運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-12-15 第113回国会 参議院 税制問題等に関する調査特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十二月十五日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員の異動  十二月十四日     辞任         補欠選任      井上  孝君     永田 良雄君      岡部 三郎君     高橋 清孝君      仲川 幸男君     二木 秀夫君      和田 教美君     中野  明君      佐藤 昭夫君     吉井 英勝君  十二月十五日     辞任         補欠選任      柳澤 錬造君     勝木 健司君      秋山  肇君     野末 陳平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         梶木 又三君     理 事                 斎藤 十朗君                 林  ゆう君                 平井 卓志君                 降矢 敬義君                 吉村 真事君                 志苫  裕君                 安恒 良一君                 峯山 昭範君                 近藤 忠孝君                 栗林 卓司君     委 員                 井上 吉夫君                 板垣  正君                 岩本 政光君                大河原太一郎君                 大木  浩君                 加藤 武徳君                 久世 公堯君                 後藤 正夫君                 斎藤栄三郎君                 斎藤 文夫君                 下稲葉耕吉君                 田辺 哲夫君                 高橋 清孝君                 谷川 寛三君                 永田 良雄君                 藤井 孝男君                 二木 秀夫君                 松浦 孝治君                 村上 正邦君                 森山 眞弓君                 及川 一夫君                 千葉 景子君                 福間 知之君                 矢田部 理君                 山口 哲夫君                 山本 正和君                 太田 淳夫君                 塩出 啓典君                 中野  明君                 橋本  敦君                 吉井 英勝君                 勝木 健司君                 柳澤 錬造君                 秋山  肇君                 野末 陣平君                 下村  泰君    国務大臣        内閣総理大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君        法 務 大 臣  林田悠紀夫君        外 務 大 臣  宇野 宗佑君        厚 生 大 臣  藤本 孝雄君        通商産業大臣   田村  元君        運 輸 大 臣  石原慎太郎君        郵 政 大 臣  中山 正暉君        労 働 大 臣  中村 太郎君        建 設 大 臣  越智 伊平君        自 治 大 臣  梶山 静六君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  高鳥  修君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       中尾 栄一君    政府委員        内閣官房内閣広        報官室内閣広報        官        兼内閣総理大臣        官房広報室長   高田 朗雄君        内閣法制局第三        部長       津野  修君        公正取引委員会        委員長      梅澤 節男君        公正取引委員会        事務局官房審議        官        糸田 省吾君        総務庁長官官房        審議官        兼内閣審議官   増島 俊之君        総務庁人事局長  勝又 博明君        総務庁行政管理        局長       百崎  英君        総務庁行政管理        局行政情報シス        テム参事官    重富吉之助君        総務庁恩給局長  石川 雅嗣君        総務庁統計局長  田中 宏樹君        経済企画庁国民        生活局長     末木凰太郎君        経済企画庁総合        計画局長     海野 恒男君        法務省刑事局長  根來 泰周君        外務大臣官房長  藤井 宏昭君        大蔵大臣官房総        務審議官     土田 正顕君        大蔵省主計局次        長        篠沢 恭助君        大蔵省主税局長  水野  勝君        大蔵省理財局次        長        吉川 共治君        大蔵省証券局長  角谷 正彦君        国税庁次長    伊藤 博行君        文部省初等中等        教育局長     古村 澄一君        文化庁次長    横瀬 庄次君        厚生大臣官房長  黒木 武弘君        厚生大臣官房総        務審議官     末次  彬君        厚生大臣官房老        人保健福祉部長  多田  宏君        厚生省健康政策        局長       仲村 英一君        厚生省保健医療        局長       北川 定謙君        厚生省社会局長  小林 功典君        厚生省児童家庭        局長       長尾 立子君        厚生省年金局長  水田  努君        社会保険庁運営        部長        兼内閣審議官   土井  豊君        通商産業省産業        政策局長     児玉 幸治君        通商産業省機械        情報産業局長   棚橋 祐治君        通商産業省生活        産業局長     岡松壯三郎君        中小企業庁小規        模企業部長    関野 弘幹君        運輸省航空局長  林  淳司君        郵政大臣官房長  松野 春樹君        郵政省電気通信        局長       塩谷  稔君        郵政省放送行政        局長       成川 富彦君        労働大臣官房長  清水 傳雄君        建設大臣官房長  牧野  徹君        建設大臣官房総        務審議官     木内 啓介君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        自治大臣官房総        務審議官     小林  実君        自治省行政局長  木村  仁君        自治省財政局長  津田  正君        自治省税務局長  湯浅 利夫君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君        常任委員会専門        員        片岡 定彦君        常任委員会専門        員        保家 茂彰君    参考人        日本電信電話株        式会社理事考査        室長       西脇 達也君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○税制改革法案内閣提出衆議院送付) ○所得税法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○消費税法案内閣提出衆議院送付) ○地方税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○消費譲与税法案内閣提出衆議院送付) ○地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 梶木又三

    委員長梶木又三君) ただいまから税制問題等に関する調査特別委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  税制改革法案外案審査のため、本日、日本電信電話株式会社理事考査室長西脇達也君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 税制改革法案所得税法等の一部を改正する法律案消費税法案地方税法の一部を改正する法律案消費譲与税法案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、これより及川一夫君の質疑を行います。及川君。
  5. 及川一夫

    及川一夫君 初めに、リクルート疑惑問題について触れさしていただきます。  世上、大蔵大臣が辞職をされたことによってリクルート問題はこれで幕を引く、こういった雰囲気とうわさが出てまいりました。    〔委員長退席理事斎藤十朗君着席〕 しかし、私も含めて国民の側から言えば、そうはさせない、そうあってはならない、こういう気持ちでいっぱいでございます。したがって、総理を初め各大臣の皆さんの発言というのは非常に重視されるというふうに私は思うのでありますが、第一にお聞きをしたいのは、法務大臣にお聞きをしたいのであります。  それは、十二月九日の閣議記者会見で、たしか大蔵大臣がおやめになった後というふうに記憶をいたしておりますが、発言をされておられます。その中身は、小さな記事ではございましたが、新聞紙上に「解明は来年に」、こういう形で御発言をなされているわけでありますけれども、この内容については間違いがないかどうか。発言内容は、「「非常に複雑な経済問題なので、短時日のうち解決されるものではない」と述べ、来年になることを明らかにした」、さらに「検察犯罪嫌疑解明していこうというもので、まだ調査、検討している段階だ」、こう述べておられるわけですが、法務大臣、このような御発言をなされたことは事実ですか。
  6. 林田悠紀夫

    国務大臣林田悠紀夫君) 十二月九日の閣議後の記者会見であったと思いまするが、捜査の見通しについて質問を受けましたので、国会でもしばしば御説明しておりまするように、検察非公開株式譲渡問題を中心にしましてその事実関係を明らかにして、その上で犯罪嫌疑の存否を検討するために引き続き調査中でありまして、その解明にはなお日時を要するのではないか、かように申し上げた次第であります。
  7. 及川一夫

    及川一夫君 内容がぴたり一致しているのかどうか、まずもって私は余りにもタイミングが、大蔵大臣辞任との関係においていかにも幕引きであるかのような、もうこれで終わり、あとはもう来年だよと、こういう意味にとれるタイミングであったように率直に言って思うんです。したがって、ずばり今の段階で結構ですから、要するにこの問題は、ことしじゅうに捜査の急進展はないというふうに解釈をしていいのかどうか、お伺いしたい。
  8. 林田悠紀夫

    国務大臣林田悠紀夫君) ただいま申し上げましたように、調査、検討中でございまして、その解明にはなお日時を要するであろうということでございます。
  9. 及川一夫

    及川一夫君 ということは、別に来年に延びるであろうとか、延びるとか、そういったことを断定的に言われたのではないと、鋭意捜査そして調査、早急に問題を解決をするために検察は頑張っているんだと、こう理解してよろしいですか。
  10. 林田悠紀夫

    国務大臣林田悠紀夫君) そのとおりでございます。
  11. 及川一夫

    及川一夫君 刑事局長にお伺いしたいのでありますが、おいでになりますか。——お伺いしたいのですけれども、値上がりの確実な株の譲渡というのは現金贈与と同じだと、最高裁もそのような意味で判定を下していると理解をいたしておりますが、今回のリクルートコスモス株譲渡のケースでは、リクルート側から持ちかけられて融資も用意をされて、短時日のうちに売却益が出たと、この三つの要素がそろっていれば、いわゆる職務権限要素を抜きにしても、極めてわいろ的な色彩の強い現金贈与と同じというふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。
  12. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 従来から再々そういう点について御質問がございまして、そういうお考えもあることは十分承知しております。  ただ、私ども法務省立場といたしましては、やはり検察がそういう点についても十分調査をいたしました上で、その上で結論を申し上げるわけでございますので、今検察に予断を与えるといいますか、そういうことについて断定的に申し上げることは非常に困るわけでございまして、その辺御了解願いたいと思います。
  13. 及川一夫

    及川一夫君 断定はしないが、そういった意味のことも十分考慮に入れて動いていると、こう発言されたものと理解を私はしておきたいと思います。  そこで、いずれにしてもこの問題については、総理、いかがでしょうか、リクルート隠しと言われるような立場でこの問題を処理すべきではないと。きのうの事態でも新たな問題が要するに出てきているわけでして、しかもどうもこれまでの証人発言というのはもう偽証断定してもいいではないかというようなことが、我々も今整理をしているわけですけれども、私は見受けられると思うし、発言内容がうそで固められている。絶対私はしていないと言う者が全部やってしまったと、こういう形のものに置きかえられてきているわけでして、したがって政治の問題としても、社会悪というものをそれこそ追放する意味においても、さらには企業倫理という問題からいっても極めて私は重要な問題ではないかというふうに思います。  したがって、法務大臣も先ほどの御発言で、とにかく年内の解決という言い方はしませんでしたけれども、早急に問題が解決するように捜査をし、同時にまた調査を重ねているんだと、こうおっしゃられているわけでありますから、総理も同じような立場に立って問題解決に、解明に最善の努力をされるという立場を私は明確に表明されるべきではないかと、こう思うのですが、総理いかがでしょうか。
  14. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 四つの問題点ということをいつも申しておりますが、なかんずく刑法上の問題につきましては、法務大臣がおっしゃったとおりであると私は思っております。いつもお答えするときに、検察が適切な対応をするものと信じておりますという言葉を使っておりますが、適切という言葉の中には、それこそ今及川委員がおっしゃいました意味が含まれておると、一番いい言葉だと思って本当は使わしていただいておるわけでございます。  しかし、いま一つの問題、企業倫理にもお触れになりました。偽証の問題は、これは院の問題でございますが、政治倫理という問題につきましては、私自身をもとより含め、これはいわゆる法律に照らしてという問題とは別個の問題であるだけに、本当にどうしたら一番政治倫理というものを正すかということは、日夜私の頭の中で行きつ戻りつときにはいたしますが、考えておるところでございます。
  15. 及川一夫

    及川一夫君 次の問題として、実はこの問題でこの国会でも取り上げられておりました税調委員でもありました公文さんという方が「リクルート株と私」ということで、初めてその心境を明かすという意味で文芸春秋十二月発売号公文さんの論文というものが載っているのであります。そして、ここの中で言っていることは「なぜこんなに叩かれるのか」「ただの経済行為をマスコミは犯罪の如く言う」、まあこの中には野党である私たちも入っているのかもしれませんね、そして論陣を張っているんですが、論陣を張っているというふうには私は思えないのでありますけれども、総理、この問題お読みになったかどうか。お忙しい方ですからこういうものまで読んでおられるかどうかわかりませんけれども。  この中身として言われていることは、経済行為という言葉一つあって、しかも過去にはリクルート以外に株を勧められたことがある、そのときはお断りをしたと。お断りをしたということを恩師に話をしたら、その恩師はおまえはばか者だと。老いたときのことをおまえ考えたことがあるか、今から財テクをしなければいけない、なぜそういうチャンスを逃した、そんなときにはおれに話してこい、おまえが買わないんならおれが買ってやる、こういう一幕があったと。リクルートから話が持ち込まれたときには、そんなことを思い出して買ったがいい、もうかるからということで買っただけの話だというふうに実は言われておるわけですね。  一体、これが我が国に時めく東大先生かというふうに考えますと、問題のとらえ方それから責任感じ方、それから政府税調委員であるということの役割、任務、みずからの立場、そういったものはすべてもう放棄をしてしまって、単なる一個人というところだけにとどまっているような発言については私は本当に許せないなと、こう思っているんですが、総理いかがですか。こういうことは東大の教授の発言として評価されますか。
  16. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 及川委員質問予告の中に見さしていただきましたので、私も斜めに読んだとでも申しましょうか、読ましていただきました。  この学者の先生が本当にいろんな悩みの中に、今もおっしゃいました個人というものに返って、そういう心境になられることもあり得るのかなと。私ども、お互いでございますけれども、絶えずいろんな批判を浴びておりますから、ある意味においては強靱になっておりますし、したがってその辺は我々と違うなと、こういう印象を受けながら、ただ経済行為という問題につきましては、これは何だか、確かに物の売買はすべて経済行為でございますから、それそのものは経済行為でありますが、今は経済行為というものが別の解釈の中に文字が躍っているような感じは私もしますから、本当は、経済行為経済行為として素直に受けとめて、その動機でございますとか、そうしたところを我々は考えていなきゃいかぬことではないかなと思っております。
  17. 及川一夫

    及川一夫君 しかも、公文さんは税調委員としてはどうも居心地が悪かったということを書いておられまして、ほとんど税調には出てないということも言われているわけですね。で、やめたいと言ったけれども大蔵やめさせなかった。必要なときにだけでもいいから出てきてもらうように要請するので、とにかくなっていてほしいと。そういう人を税調委員にしておいて答申を出さして、出さしたものを政府が一生懸命推進する。一体税調というのは何だろうというふうな疑問を抱かせるような発言まで存在をしているわけでありまして、私は到底こういう物の考え方は認めることができないというふうに思います。  かてて加えて、これは私自身の疑問でもあるんですが、リストというものが衆議院で示されましたですね。ところが、このリスト自体大変信憑性に欠けるということはかなり全体的に理解をされ、もう一度リスト出し直しが必要ではないか、こう言われるような事態になってきているんですけれども、衆議院ではそれ自体一つ政治問題になって、それをリストを発表することによって何となく衆議院の議事が進行した。こういう形であるんですけれども、信憑性がなくなったということをとらえてみますと、一体これはどうしたらいいんだ、だれが責任を負うんだと、もう一度政府なり与党がこのリストを出し直すということが私は必要ではないかというふうに思うのでありますが、総理総裁であられる総理大臣総裁としていかがでしょうか。もう一度出し直しをするということがあってしかるべきだと思うんですが、いかがですか。
  18. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 行政府立場としてはいつでも国政調査権に最大限の協力をすると、こういう立場、これはここにおきまして、今の問題でございますが、個人的に当時私も相談を受けたことがございます。すなわち、政府国政調査権に協力する形で、いわゆるいろいろ巷間出回っておると申しますか、リストを何か出せないかと、こういうことでありました。ところが、政府が出すということになりますと、さてどこから出せるか。証券取引上の監督の立場から入手して出すのか、あるいは情況証拠を確保するために検察当局で押収しておられるかもしれない、その中から選別して出すのかと議論しましたが、これは難しいぞと。そうすると、どこから出すかということになると、国政調査権国会の意思を会社に伝えるしかないじゃないかということになりまして、株式会社リクルート及び株式会社リクルートコスモスの連名で資料としてハウスの方へ出したものがいわゆる今まで使われておる資料でございます。  したがって、行政府というものには限界がございますから、結局は私もこの問題についてはハウスでどういうふうな決め方でおやりになるかという、少し行政府としては深入りし過ぎた答弁になりますが、私も元来その世界におったわけでございますから、ハウスの中で相談していただくしか方法がないじゃないかなと、こういう感じを持ってきょう勉強してまいりました。
  19. 及川一夫

    及川一夫君 とするなら、いずれにしてもコスモス社というものがかかわってリスト提出をしたということになるんですから、そのリスト信憑性がないということになれば、出し直しをさせることも当然ですけれども、むしろその当人が出てきてやはり国会でそれを再度明らかにするというようなことが私は必要な気がしてならないのであります。  いずれにしても、この問題は証人喚問問題と絡むでしょうから、十分ひとつ委員長にも御理解いただきまして、理事会などで——新たな進展があるし、信憑性がなくなってまたNTTなどの証言がすべて偽証で固まっているではないかという状態ですな、断定は今しませんけれども、状態。こういったことを含めてぜひ理事会等で検討していただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。  さらに、この問題のきょうの段階の締めくくりの問題として、私たち政治家が本当に反省をしなければならない、また国民の疑惑に具体的にこたえていかなければならない時点にもう来ているではないか、こんな感じがするのであります。  それは何といっても、このリクルート問題でおやめになった方々がもう民間では十五人もおられるわけですね。政治家ではおやめになったというのは二人ということになりますか。しかし、宮澤前大蔵大臣の場合には理由が私は別にあるというふうに思うのでありますけれども、いずれにしても政治家やめたというのは、責任をとったというのはある意味民間に比べると大変お粗末な状態。そして証人喚問とか参考人とか、引き出されてくる方々はもうほとんど民間人ではないか。政治家はほとんど公式の場に出てきて釈明もしない、弁明もしない。一体この事態をどう考えているんだということが私はまさに問われているように思えてならないんですね。ですから、リクルート隠しなどということはもってのほかですけれども、もう少し政治家としての責任を果たすためにも、政治家自身が直接やはり公式の場で弁明をする、釈明をする、それから真実を語る、こういったことがあって私はしかるべきじゃないかというふうに思います。  そういう意味でも、衆参両院の超党派で「政治倫理綱領を実行する会」というものが明日発足するわけですけれども、こういうものとの兼ね合いを含めてぜひ問題解明のために発展させるべきだというふうに思いますが、総理、いかがでしょうか。そういうことに対する政治姿勢を明確に私はしてもらいたいというふうに思います。
  20. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 随分この経過はございましたが、倫理綱領というのが両院においてつくられたというのは、私はあれは本当は政治改革の憲法とでも申しましょうか、基本法みたいなものだと実はいつも思っております。  そこで、我々がいろいろ疑惑を受けましたり信頼を損なうのはなぜかといえば、その倫理綱領に疑いを持たれるようなことをやってはいかぬと、こういうことでございますから、したがって自浄作用とは何かというと、そういう疑いを持たれるようなことができないような環境を整備することだ。そうしますと、これは法律的にいえば何があるかというと、やっぱり政治資金規正法と公職選挙法、こういうことになろうかと思うのであります、刑法上の問題はこれはもとより当然のことでございますが。  したがって、それをどういうふうにやっていくかといいますと、とことん詰めてみますとそういう法律の問題になりますが、何か法律でもって政治改革といえば何かしばらく遠い世界にあるような印象を国民の皆さん方に与える、だから結局はできることからやっていかなきゃならぬと。それが何かということが超党派のそういう会合ができるやっぱり一つのベースにあるんじゃないかなと私自身もそのように考えます。したがって、本当に個人個人いろんな考えの違いはありましょうとも、民間のお方、いろいろなケースは相違いたしておりましてもおやめになったりという状態がある。政治家で言えば議席をみずから放棄されたのは上田卓三先生でございます。  したがって、その議席を放棄するという、これも一つの私は責任のとり方であると思いますが、それは個人個人考え方の相違はあろうかと思います。与えられた議席に対して果たす役割というのは果たすべきであるという考え方もそれはあろうかと思いますが、よく言われますように、民間の方はそれでおやめになりますが、竹下さん、あなたはなぜおやめになりませんかと、そういう素朴なお話が私にもございます。電話もたくさんございます。その都度みんな私が電話に出るわけじゃございませんけれども、政治家というものの身の処し方というもの、これは政治不信を少しでも払拭するために何をすべきかという自問自答をしながら、それが政治改革になって具体的な法律ということになりますと、何か少し向こうの世界の話をしているんじゃないかと、本当に悩んでおるところでございます。
  21. 及川一夫

    及川一夫君 僕は余り悩まぬでもいいと思っているんですがね。  要するに、こういうようなやり方で金が集まるとか集めるとかいう方法は、やっぱり政治家としてはとるべきじゃないし、政治倫理に反することだと政治家が思い込むことだと思っているんですよ。  だから私は、総理も言われたように法律で縛ればいい、法律をつくればそういうものは出てこないんだなどというものでは何もないと思います。我々政治家個人個人が、こういう方法、こういう事態をどう思い込んで国民に約束し、そして再びこういうことはやらない、やったら直ちに責任をとるという、そういう思いを込めた一つ政治家集団としての確認をし合うことが、また行動を伴わせることが私は重要な問題だと思っています。  自今、そういう立場で、なおリクルート問題は追及をしていきたいというふうに思いますから、ぜひ総理、また閣僚の皆さんにも、リーダー的な立場なんですから、政治家の範として行動されるように強く要請をしておきたいと思います。  税制の問題に入りたいと思います。  まず、一番先に御質問したいのは、税というのはいかなるものであるのかということについて、法制上明確になっているかどうか。この点、大蔵省にお伺いしたいというふうに思います。
  22. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 税につきましては、一般的な定義といたしましては、国や地方公共団体が公共サービスを提供するために必要な経費について国民に御負担をお願いするものであるというふうに定義されているところでございます。これは、直接個別的に反対給付を伴いますところの手数料とはそういう意味では一般的に区別されているところでございます。  このように、税が一方的に、強制的に御負担を願うものであるということから、その点につきましては根拠は憲法にもございます。また、その具体的な納税義務につきましては、それぞれ個別の税法において明らかにされているところでございます。
  23. 及川一夫

    及川一夫君 私は、そういったことが法律上、必ずしも明確でないというふうに思っています。法律上にあるのは国民の納税の義務でございまして、税とはこういう性格を持ち、こういう定義のもとにあるのだというふうにはなっているように実は思えないのであります。税というものをどう正しく正解をすべきかと、それが憲法上にうたわれていなくとも、個々の税制上の問題、できれば税法の第一条に税とはということがあってしかるべきだというふうに私は思うんですが、見当たりません。したがって、どう理解すべきかということを私は考えたいというふうに思うんです。  文部省に伺いしたいんですが、国語辞典とか百科事典、これは文部省が直接管理するものではないんですけれども、こういう国語辞典とか百科事典を執筆される方というのは、我が国にあってはどういう立場にある人なのでしょうか、それをお聞きしたいと思います。
  24. 横瀬庄次

    政府委員(横瀬庄次君) 先生、今お話しのとおり、文化庁がそういうことについて所管しているということではございませんけれども、国語の関係でいろいろ行政的にも接しておりますので、例えば代表的なものと考えられます広辞苑とかあるいは日本国語大辞典というものについて申し上げますと、広辞苑の編者は、これは京大の名誉教授でございました新村出先生が編者でございます。それから、日本国語大辞典の編集顧問には金田一京助氏とかあるいは新村出、久松潜一、諸橋轍次というような方々、これはいずれも国語学、国文学、漢文学に関しての非常に顕著な業績を残されている方々でございます。  そういったことで、一般的には非常によく知られているものだというふうに理解をしております。    〔理事斎藤十朗君退席、委員長着席〕
  25. 及川一夫

    及川一夫君 という御答弁がございましたように、我が国にあっては国語界というんですか、そういう中では極めて権威のある方々が要するに書かれている事典あるいは広辞苑と、こういったものがあるわけなんですが、これをひもといてみますと、民主主義社会であるというにはふさわしくないような解釈ではないかと思えることが実は書いてあるわけです。  しかも、主税局長も答弁の中で強制という言葉をちらっとおっしゃられたんですけれども、広辞苑とか百科事典を見ますと、総理、こう書いてあるわけですよ。まず、税とはと見たら「租税」と書いてあるんですね。租税じゃわからないと。租税とはと見たら、「年貢」「みつぎもの」と、こう書いてある。これでもすかっとしない、おかしいなと思いながら百科事典というものを開いてみますと、権力が強制的に取り上げるものと書いてあるんですよ。これには私もちょっと戸惑いを感じましたね、事典ですから。私の頭以上ですから、これは間違いなく。そういう方々がこの税とはという問題でそういう解釈を与えているということについて、どうも戦前の解釈そのものをそのまま持ち込んでいるような感じがしてならないんですね。  そこで、総理というよりも大蔵大臣ということになるんですが、なかなかこの総理大臣大蔵大臣を区分けするのは非常に難しいんですけれども、ややっこしくて本当は議論しにくいんですよ。田村先生あたりが大蔵大臣だとまだ議論しやすいんですけれどもね。  そこで、大蔵大臣に実はお聞きしたいんだけれども、こういう権力は大蔵大臣が権力者であると、だから大蔵大臣が強制的に有無を言わさず銭巻き上げるんだと、こういうことが税の定義だということになったら、民主主義社会という前提に立ちますと果たして正しい解釈かどうかというふうに問わなければいかぬのですが、大蔵大臣としてはそういうお考えで今度の消費税を提案したんですかと、こういうふうに申し上げなきゃならぬのですが、いかがですか。
  26. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今おっしゃいますとおり、私も予告していただきました質問要旨に沿いまして、広辞苑から日本国語大辞典から取り寄せて整理してもらいました。  それで、いわゆる国語学からすれば、これは及川委員もおっしゃったように、やはり我々より上の大先生ですから、これはこれなりにいいと思いますが、あるいはその大先生よりもほかの点では我々がまたすぐれた点もお互いあると思わなきゃこの世に生きておれませんから、そういう角度からいいますと、私なりにちょっと整理しまして、私も大蔵大臣になりましたので、やむを得ず租税原理なんというのを勉強したことがございます。  やっぱり税というのは、一番最初は、いつかも言いまして重ねて言うようでございますけれども、共同生活というものが人類の社会に始まって、外敵からの防衛、防御のために税というのは始まったと、その外敵とは決して軍隊とかいうものじゃなく、クマとかトラとかライオンとかそういうものがやってくるから、そこで張り番をしようじゃないかというところから、これは労役を提供するものでございますが、そこから始まった。そうすると、そのことに対して、いや私は労役のかわりに米を出しますとかいうようなところから今度は統治者ができまして、それを適切に、おまえさんは米つくり、おまえさんはその張り番ですぐ弓を放てとか、そういう能力、適性に応じて統治者がそれらを配置していく。で、その統治者が余りにも勝手なことで決めちゃいかぬということから、何世紀でしたかちょっと忘れましたが、税というものの配分に関して国会というものがイギリスでできたという歴史だと思うんですよ、率直なところが。  そうしますと、やっぱり今お話があっておりましたように、憲法三十条の「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ」ということと、もう一つは八十四条の「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする」といういわゆる租税法定主義、国会でつくるんだ、だから権力の行使の権限を国会がある意味においては徴税当局にあるいは行政府に与えるものだと、こういうふうに言えるんじゃないか。したがって、私よく注意されます、取るという考え方を持っちゃいかぬぞよと、そのとおりであろうと思うのです。  それで、今度の税制改革法の中で、今度は法律の中で言いますと、この改革法の第三条に「今次の税制改革は、租税は国民が社会共通の費用を広く公平に分かち合うためのものであるという基本的認識の下に」という前提がいわば法律の中に載っておる言葉であるなと。だから、税制改革法の第三条というところには、今先生がおっしゃった趣旨の言葉をきちんとやっぱり書かせていただいておるという筋になってくるんじゃないかなと、こう思うのでございます。
  27. 及川一夫

    及川一夫君 総理、なかなか博学であらせられるんですが、大体そういうことはみんな僕らも習ってきているつもりなんですよ。そういう理解をしているのに、事典を見たらこうなっておるからはてなと。それから、竹下内閣がおやりになろうとする消費税と結びつけますと、どうも強権的に、強制的にやってくるような気がしてならないと、こういう感じがするものですから。  しかもこれは大事なことは、国民が税というものをどう理解しておるか、理解するのかということも非常に大事なことだと思うんですね。ですから、強権的に取られるということになれば人間本能としては嫌だと。だから、脱税という発想が出てきますし、節税という発想が要するに出てくるんだと思うんですよ。だから私は、税の解釈というものをもっと定義的にお互い国民が議論し合ってきちっとしたちのをつくり合うということが非常に大事だと思うものですから、あえて問題を提起してみたというふうに御理解いただきたいと思うんです。  したがって、これから先具体的な問題に入りたいと思うんですが、私は税の問題を改善するというか改革するというか、そのために必要なものは一体何かというふうに考えますと、やはり税というのはまじめに働く人には軽く、不労所得には重く、そして使い方は社会全体が平等に保たれるようなものに使うということでなければ、この三つの要素がなければ、納得して税を出そうという気持ちに私はならないんではないかと、こういうふうに思うわけであります。  したがって、税をとにかく拠出する立場というものを踏まえて私は物を考えていかなきゃいかぬ。税改革をするにしても何のために、何が必要だからこう改革するんだと。税だけではなしに支出の問題も含めてやはりやるべきだと思うのですね。この点は我が党も強く主張している点ですが、支出内容が税の収入については中期展望とかいって三年とか四年というものがあるけれども、支出の展望についてはほとんど何もない、一年ごとの決め方になっている。こういったことも国民が税を理解するのに非常に私は困難な事態になっているんじゃないかと、こう思うんですね。  そこで、例えば収入の問題ということになるんですが、収入の問題一つ見ましても、とにかくこの六十年、六十一年、六十二年は九・五、一一・八、それから九・四というふうに税収入がかなりのスピードで上がってきていますよね。これから三年は一体どうなんだと、ここが一番私は大事なところだし、もしことでもって政府が問題を抱えている課題を現行税制のままで仮にいったとしても、あるいは消費税を除いて減税だけをしてやったとしても、税の収入があるから満たされるんだ、問題は少なくとも三年、四年展望してみれば解決できるんだと。それならば、今疑問がある、問題があるということがたくさんあるにもかかわらず、世論では七〇%に近い人たちが消費税に反対をしておる、そういう中で何も急いで無理無理私は税というものを決めるべきではないじゃないか。改善、改革とは言いながらも、やはり無理をしないで二年、三年、時間をかけるぐらいのことが私は政治のあり方としても必要ではないか、こんなふうに思うんですよ。  ですから、その点、私は税収の伸びの取り方の問題を含めまして、少なくとも二けた台のものは予定されるわけですから、経済成長からいっても予定されるし、政治論的に言っても、今こう伸び上がってきているものを来年からどたんと下げてしまうというようなことは政治のあり方としてもできない話でありますから、私は、税収は伸びるということを考えますと、二年、三年ぐらい十分論議をする時間があるではないかという前提に立つんですが、いかがでしょうか。
  28. 竹下登

    国務大臣竹下登君) そこのところが残念ながら及川さんと私と最終的な相違が出てくるわけでございます。確かに、税収ということになりますと、私はちょっとこの場で税収のことを答えるときにいつもちゅうちょをしますのは、それこそきょうもお座りになっている皆さん方に一%は誤差のうちというようなことを言いまして、税収見積もりを竹下大蔵大臣時代は一%と変わらなかったというようなことを自慢気に答えたことがありまして、あれだけは言わなきゃよかったなと思って今でも私は反省をしております。  確かに、これは国民の皆様方の努力で今税収の状態はよろしゅうございます。それはそのとおりでございます。だが、だから税制改革急ぐことはないじゃないかと。が、お互い国会での議論をせんじ詰めてみると、税収がそれだけ上がったら、それは借金返しに充てるというのが本来の約束事ではあるわけです。それをそうしないでいろんな操作をしながら今日に至っておるわけでございますが、基本的に、最初そこのところが分かれますと申しましたのは、そのように比較的経済環境がよくて自然増収も期待できる状態、そうして失業率も消費者物価の上昇率もすべてを含めて一番安定しておる今だからこそ、あしたの歳入に不足しますというときでないからこそいい議論ができるから今が絶好の機会ではないかという私と、急ぐことはないじゃないかとおっしゃる及川委員のそこのところの見方だけは、これは残念ながら何ぼ問答しても、私が、及川委員、降参しますということにはならぬなと。ここのところだけは違うところでございます。
  29. 及川一夫

    及川一夫君 私も総理大臣に負けたなどということはやっぱり言えないですね。  これ以上議論してもあれですから、この点は時間の関係もありますからやめますけれども、確かに税というのは、しかし余裕を持ってやることが必要だと思うし、それから総理大臣がつじ立ちをしたということになっているんですけれども、ああいうのはつじ立ちとは私は本当に思っていないんですよ。本当の意味で、大衆と対話をしてみなければ、税の問題というのはなかなか解決する問題ではないというふうに思っております。そういう意味でも、この所得水準や生活水準の問題などについても議論し合えば懸隔が出てくるかもしれません。  ただ、所得格差が狭まった、狭まったと言いますけれども、あるいは中流意識があるからそういうふうに言うのかもしれませんけれども、生活の実態はそんなものではありません。例えば百万あるいは二百万、三百万の所得のある人のエンゲル係数などを見ましても、やっぱり三〇%前後いっていますね。一千万とか八百万ということになりますと、二〇%あるいは二〇%を切っている。こういうようなやっぱり差があるし、金があれば、一千万円の収入の人が食べているようなものを食べたい気持ちは人間ですからありますよね。しかし、収入がないから結局は食費を切り詰めるということにすべていっているし、生活費の問題、これは資料を総務庁からいただいたんですけれども、これを見たって、もう百万円の収入のところなんかは、それこそそれをオーバーするような、とてもじゃないが物が買えないようなそういう実態の問題もあるわけです。  時間の関係でそういった議論をする時間がもう少なくなりましたので、この点について政府の御意見を求める気はありませんけれども、年金生活者あるいは生活保護者の問題にしても人数が決して少なくないんですね。また、所得する金額も決して多いとは言えない状況にあるわけですから、逆進性の問題として考えたときには、総理が考えられないほど大変深刻に受けとめているというふうにだけはやっぱり申し上げておかなければいけないと、こんなふうに思うのであります。  そこで、次の問題に進めたいというふうに思うのでありますが、直間比率の問題というのは、これは大蔵省、どういうふうに位置づけるんですか。将来のあり方の問題を含めて、現在の直間比率、それから今提案されている六法が通って実践をされるとどのぐらいの直間比率になるんでしょうか。あるべき直間比率というのはあるんでしょうか。
  30. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 直間比率という区分もあるわけでございますが、それは望ましい個々の税の組み合わせが選択された結果として出てくる数値でございまして、その望ましい水準といったものをあらかじめ具体的な数値で一義的に申し上げることは困難であろうかと思うわけでございます。現在の税制におきましては、国税で見ますと所得課税、特に給与所得に対する課税に偏りが出ております一方、消費課税のウエートが著しく低下してきております。こういう傾向を踏まえまして、今回の税制改革では所得課税の大幅な軽減、消費税の導入、資産課税の適正化等によりまして税体系の構築を図っているところでございます。  シャウプ勧告のころは直接税中心というシャウプ勧告の精神のもとにおきましても、いわゆる直間比率は五五%対四五%でございました。現在、昭和六十三年度予算で見ますと、七二・二%対二七・八%となってございます。ただいま申し上げましたような今回の税制改革の内容を実現させていただきますと、このいわゆる直間比率の数値はおおむね二対一、六六対三四程度になるのではないかと見込んでおるところでございます。
  31. 及川一夫

    及川一夫君 それともう一つ、直接税の中で所得税というのがありますが、大蔵省の資料を見ますと、盛んに強調されていると思われるのは、提案している五段階をさらに二段階、三段階、そういうものに縮めていくべきではないか、はっきり言えば減税ということをなすべきではないかというふうに思える資料がたくさん出ているんですが、そこら辺は今回の提案との関係で将来的に見てそういう方向に進めるべきだ、こういう前提に立っておられますかどうか、お聞きします。
  32. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 今回は全体として、働き盛りで収入は比較的多い、しかし一方、教育費や住宅費等の支出がかさむ中堅所得者層に負担の累増感が強いことを踏まえまして、そうした方々、サラリーマンの方につきましては一〇%の税率でもってほとんどの場合カバーできるような仕組みにするということを前提に税率の刻みを五段階にいたす内容を御提案申し上げているところでございますが、今後の方向についてこれをさらに二つにする、三つにするというところまでは、税制調査会の答申としてもそこまではっきり申し上げているところではございません。
  33. 及川一夫

    及川一夫君 いや、それはわかっているんだよ。今回そこまで言及していない。しかし、これからのあり方の問題として盛んに直間比率の中で間接税重視ということが強調されているし、資料がまたそう出ているものですから、将来的にはこの所得税の税の構造の問題についてもさらに圧縮するといいますか、段階を少なくしていくというか、そういう意思が働いておられるのかなと、こう感ずるものですからお聞きしたんですが、大蔵大臣いかがですか。
  34. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これはぎりぎり議論した上の五段階、こういうことでございますので、諸外国と比較いたしますと確かに、四公六民とか、昔日本の言葉で言えば四割は公に出して六はみずから、こういうようなこと、あるいは五公五民という言葉もありましたが、まだ六・五公三・五民ということでございます、最高税率のところを計算しますと。したがって国際的に見た場合は、まだ五段階で最高税率が高いという比較はできると思います。が、私どもは、今はこれが一番適切ではないかというので五段階でお願いをしておるわけでございます。  シャウプ勧告のときは八段階でございますが、最高税率というのは意外と、当時日本にそう大変な高額所得者がいなかったといえばそれまででございますけれども、そのシャウプのときの八段階がだんだん多くなりまして十九段階、私が国会議員になってからも十四年間十九段階の時代が過ぎておって、それで昨年の御議論をいただいて六段階、それで今度五段階。ここが現在のところは、国際比較をすればまだ高いということは言えますけれども、アメリカのように二段階にするというところまではいっていない、だから現在は及川委員、これがいいじゃないでしょうかと、こう言って御提案しておるわけです。
  35. 及川一夫

    及川一夫君 二段階、三段階に将来するということを言いますと、結果的に税収としてはその部分では減税という形で減ってくるわけですから、どこで補うかという問題が出てきて、ずばり消費税三%を一〇%にしなきゃいけませんというところまでいっちゃいますから、だから言えないということだろうと私は思う。しかし減税という問題については、だからといってもう今後あり得ないなどとは考えるべきでないし、大いに減税すべきものはするということですね。そういった形で私は考えられるべきだと思いますから、意見だけ申し上げておきたいと思います。  さらに、法人税の中でどうしても理解できない問題として退職給与引当金とか、いわば法人に対する優遇措置というんでしょうね。我が国では退職給与、賞与、貸し倒れ、返品調整、製品保証等、特別修繕引当金というような六つの項目があるんですけれども、じゃ国際比較をするとどうだということになると、まず項目として世界的に先進国で六つも引当金がある国は一つもないのじゃないか。せいぜい二つか三つ、イギリスなどでは全然ない。そして、負債が出た場合には個別に税務署と協議だというような形のものになっていますね。これは現実に大蔵省の方からアメリカ、イギリス、西ドイツ、フランスの引当金の要するに国際比較をいただいてそうはっきり言えるわけでございますから、これは間違いないだろうと思うんです。しかし、それでもなおかつ日本の法人税は高い高いというお話なんだけれども、これは本当に高いんだろうかという疑問を私は持つんです。この点大蔵省、いかがですか。
  36. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 昭和四十年代から五十年代にかけましては、所得税の減税、あるいは財政上の事由から何回か法人税率の引き上げを行ってまいりましたが、いわゆる実効税率によりまして比較いたしますときは、おおむね昭和五十年代半ばごろまでは諸外国も五〇%前後でございました。しかし、その後諸外国、特に我が国と経済交流の深いアメリカを中心といたしまして急速に法人税率を下げてまいりました。したがいまして、現在ではアメリカとの間では実効税率で一〇%以上の差、イギリスとは一五%以上の差が生じてきているわけでございます。  この税率の比較におきまして実効税率を用いるということにつきましては、いろいろ御議論のあることは承知いたしておるわけでございますが、やはり個別具体的な事項を入れまして比較いたしますことはなかなか技術的に困難でございますので、実効税率を使うのが適切ではないか。その実効税率からいきますと、このように一〇%、一五%差があるということは、やはり今後の国際化が一層進展いたします経済動向からいたしまして、法人税率は現行のままではいかがか。これは今回、そういうことから、ぎりぎり実効税率が五〇%を切るところまでは引き下げと申しますか、昭和三十年代、四十年代の水準まではいきませんが、その引き下げを御提案しているところでございます。
  37. 及川一夫

    及川一夫君 これは、相当私は時間をかけて論議をすべきものだというふうに思っています。ただ、時間が限られていますから、したがって、これから先、集中審議をぜひ私は要求したいというふうに思っているのです。  そういう中で、ほんの上辺だけの数字じゃなしに、法人税といったって、そのほかにシャウプ税制以来、今現在で約百八項目ぐらい優遇措置があるんじゃないですか。そういうものまで含めて、実際にどのように一体税が納められているのかということを言えば、例えば国際商社みたいな丸紅さんとか何とかとか、いろいろあります。こういったところは税は一銭も出ていない、むしろ国から還付してやるほどだと。そういう実態にあるのに、法人税が高いなどというふうに果たして本当に言えるのかどうか。こういった問題もありますし、さらに脱税の問題にしても毎年毎年大きく取り上げられているわけですよ。これなんかについてもごく一部でありまして、そういう意味からいえば、年々出てくるのは六百億とか七百億ぐらいの数字しか出てきていないようだけれども、実態を見たらやはり一千億単位で存在しているんじゃないかという疑いを私は持ちますね。  そういう意味でも、この納税者番号という制度もどうしても必要だ、こういう前提に立ちたいと思うのです。とりわけ、この納税者番号については大蔵省が所管ということになっているそうですが、この納税者番号を具体化するに当たって、これは個人情報保護法との関係は一体どうなるのですか。これは総務庁にお願いします。
  38. 高鳥修

    国務大臣(高鳥修君) 先般、国会におきまして個人情報保護法案を可決成立させていただきまして、まことにありがとうございました。  一般的に申しまして、いわゆる納税者番号制なるものは個人情報保護法案の枠内に入るものとは思いますが、ただ、その規制の仕方いかんによりまして、特殊なそれに相応した所得税法内における規定、規制なり、あるいは特別の立法なりそうしたものが必要になることはあるだろうというふうに考えております。
  39. 及川一夫

    及川一夫君 個人情報保護法とは別個の扱いになる、そうせざるを得ないんじゃないか、そうするんだと、こういうふうに私は受けとめたいと思うんですが、一つの方法だというふうに私は思います。特に納税者番号と、こういいましても、答申自体中身が余りはっきりしていないわけですね。どんなものをインプットするのか、どんなものを一体納税者番号の内容とするのかということについて必ずしもはっきりしませんね。この点などは、私からいえばかなり納税者の合意というものが必要だ、とりわけプライバシーの問題も出てくるわけでありますから、そういった点はかなり慎重に、しかも個人の意思というものが、本人の意思というものが最大限尊重されるようなものでなれば私はだめだと思う。  そういう意味では、せっかく総務庁長官がお答えになったんだけれども、この前可決をした個人情報保護法というのは、ないところに法律をつくったんですから、守ろうという姿勢を示したという意味では私はそれは評価するんですけれども、内容的には必ずしも個人の意思というものが十分に保障されるようなものになっていない。OECDへ行って果たして恥をかかないかどうかというような内容ではないかと私自身は思っているわけです。ですから、この納税者番号というのは、とりわけ個人の生活には直截的ですから、そういう意味でもぜひ総理、この問題は前向きの姿勢をとっていただいていることはわかっているんですけれども、内容的な問題でも、納税者の意思が最大限尊重されるような、そういう内容というものを網羅したものにしてもらいたい、こういうふうに思うんですが、いかがですか。
  40. 竹下登

    国務大臣竹下登君) おとといでございますか、小委員会から報告をいただいたばかりで、我々が普通平たく議論しておりますのはイタリー方式とそれから北欧方式とアメリカ方式とある。イタリー方式は、まさに税そのもののカードである。そうなりますと、やっぱり税だけのカードということに対しての抵抗感があるという問題がある。アメリカ方式はそうじゃなくして、他の受益するもののカードがそれが並行して使えるようにしてある、これも一つの考え方だなと。北欧方式といえば、どっちかといえば私どもが昔議論したことがありますが、国民総背番号であって、税のためではなく、例えば行き倒れになったときに番号がわかればすぐ血液型もわかるとか、そんなようなのがどっちかといえば北欧方式かなと。いずれにしても、イタリー方式は否定されたような感じでございますが、その二つの問題についていろんな議論がなされておりますから、これから今度は税制調査会総会で議論していかれるわけでございます。  それについては、大体今、及川委員がおっしゃったようなことが注意すべき事項として指摘されておりますので、この機会にこの番号制度というのが国民全体にも理解されていけば、また国民のかくあるものが望ましいという声がはね返ってくるだろうと、それを期待しながら一生懸命勉強させていただきます。
  41. 及川一夫

    及川一夫君 通産大臣や経企庁長官に大変申しわけない事態になって申しわけありません。時間を考えていろいろ組み立てたのですが、経済成長の問題とかそういうものでの議論をする時間がなくなりまして大変申しわけないというふうに思っています。  それで、次の問題として消費税問題にちょっと入らせていただきたいのですが、消費税問題は、私は賛成できないという立場であることをまず明確にしておきたいと思います。その理由は、やはり不公平がこれでは大変に拡大をするということと、どうしても逆進性の問題で割り切ることができないということと、さらには今ここで無理にやらなくとも二、三年は十分減税をした立場で予算をつくっても捕えるだけの状況にあるではないか、こういうことが私が持つ理由であります。  したがいまして、内容に入ること自体どうかということでありますが、しかし、問題はやはり指摘をしておかなければいかぬ。その問題の最大の点は何かということになると、各議員の皆さんがおっしゃっておるように、どうしてもこの簡易課税制度、限界控除制度、免税事業者制度にやはり大きな問題点があるというふうに私は思うのであります。  総理のお話を聞いていますと、そういう問題点は認めると。認めながらも、現状これがもう限界じゃないか、ここが妥協のしどころだという、何かそういうお話で、まあひとつ御勘弁をと、こういうお話なのであります。ところが勘弁できないわけですね、これはどうしても。なぜ勘弁できないかということなんですが、まず簡易課税制度というのは、盛んに事務の軽減軽減ということをおっしゃられるんだけれども、本当にそうなのですかと。確かに現象的にはそうでしょう。しかし、本当のねらいというのはそうではないんじゃないか。むしろ売上税の場合に出てきた転嫁論ですね、転嫁ができるできないという大騒ぎをしました。これ自体に対する不満の解消策といいますか、これをやっても君たちは損はないよ、そういうことをむしろねらいとしてこの簡易課税制度というものがつくられたんじゃないか、こう私はずばり言いますけれども、いかがですか。
  42. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この問題は、やっぱり事業者の納税事務負担に配慮したのでこうやりました、多少の精緻さを欠くことは私もわかりますというのが素直な私の考え方でございますので、抵抗感を薄めるためにやったというものじゃございません。
  43. 及川一夫

    及川一夫君 しかし総理大蔵大臣、そう言ったってこの簡易課税制度のことは盛んに述べられましたね、数字も挙げて、しかし、簡易課税制度と限界控除の併用ができるとなっておるでしょう。私も幸い、自由民主党の皆さんが党内議論をするに当たって発行した「消費税その仕組み」というやつをいただいているわけです。この中にもやはり併用できますよということがはっきり書かれています。法律にはこれこれを適用すると書いてあるけれども、併用という言葉は、私は提案されている法律案の中にないように思うんです。あれだけを見ると、みんな独立しているように見えるんです。ところが、これが併用できるということになると一体どうなるんだ。  計算をしてみますと次のようになってしまうわけです。つまり、五千万円の売り上げを前提にして税率は三%。仕入れは、これはどういう条件をつくってもいいんですが、大蔵省の試算したものを借りますと仕入れは売り上げの二分の一。そういう前提に立って計算をいたしますと、あの方程式に当てはめると、これは簡易課税制度とかそういうものを適用しない通常の場合であれば七十五万円という消費税が出てくる、納めなさいと。それを限界控除だけにしますと五十万という数字が出てくる。ここで二十五万得をすることになる。それから、簡易課税制度を適用すると三十万という数字が出てくる。ここで四十五万得をする。簡易課税制度と限界控除を併用しますと二十万という数字が出てくる。つまり、併用したらそれこそ五十五万得をするということになるんですね、本来納めるべき税に対して。二十万で済むということですからね。これは、私は皆確かめたやつなんです。自分で勝手につくった数字じゃないんです。  そうすると、これはどうですか。これが適用されるそうですね。中小企業方々とか農民の方々とかいうことになるんでしょう。こういう方々から見たら、いや事務の簡素化というけれども、税の上でも恩典があるじゃないか、転嫁するとかしないとか言ってみたって五十万も差があるようなことができるのなら、この際もういいわ、反対せぬでもいいわと、俗っぽく言えばそういうふうに受けとめるし、納得させようとその気になってやれば、そういう説明になりますよ。いいじゃないか、もうこれで。どうだ、決して損はしないよと、こうなる。ところが片一方の納めた方からいえば、冗談じゃない、納めた金が政府の方に行かないということですから、こんなばかげた話はないじゃないかということになるんです。  だから、総理のお気持ちがそうであっても、実際の適用の場面ではこういう議論になる。だから、この際反対しないというようなことが現実の問題として存在しているんです。自由民主党の皆さんがそれを意識的にやったなんということは言いませんが、しかし言えるようになっているんです。この中で数字もちゃんと出ているんです。だから私は、総理がそう言われても、この制度は結局不公平を拡大するだけじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。
  44. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは若干専門家の助けを借りなきゃならぬと思っておりますが、確かに、増税だ増税だと、こういう雰囲気の中でいろいろ私どもの方でも勉強いたしまして、今、及川委員がおっしゃったようなことをつじ立ちなどの際も具体的な質問に対しては申し上げるようなこともございます、率直に申しまして。が、基本的には、先ほど申しましたように、なじみの少ない税制でございますので精緻さに欠ける面があるという、安恒委員が項目に分けて反対理由に挙げられました新たなる不公正というものが出てくるんじゃないかということは私どももわかります。が、ゆえに、結局徴税の煩雑化との調和点をどこに求めたかというのがこうなったのでございますと、こういう説明をしておるところでございます。
  45. 及川一夫

    及川一夫君 いや、説明はいいんですが、これはしかし税を納める方からいいますと、本当に困る問題なんです。五千万の売り上げを上げるということは、物を売りサービスを提供したからということなんです。しかしそれについて、自分では簡易課税業者になるからという前提で税金を取らない。良心的な人はそういう人がいるかもしれませんよ。だけれども大部分は、買いに行ったりサービスを受ける方からいえば、消費税がついたんだから三%を納めるものと、こう思って皆納めますわね。消費税と書かなくても物の値段の中には三%が入っているものと、こう理解しますよ。  ところが、実際には取っても納めないというようなことが出てくるということになりますと、物を買ったりサービスを受ける方からいえば、はっきりしてもらいたい。あなたは一体五億円以下の簡易課税事業者か、あなたは免税業者かということを、それこそ軒先に看板でもかけてもらわない限り納得できない、こういう話にすらなっていくものだと私は思うんですよ。  この点は、しかし納める納めないとの関係を含めまして、しかも大蔵省の指導の中にもあって、仮にそういう税を取って計算をした結果、それだけの税を納めなくてもいいというふうになったものはどうするかといったら、雑利益として上げろと書いてあるんです。そして法人税なり事業税をぶっかけて、そっちはそっちで税金を出せやと。しかし雑利益に上げたからといって、それは全部税金で行くわけじゃないんです。パーセントが一〇〇でない限りは絶対残りますわね。要するに事業者が得をするわけです。こんなばかな話があるか。大体、所得税を納めている人は全国で三千四、五百万おられます。事業者というのは七百七十万人ぐらいです。おおむね五対一ですよ。一の人は得をして五の人は払い放し。そういう税制というのは果たして本当にいいのか。いいというなら、本当の意味理解と納得を国民全体に得なければ、今度は消費者と事業者の間にけんかが起きるだけですよ。  こういったことは所得税を納めている人はまだ知らない。だから、私たちが大いにそういうふうに宣伝をしていったら、買い方が今度は別のものになる。特定のところをつかんで不買運動が起きてみたりというようなことになりかねない。そういうことを持ち込むようなものを内容としているものをどうしても実行されるというのかということを、総理にはどうしても迫りたくなるんですが、いかがですか。
  46. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 間接税の持つ一つの特色であります。本来、いわゆるインボイス方式というものでやれば精緻になる、これは私も承知しております。しかし、今までこの経過から見ますと、これはいわゆる税の負担者はおっしゃるとおり消費者であって、納税義務者は事業者であります。その事業者の事務手続というものから見ると、そこに若干の精緻さというものの欠けるという点は御勘弁いただきたい。  ただ、事業者といえども仕入れ段階には既にいわば消費税の負担をしておるわけでございますから、三%丸々が利益の上乗せ、安恒委員の御議論によれば公費、私は売り上げの預かり金と、こう言っているわけですが、国庫へ入って初めて公費になると。この議論は別といたしまして、若干の精緻さが欠けるという点は、これは幾重にも説明をしていかなきゃならぬ問題だと。それこそ及川委員が事ほどさように精緻さが欠けると、だから店ことに不買運動を起こせなどとおっしゃることはないだろうと思うから、正直なところをお話ししているわけでございます。
  47. 及川一夫

    及川一夫君 僕は不買宣言をやろうと思ってやっているんじゃなくて、そういうことが自然に知恵として出てくるというわけですよ。だれもあなた、インチキな税金取られることをうんというふうに言うわけはないんですよね。しかも、確かにそれは仕入れ段階で物品税はかかっていますよ。それを入れても残るんですから、間違いありません。それをやったら裏目に出る、赤字になるみたいだったらこれまた反対でしょう、恐らく。そうならないようにちゃんとできているんですよ、これは。ですからこの点は総理、やはり政治論としても税のあり方の問題としても、私は大胆に反省されて別の方法というか、むしろ逆に今回は思いとどまられた方がいいんじゃないかという気がしてならない。  それでまたもう一つ、これは郵政大臣にお伺いしたいんですが、ずばりテレビ放送の受信料、これが消費税の対象になりますね、提案で。この放送受信料というのは、法律によると消費税の対象にするような性格になっているんだろうか。ずばり言えば国民の義務負担というものなんですね、あれは。要するに、サービスの対価じゃないということがはっきりしている。それで、テレビを持っているやつはNHKを見ようが見まいが全部受信料出せと、こうなっているわけ。出さない人もいるわけ。それに対して相当の金をかけて出してくださいと言って毎日毎日お願いに行っている、こういう実態ですよ。そこに消費税をぱんとかけると一体どういうことになるんだろう。かけること自体が何か問題として問われるのじゃないかというふうに思うんですが、受信料の性格と消費税をかけた理由についてお伺いしたい。
  48. 中山正暉

    国務大臣(中山正暉君) 先生のお話のありましたように、この資産の譲渡の対価というのがどうも私も最初お話伺いましたときはなじまないような気がしたわけでございます。特に、世の中のものすべてこれ神様からいただいたものだとは思いますが、神様が色をつけていらっしゃらないものが私は電波と空気だと思うんですが、その電波を使って大正十四年の三月二十二日に芝浦の送信所から初めて放送が発せられまして、そのときは社団法人でございました。今は特殊法人としてやっておりますNHKの公共放送の意義の大きさと申しますか、それに課税をされますとこれは大変だなと思って少し私も抵抗をさせていただいたわけでございます。  しかし、例外なく広く浅くというその趣旨から見ますと、これは公共放送としても特殊な負担金という、いわば先ほど神様の話をしましたが、特殊な負担金というと何となくおさい銭のような気がしますし、宗教法人に課税されないならばこれも免除していただいてどうかしらなんという気持ちでおりましたのですが、先ほどから申しておりますように、広く浅く負担をするという、そして国も財政が豊かになりまして、NHKというものに国からもお金を出し、特に海外放送も随分広く世界、まだカバーできないところもありますが、国際放送も充実をしてまいりましたし、それからまた、これは世界で初めて受像機とそれから撮影機を持っておりますハイビジョンというのもありますし、こういうものを広げていきますにはNHKに国からもお金を出さなきゃいけない。  そういうことならば財政が豊かにならないといけない。それならば、NHKというものを見ていらっしゃる方々にそういう御負担をいただくのもやむを得ないかなと思って私も了承をして、公共放送としての確かに特殊な負担というものを残しながら、サービスの対価、資産の譲渡としての課税対象にならざるを得ないということで、私も了承いたしました次第でございます。
  49. 及川一夫

    及川一夫君 ならざるを得ないという言葉には、政治家中山さんですから、いろんな意味が含まれていると思っています。前段の方は、まさに総理大臣に対する陳情ですよね。私はそう受け取るんです。  それで、仮にこれをやるにしても、法律改正しないことにはできないんじゃないかというように私は思っていますよ、放送法の中、NHK関係法律ですね。さらには、いずれにしても百二十四億の赤字を抱え込んだということが前提になっての六十三年度の予算ですから、受信料の値上げということはもうあからさまに言われているわけでしょう。さらに、衛星放送が成功するのかどうか私は疑問を持っているけれども、これ自体だって改めて千円の受信料を取るというお話が議論されているわけですよ、金額はともかくとして。別にするのかしないのかも問題、金額を幾らにするのかも問題、それに加えて消費税を取るということになるわけですから、NHKを見ないという人から見たらそれこそ大変な騒ぎになってくるんじゃないでしょうかね。私は別に陳情しているわけじゃない、一貫性がないということを申し上げているつもりですよ。この点は、大蔵省も筋論じゃなしに、現実にある法律関係なんかも精査してやられるべきじゃないかというような気がして私はなりません。したがって、問題点として指摘をしておきたいと思うんです。  それから、消費税の問題見直しということが実はございますね。まあ三年か四年先なんでしょう、見直すという意味は。私は、総理も先ほどずばり言われたように、インボイスという形のものにしなければということが必ず浮上してくると思う。したがって、消費税に賛成される方々は、そういったことを含めていいのか悪いのかというふうに議論しないといけませんよと私は地域やいろんなところでお話をしているつもりなんです。それで選択をしてもらおうと、こういう気持ちですわね。そういうふうに私は理解をする。  同時にまた、何か物品税の矛盾を突く突くということをおっしゃるんだけれども、これも非常に私は問題があると思うんですよ。私は情緒的に言うつもりはない、必ず総理に言い返されるからね。そんな情緒的なことで税制なんか論議するというのが間違いなんで、私は情緒的じゃないんですよ。要するに、毛皮に対する税金が高いか安いかといったら、三〇%じゃ高いと思いますよ。だけれども、毛皮というのは、あなたの奥さんに聞かれたって、そんなもの末代物ですよ。一代でどっかへ行っちゃう、消えてなくなっちゃうものじゃないんですね。そうすると、やっぱり三十年、四十年というふうに年数を教えるというものだし、そうなると、これは一年に換算すると安くなっちゃうんですね。ところが食費の方は毎時間、毎日、毎月、毎年でしょう。率は小さくたって納める額は大きいんですよ。だから、そんなものと比較をして、何か物品税に矛盾があるみたいなお話とか、コーヒー、ココアのたぐいだってそうですよ、あれだって。日本の製品を、生産者をやっぱり少しでも保護していこうというようなこともいろいろあって、緑茶が無税であるとかいろんなことがあるんですよ。それは矛盾じゃないんです。そういう政治をやってきたんですよ。そう私は考えるべきだと思うし、自動車だって私は同じだと思う、二年で書きかえるんですからね。  こういうふうに考えてまいりますと、消費税の問題については、単に簡易課税制度だけじゃなしに、一つ一つ問題をとらえても私は大きな問題点があるということを最後に締めくくりまして、総理から一言、さあどうされるかということについてお伺いして終わりたいと思います。
  50. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今の議論を、きょうブラウン管あるなしは別として、国民が聞いておって、それはそれなりの大いな啓蒙に役立ったと私は思います。  このたびの物の考え方は、とにかく社会共通の経費を、稼得に基づく勤労所得等に過重に負担がないような、広く薄く消費の段階でちょうだいしようと、今、若干精緻を欠く点のあるのは、及川委員が指摘されたことを私はすべて否定する考えは全くございません。したがって、きょうの問答もそれこそ国民に余計理解を深めてくれる方向に役立ったとすれば幸いだというふうに思います。ありがとうございます。
  51. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 次に、岩本政光君の質疑を行います。岩本君。
  52. 岩本政光

    ○岩本政光君 本日、当委員会におきまして、まずもって質問の機会をいただきましたことを深く感謝申し上げます。  内閣総理大臣を初め各大臣の皆さん方に私のよって立ったバックグラウンドをお話ししておきますと質問をしやすいと思いますので、ちょっとだけ申し上げさしていただきます。  私は、東京から大変遠い遠隔の地、寒いところ、北海道であります。そして、私の選挙基盤はどちらかといえば第三次産業が非常に中心的であります。北海道価格というのがあるのも御存じではないかと思います。そうした意味で、昨年廃案になりました売上税に対しましては格別反対の強かったところということは御認識だと思います。今回の消費税にいたしましても、そういう意味では非常に高い関心を持って今なお見詰めているというのが実際ではないかと思います。  幸いにも総理は十一月二十日、つじ立ちということで北海道の札幌にお見えになりました。総理は大変静かに論されるようにこのたびの税制改革について話をされておりました。私は会場に参集いたしました皆さん方の表情をじっと眺めておりまして、随分全体として前回から見て変わったな、かなり雰囲気が違うなということを改めて感じた次第でございます。しかしながら、その中でもなおかつ中小企業、零細企業の商工業者の皆さん方は、この新税についてはまだまだ不安が残っているようにも感じられました。毎日毎日の商売はぎりぎりのところで綱渡りの商売をしている。大型店、生協などとの競争もしているわけであります。私自身も中小企業者ですし、したがって今度の税制改革に抱いております私の気持ちは、何としてもこの無用な不安を取り除いていかなければならぬ、不正確な部分をさらに明らかにしていただきたい、そういうことでこれから質問をずっと続けさせていただきたいと思います。  私は、主として消費税、特に転嫁の問題についてお伺いをさせていただきますが、せっかくこの機会を与えられたものですから、若干、税制改革全般につきまして少し質問させていただくことをお許し願いたいと思います。  第一の質問は、やはり総理のお気持ちをお聞きさせていただきたいということですが、私は、今回の税制改革の目的は、先般来お話がありますように、シャウプ勧告以来抜本的な改革がなされないまま、急速に変化する社会経済情勢に対応し切れないでいる、つまり、現在の時代に合わなくなっているということでゆがみやひずみを直していかなければならない、こういうことで始まったというふうに考えております。既に税制改革の趣旨につきましては両院で多くの委員から質疑もされておりますし、それに対して総理大蔵大臣からも、あるいは各大臣からも真摯にわかりやすい御答弁をいただいて非常に感謝をしておりますが、私は、総理自身が述べられておりますように、この税制改革の趣旨を一層国民の皆さん方にこの際明らかにしていただきたい。今までの成果を踏まえて、きょう現在の感想も含めてお気持ちをお聞かせいただければ、国民の皆さん方も大変理解が深まるんではないかと思いますので、まずもって総理のお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  53. 竹下登

    国務大臣竹下登君) つじ立ちにお触れになりましたが、本当は私の大学の雄弁会の先輩であります故浅沼稲次郎先生がつじ立ちというお言葉をよくお使いになって、つい私も使ってしまいましたが、決して直接民主主義に訴えようと、こういう考え方で使ったわけではございません。立派に間接民主主義の議会が機能しておりますが、説明会というようなつもりで今日まで歩いてまいりました。  確かに、まず税につきましては、これはいつも言われますように新鋭は悪税であると、こういう哲学は今でも存在しておると思います。したがって、可能な限りその新税の中身を御説明申し上げようということで説いてまいりました。やはり税制改革というのは何十年に一回かは——きのうもお話があっておりましたが、十八世紀の税制、十九世紀の税制それから二十世紀の税制、そうして大変な急激な変化をもたらした際、二十一世紀へつないでいくための税構造というものを私なりに説いてまいりました。  今日、いわゆる稼得所得に頼りますところの、なかんずく中堅給与所得者の方が持っていらっしゃる税に対する重税感とかいうようなものを緩和していかなきゃならぬ。結局のところ税というものは、所得に着目するか、消費に着目するか、資産に着目するかということになります。その意味において、消費に着目した、消費一般にかかる税制というのを今次このように構築して国会で御審議をいただいているんです。そうなると、なかんずく消費税には懸念が伴います。それらの懸念につきまして、これは税制の中で中和できます。この問題は財政支出の中で中和できるものでございます。そして、消費者の持つ懸念と、今度は事業者いわゆる納税義務者のお持ちになっている懸念とがまた別に存在しております。  それで、持っていらっしゃる懸念につきましては、いわゆる簡易納税方式、いろいろ問題点はございますが、手続の簡略化をここに図りました。そして、転嫁というのは、きょうも公取もお見えになっておりますが、このようなところまで配慮しながら、本来転嫁を前提とした税制でございますから、これが容易になるようにいたしましょう。そして、いま一つは地方財政との問題、八つ目の懸念と私は申しておりましたが、そういうことについてお話を申し上げ、そして回を重ねるごとに非常に質問そのものが具体的な質問になって、ちょうど国会で御質問いただいておるような具体的な質問になって私だけでは答えられないこともございますので、専門家の助けをかりましたりして、それなりに国民の皆さんの中に実態が徐々にではございますが、理解が進んでおるのではなかろうか。さらに、本院において審議しつつ理解を求め、理解を求めつつ審議するという立場で御協力をいただいておることを心から感謝しておるのが、今ジャストナウの私の気持ちでございます。
  54. 岩本政光

    ○岩本政光君 ありがとうございました。  続きまして、この税制改革とあわせまして、私はどうしてもやっぱり財政再建のことをひとつ御説明をいただきたいと思います。  大平総理の御提案の一般消費税の際は財源確保を目的とされました。昨年の中曽根総理の売上税は増減税同額、レベニュー・ニュートラルで御提案になりました。今回は全体として二兆四千億、後に二兆六千億になったわけでありますが、この相違、この減税をされた大きな目的がどんなことなのか。  あわせまして、私がなぜこういうことを聞いたかといいますと、今年度末、国債残高百五十九兆と言われております。私は一政治家といたしまして、やっぱり子孫にこのような負債を残すことは、たとえオイルショックがあったとか、いろいろな特殊事情があったにせよ、決して許されるべきことではない、何とか解決をしておきたいと思っている次第でございます。したがって、財政再建の見通しのその推移もあわせて御説明をいただきたいと思います。
  55. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今、岩本委員おっしゃいましたように子孫にツケを残してはならぬ、これはそのとおりでございます。  先日、ノーベル賞学者でございますブキャナン博士がお見えになりました。ブキャナン博士の論文をちょっと読んでみました。本当は、財政というのは、少数の専門家が予算等を編成したら、それは財政学的な見地から見れば非常に合理的なものができると。しかし、今財政というのはいわば国民各界各層の利益代表である議員の手にこれがゆだねられておる。そうなると、やはり増税はだれしも好まない、歳出削減は好まない、そしてどうしてもいわゆる赤字公債等に頼るところの歳出の増加圧力が働いてくる。その場合に、利益代表たる国会議員はなぜそれに対して抵抗しないか。つくづく考えてみると、後の世の納税者はまだ選挙権がないからである。こういう論文でございました。もっともな論文だな、自分を戒める論文だと思っておりましたが、しかしそれは、幸いにして日本のことを言ったんじゃございません、ほかの国のことを言ったんです。日本は立派にやっていらっしゃるとおっしゃいましたから、いささかお上手かなとも思ってみたわけでございます。  だから、本来は国民共通の負担というのは、これはまさに租税で賄うべきものであって、後世代へのツケ回しである公債政策というのは——確かに石油ショックもございました。昭和三十九年まではよかれあしかれ公債は一銭も発行していないんです。四十年の補正の二千億に始まりまして今日に至っております。しかし、後世代へのツケ回しをしないという意味において——そこで大変抽象的でございますけれども、最初は、昭和五十九年に少なくとも赤字公債依存体質から脱却しようと、しかしできませんでした。そこで六十五年脱却、これが第一関門でございます。幸いに国民の皆様方の努力によってそれが可能性の射程内にある。まずはこれをやらなきゃいかぬなと。  そしてその後は、今おっしゃった大変な後世代に対するツケ回しの問題につきまして、何分これもいろいろおしかりを受けながら、いわゆる六十年償還という赤字公債の借りかえまで今お許しいただいておる状態でございますから、六十年後といえばまさに子、孫、ひ孫の時代。今度はそれの全体の公債というものを対GNP比に計算する方がよろしゅうございますが、その問題は別として、どのような年次をかけ、どのような手法で減していくかというのが、その第一目標をクリアした後の財政再建ということについては大きな課題であろうというふうに考えております。
  56. 岩本政光

    ○岩本政光君 ありがとうございました。射程内にあるということは非常にうれしいことでございますが、これをしっかりと推し進めていっていただきたいと思います。  続きまして私は、今回の税制改革につきましてどうしても確かめておきたいと思いますのは、現在日本は、完全に国際化時代を踏まえて、政治的にも経済的にも文化的にもその責任が一層大きくなっているというふうに考えます。このような中にあって、このたびの税制改革が、国際的な観点からいろいろと議論がありました。しかし、経済活動に対してはどんなになるのか、国民の生活に対してはどんなになるのか、輸出輸入の関連にはどんな意味を持って、どんな変化、どんな効果を及ぼすのか、全体を整理して私は国民の皆さん方に説明をしていただきたいと思います。
  57. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 現在のように国際化が進展してまいりますと、税制としても当然それへの対応が必要でございます。  こうした観点から、今回の税制改革におきましても、まず企業課税につきましては、法人税につきまして諸外国は急速にこのところ税率引き下げ措置が講じられてきているところでございます。こうした中におきまして我が国の企業にとっての影響を考えますと、そうした点からせめて国際的水準の五割をちょっと切るぐらいのところまでは今回お願いをいたしたい、これによって我が国の企業が国際競争市場におきましておくれをとることのないように、あるいは経済の空洞化を招くことのないようにいたしたいと措置をいたしておるところでございます。  もう一つ、国際化の観点で最近大きく問題となってきておりますのは間接税でございます。  抽象的に申し上げて、一般的な消費税を持たない国、これはOECD加盟国二十四カ国中我が国だけでございますが、そうした大きな背景のもとにおきまして、個別の消費税につきましては酒税、物品税、こうしたものにつきまして結果的には外国から見ますと輸入差別的に見られるわけでございまして、特に最近は、ヨーロッパEC諸国からその指摘が強いわけでございます。そうした観点からも、そうした国際的な批判にこたえられるような間接税の大きな姿を是正する必要がある。これは、今回消費税をお願いいたし、また酒税を調整、合理化した大きな要因でございます。  こうした諸点におきまして、我が国の税制が国際化した経済社会の変貌に十分対応し得るような、また、諸外国からも信頼を得られるような税制を構築するという観点、こうした観点から改革案を御提案しているところでございます。
  58. 岩本政光

    ○岩本政光君 全般問題としての最後の質問でございますけれども、今次の税制改革が、急速に訪れる高齢化社会に向かっての改革であるということも御承知のとおりだと存じます。そのためには、いろいろお話がありました所得と消費と資産のバランス云々という税体系で進まれるわけですが、それを控えまして先般社会福祉ビジョンを出されました。  私は、この内容について伺いたいわけですが、これは、恐らくこの考えによりまして今後日本型福祉社会という体系をつくっていかれるわけですが、国民から見まして、この体系は自助努力、それから相互扶助、そしてやっぱり財政措置ということで、自分たちがどのぐらい残しておかなければいけないか、あるいは助け合うのはどういう意味だという方から見た方がわかりいいし、私は、そういう観点で国民は眺めて聞きたいと思っているというふうに判断をしたものですから、その点を含めて少しわかりやすく説明をいただきたいと思う次第であります。
  59. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 本格的な高齢化社会、世界に類例のない高齢化社会を迎えるわけでございまして、そういう社会はどういう社会を目指していくかという、まず問題点がございます。それは明るくて健康で生きがいのある社会、言いかえれば日本型福祉社会、その日本型福祉社会を実現するための施策としての基本的な考え方と目標、水準というもの、それをできるだけ具体的にお示しいたしましたのが先般の福祉ビジョンでございます。この基本的な考え方、それは三点ございますし、また具体的には八つの項目に分けて御承知のように提出しておるわけでございますが、これらの施策をこれから推進していくなれば、長生きをしてよかったなあ、そういうことが言える社会の建設は可能であるというふうに考えております。  それから同時に、今御指摘がございましたように、福祉という問題について考えれば、確かに本人の自助努力、それから社会的な相互扶助、それから国または地方の公的なサービス、こういうものが補完し合って初めて十分な福祉というものが実現されるわけでございまして、それは御指摘のとおりだと思うわけでございます。  また、確かにそういう三つの組み合わせの中で将来の高齢化社会に対して自分なりに備えていくということが最も基本的に大事なわけでございますし、その備え方としてどういうことを考えていかなければならぬかということにつきましては、特に年金、医療、そういう問題については具体的にできる限りお示しをしなければならぬ、そういう課題であるというふうに考えておる次第でございます。
  60. 岩本政光

    ○岩本政光君 それでは早速ですが、消費税についてお伺いをさせていただきます。  このたびの消費税の納税額は、付加価値の高い三次産業が非常にウエートが重いということで、中小企業、流通業者の皆さん方がいろいろと不安を抱いているんだというふうに私は判断をしております。  それで第一の質問は、既にお話がありましたけれども、売上税のときは税額票方式で、先ほど総理からもお話がありました。今回は、消費税では帳簿方式をとっております。帳簿方式をとるに当たっては、私はやはりそれなりにかなりの決断が必要であったというふうに考えておりますので、この点について、これを採用した理由や内容をちょっとお聞かせいただくと同時に、あわせまして、少し気になりますのは、政府税調の小倉会長がかなりEC型のものに未練を残して、先ほどもお話があったんですが、答申をされておりますので、この辺をどう受けとめておいたらよろしいのか、与党としては若干聞きづらい質問なんですが、これは政府税調の意見でもありますので御説明をいただきたいと思います。
  61. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 御指摘のように、売上税の際におきましては税額票方式をお願いしたわけでございます。税制調査会におきましていろいろ議論をしてまいりますと、制度としては精緻なものにだんだん煮詰められるわけでございます。今回の消費税の検討に当たりましては、税制調査会としては両案ある、税額票方式と帳簿方式と両案あって、それぞれにつきまして長所あり、短所ありということでいろいろ議論がされたところでございます。理論的に詰めてまいりますと、帳簿方式よりは税額票方式の方が長所が多いというふうな議論はもちろんやはり多いわけでございます。  しかし、こうした制度と申しますか、税制におよそなじみの薄い我が国でございます。やはりこうした一般的な消費税制度というものをまずお願いするとすれば、とにかくなじんでいただくように、また制度を何とか受け入れていただけるようにということから、今回、税額票方式と帳簿方式の中では帳簿方式をお願いするということで最終的にはセットをいたしまして御提案しているところでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、税制調査会の議論の段階では、売上税以来の経緯もございまして、帳簿方式を採用するということはそれでよいけれども、将来においては、その点は税額票方式ということも頭に置いて見直しをしていくことが望ましいというようなことは最後に付記してはおられます。しかし、私どもとしてはとにかくこうした制度につきまして、特に中小零細事業者につきましてこうした税制になじんでいただき、まずはこうした制度が定着していただくということが何よりも先決ではないかと思っておるところでございます。  この点につきましては、先般衆議院におきまして修正案文もいただきまして見直しの点が示唆されているところでございますが、それは今後の問題として、現時点におきましては、私どもとしてまずこの制度につきまして御理解を得て定着をお願いしたいという気持ちでございます。
  62. 岩本政光

    ○岩本政光君 続きまして私は、総理が言われました八つの懸念の中から少し御説明をいただきたいと思います。  前総理が公平、公正、簡素、選択というようなことで説明をされまして売上税を提案されました。今回ここまで議論が進んできましたのは、竹下総理が言われた八つの懸念を先におっしゃったから非常に理解が早かったんではないかということで、私は大変高く評価しております。もちろん、最初三月に言われたのは六つでありました。  そこで、時間がありませんので一、二、三のことにつきまして若干お話を申し上げさせていただきますが、これは既に、一つは逆進的な税体系になり、所得再配分の機能を弱めるんではないか、あるいは中堅所得者の税の不公平感を加重させるんではないか、あるいは所得税のかからない人たちに過重な負担がかからないかといろいろ質問があったところで、これに対しましてはいろいろな財政措置が講ぜられるように配慮されておりますという話はあったんです。私は、この件は与党としては早い機会にきちっと対応することが非常に大事だと思いますが、この辺についての御見解をお伺いさしていただきます。
  63. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 最初、この六つの懸念と申しましたのは、これは本当を言いますと、さきの国会で大型とは何ぞや、大型というのは字引を引いてみると中や小よりも大きいから大型と、こういうことになりますので、随分勉強さしていただいて、日本社会党上田哲さんの質問に答えたところから六つの懸念というのを申し上げ、そして七つ目は、いわゆる納税義務者たる事業者のお持ちになっている転嫁の問題であり、八つ目が地方財政、こういうことで逐次つけ加えさしていただいたわけでございます。  逆進的な税体系となって所得再配分機能を弱めるのではないか、中堅所得者の不公平感を加重するのではないか、所得税のかからない人たちは一体どないなるんだ、こういうことでございました。  まずは、三%にしたんですよということが一つ、それから、やっぱり今御関心のあった点を申し上げますと、要するに歳出で賄う点はどの辺にあるか、こういうことであろうと思うわけでございます。これにつきましては、生活保護とか在宅福祉とかそういうところは歳出でまさに中和をいたしましょう。今、本院において議論が行われてきてだんだん詰まってまいります、詰まりつつあると思っておりますのは、まさにこの生活保護基準というのが一つあって、これはこのようになりましょう、そして課税最低限というのはこのようになりましょう、そのちょうど真ん中に対する議論が非常に濃密な議論になってきておるんではないか。その点について今予算編成の過程といったって、毎日が予算編成の過程が続いているようなものでございますから、これについて今一生懸命詰めておるというのが偽らざる現状でございます。
  64. 岩本政光

    ○岩本政光君 続きまして総理にお伺いしたいんですが、総理が何度か言っておりました痛税感の問題でございます。  税率の引き上げが容易になるんではないかということで懸念を申されました。いろいろ意見を聞いておりまして、やはり総理がおっしゃったとおり、議会がこの件については租税法定主義でもっているんだということをおっしゃっておりまして、それが歯どめになるんだということを言っておりますが、私は、やっぱりこの機会に総理が歯どめ論というようなものをきちっと簡単に整理をしておっしゃっていただき、どういうふうに受けとったらいいのかお聞かせをいただきたいと思うんです。歯どめ論と言っちゃいけないんでしょうか、ひとつちょっとお聞かせください。
  65. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 大事なことでございます。痛税感が少ないという言葉を私は本院で使わしていただいた一番最初は、たばこ一本一円のことをお願いに来たときでございます。一本一円上げますと三千億本吸っておりますから三千億円、まあ二千四百億の地方財源がどうしても足りなくなって、駆け込みで本院へお願いに参りまして成立さしていただいた経緯を知っております。したがって、確かに痛税感というものが間接税の持つ特質でございましょう。  したがって、この問題について私が申しておりますのは、それは租税法定主義であるから、そんなに五%だ、何%だといきなり上げるというようなことはあり得るわけがないじゃないか、こんなことを最初申しておりましたが、それは、租税法定主義ですから当たり前のことを言っているんだと。  そこで私は、やはり私の内閣のときの姿勢を示すべきだ、これだけ長期に議論した末に出てきたコンセンサスではございませんか、安易に引き上げられるとか、私どもがそういうものを今提案できるという環境にあるなんというのはさらさら思いませんということまで申しました。しかし、それよりももう一つ突っ込めという御議論のように拝察いたしましたので、少なくとも歴史の一こまであろうとも、一生懸命やらなきゃならぬ内閣総理大臣責任でございますから、私はこれは上げるなどということはいたしませんと、こういうようなところまで申し上げてきたわけでありますが、さらにそれに対する一つの客観的裏づけを示せというところで行財政改革を、先ほど申しましたこれを引き続き進めるんですよということをつけ加えさせていただいた。  御議論の中では、国民負担率とかあるいは租税負担率とかいうようなものの中で何か欠けるものはないかといろんな御議論を岩本委員含めなすったことを私も承知しておりますが、そういう具体性のある国民負担率とかいうところへその歯どめ的数値を示せということには至っていないということも事実そのとおりでございます。
  66. 岩本政光

    ○岩本政光君 それでは次に、第五の懸念につきまして、新しい税の導入によって事業者の方々の事務負担が極端に重くなるのではないかという懸念がありますが、これについてはひとつ重々配慮をして御指導していただきたいと思います。  そして私は、総理が追加されました第七の懸念の、消費税額が完全に商品価格に転嫁されるというところで少し御議論をさせていただきますし、公取委の皆さん方にもお伺いをしたいと思う次第でございます。  公取委員会は、先般来独禁法の適用除外を認めるとしておりますが、商店街について一体どんなふうにするのかということのガイドライン、それについてもいろいろ説明がありましたけれども、私は、この組織に入っていない弱い人たちは置いてきぼりを食わないかなということについてのかなりの懸念を持っております。商店街ぐるみの転嫁の方法等もありますが、いろいろな転嫁のやり方についての議論、外だ内だということがありましたけれども、私が申し上げたいのは、公取委員会というのは国民から見て非常に遠いところにありますね。物すごく遠いところ、高いところにあります。そういうことでは、どちらかといえば申請主義で届け出を受け取る立場なんですが、できるだけ親切に指導するという姿勢がここで非常に大事ではないかと思いますので、それらを含めてひとつお話をいただきたいし、御説明いただきたいと思います。  と同時に、政府には衆議院での修正を兼ねまして転嫁の義務を明確にされたわけであります。それで私は、ウエーティングといいますか、業界の人たちにいろんなことを考えてやってこいよということではなくて、政府から進んで指導をする、そういう気構えがこの際私は非常に大事なんではないかと思いますが、これは通産大臣の方なんでしょうか、一応それらにつきましての御指導の決意のほどをお伺いさせていただきたいと存じます。
  67. 田村元

    国務大臣(田村元君) 今の御質問は、税額の表示についてはまず業界での取り決めが前提となるとしているけれども、むしろ政府が業界を指導すべきではないのかと、こういう御趣旨でございますね。  それで、この消費税の転嫁に当たりましては、御承知のように、税制改革法案第十一条に、「必要と認めるときは、取引の相手方である他の事業者又は消費者にその取引に課せられる消費税の額が明らかとなる措置を講ずるもの」とされております。それで、各業界におきまして、取引対象商品などの特性や取引の実情等を踏まえまして適切な価格表示を行うための検討が行われているものと認識をいたしております。  私どもといたしましては、この取引の混乱を防ぎ、消費税の円滑かつ適正な転嫁が行われますためには、可能な限り表示の方法の統一が図られることは、重要であると思っております。各業界の検討を尊重しながら必要に応じて業界への指導を行っていって、適切な価格表示が行われるよう努めてまいる所存でございます。  いずれにいたしましても、やはり業界のコンセンサスとその努力がまず何よりも必要でございます。必要でございますが、だからといって放任主義であるわけにもいかぬでしょうから、適切な指導等を行いながら、可能な限り統一されることが好ましいことでございますから、その努力は懸命にやっていきたい、こう考えております。
  68. 岩本政光

    ○岩本政光君 公取委員会の御意見。
  69. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 今回の転嫁に関します特別措置につきまして、わかりやすく親切に指導するようにという御要請でございます。  まことにごもっともな御要請でございまして、私ども考えておりますのは、これも毎度申し上げていることでございますけれども、法律ができましたらできるだけ早い機会に事業者、消費者にわかりやすい手引書を公表いたします。同時に、特別措置の適用を受ける場合にいろいろな届け出をしていただかなければならないわけであります。この様式等につきましても現在事務局で検討いたしておりますけれども、なるべく負担がかからないようなわかりやすい様式にする。同時に、届け出の様式等もこれからお願いしなければならないと考えておりますけれども、都道府県とかあるいは商工会議所にもお願いいたしましてその窓口に置いておく、それから公取の各地方事務所がございますが、地理的に遠い場合もございますので、そういう簡単な御相談とかにつきましては、先ほど申しましたような機関の窓口でいろいろ御指導していただけるような手配をしていかなければならないと考えております。
  70. 岩本政光

    ○岩本政光君 的確にその御指導をしていただきますように要望させていただきます。  続きまして、中小企業者の皆さん方から確認をしていただきたいという声もありましたので。  小さなことですが、宮澤前大蔵大臣が郡山市で記者会見をしておられます。そのときに、一つは、商工会などによる記帳代行のオンライン化への助成、二つ目は、コンピューター購入などの記帳の機械化に対する低利融資、債務保証、三つ目は、ソフトウェア開発費用の即時一括損金算入などの事務負担経費の軽減策の実施を明らかにされておりますが、これは間違いなく六十四年度の予算までには、なるべく早い方がいいわけですが、講じられるというふうに理解してよろしいでしょうか、確認させていただきたいと思います。  またその場合に、今、中小企業者が言っていることは、これが中小企業関係の予算の中に入り込まない、つまり減らないということだけはちゃんとして、税のことでやるんですからしっかりと積んでやってもらいなさいよという期待がありますが、大蔵省、いかがでございましょうか。
  71. 篠沢恭助

    政府委員(篠沢恭助君) ただいま御指摘の点につきましては、消費税が我が国になじみの薄い税であるということでございますので、通産省の方から、特に中小企業者の納税事務負担の軽減、合理化を図るため、財政金融面にわたり所要の措置をということで、かねて強くお申し越しのある点でございます。  この点につきまして、具体的な方策につきましては、現在通産省の方との間で十分検討を進めておるところでございますが、これらにつきまして補正予算の機会があるかということも考えられますので、それも含めましてこれからの予算編成段階で適切に措置をしてまいりたいという方向で検討しております。  なお、一般的な中小企業対策というものへのしわ寄せということでお話がございましたけれども、中小企業対策につきまして、内外の経済環境の変化に中小企業者が的確に対応できるような構造転換の推進といったようなことで、引き続ききめ細かな配慮は払ってまいる所存でございます。
  72. 田村元

    国務大臣(田村元君) 今、大蔵省からお話があったとおりでありますが、特にこの転嫁問題につきましては、日本人自体が消費税というものになじみがありませんし、いわんや中小企業というのは、何かにつけて機能的に不十分なところがございますから、まず慣熟してもらう必要もありますし、またお手伝いをしてあげなきゃならぬこともたくさんございます。そういうことで中小企業庁が今、鋭意大蔵省と話し合い中でございます。  消費税という問題で、平素の場合と違って降ってわいたようなことでございますから、中小企業庁も懸命の努力をいたしておりますが、大蔵省の恐らく理解を得られるものと思いますし、問題は消費税をうまく運営しなきゃならぬのですから、そういう点でまた何かと御協力を、御支援をお願い申し上げます。
  73. 岩本政光

    ○岩本政光君 総理に、これまた与党として大変聞きづらいかもしれませんが、確かめておきたいんです。  予定どおり消費税が来年の四月からスタートするということになりまして、この種の間接税につきましては、先ほど来中小企業が非常に最後までいろいろな心配をしている。問題が生ずる場合には、弾力的にいろいろと改善を図っていくよということをずっと言われてまいりましたが、私は、与党ではなくて、政府税調調査会の答申の中にも、先ほどもちょっと議論があったんですが、なお、消費税導入後も国民の声に十分耳を傾けて、その仕組みについては社会経済の事情に合うように適宜見直していく必要がありますよと、こういうことを実はきっちり言われております。この点につきましては、中小企業はやはり何かあったときには見直してほしいなという気持ちは、もう重々私はあるような気がいたします。  それで私は、この際政府立場総理立場では法律を通すことが先ですが、少なくとも中小企業の皆さん方に安心をしてもらえるためには、そういうこともお話をされることが、もし考えがあったらいかがなものかなというふうに考えました。  なぜそういうふうに考えたかといいますと、これ言っていいかどうかわかりませんが、参議院の比例代表制が全国区からかわるときに、徳永議長さんが、二回当たりで見直すからというようなことで議論が始まって、私は非常にそこで安心感があって、この大変革ができたのではないかと思うのです。そういう意味では、この答申の意見というのはかなり大事なところではないかと思いますので、御見解を聞かせていただければ非常にありがたいと思います。
  74. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、今までの法律を見てみますと、当分の間と書いてあるとそれは永遠と同じことであるとか、いろんな議論が従来もございます。見直し規定の中でも、例えば政治資金規正法附則第八条でございますか、あれなどは見直さないままにきておるということもございます。したがって、私どもも、法律をつくる側ではなく、それを執行する側として、見直し規定というものがついたときには、本当に毎日毎日見直していなきゃいかぬという姿勢を持つべきであると思います。  したがって、私これは党の方へ体をお預けしておるわけでございますが、自由民主党総裁機関説みたいなものでございますから、お任せをしておりますが、つじ立ちというものは、私はこの税を通すためのつじ立ちだけであってはならぬ。これがいかに円滑に施行されていくかというつじ立ちというようなものも御検討をいただいておるようでございますので、私自身もそういう姿勢であるべきだと思っております。
  75. 岩本政光

    ○岩本政光君 最後の質問でございますが、今次税制改革と総理の提唱される「ふるさと創生」につきまして、一言だけお尋ねさせていただきます。  自治大臣もちょっとお願いをしたいんですが、一極集中が四全総を含めてもうどんどんやはり進んでいくような気がしまして、この中には、地方自治体間の財政の格差がだんだん開いていっているというような感じを私は見受けます。それらの拡大を含めて、どういうふうに取り組んでいかれるのかをお聞かせ願いたいと思います。  そして、私はこの際、少し故郷に向けてでもありますが、ハードからソフトの時代になっているんではないか。そういう意味では、北海道というのは遠隔の地で、高い情報を買ったり、高い運賃をいただいたり、北海道コストも北海道価格もその中に属します。たくさんのことは急にできませんが、北海道の最近の航空運賃の高さはもう目に余るものがございまして、それらの問題について、今度の税制では余り値段が下がらないんだけれども、せめて将来のことも含めて、ひとつ私の故郷にも説明ができるようにお願いをできれば非常に幸いだというふうに考えるわけであります。  そして、この全体を通じまして、最後に総理の決意を聞かせていただければ非常にありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
  76. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 北海道方面の航空路線につきましては、需要量がほかと比べまして比較的少ないという事情あるいは季節波動が大きいというような事情がございまして、路線ごとの費用を勘案いたしますと、本来的には運賃が若干割高になるということは、ある意味ではやむを得ない面もあるわけでございますけれども、しかし一キロメートル当たりの運賃が他の路線に比べまして相対的に高い、こういう路線があることも事実でございます。  そこで、昨年十二月にその辺も勘案いたしまして、道東四路線につきまして千円の値下げをしたということもあるわけでございますけれども、ただ、さらに今引き下げをすべきではないかという御議論があることも十分承知いたしております。その辺について可能であるかどうかということでございますけれども、できる限り整合性のある、合理的な運賃体系というものを形成していくということは、これは必要なことでございますので、そういう観点も踏まえまして、これから各航空企業の収支状況というものも十分見きわめました上で、全国的な路線ごとの費用構成の分析ということも行いまして、できるだけ早い機会に可能な範囲で必要な調整をやっていきたいというふうに考えております。
  77. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 地方自治体の財政、確かに千差万別でございますので、経済活動の活発なところに税源が集中しがちでございます。交付税や譲与税等をうまくかみ合わせながらこれからの地方振興を図ってまいりたいと考えております。
  78. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分に委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時十七分休憩      ─────・─────    午後一時二十二分開会
  79. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 税制問題等に関する調査特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、各案について質疑を行います。千葉景子君。
  80. 千葉景子

    ○千葉景子君 まず最初に、リクルート関係の問題について質問させていただきたいと思います。  先般、リクルートコスモスの非公開株譲渡疑惑につきまして、真藤NTT会長の元秘書村田幸蔵氏名義で譲渡された未公開株一万株の売却益の一部、一千万円と言われておりますが、これが真藤会長個人の銀行口座に振り込まれていたことが判明をいたしました。また、真藤会長は昨日十二月十四日に会長を辞任されたということでございます。宮澤前大蔵大臣に続きまして我が国最大のマンモス企業とも言うべきトップの座を占めていらっしゃる方、実力派財界人と言われている真藤さんがリクルート疑惑で辞任したということは、大変これは重大な事態だというふうに受けとめなければなりません。  宮澤大蔵大臣もこのリクルートコスモスの非公開株譲渡問題では当初ノーコメントを繰り返しておられました。そしてその後、よく言われているように、秘書が秘書がの宮澤さんということでございますけれども、秘書にすべての問題を転嫁されている。これに対しまして、真藤会長も同じようなこれまでの経過をたどっています。最初に株譲渡の疑惑が生じたときには、知らない、あろうはずがない、こういう御発言でした。ノーコメントと同じようなものです。そしてその後、村田秘書の名義で株が譲渡されたということになり、大変遺憾であるという御発言でしたけれども、すべて秘書の問題だと。ところが、今回、このような発言すべてうそであった、間違いであったと、真藤会長本人にその一部現金が渡っていたということが明らかになったわけです。  きょうはNTTの社内調査委員会考査室長においでいただきまして、少しこのあたりのこれまでの調査内容などをお尋ねしたいと思います。  まず、この真藤前会長と申し上げましょうか、売却益の一部が譲渡されていたと、こういう問題が明るみに出されました後、NTTの社内調査委員会としてはどのような調査をなさり、そしてその内容、結果はどういうものでございましたか。まず、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  81. 西脇達也

    参考人西脇達也君) お答えを申し上げます。  ただいま先生から御指摘がございましたが、十二月十四日の時点で私どもの前会長真藤の秘書でありました村田の株売却益の一部が会長の口座に振り込まれているという報道がございましたので、私どもは十四日の朝、調査委員会の委員長、これは社長が務めておりますが、これが真藤会長と会いまして事実を確認いたしました。その際、会長は、自分の口座についてはすべて村田に任せてあるので、大変申しわけないがその事実についてはわからないということを言っておりました。  私どもは、調査委員会として村田元秘書の行方を捜して早く確認をとりたいということで鋭意努力をしておったわけでございますが、いまだに連絡がとれませんで大変申しわけなく思っております。そういうことで、この村田元秘書と連絡がとれませんものですから、真藤元会長の発言以上のことをまだ確認ができないでおります。引き続き、村田元秘書の行方を尋ねまして、確認をとろうということで鋭意努力中でございます。
  82. 千葉景子

    ○千葉景子君 村田秘書の問題が出ましてからはもう大分時間が経過をしているわけですね。今まだ連絡がとれない、所在がわからないというのは、これ極めて対応が怠慢であると言わざるを得ないと思います。  また、真藤会長にお会いになって、社長が委員長でいらっしゃるということですけれども、事実を確認したということですけれども、それは真藤会長から事情を聴取した、要するに聞き取りをしたというそれだけでございますか。何かそれに対する裏づけであるとか客観的な調査、そういうものはなさっていらっしゃいますか。
  83. 西脇達也

    参考人西脇達也君) 先ほども申し上げましたように、十四日の時点で社長から会長に話を聞きまして、内容が、先ほど申し上げましたように村田に任せてあるということでございますので、その内容は村田元秘書に確認をしませんと中身が明らかになりませんので、今鋭意村田秘書の行方を捜しておるところでございます。
  84. 千葉景子

    ○千葉景子君 これは、これまでの服部秘書に聞いたとか、それとまたまさに同じような形でございまして、全く客観的に裏づけがなされていないと言わざるを得ないと思うんですね。例えば一部売却益が振り込まれているということですけれども、そういう点については客観的な資料調査なさることができるのではなかろうかと思いますが、その点について全く手をつけていらっしゃらないんですか。
  85. 西脇達也

    参考人西脇達也君) 調査を進めておるわけでございますけれども、口座につきまして、どういうようなものであるか、村田秘書が全部を知っておるという状態でございますものですから、調査ができない状況にございます。  なお、鋭意そのほかの方法で確認ができないかどうか努力をいたしております。
  86. 千葉景子

    ○千葉景子君 今、大変大きな疑惑になっている、しかもNTTというのは公益事業でございます。そしてその準公務員という立場で、職務に関して例えばわいろを受け取れば収賄になる、こういう立場にもあるわけですね。また、これまで秘書に秘書にと責任を転嫁されてきた、こういう中で国民も大変不信を抱いている。こういうときに、村田は今探している、あるいは客観的なさまざまな調査もできない、私は大変これは遺憾なことだというふうに思います。  とりわけ回線リセール問題、あるいはスーパーコンピューター事業などをめぐってNTTとリクルートあるいは江副前会長との関係、あるいはNTT側の便宜供与があったのではないかというような疑惑、そしてさらには、このスーパーコンピューターなどをめぐっては、日米貿易摩擦の中で貿易の不均衡を是正するという形で高度な政治的要請の中で輸入が決定された、こういうような背景のもとで今疑惑の一番の渦中にあるわけですね。そういう問題について今のような調査体制、調査態度で臨まれているというのは考え直していただかなければならないだろうというふうに思います。  これまでも、この社内の調査委員会というのは調査の結果を発表されてきましたけれども、ことごとく後になってから違う事実が判明してきているわけですね。これまで一体どういう調査方法をとってこられたんでしょうか。ほとんど本人からの聞き取りといいましょうか、そういう形の調査に終始されてこられたのか、ちょっとその辺の調査方法をお知らせいただきたいと思います。
  87. 西脇達也

    参考人西脇達也君) お答えいたします。  社内の調査ということで調査委員会をつくりましたのが十一月の四日でございますが、社長を委員長といたしまして六名のメンバー、私が幹事ということで進めておりますが、調査委員会におきましては、これまでリクルート関係の契約内容については契約の書面あるいはその当時の関係者からの聞き取り、あるいはそれまでの間にいろいろやりとりのありました事実等についての確認、そういうものもやっておりますし、また株の取得の問題につきましても、関係のあるリクルート社とのつき合いのありそうな者あるいは役員、こういう者につきまして聞き取りを含め調査をやってきております。そういう意味では、面接による調査が主体をなしておりますが、確認できるものについては別の方法でも確認をとりつつ進めてきております。  これまで、いろいろな場面で調査が行き届かないために各方面に御迷惑をかけましたことは大変申しわけなく思っておりますが、さらに先般大臣からもおしかりを受けましたので、その趣旨を体しましてさらに努力をしてまいりたいと思っております。
  88. 千葉景子

    ○千葉景子君 例えばこれまでの調査内容を見ますと、当委員会にも証人として出頭いただきました式場さん、この問題につきましても、この証言で株の購入資金のルートが明るみに出た。それまでは、調査委員会の調査結果ではこのようなことは判明していなかったというわけですね。で、この式場氏についても一体どのような調査をなさっていらっしゃったんでしょうか。
  89. 西脇達也

    参考人西脇達也君) 式場取締役につきましては、調査委員会におきまして再三にわたり事情聴取をいたしました。その中で本人は、株の取得資金につきまして私どもの問い合わせに対しまして自己資金であるということで主張をしてまいりましたので、私どもは本人の言を信じておりましたが、証人喚問の直前に一部新聞報道で別の話が出てまいりまして、私どもも早速調査に入ったわけでございましたが、証人喚問までに間に合わなかったという実態でございます。  なお、今回、式場を企業通信システム事業副本部長から解職いたしましたのは、この調査委員会に対しまして真実の正確な報告をしなかったということも含めて対処をしたところでございます。
  90. 千葉景子

    ○千葉景子君 すべて報道あるいは国会での証言、そういうものの後を追って調査をなさっている。これでは余り調査委員会をつくっていらっしゃる意味がない、存在意義がないように思いますね。  長谷川証人、この長谷川氏につきましても、後にリクルート本社株の譲渡も受けていた、こういうことも判明してきているわけですね。  こういうことを考えますと、今回の真藤前会長の調査についても極めて不十分ではなかったか。幾つか節目があろうかと思います。一番初めに問題になったのは、株が譲渡されているのではないかと疑惑が出たときですね。そのときには、真藤前会長は、そんな話があるはずはない、むしろそういうことを言われるのは被害者であるというような御発言をなさっていらっしゃいました。多分、この問題が出たときにも調査委員会では何らかの調査をなさっているはずだと思いますけれども、この時点ではどのような調査結果でございましたか。
  91. 西脇達也

    参考人西脇達也君) 先生の今のお話は、たしか十一月の一日かそのころのお話だと思いますが、この時点では、会長に私どもとしましては社長から面接をいたしまして事情を聞いておりますが、会長は、村田にも確かめたところそういうことだということで、再度その翌日にも同じお話をしたわけでありますが、そうだということでございましたので、その結果を信じておったわけでございます。
  92. 千葉景子

    ○千葉景子君 このときも、会長に面接調査といいましょうか、そういうことだけで終始をされている。そしてその後、村田氏への株譲渡が明らかになった。このときは真藤会長は会長自身関係については全く否定をされていらっしゃる。このときにはやはり問題を調査なさいましたか。
  93. 西脇達也

    参考人西脇達也君) 十一月の五日の時点では村田から私にあてまして電話がかかってまいりまして、この株の売買の事実を認めるということと、それから、これは全く村田個人の話であるということがございまして、それの申告をした後で本人が辞表を提出してまいりました。  そこで、私どもはこの事実について会長に話をして、こういうことがあったけれども事実かということを確認いたしましたら、会長は、自分も電話を受けておってそういうことだと、こういうことでございました。
  94. 千葉景子

    ○千葉景子君 また同じことを繰り返さなければならないわけですね。このときも村田氏から電話があった、そしてそれを聞き、会長に聞いてそれで終わりと、こういう調査です。そして、今回その一部が真藤会長の口座に振り込まれていた、こういう事実が明らかになってきたわけです。  こうなりますと、調査委員会のこれまで発表なさってきたことというのは、失礼ですが、ことごとく信用するわけにはいかない。改めて事実を解明していただかなければいけないということになろうかと思いますけれども、これまで名前が挙がっていらっしゃるのは真藤会長、村田秘書そして式場、長谷川両氏でございますけれども、ほかにも株譲渡を受けたような方はいらっしゃらないんでしょうね。その辺の調査はいかがですか。
  95. 西脇達也

    参考人西脇達也君) 今回のリクルートコスモスの株の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、この株の譲渡の問題が話として出てまいりました時点から始めまして、リクルートコスモスの株を取得したことがあるかということにつきましては、現在の役員並びに関係する事業部の事業部長等幹部につきまして、約五十名にわたりまして聞き取り調査を再三やっております。その結果、今お話の出ました例以外には株を取得したという者はございません。また、リクルート本社の株の問題が出てまいりましたので、その件につきましても、同じ対象につきまして現在調査を行っておりますが、一、二海外に出たりしておる者がありましてまだ完了しておりませんが、現在のところでは問題のある者はございません。  以上でございます。
  96. 千葉景子

    ○千葉景子君 これにつきましても、本人から事情といいますか、説明を聞くという形での調査であろうかというふうに思います。これだけ問題になっているわけですから、むしろこれは譲り渡した側にも話を聞くとか、そういう調査が必ず必要ではなかろうか、そう思いますが、そのあたりは何か手だては、措置は講じていらっしゃいますか。
  97. 西脇達也

    参考人西脇達也君) 相手側と申しますか、リクルート側にお問い合わせはしておりますが、この件については御返事をいただけておりません。
  98. 千葉景子

    ○千葉景子君 全体に見まして、どうも調査に対して積極的ではない。その結果、この譲渡問題についてその疑惑隠しといいますか、それに調査委員会が手をかしているという形になっていると言われてもやむを得ないんじゃないかというふうに思うんですね。やはりこれだけ大変な大きな疑惑であり、不信を抱かれているときに、それにふたをしてしまうような調査方法では、これは納得を得られるわけはないというふうに思います。  また、今回真藤会長に渡された以外にも、NTTの銀行口座に残りの売却益の一部がやはりこれも振り込まれているというような報道等もございますが、ここについては調査をなさっていらっしゃいますか。
  99. 西脇達也

    参考人西脇達也君) ただいまの点につきましては、村田元秘書が会長の銀行口座等をすべて任せられておったというような関係もございまして、そちらの方との関係でなかなか解明できない点もございますが、今鋭意調査をいたしております。
  100. 千葉景子

    ○千葉景子君 まあほとんど事実が調査委員会の方には把握されていないということではないかというふうに思いますね。株譲渡にかかわるさまざまな客観的な資料、こういうものも改めて調査をする必要があるだろうというふうに思います。そして、このリクルート問題につきましては、NTTは国会での解明、そういうものに非常に非協力的であったと、そういう面も否定できないと思います。例えば大変大きな問題になっているスーパーコンピューターの問題、それの価格であるとか、あるいはそれの購入経緯等についてもほとんど口を閉ざしていらっしゃる。今こそこれらを含めて疑惑の解明、事実を明らかにするためにも資料等もっと積極的に明らかにし、あるいは調査委員会としても積極的な調査方法をとられるべきではなかろうかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  101. 西脇達也

    参考人西脇達也君) ただいまお話しのスーパーコンピューターの関係でございますが、当初お客様の御要望に応じまして機器の調達、設置工事、試験までを含めましてコンピューターシステムの設計建設工事を行ってきておりまして、本件につきましても、リクルートの御注文に応じて、設計建設工事の一環としてコンピューターを調達してきたわけでございますが、この契約につきましては私ども調査委員会で調査をいたしておりまして、社内では必要な手続を踏んで適正に実施をいたしておると。また先般、当委員会において会計検査院の方から御答弁がございましたが、内容等について特に会計経理上問題とするような点は見当たらないという御答弁もいただいております。  契約の内容でございますが、契約当事者の営業上、技術上等の重要情報が含まれておりますので、非公開を前提として契約を結んでおります。購入価格につきましては、営業上の重要情報でございますので、当事者以外には明らかにできません。こういう事情にございますのでお許しをいただきたいと思います。
  102. 千葉景子

    ○千葉景子君 そういうことを言っていらっしゃるのはNTTだけなんですよ。ほかでは価格も明らかになっておりますし、何ら秘密にするような必要がないと言われているわけですけれども、非常に私は不満に思います。  ところで、こういう今回秘書名義で株の譲渡を受けていた。ところが、本人は関係ないと言っていたことが、実はお金は秘書ではなく会長に渡っていたと、そういう事実が明らかになってきた。これは今回のリクルート株のばらまきの典型的な手法ではないだろうか、私はそう思います。他人名義であろうと、その利益は別なところに流れている。そうしますと、真藤会長に渡った譲渡益の一部以外にも、これはまたほかにその利益が流れていないとも限らない。それが今回のこの真藤会長に流れていたということは、そういう疑いを我々に抱かせていると言わざるを得ないと思います。  そういう意味では、今後このリクルート問題というのは、やはりもう一度全体像を見直していく、事実関係を明らかにしていくということが必要ではないかと思うんです。宮澤大蔵大臣辞任をされ、真藤会長も退任をされる、それだけで事が済むものではありません。むしろ疑惑は深まったと言わざるを得ないんではないでしょうか。  そういう意味で、今後社内の調査委員会としては一体この問題に対してどう対応されていこうとしているのか、そこを明確にしていただきたいと思います。
  103. 西脇達也

    参考人西脇達也君) お答えいたします。  調査委員会といたしましては、これまで新しい事実が出てきたりいたしまして、大変各方面に御迷惑をおかけしたということは深く反省しております。  それで今後、ただいま御質問にもありました村田元秘書との連絡を早急にとるということを最大限の、一番のターゲットにいたしまして努力をしてまいりまして、郵政大臣からも種々御指導を受けておりますので、これにこたえられるように今後調査の精度を上げていくように努力をしてまいりたいと思っております。
  104. 千葉景子

    ○千葉景子君 やはりこの問題については、少なくともNTTとリクルート社にまたがる問題について一切業務上の問題を知り得る立場にある、そしてその責任を負うべき立場にある真藤会長に直接国会の場にお出ましをいただいて、そして疑惑になっている問題点についてその事実を明らかにしていただく必要があると思います。そういう意味で、私は再度真藤前会長の証人喚問を要求させていただきたいと思います。
  105. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 理事会で協議いたします。
  106. 千葉景子

    ○千葉景子君 ところで、これはNTTの調査委員会の方にもきつい話をさせていただきましたけれども、郵政大臣、余り安心しておられては困るわけです。これら明るみに出てきた問題、そしてNTTというのが、前回も民営化になってそう口出しはできないんだというお話ですけれども、やっぱり公益事業である、そしてやっぱり退任をされるときには大臣のところに来られるわけです。そういう立場にある。やめるときだけあいさつに来るということじゃ困るわけで、こういう問題について、郵政大臣としてはこれまでの問題に対する責任と、そして今後の対策をどう考えていらっしゃいますか。
  107. 中山正暉

    国務大臣(中山正暉君) お答えを申し上げます。  安心はしておれないというお言葉がございましたが、全く逆でございまして、私は大きな危惧で、今回のこの事件の成り行きと申しますか、一連のリクルート関連の、NTTという私の所管の電気通信事業の新しい一歩を踏み出した企業に対する現在の成り行きを大変気にいたしております。  特に私は、調査委員会に対して、厳密に内部の調査をして御報告をいただきたい。その御報告を国会で、衆議院、参議院、これ衆議院でございますが、式場氏のことに関しましても、自己資金で長期保有という形でまだ売却をしていない、かような報告を受けましたのでそのとおりに御報告を申し上げておりましたが、これが後でそごを来す、それからいろんな対策が後手に回るということで、まことに残念なことを報告した、ある種のいら立ちを感じるような気持ちでございます。  かといいまして、調査委員会にも限界があるようにも思いますし、この点、今回の真藤会長というような電電の自由化に大変功績があられ、またタンカーをおつくりになった、シントー船型と言われるような非常に経済的な効果の大きい大型タンカーをつくって、あの石油のパニックが起こりましたときにも日本の石油輸入に貢献をした、その大きな功績のある船をおつくりになったそういう真藤さんが電電の事業でも手腕を振るっていただいて、特に初代の会長に御就任いただいたことでございましたので、できるだけ私は二年の任期を全うしていただきたいと思っておりましたところが、ついこの間、会長に就任するというNTTからの通告に私も了承を与えたその方に、きのうまたおやめいただくというようなお話を申し上げる、その御報告を私がまた了承するということで、本当に残念に思っております。  その意味で、これから大いにNTTと連絡を密にいたしまして、私どもの権限内でできる限りの調査をしていただくような御依頼を申し上げたい。特に、一番最近では十二月八日に電気通信局長を通じましてNTTにもそういうお願いをしておりますし、私からも十二月九日に山口社長にお越しいただきまして、郵政省の方で、大臣室の方でそういう御依頼を申し上げましたが、きのう真藤会長と一緒に来られまして、真藤さんがおやめになるという御報告を受けた後の会長とも、再度国民的な大きな期待を持って、電電公社としてそれが民営化された後の企業責任というものを、準公務員としての立場を考えてひとつ今後とも対処をしていただきたい、かようなお願いをしておるところでございまして、オウム返しにNTTの報告をそのまま国会に報告をしておりましたこと、その時点では私は正しいと思ってやっておりましたことでございますが、それが結果的に間違っていたことを国会に報告したということをおわび申し上げたいと思います。
  108. 千葉景子

    ○千葉景子君 NTTの真藤会長がおやめになりまして、それについて竹下総理大臣、何か相談などを受けたというようなことはございませんか。また、この退任あるいは今回の事実が明らかになってきたということについてどうお考えですか。
  109. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 法律上からいいますと、恐らく任を解くという意味の解任ということになろうかと思うんでございますが、今回のこの報告は、法律事項をきのうのお昼私なりに勉強しておきまして、そのすぐ後、郵政大臣からここの場でお受けしたところでございます。  私自身は、真藤さんという人は、率直に申しまして土光さんのような感じで実はおつき合いをしておりました。きのう帰ってから探しましたが、イギリスで蔵相会議であったかと思うんでございますけれども、日本の電電の民営化問題を私に講演してくれということがありまして、世界に冠たる労使関係である、その使は真藤さんであって労は及川さんであるという話をしましたのが、率直に言って、本当にこれはイギリスの新聞に出たわけでございます。したがって、その記事をきのう探そうと思いました。事ほどさように本当は尊敬をしておりましただけに、今度の問題そのものについては実はショックを受けた一人であろうと思っております。  ただ、ある種の哲学をお持ちになった人でございますので、今後また立派な哲学人として世を処せられていくんではないか。そして、真藤さんがいつも言われておった、特に仲裁裁定の問題なんかありますと、いわば労使関係について、当時も大蔵大臣でございましたが、君、君ということで、君の考え方とおれの考え方は違っているというようなことをじゅんじゅんとお聞かせいただいた。そういうことだけは私の心のむしろ糧にして、これからもその面では糧にしていきたいと思います。労使関係そのものが今度の関係等において全く変化がないことを心から期待しておる一人でございます。
  110. 千葉景子

    ○千葉景子君 真藤会長個人の問題について私はお尋ねしているわけではなくて、こういうリクルートをめぐる疑惑について新たな事実が判明した、それに基づいて解任をされた、こういうことについてどう考えるかというふうに私は尋ねたはずですけれども、それ以上のお答えはなかろうと思いますので、この問題については以上で終わりにさせていただきたいというふうに思います。  それでは、少し税制の問題を質問させていただきたいと思います。  時間の関係がございますので、少し基本的な問題についてもお尋ねをさせていただこうと思いましたが、ちょっとそれは後にさせていただきます。  まず私は、今回の消費税については反対でございます。なぜならば、この消費税は、最も基本的な問題である民主主義、議会制民主主義に反する公約違反だということがまず第一です。そして、さらに問題点である、竹下流に言えば八つの懸念、これについても何ら解消はされていない、そして弱い者に極めて冷たい税金だ、こういうことから私は、この消費税に対しては明確に反対の立場をとらせていただきたいと思います。その上で幾つかこの消費税の問題点について質問をさせていただきます。  まず、竹下総理は、最初は六つ、一つずつ加えて八つの懸念、この懸念については、これが解消できなければ消費税はやらないというおつもりだったわけですか。それとも懸念があってもやろう、そういうことだったわけでしょうか。その点をまず明確にしていただきたいと思います。
  111. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは消費税を、新税をつくらせていただこうという考えはかつても今もございますから御審議をいただいておるわけでございます。しかし、それには国民の皆さん方に懸念があるでございましょうというところから、私なりに整理して、ちょっと直した方がいいところがございますけれども、八つの懸念というものを申し上げたわけでございます。  したがって、解消という表現よりも、これは若干化学用語ではないかと言われたことがございますが、中和していく性格のものであるし、それに対しての説明を一生懸命にやっていこう、こういう考え方で今日に至っておるわけでございます。
  112. 千葉景子

    ○千葉景子君 おっしゃるとおりに、これは解消できるはずもありませんで、言っていらっしゃること自体がまさに消費税そのものだと言ってもいいわけですから、解消できるものではないというふうに思います。  そこで、一つずつ問題を整理していこうと思いますが、まずこの消費税の最も大きな特徴、これは逆進的で再分配機能を弱める、所得の再分配機能に逆行する性格を持っている、こういう問題だろうと思います。売上税のときには食料品とかあるいは生活必需品など多くの非課税措置を設けて、この逆進性の緩和にもそれなりに気配りがあった。今回の消費税法案ではこのスタンスが全く変わっている。逆進性が顕著にあらわれていると言ってもよかろうかと思うんですね。こういう逆進性の強い税金、こういうものは今の近代税制の中で中心的な税としない方がよろしいんじゃないかと私は思うんですけれども、その点はいかがですか。
  113. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 恐らく基幹的な税制を応能主義的であるところの所得税に置いて、そしてそれを補う補完的な税制として間接税が存在すべきではないか、こういうお考えであろうと思います。  それは一つの論理であります。私もそれを否定する気持ちはございませんが、今回の改正は、シャウプ勧告の今おっしゃったような一つの下書きの中でできた税制そのものに対する時代の進展とともに大きな不公平感なり重税感が生じた、それにいかにして対応するかというところに、所得、消費、資産、これらに着目した均衡のとれた税制を構築しようというのが今回の御提案の趣旨でございまして、世界的な潮流から見ますと、私はそういう方向に進みつつあるであろうと。御案内のとおり、OECD参加国で我が国だけが消費一般にかかる税制そのものをしていないわけでございますから、やっぱり流れとしてはそういう流れの中にあるであろうというふうに私は認識いたしております。
  114. 千葉景子

    ○千葉景子君 消費税につきましては、すべての財貨あるいはサービスに課税されるわけですから、大変逆進的な性格という意味では重要性がある。しかも、税率一%で一兆八千億と言われているわけですから、三%導入時でも五兆四千億。これは所得税、法人税に次ぐ大型の税目になるのではなかろうかと思うんですけれども、こういうものを導入するということは、やはり均衡ある、そして公平な税制という意味からは逆行するのではなかろうかというふうに思います。率直に言って、またこれは情緒的だというお答えになろうかと思いますけれども、国民のやはり基本的な認識として、何でダイヤモンドやミンクの毛皮、こういうものの税率が一五%から三%になるのか、そんなに低くする必要があるだろうか。その反面で、米とか水とかそういう生活必需品がなぜぜいたく品などと同じ税率で税金を取られなければいけないのか。これは率直な感情だというふうに思いますけれども、いかがですか。
  115. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 情緒的という言葉を私が使いまして、それを先取りされた感がございますが、情緒的という言葉、必ずしも私も適切な言葉とは思いませんが、印象としてそういうことが受け入れやすいということは私にも理解できます。が、そもそもが間接税の持つある種の逆進性というものはこれは原則的にあるわけでございます。しかし、別に比例的に見た場合のその公正さというものもまたあるわけでございます。  消費の多寡によって税を納めるわけでございますから、いわばそういう公平性はありますし、また一方、選択の自由というものが一方に存在するわけでございます。そうしたことはすべて理解といいますか、そしゃくした上で今度御提案申し上げておるわけでございますが、しかし、その逆進性とかいう問題について中和する措置というものは考えていかなきゃいかぬということを申し上げておる次第でございます。
  116. 千葉景子

    ○千葉景子君 中和する措置と言うんですけれども、もし導入をする、逆進性を中和する措置をとるということであれば、今何がとられているかというと何にもとられていない。例えば税率についても全く一律、しかし軽減税率であるとかあるいは割り増しの税率であるとかゼロ税率であるとか、こういうことも考えられないわけではないと思うんですね。そういうことについては政策的に検討はなさいませんか。
  117. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる消費一般に関する税制を是認した上で、このゼロ税率の問題とか複数税率の問題とか、それは随分勉強させていただきました。しかし、今回三%ということでございますから、率直に申しまして、基準税率というものがあった上下、例えば一〇%とか、そういう国があることもよく私も勉強させていただいておりますが、三%という税率そのものが私はひとつ複数税率をつくらないで国民の方にむしろ理解をしていただきやすい一定税率ではなかろうか、こういうふうに思っておるところでございます。
  118. 千葉景子

    ○千葉景子君 今回、インボイス方式をとらずに帳簿方式が採用されました。これは事務処理の負担軽減という問題も大分圧力があったのではなかろうかと思いますけれども、それによって複数税率などが採用できにくくなったということはございませんか。
  119. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず議論をいたしまして、この単一税率でいこう、こういうことのいわばコンセンサスが先にできたんじゃないかなと。したがって、今の簡易税率問題、税務上の諸手続が面倒ではないかという問題と複数税率にしなかったという問題は、必ずしも議論の過程で私の考え方の中では関係がございません。
  120. 千葉景子

    ○千葉景子君 隣の韓国ですけれども、ここでは一九七七年に付加価値税が導入された。そのときに、ちょうど日本と同じような形で導入されたかと思いますけれども、このときには、付加価値税とは別に特別消費税というようなものを併課をした。一定のぜいたく品などにはそういう意味では高い税率がかかっている、こういう制度を採用したとも聞いておりますけれども、いかがですか。
  121. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 韓国が五十二年に行いましたときには、いわば日本で言う物品税的なものはかなり残っておるわけでございます。韓国の場合は、付加価値税の導入前に、営業税というかいわば累積的な消費税があったわけでございまして、そのほかにそうした個別の物品税的なものもあった。その多段階的な消費税、売上税をいわば付加価値税に合理化したという面があるわけでございます。  我が国の場合は、ここで御議論いただいておりますように、今の物品税を中心とした個別消費税そのものを一般的な消費税に組みかえていこう、その個別消費税それ自体がかなりいろいろなひずみ、ゆがみを生じているその合理化という面がございますので、まさに日本の場合はそうした特別物品税的なものは初めから考えられなかったわけでございます。とは申しましても、自動車につきましては、暫定期間ではございますけれども、特別税率で残しておりますが、これはいわば経過的なものでございます。
  122. 千葉景子

    ○千葉景子君 今お話があったように、物品税の問題もそうですね。これを残すことも別に制度的におかしいわけではない。確かに物品税については問題がある。どうやって基準をつくるか難しいところもあるのは確かだと思います。しかし、だからやめて消費税だという論理にはならないわけですね。判断が困難だから、難しいから、じゃすべて一律に消費税というのは、これはどう考えても納得できない。むしろ物品税そのものももう一度整理をする、そしてその内容あるいは税率、そういうものを簡素化するなどしてもう一度見直していくということもまずやるべきことじゃなかろうかと思うんですね。  この作業をやらずして何でも一律にそれはかけりゃいいというのは、これは政策的にも判断を放棄していると同一ではなかろうか。とりわけ物品税というのは、やっぱり憲法の要請している租税法律主義ということから考えれば、一つ一つ課税すべきであるか否か、こういうチェックもきくわけですから、そういう意味では合理的な制度だとも言えるわけですね。そういうことに関して一体どういうふうに考えていらっしゃるのかお聞かせいただきたいと思います。
  123. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 個別物品税というのは、どこの国もそうでございますが大体奢侈、ぜいたく品とかそういうところから入ってきておる一つの税制でございます。したがって、どこの国の税の歴史の中にも一時期存在しておる税制であると思っております。  確かに議論の中で、今度も野党四党の一番最初お出しになりました不公平是正の最後のところでございましたか、物品税の問題を見直しながら新しい消費税の体系を構築したらどうだと、この議論も随分この十年間いたした議論でございます。やはり、諸外国の例ばかり言っちゃいけません、これは日本の税金をつくるのでございますから。しかし、先進国全体いわば消費一般というものに財貨、サービスに対する応益主義的な、しかも比例的な公平性のある税制というのは、私は税の流れではないかなというふうに思っておりますが、今の御疑問の点は、私どもも長い間勉強させていただいたことでございます。
  124. 千葉景子

    ○千葉景子君 物品税を一律に消費税にしていくということで、ぜいたく品など高い税率を低くしていく、結果的にはそうなるわけですね。ところが、その反面を見ますと、そうやって日用品からすべてに税金がかかっていく。その若干の緩和策として非課税措置がとられているわけですが、この非課税の内容についても大変疑問が多いわけですね。  例えば、医療、福祉、教育などの面で幾つかの非課税品目が決められておりますけれども、なぜ、それじゃ、毎日私たちが必需品として使う水などにはこういう非課税措置がとれないのかとか、どういう基準でこの非課税というのが決められているのかというのは大変判断に苦しむ面があるわけですけれども、これはどういう政策的な基準をもって非課税というのを決定をされているんでしょうか。
  125. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 総理からも申し述べておりますように、今回、所得の段階とともに消費の段階に薄く課税をお願いするという基本的な考え方があるわけでございます。それは税体系的な考え方からでございますが、もう一つ今申し上げました物品税の問題もございます。そうしたところから、原則としてはこれは三%という低い税率でございますので、広く例外なくお願いをできればということでございます。  特に財貨、物品、こうしたものにつきましては、それが消費に直ちに向けられる場合もございますれば生産段階で使われる場合もございます。水で申しますと工業用水等がそれでございますが、そうしたものが非課税として生産過程、流通過程に入りますと、それがかえって次の段階では税額控除ができず隠れた税として発生をいたしまして経済活動に非中立的な影響を与える可能性もあるわけでございます。したがいまして、原則としては物、財貨の面につきましては、三%でございますので広く例外なくお願いをできればということでございます。  一方、用役、サービス、特に個人生活で享受いたしますサービスにつきましては、これは生産段階の途中に介在するということはないわけでございますので、政策的にこれを非課税とする考え方が出てくるわけでございますが、財貨の面におきまして、それこそ水にも食料品にもお願いをする、そうした意味におきましてはサービスも極力課税をお願いいたすところでございますが、基本的な面からの考え方といたしまして、医療、福祉、教育、この三つの面のサービス面につきましては最小限度のものとしてこれを非課税のグループに処理させていただいているということでございます。  なお、非課税としては、もう一つのグループといたしましては、これが消費税であるという観点からの定性的なものから来る非課税と申しますか、いわば不課税と申します分野もございますが、これは政策的な考え方とはまた別の観点からのものでございます。  したがいまして、一般的な消費の対象となるものにつきましては、物としては極力例外なくお願いをいたしたい、サービスにつきましては、これは一定の分野に限って政策的に非課税で御提案をしているところでございます。
  126. 千葉景子

    ○千葉景子君 物には課税、サービスについても極力ということのようでございますけれども、これは結局一つ一つ考えてみれば、こっちはどうか、いやこっちはどうかといえば明確な基準はないわけですね。  例えば、これは前回も質問が出ていたようですけれども、医療などの面でも出産の問題、これは女性から見ると、社会にとってもあるいは男性にとってもこれは同じことですけれども、日常非常に基本的な問題ですね。何でこれが課税されるのか。これはILOの百二号条約などに照らしてみてもどうも納得がいかない。当然医療に含まれるべきものだと考えますけれども、いかがでしょうか。
  127. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 最終消費サービスにつきましても、低い税率との兼ね合いではございますが、できるだけ例外は少なくお願いをいたしたい。したがいまして、医療につきましても、公的な保険制度によりまして措置されているような医療、こうしたものにつきましてはやはりそこに公的な色彩も強いわけでございますのでそうしたものは非課税のグループに入れさせていただく、そういうものでない医療につきましては、一般的な消費支出としてこれは処理をいたさせていただくということで御提案を申し上げているところでございます。
  128. 千葉景子

    ○千葉景子君 とても納得いくところではありませんね。それは、基本的に出産の問題が公的な医療ということに含まれないという根本的な問題はあろうかと思いますけれども、こういうことが非課税から除外をされている。あるいは福祉の面などを考えてみても、これから高齢化社会を迎えるという中で、老人福祉法による老人家庭奉仕員の派遣、こういうところは課税をされるということなんです。  厚生大臣、やはりこれから高齢問題というのは大変重要なところだと思いますね。大変負担も大きい。こういうところに税金がかかってくるということについてはどうお考えですか。
  129. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 今回の消費税につきましては、先ほどから政府委員が答弁いたしておりますように、原則課税、負担を薄く広く、こういうことでありますが、そうした中で国民の健康とか福祉、極めて重要な部分については一定の医療、福祉について非課税の措置がとられているということでございます。  いろいろ御指摘のような逆進性の中和の問題であるとか、それから所得税のかからない方々が消費税を導入する影響が加わりまして過重な負担にならないように予算、歳出の面で、また税制の面で適切に対応する、これは非常に大事な問題だと私は考えております。  そこで、例えば生活保護世帯であるとかまた福祉の関係につきましては、歳出の面で真に手を差し伸べるべき人たちに対しましては、これは予算編成の過程の中で適切に対応しなければならないというふうに考えておるわけでございまして、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  130. 千葉景子

    ○千葉景子君 結局は、消費税体系の中では中和措置というのはなかなかできないということなんですね。それ以外の経済政策、社会政策的な観点から対処をせざるを得ない。そうなりますと、やっぱり何をやるか、それが非常に重要な問題だと思うんです。  今おっしゃった生活保護世帯、一番税金の負担がかかってくる部分ですね、あるいは年金生活者であるとか母子家庭であるとか、要するに減税の恩恵はほとんどない、消費税の負担だけがふえるという部分、そういう部分については具体的にどんな対処をなさろうというふうに考えていらっしゃいますか、具体策はございますか。
  131. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 所得税がかからない階層、その階層の中で生活保護世帯の皆さん方につきましては、来年度の予算編成の中で生活保護基準、これを改善することによりましてこの消費税の影響を適切に中和をするといいますか、配慮をするということが可能でございますので、その点は十分に対応できると思います。  それから、それ以外の方々につきましては、福祉政策、つまり各手当の受給者についてはその手当の増額ということによりまして十分にこれは対応できるわけでございますので、そういうふうに今検討しておるわけでございます。
  132. 千葉景子

    ○千葉景子君 十分に対応できるというお答えなんですけれども、それだけではちょっとわからないわけで、例えば消費税導入による負担増が一体どれぐらいで、そしてそれに対する対策によってどれぐらい負担が緩和されるんだという一定の試算なり数字なり、そういうことを示していただかないと、十分にできますと言うだけではやっぱり心配なわけです。その辺の具体的な試算などはなさっていらっしゃいますか。
  133. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 予算編成の過程の中で適切に対応申し上げるということを申し上げておるわけでございまして、その対策のめどは今後早急に立てるように努力をいたしていきたいと考えております。
  134. 千葉景子

    ○千葉景子君 それが後追いというのではなくて、この法案を実現しようというのであれば、それに対する逆な対応措置、それは一緒に並行的に考えておかなければいけないのではなかろうかと思いますが、いかがですか、総理大臣
  135. 竹下登

    国務大臣竹下登君) こういう大きな法律、なかんずく税制問題等で、それが通った場合、それに対する中和措置等の予算の中身などは一緒にもう既に出すべきだ、こういう議論はよくある議論でありますが、一方、もう既に税ができたと思ってもろもろの作業を進めるとは国会軽視だ、こう言われたことも過去に何回かございます。  したがいまして、その辺は私なりの考えはございますが、申しておりますように、五十三年度減税のときでございますか、減税の恩恵に浴さない方々に対する措置というのをそれこそ御相談申し上げながらつくったことがございます。それらの問題は私の念頭にある一つの課題でございます。すなわち生活保護基準の問題でございます。それから課税最低限の問題でございます。その間の諸措置というようなことが私の念頭にないわけではございません。具体的に今ぺらぺらと言うだけの能力はございません。
  136. 千葉景子

    ○千葉景子君 何があってもまずは導入をし、それに後追いで対策をしようということになりますと、非常にそれを受けとめる方も不安が大きいわけですね、十分に対応ができるんだろうかということでございますから、それを積極的になさろうとする側でむしろこういう対策はやはり早目にとられるべきだと思います。基本的にはこれで緩和をされる、あるいは十分に救済できるかどうかというのはわかりません。そういう意味では、消費税というのは、やっぱり基本的には非常に問題のあるところだというのには変わらないわけであります。  ところで、ちょっとそれに付随する問題ですけれども、生活保護世帯あるいは所得税を納付するに至らない世帯ではないんですが、いわゆる非婚の女性といいますか、最近は非婚です、未婚じゃないんですよ。とりわけその中でも四十五歳から六十五歳ぐらいの方、これはいろいろな事情で非婚であるという方も多いわけです、戦後の中で。この皆さんには寡婦控除というのが認められません。そして、ちょうどその年代というのは働く面でも不利な扱いを受けているということが多いわけですけれども、この点についてぜひ独身女性といいますか、死別、離別以外の女性、そこに寡婦控除を認める方向は考えられないかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  137. 水野勝

    政府委員(水野勝君) やはり基本的には、寡婦控除につきましては、これは死別された方がお子さんをまだ扶養しておられる、そういう場合についての控除でございますので、生別と申しますか死別でない場合の離婚された方という方でも、お子さんがいなければこれは対象にされてないところでございます。したがいまして、今御指摘のもともと結婚をされてない非婚の方々につきましての高齢者の控除といったものにつきましては、やはり所得税制上の控除と申しますのは、それだけの費用が割り増しでかかる、あるいは生計を維持するのに普通以上の場合にいろいろな困難がある、そうした現象が著しいという場合を想定いたしておりますので、非婚の場合につきましての控除というのはなかなか今までの所得税の考え方の中では難しいのではないかと思うわけでございます。
  138. 千葉景子

    ○千葉景子君 これは今後の検討課題として、別に男性でもよろしいんですけれども、それはまたお考えをいただきたいというふうに思います。  ところで、今女性のさまざまな問題が重なりましたけれども、もう一つここでお聞きしておきたいのは、配偶者特別控除の問題です。  これは、サラリーマン家庭の不満解消といいますか、あるいはパートで働くそういう主婦の不満、こういうものをできるだけ解消していこうという問題点があったかというふうに思うんですけれども、これは個人事業において家族労働の実態を無視している。青色事業専従者給与の経費性を否定したところに問題があるんじゃないかというふうに思いますけれども、さらにこれは共働きの世帯との不公平が生ずる、あるいはこれは夫の勤務先に妻の給与を申告しなければいけない、こういう意味ではプライバシーの問題もあるだろう、そういうことで基本的には女性の社会進出のブレーキになるのではないか。こういう問題指摘もあるわけですけれども、この配偶者特別控除については今後どう取り扱っていかれる方向か。固定化していくのか、あるいはこれをまた違う形で改善なさっていくことができるのかどうか、そこのところをちょっとお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  139. 水野勝

    政府委員(水野勝君) まさに委員御指摘のように、普通のと申しますか、家庭におられる主婦の場合、それから事業をやっておられて青色申告を適用し、専従者控除の適用を受けているケース、それから共稼ぎの世帯、いろいろな世帯なりその就業状況につきまして議論が従来からあるところでございます。こうしたものを一括して検討してまいって、解決する方法としては、一つは二分二乗という考え方があるわけでございます。現実にアメリカ、ドイツ等ではそうした方向で対処しているわけでございますが、それぞれドイツ、アメリカはまたそうせざるを得なかった事情もあるようでございますが、二分二乗まで一挙に参りますとこれは今御指摘のようなさまざまな問題点も出てくるわけで、そこまではなかなかいけないわけでございます。しかしながら、やはり事業をやっておられて、青色専従者給与によりまして所得をそれぞれにいわば分割するというか、分与をしておられるということから、税負担にサラリーマンの場合と比べてゆがみが生ずる。また、御主人だけが働いておられる家庭と共稼ぎ世帯を比べますと、同じ世帯としての収入ではございましてもかなり共稼ぎ世帯の方が税負担は低い、軽減されている。一方、やはり家庭におられる主婦の方も御主人の稼得行為には相応の貢献をしておられるという問題もあるわけでございます。  また、もう一つ御指摘のパートの問題があるわけでございます。パートの問題につきましては、最初は少々の所得がございましても一定の金額までは免税とするという扱いを始めましたところ、それが一つの壁になって就業を阻害するという現象がございましたので、その一定の金額というのを随時上げてまいりまして、今は人的控除額と一致してしまったわけでございます。そうしますと、それが壁が大きくなりましたものですから、ますます就業を阻害するという現象が生じたわけでございます。このパート問題は、毎年少しずつそうした少額不追求額を上げてみたり、給与所得控除の適用、課税最低限を上げてみたりして、少しずつ対処してまいりました。それだけに、かえって弊害が大きくなってきたという面もございます。そうした問題を一括して、しかし二分二乗までいかない方法で解決する方法として配偶者特別控除というのを創設をいただいたわけでございます。これを今回の改正では、その配偶者特別控除額を普通の人的控除額、配偶者控除額そのものと一緒の金額に今回さしていただければと思っているわけでございます。それによりまして、一つの大きな問題点であるパート問題はほぼこれで対処できるのではないか。  そういたしますと、この配偶者特別控除額を配偶者控除額と同じ額にお願いをしている今回が一つ解決のポイントと申しますか、段階かと思いますので、しばらくはこの制度でやっぱりお願いをするのがいいのではないか。さらに、いろいろ御議論があれば、将来の問題としては二分二乗といった問題にも展開することも考えられないことはないのでございますが、やはり当面、今回の抜本改正として、配偶者特別控除額を配偶者控除額に合わせた今回の御提案でもって、しばらくこの制度で定着をしていただけるのではないかと考えてございます。
  140. 千葉景子

    ○千葉景子君 それはどうもちょっと逆転をしているんじゃないかと思うんですが、やはりこの配偶者特別控除の問題は今後むしろ解消していく、固定化するのではなくて解消させていく、むしろこういう問題は基礎的な人的控除、これを増額していくことでできるだけ特別な控除というものは解消をさせていくべきではなかろうかというふうに思うんですね。しばらくは固定化してということではなくて、今後の検討課題として残していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  141. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる稼得単位でございますよね、今。それから二分二乗というのは、今お話がありました、あるいは家族単位とかいろんな歴史を今日までたどっております。ただ委員にお話ししますのは、税制調査会には必ず国会でされた議論というのはそれを正確に伝えて議論の素材として提供するわけでございますから、税制そのものは絶えず検討し続けていかなきゃならぬわけでございますから、その意味においてちょっと考え方の若干の相違はございます、私自身と。二分二乗というものとの中和といわゆる各種基礎控除を上げていけという若干の相違はございますけれども、そうした問題は税制を論議する者にはお互い永遠の検討課題であろうと思います。
  142. 千葉景子

    ○千葉景子君 ぜひそれは、いずれではなくて、できるだけ早い時期に検討を開始していただきたいというふうに思います。  時間がなくなってまいりましたので、物価の問題に若干触れさしていただきたいと思いますけれども、やはり懸念の中に物価が上昇する、インフレが避けられないのではないかというような懸念もあるわけですけれども、この物価の上昇について基本的にはどうお考えか、どの程度の上昇があり、そしてその根拠、そしてそれに対する対策、これについてお聞かせをいただきたいと思います。
  143. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 今回、御提案申し上げております消費税は、基本的には消費者に御負担をいただくという考え方でございますので、その分だけ物価の形でいわば御負担をいただくということから、物価がその限りでは上昇するということでございますが、他方におきまして、物品税を初めとする八品目が廃止され、あるいは酒、たばこ等の減税もございますので、物価そのものとしては、政府として、経済企画庁として計算をしていただいておりますのは一・一%の上昇となると見込まれているところでございます。ただ、これはそうした間接税制度の改正と申しますか、消費税の導入によりますところの一回限りの上昇であると考えておるところでございます。
  144. 千葉景子

    ○千葉景子君 一回限りということでございますけれども、この物価の上昇といいますのは、税金分で価格が上昇する、それによって賃金がどうしても上がっていく。その賃金が上がった分はまたそれがサービスなどに転嫁をしていくということで、必ずしも一回に限らないというふうに私は思うんですね。  それから、その物価については帳簿方式で、本当にこれが税金分か、あるいは物価の値上がり分か、インフレ傾向かというのが一つ一つチェックしにくい、そういう面もあります。また、これは外国の例などを見ても、韓国などもこの物価の値上がりについては公示価格などを設けてその上昇を抑えようとしたけれども失敗したというような歴史もあるようでございます。そういう意味では、消費者にとってはこの物価の値上がりというのはそれこそ大変な懸念をするところなんですけれども、それについて総理大臣としてはどんなお考えでしょうか。
  145. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今お話し申し上げておりましたように、これは消費者に転嫁する税制ですから一回ぽっきりの物価への影響はあると、いろんな試算の仕方がございますが、政府は一・一とこう申し上げておるわけでございます。  今の委員おっしゃいました、それが賃金にはね返ってそうして諸物価に影響してというのは一般的な経済原則でございますので、この税そのものから発生するというものは一回きりであるというふうに御理解をいただきたいと思います。ただ、これに乗じて便乗値上げでございますとか、そういうことがないことにつきましては、十分これはあらゆる手段でもって監視していかなきゃならぬ課題だと思います。  それから、韓国のインフレはちょっと要素が違うんじゃなかろうかというふうに思われます。
  146. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 千葉君、時間が参りました。
  147. 千葉景子

    ○千葉景子君 残りがありますけれども、これで終わらせていただきます。(拍手)
  148. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 次に、勝木健司君の質疑を行います。勝木君。
  149. 勝木健司

    勝木健司君 総理は、行政改革は道半ばというふうによくおっしゃっておられますし、また税制改革と行政改革は車の両輪とも言われておるわけであります。税制の抜本改革、また消費税の導入によりまして国民に新たな負担を求めようとするならば、やはりその前に税金のむだ遣いを徹底的に正す必要があろうかというふうに思うわけであります。その意味で、行革をこれまで以上に推進しなければならないというふうに考える次第であります。  また、さらに総理は、十月二十六日の衆議院の税特委で、我が党の議員の質問に対して、進捗状況についても百点満点中三十点だというふうに自己探点をしておられます。  まず、この行財政改革に取り組む総理の基本的な考え方というものをお伺いしたいというふうに思います。
  150. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私は、元来行政改革ということに割に若いときに興味を持ちまして、それが今余り議論の土台に上ってきませんが、それは行政組織法であり、そして一つは総定員法というようなときから情熱を、若い代議士でありましたが、注いでまいりました。しかし、行政改革というのが本当に天の声と言われるようになったのは、私は土光さんという人によって世間全体がつくったような感じがいたしております。そして、それも当初大平行革のときに私自身大蔵大臣でしたが、いわゆる電電の民営、また国鉄の分割・民営の問題、たばこ専売の問題というところまでは実際大平行革のときは思いが及びませんでした。しかし、鈴木・中曽根行革に当たってそれがとにかく実現したわけでございますから、しかもその果実が、電電株等々果実が既に出てきておるというようなことでございますので、むしろ注意しなきゃならぬのは、これで何だか済んだというような感じになってはいけない、それこそ押し上げた荷車が一遍に坂を下ってくるような形になってはいけないということで、毎日みずからを戒めておるつもりでございます。  したがって、この六月の新行革審検討を踏まえまして今般決定しましたのが規制緩和推進要綱、これにまずは積極的に取り組むことである。それのみならず、国、地方を通ずる行革問題は今後とも目を離さないで政策の重点課題の一つであるという位置づけで進めていきたい、このように考えております。
  151. 勝木健司

    勝木健司君 今、総理から規制緩和推進要綱というお話がありましたので、これに関連してお伺いをしたいというふうに思うわけでありますが、去る十二月一日に新行革審から提出されました「公的規制の緩和等に関する答申」でも、国際化への対応をしなきゃいかぬ、あるいは経済社会の活性化あるいは効率化、内外価格差の縮小による国民生活の質的向上などなどの観点から、やっぱり経済的規制については原則自由だと、そしてまた例外規制の方向というものが打ち出されておるわけであります。  これを受けて、政府として規制緩和の具体的なアクションプログラムを策定して次の通常国会にはこの公的規制の緩和に関する一括法を提出する考えがおありなのかどうか。  そしてまた、この公的規制緩和についてもサンセット制度というものを適用していくつもりはおありなのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  152. 高鳥修

    国務大臣(高鳥修君) ただいま委員御指摘のように、先般新行革審から規制緩和に対する御答申をいただいたわけでこざいまして、政府といたしましてはこれの推進要綱を作成いたしまして先般閣議決定をいたしました。それに基づいて着実に実施していくことといたしておりますが、ただ、法律改正という部門に絡む面については必ずしもそう多くはないのではないか。それよりも政省令とか、あるいは具体的な各役所の通達というようなもので処理されるものがかなり多いというふうに考えております。  したがいまして、一括法としてなじむかどうかということについて現在なお検討中でございますが、いずれにいたしましても着実な実施を目指して取り組んでいきたいというふうに考えております。
  153. 勝木健司

    勝木健司君 サンセット制度についてはいかがですか。サンセット制度。
  154. 高鳥修

    国務大臣(高鳥修君) 失礼しました。  サンセット制度につきましては、今後やはり答申の線に沿いまして、原則として期限を定められるものについては期限を定める、あるいはまた新規のいろいろな施策の導入に当たっては厳密にサンセットできないかどうかということを厳しく検討してまいりたいというふうに考えております。
  155. 勝木健司

    勝木健司君 今回の税制改革、また消費税の導入については、どんどん上がっていくんじゃないかということをやっぱり国民は一番懸念をしておる、疑念を持っておるんじゃないかというふうに思います。そういった意味で、行財政改革の推進というのは行政の効率化を図ると同時にやはり国民負担の軽減、すなわち消費税率の歯どめとしての意味を持っているんじゃないかというふうに思うわけであります。  そういう意味で我が党は、従来から行革の中期計画、また新たな財政再建計画を出せということで提出を求めてきたわけであります。これに対して、十月二十五日に「行財政改革の推進について」という資料が出されております。さらにまた、十一月の十六日には我が党と自由民主党との間で行財政改革推進と消費税率の歯どめとする旨の合意が得られたわけであります。我々の求めに応じて行財政改革の方向を示したということは率直に評価をいたすわけでありますけれども、しかし消費税率の歯どめとしては具体的な年次計画なり、あるいは目標数値が十分示されておらないという意味で、内容については不満であります。  そういった意味で、まず全体として行財政改革の方向についての資料を各論ごとに年次計画あるいは目標数値を入れた具体的なアクションプログラムを出して、これをブレークダウンして国民の前に提示する考えというものが必要じゃないかというふうに思いますけれども、御見解をお伺いしたいというふうに思います。
  156. 高鳥修

    国務大臣(高鳥修君) 先般、民社党からの強い御要請によりまして行財政改革についてのペーパーを衆議院の税制改革の特別委員会にお出ししたところでございますが、この推進についての考え方というものは、ただ単に審議会答申を受けたというだけではなくて、政府がそれぞれの各省庁と十分打ち合わせをした上で、文言の一つ一つについて各省庁が基本的に了解した上で作成したものでございます。したがいまして、この中期的な期間において必ずこれを政府として実行いたしますというお約束をしているものであります。ただ、中には十年なり十二年なりの歳月を要するようになっているものもございますが、原則としては三年ないし五年の間にこれを実行したいというふうに考えているものであります。  昭和六十四年度の予算編成に当たりまして、それぞれ各省庁とまたいろいろと打ち合わせをいたしまして、できるだけ年次の入れられるものについては年次を入れるように努力をしたいというふうに考えて、今、作業を進めているところでありますので、どうぞ御了承を賜りたいと存じます。
  157. 勝木健司

    勝木健司君 また、竹下総理衆議院の方で総定員法とか、あるいは行政組織法の見直しということに大きな関心を寄せておるというふうに答えておられます。さきのいただきました資料の中でも、定員については第七次定員削減計画に基づいて定員の削減を進めるというふうにされております。その定員削減はその定削計画によってどのくらいの歳出削減効果が得られるのかということをお伺いしたいのと同時に、この総定員法の枠外にある、例えば国立大学の定員を総定員法の枠内に含めるというような具体的な総定員法の見直し策をお示しいただきたいというふうに思うわけであります。
  158. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 具体的な答弁は専門家の助けをかりることにいたしますが、行政組織法、総定員法というのは見直しというよりも私自身つくるときに大変な関心を持ったということが基本的に申し上げたかったわけでございます。ただ、総定員法の問題では、今、勝木委員おっしゃいましたように、大学病院がたくさんできました。あれは枠外にしましたですよね。それがいつ中へ入れられるかというのは、本当は私の関心事でございますが、ちょっとまだ第七次計画後もできますよというところまで断定するほどの自信はございません。
  159. 高鳥修

    国務大臣(高鳥修君) 今、総理から御答弁がございましたが、その中で新設の国立医科大学等に係る定員についても総定員法に入れるべきではないかという御意見でありますが、これは新設の医科大学等につきましては、実はいわば育ち盛りの子供みたいなものでありまして、どんどん着る物が大きくなっていくという関係にありますので、ある程度育つまでどこで切っていいかという、その着物のサイズが決まらないということがございまして、したがって今日まで厳しい定員査定はしてきておりますが、総定員法の中に入れてこなかったわけであります。しかし、大体めどがかなりついてきたかなというふうに考えられますので、今後そうした実態をしっかり踏まえた上で、やはり近い将来において御提案のようにすべきものであろうというふうに考えております。  金額的な節減効果につきましては、今、手元に資料ございませんので、後刻調べて申し上げます。
  160. 百崎英

    政府委員(百崎英君) 第七次定員削減計画でございますが、五年間の削減目標が全体で四万三千九百八十人ということでございますが、これは人件費に換算いたしますとトータルで二千二百七十億円というような経費節減の効果になるというふうに見ております。    〔委員長退席理事斎藤十朗君着席〕
  161. 勝木健司

    勝木健司君 行政組織につきましては、国土関係の三庁の統合などが挙げられておるわけでありますが、具体的な統合の時期とか方法についてお伺いをしたいと思うわけであります。  また、行政組織法の見直しというならば、昭和五十八年の国家行政組織法改正の際に、五年後には現在の百二十八という官房、局の総数について見直すことが盛り込まれておるわけでありまして、この見直しの時期に今来ておるんじゃないかというふうに思うわけであります。この総数の上限についても、一割あるいは二割でも削減することを考えておられないのかどうか、お伺いしたいというふうに思います。
  162. 高鳥修

    国務大臣(高鳥修君) 国土三庁の統合につきましては、いわゆる臨調、臨時行政調査会、それから旧行革審、それから現在の行革審におきましてそれぞれ検討するように要請されているところでございます。  ただ、率直に申しまして、これは総論賛成でありますが、各論になるとほとんど全部の政党が反対をなさるというような性格のものでございまして、私どもといたしましては、臨調、行革審の答申を尊重するという限り、これは遠からざる将来に統合すべきものであるというふうに考えております。ただ、沖縄の特殊事情あるいは北海道、特に最近は農産物の自由化等の打撃も非常に大きいということで反発も随分ございますので、したがってきょうあすにというわけにはまいらないと思いますが、中期的な検討課題としてこれを推進すべきというふうに考えておるところであります。  それから、局などの削減につきましては、これは行政の基本的な単位として私ども常時見直しはいたしておりますが、今現在、具体的な幾つ削減するというような計画については持ち合わせておりません。しかし、御趣旨に沿って検討は厳しくやっていきたいと思っております。
  163. 勝木健司

    勝木健司君 いただきました政府資料では、三公社の民営化後の各会社については政府保有株式の逐次公開を進めるとか、あるいはそういう自民党と民社党との合意でも、国債の償還財源についても政府保有の土地、株式等の資産の適切な売却に努めるということになっておるわけであります。JR、NTT、日本たばこの株売却の具体的な処分計画はいかがなものかということをお伺いしたい。  さらにまた、他の特殊法人につきましてもJR、NTT、日本たばこに倣って民営化、そして株を売却していくという計画をお持ちであればお示しをいただきたいというふうに思います。
  164. 高鳥修

    国務大臣(高鳥修君) お答えの前に、先ほどの答弁にちょっと補足をさせていただきたいと思いますが、官房及び局の見直しのことについて申し上げるのにいささか適当でないところがございましたので、訂正させていただきたいと存じます。  すなわち、現在施行中の法律が五年を経過した後に、すなわち昭和六十四年七月以降でありますが、速やかに見直しを実施するという規定がございまして、その規定に従って来年七月以降見直しを実施するということになっておりますので、その点を追加させていただきます。  それから、特殊法人の株式の売却等につきましては、これは大蔵省の所管でございますので、その他の法人の民営化すべきという御意見につきましては、私どもとして基本的にそうした方向で進めるべきであるということで今後とも取り組んでいきたいと考えております。
  165. 篠沢恭助

    政府委員(篠沢恭助君) お答えいたします。  株式売却の具体的な計画はどうかというお尋ねでございます。  NTTにつきましては、一般会計から現在国債整理基金特別会計に対しまして定率繰り入れを停止せざるを得ないというような厳しい財政事情のもとにありましては、先生御承知のとおりこのNTTの売却代金というのは公債償還のためのかけがえのない財源というふうに現在なっておるわけでございます。  そこで、これまで御承知のとおり六十一、六十二の両年度は百九十五万株ずつ、それから当年度六十三年度におきましては百五十万株の売却を行ってまいったわけでございます。この収入につきましては、今申しましたように国債の償還財源それから御承知のとおり社会資本整備のいわゆるNTTの活用ということで行っておるわけでございます。  これから具体的にどうするかということでございますが、私どもとしましてはこのNTT株式の売却につきましては、予算に計上の上逐次計画的に進めていくことになろうかと思いますが、例えば六十四年度来年度の予算編成で具体的にそれでは何株どうするかということを現在ちょっとまだ即答できる状態ではございません。この辺につきましては逐次予算編成の中で計画的に進めてまいりたいということでございます。  したがいまして、全くまだわかっておりませんのは日本たばこということになりますが、日本たばこの株式につきましても、これは国債整理基金特別会計に売り払い可能分が帰属しております。一部産役特別会計に帰属している分がございますが、売り払い可能分が大体国債整理基金特別会計に帰属をしておるわけでございまして、一つの心強い支えになるわけでございますけれども、ただ、日本たばこの売却につきましては、御承知のとおりの会社の経営のこれからの実態、たばこ事業のこれからの推移といったことを見ながら慎重に検討をさせていただきたいというふうに考えます。全体といたしまして会社の経営実態とか金融証券市場のそのときの動向といったものもこれは勘案要素になりますものですから、あらかじめ何年に幾らずつという放出計画を簡単に策定し得ないという点については御理解を賜れればありがたいと思います。  それからJRの株式でございますが、これは国債償還と申しますよりは一義的には御承知のとおり国鉄清算事業団の抱えております国鉄長期債務の処理との関係で考えていかなければならないと思います。できる限り早期かつ適切な処分に努める必要があろうかと存じますが、当面、今後のJR各社の経営動向等を十分見きわめる必要がございまして、現段階においてまだ確たることは申し上げかねておるわけでございます。例えば留保しておる資本の額等につきましても、まだその基準を満たし得ない。一年経営して黒字が出てきたという段階でございますので、若干時間を要するものというふうに考えておるわけでございます。  それから、特殊法人で民営化した場合の株の売却ということにつきましては、先ほど総務庁長官がお答えになっておられるわけでございますけれども、近年の例だけを申し上げますと、やっぱり日本航空の民営化に伴いますいわゆる株の全額放出がございました。それから東北開発株式会社の民営化に伴う株式の放出がございました。NTTの民営化に伴う株式放出については御承知のとおりでございます。それから、一番新しい例といたしましては沖縄電力株式会社、これがいよいよ民営化ということで株式の全体の放出が間もなく行われると。一部一般競争入札だけは終わっておりますが、いわゆる完全な放出は来春行われるということであると考えております。  以上でございます。
  166. 勝木健司

    勝木健司君 現在、我が国の一般会計に占める国債の比率でありますけれども、六十一、六十二年度二〇・九%、また六十三年度も二〇・三%ということで、どうしても二〇%を切ることができないような状態であります。そういう財政の不健全な借金依存体質等、そしてまた財政の硬直化の現状というものが如実にあらわれておるんじゃないかというふうに思うわけであります。六十五年度に特例公債の依存体質からの脱却という政府の努力目標というものが達成されましても、いわゆるツケ回しとか先送り、例えば厚生年金等への繰り入れの特例あるいは住宅金融公庫の利子補給金の繰り延べ、国債整理基金への定率繰り入れの停止など、将来国民負担にはね返ってくるものが結構あるわけでございます。このような中での消費税の歯どめというものが行財政改革の中期計画の中で明確にされませんと、消費税を通じて国民にのしかかってくるとの疑念は払拭はできないんじゃないかと思うわけでございます。さきの政府提出資料の中でも、一般会計の歳出に占めるシェアを縮減するように目指すというふうに述べられておるわけでありますけれども、このシェアの引き下げをいつまでにどのくらい下げていこうとしておられるのか。  同時にまた、いわゆるこのツケ回しの、あるいは先送りの解消の具体的な計画を簡潔に御報告いただきたいと思います。
  167. 篠沢恭助

    政府委員(篠沢恭助君) 御指摘がございましたように、国債費は現在十一兆五千億円、一般会計の二割を占めております。したがいまして、財政対応力の回復という観点からは、この状況は先生御指摘のとおりできる限り頑張って改善をしてまいる必要があると思っております。  現在、さしあたりのところといたしましては、御承知のとおり六十五年度特例公債依存体質脱却ということで最大限の努力を払っておりますが、仮にこの脱却が終わりましても国債残高は大変な累増をしておりますし、なお累増もしていくわけでございます。したがいまして、国債費の重圧というものはなお持続していくことになると思いますけれども、私どもとしましては、何としても御指摘のとおり公債依存度の引き下げなどによりまして公債残高を抑制しまして国債費のシェアを縮小していかなければならぬと思います。  ただ、具体的にいつ、どの程度するのかということでございますが、国債費のシェアはやはりそのときどきの経済事情あるいは特に財政規模の持っていき方等によりましてもかなり左右される問題でもございます。したがいまして、現段階で何年度にどの規模までということを申し上げることはちょっと困難でございます。この点はお許しを賜りたいと思います。しかしながら、財政運営の方向として、この紙に書かれましたように長期的にその縮小を目指すということは、極めて最大にトッププライオリティーの重要な問題であるというふうに私どもとしてはとらえて努力してまいりたいと思っております。
  168. 勝木健司

    勝木健司君 ツケ回しとか先送りの具体的な解消策。
  169. 篠沢恭助

    政府委員(篠沢恭助君) いわゆる財政支出の繰り延べ措置の問題でございますが、それぞれの制度、施策をめぐる状況を十分検討いたしまして、その運営に支障を生じない範囲でお願いをするというような形でこれまでやってまいったつもりでございます。しかし、一種の隠れ特例公債ではないかというような御指摘は非常に近年強くいただいておることも踏まえまして、私どもこれらの問題の処理につきましては、その制度、施策をめぐる状況を十分検討しまして、その運営に支障を来すことのないように、できるだけ早目にいろいろな処理を考えて配慮していかなければいかぬということで努力してまいりたいと思います。
  170. 勝木健司

    勝木健司君 行革の最後の質問でありますけれども、竹下総理は、今後の重要な政策課題ということで「ふるさと創生」を掲げておられる。そしてまた、来る十九日にはこの新行革審に対して国と地方の関係直しについての諮問をされるというふうに伝え聞いております。また、この「ふるさと創生」のためには地方自治体に特別の補助金を出すとも言われているわけでありますけれども、この国と地方との関係のあり方について総理はどのように考えられておるのか。特に補助金のあり方については、一律カットではもう壁に突き当たっておるわけでありまして、補助事業の内容そのものの抜本的な見直しを行うべきでありまして、その意味からして現在の補助金のあり方を正さずに、ただそういうばらまき的に補助金を交付するということは、かえって行革の趣旨に反しかねないんじゃないかというふうに懸念するわけでありますが、見解をお伺いしたいと思います。
  171. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 国と地方ということについては、基本的にはいつも申し上げますように事の両輸と、こういう位置づけをいたしております。そうして民主主義の原点は自治にあると、こうも申しております。そこへ、客観的な環境から見ますと、この多極分散型国土形成というような問題が四全総で明らかになったという環境があるわけであります。身近なものは身近なところでと、こういう処理ができるように、国、地方間の役割分担というのはいつも心がけていなきゃならぬ課題だと思っております。  具体的には機関委任事務の整理合理化、これらを推進してまいりたいというふうに今考えております。  それから補助金の問題でございますが、勝木委員、貴党の方針としての第二交付税的なものまであるいは念頭に置いての御議論かと思いますが、第二交付税的な考え方も随分勉強しましたが、なかなか具体的にかくかくしかじかであるというものは出てまいりませんが、補助金一つとりますと、まあ率直に言って社会保障、文教、公共事業、それが大ざっぱに言って八割、そうして法律に基づくものが八割、それから地方を通ずるものが八割、それらのものを取った後の残りの問題について、いつも言われておりますサンセット方式でありますとかいうような形で逐次縮小する考え方でこれに対応しておることは事実であります。  それから、今の「ふるさと創生」の考え方からする問題、ばらまきと言われてはならぬと事実思っておりますのは、三千二百四十五市町村ございますが、たまたま御努力によりまして、六十二年度の剰余金の中で、これを具体的には自治省において検討しておりますが、いわゆるハードの面ではなくソフトな面における「ふるさと創生」の下敷きが描けるように、またそれが事業にもつながっていくようにということで、今自治省を中心としまして政府部内で検討しておるというのが今日ただいまの状態でございます。
  172. 勝木健司

    勝木健司君 時間が大分たっておりますので、もう簡単にまとめて厚生大臣にお伺いをしたいというふうに思うわけでありますが、先般政府が示されました「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標」、いわゆる福祉ビジョンにつきましては、今後の国民の負担の基本的考え方として、「人口高齢化の進展等に伴い、長寿・福祉社会を実現するための国民の負担は、長期的にはある程度の上昇は避けられないが、経済の発展、社会の活力を損なわない程度にとどめる」ということになっております。将来の社会保障制度の枠組みというものを明確にしないまま国民負担率がじりじりと上昇していくのは極めて問題じゃないかと思うわけであります。  そこで、将来の社会保障に対する国民の社会保障負担、また国庫負担のそれぞれについてどのような水準になるというふうに見込んでおられるのか。そしてこれもできましたら、現在の六十三年度の価格での七十五年度、八十五年度のそれぞれの負担額と六十三年度の負担額の差は幾らになるのかということ、そしてまたそれによって巨額の負担増が当然必要になってくるだろうというふうに思われます。そういう巨額の負担増というものを今後どのように賄っていくつもりなのか。政府は消費税の税率を上げないと言っておるわけでありますけれども、やはりこのような社会保障の負担増から見ても、将来、税率は引き上げるつもりではないのかというふうに国民は懸念をいたしておるわけでありますので、そこら辺をまとめてお伺いしたいというふうに思います。
  173. 末次彬

    政府委員(末次彬君) 初めに私の方から数字の点について御説明を申し上げます。  ごく粗っぽい試算でございますが、委員御指摘の金額につきましては、社会保障負担は七十五年度で六十五兆円ないし七十五兆円程度、八十五年で百二十五兆円ないし百五十五兆円程度、国庫負担は七十五年度で二十五兆円ないし三十兆円程度、八十五年で四十五兆円ないし五十五兆円程度と見込んでおりますが、この価格を六十三年度価格に置き直しますと、社会保障負担で七十五年度で四十兆円ないし四十二兆円程度、八十五年度で四十八兆円ないし五十三兆円程度、国庫負担は七十五年で十六兆円程度、八十五年で十七兆円ないし二十兆円程度でございます。  この数値を六十三年度の数値と比較いたしますと、社会保障負担は七十五年度で八兆円ないし十兆円程度の増、八十五年度で十六兆円ないし二十一兆円程度の増、国庫負担は七十五年度で四兆円程度の増、八十五年度で五兆円ないし八兆円程度の増になるというふうに推計をいたしております。
  174. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 今、御説明申し上げましたような社会保障の負担の増になるわけでございますが、今の我が国の社会保障制度というのは社会保険方式を採用しておりますから、これはやはり受益と負担の関係が非常に明らかになる、また制度の運営が極めて効率的な運営ができるというような利点がございまして、この社会保険方式という方式が定着をしておるということでございます。  そういうことでございますから、やはり社会保障の負担というのはこの社会保険料を中心としてそれに税を適切に組み合わさしていく、こういうことでございまして、全体の負担の中でどういう割合になるかということについては、これは最終的に国民の選択にまつ、またはそれによって決まるものだというふうに考えておるわけでございます。
  175. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる社会保険負担と租税負担と足したものが国民負担、これは臨調におきましても、ヨーロッパのそれをかなり下回るところで将来構築しなさいと、こういうことでございました。ヨーロッパのその当時は、また上がってきておりますが、この問題は、今、厚生大臣がお答え申し上げましたように、最終的にはこれは国民の選択の問題でございますが、これからの人口構造の変化等を踏まえながら、これに対して本当はきちんとした長期ビジョンをだれしも出すべきである、出したいという気持ちはありますが、現実、今の制度、施策をそのままにした数値等は出てまいりますけれども、今後の問題として、やはり臨調で言われたことを念頭に置きながら対応していくべきものであるというふうに考えております。
  176. 勝木健司

    勝木健司君 消費税の方に入りたいと思いますが、昭和六十年の十二月の二十日に、たばこ消費税の税率改正が突如として行われたことは記憶に新しいところであります。つまり、二千四百億円の増税というのが政府税制調査会の通常の審議に付されることもなく、時間切れのどさくさに紛れて辛うじて追認されたというふうに聞いております。このような足りない分だけ増税するという安易で場当たり的な姿勢というのは、総理はまさかお持ちではないというふうに思うわけでありますけれども、時の大蔵大臣でもあったわけでありますので、この際、この場で、消費税が過去のたばこ消費税のようなケースとならないための歯どめの措置として明確にお聞かせをいただきたいと思います。
  177. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これはありがとうございます。確かにあのとき私が本院へ参りまして、終わりのどさくさではなく、一遍税調が幕を閉めた後でどうしても足りぬようになりまして、それで一本一円、三千億円ということで、十一カ月二千四百億円になりますが、そのことをお願いに来たのはこれは私でございますから、あのときぐらい、私自身、本当はいわゆる痛税感のないところへとかく手を出したがる習癖があるということを戒めとする、それが原点であったというふうに思っておりますので、この点につきましては、将来とも私の経験が末代まで伝わるように心がけなければならない私の責任であるというふうにも思っております。
  178. 勝木健司

    勝木健司君 衆議院におきます税制改革の最終段階で、我が党と自由民主党との書記長・幹事長会談におきましても消費税の歯どめについての合意がなされ文書を交換したわけでありますが、この歯どめの措置については、やっぱり公党間の合意というふうに考えるわけでありますけれども、政府としてどのように考えておられるのか、またこの内容で本当に十分だというふうに考えられておるのかどうかをお伺いしたいと思います。  あわせて、この消費税率が毎年毎年、経年的に上昇していくのではないかという疑念がやはり国民には強い以上は、この参議院におきましても、消費税率の歯どめについての国会決議なり、あるいは附帯決議の形で決議をすべきであるというふうに考えるわけでありますけれども、それに対しての政府の御見解をお伺いしたいと思います。
  179. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この回答を私どもも承知しております。今後、消費税率が経年的に上昇するのではないかという国民の疑念にこたえるため、今後とも引き続き行財政改革を強力に推進する。そこで、六十五年特例公債依存体質から脱却する目標をこれから達成を図っていく。それから今おっしゃったような公債依存度の引き下げ、これに努める。そして国債の償還財源は今おっしゃった土地等々の問題に最大限の努力を行う。こういう趣旨を踏まえて所得、消費、資産の間に均衡のとれた税体系の確保の必要性に配意しつつも、極力維持を図るように努める。こういう回答がありますので、私どももこのまま、しかも両党の幹事長、書記長どっちも税のプロでございますし、私どもはこの線に従った対応をすべきものであるというふうに強く自覚いたしております。
  180. 勝木健司

    勝木健司君 それでは、転嫁の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。  今回の消費税法案の最大の問題というのは、税額をきちんと消費者ないしは事業者に転嫁できるかどうかということにあろうかというふうに思います。  そこで、まず衆議院段階で修正したこの第十一条ですか、修正条文を政府はどのように評価をされておるのか、またこの修正で十分転嫁が可能なのかどうか、お伺いをしたいと思います。  あわせて、この修正条文で転嫁の円滑化条項が盛り込まれたわけでありますけれども、具体的にはどのような内容を考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  181. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 税制改革法案の十一条におきましては円滑適正な転嫁という観点の条文を私ども御提案申し上げておりましたところ、この転嫁につきましての考え方をさらに一層明確かつ徹底したものにするような条文の修正をいただいたわけでございます。このような修正がございませんでも、私どもとしては、関係部局と御相談しながらその円滑適正な転嫁のための努力をすべきことは当然でございましたけれども、このような条文の修正をいただいたということは私どもとしてもさらに重く受けとめておるところでございまして、さらに密接な関係省庁間での連絡をとりながら最大限の努力をいたす必要があると考えているところでございます。  その転嫁につきましての個別的具体的な方策につきましては、再々申し上げているところでございますが、この転嫁に関する指導、相談、PR、転嫁力を強化するためのさらに新たな予算措置等も含めて、個々具体的に努力をしてまいりたいと思っております。
  182. 勝木健司

    勝木健司君 次に、税の外枠表示についてでありますけれども、商品に税額表示をしないと各取引段階での優劣によりまして転嫁が困難になるんじゃないか、あるいは不明確になるおそれがあるというふうに思われます。今の制度では事業者の判断次第になっておるということで、転嫁すべき事業者にとっても、また税を転嫁される消費者にとりましても極めて不明朗じゃないかと思われます。再販価格等の問題もあるわけでありますが、税の転嫁の確実性及び転嫁される側にとっての明朗性というものを確保するためにも、一律に税を外枠表示すべきだ、そうすることが筋じゃないかというふうに考えるわけでありますけれども、大蔵省としての見解をお伺いしたいと思います。
  183. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 御趣旨は委員の仰せのとおりかと思います。外税表示をすることが事業者自身にとっても、また消費者から見た場合におきましても、それが円滑適正な転嫁に資するものとは考えられるところでございます。  ただ、前回売上税におきましてその点を一層明確にする措置として税額票の制度をお願いをいたしましたけれども、それはそれとしてまた取引の観点からいろいろ問題点が指摘されたところでございます。また、取引の形態、慣行によりましては、常に価格と税額を区分して表示をするということが必ずしも必要ではない、あるいは適当でない場合、あるいは今申し上げました事業者に大きな事務負担を負わせるという場合もあるわけでございますので、すべての場合につきましてこれを法律で強制して仕組むということは、これはやはりそこまではいかがかと思うわけでございます。  そういうことから、税制改革法の十一条におきましてはこの趣旨を明らかにはしておりますが、やはりそれは、その際、事業者は必要と認めるときは、税額が明らかになる措置を講ずるものとするというふうに規定をさしていただいているところでございまして、この条文のあたりが限界か、しかし委員御指摘の御趣旨はよくわかるつもりでございます。
  184. 勝木健司

    勝木健司君 税額の端数処理の問題というものもやっぱり統一をすべきじゃないか。つまり端数が出た場合の、一円単位で行うのか十円単位で行うのか、また四捨五入なのか切り上げなのか等々の問題もあります。そしてまた、単品によって端数処理をする場合とレジ一括方式でする場合とでは税額差が当然出てくるわけであります。その辺のところはどのように見解としてお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  185. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 考え方といたしましては、それぞれにつきまして三%ずつ転嫁をお願いするのが筋でございます。しかしながら現在の価格設定の方法や態様によりまして、これをそのまま行いますときは端数が生ずる。あるいはただいま御指摘の再販の場合もございます。それからまた、公共的な料金におきまして、それを事業者の態様、規模等によりまして区別することが適当でない場合もあろうかと思うわけでございます。しかしながら、基本的には、三%をお願いをするという大枠の中で、四捨五入、切り捨てあるいは切り上げ、それから困難な場合は、その事業者全体としての収入なり売り上げが、三%の上昇、増加に見合う、その範囲内で合理的な方法で転嫁を定めていただくという基本的な考え方でございます。  具体的な方策につきましては、公正取引委員会、経済企画庁等と十分現在検討、勉強中でございます。
  186. 勝木健司

    勝木健司君 公正取引委員会の方にお伺いしたいと思うわけでありますが、化粧品とか出版物等のいわゆる再販価格商品でありますけれども、これについてメーカーがあらかじめ商品に消費税分を上乗せした価格を記入して小売店へ供給できるというふうにガイドラインには示されておるわけでありますけれども、これでいきますと、小売店にとりましては価格に転嫁されている商品とされていない商品が混在することになるということで事務作業が煩雑になる、大変になるだろうと思われるわけであります。  そういった意味で、これを防止するためには、やはり分けて表示することで解決すべきであるというふうに考えるわけでありますけれども、公正取引委員会の見解をお伺いしたいと思います。
  187. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 再販商品でございますけれども、消費税額相当部分を内書きにするか外書きにするか、これは先ほど大蔵当局からのお答えもありましたように、基本的には商品ごとに事業者の判断に任せるという問題であると思います。  ただ、再販商品は独禁法で特別な扱いが認められている商品でございますから、公正取引委員会といたしましては、業者の方で内書きにするか外書きにするか、もちろん業者が決めるわけでございますけれども、一たん決めたものは消費税額が必ず区分されて末端の方に流れていくように、つまり消費者の手元に来たときに、その再販商品のうち消費税額が幾らであるかということをはっきり示すという方法でこれはきちんと指導してまいります。
  188. 勝木健司

    勝木健司君 次に、消費税の実施がされますと、産業間での需要構造の変化というものが懸念されるだろうというふうに思います。現行物品税についても種々問題があったということで、これを是正する点は評価ができるわけでありますけれども、是正の仕方が余りにも性急に過ぎないかと思うわけであります。  貴金属、宝石が食料品などと同じ三%というのは庶民感覚からして納得できるものじゃないんじゃないか。また、物品税の是正については、もっとなだらかに段階的にすべきだと思うわけであります。自動車についても、暫定措置として三年間六%の税率が適用されるということでありますけれども、この考え方からいけば税が転嫁しにくい、難しい業種に対しては、一挙に三%にするのではなく、当分の間、軽減税率、例えばゼロないしは一%の税率を適用することはできないものかどうか、お伺いをしたいと思います。
  189. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 現在の物品税は昭和十二年に戦費の調達として臨時的に、ぜいたく禁止という観点から行われたものでございます。ちょうど五十年経過をしているわけでございます。  その考え方は、最近の経済社会情勢からするとなかなかなじみにくいものとなっておるわけでございます。昭和五十年代におきましては、再々その税率の見直しあるいは課税品目の見直し等を行ってまいりましたが、結局現在の商品の態様に合わせた基本的な改正ということは無理であるということから、今回の税制抜本改革もそれが一つのきっかけとなって始まっているところでございまして、物品税の見直しの観点から今回の抜本改革が出ているところからいたしますと、この物品税を経過的に残すなり、あるいは解消していくなりということは、どうも基本的にはなじまないところでございます。  所得の稼得の段階と、その消費の段階とであわせて均衡のとれた税体系をお願いするという基本的な考え方のもとに、この際はそうした五十年来のいろいろなゆがみを持っております物品税につきましては、まさにそれが抜本改革の一つの目的でございますので、ここは基本的には新しい税体系に移行をお願いしたいところでございます。  御指摘の自動車はございます。この点につきましては、一つは税収等の面あるいは税負担もかなりなものをお願いしているということから、極めて例外的に経過措置としてお願いをしたところでございまして、基本的には全体として新しい税体系に移行をするように御提案を申し上げているところでございます。
  190. 勝木健司

    勝木健司君 転嫁できない場合の措置ということで、税額を転嫁できない場合はやっぱり事業者の負担となって第二事業税というふうな性格を有することになるんじゃないか。そうならないための措置として、納付税の還付ということは考えられないのかどうか、あるいは軽減税率の適用ということは考えられないのかどうかということとあわせて、結果的に個々の事業者が消費税を転嫁できなかった場合にはやはり転嫁できなかった消費税の納付を免除する、または既に納付済みの場合にはその金額を還付する制度というものを設けなければいけないのじゃないかと思うわけでありますが、御見解をお伺いします。
  191. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 今回の消費税は、もちろん間接税の一つでございます。間接税と申しますのは事業者に課税をお願いする。その実質的負担は、背後にある消費者に御負担を願う。そういう意味におきまして、実質的負担者と納税義務者とが別であるというところから間接税として区分されているところでございます。  その間接税の本質は、税法としての基本的な考え方から申しますと、その事業者が消費者にお売りになった、あるいは他の事業者にお売りになった、その金額があくまで課税標準でございますし、それに税率を乗じたものが税額でございます。それが、現実の国に対しますところの納付義務となって発生をするものでございます。そして、ただこの税の性格からいたしまして、消費者に転嫁をしていただくということでございますので、ぎりぎり申し上げますと、転嫁ができなかったからその納付税額の義務が左右されるというものではないわけでございます。  しかしながら、まさにそういう性格のものが間接税でございますので、納税をお願いいたしました部分につきましては極力円滑適正な転嫁をお願いする、その円滑適正な転嫁をお願いできる環境を整備するのが今回お願いをする政府としての最大の要請となっているところでございます。
  192. 勝木健司

    勝木健司君 衆議院の修正段階で見直し条項というのが追加されましたけれども、どの段階でこの見直し条項が適用されるのか。また、「適正な転嫁の実現の状況」云々とありますけれども、転嫁の見直しについて政府はどのように考えておられるのか。できない、できにくい業種に対しての軽減税率の適用等、何らかの代替措置というものは考えられないのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  193. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 衆議院段階で十七条三項という新しい条文を修正によりましていただきました。この対象は「中小事業者の事務負担等に配慮した諸措置」となってございますので、簡易課税制度、事業者免税点、限界控除制度、こういったものが中心となろうかと思うわけでございますけれども、「事務負担等に配慮した諸措置」ということから広く読ましていただきますと、転嫁の観点からいろいろ御指摘、御議論のございます帳簿方式等につきましても、それは広い観点からすればこの見直しの対象として含まれているのではないかと思うわけでございます。  その見直しの時期等につきましては、「適正な転嫁の実現の状況、納税者の税負担の公平の確保の必要性等を踏まえ」とございます。「消費税の仕組みの定着状況等を勘案しつつ」とございます。このような条文でございますので、まさに今後この新制度を御提案し、これの実現をお願いして、その執行の状況等を踏まえながら、それぞれ今御指摘のような事業者の考え方、一方消費者のお考えもございますが、そうした各界各層の御意見を十分お伺いしながら、いろいろな視点から見直しを行うということが求められていることであると思いますが、今具体的にどのような時点で、どのような点を、どのような方向にということは、まさにこれから新制度をお願いするところでございますので、その点につきましては明確に申し上げられる段階にはございませんが、この規定の趣旨をまさに踏まえて今後執行しつつ考えていく必要があろうかと思っておるところでございます。
  194. 勝木健司

    勝木健司君 次に、消費税の弾力運用というところに入らせていただきます。  各業界とも各政省令、通達の公布後準備作業に入るわけでありますけれども、三カ月足らずではとても対応できないのではないかという声をよく聞くわけであります。そういった状況の中で、消費税の納税に対して従来の事務体制、人員体制では処理できない場合には、やはり半年間の準備期間ということで完全な体制ができ上がるまでの納税猶予としてはどうかという意見もあるわけであります。  また、特に聞いたところによりますと、小売業界等々では、一年、短くても半年間の期間が必要だというふうに聞いております。ラフな案が、工程表というのがあるわけでありますけれども、具体的に取引先との調整あるいは商品コード体系の見直し及び再分類、これにも約四カ月かかる。そしてまた、ホストコンピューターのプログラム変更、レジスターの機種変更、機能の追加、社内教育等に約八カ月の時間を要するというふうに聞いております。政府は、こんなに時間がかかるはずはないというふうに思っておられるのかどうか。そうでないということであればその根拠というのをお聞かせいただきたいと思います。
  195. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 消費税は、売上税につきましてのいろいろな御意見を踏まえまして、その仕組み等につきましては思い切って大幅な簡素化を行ったものでございまして、税額の算定につきましては極めて簡便を期しているところでございます。  またその納付は、所得税、法人税と基本的には合わせることにいたしてございます。したがいまして、その納付に当たりましては、大きなお手数といったものを基本的にお願いをすることのないようにしたつもりでございます。  それから、四月一日の実施でございますが、基本的には個人としては昭和六十五年の二月、十二月決算法人も同じでございます。また、圧倒的に法人として多いのは三月決算でございますけれども、これは六十五年五月に納付をお願いするところでございます。  ただ、今回のような税制は全く新しいものでございますから、お願いをしつつもその税額の計算方法、それから納付方法等につきまして、最初から文字どおり厳密なものをお願いするということで、かえって御無理をお願いする場合も生ずるわけでございます。そうした意味におきまして、衆議院におきまして弾力的運営を図れという修正をいただきました。そうした修正も、まさにそのような発足に当たって無理の生ずることのないようにというお考えのことによるものと思います。  この規定の趣旨を踏まえまして、円滑にぜひ発足をお願いしたいと思っておるところでございます。
  196. 勝木健司

    勝木健司君 十月二十二日でしたか、前の大蔵大臣は、コンピュータープログラム変更については、現実の経費であるからということで、かなり大きな場合があるので、一括して即時に損金算入する方向で考えたいというふうに発言されております。ただ単にソフトウエアだけでなく、ハードウエアについてもこの消費税導入に伴う必要経費ということで一括償却あるいは税額控除等の措置を講ずるべきであるというふうに思いますけれども、御見解をお聞きいたしたいと思います。
  197. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 御指摘のソフトウエアにつきましては、これは今回消費税をお願いすることによりまして生ずる経費でございます。それが生産の収益の向上等に直接資するものとも言えない点があるわけでございます。本来でございますと、外部へ発注したソフトウエア開発費用につきましては五年間の償却をもって対処する繰り延べ資産となるところでございますが、そうした今申し上げましたような観点から、これは期間を限ってでも特別に即時損金に算入する措置ができないか、現在その方向で検討をいたしておるところでございます。  また、ハードの面につきましては、これは従来から中小企業の流通業界につきましてはもろもろの税制上の特例措置を講じておるところでございますが、今回このような税をお願いし、その中でも特にお手数をおかけする中小企業者につきましてはさらに何らかの税制上の配慮ができるかできないか、極力そうした点につきましての関係者の御意向等も踏まえて、六十四年度税制改正の中で対処してまいりたいと考えているところでございます。
  198. 勝木健司

    勝木健司君 時間が参りましたので、この問題についても我が党と自民党との合意事項の中で実のあるものにしていこうと、そしてまた再び延長に等しい効果が出るようにするという約束が得られておるわけでありますので、具体的などういう形で本当に実のあるもの、延長に等しい効果が出るようにということはやっぱりこういう国会の場を通じて詰めていく必要があるなというふうに思いますので、ぜひその方向で実効性のあるべきものにしていこうというふうに考えておるところであります。  時間がありませんので、最後に、円滑かつ適正な転嫁というものを懸念している産業に繊維産業があるということでありまして、これも特に繊維産業、複雑かつ多段階の流通構造に加えて中小零細業者が多いということであります。そういったところに対して、通産大臣として、通産省として、転嫁の円滑化のための指導はどういうふうに考えられておるのかということと、また先般、我が党は繊維産業の危機打開に関してということで総理、通産大臣並びに大蔵大臣に申し入れたところでありますけれども、繊工審また産構審でも「今後の繊維産業及びその施策のあり方」という答申が出されておりますので、時間も参りましたが、手短に、この答申に盛られた内容というものをどのように展開されていこうとしておられるのかお伺いをして、私の質問を終わりたいというふうに思います。
  199. 田村元

    国務大臣(田村元君) 繊維産業につきましては、その特殊性にかんがみまして、万遺憾なきを期してまいりたいというふうに考えております。  それから、今おっしゃいました新繊維ビジョンでございますけれども、これは学識経験者や業界や労働組合の代表の方々に一年間にわたってあらゆる角度から御審議をいただいたものでございます。厳しい環境変化の中で繊維産業がこれから新たな発展の道を示していく、そういう道を模索して示されたものであります。通産省としましては、その内容については最大限にこれを尊重して、政策面からこれを実現すべく最善の努力をしてまいる所存でございます。  いろいろと内容的に具体的に申し上げるべきかもしれませんが、時間が切れたようでございますので、私どもの決意のほどだけ申し上げて御答弁といたします。
  200. 勝木健司

    勝木健司君 ありがとうございました。(拍手)
  201. 斎藤十朗

    ○理事(斎藤十朗君) 次に、吉井英勝君の質疑を行います。吉井君。
  202. 吉井英勝

    吉井英勝君 一昨日、総理リクルートコスモスの非公開株の譲渡を受けていた問題を背景として綱紀粛正なる指示を出されました。  そこで伺うんですが、総理、公務員の綱紀に反するどういう行為があったのか、まずこの点から伺いたいと思います。
  203. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 明日の閣議で考えておるところでございますが、それを念頭に置いて私から指示をしたというのが火曜日の閣議でございます。一連したやはり私は具体的にいろいろ世間様をお騒がせしました点といたしましては、まずは総理府の広報汚職と言われる問題からもろもろの問題を全部、何といいますか、連ねまして、そこから出た発想でございます。
  204. 吉井英勝

    吉井英勝君 ですから、汚職から一連ということですが、まず文部、労働の事務次官などのリクルート株の問題、それからパーティー券の売りつけの問題とか、こういう問題ももちろん背景にあったというふうに考えていいわけですね。
  205. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 少し古いところから申し上げましたが、近時にわたるもろもろの問題でありますから、おっしゃることは私の念頭に含まれておるわけでございます。
  206. 吉井英勝

    吉井英勝君 公務員の綱紀粛正を口にする前に、やはり総理、あなた自身の青木元秘書や福田氏名義のリクルートコスモス株の問題についてみずから事実と責任解明すべきだというのが多くの国民の声ではないかと思うわけですが、この点についてはどうなんですか。
  207. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 先日も申し上げましたが、実際私もこの綱紀粛正の通達問題について私なりにこれを指示するときに、心の中でそうした問題、まず私にその資格があるだろうかというようなことまで考えてまいりました。そのことは事実であります。
  208. 吉井英勝

    吉井英勝君 NHKのせんだっての調査によりましても、リクルート疑惑の問題については、許せない、釈然としないという声が八四%ですか、あったわけですし、そういう点では綱紀粛正ということを口にされるからには、やはりみずからの問題について解明をするべきだ、そういう国民の声にこたえるべきだということを冒頭に申し上げておきたいと思うわけです。    〔理事斎藤十朗君退席、委員長着席〕  そうした中で、現職の浜田卓二郎外務政務次官は五十九年十二月に三万株譲り受けております。綱紀粛正というならこの問題もやはり明らかにすべきであります。この件は衆議院の税特委に提出されたリストによってもはっきりしておりますし、特にそのうちの一万株については、浜田外務政務次官自身がテレホンサービスの中で、六十一年十月に江副氏の依頼で戻したんだと述べているわけであります。  御案内のように、政務次官というのは国家行政組織法第十七条によりまして、「政務次官は、その機関の長たる大臣を助け、政策及び企画に参画し、政務を処理し、並びにあらかじめその機関の長たる大臣の命を受けて大臣不在の場合その職務を代行する」と、御案内のようになっているわけでありますから、まず綱紀粛正となれば、管理監督の長たる者、そういうところからまずはっきりしなきゃならない、とういう点で外務大臣に伺いたいんですが、まず、浜田政務次官のリクルート株の問題などについて調査をされたのか、この点について事実関係等を明らかにされたいと思います。
  209. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 私からも、こういうときの浜田政務次官の話でございますから一度話を伺いたいなと思っておりましたら、本人から進んで私の部屋に来られまして、既に新聞等で談話として発表されておられまするとおりの経緯を報告されました。特に、政務次官就任前のことでございますので、私もその事情を伺った次第であります。
  210. 吉井英勝

    吉井英勝君 ですから、その内容ですね。いつ、だれから買ったのか、株式売買約定書ではどうなっているのか。また、ファーストファイナンス等よりファイナンスを受けたのかどうかとか、だれの口座に利益金の払い込みが行われたのかとか、その使途はどうなのかとか、国会提出された資料では本人ですね。御本人の新聞等の話では、関西の経済人ですか、友人に紹介したとかあるわけですが、事実はどうなのかということですね。  それからもう一つは、やはり三万株の株の譲渡を受けて、そのうち一万株を六十一年の九月に江副氏の指示で戻したのか、それがまた会社役員経由で政治家に流れているのか、そういう問題があるわけですから、この点の事実関係調査等についてはどうなさったのか、私はここを伺いたいわけです。
  211. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 今も申しましたとおり、政務次官就任前の話でございますから、経緯は詳しく伺いましたが、私といたしましては、たとえそれが政務次官でございましても調査するということではなくして、今後気をつけられた方がいいですよということで終わっております。
  212. 吉井英勝

    吉井英勝君 これはこれからの問題じゃないんですね。今、国民が一番解明するべきだと考えておるのはまさに五十九年十二月の譲渡の問題、また六十一年の九月の譲渡の問題ですね。だから、過去の問題だから、済んだんだからこれから気をつければよろしいよという、そういう問題じゃなくて、この問題、事実はどうだったのかということですね。いかなる意図でもって譲り受けたのか、実際にはその売買益金はどう流れたのか、その辺についての解明をしないと、この問題についての解明とならないわけですよね。この点いかがですか。
  213. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) およそ職務に関係ないときの話でございますから、私から一々それをとことん調査するということはいかがなものであろうかと私自身も思いましたから、政務次官が、率直におわびをします、こういうことでお騒がせしたことに対しましては私は重々責任を痛感しておりますと、そういう気持ちで来ておられますから、私もそれ以上の言及は避けるべきであると、こう思って、そのままであります。
  214. 吉井英勝

    吉井英勝君 綱紀粛正の指示の中では、国民への疑惑を招かない、こういうことを総理も指示をしておられるわけですが、今現に疑惑があるわけですね。それを晴らすということが大事だということで、私はこれを改めて調査していただきたいと思うわけです。大臣自身調査をまずして、明らかにされたいと思うわけですが、この浜田代議士は五十五年七月の十八日から昨年十一月外務政務次官に就任するまでの間は一貫して衆議院の社会労働委員会の委員であり、また理事も務めてこられました。このリクルート株譲渡を受けたときは委員であり、売り抜けたときは理事であったわけですが、まさにその譲り受け当時、リクルートは就職情報誌の規制で問題になっていた時期であり、この点で労働大臣、まさにこれは総理が綱紀粛正の指示を出す羽目になった加藤労働省前事務次官と同じ問題ではないかと思うわけですが、どうですか。
  215. 中村太郎

    国務大臣(中村太郎君) 御質問の趣旨が十分理解できないわけでございますけれども、加藤さんの問題というよりも、浜田さんの問題につきましては、私ども承知をいたしておりません。
  216. 吉井英勝

    吉井英勝君 加藤前事務次官の場合は、これは職務権限関係があったわけですね。リクルートの就職情報誌の規制問題で問題になったとき、このときの問題があるわけですが、この浜田代議士の場合は社会労働委員会の委員と、こういう立場にあったわけですね。議員についても職務権限があるということについては、非常に広く権限ありとされているわけであります。ですから、加藤前事務次官の場合とこれは同じ性格の問題でしょう。どうですか。
  217. 中村太郎

    国務大臣(中村太郎君) おっしゃるような意味におきましては、関連があると思います。
  218. 吉井英勝

    吉井英勝君 ですから、これはやはり職務権限でこの加藤労働省前事務次官と同じ問題があったんだということで、さらにこの問題については調査をされる必要があるというふうに思うわけです。  ところで、この浜田氏は六十年の十一月十八日に東京プリンスホテルの鳳凰の間で「MESSAGE85」という資金集めパーティーを開いておられます。これは埼玉新聞の切り抜き、私持ってまいりましたが、これは約千人の参加者を集め、そして宮澤総務会長があいさつもされた、そういうことは新聞等でも報道されておりますが、さてそのパーティーを開くときのパーティー券を労働省や厚生省などに押しつけていた、こういう事実が我が党が入手したパーティー券の配付、入金先リストで明らかになっております。  このリストを見ると、まず労働大臣関係した労働省の関係でありますが、配付先の明細書、この配券ナンバー三千六百八十一から三千六百九十までは十一月一日に労働省へ十枚届け、三千六百九十一から三千七百十五までについては労働省岡部官房長二十五枚引き受けと、そこから販売先となって、労働省で扱われたものが、例えば全日本職業とか、東郷コウイチ アライとか、労働福祉事業とか、それから財団法人中小企業とか、財団法人安全衛生とか、労働法令とか、各種団体等へこれはそのまま配券がなされているわけであります。こういう事実があるわけでありますが、しかもこの資料によりますと非常にきめ細かくなっておりまして、何月同日に入金があったか、領収書を発行したのかしないのかとか、入金があれば入金済み、領収証があれば領収済みと、なかなかきっちりリストが整理されておりますが、これを労働省の方にも見ていただくと、ぱっと見つけて、それは総務審議官の名前まで出ていますね、今外国へ行っておりますかとか、そういうことでありまして、官庁を通じての政治資金集めのパーティーの配券が行われ資金集めがなされておったという、こういう問題が出てきたわけでありますが、まず労働大臣、この浜田氏が持ち込んだパーティー券を労働省はどう処理したのか、調査をされましたか。
  219. 清水傳雄

    政府委員(清水傳雄君) お答え申し上げます。  私どもの方でそうしたパーティー券の割り当てなり、あっせんなり、そうした行為は厳に慎んでおるところでございまして、今具体的な人名、職名も挙げて御質問がございましたが、当時の幹部にも当たったわけでございますけれども、そうした行為についての心当たりはないと、こういうふうに聞いておるところでございます。
  220. 吉井英勝

    吉井英勝君 労働大臣の意を受けた方が、パーティー券を引き受けた者、その配券をやった者、名のり出るようにと言ってもだれも名のり出なかったのかと、私はそこに非常に疑問を感じるわけなんです。こんな話は大体係長さんらでできる話じゃないですね。局長なり官房長なり、クラスは大体限られてくるわけですから、当時の官房長に聞くなりして確かめればこの調査はできたんじゃないですか。これどうなっているんですか。
  221. 清水傳雄

    政府委員(清水傳雄君) 当時の幹部にも私ども聞いたわけでございますが、先ほど申し上げましたように心当たりはないと、こういうことでございました。
  222. 吉井英勝

    吉井英勝君 この配券先リスト、労働省岡部官房長二十五枚と出てくるわけですよね。  私は、時間もなんですから厚生省にもお話をしておきましたが、例えば厚生省の場合は、さっき労働省は、三十五枚のざっと見ただけで七十万円分ですが、厚生省はざっと六十枚出てきて、これは百二十万円ですか。下村官房長がどうもお世話をしておられるようですね。厚生省の場合はどういうところへ配券をしておられるかと私見たんですが、厚生省から日本医療法人協会、日本鍼灸師会、日本歯科技工士会、日本看護協会、日本病院会、それから全日本病院協会、財団法人結核予防会、厚生団、その他ずらずらとありますが、さらに見ておりますと、厚生省は随分多いわけですが、全部読んでおりますと時間がかかりますから適当にしておきますが、しかしこの日本血液薬剤協会とか医薬品先端技術振興会とか、それから中には日本赤十字社までありますね。日本赤十字社というのは国民から共同募金を今一生懸命お願いして集めているところですね。国民の共同募金で集めた金が政治家の資金パーティーに流れるとなれば、これは国民としては全く納得のできない話だと思うんですよね。  それで厚生大臣、厚生省について私もお話をいたしまして、大体どういう団体に行っておったかということはお示ししてあるわけでありますが、調査をされたのかどうか、調査の結果はいかがなものか伺いたいと思います。
  223. 黒木武弘

    政府委員(黒木武弘君) 昨夜、御指摘のようなことをお示しされたわけでございまして、急遽私どもも調べをいたしました。その結果、そういうリスト自体が我が方にないものですから、なかなか調べが難しいわけでございますが、当時のやはり私も幹部に聞きまして問いたださしていただいたわけでございますけれども、全く心当たりがないと言っております。
  224. 吉井英勝

    吉井英勝君 大変いいかげんなことだと思うんですよね。労働省にしても、厚生省にしても官房長が取りまとめをやっておったわけですから、当時の官房長になぜ聞かないんですか。聞いてもし正直に答えていないとなれば、それは官房長がうそをついておったということになるわけでありますし、これは本当にけしからぬ問題だと思うんです。文部省は、不十分で後追いではありましたが、とにかく文部大臣にしても高石前文部次官のリクルート疑惑なりパーティー券売りつけについて、一応調査をしたということにして発表もしているわけですね。  私は、この点でこれは現在外務政務次官であり、そして当時は社会労働委員会の理事を務めておった方でありますから、外務省やそして労働省、厚生省としてそれぞれ、大体相手が政務次官ですからね、一般の部長さんや係長さんが政務次官、あなたはどうですかと、これは調査しにくいでしょう。やはりこれは大臣がみずから調査をしなきゃならぬと思うわけです。  この点について三省のそれぞれの大臣、いかがお考えなのか伺いたいと思います。
  225. 中村太郎

    国務大臣(中村太郎君) 先ほども官房長からお答えいたしましたように、現時点におきまして調査したところ、全然わからなかったということでございます。三カ年たっておるわけでございますので、果たして十分な調査ができるかどうかわかりませんけれども、御提言もありますのでさらにできるだけの調査をしてみたいと思います。
  226. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 比較論で申し上げるわけじゃありませんが、事務次官の場合は事務次官として、当然そうしたことに対しましてはそのときの大臣でなくてもお調べになるということは、これは一つのことであろうと私は思いますが、政務次官の場合、しかも外務省という、職務権限を行使したわけでも何でもない、こういうふうに思いますから、私は調査はする必要ないと思います。
  227. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 官房長からお答えを申し上げましたように、当時の幹部に当たりましたけれども、心当たりがない、こういう御答弁を申し上げたわけでございまして、私は御指摘のような事実はないものと信じております。
  228. 吉井英勝

    吉井英勝君 リクルート株譲渡の疑惑問題ですね、それからパーティー券の売りつけなどで、高石氏の場合、事務次官は調査を受け政務次官ならやらない、これは国民からすると全く納得のできないものであります。特に、先ほども私申し上げましたように、これは国家行政組織法の中で政務次官はいかなる仕事をするのか、権限、役割があるのかはっきりしているわけでありますし、こういうものを事務次官はやるんだが政務次官はあいまいにしておく、そういうことは全く許されないんだ、こういうことを申し上げておきたいと思います。  このパーティー問題について、実は私は、文芸春秋八月号に花村仁八郎氏が「政治献金四十三年の回想」と、「財界政治部長があかす「献金リスト」の中身」というのを、ちょっとその部分だけ引きちぎって持ってまいりましたが、そこをちょっと御紹介しておくと、政治家のパーティーについて三万円とか、百枚買ってくれとか来るんだ、そこでそれを官庁を通じて割り振ったりする、各企業とも交際費から無理をして買っているわけですが、交際費は一〇〇%課税もされるわけですから本当に大変です、官庁を通じて話が来ると、許認可権が絡んでまいりますから断りにくいものなんですと花村氏は言っているわけですね。  さて、そういうふうなパーティー券なんですが、このパーティーが行われたとき、当時は浜田氏は衆議院の社会労働委員会の理事でありました。したがって、政権党の理事の立場を悪用して役所に押しつけ、役所は許認可権絡みで企業、団体に押しつけた、そういうものであったと言われても仕方がないんじゃないでしょうか。一体こういうことが許されてよいのか、総理大臣の御見解を伺いたいと思います。
  229. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 政府といたしましては、かねてからそういう組織等を通じてパーティー券を売るようなことは自粛するようにと、こういう通達を出しておるところでございます。
  230. 吉井英勝

    吉井英勝君 五十四年十一月九日に、おっしゃった指示を出しておりますね。その中でも、政治家等の資金集めパーティーの券の引き受け等はやっちゃならぬと。この点については総理も一昨日の税制特の答弁の中でも、資金集めパーティー券の売りさばきを公務員に指示したり依頼したりすることは自粛すべきだと指示したというわけですが、総理、あなた自身もこれまでに資金集めパーティーを行って、十億円とか二十億円の利益を上げていると報道されてまいりましたけれども、その際に公務員に売りさばきを依頼したことがあるのかどうか、この点はどうですか。
  231. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 何分、私の場合になりますと一万人とかいうような方にお願いするわけでございますので、本当に一生懸命でやっております。
  232. 吉井英勝

    吉井英勝君 新聞の報道等で二十億集めたとかになると、一万人規模じゃなくて、二万円券でありますと十万人ですか。そうすると後楽園のビッグエッグですか、あれを借りてもできるかどうかわからないという、最初からそういう問題であるわけですが、そういうふうな余りにも政治資金集めのパーティーというものについて国民の不信感とか、おかしいじゃないかという気持ちがあるわけですが、今、総理は公務員には売りさばきをさせないで一生懸命やったということですね。もしその答弁が事実に異なっておった場合には、これはあなたの政治責任にもかかってくる問題だということを申し上げておきたいと思います。  こうした政治家のパーティーというのは、政治資金規正法の脱法行為にほかならない。ですから、綱紀粛正を言うのであれば、まず政治資金パーティーというものについてはやめるべきだと思いますが、総理のお考えを伺っておきたいと思います。
  233. 竹下登

    国務大臣竹下登君) なかなかパーティーやめるというのは難しいと思います。率直に申しまして、私どもも三十年以上国会におりますが、本当に百円パーティーなどを一生懸命でやって講演して歩いたことなんかを思い出しますと、それはそれなりに機能するであろうというふうに思っております。が、私どもが申しておりますのは、私どもなりがその地位にあって、その役所の影響力を行使する、そうしたことはやはりやめたがよかろうと思います。  いま一つは、四党の方で御相談いただいておりますいわゆるパーティー課税の問題がございます。ただ、政治資金規正法そのものの問題については御専門家でございましょうから、私よりうんと詳しいのでございましょうが、あのパーティー券というものを企業枠に入れるとか入れないとかいう問題は残っておると私も思います。
  234. 橋本敦

    ○橋本敦君 関連。
  235. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 関連質疑を許します。橋本君。
  236. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は、きょう関連ということで総理質問の通告をいたしておるわけでありますが、総理の方から私の質問通告に関連をして、これまでの十二月一日の答弁について何かお話があるというようなことを理事を通じて聞いておりますが、総理の方で前もって答弁の訂正とか何とか、そういう御用意があるんでしょうか。
  237. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 答弁の訂正と申しますか、いつも——いつもと違いましてというわけじゃございませんが、橋本委員はきちんと、きょうこういうことがあって自分としてこれのことについて質問したいからと、会議録をちょうだいした上に線まで引っ張っていただいておりますので、ありがとうございます。どこが違っておるかはその場で言うなんて言われると本当は困るんですが、こういうふうにしてもらうと大変ありがたいと思っております。  しかし、十二月一日は矢田部委員質問に対してお答えを申し上げましたので、したがって、私はいつものことでございますが、貴党におきましても、大蔵大臣時代もあるいは予算委員長当時も、必ず私に関する釈明をするときにはその党の、当時は林百郎先生でございましたが、理事を通じて事務局のお方にでも丁寧に申し上げるという筋だけは通しております。したがって、矢田部委員に対しましても、きょう質問がありますことに対して私がお答えをいたしますという趣旨だけは我が党の理事を通じて野党の理事をまた通してお話をしたところでございます。  いずれにいたしましても、よく読んでみました。なるほどと思います。「私なりにさらに関係がないかという調査をしておったことも事実でございます」。確かにほかに関係がないかや、こういう調査をしておったことは事実でございます。そこで「福田さんを御紹介申し上げたという事実を私自身も承知いたしておるわけでございます。ただ、その福田さんの御子息の名前になっておったというようなところまでは率直に言って私の調査が及んでいなかったということは」というお答えをしております。この答弁をやっぱり正確に読んでみますと、余り正確な表現でも必ずしもございませんけれども、私が十一月九日夜の青木氏の報告より前から福田さんへの紹介の事実を知っておって、ただ本人ではなく勝之氏だったということは知らなかったのではないかというお尋ねが、そういう感じがしないわけでもないなと、私自身思いました。確かに私自身の答弁がその限りにおいてアバウトであった——アバウトという表現はよくございませんけれども、正確を欠いておったというふうに思います。したがって、衆議院で審議の際お尋ねがあって調べなければと思っていたこと、それから何かが明らかになったら、私は国会質問はその国会先生にまず報告してから、新聞記者会見などはその後という鉄則にいたしておりますので、そういうことをしなきゃならぬなと思っておりました。  十一月五日夜に、だれか信頼できる人をと頼まれて福田さんを紹介したとの青木氏の報告に、信頼できる人という意味で福田さんというのはなるほどなと思ったということと、ただ同時に、その福田さんではなく子息名義で取引が行われたと聞いて、率直なところ、あれっという気がしたという、十一月九日夜でございます。衆議院でのやりとりが十月、青木氏の報告が十一月初め、質疑にお答えしたのが十二月一日という時間の経過がありまして、以上のことが混然と整理されていなかったということであります。  そこで、整理して申し上げますと、十一月九日夜に初めて、青木氏から福田さんを御紹介したこと、福田さんが子息勝之氏の名義で取引を行われたこと、これは言いそびれておって申しわけないという言葉があったというふうに整理をいたしたところでございます。
  238. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は、この問題について十三日も質問をして、きのうは我が党の佐藤委員がこの問題について質問しました。まさに総理がおっしゃるように、あなたが十二月一日に矢田部委員にお述べになっている、答弁されている事実は、あなた自身がなるほどなと今おっしゃったように、福田さん名義に、青木さんからの紹介というあなたの言葉をかりれば、株が行っているということ、それはそのときまで知らなかったのではなくて、息子さんの名義になったことは十一月九日に知ったけれども、福田さんの方へ行っていることはそれまで知っていたという事実をあなたは答弁されておるわけです。  したがって私は、今の問題は、答弁を正確にするとか訂正するということではなくて、正確にするという名でこれまで述べた事実を変えられたということにほかならぬと思います。まさに、そういう意味では違う事実を、つまりそれまでは知らなかったという、全部そういうことにされたということで、私は今の訂正などというのは絶対に納得できるものではありません。  しかし、あなたが、私が質問通告でこの問題をきょう質問しますと、こういうことを議事録を添えて通告いたしましたということに対して、今のようにまず冒頭で訂正、正確に直すという処置をとられたことについては、私はそれは認めることはできません。それと同時に、あなたが今述べられた事実、信用することはできませんけれども、この問題はそういう答弁の訂正があったということで、あなたの答弁が変わったという事実を確認して、次の問題に質問を移していきたいと思います。  総理、あなたの福田さん名義に行った株の問題についてのもう一つ重大な問題は、勝之さん名義で株が譲渡されたその株が、だれの名義で売却されたかと、こういうことがはっきりしないという事実があるんです。勝之さん名義の株はだれの名義で売却されたか御存じですか。  宮澤さんの場合は、宮澤名義の株が服部さん名義で売却された。これは御存じですね。国会で大変問題になりましたでしょう。この勝之さん名義の株は、だれの名義で十月三十一日、店頭登録直後に売却されたか御存じですか。お調べになっていますか。
  239. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 存じておりません。
  240. 橋本敦

    ○橋本敦君 証券局長にわかり切った手続をお聞きするようで恐縮ですが、証券会社を通じて株券を持っていって売却依頼をいたしますと、株式の売買計算書、報告書、これがその依頼した人のところへきちんと来ると思うのですが、手続はいかがですか。
  241. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 証券会社を通じます売買につきましては、まず口座を設定いたしまして、その口座で名義人の住所、氏名あるいは場合によって銀行払い込みする場合には払い込みの口座を指定するということになっておりまして、その手続に従って売買及び送金の手続が行われる、こういうことになっていると思います。
  242. 橋本敦

    ○橋本敦君 したがって、この場合に、福田勝之さん名義で口座が設定され、そこへ通知が行ったかどうかということが、もしも勝之さん名義で口座を設定して売却しておれば、そうなってくるはずなんですね。  私は、十三日も申し上げましたように、福田勝之さんに電話で秘書を通じて話を聞いて確認しておるんです。全然知りませんでしたと、こう言っているんです。総理の十二月一日の矢田部委員への御答弁でも、矢田部さんの関係の方から一度このお話があったそうでございますが、「そのときに本人は初めて実は何のことじゃろうなと思ったようでございます」とおっしゃっていますね。本当に知らなかったんです。もしも、この名義人である勝之さんが勝之さん名義で口座を設定して売却しておれば、証券局長がおっしゃったように、口座を設定するんですから、自分でわかるでしょう。入金通知があるからわかるでしょう。わかるはずですね。全然知らなかったとおっしゃっているんですから、重大な疑問なんです。一体、この株はだれの名義で売却されたんだろうか。  総理は知りませんとおっしゃったわけですが、重大な問題ですね。調べてくれますか。
  243. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私、大体手続の点は大蔵大臣を長らくしておりましたので知っておりますが、勝之さんに迷惑をかけることはいけないと今でも思っておりますから、そういう意味においては、これは勝之さんに迷惑がかからぬようなことはしなきゃならぬと思っております。  ただ、株の売買そのものが、実際問題私自身とは全く関係のない話でございますので。また、考えてもみてくださいませ。そんなことをするわけもございませんしですね。
  244. 橋本敦

    ○橋本敦君 考えてみてくださいませとかおっしゃっても、私は幾ら考えても、聞いている方なんですよ、総理ね。そうでしょう。  福田勝之さん名義で青木さんから株の話が行った、これはお認めになった。ところが、これは売却して二千百万円以上の利益が出ておるはずなんです。そうですね。これは御存じですね。まずこの点。
  245. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 通帳は私見たことがございますから知ってはおりますが、知っておって、福田さん、坊ちゃんに迷惑がかからぬようにお願いいたします。
  246. 橋本敦

    ○橋本敦君 いや、ですから私は、総理、坊ちゃんの名誉のためにとおっしゃるその名誉のためにも事実を明確にしてくださいと、こう言っているんですよ。事実を明確にしてください。つまり私が言うのは、勝之さんは知らない間に名前を使われただけで、本当に自分は口座も開いていないし、証券会社へ株の売買の委託もしていない、本当に知らぬとおっしゃっているから、なるほどそれはあり得ることだなと。御本人の名誉のためにも、そういうことははっきり私は言っているわけですよ。だとすると、だれが売却依頼をし、だれの名義で売ったのか。このことをはっきりしませんと、晴れないわけですよ、この事実がね。  そこで、その点について総理、お調べいただけますか、今御存じないんですから。こう言っているわけです。
  247. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 福田勝之さんの名誉のためにあんた調べてくださいと、これはありがとうございます。
  248. 橋本敦

    ○橋本敦君 調べますか。
  249. 竹下登

    国務大臣竹下登君) あなたに報告する義務があるとかないとか、そんなことは申しませんが、迷惑をかけちゃいかぬなと思っております。
  250. 橋本敦

    ○橋本敦君 いや、私はこれは個人的な問題じゃなくて、リクルート疑惑の解明という大きな一つの国政上の課題の中で、総理の秘書をなさっている方からの話が行った大事な話で、総理自身責任が全然ないとは言えぬなとおっしゃっている問題ですから、公的な立場で、事実の解明ということで聞いておるんですね。  そこで、この問題についてもう一つ問題になりますのは、売買約定書はだれとだれが交わして、だれが持っておられるかなんです。これも勝之さんは全然知らないはずなんですよ。ですから、この点も総理、今、預金通帳をごらんになったとおっしゃいました。青木さんの二千株の分は約定書を見て国会に報告したと、こうおっしゃいました。たしか私はそう伺ったんですが、この福田さん関係の分の株売買約定書は、総理は、青木さんからの報告あるいはその他の話で、小沢さんも深夜に総理邸にお越しになっていらっしゃいますが、ごらんになっていますか、どうですか。
  251. 竹下登

    国務大臣竹下登君) それは、約定書は見ておりませんが、当然約定書はあるべきものでございます。
  252. 橋本敦

    ○橋本敦君 証券局長にお伺いいたしますが、証券局長国会への御答弁で、六十一年十月三十一日、店頭登録直後に大和証券を通じて多くの方々が株を売り抜いておられるわけですが、それを御調査になって、宮澤前大蔵大臣の秘書官の服部名義の株もその中にあったということを報告されました。この福田さん関係の株の売却もその中にあったんですか、どうですか。
  253. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 新聞等の報道によりまして、自分が株を見たこともない、見たこともないけれども、その株が売られて金が払い込まれたというふうな記事がございましたので、本来そういうことはちょっとおかしな話でございますので、幹事証券会社に対しまして、実際にどういう受託をしたのであろうかということについて、一般的に聞いてみたわけでございます。  その中で、先般お話し申しましたように、一部のものにつきましては、リクルート社の方から持ち込まれて、それに基づいて口座を開設したといったふうなことがわかりました。  ただ、それにつきましては、私どもの方は、だれが一体売ったかといった個々の氏名につきましては、これはやはり証券会社としますと、それ自体は正常な営業行為でございまして、取引上の秘密に属するということでございまして、特に提出はされませんでしたし、私ども、それ自身提出してそこまで調べる必要も証取法上の立場からないだろうということで、個々の氏名その他については確認いたしておりません。  ただ、宮澤前大蔵大臣関係につきましては、たまたまそういうふうなケースに該当するということで、服部さんの方のサイドから、果たしてそういうことであったかどうか、一回ちょっと調べてくれという話がございまして、私ども証券局といたしましても、お客さんの依頼に応じてちょっと証券会社に照会するというようなことは間々あるわけでございまして、そういったことの一環といたしまして、これは特にお客さんサイドの方の依頼でこざいますから、特に個々のプライバシーその他について問題にする必要もないだろうということで、それを照会しましたところ、どうもその中にあったのではないかと、あったというふうな記憶がある、こういう報告を受けたわけでございます。  したがいまして、そういう意味では服部恒雄さん名義のものがその中にあったということは確認いたしておりますが、それ以外の方の住所、氏名については、今申し上げたような理由によりまして、個々の営業上の取引のいわばプライバシー保護といったふうなこともございますし、それ自身が特に証取法上受託することが違法な行為でもございませんので、私どもとしては特に積極的に調べるというふうなことはいたしておりません。
  254. 橋本敦

    ○橋本敦君 局長、今重大なことを言いましたね。服部さんの依頼があったと。どうなっていたかわからぬから調べてくれと。どうですか、これは物すごく重大な事実ですよ。本当にそうなら本当にひどいです。国会を欺いていた。何遍も答弁訂正して再々釈明をやって宮澤前大蔵大臣は、いいですか、十月に金を払い、そして服部が売却もしたことである、河合と言っていたのは間違いだ、こう言ったんでしょう。服部さんがやったということを宮澤さんは報告している。その服部さんが株もわからぬし、どうなっているかわからぬので調べてくれと言いに行った。これは大変なことですよ。  局長、次の問題に話を移しますけれども、そうするとこの問題は、福田さんサイドなりあるいは青木さんなりが調べてくれと言ったら、宮澤さんケースと同じようにあなたは調べる、こういう意味で答弁されたんですか。
  255. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) あのとき議論がございましたのは、金は払い込んだけれども株券はどこへ行っているんだ、見たことがないと。一体それじゃその株券はどこにあったかということが国会でいろいろ議論がありまして、当時の宮澤大蔵大臣といたしましてもそこはよく御存じなかったということでございましたので、何かそこら辺についてわかるような事情があるかどうかといったことについて御参考になるような話がないだろうかと。こういった意味で、むしろいわば顧客サイドからの要請ということで主幹事証券会社に尋ねたということでございます。  そういった意味では、顧客のプライバシー保護といった問題も特段ございませんので、主幹事証券に聞いてそういう報告を受けたということでございます。
  256. 橋本敦

    ○橋本敦君 それなら総理、わからないんですから証券局長に調べると、こう言ってください。言ってください、あなたもわからないんですから。調べるべきです。(「人の問題だ」と呼ぶ者あり)人の問題じゃないですよ、人の問題じゃない。総理関係する重大な疑惑の一つの問題として、だれがこれ一体売却依頼をしてだれの名義で売ったんだと、証券局長に調べさせればいいんです。総理、調べさせてください。
  257. 竹下登

    国務大臣竹下登君) そんなことを調べてくれと言うつもりは全くございません。私のことは私で調べりゃいいことでございますから。
  258. 橋本敦

    ○橋本敦君 自分は調べようとしない、調べよとも言わない。しかし、宮澤前大蔵大臣は調べてくれというような趣旨を言ったと、こう言っている。いいですか、だれの名義で売ったか、実際だれが金を払い込んでどうなったか、勝之さんではないということははっきりしているんですから、はっきりしなきゃいかぬじゃないですか。  証券局長、聞きますけれども、株の名義は福田勝之さんです。ところが実際に本当に売買した人は別の実在の人物です。それは社長の福田正さんという可能性も新聞会見の中からはありますが、正確にはまだわかりません。そうすると、お父さんの福田さんにしても、勝之さん名義でこの株を買い受け、そして証券会社を通じて売却したと、こうなりますと、これはいわゆる仮名取引に当たるんじゃありませんか。
  259. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) まず、前段の問題について繰り返すようでございますが、あのときは国会の議論で、たしかお金は払ったけれども株券の交付を受けてないのはおかしいではないか、一体その株券はどこにあったんだと、こういう話があったということで、特に顧客サイドという形で御依頼があったということでございます。  ただいまの点でございますけれども、これはどういうふうな売買の実態になっているかわかりませんし、あるいは株券の名義書きかえが行われていたかどうかといったこともわかりません。ただ、商法の規定によりますと、「株券ノ占有者ハ之ヲ商法ノ所持人ト推定ス」という規定もございますし、それから通常仮名かどうかという問題は別といたしまして、どういう名前で取引が行われたかどうか、私ども具体的なことは存じませんけれども、例えば、その御家族の中で御主人が非常にお忙しいような場合に、奥様がその御主人にかわって御主人名義のまさに本名で登録、何というか売買が行われるということも間々あるわけでございまして、それはあえて私どもは仮名という形じゃなくて、むしろ親族間の代理行為として合理的に推定できる限りにおきましては、これはいわば仮名というふうには考えていないわけでございます。
  260. 橋本敦

    ○橋本敦君 奥さんの話はしていませんがな。ちゃんと責任を持って答弁しなさいな、局長。仮名取引というのは大蔵省はやるな、やらない方がいいと、きちっと通達も出して努力しているはずの大事な問題なんだよ。  仮名取引とは、それじゃどういうものを言うのかもう一遍言うてください。承知できぬ、今の答弁は。
  261. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 先般、九月十三日付で仮名取引につきましての通達を出しました。これは、株式の委託注文が本人名義以外の名義であることを知った場合には当該注文を受託しないこと、それから大口顧客については本人確認を一層徹底すること、それから、そういった意味での社内検査の徹底、社員研修の実施等を行うことといったことでございまして、これは専ら証券会社に対する行為規制として行っているものでございます。
  262. 橋本敦

    ○橋本敦君 要するに、本人以外の名義で株の売買取引をしたらそれは仮名取引だということじゃありませんか。だから私は、この問題については、服部さんサイドのこの株がはっきりしなければ、仮名取引の疑いもあるんですよ。大蔵大臣を歴任され、自民党幹事長、今は総理の御親戚のこの問題について、この点をはっきりしなければ仮名取引の疑惑さえあるという重大な問題ですよ。真実を明らかにするためにも、そういった責任の問題を明らかにするためにもこれは調べるべきですよ。  そして総理、今おっしゃったように、私自身調査の問題ですと、こうおっしゃるならば、この間から私が指摘しておりますように、まさに株式の売買約定書、口座の写し、そしてもしもファイナンスを受けているならば金銭消費貸借契約書、今、首を横に振っていらっしゃるからファイナンスは受けていないという御趣旨と思いますけれども、そういう趣旨ですね。その事実等をそれじゃはっきりしていただきたいんですが、そういう関連の事実をみずから明確にされ、それを証する資料をみずから提出されることによって、本当に勝之さんが知らなかったという事実もはっきりするんですし、国政の場での解明も進むんです。もう一度その点はっきりしてください。
  263. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 勝之さんの名誉を考えていただくことはありがたいことだと思います。だが、ことで勝之さん勝之さんと何遍も名前が出ますのは、僕のようなじいさんじゃございませんから、将来ある人でございますから、この辺で御勘弁してやっていただきたいなと、こう思います。  それから、調査しろ調査しろと言われますが、本当に、いつかも言いましたように、私は私の範囲内における問題というのは、それは売買約定書であれ通帳であれ友達に見せるのは一向構いませんけれども、福田家の問題に対して私に立ち入れと言われることはやっぱり一つの良識の範囲の外に出るんじゃないかなと私は思います。
  264. 橋本敦

    ○橋本敦君 総理、別の問題から聞きますけど、江副さんと総理とは木鶏会の会員ということでお会いになっているし、それからまた、私邸を訪れられたこともあるように新聞にも出ておりますし、税調特別委員ですから御面識もあり、親しいですね。しかし、福田さんは新潟の大手建設会社の社長さんですが、江副さんと福田さんとが親しい関係だということは、これはない。直接お知り合いという関係はない。そうじゃありませんか。
  265. 竹下登

    国務大臣竹下登君) それは御存じない方だろうと思います、私も。
  266. 橋本敦

    ○橋本敦君 ですから、江副さんは、株をどこへ持っていくかということは自分が中心になって相談しながら決めていった、こうおっしゃっているんですが、江副さんの方から福田さんへという話があり得るはずがないんです。ですから、秘書の青木さんを通じてと、こうなるんです。それはもう間違いないでしょう。  そこで、この問題が明るみに出た十一月九日、十日に日が変わった午前零時過ぎに青木さんと小沢官房副長官が総理の私邸を訪れられてこの報告をし、いろいろ話をされたという事実は、これは小沢官房副長官もおっしゃったとおり事実間違いないですね。そうですね。それを確認しておきます。
  267. 竹下登

    国務大臣竹下登君) そのとおりでございます。
  268. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで私は、小沢官房副長官に、新潟の福田さんにいつ連絡したのか、重大な問題がありますということで聞きましたら、午前二時ごろとおっしゃった。まさにこの問題が明るみに出て、総理のお宅で重要な協議が行われたというように私は思うんですよ。そして、福田さんは全然知らない人ですから、全部あなたの秘書の青木さんがこの問題については一手に処理をされた。だから、青木さんが口座を開いてやられたかもしれないし、いいですか、青木さんが代金を払い込まれたかもしれないし、青木さんが全部差配をされたということもあり得ない話じゃない。そして、突如として新潟の福田組の社長福田さんが出てきたのは、河合さんと同じような話になってはこれは大変ですから、徹底的に明確にしなきゃならぬ、あなたの秘書の問題ですからね、大事な問題だ、こう思って聞いているんです。この私の質問の趣旨はおわかりでしょう。  そこで総理、思い出していただきたいのは、江副さんがこの国会証人として出頭をしてどう言ったか、大事なことを言っているんです。  宮澤さんの問題について、株が宮澤さん名義になっている、江副さんは指示をして間宮常務か小野室長に服部さんに接触をさせた、結果として売りは服部さん、名義は宮澤さん、こうなっている。その問題について江副さんははっきり証言でこう言っていますよ。株の譲渡は、服部前秘書官の名前であっても宮澤蔵相の名前であっても不都合と考えませんでした、こう言っているんです。つまり、リクルート側から見れば秘書も政治家も一体になんだ、そういうことなんですよ。真藤さんの問題を見てください。村田秘書だ秘書だ、ところがそれは、実際は一千万円が真藤さんの口座に行っていたということからわかりますように、リクルートの側からすれば、これは秘書の名義であっても政治家の名義であっても不都合ありません、こう言うんです。  ですから、この問題の一万株も、竹下さんのところへ持っていった趣旨で持っていったんだが、竹下さんの名前でなかった、青木さんの名前であったって構いません、リクルートとしては不都合ありません、竹下幹事長の御親戚であるならば、それはリクルート側としても結構、構いません、こういうような趣旨で、リクルートの贈る側から見ればそういう性質を持っているということを解明しなきゃいかぬです。これは、政治家としての政治的道義的責任解明しなきゃならぬ大事なポイントの一つですよ。そういう点を総理自身が、まさにこの大きなリクルート疑惑の中で、総理の身辺の近いところで起こっている疑惑の問題として、その霧を晴らすのはあなたの責任ですよ。  ですから、あなたはこの問題を徹底解明するために、私はもう時間が参りましたから重ねて要求しますけれども、私が指摘をした、だれの名義で、実際にだれがこの売却をし、この利益は、あなたは通帳とおっしゃいましたが、そのコピーで結構ですが、だれの名義で入金して、その金はどう処分されたのか、こういったことについて資料提出をしていただく、これ以外に解明の道はないということを強く要求して、質問を終わります。(拍手)
  269. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 次に、野末陳平君の質疑を行います。野末君。
  270. 野末陳平

    野末陳平君 私は、消費税を心配しているいわゆる社会的弱者と言われるような、そういう人たちに関する問題を幾つかきょうはまたやっていきたいと思います。  まず、厚生省に伺いますけれども、妻が受ける遺族基礎年金、これは今、月額幾らで、そして子供が十八歳になったらこれがカットになるという、その辺の事情をまず説明してください。
  271. 水田努

    政府委員(水田努君) お答え申し上げます。  六十三年度価額で基本額は五万二千二百六十七円でございます。この加算、第一子、第二子一万五千六百七十五円、第三子以降五千二百二十五円となっております。
  272. 野末陳平

    野末陳平君 つまり、子供一人という母子家庭を例にとりますと、遺族基礎年金の額はこの加算を含めて六万八千円近くになっている、こういうことだと思うんです。  そこで、この子供が十八歳になりますと、これは法律上カットされるわけですが、この子がまだ高校在学中でも十八歳になればカットになるわけでして、こういう母子家庭は今まで月に六万八千円ぐらいもらっている。そうしますと、母親が頑張れば何とかやっていける。ところが、高校在学でありながら十八歳に息子があるいは娘がなったために、この六万八千円というものがその途端に翌月からゼロになってしまう。これは事実として当然そうなりますね。
  273. 水田努

    政府委員(水田努君) 御指摘のとおりでございます。
  274. 野末陳平

    野末陳平君 そこで、十八歳を過ぎたらば遺族基礎年金がカットになるという、これは法律のままなんですが、私の周辺でこういう例がたまたま幾つかありまして、そこで、せめてカットを高校卒業まで待ってやれないものかなというふうに考えました。それは当然だと思うんですね。あと数カ月あるいは半年ちょっとで高校を卒業する、就職とか進学とかいろいろありますから、そういうときに突然毎月もらっていた遺族基礎年金、六万八千円ぐらいのものが翌月からゼロになっちゃう。これは非常に生活設計を狂わせますから、余りにもこれは無情ではないか。  ですから、せめてカットを卒業まで待ってやれないものか、こういうふうに考えたんですが、これはいかがでしょうか。
  275. 水田努

    政府委員(水田努君) お答え申し上げます。  現在、十八歳未満の子と決めましたのは、二十九年の法律改正のときに議員修正で十六歳未満であったものが引き上げられたわけでございますが、これはその当時、旧国家公務員共済組合法が十八歳未満をとっていた、これに準拠して修正が行われたわけでございます。  この旧国家公務員共済組合法がなぜ十八歳未満の子としていたかということを調べてみますと、労働基準法で年少者として保護をしているのが十八歳未満の子であり、また、児童福祉法で保護いたしております児童の範囲が十八歳未満の子、こういうことからそういうふうに定められたのではないかというふうに言われて今日に至っているわけでございます。  先生の御指摘のこの問題、どこまでとればいいのか、定時制高校の場合は四年制でもございますし、高専に行っておられる方をどう見るか、どこをとってみても必ずそういう問題が起きてまいるわけでございまして、先生の御指摘お気持ちはよくわかるわけでございますが、他の法律の子の支給の範囲にも影響する問題でございますので、今後の研究課題として受けとめさせていただきたいと思う次第でございます。
  276. 野末陳平

    野末陳平君 定時制の場合とそれから昼間の子とはもちろん違うんですけれども、少なくも僕は、十八歳になった、これをどうこうしろじゃないんですね。高校卒業までは何とかしてやりたい、だれでも思うんで、それが制度の中でそんなに大きな影響を与えるならともかく、何かこの辺を救うようなことが考えられないか。こういう家庭にとっては消費税なんていうのはこれは大変に不安であり、恐ろしいものになりますね。  この辺でひとつ厚生大臣、お答えいただきましょう。
  277. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 今、御答弁申し上げましたようなことでございまして、例えば夜間の学校とか定時制でございますね。それからまた、もう一つの問題としては、他の制度に対する波及というものもございまして、やはり法律の制度として行うということであれば、年齢十八歳未満であれば十八歳未満という、そういう画一的な物差しで対応するということがやはり必要ではないだろうか。  その中に特別な事情を加えて、その場合には例外扱いにするというようなことについては、これは慎重に検討していかなきゃならぬ問題だと思っております。
  278. 野末陳平

    野末陳平君 法律を別に壊してまでと言っているんじゃないんですよ。せめてそのぐらいの親心を、やはり何とか特例をつくってもできないのか。数だってそうべらぼうに多いわけじゃないんで、その辺のことができない政治というのはちょっと血も涙もないと、そんなふうに考えますからお願いしようと思ったんですが、どうも冷たいお答えだから。いや、これでははっきり言って消費税は弱い者いじめと言われても反論できませんよ。  特殊な例を挙げるわけじゃありませんが、じゃ、厚生年金でまた言いますが、これは父子家庭、母子家庭でもいいんですが、厚生年金加入の父があるいは母が死んだ場合、父子家庭、母子家庭としますと、死亡時に子供が十八歳以上であった、その十八歳が例えば大学生であった、大学に行けるだけ恵まれていると言えるかもしれないけれども、突然の父親あるいは母親の死亡ですから、そういう場合はこの子にはもう十八歳以上であるから何にも支給されない。つまり、仮にこの親が厚生年金の受給資格を満たしていたとしても、この突然の死亡は、掛金などは国庫へ没収されて大学生の子供には年金上の措置は何一つないと、こういうことになっているんですが、これも事実として間違いございませんか。
  279. 水田努

    政府委員(水田努君) 御指摘のとおりでございます。
  280. 野末陳平

    野末陳平君 これも、十八歳以上で働いている場合、それから大学に行っている場合を一緒に考えるのも確かに乱暴とは思うんですが、しかし今まで営々として父ないし母が厚生年金を掛けていた、しかも十八歳以下の子がいる場合には遺族基礎年金がおりるんだが、たまたま十八歳以上になっていたというだけでまるでゼロだ。これは法律的にはそうなんですね。だけれども、まるでゼロだというのがどうにも納得できないというか、だって受給資格を満たしているような親、かなり長い期間掛けた、全部掛金が国庫に没収されちゃって何にも来ないんですから。  これは、法律どおりとは言うけれども、何かその立場に自分がなったら、あるいは自分の周囲でそういうケースがあったら、せめて一時金とか何か手はないのか、こう考えるのは当たり前じゃないかと思うんですが、どうですか。
  281. 水田努

    政府委員(水田努君) 公的年金は大変厳しい財政状況の中にあるわけでございまして、真に必要なところに給付をするというのが基本的な建前でございまして、十八歳を超えた方は一応一人前の人として、社会人として稼得能力がある、こういう前提で支給をいたさないわけでございます。
  282. 野末陳平

    野末陳平君 だけど、国民年金には一応死亡一時金というようなものがあるわけだね、個人の年金ですけれどもね。今度この厚生年金の場合はどうでしょうね、やはり受給資格を満たすだけの掛金を積んできた実績を続けてきたんだけれども、たまたま残された子供が十八歳以上であったがゆえに全然だめなんですか、じゃ。それでもう当然で、しようがないというんですか。
  283. 水田努

    政府委員(水田努君) 私ども、やはり公的年金制度の財政が窮迫している状況を考えますと、バランスでおかしいとおっしゃられますと、国民年金の死亡一時金をむしろ見直すべき問題ではないかと考えている次第でございます。
  284. 野末陳平

    野末陳平君 金額的にも、そんな制度全体のバランスを崩すほどじゃないと思うんで、こういうことも、一々法律に特例をつくるという結果になるんで、それは言いたくないところですけれども、やっぱり何かもうちょっと温かい措置がないかなと思うのが普通だから、それでお伺いしているんです。厚生大臣
  285. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 私もできることであればそういうふうにしたいという考え方では先生と同じでございますが、やはりその考え方が実際に制度に反映できることであるかどうかということは、これまた別の問題でございますので、その点は御理解いただきたいと思います。
  286. 野末陳平

    野末陳平君 クールに法律を考えればそのとおりなんですけれどもね。しかし、それだけでもって世の中の動き全部が決められないんで、その辺に何か割り切れないものがある、こういうことですよ。  だから、はっきり言えば心情的に、あるいは情緒的になっているんですけれども、しかしそれが現実にここにある場合に、政治が何にも救いの手を差し伸べられないというのはおかしいと思いませんか。そういう意味であえてお伺いしたんでね。そうでしょう、竹下さん。
  287. 竹下登

    国務大臣竹下登君) あえて情緒的という言葉をお使いになりましたが、そうした実態は法律を運用する場合には間々あることだと思います。それを割り切る方も実際は大変でございます。  率直に言って、今度の消費税の問題にいたしましても、課税最低限、そして生活保護、その中間というようなことになった場合、私も五十三年減税のときに一回考えたことがございますけれども、それも何か制度的に言うとがけから飛びおりるような感じでしたことがございますが、制度の中へ取り込むということに対する問題点は、あなたの方が私より詳しいわけですから、勉強をさせていただかなければ、はい承知しましたと言える問題ではないなと思います。
  288. 野末陳平

    野末陳平君 年金制度は、いずれ抜本的見直しがもう一度必要だろうと思いますからね、それまで本当は待てないと思うんですけれども、ちょっとしばらくお預けにするとして。  今度はまた別の角度から、ことしから年金が給与所得から雑所得になった、その扱い方がもたらした思わぬいたずらのようなお気の毒なというか、そういうケースについて触れようと思うんですね。  六十五歳以上の年金生活の老人を扶養親族にする場合、ことしからは年金が百五十三万円以上だと扶養親族になれない、だから親を扶養家族に入れられないと、こういうふうになりましたね。去年までは百六十八万円だったわけですから、その辺で、ことしからどうですかね、百五十三万円にダウンしたということは、百六十八万と百五十三万の間の人というのがとんでもないところにはまり込んじゃったわけですね。つまり、お年寄りそのものはいいんですけれども、一方で老人の扶養控除が引き上げになりながら、年金収入が百五十三万円を超えちゃうとどうですか、控除が上がったって家族の扶養親族から外されますからぬ。控除の上がったことは何にも意味がないどころか、今までは扶養家族として家族の手取りがその分減税になったわけですけれども、今回それが外れると手取りはマイナスを生じる。これは改正のときに当然予想されたことだとは思うんですけれども、現実にこういう事例がことしの年末調整でもあっちこっちの会社に出たようです。  これは、もちろん事実として認めることはできますね、主税局長
  289. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 控除の要件が、所得要件三十三万円ということではございますが、その計算過程におきまして控除する金額が変動いたしましたためにそういう結果にはなってございます。ただ、これはあくまで多少の収入があっても扶養親族には扱うということで、本来はこんなに大きな金額が、少額不追求というか、それがあっても扶養親族の範囲に認めるという金額としては、百六十八万円というのはこれはやっぱり相当な金額ではないかと思うわけでこざいます。  よく問題になりますのはパートですが、パートが九十万円を超えると配偶者控除が受けられないということで問題になって、このためにいろいろな措置を講じてきているところでございます。そうした意味におきまして、年金につきましてはそういった意味で少額不追求という金額が結果的に百六十八万円になっておったということでございます。  そうした意味で、年金課税の改正の過程で、これが御指摘のように百五十三万円になる。十五万円確かに下がってはございますが、なお百五十三万円という金額でございますので、少額不追求、無視する金額としては相当な水準にあるのではないか、そういった点からいたしますと、何とか御理解を賜ればと思うわけでございます。
  290. 野末陳平

    野末陳平君 ですから、百五十三万という、前からその数字できていればそれはそれなりの理屈なんですけれどもね。今まで百六十八万円だったんだから、去年まではね。つまり、親の年金収入が百六十万円だとする、その場合は扶養親族になっていたわけだから。それが雑所得扱いになったことしから途端になれなくなっちゃった。だから家族の増税分だね、はっきり言って。減税のはずなんだよ、今度。ところが増税なんだね、こういう家は。という点について、百五十三万でもかなりだから、少額不追求の線から見ればかなりだと言うけれども、そうじゃないんだよ、僕の言っているのは。がたっとおっこっちゃった、突然。  減税を提案し、税制改革をやっていて、ところが全然増税になっちゃったという、こういう事実がたくさんあるけれども、そういうのを考えていて、当然やむを得ないと思っていたのかと、こういうことを聞いているんです。
  291. 水野勝

    政府委員(水野勝君) それは、老年者年金特別控除というものを思い切って大きくしたときに起こった問題の余波でございます。今回それを公的年金控除に改めた、その際の一つの摩擦的な現象でございます。  したがいまして、先ほどの少額不追求という点からするとそこらの現象はやむを得ないのかなということで、改正も踏み切らせていただいたわけでございます。
  292. 野末陳平

    野末陳平君 結果的に雑所得扱いにせざるを得なかったのもきちっとした理由のあることですから、局長は今、余波ということでお答えになりましたが、現実にこういう余波をかぶった家庭から見ると、これはどう考えても割り切れぬというか、変なんだよね。老親の扶養控除額は上がりながら、こっちは扶養親族を外されちゃうんだから。そういうのがある。  そこで、今度は大蔵大臣にお伺いするということになるのかな。せめて七十歳以上の老人については、もちろん年金収入だけということを前提に置きますが、扶養親族になれる条件を従来と同じぐらいになるような、そういう工夫はできないものかなということですよ。  つまり、百六十八万以上になんかしろとは何も言ってないんですよ。去年までそれで来たその人たちが、突然百五十三万円にまで扶養親族になる要件が落とされちゃった家族の影響、増税分のマイナス。これをどうですか、激変緩和じゃないけれども、百六十八万ぐらいまでせめて七十歳以上の年金暮らしの老人は扶養親族になれるというところまで持っていったらどうかなと、それはできないものかなと。もちろんそうしたら、百七十万とか百七十五万の人は今までだって扶養親族になっていないんだと、こういうことが出てきますからね、これを言い出したら切りがない話なんですけれども、たまたま税制改革を提案し、減税というふれ込みでやっていたのが、サラリーマン世帯で親が扶養を外れたから減税なんかとんでもない、吹っ飛んじゃう。こういうケースは、そこだけを甘くしてあげたらまたまずいのかなとも思うけれども、しかしこれも皆さん全然見当つかなくて、この年末調整でわかった事実だからね、普通の人には。  これ、何かいい工夫がないかなと思うんですけれども、どんなもんでしょうか。
  293. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 今回、大多数のサラリーマンの方については所得税はもう一〇%でございます。したがいまして三十三万円、今度の改正でお願いしているのは三十五万円ですが、その一〇%がそこに響いてくるということでございます。それからまた、老齢厚生年金でございますと、その一人当たり支給平均金額は百二十一万円程度でございます。  したがいまして、普通の平均的な支給水準からすれば百五十万円でも十分カバーされてございますので、いわば、まさに委員の御指摘のように措置をするとすれば、経過的な激変緩和措置になるわけでございますが、このような平均的な年金支給水準からいたしますと、御指摘のように、確かに少なからぬ方はおられるかとは思いますけれども、大多数の平均的な場合はこれはおおむねカバーをされるということからしますと、ここは何とか御理解を賜れないものかと思うわけでございます。
  294. 野末陳平

    野末陳平君 余波を受けちゃって、不運だということになるんだろうけれども、しかしそういう家庭にとっては全くの増税のみだからね。そこへまた消費税で、お年寄りがいて、こういうのも何か割り切れないところがあるんですけどね。こればかりやっていても切りがありませんから、いいお答えがもらえそうもないのにこだわってたら、本当にいらいらするからね。  厚生大臣、もう結構ですよ、次に行きますから、どうぞ。さっき言ったことを頭に置いておいてください。  今度は自治省関係。  固定資産税を払えない老人世帯というのが出てきているんですね、これは御承知のとおりでしてね。それは、いいところに自宅があるからといえばそれまでなんですけれども、年金と利子ぐらいでもって暮らしを立てているという、例えば東京二十三区内に自宅がある、こういうような老人世帯は、固定資産税を払ってしまったらもうはっきり言って生活費は余り残らない。これはこれで、息子が負担するなり、ほかに収入があれば問題がないんですけれども、そういう老人世帯が今後ともふえてくるから、固定資産税も上がっていくから。  そこで、こういうことを考えたんです。つまり、土地は値上がりし担保価値も利用価値も出ているんだけれども、それを使い切れないがゆえに、ただただ固定資産税が重荷になっているわけですね。そこで、どうでしょうかね、こういう老人世帯は固定資産税を相続のときに清算するというようなシステムをつくって、どういうふうにするかは別ですよ、納税猶予をしてあげるというようなことをすれば、とりあえず不安というか負担はなくなるかな、そういうことは考えられないかと思っているんですが、いかがでしょうか、自治大臣
  295. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 社会的弱者について固定資産税の徴収猶予を認めて一括納付ができる制度の創設をしてはどうかという御提案でございます。この質問通告を受けまして、瞬間は大変すばらしいアイデアだなと思いまして、勉強会を昨晩やりました。  ところが、答えになりますと、結局は固定資産税は、資産の保有と市町村の行政サービスとの間に存在する受益関係に着目し、その資産を有することに担税力を見出して、資産の評価に応じ毎年課税される税であり、また人に着目しない税金であるから、一括納付にはなじむかどうか問題がある。そして、徴収猶予期間が長期にわたることから、債権管理面では多くの困難を伴うこと等から、このような制度を創設することはなかなか難しいというお答えになってしまったわけでありますので、また別個なひとつよい仕組みを考えなければならないというふうに考えております。お許しを願います。
  296. 野末陳平

    野末陳平君 つまり、そういう答えになったのでは進歩がないわけで、要するにここ数年目立ってきて、今後とも物すごく目立つ現象だと思うんですよ。  それで、大臣は担税力に着目と言うけれども、年金と利子ぐらいでは担税力はないわけだ。ただし、資産としての価値は持っている。しかし、これは今、金にかわらないのだから。そこで僕が言ったのは、相続まで猶予して、もちろん低利の利子はいただくにしても、そのぐらいにして猶予してあげる、そういうシステムがつくれたらいいんじゃないかという、そこで工夫をしたらどうかという提案なんですよ。僕だって特別いい案があるわけではないんですよ、今。  例えば、武蔵野市でやっている、あるいは民間では信託方式とかいろいろある。それぞれあるけれども、今回あえて自治大臣にお聞きしたのは、お年寄りたちはみずから住んでいるだけで、それを利用しようとか、それを担保にして何かやろうとかいうことは知らないし、知っても度胸がなくてできないし、お年だからもう無理なんですね。やっぱりこちらでやってあげるようなシステムというか、メニューを見せるというか、そういうことをしてあげないと、ちょっとこれは大変だと思うんですよ。  その一つが、一番簡単なのが固定資産税を猶予する。いいじゃありませんか、利子つけて。資産管理が大変だと言うけれども、そんなにべらぼうに資産管理、ほうっておいたって土地ですから、要するに問題は。だから、相続のときに清算することを法定相続人全員で合意した上でお金を貸すもよし、ただ利子を払って納税猶予を何十年後にしてもらう、それもよし。考える余地はあるんじゃないかと思うんだけれども。僕もきょういいアイデアがあれば本当は出したいんだけれども、考えてもなかなかいいアイデアがないんです。  ですから、広い意味の高齢化社会対策の、特に東京で暮らす老人世帯、二人あるいは一人、そういう人が、ただ家だけはある、あとは何もない、そういうケースがふえている、それについてどうかと、こういうお願いですよ。
  297. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) まだ、確たるよい考え方が出ているわけじゃありませんけれども、ただ固定資産税のみを限定して徴収猶予期間を相続時までとか、そういうことをすると債権管理面がなかなか難しゅうございますし、例えば、固定資産税のためにのみそこの抵当権を設定してしまえば、ほかに活用、二番三番抵当ということにもあるいはなろうかもしれませんから、むしろ老人ないしは社会的弱者の方は、固定資産税の納付も、ほかの生活やその他をひっくるめて何らかの制度ができないものか。  それは、各市町村、都道府県によって事情が違うかもしれませんけれども、私は、画一的ではなくても、やれる分野であれば恐らくそういうものが市町村によって取り入れられるだろう、そういう感じがいたしますので、勉強をしてまいりたいと考えております。
  298. 野末陳平

    野末陳平君 固定資産税だけじゃないんですね。固定資産税をひっくるめて、お年寄りの老後の経済安定にせっかく資産価値の上がった自宅をうまく活用できる、本人たちは考えられないから、そういうメニューをこちらで示さなきゃいけないだろう。武蔵野市がたまたまやっていて、あれは実験中でなかなか問題もあるようですけれども、しかしこれも考える当然のテーマであろう、そう思っているんです。そうでしょう、総理大臣
  299. 竹下登

    国務大臣竹下登君) それは、抵当権の問題と、それから今おっしゃった中で私なりに感じたのは、法定相続人が全部それに合意をしてというようなことになりますと、今度はその法定相続人全員が将来まさに相続人になるわけでございますから、その全員が合意をして金を借りて整理するというのも一つの手だな、今こんな感じがしました。  実際、ぎりぎりのときには、確かにあります。先ほども聞いておりましたが、五十九年税制でございましたか、一〇・五というのを刻みでつくりましたときは、結局すべて減税になる。ところが、ちょうどまだ独身の夜鳴きのラーメン屋の方を対象にして控除をやってみたら、どうしても減税になる目が出なくて、各種控除の問題で、したがって一〇・五というのをあのときつくったことがあるんですから、そういう工夫もいろんなことでしていかなければなりませんが、今の問題は、お互いの知恵比べで勉強してみたいと思います。
  300. 野末陳平

    野末陳平君 現に武蔵野市という例がありますから、今後あれが地方自治体全部に普及していくような傾向があればいいなと、その音頭をとるのが自治省かなというふうに思ったりしたんで、これは研究課題にしておきましょう。  相続税の問題の中で一つだけ、今のお年寄りの固定資産税と関係あるんですけれども、路線価ですね。これは上昇がことのところ数年かなりきついものがありまして、御本人たちがみんなびっくりしている。土地の値段も上がったんだから、ある程度はやむを得ない面もなくはないんですけれども。  さて、ここなんですが、せっかくの相続税減税も、都市部においては路線価が今までのような感じで上がっていきますと、あと一、二年で減税効果なしというような、帳消しというようなことになりかねないんですが、そうですね。さあ、そこでどうでしょうか、この路線価は、公示価格の七割を目指して引き上げるという基本方針は聞いておりますが、あと何年ぐらいはまだまだ毎年のように引き上げられていくのであろうか。都市部と地方都市などで違うとは思うんですが、それについての見解をちょっと示してください。
  301. 伊藤博行

    政府委員(伊藤博行君) 先生御案内のように、私どもの方の相続税、土地につきましては路線価等でやっております。  路線価の算定につきましては、ただいま御質問の中にございましたように、基本的には地価動向を踏まえながらそれに見合った価格にしていくということで、ただ公示価格そのものというよりも、公示価格ベースのおおむね七割を目途にということでやっております。  今後の動向は、まさに今後の地価動向かどうかということが一つ、それから現状が、今私どもが目安にしておるものに対して実態はそこまでいっておらないということ、その二つの要素がございますので確定的なことはなかなか言えませんけれども、都市部とそれからその他のところ、地方部ではかなり差があるように思います。  問題の都市部につきましては、これもまたそれぞれの地区で多少水準差はございます。従来に比べますれば、地価動向の今後の見込み次第でございますけれども、それが従来ほどでなければ、従来の水準差を埋めるという部分が多少追っかけていく部分がございますけれども、そんなに急激なものではないと思います。  ただ、うんと水準差が低い地区につきましては、ある程度それを埋めていく部分の要素がかなり効いてくるんじゃないかということで、多少地区によってばらつきがあるんじゃないかというふうに思います。
  302. 野末陳平

    野末陳平君 そうすると、今までほどじゃないかもしれないとおっしゃるが、例えば来年の路線価は、都市部とその他の地域で大体何割ぐらい、大ざっぱでいいんですけれども、上がりそうな気配ですか。
  303. 伊藤博行

    政府委員(伊藤博行君) 路線価は、いつも年を明けて、六十四年分ですと来年の一月ぐらいにまとめるべく今作業中でございます。  今時点で参考にし得る計数といたしましては、国土庁の方で発表しております基準値価格がございます。これは本年の七月一日現在でございますけれども、前年の上昇率全国平均で七・四、東京圏で二二・六、大阪圏で二七、名古屋圏で一二・八%になっております。これはあくまでもその基準価格の動向でございます。そのほかに、先ほど申し上げました水準差の問題もございますので、これはまたそれぞれの地区ごとによって違っておりますから、その部分がベースになりながらプラスアルファというものが出てくるだろう。  しかしこれは、御案内のように、それぞれの路線につけるものですから、多少そのでこぼこがある部分によって差は生じてくる、上昇率にも差が生じてくるというふうにお考えいただけたらと思います。
  304. 野末陳平

    野末陳平君 アバウト今ので推測すると、やはり来年も場所によっては二、三割は路線価が上がる、こんな感じなんですけれどもね。  そこでお伺いしたいんですけれども、せっかく相続税の減税をやっても、路線価が二、三割来年上がり、また次の年も上がるとすれば、結局減税もふいになっちゃうというか、もう数年で、せっかく減税をやったのに、実は相続が先だからそうなるんですけれども、何の喜びもないというか、何のプラスもないと、そういうような感じがしちゃうんで、結果的に減税やっても意味がない、特に東京の人なんぞは。  そんなわけでして、路線価の引き上げを、地価動向にもよるけれども、ややしばらくは抑えぎみでいってもらえないかなと思うんですけれども、それはどうですか。
  305. 伊藤博行

    政府委員(伊藤博行君) 路線価の現状並びに現状の持つ問題点といいましょうか、これはもう私が申し上げるまでもなく、先生の方がよく御存じかと思います。  現在、私どもが執行面を含めまして抱えております問題は、一つは、相続税というのが他の財産を含めてあらゆる財産に相続税がかけられるということからくる問題がございます。したがいまして、土地を相続した場合とその他の財産を相続した場合とで評価の基準を変えるということになりますと、そこに非常にアンバランスが出てまいります。税法上は、あらゆる財産を時価で評価して、それに税率を掛けるという前提ですから、特定の財産だけを低くすることによる課税上のアンバランスというのが基本的に問題でございます。  それにプラスしまして、今特に世の中で言われております問題は、土地の路線価等が実勢価格を相当下回っておる、そのことのゆえに人為的な節税対策が非常に多く行われておるということからくる問題、それが各種、税に関する本の中でいろいろ言われておるというようなことから見まして、ことで人為的に路線価、先生がおっしゃるような路線価を今後とも抑える、あるいはアップ率を抑制するということにしますと、今申し上げた問題点は一層拡大してしまうということで、先生のお話の趣旨も趣旨としてわかりますけれども、やはり相続税全体の観点からいきますと、むしろおっしゃるのとは逆で、可能な限り路線価は適正にしていくということの方が大事ではないかというふうに考えております。
  306. 野末陳平

    野末陳平君 それは、基本的にはそのとおりで別に異議はないんですが、しかし、せっかく相続税の減税をやって喜ばしたような感じでも、実は路線価が上がればどうということはない、もとのもくあみじゃないかと、こういう印象を与えたくないと思っているんで、その辺を工夫してもらいたいという、そういうつもりの質問だったんです。  じゃ、ちょっと消費税関係で、建設大臣と郵政大臣に来ていただいていますから、先に質問をさしていただきます。  転嫁の問題がずっと問題になっておりますけれども、これは、公共性のある料金についてどういうふうにして転嫁するかという、その方法がかなり明らかになってくれば、一般の業者もそれなりに工夫ができる、ヒントになるだろうと思うわけで、その意味で、まず郵政大臣に聞きますけれども、電話料金、これはどういうふうになりそうですか、転嫁は。
  307. 中山正暉

    国務大臣(中山正暉君) お答えを申し上げます。  加入電話につきましては、サービス料金を回収しますための請求書に別掲で消費税を明記したい、かようなふうに思っております。千円ならば千三十円というような形でお願いをしたいと思っております。  公衆電話につきましては、課金機と申しますが、これで時間を短縮いたしまして、その分で消費税分をいただこうと、こういうことでございます。それから国際電話は、これは輸出類似取引ということで免税でございますので、そういう形でこの消費税は実施さしていただきたいと思っております。
  308. 野末陳平

    野末陳平君 加入電話についてもう少し聞きますけれども、そうしますと、請求金額全体に三%別掲で、その合計額と、こういう意味でしょうか。  というのは、請求金額の中には、最近の言葉がいろいろあるようで、基本料金とか付加使用料とかあるいは度数料とかあるんですか。そうすると、全部に対してだと消費という部分と基本料金のその部分と、両方にかかるのもおかしいなと思ったりするんですが、その辺はどうなっていますですか。
  309. 塩谷稔

    政府委員(塩谷稔君) これまでいただいておりました電話の請求書を発行して回収しますサービス、これには今おっしゃいましたように基本料、度数料が一緒になっておりますので、それを合わせたものについて三%を別にいただくと、こういう格好になろうと思います。
  310. 野末陳平

    野末陳平君 それから、公衆電話は時間が短くなると言いましたが、そうすると、例えば市内が一通話十円で三分だとしますね、その場合は二分四、五十秒と、こういう刻みで。ただそうなると、それはそれでいいんですが、税金が見えないから、何か納税しているという意識もないようで、別に欠陥だと言うんじゃないんですけれども、やはりやむを得ないと思うものの、別掲で見えるのが一番いいですね。  ただ問題は、市外の料金などをこの際見直すというか、もっと安くなるんじゃないかと、やっぱり少し高過ぎるんじゃないかとか、そういう気もするんですが、消費税のときにあわせてそういう料金体系などを値下げの方向で見直すとか、そういうことは郵政大臣、考えておりますか。
  311. 中山正暉

    国務大臣(中山正暉君) これは、私が就任いたしましてからも二回値下げをさせていただきまして、離島間なんかは今度はもう大変、沖縄を最初にやりましたが、四百円のところを三十円という値段にいたしました。できるだけNTT、KDDの方にもお願いをして、国際料金、特にオリンピックの際には、前川さんと石井社長が十月一日からやりたいと言ってこられましたものですから、それは、十月二日にオリンピックが終わるのに十月一日に値下げでは、前川さんあなた、前川リポートというのを書いた方ですが、国際的にお名前があるだけに、これは問題があるんじゃないでしょうか、ちょっと前倒しをしてくださいとお願いして、九月十五日から料金値下げをしていただいて、オリンピックの選手の皆さんが日本からあちこちに電話をかけられるその経路としてお使いになるときにお役に立つようにということもいたしました。  そんなことで、これからも、ISDN化と言っておりますが、ディジタル化されますと、これは十年かかると思いますが、ことしの四月十九日から——今まではアナログ方式の銅線を使って、わずか電話の時間を一日もう数分しか使わないもののために使っておりましたのを、これからキャプテンシステムとかファクシミリとか、それからテレビ電話とか普通の電話とか、そんなものがもう光ファイバー、髪の毛一本に大体二千通話ぐらい入るというぐらいのものができるわけです。これはまた、銅はチリとかアフリカのある国が主産地でございましたが、これは珪石からとれますから、ガラスですからどこにでもある。砂の中ならばどこにでもあるという光ファイバーを使いましたら、料金はどんどん低廉化できると思います。  これからは、そんなふうにISDN化が図られましたら、十年の間には料金はどんどん下がっていく。その上、NTT、KDDにも合理化をしていただくということで、ますます民衆のために役立つ電気通信という役割を果たしていけるものではないかと思っております。
  312. 野末陳平

    野末陳平君 この業界は競争も激しいことですから、今後ともまだまだ大幅に引き下げないと、どうも少しまだ高過ぎるという気がしますから、その方向で郵政大臣にも御努力をいただきたいと思います。ありがとうございました。  さあ、ここで建設大臣に、どうもあちこちに私行きましてこれが一番不安がられているんです。やはり建設業というのはよくわからないところがあるんですけれども、とりあえず、公共事業の請負関係においてはどういうふうに消費税の転嫁をスムーズにしていくというような予想でしょうか。
  313. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 消費税は最終消費者が負担する、こういうことでありますから、公共事業にいたしましても発注者が負担をすべきもの、こういうふうに考えております。  具体的には、今いろいろ研究をしておりますが、例えば、一億円の工事を発注するといたしますと、はっきりしないと言われる心配もありますので、三百万円を別途にして、入札のときには一億の予定価格で発注をする、後で三%を足していこう、こういうことを検討いたしております。そういうことではっきり消費税が転嫁できる、こういうことで進めてまいりたい、かように思っておる次第であります。
  314. 野末陳平

    野末陳平君 公共事業の発注側が、そういうふうに別掲できちっと三%乗せるということをいいお手本にしてもらえば、それは一つのムードづくりになると思うんですが、その場合は、予算面でも大蔵省は三%分を余計に組み込むという、そういう予算をつくるわけですね。
  315. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 今後の予算折衝でそういうふうに進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  316. 野末陳平

    野末陳平君 これは総理、当然だと思うんですが、予算が三%分ふえていなければ結果的には業者に転嫁してのませちゃったことになりますから、この点は折衝じゃなくて確実に当然それをやっていただきたい。いいお手本を示してもらわなきゃ困る。  ただし、民間はどうなんでしょうね、建設大臣。大手のゼネコンなんかが下請に出していく強い立場だと言われていますからね。こういう場合もきちっとした転嫁が行われると、どういうふうにしてそれを保証していくようなおつもりですか。
  317. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 今、もう各地の公共事業が非常に多い。こういうことで、公共事業を進めてまいりますと、民間もそれに倣ってもらうように建設業者も指導をしてまいりたい、かように思っておる次第であります。
  318. 野末陳平

    野末陳平君 さらにもう一つ、建設業は強い弱いが常に発注と受注の間であるようですが、末端の方の大工さんなども、仕事をもらう場合には弱い立場だけれども、今度はサッシとかガラスとかじゅうたんとか、そういう資材購入のときは強い立場になるんですね。そういう大工さんまでがきちっとやれるでしょうかね。どうしてもそういうところは競争も激しいから、転嫁を業者はしにくいんじゃないかというふうに考えますけれども、そこまできちっとした指導のもとにスムーズな転嫁ができるような環境づくりをやれそうですか。
  319. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 下請につきましても、資材で既に消費税を払っておる部分については、またそれの付加価値についてはきちっと税を負担するように指導してまいりたい。で、ゼネコンの場合もその付加価値の分については持つ、それをきちっと指導してまいって、適正に行われるように進めてまいりたいと思っています。
  320. 野末陳平

    野末陳平君 転嫁ができないという不安を抱いている業界の一つが今の建設関係だと思うんで、その辺はしっかりと指導してもらわないと、とてもこの税が定着するとは思えません。  そこで、時間もなくなってきたんですが、総理大臣、お聞きしたいことがあるんです。  今回の帳簿方式、簡易税額方式、どちらもいいんですが、そちらがお考えになったのは、はっきり言いまして、前の売上税よりこの点では後退しているのはもう万々承知の上だと思うんですが、一つ大きな欠点がありまして、これは消費者もそれから国もすべて業者の良心に、まあ良心というと大げさですがね、業者にすべてをゆだねたというこういう税なんですね。  簡単に言えば、きのうからずっと問題になっております、消費者が払った税金が果たしてきちっと国庫に入るかどうかという問題もあります。それ以前にまず、売り上げと仕入れを業者が把握して、それに税率を掛けて納税額を出すんですけれども、そもそも売り上げと仕入れが必ずしも正確ではないというのが当たり前の見方ですね。まさにここがサラリーマンにとって捕捉が十分でない不公平税制と言われてきたことでしょう。そうすると、この不公平税制でサラリーマンが一番おかしいと追及してきたことがうやむやのままに、さらに、売り上げと仕入れを落として、初めから少な目に所得税の申告はやるんですから、あるいは法人税の申告はそういう業者が多いんですから、となると、その上にまた消費税を計算するんですから不公平が二重になる、こういう感じがします。  今回のは、余りにも業者の良心次第という、消費者にとっても徴税する側にとっても、まさに何かつかまえどころがないという、それが欠陥だと思うんですけれども、どうでしょうか。
  321. 水野勝

    政府委員(水野勝君) その点は、間接税といったものがあくまで事業者に納付事務をお願いしておりますそのところから来る問題点でございます。  前回、税額票の仕組みをお願いいたしました。この税額票がないと税額控除ができない、それが相互牽制に働くという点はあったわけでございますけれども、その場合におきましても、その税額票は各事業者が保管をしておいていただければいいということで、特段これが税務署の方に出てくるということでもなかったわけでございますので、相互牽制という意味におきましては、税額を記載した税額票があるかないか、帳簿上、あるいは今回帳簿だけでなくて請求書等でも税額控除ができるわけでございますが、そうした帳簿方式と税額票方式では本質的に差があるとも思われないわけでございまして、そこはもう間接税一般の問題でございます。  この点をぎりぎり進めてまいりますと、ちょうど昭和二十三年に取引高税をお願いいたしましたときに、必ずお客さんはお買いになったものの一%の印紙を受け取ってくださいと。そうしますと、消費者としてはその値段の一%分の印紙を渡していただければ、必ず業者としては、その一%の印紙は郵便局で購入されているわけですから、その分だけ納税はしておられる。これは極めてはっきりするということが言えるわけですが、それはそれで、事業者に取引の都度印紙をやりとりする、消印してやりとりをするということが猛烈に手間をとらせるということで、このシステムは四カ月しかもたなかったわけでございまして、やはり売り上げを、当時は月ごとでございました、その合計額で納めていただくということになったわけでございます。  結局は、そこは事業者の納税につきましての御協力にお願いをする、それからまた、国税当局としてその点につきまして極力お手伝いをするということで解決していくというのが本筋でございます。  ただ、所得税、法人税と申しますのは、売り上げがあって仕入れがあって、それからまた経費その他もろもろのものを複雑な計算、書類等によって控除しました残りの所得といった極めて最後の、いわば余剰利益といったものに対して課税をお願いしている。これに対しまして消費税の納税額というのは、売り上げがあり仕入れがあってということでございます。その点は、ある意味では極めて簡素な仕組みでございますので、相互牽制というのは、税額票でなくても所得税や法人税と比べれば、そこはある意味では格段の差があるのではないかと思うわけでございます。
  322. 野末陳平

    野末陳平君 違うんだな。税がどうということを聞いているんじゃなくて、売り上げをそもそも過少に申告する業者というものも少なくないわけで、だからこそ捕捉率の問題でクロヨンとかトーゴーサンとかいうのが今までずっと問題になってきたわけです。そうすると、納税のときは過少に計算した売り上げで納税するが、しかしお客さんに転嫁するときはそんなこと関係ないんですから、売れたままですから、転嫁がきちっといっちゃった場合には当然そこでごまかしが生ずるわけです。その辺は業者に御協力をって言うけれども、今回の仕組みは業者の方にばかりいろいろと都合を考えてあげて、納める方の立場というのが非常に軽んぜられている、それが欠陥だと私は思っているんですよ、ほかにもいろいろあるけれども。まずその点について。  これは、まさに不公平という問題が今までずっと議論されてきながら、その一部であったわけですから、それにかかわるところですから、これうやむやになった上にもう一回消費税でも似た不公平が起きるんだと、消費者から見て。ごまかす人とまじめにやっている人の、そういう問題はちょっとほっておけない、こう思うんですが、そういうふうにお感じになりませんか。
  323. 竹下登

    国務大臣竹下登君) インボイス方式そのものが、税額票方式から帳簿方式になった、それと免税点という問題とは、これは確かに私は、相互牽制作用があのとき考えたよりは薄くなると申しましょうか、その欠陥は実際あると思います。  しかし、そうは申しましても、私は、今度この新税に対していろんな指導をしてまいりますと、その面におけるいささかのそうした問題はあるが、全体としてかつてのクロヨン的考え方よりは、流通過程に全員入るということは、それはむしろ是正の方向に働くんじゃないかなという期待をしております。
  324. 野末陳平

    野末陳平君 それは期待だから、現実にどうなるかということは全くわからないんです。  しかし、少なくも今までクロヨン、トーゴーサンの言葉が定着したという背景には、サラリーマンのような源泉徴収される立場から見ると、商売、の人は何かにつけてうまい工夫ができる。早く言えば、売り上げをごまかしちゃっている、仕入れだってごまかせる、経費だって過剰に出せる、一方にこういうような所得税上のあるいは法人税上の問題があって、これはこれで置いておいて、さて今度消費税の場合はお客さんに転嫁される。お客さんは納税しているわけですね。預けているわけだ。その預けたお金が、売り上げを過少にそもそも帳簿をつける、あるいはそういうような申告をしている人は消費税まで過少になりますから、その部分はやっぱりおかしいなと思うんですが、それはどうですか。総理大臣はそれはおかしくないんでしょうかね。  僕は、インボイス方式に戻せとか、そっちの方がいい、相互牽制をやれ、そういうことを言っているんじゃないんですけれども、そういう面も含めて、やはり不公平不公平と言ってきたのにその部分がそのままの形でもって消費税の計算に当てはめられている、ここがおかしいなと思うんですけれども。
  325. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 仮に事業者の方がまさに売り上げを抜かしておるということで、しかし消費者の方には正規の売り上げの三%分を転嫁してお売りになっている、その幾らかを落としてその三%を納められるということでございますと、まさに消費者の面から見てもその点は問題があるし、クロヨンという点が直らないのではないかということではないかと思うわけでございますが、ただいま申し上げました間接税としてこうした消費税を仕組むということでございますと、その点は間接税の範囲内の問題としてはそこは限界があろうかと思います。  所得でなくて消費に御負担を願うということで、それならば、理論的にはそれぞれの消費者が年間の消費額の三%を御申告いただく、これは理屈としてはよく言われる直接消費税であり、総合消費税ですが、そうしたものはこれはまたこれでなかなか考えられない話でございます。  所得とともに消費に課税を薄く広くお願いするとすれば、これは事業者に御協力をいただくというシステムしかないと思うわけでございます。その以後の点は、間接税であるという点に着目して、極力事業者の適正な納税をお願いし、国税当局がそれを強力にお手伝いするということではないかと思うわけでございます。
  326. 野末陳平

    野末陳平君 しかし、不安があるんですね。
  327. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 野末君、もう時間が来ましたから、その一問だけ。
  328. 野末陳平

    野末陳平君 はい、わかりました。  完全なる税法、あるいはだれにも納得できるわかりやすい税法がすぐできるなんてことは思っておりませんが、初めからどうも見直しすべき点はこことこことここというような、そんな感じの、弱点をあらわにしたような税法というのが果たしていいかなと、こう思って、それで非常に不安だということにとどめておきます。
  329. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、明日は午前十時に公聴会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後五時五十七分散会