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1988-12-07 第113回国会 参議院 税制問題等に関する調査特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十二月七日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十二月六日     辞任         補欠選任      長谷川 信君     永田 良雄君      真鍋 賢二君     岡部 三郎君      及川 順郎君     猪熊 重二君      内藤  功君     山中 郁子君  十二月七日     辞任         補欠選任      野沢 太三君     仲川 幸男君      山中 郁子君     上田耕一郎君      野末 陳平君     秋山  肇君      青島 幸男君     喜屋武眞榮君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         梶木 又三君     理 事                 斎藤 十朗君                 林  ゆう君                 平井 卓志君                 降矢 敬義君                 吉村 真事君                 志苫  裕君                 安恒 良一君                 峯山 昭範君                 近藤 忠孝君                 栗林 卓司君     委 員                 井上  孝君                 板垣  正君                 岩本 政光君                大河原太一郎君                 大木  浩君                 岡部 三郎君                 加藤 武徳君                 久世 公堯君                 後藤 正夫君                 斎藤栄三郎君                 斎藤 文夫君                 下稲葉耕吉君                 田辺 哲夫君                 谷川 寛三君                 仲川 幸男君                 永田 良雄君                 藤井 孝男君                 松浦 孝治君                 村上 正邦君                 森山 眞弓君                 及川 一夫君                 千葉 景子君                 福間 知之君                 矢田部 理君                 山口 哲夫君                 山本 正和君                 猪熊 重二君                 太田 淳夫君                 和田 教美君                 上田耕一郎君                 橋本  敦君                 山中 郁子君                 柳澤 錬造君                 秋山  肇君                 野末 陳平君                 青島 幸男君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        内閣総理大臣   竹下  登君        法 務 大 臣  林田悠紀夫君        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君        文 部 大 臣  中島源太郎君        労 働 大 臣  中村 太郎君        自 治 大 臣  梶山 静六君    政府委員        総務庁人事局長  勝又 博明君        国土庁長官官房        長        公文  宏君        法務省刑事局長  根來 泰周君        大蔵省主税局長  水野  勝君        大蔵省証券局長  角谷 正彦君        大蔵省銀行局長  平澤 貞昭君        国税庁次長    伊藤 博行君        文部大臣官房長  加戸 守行君        文部省初等中等        教育局長     古村 澄一君        文部省高等教育        局長       國分 正明君        林野庁長官    松田  堯君        運輸省航空局長  林  淳司君        労働大臣官房長  清水 傳雄君        労働省職業安定        局長       岡部 晃三君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        建設省住宅局長  伊藤 茂史君        自治省行政局選        挙部長      浅野大三郎君        自治省税務局長  湯浅 利夫君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君        常任委員会専門        員        片岡 定彦君        常任委員会専門        員        保家 茂彰君        常任委員会専門        員        大野 敏行君    証 人                 長谷川寿彦君          (証人随伴者 松尾 眞君)     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○税制問題等に関する調査  (リクルート問題等に関する件)     ─────────────
  2. 梶木又三

    委員長梶木又三君) ただいまから税制問題等に関する調査特別委員会を開会いたします。  税制問題等に関する調査を議題とし、リクルート問題等に関する件について長谷川寿彦君から証言を求めることといたします。  まず、委員長から確認をさせていただきます。  あなたは長谷川寿彦君御本人ですか。
  3. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) はい、長谷川寿彦でございます。
  4. 梶木又三

    委員長梶木又三君) この際、一言ごあいさつ申し上げます。  本日は当委員会に御出席いただきまして、ありがとうございました。  証言を求めるに先立ち、証人に一言申し上げます。  昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人には、証言を求める前に宣誓をしていただくことになっております。  宣誓または証言を拒むことができるのは、次の場合に限られております。  証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、並びに医師歯科医師、薬剤師、薬種商、助産婦、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実で黙秘すべきものについて尋問されたとき。  以上の場合以外は、証人宣誓または証言を拒むことができません。  正当の理由がなくて証人宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられます。  また、宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになっております。  なお、今回の証人喚問についての当委員会理事会決定事項については、証人には既に文書をもってお知らせしたとおりでありますが、この際、その主要な点について申し上げておきます。  その第一点は、証人随伴者助言を求めることが許される場合であります。  すなわち、証言は、証人がみずから知り得た事実を証人自身記憶により申し述べるのが原則でありますが、証言を求められている事柄が、議院証言法証言を拒否することが認められている事項に該当するかどうか確認しようとするとき、その他委員長がこれを中心として判断し、許可を与えるのを相当としたものについては、証人随伴者助言を求めることができます。  これらの助言は、いずれもその都度、証人委員長にその旨を申し立て、その許可が得られた後に認められるものであります。  その第二点は、資料についてであります。  証人は、既に通知いたしましたとおり、証言を行うに際し、あらかじめ当委員会に提出された資料を用いることは差し支えありませんが、委員長許可が必要であります。  その第三点として、証人メモをとることは認められておりません。  その第四点は、随伴者についてであります。  随伴者は、発言することはできませんが、メモをとることは許されます。  また、随伴者は、証人委員長許可を得て助言を求めた場合は助言することができますが、自分の方から証人に対し助言することはできないことになっております。  以上の点を十分御承知願います。  それでは、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めることといたします。  全員起立を願います。    〔総員起立
  5. 梶木又三

    委員長梶木又三君) これより長谷川寿彦君の証言が終了するまで撮影は中止してください。  それでは長谷川寿彦君、宣誓書を朗読してください。    〔証人は次のように宣誓を行った〕     宣誓書  良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。               証人 長谷川寿彦
  6. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 全員着席を願います。  長谷川証人宣誓書署名捺印してください。    〔証人宣誓書署名捺印
  7. 梶木又三

    委員長梶木又三君) これより証言を求めることといたしますが、証人の御発言証言を求められた範囲を超えないこと、また、御発言の際は、その都度委員長と呼んで許可を得て御発言なさるようにお願いいたします。  なお、質問を受けているときは御着席のままで結構でございますが、お答えの際には起立して御発言を願います。  この際、委員各位に申し上げます。  本日は、申し合わせの時間内で証言を求めるのでありますから、不規則発言等、議事の進行を妨げるような言動のないよう特に御協力をお願い申し上げます。  それでは、証人長谷川寿彦君の証言を求めます。  まず、委員長から所要の事項についてお尋ねをして、その後、委員各位の御発言を願うことといたします。  証人日本電信電話公社に入社してから現在までの経歴について、簡潔に説明してください。
  8. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 昭和三十一年、日本電信電話公社に入社いたしまして、約十年弱、通信ネットワークの開発、設計仕事に従事をいたしました。その後約四年間、新入社員の採用、訓練といった仕事をいたしまして、昭和四十四年から昭和五十九年一月まで、データ通信事業本部におきまして仕事をいたしました。昭和五十九年一月より昭和六十一年の七月の初旬まで、東京電気通信局長並びに東京支社長を歴任いたしました。なお、NTTに、つまり日本電信電話株式会社になりました四月付で取締役に就任いたしております。昭和六十一年七月より昭和六十二年三月まで、データ通信事業本部長を拝命しておりました。昭和六十二年三月下旬より昭和六十二年の五月の下旬まで取締役社内処理の担当ということをいたしました。  一身上の都合によりまして、昭和六十二年五月の下旬に取締役を退任させていただいております。以後リクルート社において、関連企業でございますリクルート国際バン代表取締役並びにリクルート社の顧問という仕事をいたして現在に至っております。  以上でございます。
  9. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 証人は、衆議院リクルート問題に関する調査特別委員会において公開されたリクルートコスモス社株譲渡リストによれば、ドゥ・ベスト社から未公開株を一万株購入したとされていますが、その事実関係と、その後の売却の有無について説明してください。
  10. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) お答えいたします。  昭和六十一年九月上旬だったと思いますが、江副さんからリクルートコスモス社の株を依頼されました。信頼している友人等リクルートコスモス社の株を引き受けていただいていますので長谷川さんにもお願いしたいと、そういうお話でございました。友人江副さんからのお話でございましたのでお引き受けをいたしました。  なお、その折に、後刻ファーストファイナンス小林が伺いますので、事務手続等、その折によろしくというお話でございました。私も江副さんもそのとき大分急いでおりましたので、時間がございませんでしたので、比較的短い時間でお引き受けをして失礼をいたしております。  その後、二、三日か数日か覚えておりませんが、小林社長がお見えになりまして、売買約定書をお示しになりました。そこに記載されておりました内容は、コスモス社の株三千円のものが一万株、六十一年の九月三十日付で売買約定が成立するという約定書をお持ちいただきました。ちょうど私、実印を持っておりませんでしたので、それでは私の記載する場所を教えてくださいということでお話をいたしました。  なお、その折に、三千円で一万株でございますから三千万円というお金になりますので、もし御必要でございましたら御融資いたしますということで、融資関係書類をそのときにやはり置いていかれました。必要があればこの部分にということで、鉛筆で印をつけられて置いていかれました。その後、その書類をお預かりいたしまして、正直申しまして三千円という株、そう安い株ではございませんし、一万株でございますから三千万円ということで、ちょっとこれはなかなか金額が大きいなというふうに思いましたけれども、とにかくお約束をしたことでございますので、やはりこれは大変大事な友人江副さんからの御依頼でございますので、お引き受けしようと思いまして約定書に記入いたしました。  さて、その融資を受けるかどうかでございますが、書類を拝見しますと、条件がきちっとされておりまして七%の金利、そして返済の方法は元金、金利ともに一年後ということで、そういう書類になっておりました。担保としてリクルートコスモス社の株、一万株を担保ということでございましたので、これは金利もきちっとしていることなので、ファーストファイナンス社もビジネスということかと思いましてお借りしようというふうに思いまして、必要事項記載をいたしまして、それから何日かちょっと覚えておりませんけれども、小林さんにおいでいただいてその書類一式をお渡しいたしました。  その折に、売買約定書のお相手でございます方が、そのときは余り記憶ございませんでしたけれども、片仮名の名前だったというような記憶でありましたけれどもドゥ・ベスト社ということで、代表取締役で菅原さんのお名前があったようであります。その当時は余り記憶しておりませんが、現時点ではよく覚えておりますので今はよくわかっておりますが、当時は余り明確に記憶がございませんでした。そして、その三千万円をドゥ・ベスト社に振り込むという指定の用紙がございまして、そこにも記入をいたしまして、そしてその折に小林さんにお渡しをいたしました。  以上で、コスモス社一万株を私が売買すると——、それをお渡ししました時期は、六十一年の九月三十日の何日前であったかはよく覚えておりません。たしか、その一週間前か十日前かわかりませんけれども、そういう時期だったと思っています。そして、その後しばらく忘れておりましたけれども、六十……
  11. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 証人に申し上げますが、簡潔にひとつ答弁してください。
  12. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) はい、失礼いたしました。  その後、六十一年の初旬にやはり小林さんからお電話がございまして、店頭上場して大変いい値段になったということで、それを伺いましたので、融資を受けました分ということで六千株を売っていただきまして、融資を受けた分をお返しいたしました。そして、残りの株券をお預かりいたしまして私の証券会社に預けたということでございますが、その後私ごとで用ができまして、十一月の下旬にこの四千株も売却をいたしております。  以上でございます。
  13. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 株を取得した当時の証人NTT社における役職職務内容について説明してください。
  14. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 御説明いたします。  六十一年の九月の段階、先ほど御説明いたしましたように、取締役データ通信事業本部長という役職でございます。そのときの私の仕事の担務は、データ通信事業責任者ということでございます。  以上でございます。
  15. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 証人は、データ通信事業本部長として、リクルート社との間のスーパーコンピューター購入、転売などに関し同社に便宜を与えていたのではないかということが報道されていますが、その事実関係江副浩正氏及びリクルートコスモス社との関係について説明してください。
  16. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) スーパーコンピューター設計建設工事あるいは依頼を受けてリクルート社に御提供するということに関しまして、私は全く特別なお計らいはいたしておりません。  それから、私とリクルート社という関係でございますが、昭和四十年にリクルート社テスト事業、そういう事業の中の性格テストというものを新入社員にテストしてみるということを依頼したことがございまして、そのときがリクルート社との最初の出会いでございます。昭和四十年でございますが、その後仕事上ほとんどございませんで、昭和五十九年の一月に東京電気通信局長に転任になるまでリクルート社との関係仕事関係は一切ございません。  東京電気通信局長並びに東京支社長の時代は、リクルート社からの仕事企業通信システム部が営業的な面で受けて、それが専用回線事業部という事業部仕事が流れまして、その中の設計建設並びに保守という部分東京の総支社並びに東京電気通信局が担当しておりましたが、そういう関係が一つございます。  それから昭和六十一年の七月以降、スーパーコンピューターに関します契約という面での業務を私は担当いたしております。  リクルート社と私の仕事上の関係ということは、簡単に申し上げますと以上でございます。
  17. 梶木又三

    委員長梶木又三君) ありがとうございました。  委員長からのお尋ねは以上でございます。  次に、委員からの発言の申し出がありますので、順次これを許します。千葉景子君。
  18. 千葉景子

    千葉景子君 証人お尋ねしますが、証人は地検での事情聴取を受けられていますか。
  19. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 受けておりません。
  20. 千葉景子

    千葉景子君 事情聴取呼び出し等はございますか。
  21. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) ございません。
  22. 千葉景子

    千葉景子君 ところで、先ほど株購入の御発言がございました。  まず最初に、江副氏から話があったということでございますけれども、その話の内容、もう一度具体的におっしゃっていただけませんか。
  23. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 少し詳しく申し上げますと、六十一年の九月の上旬だと思いましたけれども、江副さんからお電話ございまして、おついでの折に銀座本社ビルにお立ち寄りいただきたいということがこざいまして、その何日か後に、ついでがございましたのでリクルート社銀座本社ビルにお邪魔をいたしました。会議中であられたようで少し忙しくおられたようでありますが、そこでお会いをいたしました。  その話の中身は、正確には覚えておりませんけれども、大綱、リクルート関連会社リクルートコスモス社というのがある、そのリクルートコスモス社の株を、信頼している友人、尊敬している方にお引き受けいただいております、で、長谷川さんもぜひお引き受けをいただきたいということでございます。で、私、先ほども申し上げましたように、長年の友人でございますし、江副さんは私の大事な友人でございましたので、お引き受けをしようというふうに思いましてその旨をお伝えいたしました。そして最後に、小林氏が後でお伺いするというお話がありまして、時間としては十分か十五分ぐらいだったんじゃないかなというふうに覚えております。  以上でございます。
  24. 千葉景子

    千葉景子君 その江副氏から、あるいは後日おいでになったファーストファイナンス小林社長から、この株についての、例えばこの株が非公開株であるとか、あるいはこれから公開時期はいつであるか、あるいは価格は今後どうなるかとか、また値上がりはするかしないか、こういう話はございませんでしたか。大分多額の株のお話ですし、それから突然の話だと思いますが、いかがですか。
  25. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 江副さんのときも小林さんとの会話の中でも、そのことについてはお話は出ておりません。それから、私もその件についてはお尋ねをいたしませんでした。  以上でございます。
  26. 千葉景子

    千葉景子君 あなたの方からこの株について全く内容を問いただすということはなさらなかったんですね。
  27. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) はい。私は、その株に関する記載売買約定書にございましたので、その内容以上のことは小林さんにはお伺いしませんでした。  以上でございます。
  28. 千葉景子

    千葉景子君 あなたはこのコスモス株売買以外に株式取引の経験はございますか。
  29. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) それ以前に若干ございます。
  30. 千葉景子

    千葉景子君 若干というのはどの程度のことをおっしゃっているんでしょうか。
  31. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 今まで株につきましては、例えば自分研究をするとか、そういう本を読むとかいうような研究をして自分で銘柄を指定して買うというようなことは一度もやったことがございません。いずれも、今まで全部で十数回ぐらいかと思いますが、証券会社の方に勧められて売買をしたということでございまして、いわゆる株をやっているかということでございますと、私はほとんどやっていないということになろうかと思います。  以上でございます。
  32. 千葉景子

    千葉景子君 売却手続に関してお尋ねしますが、これはあなた御自身がおやりになったわけですか。
  33. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 手続小林社長さんとの間で私がいたしました。自身でいたしました。
  34. 千葉景子

    千葉景子君 売却するに当たって、なぜ売却することにしたわけですか。
  35. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 最初に六千株を売りましたときは、やはり融資を受けました三千万、七%の利子でございますと年間に二百万を超えるという金利でございますから、やはりそういう上場して六千株売れば返せるということを私も考えましたので、それでは小林さんにお願いしようということで、小林さんにお願いした次第でございます。  以上でございます。
  36. 千葉景子

    千葉景子君 しかし、この株を売ったのは購入なさってからさほどの時間がたっておりませんね。これについては、購入なさるときにこれらの返済についてお考えになりませんでしたか。
  37. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 三千万円の融資を受けて金利で七%、二百万を超える金利で一年間持つというのはなかなか大変ではございますけれども、やはり江副さんからの依頼でございましたので、まあとにかくお引き受けしてできるだけ持っていようという気持ちはございました。  ただ、小林さんからのお電話ございまして、おかげさまで上場ができて大変いい値段がつきましたという御連絡、大変喜んでおられましたけれども、そういうふうに聞きましたので、江副さんからの御依頼ですからやはり持っていた方がいいかなあとは思いましたけれども、サラリーマンの身でございますので、これはやっぱり融資の分は売ってお返しをさしていただこうというふうに思いまして小林さんにお願いした、そういう次第でございます。
  38. 千葉景子

    千葉景子君 そうしますと、小林さんから、株の値上がりがあった、上場もできた、こういう話が小林さんの方から通知があったわけですね。
  39. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) お電話がございました。
  40. 千葉景子

    千葉景子君 そのときにあなたは、値上がりの話を聞いてさらに値上がりするのではないか、そういうことは考えませんでしたか。
  41. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 上場した株の値段がどう変化するかというのは、私もさほど詳しくはございませんので、五千円という値段がどう変化するかといったようなことは小林さんとの会話の中で私もしたような気がございますが、余り正確には覚えておりません。
  42. 千葉景子

    千葉景子君 ところで、先ほど三千万円を振り込む件がございましたが、これは実際にはどこに振り込まれたのですか。
  43. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 当時は書類は余りよく覚えておりませんが、きょうこちらに証人として喚問されましたので、私の手元に残っております書類は見てまいりましたので今御説明できますが、ドゥ・ベスト社の富士銀行の方へ振り込むということでその書類ができております。融資を受けました三千万円を六十一年九月三十日付でドゥ・ベスト社の富士銀行の支店に払い込むという指定の用紙に私がサインをいたしております。
  44. 千葉景子

    千葉景子君 じゃ、その資料については後日この委員会に提出はしていただけますか。
  45. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 必要でございましたら提出させていただきます。
  46. 千葉景子

    千葉景子君 ところで、証人がデータ通信本部長のとき、ちょうど六十一年五月、NTTがクレイ社とスーパーコンピューター購入契約を結び、そしてその一台をリクルート社売却しているということがございますね。これは、リクルート社売却したのは、時期はいつですか。
  47. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) お答えいたします前に、先生の今の御質問の中の昭和六十一年五月に私がデータ通信事業本部長にとおっしゃいましたのは、私、実はデータ通信事業本部長になりましたのは六十一年の七月でございますので、さようによろしくお願いいたします。  このコンピューターが契約になりましたのが、六十一年の十二月に四つの契約書が契約になっております。引き渡しましたのは、正確に日にちは覚えておりませんが、六十一年の十二月末から六十二年の一月中旬までの間の、日にちは私ちょっと記憶いたしておりません。正式にセレモニーなどがございましたのが一月の中旬でございますから、その前かというふうに思っております。  以上でございます。
  48. 千葉景子

    千葉景子君 これをスーパーコンピューター一号機と一応称したいと思います、クレイXMP二一六号。このような転売方式、これはそれまでにNTTとしては例がございましたか。
  49. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 正確に申し上げますと、リクルート社へのスーパーコンピューターの転売ということが報道機関でよく取り上げられておりますが、これは正確に申し上げますと、設計建設の受託という事業でございまして、単にコンピューターをメーカーさんから買ってきて売ることではございませんで、設計建設の工事というものを伴ってお受けするというふうな事業になっております。そういうふうな点で、設計建設受託というようなサービスは、それまでにデータ通信事業本部は相当前から大きなプロジェクトでいたしております。初めてのことではございません。  以上でございます。
  50. 千葉景子

    千葉景子君 あれば、少し具体的にその例を挙げていただきたいんですが。
  51. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) もう私も離れて間がたちますのでちょっと正確に記憶いたしておりませんが、データ通信本部のサービス、通常は設備サービスというのがございまして、お客様から契約をさしていただいて月々料金をちょうだいするというようなサービスを通例としておりますが、それ以外に、いわゆるレンタルでサービスを受けるのではなくて、設計建設だけでいいというのをやってほしい、こういうふうな御要望が、もう何年になりますか、相当前でございますけれどもございまして、お国のシステムの中に幾つかそういうふうな設計建設工事受託というような工事がございます。  ちょっと今はどうなっているかわかりませんので、私のおりました昔の話で申し上げますと、郵政省さんの貯金のシステムとか、あるいは運輸省さんのいわゆるニアミス防止のためのシステムとか、そういうサービスは設計建設受託工事ということで、全部セットで工事をしてお引き渡しをするということで幾つかのものが提供されております。
  52. 千葉景子

    千葉景子君 今、郵政省などの例が出ておりましたけれども、このような場合、NTTがソフトをつくって、それを一緒にして売却をされていますね。
  53. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) ソフトウェアを一緒に付加して提供するという場合とそうでない場合と、明確に私は今記憶をいたしておりません。いずれにしましても、単にコンピューターをそのまま転売ということではなくて、何かの付加価値をつけるというような意味で私は今解釈いたしております。
  54. 千葉景子

    千葉景子君 このリクルート売却をされたスーパーコンピューターの場合、その付加価値、ソフトを含めた、このようなものについての契約はございますか。
  55. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) このスーパーコンピューターの場合の付加価値をどうつけたかという、かなり専門的な話になりますので簡単に申し上げますと、いわゆるクレイ社のコンピューター、非常に特殊なコンピューターでございまして、コンピューターがうまく動くために必要な場所の環境設定といいましょうか、例えばコンピューターが非常に重い、通常の汎用コンピューターに比べますと非常に重い、あるいは冷やさなきゃいけないんですが、そういう冷やし方に非常に特殊な方法をとっているとか、そういったことで汎用コンピューターに比べますとかなり違う点がございます。そういう工事は既に研究所でやっておりましたので、大変にノーハウがあったということが一つございます。  それからもう一つは、NTTはやはり通信系のノーハウがございますので、遠隔の地からスーパーコンピューターを使うというのが通例でございます。したがいまして、スーパーコンピューターに通信系の技術を付加して、そしてトータルなシステムとしてテストをする、そういう意味でのノーハウもNTTの中にはあった。  それ以外に、ソフトウェアをそこの上にのせる、これはいわゆるアプリケーションというソフトではございませんが、インストールするためのテクニック、そういったものが従来からの技術でNTTにあったということで、そういうものを全部総合いたしましていわゆる付加価値というふうに考えておりました。  以上でございます。
  56. 千葉景子

    千葉景子君 総合的に考えれば、そういう設置等に関しての付加価値というのがあるかと思いますが、このアプリケーションソフト等、これ以外に、このリクルートへ転売されたコンピューター以外にも全くそういうものをつけないという転売の例はございますか。
  57. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) いわゆるソフト、先生も御存じだと思いますが、ソフトウェアという中に大きく分けますと二つございまして、お客様独自のそういうソフトウェアというものと、それからコンピューターの中に入っているソフトウェア、そのコンピューターを動作させるためのソフトウェア、両方ございますが、そのクレイのコンピューターは非常に高度な構造計算をいたしますので、そういう構造計算をするためのソフトウェア。これは例えば金融システムのバンキングシステムなどにおけるアプリケーションとはちょっと違うんでございますが、そういうふうな面でのソフトウェアは、これはお客様はソフトを自分でお持ちになって、そしてコンピューターへのっけてまいりますから、最初からそういうものが存在しているということではないのでございます。  ですから、そういう科学技術計算をするようなコンピューターの場合と汎用の事務計算をする場合とは違いますので、ちょっとその辺に差がございます。ですから、郵政省さんのシステムというのはどっちかというと金融でございますから、この場合のスーパーコンピューターとはちょっと比較になりません。そういう意味で、科学技術計算用のコンピューターというものを買ってきてインストールして、そして提供するという例は過去にはなかったと思います。
  58. 千葉景子

    千葉景子君 そうなりますと、これがかなり特殊な売却の方式だということも言えるんじゃないかと思います。  ところで、六十年九月にリクルートがRCS事業を始めるその以前に、江副さんとかあるいはリクルート関係者の方から、RCS事業のあり方とかあるいは展望、今後の見通し、こういうものについて、公式、非公式を問わずに何か相談を受けたというようなことはございませんか。
  59. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) お答えする前に、大変申しわけございませんが、クレイ社のコンピューターに関する設計建設受託工事が特殊かどうかという点は……
  60. 千葉景子

    千葉景子君 それは聞いておりません。
  61. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) はい。恐れ入りますが、ちょっと私違うと思います。ただいまの先生の御質問にお答えいたしますが、そういう相談は私にはございませんでした。
  62. 千葉景子

    千葉景子君 証人は、なぜリクルート社がわざわざNTTを介してスーパーコンピューター購入することにしたのだというふうに思いましたか。
  63. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私が当時データ通信事業本部長のときに、その点に関しては契約の当事者としてその場におりましたので、六十一年の七月以前の問題については私一切存じておりませんが、そういう契約の担当者として私は、リクルート社のこの設計建設受託をNTT依頼してきたということについては、総合的にすべての工事、それからテスト、そういうものは全部NTTがフルターンキーといいますか、全部セットで提供するということに、大変技術の面並びに総合的な力ということを信頼されて依頼されたんだろうというふうに思っておりました。  その後、現在リクルート社の顧問もやっておりますので、この問題ちょっと担当者に聞いてみましたけれども、大体同じことでございまして、NTTには実績、経験がある。それから、設計建設の工事も経験がある。並びに通信系の技術もある。さらに、いわゆる運用といいましょうか、コンピューターの運用についても経験がある。いろんな意味で設計建設技術等トータルのパワーとして大変大きなものがあるということで期待をした。事実、やってもらって非常によかったというふうに今のリクルート社の担当は評価をいたしておりました。
  64. 千葉景子

    千葉景子君 時間の関係がありますので、質問をしたことについて簡潔にお答えいただきたいと思います。  ところで、NTTリクルート社との間で、このスーパーコンピューター一号機ですね、この転売に当たっては、六十一年十二月に四つの契約を締結されていると思いますが、その契約について名前を挙げていただけませんか。
  65. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私、本日こちらに召喚されて、その前に、もう既に忘れておりましたので、リクルート社にございましたものを見てまいりましたが、正確には四つの契約書の名前を覚えておりませんが、内容的に申し上げますと、スーパーコンピューターの本体、それにまつわる設計建設の工事に関する契約、それから電源工事に関する設計建設の工事に関する契約、それから電源に関します保守契約に関する契約、それから局舎の賃貸に関する契約と、この四つになっておりました。
  66. 千葉景子

    千葉景子君 これは、ハードウェア設計建設受託契約と、それからハードウェア用電源設備設計建設受託契約、電源設備保守契約、局舎賃貸契約というものだというふうに受け取ってよろしいかと思いますが、この契約はどなたが締結をなさいましたか。
  67. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私が本部長におりましたので、契約としては私が窓口的に契約いたしまして、リクルート社江副社長でございました。
  68. 千葉景子

    千葉景子君 ところで、このリクルート売却をなさったスーパーコンピューターですが、このスーパーコンピューター本体について故障が生じたようなとき、NTT側としては修理を担当なさったりいたしますか。
  69. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) スーパーコンピューターの保守は、クレイ社とリクルート社の間で結ばれております。保守ということに限定いたしますとそういうことで、現在リクルート社スーパーコンピューターを持っておりますが、クレイ社との間で保守契約は結んでおります。
  70. 千葉景子

    千葉景子君 こうなりますと、六十三年十一月二十一日、衆議院におけるリクルート問題に関する調査特別委員会における江副さんの証言とは大分食い違ってくるということになると思いますね。江副さんはこの保守管理、トラブルが起こった、ダウンと称しますが、こういうトラブルが起こったときに、これについてのアフターサービスをするということについてもNTTが業務として行ってよろしい、こういうふうなお話がございまして、それならばNTTさんから購入した方が安全である、こういうふうな考えに立ちまして、そもそもクレイ・リサーチと直接交渉をしている過程でNTTさんを経由してクレイ・リサーチさんのコンピューターを購入することにしたという証言をなさっていますが、これは大変この証言とは今の証人の御説明は食い違ってくるということになりそうですね。
  71. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 運用という言葉がございますが、保守と運用というのは非常に接点が難しゅうございます。コンピューターシステムが動き始めた後、障害が発生して修理するという事柄と、お客様との間で対応しシステムが円滑に動くために手当てするという事柄、これは保守と運用の非常に複雑に絡み合った部分でございます。  通常は、保守運用部隊というのはそこに一緒におりましてともに仕事をするという関係がございます。このクレイコンピューターの現在の運用は、NTTの子会社でございます会社が運用いたしております。そういう意味での技術レベルはNTTには十分にあるわけでございまして、江副さんの御発言が正確さを欠いていたかどうかちょっと私わかりませんけれども、保守とか運用という言葉は世の中でも非常に混同して使われておりますので、そういう点では総合的な技術に期待をし、かつ運用面も含めてNTTがやってくれるということで頼んだというふうに私は理解をいたしております。
  72. 千葉景子

    千葉景子君 江副さんの証言では、本体について御証言をなさっていますので、大分食い違いがあるように私は思います。  そこで、リクルートNTTにクレイ社のスーパーコンピューター購入依頼してきたのはいつだか御存じですか。
  73. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私は、先ほども申し上げましたように、六十一年の七月に着任しておりますので、それ以前のスーパーコンピューターに関します事柄については全く存じておりません。
  74. 千葉景子

    千葉景子君 転売の当時は責任者でいらっしゃったわけですから、その購入の経緯などを全く御存じないというはずはないと思いますが、いかがですか。
  75. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) コンピューターをクレイ社との間で交渉いたしまして、そうしていろいろな意味での窓口業務をいたします、そういうセクションは国際調達室でございます。データ通信事業本部は、国際調達室で購入をしたコンピューターを、それを受け入れてお客様に売るということをやっておりますので、クレイ社とどういうふうな価格の交渉があったか、そこはデータ事業本部ではわかりません。価格の妥当性はチェックをいたしますけれども、要するに国際調達室として問題ないということであれば、データ通信事業本部としてはその値段をベースにお客様にお売りするということが通例でございますので、それ以前のことといいますか、なぜNTTがクレイ社からコンピューターを購入し、設計建設受託を行ったかという、そのあたりは私にはわからないことでございます。
  76. 千葉景子

    千葉景子君 そのような購入あるいはその条件等を決定するのはどなたですか。
  77. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) クレイ社がコンピューターをお売りになるときには、もう非常にシビアな価格が米国のクレイ社の方から指示が来ておられるはずで、したがいまして、いわゆる値引きとかなんとかいうことというのは、非常にそういう面では厳しいものがあるかと聞いておりますが、その問題は別といたしまして、NTTの中で価格というものを交渉して決めるのは国際調達室でございます。
  78. 千葉景子

    千葉景子君 最終的な決裁はどなたが行いますか。
  79. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) クレイ社との間で価格を決定し契約いたしましたセクションは、私は正式には存じておりませんけれども、国際調達室で契約を行ったというふうに思っております。
  80. 千葉景子

    千葉景子君 この調達については、常務会などは関与はなさらないですか。
  81. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私は存じておりません。
  82. 千葉景子

    千葉景子君 このスーパーコンピューター購入というのは、当時日米間で大変問題となっていたNTTの調達枠の中に入れたのではないかと思いますが、いかがですか。
  83. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私はもう当時全く担当しておりませんので、そのことについてはわかりません。
  84. 千葉景子

    千葉景子君 そうしますと、こういう調達枠の中に入れるか否か等を最終的に判断するのは、NTTのどのレベルの話になりますか。
  85. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私はそちらの方の仕事をしておりませんで、国際調達に関しましては私は全く担当外でございますので、私、わかりません。
  86. 千葉景子

    千葉景子君 NTTの組織機構といいますか、そういう中で見ては考えられませんか。
  87. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 国際調達室というところが米国から機材等を購入する担当になってはおりますけれども、最終的にどこまで国際調達室に権限があるのか、私にはわかりません。
  88. 千葉景子

    千葉景子君 このスーパーコンピューターは、実際にはNTT購入をいたしましたけれども、使用するわけでもない。しかし、NTT調達枠に入れるようなことになれば、これはNTTにとってアメリカとの間では大変信用問題になりかねないことではないかと思います。こういうことについて、アメリカの商務省でも大変不可思議な取引だというふうに言っているそうですけれども、だとすれば、このような非常に問題になる判断、日米間の問題にもなるような判断というのは、相当なトップレベルでの判断ということになるのではありませんか。
  89. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) そういう高度な御質問は、ちょっと私としては想像では物を言えませんのでお答えを御容赦いただきたいと思いますが、あくまでもコンピューターをリクルート社から頼まれて設計建設工事受託を行ったということの範囲しか私にはお答えできないので、大変申しわけございませんが、以上でございます。
  90. 千葉景子

    千葉景子君 証人はアメリカにはしばしば足を運んでいられたと聞いておりますが、どのような用件で出向くことが多かったんですか。
  91. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 新聞報道等で私そのように書かれたのを見たことがございますが、全くそれは実際と違っております。正確に申し上げますと、私がNTT在職中に米国に参りましたのは、十年前に一度参っております。それはコンピューターネットワークの調査団の一員として行ったことがございますが、それ以後、最近に至るまで、NTT在職中は全く米国には行っておりません。
  92. 千葉景子

    千葉景子君 ところで、証人は先ほど最初の御証言の中で、NTTを退職なさったという経緯を証言なさいましたが、どのような理由でNTTをおやめになりましたか。
  93. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 全く私、身に覚えのないことでございましたが、たしか昭和六十一年の十一月と後で伺いましたが、身に覚えのないことで告発を受けまして、その明くる年の六十二年の一月下旬の一部の新聞に報道されました。それがもとで週刊誌等にかなり書かれまして大変にお騒がせをいたしました。私も新しいところで仕事をしたいというふうに思いまして、六十二年の五月下旬に退任をさせていただいたという次第でございます。
  94. 千葉景子

    千葉景子君 ところで、その後リクルートUSAの顧問におなりになりましたね。そのいきさつについて少し証言をいただけませんか。
  95. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 格段の理由はございませんが、ちょうど退職、退任いたしました後、江副さんからすぐお話がございまして、どうなさるんですかということでしたので、私も日本を離れてアメリカでリフレッシュをしたいというお話をしたところ、リクルートUSAという会社がリクルートグループの中にあるので、そこで顧問でアメリカで仕事をしていただいて随時アドバイスをいただけないかというお話でございましたので、大変私うれしく思いまして、リクルートUSAの顧問という形で契約をさしていただいたということでございます。
  96. 千葉景子

    千葉景子君 その後、リクルート国際バンの代表取締役に就任なさっておりますが、このリクルート国際バンの設立とその代表取締役に就任なさった経緯、これについてもいかがでしょうか。
  97. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) リクルート国際バンという会社は六十二年の九月に設立されております。私が就任いたしましたのは六十三年の三月の下旬でございます。取締役会長という形で私就任いたしました。  以上でございます。
  98. 千葉景子

    千葉景子君 この代表取締役会長に就任なさったことについては、どなたからのお誘い等があったわけでしょうか。
  99. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) この会社は九月に登記いたしましたけれども、ほとんど六十二年の九月以降はまだ具体的には動いておりませんでした。  私はリクルートUSAの顧問でアメリカを少し動き回っておりましたが、国際金融に関する国際間の情報処理というようなテーマの仕事は大変おもしろいのではないかということを江副さんに提言いたしました。現在フィージビリティースタディーの段階でございまして、まだまだ収入はほとんどない会社でございますが、そういう提案をしたこともございまして、もうまだ本当にできたてのほやほやの会社なんで、まあひとつぜひ育てていただきたいというふうに言われましたので、それではお引き受けしようということで、本年三月に就任した次第でございます。
  100. 千葉景子

    千葉景子君 このような経緯を見ておりますと、江副さんからは大変信頼を受けていたということがうかがわれるようですけれども、ちょっと別な観点でございますが、お聞きしておきたいと思いますが、インテリジェントビル構築コンサルティング契約、それからリクルート川崎コンピュータービル構築コンサルティング契約、この二つのコンサルティング契約に対しての証人のかかわりはいかがですか。
  101. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 今伺って、全く私わからないわけでございます。それはリクルート社とどっかと契約を結んだことからかと思いますが、私は全く存じておりません。
  102. 千葉景子

    千葉景子君 リクルート社の川崎への進出問題などで証人が相談を受けたというような経緯はございませんか。
  103. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 全く記憶ございません。
  104. 千葉景子

    千葉景子君 ところで、今回さまざま問題になっておりますリクルートコスモス株、この未公開株については、NTTの中では真藤会長の秘書の村田氏、そして式場氏、長谷川さんと、こういう方に株が譲渡されているわけですけれども、証人としては、なぜこのような株譲渡を江副氏の方から持ちかけられたのだというふうに考えていますか。
  105. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私のこと以外は全くわかりません。後になって聞いたことでございますし、全くわかりません。
  106. 千葉景子

    千葉景子君 あなたは、江副さんから株の譲渡を受けないかという話がありましたり、あるいはお誘いがあってリクルートUSA、国際バン等の仕事をなさるようになった。なぜ、こう江副氏からこれだけの信頼を受けているのだというふうに考えていらっしゃいますか。
  107. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私、江副さんとの出会いは、先ほど申し上げました四十年のときに、いわゆるリクルート社テスト事業の中の性格テストということを使わせていただいたときでありますが、その折に大沢さんとのおつき合いができまして、たしかその年だと思いますが、リクルート社のパーティーがございました。そこで初めて江副さんにお会いして、非常に若々しいユニークな会社だなというふうに思っておりました。その後、直接お仕事ございませんでしたけれども、いろんなパーティーとか、そういう会合でよくお会いをしまして、いわゆるビジネスの感覚といいましょうか、そういう新しい事業を展開するという意味でいつもいろんなお話をさせていただいて、ですから足かけで言いますともう二十年超えておりますので、私とウマが合ったといいますか、そういう気心がわかっていただいて、私の性格などもかなりわかっていただいての御評価ではないかというふうに私は思っておりますが……。
  108. 千葉景子

    千葉景子君 そうなりますと、今のお話からですと、二十年くらい前に見かけて、その後は個人的なおつき合いを相当なさっていらっしゃいましたか。
  109. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 余りいわゆる竹馬の友とか裸のつき合いというような関係よりも、お互いに尊敬し合うといいますか、才能を認め合うといいましょうか、そういうような間柄でございます。ですから江副さんとは二人で旅行に行くとか、二人だけで何か会ったというようなことは余りございませんで、比較的何人かの会合の中でお会いをして、いろんなお話をしてきたというふうな仲でございます。
  110. 千葉景子

    千葉景子君 最後の質問にさしていただきたいと思いますが、今、才能を認め合うというような御発言もございましたけれども、そうなりますと、仕事などの面でもかなりの信頼を置いていたと、双方でですね、そういうことでしょうか。
  111. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 江副さんといつも会っていたときに感じたのは、私の方からは割に江副さんの考えとかリクルート社のいろんな動きはいつも教えていただいておりましたけれども、江副さんからは私に対して余りいろんな、私の専門に関するいろんなディスカッションとかアドバイスを求めるといったようなことはほとんどございませんで、専ら別な話をしていたというふうに記憶いたしております。  以上です。
  112. 千葉景子

    千葉景子君 終わります。
  113. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 以上をもちまして千葉君の発言は終了いたしました。  次に、和田教美君。
  114. 和田教美

    ○和田教美君 まず、江副さんとの関係からお聞きします。  先ほどのお話で、江副さんとの関係については、証人は大事な友人というふうなお話をされました。また江副さんは、去る十月の十二日の衆議院の税制特別委員会の病床質問というのがございましたが、その中でリクルートとそれからあなたとの関係について、長谷川氏は教育担当、研修担当として会社ぐるみのおつき合いをさせていただいてきたが、辞職のとき長谷川氏の才能等に魅力を感じていたので、新事業リクルート国際バンの社長にお願いしたというふうに答えておられました。  今のお話ですと、四十年に初めてお知り合いになったと、江副さんとはですね、ということですから、もう二十年以上のつき合いということで、かなり親しい関係と思われるんですけれども、そのきっかけはパーティーというお話ですが、どういう性格のパーティーですか。
  115. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 当時は私全くわからずに出席しただけでございますが、最近そのことについてリクルート社の人に聞いてみたところ、それは多分五周年記念パーティーだろうというふうに聞いております。
  116. 和田教美

    ○和田教美君 何ですか。
  117. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) リクルート社の五周年記念パーティー、設立五周年でございます。
  118. 和田教美

    ○和田教美君 リクルート社の設立五周年。
  119. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) はい、設立五周年。
  120. 和田教美

    ○和田教美君 江副さんの言う会社ぐるみのおつき合いというのはどういう意味かというようにお考えになりますか。多分私の推測では、リクルート幹部を含めたおつき合いということだろうと思うんですけれども、江副さん以外のリクルート関係会社の幹部との特にどういう人たちと親しくつき合っていたかをおっしゃってください。
  121. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 先ほども申し上げましたように、四十年の時点でリクルート社テスト事業というものを使わせてもらったんですが、そのときは大沢さんという方が窓口でございました。その後五十六年のころまではパーティ等で江副さんにお会いするということで、ほとんど他の方とのおつき合いがございません。  五十六年からは田中さん、今のリクルートインターナショナル社長でございますが、田中さん、当時専務でいらっしゃいましたが、田中専務と時々会合でお会いすると。いろんな情報関係の会合がございますので、田中さんはそのときにリクルート社のそういう窓口でおられたと思いますが、そういう会合でお会いをいたしました。  その後は、最近は、最近といいますか、二年ぐらい前からはリクルート社の若い方とも時々お会いするようになりましたけれども、ほとんど江副さん以外ですと田中さんと大沢さんということで、ですから会社ぐるみという意味は、仕事上のというよりも、幹部と私が時々お会いしたという意味で江副さん言われたんではないかなというふうに思います。
  122. 和田教美

    ○和田教美君 先ほどの証言で、余り一緒に旅行したようなことはそう多くないというお話でしたけれども、時々江副さん初めリクルート関係の幹部と会食あるいはゴルフを一緒にするというふうなことはあったのだろうと思いますが、大体、年はどのくらいでしょうか。
  123. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私の記憶では、五十九年まではほとんどいわゆる会食というのはなかったように思います。六十年、六十一年、六十二年の三年間で年間に二、三回ぐらいかなというふうに思っております。それからゴルフは、今まで過去二回ぐらいかなというふうに思います。
  124. 和田教美

    ○和田教美君 リクルート及びコスモス社が衆議院税制問題等に関する調査特別委員会に提出したリクルートコスモス株の譲渡先リストによると、証人はドゥ・ベストからの我々の言う還流株一万株を譲渡されたということになっておって、そのいきさつについてさっき説明がございました。  しかし、少し前の報道ですけれども、それ以外にもあなたは株を買っているのではないかというような報道もあったので、念のためにお聞きしますけれども、この一万株以外に別に一万株を江副さんから直接譲られたというふうな事実は全くございませんか。
  125. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) ある新聞報道で私も拝見をいたしました。リクルートコスモス社の株二万株が譲渡され五千数百万円の利益を上げたという記事がございましたが、これは全く間違いでございまして、一万株以外には買っておりません。
  126. 和田教美

    ○和田教美君 江副さんから電話で株を買ってくれというお話があって、そして江副さんのところのリクルートの本社のビルに行ったんですか。  それと、それからファーストファイナンス小林さんが株の契約その他の実務的なことに来られたのはあなたのつまりオフィスですね、オフィスに来られて話をしたのか、その点はどうですか。
  127. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 小林さんがお見えになりましたのは私のオフィスの方でございます。
  128. 和田教美

    ○和田教美君 江副さんの方は。
  129. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) それはリクルート社本社ビルでございます。
  130. 和田教美

    ○和田教美君 売買約定書ドゥ・ベスト社との売買約定書だというお話でございましたけれども、いつの日付になっておりますか。
  131. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 昭和六十一年九月三十日付だったと思います。
  132. 和田教美

    ○和田教美君 買った値段は一株三千円ですか。それから、その資金はファーストファイナンスから全額融資を受けたわけですか。
  133. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 一株三千円でございます。一万株でございますので三千万、三千万はファーストファイナンスから融資を受けました。
  134. 和田教美

    ○和田教美君 金利はやはり年七%の金利ですか。
  135. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 七%の金利でございます。
  136. 和田教美

    ○和田教美君 先ほどこのコスモス株を、六千株は要するにまずファイナンスからの融資分を埋めるために売って返却をした、あとの四千株もそれからしばらくして売った、こういうお話でございましたけれども、六千株を売ったのはいつですか。それと四千株はいつごろ売ったのか、それをおっしゃっていただきたい。
  137. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 最初の六千株は十一月の初旬でございます。私が払い込んだ日にちが十一月の六日だったと思います。これは余りはっきりしておりませんが、そのころだったわけです。  それで、四千株を受け取りまして私の証券会社に預けました後、四千株を売りましたのが昭和六十一年の十一月の下旬でございます。ちょっと日にちは今覚えておりませんが。
  138. 和田教美

    ○和田教美君 その売却益は、つまり六千株の売却益は全部ファイナンスの融資に返しちゃった。それでもう使っちゃったわけですね。そして、それ以後の四千株分についてはどういう使い方をされたんですか。
  139. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) これは全く私の私的な用に供しました。
  140. 和田教美

    ○和田教美君 六千株についてあなたは、株券は担保にとられているわけですから、株券は全く見ていませんか。株券を見たのは四千株分についてですか。
  141. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) そのとおりでございます。
  142. 和田教美

    ○和田教美君 そのときの持ち主の名義がドゥ・ベストになっておった、こういうことですね、四千株分についての。名義はどうなっておりましたか。
  143. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) ドゥ・ベスト社の名義でございました。
  144. 和田教美

    ○和田教美君 江副さんから先ほど信頼できる友人に株を渡したいということで話があったという説明でございましたけれども、安定株主になってほしいとか、あるいはこの株は十月になると店頭公開するんだからすぐ売っても結構ですとか、また一株三千円という場合に、要するに多少はもうかりますよと、値上がり確実ですよというふうなサゼスチョンですね、そういったものが江副さんないしファーストファイナンスの社長から全くなかったですか。
  145. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 全くございませんでした。
  146. 和田教美

    ○和田教美君 六千株の売却ですね、これはあなた自身の指図によって六千と四千に分けたんですか。それともファーストファイナンスの社長からあらかじめそういうことにしましょうということになってそうなったのですか。それとも証券会社に、もう証券会社にいろんなところが一斉に皆その時期にこのいわゆる還流株というのを売っているわけですね、その中の一つであって、あらかじめ証券会社に全部もう売買の時期について、売る時期について一任をしておって、そしてその売った売却益だけがあなたの口座に振り込まれる、そういうようなシステムになっていたんではないですか。
  147. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 先ほども申し上げましたように、私の記憶によれば、契約をいたしまして三千万がドゥ・ベスト社に、振り込み依頼は私がしておりますから、融資ファーストファイナンスから受けまして、払い込み三千万は私の意思でドゥ・ベスト社に振り込んでいただきました。それから、売っていただいた行為は私の方からお願いいたしております。そして、事務手続小林さんにお願いいたしまして、ファーストファイナンスとしては大和証券にそれを依頼して、私の口座にその代金が大和証券から入金いたしております。  ですから、依頼は私から、それから事務手続小林さんにお願いしたということでございます。
  148. 和田教美

    ○和田教美君 あなたがコスモス株の一万株を譲り受けた六十一年の九月三十日ですね、この当時NTTでどんな役職をされておりましたか。
  149. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 当時私は取締役データ通信事業本部長でございます。
  150. 和田教美

    ○和田教美君 データ通信事業本部長というのはリクルートのRCSの事業ですね、これと密接にかかわっているセクションの長でありますね。  それから、先ほどからも御説明ございましたように、NTTを通じてリクルートが買ったクレイ・リサーチ社のスーパーコンピューター、あなたはこれの一号機の取引の責任者でもあると。こういうことから、株を譲りましょうと言ってきたときに、これは江副さんが、まあいろいろスーパーコンピューターの問題なんかについてお世話になっているからまた今後もよろしくと、そういうふうなあいさつがわりとして多少もうけさせてくれるんじゃないかというふうなこの株についての認識、意識というものはなかったですか。それとも、全く商取引という考え方だったのか。その点を明確にしていただきたい。
  151. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 友人江副さんから頼まれたことでございまして、仕事とは全く関係ございません。そういう意味でお引き受けいたしております。仕事とは全く関係ないことでございます。
  152. 和田教美

    ○和田教美君 しかし、NTTは民間会社といっても準公務員ですね。だからそういう意味での、こういう問題についてのいろいろな制約というものも当然あなたは心得ておられると思うんですけれども、その点の意識も、準公務員というふうな観点から問題を考えるという意識も全くなかったんですか。
  153. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 具体的に細かい罰則について私は記憶いたしておりませんが、公社から会社になっても罰則規定があったことは存じております。私は、誤解を招くことをいたしたことは大変反省しておりますが、そのとき、間違いなく私は仕事関係はないと、友人友人の間で頼まれたことを引き受けたという意識でお引き受けをいたしております。
  154. 和田教美

    ○和田教美君 スーパーコンピューターの転売関係についてお尋ねいたします。  一号機を導入して、その契約は恐らく今のお話のように国際調達室からやったと思うんですね。それで、それの売却は、あなたが契約の責任者ですね。すると、相手方はだれですか。契約書にサインをしたのはどなたですか。
  155. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 契約の相手方は、江副社長でございます。
  156. 和田教美

    ○和田教美君 クレイ社のスーパーコンピューターNTT経由で購入するというこの転売、いわゆる転売方式ですね。これは業界でも非常に異例だというふうに見られておるわけですね。我々も日本クレイ社というところに行っていろいろ調べてみました。しかし、クレイ社のスーパーコンピューター、日本に既に十四台導入をされておる。しかし、こういう転売方式をとっているのはこのリクルートの二台だけだというお話でございましたが、あなたはその点は異例でも何でもないと、異常でも何でもないというふうにお考えですか。
  157. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私は全く異例ではないと思っております。  と申しますのは、新聞報道等で若干誤解があるように私は思っておりますが、例えば米国においてどうだろうかというふうに拝見いたしますと、米国のクレイマシンは既にボーイング・コンピューター・サービスというところを経由して他の企業に渡されているという実績もございます。それから、クレイ社からこの点に関する正式な文書がNTTに来ているというふうに私は聞いております。日本でも、いわゆる汎用のコンピューターというものをNTTが買って、付加価値をつけて設計建設受託で提供するという、そういう形というのは、具体的な数としてはそんなにたくさんあるわけではございません。ですから、数だけという議論をいたしますと異例のように聞こえますが、実際にこれはNTTのビジネスとしてやっておりますし、それからほかの場合も、そういうシステムハウスというところがこれからはどんどん進めていくことで、メーカーさんにとって全くおかしな話ではございませんし、私はですから異例ではないというふうに思っております。
  158. 和田教美

    ○和田教美君 一台目を買うときに、二台目もやはりNTTを通じて買うと、転売方式をとるということは決まっておったんですか。
  159. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私は、二台目のことについては全く関係しておりませんのでわかりません。
  160. 和田教美

    ○和田教美君 あなたは真藤会長の覚えもめでたくて、本来の仕事以外にいろいろ政治的な別工作みたいなこともやったというようなことが雑誌なんかに書かれております。先ほどの話では、アメリカにも全然行っていないということですけれども、そういう真藤さんの密命というか、命令を受けてこういう政治的な、特にこのスーパーコンピューターの問題について、中曽根さんとそれからレーガンさんとの会談などでアメリカ側からスーパーコンピューターを買ってくれというような話がずっと続いておった、そういう状況の中で、例えば政府の関係者だとかあるいは自民党の人たちだとか、そういうふうなところとのパイプ役になるとか、そういういわゆる裏の仕事ですね、そういうことをやったことは全くございませんか。
  161. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私は、そのようなことをやったことは全くございません。
  162. 和田教美

    ○和田教美君 六十年の四月と五月に、いわゆるNTT資材調達協定の日米政府間交渉というのがございましたね。これはNTT調達日米協議とも言われる会議なんですけれども、この会議NTT社員も参加したというふうに私聞いているんですね。その中にはあなたは入っていないかどうか。それから、それ以後もこの種の協議はずっと行われたと思うんだけれども、あなたがデータ通信事業本部長になってからもそういう会議に参加したということはございませんか。
  163. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 日米間のそのような会議に、私は全く出ておりません。
  164. 和田教美

    ○和田教美君 証人は、中曽根前首相、それから衆議院議員の藤波孝生氏ですね、あるいはまた中曽根さんの秘書の上和田あるいは筑比地、この両氏、藤波さんの秘書の徳田氏、こういう人たちと面識はございますか。
  165. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) いわゆるパーティーなどでお会いすることはたまにはございますが、親しくお話をするといったような間柄では全くございません。
  166. 和田教美

    ○和田教美君 次に、もう時間もなくなってまいりましたので、価格の問題、つまり、あなたが契約の当事者であった第一号機の転売の価格の問題についてですね。大体十九億九千八百万ぐらいだというふうに新聞に報道されておりますけれども、正確な値段は幾らですか。つまり、輸入価格は幾らで、それでリクルートへの売却価格は幾らかということをおっしゃってください。
  167. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私は、価格について全く記憶しておりませんでしたので、リクルート社にあります契約書をちょっと見てまいりましたので非常に漠とした数字でしか申し上げられませんが、約二十億強であったというふうにその資料からは拝察できますが、それ以外については全く記憶がございませんし、また、クレイ社から国際調達室が幾らで買ったかという点は、全く私は存じておりません。
  168. 和田教美

    ○和田教美君 そのクレイ社から買ったものに、要するに手数料その他いろいろなソフトの費用だとかそういうものを上乗せして売ったんだと思うんですけれども、大体何%上乗せしましたか。
  169. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私は、その任にございませんので、全くわかりません。
  170. 和田教美

    ○和田教美君 スーパーコンピューターの場合にもアプリケーションソフトというものが当然要りますね。これが非常に高いということが言われているわけです。それで、例えば通産省の工業技術院が買ったスーパーコンピューター、これのアプリケーションソフトは十億ぐらいかかっているというふうなことを言われているんですね。そんなことで、工業技術院のものの場合にはリクルートの一号機と同じ機種ですね、それが大体四十億ぐらいかかっているというふうな話もある。ところが、リクルートの場合は今のお話ですと二十億ですね。どうしてそんなに違うんですか。この中にはこういうアプリケーションソフトというものは全く含まれていないんですか。
  171. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) これは、お値段がどういうふうに構成されているかという、まあ先生御存じのことと思いますが、いわゆるコンピューターの場合には、ソフトを別にしてハードウエアの構成によって値段ががらっと変わります。いわゆるCPUの処理のスピードの問題、それから周辺装置でディスクが何台つくか、それからワードマシンかどうかによっても違います。ですから、例えばクレイ社のコンピューターでも、種類とそれから周辺の数によって値段はもう非常に大きく変化いたしますから、一概に値段が十億、二十億、三十億と違うということだけではなかなか比較はできません。それからソフトウエアも規模によって値段がもうがらっと違いますから、これもどういうものを使っているかによって値段が変わってまいりますので、ただ単に四十億と二十億ということでもなかなかこれわからないことでございます。
  172. 和田教美

    ○和田教美君 あなたは六十年四月から六十一年六月までNTT取締役東京総支局長というのをやっておられますね。そうすると、私の聞いたところでは、総支局長というのは都内の大口ディジタル専用通信回線、これを統括する立場にあるというふうに聞いているんですね。そうなると、リクルートが回線リセール事業で六〇%までどんどん伸びちゃったと、そういう場合に回線リセールの問題について非常に深くかかわったんではないかと、そこでいろいろな便宜供与が行われたんではないかというふうにも見られるわけですけれども、その点はいかがですか。
  173. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 組織上の責任が非常にややこしいのでちょっと御説明いたしますと、例えばリクルート社からの営業の窓口は式場企業通信システム本部長が所管しておられる。そこでリクルート社からの営業の窓口一本で受けて、そこから専用線事業部というところに参ります。いわゆる事業の責任は専用線事業部が担当しております。その専用線事業部から全国の総支社に該当する工事の命令が行くと、あるいは依頼が行くと。それを受けて全国の現場の設計建設工事が行われ、保守が担当されると。ですから、いわゆる専用線の事業責任者は専用線事業部長でございます。総支社というのはそこから受けて、下請的に工事を受けて工事を行い保守を担当するという関係でございますから、いわゆる専用線事業に対する総括責任者は専用線事業部長ということで、総支社長ではございません。
  174. 和田教美

    ○和田教美君 委員長、まだいいですか。
  175. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 和田君、時間が参りました。
  176. 和田教美

    ○和田教美君 もう一問。
  177. 梶木又三

    委員長梶木又三君) それじゃ、その一問でやめてください。
  178. 和田教美

    ○和田教美君 はい。  証人は、先ほど御説明がございましたように、事情があって退職されたわけですけれども、その前から江副さんはあなたをリクルートにスカウトしようというお考えだったのか、あなたもやめる前から既にリクルートに行こうというふうに考えておられたのか、それともやめられてから江副さんから話があって初めてリクルート関係に行くということに決意をされたのか、その点はどうですか。
  179. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) やめてからでございます。
  180. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 以上をもちまして和田君の発言は終了いたしました。  次に、山中郁子君。
  181. 山中郁子

    山中郁子君 今までのお話ではっきりしたことは、端的に申し上げまして、あなたが自分ではいささかのお金も出さないで、江副さんに言われて短期間に二千万の現金を入手されたということに尽きると思いますけれども、その点はお認めになりますね。
  182. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 江副さんから御依頼のあった株をお引き受けいたしまして、その後四千株を売って……
  183. 山中郁子

    山中郁子君 端的に答えてください。
  184. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) はい。  その面では確かに私、収入はございましたけれども、それは当初江副さんからのお話お引き受けしたというときに既に決まっていたというふうには私は思っておりません。
  185. 山中郁子

    山中郁子君 私は、とにかく事実として二千万それでもって入手をされたということを申し上げているので、あなたもそれは否定はできない、事実である。それは結局、あなたの業務に関して現金を受け取ったということに実際なります。  あなたがよく御承知のように——そうですよ。あなたはもともと、ずっと長いこと電電公社で働いていらしたんだから、それがNTTになって民間になったとしても、これが特殊法人会社であって、そして実際にこの会社法によって準公務員の扱いになっていて、職務に関してお金を受け取るということがそれだけで収賄罪が成立するという知識は十分おありのはずだし、事実そういう問題なんです。そういうことについてあなたはどのように考えておられたんですか。
  186. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 株の問題と仕事は私は全く関係なくお受けしておりますので、私は全く関係ないと思っております。
  187. 山中郁子

    山中郁子君 関係がないと言ったって、現実に二千万のお金をあなたが手にされたことは否定できない事実であります。そしてあなたは、電電公社それからまたNTTと特にデータ関係の畑でずっとやっていらして、それで江副さん自身もいろいろなところで述べておられますし、最もはっきりわかるのは、衆議院において行われました臨床質問で、会社ぐるみのおつき合いをしてきたと、そして辞職をしたときには、氏の才能と魅力を感じていたので、新事業バンにお願いをいたしました、こういうことを参考人としての発言で述べておられるわけです。これははっきりしているでしょう。才能というのは新事業バン、要するにあなたがデータ通信の分野でずっとやっていらした、電電公社からNTTにかけてのそのお仕事の中で、前からの友人だと何回もおっしゃったけれども、それは要するに江副さんが認めたのはその才能です。それで新事業バンに、働いてもらおうと思ってリクルートに来てもらった。社会的に不名誉なトラブルに、それが原因して、率直に私は申し上げるけれども、あなたはNTTを退職せざるを得なくなった。  そうしたら、二千万のお金をあなたはリクルートから受け取っただけでなくて、さらにその後自分の身の処理方として、リクルートに迎えられて、そして今リクルート、USAリクルート、それからさらにはリクルート国際バンの社長ないしは先ほど会長というふうに言われたようにも聞こえましたけれども、いずれにしてもそういう要職につかれておられる。これは実際問題として、現実にあなたが職務に関して、職務からこうしたリクルートとの、江副氏との関係が生まれて、そこにお金、株、地位、そうしたものが提供されたという事実は、このことが今多くの国民の疑惑を招いていて、ここの委員会でも解明をしなければいけないということで、あなたは証人としてこちらにおいでになるということになったんです。そこはよくよくお考えになって、率直にお認めにならざるを得ないと私は思いますけれども、いろいろな言い回しでもってごまかすのではなくて、事実がそうだということで証人としてあなたがここに出席をされているんだということははっきりお認めをいただかなければならないと思いますけれども、いかがですか。
  188. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 大変社会的にお騒がせをしたことに対しまして深くおわびをいたしますし、今にして思えば、立場を考えずに誤解を招くようなことをいたしましたことについては、国会、政府、NTT初め大変多くの方に御迷惑をおかけしたことについては深くおわびをいたします。  ただ、株の件につきましては私、職務権限あるいは仕事内容と全く関係ございません。リクルート社の幹部の方どなたからも一切私は特別なことをお受けしたことはございませんので、私はそのように申したいと思います。
  189. 山中郁子

    山中郁子君 人に迷惑をかけたとか、あるいは反省をするとかというような問題で済むことじゃないということを、私は先ほど事実の経過に照らして指摘を申し上げました。  そこで、今、問題になっているリクルート社のクレイのスーパーコンピューター購入に当たってでありますけれども、我が党の調査に対して日本クレイ社は、一台目は、まず六十年春にリクルート社からアプローチがあり、その後でNTTが関与してきた、リクルート社への転売を前提にして話が進んできたと、こういうことを言っていますけれども、この経過はこのとおりでしょうか。
  190. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 先ほど申しましたように、私六十一年の七月に着任しておりますので、その前の事柄については私全く存じておりません。
  191. 山中郁子

    山中郁子君 あなたはデータ部門を一貫して歩いてきていらして、初めに委員長の質問に対するお答えでも述べておられましたけれども、社内の経歴というのはほぼ中心的にデータ畑なんです。だからわずかな時間が、形式的に少しあなたの職責といろいろな事態が違っているからといって、そのことが全くわからない、そういうような実態にNTTの社内のありようがあるなんということはありません。私は、社内の内容について逓信委員会で多くのことも伺ってきておりますし、よく知っております。あなたがそういうことを知らないはずがないし、あなたが経歴からしてそのことについて知っているはずだということは社内でも公然と言われていることです。  そこで、伺いますけれども、NTTが買った、そしてリクルートに転売をしたというこの経過の中で、お金の流れ、あなたが実際に担当なさったことも含めてで結構ですけれども、実際には、購入代金はNTTはタッチしていない、直接リクルートに渡っている、金の流れはクレイ社から、そういう事実があるということも言われておりますけれども、その点はいかがでしょうか。
  192. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 先生のおっしゃいます御質問のお金の流れということが、もしクレイ社から、契約をし、スーパーコンピューター購入して、それがリクルート社に物が渡り、その代金がNTTからクレイ社に行った、そのお金の流れということでございますと、私が所掌の範囲で存じておりますのは、データ本部とリクルート社の間でどういう契約が行われ、お金が流れたかということしかわかりません。それは先ほど申しましたように、約二十億強であったというふうに私は記憶いたしております。
  193. 山中郁子

    山中郁子君 それでは、クレイ社からリクルートに直接お金が渡っている、そういう流れがあったということはないということをここで証言なさるわけですね。
  194. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) それは全く私の記憶にはございません。
  195. 山中郁子

    山中郁子君 六十生の一月に日米首脳会談がありました。そして、四月四日の経済対策閣僚会議で中曽根前総理がNTTの対外調達をふやせという指示をしておられます。その翌日、早速当時の左藤郵政大臣が真藤社長にその旨を要請しました。その結果、それまでのNTTではやっていなかったスーパーコンピューターの転売のための輸入、こういう事態になったというのは、当初の政治状況の背景、それから事実経過に照らしても大いに納得のいく流れでありますけれども、それによってリクルートは中曽根政権に対しても、またNTTの真藤さんに対しても、いわば恩を売ったということが言われている、そういう構図になってきていますけれども、これらの流れについて、あなたが当時おられた職責の上から、あるいはリクルートとのつながりの中から何らかの積極的な役割を果たされたという経過はおありですか。
  196. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私は全くその事柄には一切タッチいたしておりません。
  197. 山中郁子

    山中郁子君 何でも全く御存じないというのがあなたの先ほどからの御答弁でございますけれども、実際をここで証言なさるというのがあなたの責務だということはよくよくお考えをいただきたいと思います。  それで、衆議院の逓信委員会での郵政省の答弁でも、このときの目玉がNTT調達と通信衛星だということはきちんと答弁している。そして、この目玉の一つとしてスーパーコンピューター購入したことによって、対米調達額が前年から辛うじて二億円ふえて、それで中曽根さんも真藤さんも面目が立ったというのが具体的な経過です。この後、六十年九月にアメリカで行われたNTTの資材調達セミナーに真藤さんが出席されている。このとき、国際調達室長ほか四人の方がNTTから随行しておられるはずでありますけれども、あなたもここに同行しておられたのではないですか。
  198. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 同行いたしておりません。
  199. 山中郁子

    山中郁子君 NTTリクルートに転売をした二台目のクレイ社のスーパーコンピューターでありますけれども、中曽根前総理は、八七年、つまり昭和六十二年の五月一日の日米首脳会談で、レーガン大統領とNTTが一台追加購入するという約束をしました。このときあなたはデータ本部長だったと思います。首脳会談の前に、中曽根前総理とNTTリクルートの三者の間で当然相談があったと思いますけれども、その点はどのように承知されておられますか。
  200. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 二台目のスーパーコンピューターにつきましては、先ほど申し上げましたように、私は六十二年の三月下旬から担当がかわっておりますので、全く存じておりません。  ただ、現時点、今リクルート社におりますので、二台目はどうかということを聞いてみたところ、NTT依頼が、依頼に行ったのは六十二年の四月の下旬か五月の上旬ごろだというふうに私は聞いております。その以前の事柄で二台目のスーパーコンピューターが議論になったというふうにはリクルート社の担当は申しておりません。  以上です。
  201. 山中郁子

    山中郁子君 それでは、四月の下旬から五月の上旬というのは、実際に日米首脳会談で、中曽根・レーガン会談が五月の一日ということでありますから、四月の下旬ということでありましょうと私も理解いたしますが、そのときの話の内容というのはどういうものだったのですか。
  202. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私はおりませんでしたので、全くわかりません。
  203. 山中郁子

    山中郁子君 あなたは、最初にいなかったけれども、それが四月の下旬から五月の上旬にかけてあったということはさっきお答えになりましたけれども、じゃ、そういう話があったということは事実なんですね。そのように聞いていらっしゃるということですね、二台目の購入に関して。
  204. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私が担当に聞きましたのはそのことだけでございまして、それ以外は聞いておりません。
  205. 山中郁子

    山中郁子君 ところで、事前にNTTに相談なしに中曽根さんがレーガンにNTTが一台追加発注するよということを言うということは考えられないと私は思います。あなたはNTTの役員もしていらして、ずっとそこの中で働いていらしているわけなのですけれども、そういうことが考えられないということについてのあなたの御見解はいかがでしょうか。
  206. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 役員をやっておりましても、NTTは大変大きゅうございますし、担当の範囲というのはきちっとしております。私は、東京支社長という担当でございますから、特に本社の中で何が行われておりましたか、全く存じておりません。
  207. 山中郁子

    山中郁子君 それは、知らないというのか、そういうことがあり得ないというのかということについてはわかりませんけれども、あなたのおっしゃる意味が。もしそういうことがないとすれば、そういうことが頭越しに行われたと、つまり中曽根さんは何の話もNTTとしないでレーガンさんと約束をしてきたというようなこと、考えられないことが出てくる。あるいはNTT自身が買うものとしては、直前の三月にもう契約済みで、クレイから買っているんですね。だからこれは当然リクルートに回るものとしてはっきりしている。その後の経過もはっきりしています。  それで、このときの首脳会談で、個別問題としてこの三つが問題になっている。関西新空港建設工事への参加、それから第二KDD関連の工事、それからスーパーコンピューター購入、これが個別の問題として日米首脳会談、中曽根・レーガン会談の中で明確に出されていて、先ほど申し上げた経過になっているので、重要な役職にあったあなたがNTTの中でそのことが何にもわからないということについては、大変誠実な認識をここで述べていただいていると思えないということだけ私は指摘をしておきます。  ところで、一台目の機種選定に際してですけれども、これも初めには東芝が五〇%ユーザーとして利用するということがあったので、そしてまた、東芝自身もその方が自分の会社で買うより安くつくということがあったので、最初の機種、つまりXMP一一というものなんですけれども、それより容量の大きいXMP二一六というものに変わったということが報道もされているし、社内でも話がされているし、さまざまな情報もあります。つまり、リクルートが結果的に買った、実質的にはリクルートが買った一台目の機種選定に東芝とNTTが関与していたということについては、あなたは何らかの情報を知っておられますか。
  208. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 当時のNTTデータ通信事業本部長としては、今おつしゃいました東芝との絡みということを私は全く聞いておりません。  現時点で、東芝さんに御利用いただけるのでということは私聞いておりますけれども、その前のときの関係は私全く存じておりません。
  209. 山中郁子

    山中郁子君 じゃ、東芝が大口利用者として利用しているということは、実際そういうようになっているということはあなたも御存じだということだと思います。  それから、このスーパーコンピューターの導入の問題に関して、さまざまな便宜供与がNTTからリクルートに行われたということがいろいろな点で問題になっておりますけれども、細かいことを今伺う時間がありませんので、私は一つだけぜひ伺わせていただきたい。  つまり、リクルート社スーパーコンピューターは現在、横浜西ビル、大阪堂島ビルに置かれています。そこで、場所を貸すことと転売はセットの話だったのかということが一つです。それから、本体組み立て以外の工事やサービスなどもそのときセットの話だったのかということが一つ。  問題は、いろいろなサービスがありますけれども、賃貸契約ですね、その場所を、堂島ビルと横浜西ビルをリクルートに貸したわけでしょう。リクルートスーパーコンピューターを置かしてあげているわけですね。そのときは、あなたが江副さんといろいろな契約をしたというお話が先ほどからありましたけれども、この賃貸契約の基礎はどういうものですか。横浜は四十九年、つまり十四年前に建物ができて、土地はそれよりずっと以前に購入されていた。大阪は五十年に建物が建てられた、ほぼ十三年前。そしてこれも土地はずっと以前に購入されていた。したがって、この貸しているお金の基準はその簿価を基準にして賃貸しているという話が、NTTは当然のことながら一般的にそのように行っているし、この問題についてもそうなのだということが言われております。この点についてあなたはどのように認識していらっしゃいますか。
  210. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) NTTが局舎、あいている局舎をお客様に使っていただくというような場合にその賃料はどう決まるかということに関しましては、私は担当専門でございませんのでわかりません。  横浜西の場合で申しますと、本社の建築部というところがございまして、そこがすべて基準的なものは掌握しているというふうに理解しております。私の、専門ではない私の理解でございますが、その土地に関しましては、不動産鑑定士で鑑定された価格というものをベースにして適正な価格というものが計算されてお貸ししているということで、全く適正な価格であることには問題はないというふうに私は思っております。
  211. 山中郁子

    山中郁子君 一問だけ。  適正な価格というのは、実際、今物すごく大変高い土地の価格になっているんですね。これがそういう当時の簿価を基準にしてリクルートに貸し与えられているとすれば、これはやはり大きなサービスのうちの一つになる。そしてあなたの職務に、経過から見て関係してきて、あなた自身が契約担当者であるということは先ほどお認めになったことですから、私はそこにも重大な問題が出てくるということを指摘いたしまして、時間のようでございますので、私の質問を終わります。
  212. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 以上をもちまして山中君の発言は終了いたしました。  次に、柳澤錬造君。
  213. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 証人にお聞きしたいのは、先ほど、江副さんというのは大変大切な友人ですと、昭和四十年ごろからのおつき合いで、若々しくてユニークな人だと、こう言われたんですが、そのころの江副さんの地位、それから証人のあなたの地位というのはどの程度だったんですか。
  214. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 四十年の時点では、江副さんはリクルート社の社長でおられました。私は中央電気通信学園の課長というポストにおりました。
  215. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それからまた、先ほど事業と株は全く関係ないということも御証言なさっておったんですが、私もそのとおりだと思うんです。しかし、このリクルートコスモス株の譲渡について江副さんからお話があったのは昭和六十一年の九月、その前の七月にあなたは情報通信事業本部長になられているわけです。そして、私が一番お聞きしたいのは、三千円の株一万株といえば、さっきから出ているように、これはもう三千万円。個人で三千万円の金を用意して一万株を買うという、そういうお話が簡単に引き受けられるようなものだったと御判断なさったんですか。
  216. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 売買約定書の中身を拝見したときに、やはりそれはかなり驚きといいますか、いや、これはなかなか大変だなというふうに思ったことは率直に申し上げて事実でございます。やはり三千万というお金は大変なお金でございますから、そう思ったことは確かでございます。率直に申し上げて、そのことと、私と江副さんとの間柄ということで私はお引き受けしたわけでございますが、私は率直に申し上げて、やっぱり江副さんに頼まれたことなんで、ここで何か例えば半分にしてほしいとかなんとかということは、メンツにかけてもそういうことを言いたくなかったものですからお引き受けしたというのが率直な気持ちでございます。
  217. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 じゃ、当時、今度はNTTの株、証人はどのぐらいお持ちになっていたんですか。
  218. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 現在六株持っておりますが、どの時点で何株かはちょっと今正確に覚えておりません。現在六株持っております。
  219. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それなりの地位におられたんですから、大切な友人と言えるような相手はたくさんおられたと思うんです。そういう関係からお聞きしたいのは、このリクルートコスモスの株以外に、あなたが関係しておった会社の株でお持ちになっているのは幾つぐらいでございますんですか。
  220. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) ございません。
  221. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 ですから、そうしてくると証人、もう一回さかのぼって、先ほども言われましたように、確かに事業と株は関係ない、そのとおりなんです。しかし、江副さんからお話があった。しかも、そのときに三千万円の金がないと一万株も買えない。そのとき、あなたがそのお金をお持ちになっていたかどうか私は知りませんけれども、これは大変なことだな、いかに大切な友人であっても、そのことを引き受けるということをなさった以上、それが今こうして問題になって、その辺のところに関係がなかったと言い切れるかどうかという疑問が持たれることになって、きょうもここへ証人として御出頭なさっているんですけれども、もう一回そこのところを、当時、どういう御判断をしたのか、心境をお聞かせいただきたいのですけれども。
  222. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 繰り返しになりますけれども、その時点での考え方というのは、やはり江副さんに頼まれたので、とにかくお引き受けしようということ以外にはございません。
  223. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 しかし、証人、考えてください。これは梶木委員長のときに御答弁なさっているんだけれども、九月の末にお話があって、小林さんがおいでになって、それでファイナンスのお金で買った。で、十一月の初めにもう六千株を売って、その三千万円の借金を返した。あとの残りの四千株は、今度は自分の私的な用に必要があって売りました。じゃ、この四千株をお売りになったのはいつなんですか。
  224. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 六十一年の十一月の下旬でございます。
  225. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 十一月の初旬に六千株を売って借金は返した。その下旬に既に四千株を売って、今度はそれは自分の私的な用にしたということになると、これも先ほどから出ているように、どう考えても四千株の四、五、二千万円というものが、ぬれ手でアワという言葉は使いたくないんですけれども、そういうぐあいでもって自分の懐に入っちゃったんですという理解が一般に持たれるんですけれども、そのことについてはお認めになるんですか。何か言いたいことございますか。
  226. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) これはやはりずっと持っていたいと思っていたことではございます。あの四千株を戻して私の口座に入れた時点では、やはり江副さんからの依頼でございますから、ずっと持っていようと思ったんでございますが、その点は、確かに十一月下旬に売りましたので、私は江副さんには本当に申しわけないことだというふうに思っております。
  227. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 次に、やっぱり私もスーパーコンピューター関係を若干お聞きしておきたいと思うんです。  それで、先ほどから時々御存じないというふうなお話が出てくるんだけれども、六十一年の七月にデータ通信事業の本部長になられたわけですね。ですから、そういう点でもって、少なくともこれはおわかりいただけると思うんだけれども、最初スーパーコンピューターをアメリカからお買いになったのは、何台買われたんですか。
  228. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) もし先生の御質問がクレイ社からNTTが何台かというお話でございますと、リクルート社のために買った前には、たしか私の記憶では二台だというふうに思っております。三台目がリクルート社様のために買ったコンピューターかと思います。私の記憶が正しければそうでございます。
  229. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 もうちょっとはっきり。NTTとしてお買いになって、それから今度はリクルートへ行くわけでしょう。ですから、NTTがクレイ社からお買いになったのは何台あるんでしょうかと。
  230. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) その時点では三台目だというふうに思います。  以上でございます。
  231. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それで、リクルート社の方への転売の手続というのは、具体的にどういう内容、契約といいましょうか、内容になって転売したんですか。
  232. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 設計建設受託契約と、包括的にはそういうふうな考え方でクレイのコンピューターを購入いたしまして、そして、横浜の西局に設置工事を行い、そこに通信回線を接続してトータルシステムをつくって、そして総合テストをする。そして、すぐに使えるという形にしてリクルート社にお売りをしたという、こういう仕事でございます。  そのときの契約の形は、リクルート社との間では、先ほど申し上げましたように、四つに分かれて契約されております。リクルート社NTTの間の契約は、私全く存じておりません。
  233. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 リクルート社以外にNTTの方から転売したという会社はあるんですか。
  234. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) クレイ社のスーパーコンピューターについてはほかにはないと思います。
  235. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 その転売の契約内容は、今はっきりしていないというお話なんですが、このスーパーコンピューターの設置場所がどこかということはもうおわかりだと思うし、それからメンテナンス、保守、そういうこともNTTでおやりになっているんじゃないかと思うんですが、その辺は証人として転売のときの契約の内容に含まれているというふうに見ているかどうか、いかがですか。
  236. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 少し正確に申し上げますと、リクルート社NTTの間の契約の中に、物を売ってあるいは設計建設工事をしてお金をちょうだいするという、そういう意味での契約と、それからデイリーに運用する、保守をするという、そういう面と二つございます。その保守の方は、リクルート社はクレイ社と契約をして受けているわけです。それからマシンの運用という面では、NTTの子会社との間で契約をしている。NTTシステムサービスという名前だと思いましたが、そこと契約をしているわけです。  ですから、工事とコンピューター本体を含めてのお売りしたという問題と、その後の保守運用の問題とは全部分かれております。クレイ社との契約は、私は拝見しておりませんけれども、それ以外のNTTデータとリクルート社の間の契約は四つございました。それは、私は見ておりますけれども。  以上でございます。
  237. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 もうちょっと突っ込んでお聞きしたいんですが、スーパーコンピューターNTTの社内に置かなければならないという理由がどういうところにあったのかということですね。  それから、先ほどもう他社へ売ったのがないと言うからないはずだと思うんだけれども、他社のそういうスーパーコンピューターのようなものがNTTの中には、これはまあないことになるし、そうしてくると、このリクルートスーパーコンピューターだけになってしまうんですが、何でNTTの社内にそれを設置することをしてやらなければいけなかったのか。何でそういう便宜供与が必要だったんだということはいかがですか。
  238. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) データ通信事業で設備サービスを行う場合に、お客様に提供するコンピューターの、これ一般論でございますが、一般的にそのコンピューターを設置する場所は、通常NTTの局舎内にございます。NTTの局舎の中に汎用コンピューターを入れてお客様に提供しておりますから、通常のデータ通信サービスの事業では局舎フロアはNTTのものを使うというのはほとんど大半そうでございます。  それから、お客様からの御要望があって、そういう設備サービス以外にでもあいている場所をお貸ししようということは、昭和四十年の秋以来そういうことが行われておりますが、そういう場合も別にございます。ですから、NTTの局舎の中にお客様のコンピューターが置かれているという状態は全国にたくさんございます。ですから、全く異例なことではございません。ですから、NTTとしてはどうせあいているならばお貸ししよう、そのかわり不動産鑑定士等の価格を使って適正な料金でお貸ししようということは常識となっておりますので、特に変わったことではございません。
  239. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 そうしますと、今話ししているのは、転売したというのはXMP二一六、御存じだと思うんです。これをリクルート社に転売をして、その後すぐXMP一八をNTTがまた購入して、それもまた半年ぐらいでもって転売をしているんですが、その辺のいきさつは御存じかどうか。
  240. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私は第一号の契約の担当でございましたから、その分は存じております。  第二号機については、全く関係ございませんので、存じておりません。  一号も二号もともにリクルート社としての都合でNTTの方に依頼が来たというふうに思います。  以上でございます。
  241. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 柳澤君、時間が参りましたので、もう一問だけ。
  242. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 時間ですから、最後にもう一回。  今の点で私が御存じですかと聞いたのもそうなんです。先ほどのいろいろの質問の中で、あなたのNTT退社が六十二年の五月、それで今のXMP一八の購入というのは六月なんです。しかし、もうそれなりの地位にあったんですから、全然知らぬということはないだろうし、既に当然そういう話が出ていたと思うので、もう一回だけ、なぜそういう転売をすぐ半年でするようなことになったのか。その契約の内容で、証人として御存じのところだけお聞かせください。
  243. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 二号機については、私は全く相談を受けておりません。存じておりません。  なお、一号機、二号機が非常に接近しているようにお考えでございますが、二号機が正式にリクルート社に引き渡されましたのは、依頼は確かに六十年五月でございますが、引き渡されましたのは六十三年の二月でございますから、したがって完全に一年間間があいております。ですから、そういう点では通常のサービスがお客がふえていくに従って造成されていくパターンで、余り不思議はないんじゃないかというふうに思いますが。
  244. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 終わります。
  245. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 以上をもちまして柳澤君の発言は終了いたしました。  次に、野末陳平君。
  246. 野末陳平

    野末陳平君 これまでのあなたの証言を確認することになると思うんですけれども、長谷川さんは御自分名義のリクルートコスモスの株券を見たことがあるのかないのか。見たことがあるならば、それはいつの時点だったのか、それをもう一度お願いしたいんですが。    〔委員長退席、理事斎藤十朗君着席
  247. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) お答えいたします。  私が初めて株券を見ましたのは、六十一年の十一月に六千株を売った後、融資を受けたお金をお返しした後のときに、融資書類を返還していただいたときに四千株の株券を私は受け取って、そのときに初めて株券を見ました。
  248. 野末陳平

    野末陳平君 その株券にはあなたのお名前がはっきり書いてあったと、その四千株、それを確認したと、こういうことですね。
  249. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) ドゥ・ベスト社の株券で、名義が私に変更されていたのかどうかちょっと私は記憶しておりません。
  250. 野末陳平

    野末陳平君 それから、それまでの話だと何か大和証券と関係があって、そこへ預けていたとかいう、そんな話もありましたですが、この六千株を売却して融資返済、これが終わりますね、返済ができましたね。そうすると、担保が解けますから、担保が解けた残りの、一万株の残りの四千株が初めて手元に来る。ここまではわかりますが、これは次に売るときまで手元に置いておいたんですか、それともしかるべき証券会社に預けた、それはどっちだったですか。
  251. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私の口座のございます証券会社、日興証券でございます、そちらの方に預けました。
  252. 野末陳平

    野末陳平君 さっき大和証券という言葉も出たんですが、それと今の日興証券とのちょっと食い違いはどういうのか、もう一度詳しく正確にお願いします。
  253. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私が先ほど大和証券の名前を出しましたのは、六千株を売りました代金が私の口座に大和証券から送金されたということを申し上げたわけでございます。
  254. 野末陳平

    野末陳平君 繰り返しますと、六千株はそもそも大和証券預かりになっていて、そこが売ってそれでお金を振り込んだ。それから今度四千株については別に日興証券に、当然預かり証と交換になるわけですね、そこで売ったら今度の四千株の代金は日興からそちらの口座に振り込まれたんだと、こういうことでいいんですか。    〔理事斎藤十朗君退席、委員長着席
  255. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 四千株につきましては日興証券から売ってもらいました。
  256. 野末陳平

    野末陳平君 そういう売却の経緯の書類は今でもきちっと保存し、今回について確認をなさった上のお答えでいいですね。
  257. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) そのとおりでございます。
  258. 野末陳平

    野末陳平君 きて、結果的には二千万円が自分のお金を調達しなくても手に入ったと。いわばもうかったということに結果的にはなると思うんですけれども、ただ、あなたの今までの証言によりますと、これは全く友人に頼まれたという、頼まれたから引き受けたんだという、いわば友情のような部分だけが強調されておりまして、一切そこに利害のような感じが受け取れない証言でしたけれども、常識で考えまして、やっぱり三千万円の借金をしてまで友人の会社の株を買う、これは度胸の要ることですしね、あなたもかなり驚いたというようなことをちらっと言いましたけれども、やはり相当不安になるのが本来なんですね。そういうこと全然なしに、これはメンツにかけてもだというのはちょっと常識外なんですが、どうなんでしょう、そのときの気持ちをもう一度説明してくれますか。
  259. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) それは率直に申し上げまして、そういうふうな多額のお金の要ることに関してはやはり不安と申しましょうか、そういうことがないわけではございませんけれども、やはり私は江副さんから頼まれたことなんで、もうお引き受けしたことでございますから、それはもうとにかくお引受けしようというふうに覚悟した次第でございます。
  260. 野末陳平

    野末陳平君 ただ一つ不思議なのは、店頭登録にこれからなるわけですね、値がそのとき初めてつくわけですから。そういうことについての説明を三千万融資する方もある程度しなきゃおかしいと思うんですね、どうなるかわかりませんのですから。そういう意味の説明は多分あったに違いないし、あなたもひょっとしてこれは値上がりしてと。それ全然なしに友人というだけで引き受けると、そこまで強弁されるとどうかなと思うんですがね、疑惑が出てくるんですが、どうですか。
  261. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私、まあ想像といいましょうか考えますに、多分江副さんは小林が私に言うと思われたのかもしれませんし、小林社長はもう江副社長から話が行っていると思われたのかもしれません。ですから、お二人が私にお話ししなかったというのは、まあこれは推定でございますけれども、両者それぞれそう思われたんではないかなというのが私の推定でございます。
  262. 野末陳平

    野末陳平君 それでは話はなかったと。しかし、あなた自身がある程度のことを考えなければ三千万の借金はしょえませんからね。じゃ、あなた自身は全くそれも考えずに、店頭登録後どのくらいになるかとか、あるいはこれで損になるのか得になるのか全く考えなかったということなんですか。
  263. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 少なくともその瞬間といいましょうか、江副さんからお話の後の小林さんのお持ちになった売買約定書を見た瞬間は、さっき申し上げたことが正直な私の心境で、特にそれ以上のことはそのときは考えておりませんでした。
  264. 野末陳平

    野末陳平君 そうすると、小林さんから電話があって後日、おかげさまでいい値がついたと。その時点まではこの株の行方、値づけの問題、損得の問題は全然考えずに、そういう連絡があって初めてそれなら借金も返そうというようなことになったと、こういうことでございましょうか。
  265. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) はい、そのとおりでございます。
  266. 野末陳平

    野末陳平君 そのとおりとすると、お金におおようなのか度胸がいいのか、普通のサラリーマンが抱く感じとはちょっと違いますね。もう私でも、三千万で店頭登録直前の株をどうだと言われた場合、やっぱり相当調べたりなんかした上でなきゃ結論が出ませんね。そのくらいに大きな金だと思うんで、あなたはそんな三千万じゃ重荷というような意識はないということになるんだけれども、そうなんですか。そのぐらいおおようでお金があったんですか。
  267. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) やはり年間の金利だけで二百万を超しますから、ですから、もしこのままでいくならそう長く何年も持っているというわけにいかないというふうなことはその後は当然考えております。
  268. 野末陳平

    野末陳平君 私が推測するに、やはりこれは友達に頼まれて引き受けた、メンツにかけてもというお答えだが、両者の深いつながりがその背景にあって、損はさせない、あるいは損になるようなことはないんだという、そういう意味の信頼関係がなければこれできない話だと、そういうふうに受け取っているんです。それが恐らくいろいろな疑惑を招いている根源だろうと思うんですが、どうでしょう、それは。
  269. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) やはり友人江副さんからのお話でございますから私お引き受けしておりますけれども、しかし率直に申し上げて、このことが私にとって大損になるようなことを江副さんが私にお勧めになることはないだろうなとは思いましたけれども、必ず得するとかそういうこととは私は考えませんでした。
  270. 野末陳平

    野末陳平君 あなたが公社そしてNTT在職中の印象をお聞きしたいんですが、リクルート社というのは、それでなくてもかなりえげつない商法で有名だったわけですね、いろいろな名簿を手に入れて、就職情報その他。そういうような話というのを全然聞いたことがないのか。あるいは接していてそういう印象を持ったのか。その辺のリクルートに対するあなたの印象を、在職中のそれを最後に答えてください。
  271. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私は、電電、日本電信電話公社あるいはNTTにおりまして、比較的日本の中の仕事ばかりやっておりましたので、退職後はやはりインターナショナルな仕事をやりたいなというような希望を持っておりました。リクルート社は非常に若々しい、若い優秀な人がたくさんいるということに私は魅力を感じておりました。いわゆる情報市場がどうなっているかという点は私十分に理解をせずに、自分のこれからの仕事ができる、そういう人材という面で魅力を感じて入ったということ、それ以外にいろいろございますけれども、一応そういうことを感じておったわけでございます。
  272. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 以上をもちまして野末君の発言は終了いたしました。  次に、青島幸男君。
  273. 青島幸男

    青島幸男君 先ほど来の繰り返しになりまして大変恐縮ですし、しつこいようでございますけれども、江副氏から、株を持ってくれということで小林社長がお見えになったときに、近いうちに上場するというようなお話はなかったかと、どなたも再三お尋ねになりましたけれども、証人はそういうことは一切なかったとかたくなに否定をなすっておいでですけれども、もう一度確認いたしますが、そのとおりでございますか。
  274. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 繰り返しで申しわけございませんが、全くございませんでした。
  275. 青島幸男

    青島幸男君 先ほど、小林社長からおかげさまで上場できましたと電話があったという御発言がありましたけれども、おかげさまでということをまず断って上場できたと言っていることは、事前に、上場するんだという話があなたに出ていたというあかしになるような気がいたしますけれども、そんなことはございませんか。  それで、最前からそういうお話をしていますけれども、例えば、少なくとも三千万の株のことですから、これは上場になりますとか、あるいはどういう値動きをするかというようなことがたとえあっても、それは極めて常識的なことでありまして、むしろ普通ですね。そういうことが一切なかったと、こうかたくなに否定なさる方がむしろ不自然だと我々は思うんですよ。ですから、今のうち、もしそういうお話があったなら、訂正なすったって別にどうということはない話ですから、極めて常識的なことですから、そのくらいのことはあったんじゃないかというふうにお尋ねしますけれども、再度申しわけないんですが。
  276. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 先ほどのおかげさまでというところにつきましては、上場がおかげさまというよりも、むしろ五千円台に初値がついたということに関してそんなような感じの、正確じゃございませんが、そんな感じを受けたということで申し上げたわけでございます。  それから、二点目の問題は、私、別に他意はございませんで、本当にそうでございましたので、そう率直に申し上げているだけでございます。
  277. 青島幸男

    青島幸男君 三千万円でお買いになって、大変な金額だと思いますけれども、一年の期限でお借りになった。ということは、一年たったら返せるという当てがおありになったのですか。
  278. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 融資の契約の条件がそういうふうになっておりまして、まあとりあえず一年お借りしておこうというようなことでございまして、一年後に三千万のめどがついていたということではございません。
  279. 青島幸男

    青島幸男君 やはり相当度胸がおありになったか、あるいは江副氏に対する金銭上の非常な密接な御関係か、あるいは信頼があったんだと拝察するわけですけれども、NTTで、自分のほかに、こういう株を持ってくれというお話がほかのだれかにももたらされているというようなことを聞いたことがありますか。それとも、そういうことをお感じになったことはありませんか。
  280. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) いえ、ございません。
  281. 青島幸男

    青島幸男君 昨日、式場証人の御発言ですと、江副さんとの取引上、お引き受けしなければ円滑に事が運ばなくなるんではないかというおそれからお引き受けしたと式場さんはおっしゃられておるわけですけれども、証人は個人的なつながりだけでそうだとおっしゃられているわけで、そのことを、例えば取引先ということですから、しかもNTTとは言いながら準公務員という立場で、そういう取引先との株の売買でつながって、金銭的なつながりを持つということが余り勧められた問題ではないという認識はおありになったんじゃないかと思うんで、その点、上司とかあるいは周囲の人に御相談になったことはございませんですか。
  282. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 上司とか周囲の人に相談をしておりません。これはあくまでも個人的な問題で、江副さんとの友人関係の中でございますから、別にだれに相談するということでもございません。それから、仕事上の問題としては、従来からも江副さんから特に仕事のことでどうということは全くございませんし、そういう面は全く考えずにお引き受けいたしております。
  283. 青島幸男

    青島幸男君 六千株を売ったときの話ですけれども、売る前に江副さんにそのことをお話しになる、あるいは相談をなさいましたですか。
  284. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 小林社長からのお電話があったときに、小林さんにもそのときの電話依頼をしておりまして、特にその依頼をする前に江副さんと相談したということはございません。
  285. 青島幸男

    青島幸男君 証人は、江副さんがあなたに株を持ちかけたときには、信頼できる親しい人に安定株主になってほしいという依頼を受けたというお話は、ただ依頼を受けたということで、安定株主になってほしいという筋合いのものではなかったように私は聞き及んだんですけれども、それにしては、証人はいち早く売り抜けてしまったことを江副さんに甚だ申しわけないように感じているという御発言でしたが、その意味合いはどういうことですか。
  286. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 江副さんからのお話の中に安定株主という言葉がなくても、やはりそこにあるものはそういう意味だろうというふうに思っておりましたので、やはり売ってしまうことは申しわけないなというふうに思ったということでございます。
  287. 青島幸男

    青島幸男君 もし安定株主として持っていてほしいという御依頼がなければ、普通の商取引として常識で考えて、値上がりしたから売ってもうかった、どうもありがとうという電話の一本があったら事足りることでありましてね。むしろ売ってもうけたことの礼を言う方が普通でありましてね。売ってしまったことを申しわけなく思ったというのは私は納得できないんですが、それはどういうことでしょうか。
  288. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) まあ繰り返しになりますが、やはり私がリクルートコスモス社の株を持つということが一つのステータスといいましょうか、そういうことにつながるのかなあというふうに思いますし、頼まれた以上は、やはり持っていることが本筋だろうというふうに思っておりましたので、申しわけないという気持ちを持ったわけでございます。
  289. 青島幸男

    青島幸男君 全くの信頼関係から、あるいはステータスの意味でお役に立てるかもしれないということで引き受けたとおっしゃりながら、株価が上がるといち早く売り抜けて、そして申しわけないというようなことになると話が大変矛盾してくるような気がいたしますけれどもね。これはこのぐらいにしておきましょう。  先ほど証人は、NTT在職時代には十年前にアメリカに行ったきりで、つまり一度だけアメリカにおいでになったと証言されましたけれども、これはパスポートの写しなどを提出していただくということで証明をいただけるかどうかお尋ねします。
  290. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 正確に、お尋ねがございましたら、私は十年前に行ってその後は行っておりませんと申し上げましたが、十年前よりもっと前には一回か二回行っておりますが、十年前に行った後は米国には私用で、私ごとで行った以外は行っておりません。
  291. 青島幸男

    青島幸男君 私用ではおいでになったんですか。
  292. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 出張という意味は別にいたしますと、一週間休暇をもらってニューヨークに行ったことは一度ございます。それ以外はございません。
  293. 青島幸男

    青島幸男君 出張というような前提をつけずに前の質問者は質問なすったと思うんですけれども、ですから、私もそういう誤解を受けましたけれどもね。アメリカにおいでになったということを仄聞しましたんでね、ちょっと違うんじゃないかという疑念を持ちまして、あなたは何かNTT在職時代に十年前に行ったきりで、それ以後アメリカには行ってないというような断言をなさったふうに私は受け取りましたので、それではちょっとおかしいんじゃないかなということでパスポートの写しの提出などを求めまして、行ったんじゃないかということで確認をしたかったんですけれども、今のお話ですと、私用ではその後もアメリカにおいでになったことがおありになるということで確認できますか。
  294. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 休暇をとって夏に遊びに行ったことは一遍ございますが、それ以外はございません。
  295. 青島幸男

    青島幸男君 それはいつごろになりまして、どのぐらいの、一週間なら一週間ですけれども、何年のいつごろかということはお聞かせいただけますか。
  296. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) いや、もう正確に覚えておりませんが、たしか五十八年、七年か八年かそのころではなかったかと思います。一週間、向こうにおりましたのが五日間で、ほとんどニューヨーク地区の私の友人のところでうろうろとしておりましたけれども、そういうことでございます。
  297. 青島幸男

    青島幸男君 さて、それではコンピューターの方に移りますけれども、クレイ社のスーパーコンピューター購入した日本の企業というのは何社もあるようですけれども、NTTを経由した企業というのはリクルートのほかにはないというふうに伺いましたけれども、どうしてリクルートだけがこのNTT経由で購入しなきゃならなかったということなんでしょう。
  298. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) それは、リクルート社からの御依頼があったからということだと思います。
  299. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 青島君、時間が参りました。
  300. 青島幸男

    青島幸男君 はい。  データ事業本部長であなたがおいでになったときに、職務権限をお持ちなのに一台目のコンピューターをNTT横浜西の局舎に置かれたというのは、リクルートには幾らもビルもあるし場所もあるのにそこに設置したというのは、今までのお話でもなかなか理解が行き届かないんですけれども、時間が来たようで、そうくどくは申し上げられませんけれども、便宜上そうなるのは当然だというお話ですけれども、他社は自己の社屋なり何なりに置いて自己で自主的に運営なすっているという事実があるのに、リクルートのものだけNTTの局舎の中にあるというのが一般には非常に理解のしにくいところだと思いますので、その点だけ、簡単で結構ですけれども御説明いただけますか。
  301. 長谷川寿彦

    証人長谷川寿彦君) 私の御説明が悪かったと思いますが、NTTの局舎の中にお客様用のコンピューターが設置されているということは全国的にかなりございます。ですから、リクルート社のコンピューターだけがNTTの局舎にあるということではございません。
  302. 青島幸男

    青島幸男君 終わります。
  303. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 以上をもちまして青島君の発言は終了いたしました。  これにて長谷川寿彦証人に対する証言の聴取は終了いたしました。  証人長谷川寿彦君には御苦労さまでした。御退席くださって結構でございます。  午後一時三十分に委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ─────・─────    午後一時三十一分開会
  304. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 税制問題等に関する調査特別委員会を再開いたします。  税制問題等に関する調査を議題とし、山本正和君の質疑を行います。山本君。
  305. 山本正和

    ○山本正和君 昨日と本日、二日間にわたりまして証人の喚問が当委員会で行われました。私はそこで、委員長、公平な審議を進めていただきまして大変感謝いたしますけれども、冒頭に、実は証人の扱いについて少し気がついたことがございますのでお尋ねをしておきたいと思う次第でございます。  と申しますのは、証人がここで宣誓をいたします、何事も包み隠さずと。そして、委員長から改めてまた御注意がありまして、それから審議が始まる。ところが、証人が感想を述べる、あるいはこのような感じでございます、さらには、これについては御容赦願いたいと、こういうふうな言葉がしばしば出るわけでございます。これは委員長から御注意がありましたように、知っている事実をのみしゃべるのが証人の任務だろうと、こんなことを思います。  ですから、今後証人の扱い等につきましては、この種の問題をどういうふうに計らっていったらいいのか。これは委員会としてもあるいは国会全体としても、その辺の問題を明確にしておく必要があるんじゃないかということを思った次第でございます。  あわせまして、例のロッキード事件の第一審判決がございまして、その中で証人に対する判決が出ております。大変厳しい文章でありまして、これはロッキード事件のときでありますけれども、「疑惑の究明を願う全国民注視の国会の場において、全国民の総意を代表する各委員の質問に対し、中心人物の一人としてその全貌に関する真相解明の鍵を握る被告人が」、これは判決があった時点でありますから被告人ですが、「記憶にないことを理由にそのほとんどを回避し」云々と続きまして、「議院の権能たる国政調査権の行使を阻害した刑責は余りにも重大」と、こういうふうな文章がございます。  そういう意味で、ひとつ冒頭に委員長にお願いしておきたいと思いますのは、昨日私どもの矢田部委員からお願いいたし、証人に対して資料の提出を求めた、これに対して御容赦願いたいということの扱いを、委員長として何分のお取り計らいをいただきたい。まず、これをお願いしたいと思います。
  306. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 昨日、証人にも申し上げましたとおり、またここで私が発言いたしましたとおり、理事会で十分協議するということになっておりますので、御了解をいただきたいと存じます。
  307. 山本正和

    ○山本正和君 それでは、本日は各大臣にいろいろとお尋ねをしてまいりまして、最後に総理から御見解を承るという形で質疑を進めていきたいと存じます。  実は昨晩も、もうテレビでかなりな視聴率の高い本特別委員会証人喚問に対する放映がなされておりました。また、各新聞紙挙げて、この問題に対する疑惑解明についての報道がなされております。そういう中で、恐らく今、国民の間にひょっとしたら、きのうのテレビの言葉ではございませんけれども、日本国民挙げていらいらシンドロームという症状が出ているんではないか、一体どうなるんだと、こういう気持ち。特に率直に、これは与党、野党を超えまして、国会議員たるものが果たして国民に信頼されているのだろうかという大変な問題が今起こっているように私は思えてなりません。  特に、その背景がいろいろ言われまして、資料も幾つも用意しておりますけれども、前総理を含めたさまざまな疑惑が報道される。そして、与野党を超えて、またさまざまな問題が追及されておる状況でございます。しかし私は、その中で今これを一体どうやって浄化していくかというのが、また本国会に課せられた使命だろうというふうにも思う次第でございます。特に最近、与党の皆さんの中から、リクルート問題を与党内でも論議したらどうだ、そして自浄能力を持ったらどうだと、こういうふうな御意見が相次いでおるやに聞こえてまいります。また、さまざまな雑誌や新聞紙上にもそういうことが報道されてきておるわけでございます。したがって、何としてもこのリクルート問題の解明ということについては、本国会として厳しくやっていかなきゃいけない、こういう観点からひとつ質疑を申し上げたいと思います。多少失礼なことを申し上げることがあろうかと思いますが、お許しいただきたいと思います。  まず、大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、先般大蔵大臣がこの席で矢田部委員の質問に対して、これが最終の事実である、間違いありませんと、こういうふうに御発言いただきました。そのことにつきまして、今日、よろしゅうございましょうか。
  308. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) そのとおりでございます。
  309. 山本正和

    ○山本正和君 それでは、この前いただきました大蔵大臣の御発言の文章、この中で、いろいろあるわけでありますけれども、幾つかお尋ねしてまいりたいと、こう思います。  まず一つは、「昭和六十一年の夏どろ、リクルート社の方が服部君を訪れ」と、こういうふうに書いてございます。しかし、これはきのうの江副証人発言とは食い違っておりますけれども、これについてはいかがでございますか。
  310. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 昭和六十一年の夏ごろのいつかということを記憶しておりませんと申し上げておったのでございますが、昨日江副証言によりましてそれがやや明らかになったと、こう存じます。
  311. 山本正和

    ○山本正和君 そうすると、それは九月中旬という江副さんの証言でよろしいということでございますか。
  312. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 江副証人宣誓をしておられますので、そのとおりであろうと存じます。
  313. 山本正和

    ○山本正和君 実は、夏というのは、これはまだこのリクルートコスモスの株の価格がはっきり決定していない、あるいはどういうふうになっていくか、いろいろと動いている時期でございますし、九月中旬というのは、これはもうはっきりと大体この程度の価格になるだろうということが予想される時期でございます。そういう意味で、夏とこの九月中旬ということの間にはかなり大きな意味があるというふうに、これは普通は株を扱った者ならば思うわけであります。要するに、夏ならばまだどうなるかわからぬけれども頼んだ、九月中旬なら、もうはっきりこれは値上がりしますよという情報の中で、このとおりになりますという情勢の中で頼んだと、こうなってきますから大分違いますけれども、そうすると中ごろでよろしゅうございますね。
  314. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 服部君の記憶が不明確でありますところを、江副証人がもう少し明確にされたということと存じております。
  315. 山本正和

    ○山本正和君 それからその次でございますが、「服部君は、昭和六十一年九月三十日に」、これは訂正ございまして、三十日付で「宮澤の名義で一万株の購入を申し込み、店頭登録前の十月十五日にリクルート社の方の指示によりファーストファイナンスの銀行口座に三千万円を払い込みました」と、これはこのとおりでよろしゅうございますか。
  316. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) リクルート社のお方がこういうふうにしてくれというお話で、そのとおりにいたしたという意味でございます。
  317. 山本正和

    ○山本正和君 大変細かいことをお尋ねいたしますが、ひとつお答えいただきたいと思います。  まず、それじゃ初めの今の四行の部分でございますが、「リクルート社の方が」というのは、これはどなたでございましょうか。それから、「一万株の購入を申し込み、店頭登録前の十月十五日にリクルート社の方の指示により」というのは、これはどなたのことでございましょうか。
  318. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) これはせんだってもお答えを申し上げましたが、服部君自身がよく相手のお方を覚えておりません。そういうことでこういうふうに申し上げておりますが、そのお方といろいろ話をし、またそのお方の話で支払いをした、こういうことでございます。
  319. 山本正和

    ○山本正和君 実は、先日の矢田部委員の質疑のときにもいろいろと申し上げたのでありますが、大蔵大臣の秘書官である方がこの株の取引をおやりになった、そしてそのことが疑惑を生んでいる。したがって、これに対しては大変な全国民の批判が生まれるのは私は当然だと思うわけであります。ですから、これについては大臣がおっしゃっておられるように、大臣御みずからは全くかかわりなしということであるのならば、かかわりなしということを明確に国民の前に明示していただく責任がある、私はこう思うのでございますけれども、この私の考え方についてはよろしゅうございますか。
  320. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 私に全くかかわりございませんことは先般来申し上げておりますが、ただいま再確認をさせていただきます。
  321. 山本正和

    ○山本正和君 全くかかわりがないということについての証明を大臣御みずからがおやりになる責任があると思うのでありますけれども、これについてはいかがでございますか。
  322. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 私が国会においてこのように申し上げておりますことが、殊に今回御説明申し上げるにつきましては、先般来委員長並びに理事の方々から特段の御注意がございました。ございませんでも当然でございますが、そういうことでございますので、それを御信用賜りたいと存じます。
  323. 山本正和

    ○山本正和君 これはもう大臣、新聞あるいはテレビ等での報道あるいは評論、これをごらんになっておられると思いますけれども、具体的な物証を挙げて説明をしていただきたいというのは、私は国民の声であろうと思うのであります。私は高校の教師をしておりましたから大蔵省にもあるいは各官庁にも卒業生を送り込みます。そして役所で一生懸命に働いて、随分勉強して、本当に一生懸命に国のために働いている者をよく知っているわけであります。そういう人たちにとって自分たちの大蔵省の、大蔵大臣の秘書官が仮にかくかくしかじかだと、そのことに伴って大臣にさまざまな疑惑が生まれているということがあるとするならば、これは大変な問題だろうと思うんです、働く人たちにとって。またあわせて、国民は税金を納めていく中で、大蔵省が国のためにいろいろな予算を考えてもらう、その一番中心部隊の大蔵省がきちっとやっぱり国民にわかってもらうようにしないことには、これは国民にとって一体こんな税金を納められるかという気になるのは私は当然だと思う。  ですから、私の言ったことを信用してくださいということで通る問題じゃないと思うんです。既にこれはもう三回も四回も服部さんのいろんな報告が変わってきているという内容でありますから、服部さんの今度の報告は間違いなしにこうですよ、国民の皆さんこのとおり証拠がありますよと、全くこれは服部君のやったことでございますということを大臣がおっしゃっていただかなければ国民は納得しないと思うのでありますけれども、いかがでございますか。
  324. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 職務権限あるなしということでなく、やはり大臣秘書官というものをいたしております者がこのようなことにかかわり合ったということは、私は極めて適当でないことと存じます。したがいまして、秘書官をやめておりますし、今、私の私設秘書も既にやめておるわけでございますが、これはまことに適当なことでなかったというふうに存じます。
  325. 山本正和

    ○山本正和君 そのことはこの前も大臣から承っておるわけでありますが、そうじゃなしに、大臣御みずからが、みずからこれはこういう証拠があります、服部君がこのとおり帳簿もこうなっています、そしてそれの提示を求めてこういうふうに処理いたしましたということを国民の前に見せていただかなければ、これはみんながわからないと思うんですけれども、そのことをお伺いするんですが、それについてはいかがでございますか。
  326. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) このようにいたしまして私が自分で調べまして、調べ得るものは全部調べて申し上げておるつもりでございますので、何かもし間違いでもございますと、これはそうあってならないことでございますが、そうでないというふうに信じて申し上げております。
  327. 山本正和

    ○山本正和君 当委員会で何人かの証人の方が証言されました。その中で服部秘書官に絡んだ問題の発言もいろいろあるわけですね。具体的な事実や人名も出てまいっている。そういうふうなことについてはこれは当然大臣のところに報告が行っていると思いますけれども、そういうことがあったとき、では大臣はその証人証言をこれは本当かどうかを確かめるために何ら手続はおとりにならないのか。  要するに、江副さんがいろんなことをここで発言されました、服部秘書官との問題についてですね。そうすると、江副さんが、かくかくしかじかの人が服部さんのところに行ったと思う、あるいは江副さんからの指示によってこういう行動があったと思いますということをいろいろ言っておるわけですね。そういうことが服部さんに果たして本当にあったのかなかったのかということはお聞きになりましたですか。
  328. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それは聞いております。  実は、江副証人が服部君のところへ会社のお方を、私どもの者とおっしゃったと思いますが、お出しになりましたということは衆議院で御証言になりました。私、服部君にそれを確かめましたところ、それまで服部君はそういうことを私に申しておらなかったのでございます。それが私が事の判断を誤りました根本でございましたが、本人から初めてそれを聞きました。そうして、そのお方の名前を本人は実は記憶をしていないわけでございますが、かくかくということを申しましたので、それを私は先般この委員会において御報告をいたしました。昨日の江副さんの証言を承っておりますと、それはほぼ同じ線でのお話であったと存じました。
  329. 山本正和

    ○山本正和君 大臣は、服部さんと本当に長い間公私ともの大変信頼しておる関係にあるおつき合いだということをたびたびおっしゃっておみえでございます。その服部さんが大臣に報告した中で、具体的な名前とか場所とか、あるいは書類とかいうふうなものが服部さんの方からは大臣に提示がなかった。なかったけれども、これは信用したという部分と、これは書類によって確認したという部分と、この前の当委員会での御報告では二色あったというふうに私は思うのでございます。  要するに、この前の当委員会での報告以降、新しく物証として出たもの、あるいは新しく氏名が判明したもの、日時が確定したもの、こういうものがあっただろうと思うのでありますけれども、それについてはいかがでございますか。
  330. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) せんだって私がこの委員会で御報告を申し上げます前に、私は服部君といわば情理を尽くしてかなり長いこと話をいたしましてこの真相を知り得たわけでございます。そのときも実は申し上げましたが、当人がかなり心身ともに実は落ち込んでおります状況でございますが、その後、私として新しい事実を聞いているというようなことはございませんで、聞きましたことは全部この際、せんだって申し上げたつもりでございます。
  331. 山本正和

    ○山本正和君 そうすると、前回の矢田部質問のときのその後は、服部さんとの接触はしておみえにならないということでよろしゅうございますか。
  332. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 前回申し上げたことがすべてでございます。
  333. 山本正和

    ○山本正和君 それでは、服部秘書官はこの六十一年九月三十日当時はどのような仕事を大臣の秘書官としておやりでございましょうか。あるいは大臣の後援会のお仕事も兼務されておられるかと思うんですけれども、そういう中で服部秘書官はどのような仕事をやっておみえでございましたでしょうか。
  334. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) これは御推察いただけると思いますが、議員と秘書の関係、それも三十年以上でございますので、どういう職務権限というようなことは、実は何も書いた物もございませんし任免というような形式もないわけでございますが、大体私に関しますことはあれこれほとんど見ておってくれた、こういうふうに申し上げてまず間違いないのではないか。それが実は私が信用をし過ぎました過ちのもとでございました。後悔をいたしておりますが、やめます近くまではそういう状況でございました。
  335. 山本正和

    ○山本正和君 そうすると、大臣の秘書の方はたくさんおみえでございますけれども、その中での総括責任者と、こういうふうに位置づけてよろしゅうございますか。
  336. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 東京におきましては、何人か秘書のおります中、一番の年かさでもあり先輩でもございます。
  337. 山本正和

    ○山本正和君 ちょっとここで法務大臣にお伺いしたいんですけれども、たしか受託収賄にせよその他の案件にせよ、職務権限の絡む政治家の事件で、その政治家の職務がその事件に関係する仕事をしているという場合には、もしも秘書が、金銭の管理といいましょうか何といいましょうか、かなり重要な責任がある場合、その場合には、もしもそのことが事件となった場合には共謀共同正犯になるということを私は聞いたことがあるのでありますけれども、これは一般的な話です。そういうことがあり得るのですか、あり得ませんか、いかがでございますか。
  338. 林田悠紀夫

    ○国務大臣(林田悠紀夫君) 先生お尋ねの具体的な案件についての答弁は差し控えさしていただきたいと存じまするが、一般的に申しますると、甲乙共謀の上で乙が丙からわいろを収受したというようなときには甲にも責任がございます。
  339. 山本正和

    ○山本正和君 これもいろいろと議論があるようでございますけれども、少なくともそういうことの対象になり得るということは、これはもう恐らく法務省としても御承知のことだろうと思うわけであります。  それから次に、もう一遍法務省にお尋ねいたしますが、仮に甲乙二者がおって、甲乙は一定の関係を持っておる、その中で乙が甲の印鑑を使用し名義を使用してそして甲に不利益を与えた場合、乙は何らかの刑罰に問われますか。
  340. 林田悠紀夫

    ○国務大臣(林田悠紀夫君) その御質問に対しましても、具体的な問題につきましては答弁を申し上げることは適当でないと存じます。  まず、個々の事案につきまして、犯罪の成否とかあるいは犯罪の嫌疑の有無につきまして捜査官の捜査を待たなければならないことは当然でございます。そこで犯罪の嫌疑がありましたならば、検察におきまして適切に対処するものと考えております。
  341. 山本正和

    ○山本正和君 今のは一般論でちょっとお尋ねしたのでありますが、私はここで正直に申し上げますが、宮澤大蔵大臣は今、もしも宮澤大蔵大臣のこの前の御報告どおりであるとするならば、大変な不利益をお受けになっている。不利益ばかりじゃありません。政治家としての命運を問われるぐらいの状況に私は追い込まれているというふうに思うんです。それは、特に最近の新聞で出てきているのは、何で宮澤さんばっかり俎上にのるのか、もっと後ろに巨悪がおるじゃないか、こういうふうな話が出てまいります。そして、この前、党内論議でちょっと新聞に報道されたところを見てみますと、与党の中でもこんなばかげたことがあるかというお話もあるやに聞くわけです。  そういう中で、こんな大変な状況にあるときに、一体、まだなおかつ今日服部氏の宮澤大臣に対する報告では国民みんなが納得しない中で、このままで大臣が済まされるということになった場合には、これはひょっとしたら服部さんじゃなしにやっぱり宮澤大臣じゃないかということを一層強くしていく。これはもしも、国会は圧倒的に今、自民党が多数ですから、ひょっとしたら多数決原理だけでいくならばこの問題は乗り越えられるかもしれない。しかしそうじゃなしに、今、国民の中にあるさまざまな声からいったら、このことは私は憲政史上に大変な汚点を残すというふうに思うんです。少なくとも我が国を代表する大臣、副総理です。その方が、国民からいろいろかけられている疑惑に対して、みずからこれにきちんと対応して、物証をも示して、国民の皆さん、このとおりですということをやっぱり言うべきだろう。そして、どんなに長いつき合いであろうと、人間的に本当に忍びないものがあったにしても、そこはきちんとした態度をとるべきだと私は思うんですけれども、いかがでございますか。
  342. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 先般改めて当委員会に御報告を申し上げるに際しまして、そういう思いで服部君と話をいたしました。その結果として、従来申し上げておりましたことと著しく異なる御報告を申し上げざるを得なかったことは私が深くおわびをするところでございますが、服部君に対しましては、せんだって一言で断腸の思いであるということを申し上げました。それに尽きる思いでございます。
  343. 山本正和

    ○山本正和君 ですから、今のお気持ちは何遍もお伺いしているわけですけれども、要するに服部さんに対して新たな物証を求める、あるいは大臣みずから政治家としての立場でさまざまな証拠を集めてそして国民の前にこれを解明する、こういうことをおやりになる気があるのかないのかをお伺いしているわけですけれども。
  344. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) あらゆる可能な方法で集めまして、今度の御報告を申し上げるに至りました。その結果、服部君のいたしたことはまことに私にとりましていわば断腸の思いの出来事でございましたが、それをそのまま御報告を申し上げたわけでございます。
  345. 山本正和

    ○山本正和君 そうすると、要するにこれから新しくいろんなものを一切お出しになる用意はないということでございますか。
  346. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) わかる限りのものは私自身で調べたつもりでございます。
  347. 山本正和

    ○山本正和君 それは今までのお話でございますけれども、そういうものをお出しになる気はあるのかないのかということをお伺いしているんです、本日ただいま以降。
  348. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 昨日の江副さんのお話も私承りましたが、特に先般来私が申し上げておりましたことに一つも間違いがないというふうに今日現在思っております。
  349. 山本正和

    ○山本正和君 思っているんじゃなしに、お出しになるのか出さないのか、その点だけお伺いしたい。というのは、国民がみんな思っていることは、大臣がいろいろあれだけ言うならば、きちんとしたものを持っているだろう、きっと出てくるだろうと私は思っていると思うんですよ、大臣に期待する国民の中には。しかし、大臣に不信を持つ人は、あれはやっぱりうそだから何も出ないぞ、こう思っている。ですから、大臣は今からこれをお出しになる気があるのかないのか、そこのところはやっぱりはっきりとこの席上で明確に御答弁いただきたいと思うんです。
  350. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 先般来の委員会におきましてもそのようなお話をいろいろなお立場から承っておりまして、私としてはすべてのことを実は自分で調べ得る限り調べたつもりでございますが、なお努力すべきことがございましたらいろんなことを考えながら考えさしていただきます。
  351. 山本正和

    ○山本正和君 そうすると、まだいろいろ努力して何かお出しになることもあるということでよろしゅうございますね。
  352. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それは、いわゆる市場取引であるとかプライバシーであるとか、今後に及ぼすべきいわば先例になるならぬであるとか、いろんな要素があろうと存じますので、それらのこともよく考えなければならないと存じております。
  353. 山本正和

    ○山本正和君 それでは委員長、私ここで大臣に再度要請をしたいと思いますが、矢田部委員の段階で申し上げたことと重複いたしますけれども、これにつきましては、本委員会で再度私の方から要請があったということで、記録にとどめる意味も含めまして申し上げておきたいと思います。  まず、昭和六十一年の九月半ばにリクルートの何という方か、この名前を御報告いただきたい。  それから、服部君を訪れての、どこにという場所を明らかにしていただきたい。  そして、「リクルートコスモス社の株式を引き受けていただけないかという話がありました」というその話の内容、条件を明らかにしていただきたい。  さらに、「服部君は、昭和六十一年九月三十日に宮澤の名義で一万株の購入を申し込み」、これはだれに申し込んだのか。  「店頭登録前の十月十五日にリクルート社の方の指示により」、このリクルート社の指示によりというのはどなたか、この名前を明らかにしていただきたいと思います。  「ファーストファイナンスの銀行口座に三千万円を払い込みました」、この三千万円はどこから出たのか、出所を明らかにしていただきたい。  そしてあわせて、「株式売買約定書は見当たりませんが」となっていますけれども、これについては何とかお出しをいただきたい。  そして次に、株式売却の経緯というのがありますけれども、ここで「服部君は自分の名義で株式を売却いたしました」、この売却したときの売買報告書、受け渡し計算書または取引明細書、これをひとつぜひ御提示いただきたいと思います。  さらに服部さんが、この次のページに入りまして「有価証券取引税を差し引いた五千二百二万円余が服部君の銀行口座に入金され」と書いてございますが、これはどこの銀行口座に入金されたのか。  これだけのものは、大臣がこの前御説明してきたことの信憑性を証明する資料だと思いますので、以上の点につきましてひとつ大臣に何とかこれだけのものを、それは全部は無理かもしれませんけれども、可能なら全部、少なくとも国民がなるほどと理解できる範囲において御提示いただきたい、このことを要望いたしますが、いかがでございますか。
  354. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申し上げましたような従来の先例あるいは今後に先例となるべきこと、それから市場経済における問題、あるいはプライバシー等々いろいろございますと思います。そのようなことも考えつつよく考えさしていただきます。
  355. 山本正和

    ○山本正和君 委員長、これは私も含めまして我が日本社会党議員団として委員長にも要望いたしますので、委員長としてもひとつ善処方よろしくお願いいたしますが、いかがでございますか。
  356. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 再度もう一回大蔵大臣から答弁をいただきます。  大蔵大臣、今の点、再度確たる答弁をお願いします。
  357. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申し上げましたようないろんな事情も考えつつ、よく考慮をさしていただきます。
  358. 梶木又三

    委員長梶木又三君) ただいまの件につきましては、その取り扱いを理事会で協議いたしたいと思います。
  359. 山本正和

    ○山本正和君 それでは、ここでもう一つ、これは大蔵大臣にお尋ねしておきたいんでありますが、この前の大蔵大臣の御説明で、実は大変新聞紙上でも本日取り上げられております、いわゆる江副証言との食い違いということで言われております払い込みの問題であります。  これはこの前の大臣の御発言、速記録がまだ手に入りませんので、私は新聞紙上等でもう一遍確認した中身でありますが、服部君が三千万円を払い込みましたというこの部分についての質問に対しまして、これは本人のお金で、本人がいろいろと都合をつけて払い込んだ、こういうふうに大臣がおっしゃった。    〔委員長退席、理事斎藤十朗君着席〕 そして、これについては三十日付の株式売買の契約に基づいて三千万円を払い込んだ、こういうふうにおっしゃったわけであります。江副さんの話の中では、どうもここのところの、最初江副さんが言ったのは、取引である以上は九月三十日付でもって株の譲渡と現金の受け渡しはされるのが当たり前である、もしそれがないとするならばファイナンスがあったに違いない、こういうことを江副さんは言っているわけですね。  実はこれでいきますと、三十日付で契約したにもかかわらず、現金の払い込みが十五日おくれているということは江副証言との間の食い違いがあるんですけれども、これについては大臣はどうお考えでございますか。
  360. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 昨日、江副さんのお話がこの点につきまして非常に表現も微妙でございましたし、また必ずしも一様でなかったというふうに承りましたけれども、この点私がこの委員会に今まで申し上げておりますことに全く間違いがございません。すなわち、服部君は融資を受けておりません。また、融資を申し込んだこともございません。
  361. 山本正和

    ○山本正和君 じゃ、今の大臣の言われたことが正確であって、江副さんの言ったことは前後の訂正もありますから今の大臣の言ったことが正確である、こういうことで今御発言があったわけでありますけれども、ところが、実はどんな場合でも株式の譲渡というものと現金の引き渡しというものは、必ず同時もしくは現金の方が早く支払われるというのがこの種の取引のこれは原則だと私は思うんです。そういうことを除いたことはあり得ないと思うんです。  要するに、三十日付で売買契約が成立した、約定書を交換したということは、即その日に株がかわってくる、株を渡す、現金をもらう、これは同時に行われているのが当然でありますし、普通一般の投資家が行う場合は、現金を振り込んで三日、場合によっては一週間ぐらいおくれて株式の預かり証が来るというのが通例なんです。ところが現金が十五日に支払われておる。その半月前にそういうことがあるというのは、これは証券取引上普通は考えられない行為なんですけれども、これについてはいかがでございますか。
  362. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) その点につきましても、昨日江副証人からお話がございましたように承ります。江副さんの言われたことは、金を貸しておれば株式は行かないかもしれない、そうでない場合は株式は渡るはず云々と、手違いがあったかもしれないが云々ということでございましたが、この点につきまして、私は当委員会におきまして、株券については服部君に確認いたしましたところ手元に来ていないとお答えを申し上げました。この点につきまして、私の申し上げましたことは間違いがございません。
  363. 山本正和

    ○山本正和君 ということは、要するに九月三十日でもって株の譲渡が行われたのではなしに、十月十五日に株の譲渡が行われたということを意味するわけでございますか。
  364. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) そうではございませんで、これは証券会社に確認をいたしましたところ、株券はリクルート側から証券会社へ直接持ち込まれて売られております。本人に一切渡っていない、こういうことを確認いたしております。
  365. 山本正和

    ○山本正和君 証券会社リクルートから、今のお話でしたら、株券が入ってきて、そこで預かっている、こういうふうに今大臣仰せられたと思うんですが、そういうことでございますか。今の大臣の御発言がちょっと意味がわかりにくい部分があるんですが。
  366. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま申し上げましたことは、江副証人融資の場合には株券の交付がなく、払い込みがあれば株券が交付されるのが原則とお話しなされましたが、服部君の場合には株券というものは終始本人のところに来ておりません。したがいまして、江副証言との関係につきましてその間の事情を、証券会社が当然介在いたしておりますので、証券会社に確認いたしましたところ、株券を持っておりましたのはリクルート側でございます。そして、これを十一月何日でございましたかに売るわけでございますが、その四日間の期限以内に証券会社リクルート側から株が現実に持ち込まれておると、こういうことでございますことを確認しております。
  367. 山本正和

    ○山本正和君 そうなりますと、大臣、これは株の取引を大臣はおやりになったことはないと、こう言っておられますからそういうふうにお話しになるのかもしれませんけれども、普通は九月三十日付で、これは「一万株の購入を申し込み」ということの表現になっておりますけれども、事実上ここで売買契約は成立したというふうにこの前の段階では御発言になっておるというふうに私は記憶しておりますが、売買契約は成立しておると。したがって、約定書もこの段階で交換されておるわけでありますから、そういたしますと、株の名義が大臣の名義に変更をされるということは当然その段階で行われるわけです、普通でしたら。そうしますと、この十五日間、リクルート側がもしも株券を持っておって十月十五日に株券を持っていったというお話でしたら、その十五日間、そうしたらこれは大臣名義の株をリクルート社が立てかえておった、もしくはその売買契約を実行しなかったということのどちらかになるんですけれども、ちょっとその辺が理屈が合わないと思うんですが。
  368. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) この点はこちら側の事情ではございませんので、リクルート側あるいはファーストファイナンス側がどういうふうに処理したかということを尋ねましたところ、と申しますのは、服部君は金を借りておりませんので、融資の申し込みをしておりませんので、仮払いとして処理をしておったそうでございます。
  369. 山本正和

    ○山本正和君 リクルート社の仮払いで処理をしておったということでございますか。
  370. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) リクルート社の経理はそのようであったと承知をしております。——失礼いたしました。ただいま申し上げ違えました。ファーストファイナンス社の経理でございます。失礼いたしました。
  371. 山本正和

    ○山本正和君 ファーストファイナンスの方はこれは金融機関でございますから仮払いは商法で禁止されているというふうに私は思うんですけれども、もしもそういうことだとすれば、銀行そのものがもう大変おかしな経営をしているということになるのでありますが、それは間違いなしにファーストファイナンスでございますか。    〔理事斎藤十朗君退席、委員長着席
  372. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) ファーストファイナンス社の経理上は仮払金として処理されているという回答をもらっております。
  373. 山本正和

    ○山本正和君 これは大臣といいますか、服部さんの方には責任がない格好になりますが、要するに、そういたしますと、今のこの中身は服部さんが三千万円を十月十五日に払うまではファーストファイナンスが仮払いでもって処理をしておった、こういう事実がきょう、今、大臣からの御答弁で解明をいたしました。  これからまたあと、この種の問題につきましていろいろとまだお尋ねしたいことがございますけれども、きょうは他の大臣に対する質問もございますので、大臣には本日はこれで、大変御失礼を申し上げましたけれども、質問を終わりたいと思います。  次に、あと文部大臣、労働大臣に質問をする時間が大分少なくなってしまいまして大変恐縮でございますが、まず文部大臣にお伺いいたします。  私は、文部省の随分古い時代から文部省内で本当に最後まで頑張っておられたさまざまな方々を存じ上げておりまして、いろいろと御指導もいただいたりしております。いわゆる事務次官までおやりになった場合は、本当に人格識見ともにすぐれた方が多い。また、文部省という役所は、他の省庁と違ってどちらかというと世俗になじみにくい仕事を随分やるわけでございます。それだけに清廉潔白な印象を与える省庁である、こういうふうに私は思っておりまして、常日ごろ文部省の職員の方々に大変だなと、こういう気持ちを持っておるわけであります。しかし、恐らく今回のような事件は、これは明治以来文部省が設置されて初めての事件じゃないかと私は思うわけです。  しかも、このリクルート社という会社の経歴は、これはもう皆さんも御承知だし大臣も御承知だと思いますけれども、今日こそ確かに大変巨額な資本金を持っている会社でございますけれども、出発当時は資本金二百万円、その中から今日まで大変な繁栄をもたらした会社でございます。しかし、その過程では、教育の目から見た場合には、こんなことがあっていいのかと思うような事柄がたくさんございました。就職情報誌を頼りに女子学生が行ってみたら、愛人バンクの仕事の紹介であったというふうな問題、愛人バンク事件というのがあります。私は、ですから、急成長する企業の中にはえてしてさまざまなそういう問題も含まれてくると思うわけです。  少なくとも文部行政を長い間やっておる高石さんでありますから、私よりも年が三つ四つ下ですけれども、あの人が初めて文部省から地方に出られたのは岐阜県の教職員課長です。私はその当時三重県でもう教員組合をやっておりましたから、時々お会いもしたり論争もしたりしたこともあります。ですから、長い戦後の文教行政をよく知っておられる人がああいう形でもってリクルートとのつき合いをかなり長年月にわたっておやりになった。そのもともとが個人的なつき合いでもって始まったのではなしに、文部省の許認可あるいは指導、そういうふうなものとの関連の中で文部省に近づいていって知り合われたという関係、これはもう明らかであります、証拠から見ても何から見ても。その中で、在職中に事務次官の部屋で、しかもあの人のようにかなりの権限を持っている人が、株券の譲渡を受ける話が行われ、それがまた実際行われたというふうな事実ですね、このことがまさにリクルート事件の本質を私はあらわしているように思えてならないんです。恐らくこれはもう文部省の役人の皆さんも断腸の思いだろうと思うんです。  そういうことに対してまず大臣、現在の大臣としての御心境をお伺いしたいと思います。
  374. 中島源太郎

    ○国務大臣(中島源太郎君) 幾つかお答えをいたさなければならぬと思いますが、まず山本委員から文部省に対して本来清廉潔白な役所であると思われておったのではないかと、ありがたいと思うと同時に、多くの国民の方々からもそう信じられてきておったと思います。それだけに、たまたま役所が教育改革本格実施第一年目ということで、また生涯学習という点でことしの七月に生涯学習局を設けまして、まさに幼児から高年齢の方々にまで教育改革の点で御理解をいただくべき重要なときでございますだけに、その文部省に長く禄をはんだ出身者の行為が文部行政と申しますか、文教行政の信頼を損ねたことはまことに大きい、残念至極に存ずる次第でございます。  ただ、いつも申しますように、その行為そのものをいかに非難いたしましても文部省の信頼は回復できるものではない。現職にあります者、私どもが今までよりも数倍の努力をいたしましてこの文教行政の信頼度を回復し、そしてこれから信頼を保っていただけるようにしなければならない、こういう心を定めまして努力をいたしておるところでございます。省内に対しましては、綱紀の粛正、厳正な職務の遂行ということを徹底せしめ、日々努力をいたしておるというのが現在の心境と事実でございます。
  375. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 大蔵大臣から発言を求められております。これを許します。大蔵大臣。
  376. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) お許しをいただきまして、先ほど山本委員に私から売却の日を十一月一日と申し上げましたが、これは御報告申し上げましたとおり十月三十一日でございますので、謹んで訂正いたします。
  377. 山本正和

    ○山本正和君 時間が大分なくなってきましたので、あと総理にもお伺いしたいと思いますので、文部大臣には文部省の今までのリクルートの問題で材料があったのでございますけれども、これはもう後に譲りまして、本日は文部大臣の御所見だけにとどめたいと思います。  労働省の方も大臣においでいただいておりますが、本当に労働行政はまさに信頼の上に成り立つ仕事でございますし、戦後、戦争に敗れて職を失った時代、失対をどう消化するかというふうな時代から大変な長い歴史と伝統を持った役所でございますが、このたびの加藤前次官の問題につきまして大臣の御所見を伺いたいと思います。
  378. 中村太郎

    ○国務大臣(中村太郎君) 加藤前労働事務次官が行いましたリクルートコスモス社の株引き受けの問題はさまざまな問題を世間に投げかけまして、そのことによって労働行政に対する国民の信頼を著しく損ねたということは事実でありまして、まことに残念、遺憾至極であると存じております。  ただ、私どもとしましては、これを加藤氏だけの問題としてとらえるだけでは失われた信頼を回復できないと存じまして、私は先般、全職員に向かって綱紀の厳正な保持についての指示を行ったところでございます。とりわけ幹部職員に対しましては常に自制自戒、いやしくも内外からの不信を買うことのないよう常に身を律して、全職員一丸となって綱紀の厳正な保持に向かって邁進するようにというような要請も行ったところでございます。  今後におきましても綱紀の保持ということは一層厳正に行っていかなきゃなりませんし、同時にまた、労働行政全般にわたって積極的な展開を図って国民の期待に沿うという、そういうことが信額回復の道であるということも訴えておるわけでございまして、今後ともその点十分留意してまいりたいと考えております。
  379. 山本正和

    ○山本正和君 労働省に対しましてもいろいろとございましたけれども、あと総理に最後に若干御見解を伺いたいと思います。  実は最近、町中でいろいろ言われている言葉に、永田町の三原則というのがある。ばれなければ何をしてもよい、ばれたら秘書のせいにせい、みんなで渡れば怖くない、こういうことを最近町中でいろいろ言われている。テレビでどんどん使われている言葉でありますから、大変情けない思いがしてなりません。そして、十一月の二十一日段階ときのうの段階と二回にわたりまして某テレビ会社が今の政治の問題や国会の問題を含めてアンケートを募集した。三十分の間に大変な電話の本数の反響がございました。今の政治や国会の状況について何を感じるかという質問に対して、楽をして金を借りられる、企業につけ込んで金を取る、江副さんはかわいそうだ、江副さんを動かした者がおるじゃないか、リクルートがはやるのは当たり前だ、国会は正常化する力を持っているのか、そうは言っても今度は、我々が選んだんだから仕方がない、そんないろんな声が次から次につながってまいっておりました。  その中で、特に庶民がこんなことまで知っているのかと思うような事柄が、これは新聞でも報道されますから出るのでありますけれども、宮澤さんの問題どころじゃなしに中曽根さんの時代の五年間の問題だ、こういう声が随分出ております。そして、随分大きく丸高グループという報道がされまして、これはその後余り上がっていませんけれども「申告漏れ六億円」、巨利を博し「中曽根氏政治団体前幹部らに転売」。リクルートもそうでありますけれども、こういうふうに長い間五年間も国政のために働いた総理に対してこんな形でもって国民の疑惑が今出ている。そして政治家は、働かなくても金がもうかるんだというふうなおかしな空気が充満している。この政治状況を一体私たちはどう受けとめなければいけないかということを私は本当に心配でなりません。そして今、ここで国民の前で消費税の問題を盛んに議論を私たちはしなけりゃいけない国会の召集を受けているわけであります。国民の間には、しかしどうも国会と国民感情との間に乖離があるように思えて私はならない。  こういうふうな状況の中で、総理は一体今の国民が政治に求めているものを何というふうに、どのようにお受けとめになっているのか。そして特に、国会が浄化しなければいけないための手だては一体どういうふうにお考えになっているのか、あわせて今後の今国会の運営につきまして、大変時間が少なくて申しわけございませんけれども、総理の見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  380. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 今、いろいろな論評があるということは、私も先生と同じように感じておるところであります。  要は、やはり私ども冷静に考えれば、自浄能力をどれだけ持つかということであろうかと思います。両院において決定される倫理綱領、行為規範、これらは確かに立派なものでございます。それらが現実問題として守られるような、自浄能力を手助けするような環境というものをやはり私は考えなきゃいかぬではなかろうか。それが言ってみれば証取法あるいは税制等の問題であると同時に、また私どもが基本的に立っておりますところの政治改革という土俵の問題ではなかろうかという感を深くいたしておるところでございます。  ただ、それについて行政府の立場というものを離れて申しましても、やはり国会全体の問題として今、山本先生が取り組むというお考えがあるように、私も国会議員の一人として、行政府としてやる仕事は別といたしまして、真剣に対応すべき課題であるという問題意識に立っております。
  381. 山本正和

    ○山本正和君 終わります。
  382. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 次に、山口哲夫君の質疑を行います。山口君。
  383. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 質問時間がわずか一時間しかございませんので、単刀直入に質問をいたしたいと思います。  今、宮澤大蔵大臣は山本議員の質問に対していろいろと株の譲渡に関係する問題でお答えされましたけれども、どうも腑に落ちない点がございますので、お聞きいたします。  まず、服部秘書はドゥ・ベストからドゥ・ベスト名義のコスモス株を買ったわけですね。間違いありませんか。
  384. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) これは、去る十一月十五日に会社側から衆議院リクルート問題に関する調査特別委員会に提出された資料によりまして、譲り渡し人はドゥ・ベスト社であることが明らかになっております。
  385. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 そうしますと、株の金額三千万、これは当然ドゥ・ベストに払わなければならないと思うんですけれども、だれが、いつ払ったんですか。
  386. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 先般も御報告いたしましたように、リクルート社の方の指図によりましてファーストファイナンスの銀行口座に払っております。
  387. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 ドゥ・ベスト社に三千万をだれが払ったんですか。
  388. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) ドゥ・ベスト社ではありませんで、ファーストファイナンス社の銀行口座に払っておる。これはそれ以上の事情が私どもにわからないわけでございますけれども、事実関係はそうなっております。
  389. 志苫裕

    志苫裕君 関連。
  390. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 関連質疑を許します。志苫君。
  391. 志苫裕

    志苫裕君 もう少しはっきりしましょうよ。  約定書の日付は九月三十日、これは服部とドゥ・ベスト社約定書であったということが後でわかったわけですね。約定書は九月三十日です。服部さんが、支払いと言いませんな、払い込みをした日は十五日。服部さんの気持ちでは株式の売買代金を払ったおつもりでしょう。ですが、きょうの報告によりますと、この約定日から服部さんが払い込んだ十五日までの間のお金はどうなっていたんでしょうということをお伺いしたら、それをファイナンス社に尋ねたところ仮払いになっていましたということですね、先ほどの報告。ファイナンス社に調べてみたら仮払いになっていました——仮払いの名義はだれですか。どなたに対する仮払いですか。
  392. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 実はそれも私どもにわかり得ないところでございます。先ほどの山口委員の御質問と関連をしておるわけでございますけれども、私どもにわかり得ない部分、つまりこれは服部君には全く関係のないことでございます。本人は融資の申し込みもしていないし融資も受けていないということでございますから、そのだれに対する仮払いということは、こちら側でわかり得ないことでございます。
  393. 志苫裕

    志苫裕君 ファイナンスに聞いたら仮払いになっていましたとあなたがなぜ先ほど山本委員に答えたかというと、本来ならば三十日に払うべきところの服部氏が払わなかったんだ、約定日に。十五日もたって後で払った。その十五日間ははてどうなっていたんだろうということについて聞いたところ、ファイナンス社に聞いたら仮払いになっていましたということなんですね。名前のことは一括仮払いになっているから恐らくだれだれ分と一々なかったのかもしらぬ。そのことはちょっとおきましょう。  そうなりますと、あなたは非常に頭のいい方だから正確に考えてください、この間、服部氏の株に見合う代金をファーストファイナンスが服部氏にかわって売り主、売り手であるドゥ・ベスト社に払ったことになるんです。したがって仮払いになっているんです。そういうことですね。そこで、その仮払いになっているファイナンスの口座に服部さんが十五日後に払い込んだわけです。これをファイナンス側から見ると、服部さんのためにお立てかえをした金なんです。服部さんの側から見ると、十五日間立てかえてもらっておった金なんです。これを日本語でわかりやすく言うと、しばらく貸しておったと言う、しばらく借りておったと言う。これを法律用語で言うと融資と言うんです。こんなわかり切った話はないでしょう。ですから、服部氏が十五日に払い込んだのはドゥ・ベスト社の株式代金を払ったのではありません。十五日間お借りしておったファイナンスの借金をお返ししたんです。ですから、払い込みというのもそういう意味じゃ正確です。こういう扱いになるでしょう。
  394. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) まず申し上げますが、先方に聞いたというのはファーストファイナンスに聞いたわけではございませんので、先方側というふうにひとつおとりおきをいただきます。  それから、その次におっしゃいますことは、そうではないのでございまして、融資を受けたとすれば、まず本人が融資の申し込みをいたしておらなければおかしゅうございます。そういうことを本人は一切いたしておりません。そうして、譲り渡し人は確かにドゥ・ベストであったということが後にわかったわけでございますけれども、その代金はドゥ・ベストでなくてファーストファイナンスの方へ払ってくれと。それは本人にいたしてみますと、十月十五日に払ってくださいということでございますから、十月十五日に払ったのでございます。九月三十日に払えというのを、待ってくれ、今金がないと言ったのではないのでありまして、十月十五日に払ってくれと言うからそれを払ったんです。先方がそれをどういうふうに経理しているかということは、全く本人にもわからない種類のことでございます。
  395. 志苫裕

    志苫裕君 これはもう一度言いますが、本来ならば、約定日、九月三十日に株を買ったんですから、先ほどありましたようにお金を払ってから株が来るぐらいなのが当然なんで、そういうことになるわけですから、九月三十日から十五日までこの間の融資の問題について江副証人等のやりとりの中でわかりましたのは、丸々借りた人には十月三十日の売り抜けまでずっと貸しておって、売った金で清算しました。この間の金利はということについて、金利は七%つけました。しかし、中には一週間、二週間程度の人はそうでない人もございました、無利子という意味ですね。無利子というか仮払いにしておいて、利子を取らなければ事実上それは立てかえたんですから、立てかえ金から利子を取らなければ無利子です、これは。こういう意味のことを江副証人もおっしゃられたわけで、このことを大蔵大臣の答弁に即して言えば、服部氏の分については十五日間無利子でお貸ししましたというのとつじつまが合うわけですよ。  そのことを今ここでは申し上げませんが、いずれにしても、大臣お答えになりましたが、この十五日間は調べたら立てかえ金でした、いわば仮払いになっておりましたという答弁が紛れもなくあったわけですよ。そのことを私は少し絵解きをして、この仮払いでしたという話は、十五日間服部氏のためにお立てかえしましたということの意味になりますと。服部氏が知っていたかどうか今のところは別にしましょう。そういう事情は、ファイナンス側の経理はそのようにしていたというふうに言うことはできますよ。
  396. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、私は申し上げてはなんでございますが、承服し得ないところでございまして、もし金を借りているというのであれば、借りている本人が知らなければいけません。また、申し込みをしていなければなりません、負債でございますから。本人が知らない間に負債が発生するはずはないわけであって、それは向こう側で起こった事情でございます。
  397. 志苫裕

    志苫裕君 やめますが、この株のやりとりというのは、お金を払った感じもない連中がやっているんですからね。借りたとか、そんな感じがないのは当たり前ですよ。そういう性質のものなんだから、本人が金を借りた感覚がないのがこの株の売買の特徴なんじゃないですか。  以上申し上げまして、私終わります。
  398. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 安比レックがリクルートコスモスの株を四十万株所有しているわけですね。ところが、私ども社会党の調査によりますと、現地の責任者は、帳簿上では操作したことがあるけれども、これはあくまでもずっと四十万の株は持っていました、こう言っていたんです。ところが、きのうの江副証言によりますと、これは売ったということになっているんですね。売って転換社債を買って、そしてその転換社債でまた四十万株を自分のものにした、こう言っているわけです。まずこの辺が現地で言った、ずっと持っていたというのとは全然違うんですけれども、この江副証言で売ったというのは、一体いつ、だれに売ったのか、これは証券局として当然調査していると思うんですけれども、どうでしょう。
  399. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 安比レックの株式の売却問題につきましては、私ども調査はいたしておりません。これは、むしろ協会の方におきまして、特別利害関係人からの株式移動があったかどうかという観点から、幹事証券である大和証券を通じましてリクルートコスモス社に問い合わせているようでございますが、ここにおける回答におきましては、安比レックにつきましては、少なくとも店頭登録前に移動したといった事実はないという報告を受けております。
  400. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 それは業界の方で言っているわけでしょう。だから、実際に店頭株の登録前か後かによっては大変な問題なんですよ。もし前としたならば、その五社七十六万株の政治家にばらまいた株と同じ内容なんです、これは。一番今そこが問題になっているのに、業界の方に任せ切りで証券局で全然調査していないということは、これはいいんですか。
  401. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 店頭登録前に特別利害関係人のところに株が移動したといたしますと、これは明らかに証券業協会のルールに違反する行為でございますので、これは協会において調査している、こういうことでございます。  ただ、店頭登録後にこの株式を売却するかどうか。これは、店頭登録後に市場で売却するということは通常の商行為でございまして、そういったことについて私ども証券行政あるいは証券業協会がこれを調査し、あるいは調べるだけの立場にはないということでございまして、そういった通常の商行為につきまして私どもは調査いたしておりません。
  402. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 通常の取引のことを調査せいと言っているのじゃないんですよ。業界の方が店頭登録以前ではないですと言っているだけであって、さっきの宮澤さんの説明と同じですよ。証拠になるものは一つもないわけでしょう。  それじゃ、店頭登録前ではないというそういった株の売買取引書ですか、そういうものを証券局の方で持ってこいと言えば済むことでないですか。何で調査しないんですか。
  403. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 一般に私どもの所掌しておりますのは、証券行政の立場で所掌しているわけでございまして、証券行政と関係のないあるいは通常の商行為についてこれを一々調査する立場にないわけでございます。そういった意味で、私どもは協会のルール違反に該当するかどうかという意味で、店頭登録前につきましての安比レックについては、協会を通じましていろいろ確認させておるわけでございますが、そこの段階におきましては、店頭登録前に安比レックからの株式移動はなかったという報告を申請協会員である大和証券を通じて私ども受けた。  ただ、店頭登録後でありますと、これは一般の株主が市場を通じて売るということは通常の商行為でございまして、これらについて私ども証券行政上どういう立場で調査するかといいますと、そういったことを調査するだけの立場にない。そういう意味で、安比レックにつきまして売買が店頭登録後に行われたか行われてなかったかを含めまして、私どもは調査していないということでございます。
  404. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 同じことを二回答えないでください、時間がもったいないから。  証券局としてはそういうものを調べようとすれば調べられるんでしょう。調べちゃならないという何かあるんですか。
  405. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) この問題は、安比レックの取引が証券取引法上特段の問題があれば、私どもはこれは当然調べなきゃならないと思っておりますけれども、何らかの政治的、道義的あるいは刑事的責任の追及といったことのために例えば証取法上の権限を行使するということは、私ども証券行政の範疇を超えるものであるというふうに考えているわけでございます。
  406. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 だから、やろうと思えばできないことはないということでしょう。
  407. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) むしろ逆でございまして、証取法上何らかの違法があるといった事実がない以上、それをやることは私ども証券行政の立場を越えるということを申し上げているわけでございます。
  408. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 少なくとも今これだけの政治問題になって、そして五社七十六万株とこの四十万株というものは同じような性格を持っているのではないかというふうに疑われているわけですよ。そういうものが何で権限外だと言えるんですか。これは当然、今これだけの政治問題になっている以上、調べようと思ったら調べられるはずですよ。そういうものを全然調べようとしない、業界任せだというやり方自体に、この問題を証券局としても伏せようとするそういう意図があるというふうにとられてもしようがないじゃないですか。
  409. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 私どもが所管しております証取法というのは、実定法に基づきましてその証取法のそれぞれの規定をきちんと履行するために必要な権限を私どもに与えていただいている、こういう法律でございます。  したがいまして、今おっしゃるように、例えばそれが話題になっている、あるいは政治的、道義的責任があるということのために証券取引法上の私どもが持っている権限を行使するということは、これは私どもの行政の枠を超えるものであるというふうに考えているわけでございます。
  410. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 納得できませんけれども、次の問題に移ります。  総理にお尋ねいたしますけれども、昭和六十二年五月三十日に岩手県盛岡市で、自民党の政経パーティーがございました。当時幹事長だったと思いますけれども、翌日このメイプルカントリー倶楽部でゴルフをなさいましたでしょうか。
  411. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 衆議院でも一度質問を受けたことでございますが、自由民主党の政経パーティーではなく、私の長期政策総合懇話会という全国講演会の岩手支部の会合に、たしか国会が終わって数日後でございましたが、参りました。その翌日、ゴルフをしたという記憶はございます。
  412. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 そのときには江副氏も一緒でございましたか。
  413. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) いらっしゃいませんでした。
  414. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 いなかった。
  415. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) はい。
  416. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 それじゃ、リクルートの常務をやっておりまして、それから安比のスキー場の開発を担当している安比総合開発株式会社、これの専務をやっている戸張捷さんとは一緒でしたか。
  417. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 記憶は全くございません、その点は。たしか私の後援会のメンバーと、それから地元の県議会議員の先生方もいらっしゃったかなあと思っておりますが、今御指名のありました方がいらっしゃったかいらっしゃらないか、記憶にございません。
  418. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 戸張捷といったらゴルフをやる方はほとんどみんな知っている人なんですけれども、あそこのゴルフ場というのは、あれだそうですね、一番ホールが一期、十番ホールが一会、一期一会という名前のついているほど大変ユニークな、しかもリクルートの招待客専用のゴルフ場なんだそうですね。ですから、普通の人が入ろうと思っても全然もうシャットアウトされて門にも入れないという、そういう接待専門のゴルフ場だそうです、ここは。当然御接待を受けてゴルフなさったんでしょうか。
  419. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) ちょうど国会が済んでほっとしておったときでございますから、言ってみれば日帰りにすればいいものを翌日までおったと、こういうことになろうかと思いますが、この種の会合につきましては、あくまでも私の後援会であります長期政策総合懇話会のそれぞれの支部でアレンジしていただいておりますので、そういう特別なゴルフ場というようなことはそのとき意識をいたしませんでした。私の知人が何かここのところは設計したそうだというような話を聞いたような今記憶がございますが、その程度でございます。ただ、今言われてみれば、随分前にティーグランドがやってありましたから、サービスしてもらったのかなと、こういう感じはしております。
  420. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 江副さんとはどの程度のおつき合いなんですか。
  421. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 私の勉強会の木鶏会というのがございまして、そのメンバーの一人であることは事実でございます。
  422. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 それじゃちょっと話題を変えますけれども、検察庁おいででしょうか。  岩手県で、リクルートコスモスの株の譲渡に関係いたしまして、知事を初めとする関係者が検察庁の事情聴取を受けたというそういう情報をつかんでおりますけれども、事実でしょうか。
  423. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) いろいろ調査をしていることは事実でございますが、そういう報告もありませんし、仮に報告がありましてもそういう答弁については御容赦いただいているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
  424. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 多分そうだろうと思いますけれども、実際に事情聴取されていることは事実であると思うんです。そのくらい実は岩手県の株に関する問題、あるいはこれから質問する安比のスキー場問題については非常に問題があるわけでありまして、林野庁の方にお尋ねをいたします。  昭和五十八年の三月に岩手県の観光開発公社が県民スキー場の建設を計画しました。これは前森山といいまして、それの東斜面の方です。その隣は、江副社長が四八%の株を持っている、というよりも四九・七%と言った方がいいと思うんですけれども、その子会社があとの一・七%を持っていますから、第三セクターというけれども半分の株は江副社長が持っているわけですね。その所有する安比高原スキー場の隣に県の観光開発公社がスキー場を建設しようとして五月に申請をしたわけです。これに対しまして六十一年の八月に青森の営林局は、これは商業ベースでないいわゆる公社によるスキー場の開発だから大変結構だということで許可をしているわけですね。これについては間違いありませんね。
  425. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 岩手県観光開発公社が前森山スキー場の開発に当たりましての国有林野活用につきまして、営林局に陳情書を提出いたしましたのは五十八年八月でございます。また、地元の松尾村からも要望がございましたので、六十一年四月に前森山のスキー場開発予定地につきまして野外スポーツ林を指定いたしまして、その経営管理方針書を六十一年八月に作成をいたしたところでございます。先生のお話しの許可ということにつきましては、その後に土地の使用についての許可申請がありましてから許可をする、そういう手順になる次第でございます。
  426. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 ところが、許可というか、自分たちの計画によろしいですよと言って組み入れるというんですかね、言葉はよくわかりませんけれども。私ども許可と使っているんですけれども、その許可が出る一年前に既に県の方としては幹部会議で、公社で開発を申請したけれどもそれはやめた、断念したと、こういうことが決定されているわけです。そして、六十一年の九月ですね、当時の農水大臣である加藤六月さんが秘書とそれから次女の名義で一万株のリクルートコスモスの株を譲渡されているわけですね。非常にこの辺に微妙な問題があるなというふうに思うんですけれども、この一年前から県側が開発を断念していた。これは知らなかったんでしょうか。
  427. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 今回このような事件になりましてから、今、先生の御指摘のことにつきましては新聞等で承知したところでございますが、私どもに対します岩手県観光開発公社からの計画の中止の話は六十一年十二月にございました。
  428. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 一年も前から計画を断念しているのに、すぐにその手続をとっていないんですね。経営主体の変更をしたいという当然そういう手続をとるべきなんですけれども、どういうわけか一年くらいその手続をとっていない。そこへ加藤大臣以下林野庁の幹部が視察に入るわけです。それが六十二年の二月の二十八日です。そして、その大臣の視察が終わった一カ月たたずして、初めてここで契約主体の変更の提出がされるわけですね。非常にここに疑問を持っているわけです。開発公社の人たちも、例えば子供たちのスキー教室のときには無償で提供をしよう、利用をしてもらおう、そしてどうも今スキー場というのは非常にお金がたくさんかかる、それでもっと安いスキー場をおれたちがつくろうとして意欲を持って建設しようと言って申請をした。それがどこかでもって計画変更して民間の方に、江副氏が社長をやっている会社に譲るというような決定をされて、一年も放置して、そして大臣の視察後に提出をするわけです。これは一体大臣のこのときの視察目的というのは何だったんでしょうか。
  429. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 六十二年の二月に森林、特に国有林におきましてスポーツ、レクリエーション等を楽しみたいという国民のニーズが高まっておりますので、国有林といたしましてヒューマン・グリーン・プランという事業を起こすことにいたしまして通達をしたところでございます。また、当時いわゆるリゾート法案が審議される直前でございましたので、それに関連いたしまして先進事例として大臣に御視察をお願いしたところでございます。
  430. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 表向きはそうでしょうけれども、とにかく大臣が入り、林野庁の幹部が入り、そのときに江副社長も同席をし、知事も同席をする。こういったことを考えると、どうも今まで決めてから一年も放置していたものを帰ってからいきなり出してきたということを考えれば、この経営主体の変更をスムーズにさせるためにこういったことが利用されていたんでないかとさえ実は現地では言われているわけであります。江副氏は、この安比レックを中心とする問題についてとにかく大事な計画変更のとき、例えば八幡平の森林レクリエーション基本計画の変更だとかあるいはこの安比の道路の建設だとか、今言ったように、セカンド安比の経営主体をせっかく公社がやろうと思ったのに江副社長の会社に変えるだとか、そういった変更の大切な節目節目に江副氏というのはあらわれているわけであります。  それで、私は総理にお願いしたいんだけれども、中曽根総理が盛んに民活民活と言っておりました。しかし、これは矢田部委員も前にお話ししておりましたけれども、民活といってもいわゆる国の予算だとか自治体の予算をフルに活用するためのものでしかないんですね。そういう点では、非常に自治体が民活民活と言われているこの事業に踊らされている一面が多分にあると思うんです。そして、多額な自治体の予算をそこに投入させられている。しかも地方では、政界あるいは官界などで地方のそういったところまで汚職で汚されている。一体何の民活なんだろうか。私はこのことを考えたときに、中曽根政権とこういった民活民活といっていろんな事業をやったその代表である江副氏とが、何かそこで一緒になって国民が当然疑わなきゃならないような一つの疑獄事件のようなものがそこに存在しているのじゃないんだろうか、国民の側に立つならば当然そういう感じを持たざるを得ないわけであります。  そういう点で最後にお願いしておきますけれども、総理はこれから「ふるさと創生」ということで随分地方自治体の活性化のために努力をしようとしております。その中で、こういった民活の二の舞を踏まないように、本当に地方のことを考えるのなら、もっと国が予算を投入して自治体を本当に温かく活性化できるような形を講じてもらいたい。こういった民間事業が乗り込んできて地域をおかしくするようなことは絶対させないように、特にその点をお願いしておきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  431. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) いわゆる民間活力の導入というのは、これは行政改革の筋からデレギュレーション等の論理の延長線上にあるものであろうと思っております。  今、私にお尋ねのありました「ふるさと創生」という言葉でございますが、これはあくまでもその地域の方が伝統なり歴史なりあるいは地場産業なり、そうしたものに立脚したメニューをおつくりになって、それに国なりあるいは県等がどのようにしてサポートすることができるかというような考え方でもって進めてみようというところまでしかまだ至っておりませんが、そういう考え方を基礎に置いて進めてみたいと思っております。
  432. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 六十二年の二月二十八日に、加藤農水大臣、林野庁の幹部がヘリコプターでこの安比高原スキー場を視察しておりますけれども、大臣を含めて八人が乗って往復をしております。このヘリコプターはチャーターしておりますけれども、東亜国内航空のヘリコプターですね。
  433. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 加藤前大臣初め、私当時次長でございますので私も実は同行させていただいたところでございます。八人ヘリコプターを利用したわけでございますが、その内容につきましては、私法上の契約でもございますし、氏名等につきまして差し控えさせていただきたいと存ずる次第でございます。  契約に当たりましては、会計法上の定めるところによりまして、数社の見積もり合わせをした上でその低廉な料金の方につきまして契約をし、チャーターをして行ったところでございます。
  434. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 私法上の契約だと言うけれども、これは衆議院の方では、税特ではないけれども、別な建設委員会では工事契約についてどこの民間会社と契約したかちゃんと答えているんですよ。そんなもの、私法上の契約だから答えられないなどというものではないんです。この問題をやっていたら時間がなくなるのでやめますけれども、東亜国内航空であることは間違いないんです。  運輸省にお聞きしますが、航空機の利用者と業界の保護のために航空機運賃の認可料金というのを決めていると思うんですけれども、この認可料金で計算をいたしますと、今回のこの農林大臣の飛んで行ったチャーターのお金と言うんですか、金額は幾らになりますか。資料を出しておりますので、計算してきていると思うんですけれども。
  435. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 先生の方から資料をいただきましたこの前提で計算いたしてみたわけでございますが、九時に羽田を出発して十一時三十分に安比高原に到着をした。それから三時間現地に滞在した後に、十四時三十分に出発して羽田に戻ってきた。こういう先生からいただいた前提条件で認可運賃の計算をいたしてみますと、三百三十五万二千八百円ということでございます。
  436. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 認可料金というのは、これは罰則があるんですか、守らない場合に。
  437. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ヘリコプターによりますところの不定期航空運送事業についての認可運賃、この運賃違反につきましては、航空法上罰則の定めがございます。
  438. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 内容は。
  439. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 内容につきましては、航空法の規定による認可を受けないで、あるいは認可を受けた運賃もしくは料金によらないで運送した場合、運賃または料金を収受した場合でございますが、五万円以下の罰金という規定がございます。
  440. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 三百三十五万二千八百円が認可料金です。これは上下動かしてはならない。もし違反した場合には罰金五万円以下だというのですけれども、このチャーター料は幾らで契約したんですか。
  441. 松田堯

    政府委員(松田堯君) この場で申し上げることにつきましては差し控えさせていただきたいわけでございますが、今の金額からいたしますと、かなり開きのある金額で契約をしているところでございます。
  442. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 どうしてそう隠さなきゃならないんですか。東亜国内航空から私の方で入手したのによると四十万円ですよ、四十万。間違いないでしょう。
  443. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 大変先ほどの三百数十万の金額とは格段に違う金額で契約をいたしておるところでございます。
  444. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 四十万かと聞いているんです。四十万であることは間違いないんです。これは契約書をもらっているんですからね。  そこで、これは運輸省にお聞きするんですけれども、確かにこれは航空法違反ですよ。違反なんだ。そんなことを林野庁が知っているのに、これだけの金額を下げたら航空法違反であるということはもうはっきりわかっているはずなんですが、それにもかかわらず見積もり合わせで、一つは四十万、一つは六十万、出させているんですよ。だから会社の方は、これは林野庁から言われれば、日ごろお世話になっているんだからしようがないと泣き寝入りしているんです。航空法違反だということがわかっていて、そういう契約というか見積もりを出させるような行為については一体どうなんですか、運輸省は。
  445. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 私どもの立場といたしますれば、航空法上定められた認可運賃というものは遵守していただくということでございますが、この遵守義務は、これは航空運送事業者に対する義務でございまして、利用者に対しましては航空法上の規制はございません。  したがいまして、運輸省といたしまして、法的に見て本件のチャーター運行の利用者でありますところの林野庁に対しましてとやかく申し上げる立場にはないということでございます。
  446. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 利用者といったって、それは一般国民とか官庁もあるでしょうけれども、しかし少なくとも法律を守らなきゃならない政府が、しかも初めて利用したんじゃないんですよ。これによりますと相当の回数です。大体一年間に、六十一年度で百十九件、九億六千七百万。これだけのものを利用しているんですよ。航空法を知らないなんというそんなことはないはずなんです。だから、知っておって企業関係に対して金がないから四十万でまけてくれ、見積もり四十万で出してくれ、こういう行為は役所側としてこれは許されるべきことではないと思うんです。どうですか。
  447. 林淳司

    政府委員(林淳司君) たびたび申し上げまして恐縮でございますが、私ども航空法を運用する立場といたしましては、航空運送事業者に対してそういう義務を課しておるということでございますので、航空運送事業者に対してその点については厳重に注意をしてまいりたいというふうに思っております。
  448. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 航空会社の方よりも、むしろそういう法律を知りながらまけさせているような、しかもずっと一年間に何億も使っているんだからまけると言ってやらせる方に責任があると言うんです。  これは林野庁、予算から出しているんでしょう、公費で出しているんでしょう、どうですか。
  449. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 私どもの事業におきますヘリコプターの活用につきましては、奥山等にございます価値の高い材木の運搬に活用しておる、これが中心でございます。人員輸送ということでヘリコプターを活用するということは余りないのでございます。
  450. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 そんなことを聞いているんじゃないので、あなた方が値切ったわけでしょう。そして、これは予算から出ているのでしょう。違うんですか、予算じゃないのですか。
  451. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 予算に計上してヘリコプターを活用いたしております。
  452. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 予算から出したんでしょうと言うの、予算に計上したんじゃなくて。
  453. 松田堯

    政府委員(松田堯君) そのとおりでございます。
  454. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 三百数十万のものを四十万で使った。あとの金はどうもこれは別なところから出ているんじゃないか。さっき言ったように、加藤農水大臣と一緒に会った人は今問題になっている江副氏だ。しかもそこに出迎えている。どうも別にチャーターをしてヘリコプターで行ったらしい。どうもそっちの方から出ているんじゃないかという、残念ながら確証はつかめないのだけれども、そういった声がしきりにあるんです。私どもは、そういう疑いさえかけられているので、問題がありますよと、こう言っているんです。問題は後日に残しておきますけれどもね。  ところで、八人が出張しているんですけれども、これ出張旅費は幾ら払っているんですか。
  455. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 交通費と日当があるわけでございますが、一人おおむね二千円から三千円でございます。
  456. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 出張命令簿を持ってくるようにお願いしてあったんですけれども、持ってきていたらちょっと見せてください。——この旅行命令簿というのは、用務と用件といろいろ書いていますね。概算払い、精算払いと書いているんですけれども、これ全部伏せているんですね。何も載っていないんです、名前。全然ここに書いていないんです。これは当然、線を引いて概算払い幾らと書いているんじゃないですか、本来であれば。命令簿を持ってきてくれと言ったんです。コピーしたものを持ってきてくれなんて言っていませんよ。念を押しているんですよ、私は何回も。
  457. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 資料が違っておりましたら申しわけない次第でございますが、私も当時同行した者でございますので、概算払いということではなくて、出張後に精算払いということで旅費をいただいた、日当をいただいた、こういうように記憶いたしております。
  458. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 私は、実はこういうものを持ってくるので、理解できない。後ろめたいものがなければ何でここを削っているんですか。これは削ったんでしょう。白紙のところは何を書いているんですか、これ。それで私は、悪いけれども出張命令簿を持ってきてくださいと念を押しているんです。これは何を書いていたんですか、この消したところは。
  459. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 御指摘の資料につきまして後刻ごらんに入れたいと存じます。
  460. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 だめです、それは。私は、恐らくそういうふうにしてあなた方は逃げるだろうと思ったので、念のために出張命令簿を持ってきてくださいと言っているんです。こういうものを出しておきながら後刻提出しますなんて、そんなことは納得できないです。審議できないです、これは。
  461. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  462. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 速記を起こして。
  463. 松田堯

    政府委員(松田堯君) 説明が不十分でございましたけれども、これがまさに旅行命令簿でございまして、先生の御指摘の空欄につきましては、他の用務の出張の命令が一件ことに書いてあるわけでございます。それにつきましてはカットさせていただいた、安比に行った出張命令の欄だけごらんに入れたと、こういうことでございます。
  464. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 了解できませんけれども、後日の問題にいたしたいと思います。  次に、時間がありませんので、十一月十七日の朝日新聞にこういう記事が載っております。「リクルート側は、六十年二月の第三者割当増資の価格を譲渡価格の二倍以上の一株二千五百円にすることを、五十九年十二月の段階ですでに決めていた」、こういう記事であります。  それで、国税庁にお聞きしますけれども、リクルートリクルートコスモス株百二十五万株を五十九年の十二月に売却をしております。この新聞記事によりますと、神奈川県警では、この時点で既に二千五百円ということをリクルート側は決めていた、こういうふうに言っております。これは法人税法の基本通達九—一—一四、「非上場株式で気配相場のないものの価額」というものは要するに時価でやらなければならない、そういうことが決められております。そうしますと、百二十五万株というのは一株二千五百円で譲渡をしなければならなかったというように考えますけれども、どうでしょうか。
  465. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) お答え申し上げます。  先生御指摘の朝日新聞の記事は私どもも承知いたしております。ここで、一般的に法人が株式を有償で譲り渡しまして、その後その相手方が、個人なり法人ありますけれども、仮に個人として、その個人がある期間持ってその後譲渡するという一般的な関係の中で、税の関係はどう整理しておるかという点でございます。  御案内のように、所得税といいましょうか、所得課税は実現した段階で課税するというのが大原則でございますので、譲り受けたものをその後譲渡した場合には譲渡の段階で実現益に対して課税をする、それの課税関係は当然キャピタルゲイン課税の法制がかぶさってまいります。  先生御指摘の、もし低廉であったならばどうかという法律関係は、譲り受けた段階でのその価額がそのときにおける時価を下回る場合、そういう場合には、法人から個人への移動の場合には一時所得課税の可能性がございます。  それでは、どういう場合が時価に比べて低いと見るのかという点でございます。先生御指摘の五十九年十二月の株の譲り受け、あるいは譲渡の段階において、次の年ですね、六十年二月にこういう値がつくであろうということを前提にしての御質問かと思いますけれども、今申しておりますみなし一時所得課税というのは、あくまでも譲り受け時点での価額でございます。したがいまして、あくまでも今の例で申し上げますならば、五十九年の十二月時点における時価が何かということに相なるわけでございます。  先生御指摘の通達は評価損に関する規定でございまして、端的な一時所得の議論とはちょっと違いますけれども、類似した関係にあると言っていいかと思いますが、一般的に上場しておりません株式の時価の考え方というものは、その時点における端的な売買実例がございますれば当然それが参考になるわけでございますけれども、一般的にはなかなかそういうものがないのが多うございます。そういった場合に、実務的にはどういう処理をしておるかと申しますと、今御指摘がありましたような通達とほぼ同じような考え方でこざいますけれども、相続税の評価額などを参考にしながら、その他の指標を総合勘案して決めるということでございます。  したがいまして、繰り返しになりますけれども、五十九年十二月時点における価額がその後つくであろうという価額と違っておるからといって、そのことをもって直ちにそのときの時価、五十九年十二月の時価を下回るというふうに一概には言えないということだけは御理解いただけるかと思います。
  466. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 法人税の基本通達の九ー一ー一四に「当該事業年度終了の日又は同日に最も近い日におけるその株式の発行法人の事業年度終了の時における一株当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額」だと、簡単に言えば時価だということなんですね。ですから、これはその五十九年の十二月の段階で、しかもこの会社は決算期がたしか四月ですね。そうすると、五十九年の四月の段階で計算をしていかなければならないと思うんです。十二月の段階でもいいです。その計算からいくと二千五百円だということになっているんです。六十年二月の第三者割り当てのときの価格が既に五十九年の十二月の段階で二千五百円にリクルート社は決定しているというんです。どうですか。
  467. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) 先生御指摘の通達、これは法人税の基本通達でございます。おっしゃるように(三)のところで書いております「純資産」というふうな規定がございます。  御案内のように、純資産をどう評価するかというのは、いろいろな評価の問題がございますけれども、一般的に言いますと、当該会社の資産を簿価で見る場合あるいはそのときの時価で見る場合、いろいろございます。私どもの承知しております限りでは、昭和五十九年の十二月時点、その時点での純資産評価額は千二百円を相当下回るというふうに承知しております。
  468. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 それも心配だったものですから、きのうから国税庁に、千二百円で計算されるということをどこかでも話しておりますから、それじゃこの基本通達に基づく純資産評価は一体どういう計算に基づいて千二百円になったのか、その根拠を出してください、私の質問は午後からですから、できれば午前中に持ってきてくださいと——持ってきてくれないんです。全然私の検討する時間を与えてくれない。そして今そのような答弁なんです。  これはそうすると、この朝日に出ている、神奈川県警が、五十九年十二月の段階で既に一株二千五百円になるんだと、六十年二月の第三者割り当ての増資価格については二千五百円になるんだということを決めていたことを重視しているというこのことは否定するんですか。
  469. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) 私もその朝日新聞の記事は読んでおります。ここに書かれておりますのは、六十年の二月に二千五百円で決めていたという言い方になっております。  実態がどうであるかというのはちょっと私も承知しませんけれども、これはあくまでも六十年二月に売り出すという話の、そのときの六十年二月時点の価額を決めておったというふうに読めるかと思います。
  470. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 十二月の段階で既に決めていたと言っているんですよ、二千五百円で。だから、当然あれでしょう、疑問だと思ったら実際の税務調査をして、本当にその純資産が幾らになるのかということをきちっと計算して、それで千二百円だという根拠を出さなきゃならないんじゃないですか。
  471. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) 繰り返しになりますけれども、この記事を素直に読みますと、六十年二月に譲渡する価格、その時点では将来の価格でございます、それを二千五百円と決めていたという記事になっておろうかと思います。  私どもの評価は、あくまでもそのみなし一時所得云々という議論は譲り受けの時点の時価が何かということでございます。したがいまして、先ほど来申しておりますように、五十九年の十二月時点における時価が何であるか、これは私どもの承知している限りでは、いわゆる相続税評価額で計算するものが千二百円を上回るということはないというふうに承知しております。
  472. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 これは店頭登録をする前ですよね。わずか二カ月の間で倍以上になるというそんなことになりますかね。何か特別の変化でもあるんならそういうことも起こり得るかもしれない。しかし、何ら変化のない中で、二カ月の中で二倍以上になるということは普通常識で考えられないと思うんですけれども、どうでしょう。
  473. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) 株価の形成がどうなって行われるというのは、私は専門でございませんので承知しておりませんけれども、私どもの立場というのはあくまでも税を課税するという関係に立ったときに、いかなるものが客観的に望ましい課税の基準になるか、そういう観点で見ております。したがいまして、みなし一時所得課税を行うという場合の時価の算定は、先ほど申し上げたとおりの考えでやっております。
  474. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 とてもこの計算の基礎については納得できません、資料要求しているのに出してくれないのですからね。  それで、千二百円だと思いますと言うんですけれども、我々の考え方では、わずか二カ月の間に二倍以上にはね上がるということは到底考えられない。もし、県警が言っているように、二千五百円ということを決めていたとするならば、それを千二百円で売ったその差額の千三百円というのは、これは当然リクルート社としては寄附金として帳簿上に上げておかなければならないんです。これは約十六億二千五百万です。そうすると、十六億二千五百万と申しますと、これは一体どのぐらい税金がかかるかといえば、当然損金として算入できる寄附金というのがあります、数千万でしょう、このくらいの会社ですと。そうすると、大体大ざっぱに見ても六億円くらいの脱税になる、そういう可能性があると思うんです。どうでしょうか。
  475. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) ただいま委員御指摘の問題は、私たしか十月十四日の衆議院の特別委員会におきまして村山喜一先生の質問にお答えしたときだと思いますが、それをちょっと繰り返しになりますけれども申し上げますと、五十九年十二月の千二百円という価格、これは五十円額面に換算しておりますけれども、この価格というのはリクルート社によりましてリクルートコスモス社の株を売却するときの価格でございまして、この価格算定は、私どもが聞きました段階におきましては、その時点におきますリクルートコスモス社の予想純資産のほかに、六十年早々にリクルートコスモス社と合併が予定されておりました会社の保有土地を時価評価いたしまして、そうしてそういう意味で、期末のいわば純資産を一株当たりで割って千二百円と決めた、そういうふうに聞いております。  一方、ちなみに五十九年十一月のリクルートコスモス社による社員持ち株会に対する第三者割り当てというのは、これは簿価によってこれを評価しておりまして、簿価を基準とした純資産価額方式によっておりまして、この場合だと額面五十円換算で一株二百六十六円五十銭というふうになっておるわけでございます。これに対しまして、今御指摘の六十年二月、四月の第三者割り当て、これはリクルート社じゃなくてリクルートコスモス社が第三者割り当てをしたわけでございますが、二千五百円という価格になっております。この価格は、将来の会社の業績の向上をかなり大幅に見込みまして、そういった意味で、似たような会社の株価を比較した類似会社比準方式によって算定したというふうに承知しているわけでございます。  それで、値段が違うではないかということでございますが、それは、一方におきましてはリクルート社が決算対策として十二月に売った。一方、リクルートコスモス社が二月ないし四月の段階で第三者割り当て増資をしたということで、まず算定の主体が違います。と同時に、一般に非上場株式の評価につきましては、これは税法その他におきましても、例えば類似会社比準方式による、あるいは純資産価額方式による、これはいずれもどの方式によっても構わない、こういう方式になっておるわけでございます。市場性のない非公開会社の株価の計算方式につきましてはいずれも合理的な方法であるというふうにされているわけでございます。  いずれにいたしましても、この株価が正しいかどうかといった問題につきましては、これは非公開会社の株価の算定の方式でございまして、しかも市場価格のない合理的に認められた方法によっている以上は、これは証券行政の立場といたしまして私どもがどうこう申し上げるようなものではないというふうに考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、二千五百円あるいは千二百円の価格の算定は、以上申し上げたようなものが内容になっているというふうに承知いたしております。
  476. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 最後に一つ。
  477. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 時間が来ました。じゃ、一問だけ。
  478. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 国税庁ではそう言っているけれども、私は到底納得できません。二カ月で倍以上になるということは考えられないし、どうしてもそれが正しいと言うのであれば、きちっとした評価資産の計算したものをぜひ出してもらいたいと思います。  普通、二カ月間で株が二倍くらいになりますと間違いなく税務調査が入るんですよ、これは。ところが、どういうわけかここには税務調査も入っていない。そういうことを考えますと、もらった方も、今度はその人たちは当然一時所得ですから、一時所得としては確定申告をしなきゃならないんです。だから、政界、官界のもらっている人たちは当然一時所得としてこれは脱税の対象になる危険性がある。そういう点では税務調査も当然これは国税庁としてしなければならない。そういうことがありますので、この問題については後日に私は延ばして何らかの機会にもう一度ひとつ詰めてみたい、こんなふうに思います。  以上で終わります。
  479. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 次に、猪熊重二君の質疑を行います。猪熊君。
  480. 猪熊重二

    猪熊重二君 余り中身がよくわからないので、質問させてもらって非常に申しわけございませんけれども、よろしくお願いしたいと思います。  このリクルート疑惑に関して総理が何回かおっしゃっておられることで、問題点が四点あるというふうなことをおっしゃっておられます。証券取引の問題、それから証券取引に関する税制の問題、それから刑事法違反に関する問題、そして最後に政治倫理に関する問題、こういうふうなことをおっしゃっておられます。時間がある限りこの四点についてお伺いしたいと思います。  最初に、政治倫理の問題に関してお伺いしたいと思います。  わざわざ読み上げるほどのこともないんですが、このリクルート疑惑に関する各種の方法による解明が五カ月近くたってもほとんどわかっておらないというふうな状況を前提にしてあえて申し上げたいと思います。  国会法百二十四条の二、「議員は、各議院の議決により定める政治倫理綱領及びこれにのっとり各議院の議決により定める行為規範を遵守しなければならない」、政治倫理綱領には、「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない」という規定がございます。私がわざわざこんなことを申し上げたのは、この政治倫理綱領に余りにかけ離れた事態が五カ月近くも続いているということを前提に考えるからであります。  まず、総理にお伺いしますが、この疑惑の主体というか、疑惑を持たれているというのは、この政治倫理綱領にございますように、「われわれ」というふうに書いてございますので国会議員であることは当然です。しかし、直接の議員の疑惑でない場合であって間接的に議員に関する疑惑が生ずるような場合、もう少し明確に申し上げれば、秘書だとか家族だとかという立場の人間を通じて、間接的に議員が疑惑を持たれているというふうな場合にもこの政治倫理綱領の問題となるとお考えでしょうか。
  481. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 恐らく先生御指摘なさったのは、「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない」ということであろうと思っております。したがって、いわば政治家本人でなくとも、その周辺においていろいろな疑惑というものが持たれるようなことがあれば、それを真摯な態度で解明すべきだというふうに考えております。
  482. 猪熊重二

    猪熊重二君 ところで、この疑惑というのは、疑惑を持つのはだれだとお考えでしょうか、総理。  要するに、疑惑を解明しろというけれども、この疑惑を持たれるのは、今おっしゃられたように、議員ないしその間接的な場合も含むと。疑惑を持つのはだれが持つとお考えでしょうか。
  483. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) それは非常に難しい問題であろうと思います。これは究極的には政治倫理審査会そのものが有権解釈をするということになろうかと思いますが、私自身が日ごろ考えておりますのは、やはり国会等でこうした大きな議論が行われるようになるという、そういう客観性の中から出てくるものであって、定義づけするのは非常に難しいと思います。
  484. 猪熊重二

    猪熊重二君 疑惑を持つのは国民だろうと私は思うんです。疑惑を持つのが国民だとすれば、この解明ということはだれに対して解明することになるかということも明らかだと思うんです。だれに対してこの疑惑を解明するべきなんでしょうか、総理大臣。
  485. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) これは国会でお決めになったことでございますので、私が有権解釈をする立場にはなかろうというふうに思いますが、「いやしくも国民の信頼にもとることがないよう努めなければならない」と一番最初書いてありますので、今おっしゃった意味は私にも理解できることでございます。
  486. 猪熊重二

    猪熊重二君 国民が疑惑を抱く、この疑惑を抱いた国民に対して疑惑を解明せなければならない、解明するということは、要するに国民の疑惑を解消するということであります。ところが、現在ほとんど疑惑の解明がなされていないように思います。  この疑惑の解明ということに関連して総理に見解をお伺いしたい。政治家と政治家のプライバシーという問題に関して、非常に抽象的な質問で失礼ですけれども、総理はどのようにお考えでしょうか。政治家のプライバシーは一般国民が保有しているようなプライバシー権と同じような範囲、程度とお考えでしょうか、いかがです。
  487. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 基本的には、政治家といえども一般国民の一人でございますので、プライバシーを定義づけるのはなかなか難しいわけでございますが、しかし政治家という今我々立場にあるときには、より厳粛にみずからを律することが必要であるというふうに私は思っております。
  488. 猪熊重二

    猪熊重二君 最高裁の昭和四十一年六月二十三日判決、この判決は同じ昭和三十三年十二月二十四日の東京地裁の判決をそのまま正当であると是認した判決ですけれども、ちょっと長いけれども読ませていただいて、総理が御存じかどうか伺いたい。   公務員はすべて国民全体の奉仕者であり、公務員の選定、罷免は、国民固有の権利であるから、主権者である国民は、公務員またはその候補者の適否を判断するため、当該公務員またはその候補者について知る必要があり、また知る権利を有するものである。従ってその判断に全く関係のない私事に関してはとにかく、いやしくも右判断に関係がある限り、たとえ過去の私事にわたったとしても、真実である限りその事実の公表は許されねばならず、その具体的な限界は、その公務員の職務の性質と相関的に決定すべきであるが、 その後の文章を特によく聞いていただきたいんです。  特に国会議員ないしその候補者については、他の一般公務員と異なり、その適否の判断には殆んど全人格的な判断を必要とするものと解される。 ということで、要するに国民一般が保有しているようなプライバシー権とは違って、公務員、特に国会議員の場合には「その適否の判断には殆んど全人格的な判断を必要とする」という限りにおいて、国会議員のプライバシー権というものは、一般国民の有するものとは質的に異なる、制限されると、こういうふうに考えますが、この最高裁の判決についての総理の所見はいかがでしょう。
  489. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 最高裁のことに対して私がとかく論評をすべき立場ではございません。最高裁の判決であるというふうに謹んで承っております。
  490. 猪熊重二

    猪熊重二君 例えば、学者の見解としてこのようなこともあるんです。「「公人」もしくは公権力担当者は、その地位を得た時点で、国民の監視や責任追及に服すること——、一般国民と異なった特別の人権制約に服すること——に同意したものと考えられる」、「公権力担当者については、その名誉やプライバシーにまさるものとして「国民の知る権利」や国民の「監視権」が位置づけられることを承認すべきであろう」というふうな学者の見解に対する総理の見解はいかがでしょう。
  491. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) この公権力を伴う地位にある者は、今おっしゃったような気持ちで絶えず身を律すべきものであるというふうに考えます。
  492. 猪熊重二

    猪熊重二君 さらに、総理も御存じだろうと思いますが、昭和六十三年九月九日、福岡県山田市において政治倫理条例というものが議決されました。この条例には市長、助役、収入役、教育委員会委員及び市会議員は、自己の資産のみならず配偶者及び扶養する子女に係る資産も報告しろと、こういうふうな政治倫理条例が議決されております。ほとんど一人の議員の反対であとは大多数の賛成で議決されている。このような政治倫理条例について総理どうお考えになりますか。
  493. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) これは山田市の話、私も知らぬわけじゃございませんが、さまざまの論議を得てつくられた条例制定であったというふうに私も理解させていただいております。
  494. 猪熊重二

    猪熊重二君 いや、私は先ほどから最高裁判決やあるいは学者の論文あるいは山田市の条例を申し上げたのは、これに対して総理がどのような見解、所感をお待ちかどうかを伺いたいんです。こういう今私が申し上げたような見解に対する総理の考え方がもし申し上げた見解と同じであるならば、今までの総理ないし大蔵大臣の対応はまことに異なると思うので、重ねて総理の見解をお伺いしたい。
  495. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 最高裁判決を論評する立場にはありません。それから、山田市でもさまざまの論議を得て条例が制定されたものだというふうに思っております。  今、内閣総理大臣としてこれに対しての具体的な問題が念頭に浮かびますのは、政治家全体の資産公開の問題でございますとか、いろいろな問題が出てまいります。今行っておるのは、閣僚につきましては第二次中曽根内閣以来申し合わせにより組閣、改造のたびにこれを実施しておる。政治家全体の問題というのは、国会等でも議論したことがございますが、やはり全体の問題としてみんなで議論すべき問題であって、私が今、私見を述べる立場にはなかろうというふうに思います。
  496. 猪熊重二

    猪熊重二君 以上お伺いしたことを前提にして、宮澤大蔵大臣にお伺いしたい。  この五カ月の間、宮澤大蔵大臣の各種の場所における御意見は非常に転々変化しております。私のように頭の悪いのは、これがいつのことだったかわからぬぐらいにくるくる変わっていかれる。最初はノーコメントと言われた。ノーコメントと言える立場におありなんだろうか。しかし、過去のことはともかくとして、現在において大蔵大臣は、自分にかかっている疑惑を解明するべきことについて、疑惑解明の義務を御自身でどのようにお考えでしょうか。
  497. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 私がおわびをしなければならない点は二つあると考えております。  一つは、私の秘書をいたしておりました者がこのたびの出来事に関与をしたということでございます。長年一緒に仕事をしておりました私の監督がいかにも甘かった。これは何とも申しわけのないことで、本人はもちろんやめておりますけれども、やめて済むわけのものではないと私自身申しわけなく思っております。  もう一つは、その秘書の説明を信じてまいりましたために、国会でこのことにつきましての御報告が御指摘のように幾たびも変わった結果になった。私が知ってうそを申し上げたわけではございませんけれども、国会の御審議に当たって事実の真相でないことを申し上げてきたということについては、これは私自身の落ち度でありまして、深く恐縮をし反省をいたしております。
  498. 猪熊重二

    猪熊重二君 先ほどの社会党の山本委員の質問にもございましたけれども、私が伺いたいのは、済まなかったという謝罪の問題ではないんです。謝罪の問題ではなくして、政治倫理綱領に基づいてどのように事実を解明するかという問題なんです。事実の解明がない限り謝罪する必要も何もないんです。事実を解明した結果として、謝罪する必要があるか、それとも謝罪なんかする必要はないんだ、私は全く清廉潔白なんだということになるのか、事実の解明が必要なんです。それについては、先ほどの山本委員のいろいろおっしゃられていた個別的な問題、これをまさにみずから明らかにすることが疑惑の解明なんです。国民は大蔵大臣のおっしゃっているいろんな御説明では全然納得していないんです。国民の疑惑を解明することが必要なんです。  その点について、もっとすべての事実を明らかにするということについての御意見はいかがなんでしょうか。
  499. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 先般、当委員会が開かれます直前の段階で、初めて服部という元秘書から詳しいことを聞きまして、私としてもできるだけの関係のことごとも自分でも調べまして申し上げたところでございます。自分としては全力を尽くしたつもりでございますが、なお努力をいたさなければならないと思っております。
  500. 猪熊重二

    猪熊重二君 服部秘書さんにいろいろ聞かれるのも結構、証券会社に、あるいは他の関係者にいろいろ聞かれるのも結構なんです。結構というよりは聞かなければならない。聞いて明らかにならなかった場合、事態の解明が不可能だった場合、この場合の責任というものはどのようにお考えなんですか。
  501. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) あくまで事態を明らかにいたしますために全力を尽くさなければならないというふうに考えております。
  502. 猪熊重二

    猪熊重二君 私は、失礼ですが、大蔵大臣の答弁を聞いていると、人のうちの話をしているような話しぶりに感じられるんです。そんな問題じゃないはずなんです。御自分名前を使われた問題、それから自分の長年月にわたる秘書、そして秘書官にしたその人の問題。だとしたら、これは大蔵大臣がみずから国民に納得が得られるまで明らかにするべき義務がある。この義務を履行できない、結局義務の解明が履行不能だということになれば、それはすなわち大蔵大臣御本人の疑惑解明に対する義務の不履行だと私は思うんです。いかがですか。
  503. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のとおりでございますから、さらに全力を尽くさなければならないと存じます。
  504. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 関連質疑を許します。峯山君。
  505. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、きのうときょう二日間にわたりまして証人喚問を行いました。少しは明らかになってまいりましたけれども、今回のこのリクルート事件、まあ疑獄と言ってもいいぐらい大変な事件でありまして、これはもうわからなくなってきたこと、また疑惑が深まったことの方が多い。大臣もきのう御存じのとおり、例えばリクルートコスモスのあの七十六万株の還流株の大部分のところがリクルート社の社員あるいは役員のところへ還流している。そういう部分があるわけです。これは証券業協会のあれにも違反しておるわけです。そういうような問題。その還流株が一体今度はどこへ行ったか。それは既にその役員の皆さん方が、いわゆる証券の報告書によりましても株を既に持っていないわけですから、どこかへ行っているわけです。こういうような問題も出てまいっておりますし、それから例えばファーストファイナンスのあの第三者割り当ての問題等、まだこれから出てくる問題等一つ一つを見てみますと、これは重大な問題がたくさんあるということなんです。したがって、この問題は一朝一夕に簡単に解決をしないと実は私は思っておるわけです。  しかしながら、宮澤大蔵大臣にかかわる問題は、これはどうしても早急に解決しなきゃいかぬわけです。そうしないと我が委員会が進まぬわけです。そういうような意味で、大臣がこの間、一日の日に弁明をされました文章をもう何回もぼろぼろになるぐらい読ませていただきましたし、勉強もさせていただきました。何とか我々としてはこの問題を解決できるように努力をしてきたわけでありますが、だんだん疑惑が深まってまいりました。本当にこれはいかぬことでございます。  そこで、まず初めに二つだけ伺いますが、先ほどの御答弁の中で大臣は二つ新しいことをおっしゃいました。一つは、いわゆる株の売却について確認をしたところ、リクルート側から証券会社に持ち込まれて売却されているというふうな意味の発言をされましたが、ここら辺のところをもうちょっと正確におっしゃっていただけませんでしょうか。
  506. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) この点につきましては、この委員会におきまして服部恒雄のところに株式が来ておるのではないかというお尋ねがございまして、私はこれを本人に何度も確認をしておるわけでございますけれども、来ていないということでございました。  しかるところ、昨日江副証人は、一般論といたしましては、いわゆる融資の場合には株式を渡さないことがある、あるいは払い込んであれば渡すのが原則云々ということを言っておられました。それは原則論でございますから大変厳しく私は申し上げるつもりはございません。そう言っておられましたのですが、服部君の場合は、先ほども申し上げましたが、借金をいたしておりませんので、それであればその理屈で申せば株が来るはずであると考えまして、実はこの点を会社側に確認をいたしたわけでございます。そういたしましたところが、それは御本人にお渡しをいたさなかったという答えが返ってまいっておりまして、売却に際しましては、これは会社でなく証券会社の方に確かめたわけでございますが、証券会社に確認いたしましたところ、リクルートの方から預かっておるところの株券を証券会社へ直接持ち込んだ、こういうことを、これは証券会社について確認をいたした次第でございます。
  507. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 証券会社に確認をしたと。そうすると、証券会社に確認されたのは大臣御自身でしょうか、それとも局長の方でございましょうか。
  508. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまリクルートからと申し上げましたが、リクルート側からという意味でございますので……。  これは事務当局から証券会社に確かめてもらったところでございます。
  509. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 事務当局、そこを具体的に説明してください。
  510. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 本件につきまして幹事証券に確認したわけでございますが、一部の顧客につきましては、リクルートコスモス社といいますか、リクルート側が株券を直接持ち込んで個々のお客にかわって口座の開設を代行したという事実がございました。  それから、これらのお客につきましては、リクルートコスモス社の指示に基づきまして株式を市場で売却いたしまして、売却代金を指定された名義人の銀行口座に振り込んだという事実があったようでございます。そのうちのお一人が大蔵大臣の秘書官である服部恒雄氏のものであったというふうなことのようでございます。
  511. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 リクルート側から持ち込まれた株はどのくらいでございましょうか。
  512. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 一部の顧客がどの程度かという話なんですが、正確な記録が残っていないようでございますが、担当者の記憶で言いますと、大体三十名ないし四十名程度がそういう範疇に入る方であったというふうな報告を聞きました。
  513. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 きょうは私、関連でございますから、これは委員長に申し上げておきますが、三十名ないし四十名の株を一括してリクルート側から幹事証券会社に持ち込んで、そして売却をされておるということは、江副証人はこの問題について、決して売却の時期等も指示していない、それで各個人に株を配っておる、それで売ったのは各個人で勝手に売った、こうおっしゃっているわけです。ですから、これは証言と明らかに違う点でございますので、証言法違反の可能性もありますから、この点は後ほど精査をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
  514. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 理事会で検討いたします。
  515. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それからもう一点、大臣、先ほどの御質問の中で、九月三十日から十月十五日の間の問題が議題になりました。あのときに大臣は、先方は要するに仮払いとして処理をしているらしいと、これは大臣はどこでお聞きになったのでございましょうか。
  516. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) この点も昨日の江副さんのお話にございまして、表現は微妙でございましたし、また多少変化も、一様でなかったようにも承りましたけれども、少なくとも服部恒雄君に関する限り融資を申し込んだことがございません。したがいまして、融資を受けたという状況になかったことは極めて明白でございますので、やや、事実関係はどうなっておるのかということは当然のことながら私としても関心を持ちました。  と申しますのは、そうでございませんと、私が融資を受けておらないと申しておることをちゃんと裏づけられないものでございますから、したがいまして、融資を受けていないという事実を知っておりますだけに、それならば念のために、会社側はその間の状況をどうしておったのであろうか、これは実はこちらに関係のないことでございますけれども、そういうことを感じましたものでございますから、会社に対しまして、私の方の者が電話をもちましてその点の処理を、これはファーストファイナンス株式会社の経理上の処理かと存じますが、それにつきましてリクルート側に念のために照会をしてみたということでございます。
  517. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これはきょうはここで議論をするつもりはありませんが、大臣、きのう私はこの問題について江副さんに質問をいたしました。私の前の方のときにも多少あいまいなところがありましたので、再度私は確認をしたわけ。そのときに、ファーストファイナンスから融資の指示をしていたようだが、服部さんのときにもやっぱり指示をしたのか、こう確認をしたわけです。そうしたら、服部氏に対しては必要があればファイナンスの道もあると告げるよう指示をした、そういうような意味の発言でした。それに対して、もう一回確認をするが、服部氏はファーストファイナンス融資を受けているようだが、どうなんだ、こう聞いたら、一番最後の答弁では、恐らく融資を受けたと記憶している、こうおっしゃっているわけです。そしてその後、実は同僚議員の方が、宮澤大蔵大臣は融資を受けていないとおっしゃっているが、こう言うたわけです。そうしたら江副さんは、それは、大臣がそうおっしゃっているんならそうだろう、こう言ったわけです。  これは大臣、要するに江副さんに対して後の方の質問は予見を与えているわけです。大臣は融資を受けていないとおっしゃっているということを言って、そして予見を与えて証言をさしておるわけですから、後の方はそんな効力はないと私は見ているわけです。何の予見もなしで質問をしたときには、そういうようないろんな事実関係からいえば、恐らく融資を受けたんじゃないかというふうに認識をしている、そういうことです。これは要するに、中身は、大臣のおっしゃっているこれが私は違っているとは言うていないわけです。これは合うているかもしれませんが、ここに書いている以前は、一般的に言えば融資を受けていたと、一般の人は。大臣はさっきでっかい声で、受けていません、書いてないんですから、こう随分おっしゃいましたが、しかしそれはなかなか通らないことで、それは服部さんの分として会社はだれにも言わないで、大臣にも服部さんにも言わないで会社の中で処理したんでしょう。そういう方が何人かいるとおっしゃっていましたから、きのうも。何人かいる中のお一人であったことは事実なんです。  それともう一つは、大臣、実はそれだけじゃなしに、私は、これを全面的に信じようと一生懸命なんでございますが、実は融資そのものを全く受けていないんだ、三千万円も振り込んでいないんだと言うんですよ、そういう人がいる。そういううわさが流れてきた。そして、最後の五千二百二万円というのは、あれはそうじゃなしに二千二百二万円なんだ、こう言うんですよ、それは本当かどうかわかりませんが。そうなってくると我々としては、これは大臣のおっしゃっていることが本当かどうかということは本当に疑わしくなるわけですね。そういうふうな意味では、大臣から幾らいろいろと御答弁いただいて、大臣がおっしゃっていることを一〇〇%信じようと思って一生懸命なんですけれども、それはやっぱり言葉の上でございまして、それはいけませんので、これは委員長、この売買約定書、これは当然出していただかないといけないと私は思います。  それから、六十一年十月十五日にファーストファイナンスの銀行口座あてに服部恒雄さんが三千万円を振り込んだという証明、これはすぐ出るんだそうですよ。通帳を出さなくても銀行へ行ったら振り込み書を書きますね、どなたか書いたわけですから。書いたらその控えは銀行は本人が行けばすぐ出してくれるそうです。きょう私は確認してきました。これも簡単に出していただけそうです。  それから後の、十月三十一日に服部さんの銀行口座に五千二百二万余円振り込まれたという証明書も、これは何らかの形で十分取れるんじゃないか。  やはりこの三点セットはきちっと出していただかないと、私が幾ら大臣の言葉を信じないといけないよと言っても、私の党でもほかの人が信用しないわけですよ。これはもう大問題でございまして、私は、出先の理事といたしましては、このことをちゃんとしていただかないと九日からの先の話し合いが難しくなりますので、この点はきちっと出していただきたい。このことをあえて申し上げて、この点は委員長にぜひ善処いただきたいことも申し上げておきたいと思います。  大臣の御答弁をいただいておきたいと思います。
  518. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 前段のことでございますが、事実問題といたしまして服部君が融資を受けていなかったと、これは昨日もちょっとお話があったようでございましたけれども、九月三十日というのがいわば契約の日であって、そして十月十五日には払い込んでくれろということでそのとおりしておりまして、別段おくれたわけでもなかったということが事実かと存じます。  第二段の点は、いわゆる売買をいたしましたときの売買報告書でございますか、そのときにきちんと五千二百万円であったのかということ、これは実は私も自分で確認をいたしておるわけでございますが、なお峯山委員の御指摘の点につきましては、先ほどもちょっと申し上げました、将来にわたっての先例になるとか、あるいは自由経済の問題であるとか、プライバシーの問題であるとかいろいろなこともございますが、よく私としても検討させていただきたいと存じます。
  519. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 委員長からもひとつ。
  520. 梶木又三

    委員長梶木又三君) ただいまの大蔵大臣の御答弁で了解いただけませんか。
  521. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 さっきの三つの問題については理事会で御検討いただいて、ぜひそれを出していただきたいと思います。そうでないと先の方へ進みにくいものですから、ぜひお願いします。
  522. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 理事会で協議いたします。
  523. 猪熊重二

    猪熊重二君 政治倫理の問題は先ほどお伺いしたぐらいなところで、次に刑事事件的側面についての問題をお伺いしたいと思います。  まず、法務省にお伺いしますが、この疑惑に関して当事者である方々が、私は職務に関してほとんど何も便宜供与はしていない、悪いことはしていない、むしろ逆に一生懸命やっているんだ、だから私は何ら責任がないというふうな趣旨のことを言われる方が多いんです。  そこでお伺いします。正当に職務を行った場合であっても、不法な利得を得た場合には収賄罪になりますね。その辺の意味、それから請託、受託収賄あるいは応報収賄との差、この辺について御説明願いたいと思います。
  524. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 収賄罪につきましては、大体三つのジャンルといいますか、そういうのがあると思います。一つは単純収賄罪でございます。これは御承知のように主体が公務員であること、二は職務に関すること、三は人の欲望を満たす有形無形の利益を受けること、四にはその利益を収受あるいは約束、要求の行為があることということでございます。  次は請託収賄でございますが、請託収賄は、職務関係してある一定のお願いを受けまして、それを承諾して先ほど申しましたわいろを受け取ること、あるいは約束、要求することということであります。  第三番目は、職務上不正なことをするというのが代表的なことでございますが、不正なことをした報酬ということでわいろを受け取るということでございます。  仰せのような、例えば単純収賄の場合に、職務に関して便宜を図ったということは別に要件とはされないわけでございまして、職務を正当に遂行いたしましても、職務に関してわいろが提供されれば、それは収賄罪になります。
  525. 猪熊重二

    猪熊重二君 単純収賄罪の法益、なぜまともに仕事をしても利益をもらうと収賄罪になるのか、その辺の法益について御説明ください。
  526. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 収賄罪の法益でございますけれども、これはいわゆる公務員の、あるいは公務の廉潔性を保つというところにあるのではないかと。あるいは言葉をかえて言いますと、公務の不買収性ということが法益になっているのではないかと思います。
  527. 猪熊重二

    猪熊重二君 結局、幾ら正当に職務を執行したとしても、その職務執行に関連して利益を受ければ単純収賄罪になるということは、公務に対する国民の信頼感を揺るがせるからそういうことがあってはならないということであろうと思うんです。  ですから、きょうこの委員会に見えた方も、私は便宜を図ってないということは、何か自己の免罪符のようなことを言っておられるけれども、便宜を図らぬでまともに一生懸命仕事をするのは公務員として当たり前のことなんであって、その仕事に関連して不法な利益を取得するかしないかということが問題なんです。要するに単純収賄罪の保護法益は、公務の公正さなんです。この公務の公正さというのは、国民が公務を信頼するかしないかという問題なんです。あくまで国民を主体にして物事を判断していくべきだろうと思うんです。 ところで、この不法の利益の問題に関連して、まず、昭和五十九年十二月のリクルート社によるリクルートコスモスの株の譲渡に関連してお伺いします。  この十二月に七十六人の方に株を譲渡したが、そのときの価格は千二百円、それから二カ月後の六十年二月十五日に、リクルートコスモス社が新株を発行したときの割り当て価格は二千五百円です。これは先ほど社会党の山口委員がいろいろお伺いしたこととほとんど同趣旨なんですが、法務省としては、この六十年二月十五日の第三者割り当て株の株価の決定をリクルートコスモス社がいつしたか、いつ決定したかということについてわかっておられましょうか。
  528. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 個々の具体的な点につきまして捜査当局で調査しているかもしれませんけれども、この席で申し上げる事項ではないので、御容赦願いたいと思います。
  529. 猪熊重二

    猪熊重二君 しかし、この五十九年十二月の株の取得が犯罪を構成するかしないかということについては、翌年二月の第三者割り当ての際の価格がいつ決定されたかということが中核的なことなんです。そうでないと、店頭登録されたのはそれから一年十カ月後のことになりますから、利得の確実性ということから見ると非常にあいまいになってくるんです。ところが、せいぜい二カ月後に二千五百円になることが決定しているその時点において千二百円で取得したら、これはもうわいろそのものだと考える。横浜地検の小松前助役に対する捜査は、そのような点も含めて現在どの程度の状況に至っておりますか。
  530. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 前々から申し上げておりますように、川崎の問題は、神奈川県警がいろいろ調査をしているというふうに警察庁の刑事局長も御説明いたしております。したがいまして、神奈川県警で調査あるいは捜査をした後に横浜地検で受理すべきものと考えております。
  531. 猪熊重二

    猪熊重二君 今お伺いしたのは、五十九年十二月の株の譲渡についての不法利益の問題ですが、今度はいわゆる還流株、昭和六十一年九月に譲渡された還流株の問題についてお伺いいたします。  まず、大蔵省にお伺いしますが、リクルートコスモス社が店頭登録時の一般公開株価を五千二百七十円と決定した時期、それを証券業協会へ通告した時期、この辺については現在わかっておられるんでしょうか。
  532. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 店頭登録に当たりましてリクルートコスモス株の最低分売価格を決めたわけでございますが、これにつきましては、いわゆる類似価格比準方式ということで、類似の不動産会社二社の既に上場されている株価、これは六十一年九月十日から六十一年の十月九日までの一月間の取引所の価格といったものをベースにいたしまして最低分売価格を四千六十円というふうに算定したわけでございます。この値段につきましては、六十一年十月十五日に申請協会員大和証券から日本証券業協会に対して報告が行われているようでございます。  それから、その価格を基準にいたしまして実際の値決めは入札によって行われました。その入札においてついた値段が五千二百七十円ということで、実際の取引は五千二百七十円で行われているということでございます。
  533. 猪熊重二

    猪熊重二君 法務省にお伺いします。  法務省は、ただいまの証券局長お話のような内容はご存じなんでしょうか。要するに、捜査の対象としてこの辺のことは調べてあるんでしょうか。
  534. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) まことに恐縮でございますけれども、そういう個々の問題はやはり調査なり捜査の対象、中身になるものですから、それを調べているとか、あるいは調べていないとかいうことについてはひとつ答弁は御容赦願いたいと存じます。
  535. 猪熊重二

    猪熊重二君 いや、答弁は御容赦願いたいと言っても、特定の個人に対する贈収賄罪が成立するかせぬかという捜査の現状を伺っているわけじゃないんです。要するに、リクルートコスモス社が店頭登録するときの価格をいつ、幾らと決定したか、こんなことを、調べているか調べていないかということをここで明らかにすることがなぜその捜査に支障があるんですか。
  536. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 要するに捜査とか調査というものは、御承知のように、密行して行うものでございまして、公開の席でこういう点に関心を持ってやっておるということになりますと、それを聞いている人の中にはやはり容疑を持たれている人もおるわけでございます。そういうことを捜査当局が関心を持っておると言えば証拠隠滅ということもあり得るわけでございまして、そういうことをやはり念頭に置いて、ここで申し上げることはひとつ御容赦願いたいということで御理解いただきたいと思います。
  537. 猪熊重二

    猪熊重二君 先ほどの五十九年十二月のと同じように、この還流株についての贈収賄の成否というものはまさにそこがポイントなんですが、それを調べているか調べていないかそれすら言えぬというんじゃ、何を仕事しているんだかわけがわからぬ。  それはそれとして、今の点が明らかにならない限りは、ちょっと直接的にこの刑事事件についての質問をするわけにもいきませんので、次に、いわゆる議員の秘書について少々伺いたいと思います。  この疑惑の問題に関して、政治家そのものの名前でなくして秘書の名前が非常に出てきます。この秘書について、特に公設秘書についてお伺いします。  この公設秘書の身分についての法的規制はどうなっていましょうか、総務庁。
  538. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) 国家公務員法によりますと、「国家公務員の職は、これを一般職と特別職とに分つ」ということになっておるわけでございますが、国会議員の秘書につきましては、その中で特別職の国家公務員ということにされておるわけでございます。ただ、特別職の国家公務員につきましては、国家公務員法の規定の適用が排除されておりますので、先生御指摘の地位であるとか法的規制等について、私どもからお答えできる立場にないことを御了解いただきたいと思います。
  539. 猪熊重二

    猪熊重二君 法務省に対してお伺いします。  公設秘書も特別職ではあるが国家公務員ということになると、刑法上の職権乱用罪だとか、収賄罪だとか、このような身分犯における身分には該当するわけですね。
  540. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) ただいま総務庁からお答えのように、特別職の国家公務員である以上、収賄罪の主体になり得るものと考えております。
  541. 猪熊重二

    猪熊重二君 それじゃ、やはり法務省にお伺いしますが、この秘書の職務内容についてどのようにお考えでしょうか。特に、議員秘書については国会法百三十二条によって、「議員の職務遂行の便に供するため」秘書を付すると、こういう規定になっております。    〔委員長退席、理事斎藤十朗君着席〕 そうすると、「議員の職務遂行の便に供する」ということの意味内容、これが秘書の職務だろうと思うんですが、これについて法務省としてはどのように考えておられますか。
  542. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 御指摘のように、国会法の第百三十二条によりますと、「議員の職務の遂行の便に供するため、各議員に二人の秘書を付し」ということになっております。国会法の規定でございますので、私どもがどういう内容であるかという有権的な解釈をする立場でございませんが、もし仮に、何か犯罪上の問題がありましたら、それ相応の研究調査をいたしまして、その内容を確定するものと考えております。
  543. 猪熊重二

    猪熊重二君 いや、そう言うけれども、要するに身分犯たる収賄罪の身分を有するんだと言っているんですから、その身分を有する公務員の特別職であれ、国家公務員の職務内容を法務省として明確に把握していなければ、収賄罪なんか成立するかせぬかということが全然わからないじゃないですか。国会議員の場合の職務内容は何なんだということをいろいろ検討された結果、国会議員について収賄罪を適用していろいろ公訴提起しているじゃありませんか。議員秘書についてまだ検討していませんとか、わかりませんなんということだったら、全然収賄罪の成否について白紙と同じことになる。もう少し明確に答えてください。
  544. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) その職務権限の内容ということになりますと、これ具体的な事実といいますか、事件がなければ、その法令に当てはめて職務権限があるかどうかということは言いかねるわけでございます。今までそういう判例というのは国会議員の場合でも一般の公務員の場合でもたくさんあるわけで、集積されているわけでございますけれども、ただいま御指摘の国会法による議員秘書の収賄ということについては前例も全くないわけでございまして、ただいま初めて国会でも御指摘のあったことでございますから、具体的事案に照らしましてそれを研究する必要があると申し上げているわけでございます。
  545. 猪熊重二

    猪熊重二君 私は、議員秘書の方々は非常に気の毒だと思うんです。気の毒だと思うからあえて聞いているわけなんです。  要するに、政治家が自分で各種の行為をして、言葉は悪いけれども、そのしりぬぐいを全部秘書に押っつける。秘書のところへやっておけばそれですべて終わりというふうなことだとしたら、秘書という立場は非常に気の毒だ。一番民主的な、一番近代的であるべき国会において、議員秘書がすべての不利益のしょい込み場所になっていたら非常に残念なことだと、こう思うから聞いているんです。  しかし、もし秘書にも収賄罪を適用するぞということになれば、秘書の方もそんなにごみを引き受けられないということになるだろうし、政治家の方も、秘書秘書と言うだけで安閑としているわけにはいかなくなる。現在法務省としては、秘書についても収賄罪の成否ということを射程に置いていろいろ捜査をしているかどうか、お伺いしたい。
  546. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 従来から申し上げておりますように、このリクルート問題については、いわゆる非公開株の譲渡問題が主題になっております。そして、この非公開株の譲渡問題の中に贈収賄罪が伏在するのではないかとか、あるいは特別背任になるのではないかという国会の御指摘がありまして、いわゆる楢崎議員告発事件を処理した後もそれを継続的に調査をしているわけでございます。したがいまして、この調査の中でもしそういう嫌疑が出てきますれば、当然捜査に移るということになりましょうけれども、現在はその株式の流れを調査している段階でございますので、今何とも申し上げかねる時期にございます。
  547. 猪熊重二

    猪熊重二君 要するに、二千万、三千万、数千万の利益を得た人がいる、しかし処罰される人がだれもいないということでは国民を納得させるわけにはいかない。どこかにしりを持っていって責任をとってもらわなきゃならぬということで申し上げているわけです。  それで、この秘書に対する収賄罪に関連して、法務省にさらにお伺いしたい。  第三者収賄罪というのがあります。第三者収賄罪というのはどういうことか、簡単に御説明ください。
  548. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 公務員が請託を受けまして、その請託を承諾しまして、その報酬といたしまして第三者にわいろを提供せしめると、こういうのを第三者収賄罪と申していると理解しております。
  549. 猪熊重二

    猪熊重二君 結局、収賄罪は身分犯ですから、公務員の身分かないと収賄罪は成立しない。そのために公務員の身分のない自分の私設秘書だとかあるいは家族だとか、そちらに不法の利得を得させて、それで自分自身は、私はもらっていない、私は何ら利得していないと、こういうふうな抜け道を防ごうというのが第三者収賄罪なんです。  本件において、直接職務権限を有する公務員、もっと言えば国会議員、それに対して、利得が帰属したのは私設秘書だとかあるいは家族だとか、いろんなのが出てきます。こういう場合に、第三者収賄罪ということを当然に法務省としては射程に入れて捜査していると思いますが、その辺についての状況を御説明ください。
  550. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 具体的な問題についていろいろ申し上げることは御容赦いただきたいわけでございますけれども、公務員が、その第三者として例えば秘書とか家族とかいうものにお金をやってくれという依頼をしまして、それがいわゆるある請託を受けた報酬ということになれば、第三者収賄罪ということが成立すると思います。ただ、家族の場合は、言うなれば懐を一緒にしておるといいますか、財布を一緒にしているわけですから、これは第三者収賄罪よりもむしろ単純収賄なり請託収賄が成立する場合があると思います。  ただ、今申し上げたのは全く一般論でございますから、そういうふうに理解いただきたいと思います。
  551. 猪熊重二

    猪熊重二君 法務大臣にお伺いします。  今私が、非常に聞きづらい話ですけれども、いろいろ申し上げた、その点を踏まえた上で、秘書に対する収賄の問題あるいは第三者収賄の問題、こういうふうな問題を含めてこのリクルート問題に関する捜査の基本的立場とか、あるいは今後の捜査の見込みだとか、これについてお伺いしたい。  今、国民が一番期待しているのは、法務省が、法務大臣がどれだけ本当の疑惑解明のために努力するかせぬかということで国民の熱い期待がかかっているんです。法務大臣の所見を伺いたい。
  552. 林田悠紀夫

    ○国務大臣(林田悠紀夫君) 御指摘の点を十分踏まえまして検察当局は、犯罪の嫌疑があるとすれれば、十分調査検討をいたします。
  553. 猪熊重二

    猪熊重二君 次に、総理が四つ挙げている中の一番最初の証券取引の問題についてお伺いしたいと思います。  まず、大蔵省にお伺いしますが、昭和五十九年の十二月二十日と二十八日という二つの日に分けてリクルート社リクルートコスモスの株を総計七十六人に譲渡しておりますが、この譲渡は、証券取引法四条の届け出するべき義務がある売り出しに該当しますか、いかがですか。
  554. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 昭和五十九年十二月のリクルート社によりますリクルートコスモス株売却、七十六名でございますが、これは確かに取締役会の決議等は二回に分けて行われておりますが、十日とか二週間の間にほぼ連続して行われているというふうな実態からいたしますと、いわゆる不特定多数の者に対しまして均一の条件で有価証券の売り出しを行ったというふうに認定いたしまして、私ども、証取法第四条第一項違反ではないかという認定をし、それに基づいて所要の行政指導を行っておるところでございます。
  555. 猪熊重二

    猪熊重二君 今御説明いただいたことは新聞報道等にも出ておりまして、私も理解しているんですが、その調査の過程において、なぜ、十二月の二十日に三十九人、二十八日に三十七人というふうに二度に分けた理由についてはお調べになりましたか。というのは、これを一度にがっちゃんこでやると七十六人ですから五十人以上になってしまう。どういう合理的理由があってわずか八日後に二度目を売り出したか、この辺の説明はどういうふうになっていたんでしょうか。
  556. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) リクルート社の説明によりますと、この五十九年十二月の株式の売却というのは、リクルート社の決算対策のために行われたというふうに言っております。その場合、リクルート社といたしましては決算上の利益、これは十二月決算でございますけれども、前年よりも約二けたの伸び率を確保したいということでやっていたようでございますが、借入金の利子負担の増加等によってなかなかそこまでいかないということで、十二月の中旬の段階におきまして利益の見込みが立ったところが、ある程度、七億数千万の金が必要だということで、三十数名にまず売った。その後決算が近づいてくるにつれ、さらに念査したところ、それではさらに足りないということでまた三十数名を追加した。したがって、結果として七十六名になったので、そういうふうな、証取法第四条を脱法する意図はなかったということをリクルート社は主張しているわけでございます。  それに対しまして私どもの方は、そうはいいましても一応連続した行為として、同じ一株五十円、額面換算千二百円という価格で、しかも払い込みも遅くとも十二月三十一日ということで連続して行われている行為である。そういったことからいいますと、ディスクロージャー制度の趣旨からいいますと、不特定多数の者に対して実質的にそういう行為を行ったということは、やはり結果として見ますと意図いかんにかかわらず、これは証取法第四条違反ではないだろうかというふうに私どもは認定したということでございます。
  557. 猪熊重二

    猪熊重二君 このリクルートコスモスという会社とリクルートという会社の代表取締役はただ一人、同一人で江副浩正氏です。ついでに申し上げれば、ファーストファイナンス代表取締役も、当時の代表取締役江副浩正氏です。要するに、一人の人が両方の発行会社、それから売り出し会社の代表取締役をやっているわけです。似たようなことを、やっぱりまた同じことをやっているんじゃなかろうかと思うんです。  リクルートコスモス社は、六十年の二月十五日に二十六社に、四月二十五日に三十七社と一人の個人の方に第三者割り当てによる新株を発行しております。これももし一度にやるとすれば、証券取引法上の四条の届け出義務に当たるはずだろうと思うんですが、これが二度に分けたために、結局届け出義務を免れている。この辺について、何がゆえに二月十五日、四月二十五日の二回に分けたのか、その辺の合理的な理由の説明については調査されましたでしょうか。
  558. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 証券取引法第四条第一項の募集ということに該当するかどうかということでございますが、これは売り出しの場合と同様でございますが、不特定かつ多数の者に対して均一の条件で株式の取得の申し込みを勧誘する、こういう行為を言っているわけでございます。この場合の不特定多数というのは、私どもの行政運営としては五十名程度以上といったことを基準にいたしておりますし、また均一の条件につきましては、発行価格とか払い込み期日等が同じであるといいますか、逆に言いますと、条件が違うものは同一のものとは見ない、こういう扱いになっているわけでございます。したがって、仮に今お話しのものが一括して行われれば、これは五十名程度以上ということになると思いますけれども、今回のケースについて見ますと、まず六十年二月の第三者割り当て増資でございますが、値段は二千五百円でございまして、四月と同じでございますけれども、この取締役会の決議は六十年一月七日でございます。それから、払い込み期日が二月十四日ということになっております。それから、第二回目の四月分でございますけれども、これは取締役会の決議が四月五日でございまして、払い込み期日が四月の二十四日ということで、二カ月間差があるわけでございます。そういったことからいいますと、やはりこれは法律的には別々の募集行為というふうに観念せざるを得ないわけでございまして、そういった意味では証取法第四条第一項の届出書を提出すべきケースであるとは判断できないんではないかというふうに思っております。  まず、なぜ二回に分けたかということでございますが、二月分につきましては、これは主として取引先の金融機関を中心にやっております。四月分につきましては、今いろいろ問題になっている問題でございますが、金融機関というよりは事業会社その他特定の取引先を相手にやっているといった事情の違いがあるようでございます。
  559. 猪熊重二

    猪熊重二君 先ほどの五十九年の十二月にしろ、六十年二月、四月の第三者割り当てにしろ、要するに、証券取引法の脱法行為を考えていたんじゃなかろうかというふうに疑われる側面が非常にあると思うんです。この辺を証券局としてよく今後も調査していただきたい。  というのは、今度は還流株についてもほとんど、事実関係がはっきりしませんけれども、事実いかんによってはやはり同じことが出てくるわけです。要するに還流株は、今判明しているだけで五社七十六万株、これが八十三名の方に譲渡されているわけです。この五社から還流したものが同一人のところに帰属してそれが再議渡されたんだとすれば、やはりこれも証取法四条の届け出義務に該当すると思うんです。この辺について証券局はどの程度調査しておられるんでしょうか。
  560. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) これは証券取引法上の今度は売り出しということになるわけでございますが、売り出しにつきましても、さっき申し上げた不特定多数の者に対し均一の条件でという条件があるわけでございます。それで、不特定多数は五十名以上。均一の条件につきましては、売り出しの場合につきましては売り出しの主体、それから発行価格、売り出し価格、それから払い込み期日が同一かどうかといった点が一つの判断のポイントになるわけでございますが、形式的には五社からのいわゆる還流株と言われているものでございますが、一つ一つの会社からとってみますとそれぞれ五十名以下ということで、そういったことを踏まえて江副さんの方は第三者割り当て先からそれぞれ直接譲渡されたというふうなことをおっしゃっているということは、証人喚問等のことをテレビで拝見しまして承知しているわけでございます。  ただ、ここら辺の事実関係につきましては、実際問題として、江副さん等の特別利害関係人がどのように具体的に関与していたかというふうな観点から日本証券業協会等において今内規との関係調査を行っているわけでございますので、そういった調査結果も踏まえまして、大蔵省としてもそういった法律の適用問題については検討してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  561. 猪熊重二

    猪熊重二君 要するに、五十九年の十二月のときにも、六十年二月、四月のときにも、この還流株のときにも何か五十という数字をうまいことやって届け出義務を免れているというふうな感じがいたしますので、今、証券局長がおっしゃったように、最後の還流株の問題についてもよく調査していただきたいと思います。  それから、店頭登録の問題に関しても、今申し上げたのと類似、類似というかもっと悪質というか、違反行為があるように思うので、この辺をお伺いしたいと思います。店頭登録に関する事務を実際に取り扱っているのはどういうところでやっているわけでしょうか。
  562. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 日本証券業協会でございます。
  563. 猪熊重二

    猪熊重二君 日本証券業協会というのは、大蔵省、言えば証券局とどのような関係にあるんでしょうか。
  564. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 日本証券業協会は、四十八年七月一日に全国二百六十二社の、その当時でございますが、証券会社を直接構成員とする自主規制団体ということで発足いたしまして、民法第三十四条の規定に基づく社団法人として大蔵大臣の認可を受けた公益法人でございます。  証取法の位置づけでは、その証取法第六十七条の規定によりまして、大蔵省に備える証券業協会登録原簿に登録を受けた機関でございます。
  565. 猪熊重二

    猪熊重二君 もう少し、証券業協会の業務執行に対する大蔵省の監督権という観点から御説明いただけませんか。
  566. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 証券業協会につきましては、登録団体でございますが、登録に当たりましては、定款等諸規則、こういったものを大蔵大臣に届け出るということになっておりまして、もし定款等の内容が極めて不適切だといったふうな場合におきましては、大蔵大臣といたしましてはこの変更を命ずるといった権限もございますし、それから、こういうことは実際にはあり得ないわけですが、協会自身がいろいろ法令違反等を犯した場合におきましては、これに対して大蔵大臣が処分するといったふうなことなどが証取法で決められております。
  567. 猪熊重二

    猪熊重二君 この証券業協会が店頭登録の事務を取り扱っているわけですが、この証券業協会の業務委員会内規の三項に、「登録申請日の直前決算期日の一年前の日以降に、当該会社の株集め又はこれに類する行為を行った」ときには「登録申請を受理しない」と、こういうことになっております。ところが、先ほど申し上げた還流株の買い受け、再議渡、これはまさにこの三項の規定に違反すると思いますが、これについてリクルートコスモス社に対し事情聴取をされたのかどうか、された場合に、どうしてそういうふうなことがなされたのか、その辺についてのリクルートコスモス社の説明、その合理性、そのような点についてお伺いします。
  568. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 今、委員御指摘のように、証券業協会の中に業務委員会というのがございまして、そこで店頭登録等を管理しているわけでございますが、その内規におきましては、株式店頭市場の健全な運営を図る、あるいは不公正な取引を防止するといった観点から、例えば発行会社が登録申請日の直前決算期日の六カ月前の日以降に第三者割り当て増資を行っているといったふうな場合とか、特別利害関係人等が申請登録日の直前決算期日の一年前の日以降に株集めまたはこれに類する行為を行った場合などにつきましては、登録申請を受理しないということにしてあるわけでございます。  今回、こういった内規との関係におきましてルール違反があったかどうかといったことにつきましては、日本証券業協会が調査を行っておりまして、先般本委員会におきましても、関常務理事が中間的な報告を申し上げたわけでございますが、その中におきましては、いわゆる還流株と言われる中のものの一部がリクルートコスモス社の役員が取得しているといったケースがある。そういったことは明らかに証券業協会のルールに違反した行為であるといったふうなことがあった模様でございます。そういったことにつきましては、現在なお、どの範囲で、具体的にどういう経路で、どの程度の株数が行われたといったことにつきましては、事実関係をさらに証券業協会において詳しく調査をしているところでございます。これらの措置につきましては、これは協会の本来自主ルールにかかわる話でございますので、協会において今後必要な調査結果を踏まえて、どのような措置をとるかといったことについては判断されるものというふうに理解いたしております。
  569. 猪熊重二

    猪熊重二君 そうすると、先ほどから私が申し上げていることについての違反行為についての処置というか処分というか、これについてお伺いしたいと思います。  要するに、証取法四条の届け出義務があるにもかかわらず届け出なかった。五十九年十二月の分については、証券局長も届け出義務があるのに履行しなかったんだというふうにおっしゃいました。六十年二月、四月については、リクルートコスモス社の言い分によればまあ脱法行為じゃないんだろうと、こういうふうなことを言っておられます。それから六十一年九月の還流株についての証取法四条違反の問題、これについてもまだ調査中ではっきりしない、こういうふうなお話ではありましたが、これだけ三つも重なると故意に違反しているというふうに見れるわけですが、これに対する証取法上の制裁はどういうことがありますか。
  570. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) いわゆるディスクロージャー制度に関する罰則といたしましては、証取法に罰則がございまして、一年以下の懲役ということになっているわけでございます。ただし、これにつきましては行為のときから三年間という時効がかかっております。したがいまして、五十九年十二月につきましてはこれは既に公訴時効がかかっております。そういった意味で、私どもといたしましては罰則はちょっと適用するわけにまいりません。  そういった意味で、行政指導によりまして有価証券報告書の提出を求めますと同時に、それが行われない間は、リクルートコスモス社のいわゆるファイナンスといいますか増資あるいは転換債の発行、そういったことにつきまして、当分の間これを引き受けないように現在証券会社を指導しているといった状況でございます。
  571. 猪熊重二

    猪熊重二君 そうすると、わからなかったから三年の公訴時効の期間が経過してしまって、もう刑事事件としては終わりなんだと、何か悪いことしてもそれで終わりというふうな感じなんです。  ただ、今申し上げたような六十一年九月の還流株の問題は、まだ公訴時効の三年間は経過していない。これについて届け出義務違反だということになれば、六十四年の九月、来年の九月まで公訴時効はあるんです。ですから、六十一年九月の還流株が五社からどういう流れで来て、そして八十三名の方に一人の人間から行ったんだとすれば、これはもう違反なんですから、この辺をよく調べていただきたいと思います。  それから、今のは届け出義務違反の問題ですけれども、店頭登録自体について、先ほど証券局長も言われたような業務委員会内規に違反している。これについての処分、処理は証券業協会の仕事なんだということもわかりますけれども、大蔵省としては証券業協会をどう監督し、指導するつもりなんですか。もっとはっきり申し上げれば、店頭登録の取り消しというふうなことを監督上の問題として指導していく考え方はありますか、ありませんか。
  572. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 先ほど申し上げましたように、証券業協会の中間的な報告によりますと、リクルートコスモス社の役員が株を取得したという行為は、協会の自主ルールに触れる行為であるというふうに判断されるわけでございます。そういった意味で、なお事実関係等を調査した上、協会において適切な措置をとられるということをまず見守りたいと考えておりますけれども、一般論として申し上げますと、これは、やはり既に店頭登録されておりまして、千八百名を超える善意な株主もいるといったふうな実情も考えながら、どういう適切な措置が講じられるかどうか、そういった点をまず十分協会において判断してもらいたいというふうに考えているわけでございます。
  573. 猪熊重二

    猪熊重二君 何か証券業協会の方針としては、今、証券局長が言われたように、店頭登録をして非常に大勢の株主が関与しているという現状においては、店頭登録の取り消しというふうなことは考えられないということを新聞報道等で見ております。しかし、店頭登録を取り消しすることによって大衆投資家、株主がどれだけ損するか得するかという問題は別個な観点から十分に考えられることなんです。要するに、投下資本が回収できればよろしいわけですから、店頭登録取り消しの結果として会社が清算事務に入って、それで投下資本が回収されれば株主保護に欠けるところはないんです。ということは、リクルートコスモス社の資産、負債を勘定してみて、十分に株主に時価に相当する程度の残余財産分配ができるとすれば別に株主に損を与えていないんです。大衆投資家を保護するという必要もないんです。  先ほどから申し上げたような証券取引法の各種の違反を犯して、そしてまた、店頭登録においてもこういう事態を招来しているような会社について、店頭登録の取り消し、それによる株主の保護ということについて、今私が申し上げたような観点から検討する余地があるかどうか、証券局長、どうお考えですか。
  574. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) リクルートコスモス株につきましては、先ほど申しましたように、六十一年十月末に店頭登録されましてから既に二年余が経過しているわけでございます。その間、株価も公開価格よりさらに高くなった時期もございますし、現在では三千円程度の水準で推移していると思っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、株主数はその後千八百名を上回る程度の数になっておるということでございまして、仮にその店頭登録取り消しといったふうな話になりますと、これは株式の流通性をある意味では奪うことになりますので、現実問題として、そういう話が出るだけで株価に非常に影響してくるといったことは間違いのない事実だろうと思います。  その場合に、店頭登録後に市場から買った一般投資家の利益が果たして十分確保されるかどうかということは、協会としても慎重に考えるであろうと思いますし、私どもは、行政といたしましても、そういったことについて配慮するのはある意味では当然のことではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
  575. 猪熊重二

    猪熊重二君 いや、私が申し上げたのは、要するに株主保護のために店頭登録取り消しはできない、こう決め切ってしまうのではなくて、株主に対して投下資本の回収ができるのならば、別に店頭登録を取り消したって構わないじゃないかという意味において、そのような観点からの検討ということも考えておりますか、全然そんなことは考えていませんかということをお伺いしているんです。いかがですか。
  576. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) その点は証券業協会の公正慣習規則の適用に関する問題でございますので、一次的には証券業協会が判断する話だと思います。ただ、協会におきましては、先ほど私が申し上げたように、この登録取り消し問題については既存の善意の株主が相当数いるという実情を考えますと、かなり慎重な対応が必要であろうというふうな見解を持っているというふうに私は聞いております。
  577. 猪熊重二

    猪熊重二君 最後に、要望を申し上げておきます。  これだけ重大な店頭登録に関するいろんな決定権を持っている証券業協会というものが、証券取引法上では、権限やらあるいは大蔵省の監督とか、その辺が非常に不明確なんです。経済的にも各種の法律的な面においても、これだけ重大な証券業協会についての法規制をもう少し早急に明確化していただきたい、こう考えます。  以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)    〔理事斎藤十朗君退席、委員長着席
  578. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 次に、上田耕一郎君の質疑を行います。上田君。
  579. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 前回、議事録を見る必要があるということで保留した質問をきょう継続したいと思います。  宮澤大蔵大臣は、十二月一日に再々釈明をされました。ところが、私が十二月二日の質問で、六十一年九月三十日には、二十五日から十月二日まで大蔵大臣と服部秘書官がIMF・世界銀行総会出席のためにワシントンにいらしたという事実を示しましたので、再釈明の中で「六十一年九月三十日に」というところを三十日付でと訂正されました。そういうことでしたね。
  580. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 大変失礼を申し上げました。三十日付という意味でございます。
  581. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 わずか二字に見えますけれども、この株式取得の経緯というところの核心にかかわる訂正だと思うんです。この経緯というところで、宮澤さんはリクルート社と服部秘書官との接触について事実、行為を三つ挙げています。第一は、六十一年の夏ごろ、リクルート社の方が服部さんと会って株式を引き受けてくれないかという話があった。これが一つですね。こういう事実と行為です。二番目は、九月三十日に、これは訂正前ですよ、三十日に宮澤の名義で一万株の購入を申し込みと、それは服部秘書官の申し込み行為を書かれています。二番目です。三番目は、店頭登録前の十月十五日にリクルート社の方の指示によりファーストファイナンスの銀行口座に三千万円を払い込んだ。払い込んだ行為です。  ところが、届けられました議事録を見ますと、九月三十日という日について、あなたは申し込みの契約の日、前からこの日が契約の日、三十日付で購入を申し込み等々と説明をしておられるんですけれども、じゃ、一番大事なこの契約を行った行為について全然書いていないわけですね。再々釈明のこの経緯のところで一体どこをどう修正されるのか、改めてお伺いしたいと思います。
  582. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) せんだっても申し上げたことでございますが、九月三十日というのは、この日付という意味で私は申し上げておったのでございます。十月十五日につきましても同じような意味でございます。
  583. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうしますと、株式取得の経緯なんだから、この契約が成立した日、それから契約を取り交わした行為、これがもう中心問題だと思うんですね。  私、先日、証券局長にもお伺いしたら、現金を払い込んだときではなくて、約定書によって契約は成立するというわけだから、約定書を書いた日。その服部秘書官の行為、これは株式取得の経緯の中で最も重要ですよ。最も重要な行為、事実について欠落しているということになりませんか。
  584. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) その点は同じことで、九月三十日の日付をもって契約をしたというふうに御了解願います。
  585. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、だからその契約をした日はいつか、あなたは私の質問に対して、この議事録を見ますと、書いたのはいつかと、つまり約定書を交わした日ですね。それは夏からそこまでの間、つまり九月三十日でしょうな。夏ごろからの間だということだと、接触が夏ごろございまして、その後、ある時点、これがわからないのは残念だと言われたわけね。一体いつなんですか。
  586. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それは、前回も申し上げておりまして、服部君の記憶になかったということなんでございますが、昨日でございますか、証人が九月半ばごろと言われましたか、中旬と言われましたか、そういうことであったろうと存じます。
  587. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それは違うんですね。九月中旬というのは最初に話があったときです。最初に話があって、あなたは夏ごろ話があったというのが九月中旬に変わったわけですな。これもおかしいんですよ。九月中旬というのは初秋ですね。夏じゃないんです。宮澤さんは記者会見で六月ごろなんて言われた。それから先日も、秘書官だったときかと聞いたらそれもわからないと言われたけれども、どうも、服部さんも大蔵大臣の秘書官になったとき、秘書官のときにこの話を受けたということを何とかして隠そうとされている気持ちが働いていて、六月とか夏ごろとか言われているんだけれども、九月中旬ということが明確、これは最初の接触でしょう。話があった夏ごろは秋ごろだ。これは訂正されますか。
  588. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 別に訂正申し上げるつもりはございませんで、服部君の記憶がはっきりいたさないまま本人の申しましたことを書いたわけでございます。昨日のお話で少しはっきりしたということでございます。
  589. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それで、九月中旬に最初に話があったわけですね。じゃオーケーということになって、その次にまたある方が見えて、そのとき約定書を取り交わすわけです。だから、二回会ったわけですよ。九月中旬から、二十五日にワシントンに出発されるんだから、二十四日までの間、中旬というと十四、五日でしょうな。わずか十日間の間にもう一度見えている。これは一体いつですか。場所はどこですか。
  590. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 申しわけございませんが、その点が服部君の記憶に欠落しておりますので、この間のように報告を申し上げております。
  591. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 記憶に欠落しているといったって、話に来たことだけは覚えていて、約定書を書いた事実、欠落しているんですか。約定書、これは契約成立のときですよ。約定書を取り交わしたときに十月十五日に払い込むことも決めたんでしょう。その一番大事なときが欠落しているんですか。
  592. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それが何日かというお尋ねでございますので、そこが記憶にないということでございます。
  593. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 日にちはわからなくても話に来た、約定書を書いたと。二回は確実ですね。
  594. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) そこは何とも本人が申しておりません。
  595. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それでは本人に確かめてください。とにかくこの株式取得の経緯の一番中心ですよ、契約書を、約定書を取り交わした日だから。それが一体いつか、相手がだれか、何をやったということを本人に聞かないで、この経緯は成り立たないですよ。これは欠陥文書です。
  596. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それは本人に聞かなかったわけではございませんで、ここに書いてありますように、何度も実は長時間かけて確かめましたことを、わかりました部分だけをきちっと申し上げておるのでございます。
  597. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それなら、なぜここに服部君は、夏から九月三十日までの間に、九月三十日付でというふうに書かなかったんですか。接触の行為の一番大事なところを修正してください。補充してください。
  598. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 何度も申し上げますが、三十日というのは日付を意味するものでございます。
  599. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だから、約定書を取り交わした日がこれに欠落している。その日が欠落しているんじゃ、これは欠陥文書だと認めますね。
  600. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) これは記憶が欠落しておりますのでございます。
  601. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 叙述も欠落している。極めていいかげんだということはこれだけでも明らかになったんですけれども。  次は場所です。回数も怪しい、場所も怪しい。  きのうの証人喚問で、私どもの内藤議員が江副証人に、お邪魔したのは大臣室ですか秘書官室ですかと聞いたら、江副証人は、お邪魔した後の報告を聞いておりませんので、どちらであったのかということについては承知いたしておりませんと。どっちかなんでしょうね、大臣室か秘書官室か。  私は、大蔵省の秘書官室を見たいと思いまして、きのう申し込みました。そうしたら、どうも歓迎されざる人物のように受け取られたのか、もう勘弁してくれというので地図が来ました、政府委員室からね。私は、建設省なんかと余り変わらないなということがわかったのですけれども、大臣室の隣が事務の秘書と政務の秘書官、事務取扱秘書官と、ちゃんとこう並んでいる。隣が応接間です。そうすると、この応接間で話し合ったんだろうというふうに思います。  それで江副証言では、江副さんが指示をして間宮常務か小野秘書室長、このどちらかがお伺いした。これは秘書官室か大臣室、まあ大臣室じゃないでしょうね、秘書官室でしょうな。応接間だろうと思うんですね。僕は、宮澤名義の株券ですから、恐らく間宮常務だっただろうと推定しますけれども、そういう方が二度も服部秘書官に、つまり九月中旬から二十四日までの間に二回見えて、そこで約定書を取り交わしたのですから、三千万円ですよ、こういうことを記憶がないということはこれは記憶喪失症に突如かかった以外は全く考えられない。そのことを長時間情理を尽くしても宮澤さんがお聞き出しになれない。四十年つき合っている秘書官からその程度のこともお聞き出しになれないで、どうして日本の経済政策、証券政策をやれますか。あなたは資格がないですよ。そう私は思うんですね。  検察庁にお伺いします。  検察庁は、間宮常務、小野秘書室長の事情聴取もしていると思いますけれども、既にこの問題でも結論を得ているんじゃないでしょうか、だれかということは。
  602. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 従来から申し上げておりますように、だれを調べたかということについては答弁を御容赦願いたいと思います。
  603. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 宮澤さん、もう一つお伺いします。  江副証人は、宮澤さんのところの服部秘書官に会いに行かせたわけでしょう、間宮常務を。江副さんがそのことを指示されたと、そう証言されました。服部さんは間宮さんあるいは小野秘書室長から、実は江副さんから指示されて参りましたということを言われたに違いないと思うんですね。服部さんからそのことは、あなたは長時間お聞きになって、お聞きになっておりませんか。
  604. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 会社の方が見えたということを申しておりましたが、別段そういうことは聞いておりません。
  605. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 次は、午後ずっと問題になっております融資問題。この融資問題についての江副証言も宮澤さんの再々釈明と真っ向からやっぱり食い違っていると思うんですね。  江副証人は、服部氏がファーストファイナンスから融資を受けて株券を受け取り、十月十五日に返済されたと思うと述べました。その後柳澤さんの尋問に対して、宮澤さんに迷惑がかかるかもしれないとさっきから考えていた、宮澤さんが融資を受けていないと言われるんならそうかもしれないと、これは私の想像でございますが、という証言です。私どもは、きのうの江副証言をテープをとって全部起こしました。それで調べた結果そういう証言をしております。  それで、ここのところで幾つも問題が起きてまいります。江副証人は、二、三の例外的な場合に短期間の立てかえ払いをしたことがあると、これが新聞で無利子と報道されたものだという趣旨のことを述べました。私どももリクルート社のある役員からこの問題を調査しました。その役員は次のように証言しました。ファーストファイナンスの件は二種類ある。一つは、一、二週間くらいの短期間は立てかえ払いをする、その間は無利子、これは資金の調達がすぐにできない方のケースだと。もう一つは、自己資金のない方、年利七%でファイナンスをつけたと。そういう二種類だという証言を私どもは得ています。これは江副証人もきのう、二、三の例だけれどもということで、事実上立てかえたという例があったことを述べました。  そこで、角谷証券局長にお伺いしたいんですけれども、九月三十日、これが申し込みの日であり払い込みの日だと、これはきのうの江副証言であるわけですね、すべて九月三十日が申し込みの日だと。それで、原則は申し込みの日と払い込みの日と同じだということを言って、あれだけの、五社を使った七十六万株のばらまきはすべて九月三十日だということをきのう証言されました。  それで、この九月三十日、ちょうど九月、十月は決算期にも当たりますし、だから、ファーストファイナンスがドゥ・ベストを含む五社にすべて払い込んだと思うんです。ドゥ・ベスト社、ビッグウエイ社などの五社は九月三十日付で払い込みを受けて、恐らく収入の部には営業外利益を計上して有価証券減と、こう記載しているだろうと思うんです。九月三十日付で七十六万株、ビッグウエイ、ドゥ・ベスト社など全部払い込みが済んでいるだろうと思いますけれども、証券局長、こういう取引に非常に詳しいでしょうけれども、お伺いします。
  606. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 今御指摘のようなことを江副証人が言われたということは私もテレビ等を通じて聞きましたけれども、私自身がそれを確認したわけじゃございませんもので、ちょっとこれについてのコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。  一般に、証券市場を通ずる決済の場合には、実際の決済が行われてから四日後にいろいろな取引が行われる、現金の決済が行われるというのが普通でございますが、今回のケースはいわば相対による取引でございますので、個々の契約条件その他はそれぞれ相対で決められることが可能でございますので、そこら辺がどうなっているかということは個別個別の事情にわたることでございますが、ちょっとその点は私として判断するだけの材料を持っておりません。
  607. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それでは、証券局長にもう一つお伺いします。  有価証券取引税法の第十二条、「納税義務者は」「有価証券の譲渡をした日の翌日までに、当該有価証券の譲渡につき課されるべき有価証券取引税を政府に納付しなければならない」と、こう決まっていますね。そうしますと、ワールドサービス、三起、ドゥ・ベスト、ビッグウエイ、エターナルフォーチュンの五社は、この譲渡の日は九月三十日ですから、その翌日までに有価証券取引税を納付しなきゃならぬ。どうなっていますか。
  608. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) 一般的に申し上げますと、有価証券取引税は有価証券の譲渡がございました場合に課されるわけでございますけれども、相対取引の場合におきましても同じ原則が適用されます。これは一般論でございます。  ただ、本件に即してという点につきましては、事柄の性質上、従来から申し上げております理由によりまして、答弁は差し控えさせていただきます。
  609. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 翌日までにということは、十月一日までに納付しなきゃならぬことなんですよ。ワールドサービスの場合には、このことがあったのでファーストファイナンスに対して約定書の催促をした。ところがワールドサービス、二十四通の約定書が送られてきたのが十一月四日だったということです。これはワールドサービスが何度も明らかにした。これは十二条違反だと思いますけれども、どうですか。
  610. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) 一般論として申し上げますならば、先生おっしゃるように、取引の行われました翌日という原則がございます。  ただ、今おっしゃった個別問題につきましては事実関係を承知しておりませんし、また、個別問題についてのお答えという点については、答弁を差し控えさしていただきたいと思います。
  611. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 個別問題は答えられないと言われるので、私は、宮澤名義の約定書についてドゥ・ベスト社の取引税は期限までに納付されたのかどうかということをお聞きしようと思ったんですが、個別問題は答えられないと言うので、これはやめます。しかし、こういう問題があるということは指摘しておきたいと思います。
  612. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 関連。
  613. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 関連質疑を許します。近藤君。
  614. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 この関係で、先ほど問題になっているファーストファイナンス関係では仮払いになっているという、こういう御説明であります。私の方で、その答弁があったものですから銀行局に確認しました、金融機関が仮払いするケースはどういう場合かと。回答がありまして、三つあると言うんです。一つは勘定科目が決まっていない場合、二番目は金額が不確定な場合、三番目は立てかえの場合と言うんです。  一の場合、これは、リクルートコスモス株売買の代金ですから、要するに目的が決まっているんで、勘定科目が決まらぬと言うわけにはいかぬでしょうね。それから、金額はもう明々白々、三千万円。残るのは三番目の立てかえなんです。と同時に大事なことは、今申し上げたのは、要するに金融機関の内部の扱いなんです。これが一たび外へ出て対外的になる場合にはやっぱり立てかえ払い。立てかえ払いは、先ほど来各委員からも指摘のとおり、金を貸した融資なんです。まさしくそうなんじゃないですか、どうですか、こういう具体的な事例で。
  615. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それは先方のおっしゃること、されたことでありまして、服部君自身からいえば全く金を貸してくれということを申し込んだこともないし、支払いがおくれたということもないしいたしますから、金を借りた、融資を受けたというふうには本人は考えていないと、そういうことを申し上げておるわけでございます。
  616. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 では、きのうの江副証言があった後に、服部氏に対してもう一度、こういう証言なんだけれども、おまえは絶対にファイナンスから金を借りたことがないかと、こういう確認をしましたか。それなら今の答弁はわかるけれども、そうでなしにそんなことが言えますか。
  617. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) そうじゃございません。それはもう私がこの報告をいたします前に、とっくりいろんなことを聞いておりますから、金を借りたんなら借りたと言わなければなりません。そういうことを全く申しておりません。
  618. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 大体今まで宮澤さんのは、新しい事実があるとずっとその範囲で認めるんですよ。だから、きのう江副証言があったんだから、新しい事実なんだから確認していいけれども、それを確認していない、これは大変おかしいことです。  と同時に、先方側に聞いた結果、仮払いだと言うんですが、となりますと、ファーストファイナンスが勝手に立てかえたんだということになりますよ。そうですか。また、そんな間柄なんですか。これは勝手に立てかえたということは、代金を立てかえてくれるという、それほど密接な関係あるいは恩恵のある関係、そうなりますよ。
  619. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 何度も申し上げるわけですけれども、服部君自身は金を借りてない、借りたという気持ちももとよりないし、そういう約束もしていませんと。決まった日に言われたとおりの払いをしているんであって、先様がどういうふうないわば経理をなさっているかということは、これは全く服部君自身の知らないことでございます。
  620. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 その弁解は成り立たぬです。今まで客観的に明らかになっている事実から見れば成り立たぬです。先ほどの答弁でも、株が来るはずなのになぜ来ないかということを確認したら、これは本人に渡さなかった。となりますと、当然来るのが来ないということであれば、ではなぜ渡さなかったのか、当然これは聞いてしかるべきです。そのことを確認しましたか。
  621. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それは、やはり結果だけがわかっておるわけでございますが、昨日も何かの手違いとか、時間がかかったとかいうようなお話もあったようでございましたが、あるいはそうであろうか、推測の域を出ません。
  622. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 なぜ服部氏に株を渡さなかったのかということは、立てかえであり、融資であり、したがってその担保として株をファーストファイナンスが預かっておった、これが世上ごく普通に通用する話なんです。そうでないと宮澤さんがおっしゃるのであれば、この合理的推定を宮澤さんがそうでないとおっしゃるならば、それはなぜ違うのか、当然確認してしかるべきだし、その答弁があってしかるべきです。そして、そういう主張があって、それを裏づける証拠をお出しになって初めてこの合理的推定がなるんですよ。そうじゃない以上は、この合理的推定がこの国会も、この日本の社会も通用することなんです。どうですか。
  623. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 私の申し上げていることに間違いはないと存じます。
  624. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 服部さんは、とにかく相手の名前も覚えていない、日にちも覚えていない、約定書も見当たらない、こういう人物ですよ。何で融資は受けなかったということだけ信用できるんですか。全然信用できないですよ。三千万円の株を取り交わした相手も日も場所も回数も覚えていない人なんだから、融資ではないということだけ覚えているなんということはあり得ないですよ。だから、そういう人の記憶というのは当たらないんです。危ないんですということだけ指摘しておきます。  それで、江副証人は、きのうテレビで見ましたけれども、なかなか病気とは思われないほどかなりしっかりしていますね。彼のこの融資問題に関する答弁は、柳澤さんに聞くまで、この間休憩が十五分あった。休憩するまでは一貫しているんです。矢田部委員に対する答弁では、九月中旬にお話し申し上げ、九月三十日にお金の受け渡しをさせていただいたと、そこまで言っているんです。だから、申し込み日と払い込み日は九月三十日です。やっぱりそういう原則です。それでいろいろ聞かれて、やっぱり融資だろう、利息も払っていただいたろうとなるんだけれども、無利子のケースかもしれないということまで言っているんです。  さて、融資ということになりますと、これはいろんな問題が起きてきます。きょう午前中、元NTT長谷川証人に対する尋問がありました。彼の場合のコスモス株購入とそのいきさつ、我々はテープを起こしました。非常に詳しいです。どういうふうになってくるかというと、まず江副さんから九月上旬に話があった、短時間だったけれども話があった。次いで、何日か後ファーストファイナンス小林社長が来て約定書を持ってこられた。一万株だと。九月三十日の日付だった。そのときファーストファイナンスの金銭消費貸借契約書も持ってこられた。それで、すぐにはそれはできなかった。数日後小林さんがまた見えた。最初小林さんが来たときは実印を持ってなかった。で、実印を押して数日後小林さんに書類一式を渡した。そのときファーストファイナンスの振り込み用紙も署名していたと言っているんですよ。ファーストファイナンスは振り込むんですよ、九月三十日で。それで長谷川さんも、相手は我々が発表したドゥ・ベストですが、これだけのことをやっている。  もし、江副証人が休憩前に言っていたように、融資ということになりますと、これは短期間だからというので、仮払いとあなたはおっしゃったけれども、事実上の無利子の貸し付けですよ。計算してみました。十五日間というと、七%、一万株、三千万円で八万七千五百円。十五日間でね。これはまけてもらったということになります。もし融資ということになりますと、これは金銭貸借契約書、こういうものに署名捺印しなきゃならぬ。株式売買約定書の方は三文判でいいかもしれませんが、金銭消費貸借契約書は実印でなければならぬと思うんですが、証券局長どうですか、こっちは実印でしょう。
  625. 平澤貞昭

    政府委員(平澤貞昭君) 突然の御質問ですので、若干自信がございませんが、一般的に金融機関の場合には、たしか実印の場合もあれば、そうでない普通の判の場合もあるということでございます。金額の多寡にもよりますし、それから相手先が非常にはっきりしているとき、このようなときは普通の判ということもあるやに聞いております。  ただ、今お話ししておられますファーストファイナンスは、金融機関ではございませんので、その辺どうしているか、その辺については私たちも存じていないわけでございます。
  626. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、三千万円という金額ですからね、これはやっぱり実印を要求します。現に、長谷川証人は実印を持っていなかったのでそのとき契約できなかった、数日後もう一度来てもらったと言っているんだから、実印だと思うのです。  ここで一層重要な問題点は、次に出てくるのは、内藤議員の質問で、リクルートにとっては株の名義が服部恒雄でも宮澤喜一でもどちらでもよかったという証言がありました。服部の名義でも特に不都合であると考えておりませんでしたと江副証言、宮澤喜一名であれば不都合であるとも考えていませんと。宮澤名義でも服部名義でもどっちでもいいと、つまり大蔵大臣、秘書官一体の認識だから。それで株の名義は宮澤喜一となった。宮澤さんは先日、服部秘書官が宮澤喜一と書いた理由を私が聞いたのに対して、便宜上と。便宜上大蔵大臣の名前を書く人も相当な神経だと思うんだけれども、一体だから。もともとあなたあてに江副さんの指示で来たんだから、まことに素直に宮澤喜一名義を、あなたに話さなかったというんですけれども、書いたんだと、そう思うんですね。  こうなってきますと、これは今度竹下さん、あなたにお伺いします。  つまり、リクルートにとっては服部名義でも宮澤名義でも不都合はない。そうなってくると、中曽根前首相の筑比地秘書官、上和田秘書官、太田秘書に対する二万九千株も、竹下首相の青木秘書への二千株、それから、当初リクルートは竹下幹事長あてで一万株持ってきて、青木秘書が、幹事長だからというので避けて首相の御親戚の福田組の福田正社長に取り次いだ一万株、合わせて一万二千株も、リクルートにとっては、中曽根周辺への二万九千株、竹下周辺、主な対象はあなたです、一万二千株だということになると思いますが、首相、江副証言を聞いてそう感じられませんか。
  627. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) そこのところ、江副証言を定かに聞いておったわけではございませんが、やはり青木元秘書のところへ相談があって、自分の責任で処理をしたというふうに私は思っております。
  628. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、福田さんの一万株、次男の福田勝之さん名義にされたというんだけど、あのリストが発表されて、あの事実が明らかになって、午前零時に青木元秘書と小沢官房副長官がお宅にお見えになって、事実を聞いたとき、これはいいことではないわなと言っていたことが、自分の身の回りにもっと近づいてきたという感じをされませんでしたか。
  629. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) 今おっしゃったと同じような感じではございませんでした。
  630. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 言語明瞭、意味不明瞭の方だから、また今後追及しますけれども、これは非常に重大なんですよ。  先ほどカントリークラブ、ゴルフの問題がありましたね。私どもは岩手の自民党の県会議員から証言を得ているんです。岩手の党の県会議員が、あのとき江副さんはあなたと一緒にやるはずだったと言うんです。それがちょっと都合が悪くなって来られなかったと。自民党の県議までそう言われているんだから。だから、あなたも前内閣のことだと思って安心できない。やっぱりそういう重大な疑惑があるということを指摘しておきたいと思う。  宮澤さんのこれまでの答弁で、例えば服部秘書官とリクルート社の人の面識問題でも、これは虚偽があります。あなたは、十二月一日、矢田部さんの質問に対して、服部氏の話によると、この会社の方々とほとんど面識がなかった、そう答えている。ところが、江副証人は服部秘書官とは二、三年前からのお知り合いだと。どこで知り合ったか、宮澤先生を囲む会とか、あるいはパーティーの席かいずれかだったと。その後の二、三年間はどうだと、その後の二、三年間も宮澤先生を囲む会あるいはパーティーだと。だから、服部さんがリクルートの社の方とほとんど面識がないというのはこれも虚偽ですよ。服部さんはあなたに何も話さないのかもしれぬけど、あなたを囲む会で江副さんと服部さんがいるんだから、面識があったわけでしょう。訂正されますか。
  631. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) お尋ねは、服部君を訪ねてこられた方のどうして名前を覚えてないかというお尋ねでありましたので、それは面識のない方であったからではないかと思いますと申し上げたのでございますけれども、後段は、それは江副証人の言われるとおりでございましょうと思います。
  632. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ごまかしちゃだめです。矢田部さんが、「服部さんとリクルート社のどなたか親しくおつき合いしている方でもあるんですか」と聞いたら、「先ほど申しましたように、それはないように存じます」と。リクルート社のだれともつき合いはないんだと、あなたはそう言っているんですから。うなずかれた。認めますね。
  633. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それは、親しいとか面識とかいうことの程度かと思いますが、江副さんのおっしゃったことは間違いでないと思います。
  634. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 江副証人は、宮澤さんを囲む会やパーティーで会ったと。そうしますと、やっぱり服部秘書官が主目標じゃなくて、標的はあなたです。宮澤さんです。  それで、最高裁決定によれば、七月二十日です、非公開株で、値上がり確実で、一般の方は手に入らない、特定の方しか手に入らない場合はわいろの性格があると。そうすると、リクルート側のあなたを標的にした一万株の譲渡の趣旨は何だと思いますか。何のお礼か、あるいは今後何かのお返しを期待してのことか、どう感じておられますか。
  635. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) きのうの江副さんのお話を一部始終伺っておったわけではないのでございますけれども、服部君に会うようにといって御指図をなすってお人を出されたという御趣旨と伺っておりまして、私のことではないというふうに思っております。
  636. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、先日この株式売買約定書の提出を求めました。東京新聞の十月十日号に、そのときはA氏となっていますけれども、元国税庁の多賀谷氏、ドゥ・ベストリストの九番目ですけれども、多賀谷氏の株式売買約定書、これのコピーが載っています。私たちはこれを拡大して調べたんですが、何を書くかというと、銘柄、株数、約定単価、約定金額、受渡時期、この五項目を書くことになっております。それで、「上記のとおり売買約定をいたしました」として、約定の年月日もある。それで譲渡人、譲り受け人の住所、氏名、判こが押されているんです。私は、これを提出していただければ、その筆跡で、宮澤さんが書いたのか、服部さんが書いたのか、あるいは別の第三者が書いたのかが、鑑定すればわかると思うんです。  宮澤さんは大変達筆だそうですけれども、喜一というお名前は、七を三つ書くき一とお書きなんですか、それとも喜ぶというきちんとした字をお書きになるんですか、それとも両方お使いになっていますか。
  637. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それは自分名前でございますから、そのときそのときでございますけれども、もうほとんど七でございますか、ああいう三つ書くような字を書くことが多うございます。
  638. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だから、きちんとしたときは喜ぶという字を書くときもおありなんですね。
  639. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) ほとんどめったにございませんですね。
  640. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それで、これは筆跡の問題が非常に重要なことと、もう一つは日付の問題です。この五項目の最後の受渡時期、これは多賀谷さんのケースあるいは全部六十一年九月三十日で、約定の日も九月三十日、みんなそうなっているんです。それで、江副証言では「すべて」という言葉を使っています。ところが、服部秘書官のケースは約定の日、これは私どもが調査し、大蔵省から文書が出て、日本にいなかった。そうすると、九月二十五日に出発ですから、その前だろうと思うんですね。だから、この約定の日付がどうか。日付と筆跡です。これが宮澤さんの再々釈明が真実を述べていたのかどうかということの決め手のかなり大きな一つになると私は思うんです。  それで、ドゥ・ベスト社には、先日答弁がありましたけれども、七年間の保存義務がある約定書、これは約定書一通ずつ譲り受け人と譲渡人の両方が持ちますから、ドゥ・ベスト社にもう一通あるんです。新聞報道では、七十六万株のすべてについて地検はもうこれを任意提出させたという報道がありますが、どうですか。このぐらい言ってくれてもいいでしょう。
  641. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) まことに恐縮でございますけれども、従来から申し上げないことで御理解いただいておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  642. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それでも二日に根來さんは、検察庁にそういう押収物があるとすれば、リクルートなりドゥ・ベスト社の方から仮還付なり写しを渡すなりしてもらって差し支えない、そういう答弁がありましたので、押収されていたとしてもこの委員会に提出は可能なんですね。宮澤さん、これはあなたの潔白が証明されるものなんだから、当然あなたもドゥ・ベスト社からこの約定書をここに取り寄せること、提出されること、もちろん賛成でしょう。
  643. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 何か私が自分名前を書いたのじゃないかというお話なら、私はそういうことをいたしておりません。
  644. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、ちょっと答弁を変えないでください。そのことは見ればわかるんで、私も断定しているわけじゃない。だから、この約定書資料として本委員会に、日付の問題、筆跡の問題非常に大事で、あなたの言うとおりだということもわかるかもしれないのだから、もちろん望まれるでしょう。賛成でしょう。
  645. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) これは委員会の御運営のことでございますので、私がとやかく申し上げるべきことでないと思います。
  646. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 きのうからきょうの証人喚問でも、民間人は、いろいろとそういう資料提出を求められて自分の行動を裏づける資料、この提出を約束したりあるいは相談させていただくということです。民間人が提出しようとしているのに、大臣の資格が問われるこの問題で資料提出に賛成できない。なぜですか。
  647. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それは委員会のお決めになることでございますから、行政の者がかれこれ申すことで本来ないというだけの意味でございます。
  648. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、行政の者といったってあなたの問題なんだから。あなたの問題でこれだけやっておるじゃないですか。あなたの問題。じゃ、反対じゃないでしょうね。
  649. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 委員会の御運営に私が何か申すということはやっぱり差し控えるべきことだと、これだけの意味でございます。
  650. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それでは、委員会が決めればもちろん反対されない、喜んで望まれることを胸に秘めておられるだろうと想像します。  もし、この約定書が提出されるとあなたの答弁が崩壊するケースが三つあります。  一つは、筆跡が鑑定の結果宮澤蔵相のものだった場合。合った場合は当然大臣と議員を辞任されるだろうと思いますが、いかがですか。
  651. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 私は書いていないと申し上げておるわけでございます。
  652. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう一つは、この約定書の署名した日付です。これがほかの約定書と同じように九月三十日だった場合。これは日本にいないのだから服部さんも書けない。宮澤さんも書けない。もし、九月三十日ということになりますと、あなたの今までの再々釈明、これも作り話で支離滅裂だということになります。  三つ目は、この筆跡が宮澤さんのものでも服部さんのものでもなく、日付が九月三十日だったケース。この場合は、だれか第三者が宮澤さんないしは服部さんの委任を受けて手続を代行したということが考えられます。当然、あなたがかかわりを否定しない河合康文氏の名前が私は浮かんできます。あなたは、河合氏は全くかかわりがないとはおっしゃらないで、作り話でもないということにして、ただし、かかわりは枝葉末節のことだと言った。手続代行に河合さんが九月三十日前。康和商事という会社を河合氏が代表取締役、服部氏が取締役、一緒におやりになっているんですから、そういう可能性は全くないですか。
  653. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 河合氏とは全く関係のないことでございます。
  654. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この答弁もよくお聞きしておきたいと思います。  次に、売却益の使途について、大臣は、服部に確認していないと言いながら、服部さんが生活費などに充てたような答弁をされてきました。二千万円ですから、やっぱりこの問題もリクルートコスモスの一万株の蔵相名義の譲渡の趣旨と絡んで非常に重要な問題です。  服部さんは、宮澤さんの指定政治団体備後会の会計責任者になっていると思いますが、秘書をやめられた今でもこの会計責任者を続けておられるんですか。
  655. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 当然にかわってもらっておると思いますが、きちんとは確認しておりません。そういうことは全く何と申しますか謹慎、かつ精神、心身ともに落ち込んでおりますから、そんなことはもうできませんし、やってはならぬ男でございます。
  656. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今はもうおやめになったかもしれないという答弁ですが、会計責任者をおやりになっていたわけなんで、宮澤さんの分身としていろんなお仕事をされていたと思います。資金の調達などにも直接携わるはずです。  私ども、この備後会の自治省への政治資金届け出も調べました。広島の五徳会という企業から五千万円を借りて、年四百万円ずつ返済。借入金の借り主は備後会服部恒雄となっていることが、貸し主の五徳会に当たったところそういう証言がありました。そういう政治資金その他を会計責任者としておやりになっていたんでしょうね。
  657. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) きちんと仕事をしておりましたときにはそういうこともやっておったと思います。
  658. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ですから、服部さんの口座といっても服部さん個人の生活費のための日常出し入れしている口座ではなくて、備後会の会計責任者としての、私は先日やみの政治資金に流れたのではないかという問題を提起しましたけれども、服部さんの口座というとそういう可能性もあるわけですよ、個人の使っている銀行口座でなくてね。三千万円の資金で、これで一万株買って二千万円でしょう。それで六十一年九月というのは、あなたが九月四日に宏池会の代表に正式におなりになった時期で、ダブル選挙の直後です。やっぱり政治に大変金の要る時期ですからね。だから私は、服部さんの振り込まれた銀行口座、これかどういうものか、この提出は、売却益の使途を突きとめる上ではやっぱり重要な資料だと思うんですね。そういうことがはっきりして初めて、検察も今、株の流れを解明しているんだがということを言われたけれども、今度のリクルートゲートの問題点、本質が浮かび上がってくる。  それで、中曽根さんが巨悪とよく新聞で言われているのに、何で宮澤さんにばっかり質問するのかと聞かれますけれども、これは、中曽根さんが竹下さんに残した遺産が二つありますよ。一つは大型間接税、もう一つはリクルート疑惑です。これ二つつながって遺産になっているんだから、消費税の提案者の主管大臣の宮澤さんがこの疑惑もきちんと引き継いでおられるんだから、我々は、大蔵大臣にかかわる疑惑を真剣に解明することが、この構造の全体像を明らかにする重要な手がかりだと思うんです。ですから、竹下さんも宮澤さんも、枝葉末節のことだなんという認識でなくて、首相と現職の大蔵大臣、お二人とも中曽根内閣の閣僚もおやりになった方なんだから、この問題についてお二人のケースを我々が具体的にお聞きすることに対して、やっぱり率直に、積極的に答弁する義務があると私は思うんです。  それで、先日河合康文氏の問題を私は取り上げました。今週発売されたサンデー毎日には次のような報道が出ています。「河合氏は服部氏と共同で会社をつくっている仲であり、「株売買を君がやったことにしてくれ、と頼まれて、軽い気持ちで引き受けたのだ」と当初から宏池会関係友人に告白していた」という記事です。正森議員が衆議院の税制問題調査特別委員会で、河合氏が宮澤さんに貸しができたと言っているという情報を紹介したこともあります。今になってみますと、我々が得たこの情報、それからサンデー毎日のこの報道、やっぱり事実だったんですね。非常に軽い気持ちかどうか知りませんけれども、一緒に仕事をしている服部秘書官に頼まれて、大蔵大臣と秘書官がリクルートコスモスの株にかかわりを持ったということになると大変だ、じゃ私が引き受けましょうというので引き受けられたんでしょうね。その結果が、今とにかく日本におられない、どうやらアメリカのロサンゼルスにいるというお話もありますけれども、マスコミや我々の追及、調査から逃れるために身を隠さざるを得ないという大変な状況に追い込まれた。  サンデー毎日は続いてこう書いている。「このような重要な筋書きの設定に、宮沢蔵相がかんでいないと考える者は、まずあるまい」。あなたは、もう有名になりましたけれども、最初ノーコメントと言われて、八日間たって河合氏がやったものだということを述べて記者会見された。服部さんが一人で考えたシナリオじゃないと思うんです。  その間、服部さんと何回相談されましたか、この問題で。
  659. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 私はもう何も実は存じませんでした。
  660. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ノーコメントから発表されるまでの八日間に、服部さんと何回相談されたか、この問題で。
  661. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) この問題、別に相談というようなことはいたしません。
  662. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 では、服部さんから、実はこうだと、河合さんからということを一回聞いただけですか、八日間に。
  663. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 一回聞きましたので、それを記者会見でございましたかで申したわけでございます。
  664. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 新聞の投書に、宮澤さんは秘書官の言うことをそのまま信じている正直な方だという投書もありました。うかつだとあなたはおっしゃった、秘書はね。そういううかつさは正直とは言わないんです。  我々は、この事件のかぎを握る人物として、河合氏についても調査を進めてきました。大蔵大臣は十月二十七日の再答弁で、SE総合設計について「主として不動産の売買あっせん等の事業をいたしております」と述べた。  建設省、SE総合設計は宅建業の免許を受けていますか。
  665. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) SE総合設計につきましては、宅建業法に基づきます建設大臣免許を持っておりません。  また、東京都に照会いたしましたところでも、知事免許も持っていない、こういう状況でございます。
  666. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これも、蔵相のこれまでの答弁が無責任だということを示しているもう一つの実例です。  じゃ、建築設計をやっているかといって調べましたところ、建築士事務所として建築士法に基づく認可の条件である専任の管理建築士、名前だけで実体はありませんでした。私どもがそのことを東京都に知らせ、東京都が調査を始めていました。こうして十二月五日、建築士事務所もどうやらやめたようですが、建設省、事実はどうですか。
  667. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) お尋ねのSE総合設計でございますが、昭和六十三年十一月二十八日付で廃業届を知事あてに提出しております。同日付で建築士事務所の登録は抹消されたところでございます。  ただ、先生今おっしゃいました専任の建築士がどういう業務をどういうふうにやっていたかということにつきましては、ただいま東京都において調査中と聞いております。
  668. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私、この方のために名前は申し上げませんけれども、我々は何回もお会いしています。ですから、河合氏も一体何をやっているのかよくわかりません。康和商事という会社、服部さん、河合さんがやっているんです。宮下さんという方も取締役ですが、調べてみましても社員がいません。何をやっているかわかりません。これは今後も調査を続けたいと思うんです。  それはそれとして、河合康文氏がスケープゴートにされたというのは、私は許せないことだと思うんですね。もし宮澤さんが服部氏一人の筋書きだと言っても、サンデー毎日が「宮澤さんがかんでいないと考える者は、まずあるまい」と言うように、あなたが服部さんと相談して、自分の地位を守るため、それから公約違反の消費税をこの臨時国会であくまで成立させるために、大蔵大臣秘書官がリクルートコスモス株を譲渡されたということではまずいので、河合康文氏を当事者という、もう既に全く虚偽だったということが明らかなんです。  こういう作り話をこね上げて、四カ月にわたって国会と国民を欺いて河合氏の人権を侵害し続ける、全く許せない、前代未聞のことです。私は、これ一つでもあなたは大蔵大臣の資格はない、国民一人の人権も守れないんだから。自分の地位を守るために、消費税を通そうというために。どう考えますか。
  669. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) せんだって事実を知りまして申し上げるまで、私としては全く知らなかったことでございます。不明でございました。
  670. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 首相、どう考えますか。河合さんという人が大蔵大臣の名をかたって二千万円もうけたと、四カ月間負わされていたんでしょう。それをもし大蔵大臣が服部さんと共謀していたとしたら、首相としてどうされますか。
  671. 竹下登

    ○国務大臣(竹下登君) そもそも、昨年十一月六日内閣総理大臣の指名を受けまして、信頼しているからこそ宮澤先生に大蔵大臣をお願いした、その信頼関係は今日も続いております。したがって、宮澤さんのお答えになっておることについて私はそれを信じております。
  672. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 首相、宮澤さんがおっしゃっていることは、服部さんは大事なことは記憶にない、そういうことを口移しに述べておるというだけなんですよ。あなたの信頼しているという言葉はまことに空虚にしか響かない。  それで、私はずっとこれまでいろんな問題を追及してきましたけれども、やはり先日提供を要望した資料、これは株式売買約定書、服部氏の銀行口座払い込み資料、株式売買の通知書、振り込みの銀行口座、証券会社売買報告書、証券会社の顧客勘定元帳の服部部分、これらの資料と、それから、証人の喚問で事態を明らかにしなければならないと思う。河合さんの人権もそれによって守られることになるだろうと思うんですね。ですから、私は先日、宮澤大蔵大臣、菅原茂世ドゥ・ベスト社長、服部恒雄元秘書官、河合康文SE総合設計社長の四氏の証人喚問を要求しましたが、仮払い問題、融資問題が出てきましたので、ファーストファイナンス小林前社長、この方も加えて五氏の証人喚問を要求したいと思います。委員長、お取り計らいを願います。
  673. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 理事会で協議をいたします。
  674. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私がこれまで明らかにしたこと、また宮澤さんも先日のこの委員会で私に対し、「文章が不分明でございましたらどうぞお許しをお願いいたしたいと思います」「文章が不備でございましたら御了解を願います」と、みずからこれこそ真実だと言われた文章の不備を早くも認められて、それからきのうの江副証言でもさらに新しい矛盾が次々出てきて、十分な合理的説明をすることができません。大臣も先ほど、委員長並びに理事の方に約束したとおりと言われておりましたが、十一月三十日の午前中梶木委員長と各理事が宮澤蔵相と国会内で懇談して、梶木委員長が、これまでのように服部前秘書の報告を伝えるものではなく、みずからの責任で調査し、誤りのない説明をしてもらいたいと申し入れ、蔵相は、誠意を持ってと約束したということであります。十二月一日、議員の辞職を求めた矢田部委員の質問に、宮澤蔵相は、議員の職を賭すぐらいの気持ちをという委員会の意向に沿って報告している。  梶木委員長、これまでの審議で、みずから不備を認められるような事実、江副証言との矛盾、多くのものが出てまいりました。私は、蔵相の委員長並びに理事に対する約束を守って、蔵相は、蔵相の辞任、議員の辞職、それをすべきであると思いますけれども、委員長はそのときのお約束でどうお考えになりますか。
  675. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 私がお願いしたことをまじめに、素直に、誠実に答えられたと思っております。
  676. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは全く見解が違います。  それで、私は次の問題に移りたいと思うんですけれども、宮澤大蔵大臣はもう一つ、株の還流問題でもやっぱり責任をお持ちの地位におられます。きのうの江副証言で、六十一年九月のリクルートコスモスの売買で証券業協会の内規違反があったことが明らかになりました。江副証人もそれを認めました。協会の内規によって売買禁止期間中に役員二十人近くが第三者割り当て増資先企業からコスモス株購入した、具体的に七名の役員の名を挙げました。  そこで、私はきのうあの証言を聞いていまして、角谷証券局長がこれまで何回も国会で、特別利害関係者が内規違反を犯したことはございませんと何度も答えましたよ。そうしますと、あなたの責任にもなってくる。いかがですか。
  677. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 確かに、株式移動の制限期間内におきますところの特別利害関係人等による株式移動につきましては、かねてから証券業協会を通じて調査しておりまして、その段階におきまして私どもは証券業協会から、特別利害関係者等からの株移動はなかったという報告を受けたわけでございます。  ただ、その後いろいろな事実がわかってまいりまして、それに基づきまして改めて証券業協会の方に調査をお願いし、その結果、先ほど委員御指摘のように、いわゆる還流株というものの一部が、これは十数名の役職員、役員だけじゃなく職員もあるようでございます、役職員に還流している模様であるという報告を受けたわけでございまして、役員につきましては、明らかにこれは証券業協会のルールに違反する行為であったわけでございます。  そういった意味では、私の先ほどの答弁、協会の報告に基づくものとはいいながらも、甚だ誤解を招いたことにつきまして、おわびかたがた改めて訂正させていただきたいというふうに思います。
  678. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 きょうの新聞報道では、大蔵省は「内規違反の事実をつかめなかったとして、主幹事証券会社の大和証券にも注意処分をする方針だ」というんだけれども、事実をつかめなかったというんじゃ証券局も同罪じゃありませんか。
  679. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 店頭登録の仕組みでございますが、協会がこれを管理しておりますが、主として主幹事証券会社を通じましていろいろな情報の提供あるいは市場の管理というものを行っているのが通例でございます。そういった意味では、協会につきましてもこれは主幹事証券である大和証券を通じましていろいろな事実を調査してきたということでございます。  そういった意味では、いろいろな意味で私ども至らなかった点があることは深く反省し、おわびさせていただきたいと思いますけれども、基本的には協会の仕組み自体にそういう問題があるといったことについては、私どもといたしましても今後どういうふうな形でその体制を強化していくか、十分に検討していかなければならない課題であるというふうに認識いたしております。
  680. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 日本証券業協会の内規違反という問題だけでなくて、日本経済新聞十二月二日号は、証券取引法百八十九条違反の問題も提起している。僕は余りこういうことは詳しくないんだけれども、この百八十九条を見ますと、役員が自社株を買い付けて六カ月以内にそれを売買した場合、それで利益を得た場合、これはその利益を会社に提供するよう請求できるという条項だというんですね。そうすると、内規違反だけでなくて、きのうもいろいろ問題が出ましたが、今度、五社から七十六万株、かなりリクルートコスモス役員が手に入れてそれを再譲渡した疑惑が出ているわけですね。そうすると、証券取引法の第四条だけじゃなくて百八十九条違反と、株還流に関連して出てくると思うんですが、角谷さん、いかがですか。
  681. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 証券取引法の百八十九条といいますのは、会社の役員あるいは主要株主がいわば六カ月以内に自社株の売買を短期に行いまして、これによって利益を得た場合の民事的な利益、これを返還させるという規定でございます。このためには、現実問題として、いわゆるその会社の役員が取得したとされる株式が六カ月以内に売買されているかどうかといった問題が一つあるわけでございますが、その点の事実は私どもまだ確認できておりません。と同時に、この規定は民事規定でございまして、この返還請求を行うものは会社あるいはその株主といったことでございますので、これは行政的な規定というよりは、むしろ民事的な規定であるという認識をいたしておりますが、いずれにしても、その前提となるべき事実、短期的な売買があったかどうかという点についてはまだ確認できておりません。
  682. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは私は、今、大和証券の名前も出たんですけれども、これだけ多岐にわたる複雑な株取引の操作は証券会社の関与なしになかったんじゃないかと思うんですね。  殖産住宅事件の主役だった東郷民安氏が「罠」という本を書いている。あれを私最近読んだんですけれども、あれを読むと、中曽根康弘氏が総裁選の資金をというふうに東郷さんに頼んだと。そうすると東郷さんは、やっぱり当時主幹事証券の野村証券へ相談するんですよ。そうすると、証券会社全体が相談して、公募株百万株から捻出しようというので全部やってくれるんですね。それで今度のケースも、リクルートの社内報「かもめ」八七年二月号誌上で、当時、大和証券から店頭登録のためにリクルートコスモスの部屋に出向した伊藤憲太郎という公開引受部主任が詳しく話している。店頭登録に必要な申請書類から安定株主対策まで、一から全部指導した、こう言っています。「はっきりいって、会社の現状が店頭登録の条件にはほど遠いものがあった」と。池田課長補佐は、「コスモスの若いメンバーは、公開に関しては素人で何もよく知らない人たち」だと。何も知らない人たちを相手にしてこれだけ複雑な株操作は、大和証券などの関与なしには全くあり得ないと思う。例えば五社の還流、あれはエターナルフォーチュンが二十四人で最高なんですね、全部五十人以下にしている。  私どもも今度証券会社に行っていろいろ聞きました。そうすると、五十人以下にすれば届け出じゃなくて通知で済むんだそうです、省令か施行規則でね。そんなことは専門家じゃなきゃだれも知りません。それで、届け出と通知じゃまるで違うんだそうです。届け出はおかしい場合には詰められるそうです。通知というのはちょっと通知しておけばいいんだそうでね。そうすると、五社が最高二十四人に分類してあるのは、やっぱりそういう通知書で済ますということでやったというんですね。私はやっぱり大和証券が主だと思うんですけれども、証券会社の関与は当然あると思う。どうですか、証券局長
  683. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 御指摘のように、若い入社してから三、四年といいますか、四、五年といいますか、その程度のまだ役付になる前の若い人が事務手続をいろいろ手伝うためにリクルートコスモス社に出向していたという事実はあるようでございます。  ただ、これは証券会社によりましては、公開する会社に頼まれて、リクルートコスモス社に限らず、そういう出向してお手伝いするということはしばしばあるようなケースでございまして、特にリクルートコスモスだけが異例だったというわけではないわけでございますが、今申しましたように、非常に若い社員でございますし、そういった実質的な還流その他について判断できるような人間ではなかったようでございます。  現実問題として、いろいろな書類作成の手続とか準備とか、あるいは証券会社である大和証券に対する事務連絡とか、そういったことはいろいろやっていたようでございますが、それほどの力といいますか、それほどの年功のあるような人間がやったわけではないというふうに聞いております。  それに限らず、全体として証券会社がこういった問題に関与したかどうかという点、私ども初めから関心を持ちまして、この事件が起こったときから十分に調査しております。しかしながら、私どもの知っている限りにおきましては、こういった事実について、例えば五十九年十二月の七十六人に対する譲渡、あるいは六十一年九月の延べ八十三名の方に対するいろいろな譲渡、そういった問題について証券会社が関与したということは、私はそういった事実については承知いたしておりませんし、そう関与したと信じるべき証拠は持っておりません。
  684. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 雑誌の報道ですと、大和証券のある幹部と同名の人物の名前が、その人物ほか二名ということでリクルート関係の税務書類に三万五千株という数字が出ている。本人は否定しているということがあるんですね。ですから、やっぱりこういう証券会社の件も当然私は調査が進められるべきだと思うんですが、検察庁、関心をお持ちですか。
  685. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 今、果たしてどういう犯罪になるかちょっと思い浮かばないわけですけれども、御意見はよく拝聴いたしまして研究いたします。
  686. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それで私は、証券局並びに大蔵大臣のこれまでの国会での答弁を振り返ってみますと、先ほども同僚委員から証券取引法四条の問題を言われましたけれども、最初は本当に四条の形式犯みたいな扱いでしたね。特別利害関係者のことも先ほどああいう状況で、徹底的に調べて何もない、何もないと言っているのかと思うとだんだん出てくるでしょう。だんだん出てくると認める。宮澤さんとそっくりですよ、局長も。それで証券業界もかかわる非公開株の取引でこれだけ大きな問題になってきたのに、担当の証券局も大蔵省もまじめに調べようという態度がないんですよ。これはちょっと恐るべきことだと思うんですね。これでは一体日本の政治は何やっているのかということになる。  私は、宮澤さん個人の株取引の問題だけでなくて、これだけ大きな問題になって世論が怒っているリクルート疑惑の問題で、大蔵省証券局が本当に積極的に問題解明をしようという態度が全く見られなかったということは責任重大だと思うんですね。だから、宮澤大蔵大臣は、この問題があなた個人の問題でなくても、担当大臣として、非公開株の取引に関するこれだけの疑惑について消極的姿勢をとり、ふたをし続けてきた、この点からだけでも辞任の資格があると、そう思います。  それで、もう時間が余りなくなってまいりましたが、最後に、このリクルート疑惑についての最も大きな疑惑は、じゃ江副前会長らはなぜ六十一年の九月に証券業協会の内規違反——内規違反をしますと、これは店頭登録を受け付けないというふうになっているんですからね。そういう危険があるわけだ。で、証券取引法違反の問題も出てくる。それで十月三十日の店頭登録をも取り消される危険があるんですよ。内規の3はこう書いてある。「発行会社の特別利害関係者等が」決まった「日以降に、当該会社の株集め又はこれに類する行為を行ったと認められるときは、登録申請を受理しないこととする」と、先ほどの局長の答弁では、もう既にしちゃっているんだから、これは株をお持ちの方々に被害が起きるので、取り消すことは困難だという答弁があったけれども、これはまだ登録する一カ月前ですからね。このとおりいけば受け付けられないんですよ。何でそんな危険を冒して七十六万株もああいうことをしたのかと。だから江副証人は、株の還流を認めると大変なことになるので株の還流はしていません、ただ、五社が直接配付したんで私はあっせんしただけだと言い続けましたけれども、これは全く成り立たない。なぜなら、これは偽証罪に当たる危険があるんですよね。とにかくファーストファイナンスが全部振り込むんだから、ファーストファイナンスがやっているわけですよ。それでファーストファイナンスから約定書が後になって送られてくるのですから、約定書はファイナンスがやっている。ドゥ・ベストもビッグウエイもエターナルフォーチュンもワールドサービスも自分でやってないんですよ。確かに約定書リクルートコスモスなんかのあれではなくて、これらの五社の名前だけれども、扱っているのはリクルートですよ。全部返してもらって、あっせんあっせんと言っている。選んだのもそうです。  それでは、なぜそういうことをやったのかというのが最大の疑惑です。そんな危険を冒して店頭登録までなぜ一体江副前会長はやったんだろうか、この問題を解明することが私はリクルート疑惑の解明の中心問題である、そう思います。  広く新聞雑誌等で、この問題に関心を持っておる人々が共通して提起しておるのは、当時は中曽根内閣の時期だった。で、関係八閣僚がコスモス株をも受け取っている。江副前会長は病院での臨床質問で、名前は死んでも言えない、刑事罰を受けても言えないと、こう述べた。死んでも言えない、刑事罰を受けても言えない人の名前は一体だれかというので、中曽根康弘氏あるいはその周辺のことに世論は当然疑問を持っている。だから、店頭登録を取り消される危険よりも、その人の要請を断る危険の方がもっと大きいというところに江副氏は追い込まれたのかもしれない。そうなると、この疑惑の中心人物は江副氏一人ではないということにもなりかねません。中曽根康弘氏は、先ほどの東郷民安氏の殖産住宅事件で、もう既に非公開株の利用で彼は最初二十五億円と言ったんですから、莫大な政治資金をつくることができるという経験者です。ひらめくんではないかと私は思うんですが、ロッキード事件ともかかわりがあったことが問題になっている。  私は、この問題をも解明しないとやっぱり国民の疑惑は解けないと思うんですね。中曽根康弘氏は今回ノーコメントで通しておられる。検察は今後、中曽根康弘前首相からも事件の展開、株の流れあるいは職務権限等々の、事態の発展いかんでは事情聴取を行うこともあり得ますか。
  687. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) いろいろお尋ねでございますけれども、将来のことについては何とも申し上げかねます。
  688. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 否定しなかったということで……
  689. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 上田君、もう時間が大分超過しました。
  690. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  691. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、明日は午前十時に委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後六時二十六分散会