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1988-08-26 第113回国会 参議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年八月二十六日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  七月二十八日     辞任         補欠選任      佐藤 昭夫君     諫山  博君  八月一日     辞任         補欠選任      太田 淳夫君     塩出 啓典君  八月八日     辞任         補欠選任      塩出 啓典君     太田 淳夫君      諫山  博君     佐藤 昭夫君  八月二十二日     辞任         補欠選任      佐藤 昭夫君     近藤 忠孝君  八月二十三日     辞任         補欠選任      近藤 忠孝君     佐藤 昭夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小川 仁一君     理 事                 田代由紀男君                 青木 薪次君     委 員                 井上  孝君                 上杉 光弘君                大河原太一郎君                 竹山  裕君                 永田 良雄君                 野沢 太三君                 星  長治君                 増岡 康治君                 太田 淳夫君                 佐藤 昭夫君                 勝木 健司君                 秋山  肇君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  内海 英男君    政府委員        国土庁防災局長  三木 克彦君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        文部省体育局学        校健康教育課長  石川  晋君        文化庁文化財保        護部長      田村  誠君        厚生省生活衛生        局水道環境部環        境整備課長    藤原 正弘君        厚生省社会局施        設課長      横田 吉男君        厚生省保険局国        民健康保険課長  大塚 義治君        林野庁指導部治        山課長      岡本 敬三君        中小企業庁長官        官房倒産対策室        長        河野 秀樹君        気象庁予報部予        報課長      山岸米二郎君        建設省都市局街        路課長      深水 正元君        建設省河川局河        川計画課長    岩井 國臣君        建設省河川局治        水課長      齋藤 尚久君        建設省河川局防        災課長      佐々木賢一君        建設省河川局砂        防部砂防課長   松下 忠洋君        建設省河川局砂        防部傾斜地保全        課長       杉山 俊宏君        建設省道路局有        料道路課長    松延 正義君        自治大臣官房参        事官       広瀬 経之君        消防庁防災課長  仁科 英麿君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (昭和六十三年七月西日本豪雨災害復旧対策に関する件)  (土石流対策に関する件)  (文化財防災対策に関する件)     ─────────────
  2. 小川仁一

    委員長小川仁一君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、先般行いました昭和六十三年七月豪雨による広島島根県下における被害実情調査のための委員派遣について、派遣委員報告を聴取いたします。青木薪次君。
  3. 青木薪次

    青木薪次君 派遣報告を申し上げたいと思います。  去る八月四日と五日の二日間、小川委員長田代、片上両理事、増岡諫山勝木秋山の各委員及び私、青木の八名は、昭和六十三年七月豪雨による広島島根県下における被害実情調査してまいりましたので、以下、その概要を御報告申し上げます。なお、広島県において、塩出委員小西議員現地参加されました。  まず、広島戸河内町に入り、広島県副知事戸河内町長加計長等から被災状況等を聴取した後、同町川手国道百九十一号線流出箇所及び落合橋落下地点加計江河内、上堀両地区被災地視察いたしました。翌日、島根浜田市において、島根県副知事浜田市長三隅長等から被害概況等を聴取した後、同市内及び三隅町の被災地視察いたしました。  七月の十一日から二十七日にかけて、西日本中心に局地的な大雨となり、広島北西部島根西部地方は、総降水量が四百ミリから五百ミリという記録的な豪雨に見舞われ、甚大な被害発生しておりますが、広島県下におきましては、死者十四名、重軽傷者十一名、住家被害全壊三十八棟、半壊二十棟、一部破損十五棟、床上浸水七十二棟、床下浸水四百八十二棟の計六百二十七棟に上り、また施設関係被害額は、公共土木施設百二十二億円、農地農業用施設二十五億円等、総額百六十四億円余に達しており、これに六月一日から七月八日までの間の五回にわたる大雨被害額を合わせますと、被害総額は二百三十六億円に達しております。  また、島根県におきましては、死者行方不明者六名、重軽傷者二十九名、住家被害全壊七十八棟、半壊百八棟、一部破損二百六十棟、床上浸水千七百八十八棟、床下浸水五千二百八棟の計七千四百四十二棟に上り、施設関係被害額は、公共土木施設三百九十八億円、農地農業用施設百十一億円、さらに商工関係二百九十一億円等と、被害総額は実に九百十億円余に上っております。  次に、視察いたしました被災地状況について申し上げます。  広島加計町及び戸河内町では、二十日夕方から時間雨量二十ミリ以上の雨が連続して六時間以上も降り続き、総雨量はそれぞれ二百六十一ミリ、 二百八十五ミリとなり、両町を蛇行する太田川支流江河内川増水はんらん一帯水浸しとなり、また、がけ崩れ鉄砲水発生し、土石流中心とする甚大な被害をこうむったのであります。  戸河内町では、町の消防団員が老人二人を連れ避難場所へ移動中、国道の路肩が崩れ、車ごと川に転落し三名の死者を出すという痛ましい事態が発生しており、また同町では国の特別名勝指定されている三段峡の遊歩道、橋等被害を受け、さらに三段峡に至る国道百九十一号線、JR可部線長期不通となり、旅館、民宿などのキャンセルが相次ぎ、関係者にとっては死活問題となっているとのことでありました。関係中小企業者に対する長期低利融資確保とともに、現在、災害復旧制度対象となっていない自然公園施設災害復旧に対する国の積極的な財政援助措置要望されておりました。なお、国道百九十一号線は八月十日ごろ、JR可部線は八月十二日に開通するとのことでありました。  次に、加計江河内地区では二十一日午前三時ごろ、江河内小谷で大量の鉄砲水が流れ出し、山側からふもとにかけて点在する民家を直撃し、十名の犠牲者を出したのであります。同地区では今回の災害後、時間雨量が三十五ミリを超えると自動的にサイレンの鳴る自動警報装置をとりあえず二基設置したとのことでありましたが、集中豪雨災害を未然に防止するためにはこうした情報伝達体制避難体制整備必要性を強く痛感した次第であります。また、江河内地区上流に最近できた治山ダム及び建設中の砂防ダムの二基の堰堤に大量の土砂をため、下流地域被害を少なくすることができたとのことでありましたが、被害を受けた地区花崗岩のもろい地質の地帯であり、土石流対策砂防工事及び河川改修等災害関連緊急事業早期実施が強く要望されておりました。さらに、鉄砲水発生した江河内小谷下流にある加計町営病院には大量の土砂が流入して埋まっておりましたが、町営病院といえども多額の排除費を町で負担することは不可能であり、国において特別の配慮をしていただきたいとのことでありました。  次に、島根浜田市では、七月十五日の日雨量が三百九十四・五ミリに達し、五十八年七月二十三日の山陰豪雨災害発生時の三百三十一・五ミリを上回る浜田測候所開設以来の未曾有の集中豪雨に見舞われましたが、市当局はいち早く河川はんらん山腹崩壊のおそれのある地域に対し、サイレン防災行政無線により警告、避難命令を出し、住民の安全を期し、住民山陰豪雨災害の教訓を生かし適切な行動をとったため、人的被害最小限に食いとめることができたとのことでありました。  視察の際には水も完全に引いておりましたが、十五日当日には市内下府川はんらんにより、田畑は冠水し、全壊した民家や一階軒下までつかった民家も多数あったとのことで、つぶれた民家の跡がごみの山のようになっており、また、はんらんによる濁流で押し流され落橋した橋が無残な姿をさらしておりました。また、下府川はんらんにより、浜田市の中心商店街卸商団地等浸水土砂が流入し、特に下府町の卸商団地では、お盆の中元前の商品水浸しとなり、ごみと化した商品が山積みされており、卸商団地で百億円、市内商工業者に三百億円という多大の損害を与え、その影響は深刻だとのことであり、激甚災早期指定による低利融資実現が強く要望されておりました。  また、同市内では市内を流れる都市小河川はんらんにより住宅浸水が多く、市内小河川改修促進が急務となっておりました。さらに、住宅道路等に流入した土砂排除ごみ処理等が深刻な問題となっており、市では浜田埋立地に仮の置き場を確保しているとのことでありましたが、国の特別の配慮が求められておりました。  次に、三隅町は、二十日午後十時からの時間雨量が百ミリ、同九時から二十一日午前一時までの四時間雨量が三百八ミリという記録的な大雨となり、これは三十三名の死者を出した五十八年七月の豪雨を上回る雨量でありましたが、今回は行方不明者が一名あるものの、人家の被害最小限に防ぐことができたとのことであり、五十八年災後の災害関連事業として建設された御部ダム三隅川放水路、細田川放水路等が大きな効果を発揮したことが指摘されておりました。こうした実績にかんがみ、下流住民安全確保災害に強い三隅町の実現のために不可欠となっている矢原川ダム建設早期採択実施が強く要望されておりました。  また、三隅町では五十八年の大災害以降、各河川堰堤施工してもらったものの、今回の豪雨により各堰堤土砂が推積し、このまま放置すると下流地域に多大の被害をもたらすおそれがあるため、堆積土砂除去について格段の施策が望まれておりました。さらに、五十八年災復旧後、六十年、六十三年と同一箇所が再度被災していることにかんがみ、護岸高を再検討する等強固な復旧工法実施要望されておりました。  次に、今回の視察を通じて関係者から多くの要望が出されましたが、それらを踏まえて、国が対策を進めていく上で留意すべき事項を若干申し述べます。  第一は、現地でこぞって強く要望されておりました激甚災害指定についてであります。  激甚災指定には基準があり、なお被害額調査を行う必要はありましょうが、被災市町村はその多くが過疎地域指定されており、財政力が極めて脆弱で、復旧事業を進めるにも一自治体の力では限界があり、国の強力な援助が求められております。普通交付税の繰り上げ交付特別交付税及び地方債増額配分とあわせて、激甚災指定についても、地元の実情を十分勘案し、適切に対処する必要があると考えます。  第二は、被災箇所についての早期査定早期着工及び改良復旧必要性についてであります。  現在被災箇所については、応急的な措置によって、とりあえず対処されておりますが、台風等による二次災害発生のおそれもあり、一日も早い本格的な復旧に向けて必要な措置を急ぐ必要があります。また、再度災害を防止するという観点から、原形復旧にとらわれることなく、思い切った改良を加えた復旧がぜひ必要であると考えます。さらに復旧進度についても最近は高められているところでありますが、関係省庁の今後の一層の努力要望するものであります。  第三は、中小河川改修事業促進についてであります。  今回の災害では、大河川については被害がほとんどなかったのでありますが、中小河川各地増水はんらん被害を大きくしているのであります。中小河川については国全体の整備率もようやく二八%という低い状況にあり、今後格段の努力が必要であると考えます。  第四は、土砂災害対策についてであります。  今回の災害では、百年に一回ともいわれる記録的な集中豪雨によるとはいえ、山崩れ、がけ崩れ土石流等により多くの人命と財産が失われました。政府は本年三月十五日、中央防災会議において土砂災害対策推進要綱を策定しておりますが、住民への危険箇所周知徹底土砂災害の予測・警報システム整備警戒避難体制整備等を含めた総合的な土砂災害対策を強力に推進する必要があります。  その他、災害救助法適用基準弾力的運用流失家屋等災害復旧資金として長期低利融資確保中小企業被災者に対する長期低利融資確保等多くの要望を受けてまいりましたが、これらについても政府において適切に対処されることを要望いたします。  以上が調査概要でありますが、最後に、被災地の一日も早い復興を心より祈念いたしますとともに、今回の調査に御協力いただいた関係者皆様方にお礼を申し述べまして、報告を終わります。  以上です。
  4. 小川仁一

    委員長小川仁一君) 以上で派遣委員報告は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 青木薪次

    青木薪次君 今も報告申し上げましたように、今回の集中豪雨による災害広島県の北西部加計町、戸河内町、島根県の浜田市、三隅町等の極めて限られた地域被害が集中していることが特色であると思います。これらの地域では百年に一回といわれる大雨によりまして中小河川はんらんいたしまして、多数の浸水家屋がけ崩れ鉄砲水土石流、これらによる人的被害発生したのでありますけれども、いずれも過疎地域財政力の極めて弱い市町村である。したがって、本格的な復旧に当たっては激甚災害指定による国の強力な財政援助が待たれていると思うのであります。  災害発生から一カ月余を経て被害額も大体固まったと思うのでありますが、激甚災指定見通しはどのようになっているのか。  あるいはまた、今回のように限られた地域に集中した被害については局地激甚災指定基準が働くと思うのでありますが、局地激甚災害指定となるとその対象市町村となるが、被害を受けた戸河内町とか加計町、浜田市、三隅町等のうち、どの市町村検討対象になっているだろうか、この点をお伺いしたいし、激甚災指定対象市町村名及び時期について説明をしていただきたい。  さらに、島根県の浜田市では市の中心街を主に、商工業者浸水による被害が三百億という巨額に上っているわけでありますが、浜田市の商工関係被害について局地激甚災指定が行われるのかどうか見通しを明らかにしていただきたいと思います。
  6. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 今回の西日本中心とする豪雨被害状況につきましては、現在、関係省庁調査を進めているところでございます。  現時点で把握している被害額からいたしますと、農地等災害復旧事業につきましては激甚災害としての指定基準を超える見込みでございます。したがいまして、今後、被害額精査を急ぎ、早急に関係省庁協議を進めてまいりたいと考えております。  次に、浜田市の区域におきます中小企業等に係る災害についてでございますが、局地激甚災害としての指定基準を超える見込みでございます。同様に被害状況精査を急ぎまして早急に関係省庁との協議を進めてまいりたいと考えております。  次に、公共土木施設関係局地激甚災指定でございますが、この判断をいたしますためには、各市町村におきます事業費査定が完了いたしませんとできないわけでございますので、この事業費査定を取り急ぎ実施したい、その上で判断をするということになろうかと思います。  なお、公共土木施設関係局地激甚指定につきましては、年度末に一括して指定の実務を行うことになっておりますが、できるだけ早い機会におおよその見通しを立てて手続を進めてまいりたい、このように考えております。
  7. 青木薪次

    青木薪次君 先ほども申し上げましたように、被害が集中している広島北西部加計一帯花崗岩質なんですね。いわゆるヘドロのような状態と言ったらいいんでしょうか、そういう状態であったと思うのでありまして、したがって土石流危険渓流、急傾斜地崩壊危険箇所が集中しているということが言えると思うのでありますが、災害で崩壊した場所を含めまして緊急に治山治水砂防事業実施しなければならないと思うのだけれども、災害関連砂防事業地すべり対策事業、急傾斜地崩壊対策事業等採択見通しについて説明してもらいたいことと、これらの事業実施に当たっては再度災害を防ぐ、こういう見地から大幅な改良復旧といいますか、改良工事実施検討すべきだと思うのでありまするけれども、それらに対する検討建設省林野庁からお伺いしたい。
  8. 松下忠洋

    説明員松下忠洋君) 島根県それから広島県におきます土石流等災害につきましては、直ちに係官を現地に派遣いたしまして現地調査を緊急に実施したところでございます。  また、渓流に推積しております土砂が次の出水によりまして容易に流下して下流に著しい土砂害を及ぼすおそれがあるということでございますので、緊急的に施工を要する箇所災害関連緊急砂防事業といたしまして、まず一次採択として、島根県十六渓流それから広島県八渓流について実施することとしております。
  9. 杉山俊宏

    説明員杉山俊宏君) お答えいたします。  地すべり等がけ崩れによる災害でございますが、いずれも緊急的に施工を要する箇所でございまして、これはいずれも島根県でございますが、災害関連緊急地すべり対策事業としまして四カ所でございます。それから災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業としまして二十七カ所を実施することとしております。  以上でございます。
  10. 岡本敬三

    説明員岡本敬三君) 今回の広島県、島根県に対します林地荒廃等被害額が約百九十三億円に及んでおります。このうち災害関連緊急治山事業といたしまして既に第一次分、八月十二日に島根県、広島県を含めまして、災害関連緊急治山事業としまして五十六カ所、事業費約十六億八千万の決定通知をいたしたところでございます。
  11. 青木薪次

    青木薪次君 今回の集中豪雨による山地崩壊土石流流出等被害を出したところでは、植樹後十年とか二十年のいわゆる若木といいますか、そういう人工林地に集中しているんですね。それから、植林と治山治水との関係が実は問題になっております。今後、人工林の山を中心治山治水対策を再検討すべき時期ではないだろうかというように考えます。  また、この島根県下では、松くい虫による被害地がけ崩れが多い。これは根っこが非常に枯れているということも一つあるでしょうが、立ち枯れ松処理跡地植樹を急ぐ必要があるだろうと、こう思っておりますけれども、この点は林野庁、どう考えますか。
  12. 岡本敬三

    説明員岡本敬三君) 加計町周辺、確かに人工林地帯でございまして、人工林が多いわけでございます。この人工林対策につきましては、治山事業、従前は人工林はこの対象にしないということになっておったわけでございますけれども、六十三年度からそういう地域をも対象にいたしまして治山事業実施することといたしておりまして、こういう意味で、治山事業促進することによりまして災害の防止に努めてまいりたいというふうに考えております。  次に、松くい虫の関係でございますけれども、松くい虫の被害跡地につきましては、松くい虫被害地等緊急造林事業あるいは松くい虫被害緊急対策治山事業というものを実施してまいっております。今後ともこれらの推進を図って、健全な森林造成に努めてまいりたいというふうに考えております。
  13. 青木薪次

    青木薪次君 治山課長全国各地に全くもみじが咲いたように立ち枯れた松がたくさんあるんです、今度の被災地だけではなくて。この撤去のためには、補助金をある程度使ってもこれを撤去するようなことを考えるべきだと思うのですが、いかがですか。
  14. 岡本敬三

    説明員岡本敬三君) 松くい虫対策につきましては、林野庁といたしましても法律に基づきまして、年間約六十億程度の松くい虫対策の経費をこれに充てております。  確かに、先生指摘のとおり、松くい虫の跡地につきましては特別の伐倒駆除というような形でもちましてこれを推進していくということでございますので、それらの事業の中におきましてそういう被害木処理推進してまいりたいというふうに考えております。
  15. 青木薪次

    青木薪次君 鉄砲水発生し、被害を出しました江河内川では砂防ダム建設されていたのでありますが、砂防ダム建設中の溪流鉄砲水発生いたしまして、下流住家に大きな被害発生しておりました。私たちもその現実を見て、いかに治山治水砂防工事が有効であったかを実は知ることができたのであります。江河内川水系治山治水砂防事業の概略及び今後の見通しについて説明をしていただきたいと思います。
  16. 松下忠洋

    説明員松下忠洋君) お答え申し上げます。  今回の災害におきましては青木先生指摘のとおりに、砂防ダム効果があらわれまして、そのために被害の軽減が図られたという溪流があったわけでございます。御指摘のとおり施設の有無が非常に大きなポイントとなっているというふうに考えております。  しかしながら、全国には御指摘のとおり危険溪流が約七万溪流ございまして、建設省といたしましては、保全対象戸数とか危険の程度というものを考慮いたしまして計画的に土石流対策ダム設置を進めているところでございます。その整備率は、昭和六十二年度末で約一七%でございまして、依然として低い水準にあります。最近の土砂災害の多発している実態にかんがみまして、今後とも積極的に砂防事業促進を図ってまいりたいと考えております。  さらに、警戒避難体制の強化ということも含めた総合的な土砂災害対策推進に努めてまいりたいということで努力していきたいと考えております。  以上でございます。
  17. 青木薪次

    青木薪次君 あなたのもとの任地でありました大分県の大山町で大きくクラックが発生いたしまして、これに雨水が侵入すると大変なことだと思ったのでありますが、これを見事に征服した、こういうことについて私どもは高く評価をいたしているわけであります。  それと同時に、今回の災害にかんがみまして被災地自動警報装置設置されましたが、土石流発生危険度の高い溪流には監視装置警報装置設置すべきだと思うのであります。全国的に設置状況について説明をしてもらいたいと思います。
  18. 松下忠洋

    説明員松下忠洋君) お答え申し上げます。  土石流危険溪流周辺におきます警戒避難整備のためには、関係住民において警戒避難を行うべき基準を設定するということが最も重要でございまして、過去の土石流発生時、研究機関の成果ということを考慮いたしまして、原則として雨量によって設定しようということにしております。昭和六十年の八月には建設省技術評価評定というものがございまして、それによりまして土石流発生監視装置というものを開発したところでございます。また、建設省におきましては、この土石流発生監視装置土石流危険溪流の集中した地区設置するように順次指導しているところでございます。しかしながら、設置する予算上の制約もございまして、積れきの流れが聞こえる場合であるとか、あるいは流水が急激に濁り出した場合というような、そういう洪水、大雨のときには住民が自発的に警戒避難を行うということも必要ではないかということで、これにつきましても市町村を通じて指導してきておるところでございます。毎年六月は土砂災害防止月間ということでございまして、そういう期間を通して地域住民の方に指導を徹底しているということでございます。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 今回の大雨で既に設置されております砂防堰堤土砂が堆積いたしまして機能できなくなっているというところが、現地でもそうでしたけれども、全国的に多くなってきていると思うのであります。放置しておくと多大の被害をもたらすおそれがある。砂防堰堤に堆積した土砂の除去を求める声が多くなっているのでありますが、建設省林野庁にまたがると思うのでありますが、この点はどのような対策を講じていかれるか、説明していただきたいと思います。
  20. 松下忠洋

    説明員松下忠洋君) 砂防ダム等の機能に関することでございますけれども、砂防ダムが満砂いたしましても、それで砂防ダムの機能が全部停止してしまうということではございませんで、中小洪水のときにはある緩い勾配で土砂がたまりますけれども、大雨が降りまして大量の土砂が出た場合にはそれが一遍に山のようにたまる、その後また中小洪水が徐々に下に水と一緒に土砂が流れていく、そういう調節機能が砂防ダムの重要な役割でございまして、今回もそういう機能で下流災害が軽減されたというところが多々あるわけでございます。  また、御指摘のように、非常に人家、集落に近いところで満砂して、いかにも危ないなというような感じがあるところがあるとすれば、そういうところは状況に応じて適当な対処方針を決めてやってまいりたい、そう考えております。  以上であります。
  21. 岡本敬三

    説明員岡本敬三君) 治山ダムにつきましては、本来、そのダムに土砂をためまして、その溪床の勾配を緩やかにするというのが一点と、それからそれによりまして溪流の両岸の山脚を固定をいたしまして崩壊を防止する、こういう趣旨で従来治山堰堤整備を進めておるところでございます。そういう意味では、治山ダムの場合、土砂がそれに堆積をするというのが本来の趣旨でございますが、予防治山といたしましては、大量に出る土砂を押さえることによりまして災害を防止していくという考え方で進めておりますので、予防治山の治山堰堤を数多く設置するというようなことで対処してまいりたいというように考えております。
  22. 青木薪次

    青木薪次君 島根県の三隅町では同一河川の同一箇所で五十八年災、六十年災、六十三年災、今度のですね、被害しているところが数箇所もあるのです。復旧工法の抜本的な見直しが求められているというようなことが言われているわけでありますが、こういうように再々被害発生しているところでは災害復旧工事のあり方について再検討すべきではないだろうかということが言われているわけでありますが、この点はいかがですか。
  23. 佐々木賢一

    説明員佐々木賢一君) 災害復旧事業は、先生御承知のように負担法によりまして原形復旧を原則とするということになっております。しかしながら、同じ負担法の中でも、特に被害が激甚で原形復旧のみでは著しく困難または不適当といったような、再度災害を防止する上で問題のある場合には一定災という制度もございます。さらに、予算補助制度といたしまして、災害復旧事業費と合併で災害復旧助成事業災害関連事業、さらに下流の能力等を生かすために災害関連対策特別事業、いろいろ改良復旧制度はあるわけでございます。  今回の災害復旧に対しましても、既に県の方で市町村等も指導しながら改良復旧実施を一部検討しております。具体的には、現在まだ事務的な打ち合わせをしているところでございまして、これら県とも十分調整を図りながら改良復旧制度を積極的に活用し、再度災害防止に努めてまいりたいと考えております。
  24. 青木薪次

    青木薪次君 私どもが視察したところでは、正面から流入する水に対する抵抗は非常に強い、後ろにちょっと回るとがたっとくるというようなところが各所に見受けられたわけですね。この点はやはり流路を変えるとか、何とか改良復旧をしなければ何にもならないというように思うのでありますから、その点なんかについてもひとつ改良復旧という点で考えてもらいたい。  それから、今回の災害では百年に一回と言われる豪雨にもかかわらず、大河川については被害発生していないのですね。浜田市内下府川加計町の江河内川等の中小河川はんらんして被害発生しているのでありますけれども、市街地を流れる中小河川については国全体の整備率も二八%、先ほど報告したとおりでありますが、極めて低い。その整備促進が急務となっているのでありますけれども、今回の災害被災地中小河川を含めて、今後の中小河川整備の方針について再度説明をしてもらいたいと思います。
  25. 佐々木賢一

    説明員佐々木賢一君) 初めにお断りしておきますが、直接、災害復旧、土木災害については先ほど申し上げましたように、改良復旧等で積極的にやってまいりたいと思っております。またさらに、施設災害に直接関係のないいわゆる一般被害の大きいようなところ、そういったようなところには激甚災害対策特別緊急事業等制度もございます。そういったものでとりあえず対処する。さらにはいわゆる治水事業をさらに促進するということに尽きるのではないかと思っております。
  26. 青木薪次

    青木薪次君 今回の災害で、広島県の加計町で 大規模な土石流発生しております。これで十人を超えるとうとい人命が失われているのでありますが、政府はことしの三月十五日の中央防災会議において土砂災害対策推進要綱を策定いたしまして、土砂流の予測とか警報システム警戒避難体制整備等を強力に進めるということになっているのでありますが、その具体的内容についてひとつ説明してもらいたい。と同時に、今回の災害にかんがみまして、どの点に重点を置いてその整備促進を図っていくことになるのか、国土庁からお伺いいたしたいと思います。
  27. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) ただいまお話しのように、三月に中央防災会議土砂災害対策推進要綱を決定していただいたわけでございます。この点では、国土保全事業を積極的に推進すると同時に、いわゆるソフトと言われておりますただいま仰せのいろいろなシステムの推進につきまして決めさしていただいているわけでございます。土砂災害危険箇所周知徹底、予警報の伝達システムあるいは避難体制整備、こういったことを積極的に進めていただきまして、ハード、ソフト両面にわたりまして土砂災害対策推進を図るということに決めていただいておるわけでございますが、関係をされます各省庁に積極的に推進をしていただくように特にお願いをしておるところでございます。
  28. 青木薪次

    青木薪次君 先ほど申し上げました広島県の加計町では、土砂流が町営病院に多量に流入いたしまして、現在なお一部が土石流に埋まったままであります。町営病院として町が経営する病院であるから、町が流入土砂の除去費を負担することはもちろんでありますけれども、しかし財政力が極めて弱いという点については何らかの助成措置を講ずべきではないだろうか、これを厚生省にお伺いいたします。  それから、島根県の浜田市では市内中小河川が至るところではんらんいたしまして、浸水家屋を多数出しているわけでありますが、市内中心商店街卸商団地で三百億円近い被害を出している。市内商工業者にとっては死活の問題となっているのでありますが、浜田市についてその被害の大きさにかんがみて、早急に局地激甚災指定を行って、商工業者に対する低利融資を早急に実施すべきだと思うのでありますけれども、これは中小商工業者に対する融資、経営指導にどのように対策を講じていくのか、中小企業庁からお伺いしたいと思います。  それから、この浜田市では住宅や道路に流入した土砂処理についていろいろ困っておりました。それから、市内浸水住宅から搬出された大量のごみの処分がこれまた大きな問題になっております。これは厚生省、建設省林野庁にそれぞれまたがる課題だと思うのでありますけれども、これらについての対策をお伺いいたしたいと思います。
  29. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) お尋ねの加計町の町立病院の被災の状況あるいはその復旧状況につきましては、私どもも県を通じましてそのあらましを今お聞きしておるところでございますが、当該病院は国民健康保険の直営診療施設という性格でもございます。したがいまして、その施設の円滑な運営、ひいては国民健康保険事業の円滑な運営、これを確保するという観点から、今回の災害によります特別な事情あるいは特別な財政事情ということを勘案いたしました助成につきまして今後県を通じまして十分御相談をしてまいりたい、かように考えております。
  30. 河野秀樹

    説明員(河野秀樹君) お答えいたします。  浜田市等におきまして、今回の集中豪雨により被害を受けた中小企業者を救済するために、既に七月二十日付で政府中小企業金融三機関に対しまして災害復旧貸し付けの発動を指示して実施しているところでございます。  さらに、浜田市の区域における中小企業者に係る災害につきましては、局地激甚災害としての指定基準を超える見込みでございまして、今後関係省庁等と連絡をとりつつ被害状況精査を急ぎまして、所要の手続を迅速に進めてまいりたいというふうに考えております。  なお、激甚災害指定されました場合には、融資面では金利等の貸し付け条件が大幅に緩和されるほか、信用保証におきましても保証料の引き下げ等、別枠の設定等の特別措置が講じられることになっております。  さらに、御指摘のございました被災中小企業者に対する経営指導についてでございますが、既に島根県におきまして、商工会議所等と協力して浜田市等の二つの区域において会場を設置しまして、中小企業緊急経営相談に応じていると承知しております。さらに、中小企業庁といたしましても、今後必要に応じ、商工会議所等の経営指導員による的確な対応等が図られるように指導してまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、中小企業庁といたしましては、被災中小企業の早期再建のため、できる限りの支援を行ってまいりたいと思っております。  以上でございます。
  31. 深水正元

    説明員(深水正元君) 市街地の堆積土砂排除いたしますために堆積土砂排除事業というものを実施しておりますが、七月の大雨が原因での堆積土砂によります都市災害被害といたしましては、島根県の浜田市及び広島県の加計町から報告を受けております。  浜田市におきましては、七月十五日に被災して、七月十六日から合計六地区、約一万九千七百立米の堆積土砂に対しまして復旧事業に着手しておりまして、八月二十四日時点でほぼ完了しております。  加計町におきましては、七月二十一日に被災しまして、二十四地区、合計一万九千五百立米の堆積土砂に対しまして復旧事業に着手いたしまして、現在約六割程度排除を行っております。残り部分につきましても早急に完了すべく作業中でございます。
  32. 藤原正弘

    説明員(藤原正弘君) 災害を受けました家屋等から排出されますごみ処理でございますが、これに要する費用は廃棄物処理法二十二条によりまして補助することになっておりまして、厚生省といたしましては、発生したごみを早急に処理し、早期復旧を図るように指示したところでございます。  現在、例えば浜田市のごみ処理につきましては、すべて仮置き場に搬入が終了しておりまして、そのうちの一部は既に埋め立て処分も終わっておるわけでございます。  災害復旧事業査定を行うための現地調査などにつきましては、地方財務局と協議しまして九月十九日から実施するということにいたしております。
  33. 増岡康治

    増岡康治君 今回の派遣委員の一人といたしまして現地を見さしていただいた立場から、若干気がついたことを、短時間でございますが御質問を申し上げたいと思います。  まず最初に、今回の七月の十五日の島根県西部と七月二十日から二十一日にかけての広島県の北部の災害について、人的被害死者二十七名という大変な犠牲を出されました。その他の被災者の方々、非常に大変な数に上りました。心からお見舞い申し上げる次第でございます。  私は、広島県側については直後の七月二十三日に現地へ参っておりまして、緊急体制というものを見さしていただいたわけでございます。もう既に災害救助法の発令された加計町等について非常に公共団体等本当によく頑張っていらっしゃいました。あるいはまた地元のコミュニティーといいますか、近所の方々がすべて手伝うというコミュニティーを感じております。それから消防団、さらに自衛隊の諸君に最後まで頑張っていただいたおかげで七月の二十三日のその日に最後の御遺体が上がったということで、悲しい中にも安堵の姿が出て、第二段の復旧へ入ろうじゃないかというみんなの気持ちがそこにわいたという現地を見さしていただいたわけでございます。  それから私は、五十八年の島根西部並びに広島県北部の両県につきまして災害視察をしており まして、その後、当時とられた対策がどういうぐあいに進んでおるかという多大な関心を持って今日まで見ておりましたさなかに、同じような地区が同じような豪雨によって災害を起こしたということで、その辺を頭に置きながら質問いたしたいと思います。  大半については青木委員が申されたのでございますが、若干それを補足する意味でひとつ質問さしていただきたいと思っております。  ただ、島根県等は御承知のとおり五十八年、六十年、六十三年、同じ地区集中豪雨が来るじゃないか、しかもそれがいつも記録的豪雨と言われるのですね。どこまで更新されるのであろうかという、新聞用語でございましょう、我々の通用語で集中豪雨というものに対して、まず最初に気象庁さんにお聞きしたいのですけれども、きょうはまた留萌がやられておりますが、いわゆる集中豪雨のメカニズムあるいは予知の問題、どの程度の精度でいけるものであろうかなと。本当に予知できるのだろうかどうだろうか。それが本当にまた雨が降ったら、今度は山へ降ったりいろいろするのですが、それにはまた各省が皆いろんな体制を持っておりますが、気象庁は集中豪雨に対してどういう研究が進められ、どういう観点でこれをお進めになっているか、この実態をまずお聞きしたいと思います。
  34. 山岸米二郎

    説明員山岸米二郎君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘がありましたように、集中豪雨と申しますのは、いわゆる入道雲から非常に狭い地域に集中して比較的短時間に大量の雨が降る、そういう現象を一般的に指す用語でございます。これに関しましてどの程度かということでございますけれども、例えば関東地方程度という広い地域のどこかで集中豪雨発生する可能性があるというようなことにつきましては、半日ないし一日程度さきからかなりの確度で予測できるようになったというふうに私たちは考えている次第でございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように非常に狭い地域に集中しておりますので、その場所、時刻あるいは雨量がどれくらいかというようなことを明示して、半日程度さきからあるいは一日程度さきから事前に集中豪雨を予測するという技術は現在でも困難でございます。そういうわけでございますので、気象庁といたしましては気象衛星、レーダー、アメダス等を用いて集中的に監視を続け、さらに例えば本年四月からは三時間先まで降水を予測しようという降水三時間予想を始めましたが、そういうものを活用してできるだけ早期に大雨に関する注意報あるいは警報を発表するというふうに努めているわけでございます。  なお、注意報、警報の対象範囲と申しますのは、大体一つの都府県を二つないし三つに細分した地域に対して発表しているものでございまして、集中豪雨の一つの場所あるいは時刻を指定しているものではございません。今後とも技術開発に努めて集中豪雨の予報の精度向上に努めてまいりたい、そういうふうに考える次第でございます。
  35. 増岡康治

    増岡康治君 ただいまのお話のように一生懸命に勉強し開発をしながらも、なおかつ今回起こりましたような集中豪雨、殊に三時間だとか四時間の集中豪雨が引き金に最後はなるわけですが、こういうものをある地域に特定するということは非常に難しい、これはまさしく私もそうだろうと思います。しかしながら、将来そういう三時間予想もやってみようかという一つの気象庁の態度には非常に敬意を表します。ひとつ頑張ってほしいと思うのです。これからの問題というのはやはりそこからが原点で物を考えにゃいけない時期になったわけでございまして、防災情報の全体のシステムというものがまずやはり、今回は雨の問題で、雨が一番資料が多いんですからいろんな勉強が非常にしやすいのじゃないかと私は思っておるわけでございますので、ひとつ大いに勉強してほしいと思います。  したがって、気象庁の予報だけですべて、今は非常に情報が発達しておりますので、それで行動する癖がついております。したがって、そこにすき間があっちゃいけないなというのが私の今の考え方であるわけでございまして、やはり限度があるという問題に対して、今度は国土を管理する各省の立場からこれを補完していかにゃいけない、こういう感じがあろうかと思います。  そういう前提に立って、今度は加計町の方は主として土石流でございました。島根の方は河川災害等の問題があって一般災害が多かった、農地被災が多かったわけですが、まず土石流関係で一つお聞きしたいんでございますが、全国にたくさんの危険箇所が既に統計上出ておりまして、どういう順位でやるべきかという問題があろうと思います。今回特に島根先生が、地元の人がおっしゃっておるのは、我々は集中豪雨の常襲地帯じゃないかということを非常に主張されました。そうでしょう、五年間に三回も起こるのですから。したがって、そういうところについてはどうにかして、やはりいろいろな全国危険箇所があろうけれども、そういう地点については特に集中的にやってほしい。砂防ダムも林野の治山ダムもそうでございます。あるいは河川改修もそうでございましょうが、今回要望が強かったのは、やったところが全部助かったじゃないかということで、これは本当に今、青木委員のおっしゃるように、やったところは助かっているのですから、そういうことを非常に感じまして、まずそういう問題がやはり一番大切なことであろうと思っております。  その中で私が申し上げたいのは、全国的にどうもそういうところが——熊本もそうだと私は思っておりますが、長崎もそうだと思います。ことし熊本がやられたんです、実は。何かそういう地域があるのかなと思ってみたり、やはりこれは全国的にどこも危ないと思わにゃいけないのか、そういう点がいろいろありましょうが、各省庁ともいろいろ資料をお持ちでございましょうから、集中豪雨常襲地帯のところは特にひとつ力を入れてほしいということと、さっきお話しのように、もう既に我々は予知予報時代に入ったな、予防医学時代に入っておる、人命が一番大切であるということで避難体制が必須であると私は思っております。とても今のことを把握してないで、今度の雨でここが崩れますというような予想はなかなかできそうにもないが、ある程度はできる。しかし、最後まではその特定はなかなかできないと思う。やはり地域住民を巻き込んだ予知体制というものが非常に大切である、こういうことでございます。  最近の科学技術は非常に進歩しておりまして、ほとんど今は無線で通用する。今回も島根災害におきましては三隅町の前回の五十八年の各戸無線が非常に動いたという、これ以後全国市町村が無線でお互いに情報を知ろうじゃないかという動きがありまして、相当な普及率がございますが、さらに加えて、そういう山を守る、溪流を守る、川を守る責任の体制の中から、予知、予報、警戒、避難問題という、殊に避難体制の問題というのはやはり徹底的にシステムをつくっておかないと、あるいは予行演習ぐらいやらないといけないのじゃないかと私は思っております。  そういう意味で、今それと同時に特にお願い申し上げたいのは、数たくさんの事例が、今までがけ崩れ土石流、いろんなものが起こっておるわけですから多くの研究が今日までなされたはずです。そういう研究成果がどういう姿で今日動いておるのか、その辺を含めまして、特に土石流対策について今の現状と今後進むべき方向をひとつ砂防課長の方から御答弁願いたいと思います。
  36. 松下忠洋

    説明員松下忠洋君) お答え申し上げます。  増岡先生の御指摘のとおりでございます。昭和五十二年に、建設省河川審議会というのがございまして、そこから「総合的な治水対策推進方策」という中間報告が出されたわけであります。これは対策工事、いわゆるハードな工事に加えてやはりソフト対策警戒避難というものをあわせて総合的にやっていかなければいけないのじゃないかという中間答申でございまして、それを受けまして建設省土石流技術検討会というものを設置いたしまして検討を進めてまいったわけであり ます。  その成果を受けて昭和五十七年の八月でございますけれども、「総合的な土石流対策推進について」ということで考え方をまとめまして、警戒避難体制整備をこれから進めていくということで、都道府県知事等へ事務次官から通達したところでございます。  さらに土石流発生監視装置というものを建設省において開発いたしまして、土石流避難体制整備要綱案というものも五十九年につくりました。そして土石流発生する引き金となる降雨量に関しまして、警報の発令と避難の指示のための降雨量をどのように決めるかという設定基準等も案をつくりまして、そして都道府県の方に指導をしてまいったところでございます。  土石流や地滑りあるいはがけ崩れといったそういう危険な箇所発生すると予想される地域は、約三千二百五十全国市町村がございますけれども、何らかの形でこの危険溪流危険箇所を持っている市町村が約九〇%ございます。最近の災害の実態を見てみますと、土石流がけ崩れあるいは地滑りといったものがある一つの地域にふくそうして発生しているということが見受けられます。  このようなことから、ことしの三月に同じ河川審議会から土石流だけではなくて地滑りやがけ崩れを含めたものに対策を拡充して進めていくべきだという提言を受けたところでございます。これを受けまして建設省といたしまして、総合土石流対策をさらに発展いたしまして総合土砂災害対策ということで土石流がけ崩れ、それから地滑りに対応できるこういった警戒避難体制整備等促進してまいりたいということで今鋭意やっているところでございます。
  37. 増岡康治

    増岡康治君 せっかく隣に治水課長の顔が見えるので。一つは、五十八年度の島根県西部の問題で、当時手当てをした事業が完成をしておりまして見事に成果を上げたわけですが、そのとき手をつけない、あるいは当時やることもできなかった——実は災害が大してなかったせいもあるが、その残ったところがやはりくしくもやられた。例えば浜田市近郊の下府川もそうです。浜田川の支川もそうですが、こういうものをやらない限り先ほどの浜田市の一般災害を救うことは絶対できない。あるいは農地災害もそうですけれども、できないのです。それしか方法がない。  これに対して、これは相当延長の長い川で小さいけれどもなかなかこれは難しい事業だなと思ったのですが、もうこれは直轄には災害関連の緊急事業がございますが、中小河川等はやっぱり激特あたりの制度でも利用して一気に安心をさせてあげることが一番早いのじゃないかというような感じが現地でいたしました。  そういう意味で、特に島根県側の中小河川に対してどういう制度でやろうとしておるか。これは大蔵省と協議が要るものですから言いにくいかもしれませんが、とにかく私はそういう早く仕上がる方法でやってほしい。改良しかないというふうに見たものですから、普通の災害復旧では無理と見たものですからこういうことを申し上げるのです。それについて治水課長に意見を伺います。
  38. 齋藤尚久

    説明員(齋藤尚久君) 御説明を申し上げます。  ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、五十八年の災害のときには浜田川の本川につきましてはいわゆる激特事業事業をやったわけでございます。今回の災害を見ますと、本川からは幸いにして溢水その他の被害はなかったわけでございますが、支川からの溢水、あるいは当時事業をやらなかった下府川等からの溢水とあわせて内水等の被害が混在いたしましてああいうふうな大被害を生じたわけでございます。  浜田川の支川の問題あるいは下府川の問題でございますけれども、県からはいわゆる激特事業採択要件に足る被害が出ておるというような報告を受けております。もちろんこれについて強い採択要望があるわけでございます。現在我々といたしましては、被害状況その他について詳細な調査を行っておるところでございます。  浜田市その他の激甚な災害状況にかんがみまして、浜田川支川の今井迫川というのと細田川という二つの川がございます。それと下府川という別の二級河川でございますが、これにつきましては、先生おっしゃいましたようなことを含めまして、ひとつ抜本的な治水対策を積極的に進めるように検討してまいりたいというふうに考えております。
  39. 増岡康治

    増岡康治君 ひとつそういう方向でやっていただくと同時に河川砂防、林野砂防も、今回は非常な局部的範囲であるけれども、ある範囲で物をとらえないといけないということになると、これに対応する予防を含めてのことをやっておかにゃいけないということになる。やっぱり災害関連緊急砂防事業をあるいはまた予知を含めてやろうと思えば、危険地域がわかっておるんですから、砂防激特あたりの制度をこの際使えぬものかというのが私の現地の印象でございましたが、これについてはどういう姿勢で臨みますか。
  40. 松下忠洋

    説明員松下忠洋君) 広島県の加計町の状況でございますけれども、災害発生直後に係官を現地に派遣して調査し、指導をしてまいったところでございます。  災害直後に、直ちにまず土石流発生感知装置というものを設置して、警戒避難体制整備をするということの第一歩を実施したわけでございます。今後、同地区におきましては、土石流対策の基本計画というものをつくりたい、こう思っております。そして住民に対しまして情報が的確に伝わる体制を整備するように県を通して指導してまいりたい、このように考えております。  また、今お話ありました災害関連緊急砂防事業というものを実施いたしますけれども、加えまして砂防激甚災害対策特別緊急事業というものの実施についても検討を進めているところでございますので、ここでお伝えしたいと思っております。  以上でございます。
  41. 増岡康治

    増岡康治君 そういうようにやれば必ず防げるというところの問題もあり、やっても無理かなというところも両方あるような気がしまして、これはなかなか難しい問題ですけれども、やればできるなというところはぜひともやっておいてほしい。というのは、私が何遍も言うようにあの付近はまた来るんじゃないかという不安感を地域住民皆持っている地区でございます。百年に一回と言ったって、続けて二、三回来るところでございますので、その辺を頭に置いてひとつ前向きに対処してほしいということを申し上げます。  それから厚生省。今回、青木委員からも御指摘のように、加計町等におきます家屋被害というものが非常に甚大でございまして、立派な家に住んでいる方が皆流され、あるいは半壊され、住める状態でないときに一番頼ってくるのは応急仮設を早く世話しろという要望です。ところが、おたくは二人だから、三人だから七坪でいいやとか、ふろをどうしようかなとかいろんな問題が出まして、案外こういうことで第一線の市町村長さん、議長さん、議会筋は非常に苦労されているんです。というのは、一つの基準というものがあるものですから、こういうものが非常に不安のもとになるし、国がどういう手当てをしているのかということで、県を超えて国の行政に直接問題を投げかけるということが災害直後にはございました。幸いに皆さん方の御指導を得てどうやらおさまったようでございますが、五十八年の大災害にかんがみまして、これは地震を含めてでございますが、この応急仮設問題については割り増しの制度をつくってもらったのは知っておりますが、やはり今の住宅政策そのものの質的向上と言っておるときに、しかも災害でやられる。  私はなぜこれに力を入れるかというと、七月二十三日、私が加計町におったときに潜水艦の衝突事故が同じ時刻に起きた。そのときに加計町では遺体が上がってみんなやれよかったなというたときに、片方では潜水艦の衝突事故があった。そういうことがぱっと頭へ来たときにやはりこういうことでお手伝いしないと、自然災害の場合はお手伝いする場が非常に狭いんですよ。災害救助法で衣 食の方は大丈夫です。今は非常に立派な施設等ができておりまして、衣食については日本は万全の応援態勢ができているなという感じが私は今しておりますが、住についてはこれは後を引きます。長い方は一、二年間ずっとおられる方もおられるわけですから、この辺に対して前向きにこの基準改定について財政当局とひとつ大いに折衝してほしい。これについての御返事を願います。
  42. 横田吉男

    説明員(横田吉男君) 御説明申し上げます。  災害救助法に基づきます応急仮設住宅につきましては、先生指摘のとおり、現在の基準面積は世帯人数の二人から三人を想定いたしまして二三・一平米、七坪ということになっております。今回、広島県の加計町におきます災害につきましては、地元の実情も十分勘案いたしまして、設置戸数につきまして本来九戸でございますものを十九戸まで全部認めますとか、多人数世帯もありますのでそうしたものについての面積拡大を図るとか、ふろの設置につきまして面積を加算するとか、私どもといたしまして最大限弾力的運用を図りまして、地元の要望にこたえてまいりたいと思っております。また、基準面積そのもののあり方につきましても、種々議論があるところでございますけれども、御要望の趣旨も十分体しまして今後検討していきたいと思っております。
  43. 増岡康治

    増岡康治君 そういうことの姿勢を非常に評価しますので、我々応援しますからひとつ頑張ってほしいと思います。  それから、先ほども申し上げましたように、今回は何も島根西部、広島のみならず、私は熊本と言ったつもりです。最初熊本の被害を大きく取り上げた中で、私は先般の視察には田代理事と御一緒に実は視察に入ったわけですが、私がかわって熊本県のこともちょっと言っておきませんといけない感じがあります。これは、答弁者は防災課長、ひとつ聞いておいてください、伝えてほしいんですが、球磨川筋の沿線に二百十九号が一緒に走っているのですよ。この中で大山崩れということで交通途絶をしておりまして、いろいろ今地元では大変な心配をなさっておるわけです。一日も早くこれをやるためにはどうしても早急に仮橋をつくらにゃいけないという問題も今生じております。これについてそういう地元の要望が非常に強いものですから、そういうものについて積極的にひとつこれに対応してほしいわけです。これは前からも要望があったわけですが、この際、一つの災害関連の立場の上からも、二百十九号の問題について、川沿いの問題でございますので、地域住民が本当に安心されるようなことをやってほしいということを道路局等にもあるいは防災課が中心になってひとつ応援していただきたいと思っております。  それから最後に私は国土庁長官に締めていただきたいわけでございますが、このように防災局が国土庁に設置されまして、総合的に物が考えられる時代になったということを非常に私ども評価を申し上げておるわけでございますし、いろいろと広い範囲の防災システムの網を張られておる。地震その他大変な大きな問題から、こういうような集中豪雨的な地域の問題まで幅の広い防災行政をなさっておる国土庁でございます。  今回、政府調査団も行かれたようでございますし、片やまた先般の、青木委員が申されたように、ことしの三月には中央防災会議において総理から各省に土砂災害対策推進要綱まで出ています。従来にない形でこういうものについての重要性が叫ばれているわけでございます。そういう背景におきまして、その総元締めである国土庁長官からこれに対しての一つの決意を、将来どうしたいかということについてひとつお話を伺いたいと思います。  それで終わります。
  44. 内海英男

    ○国務大臣(内海英男君) まず最初に、今回の大雨によります各地被害に遭われた方々に対しまして心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  御案内のとおり、我が国では毎年梅雨や台風等豪雨によりましてとうとい人命や多大な財産が失われておるところでございます。このような災害から国土を守り、国民の生命と財産を守るということは国の基本的責務であると考えております。今回の災害の教訓を生かしつつ、より治山治水対策を初めとする国土保全事業推進など防災対策を強力に推進してまいりたい、今後とも推進していく考えでございます。
  45. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 初めに、今回の災害による被災者の方々にお悔やみとお見舞いを申し上げるものであります。  先日の当委員会の現地調査には諫山委員が参加しましたけれども、私はそれに先立って党の調査団として現地をいろいろ見てまいりましたので、それをもとにして質問をするものでありますが、時間の関係でいわゆる災害対策の受益者負担問題、これを中心にお尋ねをしたいと思います。  今回の土砂災害では広島県で十カ所、島根県で百五カ所、土石流がけ崩れ含めまして災害発生をしているわけでありますけれども、そのうち土石流や急傾斜地の危険箇所広島で六カ所、島根県で四十二カ所あったわけであります。これは今日の全国危険箇所整備率土石流で一六%、急傾斜地崩壊で一八%という整備のおくれのあらわれだとも言えるわけでありまして、特に保全人家戸数の多い急傾斜地の対策として、急傾斜地崩壊対策事業がおくれている原因の一つに受益者負担問題があろうかと思います。  急傾斜地の崩壊対策事業の一カ所の工事費は平均約一億円、二割負担だということでありますから受益者負担は二千万円にも上る。でありますから、建設省杉山傾斜地保全課長も、「砂防と治水」という全国治水砂防協会が発行しておる雑誌でありますけれども、ことしの六月号に「いわゆる「受益者負担金問題」の解決なくば、事業の進展はない」と述べられているところでありますけれども、現在建設省と自治省との間で受益者負担金問題研究会、これを設けて検討中とのことでありますが、この研究会では何を検討しているのか、受益者負担の支出基準の見直しをどういう方向へ進めようとする意向なのか、御説明をいただきたいと思います。
  46. 杉山俊宏

    説明員杉山俊宏君) お答えいたします。  急傾斜の事業でございますが、先生も御存じのとおり、昭和四十二年から事業が始まったわけでございます。事業が始まりましてまだ二十年といった大変若い事業でございます。ただ、おかげさまで事業が始まって以来予算は倍々と伸びてまいりまして、これは補助基本額でございますが、四十二年の当時二億円で始まった予算が六十三年で約七百億と三百五十倍に伸ばしていただいているわけでございます。さらに六十三年の予算を見ましても、河川局の中で比較的高い伸び率を示しているといったような状況でございまして、一生懸命やっておるわけでございますが、整備率は先ほどおっしゃったように一八%といったような低い状況でございます。しかし、予算はただいま申したように大変伸びているわけでございまして、必ずしも一義的に負担金の問題がこの低い率というふうには理解していないわけでございます。
  47. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 確かにそれは予算総額としては伸びておることは否定はいたしませんけれども、現に引用いたしましたこの六月号であなた自身が「いわゆる「受益者負担金問題」の解決なくば、事業推進はない」というふうに述べられておることは事実ですね。
  48. 杉山俊宏

    説明員杉山俊宏君) ただいま先生指摘の「砂防と治水」の関係でございますが、これは御存じのとおり全国治水砂防協会の会員、特に府県の職員でございます、あるいは市町村の職員でございます、こういった者に対しましての注意喚起ということで、当然急傾斜の将来の姿を含めまして、あるいは施設の維持管理の関係とか、そういったものにつきまして書いたわけでございます。
  49. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 でありますから、そこで述べられているように、同時に自治体関係者、とりわけ住民側からはこの受益者負担金については減免の要望が非常に強いということは事実でありますから、せっかく自治省との間でそういう合同の研究 会を設けておられるのであれば、そこで受益者負担の負担割合の縮小方向についてぜひ鋭意検討に上せてもらいたいというふうに思いますが、どうでしょうか。
  50. 杉山俊宏

    説明員杉山俊宏君) ただいま御指摘の受益者負担金問題研究会でございますが、これは昭和五十九年にできまして鋭意研究を重ねておる段階でございます。その内容は、主としまして急傾斜の崩壊危険区域内の人家等々につきまして、いわゆる受益の範囲の関係でございます、いわゆるその地域の範囲、一列目をどうするとか、がけの上下をどうするとか、そういった内容をひとつ検討していただいておるわけでございます。それと同時に、負担金の公平な徴収といったような問題がございまして、いわゆるがけの所有者と下の土地の所有者が違った場合とか、そういったもの等々についてどうするかといったようなことにつきまして検討を進めているわけでございます。
  51. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 もう繰り返しません。いろいろの問題を含んでいると思いますけれども、ぜひというのは、自己責任が何にもない自然災害によって被害を受けた、それに対する急傾斜地崩壊等の対策事業でありますから、そういうことが二度と起こらないようにという策を講じようという事業でありますから、したがってそれについてはこの受益者負担をできるだけ軽減するという方向で鋭意ひとつ検討してもらいたいということを重ねて要望しておきたいと思います。  それからもう一つ、同じく「砂防と治水」、この六月号で述べられておる問題に、急傾斜地崩壊危険区域の指定要件に満たない五戸未満の集落、しかし実際はこういうところが被災をしている例が少なからずあるということで、これに対応した新たな制度を検討する必要があるのではないかということも述べられております。この問題もひとつこれに対する手だてをどうするかということが検討課題だということで御確認をできるでしょうか。
  52. 杉山俊宏

    説明員杉山俊宏君) 先生御承知のとおり、急傾斜の崩壊危険区域でございますが、がけの角度三十度、人家五戸以上、がけの高さ五メーター以上が私どもの指定要件になっておるわけでございます。しかし、最近の災害状況を見ますと、むしろ五戸未満のところにつきましても被害があるわけでございます。こういったものにつきましても各種いろんな意見を聞きまして、前向きに検討してまいりたいというふうに考えております。
  53. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それでは、この問題についての国土庁長官の御決意を聞きたいと思うわけでありますけれども、いわゆる急傾斜地崩壊対策事業昭和五十八年度から第一次五カ年計画が進みまして、その進捗率八九%であります。今年度から第二次五カ年計画がスタートをしたわけでありますけれども、計画目標に対しての進捗率でありますから、計画目標にも上っていないところも多々あるわけですね。これは言うまでもありません。こうした点で、事業をぜひ進捗、完遂をするために、こうした障害となっておる諸課題、これを解決すべく、そして予算の総額を全体として増額をすべく、大臣として一層の御努力をお願いをしたいと思いますが、御決意のほどをお願いします。
  54. 内海英男

    ○国務大臣(内海英男君) ただいま建設省の担当の者からも御説明がございましたとおり、急速に予算的には増額を確保しておるようでございます。ただ、急傾斜地に指定されておる箇所全国に六万二千五百七十カ所ある。まだ着工しておる整備率ということから考えますと一八%というようなことで、何としてもこれは急いでやらなければならない仕事である。それについては先生指摘のように受益者負担というものがある、これを何とか軽減して促進すべきである、こういう御指摘でございますが、御意見としてまことにごもっともな点だと思います。そういう点につきましても、建設省の当局は恐らく大蔵省との財政予算折衝等においてはそういう点も十分踏まえて交渉を進めておるものと、これは促進しなければならぬという建前に立って私どもも関係省庁と緊密な連絡をとって、災害といえば急傾斜地、土石流、こういう問題が今回の例を見ましても非常に多いという意味からいっても、急速にこれに対応していかなければならぬ、こういう考え方で進めてまいりたい、こう思っております。
  55. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それでは、これを機会に文化財防災対策について少しお尋ねをしておきたいと思います。  ことしの四月、和歌山の高野山で国の重要文化財地蔵菩薩立像が焼失をするという事故が発生をしまして、改めて文化財防災対策必要性が痛感をされたということでありますが、私の京都は特に文化財が多い、全国の二〇%ほどが集中をしておる、件数として二千点ぐらいあるということで、京都市消防局にも、全国でただ一つと聞きますが、文化財係というのを置いて、いろいろ関係団体と相協力をして防災体制の強化を図っているということでありますが、一方、文化庁になりますが、国の文化財防災施設等の対策の予算、これは昭和五十六年度七億三千七百万円、これがピークで、後はずっと下がりっ放しということで、今年度は四億七千万円ですから、ピーク時の六三・六%、こういう実情にあるわけです。これではなかなか対策の充実が図れないというので、文化庁の防災担当官も毎日新聞の五月三十一日付でしたか、なかなか苦しいと、苦しみを語っておられるところであります。  そこで、昭和四十一年に消防法が改正され文化財にも自動火災報知設備の設置が義務づけられました。現在二十年を経過し、その更新を必要としている時期に当たっているわけですが、文化庁としてさっき言いました予算の充実とこの自動火災報知設備の更新問題についてどういう施策を講じていく考えかお答え願いたいと思います。
  56. 田村誠

    説明員(田村誠君) 文化財に対します自助火災報知設備につきましては、先生から今お話がございましたように消防法で義務設置になったわけでございますが、その関係昭和四十三年、四年あるいは五年ごろに大量に設置したわけでございますが、当時設置したものが二十年近く経過しまして、今改修の時期に入ってきているところでございます。文化庁としましては既に一部その改修を始めているわけでございますが、今後この改修のための予算については一層努力して、必要なものの改修を進めていくということを行わなければならないというふうに考えておるところでございます。
  57. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 昭和六十二年に御存じの東京の老人ホーム松寿園が火災を起こすという事故が起こりまして、その教訓として火災報知機、これを消防署と電話回線で直結させるという非常通報装置の設置、これが課題に上ってまいりました。現在、社会福祉施設や旅館、ホテル等で導入が進められているわけでありますけれども、京都の例で言いますと、既に三十八カ所に設置されていますが、これまで国の補助対象となっているのかどうか、十分徹底していないということで設置がはかばかしく進んでいないという面もあります。したがって、消防庁ではまた新たな非常通報装置の開発を行っているということを聞いているわけであります。御存じのこういうパンフレット、こういう最新の機器、これも参考にしながら、文化庁としては初期消火、これが重要でありますから、そういう見地から非常通報装置を総合防火施設の中に位置づけて文化財施設への導入を図るという指導を徹底をしてもらう必要があろうと思いますが、どうでしょう。
  58. 田村誠

    説明員(田村誠君) ただいま先生のお話にございました非常通報装置でございますが、従来の自動火災報知設備が火災の発生を感知したときに、そこで初期消火に当たる、そのときに消防署等への連絡がおくれるあるいはその逆に消防署等への連絡をしていたために初期消火の機会を失するというようなことがあったために、自動火災報知設備が火災の発生を感知したときに直ちに最寄りの消防署等に自動的に通報される装置でございまして、ただいま先生のお話にございましたように初期消火が極めて大事であるということから、この装置をつけることが極めて有効ではないかという ことでございます。  今、先生のお話にもございましたように、既に文化財にも設置されている例が幾つかあるわけでございますが、今までは経費の点やあるいは性能の点でなお改善すべき点もあったというようなことでございますが、最近それらの装置につきまして相当の改善が進んだとか、あるいは新しいものが開発されたというようなことが急速に進んでいるところでございまして、文化庁といたしましても、現在、愛媛県の松山市にあります石手寺の防災工事につきまして、この装置を補助事業として採択して整備を行っているところでございます。  こういうことで、今後関係機関の協力を得ないとこれまた進められないわけでございますが、関係機関の協力を得ながら一層その導入について努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  59. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ぜひ努力をいただきたいと思います。  そこで大臣、最後にお尋ねをいたしますが、昨日から京都市で防災フェア88という展示がやられているわけでありますけれども、その展示コーナーに文化財防災対策という、こういうコーナーもつくられております。言うまでもありませんが、文化財というのは人命と同じで、失われると刻まれた歴史とともに二度と取り戻せないというわけでありまして、ぜひこの文化財防災対策の充実、予算の確保のために閣僚の一員として関係省庁と相協力をしながら大臣としてこの御努力をいただきたいということをお願いをしておきたいと思いますが、どうでしょうか。
  60. 内海英男

    ○国務大臣(内海英男君) 京都の高島屋で現在防災フェアという催し物をやっております。実は昨日それに出席する予定でおりましたが、参議院の予算委員会等がございまして行かれなかったわけでございますが、ここに局長もおりますが、局長がかわって行ってまいりまして、大変立派な文化財の防災設備の模型、それが展示してあったという話で、私も期間中にぜひ行ってみたい、こう思っております。  御指摘のように、人命と同じように非常に貴重な得がたい文化財を守るということは国としての大変重要な責務だ、こう思っておりますので、こういった面につきましても関係の文化庁等ともよく相談をいたしまして、防災措置を今後とも強化していくように努めてまいりたいと思っております。
  61. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 終わります。
  62. 勝木健司

    勝木健司君 去る七月中旬の西日本地域における豪雨によりまして、広島島根両県を中心に人的また公共土木施設などに多大な被害をもたらしたのは先ほど来の各先生の質問、委員派遣報告等を通じてその詳細が明らかになったところであります。  まず、今回の災害でお亡くなりになられました方々に対して心から弔意を表し、被災町村に対しまして深甚なるお見舞いを申し上げるところであります。また、今もって行方不明の方がいらっしゃるということでありますので、この方の早期発見に最善の努力をしていただきたいというふうに思います。  まず、激甚災害指定についてでありますが、これも青木先生等々の質問とダブりますけれども、今回の災害に関して関係地方自治体からの早期復旧事業費確保等について要望が出されておりますが、被災状況の把握、また激甚災害法の適用についての見通し局地激甚災ということであれば早期復旧等で急ぐことができるわけでありまして、これについての見通し等について、まず三点についてお伺いをしたいというふうに思います。
  63. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 最初の七月の西日本中心とする大雨による災害被害状況全般でございますが、七月十一日ごろから梅雨前線の活動が活発になりまして、西日本中心に局地的な大雨となり、各地浸水、山崩れ、がけ崩れ等が発生しております。  この被害状況でございますが、死者行方不明者二十七人、負傷者四十四人、住家の全半壊合わせて二百四十四棟、床上、床下浸水合わせて一万一千棟の被害報告されております。  また、施設関係被害につきましては、現在までのところ、約一千七百億円の被害報告されております。  交通関係では鉄道で施設被害発生しておりますが、現在は復旧して開通しております。  道路関係でも被害を受けまして、現在、一般県道以上で十五カ所の全面通行どめとなっておる状態でございます。  次に、激甚災害指定見通しでございますが、現在、関係省庁におきまして調査を進めているところでございますが、現時点で把握している被害額から申しますと、農地等災害復旧事業等につきまして激甚災害としての指定基準を超える見込みでございますので、手続を急ぎたいと考えております。  局地激甚災害指定関係でございますが、まず中小企業関係でございますが、浜田市の区域における中小企業等に係る災害につきまして局地激甚災害としての指定基準を超える見込みでございます。手続を早急に進めてまいりたいというふうに考えております。  公共土木施設関係の局激の指定でございますが、各市町村における事業費査定が完了いたしませんと手続は進められませんので、この事業費査定を急ぐということで努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。公共土木施設関係局地激甚災害指定につきましては、従来、年度末に一括して行っているということになっております。  以上であります。
  64. 勝木健司

    勝木健司君 次に、災害救助法適用基準の見直しについてお伺いをいたしたいと思います。  適用基準の改正の要望が出ておりますが、これに対する厚生省の考え方。また、特別の財政援助についてでありますけれども、今回の場合、地元の要望に合うようにすべきではないかというふうに考えておりますけれども、あわせてお伺いしたいというふうに思います。
  65. 横田吉男

    説明員(横田吉男君) 御説明申し上げます。  災害救助法につきましては、先生御承知のとおり、被災者の基本的な生活権の保護とそれから社会的秩序の保全ということを目的といたしまして、被災者に対する応急的、一時的な救助措置を種々定めたものでございます。  災害が起きたときにその救助法を適用するかどうかという適用の問題につきましては、災害の規模がその地域の人々の生活や社会的秩序に相当程度の影響を与える程度に達したものにつきまして行うという観点に立って、市町村の人口規模に応じまして一定の要件が定められております。  今回の例えば広島県の加計町を例にとりますと、滅失家屋数が五十二戸に達しているということで、普通の基準でいきますと四十戸でございますので、これを超えているということで適用いたしております。ただ、ケースによりましてはこうした原則によりがたい場合がございます。そうした場合におきましても災害状況に応じまして臨機応変に対応し得るよう、例えば多数の人命に危害が及ぶおそれがあるとか、そういったような場合におきましては、滅失家屋数というようなことにとらわれず、各都道府県知事が厚生大臣と協議いたしまして災害救助法を適用し得るような弾力的条項がございます。私どもといたしましては、災害に際しましてこうした一般的な基準とそれから弾力的な条項を組み合わせて適切に対応していきたいと思っております。  それから実際、災害救助法の適用が行われました場合、救助法に基づく避難所の設置でございますとか、炊き出しですとか、飲料水の供給期間でございますとか、応急仮設住宅に関する種々設置問題がございますが、そういったものにつきましては特別基準等を適用することによりまして、できるだけ地元の要望に対応してまいりたいと考えております。
  66. 勝木健司

    勝木健司君 それでは次に進ましていただきま すが、我が国の気候、地形の面から我が国は多雨あるいは土砂災害を受けやすい体質になっておるのじゃないかというふうに思います。これに対する対策というものは、幾ら行ってもし過ぎることはないというふうに考えておりますけれども、残念ながら我が国の河川の改修状況あるいは土砂災害へのハード面の対策というものがまだまだ不十分であり、おくれておるというふうに思われます。先ほども、整備水準というものも非常に低いというふうにお伺いをしておるわけでありますけれども、この整備水準についてどうなっておるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
  67. 岩井國臣

    説明員(岩井國臣君) 先生指摘のとおり、もともと我が国の場合、気象条件とかあるいは地質条件などの自然的要因、それから河川はんらん区域内に人口とか資産がどうしても集中せざるを得ないというふうな社会的要因等から、洪水や土砂災害による被害発生しやすいという極めて脆弱な国土条件下にございまして、これに対処するためには長い年月と膨大な治水事業費が要るわけでございます。このために治水事業五カ年計画を策定いたしまして、治水事業の計画的な推進に鋭意努めているところでございますけれども、今申し上げましたように、治水事業につきましては、もともと長年月それから膨大な予算が要るところから、六十一年度末現在の治水施設整備水準というものが極めて低い状況にございます。  大河川につきましては、当面の目標を戦後最大洪水というものに置いておりますが、その戦後最大洪水に対しまして五七%、それから中小河川につきましては、当面目標、時間降雨で五十ミリという目標にしておりますが、そういう目標に対しまして、浸水対策で二八%、それから土砂災害対策につきましては一七%という極めて低い状態にとどまっておるのが現状でございます。
  68. 勝木健司

    勝木健司君 去る五月の本院の建設委員会におきまして、熊本県など九州地方の水害が生じた際に、同僚議員から水害対策の充実というものを求めましたところ、これに対して建設省河川局長から、万全を期する旨を述べられておられます。しかし、その後も人命を奪うような災害発生をしておるわけであります。自然を相手にした対策であり、事業費などの制約があろうかとは思うわけでありますけれども、人命を守るという観点から河川改修、土砂災害対策推進すべきだというふうに思われますが、建設省としてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
  69. 岩井國臣

    説明員(岩井國臣君) 治水事業は国民の生命、財産を守るばかりでなく、生活そのものあるいは産業基盤の形成を図るという意味から、極めて根幹的な事業であろうかと承知しております。しかしながら、先ほども申し上げましたように、治水施設整備水準がまだまだ低いという、そういう状況にございまして、残念ながら毎年のように全国各地で洪水被害あるいは土砂災害による被害発生しておるところでございます。そういうことで、そういった事態に対処するためには、昭和六十二年度を初年度といたします投資規模十二兆五千億という第七次の治水事業計画を策定いたしまして、治水事業の計画的な推進を目下図っておるところでございます。今後とも、同五カ年計画に基づきまして、治水事業の計画的な推進につきまして努めてまいりたいというふうに考えております。
  70. 勝木健司

    勝木健司君 自然災害は実際上は避けがたいということでありますし、また、しかも整備水準というものも低いということであります。としますと、防災で必要なのは、先ほども申し上げましたように、まず人命を何としてでも守るということが必要じゃないかというふうに思います。それが行政の最低限の務めじゃないかというふうに考えるものであります。しかし、今回の災害でも死者とか行方不明者が多数出ておるという状況であります。その原因は、やはり土砂災害中心であったというふうに思います。この土砂災害について、いつ、どこで発生するのか、また相当の注意が必要じゃないかというふうに思われます。そういう土砂災害対策の一環として警戒避難体制整備というものが必要じゃないかというふうに思います。建設省としての考え方をお伺いしたいと思います。  同時にまた、土砂災害危険箇所の周知についてでありますけれども、幾ら行政内部で調査をいたしましても、住民に徹底することなしにはやはり意味がないというふうに思われます。そういった意味で、土砂災害危険箇所住民周知徹底させるためにどのような対策を講じておられるのか、あわせて建設省と消防庁にお伺いをしたいというふうに思います。
  71. 松下忠洋

    説明員松下忠洋君) 勝木先生のお話しのとおり、今回の災害は、特に広島県においては土砂災害そのものと言っていいかと思います。多くの方々が亡くなられたわけでございます。  対策工事を砂防ダム中心としてやってまいりましたけれども、それに加えて昭和五十二年に、先ほども申し上げましたけれども、建設省河川審議会から中間答申がなされまして、総合的な治水対策推進せよということでございます。これは、従来やってまいりました対策工事に加えて、警戒避難の方策を加えて進めていこうということでございまして、その準備も含めてその後、建設省土石流技術検討会というものを設置いたしました。そこで土石流の性質であるとか雨と土石流関係というものを研究してまいったわけでございます。  その後、五十七年の八月でございますけれども、その成果を踏まえまして、「総合的な土石流対策推進について」ということで、工事に加えて、警戒避難というものを進めるという通知を事務次官から各都道府県の方に出しまして、市町村の指導も含めてやるということの体制をとったわけでございます。  さらに、土石流発生監視装置というものを、これは建設省の方で開発したものがございまして、それを受けて土石流避難体制整備する要綱案というものをつくりました。  それから、土石流発生のもととなる、いわゆる雨の量と土石流との関係というようなものを、いろんな災害事例からできるだけ集めて、そういうものをまとめた降雨量の設定指針というものも一応示しまして、そういうことにのっとってやっていっていただきたいということで、都道府県、市町村に対して具体的に指導をしてきたところでありまして、今後もこういう施策はなお一層進めたいと、そのように考えております。  それからもう一つ、土砂災害危険箇所周知徹底ということでございましたけれども、これは建設省だけで進めることはできないわけでございます。地域防災計画書というのを都道府県それから市町村が持っておりまして、そういうものの中にできるだけというよりもぜひ入れてもらいたい、そういう危険箇所を入れてもらうようにということを指導し、お願いしてきておるわけでございます。  それから、現地に表示するための実施方針というものも、県の方を通して市町村にも指導してまいりまして、そういう看板等による現地表示というものも進めてきております。  それから毎年六月でございますけれども、土砂災害防止月間というものを設けまして、全国的に土砂災害に関するいろんな情報、それから日常の防災活動、あるいは危険箇所の点検といったものも住民の方々も参加してもらうような形で進めるように始めておりまして、今五年目でございます。  それから、地元住民の方々が必要に応じて危険箇所等の状況を巡視するというような、そういった状況の早期発見に努めるような指導もあわせてやっておりまして、そういったことを含めた防災訓練というものも、地元の方々も入ってもらって、土砂災害に対する啓蒙活動というものもあわせてやるように指導しております。  以上でございます。
  72. 仁科英麿

    説明員(仁科英麿君) 土砂災害危険箇所住民周知徹底するためにどのような対策を講じているかというお尋ねでございますが、まず、土砂災害による被害を防止するためにこの危険箇所を あらかじめ住民周知徹底しておくということは大変重要なことの一つであるというふうに考えておる次第でございまして、そういう考えに従いまして、消防庁におきましても従来から指導してきているところでございます。特にことしの三月十五日の中央防災会議におきまして土砂災害対策推進要綱が決定されました際に、中央防災会議の事務局という立場から、消防庁から地方防災会議に対しましてこの要綱をお送りすると同時に、対策に遺憾のないよう指導したわけでございます。そのときに、あわせまして別途、消防庁長官名の通知をもちましていろいろと具体的に指導しているところでございます。  若干中身について御説明申し上げますと、まず、この土砂災害危険箇所についてあらかじめ防災関係機関と十分に協議しまして、地形、地質、土地利用の状況あるいは災害履歴等勘案して再点検をしていただきたい。また、そうして把握されました危険箇所につきまして地域防災計画に必ず明示をすること、さらに市町村におきましては、自治会あるいは学校区等を単位として、小さい地域におきましてその地域危険箇所住民にわかりやすいような形で整理した地図あるいは台帳などをつくっていただきたい。消防庁といたしましては地区別防災カルテと呼んでおりますけれども、この地区別防災カルテを作成して住民にPRをしていただきたい。あるいは、さらに広報紙やパンフレットをつくって配布するとか、あるいは説明会の開催といったことによりまして、周辺の住民周知徹底するように地方公共団体に対して指導したところでございます。  それからまた、例年五月ないし六月には風水害対策の強化ということで、消防庁長官通知をもちまして指導しておりますが、これの中でも同様の内容を重ねて今年度は指導したところでございますし、その他、全国消防防災主管課長会議等、機会あるごとに繰り返し同趣旨の指導をしているという状況でございます。今後とも同様の考えに従って積極的に指導していきたいと考えておるところでございます。
  73. 勝木健司

    勝木健司君 時間参りましたけれども、周知徹底させるという意味では、子供のころから災害に対する認識というものを持たせることも大事じゃないかというふうに思われますので、その意味で学校教育の役割も考えられるのではないかというふうに思います。文部省としてのお考えをお伺いしたいというふうに思います。
  74. 石川晋

    説明員(石川晋君) 学校におきましては、学校における防災に関する安全教育ということを大変重要なものと考えておりまして、風水害、火災あるいは地震、こういった災害に関しましては、緊急時にいかようなことが起こるか、あるいはその際どのように安全に行動すべきかといったような教育をなすとともに、その状況に応じて的確に安全に行動できるようにするということをねらいにいたしまして、防災避難訓練でありますとか緊急登下校とか、こういった訓練行事等を組みまして、いわば各教科、道徳、特別活動と、こういう学校の教育活動全体を通じまして、計画的、組織的に防災にする安全教育を行うようにしているところでございます。  このような観点から、文部省におきましては、小学校、中学校の「安全指導の手引」というような手引書を出し、あるいは教員の研修会でありますとか各種講習会、こういうものを通じまして、これらの趣旨が徹底し、今後とも児童生徒の安全に対する指導というものが徹底するよう努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  75. 勝木健司

    勝木健司君 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、内海国土庁長官に、これから本格的な台風のシーズンが来るわけでありますので、災害対策を含めて十分対応を考えていただきたいということで、決意をお伺いして終わりたいというふうに思います。
  76. 内海英男

    ○国務大臣(内海英男君) 本年も台風時期を迎えまして、関係機関との密接な連携のもとに防災体制の一層の強化を図ることにいたしております。  御案内かと思いますが、八月三十日から九月五日までを防災週間と名づけまして、九月一日には総理は船橋、私は浜松の方へ出かけまして、実地に訓練をやることにいたしております。特に近年における災害状況にかんがみまして、土砂崩れ、河川はんらん等の災害発生を未然に防止するよう災害発生危険箇所等の、ただいまもお話がございましたとおり、巡視、点検の徹底、異常降雨等におけるダム等の管理の強化、情報収集・伝達及び警戒避難体制の強化等の万全の措置を講じていく考えでございます。
  77. 勝木健司

    勝木健司君 ありがとうございました。
  78. 秋山肇

    秋山肇君 私も八月四日と五日の二日間、各委員の方々と広島島根被災地視察をしてまいりました。亡くなられた方々に弔慰を申し上げると同時に、被災をされた方々にお見舞いを申し上げるわけでございます。  先ほど青木委員から報告があった報告書にも書かれておりますけれども、私からもぜひひとつ、この過疎のところで、財政力の大変弱いところに災害が起こっておりますので、いろいろな激甚災を初めとした国の援助というものをお願いしたいというふうに申し上げておきたいと思います。  それと、被災地視察をさせていただいて、施設ができていたところとできていないところの差があったように思うわけであります。江河内谷川の上流で、片方にはダムがあって助かり、片方はダムが建設中で被害を受けているということでしたが、あのように被害を受けられたところにこれからまたお住まいになるというには、それぞれの治水砂防ダム概要というのがはっきりしていないと安心をされないのじゃないかと思うのですが、この辺の計画についてひとつ最初にお伺いをしたいと思います。
  79. 松下忠洋

    説明員松下忠洋君) 江河内谷川でございますけれども、今お話がありました溪流でございますが、土石流危険溪流でございます。谷の出口付近に砂防ダムをつくっていくという考え方によりまして、左支川の方に、これは上流から下流を見てでございますけれども、左支川の方には高さ十四メートルの砂防ダム昭和六十年に完成させたところであります。右支川の方には、今回被害を受けたところでございますけれども、昭和六十一年度に着工いたしまして昭和六十三年度、今年度に完成するということで、あと一年でダムが完成するというその目前であったわけでございまして、そこで残念ながら災害が起こったということになっております。  今回のこれを踏まえまして、緊急の砂防災害の関連事業であるとかあるいは再度災害を防ぐというようなこと、それから二次災害がないようにということで万全を期したいということで、上流、中流、下流あわせて、災害復旧事業もあわせた形で徹底的に工事を進めてまいりたいと思っております。また、警戒避難整備も大事でございますので、地域住民の方々にも参加していただく形にいたしまして、安全な場所に雨のときには逃げていただくという施策もあわせて進めていきたい、こう思っております。
  80. 秋山肇

    秋山肇君 災害があるたびに視察をして感じますけれども、土石流の大変なあの力というのは、私の背丈ほどある大きな石が下の方まで押し流されてくるというような想像のできない力を持っているわけですが、そういう中で、この間視察をした落合橋というのが落ちておりましたけれども、あの現場を見ておりますと、前から私は感じていたのですが、治山治水という、国を治める、山を治める、水を治めるということですが、その中でひとつ流木、木が流れ出してくる、それが土石流と一緒に流れてきて、橋に引っかかって橋を押し流していくというのが、古くは狩野川台風の狩野川大橋なんというのもそうだったというふうに私は記憶をしているんですが、先ほど青木委員からも松くい虫の松のお話がありましたけれども、最近の、そういう言い方がいいのかどうかわかりませんが、木材不況といいますか、山林を管理する人手の不足というのか、そういうことで山が荒れてしまうというか、間伐をした材木の始末をしないでそのまま山に放置されているというようなこ とも原因の一つではないかなというふうに思うので、この点を含めて、山の管理と洪水の関係関係当局から御説明をいただきたいと思います。
  81. 岡本敬三

    説明員岡本敬三君) 先生指摘のとおり、現在、林業は外材に押されておりまして、俗に林業不況というふうに言われております。そういう意味で、本来、間伐をいたしました場合にはそれを利用していくというのが基本でございますけれども、なかなかこれが採算に合わないというようなことで、俗に切り捨て間伐と言われる、間伐をいたしましてもこれを林外に持ち出さないというケースが御指摘のとおりふえてございます。  これへの対応でございますけれども、それをいわゆるペイする段階に持っていきますためには、林道なり作業道というものを十分整備をいたしましてコスト的に引き合うような状況をつくっていく、これが基本かというふうに思います。  さらに、本来、治山事業によりまして立木ともども山地が崩壊をしないということで対応すべきだと思いますけれども、一たん出ました流木の被害を防止するためには、いわゆる枠組み式のダムあるいはくし型式のダムといいますか、そういうようなダムを設置をいたしまして、出た流木をそれによって防止していくということに今後重点を置いて対応していかなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。
  82. 松下忠洋

    説明員松下忠洋君) 今回の島根県、広島県の災害におきまして、樹木等の流出が著しくて、土石流対策を進める上で種々の問題点を抱えているという認識を持ったわけでございます。  現在、建設省の土木研究所でこれらの流木対策として砂防ダムの構造等を検討させているところでございます。また、鉄材を使った鋼製砂防ダム等の機能も使えるのじゃないかということも議論しておりまして、今回の災害に対応して、砂防ダムの天端あたりに試験的にそういった流木どめの施設をつくってみてやってみたらどうかということで、今検討しております。
  83. 秋山肇

    秋山肇君 ダムを今のくし型にして流木をとめるとか、それも大事でしょうけれども、やはり雨が降った、こういう大雨のときは効果があるかないか、これはちょっとあれですが、我々の認識では、山に木があるというのが洪水を調節するのだというふうに子供のころから教えられているわけですけれども、そういう意味で、木材不況だ、山の木を何とか管理するような補助といいますか、そういうような手だてというものは、林野庁の方では今全然そういうことはお考えになってないのでしょうか。
  84. 岡本敬三

    説明員岡本敬三君) 先ほども若干申し上げましたけれども、従来森林の整備といいますのはいわゆる造林事業で、補助事業ということでやってまいりました。現在人工林は育成途上でございますけれども、そういうものの間伐のおくれというものがいわば林地の荒廃等につながるという観点に立ちまして、六十三年度からはそういう箇所につきましても治山事業をもってこれを手当てしていくという制度を創設をいたしまして、そういう森林の整備に努めてまいりたい、こういうことで今やっておるところでございます。
  85. 秋山肇

    秋山肇君 ぜひ、ダムをつくるお金というのは相当多額な費用がかかるわけですから、それぞれの自治体等を含めてそういう山の管理に対して何らかの方策というのはこれからとるべきじゃないかなというふうに思いますので、これからの御努力をお願いをしておきたいと思います。  次に、災害が出たときにどういう形で住民の方々に連絡をするかということでありますが、防災無線、全国市町村、どの程度普及をしておりますでしょうか。
  86. 仁科英麿

    説明員(仁科英麿君) 防災無線の普及率についてのお尋ねでございますが、地方公共団体における消防防災無線網につきましては二段階に分かれております。まず都道府県と市町村を結ぶ防災無線、それから市町村と集落あるいは個別の家屋、世帯を結ぶ無線があるわけでございます。  まず、都道府県と市町村を結ぶ無線につきましては、現在四十二都道府県が整備を完了しております。それから、二府県が整備中ということでございまして、この整備中を含めますと整備率は九三・六%となるわけでございます。  それから、市町村の防災無線でございますが、これは移動系とそれから固定系とあるわけでございます。固定系いわゆる同報系というものがあるわけでございます。六十三年三月末現在の整備率でございますが、全国三千二百六十八市町村中、移動系につきましては二千百二十四市町村整備を終わっておりまして、整備率は六五%。それから、同報系につきましては千三百二十二市町村整備を終わっておりまして、整備率は四〇・五%となっております。
  87. 秋山肇

    秋山肇君 五十八年、六十年、今度というふうに続いて災害があった中で、亡くなられた方がだんだん少なくなったといったら失礼な言い方なんですが、死者がないということは一番のことなんであります。これはやはり防災体制が整備ができたおかげで住民の皆さん方に早く避難命令が出せたというようなことがあったのではないか、防災無線をもっと普及させるべきだというふうに思うのですが、この辺と、もう一つは、ちょっと逆になるかもしれませんが、江河内谷川のところに今度たしか拡声機がついておりまして、いざというときにはその拡声機から避難命令が出るというような、たしか現地に二つぐらい拡声機がありましたけれども、正直言って、その場所場所によって違うのでしょうけれども、防災無線を普及すべきだということと同時に、いざというときに一番役立つ方法というのは何か、メンツではなくてどちらがいいかというのもあわせてお答えがいただけたらと思います。
  88. 仁科英麿

    説明員(仁科英麿君) まず、消防防災無線の普及をもっと積極的にやったらどうかというお話でございますが、御指摘のとおり、今回の島根県の災害状況を五十八年の状況と比較いたしまして、この消防防災無線が大変重要な役割を果たしたということが実証されたわけでございまして、そういう意味からも今後とも積極的にこの同報の防災無線を普及さしていきたいと考えている次第でございます。  そこで、今年度は消防庁におきましては、八十三市町村分、補助金の額で十五億八千万円予算を計上しておりまして、これの活用によって促進を図っていきたいと考えているわけでございます。  それからまた、地方債でございますが、防災町づくり事業というのがございまして、これは元利償還の一部が交付税に算入されることになっておりますので、市町村財政力いかんによりましては補助金よりもむしろ有利になる団体もあるわけでございます。そこで、この補助金とあわせてこの地方債を活用いたしまして、一層の促進を図っていきたいと考えているわけでございます。  それからもう一点、拡声機等による広報のお話ございましたが、これも御指摘のとおりでございます。一般的に広報車の活用でございますとか、あるいは消防団あるいは消防本部等、職員等を通じまして情報の伝達等を行っておりますが、こういうサイレンや拡声機といったものもあわせて活用することによりまして、情報の伝達を一層迅速に進めるように指導していきたいと考えております。
  89. 松下忠洋

    説明員松下忠洋君) 土石流警報装置についてのお話がございましたので、ちょっとお答えしたいと思います。  現地広島加計町につけましたのは、雨量計を設置して、ある一定の量に達しますとサイレンが鳴るということで、広く地域住民の方に一斉に知らせるというのをとりあえずつけたわけでございますけれども、幾つかのタイプがございまして、そういうことのほかに、ある集落の責任者のところに、あるいは役場のところに情報が入って、そこから今言いました防災無線等で連絡するというようなものもありまして、地域によって特性を考えながら、どっちがいいかということを考えながら、これからも進めていきたいと、そう考えております。
  90. 秋山肇

    秋山肇君 ぜひ人命ということから充実を、そ の地区に合った施設整備をお願いをしたいというふうに思います。  それから、たしか加計町だったと思うのですが、がけ崩れ災害視察をした反対側のところにも小さながけ崩れが幾つか見えておりまして、このときに町長さんの説明で、あそこにも砂防ダムを計画をして、つくりたいんだけれども、地主さんの了解がないためになかなか計画が進まないという説明がありました。これではやはりいけないのであって、いろいろな全体の災害ということを考えたならば、私権の制限といいますか、そういうところにも立ち入って、ダムを積極的につくるところはつくるべきだろうし、いろいろな施設をつくっていくべきだと思うのですが、この辺について、特に防災計画上危険区域だというところに対しての私権の制限が必要だというふうに私は思うのですが、この点についてはいかがでございましょうか。
  91. 松下忠洋

    説明員松下忠洋君) 砂防ダム等を設置する場合には、砂防法の第二条がございますけれども、これに基づきまして砂防指定地の指定を行うということになっております。この砂防指定地の中におきましては、これは都道府県がそれぞれ砂防指定地管理規則というものを持っておりますけれども、それによって一定の行為が禁止または制限されておりまして、例えば土砂の流出に影響するような土石の移動を勝手にしたり、あるいはいろいろな立木の伐採だとか、いろいろそういうことについての制限がございます。それは事実でございます。そうでございますけれども、建設省といたしましては、できるだけこういった危険区域については、今後とも積極的に砂防指定地の指定を進めていかなければいかぬということでやっております。  それから、法指定には行為制限が伴うということから地権者の同意が非常に得にくいということもありますし、また、防災工事の実施を前提として法指定ということもありますものですから、予算上の制約を受けることがありまして、なかなか進まないなという点もあります。
  92. 秋山肇

    秋山肇君 地域によっていろいろな関連があるかと思いますけれども、災害が起こってはならないわけでありますから、この辺の説得方といいますか、説明をぜひひとつお願いをして、早目にそういう施設ができることをお願いしたいというふうに思います。  最後に、国土庁長官にお伺いいたしますが、土砂災害危険箇所整備の現況というのは、私が数字を申し上げるまでもなく、土砂危険溪流、地すべり危険箇所、急傾斜地崩壊危険箇所山腹崩壊危険地区、崩壊土砂流出危険地区等、整備箇所がいろいろ多いわけですけれども、整備率というのは残念ながらそう高くはないわけであります。六十二年度末の土石流危険溪流整備率を見ても約一七%と、一年間でわずか一%の伸びだというふうにたしか聞いております。これでは、いつどこで何どき災害が起こるかわからないというときに余りにも情けないなというふうに思うのですが、この点について国土庁長官の御所見、先ほどの私が申し上げた私権の制限というのも含めた、総合的に見た国土庁長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  93. 内海英男

    ○国務大臣(内海英男君) 御承知のとおり我が国は急傾斜地が多い上に梅雨、台風などによる豪雨に見舞われやすいという自然的条件に立たされておるということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、土砂災害発生のおそれのある危険箇所が非常に多いということも御指摘のとおりだと承知いたしております。そのため、関係省庁において、かねてから各種国土保全事業により危険箇所整備に努めておるわけでございますが、いまだにその整備率が低いということは先生指摘のとおりで私どもも認めざるを得ないところでございます。  このため、先般取りまとめました土砂災害対策推進要綱におきましても、危険箇所整備のために国土保全事業の計画的、重点的促進を図ることといたしたところでございます。今後とも関係省庁と連絡を密にいたしながら、国土保全事業等による整備促進に努めてまいる所存でございますが、土砂災害の未然防止と被害の軽減のためには、このようなハードの面も当然でございますが、あわせてただいま先生からの御指摘のございましたような危険箇所周知徹底、予警報、避難体制整備などソフトの面の対策も重要かと考えております。したがいまして、御指摘のような総合的な土砂対策推進を進めてまいりたい。今度の防災訓練におきましてもそういう趣旨で訓練を重点的に行いたいと、こう考えておるわけでございます。
  94. 太田淳夫

    太田淳夫君 質問に当たりまして、最初にこのたびの災害でお亡くなりになりました方、おけがをされた方々あるいは田畑、家等の被害に遭われました方々に対しましてお悔やみ並びにお見舞い申し上げたいと思います。  もういわゆる山陰豪雨から一カ月たっているわけでございますし、私は現地視察には参りませんでしたが、先ほど同僚の青木理事のいろいろと状況報告等をお聞きいたしまして、この五十八年、六十年、六十三年と相次ぐ災害で本当に被災地皆様方は大変な損害を受けられてみえるなということを感じております。皆様方視察をされたわけでございますが、私は視察していませんので現地状況等も克明にわかりませんけれども、その後一カ月たちましたときの特に被害の大きかった浜田市等の状況等をお聞きしたりしておりますと、まだまだ空き地に車の残骸が重なっていたり、あるいは橋が折れたままでおるとか、非常にその豪雨のつめ跡が生々しくまだ残っておるということを聞いております。  その中でも、商店街の皆様方豪雨の後で見てみましたらば、裏山のがけ崩れの防止用のコンクリートの吹きつけがはがれかかっていたと、危うく第二次災害が起こるようなところもそれぞれ市、県の対策あるいは国の対策等で現在改修に取りかかって、この工事が進められて被害の再発は免れているというようなこともお聞きいたしております。それぞれの部署の方々が現在もそれぞれ復旧を目指して活躍をされていることはお聞きしているところでございます。  そこで、先ほどから同僚委員の方からはそれぞれ要望が出されておりましたし、私も相通ずるところが非常にあるわけです。私も今回、先ほどの報告書の中で述べられております四つの問題点を特に中心に皆さん方に御要望しておきたいと思います。  最初、何と申しましても激甚災害指定についてでございますが、これは先ほど防災局長の方からも御答弁いただきまして、目下調査中であるということでございますが、できるだけ早くこの調査を終えられて査定を進められて、指定を一日も早く終えていただきたい、こう思いますが、その点どうでしょうか。
  95. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 激甚災害指定につきましては、見通しも先ほど申し上げたとおりでございまして、できるだけ被害額の把握を早急にいたしまして手続を進めさせていただきたいと思っております。
  96. 太田淳夫

    太田淳夫君 青木理事及び秋山委員の方からもお話がございましたが、被災市町村過疎地域指定されている地域でございます。自治省の方にお尋ねしたいのでございますが、やはり公共施設等の復旧のための多額の財政負担を余儀なくされておる状況でございますので、特別交付税及び地方債増額配分並びに普通交付税の繰り上げ交付など積極的な対応をぜひともお願いしたいと思いますが、その点どうでしょうか。
  97. 広瀬経之

    説明員(広瀬経之君) お答えいたします。  今回の災害によりまして特に大きな被害を受けました島根県等一県三十三市町村、一県は島根県でございます、三十三市町村島根広島、三重県下の都合三十三市町村でございますが、この団体に対しまして、去る八月二日に普通交付税総計九十四億九千五百万円を繰り上げて交付をいたしたところでございます。  なお、今後、災害に見舞われました地方公共団体におきましては災害復旧事業災害関連事業等 が行われるわけでございますが、これらに要する経費につきまして被害状況あるいは財政状況等を勘案いたしまして、当該団体の財政運営上支障が生じないよう、地方債特別交付税の配分を通じまして適切な措置を講じてまいることにいたしております。
  98. 太田淳夫

    太田淳夫君 第二点の被災箇所についての早期査定早期着工及び改良復旧必要性について、これについても先ほども御答弁いただきましたけれども、災害復旧に当たりましては国の直轄事業では二年間で、補助事業は三年間で行うことになっておりますけれども、特に補助事業については初年度が三、二年目が五、三年目が二の割合で行うのが原則になっていますが、最近は初年度で八割以上の復旧進度になるように予算措置がとられていると思いますけれども、今回の災害復旧に当たりましても一層その復旧の進度が高められるものと期待されますが、その点どうでしょうか。
  99. 佐々木賢一

    説明員佐々木賢一君) ただいま先生から御指摘のように、補助の災害復旧事業の標準進度といいますか、しばらく初年度三〇%、二年目五〇%、三年目二〇%といういわゆる三、五、二、この進度が定着しておりました。しかしながら、ここ数年非常に復旧進度のアップについて要請が強く、特に昨年につきましては激甚な災害発生したということもありまして、予算につきましても、補正予算等を含めまして八〇%を超える大幅な復旧進度を図ったところでございます。  本年七月の中旬の梅雨前線豪雨、これも極めて激甚な災害であるということで認識しております。  そういったことにかんがみまして、関係機関とも協議の上、これらの災害の早期復旧ということに努めてまいりたいと考えております。
  100. 太田淳夫

    太田淳夫君 第三点は、中小河川改修事業促進ということでございますが、中国地方は昔から、何か中国地建の書いたものを見ますと、スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治したのも治水事業じゃなかったかというぐらいの伝説があるということで書いてございましたが、そのぐらいに治水の問題、治山の問題は非常に大きな地元の皆さん方の昔からの悩みになっております。先ほどからも青木委員の方からもお話がございましたけれども、中小河川につきましてはやはり国全体の整備率もまだまだ大河川に比べると進んでいないということでございますし、その点の格段の努力を今後も払っていただきたい。これ要望しておきます。  第四の、土砂災害対策につきまして、いろんな住民への警報システムの問題等大臣からもお答えがございましたが、これも、ここに野沢委員もお見えになりますが、土石流では長野県で大きな被害があったときも現地に一緒に行ったこともございますけれども、どうかその点の対策も、いろいろと御答弁ありますように、これから進めていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。  そこで、時間がございませんが、これは話は変わります。この災害の問題から離れますけれども、八月の十三日に兵庫県内の国道二号線のバイパス城山トンネルで起きました事故の状況についてちょっとお聞きをしたいと思うのですが、どなたかお見えになっていますか。
  101. 松延正義

    説明員(松延正義君) お答えいたします。  日本道路公団の一般有料道路でございます国道二号の太子竜野バイパスが、八月の十二日から帰省車両等によりまして、八月十二日の二十三時三十分ごろから、この城山トンネルの西に門前交差点というのがございますけれども、そこを頭にしまして渋滞が発生いたしまして、その後の渋滞が次第に延びまして、八月十三日の七時前には約三十キロメートルに達しました。この際、城山トンネル内で渋滞中の車両に乗っておられた方々十九名が気分が悪い等の被災を訴えられまして病院に搬送されまして治療を受けられました。なお、十九名の方々は八月十五日午前中までに全員退院されております。
  102. 太田淳夫

    太田淳夫君 この事故の状況の中で、急患が発生したときの警察への届け出あるいは交通規制の実施のおくれがいろいろと指摘をされているわけでございますが、この際の道路公団及び建設省、こういった事故対策についてお話し願いたいと思います。
  103. 松延正義

    説明員(松延正義君) 太子竜野バイパスでは非常時に備えまして非常電話を取りつけており、また公団が定期的にパトロールも実施しております。今回の事故では被災者からこの非常電話によりまして消防署へ通知がございまして、救急車が出動しまして被災者の搬送を行っております。また一方、公団のパトロールカーでも被災者を搬送しておる、こういう事実がございます。また、事故発生後は警察とも連携しまして、城山トンネル内に渋滞を発生させないよう交通コントロールを実施したところでございます。  さらに、今回の事態の発生にかんがみまして、建設省及び日本道路公団は、他のトンネルにつきましてもトンネル内の渋滞防止対策を講じるよう、全国の地方建設局、都道府県、各公団管理局等に指示をいたしたところでございます。今後とも消防、警察等との緊密な連絡体制をとりまして、迅速な事故防止対策が図れるように努めてまいりたいと思っております。
  104. 太田淳夫

    太田淳夫君 道路公団では、トンネルにおきましては長さとその交通量でランクを決めておりまして、そして避難、消火設備が決められておるようですけれども、やはり今後換気施設のないトンネルにおいて渋滞が発生した場合の対応についていろいろ考えていかなきゃならないのじゃないかと思うのです。時期的にはゴールデンウイークであるとかあるいはお盆の時期であるとかで、毎日のようにそれがあるわけではございませんけれども、東海地方でもふだん通行しても長くて換気が非常に悪い、中の空気も窓をあけると非常に異様なにおいがするとかいうトンネルの話もいろいろ聞いております。  ですから、トンネルによってそのランクを決めて考えられておるようでございますけれども、最近の交通量であるとかいろんな点の変化が、トンネルがつくられたときの基準と比べますとはるかに変わっているところがあるのじゃないでしょうか。あるいはまたトンネルの周辺の道路の状態も以前設計されたときとまた違った状況等にあるのじゃないかと思いますので、そういうことを含めまして道路公団あるいは建設省におきましても対策を再度いろいろと考えていかなければならない点があるのではないか、こう思いますが、その点はどうでしょう。
  105. 松延正義

    説明員(松延正義君) 当面の緊急措置としましては、建設省及び道路公団は、他のトンネルにつきましてもトンネル内の渋滞防止対策を講じるよう全国の地方建設局、都道府県、各公団管理局に指示したところでございます。  換気施設のないトンネルにつきまして現在早急に調査をしておりまして、早く実態を把握しまして今後の対応策を検討することとしております。このため、建設省内に検討会を実は設置したところでございます。これらの調査結果が出ましたら、換気に関する道路トンネル技術基準の運用でございますとか、あるいは交通管理のあり方、あるいは利用者への十分なPR、こういったものを検討し、必要な対策を講じていきたいというふうに考えております。
  106. 太田淳夫

    太田淳夫君 終わります。
  107. 小川仁一

    委員長小川仁一君) 本調査に対する本日の質疑についてはこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十一分散会