運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-10-25 第113回国会 参議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十月二十五日(火曜日)    午後五時三十分開会     ─────────────    委員異動  十月二十日     辞任         補欠選任      岩上 二郎君     寺内 弘子君  十月二十一日     辞任         補欠選任      岩本 政光君     亀長 友義君      上杉 光弘君     桧垣徳太郎君      寺内 弘子君     岩上 二郎君      二木 秀夫君     鳩山威一郎君  十月二十四日     辞任         補欠選任      鳩山威一郎君     中村 太郎君  十月二十五日     辞任         補欠選任      中村 太郎君     村上 正邦君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         大城 眞順君     理 事                 板垣  正君                 名尾 良孝君                 永野 茂門君                 久保田真苗君     委 員                 岩上 二郎君                 大島 友治君                 大浜 方栄君                 岡田  広君                 亀長 友義君                 古賀雷四郎君                 桧垣徳太郎君                 村上 正邦君                 小野  明君                 野田  哲君                 飯田 忠雄君                 峯山 昭範君                 吉川 春子君                 柳澤 錬造君    国務大臣        内閣総理大臣   竹下  登君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  田澤 吉郎君    政府委員        総務庁人事局長  勝又 博明君        防衛庁参事官   小野寺龍二君        防衛庁参事官   福渡  靖君        防衛庁参事官   村田 直昭君        防衛庁参事官   鈴木 輝雄君        防衛庁長官官房        長        依田 智治君        防衛庁防衛局長  日吉  章君        防衛庁教育訓練        局長       長谷川 宏君        防衛庁人事局長  児玉 良雄君        防衛庁経理局長  藤井 一夫君        防衛庁装備局長  山本 雅司君        防衛施設庁長官  池田 久克君        防衛施設庁総務        部長       弘法堂 忠君        外務省アジア局        長        長谷川和年君        外務省北米局長  有馬 龍夫君        外務省欧亜局長  都甲 岳洋君        外務省国際連合        局長       遠藤  實君        外務省情報調査        局長       山下新太郎君        大蔵大臣官房審        議官       松野 允彦君    事務局側        常任委員会専門        員        原   度君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(第百十二回国会内閣提出、第百十三回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 大城眞順

    委員長大城眞順君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十月二十一日、岩本政光君、上杉光弘君及び二木秀夫君が委員辞任され、その補欠として亀長友義君、桧垣徳太郎君及び鳩山威一郎君が選任されました。  また、昨二十四日、鳩山威一郎君が委員辞任され、その補欠として中村太郎君が選任されました。  また、本日、中村太郎君が委員辞任され、その補欠として村上正邦君が選任されました。     ─────────────
  3. 大城眞順

    委員長大城眞順君) 前回に引き続き、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題とし、これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 久保田真苗

    久保田真苗君 まず、朝鮮半島情勢について総理の御認識を伺いたいと思います。  過日、国連総会の場で、南北朝鮮代表が初めて登壇いたしました。朝鮮半島東アジアにおける安定と平和の焦点であることは言うまでもございません。  この際、竹下首相盧泰愚韓国大統領演説をどのように受けとめておられるか、御所見を伺います。
  5. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 国連議題を整理しますのはたしか一般委員会というところでございますが、そこで、言ってみればオブザーバーである方の演説が行われたということは、私はすばらしいことだったなと思っております。  したがって、この盧泰愚大統領演説につきましては、南北首脳会談、それから平和都市構想また六者会談等種々の新しい提案をされましたことは、韓国側の積極的かつ建設的な姿勢を示すものだというふうに私は高く評価をいたしておるところでございます。
  6. 久保田真苗

    久保田真苗君 同様に、朝鮮民主主義人民共和国姜錫柱外務次官演説も続けて行われました。  これに対して政府は必ずしも正式のコメントは出しておられないようですが、総理はどのようにこの演説を受けとめておられますか。
  7. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この演説につきましても、我が方を含め多数の方が演説会場にそれぞれ姿を見せておられたということは、国際的に見ても評価が高いということであろうと思っております。  内容自体につきましては、種々機会に明らかにされておる従来の考え方を整理されたものでありまして、大変に新しい提案があったということでは必ずしもございませんが、しかし、我が国でございますとかあるいは米国でございますとか、そういう国に対し激しい非難が行われるというようなことがなかったというふうに、これは注目をいたしておるところでございます。
  8. 久保田真苗

    久保田真苗君 私は、この際日本がなすべきこ とはまず北との関係を正常化すること、これが急務ではないかと思います。  もちろん、南北を問わず朝鮮民族に対しては、日本は過去の歴史的な経緯を持っております。また、朝鮮問題は日本にとって最重要課題一つでもあります。そして最も多く未解決の問題を残している地域でございます。特に朝鮮民主主義人民共和国との間には、日本植民地支配終えんから四十三年もの長い間、政府間交渉は持たれぬまま、関係はないままに打ち過ぎたということは遺憾のきわみだと思っております。  この間に共和国では、たびたびの戦禍から立ち直って国家建設に取り組み見事に復興もなし遂げてきたのでありますが、日本との関係は清算されないままでございます。  遅きに失するとは言いながら今、日本がこの機に進んで清算を行い、朝鮮半島全体の民族和解を進め、これに協力していくべきではないかと思いますが、そのような積極的な御意思がおありでしょうか。
  9. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 朝鮮半島問題というのは、これは、申すまでもなく、一義的には南北当事者の直接対話というものによって平和的に解決されていくべきものであるということが我が国のずっととっておる基本的な立場でございます。  したがって、こうした観点から、早期に対話が再開されることを期待しておるというところでございます。特に、韓国政府南北対話について従来以上に柔軟かつ建設的な姿勢を示しておられることを支持し、これを歓迎しておるところでございます。これは、例えば七月七日の特別宣言についても、官房長官が記者会見して冒頭発言をしておることでも明らかなことでございます。したがって、そういうものがますます進んでいく環境づくりのために、関係国と緊密に協力して可能な限りの貢献をしていかなければならないというふうに考えておるところでございます。  したがって、我が国におきましても、日本社会党山口書記長がお招きによって訪朝され、そして政府ではございませんけれども大変な汗をかいていただいてそれらについて私どもにもいろいろな貴重な情報を提供していただいておるということに対しては大変感謝をしておるということが事実でございます。
  10. 久保田真苗

    久保田真苗君 現実には南北対立の一方に日本は加担してきましたし、他方を敵視する政策もとってきたと思います。しかし、武装して相互に対立する二つ朝鮮を望むということでは決してないんだろうと思います。  この南北の分断について総理の御所見を伺いたいと思います。
  11. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、御案内のとおりの歴史的経過があって、昭和四十年でございましたか、いわゆる日韓条約が締結されたわけでございます。その後のこの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、基本的には南北当事者間の話し合いというものの中で、私どもの今おっしゃった考え方も含め、それが実現していくものであろうという考え方の上に立っておるわけでございます。  で、北朝鮮側からの前向きの反応を得まして、政府間交渉が早急に開始されるということ、こういうことから北朝鮮労働党代表団がお越しになることであれば、その機会を利用して直接対話の糸口にもしなきゃならぬなと考えておるところでございます。
  12. 久保田真苗

    久保田真苗君 直接対話を開くということは結構なことでございますけれども、何と申しましても、今まで積み重なった四十年以上のブランクがございます。  この際、具体的にはどのようなことをお進めになるおつもりでしょうか。
  13. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 当面、我が国におきましては、いわゆる富士山丸問題が存在しておることも事実でございますが、今まで、あるいは第三国においてその実務者同士の接触の場所は私はあったと思うわけであります。しかし、これこそ歴史の中でいろんなことがございました。たしか日韓条約締結の年でございましたか、次の年でございましたか、例えば在日朝鮮人の方の墓参を初めて実行に移した。これは私が内閣官房長官をしておりました若かりしころのことでございますが、その間にまた意図せざることもあったかと思うのでありますけれども、やはりそうした根気強い積み上げの中で今のような直接対話というようなものに結びついていくのではなかろうかと思います。  そういうことを考えてみますときに、その環境は、国連演説に見られますごとく、従来よりもよくなっておるんじゃないかなと、私はこんな感じを持っておるところでございます。
  14. 久保田真苗

    久保田真苗君 ただ、日本立場として、客観的に眺めるというだけではなくて、やはり特別にこの問題は推進しなければならないというふうに考えておりますけれども、それにつけましても戦後処理問題が非常におくれてきているわけでございます。  例えば、サハリンに在住する朝鮮人帰還問題、あるいは原爆被爆者問題がございます。  我が国では戦後処理問題は実に長い年月がかかっているのでございますけれども、その中でもお気の毒なのは、終戦時サハリンにいて家族がばらばらになったという人たちがございます。日本によって強制連行されたこの方々は、自動的に日本国籍を失い、そのため意思を聞かれることもなく置き去りにされたという事実がございます。これは韓国内でも非常に関心が大きいことが石橋訪韓団によって確認されておりますけれども日本国内でも市民のボランティアが非常に熱心な対応をしているわけでございます。  また、原爆被爆者につきましては、日本人として被爆したにもかかわらず、その後放置され、日本人救済もおくれたのですけれども、それ以上に何も行われなかった、このことは被爆当事者にとっては実際の事実だろうと思います。  こういう状態を一日も早く解消していただきたい、こう思うわけでございますけれども総理の御所信を伺いたいと思います。
  15. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 在サハリン韓国人問題、それから在韓被爆者救済措置二つについてのお尋ねでございます。  政府は、従来から機会ありますごとにソ連側に本件の解決について働きかけてまいりました。と同時に、今も御指摘がありましたように、この議員懇方々またあるいはボランティア方々が長年にわたって携わってこられた努力に対しては心から感謝を申し上げておるところでございます。  で、現実問題といたしまして、永住帰国が実現したケースもございます。したがって、今後とも粘り強い働きかけを継続していくという考え方であります。  それで、本年度から本邦における親族再会に対する支援のための予算措置を講じたところでございますが、今後一層支援体制の充実に努める考え方でございます。五千八百万円でございますが、これが姿勢をあらわす一つの証左でもあるし、これが有効に機能することを私どもも期待をしております。  それから、在韓被爆者救済措置の問題でございます。  本当に後遺症等で苦しんでおられる方もいらっしゃるわけでございます。この問題は、経過は先生おっしゃったとおりでございますが、今は韓国に在住する韓国人の方の問題でございますので、第一義的には韓国の国内問題という位置づけにはなるでございましょう。また、法的には、いわゆる一九六五年の日韓請求権協定のときに解決したという議論はあるわけでございますけれども、私は、これについては、今の先生のおっしゃった考え方あるいは人道的性格にかんがみまして、できる限りの対応を行わなきゃいかぬと考えて、現在具体的方途についていろいろ聞かされておりますが、これが検討中であるというふうにお答えすべきであろうと思います。
  16. 久保田真苗

    久保田真苗君 対応してまた検討していただくということなんですが、私、この際申し上げたい のは三つの点です。  まさに国際情勢の複雑な谷間の中で、最も気の毒な人道問題だということ。第二は、その原因の大きなものが日本自身にあるということ。そして第三には、この方たちがいずれも高齢化して、もう償うことのできないケースが続発しているということでございます。  したがいまして、これについては思い切って迅速に、そして今までの遅々たるもの、微々たるものの範囲を遠く抜け出ていただきたい。サハリン関係で五千八百万円とおっしゃいました、被爆者について四千二百万円、合わせて一億円でございます。しかし、サハリン在住朝鮮の方は三万五千人もいらっしゃるのに、来年度思い切った予算というのがたった百人分です。また、原爆の方も、もう七十七歳になる、生きているうちにやってほしい、そういう声も聞かされてまいりました。これは、今までのようなやり方でなく、ぜひ思い切ってやっていただきたいとお願いしておきます。  次に、日本軍事費についてでございます。  朝鮮半島デタント民族和解統一、こういうものに向かって日本が一番協力できるそのことは、竹下総理国連総会演説されましたような、軍縮をみずからこの日本がやってみせるというそのことが東アジア軍縮機運デタント機運の醸成に役立つものと思います。  ところが、今年度防衛費を見ましても、その伸び率はまさに世界一、実額でも巨大なものとなり、ミリタリー・バランスでもNATO並みの計算をすれば世界第三位ないし第三位グループに属するということでございます。これは国民世論にも反しております。また、近隣諸国、特に最近行われました北京でのパグウォッシュ会議でも大きな懸念が表明されているというふうに聞いています。  今、このとうとうたるデタントの流れの中で、総理はみずから軍縮軍事費削減、このことをお示しになる必要があるんじゃございませんか、御所信を伺います。
  17. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今の国際社会の平和と安全が依然として力の均衡によって維持されておるということを否定することは私はできないと思っております。  しかし、米ソINF条約に始まりまして、あるいはアフガニスタン、そしてイラン・イラク、こうした問題、さらには中東和平、それからカンボジア問題に対する当事者同士話し合い、そういうような空気が醸成されておることは何よりも喜ばしいことだと思っております。  我が国防衛費というのは、それはそれといたしまして、五十一年に大綱が作成されました。それに伴いまして、それの水準の達成のために、第一次防からございましたが、途中で単年度主義に変わった時期もございましたけれども、いわゆる中期防というものを新たに策定し、これに基づいてその大綱達成のための努力を他の諸施策とのぎりぎりの調和を図りながら積み上げて今日に至っておるわけでございます。  なかんずく、近隣諸国の問題、近隣諸国が脅威を感じておるのではないかという問題でございますが、これにつきましては、あくまでも我が国平和憲法、非核三原則、そして専守防衛に徹する我が国防衛に対する基本的な考え方を、いつも、どの機会をとらえても説明することによって理解を得ることができる問題である、こういうふうに考え、私もASEANあるいは中国等々訪問いたしましたが、その機会に必ずその問題については明確に説明する機会を積極的にとらまえて行っておるというのが現状でございます。  したがって、私ども、大変表面的にいい雰囲気である、これを大いに歓迎しつつ、しかし、この問題はあくまでも現実というものに目を向けていくということもまた責任ある者として怠ってはならないことだというふうに考えておるところでございます。
  18. 久保田真苗

    久保田真苗君 説明によってのみでは理解されないと思います。みずからそれを示していくという必要があります。ぜひお考え直しいただきたいということを希望しておきます。  最後に、リクルート問題です。  この数年、私、行政のたがが非常に緩んでいると思うんです。本会議でも申し上げましたけれども、前首相時代の撚糸工連問題あるいはマルコス疑惑国際協力事業団、こういったところの汚職は全く衝撃的だったわけですけれども、その後も汚職の事例が後を絶たないわけですね。  昨年からことしにかけてのことを簡単に説明させていただきますと、再び通産省関係ベンチャー企業からの収賄。税務署の不動産業者からの収賄福岡防衛施設局土建業者からの収賄総理府での広報汚職防衛庁海幕監部での防衛産業企業からの収賄畜産振興事業団輸入牛肉汚職。  今月になって三件もあります。外交官特権に乗っての財テク。三たび、通産省での営繕汚職。そして、国公立医療機関での未承認薬剤を使っての水増し請求。こういった公務員汚職が後を絶ちません。  小さい不祥事件を申し上げれば無数にございます。警察官による法律違反の問題ですとか強盗事件ですとか女性の人権を無視した取り調べですとか、また、自衛官につきましても、演習場外での暴発事故が再三繰り返されたり、公私混同の飛行機の使い方、こういったものが後を絶たないわけでございますね。  公務員がこんなふうになってしまっているということは、結局、もっとお金が欲しい、そして、国民奉仕どころか公私混同で、役職を利用しなければ損だと思っている、こういう雰囲気が行き渡って行政のたがが緩みっ放しではないかと憂えるものです。  総理は、こういう公務員汚職不祥事件に対してどうお思いか、一体どういう手を具体的にお打ちになっていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  19. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 申すまでもなく、公務員は、国民全体の奉仕者として職務の公正な執行に当たらなければならない、いやしくも国民疑惑不信を招くことのないよう常日ごろ留意していかなければならぬ、すなわち綱紀の厳正な保持に努めることは言うまでもないことであります。  もとより、ほとんどの公務員の方はみずから綱紀に厳正に対処しておられるということを私は確信しております。しかし、今御指摘なさいましたように、一部不祥事が発生しておる、これはもう残念の一言に尽きるというふうに思うわけでございます。  したがって、今後とも事あるごとにそれぞれつかさつかさ姿勢を正して国民の信頼にこたえていくということに努力をしてまいらなきゃならぬ課題であるというふうに思っておるところであります。  そしてまた、私は、今、院の指名を受けた内閣総理大臣で、その行政府の頂点にありますだけに、私自身も含めて国民皆さん方疑惑を与えるようなことがあってはならない、常日ごろみずからに言い聞かしておるところでございます。
  20. 久保田真苗

    久保田真苗君 こういうふうに幹部から現場に至るまで、上から下まで、それぞれの場所でいろいろな不祥事件が発生する背景には、一つの大きい雰囲気があるんじゃないかと私は思います。  そして、それをつくっているのが政治家なんじゃないでしょうか。もっとお金が欲しい、役職とか権威というものを私的に利用する、そして自浄能力を失っている政治無責任政治、しかも民間の人たちがそれ相応の対処をせざるを得ないのに対して、政治家は何も制裁も受けず、ぬくぬくとしている。今、リクルート疑惑というものがどんどん拡大しております。しかし、トップが安泰ならばそれなら公務員だってやりたいという気分、こういう気分をかき立てているんじゃありませんか。トップに立つ政治家、特に閣僚が問題なんじゃありませんか。  これを根本的に正す必要があるのではないかと私は思いますけれども総理はどうお考えでしょうか。
  21. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 政治家たる者役職あるいは権威を活用するというようなことは、これは厳に慎むべきことであると同時に、その役職権威を活用される方はいらっしゃらないと私は思います。が、いろいろなことから出てまいりました問題が、今御指摘の中で私どもの心に響きますのは、自浄能力を失っているんではないかという国民不信感を買うこと、これを一番留意しなければならない課題であるというふうに思っております。  そうして、リクルート問題につきましては、およそ私は四つ問題点があるんではなかろうかと思っております。一つは、これはいわゆる証券取引法上の問題でありましょう。二つ目には、税法上の問題でありましょう。三つ目には、今、現に刑法上の問題が進行しております。で、四つ目には、やはり私を含む政治家のいわゆる道義的責任の問題ではないかというふうに思っておるところであります。  したがって、私ども政治家はとかく情報の集まりやすい場所におると私自身いつも思っております。なるがゆえに、いわゆる倫理綱領というようなもの、すなわちいささかでも国民皆さん方疑惑を持たれるようなことがあってはならないということを絶えず反復しておって事に対処していかなきゃならぬ、私はこれが一番大切なことではなかろうかというふうに考えておるところであります。
  22. 久保田真苗

    久保田真苗君 総理自身姿勢を正すということを先ほども言われたんですが、大変失礼な言い方でございますけれども総理自身公私を混同しておられるのではないかという疑問を私は持ちます。  現職の大蔵大臣リクルート疑惑の真っただ中におられるわけです。国会答弁がぐるぐる変わる、信用できない。そして、その方が税制改革責任者としておられるということは、とても国民感情が許すものではございません。国民不信を起こさせるのが一番いかぬと総理はおっしゃるんですが、その不信感はもうとっくにほうはいたるものがございます。総理は、これに対して、閣僚を信頼していらっしゃるとかあるいは解明は国会でされるはずなんだとか公開の場でも個人名を挙げないのが私の信条だとか、いろんなことをおっしゃる。でも、それは公私混同と言わざるを得ないんじゃありませんか。  内閣法で「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う。」と規定されておるわけです。大蔵大臣は、何よりもまず内閣の一員でいらっしゃるわけですね。まず、内閣で適切に措置をなさる、そしてそれを国会に報告するというのが内閣を統率される総理のお仕事なんじゃございませんか。どうお思いでしょうか。
  23. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 閣僚の皆さんは、任命権者は私でございますから、私が信頼し、お願いをした方々ばかりでございます。  しかしながら、それがよしんば経済行為として周辺の事情が解明されるにいたしましても、個人個人、政治家としての道義責任というのは、先ほど申しましたように倫理綱領を反復しながら対応していかなきゃならぬ課題であるというふうに思っておるところでございます。  で、私自身に対する公私混同の問題でございますが、この問題、別に国会で解明されるんだといってこれを傍観視しておるという意味ではございません。ただ、まさに国会でこの問題について議論がなされておる今日、国政調査権に対して行政府として最大限の協力をしていく立場をまずは持っておるべきことであるということでございます。  それからいま一つ、他人の名前を出すことは生きざまに合わないようなことを申しまして言葉は悪かったなと思っておりますが、いつの場合でも感じますことは、我々国会議員、私個人がいかに批判されるのもこれは結構でございます。体制内にある者は、いつも批判を受けてそれに我慢して対応していくことこそあるべき姿であると思っておりますが、他人様、それにも家族もあるでございましょう、それを公の場で軽々しく名前を出して疑惑の中に巻き込まれるような御意見があることは前々からいいことじゃないなと。これは私の性格でもございます。
  24. 久保田真苗

    久保田真苗君 総理がどういう生きざまや信条をお持ちであろうと内閣総理大臣としては、国民に、そしてそれを代表している国会に、事実を事実として報告なさる義務があるんじゃないか、私はそう思います。それが総理として最後にとるべき道ではないかと思います。自民党の議員の方々は宮澤大蔵大臣の粉飾決算に憂き身をやつしておられるんですけれども、たとえ子分がそういうことを懸命にやろうとも、そういうことに甘んじるのが閣僚ではないと思いますし、また指導力を発揮されるのが総理のお仕事ではないかと思います。  最後に、このことでそういう道をとっていただくことをお願いして私の質問を終わります。
  25. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 国政調査権には最大の協力をすべきであるということは先ほども申し上げたとおりでございます。  ただ、子分という言葉がございましたが、恐らく先生方、親分子分というような感じはなかろうと思いますので、それだけ、言いにくいことでございますが、一言つけ加えさしていただきます。
  26. 小野明

    ○小野明君 朝鮮民主主義人民共和国に抑留されております第十八富士山丸の船長、機関長の問題でございます。  総理はこの事件解決のための今後の努力あるいは展望をお持ちであろうと思いますが、この点についてまずお尋ねをいたしたいと思います。
  27. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 第十八富士山丸問題につきましては、船長さん、それから機関長さんが無実であるということは私は疑いのないところであろうというふうにまず信じております。したがって、これまであらゆる方途を尽くしまして、北朝鮮側に対してお二人の早期釈放の働きかけを行ってまいっておりますが、残念ながら、現在までのところ釈放、そして本邦帰国は実現していないことも事実でございます。  政府といたしましても、基本的に考えますと、七・七盧泰愚大統領特別宣言等の新たな情勢もございます。そうした問題を踏まえて、関係諸国と緊密に協調の上で、そういう流れでございますから、この問題についても具体的解決努力を続けていかなければならないというふうに今思っております。  この問題につきまして、私もしょっちゅうお会いいたしておりますが、貴党関係者の皆さん方の御協力に対しては心から感謝を申し上げておるところでございます。
  28. 小野明

    ○小野明君 そこで、この問題の解決のためには、北朝鮮との国交改善をどう進めるかということの中で解決を図るというのが筋道であろうかと思います。  具体的にはどう国交の改善を進められるお考えでしょうか。
  29. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、すべて御案内のとおり、いかに歴史的にも我が国との関係が深い北朝鮮であるといたしましても、現時点におきましては関係の正常化を図りたいという希望を不変のものとして持っておりますが、他方、いわゆる韓国とそして北朝鮮というものが厳然として存在しておるわけでございます。だから、日朝関係の正常化というものも基本的には他の国際関係、言ってみれば、南北の問題はもとより米韓の問題、それから中ソ等の問題、こういうものの脈絡の中で最終的には決着がつくべき課題であるというふうに思いますので、我が国が単独でもって直ちに北朝鮮との関係の正常化に向かって動くということは、過去の経緯から見ましても、これは可能にするものではないと言わざるを得ません。  今、幸いにして朝鮮半島をめぐります新たな環境が醸成されつつある。そうなれば、日朝間の直接対話というものの呼びかけの中で、私は、いろいろ御配慮いただいておりますが政府間交渉が行われ、そして第十八富士山丸問題が交渉の具体的問題となるというふうな考え方でこれに対応して おるところでございます。
  30. 小野明

    ○小野明君 米ソ中日というのが関係諸国であろうと思いますが、それらと調整を図りながら北朝鮮との国交関係の正常化を図っていくということでございましょうか。
  31. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これらの関係を度外視して可能になる問題ではないというふうに私は考えております。
  32. 小野明

    ○小野明君 それらのことも考えながら北朝鮮との関係正常化へ動く、こういうことですか。
  33. 竹下登

    国務大臣竹下登君) その前に、いわゆる南北問題は当事者間の問題であるということは認識しておかなきゃならぬ問題だと思いますが、その基礎的認識の上に立った場合、今小野先生が御指摘のような考え方の上に私は立っております。
  34. 小野明

    ○小野明君 これは、第一義的には当然、南北間の緊張緩和ということでしょう。私もそのとおりだと思います。しかし、日本政府としては、総理としては北朝鮮との関係正常化を図りたい。  それは、政府間交渉ということを意味しておられるんでしょうか。
  35. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、政府間交渉が開始されることを希望しておるということは事実でございます。
  36. 小野明

    ○小野明君 終わります。
  37. 板垣正

    ○板垣正君 私は、まず、潜水艦「なだしお」の衝突事故に関連して総理の見解を承りたいと思います。  戦後四十余年の今日、我が国は目覚ましい経済的発展をなし遂げましたが、その根本は、我が国が平和であった、国の安全が確保されていたからであることは申し上げるまでもありません。したがって、国の独立を保持し平和と安全を守ることは、国家存立の基本であり国民福祉の根源であると申さなければなりません。我が国は、このため日米安保体制を堅持するとともに、適切な自衛力の整備を図ってまいりました。  最近の世論調査によりましても、国民の自衛隊、防衛問題に対する関心が高まっており、現在の我が国防衛体制について国民の圧倒的多数の支持が表明されていることは御承知のとおりでございます。しかるに、まさにその矢先に過日の海上自衛隊の潜水艦「なだしお」と大型遊漁船第一富士丸の不幸な痛ましい衝突事故が発生したのであります。遭難された方々並びにその御遺族に対し深く御同情申し上げるとともに、再発防止のため徹底的な措置がとられることを望むものであります。  しかし、本日私が特に申し上げたいことは以下の事実であります。  事故直後のまだその原因や責任の所在が明確でない段階において、潜水艦「なだしお」側に一方的に非があるとされ、特に「なだしお」の乗組員が遭難者を見殺しにしたとする自衛隊たたき、「なだしお」たたきの報道や言論がはんらんし、中には自衛隊のあり方の本質に触れ、あるいは自衛隊員の人間性そのものの否定にもつながるような報道、言論のあったことはまことに遺憾であります。  このことによって、長年にわたって培われてきた自衛隊に対する国民の信頼がいかに大きく損なわれたか、さらに黙々として日夜訓練に任務に精進している自衛隊及び隊員の名誉がいかに深く傷つけられたか、まさにはかり知れないものがあったと思われるのであります。  本委員会において過日、海上保安庁長官から、「なだしお」は当時の状況に応じて人命救助を行ったこと、第一富士丸の女性乗務員の発言は誤りであったこと、目の前でおぼれている者がいるのに自衛隊員が何ら救助をしなかったというような報道は事実ではなかったことが公式に明らかにされました。  私は、自衛隊は田澤長官のもとにこの不幸を乗り越え、高い士気のもとに日夜精進しておられると信じますけれども、しかし果たして自衛隊の隊員たちの名誉が十分に回復されたかどうか、その士気や上下の信頼関係において後遺症が残っておるのではなかろうか、その点の懸念にたえないわけであります。  この際、自衛隊の最高指揮官であられる総理の御見解を承りたいと思います。
  38. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今もお話がありましたように、事故発生直後、乗組員が手をこまねいて救助活動をしなくて傍観しておったというような報道や批判があったことは私も十分承知しております。  私は、そのとき幾たびか思いました。さまざまな制約のある中で人命救助のためになし得る最善の努力をしておるに違いないと私は確信をしておりました。そういう私の確信に対してもいろいろな御批判がありました。  しかし、海上保安庁の捜査結果、今おっしゃいました救助義務違反はなかったということが明らかになったということにおきまして、当時の環境を想起いたしますと私はやはりよかったと思いました。それこそ全体の自衛隊員諸君がそういうほっとしたという感じではなしに、相互信頼関係がより固まったんではないかというふうに思っておるわけであります。  したがって、先ほど来御意見もありましたように、再発防止等に責任を果たさなければなりません。そしてまた、今の海難審判に対しましては、これは我々が行政当局としての可能な限りの協力をすることは当然でありますが、今後さらに自衛隊員一人一人が、まさに自分たちは人命を守るための立場にあることをより反復しながらあのような批判に当たるようなことは今後ともないであろうことを確信して勤務に精励してくれることを心から願っておるところでございます。
  39. 板垣正

    ○板垣正君 それでは、次は我が国防衛政策に対する基本的な見解についてお伺いいたしたいと思います。  米ソ間のINF全廃合意の成立やソ連軍のアフガニスタンからの撤退など、最近の東西緊張緩和の流れはそれなりに歓迎すべきものと思います。しかし、だからあすにでも世界の平和が到来すると考えるのは幻想にすぎません。むしろ緊張緩和ムードに流されることなく、今後とも我が国防衛のため防衛力の整備を着実に図り、我が国の平和と安全、ひいてはアジア、世界の平和と安全に寄与していくことが肝要ではなかろうかと存じます。  その点、私は、さきに発表された防衛白書の世界の軍事情勢に対する分析は妥当なものと思います。  また、最近、英国の国際戦略研究所のミリタリー・バランスの概要におきましても、ゴルバチョフ書記長の就任以来、国防支出の割合の増大が削減されたとのいかなる兆候もこれまでのところ見られないと述べ、今後国防支出が実質的に減少する可能性があるとしても、ソ連は単に軍の戦闘力を近代化し改善するペースをおくらせること以上の措置をとる可能性はないであろうと述べております。  また、昨日、我が党は内外の専門家を招いて平和のための国際シンポジウムを開催いたしました。出席しましたイギリス、アメリカあるいはフランスの専門家も、いずれもゴルバチョフ政権のペレストロイカ、新しい外交に対しまだ不確実性を指摘し、冷静かつ厳しい分析を行っております。  ついては、総理の現下の世界情勢に対する御認識と、近く我が国の新たな防衛計画策定の必要に迫られると思いますが、それについての基本的なお考えを承りたいと思います。
  40. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今御指摘がありましたように、いわゆるINF、アフガンあるいはイラン・イラク、中東和平、さらにはカンボジア問題等等、そうした世界情勢の中で現実に事が実行されあるいは実行に移されんとしておる事柄もあることは、私も、今おっしゃったと同じように、大変に評価をしておるところでございます。  国際シンポジウムにお見えになりました方に私もお会いする機会がございましたが、そういう一つ雰囲気の中で、しかしそれぞれの国あるいはNATOはNATOとして、といってもそのNA TOの構成国の中でまたそれぞれの考え方があるということは、これは、板垣委員も私もそれなりに承知しておるところでございます。したがって、グラスノスチ、これは、私は端的に言えば、中曽根訪ソのときに事実としてノーカットのテレビ出演が行われたわけでございますから、この辺は私は大きな変化であるというふうに思っております。もっとも、ペレストロイカというのは、本当を言えばあれは国内の改革体制のことでございますが、これも言葉はミリタリーの問題をも含む何か雰囲気でお互いが感じがちな言葉であるというふうに私も思うわけでございます。  したがって、別にワルシャワ機構が急になくなったりNATOがなくなったりしたわけじゃございませんし、現実問題というものはやはり今日なお力の均衡の中に平和が維持されておるということを認識しつつ、これからもそういうペレストロイカというのを広義に解釈した場合、それらが具体的に行動となってあらわれることを期待するというのが私は現状の考え方ではなかろうかというふうに思っております。  それから、次期防にお触れになりました。そもそも第一次防、第二次防、第三次防、第四次防等等ございまして、そうして五十一年に大綱が変わりましたとき、経済情勢の見通し等も非常に見詰めにくいときでございましたが、そこでできましたものが単年度主義になって、それから例の中期業務見積もりというものになってまいりました。国会で質問がございますと、中期業務見積もりを、防衛庁部内における予算編成の際の一資料でございます、こんな答弁をしておりまして、それでは本来のいわば国会でシビリアンコントロールをいただく場合の資料にもならぬじゃないかということから、私自身財政当局の責任者でありましたが、やはり計画というものはあるべきであるという考え方を持っておりまして、それが前内閣で取り上げられるところになり、昭和六十年九月の十八日未明、午前六時半ぐらいでございましたか、十八兆四千億というものを策定いたしたわけであります。  そして、目下は、これの着実な達成というものに諸施策とのぎりぎりの調和を図りながら予算編成には臨むべきであり、いずれ次期防が参りますが、さあいつごろから具体的な次期防の作業に取りかかるかということは、今、私がきちんとしたことを決めておるわけではございませんけれども、およそ前回の事情等を考えていくならば、そう無関心であるべき課題ではない、次期防というものに対応すべきであるというふうに考えておるところであります。
  41. 板垣正

    ○板垣正君 ありがとうございました。  終わります。
  42. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 きょうは、総理、非常に短い時間でございますので端的にお伺いをしたいと思います。  まず第一に、国際情勢の問題であります。  この問題につきましてはただいま同僚議員の方からもお話ございましたので、最近のINFあるいはアフガンの問題やイラン・イラク紛争の問題等につきましては総理も今お答えになりましたから、それ以上突っ込んだ話はいたしません。が、いずれにしましても、世界の流れが少しずつ変わっているということは、これは事実であります。  また、今同僚議員もおっしゃいましたが、私どもは、だからといってあすにでも平和やがってくるなんて思っていないんです。そういうふうな端的な決めつけたやり方というのは、私はいかぬと思っています。しかしながら、そういうふうな決めつけとは別に、少なくとも世界の流れはやっぱり平和の方向に流れているんじゃないか。それに対しまして、私どもはこの委員会でも随分議論をいたしましたけれども防衛庁は、核兵器が削減されれば通常兵器がだんだん重要になってきてもっともっとやらないといけないんだ、そういうふうなことを強調されるわけです。それはそういう点もあるかもしれませんが、世界のいろんな流れというのは、いわゆる平和の方向へあるいは軍縮の方向へ進んでいるのも事実だろうと私は思うんです。  そういうような意味で、私どもは、総理、平和に対する考え、軍縮に対する考え、今こういうふうな世界の流れが少しでもそうあるわけですから、そういうところに視点を向けて積極的に我が国はそういう点に取り組んでいくべきじゃないか。例えば、御存じのとおり、西ドイツのコール首相は今ゴルバチョフさんと対談をして、新聞にも報道されておりましたが通常兵器の削減という問題について話し合いをされている。  そういう点を考えてみますと、やはりそういう点に焦点を絞って何らかの提言なり考え方なりそういう方向に進んでいくべきじゃないかと私は思うんですが、総理、いかがですか。
  43. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 基本的に私も今の峯山さんの考え方に賛成でございます。賛成の点が多かったと申しましょうか。  で、我が国として、されば世界の平和というものにどう貢献していけるかということ等を考えますと、私は三つの問題じゃないかと思います。  一つは、平和への協力というので、ああして国際連合というものが非常に評価された。日本は昔から評価しておりますけれども、そういう中において、従来、例えばアフガニスタン問題がありましても特別拠出金を出しましょうというにとどまらず、いろんな問題があるでございましょうから、いわゆる文官の人に御苦労願うことによってそういうところへ積極的に協力するということだと思います。  それから二番目は、これは文化協力とでも申しましょう。いわば平和があってこその文化であり、また文化豊かなところに平和が招来してくるわけでございますから、それらに対して留学生問題等を含め貢献していかなきゃならぬ。  それから三つ目は、経済協力であろうというふうに思っておるところでございます。  そういうものを総合的に、日本国際社会に貢献すること。かつては大変な被援助国であったわけでございますけれども、私はそういうことによって広い意味における平和と繁栄にまずは協力していくことであろうというふうに思われるわけでございます。  そして、軍縮とか軍備管理問題、これはいろんな議論がございます。大変な浪費だからその浪費をやめようという考えもあるいはあるかもしらぬ。しかし、これは、観念的にもそのことを旗として掲げながら、そして現実対応する我が国の役割を果たしていくということではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  44. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 先日の本会議におきましてゴルバチョフさんの七項目提案につきまして総理の御見解をお伺いしました。総理もいろいろ御答弁になりましたが、最近のソ連側のいろんな発言を見ておりますと、大分従来と違うなという雰囲気があるわけです。  特に、御存じのとおり、一つは、北方領土の問題、それからもう一つは、アレクサンドル・ボービンさんという方の発言なんかを見ておりますと、日米安保条約は日ソ関係発展の障害にならないとかGNP比一%の防衛予算を突破しても日本は軍事大国にならないというふうな意味の発言、こういうふうな発言を見ておりますとソ連側も大分変わってきているなというふうな雰囲気を私は感じるわけでございますが、総理、いかがでしょうか。
  45. 竹下登

    国務大臣竹下登君) やっぱり、今峯山委員が端的におっしゃったことが私は、中曽根訪ソの際、いわばノーカットでテレビに出てもいいとかあるいはどこへ行ってどういう方と会談してもいいとかというようなことが、まさに情報公開とでも申しましょうか、いわゆるグラスノスチだと。それで、今おっしゃったようなもろもろの意見が出てくるようになったのも、私はその方向ではないか。先般、現実的に政治体制も確立されたようでございますので、それがさらに具体的問題として出てくることを心から期待をしておるというのが現状でございます。
  46. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 総理も今おっしゃいますように、 グラスノスチが確かに大分進んできているように私も思います。  そういうような意味で、総理、特に北方領土返還の問題。これは、いろんな新聞報道によりましても、この次は日本側から提案をするべき番だというのもあるわけです。そういうふうな意味ではいろいろと難しい問題もありましょう。また、積極的に動いてもらわないとどうしようもないという問題もありましょうけれども、そこら辺のところはいろいろお考えいただいて何らかの提案なり、何か、日本側が動いた方がいいんじゃないか、もう動くべきときに来ているんじゃないかなという雰囲気があるわけですね。  これは、総理、例えば、ゴルバチョフ書記長の来日あるいは竹下総理の訪ソ、そういうふうなトップ会談等も含めまして、お考えをお伺いしておきたいと思います。
  47. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私がこの北方領土問題が対ソ外交では存在しておるということを申しますと、西側諸国の皆さんがそのことに対して理解を示す。しかし、このことで私は私なりに注意しなきゃならぬなと思っておりますが、問題は今おっしゃいましたように二国間で解決すべき問題でございますから、国際世論の圧力を期待するなどという考え方は必ずしも私にはございません。  したがって、今のような御意見を踏まえながら、これからシェワルナゼ外相がいらっしゃいます。そうして、先ほどもお話がありましたように、いわゆる入り口で解決済み、こんな環境ではないように私も見ておりますだけに、根気強くこの問題については熟慮して交渉に当たらなければならない問題であるというふうに考えておるものでございます。
  48. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 対話のないところに解決はないわけでございまして、十二月の外相の来日を機会に、こういうような問題につきましても、両首脳の相互訪問等も考えまして、ぜひ早急に解決していただきたいと思っております。  それから次に、もう一点。  先ほどから朝鮮半島の問題が出てまいりました。朝鮮民主主義人民共和国とのいわゆる国交正常化の問題、これは私は非常に大事な問題であると思います。先ほどの同僚委員の質問を私も聞いておりました。  そこで、まず、政府に私は確認したいのでありますが、当然、朝鮮民主主義人民共和国と国交正常化をしたいという政府意思はあるわけですね。
  49. 竹下登

    国務大臣竹下登君) もとより北朝鮮と正常な関係を持ちたいという意思はあるわけでございます。  だからこそ、先般の国連の場で朝鮮半島の平和と統一について南北双方の熱意、主張がそれぞれ開陳されたということ自体、画期的、そして意義深いことだというふうに思っておるところでございます。
  50. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 わかりました。政府としては国交正常化をやりたい、こういうふうにお考えになっていらっしゃる。  そうしますと、それじゃ正常化のための条件ですけれども、先ほどのお話をお伺いいたしておりますと、いわゆる南北話し合いあるいは米韓の話し合い、中ソの話し合い等々いろんな周りの条件を見て、そういうようなものを度外視して可能になるものではないという御発言総理はされました。ということは、要するに、正常化はやりたいけれどもこういうふうなそれぞれの話し合いなりそういうようなものが解決しなければ我が国としては単独で正常化をすることはできない。ということは、逆に言えば、こういうような国々と同時決着がなければ正常化できないということになってくるわけでございまして、そこら辺のところの考え方を一遍整理して総理からお伺いしておきたいと思います。
  51. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 先ほど申し上げましたように、南北双方の熱意、主張がいわゆる朝鮮半島の統一ということについて開陳されたわけですから、やはり、南北双方の当事者話し合いというのがまずは第一義的なものであろうというふうに思っております。  しかし、今、さらにおっしゃいました南北朝鮮のクロス承認という考え方、これ自体は従来からあるところでございます。朝鮮半島の緊張緩和のための一方策として検討に値する考えであるというふうなお答えを今日までもしてきておりますが、しかし、その考え方につきましては北朝鮮南北分断を永久化するものだということで反対していらっしゃる。そうすると、直ちにこれが実現するということは困難な面があると思われますけれども、今後とも今もおっしゃった関係国考え方等も確かめながら検討していくべきであるというふうに考えておるところであります。
  52. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、我が国は国交正常化をしたいという御意思はあるわけですから、朝鮮民主主義人民共和国を承認をするというお気持ちも、これはあるわけですね。  その場合、承認するための要件はどういうことをお考えになっていらっしゃるかということ。  それからもう一つは、我が国朝鮮民主主義人民共和国を承認するということについて、総理は、どういうふうに韓国が反応するとお考えになっていらっしゃるのか、この点もあわせてお伺いしておきたいと思います。
  53. 竹下登

    国務大臣竹下登君) やはり、両国連演説に見られますように、両当事者朝鮮半島の平和と統一ということに対しての熱意を持っていらっしゃいますときに軽々に私どもがクロス承認というようなものを出しても、仮にそういうことがあったとしても、いわば北朝鮮が今それに対しては分断を永久化することだといって反対をしておられるわけでございますから、これに対してはやはり慎重であらねばならぬ。確かに、いずれかの時点において関係正常化を図りたい、この希望は変わらず持っておるわけでございますが、そういう両当事者間の問題もございますが、国際情勢等から考えてみますと、そうした南北とそして中ソ米、そういう全体の正常化の脈絡の中で行われるべきものではないかなというふうに思っておるところでございます。
  54. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは次に、非核三原則の問題についてお伺いしたいと思います。  総理国連におきましてもこのことをいろいろとおっしゃっておりますし、そういうような意味で、我が国が非核三原則を堅持している理由について、初めに総理の御認識をお伺いしたいと思います。
  55. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私は、我が国の非核三原則といういわゆる国是、ナショナルポリシーと言われておりますが、これは、我が国がいわゆる唯一の被爆国民であるというそういう認識、そしてまたいわゆる平和憲法そのもの、そして専守防衛というものの考え方、そういうところから国是としてこれが成り立ってきたものであるというふうに思っております。
  56. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私も総理のお考えに賛成であります。  特に、唯一の被爆国として、核廃絶に対する国民の願いがあります。二番目には、平和憲法の問題があります。それから三番目には、核兵器では真の平和は得られないという考えを私は持っております。そういうような意味でこの三原則は絶対大事な問題であると思うんですが、総理、この中で、核持ち込みに対する国民の不安というのがあるんです。  これは、昭和四十二年に非核三原則が確立して以来もう二十年以上になるわけですが、最近国民の不安は募るばかりであります。古くは、総理も御存じのとおり、エルズバーグ博士の発言、そしてその後ライシャワーさんの発言、そのほかラスク元国務長官発言、ジョンソン元国務次官の発言等、最近新聞報道で見ただけでも随分あります。ここら辺のところを見てみますと、やはり、日米政府間の密約という問題が新聞でも指摘されておるわけです。  これは、問題点はどこら辺にあるかということは総理も御存じでしょうから私も詳しくは申し上 げませんが、少なくともこのイントロダクションのいわゆる核持ち込みという問題、この中に一時寄港とか通過という問題が入っているか入っていないかという問題、これは非常に重要な問題でありますし、ここら辺のところは政府としても一遍きちっとすべきときに来ているんじゃないか、私はこういうふうに思うんですが、総理のお考えを初めにお伺いしたいと思います。
  57. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、いわゆる交換公文の規定とそれから藤山・マッカーサー口頭了解からいたしまして、イントロダクションの中に寄港、通過が含まれているという解釈をして今日まで来ておるわけでございます。  私は、その以前の問題として、いわば日米安保条約というこの安保体制下において我が国の平和と安全というものが保たれて今日に至っておるということをまず大前提に置いた場合に、いわゆる疑念を持つということによって何よりも大切な信頼感ということに傷がついてはならぬというふうに考えておるところでございます。  したがって、この問題につきましては、あくまでもそうした場合には事前協議が行われるということを信じておるということを申し上げる次第でございます。
  58. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 総理、それでは国民の不安は解消されないわけですよ。  私は、日本のしかるべき人たちがこういう問題について不信を持ったというのなら別ですけれども、アメリカの元高官の皆さん方が密約があるということを、すべてアメリカ側から言うておるわけですよ。ですから、日本政府としては、こんなこと困るじゃないか、一体どうなっているんだ、日本はこういうふうに思っているけれどもアメリカさんどうなんですかと、これはこういうふうに言っても信頼を裏切ったことにならない、私はそういうふうに思うんですよ。なぜかというと、日本側が提案したのと違うから。アメリカの元高官が日本に来て、あるいは、日本に渡ってくるであろうそういういろんな文書で言っているから、日本国民皆さん方は大変不信を持っておるわけです。だから、日本政府がこれに対してこれはどうなんですかと言っても、決してその信頼を裏切ったりすることにはならない。  私も安保条約についてはそれなりの効用を認めて言っているわけでございまして、基地を持ちあるいはこういう艦船が寄港しているところの皆さん方の大変な悩みになっているわけでございますから、そういう方々のいわゆる不信感を解消してあげることをやらないと、今総理がおっしゃったようなことは今までに何回も何回も聞いているわけで、それだけでは納得できないということで私どもは申し上げているわけでございます。  ここら辺のところは、総理、もう一歩何とか進んでいただかないと解決しないんじゃないかなと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  59. 竹下登

    国務大臣竹下登君) そういう方々のいわば私人としての発言とはいえかつての経歴等からして、それがいろいろな議論を起こしたということは私は事実であると思っております。  したがって、言ってみれば、そういう議論、そういう報道等がなされた場合の、別に随時協議とかいわば事前協議とか定期協議とかいうような範疇に属するものではなくして、外交ルートの間で、そういう懸念に対してそんなことはありませんよというようなことはあり得ることだというふうに思っております。
  60. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは、長洲神奈川県知事からの申し入れを総理もお聞き及びだと思いますが、この中でこういうふうに言っているわけです。   もはや事前協議制にもとづく従来の説明だけでは、この不安と動揺を解消する説得力をもちえない状況にあり、このまま両艦の横須賀入港となることは、まことに遺憾といわざるをえません。   国におかれては、核兵器の持ち込みが絶対になく、国是である非核三原則が厳格に守られていることを、みずからの責任において、なんらかの方法で裏づけをとって明確にされるよう貴職に対し強く要請いたします。  こういうふうに、従来の申し入れとは違う一歩進んだ考え方を述べていらっしゃるわけです。  私は、基地を持っている地元の、いわゆる地方自治体の長の悩みというものは、これは大変強いと思うんです。この点についてぜひ何らかの悩みを解決するための努力をしていただきたい。  もう一言、総理の答弁をいただいておきます。
  61. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいまの御意見は十分承りました。
  62. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それからもう一点、基地の悩みということで総理にお伺いしたいのでありますが、大変な基地を抱えていらっしゃる沖縄の皆さん方の悩みというものはもう大変なもので、総理もよくお聞き及びのことと思います。  特に、先般から問題になっておりますキャンプ・ハンセンにおける事故ですね。これは、当内閣委員会でも二、三回にわたって議論がありました。要するに、演習場から相当離れたところまで弾が飛んでくると。人間にまともに当たらなくて事故にはならなかったけれども、基地の地元の皆さん方の悩みというのは、これはとてもじゃないけれども我々がここで議論しているようなあれじゃなしに、もっと緊迫した大変な悩みになってきている。そういうふうな意味で、これはもうぜひ強烈な指導あるいは申し入れをしていただきたい。  総理、実は何で私がこんなことを言うかといいますと、私の手元に、事故があったときに政府が申し入れた資料がいっぱいあるわけです。  これを読んでみますと、例えばその申し入れに対しまして、  日米合同委員会等を通じ米側に対し、この点につき十分な配慮を求めてきたところであるが、今後ともこのような努力を行つてまいりたい。 それから、  地域住民に与える影響に十分配慮されるよう申入れを行つたところ、米側も我が国の申入れを了承した。 それから、  安全確保の徹底等につき改めて米側に申入れを行い、米側も同申入れを了解したところであり、 と、同じようなことがさんざんあるんですけれども、実態は次から次と起こっているわけであります。  防衛の問題を考える場合に、地域住民の協力がなければこれはどうしようもないわけです。そういうふうな意味では政府としても、こういうふうな問題について、ただ抗議をするとかそんなのだけじゃなしに、具体的にどうしてそういう弾が飛んでくるような事故があるのか。きょうも実は当内閣委員会での議論や答弁を聞いておりますと、目標から六十度とか七十度も違うところへ飛んできているわけです。これは何も野党だけが言うんじゃなくて、自民党の皆さんもそう言って怒っていらっしゃるわけです。六十度も七十度も横というのは、まともに向かって撃たないと飛んでいかないわけですよ。これはよほど原因をがっちり究明して、まともに向いていても飛んでいくものならもうやめた方がいいし、わざとそういうふうに撃つ人がいるのならこれはそこら辺のところへがっちり歯どめしていただかないといけないし、そこら辺のところは総理の権限でもう一回この問題を解決するために努力をしていただきたい、このことを私は申し上げておきたいと思うんです。  総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  63. 竹下登

    国務大臣竹下登君) このキャンプ・ハンセンの問題というのは、これは、流れ弾であったとすればまことに遺憾のきわみである、それ以上の言葉はないだろうと思います。  したがいまして、現在、米側もこの事態を重視して、射撃訓練はやめて調査しておる、こういうことでございますのでその実態を把握した上で、これに対しては、私も今のような御意見も十分承知しておりますので、適切な対応をしなきゃならぬというふうに思っておるところであります。
  64. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 じゃ終わります。
  65. 大城眞順

    委員長大城眞順君) この際、日吉防衛局長から発言を求められておりますので、これを許します。日吉防衛局長
  66. 日吉章

    政府委員(日吉章君) 去る二十日の当委員会におきます吉川委員の音響測定艦等に関する質疑の中で、御質問の米軍人を米人と聞き違えて答弁いたしたところがございますので、この際、正確に説明させていただきます。  音響測定艦には、所要の技術的支援を受けるため、米海軍に雇用された技術者が乗艦することはあり得ることと考えておりますが、米海軍の軍人が乗艦してこの艦の運用に携わることはありません。
  67. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、まず、総理にF16の低空飛行訓練、沖縄ライフル実弾射撃事件についてお伺いいたします。  この防衛二法の委員会審議の中でも、私は九月二日に起こった三沢のF16墜落事故とその低空飛行訓練について質問をいたしました。総理は、去る九月二十一日の本会議審議の際に、我が党の諫山議員のF16低空飛行訓練中止の要求に対して、次のように答えられました。「我が国及び極東の平和と安全の維持に寄与するという米軍の任務遂行上必要なもの」として、訓練中止を求める住民の願いを踏みにじる答弁であったわけです。政府がこういう態度をとっているからまさに沖縄のような事故も起こるんじゃないでしょうか。  今も質問がありましたけれども、沖縄県金武町伊芸区のキャンプ・ハンセンでのM16ライフル実弾射撃訓練に伴う被弾事件が起きています。過去、沖縄では米軍による被弾事件が繰り返されてきています。しかし、民間地域でこれだけ多くの銃弾が一度に発見されたのは異例であり、まさに戦場を思わせるような事件です。今回の被弾事件は、一歩間違えば人命にもかかわる事故でもありました。こうしたことが起きるたびに政府は、安全確保の徹底が図られるよう米側に申し入れるということで済ませてきました。しかし、金武町の例で言えば、この地域が米軍の演習によって常時危険な状況下に置かれているということを示すものであり、このままでは伊芸区民を初め県民の生命の安全が守られないことは、相次ぐ被弾事件に照らしても明らかです。だからこそ住民は、こんな危険な演習場は撤去する以外安心して暮らせる道はないとして演習場の撤去を求め、十月十八日には地元の町議会が伊芸地域内の米軍演習場撤去を要求する決議を採択しています。また、二十二日には沖縄県議会も全会一致で演習の即時中止、関連施設撤去の決議をしております。これは、今回の事件を含めて、繰り返される米軍の被弾事件に対する怒りと抗議の激しさを物語っていると思います。  このような事態にもかかわらず、これまで米軍に対して抜本的な事故防止策を求めず対症療法で済ませてきた政府責任は極めて重要であると考えます。私は、この際、このような危険な沖縄のキャンプ・ハンセン基地の実弾演習の即時中止、基地の全面撤去を強く要求します。  日本政府としても米側にこのことをはっきり申し入れるべきだと思いますが、総理のお考えはいかがでしょうか。
  68. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 九月二日のF16の低空飛行訓練については、確かに諫山議員に対して本会議でお答えしたことを私も記憶をいたしております。  今の御質問は、そうしたことからして、このたびの沖縄のこの問題に発していわば基地の撤去を求めよということでございますが、これは、我が国の安全と平和のために日米安保体制というのを是認しておる私ども今の政府考え方として、撤去を求めるという考えはございません。が、この訓練の安全性の問題につきましては、基地というのは何としてもその地域住民の方の理解と協力なくしては機能しないわけでございますから、これに対しては私どもとして可能な限りの対応をしていくべきものであるというふうに考えております。
  69. 吉川春子

    ○吉川春子君 実弾演習の即時中止は求められるおつもりはありませんか。
  70. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 現在、米側も事態を重視して、第六射場でございますかの射撃訓練を中止しておるというふうに承知しております。
  71. 吉川春子

    ○吉川春子君 いや、米軍が今は一時的に中止しているというんじゃなくて、やはり、こういう危険な実弾演習はやめるべきだ、こういう態度で政府は臨むべきだと思うんですけれども、その辺いかがですか。
  72. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 安保条約が能率的に機能するための訓練というものは、私は、そこに節度は存在するにしても、これを是認すべきものであると思っております。
  73. 吉川春子

    ○吉川春子君 安保条約のために大変日本国民が犠牲になっている。しかし、それも安保のために耐え忍ばなければならない。こういう答弁だったと思うんですけれども総理は、ことし一月の施政方針演説で「我が国が平和に徹し、世界に貢献する姿勢を打ち出していくに当たっては、時には痛みを伴うことも避けられない」と述べておられます。  F16の低空飛行訓練にしろまた今回の沖縄の米軍による被弾事件にしろ、住民には、時には痛みを伴うことは避けられない、つまり我慢してもらうしかないと、こういうことなんですか。
  74. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私が施政演説で申し上げましたのは、こうした問題を念頭に置いたものではございません。  いわば世界の平和と繁栄のために役立つためには「時には痛みを」とは、いろいろなものがあろうかと思います。例えば、産業構造調整上から生じてくる痛みもございましょう。あるいは財政上の問題における痛みもございましょう。そうしたことを踏まえ、抽象的に申し上げたわけでございます。  今の事実そのものにつきましては、これは、安全の確保ということは私どもが絶えず念頭に置いて主張すべきものであるというふうに考えております。
  75. 吉川春子

    ○吉川春子君 安保がある限りこういうことが繰り返し起きるということは本当に残念なことで、やっぱり、安保条約と住民の安全、生活の平穏というのは両立しないものであると思います。  バードンシェアリングについてお伺いいたします。  去る十七日、アメリカとフィリピンの間でことし四月からの懸案であった基地交渉が妥結しました。その結果、米国の基地使用見返り援助が約三倍となり、責任分担の一環として日本への肩がわり要求が一層強まることは必至であると思います。早くも米共和党のロバート・ドール上院院内総務は、十八日の上院本会議で、米比両国が在比米軍基地使用の見返り援助増額で合意したことに関連して「これまでただ乗りしてきた同盟国、友好国に対して米軍の海外駐留費用を公正に分担するよう求めるべきだ」というふうに演説しています。  総理防衛二法の本会議審議の際に述べられました、増大した国力にふさわしい役割を積極的に果たしていくということは、アメリカからのこうした要求に積極的にこたえていく、こういうことなんでしょうか。
  76. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆるバードンシェアリングと、こうおっしゃいました。具体的な問題としてアメリカとフィリピンの基地協定の問題につきましては、あの合意は、まさに米比両国間の、二国間の問題でありまして、第三国たる我が国がこれに対して関与を行う行動があろうはずはないというふうに思っております。また、米国がその基地問題に対する肩がわりを期待しておるなどということはおよそ考えられないところでございます。  我が国のフィリピンへの援助ということにつきましては、あくまでも相互依存と人道的考慮という基本的考え方に基づいて、開発途上国の経済社会の発展とか民生の安定とかいうことに役立とうという考え方であるわけであります。  そこで、バードンシェアリングの問題でござい ますが、このバードンシェアリングというのは、私は、いわゆる世界の平和と繁栄に寄与していくために、そのミリタリーの部分のバードンシェアリングというものの考え方よりも、もっと広範な形で我が国の国力にふさわしい役割を果たしていくべきものであろうというふうに思っております。これが先ほど申し上げた経済協力であり、文化協力であり、そして平和に対する協力、こういうことではなかろうかと思っておるところであります。
  77. 吉川春子

    ○吉川春子君 総理は経済協力だというふうにおっしゃられましたけれども、いわゆるフィリピンに対して経済協力を積極的におやりになるつもりですが、軍事戦略的援助にならないという保証はどこにもないというふうに思うわけです。フィリピンに対する援助は、単なる経済問題ではなくて、アジア・太平洋地域における米国の戦略的要所への支援という意味では軍事援助の肩がわりになる、軍事援助の肩がわりそのものだと私は思います。米国は、今、フィリピンにある軍事基地を維持するために日本に肩がわりを強く要求しているものであるということは明らかです。  それで、もう一つ伺いたいと思うんですけれども、駐留米軍の日本人労働者八手当全額負担のための特別協定が行われたばかりです。しかし、引き続き米側からは、日本人労働者の本給を負担せよ、こういう強い要求が起こっています。  これに関連して自民党の渡辺政調会長が、七月三日、宇都宮の講演で、駐留米軍で働く日本人の従業員の給与について次のようにおっしゃっています。「日本に負担してほしいという米国の要求は当たり前の話、手当だけでなく将来は日本人の月給ぐらい日本で負担しないと世界で通用しなくなる。」こういうふうにおっしゃっておられるんですけれども総理・総裁としてやっぱり同じ考えでいらっしゃるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  78. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これはまたある意味におけるバードンシェアリングの延長線上の議論になりますが、この日本人労務者の諸手当の関係につきましては、既に本院をも通していただいた特別協定で決まったところでございます。日本人の労務者の雇用問題等、広範囲な立場から考えて行った措置であるというふうに私は考えておるところであります。  その後の問題につきましては、私自身そのような要請があるということは聞いていないというのが現状でございます。
  79. 吉川春子

    ○吉川春子君 これが最後の質問になると思いますが、今触れましたように、米比基地交渉の結果、基地使用の見返り援助が一億八千万ドルから四億八千百万ドルに引き上げられることになりました。今回の交渉の背景には、フィリピンの反基地、反核の運動、こういう世論の高まりがあったこともまた明らかです。ヨーロッパでは、ギリシャがレニコン空軍基地の閉鎖を米側に通告するとか、あるいはスペインでは米空軍戦闘航空団の移転が正式に決定されるなど、米軍基地撤去の動きが表面化しています。日本は、こうした動きに逆行して思いやり予算の増大で在日米軍をますます手厚く経済的に支えています。  そこで、総理にお伺いいたしますけれども、なぜ政府は、米軍基地強化への協力をして、世界の基地撤去あるいは緊張緩和、こういう動きに逆行するようなことをなさるのか、その点を最後に伺いたいと思います。
  80. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、世界の緊張緩和、そういう動きに対しては高い評価をいたしておるところでございます。がしかし、物事は現実それが具体化していることに対して今後とも外交努力等を行っていかなければならぬというふうに思っておるところであります。  それから、いわゆる俗称思いやり予算にお触れになりましたが、この問題につきましては、長い経過のあるところでございますが、基本的には、安保条約というものが効率的に機能するための我が方のいわば意思に基づく負担であるというふうに考えておるところでございます。  ただ、思いやり予算というと何かちょっと必ずしもぴんときませんが、もう最後だとおっしゃいましたから。  思いやり予算というので、私なりに一生懸命勉強してみました。昔ウェリントン公が、兵士の靴まで思いやる、シンキングモーストオブザシューズオブヒズソルジャーズということですかがありましたので、そういう考え方対応するべきじゃないかなというふうに私なりに解釈をしておるところでございます。
  81. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間なので終わります。
  82. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 せっかく総理がおいでになったんですから、防衛問題に入る前に、若干今の政治のあり方についてお聞きをしてまいりたいと思うんです。  今、世界に百六十何カ国あるわけですけれども、サミットに出席するという国は七つしかないわけです。日本はその一つに入っているわけです。昨年、竹下内閣が誕生して最初の臨時国会総理所信表明演説をなさったとき、私は代表質問に立ったんです。そのときに、せめて与党は強行採決をしない、野党は審議拒否をしない、この二点ぐらい与野党が合意をして国会運営をやっていかなければ民主政治は育ちませんですよ、そういう点に立って竹下総理が勇気を持ってリーダーシップを発揮なさったらどうですかと言って私はお聞きをしたんですが、そのとき総理からは明確な御答弁がなくて、私はじっと聞いておりまして、それが竹下流の答弁なのかなという印象を持ったんです。  あれから一年たちまして、その点について総理が今どんなお考えをお持ちになっておるかということをお聞きしたいんです。
  83. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私は、あのとき、覚えておりますが、お聞きしたときに私自身の脳裏を駆けめぐりましたのは、私自身一つの経験でございました。  今から二十年ぐらい前でございますか、本当に一週間ごとに強行採決が行われ、審議拒否が行われ、そして与野党の関係者が集まって強行採決は慎む、審議拒否は慎むという申し合わせをして明くる日からまた正常化する、こんなことをしておってはだめだなと私自身思っておったことをあの質問の際に思い出させていただきましたが、基本的に、多数決が議会制民主主義の原則であると思います。しかし、何もかも多数でやってしまえばいいということになれば議会は要らなくて、勝った方が四年間勝手なことをやればいいじゃないか、こういう論になっては困りますので、やはり、その前に少数意見を尊重するという態度がおよそ議会に関係のある者として一番最初になくてはならないものであるというふうに、私は私なりに、いつまで国会におるかわかりませんが、国会へ出た当初からそのことを私の念願といたしておりました。  したがって、審議拒否はしないという原則が守られることを私はいつでも期待しておるところであります。お互い政権の交代はあり得るわけでございますから、私どもとて少数党になることも議会制民主主義の原則からいえばあり得ることでございますから、そのことはやはり心にとめておかなきゃならぬと思います。  しかし、あの際私はお答えをいたしました。「対話と協調の中にこそ進歩があって、対立と抗争の中には憎悪を増すのみ」である、自分なりにいいことを言ったなと、こう覚えております。
  84. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私もここに議事録を持ってきているからあれですけれども、しかし、総理は、私がお聞きしたい一番のポイントはあのとき外されたし、今もやはりその点には触れられない。  きょうは時間がないからそれは次の機会にします。  次にお聞きしたいことは、毎年内閣改造を行うわけなんです。で、大臣が一年交代でかわっていく。総理はこの人がと思って大臣に任命なさるんですから、せめて総理の任期と同じだけやはり大臣をさせたらどうですか。私は、こんなに毎年毎年内閣改造をやるような国は世界のどこにもない と思うので、せめて竹下実力者内閣になったらそのくらいのことをして、そのかわり大臣になった者はもう選挙区にうろちょろうろちょろ帰るのをやめて、そうして行政府の長としてその任務を全うするというくらいなことをさせなくちゃいけないと思うんですが、その点についての総理の御見解を承りたいんです。
  85. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 少数の卓越したベテランの方というのは大切なことであろうかと思っておりますが、私はある意味において少数ベテランのうちに入つたかもしれません。池田勇人先生よりも十一日間足りませんでしたが、長期に一つのポストにおったことは事実であります。しかし一方、私が考えますのは、およそ日本人ぐらい知識水準の高い国民はいないし、国会議員の知識水準なんというのは世界に冠たるものであります。そうなれば、一人の卓越したベテランをつくるというよりも、私は、それぞれの方々がその見識を持って成長していかれることが国のため全体のためにはいいんじゃないかなという考え方もあると思いますと。  しかし、一年交代なんて決めたわけじゃございません。そんなことを常日ごろ考えておるという程度で御勘弁をいただきたいと思います。
  86. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 もう一つ総理、今度は国会の方ですけれども国会も同じように一年交代で常任委員長を毎年かえているわけです。  それで、これも私の考えですけれども、それぞれ適任者を常任委員長に据えたら、何年、何をさせるかはそのときのあれですけれども、常任委員長が中心になってその委員会として必要な法律については議員立法でつくって、緊急にすぐ政府にこれをやれと言ってやるくらいのことをやらなければ私は国会権威が高まらないと思うんです。今のやり方というのは、法案を政府に出させて、政府が出したその法案に対して委員会でもってああでもないこうでもないとやっているだけなわけなんですが、国会の常任委員長も、そういう点に立って毎年交代をさせるというふうな悪習はやめる。そして、竹下内閣のときにその辺について一歩前進をさせる、国会権威が高まるような新しい方法というものを生み出していただきたいと希望するわけですけれども総理、その点はいかがですか。
  87. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私も長い間国会におりますが、国会の運営については、いかに自由民主党総裁たりといえども、今、行政府の長として指名されておる限りにおいてはコメントをすべきでないというふうに幼少のころから教わってまいりました。  したがって、その点については、そうした考え方もあるなと感じさせていただいたと同時に、それより別の角度からの議員立法等の問題については、私が議員であったころも同じような考え方を持っておりました。
  88. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 総理の頭の隅にそういうことを今までも持っておられたというんだったらなおのこと、この際、そういう点で前進するようにいろいろとお考えをいただきたいと思うんです。  それで、それも議論しているわけにいきませんから次に進みます。  次は、防衛問題で触れたいのは、スウェーデンという国を総理はどういうふうにお考えになっているかということです。  人口が、私が言わなくても頭のいい総理だからもうおわかりのように八百三十万、永世中立国で百八十年間戦争をしていない国なんです。この百八十年間も戦争をしていない国が国防省をきちんと持って、陸海空、三軍合わせて六万五千。もしも日本がそれと同じ割合で持つということになれば、九十四万の自衛隊を持つことになるわけです。  私は何も自衛隊をたくさん持てという意味でこれを言っているわけじゃないんです。この百八十年間も戦争をしていないスウェーデンが、中立国ということになっているスウェーデンが三十年も前から、今度戦争になったら核戦争だ、その核から国民をどうやって守るかといってあの核シェルターの建設を始めてきたんです。それで、現在、全国に五万五千カ所の核シェルターをつくって、そして国民の人口の七二%、六百万人を収容するまでできました、あともう一息ですと。国家の人口の七二%を収容するだけの核シェルターをつくったということは、私は大変なことだと思うんです。  それに対して日本の場合にはどうかといえば、私は何回も言ってきたことだけれども日本では安全保障を担当する所管官庁といえば総理府の一外局、防衛庁です。こんな国が世界のどこにありましょうか。だから、安全保障とはどういうことなんだ、平和とはどういうことなんだということを、私は、政府がまずもう一回本気になって考えていただかなければならない、認識を改めていただかなければならないと思うんだけれども、その辺についての総理の御見解をお聞きしたいんです。
  89. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 安全保障ということにつきましては、それぞれの国柄によりまして伝統的な物の考え方とか、そういう相違はあろうかと思います。我が国は、要するに、無謀な戦争の敗戦から新生日本ができた場合に、私は、当時の客観情勢からしていわゆる日米安保体制というのを選択したということはそれなりの意義があったと思っております。したがって、日米安保体制を基軸として個々が防衛問題について理解を求めるように、ただ防衛庁のみならず、あらゆる教育の分野等においても平和に対する考え方をお互いが確立する環境をつくっていかなきゃならないではないかというふうに考えておるところであります。  したがって、スウェーデンが、一人当たり所得は結構な国でございますけれども、あれだけの人口であのシェルターをつくられたというようなのは、よほど平和とか防衛とかに対する国論というものが、完全な意識統一という表現は適当でないかもしれませんが、そういう方向を国民の意識が志向しておったからこそできたんじゃないかなというふうに思います。
  90. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 もう一つは、時間ももうないですからあれですが、この間もこの委員会でもってお聞きしたんですが、防衛大学校の卒業生で任官しない者、それから一年以内でやめてしまう者がこの三年間で百八十三名もいるんです。国の税金を使って勉強して大学卒の資格を取って、それでそのまま放置しておくということは税金のむだ遣いでないか、この対策を立ててくださいよといって防衛庁長官にお願いしておいたんだけれども、今総理に私が申し上げたいのは、防大のそういう卒業生なりあの人たちが何でそういう気持ちになっちゃうんだということをやっぱり考えてあげてほしい。  それから、自衛隊の人たちにしても、やはりもう少し自分が国を守る自衛隊員なんだといって胸を張ってちゃんと制服を着たまま町の中を歩けるような、そういうふうにしてあげてほしいという希望を申し上げて、それについての総理の御見解を聞いて終わりたいと思うんです。
  91. 竹下登

    国務大臣竹下登君) やっぱり、それは、国民一人一人がこの国は自分で守るべきであるという気概というものがまず一つは大切であると思います。  そういう気概があれば自衛隊の皆さん方に対して特別な意図を持った批判的眼というようなものもなくなっていくであろう、そういうことを私は期待しながら、自衛隊の活動の中にもまさに国民に愛せられるべき努力が必要であろうし、我々の側においても国を守る気概を一人一人持つことによって自衛隊の諸君を理解する環境をつくらなきゃならぬというふうに思っております。
  92. 大城眞順

    委員長大城眞順君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終わりました。  お諮りいたします。  これにて本案に対する質疑を終局することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  93. 大城眞順

    委員長大城眞順君) 多数と認めます。よって、本案に対する質疑は終局することに決定いた しました。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  94. 久保田真苗

    久保田真苗君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。  INF全廃条約批准から世界情勢のデタントへの動きは、今やとうとうと流れ始めております。東アジアの平和と安定の焦点とも言うべき朝鮮半島も例外ではなく、雪解けが始まりつつあります。これに対して日本防衛政策は、トマホーク搭載艦の母港化、非核三原則の空洞化、年六%もの防衛費の膨張など硬直した姿勢を踏襲し、米国追随の軍事外交に明け暮れ、アジアの緊張緩和に貢献するどころか危険度を増すばかりであります。アメリカの安全保障政策は、アメリカにとっての安全保障であって、日本にとっての安全保障でないことを政府は肝に銘ずべきであります。  国民は、日本のど真ん中に軍事基地をつくることが日本の安全を確保する道とは思っておりません。F15やイージス艦や戦車で日本を守れるとも思っておりません。国民がこれ以上の自衛力の増強や防衛予算の増額を望んでいないことは、総理府の世論調査によっても明確であります。政府は、このような国民の声に真摯に耳を傾け、軍事優先の政策を転換させ、緊張緩和に向かっている世界の潮流を助長する政策をとることを求めます。  竹下首相は、第三回国連軍縮特別総会において軍備管理及び軍縮について演説をしました。しかし、当の日本は軍備増強を進めるばかりで、さすがにアメリカからも、日本は二十一世紀には軍事大国になるだろうとの声が出ているのであります。近隣諸国の心配は言うまでもありません。総理軍縮を説かれるのであれば、まず日本自身がその方向に向かって実を示すべきであります。  本法律案は、歴代内閣の軍事力増強政策の一環として、自衛官及び予備自衛官の定員を増員し、相変わらず軍事増強を図るものであり、強く反対するものであります。  政府が憲法を尊重し、真に国民のためになる政策を行うことを重ねて要求して、反対討論を終わります。
  95. 板垣正

    ○板垣正君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に賛成の討論を行うものであります。  近年、米ソ間においては、INF全廃条約が発効し、また、戦略核戦力などの分野における軍備管理、軍縮努力が続けられております。さらに、アフガン問題に関するジュネーブ交渉が妥結するとともに、国連安保理事会決議の受諾によるイラン・イラク紛争が停戦しております。このような動きにもかかわらず、現下の国際社会の平和と安全が核兵器を含めた力の均衡により維持されているという冷厳な事実に変わりはなく、このことから現下の国際軍事情勢には依然として厳しく、複雑かつ流動的なものがあるのであります。  こうした状況の中で、政府が日米安保体制のもと、効率的な質の高い防衛力を整備することによって、我が国の平和と安全を確かなものとするとともに、外交努力、経済協力等のいわゆる総合安全保障政策を推進し、さらには広く国連等の場において軍備管理、軍縮など、東西間の対話の促進を世界各国に訴え続けてきたことは高く評価されるところであります。  国の独立を保持し、平和と安全を守ることは、国家存立の基本であり、政治の最重要課題であることは申し上げるまでもありません。  政府は、防衛力整備に当たっては、国防の基本方針にのっとり、節度ある有効かつ効率的な防衛力の整備を図ってきたところでありまして、このことは国民の理解と信頼を得ているところでもあります。  今回の防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案による自衛官及び予備自衛官の増員措置並びに航空自衛隊の骨幹組織の整備は、中期防衛力整備計画の三年目に当たる六十三年度業務計画に基づいたものであり、効率的な隊務運営に資するものでありまして、いずれも国民の支持と信頼にこたえ得るものと信じます。  今後とも政府は、国際軍事情勢及び諸外国の技術的水準の動向に配慮しつつ、これに対応し得る効率的な防衛力の整備を図るため、陸海空、三自衛隊のそれぞれの各種防衛機能について精査し、さらには各自衛隊の有機的協力体制の促進、統合運用効果の発揮に留意し、防衛計画の大綱に定める防衛力の水準の達成を早期に実現すべく一層の努力を払われることを要望します。  なお、特につけ加えますが、さきの潜水艦「なだしお」と遊漁船第一富士丸の衝突事故に関し、本委員会審議の過程において、潜水艦の救助措置について一部に伝えられたごとき遺憾な事態はなかったことが明らかになりました。  政府は、今後とも自衛隊員の士気の高揚に努め、ますます国民の期待と信頼にこたえるよう要望して、私の賛成討論を終わります。
  96. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、公明党・国民会議代表して、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に反対の討論を行うものであります。  我が国防衛政策は、平和憲法のもと、国是たる非核三原則、集団的自衛権の不行使、武器輸出三原則等の基本原則を厳守して進められるべきものであります。そして防衛力の整備に当たっては、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないために、防衛費GNP比一%枠を守り、攻撃的兵器を保有しない、領域保全能力に限定するよう配慮すべきであります。  ところが、竹下内閣が進めている防衛政策は、これらの原則を形骸化、空洞化するものであるとともに、時代の流れに逆行する危険なものと言わなければなりません。  第一に、国際情勢の変化に逆行している点であります。  国際情勢は言うまでもなく緊張緩和、デタントの時代に入っております。米ソのINF全廃条約の発効、ソ連軍のアフガニスタンからの撤退、イラン・イラク戦争の停戦、中ソ関係の進展と昨年からの変化には目覚ましいものがあり、国際情勢デタントを基調としていることに疑いはないのであります。  ところが、政府はこの変化を率直に認めようとしないばかりか、従来の冷戦思考に基づいて相変わらず防衛費を突出させているのであります。まさに時代に逆行するものと言わなければなりません。  次に、非核三原則の問題であります。  先日、横須賀に核トマホーク搭載可能の米艦艇、バンカーヒルとファイフの二隻が配備されました。その際、神奈川県知事と横須賀市長が政府に核の不搭載を明確にするよう求めたにもかかわらず、政府は事前協議のないことを理由に何らの行動もとっていないのであります。  世論調査によれば、国民の約七割が核持ち込みに疑惑を抱いております。政府は、いつまでも事前協議のないことのみを理由に核持ち込みを否定するのではなく、もっと誠意ある対応をして、国民疑惑と不安を解消すべきであります。  第三に、装備の問題であります。  米国以外は保有していないイージス艦及び米国と共同開発するFSXといった装備だけでなく、今後は空中給油機やAWACSの導入までうわさされ、自衛隊の最新兵器の導入は目をみはるばかりであります。さらに懸念されるのは、こういった装備の性能向上に伴って攻撃的兵器は持たないという原則まで空洞化し、自衛隊の行動範囲の拡大が当然のものとされることであります。新しい装備の導入に当たっては一つ一つ慎重に検討する必要があるのであります。  最後に、海上自衛隊の事故の続発について一言述べたいと思います。  瓦前長官辞任の原因となった潜水艦「なだしお」と第一富士丸の衝突事故については現在原因究明が行われているところでありますが、防衛庁 に対しては徹底的な再発防止と遺族に対する十分な補償を要望したいと思います。  この事故の陰に隠れた形になっておりますが、リムパック演習の際の事故等、最近海上自衛隊で事故が続発していたことは見逃すことはできないのであります。国民の信頼を得る自衛隊であるためにも、事故のないよう十分配慮をすべきであります。  以上、申し述べました基本的な立場から、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に反対することを表明して、私の討論を終わります。
  97. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私は、民社党・国民連合を代表して、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し賛成の討論を行うものであります。  この改正案は、自衛官の定数を五百二十三人増加させること、予備自衛官の定数を千五百人増加させること、航空自衛隊の組織を一部改正することというものであり、特に問題はないので賛成をいたします。  むしろ、この機会に問題を提起しておきたいのは、国家の安全保障という重要事項について政府みずからが正しく理解をして姿勢を改めることであります。例えば、有事法制の検討に入って十年になるというのにいまだに結論が出ません。このことは有事とは何かということを政府自身が認識していないことを意味しています。だから、安全保障という国家にとって極めて重要な課題総理府の一外局である防衛庁に担当させて何ら不思議に思っていないことにもあらわれています。こんな国が世界のどこにありましょうか。  このような政府姿勢をそのままにしておいて防衛費ばかり多くしても、国の安全保障には役立つとは思えません。国家の平和と一億二千万国民の生命は防衛白書によって守られるものではありません。国民に尊敬と信頼された自衛隊と、その自衛隊の勇気ある決断と、身命を賭しての迅速果敢な行動がいつでもとれる体制が維持されていることによって国の平和は守られるのであります。したがって、今最も必要な最優先課題は、まず政府が国家の安全保障について従来のような軽視の態度を改めることであります。その上に立って、自分の国は自分で守る、平和はただではないという基調を全国民が認識するよう政府努力すべきであります。  以上の点を肝に銘じて今後の政策に生かすよう強く要望して討論を終わります。
  98. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  まず、本日、この防衛二法の委員会審議を打ち切り採決に入ることに反対します。なぜならば、これらの法案は十分に審議を尽くしたとは言いがたく、国民生活及び日本の運命に深くかかわる本法案の内容を広く国民に知らせる上で余りにも少ない審議時間であると言わなくてはならないからです。  また、昨年十二月八日、本委員会で防衛二法が通ってわずか十カ月の間に再び軍備拡大のための同法改正を行うなどということを認めることはできません。  今、世界は、米ソのINF全廃条約の締結を契機に、核廃絶と軍縮を求める声が一層大きくなっています。ヨーロッパでは、ギリシャで米空軍基地閉鎖、スペインでは米空軍戦闘航空団の移転など、米軍基地撤去の動きがあります。  戦争放棄の憲法を持ち、唯一の被爆国である日本の役割は、世界の平和の動きを加速させることであるはずです。しかし、政府は、六十三年版の防衛白書でも相変わらずソ連脅威をあおり、それを根拠に一層の軍拡を推し進めています。既に我が国防衛費はNATO方式で算定すると世界第三位になるというのに、これからも次期防、大綱別表見直しなど、軍事費の増大はとどまるところを知りません。加えて、アメリカからは在比米軍基地使用の見返り援助が大幅にアップしたことによる肩がわり要求や米軍基地の日本人労働者の本給負担など、我が国への責任分担要求がますます強まっています。  さらに、本委員会での私の質問に対し、防衛庁は来年度予算で導入を計画している原子力潜水艦探知のための音響測定艦に米軍関係者が乗り込むこと、ASWセンターで得られた対潜情報は必要に応じ日米双方で交換することを明らかにしました。これは、自衛隊が対ソ潜水艦作戦に組み込まれ、米軍の補完的役割を一層強めることになるのです。  このように在日米軍基地と自衛隊がますます増強されつつある中で、核攻撃機F16による超低空飛行訓練が激化し、岩手で墜落、各地で爆音被害が起きています。沖縄でも、米軍の演習の異常な激化で銃弾が民家に飛び込むなど、住民は命まで脅かされています。  これらの地元議会が次々と訓練の中止、基地施設の撤去を決議しているのも、住民が望んでいる平穏な生活と基地の共存は不可能であることの証明です。  国民の怒りを買った海上自衛隊潜水艦「なだしお」の衝突事故も、軍事優先の自衛隊の姿勢を示したものです。  今回の防衛二法の改正は、日米軍事同盟のもとで日米共同作戦体制強化を推進し、憲法違反、国民弾圧、対米従属の自衛隊をさらに強化するものです。  すなわち、その内容は、第一に、海空自衛官の増員で護衛艦、潜水艦、F15などの新たな配備に伴う要員を確保し、一千海里シーレーン防衛、洋上防空体制を確立しようとするものであります。  第二に、予備自衛官の増員は、有事に際しての基地、地域警備、物資輸送などの後方支援だけでなく、継戦能力の強化をねらったものです。  第三に、空自の抜本的な組織改編によって戦闘作戦部隊である航空総隊が最大限の戦闘力を発揮できるようにするため、支援する部隊を再編強化するものです。  我が党は、国民をアメリカの引き起こす戦争に巻き込む日米安保条約を破棄し、平和で真に独立した中立の日本をこそ目指すべきであることを強く主張し、反対討論を終わります。
  99. 大城眞順

    委員長大城眞順君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 大城眞順

    委員長大城眞順君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  101. 大城眞順

    委員長大城眞順君) 賛成多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 大城眞順

    委員長大城眞順君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時五十分散会