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1988-12-06 第113回国会 参議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十二月六日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         大城 眞順君     理 事                 板垣  正君                 名尾 良孝君                 永野 茂門君     委 員                 大島 友治君                 大浜 方栄君                 岡田  広君                 亀長 友義君                 古賀雷四郎君                 桧垣徳太郎君                 野田  哲君                 飯田 忠雄君                 猪熊 重二君                 吉川 春子君                 柳澤 錬造君    国務大臣        国 務 大 臣        (総務庁長官)  高鳥  修君    政府委員        人事院事務総局        任用局長     森園 幸男君        総務庁長官官房        長        山田 馨司君        総務庁行政管理        局長       百崎  英君        総務庁行政管理        局行政情報シス        テム参事官    重富吉之助君        総務庁統計局長  田中 宏樹君        防衛庁防衛局長  日吉  章君    事務局側        常任委員会専門        員        原   度君    説明員        法務省人権擁護        局調査課長    柏樹  修君        公安調査庁総務        部審理課長    櫻井 正史君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○行政機関保有する電子計算機処理に係る個人情報保護に関する法律案(第百十二回国会内閣提出、第百十三回国会衆議院送付) ○統計法及び統計報告調整法の一部を改正する法律案(第百十二回国会内閣提出、第百十三回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 大城眞順

    委員長大城眞順君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  行政機関保有する電子計算機処理に係る個人情報保護に関する法律案及び統計法及び統計報告調整法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 猪熊重二

    猪熊重二君 個人情報保護法案につきまして質問さしていただきますが、余りいろんなことはわかりませんので、条文自体について順次質問さしていただきたいと思います。  まず、条文に従って一条から順番にお伺いしたいと思います。  第一条は個人情報保護法目的が書いてあるわけでございますが、この法の目的として「個人権利利益保護することを目的とする。」という規定がございますが、ここに記載されている「個人権利利益」という言葉の具体的な中身はどのようなものを意味しているとお考えでしょうか。
  4. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 委員御承知のように、政府は、現在、相当量個人に関するデータ電子計算機処理しておるところでございますが、これに対する保護規定というものが極めて不十分でございますので、この際きちっとした法を制定していただきまして規制をしなければならないというふうに考えてこの法律を提案したところでございまして、「個人権利利益」ということの考え方の中には、いわゆる個人の秘密が公開されないこと、誤ったまたは不完全な情報によって自己に関し誤った判断がなされないこと、また本人自分に関する情報開示を求めることができることによりまして自己情報を知ることができるというようなことが含まれておるというふうに考えております。
  5. 猪熊重二

    猪熊重二君 そうすると、いわゆるプライバシー権というふうなものについて、具体的な中身についてはいろいろ見解がありますけれども、このプライバシー権保護するというふうなこと。  特に私が伺いたいのは、「個人権利利益」というふうに「権利」と書き、「利益」と区別して書いてある、ここに何か特別に意味があるのかどうか。特に「利益」という言葉の中には、法的な権利にまで高められていないけれども何がしの社会生活上の利益というふうなものを含んでいる趣旨かどうか、その辺のことをお伺いしたいわけなんですが、その辺どうでしょうか。
  6. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) いわゆるプライバシーという概念につきましてはまだ確定した定義があるわけでもないと思いますし、私どもがこの法案を御提案申し上げました当初におきましてはいわゆるプライバシー保護法として極めて不十分ではないかという多くの御批判があったわけでございます。  この点につきましては、私どもあくまでも政府が持っております個人データについてこれを保護することが個人利益につながるというふうに考えておるわけでありまして、プライバシー全体を保護するということではございませんが、政府が持っておりますものについてこれを保護することがプライバシー保護の一部になるというふうに考えておるところでございます。そして、そのことが個人利益につながるというふうに考えておるところでございます。
  7. 猪熊重二

    猪熊重二君 それでは、第二条の二号についてお伺いいたします。  この二号だと「個人情報」ということは「生存する個人に関する情報」というふうに限定してありますが、これを生存する個人限定した理由はどういうところにありましょうか。
  8. 百崎英

    政府委員(百崎英君) この法案におきましては個人情報範囲から死者を除いているわけでございますけれども、その理由は、この法案を立案するに当たりましての背景といたしまして、大量の個人データ行政機関処理されておる、そういったことに伴いまして個人が抱く不安感といいますかあるいは電算処理によって本人が受ける権利利益の侵害のおそれ、そういったことに対応することを目的としてこの法律をつくったわけでございますので、そういう意味で生存している自然人に一応限ったわけでございます。
  9. 猪熊重二

    猪熊重二君 そうすると、生存する個人個人情報があるけれども、その個人が死亡した場合にその個人情報はどういうふうな処理になるわけですか。
  10. 百崎英

    政府委員(百崎英君) 本人が亡くなった場合における本人に関する情報は、それぞれの個人情報ファイル保有目的に照らしまして不必要に なった場合には適宜焼却等処分が行われるというふうに考えております。
  11. 猪熊重二

    猪熊重二君 そうすると、その処分自体保有する機関判断に任されている。こういうことになると、死者相続人立場としては、やはり被相続人について行政機関がどのような情報を保持しているか、あるいはそれが特に間違っているような場合それを訂正しておくことが被相続人に対する自分自身考えだというふうな意味合いにおいて相続人立場においても被相続人すなわち死者個人情報について保護する、あるいはそれに対する開示請求なり種々の権利を認めるというふうな意義というものはあるんじゃないでしょうか。
  12. 百崎英

    政府委員(百崎英君) いわゆる被相続人との関係におきましてその相続人データ上明確になるというような場合には当然その相続人自身がいわば本人として保護される、そういうことになろうかと思います。
  13. 猪熊重二

    猪熊重二君 待ってください。  そうすると、今おっしゃったのは、はっきり申し上げるとおやじが死んだ、自分おやじさんのことが個人情報としてある、息子息子立場おやじのその情報について開示請求なり訂正の申し出ができるということですか。
  14. 百崎英

    政府委員(百崎英君) 相続人が被相続人に関して開示請求をするというようなことは、この法律では考えておりません。
  15. 猪熊重二

    猪熊重二君 そうすると、先ほどあなたが説明したのはどういうことなんです、もう一度説明してください。もう少し大きな声で説明してもらわないとよくわからない。
  16. 百崎英

    政府委員(百崎英君) この法律では、相続人が被相続人との関係データ上容易に識別ができる、容易にほかの情報と照合ができる、そういう場合には相続人みずからの権利として開示請求をする、そういうようなことができるというふうに考えております。
  17. 猪熊重二

    猪熊重二君 どうもはっきりよくわかりませんけれども、次に進みます。  同じ二号の中で「法人その他の団体役員に関する情報を除く。」というふうに書いてありますが、この「法人その他の団体役員に関する情報」が個人情報も含むとすれば、この役員に関する個人情報は除外されるのかどうなのか。除外されるとすればその理由はどこにあるのか、お伺いします。
  18. 重富吉之助

    政府委員重富吉之助君) お答え申し上げます。  「法人その他の団体役員に関する情報」の中には役員氏名とか事務所等個人に関する情報であって特定の個人を識別できるものというものを含む場合がございます。しかしながら、法人等役員につきましては、法人等の行為を代表して行う法人機関そのものというふうに理解されますところから、例えて申しますと有価証券報告書の場合でございますが、役員氏名、職名、生年月日、住所、略歴、所有株式数などが有価証券報告書に記載されておるわけでございますが、それは法人等についての情報の一部と考えられるべきものであるというふうに考えまして本法適用対象外としたものでございます。
  19. 猪熊重二

    猪熊重二君 それでは、第三条についてお伺いいたします。  第三条においては統計法に基づく個人情報は除外する、こういう規定になっております。この場合、個人情報であるにもかかわらず除外するとすれば、どういう理由で除外するんでしょうか。
  20. 百崎英

    政府委員(百崎英君) 統計調査によって集められた個人情報をこの法案対象から外した理由でございますけれども、この法案が、個人が識別され、その個人に着目した使用が行われる可能性がある個人情報対象にしているということであるのに対しまして、統計調査によって集められました個人情報は、統計を作成するために集計処理され、個人が識別されない形で使用されるそういう性質のものでございますので、そういった意味収集されました個人情報の取り扱いが基本的に違うという点が一つ理由になっておるわけでございます。  それからもう一つ統計調査につきましては、国民との信頼関係を維持して正確な申告を得るということを通じてその統計真実性を確保するということのために統計法におきまして既に機密保護等の仕組みが設けられているわけでございます。したがいまして、統計分野における個人情報統計法の体系の中で保護することが適当であろうというふうに考えてこの法案から除外したわけでございます。
  21. 猪熊重二

    猪熊重二君 統計法に基づく個人情報統計的な数量的な処理のための資料である、これは私もわかるんです。  だけれども、同時にそれが個人に関する情報であったとすれば、統計的処理が終わった後においてはその個人情報個人性というかそういうものが廃棄されるのならいいですけれども、依然として残っているとすればそれは他の行政機関保有している個人情報と全く質は異ならない。ですから、統計処理でも終わった後は、要するに個人ということが判明するような部分が消去されるというか除去されるというか、そんな方法で処置することが決まっているのなら別ですけれども、そうでなければ他の個人情報と全く同じじゃないかということ。そして統計法によって機密が保持されているからいいんだということになるとこの個人情報保護法は、機密が保持されるからされないからの問題じゃなくて、自己個人情報に関する開示請求なり訂正請求というところにアクセントがあると私は思うんです。  ですから、行政機関機密保持することが法律的に統計法によってできているからその辺は心配ないんだというふうなことは、これを除外する理由にならないと私は思いますが、いかがですか。
  22. 田中宏樹

    政府委員田中宏樹君) 統計局で実施しております国勢調査を例にとりますと、国勢調査調査票国勢調査施行規則によりまして三年間保存することという規定にされております。その間は統計局統計センターにおいて厳重に保管されておりまして、保存期間が終了した調査票は直ちに溶解処分をすることになっております。  なお、国勢調査を集計するために調査票内容を記録しました磁気テープを作成することになっておりますが、磁気テープには個人氏名は入力されません。また、磁気テープそのものも厳重に保管しているところでございます。  それから、もう一点の開示請求の点でございますが、開示請求といいますのは、一度集めた情報がその後の事情の変化等によりまして変わっておる場合があるではないか、正確を期すために間違った情報は直さなきゃいかぬのではないかという趣旨だと思いますが、統計はある一定の調査時点の国全体の姿、現状を把握するという意味でございますので、その後の変更等につきましては、いわゆる統計では直ちに必要でないと言ったら申しわけございません、変でございますが、その時点その時点調査時点での現状を把握するという意味では、そのとき正確であれば私どもの必要とする情報は得られた、こういうふうに理解いたします。
  23. 猪熊重二

    猪熊重二君 わかりました。  それでは、次に四条一項についてお伺いします。  四条一項は個人情報ファイル保有することに関する規定ですが、その保有することの意義内容として「個人情報ファイルを作成し、又は取得し、及び維持管理すること」を言う、こういうふうに規定されております。この中で私が伺いたいのは、この「取得」というのはどういうことなんだろうか、よそから取得するということだとそのよそというのはどのようなものが考えられているのだろうか、お伺いします。
  24. 重富吉之助

    政府委員重富吉之助君) お答え申し上げます。  個人情報ファイル取得といいますのは、個人情報が体系的に構成された集合物としまして記録されております磁気テープ等入手することを言 います。また、電算機等を接続しまして伝送して入手する場合もこれに含まれます。  それから、入手する場合でございますけれども、その入手は、その方法を問わずに市販されているデータベースを購入する場合とか他の者が作成した個人情報ファイルを買い入れる場合もこの取得に入ります。  それから、取得相手方についてお尋ねでございましたけれども取得相手方につきましては、私どもは他の行政機関というのはもちろんございますが、特殊法人とか地方公共団体公益法人のほかに民間企業外国政府からも取得する場合があるというふうに考えております。
  25. 猪熊重二

    猪熊重二君 この四条は、今申し上げたように、保有することに関する規定で、その保有についての法律的な歯どめ、限定をしているわけです。  他から、第三者から取得する場合には、この四条一項で定められているような保有に関する限定というものは同じようにかぶってくるわけでしょうか。
  26. 重富吉之助

    政府委員重富吉之助君) 取得相手方保有の状態でございますけれども取得相手方がそのファイル保有している段階ではその相手方行政機関でなければ本法対象にはなりません。そのように考えております。
  27. 猪熊重二

    猪熊重二君 そうすると、取得するまでの手続において、例えば先ほどの話だと民間会社からであれどこからであれ入手する、こういうことになってくると、入手における適法性とかその資料正当性正確性とかその辺のところは全く考慮されていないということになってくると、今町にはんらんしているいいかげんな個人情報というものを買い込んできた場合には、行政機関保有するということによって何がしの権威づけみたいなものがあるけれどももとをただしてみたら民間金融機関がいいかげんにつくった資料だったというふうなこともあり得るわけであって、その辺について何らかの歯どめというか入手先資料収集についての適法性正当性というふうなものについての配慮はどこでどういうふうにできるんですか。
  28. 重富吉之助

    政府委員重富吉之助君) お答え申し上げます。  ただいま先生の御質問のことについては、本法では第五条で個人情報安全確保正確性確保等規定をいたしております。特に、正確性規定につきましては、第五条二項で「個人情報ファイル保有する行政機関の長は、ファイル保有目的に必要な範囲内で、処理情報が過去又は現在の事実と合致するよう努めなければならない。」としておりまして、その入手する段階でその情報がどの程度正確なものであるかということを判断いたしまして、正確なものでなければそれは永続的な形で個人情報ファイルとして保有しておくというような形の個人情報ファイルの中には入れません。そういう行政機関が持っているファイルに入れる、保有ファイルとするというところでその正確性をチェックする、そのことによって正確性が担保される、このように私ども考えております。
  29. 猪熊重二

    猪熊重二君 それでは、資料収集適法性というふうなことに関してはこの後また引き続いてお伺いしたいと思いますのでこの四条一項の括弧内に関する問題については終わりにしておきまして、やはり同じ一項で保有するための要件の一つとして「法律の定める所掌事務を遂行するため必要な場合に限り、」保有することができる、こういうふうな規定になっておるわけです。  この「法律の定める所堂事務」というのはどういうことを意味しているんでしょうか。
  30. 百崎英

    政府委員(百崎英君) この「法律の定める所掌事務」とは、通常は各省庁設置法に定めている所掌事務を指しているわけでございますが、そのほかに、例えば公正取引委員会でありますといわゆる独禁法あるいは警察庁の所掌事務でございますと警察法といった個別の行政作用法に定められているという場合もございますが、いずれにいたしましてもそういった法律によりまして当該行政機関所掌に属せられた事務を言っております。
  31. 猪熊重二

    猪熊重二君 国家行政組織法あるいは各省設置法行政所掌事務が分属されておりますね、これは私もわかるんです。  しかし、その所掌事務という規定は各省庁所掌事務範囲を定めただけであって、その所掌事務を具体的に遂行するに当たっては別に法規が必要だろうと私は思うんですが、その辺については、長官、どのようにお考えですか。
  32. 百崎英

    政府委員(百崎英君) 先生おっしゃいますように、例えば行政機関国民権利を制限したりあるいは国民に対して義務を課したりする、そういったような場合には個別の実体法根拠を必要とするということが確かに通例であろうと思いますけれども、ただ、行政機関所掌事務を遂行する場合にすべて個別の具体的な法律が必要であるというふうには私ども考えておりません。それは、今申し上げましたように国民権利を制限するということと逆に、例えば国民権利といいますか利益を助長するとかあるいはいろいろなことを奨励するとかいろんな行政対応というのがあるわけでございまして、そういった場合すべてについて法律根拠を必要とするというようなことになりますと場合によっては行政目的の達成に支障を生ずるおそれがあるというようなことも考えられるわけでございます。  特に最近のように時代の変遷が非常に激しいときには次から次といろいろな分野で新しい問題が出てくる、そういった場合にいろいろな対応行政機関が迫られておるわけでございまして、そういう新しい事態に対していろんな新しい施策を講ずるとかあるいは対策を講ずるというような場合には、場合によっては国民権利義務に直接関係ないような分野でありますと個別の法律を必要とせずに設置法等に定める所掌事務を遂行するということが十分あり得るというふうに考えております。
  33. 猪熊重二

    猪熊重二君 今おっしゃったことは私もわからないじゃないんですけれども、「法律の定める所掌事務を遂行するため必要」ということを今のようにお考えになると、これはほとんど限定がないのと同じことになってしまうんです。要するに、法律が各省庁所掌事務を定めているということは行政の各省庁への分配規定にすぎないんであって、抽象的な権限としてはあるけれども具体的にその所掌事務をどのように執行するかということに関しては具体的な法の定立がなくして勝手にやられたらどうにもしようがない。今おっしゃったように、そうかといって現在においては具体的法定立がなくしても、法の定立のための資料収集というふうな側面においても行政において確かに各種の資料収集が必要だ、これはわかるんです。しかし、それは個人情報である必要はないんです。統計処理的な、例えば病人がいっぱいいてどこの病院もいっぱいだ、だからもう少し公立病院をふやさなければいけない、どうだこうだというふうな場合だったら太郎さん花子さんは必要ないんです。個人情報ということは関係ないわけなんです。そういうふうな問題なら別だけれども、そうでなくしてやはり個人情報という限りにおいては法の具体的な定立がなければならぬと思いますが、この辺もし誤るとこの法律に書いてある限定が全く無意味になるんです。  その辺いかがでしょう。
  34. 百崎英

    政府委員(百崎英君) 今の御指摘でございますけれども設置法に定めております所掌事務というものはいわば各省庁権限と裏腹の関係にあるというふうに私ども考えておりまして、単に内閣に属せられた行政権を分配している、そういうことだけの規定ではなくてやはり各省庁権限を行使する場合のいわば権限行使の限界を定めているものだというふうに私ども考えております。権限の強さ等々は、場合によっては、特に国民権利義務関係のあるような場合には、強弱といいますか、どこまで権限が行使できるかといったそういういわば動態的な権限規定をいろいろ実体法に書くわけでございますけれども、そういった 規定がないからといって所掌事務の遂行ができないというようなふうには私ども考えておりません。  特に、今先生自身もおっしゃいましたように、情報資料収集というような面に関しましては、個人情報の場合には制限されるとかあるいはそうでない場合には所掌事務の定める範囲内でできるといったような区分けをするということは、これは実際上非常に難しいんではないかと思いますし、そういうことを今の設置法規定されております情報収集規定は予想しているといいますか、必ずしもそういったことを前提にして考えておるものではないというふうに私ども考えております。
  35. 猪熊重二

    猪熊重二君 では、長官にお伺いしますが、行政機関個人情報収集することができるというその行政機関個人情報収集権利というものはどこから出てくるんでしょうか。
  36. 百崎英

    政府委員(百崎英君) 今の我が国の法律制度を見てみますと、行政機関情報収集権限につきましては、一般的にはやはり各省庁設置法の中のこれこれの所掌事務に関して情報資料収集することができる、そういった規定根拠にしているものと考えております。  そのほかに、これは正面から情報収集というようなことではございませんけれども、例えば許認可等制度に関連いたしましてそういった許認可を受ける場合には申請をする、それも考えようによってはやはり情報資料収集の一環であるのかなというふうには考えておりますけれども、いずれにいたしましても個別の実体法行政機関情報収集根拠を具体的に定めている、いわば正面から取り上げて定めているそういうような法律というのはそれほどないんではないかというふうに考えております。
  37. 猪熊重二

    猪熊重二君 私が申し上げているのは、あるいは私がお伺いしたいのは、各法律を執行するに際して執行に必要な限度で情報収集するということは、その法律にこの法を執行するために個人的情報収集することができるなんて書いてあろうとなかろうと、行政機関が法を執行するために必要不可欠な範囲において情報収集するということは、それは法律に内在している行政権権限だろうと思うんです。ところが、先ほどのお話のように、各省設置法に基づいて分掌された所掌事務を遂行するという名目さえあれば何でも個人情報を集めることができるんだというふうな観点に立つとすれば、逆に私はそういうふうな個人情報行政機関収集する権限はどこから出てくるんですかということをお伺いしているわけなんです。先ほどの許認可の問題なんかはこの情報収集権とは無関係だと私は思います。  私が言いたいのは、要するに、個人情報収集する権利の根源は行政権がどこから出てきているかということが根本なんだと思うんです。憲法前文にあるように、国政はそもそも主権を有する国民の信託に基づくものなんです。国民から頼まれて行政を執行しているだけなんです。その国民から頼まれもせぬのに国民のことをあれこれあげつらうような情報を持ってくることがどうしてできるんだということについてお伺いしているわけです。どうですか。
  38. 百崎英

    政府委員(百崎英君) 行政それ自体もまさに国民の公共の福祉のために行っている、そういうことでございまして、片や国民個人に着目して何かの行政を行うというようなことではなくて、やはり行政それ自体が国民の負託を受けて公益目的のために行われる、そういうふうに私ども考えているところでございます。
  39. 猪熊重二

    猪熊重二君 それじゃあなたがおっしゃるのは、結局行政国民から負託を受けているんだ、だから白紙委任だということと同じなんです。  白紙委任されているわけじゃないんです。同じ憲法で十三条には「すべて国民は、個人として尊重される。」「幸福追求に対する国民権利については、」「国政の上で、最大の尊重を必要とする。」、こう規定されているんです。国民は、行政を執行するための法の定立によって限定される限度においては個人情報収集されることもやむを得ないかもしれぬけれども、そういうこととは無関係行政機関に白紙委任して個人情報を集めてもらって結構ですよ、それが間違っているか間違っていないかいろいろな場合もあるけれども結構でございますなんというような白紙委任をしているはずはないんです。要するに、行政というものは、立法権も同じですけれども国民の信託に基づいて頼まれてやっているだけのことなんです。頼んだ人が承知もせぬのに頼んだ人のことをあれこれあげつらう権限というのは直ちには出てこないと私は思います。  これは見解の相違ですからやめておきますけれども、しかしこういう考え方をとるかそれとも行政は万能だという考え方をとるか、これがこの個人情報保護法を制定し運用する上において根本的な問題なんです。  長官の御見解をお伺いしたい。
  40. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 私ども行政が万能であるなどとは全く考えておりません。したがいまして、「法律の定める所掌事務を遂行するため必要な場合に限り、」と書いております気持ちは、あくまでも行政機関がその所掌事務に関しない勝手な情報を得手勝手に集めていいなどというふうに考えているものでない、できるだけ限定的に解釈すべきものであるという考え方に基づいてこの法の条文を書いておるつもりであります。  ただ、局長が御答弁申し上げましたのは、国民のためになるようないろいろな今後の施策等の参考にするために情報を集めることもあり得べしということを申し上げたところでありますが、基本的には私どもといたしましてはただいま委員がお述べになったと同じような気持ちでこの法を運用していきたいものだというふうに考えております。
  41. 猪熊重二

    猪熊重二君 次に、第四条二項についてお伺いします。  この条文が非常に難しいので私には理解できないので、意味を教えていただきたい。「個人情報ファイル保有する目的を達成するため必要な限度を超えないものでなければならない。」、このように書いてあります。  この法の言葉保有する目的を達成するため必要な限度を超えてはならないという日本語とはどこがどういうふうに違うんですか、教えてください。
  42. 重富吉之助

    政府委員重富吉之助君) お答え申し上げます。  必要な限度を超えてはならないというのとどこがどう違うんだということでございますが、意味先生のおっしゃったような表現と実質的には全く同じでございます。  ただ、なぜこのように表現をしたかということについて御説明をさせていただきますと、この「必要な限度を超えないものでなければならない。」というものの主語でございますけれども、これは「項目の範囲」それから「個人範囲」というのが主語でございまして、私どもも立法する過程で法制局等ともいろいろと議論をしたわけでございますけれども、この「項目の範囲」、「個人範囲」というのはあくまでも動作をあらわすものでなくて量的なものをあらわす名詞である、そういうことからいきますと、「範囲」というものを主語にしますとその後の方の述語は「必要な限度を超えない範囲のもの」という結び方にした方が文章表現としては適正である、そういうふうな結論に達しましてこのような表現にしたわけでございます。  例えて申しますと、じゃどんな法律にそういう例があるのかという御疑問、御疑念がわくと思いますのでちょっと例を一つ二つ紹介させていただきますと、例えば小売商業調整特別措置法というのがございますが、その十六条の三の二項で調整勧告のことについて書いてあります。「前項の規定による勧告の内容は、前条第一項に規定する事態の発生を回避するために必要な限度を超えないものであり、かつ、一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないものでなければ ならない。」こういうふうな用例がございまして、そのような用例に従ったわけでございます。
  43. 猪熊重二

    猪熊重二君 私が申し上げているのは、おっしゃっていることはよくわかりませんけれども、もう少しわかるような条文にしたらどうなんでしょうかということだけなんです。  この第四条に関連して二、三点お伺いしますが、まず、第四条一項、二項で、行政機関個人情報保有するにはこうでなきゃならぬという目的だとかあるいは必要性等についていろいろ限定がしてあるわけです。  この一項、二項の限定を無視して行政機関個人情報保有した場合の対応についてはこの法文では何らかの規定がありますか。
  44. 百崎英

    政府委員(百崎英君) 一つは、そういった事態が生じないようなことにするための仕組みといたしましてこの法案の第六条に「個人情報ファイル保有等に関する事前通知」という制度を設けまして、行政機関個人情報ファイル保有しようというときには、ファイル保有目的であるとかあるいは記録項目、記録範囲等々につきまして総務庁長官に事前に通知をする、こういう仕組みを設けておるところでございます。  そしてまた、二十一条、二十二条におきまして「総務庁長官は、行政機関における個人情報電子計算機処理等に関する事務の実施状況について必要があると認めるときは、行政機関の長に対し資料の提出及び説明を求めることができる。」そしてまた「この法律目的を達成するため必要があると認めるときは、行政機関保有する電子計算機処理に係る個人情報の取扱いに関し、内閣総理大臣又は行政機関の長に対し意見を述べることができる。」こういう規定を設けているところでございまして、端的に申し上げますと、各省庁からそういった事前通知がなされた場合に、その各省庁所掌事務に照らしてみて本当に必要最小限のファイルであるのかどうか、そういうチェックをする仕組みが一つ第六条でできているわけでございます。  そしてまた、たまたま各省庁保有しておりますファイルがこの法律目的趣旨から見て適当でないというようなそういったおそれが生じた場合には、先ほど申しましたように総務庁長官が当該省の大臣に対して意見を述べて、そういった事態に対して注意を勧告して、ファイルの例えば廃棄であるとかあるいは削除であるとかそういったことを求める、そういう仕組みにしているわけでございます。
  45. 猪熊重二

    猪熊重二君 保有行政機関から通知があったような場合にはその個人情報ファイルの存在それ自体がわかりますからいいけれども、通知がなかった場合にはほとんど皆目わからぬという意味では四条の保有の要件の実効性についての規定というものはほとんどないに等しいというふうに思われます。  さらに第四条に関連してお伺いしたいのは、この保有に関して行政機関保有することを禁止されるような個人情報というものが当然私はあると考えますけれども、これについて行政機関保有することが法的に禁止されるような個人情報というものがあるとお考えかどうか。あるとした場合に、それがこの法文に何ら影、形がないのはどういう趣旨かをお伺いしたい。
  46. 百崎英

    政府委員(百崎英君) 行政機関は基本的には法律に基づいて行政を行っているわけでございますので、一般的に申し上げて行政機関保有してはならないというそういう種類の個人情報というものはないものと私ども考えております。  ただ、それではどの省もどんな情報でも持っていいかということになりますと、そこは第四条で所掌事務を遂行するために必要な場合に限って、かつ目的を特定したそういうファイルでなければ保有してはならない、そういうことにしているわけでございます。
  47. 猪熊重二

    猪熊重二君 これは重大な問題だと思う。  長官、ただいまの私の質問に対して長官のお立場でお答えいただきたい。
  48. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 行政機関個人に関する情報保有する場合の大前提といたしましては、適法かつ公正な手段によって得られたものでなければならないということは行政の当然の責務であるというふうに考えておりますので、それに反するような情報については持ってはならないというふうに考えております。
  49. 猪熊重二

    猪熊重二君 そうすると、先ほど局長は、行政機関保有することを禁止されるような個人情報はないというふうにお答えになった。長官の今のお答えとは同じなんですか、違うんですか。  もう少し具体的にお伺いします。要するに、個人の政治的信条や宗教的信念、信仰、こういうような条項に関して行政機関個人情報保有することは可能なんですか、可能でないんですか。
  50. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 政治的信条とかあるいは信仰等に立ち入って行政が干渉することはもちろんできないわけであります。  ただ、この前も当委員会における御質疑の中でも出ておりましたけれども、例えば宗教法人に対する文化庁などの管理などの場合に宗教法人だけでも約十八万件あるということでございますが、それらについて例えば情報管理をするという場合には、この宗教はどういう宗教であるかということあるいはそれを主宰している人はどういう人であるかというようなことを収集せざるを得ないという性格のものがございます。したがいまして、全くそれを禁止するというわけにはまいらないわけでありますが、あくまでもそれは行政事務遂行の必要上当然認められる範囲内でなければなりませんし、かつまた適法であり公正に行われるものでなければならないということは申すまでもないところであります。
  51. 猪熊重二

    猪熊重二君 ただいまの長官の答弁はまことに私は不適切だと思います。  なぜか。宗教事項について調査するということと個人の宗教に関する個人情報行政機関保有するということとは全く質的に異なることなんです。今長官がおっしゃったのは、例えば宗教に関して言えば、日本人の宗教的立場はどうなんだろう、仏教徒がどのくらいいるんだろう、キリスト教徒がどのくらいいるんだろう、無宗派がどのくらいいるんだろう、これは統計処理の問題なんです。同じ仏教徒の中でも、念仏が幾らで座禅が幾らでほかのが幾らで、これも統計処理なんです。個人情報じゃないんです。太郎さんの信仰は仏教だとか花子さんの宗教はキリスト教の何派だとか、そんなことを行政機関個人情報として保有することはできない。  要するに、統計処理なら当然そういう項目があっていいんです。ただ、そのときには個人というものは消えているんです。日本人全体の中で、男の中で無宗教の人がどのくらいいる、こんなものは統計の問題なんです。この個人情報保護法の言っている個人情報というのは太郎さんのことであり花子さんのことなんです。その太郎さん、花子さんについて、政治的信条がどうだとか宗教的傾向がどうだとか、こんなことを行政機関保有する権限は持っていない。こういう情報保有する権限がないし、憲法によってそのような情報保有することは禁止されていると私は思うんですが、いかがですか。
  52. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 宗教法人なんかの場合の例を申し上げましたが、これも年々の移動が大変多うございまして、正確な数字は記憶いたしておりませんが四万件か五万件、毎年場所を移転したりあるいは代表者がかわったりいろいろいたしておりまして、それらの管理上やはり個人の名前も当然代表者の名前として入るということはあり得るんだろうと思いますが、それ以外にも、これは犯歴ファイルなどについては公示をしないことになっておりますが、その犯歴ファイルの作成に当たりまして、例えば宗教に名をかりました詐欺行為みたいなものも現にあるわけであります。そうしますと、これはこういう宗教に名をかりてこういう詐欺まがいの行為をやったというようなことはやはり記載せざるを得ないケースがあり得るではないかというふうに思われます。あるいはまた、極左、極右破壊活動などをやられた場合には、 その人の信条というものはどういう政治信条であるかということは、これは犯罪捜査上書かざるを得ないというケースはあり得るだろうと思うのであります。  でありますから、国が全くそういうものを持ってはならないということにはならないと私は思います。ただ、それはあくまでも行政遂行上必要な限度においてであるということであろうと思います。
  53. 猪熊重二

    猪熊重二君 行政が思想、信条的な個人情報保有したとしても、それを利用することは何も不可能なんです。  今長官がおっしゃったのは、思想、信条の問題じゃなくして、要するに犯罪の制圧、予防に関する情報としてどういうものが必要であり適切であるかどうかという問題なんであって、要するに個人情報というのは個人情報の集合したものをこの法案で言えばファイルしたものだと、こういうことになっている。だから、今長官がおっしゃったような意味での個人情報ないしそのファイルというものはあり得ない。この人は無政府主義者であるか、この人は共産主義者であるかというそのランクづけの中で個人情報を集めるというふうな形態においては、行政機関はそのような思想、信条に関する問題あるいは社会的身分に関する問題、こういうふうな問題を保有することはできない。  これは非常に重要なことですのでもう少しいろいろお伺いしたいんですが、ほかにもまだ聞きたいことがあります。  ただ、長官の先ほどの個人情報というものと統計処理に関するお考え方というものについてはもう一度よく御検討、お考え直しいただきたいと思います。
  54. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) ただいま委員がおっしゃったような意味において、いわゆる宗教とか思想、信条の情報を集められるかといえば、それは集めることはできないということは私も同意見であります。  ただ、犯罪等に付随をいたしましてその犯歴ファイル等にそういうものが入ることは、これはやむを得ない、あり得ることである。ただし、それらについては公示もしない状況にこの法律ではなっておるわけであります。したがって、あらかじめ無政府主義者のリストをつくるためにというか、一般的な情報の中にこの人は無政府主義者であるとかこの人は極左破壊分子であるとかということを書き込むようなファイルを持つことは当然のことながらできないというふうに考えております。
  55. 猪熊重二

    猪熊重二君 さらに、第四条に関連してお伺いします。  この法案には情報収集方法に関する規定がないように思います。しかし、行政機関個人情報保有するについていかなる方法保有してもいいということではないと思う。もしそうだとしたら、スパイ行為的なことあるいはおとり捜査的なこと、そういうことが許されるということとほとんど同じところにいってしまう。  情報収集方法について、この法案ではどのようなことを予想してどのように規定しているんでしょうか。
  56. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 政府保有するに至る個人情報につきましては、当然のことながらそれを収集する方法といたしまして、先ほど来申し上げておりますように適法かつ公正に行われた行政の結果でなければならないということでありますので、それが大前提とされているというふうに私どもは理解いたしております。
  57. 猪熊重二

    猪熊重二君 要するに、もう少し具体的に言えば、個人情報収集するについては個人情報本人の同意を原則的には必要とするというぐらいのことを法文に書く方がより明確じゃないか。あるいはそこまでいかないにしても、個人情報収集においては適法、妥当な方法で集めなければならない、要するに違法な収集ではならないというふうなことをやはりここにあえて記載しておく方が明確じゃないかと思うんですが、いかがです。
  58. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 適法であり妥当なものでなければならないことは、これはすべての行政に共通なことであって当然のことであります。その蓄積の結果を電子計算機処理されたものの管理ということでありますので、したがってその大前提には各省庁において当然適法かつ公正に行政を遂行していかなければならないわけでありまして、違法な手段によって集めたものを電子計算機処理をするなどということはこの法律では当初から予想していないところであります。  なおまた、本人の同意という問題につきましては、これはしばしば問題にされるところでありますが、民間情報などの収集につきましては私も本人の同意ということが当然の前提としてあり得べきことであるというふうに考えますが、行政の執行の結果として生じます個人情報につきましては法律に基づいてこれを実施するあるいは法律を遂行するために必要最小限度において実施するという性格のものでありますので、本人の同意ということの前に先ほど委員がおっしゃいましたような国民の皆様方からの御委託があるという前提のもとに収集されたものであるというふうに考えております。
  59. 猪熊重二

    猪熊重二君 六条についてお伺いします。  六条一項による「個人情報ファイル保有しようとするときは、当該行政機関の長は、あらかじめ、総務庁長官に対し、次の各号に掲げる事項を通知しなければならない。」といういわゆる事前通知の規定なんですが、この事前通知の項目が一号から十一号まで書いてありますけれども、要は、結論としてこの事前通知においては個人情報内容そのものは通知されますかされませんか、いかがですか。
  60. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 個人情報内容につきましては、各省庁がそれぞれファイル保有しておりますので、したがって総務庁に個々の内容についての通知はございません。
  61. 猪熊重二

    猪熊重二君 そうすると、一口に言えば各行政機関保有している個人情報ファイルの表題というか、タイトルというか、映画で言えば映画の題名が通知されると、こういうことになるわけです。映画の中身は何もわかっちゃいないわけです、通知が来ないんですから。要するに、個人情報中身は何にも来ない、タイトル、主題、題名、これだけが通知されるんです。  だとすれば、そんな題名、タイトル、主題だけの通知についてこれが二項においてこれだけの通知除外規定を設けることの意味はどこにあるんでしょうか。
  62. 重富吉之助

    政府委員重富吉之助君) ちょっとお答え申し上げますが、事前通知しますファイル中身につきましては、先生のお手元に六条の一項があると思います。ちょっとごらんいただきたいと思いますけれども個人情報ファイルの名称」それから「保有機関の名称及び個人情報ファイルが使用に供される事務をつかさどる組織の名称」それから「ファイル保有目的」それから「ファイル記録項目及びファイル記録範囲」「処理情報収集方法」それから経常的提供先等々どういう中身のものであるかということを事前通知することになっておりますので、おっしゃるようにタイトルだけとかというようなことはないというふうに考えております。
  63. 猪熊重二

    猪熊重二君 だから、私は、さっき言ったように、一号から十一号までを見たとしても花子さん太郎さんの個人情報は何らこの通知項目からは出てこないでしょうと、こう申し上げているんです。  だとしたら、そういうタイトルがあるないぐらいのことをなぜ保有行政機関総務庁長官に事前通知しないのかということの合理性を聞いているんです。
  64. 百崎英

    政府委員(百崎英君) 先ほどもちょっと触れましたが、この第四条におきまして個人情報ファイル保有に関する制限規定を設けているわけでございますけれども、第四条の規定を実際に規定どおり各省庁が実施していくためにも今申し上げましたファイル保有目的であるとか記録項目、記 録範囲というものを総務庁でチェックいたしまして不必要なファイルを各行政機関が持たないようにする、そういうねらいで事前通知の制度を設けているところでございます。
  65. 猪熊重二

    猪熊重二君 要するに、私が申し上げたいのは、先ほどから何度か申し上げておりますように、各行政機関個人情報保有するのは国民の信託によるだけのことなんだという前提に立つんです。要するに、国民が基盤なんです。そうすると各行政機関が持っている個人情報の中でタイトルだけ、主題だけを個人情報ファイルの事前通知において報告するぐらいのことを総務庁長官になぜできないのか。要するに、総務庁長官に知らせないということは、国民に事前通知しないということなんです。国民に事前通知もしないような個人情報をなぜ保有するのか。しかも、個々の内容についてならともかく、さっきから何度も申し上げますようにタイトルだけなんです。タイトルだけはこういうものを持っているということを各行政機関総務庁長官に通知するのは当然のことです。総務庁長官が知らないで、ということは国民が知らないで、なぜ行政機関個人情報ファイル保有するんだということなんです。  ただ、これはお互いに言つていても、けんかみたいになって言うだけでお互い言い合っているだけだから質問でないかもしれませんのでやめまして、この二項の除外事由に該当するかせぬかということについての判断はだれがするんだということをお伺いします。
  66. 百崎英

    政府委員(百崎英君) 基本的には各行政機関の長が判断をするわけでございます。
  67. 猪熊重二

    猪熊重二君 そうすると、事前通知しろよというふうに一項で書いておいても、二項でこういう場合は事前通知しなくていいよというこの場合の判断を各行政機関の長の判断に任せるということになったら、総務庁長官としては先様がこれは二項の該当事由なんだと判断して何も言ってこなければ何にもわかんないんじゃないですか。  これで各行政機関個人情報保有の妥当性だとか正確性だとかそんなことがどうしてわかるんですか。
  68. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 政府は誠実にその職務を執行しなければならないことは当然でありますので、各行政機関の長はこういう法律をお定めいただけばその法律趣旨に従って誠実にそれに該当するという判断をされた場合に当然総務庁に通知されるべきものというふうに考えております。さらに、適切に行われているかどうかということについての担保といたしましては、総務庁には行政監察権限というものもあるわけでございます。しかも、新しい制度が施行されました場合には、その制度を実施した上において妥当に実施されているかどうかにつきまして適当な時期に行政監察も必ず実施するということになっておるわけであります。  そうした機会にもし不適切なものがあればこれは総務庁において意見を申し述べるというような制度にもなっておるわけでありますので、したがって適切な運用を確保していくように努力をしてまいりたいと考えております。
  69. 猪熊重二

    猪熊重二君 それは長官がおっしゃることも私はわからないじゃない。  私は行政機関を何か敵のように言う、長官行政機関は法に従って正しく常に執行すると。お互いにそれは基本的立場が違うからそうなのかもしれませんけれども、ただ一般の行政監察の中に埋没させてしまうんじゃなくて、私が申し上げたいのは、この除外事由に該当するしないの判断もその当該行政機関の長に任せるということになってしまうと総務庁長官には何の通知もないわけなんです。こういうのはあるけれども除外事由に該当するから通知しませんということすらわからないんだから、もうゼロもゼロ、全くゼロなんです。こういう状況をなくすことを考えるべきなんであって、一般行政監察でしっかり頑張りますなんという一般の行政監察の中に埋没させていくべき問題じゃなかろうと私は考えます。  それから、次に七条、八条に関連してお伺いしますが、これはちょっとごちょごちょしておりますのでいきなり御理解いただけるかどうかわかりませんが、総務庁長官に各保有行政機関から個人情報の事前通知がなされ、それを総務庁長官が公示される。しかし、その公示される中で、さらに七条二項、三項に該当する部分については総務庁長官は公示しないということになっています。おわかりでしょうか。  それで、私が伺いたいのは、各保有行政機関から総務庁長官に通知したにもかかわらず総務庁長官が公示しない個人情報の部分があるということの合理性についてお伺いしたいんです。  まず、総務庁長官のところまで通知はあったけれども総務庁長官のところでストップして国民に公示されない部分の個人情報ファイルがあるということはありますですね。
  70. 重富吉之助

    政府委員重富吉之助君) お答え申し上げます。  そのとおりでございます。
  71. 猪熊重二

    猪熊重二君 そうすると、各行政機関の各保有機関は何のために総務庁長官保有に関する通知をするんですか。  国民に対して公示もしない、それにもかかわらず総務庁長官にだけ通知する。要するに、総務庁長官のところへ一〇〇の個人情報に関する通知があったけれども総務庁長官はそのうちの八〇、七〇だけ国民に公示して残った二〇、三〇については総務庁長官のところでストップということの理由はどこにあるんですか。
  72. 重富吉之助

    政府委員重富吉之助君) お答え申し上げます。  先ほど長官から御答弁申し上げましたように、各省庁行政が法適合性をもって執行されているか、斉一性、統一性をもって適正に執行されているか、そういうふうな観点からできる限り事前通知をしていただく、こういう考え方は先生もお認めいただけると思いますが、そういうふうにして通知したものでも、租税に関するものとか犯罪の予防に関する事務とか出入国の管理、難民の認定、ビザ等に関する事務等につきましては、ファイルにどういう項目があるかということを全部国民に知らせますと、例えば租税に関してこうこうこういうことを調査しているということがわかりますと国民が租税を忌避するためにその項目のところに注目する、それから、犯罪の手口とかなんとかというようなものをどんな項目どんな事項で警察庁が把握しているかというようなことを知りますとそれが犯罪の予防とか租税の徴収等の妨げになる場合があり得る、そういう場合は行政の遂行を著しく阻害するおそれがあるということで公示しないことがあり得る、こういうことでございます。
  73. 猪熊重二

    猪熊重二君 要するに、そういうふうに各保有機関から総務庁長官に通知されたにもかかわらずそこでストップして国民に公示されないような仕組みがあるということ自体において、この個人情報保護法国民の知る権利のための法律ということよりは行政機関の便宜のための法律と言わざるを得ないということになると思います。  それで、あといろいろ伺いたいんですが、途中の条文は時間の関係で省略しまして、まず、十三条についてお伺いします。  十三条は、処理情報開示、要するに開示請求に関する規定ですけれども、その中に「開示を請求することができる。」というその「開示」の意味内容として「処理情報が存在しないときにその旨を知らせることを含む。」こういうことになっております。要するに、開示請求したときにそういう請求された処理情報が存在しないよということを知らせることもその開示請求一つの類型だと、こういうふうに規定しているわけなんです。  で、この「処理情報が存在しないとき」ということの意味内容を御説明いただきたい。
  74. 重富吉之助

    政府委員重富吉之助君) お答えを申し上げます。  第十三条第一項にございます開示の括弧書きの「処理情報が存在しないとき」といいますのは、開示請求人に関する個人情報開示請求対象と される個人情報ファイルに含まれない場合でございます。
  75. 猪熊重二

    猪熊重二君 要するに、特定の個人が請求したら、あなたの分はないよというのがこのことだとこうおっしゃるんですが、そうすると、先ほどお伺いした六条二項の事前通知の適用除外に該当するために通知されていないというふうな場合あるいは七条によって掲載しないこととされているような場合、そういうふうな場合はここに言う「処理情報が存在しないとき」というのには当たらないわけですか。
  76. 重富吉之助

    政府委員重富吉之助君) お答え申し上げます。  開示請求対象というのはあくまでも公示されたファイル限定して考えておりますので、事前通知除外のファイルそれから公示除外のファイル、そういうものにあるかないかということはこの規定対象にはなっておりません。
  77. 猪熊重二

    猪熊重二君 十四条についてお伺いします。  十四条は処理情報の不開示規定ですが、先ほどおっしゃられた、私も先ほど質問しましたが、総務庁長官に対して事前通知をしていない情報ファイルについての開示請求があった場合、これはどういう対応になるのか。  二番目に、七条三項によって掲載しないこととされた情報あるいは七条二項によって記載されないこととされた情報についての開示請求の場合はどのように行政長としては対応するのか、いかがです。
  78. 重富吉之助

    政府委員重富吉之助君) お答え申し上げます。  いずれも開示対象になりませんから、それについては行政機関は答えることはできない、答えられないと思います。
  79. 猪熊重二

    猪熊重二君 答えられないというのは、じゃそういう請求があったときに、答えられないという答えをするんですか。  私が聞きたいのは、そういう開示請求があった場合に、それに対してどういうふうに行政長が対応するのか、その対応した対応に対して国民は司法審査を求めることができるのかできないのか、それを聞きたいんです。  だから、答えられないというふうな答えじゃなくて、行政長としてどのような行政処分をされるんですかということを伺っているんです。
  80. 百崎英

    政府委員(百崎英君) 開示請求対象外といいますか、公示除外のファイルとか事前通知の除外ファイルとかそういったものについて開示請求が行われた場合には、これはもともと開示請求対象になっておりませんので、その請求自体法律上の効果は生じないというふうに考えております。したがいまして、それに対して行政処分というようなことが行われるわけはございませんで、何といいますか、いわば法律上不能を求めているというようなケースに該当するのではないかというふうに考えております。
  81. 猪熊重二

    猪熊重二君 そこで、先ほどの「処理情報が存在しないときにその旨を知らせることを含む。」ということとの兼ね合いが出てくるんです。  確かに「処理情報が存在しないときにその旨を知らせることを含む。」というのは、あなたに関するものはないよというのはそれはそれでいいんです。しかし、そのほかに今のような場合にもそういう情報はないよという処分をすれば、その処分の当否、さらにさかのぼっては事前通知しないことの当否、事前通知という大枠を広げることの憲法的判断からする妥当性、不掲載あるいは不記載の合理性、妥当性、合法性というものが裁判所の審判の対象になるわけなんです。だから、今あなたがおっしゃったようなことだと、事前通知しなかったり不掲載の個人情報というのは最初から最後まで闇の中で消えていく。こういうふうなことについてはもう少し国民の知る権利という立場からいろいろ検討されるべきだと思うし、私は今局長がおっしゃったようなことだけで済むかどうかについてはまたいろいろ検討したいと思います。  もう時間がありませんので、最後にもう一つだけお伺いして終わりにせざるを得ません。  この法案を見ると、先ほどから長官がおっしゃっているように、要するに行政機関に対する全面的信頼だけで貫かれているんです。そして罰則的なものは、だまかして個人情報を得たやつは十万円以下の過料という制裁規定一つあるだけなんです。しかし、だまかして個人情報を得たのが十万円以下の過料に処するのが相当だとすれば、個人の尊厳、個人プライバシー保護の観点からした場合に、行政機関の違法な情報収集だとかあるいはするべき事前通知を除外規定に該当するなんて仮にうそを言って通知せぬ行政機関の長だとか、あるいは個人情報を違法な手段、方法によって第三者に提供したとか、あるいは国民開示請求あるいは訂正申請に対する違法な不開示決定とか、こういうふうな行政機関の違法、不当な処置に対する処罰規定というものが全く何もない。これで長官のように、行政機関はうそはやらぬよ、違法はやらぬよということだけで済むのかどうなのか。この辺、全然その処罰規定がないということの理由についてお伺いして私の質問を終わります。
  82. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 公務員は法令に基づいて誠実にその職務を執行しなければならないという法令の遵守義務があるわけでありますから、したがいまして法令に違反をして情報収集し、かつまたその情報があることを当然通知をしなければならないものを秘匿をするというようなことはあってはならないことでありまして、それはそれなりに責任を負うべきものであるというふうに考えているところであります。  なおまた、いわゆる公示をしないファイルにつきましては、先ほどもお答えしているところでございますが、これは開示請求がありましても受け付けないということになろうかと思います。受け付けないものにつきまして、それをまたさらにあるはずだから開示をしろというような請求をなさるとすればそれは別個の行政裁判にかかるべきものであるというふうに考えます。
  83. 猪熊重二

    猪熊重二君 以上です。  どうもありがとうございました。
  84. 吉川春子

    ○吉川春子君 最初に、公安調査庁にお伺いしたいと思います。  前回の当委員会でも取り上げられましたけれども、日本共産党本部が公安調査庁職員によって長期にわたりビデオカメラ等で盗み撮りされていた事件について伺います。  まず、ビデオカメラが二台、スチールカメラが二台、幅数メートルの公道を隔てた日本共産党正面玄関の真ん前にある北参道ダイヤモンドパレス二〇五号室に設置されていましたが、これは間違いないですか。
  85. 櫻井正史

    説明員(櫻井正史君) ただいま御質問のようなビデオカメラ、テレビあるいはカメラが設置されていたことはそのとおりでございます。
  86. 吉川春子

    ○吉川春子君 そして、そのビデオカメラは一台は我が党の本部、もう一台。は代々木駅方面に向けられていた、こういうことも事実ですか。
  87. 櫻井正史

    説明員(櫻井正史君) 一台につきましては日本共産党本部の方を向いていたことはそのとおりでございます。もう一台につきまして代々木駅方向という言い方が正確かどうかはやや問題なしとしませんが、ややそちらの方向に向いていたという意味ではそのとおりでございます。
  88. 吉川春子

    ○吉川春子君 ややそちらの方向に向いていたということはすべての通行人がそのカメラに映し出されていた、こういうことになりますか。
  89. 櫻井正史

    説明員(櫻井正史君) 映し出されていたという意味についてどのように理解するかいろいろ理解の仕方はあると思いますが、レンズを通して見ることはできるという意味であればそのとおりでございます。
  90. 吉川春子

    ○吉川春子君 それが映し出されたというふうに日本語では言うんじゃないんですか。  そうしますと、魚をとるのに底びき網という方法があるわけですけれども、国家権力が無差別に公衆を撮影する、これはもうプライバシーに対する重大な侵害ではないですか。  これはある新聞の投書なんですけれども、次の ような投書が載っています。   こんなことが法治国家において許されるはずがない。これらの行為が野放しにされるならば、国民はたえず権力の監視下におかれることになり、うっかりモノも言えなくなる。これでは戦前の暗黒時代に逆もどりだ。   国民の自由と民主主義を守るためにも、ぜひ事件の真相と全容を明らかにしてほしい。それから、公安職員が逃亡する際、八十六歳のおばあさんを突きとばし、重傷をおわせたというが、この責任はどうするのか、納得のいく解明を望む。 三十七歳の会社員が投書をされております。  これは総務庁長官にお伺いいたしますが、こういうような事例は国家権力によるプライバシーの侵害じゃないか、コンピューターで処理されるのかどうかこれは今後の問題でわかりませんが、個人情報保護という点からも許しがたいことだと思うんですけれども長官のお考えはいかがですか。
  91. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 具体的な事件については、私、全くその実情を存じておりませんので、私から申し上げることは差し控えたいと存じますし、かつまたプライバシー保護ということについては、本来、全体としては法務大臣が当然責任を持ってやらなければならないことだと思いますので法務大臣にお聞きいただくことの方が適当だと思いますので、私から申し上げることはいかがかと思いますので御容赦いただきたいと思います。
  92. 吉川春子

    ○吉川春子君 仮にも個人情報についてプライバシー限定された一部を守るこういう法案を出している大臣がお答えになれない、逃げる答弁をされるということは、私は納得ができません。  それで法務省に伺いますが、法務省というのは人権の擁護を仕事としている役所なわけですけれども、こういう無差別に一般の通行人の肖像を国家権力が撮る、これは重大なプライバシーの侵害じゃないかと思うんですけれども、法務省としてはお考えはいかがですか。
  93. 柏樹修

    説明員柏樹修君) 私ども人権擁護機関といたしましては、人権問題として申告等がありました場合に、その申告等の内容が具体的にプライバシーを侵害するというような内容のものである場合に初めて人権侵犯事件として調査をいたしまして、調査の結果、人権侵犯の事実があるという場合にはいろいろな事案に応じた適切な処理をとるということでございますが、本件につきましては事実関係を新聞等の情報以外には承知いたしておりませんのでこの席で意見を述べるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  94. 吉川春子

    ○吉川春子君 明白に人権侵害があったと思うんです。  例えば、肖像権というのは人格権の一つで、プライバシー権利において肖像権が重要な一分野であるということは最高裁の大法廷の判決、昭和四十四年十二月二十四日、でも確定しています。ここでは要旨、次のとおり述べているんですね。  憲法十三条は国民の私生活上の自由が警察権等の国家権力の行為に対しても保護されるべきことを規定しているものということができる。そして、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有するものというべきである。 仮に公共の福祉のための許容限度として本人の同意がなくても許される場合とは  現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であって、しかも証拠保全の必要性および緊急性があり、かつその撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもって行なわれるときである。 このように非常に厳しい限定を課しているわけなんですね。  今回の公安調査庁のこういう行為がこの判例にも反しているということは明白なんですが、法務省、これは申請があれば、人権侵害、プライバシーの侵害という立場で調査なさるという今の御答弁だったんですか。
  95. 柏樹修

    説明員柏樹修君) 先生御指摘の最高裁の判例等の趣旨も踏まえまして、申告等があればその申告等の内容を検討いたしまして、人権侵犯の疑いがあるということであれば人権侵犯事件として調査、処理をすると、そういうことになろうかと思います。
  96. 吉川春子

    ○吉川春子君 我が共産党と全く関係のない人でも党本部の前は公道ですから通るんですが、その人はすべて盗み撮りされていました。これによって隠し撮りされた人々の肖像権が侵害されているということは明らかです。このような行政機関の不当不法な情報収集をさせないためにも、個人情報収集には目的本人に告げて同意を得て直接収集することを義務づけるなど、そういう措置をとるように私は要求します。  この公安調査庁の盗み撮り事件を見れば行政機関による違法不当な情報収集に対する罰則が必要であるということもまた明白です。今回の個人情報保護法はこういう規定を欠くわけですから、プライバシー保護どころかこうした違法不当な侵害を何ら罰せずに野放しになる、こういう結果になるんじゃないでしょうか。  さらに、破防法二十九条は警察庁、都道府県警察との情報交換を義務づけていますが、今回の法律により国の安全という名目で今後はほかの省庁保有する情報でさえ自由に公安調査庁がアクセスできる、こういうことになりかねないと思うんです。  これはプライバシーの侵害を放置するだけでなく国民プライバシー権の侵害を一層行いやすくするものだというふうに私は考えますが、この点については総務庁はいかがですか。
  97. 百崎英

    政府委員(百崎英君) この法律によりましても各省庁が自由にいろんな情報を集めて保有できるというようなことにはなっておりませんので、一つは、前からも議論がございますような所掌事務を遂行する上で必要な範囲でしかも特定された目的のもとに保有しているファイルに限られるということがございますし、また一方で、利用、提供の制限等の規定がございますので、不必要な情報が各行政機関の間で流通するというようなことにはならないと思います。
  98. 吉川春子

    ○吉川春子君 次に、人事院と防衛庁にお伺いいたします。  まず、人事院にお伺いいたしますけれども、十一月八日の衆議院の内閣委員会質疑に対する答弁によれば、国家公務員の採用試験の人物試験において、個人プライバシーに係る受験者の信条、支持政党または家庭の資産、出生等に関する事項については質問しないように指導しているということですが、その理由、法的根拠をお伺いします。
  99. 森園幸男

    政府委員(森園幸男君) 人物試験は採用試験の一種目でございますが、人物試験を公正的確に実施していくための一つ行政上の措置でございまして、具体的な法律その他の委任条項があるわけではございません。
  100. 吉川春子

    ○吉川春子君 国家公務員法二十七条の平等取扱の原則、これは憲法から来ている法律だと思うんですけれども、すべて国民はこの法律の適用について平等に取り扱われ、人種、信条、性別、社会的身分によって差別されてはならない、こういう法律があるんですけれども、これに根拠があるというふうにも言えるんじゃないですか。
  101. 森園幸男

    政府委員(森園幸男君) 先ほどおっしゃられました質問事項の個別の要素の中には、憲法十四条を受けております御指摘の国家公務員法の平等取り扱いに関する規定の精神を受けているものももちろんあるわけでございますが、質問しないこととしております項目の中には二十七条ではカバーし切れないようなものももちろん含まれておりますし、また、御承知のとおり二十七条は国家公務員法の適用についての差別取り扱い禁止条項でございますから、私どもが仮にある題材を人物試験の質問事項といたしましても、それが合否の決定に左右されないならば極端に言いますと二十七条とは直接関係ないわけでございますけれども、採 用試験を実施するにつきましては、これは毎年実施するものでございますので、受験者一般にそれ自体が合否の判断基準になるのかならないのかこれはわかりませんので、そういう不安を抱かしめない措置も必要であろうということで二十七条等の精神を含んでいるということでもございます。
  102. 吉川春子

    ○吉川春子君 公務員の場合、採用された後ですが、扶養手当あるいは通勤手当の支給の必要性とか転勤命令を発する際の判断資料として、家族の収入その他の状況について当然調べなければならないプライバシーに関する事項があると思います。  これは採用のときとはまた違ってこういうことを調べなきゃならないわけですけれども、その場合はどういう方法で調査なさるんですか。
  103. 森園幸男

    政府委員(森園幸男君) 法令に基づくものとそうでないものがあるわけでございますが、ただいま御指摘の例えば扶養親族であるかどうかの認定につきましては、人事院規則以下の法令で必要事項を申請するということになっています。  それから、それ以外に、これは法令で定められている事項ではございませんが、各省庁が部内の人事管理を適正にやっていくために、例えば異動、転勤の参考資料として家族のいろんな状態でございますとかというようなことを調査するということは一般に行われているというふうに考えております。
  104. 吉川春子

    ○吉川春子君 それは、もちろん本人から直接聞くということですね。
  105. 森園幸男

    政府委員(森園幸男君) 身上報告書みたいなものを毎年提出させることもございますし、面談その他で直接聞くということもあろうかと思います。
  106. 吉川春子

    ○吉川春子君 防衛庁にお伺いいたします。  昭和五十七年四月十九日の衆議院決算委員会における我が党の三浦委員の質問で明らかになったことですが、防衛庁は軍需企業から防衛生産従事労働者については身上調査書を提出させているということです。そこには本籍、旧本籍、外国人とつき合う目的、交友関係、二名以上の友人の年齢、職業、交際の理由、程度、その勤務先、さらにはその労働者の加入団体、会、クラブ、連盟、運動等に関係した場合には加入または脱退した理由、加入期間、さらに妻の旧戸籍謄本、親兄弟の生年月日、職業などを書かせているわけですが、防衛庁はどういう必要があってこういうことを民間企業に行わせているのでしょうか。
  107. 日吉章

    政府委員(日吉章君) ただいまのお尋ねでございますが、防衛庁といたしましては、秘密を含みます装備品等を調達いたします場合には、必要に応じまして秘密の取り扱いに関しまして企業との間で特約条項によりまして一定の秘密保全措置を講ずることといたしておりますが、先生ただいまおっしゃられましたように、その企業に従事いたします従業員について身上調査を行うことを指示あるいは要請したりはいたしておりません。
  108. 吉川春子

    ○吉川春子君 こういうことを企業に要請してはいないが企業の方で勝手にやるということなんでしょうか、それとも今私が指摘したような事実は全くなかった、こういうことなんでしょうか。
  109. 日吉章

    政府委員(日吉章君) 企業の方ではその秘密の保全が十全に行われんがために、企業みずからの判断によりましてその従業員に対しましてどのような調査を行うかどうかという問題はまさに企業の問題でございまして、私ども防衛庁といたしましては全く関知していないところでございます。
  110. 吉川春子

    ○吉川春子君 防衛庁といたしましてはこのような詳しい身上調書は必要ない、こういうことですね。
  111. 日吉章

    政府委員(日吉章君) 私どもといたしましては、企業の方で秘密保全に関しまして十全の措置がとられており、その旨私どもに対して明確に責任の所在を明らかにしていただければそれで十分でございます。
  112. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうすると、防衛庁が要請する秘密保全措置の一環として企業はこういうことをやっているということになるのじゃないですか。これは憲法の十三条、十四条等に定めてある国民の基本的人権の保護の具体化である例えば労働基準法第三条の均等待遇の規定にも違反する行為じゃないですか。しかも、企業が勝手にやっているというよりは国の機関である防衛庁がこのようなことを暗に行わせているとすれば、国家公務員法に定められた、今私が指摘しました平等扱いの原則の趣旨をみずから踏みにじるものではないですか。  私は、防衛庁は国の機関なんですから、こういう企業が必要以上に個人プライバシーあるいはさまざまな身上調書の記入等をやることは防衛庁としてはそういうものは必要ないとはっきりとした態度をとるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  113. 日吉章

    政府委員(日吉章君) 重ねての御質問でございますが、同じことを繰り返すことになって恐縮でございますが、私どもといたしましては、企業に対しまして秘密の保全に関しまして特約条項によりまして一定の措置を講じていることは事実でございますが、その特約条項の中には先生ただいま御指摘のようなことはその内容として含まれていないわけでございます。  したがいまして、私どもと契約をいたしました企業が防衛庁から言われております秘密保全の必要性のために企業としてどのような措置を講ずるかという点は私どもとは関係のないことと申し上げざるを得ないと考えております。
  114. 吉川春子

    ○吉川春子君 防衛庁のおっしゃるその秘密保全の必要性ということの中には兵器、武器生産に携わる労働者の思想、信条とか親戚、一族郎党に至るまでの細かい経歴までは必要ない、こういうふうにおっしゃったんですね。
  115. 日吉章

    政府委員(日吉章君) 企業側におきまして秘密の保全が確実に担保されるという形で、企業側としてはどのような措置を講ずるかというのは企業側の問題でございまして、私どもといたしましては企業側の方で十全の秘密保全の措置が講じられておればそれで十分なわけでございます。
  116. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうすると、その秘密保全のために企業が必要と思えばそういう徹底的な詳しい身上調査も必要である、こういうふうになりますね。
  117. 日吉章

    政府委員(日吉章君) あくまでも企業側の判断であろうと考えております。
  118. 吉川春子

    ○吉川春子君 それはけしからぬと思いますね。民間企業についてもいろいろ言わなければならないことはありますが、防衛庁がおやりになることですよね。  日米両政府が十一月の二十九日に自衛隊次期支援戦闘機FSXを共同開発するための枠組みを決めた取り決めに調印したと報道されています。そして、防衛庁は同開発の担当企業として日本企業を指名した。これはアメリカに対する総額千六百五十億の開発経費の新たな防衛負担であり、武器技術の供与であり、我が党は平和憲法の立場からも到底許されないと思っておりますが、この問題については改めて別の機会に取り上げることとしますが、この場合、今回指名された企業の労働者についても右の衆議院決算委員会で指摘された身上調査も今の防衛局長の答弁だと必要になる、こういうふうに思いますけれども、こういう不当な身上調査の片棒を担ぐようなことは絶対にやめてほしいと私は要求します。
  119. 日吉章

    政府委員(日吉章君) 防衛庁が秘密の物件の製作等を民間企業に委託いたします場合には、当該企業が秘密の保全上支障がないかどうかを確認するために防衛庁といたしましていたしますことは、その受託企業の構成なり保全施設の状況なり物件等の保管状況等について調査をするというものでございます。したがいまして、防衛庁といたしましては、先生ただいま御指摘のようなそこの従業員の個人のいろいろなことを調査するというようなことをいたしておりませんし、企業に対してもそのようなことを要請しているわけではございません。  ただ、企業側がみずから秘密保全のために十全の措置をとるという措置の範囲内においてどのようなことをいたすかという点は、これは防衛庁と いたしましては関知しないところであることを重ねて申し上げざるを得ないと思います。
  120. 吉川春子

    ○吉川春子君 総務庁にお伺いいたしますけれども、たびたび当委員会でも問題になっておりますが、本法案行政機関収集する個人情報内容について何ら制限を設けていないわけですね。つまりあらゆる個人情報収集が可能になる、こういう危険性をはらんでいるというふうに思うわけです。歯どめもいろいろあるんだ、こういうお答えがなされておりますけれども、しかし基本的には行政機関が必要と考えればあらゆる情報を集められるし、そのことをこの法律案で認めているというふうに私は考えるんですけれども、大臣、いかがですか。
  121. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 個人情報収集そのものにつきましては、それは各省庁行政遂行の過程におきまして収集をされるわけでありまして、それが蓄積されていく過程においてコンピューター処理されたものを管理するということでありますから、前提となる収集そのものについては決して無制限ではございませんで、それぞれの省庁の設置目的に従って行政遂行上必要と判断したものを適法かつ公正な手段で収集をされていかなければならないことは先刻来申しておりますように当然のことであるということであります。その結果として収集されたものが電子計算機処理をされファイルになっていく。それが適正に管理をされないということであれば個人権利利益が守られないということで、その点に着目をして私どもとしてはこの法律を御提案申し上げているところでございますから、前提となる収集そのものには当然行政機関としてあるべき責務というものは課されておるというふうに考えております。
  122. 吉川春子

    ○吉川春子君 個人情報収集の手段の規制がない。そして、今防衛庁に質問いたしましたように、これは民間企業がおやりになることは自由だという形で逃げておられますが、センシティブ情報についても制限の規制はない。だから、どういう情報についてもあるいはどんな手段によっても個人情報収集が可能になる、こういうふうに指摘せざるを得ないわけなんですね。  それで重ねてお伺いいたしますけれども、先ほど同僚委員からも質問がありましたが、本法によって保護される個人権利利益は何かについて三つ挙げておられるわけです。つまり、一つは、自分情報行政機関でどのように集積され使われているかを知る権利。二番目に、他人にみだりに自分の知られたくないことを公表されないもの、これを俗にプライバシーと言うんだというふうに言っておられます。三番目は、誤った個人情報に基づいた行政処分により財産的な損失を受けない、これは財産権であろうというふうに説明されておりますが、そういうふうに言っておられる。そして、一については、自分情報をコントロールする権利というものに含まれているのではないかとも答えておられます。  以上の答弁から、この法律によって保護される権利利益の中には、政府保有する個人情報のうち電算機処理に係るものと対象は極めて限定されていますけれどもプライバシー権利も含まれているというふうに言っておられるように理解できるわけです。  それでお伺いするわけですが、総務庁のこの答弁のまず一つ一つについて伺いますが、私生活をみだりに公開されない権利、これはプライバシー権の伝統的な定義であります。この法案では一度行政機関によって集められた個人情報対象にしていますけれども、その前に、行政機関が電算機の処理に係る個人情報収集するに際してもこういう意味でのプライバシー権を侵さない保障がまさに必要ではないか、こういうふうに思いますが、その保障についてはこの法案ではどうなっているんでしょうか。
  123. 百崎英

    政府委員(百崎英君) この法律は、行政機関保有する電算処理に係る個人情報保護に関する法律ということでございますので、直接的には電算処理をする直前の状態である個人情報ファイルというものを基本にこの法律を構成しているわけでございまして、そのファイルをつくる前提としてのいろいろな情報収集、そういう段階についての規定は設けていないわけでございます。  一般に行政機関情報資料等を収集する場合には、これは電算処理のためだとかあるいはこれは手作業のためだとかというふうに分けて収集するというふうなことは一般的には行われていないわけでございますし、また仮に手作業のために集めたとしてもそれが蓄積されていく過程でかなり膨大な量になって電算処理をした方が効率的だというふうなことになってまいりました場合にはそれを電算機に入れるというようなこともございますし、その電算処理のために集める収集段階でその時点で制限するということはなかなか実態上も非常に難しいということで、ファイル保有段階で制限をしていく、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
  124. 吉川春子

    ○吉川春子君 個人情報個人情報を集めちゃうということですから、ある意味プライバシーをそっとしておいてほしい権利というのはそこではもう成り立たない、あるいは侵されているというふうになるかもしれません。  そうしますと、情報収集する際においてのプライバシー保護ということはこの法律考えていないというか対象としていない、こういうふうに理解してよろしいんですね。
  125. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 情報収集に当たっては、まず、行政機関がその行政遂行上必要な限度において行われるべきことは当然のことでありますし、かつまた公務員には法令を遵守する義務がありますし、また職務上知り得た秘密をみだりに漏らしてはならないという責務もあるわけでございますから、そういう行政行為の一環として情報収集される場合には当然公務員としての責務として課されておるわけでありますから、この法律はただそうした結果として収集された情報電算処理に係る部分について規制をするということをもって足りるというふうに判断しているわけであります。
  126. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうすると、重ねて伺いますが、行政機関情報収集する際には、個人プライバシーということは特別にはこの法律は予定していないということですね。
  127. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 何回も申し上げますが、収集段階においてはそれぞれの当該機関個人プライバシーについては当然配慮をしながら適法かつ公正に情報収集を行わるべきものであるというふうに考えております。
  128. 吉川春子

    ○吉川春子君 情報収集されちゃうということは、やはり個人プライバシーはその限りにおいては侵されているわけですから、私は、この権利利益の中にそっとしておいてほしい権利というものを掲げているということはこれだけでは非常に不十分なんで、まさにこういう自分情報に対してみずからコントロールする権利を中心に規定しなければ法律目的は達成されないというふうに思うわけです。  それから、自分情報行政機関でどのように集積され使われているかを知る権利というふうに言っておられる点なんですけれども、これが非常に不十分であるということについては前回質問しましたが、ちょっと別の角度から伺います。  本法で認められている個人情報開示権等が行政機関の責めに帰すべき事由により行使が妨げられた、いわゆる権利利益が侵害されたときの救済方法というのはあるんでしょうか。
  129. 百崎英

    政府委員(百崎英君) ちょっと御質問の趣旨が明確に理解できなかったのでございますが、例えば行政機関が違法な手段等によって集めた個人情報につきまして、それに基づいて何らかの不当なあるいは違法な行政処分が行われた場合の救済措置という御質問でございますか。  もしそうであるとすれば、現在の行政不服審査法なりあるいは行政事件訴訟法なりで裁判に訴えてでも争える、こういうことになっているわけでございます。
  130. 吉川春子

    ○吉川春子君 じゃ、そっちの方へいきます。  不当な行政機関処分によって損害を受けた場 合はそのほかの法律保護されると。  この法律での保護というのはないのですか。
  131. 百崎英

    政府委員(百崎英君) この法律自体でそういった違法な手段等によって収集された個人情報に基づく権利利益の侵害等に対する救済措置というものは、この法律には規定してございません。一般的な今の行政事件訴訟法等によって処理されるということでございます。
  132. 吉川春子

    ○吉川春子君 それで、開示請求というものが十分に行われない、要求したんだけれども行われない、そして行政機関の責任がその場合にある、こういう場合に自分情報を知るためにどういう救済手段に訴えたらいいんですか。
  133. 百崎英

    政府委員(百崎英君) この法律で、いわゆる開示請求権ということで法律上の権利として個人に一定の権利を認めているわけでございますので、行政機関開示請求をしたにもかかわらず正当な理由がなくて開示しなかったという場合には、そのことをもってそれが一つ行政処分であるというふうに考え行政事件訴訟法あるいは行政不服審査法、そういった法律によって直接当該機関にあるいは裁判所に訴える、こういうことになろうかと思います。
  134. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、この法律によって保護される権利利益というのは、この法律によって救済されるのではなくて別の裁判とかそういうことによって救済されるということですから、この法律というのはそういう意味では救済手段を持たないんですね。
  135. 百崎英

    政府委員(百崎英君) おっしゃるとおりでございます。
  136. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうすると、守られるべき個人権利利益の救済手段を持たない法律というのは、ある意味では欠陥というか非常に不十分ではないかと思うんですけれども、その点については総務庁としてはどういうふうにお考えなんですか。
  137. 百崎英

    政府委員(百崎英君) この法律は、いわゆる電算処理に関する手続を規定しているような法律でございまして、この法律規定に違反していろいろな不当な処分あるいは違法な処分が行われたという場合にはこれは一般的な行政救済制度による、こういうことでございますし、一般的な行政作用等につきましては通常はそういう形で普通のいわゆる行政救済制度というものによって国民権利利益が救済されるというふうにお考えいただきたいと思います。
  138. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういうことは今までの法体系の中でも十分可能だったわけですね。  だから、とりわけこの法律を設けなくてもそういうことはできたんじゃありませんか。
  139. 百崎英

    政府委員(百崎英君) 実はこういう法律がございませんと行政事件不服審査法にしろあるいは行政事件訴訟法にしろ訴えの前提になる行政処分というものがないわけでございますので、ここでは開示請求権という国民自分情報開示することを法律上請求できる権利をここで設定したわけでございまして、その権利の行使が侵害されるということに対して訴えをするその訴えの制度というのは一般的な行政救済制度による、そういうことでございますのでこの法律開示請求という権利を認めたことに意味があるというふうに御理解いただきたいと思います。
  140. 吉川春子

    ○吉川春子君 今図らずもおっしゃいましたように、この法律電算処理の手続を規定しているものなんですね。だから、別に個人情報保護を実効あるように決めているものではないわけです。そういう意味行政機関の長に対する罰則の規定が全くない、こういうことにもなっているわけです。  この問題は引き続き質問したいと思いますけれども、そういう点で保護さるべき個人権利利益がこの法律によっては救済されない、こういうざるといいますか非常に不十分な法律である、そのことを指摘してきょうは終わりたいと思います。
  141. 大城眞順

    委員長大城眞順君) 速記をとめてください。    〔正午速記中止〕    〔午後零時十二分速記開始〕
  142. 大城眞順

    委員長大城眞順君) 速記を起こしてください。  質疑を続けます。
  143. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 冒頭に、委員長以下大臣の皆さん方にもおわびを申し上げたいと思います。  今、税特委の方でもってきょうは証人喚問をやって、ちょうどこの時間に私が質問にぶつかったものですから、朝の理事会でもお許しをいただいたんですが、お待たせをしたことを深くおわびをいたします。  早速入らせていただくんですが、第一にお聞きしたいのは、この法律国民個々人の情報行政機関が扱う場合に個人プライバシー保護するんだ、国民を安心させるんだというのがこの立法化だと思うんです。とするならば、この資料の管理をどうするんですか。よほどきちんとこの管理をしないと、だれでもが見られるような状態に置いておくということは、これはよろしくないと思うんですけれども、その辺どうお考えになっているか。  アメリカなんかの場合にはかなりシビアにしておるし、大統領ですらも見れないような状態に重要なものはなっておるわけなんで、その辺の管理の問題についてまずお聞きをしておきたいんです。
  144. 重富吉之助

    政府委員重富吉之助君) お答え申し上げます。  行政機関保有します個人情報また文書に関しましては、従前から事務次官会議等で決められましたデータ保護管理準則というのを昭和五十一年に定めておるわけでございます。例えば、データ保護管理者を定めるとかデータの管理についていろいろなガイドラインを定めるとかデータの運営についての管理の個々の具体的な指針を定めるとか電子計算機室及び磁気ファイル等の保管施設の管理及び保安、そういうようなことにつきましていろいろと詳細に定めておるわけでございまして、それらに基づきまして各省庁において適切な管理に努めてきているところでございます。  それから、本法におきましても、先生のおっしゃいました点につきましては、第五条で個人情報の安全の確保、正確性の確保、そういう規定を定めておりまして、個人情報保有している行政機関の安全、正確性の確保義務規定したところでございます。  私どもは、もし仮にこの法律が認められまして施行されるということになりますときには、その前に安全、正確性確保のためのガイドラインというものを定めまして個人情報のきちっとした管理を徹底するように努めてまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。  それから、アメリカでは大統領ですら文書に対するアクセスというのはシビアに定められている、こういう御意見でございましたが、本法で初めて開示請求権というものを定めるわけでございますが、この開示請求権に基づいて個人情報を見ることができるのは本人だけでございまして、例えば本人の奥様でも見ることができないというようなことで非常に厳しく我々は規定しているわけでございます。  以上でございます。
  145. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 その辺は後でまた触れたいと思うけれども、そういうふうに国民に不安を与えないようにきちんと扱ってもらえるのかどうか。  そういう意味でもって第一条のところを見てほしいんだけれども、この後段のところに「行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人権利利益保護することを目的とする。」こういうふうにこの法の条文は書いてある。個人権利保護することよりかも行政が優先をしている。言葉のあやだと言ってしまえばそれまでですよ。しかし、法を書くときに行政を先に書いておるところにも私はそういうものを感じるわけです。  それで、個人情報として何と何を集めるのか。各省庁から情報の種類や収集方法については総務庁の方に報告が来て、全部それを把握されると思うんです。総務庁はその内容国民にわかるように一般に公示をして知らせる必要があるんですけれども、この条文をずっと読んでいくと第八条 のところで「官報で公示する」となっている。官報を読む国民が一般国民の中でどのくらいおりますか。ほとんど官報なんか読みやせぬですよ。官報を読むなんてのはお役人さんぐらいのもので、お役人しか読まぬような官報に載っけたって国民が見るわけはないんであって、それで一般国民に公示したというふうなことが言えるんですか。その辺をもうちょっとやっぱり知恵出して考えてくれなきゃ困るんだが、どうなんですか。
  146. 重富吉之助

    政府委員重富吉之助君) 恐れ入ります。  法律の第七条で「個人情報ファイル簿の作成及び閲覧」ということを書いておりますが、ちょっと読み上げてみますと「保有機関の長は、政令で定めるところにより、当該保有機関保有している個人情報ファイルについて、それぞれ同条第一項第一号から第七号まで、第九号及び第十号に掲げる事項を記載した帳簿を作成し、一般の閲覧に供しなければならない。」今第一号から第十号までと申し上げましたけれども、それは、保有目的とかどういう項目が入っているとかどういう範囲個人情報が記録されているか、そういうことを記録したものでございますが、そういうものの帳簿をつくって各行政機関の窓口で閲覧しなければならない。そしてまた、それを総務庁に連絡して、総務庁は年に一回官報に公示してやるという二重の形で国民に知らせることにしておるわけでございます。
  147. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 そうやって調子のいいことを言っておるけれども、だったらこの十四条のところの、いわゆるこれはプライバシー保護法でしょう。国民のための法なんですからね。行政機関に便宜供与するためにこの法をつくるわけじゃないわけです。  だったら、個人情報について本人から、さっきも言ったように人のやつはいけない、私のこれを見せてくれと言われたらちゃんと開示して、それを見せてこうこうしかじかですと。それを、この十四条では、それは場合によれば制限をしたり見せないこともある。  何でそんなことをするんですか。
  148. 重富吉之助

    政府委員重富吉之助君) お答え申し上げます。  この第十四条で不開示というものを書いておりますが、この条文はお読みいただくと御理解いただけると思いますが、「保有機関の長は、開示請求に係る処理情報について開示をすることにより、次の各号のいずれかに該当することとなると認める場合には、当該処理情報の全部又は一部について開示をしないことができる。」ということでございまして、開示をしないことにつきまして行政不服審査法とか行政事件訴訟法とかそういうもので国民の側から争われたときにはきちっとその開示しない理由を説明できねばならないような規定にしているわけでございます。要するに、挙証の責任が行政機関側にあるという規定にしておりますので、めったやたらとここに列挙されている事項についても不開示ということにはしないというふうに考えております。
  149. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それで答弁……。  冒頭に私が言ったように、個人情報ですからね、プライバシーを守ってあげましょうという法律をつくるんだから、そういう点からいけばむやみやたらにだれでもが、特に私が心配しているのは、これを管理している関係のお役人さんたちよ、見れるんだから。見て、そうしてぺらぺらとあの人はどうだああだこうだとそういうことをしゃべられることはそれは人権侵害に当たるから、本当にそれはきちんとしてくださいよ。しかし、本人が私のこれについて見せてくださいよと言ったら見せればいいじゃないですか。何でそれが見せられないこともあるんですよなんて。ただ、それが例えば重大な犯罪か何かがあって今裁判所に係っている、何かそういうふうなものに関係してきたときはこれはまた話は別ですが、この法律のここに書いていることはそうでないわけです。今は法律ができるから一生懸命低姿勢で言っているけれども、いよいよでき上がったら、それはあかぬ、だめですといってしょっちゅう不開示を発動するんじゃないの。だから、開示する、お見せするのが原則、万が一の事があったときにはそういうこともあるんですよと、その辺をもう一回きちんと答えておいてくださいよ。
  150. 重富吉之助

    政府委員重富吉之助君) お答え申し上げます。  先生が十四条でおっしゃいましたので十四条の解説をして大変失礼をいたしました。  十三条の規定で「何人も、保有機関の長に対し、自己処理情報本人とする処理情報について、書面により、その開示を請求することができる。」ということで原則開示ということになっておるわけでございます。法律規定はそうなっております。ただ、十四条では不開示することができる例を原則の例外として書いているということでございまして、全く先生がおっしゃる先生の御意見のとおり、開示することを原則としております。
  151. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それはちゃんと議事録にきちんと残しておいてよ。  そのほかの人がでなくて本人だからね。本人にはそれはお見せするというのが原則、よほどのことがそこにあれば、犯罪だとか何かに関係したと言えば別だけれども。ですから、そういう意味に立てば、私はこの条文なんか要らぬじゃないか。  それから次には、十七条に関係してくるんだけれども、いわゆる誤った情報だとか違法収集情報などについて訂正の請求権というものはあるんだけれども、これは制限はするんですか、しないんですか。誤った情報なんというようなものは、これは申し出があったら速やかに訂正するのが原則であって、その辺のところもこれはごちゃごちゃと余分なことを書いているようなところがあるんだけれども、やっぱり誤った情報が入っておって本人から申し出があったらもうすぐそれは訂正しますと。その判断もああもこうもないんですからね。本人の申し出によってそれは訂正するんです。  そういうことをきちんとしておいてもらわなければ国民が安心できないので、そこはいかがですか。
  152. 百崎英

    政府委員(百崎英君) この法律では、今先生がおっしゃいましたように、十七条の一項でそういった訂正の申し出があったときには遅滞なく調査を行って、その結果を書面で通知する、こういう仕組みになっております。したがいまして、いつまでもそれを放置しておくというようなことはこの規定で禁止されているわけでございます。  なお、その訂正の申し出をした者がさらに通知の内容に不服がある場合には再調査の申し出をすることができる、こういう仕組みをとっているわけでございます。
  153. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 訂正の申し出があったならば必ず、それは間違っていたんですから訂正をいたしますと。遅滞なくとか、遅滞なくはそれはいいけれども、調査を行い、それで文書をもってなんて。法律ですから、いろいろ後でもって問題を起こしちゃいかぬから皆さん方はそういう点を慎重にしてああいう法文をおつくりなんだけれども、えてしてお役人さんたちというのは自分たちの都合ばっかり考えて、それで自分たちのぐあいがいいようにだけにしてこうやって法をつくるからね。そして、これは国民のためのプライバシー保護法ですなんて言ったって、大体ならさっきも言ったとおり国民に知らせなきゃいけない、それは官報でと。そこが既にもう間違っているところなんですよ。さっきから言っている官報なんて一般国民はだれも見やせぬのです。だからその辺も、法は法でやっておっても、どうやって一般国民に知らせるかということはもう少し考えていただきたいと思うんですよ。  それから同時に、この機会にお聞きをしておきたいことは、国民のためのサービスというものを素早く手厚く行うことができるようにしなくちゃいけないと思うので言いたいのは、運転免許証なんかもう即日交付にするようにするんだとか書いているけれども、その運転免許証だとか住民登録だとかあるいは健康保険証だとかをなくしましたと言ってくる。そういうものを、本人でない偽名 を使って申請を出して、受け取っていく、そしてそれを悪用するということで、これは皆さん方のところだってかなりあると思うし、御存じだと思うんです。そういうときはこれはだれが責任を負うんですか、皆さん方が責任をとってくれるんですか。  その辺について今度はいろいろサービスしなくちゃいけない、サービスはしてあげます、あげますけれどもそういう今のようないろいろの便宜を図ってやったのを逆に今度は悪用されるということも同時に防がなきゃいけないんだけれども、そこの辺をどうお考えですか。
  154. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 日本においては身分証明制度というものが余り徹底しておりませんで、欧米各国においてはもう本人が身分証明書を持っているということが常識のようになっておるわけでありますが、本人確認の手段として身分証明書などは日本にはありませんから使えないわけでありますけれども本人確認ということについてはこれは十分厳重にやらなければならないと思いますので、そうした点については今後政令等におきましてきちっとした本人確認をするように徹底する方法考えていきたいというふうに考えておりますし、他人が本人になりすまして当該本人情報を不正に取得をするというようなことがあってはなりませんが、仮にあった場合にはこれに対しては過料を科すとかそういうふうなことを一応規定しておるところであります。
  155. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これは、大臣、本当にプライバシー保護と同じくらいに、現実に私もここでもって何度もやったり法務委員会でも言ってなにしたですけれども、区役所あたりへ行って健康保険証をなくしましたから再交付してくださいと言ったら簡単にぽんとくれて、それでぱっぱっぱっぱといって何千万円からのサラ金を借りてしまう。その名前を悪用された人がひどい目に遭う。運転免許証でもそうでしょう。今、これは本当に本人であるかないかなんてそんなことは言っていない。偽名でもって取って、それですぐ車を乗り回して事故を起こす。ですから、その辺についてよほど慎重に配慮をしてやっていただきたいと思うんです。  それから次には、二十三条のところで「保有機関の長は、政令で定めるところにより、第九条」云々、こうこうしかじかと言って「権限又は事務を当該保有機関の職員に委任することができる。」と。最初、いわゆる個人プライバシー、そういうものの管理をよほどきちんとしてくださいよと言ったのにも関係するんだけれども、その辺について今度は逆にそうやって末端のところへ権限をおろしてしまう。そういうことでもって事故が起きるようなことはないのかどうなのか。  そうするならするで、今も言ったように、事故が起きたときにその上司なりだれだれが責任をとるのか、何かしておいてもらわぬと国民は安心できないんですが、その辺はどうお考えですか。
  156. 重富吉之助

    政府委員重富吉之助君) お答え申し上げます。  本条を規定いたしました理由というのは、保有機関の中で個人情報ファイルを事実上管理しております出先の長とか部局の長に開示とか訂正等に関する判断をゆだねることによりまして行政運営の効率性を維持するとともに迅速に事務処理するという目的のために、政令で委任することができるという規定を設けたわけでございます。ただし、本条に基づきまして権限を委任した場合におきましても、保有機関の長は当然に出先機関の長等に対しまして上級官庁としまして受任事務処理につきまして必要に応じて指導監督することができることは当然でございます。例えて申しますと、先ほど御質問ございました十四条にございますが、不開示決定を出先機関の長が行った場合に、これについて不服があるという者は当然に上級官庁たる行政機関の長に対して審査請求を行うことができますし、それからまた十七条で、先ほど御質問ございました訂正の申し出について、調査結果に基づきまして通知を受けてその通知の内容に不満がある場合は再度十七条の二項で「再調査の申出をすることができる。」とこうなっておりますが、この「再調査の申出」というのは保有機関の長に対してでございまして、出先機関の長にはゆだねておりません。この委任事務の中には入れてないわけでございます。  そういうことで私どもとしては、保有機関の長が絶えず指導監督できますし、一番肝心なことについては権限保有しておりますので先生の御心配の国民権利利益というものの確保というのは十分行えるのではないか、こんなふうに考えております。
  157. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これはぜひきちんとやってください。  そして、いみじくも今言われた中で、訂正のなにがあったときに不満があれば再訂正の申し出ができるようにしてありますと。ミスがあってこれは間違っていますから訂正してくださいよと言って申し出るんだから、それがまたさらに再訂正の申し出をしなくちゃならぬようなことが起きちゃいかぬわけです。あなたの給料は幾らにすると言って、それで給料が低いから、こんな低い給料じゃ困ります、もっと上げてください、そういうのだったら再提出だってあるけれども、これはそうじゃなくて、言うならばファイルに入っているのが間違っているから、私のあれはこうこうしかじかですと言ったらそれは直してあげなくちゃいけないのだから、そんな再提出なんということの起きないようにこれはしていただきたいと思うんです。  最後に、もう時間もないんですけれども、大臣の方にぜひお答えをというか、この前の委員会でも私申し上げたんだけれども、ともかくこれを見てみると個人情報が十二億三千八百六十五万件と大変な数で、これがまだどんどんふえていくと思うんです。それで、この間の委員会でも私申し上げましたときに大臣からは、この法律について改めるべきものは修正なり是正なりしたいと考えておりますという御答弁をちゃんといただきました。  私が申し上げたいのは、この前も言ったように、これは初めてつくるんだから、そして皆さん方が万遺漏なきようにして国民プライバシーを守ろうとしてこういうふうにおつくりになった。つくったものの、やってみたらいろいろあっちこっち問題も出てくると思う。そういう点からいくならば、どうしてもやっぱり三年ないし五年、三年でなんだったらそれは五年でもいいですから、五年後なら五年後にもう一回検討して不備な点については直しますといって、その点をきちんと法案の中に入れておいていただきたい。  そうでないと安心できませんし、その点だけは、大臣、お約束をし、お守りをいただき、実行していただきたいと思うんですが、いかがですか。
  158. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) ただいま委員御指摘のように、この法律は我が国では御決定をいただきますればまさに初めて実施される法律であります。したがって、実施した上でこういう点に不備があるというような御指摘が出てくる可能性はあり得ると思います。それから、電算処理の技術というものはもう大変な日進月歩でございますので、現在予測していないような電算処理の発展というものもあり得ると思うのであります。諸外国でもそうしたことを踏まえて修正、是正等行っておる例も数多く見ているところであります。  私どもといたしましては、OECDの理事会勧告でありますとか今日まで十年余にわたります検討結果等を踏まえまして各省庁と折衝の結果、一応ぎりぎりのところでこの法案をまとめさせていただいたという経緯がございますので、お出しをします現段階においては許される最善のものを出したつもりでありますが、今後そうした情勢の推移を踏まえて適時適切に再検討をし、あるいは改正案を御提案をすべきときにはちゅうちょなく御提案をするようにさせていただきたいというふうに考えているところでございますが、見直し規定につきましては、従来の立法例などによりますと、何と申しましょうか、大体こうした法律につ きまして最初から見直し規定を入れておるという例は極めて限られておるようでありますので、私どもといたしましては、今日このような形でお決めをいただいて、今回の国会の御審議等の経緯を踏まえて十分そうした御意見を尊重して対処をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
  159. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 もう時間がないから……。  ただ、大臣、外国なんかでは初めから十年なら十年だとか五年なら五年だとかと決めて、その時が来たときにはもう一回チェックして見直すというふうな制度というものは、流行と言ってはなんだけれどもかなり行われておるので、その辺は日本がおくれているんですから、私が申し上げた趣旨はよくお考えをいただいて、そういう方向でもって進めるようにしていただきたいことを希望申し上げて、終わります。
  160. 大城眞順

    委員長大城眞順君) 両案に対する本日の審査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後零時四十分散会