○福間知之君
総理の答弁そのまま私は了解するわけにはまいらぬわけでありますけれども、いずれにしても、私たちとしては消費税ありきというのがまず前提になっているということをぬぐい去ることができないのであります。ということは、今次
国会における
審議を
一つ見ましても、七月に開かれた臨時
国会、初期は七十日であった。第二段階は五十九日延長された。今回は年末二十八日まで三十四日間という都合百六十三日にわたる通常
国会よりも長い会期が設定されて
審議が行われているわけであります。
本来、アメリカのレーガンさんの減税政策
一つとっても、あるいはまたヨーロッパにおけるサッチャーさんを初め諸国の税制
議論の実態を見ますと、少なからずこれは他の
法案などよりはもっと時間をかけ、濃密な
審議というものを行っていると私は承知をしております。そういう意味じゃ、臨時という名のつく
国会で二回も会期を延長して、それでもせいぜい半年足らずでございます。そういう拙速主義といいますか、やや強引とも言えるような
法案の処理の姿勢にまず私は納得がいかない。先ほどの御
質問者への御答弁じゃありませんが、
環境が熟したからだというそういうとらえ方、それだけでは
国民は必ずしも納得しないのじゃないんでしょうか。
ましてや、今回のように
リクルート問題というのがその前段で大きく世間を覆ったわけでありまするから、そういう中の
国会というのは、むしろ
政治倫理という
竹下総理の姿勢を具体的に示すならば、いち早く
国会は終わって出直しということが私は議会制
民主主義の筋ではないかと思うんです。決して私たち野党がこの税制問題について
考えを及ぼさないというそういうことではないのでありまして、
国会はこの年末で終わるわけじゃないんです。来年もあるわけですから、そういう点で、私はどうも強引なやり方が納得できないということを冒頭申し上げておきたいと思うのであります。
さて、税制のあり方ということにつきましては、それぞれ
国民の立場でも
考え方に相違はあろうとは思うんです。それを究極的には
国会の
議論を通じて与野党間で収れんをしなきゃならない、これは私たちの義務でもあるわけであります。
そういう前提ではありますが、それだけに単にいわゆる政策論というものを優先するということであっては、私たち日本における
国会としての責務は果たせるのかどうか、政策論に埋没をしてしまっちゃいけないのじゃないか。ある専門家は、この税制についての理論的な
考え方として二つの点を
指摘しております。
その
一つは、税制というのは、その国の、そしてその時代の
国民性や風土、社会、文化等の表現でなければならない。したがって、日本の現段階の諸事情を十分に踏まえて、それに最も適合する税制のあり方を追求すべきである、これはわかりますね。
それからもう
一つ大事なことは、今申した日本的な特殊性を踏まえた上で税制を憲法秩序に組み込まなければならないという大事な視点であります。二十一世紀を志向しようとお互いは口にしているわけでありますが、それならば、二十一世紀を志向するところのいわゆる福祉憲法、平和憲法である日本国の憲法の諸原理に基づいて、それに最も適合するような税制を追求すべきではないか。基本的な
考え方としてそういう二つを強く
指摘する向きがあるわけであります。
私はもちろんこれは同感であります。朝方の
議論でも、
国民の主権という立場からこの税制というものを
考えていくことが大事であるということが言われ、また
竹下総理みずからも、そもそも
国会というものが生まれたのも、言うならば税金をどう取ってどう使うかということが
国民的に大問題だから
国会というものが生まれたという歴史を語っておられましたね。私もそれには同感であります。それほど諸事万端、今日の複雑な社会の中で
国会が処理すべき政策課題は山積しております。なかんずくこの税制という問題は、
国民諸階層に大きな利害を与える
関係を持っているわけですから、そもそもの昔に
国会はそのことを
一つ象徴的に
議論する場として発生したということもうなずけるわけであります。そんなことで、私は今回の税制の扱いについて先ほど申したようにまず胸にドスンと落ちない、何だか強引に
審議に引っ張り込まれているというふうな印象を払拭できないのであります。
さて、私はきょうは限られた時間でございますから、消費税を中心に幾つか
質疑をしたいと思います。その前に、その前提として
衆議院段階における改革
法案そして
消費税法案にかかわる修正項目、これに関してまずお伺いをしたいと思うのであります。
まず最初に、価格の転嫁に関する規定がございます。
税制改革法第十一条でございますが、簡易課税制度の見直し規定の挿入、第十七条。そして三つ目は、六十四年九月三十日までの弾力運営の規定挿入、十七条の二項。退職所得控除についての項目、寝たきり老人世帯の扶養控除百二十万円に引き上げ、この五点があるわけでありますが、消費
税法ではなく立法形式上はあっても、追徴金をいきなり課すなどとしないという意味、あるいは徴税はあくまでも四月一日から行うとしているようでありますが、このあたりはその後具体的にどのように固まっておりますか。