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1988-12-14 第113回国会 参議院 税制問題等に関する調査特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十二月十四日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十二月十三日     辞任         補欠選任      吉井 英勝君     佐藤 昭夫君  十二月十四日     辞任         補欠選任      片上 公人君     太田 淳夫君      小西 博行君     柳澤 錬造君      野末 陳平君     秋山  肇君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         梶木 又三君     理 事                 斎藤 十朗君                 林  ゆう君                 平井 卓志君                 降矢 敬義君                 吉村 真事君                 志苫  裕君                 安恒 良一君                 峯山 昭範君                 近藤 忠孝君                 栗林 卓司君     委 員                 井上 吉夫君                 井上  孝君                 板垣  正君                 岩本 政光君                大河原太一郎君                 大木  浩君                 岡部 三郎君                 加藤 武徳君                 久世 公堯君                 後藤 正夫君                 斎藤栄三郎君                 斎藤 文夫君                 下稲葉耕吉君                 田辺 哲夫君                 谷川 寛三君                 仲川 幸男君                 藤井 孝男君                 松浦 孝治君                 村上 正邦君                 森山 眞弓君                 及川 一夫君                 千葉 景子君                 福間 知之君                 矢田部 理君                 山口 哲夫君                 山本 正和君                 太田 淳夫君                 塩出 啓典君                 和田 教美君                 佐藤 昭夫君                 橋本  敦君                 柳澤 錬造君                 秋山  肇君                 下村  泰君    国務大臣        内閣総理大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君        法 務 大 臣  林田悠紀夫君        文 部 大 臣  中島源太郎君        厚 生 大 臣  藤本 孝雄君        農林水産大臣   佐藤  隆君        通商産業大臣   田村  元君        運 輸 大 臣  石原慎太郎君        郵 政 大 臣  中山 正暉君        労 働 大 臣  中村 太郎君        建 設 大 臣  越智 伊平君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    梶山 静六君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 小渕 恵三君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       粕谷  茂君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  田澤 吉郎君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       中尾 栄一君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       伊藤宗一郎君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  堀内 俊夫君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  内海 英男君    政府委員        内閣法制局長官  味村  治君        内閣法制局第三        部長       津野  修君        公正取引委員会        委員長      梅澤 節男君        公正取引委員会        事務局官房審議        官        糸田 省吾君        防衛庁人事局長  児玉 良雄君        防衛施設庁建設        部長       田原 敬造君        経済企画庁国民        生活局長     末木凰太郎君        国土庁長官官房        長        公文  宏君        国土庁土地局長  片桐 久雄君        法務省刑事局長  根來 泰周君        大蔵省主計局次        長        篠沢 恭助君        大蔵省主税局長  水野  勝君        大蔵省理財局た        ばこ塩事業審議        官        松田 篤之君        大蔵省証券局長  角谷 正彦君        国税庁次長    伊藤 博行君        文部大臣官房長  加戸 守行君        文部大臣官房総        務審議官     菱村 幸彦君        文部省教育助成        局長       倉地 克次君        文部省高等教育        局長       國分 正明君        文部省高等教育        局私学部長    野崎  弘君        厚生大臣官房総        務審議官     末次  彬君        厚生大臣官房老        人保健福祉部長  多田  宏君        厚生省健康政策        局長       仲村 英一君        厚生省保健医療        局長       北川 定謙君        厚生省生活衛生        局長       古川 武温君        厚生省薬務局長  北郷 勲夫君        厚生省社会局長  小林 功典君        厚生省児童家庭        局長       長尾 立子君        厚生省保険局長  坂本 龍彦君        厚生省年金局長  水田  努君        厚生省援護局長  花輪 隆昭君        社会保険庁次長        兼社会保険庁総        務部長      川崎 幸雄君        社会保険庁運営        部長        兼内閣審議官   土井  豊君        農林水産省経済        局長       塩飽 二郎君        農林水産省食品        流通局長     渡辺  武君        通商産業省産業        政策局長     児玉 幸治君        資源エネルギー        庁長官      鎌田 吉郎君        中小企業庁長官  松尾 邦彦君        中小企業庁次長  三上 義忠君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    丹羽  晟君        運輸省運輸政策        局長       塩田 澄夫君        運輸省地域交通        局長       阿部 雅昭君        郵政大臣官房長  松野 春樹君        郵政省電気通信        局長       塩谷  稔君        労働大臣官房政        策調査部長    甘粕 啓介君        労働省婦人局長  佐藤ギン子君        労働省職業安定        局長       岡部 晃三君        労働省職業安定        局高齢障害者        対策部長     竹村  毅君        建設大臣官房総        務審議官     木内 啓介君        自治大臣官房総        務審議官     小林  実君        自治省行政局長  木村  仁君        自治省行政局選        挙部長      浅野大三郎君        自治省財政局長  津田  正君        自治省税務局長  湯浅 利夫君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君        常任委員会専門        員        片岡 定彦君        常任委員会専門        員        保家 茂彰君    参考人        日本電信電話株        式会社代表取締        役社長      山口 開生君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○税制改革法案内閣提出衆議院送付) ○所得税法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○消費税法案内閣提出衆議院送付) ○地方税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○消費譲与税法案内閣提出衆議院送付) ○地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 梶木又三

    委員長梶木又三君) ただいまから税制問題等に関する調査特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  税制改革法案外案審査のため、来る十二月十七日、参考人出席を求め、その意見を聴取することとし、その数及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 税制改革法案所得税法等の一部を改正する法律案消費税法案地方税法の一部を改正する法律案消費譲与税法案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、これより安恒良一君の質疑を行います。安恒君。
  5. 安恒良一

    安恒良一君 実は私はきょう、竹下総理税制問題について十分な質問をしたいと思っておったんですが、けさ新聞によりまして御承知のように、このリクルート問題は私は新たな第三段階を迎えたと、こういうふうに思います。このことを緊急にまず郵政大臣質問をしたいと思います。  けさ新聞が一斉に報道いたしましたように、真藤会長の元秘書村田さんに贈呈をされたと言われるコスモス株売却益金、それの半分ですね、新聞報道によりますと一千万とか九百万というのが、これが真藤会長口座に振り込まれている、こういうことが明らかになったということでありますが、この点について郵政大臣はどこまで調査をされているのか、事の真相について、まず報告をしてもらいたいと思います。
  6. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) お答えを申し上げます。  昨晩十時半ごろでございましたか、そういう知らせがございまして、けさまでは連絡がとれませんでしたが、けさNTT連絡をとっております。今そういう段階に来ておりますが、昼過ぎにでも会長社長にお目にかかってみようかと思っております。今、村田氏と連絡がとれないということで、村田さんの方と調査委員会とで事情を聴取する、今、連絡がとれないそうでございますので、できるだけ緊急に対応をいたしたいと思っております。
  7. 安恒良一

    安恒良一君 郵政大臣、きょう冒頭にこのことが問題になるということはあなた常識でおわかりでしょう。だから、のんきに昼過ぎとか言わないで、けさでも早速真藤さんや社長を呼んで、そして、私たち質問に答えられるようにされるのがあなたのお仕事じゃないですか。えらいのんきですね、昼過ぎなんというと。どういうことですか、それは。
  8. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) この委員会に全閣僚がそろうようにという御指示でございますので、百分間はここへ座っているということでございますから、その後はきょうは逓信委員会でのNHKの決算がございまして時間がとれないものですから、五時間かかるものですから、もしお許しがいただけますれば、このままこの場を失礼いたしまして、連絡をとりたいと思っております。
  9. 安恒良一

    安恒良一君 そんなこと聞いているんじゃないんですよ。委員会が始まるのは十時です。あなたがわかったのはきのうでしょう。きのうの夜中でしょう。十時までの時間あるじゃないですか。そんな、あなた言い逃れしたらだめです。そのことはいいです、あなたは不誠実です。  そこで、総理にお伺いをしたいんです。というのは、最近新聞に新しい言葉が出ておりまして、妻が妻がの高石さん、秘書秘書かの宮澤さん、専ら沈黙の中曽根さん、そしてつかさつかさ竹下さんと、こういう言葉が出ているんですが、私たちはこの問題が起きたときから、すなわちリクルート側が贈ったのは秘書ではないんではないか。いわゆるそれぞれの本人ではないんだろうか。わかりやすい言葉で言うと、秘書に贈ったんじゃなくて、親方の方に贈ったんじゃないか。こういうことで、この問題についていろいろあなたたちに問いただしてきたところであります。このことの真実がきょう出てきました。すなわち村田氏に贈られた半分が真藤さんの口座に入っているということは、これはもう間違いがない事実ですから、そういうことになると、私たちはこの問題が起こったときに、それは竹下さんの秘書青木さんじゃなくて竹下方宮澤方中曽根方真藤方、ここに金が贈られたんではないかということを再三再四いろんな角度から質疑をし、問題をただしてきたところであります。ところが、皆さんは専ら青木さんがとか、福田さんがと、こういうことを言われたんですが、きょうこのような新しい事実が出てきました。  そこで、この点について総理はどうお考えになるかということと同時に、総理があくまでも身の潔白を御主張くださるならば、やはり委員会相談事ということじゃなくして、資料提出をして 身のあかしを立てなければ、国民はこの点について大きな疑惑を持つと思います。国民一般常識では、秘書に贈ったということを信じている人はいないんです。わずか半カ月間で、十五日間で数千万の利益が入るものを秘書に持っていったと思っている人はいない。しかし、あなたたちはそれは秘書と言い張られるわけですから、それならば、その疑惑を明かすために、既にこの総括質問に入って、志苫委員を初めみんなの委員からあなたに、身のあかしを立てるための証拠書類等提出をするようにということを求められていますが、あなたは言を左右にしてはっきりされません。こういう問題について、私が冒頭に申し上げましたように、いよいよリクルート問題は第三の段階に入ったと、いよいよ私は真相を究明しなきゃならぬと思いますが、こういう点についてどう考えられますか。
  10. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私自身いつでも真実を申し述べることにいたしております。事実、いつかもお話ししたことがございますが、これは利益の出るものでございますのでお譲りをいたします、というような言い方をする人は大体私はないと思います。で、率直なところ、相手方の意図そのものを私が推測で申し上げるわけにはまいりませんけれども、いろいろな経過を見れば、この譲渡された方々の意図というのが浮かび上がってくるような感じがしないわけでもございませんけれども、お受けするときには全くそういう意図でお受けするという性格のものではない。これは私の経験上の問題も踏まえてでございます。  さて、私自身の物証とでも申しますか、これにつきましてはあえて申し上げておりますのは、やはり国会で御相談いただいた線で私が対応した方がいいだろうというふうに、これはいつも思っております。
  11. 安恒良一

    安恒良一君 ダブった御答弁は結構ですが、このように今まで真藤さんも絶対にこれは知らない、秘書が、と言っておられたんです。それに新事実が出てきたんですよ。そうすると、国民はますますこれは疑惑を持つんですよ。だから、あなた自身の問題にしてもすべてを明らかにすると。それはなぜかというと、あなたは綱紀粛正指示を出されたそうですね。その中にこう書いてあるんですね。「未公開株取引を厳に慎む」その他云云と書いてあるんですね。ところが、こういう示達を出されるあなた自身疑惑がかかっていることを明らかにしなくて、こんな示達を出したって白けるだけなんですよ。あなたが株を引き受けるときの意図というのは未公開株としたのはなぜかというと、未公開株は、私どもこの前立証したように、一社を除いて全部店頭公開のときには皆すごく値上がってもうけているんですよ、過去に。過去の例も全部そうなんです。ですからあなたの方もこれを心配して、いわゆる未公開株の引き受けを厳に慎むようにということを出されるわけでしょう。  ところが、その出される本人疑惑を持って見られておってだれがこれ聞きますか。だから、まずあなたは自分自身がこういうものを出す以上、自分の身の潔白国会からいろいろ求められていることについて進んで明らかにして、その上で綱紀粛正ということを言わなきゃ綱紀粛正にはならぬじゃないですか、どうですか。どうしてもあなたはその点においてはまず自分が率先をして——国会で決めることとか守秘義務とか個人のプライバシーとか、何とかかんとか言ってもだめなんですよ。真藤さんも、あれだけおれは絶対もらってないというのが半分もらっているんですから。そうすると、真藤さんが半分なら総理は三分の二かとか、そんな疑いになりますよ、これは。国民一般でそういう疑いになるということを私は言っているんです。しかし、それをやっぱり晴らしてもらわなきゃいかん。でないとなかなかこういうことにはならぬ。その点どうでしょうか。
  12. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、最初の問題の意味は私は十分わかります。私自身がきのう綱紀粛正、まだ未公開株云々という問題の通達の細目については金曜日にと思っておりますけれども、そういうことを今考えておりますが、事実、私自身の周辺にそうしたことがあって、それを指示しなければならない私自身がうつろなものを感じたと、それはそのとおりでございます。  今の身の潔白の問題でございますが、私はうそをつこうとも思いませんし、ここで申し上げておりますように売買約定書、それから通帳の出とか入りとかきちんとしてございますということをお答えしておるわけでございまして、それを資料として出すということについては国会の方で考えていただいた方が妥当ではないかなと、いつもそう思っております。
  13. 安恒良一

    安恒良一君 この問題を押し問答して時間を空費しても意味ありませんから、私はまず、そのことをあなたに強く申し上げておきます。  そこで、委員長にお願いしたいんですが、こういうふうになってまいりますと、どうしてもやはり真藤さん自身証人として呼ばなきゃなりません。さらに、既に村田氏については証人要求がしてあります。それから同じくファイナンスの小林社長、これはどうしても私は証人として来ていただいて、いわゆる金の流れというものを明らかにして国民政治不信を払拭をする。このことが国会に課せられていると思いますから、そのお取り計らいを願いたいと思います。
  14. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 後刻理事会で協議いたします。
  15. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、税制改革について質問をしたいと思います。  まず、税制改革の基本問題について質問したいんですが、大型間接税創設を柱とする税制改革について、大平内閣財政再建のための増税中曽根さんは増減税同額がうたい文句でしたね。竹下内閣不公平税制の是正と二十一世紀高齢社会への対応と、こういうふうに宣伝しています。いずれも表現は違いますが、大型間接税創設であることは間違いがない。どうしてこんなに内閣によってこれほど目的が違うんでしょうか。
  16. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今のお話でございますが、やはり今お述べになりましたように、歴史的に見れば一つ一貫性はあるというふうに私は思います。確かに大平内閣のとき、それこそ財政再建と、こういうことであったことは事実であります。そうして、財政再建一つの、そのときは必ずしもまだ基準はございませんでしたが、その経過の中で今度は税そのもの抜本改正という形になって、それらの間で議論されてきたことを全部集約したものが今回の提案理由というふうに御理解いただければいいんではないかと思います。
  17. 安恒良一

    安恒良一君 総理、お願いしておきたいんですが、総理は非常に税制に詳しい学者ですから余り長い答弁はひとつ——私は雑学の方ですから端的に聞きますので端的にお答えを願いたいと思います。  いろんなことをあなたも表面的な理由を言われていますし、また宣伝をされていますが、今回の税制改革一つの大きいねらいはやはり税の増収、こういうことではないのでしょうか。なぜかというと、そもそも税金というのは、国の需要を賄う財源です。ですから、二十一世紀を展望すると将来財政需要がどうしてもふえる、こういう点から見ても今回の税制改革というのは増税を予定している、もしくは予測している、そういうことではないのでしょうか。
  18. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 雑学とおっしゃいましたが、これだけ答弁さしてくださいませ。あなたは東畑会長時代税調委員でございますから、決して私は雑学者だとは思っておりませんので、その点一言だけつけ加えます。  それから、今の問題でございますが、やはり増税目的というよりも安定的財源確保、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  19. 安恒良一

    安恒良一君 増税じゃなくて安定的な財源確保と、こう言われていますが、国民の多くが一番心配しておりますのは、それがいわゆる消費税税率中曽根さんの売上税のときは五%だったんですね。それから、ヨーロッパ各国付加価値税を見ますと一〇%以下というのはないんです。だ から、どうも税率が引き上げられるんじゃないか、こんな不安があります。これに対してあなたは、いや、国会があるからという答弁をされましたが、そこまでお考えなら、増税の不安を与えないためのぜひ歯どめ策法案に明記したらどうか、私はこう思いますが、その点どうですか。
  20. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 法案明記、これは難しいことです。結果として、いつも申し上げますが、今の租税法定主義議論はもう何回も言いましたからやめたといたしまして、やはり現内閣のまず考え方そのものを理解していただくことではなかろうか。いろんな議論の中に国民負担率とか考えてみました。しかし、やはりそれを法案に明示するのは非常に困難だというふうに感じたわけであります。
  21. 安恒良一

    安恒良一君 きょうは総理は言われませんでしたが、今までこのことを聞きますと、総理のお好きな言葉では歴史一こまという言葉を盛んにお使いになるんですね。解散をしないかと言ったら、これも歴史一こまでという答弁で切り抜けられましたし、税率の点でも、歴史一こまであるから後代の人を縛ることができないと今まで同僚委員質問にあなたは答弁されました。  ところが、その論理はまことに私は勝手な諭理だと。というのは、新しく消費税創設するということは、これは完全に後代を縛る政策をあなたはやられているんですね、新しく今までなかった税制をここでやるわけですから。そうすると、あなたが言われる歴史一こまとか後代の人を縛ることはやらない方がいいということと全く答弁が矛盾していますね。あなたは全く自分の御都合主義を御主張されていると思います。ですから私は、率直に言って、あなたは言いにくいと思いますが、どうもあなたの本心の中には税率を引き上げる、こういうことが心の中にきちっとある、もしくは頭の中にある、こういうふうに今まで多くの同僚委員とのやりとりを聞いておりますと断ぜざるを得ません。これは明確に申し上げておきます。  そこで、いわゆるあなたの税制改革の基本理念の所得、消費、資産の間で均衡のとれた税体系にする、こういうことをあなたは言われていますね、今回の税改革を。それをどういうふうに実現をするのかということで、本当に納税者は三つの課税対象間で均衡がとれたとは思っていないと思います。確かに所得税減税は行われました。しかしながら、消費税創設で大多数の人々は負担増にこれはなります。それから、いわゆる資産課税では株式譲渡益に原則課税を宣伝をしながら、そして不公平を正すとあなたは言っている。しかし結果は、有取税を引き下げて売却額の一%の課税で済むという分離課税でお茶を濁す等、不十分の一語に尽きます。さらに土地、株の異常な値上がり、持てる人と持てない人の資産の格差は今日重大な政治問題とすらなっています。そうしたこの実態を見まして、だれもが所得、資産、消費で均衡のある税制になるとは思っていないのであります。すなわちこの資産優遇、金持ち優遇の日本の税制はそのまま温存されているのではないでしょうか。この点についてはっきり答弁をしていただきたいと思います。
  22. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは去る予算委員会のときでございましたが、所得、消費、資産、このバランスについて定量的なものを示したらどうだと。ところが、私自身いつもその議論をしながら矛盾を感じますのは、そもそも直間比率などというものはあらかじめアプリオリに決めるものではなくして結果として生ずるものである、こういうことをたびたび申し上げてきた。そこにある種の矛盾というものを私も答弁しながら感じておるわけであります。そうすると現行のアンバランスというものは、やはり稼得所得に遍っておるというところからバランスが欠けておるという重税感があるから、それを少しでも是正していこうという形で、おっしゃいますとおり、新税であります今回の消費税というものをお願いいたしておるところであります。  それから、所得税の第七番目でございますか、いわゆる譲渡所得の中の株式売買に関するもの等につきましては、私も十全であるとは思っておりませんから、今の御指摘を全部ノーと言う考えはございませんが、将来総合課税方式等に向かって着々と整備がされていくべきものである。しかし、当面いわゆる原則非課税から原則課税、そしてさらに修正をいただいたという段階であると思っております。
  23. 安恒良一

    安恒良一君 どうも総理答弁ははっきりいたしません。  再度聞きますが、政府・自民党の皆さん方は金持ちと資産家を代表するもので、ですからそこへ課税強化ができないということであるならば、これは明確に答弁をしてもらいたい。  そこでお聞きしたいのですが、何が原因で、国民の多くが望んでいる資産課税の不公平是正ができないのか、ひとつお考えを聞かせてください。資産課税の不公平是正ができないのか、お考えを聞かせてください。何が原因なんでしょうか。
  24. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 何が原因かとおっしゃいますと大変難しい問題でございますが、ぎりぎりさかのぼっていけば、いわゆる私有財産制度の肯定というところに到達するかと思うわけでありますが、しかしいわゆる資産性所得に対しましてのそれぞれの見直し、重課措置等も今度の改正案の中において御審議をお願いをしておるというところでございます。
  25. 安恒良一

    安恒良一君 私は、はっきりあなたはおっしゃいませんでしたが、資産課税で国民の期待にこたえられないのは、資産及び資産から生ずる所得の把握体制が全然できていない、こういうことではないでしょうか。しかもその根本原因は何かというと、戦後ずっととってこられた資本蓄積の優遇税制ですね、例えば株式の非課税、配当や利子の優遇、土地取得保有の優遇、こういうところに原因がある。ですから、この税制を抜本的に、かつ納税者の方に目に見えるような形として、是正、改革が行われないと国民は納得をしないと思います。こういう点についてどうお考えですか。
  26. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今おっしゃった資産性所得というものに対する把握の困難性と申しますか、これは私もわかります。だから、極言いたしますならば、総合課税への方向に進む場合、昭和二十二年ごろのいわゆる賦課制から申告制になるときはなかった議論でございますけれども、五十三年からの答申の中にありますいわゆるカード制というもの、それが今日も議論され、昨日小委員会の報告が来たというようなところが、これからやっぱり一つのポイントとして議論を詰めていくべきところではなかろうかなというふうに思っております。
  27. 安恒良一

    安恒良一君 私は、この問題を解決するためには、やはり納税者番号の実施ということについて考えなきゃならぬと思います。何といっても、資産課税の不公平是正のためには、実態の把握体制の整備、これを第一に着手するということが必要だろう。  そこで、政府税調は昨日、納税者番号等検討小委員会の報告が出ました。この中で、いろいろとり方ありますが、いわゆる番号制を導入することについて、アメリカ型とヨーロッパ型ということで、新聞の見出しでは、アメリカ型に重点とか、これはまあ読み方はありますが、こういうのが出たことは事実であります。そこで政府としては、この答申が出ましたので、私はできるだけ早い通常国会等に法案提出すべきだと思いますが、若干の準備期間等も要るということであるならば、いつの国会にこういうことについて法案提出をされるのか。それから、私は、四年先とか何年先といろいろなことを言っておられますが、実施の時期は早めるべきだと思いますね。特に、グリーンカードの二の舞を踏んではいけないと思います。それから三つ目には、まさかこの税調の答申よりも後退をすることにはならないでしょうね。こういう点についてお考えをお聞かせください。
  28. 竹下登

    国務大臣竹下登君) せっかくのお尋ねでございますが、若干専門家の助けをかりなきゃならぬ点がございます。私もまだざっと読ませていただ いたばかりでございますけれども、今御指摘なさった三つの点がございます。我々が今日までいろいろ議論してきた経過もございます。  私は、方向としてそうあるべきだというふうな環境は整ってきておると思っております。グリーンカードの経験をしたのも私でございますから、そういう考えはございます。で、新聞等の域を出ておりませんけれども、四年後とか言っておられるのは、例のマル優のときからの総合課税への移行年度というようなことを念頭にして記事をお書きになったのかなというようなことでございまして、今私自身が、それは安恒さん、これぐらい議論してからやりましょうやと言うだけの、まとめたお答えをする能力にまだ到達していない。これは残念ながらそう申し上げなきゃならぬと思います。
  29. 安恒良一

    安恒良一君 まだ十分読んでないということですから、これ以上これで時間とってやむを得ませんので、早急にお読みになって、いずれこの法案審議の中では、やはり今私が申し上げた、この答申について政府はどう処理をするのか、それからその処理の実施の時期、こういうことについてはこの法案審議中にひとつ明らかにしていただきたい。今は、無理だとおっしゃいますから、これ以上聞きません。  次に、消費税に関する質問に入りたいと思います。  そこで私は、消費税に対する基本的な考え方を明確にして質疑に入ります。  まず、消費税には反対であります。その反対の理由は、第一に、消費税創設の前に、納税者から強烈な怨嗟の的になっている不公平税制を徹底的に改めることが必要であります。第二番目には、現状で消費税をつくるならば、不公平税制を一段と拡大する、そして新しく消費税という新しい不公平をつくり出すことになります。第三番目には、総理国会答弁をされました七つの懸念というのがございます。それを最近総理は、解消と言わなくて中和という言葉を使い出されていますが、解消ないし中和が何一つできていないのであります。この三点が私が消費税反対の最大の理由であります。  そこで、総理にお聞きしたいんです。この三点について納税者を納得させる自信がございますか。そういうことがあるならば答弁で聞かしてください。簡潔に問題を絞って聞かしてください。
  30. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 三つの点でございますが、まず、最後におっしゃいました七つの懸念、あるいは地方財政を含めると八つの懸念というようなことに整理さしていただいておりますが、これについては、関係者との協議の中で私は中和という言葉を使わしていただきましたが、これも余り科学的な言葉じゃございませんけれども、中和できる課題であるというつもりで今日までもいろいろ御議論を申し上げておるところであります。  それから、消費税そのものの持つ不公平性、いろいろ議論のございます免税点問題とか簡易課税問題とか等々の問題がございます。それらは、現段階でこの制度になじみの少ない我が国としては、現状はこれで御寛容いただきたいという話でもってこの御理解を賜りたいというふうに思っております。  それから、基本的に存在しておるとおっしゃるまだ手のつかない問題がたくさんございます。いわゆる不公平感のある、不公平税制とあえて申し上げましょう、こういう点につきましては引き続き検討と、こういうことであろうかと思われます。
  31. 安恒良一

    安恒良一君 総理の御答弁、簡潔にとお願いしましたから、なおだったと思いますが、全く今までおっしゃったことで何一つ新しい答弁をお聞きすることができませんでした。総理答弁どおりだということになりますと、どうして六〇から七〇のパーセントに達する人々が消費税に反対しているんですか、これは世論調査でですね。どうも総理言葉を聞いていると、渡辺さんとは違いますから、わからず屋とまではおっしゃらないと思いますが、どうも総理、若干そんなニュアンスで、国民の理解が不十分だと、こう言われています。  私が前段に指摘しましたように、戦後のシャウプ税制を資本蓄積のためにゆがめて、そのしわ寄せが勤労者に多く押しつけられた。そのことは勤労者はよく承知しています。だから、どうも政府の税制改革は信用できない、不公平税制を改められない、こういう判断をしているためにたくさんの人が反対だということになると思うんです。税のゆがみの根本を改革しないで消費税創設しますと、所得の高い人は多くの消費をするとか、今まで税金を納めなかった人も納税する、だからこれは広く薄くたと、こういう説明をされますが、それでは説得力を持たないのであります。  ですから、この点について総理に再答弁を求めますと同時に、この税制、制度を通じる所得の再配分機能というもの、これは小さい方がいいというのが総理のお考えでしょうか。その二点についてお考えを聞かしてください。
  32. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 税の持つ所得の再配分機能というのは、小さい方がいいとでも申しましょうか、その理想的な姿としては、可能な限り貧富の格差がなくなって広く薄く国民全体がこれを負担するというのが理想的な姿であると思います。それは、税制のその前の諸政策等によってできてくる社会構造というものを前提にしての話でございますが、これが理想的なことではなかろうかというふうに思っております。
  33. 安恒良一

    安恒良一君 いや、総理、私がお聞きしたのは、税制というのは所得再配分の機能を十分持っているわけですね。これは小さい方がいいというふうに思われているんでしょうかどうでしょうかということを聞いているわけですが。どうもちょっとあなたの答弁、わからないですね、何を言われたか。
  34. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 所得再配分機能があってしかるべきだと思います。  ただ、小さい大きいというのがちょっと私も表現が難しかりたものですから、本来、諸政策が巧みに機能しまして、国民の皆様方も大変この社会になじんで勤労していただいて平準化した社会ができたならば、結果的にできるだけ小さい所得再配分と、社会共通の経費をみんなで払おうというふうになるのが政治の理想かなと、こんな形で申し上げたわけでございます。
  35. 安恒良一

    安恒良一君 どうも総理の説明ね、ナマズのようでよくわからないんですが、一言指摘をしておきたいことは、やっぱり所得再配分機能というのを私たち税制について非常に大事に考えているんです。総理はそこのところを非常にどうも安易にお考えになっているんではないかというふうに私はあなたの答弁を聞きます。ここは政治の基本理念にかかわるものですから、所得再配分というのは、国民大衆、国民のためにということに重点がやっぱり置かれなきゃならぬわけですから。  それと同時は、同僚議員の質問に対してあなたは、税制、制度を通ずる所得再配分、いま一つが支出面での再配分、こういうことをよく言われました。この両方がないとだめだ、いわゆる所得再配分というのは税制面でやる、それから国の財政支出の方でやる、こういうことをあなたはよく言われましたね、今までの答弁で。しかし、私から言わせると両面がないとは私もこれは否定をしません。しかし、一方をいいかげんに放てきをして、他方でこれを補って済むというものじゃない。すなわち税制の方の所得再配分機能をいいかげんにしておって財政支出面での再配分を持たせる、それで補うということで済むものでは、私は税制の本来の理念からそれはないと思うんです。ですから、少なくとも国が国民大衆のかわりにおける公平、公正、信頼が得られるかどうか、こういうことの私は税制における所得再配分というのは非常な重要なポイントになると思うんです。ポイントになると思うんです。ですから、総理が足らない点といいますか補う点というかわかりませんが、支出でやると言われた考え方で、私はどうも今国民が持っている税の不公平の感じの解消にはならぬと思いますが、その点はどうですか。
  36. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに、税そのものが応益主義ということよりも今おっしゃった応能主義的な考え方の基本に立てば、これは所得の再配分機能そのものを発揮すべきものであるというふうに思っております。しかしながら、その基本には、これは応能主義であれ、やっぱり公平性というものを国民自身が感ずべきものである、これほど不公平税制という言葉すらできてきた今日でございますから、国民の皆様方みんながいろんなところに不公平感をお持ちである、それを少しでも是正していく努力を続けなければならぬ、このように思っております。
  37. 安恒良一

    安恒良一君 私は、戦後日本の税制の生みの親と言われているシャウプ博士が先日来日されて、どんな税制でも納税者がそれを公平だと思わなければうまくいかないと述べられていますが、まさに至言だと思います。  そこで、私はどうもさっきからこの消費税法は欠陥法だと思うのは、最大の欠陥は、新たな不公平税制をつくるということだと私は指摘をしているところです。そこで、クロヨン、株式の売却益、医師優遇、みなし法人等々納税者が不公平として挙げている事項がございます。これの根本原因は何でしょうか。これらの不公平税制一つだけの理由を挙げていただきたい。厚生大臣、通産大臣、自治大臣、総理、各大臣から今申し上げたやつの一つだけの理由を挙げてみてください。
  38. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 医師優遇税制の問題につきまして御指摘がございました。  今日までの経過、経緯につきましては先生よく御存じでございますのでくどくど申し上げる必要はないかと思いますが、社会保険診療報酬につきましてみなし経費率が認められておりますことにつきまして、このことが不公平であるという御指摘があることはよく承知をいたしております。
  39. 田村元

    国務大臣(田村元君) 一つだけと言われてもちょっと答えようがないんですが、まあ強いて申し上げれば、どういいますか、国民の税に対する不公平感というものは、所得課税への依存の高まりや捕捉のアンバランスというものによって給与所得者の税負担感が強くなったことに起因するのではなかろうか。一つだけということなものですから……。
  40. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) これまた、一つだけと言われますと返答に窮するわけでございますが、地方自治団体で御指摘の問題点は、恐らく租特の問題ではないかという気がいたします。これは一定の政策目的に誘導するためのことでございまして、臨時異例の措置でございますので、絶えず見直しを行うということによってこの弊害の除去を図っているつもりでございます。
  41. 安恒良一

    安恒良一君 総理
  42. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 一つだけと申しますと、やっぱり所得税法上における所得十種類のそれぞれの捕捉体系ということであろうかと思います。
  43. 安恒良一

    安恒良一君 私はわざと聞いたわけではなくて、それぞれの所管があるからお聞きしたわけですね。通産大臣なんというのはやっぱり企業全体の問題がありますから、そういうことでいいますと、必ずしも皆さんの御答弁納得できないものがありますが、私は、総理はさすがだと思うんですが、一口で言うならば所得と税の捕捉の格差ではないでしょうかね、一口で言うならば。いろいろありますけれども。総理もそれらしいことを今言われたんです。すなわち捕捉の格差、すなわち等しからざるを怒っているんですよ、国民は。等しからざるを。政府は、それはそうじゃないんだと、所得税率の累進度の刻みが重税感を与えていると、こういうことを中心に判断されておる。それも私は全然ないとは思いません。しかし、一番最大の重税感というのは所得と税の捕捉の格差、これが重税感を感ずる税の不信の根本だと私は思います。  そこで伺いたいんですが、消費税が今度新しく導入されれば、所得と税の捕捉は改善されますか。納税者に、改善がはっきりわかるように見えますか。それを聞かしてください、総理
  44. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 消費税というのは、原則的にいわゆる消費の多寡によって比例的な公平性があると、これは言えると思います。一方、いろいろ議論のあります免税点問題とか簡易納税方式とかいうところに別の意味の、今はお許しいただかなきゃなりませんが、不公平というものを感ぜられる面があるだろうということを私は否定いたしません。  他のいわゆる不公平税制というものは、この消費税が入ったから直ちに直ったというものでは必ずしもないと思います。強いて申しますならば、個別物品税が均等化したというところの公平感ということは言えるだろうと思います。
  45. 安恒良一

    安恒良一君 どうもそこも総理答弁は明確でないんですが、やはりこれは納税者に納得をしてもらわなきゃいけないんですからね。消費税というのは末端消費者が払うんです。どうもあなたの答弁で、私が聞いた、あなたも最大の理由として挙げられた、所得と税の捕捉格差、これが改善をされるというふうにはなかなか聞こえがたいんですがね。もう一回、今度消費税をやることによって所得と税の捕捉格差はこのように改善をされる、国民は安心しなさい、払う側は安心しなさいと、こういうことについて聞かしてください。
  46. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これこそ専門家の助けをかりなきゃならぬと思いますが、捕捉の問題と消費税とを直に結びつけるというのは、私は難しい問題だろうというふうに感じます。
  47. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ、さらにその中身を少しあれしてみたいと思いますが、まず納税義務者、課税売上高三千万円以上といいますが、納税義務者の認定方法を説明してください。
  48. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 納税義務者は、基本的には資産の譲渡等をする者でございますが、御指摘のように、免税点の問題がございます。免税点は三千万円でございます。これは基準期間におきますところの課税売上高が三千万円を超えるかどうかということで判定をすることといたしております。基準期間は、原則的に申し上げれば、前々年あるいは前々事業年度でございます。
  49. 安恒良一

    安恒良一君 前々年の売上高は、これは事業者の申告ですか。それともサラリーマンのように、申告しないで税務当局が把握するんですか。
  50. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 納税義務者御自身の計算によりまして計算をされ、申告をされる。それが適正かどうかは国税当局が調査さしていただくということです。
  51. 安恒良一

    安恒良一君 そんなこと聞いてないんだ。申告制かと言ったら、申告制なら申告制と、こう言ってください。  そうすると、申告がない限り、消費税の納税義務の認定は原則的にできないですね。そうしますと、これまでの我が国の税制でもう既に証明済みであります。所得、税の捕捉の格差は縮まらぬ、申告制ですから。不公平感は依然として大きく残る。こういうことになるんじゃないでしょうか。総理、ここのところはどうですか。
  52. 水野勝

    政府委員(水野勝君) その点は、一つは売上高ということでございますので所得という点につきましてはかなり技術的になりますが、売上高三千万円ということでかなり外形的に所得税、法人税以上にはっきりするのではないか。したがいまして、その点につきましては消費者なり国税当局の目も行き届く。またその点につきましては、国税当局から常日ごろの御指導も十分申し上げたいと思うわけでございます。
  53. 安恒良一

    安恒良一君 そう言っても、自主申告が適正に行われなかったからクロヨンという問題が起こっておるわけじゃないですか。今回もこれは申告制ですからね。  ですから私は、何か消費税を入れれば不公平感の解消に役立つと、こういうことがよく宣伝されていますが、今の税制でも自主申告ということでクロヨン等が起こって非常に税制に対する信頼が失われている。その失われている信頼を上塗りすることになるんじゃないかと、これは今回も申告制ですから。そういう点については、私はこういうさらにクロヨンを増幅するような税制というものはやめるべきではないかと思いますが、総理、 その点はどうですか。
  54. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私は、昭和二十二年のときのあの申告制というものを宣言したときを思いますと、みんなの申告を信用すべきものであるから従来のように賦課するという精神を変えようというときから見ますと、クロヨンという言葉ができたのも本当はその申告制に対する信頼の問題が失われたからそんな言葉ができてきたのかなと思っておりますが、しかしあの昭和二十二年、占領下に賦課制から申告制に変わったという原則だけは私は貫きたいものだと思っております。
  55. 安恒良一

    安恒良一君 どうも総理の論理というのは税金を取り立てる側だけの論理だと思うんですよね。私は、やっぱり払う側の論理というものを税金というものはお考えにならないといけないと思うんです。  というのは、例えば今回はクロヨンで所得税を免れた人も消費したら税金を納めるから公平になるじゃないかという言い方をあなたは盛んにされるんですね。しかしサラリーマンは既に源泉徴収で天引きで、これは残業時間まで一銭もごまかしなく取られているわけです。その上に、今度はサラリーマンも同じように消費税がかかってくるわけです。ですから、今までクロヨン関係で税を免れた人だけから消費税を取るというわけじゃないんですからね。  そういう点からいうと、何といっても私は今言っているように、サラリーマンを納得させるためには不公平税制、クロヨンもその一つなので、そういうことに手をつけないまま、放置したまま所得税が所得の捕捉格差を補ったということにはならないんですよ。そこのところがどうも、政府並びにあなたの税の論理というのはやや税を取り立てる側だけの立場から見た税制論議ではないか、こう思うんですが、取られる側、特に所得税を多く取られている多くのサラリーマン、労働者がいるんですが、その方々のところをあなたはお考えになったことがありますか、今言ったことについて。
  56. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは所得税に限って申しますと、所得の十種類の中のいわゆる給与所得、なかんずく源泉徴収、これがまさにクロヨンの九というものとして言われておるところでございますので、他の事業所得でございますとかあるいはその中にみなし法人とかいろんな問題も出てまいりますが、そうしたものの不公平是正というのは今度も幾ばくかお願いしておりますが、引き続いてこれは熱心に検討すべき課題であると思っております。  だから、サラリーマンの方が、すっぽんぽんという言葉は適切でございませんが、いわゆるクロヨンと言われる九以上であるという認識は私も十分持っております。
  57. 安恒良一

    安恒良一君 総理以下、そこに資料提出してありますから、これをもとにしながら少し論争したいと思いますので、資料をある程度見ながら言っていただきたい、これからの質問に答えていただきたいと思うんです。  まず、消費税を納めた人の立場から見て、自分の納めた消費税が適正課税であるという保証と、いま一つ重要なことは、業者に預けた消費税がびた一文間違いなく国に納付されることを保証する、そういうことが証明できる今度の仕組みになっていますか。
  58. 水野勝

    政府委員(水野勝君) これは間接税一般の仕組みでございますので、とにかく事業者に納めていただく、それは消費者に転嫁をしていただくのが本来の姿でございますが、その消費者に上乗せしていただいたものは適正に納めていただくというのがこれは間接税一般の仕組みでございますので、そういう意味におきましては、これは従来の間接税一般の中のそういうシステムでございますので、御指摘の点についてこの消費税が特段の何らかの仕組みを含んでいるというところまではいっていないわけでございます。
  59. 安恒良一

    安恒良一君 主税局長答弁がほどほど、私から言うと適当な答弁、税の専門家の立場からの答弁だと思いますが、実際、全然今の答弁を聞いておっても自信がないですね。  というのは、極端な場合、その図表を見ていただきたいんです。いわゆる「消費税の仕組み・建て前と本音」と書いてありますね。これをひとつ見ていただきたいんですが、「小売業者の実際の販売形態」は、仕入価格、A商品八百円、以下ずっとありますが、これは同じマージンじゃないんです。四五%からいろいろマージンを掛けます。そうすると、そこに書いてある売り値になりますね。その売り値になって、実は三%の税をかけていきますから、私がここで計算したとおり五千三百五十六円にこれはなります、実際販売価格は。ところが、小売業者は帳簿上でこれがやれることになっていますね。でありますから、例えば政府はレジで支払い額に三%を上乗せして税金を取ることを認める、こう言っているんですからね。  ですから、今私が言ったようなことで、ここの「小売業者の実際の販売形態」というのはこういうふうになっている。しかし、いざ納税するときは今度は帳簿方式でやりますから、結果的にいわゆるマージン率を二五%というふうに仮定しますと、書いてあるような方式でこれは消費税込みの価格が出てくるわけです。そうしますと、この差額二百六円、これはどこにつくんだろうという心配が一つはあるわけですね。ですから、こういうやり方でいきますと消費者としてはたまりませんし、業者不信という問題が起きると思いますが、どうですか。
  60. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 委員の御指摘が、簡易課税制度によりますところの一つの問題であるということでございますと、これはまさにある程度制度の精緻さを犠牲にしまして簡便性を採用した面がございますから、そうした面はございます。ただ、一般的に申し上げれば、納税義務額は、現実の売り値の税抜きでございましたらその三%、それから税込みでございましたら百三分の三になりますので、その分を業者が懐に入れるとかというようなことはないのではないかと思うわけでございます。
  61. 安恒良一

    安恒良一君 総理、この点は簡易課税方式では取り立てる方はこれで取り立てられるんですよ、下の方法で。ところが、払うときには簡易課税方式ではこういう実態が出てくるわけですからね。そういうのは実際は起こり得ないとか、やらぬだろうとか、業者を信用していると、こういう話だけですが、これは私は非常に重大な問題だと思いますが、総理、これの防止はどうされるんですか。
  62. 竹下登

    国務大臣竹下登君) もとより専門的完全な知識を持っておるわけではございませんが、簡易課税方式というものをとった限りにおいてはある程度の精緻さを欠くということは私も率直にそのとおりだと思います。
  63. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、総理はそのことを認められたですが、とにかく業者は総売り上げに三%掛けて税金を納めるやり方をしますからね。ところが、今申し上げたように、Aという商品は税金がゼロとか、Bという商品は逆に六%にして相相殺することもできるわけですね。それから、いよいよ小さい業者になりますと、どうしても税金を自分利益を圧縮してでも払うという人すらこれはまた出てくるわけです。まさに千差万別になる。こういう税法のもとで適正なことが執行できるのかとか、便乗とか、もしくは過剰とか、こういう課税の問題が出てくる。ですから、そういう場合に実際買い物をした消費者は何ではかったらいいんでしょうか。どうしたらわかるか。例えばAという商品に過剰に税金を払わされた。税務署に相談に行くときにはどんな資料、材料を整えたらいいのでしょうか。また、税務署がその苦情に的確かつ間違いなくこたえられるか、こういう点について総理どうお考えですか。
  64. 水野勝

    政府委員(水野勝君) これは消費税という名称ではございますが、納税義務者は事業者で、事業者が現実に消費者にお売りになったその三%を納めていただくということでございますので、消費者としては自分のお買いになった物の中に三%入っているということでお考えをいただくのではな いかと思うわけでございます。
  65. 安恒良一

    安恒良一君 消費者は自分で物やサービスを買うんですよ。そして支払われる消費税が正確か、適正かと買い物の現場で判断ができない。そんなやり方で税を消費者から取るということでは、私は税を払う消費者の財産権の侵害の危険が非常に多いと思うんですよ。少なくとも百歩譲って、消費税を過剰に支払わされたならば、税務署、業者のどちらが返してくれるんですか。もしくは、不適正に支払われた場合の救済策がないとこの問題は解決しないと思う。業者が確実に取るんだからおまえたちは信用して納めればいいという言い方、それでは国民は納得しません。どうですか。
  66. 水野勝

    政府委員(水野勝君) そこは間接税一般の話でございますので、委員御承知のように、そこは納税義務者と国との関係でございます。それは現在の一種物品、指輪を買えばその中に一五%入っている、料理飲食をすれば一〇%入っている、それはお客さんからいただきますが、あくまで法律関係は国と納税義務者、地方団体と納税義務者との関連、事業者との関連でございます。
  67. 安恒良一

    安恒良一君 そんなこと聞いているんじゃないんですよ。今、私が簡易課税方式をとる場合の例を挙げたでしょう。税率を六にしたりゼロにしたりいろいろして、総額で三%というやり方でやる業者もあれば、一つ一つの品目にかけてやるやり方、いろいろある。そのときに消費者というのは消費税がかかっているから三%取られるということはわかります。わかりますが、本当に実態がそうなっているのか。簡易課税方式、帳簿方式で取る場合にはそのとおりなってないじゃないですか。ですから、私が今言っていることは、こういう場合は消費者がどうもおれは税を過剰に取られた、こう思ったときに消費者が問題を起こしたら、それは税務署が返還をするのですか、業者が返還をするのですか、不適正に支払われたという場合の救済策は何ですかと、こういうことを聞いているんです。あなたは消費税だから、間接税一般論だからそれでいいじゃないかと。それは全く税を取る側だけの立場なんだよ、そんなことは。税を取る側だけだからそんなこと簡単に言うんだよ。
  68. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 消費税の導入に当たりましては、やはりそこは合理的にそれぞれの商品につきまして三%ずつ転嫁していただくのが適切であり必要であろうかと思うわけでございます。もちろん四捨五入なり切り捨て等の問題がございます。しかし、やはりそこは合理的な範囲でお願いをする。それから経済企画庁に物価モニターもございます。そうしたことで、不適正な転嫁が行われている場合にはそこは私ども御指導申し上げるということではないかと思うわけでございます。
  69. 安恒良一

    安恒良一君 総理、やっぱり簡易課税というところに一つの問題があるんですよ。その事実を認めぬであんな三百代言的な答弁をしてもだめなんだよ。簡易課税、税率というところに問題があるわけだ。そういう点についてどうされるんですか。  それじゃひとつお聞きしましょう。  まず運輸大臣にお聞きしますが、過疎バスは国から年間約百億、地方自治体から約百億の補助金をもらっています。そういうところにも三%の税金をおかげになるんでしょうか。そして、その場合はどういう措置をされるんですか。今のこととはちょっと外れますが、私はあえてわかるために税のかけ方、転嫁の問題もあわせてこの際聞いておく必要があると思って運輸大臣にお聞きをしています。  それから、運輸産業というのは人件費比率が七〇、八〇というのがたくさんあるんですね。こういう場合は、やはり総売り上げの三%ということが税制になるわけですが、そういう点について運輸産業で非常に人件費比率が、他の製造工業ではせいぜい二、三〇%、運輸産業で、特にハイヤー、タクシー、バスそれからトラック運送業、非常に人件費比率が高いんですね。そういうところについてはどういうふうな税の適用をされるんですか。きのうあなたの答弁は大分あいまいでした。初乗り運賃と定期とかなんとかぐちゅぐちゅ言われたんですが、そこらを含めて考えを聞かせてください。
  70. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘の二番目の問題についてお答えを申し上げますが、運賃料金の消費税額分の転嫁の具体的な方法につきましては今後事業者等の意向も踏まえて決定をしていく必要があると思いますが、運輸省といたしましては現行の運賃料金に三%を加算することを基本といたしまして、これによりまして事業者全体の増収率三%に過不足が生じる場合には三%の増収の範囲内で所要の調整を行っていきたいと考えております。  例えば、現行の運賃料金に三%を加算して四捨五入によって十円単位で運賃料金を設定するというようなことも考えられます。これによって三%の増収に過不足が生じる場合には三%の増収の範囲でいろいろと工夫をして事業者全体として三%の増収になるように調整することも一つ考え方であろうと考えておりますが、いずれにしましても今後ともこの枠の中で個々の事業者の意向を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えます。
  71. 安恒良一

    安恒良一君 どうもわかりかねますが、これでやっておったら時間がかかりますからまた改めて集中的に消費税をやるときにいろんなことを聞きたいと思います。  どうも私はさっきからこのやりとりを聞いていますと、自分の払うところの消費税が適正かどうかというのが非常にわからない、特に簡易課税方式をとられると。そんなことがあいまいなまま、もしくは過剰に支払われたらどういうふうに救済をされるのか、返済はどうされるのか、そんなことがあいまいなまま国民は本当に消費税を払うとお考えでしょうか。まずどうも国民は、こういう消費税のあり方というのは自分の財産権の侵害だと、こういうふうに考えると私は思うんですが、今言ったような非常なあいまいさを残したまま皆さん方は消費税をお払いになるでしょうか。通産大臣、農水大臣、運輸大臣、それと総理にお聞きします。
  72. 田村元

    国務大臣(田村元君) この簡易課税制度とか免税点制度というものが採用されておりますのは、これは消費者が本来負担すべき税を納税する中小事業者の納税事務負担に配慮するために特に設けられたものだと、こういうふうに考えますと、税額の把握の非常に正確な精緻さを若干犠牲にしてでも消費者の利益を不当に害するものではない、こういうふうに私は思っております。  と申しますのは、零細企業でございますから、零細企業に対する配慮というものは、これは大企業相当の配慮をすべきものではない。やはりもっと厚き配慮がなされてしかるべきものということになりますと、特に免税点制度、いわゆる三千万円以下というような企業につきましては、これはもうまさに企業としての福祉の対象と言ってもいいぐらいのことでございますから、そういう意味では、私は全体としてもそう大したことはないということを考えれば、それほど目くじらを立てるほどのことではないんじゃないかというのが私の気持ちでございます。
  73. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 農業の方はまたちょっと特殊でございまして、いわゆる農業の種類別には、専業農家もあれば一兼、二兼、特に二種兼業農家というものが全農家の七割も占めておるわけでございまして、そういう意味で非常にほかの省の場合と違うかと思いますけれども、いずれにいたしましてもこれは申告制度をとっておりまして、特に農業の場合はその地域その地域によって行政と税務当局と農業者、また農業団体と一緒に農業所得標準、これを合意して、それに基づいて申告をさせておるというようなこともございまして、ちょっと特殊でございます。
  74. 安恒良一

    安恒良一君 私が質問しているのは、業者の立場じゃなくて、そういう問題があるのを税を納める側としての立場でお聞きしたんですが、いずれも話がピントを外れておりますから結構です。もう時間をとるのがもったいないですから、ほかの大臣ももう結構です。お二人聞いて大体わかりま した。ですから、その点は時間がありませんからまた聞かせてもらいます。結構です。  そこで今度は、消費者が業者に支払った消費税という金の性格は、総理、どういうふうに理解したらいいでしょうか。
  75. 水野勝

    政府委員(水野勝君) これは、消費者からお預かりし国に納める、いわば一種の預かり金的な、強いて言えばそういう性質のものになろうかと思うわけでございます。
  76. 安恒良一

    安恒良一君 総理に聞いているんですがね。この金の性格で最も大切なことは、公金なのか、それとも一般に言われている業者の売上金なのですか、この点どちらですか。消費者が払ったお金は公金、公の金なのか、それとも一般に言われる業者の売上金なのですか、どちらですか。その点だけはっきりしてください。
  77. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 納付されればこれは公金でございますけれども、仮受けとして経理されるこれは普通の預かり金であり、公金ではない仮受金に属するものではないかと思います。
  78. 安恒良一

    安恒良一君 そんなばかな話ないじゃないですか。納付されればというのは、私が品物を買いに行ったらレジで払っちゃうんですよ。払ったことは納付じゃないですか、消費者の立場で言うと。  ですから、消費者の立場から言いますと、私は税金として、消費税として払ったんですから、これは正真正銘の公金であることは間違いないんじゃないですか、総理。あんな預かり金というのはどういうことなんですか。消費者は物を買った途端に三%払う。これは消費税として払っているんですから公の金でしょう。この点どうですか、総理
  79. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは恐らく、今話を聞きながら、私も詳しくはございませんが、商法上の定義の中へ入っていくのかなと思いましたが、私もちっぽけな酒の製造業者でございます。したがって私どもは、やっぱりこれは売上金であって、そしてこれは庫出税でございますから、お納めしたときに公金になるというふうな理解の仕方で、これは私の経験だけで申しわけありません。
  80. 安恒良一

    安恒良一君 私は納得しません、このことは。少なくとも私が物を、洋服なら洋服を買って代金を支払ったときに消費税が三%含まれておれば、それは消費税そのものを払ったわけです。私は預かり金を業者に預けることはないんですよ。その分、払った途端、私たちは税金を納めている。ですから、公金であることはこれは間違いないんです。私はこの点は、今言われたように、この法律はそこがあいまいになっているんですよ、この法律の欠点は。そのことがあいまいになっています。私は承知した上で聞いているんです。この法律の欠点は、そこが非常にあいまいなんです。公金なのかどうなのかというのが、この法律では非常にあいまいだ。私は公金だと。  そこで、次のことをお聞きしておきます。  この点を明らかにしておきたいんですが、消費税の課税期間は原則一年、そして申告納付は課税期間終了後二カ月以内。そこで起こり得ることは、消費者から預かった消費税は、最も長い場合には十四カ月消費税が業者に預けられるようですが、私から言わせると、相当の期間、公金が業者の金庫に塩漬けになるということはいかがなものでしょうか。相当の期間、私から言わせると、私たちが納めたお金が業者の金庫に塩漬けになっている。長い場合には十四カ月これはできるわけですからね。それは早く納めようと思えば納められますよ。しかし、十四カ月できるんです。こういう点はいかがなものでしょうか、総理
  81. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 経験的な話だけしかできません。まず、それだけはお断りしておきますが、私自身庫出税の納税義務者たる酒造業者でございますが、売上金がありまして、そして納付したらこれは公金になって、その間は性格的に言えば売上高の一部がいわば預かり金という形になっておって、それらが納期の間までにはいろいろ事業会計の中へ運用されていくというのが間接税の持つ一般的なことではないかなと。ちょっと経験だけで申し上げて申しわけありません。
  82. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ総理、あなた盛んに庫出税ばかり言われますから、資料を見てください、この資料を。(資料を示す)資料の一番最後に、「現行間接税等の納付期間」というものを私は出しています。今私が言ったように長いのがありますか。ここにずっと、例えば酒税、「製造所から移出した日の属する月の末日から二月以内」と、こうなっていますよ。その他全部このようにあって、今私が言っているように、一年も十何カ月も、いわゆるそういう間接税が今ありますか。日本の今の税法をこれは全部洗ってみました。例えば、私たちサラリーマンの給与所得、これは徴収月の属する日の翌月の十日と、こういうふうになっていますね、これは。こういう状況です。  それから次に、資料を見てください。私はこの資料を大蔵省に計算をさせたのであります。私の計算の仮定は、一ページに仮定を置いてあります。この計算をさせました。そうしますと、この預かった金がどういうことになるのか、トヨタ自動車の場合、東芝の場合等々、各業種のトップから十位について、ここにはそれを抽出して持ってきました。例えば今言った今回の税制を、ここに書いておきますような九十日の場合には譲渡性預金の金利により計算しました。すべてこれは読み上げませんが、計算方法はこの一ページに書いてあります。  これで見ていただきますと、この預かり金というものはこれだけの莫大な金額になるんです。例えば六十三年ですが、トヨタ自動車の場合でいきますと七十一億八千七百万、東芝の場合でいきますと三十二億九千百万、そして六十四年、六十五年というふうにだんだんこれが非常に大きくなっていくわけであります。  でありますから、取られる方は公金として納める。しかしながら、あなたたちはそこのところを答弁をあいまいにする。預かり金だから銀行預金してもいいし、場合によればそれで株を買ってもいいしと、金には色目がついていませんから。そうすると、これは大企業ほど預かり金は非常に大きい金額になるんですよ。そして中小零細企業は預かり金が少ない、もしくは自分利益を相殺してでも払わなきゃならない。この制度というのは、全くこういう大きな矛盾をはらんでいる。  こういう点について、この資料を見て総理、どのようにお考えになりますか。これは日本の全産業をやったんです。その中で御参考のためにと思って一部抽出をしてきました。全業種をやりました。全業種を、日本の。預かり金の運用を私はこれは定期金利で回しただけです。回しただけでもこんなに、しかもそれは消費税が進行するに従って年次ごとに大企業と中小企業の間にこれが大きくなっていく。こういう現実があるんですが、この点はどのように考え、どのようにされるつもりですか。ほかの税制にはなかったことなんですからね。間接税だからほかにあるあると言っていたが、ほかの方はここにちゃんと証拠を出してあるんですからね。これだけは今言ったようなことになる。こういう大変な矛盾、大資本擁護といいますか、大企業擁護ということにこれはなりますよ。どうですか、その点。
  83. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 初めから専門家の知恵をかりなきゃ完全なお答えはできませんが、私このことは聞いておりました。実は予算委員会のときに、安恒委員に私、若干時間をかけて朗読しました点についてかなりの時間を費した。ところが、今度のこの資料は大蔵省始まって以来の作業をして、実は御協力——御協力申し上げたと言うと当たり前のことだとおっしゃいますが、国政調査権に協力したというつもりなんです、私自身。よくここまでできたものだなと思います。しかも、これを簡易納税方式の計算でもいいとか、そういうようなある種の許容限度も与えていただいたというふうに承っております。  だから、今おっしゃった問題点はあり得る。間接税というものが納付期間までの間、売上高の中に含まれる預かり金的性格を持ち、それを運用し得るということは、これは間接税というものの持つ特性、宿命という言葉がございましたが、宿命 というよりもこれは特性ではなかろうか。その場合、やっぱり大企業といえども、今、東芝とかトヨタとかいう例もございましたが、それだけの多くの企業を抱え、多くの資本家、株式所有者を持っている場合、それがあるいは給与の上乗せになり配当の上乗せになっていくという、結果としてそういうものが生じてくるというのは、これは企業経営の中には存在することではないかなと。いささか素人のお答えになりました。
  84. 安恒良一

    安恒良一君 全然答弁になっていませんね。いいですか、例えば東芝でもトヨタでもいわゆる給与所得源泉徴収の場合には大変な煩雑な事務がかかるんですよ。ところが、それは徴収した月の属する日の翌月の十日までに税金を納めるので、一年余りも手元にないんですよ。こっちの方だけは手元に置いてそれで株を買ったりいろんなことをしてもいい、それがそこの従業員の賃金になればいいじゃないかと。そんなばかげたことないですよ。税の徴収の方法というのをきょう私はここに出しているんです。手数をかけるのは片っ方の方が余計かけますよ、今申し上げたように。たとえ同じにしても、片っ方の方は取ったらすぐ翌月の十日までに持ってこいよ、片っ方の方は一年以上ほったらかしておっていいよ、その間で運用でもうけるならもうけなさいと。これじゃ納めた国民はたまらぬですよ、納めた国民は。  消費税というのはそこの従業員だけが払うわけじゃないんだから、東芝の製品を買うのは一般の国民が買うんですよ。自動車を買うのは一般の国民が買うんですよ。買って自分の納めた消費税というのはその企業のもとに一年有余置かれて、それがあなた利殖に使われる、これは間接税が持つ宿命だからしようがないじゃないかと。それであなた納得しますか、それで。そういうことで本当にあなたは全国の納税者を納得させられるか。私は、この点についてはそんなばかなことは許せないと思います。どうしても今ここであれができなければ、この法案審議の最中に、どうしたら今言ったことをお金を払った消費者に納得させられるかという考え方なり資料総理、まだこの論議が続きますから、出してもらいたい。  今あなたの言われたことだけでは全然納得しませんよ。全然納得しません。ほかのあれは今言ったように少なくとも二カ月とか、こういうふうになっているわけですからね。一番大きな手間取るのは給与所得ですよ。それなんかあなた、一カ月したら納めろ、こうなっているんだからね。片っ方だけは大法人の場合でもこれは間接税だからいいんだと、しかもその金額がこんなに大きいんですからね。この計算方法は間違いない。私がしたわけじゃない。私は大蔵省に協力を求めて、大蔵省は大変な作業をしたことを私は知っていますよ。しかしこういうことになる。そういう点についてはぜひ総理、私は少なくともこれが審議が終わるまでの間にどうして納得させるかというのを出してもらいたいと思いますが、どうですか。——総理に聞いているんだ、総理に。
  85. 水野勝

    政府委員(水野勝君) これは全く委員の御指摘、御要請の方針に従って仮定計算をしたわけでございます。一方、納税義務者にとりましては、仕入れ税額も三%含んだものを購入して売れるまではやっぱりその分は負担をしているという面もございますし、また売り上げましてもそれは直ちに現金で入ってくるか、売掛金になっているのかということもございますので、御指摘の方針で計算をすればこうなります。また、そういう面は否定できるものではございません。しかし、前回、売上税が三カ月ごとということでいろいろ御批判をいただきました。そこで、所得税、法人税に合わせてこういう仕組みをとらしていただいたということで御理解をいただければと思うわけでございます。  それからもう一点、間接税も確かに御指摘の表で一カ月、二カ月でございますが、たばこ税がたばこ消費税に移行しましたときには、最初は納期は一年でよろしいあるいは半年でよろしいというふうに、やはり最初そうした税の導入時期にはそのような特例措置も講じた経緯もあるわけでございます。こうした税がなじみの薄い我が国でございますので、この導入に当たりましては所得税、法人税に合わせて簡易な手続をお願いすることとして御提案を申し上げたわけでございます。
  86. 安恒良一

    安恒良一君 総理、ああいう反論をするなら、じゃ私の言ったとおり計算したからこうなった、じゃおれたちが計算したらこうなるというのを全部出してください。全業種にわたって出してください。私がこれだけの作業を大蔵省にしてもらったんですから、あなたが言ったことでやるならこうなる、じゃおれたちが言ったことではこうなるというのをこの法案審議中に必ず出してください。それで私は論争しましょう。いいですか、私が言ったことにあなたがそう言うなら、おれたちはこういうふうにすると、これと同じように今度はあなたたちの立場から計算して、総理、出してくれますね。それで論争しましょう、そういうことを言うなら。
  87. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いや、私が申しましたのは、全業種出せと言われたらそれは本当のところできる、できるという言葉は取り消しましょう、御要請に応じ申し上げる能力が私はないと思うんです、率直に言って。そこで、お話をして、ではこういう前提を置いてつくってみろとおっしゃったことに対しては、忠実な作業をしたわけです。で、あなたのおっしゃっている間接税の持つ特性の中で、納期等の問題について専売納付金からたばこ消費税になったときの例をお話ししましたが、あのときも私が担当者でございましたけれども、確かにそうした歴史も持っておりますが、基本的には間接税というものの持つこれは私は一つの特性ではないかというふうにいつも思っております。
  88. 安恒良一

    安恒良一君 私は資料を出したときに、全業種をいわゆる上から十に限定をするなり仮定を置いて、その仮定を置いたことについては話し合いを十分にして計算をしてもらったつもりです。また感謝もされたつもりです。なのに、あなたのやり方で言うとこうなるけれども、おれたちのやり方ではそうでないと言うんだから、全業種と言いません、じゃ私が要求したと同じように、全業種の上から十だけをとって大蔵主税局長流に計算をしてその資料を出してください。そしてそれで論争しましょう。この点はどうですか。あなたが言った流にこれを計算し直して、全業種を上から十とってあなたが言ったようにし直して、あなたたちが満足するようにして、これだけのことなら、それをひとつ出してください。いいですな、主税局長
  89. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 御指摘をいただいておつくり申し上げた資料でございますから、しかしこういう方式ならこうだというふうなもので、ここでまたお出しして御議論申し上げるというのはやっぱり私ども適当でもないと思いますので、その点はお許しをいただきましてと思います。
  90. 安恒良一

    安恒良一君 それは許すわけにいきません。資料を出してもらうことを要求しておきます。また次に私は議論をしたい、こう思いますから、この点は要求しておきたいと思います。  次に参ります。  質問通告していることはたくさんあったんですが、もう時間が八分しかありませんから、私は一つだけ、総理答弁を聞けば聞くほどとんでもない話だなと思う点がある。それは消費税の弾力運用の問題であります。  ずっときのうから聞いているんですが、どうも衆議院での税制改正の法案通過に当たっては、半年間の実施延期に等しい効果を持たせる、こんなことで政治的妥協が行われたと聞いています。ところが、総理は二十日、札幌に行かれまして、脱税を容認するということはない、法に基づいて税務執行するのだからあり得ないという考え方を述べられています。それから、おやめになった宮澤さんは、消費税執行前にはガイドラインを間に合わせなきゃならぬ、こういうふうに言われています。  ところが、納税者から見るとこんないいかげんなばかなことはないじゃないか。納税者は税金は 四月一日からきちっと払う。ところが、それをもらった側の方は、どうもあなたたちの方では適当なさじかげんができる、そんな税金のように聞こえてならないんですが、その点はそうでしょうか。
  91. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 公党間において再確認された合意の趣旨ということは、やはり行政府としてはこれは尊重をすべきものであると思っております。  それに沿った実のあるものが何であるか。私がつじ立ちに参りましたときに、確かに弾力的運用というのは脱税してもいいということですかという素朴な質問がございまして、私が今御指摘のようなお答えをいたしたわけでございます。だから、宮澤前大蔵大臣からお答えがございましたように、いわゆるガイドラインというようなところがそれこそ国会での問答を通じながら集約されていくことになるではないか。広報、相談、指導ということがあくまでも中心であるというふうに私は整理しております。
  92. 安恒良一

    安恒良一君 そこで法制局長官にお伺いしますが、この法案には、実施日が六十四年四月一日となっていますね。この部分を修正しないで法律の発効を一部とめる手段があるんでしょうか。その点について法制局長官の法理論的な見解を聞かしてください。
  93. 味村治

    政府委員(味村治君) まことに申しわけないのでございますが、現段階におきましては、この消費税法の適用時期、これを延期するというようなことは大蔵省当局でも考慮していないというふうに聞いておりまして、私ども、したがいまして審査というようなことももちろんいたしておりませんので、検討を全くいたしていない次第でございます。
  94. 安恒良一

    安恒良一君 いや、検討するとかしないんじゃない。実施期日は六十四年四月一日と書いてあるんです、これははっきりと法律で。ですから、法律に明記した重要な事項を修正しないまま弾力的な運用ができるんだろうか。そんなことは私は法理論としてあり得ないと思いますが、法制局長官、そうですか。法律によって、この法律は何月何日から実施するということが明記されている。ところが、その中身を一部弾力的にやるというようなことが法理論的に通るのかと聞いている。だから、あなたは法制局長官だから政治的な配慮は要らないんだよ。政治的配慮を答えるのは大臣の方で、あなたは大臣じゃないのだから法律の解釈を聞かしてください。
  95. 味村治

    政府委員(味村治君) この附則の十七条二項は衆議院の御修正によって加えられたものでございまして、当内閣法制局といたしましてはそれにタッチいたしてはおりませんので、これをめぐる法律問題に関して法制局としてお答えすることはお許しいただければと存ずる次第でございます。
  96. 安恒良一

    安恒良一君 法案に明記した重要事項を修正せず、そのことを聞いても、弾力的な運用で法律の実施が一部分棚上げできるかのような問題があることを指摘しても、そんなことにも答弁できない、これじゃ法制局長官は勤まりませんね。それだけ言っておきます。  そこで私は、この法律というのは非常に重要な問題だと思うんです。なぜかというと、国民からいうと詐欺にかかっているような感じがしますよ、納めるのは納めるんですからね、これ。ところが、半年間実施延期に等しい効果を持たせるというんですから、これじゃ国民はたまったものじゃないと思いますよ。だから私が言っているんです。どうも今回の税制というのは、竹下総理、税金を取る立場だけ考えているんです。簡易課税、帳簿方式等々、それから今回の弾力運用、もう納税者の立場というのは、どうもあなたたちは考慮していない。  ですから、本当にあなたたちが半年間実施を延期したいとこう言うなら、いわゆる法自体の実施を延期すべきなんですよ。四月一日というところを改めるべきなんだ。そういうことをしない。しかも、納められた公金というのは、今私が言ったように長々とこれは財テクに使われる、これではこの法案は全く国民が受け入れるところになりません。欠陥だらけの法案です。こういうことでお金を取られたらたまりません。税金というのは国が国民の財布に手を突っ込んで取る。ですから、その税法は一点の曇りもあってはいけません、あいまいさがあってはいけません。また、納税者の財産権が侵害されてはいけないと思います、こういう観点から。  そこで私は、そういう欠点を指摘して、最後に、私たちはこれには反対であります。今やるべきことは、課税ベースの拡大を中心とする不公平の是正であります。我が国で一般消費税を取り入れる税体系をつくる必要はないというのが我が党の主張であります。しかし、仮に将来これを取り入れて合理性を持たせるという場合も、例えば伝票方式による付加価値税、インボイス方式について十分検討する。それから、典型的なぜいたく品については累進税率をとる、こういう問題。さらに、きょうは時間がなくて議論できませんでしたが、いわゆるボーダーラインの層がたくさん出てくることは同僚議員とのやりとりで総理もおわかりだと思います。いわゆる課税最低限以下の者に対する還付制度、こういうことを設ける、このことによって公平そして生活費非課税の原則、こういうことを確保されなきゃなりません。ところが今回の税制にはそういう点が全く欠けています。  そういうことで、私は反対であるということを明確に申し上げて、時間が参りましたので、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  97. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 次に、斎藤栄三郎君の質疑を行います。斎藤君。
  98. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 同僚諸君の御発言と重複しないように配慮しつつ、疑問の点を約四十五分にわたってお伺いしようと思います。  明治維新以来百二十二年たちますが、この間の税制改正の歴史の中で、今度の税制改正は最も大きなものだと思います。  明治六年の地租改正が日本の近代化の第一歩でありました。徳川時代には土地は国有でありますから、私有は全然認められなかった。ところが、明治六年の地租改正で私有を認め、地券を発行いたしました。それは無償で渡したわけです、土地を。そして評価額の三%を税金として取った。今度の消費税とくしくも一致しておりますのは三%であります。その土地所有制を認めて明治以後の発展ができたわけでありますが、そのときのことをちょっと調べてみるとおもしろいと思ったのは、税率は三%だが、将来一%に下げることを考慮すると書いてある。総理、いかがでしょう。今度の税率も、今までの議論を拝聴しておると、上げる議論ばかりでありましたが、私は下げることもあり得るだろうと思うんです。むしろ私は、経済が発展し自然増収が多かったり、あるいは財政に余裕ができた場合には、これを下げるべきじゃないだろうか。それが本当の消費税の趣旨だろうと考えるのであります。その点、総理の御所見を承りたいと思います。
  99. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 財政の今後の状況によりまして、税率というのは、私、消費税に限らず、変化することは、下げるというようなことは、これは可能性としてはあり得ることだと思っております。  ただ、先生今まさに専門的な立場からおっしゃいました地租改正——改正じゃなくて地租というものが入ったわけですね。そうして固定資産税になりますまでの間ずっといろんな経過をたどってまいりました。そして、その地租というのが中心になって明治二十三年七月一日に初めて選挙がなされたときがたしか地租十五円でございましたか、そういう歴史をたどってきたわけでございますので、地租そのものが我が国の税改正の大きな、私は地租というものが入ったことがいわゆる近代国家の仲間入りをしたと申しますか、そういう体制になった一つの時期であると思っておりますが、本当は、将来の可能性をあのときに示唆したのがいいか悪いかという問題は、若干私にも意見がないわけでもございません。やっぱりその都度の国民が理解すべきものであり、我々は可能性 は下げることも残しておくべきであろうというふうに割り切らざるを得ないのかなと、正確な答弁に必ずしもなったと思いませんが、そのような感じを申し上げました。
  100. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 今回の論議を聞いておりまして一番問題になったのは、弾力的運用ということであります。これは、私自身もまだ何が一体弾力的運用なのかはっきりとつかめないような状態でありますから、この際、総理兼蔵相であられる竹下さんにぜひとも明確な統一見解をお示しいただけたらありがたいと思うんです。そうするともやもやとしたのが吹き飛ぶんじゃないでしょうか。  私は、この際ぜひ要望しておきたいことがありますのは、税法をもっと国民にわかりやすいように書いてもらいたいということです。私、自分のことを言って恐縮ですが、私自身も税理士の末席を汚すものであり、今、商売はしておりませんけれども、しかし我々が税理士としての専門の知識を持っていてもなかなかわからない。ましてや一億二千万が納税者になるんですから、だれでもわかるような税法でないとこの消費税はうまくいかないんじゃないだろうかという懸念を持ちます。昭和二十三年の取引高税がわずか一年四カ月で廃止の余儀なきに至ったのは、国民の理解が得られてなかったからだと思うんです。したがって、今度もこの十年間にわたる御努力、特に大蔵大臣として非常な御苦労なさった竹下首相にしてみれば、この際ぜひ成功させたいでありましょう。それならもっと税法を簡単にすることを心がけてはどうかと思いますが、いかがでしょうね。  釈迦に説法ですけれども、恐らく総理だってお読みになってわからぬと思いますよ、これ。わからないことは大蔵省に聞けばいいというんでは税はだめだと思うんです。法三章でだれでも読んでわかるということでないといけないんじゃないでしょうか、いかがでしょう。
  101. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私も斎藤先生の後輩でございまして、昔の経理士の資格がございます。しかし、おっしゃいますとおり、基本法というようなものはいろいろ読んでわかりやすい点がございますが、実体法というようなものにはわからない点が多い。なかんずく、私が大蔵大臣になりましてからは、絶えず事務当局が私自身の家庭教師であるというようなつもりでやってきました。そういう考え方に努めるべきであるというふうに思います。  それから、最初おっしゃいました弾力的運用問題でございますが、宮澤前大蔵大臣からお答えがあっておりますように、このガイドライン等可能な限りこれを国会の問答等を通じながら明らかにしていくべきものであるというふうに私自身も思っております。
  102. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 総理は、ばれもとという言葉を御存じでしょうか。日本語です。ばれもと。これはばれてもともとだということなんです。  税法が余り難しいものだから、しかるべくやっちゃう人がいる。または専門知識を持っておって意識的に脱税する人もいる。しかし私は、人間の性は善なるものだから意識的に脱税するなんというのはごく少数だろうと思う。多くの方々はわからない。だから、まあこのぐらいやっておけばいいということで、ばれてもともとだということでやっちゃうからばれもとと言うんだそうです。  私は、それではいけないんで、やっぱり正確に知っていただくことがいいんじゃないか。ですから、弾力的運用というのを税の施行を延ばすとかなんとかということじゃなしに、幸いこの法案国会を通ったら、全力を挙げて周知徹底のために、PRのために金と時間とを費やすべきものではないだろうか。そのためには税の専門家である税理士会とか行政書士会、そういうようなところのお力をかりて徹底的に周知徹底させることを要望しておきたいと思います。いかがでしょう。
  103. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まさに衆議院で修正されたとき私自身が受けた感じは、今おっしゃったそれそのものである。行政書士会はもとより、税理士会、それからやっぱりそれぞれの業界、あるいは中小企業等のたくさん参加していらっしゃる商工会とか、そういうところで徹底的な指導、広報というようなものをやるということがすなわちあの趣旨に沿うことではないかと私自身も思っております。
  104. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 ぜひ、その線を強力に推進してくださることを要望しておきたいと思います。  民間の業界の方々が不満に思っている一つは、この簡易税額で小売とメーカーは付加価値二〇%、卸は一〇%と見ております。その点が少し大蔵省と実際とは違うんじゃないかと思います。大蔵省が発表なさった、私が自民党の税制調査会の末席を汚しているときにいただいたこういう資料があります。これは大蔵省のおつくりになったものであります。昭和六十三年十一月大蔵省と印刷してありますから間違いはありません。この中で卸の付加価値を六・六%と見ている。ところが消費税では一〇%と言っているわけです。実際は六・六という数字を大蔵省が出しておきながら、課税のときには一〇%とするのは酷じゃないかという御意見。それから小売の方は、この資料によると小売の付加価値は一七・八と書いてある。ところが実際は、消費税のときは二〇と見ている。これじゃ実態を無視した数字じゃないかと思います。  実は、この資料に基づいて私は、八月以来毎月十回ぐらいずつ税の解説会を方々でやってまいりましたが、どうも卸は一〇%なんか絶対ありはしない、もう二、三%だと言っています。だからこの六・六という数字でさえ相当甘いなと思いましたけれども、どうも一〇%という付加価値、それを基礎にして売上高に〇・三掛けなさい、それから二〇%という付加価値をもとにして小売とメーカーは〇・六掛けなさいというのではなかなか民間の業者が納得できない。この点、いかがでしょうか。
  105. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 一つは、この制度が選択による概算率課税でございますので、平均的な水準の付加価値率を念頭に置いて仕組ましていただいた。それからまたもう一つは、制度の簡素化をねらったことでございますので、丸い数字で使わしていただいた。それからまた、付加価値率は大企業、中小企業に分けてみますと、やはり設備の装置と申しますか、そうしたものの装置率の高い大企業ほどどちらかというと付加価値率は低い傾向にある。そういうところから見ますと、中小零細事業所を主として念頭に置いたこうした概算率としては、一〇、二〇がまず適当ではないかと御提案申し上げた次第でございます。
  106. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 それから、同じくこの資料によりますと、運輸・通信関係は四三%の付加価値ですよ。それから電気が三六%。そうすると、そういう非常に高い付加価値のところはえらくこの税法でもうかっちゃう、それでまた新しい不公平が生ずるじゃないかという批評がありますが、この点はどうお考えになりますか。
  107. 水野勝

    政府委員(水野勝君) これは、衆議院の御審議の段階から多々御議論をいただいているところでございますが、やはりこうした制度になじみのない我が国におきまして初めてお願いをするというところから、制度の精緻さはある程度目をつぶって、簡素化、納税手続の簡便化を優先させたということでございます。  しかしながら、例えば簡易課税で申しますと、これによりますところの、仮にきわめて大ざっぱに計算いたしましても、適用を受ける課税対象額というのは数%でございますので、大きく取引をゆがめ大きく不公平を招くというものではないのではないかということで踏み切らせていただいて御提案を申し上げたわけでございます。  しかし、この点につきましては衆議院の段階で、こうした制度については今後制度の定着状況等を見ながら見直しをすべきであるという修正をいただいたところでございます。
  108. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 大蔵御当局が非常に御苦労なさっていることはよくわかるので、私なんかも税調の末席にいながら、よく忍耐強く御努力くださっていることだと敬意を表しています。しかし、今申しました簡易税額のこの点については衆議院と 私は全く同じ意見で、これでは新しい不公平が生まれちゃって、また悪評のもとになるんじゃないだろうかと懸念をいたしますから、私もこれを適当な時期に見直すことを要望しておきたいと考えます。  次に、一番民間の方々が心配しておられるのは転嫁の問題であります。元来、消費税ですから消費者が納めるべきものだが、経済界は力の世界ですから、大企業は中小企業に向かっては税を押しつける心配さえある。なかなか転嫁がうまくいかないという心配を中小企業者は持っているわけです。  そこで、公正取引委員会にお伺いいたしますが、問題を三つに分けて御質問いたします。  第一は、課税売り上げ三千万以下は非課税、こうなっていますから、そこで業者が当店の売り上げは三千万ですと店先に書いてよろしいでしょうか、これが第一点です。そうするとその結果は、お客様は、奥さん方はああここへ行けば課税されないんだなということでそこへ来ちゃうだろう。要するに当店の売り上げ三千万以下ということを表示してよろしいかという質問です。  それから第二点は、転嫁を容易にするためにカルテルを認めるとおっしゃる。独禁法を改正してやってくださる。大変いいことだと思いますが、今の中小企業の実態を見るとアウトサイダー等がかなりあるんです。また、これがかなり力を持っている場合が多い。カルテルで決めても必ずしもそのとおり守られないだろう。そこで、そのカルテルには民間が罰則の規定を入れてよろしいかどうか。転嫁をこういう方法でやるんだと、すなわち外枠にするか内枠にするかということも決めるだろう。そこで守らなかった場合には罰則を適用していいかどうか、ペナルティーを取っていいかどうかというようなことを決めていいかということが第二点です。  それから第三点は、今までの公取の御発言で、中小企業を中心にしてという御意見でありますが、実際は今までのカルテルというのは大企業が中心になっている場合が多いので、今度も下手をすると、また大企業が中心になって便乗値上げの心配が非常に濃いのではないだろうかと考えますが、以上、三点についてお答えいただきたいと思います。
  109. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 三点にわたる御質問があったわけでございますけれども、最初に、店頭に当店の売り上げは三千万円でありますという表示がよいのかどうか。これは実際問題として考えますと、三千万円しか当店の売り上げがございませんということでございますから、そういうことが実際に起こるかどうかは別にいたしまして、我我が表示について眼目に置きますのは、つまり、消費税の転嫁の有無あるいは消費税分について特別の操作をいたしておりますから当店の価格は安くなっておりますと言うことは、やはり消費者に誤認を与えるという意味で、そういった表示は景表法上認められないという類型があると思うわけでございます。したがいまして、そういった不当と認められる表示の具体例、今、委員が御指摘になったような点も含めまして、これはわかりやすく法律ができた段階でお示しすることにしたいと考えております。  それから二番目は、ペナルティーの問題でございますけれども、御承知のとおり、共同行為に参加するか参加しないかは全く自由でございます。自由でなければならないわけでございますが、法律によって強制されるわけではございません。したがいまして、共同行為が行われた場合にアウトサイダーの人にペナルティーを科すということは、これは当然不公正な取引方法その他に該当いたしまして認められないわけでございます。ただ、共同行為に参加した人たちが取り決めを守る。守るために実は共同行為者同士で、いわば自治の問題としてペナルティーを決めるということについては、これは一概には否定できないと考えております。その場合に、認められるペナルティーと認められないペナルティーのポイントをどこに置くのかと。今おっしゃいましたように自由で、ございますから、仮にみんなで決めた約束を守らなかった人には団体から除名してしまうとか、あるいはそれに相当するような非常に過大な、いわば金銭上の過怠金のようなものを課するという場合には、今回提案されている法律にも、便乗値上げにつながるような場合と、もう一つは、今申しました不公正な取引方法に該当するものは違法なカルテルということになっておりますから、やはりそのペナルティーも、今申しましたような基準で、認められる場合と認められない場合があるということでございます。  それから三つ目の、共同行為が中小企業中心によって行われるわけでございますけれども、大企業が事実上そのカルテルを指導することによって不当な価格カルテルに発展しないか、この御懸念は、我々も今後法律が通りました場合の運用に当たりまして一番注意しなきゃならないと考えておるところでございます。ただ法律には、御案内のとおり、三分の二以上中小企業がありませんとそのカルテルの適格性がないわけでございます。これも、先般のこの委員会で別の委員の御質問にもお答えしたかと思いますけれども、大企業が入っているからといって、即それが大企業に有利になるような共同行為になるというふうに断定することもできないわけでございまして、ケース・バイ・ケースでよく私どもトレースいたしまして、そういう違法性を帯びる形になりました場合には、これは公正取引委員会の仕事といたしまして厳正に対応していかなければならないと考えております。
  110. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 よくわかりましたが、委員長ね、今の御意見でよろしいんですが、ガイドラインはいつぐらいにまとめてお出しになりますか。なるたけ早くお出しにならないとこの税法に適用ができないと思うんです。ガイドラインの発表はいつぐらいになりますか。
  111. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 今、事務局で鋭意作業をいたしております。私どものもくろみといたしましては、やはり国会での御審議の中でいろいろ御疑問なり問題の御指摘もいただいておりますので、そういうものも全部含めましてできるだけ完全な形での手引にしたいと考えておりますので、法律が仮に成立いたしました場合に、施行に間に合うように即刻公表するという手順をとりたいと考えております。
  112. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 今の民間の方々の気持ちを要約すると三つになると思うんです。  一つは、これが幸い年末に通っても、施行が来年四月の一日では準備期間が四カ月しかない。コンピューターや何かのソフトの組みかえにどうしても六カ月かかる。大きな百貨店とか問屋になると一年かかる。じゃ、その間どうするんだろうという不安を持っているわけです。  そこで、野党の先生方からも施行期日についての御質問がいっぱい出たわけですが、どうも物理的に不可能なことをやれと言っても難しいんじゃないだろうか。弾力的な運用などという何かはっきりしない表現で衆議院は通ってきたんですけれども、どうも十二月の末に通って来年四月の一日からというのは私も物理的に不可能じゃないかと思います。きのうの通産大臣のお言葉では、機械は入りますよと、こう言うけれども、それはちょっとおかしいんで、四カ月間大丈夫だと言う人は、民間の人だれに聞いてもいないのであります。実際におやりになっている方が不可能だと言うものをやれと言うことは難しいんじゃないか。何かいい方法があるならひとつ大蔵当局に教えていただきたい、そうすることが民間の不安を解消することだと思うんです。  それからもう一つ、私は実はイギリスへ参りまして、イギリスのVAT、バリュー・アデッド・タックス、それの受取証をもらってきました。これ後でお渡しいたしますから。こういうものをどんどん発表すればもっと安心すると思うんです。私はネクタイを買ったり靴を買ったりしました。すると、幾らということが皆ポンドで表示してある。トータルで幾らというところへ税率がかかっているわけです。これだけですよ。ですから、こ の受取証にもちゃんと税金が幾らということが書いてありますから、やはりこういうぐあいにしてもらいたいと民間人は要望するんです。できれば、はっきり言えば外枠表示ということを法律に書いていただくと転嫁が非常に楽だがと。どちらでもいいよというと、これは業界の内部がこんがらかっちゃう。もちろん外枠だけではできない処理もありましょうから、原則として外書き、万やむを得ない場合には内書きとか、何かもう少しはっきりしませんと非常な混乱が生ずるんじゃないかと懸念をいたしますが、その点、大蔵御当局の見解を承りたいと思います。
  113. 水野勝

    政府委員(水野勝君) やはり消費者の観点仙からごらんになった場合をも含めまして、転嫁の面からこれを区分表示というのが望ましいという御意見は多いわけでございます。しかし一方、前回売上税の仕組みにおきまして税額票のやりとりをお願いいたしたわけでございますが、この点につきましてはいろいろな御批判、御指摘もあったところでございます。したがいまして、すべての業種、すべての業態につきましてこの区分表示をお願いするというのはやはり適当でない場合がある、あるいはできない場合もある。そういうところから、消費税の性格に関連して税制改革法案では「必要と認めるときは」というふうにその方向を出しておるところでございます。  なお、現在の物品税法には、必ず区分表示をしろ、必ず区分して契約をするようにという規定はあるわけでございますけれども、およそこれは現実には、やはり商取引にはいろいろなニュアンスがあるのか、現実に行われたことがないわけでございます。しかし、そうした区分表示が適当であるという点につきましては、衆議院段階でも種々議論があったところでございますし、また、先ほど申し上げた見直し規定、こうした点の見直しもまた含まれているのではないかと私ども考えておるところでございます。  それから、最初の点の四月実施ということでございますが、これは個人の場合でございますと来年から始まりまして六十五年二月の申告納付、三月決算でございますと六十五年五月納付ということでございます。したがいまして、四月一日からとにかく三%を転嫁していただきたい、その分を御負担いただいておいて、納付は一般的にはずっと先のことでございますということで何とかお願いをできればと思っておるところでございます。
  114. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 問屋なんかは約二百万種類の商品を取り扱っている、百貨店でもそうです。それの値段をつけかえたりなんかするのに大変な時間がかかるので、実際に歩いて聞いてみると四カ月じゃとても大変です。しかし、もう四月の一日から税金を払わなきゃいけないんです、取らなきゃいけないんですから。納付するのは確かに一年先でありますけれども、非常に無理があるということをここで申し上げておこうと思います。しかし、予算編成を前にしてこれを延ばせと言ってもそれは非常に無理でしょうし、長い計画でやってきたわけですからなかなかこの実行を延ばせと言っても無理だろうとは思いますけれども、実施については非常な困難が伴うということを申し上げておこうと考えるんです。  これを主税局長に差し上げますから、なるたけこういうようなモデルを広く配ったらいいですよ。そうすると、どうしたらうまくおさまるかということがわかるんじゃないかと思いますね。アメリカへ旅行した人は皆、本を買ったってちゃんと税金がかかっているから、定着すればもうこんなことは必要ないんだけれども、定着するまでの間は少し手をとり足をとって指導してあげるような親切さが必要ではないかということを申し添えるのであります。  その次に、企業がもしも分割したらどうでしょうか。五億以下ならば簡易税額でやれる、だから七億売っているところはこれを五億以下にしちゃったらどうだろう。それに対して税務当局はどうお考えになりますか。
  115. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 分割に関連しましては、それが不当な結果にならないよう、免税点それから簡易課税の適用に関連しての一定の歯どめ措置を置かしていただいているところでございますが、そうしたものに触れない範囲内での分割、これは事業者の御選択でございます。  ただ、基本的には、今回の消費税は仕入れ税額控除がございますので、分割そのものによって税負担が変わるものではない。御指摘の簡易課税の場合におきましてはそうした点はあろうかと思いますが、基本的にはこの税とは必ずしも結びつくものではない。それからまた、分割等につきましては、それぞれそれに伴いますところのいろいろな問題点等もあるわけでございますので、これによって分割が一般化するというふうにも考えていないところでございます。
  116. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 大蔵御当局にもう一回お伺いしますが、例えば高級呉服を京都でつくらせた。そうすると、一着だけつくるんじゃなしに大抵三着か四着ぐらいつくる。最初は一枚百万円で売れる。しかし、もう二枚目になると百万じゃ売れません。それは五十万ぐらいに下がっちゃう。三枚目になって残品処理になったら二十万ぐらいで原価を割って売る。これの消費税の処理はどうなさいますか。
  117. 水野勝

    政府委員(水野勝君) これは現実に、とにかく対価として領収をされた金額、これが課税標準になるわけでございますので、現実に一回目、二回目、三回目でそうした対価が領収されるのであれば、それが課税標準になるということでございます。それからまた、一回売り上げに立てておいて、後ほど値引き等が行われるということでございましたら、さかのぼってではございませんで、値引き等の時点で他の売り上げからこれを控除するということになろうかと思うわけでございます。
  118. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 はい、ありがとうございました。  以上で消費税の方を終えて、次に、相続税の問題に移ろうと思います。  総理けさの日本経済新聞を読んでいましたら、相撲の親方が部屋が維持できない、相続税が重くて、こういうことが書いてありました。結局田舎へ相撲部屋を移さなきゃだめだろうなんてことが出ているんですけれども、これはほんの一つの話題にすぎませんが、実は、方々へ説明に行きますと一番聞かれるのは相続税の問題です。型どおりに今度六千四百万以下ならかからないんですよと言っても非常に疑問が多いんですね。これ六大都市、政令都市のところじゃ六千四百万じゃどうにもなりませんね。東京だと一坪一億五千万もしている土地があるわけです。そうすると六千四百万なんというのは三分の一坪ですからね。そうかといって、相続税というのは資産の移転をやるのがねらいなんで、一生涯稼いだものを全部そのまま子孫に残そうとはだれも思っていない。適当な相続税を払って資産の再分配をやるということはもうだれでも知っていると思うんです。だけれども、相続税問題というのは特に地価の高騰が激しい地域ほど激しい。それが今端的にあらわれたのが相撲の親方の相続税問題だろうと考えるんであります。  そこで、今度の相続税の改正、あれで十分だとお考えでしょうか。
  119. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 多少違いがございますのは、私は今まで日本の相続税というのは、先生も今ある部分肯定いただいたのでございますが、親としては、それぞれ教育の義務を果たして、それ以上の問題は富の再配分あるいは社会還元というような意味において、基本的にそこに少し重点が余計かかっておる。よく、西郷南洲児孫のために美田を買わず、これが我が国の相続税だというようなことを私も言ってまいりました。しかし、今のこれは、土地問題という別の問題も確かにございますけれども、例示なすったような問題が出てきたのがどこから出てきたかというと、今、相撲部屋の親方の御発言もその類型に属することでございますが、いわゆる承継税制というところからその問題が出てきたと思います、これは農地に対する不平等問題という意識ももちろんございました けれども。そこで、そういう思想の範囲内において逐次是正をしてきたが、今度長い間やっていませんから抜本的にやろうという、いろんな議論の限界といいますか、ぎりぎりの調和点が今、先生の御指摘なすったところへいったんではないかなと、こういうように私は、問題意識はそのような角度からさせていただいております。
  120. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 総理の立場はよくわかります。しかし国民から言わせますと、一生涯働いてわずかな土地と家を持った、おやじが死んだら女房はその家に住めないというんじゃ、これはやっぱり気の毒だと思うんですね。ですから、おやじが死んでも女房が家を売らないでも済むように、せめて夫婦二人だけはそこに安住できるようなことを考えてやらないといけないんじゃないだろうかという気がするんですね。  それからもう一つは、今、総理自身のお言葉の中にあったように、土地問題ですよ、根本は。今の相続税で一番問題なのは路線価の決定でありますが、これは御承知のように、国税庁長官が国税局に任す、国税局が税務署に任せて実情に合ったように評価をいたすということです。しかし、実際価額の大体半分から七掛けぐらいになっております。しかしなかなかそれが、地価がじゃんじゃん上がっちゃうものですから路線価が非常に高くて、その実際価額よりも安くなっているんだけれども納められない、土地を売らなきゃもう納められないというような方々が非常に多いんであります。  そこで、土地対策を根本から考え直さなきゃいけない時期に来ていると思いますが、いかがでしょうか。来年早々土地基本法を御発表なさるそうですが、そこで参考に申し上げたいのは、一九七五年にイギリスが土地公有法という法律を発布したことは御承知のとおりであります。これは全部の土地を国有にするんではなしに、新しく開発して開発の利益の出る土地は国有にする、その開発利益は国家が吸収する、こういうやり方なんですね。土地の値段は需給関係で決まるんですから、供給をふやすことが根本です。それがためには開発をしていただかなきゃいけない。しかし、土地を持っている人たちだけが利益を得るんじゃなしに、それは広くやっぱり公有にした方がいいと思うんですね。  そこで、土地基本法の中に盛り込まれる思想をお伺いしたいんです。
  121. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 土地基本法と申しますのは、昨年の暮れ、臨時国会におきまして両院に土地問題特別委員会というのが設置された、それが一つの起爆源になって土地問題が議論され、そこで土地基本法という構想が出てきたという経過だと思っております。  私自身、利用権の制限でございますとか、今でもいろんな制限があるわけでございますけれども、そのような視点からこれに対して、これは頭の運動程度の問題でございますけれども、勉強をしてみましたが、やはり我が国の憲法というものの基本からいたしまして、公有制度というところにたどりつくまでの限界というものを私自身も今までの議論の中で感じておるわけでございます。したがって、今度は内海国土庁長官のもとで今各界の有識者の皆様方で懇談会を設けて、その中でまた、野党四党からもお出しいただいた基本法もございます、それらを勘案しながら、どのような方向に行くかということについて、今、私なりの予見は差し控えるというよりも、むしろまだそこまで私自身が到達していないと言った方が正直ではないかというふうに思っておるところでございます。  この問題につきまして、長くなって申しわけありませんが、本当に私自身もいつも感じますのは、よしんばアメリカの二十五分の一の面積であるにいたしましても、いわゆる可住地面積と申しましょうか、住める面積で見ると七十七分の一とか八十分の一とかいうことになってまいります。そういう中でどのような対応をするかということになると、今の開発利益という問題、こういう形でイギリスは吸い上げていくというのを、どうした形で社会還元ができるかというようなことにも着目して検討がなされてしかるべきではなかろうか。  大変漠然としたお答えになりましたが、平素考えていることを申し上げさせていただいた次第でございます。
  122. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 日本の相続税が非常に重いんですね。今度、最高税率は七〇に下がりましたけれども、アメリカは五五です。だから、最近日本の金持ちはアメリカに財産を移しちゃってアメリカで相続するというのが流行ですね。そういうことを金融機関が指導しています、どんどん。昭和二十五年の相続税が日本の国税全体の中に占める割合は〇・五%だったものが、もう最近では三・三%、六倍になっていますね。国税の中に占める相続税の割合が三・三というのは世界一でありまして、アメリカが一・五です。フランスが二・二ですね。どうも日本の相続税というものをこのままにしておきますと金持ちが皆海外に逃げちゃう心配がある。法人税も下げなきゃ日本経済は空洞化するということが心配されておりますが、相続税もまた同様だと思うんです。  したがって、どうぞひとつ路線価の問題については、こういう議論があります、国会でこれを決めたらどうかと。税務署で決めさせると、それは実情はよくわかっているだろうけれども、政治的な配慮が足りないじゃないか。だから国会で路線価の決定をしてはどうかという議論もありますが、その点について総理の御意見を承りたいと思います。
  123. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この路線価の決め方についてそのような御意見があることは私も承知しております。が、政治的配慮という、政治的感覚で物を見るというのは国会の場はまさにその場でございますが、それが政治的配慮の中で税法が機能していくということに対する若干の矛盾は私自身も感じます。  それと、きょうもいいお話を聞かせていただいておりますが、私自身も反省しなきゃなりませんのは、私の出身地が余りにも僻遠の地でございますので、何と申しましょうか、都市中心の相続税というものが自分にぴんときていないんじゃないかなという反省もしながら、お話は承らせていただいております。
  124. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 最後の問題でありますが、徴税コストの問題であります。  昭和六十一年の統計だと、国税の方は百円徴収するのに一円九銭、地方税の方が同じく百円徴収するのに二円六十五銭ということですね。地方税の徴収コストは国税の二倍以上になっている。  そこで私は、新しく消費税を取るならば、この機会に徴税の方ももっと合理化をしてはどうか。かかる方はうっちゃっておいて新しい税金を取るということは、国民は非常に抵抗を感ずると思うんです。その具体的な提案としては、付加税で取ったらどうか。戦前はそうだったんです。我々が国税の申告をすれば、付加税で取る。(「地方自治の侵害だ、そんなものは」と呼ぶ者あり)それは、今おっしゃったとおり、地方の自治を侵害するという意見が出ることは私も百も承知ですけれども、やはり合理化をやるときにはどこかに衝突が起こるのは当たり前なんであって、納税者の立場、消費者の立場から見れば我々の懐は一つなんですから、財布は。これは国税用これは地方税用の財布に分かれているわけじゃありませんから、やはりもっと徴税事務の合理化をお考えになってみてはいかがかと思いますが、いかがでしょうか。
  125. 竹下登

    国務大臣竹下登君) その徴税コストの問題からして、ある人は、徴税庁をつくって地方公務員のお方も国家公務員のお方も同じようなレベルに達するような研修をやって、それで機能した方が一番合理的じゃないか、こんな意見も、これは税制調査会の中でも出たことがございます。しかしながら、やっぱりいわゆる地方自治の原点というものの議論からしてまいりますと、確かに今、先生おっしゃったように、どこかに合理化の場合は摩擦が出ます、しかし地方自治の原点という問題 でございますので、双方が情報交換でございますとか可能な限り双方の機能がそのまま生きていくようなところで調和をさせていくために、各種研修会とかそうしたことでこのレベルを上げていくというのが結果的には現実的なのかな、残念ながら、私なりに一応そんな結論に達したことがございます。
  126. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 もう一つ最後に、ドイツの場合はやはり付加税で取って、憲法の中で、国と地方分を案分比例して分けているわけです。よその国でやれることが日本でやれないはずはないし、ぜひとも、新しい負担を国民にかけるならば、徴税する立場ももっと合理化をやることを要望しておきたいと思います。  終わります。(拍手)
  127. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分に委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時二十七分休憩      ─────・─────    午後一時三十一分開会
  128. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 税制問題等に関する調査特別委員会を再開いたします。  この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、日本電信電話株式会社代表取締役社長山口開生君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  130. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 休憩前に引き続き、各案について質疑を行います。山口哲夫君。
  131. 山口哲夫

    山口哲夫君 NTTの山口社長さん、御苦労さまでした。山口参考人にひとつ山口の方から、まず質問をさせていただきたいと思います。  村田秘書が、コスモス株一万株が譲渡されまして、二千二百万円の膨大な売却益を取得したことは御存じのとおりであります。このことにつきまして真藤会長は、コスモス株には関係がないんだ、これは十月三十一日の話でした。相当自信を持って、おれには関係ない、こう言っておりました。ところが、十一月の六日になりますと、村田秘書の株は、これは認めたけれども、依然として私には関係ない、絶対にない、あったらこんな顔して皆さんに会えますか、そんなことまでおっしゃっておりました。そして、村田は売却益を今も持っている、銀行にも預けてはいない、こんなことも言っておりました。  これに対しましてNTTの対応はどうかと見ておりましたら、考査室長をキャップにいたしましていわゆる西脇委員会というのを設けているんですけれども、どういう動きをしているかと思ったら、村田がいないので真藤会長の言い分を信用するしかないんだ、こういう一点張りでございました。  ところが、けさの報道によりますと、この村田氏の銀行口座に売却代金が振り込まれたのは六十一年の十一月の五日でありました。そして、その直後に、たしか同じ日と報道されておったと思いますけれども、真藤氏の銀行口座に、一説には九百万、一説には一千万と言われておりますけれども、一千万が入った、こういう報道がされたわけであります。真藤氏はどうもNTTの役員報酬が振り込まれる個人口座のほかに別の口座を持っておりまして、これを村田秘書が管理をしていたようであります。  そこで、お尋ねをいたしますけれども、昨夜来いろいろ対応しているようでございますけれども、実は、午前中に当委員会にぜひ出席していただきたいと言ってお願いしたんですけれども、何か役員会があって欠席されたようでございますが、今の段階でわかっていることについてひとつ報告をしていただきたいと思いますし、あわせて郵政大臣からも報告をいただきたいと思います。
  132. 山口開生

    参考人山口開生君) お答えいたします。  今回のリクルート関連につきまして、私どものNTTから関係者が出ましたことにつきましては大変に申しわけなく思っております。  ただいまの昨夜来のニュース等につきましての事実関係でございますが、私けさほどから会長と会いまして、今回の記事についての事実関係を聞いております。その会長のお話によりますと、先ほど先生がおっしゃいましたように、会長の預金口座、預金通帳についても村田秘書にずっと預けっ放しになっておりまして、したがって、そういった金の中身についてはみんな村田秘書がやっていたということで、大変申しわけないけれども、その辺のことがはっきり自分にはできないんだというような話でございまして、それ以上私どもも事実を知る——現在までの調査はその状態でございます。
  133. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) お答えを申し上げます。  今、山口社長から御報告のありましたような事情で、先ほど十二時四十五分でございますが、真藤会長山口社長、この院内の私どもの政府委員室にお越しいただきまして、さようなことから責任を痛感をしておるので、この際、会長辞任したいという辞任のお申し出がありましたので、これは郵政大臣が了承をいたして効力が発生をするということになっておりますものですから、御意思をお認めしておやめいただいたという形になりました。
  134. 山口哲夫

    山口哲夫君 これだけ大きな問題になってきたわけですから、しかも今まで話していたことと全然違う事実があらわれている。だから、真藤会長もどなたかと同じように全くうそをついていたということですから、責任をとって辞職するのは、これは当然のことだと思うんです。しかし、辞職しただけで果たして済む問題かどうかという大きな問題があると思うんです。  それで、今の山口社長のお話ではさっぱり経過が明らかになっていないんですけれども、少なくとも西脇委員会というものが設けられて今日まで結構の日数がたっていると思うわけです。一体、今まで何をなさっていたのか、もう少し西脇委員会調査した内容についてここで報告をしていただきたいと思うんですけれども。
  135. 山口開生

    参考人山口開生君) ただいまの委員会の件につきましては、調査委員会を設置してございまして、その調査委員会でいろいろと調べておりますが、その内容につきましては、既に株に関係いたしました元長谷川取締役、それから式場取締役等についての業務内容の調査、関係等についてずっと調査をしてまいっております。  なお、会長につきましては、同じように会長から事情を聞いておりますが、今回の件につきましては、村田秘書が不明でございまして、直接聞くことがまだできない状態でございます。
  136. 山口哲夫

    山口哲夫君 村田秘書ですか、なかなかつかめないというんですけれども、それだけでなくて、NTT全体として今度のこういった事件というものが相当根が深いものがあるんじゃないかと思うわけです。ですから、前秘書がいないだけで調べられないということにはならないと思うんです、関係する人たちがたくさんいるんですから。そういうことはやっぱり明らかにして、そして少なくともこれだけ社会問題になっているだけに、国民の前に明らかにする責任が私はやっぱりNTT側にもあるんではないかと思うんです。早急にそういった調査をされまして、適当な機会に、ぜひこの委員会でもできればもう少し詳細な報告をするように準備をしておいていただきたい、こんなふうに思います。  それで、真藤会長には、一時的な所得というんでしょうか、いわば裏金ですね、そういったものを扱う銀行口座があった。こんなことはもうNTT側でも知っていたんではないかと思うんです。真藤会長社長就任等をめぐりまして随分NTTの中では熾烈な争いがあったということは報道もされておりました。そういった社長の就任争いの中で莫大な資金が動いたとも言われております。 政治家のパーティー、そういった券を大量に購入する、そんなときもほとんど今言った裏金のこの銀行口座を使ったんではないか、こういう話が流れております。流れているというよりも公然の秘密と言ってもいいくらいに言われているわけでありまして、NTTはこういった口座があったということぐらいは、私は知らないとは言えないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  137. 山口開生

    参考人山口開生君) お答えします。  真藤会長の元秘書村田が、役目としましては、真藤会長が石播時代から長年にわたって仕えたようでありまして、したがって、真藤会長のお小遣いといいますか、そういった面についての口座等があったようでありますが、その点については全部村田秘書が取り扱っていたというふうに伺っておりまして、その内容等については私ども現在存じておりません。
  138. 山口哲夫

    山口哲夫君 別口座を持っていたということだけはお認めになりますね。
  139. 山口開生

    参考人山口開生君) そういった通帳があるというような話は聞いたような気がいたします。確認はしておりません。
  140. 山口哲夫

    山口哲夫君 公然の秘密と言われておるだけに、社長もそういったことは聞いておったと思うんです。ぜひひとつその事実だけは確認しておいて、適当な機会にまたここで報告するようにぜひお願いをしておきたいと思っております。  真藤会長も、今まで出てきた政治家の例と同じように、秘書がやったんだと、盛んにそういうことを述べておりました。しかし、国民常識から考えますと、式場氏とか長谷川氏に譲渡されていて真藤氏個人に譲渡されていないなんということは、これはだれも考えられないことだと私は思うんです。我々社会党も、間違いなくこれは真藤会長にも株の譲渡がされている、そういう判断に立って今日まで追及してきたわけでございます。それがきょう、はしなくも証明されたものだというふうに思うわけでございますけれども、もはやあいまいな対応は許されないことだと思います。  NTTは民間会社と言っていますけれども、もともとはこれは国有事業でありましたし、職員自身が準公務員だ、こういうふうに言われておるわけでありまして、今でもNTTの財産というのは国民の共有財産である、私はそんなふうに思っておるわけでございまして、そういう点からいたしますと、NTTの国民に対する責任というものは極めて大きいというように思いますけれども、いかがでしょうか。
  141. 山口開生

    参考人山口開生君) こういうような状態になりまして、NTTの信頼が大変に損なわれたというふうに感じておりまして、私ども、先生さっきおっしゃいましたように、電電公社から引き継ぎました、国営企業から引き継いだ民間企業でございますが、その規模並びに内容からいきまして、やはり国民の電気通信を扱っているという点について変わりございません。したがいまして、今回のことで失われたものを早くもとに戻すということに全社、特に幹部が一層心を引き締めてまいりたいと思っております。
  142. 山口哲夫

    山口哲夫君 真藤会長を初めとして重要な幹部が同じようなこういった問題を起こしている。これは考えようによっては、NTTぐるみの疑獄事件にも発展しかねない、こういうふうに思います。  今申し上げましたように、国民の共有財産とも言われるNTTのことでありますから、その責任をきちっととるためにも全貌をぜひひとつ明らかにしていただきたい、そのことを強くお願いをいたしておきたいと思います。  この問題は以上で終わります。  次に、前回の質問で時間がありませんでしたために次に譲る、こう言っておいた問題があります。それはリクルート社の脱税容疑の問題でございます。  もう一度ちょっと経過をおさらいしておきたいと思うんですけれども、神奈川県警がこういうことを言っております。リクルート側は、六十年二月の第三者割り当て増資の価格を、譲渡価格の二倍以上の一株二千五百円にすることを五十九年十二月の段階で既に決めていたことなどを重視している、これが神奈川県警の見解であります。ですから、二千五百円で売らなければならなかったものを千二百円で売ったとすれば、その差額の千三百円掛ける百二十五万株、十六億二千五百万円は、これはリクルート側としては当然寄附金として帳簿に上げておかなければならない、こういうことであります。  なぜならば、法人税法の基本通達第九章の一の十四項に、「非上場株式で気配相場のないものの価額」については、株式の価額というものは「事業年度終了の時における一株当りの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」でなければならない。簡単に申しますと、帳簿価額ではなくして時価でやりなさい、こういうことであります。ですから、その時価というものが一体幾らかということなんです。私どもは二千五百円が時価であった、こう考えているんですけれども、大蔵省は、いやそれは千二百円なんだと。大変な食い違いがある。倍も違うわけですね。  ですから、我々の考え方からいけば、十六億二千五百万円掛ける法人税四二%、六億八千二百五十万、これを脱税しているんじゃないかという当然疑いが持たれるわけです。もちろん、損金として落とせる寄附金というのがありますから、まあわずかなものでしょうけれども、数千万円。そんなものを差っ引いても大体六億円くらいの脱税はしているんじゃないかと受けとめるのが私は正しいと思うんです。これはリクルート側の話です。リクルートからコスモス株を受け取った七十六人の政治家とかその人たちはどうかといえば、これは一次所得として千三百円の差額というものは、本当は二千五百円で買わなければならないのを千二百円で買ったわけですから、その差額千三百円というものは、これは所得隠しに当たるわけです。だから、譲り受けた方もこれは脱税になる、こういうことが経過なわけであります。  そこで問題は、私が申し上げた五十九年十二月の一株の価格が二千五百円なのか、これは神奈川県警も言っていることですね、二千五百円だと決めていたというんですから、それが正しいのか、それとも大蔵省が言うように千二百円が正しいのか。このどちらが正しいかによって脱税かどうかということがはっきりしてくるわけであります。  そこで、大蔵省にこの千二百円の計算根拠を示してもらいたいと言いましたら、いろいろな問題を参酌しながらそういったものが出てきたんだ、リクルート側の意見によればと、こういうことだった。それで正確を期すために文書でもって回答を求めました。そうしましたら、こういう回答が参りました。  リクルート社の説明によれば、以下のとおり。リクルート社の説明によればですね、大蔵省の調査でないんですね、これは三つあります。一つは「六十年四月期末のリクルートコスモス社の予想純資産額に」、二つ目「六十年早々に同社との合併が予定されていた株式会社日環建物の保有土地の時価評価額を合算し」、三つ目「これを発行済み株式総数で除して一株当たり約千二百円(五十円額面換算)と算定した」、こういうわけであります。  それで私は、それじゃこの予想している純資産額というのは幾らなのか、日環建物の保有土地の時価評価額は幾らなのか、発行株数は幾らなのか聞いたけれども、それは個々の問題については答えられない、こういうことでありました。どうしても出さないと言うんですから、仕方がないので、私はゆうべ一晩かかりまして、公表されている株式会社リクルートコスモス社の有価証券報告書、これを一応全部目を通してみました。その中でわかったことでありますけれども、まず残念ながら、五十九年十二月現在における発行済み株式、これが出ておりませんでした。それで、しようがないので私なりにこれを調べてみますと、まずはっきりしたことは、発行済みの株式総数は、三千四百九十四万七千七百六十株が出されているわけであります。  そこで、これは六十一年の四月三十日の決算の 時点での発行株数ですから、これからさかのぼること五十九年の十二月までの間にどんな株の動きがあったのか、増資がどのぐらいあったのかということを調べなきゃならないですね。数字で大変恐縮ですけれども、あなた方は頭いいし、いつもこれはやっているんでしょうからすぐわかると思うんで申し上げるんですけれども、まず一つわかったのは、これは六十年の四月二十五日、このときに第三者割り当てが七百一万七千七百六十株。それからその次に六十年の三月二十日、一カ月ほど前ですね、日環建物を吸収合併したときの日環の持っている株数九百五十二万株。それから六十年の二月十五日、やはり第三者割り当てをしております。これが八百四万株であります。そうしますと、その三つの合計が二千四百五十七万七千七百六十株でした。そうすると、五十九年十二月の株式の発行数というものは、この決算時の約三千五百万株、それから今合計した二千四百五十万株、これを差っ引きますと千三十七万株になるわけであります。これは、これの計算からいったんですから、私は間違いないと思う。間違ったら困ると思いまして、念のために、今度もう少し上の方から、昭和五十七年の方から逆算をして計算したら、やはり五十九年の十二月ではどんぴしゃり同じように千三十七万株という数字が出てきたわけであります。そうしますと、この千三十七万株が正しいとすれば、さっき言った二千五百円を掛けますと、合計二百五十九億二千五百万円、約二百六十億円というものがいわゆる予想純資産額。あなた方が答弁書で出してきたこの予想純資産額と株式会社日環建物の保有土地の時価評価額を合わせた金額、二百六十億円になるわけであります。計算上そうなりますね。  そこで問題は、大蔵省証券局の言う千二百円と、私の計算した千三十七万株を掛けてみます、大蔵省の言うことが正しいといたしまして。そうしますと、千二百円掛ける一千三十七万株ですから、その合計は百二十四億四千四百万円になります。これがあなた方の言う予想純資産額プラス株式会社日環建物の保有土地の時価評価額が百二十四億円になるというわけであります。ですから、あなた方の計算からいうと純資産は出せないと言うんだけれども、この計算で逆算していくと百二十四億くらいになるのがあなた方の計算。私の計算では二百六十億くらい。  さて、リクルートコスモス社が持っている今の純資産額、それから日環建物の保有土地の時価評価額を足したものが、果たして百二十四億が正しいのか、二百六十億が正しいのか、この問題であります。私は常識的に考えて、あの財産というものはそんな百二十億くらいのものなんだろうかなと疑いを持つわけでありまして、やはり私の計算した二百六十億の方が近いのでないだろうか、そんなふうに思うわけであります。これがはっきりすれば脱税ということになるんでしょうけれども、どうですか、今までの私の計算について。
  143. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 今の委員のいろいろな御説明、突然伺ったものですからにわかにちょっと判断しかねる点ありますが、株数の移動はお話しのようなことだろうというふうに思います。つまり、株数の増加の内容あるいはその状況についてはお話しのとおりだろうと思います。  ただ、これに先立ちます五十九年十一月に第三者割り当て増資を従業員持ち株会に対してやっております。これを簿価を基準とするところの純資産方式においてやっているわけですが、この場合における社員持ち株に対する価格は、一株当たり大体五十円額面に換算いたしまして二百六十六円五十銭たったわけでございます。それに対しまして、五十九年十二月のリクルート社によるところのリクルートコスモス株の売却、これは日環建物の買収によりますところの土地評価を時価評価する等によりまして、これは時価を基準としたいわば純資産方式においてやっているわけでございますが、これにつきましては大体一株当たり今申し上げた千二百円ということでございまして、その二千六百円と二百六十億でございますかとかなんとかという関係、詳細私ども先生の計算の内訳がよくわからないものですから、ちょっとこの場で評価するわけにもまいりませんが、私どもといたしましては、いろいろな向こうから聞きました状況におきましては今申し上げたようなことで、時価を基準といたしました純資産方式によって計算した価格は千二百円相当である、その時点においてはそうであったというふうに推定しているわけでございます。
  144. 山口哲夫

    山口哲夫君 まず、発行株式が大体一千万株であることだけはお認めになりますね。その程度だと今おっしゃったですね。それは認めますね。
  145. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 株式数の増減の状況はそういうことだろうと思います。
  146. 山口哲夫

    山口哲夫君 そうしますと、私が言った二千五百円というものを基礎に置いてずっと逆算していきました、その計算方式には間違いないでしょう。
  147. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 計算の内訳は実は詳細を承知しておりませんが、恐らく今の委員御指摘の部分につきましては、例えば七百万株でございますとか八百万株強でございますとか、それぞれ第三者割り当てによってふえた部分が資産に評価されていると思います。したがって、千五百万株強に対応する二千五百円を掛けたものが恐らく純資産の中に評価されておりますので、その関係をどういうふうに一体見るかといったことが今の計算の一つのポイントだろうと思いますけれども、どういう御計算をされたのか、私ども、今この場において口頭で伺ったばかりでございますので、その点についてはちょっとどうも判断しかねる点があろうかと思います。
  148. 山口哲夫

    山口哲夫君 余りややこしいことは結構なんですけれども、極めてこれは単純な話なんですよ。一千万株であることは初めて認めたんですね。発行済み株が一千万株であるということだけは初めて認めた。それは私と共通したんです。  そうしますと、あなた方がリクルートコスモスの話を聞いて千二百円ですとこう言っているんですから、私は二千五百円と言う方が正しいと言っているんですから、それを掛けていきましてその純資産というのが出るんです。その純資産がさっき言ったように百二十四億が正しいのか、私が言う二百六十億が正しいのか、どっちかであるということだけは、これは筋書きとしてはそのとおりでしょう。——いや、余り深く考えないで。簡単な話ですよ。
  149. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 例の合併の話を別にいたしますと約千五百万株掛ける二千五百円でございますか、したがいまして三百七十五億というものがその期末においては、第三者割り当ての結果、資産としてふえているということになっていると思うわけでございますが、それを今委員御指摘の期末の有価証券報告書からどういうふうに計算をして引いておられるのか、その辺がちょっとわかりかねますので、ちょっとお答えの点は判断を留保さしていただいているわけでございますが、後から、何でしたら私どもの係の者が参りまして先生の計算を見せていただきまして、またその段階で判断さしていただきたいと思っております。
  150. 山口哲夫

    山口哲夫君 あなたの今までの答弁とまるっきり違うんですね。今までは自信を持って答弁されていたんですがね。  ちょっと聞いてください、極めて簡単な話なんですから。きちっと意思統一できたのは、五十九年十二月の発行株式が一千万株、端数はありますけれども一千万株であるということだけは共通の認識に立ったでしょう。それで、あなた方の言う千二百円を掛けるか私が言う二千五百円を掛けるかによって純資産額というのは違うでしょうと言うんです。簡単なことでしょう。そこはどうですか、そこだけ答えてください。もう一回言いますか。
  151. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 今の山口委員の御計算を承った感じで言いますと、その期末の有価証券報告書からいろいろ計算されたようでございますが、期末におきましては、五十九年十二月との間におきましては、御指摘のように、日環建物との 合併があります。それから、六十年の二月及び四月の二回にわたる大体合わせて千五百万株強の第三者割り当て増資がございます。したがって、そこら辺の要素を控除した残りのものが、いわば五十九年十二月現在における一つの純資産であろうというふうに考えられるわけでございますが、その今のお話からいいますと、期末有価証券報告書がどうなっておるのか、私も今ちょっと手元に持っておりませんけれども、少なくとも第三者割り当て増資の分の千五百万株掛ける二千五百円、したがいまして三百七十五億だろうと思いますが、そこら辺はむしろ期末においてふえているといった要素であろうというふうに思うわけでございまして、その辺をどういうふうに御計算なさっているのかちょっと詳細がわかりかねますものですから、今の委員の御質問に対する答えについて、もうちょっと計算結果を判断した上でお答え申し上げたい、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  152. 山口哲夫

    山口哲夫君 経過はいいんですよ。くどいようですけれども、五十九年十二月の一千万株ということだけは、これは変わらないんですから。そういう点で、今私が申し上げたような計算をもう一度してみてください、あなた方の方で。そうしますと、純資産額というのがきちっと出てくるはずですから。その純資産額がどっちが正しいかによってこれははっきりすると思うんです。  そこで、こういう問題についてこれだけの疑問があるのに今まで税務調査したことがないんですか、いかがでしょうか。
  153. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) お答え申し上げます。  先生のお話は、みなし一時所得ということに関連しての御質問でございますけれども、調査云々という点では、一般的に調査課所管法人につきましては数年に一回というぐらいの感じでやっておりますので、リクルートにつきましても調査はやっております。ただ、おっしゃる点のその一時所得云々という議論につきましては、今回新たに問題提起されている問題でございますので、その部分に即してという点については、その会社における調査のときに議論されたかどうかちょっと私承知しておりませんが、一般的な調査は定時的にやっております。
  154. 山口哲夫

    山口哲夫君 その問題はもう一度聞くことにして、それで、今証券局長いろいろと答弁しておりましたけれども、この問題と同じような問題もあるんですよ。これは分売基準価格というのが四千五十円にした。これは十二月六日、ここで我が党の矢田部議員の証人喚問によって、江副証人は、リクルートコスモス社も自分も四千五十円になるということを知っていたと言っているんです。それが九月中旬の話なんですよ。分売基準価格が四千五十円ということは九月中旬に知っていたんだと。ところがその後、九月三十日に第三者割り当てからの還流株、今はっきりしているだけでも七十六万株。これは三千円で譲渡しているんですよ。そうすると、四千五十円から三千円を引いた千五十円、この差益が出ますね。これも、先ほど前段私が言ったと同じような脱税の対象になるのではないかと言うんです。計算しますと七億九千八百万、こういう金額ですね。これは受け取った方も当然一時所得として申告しなければならないだろうし、そしてリクルートコスモスの方としては、証人がはっきりここで言っているんですから、四千五十円になるということは知っていましたと。それを三千円で譲渡したということは、その千五十円というものは前段で申し上げたと同じようなこれは税の対象になるものを隠していたということになるわけであります。これは、前段の私の計算とは違って、証人がきちっと言っている数字ですからね。これは当然税務調査をしなければならない対象だと思うので、あわせてやってほしいと思うんです。  今、税務調査は一年に一回やっていると言うんですけれども、これも私は国税局に要求いたしました。一体税務調査をやっているんですかということに対して、こういう回答です。大体四年か五年に一回は調査していると思いますと。多分これは一般の法人なんというのは——そしてこう言っていました。一般の法人よりはリクルートコスモスについては接触が多いと思いますと。これはあなた方の職員がそうはっきり言っているんです。  ところが、常識考えますと、この一般の法人というのは大体三年に一回くらいは国税の税務調査をやっているんです。四年や五年に一回なんていうことにならないんです。そして、このぐらいの大きな会社になりますと毎年やるんですよ。あなたがおっしゃっているように、毎年、調査の対象にするのが大体常識なんですね。それを税務当局では四、五年に一回ぐらいはやっていて、一般法人よりは接触が多いと思いますなんていうのは、これはやってないというのと同じじゃないかなと思います。もしやっているのであれば、これだけ問題になっているんですからね、一体これまでの経過についてどういう調査をされたんですか。少なくともこの間私も質問をしているこの差額というのは、おかしいなと思ったら調査するべきだと思うんですが。
  155. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) 毎年というのは、毎年行っておる法人もございますけれども、必ずしも調査課所管法人が毎年というわけではございません。したがって、先ほど私申し上げましたのも数年に一回というふうに申し上げまして、毎年というふうには申し上げなかったつもりでございますが、そこはちょっと横に置きまして、先ほど来問題になっておりますみなし一時所得あるいはその前提としての法人におけるみなし収益という点の法律上の関係、これは先ほど先生おっしゃいましたように、譲渡のときにおける価格が適正価格を下回っておれば、その差額は法人段階においては収益に加算し、同時に寄附金に参入をする、当然限度計算ございますけれども。そういう法人サイドではそういう経理になるべきもの。それから、片や受け取る方の個人においてはみなし一時所得が課されるべきものであるというのは、一般的には先生がおっしゃるとおりだと思います。まさに問題はその譲渡——先般来私は譲渡と譲り受けちょっと使い分けて言葉を使わさせていただいておりますけれども、譲り受けの段階における価格が適正であるかどうかという点がまさに先般来御議論になっておりますようにポイントだろうと思います。  私どもの考え方は、先ほど先生が引用されました通達に書いてありますように、その譲り受けの時点でどんぴしゃりの売買実例がありまして、それによれる場合にはそれによる、それからそれがない場合にはまず類似法人を横に置いての比準方式による、それからそういうのもない場合には、先生おっしゃったような純資産を参酌してという三項目を一つの目安にしております。まさにその端的な売買実例がないというのが今回のケースでございますので、いわば具体的なケースがないときにどういうものをもって適正価格と見るのか、それがまた一義的に決めにくい部分であるだけに非常に認定に問題が生ずるということでございます。  私どもの一般的な実務の慣行といいましょうか、これは今通達で申し上げましたように、そういう実例がない場合には大体その法人がつけた、あるいは取引した価格が、今申し上げましたような基準から見て、そんなにギャップがないと思われる場合にはあえてそれを否認するということはしない。といいますのは、みなし法人所得あるいはみなし一時所得というのも、いずれにしましてもみなしてやるという部分でございますので、挙証責任は当然私どもに来るわけでございます。  したがって、法的安定性ということを考えますと、法人間あるいは法人個人間の取引を積極的に否認できる材料がないとなかなかできないということで、先生のおっしゃる問題提起は非常によくわかるのでございますけれども、そう簡単に一義的にぱっとおまえのところは脱税だよと言い切るほど単純でないということも御理解いただけたらというふうに思います。
  156. 山口哲夫

    山口哲夫君 大体、二年間くらいの間に株の価格が倍以上にはね上がるという場合には、これは 国税庁としては常識として調査に入って徹底的に調べるんですよ。これほどこの法人でも、私、知っている法人なんかに聞きましても、それこそそんなことがあったら、我々の法人ならすぐに税務署が来ましてもう克明に調べられる、みんなこう言っています。そうすると、今まで、論議の中で明らかにこれは疑問があるということだけははっきりしたわけです、私の言った方式は認められたわけですから。そうすると、疑問があるというのであれば、当然これは直ちに税務調査に入って調べるのが妥当じゃないかと思うんですけれども、コスモス社に具体的にいつ調査に入ったんですか。
  157. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) 今お話しになっておられますのは、五十九年の十二月の話ですので、コスモス社というよりもリクルート社の株の話だと思います。そういうことでもちょっとコスモスの話じゃないんですが、対象はコスモス社ですけれども。最近では、一年か二年前だったと思いますけれども、調査に入っていると思います。ちょっと具体的な日付等は承知しておりませんが。
  158. 山口哲夫

    山口哲夫君 どうも入っているとすれば、これだけの問題が見逃されるはずがないと思うんですね。それで、私に対する回答では、四、五年に一回調査をしているんで一般法人より接触が多いんだと言っているんですけれども、いつ入ったということは全然明らかにしてもらえなかった。どうも今の話を聞いていますと、入っているのであれば当然これだけの問題を調査していないはずがないと思うんです。そういうものは報告されてしかるべきだと思うんですけれども、どうも私ども一体何か入れない理由があるのかなというふうに勘ぐらざるを得ないんですが、ここの税理士はどなたでしょうか。
  159. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) 別に調査に入れない理由というのは全くございません。税理士がだれかというのは、ちょっと今メモを持っていないので承知しておりませんが、どなたかいらっしゃると思います。
  160. 山口哲夫

    山口哲夫君 知らないことないでしょう、これだけ問題になっているのに。これは元熊本国税局長の多賀谷恒八さんでしょう。そうでないですか。
  161. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) お答え申し上げます。  多賀谷さんも入っておられるというんですか、顧問のようでございます。
  162. 山口哲夫

    山口哲夫君 言われなければ答えないというのは、だからやっぱりあなた方疑問を持たれるんですよ。だから隠しているんでしょうと言うんです。我々の感覚からすれば、あなた方の元先輩の方が熊本の国税局長だ、まさに身内でしょう。そういう人がここの顧問税理士をやっているから入れないんだ、そういうふうに考えたっておかしくないでしょう、それは。しかも、多賀谷さんというのは三万株のコスモス株を譲り受けて、九千万円ちゃんとファーストファイナンスから融資を受けているんですよ。そうして、こう書いています。「リクルートコスモス株三万株を九千万円で持ってほしい、と話があった。「金がない」というと、ファーストファイナンスから全額融資するというので借金して買った。リクルートコスモスが二部上場したら半分売らせてもらうことにしていたが、まだ上場していないので全株もっている」、上がったらすぐ売ろうと。ここでまた相当の利益が出るわけでしょう。  こういう事件がありましたよね。東京国税局長をやっていた谷川さんという方がいらっしゃいました。これはたしか昨年の事件だったと思うんですけれども、何か大変な相続税の脱税問題があった。そうしたら、元東京国税局長がおれに任しておけと言って、国税庁は何とでもなるんだと言わんばかりの発言をしていたことが当時の新聞に出ておりました。どうも私は、こういうことを考えると、明らかに脱税があると思いながらも税務調査に入れない、そういった国税当局と、こういった特定の企業の癒着というものが天下りの中でつくられていっているんじゃないんだろうか。もしそうだとすれば、これは大変な問題だと思うんです。国民のために直ちにこういったものは税務調査をするべきだ。きちっとこれだけ明らかになったんですから、少なくとも国会の中で明らかになった疑問の点だけでも直ちに克明な調査をすることを強く要求しておきたいと思いますけれども、どうですか。
  163. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) 私どもも常に各種資料収集をしております。それからまた、本委員会での御議論等も十分注意深く聞かせていただいております。そういった中で、課税上問題があると思われる点につきましては必要に応じて調査をするということで、課税の適正化に今後とも努めてまいりたいと、このように思います。
  164. 山口哲夫

    山口哲夫君 きょうは検察庁はいらしてないですか。——検察庁としてもこれだけのことが明らかになった以上は、当然これはやっぱり検察庁の権限で捜査に入るべきだなというふうに思っておりますけれども、せっかく先輩の方からも声がかかっておりますけれども、総理、いかがですか、こういう問題について、大蔵大臣といたしまして。
  165. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 基本的には、いつもおっしゃるように実調率を上げろと、こういうことだと思います。四、五年に一回というふうに実調率というのは出てまいりますが、いろいろ問題等の情報がある場合には、その頻度はいつも多くなっておるというふうに私も理解をしております。
  166. 山口哲夫

    山口哲夫君 今、一番国民が関心を持っている問題です。ぜひひとつ総理の責任で、少なくとも国税当局が、また検察当局がこういう疑問の点だけは解明するように努力をしていただきたい。お願いをしておきたいと思います。  それでは税制改革について、特に地方税との関係について質問をいたします。  今回の税制改革で余り大きな議論になっていないんですけれども、極めて重大な問題に税制改革の地方に対する影響、地方税に対する影響と言った方がいいでしょう、これは非常に私は大きな問題だというふうに思っております。  御存じのとおり、個人住民税、法人住民税が減税になりました。国税である所得税、法人税、酒税、これが改定になりました。当然三二%掛けるその交付税もこれは減収になります。そして消費税創設されます。電気税、ガス税、木材引取税という自治体固有の税源も廃止になりまして、この分も大幅に地方の財源が減ります。そこで、これにかわって政府は消費税の譲与税と消費税の地方交付税二四%、本来三二%だけれども、ここだけは減らして二四%、それで増収を図る、こう言っているんですけれども、そういった出入りをずうっと計算いたしましても全体で地方財政に与える影響は八千八百億円くらいの減収になるというように思うんですけれども、そのとおりでしょうか。そして、それをどういうふうにこれから穴埋めをしようとするのか、お聞きします。
  167. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 今回の税制改正によりまして、委員御指摘のとおり、地方税財源の減収は衆議院修正後で三兆百億円でございます。この減収に対しまして消費税の収入額の五分の一相当額一兆九百億を消費譲与税とし、また、消費譲与税を除く消費税の収入額の二四%相当額一兆四百億を地方交付税として確保をいたしております。そして、この結果として減収超過額になるわけでございますが、この補てん措置については今回の税制改革によって住民税の減税約九千八百億をいたすわけでございますが、その一部についてのみ対象税目とするその地方交付税により措置することといたしたため、衆議院修正により地方に八千八百億円の減収超過額が生ずることになっております。  従来においても、税の大幅な自然増収が見込まれる際には地方税の減税財源を自然増収等によって賄っているところでございますし、昭和六十二年度には約二兆円余の自然増収が生じているなど最近における地方税の自然増収がかなりの程度見込まれるところから、総体的には地方財政の運営に支障が生じないというふうに考えております。  しかし、残念ながらというか、財政力の弱い地 方団体がございますが、この自然増収の少ない地方団体も少なくないと考えられるが、このような団体に対しましては地方交付税の配分を通じて適正に対処をしてまいりたいというふうに考えております。
  168. 山口哲夫

    山口哲夫君 大体この自然増収は二兆円くらいというのですけれども、その自然増収で穴埋めをしようというお考えなんですか。
  169. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 自然増収の分とそれから交付税で、いわゆる交付税の減収分プラスアルファが約一千億程度ございますので、二兆余の自然増収のうちの八千八百億、それに交付税の一千億、これを加えてこの九千八百億に対応してまいりたい、そういうふうに考えております。
  170. 山口哲夫

    山口哲夫君 自然増収が出るから、それで今度の税制改革で穴のあく約九千八百億、それを埋めようというのですけれども、もっと先に埋める先があるんではないですか。それは、例えば交付税の特別会計で今六兆円借りていますよね。そのほかに、まだたくさんありますよ、交付税の特別会計で借りている利子だけでもこれは二兆六千億もあるんです。  それから、もう一つ言わしてもらえば、財源対策債等償還金というのがあるんです。これは実に十五兆円あるんですよ。だから、今国の方で自治体に返してもらわなければならない金というのは大体二十三兆円くらいあるんです。ですから、自然増収があったらまず先に返すべきものをちゃんと返してもらって、そして足りない九千八百億、後で言いますけれども、もっとそのほかにありますよね、仮に消費税が通ったら六千億くらいふえるんですから、自治体の持ち出しが。そういうものも含めますと、これは特別の財源というものを自治体にちゃんとつくっていかなければならないので、自然増収だけを当てにするというのは私はおかしいと思う。借金というのは、古い借金から先に返していくべきだと思うんですね。
  171. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 委員御指摘のことは当然のことでございますけれども、しかし今回の税制改正は、御承知のように、国と地方が一体になって税制全般のいわば抜本的な見直しをしよう、そういうところから行われるわけでございまして、直接税の比重が大変高いという現象から、住民税を中心とする減税を、地方においても国税の所得税あるいは法人税と比例をして、相呼応して行うわけでございますから、幸いにというか、自然増収のある中で、やはり減税のメリットを一般国民、住民が受けるということは大切なことだ。もちろん膨大な借金を抱えている現状、これはよく理解をいたしておりますし、これからもその対策のためには考えてまいりたいと思いますが、今回の税制改正は、少なくとも国、地方を通じてもう一回見直しをしよう、その中で国税と相呼応しながら、地方だけが私はそれを逃れるわけにいかない、そういう観点のもとに住民税の減税に踏み切ったわけでございます。
  172. 山口哲夫

    山口哲夫君 住民税の減税をすることはまことに結構です。それは大いにやるべきだと思うんです。しかし、その財源を今度の税制改革の中でどうこうしよう、そういう考え方に立つこと自体がおかしいと思うんです。私は、本来地方自治体の税というものは独立したものでなければならないと思う。国の税の関係でそれをすぐ地方に波及をさせるという考え方でやられたんでは地方はたまったものではないと思うんです。だから、国の税政策のもとに地方の財源にそれだけ穴があくんですから、それに対しては当然別個の私は財政措置というものを考えるべきだと思うんです。  残念ながら、今度の税制改革について一体地方の自主財源あるいは自主税源とも言いますけれども、これがどのぐらいに変わってくるのかと思って資料の要求をいたしましたら、歳入に占める地方税の割合が、六十三年度四五・八%が、今度の税制改革をやりますと約三%減って四二・九%になるんです。地方税という自主財源がぐっと減るんです。地方財源の中に交付税があります。それから譲与税もあります。これは本来地方の独自財源とは見ませんね、国の関係によって回ってくる譲与税、交付税なんですから。しかし一歩譲って、これも入れたといたしましても、六十三年度の六五・一%から、これまた減って六四・五%になるんです。  だから、国の政策としてやる税の改革が、地方自治体の自主的な財源というものを、税源というものをだんだん縮小させている。これは明らかに財源を中心とした地方の独自性というものをだんだん希薄にしていくんではないだろうか。地方の権限というものをだんだん縮小させていく、そういうことになると私は思うわけであります。そういう地方税を我々のようにもう少し独立させてもらいたいという考え方からいきますと、今回のこんなやり方というものは、地方の分権、「ふるさと創生論」なんて言っていますけれども、私は、こういうものは全く砂上の楼閣でありまして、やはり中央集権化されないように、まず一番大事な地方の独自的な財源をもう少し高めるべきでないだろうかな、こう思うんです。  そこで、私は総理と地方自治の問題について論議するのは初めてでございますので、せっかくの機会ですからこの際、総理の地方自治に対する基本的な理念と申しますか、特に国と地方との関連を中心にして総理の基本的な理念をお伺いしておきたいと思います。
  173. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 地方自治、これはまさに民主政治の基盤であって、内政のかなめである、これが基本的な考え方であります。  そこで、社会経済情勢の変化に的確に対応しながら住民福祉の向上を図らなければいかぬというところに今の課題として一つ、四全総が目指します多極分散型国土の形成ということが出てきて身近なことは身近なところでと、なおのことこういった地方公共団体の役割がふえてきておるというふうに思っております。  したがって私は、民主主義の原点は地方自治であると、これは前々からそう思っております。
  174. 山口哲夫

    山口哲夫君 私の聞いているのは、特に国と地方自治体との関連というものについてどういうふうにお考えですかと聞いているんです。
  175. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは車の両輪であるという基本認識に立っておるわけでございます。  したがって、先ほど来おっしゃっております交付税の問題につきましても、これはよく国税当局と、それから自治体当局の見解等、いろいろな独自の見解等がときどきあります。制度調査会と、それから財政審との意見の食い違いとかいうことを中和するものは車の両輪と、こういうことであろうと思っております。
  176. 山口哲夫

    山口哲夫君 さすがに県会議員をやられた総理だけに、前の中曽根総理とは大分違いますね。中曽根総理は前にこう言ったんです。自治省の監督権に基づいて地方自治体を指導助言していくんだと。私は失礼だけれどもこう言ったんです。あなたは昔の内務省御出身ですね、昔の考え方をいまだにお持ちなんですか、政府に地方自治体を監督する権限というのはどこにも書いていません。あくまでも今おっしゃったように車の両輪であって、原則的には対等、平等なんです。こういう点では総理のおっしゃるとおりです。そういうお考えのもとにだんだん車の両輪の片方が小さい車になってきているんです。自主税源というものがだんだんだんだん減っていく、それはどうお思いですか。
  177. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 自主税源というのは、だれしも地方自治を民主主義の根幹、原点と考えた場合に、これは追求すべき問題であると思います。  しかしながら、このたびの税制改正の中におきましては、そうした言ってみれば原点論議ではなくして、このたびの税制改革の中で地方財政そのものの減収分に対する補てんとか、そういう角度から議論をされておりまして、結果として今おっしゃった自主税源そのもののシェアの問題がおっしゃるとおりのことになっておりますが、この問題はなお今後とも永遠に議論しなければならぬ課題でありますけれども、しかし、近時の経済情勢、社会情勢を見てみますときに、さてそうなる と、税源の問題というものが非常にへんぱになっておるということは残念ながら認めざるを得ない。先生が地方自治に関与していらっしゃって、昔で言えばやっぱり平衡交付金制度があって、そうして交付税制度というものをいろいろ議論の結果今日に至っておるわけでございますが、本当の自主財源、まことに結構でございますが、三千二百四十五でございますか市町村にいたしますと、それの税源そのものを今度は見てきた場合に、そこにかなりへんぱな存在ということがございますだけに、それを念頭に置きつつも、いつも議論すると限界というものにぶつかるという印象を私自身も今日まで持ち続けてきております。
  178. 山口哲夫

    山口哲夫君 こういった大改革をやる場合に、一番やはり基本に置かなければいけないのは、私は地方自治というものをどういうふうに考えるのか、今、総理がおっしゃったように、常に車の両輪のように考えていかなければならないということが、私はやっぱり頭から離れちゃいけないと思うんです。  どうも今までの税制論議を見ておりますと、国の論議があって、それが決まった段階でそれに地方が右へ倣えしていく、だから調べてみたところが地方の税源が小さくなっていた、結局は脱線してしまわざるを得ないということになると思うんです。だから一番大事なことは、その基本をしっかり踏まえて、その数字を地方の方にもっと上げることを考えるべきだと思うんです。今地方の財源は三〇%ですよ、ところが仕事は七〇%させられているんです。一体どういうことかといえば、結局は国が金を握って地方にやらせているわけですよ。そこに官僚制というのが生まれてくるわけですね。  総理が、昨年の予算委員会ですか、自民党の質問に答えられまして、大変私は名言だと思って今でも知っているんですけれども、国家公務員たる者地方公務員に優越感を持っちゃならない、こうおっしゃいました。私は、さすがにやっぱり地方自治体を知っていらっしゃる総理は違うなと思って関心したんです。しかし、実際には総理のそういうお考えのようには動いていないんじゃないんですか。その税源が縮小されたのもしかり。  それから、文部大臣に聞きますけれども、文部官僚が地方の教育委員会を通じて券を売りさばく、自分が選挙に立候補するための券を売りさばく、何のために地方の教育委員会を使ってまでそういうことができるんですか。総理の言うように対等の立場に立ったとするならば、そんなことできるはずがない。結局は、文部官僚が今まで国の補助金を地方に出してやっている、そういう一つの権力を握っていたからこそやれるようなことだったと思うんです。そういう考え方に立つから今度のような汚職が起きるんですよ。それで、文部大臣がいわゆる高石事件なるものの調査をすると言ってもう何日かたちますけれども、具体的にいかがですか、その調査結果をお聞かせください。
  179. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 議員のお尋ねは、パーティー券の件だと思います。これは調査を急がせておりました。その結果を政府委員からお答えさせたいと思います。
  180. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 本年九月十六日に「高石邦男君と語る会」といいます高石前事務次官のパーティーがございまして、この件に関しまして都道府県教育委員会の幹部が券を購入されている事実に関して報道がございましたので、大臣の指示に基づきまして、電話によります照会等によりまして実情の把握に努めておるわけでございます。  現在までのところ、教育委員会の幹部が個人的に券を購入したという県が十九県でございまして、教育委員会の職員は購入していないという県が二十五県、それから個人的なことなのでわからないという県が三県でございます。ただ、そのうちの一県はいわゆる期成会というところで券を購入されたという例でございます。  それから、教育委員会からの報告によりますと、十の都府県で文部省の職員から、これは仕事上の連絡、電話あるいは口頭、面談等の仕事の話に際しまして、パーティーがあるという事実を聞いたということでございまして、ただ単に聞いただけではなくて、一種の購入の口添え的なニュアンスで受けとめたという県も数県ございまして、そういった点では事実に関しまして私ども大変恐縮しておる次第でございます。
  181. 山口哲夫

    山口哲夫君 文部省から地方の教育委員会がこれを買ってくれと言われれば、ふだん補助金で世話になっていることだし、おつき合いせざるを得ないだろうなと言って、それでついには公費からそのパーティー券を買ったなんというそんなことまで報道されていますね。これは私はゆゆしき問題だと思うんです。  それで、来年は参議院選挙があります。参議院選挙が近くなりますと、官僚出身の議員が、それぞれの日ごろ補助金政策でもって地方に対してある程度の接触を持っていた人たちが、そういう地方の機構を通じてその人の後援会の会員を集めたりパーティー券を売ったりする。そういう問題が必ずといっていいくらい発生するんです。これは、総理のお考えとはおおよそ隔たったことだと思うんですけれども、特に選挙が近いだけに、そういうことが絶対にないように総理の方からきちっとやはり指導していただきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。
  182. 竹下登

    国務大臣竹下登君) パーティー券問題でございますが、そもそも役所の組織というものの中でこれを売りさばくというようなことを最も避けようというのが、これは我が党においても議論された結果として出た自主規制の基本でございます。そういうことは絶えず最も気をつける、いわゆるパーティー券課税問題よりもその方がまず先じゃないかと、こんな議論すら出たことを私も承知いたしております。
  183. 山口哲夫

    山口哲夫君 もう一つ総理にあわせてお願いしておきたいんですが、先ほど総理が、国家公務員たる者地方公務員に対して優越感を持つな、こうおっしゃったんですけれども、残念ながら各省庁の特に幹部職員の中にはそういう考えでない人が随分いる。自分のポケットマネーでもくれてやるような、そういった考え方で、感じで補助金なんかをつけてやる、そういうのが間々あるんです。来年また予算編成期が近いわけでして、たくさん地方の方から予算獲得のために陳情で来ると思うんです。そういうときに、やはり総理の言ったように、国家公務員が地方公務員に優越感を持つようなそういった態度、地方自治というものを全く軽視しているような態度というものはやっぱり改めさせるべきだと思うんです。ちょうど今申し上げたように、選挙運動に地方の機構を、自治体を利用したり、あるいは今言ったような高級官僚が自分のポケットマネーを出すようなそういう態度というものをきちっとやっぱり改めるべきだと思うんです。  総理がたまたま綱紀粛正の問題を閣議で取り上げたとおっしゃっていますけれども、それとあわせまして今言ったような問題について一度閣議で取り上げて、きちっとした指導をしていただきたい、こう思うんですけれども、いかがでしょうか。
  184. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今、山口委員がお取り上げいただきましたのは、もう十四年ぐらい前でございますか、私が建設大臣にたまたま就任したことがございました。そのときの初めてのごあいさつ、訓示と申しますか、そのときにいわゆるいささかの優越感を持ってはならないと、また県庁職員また市町村職員に優越感を持ってはならないということを言いましたのが雑誌に載っておりまして、それでよく知っていらっしゃる人がございますが、それは私は昔も今も変わらず持ち続けるべきことであろうと思っております。
  185. 山口哲夫

    山口哲夫君 ぜひ各大臣に閣議の中でそういったことを十分に御指導いただきたい。強く要請をしておきたいと思います。  さて、地方税の問題についてちょっと具体的に入ってみたいと思うんですけれども、地方税というものはできるだけ独立性を持たなきゃならないというのは再三申し上げました。  そこで、国の法人税の中でいわゆる引当金とか準備金とか租税特別措置法の関係とかで優遇措置をしております。そういうものは今の制度からいきますと直に地方自治体の方に影響してくるわけです、地方税の方に。やっぱり途中で地方税の独立性を考えたら遮断するべきでないだろうか。こんなふうに思うんですけれども、そのお考えを聞きたいことと、それからどの程度はね返りというのが地方に影響しているのか、その金額を具体的に示してほしいと思います。
  186. 湯浅利夫

    政府委員(湯浅利夫君) 地方税につきましては、御指摘のとおり地方の自主財源でございますから、国の租税特別措置が直ちに影響を受けるというようなことはなるべくないようにした方がいいわけでございます。しかしながら、国のこの特別措置の中には地方税においても同様に措置をした方が適当ではないかと思われるものもございます。  それから、法人税特に法人関係税につきましては、法人税のいろいろな所得の計算を使うわけでございますが、技術的にそういうものをやっていく上で国の特別措置を回避することができないというようなものもございまして、やむを得ず遮断できないという場合もあるわけでございます。  しかしながら、今後税制改正をするに当たりましては、この国税の影響というものはできるだけ遮断ができるものは遮断していく、そういうことで今後とも引き続き見直しを行いまして、政策目的の緊要性等を勘案しながらできるだけ整理合理化をしてまいりたいと思います。  金額につきましては、ちょっと今手元にございませんので、後ほど差し上げたいと思います。
  187. 山口哲夫

    山口哲夫君 金額は、私どもの計算によりますと、法人事業税に与える影響が約一兆八千億円、法人住民税に与える影響が約一兆二千億円、これだけあります。三兆円くらい私どもとしては地方税にかかってくる。そのほかに所得税の特例がいろいろとあります。それもはね返りというのは約二兆二千億円くらいある。これは政府の考え方とは違うと思いますよ。  特に一番大きい問題は、引当金の問題があります。これは政府の方としては、全然引当金というものは見ておりません。この引当金というものは、当然これは国の政策として行っている問題なんです。貸倒引当金制度というのは、国が一つ政策として決めている問題なんです。なぜその損金が即地方自治体の税の収入にまで影響を及ぼさなければいけないのかと我々は言うんです。国の政策であれば、国の政策としてやられたらいいでしょう。それを我々地方自治体では頼んだこともない地方にまでなぜ影響を及ぼさなければいけないのか。貸倒引当金、賞与引当金、退職給与引当金、製品保証等引当金、この四つの金額だけで約二兆円のはね返りが地方自治体にあるんです。具体的にどうですか、この引当金だけは遮断してみたらどうですか。
  188. 湯浅利夫

    政府委員(湯浅利夫君) 法人関係税につきましては、基本的に法人税の所得の計算を技術的に使うということを前提にいたしまして制度が仕組まれているわけでございます。そういう趣旨で、引当金の部分だけを除いて計算をするということが技術的にもなかなか難しい問題があろうかと思いますので、この点は今後の検討材料ということになろうかと思います。
  189. 山口哲夫

    山口哲夫君 これは何にも難しいことじゃないでしょう。所得金額に関する計算書というのがあるんですよ、地方税法施行規則の中に。その中に加算とか減算とかという欄がずっとあるんです。その企業が引当金としてどの程度のものがあったのか、損金として落としたのか、あるいは賞与の引当金が幾らあったのか、そういうものをただ項目に載せていって合計していけば、これは地方税にはね返らないでしょう。遮断できるんじゃないですか。そんな難しいものではないですよ。
  190. 湯浅利夫

    政府委員(湯浅利夫君) 地方の法人関係税は、今の制度の仕組みといたしましては、基本的に法人税の所得の計算というものを前提にしてやっているわけでございます。そういうことで、特殊な租税特別措置というものは別にいたしますれば、やはり基本的な引当金とかというようなものにつきましては、これは地方税におきましても同じような適用をせざるを得ないんではないかというふうに考えております。
  191. 山口哲夫

    山口哲夫君 だから、今の制度からいけばそうでしょう。しかし、我々の言っているのは、今の制度がおかしいんだから、それは直したらいかがですかと言えば、事務的に計算上難しいと言うから、何にも難しいことではありません、制度さえ改正してやろうと思えば何でもなくできることですよと言っているんです。どうですか、制度が変わったらすぐできるでしょう。
  192. 湯浅利夫

    政府委員(湯浅利夫君) 法人住民税は、御案内のとおり、法人税額を課税標準にしているわけでございます。ですから、法人税額を課税標準にしている以上、その法人税額の基礎となります中身の問題をいじくり回しますと、これは住民税が課税できなくなるというようなことにもなるわけでございます。事業税につきましては、今後の問題としては外形標準課税というような大きな問題もございますが、これらにつきましては、今後の検討課題として事業税の問題は大きな問題がございますけれども、少なくとも住民税につきましては、法人税額そのものが課税標準であるということは御理解いただきたいと思うわけでございます。
  193. 山口哲夫

    山口哲夫君 答弁すりかえないでいただきたいんですが、法人税額を課税対象にしているというのは、これはもう百も承知ですよ。これは今の制度ですよ。それでは困るんだと言っているんですよ。そういう法人税額というのは、引当金とかいろんな損金を全部差っ引いて、損金等を落としてしまって、少ない金額になっているわけでしょう。私の言うように、引当金とかそういうものを遮断すればもっと分母は大きくなるわけでしょう。それに地方税の税率を掛ければ地方税はもっとふえるんですよ。だから、国の政策としてやっているものを直、地方の税にまで及ぼさないようにしてください、遮断しようと思えばできるでしょうと言っているんです。そんな事務的なことを言っているんじゃないんですよ。できるでしょう、やろうと思えば、制度を変えれば。
  194. 湯浅利夫

    政府委員(湯浅利夫君) 法人住民税につきましては、基本的にはやはり法人税額というものを課税標準にするということで、これはなかなかこれを変えるということは難しいんじゃないかという気がするわけでございます。それをやる以上は、その中身についてこの部分は除く、この部分は入れるというようなことは現実の問題として技術的にも難しいということになるわけでございますので、この辺は御理解いただきたいと思うわけでございます。
  195. 山口哲夫

    山口哲夫君 その遮断をするという認識さえ持てば、そんなことは事務的にできないことではないんですよ。難しいと言うから、あえてこんなところで事務的なことまで私説明しなきゃならなくなっているんですけれども、だから根本は、総理にやっぱりお聞きしなきゃだめですね。根本は、国税の影響をなぜ地方に影響させなければならないんですかと言うんです。国の政策としてやることはそれは結構です。私は反対ですよ、そういう引当金というのは反対なんだけれども、百歩譲って、まあいいでしょう。しかし、それを何で地方にまで影響させなければならないんですか。さっき総理がおっしゃった車の両輪なんですから、これは地方は地方としての独自性というものを尊重して初めて車が両輪になるんですよ。全部こっちの影響を皆まともに受けさせたら地方自治体はたまったものじゃないじゃないですか。考えてみてくださいよ、これ。
  196. 竹下登

    国務大臣竹下登君) あるいは専門家のお助けをいただかなきゃいかぬかとも思いますが、私は、法人住民税の場合は、今の議論を進めていきますと、仮に一つのものを遮断した場合、言ってみれば増税の面が出てくるだろうと思うんでございます。したがって、やっぱり議論としてしてみなきゃならぬのは法人事業税の問題ではないか な。  それで、これについて私なりに勉強してみたことがございますが、頭の運動程度の勉強でございますけれども、シャウプ勧告のときに付加価値税というのがありました。あれは今の確かに外形標準のような感じの、今の事業税のような趣旨のものでございますが、結局は実行に移されなかったわけでございますけれども、その辺からお互い議論してみたら一番いいんじゃないかな、こういう感じを持っております。  専門的でございませんので、ただ頭の運動程度のお話を申し上げたわけでございます。
  197. 山口哲夫

    山口哲夫君 今、御説明になったシャウプ勧告のときも、できるだけ地方に独自性を与えるべきだ、自主財源というものはやっぱり強化しなきゃならないというのは、たしかシャウプ勧告の中にありましたですね。だからその勧告に従ったって、今言ったように、数字的にも今度の税制改革で地方の独自財源というのは減ってきているんですから、これはどこから見てもやっぱりおかしい。だから、このことを頭に置いて、私はやっぱり地方の税あるいは財政というものを考えてもらいたいと思うんです。時間もなくなりましたので残念ですけれども、この問題ぜひひとつ総理として、また大蔵大臣として、来年の予算編成も近づいていることですから、考えてください。自治大臣はもう喜んでいるようなあれですから、ぜひお願いします。  それから次に、補助金の復元問題について質問したいと思うんですけれども、補助率を削減するというのは、これは一年限りだというのは総理が約束したことですね。これは昭和五十九年十二月二十二日、竹下登大蔵大臣と古屋自治大臣との間にちゃんと覚書を取り交わし、そしてまた、その後にまた今度三年間だけ何とかしてくださいと言って、やはりあなたが大蔵大臣として小沢自治大臣との間に調印をしたわけですね。それで、これは当然今度はやっぱり来年度から五十九年度の補助率に戻さなければならないものだと思うんです、いかがですか。
  198. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 二回目の署名も私と古屋大臣であったと思っております。確かに二回とも大蔵大臣は私自身でございました。二回目のときは各自治体関係者の皆さん方の懇談会をお願いいたしまして、いろんな関係者がお出かけになりましたが、私に素朴な感じとして、もう二度とあの懇談会には私を指名してくださいますな、こう言われたことを今でも覚えております。だから、責任を感じておることは事実でございます。  したがって、定食のような答弁をいたしますならば、これはいろんな今までの経過等を勘案しながら、予算編成時において決着をつける問題であろうというふうに思っておるわけでございます。社会保障の部分でございますとか、公共事業の事業費の部分でございますとか、そういうことはこの予算編成時点において話し合いがつくことであろうというふうに思っております。
  199. 山口哲夫

    山口哲夫君 前の宮澤大蔵大臣と同じ答弁なんですよね。予算編成時に考えたいと言うんです。二回も約束しているんですよ、地方に。一年限りだからやらしてください、今度は三年限りだからやらしてくださいと。そして三年目になったら、また諸般の情勢を考えて検討さしてください。もうこれだけ約束を被られたら地方自治体はたまったものじゃないですよ。これはもう文句なしにもとに戻してほしいと思うんです。  そこで、どうも気になるのは、さっきから自然増収があるからだと言っているんですけれども、自然増収が二兆円くらいあるじゃないか、地方自治体にも影響が出てくるだろう、だから何とかこれは補助率をもとに戻さなくたっていいじゃないかと言っているんですけれども、そういうことにならないということは先ほども言ったんです。八千八百億円の、この税の改正によって減収があるわけですね。それに今度プラス一千億ありましたね。そのほかに消費税による地方に対する影響というのは約六千億あるんですよ。足しますと約一兆五千八百億ですよ。だから、この一兆五千八百億をやはりきちっと始末してもらわなければならないんですよ。そうしますと、補助率をまた今のとおり継続するということにならないと思う。補助率を継続しますと、これに加えて一兆六千億円くらいのはね返りがまた出てくるんですよ。そうすると、地方財政はまた一兆六千億くらいの赤字が続きます。これは法律からいって当然交付税の税率を上げなきゃならないことになるんです。  そういうことから考えれば、若干の自然増収があるからといって、それを財源にして補助率をもう一年間我慢してくださいということには絶対これは数字の面からいってもならない。そこをきちっと大蔵大臣として頭に入れていただいて予算編成してもらわなければ、これはたまったものじゃないと思うんですが、そういう数字の点から考えてどうですか。
  200. 竹下登

    国務大臣竹下登君) おっしゃる数字は全部私にも理解できる問題でございます。私自身議論の末、予算編成段階において本当は暫定措置というのは私自身も好ましいことではないと思いますので、恒久的なことも念頭に置きながら議論を進めていかなきゃならぬだろうと思っております。  自然増収の問題をおっしゃいましたが、自然増収があるという事実は、また事実として認識はしておくべきであろうと思っております。
  201. 山口哲夫

    山口哲夫君 これは全国の三千を超える地方自治体が大変関心を持っていることです。これをもし、また同じように一年間継続してくださいなんということになりましたら、竹下内閣の支持率はまた地方の段階で落ちますので、十分心して、もうこれ以上だまされたくないというのが地方自治体の共通した意見ですから、この点はひとつぜひ頭に入れて予算編成に当たっていただきたい、このことをお願いしておきます。  時間もないので最後になると思いますが、移転価格の問題です。  御存じのとおり、アメリカで、トヨタ、日産がアメリカ国内の現地法人に対しまして、水準を超える価格で自動車を出荷して、現地の子会社の利益圧縮を図って法人税逃れをしているということで追徴金を課したことによるものでありまして、これはもう外交問題にもなりました。それで日産、トヨタが合わせて約八百億円を返さなければならないということになりました。それで両企業は、八百億の国からの返還された金額を現地法人を通じてアメリカの歳入庁に納付したわけでありますけれども、このため地方税もやっぱり同じようにとばっちりを受けまして、約四百億円これは両社に還付をする、多い県ですと百億も返す、小さな市町村でも約十億円も何年か前に入れたものを返さなきゃならないという問題が起きたわけであります。  これはもう国と国との外交問題でもありまして、そういった地方自治体に対する、国の政策のとばっちりを受けさせないように、これは先ほど申し上げた税の遮断の問題とも関連してくると思うんですけれども、この問題についてまずちょっとお聞きしたいのは、国税の還付財源というのは、これはどこから出したんでしょうか。
  202. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) お答え申し上げます。  移転価格税制は、先生御案内のように、国をまたがっての課税権の衝突ということでございます。  今お話しの場合には、日米間での親会社、子会社間の……
  203. 山口哲夫

    山口哲夫君 経過はいいです。還付財源はどこから出したんですか。
  204. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) 国の場合には当然国の通常の何というんでしょうか、還付を出すべきところから出しておるというふうに思います。ちょっと今正確に、勘定科目を改めてもう一度確かめて御答弁いたします。
  205. 山口哲夫

    山口哲夫君 国税の整理収納金会計というのがあるんでしょう。だから、政府の方は、ちゃんとそういう国税を還付するための収納会計があるからいいんです。地方にはそういうのがないんですよ。そうすると、何年も前に払った十億の金をいきなりことし返せと言うんです。これはたまった ものじゃないですね、単年度で返すということは。これは当然国と同じようなものを地方自治体の中にもやっぱり考えてみる必要があるのじゃないかなと思うんですけれども、どうでしょう、検討してみる必要はないですか。これは自治大臣の方ですかね。
  206. 津田正

    政府委員(津田正君) この問題は移転価格税制だけの問題ではなくて、企業が不振に陥って還付の事態になるとか、そういうようないろいろな事態があるわけでございます。地方団体におきましても、いわゆる税の還付の財源につきましては予算措置でやっておるわけでございますが、しかし正直申しまして巨額の還付をしなければならないということになりますと、確かに予算措置ができない、このような問題がございます。  制度的な点を申しますと、もうこれは先生御承知と思いますが、交付税の計算におきましては、前年度の法人税額につきましては翌年度清算する、こういうような仕組みで、税の落ちた分は翌年度交付税が補てんされるということでございます。そういう仕組みでございますが、当該年度、じゃ資金措置をどうするか、こういう問題がございまして、私どもとしましては個々の地方団体の予算の状況、あるいは財政調整基金等も準備しておる団体もございますが、そういうような状況、なければいわゆる地方債で手当てしておきまして翌年以降の交付税の清算でその財源確保する、このような仕組みになっております。
  207. 山口哲夫

    山口哲夫君 最後に……
  208. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 山口君、時間が参りました。
  209. 山口哲夫

    山口哲夫君 最後にぜひひとつ、そういうことをもう少し制度として検討されるようにお願いをいたしたいと思います。  まだたくさんの問題がありますけれども、委員長にお願いしておきます。  もう一回くらい立てられるように、ぜひひとつ委員会の審議を続けるようお願いして終わります。(拍手)
  210. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 次に、太田淳夫君の質疑を行います。太田君。
  211. 太田淳夫

    太田淳夫君 最初に郵政大臣にお伺いしたいと思いますが、報道されているところによりますと、真藤会長村田秘書の問題につきまして、真藤会長とあるいはNTT山口社長郵政大臣と会談されたということをお聞きいたしましたが、その会談で真藤会長はどのようなことを御報告されたんでしょうか。
  212. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 昨晩から新しい事態が展開をいたしてまいりまして、けさ郵政省といたしましてもNTTと連絡をとり合いながら、この委員会に出て、その間いろいろ交渉しておりましたが、委員会の間にメモが入ってまいりまして、十二時半ぐらいに会いたい、事実上十二時四十五分に真藤会長、それから山口社長御一緒に政府委員室にお越しになりまして、村田秘書の監督不行き届きで大変な御迷惑をおかけした、これ以上もう御迷惑をおかけすることは忍びないので自分辞任をいたしたい、後は山口社長でひとつNTTの万全の運営を期していただきたいという御要望がございました。私といたしましても、土光臨調で土光さんの大変な期待を担って電電公社の総裁になられ、そしてまた、その後民営化のために大変御努力をいただいた、造船業界でも大変有名な方であったわけでございますが、その方が民営化後、ついこの間代表権をお持ちになった会長として会長に御就任いただく人事を私自身がしたわけでございますが、それがきょうかたい辞意を表明されるということはまことに残念な思いがしたのでございますけれども、御本人のたっての御要望でございますし、山口社長もそういうことで社内意見が一致したということでございますので、私としては了承をいたしたという次第でございます。
  213. 太田淳夫

    太田淳夫君 その場で真藤会長とされては、いろいろな思いもあったと思いますが、報道されていることにつきましてはどのようにお話しになっていらっしゃったでしょうか。
  214. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 報道されておりますリクルートの株の売却益が自分自分のところへ入っているとは知らなかった、預金通帳も印鑑も全部、二十年来、特に石川島播磨にいらしたときから社長として秘書室で使っておられた方のようでございまして、もう何もかもお任せをしてこられたというような、そんな社会生活の中での女房役のようなことをしていらっしゃるような方のようでございまして、その関係で全く任せきりであった行為の中でそういうことが行われていたということを自分の監督不行き届きだと、さような表現をされておられました。
  215. 太田淳夫

    太田淳夫君 山口社長にお伺いいたしますが、大変な御心労のことと思いますけれども、社長は十一月七日の衆議院の特別委員会でも、会長にお話をお聞きしたけれども会長も何も関与していなかったと、このように聞いておりますということでお話しをされてみえました。十一月四日にNTTの調査委員会の最高責任者に社長として就任されまして調査を進めておみえになったわけですけれども、今回のこの会長辞任に至りました経緯をどのようにお考えになり、どのような御所感をお持ちでしょうか。
  216. 山口開生

    参考人山口開生君) お答えいたします。  ただいま先生がお尋ねのことでございますが、調査委員会を発足いたしまして、現実に調査委員会活動としましては式場取締役等を初めとしますリクルート関連の株の所有の問題、あるいはリクルートとの仕事上の契約のあり方、そういったものについて調査を進めてまいりました。その間、私ども役職員、幹部の株の保有についても調査をしてまいりました。真藤会長にも当然でございますが株の件については調査をしたわけであります。当時やはり真藤会長はそういったことはないというふうに話しておりましたので、私も国会でそういうような答弁をさせていただきました。村田秘書のことにつきましては、村田秘書からのお話としまして、その後、株を購入したことを認めておりますし、それから辞任を申し出てまいりまして、これは考査室長に電話が参っております。その後、村田秘書は行方がちょっとわかりませんので、私どももその行方を今もなお追っておるわけでありますが、大変残念なことにはまだわかっておりません。  そういうことでありまして、昨日、今、大臣がおっしゃいましたようにこういった報道がなされまして、私も、けさでありますが、真藤会長に会いまして、この件についての確認をとったところでございます。会長としては、これもまた先ほど大臣からお話がありましたように、長年自分の個人的な仕事について任せてある秘書でありまして、したがって一般的なNTTの業務には直接タッチしておりません。そういうことでありますので、金銭のこと、あるいは預金通帳のことも秘書に任せてある、したがって、どうも大変申しわけないが、今の件についてははっきり自分がどうもお答えできない、ちょっと記憶にない、すべて任せてある、こういうような返事でございました。  以上でございます。
  217. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 関連。
  218. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 関連質疑を許します。峯山君。
  219. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、先ほどからお話をお伺いしておりますと、真藤会長は長年連れ添った秘書であるし、通帳から判こから全部任せておった、それでけさの報道を見て会長は大体このとおりと違うのかと、ほぼそういうふうにやっぱりお認めになったような感じですか。
  220. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) お越しになりまして、余り多くをお語りになりませんでして、先ほど申しましたように、いろいろと大変迷惑をかけたということをおっしゃり、そしてまた、後、山口社長でひとり万全を期してもらいたい、これ以上に御迷惑をかけることは忍びないのでというような御趣旨でございまして、私どもNTTからお伺いをしておりました話の中身を信頼いたしておりましたので、その村田幸蔵氏との連絡がいまだとれないので、その面では確認をできないけれども、そ ういう事情であるのでひとつ御了解を願いたいというような御説明がございました。
  221. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 山口社長にお伺いします。  村田秘書辞任をされましたのは先月の六日の日でございましたね。そうしますと、それからは秘書ではないわけでございますが、少なくとも十一月分の会長のお給料ですね、これはどちらの方にお振り込みをされたんですか。
  222. 山口開生

    参考人山口開生君) 会長口座に振り込んだものと思います。
  223. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その口座村田さんが持っているんですか。どこにあるんです。
  224. 山口開生

    参考人山口開生君) ちょっと先ほど答弁があいまいでございましたが、会長の給与の口座だと思います。
  225. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですから、その会長の給与の口座というのは、これは常々村田秘書が判こや通帳やみんなお預かりしていろいろやっておられたわけでしょう。その口座村田秘書が持っておられたんじゃないですか、今までは。どうなんですか。
  226. 山口開生

    参考人山口開生君) 今私が申しました口座は、恐らくこれは家庭の方にあるんじゃないかと思いますけれども、今、村田秘書が持っている口座というのは、真藤会長のポケットマネーといいますか、そういったものの口座だと思います。
  227. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 わかりました。それじゃ先ほどから銀行の口座とかなんとかかんとかいうのは、ポケットマネーの口座、そういうことですね。そうしますと、先ほどのあなたの答弁の中で、裏金というのがあるんだそうですな。そして裏金の口座のことについて聞いたことがあるかと先ほどお尋ねしましたら、聞いたようなことがあると、あなたはそう先ほど答弁されましたが、この裏金を扱う口座についてどういうふうになっているのか、もう少し詳しく教えていただけませんか。
  228. 山口開生

    参考人山口開生君) 私、裏金というふうに申し上げたのではないと思いますが、先ほどから申し上げておりますようにポケットマネーじゃないかと思いますが、その点については……
  229. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そんなことはない。質問者が、裏金を扱う口座があるんじゃないかと先ほど社会党さんが聞いた。そうしたら、それに対してあなたは聞いたようなことがあるとおっしゃった。
  230. 山口開生

    参考人山口開生君) 今の、私はですからポケットマネーの口座のことを申し上げました。
  231. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃあれですか、あなたが先ほどからおっしゃっておりますのは、裏金を扱う口座というのはポケットマネーを扱う口座、そういうことですか。
  232. 山口開生

    参考人山口開生君) そういうことでございます。
  233. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、あなたも聞いたことがあるわけですから、その口座はもう相当長い間あるわけですな。
  234. 山口開生

    参考人山口開生君) ただ、私直接聞いたわけじゃなくて、そういうふうに言われておりまして、私もそういうふうに理解をしておったわけであります。
  235. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは村田秘書が昭和六十一年の九月にリクルートコスモスの株を一株三千円で一万株購入をした、そして十月に公開直後に売却をいたしまして二千二百万余円を村田秘書が受け取った、こういうわけですね。そしてそのうちの約九百万あるいは一千万をその会長のポケットマネーの口座へ振り込んだ、こういうことです。そういうことになりますと、これはまず大蔵省当局にお伺いいたしますが、これは村田秘書が株でもうけたお金を真藤会長に贈与したということになりますね。これは税金の調査等いろいろ出てくると思いますが、どういうことになります、こういう場合。
  236. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) 事実関係ごく最近承知したばかりですので、具体的な前後の関係とか、そのお金の帰属がどうだとかいった点がよくわかりませんが……
  237. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、はっきりしているじゃないか。
  238. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) 株の当事者がどうなっているとか、その辺がわかりませんので、言われているように、村田さんが譲渡益があって、それが再度こちら側へ来たというケースをもし前提にいたしますと、それが事実かどうかよくわかりませんけれども、あるいは贈与という議論があり得るのかもしれません。ただ、具体的な事実関係を私も承知しておりませんので確定的に申し上げるのはちょっと留保させていただきたいと思います。
  239. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはもうちょっとはっきりおっしゃっていただきたいんですが、それじゃ刑事局長に今度はお伺いします。  今の村田秘書が二千二百万円のいわゆる売却益を得た。そして、その売却益の中からいわゆる一千万なり九百万なりを真藤会長にやったと。やったというのは贈与したということになりますね。この場合の扱いと、あるいは今度はリクルートコスモス自身がわいろとして真藤会長に贈ったんだと、どっちかなんです、これ。そういうふうになるんじゃないかと私は思うんですが、刑事局長はどういうふうにお考えでございますか。
  240. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 事、犯罪に関することでございますので、私から一つの前提あるいは仮定を前提にいたしまして、それが何罪に当たるか、あるいは何罪の嫌疑があるかということはちょっと申し上げにくいことでございます。  ただ、一般的に申し上げますと、検察といたしましては、国会の御議論とか御指摘とか、あるいは事リクルート問題に関する各種の報道には犯罪の嫌疑の有無を検討するという立場から十分注意を払っているところでございます。  けさほど報道された件につきましても、捜査機関として今御指摘の点も十分頭に置きまして対処するものと考えております。
  241. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ぜひ頭に強烈にたたき込んでいただいて御捜査をいただきたいと思っております。もう一点だけお伺いして終わりたいと思います。  この間から問題になっておりますリクルートコスモスの役員に還流した株、これは刑事局長ですね、大体十九人で三十万八千株とかというふうに言われているわけでございますが、これの再譲渡について刑事局長は重大なる関心を持って捜査をしていらっしゃるかどうか、そこら辺のところをお伺いしておきたいと思います。
  242. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) これも何か同じことばかり繰り返しまして恐縮でございますけれども、リクルートコスモスの株の譲渡問題につきましては、従来から申し上げておりますように、検察庁といたしましてはまず事実関係を確定するという前提のもとにいろいろ調査をしているわけでございます。したがいまして、今御指摘の点についてもその中に含めて検討、調査いたしているものと考えております。
  243. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 NTTの問題につきましては、先日の長谷川証人、式場証人を初め、辞任されたとはいえ、この真藤会長の問題、村田秘書の問題等大変重要な問題であります。したがいまして、リクルート解明についてはやはり真藤会長村田秘書証人としての尋問が必要ではないか、このことだけ申し上げて私の質問を終わります。
  244. 太田淳夫

    太田淳夫君 郵政大臣、ただいまいろいろとお話を承りましたけれども、監督官庁としての郵政大臣としての責務もあろうと思います。これからやはりこの問題につきましては、ただいま証人喚問のお話もございましたけれども、郵政省としても事実関係について厳しい調査を展開すべきだと思いますが、その点どうでしょう。
  245. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 再三にわたりまして御答弁申し上げておりますように、千五百六十万株のうち五百四十万株を売却いたしまして千二十万株という株式を、国家が保有をする大きな株主であるわけでございますし、発展をいたします。特に四月の十九日からディジタル化をいたしまして、十年をかけてこの全日本の電気通信網を効率のいいものにしたいという意欲に燃えている、新規参入とともに日本の電気通信の責任を担うトップを走っているNTTでございますし、さような意味で郵政省といたしましても、これからひとつ 管理監督の精神的なものを含めまして私どももこの企業の健全な育成に省内でひとつ協議をしてまいりたい。  特に、自由化をされましたので、今回の疑惑を招いております問題も、その自由化のふたがとれたということでの新しい商売に意欲を燃やされたことがかような出来事になったのではないかと思っておりますが、準公務員としての立場にあるNTT社員であるわけでございますので、その点の万全を期したい。ここにおられる山口社長にも先ほどそれをお願いしたところでございまして、ますます内部規律を高めていただいて、新しい体制に六十年四月から踏み出したところでございますので、この災いを転じて福にするというような体制で邁進していただきたいと郵政大臣として願望をいたしております。
  246. 太田淳夫

    太田淳夫君 山口社長、今、郵政大臣からもお話しございましたが、やはり二十一世紀に向かっての情報通信社会の将来ということを考えますと、NTTの果たすべき役割というのは非常に大きなものがあると思います。現在リクルート問題等でいろんな問題が発生しているわけでございますが、この際やはり厳しい内部の調査を進めるとともに、国民生活に最も密接な関係のある社業であることを認識されまして、一切のやはりうみを出し切って新しい出発をすべきじゃないか、こう思いますが、社長いかがでしょうか。
  247. 山口開生

    参考人山口開生君) 先ほど大臣からもお話がありましたように、我が国の電気通信をここまで電電公社を通しまして便利に、利用も高めてまいりました。おかげさまで、世界的にも日本の通信が大変評価されてまいっております今日でございます。今回のようなことがございましたことは、大変に私たちとしては残念なことでございます。  今、先生がおっしゃいましたように、これからの電気通信の発展をやはりNTTとしては担っていく気持ちで全社員心を新たにして頑張ってまいりたい、このように考えております。
  248. 太田淳夫

    太田淳夫君 最後に総理にお伺いしますが、NTTの真藤会長村田秘書の件で責任を感じておやめになりました。総理も十三日の閣議で公務員の綱紀粛正指示されたばかりでございますし、NTTは言うなれば準公務員でございますし、政府が大株主でございます。総理も御自分秘書のことでいろいろと責任を感じられなければならない立場にあると思いますが、この事件についてはどのようにお考えでございましょうか。
  249. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 郵政大臣からお答えいたしましたと同じ今気持ちでございます。公務員の綱紀粛正問題につきましては、昨日その具体化についての検討を私から発言したばかりでございますだけに、その重要性を一層痛感いたしております。
  250. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは総理にお尋ねいたしますが、最初にこれはちょっと税制を離れますけれども、ブッシュ大統領が誕生されようと今されているわけでございますが、やはり日米関係いろんな問題があろうかと思います。せんだっても宮澤大蔵大臣にお会いになりたいという財務次官のお話もあったんですが、宮澤大蔵大臣が交代されてしまったということもございますが、やはりいろんな案件を抱えているところでございますので、総理としても訪米の意向を持たれているようにお聞きいたしております。私たちも、国民とすれば一日も早く総理が渡米をされて、いろんな案件について日米共同のやはり国民利益の話し合いをしてもらいたいなと思いますね。いろんなうわさがされておるような私利私欲にまたがるような話し合いではなくて、国民利益のためのいろんな話し合いをしていただきたい、こう思っておりますが、総理としては、いつごろをめどに渡米されるようなお考えをお持ちでございますか。
  251. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私の訪米日程等について、新聞紙上等いろいろな表現がなされておりますが、今ブッシュ新政権、まだできていないにいたしましても、このブッシュ現副大統領の方からも会いたいという希望はありますし、私も会いたいと思っております。それは太田委員の今おっしゃったとおりでございますが、ただ私は、今この税制改革というこの大事を抱えてきょうも御議論をいただいておりますので、そのことを横に置いて日程を決めるというようなことは、また政治家としてすべきでないというので、心の中の運動を一生懸命しておるところでございます。
  252. 太田淳夫

    太田淳夫君 報道されるところによりますと、大体来月の末ごろかなということでございます。自民党大会も延ばされたということでございますが、大体その程度のことをお考えでいらっしゃいますか。
  253. 竹下登

    国務大臣竹下登君) なお、私の心の運動の中には、可及的速やかにという気持ちがございます。
  254. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは税制問題に入らしていただきます。  ある大学教授の方がこういうことをおっしゃっているわけでございます。竹下内閣の今回の税制改革の基本的な構図についてということでございますが、それによりますと、消費税の導入と税率構造のフラット化と水準の引き下げによる所得税、住民税、相続税及び法人税の減税である。消費税導入のための戦略として、いかに国民各階層の抵抗を少なくして、有効に減税財源を活用すればよいかに細心の注意を払っているということでございます。すなわち、消費税の導入を容易にするために、事業者を中心に認められているところの不公平税制、例えばみなし法人あるいは赤字法人等に手をつけないで既得権益グループとの妥協を図っている。あるいは不公平税制に手をつけないと給与所得者の不満は解消されないから、これには中堅所得者層を中心にして、所得税減税で、お金で解決をする。また、法人税の減税は、租税特別措置の合理化に十分に手をつけずに、税率の引き下げで決着をつける。さらに、納税コストや所得捕捉の懸念を抱かせないために、付加価値税のタイプを帳簿型の消費税に選定をする。こういう税の予想外の自然増収がありましたり、あるいは経済の拡大によります税収増があった。それを最大限に利用されてこういうアプローチをされている。政治力学の観点から見ますとこれは正常化されるかもしれませんけれども、オーソドックスな税制改革の観点から見ると問題を残していくんじゃないか。  こういうことをおっしゃっておみえになりますが、総理としてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  255. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今、御指摘なさった見方は、当然私はあり得る見方であろう。それに対応していくことこそ——やっぱり体制側にある者は絶えず七割の批判を受けていく、それに立ち向かっていくと申しましょうか、これはけんか腰でいくという意味じゃございませんが、正々堂々と対応していくというのがこれは体制側にある者の責任であると思っておりますので、まず消費税ありきであって、それを導入しやすいように所得税の減税とかあるいは不公平税制を残すとかというようなことではなく、今の稼得者、なかんずく給与所得者の重税感等を解消するためには、税制全体で考えるならば消費税が必要である、こういう立場から今後とも対応してまいりたいと思っております。
  256. 太田淳夫

    太田淳夫君 総理にいろいろな税のことについてちょっとお尋ねしたいわけですが、基本的なお考えですね。  税について何を今求めているかということを一般国民にお聞きするところによりますと、恐らく公平な税制ということが答えとして返ってくるのじゃないかと思うんですが、この公平な税制という概念について見ますと、十八世紀の後半、これはちょっと古くなりますけれども、総理は神代の昔からの税制を勉強されているということでございますので。アダム・スミスは「国富論」で租税原則を明らかにしている。あるいはそのときに四つの原則の一つとして公平の原則というのを掲げているわけですね。また十九世紀の後半に入りますと、ワグナーの租税原則が出現しました。その中でも公平の原則ということが掲げられているわ けです。  そのように租税原則というものが発表される時期というのは、やはり国民が社会情勢の変化、経済情勢の変化、いろいろございますが、そういう中で改革を国に対して求めている時期にそれぞれ相当してくるのじゃないかと思うんです。また、今改革を求められて、税のあり方というのが問われているわけでございますけれども、特に税の不公平是正ということがやはり国民的な要請となっていると考えるわけですが、総理としてはどのようにお考えですか。
  257. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、アダム・スミスさんの比例的な課税、あるいはワグナーさんの累進的な課税と、それぞれ私も今おっしゃいましたように時期を考えてみますと、これはその前、よく上田委員議論されますマルクス、エンゲルスのときからの話をずっと見ましても、やっぱりある種の周期が私はあると思うのでございます。それで、まあ神代の昔は別といたしまして、租税というのがいわば外敵からの自己防衛という意味において、その外敵もクマとかトラとかライオンとかそういうものでございましょうが、労役等の支出からそれが物にかわった支出になって、だんだんいきますと、やはり比例的な社会主義の初期段階においては物の値段の中に共通の費用が入っておりますから、ある意味においてはみんな間接税であると言えるかもしれません。しかし、そこに必ず応能主義的な所得税の社会というものが入ってきて、その所得税偏重主義というものが今度はまた間接税的な社会へ移行していく、これがここのところ先進国の——もっとも消費税的な傾向に移行してきたのがここのところ三十五年ぐらいの間であるのかなと。ちょうど我が国が今そこのところへ来ておるのではないかというふうな私なりの分析をしております。  しかし、基本的に税というのは公平であってこそ初めて納税者の方の理解を得ることができるわけでございますから、不公平税制と言われる問題については今御例示なすった諸問題、みなし法人も含め、あるいは赤字法人課税も含め、四党で御指摘なすった十項目というのがございましたが、それらの問題は一つ一つ解決しつつも、万全を期していく体制を絶えずとっていかなきゃならぬ問題だというふうに私も問題意識を持っております。
  258. 太田淳夫

    太田淳夫君 十八世紀に示されました公平というのは、現在言われている水平的公平というのが中心じゃなかったかと思いますし、十九世紀後半以降取り上げられている能力に応じた公平、これは垂直公平の問題じゃないかと思うんですけれども、今回の改革ではそのいずれに重点を置いているかということでございますが、税制改革の抜本答申ですね、あるいは中間答申、あるいは自民党の抜本改革大綱、これを見ますと、税制改革の理念としていずれも公平という項目を掲げておりますけれども、この公平は、先ほど申し上げました水平的公平なのか、十九世紀後半の応能原則と言うべき垂直的公平なのか、どうもその辺がはっきりとしないように思うわけでございます。どうも十八世紀に返っていくような感じがするんですが、その点、どのようにお考えでしょうか。
  259. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これはまさに、私は水平的公平というものから今度は垂直的公平あるいは公正の方へ入るかもしれませんが、そういう感じから応能主義的なものが入ってきて、その応能主義的なものの努力と報酬の一致という原則からする、いわば極限に達した場合に、そこになお水平的公平をいま一度それを加味していこうじゃないかと、こういう流れになるのじゃないか。だから、十八世紀的な、アダム・スミスの考え方に返ったというのではなくして、むしろ十八世紀、十九世紀議論されてきて、それこそ二十一世紀的方向にこれをお互いが模索しながら持っていこうということで、水平的公平も垂直的公平も、すなわちそれを直と間とで仮に分類しますならば、そのいわばいつも申しますところのあるべき姿が模索され、それが構築されつつあるのが今度の税制改正ではないかという感じを持って当たっておるところでございます。
  260. 太田淳夫

    太田淳夫君 私たちは、垂直公平があるべき姿ではないかと、このように思っております。しかし、その垂直的公平を達成するためにはやはり水平的な公平が実現をしていなければならない。水平的な公平が著しく損なわれている状況の中で垂直的公平のための税制を構築しますと、公平のそもそもの原則が崩れるというのは理解できるんですけれども、今回の改革においては、まず水平的公平を確保して、そのうちに垂直的公平をというのか。そうでなくて、やはり総理のおっしゃっているのは、水平的公平が最終的には究極の目的としてそれに近づけようとしているんじゃないかと思うんです。その点はどうでしょうか。
  261. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 本来は、税制の世界だけでなく議論してみますと、諸施策が一番うまく機能いたしまして、国民全体の所得格差というのが、原始共産主義社会とかいう問題は全然別といたしまして、大変平準化した状態ができた場合、結果としてそれぞれの税制がみんな水平的公平の形で機能するというのをお互いが政治家として一生懸命やっていかなきゃならぬと思います。  そのためには、そこにいろいろな施策の財源としての税制ということになりますと、それは公平を旨として、そしてその水平的公平、垂直的公平というような問題について所得、消費、資産の間で均衡のとれた税制を構築していこうというのが二十一世紀へ向かっての流れではなかろうかなと、まあこんな感じで思っておるところでございます。
  262. 太田淳夫

    太田淳夫君 その問題、また後からいろいろとお話しさしていただきますけれども、今回は、最高税率の引き下げを含みますところの税率構造のフラット化、これを推し進めようとされているわけでございますが、その理由についてお伺いしたいと思うんです。
  263. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、所得税の税率構造は全体として強い累進度を有してきております。それで、シャウプ勧告のときの改められた税制、あれを見ますと、率直なところ八段階でございます。ところが、その後結局高度経済成長というものがありまして、したがって、そこで毎年毎年税率が上の段階になっていくということの衝撃を避けようということから、毎年毎年少しずつ上の段階になっていくような、高度経済成長でございましたから、むしろ税の刻みを多くして、それで十九段階というのがたしか十四年ぐらい続いたと思います。それから十三、十二となりまして、そうして今六という段階、今度五という段階でもってお願いしておるわけでございます。  その理由は、やっぱり今のように安定成長になってまいりますと、働き盛りで収入は比較的多いが、教育費とか住宅費とか、そういういわゆる支出がかさむ中堅層の方々の負担の累増感が結果として大変強くなっておる。にもかかわらず、そういう形になりますと、これは本能的にも勤労意欲とかあるいは事業意欲等を阻害する。そしてもう一つは、いわゆる租税回避というようなことにもとかく物の考え方がいきやすくなるというところで今度の改正で五段階お願いしようと、こういうことでございます。  しかし、なお所得、住民両方合わせますと六五%ということになっておりますので、古い言葉で言えば四公五民でございますとか、そういうことから言えばまだかなり高いところにありますし、現在の先進国の中でもまだ一番高い段階にありますが、アメリカやあるいはイギリスのように二段階とかいうようなところにはまだ到達はいたしておりませんが、一つ考え方としては、努力と報酬の一致ということというものが基本に存在しておるとすれば、やはり働き盛りのところの重税感というものを可能な限りなくして差し上げるというのが必要ではないかなと思っております。
  264. 太田淳夫

    太田淳夫君 今、働き盛りの所得が多いけれども支出もかさむ中堅所得者層のそういった税の重税感、負担増感、そういうものに対して、解消策としてフラット化を進めていくんだというお話がございましたが、それが非常に今強調され過ぎて いるんだと思うんですが、やはりそういう層の方方は、いわゆる水平的公平と申しますか、不公平税制といいますか、まだまだ同じような所得で、改正をやりながら、一方の例えば申告所得者の皆さん方にはいろんな課税制度についての優遇措置があるとか、あるいは執行上の問題もありますから、そういったもののいわゆる申告納税者の皆さん方に対する課税の適正化あるいは執行上の適正化、そういうものも一方で求めてみえるし、あるいは税率におきますところのその所得区分についての物価調整と申しますか、インデクセーションと申しますか、その方式の導入というものを考えていく、その他いろんなやはり税の不公平感というものを是正していくことをまず最初に考えるべきじゃなかったかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
  265. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今おっしゃいます議論というのは、中堅所得者が同じ所得税法の中において源泉徴収の比率の多い給与所得の面で申しますならばそれなりの気持ちはわかる、そしてそこに対していろんな手当てをするのはわかるが、それ以外の所得、申告に関する方々の事業所得でございますとか、いろんな所得がありますが、それとの不公平感というものにまず手をつけてからやるべきじゃないか、この御意見は貴党のいわゆる基本法における手順法とでも申しますかが、その考え方が中心で練られたものだと私も思っております。したがって、それは一切手をつけないでおいてやろうという考え方では全くございません。  今度の有価証券売却益課税にいたしましても、譲渡所得でございますし、あるいは土地問題、土地税制、これも譲渡、キャピタルゲインの場合の土地問題でございます。そうしてまた医師税制、こういうもの、ただしみなし法人につきましては、本年から実施されてきたいわゆる事業主報酬額に実質的な制限を設けた昨年の九月の改正でございましたが、それがございますので、制度の適用期限到来までに結論をこれから継続的に相談して出そう、こういうような問題になっておりますが、一つ一つやっぱりそういうおっしゃいますところの、他の所得に対する源泉徴収を受けられる方々から見る水平的不公平感というものにも逐次具体的に対応していこう、こういうことで与野党協議も行われ、これからもお互いが協議しながら進めていかなきゃならぬ課題だというふうに思っております。    〔委員長退席、理事斎藤十朗君着席〕
  266. 太田淳夫

    太田淳夫君 さらに、納税者のいろんな個別的な事情をいろいろ考慮して対応できる人的控除制度というのがあるわけでございますが、今回も新設予定の割り増し扶養控除等々とございます。今までも特別配偶者控除とかあるいは住宅取得控除とか、そのときどきに納税者の皆さん方の状況に対応してそういうような制度がいろいろとつくられているわけでございますが、やはりそういうものを役割をもっともっと持たせながらいくべきではないか。その税率の引き下げを含む税率のフラット化をそう急いでやることはなかったんじゃないか、こう思うんですが、その点どうでしょうか。
  267. 竹下登

    国務大臣竹下登君) おっしゃいます政策的各種控除というものの引き上げ等を行うことによってそういう重税感というものを払拭する努力をすべきであって、税制のフラット化はその後でもいいんじゃないか、こういう御意見だと思うのでございます。  しかし、やっぱり考えてみますと、何としても今のような時代になりまして、あえて平準化とは申しませんが、そういう時代の中で我が国だけがこれだけの刻みというのは私はやはり妥当を欠くのではなかろうか。今御指摘なさいましたような各種控除というものについても眼を注ぎながら、一方やはり税率というものに対して、まあ四公五民とまでは言っておりません。五公五民という言葉もございましたけれども、六、五というところでございますが、この辺までは皆さんに許容いただけることではなかろうかというふうに考えております。
  268. 太田淳夫

    太田淳夫君 今回の税制改革に当たっての基本的な原則を拝見しますと、この税制改革に当たっては、最も基本的な理念として、公平、中立及び簡素の基本原則に従うとともに社会共通の費用を薄く広く分かち合う、こういう視点が重要だと。これは総理もよくおっしゃっておりますが、この社会共通の費用というのはどういうようなことをおっしゃっているんでしょうか。
  269. 竹下登

    国務大臣竹下登君) あるいは若干私の勘ぐり過ぎかもしれませんが、五十四年の決議をつくりますときには社会共通の費用の中に主として福祉目的税的な考え方が幾ばくか私どもにもございましたから、社会共通の費用とは福祉政策、こんなことにトタに結びつけたような傾向もあったかもしれません。が、やはり社会共通の費用というのは、まさに国の基本でございます外交、防衛、治安、教育、社会保障、社会資本、こういうものを区別して言うならば社会共通の費用の対象項目ではなかろうかというふうに考えております。
  270. 太田淳夫

    太田淳夫君 今お話しありましたが、その中に防衛という問題がございましたが、やはりこの消費税が実行されることによって防衛費の確保もできる、こうお考えになっていらっしゃるんですね。
  271. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 防衛目的税とかいう考えは全くございませんので、ただ一般的に国の基本とは何ぞやとこう言われますと、普通、外交、防衛、治安、教育、社会保障、社会資本、こういうのが大体先生から聞かれたときに生徒が答える決まり文句でございますのでそのことを申し上げたわけでございまして、社会共通の費用の中には、それは外交、防衛、治安、教育というのはもとより入っていくものであろうと思っております。
  272. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは、その考え方の中にもやはり所得の平準化が今、日本では進んでいるんだということが、消費税の導入の姿勢として、一つ理由として挙げられております。戦後の四十年ということを考えますと、やはり所得の平準化というのは進んできていることは確かと思いますけれども、これは消費税のような新税を導入するような具体的な政策の根拠となるほど統計的に確固としたものがないんじゃないかと思うんです。政府はどのような指標を考えてこの平準化ということをおっしゃっているんでしょうか。
  273. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これはそれこそ戦前の税制からずっと見てみますと、また昭和二十五年、私が学校の先生をしておりましたときに出た社会科の教科書でございましたが、昭和八年から十一年までの基準に日本国民の生活を返すために新しく経済五カ年計画というものが出ましたと。ところが、これは昭和二十五年からの朝鮮戦争を誘発する成長期に当たりましたのでこれはすぐ達成されましたが、そういう昔から比べてみるというのはいかがかと思いますけれども、第一分位から第五分位、いろんなとり方がございますが、あるいは専門家の助けをかりた方がより正確であろうと思いますが、やはり私は先進民主主義国家というのは平準化というのは進んできた。日本もその例外でなく、あるいは模範的と言うと自己満足が過ぎるかもしれませんが、平準化的な方向で今日まで成長をしてきたと言えるではないかと思っております。
  274. 太田淳夫

    太田淳夫君 私の質問しましたのは、どういう手法をもってそういう主張をされているかということでございますが、それは事務当局ですか。
  275. 水野勝

    政府委員(水野勝君) この点は、年々の国民生活白書等におきまして指摘されているところでございます。  端的にはジニ係数の推移、それからまた家計調査によりますところの実収入の推移、これによります五分位の中での第一分位と第五分位の割合、こういったものが指摘されているところでございます。  ただ、国民生活白書でも記載されておりますように、不況期にはどちらかというとジニ係数が上昇し、やや平準化の逆の方向に行く。好況になりますと、またこれがさらに平準化が進むということで、六十年から六十一年にかけては、やや不況 期ということで、逆の方向に動きましたが、六十二年はまたジニ係数が小さくなって、平準化が進んだ。長期的に見れば総理から申し上げておりますように、戦後四十年、三十年、特に高度成長期を中心にして急速に平準化が進んだというのが一般的な指摘となりているところでございます。
  276. 太田淳夫

    太田淳夫君 経企庁が六十三年に発表されておりますが、それではどのようになっておりましょうか。
  277. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) ことしの作業でございますが、ただいま主税局長からお答えがあったとおりでございます。  詳しく申し上げれば、四十年代の高度成長期を通じまして、ジニ係数、これは小さくなるということが平準化が進むということでございます。急速に下がってまいりまして、四十五年以降を見ますと、趨勢としては大体横ばいぐらいかと思いますが、景気の局面によりましてでこぼこがございます。  ごく最近を見ますと、六十年、六十一年と、係数は上がりました。これは円高の不況のせいではないかと思いますが、六十二年にはまた下がっております。似たような傾向は第一分位と第五分位の比率で見ましても、ほぼ似たような傾向があるかと思います。  以上でございます。
  278. 太田淳夫

    太田淳夫君 厚生省にも所得再配分調査結果というのがありますけれども、それを見て見ますと、多少のばらつきがあったとしましても、平準化が一貫して進んでないということが示されておりますね。このジニ係数というのは、厚生省の係数、五十九年しかございませんが、しかし最近ではこの係数が上昇してきつつあるんじゃないかと思うのです。  それは私たちどのように判断しているかと申しますと、企業のいろんな規模の間における賃金格差が今広がりつつありますし、あるいは共稼ぎ世帯と専業主婦世帯との間の格差が開きつつありますね。あるいはまた将来を考えてみた場合、私的年金を利用される方々、これは所得の多い方々ですね。あるいは大企業に従事されている方の企業年金もございますが、あるいはそういうものが利用できないで公的年金だけで依存される方々、必ずそういう人たちの間には受給年金額の格差というものも生じてくるんじゃないかと思うのです。ですから、高齢化世帯が今後ふえてまいりますと、ますますその所得分配格差というのは拡大をしてくる、あるいはそれに土地、株式等のストックとしての資産の格差も拡大してくるんじゃないかと思うのです。これは、経企庁のことしの国民生活白書の中のジニ係数の傾向としてもあらわれておりますし、そうなりますと、ますます今後所得分配の不平等が起きてくるんじゃないかと思うんですね。  さらに、経済はこれからソフト化をしていく、あるいはサービス化の進展、そういうものが起こってまいりますと、不安定雇用労働者の占める割合がだんだんふえてまいりますし、そこにも賃金格差拡大のいろんな要因というものが潜んでいるのじゃないかと思うんです。  そういう中で、総理府が発表しました「社会意識に関する世論調査」を見ましても、国民の皆さん方の二十一世紀における日本のマイナスのイメージとしては、「所得や資産の格差が広がる」、こういうのが上位にあるわけでございます。ですから、むしろ税率フラット化を現在政策的にとっていくのが正しいかどうか、その点どのようにお考えでしょうか。
  279. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この税率の刻みを仮に、アメリカの二段階等は別といたしまして、今度お願いしているのも五段階でございますが、従来からいえば刻みが少なくなっておりますから、フラット化ということがあるいは言えるかと思うのでございます。が、今の経済企画庁の経済白書、これもおっしゃっている意味はわかります。それから、総理府あるいは厚生省等から、いろいろな角度から国民生活の将来展望についての御意見もあります。これも承知しております。  今、太田委員のおっしゃったような形に進まないような、まず基礎的にあります経済政策にいたしましても、雇用政策にいたしましても、基本的にはやっていかなきゃならぬ。と同時に、富の再配分たるいわゆる歳出面におきましてのいろんな将来を目してのあり方というものの一つが、これはもちろん拠出年金というのが基本にございますけれども、いわゆる年金問題ということになってくるのではないか。  そこで年金問題は、昭和七十年からひとつこれの統合問題についての、今、厚生大臣が年金担当大臣と、こういうことになっておりますが、それを中心としていろいろ議論を積み重ねておるところであります、近くの問題というのは別といたしまして。したがいまして、これらのいわば基礎年金、公的年金、そうしたものから今おっしゃいました企業年金とか、もろもろの私的年金等、一階、二階、三階あるいは将来四隅と言う人もございますけれども、そういう制度につきましては、これはお互いの創意工夫というものもこの議論の中で積み上げていって、そうした将来展望というのが、所得格差が広がるんじゃないか、こういうことのない社会をつくるように努力していくことが、お互い政治に携わる者の宿命と申しますか、使命ではなかろうかというふうに考えております。
  280. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは次に移りますけれども、今回の消費税の導入につきまして、政府・自民党は現行の個別間接税制度の枠組みのままでは国民が公平感を持って納税し得るような安定的かつ信頼感のある税制、これが構築できないとしているわけでございまして、物品とサービスとの間の負担の不均衡あるいは特定の物品に偏った高い負担、国際的摩擦の問題あるいは間接税収入の趨勢的な低下、それをいろいろと理由に挙げて、消費税の導入によってこの現行の個別間接税を基本的に改組しよう、こういう主張をされているわけでございます。  ここで見直しを求められているものは、具体的に申しますと酒税と物品税がここで挙げられているわけですが、特に酒税の場合ですと、これはEC諸国からの不満が強かった。ウイスキーとか、あるいは輸入品に対する差別的な取り扱いをなくすために従価税の撤廃あるいは従量税に統一あるいは酒類の級別制度廃止、こういうことで取り扱われてきたわけでございますが、これらの見直しというのは、消費税を導入しなければならないということではなくて、単独で実施されても何ら不都合がなかったんじゃないかと思うのですが、総理のお考えはどうでしょうか。
  281. 竹下登

    国務大臣竹下登君) あるいはこれも専門家の知恵をかりなきゃならぬかと思いますが、酒税の問題につきましては、今、太田委員おっしゃいましたような議論は、私あり得る議論だと思うのでございます。  そもそも酒税の議論をいたしますと、一番最初は従価税か従量税かという議論になります。よく、従価税の方が値段の何%と決めておけばその方が公平じゃないかという議論がありますが、いや、酒というものは、やっぱりきょう千五百円飲もうということは言わない、きょう一杯飲もうと言うし、それから一升買ってこいとか言うからやっぱり従量税だと、こんなエンドレスな議論が昔からございます。ところが、我が国の場合は一升何ぼという従量税とそれから従価税とが混在した酒税になっておって、ヨーロッパはどちらかといえば、これは言葉は適当じゃございませんが、アルコールの含有量とでも申しましょうか、私は自分で酔度と言っておりますが、酔っぱらう度合いとでも申しましょうか、その酔度という言葉は学問的には存在しておりませんけれども、そういうところに重点を置いた税制が行われて、そこで個別になりますとウイスキーとしょうちゅうの問題等が出てくる。  ところが、しょうちゅうというのは我が国の国酒、まあ清酒が国酒かしょうちゅうが国酒かというのは、これは東北の人と鹿児島の人とで若干議論の違うところでございますけれども、そういう ことからいたしまして、しょうちゅうの税制というものにもこれは増税をお願いして、しかしながら一般政策の中で、いわば転廃業とかそうした企業合理化とかいうような指導もしようというようなことでいろいろお話をして、各業界おおむね御了承をいただいたというところでございます。しかし、個別物品税をなくそうという思想からいたしますと、消費税の外に存在してはいけないというので、それを中和した税制改正というものに今日至った。  少し話が長くなりましたが、私自身酒造業者でございましたので、何ぼか長くなったことはお許しくださいませ。
  282. 太田淳夫

    太田淳夫君 ですから、国民の立場から見ますと、物品税を今度全部やめてしまって消費税に吸収をしてしまうということは、やはりぜいたくな品物、いわゆるぜいたく品、それと生活に必要な品物、この区別がなくなってしまう。やはりぜいたくな品物を買われる方々には、それぞれそれだけの税金を負担される能力があるわけでございますから、それを一切放棄してしまうという考え方は、これは国民から見ると納得はできないわけです。  例えば数百万円の乗用車もありますし、あるいは今まで非課税であった自転車あるいは乳母車、それが今度同じ税率になりますし、あるいはダイヤモンドであろうがあるいは子供のおもちゃというものも同じ税率になってしまうというような、そういう消費税に対しては非常に不公平じゃないか、かえって不公平がそこに生じてくるんじゃないか、こういう国民の皆さん方の思いがあるわけですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  283. 竹下登

    国務大臣竹下登君) そもそも間接税、なかんずく物品税の歴史を見ますと、これは余り例外なく奢侈品、ぜいたく品というようなところから入り込んできておるという歴史は確かにございます。ただ、太田委員、確かに子供のおもちゃと宝石とか、そうした比較もよくあるお話でございますけれども、やっぱり比例的には、仮に三%といたしましても二百万円のものにはそれなりの三%がかかりますし、二千円のものにはそれなりの三%でございます。消費の多寡に対してかけるわけですから、それなりの応能的な支出でもございますし、私は情緒的にはおっしゃる意味だれしもわかることだと思いますが、税制理論上はきちんとした消費の多寡に対して比例的公平の中で額が違うわけでございますから、正当化される、それがまた消費税というものの本来のあり方ではないかなというふうに思っております。
  284. 太田淳夫

    太田淳夫君 よく議論の中に、紅茶が非課税でコーヒーは課税であるというようなお話もいろいろあるわけですね。ですから、みんな同じように課税をしなきゃならないということも例を挙げておっしゃる場合もありました。しかし、そういう問題につきましては、何も消費税がそのために必要であるのでなくて、今までにそういった物品税の税金がかかっている、かかっていないの不公平というものは見直しをしていく努力というものをやはり今まで積み重ねてこなかったところがおかしいんじゃないかと思うんですね。  そういった意味で、今、消費税を導入するということ、そういう努力を怠ってきた政府に私は責任があるんじゃないか、こう思うんですが、その点どのようにお考えですか。
  285. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 貴党の基本法の、手順法とでも申しましょうか、その中におきましても、まず物品税そのものに着目をして、それの不公正を是正することによってなお本当の不公正が是正できなかったら、数年かかって消費一般にかかる税制を勉強していくべきじゃないか、こういうお考え方でございます。が、実際問題として、今も例示なさいましたけれども、本当にこれはかかっているか、かからないかというまるでクイズのような感じでもございますし、それから国民には一つの税というのは、いい意味においても悪い意味においてもなれというものがございますから、こんなものだと思ってしまっておりますが、個々の業界別に見た場合は、何だ家電と自動車に大変依存しているんじゃないか、こういうような感じも自然自然には国民全体にもわかってくると思います。  大変価値観が多様化して、ぜいたく品の客観的基準なんというのもなかなか難しい今日、また今の紅茶のお話でございましたが、あるいは桐だんすとケヤキだんすとかいろいろございますけれども、そういうことからすれば、やっぱりむしろ本格的な公平感というものは、今次のお願いしておる消費税の中に国民の皆さん方が理解していただける方向に行くんじゃないかな、このように考えております。
  286. 太田淳夫

    太田淳夫君 消費税の問題に入りますけれども、消費税の基本的な仕組みにおきまして、やはり大きな問題があるんじゃないか、このように思います。それは今までも同僚委員からもいろいろと論議をされてまいりましたけれども、かつての一般消費税と同じような帳簿によるアカウント方式を採用して、しかも売上高五億円の企業にまでも簡易課税制度を認めている、ここにあるんじゃないかと思うんです。  このことは、最初から期待されておりました消費税によりますところの企業の所得捕捉力を著しく弱めていくんじゃないか。登録番号の入った伝票方式で税額を計算するのはEC型付加価値税の場合でございますが、その場合には売り上げ、仕入れも比較的に、ちょっと語弊があると思いますが、ごまかしにくい点があります。しかし、消費税タイプの場合ですと、所得捕捉というのは極めて不明瞭になっていくんじゃないか、そういう心配をするわけです。売上高の過少計上、こういうことがあるかないかあれですが、得ました所得を消費の段階で課税するといっても、これはやはり三%の消費税の負担の軽減をもたらすことになろうかと思うんです。  ですから、このことからも消費税は、いわゆるクロヨンの是正に役立つどころか、新たな不公平を呼ぶんではないか、こういう私たちは懸念を持っているんですが、その点はどうでしょうか。
  287. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは初めからちょっと専門家の助けをかりることにいたしますが、いわゆる帳簿方式を採用したことと、それから今おっしゃいました免税点も一つございます。それから簡易課税方式ということは、まず帳簿方式自身で見ましても、税額別記の書類に基づく方式、いわゆるインボイス方式等から見ますと、今おっしゃったとおり相互牽制効果の点で幾分劣る面がある。幾分という言葉をあえて使っておりますが、劣る面があるということは私もわかります。  しかしながら、この方式を採用いたしましたのは、さきの売上税の際に一番また問題になりましたのは、これは太田委員も御記憶のとおり税額票方式は余りにも複雑で手間がかかる、こういう批判があったわけでございますから、そこでいわば若干のそうした相互牽制効果の点とかいうようなものを考慮しましても、いま一つの手続の煩雑性というものと比較しましたときに、現状における今次の帳簿方式あるいは簡易課税方式というもので国民の皆さん方の理解を、あるいは特に納税義務者である事業者の皆さん方の理解を深めながら進めていくのが妥当だろうという結論に帰着いたしましたので、今の御批判を承知の上でというと非礼な言葉になりますが、それを十分体してお願いをいたしておるところでございます。
  288. 太田淳夫

    太田淳夫君 採用のいきさつはいろいろとお話があったことでございますが、帳簿方式によります消費税におきましては、税がやはり事業者取引で正しく転嫁されるかどうか、したがって、最終消費者が正確に負担しているかどうかということが不明瞭になるんじゃないかと私たちは思っておりますが、それは委員会でも再三論議されておりますけれども、競争条件が厳しい経営環境、その状況によりましては消費者に転嫁できない事業者もおいでになろうと思います。そうなりますと、消費税というのはいわゆる第二法人税となってしまうし、そして企業間格差をさらに拡大する要因となってしまいますね。そのために改正案では転嫁を保証するために独禁法の弾力的な運用という ことまでいろいろと行っているわけでございますが、こういう税制のために独禁法のいろんな運用を援用するということは私たちは筋違いじゃないか、こう思っておりましたが、その点どうでしょうか。
  289. 竹下登

    国務大臣竹下登君) もともと独禁法というのは本当は税制のために存在しておる法律ではないということは事実であります。したがって、これには一定の期限を付して、まさにその期限の範囲内における例外的対応ということで国民の皆様方が習熟されますまでの期間というふうなことで御理解をいただきたいと思います。
  290. 太田淳夫

    太田淳夫君 それはまた後で公取委員長にもお尋ねしたいと思います。  その他いろんな問題点があるわけでございますけれども、簡易課税の場合ですと、みなし付加価値率を売り上げの二〇%、卸売業者については一〇%、こういうふうに一律にしているわけでございますけれども、そのために消費者が負担される税金というのが非常にあいまいになってしまう、そのために業種間、事業者間に新たな不公平をもたらすのじゃないかと先ほど申し上げましたが、すなわち仕入れ率を二〇%と一律に想定しますと、食品などの利益率の低い商品を販売する商店、それは負担増となりますし、あるいは粗利益が高いところの高級品を販売する小売の皆さん方については負担が軽減されるわけでございますので、そこに大きな不公平を生むことになろうと思うんですが、その点はどのようにお考えですか。
  291. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 御指摘の点はあろうかと思うわけでございます。例えば、このような制度を導入しておりますドイツ等におきましては、業種別にまた一つ税率と申しますか、マージン率でなくて多種多様な税率を設定するというふうな例もあるわけでございますが、そもそもこうした制度を御提案しておりますのは簡便な納付手続と申しますか、税額計算手続ということを眼目にいたしておりますので、業種別に分けるとなるとどのように業種を区分するのか、その業種についての概算率をどう決定するのか、また執行に当たりましてはそのある業種がどれに該当するのかといった、かえって煩雑な手続をお願いすることにもなるわけでございます。簡便な手続でもってとにかく税額を計算していただくという本来の趣旨から、一般的平均的な一七%前後の付加価値率を用いまして導入を仕組ましていただいたわけでございます。あくまでこれは選択でございます。  それからまた、一般的に申し上げれば、事業の規模が小さい方がむしろ付加価値率は高いようでございます。そういったところから、中小事業者に対しますところの簡便な税額計算手続としてこのようなものを御提案している次第でございます。
  292. 太田淳夫

    太田淳夫君 さらに、納税をやはりいろいろと仲介する立場に事業者という方々はあられるわけでございますが、消費者からお預かりになった税金というものを簡易課税制度を利用しますと節税することが可能になるんじゃないかというふうに言われているわけでございますが、そうなりますと、この制度というのは事業者に節税を合法的に認めることになるのじゃないかと思うんです。独禁法の弾力的な運用を行って消費者への転嫁をやはり確実に行おうとすればするほど簡易課税制度を利用したところの節税行為、これは消費者の何と申しますか、税負担と国庫への税収との大きな差を生んでくるんではないか、そういう心配をするわけですが、その点はどうでしょうか。
  293. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 御指摘のような面もないわけではないわけでございます。  ただ、五億円以下の売り上げということで区切ってございますので、この制度を選択される可能性のある方々の付加価値部分を合わせましても全体の課税標準額の数%程度でございまして、経済取引全体として大きなゆがみを生ずることはないのではないかと思うわけでございます。  また、簡易課税制度によって控除税額を計算し納付税額を算定されるわけでございますが、そうしたことを計算に置きましてその事業者がほかの本来の納税義務者である方々と同じように三%で上乗せをされるのか、控除税額の特例によりますところのメリット分を消費者に還元されて値づけをされるか、それはその事業者のまた御選択でございますので、丸々簡易課税、想定した部分が全部消費者には転嫁されつつ納付が行われないという事態だけでもないわけでございます。しかし、そうした事態がございましても全体としての中のウエートは小さいこと、またそうした零細事業者にいろいろ納付手続をお願いしているということから、あえてその分、消費者からいただいてもそれを還元しない場合でも納付することは要しないということで踏み切っているところでございます。  ただ、この問題につきましては、衆議院でもいろいろ御議論がございまして、本会議修正によりまして将来こうした制度については見直しを行うものとするとの条文をいただいているところでございます。
  294. 太田淳夫

    太田淳夫君 今、見直しをするというお話をいただいたわけでございます。じゃこれから検討されていくと思いますが、この消費税による節税行為がもし発生したとしても、簡易課税制度を利用される方々については数%しか経済取引に対する影響はないということでございますが、いろいろと聞いてまいりますと、消費税による節税行為につきましては、これは法人企業の雑収入として計上していただいて法人税の課税対象となるというような考え方もあるということを聞いていますが、その点はどのようにお考えですか。
  295. 水野勝

    政府委員(水野勝君) その事業者の方がこの制度を選択され、消費税がない場合に比べまして、現実の仕入れ税額分と合わせて御自分のマージン分についても三%上乗せされる。しかし、実際の納付税額の計算に当たっては、現実の御自分のマージン分でなくてこの概算率によって計算をされる場合におきましては、その分の差額というのは、法人所得の計算上は恐らく雑所得と申しますか営業外収入と申しますか、そういったものになる。そういう計算方式でそういう余剰収入ということになりますれば、それは法人税の課税対象にはなるわけでございます。    〔理事斎藤十朗君退席、理事平井卓志君着席〕
  296. 太田淳夫

    太田淳夫君 さらに、この簡易課税制度というのは、弱小事業者を流通過程から排除することを促進することになりかねないという心配もあります。また、製造業間におきましては、税の納付を最小限にする方法として、企業の系列化を行うことによって税の納付額の減少を図ることも十分あり得ることだ、こういういろんな試算もございますが、通産大臣、どのようにお考えでしょうか。
  297. 田村元

    国務大臣(田村元君) 消費税の導入というものが我が国の流通過程に影響を及ぼすのではないかという御指摘でありますし、またそういうことを言う人もありますけれども、この消費税というのは前段階の税額を控除する方法を採用しております。そのために最終小売価格が変わらない限りにおいては、途中の流通段階の多寡を問わず負担さるべき消費税の税額は変わるものではない。消費税の導入が直ちに流通過程に影響を及ぼすものとは考えておりません。  なお、前回の売上税法案の際には非課税事業者の排除の問題が懸念されたところでございますけれども、消費税法案におきましては帳簿方式が採用されまして、また非課税事業者からの仕入れについても消費税相当額の控除が認められておりますために、非課税事業者が流通過程から排除されるという懸念は解消されたものと考えます。  なお、流通問題につきましては、確かに国際的に日本の流通問題は大きな問題になっております。これからの国際経済という点では日本の流通問題というのは恐らく大変な議論の対象になると思いますが、それはこういう問題とはおよそ関係のない流通機構の難しさあるいはまた多段階というような問題でございまして、およそ消費税の問題とはほとんど無関係であると考えております。
  298. 太田淳夫

    太田淳夫君 しかし、実際に製造業者の間におきましては税の問題に絡んでそういった合併、分 割等が進められる可能性もあるんだと思いますが、その点はどのように対処されますか。
  299. 田村元

    国務大臣(田村元君) それは、いわゆる系列化というものと中小商業者、これは合理化の問題でありまして、この消費税というものが大きな影響を与えるということは考えられません。しかし、合理化いわゆる俗に言う産地直売のような形のそういう合理化という点では、これから流通問題は大いに論議されるところであろうと思います。それなりに通産省としてはいろいろと現実に即した勉強をしていかなきゃなりませんけれども、この消費税が影響を与えると、ちょっと私はそういうことはないのじゃないかというふうに思っております。
  300. 太田淳夫

    太田淳夫君 通産大臣、最後に一問だけお尋ねしますけれども、この帳簿方式によりますと、やはり本来の税の納付等の不明瞭さというのが、ある面では国内だけじゃなくて貿易上のトラブルも考えられると思うんですね。国際的にはガットの規定によって間接税は輸出の際に還付されることになっていますけれども、その配分される税額が不明瞭であることは、事実上のダンピングになるかあるいは逆に企業の負担になるかというふうになろうと思うんです。諸外国では税負担というのを明確にしておりますから、そういった意味で、先進諸外国との間で貿易上のいろいろな問題になってくるのじゃないかと思うんですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  301. 田村元

    国務大臣(田村元君) この消費税におきましては、輸出取引を行う事業者が免税事業者となる場合には、輸出還付を受けられないために御指摘のような問題は生じません。また、輸出取引を行う事業者が簡易課税制度を選択しました場合には、その輸出取引のための仕入れについては仕入れ税額を控除し得ないために輸出還付は生じません。御指摘の問題は生じないと思います。  輸出取引の前段階までの事業者の中に免税制度やあるいは簡易課税制度を選択した事業者がいる場合におきましても、その選択しました事業者は国内消費向けに販売した場合でも免税制度や簡易課税制度のメリットを受けることができます。また、その利得額は消費税全体の課税ベースに比しまして極めてわずかなものと考えられますことから、ガット等の国際的な場での問題にはならないだろうというふうに思っております。
  302. 太田淳夫

    太田淳夫君 通産大臣、結構です。どうもありがとうございました。  それでは、自治省にお伺いします。  先ほども地方税のいろんな論議がございましたが、細かいことは抜きにしまして、やはり今回の消費税の導入につきましてその地方税のあり方ということがなかなか論議されていなかったんじゃないかという欠陥があろうと思うんです。やはり国税中心主義に論議が重ねられまして、国と地方全体の基本的な税制のあり方、そういうものが多少後回しにされたような感じがするわけです。やはり国民の皆様方にとりましても地方税というのは国税に劣らず生活上大きなかかわりを持っております。地方税目体としても、自治省としても、今回のこの改正におきましては中長期的な展望を持ってしかるべき議論をしていかなければならなかったんじゃないか、こう思うわけでございますが、自治大臣としてどのようにお考えですか。
  303. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 今回の税制改革案は、税を納める国民にとって、国税、地方税を合わせた税制全体としての所得、消費、資産等の均衡のとれたものにすることが肝要であるという観点から取りまとめられたものでございまして、国、地方間の税源配分のあり方については、国、地方間の事務配分のあり方等広範な問題と関連をいたしておりますので、幅広い観点から検討すべきでありますので、今回の税制改革においては、当面、国、地方の事務配分等の問題には踏み込まずに、国、地方の財政運営に基本的に影響を与えることのないよう、所要の脱財源措置を講じたところでございます。  したがって、今後における我が国経済社会の進展に伴う地方公共団体の役割の増大というような問題に対処をして地方自主財源の充実を図ることは、個性豊かな活力ある地域社会の形成と住民福祉の向上を図る上で引き続き大切な問題でございますので、今後とも鋭意努力を払ってまいりたいというふうに考えております。
  304. 太田淳夫

    太田淳夫君 地方税としては、ガス税、電気税等々いろいろとございましたけれども、それぞれ課税対象と地方団体の行政サービスとの間には密接な関係があったわけでございますし、それから見ますとやはり逆行していくような感じがするわけです。今回、消費税として中央に集められたその財源が、国の主導型でいろいろと地方に分配されるとなりますと、地方自治の精神、それがだんだんとゆがめられまして中央集権化が推し進められることになるんじゃないか。私たちはそういう危惧を持っているわけでございますが、その点自治大臣はどのようにお考えですか。
  305. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) ただいまも御答弁申し上げましたように、今回の税制改正は国と地方が一体になって行うものでございまして、その一体性の中で今回のいろんな改正が行われたわけであります。  ですから、委員御指摘のように、地方税源の確保という観点からしますと、地方税の減収に対しましては地方税によってその財源等を補てんすることが望ましいものではございますけれども、今回の税制改革においては、個人住民税等の減税及び消費税創設等に伴う地方間接税との調整に対し、地方税にかわるものとして使途の特定されない地方譲与税及び地方交付税で補てんの措置を講じたわけでございまして、国民の税に対する不公平感を払拭し、均衡のとれた税体系を構築するという今回の税制改革の意義等を考慮すれば、納得を得られるものであろうというふうに考えますし、また、国においても地方以上に減税超過でもございますので、委員御指摘のような、必ずしも中央集権につながるというふうには考えておりません。
  306. 太田淳夫

    太田淳夫君 総理、一般消費税、あのときには一部を独立税としまして、都道府県税としての一般消費税、そう考えられていたと聞いているわけでございますけれども、今回は国税としての消費税のみでございます。一般消費税のときにそういった地方の独立財源の充実を考えていた。どうして今回はそれが後退をしていったんでしょうか。やはり、今おっしゃられましたけれども、中央集権化への心配はないということでおっしゃっておられますけれども、地方の独立財源がどんどん縮減をしていくということは、裏返せば中央集権化が進んでいくことでございますから、やはり民主主義の基盤というのは何といっても地方自治にあると、私はそう思っておりますし、将来にそういう禍根を残すことのないようにやっていかなければならなかったのではないかと思いますね。  そういった意味で、なぜ独立財源、一般消費税のときに考えられたことがだんだん後退をしていったんでしょうか。
  307. 湯浅利夫

    政府委員(湯浅利夫君) 今回の消費税の導入に当たりましては、ただいま御指摘のとおり、その一部を地方の間接税にするというようなことが検討されたわけでございます。そうして、消費税と地方の個別間接税との調整に伴う減税額をそういう形で補てんしたらどうだろうかというような問題が確かに出たわけでございます。税制調査会におきましても、その点はいろいろと御論議をいただいたところでございますけれども、この地方の消費税創設することにつきましては、制度の簡素化の要請、それから納税者の事務負担の問題等があって適当ではないのではないかという御意見が多数を占めまして、そのかわり消費税の一部を消費譲与税として地方団体に対して譲与することによって地方団体の安定的な財源確保させよう、こういうような形で税制調査会におきましても御議論をいただいたところでございます。その点、御理解いただきたいと思います。
  308. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今の考え方というのは、議論の中にあった議論でございますが、別の角度からは、私そのときに感じておりましたのは、交付税の算定基準の中へ入れる面、それから地方譲与税というものをつくるということになりますと、地方の独自財源を国に委託して、これを徴収せしめておるという考え方に立ったならば、やはり私は地方の独自財源であるという考え方も成り立ち得ることだと思っております。  したがいまして、やっぱり抜本的には、先ほど自治大臣の答弁にありましたように、今度はそれによって国、地方の財政上の不都合がない措置はとっておりましたが、地方税の自主財源の問題を基本的に置いて議論した結果としての消費税の導入ではないことは事実でございます。
  309. 太田淳夫

    太田淳夫君 公正取引委員長さんがお見えになっていらっしゃいますのでお尋ねしますけれども、先ほど独禁法の問題も出たわけでございますが、総理は、短期間、納税者の皆さん方が習熟をされるための期間、こういうお話でございましたけれども、やはり独禁法というのは、公正な自由市場の競争原理を守るためにあるわけでございますし、これが税法によって動かされてはならないという基本原則はあろうと思うんですが、私はそれがゆがめられているのじゃないか、そういう基本的な認識を持ったわけですが、その点はどのようにお考えですか。
  310. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) おっしゃるように、公正で自由な競争秩序というのは我が国経済社会の根幹をなすものでありまして、その秩序にかかわっておるものがいわゆる独禁政策なり競争政策でございます。  今回提案されております一定の期間共同行為の主体を限定し、かつ対象を限定いたします共同行為というものは、常々申し上げておりますように時限的な措置でございまして、我が国の競争政策の基本に何ら変更を加えるものではないという認識を持っておるものでございます。新しい税でございますので、事業者はもとよりでございますけれども、消費者も含めまして売り手、買い手が新しい消費税込みの取引に習熟すると申しますか、新しい税の導入に当たりまして、消費者の方からは便乗値上げの不安もございますし、それから事業者の方では果たして十分に転嫁できるのかという不安もある。いわばそういう導入時の、過渡期の混乱を調整する政策である、臨時的な政策であるというふうに理解をいたしております。
  311. 太田淳夫

    太田淳夫君 この委員会でも論議をされておりましたが、やはり消費税の転嫁をどうするかということの協議をするカルテルであると言われております。しかし、その範囲を超えないという保証が非常にあやふやではないかと思いますし、消費者の立場から見ますと、これがやみカルテルを誘発して物価上昇を招く可能性もあるという懸念もしておるわけでございますが、消費者の立場に立って、そういったやみカルテルというものがなされていないということが判断できるような、やはり制度上の担保が必要ではないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
  312. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 今回の時限的な政策カルテルにつきましては、これも毎度申し上げておりますように、いわゆる便乗値上げと言われるようなもの、そういうものにつながるような本体価格のカルテルは、本来の独禁法で禁止いたしておりますカルテルとして認められない。これが一つの制度的な保証でございます。同時に、そういった政策カルテルを認めるとしても、それは野放図に認めるということではございませんで、共同行為を行う場合に、必ず事前に公正取引委員会へ届け出をしてもらう。その届け出の段階でいろいろ御相談に乗ったり御指導を申し上げるし、同時に共同行為が実施の段階に移されました場合には、そういったものを手がかりとして競争を、当局としてそれをトレースしていくということでございます。  ただ、委員が御指摘になりますように、やはり市場というのは売り手と買い手から成立しておるわけでございまして、なかんずく消費者との関係におきましては、こういった共同行為の許される範囲を具体的に明らかにいたしまして、これは事業者だけではなくて消費者にもわかってもらうということが市場における私は牽制効果として非常に大きな意味を持つであろうと。同時に、そういった制度ができまして、それの運用に当たります当委員会といたしまして、この法律が期待しておるような適正な運用が行われるように万全の努力をしなければならないというふうに考えております。
  313. 太田淳夫

    太田淳夫君 せんだって公正取引委員会がまとめました研究会報告書、これを見ましても、自由競争促進に絶えず注視をしなければならない、こう報告されているわけでございますが、これが公正取引委員会の本来のあり方だと、このように私たちも思っておりますが、こういういろんなカルテルの容認をしますと、やはり自由競争にとってこれは一つの阻害となりますし、同時に競争に対する企業努力というものを著しく弱める危険性があるんじゃないかと思うんです。  しかも、時限立法ということでございますけれども、六十六年三月まで有効ですから、これは結構長期間じゃないか、こういう感じもするわけです。そういう間、転嫁カルテルというものを認めるとなりますと、公正競争の秩序というものが協調体質になってしまう、カルテル体質になってしまう、そのために各企業の競争によるメリットというのが失われてくるんじゃないか、そういう心配もあるわけですが、その点はどのようにお考えですか。
  314. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) 時限的といえども政策カルテルが認められますと、その期間経過後、いわゆるカルテル体質が残存いたしまして、市場秩序によからぬ影響を与えるという御指摘は、これは私どもとしても今後大変注意していかなければならない問題であると考えております。  したがいまして、今回の政策カルテルを実施するに当たりましては、先ほど申し上げましたように、消費者にも事業者にもわかりやすい制度の仕組みを周知徹底することに努力を傾注する覚悟でございますが、ちょうどいい機会でございますので、このときにやはり独禁法上許されるものと許されないもの、あるいはもっと基本には、経済にとって自由公正な競争秩序というものが非常に大事であるということを改めて御認識いただくいい機会として私どもは活用させていただきたいと思います。  同時に、期間経過後もそういったことがないように、公正取引委員会といたしまして、引き続きそういうカルテル体質の残存等が行われないように、監視の仕事の手を緩めてはいけないというふうに考えております。
  315. 太田淳夫

    太田淳夫君 公取委員長、お帰りになって結構です。
  316. 平井卓志

    ○理事(平井卓志君) 梅澤委員長、結構です。
  317. 太田淳夫

    太田淳夫君 総理消費税の導入について国民が懸念をしております一つに、税率引き上げの歯どめについてのやはり懸念がございます。  総理は、税率国会を通らなければ改定できるものではない、したがって安易な引き上げなど考えられない、このようにおっしゃっているわけでございますけれども、これは税率の引き上げが法律事項であるという一般論を述べているにすぎないと思います。それだけでは決して懸念の解消にはならないと思うわけでございます。総理は、竹下内閣では税率の引き上げをやらない、こうおっしゃっておりますけれども、そのことは、考えてみますと、二十一世紀に向かっての必要な税制改革をと、こういうふうに国民に訴えられている総理のお考えとは矛盾をするところがあるんじゃないかと思うんですね。このことが消費税に対する国民の皆さん方の不信感の一つになり、懸念の一つになっているわけでございます。  やはり近い将来、最低十年ぐらいは税率は上げない、そういう言明をされることができないようですと、不信感を増すばかりになるんじゃないかと思うんですが、総理、どのようにお考えでしょうか。
  318. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今、御指摘になりましたまず第一点、税率は法律に規定しておるのであって、したがって国会こそが税率引き上げについて の最大の歯どめですということを何回も言いましたが、これはおっしゃるとおり、租税法定主義だから当たり前じゃないかと言われてしまえばそれまででございます。  したがって、今のような懸念を除くために私なりに考えまして、少なくとも私が今日この三%ということに帰着するまでの苦労をいたしました、私なりに。したがいまして、上げられるような環境にあろうはずがないというところから、私が提案することはありませんと、こういうことを申し上げてきたわけでございます。  そうなると、今おっしゃいましたように、将来は上げる気かと、こういう懸念がまた生じてくるというのもこれはまた当然だと思うのであります。これも私なりにいろいろ悩んでみました。ヨーロッパの例をごらんになりますと、所得税の減税をしながら消費税税率がまた上がっていったという歴史を確かにたどってきております。それのまた限界だという反省ももちろんあるようでございますけれども、したがって、結局は、財政需要というものと税負担の関係というのはそのときどきの国民が負担するものであるということにおきまして、やっぱり永遠に縛るというのはまたむしろ買いかぶり過ぎるんじゃないかなという感じも率直に持つんです。本当に私は特別な能力があって総理に指名を受けたわけでもございませんし、したがってその点につきましてはまた下げ得ることもあろうかとも思います。  それだけに、後世代の国民の手を縛るということは、上げ下げいずれにも、やはりいつも申しますが、歴史一こまにすぎない。が、今の時点最大の努力をしなきゃなりませんものの、安易に上げるということを私はしないと申しましても、税法そのものを未来永劫に縛ってしまう。十年というのも、私はいろいろ考えてみましても、今まで国会で本当は与野党の議論の中でも十年するといろんな変化があっております、実際問題として。したがって、少なくとも私がそういう御提案を申し上げることはございませんというのがむしろ政治家の良心じゃないかなと思っておりますので、今、太田委員のおっしゃったような懸念がないことを心から期待しながら私はその答弁を、少し長くなりましたが、繰り返さしていただいておるところでございます。
  319. 太田淳夫

    太田淳夫君 今の御答弁をお聞きしていますと、ますます非常に懸念が高まってきたような感じがするわけです。  この税率を決定する際にも、大蔵省はもっと高い税率で頑張ってみえたということもお聞きしておりますし、やはり三%という非常にこれは転嫁しにくい、今いろいろ問題も出ておりましたが、独禁法をかりなきゃ転嫁できないんじゃないかというような中途半端な税率に対する引き上げの圧力というものを感じるわけですね。そういった点で、総理答弁でますます引き上げの懸念が高まってきた感がいたします。  次に、納税者番号制度については、きょう政府税調小委員会で答申が出された。これについての総理の御答弁も午前中にあったようでございます。やはり衆議院で追加されました見直しの規定につきましては、これは総合課税への移行問題を含め、利子所得のあり方の見直しとあわせ見直しを行うということでございますが、これは与野党の合意に基づいて四年後には実施をするということでございます。この見直し規定の中にはそういう明記がございませんけれども、総理としては四年後にはこれは実行される、このように御理解されているととってよろしいでしょうか。
  320. 水野勝

    政府委員(水野勝君) キャピタルゲイン課税の見直しの問題につきましては、衆議院での委員会におきまして御修正をいただきました。それは「総合課税への移行問題を含め、所得税法等の一部を改正する法律附則第五十一条の規定に基づく利子所得に対する所得税の課税の在り方の見直しと併せて見直しを行うものとする」という条文をいただいたわけでございますが、この附則五十一条というのは昨年の改正によりましていただいた見直し規定でございまして、その条文によりますと「必要に応じ、この法律の施行後五年を経過した場合において見直しを行うものとする」とされてございます。この見直しとあわせてキャピタルゲイン課税について見直しを行うものとするということでございますので、そういたしますと、去年から施行後五年と申しますと、現時点からいたしますと四年後の利子所得の見直しの時期、それに合わせて見直しを行えと、そういうような御趣旨の条文ではないかと思うわけでございます。  それで、その八十一条には、「納税者番号制度の導入問題等所得把握の環境整備の状況」等々「に配意しつつ、総合課税への移行問題を含め」という条文をいただいてございます。したがいまして、納税者番号制度の問題もその配意の中にはあるわけでございますが、一方、きのう小委員会報告をいただきました納税者番号制度につきましては、これはきのう税制調査会の総会に報告をいただいたところでございまして、この扱いにつきまして税制調査会が今後本格的に早い機会に扱いを検討されるかと思います。  一方、この小委員会の報告を拝見しますと、納税者番号制度については本格的に検討すべしと、それから一方、所得把握の問題は一刻もゆるがせにできない、納税者番号制度の検討とともに所得等の把握体制の整備には不断の努力が必要で、現行の資料情報システムの体制整備のためにこの検討もすることが適当であるというふうに、幅広く報告をまとめておられるわけでございます。  したがいまして、利子課税の見直し、キャピタルゲイン課税の見直し、その視点の中に納税者番号制度もございますが、この見直しの規定はそれとの関連も言っておりますけれども、所得把握体制の整備ということで幅広く言っておりますので、番号制度の検討がこれと合わせるようにという、厳密にはそこまでは言ってございません。しかし、その視点が配意の中にあることは事実であろうと思うわけでございます。
  321. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 実は、今申しましたように、きのうこの答申を受けたばかりでございまして、したがって今、少し長く答弁いたしましたのも、修正条項の中で読めばそういう方向は指向されておる。が、小委員会からこれから税制調査会で取り上げられていきますものですから、その前に断定的なことは言えないのかなと思って、けさから実は考えておったところでございます。番号制度を延ばそうとかそういう意味ではなく、手続からいって小委員会から今度税制調査会へかかる、その時点で断定的なことを申し上げることを若干控えておったという意味で、今、水野局長の方から少し長い答弁をさしていただいたわけでございます。
  322. 太田淳夫

    太田淳夫君 局長答弁を聞いていますと、何となくおくれてくるような感じがするわけですが、私どもは、国会審議を通じまして、かねてから所得税の総合課税を確立するためには納税者番号制度の導入ということで主張してまいりましたし、四年後に所得税の総合課税化の見直しの際には、ぜひとも納税者番号の導入を実現すべきことを主張してまいりましたし、これからもそのための努力をしてもらうことを要望しておきたいと思います。  次に、時間もなくなってきましたが、かねてから我が党は土地増価税についての要望をいたしております。これに対しましては政府側としましては、一つは未実現であること、二つ目は固定資産税、特別土地保有税との関係を整理する必要がある、あるいは三番目は装置産業等の負担が重いということで実施できない理由をかねてから挙げておみえになります。  この未実現についてでありますけれども、理論上所得の概念として一般的に認められておりますところの包括所得税、この立場で見ますと、所得は実現あるいは未実現を問わず課税すべきである、このようになっております。しかし実際には、これは徴税技術の制約から実現されたものだけ課税の対象とされてきたように私たちは思うわけでございますが、徴税技術の上から本来課税されるべきものが課税されないでいる、これはやは り株式のキャピタルゲイン問題を含めて公平を著しく損なうものではないかと私たちは思います。現在の徴税技術というのは大変発達しておるわけでございますから、これはやはり不公平税制一つとして強くその是正を私たちは求めたいと思っております。  含み益への課税についても、イタリアあたりでは既にその例が見られるわけでございますけれども、やはり現在、所得、消費、資産の中の資産のバランスが非常に低い、今やその最大の不公平となっているんじゃないかと思いますが、資産の格差是正のためにもぜひとも実施すべきではないか、こう思いますが、その点どのようにお考えでしょうか。    〔理事平井卓志君退席、理事斎藤十郎君着席〕
  323. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 理念としての包括所得税はまさにそのとおりでございます。委員御指摘の課税技術の問題もございますが、やはり現実の支払い能力、単に含み益が生じているということだけで果たして現実の納税をお願いできるかどうか、そこらの点もございますので、技術的な点だけでなくてそうした点の問題も検討が必要ではなかろうか。またそういたしますと、結局は保有課税でもって適切に対処するという方法もあるのではないか、そうした視点もあるわけでございます。  現実に、とにかく実現してないものに現実の納付をお願いする、これはやや問題ではないかなと思っておるところでございます。
  324. 太田淳夫

    太田淳夫君 これはせんだっても同僚委員の論議でありましたけれども、未実現には課税をしない。しかし、引当金等は未実現の費用で損金算入を認められているわけですし、土地家屋のような値上がりが確実な未実現利益も益金に算入してもいいんじゃないかと私は思います。またさらに、法人の場合におきましては、個人と違いまして相続税がないわけですから、不動産等の時価評価を免れて過大な今含み益を生じているわけでございますから、その点でのやはり是正というのが必要になってくるんじゃないかと思うんです。いかがでしょうか。
  325. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、資産課税の適正化という中の貴党の土地税制の根幹の議論であるというふうに思っております。したがって、私どもの答弁質問の際に全部おっしゃってしまったというぐらい、たびたび問答をしておる課題でございます。  しかしながら、やはり今、主税局長が申しましたように、本当に未実現の利益というものに課税した場合、技術的な問題は別といたしまして、本当の担税力というのは売らなきゃいかぬのかとか、あるいはそれを担保にして金を借りなきゃいかぬのか、あるいは装置産業の場合はそれそのもので広い土地が要るわけでございますから、産業そのものの基盤がなくなってしまうんじゃないかという議論というのは、何回繰り返してみましてもなかなか一点に帰結しない議論であることは事実でございます。だから、やっぱり本来は地方税の根幹税の一つであるいわゆる固定資産税それから保有税というようなものと総合した議論として、将来にわたって、これはエンドレスじゃなく議論はしなきゃいかぬ問題であろうと思っております。
  326. 太田淳夫

    太田淳夫君 確かに、固定資産税、土地保有税の関係についてよくおっしゃいますけれども、やはり固定資産税の評価というのは非常に大きな問題があろうかと思うんですね。しかし、固定資産税の評価がえを行ってその税負担をいろいろと上げられる前に、やはり企業の保有する土地のそういった含み益について課税をするということを考えていかなけりゃならないんじゃないか、このように考えます。    〔理事斎藤十朗君退席、委員長着席〕  と申しますのは、今、政府は所得、消費、資産等の望ましい税体系を構築するとおっしゃっているわけですけれども、どうしても資産に対する課税の適正化は手ぬるいように思われてならないわけでございますし、資産については保有という状態にやはり担税力を見出して課税ができるんじゃないかと思うんです。それは、やはり土地などの資産というのはそれを担保にして巨額の融資を受けられるわけですから、そこに経済力の増加ということも見ることができるし、十分な担税力はあるんじゃないか、このように私たち考えております。装置産業等の例もお話しになりますけれども、最近では、装置産業でも決して業績面が悪いばかりではございませんね。いろんな経済構造の転換等によりまして業績面で好況を呈しているところもございます。  そういった点で、これは考えられるところではないかと思いますし、私たちは決して、かねてから主張しておりますように、そういった企業の過剰な負担になるようなことは申しておりません。一つは、五%の低税率でいいんじゃないか、あるいは増価額のうち三億円は基礎控除にして大きく落としてしまってもいいんじゃないでしょうか。そうなれば中小企業の方々はその範囲内に入らないわけでございますし、あるいは十年間の分納を認めるとか、いろんなやり方ができるんじゃないかと思いますが、そういった点、資産についてのバランスのとれた税体系というのをつくりませんと、やはり土地増価税を前向きに検討していくことが必要じゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか。
  327. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 土地税制につきましては、その重要性につきまして衆議院の段階でも与野党でいろいろ御相談が行われ、与党からも土地基本法の制定を踏まえてなお今後検討するというお約束がされているわけでございます。  今般の改正におきましても、決して土地の問題はそのままにしているわけではございませんで、土地を取得する仮需要と申しますか、不要不急の土地の取得に対しまして、その支払い利子は一定期間損金に算入しないという措置を講じておるところでございますし、また、去年の改正では同じような点に着目して、登録免許税の課税標準を五割アップしているというところでございまして、もろもろの政策を合わせまして土地対策を検討し推進しているところでございます。  含み益につきましては、いろいろ御議論も長いこといただいておりますが、なかなか基本的にはまだそこまで至っていない、しかし今後の検討課題であろうかと思うわけでございます。
  328. 太田淳夫

    太田淳夫君 やはり含み益というのは、持てる者と持たざる者の間に大きな不公平を生むということは論議されてまいりましたし、そのままで不公平を放置しておきますと、総理の言われるような所得、消費、資産のバランスのとれた税体系の構築にはほど遠くなるのじゃないかと思います。御再考を要請しておきたいと思います。  最後に、時間がなくなりましたので一言だけ申し上げておきたいと思いますが、これは、我が党がことしの八月にパートタイマーに関するアンケート調査を実施しました。そこでいろいろと実態が明らかになってきたわけでございます。この調査によりますと、課税最低限度額約九十万でございますが、これを意識して、意図的に年収を抑えて九十万まで働こうという人が非常に多かったという特徴が出ているわけでございます。そして、その課税最低限度を超えそうになった場合の対処の仕方でございますが、年収が九十万未満の人が六割近くを占めておりまして、九十万以上の者が約二割を占めていることなどを考慮しますと、現状では九十万にならないように、これが三六・八%、トップでございまして、次はそれを超えないように仕事を休む、あるいは超えても働く、この方がございましたが、仕事をやめるという方もおりました。やはりそういう中でも四人に一人の方は課税最低限度額を超えても働いているという実情がありました。  今回の調査では、パートタイマーの皆さん方の御意見を総合すると、課税最低限度を引き上げてほしい、こういう要望が一番多かったわけでございますが、私はそこで、かねてから我が党が主張しておりますように、こういう調査から見まして も、課税最低限が九十万から百万となるように給与所得控除につきましては最低控除額を六十五万、これは現行五十七万でございますが、あるいは給与収入百八十万以下については四〇%、あるいは三百三十万以下については三〇%、六百万以下については二〇%、一千万以下は一〇%、あるいは千五百万以下は五%、あるいは千五百万以上を超えますと二百三十六万の頭打ちとするような、こういうことを、最後に、そういう調査を見てパートタイマーの皆さん方の御要望として総理にお伝えをして質問を終わりたいと思うんですが、一言どうでしょうか。
  329. 竹下登

    国務大臣竹下登君) パート課税ということが、今おっしゃったとおり九十万問題というのが出てまいりまして、それでいろいろ考えました結果、このパート問題にも資するという趣旨から配偶者特別控除制度が創設されるところとなったわけでございます。したがって、十六万五千円から三十五万円になっていくわけでございますから、これは相当な引き上げになったというふうに思っております。  それから、今おっしゃった、私がよく言いますつるべ方式でございますが、このつるべ方式等につきましても具体的に対応するような考え方で対応しておりますので、私どもの政府としての立場も、これから熱心に調査等をしていかなければなりませんが、一応、今次のこの配偶者特別控除制度の創設というものとつるべ方式のような形でお願いをしてこれは理解が得られるのじゃないか、こういうことでお願いしているわけでございます。
  330. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 次に、佐藤昭夫君の質疑を行います。佐藤君。
  331. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 昨日、我が党の橋本議員が質問したところでありますが、福田勝之氏へのリクルート株譲渡の事実は重大なので、もう一度質問をいたします。  総理は、この事実を十一月の九日、社会党のリスト発表があり、その晩の青木の報告によって知り、それまでは知らなかったと答弁をしていますが、間違いありませんか。
  332. 竹下登

    国務大臣竹下登君) たしか、そのように答弁したと思っております。
  333. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 すると、あなたは、福田勝之氏の名義になっているが、実際は福田正氏が譲渡を受けたということを十一月の九日深夜から十日未明にかけて知ったということでありますか。
  334. 竹下登

    国務大臣竹下登君) そのような報告を受けたことを申し上げたと思います。
  335. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 しかし、あなたは十二月の一日には、矢田部議員に対する答弁でありますが、「福田さんを御紹介申し上げたという事実を私自身も承知いたしておるわけでございます。ただ、その福田さんの御子息の名前になっておったというようなところまでは率直に言って私の調査が及んで」いませんでしたと答弁をしていますが、これはどういうことですか。
  336. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 答弁の何か食い違いがあるので質問するという予告をいただきました。で、どこのところが食い違いかと聞いておれば、私もまた速記録を読んで整理してまいりますが、そのことはこの委員会の席上で明らかにすると、こういうことでございましたので、この速記録を正確に読み直してみておりません。
  337. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 しかし、それは矢田部議員御当人もおられますし、私はこの会議録をもとにして言っているのでありますから、まさかうそを言っているわけじゃありません。これは、福田正氏に紹介したことは前から知っていたが、勝之氏の名義になっていることは知らなかったということだと思います。  青木氏が福田正氏に紹介したことは、総理はいつ知られたんですか。
  338. 竹下登

    国務大臣竹下登君) やっぱり青木君が参りまして、この報告を聞いたときに正確に私は知ったと思っております。
  339. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 昨日橋本議員が、このことに関して青木秘書から報告はなかったのか、いや聞いておったと一言言って自動車に乗り込んだという十一月十日の東京新聞夕刊の記事を指摘しながら質問をしたのに対しまして、あなたは覚えていないと答弁をしていますが、二回も事前に知っておったということを片や言っているわけであります。とりわけ、国会答弁というのは決定的であります。  本当はあなたは、十一月の九日に青木氏から報告を受ける前に、福田氏に対する株譲渡を知っていたんじゃありませんか。
  340. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 国会答弁が大事なことは知っておりますが、私が今まで申し上げておるとおりのことでございます。
  341. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 福田氏への紹介は知っていたと一たん発言をした以上、十二月一日の答弁を取り消すことができないのはもちろんであります。今、それをなぜ隠そうとするのかということの方が重大でありまして、リクルートと青木氏との話の内容を隠し、すべてを青木氏の責任にして、あなた自身の責任を免れようとするものじゃありませんか。
  342. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私、元来、人を疑って思いませんし、それから今のお話で断定的におっしゃいますが、私は矢田部さんに対する——信頼する矢田部さんでございますから、答弁が間違っておったとしますならば、私個人的にいつでもおわびに参ります。そういう生きざまで今日きておりますので、余り人を疑わないでお話なさった方が本当はいいんじゃないかと。あなたとの交流もございますけれども、いつもそう思っております。
  343. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 答弁を茶化さないで、まじめに答弁を行ってもらいたいと思うんです。  ところで、青木氏は、リクルート関係者から一万株の譲渡の話が来たとき、幹事長であるあなた、竹下氏に取り次ぐ話ではないと判断をしたというふうに言っておりますけれども、それはどういう意味の内容でしょうか。
  344. 竹下登

    国務大臣竹下登君) その話、言葉のとおり、幹事長に——幹事長は当時私でございましたが、竹下に取り次ぐ話じゃないと思ったから信頼する人に取り次いだと、こういう申し上げておるとおりのことでございます。  それから、つけ加えますが、決してあなたを私は茶化した覚えはございませんから、いつもまじめにおつき合いしておりますことだけはこの際改めて申し上げておきます。
  345. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 今おっしゃったので、私ももう一遍申しておきますけれども、一国の総理にかかわる疑惑の問題として、国民が非常に注視をしている問題だということで私は聞いておりますので、ひとつ国民の疑問に答えるという点で、まじめに御答弁をいただきたいということであります。  今の、青木氏の判断でありますね、これにかかわりまして、十一月十日の東京新聞に報道されているわけでありますけれども、小沢官房副長官青木氏が九日の深夜、実際は十日の未明、夜中ということになろうかと思うんですけれども、明らかにした事実として、六十一年の九月ないし十月ごろ、当時幹事長の竹下あてに一万株、青木あてに二千株という話が持ち込まれたんだということを小沢氏と青木氏とがと、そういう報道がありますけれども、相違ありませんか。
  346. 竹下登

    国務大臣竹下登君) そんなことはありようはずがございません。よく私もまじめに答えておりますが、そういうことはありようはずがないといつも申し上げておるところでございます。
  347. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 幹事長竹下登あてということではないとおっしゃるのであれば、例えばこのドゥ・ベストからの二千株と同じようなケースだったら青木名義で処理したらよかったと。にもかかわらずそうしなかったというのは、いずれにしてもあなたのところへということでこの問題が持ち込まれたということだったから事が重大なんだと思うのであります。  そこで、本来あなたに取り次ぐべき話だけれども、任されているので自分の判断で譲渡先を処理したと、こういうことじゃないんですか。
  348. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私に取り次ぐべき話でな いと判断したわけでございますから、本来あなたに取り次ぐべき話だがというようなことは全くございません。
  349. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 青木氏の発言を私は引用したわけであります。あなたのところに来た話というのは、あなたにリクルート株を譲渡するという話で、だれの名義にしたらよいかという判断を青木氏がして福田正氏名義にしたという、こういうことなんじゃないですか。
  350. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 何遍申し上げても同じことでございます。普通の場合、私のところへそういう話が来ようはずがございません。
  351. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 このリクルート関係で、政治家が譲渡先を決める相談相手になったという、これも信ずべき報道があります。あなたの事務所がリクルートの非公開株の譲渡先を決める相談相手になったということはありますか。
  352. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いかなる信ずべき報道か私は存じませんが、今のようなことは考えられません。  ただ、今おっしゃった意味が福田さんを御紹介申し上げたということそのものに限って申しますならば、あなたのおっしゃることも私なりに理解しようと努力いたしておりますけれども、今のような、私の事務所が何でまたそんな場所になるんでございましょうか。何かお知りのことがあればお聞かせいただきたいと思います。
  353. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 十月三十日の毎日新聞の報道にあります、しっかりとよくごらんください。政治家がこのリクルート株の譲渡先の相談に乗ったということがありとすれば、これは初めてのことになるわけでありますけれども、一万株だけというのもこれは全く理解ができません。  いずれにしても、本当にあなたへの譲渡ではなかったと、私はそうじゃないかと思うのでありますが、もう一遍答弁してください。
  354. 竹下登

    国務大臣竹下登君) あなたの推測に基づくことと、私の認識は違います。
  355. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 総理秘書青木氏のところへ来たリクルートの人はだれかという質問に対して、あなたは、思い出す人は複数で、もし間違っていれば大変な迷惑になるから言えないと答弁をしているのであります。しかしどうですか、総理の言う青木氏が記憶している複数の人というんだったら、その複数の人に確かめたらいいじゃありませんか。そうしたら真実ははっきりするんじゃありませんか。
  356. 竹下登

    国務大臣竹下登君) その必要を感じておりません。
  357. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そうじゃないと思うんです。政治倫理綱領には、「疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない」というふうに書いているじゃありませんか。そういうふうに書いて、あなたもしばしばそのことを答弁の中で引用をされています。なぜ積極的にみずからが進んで真実を明らかにする、この疑惑を解明するということをやらないのか。それやらずして幾ら綱紀粛正だどうだということで言ってみたって私は始まらないと。率先垂範、隗より始めよという言葉があるわけです。  そういった点で、複数の人に確かめるということをやったらいいじゃないですか。すぐできることじゃないですか。
  358. 竹下登

    国務大臣竹下登君) そのことはまたよく考えてみてくださいませ。やっぱり人様に迷惑をかけるようなことはしない方がいいと思っております。  それから、自分考えることだけが正しくて、ほかの人に自分考えを押しつけるということは、民主主義社会では避けるべきことだと思っております。
  359. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 本日もこのような答弁を繰り返されておるようでは、これはいよいよ青木氏の証人喚問以外にないのであります。青木氏の証人喚問と、青木、福田両氏に対する売買約定書、売却代金の支払い関係を証明する文書の提出を要求いたしたいと思います。
  360. 梶木又三

    委員長梶木又三君) だれに。
  361. 佐藤昭夫

  362. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 理事会で協議します。(「委員長に要求したって委員長は何も持っていないんだよ」と呼ぶ者あり)
  363. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 委員長に取り計らい方を要求しておる。当たり前です。  総理、政府は綱紀粛正を決めて、十六日、閣議で通達を出し、職務と関係のある企業からの非公開株の入手を自粛するというようでありますが、これはリクルート問題の教訓から、株の取引でも通常の経済取引ということでは済まないものがあるということが明らかになってきているからではありませんか。    〔委員長退席、理事斎藤十朗君着席〕
  364. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まだ具体的な通知というものを、今おっしゃったようなことが私の念頭にないわけじゃございませんけれども、それは閣議にもかけておりませんし、発表もいたしておりません。
  365. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それは、これから閣議で決めようとするものでありますけれども、念頭にないわけではないというふうにおっしゃっているわけであります。  総理は、今までリクルート関係の非公開株譲渡問題は単なる経済行為だということを言われてきましたが、しかし、それが事実上の現金贈与の性格が濃厚になってきたというマスコミの論調も日日高まってきています。  特に十一月四日の朝日新聞、「ある日突然に五〇〇〇万円入金」という記事。「譲渡の持ちかけから代金の払い込みまで、すべて江副氏がおぜん立てをし、株を譲り受けた人には元手いらずで売却益だけが転がり込む仕組み。一部の政治家たちが弁明している「経済行為」とは程遠い株取引に名を借りた「ヤミ献金」だったことが浮き彫りになった」と書いて、その実態を明らかにしているところであります。  総理は、今もなお、リクルートの今回の非公開株譲渡はすべて単なる経済行為だとまさか言い張られないと思いますが、どうでしょうか。
  366. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これも速記録を見たわけじゃございませんけれども、よしんば経済行為であるにしても、政治家の周辺にそのようなことが行われたらと、こういう趣旨でいつも申し上げておるつもりでございます。いわゆる公開前株式の譲渡というものが経済行為かと言われれば、それは経済行為でございます。
  367. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 すべてが経済行為だとは必ずしも言っていないというふうに受け取ります。  現に、加藤紘一元防衛庁長官は、秘書から政治献金として処理したという報告を受けたというふうに発言をされていますし、兄夫婦に対する一万株も、初めは自分は関係していないと言っていたが、その後、変動幅つき政治献金、こういうふうに言われるようになっている。これは単なる経済行為でないことを自認をされているんだと思います。  刑事局長も昨日、株譲渡が事実上の贈与になる場合があると答弁をしていますし、すべてが単なる経済行為とは言えないということじゃありませんか、総理
  368. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ちょっと整理しますと、株譲渡という行為そのものを私は、それは経済行為であると、こう言っているわけでございます。  今回のリクルート株の譲渡問題につきましては、よしんばそれが経済行為の範疇にあるものといたしましても、政治家の周辺で好ましいことではないと、こういう表現を使っていつも申し上げておるところでございます。
  369. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 好ましくない結果が起こるということは、単なる経済行為、こういうことで一くくりするということはできないんだということであると思うのであります。  そこで、あなたの場合です。これも状況によっては単なる経済行為とは言えない。だから青木氏の接触したリクルート関係者はだれか、どういう趣旨で話があったのか、関係書類はどういうもの が必要になってくるかということを明らかにする責任があるんじゃありませんか。
  370. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今度の問題の経済行為云々の問題ではなくして、いわゆる株の譲渡というのは経済行為だということを私、言っておるわけでございます。  それから、いわゆる私の元秘書であります青木君に関する問題につきましては、大体そんなこと考えられるはずないと私は思うのであります。    〔理事斎藤十朗君退席、委員長着席〕 人様を疑ってみるということはしないように私はしております。
  371. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ますますもって青木氏の証人喚問、青木、福田両氏に対する売買約定書、売却代金の支払い証明文書、こういうものが必要だということを重ねて委員長に要望をしておきたい。先ほど言いましたから重ねてです。  それでは次は、NTTの真藤会長疑惑について聞きます。  きょう真藤会長にかかわって重大な事実が発覚したわけでありますけれども、NTTはこれまで、式場氏についてもうその報告をする、また村田氏についても事実がわかって初めてそれを認めるというやり方。今度の真藤氏も、一切ないと言ってきたのに事実が出てきたわけでありまして、まことに重大であります。  そこで、私が本日の最後の質問者でありますので、今の時刻の時点でわかったこと、いつごろ、どこからどこへ、どういう趣旨、どういう目的で金が流れたのかはっきり答弁してもらいたい。
  372. 山口開生

    参考人山口開生君) お答えいたします。  現在までわかっておりますことにつきましては、まず最初に、一つは六十一年九月ごろリルート社から株の話がございまして、リクルートコスモス株一万株を村田秘書が譲り受けまして、店頭登録後売却したということ、それから、これはNTT及び真藤会長とは一切関係がなく、村田個人で行ったことであるが、大変世間をお騒がせしましたということを非常に申しわけなく思っている、こういうことの電話がございました。本件については、従来から会長に話を聞いておりましたが、一切かかわってないというふうに聞いておりました。  村田秘書のリクルートコスモス株の売却益の一部が真藤会長の銀行口座に振り込まれているとの報道につきましては、けさ方事実関係を改めて真藤会長に確認いたしましたが、会長は、自分口座についても村田秘書にすべて任してあるのでその事実について確認ができない、大変申しわけないことだが、自分が現在確認できない、こういうことでございました。
  373. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 真藤会長が事実確認できないというのになぜ辞表を出すんでしょうね。  そこで、もう一つ肝心の、どういう目的で金が流れたかということの説明がないわけでありますけれども、いずれにしましても、秘書村田氏に株による利益金が贈与されたということは、一体関係にある会長真藤氏に贈与されたと同じ意味だということはこれはもう明白な問題であります。だからこそ真藤氏のポケットマネー口座に一千万円入ったというけさ方の報道が一斉に出ているということでありますけれども、これ一千万円という説と九百万円という説があるんですが、どっちですか。
  374. 山口開生

    参考人山口開生君) 先ほど申し上げましたように、まだはっきりしてない話でございまして、私どもどちらが正しいかとか、そういうことについては確信を持ってお答えできる状態ではございません。
  375. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 なぜ確認ができないのか情けない話だと思うのであります。  私がなぜ一千万、九百万、この違いを聞いたかというのは、本日の毎日新聞の夕刊によりますと、真藤口座に九百万円、村田利益が、とにかくトータルで二千二百万ですから千三百万円、これが実はトンネルでNTTの秘書室管理口座、ここに入っている、こういう報道があるわけであります。  こうなりますと、事実とすればこれはまさにNTTぐるみわいろを受けているということとして事は重大であります。社長、どうですか、事実。
  376. 山口開生

    参考人山口開生君) 現在まだその確認をしてございません。
  377. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 郵政大臣、NTTを監督する立場にありながら、あなたも今日までNTTを信用してというか、事実と違う報告をなさってきました。しかし、事ここに至っては大臣としてのイニシアチブを発揮した真相解明の責任があろうかと思います。  今の問題、本当にNTTの秘書室管理口座に、ここへ金が入っているとすれば、これは事実上私は機密費になると思うんですよ、NTTの。ということで事は重大でありますから、NTT任せじゃなしに、あなたがひとつイニシアチブを発揮して真相究明をするという積極的な努力をやってもらう必要があると思いますが、どうでしょう。
  378. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) 御承知のように、六十年の四月に自由化をいたしておりますので、郵政省がこれに、かつての電電公社時代のように管理、監督権限を大いに行使するというのは自由化に逆行するような形になりますので、それで、NTT御自身でおつくりになりました調査委員会のおっしゃる御報告を私ども信じて今日に至ったわけでございますが、昨日の夜、ある記者からの連絡の後に、ニュースが入りました後に私どもも対応をいたしまして、きょう朝の御質問のとき、その背景でいろいろ連絡をとって十二時四十五分に、社長会長が昨晩からの早い対応をしていただいて、そして午後二時に山口社長真藤会長が正式に辞表を提出され、そして関連五つの会社の役員も全部お引きになるという対応をしたところでございまして、自由主義化した新しいNTTには、私ども郵政省はこの程度のことではないかなと。NTTの良識を信じて、そしてまた、調査委員会の適切な対応に私どもはいろいろと連絡をとりつつ、今後のNTTの適正な運営を図ってまいりたいと思っております。
  379. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 NTTに任せてきたから次々と国会に対して答弁を訂正せざるを得ないということが起こってきた。そして、いよいよ真藤会長にも金が渡っている、さらに金の半分以上が機密費ともいうべきところへ流れているという疑いが出てきたというこの段階でありますからね今までのようなNTTの自主的調査、これにゆだねていくということでは私は済まされない。やはり真藤会長の辞表が出たということで済む問題ではない、今日の国政担当者としての責務として、NTTをめぐる疑惑の徹底究明のために大臣としては大いに努力をしてもらう必要があると思います。  そこで、この真藤氏への金銭贈与、これはリクルート社がどういう趣旨で持ってきたかというのは、さっきお答えはありませんでしたけれども、事は明白だと思うんです。  すなわち、真藤氏がリクルート社に頼まれてスーパーコンピューターを輸入するという点で部下に自分ではっきりそういうことについての指示をしてきた。さらには、リクルート社の回線リセール事業が短期間に業界トップになったというこの背景にはNTTの全面的支援がある。この支援も真藤氏の指示、バックアップであるということは明白だと思います。これに対する謝礼の趣旨としてお金が来た、贈与をされたということは明瞭だと思うんですけれども、郵政大臣、どうお考えになるでしょうか。郵政大臣山口社長お答えください。
  380. 山口開生

    参考人山口開生君) リクルート社との取引につきましては契約約款に基づいて業務を行っておりまして、一つは、専用線契約約款に基づきます専用線の利用契約のほか、リクルート社が回線リセール事業を行うために必要なTDM、モデム、これは装置の名前でございますけれども、等の専用設備の保守契約、RCS事業の……
  381. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そこら辺のことはわかっていますので、どういう目的で金が来たと判断するかと、ここを聞いているんです。
  382. 山口開生

    参考人山口開生君) 私、特にNTTが民営化 になりまして積極的な営業を進めてまいりまして、従来からの営業姿勢を変えまして、お客様のためにいろいろとコンサルタントする、あるいはいろんな相談にあずかる、こういうことをやってまいりましたので、今回の対リクルート社との問題につきましてはそういった一環だと考えておりますが、多少個人的な行き過ぎがあったかとも思いますけれども、業務の執行上に特に間違ったことがないというふうに考えておりますので、業務のために株売買があったというふうには考えておりません。
  383. 中山正暉

    国務大臣中山正暉君) スーパーコンピューターとそれから回線リセールの問題というのは、社内の所要の手続を経てやっておるということでございまして、先ほどから申しておりますように、自由化がなされましてから、いわゆる新規参入、NCCというのが今第一種電気通信事業四十一社、それから第二種電気通信事業が六百六社、それから特別第二種が二十二社という激烈な、ここ三年ばかりの間に大変な数にふえておりまして、自由化したということが、大いに営業をしなければならないという結果がこういう誤解を受けたことになっておると思いますが、先ほど申しましたような社内手続としては適正なもので、私どもはそれが実行されておる、かように考えております。
  384. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 この問題は、中曽根前首相絡みの重大問題でありますので、とても今のような答弁では納得できません。引き続き追及をしていきたいと思います。  刑事局長、いろいろNTTをめぐっての疑惑の問題について本日も議論になっております。私は新たな事実も提起をいたしました。既に一定の捜査はなさっているかと思いますけれども、事この段階で、一層ひとつ捜査を強める、こういうことが当然だと思いますけれども、どうでしょうか。
  385. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 初めに申し上げておきますけれども、いろいろ御指摘の事実については、私どもの方は白地でございまして、その事実があるかないかということについて確認する立場ではございません。  ただ、従来から申し上げているとおり、あるいはさきに別の委員からお尋ねがあったときに答弁申しましたとおり、国会における御議論とか御指摘、あるいは各紙の報道には、犯罪の嫌疑の有無を検討するという立場から十分注意を払っているところでございます。いろいろ報道されておりますけれども、そういうことについても、そういう立場から適正に対処するものと考えております。
  386. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 総理にお尋ねしますが、あなたは本日の記者会見で、この真藤問題について私がとやかく言うことではないと、他人事のように言われているわけでありますけれども、リクルート疑惑究明のいよいよ重大なときに、総理が先頭に立って全容解明のために努力するということであってしかるべきだと思うんですけれども、どうですか。
  387. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私が何を申しましたか、ちょっと記憶にございませんですが。
  388. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 時事のニュースが流れているんですよ、そういう答弁をしたということが。事こういうことで郵政大臣も、いわんや総理もNTTの社長もあいまいな答弁に終始をしておる状況では、この点でも証人喚問が必要になってくるということで、真藤氏、もう前会長と、こうなりますかね、前会長、それから元秘書村田氏、これを証人として至急に当委員会に喚問をするよう委員長に要請いたします。
  389. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 理事会で協議します。
  390. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 次の問題へ移りますが、官界に関するリクルート疑惑、文部省の高石前事務次官、労働省の加藤前事務次官、これが焦点となっていますが、疑惑はこの両省だけだろうか。リクルート株の譲渡を受けた加藤六月前農水大臣、彼の安比高原ゴルフ場視察に松田林野庁長官初め六人が同行している。また、建設省もリクルートコスモス社の宅建業法違反処分に関して疑惑が取りざたされているわけでありますが、総理、本当にこの文部省、労働省以外に疑惑はないと言い切れるのか。もしも新たな事実が発覚したらどう責任をとられるか。どうですか。
  391. 竹下登

    国務大臣竹下登君) やっぱり一つの仮説に基づいてどうするかと言われても、本当のところ答えようがないというのが普通じゃないかと思います。
  392. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 疑惑があるから聞いているわけでありますが、次へ、具体的問題に進みましょう。  そこで、十一月二十一日の衆議院の証人喚問、問題の文部省の高石前事務次官が証人として出たわけでありますけれども、偽証の疑いが濃厚なのであります。というのは、証言の中で、「大学審議会につきましては、これは高等教育局の所管でございまして、すべての人選、交渉は、すべて局レベルで処理されておりました。それを決裁の形で持ってくるわけでございますが、それに決裁をしたわけでございます」と、こう答えている。  こうなりますと、大学審議会委員の任命は、すべての人選についてもう全部定数どおりきっちり下から事務次官のところへ上がってくる。事務次官が意見を述べる機会は全くないというのもおかしな話と思うんですけれども、事実どうなんでしょう、文部大臣。
  393. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 大学審議会の委員の具体の人選でございますけれども、もちろん法律上文部大臣が内閣の承認を得て任命すると、こういうことになっているわけでございます。  しかし、具体の人選というのは、原局である高等教育局で具体の案をつくり、その案に基づきまして次官、大臣等に御了承を得ると、こういう手続をやっているところでございます。もちろん具体に了承を得る場合において、最終的には決裁という手続もあるわけでございますから、事務次官でございますから、当然そこについて一定の権限は持っておるということでございますし、また一般論で申し上げますれば、その人選の方針あるいは具体の人事、人選等について意見を言うということはあり得るわけでございますけれども、本件につきましては特に具体の指示はなかったと、こういうことでございます。
  394. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 重ねて聞きます。  定数どおり局から上がってきたものに事務次官は判こをついただけということですか。
  395. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 最終的な決裁の段階ではそのとおりでございます。
  396. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 信じられません。  もう一つ、我が党の松本議員が衆議院で、「官邸筋からの話で江副氏にかえてほしいと言ってかわったと証言する人もいると言われております。この事実はどうですか」という質問に対して高石氏は、「私の知っている範囲内では、私が、そういうことはなかったというふうに思っております」と、こう証言をして、官邸筋の介在を否定しているわけでありますけれども、文部省の見解はどうでしょう。  なぜこのことを聞くかといいますと、当時の新聞委員の発令された一九八七年九月十八日付の朝日新聞の夕刊、ここにこう書いています。「委員の人選は、文部省当局が大学関係団体の代表者らを集めた案をまとめた」と。塩川当時の文部大臣が「「関係団体の利害調整の場となっては改革は難しい。国際的な学術研究の評価ができる人を」と練り直しを命じ、最終的には中曽根首相と文相が協議して固めた」というふうに報道をされているわけであります。  こうなりますと、文部大臣が練り直しを命じた、最終的には中曽根首相と文相が協議して固めた。そうすると高石氏の証言は、すべて局レベルで処理されていたという、これが偽証ということになるわけであります。そうしてさらに、そんな官邸筋からの話はなかったということを言っているんですから、この点でも偽証。加えて、中曽根首相が関与しておったとなれば、首相権限が働いたという重大問題にもなる。文部大臣、どうでしょう。
  397. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) まず政府委員からお答えさせましたのは、これは六十二年の九月の時 点でございます。  大学審議会に限定して申しますと、これは文部大臣が内閣の承認を経て任命をするということになっておるわけでございます。こういう法律上の手続で任命されたものでございますので、それだけを申し上げるしかないわけで、具体の上げ方、そして具体の決裁の方法その他につきましては政府委員からお答えさせる方がより適切かと思いますので、お許しをいただきたいと思います。
  398. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 委員長、その前に。  私が尋ねているのは、中曽根首相の介在があったのか関与があったのかどうかという、この点だけ答えてください、もう時間がありませんので。
  399. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 総理の介在があったとは承知しておりません。
  400. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 この点も信じられません。  次にもう一つ、高石証言の偽証の疑いのもう一つの例でありますけれども、いわゆる生涯学習振興財団をめぐる問題であります。  実は、本日、私昼休みのときに帝京大学の沖永総長に直接電話したんです。ぼっと電話に出られた。それでこの話をしました。そうして沖永さんがいわく、寄附決定をしたのは八月ごろだ、そしてその後財団設立を正式に決めたんだったと思うと、こういう御返事であったんです。ところが、衆議院の証人喚問で高石氏は、「具体的に私にその財団づくりの話が参りましたのは、向こうの理事会で正式の決定が行われた後に、私がまだ当時は次官に在任しておりましたときでございましたので、そういう話を私のところに話しに来られたわけでございます。私は、それは大変結構な構想ではないかということで、賛意を表したことは事実でございます」と、こういう証言。ところで、高石氏は六月十日に退官をしているのであります。一方、帝京大学の方は八月に決めて話を持っていった、こう言うんでしょう。だから、この点でもまず第一の偽証。  それから私は、事の真実は、帝京大学の方から話を持ってきたというんじゃなくて、高石氏が在任中の時期に高石氏から話を持ちかけて、そしてそれを受けて大学側が振興財団とそれへの寄附の理事会決定を八月ごろに行ったというのが事の真相ではないか。そう見ると、まさに二重の偽証だということになるわけであります。  そういう点で、大きく二つの点で高石証言の偽証濃厚という点を指摘をしたわけでありますけれども、委員長、当委員会証人として至急に喚問することを要望したいと思います。
  401. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 証言の問題は本院で起きた問題じゃございませんので、向こうで処理すべきものだと思います。
  402. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いや、そうじゃないです。国会に対する証人でありますから、御検討願いたい。
  403. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 検討します。
  404. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 次は、高石氏の強引な選挙の事前運動の問題であります。  パーティー券の問題は今やもう周知の問題。わいわいと毎日、新聞にも報道が出ている。問題は、パーティー券を文部省の職員に押しつけたということはありませんか、文部大臣。官房長でもいい。
  405. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 高石前次官のパーティーにつきましては、文部省の職員も出席いたしておりますが、実情といたしましては、中堅幹部以上の職員の自宅に案内状が参って、それに賛同された方が出席されていると承知しております。
  406. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そういう生易しい話じゃありませんで、私の調査によりますと、問題の「高石邦男君と語る会」のパーティー券代金二万円を、文部省内の課長補佐以上約二百五十人に、各課の庶務係が給料袋を配るその際に半強制約に二万円を徴収しておるという、こういうことの事実の確認を私は得ました。これ、総額にしますと五百万円になります。こういう金が給与から天引きをされておるというのは、まさに文部省ぐるみの選挙ということで重大問題であり、文部大臣、ひとつ徹底調査をしていただきたい。
  407. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 事実があれば政府委員からお答えをいたさせようと思いましたけれども、私も今、佐藤議員の御指摘の点は初耳でございます。調べてみます。
  408. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 最後に、重大な問題は、帝京大学の寄附問題、高石問題、これを口実にして、いわゆる私学助成全体を削減しようという動きが強まっていることであります。これは問題のすりかえも甚だしい。一部私学の不正経営にメスを入れるという問題と、私学助成が最高時経常費の二五%、これが年々年々いわゆる行政改革の中で低下をしてきておるということで、私学助成の増強をもっと図らなくちゃならぬというこの問題とはどうしても別問題。きちんと区別をして、一刻も早く私学の経常費二分の一助成の基本方針を堅持して、政府として一層の努力をやっていただくべきだというふうに思いますが、この点で文部大臣と総理大臣の答弁を求めたいと思います。
  409. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) その点だけは同感の点が多いわけでございます。  私学というのは、特に大学、幼稚園で七割が私学に依存をいたしております。そして、私学の経営に誠心誠意挺身しておられます教員の方々、それから一方では、立法の精神の中に、そこに学ばれる方々の経費負担の軽減ということがうたわれておるわけでございまして、法的にも五〇%以内ということがありますし、また、議員の方々から五〇%を目指して努力しろという附帯決議があることも存じております。現在一七%程度で、まだ道遠しとは思いますけれども、私学助成の重要性という点は多くの方々に御理解をいただき、充実に努めてまいりたい、このように考えております。
  410. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 文部大臣からお答え申し上げたとおりであります。
  411. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 終わります。
  412. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、明日は午前十時に委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後六時散会