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1988-10-21 第113回国会 参議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十月二十一日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  十月七日     辞任         補欠選任      勝木 健司君     小西 博行君  十月十三日     辞任         補欠選任      小西 博行君     勝木 健司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小川 仁一君     理 事                 高橋 清孝君                 青木 薪次君     委 員                 井上  孝君                 上杉 光弘君                大河原太一郎君                 下条進一郎君                 野沢 太三君                 星  長治君                 一井 淳治君                 太田 淳夫君                 諫山  博君                 勝木 健司君                 秋山  肇君    国務大臣        農林水産大臣   佐藤  隆君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  内海 英男君    政府委員        国土庁大都市圏        整備局長     北村廣太郎君        国土庁防災局長  三木 克彦君        農林水産大臣官        房総務審議官   鶴岡 俊彦君        農林水産省経済        局長       塩飽 二郎君        農林水産省構造        改善局長     松山 光治君        農林水産省農蚕        園芸局長     吉國  隆君        農林水産技術会        議事務局長    谷野  陽君        食糧庁長官    甕   滋君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        国税庁直税部所        得税課長     阪田 雅裕君        農林水産省経済        局統計情報部長  海野 研一君        気象庁予報部長  立平 良三君        建設省河川局防        災課長      佐々木賢一君        自治大臣官房参        事官       広瀬 経之君        自治省税務局企        画課長      鶴岡 啓一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (東北地方冷害救済対策に関する件)  (地震対策に関する件)     ─────────────
  2. 小川仁一

    委員長小川仁一君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、先般行いました東北地方における異常低温等による被害実情調査のための委員派遣について、派遣委員報告を聴取いたします。高橋清孝君。
  3. 高橋清孝

    高橋清孝君 去る十月十一、十二日の二日間、小川委員長青木理事、星、太田諫山小西秋山の各委員及び私、高橋の八名は、福島宮城岩手の各県における異常低温等による災害実情調査するため派遣されました。以下、派遣委員を代表してその概要を御報告申し上げます。  まず、各県からそれぞれ県全体の被害状況を聴取し、あわせて陳情を受けました。  次いで、被害度合いの大きい市町村現地を視察するとともに、被害農家方々と懇談をいたしました。  今回の冷害は、本年七月以降のオホーツク高気圧影響によって東北地方北関東地方太平洋側に位置する各県が異常気象に見舞われ、農作物に大きな被害を出しているものであります。中でも水稲生育遅延し、出穂のおくれを見たほか、やませの影響を受けて登熟延伸と一部地域いもち病が多発しております。その影響を九月十五日現在における稲の作況指数で見ますと、宮城県八四、福島県八六、岩手青森の両県九〇になっており、前月よりも悪化しております。  その後、東北農政局東北六県の十月七日現在における被害額を発表いたしましたが、それによると最も大きいものは宮城県五百七億円、次いで福島県四百九十五億円、青森県二百三十五億円、岩手県百五十四億円、秋田県二十六億円となっており、その合計額は実に千四百十七億円に達しております。そのうち水稲の占める割合が七八%でありますが、被害額は今後さらに増加するものと予想され、過去五年間では最悪のものとなっております。  初めに訪れた福島県での本年の気象を見ますと、四月上旬に大雪や大雨が降り、五月上旬には県内全域低温注意報が発令され、七月中旬には日照不足気象情報が出されましたが、さらに同月中旬から十八日間連続して低温注意報が発令され、農業改良普及所において技術指導等を行っております。また、七月の日照時間が平年の三〇%になるなど極めて異常な状況で経過しております。そのため、本県では八月二日に農作物等不順天候対策本部を設置するとともに主要農作物生育実態調査を行い、異常気象に対する施策を行っております。しかし、九月中旬以降も不順天候が続いたため病害も多発し、夏秋作物全般生育がおくれ、特に水稲登熟が進まず、地域によっては四ないし五割の収穫量となり、被害拡大が懸念されております。  本県がまとめた九月末日現在の異常気象による農作物被害見込み額を見ますと、四百九十四億円に上っており、本県では十月の定例県議会に約二十二億円に上る農業災害対策予算を提案し、各種対策を講じようとしております。  視察した飯館村は標高五百メートルの山間地帯にあり、二千二百三十八ヘクタールの栽培面積水稲牧草、葉たばこ、各種野菜を作付しておりました。しかし、七月以降の日照不足異常低温が九月になっても平年の気象状態に回復しなかったため、水稲生育出穂遅延に加えていもち病発生し、栽培面積の九九%が三〇%から九〇%の範囲で被害をこうむっております。私たち黄金色に広がる田園の中に、病害によって白くあるいは黒く変色した水稲を目の当たりに見て、被害の大きさに驚きました。当地作柄状況を聴取しますと、平年の四ないし五割の収穫量とのことであり、地元民から国に対して激甚災害地指定等、諸施策を早急に行ってほしい旨の陳情を受 けました。  次に、宮城県での本年の気象を見ますと、七月以降、低温と少照による不順天候が続き、特に日照が同月十三日から二十九日の間ほとんどなく、気温も平年に比べて四ないし六度低く経過しております。本県では同月二十七日に農作物異常気象災害対策連絡会議を設置し、被害対象を協議するとともに稲作情報技術対策情報病害虫発生予察注意報並びに警報を発令し、被害の防止に努めております。その後、八月は上旬が高温多照で推移しましたが、十日以降再び低温少照となり、九月も曇雨天が多く日照は少ない状況にあります。そのため九月九日、農作物異常気象災害対策本部を設置して対策を講じております。  本年の出穂は平年より四日、前年より六日遅く、しかも七月下旬の低温により県のほぼ全域障害不稔が発生し、中でも生育ステージの早いササミノリ、ヒメノモチの不稔度合いが高くなっております。また平年に比べて葉いもち発生率が約二倍半、穂いもちが約五倍半と多発し、拡大しております。  本県が九月二十六日現在で調査した被害見込み額は五百七億円に達しており、その内訳を見ますと、水稲が四百四十四億円で全体の八七%を占め、野菜三十九億円で七・七%、以下、飼料作物、豆類、果樹、花、特用作物等被害が大きく、しかも広範囲にわたっております。中でも稲作被害北部平坦地帯が二百六十六億円で被害額の半分以上を占め、南部平坦地帯六十一億円、仙台湾岸五十二億円、西部丘陵四十五億円等となっております。  視察した角田北郷地区は、県南の典型的な稲作地帯であり、本年の幼穂形成期にはおおむね平年並みに推移していたとのことであります。しかし、多雨日照不足によって葉いもち出穂後急激に蔓延し、管内の中でも高い被害率となっております。また、稲こうじ病は出穂前の多雨によりほとんどの水田で大発生しておりました。そのため、当地ではいもち病防除のための防除作業を平年ならば四ないし五回行うところを、本年は航空防除を四回行ったほかに個人による補完防除を二ないし三回、共同防除を一回実施しております。しかし、散布した薬剤が長雨によって流出し防除効果を十分に発揮することができなかったとのことであります。しかも低温障害が加わり、当地域収量はゼロから百五十キログラム程度地域全体の減収量が七〇%程度予想以上に厳しい状態となり、昭和五十五年の大冷害のときよりもひどい状況となっております。農家方々は異口同音に、手だてを尽しましたが、今回の異常気象はそれをはるかに超えたものであり、現在の営農技術ではなすすべがないと述べておりました。  今回の冷害農家の家計と生産意欲、さらには地域経済に重大な影響が生じており、政府と県の積極的な援助を求めております。  最後に、岩手県での本年の気象を見ますと、春以来の異常低温日照不足によって、盛岡、久慈、水沢、一関、北上地方等水稲を初め、牧草、トウモロコシ、小麦、大豆、野菜等農作物生育障害病害虫発生したため、九月十六日に農作物異常気象災害対策本部を設置し、被害防除に努めております。  しかし、九月三十日現在における本件の被害額が百四十二億円に及んでおり、そのうち水稲は約百二十三億円で全体の八七%を占めております。このほかに、八月末の大雨洪水災害により水稲を初めとする農作物被害額が十一億円生じております。  岩手食糧事務所説明した十月十日現在の米穀検査結果によりますと、前年同期の検査進捗率は一〇・八%であったが、本年の場合は〇・七%となっていて、しかも未熟粒着色粒、乾燥すると砕けるものが多く、一ないし二等米の比率は前年に比べて約半分であり、三等や規格外の米の比率が大幅に増加しているとのことであります。  私たちは、被害が大きい雫石町長山の土樋氏を訪ねて被害実情を聴取した後、水田を視察いたしました。同氏の説明によると、当地標高二百三メートルの山間地帯の平場に位置する低コスト生産モデル農家であり、平年作であれば反当十三俵とれるところが、本年の場合は反当四ないし六俵の収穫しか期待できない。また、山寄り水田では冷害にやませが重なって収穫皆無に近いところがある。本年の冷害にはどのような肥料、水、栽培管理技術を駆使しても、天変地異にかつことはできなかったと述懐しております。  次に、滝沢村沼袋地区を訪れました。当地平均標高百五十メートルの地点に所在し、水稲中心に作付しており、高地では遅延型、平地では障害不稔型の被害を受けております。そのため平年の場合、収量は五百三十キログラムであるが、本年は地域によっては百二十キログラムのところもあり、五十五年の大冷害のときの二百二十キログラムよりも悪く、しかも規格外米比率が高くなっております。被災農民の話によると、不稔粒の稲は毎年一五%程度が秋口に出るし、平年の気象条件であれば持ち直すのが通例であるが、本年の場合はもはや至難であろう。その理由は、水稲生育適温の最低限が十七度であるのに当地では十度を割っており、深水等管理では対処し得ない状態にあるからである。そのため、農家の中には飯米にさえ事欠くものもあるありさまであり、国と県当局冷害に対する助成をどうかお願いしたいとのことでありました。  今回の調査を通じて県、市町村農業団体から出された要望事項の要旨を御報告申し上げますと、天災融資法激甚災害法早期発動被災農家所得減収補てんのための貸付枠拡大償還金支払い期限延伸自作農維持資金融資条件緩和既借入金償還猶予利子減免予約概算金の延納と利子の免除、農業共済金早期支払い品質低下部分減収評価の特例、病害虫防除費に対する助成規格外米等外米政府全量買い入れ、転作目標面積配分数量緩和次期作付用種子の確保と購入費助成救農土木事業の実施、各種税減免等を講じていただきたいというものでありました。  今回、被災地を回って得た感想を一言申し上げますと、現地における被害は東京で予想していたよりもはるかに大きなものがあり、被災農家方々が安心して営農できますよう適切かつ早急に対策を樹立し、実施することの必要性を痛感した次第であります。  そして、今回の冷害を契機に耐冷性と耐病性を兼ね備えた良質米の品種の開発普及に官民が一体となって努めるとともに、今後は異常気象を予知する体制を充実して、その原因究明対策確立に向けて全力を挙げて取り組むことが重要であると確信いたしました。  以上が調査概要でありますが、最後被災農家方々が一日も早く立ち直られますよう心から祈念いたしまして、報告を終わります。
  4. 小川仁一

    委員長小川仁一君) 以上で派遣委員報告は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 青木薪次

    青木薪次君 質問に先立ちまして、今回の冷害によって被害を受けられました農家皆さんに対して、私たちは心からお見舞いを申し上げたいと思うのであります。  論点がたくさんあるわけでありますが、私の持ち時間がたった四十分でありますので、かいつまんで申し上げたいと思います。  私は、今高橋理事報告いたしましたけれども現地実態について稲穂を取ってまいりました。これは福島県の飯舘村の割木地区と宮城県の角田市周辺、それから岩手県の雫石地域において取ってきたものであります。葉いもち病穂いもち病、それから稲こうじ病、これが大半であるわけであります。これらの突っ立っちゃっておりますのが、いわゆるいもち病であります。葉いもち病それから穂いもち病。これらが皆そうであります。それから、田全体が黒くなっておりますのは稲こうじ病でありまして、いずれもこの中で、こうして養分が行かない。行かないために今度はこのわきから稲穂が出てまいりまして、もちろん これは米となるわけじゃございませんけれども植物自体にもこういう再生の物すごい力というものが、エネルギーが秘められているということを私は感心して見てきたわけであります。これが一面黄金色田んぼに、よく見てまいりますると、極端に悪い田んぼ、圃場は、黄金色ではなくして茶褐色に変色をしている。これがいもち病である。  我々が見たときにも、あそこがひどい、ここがひどいというようなことをいろいろ現地皆さん説明を聞きながら見て、これは今、高橋委員の言われましたように、一反歩、三百坪、畝取りが十俵でありまするけれども、十二俵ないし十三俵もとっている、これが壊滅的打撃を受けて、一俵、六十キロあるかなしというところもありました。二、三俵というところもありました。これがかいつまんだ被害実情であったということをまず申し上げたいと思うのであります。  そこで、私は、今回の冷害状況についてはいろいろ見聞してきたわけでありますけれども、何といっても冷害発生経緯原因を調べなければいけない。この点について農林水産省としては、やっぱり気象庁気象速報気象見通しという、シベリア大陸から高気圧が張り出してくる、こういう中における、今回は太平洋岸が、特に東北地方太平洋岸が最も被害が多かったのでありまするけれども、この見通しについて気象庁はどんなふうな経緯として把握しておられるか、まずお伺いいたしたいと思います。
  6. 立平良三

    説明員立平良三君) 今夏の北日本、東日本の異常気象状況の中で特に顕著でございましたのは、七月の中旬から下旬にかけての記録的な低温でございます。この低温が出現しました原因と申しますと、いわゆる偏西風でございますが、偏西風が大きな蛇行を起こす、その蛇行を起こした結果蛇行動きがとまりまして、偏西風の波の動きがとまりましてブロッキング高気圧というものが停滞いたします。これがちょうどオホーツク海のあたりに停滞いたしまして、そこから冷たい風が東北地方へ吹きつけてまいりました。これがいわゆるやませというものでございます。これが原因となりまして七月中旬から下旬にかけまして著しい低温に見舞われたわけでございます。  このようなオホーツク高気圧の停滞というものは、それを一カ月とか数カ月前に予想するということは非常に難しいことでございまして、最近ようやくスーパーコンピューターの発達とか観測データの充実によりまして一週間ほど前には大体予想ができるというふうな状況になってございます。  以上のような状況でございます。
  7. 青木薪次

    青木薪次君 今予報部長のおっしゃったように、非常に因難でしょう、よくその点は理解いたしております。ただし、あなた方だけが頼りなんですよ。あなた方だけが頼りで、いわゆる人命とか財産、それを皆さん予報にかける、これは農家だけではなくて例えば漁業もそうでしょう、その他天変地変というものを相当考慮に入れた職業というものはすべて、今予報部長のあなたの言ったように、長期予報というものは幾らスーパーコンピューターを駆使してもなかなかこれは予報が困難だということについては理解しつつも、また気象観測の難しさというものは理解しつつも、今や世界がだんだんと平和の方向に向かい、こういった気象速報等についてもお互いに交流し合うというような時代に入ったと思うのです。  かつて気象庁梅雨明け宣言をしたにもかかわらずなかなか梅雨が明けなかった、晴れと予報しながら実は雨が降ったというようなことで、あなたが一週間以内であったら大体大丈夫だとおっしゃるけれども、一週間以内が狂っちゃったんですよ。  そういうようなことで、私はこの際言いわけは必要ない。やっぱり相当な機械力とか科学技術機器等を駆使するための機械に頼らなきゃならぬのだったら機械を買えばいいと思う。相当予算をとればいいと思う。そういうことで今回の冷害発生について全く予想できなかったのかどうなのか、もう一度答弁をしてください。
  8. 立平良三

    説明員立平良三君) 長期予報重要性につきましては、十分認識いたしております。  今後の長期予報改善につきましての見通しでございますが、長期予報の場合はあした、あさっての予報とは少し事情が異なりまして、世界じゅうから気象データを集めて予報をやるわけでございますが、長期予報の場合は特にまた違ったデータが必要でございます。それは海の水温のデータとか、それから陸上の湿りぐあいがどうなっているかとか、そういう地球の表面の詳しいデータが必要なのでございますけれども、そういうものは最近ようやく衛星の観測によってだんだんと入手できるようになった状況でございます。  今後、気象庁はこういう入手したデータを総合的に解析いたしまして、長期予報改善に努めていきたいと思う所存でございます。
  9. 青木薪次

    青木薪次君 いつまでも気象庁責任論というものを私は言っているつもりはないのです。しかし、絶対的な条件として気象も誤りがあってはいけない。たまにはいろいろ予報の手違いとかあるいはまた異常事態というものが起こって、あなた方の調査とは逆な方向が出ることもあり得るでしょう、それも認めましょう。しかし、ことしのように外れっ放しということがあってはいけないと、私はそう思う。  先般の本会議における石原運輸大臣のあの答弁も短くて、まことに拙速をきわめておったという点については、一同失笑したわけです。しかし、その点に対しての気象観測の難しさというもので我々は理解したのでありまするけれども、理解はしても納得はしないという状態だと思うのです。  そこで、異常気象を知った農水省は、農業改良普及所を通じまして技術情報を発表して、農家営農方針についてきちんとすべくいろいろとその役割を評価しているわけでありますが、技術指導概要というものはどういうところにあるのか、農林水産省にお伺いいたしたいと思います。
  10. 鶴岡俊彦

    政府委員鶴岡俊彦君) 気象変動対応しました技術指導につきましては、農業生産の場合に極めて重要であります。また、東北地方先ほど報告にありましたように、やませという極めて悪い気象条件のもとで冷害を受けやすいというようなこともございまして、農林水産省としましては春先以来必要な技術指導をやってきたわけです。  特にことしは、先ほどお話がありましたように、七月の低温がちょうど東北関東地方中心とする地域減数分裂期に重なっていたというふうなこともありましたし、また、その後長雨あるいは日照不足が続いたというふうなことで、生育遅延いもち病発生等が懸念されましたことから、関係県を通じまして数次にわたりまして技術指導を徹底していただく、あるいは私どもの方でも担当官現地に派遣するなどによりまして、気象条件に即応した水の管理あるいは適期の施肥とか病害虫防除等の励行を指導してきたところであります。ただし、気象条件の悪化が極めて厳しかったために、残念ながら作柄低下を招いた次第でございます。
  11. 青木薪次

    青木薪次君 気象庁気象情報を掌握して、農水省では営農指導等をしておるにもかかわらず、今回のような大冷害発生したのでありまするけれども、この点について今後あるべき姿としてはどういうことが考えられるかという点について、農水省にお聞きしたいと思います。
  12. 鶴岡俊彦

    政府委員鶴岡俊彦君) 私ども稲作を行う場合に、まず気象条件に即した各段階における対応が必要であるということから、年初あるいは中間におきまして、想定する気象変動対応した大きい流れに即してそれぞれの段階技術指導について指導をやっているわけでございます。またその後の気象条件の予測というのが出ましたら、それに即した技術指導対応しておるわけでございます。ことしもそういうことを基本数次にわたり春先以来やってきたわけでございます。私ども、そういう基礎的な指導のほかに、気象庁の方から発表される条件対応した指導をやっていくということが基本ではないかと思っております。
  13. 青木薪次

    青木薪次君 それでは異常気象について今後どう対応するのかという点についてお伺いいたしたいと思います。
  14. 鶴岡俊彦

    政府委員鶴岡俊彦君) これは気象条件対応した具体的な対応というのが必要でございまして、抽象的になかなか申し上げるというようなことにもならないかと思いますけれども気象庁気象長期情報、あるいは当面の情報に即した指導を県を通じてやっていくということになろうかと思います。
  15. 青木薪次

    青木薪次君 今回の冷害東北地方及び北関東地方太平洋側に、今申し上げたとおり現に発生したのでありまするけれども、九月十五日現在の水稲作況指数が、先ほど高橋委員報告にもありましたけれども宮城県が八四、福島県が八六、岩手県及び青森県が九〇となっているのですよ。現地でも私どもは地元の皆さんともいろいろと話し合ったわけでありまするけれども、実際に一反歩、三百坪の中に一俵とか二俵とか半俵とかいうようなところが広がっている中において、この作況指数というものは納得できないということをいろいろ話をしたわけであります。九月以降も依然として低温基調にあるためにこの地域被害面積は今後さらに増加するものと認められるわけでありますけれども、その見通しについてどういうふうに考えておりますか。
  16. 海野研一

    説明員海野研一君) お答え申し上げます。  ことしの場合は、先ほどからお話ございましたように、特に七月の低温というようなことで稲体が非常に軟弱でございます。そこへもってきまして気象が非常に不順であるというような中でございますので、九月十五日以降の天候が非常に大きく影響してくるということがございます。そういう意味で今後九月十五日以降、私ども発表したものはその後の天候を平年並みとしたものでございますけれども、その後の天候で非常に変わってくるということが考えられます。特に東北太平洋岸中心にして、九月十五日現在で既に悪かった、そういうところにその後の日照不足というような格好で天気の悪かったところが多いということでございまして、そういう意味で私ども非常に心配をいたしております。ただ現在、十月十五日現在での特に早場地帯では実測を中心にした取りまとめを行っておりますので、具体的にどの程度になるかということにつきましては、その結果を待たしていただきたいと思います。
  17. 青木薪次

    青木薪次君 東北の農政局が、十月七日現在における東北六県の異常気象災害による被害額として、先ほどもありましたように千四百十七億円と発表しているのであります。しかし、このほかにも米の作況が悪い県として沖縄の場合だと九二、それから山梨の九三などがあります。  そこで、今後の被害額の見立て額でありますけれども、それは今後の天候に左右する分が多いとはいうものの、大体どれくらいの被害額を想定しているのかどうか答弁していただきたい。
  18. 鶴岡俊彦

    政府委員鶴岡俊彦君) 十月二十一日現在で私どもが関係県、十二県から受けております報告によりますと、被害総額で二千百四十五億円というふうに報告を受けておるわけでございます。  作物別に申し上げますと、水稲が全体の約七割の千五百十七億、次いで野菜が三百四十五億円、果樹が八十八億、飼料作物六十億円というふうになっております。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 今回の調査被災地を回ってみますと、地域とか地形とか品種とか肥培管理とか気象条件等の違いによって被害程度も異なるものがありました。しかしまた、同じ地域にあっても激甚な被害をこうむったものもあればそれほどでもないものもあって、被害の内容が異なっておることに気づきました。したがって、営農指導地域実態に適合して極めてきめの細かな対策なり指導が必要であるというように考えられたのであります。  それに対する所見をお伺いするとともに、最近の作付は当然のことながら、うまくてそれから多収穫なものを目指しているのであります。それは必要なことではありますけれども、ただ良質米の場合は、一般に風倒しやすいもので、手間がかかって、一度災害に遭うと弱い面があります、こういうお話でありました。そこで、良質米でしかも耐冷性、耐病性のすぐれた品種を今回の大冷害を契機としてなお一層開発に努めてもらいたいと思うのでありまするけれども、稲の品種改良に対する現況と今後の展望をお伺いいたしたいと思います。
  20. 谷野陽

    政府委員(谷野陽君) 東北地方におきます試験研究の中で、冷害対応は極めて重要な課題であるというふうに考えておるわけでございます。  ただいま御指摘がございましたように、冷害におきましては稲の品種がどのようなものであるかということでかなり差が出てくることでございます。稲の品種改良、特に耐冷性の品種の育成につきましては、昭和初年の冷害の後で藤坂試験地が設けられまして、そこを中心東北地方の各試験研究機関が連携をとりながら耐冷性品種の改良を進めてきたわけでございます。  ただいま御指摘がございましたように、耐冷性と同時に、最近のお米に対する需要の動向から申しますと、食味がいい、おいしいかつ多収であるということが一般的には求められるわけでございます。かなりの期間いろいろと努力をしてきたわけでございますが、耐冷性というものを追求をいたしますと食味が落ちてくる、あるいは収量低下をするというようなことがございます。そういうことで、各研究所におきましてはいろいろ苦心を重ねておるところでございます。累次いろいろな品種を発表いたしまして、かつての水準に比べますと稲の耐冷性もかなり上がってきている、一般的には上がってきているわけでございますが、耐冷性が上がる品種を発表いたしますと、さらにそれを厳しい条件、つまり気温の低い条件というようなところで作付が行われる、こういうことでその課題もさらに厳しくなってくるというのが現状でございます。  しかしながら、耐冷性の品種の育成というのは東北地方の最大の課題の一つであるというふうに私どもは考えておりまして、国内におけるいろいろな品種の遺伝子を導入すると同時に、最近では雲南でございますとかインドネシアでございますとか、外国の耐冷性の遺伝子をも藤坂試験地その他に導入をいたしまして開発を進めているところでございます。なかなか耐冷性、良食味、多収という三拍子兼ねそろった品種の育成というのは困難なところもあるわけでございますが、今回の冷害の結果につきましても早急にその実態を試験研究のレベルでも調査をいたしまして、今後の研究開発に生かしてまいりたいというふうに考えております。
  21. 青木薪次

    青木薪次君 品種によっては、私ども雫石に行きましたときに、一アールぐらいの圃場に八種類ぐらいの稲を植えてありまして、そしてコシヒカリとかササニシキとかアキタコマチですか、いろんなものがありました。その種類によっては、例えば稲こうじ病が全く真っ黒くついているところとか、いもち病でも葉いもちとか穂いもち、いろいろありまして、そういう中で品種によってこんなに差異があるのかということを私たちは勉強いたしてまいりました。  今の答弁にもありましたように、やっぱりやればできるのだということを、特にこの東北地方はただでさえ寒いところでありますから、その点で相当な研究が必要だし、またこの地方に産する米は非常においしいということもあって、その辺の関係の中で、さらにひとつ行政機関が指導すればまだまだ伸びていく、また、耐冷、耐病性のものができるのだということを、現地農家皆さんのたくましい意欲と相まって、私どもも勉強してきたわけでありますが、今の谷野事務局長お話をさらにひとつ進めてもらいたいというように思います。  それから、国土庁長官にお伺いいたしたいと思うのでありますが、ちょうど長官は宮城県出身で、この問題に非常な関心を持っておられるということをよく聞いておるわけでありますが、稲作の施業農家の所得が大幅に減少いたしまして、そ れが地域の経済の停滞となることは明らかだと思うのです。  そこで、収穫皆無の農家もあり、飯米にも事欠く、先ほど報告にもありました、厳しい情勢であります。被害農家方々は、一日も早く県や国の救済対策を求めているわけでありますが、天災融資法及び激甚災害法の適用を十一月に行うということについてはちょっと遅い、早くとにかくやってもらいたいという声が切々として訴えられたわけでありますが、その点についてひとつ御所見を伺いたいと思います。
  22. 内海英男

    ○国務大臣(内海英男君) ただいま青木先生から大変心温まる御質問をいただきまして、私も郷里の関係もございますから、大変恐縮に存じておるものでございます。  被害を受けました農家方々には、この機会に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  現在、農水省中心といたしまして、被害実態を詳細にわたりまして調査していただいておるわけでありますが、先ほど先生からも御指摘がございましたとおり、九月十五日の作況指数よりは相当下回るであろうというような予測が出されて、関係方面の市町村を初めといたしまして、県あるいは農協等からもいろいろの形で要望なり陳情というものが参っております。  被災農家につきましては、先生のおっしゃるとおり、ほとんど収穫皆無というようなところもあるというようなことで、早急に天災融資法の指定あるいは激甚災害の指定をやってもらいたい、こういう御要望が強いことも十分承知をいたしておりますが、関係の機関の詳細にわたる調査というものを早急に急がせておるという状況でございますので、その調査がまとまりましたら、できるだけ速やかに天災融資法なり激甚災害指定というものを同時に行って、農家皆さん方に一刻も早く多少なりとも安心感を持っていただこうと、こういう配慮で今努力をいたしております。
  23. 青木薪次

    青木薪次君 農林水産大臣にお伺いいたしたいと思うのでありますが、佐藤農林水産大臣も私どもの視察する前に各県を回られて、やっぱり私どもと同じような、思ったより深刻であるという気持ちを持たれたと思うのであります。冷害によって規格外の米やそれから等外米が大量に発生をする見通しだ、したがって限られた予算ではありまするけれども、大規模な補正予算を組まざるを得ないのじゃないかというようにさえ私どもは考えているわけでありますが、大臣が視察をされた結果に対する感想と対策というものと、私が今申し上げてまいりました点等について、大臣から御所見をお伺いいたしたいと思います。
  24. 佐藤隆

    ○国務大臣(佐藤隆君) この機会に被災されました農家皆さんにお見舞いを申し上げると同時に、食糧問題で何かと国民全般関心を持たれておるときのこうした災害でございます。本委員会の委員長を初め、委員各位に大変なまた御心配もかけておりますことを恐縮に思っております。  ただいまの御質問でございますけれども、私も、実はちょっと遅過ぎたかもしれませんけれども、とにかく日程を組んで現地視察をいたしました。東京で聞いておること、あるいはテレビ、報道等一連のそうしたことによって承知をしておることと現地で見た感じとはやはり相当の違いがある。それだけに、また八月十五日現在の作況指数以降、少しはよくなるかなと、こう思っておったものが少しもよくならない、だんだん悪くなるような感じさえする。素人の私でさえそんなことを感じまして、本当にこれが対策については万全を期さなければならぬ。  ただいま国土庁長官から御発言がございました激甚法の地域指定、これは国土庁が窓口でおやりになることでございますが、その判断の素材は的確迅速にお伝え申し上げねばなりませんし、天災融資法につきましては、我が省において融資枠という問題が一つの焦点にはなろうかと思いますが、先般も東北五県の知事さんにもお願いを申し上げました。現地では何かとお忙しいでしょうけれども、一日も早く被害実態、それから資金需要、そういうものについてお知らせをいただきたい、それをもとにして早々に天災融資法を発動いたしたい。もちろん激甚災の地域指定もあわせて行われることを念じながら考えておるわけでございまして、これが対策には万全を期さなければならぬと思っております。  また、規格外米のことについても触れられたわけでございますけれども、自主流通の道にどう乗せていくかということ、飯米農家も大変困っておるということもよくわかりますので、従来の例にも即して万全を期してまいりたい、できるだけの措置を講ずるのが我々の務めである、かように考えております。
  25. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、岩手県でしたか、行ったときに、ひとつ救農土木事業を起こしてくれ、こういうお話がございました。地元と密接な関係のある基盤整備事業やかんがい排水事業、また被災農民を優先的に採用いたしまして被災農民の救済を積極的に図るべきだと思うのでありますが、農林水産省としてこれらについてどう対応するかということと、それからもう一つは、やっぱり道路法による一般の道路も出水等によって痛めつけられているというところもあるわけでありますから、その点もあわせて建設省の方としてもこの点についても考慮していただきたいということで、ひとつ両省から御答弁をいただきたいと思います。
  26. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 農業基盤整備事業等の農林関係の公共事業、農村地域で行われるものでございまして、そういう意味では農村地域における雇用という点で重要な意味合いを持っておるわけでございます。  ことしの事業は既に実行に移っておるわけでございますけれども、その実行に当たりまして、私ども地域におきます農家の就労希望等を的確に把握いたしまして、被害実態に応じて農家の就労が円滑に行われるように十分配慮しろという趣旨の通達を既に発しまして、指導に努めておるところでございます。
  27. 佐々木賢一

    説明員佐々木賢一君) 建設省といたしましては、現在までに建設省所管の公共土木施設被害、十月十五日現在でございますが、五千七百三十億円ということで報告を受けております。この中には岩手県の二百二十二億円等、冷害を受けた道県が多く含まれているわけでございます。建設省といたしましては、これらの地域中心に早急に現地調査を既に行っております。現在進行中でございます。それで、早期復旧等につきましても、緊急を要するところにつきましては調査を待たずに事前協議等で早期着工等を行い、早期復旧に努めております。そういったようなことで地域の活性化に資してまいりたいと考えております。
  28. 青木薪次

    青木薪次君 私は、最後になるわけでありますが、被災農家方々は米の減収によって農業所得が大幅に減少いたします。したがって、大蔵大臣並びに自治大臣におかれては減免措置をとられるものと思うのでありますが、その手法はどういうふうに行われる予定かお伺いいたしたいと思います。
  29. 阪田雅裕

    説明員(阪田雅裕君) 本年の異常気象の結果、東北地方中心にしまして冷害による被害農作物に大きな被害が出ているということは私ども十分承知しております。この被害、今、委員御指摘のように本年度の所得税に直接影響することになるわけでございますけれども、所得税は農家の場合ですと農業所得に対して課せられるということでございますが、この農業所得は農作物の出荷等によって得られる収入から必要な経費を引いた残ということになりますので、冷害被害等によりまして収入が減るあるいは病虫害の予防のために例年にないような支出が必要であるというような場合には当然に所得が減りますので、それに対して課せられる所得税も当然に減少するということになるわけでございます。  いずれにしましても、被災農家に対します所得税の課税につきまして先般私の方からも、今お話がありましたように、必ずしも東北地方だけに限られておらないということでもありますので、全国の国税局に対しまして、実地に被害状況調査 し、そのほか農業関係団体などからも十分に被害状況をお聞きして、被害実態を的確に把握するように、かつまた被害実態を反映した適切な課税を行うようにということで既に指示をしております。  次に、被災農家の納税という問題もあるわけでございまして、本年十一月末までに納付していただくことになっております昭和六十三年分の所得税の予定納税、これにつきましては、本年の所得が昨年よりも冷害等により減少するという場合には予定納税の減額承認が申請できるということになっておりますし、また収入が減少してそういった国税を一時納付することが難しいという場合には、原則として一年間の期間内でありますけれども、納税の猶予を申請していただくということもできることになっておりますので、こうした制度を十分に活用していただきますとともに、これらにつきましても、こういう申請があった場合には被災状況を十分勘案して迅速かつ適切に処理するよう私どもの方から各国税局を指導しておるということでございます。
  30. 広瀬経之

    説明員(広瀬経之君) 地方税関係についてお答えを申し上げます。  ただいま国税関係についてお答えがございましたが、地方税につきましては、地方税の納期限の延長それから徴収の猶予さらに減免の措置というものがあるわけでございますが、これらの措置について適切な運営をしてもらうよう、十月十八日付で各都道府県知事に対しまして税務局長から通達を流したところでございます。  今後とも適切な運営を期するよう地方団体を指導してまいる所存でございます。  以上でございます。
  31. 太田淳夫

    太田淳夫君 私も、ただいま御報告のありましたように、本委員会の一員としましてせんだっての調査に参加をいたしてまいりました。また、そのほかにも党で独自に冷害実態調査等も行いました。  視察を行いました東北各県におきましては、本年は異常低温日照不足によって深刻な冷害に見舞われておみえになりました。このような被害に見舞われております農家方々に対して心からお見舞いを申し上げる次第でございます。かねがね高橋理事及び星委員等から私たちお話もお聞きしておりましたけれども、実際に現地へ参りますと、東京で想像していた以上の被害状況でありました。  ことしの特徴といたしましてはこのようなことも私はお聞きしたわけでございますが、岩手県から宮城県、いつもやませと申す北東の風が吹く、それによって冷害影響を受けるのであるけれども、ことしはこのやませの余り影響のない内陸部まで被害が広がっているということもお聞きいたしました。また、専業農家でしかも稲作に真剣に取り組んでおられる方々被害に遭っているということも私たちお聞きしてまいりました。  私たち現地に参りますと、本来ならもうずっしりと頭を重く垂れております稲穂が真っすぐに伸び切っている。一応もみはついているようですけれども、中身は空っぽで透けて見えるような状況でございました。これは障害不稔だということも私たち勉強したわけでございますが、ある人は、例年ならば十アール当たり九俵程度収穫できるのだけれども、ことしはほとんど全滅だ、あるいは五十五年の冷害よりもひどい状況だ、こういうこともおっしゃっておりました。またある人は、五十五年の借金の返済があと二、三年もあるのに、また借金をしなければならない。六十万近い米代金の前渡し金も払い戻すことになるかもしれないという不安の声を漏らしておみえになりました。  また、ある農家に参りましたら、仮に十アール当たりの収穫が二俵あったとしても、政府米の規格米として拠出をする自信がない。もし規格外のくず米になってしまったら価格の六分の一以下になってしまうし、そうなると手取りは幾らも残らない。この家族は七人家族でありまして、毎年の約三百万円の米代金が一家の支えだというお話でございますが、ことしはその当てが全くない状況だ、こういうことをお話しになっておみえになりました。そういう状況の中でも、私たち雫石町で委員長高橋理事ともども視察をさしていただきました土樋さんは、確かに田の状況はひどい状況でございましたけれども、これまで真剣に努力してきたのだ、精いっぱいのことをやってきたのだから私は悔いはありません、このことをまた一つの資料として来年も挑戦をしていきたい、このようにおっしゃっておみえになりました。非常に頭の下がる思いで帰ってきたわけでございます。  そういう状況を、私たちが東京で感じております以上の状況でございましたが、農水大臣も二度にわたってそういった被災地を視察をされていらっしゃいますが、その際の感想または災害対策について今後取り組んでいく基本的な姿勢についてお話をお聞きしたいと思うのでございますが、どうでしょうか。
  32. 佐藤隆

    ○国務大臣(佐藤隆君) 先ほどもちょっと触れたわけでございますけれども、私現地を見て回りましたけれども青森県、岩手県あるいは山形県、東北五県といっても二県しか見ておらない、全部の県に本当は回らなければいかぬのでありますけれども、その時間もなく申しわけなく思っております。しかし私が現地へ参りますと、あぜ道へたくさんの方が出てきてくださいまして、そして何とかしてくれという切実な訴えに接しまして、本当にこれは東京で感じておることよりもやはり現場の生々しい実態を見まして、いよいよもって天災とはいいながら我が省挙げて努力をしなければならない、こう思ったところでございます。  そういう意味では天災融資法にいたしましても、従来の例からいきますと、十月前半を見なければなかなか判断もつきにくいという部分がある等の場合は従来のテンポでいけば十二月にずれ込むのが普通である、しかしそんなことは言っておられない、一日も早くやれということで、関係知事さん方に対しても、御要請に来られた皆さんに申し上げていることでございますけれども、とにかく早く数字を上げてくれ、一日も早くやるつもりでおるのだからと、こういうことでお話を申し上げておるわけでございます。  もとより激甚法の地域指定につきましては国土庁が私どもと同じような気持ちで取り組んでいてくださいますので、その都度素材を提供し、そして天災融資法それから激甚災の地域指定、これが同時に行われるよう、この目途は十一月中にはどうしてもやらねばならぬということで、行政を通じ、地方行政を通じ督励をいたしておるところでございます。  いずれにしても、今まで取り組んできた以上に、何ができるか真剣に考え対応しなければならぬと心得ております。
  33. 太田淳夫

    太田淳夫君 今農水大臣からもお聞きしましたが、国土庁長官からも一言じゃお伺いしましょうか。
  34. 内海英男

    ○国務大臣(内海英男君) 先ほど青木先生の方からも御質問がございましたが、農林省あるいは出先機関あるいは各県等からの詳細な被害状況報告の集計がまとまり次第私どもとしましては前向きに検討して御要望に沿いたい、こう考えておるわけでございます。そういう措置をとるためにも急いで集計を出すように関係方面にもお願いをいたしておるところでございます。
  35. 太田淳夫

    太田淳夫君 今両大臣から天災融資法及び激甚災害法の発動につきまして力強い御答弁を賜りました。一日も早い、これは手続を進めていただいて発動をお願いしたいと思うのです。  私ども雫石町へ参りましたが、この地域は一九九三年のアルペンスキーの世界選手権大会の開催が決まっておるわけでございますので、恐らくもう少し活気が出ていらっしゃるのかなあという感じで私たちも参ったわけでございますが、しかし非常に活気がなかった。そういう状況を見てみますと、やはり先ほどからお話がありましたように、戦後最悪と言われました昭和五十五年以来の冷害というのに襲われておりまして、町民の大半を占める農家方々が窮地に陥っている、こういう状況でございまして、それがやはり町に活気を 失っている大きな原因ではないかと思うのですが、地域経済の振興のためにも、どうか一日も早い手続を進められて発動をお願いしたいと要望しておきたいと思います。  次に、被災農家方々の中で、先ほど青木理事の方からお話があったと思いますけれども、共済に対する要望が非常に強かった印象がございます。雫石町の例をまた申し上げて申しわけないのですけれども、私たちの党の調査団に対しまして川口町長はこのように言われておりました。それは、戦後最悪と言われた五十五年の冷害でも被害の出たところとそうでないところの割合は半々だけれども、今回は六〇ないし七〇%が被害を受けている。町の穀倉地帯と言われているところで十アール当たりの収穫はわずか四十ないし五十キロぐらい、平年の十分の一に落ちてしまっている。雫石町は、お聞きしますと、十アール当たりの収穫岩手県内でもトップクラスだというだけに、町全体のショックが大きいのではないかと思うのです。そのためにこういうこともおっしゃっておりました。一刻も早く農家を救済するため、適正な評価に基づいた共済金をできるだけ多く出してもらいたい、こういうことをお話しになっておりました。  したがって、農業共済の年内支払いをぜひ実施されたい。また、政府買い入れ基準に達しない米が大量に出ることも当然予想されますので、その損害評価の特例措置を講じていただきたい。このように思うわけでございますが、その点はどうでしょうか。
  36. 塩飽二郎

    政府委員(塩飽二郎君) 共済金の支払いの問題についてのお尋ねでございますが、現在私どもは、被害県の農業共済団体におきまして被害状況を悉皆調査等によりまして実態調査を進めていただいているわけでございます。その損害評価をできるだけ迅速的確に行っていただいた上で、共済金の支払いが、今お話もございましたように、年内に実現ができるように、共済団体に対する指導に万全を期していきたいというふうに考えております。  それから損害評価は収穫量で把握をする、要するに減収量で把握し、それに基づきまして共済金の支払いが行われるわけでございますが、今回の災害のように、必ずしも量だけではございませんで、低品質米がかなり発生するということで、質的な面の被害もございますので、それを収量の減にどのように反映させるかというやり方につきましては、過去にも特別措置として一定のやり方がございます。したがって、単純な数量の減だけではございませんで、買い入れの基準に達してない米については、それが収量の減に的確に反映されるようなやり方で、損害の評価が実情を反映したやり方で行われるように対処してまいりたいと考えております。
  37. 太田淳夫

    太田淳夫君 先ほど青木理事の方からも質問がございましたけれども、やはり東北地方には特有のやませということで冷害発生しやすい、こう言われるわけでございますが、これに対する研究あるいは低温に強い米の品種改良、そういった研究体制の強化も積極的に図っていくべきではないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  38. 谷野陽

    政府委員(谷野陽君) やませに関する御質問でございますが、御指摘のとおり、やませという気象現象は、東北地方におきます農業の環境問題といたしまして極めて重要な課題であるというふうに考えているところでございます。私どもも、昭和六十年に東北農業試験場にヤマセ対策研究官を設置をいたしまして、試験場の中の各研究部あるいは地域の各県の農業試験場と連携をとりまして研究を進めてきたわけでございますが、本年十月からはさらにこれを強化をいたしまして、地域農業試験場の内部組織改組の際に地域基盤研究部を設置をいたしたわけでございますが、東北農業試験場におきましては、地域基盤研究部におきましてやませを重点的に取り上げて研究開発を進めていきたいというふうに考えているところでございます。  また、品種改良につきましては、昭和初年の冷害を契機に設けられました藤坂試験地を中心といたしまして、耐冷性の品種の育成に努めてきたわけでございます。なかなか難しい問題も多いわけでございますが、我が国におきますいろいろな品種の収集、その遺伝子の導入ばかりではなく、雲南やインドネシアからも耐冷性の遺伝資源を取り入れて研究し、品種の育成をしておるところでございます。今後さらに努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  39. 太田淳夫

    太田淳夫君 私どもも同僚の高橋理事等のお話を聞きますと、現地でも農協の方々や農業に取り組む皆さん方もいろいろ研究を進められているようでございます。私素人であれなんですが、今後の対策としては、短期的には品種の分散栽培に取り組むということも必要だと思いますし、中長期的には、今もいろいろとお話がありました品種の改良を急ぐ必要があるのではないかと思うのです。日本では、ややもしますと、応用部門には厚いですけれども基礎研究部門には薄くなりがちでございます。今後はこういった非常に地道だけれども一番大事な部門の研究分野にも十分な予算をつぎ込んで、体制を充実をしていかなきゃならないのじゃないか、こう思うのです。  その他いろいろな各地からの要望が出ておりますが、先ほど青木委員からもお話ありましたので、その点は重複をしますので省かしていただきます。  そういったことを含めまして大臣から最後に御答弁いただきたいと思います。
  40. 佐藤隆

    ○国務大臣(佐藤隆君) 技術革新の世の中ではございますけれども、私どもの担当しております農業分野におきましても、この技術革新、その名のとおり実効が上がり得るよう予算措置等についても常々考えておるところでございます。この上ともまた努力をしてまいりたいと思っております。財政当局も相当な理解をしてくださっているものと承知をいたしております。
  41. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは、冷害につきましての質問は一応これで終わらしていただきます。  次に、地震対策についてちょっと国土庁長官にお伺いしたいと思いますが、大規模地震対策特別措置法が制定されましてから十年経過したわけですね。公明党は結党以来、災害から国民の生命と財産を守るために地震対策を重点施策として真剣に取り組んできたわけです。十年前の大震法の制定の際も、各党間で賛否両論の激突する中で積極的に推進した覚えもございます。当委員会でこれが論議されたのも覚えているわけでございますが、現在、同法に基づきまして地震防災対策強化地域に指定されていますのは、東海大地震の想定される東海地域だけなんですね。東京を中心とする南関東地域にも関東大震災並みの巨大地震の発生する危険性が叫ばれているわけです。このことについて三月に私どもの同僚の馬場委員の方か、たしか予算委員会でも取り上げてお話をさせていただいたわけでございますが、六月に中央防災会議の地震防災対策強化地域指定専門委員会では、南関東地域を地震防災対策強化地域に指定しない、こういう決定をされたわけでございますが、その理由はどのような理由でしょうか。
  42. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 南関東地域の地震防災対策強化地域の指定につきましては、南関東を構成いたします六都県市の方からも要望をいただいているところでございます。国土庁といたしましては、南関東地域が我が国の政治経済等の中枢であり、この地域におきます適切な震災対策の実施が極めて重要な課題であるという認識のもとに、中央防災会議地域指定専門委員会を開催し、専門的立場からの御意見を伺ったところでございます。  委員会におきましては、この六月に中間報告をいただいておるわけでございますが、地震防災対策強化地域の指定の要件及びその前提でございます地震発生の切迫性、被害の甚大性、予知の可能性、この三点について検討されたわけでございます。  対象となりました地震は、想定される三つの地震でございますが、まず相模トラフ沿いの地震、 これは関東大震災の再来型と言われているものでございますが、この地震につきましては、地震発生の可能性は切迫していないという判断でございます。次に、南関東地域の直下の地震でございますが、ある程度の切迫性はあるということでございますが、この直下の地震につきましては予知が非常に難しいという判断でございます。三番目に、房総半島沖の地震につきましては、現時点ではその予知が非常に難しい、こういうことでございます。  以上の三点から、この三つの想定されますいずれの地震につきましても強化地域の指定の要件を現状では法的に満たしていない、熟していないというふうに考えるという中間報告をいただいておるところでございます。
  43. 太田淳夫

    太田淳夫君 今お話の中にございましたが、南関東地域直下の地震についてはある程度の切迫性を有しているという指摘がされているわけですが、これは非常に重要な指摘ではないかと思うのですが、その点はどのようにお考えですか。
  44. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) ただいまの中間報告では、南関東地域におきましては、大陸プレート、フィリピン海プレート及び太平洋プレートの三つのプレートが互いに接して複雑な応力集中が生じている、こういうふうな判断でございます。南関東地域直下の地震の発生については、ある程度の切迫性を持っているということでございますので、非常に重大な問題であるという認識を持っております。
  45. 太田淳夫

    太田淳夫君 報告の中に、法的に熟さないという言葉があるのですけれども、これはどういうようなことが意味されているのでしょうか。これは南関東地域の直下型地震の起こる可能性はある程度切迫性があるけれども、しかし南関東地域の地震予知は非常に難しい、したがって強化地域の指定は現行法上できない、こういう意味なのでしょうか。
  46. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 強化地域の指定をいたしました場合の効果でございますが、一つには、予知情報に基づきまして内閣総理大臣による警戒宣言の発令の制度がございます。それからもう一つは、発令後から発災までの間に地震による被害の軽減を図るために、それぞれ事前に定めました地震防災計画に基づきます国、地方公共団体あるいは民間事業所等が行う地震防災応急対策がございます。  前半の警戒宣言の発令の方でございますが、これは予知を前提といたしておるわけでございまして、予知が理論的にも実務的にも難しい状況においては、かえって指定によりまして警戒宣言の発令の制度が適用されるというふうな誤解を受けやすいわけでございまして、非常に制度としては危険である、こういう認識を持っているわけでございます。したがいまして、この点を理由にいたしまして指定を見送ったと、こういうことでございます。
  47. 太田淳夫

    太田淳夫君 地震防災対策強化地域指定等、第三条を見ましても、予知などという言葉はここには出ていないわけですね。「内閣総理大臣は、大規模な地震が発生するおそれが特に大きいと認められる地殻内において大規模な地震が発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、地震防災に関する対策を強化する必要がある地域を地震防災対策強化地域として指定するものとする。」と。ここには予知ということは書いてないんですけれども、それはもう法律、条文外で読み取っているわけですか。
  48. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 警戒宣言の発令の制度は、事前に十分な予知ができるということを前提としているというふうに考えておるわけでございます。
  49. 太田淳夫

    太田淳夫君 この地域に対する予知が非常に難しいということで再三お話があるわけですが、確かに技術的に難しい面があろうかと思うのです。でも、半面考えますと、しかし地震の切迫性もあると。東海地域は指定によりまして随分予知も進んでまいりました。そことは条件がちょっと違うかと思うのですけれども、予知が難しいからこそ強化地域に指定をして国が本格的に取り組むことも、これはひとつ必要ではないかと思うのですね。  この関東地域には、もう言われておりますように、三千万以上の国民が生活しているわけです。政治も経済もあるいは文化も情報も全部ここに集中をしているわけですから、もしも大地震に襲われたときには、関東大震災のとき以上にこれは大きな被害予想されている。これは予算委員会でも専門の方が参考人としてそういう意見を述べられておりますね。  地震予知の観測体制につきましては、いわゆる長中期、短期、直前と、各段階にわたってそれぞれ対応がこれは必要だろうと思うのです。そのため予算措置に特別な配慮をしながら、予知観測装置とかあるいは専門家、技術者の確保を図っていかなきゃならないときを迎えているのじゃないかと思うのですね。テクノロジーあるいは先端技術では日本はもう世界で最たるものであるわけですから、そういうものを利用しながらやれば、十年前に大震法が制定されたとき以上に今予知観測の技術も進んでいるでしょうし、装置も進んでいるのじゃないかと思うのですね。ですから、これは防災局長もなかなか思い切った発言がしにくいようでありますけれども、これはやはり前の総理の中曽根さんおっしゃっておりましたが、危機管理、国家安全保障の一つの重要な一部門になりつつあるのじゃないかと思うのです。したがいまして、大臣、国土庁あるいは文部省、運輸省、科学技術庁、そういったいろんな関係各省庁がこれに関連をしているわけでございますけれども、いろんなそういう役所としてのセクショナリズムを離れて連携を強化していく、そういうときを迎えているのじゃないかと思うのですね。  したがいまして、私たち先回からもずっと東海地域以後に引き続きまして、この南関東についても主張させていただいておるわけでございますが、早急にやはり地震防災強化地域に指定をして国が率先してその対策を講じていく、そういうふうにどうか大臣としても図っていただきたい、このことを要望申し上げたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  50. 内海英男

    ○国務大臣(内海英男君) 局長からもお答え申し上げましたように、南関東地域は政治、経済の最も集積した、日本にとりましても大変重要な地域と私どもは認識いたしております。したがいまして、直下型地震というものが一たん発生した場合には、非常な災害といいますか、国家的機能が麻痺する可能性もあるくらいな危険性はあるというふうな認識は持っております。  ただ、これを強化地域に指定します場合に、我々素人がそう考えておりましても、専門家の方々の御意見というものがある意味においてはまだ強化地域に指定するには自信がないようなお話をされますと、素人の我々が政治的に指定すべきであるというような結論を出してやってしまいますと、逆に民衆の動揺ということも考えなければなりませんので、やはり専門家の方々の前向きの御検討を今後も引き続きいただいて、その結論を得て踏み切りたいと、こう考えておる次第でございます。
  51. 太田淳夫

    太田淳夫君 こちらに青木先生がお見えになりますが、じゃ、東海地域が指定されて民心が動揺しているかというと、そんなことはありませんね。皆さん災害に取り組む姿勢というものが真剣になってきているのじゃないでしょうか。どうでしょうか。
  52. 内海英男

    ○国務大臣(内海英男君) 青木先生の方の東海地域は、強化地域に指定されて動揺はしておられません。  先般も防災訓練がございまして、私も浜松まで参りました。そのときは指定を受けてから十年たっておる、強化地域に指定されたから災害があるのではないかということでいつも訓練をやってきて、もう十年たっても何もないということでことしあたりはもう飽きちゃって余り盛り上がりがないんじゃないかというようなことも多少懸念をしながら伺ってみましたら、大変な熱心な訓練ぶり を拝見いたしました。よく言われることでございますが、災害は忘れたころにやってくるという意味もありまして、十年という節目で逆に非常にその意識が高まって大変熱心な訓練ぶりを拝見してまいりました。  したがいまして、関東地域といいますと、昼間は大勢の人間が一カ所に集中的に過密になる現象のあるところもあるし、夜間は人口が過疎のまた過疎になるような地域もあるというようなことで、強化地域に指定しますと夜中に過疎になるところはどうしたらいいかとか、いろいろ専門的な問題も出てくるかと思いますので、まだまだ予知の可能性というものは非常に確実性を欠いておるという状況の中で、専門家の方々の御意見がまだ強化地域に指定すべき段階に至っていないという御結論である以上は、心配はされながらも今後とも前向きに御検討いただいて、できるだけ速やかに危険性の予知を確実にできるというような科学技術の進歩に伴いまして指定すべきものは指定すべきものだというような考え方で私どもはお願いをして御検討いただいておるというところでございます。
  53. 太田淳夫

    太田淳夫君 終わります。
  54. 諫山博

    諫山博君 まず、農水大臣に質問いたします。  農業災害補償法の第一条は、この法律の目的を二つ掲げています。一つは農業経営の安定を図る、二番目は農業生産力の発展に資する、これは農業災害補償法の目的ですけれども、このたびの冷害に対してもやはりこの立場で対処しなければならないと思いますけれども、どうでしょうか。
  55. 佐藤隆

    ○国務大臣(佐藤隆君) 当然そういう考え方でございます。
  56. 諫山博

    諫山博君 このたびの委員会の調査で各自治体、農業団体から非常に具体的な要請なり陳情を受けました。多くの問題は共通しています。その中で必ず出てくる要請の一つが被災農家の他用途利用米について特別な減量措置を講ずること、これは福島県、宮城県、岩手県、すべての自治体の要請に出ている内容です。この問題について今どのように対処しようとしておられるのか、御説明ください。
  57. 甕滋

    政府委員(甕滋君) お尋ねの他用途利用米の契約数量の件でございますが、災害によりまして出荷が困難になる、こういう事態が現に生じつつございます。そこで、そういった場合には、いわゆる作況調整によりまして作況が下がった分につきまして契約数量の変更を行う、こういう道がございます。これは当然やってまいるつもりでおります。  ただ御要望の中には、それを超えまして、他用途利用米をさらに主食用に転用するとか減量を一層させていただきたい、こういう要望がございまして、その点につきましては現在実需者との関係が他用途利用米の場合には当然出てまいりますし、制度本来の趣旨等に照らしまして、実は困難な問題がございます。しかし、特別に被害が著しい農家に対して何らかの措置を講ずることができるだろうか、現在検討しておるというところでございます。
  58. 諫山博

    諫山博君 この問題について少し食糧管理制度の原則に基づいて質問したいと思います。  今の食糧管理法では、予約限度数量、これは具体的には生産者と政府と契約する形になると思いますけれども、生産者は予約限度数量内の米を主食用として政府に売り渡す法律上の義務がある、政府としてはこれを買い入れる法律上の責任がある、これが食糧管理法の大原則であって、他用途利用米をどうするかというのはいわば例外的な措置だと思います。そして、その原則からとらえますと、他用途利用米をどうするかこうするかというような問題は、予約限度数量以上にたくさんの米が生産されて、超えた分についてどうするかという例外的な措置ではなかろうかと思いますが、どうですか。
  59. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 予約限度数量の範囲内におきましては、政府が生産者から持ち込まれた米を買い入れるということは当然でございます。  一方、他用途米についてお話がございましたが、これは生産者が指定法人との間で、また指定法人を通じまして実需者と生産出荷契約、これを結びまして契約数量を確実に出荷する、こういう義務を一方で負っておるわけでございまして、そのために当然、契約上の履行をどうするかといった話し合いは、そちらはそちらで進めていく、これも権利義務関係ということがあることを申し上げておきたいと思います。
  60. 諫山博

    諫山博君 もともと他用途利用米というのは、生産者が予約限度数量を超えて生産した場合の例外的な措置ではないかという点はどうですか。
  61. 甕滋

    政府委員(甕滋君) この他用途利用米は、御承知かと思いますが、米の価格がある程度安ければ需要が開けるという需要サイドの要望がもとにございまして、また生産者の方からいたしましても、価格が安くても米がつくれる、こういうメリットがございまして生産が行われておるわけでございまして、これが転作の一態様として行われている実態でございます。したがいまして、実需者との関係というものが基本にあるという点を申し上げたいわけでございます。
  62. 諫山博

    諫山博君 食糧管理法に基づいて予約限度数量内の米は生産者が政府に売り渡さなければならない、これは法律上の義務です。私は、それを超えて米が生産された場合に他用途利用米として処理されるという制度は結構だと思います。これには賛成です。ただ、今度の冷害で深刻な被害を受けて、予約限度数量も生産することができなかったというような場合には、法律に基づいて予約限度数量を政府に売り渡す、政府はこれを買い入れるという大原則が生きていくべきではなかろうかということを言っているのです。その点はどうですか。  言葉をかえますと、予約限度数量内の米を生産した農家が、食糧管理法に基づいてこれは買い取ってくれと政府に申し出れば、政府は買い取らなければならないのではないですか。
  63. 甕滋

    政府委員(甕滋君) お話にございますように、国として予約限度数量の範囲内の数量を生産者の申し出に基づいて買い入れるということは当然のことでございます。ただ事実上、生産者のサイドから見ますと、国に対して販売する義務と他用途利用米につきまして実需者サイドに渡していかなければならない義務とございますので、通常の場合は生産者の申し出によりまして市町村長のところでその作況調整を行う、そこで政府にはこれだけ売ります、他用途利用米としてはこれだけ売りますという仕分けができまして政府並びに指定法人の方にその意向が上がってまいりますので、その過程で生産農家実情を十分踏まえまして親切な対応をしていくことができないかということを現在検討しておる状況でございます。
  64. 諫山博

    諫山博君 政府と自治体がこの問題でいろいろ苦労されているのはわかりますけれども、私が原則、例外という言い方をしたのはこの問題です。ずばり政府の買い入れ限度内の数量を政府に買ってくれと農民が申し出たら政府は買わなくても済むのですか。その点はどうなりましょう。食糧管理法を読む限り、限度内であれば政府は買い入れなければならないというふうに読めますけれども、違いますか。
  65. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 繰り返して申し上げますが、政府として予約限度数量の範囲内の米を申し出に基づいて買うということは当然行うわけでございます。ただ、生産者の方は他用途利用米につきまして先ほど来申し上げております契約がございますので、その契約上の責務もまた契約どおりの数量を出荷しなければならない。それを出荷しない場合には違約金を払わなければならない。また、翌年度の他用途利用米の配分も受けられない場合もやむを得ない。さらには、生産調整の一環として行っておりますので、それが未達成ということに相なるわけでございまして、またその場合には良質米奨励金の交付も受けられないというようないろいろな契約に伴います権利義務関係というものがやかましく言うとあるわけでございまして、そういったものの中で、生産者のサイドも国に対する出荷と他用途利用米に対する出荷という ものが調整されることがその利益にかなうということがございまして、全体の調整を市町村のレベルで行政とも十分相談をし合いまして、全体として農家の利益になるようなことはできないか、こういう検討が現在行われておるところでございます。
  66. 諫山博

    諫山博君 そういう検討で御苦労されているのはわかりますけれども、ただ原則は原則としてはっきりしなければならないと思うのです。限度内の数量を売り渡すというのは法律上の義務です。他用途利用米を売るというのは契約に基づく責任です。これは重さが全然違います。そして、契約に基づいて他用途利用米を売ることができないとすれば、これは天災地変に基づくものですから、通常の常識で言えば契約違反の責任は問われないはずです。私は限度内であれば全部買い入れるべきだと思っていますけれども、現実の政治がなかなかそれほど、しゃくし定規にやりにくいという状況も理解できます。しかし、原則は原則としてやはりはっきりしなければならないと思うのです。  長官の説明では、限度数量内であれば、農家が買ってくれと言えば買わざるを得ない。しかし反面、例えば減反の未達成とかその他の不利益な問題が生じてくるというのが、本当に理屈どおりの割り切り方はそうなるのですか。
  67. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 他用途利用米の本来の趣旨からいたしますと、やはりこれは加工原料ということでありまして、それぞれの米を利用する食品産業がその企業の事業活動として当然当てにしておりまして、それによってまたその企業が成り立っていくかどうか、こういう問題も一方でございます。したがいまして、その指定法人との契約におきましては、全量を予定どおり確保するということが、これが当然の要請でもございまして、またそれに対して安定的な供給ができないということになりますと、その面で今後にわたってこの制度自体に対する影響というものも懸念されるわけでございます。  したがいまして当然、予定どおりの数量を確保するという観点から、契約上いろいろ約束履行のための措置が決められているという実態がございますから、農家の立場から見ましても、国に対する販売あるいは他用途米に対する販売、こういったものも法律上、契約上の義務としてやはり両方果たしていかなければならないという立場にあるわけでございますから、そこをどのように調整をして、制度全体をにらんだ的確な措置がとれるかと、こういう問題かと思っておるわけでございます。
  68. 諫山博

    諫山博君 他用途利用米の実需者に迷惑がかかったらいけないという立場のようですけれども、今度の災害というのは日本全国ではなくて、局地的なんです。例えば福島県でも、県全体ではなくて部分的です。そうすると、全国を見れば米は余っているわけですね。貯蔵している分もあります。ですから、他用途利用米の実需者に米不足で迷惑が及ぶというようなことは、今度の冷害の場合は現実的にあり得ないでしょう。あり得ますか。
  69. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 他用途利用米として計画される数量につきましては、その年度に全国各地の生産者との間で個別に数量が決められまして、全体の数量が積み上がっておるという状況でございます。したがいまして、どこかでそれが不足をしてまいりますと、それがそのまま全体の不足ということに直に結びつくわけでございまして、しかしそこを全国の集荷団体として、指定法人として在庫調整とかその辺を工夫いたしまして、何とか全体の数量の不足を来さないようにという努力も今これからやっていかなければならない問題でございまして、災害を受けた農家方々の立場から、これをいかに減量できるかという検討を今しておるということでございます。
  70. 諫山博

    諫山博君 農水大臣に質問します。  大体、私の指摘している問題は御理解いただいたと思います。米ができて十分主食として利用できるというような状況の中で、自分のつくった米は買い入れの限度数量にも満たないような状況だから、せめて買い入れの限度数量に近づくように自分の米を買い入れてもらいたい。その分だけ他用途利用米の契約は満たされないことになるけれども、これは何とか災害という状況の中でしかるべく処理してもらいたいというのが農家皆さん方の要求で、これは米をつくる側から見れば極めて当然の要求だし、食糧管理法の建前からいっても、長官が言われるように、買い入れ限度数量内だったら本来は買い入れなければならないものだということのようですから、なるべく他用途利用米を少なくして、限度数量内であれば政府がこれを主食用として買い入れるという措置をとることが農家の要望にもこたえることになるし、食糧管理法の建前にも忠実なことになると思いますけれども、大臣としての見解をお聞きします。
  71. 佐藤隆

    ○国務大臣(佐藤隆君) 本会議の席上におきましても答弁をいたしたと思いますが、特に何か考えられないか検討をしなければならぬ。その前段には実需者との契約問題これあり、全体を考えてやらねばならぬ。今、実需者と農家自体、米生産者自体との比較をおっしゃいましたが、私にそれにつけ加えて言わせていただけば、実需者との契約を大事なものだと思う根拠には、やはりその地域における食品産業との雇用問題もこれありと、こういうことも率直に申し上げておきたいと思います。大体、今食糧庁長官から重ね重ね申し上げておることで御理解をいただきたいと思います。
  72. 諫山博

    諫山博君 実需者の雇用問題に影響があるというのは極端な議論です。いかにも、他用途利用米が減少してお酒屋さんが酒をつくれなくなる、みそ屋さんがみそをつくれなくなるというような事態が出てくるかのような表現ですけれども、現実はそうではないわけですよ。今度の冷害というのは局地的なものだ。  私はこの問題を突如として提起しましたから、十分な御検討をいただいていないかもしれませんけれども、この点は農民の強い要求ですから、今後ぜひ御検討いただきたいと思います。
  73. 佐藤隆

    ○国務大臣(佐藤隆君) 農業生産者の強い要請であることは承知をしております。したがって、特に何か考えられないか、検討をしておると、こういうことでございまして、全体を見てということを申し上げたいために例示的に雇用問題を申し上げたわけでございます。雇用問題にも関心を持っておるということで、善意に見ていただければ結構だと思います。
  74. 諫山博

    諫山博君 もうこの論争はやめますけれども、御検討いただきたいと思います。  そこで、農業共済の問題です。  被害の見積もりが小さ過ぎるという声がどこへ行っても聞かれます。その理由の一つとして、一・七ミリの目のふるいを使って計算している、これが実情に合わない、実際は一・九ミリぐらいのふるいの目が政府買い入れの場合に使われているのだということが農家から言われておりますけれども、この実情農水省の方は把握しておられましょうか。
  75. 塩飽二郎

    政府委員(塩飽二郎君) 共済制度の適用に当たりましての損害評価に当たりましては、現在、被害を受けられた県の農業共済団体におきまして、被害実情を悉皆調査等によりまして的確にかつ迅速に把握していただくよう進めているわけでございますが、先ほどもお答え申し上げたわけでございますが、その損害評価に当たりましては、いわゆる量的な減収を把握するというのが基本ではございます。共済金の支払いの前提となる被害は、あくまで基準年に対する損害が量的に幾らあるかというのが基本ではございますが、政府買い入れの基準に達するかどうかという質的な判断も加味をして現実の被害実態を把握する特例措置がございますので、農業協同組合連合会の要望に基づきまして、そういった品質面も加味をした損害評価を行うということによりまして、今委員の方から御指摘があったような問題については対応できるのではないかというふうに考えております。
  76. 諫山博

    諫山博君 質の問題を考慮するのは結構です。 これはやはり現地での非常に強い要望です。  同時に、一・七ミリの網の目というのは現実的ではない。これは農民から見ればひど過ぎるという声がありますけれども、網の目の問題はどうですか。
  77. 塩飽二郎

    政府委員(塩飽二郎君) お答え申し上げます。  現在、お話がございましたように農家が生産されたお米をライスセンターあるいはカントリーエレベーターなどにおきまして調製する際に、ふるい目といたしまして一・八ミリメートルの目を超えるふるいで選別し、より良質なお米を選別する、そのことによりまして有利な販売の条件を確保していこうというようなことが行われていることは我々も承知をいたしておりますが、共済における収量の基準は、先ほども申し上げましたように通常一・七ミリメートル以上の厚みのある玄米としておるわけでございます。これは、この基準に達するものが一般的に一等米ないし三等米に該当することとなっておるからでございます。
  78. 諫山博

    諫山博君 その一・七ミリというのが実情に合わない、実際に農家がはかっているのはもっと大きな網の目だということですけれども、それに対してはどうですか。
  79. 塩飽二郎

    政府委員(塩飽二郎君) ただいまも申し上げましたように、より良質米を有利に販売するための生産者の販売活動の一環といたしまして、目の大きなふるいにかけて良質米を選別するということが行われていることは、確かに実際として我々もそういうことがあるということは認識をいたしているわけでございますが、一・七ミリメートル以上の厚みのある玄米が現に一等ないし三等として流通をする実態にございますので、共済の世界におきましては先ほど来申し上げているような考え方に基づいて、一・七ミリメートルのふるいを基準にしながら、かつそれ以下のものにつきましても品質面を加味するということによって対応しているわけでございます。
  80. 諫山博

    諫山博君 終わります。
  81. 勝木健司

    勝木健司君 ことしの冷夏、日照不足等の異常気象は、稲を初めとして農作物全般の生育に甚大な被害を与えております。特に水稲作況指数を見てみますと、宮城県は八四、また福島県八六などと、昭和五十五年あるいは五十八年以来の大冷害となっておるように思います。  我が党の行いました冷害調査におきましても、東北、北関東を中心冷害が深刻化していることが報告されております。現地調査を行った感触では、東北等の冷害農水省作況指数よりはるかに悪化しているのではないかというふうに考えられますが、農水省としてどのようにこれを認識されておるのか、また、あわせて今把握しておられます農作物被害額状況を簡潔に御報告いただきたいというふうに思います。
  82. 海野研一

    説明員海野研一君) 先ほど申し上げましたように、ことしの稲の状況なり天候状況ということから申しますと、九月十五日以降の天候影響というものは相当受けるであろうというふうに思われるわけでございます。その中で、特に九月十五日現在に既に作柄の悪かったような地帯にその後日照不足の続いたようなところが多いわけでございます。そういう地域作柄については私ども非常に心配しているわけでございます。  ただ、具体的にどの程度になるかということにつきましては、十月十五日までに実際の刈り取りその他を行いまして調査を実施しておりますので、この結果がまとまるのをお待ちいただきたいと思います。
  83. 勝木健司

    勝木健司君 次に、我が党が十月十三日付で農林水産大臣に申し入れました農作物冷害救済対策に基づいて質問をいたしたいというふうに思います。  まず第一点でありますが、減反、米価引き下げが続く中、これ以上借金をふやしたくないという声を聞いておるわけでありますが、円滑な営農資金の農家への供給という観点から、農家への資金対策として激甚災害法の適用を一日も早く行うべきではないかと考えます。国土庁長官の決意をお伺いいたしたいと思います。  同時にまた農林水産大臣に対しても、天災融資法早期発動を速やかに実施すべきであると考えますが、お伺いいたしたいというふうに思います。
  84. 内海英男

    ○国務大臣(内海英男君) 先ほど青木先生、太田先生にも申し上げましたとおり、このたびの東北地方冷害につきましては私どもも深刻に受けとめておりまして、九月十五日現在の作況指数をはるかに下回っておるような状況になっておるというような観点から、現地の各県庁機関あるいは出先機関等を通しまして速やかに調査結果を報告してくるようにということを申しておるわけでございまして、農水省等におきましても鋭意努力をされておられるようでございまして、その集計を待ちまして天災融資法と同時に激甚災害指定といった措置も前向きに検討して、早急に結論を出して農家皆さん方に安心していただくように措置したい、こう考えております。
  85. 佐藤隆

    ○国務大臣(佐藤隆君) 各党から共通してそういう強い要請をいただいておるところでございます。また、私ども自体といたしましても、一日も早く天災融資法の適用、発動をしなければならぬと考えながら、その数値を早く取りまとめてほしいということを地方に対して協力方、強く要請を率先お願いいたしておるところでございます。十一月中にはどうしても適用をいたしたいという願望を持って今努力をしておるところでございます。
  86. 勝木健司

    勝木健司君 地元が強く求めております被災農家に対するつなぎ融資及び既貸付金の償還条件緩和につきましても、行政指導を強化するという措置を速やかに実施すべきであるというふうに思います。具体的にいつこれらの措置が決定されるのか、お伺いをいたしたいというふうに思います。
  87. 塩飽二郎

    政府委員(塩飽二郎君) 被害を受けられた農家が既に資金の借り入れを受けておる、そして償還期限が到来するというようなことによりまして経営にさらに圧迫が加わるというようなことがないように、償還期限の延長等、貸付条件緩和あるいは当面必要といたします資金について天災融資法等の発動に至ります間のつなぎ融資の円滑な融資が行われることは非常に大事だというふうに考えておりますので、既に十月五日付で系統農協機関など関係機関にただいま申し上げたような措置が的確に行われるよう依頼をしたところでございまして、この趣旨の徹底が図られるよう今後十分フォローアップをしてまいりたいと考えております。
  88. 勝木健司

    勝木健司君 次に、農業共済制度についてお伺いをいたしたいというふうに思います。  被災農家に対し共済金の早期支払い、また仮渡しについて現地の要望が強いわけでありますけれども対策を講じておられるのか、まず現況を御報告いただきたいというふうに思います。
  89. 塩飽二郎

    政府委員(塩飽二郎君) 被災者に対します農業共済の早期支払いの問題についてのお尋ねでございますが、最終的には共済組合あるいは共済組合連合会から上がってまいります損害評価に基づいて確定共済金の支払いが行われるわけでございます。それができるだけ早く行われるためには損害評価が迅速かつ的確に行われることが必要でございますので、関係県の共済組合に損害評価の早急な実施をお願いしているわけでございますが、私どもとしてはそういうことを的確に行うことによりまして年内にも共済金の支払いが可能となりますように今後ともやってまいりたいと思っております。
  90. 勝木健司

    勝木健司君 農家の中には、一筆方式の場合、三割の足切りというものがあるわけでありますけれども、このことについて不満を述べている農家が間々あります。そこで、三割足切りというものはどういう理由によって行っておられるのか、お伺いをしたいというふうに思います。また、この足切り率を農家補償を充実するという観点から、例えば二割に緩和することができないものかどうか、お伺いをいたしたいというふうに思います。
  91. 塩飽二郎

    政府委員(塩飽二郎君) 農業共済に加入した場 合の共済方式といたしまして、現在御質問のございました一筆方式というのが最もやり方として多い方式でございます。その場合には、損害額の三割までは足切りになるということになっているわけでございますが、これは共済が保険制度という仕組みをとっておることから、軽微な被害につきましては農家対応する自助努力による損害防止を基本としつつ、共済掛金を負担しながら共済金を最終的にはお払いをするという保険の仕組みとして行っていることから、そういった自助努力面を反映させた足切りの制度がとられているわけでございますが、仮に御質問のございましたような足切り割合を三割をさらに引き下げをするということになりますと、それに伴いまして農家の掛金負担もそれだけ引き上げの要素が出てまいりますし、また損害評価を実施するために必要な経費もその分だけふえてくるというようなこともございますので、そういったことを考えますとなかなか困難ではないかと考えておるわけでございます。
  92. 勝木健司

    勝木健司君 確かに水稲につきましては六十三年度の場合国庫負担が五四%ということで、六十三年度の予算では約一千四百四十億円を計上されておるということでありまして、国の支援をそれなりに証価するもの、あるいは過保護とするものという考え方があります。しかし、現在農作物共済は二千億円の黒字を持っておるわけでありますけれども、今回の冷害で国の再保険金支払い財源に不足を来さないものかどうか、お伺いをしたいというふうに思います。  不足する場合は、従前のように当然補正予算でこれを手当てされるのかどうか、お伺いをいたしたいというふうに思います。
  93. 塩飽二郎

    政府委員(塩飽二郎君) 先ほどお答え申し上げましたように、現在共済団体におきます損害評価を迅速にかつ的確に行っていただいておるわけでございますが、いずれにしましても、共済組合から支払われる保険金については国の特別会計からの再保険金の支払いによって担保がなされるわけでございまして、その国の責任部分につきまして支障のないよう適切に対応してまいりたいと考えております。
  94. 勝木健司

    勝木健司君 次に、被災農家の雇用機会の創出、また農外収入の確保のための救農土木事業としての災害復旧事業予算の増額、またあるいは事業の早期着工というものを講ずべきだというふうに思います。いわゆる農業基盤整備事業の執行に当たっての対応策というものをお伺いしたいというふうに思います。
  95. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 被災農家の就業機会の確保、重要な問題だと考えてございます。農業基盤整備事業、農村で行われるということでございますので、そのために役立たせるという観点で今後の実施に当たりましての心がけといたしまして、地域におきます農家の就業希望等を的確に把握いたしました上で、被害実態に応じ農家の就業が円滑にいくように十分配慮しろ、こういう指導通達を既に発してございまして、その線で指導に努めておるところでございます。
  96. 勝木健司

    勝木健司君 冷害の痛手が大きい農家ほど規格外米比率が高い。また単収が低い農家ほど等外米が多く、被害のひどい農家では大部分の米が等外の場合があるということであります。したがいまして、この被災農家規格外米については政府買い入れを実施すべきであるというふうに考えますけれども政府対応をお聞かせいただきたいというふうに思います。
  97. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 災害により出てまいります規格外米でございますけれども、これにつきましては現在の米の需給事情、在庫の事情等からいたしまして、このところ政府買い入れというものは行っておりませんので、こういったものの解決のために自主流通米として円滑な流通が行われますように集荷業者等を指導しておるところでございます。既に通達も出しまして東北の各県におきましてもこの手続が進行中であるという状況でございます。
  98. 勝木健司

    勝木健司君 東北六県では四分の一が今減反となっておりますし、農家の間でも減反面積の緩和を求める声に根強いものがあるわけであります。  したがいまして、水田農業確立対策による減反面積の配分につきまして被災地に対して配慮すべきであるというふうに考えるわけでありますが、佐藤農林水産大臣は、過日、冷害地域に限っての緩和は難しいというふうに否定的な見解を述べられておるわけでありますけれども、何らかの対応策があるのではないかというふうに考えるわけであります。また、不可能な場合はその理由は何なのかお伺いをいたしたいというふうに思います。
  99. 佐藤隆

    ○国務大臣(佐藤隆君) 六十四年度の転作面積、これは米の需給動向あるいは全国の水稲作柄水田農業確立対策の実施状況、こういうことを考えながらやるという原則をまず申し上げておきたいと思います。そして、いずれにしてもいろんな状況がございますから生産者、団体、行政、これが一体となって検討、推進をしていかなければならない、こう考えておるわけでございます。
  100. 勝木健司

    勝木健司君 次に、被災農家に対して所得税の何らかの減免措置はできないものかどうかということ、また地方税に対しても同じく減免措置はできないものかどうか、また予約概算金の返納利子につきましても被害程度に応じて減免措置を講じるべきではないのかということをあわせてお伺いをいたしたいというふうに思います。
  101. 阪田雅裕

    説明員(阪田雅裕君) 先ほども本委員会で御答弁申し上げたところでございますけれども、所得税につきましてはいずれにしろ所得に対して課税されるということでございますので、冷害等によりまして収入が著しく前年に比べて減った、あるいは病虫害対策等のために例年にない余計な支出をたくさん要したというような場合には所得が自動的に減少するということになってございます。したがいまして、それに伴って課せられる所得税も減る、あるいは場合によっては課税最低限以下にということになるわけでございます。いずれにしろ万が一にも課税に適切を欠くことがあってはいけないということで、私どもとしましては先般各国税局に対しまして、被災農家につきましては実地に被害状況調査するあるいは農業関係団体などから被害状況をよく聴取するということで被害実態を的確に把握するとともに、そうした被害実態を反映した適切な課税を行うように指示したところでございます。  それから、税金の納付の問題につきましては、いわゆる第二期分の予定納税、本年十一月末までに納付していただくことになっておるわけですが、その予定納税につきましては本年の所得が冷害等によりまして昨年よりも減るという場合には減額承認が申請できるということになっておりますし、またそういった税を含めまして国税を一時に納付するということが難しいという場合には原則として一年以内の期間内で納税の猶予というものを申請していただくこともできることになっております。各国税局に対しましては、こうした農家の方から申請があった場合には、被災状況を十分勘案して迅速かつ適切に処理するよう私どもの方から既に指示しておるということでございます。
  102. 鶴岡啓一

    説明員鶴岡啓一君) 六月下旬以降の冷害等による農作物被害の被災納税者に対します地方税の取り扱いについてでございますが、従来から災害被害者に対する地方税につきましては、減免措置等について基本的な私どもの考え方を示した通達を出しております。今回も十月十八日付でこの通達に基づきまして納期限の延長あるいは徴収猶予、それからおただしのありました減免の措置につきまして適切な運営が図られるよう指導したところでございまして、今後とも各地方公共団体におきまして個々の納税者の被害状況を見ながら、この通達に基づいてそれぞれ条例に根拠を置いてやることでございますが、適切に対応すると思いますが、引き続き遺漏のないように指導をきちんとしていきたいと考えております。
  103. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 米の政府買い入れ代金の前払いとして概算金を支払っておりますが、災害によりましてその減収のために返納できなくなった場合のお尋ねでございます。  この場合におきましては、天災融資法が発動されました場合にその被害程度に応じまして一定の基準によって返納金の利子減免を行うという方針でございます。
  104. 勝木健司

    勝木健司君 最後に、佐藤農水大臣にお伺いをしたいというふうに思います。  RMAの再提訴は来週USTRで判断を下すようでありますけれども見通しについてお伺いをいたしたいというふうに思います。  また、政府は新ラウンドで日本の米問題を話し合うとアメリカに対して述べておりますけれども、アメリカとしては日本の態度を、新ラウンドで日本では何らかの米市場開放を行う用意があるというふうに受け取られる懸念はないのかどうか、あわせてお伺いをいたしたいというふうに思います。  それともう一点は、食管制度の弾力化を求める声も強いわけでありますが、米の小売店の自由参入問題を政府はどのように今後改善していこうとされておるのかお伺いをして、私の質問を終わりたいというふうに思います。
  105. 佐藤隆

    ○国務大臣(佐藤隆君) RMAの再提訴の問題でございますけれども、いかなる決定がアメリカにおいて下されるのか予断を許さない状況にあると認識いたしております。  我が国では既に米の問題について現在進行中のウルグアイ・ラウンドの場で、米国のウエーバーやECの輸入課徴金等、参加する各国がそれぞれの抱える困難な問題、いろんな国がいろんな歴史的経緯がございますから、そうした農業問題及び制度について議論を行う段階になれば、我が国としても米の問題を含むいろんな問題について議論をすることはやぶさかではない、こう考えておるわけでございます。その際、食糧自給率の低い国が国民生活の維持にとり不可欠な基礎的食糧については特別な扱いを認める必要のあることを主張し貫きたい、こう考えておるところでございます。  食管制度の問題、小売の参入については食糧庁長官から答えさせます。
  106. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 食糧管理制度の運営改善の一環といたしまして、流通面の改善を現在流通改善大綱を策定いたしまして進めておるところでございます。  特に小売についてのお尋ねであったわけですが、小売業者につきましては、本年四月にまず営業区域をこれまでの市町村から都道府県に拡大するということをいたしております。また、六月には新規参入を促進するという観点から、知事の許可に当たりましての規模要件の引き下げということも行っております。また十一月から、新しい制度でございますが、主として店頭で袋詰め精米のみの販売を行う形の店舗を新たに認めるということにいたしまして、従来の販売所とあわせまして小売業の新規参入を促進してまいりたいと考えております。これからも政府によります流通ルートの特定という枠組みは維持しなければならないわけでありますけれども、その整備のために対策を進めてまいりたいと考えております。
  107. 勝木健司

    勝木健司君 終わります。
  108. 秋山肇

    秋山肇君 私も先日、小川委員長のお供をして福島宮城岩手に行ってまいりました。災害実情というのを目の当たりに見て、農家皆さん方の御努力に対して本当に感謝し、また感激をしたわけでございます。そういう中でずっと現地を見ますと、一生懸命やっておられる方々の年齢、年代というのはもうかなりの高齢化になっていて、若い人がいらっしゃらないように感じたわけであります。  特にことしの冷害の大きな理由として、いもちの防除のあり方それから土づくりだとか品種構成の問題等があろうと思いますが、きょうはその問題を質問をしてそれから大臣にと思いましたら、大臣は御用がおありになるので先に大臣に聞けということでございますから、私の質問にはそういう問題を踏まえているということで御理解をいただいてお答えをいただきたいのです。こういう冷害ということで農業意欲が減退をしてはならない。この問題が私は大変な大きな問題だろうというふうに思うわけであります。  先日、大臣が角田市に行かれたときに農家方々から、仲間が多ければ注意し合って、もっと早く手は打てたかもしれないということを大臣に訴えられたというふうに新聞報道に載っておりました。こういうことからしても平日、田んぼを回って歩く、昔よく田回りと言ったのですけれども、そういう農家が減少してきている。全般的に米づくりの意欲が低下をしているということも今回の冷害に拍車をかけたとは言いませんけれども、こういうことであってはこれからの農業というのはならないわけだと思うのです。  今のお答えにもあったこれからの農業の米の自由化を含めたいろんな自由化攻勢という問題を含めまして、大臣はそのときにお答えになったそうですが、ど根性だけではやっぱり農業をやっていくというわけにもいかないというふうに思うわけで、ぜひひとつ根性論だけじゃない日本の農業の将来、農業の軽視を今されているわけですけれども、この災害に対して特に東北農家方々の努力をお願いする、また一般の消費をしている我々国民に対してもあわせて大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  109. 佐藤隆

    ○国務大臣(佐藤隆君) あの視察をした当時、実は特に宮城県におきましては一日農林水産省的な感覚で懇談会を開きました。その際集まられた方々、時間がなくて発言をされなかった方もおりましたので、機会があれば東京においでになったときにでもひとつぜひお会いをいたしたい、こう申し上げておるところでございます。その方々を初め、またあぜ道に出てこられた皆さんは御年配の方もおられましたが、相当若い方々もおられたように私は感じ取っております。  今、農政に信頼を持ってもらうことに私は全力を尽くしております。というのも、その信頼がなければ活力も出てこない。しかし、その活力はいかに世の中変遷があろうとも、地域の活性化、地域経済の根幹は地域農業、この活性化にありという考え方で私は考えておるわけでございます。そういう意味において私あぜ道で本当に生々しい現状に触れて極めて残念に思いました。しかし、私も頑張るから皆さんもひとつ頑張ってほしい、こういうことで、私自身も一部の方から厳しい批判は受けているかとも思いますけれども、まずひとつ一緒になってやろうということで、私は心を通ずる言葉として、ど根性、今こそど根性をお互いが出すべきときだ、こういうことを申し上げた経緯もございます。  そういう話をしておりますと、あぜ道においてみんな、そうだそうだと言うてうなずいてくれました。私自身がそれに勇気づけられるという場面も私は感じ取ったわけでございまして、そういう考え方で、内外の情勢厳しいときではございますけれども、我が国の食糧政策を貫き通す上において、私はこういう機会に、冷害という異常低温、異常災害、こういうものが起こったわけでございますから、これは丁寧な運びをしなければならない、こう考えておるところでございます。  委員はみずから農業を、畑作をやっておられるということも聞いておりまして、私なんかよりも造詣が深いと私も承知しておりますが、今後ともお互いが信頼をし合って、そして活力を見出して、そしてそれに具体的施策がそのレールの上に乗っていくということでなければ農業はよくなりません。だめだ、だめだと言ったのではいよいよだめになる。私は、そうではない、こういう意味で守りの農業からより積極的な農業、こういう考え方で考えておりますので、そういう意味においても温かい冷害対策対応を進めつつあると、私自身は自分でそう信じながら努力を重ねておるところでございます。
  110. 秋山肇

    秋山肇君 ぜひひとつ今の大臣の御答弁東北方々また全国で農業を後継者としてやっていこうとしている人たちの励みになるようにこれからもよろしく御指導をお願い申し上げたいと思います。  それでは自治省にお伺いしますが、今回の大冷 害によって各県では既にいろいろな対策に取り組んでいるわけですが、この対策にかかる費用は財政規模の小さい市町村にとってはかなりの負担になるというふうに思います。そこで、これらの地方公共団体が実施する災害対策の経費並びに税の減収分を特別交付税をもって措置する等、必要な財政措置を講ずべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  111. 広瀬経之

    説明員(広瀬経之君) お答えいたします。  今般の冷害によりまして被害を受けました地方公共団体におきましては、ただいま御指摘のように農家の生活再建の施策等、さまざまな財政負担を生ずることが見込まれるわけでございます。  そこで、自治省といたしましては冷害による被害状況あるいは各市町村の財政状況等を勘案いたしながら当該団体の財政運営に支障が生じないよう、特別交付税の配分等を通じまして適切に対処をしてまいる所存でございます。
  112. 秋山肇

    秋山肇君 次に、土づくり、一生懸命、私どもも見せていただいた精農家方々田んぼというのは堆厩肥がつぎ込まれていて地力のある水田であった。それにもかかわらず今度の気象で成果が出なかったということでありますけれども、こういうことを契機にして逆に手抜きな農業、稲づくりというのは土づくりだというふうに言われているものから農家皆さん方が手抜き農業になっていったんでは、ことしの災害はまた繰り返されてしまうというふうに私は思いますので、この点についていろんな技術的側面とあわせ労力的な問題もあると思いますけれども、これについての何かお考えがありましたらお答えいただきたいと思います。
  113. 吉國隆

    政府委員吉國隆君) ただいま先生お話しのように、土づくりの問題が農業生産力の増進というだけでなく、気象災害回避という点でも非常に大切であると考えているわけでございます。五十五年の大冷害を契機にしまして土づくり運動というものもかなり活発になってきておりまして、最近では水田農業確立運動という全国の行政組織、生産者団体を通じた運動が展開されるというような状況も生まれてまいっているわけでございます。  そのほか、行政といたしましては、土壌の実態調査なりあるいは普及所に土壌の診断機器を整備するといったようなこともやっておりますし、今後ともそういった各面の努力を重ねて地力の増強に努めてまいりたいと思っております。また、ことしの災害との関係についての分析もよくしながら、必要な対応があればそれも今後の課題として取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  114. 秋山肇

    秋山肇君 それから、この間の視察でも現地説明を受けた一つに、低温に対抗するためというか稲のかん水ですね、水を深水にして管理をしたというお話。また、あぜから水が逃げないようにビニールシートを張って水を一定のなるべく温度を下がらないようにしたとか、夜中でも水温計を持って用水を歩いて、それで田んぼに少しずつ水を入れてきたというような努力もお聞きしたわけですが、そういう御努力にもかかわらず成果が上がらなかったというようなことが現地視察のところにもあったわけです。  この深水というのは、今度の災害だけではなくて、東北というのは常に温度が低いという宿命があるわけですから、この深水管理の技術面での研究が一層図られるべきであるし、農家に対しての指導があってしかるべきだと思いますが、この点についていかがですか。
  115. 谷野陽

    政府委員(谷野陽君) 深水の問題でございますが、低温に対する対処といたしまして、低温の際に水田の水を深くして水の温度等を利用いたしまして稲の耐冷性を高めるということは従来から行われているわけでございます。また、最近ではそういう低温が来る前から深水にしばらくしておいた方が効果があるのではないかという研究も行われているわけでございます。低温の際の深水につきましては、おおむねその効果は研究の分野でも認められているわけでございまして、これをどのように具体的な現場において実施をするかという問題でございます。  一方、この深水の技術をより長い期間にわたって適用することが効果があるかどうかという研究も私どもの北海道農業試験場で既に実施をいたしておりまして、冷害が間違いなく来るという場合にはこれは効果があるということがおおむねわかっているわけでございます。ただ、冷害がどの程度のものであるか、いつどういう低温が来るかということを数週間もしくは数カ月前に予測をするということは非常に難しい。もしも深水をやっておいて、冷害と申しますか、異常低温が来なかったときには、早目に水を落としませんと土に近い方の節が伸びて稲がむしろ弱くなるという問題も一方にはあるわけでございます。したがいまして、このような具体的な要素につきまして、さらに私どもとして研究を深めなければならないというふうに思っておりますし、また、そういう技術の現場の適用のためには気象についてのある程度の予測の可能性ということも研究の対象としなければならないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  116. 秋山肇

    秋山肇君 それから、品種構成の問題ですけれども、細かく質問している時間がありませんから、それぞれの、わせ、なかて、おくて、組み合わせをすればいいのでしょうけれども、価格差の問題でササニシキにいってしまうというようなことがあったわけですけれども、この問題についてはいかがですか。
  117. 吉國隆

    政府委員吉國隆君) 確かに農業経営上または気象災害を回避する面からいろいろな品種を組み合わせて作付をすることが望ましいということがあるわけでございまして、私ども技術指導の面におきましてそういったことを、地域条件に応じまして適切な品種を選定するということとあわせまして指導を行っているわけでございますが、御指摘のように食味のよい品種への志向というものが進んできているというような実情もございます。今後、いろいろと品種開発なりあるいは技術の改良ということも含めながらやっていく必要があるというふうに考えている次第でございます。
  118. 秋山肇

    秋山肇君 今回の冷害農家が経済的に大打撃を受けるわけで、先ほど来各委員から融資また税の問題についてそれぞれ質問があったわけですが、重複を避けまして、私は農家が農業用の肥料だとか資材、農機具等を農協から借り入れを起こして購入しているのが多いと思うのですが、減収したことにより借金を返せない家庭も多くなることは目に見えておるわけであります。  農協というのは、私が今さら言うこともないと思うのですが、相互に助け合う、協同組合精神の本来というものはそういうことであるわけですから、この精神からいっても、こういうときにお互いが助け合っていくということが大事だろうと思うわけで、農協側も今回のこういう被害を受けた農家に対してそれぞれの事情を勘案して、借入金の返済あるいは低利の貸し付け等、特別の配慮をすべきだと思いますが、この点、どの程度それぞれの指導といいますか、実情がわかればわかる範囲でお答えをいただきたいと思います。
  119. 塩飽二郎

    政府委員(塩飽二郎君) 私どもは、今委員の方からお話がございましたような、被害を受けられた農家の過去の借り受けがさらに経営を圧迫するというような心配がございますので、そういう既貸付金についての償還期限の延長でございますとかあるいは据置期間の延長ですとか、その他の貸付条件緩和措置が図られるように、十月五日付で関係機関に対して的確な措置をとっていただきたいということで依頼を申し上げているわけでございます。  今、特にお話のございました農業協同組合系統組織におきましても実情に応じて、つなぎ資金に対する資金の供給でございますとか、あるいは金利の助成など対策を講じていただいているというふうに承知をいたしております。例えば宮城県の例で申し上げますと、既につなぎに、天災融資法等の発動までの間に必要となります運転資金等に対応いたします低利の資金といたしまして、末端の金利を四・〇%になるような低利の資金が確保 されるように信連、経済連等々がそれぞれ分担をすることによりまして、ただいま申し上げたような低利の融資が実現できるような資金制度を既に発足をさせているというふうに伺っております。また、宮城県以外のその他の県でもほぼ同様の措置が講じられつつあるというふうに承知をいたしておるわけでございます。
  120. 秋山肇

    秋山肇君 最後に要望しておきますが、最近の週刊誌等によれば、米が東北でとれなくても国民の食う米は大丈夫なんだ、在庫調整ができるからむしろよかったのではないかというような書かれ方までされているわけです。ところが、今現地に行ってみれば一俵とれるかとれないかのようなことで、今までそれぞれの先生方からも質問があったような農家の現状なわけであります。そういうときに私が今何で農協のお話をしたかというと、やはり全国のほかの農家方々が困ったところの方に何か応援をするということがあってしかるべきなのじゃないかというふうに思ったものですからお聞きをしているのですが、五十五年の冷害時に全中が救援募金活動に取り組んで一億六千八百万を集めて被災地に振り分けたということを聞いておりますけれども、私に言わせれば、残念なことだ、もう一けた二けた、当然多くの金が集まって、お互いに農業をやっている、日本の農業をしょっていくのだという者が助け合う気持ちというのが必要なんだろうというふうに思うわけであります。ぜひひとつ農水省においてもそういうこれからの後継者、農業の重要性というのを踏まえてそれぞれの部局で御努力をお願い申し上げて私の質問を終わります。
  121. 小川仁一

    委員長小川仁一君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十六分散会