約束をいたしたわけでございます。  具体的には、六十四年度から六十六年度の三カ年にかけまして、抱き合わせにつきましては、今国産でん粉一とコーンスターチ七・六で抱き合わせをして平均価格をつくりまして売っておるということでございますが、それを六十四年から一対八・〇、それから六十五年は一対八・五、六十六年には一対九・〇というように、狭めるんじゃなくて拡大していくという……
  199. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 コーンスターチの量。
  200. 渡辺武

    政府委員(渡辺武君) コーンスターチの分量を拡大していくということが第一点でございます。  それから、第二点は二次税率、これはTQ制度がございまして、御承知のように一次税率はゼロでございますが、二次税率を張っておりまして、それがキログラム当たり今十五円でございます。十五円を六十四年には十四円、六十五年には十三円、六十六年には十二円と一円ずつ下げていくということを取り決めたわけでございまして、六十七年度以降については再協議、このような内容の合意をいたしたわけでございます。これによりまして抱き合わせは、今までよりももう少しコストを下げる努力をしなければなかなか難しいという状況はありますけれども、基本的に抱き合わせによりまして消費といいますか、消化の安全、需要の確保という点は大筋においては確保されたというように理解をしている次第でございます。
  201. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 六十三年度補正予算で十八億、基金造成のための予算を確保したということで、この基金造成というのは何に使うんですか。
  202. 吉國隆

    政府委員吉國隆君) お尋ねの点は、先般決定をいたしましたでん粉原料用芋額の十二品目関連対策のことであろうと思います。  このでん粉原料用芋類につきましては、今のお話にございましたような抱き合わせ比率の問題等がございますので、今後のバレイショ生産という点からいたしますと、需要の伸びてまいっております加工食品用への転換を進めていくということについても配慮しながら考えていく必要があろうということで、そういった転換を自主的にうまく進めていくという見地から各地の実情に即した形で、優良種苗の導入なり、これは加工適性品種というものも開発が次第に進んでまいっております。また土壌消毒でございますとかあるいは加工向けの生産に適した収穫機械、管理機械あるいは集出荷施設、これも加工食品用ということになりますと、品質を保持できるような、温度を上げたり下げたりの調節が可能なような貯蔵施設というものが必要になってまいるような関係もございます。  また、一般的な品質向上なり生産性向上のための事業というようなものも予想されるわけでございまして、そういったものが地域の実情に沿いまして、また自主的な努力として円滑に進むように、なるべく弾力的な形で対策が進められるような手段を用意していきたいということで、ただいまそれをどういう段階で、どういう形で予算化をするかということについてはなお調整が必要であろうと思いますが、思想としてはそういうことで弾力的に使える財源を用意してそれに臨んでいくということで御決定をいただいているところでございます。
  203. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 終わります。
  204. 下田京子

    ○下田京子君 リクルート疑域問題に関連して私は、第三セクターであります安比総合開発株式会社、これはリクルート四八%出資会社ですけれども、それと国有林の活用のあり方について質問いたします。  まず、最初にお聞きしたい点なんですが、加藤前農林水産大臣のヘリコプター視察の問題です。我が党の上田議員がことしの八月二十四日、予算委員会でこの問題を取り上げました。昨年、六十二年二月二十八日に加藤前農林水産大臣が安比スキー場を視察した、そのことにつきまして松田林野庁長官は次のように述べております。当時第百八回国会において、いわゆるリゾート法案の上程が予定されていましたので、既に国有林野を活用してリゾートを推進している優良な参考事例として安比高原リゾートを視察することにしました、こう述べております。長官は、当時次長としてこの視察に同行されておりますね。  まず、最初にはっきりさせていただきたいんです。この視察は公式な視察でしたか。
  205. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 今先生おっしゃいましたような目的で参ったわけでございまして、公務として参った次第であります。
  206. 下田京子

    ○下田京子君 公務として視察に行かれた。  ですと、だれが参加したか顔ぶれ等はもちろんこれは明らかにできると思うんですが、視察にヘリコプターで参加された顔ぶれをお述べください。
  207. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 大臣秘書官、それから私を初めとする林野庁の職員が大臣のお供をいたしました。
  208. 下田京子

    ○下田京子君 その際に、江副リクルート前会長もヘリコプターに同乗されて現地に伺い、そして説明されたというふうに承知していますが、これは現地に行って私同ってきたんですが、間違いございませんね。
  209. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 江副氏は同乗されません。先ほど申し上げましたメンバーで伺った次第であります。
  210. 下田京子

    ○下田京子君 そうしますと、私が現地で伺ってきた話というのはうそだということになりますか。 これは、観光ホテルの株式会社の取締役で、なおかつ安比総合開発株式会社の取締役、それから安比レックの専務取締役をしております高塚猛さんという方にお会いいたしまして、昨年二月二十八日、大臣がお見えになったときに、どなたが御一緒されましたかと聞きましたら江副一人です、あとは現地でお迎えしました。ただ、高塚さんは御一緒していなかった。現地では林野庁のOBでもあり、現在株式会社の役員をしております馬倒さん、それからもう一人の取締役が出迎えた、こう言っておりました。そうじゃないんですか。
  211. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 高塚氏、私存じませんけれども、先ほど先生いみじくもおっしゃいましたように、私が同行していたわけでございますので、間違いございません。
  212. 下田京子

    ○下田京子君 その件については、どちらかが違うことを言っているわけなんでしょう。いずれにしても、じゃなぜヘリコプターで行かれたんでしょうか。農林水産省の事例で、離島以外にヘリコプターで公式に大臣が視察に行かれたということはないと聞いているんですが、違いませんか。
  213. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 前例は存じませんけれども、大変大臣お忙しい立場でいらっしゃいますので、ヘリコプターを利用していただいたわけでございます。
  214. 下田京子

    ○下田京子君 ヘリコプターのチャーター料金はお幾らでしたか。
  215. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 個々の契約の内容につきまして、その相手方の氏名、金額を一般に公表いたしますことは民法上の契約の内容を公開することにもなりますので、差し控えさせていただきたいと存じます。
  216. 下田京子

    ○下田京子君 いや、そんな大それたことじゃないでしょう。言えないんです、要するに。私は、日本エアシステムですか、旧東亜国内航空に聞いてみたんです。あなた方が乗ったのと同じ、これは十人乗りのヘリコプターで安比まで日帰りで往復した場合どのくらいになるか、往復五時間でチャーター料金は一時間約六十万円、ですから三百万、日帰りの場合には待ち時間はサービスするということだそうであります。これ特別大それたことじゃないでしょう。皆さんチャーターしようと思って聞けばわかることじゃありませんか。私は、なぜ言えないかと言えば、これも高塚さん、皆さんが言っていましたけれども、江副さんという方は、この旧東亜国内航空とチャーター契約をされて週一回ぐらいもうへりを使ってしょっちゅう行っている、こういうことなんです。だから、皆さん料金も言えなかったんじゃありませんか。
  217. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 正規の手続を踏んで契約をし、ヘリコプターを利用したところでございます。
  218. 下田京子

    ○下田京子君 だって、それを言えないなんて、大それたことじゃないですよ。言えないというのはやっぱり江副さんがチャーターしてそれに乗っていったから、だから言えない、こういうことですよ。  ましてや、国有林というのは、これは国民みんなの財産を管理しているところです。そういうところでこうでしたということを言えないというのはますますおかしいじゃないですか。  さらに、大体この視察は公的視察だったと皆さんおっしゃっていますけれども現地に行って驚いたんです。大変唐突だったというんです。どういう点でかというと、岩手県、地元の安代町、営林署の幹部の皆さんが何と言っているか、自分たちが視察を要請、準備したものではありません。営林署は所管する大臣が来ながら視察受け入れの準備作業等一切していない、こう言っております。岩手日報の県庁詰めの責任者は、大臣の公式訪問なら普通事前に県政記者クラブ等にお話があるんだけれども、何の連絡もない、そして加藤農相が来たので取材は全く現地の支局に任せた。  さらに注目すべきは、安比のリクルート側の当時の責任者であります小倉取締役自身が、加藤農林水産大臣の視察は急に知らせる状況であり、その目的についてはわからない、こういうふうに答えておりまして、どうも江副さんの個人プレー、そして江副さんからの要請で加藤前農林水産大臣が、急遽皆さんを引き連れて視察に伺ったというふうに言えるんだなというふうに思いますが、どうですか。
  219. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 再三申し上げますが、ヘリコプターには江副さんは同乗しておられません。  現地におきましては、地元岩手県知事、安代町また松尾村の町村長さんからもいろいろの要請等も受けたところでございますし、営林局長からも事業の内容等については説明をいただいたところでございます。
  220. 下田京子

    ○下田京子君 いや、その懇談の席上にも江副さんちゃんといらしたでしょう。どうして言わないんです。  それから、リゾート法案審議の際に生かすために行ったんだと言っていますけれども、これは公式な報告文書があるのかと聞いたらないと言うんです。公式の報告文書もない。しかも、この法律案の審議のときに、加藤前農林水産大臣は建設委員会の法案審議の場には一度も出席されてないんですよ。当時次長さんであった長官、あなたも参議院で一度だけ答弁に立っていることなんです。しかも、そのときに安比高原のことについて一言も触れていませんよ。非常にこれは国会答弁にも生かしてないし、一体何のための視察だったのかということを言わざるを得ません。公式調査で報告書もなしで、私たちどんなことが有効事例であるのかぜひ見たいと思って求めたんですが、出してくれなかった。こういう公式調査というのはいかがなものかと思うんです。  大臣、今までの経過をお聞きになってわかると思うんです。このような公式調査というのはあり得ますか。
  221. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 視察でございますし、日帰りの出張でございましたので、特に報告書等は提出をしていないところでございます。
  222. 下田京子

    ○下田京子君 大臣
  223. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 前任者だからということだけで言うわけじゃございませんけれども、余り私承知しておりませんので、林野庁長官が答えたことで御理解を賜りたいと思います。
  224. 下田京子

    ○下田京子君 御理解できないの。  前任者がだれかで言うんじゃなくて、公式調査に行ってこんなことってあり得るのかということで、私はお答えいただきたかったんですが、次にこの安比スキー場と森林レク構想との関係質問します。  私、現地に行ってまいりまして、全体が民地も含めまして約三千百ヘクタール、ちょうど山手線の内側の半分、そのぐらい広大です。そして、一山そっくり開発されておりまして、これは大臣にごらんくださいということで前にも届けておったと思うんです。皆さんにもお配りしていると思う。資料ごらんいただければわかるんですが、これが前森山という山なんです、山そっくりですよ。コースは十六コース、そしてリフト、ゴンドラ二十五基です。これらが全部今言う第三セクター、安比総合開発株式会社という格好で今やられているんです。  ここで、ちょっと特殊法人であります北海道東北開発公庫、北東公庫の方にお聞きしますけれども、公庫が出しております「ほくとう」という雑誌、昨年のものですけれども、これも皆さんのところには資料でお配りしてあります。この中で、「スキー場開発と地域開発効果」ということでもって安比総合開発株式会社の経理部長太田さん、この方実は北東公庫の担当参事役をしている方であると聞いていますけれども、間違いございませんね。
  225. 角田修一

    参考人角田修一君) はい、そうであります。
  226. 下田京子

    ○下田京子君 そうすると、その北東公庫から出向して書かれた方の太田さんのこの内容によりますと、この安比総合開発株式会社にどうしてリクルートが参画することになったかという経緯が大変詳しく載っております。大変注目したい点は、資料をごらんいただければわかると思うんですが、二ページ目に開発の経過がずっと書いてあります。ですから、唐突にリクルートが参画したのではなくて、かなり長期的に戦略をお立てになっている。それもしかも、中に書いてありますけれども、こう述べているんです。ちょうど中ほどの下の方になっていますけれども、リクルートは言ってみれば情報産業で紙と鉛筆の情報商い産業だ、これだと保有資産形成が薄い嫌いがあるというようなことでこの開発に乗り出したんだ、こう書いてあります。その株式会社安比総合に、五十五年十月に設立されて以来、この八年間に公庫がどのぐらいの融資をされているのか、融資利率はどうなのか、お聞かせください。
  227. 角田修一

    参考人角田修一君) 個々の企業の融資額につきましては、公庫と取引先との信頼関係の観点がありまして、公表は差し控えさせていただきたいと思います。  なお利率につきましては、その融資時点の基準金利、一般に言われております長期プライムレートと同率の利率を適用いたしております。
  228. 下田京子

    ○下田京子君 これも、信頼関係もいいところですよね。大体北東公庫のいろんな、この公庫のあらましというのもありますし、どういうものにあるかというようなことで。信頼関係と言うけれども、一番大事なのは、皆さんは、これは国全額出資の会社です。国民に信頼されるような融資をしなきゃいけないんじゃないですか。  調査によりますと、五十五年から六十二年までに安比総合開発の借入金総額は百二十九億五千四百万なんです。うち公庫は七十六億五千二百万円で、総融資額の五九%に当たると承知していますが、こういう事実ではありませんか。
  229. 角田修一

    参考人角田修一君) 先生の調査時点がちょっとはっきりいたしませんでございますけれども、ほぼ現時点の事実には近いものだと思います。
  230. 下田京子

    ○下田京子君 これは私、現地の会社に行って、さっきの高塚さんから伺ってきました。ことしの六月の総会の決算による金額です。会社もお出しになったと言ったら県庁も安心して出してくれました。皆さんのところだけこうやって国会でもお隠しになるなんというのはおかしいですよ。資本については無利子融資だと思います。  次に聞きたいんですが、公庫では一億二千万出資していますね。配当金は受け取っていますか。
  231. 角田修一

    参考人角田修一君) 出資額一億二千万でございます。まだ配当は受け取っておりません。  それから、失礼いたしました。先ほどの私の調査時点の資料とちょっと手元が違いましたので数字を間違えまして失礼しました。融資残額ですから。
  232. 下田京子

    ○下田京子君 だから、私が出した数字はそのとおりということですね。  まだ配当は受け取ってないと言いますが、いつか受け取るんですか。これはおかしいですよ。私は定款をいただいて、そしてまたお話を伺ってきたんですけれども、会社設立当時から無配当の会社だということになっている、違いますか。
  233. 角田修一

    参考人角田修一君) 配当につきましては一義的には経営者が判断する事柄でありますが、まだ会社が配当を行う時期に至っていないという報告でございまして、実はこれの判断につきましては、まだ会社が過去からの繰越欠損が残っていることもあり、配当を行う時期に至っていない、こういうふうに伺っております。
  234. 下田京子

    ○下田京子君 伺っておりますというのじゃ、まるであなたどっちなんですか。株主の一人なんですよ。ただね、この設立経過を見ますと北東公庫は設立発起人には入ってないんです。五十六年から入っているんです。しかも、定款の中にもありますし、ちゃんと述べておりますが、この会社は無配当の会社ですよということを承知いただいて出資していただいております、こう言っています。  事業の状況なんですけれども、六十二年度のスキーの入り込み客は実に八十五万人になっていますし、スキーの売上額だけでも二十六億です。そして、六十二年度で今まで借り入れたのはさっきも言いましたが百二十九億五千四百万だと。そういう状況で配当するような状況に至っていないと言われましたけれども、ずっと見てみますとどんどん設備投資はしています。実際に、ことしの六月の決算期でも赤字と出たのはわずか三億なんです。そういう状況ですから本来からいけば今言うようにちゃんと配当契約があれば一定配当があるんです。過去に、現に二年間黒字も出しておるんです。だから、最初からそういうことで無配当の会社なんだと。そういうところに北東公庫が二〇%出している。それから林野庁の代理と言ってもいいでしょう、財団法人の林野弘済会も入っているんですよ。  ところがです。大臣、これはお配りしておいたと思うんですけれども、この「会社概要」をごらんください。安比高原となっている。もちろん下には安比総合開発株式会社、裏を見ますと、これも資料に皆さんにお配りしてありますけれども、岩手エリアリクルートグループになっているんです。一番上に安比総合開発株式会社。どんな事業をやっているかというと安比高原のスキー場だと。それにレックが入って、それからメイプルカントリークラブが入って、高原牧場があって、観光ホテルがあってという格好で、この第三セクターである安比総合開発株式会社、これはリクルートグループの一員になっております。いつから公庫はリクルートグループになられたんでしょうか、お答えください。
  235. 角田修一

    参考人角田修一君) 公庫は、先ほど先生の御指摘のありましたように、五十五年の十一月に出資をいたしております。政府機関の立場から株主として指導監督を行っている立場にあります。
  236. 下田京子

    ○下田京子君 指導監督を行っている立場と言ったって、さっき言ったようにあなた融資額もお知らせにならない。定款がどうかもお知らせにならない。なおかつこうやって会社の宣伝に、全部もうリクルートのグループの一員になっていることについても何にも言われない。このパンフレットだけじゃないんです。実は、江副さんはあちこちでこういうことを言っているんですけれども、「経済界」という雑誌で、ことしの四月五日号でこう言っております。ここにもコピーがあるんですけれども、「安比というのは、他に比較するものがないスキー場をつくろうというのがコンセプトなんです。そういう意気ごみもあってグラフィックデザイナーの亀倉雄策さんに頼んで設計してもらったんです。日本はもちろん、外国にもないスキー場ということで、外国の人たちにも喜ばれていますよ。」と言っております。  さらに「かもめ」という雑誌の中でも、安比というのは、これはリクルートのグループとしてずっと育ててきましたよということでこうも言っていますね。日本で初めて、世界で二番目というスイス製の八人乗りゴンドラリフトが完成もして話題を呼んでいる。輸送力もこれは非常に大きくなって東北の代表的なスキー場になりました、こういうふうに言っておりますけれども、経営全体すべてこの江副さん、リクルートにお任せになっておるということなんです。承知していますか。
  237. 角田修一

    参考人角田修一君) 当社は第三セクターとして設立しておりまして、民間活力の観点から事業の運営のノーハウにつきましてリクルートの指導を受けながらやっておるというふうに理解しております。
  238. 下田京子

    ○下田京子君 指導でないんです。これはまた、現地責任者です、高塚さんというのは。はっきり会社設立に当たって私どもに一切お任せいただきたいということで、皆さん御同意をいただいておりますと胸を張って言っておりました。  林野庁、第三セクターである安比総合開発株式会社ですけれども、まさに江副さんの自由になる、言ってみれば私物化と言ってもいい状況じゃないでしょうか。
  239. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 安比総合開発株式会社は、岩手県安代町、松尾村、それから北東公庫、いわゆる公的資金が資本金の約四割を占めているわけであります。全体の構成が十七団体でありまして、民間が十三団体、その資本金が六割、こういう性格の会社でありまして、その会社の内容につきましては、私どもくちばしを入れるといった立場にはない、このように考えております。
  240. 下田京子

    ○下田京子君 リクルートは四八%の出資。それから、あと関連企業が一・七で、約五割近い出資をしているだけじゃなくて、はっきりと経営も任していただきましたということなんですよ。一山そっくりですからリクルートさんどうぞお使いください、こういう格好で関連グループがたくさん利益を上げている、こういう状態。大臣を視際にお招きした江副さんの思惑は何なのかなと思ったんですが、その辺でもちょっと実は政治献金のことで伺ってみたんです。そうしましたら率直に言っていました。私どもはいろいろお世話になっている方にはそれなりのお手伝いをさせていただいております。こういうことで資料にも載せておきましたけれども、実は小沢官房副長官にも二百万の政治献金をおやりになっております。どういうことなのかなと思うんですが、この安比を今後の言ってみればリゾート事業としてのモデルとして大臣に見せたかった、そして今計画になっている岩手の、選挙区で言えば二区の小沢代議士なんかの近くにある三陸海岸への進出もねらっていたというふうなことが言われているわけです。  こういうふうに、総合森林レクリエーションエリア整備事業ということなんですけれども、国有林野の有効利用と言われておりますが、結果としては、このリクルートグループの企業にそっくりこの地域がまさに利益を生み出す、そういうこととして林野が活用されている。ですから、安比地区の国有林野を最も有効に活用しているのはだれかといえばリクルートと江副さんじゃないか、こういうふうに言われていますが、大臣はどうでしょうか。どう思っていますか。
  241. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 御案内のとおり、森林におきまして、レクリエーション等を行いまして心身をリフレッシュするといった国民のニーズが非常に強くなってきているわけでありまして、そういった面で森林を活用する、国有林を有効に生かしていくということが極めて重要になってきておりますので、国有林といたしましては、経営の大きな事業といたしましてスキー場を中心といたしました施設整備を行っているところでございます。今後とも、そのような方向で進めなければいけない、このように考えているところでございます。  また、その事業を通しまして地域の振興が図れる。この安比の地域につきましても地元雇用量が二百人ふえた。あるいは過疎地域でございますので、それを食いとめるといった面で冬季間の出稼ぎの方々の人員数が非常に減ったといったような形でございまして、事業を通して地域振興に寄与している、このように考えているところでございます。
  242. 下田京子

    ○下田京子君 皆さん考えているのはどうでもいいですけれども、現実は全く今言ったのと逆。驚いたんですよ。これは、会長になっております岩手の副知事さんにも会って、御自分で驚いていました。安比の総合開発株式会社が設立されたのが昭和五十五年でしょう。そのときの地元の地元、安代町では人口八千九百六十三人でした。六十一年に八千二十一人で、何とこの間に九百四十二人も減少しています。過疎は食いとまるどころか今岩手県下一の人口減少率の高い町になっています。世帯数でも百二十一世帯も減っています。そのほか道路をつくってやったあるいは山の手入れも手伝ってやっている、除雪もやっている、今まではごみまで集めさせられていた。あるいは地元で使っている会社の短角牛は、遠くから持ってきて農協からはお買いにならないなどなど挙げていったらたくさんあります。どこが地元に有効だというふうにおっしゃるのか、私は問題だと。ここは問題点です。  そして、次に移りますけれども、こういう状況の中で、加藤前農林水産大臣政治秘書をやっております片山秘書官と、加藤代議士の次女名儀で譲渡を受けたリクルート株一万数千株を農林水産大臣就任叫の六十一年十月に六千四百万円で売却したという重大な事態が明らかになったわけです。先ほど御指摘申し上げましたが、国会開会中に異例のヘリコプター視察ですよ、二月二十八日って土曜日ですけれども。そして、その四カ月後にこういう事態になったんです。農水省はこういう状況は御存じだと思うんですけれども、御本人から御説明を受けたということはございますか。
  243. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 存じません。
  244. 下田京子

    ○下田京子君 存じませんでなくて、私は御本人から御説明受けましたかと聞いたんです。なぜかというと、これは労働省だとか郵政省は疑惑の人物から事情聴取をちゃんとやっているんです。農水省、どうして伺わないのかな。率直に言いまして、これは余り言われたくもないでしょうが、加藤六月代議士といえばロッキード事件の際にも灰色高官として有名な人物だったわけです。  さらに、「リクルート疑惑」、これは新聞社のお出しになっている本の中にも出ておりますけれども、記者さんが片山秘書官に会って聞いているんです。  そしたら片山秘書官は、「ある友人の紹介でね。リクルートコスモスの株を買わないか、ってね。十数人ぐらいの友人に声をかけ合って、みんなで金を出し合って買ったよ」、こう答えたんです。友人てだれですかと言ったら、「そんなの関係ないよ」「個人的な友人ですよ。買う時にだれかの名前が必要だっていうから、「それじゃ、オレの名前を使えよ」って感じでね。だれの名前でもよかったんですよ」、こう言っているんです。  さらに、ではどうして代議士の次女の名前を使ったんだと。代議士は知っているのかと言ったら、いや、知ってないよと。大体「オヤジとは家族ぐるみの付き合いですからね。二十年以上になりますよ。娘さんだってまだ小さかったなあ。そんなだから、「ちょっと名前貸してよ。お小遣いあげるからさ」」って感じでやったんだと、こう言うんです。  ところが、何でじゃ十数人の名前にしなかったんだ。なぜ二人にしたんだと。二人の口座にしたら口座も手数料が二倍になってどうなるんだと、こういうことに対して、「ううん、たしかにね。そんなことする必要ないものなあ。なぜだったかね。よく覚えていないんだよね」というようなくだりがずっと出ているんですが、私不思議に思いますのは、秘書が勝手に大臣のむすめさんの名儀を使うなんていうことがあるんだろうかというふうなことの疑問も感じております。  ですから、率直に言って、こういう点で調査する必要があるのじゃないか。お聞きになるお気持ちないですか。
  245. 松田堯

    政府委員(松田堯君) ございません。
  246. 下田京子

    ○下田京子君 法務省に伺います。  聞いてのとおりなんですけれども、当事者である農水省はそういう気持ちが全くないということなんですが、リクルート社は安比スキー場の経営に参加することによって、国有林の利用によって莫大な利益を上げていること、今お話を聞いていて御理解いただけたのではないかと思います。こういうような企業から所管の大臣が相当額の利益を得たと聞きますと、やっぱりだれでも何かあるなというふうに思うのが常だと思うんですけれども、検察はこの問題に目を向けておられるでしょうか。
  247. 古川元晴

    説明員(古川元晴君) 捜査につきましては、申すまでもございませんけれども、犯罪でなければ捜査の対象にならないわけでございまして、その前提といたしまして、それなりの犯罪の嫌疑がなければ捜査の対象にはできない、こういうふうになってございます。したがいまして、お尋ねの案件も含めまして、これまで国会におきます各種の御論議があるわけでございますけれども、このような事柄が直ちに捜査の対象になるということではないわけでございまして、その前提として、果たしてそこにいかなる犯罪の嫌疑があるのかということをまずもって検討しなければならないということ。また、そのことはもとより当然でございますので、そういう意味で、検察といたしましても視野に入れて検討しておる、そういうふうに承知いたしております。
  248. 下田京子

    ○下田京子君 視野には入れている。  リクルート疑惑が国会で論議されまして既に三カ月以上たっております。検察の働きがどうも鈍いというふうに思います。確かに竹下首相や宮澤大蔵大臣、安倍幹事長などそうそうたる大物の名前が出てくるんですから、捜査を手控えるというような印象も持たざるを得ませんけれども、ただ、さきに我が党が発表しましたドゥ・ベストのリストですね、その後直接当事者の証言によりまして一〇〇%正確なものであることが証明されました。さらに、ビッグウェイ社についてもリクルート社のトンネル会社であったことが細江現社長の証言で確認されております。  ところで、リクルート社の岩手県進出の拠点になりました竜ヶ森レック、これは現在安比レックと名乗っている会社ですけれども、この会社は岩手県の政界工作の拠点だと言われています。六十年四月のリクルートコスモス社の第三者増資の際に、非公開株四十万株を取得したことになっています。この会社は、リクルート社の有力子会社とはいいながら四十万株というのはどうも多過ぎるのではとか、あるいは江副氏の右腕中の右腕とも言われる戸張さん、こういう方が社長にもなっています。ドゥ・ベスト、ビッグウェイ、エターナルフォーチュンなどと続いて第四、第五のトンネル企業の疑いが持たれているわけですけれども、こういう事実については承知しておりますか。
  249. 古川元晴

    説明員(古川元晴君) お尋ねのような会社に対しましてそのような第三者割り当てがなされたかどうかにつきましては、法務当局といたしましては確認するような立場にはないわけでございますけれども、仮にそのような事実があるといたしますのであれば、検察当局におきましては当然承知しておるものというふうに考えておるところでございます。
  250. 下田京子

    ○下田京子君 既に、四十万株竜ヶ森レックへのあれは承知しているだろうということですが、私、四十万株のいきさつを聞いてきたんです。  先ほどから申し上げておりますこの安比レックの専務取締役、現地の総責任者の高塚猛さん、この方にお会いしましてこの四十万株はどうなっていますかと聞いたところ、最初は、四十万株は保有しています、ただしその七%に当たる二万八千株については処分したと承知している、こう説明しました。ところが、翌日になりましたら電話をかけてよこしてくれまして、いや、きのうの説明は正しくない、四十万株全部安比レックが所有していると説明し直しました。現地責任者がそういうことを言われた。それから、じゃ、それを裏づける決算書を見せてほしい、こう申しましたところ、それはできないと断られたんです。ところが、もう一人の取締役にも聞きましたところ、私は全くそういう事実は存じてないとはっきり断言されました。なお、この安比レックという会社なんですけれども、リクルート一〇〇%出資の純然たる子会社であります。これも認めております。  なお、登記簿などもありますけれども、我が党の調査に対しましてトンネル会社であることが明白なドゥ・ベスト社は、全株保有していると断言していました最初。ところが、実態はそうじゃなかった。全くうそだったということがわかりました。安比レックのケースもドゥ・ベストと同様に政界に株が流れた疑惑があると私どもは思います。調べるべきだと思います。どうでしょう。
  251. 古川元晴

    説明員(古川元晴君) 先ほども申し上げましたとおりに、現在、東京地検におきましては、楢崎議員からの告発事実を中心といたしまして捜査中でございまして、その過程で所要な証拠はそれぞれ収集していくものと思われます。また、種々の御論議をされておる事柄につきましても視野には入れておるというふうに承知いたしておりますので、その過程で必要なものにつきましては収集されていくものというふうに考えております。
  252. 下田京子

    ○下田京子君 視野にも入れていろいろ収集もされているじゃないかということですけれども大臣、このように疑惑に包まれたリクルート社の江副さんが、自分の系列企業の役員はおやめになっています、全部今。御存じでしょう。おやめになっているんですよ、リクルートの会長をおやめになったんです。ずっとおやめになっていますから、第三セクターであるこの安比総合開発株式会社の社長だけ今もまだ、名前もリクルート株式会社の会長ということで就任されているんですよ、ここだけ第三セクターの方は。これはやっぱり御本人も皆さんに迷惑をかけて申しわけないとおっしゃっていますし、それから第三セクターの役員というのは皆さん肩書の方が変わるとお人も変わっているんです。だから、県も副知事さんが会長にはいますけれども、副知事が変わると人は変わるんです。やっぱりこれだけ問題なんですから、この際、江副さんには辞任していただいた方がよろしいんじゃないでしょうか。
  253. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 冒頭、一言私からお答えを申し上げましたが、私は本当に余り知らぬものでございますから。しかし、だんだん聞いていると衆議院のあれは特別委員会かな、それから参議院の予算委員会かなで議論をされておった。衆議院では、私が、出てこいと言っておられたけれども、もう帰ってもいいと、こういうことだったし、私は別に冷たい答弁をしたいと思って言っているわけじゃございません。  私自身、そういうことがあったにもかかわらずもっともっと今ごろ、あなたがくださった資料をさっきから一生懸命に見ようと思ったけれども、聞いてなきゃいかぬ、見なきゃいかぬで忙しいからなかなか頭に入りにくいんでございますが、今ごろ見るんでなくてちゃんと覚えておれと、もしおしかりを受けるものであれば甘んじて受けます。しかし、当初申し上げるように、私はこの問題についてとやかく申し上げる状況にはない。特に民間会社の役員の異動について私に答えろと言われても、答えたものかどうなのかということ、ちょっと今ちゅちょいたしておる、その感じを率直に御答弁申し上げます。
  254. 下田京子

    ○下田京子君 私、大臣を責めるつもりないんですが、いいですか、一民間人の社長やめなきいの話じゃないの、大臣。第三セクターの責任者を江副さんがおやりになっているのは、おやめいただくようにこれは考えるべきじゃないですか。この第三セクターは大臣がもろに関係するんです。ここに林野庁の通達があるんです、一式。第三セクターの設立等に当たってはどうこうこうこう、全部あるんですよ。ですから、その法人が適当かどうかも含めてだれが判断するかというと大臣所管、林野庁長官所管になってくるんです。検討してください。
  255. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 私、本当に詳しく承知をしてないものですから、それで冒頭申し上げたように、林野庁長官が言うのに間違いないと思いますと、それを信じてやってくださいという意味のことを私申し上げたわけでございます。林野庁長官から補足答弁をさせます。
  256. 下田京子

    ○下田京子君 時間がないから要らない。  国としては、私はこれは当然辞任の方向でお考えいただいてしかるべきだと思います。  内部の皆さんに、リクルートの会社の内部の人ですよ、役員の方に聞きましたら、我々が言うのもなんだけれども、こういうことが表ざたになって、やっぱり政界を工作してやったのかというふうに思われるのは残念であります。ただし、会長がかわるかどうかは私どもが決めることの筋合いにないから、県並びに国なんかの御意見を聞いてください、こう言っています。そして、副知事に伺いましたら副知事いわく、実はこの問題が発覚したときそういう声も出ています、しかし今そのことについてあれこれは言えませんがと言いつつも、非常に疑問に思っている節を私は感じてきました。  だから、私はちゃんとして、第三セクターのあり方としてもこの安比総合開発の社長さん、江副さんにはおやめいただくべきではなかろうかということで御検討を再度要請し、最後に事実関係をはっきりさせる意味で、加藤六月さんとそれから安比総合開発株式会社の専務であり安比レックの社長でもあります戸張捷さん、それから安比総合開発株式会社の取締役である小倉義昭さん、この三人を証人として招致するよう要求しまして、この点で質問は終わります。後でお取り計らいください。  最後、もう少しになりましたけれども、実は厚生省、おいでくださっていると思います。時間がありません。私、三点まとめてお聞きしますからよく聞いていてお答えくださいませ。  いよいよ畑作物価格、お決めになるということなんですが、ことしは冷害の打撃もあってまた畑作物は大変です。さっきお野菜の話が出ましたけれども、価格は上がっても農家は品物不足で全然収入は減っています。コマツナなんていうのは一把五百円もするんですから。そういう状況の中で私が申し上げたい点は、実は輸入のトウモロコシです。干ばつでアメリカのトウモロコシに発がん性物質のアフラトキシンが付着している、カビ毒、これが明らかになりました。この件につきましていろいろ問題になっております。安全な食糧日本の大地からという運動も大きく起きています。こういう中で輸入トウモロコシが非常にふえてきていますね。その輸入トウモロコシにアフラトキシンが付着しているわけで、トウモロコシはえさ用だけじゃなくて、これはトウモロコシでん粉といってコーンスターチという格好になるわけでしょう。だから大変なんです。  それで厚生省、三点。一つは、ことしの四月二十五日に東京都がアフラトキシンなども含めて流通に乗ったものの調査をやりました。その中からアフラトキシンについて香辛料二検体、これが発見されております。つまりこの事例は、水際チェックをやっているということだけれども不十分だ、流通になってからもこういう事例が起き得るということを示しているのじゃないか、その認識を問う、これが一つです。  二つ目、こういう状況になりまして、トウモロコシもアフラトキシンの検査対象にするということに今度されたと思うんです。そうしますと、当然検体数がふえますから検査官をふやさなきゃならないですね。現在七十八人しかいない。今だってあっぷあっぷでどうにもならない。来年十名ほどの要求をしていると聞きますけれども、これでもとても足りないと思うんですが、そういう検査官の増員要求をどうするつもりなのか。  最後になりますが、三点目、食べ物についてのアフラトキシンは、これはND、検出されてはならないということになっているはずです。ところが、厚生省の検出基準は一〇ppbまでしか検出ができない、これでは検出能力がまさに低い、もっと高めるべきだ。皆さんそういうお声ですからそれを高めていく対応が必要でしょう。この点について、まとめてお答えいただきまして私の質問を終わります。
  257. 難波江

    説明員(難波江君) 第一点でございますが、先生御指摘のように、香辛料から二検体出ております。輸入時の検査でもたびたび違反が発見されるわけでございますが、今後とも国の内外を含めてこれらの違反食品の流通しないような体制の整備に努力をしてまいりたいと思うわけでございます。  それから第二点目でございますが、食品衛生監視員の増員の問題でございます。先生御指摘のように、現在七十八名でやっておりますけれども昭和六十一年度に五名、六十二年度に三名、六十三年度に三名という増員を図ってきているところでございますが、今後とも一層増員の確保努力をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから、第三点でございますが、検査体制の問題でございます。アフラトキシンにつきましては、従来から食品の安全確保の観点からいろんな対策を講じているところでございますが、先生御指摘のような点もございますので、今後とも必要な検査法及び検査機器の整備に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  258. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 毎年今ごろになりますと、同じパターンを繰り返しておりますサトウキビの問題についてお尋ねをいたします。  まず第一に、大臣にお尋ねいたしたいことは、六十三年産のサトウキビの価格決定の基本方針はどのようにお考えであるか承りたい。
  259. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 六十三年産サトウキビ価格決定についての基本的な考え方につきましては、農業パリティ指数に基づいて算出される価格を基準とし、物価その他の経済事情を参酌して決定することとされております。六十三年産については特に生産性向上の動向、それから畑作目間のバランスを総合的に勘案することに加え、農業をめぐる内外の厳しい情勢、需給事情のもとで制度の円滑な運用が確保できるよう適正に決定したい、かように考えております。
  260. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ具体的にお尋ねいたしますが、価格決定につきまして五十九、六十、六十一年の三カ年は据え置きになっておりますね。六十二年が下がった。その経過を踏まえて、ことしの価格につきましては何としても農家の手取り額を前年並みに据え置いてもらいたいというふうに強力な要望がなされておることは御存じだと思いますが、その点いかがでしょうか。
  261. 渡辺武

    政府委員(渡辺武君) お答えいたします。  六十一年には、キビの価格につきましては実質据え置きということでございますが、六十二年産につきましてマイナス二・四%の引き下げということになったわけでございます。六十三年産につきましては、今大臣から基本的な考え方を御答弁申し上げたわけでございますけれども、そのような方向で適正に決定していきたいということでございます。
  262. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 念を押すようでありますが、ひとつ何といたしましても前年並みに下げないでほしい、この方針で今のお答えからも額面どおり受けとめておるつもりでありますが、間違いございませんね、もう一遍。
  263. 渡辺武

    政府委員(渡辺武君) キビにつきましては御承知かと思いますけれども、今月の末ごろ決定する一応予定にいたしておりまして、ただいま具体的内容につきまして検討中でございます。今の段階におきまして、まことにお言葉を返して恐縮でございますけれども、据え置きというようなことの御指摘でございますが、それにつきましてそのようにいたしますとか、いやどういたしますとかいうような明快なお答えを申し上げられる段階でないことを御容赦いただきたいと思います。
  264. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いろいろ御配慮の過程においてあると思いますが、結果的には間違いがないものと期待いたしております。  もう一点お聞きしたいことは、このサトウキビの生産性向上を図るためには、申し上げるまでもなく、農業用水の確保、かんがい排水施設、圃場、農道整備、防風、防潮林等の生産基盤の整備が重要であることは申し上げるまでもありませんが、これらについて、六十四年度予算の編成に当たってどのように考えておられるかお聞きいたします。
  265. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 御指摘がございましたように、サトウキビの生産性の向上を図っていきますためには用水の確保でありますとか、かんがい排水の施設の整備あるいは圃場整備、その他いわゆる農業基盤整備が大変重要だというふうに認識をいたしております。  かつまた、沖縄の場合には若干の立ちおくれということもございます。先生御案内のように、これまでから沖縄県におきます農業基盤整備の推進に当たりましては、採択基準なり補助率なりあるいは予算額の配分におきましても特別の配慮を行ってきたところでございます。今、六十四年度の予算編成に当たっておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、今申し上げましたような問題意識のもとに必要な予算額の確保に努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  266. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、二つの問題をひっくるめてお尋ねいたします。  まず一つは、サトウキビの品種改良と栽培技術の試験研究の現状はどうなっておるでしょうかという一点と、それからもう一点は、含みつ糖は特に沖縄の離島地域においてはいろいろ問題もございますが、地域経済を支える上の基幹的産業である、しかしそれは国の助成なしでは存続できない現状であることは十分御承知だと思います。これに対する国の方針をあわせてお伺いいたしたい。
  267. 谷野陽

    政府委員(谷野陽君) サトウキビの品種改良の問題についてお答え申し上げます。  サトウキビの品種改良、具体的に申しますと、新品種の育成の問題につきましては九州農業試験場の作物開発部におきます試験研究、それから農林水産省の指定試験といたしまして沖縄県農業試験場におきます品種の育成を行っているところでございます。この品種の育成につきましては、九州農業試験場の育成にかかりますものにつきましては、台湾で交配をいたしまして我が国に持ち帰りましてこれを育成するということでNiFという番号がついておりますが、既に1—3、さらに最近NiF4、NiF5という品種が開発をされているところでございます。  現在、沖縄県及び鹿児島県で最も多く栽培されておりますものは、昭和二十年代の末に導入をされましたNCO310という品種でございます。これが大変能力のある品種でございまして、これを超える品種の育成が私どもの目標であるわけでございますが、最近育成をされましたNiF4、NiF5につきましてはかなりの能力があるものといたしまして、現在採種圃で増殖をいたしまして昨年の夏植えから一部導入をいたしておるわけでございます。また、沖縄県の指定試験で育成をいたしました品種は昭和五十一年から交配を開始いたしております。品種の改良につきましてはかなりの時間がかかるわけでございまして、現在三品種につきまして試作するところにまで来ておるわけでございます。これらの品種につきましても、試作の結果を待ちまして可能な限り早く普及に移してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  268. 渡辺武

    政府委員(渡辺武君) 含みつ糖の問題でございますけれども、沖縄県におきます含みつ糖の生産は、分みつ糖生産が困難な離島において行われておりまして、すべてについて条件が悪い離島の経済に重要な地位を占めておるということは認識をいたしております。このため、従来からこの含みつ糖につきましては価格差の補給金、要するに含みつ糖の販売価格が製造販売経費より低落した場合には、その価格差を補給するという価格差補給金を交付する措置を講じてまいっておるわけでございまして、六十四年度におきましても、従来に引き続きまして同措置について所要の予算を要求しておるということでございます。
  269. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その点よろしくお願いいたします。  次に、サトウキビと同じく沖縄の基幹作目でありますパイナップルについてお尋ねいたします。  去る十月七日、政府がまとめております農産物十二品目関連国内対策のうちのパイン対策につきましてはどのような対策を講ずるのかという観点から対策の内容について、特に次の点についてお聞きいたしたい。  まず一つ、原料価格差補てんについて、二点は関税割り当て制度について、三点は優良種苗の普及計画について、この三点についてまずお聞かせ願いたい。
  270. 吉國隆

    政府委員吉國隆君) 先般決定をさせていただきましたパイナップル関係関連国内対策でございます。基本的な物の考え方といたしましては、ただいま先生御言及のございました関税割り当て制度を導入いたしまして、輸入缶詰との抱き合わせによる沖縄産缶詰の販路の確保を図っていく、また高品質の生食用のパイナップルの生産出荷体制を整備していく、この二つを基本的な考え方といたしまして生産から流通にわたります各般の対策実施していくという方針が決定されたところでございます。  お尋ねの三点について概略を申し上げさせていただきますと、まず、原料価格の価格差補てんでございますが、従来から通常の価格変動に応じます価格差補てんを行ってまいっておったわけでございますが、缶詰等の輸入増の影響によりまして、国産のパイナップル缶詰等の原料果実の価格水準が低下するということに相当するものを補てんする目的で、特別補てん事業というものを一定期間実施するということで、これを八年間実施していくということが一つの柱でございます。  関税割り当て制度についてお尋ねがございましたが、具体的に申し上げますと、一次税率を〇%といたしまして、また二次税率三〇%、これによりまして、一定の抱き合わせ比率によりまして、沖縄産缶詰を引き取る方に対して一次税率〇%を適用するという形を通じて、沖縄産缶詰の販路の確保を図ってまいりたいという内容で、この点につきましては法制面の措置を含めて今後進めていく必要があるわけでございます。  また、第三点のお尋ねがございました優良種苗の普及の問題でございますが、パイナップルの生産性、品質の向上という見地から私ども重視をいたしておりますのは、最近普及しかかっておりますN67—10という品種がございますが、安定多収である、また糖度も高くて加工、生食両面において適性が高いというふうに見ておるわけでございまして、これを早期に普及させるということで、従来の優良種苗供給計画を大幅にスピードアップ、拡充いたしまして、二、三年の間にこれの緊急増殖を進めてまいりたいということが、今お話のございました三点についての主要な内容でございます。
  271. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それでは最後になりますが、沖縄の台風二十四号の被害について、サトウキビ、パイナップルも含めてあるわけでありますが、特にここで大臣に要望申し上げたい点がございます。  まず、二十四号の被害についてはどのように調査をまとめられ、対応しておられるかということは係の方にお願いしたいんですが、被害作目、サトウキビ、野菜、花卉、施設等、それから被害地域被害の面積、被害金額、このことは既に確認しておられると信じます。  私が特に大臣に要望したいことは、被害対策の中で特に台風二十四号の被害の特徴は、大型の地すべり、がけ崩れ、この地すべり、がけ崩れの内容には、住宅そして敷地、道路、それから農作目のマンゴー園、こういった総合的な被害を受けた地域が私の沖縄市だけでも二、三カ所ございます。  そこで、この対策につきまして私が気になりますことは、すぐ法的な措置が講ぜられるかどうかということに疑問を感じておりますので、大臣に御検討を特にしていただきたいことは、災害関連緊急傾斜地域崩壊対策事業によって復旧事業が行われるわけでありますが、それにはそれぞれ条件があるわけなんです。その条件に基づいて早急に未指定であるなら指定を、手続をとらせますから、それを受けとめていただいて災害対策をしていただきたい。特に生命にかかわる非常に危険、毎日毎日ずれつつあります。雨でも降りますというと大がかりの第二波がやってくる危険性がございます。そういった状況でありますので、どうかひとつこの点条件に照らして早急に指定、そして対策を講じていただきたいことを強く要望申し上げます。対応調査を係からお聞かせください。
  272. 鶴岡俊彦

    政府委員鶴岡俊彦君) 今質問のありました台風二十四号によります被害は、沖縄県と鹿児島県を中心に約十七億円の被害が発生したということを県から報告を受けております。  作目別には、最も大きいのはサトウキビで、面積約二万九千ヘクタール、約九億です。次いで野菜が三百六十四ヘクタール、約五億円。花卉が、花が百二十八ヘクタール、一億一千万円。水稲が二百七十五ヘクタール、五千五百万円というふうに承知いたしております。農業施設別では、農地、農業用施設で約一億六千万円、ビニールハウス等の営農施設で約一千万円、合計一億七千万円ということになっております。地域別には、沖縄県が約十六億円、そのうち本島が約十三億円、宮古島約二億円、八重山約一億円であり、鹿児島県が一億六千万ということになっています。以上が被害額でございます。  被害に対します対応でございますけれども、今後とも被害状況の的確な把握に早急に努めますとともに、被害状況に応じまして必要な資金については自作農維持資金あるいは公庫等の公庫資金の活用、また水稲あるいはサトウキビにつきましてはそれぞれ共済制度の活用、それから農地、農業用施設、災害復旧事業等の活用に努めていきたいと思っています。また、今先生御指摘のような地すべり等の事業につきましては、その実態に応じましてあるいは緊急治山とかそういうところで対応いたしたいと思います。  それから、先生御指摘の事業につきましては、多分建設の事業ではないかと思っていますので、先生の御質問の趣旨は建設省に私の方から事務的につないでおきたいと思います。
  273. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大臣、どうぞ。
  274. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 台風二十四号の被害状況を大方把握したという、今報告がございました。さらに的確な把握に全力を尽くさなければならぬと思っております。  今、総括審議官から申し上げたとおりでございますけれども、私もお話を聞いておりまして地域崩壊防止事業という、これは急傾斜地崩壊防止事業のことをあるいはおっしゃっているのではないか、だとすれば、また建設省の関係も出てくるなと。いずれにしても、危険地域の指定をしながら二度とまたそういうところの崩壊に、人的なり物的な損害が起こらないように常々配慮をしていかなければならぬものだ、そう感じた次第でございます。
  275. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 よろしくお願いします。  終わります。
  276. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 初めに、お断りを申し上げておきますが、既に多くの議員が質問されまして当局の答弁もございました。あらかじめ通告をいたしました質問内容に若干の変更をさせていただきますので、御了承をお願いいたします。  まず第一点は、農産物輸入自由化の外圧と政府対応についてお尋ねをいたします。  日本農業の門戸開放性は一九六〇年代から一九七〇年代にかけて着実に進行をいたしており、本朝来の同僚議員の御質問に対する御当局の答弁でも明らかなように、今や食糧総合自給率は六〇年の八三%から八六年の三三%と大幅に低下、かくして最近の日本世界最大農産物輸入国になっております。にもかかわりませず、八〇年代になって農産物輸入自由化や拡大化を求める声は特にアメリカから高まり、周知のように、一九八六年七月、日本の残存輸入制限十二品目についてガット違反で提訴をされ、その結果は落花生と雑豆以外の十品目に関して日本側の完全屈服だったのでありますが、ガットで争われる多くの問題がございましたけれども、これほど明確に被提訴国のクロが判定されましたことは珍しいことであります。また、アメリカの二国間交渉の対象であった牛肉オレンジについても、ECが採用しておる課徴金制度さえも認められずに、日本政府アメリカに完全に押し切られた格好で、三年後の全面的自由化を約束するに至ったのであります。  生産農民の中には、交渉継続中に、佐藤農林水産大臣が議会でたびたび発言されました決意とは裏腹な結果に歯ぎしりして悔しがっておられる方々の意見も耳にしました。確かに、この種交渉車の難しいことについては理解をするものです。しかし、今回の十二品目牛肉オレンジの対アメリカとの交渉を見ておる限りにおいては、アメリカ側の強引さが目立ち、ガット提訴においてもみずからは先にウェーバーで、自国の輸入制限品目で合法性を確保した上での提訴等、周到な計画性及びけんか上手が、さらにはガット総会において日本立場に立つ国が一カ国もなかった現実が示すように、世界の世論操作における説得力等々、相手方の優位性が目立った交渉と理解をいたしておりますが、実際はどうでございましたのか。また、反省すべき点等が感ぜられましたのか。もしありとすれば、それらを含めて当事者から率直に承りたいと思います。
  277. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 私に対する国民の一部からの批判、そういう声もあるのだというお諭しでございます。長きにわたる農産物の、特に牛・かん交渉等はぎりぎりの選択の中であのように合意をし、そして国内措置あわせて牛肉・かんきつの存立を守るということにおいてぎりぎりの選択をして、あのようなことになったわけでございます。批判あるとするならばもちろんその批判は甘んじて受けます。しかし、将来はどうなってもいいということで投げやり的にやったわけではなし、将来を目し、農政審報告に基づき、その延長線上でこの自由化問題を一山、二山越えた上で国際化に対応した農業・農山村の活性化に関する基本方向、これも九月に策定をいたしまして、そしてその方向に沿ってさらに肉づけをしていきたいということを世間に公表いたした次第でございます。そういう点で幾らかでも感じとっていただければありがたいと思っております。  残念ながらおっしゃられるように、外交交渉の場においては輸入国の声が非常に小さくて、輸出国の声が非常に大きいという事実も私自身体験をいたしております。 であればこそ、トロント・サミットにおいてもそのことに関して竹下総理からも触れたところでございまして、この後は、このたびの経験を生かして将来に過ちなきよう主張すべきは主張し、努力をしてまいりたい、かように思っておるところでございます。
  278. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 さらに注意しなければならないことは、アメリカ提訴を受けてガットが設けたパネルは、米のような国家貿易品目についても無条件の数量制限はできないと勧告をいたしております。果たせるかなアメリカの大統領選挙を控えて全米精米業者協会RMA日本の米市場開放を求める提訴を米政府に行いました。それに先立ち、ヤイター通商代表部代表は、八月十一日の記者会見で、この提訴があることを予告しておりますとおり、政府とこの協会との親密ぶりも気にかかります。  さらに、アメリカの修正包括貿易法のような自国の保護主義体制を強化する法律の中に、他国の市場開放を求める足がかりを周到に用意するこの身勝手さはどこからくるのだろうか。このことは、一般的には一九八〇年代になってアメリカの貿易赤字が急増をし、逆に日本の貿易黒字が急上昇をしたことが直接の引き金になったことが原因だというような意見が一般的ではありますが、ただそれだけではないと私は思います。もし貿易不均衡だけが原因だとすれば、このアンバランスをアメリカが本気で是正しようとする場合、農産物対応だけでは不可能なことは自明の理であります。したがって、アメリカのこの態度は非常に複雑な背景を持っておるものと思います。  わけても、今回のお米の問題は、日本の今後の食糧政策をどうするのかまで掘り下げる必要がある問題であり、ひとり生産者だけの問題ではなく消費者も含めた国民全体の問題であり、大げさに言えば、国家の存立にかかわる問題でもあります。だからこそ、今度は押し切られたでは済まされる問題ではありませんだけに、全国民の納得と協力の得られる基本政策の確立により日本農業を守る必要があると思います。  本朝来の論議を通じ、大臣は今回のお米の提訴については却下要請し、ガットの場で協議をしたいとのことでありますが、ガットの場を選択されようとする理由はなぜなのか、このことについてお尋ねをいたしたいと思います。  私は、この件に関しましては次のような意見を持ちます。  一つは、提訴されるたびに右往左往することは、基礎食糧に対する長期展望を持たない現実を見透かされるのではないかという心配を持ちます。さらに、提訴却下要請は相手方に必ず借りをつくることになり、却下に伴う条件は必然的に尊重せなければならなくなってしまうのではありませんか。三つ目には、多国間協議すなわち新ラウンドに持ち込むことは、日本を有利にする理由が保証されておると私は思いません。  まず、先般のガットの総会を見てみましょう。十二品目の場合にでも日本立場に賛同してくれる国は一国もありませんでした。ガットの加盟国であります韓国は、今牛肉とたばこの市場開放アメリカから迫られております。さらにまた、インドネシアは世界我が国の一番多額の経済援助を行っておる国であります。それらでさえが理解を示してくれなかった事実は何なのか。さらに、国際社会の中における日本立場等々を考えてみますと、多国間交渉になりますと、それぞれの国が自国の利益を守らなければならない事情を抱えておりますから、確かに合意を得るためには時間が長くかかりますと思いますけれでも、日本の米が守れるということには直結的には考えられないように思います。この辺の御見解、どうして多国間交渉をお選びになりますのか、お差し支えのない程度でお示しをいただきたいと思います。
  279. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 先生が、一般的に理解をされた部分ということで紹介をされた日本たたき、加えて言えば農業たたき、そういう中にあっていよいよ環境は厳しい、そういうことでございまして、そしてガットの場でなぜ議論するのか、ニューラウンドへなぜ持っていくのか、これは昨年春以降、国際間での公約というと言い過ぎかもしれませんが、主張し話し合った結果のことでございます。それを私自身も引き継いでおります。特に、その中には新しい貿易のルールづくり、新しいルールをつくろうということは、ガットのそれぞれの今日までの成り行きを見てみますと古い部分もあるのではないか、現状に合わない部分もあるのではないか、新しいルールづくりが必要ではないか、こういうことはまさに多国間で協議をすべき問題だと、私はそう信じております。  そういうことが、取り扱いとして困難な問題をいろいろ抱えておるそれぞれの国々が話し合おうということになっておるときに、しかもアメリカ側もその取り扱いを了としておったときに、これを二国間でということにはならない。こういうことを主張しておるわけでございまして、その筋からすれば強く取り下げを要請するということにつながってくるわけでございまして、新しいルールづくりにおきましては、我が方は整々とした議論を展開し、そして主張し貫く、こう申し上げているところでございます。
  280. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 重ねてお尋ねいたします。  今のような状態であれば、アメリカ全米精米業者協会アメリカ政府提訴をいたしましても、それを受理すればアメリカ政府の間違いでありますのですから、こちらからあえて取り下げを言わなくてもよろしいのではないか。取り下げを条件にアメリカ政府は条件をつけるというように報道されておりますが、私はその辺のことはよくわかりませんけれども、理由はわかるとしても、なぜ慌てて取り下げばかりを強要なさいますのか、その辺重ねてお尋ねします。
  281. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 取り下げを要請せよというのは国民の声でもあると承知をいたしております。私もそう考えております。したがって要請をしておる、こういうことでございます。
  282. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 次は、冷害対策についてお尋ねをいたします。  米どころの東北地方と関東地方の一部が冷害に見舞われており、農林水産省がまとめた九月十五日現在の作況指数は、全国平均九八のやや不良に対し、東北は九一の不良であり、わけても良質米ササニシキの主産地の宮城県は八四、福島県が八六、著しい不作とのことであります。その後の天候不順はなお続いておりますから、五十五年を上回る大凶作が予測をされております。この結果、二年連続の米価引き下げ、大幅減反で減収を強いられている農家にさらに冷害では、農家経済への影響ははかり知れないものがありますのは当然です。  見過ごしてはならないのは、政府が奨励をしておいでになります専業農家への大きな打撃であります。委託耕作で規模拡大を図ったものの不作で、委託代金を払えば赤字との報道もされておりますとおり、常に冷害と隣り合わせの東北農家にとっての厳しい現実が示されております。冷害のたびに各種の融資、共済金の早期の支払いあるいは各種補助金による対応、当然必要でありますし、間髪を入れずに実施していただかなければなりませんけれども、これだけでは借金農家をつくり上げるだけに終わることを憂えるものであります。  最近、東北地方ではやませの克服を目指しての研究も進められており、その研究の記録も勉強をさせていただきました。あるいは高収益ササニシキ依存農業冷害のツケという報道もございました。しかし、今日の時代、売れる商品でなければ自主流通米の制度にも乗らないことは事実であります。しかしまた、ササニシキやコシヒカリ等、この銘柄品種が持つ耐冷性に弱い、倒伏しやすい、いもち病に弱い等の欠陥のあるのもまた事実であります。これらを是正することもやはり大変重要な仕事であります。  自然の改造は無理といたしましても、今申し上げましたようなことでありますとか、さらにはまた、やませの克服を目指しての中に取り上げられておるような施設による冷害排除の手法等、だんだんと進んでおります問題がありますけれども、これらにもっと強力に取り組んでいただいて、徹底した営農方式の改善によって冷害を少しでも軽減をしていくということに進んでいくのが、今の東北冷害地帯への農政ではないか、このように考えておりますが、政府の御所見を承りたいと思います。
  283. 谷野陽

    政府委員(谷野陽君) ただいま御指摘がございましたように、やませの問題は、東北地方の従来から大変重要な問題として私ども試験研究機関でも重点的に取り上げているものの一つでございます。ただいま御紹介がございましたようなやませの今までの研究の成果につきましては、一部まとめて印刷物にいたしまして、その結果について御紹介を申し上げたわけでございますが、昭和六十年にやませ研究の専門官を設けまして以来、そのような取りまとめを行ってきている次第でございます。  やませ等冷害の克服につきましては、今御指摘がございましたように、耐冷性の品種の育成が一つは極めて重要でございまして、これらにつきましては藤坂試験地を初めといたします東北地方の各試験研究機関を挙げまして、その品種の育成に努力をしてきているところでございます。なかなか良食味で、多収でかつ冷害に強い品種というものの育成につきましては大変難しいところがございます。耐冷性の遺伝子は見つかってはおりますが、それを入れますと品質や収量が落ちるという傾向がございます。そのような中で、従来に比べますと耐冷性のあるものを発表してきたわけでございますが、それらがさらに厳しい条件の地域にまで栽培をされますと、そこでまた被害の発生を見る、こういうようなことがございまして、試験研究の課題はどんどん広がっていくというのが現状でございます。  現在、日本の遺伝子だけではなくて、雲南でございますとかインドネシアからも耐冷性の遺伝子を持つ稲を導入いたしまして、これらを活用した品種の改良をしているところでございますが、なお一層努力をしてまいりたいというふうに考えております。  また、やませ地帯の気象条件、これは御指摘のように、やませ自体を発生させないようにする方法というのは極めて困難でございまして、耐冷性の品種育成あるいは栽培方法の改善とあわせまして、冷涼な気候をむしろ活用した夏季における野菜の栽培等、やませを利用した農業経営というものもひとつ考えていかねばならぬというふうに考えております。  最近、東北地方におきまして、東北高速自動車道の開通によりまして市場条件も変化をいたしました。このような冷涼な気候を利用いたしました野菜の栽培等も増加をいたしておるわけでございまして、そのような問題を含め、多角的に研究開発を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  284. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 最後に、お米の検査についてお尋ねをいたします。  現在行われておりますお米の国営検査についてはいろいろの手法がとられておりますけれども、一般的には次のように行われておるように思います。まず第一に、検査の効率化を図りますために、検査当日に先立ちましてそれぞれの生産者からサンプルの提出を願ってあらかじめ予備検査を行う。所によりましては仕分け検査とも言っておるようでありますけれども、それによって概略の等級をつけ、検査当日にはそれぞれの等級別に従って生産者から配列をしてもらうようにしておるようであります。けれども、こういう方法をとりますと、予備検査のときに二等であったものが本検査で一等になることもあります。昇格される場合には苦情は出てまいりませんが、一等であったものが本検査で二等ないしは三等に格下げされますと、ここでトラブルが起こります。見ておりますと検査官と生産者とのそのトラブルが、結果的には検査官がよくわかるように説明をして生産者に納得をしてもらうということが検査の要諦のようであります。これが行われておってこそ食糧行政の末端は円滑に進むように見受けております。この辺の苦労がやはり検査官にはつきまとうものだと思います。  もう一つの問題は、今他用途利用米という制度があります。銘柄米の一等ないしは銘柄によっては二等まで自主流通米の流通に乗せるようになっております。同じ銘柄米で同じ等級のものでも、その一部は他用途米に回していかなければなりません。生産者といたしましては、このようなことを申し上げてもせんないことだとは思いながらも、同じ等級で同じ銘柄の品物が、片や半値で売らなければならないというところに当然のこととして不満が出てまいります。その不満のはけどころは検査官に向けられていきます。そのことに対しても、検査官は我が事のようにそれを受けて親切に説明をし、十分ではなかったとしても、とにかく合意を得て検査場はそれで済んでいくのでありますけれども、こういうものを見ておりますと、国営検査というものがやっぱりいいところがあるということと、それだけにこの検査に携わる検査官の苦労というものも大変なものだと私は見てとっております。  しかし、この検査官に対して最近指導的お立場の方がやっぱり誹謗するような御発言があり、そのことがひいては身体障害者に対する差別発言ともとられておりますのですけれども、こういうことはやっぱり慎んでいただかなければならないと思います。そんなことが、困難な食糧行政の中で末端のこととは言いながら、検査制度への波紋を起こしかねないということを考えますと、特に農林水産大臣に御留意をいただいて、そんなことのないように御配慮を願いたいのと、もう一つは、他用途利用米として売り渡しを受けられましたものは備蓄米と言ってよろしいのか、持ち越し米と言った方がよろしいのか、古米と差しかえられることになっており古米の方が他用途利用米として出ていきます。そして、他用途利用米で買い上げた当年度のお米は食糧の中へ、すなわち持ち越し米の中へ入れられます。こういったことに対して、半値で買い上げられたものが食糧として倍の値段で流通に乗っていくのではないか、生産者の中にはそういう疑問があります。しかし、私は現状においてはそれは必要悪だと思っておりますし、そうすることの方がより合理的なのではないか、こうは思いますけれども、しかしやっぱり生産者の疑念はのきません。
  285. 福田宏一

    委員長福田宏一君) 時間ですから簡潔にお願いします。
  286. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 それだけに、特定の人がもうけることのないように十分な御配慮をして運用をしていただきたいと思いますが、それらに対する大臣の御見解を承りたいと思います。
  287. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 大臣お答えいたします前に、私から簡潔に必要な御説明だけ申し上げたいと思います。  米の検査の件につきまして、ただいま国営検査体制のもとで等級、銘柄等の品質について現場の検査官が大変苦労しながら頑張っておる、こういうお話をちょうだいいたしました。現在米の集荷期を迎えまして検査も、今最盛期ということで一番忙しい中で検査官も公正な検査、それからお話にもございましたような生産者との密接な接触の中で納得のいく検査といったことに十分心がけながら仕事をしております。ただいまの先生のお話は温かい激励と受けとめまして、なお一層引き続き効率的な、また生産者の利便にも資するような検査が行われますように努力してまいりたいと思います。  それからもう一点、他用途米のお話がございましたが、これは御存じのように、需要面から見ますと……
  288. 福田宏一

    委員長福田宏一君) 時間ですから、答弁は簡単にお願いします。
  289. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 一定の加工用等の米の需要があり、かつ生産面からも生産者が安い価格ではあるけれども、米がつくれるというメリットがあるということで行っておる制度でございまして、年度末の在庫調整のために交換といったこともございますけれども、その際は他用途米として出荷した数量、品質に応じた生産はきちんと行われるということで、生産者に不利益を及ぼすということはないような措置が集荷団体等において責任を持って行われておりますので、またその点、誤解等のないように周知徹底を図る必要があると考えております。
  290. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 先ほど、委員おっしゃることについては名指しではございませんでしたが、容易に察しがつきます。言葉は慎むべきものと、政府関係者ではございませんけれども、お互いが言葉を慎むべきものと私自身も心してまいりたいと思っております。
  291. 福田宏一

    委員長福田宏一君) 本調査に関する質疑は本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会