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1988-12-02 第113回国会 参議院 税制問題等に関する調査特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十二月二日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十二月一日     辞任         補欠選任      後藤 正夫君     鈴木 貞敏君  十二月二日     辞任         補欠選任      二木 秀夫君     板垣  正君      塩出 啓典君     猪熊 重二君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         梶木 又三君     理 事                 斎藤 十朗君                 林  ゆう君                 平井 卓志君                 降矢 敬義君                 吉村 真事君                 志苫  裕君                 安恒 良一君                 峯山 昭範君                 近藤 忠孝君                 栗林 卓司君     委 員                 井上 吉夫君                 井上  孝君                 板垣  正君                 岩本 政光君                大河原太一郎君                 大木  浩君                 岡部 三郎君                 加藤 武徳君                 久世 公堯君                 斎藤栄三郎君                 斎藤 文夫君                 下稲葉耕吉君                 鈴木 貞敏君                 田辺 哲夫君                 谷川 寛三君                 仲川 幸男君                 藤井 孝男君                 松浦 孝治君                 村上 正邦君                 森山 眞弓君                 及川 一夫君                 千葉 景子君                 福間 知之君                 矢田部 理君                 山口 哲夫君                 山本 正和君                 猪熊 重二君                 太田 淳夫君                 塩出 啓典君                 和田 教美君                 上田耕一郎君                 橋本  敦君                 柳澤 錬造君                 野末 陳平君                 下村  泰君    国務大臣        内閣総理大臣   竹下  登君        法 務 大 臣  林田悠紀夫君        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君        文 部 大 臣  中島源太郎君        郵 政 大 臣  中山 正暉君        労 働 大 臣  中村 太郎君        建 設 大 臣  越智 伊平君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    梶山 静六君    政府委員        公正取引委員会        事務局経済部長  柴田 章平君        警察庁長官官房        長        森田 雄二君        警察庁刑事局長  中門  弘君        総務庁人事局長  勝又 博明君        法務省刑事局長  根來 泰周君        外務省経済局次        長        内田 勝久君        大蔵省主税局長  水野  勝君        大蔵省証券局長  角谷 正彦君        国税庁次長    伊藤 博行君        文部大臣官房長  加戸 守行君        文部省初等中等        教育局長     古村 澄一君        文部省高等教育        局長       國分 正明君        文部省高等教育        局私学部長    野崎  弘君        厚生大臣官房総        務審議官     末次  彬君        郵政省電気通信        局長       塩谷  稔君        労働大臣官房長  清水 傳雄君        労働省職業安定        局長       岡部 晃三君        建設大臣官房長  牧野  徹君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        自治省行政局公        務員部長     芦尾 長司君        自治省税務局長  湯浅 利夫君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君        常任委員会専門        員        片岡 定彦君        常任委員会専門        員        保家 茂彰君    説明員        会計検査院事務        総局第五局長   三原 英孝君    参考人        社団法人日本証        券業協会常務理        事        関   要君        日本電信電話株        式会社代表取締        役副社長     村上  治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○税制問題等に関する調査     ─────────────
  2. 梶木又三

    委員長梶木又三君) ただいまから税制問題等に関する調査特別委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  税制問題等に関する調査のため、本日、社団法人日本証券業協会常務理事関要君及び日本電信電話株式会社代表取締役社長村上治君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 税制問題等に関する調査を議題とし、これより和田教美君の質疑を行います。和田君。
  5. 和田教美

    和田教美君 まず、宮澤大蔵大臣にお尋ねいたします。  大蔵大臣は、きのうの当委員会でリクルートコスモスの未公開株一万株が服部秘書官に譲渡されていた問題について、これまでの国会答弁を全面的に訂正する釈明をなされました。それを要約いたしますと、これまでの服部秘書官報告していたものは作り話であって、実際には河合氏は売買に関与していない、服部自身売買をして約二千万円の利益を得たということです。このように大蔵大臣答弁は二転、三転、四転としたわけでございますけれども、それにもかかわらずただ一つ変わっていないのは、宮澤さん自身はこの株取引には全く関与していないということを一貫して言っておられることです。  しかし、一般国民は、大臣秘書官との関係というものはそんなものであろうかという素朴な疑問を持っていると思います。服部秘書官が勝手に宮澤さん名義で株を買って、そうして判こま宮澤さんの判こを使っておいて全く大蔵大臣報告しなかったというふうなことがあるだろうかという疑問、さらにこの問題が表面化した後も、何回も宮澤さんが服部さんに確かめたのにもかかわらず、うそをつき続けたというふうなことが実際にあり得るだろうかという疑問であります。実際にはどうも宮澤さんは薄々知っていながら、最初出発したところがうそであったから、逆転をすることがなかなかできなかったということではないかという疑いも持つわけでございますけれども、本当に知らなかったのか、また宮澤さん自身は全く関与していないのか、株を買うことについて。その点をもう一度明らかにしていただきたいと思います。
  6. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 本委員会をお開きになるに当たりまして、事前に委員長理事方々から私に対しまして特に御注意がございまして、今まで宮澤の申し上げてきたことは何度か途中で変更しておるが、そういうことはもうしばしばあってはならないことである。したがって今度は、もう最終的に厳しく服部元秘書に対しても話をして、事実間違いないところを御報告せよという、こういうお達しでございました。もとより私はそのつもりでおりましたが、その御趣旨に従いまして情理を尽くしまして服部氏に事実関係を聞いたわけでございます。その結果といたしまして、従来申し上げていたことが大変に真実と違ったことであるということを確認するに至りました。このことはただ私の監督上の責任というような意味ではございませんで、昨年も申し上げましたとおり、私自身国会に誤ったことを申し上げてきたわけでございますので、私自身の不行き届きであるというふうに昨日も反省し、おわびを申し上げたところでございます。  もとより、私自身がこのことについて関係いたしましたことは全くなかったのみならず、当初からこのことについて一切聞いておりませんでした。このことは、先般衆議院での江副証言におきましても、私でなく服部にという接触をなさったということを言っておられます。そのことについて昨日も申し上げましたが、服部自身は私に迷惑が及んではいけないと思い、ついありのままを報告しないことによって結果として取り返しのつかないことをいたしましたと言いまして、いわば大変に涙ながらにそういうことを申したわけでございますが、知らなかったということも、言えばそういう秘書使い方というのはいかぬではないかと御指摘があれば何とも申しようのないことでございます。  三十年余り一緒仕事をしてまいりまして、私の使い方が甘かったということにつきましては深く反省をいたしておりますが、私自身関係をせず、また存じませんでしたことは、これは御理解をいただきたいと思います。
  7. 和田教美

    和田教美君 私は、政治責任というものは結果責任だというふうに考えるんです。  きのうの質疑応答を聞いておりましても、宮澤さんの釈明を担保する、つまり証明する何か具体的な証拠を出せということを野党側要求をしたわけですけれども、宮澤さんは具体的には例えば株式売買報告書あるいはその他の銀行口座を明らかにしろとか、そういう要求はことごとく拒否されたわけですね。宮澤さんにしてみれば、自分がこれだけ一生懸命になって調べたのに今さら証拠を出せとは何事かというふうなお気持ちなんじゃないかと思うんですね。しかし、服部さんの説明を、今のお話を聞いても、うのみにしておったためにそういう結果、答弁が四転、五転したことはこれは否めない事実なんです。やっぱりその政治責任というか、結果責任というものを重く見なければならないと思うんですね。  それからまた、いわゆる証拠というふうなものを出したところで、これだけ迷惑をかけた服部さんに対して何も別に気兼ねすることもないと思うので、全部というわけではないですけれども、せめて一つ二つぐらい、例えば株式売買約定書だとか、あるいはファーストファイナンス銀行口座に振り込んだと言っておるわけですから、それを証明する何か資料とか、そういうものを一つでも二つでも委員会に出されたらどうか。もう一回考えを変えられたらどうかと思うんですけれども、その点についての御見解を聞きたい。
  8. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昨日申し上げましたとおり、私は最大限の努力をいたしまして調査をいたしました。決して何事かというような不遜な気持ちで申し上げているわけではございません。  株式がどのようにして売られ、そうしてその金がどのようにして送金されたかというような数字を挙げて、時期も挙げて申し上げておりますが、これはそういうことを具体的に確認をした上で申し上げておるわけでございますが、ただ、どこの会社であるか、どこの銀行であるかというようなことは、これはいわば通例の取引の問題としてそこまで申し上げることはお許しをいただけないかというふうに実は申し上げておるわけでございまして、これは私自身自分確認をいたしました上で申し上げておることでございます。
  9. 和田教美

    和田教美君 きのうの釈明でもう一つ非常に疑問なのは、譲渡株売買約定書ドゥ・ベストとの間に交わしておるわけなんですね。ところが、なぜその購入代金ファーストファイナンス、コれはリクルート系列金融会社ですね、このファーストファイナンス銀行口座に振り込んでおるのか。そのからくりといいますか、いきさつが全くよくわからない。それを明らかに説明していただきたいと思うんです。  私の解釈では、第三者割り当て増資ドゥ・ベスト社が一たん引き受けていた株がこのときは既に江副氏あるいはファーストファイナンスのところに買い戻されておるというか還流しておった、そうしてその代金ファーストファイナンスからドゥ・ベスト社に払っておったと、それを埋めるために、今度は服部さんがファーストファイナンスに振り込んだ、こういうことだとつじつまが合うと思うんです。これは私の全くの仮定ですけれども、一体どういうことだったのか、その点を明らかにしていただきたい。そして、もしファーストファイナンスに返っていた株だということになれば、これは明らかに世間で言われる還流株になると思うんですけれども、その還流株がこういう実態であったということを大蔵大臣はお認めになるのかどうか、その点をお聞きしたい。
  10. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 実は株の譲り渡し人がだれであるかということにつきましては、前回にも確認申し上げましたが、約定書自身がございますませんために当時の段階ではわからなかったわけでございますが、去る十一月十五日に会社側から衆議院特別委員会資料が提出されました。それによりますと、ドゥ・ベスト社であるということが明らかになっておるわけでございます。  そこで、ただいまのお尋ねの点でございますが、ファーストファイナンス銀行口座に金が払われたということは、これは十月十五日でございますか、私の調査によってわかっておるわけでございます。なぜそれがファーストファイナンスであるのかと。これは実はリクルート社から服部氏に接触した人のいわば指図によってファーストファイナンスに金を払ってくれということでそのとおりいたしたのでございますが、当時としてはこういう全体大きな背景があるということは無論服 部氏自身も存じませんでしたわけですが、言われたとおりいたしておるわけなんですが、なぜそれがファーストファイナンスであったかということについて和田委員が今いろいろ御推定を加えられました。  実はいろいろな複雑なことがあったのではなかろうかという感じは、あれこれよくわかりませんままにいたしますけれども、こちら側ではどうも先方のそのような事情がわかる方法がございませんで、ただいまの御推定のことは一つの御推定かなと思ったりもいたしますけれども、どうも私どもには、向こうの方のどういういわば仕組みと申しますか、構成になっておるのかということがわからないままでございます。
  11. 和田教美

    和田教美君 ファーストファイナンス代金三千万円を払い込んだというのは、これはまた服部さんの作り話であって、実際には他の多くの人がこの時期にやっているとおりファーストファイナンスから購入資金を借りた、そしてそのまま株券ももちろん手元に来ない、そして最後にこれを十月三十一日ごろに証券会社がまとめて売った。それによって売却益というものが出るわけです。つまりそのもうけですね。この二千万円が服部さんの口座に振り込まれたと、こういうことじゃないんですか。
  12. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そうでございませんことを申し上げますためにこのことを申し上げておるわけでございますが、と申しますのは、ここで述べておりますように、服部氏の銀行口座に振り込まれましたのは五千二百二万円でございます。つまり差額ではございませんで、売買売上金の全部が払われております。と申します意味は、そのもとになりました三千万円は借金ではありませんで、払われておるということでございます。
  13. 和田教美

    和田教美君 その点は確認されたかどうかということと、もう一つお聞きしたいのは、きのうの釈明では、河合さんが株の売買に関与していなかったということの趣旨を述べられたわけですけれども、その後の記者会見で、河合さんが全く今度の問題について関与しなかったということについては必ずしもそうではないような、今まで関与したという話は作り話ではないというふうなことを言われたという報道があるわけですね。  そうなると、服部さんと河合さんとの関係ですね、これが依然なぞとして残るわけです。これまでの説明では、株売却益河合さんが不動産を買うために使った、そして、きのうの宮澤さんの説明では、服部さんが生活の費用に使った、こう言っておられるわけですけれども、どうもその辺のところも釈然としない。株を買うための資金三千万円、それから売却益二千万円の使途、それから河合さんが果たして介在していなかったのかどうか、その辺のところのなぞについてもっと突き詰めて調べられたかどうか、その結果はどうであるかを御報告願いたい。
  14. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 国会に申し上げました説明の根本的な誤りは、河合という人物につきましての位置づけであったわけでございます。私が服部氏に最も厳しく申しましたのもまたこの点であったわけでございます。私が今回そこを整理して申し上げましたのは、この問題の主たる責任者はもうあくまで服部氏である。その責任を他に転嫁するということはできない。そういうことをしようとすれば事柄の本質というものが失われてしまう。そういうことを本人にもよく話をし、本人もわかりました上でこういう整理をさせていただいたわけでございます。  それから、売却益使途でございますけれども、服部氏ももう六十近うございまして、適齢期の子女もあり、また老人もおるといったようなことでございますので、一般的な交際費であるとか、あるいは医療費であるとか生活費だとか、それは東京に家も持っておりますからかなりの経費が要る。特定の目的に何かこの金を使ったというようなふうではないようでございます。
  15. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 関連質疑を許します。峯山君。
  16. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣先ほどからいろいろとお伺いをしているわけでございますが、なかなかわからない点がますますふえてきたような気がいたします。  幾つか指摘をしたいのでありますけれども、先ほどの御答弁の中でもリクルート側が接触してきたのは服部さんである、これはそのとおりかもわかりません。しかしながら、本当の意図服部さんだったのか、あるいは大臣だったのか、これは非常にわからないんじゃないか、こういうふうに思うんですが、そこら辺のいわゆる株譲渡理由あるいは意図、こういうようなものはこれからどうしても明らかにしていかなくちゃならないと私は思っております。  それから、先ほどからただしております売買実態についても、まだもう一つ中身が何にもないわけですから、これはなかなかわからないわけであります。あるいはまた売却の指示の時点、これもなかなかいろいろあるわけですけれども、十月三十一日にみんな売却されていらっしゃるわけです。そこら辺の経緯等もこれからいろんな点で私は解明していかなくちゃならないと思っております。  そこで、きょうはちょっとだけ方角を変えまして大臣にお伺いしたいのでありますが、実は私も今回大臣に質問するに当たりましていろいろと調べてみました。正式に大臣国会会議録の中で、残っております議事録を読んでみましたら、八月四日の衆議院予算委員会、ここでは服部秘書が友人の河合氏に名義を貸して一万株を購入していた、こういうふうな意味発言であります。十月十四日の衆議院税特では、私の名義の方が取引が容易になる、したがって河合氏に名義を貸したらしい、こういうような発言であります。十月二十一日には、今度は売買資金河合自身が調達をして売却益河合さんが海外の不動産の投資に使った、こういう発言であります。そして十月二十七日の衆議院税特での発言は、これは委員会の要望によりまして再調査をして、大臣秘書官を究明して、そして今度は間違いないということで発言した発言が、これは四つともすべて国会の正式の会議録に記載されているわけであります。そして、昨日の発言でそのすべてが事実に反していたということになるわけでございまして、本当に私もこんな例は今までに全くないと、そういうふうに思うわけでございますし、国会うそ発言をしていたということにもなりますし、また結果として国民をだましていたということにもなるわけであります。そういうような意味ではその責任は私大変重いと思うんですけれども、そこら辺のところは大臣はどういうふうに受けとめていらっしゃるでしょうか。
  17. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まことに恥ずかしいことでございますが、ただいま峯山委員の御指摘になられましたような過去の経緯がございます。昨日も申し上げたことでございますが、これはただの監督不行き届きというようなことではございませんで、私自身国会に対する不行き届きであったと深く反省をいたしております。  事は、やはり長年仕事をしておりました秘書をいわば甘く考えておったと申しますか、その申しますことをそのままに御報告をしてまいって、十月十七日でございましたか、衆議院に申し上げましたときにはもう一遍厳しく話をしたわけでございました。今回、特に委員長理事方々からの御注意で、今度は文字どおり時間もかけ厳しく話を聞きました結果が昨日御報告を申し上げたことのようになりました。そのようなことは、国会に偽りを言ったではないかとおっしゃいますれば、理由はともあれ、そのような御批判を私はやはり甘んじて受けなければならないと考えておりまして、その点につきましては深く反省をいたし、心からおわびを申し上げたい心境でございます。
  18. 峯山昭範

    峯山昭範君 先ほど和田委員の方からも指摘がありましたけれども、私はやっぱり常日ごろ政治家はその結果に責任を待つべきである、こういうふうに思っております。万が一自分責任がなかったとしても結果的に疑惑を招いた、あるいは招く、そういうようなことが起きた場合は、やはり政治家としてはそれがみずからの責任である。自分は全く責任がない、これは秘書責任であると、そういうふうに秘書がやったということで済まされる問題ではないんじゃないか。私はそうあるべきであると思っているわけでございますけれども、この点につきまして総理はどうお考えでございましょうか。
  19. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 峯山委員の御指摘のとおりに考えております。昨日申し上げましたことも、一つは私の秘書のいたしたこと、それについての監督上の責任でございますが、それと別個に私自身国会真実を申し上げることができずにきたということにつきまして深く反省をいたしております。
  20. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 政治責任は結果責任である、これは和田委員からも御指摘がありました。私もそのように考えております。  私自身に関しましても、元秘書が、経済行為であるといたしましても、少なくとも政治家たる者、なかんずく私は今、内閣総理大臣でございます。もろもろの情報等の最も入りやすい立場にございます。したがって、それだけに常日ごろ倫理綱領を反復しながら衝に当たるべきものであるというふうに考えております。率直に申しまして、この結果責任を私の答弁によって免れようとかいうような気持ちは全くございません。
  21. 峯山昭範

    峯山昭範君 これはもう一つの方角からいきますと、ただ、前に言ったことが間違っていた、あるいは食言であったというだけではありませんで、特に大蔵大臣という立場にありますと、これは証券行政の最高責任者であるわけです。また、証券業界を指導監督しなければならない立場にあるわけでございますね。  そういうふうな意味からいきますと、今回の事案はどう考えてもこれは重大な問題を含んでいる、私はこういうふうに考えているわけでございますが、この点についても御所見をお伺いしておきたいと思います。
  22. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私は、御指摘のように証券行政の最高責任者でございますので、証券取引法の施行につきましての責任者でもございます。したがいまして、当然のことではございますが、この件につきまして、証券局長以下、行政をいたしますにつきましてはもとより私のことについて顧慮すべきことでないと、これは当然のことでございますが、よく申しておりまして、そのようにやってくれておると存じます。殊に来年からはインサイダー取引のこともきちっとやらしていただきたいと思いますし、今回起こりましたようなことを防ぎますために、ただいま証券取引審議会の不公正取引特別部会というもので年内には結論を出していただきたいとお願いいたしておりますにつきましては、決して私自身のことは顧慮しないようにと、当然のことでございますが、申しております。  また、税法につきましても、これはキャピタルゲインの問題でございますから、ただいま問題はございませんとは申しながら、しかし税法改正もお願いいたしておるところでございますので、二つながら私は両方の問題について責任者である、それだけに余計申しわけないことに存じております。
  23. 峯山昭範

    峯山昭範君 もう一点お伺いしておきたいのでありますが、今回の釈明で、今回は間違いありません、私の言葉を信じてほしい、こうおっしゃっているわけでございます。しかしながら、十月二十七日の衆議院税特でのお話もやはり同じようなお話がございました。それが実際問題としまして三回、四回と続いてまいりますと、なかなか何かないと信じがたい点が出てくるわけです。オオカミ少年の話ではないんですけれども、なかなか信じるわけにはいきませんし、国民の立場から見ましてもなかなか難しい問題だと私は思います。  私ども政治家は何といっても国民の信頼が一番大事であります。大臣自身もやっぱり国民からどう信頼されるかということが非常に私は大事だと思います。そういうような意味では、大臣自身が具体的なやっぱり物証ですね、そういうようなものを示すべきだと私は思うんです。具体的に言えば、例えば、先ほどからお話ございました株式売買の約定書とか、そういうような何か、これがこうなんですよというふうに具体的に示して、そうするとああなるほどなということでわかるわけですけれども、それがないとなかなか信じがたい点があるわけです。  そういう点からいきますと、挙証責任大臣の側にある、こう申し上げなけりゃならないわけでございますが、そこら辺のところの努力ですね、いろいろやっていらっしゃるとは思うんですが、何かないものでしょうか。
  24. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 厳しい御指摘の点は私もよく理解ができます。実は今回初めて私自身そのようないわば関係の事実の確認について自分自身で努力をいたしました。先ほど申しましたのもその結果の一つでございますが、約定書自身は見つけることができませんでした。これは申し上げるまでもないことでございますが、いわば個人の売買でございまして、法律上保存という義務がない、事実上行為が終了しておる、それから税法上もキャピタルゲインの問題がございませんので約定書というものを保存するという必要がなかったということかと存じます。  ただ、先ほど峯山委員に申し上げましたように、これは差金決済ではないのかとおっしゃいました点は、五千二百万円余が銀行口座に入金されておるということを私自身確認をいたしております。それからまた、十月三十一日に株式服部名義売却されていることも私は確認をいたしております。その場合、何銀行、何証券ということになりますと、これはどうかひとつ御了承いただけませんでしょうかと昨日も申し上げたようなことでございますが、私自身ただいま申し上げましたようなことは確認をいたした次第でございます。
  25. 和田教美

    和田教美君 それでは、この問題はこれぐらいにしまして、竹下総理大臣にお尋ねをいたします。  リクルート疑惑は山を越したどころか、日がたつにつれてますます拡大をいたしまして、政界、官界などにばらまかれたコスモス株による事実上の現金贈与が、この額はロッキード事件の規模をはるかに上回るという情勢になってまいりました。ロッキード事件以上の広範な疑獄事件に発展する可能性が出てきたわけでございまして、国民政治家に対する不信感は頂点に達しているというふうに言っていいと思います。今、国民が非常に注目をいたしておりますことは、このコスモス未公開株に手を出した政治家が一体どんな形で政治的道義的責任をとるか、明らかにするかという点だろうと思います。  コスモス株は、確かに政治家や官界だけでなくて、経済界あるいはマスコミ界にも流されております。マスコミ関係では、しかし既に森田日経社長、それから最近では読売副社長の丸山さんと相次いで辞任をされました。私もマスコミ出身者の一人として、こういう株に軽々に手を出したのは非常に軽率で残念だったと思いますけれども、一応それなりの社会的道義的責任を感じてけじめをつけたと言っていいと思います。  また政界では、野党も無傷ではございませんで、社会党の上田卓三さんは既に議員を辞任されました。公明党の池田克也さんの場合は、実弟が株を買ったわけですけれども、このこと自体は私は非常に残念ですけれども、しかし既に党の役職を辞任して、次の衆議院選挙の候補者になることを辞退するということになっております。これまたけじめは一応つけたというふうに言っていいんではないかと思います。  ところが、これまでの公表リストで名前の出た政治家の数は十六人でございますけれども、そのうち十二人までが自民党の議員の方々関係者でございます。そういう自民党の人たちの中に、全くそのけじめをつける動きが見られないのは一体どういうことかというふうに感じるわけです。人それぞれに責任のとり方というものは違うと思いますけれども、みんなで渡れば怖くない式の今のありようは私は到底納得できないというふうに思います。  それでは私は、総理自身が、総理秘書やあるいは親類筋に当たる人が株を買っていたからといって、すぐ内閣総辞職をしろなどと短兵急なことを言うつもりはございません。しかし、ただ政治家一人一人か政治倫理綱領を拳々服膺するのがまず先決だなどと言っているだけでは事は済まないというふうに感じるわけでございます。したがって、総理を初め自民党の人たちが一体どういうけじめをつけようとされているのか、その点についてひとつお考えをお聞きしたいわけでございます。
  26. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今、和田委員指摘のありましたように、責任のとり方というものは、人それぞれによってそれは違うというふうに私は思います。報道界の方のそれぞれの責任のとり方、それから政治家として、あるいは国会議員として今御指摘なさった方がそれぞれの責任をとられたと、これも私は素直に評価すべきものであるというふうに思っております。  私自身もこの責任のとり方ということは大変重要な問題であると思いますがゆえに、今一つ指摘にもありましたが、今次の問題ということについて、私は院で指名をいただいた行政府の最高責任者でございます、それだけに自分のとるべき責任というものをやはりきちんと整理整とんをしなきゃならぬと思いましたのが、およそ四つの点に分類したところでございます。  一つは、これは証取法上の問題でございます。私は、株式市場というものがこれほど大変な、急速度な成長を遂げて、法律事項等がそれに対してついていけなかった面もあるではないかという気がいたしますがゆえに、先ほど大蔵大臣もお答えがございましたように、やっぱりこれは、この問題の一つは、そういうことが二度と起こらないための証取法上の問題を詰めるべきだと。  二つ目は、これは税法上の問題であろうと思います。とかく税法上の甘さというものが誘惑を誘発すると私は思います。したがって、これについてもさらに衆議院で修正が加えられて、万全であると申せないにしても一つの措置が行われて、今後さらに総合課税というものを念頭に置きつつ検討が続けらるべきものであると思います。  三つ目の刑事上の責任の問題につきましては、これはやはり検察当局を信頼し、適切な対応がなされるものであろうと確信をしております。  そこで、四つ目の問題がいわゆる道義的責任の問題であろうと思っております。それらのことを一つ一つやはり一つの筋道をつけていくということが、また私に与えられた今の責任ではなかろうかと思っております。四番目は、大きく申しますならば政治改革ということにも表現としては適切かと思います。それについては、現実私どもは選挙という試練も受けたり、いろいろな体験をしておりますだけに、出の部分、入りの部分、あるいは選挙制度そのものの部分、人ごとの問題ではなく自分たちの問題として、あるいは私どもはこれはいずれ去り行く老人でございますが、この後に続く立派な政治家がそのような環境の中で誘惑というものを招来するようなことがない形の法律的整備も含めまして、これらをきちんと一つの筋道をつけていくということが、言葉で申しますならば、最高権力者に与えられた今の私の選ぶべき責任であろうというふうに思っております。
  27. 和田教美

    和田教美君 ただいま総理は、政治改革の問題について触れられました。政治改革を中長期の目標として掲げられるのは、これは結構だと思います。しかし、新聞などの報じるところによると、この政治改革の結論が出るまでには大体二年ぐらいかかるというふうなことでございます。二年もかかるというふうなことでは国民はこれまた到底納得できない。これも疑惑隠しの一つではないかというふうな厳しい批判が出るのは当然だと思うんですね。鉄は熱いうちに打てということが言われております。とにかく今緊急に必要なことは、具体的な反省の実を一つでも二つでもいいから示すということではないかというふうに思うんです。  そこで、これは私の全くの案でございますけれども、政治家が今度のリクルートコスモス株のような未公開株には今後一切手を出さないということをひとつ申し合わせたらどうかというふうに思います。それよりもまず政府みずからが、閣議なりあるいは政務次官会議などで、閣僚、政務次官などのこういう株には一切手を出さないという申し合わせをされたらどうか。役人に対しては、文部、労働両省の前次官が株を買っていたということで、厳しい綱紀粛正の通達を出すというふうなことを言っておられるのに、政治家に対してそういう何ら具体的な手を打たないということは、全く片手落ちではないかというふうに思うのですが、そういうことをおやりになる考えはないかどうかをお聞きいたします。
  28. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず政治改革、それは必要であるという前提の上に立って、二年もかかる、こういうようなことは余りにも微温的ではないか、そしてこれがむしろリクルート隠しにつながるという批判も受けるではなかろうか、私もそのような論調を読んだこともございます。  ただ、私がこの政治改革、かなり中長期の問題でとらえておりますのは、本当は私が自分の専門でもあります選挙学の面からは確かに中長期の課題だというふうに思っておりますが、それはそれといたしまして、当面の問題でこの実を示せということは私も賛成でございます。  例示としてお挙げになりました綱紀粛正の通達の問題、私自身も悩みました。私の周辺にそういう事実があっておるのに、私の名前で綱紀粛正の通達を出すということに、やっぱり私も人の子でございますから、幾ばくか本当に気持ちの上でのちゅうちょ、逡巡がないわけではございませんでした。しかし、従来の綱紀粛正の文章というのを読んでみますと、確かに現金とか酒食とかいろいろ書いてありますが、株式譲渡なんという言葉はございませんから、そういうことをやはり明示するのが一つの方法ではなかろうかというふうに考えておることも事実でございます。  そして、その次の政治家、例えば閣議申し合わせとかあるいは政務次官会議の申し合わせとか、これも一つの方法であるというふうに私は思っております。が、私自身がこれほど国会でいろいろ御批判をいただいておるだけに、政府にある人はいたく感じておられると本当は思います。私自身関係を待った一人として、その申し合わせのイニシアチブをとるにしては、自分にその資格があるのかな、いささかこういう反省も率直にいたしておりますが、今の和田委員の御提言というのは、私の念頭にある一つの方法として模索しておるという段階だとお受けとめいただければ幸いでございます。
  29. 和田教美

    和田教美君 ぜひとにかくそういう具体的な方法に早急に取りかかっていただきたいと思います。  さて、先月十五日の夜の衆議院のリクルート問題調査特別委員会で、リクルート側が提出した未公開株の譲渡リスト、これが公表されたわけですが、そして政治家や官僚、その関係者を中心に二十六人の名が出ております。また、江副リクルート前会長の証人喚問なども行われたわけでございます。このリストの公表については、これは新たな疑惑隠しだとかインチキだとかという厳しい批判もございました。公明党はかなり泥をかぶってこのリストの提出を大いに進めたつもりですが、非常に不完全なものではあるけれども、このリストの提出は一歩前進である、一つの手がかりができたというふうに私は考えております。  ただ、リストが発表されてからわずか数日もたたないのに、田中角榮元総理秘書だった早坂さんの名前が出てきたり、それからこのリストとは別のルートで警視庁OBの麻野さんに株が渡っていたというふうなことが出てきたりということで、リストのずさんさというものが次々に明らかになってきて、その信憑性そのものが揺らいできているという状態でございます。そうなりますと、やっぱりこのリストの中でいろいろ伏せ字が多いわけですけれども、これを全部埋めるということが私はやっぱり必要ではないかと思うので、そこで総理にお聞きしたいのですけれども、政府としてもいろんなデータを持っておられると思うので、全リストをとにかく明らかにするということについて、政府自体も最大限の協力をしてそのようにする意思がおありになるかどうか、その点についてお答えを願いたいわけでございます。
  30. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに、今のような時代でございますと、中には、言葉は適切でないかもしれませんが、怪文書のようなものも私どもの手元には随分入ってまいります。その怪文書に基づいて一つ一つ解明していくというのはこれまた容易なことではございませんが、私どもは今リストを要求されておるのは国会である、言ってみれば国政調査権に基づいての御要求だから最大限の協力をしなければならない、ただし行政府としての限界というものはあるであろうということから、私自身が御相談の仲間になったわけじゃございませんけれども、先般の衆議院のリストも当該リクルート社から国会の要請に基づいて提出されたというように、結果としてはそうなったと。したがって、その間にいろいろな御相談があって、私も政府部内でやれることについてのいろいろな模索はしてみましたが、そういう考えがあっても、実際問題として政府部内から、努力をするが出していけるものというのはおのずから限界があるなという感じを、先般御協議を横目でにらみながら感じておった次第でございます。
  31. 和田教美

    和田教美君 今も総理が半ば認められたように、いろんな情報を持っておられることは事実なんですね。それですと、少なくとも政治家に限定しても結構ですね。今、名前の出ている政治家というのは十六人ということになっておりますが、総理の情報なり判断から見てこの十六人という数字は、これはかなりまだこれから出てくるというふうにお考えになるのか、お感じになっているのか、大体もういいところだ、これぐらいで打ちどめだというふうに見ておられるのか、それは非常に重要な点だと思うので、情報の大家であるひとつ総理の御見解をお聞きしたいと思います。
  32. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは行政府の責任者という立場でお答えするには非常に難しい問題だと思っております。いろんな怪文書めいたもの、これは和田先生のところへも私のところへもいろいろ入ってくると思いますが、本当に中にはよくぞこんなまゆつばものがという感じのものもございます。やはり私は国会の中で先生方のいろんな問答を聞きながら、いわゆる政治家関連とでも申しましょうか、そういうことについては出尽くしておるというふうな個人的な心証は持っております。
  33. 和田教美

    和田教美君 それから、法務大臣いらっしゃいますか。——法務省の方で、東京地検の特捜部が今盛んに捜査をやっているわけなんですけれども、このリストの問題について法務大臣は、今は提出が困難だとか、いや秘密会などの一つの条件が満たされれば出すことも必ずしも不可能ではないといろいろ答弁をされておるわけですが、現在はそういう協力について、特捜部が握っておる情報の中から、政治家に限定してでも名前を特定するというふうなことが現在の状況としてできるのかどうか、その点をお聞きしたいわけです。
  34. 林田悠紀夫

    国務大臣林田悠紀夫君) 総理が御答弁になったとおりでございまするけれども、国会におきまする国政調査権につきましては、私としましても法令の許す範囲内におきましてできる限りの協力をいたしたい所存でございます。  しかし、リクルートコスモス株の譲渡関係というような問題につきましては、検察当局におきましても国会におきまする御議論を踏まえまして検討をしておる最中でございます。まだ刑罰法令に触れる事実の有無を初めその全容が明らかとなっておりません。そういうことから、現時点におきましてお尋ねの点について具体的、確定的に申し上げる段階ではないということを御理解願いたいと存じます。
  35. 和田教美

    和田教美君 それでは、これからこのコスモス株、未公開株の政官界ばらまきという問題について、その流れを中心にひとつ具体的に質問をしてみたいと思います。  リクルートコスモス未公開株が政界、官界、NTT関係者、役員ですね、それから地方の議員、あるいは地方公務員というふうな人たちにばらまかれた。このルートは、大きく分けて今まで明らかになっているのは二つですね。一つは、昭和五十九年十二月の政財界人ら七十六人に対して譲渡されたいわゆる七十六人ルートというものです。それからもう一つは、昭和六十年四月にリクルートコスモス社が行った第三者割り当て増資、この分からビッグウエイだとかあるいはドゥ・ベストなどが公開直前の六十一年秋にこのリクルートのトンネル会社などから江副前会長が、一たんリクルート側が買い戻して、そして政官界人に大きくばらまいたというこのルート。これは七十六万株と言われておるわけですね。このものはいわゆる還流株と言われておるものですね。この二つのルートだろうと思うんです。ところが最近は、このほかに江副氏個人が保有していた約二十万株についても、どうも政官界関係者に流れたんじゃないかというふうな新たな疑惑が出てきております。  しかし、それはともかくとして、これらのルートのうちでやっぱり今疑惑の最大の焦点になっているものは、言うまでもなく今申し上げました七十六万株の還流株、これが焦点だろうと思うので、リクルート側衆議院特別委員会に提出したリストによりますと延べ八十三人に渡っておる。このうち、政治家、官僚、NTT関係者へのばらまきはこの時期に集中している、そしてすぐ売り抜けておると、こういうことになっておるわけでございます。しかも、そういうふうに一カ月前ぐらいに買って、そしてすぐ売り抜けて、つまりぬれ手にアワの利益を得ているというふうなことから、職務権限との関係もありますけれども、現金贈与と同じだ、そしてわいろ性が非常に強い株のばらまきだということが言えるわけであります。    〔委員長退席、理事林ゆう君着席〕  そこで、まず大蔵省にお聞きしたいのでございますけれども、この七十六万株の還流株というものは果たして名義書きかえがされておるのかどうか、全くされていないのかどうか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  36. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 株式名義書きかえにつきましては、これは株主名簿において確認されるものでございますけれども、これは御承知のように商法の規定がございまして、株主、特定の大株主でございますとか会社の債権者しか閲覧できないということになっておりますので、私どもこれを見る立場にございませんので、実は正確なところ私ども把握いたしておりません。  ただ、一般的に申しまして、その株式名義書きかえにつきましては、大体名義書きかえを行う場合には二、三週間程度の期間を要するといったのが通例でございますので、何といいますか、短期に売り抜けたような人につきましては恐らくこれは名義書きかえが行われていないのではないだろうかという一応の推定はしておるわけでございます。
  37. 和田教美

    和田教美君 江副さんは、衆議院での証人喚問の際に、ドゥ・ベスト社ら五社から株を江副さんなんかが買い戻した、そして小口に分けて売ったと、いわゆる還流株であるということについての質問に対して、第三者割り当てをした会社から別の方に売買が行われているということであって、その都度売買約定書もつくっているから買い戻した事実はないと、いわゆる還流株であるということを否定されておるわけですね。  そこで証券局長に聞きますけれども、この七十六万株というのは、全部または大部分が江副さんないし江副さんが関係する会社リクルート側会社ですね、そういうところに買い戻した還流株と認定されるか、それとも江副さんの証言のように、基本的にはリクルートがあっせんをした、仲介したものにすぎないというふうな判定をされるか。その点は非常にこれからの問題を論じるのに重要な点ですから、ひとつ明確にしていただきたいと思います。
  38. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 先般の衆議院特別委員会におきまして江副証人が今御指摘のような発言があったということは、私もテレビ等を通じて拝聴いたしました。問題は、江副さんは、今お話しございましたように、第三者割り当て先からそれぞれ譲り受け人にやったので、自分がいわば売買当事者になったのではないという趣旨の御発言をしているようでございますが、いずれにしてもここら辺の事実関係等につきましては、現在証券業協会におきまして、江副さん等による特別利害関係人がどの程度こういった株の譲渡に関与していたかどうかといった関係、事実確認をしているところでございます。昨日、関参考人が申し上げました報告におきましては、その点は確たる事実関係はまだ把握できていないということでございますが、そういった状況でございます。
  39. 和田教美

    和田教美君 証券業協会の方がいらしていると思いますから、ひとつその点についてもう一度、まだ全く証券局長のおっしゃるとおり事実確認ができていないのか、つまり結論が出ていないのか、還流株なのかそうでないのか。これは非常に重要なポイントで、マスコミなどはもう還流株還流株というふうに一斉に書いているし、この問題は、もし還流株だということになると、法律的にもいろいろな問題が出てくる非常に重要なポイントだと思うので、逃げ答弁ではなくてひとつお答えを願いたいと思います。
  40. 関要

    参考人(関要君) 昨日も御報告申し上げましたとおり、現時点で協会が把握をいたしましたことを中間報告として証券局の方に御提出したところでございます。その中間報告の内容は、昨日も申し上げましたとおり、リクルートコスモス社の役職員十数名が、六十年四月のリクルートコスモス社の第三者割り当て増資先からリクルートコスモス株式の譲渡を受けたようでございますと、こういう内容でございます。
  41. 和田教美

    和田教美君 私の質問に全く答えていない。それが還流株というふうに定義できるのかどうかということを、つまり第三者割り当て増資分について、とにかく一たん割り当てたものが、今おっしゃったようにリクルート関係の役員などにもう一度売り渡されておるということは、これは明らかに、きのうもおっしゃったように、証券業協会の自主ルール違反であることは間違いないと思うんですけれども、そういうことがつまり還流株というふうな定義の中に入るのかどうか。非常に重要な点ですから、もう一度お答えを願いたいと思います。
  42. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 還流株ということをどういうふうに定義するかということでございますけれども、いわゆる第三者割り当て先から八十三人でございますかの方にそれぞれ譲渡されたということはあるわけでございます。問題は、それが江副さんなど特別利害関係人が直接の当事者としての立場で行われたのかどうか、先ほど先生御指摘のように、単にあっせんをやられたのかどうか、そこら辺の事実関係につきましては、現在のところ、まだ十分な実態が把握されていないということを申し上げているわけでございます。
  43. 和田教美

    和田教美君 しかし、おかしいんですね、その答弁は。第三者割り当て増資の割り当て先であるエターナルフォーチュンあるいはワールドサービス、こういうところは江副さんから直接株の買い戻しを要請されたというふうにはっきり証言しているんです。さらに、株の譲渡を受けた政官界の多数の人も、リクルート側から買ってくれというふうに言われたと、こう言っているんですね。ドゥ・ベスト経由で五千株を譲り受けた式場NTT取締役の場合は、あるいはまた三万株を買った国税庁のOBの人は、江副氏本人から譲渡の話を受けたというふうに言っておるわけです。ですから、こういうことについてそんなにとにかく実態調査がなかなか難しいというのはどうも理解できないわけであって、しかも江副さんは証言で、この株のばらまきについては私が中心的に関与したと、こういうことも言っているわけですね。だから、事実上、江副さんの証言は非常に矛盾しているんです、その点では。  関与という言葉はかなり幅広く解釈できるけれども、仮に約定書が当事者間で交わされているとしても、実質的には江副さんあるいは江副氏の関係会社に還流して、そして再譲渡されたというふうに見るのが当然ではないかと思うんですが、その点は重ねてひとつ、大蔵大臣でも結構ですが、大蔵省の見解をお聞きしたい。
  44. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 今まさにその和田委員がおっしゃった点がポイントでございまして、実質的に、何といいますか、配分その他に関与されたという証言も別途江副証人からございました。その場合におきまして、実質的に関与したということによりまして、その行為そのものが、特別利害関係人がそれを行ったということがかなりいかがわしい行為であるということは、私も率直に言って推定できるわけでございますけれども、ただ、特別利害関係人等による直接の株移動があったかどうかということになりますと、やはり売買契約の内容はどうなっているか、あるいは資金の流れがどうなっているかというふうなことによりまして、単なるあっせんなのか、あるいは事実上自分たち自身がいわば法律的な意味における売買を当事者としての立場で行ったものなのかどうか、その辺はなお事実関係等の確認を要するといったことで、今、協会において調査をお願いしている、そういう状況でございます。
  45. 和田教美

    和田教美君 この点、ひとつ法務省の刑事局長の見解を聞きたいわけです。  還流株を第三者に再譲渡するに当たって、その購入資金を、あるいは手続一切をリクルート側が面倒を見て、そして店頭公開後に売却して得た利益だけをその人の銀行口座に振り込む、こういういわゆる丸抱えのお世話ですね、こういうものをしていても、形式的に、今証券局長が言われたように、売買約定書が第三者割り当ての会社から別の人に売ったという形をとってさえおれば、これは単なるあっせんということになって還流、買い戻しにはならないというふうに言えるのか、一般論で結構ですから、ひとつ刑事局長の見解をお聞きしたいと思います。
  46. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 非公開株の譲渡のうち、犯罪性が認められるものがあるのではないかという国会の御指摘があるわけでございまして、検察としましてもそういう御指摘を踏まえて、事実関係といたしましてそういう譲渡関係を検討、調査しているということは再々繰り返して申し上げているとおりでございます。  ただいま御指摘の還流という言葉でございますけれども、その還流という中にそういう譲渡関係というのを含むとしましたら、当然検察庁がそういうことも調べまして、あるいはそういう意図も調べまして、それから判断を下すべきものと考えております。  したがいまして、ただいま御指摘の問題について、私の立場からどういうことかという法的な性格等を申し上げることでないことをひとつ御理解いただきたいと思います。
  47. 和田教美

    和田教美君 先ほども日本証券業協会の関常務理事から、このリクルートコスモス社の第三者割り当て増資先から同社の役職員十数人に株が譲渡されていた、また、役職員の相当数がリクルート社の役員数人から株譲渡を受けていたと、きのうもきょうも同じ趣旨のことを答弁されて、この点ではつまり自主ルール違反であるということを明確にしたわけでございます。ところが、きょうの朝日新聞に出ていたことですけれども、このいわゆる還流株、同社の役職員十数人に株が譲渡されていたということは、もっと規模が大きい、そしてまたこの前リクルートが国会に提出した還流株の譲渡リストの中で、氏名が掲載されていない会社役員だとかあるいは会社員というふうな名前で伏せられているものの大部分は、大多数はリクルートコスモスの役員や社員の名前であるということが出ております。そして、起訴された松原被告、これに三万五千株が流れたのは、これはエターナルフォーチュンからだというふうなことも書いてございます。  私は調べましたけれども、そういう意味で、この三起だとかあるいはエターナルフォーチュン、ワールドサービスというふうなところから、名前が伏せられて会社役員あるいは会社員というものに流れたというこのリクルート側報告は全部合わせると三十七人になりますけれども、これに大々的に第三者割り当て株が流れた、そしてさらにこれを政財界などにばらまく一つの資源にしようとしたのではないかというふうに思うんですけれども、その点について関さんは、きのうの報告は非常に内輪ではないかと、そういう事実を既に承知されておるのか、大蔵省に報告されておるのか、その点はいかがですか。
  48. 関要

    参考人(関要君) この点につきましては、昨日も申し上げましたように株数、入手経路等、具体的な事実についてなお調査を続行中でありますと、こういうことを申し上げているわけでございます。  ただいま先生引用されました新聞の記事等も頭に入れて、なお調査を続けていきたい、こういうふうに思っております。
  49. 和田教美

    和田教美君 こういうふうな証券業協会の自主ルール違反の行為が相当大々的に行われているということがわかったので、どうも証券局はもう一度証券業協会に調べ直せということを命じたということも報道されておりまして、場合によっては処分をするということを言っておるということでございますけれども、しかしそういう違反事実がわかったとしても、既にもう公開後の、つまり店頭公開後の株でございますから、株主も非常にふえているということで登録の取り消しというふうなことはできないということも大蔵省で言っている。そうすると、具体的に処分、処分と言っても一体何をするのか、どういうことを考えておられるのか、その辺の事実関係とともにひとつお聞かせ願いたいと思います。
  50. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 事柄が証券業協会の自主ルールにかかわる問題でございますので、私どもその協会の判断を基本的に尊重したいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、昨日も関参考人が陳述いたしましたように、この問題は現在調査を続行しているところでございまして、その結果を踏まえて適切な措置を講ずるということで、まだ具体的な内容については検討中のようでございますので、そういった段階において何がしかの御相談があるものというふうに私どもは理解いたしているわけでございます。
  51. 和田教美

    和田教美君 衆議院の証人喚問の際に江副さんが、警察関係者一人に対しても株を渡したということを証言したことから、元警視庁第五方面本部長で、現在はリクルートコスモス社の常任監査役をやっておられる麻野忠雄さんにも株が譲渡されたことがわかったということを警察庁で発表されました。確かに麻野さんは現在コスモスの常任監査役をやっておるわけで、その説明によると、リクルート本社役員が保有していたコスモス株一万株を取得した、こういうことだと警視庁でも言っているようです。  ところが、リクルートコスモスが六十二年七月に大蔵省に提出した六十一年度有価証券報告書、この役員の状況欄を見ますと、麻野さんの欄に株数の記載は全くございません。さらに、ことし七月提出の六十二年度有価証券報告書にも持ち株なしと書いてあるわけです。この点は、もしそれが事実なら明らかに虚偽記載であるというふうに思うわけですが、どうしてこういう食い違いが出ているのか、そしてまた、これは事実関係は結局どういうことになっておるのか、その点をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  52. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 今御指摘の麻野氏でございますけれども、御指摘のように、有価証券報告書におきましては役員の持ち株なしということで記載されているわけでございます。一方、証券業協会等の調査した状況等を踏まえて考えますと、リクルート社の役員からリクルートコスモス社の役職員に株が流れているわけでございますが、その中の一部に麻野さんが該当している可能性が極めて強いといった状況にもございます。そういったことで、もしそうだといたしますと有価証券報告書の虚偽記載といった問題にもなるわけでございます。  ただ、この問題につきましては、これ以外にも、昨日協会が御報告申しましたように、多くの役職員につきまして、純粋な役職員等につきまして、その中の役員につきまして、確かに、有価証券報告書上の記載との関係はどうなっているかといったふうなことで若干疑問の点が出てきたわけでございまして、そういった問題を含めまして、全体につきまして大蔵省としても調査に着手しているところでございます。    〔理事林ゆう君退席、委員長着席〕 その結果を踏まえまして適切な対応をとってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  53. 和田教美

    和田教美君 証券業協会の調査機能というのは非常に限定されると思うので、とにかくこれだけ大規模な虚偽の行動が行われているということになれば、それこそ今や証券取引法第二十六条の検査権、調査権を大蔵省自体が発動して、そしてコスモスあるいはリクルートの書類その他を調査するということが必要になってくるのではないかと思いますが、大蔵省は今までは一貫してこの二十六条の発動については否定的でございました。その点については新しい事態の中で考え方を変えられるかどうか、その点もお聞きしたいわけでございます。
  54. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 有価証券報告書の虚偽記載といった問題になりますと、この問題につきましては、確かに企業財務会計の、企業内容の開示制度の運用の問題でございますので、理論的にはおっしゃるようなことは考えられるわけでございます。ただ、いずれにいたしましても、現在調査に着手したばかりでございます。そういった意味で、今のところは二十六条というものをあえて発動しなくても調査を進められるのではないだろうかという感じで現在調査をしているところでございます。
  55. 和田教美

    和田教美君 今回のリクルートコスモス疑惑で特徴的なことは、実に証取法を知り尽くして、その盲点をついて株のばらまきが行われているということだと私は思うんです。例えば昭和六十年の二月と四月に行われた二回の第三者割り当て増資の際にも、二月は金融機関二十六社、四月は事業法人を中心に三十七社一個人と、それぞれ五十社以下という、四条に規定しているいろんな条件の適用を免れるやり方をしておるわけで、五十名以上ということになれば有価証券届出書という非常に厳格なものを出さなければいけないわけですけれども、それを免れるために、つまり、有価証券通知書という簡単なもので済ませるようにするために実に巧妙なやり方をしているということがうかがえるわけでございます。  そこで、大蔵省にお聞きしたいんですけれども、六十年四月に行った第三者割り当て先のうちで、江副さんがトンネル会社として使ったドゥ・ベストなど五社からの株の移動について、果たして有価証券通知書というものが提出されているのかどうかお答えを願いたい。
  56. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 御質問の趣旨をちょっと確認させていただきたいんですが、ドゥ・ベスト等々からの通知書が提出されているか、こういう御質問でございますでしょうか。
  57. 和田教美

    和田教美君 ええ、そうです。
  58. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) そういうことでございますと、それは提出されておりません。
  59. 和田教美

    和田教美君 提出されてない。  さらに一歩踏み込んで大蔵省に聞きたいんですけれども、七十六万株のいわゆる還流株の再議渡について、江副さんの側に証券取引法四条違反の問題が起こらないかどうかということでございます。確かに、この還流株と言われるものの譲渡は五社でございます。五社の分をまとめたものでございますから、それぞればらばらに譲渡されたという解釈をとると、一番多いケースでもワールドサービスの二十四人、それ以下すべて五十人以内という枠の中におさまっておるわけです。ですから四条違反という問題は起こらない。  しかし、江副さんないし江副さんの関連会社が一まとめにして買い戻した、そしてそれを九月ないし十月の公開直前に一斉にはめ込んだ、売ったということになると、これは全部で、もちろん五十人を上回るわけでございまして、五社を合わせると合計八十三人になるわけですね。そうなるとこれは四条違反という問題が当然出てくるわけでございますけれども、その点については大蔵省は、当初四条違反の疑いがあるというふうなことを発言されておったようにも聞いておるわけですけれども、調査を進めてこの点についてどういう見解を現在お持ちなのかお聞きしたいわけです。
  60. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 証券取引法第四条第一項のいわゆる売り出しに該当するかどうかといった問題でございますけれども、この売り出しという行為は、不特定かつ多数の者に対しまして均一の条件で勧誘をする、こういったことで判断することになるわけでございまして、不特定多数ということの要件は、先ほど委員指摘のように、私ども五十名以上といったことを、程度以上といったことを目途に運用しているわけでございます。そこで、均一の条件ということの意味でございますが、売り出しの主体、それから発行価格、売り出し価格、払い込み価格、こういったものが異なる売り出しはそれぞれ別個の売り出しといったことで解釈しているわけでございます。  そこで、今の御指摘の点は、五社からそれぞれ売り出し行為が行われたといたしますと、その一つ一つをとってみますと五十名未満であるということでございまして、国会における江副証人は、そういう形でそれぞれの第三者割り当て先から個々の譲渡先に譲渡された、こういったふうな証言があったというふうに理解しているわけでございますけれども、この問題につきましては、先ほど特別利害関係人等の株移動の問題について江副さんがどの程度関与したかどうかといったことで申し上げたこととやや重複するわけでございますけれども、いずれにしても、江副さんなどの特別利害関係人が具体的にいかなる形でこの株移動に関与していたかどうか、そういったことと密接にかかわる話でございますので、現在日本証券業協会はそのような点について調査を進めております。そういった調査結果を踏まえまして、事実関係あるいは法律適用上の問題を含め検討すべきものであるというふうに考えているわけでございます。
  61. 和田教美

    和田教美君 昭和六十一年の九月三日にリクルートコスモス社は店頭登録申請書を証券業協会に出して受理されております。これが受理されれば公開は九九%確実だと言われるわけです。ところがその後、九月中に江副さんが中心的に関与して、第三者割り当て先から株式を約三千円で買い戻して、政界、財界人にばらまいたということでございます。そして十月十五日に、公開に先立って分売価格、今度は分売という形式をとっているわけですけれども、一株四千六十円から五千二百七十円と決められたわけです。大蔵省の調査によりますと、この価格を最終的に決定したのは江副さんであって、そのアドバイスは大和証券がやったということです。  そうなると江副さんは、還流株をばらまいていた時期には既に、株式を譲渡した場合、相手が公開後売却すれば少なくとも最低で一株あたり千円の利益が得られるという見通しを確実に持っていたということになる。だから、譲り受けた人々は損をする危険性は全くなかったということだと思うんです。そうすると、江副さんは現金を供与したということと全く同じではないか、こういうふうに考えられるわけで、株式の公開にはリスクが伴うので、実際にはふたをあけてみるまではわからない、結果として高値がついたんだ、一般的な経済行為だというふうな自民党の中に一部おありになる言いわけは成り立たないんではないかと思うんですけれども、この点について大蔵大臣の見解をお聞きしたいのと、同時に、法務当局のひとつ見解もお聞きしたいわけでございます。
  62. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 公開価格の決定に関しましては、先般国会で御説明しましたように、十月上旬までの一月間の類似会社の価格を基準といたしまして、十月の中旬におきまして幹事証券である大和証券のアドバイスもありまして、売り出しになる江副さんのところで四千六十円というふうに決定されたわけでございます。それは申し上げたとおりでございます。  ただ、三千円という価格につきましては、これは証券会社が関与したというよりは、むしろ相対の価格で決められた模様でございまして、そういった三千円の価格をどういう形で決定したかという経緯については、私ども承知いたしておりません。
  63. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 従来から殖産住宅の最高裁の決定をお引きになりましてそういう議論がございます。殖産住宅の事件は上場株式でございますし、リクルートの場合は店頭登録でございます。そういう点で若干違いますし、また、最高裁でいろいろお判じになっている事実関係、これが重要でございます。そういう事実関係も当然調べなければならないと思いますけれども、一般的に申しますと、やはり非公開株の譲渡という意味では若干似通ったところがございますから、検察当局も当然それは頭に置いて参考にしているものと考えております。
  64. 和田教美

    和田教美君 今お話しになった殖産住宅事件に関する最高裁決定というのは、新規公開株など一般人が入手困難な確実に値上がりする株を入手できる利益はそれ自体が贈収賄罪のわいろになる、客体になるという決定ですね。今のお話だと、そういうことがあり得るから、それを頭に置いて検察当局は今調べているということのようでございます。  私は、それと関連してお聞きしたのは、こういうものは事実上現金贈与、つまりみなし贈与と言うべきものではないか、その点について法務省の見解はどうかということをお聞きしたわけでございます。
  65. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) これは、現金と一緒かあるいは株式の譲渡なのかという点について、やはり事実関係によるものですから、事実関係がはっきりしないとどっちだとちょっと言いかねる点がございます。
  66. 和田教美

    和田教美君 一般論でも結構ですから。
  67. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) ですから、一般論と申しましても、事実関係を前提にしないと申し上げられない話でございますし、だから現金と同様という場合もありましょうし、やはり株式の譲渡というのがありまして、そしてそれが利益というときもあろうと思います。
  68. 和田教美

    和田教美君 法務大臣は、大分前の参議院の本会議だったと思いますけれども、この最高裁の決定の問題に関連して、今回のケースは必ずしもそれと同じではないんだというふうな趣旨答弁をされたことを私は記憶いたしております。しかし私は、今回のこういうケースはわいろに当たるという解釈はまさにぴたり適用できるケースではないか、こういうふうに思うわけですけれども、法務大臣はなぜ違うというふうにお考えなのか、その点を明らかにしていただきたい。
  69. 林田悠紀夫

    国務大臣林田悠紀夫君) 先生よく御承知のことでございまするが、判例と申しますのは具体的事件につきましての裁判所の判断でありまして、したがいまして、殖産住宅事件についての最高裁の決定につきましても、その前提となる事実関係を抜きにして他のケースに直ちに当てはめることはできないのでありまして、御指摘の私の答弁もそのような趣旨で申し上げたものでございます。  検察当局としましては、最高裁の決定が存することは十分承知しておりまするので、これを踏まえて適切に対処するものと存じております。
  70. 和田教美

    和田教美君 次に、国税庁にお聞きしたいんですけれども、土地の譲渡の場合には、個人から個人に不当に安く売ったと認定される場合は、その部分は贈与とみなされて贈与税が課税される。ところが、株の場合には、確実に値上がりする株を資金まで面倒を見て不当に安く譲渡したとしても、これは単なる商取引ということになって問題にならないのかどうか。通常、個人から個人の場合は不当に安い分については贈与税が課せられる。また、企業から個人の場合は、一時所得で所得税が課せられると同時に、株式を譲渡した企業にはその譲渡益が発生するわけですから、低額譲渡したことを理由にその分を利益計上されて法人税の課税が行われる、こういうことになっているんだと思うのです。  今度の、いわゆる公開直前に政治家などに再譲渡したケースなどについてはこういう問題は全く起こらない、譲渡価格は全く正当で新しい課税問題は起こらないというふうにお考えなのか、またそれを検討されておるのかどうか、お聞きしたいわけです。
  71. 伊藤博行

    政府委員(伊藤博行君) お答え申し上げます。  先生お尋ねの、土地の場合と株式の場合で贈与税等の扱いが異なるかどうかという点についてでございます。  これは、一般的に申し上げまして、個人間におきまして時価より著しく低い価格で財産を譲渡したような場合、譲り受けました資産が株であろうと土地であろうと、その差額につきましては、譲り受けた者に贈与税がかかるという点は、先生御指摘のとおりかと存じます。  ただ問題は、未公開の株式の場合の譲渡価格がそのときの時価と比べてどうかという、いわば認定の問題につきましては別途いろいろ問題があるということかと思います。有償で取得いたしましてしかるべき期間をもってその後譲渡し、何がしかの利益が出たという場合の一般的な税法上の法律関係を申し上げますならば、これは個人について申し上げるならば、原則、実現した段階で課税するという建前から申しますと、譲渡が行われた——譲り受けと譲渡をちょっと使い分けておりますけれども、譲渡が行われた段階での課税ということに相なろうかと思います。もし、先生お話しのように、贈与等々の議論が生じ得るといたしましたならば、譲り受け段階での譲り受け価格がそのときの時価に比べて低いかどうかということがポイントになろうかと思います。それで、公開されております株式の場合でございますと、市場価格というのがございますので一般的にその認定は容易でございますけれども、未公開の場合におきましては、その評価をどうするかというのは非常に難しい問題がございます。一般的には、私どもの実務といたしましては、未公開の株式につきましては相続税の評価額等々を参考にしながら認定しておりますけれども、具体的なケースに即してあらゆる事情を総合勘案してというのが一般原則でございます。  したがいまして、本件に即してということになりますと、私どもあらゆる事実を承知しておるわけではございませんので各論的には申し上げられませんけれども、一般論として申し上げますならば、今のような観点で評価をしております。ただ、あらゆる事情を総合勘案して譲り渡し価格が時価と比べて著しく低いというようなケースがもしあるとするならば、それは、冒頭申し上げましたような贈与等のケースになり得ることもあるというふうに申し上げ得るかと思います。
  72. 和田教美

    和田教美君 質問を進めまして、今度はもう一つのいわゆる譲渡ルートと言われておる昭和五十九年十二月のリクルートからのコスモス株の譲渡、七十六人ですね。この問題ですけれども、今までここから株が譲渡されておるという政治家は四人ですね。四人の名前がリストに出ておりました。それから、その後早坂さんの名前がやっぱりここから出ておるということがわかりました。ところが、それ以外にも会社役員とか、あるいはそういうふうに記載されている中にかなりまだ政治家がおるんじゃないかというふうなうわさも後を絶たないわけでございます。また、事実浜田卓二郎外務政務次官は、二万株の譲渡を受けたんだけれども、その後江副前会長からの依頼で一万株を売り戻したと、こう言っているわけですね。その譲渡先も不明だと。  こういうふうなことで、その点の疑惑が依然として続いておるわけですけれども、このルートから今リストとして出ている者以外に株が政界あるいは官界に相当流れている可能性がないかどうか、その点を大蔵省は調べられたかどうかお聞きします。
  73. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 今御指摘の報道があったことは私も承知しておりますけれども、そういった問題について私どもは調査をいたしておりません。  と申しますのは、この問題につきましては、これは証券取引法上の問題として特に何か違法なことがあるということであれば、私ども当然厳正に対処する立場からこれを調査する必要があるわけでございますけれども、この立場を離れまして、例えば政治家の方に対する道義的責任等のためにこの証取法の権限を行使するというのは、実は私どもの行政の範囲をちょっと超えるものでございますので、そういった面については調査いたしておりません。
  74. 和田教美

    和田教美君 第二回分の第三者割り当て増資先からの還流分七十六万株のほかに、凸版印刷、大川功CSK社長、大日本印刷、合わせて八十万株が社員持ち株会に譲渡されているというふうに言われております。これから政官界に流れたケースはないかどうか、その点はお調べになったですか。
  75. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) その点についても私ども承知いたしておりません。  ただ、リクルートコスモス社の従業員持ち株会についての有価証券報告書の記載を見ますと、六十二年四月に九十一万三千株、六十三年四月三十日に百四十三万九千株ということで、一年間に五十万株増加しているようでございます。ただ、このことは実は、今お話し申し上げたように、六十二年から六十三年の間に五十万株増加しておるということでございまして、そういった意味ではこの増加というのは、直接的には今問題になっている公開前の話とは時期が違う、むしろその後でございますので、そういったことではないんじゃないだろうかというふうに一応推定されるわけでございますし、その一年間で五十万株ふえている株は現在でもそのまま同持ち株会で保有されているといったふうに聞いております。
  76. 和田教美

    和田教美君 これまた最近の報道ですけれども、江副前会長が六十年の四月、個人で保有していたコスモス非公開株を約二十万株直接譲渡したことが判明したというふうな報道がございます。これが第三の株のばらまきルートじゃないかというふうに言われておるわけでございますけれども、そういうことをお調べになったのか。私の調査でも、事実江副さん個人のコスモス株の保有は、六十年三月の末は四百九十五万株、ところが四月末には四百七十五万株になっておって、その間に約二十万株差があるわけでございます。これらの点について大蔵省はお調べになってどういう結論を出したのか、お聞きしたいわけです。
  77. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 江副氏個人の持ち株につきましては、これは大株主でございます特別利害関係人でございますので、この株式移動については私ども調査いたしました。  御指摘のように、五十九年四月三十日には四百九十五万株の株が、六十年四月には四百七十五万三千株ということで十九万七千株減っております。それから、六十年四月から六十一年四月三十日の段階までの間の有価証券報告書の記載によりますと、四百五十五万八千株とさらに十九万五千株減っているということで、合わせまして三十九万二千株がいわば公開に至るまでの間に減っているわけでございます。  この点について申し上げますと、まず、五十九年四月から六十年四月末までの間の江副さんの持ち株の減少十九万七千株でございますが、これにつきましては証券業協会の自主ルールに基づきますところの特別利害関係人のいわば株式譲渡制限期間の対象外でございますが、これを調査いたしましたところ、リクルート関係会社の特定の役員に対しまして株式譲渡が行われているということでございます。相対取引でこれは行われているということで、これについては、そこから別段どこかに流れたということはないようでございます。  それから、六十年四月末から六十一年四月末までの持ち株の減少十九万五千株ございますが、この減少は、すべて社員持ち株会に移動したものでございまして、一部二万一千株等が、例えば社員が退社するといったことで、持ち株会から脱退した等の事情によりまして個人名義に変わっているといった事情はございますけれども、その同社持ち株会としての六十一年四月末における株式増加数が十七万四千株となっておりまして大体符合しておりますので、これは従業員持ち株会に移転したものであるというふうに考えているわけでございます。  その後六十二年、店頭公開時におきましてさらに二百八十万株減少しておりますが、これは、公開時に当たりまして江副氏個人が自分の持ち株を売り出しましていわば店頭登録をさせた、そのための減少でございますので、これは特段問題はございません。
  78. 和田教美

    和田教美君 次に、関連会社ファーストファイナンス、これの増資についての疑惑をお聞きしたい。  リクルートコスモス未公開株購入資金を提供しておったリクルートグループの金融会社ファーストファイナンスが去年、昭和六十二年四月と六月及び九月の三回にわたって立て続けに第三者割り当て増資を行っております。これは将来店頭登録を行うことを予定してであって、しかも割り当て先がコスモス社の割り当て先の、つまりリクルートのトンネル会社と言われる会社などに盛んに割り当てておるということで、割り当て方が非常に似通っておるというふうなことが言われておるわけでございます。しかも江副さんは、このファイナンスの増資株については八十五億円も投入をしているというふうな報道もございます。この件は、リクルートコスモスの問題が表面化したために、幹事証券会社になる予定だった日興証券がおりちゃったというふうなこともあって、店頭登録はしばらくお預けということになって準備も白紙に返されたということですけれども、しかし、一部には既にこの新しい増資をやって、また同じような手口で株ばらまきの大々的なものを考えておったのではないかという見方もあるわけでございます。  大蔵省は、このファーストファイナンスの店頭登録計画について承知していたか。また法務省は、一連の捜査の中で、このファーストファイナンス第三者割り当て増資に絡むそういう疑惑について、それを視野に入れて検討しておるか。その点を明らかにしていただきたい。
  79. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) ファーストファイナンスが六十二年四月、六月、九月の三回にわたりまして総額約一千億円の第三者割り当て増資を行ったということは、私ども、有価証券通知書の提出を受けておりますので、これは承知いたしております。  ただ、店頭登録を計画していたかどうかといったことになりますと、これは証券業協会に対しまして幹事証券会社である日興証券、この場合は日興証券でございますが、が申請して、審査をした上でこれを行うといったことでございまして、そこまでどういうプロセスがあったかどうかということについては私ども承知いたしておりません。  ただ、最近聞いたところによりますと、委員指摘のように、このファーストファイナンスの店頭登録につきましては、諸般の事情もございましてこの計画は中断しているといいますか、中止していると、こういう状況にあるというふうに聞いております。
  80. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) ファーストファイナンスの増資問題について御指摘があったのは今回が初めてだと承知しております。したがいまして、今日の御議論は検察も十分拝聴しておりますから、適切に対処するものと考えております。
  81. 和田教美

    和田教美君 こういうことをなぜ聞くかというと、私は、江副さんがこのファーストファイナンスの増資について八十五億も投じておると、その金の出所が一体どこからかということに非常に関心を持つわけです。  江副さんは、御承知のとおり、コスモス株の創業者利益というものを純益で約百二十億ぐらい得ておるわけですね。それで恐らく、この百二十億を遊ばすわけにはいかぬから、その中から八十五億を投入して、そうして店頭公開した場合にはまた新たに創業者利益を得るわけですから、それをねらったのではないか。そして、それをさらに政財界工作のばらまき資金に使おうとしたのではないかというふうに思われるわけです。まあ一説には、この百二十億の中で八十五億使ったんだけれども、なおかつ三十五億はまだどこへ行ったかわからないじゃないか、これも政界への資金として使われておるのではないかというふうなうわさが、これは株屋筋あたりにやっぱり流れておるわけなんです。そういうこともあってこういうことを聞いたわけでございます。  そういうことに関連して、国税庁当局に一つ聞きたいんですが、所得税の申告の際に、所得が二千万円を超える場合には添付書類として財産債務明細書というものを提出することになっているわけですね。その中には毎年の財産の移動をとにかく書かなければいけないことになっておる。この六十一年の所得について、江副さんの財産債務明細書では創業者利益に関する何らかの記載がなければならないわけです。  ですから、この八十五億が仮に増資に向けられたとすれば、あとの三十五億がどういうふうに動いたかということはこれを見ればわかるというふうに思うわけですが、その点について国税庁は関心を持って確認をされておるかどうか。また、この資料をひとつ国会に出していただけないかどうか。その点についてお伺いいたします。
  82. 伊藤博行

    政府委員(伊藤博行君) 先生御指摘のように、財産及び債務の明細書というのは、所得税の確定申告書に記載されましたその年の所得金額が二千万円を超えます場合に、その年の十二月三十一日現在において当該納税者が有しております財産の種類、数量及び価額また債務の金額等を記載いたしまして、所得税の確定申告書に添付して提出しなければならないというふうになっております。したがいまして、今申し上げました所得二千万を超える場合であれば、当然そういった明細書を添付の上申告されておるはずと存じます。  御質問の、江副さんに即してという点につきましては、先般来申し上げておりますように、個々の納税者についての問題は、事柄の性質上その資料の提出については御勘弁をいただきたいというふうに存ずる次第でございます。
  83. 和田教美

    和田教美君 その点検をして移動があることが記載されているかどうか、それを調べられたかどうかということについては答弁がなかったのですが、どうですか。
  84. 伊藤博行

    政府委員(伊藤博行君) 私ども、一般論としてでございますけれども、いろんな情報あるいは資料等を収集いたしまして、申告書に記載されております所得金額の妥当性といいましょうか、正しさというものを常にチェックするように努めております。そういった意味で、いろんな資料をそういった確認のために活用しておるということで御理解を賜りたいと思います。
  85. 和田教美

    和田教美君 今の資料は非常に重要な問題ですから、国税庁の守秘義務という問題もあるでしょうけれども、ひとつぜひ委員会に出してもらうように理事会で御検討願いたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
  86. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 理事会で検討いたします。
  87. 和田教美

    和田教美君 それでは次に、東京地検特捜部の捜査の現状況についてお聞きをいたします。  楢崎弥之助代議士への贈賄工作事件で東京地検よ、リクルートコスモス前社長室長の松原弘をわいろ申込罪で起訴いたしましたが、その際、この疑惑の捜査について、「刑事事件として取り上げるべきものがあれば、厳正に対処したい」との異例の談話を発表いたしております。以来特捜部は、現在までに、既に還流株の分を含めて株の流れの全容をほぼつかんで、コスモス株の全譲渡先を特定したというふうに報道されておるわけです。  そこで、法務省刑事局長にお聞きしたいんですけれども、現在の捜査状況というものは、既に政官界やNTT関係者に対する株ばらまき、あるいはこれらの譲渡者の職務権限とのかかわり合いの解明など本格的な捜査の段階に入っているのか、そういうふうに認識していいのか。それとも、まだその前段階のいわば情報収集あるいは調査、そういうふうな段階なのか。また、千七百箱と言われる膨大な押収資料、これは分析が大体終わっておるのかどうか。その点について御報告を願いたい。
  88. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 個々の捜査状況あるいは調査状況について申し上げることはできないと思いますけれども、昨日も井上委員からお尋ねのあったときに申し上げましたように、松原元社長室長について公判請求をいたしましたのは十一月十日でございます。その後、検察庁も申しておりますように、この事件の共犯関係の捜査というのが一つの問題であります。  それから二番目には、国会でもいろいろ問題になっております非公開株の譲渡という問題がございます。もちろん、この譲渡については、国会ではこの譲渡の中に犯罪が伏在しているのではないかという御指摘がございまして、その譲渡関係について全容を解明する、事実関係を解明するということがまず先決であろうと思います。そしてその上で、その中に犯罪が伏在しているかどうかという検討に入ろうと思うのでありますけれども、現在のところ、私どもが把握しているところは、その株式の譲渡関係について調査検討をしているという段階であるという理解をしております。
  89. 和田教美

    和田教美君 リクルート及び関連会社の幹部から事情聴取をしているのは、もちろんいろいろしばしば報道されますけれども、株の譲渡を受けた財界人あるいは会社役員などからも事情聴取が始まっているということを聞いております。  そこで、政治家、NTTの幹部、元官僚というふうな人たちからの事情聴取は既に始まっているのかどうか、その点をお聞きしたいわけです。
  90. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 個々の点については私どもも報告を受けておりませんし、仮に報告を受けたとしましても、こういう席で申し上げることではないと思いますが、いろいろ関係人多数を取り調べているという抽象的な報告は受けております。
  91. 和田教美

    和田教美君 先ほどの刑事局長答弁から見ますと、東京地検の株ばらまき疑惑に関する捜査は、本格的な捜査に移るまではまだかなり時間がかかるというふうな感じがいたします。そうすると、本格的な捜査は結局年を越すということになるのかどうか、その点をお答え願いたい。
  92. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 調査というのはなかなか時間がかかるようでございます。昨日もいろいろ申し上げましたように、内偵期間が少し短かったとか、あるいは国会での御指摘も十数目あるいは二十数目にわたっておりまして、内容が非常に複雑になっております。そういうことがございまして、なかなか時間がかかるのではないかと私どもは推測しております。  ただ、捜査というのはあるいは調査というのは非常に不透明でございまして、その結果どういうふうなでき上がりになるかということについては現在申し上げるわけにもいかない、全然推測もできないところでございますし、また年を越えるかどうかという点についても確定的なことを申し上げる時期ではないと思いますけれども、いずれにせよ、少し時間をちょうだいしなければならない。しかし、時間をちょうだいしてどういうふうなでき上がりになるかということは私どもも推測できないという状況にございます。
  93. 和田教美

    和田教美君 警察庁にお尋ねしたいんですけれども、神奈川県警は一連のリクルート疑惑の発端となった川崎市の小松前助役、この株譲渡疑惑について既に小松氏から事情聴取を行っているんですけれども、新聞報道によりますと、収賄の疑いで事情聴取をしているというふうに書いてございます。捜査の現状がもうそういう段階に入っているのかどうか、現状をひとつ報告していただきたいと思います。
  94. 中門弘

    政府委員(中門弘君) お尋ねの事案につきましては、現在、神奈川県警察におきまして必要な関係者からの事情聴取等を含めまして事実関係の究明に努めているところでございますが、具体的にだれから事情聴取を行ったかということにつきましては答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  95. 和田教美

    和田教美君 それでは、今度はNTTとリクルートの関係の問題についてお尋ねをしたいと思います。  NTTとリクルートとの密着ぶりに関する疑惑がだんだん強まってきております。NTTの式場取締役、また、前の取締役で現在リクルートの関連会社社長をしている長谷川氏、これに次いで真藤会長の秘書である村田さんにもコスモス株が流れたということが明るみに出ておりまして、NTTとリクルートの癒着関係に対する疑惑が一段と広がってきたのは当然でございます。  当面の疑惑の焦点は、言うまでもなく、一つはNTTが米国のクレイ・リサーチ社から輸入してリクルートに転売したスーパーコンピューター二台の問題であります。そしてもう一つは、大容量の高速ディジタル回線を借りて、これを小分けして又貸しする回線リセール事業をめぐる疑惑でございます。  そこで、まずお聞きしたいのは、この二台のスーパーコンピューターをリクルートがクレイ・リサーチ社から買うに当たって、なぜ直接買わずにNTTを経由して転売という形をとったのか、どうも納得できる答えが返ってこないわけですけれども、その点をお聞きしたいわけでございます。  我々公明党の調査団は、さきにこの問題の実態を調べるために、リクルートのスーパーコンピューターがビル内に置いてあります横浜市のNTTデータ通信にも出向きましたし、あるいはまた千代田区一番町の日本クレイ社、これも訪ねて詳しく説明を聞きました。そこでわかったことですけれども、クレイ社のスーパーコンピューターは既に十四台を日本に輸入しているわけですが、このケースのように転売という回りくどい方法をとっているのはリクルートのこの二台だけだということでございました。また、最近の共同電によりますと、米国のクレイ社関係者も、このような転売例はほかにはなく極めて異例であるということを認めたというふうに伝えております。  江副さんは、直接クレイ社から購入しなくてNTTを経由した理由について、衆議院のリクルート特別委員会の証言で、技術的に高度であることからトラブルが起こった場合これを修復するメンテナンスに不安があった、NTTは保守管理をやっていたのでNTTから購入するのが安全であるということになったというふうに答えております。しかし、日本クレイ社の担当者の話によりますと、クレイ社のスーパーコンピューター本体の保守管理、これをほかにやらせることはない、クレイ社自身がやっておる、現在もリクルートに渡した分についてもそうだと、こういうふうに言っておりました。  そうなると、NTTは単に附属的な作業を受け持っただけということになるわけでございますが、なぜ諸経費五%を上乗せしてこういう異例の輸入経路をとったのか、その点についてNTTの参考人の方のひとつお話を聞きたいわけでございます。
  96. 村上治

    参考人村上治君) お答えいたします。  NTTは、従来からお客様の御要望に応じまして、機器の調達であるとかあるいは設置工事、それから各種の試験まで含めましてコンピューターシステムの設置工事を行ってまいってきております。本件につきましても、リクルート社からコンピューターシステムの設計、建設工事、こういった御依頼を受けましたので、それに従いまして一連の購入なり設計、建設というふうなことを行ったわけでございます。  クレイ社のスーパーコンピューター、これは先生御存じのとおり、一般の汎用のコンピューターに比べますと電源装置もやや特殊でございますし、それから発熱量もかなり多い。したがって、通常の空冷ではなくて液冷といいますか、ハロンの冷却を行う、あるいは重量が大変重いというふうな、そういった違いがございまして、そのためにそういった支援装置の設計、建設が特に必要でございました。これにつきましては、NTTでは既に研究所におきまして五十九年度にクレイのコンピューターを設置いたしております。そういった経験があるために、そういった経験を生かしてもらうということで御依頼があったのではないかというふうに考えておる次第でございます。  それから、江副氏が保守の点について不安があるのでNTTに依頼したというふうな御発言をなさっているということも承知しております。そしてまた、今御指摘のクレイ社では、保守はクレイジャパンが行っておるというふうな御指摘でございますが、今申しましたように、私どもはリクルート社からの依頼によりましてコンピューターシステムの一連の設置工事を行ったものでございまして、御指摘のように、保守の御契約はいただいておりません。電源の一部については保守契約をいたしておりますが、本体の保守の受託はいたしておりません。恐らく江副氏が言われたのは、クレイコンピューターの導入について技術的ノーハウ等がありますNTTに依頼すれば、何か事が起きた場合に円滑に解決してくれるんではないかというふうなことをお考えになったのではないか、これは私の推定でございますが、そのようにお考えになったのではなかろうかと思います。  それから、こういうふうに直接ユーザーにクレイ社から納入しないで、NTTを経由したことが大変異例だというふうな御指摘でございます。そしてまた、新聞等にもこういったことが報じられておりますが、これにつきましてはクレイ社自身から、NTTに販売したようなケースは決して特異なものではなくて、一般的に行われておるというふうなレターが参っております。  先ほど来申し上げておりますように、NTTといたしましては、こういうコンピューターの設置工事というものを一般のビジネスとしてやっておりまして、これまた特異なものではないと考えております。
  97. 和田教美

    和田教美君 次に、このスーパーコンピューターの転売について、郵政大臣とNTTの両方にお聞きしたいんですけれども、当時の中曽根総理ないし中曽根政権がこれに介入して関与したのではないかという見方が根強くあるわけですね。マスコミなんかは盛んにそれを書いておるわけです。この点について、江副さんは衆議院の証人喚問で、公明党の貝沼委員の質問に対して、中曽根総理から話があったということではありませんというふうに、関与を一応否定しているわけです。しかし、当時の日米関係を見ますと、日本の対米黒字急増という政治問題の中で、六十年一月に行われた中曽根・レーガン会談では、電気通信機器などの輸入拡大が持ち出されたと。そして、どうも中曽根さんはスーパーコンピューターの購入を約束したというふうな見方もあるわけです。さらに、六十二年五月の日米首脳会談では、具体的にスーパーコンピューター購入問題が話し合われたと。そして、日本側の追加購入も決まったというふうに言われておる。問題なのは、このリクルート用のスーパーコンピューターの購入契約というのは、いずれもこの首脳会談の後に行われておるということであります。  こうした経緯から見て、中曽根総理あるいはその周辺が、黒字減らしの目的で政府関係機関の調達実績を上げる、かさ上げする、そのためにリクルートへ転売することを条件にNTTに購入させるということになったのではないかと、こう見られるわけです。そこに中曽根総理と真藤会長あるいは江副さんとの密室の取引が行われたのではないかというふうに私は見ているわけですけれども、その点についてはどういうふうにお考えか。  そうしてまた、結局江副さんは、このスーパーコンピューターの輸入を利用して、時の政権中枢へ接近するきっかけにすると考えたのではないか。そこで、中曽根総理あるいはその代理人の財界人が真藤会長に働きかけたという事実はないかどうかということもあわせてお聞きしたいわけでございます。
  98. 中山正暉

    国務大臣(中山正暉君) 御指摘のような認識は私は持っておりませんで、実は昨日も御答弁申し上げましたように、内外無差別、簡素透明、そして市場の開放という、そういう形の中で、コンピューターに関する問題は、特にこれはMOSS協議の中に入っておりませんし、当時の左藤恵郵政大臣も特にそういう示唆をしたことはないと。けさもある会合で御本人の左藤元郵政大臣にお目にかかりまして伺ってみましたら、大体三百五十一億ぐらいになっておるそうでございますが、電電公社時代の枠を崩さないようにという指示をしたけれども、何をどうせよという指示は自分はしていないと、けさの八時半からのある会合でお目にかかったときに、私自身確認をしてみました。
  99. 和田教美

    和田教美君 NTT。
  100. 村上治

    参考人村上治君) お答え申し上げます。  クレイのコンピューターのNTT経由で購入いたしました件は、先ほど説明いたしたとおりでございまして、一般の設計、建設受託の一環としてリクルート社からの御依頼で行ったものでございます。  そしてまた、今、大臣答弁のとおりでございまして、NTTは民営化されましても、信頼性の高いネットワークの構築あるいは経営の効率化を図るというような観点で、機能、品質のすぐれた、そして経済的な製品を広く内外無差別に、もちろん海外からもそういった意味で積極的に調達してまいっております。  そこで、折に触れまして政府からも輸入の拡大といいますか、そういった御協力を依頼されることはございますけれども、これにつきましては、そういった御趣旨を十分尊重いたしまして、これは一般的な御依頼ということで、私どもの事業に必要な製品を必要な時期に調達いたしておるものでございます。
  101. 和田教美

    和田教美君 時間がもうなくなってきましたから簡単に質問いたしますけれども、このスーパーコンピューターの転売価格、これについて、いや安過ぎるんじゃないかとか、いや、そのほかの輸入に比べれば高過ぎるんではないかとか、いろいろ議論があります。  それで、会計検査院がこの問題について追加調査をやっているというふうなことが伝えられておりますが、とにかく五%をいろいろ上乗せして、NTTがリクルートに渡したこの転売価格の内容について調べられたか、そして適当であると判断されたのか、その点お聞きしたいわけです。
  102. 三原英孝

    説明員(三原英孝君) お答え申し上げます。  NTTとリクルート社との取引につきましては、最近いろいろと言われておりますところから、私ども会計検査院でも一度念のために見直しをする必要があるであろうと考えまして、NTTからいろいろ書類なども追加して出していただきまして見直しをやっているところでございます。  私どもの見直しをするに当たりましては、会計検査という立場から、契約が、金額が不当に安くなっていないか、あるいは取るべきものを取っていないということがないかどうか、そういうことを中心に調べるわけでございますけれども、そういった観点から調査いたしました結果、これまでのところ、特に会計経理上問題とするような点は見当たらなかった次第でございます。  お尋ねのスーパーコンピューターの購入並びに設置に関する受託契約の件につきましても、メーカーから購入した金額に必要な経費を上乗せしてリクルート社に引き渡し価格として徴収しておりまして、特にこの点につきましては、これまでのところ問題点はなかったというふうに見ております。  なお、リクルート社との契約につきましては今後とも注意を払いまして、新しい事実が出ました段階ではまた随時見直しをする、こういうふうな姿勢でやってまいりたいと、こういうふうに考えております。
  103. 和田教美

    和田教美君 時間がありませんので、回線リセールの問題ですけれども、この回線リセールの市場は約二百億円と言われているんだが、その六〇%のシェアを現在リクルートが占めておるということです。そこから、とにかくNTTが異常な便宜供与をしているんではないかというふうな見方がいろいろ出ているわけですけれども、公正取引委員会がこの問題について関心を持って調査をしているというふうな報道もございましたけれども、こういう六〇%のシェア、異常なシェアというものについては公取法上問題がないのかどうか。  それからまた、六十一年二月に公正取引委員会の研究会の発表で、「電気通信事業分野における当面の競争政策上の問題点について」というのがございますけれども、その中に、NTTが保守、管理面で単純再販事業者の新規参入を阻害することのないように注意する必要があるというふうなことを指摘している。ところが、現在の回線リセール事業は全くこの指摘と逆の方向に行っているというふうに思われるわけですけれども、その点についても問題はないのかどうか、公取のひとつお話を聞きたいわけです。
  104. 柴田章平

    政府委員(柴田章平君) 今御質問がございました私どもの研究会の提言でございますが、指摘の内容は専用線の単純再販に関しまして、   現行の専用線の料金体系の下では、第二種事業者は、日本電電から借りた専用線を細分して、第三者に対して安価で再販売することができるが、このような単純再販を行う事業者は、今後、専用線サービスを開始する第一種事業者と市場で競争関係に立つものと考えられる。   この場合、日本電電が、保守、管理等の面でこれらの単純再販事業者を支援して第一種事業者の新規参入を阻害することのないように、注意する必要がある。 このような提言を行っているわけでございますけれども、この提言、当時まだNTT以外の第一種事業者が事業を開始しておらず、NTTが単純再販事業者を不当に有利に取り扱うことがありますと、その参入が阻害されるのではないかという懸念が存在して、その結果この提言が行われた、こういうことでございます。  当委員会としては、従来からNTTの市場における有力な地位にかんがみまして、その行動について一般的な情報収集に努めております。現在までのところ、NTTがリクルートを他の事業者と比較して不当に有利に取り扱ったり、新電電の参入が阻害されるといったような独占禁止法上の問題となる行為がなされたというような情報には接しておりませんし、研究会の提言で表明された懸念が現実のものとなったというふうには考えておりません。
  105. 和田教美

    和田教美君 最後に、まとめとして総理にお聞きしたいんですけれども、先ほど再発防止策というふうな関連で政治倫理綱領を具体化する、そのためには政治改革をやるんだというふうなお話がございました。それももちろん必要でございますけれども、再発防止策ということの観点から見ると、基本的には、やっぱりこの証券市場の中で特に未公開株取引というものが全く今の状態ではノンルールであるということが問題ではないかというふうに思うわけでございます。  そこで、この野放しの状態というものを何とか改めていかなきゃならないというふうに思うので、公明党も、今実はその問題について、証券取引法の改正も含む再発防止策の具体策について検討を始めているところでございます。総理大臣大蔵大臣も、もしできたら早速公表いたしますから、ひとつ御検討願いたいと思うのでございますけれども、その問題について、店頭市場というのはそんなに軽視することはできない市場であって、これから伸びていく企業を健全に発展させていくためにも、非公開株が店頭市場に出ていくという過程というものはもっと明瞭化していかなければならないというふうなことを考えるわけです。  どうも私は、今、大蔵省の証券取引審議会の不公正取引部会、これでやっている検討の内容などを見ますと、例えば特別利害関係人の株移動の禁止期間を一年から二年にするとか、あるいは株式の公開価格の決定方式を見直して部分競争入札方式を導入するとか、公開株数の最低限度を引き上げるとか、第三者割り当て増資について割り当て先の公表を義務づけるとか、そのこと自体は非常に重要なことだと思いますが、基本的な考え方として、法律の改正ではなくて、行政指導あるいは証券業協会のルールの強化というふうなことで何とかやりくりしようというふうな感じが見えてしようがないわけですね。  しかし私は、やっぱりこの際、こういう問題について抜本的に手をつけるためには証券業協会の自主ルールとかいうものだけではこれは不十分であって、例えば日本版SECといいますか、アメリカでつくっているような証券取引委員会、そういうものを大蔵省と別機関としてつくるとか、それぐらいの監視機構を強化するという思い切ったやり方をしなければならないと思うので、そのためには証取法をどうしても改正するということが必要になるんではないかというふうに思うんですが、その点について、そういう問題も含めて問題意識を総理大臣大蔵大臣にお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。
  106. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 証取審議会の不公正取引特別部会におきまして全体の問題を御審議願っておりまして、早い部分は年内にでもと結論をお願いいたしたいと思っておるところでございます。  また、インサイダーの件は来年には施行をさせていただきたいと思っているわけでありますが、ただいま御指摘のような問題、確かにこの特別部会の御結論いかんによりましては、それをどのようにして施行することが適当であるかといういろいろな問題がありそうに存じます。また、その点いろいろ御提言も承ってまいりたいと存じます。  SECの問題につきましては、ただいま我が国の証券会社は、アメリカに比べまして、免許制でございます、登録制でございませんので数も少のうございますし、かなり監督も行き届いておると思うのでございます。それからSECはやや準司法的な権限を持っておるというようなこともございまして、我が国の行政体制とどのようになじんでいくだろうか、いろいろ問題もございます。  しかし、それらを含めまして御指摘のようによく検討いたしてまいりたいと思います。
  107. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 大筋、大蔵大臣からお答えがあったとおりでございます。  実際問題、今度の問題が提起されましてから、本当は店頭登録とは、あるいは上場とはというようなことを私ももう一遍基本から勉強をしてみました。勉強して感じたことは、やはり日本の証券市場というのが世界一になって、それもこのままでいけば物すごい世界一になるんじゃないか、こういう感じすら持ちます。したがって、もろもろの法体系というものの整備というものがおくれておったと言うと原局に対して悪い感じがいたしますけれども、それ以上に証券市場の発達そのものが今日スピードが大変かかってきたということからして、今、証取審でいろいろ議論しておりますが、本当はもう一遍ガラガラポンにして議論してもいいぐらいな感じを受けないわけでも率直に言ってございません。しかし、やっぱり専門家の方の議論が積み重なっていって私は適切な答えが出るんじゃなかろうかという期待をしております。  それから、SECの問題につきましては、今、大蔵大臣からもお答えがありましたように、我が国は免許制、それからアメリカは登録制でございますから、そういう基本的な差がやっぱりあるな、しかし、今の証券局そのものがいろいろ行政指導を行うに当たりまして、私もかつて大蔵大臣をしておりましたので、出先の財務局とかそういうところまでを通じた体制の充実整備というのは必要だな、こんな感じを持っておりますので、ガラガラポンという言葉は余りよくございませんでしたが、御趣旨のあるところは十分私にも理解できるところでございます。
  108. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十分休憩      ─────・─────    午後一時三十一分開会
  109. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 税制問題等に関する調査特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、税制問題等に関する調査を議題とし、上田耕一郎君の質疑を行います。上田君。
  110. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 リクルート疑惑は非常に奇怪な、しかも巨大で複雑な前代未聞の疑獄の様相を示しています。江副前会長自身が、私がリクルートコスモスの株を渡した政官財の個人の人数は百四十名、そう述べたという報道もあります。それから五十九年十二月の百二十五万株七十六人、それから六十一年九月に七百一万株の中で七十六万株が還流してきて配られているんですけれども、ざっと計算しましてこれまで明らかになっただけでも七十億円に近い利益が配られたという様相を示しているんですね。まだまだふえる可能性もあるということで、先ほど捜査当局も、株の流れの全容解明は、今その段階で、まだまだ時間がかかると述べましたけれども、国会が国政調査権を発動して、いわゆる刑事犯になることだけでなくて、政治的道義的責任を明らかにするためにも全貌を解明することが非常に厳しい国民に対する責務になっていると思うんです。  ただ、この事件は、最初配った方ももらった方も、絶対表には出ない、これまでも出なかったし、非公開株だしという、ある安心といいますか、確信といいますか、そのことであれだけ奇怪な株の譲渡が行われたと思うんですね。ぬれ手でアワと言うけれども、そのこと自体が見えないはずだった。ところが、それが表に出てこれだけの大事件になってきたんですね。  こういう大問題がやみからやみに隠されないで、まだ全貌不明のところがかなり残っていますけれども、大問題になってきたということの大きな貢献者は、まず第一に朝日新聞の川崎、横浜の支局。ここに「追跡 リクルート疑惑」という本がありますが、非常な努力でこの問題の解明の突破口を開いたという点では国民栄誉賞を差し上げてもいいぐらいのものだと思うんですよ。それから二番目は、私どもが十月十一日にドゥ・ベスト社の九名のリストを発表したんだが、これは私ども共産党が栄誉賞なんというんじゃなくて、私どもに勇気を持ってあのリストを届けてくださった告発者ですね、この方もやっぱり大きな貢献をされたと思うんです。やっぱりあのドゥ・ベストの名簿公表が一つのきっかけになってビッグウエイ、エターナルフォーチュン、ワールドサービスあるいは三起、七十六万株の還流も明らかになるし、最初大蔵省は証券取引法四条の形式的違反程度の事件におさめてしまおうとしたことが、できなくなった。これはその間に、九月五日の楢崎さんの記者会見による松原事件、これも非常にショックを与えましたけれどもね。  そういうことで、やっぱりこの事件の全貌を明らかにする。検察当局も、単に松原事件だけじゃなくて、リクルートゲートという言葉も出ておりますけれども、この事件全体を明らかにする姿勢を、どこまでやるかわかりませんけれども、今のところそういう姿勢を示されているということですね。こうして日本の政治の大問題になってきたと思うんです。  ところで、自覚せずに貢献したところをもう一人挙げますと、僕は神奈川県警ではないかと思っているんです。というのは、神奈川県警は、私ども共産党に対する盗聴事件で大みそをつけて何とか取り戻したいと、それで共産党、社会党、社民連などが与党になっている川崎市政に目をつけ、ここの汚職を洗い始めた、そう報道されている。それでリクルートコスモスが出てきた。調べられたリクルート側は、いや小松助役に差し上げた株は後ろ暗いことは一つもありません、七十六名はこんなに第一線の御立派な方々ばっかりだというのでリストをつくって神奈川県警に提出した。しかしこの事件が立件できないで、それが七十六名のリストあるいは、いろいろ書いてあります、四十六名のファーストファイナンスの融資名簿、こういうものが朝日新聞社の手に入り、あるいは見ることになってそれで始まったというのですね。これは雑誌に書かれているだけでなくて、朝日の幹部の方が、七十六名のリストが県警に提出されたことを語っていることもあるんですが、警察庁どうですか、そういう神奈川県警が自覚せずにある役割を果たしたという報道は事実ですか。
  111. 中門弘

    政府委員(中門弘君) 御指摘のようなことは全くございません。
  112. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 神奈川県警がもし報道されているようにリストをリークしたというようなことになると大問題になるから、もちろん否定されるでしょう。しかし、もし報道されるとおりだったら、やぶをつついて蛇を出すという言葉があるけれども、やぶをつついて大蛇が出たと。つまり、竹下首相、宮澤大蔵大臣、中曽根前首相等々、全く表に出ないと思って行われていた株譲渡の全貌がついに明るみに出るというところにある役割を果たしたという歴史の皮肉があった、そう我々は思うんです。  そこで、中曽根前首相の時代であって、歴代中曽根内閣の八人の閣僚あるいはその秘書秘書官などが株を手に入れていたということで、きょうの午前中の審議でもリクルートとの関係、皆さん中曽根前首相とのかかわりを含めて追及されたために、田中角榮元首相のあのロッキード事件に続いて第二の首相の犯罪ではないかという様相も濃くなっていると思うんです。  そこで、先ほど申し上げました最初の五十九年十二月の百二十五万株の配付、譲渡。これはあの時期にはまだ株の値上がりが、地価暴騰の前ですから、あるのかどうか。当時まだリクルートコスモスという社名でなくて環境開発という名前だったんですが、まだちょっと不明な点があるんです。しかし、六十一年九月というのは、十月三十日が店頭公開の日ですから、その一カ月前だから確実なんですよ、値上がりは。しかも、きのうからずっと問題になっているように、証券業協会の自主ルール、内規によって特別利害関係者はその期間に株集め、それに類する行為をやったら店頭登録を受けつけないという時期ですから、この時期に江副さんは証人喚問で私が中心になって選定したと言っているんだから。しかも、この時期に政官界にどっと流れたわけですからね、七十六万株の還流で。これは非常に奇怪なことになる。もし明らかになれば店頭登録そのものを取り消されるという危険を冒してなぜ江副前会長がみずから指示してあれだけ莫大な株を配ったのか。これはおかしいんですよ。普通だったらやるはずがない。経済行為のルールから外れているんですよ。そんな危険をなぜ冒したか。それは、死んでも名前を言えないという人から強い圧力あるいは要請があったのではないかという推測が当然成り立つんです。そんな危険を冒さなきゃならぬ、その危険以上に断ったらもっと大きな危険が来るということの前に江副前会長はおやりになったのではないか。  ここから先は私の推測ですけれども、中曽根康弘前首相は、いろいろあります、東郷民安氏の「罠」という本、あれを見ますと、これは有名なことだけれども、裁判でも明らかになっているけれども、中曽根氏が、二十五億円、株公開の際にひとつ総裁の選挙のための資金を欲しいということを申し入れて、五億円が上和田秘書口座に払い込まれた、これは事実なんですね。ですから、私たち学生時代にヒルファーディングの「金融資本論」を読んで創業者利得なる概念を知ったんですけれども、そういうもので政治資金がつくれるという経験を中曽根さんはお持ちだということもありますよね。そうしますと、あの時期になぜ危険を冒したか。江副前会長が死んでも言えないと、これは国会の臨床質問に答えているんです。死んでも言えないという政治家の、恐らく政治家の名前がだれかという、こういう問題も生まれてくるわけです。  そこで、私はまず竹下首相に、私はかなり長くこれまでの事件の全貌が非常に巨大で複雑であることを申し上げましたが、首相としてこういう事件に対して本当に全容解明に政府として当たる決意をお持ちなのかどうかお伺いしたい。
  113. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いつも申し上げていることでございますが、今回の問題については私なりに整理、別に人に相談したわけじゃございませんが、やっぱり四つの点にきちんとまずは区分して、それで再発防止と申しましょうか、そうしたことをやるべきだという考え方の上に立っております。したがって、私に可能な責任の範囲内というものは、それぞれ手続はございましょうが、証取法の問題、そうして税法上の問題、刑法上の問題につきましては、これはまさに検察そのものが適切に対処されることを期待いたしております。が、最終的には私は政治倫理、この問題に帰着するではなかろうか。その政治倫理綱領というのがございます。これが本当に機能するような環境整備のためには、また私の果たすべき責任の範囲もあり得るというふうにみずからに言い聞かしておるところでございます。
  114. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 首相は今、政治倫理問題だと、最後にはこうなると言われた。報道によりますと、首相が政治改革のことも念頭に置いて検討されておられると言うんだけれども、その中に金のかからない政治、選挙ということのために小選挙区制も検討という報道などもあるんですけれども、そういうことがあるんですか。
  115. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 小選挙区制を考えてみようというような発想でだれかにお願いしたとかいうことはございません。ただ、選挙学の専門家としていわゆる比例代表先行型小選挙区制などという学問はしたことがございます。
  116. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この問題はまた別の機会ですけれども、六十一年九月の一番問題の時期というのは、思い起こしていただきたいんですけれども、非常に特別の政治的な局面のあった時期で、七月がダブル選挙ですから、このときに大型間接税をしないという、これが大問題になってダブル選挙ですよね、三百議席とった。それから、宮澤さんが宏池会の会長に正式におなりになったのは九月の四日です。安倍さんが正式に会長になられたのもたしか八月か九月です。中曽根さんの任期が来て、さあ、これを延ばすかどうかということで、三人のニューリーダーと中曽根首相との間で非常な問題が生まれ、結局一生続投ということで決まったのもこの時期なんですね。それから、新自由クラブが自民党に復党したのもやはりこの時期なんですね、選挙結果を踏まえて。ですから、こういう政治情勢の中で九月にあれだけの株が動いたと、政治資金規正法にひっかからない形での新しい政治資金、最高裁決定によれば賄賂の性格を持ち得る値上がり確実の非公開株の譲渡が行われたんだという点も見なきゃならぬ。  検察庁、こういう状況についても当然関心を持っておられると思いますけれども、いかがでしょうか。
  117. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) ただいま御指摘の点につきましては、去る八月二十五日に衆議院の決算委員会で山原委員から御指摘のあった点でございます。御指摘は御指摘として十分拝聴しております。
  118. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ただ拝聴するだけでなくて肝に銘じてください。  さてそこで、今まで十六名ですか、政治家の譲渡先が明らかになったが、それだけにとどまらないだろう、そう言われている。先日の衆議院のリクルート特別委員会のリスト、これも会社役員あるいは会社員あるいは文化人、弁護士等々という肩書だけで、この中にもまだあり得ると。その会社役員からもさらに再譲渡されたという疑惑もあるというふうに提起されているんですね。  私、ちょっと重視したい報道があるんです。どうも朝日ばっかりで悪いようないいようなあれなんですが、十一月二十九日、「視点リクルート問題」の連載で、安倍幹事長が  七月初め、江副氏と直接、連絡を取った。「リクルートのおかげで混乱している。少なくとも政界への株譲渡については、すべて知らせてほしい」。戸惑う江副氏を説得して、政界関係者の名前を聞き出していたのだ。   全部で十六人。それまでに名前があがっていた政治家全員に加え、やがて登場する自民党の藤波孝生、渡辺秀央両氏ら、社会党の上田卓三氏、公明党の池田克也氏、民社党の田中慶秋氏らの名前もあった。 この後が問題なんです。  安倍氏は時にリスト入手をちらつかせ、野党側のけん制材料にもしていた。 安倍幹事長が知ったということは、首相は先ほど、私のところには情報がうんと集まると言われた。日本の最高権力者ですから、当然、総裁のあなたも知っていたと思うんですよね。しかも、知っていただけじゃなくて、リスト入手をちらつかせて野党の牽制材料にしたと。これは事実だったら大問題ですよ。つまり、あの公約違反の消費税を成立させようとするこの臨時国会で、野党に何とか協力を求めるために、ひそかに入手したリクルートのリストを与党の幹事長が見せてやっていた。何をやっているんですか。消費税優先じゃないですか。  宮澤さんもきのうの記者会見で、自分の進退はこの消費税の法案の成立にかかわる、成立に邪魔になるんだったらやめる、邪魔にならないんだったら頑張ると。リクルート問題の全容解明ということを優先するのではなくて、消費税のこういう公約違反、国会決議違反のものにリクルート問題を利用する。断じて許せないですよ。(「こっちも断じて許せないよ」と呼ぶ者あり)断じて許さない、皆さんそう言われるならひとつ国会で、国政調査権があるんですから、リストを出させようじゃありませんか。賛成でしょう。会社役員とかなんとかじゃなくて、本名を載せたリストを国会としてことに提出させるというのが、これは我々野党だけでなくて与党も含めて、国会議員である以上私は最高の責務だと思うんですね。  委員長、このリスト提出を要求したいと思います。
  119. 梶木又三

    委員長梶木又三君) ただいま理事会で協議をいたしております。
  120. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それでは次に、宮澤大蔵大臣のきのうの再釈明の問題に入ります。  私も注意深く聞きました。何度もその後も読み返しました。まず驚いたことは、これまでの四カ月余にわたる国会答弁、十月二十七日の衆議院での再答弁、すべて国会国民を欺くものだった、重大食言だったということをみずからお認めになったということです。私は、これだけでもかつてないこととして大蔵大臣辞任に値すると思います。  次に出てくる問題は、じゃ、なぜ四カ月もこういう虚構を言い続けたのかということです。これも、私は公約違反の消費税の導入とかかわりがあると思う。  大蔵大臣だから、消費税を含む六法案の主管大臣です。その主管大臣秘書官がリクルートコスモスの株一万株ともし直接かかわりがあるということが明らかになれば、消費税の運命にかかわる。だから、あれだけ追及されて矛盾が明らかになってもどうしても認めない。我々がドゥ・ベストのリストを発表して初めて御自分の名前だということを認める。もう事実が明らかにならなければどうしても言わない。宮澤さんは頭のいい方ですから、服部秘書官宮澤さんに言っていたことに、これはおかしいなということを気づかないわけはないです。我々第三者でも気づくんだから、御本人が気づかないわけがない。しかし、どうしても前言を翻せないで、ああいう三転、四転、五転、六転の答弁を恐らく御自分で苦しみながら続けたのは消費税のためですよ。とうとう衆議院を 通過させてしまったじゃありませんか。衆議院を通過して、二十一日に江副さんが証人で、いや服部秘書官だと、宮澤さんのこれまでの答弁、再答弁全部承知の上でそれをひっくり返す証言をする。これも議院証言法に基づくもので偽証が怖いので真実を述べると初めて明らかになった。  しかし、もう衆議院を通過しているということで、私は、ここにも宮澤大蔵大臣自身がこのリクルートコスモス事件という大問題を、消費税を成立させるということに従属させて扱ってこられたまことに許しがたい態度があると思いますけれども、なぜ四カ月ああいううそをつき続けられたんですか、またなぜ辞任されないんですか、お伺いします。
  121. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 国会に事実でないことを御報告を申し上げてまいりましたことにつきましては、昨日も今日も私自身の不行き届きであると深く反省をしておわびを申し上げたところでございます。  ただ、私が虚構と知りつつこれを申し上げてまいったわけではございません。したがいまして、この消費税を通したいために、知ってうそを申し上げてきたということでないことだけは御理解をいただきたいと存じます。長年信頼をしておりました元秘書の申しましたことをそのまま信じて申し上げたことは、私の不明でございますけれども、それは消費税云々という意味ではございません。
  122. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それで、まず河合氏は一体どういう関与だったのか。  今まで宮澤さんは、私は言ってみれば被害者だ、そう言われていた。ところが、今度、再釈明の中には河合氏の名前が出てこないんです。主役だった人が消えてしまった。すると、言ってみれば河合氏が被害者じゃないかと思う。河合さんは今どうやら外国にいると。あらわれると非常にまずいというので外国に逃避されていると思うんです。奥さんは、マスコミその他の攻勢で世田谷のマンションにいられなくなって、もう本当に気の毒です。河合さんのお母さんは、おじいさんがこの間亡くなられたのにお葬式にさえ帰ってこない、私の息子ばっかり悪者になっていると嘆いておられる。人権問題ですよ。それで四カ月にわたって国会、テレビ、新聞で、大蔵大臣の名をかたって、勝手に使って、二千万円もうけた人物として報道されてしまったんですからね。ところが、あなたは記者会見でも、きのうの釈明でも河合氏に対する謝罪の言葉一つもない。おかしいじゃないですか、どうですか。
  123. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私がこのたび御報告を申し上げるに当たりまして、服部元秘書に、情理を尽くして、真相を話してほしいと何時間か話しましたときの一番の大きな問題は、実はその問題であったわけでございます。  結論だけを申し上げますが、結局この本来の責任者はやはり服部恒雄君自身であったと。河合氏ではない。それはいわば枝葉末節の問題である。問題をそのように整理することが正しいということで、服部自身もそのことは最後にそのとおりであるということを認めましたので、こういう御報告を申し上げるに至りました。きのうも申し上げましたが、河合氏にも多大の迷惑をかけた云々ということを服部自身が申しております。これは問題をはっきりいたしますために、私が本人本人と申しますのは服部君でございますが、と整理をいたしましてきちっとこのように申し上げました。  なお、私自身河合という人には面識はございません。
  124. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 面識はございませんって、あなた、事務所に河合氏が服部秘書を訪ねてくるときにあいさつする程度だという話でしょう。だから顔は御存じでしょう。面識があるということでしょう。
  125. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはいつぞやも申し上げましたので簡略に申し上げましたが、事務所に来たときに遠くからあいさつを受けるぐらいのことはあったと。その程度のことで、実際上知っているかとおっしゃいましたら、それはいわば知らない人であると申し上げた方が正確であります。
  126. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 河合問題は枝葉末節のことである、そう定義することが正確だと、何も論理学や数学を解いているわけじゃないので、問題はあなたの政治責任の問題なんですね。  それで、きのうの記者会見の記事を見ますと、——河合氏のことは本筋には関係ないとのことだが、具体的にはどういうことか。   「それは枝葉のことだから報告から切り捨てようということで、服部もそういっているから申さない」——つくり話だったのか。   「そうではない。枝葉の話は、そんなことをしても本質の解明に役立たない」。 作り話じゃないんですね。  河合氏もリクルートコスモスの株一万株入手にかかわりがあったんですね。事実を述べてください。
  127. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そこは枝葉末節でございますから私もそれ以上申しませんでしたが、この問題の根本的な責任服部恒雄君である、河合氏ではないということであります。
  128. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そういうことじゃなくて、作り話でないと言うのなら、じゃ河合氏はこのコスモス株問題でどういう役割を果たしたかということですよ。あなたは四カ月彼が主役だと言っていたんだから、作り話でないと言うのなら、やっぱりそのとおりですか。どこまでが本当で、どこまでがうそなのか、全然わからないですよ。
  129. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 河合氏には責任を問うべき本質的な問題はなかった、こういうことでございます。
  130. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あなたは二十二日の記者会見、江副質問の翌日です。服部河合関係について聞かれて、「この点については、今まで言っていたことは作りごとではない。その時期に河合氏はよく服部の事務所に来ているのでコスモス株の譲渡の話があることを知り、自分にやらしてくれないかということがあった」と。それでどうやら服部さんが協力したというのです。「株の売買大臣が言う通り、河合氏がやったことで、話のきっかけだけが服部氏の所へ来たということか」。「二つのことが一緒の時点で一緒になったということを言っている」。だれもわからない、こういう言い方では。  本質的でないにしても、じゃ河合さんは、リクルートコスモス株でやはり売却益を得た会社役員の一人なんですか。あなたの本質とは関係なくても、河合氏はやっぱりそうなんですか。
  131. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今御引用になりましたのは、お聞きになっていらっしゃる方が混乱されるといけませんので申し上げますけれども、このたびの究明をいたします前のことでございます。このたびこの御報告に当たりまして……
  132. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 江副証言の翌日です。
  133. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 服部君は、ですから委員長理事方々から御報告を申し上げるようにと言われまして……
  134. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 その前に、やっぱりうそをついていた時期の話ですよ。
  135. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私が今週服部君をいわば究明いたしましたそれ以前のことでございます。究明をいたしました結果、そのようなふうに物を考えていきますと、責任は一体だれかということがぼやけてしまう。これはもう明らかに服部恒雄君の責任のことであるということを本人も理解をいたしましたので、それで申し上げておるのであります。
  136. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それはわかりました。では二十二日のこの記者会見は、これもやっぱりうそだったということを了解します。  だから、それなら河合さんは何をやったんですか、作り話でなかったと言えば。何もやらなかったのだったら作り話でしょう。作り話だったのかどうかですよ。河合さんは一体何をやったのか、服部さんから聞いたことを述べてください。
  137. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは御本人の名誉のために申し上げますが、責めを問うべき点はない、今までそうであるように申し上げましたのは、これはいわば服部恒雄君の物の考え方が本当でなかったということでございます。
  138. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それでは、全くの作り話だったと、河合さんは一切リクルートコスモス株には手を触れていない、そういうことですね。
  139. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 少なくとも国会で問題にさるべきようなことはなかったということでございます。
  140. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 やはり少なくとも国会で問題にされるようなことはないという御返事で、明確に一切関係ないとはおっしゃらなかった。  そこで、私は一つ質問したいんです。衆議院に提出されたリクルート社からの例のリストがあります。この中に宮澤派の浜田卓二郎代議士、五十九年十二月、二千株といいますけれども、このとき五百円ですからいわば二万株ですよね。注がついている。「(注1)六十一年十月に一万株を会社役員に譲渡している」と。二万株もらって、そのうち一万株を会社役員に譲渡しているというのがわざわざ注についている。それでこの会社役員は、宮澤派の浜田卓二郎さんから、河合さんは服部事務所に出入りしていて、リクルートコスモスのことを聞いて、やっぱり自分も少し手に入れたいというのでこの方にお願いしたこともあり得るのではないかというふうに思うんですけれども、そういうことではございませんか。
  141. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私は河合氏といわゆる面識はございませんし、ただいまのようなことも聞いておりません。
  142. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 河合氏についての四カ月間国会に述べてきたことは作り事だったということを大臣は認められました。私は、それは河合さんという一人の会社役員でありますけれども、やっぱり人権問題というのは非常に重大なことだと思うんですね。  次に、株の譲渡問題についてお聞きしたいと思うんですが、具体的事実をお聞きする前に、今度言われたことは最終の真実なんですね。もう新しく出てくる、くるくる変わるということは全くないと確言できますか。
  143. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私自身が直接調べ、また、当たり得る資料には当たりまして申し上げているところでございます。
  144. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 きょうの新聞には、アリバイなき無罪主張というなかなか的確な批評がありました。一切物証が出てこない。きのう矢田部議員があれだけ要求されたのに何らの物証も出さない、主張だけある。証拠もない。アリバイもない。それで私は無罪です、無罪ですということを言われているだけで、ですから国会はああいうことを、ああそうですか、今度は本当のことをよく言ってくださったというようなことで済まされないです。ですから、我々は一つ一つ事実を追及せざるを得ません。  まず株の譲渡、六十一年の夏ごろということですけれども、それは何月ですか。
  145. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは十分にこの点も服部元秘書の記憶をただそうといたしたのでありますけれども、夏ごろという以外に確定をいたし得ませんでした。
  146. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あなたは七月二十二日に大蔵大臣になり、服部さんも七月二十二日に秘書官になっているんですけれども、夏ごろというのもやっぱり大臣秘書官になって以後ですね。
  147. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そのことに別に関係があるわけではございませんで、夏ごろという以上にこれを確定する記憶が明確でなかったわけであります。
  148. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大蔵大臣に就任されてから直後に起きた事件なんですね。  問題の性格は、大蔵大臣が値上がり確実な非公開株を、大蔵大臣、その周辺、秘書官ですね、受け取ったということの性質ですね。まず第一、私は八月二十四日と三十一日の質問で取り上げたんですけれども、大蔵省の証券局の職員は株の取引をしないというのが慣例であり、事実上の内規だという答弁がありました。やっぱりインサイダー取引になるからですよね。これは当然のことです。そうすると、大蔵大臣なんですから、証券局の職員が株の取引をしないのが当然内規になっているのに、まして大蔵大臣やその秘書官が非公開株でなくても普通の株取引で利益を得ようということは、やはりこの趣旨からいって、またインサイダー取引の規制の趣旨からいって、あってはならないことなんですね。  特に秘書官は、国家行政組織法の第十八条、「秘書官は、それぞれ各省大臣の命を受け、機密に関する事務を掌り、又は臨時命を受け各部局の事務を助ける」、機密に関する事務をつかさどるのが国家行政組織法で定められた秘書官の任務なんですから、だから秘書官がやることは大臣がやることと事実上同義語なんだ。戦前の裁判でもそういうふうに扱われている。だからこういうことが第一点です。大蔵大臣、また秘書官が株の取引に手を出すというのは、これは情報が集まるわけだから、こんなことをしたらやっぱりあなた方が大事にしようと思っておられる秩序そのものが崩れるんですよ。これが第一の問題。  二番目は、まして値上がり確実な非公開株ですから、わいろの疑惑がある。こういうことで、その重大性を服部秘書官は認識されていたと私は思うんです。  ここに朝日の詳細な記事があります。六月三十日に近藤記者が服部秘書官に会うんです。否定する。七月一日にも電話で会う。そのとき服部秘書官は近藤記者に、蔵相と江副氏はあいさつする程度の間柄だったと、リクルートコスモス株は全く知らない、株の売買は立場上するはずはないと。だから、大蔵大臣はその立場からいって株の売買をするはずはないと言って明言しているんです、これは。宮澤さん、また並びに秘書官のこういう問題についての当時の認識はどうだったんですか。
  149. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まず、当時服部恒雄君が秘書官であったかどうかは先ほどのことではっきりいたしませんので、これは申し上げておきますが、私の場合はこれはいつかも申し上げたと思いますけれども、たまたま株というものは自分でやった経験がほとんどない人間でございますし、これからも恐らくそういうことでやってまいりたいと思っているわけでございます。  それから、一般的に役所の秘書官株式取引のようなことをすることがどうかということでございますと、私はやっぱり慎んだ方がいいというふうに思います。それは職務権限というような難しいことでございません。秘書官自身の職務権限というのはいかがなものでございましょうか、そこまで申さずとも、やはり何と申しますか、公務についておりますから自粛した方がいいのではないかと思います。私自身はそうしてまいりました。
  150. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 当時服部さんが秘書官だったかどうか存じないと言われましたけれども、江副前会長の二十一日の衆議院特別委員会での証言があります。「江副証人 宮澤さんにつきましては」、これは宮澤さんにつきましてはですよ、「私どもの社員が接触をとったのは服部秘書官であるというふうに承知しております」、はっきり秘書官だと言っている。それから江副証人の証言は、例えば中曽根前首相についての私どもの東中議員の質問に対してこう答えている。中曽根総理に直接話したことは一度もないと。「当初から上和田秘書官、筑比地秘書官、太田英子さんに直接お話をさせていただいたものであり、最初から秘書官という認識を持って、現実に秘書官と受け渡しをさせていただいております」、きっぱり、非常にはっきりと秘書官、この認識で中曽根さんの秘書官にも、また宮澤さんの秘書官にも接触しているんです。そういう証言。  それで、接触の場所です。宮澤さんは、複数の事務所のどれかだと、はっきりしなかった。私は、秘書官の部屋じゃないかと思うんですね。当時の高石文部次官、それから労働省の加藤前次官も次官室だ。面識のない人が秘書官に会いに来るんですからね、大蔵大臣秘書官の部屋じゃないかと思うんです。秘書官の部屋というのはどこにあるんですか。
  151. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、私が先ほど申し上げたことをお聞きいただいたと思うのでございますが、夏ごろでございますと秘書官になっておらない時期というのがあるわけでございます、なりましたのは大分後でございますから。したがいまして、ただいまのお尋ねはお尋ねといたしまして、秘書官であったかどうかということは定かでございません。  なお、大蔵大臣秘書官室は大蔵大臣室の隣接にございます。
  152. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大蔵大臣の部屋の隣室で、秘書官だったんですよ、江副さんがそう言っているんですから。あなたはそのことをあいまいにしようとしているけれども、恐らく隣室で行われたんだろうと思うんですね。しかも相手の名がわからない。これも何度もここで問題になった。秘書官が受け取った名刺が当然あるでしょう。名刺を調べるあなたは責任がありますな。
  153. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは非常に昔のことでありますし、当人が、昨日も申し上げましたように、実はかなり心身ともによくない状況で、その場にそういうものを持っているわけでもございませんし、真実本人が記憶をしていないと申しております。
  154. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ですから、調べようとする気がないんですよ。服部さんに聞いたらこう言った、こう言ったと言うばかりで、こう言ったことが本当かどうかは事実を調べればわかるんですよ。夏ごろで一体いつかわからないと。面会の記録もあるはずですよ。秘書官が、面識のない人が来て、だれが受け付けていつ会ったか記録もないんですか。明らかでしょう。それで、ほとんど面識のない人だというんだから、名刺をくれますよね。名刺は残っているはずですよ。少しでも調べようという気があれば、あなたのアリバイなき無罪主張も多少のアリバイは出るかもしれない。それを一切調べる気がないんですよ。そのあらわれだと思う。  あなたはきのう株の名義宮澤喜一と書かれたことについて、宮澤でなくてもよかったのに服部さんが宮澤の名を書いた、服部の名で足りたはずだと、これはこの問題の一つの核心です。ドゥ・ベストのリストで初めて宮澤喜一の名が出てきて、御本人が認めた。なぜ服部さんのところに来たのに宮澤喜一の名を書いたのか。これは非常にミステリーです。リクルート側秘書官のところへ来て、あなたの名前ではだめです、ぜひとも宮澤喜一の名でということを言うはずはない。なぜなら、他の政治家はみんな秘書秘書官で通っているんですから。なぜ服部秘書が、宮澤蔵相にも言わないで、先ほど言ったように、立場上するはずがないという認識をお持ちの方が、宮澤大蔵大臣に言わないで、隣の部屋にいてそれで宮澤喜一の名を書く。考えられないじゃないですか。あなたはこのことを聞かれると、わからないと言う。一番肝心のことがわからないで済みますか。それですべての真実を述べた釈明だと言えますか。あなたはどう思っているんですか。服部さんはなぜ書いたんですか、宮澤喜一と。
  155. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まず、隣の部屋でとおっしゃいますことは、これは事実というふうに申し上げるわけにはいかないと思います。先ほど申し上げたとおりでございます。私は一切このことについて存じなかったわけでございます。
  156. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ですから、真相はやぶの中なんですよ、一番肝心なことがわからないんだから。大体秘書官ですからね、大蔵省でしょう、仮名取引禁止の通達を出している省庁ですよ。その大蔵大臣秘書官が仮名取引やったわけですよ、大蔵大臣の名をかたって。こんなばかなことがありますか。それ、説明がつかない。どこに真相があるんですか。一番肝心なことについて合理的な説明が何一つ出てこない。唯一考えられる合理的な説明は、宮澤さん本人が株を受け取ることを了承して御本人が書いたということです。というのは、この問題は本当に中核の問題なんです。その中核の問題をあなたは今まで一切隠そうとした。  客観的事実が明白なのは二つあります。一つは、宮澤喜一本人の一万株取引があったこと、本人名義の。これはドゥ・ベストのリストで明らかになり、御本人も認めた。これは客観的事実です。共産党が言おうが自民党が言おうが、これは明らかな事実です。第一。そして二番目は、江副証言で宮澤大蔵大臣については接触したのは服部秘書官だと。これも江副証人が言い、宮澤さんがきのう釈明で述べ、これは疑いのない事実であります。  すると、ここから合理的に出てくるのは、宮澤自身がリクルートコスモス株を譲り受けた、これが非常に素直に出てくることですよ。これ以外のことを言おうとすると皆目わからなくなっちゃうんです。あなた自身がわからない、説明がつかない。だから、もし我々が客観的事実から当然素直に判断すればそうなるのに、あなたはそうでないと言うのだから、そうでないという立証責任、挙証責任はあなたにあるんですよ。あなたがそれを立証しない、何も出さないのに、さあ信じてくれと言ったって信じようがないですよ。どうやって挙証されますか。
  157. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そうでないことは昨日来何度も申し上げているわけでございますが、一番明確でございますのは、御報告にも申し上げましたが、服部氏が自分名義株式売却いたした。このことは会社売却報告書を私が確認をいたしております。それから、売却総額が服部氏の銀行口座に入金をされておる。このことも私は確認をいたしてございます。これが一番明快なことでございます。
  158. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、それはだから売ったのが服部さんの名前で服部さんの口座に金が入ったということ、これはもう我々も認めているんです。あなたも言った。それはそうじゃないんです。あなたが服部さんから言われて、了承して、あなたの名義で株券を受け取ったのではないかということですよ。なぜ服部さんは、自分に話が来たのに宮澤さんの名で仮名取引したのかということ。
  159. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そうでないことは、この売却なり代金の入金が私ではもとよりありません、服部恒雄になっておることで明白でございます。私にリクルートの方が会いにお見えになられたわけでもございませんし、ずっとお会いをして処理をいたしました、いわば取引と申しますのでしょう、いたしましたのは服部であり、そのことは私に何も報告をいたしておりません。
  160. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 全然答弁になってない。だから、服部さんは、じゃなぜ服部と書かないで宮澤と書いたんですか、そのことを言ってくださいと言うのですよ、なぜ。
  161. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その点は本人と長いこと話しましたが、服部と書いてもそれで十分であったというふうに本人はそういう認識でやっております。
  162. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いやいや、それで服部と書いても十分であったと、服部と書くのと宮澤と書くのは違うんですよ。服部さんが自分の株を宮澤の名で書いたら仮名取引でしょう、相対だとしても。証券会社とかなんとかじゃなくて、自分名義でない人物の名前を書いたんだから。こういうことを秘書官がやりますか。これはもう服部でもよかった、宮澤でもよかった、そんなことではないですよ。服部さんの名前での株でしょう。なぜ宮澤喜一という大蔵大臣の名を書いたのかということの合理的な説明一つも出てこない。
  163. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは仮名取引というものではないと思います。服部は、何と申しますか、自分のいわば取引として金も払い売却もし入金もしておるわけでございますから、いわば、何と申しますか、便宜として宮澤という名前を使ったというのが本人の言うことでございます。
  164. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 疑惑はますます深まるばかりです。ですから、物証を我々は求めている。  あなたは先ほど証券会社売買通知書、それから服部名義銀行口座の通帳、これを御自分でごらんになったと言われた。これも出してほしい。  きのう、矢田部議員に証券会社の名さえあなたは言わなかった。銀行の名も言わなかった。それではこの事実は明らかにならないです。ですから、私どもは宮澤喜一名義株式売買約定書、これの提出を要求しているんです。ここに宮澤さん直筆のサインがあるかもしれない。服部さんが宮澤さんの名を書いた字があるかもしれない。現物があればこれはわかるんですよ、筆跡で。  ところが、あなたはこの約定書は見当たりませんと言う。見当たらない、これもおかしい。だから私どもは、この売買約定書は二通つくるんですから、ドゥ・ベスト社に一通あると思う。証券局長どうですか、こういう売買約定書。これは証取税を払うこともあるので、法人としては七年間保存義務があるんじゃないですか。
  165. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 証券会社を通じます場合には先ほどからお話がありました売買報告書というものがございます。ただ、相対の取引になりますと、これは特に要式行為じゃございませんので、売買約定書をつくる場合もありますしつくらない場合もあろうかと思います。  それから、税法との関係で言いますと、証拠書類は一定期間、たしか七年だと思いますが、保存義務があるのではないかと思いますが、詳しくは、直接的にはこれは国税庁の問題でございます。
  166. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 国税庁、どうですか。
  167. 伊藤博行

    政府委員(伊藤博行君) 有価証券の売買に際しまして作成された契約書の保存義務につきましては、法人の場合には七年間、それから個人の場合にはその有価証券の取引による所得が事業所得に該当いたします場合を除きまして保存義務はございません。  以上でございます。
  168. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ですから、ドゥ・ベスト社は法人ですから七年間の保存義務があるんです。有価証券取引税法の施行規則五条二項に基づいて七年、まだ七年たっていませんからドゥ・ベスト社にあるんです。私は、先日ドゥ・ベスト社に行ってこの約定書をぜひ欲しいという申し入れをしてきまして、電話で返事があって、今探しておりますけれども見当たりせんと、まだ。楽しみにしておりますけれども、これはあるんですよ、七年間保存義務があるんだから。  法務省、これは国会に提出しても検察庁の捜査に特に支障があって提出は困るというようなことはないでしょう、約定書は。
  169. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) ただいまお話しの約定書を検察庁の証拠として押収しているかどうかということは申し上げる限りでございませんけれども、リクルートコスモスなりリクルートなりあるいはドゥ・ベスト社と接触されて検察庁にそういう押収物があるということになれば、そちらの方へ仮還付なりあるいは写しを渡すなりして、そちらの方から出していただくことは一向差し支えないわけでございますが、私どもの方から直接、仮にありましても提出するということはこの際御遠慮申し上げたい、こういうふうに思っております。
  170. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 我々は現物が要るんじゃなくて、コピーがあればいいんです、筆跡を見たいんだから。  それで委員長、これは昨日からずっと問題になっているので、宮澤喜一名義ドゥ・ベスト社との間の株式売買約定書、これを提出されるようぜひお取り計らいいただきたいと思います。
  171. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 協議いたします。
  172. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 さて、次は資金、株券の問題で、どうもわからないんだけれども、十月十五日にファーストファイナンス銀行口座に三千万円払い込んだが、株券そのものは送られてきていない。  証券局長、こういうことなんですか。九月三十日に買うということを決めて、十五日に三千万円を払い込む。ところが株券は来ない。宮澤さんは、複雑なんだと、裏がいろいろ。どっかで預けられているかもしれぬと。こういうことがあるんですか。
  173. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 私、事実関係について個別のことは存じませんので、ちょっと答弁するのは差し控えさせていただきたいと思います。
  174. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私も株のことはよくわからないんだけれども、証券局長もすぱっと言えないような、ちょっと僕ら素人も奇妙だと思う。一番玄人の証券局長答弁を差し控えるということでしょう。とにかく変なんですね。  だから、ファーストファイナンスが出てくる。一つあり得るのは、服部秘書官が一万株譲渡してもらって、ほかの多くのケースのようにファーストファイナンスから融資を受ける。それで、十月十五日にファーストファイナンスに何か事情があって、とにかくあれは融資じゃなくて、返そうというのでお金を返すということも一つあり得たのかなというふうに新聞を見ていると思いますよね。  もう一つは、これはわからぬ、これも証券局長にお聞きしたいんだが、これはいつその売買契約が完了したんですか、こういうケースは。九月三十日ですか、それともお金を払い込んだ十月十五日ですか。株は現金取引が原則だと思うんですが。
  175. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 一般的な民法上の原則から言いますと契約した時点ではないかと思います。
  176. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうすると、契約開始時点だから九月三十日ということになりますよね。  さて、十月十五日に払い込んだというのも、この十月十五日というのは特別な時期なんです。というのは、リクルートコスモス社は十月十三日に公開のときの最低株価四千六十円、最高株価五千二百七十円を決めて、十月十五日に証券業協会の理事会で十月三十日の店頭登録を決定、同時に最低、最高の価格を決めるんですよね。そうすると、十月十五日というのは本当に値上がり確実な時期ということになると思うんですね。  さて、十月三十一日に服部名義売却した。大蔵大臣はきのう、使っている証券会社を通じて、その名は言えないと言われた。株券がないのにどうやって証券会社で売るんですか。これも私はわからない。
  177. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私は調べました事実を申し上げているわけでございまして、株券を受け取っておらない由でございます。したがいまして、これがどのような何と申しますか、いわば仕組みとでも申しますか、で先方側で行われておりましたか知る由がございません。
  178. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 証券局長どうですか、株券がなくてどうやって売るんですか、証券会社で。
  179. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 今御指摘の個別の問題については私ちょっと存じ上げませんので、一般論として申し上げさせていただきますと、投資家が仮に代理人を通じて株券を売却する場合には、投資家本人の手元に必ずしもその株券がない場合でも証券会社がこれを受け取って売却するということはあり得ることだろうと思っております。
  180. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 じゃ、ファーストファイナンスで株券を預かっていたというケースかもしれない。  そうすると、この証券会社の名前が言えないとか、おかしな話で、これはファーストファイナンスと主な幹事会社の大和証券だろうとだれでも思いますよね。大和証券じゃないのですか。
  181. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) きのうもそういうお尋ねがございまして、それはいわゆる一般の取引について証券会社銀行名等々をこういう場所で申し上げるのは余り適当ではないのではないかというふうにお答えをいたしたところでございます。
  182. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これまでのあなたの答弁でも、なぜ宮澤喜一の名を書いたのかという一番核心の部分がわからない。それから、一体なぜ十月十五日に払い込んで、どうやって株券が来ないで売ったのか、これもよくわからない。あなたの再釈明というのは、結局、事実、もう矛盾だらけ、わからないところだらけですよ。これで、これ以外に真実はないと、あなたの明敏な頭脳でよく判断できると。だれも信じないです、こういうことは。  それから、資金三千万円の出所も恐らく服部秘書官がかき集めたのだろうと。きょう私のところに京都のある方から電話がかかってきました。上田さん、きょう質問するのだそうだけれども、きのうのテレビを見ていたら三千万円の出所、言えないと言って平然としていると。私たち庶民は土地を買ったり何かするときに、五十万円、百万円でもどこから出たのか、どこから出たのか、給与か何かというので、借金かというので詰めに詰められて、いろんな証拠をさあ出せ、さあ出せで、あれほど詰められている、税務署から。その税務署の責任者大蔵大臣が、秘書官の三千万円の金の出所を調べようともしない。  六十近いから才覚があるでしょうと。六十近くて才覚があったら、僕は六十一なんだけれども、それは日本じゅうの六十近い人はもう税務署は調べるのをやめた方がいいですよ。笑い事じゃないんです。あなたの感覚はそういう感覚なんですよ、税務署にいじめられたことかないから。かつて税務署長でいじめた経験しかないから。  しかし、服部さんは宮澤さんの政治団体、備後会の会計責任者なのです。あなたは三千万円の出所も二千万円の用途も服部秘書官個人だ、生活のためだ、お年寄りもおられるというようなことを言われる。私は、これは政治資金、やみの政治資金に流れたのではないかと、このことをお聞きしたいと思います。  というのは、森喜朗元文部大臣、森さんもこの間提出されたリスト、この注二で、「六十一年九月に森喜朗代議士より一万五千株の譲渡を相対取引で」清水二三夫安倍幹事長秘書が受けているというのがリクルート社の書類にありますが、この一万五千株について森さんはこう述べています。派閥維持の責任の一部を負担するためプレゼントしたものである。つまり、安倍派の派閥資金を一部分担して、上納金として一万五千株分をプレゼントした、森さんはそう言っている。  だから、すべてどうかわかりませんけれども、今度のリクルート問題で政治家に流れた部分は、一つの疑惑は、やみの政治資金に流れたのではないかと、そういうことが一つ問題になります。  しかも当時は、先ほど言いましたが、宮澤さんは宏池会の会長に九月四日になったばっかりです。選挙直後です。あなたはあの年の資産公開で、この年七千万円の借入金があったことを発表されて、七千万円の借金はさきの同日選で、私自身というより友人たちのために借りたものと、そういう説明を当時記者会見でされています。そうすると、あなた自身が七千万円借金して、同日選挙で選挙資金のために七千万円借金したんだと資産公開で明らかにしているんですからね。翌年の資産公開で七千万円はこれはゼロになっている。どうやって返されたのか。この二千万円はこの七千万円の一部になったかもしれない。そうじゃありませんか。
  183. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 服部恒雄君は長いこと私のために働いてくれまして、もうやめましたけれども——のはそうでございますけれども、昨日も申し上げましたが、服部君には服部君の家庭もあり私生活もございますので、私はそのことには立ち入らないようにいたしてまいりました。この取引は、服部恒雄君のした取引でありまして、やみ政治資金等々にこれが、金が使われたというようなことは全くございません。
  184. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 表向き否定されます。あなたはそれを否定された。私は、服部秘書官も十八歳のときから宮澤さんのお父さんの秘書としてもう四十年あなたとつき合いのある方で、宏池会宮澤派、非常にそういう大変な時期に、宮澤さん自身が七千万円資産公開で借金を公表せざるを得ないようなやっぱりお金の要る時期ですよ。このときに服部秘書官大臣の名前をかりて二千万円懐に入れて自分生活を潤すと、これはもう考えられないですね。成り立たないです、そういう説明は。そういう余裕が生まれる時期だとは思わない。もし私が主張するように派閥の政治資金関係だったとすると、まして宏池会会長の、なったばかりの会長です。服部秘書官が非常に恐らく喜んでおられたと思うんですね。待望の宏池会の責任者になった。しかも備後会の会計責任者ですから、その宮澤さんの承認なしに二千万円を服部秘書官が勝手に動かす、三千万円投じて二千万円の売却益を得ると、こういうことは常識では考えられない。あなたの答弁は、そういう常識では全く考えられないことをきのうから言い続けておられる。これで信じろと言っても無理です。  宮澤問題で私はもう一つ、もう一回、「九月三十日に」、契約成立の日ですね、「宮澤名義で一万株の購入」を申し込んだとあなたは言われた。それでは服部秘書官は、きのう言われたように、事務所の宮澤という印鑑を借りてサインを宮澤としたんですか、九月三十日に。
  185. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 九月三十日は申し込みの契約の日でございます。お尋ねの意味がちょっとはっきりいたしませんが、九月三十日そのものは、私も我が国におりませんでワシントンに、これはたしかIMF・世銀総会であったと思いますが参っておりますし、たしか服部君も同行いたしておるかと存じます。したがいまして三十日というのは、夏ごろからいろいろ話、いろいろと申しますか、夏ごろから接触があったということを申し上げましたが、その決められた申し込みの日でなかったかと思います。
  186. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もうきのうの再釈明を変えられたんです。きのうのあなたの再釈明では、「服部君は、昭和六十一年九月三十日に宮澤名義で一万株の購入を申し込み」とある。私どもは九月三十日という日に疑問を持って調べ始めました。大蔵省に聞きました。このときは、宮澤さんも服部秘書官もワシントンのIMF・世界銀行の総会に出席していたじゃないか。きょう午前中に大蔵省から返事が参りました。「大臣日程九月二十五日から十月二日」、「他の出席者」、ずらっとありまして、「大蔵大臣秘書官服部恒雄」、ちゃんと載っています。  首相、見てください、お持ちでしょう。(資料を示す)  それで私は、これは大蔵省から出てきた資料だから、きょう共産党の上田が質問して、こういう資料要求してきたと大臣報告が行っただろうと思う。だから、私がこの問題を取り上げれば、私も服部もワシントンに行っていたということを先に言うだろうと。そのとおりになりました。そのことは、きのう言ったことがもうきょう訂正されたということですよ。どうなんですか。あなたは、きのう言ったことが真実でなかったら職を賭してという委員長の申し入れどおり、私は大臣も議員もやめる、そういう趣旨答弁をしたじゃないか。もう真実でないことが明らかになったじゃありませんか。もうこれ以上は、こういう問題であなたのとんでもない答弁は聞けないですよ。
  187. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはそんなに難しいことじゃございませんで、この九月三十日という日は、前からこの日が契約の日だと服部君は申しておったのでございますが、その後いろいろ報道がございまして、やはり九月三十日というのが、かなりたくさんのケースがこの日をもって契約の日になっておったということでございますので、その点は間違いがないと思います。
  188. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だめだめ。秘書官だったかどうかもわからない。夏ごろはいつかわからない。九月三十日じゃない。もう何もかもわからぬじゃないか。全然、もうこれはめちゃくちゃだよ。こんなことで国会はだませないですよ。
  189. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  190. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 速記を起こして。  大蔵大臣から再答弁を求めます。
  191. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昭和六十一年の夏ごろ、リクルート社の方が訪れられた、そうして株式を引き受けていただけないかという話があったということを昨日申し上げました。そこで九月——正確に申せば九月三十日付とそれは申し上げるべきでございます。九月三十日付で購入を申し込み、十月十五日の日に支払った、こういうこ とでございます。
  192. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もっと真剣にやってくださいよ。大体、夏ごろというのは、七月二十二日の前の秘書官だったかそうでないかわけがわからぬ、そういうことをあなたは言ったんです。場所もわからない、相手もわからない。ここであなたは「九月三十日に宮澤名義で一万株の購入を申し込み」と、これを書くのに宏池会の加藤事務総長まで参加して徹夜でつくったというじゃないですか。徹夜でつくって、もう今九月三十日付でに直してくれと。何を言っているんですか。九月三十日にはいないんでしょう。じゃ、いつ書いたんです、それを。日にちも何も、一番大事なこの売買約定書に署名した日さえ書いていないんです、これは結局。  いつですか、じゃ、署名した日は。
  193. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 申し込むという、つまり申し込むという日が九月三十日の日付であるということを申しております。
  194. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 書いたのはいつですか。
  195. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは夏からそこまでの間、夏ごろから間ということでございます。
  196. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 全然だめだ。一番大事なことを書いていないじゃないか。だめだめこんなの。一番大事なことを書いていないじゃないか。だめだよ、こんなの。何を言っているんだ。
  197. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 上田君、もう一遍質問してください。
  198. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だから、いつ——夏ごろも怪しいんだろう。九月二十五日までの間なら、じゃいつですか、はっきり言ってくださいよ。
  199. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはちょっと、お尋ねでございますけれども、夏ごろに話がございまして、そうしてその申し込みの日を九月三十日とすること、それから十月十五日に指示によって三千万円を払うということ、そういうことが取り決められて、そうして三十日の日付で申し込みがなされた、こういうことと考えます。
  200. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 やっぱり、こうやって追及して初めて本当のことが出てきた。いいですか、夏ごろというのはいつだかわからないんだ、夏ごろというのは。秘書官だったかどうかわからないとあなたは言った。相手もわからないと言った。場所もわからない。しかし、その日に、相手も場所も日にちもわからぬ日に服部秘書官判こと名前で九月三十日付に署名をして十月十五日にお金を払い込むという契約をしたというんですよ。相手はわからぬ、場所もわからぬ、日付もわからぬでだれが信用しますか。こういう一番重要なことをあなたの再釈明には書いていないじゃないですか。私が追及して初めて本当のことを言った。あなたの書いたのは、夏ごろ言われた、三十日に譲渡してもらった、十月十五日に金を払い込んだと。全然一番大事なことを書いていないじゃないですか。これは、もうあなたの再釈明、全然だめだよ。成り立たない。
  201. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 三十日は、譲渡ではなくて申し込みの日でございます。
  202. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 証券局長がさっき言ったでしょう、申し込みの日に契約は成立するんだと。何を聞いているんですか、大蔵大臣のくせに。  私は、まだNTT問題をやらなきゃなりませんので——宮澤大蔵大臣のきのうの再釈明、全然信用できないということが明らかになったと思います。あなたはもう辞任すべきです。この問題をすべて明らかにするためにはあなた自身を証人として喚問する必要がある、ああいういいかげんな答弁をさせられないように。  だから私は、宮澤大蔵大臣ドゥ・ベストの菅原社長服部恒雄秘書官河合康文SE総合設計社長の四人の証人喚問を要請します。それから裏づけとして株式売買約定書、それから服部氏の銀行口座、払い込み資料、十月三十一日の服部名義で行われた売却済みの株式売買通知書、売却代金の入金を示す服部氏の銀行口座資料証券会社売買報告書、証券会社の顧客勘定元帳の服部氏に関する部分、これらの資料提出を委員長にお取り計らいお願いいたしたいと思います。
  203. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 協議します。(「議事進行、議事進行」と呼ぶ者あり)  速記をとめて。    〔速記中止〕
  204. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 速記を起こして。  大蔵大臣から再答弁を求めます。
  205. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 文章が十分明瞭でないという御指摘でございました。事実関係を申し上げます。  一万株の購入を申し込みましたその日は、日付と申しますか、九月三十日現在でございます。それから、銀行口座に三千万円を支払いました日は十月十五日でございます。ここに「リクルート社の方の指示により」と書きましたのは、お尋ねもございました、何ゆえにファーストファイナンスに払ったのかということを申し上げておきませんと、この意味が明瞭でないと思いましたので、それはリクルート社のお人の指図によるものであると、こういうふうに申し上げる意味でございましたので、文章が不分明でございましたらどうぞお許しをお願いいたしたいと思います。
  206. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そんな再答弁じゃなくて、あなたは先ほど私の質問に対して、九月三十日付の株の購入申し込み、その株の売買約定書にいつサイン、捺印をしたのかということを聞いたら、最初六十一年の夏ごろから九月三十日までの間だと言われた。その次に、さらに追及したら、六十一年の夏ごろリクルート社の人が来た日に契約もし払い込みもしたと。じゃ、もう一度言ってください。そう述べた。
  207. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはそうではございませんで、接触が夏ごろにございまして、そして、その後ある時点、これがわからないのは残念で乙ざいますけれども、九月三十日という日と十月十五日という日、日付でございますね、そういうことでございます。
  208. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これはもうこの文章が事実を述べてないということですよ。いいですか。「昭和六十一年の夏ごろ、リクルート社の方が服部君を訪れ、リクルートコスモス社の株式を引き受けていただけないかという話がありました」、次に、「服部君は、昭和六十一年九月三十日に宮澤名義で一万株の購入を申し込み、店頭登録前の十月十五日にリクルート社の方の指示によりファーストファイナンス銀行口座に三千万円を払い込みました」となっているでしょう。だれが読んでも、最初に夏ごろ、だれかわからないところで、わからない場所で話があったと。それで申し込みを九月三十日にした。お金は十月十五日に払い込んだと、そうしか読めないじゃないですか、日本語なんだから。  それを私が聞いたら、次に明らかになったのは、この二つの文章の間に、この夏から九月三十日のわからないある日に、服部君はリクルート社のわからない人に九月三十日付の契約書を書き、十月十五日にお金を払い込むという、契約を結びましたということがなきゃいけない。ないじゃありませんか。入れてくださいよ。
  209. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、ある日突然に申し込んだり、ある日突然に払い込みをしたりすることは当然のことながらございませんので、やはりその間にある程度の準備といいますか、日にちがあるということで、大事なのは、同日現在でそれが行われたか、何日付で行われたかということが大事だと、こう思いまして、そう申させていただきました。文章が不備でございましたら御了解を願います。
  210. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 とんでもないですよ。今までのすべての事例で、一体向こうからだれが来て、どういう話で、融資はファーストファイナンスでどうなって、だれが一体書いたと。この契約の成り立った日の相手と場所と中身が一番大事なんですよ。一番大事なことが書いてないじゃないですか。  私は議事録を調べたい。議事録を調べなければこの問題は続けられません。だめだよ、こんなことでは。あなた、やり直しがなきゃ続けられないよ、こんないいかげんな答弁で。議事録を私は正式に調べて、質問を保留したい。委員長、やらせてくださいよ。もうこれでは私はできない、こんないいかげんな。議事録を調べてから私はもう一度質問します。保留します。
  211. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 速記をとめて。    〔午後三時三分速記中止〕    〔午後三時十四分速記開始〕
  212. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 速記を起こして。  上田君の件につきましては、速記録を調査することといたします。  上田君の残余の質疑は後刻に譲ることといたします。  次に、柳澤錬造君の質疑を行います。柳澤君。
  213. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 最初に、総理、せっかく民社党を代表して質問するんですからお聞きをしておっていただきたいと思います。  私が最初に申し上げたいことは、これは四月の初めころなんですが、ある社が世論調査をした内容なんですけれども、国民が今一番期待してないものは何かという、その第一番に挙がってきているのが日本の政治、二番目が政治家、三番目がタレントという、これがベストスリーなんです。今のリクルートの問題で騒いでいるときではないんです。私はそういう意味でもって、今私たち国会で一番大事なことは、日本の民主主義政治をどうやって維持、守っていけるかということ、そのところが大事な点だと思うんです。そういう意味に立って、今のリクルートの問題なんかも非常に根が深いし、この問題をきちんと扱っていかないと、日本の民主政治というのは本当に腐ってしまうと思うんです。  ですから、過日の本会議においても私は総理に向かって、国会運営について与党は強行採決をしない、野党は審議拒否をしない、せめてこの二点ぐらい与野党が合意をして国会運営をしていかないと民主主義政治は成り立たないんですよと申し上げたんです。しかし、総理の御答弁というのは極めて簡単で、議会制民主主義は円滑に機能しておりますと。私は聞いておりまして、ことしの国会が通常国会に始まって今十二月を迎えているんですが、ことしの国会というものが議会制民主主義の上に成り立って本当に機能していたのかどうか、そういうふうなことのお互いの反省も含めてこれからリクルートの問題でまず総理に御質問をしていくんですが、竹下総理もこのリクルートの株を譲渡されたという関係者の中の名前の一人に入っているんです。総理自身が政治倫理綱領に触れるというふうにお考えになっているのか、それとも、いやわしは触れないんだというふうに思っていらっしゃるのか、そこをまずお聞きしたいんです。
  214. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 最初、民社党を代表する質問であるからしっかり聞け、こういうことでございました。確かに私は三条件を掲げていつもここへ座っております。眠るな、怒るな、トイレに立つな、この三つで一回も聞き落とさないように聞いておるつもりでございます。  そこで、今、議会制民主主義にまずお触れになりましたが、同感であります。ただ、機能しておると申しましたのは、柳澤委員の御質問の際、本会議が整々と開かれておる際でございましたので、本当はそのことを称して機能しておる、このように申し上げたわけでございます。    〔委員長退席、理事斎藤十郎君着席〕         分でございますが、私の元秘書がリクルートコスモス株式を譲り受け売却したということは、たとえそれそのものは経済行為でありましょうとも、私に関係——周辺のことでございますだけに、政治家個人としてはいささかも国民に疑惑を起こさしてはならないという意味においては、これは政治倫理綱領、これこそ反復すべきものである、このように考えております。
  215. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 総理、そこのところが、私がお聞きをしたことについて一番大事な核心を外しちゃって今お答えをいただいておるのですが、この政治倫理綱領は私も参画をして与野党が合意をしてつくったものなんです。幾つか決めておりますのですが、その中の綱領の一つにこういう言葉があるわけです。「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない」と。したがって、本人であるか秘書であるかは問題ではないんです。やはり疑惑を持たれるような場合には、みずから進んで真摯な態度でそれを解明せいと言っている。そういう点に立ったときに、総理が真剣になってこの問題の解明についてのお取り組みをいただきたいと私は思うんです。  ですから、そういう点でこの政治倫理綱領を身を挺して一生懸命やっていくんだということだけではなくて、現実に今起きているこのリクルートの株の売買の問題について、総理も御関係をなさっている一人なんですから、そういう点でどう御判断をしておるかということを聞いておるわけなんです。
  216. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今御指摘なさいましたとおり、「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない」、そのとおりに私自身も身を処すべきであると思っております。
  217. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 ですから、総理先ほど私が聞いたのは、総理はその政治倫理綱領にお触れになるというお考えなんですか、それとも、いやわしは触れないんだというふうに御判断をしているのかということが一つ。それで、その御答弁がないから、政治倫理綱領では与野党が合意をしてこういうものを決めたんですと。その中ではこういうことを決めているんですよ。そういう意味に立つならば、総理みずからが真摯な態度でこの問題についての解明をなさっていただかなきゃいけないんじゃないでしょうか。私はそう思うんだけれどもと言って聞いているわけなんですから、それにお答えしていただかなければならない。
  218. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私個人の問題でないにしても、いわば周辺の問題がいろいろ御議論されておることそのものが、私はまさに今御指摘なさったこの疑惑を持たれた場合にみずから真摯な態度でと。したがって、これが自分自身の可能な限りの解明の問題、それから行政府の長としては、行政府内でできる解明の問題、そして国政調査権に対する協力の問題等、最大限に行わなければならない課題だというふうに思っております。
  219. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 ただ、総理、どうなんですか、そういうお気持ちで今までリクルートの問題について自分もそこへ名前も挙げられたりするから、それを解明して国民の疑惑を解かなくちゃいけない。そのためにこれこれの指摘をしたんだというふうなものが、私どもあるいは国民の目に映らないわけですよ。そして、あれは秘書がやったんだという程度のことしかない。だから、秘書がやったんでは済まないんです。国民はそうは見ていないんだから、もう少し一生懸命そのことについて疑惑を解くだけの努力をしていただかなければならない。それがなされたとは私は受け取っていないんですけれども、その点いかがなんですか。
  220. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私の周辺の問題につきましては、まずは国会の質問に対しては私の可能な限りのお答えをいたして今日に来ております。ただ、私は今行政府の長という立場であります。個人的に記者会見を求めてどうするとかというようなことはむしろ差し控えるべきであると、いつもそのように思っております。
  221. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大蔵大臣はもうきのうから随分みんなから追及を受けているので、私もこれから大蔵大臣にいろいろお聞きをしなけりゃいけないんだけれども、総理、非常に大事な点で今も総理言われましたでしょう。国会で質問をされたならばそれにはちゃんとお答えをしておりますと。大事なことは、ここでもってだれかに質問されたらそれにお答えをするのではなくて、少なくとも一国の内閣総理大臣であるならば、いろいろこれだけ国じゅうを騒がしておるリクルートの疑惑について、進んでそれを解明して国民の疑惑を解くことをおやりになるのが私は内閣総理大臣の任務だと思うんです。今もぽっとこう言われましたけれども、これも総理の口癖であれですから、こう言っておきたいと思うんだけれども、私は行政府の長だからあんまり立法府のことにとやかくくちばしを入れるのはよろしくないと思うというのは、これはもう総理の口癖で何回聞かされたかわからない。  しかし、ここはお考えいただきたいと思うのは、今も言いましたように、一国の内閣総理大臣です。しかも日本の内閣総理大臣が持っている権限というのは、私はアメリカの大統領に匹敵するくらい強大な権限を持っている。それと、私は行政府の長なんだというそれだけでは済まないんですよ。少なくとも、日本の国全部の政治はどういうように動いていくか、あらゆるものの動くそういうものについていろいろと指示をし、やっていただかなきゃならないのであって、その問題は立法府の問題であって、行政府の長がくちばしを挟むことではないと言って何回も聞かされたんですけれども、私はそういう意味から立つならば、だったら何で政府が、これは予算は別ですけれども、いろいろたくさん法案をつくって国会へ送り込むんですかと言う。法律をつくるのは立法府、国会なんですからお任せしておいていただければいいわけなんで、この国会の中でもってみんなが考えて知恵を出して、それで議員立法でやれば法律はできるんです。それで、行政府がそれをやっていただければいいわけなんです。  だから、総理のようなことを言っておると、政府が国会に法案を出すのもやめていただかなくちゃならないのであって、その辺をああこう言って別に私は総理を困らせるつもりで今言っているわけじゃないんですけれども、一国の内閣総理大臣として強力な権限をお持ちなんですから、その権限を一〇〇%駆使して、そして今国民がどういうことの問題について疑惑を持ち、どういうふうな状態にあるか。生活が困ったら減税をしてやらなくちゃいけない、こういう疑惑があるならそういうものは解明してやらなきゃいかぬという、そういうところへ頭を働かせ知恵を働かせて、やはり国民を安心させるというようにしていただきたいということを申し上げているのであって、それについてお答えがあればお聞かせいただきたい。
  222. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに、行政府の長としての答弁の範囲ということをよく申しますのは、私も三十年の経験の中で、佐藤内閣のときに特にその秩序ができたんじゃないかなと。私は内閣官房副長官から官房長官を当時しておりましたので、その整理を何か自分でしたような気がしております。  それから、国会に対して私がそれこそ眠らず、怒らず、トイレに立たずという形で本当に一生懸命対応するというのは、これは日本の仕組みからいって、私は国会で指名されておるわけですから、これは春日先生の論文だったと思いますが、昭和二十六年ぐらいの論文でございますが、いわば国会の使用人ではないか、使用人が首を切る権利があるとはおかしいじゃないかとユーモラスな発言でございますけれども、そういう論文も読んだことがありますが、そういう意味において国権の最高機関ということに対しては、それこそ本当に例えどういう形であろうと、パフォーマンスとかそういうものは考えないで、正式に、つつましやかに、謙虚にお答えするという姿勢は、これは私の一つ考え方だろうと思っております。  しかし、今御指摘がありましたように、いわば三権というものが別に厳然と存在するわけですから、その三権の長としての大変それなりの権力があるではないかということに対しては、私はそのことを絶えず念頭に置きながら、なすべきことをなさなければいかぬというお互いの、お互い国会議員ですから、柳澤先生も総理大臣になられる機会はあるわけでございますから、そのことは国会議員になった途端から今もその重さというものはもちろん感じていることはもとよりでございます。
  223. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 総理には、また最後に締めくくりでもってお聞きをしてまいりたいと思いますが、次の大蔵大臣の方に入ってまいりたいと思うんです。  今もいろいろ議論がなされておったんですけれども、きのう大蔵大臣が冒頭に発言なさいましたのを私もじっと聞いておったわけですが、あれを聞いておりますと大蔵大臣は被害者ではないかと、こう言うんです。結局、きのう大臣が言われたことを簡潔に要約して言えば、服部秘書が、秘書官というか秘書大臣の名前を使って一万株の株を買って、その資金の三千万円も自分が用意をして払い込んだ、そして半月後に五千二百七十万円でそれを売って二千万余りをもうけて、それも服部氏が自分銀行口座に入れたんだという、これで間違いないわけでしょう。そうしてくると大蔵大臣は被害者じゃないかと、私はこう見るんですけれども、そこのところはどうなんですか。
  224. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私自身二つの過失を犯したと考えております。一つは、私の秘書をいたしました者がこのような取引をいたしたということ、もう一つは、その秘書説明をそのまま国会に申し上げてまいりました結果、真実でないことを御説明申し上げてきた、私はこの二つの過失を犯したわけでございます。  それは私自身の過ちでございますが、三十年余り信頼をして使っておりました服部恒雄君を結局私が十分に厳しく訓練していなかった、いわば甘く使っておったと申しますか、言葉は適当でございませんが、もっと厳しくすべきであったし、ただすべきはたださなければならなかったということを、私は大変に後悔をいたしておるという立場でございます。
  225. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大臣、そこで私が第一の疑問点として申し上げお答えをいただきたいのは、服部秘書自分のお金で三千万円払い込んだ。長いこと秘書官もしておったんだし、そのくらいの金は持っていたはずだときのうも言われたわけなんですが、しかし秘書官ってそんなに高い給料をもらっているんですか。しかも、きのうもいろいろ質問のお答えの中で、彼もそれ相応の年だし、家族も多いし年寄りも抱えているしと、こういうふうに言っておられたんですが、それだけ家族も多かったりお年寄りも抱えて生活をしているというなら、なおのこと三千万からのお金が蓄えられるというふうには私どもには理解ができないんです。また、一般の国民もそうだと思うんです。  ですから、その辺を大臣、そういう庶民の感覚というものをもう少しお考えいただかないと、長いこと秘書官なり秘書をやっておった、それは三千万円ぐらいの金はため込んでいたんだろうと言うけれども、一般の国民、庶民から見れば、三千万というお金がどんな大変なお金かということはみんな知っているわけなんだ。そんなにたまるものじゃないわけなんだ。それを簡単にきのうもここでもって大臣がお答えになるから、これはきょうの問題ではないけれども、税制改革なんかにしても、大蔵大臣としてそういう感覚で税制改革というものをお考えになると、あの税制改革だってうまくいかなくなってしまう。ですから、その辺の感覚をもうちょっと、大蔵大臣か知らぬけれども、物を考えるときには、一般国民が、庶民がどんな気持ちでどういうふうなことを考えているのかというところへ思いをはせて物を考えていただかなきゃいかぬと思うんですけれども、その点はいかがですか。
  226. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 三十何年の間、私は公私の区別は厳格にしろということを実は教えてまいったつもりでありましたが、他方で、私生活にはなるべく干渉しないようにということも考えてまいりました。しかし、結果といたしまして、ただいま柳澤委員の言われるようなことになりましてまことに相済まぬことだと感じます。
  227. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 今の答弁だけでは、これを聞いている国民の皆さん方は、大臣、それは納得せぬですよ。  ですけれども、それはまた先へ進めていく中でお考えいただくとして、第二の疑問点として私が申し上げたいことは、秘書官なり秘書というものが無断で大臣の名前を使って、三千万からの金を動かして二千万からの金もうけをしたということですよ。そんなことが秘書官なり秘書仕事として許されることだろうか。今も言われましたような、大臣は長いおつき合いで、ずっともう自分に仕えてくれたんだから本当に信用しておったと言うけれども、信用しておったと言っても、信用されればされるほどその秘書は、そういうふうなことを大臣も全く知らないうちに独断でやるなんということをやるべきでないし、また、そう大臣が言われたって、それを国民に信じろと言ったって、信じろと言う方が私は無理だと思うんです。  それで、一、二ここでもってそういう点でぜひ解明しておいていただきたいのは、リクルート側服部秘書に接触したのは、きのうのこの中では「リクルート社の方が服部君を訪れ」と、こう言っているんだけれども、それはどなたかということを明らかにしていただきたいことが一つ。  それから、これもきのうの中に「株式売買約定書は見当たりません」、もう二年前だからと書いてありますけれども、これもやはりこの問題の解明の一つの大事な点ですから、その辺をもう一回。まあこれをお書きになるときにはなかった、しかし国会でそれだけ言われたんだから、二年前のことですから何とか探して見つけていただきたいし、それからお金の出し入れの証明書、そういうものを何とか見つけてお出しをいただくことによって、今まで大蔵大臣がここで発言された、証言なさったことの裏づけになることだと思うんです。ですからそういう意味で、そういう資料を何とか見つけてお出しをいただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
  228. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今回この御報告をいたしますにつきまして、私自身ができるだけのことを確認しようと努めました。確認できたものもございます。その限りにおいては御報告をいたしておるわけでございますが、何々銀行、何々証券会社となりますと、それはまたそれで余りそういうことを言ってほしくないというのが私経済でございましょうから、その辺もよく考えなければならないと思ってまいりました。できるだけ的確に真相を把握いたしまして御報告を申し上げなければならないと思っております。    〔理事斎藤十郎君退席、委員長着席〕
  229. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これはほかの委員からも出ておったことですから、やはり事実を解明する上について御努力いただきたいと思います。  それから、第三の疑問点というか、これはむしろ疑問点と問題点と両方になるんですが、先ほども言いましたように、宮澤大蔵大臣のお名前を使って株を買って、服部秘書名義でその株を売ってもうけたわけでしょう。そうしたら、これは財産横領にならないですか。そうでなけりゃ私文書偽造、そういう問題も私は出てくると思うんです。このことも私これ以上追及してどうこうという気はないですが、でも先ほどのその資料と同じように、何とかその点は解明して明らかにしてください。そうでなけりゃ、せっかく今までというか、きのうこれが最後のと言って、さっきは最後のがちょっとまたもめたんだけれども、一応それでも大臣が苦衷の中でつくられた言うならば文章ですけれども、そのことの裏づけにならない。  ですからそういう点で、大臣よく聞いていただきたいんだけれども、きのう大臣が申し上げたこのことであれば、先ほども言いましたように、大蔵大臣は被害者だという、大蔵大臣自分の名誉を傷つけられたことになるのじゃないんですか。それで、いろいろ服部さんが、長い間あれかしらぬけれども、やられてきた。ですからそういう点で、一つの点は、やはり服部秘書を告発していただかなければ、長い間自分に仕えてくれた、そういう友情があるかわからぬけれども、これだけ大臣自分の名誉を傷つけられたと思うならば、そこはやはり思い切って告発をしなければ、これは大臣の御発言がおかしくなります。  それから二つ目には、やはり服部秘書をこの国会に証人としてむしろ大臣の方から進んで出席させて、そしていろいろとみんなが疑問に思ったこと、あるいはいろいろのそういうものを新聞やなんか見ておって疑問に感じた国民に、事実はこうでしたと言って、そういうものを解明するためにも、これは大蔵大臣、おやりになる必要があると思うんです。これはもう私から言わせれば、大蔵大臣がきのうも最後のと言ってこれを申されたわけだけれども、そういうことについて信じてくださいと言われたんですが、信じていただくために、大蔵大臣として政治生命をかけても、それは残酷なようだけれども、服部秘書のやられたことについて自分がどれだけそういう点について名誉を傷つけられたか、もうこれは私的の情でなにするわけにいかないので告発をする。それから国会に証人として出して、それでここで、皆さん方の前でそういう疑惑、疑問を解明するということをおやりいただかなければどうしてもこれはだめですけれども、その点は大臣、いかがですか。
  230. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今回の出来事を顧みますと、まことにこれは、せんだっても申し上げましたが、断腸の思いであるという一言に尽きるのでありますが、片一方で、私が人を信頼した余りいろいろいわば厳しくしてこなかったということ、これは自分もそういう責めを負わなきゃならないというような気持ちがしておるところでございます。  ただいま御指摘のように、事実を解明しまして、なるほどと言っていただけますように、さらにいろいろ努力をいたしたいと存じます。
  231. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これはぜひ努力してください。  先ほども言いましたように、やっぱり大蔵大臣の政治生命をかけておやりいただかないと、今ここでもってリクルートの問題について云々だけじゃなくて、大蔵大臣の生涯をかけての、それは運命を左右するなんと言っちゃいかぬですけれども、それほどの重いものですよ。したがって、そういう点でもって幾つかの資料をお出しいただきたいことや、おやりいただきたい今言ったこと、大変簡単な御答弁になったけれども、これはぜひおやりをいただきたいということを申し上げておきたいと思うんです。  今度は文部大臣、もう私が言わなくたって、何を言われるかおわかりになっていると思うけれども、高石前文部次官のことなんです。あれを知ったとき、私は文部大臣がどんな心境になられたかと思うんですね。特に文部大臣は、政治家じゃないという言い方をしたらおかしいですけれども、大臣になってこういうふうな場においでになったんだから、そういう点では古い政治家のように簡単にうそなんかつけないはずだと思うんです。それが高石前車務次官は、初めは文部省から問い合わせがあったときは「私自身の手で株の売買をした覚えはない。名義を貸したこともない」という答弁をしておった。そのうちにだんだんなにしてきたら、「家内が私の名義でコスモス株を譲り受けていたことは、朝日新聞記者から指摘されるまで知らなかった」、こう言ってきた。いよいよ今度は国会に、ここへ証人として喚問されることになったら、うそをついていた、私の心の弱さからですと。  私は一連のあれを新聞で読んでいて非常に情けないなと思ったのは、私どもはうそは泥棒の始まりと教わったものですよ。その一番の教育のかなめである文部省の最高の地位まで上がった、事務次官の地位までついた高石さんがこういう行為をしておった、これでどうやって文部行政が、教育行政ができますか。今、学生や生徒は全部で二千五百万人、先生だって百何十万人いると思うんですよ。この人たちが文部省から物を言われたことに対して、そのことを拳々服膺なんというといかぬが、やっぱりそういうふうな文部省からの指導というものを聞いて教育ができるのかどうか。学生や生徒がまじめになって勉強ができるのかどうか。一番そこの頂点におった人がそういううそを言ったということになれば、それは学生や生徒にすればうそを言うのは当たり前なんだというふうに思うと思うんですけれども、文部大臣としてその辺についての御見解、また御心境のほどをお聞きしたいと思うんです。
  232. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) お尋ねの件でございますが、高石前車務次官の件に関しましては二つ意味で大変遺憾なことだと思っております。  一つは、リクルートコスモス社の未公開株の譲渡問題、これは過去のことでございますが、しかし事務次官当時の行為として残念な行為であったと思います。  また、今わざわざお触れになったんですが、私の代になりまして、まさにその事実関係を御当人が述べられるのが、結果的には御自身がやったことであったにもかかわらず、一番身近な奥様にそれをかずけるというようなことは、やはり特に教育畑で数十年育った者にしてとても言うべき言葉ではない、私自身はとても理解できないことでございます。  ただ、それを申し上げるのは、単に高石氏をなじる言葉だけではなく、私自身をまたしかる言葉として申し上げておるわけで、なぜ当初から真実を一番身近な文部省にいる者に語ってくれなかったのか。それを最初言ってくれなかったのはやはり私に徳がなかったからであろうということで反省もいたし、特に先生おっしゃいますように、文教行政は今教育改革の第一歩をしるそうといたしておりまして、与野党の各委員方々に真剣な御審議をいただいておるところでございます。特に、学校教育におきますことはもちろん、また生涯教育と申しております以上は、年代にかかわらず、今ほど文教行政に注目をしていただいているときはないと思います。その文教行政の信頼を損なうということは一番心の痛いことでございまして、これは単に高石氏をなじるだけでなく、文教行政の信頼を保つために、今文教行政にあります私どもとしては三倍も五倍も努力をいたしましてこの損なわれた分を埋め合わせ、さらに信頼を取り戻さなければならない。  幸い現職職員の者たちは涙ぐましい努力をいたしておるわけでございますが、これをきっかけといたしまして、さらに省内に対しまして厳正な職務の遂行、これを徹底させようということで事務次官、官房長を通しまして、局長会議、課長連絡会議を通しましてその職務の執行に対しましてさらに徹底をさせたところでございます。これからこの信用を取り戻すには相当な努力が要ると思いますが、心して最善の努力をいたしてまいりたい、このように感じておるところでございます。
  233. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 文部大臣、ありがとうございました。  それで、これは江副さんの件に絡むんですが、おやめになったから余り深く立ち入ることはないと思うんですが、一言だけやっぱりお聞きしておきたいと思うのは、高石さんが初等中等局長時代に江副さんを教育課程審議会委員に選んだ。今度は事務次官になったときに江副さんを大学審議会委員に選んだ。それで高石さんは、下部から上がってきたのにおれは判こをついただけだ、こういうふうに言っているんだけれども、その言葉を文部大臣、信じられるんですか。私から言うならば、やはり職務権限を行使した、そうとしか思えません。これはもうおやめになったんですからそうはじくることはないんですけれども、職務権限を行使したんだという、その辺についてのあれは大臣もそういうふうにお思いになっているかどうか、その点だけお聞かせいただきたいと思うんです。
  234. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 今おっしゃった審議会は、それぞれ第八条機関でございます。したがいまして、それにはそれぞれの関係法令がございまして、その手続にのっとって適正に任命されたと思っております。また、その任命権者は文部大臣でございます。  高石氏は、はっきり申し上げまして、仕事上その任命にタッチし得る立場にいたことは確かでございます。しかし、その推移をいろいろ聞いてみまするに、影響力を行使したということはない、このように承知をいたしておるところでございます。
  235. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大臣、これはきちんとしていただかなきゃいけない点は、その高石さんが事務次官当時に生涯学習振興財団の設立ということをお考えになって、次官室でもってそのことについて相談をされていた。そして、その次官の在任中に帝京大学ではその財団に八億の寄附をするということを決めた。この帝京大学は、日本私学振興財団から六十二年度も二十四億五千五百六十六万円もの助成金をもらっている大学です。そういう大学が、この高石個人が生涯学習振興財団をつくる、そこへぽんと八億の寄附ができるなんて、これも私たちの常識では理解のできないこと。国民もわからぬと思うんです。そんな金の使われ方をするならばといって、さあそれじゃ税金を納めるのをやめようかという気になってくると思うんです。ですからその辺につきまして、これは文部省としてこれに対してどのような処置をなさったのかということ、この点は国民が納得できるような御説明をいただきたいと思うんです。
  236. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 二つございまして、具体の経緯につきましては私からよりは政府委員からお答えをすることをお許しいただく点があろうかと思います。  それは、この財団の設立の発意がいつ、だれによって行われたか、その辺は私、現在正確にお答えする知識を持っておりません。ただ、それがないからといっても、二番目の点にはお答えできるわけでございまして、それは、発意はともあれ、新しい財団ができましたときにある一私学が八億円の寄附をいたした。そして、一方で二十四億円強の私学助成を受けておる法人であるということでございます。これは一般の方々から見て、どうしても素直に言って疑問のおわきになることだと思います。これにはしっかりとお答えしなければならぬ、こう思いまして、そのお答えが二つに相なります。  一つは、これは一つ一つの経過を法に照らしてみますと、その学校法人が理事会を通じて寄附をいたした。そして一方で、私学助成を受けているが一方で寄附をいたした。この一つ一つを法に照らしますと適法でございます。したがって、適法であるとまずお答えをいたさなければなりません。ただ、適法と申し上げて、それで疑問が解けるだろうかということは私も率直に思います。特に、それが一つの事象であっても、その甘さが私学全体に対して御疑念が広まるというようなことがありますと、一生懸命私学経営それから教育にタッチして、余力もなく懸命の努力をなさっている多くの私学の方々のお気持ちと社会の見る目が乖離してしまうというおそれを感じるわけでございます。  そこで私は、私学の置かれた立場の重要性というものはさらに認識をしなければならぬと思いますし、私学助成そのものは、押しなべて五〇%助成を目指しながら、今や二〇%を割り込んでおるわけでございますので、私学に対する助成全般はさらに手厚くしなければならぬ、こう思っておるわけでございます。  それだけに、ちょっと長くなりますが、この今起きた事象に対してどのように対処したらいいか、これは三つの方法を考えなければならぬ。一方では、この法が議員立法でございますので、法の精神というものがあろうと思います。今まで運用してまいりました私学振興助成法の精神は、それぞれの私学の経営内容は参酌せずというものを守ってきた一面がございます。その法律の精神をどうするかということについて今真剣に考え直す時期であるかもしれない。  もし法律が正しいとすれば、その運用に欠けたるところなかりしかということをみずからに問う必要があるかもしれない。  三つ目は、私学の自主性をとうとぶということがあるわけでございますから、私学の自主性をたっとんだ上で打つ手はないのか、こういう点がございます。行政が今いたそうと思うことはいろいろございますけれども、行政の選択肢というものは、立法の精神を考えますと意外と幅が狭くなっておるものでございますから、この際、この点を契機といたしましていろいろお知恵を拝借し、氷山の一角という言葉が正しいかどうかは別といたしまして、この機会に全体をいい方向に進めていくお知恵を出し合っていただく機会ではないか、率直に言ってそう考え、投げかけさせていただいておるところでございます。
  237. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 総理、これだけリクルートの問題が出てこなかったら、高石さんは八億の金でもっての財団を中心にして選挙活動をやって今度の選挙に出るということなんでしょう、立候補は意思表明しているんだから。しかし、少なくとも文部省の最高の権力と言っちゃおかしいが、地位について、その人がこういうふうなうそつきの男であった。それは今、文部大臣も言われたけれども、日本人というのは、家内がやったことでも夫がそれの責任をとるぐらいなのが日本人の気風。自分のやったことをあれは妻がなんていうのは、これは日本人の恥です。そんなのが国会議員になってここへ出てこられたら困るじゃないですか。  そういう点でもって、これは総理大臣というよりか自民党総裁として私は御意見を聞いておきたいし、お願いもしておきたいんだけれども、こういう方は自民党でも公認はしないで、こういう人は国会議員として出てきたら恥ずかしいことだといって、そういうことはさせないようにやっていただきたいんだが、どうですか。
  238. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわば公職に立候補する、こういうことは個人の自由でございましょうから、そこまで立ち至った私は議論をする考えはございません。自由民主党という政党の中において選挙対策委員会というものがございます。私が委員長でございますが、総裁たる者が委員長になるわけでございますけれども、先日も一度申し上げたことがございますが、総裁機関説というのもございます。したがいまして、私は良識をもって処理されるものであろうというふうに考えておるというお答えが限界ではなかろうかと思います。
  239. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それは総理の言葉を善意に受けとめましょう。だけれども、自民党の良識というのは時々国民の良識と違った方に行くから、そういうことがないように、その言わんとしていることはおわかりだと思いますから、そういうふうにお受けとめをいただいて、やはりきちんとけじめをつけるのはしていただきたいと思うんです。  次に、法務大臣にお聞きするんですけれども、リクルートの事件でもって法務省の方にお聞きするといっても、なかなかまだ難しい段階があるということは私はわかるんです。ただ、ここでもって具体的にどうこうというのでなしに、私がどうしても大臣にお聞きしたいと思うのは、かなり調べが進んで、江副さんというかリクルート社というか、これは何がねらいでもって、何を目的としてこういう事件を起こしたのかということの、そういうふうな大きな輪郭だけでも法務大臣として今までのところから御判断になったことをお聞かせいただきたいと思うんです。それは、一方で金をもうけたのもいるかわからぬけれども、片方じゃこのために大変な迷惑を受けている人もいるわけです。したがってそういう点でもって、江副さんの考えてやっていること、リクルート社がやろうとしていることについて、法務省として、今までの過程でもってどの辺まで御判断なさっているかということをお聞かせいただきたいんです。
  240. 林田悠紀夫

    国務大臣林田悠紀夫君) 先生仰せのように、今、調査検討中でございまして、広範にわたっております。したがって、これは長引くわけでございまして、今までのところ、検察当局からこういうことだというような全容につきまして私はまだ聞いておりません。したがって、まだそこまではいかないということでございまして、現在のところ、こういう考え方で行われたんだということまで把握をしていないという状況でございます。
  241. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大臣、ここのところは教えてくださいよ、今言われたことはもうそれで理解しますからね。公式、非公式に広範にわたってというんですから、いろいろ取り調べをやっていると思うんです。公式、非公式にいろいろ含めてどのくらいの数の人たちについての取り調べをしているのかという、その人数だけ教えてください。
  242. 林田悠紀夫

    国務大臣林田悠紀夫君) これは刑事局長からお答えした方がいいと思いますので、刑事局長に答えさせます。
  243. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 先ほど大臣がお答えいたしましたように、まだ、捜査ということよりも、捜査の前提となります事実関係調査なり検討をいたしている状況でございます。したがいまして、何人取り調べたとかいう点までまだ聞き及んでいないところでございますけれども、感じといたしまして、先刻来お答えいたしておりますように、多数人ということで御了解いただきたいと思います。
  244. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それは大臣言ってください。ああいう答弁は失礼千万ですよ。私は名前を挙げて言えと聞いたんじゃないですよ。広範にわたっていると言うから、じゃ少なくとも、公式、非公式にいろいろのところで調べているんだろうけれども、その人数ぐらいが言えないという……。  それで、この機会に私これはぜひ法務省の皆さんにもなにしておってほしいけれども、よくこれは委員会でもあることだけれども、それは今取り調べ中ですから言えませんと、こう言う。それは、取り調べのさなかにその事件の内容について質問されたって答えることはできっこないことは事実ですよ。だったち、いろいろ言うならば、犯人でも何でもないのにもかかわらず検察から呼ばれていろいろと調べられる。その調べられるときに、既にそこへ何で新聞記者を呼んでそういう人たちのところを全部写真撮らせたりなにをするのか。そういうことは今取り調べ中ですから言えないというんならば、そういうふうなこと、明らかに起訴するに至らない段階でいろいろと調べている過程においては、その人の少なくともやっぱり身分保障をして、その人たちのあれが明るみに出ないようにするのが私は検察のあれだと思うんですよ。ですから、もう一回答弁やり直しなさいよ、そういう失礼千万な答弁をしないで。
  245. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) お言葉でございますが、私どもは取り調べの際には密行性ということを重視しまして、なるべく外にわからないようにやるわけでございますけれども、最近いろいろの、報道機関を何も批判するわけではございませんけれども、やはり相当広範囲に報道機関が活躍いたしましてそういうことが漏れてしまうわけでございます。今申し上げました中で数を申し上げられないと言ったのは、何も秘密で申し上げられないと言ったのではありませんで、まだ調査中でございますので、一々、何といいますか、役所へ呼んでその取り調べをしているという状況ではございませんので、数を十分把握していないということで申し上げているわけでございます。決して数を秘匿しておるということではございませんで、技術的にちょっとそういう計算はしていないということでございますので、ひとつ御了解いただきたいと思います。
  246. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それは法務大臣ね、大臣からきちんと検察に答えさしてくださいよ。少なくともきのうちゃんと質問通告をしているんですよ。さっきから言っているのは、名前を言えと言っているのではない。広範にわたっておる、どのぐらいの数かということのそのくらいのことも言えないで、それで今言うとおり、起訴前の人間がなにされたことについてはマスコミのせいにするなんて、それはもうけしからぬことですよ。
  247. 林田悠紀夫

    国務大臣林田悠紀夫君) おしかりでありますけれども、今、刑事局長の答えたことは実際そのとおりでございます。と申しまするのは、検察というのは、人権に大いに関係がございまするので、それを尊重するためにできるだけ秘密でやっていこうということでございまして、ある程度調査検討が進みませんと、そういう何人というようなこともなかなか申さないということでございまして、検察がある程度のところへ来ました場合に検察首脳部の会議がありまして、そしてそれによって問題が出てくる、こういうようなやり方でやっておりまするので、御理解を賜りたいと存じます。
  248. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これは後でまた、時間がもうなくなっちゃうからあれですけれども、もう一度触れたいと思うんです。  それで、労働大臣の方に、時間もないですから、労働省も加藤前次官の問題が出て、ですからその事実がどうとかなんとかを私お聞きするつもりはございません。やっぱり労働行政も範囲がかなり影響が大きいですから、そういう点に立って二度とこういう事件が起きないようにやっていただきたいし、そういう意味に立っての労働大臣の御決意のほどだけお聞かせをいただきたいと思うんです。
  249. 中村太郎

    国務大臣(中村太郎君) 加藤前次官の行いましたリクルートコスモスの株式引き受けにおきましてはいろんな問題を投げかけたわけでございまして、そのことが労働行政に対する国民の信頼を著しく損ねたということにつきましては私大変遺憾に思っておる次第でございます。  しかし、これをただ単に加藤氏だけの問題にとらえるだけでは解決にはならないと考えるわけでございまして、先般全職員に対しまして綱紀の厳正な保持について指示を行ったところでございます。とりわけまして幹部職員に対しましては、常に自省自戒し、いやしくも内外から不信を買うことのないように身を正して、今回の信頼回復のためにも全職員一丸となって労働行政に努力すべきであるという要請を行ったところでございますけれども、今後におきましても一層綱紀粛正の徹底を期してまいりたい、こういう決意でございます。
  250. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 自治大臣、地方自治体もこのリクルートの問題であちこち問題が起きて、これもいろいろここできのうも取り上げられているんですから、浦和がどうだとか川崎がどうだとか、それはもう私は言うつもりはございません。今、労働大臣からもお聞きしたんですが、そういう点でやっぱり地方自治体においても綱紀粛正というか、きちんとして、こういう事故の起きないようにちゃんとやりますという大臣の決意のほどをお聞かせいただきたいと思うんです。
  251. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 地方公務員の綱紀についてはこれまでも厳正に確保されるよう指導してきたところでございますが、今後とも、地方公務員は全体の奉仕者として、いやしくも住民の疑惑を招くような行為がないよう、公務員としての自覚を促すとともに、綱紀の厳正な保持について努力をするよう指導してまいりたいと考えております。  ごく最近でございますが、十一月十四日に公務員部長の名で、地方公務員の汚職の防止について、これは過般の参議院の六十年度決算の承認議決に際して、地方公共団体においても汚職事件の再発防止等に万全を期するようにすべきであるという警告決議を受けたところでもございますので、こういうものを受けて、特に今注意を喚起しているところでございます。
  252. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 最後に、総理に若干申し上げて、また御見解もお聞きをしたいんですが、ことしの国会はこの状態でいくとちょうど延べ三百十一日間になるんです。異常なロングランの国会をやるわけなんですが、その最大の要因は何かといえば、このリクルート事件だと。それで、冒頭にも申し上げましたように、このリクルート事件でだれが金もうけをしたか、だれが迷惑をこうむったか、いろいろあるけれども、一番のあれは国民がこれによってどれほど政治不信を増幅したか、そこが私は一番の問題であり、日本の政治の危機だと思うんです。それで、その辺の解明が明らかにならないと、政治家というものはそんなものかといってみんなが政治家に対して信用しなくなるんです。そうすると、その政治家がこの国会の中で集まって、そうして、やれ税制改革だ何とか改革なんてやったって、何を言うかといって国民はそんなものは聞きやせぬ。したがって、そういう点に立ちまして、いかにして速やかにこのリクルート事件の問題について解明をして、そして国民の疑惑を晴らすということを早くやることだ。それが民主主義政治の崩壊を防ぐことだと思うんです。  そういう意味に立ちまして、中曽根内閣関係の閣僚の名前が大量に挙がっているわけですよ。中曽根前総理の名前すらやはり挙がっているわけなんです。それは竹下総理にするならば、前総理のことですからいろいろとやりにくいこともあるかと思うんですけれども、これだけ閣僚経験者というか、かなりの人たちが挙がっているんですから、国会でもってここでやいのやいの言われて、そういう点についてああだこうだと答弁をしてやっていくんじゃなくて、内閣が挙げてこのリクルート事件について解明をして、国民の皆さん真相はこうだったんです、ここにポイントがあったんです、この点は今後二度と起きないように改めますと言って、そういうことを総理、本気になってリーダーシップをとってやっていただきたいと思うんです。竹下内閣が維持できるかできないかの問題ではなく、その変な意味ではないんですよ。本当に私が危惧するのは、日本の民主主義政治が維持できるかどうかという、そういうふうな大きな問題をこれははらんでいると思うんです。そういう点に立って、本気になってやはり総理が先頭に立って、内閣を挙げて取り組んでこの問題の解明に当たるという、そういうふうな決意を持っていただきたいと思うんです。先ほどのあの刑事局長のような、ああいう、あれはふらち千万です。  それから、先ほどもなんだけれども、やはりうそがまかり通るような政治にしちゃいかぬですよ。うそをつく者は公務員であろうが何であろうが、そういう役職にもうつけませんと言って、やはり総理国民に向かって物を言う、そうして間違ったものをただすということを内閣が挙げて取り組んで、日本の民主主義を守っていただきたいと思うんだけれども、総理の御決意のほどをお聞かせいただきたいと思うんです。
  253. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 御指摘なすったことは全部私は理解できます。が、一つ確かに、私がよく使う言葉でございますが、民族悠久の歴史の中においては竹下内閣なんてしょせん本当に歴史の一こまです。民族悠久の歴史、民主主義永遠の歴史の中のほんの一こまでございますが、その一こまがいわゆる民主主義の崩壊をもたらすような政治不信というようなものを惹起したら、これはまさに永遠に汚名を残すことでございます。  したがって、今日の場合、私なりに考えて四つの問題でリクルート問題というのには対応すべきだということを申し上げておりますのも、私なりに再発防止ということをまず念頭に置いて、私がどなたに相談することもなく分析した証取法上の問題、税法上の問題、刑法上の問題、政治倫理、道徳の問題、こういうふうにいたしておるわけでございます。したがって、やはりこういうことが起こった歴史的環境も含めまして、私はこれに対してきちんとした対応をすることが今の場合私に課せられた最大の責任ではなかろうかというふうに考えております。
  254. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 具体的に総理、どういうお取り組みをするかということをお聞きしたかったんですけれども、時間もございませんから、実際に行動の中から国民にわかってもらうように示していただきたいと思うんです。  それで、時間もございませんからもう終わりたいと思いますが、最後に、これは私が言わなくても総理は十分御存じだと思うんですが、もう何年前になりますか、イギリスであのプロヒューモ事件というのが起きました。これは当時の陸軍大臣ジョン・プロヒューモという方が町の女と関係したといって話題になって騒がれた。ところが御本人は、自分は潔白だと言ってそのような事実はないということを証言したわけなんです。ところが、その肝心な街の女であるクリスチン・キーラーというのが、いや、私は大臣とは関係していたんだということを発表したんで、それで大変な騒ぎになった。国会で問題になったのは、その大臣が町の女と関係したかどうかということは問題ではない。言うならば、神聖な国会においてうその証言をした彼は不誠実な男だということから、とうとうこのプロヒューモ陸軍大臣大臣もやめる、国会議員もやめる、そして身を引いていった事件があるわけなんです。  これはアメリカの場合でもそうですけれども、えてして日本の場合には、どうもうそというものを平気でなにするような習性があるものですからなにですけれども、やはりさっきも言ったように、うそがまかり通らないような政治にしていかなければ日本の政治はよくならぬと思う。  そして、冒頭も申し上げましたけれども、この今の国会の運営、私はこれが議会制民主主義の政治だとは思っていません。本当の議会制民主主義の政治というのはどういうものかといって、お互いに与党とか野党もあるけれども、その中でもって言うならば、今もそれは総理も言われたように、日本の国の民族の悠久の大義のためにどうなんだといってこの国会の中で議論ができるような、そういう国会にしたいです。  そういうことを最後に申し上げて、時間が参りましたので終わりたいと思いますが、あとは、先ほども言ったように、態度で示していただきたいということを一言つけ加えて終わります。(拍手)
  255. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 次に、野末陳平君の質疑を行います。野末君。
  256. 野末陳平

    ○野末陳平君 まず、総理にお伺いします。  俗に暴れ馬と言われました政府税調の特別委員の中で、リクルート株を買ったという人が何人かある。これがわかりまして、まだほかにもいるかもしれませんですが、まず、この事実を総理はどう受けとめられるか、お聞きしたいんです。
  257. 竹下登

    国務大臣竹下登君) よく暴れ馬と呼ばれたということは私も知っておりますが、行政府の長としてちょっと窮屈になりますけれども、暴れ馬の定義までをするのは差し控えるといたしましても、そういう関係者の方の中、個々の事情は恐らく違うだろうと私は思います。  したがって、一括して事情のわからないままに端的な私なりのコメントをするのは差し控えるべきではないかなと。ただ、報道関係などいろいろ騒がしたということは遺憾なことではあるというふうに思っております。
  258. 野末陳平

    ○野末陳平君 個人事情はともかく、まさに総理のお答えの今のことで、この人たちを任命した政府にも責任が間わるべきであろうと、そういうふうに考えるわけですね。ですから、この責任はだれにというか、どこにというか、それはどうなんでしょうか、全くこのまま放置しておいてよろしいものでしょうか。
  259. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに税制調査会の委員、特別委員も含めまして内閣総理大臣任命に関するものでございます。したがいまして、個々の事情等がいろいろあろうと思いますので、一括して断定することは非常に難しい問題でございますが、私なりにこの問題についての対応ということについては考えておる、あるいは考えさせていただくと言った方が適切でございましょうか、念頭の中にはもとよりございます。
  260. 野末陳平

    ○野末陳平君 私は、非常に残念だといいますかね、この税制改革の基本線をずっと支持してきた立場としてはもう裏切られたというか、腹が立つといいますかね、ちまたの声はもっとひどいですね。つまり、リクルートに汚染されたああいう委員たちがまとめた改革案なんというのはもう信用できないと、反対だと、こういう人が多いですよね。となると、私は、もうこの税制改革そのものがああいう特別委員の存在によってうさん臭く見られると、こういう中で審議をしていくなんというのは非常に嫌な気持ちでいっぱいです。  ですから、私は、大蔵大臣にも、じゃ、あえて聞きますが、もうこの特別委員の中にリクルート汚染メンバーがいるということ自体がこれからの審議の障害になっている、今既になっている。少なくも大衆の気持ちの中ではもう完全なるそれは不信感になっている、そういうことはお感じになるでしょう。
  261. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま総理がお述べになられたようなことを私も感じております。
  262. 野末陳平

    ○野末陳平君 ですから、その点では私と同じですよ。しかも、私は政府側じゃないんですから、なお一層腹立たしく思っていると、こういうことですね。  東大の教授がおりましたがね。あの人は何か辞表も出さずに国外へ脱出したというのですけれども、今でも委員のままでいるわけですね。これに対して大蔵省なんというのは何にも連絡もとらないのですか。やはりこれは無責任だと思うんだな、公の立場でいながらこういう問題が発覚した、そして国外へ脱出する。何か特別委員の立場の重みというものがわかってないような気がするんですね。  そこで、今の時点で大蔵省も何か連絡をとって進退を明らかにしてもらうというかね、そのぐらいのことをして当然だと思うんですよ。何もしていない。どういうことでしょうね、これは。
  263. 水野勝

    政府委員(水野勝君) やはり内閣総理大臣から任命された委員方々でございますので、私どもとして個々の事情、必ずしも明確でございませんし、そうした方々につきまして何らか事務的にどうこういたすということはいかがかと思うわけでございます。  それから、個々の委員の方につきましてはそれぞれの連絡先もございますので、事務的にはそういうところと連絡をいたしておるところでございます。
  264. 野末陳平

    ○野末陳平君 やはりこれは事務当局の問題より最高責任者である総理のお気持ち一つだと思いますがね。  私、言いたいんですけれども、税調の委員ともあろう人が、しかもこの大改革をまとめる重要な役割を果たしてきた人が、リクルート株、ばれたら逃げちゃう、ばれたら弁解する、ばれないときはとんでもないなんということを言ったりして、そういう軽い、ふまじめな委員たちによって税制改革が汚染されたというのは耐えられないですね。一日も早く彼らがもたらしたこの不信感を払拭しなきゃいけないと思うんですよ。先へ進めない、これじゃ。どうですか。
  265. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今、主税局長から答えましたように、私は事務当局は限界であるというふうに思います。今の素朴な国民感情、すべてであるかどうかは別として、お述べになったそうしたことを体して、やはり私自身が対応すべき問題であるという問題意識は持っております。
  266. 野末陳平

    ○野末陳平君 私個人の意見は、やはりこの際、特別委員の特に暴れ馬と言われた人たちの役割は終わった、ですから汚染メンバーがまた新たに出ないうちにもうこれは白紙に戻してもらわぬと困る、こういうふうに思っております。総理の今後の対応を期待するとして、少なくもどうもリクルート汚染を浴びたような税制改革の審議にこれから入らなきゃならぬと思うと非常に憂うつなんですけれども、宮澤大蔵大臣にもやはり同じ意味で少しいろいろとお聞きしたいと思うんです。  ここの、大蔵大臣のきのうの釈明は、確かにしかるべき資料確認した上でと、こういうことになっておりますが、あなたが今回確認なさった資料は何と何だと、これをもう一度ひとつことで明らかにしておいてほしいんですがね。
  267. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一番大切な部分は、本人服部恒雄氏につきまして私が自分で情理を尽くしまして真実を語ってほしいと長い話をいたしました点でございますが、そのうち、例えば株式売却いたしたあるいはその金額を自分口座に入れたといったあたりのところは、これは何とかそれを事実関係で私自身が把握いたしたいと考えまして、大体把握ができたと考えております。
  268. 野末陳平

    ○野末陳平君 ちょっと待ってください。ですから、確認した、あるいは事実関係を把握した、何と何の資料に基づいてあなたがそれを確認したかが聞きたかったんです。
  269. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 株式売却につきましては関係会社株式売却通知、それから代金につきましては関係の金融機関の資料でございます。
  270. 野末陳平

    ○野末陳平君 関係会社というのはどういう意味ですか。
  271. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 株式売却でございますので、証券会社でございます。
  272. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうしますと、十月三十一日に株を売却した。それは証券会社から来た売却報告書ですから、これは約定書もいずれ送られてくる。 いずれにせよここで確認されているわけですね。資料がある。そして振り込まれたのが服部君の銀行口座と、こうなっておりますね。これも大蔵大臣確認なさった。  さてそこで、ではその振り込まれた日付、出の場合はまず十月十五日店頭登録前にファイナンスの銀行口座に三千万払い込んだ。さて、この入りですね、入金が服部君の銀行口座に五千万余り、これはいつですか、日付は。
  273. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは私ただいま宙で記憶をいたしておりませんが、それも確認をいたしておりまして、売却が十月三十一日でございますから、それから間もなくのことでございます。
  274. 野末陳平

    ○野末陳平君 いやいや、間もなくって、金額が違いますよ。五千万円の振り込まれたこの銀行の通帳を見れば、何日というのはこれは黙っていたってわかるんで、だって三十一日に売却したものは特定してはっきりしているんだから、通帳もごらんになっているんだから、何日、間もなくじゃない、何日。
  275. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私がただいま記録をここへ持っておりませんのですけれども、少なくとも数日の中でありますことを自分確認いたしております。
  276. 野末陳平

    ○野末陳平君 その数日が、通帳がなくても本来はわかると思うんですが、まあこれはよろしいでしょう。いずれにせよ、後でまたお聞きしてもいいんですが、こういうように資料がきちっとあれば、もう何といいますかな、こんな大きな取引は記憶できるはずなんですよ。その辺が結局大蔵大臣釈明というのがなかなか信用できないと言われるゆえんだと思うんです。  もう一つ先ほど上田委員からの質疑にもありましたが、九月三十日というんですけれども、申し込みですね。この九月三十日が特定できたのはなぜなんですか。これは資料もやっぱりあるんですか。
  277. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは、実は以前から服部恒雄君自身が年度末のようなことを言っておったのでございます。前にもこのことはしたがって申し上げたことがあるかと存じますが、その後各この種の取引、これは国会資料も出てまいりましたしいたしますが、九月三十日という日が、ほぼこの日に皆さんが契約を、購入をこの日付で契約されたということがほかのケースでわかってまいりましたので、服部恒雄の記憶が正しいものと考えまして申し上げております。恐らく間違いがないと思います。
  278. 野末陳平

    ○野末陳平君 ですから、記憶だけでこれを特定しているんですけれども、いない日ですから、先ほどの話のとおり。だから、もし特定するならばしかるべき書類があったんじゃないかと思ったんです。ところが、株式売買約定書は見当たらない、こうありますので、この辺も、資料があってはっきりした日付を覚えていない、資料がないけれども大体これはそうで間違いないから特定できる、この辺のあいまいさというものが非常に不信感をもたらします。やっぱりどうですか、証券会社売却報告書あるいは売買約定書ですが、あんなものはすぐ取り寄せられますから、現にここにあるそうですが、ごらんになったんだから、その程度は出してもいいんじゃないですか、これを裏づけるために。
  279. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 証券会社売却通知書でございますが、これは私自身自分確認をいたしております。  実は、こういう関係のものをどこの証券会社である、あるいはどこの銀行であるということは、それはどの程度申し上げるのがいろんなことから適当であろうかということを自分であれこれ考えつつあるわけでございますけれども、また御意見でもございますのでよく検討さしていただきます。
  280. 野末陳平

    ○野末陳平君 これは特定の証券会社の名前が知りたいわけじゃなくて、この大蔵大臣釈明が正しいと言うんならば、あなたがごらんになった資料もつけた方がいい。証券会社は隠したっていいんですよ。ですから、きちっとしたものをできるだけお出しになる方がよろしい、そう思うんです。  それからもう一つ服部さんと大蔵大臣は長い仲ですから、いわば兄弟、家族というか、そんな感じですからこそこの通帳をごらんになったんでしょうね、個人のお金が出たり入ったり。この通帳ですが、五千万売却代金が入っている。二千万売却益がある。ここは当然いいんですが、どうでしょうね、出るときも三千万出て、入ってきて五千万、短期間に。五千万並ぶというのは普通の通帳じゃありませんからね。となると、これどうでしたか、立ち入って申しわけないんですが、このお金はすっとどこかへまとまって出ていっているんですか。それとも、服部さんの私的消費だったら簡単にはなくなりませんが、どうだったですか、これかなり残っているんですか、それとももうほとんどないんですか。いや、これはなかなか大事なポイントだと思いますよ。
  281. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 実は、私もこの五千万円の入金を確かめることを非常に大事なことと思いまして、その後のフォローアップを実はしておりませんので、もう一度ひとつそれを私自身で確かめてみようと思います。
  282. 野末陳平

    ○野末陳平君 これは、先ほどほかの委員からは三千万円という金は簡単にできるものじゃないと、これは確かにそのとおりですが、同時に三千万プラス利益二千万の五千万というゼロがかなりつく数字は、そう簡単に消費もできませんので、だから服部さんがいろんな事情があってお使いになったとしても、残っているかもしれないし、あるいはまとまって出ていっていれば、それが個人的な不動産の購入なのやら、それとも大蔵大臣の後援会とか政治団体とかそっちの方に行っているやら、これはやっぱりわかりませんからね。  ですから、その辺もやはり大蔵大臣がきちっと確かめた方がこれの重みが出ると思うんですよ。ひとつそのぐらいのフォローがないと、これは僕もできればそのまま一〇〇%信じたいと思っているんですよ。だけれども、ところどころやはりあいまいだなという気もしますので、あえて質問の形でこれをアドバイスさせていただく、こういうことですから。さあそこで、大蔵大臣の問題も税調の特別委員の問題も早く片がついてくれないと、どうも税制改革の審議に入ろうという積極的な気持ちになれないんですけれども。  もう一つ、労働大臣と文部大臣にも来ていただいておりますが、事務次官という官僚のトップであるそういう人がこんなにいいかげんだとは思っていなかったんで、これもがっかりなんですね。これはまずリクルート疑惑以外にも常識では考えられないというか、どうかと思えるような行状が新聞などにあれこれ報道されております。あれはオーバーだと思うんですが、まさか本当じゃないでしょうね。あれ本当ですか、確認しましたか、文部大臣。いろんなことがありました。一々言うのも何か恥ずかしいぐらいなものですが、どうなんですか、あれは。
  283. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 文部省についての御指摘ですと、前文部事務次官についての報道が連日のようにございます。その真偽を逐一確かめ尽くしておるという状態ではございません。  ただ、私どもは正すべきところは正したい。そして、何に厳しく対応するかというと、一連のものが、やはり私どもとしては文教行政の信頼を損ねるということが一番心に痛いことでございますので、その真偽は別といたしましても、その一つ一つの事象というものが取り上げられるごとに、お子さん方からおばあちゃま、おじいちゃまに至りますまで、特に教育をつかさどるところでございますから、その信頼が損なわれませんように、それは個人を責めるのと同時に、私ども今その職にあります者が誠心誠意努力をいたしまして文教行政の信頼を取り戻さなければいけない、それを率直に感じておる毎日でございます。
  284. 野末陳平

    ○野末陳平君 大体どうなんでしょうね、特に教育に携わる、これが一番今問題なんですけれども、文部大臣のお答えのとおり。教育問題を論じて、もうあちこちの座談会やら講演でもっともらしい教育論をぶったこの事務次官が、あんなお粗末だというのは、これはあきれているんですが、歴代の事務次官も大体あんな程度なんですか。いや、いやいやこれは決しておちょくったわけじゃないんですよ。  例えば、事務次官室で株の取引の話をするとか、それから教科書会社にいろいろおねだりするとか、何か考えられない、あの方は特例だったかもしれないが、ひょっとして当たり前だという伝統というか慣例というか、そんなのがずっとあるかもしれないし、わからないからお聞きしているんですが、彼は特別だったんですか、それとも大体似たり寄ったりということなんでしょうかね。
  285. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) はっきり申してどうお答えしても心が晴れないことは確かでございます。それは、私はその特定なごく常識を欠いた一人の行動として残念に思うということは確かであります。またしかし、行をなじるだけで疑問が解けない面があるかもしれない。それは、そういう人間を生んだ土壌が教育畑になかったのかという御疑問については、これはこれから私どもが一つ一つ消していかなければならぬ、こう考えておるわけでございまして、それはまさに今現職にあります者、また長い間文教行政を支えてきた多くの方々の熱意というものは厳然としてある、私はそう信じております。したがって、たとえ一粒の間違いがありましても、それで全体が疑われるようなことは断じてこの際信用を取り戻さなければならない。  また、この際申し上げさせていただきますが、現職にあります文部行政に携わる者は涙ぐましい努力を今いたしておることは事実でございます。しかし、一般の方々に対します信頼を取り戻すためには、さらに三倍も五倍も努力が必要であろう、このように決意をいたしながら努力をいたしておるところでございます。
  286. 野末陳平

    ○野末陳平君 文部大臣のお答えをそのまま信じたいと思いますよ。  ただね、一粒の常識を欠いたこの人物が、どうでしょう、政策決定をゆがめたこともないし、便宜を図ったこともないというような、そういうことを本人が言ったとして、そのままそれを信じていていいものでしょうかね。そこがこのリクルート疑惑との関連で非常に大事なことであると、そう思っているんですが、やはり行政面では彼は潔白であったし有能であったと、こういうふうになりますか、常識を欠いている人間が。どうなんですか。
  287. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 個人の考え方それから行動にやはり正すべきところはあったと私ははっきり思います。それから、彼が行政に身を置きます間に少なくとも局長、事務次官を歴任しておったことは事実でございます。しかし、その携わっておりました職能の間にある一つの事象に対しまして特段の影響力を行使したということはないというふうに私は承知をいたしております。そして、まさに先生がおっしゃりたいことは、審議会というものがやはり文教行政の中にはございます。それぞれ八条機関でございますので、それぞれの手続によって適正に委員は任命されておるところでございます。  そこで、お尋ねにはないことかもしれませんが、少なくとも大学審、課程審、大学審は二十名近い方々の御熱意がここに集約されております。課程審におきましては、八十名近い方々の熱意ある御審議の結果が集約されております。そして、たとえ一人の力が行使されようといたしましても、それで左右されるようなものでは断じてない。私は、その求められた方向を信じて、それに対して今後着実に文教行政を進めていきたい、このように考えておることは事実でございます。
  288. 野末陳平

    ○野末陳平君 労働大臣にも同じようなことでどうしてもお伺いしたいんですね。やはり新聞などで報道されている範囲なんですけれども、どうも事務次官という名にふさわしいとは思えないような行状が幾つかあるという。そうなると、今の文部大臣のお答えにやや関連しますが、たまたま一人の特別な存在だったということであろうかもしれないが、しかし、そういう人が労働行政に携わっていろんな影響力を行使したということは当然考えられるんですがね、リクルート株をもらったということを土台に考えると。どうなんでしょうかね。
  289. 中村太郎

    国務大臣(中村太郎君) 加藤前労働事務次官の一連の行為というものにつきましては、私ども大変遺憾に思っておるわけでございます。十月十一日の朝刊にこのことが報道されて、私どもは早速当日の夕方、本人からの事情聴取を行ったところでございます。そのとき加藤氏は、いやしくも行政の中で政策決定をゆがめたり、あるいはまた便益を供与したという事実は全くありません。ただ、私の行った行為は、当時次官という立場にありながらこのことをやった行為はあくまでも軽率であり後悔をいたしておりますということを言われたわけでございます。省としましても、無論加藤さんの行為そのものが犯罪に該当するかどうかということをつまびらかにする立場ではありませんけれども、労働行政の信頼保持という面から一応の調査をやりました。当時の関係の職員、業務に携わった連中からも周辺事情を聴取いたしたわけでございますけれども、まさに本人の言うとおり、そういう事実は把握できない、こういう状態でございました。  私は、それはそうであったとしても、本人の言うことが正しかったとしても、これだけ多くの問題を投げかけ、しかも世間を騒がし、国民の労働行政に対する信頼を失ったという責めは免れがたいということを大変遺憾に思っているわけでございます。そういうことで、今後におきましては、もし疑惑を招くような行為がありますれば徹底的に事実の解明をし、その上に立って厳正な処置をしなければならないと考えておるわけでございます。  御指摘のありましたような新聞紙上をにぎわした、例えば労働省の幹部がリクルート社社長以下幹部と会食したというようなこと、これも事実を解明しましたけれども、残念ながら報道のとおりでありました。このことに対しましては私の方から、当時出席をした幹部を代表する意味で事務次官に対しまして文書による厳重注意を行いまして、また同席した幹部に対しましても口頭による同じような処置をとったわけでございます。  今後とも、綱紀の厳正な保持という面につきましては本当に十分細心の注意を払って努力してまいりたい、このように考えているわけであります。
  290. 野末陳平

    ○野末陳平君 お答えを聞きながら感じますのに、やはり文部省、労働省にとっては非常に不幸なアクシデントだったという気がします。もちろん私は、彼ら二人の存在によって文部行政や労働行政は全くだめなんて言っておりませんが、しかし、今後とも彼ら二人のもたらしたマイナス面はカバーしていただかなきゃ困る。  ただ一つ最後に、どうも江副氏というのはお金でいろんな公職を買ったんじゃないかという気がしてならない、それぐらいに幅広くいろんなところに顔を出しているんですな。税制の専門家であり、教育の方があり、労働と、肩書の数は幾つでしたかね。そういうのを見ますと、そんなあっちこっち顔を出せるほどの人なのかどうか、そんなオールマイティーかどうか、こう考えると疑問もある。  そこで、これは資料でなくて結構ですよ、時間もありませんからお答えいただくわけにいかぬでしょうが、文部省、労働省、大蔵省、それぞれの立場で江副氏がどういう点で評価されて、過去どういう実績を持ってそういう審議会の委員などの肩書というものをもらえるところまで来たのか、その辺の事情を、個人的で結構ですが、ちょっと教えていただきたいと思うんですよ。それによって、来週証人喚問もありますから、確信はそちらでしたいと思いますので、どうでしょうか、それだけお願いして終わりにしたいと思いますので、よろしくお願いします。  じゃ、終わります。
  291. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 次に、下村泰君の質疑を行います。下村君。
  292. 下村泰

    ○下村泰君 私、実は本日の質問をするに際しまして、非常に悲しい気がするんですね。と申しますのは、国会というところは、日本という国の国民全体の生活考え、世界における現在の日本という国の立場を考え、どうあるべきかということを論議されるべき場所が国会だろうと私は思っています。ところが、きのうときょうにかけまして論議されていることは何だといったら、リクルートという一つの企業からおかしなことをされたということだけで、まさに日本の台所を預かる大蔵大臣が針のむしろの上に座らされて、忠臣蔵の討ち入りじゃありませんけれども、あの大きな木づちで頭をたたかれているという姿がここに現実に映し出されているわけですよ。  じゃ、何でリクルートの問題がこんなに大きくなったんだろうか。通常の株の売買、売り買いする、こんなことは常識のことなんです。だれがもうけようと知ったことじゃない。ところが、世の中には詐欺をする人かたくさんおりますよ。例えば豊田商事の事件であるとかいろいろあります。こういうことをやりなさい、もうかりますよ、あなたの今後の一生は楽ですよ、老後はこんなに楽になりますよと言って、なけなしの銭を巻き上げて、しかもその後は野となれ山となれ。その方たちの中には犠牲者も出ています。世の中では、もうけ話というのは昔からまゆつばもので、千三つ屋とか三百代言とかいろんな言葉で表現されます。本当にもうかるという話なんというものは、そうざらにあるものじゃない。ところが、このリクルートに限っては本当にもうかっているんですな。しかも、それが特定の人たちにもうけさせたというところに大きな問題があって、もうけさせていただいた方が職務権限などという言葉で表現できるような位置にいたということが、国民から非常に疑惑を持たれて、不信感を抱いている一番大きな原因だと私は思うんです。  縄のれんだとか、こういった一般大衆の席で話を聞いていますと、一番私らがこたえるのは、国会議員というのはみんなそんなもうかるのか、この一言で片づけられるんですよ。やったやらない、その立場にいるいないは別なんですね。議員と肩書がつけば全部そうやってもうかるのか、そういう話はのべつ幕なしあるのか、来るのか、こういうことで責められるわけなんです。  ここに、徳川時代に二本松の城主で丹羽高寛という方がおりまして、この方が古代中国で、これは戒石銘というんだそうですが、自然石に刻んだ文句があるんですね。これは現在二本松市の霞ケ城の公園の入り口に、旧藩庁の通用門のあった場所に、自然石に書かれて、ちょっと小さくてそちらから見えにくいでしょうけれども、こういう文句が刻まれておるんです。この文句は「爾の俸、爾の禄は民膏民脂なり」、これはもうお二人ともよくおわかりだろうと思います。民のあぶらであり、民の脂である。「下民虐げやすく上天欺きがたし」、下々の者はだましやすいが、上の者はだましにくい、殊におてんとうさまはだましにくいということなんでしょう。これはもう、こういう言葉を使うのは私耐えられないんですけれども、きのうからきょうにかけての大蔵大臣の御返答の中に出てくる服部さんというのは、まさに大蔵大臣から見れば下民なんですね。下の方なんですよ。その方は虐げられているわけです、今。でも宮澤大蔵大臣の心の中にはわだかまりがあって、何か私は耐えられないものがあるんじゃないか、そんな気がします。  今回のこのことに関して、宮澤大蔵大臣がどうのこうのと私は別に申し上げる気はございません。むしろ、私の質問の時間には頭は休めていただきたいぐらいに思っています。ただ言えることは、国民というのは甘くないよということですね。そして、見るべきものはきちんと見ている。この判断はきちんとしておかなくちゃいけないんじゃないか。  もう一つ、ここに尼崎西署の競艇場との癒着事件があります。  この中に、警ら課の課長のある警部が余りにも生活が派手だという内部告発から始まって事件に発展してきた。この警部が、これやめるどころか、別の署のやっぱり警ら課の課長をやっておるそうですね、この人は今。こういうことを言っているんですね。関係者の証言でわかったということなんですけれども、本来これは辞職を勧告されたんですね、この方は余りにも癒着が激しいんで。そうしましたらこの警部は、「「接待を受けているのは私一人ではない。県警幹部や署長も同席している」と開き直っていた」そうです。しかも、県警もこの事実を認めていたというんです。  そうしますと、このリクルートの事件が始まってからこれも出てきているわけですよ。こういうふうに一番国民の直接現場にいて、治安を維持しなきゃならない警察官がこういう感覚なんです。よく言われる言葉です。上正しからざれば下必ず乱る。しかもリクルートで、悪い言葉で言えば、かつて大臣で今何でもない関係方々、もう名前を列挙されています、きのうからきょうに。いけしゃあしゃあとしている。カエルの面に小便というやつだ。そういう姿を見るとこの人たちだって、何をぬかしてけつかるのじゃと、国会の連中だってあれじゃないか、何でおれたちばかりが責められるんだという観念、これ、なって当たり前のような気が私はするんです。一番逃げ口上として使いやすいですからね、こういうのは。  そこで、政治倫理というか、政治姿勢というか、私はこれ口にするほどの人物、人間でもございませんけれども、政治家というのはどうあるべきかと率直に伺いたいと思うんです。総理大蔵大臣、ひとつぜひこれはお伺いしたいと思っていたんですが、お二人とも政治家になろうと心にお決めになったとき、そのときのひとつ思い出を語っていただきたいと思うんです。何が動機で政治家を志したのか、これもついでにお伺いしたいと思います。
  293. 竹下登

    国務大臣竹下登君) おっしゃる御意見の方はよくわかります。  さて、お尋ねの件でございますが、政治家に、動機と申されますと、私は学徒動員の一番最後の帝国陸軍最末期の陸軍少尉でございます。したがって、復員して帰ります道すがら、今後の自分の行くべき人生というものを、私は山の中の育ちでございますから、荒れ果てたそういうところを見ながらやはりみずからの生きる道は政治家だというような決意をした思い出はございます。それほど肩怒らして言うほどの話じゃございませんが、素朴にそういう感じはございます。  そして、総理大臣になろうなどと思ってはおりませんでした。今日たまたまこうなっておるということでこざいます。
  294. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まことに厳しいお教えをいただきまして、心から申しわけなく思っております。  私は、いわば戦中戦後、殊に戦後は、比較的敗戦後を身近に体験したものでございますから、どうか日本をいい国にするのに何か役に立ちたいというような、まだ世界というような意識はございませんでしたが、そんな気持ちでございました。
  295. 下村泰

    ○下村泰君 恐らくお二人ともそのときには大きな夢と期待があったと思うんです。ただ漠然として政治家になろうと思ったんじゃないと私は思うんです。やはり総理総理なりに何かお考えがあって、日本という国をこうしたいんだ、ああしたいんだという夢とか希望とかというものはあったと思います。同じく宮澤大蔵大臣にもあったと思います。  そこで、その若き情熱と今と、そのときに持っていた政治に対する情熱と今とどのくらい変化がありましょうか。変化があったらどういうところに変化があったのでしょうか。
  296. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 難しい質問でございますが、やはりその当時は肌でもって国民大衆と接触しておったということが一番今に比べて重要なポイントではなかろうか、だんだん長ずるに及びまして、そのことを意識しつつもやはり乖離が生じておるんじゃないかなというふうに思います。
  297. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今、こういうおとがめを受けまして、余りいろいろ申し上げられるようなことでもございませんが、やはり電車の中の広告などをもう見る機会がなくなってしまった、これがやっぱりいけないなということをしょっちゅう思っております。
  298. 下村泰

    ○下村泰君 大変味わいのある言葉だと思います。  私も総理と同じように、ビルマ、タイ国から復員してきた一人の兵隊です。そのときに、昭和二十一年の八月ですが、横浜の駅まで参りました。浦賀に上陸して、検疫が済んで、五百円いただいて、ああこれは三カ月遊べるなと思ったら三日目には百四十円しか残っていませんでした。そして横浜の駅へ来たときに、あのいわゆる当時進駐軍と言われる兵隊さんの腕に日本の女性がぶら下がっていました。それを見たときに頭に血が上りまして、危なく私はその兵隊さんに暴行とまで言わぬ、暴力を振るう直前まで感覚的にそうなりました、感情的に。一体おれたちは何をしに行ったんだ、ビルマへタイ国へ。周りではマラリア、コレラ、ペスト、ありとあらゆる法定伝染病があります、ビルマには。ばたばた死んでいく。時によっては敵の爆撃がある。機銃掃射がある。タコつぼという防空ごうへ逃げます。私はそのときかっけを思ってはって逃げた、匍匐前進というやつですね。そしてはって逃げた。そしてそのタコつぼの中に両腕をついて逆さまに入った。そのときに何と私は戦っていたかといったら、アマガエルと戦っていたんですよ。下に水が少しありまして、そこに小さいアマガエルがおるんです。こいつが人の顔へはぬ回るんです。敵の飛行機の銃撃を受けるどころか、カエルをよけるのと戦っていました。そして戦友が私の足を引っ張ってくれて、宿舎にはって帰ってきます。すると、全然動けない戦友がおるんですね。その戦友は敵の二十ミリ機関砲で見るも無残に肉の一片も残さず四散しておるんですよ。そういう状況を経て帰ってきてそういう姿見たときに、何をおれはしてきたんだ、何のために銃をとって戦ってきたんだ、こういう感じになりました。しかし、そのときに私は政治家になろうとは思いませんでした。竹下総理と違ったのはそこでございます。私は芸能の方へ入りました。  今日まで来て、じゃ、なぜここへ来たかといえば、もう竹下総理も御存じのごとく、あゆみの箱の慈善運動をやっておりまして、その方たちの声を直接国会に申し上げて、少しでもその方たちのお役に立てばと思ってここへ来たわけです。ですから、総理とは全然立場が違います。  しかし、国民政治家に対して厳しい批判の目を持っていることはこれも事実でございます。まあ、政治家でなければということもあります。政治家でなければどうということもないんですが、政治家であるがゆえに厳しく問われることがあります。どうして政治家というのは国民の目から厳しく問われるのでしょうか。それをお伺いしたいと思います。
  299. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 難しく言えば、憲法のもと、国権の最高機関の一人である、国民の選挙という洗礼を受けてその地位を獲得した者である。したがって、国民がみずからの代表であると同時に、ある種の自分の描く理想像をそこに求める。それと乖離が生ずれば大変な批判を受けるだろうというふうに私は感じております。
  300. 下村泰

    ○下村泰君 また返しますと、ここに席を並べている方々国民から大きな権限を与えられています。それで、身分についても保障されております。これはあくまでも国民の側から任期中だけ与えられたものだと思いますね。ですから、バッジが外れればただの人というあの稲葉稻修さんの言葉じゃありませんけれども、議員でなければただの人になるわけです。しかし、それだけの権限が与えられてはいても、身分が保障されていても、その乱用、悪用まで国民というものは許していないということになるんですね。逆に国民のためにのみ使うということを要望されているわけです、私どもは。それはその周囲の人たち、例えば秘書や家族あるいは役人、官僚、すべての者みんなこれは含むと思います。それは我々に課せられた宿命だと思うんです。これ、どうにもならない。ここへ来た以上その務めは果たさなければならないものだと思います。  そういう意味からいいますと、現在の大蔵大臣の御心境はいかがなものでしょうか。
  301. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そのような期待に反して、大変申しわけないという気持ちであります。
  302. 下村泰

    ○下村泰君 まして国民は、議員に選んでもうけさせてやろうなんて考えているわけはないんですよね。むしろ国民のために身を粉にして頑張ってほしいと思っているし、また皆様方も、選挙のときには必ず有権者の皆様方の前でそう訴えておいでになったと思います。だから、たとえ法的にどうであれ、国民が許した権限以上の行為によってみずからが潤おうとしたら、国民としてはやるせないと思います。これはもう許せないと思うのが当たり前だと思います。それに対してすべての国会議員、政治家、これはもう与党であれ野党であれ同じだと思いますけれども、関係の有無にかかわらず、国民に対し答える義務があります。まして関係のある方は、関係のあり方がどうであれ、かかわったと思われる人は、それぞれに厳しく責任を明確にしないと、国民の信頼も政治に対する希望や夢も期待もあり得ないと思います。  かつて政治に理想を抱いた総理大蔵大臣、今の子供たちが同じような理想と夢を抱いて将来の日本を背負っていこうと考え、そのような政治をしていかないといけないと思うんです。現在のようなことが毎日のように新聞に報道されると、これから日本を背負って立とうとしている子供たちにどういう影響を与えるか、第二の人生の人たちにどういう影響を与えるか、それをお考えになったことは総理ございますか。
  303. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる報道関係等の厳しい記事、これが子供たちに与える影響ということを、私は一度もその批判する側に対しての批判をしようと思ったことはございません。すなわち、それは私ども自体に問題があるということだからこそ、一つの世相というようなものができてくるのではないか。  したがって、私どもが政治家として、またなかんずく総理大臣として、日々の生活といというものに対しても厳しく律していくことによって、後世代の国民の皆様方がより高度な幸せを追求していかれる環境を少しでも阻害をしないようにしなければならぬというふうに考えております。
  304. 下村泰

    ○下村泰君 先日、朝日新聞でございましたか、世論調査で、同じ百万円でも、働いて得たのと働かずに得た——宝くじですね、どちらが重いか聞いたところが、九〇%の人が働いて得た方という、これは当たり前のことなんです。九%の人が同じという。しかし本音は、どっちかといえばやっぱり労せずして金を手に入れる、そちらの方が本音に近いと私も思います。できるだけ働かないでどんどんお金の入ってくる方がいいんですからね。これが普通のサラリーマンなら許されることなんでしょうけれども、それでしかも、そういって銭もうけしたやつは運のいいやつだなと思うんでしょうけれども、たもたまこういう形になってきたということは、先ほども申し上げましたように、あってはならない立場にいる人がそういうことがあったということだろうと思うんです。  で、私なんか考えて一番不思議に思うのは、本人がお金を全然出さないのに勝手に金が向こうの方で動いて、そしてもうかった分だけが本人のところへ来るという、こんな不思議な感覚というのは、普通じゃわかりませんわね。それが現実に行われているというところに国民は余計納得いかないんじゃないかと思うんですよ。  そういう中で、国民にこれから新しい税を負担してもらわなければならないという審議を今やっていなきゃならない。先ほどからも出ております、これは。しかし、果たしてこういうことで国会が論議していて、国民の側に言えるでしょうか、総理。税金というものは、新しい制度ができれば必ず悪く言われる。決してよくは言われません、それは。今までの税法になれてきて、急に形が変わればですね。そして、いつも言われることですけれども、まあ薄く広く皆さんに負担をしていただいて、将来の、二十一世紀の、あるいは高年齢時代に入る日本のとおっしゃいますけれども、これ、いつ三%が四%になるかわかりませんわな。必ずしもずっと三%という予約はないわけでしょう。それと確約はありませんわね。いつこれが四になるか五になるか。これは確約があるわけがないし、国民の方もそう思っていましょう。それだけにこの税制の審議というのは大変なわけです。その最中にこういうことになると、だれが払うものかという、これ、単純にそうなるんですね。  先ほども申し上げましたように、縄のれんで酒を飲んでいるような立場の方たち、私も含めてそうですけれども、国会というところが、もう衆議院がやっていようが参議院がやっていようが、いつでも国会というのはやっているように思われているわけです、国民の皆さんは。ですから、先ほど申し上げましたように、特定の人がそういったもうけ仕事があって新聞記事になったにしても、議員全部がやっているんだという感覚になるわけなんです。それをそのまま延長してきて、こういう事態になっていて果たして税制問題を真剣に国民に問えるかどうか、非常に私は難しいと思いますよ。  ですから、果たして国民の将来を信託できる政治家国会議員がこの中にいるんだろうかという、そこまでいくようになります。そうしますと、全然信頼性がなくなるわけですね、国会の。どうします、総理。こういう感覚を国民の皆さんに、もう植えつけられてしまっているわけです、今。それを取り除くにはどういう方法が一番よろしいと思いますか。
  305. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 一つには、それはいわゆる政治倫理綱領、行為規範に徹するということでございましょうが、私は、税制改革のためにお願いした今度の国会でございます。しかし、今おっしゃったようなリクルート問題を中心にして国会でいろいろ議論がなされておるということが国民全体にも知れ渡っておるところでございます。がしかし、当初お願い申し上げた税制改革というものは、たとえいろいろな今の問題がありましょうとも、その中でやはり正確に訴えながら、審議しつつ理解を求め、理解を求めながら審議していくということが今なすべきことだなというふうに、これは極めて整理した上で自分に言い聞かせながら割り切っておるところでございます。
  306. 下村泰

    ○下村泰君 それは一般大衆の感覚からいえば、これは宮澤大蔵大臣が矢面に立っているんですから、大蔵大臣責任とってやめなさい、やめりゃ一番事は簡単だと言うかもわかりません。しかし、大蔵大臣がおやめになったからといってこの疑惑がなくなるわけじゃございません。だから先ほどから盛んにいろんなこと言われています。何を出しなさい、かにを出しなさい。ですから、素直にそういうものをお出しになってきれいにした方が一番いいような感じが私もしますがね。  さて、文部大臣、急に文部大臣の方に矛先が行きますけれども、個人的に、文部大臣は本当にまじめな方で、この方が元映画のプロデューサーだとは思えませんけれども、今、文教委員会の方でも大変に、いわゆる先生の資格制度その他でこれからまだ審議もせにゃならぬのですわね。何回も出てくるんですわな、さっきの高石さんという人、気の毒ですが。ああいう人が出てきて、一番簡単なのは、家庭でお父さん、お母さんが、例えばきょうのこれでもテレビ中継していますね。テレビに中継されている場合に、何の話をしているんだ、だれが何を言っているんだというようなことを、やっぱりテレビを見ながらでも子供さんに教えるお父さん、お母さんいますわ。殊に教育熱心なお母さんは余計教えるでしょう。そういうときに、じゃ何が問題になっているんだといったら、文部省のこれこれこれこれこういう人が問題になっているんだということになるわけでしょう。子供たちに、例えば小学校五年、六年になったらもうわかりますわね。このぐらいの子供さんたちにそういうことが頭の中に吹き込まれるということですね、文部省というと、一番上の人がこれ、今これから出てきてお答えになる文部大臣の次の下の人なんだ、すぐこの下の人、その人がこういうことをしていた。教育上よくないですな、これは。  ですから、先ほどから文部大臣いろいろとお答えになっていますけれども、実際、本当に文部大臣としてどうしなきゃならないか、どうあるべきかというのはもう御自分でいろいろお決めになっていることと思いますけれども、もう一度ひとつ御足労でもお答え願いたいと思います。
  307. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 御指摘いただくまでもなく、前文部事務次官の行為そのものが教育の信頼を損なうこと、残念ながら大なるものがあると思います。今や三つの点がございまして、一つは、この未公開株譲渡に関する行為でございます。二つ目は、その後の事実を述べられる間の態度というものが、やはり教育畑にあった者としてこれでいいのかという感じはいたします。それからまた第三は、やはり新たに転身される方向につきましても種々取りざたされるわけでございます。  私は、先ほどからの下村委員のお話を聞いておりまして、やはり国会議員ということになれば全体のこととして世間は見るであろう。また、文部省の一員ということであれば文部省全体のこととして見られるかもしれない。私は、それを一つ一つ正すべきは正しますけれども、やはり我が身のこととして受けとめていくというのが今この苦境を、苦境と申しますか、信頼を損なっているという実感を取り戻すためには、我が身のこととして二倍も三倍も努力する以外にない。その努力の方向というのは正すべきものは正す。そして文教行政の信頼を守るために内に厳しく対処しよう、こういうことでございます。  繰り返すようでございますが、行政に携わる者、その厳正な職務の遂行につきましては、省内に改めて徹底をいたし、襟を正して私ども自身が努力をいたすということを誓い合いながら、今、日々行政の促進に最善の努力をいたしておるところでございます。
  308. 下村泰

    ○下村泰君 同じことを繰り返してもなんでございますので、今の国会議員のあり方について、既に皆さんも御指摘なさっていますが、三つの側面から真剣な取り組みが必要だと思うんです。一つは倫理、すなわち資質、姿勢と心の問題でございますね。二つ目が政治資金、すなわち政治本来のあり方、基本について。それから三つ目が選挙制度、選び方の問題。  これらについて、いずれも自分たちで話すんじゃなくて、総理も政治改革を目指す旨のお仕事があって、ここにちょっと御意見を書いた記事もございますけれども、有権者の中から出ていただいて第三者機関のようなものをつくって、厳しい目で議論していただいた方がいいと思うんです、殊にこの選挙制度に関しましては。今も、定数是正の問題、それから不均衡の問題がいろいろと言われています。甚だしいのは、もう参議院の方においては物すごく差がございます。これは、二院クラブが比例代表制などの検討の際にも強く主張してきたことなんですけれども、どんなにすばらしい人たちでも、自分たちのあり方を考えるというのはなかなか難しゅうございますわな、利害関係もありますし、そういう意味で流されますから。リクルート問題も、一つの大きなチャンスとして、真に民主的な方向で民主主義にふさわしいあり方を考えなきゃならないときに来ていると思います。いわゆる定数是正、あれだけ格差が激しければ、片っ方は何百万になります。その人たちの意思は一体どうなるんだと。何だ、おれたちの一票はこれしか価値がないのかということにもなりますわね。  ですから、我々が、それはよく総理がおっしゃいますけれども、とてもじゃないけれども、院内でやったんではらちが明かないと思うんです。ですから、どうしても第三者的な方たちに集まっていただいてこういった制度を審議していただきたいと思うんですが、これを聞かせていただいて、私はおしまいにしたいと思います。
  309. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 政治改革の問題について、倫理、それから政治資金、それから選挙制度そのもの、三つの点にお触れになりましたが、私は勇敢な発言であると思います。と申しますのは、我々の手に負えないということを考えたときには自己否定になるんですよね、本当は。だから、本当は我々でやるべきだとだれも言いたいと思うんです。が、現実的にそこまで割り切った御意見を提言していただいたというその事実については、私も十分に参考にさしていただきます。
  310. 下村泰

    ○下村泰君 終わります。     ─────────────
  311. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 竹下内閣総理大臣から発言を求められております。竹下内閣総理大臣
  312. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 実は、上田委員のそのうち御質問があろうかと思いまして考えておったことでございますが、私は、もとより報道の自由、言論の自由を否定するなどという考え方は全くございません。しかしながら、本日のこの質疑の中で、リストをちらつかせながら野党牽制の材料に使ったという、たとえそれは他の言論を引用なさったといたしましても、私、自由民主党の一員でございますだけに、この際、そうしたことは公党の名誉にかけてございませんということだけは申し上げておくべきだと思って、あえて各党理事さんにもお願いしてこの機会をお与えいただいた次第であります。  ありがとうございました。
  313. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三十分散会