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1988-09-07 第113回国会 参議院 産業・資源エネルギーに関する調査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年九月七日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  七月十九日     辞任         補欠選任      亀長 友義君     添田増太郎君      大木 正吾君     小野  明君  七月二十日     辞任         補欠選任     福田 幸弘君     大河原太一郎君  九月六日     辞任         補欠選任      小野  明君     大木 正吾君      馬場  富君     猪熊 重二君      橋本孝一郎君     柳澤 錬造君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         松前 達郎君     理 事                 宮島  滉君                 及川 一夫君                 飯田 忠雄君                 神谷信之助君     委 員                 遠藤 政夫君                大河原太一郎君                 工藤万砂美君                 沓掛 哲男君                 熊谷太三郎君                 山東 昭子君                 鈴木 省吾君                 田沢 智治君                 田辺 哲夫君                 森山 眞弓君                 大木 正吾君                 対馬 孝且君                 猪熊 重二君                 小笠原貞子君                 柳澤 錬造君    事務局側        第三特別調査室        長        高橋 利彰君    説明員        資源エネルギー        庁長官官房国際        資源課長     佐瀬 正敬君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○産業資源エネルギーに関する調査     ─────────────
  2. 松前達郎

    会長松前達郎君) ただいまから産業資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る七月十九日、亀長友義君が、また、翌二十日、福田幸弘君が委員辞任され、その補欠として添田増太郎君及び大河原太一郎君が選任されました。  また、昨六日、橋本孝一郎君及び馬場富君が委員辞任され、その補欠として柳澤錬造君及び猪熊重二君が選任されました。     ─────────────
  3. 松前達郎

    会長松前達郎君) 産業資源エネルギーに関する調査を議題といたします。  先般、本院から、ニュージーランドオーストラリアシンガポールにおける産業エネルギー問題調査のため、海外派遣が行われました。その調査の結果については議院運営委員会報告されることと存じますが、この際、派遣議員から便宜報告を聴取し、本調査会調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  議事の進め方といたしましては、まず派遣議員を代表して大木正吾君から総括的な報告を聴取した後、懇談形式派遣議員と自由に質疑応答をしていただきたいと存じます。なお、その際、政府側にも御出席いただいておりますので、補足的に御答弁をいただく方法で行いたいと存じます。  また、質問されます方は、会長から指名さしていただきますので、挙手をお願いいたします。  それでは、これより大木君から報告をお願いいたします。大木君。
  4. 大木正吾

    大木正吾君 参議院特定事項調査議員団(第一班)報告書。  本議員団は、産業資源エネルギー等の問題の調査のため、前田勲男君、添田増太郎君、田辺哲夫君、猪熊重二君、小笠原貞子君、柳澤錬造君及び私の七名で、昭和六十三年六月十七日から七月一日までの十五日間、ニュージーランドオーストラリア及びシンガポールの三カ国を訪問いたしました。  出発に先立ち、外務省及び通商産業省の担当課から前述三カ国の状況につき説明を受け、団員一同の理解を深めました。  一行は、関係政府機関及びその他諸施設を訪問し、調査事項についての説明の聴取、施設視察関係者との懇談等を行うとともに、関係資料の収集に努めました。  以下、調査結果の概要を訪問日程に従って報告いたします。  まず、ニュージーランドについて報告いたします。  同国経済動向は、金融・財政引き締め策による内需の冷え込みと主力輸出商品である一次産品価格世界的不況により、ここ数年景気は低迷しております。特に八八年は、製造業小売業サービス業が振るわず、実質GDP国内生産成長率は一%程度と予測されております。八六年十月に導入されたGST(物品・サービス税)、八五年賃上げの影響などでインフレ率は一八・九%(八七年六月期)と過去最高を記録いたしましたが、徐々に鎮静化しつつあります。失業率は、八四年以降低下しておりましたが、景気低迷に伴い八六年後半から、従来農村部が主でありましたのが、製造業サービス業の低落とともに都市部にまで拡大しております。経常収支は、対外債務返済による利払い減少で、やや赤字幅が減少しつつあります。一次産品市況回復により輸出は好調を維持しておりますが、関税引き下げ影響輸入の増加も考えられ、予断は許されない状況でございます。  貿易動向は、石炭以外の鉱物資源にはさほど恵まれていないため、経済活動に必要な物資のほとんどが輸入されております。輸入の八五%以上は原材料や生産必需品輸送燃料であり、一方、放牧に適したその気候と農産物生産へのエネルギー投入割合少なくて済むため、食肉酪農製品羊毛世界最大輸出国の一つであります。八六年度の貿易は、輸出について食肉羊毛が好調で、前年度の七〇%増の百十五・三億ニュージーランドドル輸入については国内経済の停滞により低調で、前年度比五・九%減の百五億ニュージーランドドルとなり、貿易収支といたしましては、前年度の九億ニュージーランドドルの赤字から十・三億ニュージーランドドルの黒字へと大幅に改善されております。  次に、ニュージーランド地熱エネルギーについてでありますが、この国の地熱エネルギー開発は、一九五〇年初期にタウポ火山帯内の地熱活動の顕著な数域での探査、ボーリングから始まりま した。この地熱活動は、ホワイト島、タラウェラ山、トンガリロ山などの活火山につながるマグマ地深部で雨水を熱することに起因すると言われております。一九五〇年から六〇年代には、ニュージーランド政府主要科学研究助言組織である科学産業研究省によって地熱探査及び評価が行われました。地熱による発電では、イタリアラルデレロ地熱発電所に次ぎ、世界で二番目の地熱発電所として開発されたワイラケイ地熱発電所が一九五八年に発電を開始し、現在百五十七メガワットで稼働しており、また、ブロード・オハーキ発電所は、一九八九年の半ばに百十メガワット発電開始予定で、全国の発電量の五%を占めることとなります。  その他、地熱利用としては、カウェラウ町のタスマンパルプ製紙会社地熱蒸気木材加工利用、他の地域では、地熱利用してのさくのくいやムラサキウマゴヤシを乾燥しております。小規模なものではビニールハウス家庭暖房温水プールなどがございます。  技術的な問題として廃水処理がありますが、気水分離器開発、廃水の地下への再注入という形でほぼ解決されております。地熱パイプラインへの鉱物の付着という問題がありますが、これも気水分離器による前処理により少なくすることができました。前処理過程で金や経済的な価値のある鉱物を抽出する可能性調査中とのことでございます。  訪問しました施設オハーキ地熱発電所及びワイラケイ地熱発電所であり、オハーキ地熱発電所タウポホテルから、グランド次長以下ニュージーランド科学産業研究省の方々の案内で車で約三十分程度行くと、大きなチムニー状冷却塔、高さ百五メートル、直径七十メートルが建設中でありました。この冷却塔は、タービン発電機を回した後、液化及び蒸気中の硫化水素などの不純物を除くため設けられるものであります。ここはニュージーランドワイラケイ地熱発電所に次ぐ二番目のもので、タウポの北東三十キロメートル、ワイラケイの北三十キロメートルにあります。電気出力は約百十メガワットで、一九八九年の半ばには運転開始予定であります。発電に使用される熱水は、公害、環境保護上から、すべて地下に戻される計画であります。また、温水を利用してランが栽培されており、そのほとんどが日本輸出されるとのことであります。  ワイラケイ地熱発電所は、ニュージーランド北島主要地熱地帯、長さ二百四十七キロメートル、幅五十キロメートルの中心で、タウポの近くに位置し、この周辺のマオリ族料理用として熱水蒸気利用され、早くから地熱利用については検討が進められておりましたが、イタリアラルデレロ地熱発電所に次いで一九五八年に世界で二番目の地熱発電所として開発されました。  建設は二期にわたって行われ、第一期は一九六〇年、第二期は一九六三年にそれぞれ完成し、電気出力は一期、二期合わせて約百九十二メガワットとなりましたが、蒸気能力低下のため、現在約百五十七メガワットとなっております。地熱井からは年間四千五百万トンをくみ上げ、これまで河川へ放流しておりましたが、環境保護熱水源の涵養の観点から地下還元実験を開始しました。また、地熱蒸気は九九・五%は純粋な蒸気だが、残りのガスの九五%中に含まれる硫化水素がパイプなどの腐食の原因となるため、精選されたステンレスやテフロンの抵抗材の使用など、腐食低減化の対策がなされております。地熱発電については我が国先駆者であったニュージーランドも、現在においては環境問題を中心我が国から指導を受けているのが実情であります。  六月二十日、ニュージーランド政府手配のバスによりホテルを出発し、ニュージーランド最大地熱地帯でありますワイオタプに向かい、ワイオタプ・サーマル・ワンダーランを訪れました。タポとは、マオリ語で聖なる水と呼ばれ、このあたり一帯では活発な地下マグマ活動でつくられた水蒸気が地上へ押し出されており、その際周囲の鉱物と反応して地表はさまざまな色を呈しています。例えば黄色—硫黄白—シリカ赤茶—酸化物オレンジ—アンチモングリーン—砒素、黒・硫黄とカーボンといったようなもので、クレーターやプールにおいて独特の色が観察されました。特にアーチスト・パレットと呼ばれるところは、名前のとおり絵の具をパレット上に散らしたようなきれいな色であり、端の方ではシャンペンをグラスについだようなシャンペンプールが見られました。また、黄色に赤味を帯びたところでは金が生成されており、現在その過程調査中とのことでございます。  次に、オーストラリアについて報告いたします。  同国経済動向は、一九八五年末から景気後退局面に入りましたが、八六年後半以降の豪ドル安効果などによる貿易サービス収支改善に加え、最近個人消費設備投資などに動意がうかがわれ、景気は底離れしつつあります。  主力産業状況を見ると、羊毛業合成繊維の進展や人件費高騰等の問題を抱えているものの、最近の天然繊維ブームの中で一息ついております。資源開発産業輸出先国景気回復多様化などによって底離れしつつあり、失業率は、八六年の炭鉱スト中心に前年比一〇%増加しましたが、八七年には前年比五・四%減少しました。  インフレ率は、八七年に入ってからの豪ドルの安定及び賃金抑制によって、八六年末の九・八%から八七年末には七・一%へ改善されました。経常収支は、金、羊毛などの一次産品輸出及びサービス収支が好調だったことから、赤字幅がやや減少しております。  日豪経済関係については、一九五七年の日豪貿易協定締結、六〇年の鉄鉱石輸出禁止解除によって急速に伸び、現在では貿易額は、日豪貿易協定締結当時約四億米ドルから約二十五倍、百億米ドルまでに伸び、豪州にとって日本は第一位の貿易相手国になっております。  オーストラリアは、日本から機械、鉄鋼、自動車などの輸送機械電気製品などを輸入し、日本へは砂糖、小麦、チーズ、食肉羊毛などを輸出しております。輸出入品目が相互補完的となっているのが特徴でありますが、近年豪州側工業化に積極的に取り組んでおります。  次に、オーストラリア鉱物資源についてであります。  この大陸には先カンブリア紀から古生代にかけて生成しました鉄、金、銀、銅、鉛、亜鉛を初め、中生代の石炭石油、マンガン、新生代のボーキサイト、すずなどが多量に埋蔵されております。建国以来、開発が進められておりますが、近時、新規開発が積極的に着手されており、鉱物ブームが起こっております。すなわち西部の鉄、ニッケル、東部の石炭、中部のウラン鉱、東・中・西部石油、北部のボーキサイト、各地の金その他の非鉄金属で、その相当の部分が日本輸出されております。  訪問施設について申し述べます。  まず、ブリスベン国際レジャー博覧会についてですが、本年建国二百周年記念を祝うオーストラリアの最大の行事であるとともに、国際博覧会条約に基づき、一九八三年十二月七日に博覧会国際事務局に登録された今世紀南半球で開催される最初の国際博覧会であり、一行はそこを訪れました。  次に、ブレアソール炭鉱であります。  オーストラリアから輸入される石炭日本の全輸入量の約五〇%を占めております。ブレアソール炭一般炭でありますが、一般炭のみで見ると、豪州炭の占める割合は全輸入量の七〇%までになります。ブレアソール炭豪州からの全輸入量の二一%になります。炭鉱はクイーンズランド州中央部クレアモント北約二十二キロメートルのところ、ボーエン盆地石炭埋蔵地区の西側の盆地にあり、露天掘りであります。鉱区は約二十三・七平方キロメートル、確認埋蔵量は二・七億トン、可採埋蔵量二億トンであります。  これまで港から離れていることや輸出用石炭市場が小さかったことから小規模生産でありました が、EPDCオーストラリア社電源開発(株)子会社)、JDCオーストラリア社石炭資源開発(株)子会社)、コール・クリフ・コリアリ社アナコンナダ・オーストラリア社その他の豪州企業四社により合弁事業体を編成、一九八一年に本格的な開発を開始し、一九八四年、出炭を開始いたしました。この炭鉱からの輸入量は、豪州一般炭輸入量、一九八七年、千七百二十一万トンの二一%を占めております。現在生産規模を五百万トン体制から八百万トン体制へと拡張中でございます。  採掘は露天掘りで、灰分硫黄分など不必要な成分の含有量が少ないため選炭の必要もないとのことであります。剥土比は石炭一トン当たり一・三六立方メートル、炭層ナンバー一よりナンバー四まであり、長さが約二キロメートルにわたり、ナンバー三は炭層が平均二十九メートル、ナンバー四は三から六メートルあり、これが採炭の対象となっております。採掘炭ハンドリング施設を経て、約二百八十キロメートルの鉄道によりダーリンブルベー石炭専用積み出し港に運ばれ、約六千キロメートルの海上輸送により日本へ運ばれます。現在のところ、十五年間では約七千二百万トンを日本輸出することとなっております。  続いて褐炭液化パイロットプラントについてであります。  ビクトリア州都メルボルンから東へ約百五十キロメートルのモーエル中心とするラトローブバレー地区に、世界有数埋蔵量を誇る褐炭の大炭田地帯があります。推定埋蔵量約二千二十億トン、経済的可採埋蔵量は約四百三十億トンと言われております。しかも、約二千から三千万年前に形成されたもので、炭層は百メートルを超すところも多く、合層して三百メートルに達しているところもあります。表土の厚さは三十メートル以下と薄いので露天掘りが可能であります。ここの褐炭は極めて多孔質で四〇%以上の空隙率を有し、水分が多いが、乾燥したときは粉末状となり、大気中で自然発火するため、輸送、貯炭には極めて不向きであります。このため、年間出炭量三千三百万トンの約九〇%をこの地区で立地している発電所などに利用されているにすぎません。  一九八〇年、日豪両国政府エネルギー研究開発に関する会議におきまして、このビクトリア褐炭最適液化プロセスを確立し、基礎データ、ノーハウなどを蓄積するため、モーエルパイロットプラント建設し、運転して研究開発を行うことで合意されております。  新エネルギー総合開発機構、NEDOは、この合意と日本で進められているサンシャイン計画に基づき、パイロットプラント建設及び運転研究の実施を日本褐炭液化(株)現地法人ビクトリア褐炭)に委託して日豪協力プロジェクト研究開発を進めています。  このプロジェクトの一環として、モーエル炭田地帯の近くにパイロットプラント建設されました。このプラント水分は多いが灰分が少なく、反応しやすいというビクトリア褐炭特徴を生かした高温高圧下での二段直接水素添加液化法を採用、処理能力乾燥炭一日五十トンで、百五十バレルの中質油、軽油等液化油が得られます。  計画では十月からの総合運転を軸に約二年間の実験を続け、技術的な評価採算性を検討した後、一九九〇年代中ごろ日量五千トンの実証プラントに移行することになっておりましたが、最近における原油価格の低迷によって、直ちに実施することは困難な状況となっております。しかし、ビクトリア褐炭を経済的に輸送の容易なエネルギーに転換する最適液化技術の基礎が確立され、日豪双方エネルギー事情改善我が国の主導的な技術開発を仲立ちとした日豪連携の一層の強化に役立てていくために、この技術開発を強力に推進するとともに、将来の開発を目指して開発技術のポテンシャルを高めることが必要と考えています。  続いて、オーストラリアLNGについて申し述べます。  オーストラリア北西大陸棚天然ガス計画は、第一、第二期計画とに分けられ、第一期はカラサの北約百三十キロメートル沖にあるガス井戸にプラットホームを建設、ダンピアの近くに陸上ガス処理施設建設、さらに精選されたガスをパースまで運ぶ千五百キロメートルのパイプライン建設、一九八四年九月竣工したもので、全量国内消費用であります。  第二期は、掘削されたガス陸上にて液化日本輸出する計画で、一九八五年八月着工となりました。この計画にはウッドサイド、シェル、BHP、クラシアテック、BPに加え、MIM1、三菱商事及び三井物産の合弁会社が六分の一ずつ資本参加して計画が遂行されており、一九八九年九月を出荷目標(実際は十月と言われている)に工事が行われており、現在の工事達成率は八二%であります。LNG年間生産量は、一期及び二期工事おのおの三百万トンで、合計六百万トンで日本とは二十年間の契約であります。日本での需要先は東京電力、中部電力、関西電力、中国電力、九州電力、東京ガス、東邦ガス及び大阪ガス予定されており、今後我が国LNG輸入国シェアで大きなウエートを占めていくものと思われます。  六月二十八日、西豪州首相パーカー氏へ表敬を行いました。パーカー氏は閣僚の中でも最も有能で行動力があり、党内において支持者が多く、いずれは首相になると見られている若手政治家であります。副首相として経済開発貿易を担当しておられ、表敬に当たって、資源エネルギー安定供給の確保について、今後日豪友好関係の一層の強化が強調されました。  なお、前後しますが、六月二十三日、シドニー日本商工会議所主催夕食会があり、シドニーで活躍されている会員人たち事業活動等について親しく意見交換を行いました。同商工会議所昭和三十三年七月設立され、現在の普通会員は二百四十七法人で、主な事業活動各種情報提供調査活動商取引紹介懇談会寄附活動太平洋地域官民合同会議日豪経済合同委員会への参加などであります。  六月二十四日、褐炭液化プラントに行く途中、現地日本企業子供たちが地元の小学校に溶け込んで教育が行われているモーエルのコマーシャル・ロード小学校へ寄りましたところ、小学生たちの非常な歓迎を受けました。同小学校日豪共同教育の試みは、小さいながらも日豪関係にとって重要であることを認識した次第でございます。  最後に、シンガポールについて報告いたします。  同国経済動向は、一九六〇年代より中継貿易基地として栄え、その蓄積をてこに金融立国加工貿易中心工業化などで成功し、さらに地場産業の知識・技術集約化を目指し、ハイテク部門への外資誘致技術導入を積極的に取り入れています。しかし、輸出品価格低下を受け、賃金の割高感が表面化し、八五年初めてマイナス成長となりました。このため国際競争力回復が急務となり、新経済政策の策定などを行った結果、八六年には運輸・通信部門回復製造部門の立ち直りにより一・八%の成長となり、八七年には八・八%、八八年第一・四半期には一〇・九%と大きく回復しております。  続いて、日本シンガポール経済関係について申し述べます。  貿易関係については、日本シンガポールにとって米、マレーシアと一、二位を争う相手国で、日本からは機械機器シンガポールからは石油製品、ナフサなどが交易されており、投資面では、投資残高十九・八億米ドルの米国に次いで日本は十四・六億米ドルとなっております。  日本企業の進出は総数約八百五十社あり、製造部門では、労働集約的業種から資本技術知識集約的業種へと投資の重点が移行しています。経済協力は、七四年以降資金協力の約束はなく、技術協力中心であります。また、シンガポールにおける日系企業数は、八七年四月一日現在八百五十二社で、日本商工会議所会員数は、八八年三月現在、四百八十六社にも上っています。  訪問した施設二カ所について申し上げます。  まず、日本エレクトロニクス・ディバイス株式 会社であります。スコールの中、ホテルを出て目指す会社を訪れました。この季節はスコールは時々あるそうであります。この会社は一九七八年、カラーテレビ用及びカラーディスプレー用カラー受像管をつくるため、(株)日立製作所シンガポール経済開発局との合弁により設立されたもので、敷地は十万三千八百平方メートル、建物は四万六千九十平方メートルであります。従業員は千九百五十人で、一日に三シフト制をしいており、現在日産三十万個の能力を有し、一九八七年三月、一千万個を超えたとのことであります。  工程は材料から組み立てまでを一貫して行うもので、品質管理日立製作所技術が用いられ、現在では現地従業員も対応できるようになりましたが、就業期間がまだまだ低いそうであります。コスト的には日本よりも安く、マレーシアシンガポール、インド、日本ヨーロッパ等輸出を行っております。  二番目は、ポッカ・コーポレーション・シンガポール株式会社についてであります。日本ポッカ(株)が一〇〇%出資している会社で、一九七七年一月に設立され、現工場敷地五千平方メートル、建物二千平方メートル、新工場敷地七千平方メートル、建物六千二百平方メートルであります。生産能力は、現工場缶入り飲料十五万缶、ゼリー一万七千カップ、新工場缶入り飲料三十万缶あり、販売先日本を初め香港、中近東、マレーシア、インドネシア、シンガポールであります。原料は現地の豊富な果物が対象となりますが、今好評のつぶつぶオレンジの砂嚢だけは日本から輸入しているとのことでした。工場視察の後、高木社長から、シンガポールでも日本企業が頑張っていますとの言葉に何か晴れ晴れしい気持ちで工場を出ました。  以上をもって本団の調査報告を終わりますが、我々は今回の調査により、ニュージーランドオーストラリア及びシンガポールの現状と問題について改めて認識するとともに、視察先で自然が生み出すすばらしいエネルギーや資源、親日的な人間関係に触れることができました。これも在日大使館、総領事館、ジェトロ等の方々の一方ならぬ御配慮によるものでありまして、団員一同改めて心から感謝の気持ちを表する次第でございます。  なお、最後に申し上げたいことは、二週間の日程は、例えばホテルの出発時刻が平均午前七時三十分ということにあらわされますように、強行なものであったにもかかわらず、団員一同の結束がかたく、心身ともに健康で和気あいあいの雰囲気ですべての日程を消化でき、所期の目的を達成できたことを心から喜んでいることをつけ加えまして報告を終わります。  ありがとうございました。
  5. 松前達郎

    会長松前達郎君) どうもありがとうございました。  以上で報告の聴取は終わりました。  それでは、これから懇談に入ります。  質疑のある方は順次御発言をお願いします。
  6. 宮島滉

    ○宮島滉君 私は、残念ながら今回の視察団に参加することができなかったわけでありますが、ただいま副団長で視察にお出向きになりました大木先生からの御報告を伺ったわけであります。まことにエネルギー資源のすばらしさをまざまざと聞かされるような感じで、ただいまお聞きしたわけであります。  そこで、地熱発電でございますけれども、かなり汎用されておるようでありますが、そのことについてお尋ねをしたいと思います。  ニュージーランド地熱発電でありますけれども、イタリアに次いで第二番目の地熱発電の総電力量を誇っているということでありますが、その中で特に環境問題が二、三点報告がございましたけれども、我が国におきましても、環境問題が御承知のとおりもろもろあるわけでありまして、そのことが地熱発電のいわゆる開発にかなり支障を来すに至っている、このように実は感ずるわけでありますが、そこらあたりの環境問題につきまして少し詳細に御報告いただければと、かように思います。
  7. 猪熊重二

    猪熊重二君 私がお答え申し上げるのは非常に僣越でございますけれども、少々お答えさせてもらうというか、御説明させていただきますと、地熱発電に使用される熱排水の問題について、環境上種々問題があるわけでございます。御承知のとおり、この熱排水をそのまま放流しますと、周辺環境に種々の熱汚染の問題を生ずる、あるいは熱水をくみ上げることによる地盤沈下の問題等が生じております。これらの問題を解決するための熱排水を地下に還元する問題が公害防止上種々議論されているわけであります。  ニュージーランドにおきまして最初に設置されたワイラケイ地熱発電においては、当初は熱排水全量を河川に放流していたわけです。ところが、今申し上げたような種々の問題がありますので、ワイラケイにおいても最近、熱排水を地下に還元するということについて実験を開始しており、早晩地下還元という方策をとる予定になっております。また、来年一九八九年に運転を開始する予定のオハーキの地熱発電におきましては、使用される熱排水はすべて地下に戻されるという計画に当初からなっております。このような点で、公害防止、環境問題上、一番問題となる熱排水の問題は、近い将来にはニュージーランドにおいてすべて解決されるというふうに先方でも言っておられましたし、そのようなふうに理解しております。  環境問題については、今の熱排水の地下還元の問題のほかにも、我が国においてはしばしば温泉地とのトラブルというふうなことが問題になっておるわけですが、ニュージーランドにおいては、国の事情が異なるというか、土地の広さの割にそれほど人々が、人口が密集していないというような点から、温泉地とのトラブルというふうなことは問題になっていないようであります。地熱発電地下水のくみ上げ自体による温泉地とのトラブルというふうなものはないというふうに言っておりました。  なお、先ほど大木副団長からの御報告にもございましたように、ロトルア周辺においては、各家庭において暖房だとか、いろんなことで各人勝手に地下から熱水をくみ上げる、そのために今までは湯が噴き出していたのが蒸気だけになるとか、蒸気が噴き出していたのがその分量が少なくなるとか、とまってしまうとかいうふうな問題があるので、今後新しく各家庭においても、勝手に地下から熱水をくみ上げるというふうなことはまかりならないというふうなこともあるようですが、それは地熱発電との問題とは異なりますが、念のために申し上げておきますと、そんなことでございます。
  8. 山東昭子

    ○山東昭子君 大木先生にちょっとお伺いしたいんですけれども、私、皆さん方の行かれた後、ちょっと個人的にブリスベーンの近くの石炭の鉱山の現場を見てきたんですが、以前からオーストラリアというのは、とにかく資源は豊富だけれども、労働環境と申しましょうか、ストライキがあるために、どうももう一つ景気が盛り上がらないというようなことを言われていたわけなんですけれども、労働問題の専門家の大木先生がごらんになって、日本オーストラリアの組合の組織の状況であるとか、それからその内容であるとか、そういう環境みたいなものについてどのような御意見を持っていらっしゃるのかなと思いまして、比較されてちょっと何か聞かせていただけたらと思います。
  9. 大木正吾

    大木正吾君 私たちの調査項目の外の問題でございますけれども、ただ、ここの場合には、イギリス労働運動の影響を伝統的に受けていますから、イギリスTUCの脈絡の中でできている組合で、恐らく日本と違いまして、会社のために働くという意識は割合に薄く、やっぱり自分個人の、言えば賃金なりあるいはレジャー、そういった事由のために働く、そういう気持ちが強いと思うんです。  ですから、労働党政権ということもございまして、現在ではストライキの数は相当減っているようですけれども、かつては先生おっしゃったとお り相当多かったことはあります。しかし、ただ私たちが見た限りでは、そういった話題は経営の方々とも、商工会議所の方々とも随分話はいたしましたけれども、ストライキの話題はほとんど出なかったですね。ということは国際環境、同時にやっぱり物価の上昇、貿易赤字の問題、そういったことがある程度日本型のものが相当理解され始めている。と同時に労働党政権でございますから、言えば自分たちの政府じゃないかという気持ちがやっぱりあるんじゃないかと思うんです。ただ、本質的にしからばイギリス型、TUC型の個人加盟労働組合の体質が変わっているかどうかまでは実は私たちも調べる時間がございませんでしたので、ちょっとお答えになりませんけれども、その程度のことで御勘弁願いたいと思います。
  10. 宮島滉

    ○宮島滉君 済みません。二、三点ちょっと伺った後、先生方また御意見がおありかと思いますので、お願いをいたすことにいたしたいと思います。  続いて私から、二、三点お尋ねしたいと思うんですが、昨今、日豪貿易が極めて資源エネルギーを中核として順調に拡大してまいっておるところであります。なかんずく、石炭について日本の全輸入量の五〇%程度を豪州から輸入しておる、そのように承知しているわけなんですが、一九八七年度の我が国輸入量をいわゆる原料炭、それからまた一般炭に分けて少し教えていただければどうかなと、こう思いますし、それからまた、そのうち、ブレアソールの今お話が実は出たわけでありますけれども、この取引量がどのくらいに相なるのか、ここをひとつ示していただければと、こう思うんです。
  11. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 お答えしたいと思います。  今先生おっしゃいましたように、日本石炭の総輸入量の実に五〇%のシェアを占める四千七百九十八万トンという数字が出ております。その四千七百九十八万トンの内訳を申しますと、原料炭が三千六十万トンで、これは四四%のシェアです。それから一般炭が千七百二十一万トン、六九%のシェアを占めております。その一般炭がブレアソールなわけですけれども、このブレアソールが占める割合というのは、新しいのを統計で見ますと三百八十一万トン、一般炭の二二%をブレアソールの一般炭が占める、こういう数字でございました。
  12. 宮島滉

    ○宮島滉君 先生に済みませんけれども、もう一つお尋ねしたいんですが、今先生から輸入量につきましての御報告をいただいたわけでありますけれども、いわゆる太平洋コールフロー構想から見ても豪州石炭我が国にとって重要なエリアだ、こう思うんです。しかしながら、我が国石炭産業の現状、これをあわせ考えるときに、先生今回御視察なさってみてどのような御感想をお持ちになったか、ひとつお聞かせいただければと、こう思います。
  13. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 その感想たるや実に複雑な感想を持って帰りました。  今おっしゃったように、太平洋コールフロー構想というのを調べてみますと、ちょっと八七年の通関統計見ましたら、アメリカが約千百九十万トン、カナダが千七百九十万トン、中国が三百八十五万トンという国々の数字になっているんです。その中で豪州というのが約四千八百万トンという量を占めるわけですから、太平洋コールフロー構想から見てもダントツに豪州というのが多いわけですよね。  それで、私は初めて行って、そしてもう本当にびっくり仰天することばっかりだったんです。北海道だったら、だんだん深部化いたしまして、立て坑でどんとおりて、ずっと行って、六百から八百、千メートル近い深部になっているわけですよね。それで、ガス抜きだの事故があったりというので、この委員会でもしょっちゅう私取り上げざるを得ないというような、その炭鉱のいろんな問題を抱えてブレアソールへ行ってみましたら、とにかく上の土をはねますと、そこがもう石炭なんですね。こんな山じゃなくて、見たらずっと石炭で、報告書にあったように、しかも炭層が二十九メートルというのが何キロと続いているわけでしょう。だから上土をぱっとはねまして後、大きなシャベルでがばっがばっとこうやるだけで、そして質もいいから選炭する必要がない、こういうわけなんですよね。  それがどういうふうに出てくるかといったら、二百八十キロ離れた港まで行って、それで日本まで六千キロ船で運ばれる、こういうわけなんです。それで、この貨車が、ちょっと情緒的になって、あら貨車が来た、数えようなんて数え始めたんだけれども、とにかく数え切れないんですね。西側の鉄鋼輸出するところを見ても、そんなもう情緒的なものでないんですわ。このブレアソールの貨車というのを聞いてみたら、百十六両連結するんです。それで五台の機関車で、二百八十キロ運ばれるわけですね。  こういう状況から見たら、埋蔵量は豊かで、露天掘りで質もいい、そういうところで日本に持ってこられたら、CIF価格で日本の三分の一だなんて言われていたのが、いやこれはもう大変な次元の違いというんで、びっくり仰天したわけですよね。そのとき思い出したのが、工藤先生がよく、せめて電源開発国内炭を買うべきだなんて何回もここの委員会で頑張っておられたけれども、そういう石炭を買っているのが、電源開発が資本出してどんどん買っているんだから、日本炭鉱の状態考えれば、これは大変なことなんだなという意味で非常に複雑な感想を持ったと、こういうわけなんです。  しかし、大事なことは、豊かな豪州地下資源、これだけでは生きないわけですよね。もうどこを視察しても全部ここに日本の資本が入り、日本技術が入って、これとうまく結びついて、人類的立場から言えば、すばらしいいい資源開発になっているということは客観的な事実ですよね。だから、これは本当にいいことなんだけれども、私は一つ西豪州の副首相との話で言ったんだけれども、これもまさに平和な世の中であってこそ成り立つんであって、豊かな資源は六千キロ向こうにあって、技術があるといったって、これがもし何かのことがあったら、エネルギーというものがここで結びついて開発できないということになったら、やっぱりこういう日本豪州の結びつきを考えたときに、もっともっと親密な関係を持たなければならない。それと同時に、国際的な中で平和という問題が本当に大事だなとつくづく考えました。  そして日本炭鉱の事情を考えたときに、日本炭鉱がどんどんどんどん閉山に追い込まれて、炭鉱労働者は職を失っていくわけですよね。そして一つには、日本エネルギーそのものが国内で賄えなくてほかに依存するということは、日本の国の独立ということから考えて、これはひとつ考えなきゃならない問題だというふうに考えました。それで、そこから考えてみれば、石炭資本というのは、利潤がなかったら石炭開発なりなんなりしませんから、あくまで資本なんだから、だから、その資本に対してエネルギーの自給自足を目指すということの責任は負わせられないとするならば、そうすると、日本エネルギーを根本的に考えた場合には、エネルギー開発というようなものは一私企業に任せられるものではなくて、公社的なものにやっぱり発想していかなかったら、利潤を上げる資本に任すというわけにはいかないんじゃないかということも本当に考えさせられました。  しかし、国会の調査として私も何回か行きましたけれども、今度の調査ほど具体的な、日程はきつかったけれども、もう本当に有効な調査ができたということは、大変いい調査であったと思いますし、これをきっかけにして、いろいろな日本エネルギーの問題を我々自身がまた勉強するという一つの大きなきっかけに私自身がなったということで、驚きながら日本を考えるという、まことに複雑な心境で、先生もいらしたら、長崎考えて、ううんと私と二人でうなるんじゃないか、そう思って帰ってまいりました。
  14. 宮島滉

    ○宮島滉君 大変ありがとうございました。  政府側にちょっとお尋ねしたいんですが、八八年度の豪州炭の取引量及び価格については目下交渉が大体終わっているんじゃないかと思うんです。その中身を少しお尋ねをして、さらにお伺いしたいと思います。
  15. 佐瀬正敬

    説明員(佐瀬正敬君) 御説明申し上げます。  豪州炭の引き取り交渉でございますけれども、これはもちろんコマーシャルベースで行われておりますものでございますので、政府としましては、民間当事者の具体的な取引内容につきまして申し上げる立場ではないわけでございますけれども、概略聞いておりますところを御説明させていただきますと、原料炭につきましては既に合意がなされておりまして、これは炭種によりまして上げ方が違うわけでございますけれども、昨年度より若干程度値上げをするということで合意がなされているというふうに聞いております。また、一般炭でございますけれども、これにつきましては現在交渉中でございます。まだ価格が折り合っていないというふうに聞いております。一般炭は御案内のとおり、主として電力関係の購入が多いわけでございます。  いずれにいたしましても日豪関係非常に大事でございますので、今後当事者間で円滑な交渉が行われますように十分見守ってまいりたいと思っております。
  16. 宮島滉

    ○宮島滉君 今交渉の中で大体値上げが数ドル行われる、こういうことでありますが、今後の見通しとしてどうなんですか。やはり将来に向かって値上げをしなければならないような状況下にあるんですか。どうでしょうか。
  17. 佐瀬正敬

    説明員(佐瀬正敬君) 実は石炭の価格につきましては国際的な需給関係、それから競合燃料でございます石油価格との関係が非常に密接であるわけでございます。御案内のとおり、石油価格ずっとここのところ低迷をいたしておりまして、その影響も受けまして豪州炭世界の炭の値段がそうでございますけれども、ここ三、四年若干低めに推移してきておるわけでございますが、この春ぐらいからやや需給関係が石炭に関しましてはタイトに変わっております。そういうようなことから、それほど暴騰するというようなことはないと思いますけれども、今までのようにスローダウンするという状況からは若干今変わりつつあるように私どもは見ております。
  18. 宮島滉

    ○宮島滉君 もう一点いいですか。  それから、これは少し地元のことなんですが、御高承のとおり、今地元で松浦火力発電所が大体建設が終わっていよいよいわゆる操業開始、こういうことになっているんだね。伺いますと大半が豪州炭、こういうふうに伺っているわけですけれども、その使用炭の比率、国内炭は全く使わないのかどうか、そういうことはちょっといかがですか。わからないですか。
  19. 佐瀬正敬

    説明員(佐瀬正敬君) 私、申しわけございませんが、国際的側面だけを担当しておりますものですから、後刻御報告させます。
  20. 宮島滉

    ○宮島滉君 わかりました。またの機会で結構ですけれどもね。我が地元には、いわゆる石炭炭鉱があるんですよ。ですから、そんな遠いところからばかりでなくてね、やはりその比率も私はしっかり主張してもらいたいと思うね。特にそのことをきょうはお願いを強調しておきたいと、こう思います。
  21. 佐瀬正敬

    説明員(佐瀬正敬君) 御答弁できなくて申しわけございませんが、後刻御説明をさしていただきます。
  22. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 この報告書の四ページなんですが、オーストラリアのいわゆる褐炭液化パイロットプラントについてちょっと質問さしていただきます。  ちょうどこの真ん中ごろに書いてございますように、  一九八〇年日豪両国政府エネルギー研究開発に関する会議において、このビクトリア褐炭最適液化プロセスを確立し、基礎データ、ノウハウ等を蓄積するため、モーエルパイロットプラント建設し、運転して研究開発を行なうことで合意されております。新エネルギー総合開発機構(NEDO)はこの合意と日本で進められているサンシャイン計画に基づき、パイロットプラント建設及び運転研究の実施を日本褐炭液化(株)現地法人ビクトリア褐炭)に委託して日豪協力プロジェクト研究開発を進めています。 というこの部分について質問したいんです。  化石エネルギーというのは世界でたくさんある。しかし、液化エネルギーはある程度限界があるというふうに言われております。確かに石油については、需要と供給の関係で石油の値段は非常に下がっております。そういういろいろのこともあって、我が国で通産省は石炭液化研究をことしからですか、やめましたですね、予算計上を。この石炭液化研究というのは日本がちょうど戦時中もやっていて、あのときでも既に石炭から石油をつくっていたわけなんですね。元素は同じCHでございまして、いわゆる石炭はHが少ない。だからH、水素を付加してやれば石油になるという、一番石油がつくりやすいものであることは間違いないんで、今は確かに石油は何となく需給関係で安値だし、供給量も今後ともあるように見えますけれども、何といっても可採埋蔵量には限界があるわけですから、やはり我が国のような国として石炭液化研究を放棄するというのはいかがなものかなとかねがね思っていたんですが、それが豪州のこういうところで、今そういう日本豪州が共同で研究開発を進めていくということなんです。  そこで二つお尋ねしたいんですが、この今、合同研究の日本豪州の費用の分担がどうなっているのか。そして日本の費用負担金は政府と民間がどういうふうになっているのかを一つお聞きしたいこと。  それから二番目に、これは研究開発にいつもつきものなんですが、成果が出たときに、その成果をどういうふうに分け合うか。これからこのいわゆる知的財産というのは大変貴重なものですが、これがうまくいったその成果は一体日本豪州でどういうふうに分け合うのか、そういうことをちょっと大木先生から教えていただきたいと思います。
  23. 田辺哲夫

    田辺哲夫君 大木先生に御指名ですが、お許しをいただきまして私からお答えさしていただきます。  まず第一に、資金の問題でございますが、それに答える前に経過をちょっと御説明申し上げますが、これは大木先生の御報告にも若干ございましたが、昭和五十五年に日本オーストラリアの連邦政府の間で褐炭液化開発、こういう問題につきまして共同で進めようと、このような合意がなされたわけでございます。その合意に基づきまして、我が国といたしますと通産省の外郭団体、特殊法人でございます新エネルギー総合開発機構、通常NEDOと言っておりますが、ここにそのプロジェクトの委託をしたわけでございまして、実権は新エネルギー総合開発機構が持っておると。そしてこのNEDOは、今度は日本褐炭液化株式会社にその事業の推進を委託した。この日本褐炭液化株式会社の中身を申し上げますと、五つの会社で組織されておりまして、神戸製鋼、三菱化成工業、日商岩井、出光興産、アジア石油、この五つの会社が今申しました日本褐炭液化株式会社という会社をつくった。これは資本金が五億円でございます。さらにこの会社オーストラリア現地法人をつくったと、これはもう本当の子会社でございますが、この現地法人の名前はビクトリア褐炭液化株式会社、こういう名称でございます。そしてその事業費は全部政府補助でございまして、今申しました日本褐炭液化株式会社は、この事業に対して自己のお金を使っておりません。全部日本政府の補助でございます。  ちなみに今までの予算関係を申し上げますと、昭和五十六年から昭和六十三年度まで、昭和五十五年に両国で合意したわけでございまして、五十六年からそのプラント建設に取りかかりまして、総予算が約八百億でございます。その内訳は、 三百三十億が人件費とか運営費、四百七十億が建設費、このような内容になっておるわけでございます。昭和六十四年度の予算等はまた後ほど申し上げますが、今までの予算関係はそんなことでございまして、全部日本政府の補助である、こういうことでございます。  次に、研究結果の帰属でございますが、非常にこれは将来の両国の国益の問題に絡みまして重要な点ですが、両国政府で合意をいたしました直後に、今度は現地のビクトリア州政府、向こうは州ごとに政府がございまして、首相と言っておりますが、そこと通産省でさらに具体的な合意を見たわけでございまして、この研究成果は日本に帰属する。具体的に言うならば、さっき申しました新エネルギー総合開発機構、通称NEDO、これに帰属する、このような取り組みがなされておるわけでございます。  それで、さっきの質問で両国の出資関係いかん、これは日本が金銭的な面は全部負担する。オーストラリアの負担は、この研究に対しまして褐炭の無償供与、大体一日五十トンという褐炭を使って試験運転やっているんですが、褐炭の無償供与。さらに工場敷地の土地、これを無償供与。そして工場をつくるためにいろいろの機材とその他を向こうへ送るわけですが、その陸揚げの際の関税等につきまして恩典を与える。これは無税であったか緩和しておるのか、そこら辺は私もまだはっきりわかりませんが、これに相当の恩典を与えておる。こんなような関連で、共同で今研究を進めておる、こういう段階でございます。
  24. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 もう一問だけ。  そうすると、確かにお金は日本が出しているけれども、原料の褐炭工場敷地、そういうような協力を向こうはしていて、こちらがその成果を一〇〇%いただけるというのは大変ありがたいんですが、そうすると、豪州側として一体これに取り組んでいる目的、恐らくそういう褐炭が、いろいろ運搬がしにくかったものが、そういうものが製品になるということだけのメリットを考えてそういうふうに協力してくださっているんでしょうか。そうすれば、技術はこちらに来るけれども、そういう技術をそこで利用するのは、あくまでもこの褐炭に制限されているんでしょうか。あるいはそこから出てきたいろんなものが、中国にも石炭がたくさんあるでしょう、これからああいう国の石炭液化についても利用してもいいようなものなのでしょうか、その点をお聞きしたいことと、もう一つは、この本プロジェクトの将来、一体どれぐらいのめどでこういう成果を上げられるような計画になっているのか。そういう計画面からの将来性と申しますか、めどというようなものがもしおわかりでしたら教えていただきたいと思います。
  25. 田辺哲夫

    田辺哲夫君 質問の要点は二点ございますが、一点は、研究成果につきまして豪州側は将来何を求めるか、両国でどのような利益分配するのか、こういうことでございますが、今申しました研究成果は日本に帰属する、しかしながら、これは商業ベースへいく前の問題でありますよね。あくまでも私がさっき言いました試験過程の問題であって、いよいよこれが商業ベースに移行する場合にどうするかということですが、実は今までは個別的な試験をやっていた。ことしの十月から二年間、総合的な試験に今度は移るわけです。そしてその成果がそこに出てくる。そうしますと、コストがどのくらいだとか、または試験の評価がどのくらいなのか、実用的にはどういうような見通しがあるのか、いろいろ二年間で成果が出てくるわけです。そしていよいよ商業ベースに移行するわけですが、今の計画では、商業ベース移行は、二年間で総合的な試験をして、それから数年置いていろいろの検討を重ねて、大体昭和七十年ごろから商業ベースに移そうという計画があるわけです。  そして、そのときには両国でどのような利益分配をして、どのような責任分担をするかまだ決まっていない。そこで、その決めのときが私は大切じゃないか。向こうが褐炭を無償で現物支給するならば、商業ベースになった利益を向こうへどのくらいやるのか、いろいろあるわけでございまして、これはまだそこまでいっていないんです。恐らく商業ベースにこれが乗るとなると、そこで両者が真剣に検討して、向こうも自分の国益を考える、日本も自分の国益を考える、そこで何かしら合意を見出して、お互いに納得する方法をとらざるを得ないということだと思いますが、そこまでまだいっていないということでございます。  ただ、オーストラリアとすると、現地人たちが働く場所が出るということを非常に歓迎している。現在約三百名従業員がいるんですが、うち日本人が七十名、その他は向こうの現地の方です。これが商業ベースで大規模でやりますと、何万という従業員が要るんじゃないか。その場合は現地採用がほとんどであろうということで、労働力の確保または雇用の問題、こういうことから非常にオーストラリアも希望的な観測を持っておる、こういうような背景があることも申し上げたいと思います。  それで、もう一つは何でしたか。
  26. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 大体期間ですけれども、今お話の中にありました。商業ベースにするには研究に目を向けてとありましたから全部お答えいただきました。どうもありがとうございました。
  27. 松前達郎

    会長松前達郎君) 沓掛委員、よろしゅうございますか。
  28. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 はい。ありがとうございました。
  29. 大木正吾

    大木正吾君 今の問題に絡んでちょっと一言。  前調査会長といたしまして、今の褐炭液化問題について責任も若干感じているんですが、NEDOの方々の御努力も非常に大変なものがあるんですね。特にエネルギー資源の非常に少ない日本ですから、同時に国際的には原発に対する批判もふえてきますから、だからそういった意味合いでは、現在はリスクがどれぐらい出ているかどうか、もっときめの細かい資料も要るんですけれども、ただ毎年毎年、去年からことし研究の予算が、ここ二、三年ずっと若干減っているんですね、これ。私が思うのは、やっぱり単に褐炭液化問題だけじゃなく、やっぱり石炭の五〇%を輸入オーストラリアから入れている問題とか、その他非常に対日関係も、言えば外交一般的にいいわけですから、そういう点等も総合して考えた場合に、この問題の計画を縮少する方向で、立ち消えになってしまったんではもったいないと、同時に外交関係が極めてまずくなる、こういう心配をしておりまして、この間、田村通産大臣と予算委員会でもって、ちょうど休憩中でございましたからお会いいたしまして、新調査会長に私の方から報告書を提出いたしますから、新調査会長からぜひこの褐炭液化問題につきましては、エネ庁が中心でしょうけれども、予算をもう少しもとに返しながら、言えば先行きのめどもほぼついてきているわけですから、そういった問題について大臣としても努力してもらいたいと、こういったことをちょっと口頭で申し上げてございますので、本調査会といたしまして、そういったことについての御認識を改めて確認しておいていただきまして、いずれ大臣等に対しましても要請していく、このことをお願いしておきます。
  30. 松前達郎

    会長松前達郎君) わかりました。  それでは及川委員
  31. 及川一夫

    ○及川一夫君 私はまとめて御質問いたしたいと思いますので、大変先生方に恐縮なんですけれども、もし分担されているとすれば、そういうお立場からお答えいただければ大変幸いだというふうに思います。いずれにしても調査団の皆さん、大変御苦労さまでした。大変貴重な報告が出ておりますので、これからのこの会の討議にも大変役立つのではないかと、こういうふうに感想を述べておきたいと思います。  まず第一点、これはきょう特にお答えは要らないんですけれども、この報告書を読みまして、次のようなことはぜひ国会に正規に報告される際には調査室などを含めて入れていただきたいということで申し上げておきたいんでありますが、例えばニュージーランドにおける物価の上昇という問 題がありますけれども、その上昇の原因が八五年の賃上げにあるのか、八六年の物品・サービス税の導入によるのか、いずれにしてもはっきりこれだけ見るとわからないわけであります。あるいはまた、鎮静化しているというけれども、どの程度の一体物価の上昇になっているのかということも定かでない。さらには失業率が問題になっているというんだが、幾らかということも実はこの文書には明示されていないわけです。さらに貿易経常収支の問題についても精緻でないために、ちょっとトーンとしてはわかるんですけれども、正確な理解ができないということ。さらには貿易動向ということになりますと、国別にということになりますが、特に我が国との関係は一体どうなんだということを聞きたくなるというような問題ですね、こんなところがあります。  さらに、オーストラリアの関係では、これだけ鉱物資源が豊富なのにもかかわらず、財政的には必ずしも万々歳という形にはなっていない。なぜかということは当然オーストラリアでも問題になっているはずだと思うんですが、そういった点などを少し明らかにしていただくと非常にこれからの論議にプラスになると思いますから、ひとつ通産省などを含めて報告される際には、ぜひそういったものをつけ加えていただけたら大変ありがたいということを申し上げておきたいと思います。  これから先御質問なんですが、一つはニュージーランドオーストラリア含めてなんですけれども、エネルギー政策の問題ですね。我が国でも火力があり水力があり原子力があると、こういう格好になっているんですけれども、一体両国の場合、まあシンガポールの場合ちょっと事情は違いますから外に置くにしても、ニュージーランドオーストラリアの場合のエネルギー政策というのはどこにウエートを置いてなされようとしているのか。両国の中には原子力という言葉が一つも実は報告の中には出ていないわけですし、とりわけニュージーランドの場合には、原子力に対しては大変厳しい態度をとっておられるように私は理解しているんですが、したがって、エネルギーといったってエネルギーがひとり歩きするわけじゃないんで、やっぱり生活構造の問題とか、あるいは産業構造の問題とか、あるいは経済の行く末をどう考えるか、みんな関連している問題だとは思うんですけれども、火力、水力、原子力と、大きく分けて大体そういうふうにあるけれども、一体どの辺にウエートを置いて二国のエネルギー政策を樹立されようとしているのか、この辺のことについておわかりでしたら教えていただきたいというふうに思います。  それから、まあこれは細かい問題で恐縮なんですが、メガワットという単位を使っているんですが、恐らく万キロワットよりは高い数値を示しているんだろうと思うんですが、我が国ではどちらかというと、万キロワットでずっときている関係があるものですから、数量を理解するために、メガワットというのと万キロワットという、我が国と対照した場合に一体どういう数値になるんだろうかということもお伺いしたいというふうに思います。  それから地熱発電の問題、ニュージーランドでやっておられるんですが、これはコスト的に見ると一体どの程度なのか。高いのか安いのかという問題ですね。これもひとつお伺いしたいというふうに思っています。  二番目の御質問としては、褐炭液化問題について、沓掛先生からも大変重要なポイントをついた御質問がございました。私なりに理解もできたわけなんですが、問題は、褐炭液化という問題を我が国でとらえた場合に、端的に言って、原子力にかわるようなそういうものになり得るだろうかと。なるのかならないのかという見通しの問題なんですけれども、当然これにはコストがついてくるわけで、コストだって端的に言えば、石油より安ければ火力発電として応用できる、こうなっていくわけでして、今のところどうも石油の値段が安くなったものですから、褐炭に対する研究費の問題とか、いろんな問題がどうも我が国では、さっき大木先生がおっしゃられたように、どんどん研究費が減らされていっている。これでは非常にまずいと思うんですが、ぜひ褐炭液化という問題については何か非常に明るい、世界にとっては明るいというそんな感じがいたすものですから、石油にかわり得るものになり得るかどうか。同時に、現状でコストは一体どのぐらいになるんだろうということがおわかりであれば教えていただきたいというふうに思います。  それから報告にない問題なんですが、世界的に情報化社会ということが言われているんですけれども、情報化社会ということが論議をされ、それに対応する情報産業、こういった取り組みが現実に両国で行われているかどうか。そんな議論がございましたら御紹介いただきたいというふうに思います。  それから四つ目に、我が国で悩み多い議論をしているんですが、産業構造の変化という問題ですね。我が国と事情は違うんでしょうが、構造変化の問題についての論議があるのかないのかということであります。  それで、最後になりますけれども、以上のこと等から見て、とりわけ報告書に基づいて考えてみたときにこの調査会、あるいは我が国として一体考えるべきものは何なんだろうかということが調査団として御議論はなされていないと思うんだけれども、個々でよろしいんですけれども、何かこういったことはぜひ考えるべきだと。先ほど小笠原先生からも、何か石炭輸入するに当たって、私的企業よりは公的企業で受けた方が利潤というものをもっともっと下げることができるんじゃないかという意味と私は受けとめたんですけれども、そんなような議論もあったようなんですが、そういう受けとめ方もあるようなんですが、我が国として考えるべきものがあったのだろうかと。ありましたらぜひ御紹介をいただきたいというふうに思います。  以上です。
  32. 松前達郎

    会長松前達郎君) たくさん質問がありましたけれども、大木委員、いかがでしょうか。
  33. 大木正吾

    大木正吾君 後でもって補足をしていただきたいと思いますけれども、一メガワットというのは、大体千キロワットですね。そういうことですから、そういうふうに御了承いただきたい。  それから、両国を通じまして、どちらの国も原発はやっていないということですね。これは非常に特徴的なことでありまして、国内において、幸いにしましてニュージーランドの場合には地熱、それからオーストラリアの場合には石炭というものがございますので、そういったような資源に恵まれ、あるいはある意味では自国の資源を非常に活用しているんですね。そういった姿が、言えば特徴的な問題でないかと思うし、日本の場合どうなんでしょう。別府とかあるいは北海道の登別とか、そういったところで、あるいは一定のエリアの中でもってああいった地熱利用などができるかどうかわかりませんけれども、日本の場合、すぐに温泉旅館とかできていきまして、地熱を生活に利用するという知恵はなかなか浮かんでこなかったと思うんですが、そういった点で、やっぱり両国の特徴的な問題としまして、言えば非常な努力、同時に目的意識を持った自国でのエネルギー調達をしている、こういったことが特徴として受けとめることができますね。  それから、コストのことがちょっと及川先生から出ましたけれども、これは大体一キロワットにいたしまして、日本の場合、原発エネルギーは九円程度になりますが、ニュージーランド地熱の場合には二円か三円ぐらいですね。非常に安いコストでもってできているんですね。ですから、そういった面のこともやっぱり無視し得ない問題ではないかという感じがいたします。  それから同時に、褐炭液化問題がこれが将来原発にかわり得るかどうかということは、ここに書きましたとおり五%程度ということでもって、この国内におきましては今そういったことで書いてございますけれども、いずれにいたしましても、そこまではすぐにはいけないんですね。ただ、私 たち自身が、ソフトエネルギーというものをあらゆる方法でもって、あらゆる地域に適合したものをやっぱりつくっていくということがどうしても求められざるを得ない社会に先行きはどうもなるかもしれない、こういう感じもいたしますので、ですから、そういった意味を含めて考えてまいりますと、先ほどどなたか質問がありましたとおり、中国も物すごい石炭がございます。その中に質が割合に軽いといいますか、原料炭にならないような褐炭的なものがありますれば、中国なんかでもこういった液化問題についての研究をしてもいいんじゃないかという話もありましたが、そういう点を含めて、言えばソフトエネルギー絡みの問題として、原発にかわるべきエネルギーの一部としてこれから大いに研究していくべきものだろうし、同時に、コスト問題等についても研究している専門家の方々と話をいたしますと、商業ベースにほとんど乗るだろうという見通しは持っておられるようですから、そういう点ではこれは無視し得ない問題だろう、こう考えて受けとめてまいりました。  それから産業の構造変化、これはそこまでなかなか突っ込んだ話はできなかったんですが、一般論的にはこの報告の中に若干含めておきましたけれども、やっぱり資源、原料の輸入、そして輸出、そういったことだけでは済まされぬ問題ですから、いずれにいたしましても、ニュージーランドという国はどっちかというと南洋的なところでありまして、割合に何といいますか、住んでいる方々ものんびり型でございまして、それほど意欲が、新しい近代産業機械あるいはそういった機械金属の産業構造の日本みたいな形での問題までは意欲があるかどうかということは余り発見できませんが、オーストラリアの場合には、やっぱり原料だけ輸出して、そして日本から自動車とかあるいは電気製品などを買っているだけではつまらぬと、こういう意識がございますから、そういう点ではこれからの両国の政府間の、あるいは民間もそうですが、貿易関係の話し合いなどを通じながら当面は原料輸入、資源輸入、同時に製品輸出ということでいかざるを得ないと思うんですが、大事なことは、やっぱり貿易赤字黒字のバランスをとりながら日本技術をどんどんどんどん輸出していくということがどうしてもやっぱりせざるを得ない問題であるし、日本の場合はさらに高度なものを創造していくということにならざるを得ないだろう。  こういうふうに考えていまして、まだまだそういったことが過熱状態、アメリカと日本みたいな過熱状態ではありませんけれども、将来はこれはほっておきますと、そういったことがないとは言えない。このことは情報化問題と関係してきまして、恐らく私たちが見た限りでは日本の東京、大阪等に見るようないわゆる情報化時代というようなものは残念ながらここでは見ることはできませんでして、むしろ自然を大事にしようという意識の方がはるかに強い、こういう感じを持っておりまして、そういう関係で、今の産業構造変化の問題と関連いたしまして、情報化問題についてもだんだんウエートは高めていくんじゃないか、こういうふうな感じを持った次第でございます。  お答えになりませんが、以上、かいつまんで申し上げました。
  34. 田辺哲夫

    田辺哲夫君 褐炭液化のコスト、この問題につきまして大木先生から話がございましたが、具体的に申し上げますと、現在の試験によりまする見通しといたしますと、一バレル当たり三十ドルから四十ドル、こういう見通しでございます。石油の方が今一バレル当たり十五ドル前後。ですから現時点では二倍でございますが、まあ石油の権威者に言わせますと、二〇〇〇年になりますと石油も一バレル当たり三十ドルぐらいにはなってくるんじゃないかと。そうすると褐炭液化も大量にやりますと三十ドルぐらいになるんじゃないか、そうすると将来やや同じような価格になるんじゃないか、こういう見通しがございまして、極めて私はこの液化問題は有効ではないか、このように感じたのでございます。  それと、この予算の問題でございますが、さっき本年度の概算要求は申し上げませんでしたが、実は総合試験運転ということにこれからなりまして極めて重要な時期になりますので、通産省といたしましても大変実は力を入れております。具体的に、昭和六十三年度のこの問題の予算は六十七億でございましたが、六十四年度では概算要求で七十七億の予算要求をしております。だから前年度に比べまして十億の増、こういうことでございまして、大木先生からもお話ございましたが、本調査会といたしましてこの問題、私はこの事業というものは大変日本のためになる、ぜひ概算要求が通ってもらいたい、七十七億通ってもらいたい、調査会でも特段のひとつ御支援、御協力をお願い申し上げたい、こんな個人的見解を持っております。
  35. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 さっき及川先生おっしゃいました、私が公社の問題を申し上げたのは、石炭輸入だけを考えているのではなくって、エネルギー全体を公社という形にすべきではないかという考え方。  といいますのは、農業とかエネルギー、特に日本のような高度に発展した資本主義社会の中で、このエネルギーというものがどれだけ自給自足できるかというのが大きな国の存立にかかわるという点ですね。それから考えると、これが安いとか高いとか、もうかるとかもうからないというような見地からでエネルギーというものが見られるならばこれは非常に危険であるということから、エネルギーを全体として考えて、そして高い安い、損する損しないなんという問題じゃなくて、日本産業をしっかり守るエネルギーを確保するという立場に立てば、やっぱり利潤追求の資本に任せるということは無理なんで、公社化が必要であろうという考え方を申し上げたんで、石炭輸入だけではなくて全体のことを考えた公社という問題の提起をいたしまして、ぜひこういう問題についても当調査会でもいろいろとまた意見を出し合って勉強もしていく今後の課題として私は大事な問題だなと、そう思ったわけなので補足させていただきます。
  36. 松前達郎

    会長松前達郎君) 大分活発な御意見、しかも幅広い御意見等出されたわけでありますが、ほかに発言の方おられますか。
  37. 猪熊重二

    猪熊重二君 一言だけよろしいでしょうか。  大木先生からも田辺先生からも予算のことでお話ございましたけれども、私は全然素人でよくわかりませんですが、例えば褐炭の問題にしても、オーストラリアであれだけ自分の国の国土を日本に提供して、ともかくやっていこうというのを日本の財政だとか、もうかるもうからぬということだけでやってしまうということは非常に道義的な問題としてまずいと。ですから、予算がどのぐらいが妥当かどうか、そういう数字は私はわかりませんけれども、ともかく日本で言えば、富士山の山ろくの広いところをある国に利用させるというふうなことの場合に、その国にとって非常に根本的な協力をしているわけですから、いいかげんにほっぽり出すというふうなことがないように、それはやっぱり道義的に許されないことだと、行って非常に感じましたので、そのことだけ申し上げたいと思います。よろしくお願いします。
  38. 松前達郎

    会長松前達郎君) ありがとうございます。  他に発言もないようでございますので、海外派遣報告についての懇談はこれで終わることにいたしたいと存じます。  派遣議員の皆様におかれましては、貴重な御報告をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。     ─────────────
  39. 松前達郎

    会長松前達郎君) 次に、本調査会の今後の運営方針について意見交換を行いたいと思います。  本調査会における調査も本年はいよいよ三年目に入りまして、最終報告書の作成等、いわば仕上げの作業を行う段階になりました。  この最終年度に行うべき調査のテーマの選定、作業の進め方等につきましては、これまで二回ほど理事懇談会を持ちまして御協議いただいたとこ ろであります。本日は、その要旨について委員各位に御報告を申し上げたいと思います。  まず、調査のテーマであります。  本調査会は、第一年目においては、内需拡大対策並びに円高・構造調整下の雇用対策及び地域経済対策等について。第二年目においては、構造調整下の我が国製造業の抱える課題等、国内的課題を中心調査を進めてまいりました。したがって、三年目には国際的な観点から調査を行うべきだということで、まず、産業の分野では、我が国企業の海外展開に伴う問題、投資摩擦等を含めてであります。それから地域経済社会の均衡ある発展の問題、さらに情報・通信産業の現状と展望、こういった三つの分野を産業の分野として取り上げたい。さらに資源エネルギー分野としましては、資源エネルギーにおける国際協力、この問題を取り上げることといたしたのであります。  次に、以上のテーマを選んだ理由等について御説明申し上げます。  まず、我が国企業の海外展開に伴う問題、投資摩擦についてであります。  近年、円高の進行等により海外直接投資が急増しておりますけれども、投資先の国の企業や労働組合等との関係、現地におけるインフラ等、環境整備などいろいろな問題も生じているようであります。本調査会としては、その現状を十分に把握し、適切な対策の樹立に資するべきであると思います。  次に、地域経済社会の均衡ある発展についてであります。  東京のみに経済力が過度に集中することを避け、各地域が多様な独自の文化を生かしつつ、均衡ある発展を果たしていくための方策を調査する必要があります。例えば中枢都市を核として広域経済圏を設定し、研究開発機能を整備し、地場産業の育成を図るとか、あるいは高速交通、高度情報通信網の整備等、各地域の均衡ある発展を達成するための手段を調査いたしたいと思います。  次に、情報・通信産業の現状と展望についてであります。  今や我々は高度情報化社会の入り口にあると言われておりますが、高度情報化社会への主要な推進力として、また我が国の先端産業の一分野としてその現状を把握し、かつ産業構造全般との関係、雇用、さらに地域振興に果たし得る役割等につき調査を行うことが有益であろうと思います。  資源エネルギー分野におけるテーマとしましては、資源エネルギーにおける国際協力を取り上げたいと思います。  本件については、石炭問題が依然重要であり、過去二年に引き続き事態の推移を見守っていく必要がありますが、環太平洋地域におけるエネルギー協力、エネルギー共同開発等、国際協力の面からも資源エネルギー事情を見直すことも必要かと考えられます。  以上、調査テーマにつき御説明いたしましたが、調査を進めるに当たっては、それぞれのテーマについて政府の見解をただし、参考人の出席を求めて意見を聴取するなど、長期的展望に立って調査、討議を行い、またこの間において委員派遣、地方公聴会を随時行い、充実した最終報告書の作成に向かって努力することといたしたいと存じます。  なお、調査テーマを取り上げる順序については、参考人の出席の都合等もあり、これを会長にお任せ願いたいと存じます。  また、状況によっては、全部のテーマを取り上げるについて時間的な制約が出てくる可能性もないとは言えません。したがって、理事懇談会において、情報産業地域振興と関連づけて検討することも一案であるという御意見があった経緯もあり、数個のテーマを一体として取り上げる必要が出てくることもあろうかと存じます。そのあたりの取り扱いにつきましても、これを会長、理事にお任せいただければありがたいと存じます。  また、当面する諸問題についても適宜調査対象とすることは当然でございます。  次に、調査会に与えられております立法勧告権の行使については、委員各位の御協力をいただき最大限の努力をいたしたいと存じます。  以上の理事懇談会の協議の報告について、委員各位から御意見、御助言等がございましたらこの際承りたいと存じますが、いかがでございましょうか。何か御意見ございましたらどうぞ。——それでは、別に御意見がないようでありますので、本年度の調査は、ただいま御報告申し上げた要旨に沿って進めさせていただきたいと思います。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十七分散会