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1988-12-16 第113回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十二月十六日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  十一月十日     辞任         補欠選任      杉山 令肇君     鈴木 貞敏君  十二月八日     辞任         補欠選任      宮崎 秀樹君     藤田 正明君  十二月九日     辞任         補欠選任      鈴木 貞敏君     高橋 清孝君  十二月十日     辞任         補欠選任      高橋 清孝君     鈴木 貞敏君      藤田 正明君     宮崎 秀樹君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         安永 英雄君     理 事                 上杉 光弘君                 大島 友治君                 福田 幸弘君                 吉村 真事君                 菅野 久光君     委 員                 井上  孝君                 河本嘉久蔵君                 沓掛 哲男君                 斎藤栄三郎君                 鈴木 省吾君                 鈴木 貞敏君                 寺内 弘子君                 永野 茂門君                 二木 秀夫君                 宮崎 秀樹君                 守住 有信君                 一井 淳治君                 及川 一夫君                 梶原 敬義君                 丸谷 金保君                 片上 公人君                 刈田 貞子君                 諫山  博君                 佐藤 昭夫君                 関  嘉彦君    国務大臣        法 務 大 臣  林田悠紀夫君        外 務 大 臣  宇野 宗佑君        大 蔵 大 臣  竹下  登君        厚 生 大 臣  藤本 孝雄君        運 輸 大 臣  石原慎太郎君        建 設 大 臣  越智 伊平君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  高鳥  修君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  田澤 吉郎君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       中尾 栄一君    政府委員        内閣官房内閣外        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房外政審議室        長        藤田 公郎君        内閣法制局長官  味村  治君        人事院総裁    内海  倫君        人事院事務総局        職員局長     川崎 正道君        内閣総理大臣官        房管理室長    文田 久雄君        警察庁刑事局長  中門  弘君        総務庁人事局長  勝又 博明君        防衛庁長官官房        長        依田 智治君        防衛庁人事局長  児玉 良雄君        防衛庁経理局長  藤井 一夫君        防衛施設庁総務        部長       弘法堂 忠君        経済企画庁長官        官房長      斎藤 次郎君        環境庁水質保全        局長       岩崎 充利君        法務大臣官房審        議官       東條伸一郎君        法務省入国管理        局長       熊谷 直博君        外務省北米局長  有馬 龍夫君        外務省欧亜局長  都甲 岳洋君        外務省経済協力        局長       松浦晃一郎君        外務省条約局長  斉藤 邦彦君        外務省情報調査        局長       山下新太郎君        大蔵大臣官房長  保田  博君        大蔵大臣官房審        議官       尾崎  護君        大蔵大臣官房審        議官       松野 允彦君        大蔵省主計局次        長        藤井  威君        大蔵省理財局長  足立 和基君        国税庁次長    伊藤 博行君        国税庁税部長  岡本 吉司君        文部省教育助成        局長       倉地 克次君        文部省学術国際        局長       川村 恒明君        厚生省生活衛生        局長       古川 武温君        通商産業大臣官        房総務審議官   内藤 正久君        通商産業大臣官        房審議官     田辺 俊彦君        運輸省航空局長  林  淳司君        運輸省航空局技        術部長      中村 資朗君        郵政省貯金局長  森本 哲夫君        郵政省通信政策        局長       中村 泰三君        建設省都市局長  真嶋 一男君        建設省住宅局長  伊藤 茂史君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 堯躬君    説明員        航空事故調査委        員会事務局長   高橋 克彦君        会計検査院事務        総局第一局長   疋田 周朗君    参考人        日航ジャンボ機        御巣鷹墜落事        故被災者家族の        会8・12連絡会        代表       太田 賢助君     ─────────────   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書昭和六十一年度政府関係機関決算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十一年度国有財産無償貸付状況計算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 安永英雄

    委員長安永英雄君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月十日、杉山令肇君が委員辞任され、その補欠として鈴木貞敏君が選任されました。     ─────────────
  3. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和六十一年度決算外二件の審査のため、本日の委員会参考人として日航ジャンボ機御巣鷹墜落事故被災者家族の会8・12連絡会代表太田賢助君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 昭和六十一年度決算外二件を議題といたします。  本日は、前回に引き続き全般的質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 梶原敬義

    梶原敬義君 竹下総理には大蔵大臣も兼任されまして、大変御苦労さまです。  本日は時間が短いので、要約して私は質問をしたいと思います。御答弁の方におきましても、要点を要約して御答弁をされますように最初にお願いを申し上げます。  まず、竹下総理にお伺いいたしますが、リクルート疑惑に関する点でございます。  竹下総理に関しましては、元秘書と親戚の方の二名の名前が上がっております。その売却益総理または総理政治団体に振り込まれているようなことはないか心配をしておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
  7. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 御心配ありがとうございます。  幸いにそういうことは一切いたしておりません。
  8. 梶原敬義

    梶原敬義君 リクルート関係につきましては、後で同僚の丸谷議員の方からも質問があると思いますので、私は次の問題に移ります。  総理といいますか、大蔵大臣といいますか、どちらの立場になるんですかよくわかりませんが、会計検査院昭和六十一年度における指摘事項については百五十六件、そして不適正経理むだ遣い指摘をされている報告では、二百十億円にも上がっております。これは八%という検査率から見ますと、氷山の一角と思われますが、この点についてどのようにお考えでありましょうか。
  9. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 最初に御発言がありましたが、きょうここへ出ております立場は、まさに大蔵大臣でございます。  それはそれといたしまして、この検査院指摘、実は六十二年度を会計検査院からきょうちょうだいしたところでございます。  私も何回も、これをちょうだいしますごとに、本当に一生懸命やっておるのにこうした不当事例指摘を受けるということは、まことにじくじたるものを感じつつも、それを一つ一つ具体的にその担当省において改善がなされる努力が続けられておるというふうには私も思っております。
  10. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に、二点重ねてお尋ねいたします。  この参議院におきましては、決算重視ということは、竹下総理も過去大蔵大臣を何期ですか、やっておられるときに重々議論し、我々の方も、重視をしていただきたい、このような点を絶えず政府に対しても要望いたしてきましたが、なかなか我々の実感からは、決算重視という点についてはそういう実感がわいてこない。大臣決算重視に対する姿勢をお伺いしたい、これが第一点。  第二点に、決算は、決算委員会議論を次の予算編成に対して十分反映していく、そういう立場決算委員会というものを位置づけるべきだと考えるわけでありますが、この二点についてお伺いをいたします。
  11. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 昭和六十年の十一月二十日でございますか、本院の参議院改革協議会委員会報告というものが、当時の議長木村睦男先生のところへ提出されておるということは前々から教えていただいて私も承知しておるところでございます。  何としても決算予算執行のいわゆる実績でありまして、それを国会において御審査いただくというのは、予算執行が所期の政策目的と異なっているかどうかなどについて御検討をいただくものであって、これは大切なことであると思っております。したがって、その議論がまさに予算編成に当たりまして、それらの成果を十分反映させるということは、私も絶対に必要なことだと思っております。
  12. 梶原敬義

    梶原敬義君 ぜひ今の御答弁の精神を貫いていただきたいと思います。  次に、財団法人世界平和研究所についてお尋ねをいたします。  これは、昭和六十三年六月二十八日、中曽根総理の提唱で設立をされた財団法人で、私は今、「財団法人世界平和研究所 寄附行為」、いわば会則といいますか、規則といいますか、これをいただいております。これらについて以下の点に非常に問題があるんではないか、こう思いますので、これは官房長官がおりませんから、竹下総理の方からぜひ答弁をお願いしたいと思います。  この組織は、私は純粋な民間団体組織だと思いますが、いかがですか。
  13. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに、まさに認可する財団法人であるということですから、御趣旨の筋とそう変わっていないと思っております。
  14. 梶原敬義

    梶原敬義君 今、総理答弁からいきますとこれは民間団体、まさに財団法人、どこにもある財団法人、これに対して政府が国を挙げてバックアップすることを閣議決定された、こういう新聞報道がありますが、事実ですか。
  15. 文田久雄

    政府委員文田久雄君) 私から事務的にお答えさしていただくことをお許しください。  財団法人世界平和研究所は、安全保障の確保及び国際経済の健全な発展のために諸方策等に関する調査研究国際交流研究援助等事業を行い、世界の平和と繁栄の維持及び強化に寄与することを目的として設立されたものでございます。これらの事業我が国国際的責務の一端を担おうとするものであること……
  16. 梶原敬義

    梶原敬義君 そんなことを聞いていないよ。閣議決定したかどうかということです、今聞いているのは。
  17. 文田久雄

    政府委員文田久雄君) 六月二十八日に閣議了解を得ておるところでございます。
  18. 梶原敬義

    梶原敬義君 六月二十八日に閣議決定したということですね。
  19. 文田久雄

    政府委員文田久雄君) 閣議了解を六月二十八日にいたしております。
  20. 梶原敬義

    梶原敬義君 閣議了解ね。閣議了解内容について、今ここでなくてもいいから、どういう点を閣議了解したのか出していただきたいのですが、いかがですか。
  21. 文田久雄

    政府委員文田久雄君) ただいま手元に持ってございますので、御提出は可能でございます。
  22. 梶原敬義

    梶原敬義君 この団体を運営するに当たっての資金集めは、新聞報道によりますと二百億円を目標にしているようだが、この点については閣議了解のときにそういう内容も出ているかどうか、その点について。
  23. 文田久雄

    政府委員文田久雄君) 資本の造成についての閣議了解というのはその内容になってございません。
  24. 梶原敬義

    梶原敬義君 新聞報道によりますと、リクルート疑惑で集まりかけた資金が集まらなくなった、おくれたというようなことも伝えられております。そして、設立の際の基本財産三億五千万円のうち三億二千万円を中曽根総理出資している、あと三千万円は後藤田衆議院議員出資をし ている、このように報道されておりますが、この点については事実ですか。
  25. 文田久雄

    政府委員文田久雄君) 設立当初の三億五千万に係る出福者につきましては三団体からでございまして、それは先生ただいまお示しいただいた両先生の係る団体というふうにお聞きいたしております。
  26. 梶原敬義

    梶原敬義君 中曽根総理個人で三億二千万出したということですか、それとも中曽根総理政治団体から出したというのですか、どちらですか。
  27. 文田久雄

    政府委員文田久雄君) 設立に際しましては、その出福者はだれであるかという形になってございますが、それによりますと、その拠出者三つ団体ということになっております。
  28. 梶原敬義

    梶原敬義君 中曽根総理個人ではないということですね。
  29. 文田久雄

    政府委員文田久雄君) ただいま先生お示しの両先生のお名前ではなくて団体名でございます。
  30. 梶原敬義

    梶原敬義君 その政治団体名前を教えてください。
  31. 文田久雄

    政府委員文田久雄君) この団体名でございますが、これは法令的にも明示されることになっていること、また当該団体の許可も得ておりますということをもちまして御答弁させていただく次第でございますが、一つ近代政治研究会、もう一つ美郷会及び徳島産業経済懇話会三つでございます。
  32. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうしますと、中曽根さんの分はどれとどれですか。
  33. 文田久雄

    政府委員文田久雄君) その団体名でございますが、私たちのお聞きいたしておりますところは近代政治研究会と承知しております。
  34. 梶原敬義

    梶原敬義君 わかりました。  近代政治研究会に、リクルート並びリクルート関連売却益等が流入していることはよもやないと思いますが、この点についてはいかがですか。
  35. 文田久雄

    政府委員文田久雄君) 財団法人世界平和研究所から、基金出捐者について御指摘企業等は含まれていないという御報告を受けております。
  36. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうしますと、その点については、最初秘書がやったとか、あるいは女房の名前とか、だんだんいきよると本人あるいはそういう政治団体名前に行き着いてくることが多いのですが、この点についてそこまでおっしゃられるのなら、そこがまさにそういうリクルートに関連するものは出捐金の三億二千万の中には入っていないと言われるのなら、入っていないことがはっきりするように、後から申し上げますが、ぜひこれは重要な課題でございますので出していただきたい、いかがですか。
  37. 文田久雄

    政府委員文田久雄君) ただいま先生中曽根総理関係拠出金原資についてのお尋ねでございますけれども、公益法人許認官庁といたしましては、その法人財産として確実なものが担保されているかどうかということを審査するのが私たちの仕事でございまして、原資が何であるかということについてまで私ども所管庁としてこれを審査していくということはいたしていないところでございまして、先生の御要望には沿いかねるところでございます。
  38. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうでしょう。しかしリクルートからは入っていない、こう言われますから、では言う以上は出していただきたいと言っているんです。総理、いかがでしょうか。
  39. 竹下登

    国務大臣竹下登君) それは、その団体そのもの会費等につきまして、いわば認可する側がその中身を調べることができますやらどうですやら、ちょっと私もお答えに窮しております。
  40. 梶原敬義

    梶原敬義君 私は、中曽根絡みリクルートコスモス株売却の二万三千株と、さらに三千株。どうも三千、三千は臭いんですが、あとの二万株はどこかに入っているんだと私はそうにらみをつけております。この財団法人世界平和研究所設立出資をしている近代政治研究会には入っていないかどうか、そこだけはやはり確かめていただかないと、後から申し上げますが、ここに政府から何人も出向者を出しているんです。だからそこのところははっきりしていただきたいのですが、総理いかがですか。
  41. 文田久雄

    政府委員文田久雄君) 先生、繰り返しの御答弁で恐縮でありますが、私ども世界平和研究所からお聞きいたしておるところによりますと、明確にその団体から平和研究所基金造成拠出をいただいたということでないというようにお聞きいたしておりますことを重ねてお答えいたしたいと思います。
  42. 梶原敬義

    梶原敬義君 時間がないですから、委員長に要望いたしますが、後からまたずっと問題を言いますが、近代政治研究会ですか、今言われました、そこから三億二千万が中曽根さんを通して出ているわけですから、そこにリクルート売却益等が入っているか入っていないか、あるいはリクルート関係するお金が入っているか入っていないか、そこをぜひ、今の答弁では不十分ですから、ひとつ本決算委員会に出していただきますように要望いたします。
  43. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 委員長としてはただいまの要求につきましては承知をいたします。後刻理事会においてお諮りいたします。
  44. 梶原敬義

    梶原敬義君 質問を続けますが、この世界平和研究所役員名簿を見てみますと、中曽根さんが会長で、あとは財界、政界、そして、いわば私的諮問機関等をつくるのに中曽根さんのブレーンにあった人が大体中心であります。その中でも今度のリクルート関係する人が中曽根さんを初め真藤さん、藤波議員、そして飯島清さん、歌川令三さん、こういう人がずらずらと役員名前を連ねておるんですが、この財団法人世界平和研究所役員名簿というものを一応私は持っておりますが、これも後日提出をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  45. 文田久雄

    政府委員文田久雄君) 御提出いたしたいと存じます。
  46. 梶原敬義

    梶原敬義君 竹下総理にお伺いしますが、民間団体でありますし、今言いましたようにリクルートで汚れた人がいっぱい入っております。しかも本当に中曽根さん好み人たち中心になって組織しております世界平和研究所、このいかがわしい団体政府閣議了解をしてバックアップするというのは私は問題だろうと思うのです。どうしてもこれは承服できない。しかも外務省大蔵省、通産省、防衛庁経済企画庁の各省庁から課長クラスに近い職員を休職という形にして出向さしております。しかも賃金出向者最高条件であります七割を国が見る、そして退職金勤務年限に通算をする、このような状態になっておるんです。一人当たりの国家公務員キャリア組の生涯賃金というのは恐らく二億円を超えるんじゃないでしょうか。  そのこと自体も問題なんですが、こういう一般の普通の政治団体政府が人まで派遣をする、しかも、資料提出するようになるでしょう、秘密資料提出するようになるでしょう、どんどん資料がそっちに行くでしょう。こういうことが許されていいのか。総理大臣、いかがですか。
  47. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 財団法人世界平和研究所、この構想が出ましたときから、各国にももろもろの権威あるこうした法人がございますので、我が国にも即応した問題を総合的に研究する場があるべきであるという議論の上に私自身が立っておりました。  したがいまして、これはその後できましたにつきましては、我が国では世界的に刮目される財団としてこれが本当に機能を発しますように可能な限りの協力をしようという考え方で、今申しました六月二十八日の閣議了解に至ったわけでございます。やはりこの種の財団世界に冠たるものを一つつくり上げたいという気持ちは私自身にございます。
  48. 梶原敬義

    梶原敬義君 このような研究機関があってもいいじゃないか、しかし、全くそういう観点からするなれば、やっぱりこれは国会にこういうような機関を——今日の世界における日本の立場あるいは世界の今日の情勢の中で世界平和を考えるとい うことを考えれば当然、こういう案は国会審議をして、そして政府が人も派遣するというような措置をとるべきではないかと思うのです。いかがですか。
  49. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 国の機関そのものとして、特殊法人等法律に基づくものとしてこういうものが存在するということについてもう随分長い間議論をお互いしたところでございますが、それこそ広範な客観的な立場から研究して成果を上げるという場合は財団の方が機能するであろうという結論に至って、そして政府からも働き盛りを派遣して、政府自身のためにもなりますが、この研究所世界的な成果を上げるようにということでこれからもこの財団が成長することを期待しておるというのが偽らざる私の気持ちでございます。
  50. 梶原敬義

    梶原敬義君 総理、苦しい答弁ですが、本当に世界平和を考えるなら、むしろ逆にいろいろな考えの違う人が集まって議論すべきで、中曽根さん好み人たちがみんな集まってそこでまたやるという非常に一方的に偏ったところに人まで出してやる、こういうやり方に対してはだれがどう言ったって納得できるものではないのです。  時間の関係で、これは後々質問を続けますが、この規約第二章第七条を見てみますと、「特定基本財産に係る経理は、一般経理と区分して整理するものとし、その方法は、理事会の議決を経、かつ、総理府、防衛庁経済企画庁外務省大蔵省及び通商産業省の承認を得て、会長が別に定める」ことになっておる。こういう民間団体財産の処理にまで政府がかかわっていくという規約になっている。どこまで国が偏った一方的な民間団体に立ち入っていいものですか、いかがですか。
  51. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私は当事者ではございませんが、寄附行為に基づきまして財団法人平和研究所ができますにつきまして、政府もこれに協力しやすい体制というものをつくるためにはむしろ、今御指摘なさいました縛りとでも申しましょうか、そうしたものがあった方が進んで参画できやすいというふうに私自身考えております。
  52. 梶原敬義

    梶原敬義君 ここに出しておる各省庁大臣もおられますが、本当に一言ずつ人員を派遣するに至った経緯、あるいは何でそれに協力を各省庁がするのか聞きたいのです。私は今もう事例が出ている皆さんの名前を持っておりますが、これはいつまで、永久にこういうことを続けるという考え方なのかどうなのか。総理大臣、最後にお伺いをします。
  53. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 大蔵省としての角度から申し上げますならば、恐らく財政、金融、なかんずく国際政策にわたる点のスタッフを派遣して、その者がそこでまた大変成長してまいりまして、それでまた大蔵省休職が解かれるというようなローテーションが組まれていくようになるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  54. 梶原敬義

    梶原敬義君 これは行政改革等をやっております総務庁、こういうようなやり方に何の疑問も持たず、一方では行政改革、行政改革とやっておりますが、これにあなたは異論を持っていないのかどうなのか。最後にお伺いします。
  55. 高鳥修

    国務大臣(高鳥修君) 行政改革担当者といたしまして、当然のことながらただいま御指摘のような点について考えてみました。ただ、これは政府が金を出すんではなくて、いわば民間が資金を出して政府がやるべき仕事を助けるということでありますので、それはそれなりに意義があるのかなというふうに判断をした次第であります。  政府が全面的に協力をするということについては、高度の政治判断に基づいて閣議了解をしておられることでありますので、その御指示に基づいて措置いたしているところであります。
  56. 梶原敬義

    梶原敬義君 高度な政治判断だって、間違っていることを次々にやることを、それも高度な政治判断ととられると、ちょっと大臣失格じゃないですか。  次に移ります。  日航機問題に時間がございませんから移らせていただきますが、五百二十人の犠牲者を出して航空史上最悪の惨事となりました六十年八月十二日の日航ジャンボ機墜落事故に対する政府の今後の対応についてお尋ねしたいと思うのです。  群馬県警特捜本部が十二月一日、この事故で現取締役を含む日航関係者十二人と運輸省関係者四名の計十六人を業務上過失致死傷容疑で前橋地検に書類送検し、また事故の第一責任者であるボーイング社関係者については、日航が保管していた修理記録などでわかった四人を被疑者氏名不詳として同容疑で書類送検をし、合計二十人の大量送検を行っております。  しかし私は、今回の群馬県警の措置については、ボーイング社の責任を半ば不問にしているような書類送検は非常に不十分に思う。警察庁の努力はよくわかりますが、警察庁にボーイング社を不問にした点について簡単に一言お尋ねをいたします。
  57. 中門弘

    政府委員(中門弘君) 警察といたしましては、今回の送検に当たりましても、ボーイング社の修理ミスが本件事故の大きな原因の一つであるというふうに考えているところでございます。したがいまして、この関係につきましての捜査を遂げる必要があるということは十分認識しておるところでございます。そのために米側に対しまして捜査共助依頼を行いまして、日本からも米国へ担当の係官を派遣いたしまして、状況説明等を行いまして捜査共助の実現に向けての努力を続けてきたところでございます。米国の司法省におきましても、これを受けましてボーイング社との折衝等多大の努力をしてもらっているというふうに承知をしているところでございます。しかしながら、この交渉につきましては今後なおかなりの日時を要するという見通しでございますので、検察庁の今後の捜査の都合等も考慮いたしまして、去る十二月一日に国内捜査の区切りといたしまして一括して送致をした次第でございます。  現時点におきまして、ボーイング社関係の捜査につきましてそれが不可能になったというふうには考えておりませんで、今後とも米国との交渉を通じまして何とか実現ができるように努力したいというふうに考えておるところでございます。
  58. 梶原敬義

    梶原敬義君 ありがとうございました。  今参考資料として「おすたか」の第二十五号ですか、皆さんにお配りさしていただきました。ぜひ参考にしていただきたいと思います。  そこで、太田参考人にお願いをいたしますが、この悲しい事故と今回の書類送検に対する率直なあなたの御意見並びに政府への要望についてもお述べいただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
  59. 太田賢助

    参考人太田賢助君) 私は、日航ジャンボ機御巣鷹山で激突してとうとい生命をなくした五百二十人の遺族の一人でございます。私は娘夫婦一家四人、また同席しております事務局長の美谷島さんは九歳の次男を亡くされ、さらに傍聴の席には遺族の方々も数名来ておられます。私たち遺族で組織しております八・一二連絡会代表して意見を申し上げます。  まず、かかる機会を与えてくださいました梶原先生初め関係各位の皆様方に厚くお礼を申し上げます。私たち遺族が何よりも切望することは、墜落の真の原因を明らかにし、二度と同じ惨事を繰り返してはならないという立場から申し上げることを理解していただきたい。  群馬県警が日航関係者十二名、運輸省関係四名、それにボーイング社四名を氏名不詳で書類送検をされました。今日までの努力には感謝いたしておりますが、最も責任の重いボーイング関係者が、日本と米国の国情の違いがあるとはいえ、被疑者不詳のままで送検されるということは、何と片手落ちなことではないでしょうか。私どもはボーイングに対して非常な憤りを持っています。米国では、航空事故の際、刑事責任を追及すると関係者は真実を隠すおそれがあり、事故解明のためにはかえってマイナスになるから免責をするのだと言われておりますが、原因の究明と刑事責任の解明には全く協力しないボーイングのこの態度 には、世界最大の航空事故の重大さからいって到底容認できるものではありません。  次に、群馬県警が、しりもち事故で破損した後部圧力隔壁の修理において、所定の幅を有しないスプライスプレートを用い、また二列リベットで結合すべきところを一列リベットで結合したなどの修理ミスと、その後の整備、点検ミスに終始し、その根本原因である設計ミス、構造ミスなどの根本問題に深く入らなかったことが非常に残念です。これは事故調査委員会の基本方針がそうさせたのだと判断をしております。  事故調査委員会は公正かつ厳正な調査を目的として事故原因を明らかにしなければなりません。しかるに、事故調査委員会は運輸省に所属しております。  今回のように、運輸省が被疑者になる場合に、果たして公正な徹底した調査がなされたかどうかに疑問を抱かざるを得ないのです。そのためか、原因究明に絶対必要な破壊された尾翼が相模湾付近に落ちていることが明らかであるにかかわらず、尾翼の大半は回収されず、また実際の飛行機を使った破壊の実験も行われなかったのです。  さらに基本的なことは、運輸省の調査によりますと、事故機の被労試験が、他の航空会社の一般旅客機の被労試験の約三分の一以下の二万回しか行われていないということです。この試験は、旅客を乗せるための安全性を保証する最重要なテストで、他の航空会社では設計目標の三ないし五倍の時間と膨大な費用をかけて被労試験を実施しています。しかるに、ボーイング747型機のみは設計経済寿命が二万回と低く、その上磯体被労試験も二万回と最低です。そこから判断されることは、ボーイングは極端な営利追求からくる人命軽視を犯していると言わざるを得ないのです。  そういった意味で事故機の設計、製造、修理などに関する科学的な検討が不可欠であると思われます。しかるに、墜落の原因としては、隔壁破裂以外の要素である設計、製造、修理、点検のあり方などの最も重要な要素は十分に検討されておりません。さらに、隔壁の手抜き修理から破壊に至るまでの過程もきちんと解明されたわけでもなく、事故原因の全容が明らかにされていません。これでは再発防止の保証にはつながらないと思います。  事故調査委員会がなぜこのような中途半端なことしかできなかったかの原因はいろいろあると思いますが、その最大の原因は、ボーイング社が設計、製造、修理、点検、整備に関する重要資料を一切開示しなかった秘密主義をとったからであります。  なぜ秘密主義をとったか。  ボーイングの設計、製造、点検、修理はすべて多重安全装置で、一部に問題や故障が起きても他の装置でカバーして安全航行ができると自慢をしておりました。しかるに、今回の墜落事故でその多重安全神話が根底から崩れてきました。したがって、事故後数週間にして油圧配管へのフューズ弁の装着とか、さらには垂直尾翼の点検孔にカバーを装置するなど、私のごとき素人が知っているだけでも相当にあります。それは設計ミス、製造ミスをみずからが認めたことになり、それを隠したいからでございます。  経営者の社会的責任について申し上げます。  国連の国際民間航空機構の事故防止マニュアルによれば、いかなる組織体においても、安全と事故防止の最終責任は経営者にある。経営者だけが人的物的資材の配分をコントロールするからであります。さらに、経営者が事故防止に関与する度合いと、彼が配分する人員と機材によって、組織の事故防止プログラムの質は著しく影響を受けると書いてあります。まさにその通りですが、事故調査委員会は経営者の問題については具体的に触れていないのが寂しい限りに思います。  このような災害についての現在の刑法は、直接修理に携わった人に限定しております。個人の刑事責任を追及しているわけでございますが、その基本になる刑法は、日本に旅客機の一台もなかった明治四十年につくられたものであるということを特に申し上げます。  惨事の再発を防止するためには、第一番目、ボーイング社は、今後検察当局の捜査に対し、拒否の姿勢を改めるよう特に強く要望をいたします。  二番目、アメリカ司法当局も、事情聴取への協力を改めて要請をいたします。  そして、何よりも、国会がその国政調査権を行使して、ボーイングに対して、事故機の設計、製造、修理に関する資料提出することを強く要望します。そうすることによって初めて事故がなぜ起きたかの原因が明らかになり、事故の再発を防止することができると確信をしております。  終わります。
  60. 梶原敬義

    梶原敬義君 どうもありがとうございました。  時間が来ておりますので、私はこの問題はまた後日質問することになると思いますが、関係大臣に簡単に幾つかの点について質問をさせていただきます。  運輸大臣、今、太田参考人の公述をお聞きになって、いかなる感想を持たれたか。二番目に、相模湾に沈んでおります尾翼の回収について、回収すべきだと思うが、この点についてはいかがですか。  それから、法務大臣お尋ねいたしますが、ボーイング社の責任追及と、それから事故原因を解明するためのもっと積極的な協力を強く働きかけるべきだ、そしてその実現をすべきだと思うが、この点はいかがか。  外務省は、アメリカ政府にもっと強くこの原因解明のための調査に協力するように要請をすべきだと思いますが、いかがですか。  それぞれお答えをいただきまして終わります。
  61. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 今参考人のお話を伺いまして、改めて前代未聞な事故の発生を見たことは痛恨のきわみであったと認識いたしました。これを厳粛に受けとめて、改めて航空の安全を守るために重大な責任を果たしていきたいと思っております。また、原因究明に努力して、この種の事故の再発防止に全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。  実は先般、群馬県警の書類送検が決定いたしましたときに、これは立場を離れまして、その報告を受けました公安委員長の梶山自治大臣とあくまでも個人立場で話をしたわけでございますが、それにしても多くの同胞を失ったこの事故に関して、相手方も修理ミスということを全面的に認めていながらなおその当事者を特定して書類送検できないというのは、まことに割り切れない思いでございます。  相手の国とこちらとこういう問題に対する法律の哲学、見解も違っておるわけでございますが、ただあえて申し上げたいのは、ヨーロッパにも二、三ございますけれども、大型の旅客機というものがほとんど今アメリカの一手販売になっておるわけでありまして、一種の独占という体制の中でこういった相手側の法律の体系というものがまかり通って、こういういかにも我々からすれば片手落ちの印象を否めない、不本意な書類送検にならざるを得ない。もしこれがもっと苛烈な国際競争にさらされているならば、アメリカも自分側の法律体系を盾どって済まされる問題か問題じゃないのか、これはまたこれから先の問題でありますし、余り立ち入った話をしますと内政干渉になりかねません。  いずれにしろ、先般もボーイングのシアトルの747をつくっている工場の最高責任者が、あちこちからクレームが来るものですから自分たちの生産工程を見直してみると、従業員の再教育の必要があるということでこれを始めたようでございますが、その成果が上がるのにどれぐらい時間がかかるかと言われて、何と七年という答えをしておりまして、私は改めて慄然といたしました。こういった問題をあわせ考えて、これからも日本はベストセラーであります747を購入するでございましょうが、やはりつけるべき条件をつけ得るならつける、そういったものを検討しないと今回のこの大きな犠牲というものが報われないのじゃない かということを、私見を交えて申し上げる次第でございます。
  62. 梶原敬義

    梶原敬義君 尾翼回収は。時間が来ていますからもう簡単に。
  63. 高橋克彦

    説明員高橋克彦君) 航空事故調査委員会は、昭和六十年八月十二日に発生いたしましたJA八一一九の墜落事故につきまして実施した調査の結果に基づきまして、認定した事実、事実を認定した理由、原因等を記載いたしました航空事故報告書を作成し、六十二年六月十九日、運輸大臣報告するとともに公表いたしております。  一般的に申し上げまして、航空事故の調査においては資料が多いことは事実の究明に大変役立つわけでありますが、本事故に関しましては推定した事故の経緯及び原因を裏づけることについての十分な資料を私どもは得られておりますので、再度の海底捜査は必要ないというふうに事故調査委員会としては考えております。  以上でございます。
  64. 林田悠紀夫

    国務大臣林田悠紀夫君) 去る十二月一日に前橋地検におきまして、日本航空の社員と運輸省の係官と、ボーイング社の社員について氏名不詳のままではありまするが、業務上過失致死傷罪の事実によりまして事件送致を受けまして、現在同地検において捜査中であります。  アメリカのボーイング社との関係でありまするが、アメリカ政府との間で従来から必要に応じて捜査共助について相互に協力をしておるところでありまして、今後も必要に応じて協力を要請してまいりたいと存じます。
  65. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) ただいま法務大臣も言われましたとおり、外交ルートを通じまして捜査共助、それに関しまして米国と折衝中でございます。極力さらにそうしたものが進められるように努力をいたしたいと思います。
  66. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっと時間が食い込みましたので、外務大臣と法務大臣あとおいでにならないで結構ですから。出席要求しておりますがそこまでいきませんから。  最初に、大蔵大臣にお伺いします。  本来、リクルート問題というのは決算委員会で集中審議をしてしかるべき事案なんです。ロッキードのときはそうであったんですが、今回は特別委員会という手法が非常に上手になりまして、法案と絡めて審議をするということが行われておるのは大変遺憾だと思っております。当委員会としては、これは本来一日だけでなく徹底的に究明すべきものだと思うのですが、特に一連のこの問題を見ておりまして、私は国民の間に免れて恥なしという空気が蔓延していることを非常に心配しております。とにかく何をやっても答弁技術が上手で免れれば恥はないのだ、政治家が恥を知らないというふうに思われていることは甚だ遺憾だし、民主主義の危機にもつながる案件だと思います。  総理は先ほども、秘書のやったことだということを再々言っております。しかし、自分の信頼しておった秘書がやったこと、だから私に責任はないという、免れて恥なしというお気持ちですか。それとも、やはりこれは恥ずかしいことだというお気持ちをお持ちですか、まずこの点をお伺いいたします。
  67. 竹下登

    国務大臣竹下登君) このたびのリクルート問題につきましては、私は四つの点で解明すべきであると思っております。一つはいわゆる証取法上の問題であります。二番目は税法上の問題であります。三番目が刑法上の問題であります。四番目が一番大事な、いわば政治家としての倫理、道徳観の問題であろうと思います。今御指摘なさったとおりでございます。  私自身に関する問題でございますから、いつも申し上げておりますのは、お互い政治家は情報の集まりやすい立場におることは事実であります。したがって、その周辺において行われた、よしんば純粋な経済行為であったといたしましても、それがもろもろの問題、ひいては政治不信というようなことにつながることについては、やはり私自身がその責任は受けとめるべきものである、このように考えております。
  68. 丸谷金保

    丸谷金保君 質問事項を詳しく御通知してありますので、質問に対して結論をそれぞれ担当でお答えいただきたいと思います。  まず最初に、先日の山口哲夫同僚議員の質問に対して、千三十七万株は共通の認識に立ったんですが、いわゆる想定される純資産のあり方については、どうもはっきりしないで終わっております。それで、何か計算方式は、突然言われたのでわからないと言いますが、これはもう極めて簡単な、純資産方式をとって株価を決めたのであれば、株数掛ける株価で純資産が出るわけです。この場合には百二十四億四千四百万、千二百円だ。二千五百円だと二百五十九億二千五百万。こんなものは計算方式でも何でもなくきちっとわかるはずなんで、この違いを共通の認識としてまずお答え願いたいと思います。
  69. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) お尋ねの点でございますが、先日、参議院の特別委員会におきまして、私どもの局長から一千万株という数字を申し上げたと思います。一千万株と千二百円ということの関係でございますが、一千万株と申しますのは五十九年四月期末におきますリクルートコスモス社の発行……
  70. 丸谷金保

    丸谷金保君 いや、計算方式を質問しているんだから。
  71. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 発行済み株式総数でございまして、千二百円の計算方式をお答え申し上げますと、五十九年十二月にリクルートが千二百円で売ったわけでございますけれども、そのときにはリクルートコスモスの会社の六十年四月期末におきます予想される純資産額を出しまして、その予想される純資産額に、さらに六十年早々に同社が合併を予定しておりました株式会社日環建物という会社の保有……
  72. 丸谷金保

    丸谷金保君 そんなことは山口さんのときに言っているじゃないか。だからそこの結論を聞いているんだよ。繰り返す必要はないのだ、この間のやつは。
  73. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 加算いたしまして、その加算いたしました合計額を発行済み株式総数で、発行済み株式総数も六十年四月末の予定の発行株式数でございますけれども、それで割りますと千二百円という数字が出るというふうに私ども、リクルートコスモスから説明を受けているわけでございます。
  74. 丸谷金保

    丸谷金保君 私の質問は、五十九年十二月末現在で千二百円で譲渡している、その千二百円の根拠としては純資産方式をとっているというのであれば、そのときの株数と株価を掛ければ純資産が出るでしょう、適正な価格とすれば。それが山口さんも聞いている百二十四億、あるいは二千五百円で掛ければ二百五十九億になる、この計算方式でいけばこうなりますねと聞いているので、後の話はこの前やったことと同じことを言っているじゃないか。だから、先にちゃんとここのところを答えてくれと言っているのに、そういうことをやっていたら時間が過ぎたってやるぞ。もう一回はっきり答えなさい。
  75. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) お尋ねはその千二百円の計算根拠ということであろうと思います。
  76. 丸谷金保

    丸谷金保君 方式と言ったんだよ。
  77. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 計算方式は今申し上げましたように、六十年四月末におきますリクルートコスモスの純資産額と、それから合併予定会社の会社の含み益を足しまして、それを六十年四月末におきます発行予定株式数で割ったというのが千二百円の計算方式でございます。
  78. 丸谷金保

    丸谷金保君 八月五日の衆議院予算委員会で、あなたの方の局長は、「一株当たりの純資産額を計算いたしまして千二百円という価格を算出した模様でございます。」と言っているんだ。この「模様」というのもちょっと自信のない言い方だけれども、ここでも純資産額を計算して千二百円を割り出したというんだから、割り返したのを今度掛ければもとの純資産が出るでしょう。あとのことを聞いているんじゃないのだ。この時点における純資産はこういう割り出し方をしたんだなという ことを聞いているので、持って回ったことを言わないで、そうでないならそうでない、そうならそうだと、どっちかだけ答えてください。
  79. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 確かに純資産額方式で計算しておりますが、その純資産額は五十九年十二月当時の純資産額というわけではございません。
  80. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっと、そこでいい。  ただし、十二月に千二百円で譲渡しているんだから、その千二百円という価格は純資産を株数で割ったから出てくるんでしょう。そうすれば、十二月末でもってそのときの純資産は掛ければ百二十四億というのは出てくるでしょう。それから二千五百円にすれば二百六十億近い数字が出てくるんだよ。ここのところをあなたたちは持って回ったように言うけれども、先日も結論としてこのことを認めなかった。なぜ認めないのだと言えば、そこに問題があるからなんだ。いいか、もう一回言うよ、ここは大事なところだから。あなたのところの局長さんがきょう出てこないのも非常にけしからぬと思うけれども、記録に残っているんだ、純資産で計算いたしまして千二百円という株価が出たと。そうしたら、この時点における純資産額は掛ければ出るでしょう。これは大蔵通達とかいろんなことを言ってもそういうことになるんだけれども、まず証券局にはっきりこの基礎だけは、この前もやもやっとしていたから、はっきりしてください。そうすればそうなるでしょう。それが本当かうそかは別です。
  81. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 確かに純資産額方式を使っていることは間違いないのでございますけれども、その純資産額の根拠は五十九年十二月現在の純資産額を使っているのではないということでございます。
  82. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこまででいい。  しかし、十二月に譲渡があるんだから、その時点の純資産額を使っていないで譲渡していれば贈与とかいろんな問題が出てくるんです、これは国税局の方に聞く話だけれども。そのときはそうでないと言うのなら出てくるんです、このときに贈与しているんだから。それを山口さんはこの間聞いたんです。だからこういう計算をすればこういう金額になるでしょうと、これはわかりますね、どうですか。
  83. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 確かにおっしゃるような計算をしますと、そういう計算になりますが、リクルートが……
  84. 丸谷金保

    丸谷金保君 それでいい。  それで、次に入るんですが、国税庁次長にお願いします。これもちょっとあいまいなんで確認しておかなければならないのですが、あなたはこの間の山口議員に対して、コスモス社というよりは、リクルート社の株の話であります、私はそういうことで、最近では二年、ちょっと迷って、一年か二年前だったろうと思うのですけれども、具体的な数字はわかりません、こう言っているんです。これは一年と二年の間に一回やったのか、あるいはこの二年間に二回やったのか、そしてその時期はそのときはわからなかったけれども、今はもうお帰りになってわかっているはずなんで、いつごろだったか、これをお聞きしたい。
  85. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) 先般は突然のお尋ねでしたのでやや不明確なことを申し上げましたが、あのときお答えしようとした趣旨は、数年に一回やっておりますが、一番新しいのがいつだったかというところが、ちょっとはっきりしなかったものですから、一年前かあるいは二年前かというように申し上げました。現時点では約一年半前でございます。
  86. 丸谷金保

    丸谷金保君 会計検査院にお聞きしますが、税務調査の後追い検査はこのリクルートコスモスの問題についてはやっておりますか。
  87. 疋田周朗

    説明員(疋田周朗君) お答え申し上げます。  私どもの検査対象は、委員御承知のとおり国税当局でございまして、個々の納税者につきましては、直接は検査する権限はございません。  国税当局から私どもに提出されましたいろいろな資料あるいは国税当局で保管しておられます資料、こういったものに基づきまして課税処理が適切に行われているかどうか、こういったことについて私どもは検査いたしております。
  88. 丸谷金保

    丸谷金保君 リクルートの普通の調査はやったんですね。まだやっていませんか。
  89. 疋田周朗

    説明員(疋田周朗君) 調査いたしております。
  90. 丸谷金保

    丸谷金保君 ただ、その調査では別に問題はなかったということですか。
  91. 疋田周朗

    説明員(疋田周朗君) 現在までのところ、特に指摘するような事態は見受けられませんです。
  92. 丸谷金保

    丸谷金保君 それでもう一つ。実は山口さんが真藤さんの問題について、山口さんと別の同僚議員からも出ておりますが、これは要するに脱税になるんじゃないかという話をしたのに対して、国税庁の次長は、株の譲渡益があって、こちら側、真藤会長に来たということになると贈与になることもあり得るのではないか。極めて歯切れの悪い贈与になることもあり得るのではないかということは、ならないこともある、こういうふうに実はあそこで聞いていて、私は聞いたんです。だからこれはどちらにでもとれるなかなか上手な答弁だ。それで、一体なぜああいう答弁をしたのかなというふうに私なりに考えてみたんです。  そうしますと、株の場合、譲渡と譲り受けと区別して考えていますということも証券局長さんか次長さんか、おたくの方かから話がありましたね。それらを考えると、なるほど、株の売買、譲渡というものを一つとして見ていたけれども、譲り受ける側と譲り渡しをする側では微妙な違いがあるということは、譲り渡し人は適正価格はわかります、自分のところの株を出すんですから。しかし、受ける方は、場合によってはこれは幾らぐらいするんだけれども持ってくれと言われたら、それで持ったということでわからない場合がある。ここで例えば譲り渡す方は贈与の意思が、贈賄の意思があったとしても、受ける方は、それはそんな値段だというからそういう意思がなくてもらった、こういうことがあり得るのでこういう表現になったのか。要するに、譲り受けと譲り渡しというのには微妙なそこにやはり違いがある、これがあの答弁になったのかなというふうに類推解釈したんですが、いかがですか。
  93. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) 私は余りそこまで考えて申し上げたんじゃなくて、譲り受け、譲り渡しを言葉として使いましたときにはたしかこういう言い方を、その山口先生のときに申し上げたかどうかちょっと記憶が定かではございませんが、有償で譲り受けた株をある期間持って、その後有償で譲渡した、そこで譲り受けと譲渡という言葉を使い分けさせていただきます、こういう私なりの定義づけで申し上げていたつもりでございます。  そのときの言葉を使い分けました理由は、要するに、税の関係からいきますと刑法の場合とちょっと違いまして、それぞれの部分における課税関係を規制する法律が異なっておるわけでございます。丸谷先生よく御案内のように、株の譲渡の場合もほかの資産の譲渡でも同じでございますけれども、譲渡の場合には、譲渡益の出る、実現した段階で譲渡に関する法関係が規制されます。贈与だとかあるいは一時所得という議論がもしあり得るとするならば、譲渡じゃなくて譲り受けた段階での譲り受け価格がそのときの時価、譲り受け時点における時価と比べて高いか低いか、そういうときにあるいは一時所得という議論が出る、あるいは贈与という議論が出るかもしれません。そういう意味で譲り受けと譲渡を使ったものですから、今先生おっしゃったような意味はちょっと私の頭の中にはございませんでした。
  94. 丸谷金保

    丸谷金保君 私は株の売買なり譲渡の場合、そこは微妙な違いがあると思うのです。例えば、これは下がるけれども持ってくれという人はいませんね。これはもうかるからひとつあなた、持ってくれ、これは当たり前な話なんです。しかし、それは譲り渡す方はわかっているけれども、譲り受け人は相手を信用してもらうので、そこに微妙な違いは出てくるということはあります。それで、譲り渡し人の方に焦点を絞らないとどうもそこのところが上手に使い分けをして逃げられるので、 主として譲り渡し人の方に焦点を絞って申し上げたいと思います。  証人喚問で、同僚の矢田部委員に対して江副証人は、「公開時に五千二百何十円だったかと思いますが、そういう価格で生まれたという記憶は持っておりますが、四千五十円でございますか、それについては、恐らく九月半ばごろにそういうふうな話があったのではないか、そういうふうに記憶しております」、こうおっしゃっているんです。  これは矢田部議員が、九月の初めに店頭公開の登録の申請をしたということに関連して、最初は十月というふうに江副さんは逃げていて、矢田部議員がそれは九月じゃないかということで手続は九月の三日にやったということ、それから類似業種比準方式によって算定して三千百五十円になった、こういうことを言っておるんです。しかしこれは今までの国会答弁の中で、類似業種がないから、いわゆる通達でいうと類似法人の比準方式はとれないので純資産価格からやったということは、しばしば国会答弁の中でも出ているし、先日の山口さんのときにも大蔵省はそう言っておるんです。それで、第一、類似法人比準方式をとる場合には国税庁が大体発表して、業態別にこれはこう、これはこうというのは出ますでしょう。リクルートコスモスのこれらについてはそのときなかったんです。
  95. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) あるいは証券局の話かと思いますけれども、私どもの方は値づけすること自体については税は直接関係ございません。あくまでもそれぞれの事業者の方が値づけされ、我が方は後から、値づけされたのが妥当かどうかという後追いチェックなものですから、そのときあったかなかったかという議論はちょっと私どもの方からは直接申し得る立場にはないと思います。
  96. 丸谷金保

    丸谷金保君 問題は値づけからの問題なんです。江副証人はここで、九月の半ばごろ四千五十円という値段の策定は聞いている、店頭登録のときは自分は手続しないからよくわからぬけれど、ということで、九月半ばに四千五十円という値ごろが出ているということを知っていて九月末に三千円で株を譲渡していますね。そうすると明らかに、受け取る方はこれは三千円かと思ってもらったかもしらぬけれども、渡す江副さんの方だけは明らかに四千五十円という、自分も記憶している値段のものを、この証言によれば、それから半月後に渡している。ここで例に出すのはまことに申しわけないのですが、宮澤さんが話を聞いたのもこの九月の中ごろです。このころには既に、この証言によって、江副さんはもっと高い値段だと。類似価格というのはないんですから、類似価格でやったなんていうのは、これはだれかに教えられてメモしてきて答弁したんでしょう、三千百五十円なんていうのは。そうしておけば間違いないだろうと。ところがやっぱり穴に落ちるんで、そんなことはない、類似価格がないんですから。しかも四千五十円ということは彼も聞いていたといえば、これは調査しましたか、こういう事実があるんですから。
  97. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) 個別問題で調査がどうこうというのはちょっと横に置きまして、そういう報道がされましたこと等々、それから国会でそういう御議論があったというのは十分承知しております。
  98. 丸谷金保

    丸谷金保君 ただ、この四千五十円と言ったということが、法人の側から見れば明らかに利益不算入であるということの、脱税が行われたことになるわけなんで、四千五十円だと認めている本人が自分のところの株を三千円でやるんですから、受け取る方のことはさておいて、リクルート並びリクルートコスモスの方から見れば、明らかにこれは利益として当然入れなければならないものを、もしこれが申告していないとすれば、利益不算入ということになるんじゃないですか。いかがです、これははっきりしているんですから、証言で。
  99. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) いろいろな、四千五十円あるいは三千幾らというものがどういう理屈で値決めされたかというのは、事業者の方の御議論といいましょうか、計算でございます。私どもの税の立場で見たときに、その値決めを、先生がおっしゃっておられます、時価に比べて著しく低い価格というふうに認定するかどうかというのが税の観点の議論だと思います。もしおっしゃるように、いわば先ほど来の用語でいいますと、三千円で譲り渡したときの、その三千円の取引時点における時価がそれよりも高いということになるのかどうか、その際の税の観点で見ますのは、先ほど先生も引用されました通達で、三つの……
  100. 丸谷金保

    丸谷金保君 それはわかっています。そこまででいいですよ。
  101. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) そういう、やや観点が違うということだけちょっと御理解いただきたいということでございます。
  102. 丸谷金保

    丸谷金保君 それはあなたの言うことはわかるんですが、江副さんの方の側は四千五十円くらいだったと思っているんだよ。それを三千円で渡すんだ。だから私は二つに分けたんです、いいですか。そのときの時価が今すぐには出ないといっても、この証言によれば、江副さん自体は四千円のものを三千円で渡したことだけは間違いないとすれば、ここは申告がされているかされていないかあなたの方は当然やらなきゃならない。これが一点。  それからもう一つ、もとに戻って五十九年の十二月、千二百円でたくさん譲渡しています。そしてさらに次の年の二月には二千五百円。これは今までの決算時の純資産の評価から割り返せば十二月は千二百円でいいし、二月になったら期待価格もあるから二千五百円でいい、こういうことを言っているんですね。それは受け取った方の側のあれでしょう。しかし、受け取った側だって知らないとは言わせない。あるけれども、時間がないのできょうは詰められません。しかし、やった方の側は、神奈川県警の調べでは、「六十年二月の第三者割当増資の価格を譲渡価格の二倍以上の一株二千五百円にすることを、五十九年十二月の段階ですでに決めていた」、こういうものが載っています。これは何遍もあった。そうすると、これは二月ですからわからない、こういうことなんです。  それで、なぜ神奈川県警の調査でこういうことの確証をつかんだか。それがわかる資料を私は見つけたんです。六十年の一月七日月曜日午前十時から十一時、コスモスの取締役会議議事録というのがある。ここで、このときの議長は代表取締役の江副浩正さんです。五名出席、監査役三名、合わせて八名が出席している。第三者割り当て新株発行の件について、額面五十円、発行価格二千五百円、ここで既に二千五百円と決めているんです。一月七日です。六日は日曜です。五日は土曜日です。当然これは十二月中に相談して原案をつくって取締役会に提案したものです。そして以下割り当て先がずっと出ております。これらはそれぞれ報道もされたり、されなかったのもありますけれども。そうすると神奈川県警の十二月中に既に千二百円、二千五百円というのを決めているというのは信憑性が出てくるんです。恐らくこれを神奈川県警は没収してこういう証言になった。一月七日に取締役会で決めたとすればもう十二月に決めているんですから、その確証をつかんだというのは私はこの事実だと思うのです。  これを国税庁、今までのあれでは書類は県警の方へ行っているし調査する方法がないということをしばしば言っていますね、そうですね。どうですか。
  103. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) 先生お話しの新聞の報道は私どもも拝見しております。
  104. 丸谷金保

    丸谷金保君 新聞はいいです。
  105. 伊藤博行

    政府委員伊藤博行君) それで、報道されていることを裏づける資料先生は今お持ちだということで御発表になったかと思います。  私がたびたび申し上げておりますのは、この記事を否定するとかどうこうということではなくて、二千五百円が仮にここの記事に書かれており ますように五十九年十二月段階で決められておったとしても、その二千五百円が適用されるべき時期というのは年明けて二月に適用されるべき価格として決められているというふうに読めるものですから、したがって、先ほど来譲り受けと譲渡を使い分けての譲り受けというのは五十九年十二月のはずでございますから、その時点での時価が何かという議論とはちょっと別個の問題じゃないでしょうかという観点で申し上げておったわけでございます。
  106. 丸谷金保

    丸谷金保君 その新聞の記事については、そういう印象を持ったということについて別に異議はないのですね、今の御答弁では。そのことでなくて、だけれども二千五百円は二月の問題だからそれとは別の問題だと。  しかし、純資産価格ですよ。既にリクルートコスモスの人たちが十二月時点で二千五百円に評価のできるものを千二百円で売ったとすれば、この間の山口議員のあれの裏づけになりますけれども、明らかに千三百円はこれを利益算入しなきゃならないことになるんだよ。当然、十二月に既に二千五百円ということを決めている、二月に売る分は二千五百円と決めていても、あなたがしばしば答弁しているように、そのときの純資産価格で割って株価を算定したということが事実なら、その間に動いていないのですから、二月までに。純資産がふえたり減ったり大きくしていないのです。これは登記簿謄本を見ればはっきりしているんです。そうすれば十二月段階、もうはっきりここで二千五百円という計算が成り立つんです。  そうすると、これは当時既に二百六十億円の純資産を持っていてこういう計算ができた。これは恐らく今言っても結論は出ないでしょう。特にこの関係については、県警がみんな持っていっていて調査できないということはないのです。これは令状をとって査察をすればできるんです。そうでしょう。県警だって見せるんです。あるいはまたコスモス社は、聞くところによれば、全部押収されてしまうと仕事ができなくなるので、この種の書類は全部コピーをとって別に持っているというのです。そうすれば書類は持っていかれたってコスモス社だって……。査察は随分やっているんです。これだけの大きな問題にやらないことの方がおかしいのです。大蔵大臣、こういうことですが、大蔵大臣が今それをされるとは私は思っておりません。しかし、ぜひこれは査察に値する問題だ。  それから、会計検査院、帳簿上で見たら何でもなかったといっても、査察の結果これは国税庁の方が守秘義務があるから発表できないということになるんです。  いろいろ考えました。その内容会計検査院がさらにもう一度調査して、これが最初の調査と違って問題点があるとすれば、事案にもよりますけれども、会計検査院国会報告する義務がありますね。どうですか。
  107. 疋田周朗

    説明員(疋田周朗君) 私どもといたしましても、リクルート問題につきましては関心を持ってその推移を見守っておるところでございます。  ただいまの御議論を踏まえまして、今後国税当局の課税処理の結果を待ちまして適切に対処してまいりたいと存じております。  なお、不適切な事態がございました場合には、委員指摘のとおりの処理になるわけでございます。
  108. 丸谷金保

    丸谷金保君 守秘義務にどうしたらなったと思ったのですか。会計検査院というのは決算委員会には厳然として出席しているんです。これは報告義務はあるんです。ここで不正の問題は、ただし、これは九月ころに会計検査院の院内でいろんな各省の意見を聞きながら調整するから、いやそれは出さないでくれといってつぶされることもあり得るでしょう。しかし、建前として報告義務があるということは、やはり私は守秘義務に不正があった場合には穴があくというふうに理解しているんです。  そこで、大蔵大臣にお願いいたします。これはそういうことを含んでいますので、少なくとも贈与した方の側にしてみれば自分の価格はわかっているんだから、税法違反という問題は厳然として出てくる。これだけの問題を今私が提起して、査察もできないということになれば何かあると言わざるを得ないことになるけれども、私は国税にはそんなことはないと思ってます。国税局長だかがリクルートにいるといいますけれども、そんなことは問題ないでしょう。恐らく彼が申告書の税理士としての署名人じゃないだろうから、あれは多分福田さんかだれかだと思いますので、ないからそんなことにならぬと思いますけれども、この問題はそういうことなので、大蔵大臣、特にその点をお願いしておきます。  あと二分しかありませんので、もう一つ、実は就学生の問題があるんです。  これは四月二十七日の本会議で私は質問して、これはこのままほうっておくと大変なことになるよというのに対して当時の竹下総理大臣は、それは閣僚会議でもって相談することになっているのであとは文部省の方に聞いてくれということで文部省に聞いたら、いや、総理のあれで閣僚会議ができて一生懸命やるから心配しないでくれ。ところが、何にもやられていないからこんなことになったんです、いろいろ問題になっています就学生の問題が。  しかも、日本人が三人上海で軟禁されて動きがとれないのです。これは法務省は、四百人の金を受け取った人たちにはビザは出さぬ——もうきょうは時間がないから法務大臣には帰ってもらったということなんです、結論は。それから、学校の方は金を受け取ってない、支払いはできない。しかも、法務省はその学校にこれからビザを出さない。そうすると永久にこれは学校からは払えない。そうすると、三人は理由なく、別に裁判にかけられるでもなく何でもなく、金を払ったら帰すということで、二千何百万だかの金を払えということで向こうのホテルに何カ月も軟禁されている。これは外交上大変なことなんだ。そうかといって外務省に金を払う方法はないのです。それで大蔵大臣から総理大臣によく言っておいていただきたい。総理大臣が私に答弁したようなことになっていなかったからこんなことになってきたんだ。だから、総理大臣としては政府の責任においてこの金を払わなきゃならぬ。それ以外に解決の方法はありませんので、よく総理大臣にお伝え願いたいと思います。  そのことについてと、前段のリクルート問題の査察の件その他一連の関係について御所見を承って、終わりにしたいと思います。
  109. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、税務上の問題につきましては、私も大分聞いておりましたが、ちょっと丸谷委員の論理構築についていけませんでした、率直なところが。
  110. 丸谷金保

    丸谷金保君 もう一回やりましょう。
  111. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いずれまたやりましょう。  そこで、しかし税務行政そのものは適切に対応しておるものと私は信じております。  それから、丸谷委員からの本会議で、特に私は留学生問題ということに中心を置いて閣僚会議等のことを申し上げて、今問題になっております就学生問題、この問題、今御指摘のとおりいろいろ複雑な問題がございますが、大変な問題として各省つかさつかさのみに任せることなく、内閣で対応すべき課題だというふうに思っております。
  112. 丸谷金保

    丸谷金保君 終わります。
  113. 守住有信

    守住有信君 先ほど丸谷委員もお触れになりましたが、きょうは総理大臣大蔵大臣というお立場で御出席でございます。いろいろ厚生大臣、建設大臣おいでいただいておりますが、福祉団体等の大事なお話があるようでございますので、順序を逆にいたしまして、地方民活を後回しにいたしまして、生活環境の問題の方から御質問をさせていただきたいと思っております。  私自身は、国の政治の基本は、一方では対外的には外交、防衛でありますし、国内的にはもちろん治安の問題もございますが、同時に治山治水、それから特に地方におきます社会資本の整備が非常に大切だ、このように思っております。その中 で、特に水問題、いわば水資源の確保もございますし、その利用あるいは自然災害の防災ということもございますが、他面、私は入り口論と出口論と申しておるわけでございますが、利用された水の汚染と申しますか、汚濁と申しますか、もちろん化学物質の問題もございます。私ども熊本は水俣病という最大の悲劇があったわけでございますが、こういう化学物質の問題等につきましては、いわば水質汚濁防止法あるいは産業廃棄物のいろんな規制があるわけでございます。そして着々と成果を上げておる。一方、顧みますと、家庭の雑排水と申しますか、今まではどちらかというとし尿処理水洗化ということでございましたけれども、雑排水の問題が非常に大きな問題となっております。  私自身も、NHK等もございますので、例えば「ぐるっと海道三万キロ」だとか、海の汚れ、それが実は内陸部からということで、最近は「にっぽん水紀行」というふうなこともございますし、あと家庭の御婦人方の啓蒙運動でやっていただいております土曜日の「くらしの経済セミナー」、ああいう中で家庭から出てくる問題、いわゆる企業も自己責任でございますが、個々の家庭もやはり自己責任の体制でやっていかなきゃならぬ、このような認識で啓蒙運動等も一生懸命やっておるわけでございます。  その中で、まずは公共下水道でございますが、あれは御承知のとおり、都会内のあふれる水もあわせて処理をするという長い間の歴史、御努力があるわけでございます。こういう角度から見て、まずは建設大臣せっかくおいででございますので、下水道整備についていろんな御努力がありました。地方自治団体も一緒になってやっておりますけれども、これの普及計画とそれがなかなか進まないという問題点、隘路と申しますか、これをお聞かせいただきたい。  特に、私の方は大都会でございませんので、大都会は当然に公共下水道でございますが、いわゆる田園都市の地域、それから農村地域、まさしくふるさと創生と申しますか、あるいは宮澤前大蔵大臣も生活大国というテーマでお取り組みでございますので、そういう角度からお知らせをいただきたいと思うわけでございます。
  114. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 先生から今いろいろお話を承っておりますが、第一番に公共事業、社会資本の充実が大変我が国はおくれております。幸い最近、昨年度以来特に公共投資が大変増額になりまして、努力をいたしておる次第であります。  特に、今御指摘の下水道問題につきましては、昨年度末で我が国の普及率が三九%であります。これは、先進国はもう九八とか九七とか、欧州は大変な進歩でございますから、我が国もこれにぜひ追いつかなければならないということで鋭意努力をいたしております。ただいま第六次五カ年計画で六十五年末に大体四四%でございますが、早くこれを七、八〇%まで持っていかなければいけない。  お説のように、し尿処理だけではいけない。家庭の雑排水あるいは工場の排水等も含めて完全な処理をして河川、湖沼あるいは海岸をきれいな水に取り戻さなければならない、こういうふうに考えております。そして先進国も七〇%、八〇%のところもございますけれども、ここもほうっておくわけでございませんで、やはり進んでおるわけですから、我が国の今のピッチをさらにさらに進めていかなければならない、こういうふうに考えております。また今、ふるさと創生の面からいいましても、農村を含めて進めてまいらなければならない、このために簡易な処理場等をつくりまして、全部海岸へ持ってくることでなしに、そこそこで進めていきたいというふうに考えておる次第であります。努力をいたしますが、せっかくの御支援のほどを特にお願いいたしたい、かように思う次第であります。
  115. 守住有信

    守住有信君 そこで、実は公共下水道でございます。大都会の方は当然のことでございますが、だんだん私の田舎、熊本市でございますけれども、来年五〇%を目指して周辺の町の方も入れましていわゆる広域下水道という方式で努力しておられます。市ぐらいの財政力のあるところはあれでございますが、町になりますと地方自治団体の負担、それから利用者負担、下水道利用料がなかなか上げられないとかいろんなことを実態的に聞くわけでございます。  それで、大もとに返りますとまさしくふるさと創生で、この問題は実はふるさと創生の以前のふるさと再生ではなかろうか。かつては小川では子供は泳いでおりました。小魚もフナも死滅したとか申しますが、私らは魚釣りをしておったわけであります。江津湖というきれいな湖もございましたが、そこではずっと汚泥が沈殿して川に流れて、特に有明海、不知火海等は近海漁業でございます。アサリとかノリとか最近は栽培漁業でしか生きていけない、こういう状況に対してずっと四十年間……。  と同時に、もう一つ私は、厚生大臣せっかくおいででございますが、この二、三年ぐらい前から合併浄化槽という、およそ一軒一軒が原因者でございますので、そこで今まであった単独の沈殿方式の浄化槽でなくて合併、家庭排水、洗濯水、し尿も全部含めて一軒一軒の中で処理する、しかもコンパクトで一種のバクテリアを使った方式で、あと一軒一軒から出るBODも公共下水道と何ら変わらぬ、こういう状況が出ているように私もNHKの報道その他で調べて承知しておるわけでございます。  特にこういう公共下水道は、一方では六十三年度は二兆円という巨額の、NTT融資も含めてでございますが、御努力でございますが、他方、小都市あるいはその近郊あるいはそれからさらに農村部、商店街もございますが、大部分は農村部でございます。こういう地域に行った場合、およそその財源の税金、今税制改革に一生懸命お取り組みでございますが、こういう財源の中でより一軒のコストと申しますか、税負担、税支出という角度から見ても、あるいはまた私の理念とする自己責任の社会という理念から見ましても、もっとこの合併浄化槽が普及してしかるべきだということでございます。  ただし問題点は、公共事業の場合は市町村が一緒になりまして自治体みずからがやる、今回の合併浄化槽は一軒一軒の方がおやりにならなければなかなか難しい。熊本県でもいろんな町村を私も厚生省の職員になったようなつもりで回っておるけれども、なかなかこれが進まぬ。ここらあたりにつきまして厚生大臣あるいは厚生省として推進を図っておられますけれども、どういうふうな施策を進めながらどういうふうな隘路あるいは問題点、さらには今後どうすればよりいいのかということについて、政府委員の方にお聞きしながら大臣のお考えもお聞きしたい、こういう気持ちでおるわけでございます。よろしく。
  116. 古川武温

    政府委員(古川武温君) 委員からお話がございましたとおりの認識でございまして、新たに合併処理浄化槽というこういう技術が開発されましたので、それに対応しまして六十二年から国の補助制度を設けてございます。ただいま六十二年度は一億の事業でございましたが、これを五億にし、さらに大きな予算をもってこの仕事を進めたいと考えております。  隘路はどうか、あるいは特徴はどうかというお話がございました。合併処理浄化槽は、一つ委員お話しのように下水道の終末処理場と同じような良質の処理水を出せる、こういうのが一つの特徴でございます。それから第二の特徴は、小さなもので非常に軽易に小回りよくこの仕事をつくれる、こういうふうなことがございます。設置の経費の点、あるいは工事の期間の問題、あるいはなかなか下水道が普及しないような難しい条件の土地にもこれを普及することができます。そういうことで、非常に小回りのきく立派なすぐれた仕事だと考えております。  ただ、委員指摘のように、それぞれ一人一人の御家庭で浄化槽をつくるものですから、これに直接の国の補助制度というものはなかなか難しいということで、国は市町村がこれに対して補助金 を出した場合にその一定率を補助するというふうな仕組みでございます。したがいまして、各家庭において自己負担の額が出るわけでございますが、そうしたものにつきましては融資の制度も導入しましてこの普及が促進されるように努めております。この仕事は厚生省だけでなく、建設省等その他関連の省庁とその計画を大いに調整しながら協力して進めなければならないこと、こういうふうに心得ております。
  117. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 政府委員からお答え申し上げたとおりでございまして、やはり生活排水対策は緊急な課題でありますし、きょう閣議で環境庁長官から公共用水面での水質状況の御報告がございまして、六十二年度におきましてもBODの環境基準未達成地域が三割ぐらいあるということでございますから、この生活排水対策はこれからも力を入れていかなければならぬ大きな問題だと思うわけでございます。そのためには、今申し上げましたように公共下水道なり厚生省の合併処理浄化槽、それぞれ特徴を持っておるわけでございますから、その地域の実情に合ったそういうものを設置していくということがやはり何よりも大事だと思うわけでございます。  予算面では六十二年度から補助対象になりまして、私も一生懸命になりましてそのとき運動した一人でございますからよく内容は存じておりますが、一億円から六十三年五億円、六十四年は二十億円、こういうことで今全力を挙げてやっております。幸い、横に大蔵大臣もいらっしゃいますので、ぜひよろしくお願いを申し上げまして、今後ともひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
  118. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 厚生省の補助金とあわせまして、建設省でも施策を講じておりますので、一言御説明申し上げます。  建設省では小規模合併浄化槽の普及を促進するために六十二年度、これも制度としては同年度に発足しておりますが、当該浄化槽を設置する住宅を新築する場合につきまして、住宅金融公庫に地域政策割り増し貸付制度というのがございます。この中で当該浄化槽につきまして五十万円を上乗せする制度を昨年度から実施しております。したがいまして、これは例えば上物融資、東京で言いますと六百八十万円融資をするわけですけれども、これに加えてさらに五十万円プラスするという制度でございます。  それから、既にあります住宅に小規模合併処理浄化槽をこれからつけようというものにつきましては、従前からございました住宅改良資金というのがございます。これは若干金利は高うございまして、一般の基準金利が四・五五に対して四・九〇ということでございますが、このお金をお貸しして、これは設置にかかります全体のお金の八割まで融資ができるということでございます。これを御活用いただいて設置することも可能になっておりますので、おいおいこういう低利融資を通じて普及を促進したいというふうに考えております。
  119. 守住有信

    守住有信君 今せっかく住宅局長からもお話ございましたけれども、私もいろいろ実態に触れながら考えております。やっぱり合併浄化槽は住宅の一部でございます。したがいまして、住宅の一部だということで、民間の方でございますが、住宅産業、県も市町村もいろいろ住宅関連の組織を持っております。一方、合併浄化槽の方もいろんな組織をつくっておりますが、いわばこれの下請関係と申しますか、この連携というのが非常に大切ではないか。あるいはまた、県だけでなくて市町村におきましても合併浄化槽を推進するときに建築課とか住宅課とか、それと衛生部は別にございますものですから、これは県庁の出先としてあるわけですね。どうもそのところの地方の自治団体の連携とか業界の連携が、住宅は住宅、合併浄化槽組合は浄化槽組合で走っておるようでございまして、民間の一生懸命になっておる団体、これは住宅産業それぞれに業界の発展にもなるわけでございますけれども、そこがどうもつなぎ合わせができていない。あるいは県に参りましても市町村に参りましても、そこの行政的なつながり方というのが十分でない。  例えて申しますと、これは別でございますが、せっかく建設省が親孝行ローンというものをおつくりになりました。非常に私は感銘深く、近ごろの世の中で親孝行なんということを政府が言うということは初めてのことじゃないかと思っております。あるいは厚生省の方は親子助け合いローン、こういうものを六十三年度からお始めになりましたが、私自身が、例えば住宅金融公庫の支所にはパンフレットが置いてあります。ところが代理店でございますが、銀行に行きますと銀行のローンのパンフレットが山のように並んでおりまして、その横にちょっと置いてありました。  親孝行ローンも助け合いローンもそうでございますが、そのほか例えば住宅産業の展示場に行きましても我が社のものだけを、あるいは新聞広告等も我が社のものだけでございまして、肝心の親孝行ローンとか助け合いローンについては業界は新聞広告すらしていない、あるいは県はそういう指導も刺激も与えていない、こういうことで、せっかく中央政府の方で御協議をなさりながら、新しい制度予算を厳しい財政の中で大蔵省も御理解いただいて進めておるのに、末端の方の現実を私は下から見ておる方でございますので、その点につきましてもあわせて行政指導、いろんな連携の業界団体も含めての連携指導をお願いしたい。  またさらには、まさしくふるさと創生、これが再生にも通ずるわけでございますので、いろんな町村、田舎の方と申すと変でございますが、都会地の郊外の方あるいは町村、それの町おこし運動もあるわけでございますし、恐らく自治省も地域の活性化、自主性を発揮してもらう。その中で一軒一軒の家庭、そして御婦人方、これが自分が実は原因者である。今まではなかなか公共下水道は計画を立てましても、下水道プランというものをつくられましても五年、十年、十五年ということでございますので、この点をひとつ私はお尋ねしたいわけなんです。  いろいろ県庁の方でやっておりましても、下水道マップというのがございます。そのマップははっきり申し上げまして役所の方が絵は描けるわけです。これがいつ先できるのか。ところが、下水道マップの中には合併浄化槽なんか入れる必要がない、こういう実態があるわけでございまして、下水道マップの外だ。ところが下水道マップは非常に大きく描いてございます。いつできるのか、何ぼの予算が必要なのか、自治体の負担は幾らになるのか、こう聞きますとここはノーアンサーでございますので、そこらの下水道マップのあれといわゆる合併浄化槽の推進との調整も要る。こういうために実は私は環境を推進する、あるいは調整官庁としての環境庁がおられるのではないかと思っておりますので、環境庁の方からもその辺の推進と同時に、調整の問題をひとつお聞かせいただきたいと思うわけでございます。
  120. 岩崎充利

    政府委員(岩崎充利君) 生活排水対策につきましては、私どもも非常に重要な対策であるというふうに考えておる次第でございます。  ただいま先生、調整をというお話がございました。私どもといたしましては、生活雑排水対策としましては、下水道の整備の促進を図るということとあわせまして、地域の実情に応じまして各種の生活排水処理施設の整備を的確に組み合わせて推進することが重要であるというふうに考えておる次第でございます。これらの施設の選択、組み合わせにつきましては、地域の実情に応じて判断しまして計画的に推進していくということが肝要であると考えております。  今後とも関係省庁と十分連絡調整を図りながら、先生の御意見も踏まえつつ各種の生活排水対策の効果的な推進に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  121. 守住有信

    守住有信君 今大分抽象的でございましたので、下水道は話が出ましたけれども、合併浄化槽のお話は出なかった。  農村の方では、農水省の方がいわゆる畜産団地についてお取り組みでございます。畜産団地は当 然でございます。牛馬を含むわけでございます。大きな量でございます。ところが農水省の方はだんだん畜産団地からずっと農村地帯の方へ施策が行くわけでございます。農林の予算だったらもっと大事な、この重大な時期に基盤整備からそっちの方へ私は重点を置くべきではないかと思っておるわけで、そういうのは合併浄化槽等に任せたらどうか、厚生省に任せたらどうか、こういう気持ちを持っておるわけでございます。  そういう非常に具体的ないろんな町村を私は回っておりますものですから、その実態をお踏まえいただきまして、なかなか環境庁というのはどちらかというと中央行政の方でございますので、参考までに申し上げておきますと、私の私的な東京都内の方は品川区にあるわけでございますが、やっと去年公共下水道が前の公道の方へ引かれたわけでございます。そしてもう一つ申し上げますと、家が後ろの方に引っ込んでおりますために、その道路の私的負担が約三十万円ございます。コンクリートでございますので壊して、あとちょっと周辺もアスファルトにきれいにしましたが、二十七万円、こういう事実もあります。  しかし、東京都区は一生懸命お取り組みでございますが、同時に東京都下の市も含めまして合併浄化槽の保持につきまして要綱をお決めになる。それから首都圏の東京に隣接する千葉市も同時に合併浄化槽にお取り組みですし、典型的な例が印旛沼の最大の死せる沼となったあれでございますので、周辺の市町村も一生懸命お取り組みでございます。それからまた身近なところで言いますと、例えば長崎県の大村湾、これは漁業の問題でございますが、すぐ湾の中に入る。したがって湾の周辺も非常にお取り組みでございます。私は細川知事と一緒に、熊本の名水百選の中に入るところでございますのでそういうあれをやっておりますが、まだまだでございます。  もう一度申し上げますが、下水道マップというあれのために、下水道マップが本当に五年先、十年先、何年先にできるのか、ここの詰めがどうも甘いようでございます。これは地方自治団体の下水道マップの話でございますが、そういう下水道マップを引かれますと、まして合併浄化槽というのはごく最近の話でございますから、市町村長も議員の方々も余り知らないわけでございます。一方では公共下水道はみんな知っております。それでマップが引かれるとここは必要がないという感じになっていくということを両方の政府の方々、大臣の方々にあえてお話を申し上げたい、こういう気持ちで御質問をし、御回答をいただいたわけでございます。  いろいろ福祉団体の大事なお話もございますでしょうから、どうぞお引き取りいただいて結構でございます。  通産省と郵政省、大蔵省はおいででございますが、やっぱりこれはふるさと創生にも絡みますが、私は、ふるさと民活、地方民活と申しておるわけでございます。どちらかというと、東京湾の架橋とかあるいは東京湾、大阪湾その他巨大プロジェクトが民活で進んでおります。私が見ておりましても、熊本の方は細川知事が積極的にお取り組みでございますけれども、全体として地方民活という角度がまだまだではないかという感じが非常に強くするわけでございます。  あのNTT無利子融資という片側では財政再建、十五年先、二十年、三十年先。それで今は内需拡大、内需拡大の中でも地方振興のため、こういうことでNTTの無利子融資も活用される。長い間電電公社におって一生懸命働いてきた諸君ももって瞑すべしだ、こういう言い方もしながらおるわけでございますが、特に民活の中でも地方民活という角度で見ましたときに、これがAパターン、Bパターン、Cパターン。Bパターンは補助金のかわりでございますからどんどん進んでおります。Aパターンの問題もございますが、きょうはCパターンの民活の方の利活用がなぜなかなか進みにくいか。決算委員会で前にもいろいろ御指摘がございました。  そういう角度から、通産省から最初お尋ねするわけでございますけれども、民活法の進捗状況とか、その場合の同じように隘路といいますか、そういうことにつきまして、具体例も含めてここで率直に問題点を御指摘いただければ幸いだと思うわけでございます。
  122. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) まず、守住委員指摘の民活の現況でございますけれども、現在全国で二十三件がようやく軌道に乗り事業が進みつつあります。これはそのうち通産省分が十五件でございますが、郵政省、運輸省それから建設省、四省の所管で協力して進めているわけでございます。  三大都市圏を除いた地方圏で見ますと、認定件数が十五件となりまして、全体の認定条件の中では地方のふるさと民活が進んでいないという状況が数字でも見られるかと思います。  どういう要因であろうかということでございますけれども、委員まさに御指摘のように地方におきましてはいろいろな問題がございまして、第一に何といっても都市圏のプロジェクトに比べまして非常に採算性が見込めないものですから、NTTそれから民活補助金等の国の助成はございますけれども、民間企業の、特に地元企業の出資が非常に集まりにくうございます。地元経済の状況も反映している面もあるかと思いますが、そういう意味から資金の問題が第一点でございます。それから地方におきましてはやはり情報といいますか、そういうことも非常に大都市圏に比べて遠くなっておりまして、企画、構想、経験を有した人材等もまだまだ民活プロジェクトが草創期にございますので不足しているというような状況にあると思います。私どもそういう方向に沿って今何らか具体策はないものか、検討をしているところでございます。
  123. 守住有信

    守住有信君 一方、郵政省もお呼びしておりますので、郵政省から見たいろいろなお取り組みの結果と、進行中のものも幾つかあると思いますけれども、そういう点の体験、経験を経られながら、どういう点にさらに制度的なあるいは条件が厳しいとかいろんなことがあるだろうと思いますが、この点についてお聞かせいただきたいと思うわけであります。
  124. 中村泰三

    政府委員中村泰三君) 郵政省におきましては地方の活性化の施策といたしまして、情報通信の活用によりまして、従来、六十年度以降テレトピア計画でありますとか、あるいは民活法の施設整備事業に積極的に取り組んでいるところでございます。  地方における情報化の分野というのは比較的新しい施策でございますので、プロジェクト自体の懐妊期間も非常に長い事業だというハンディもございます。しかしながらNTTの無利子融資等の支援措置もだんだん効果を発揮しておりまして、例えばテレトピア計画で申しますと、現在六十七地域を指定しておりますけれども、そのうち五十四地域におきまして、具体的には百十八のシステムが稼働しているといったような状況でございまして、それなりに着々と実績を積みつつあるという面もございます。  しかし、民活施設に限って申しますと、まだ取り組んでから今日まで期間が短いという点もございますけれども、現在のところ郵政省の関係では六施設が動いております。計画は随分あるわけでありますが、なかなかもう一つ立ち上がりが鈍いといいますか、そういう点につきましては先ほど通産省の方からも話がありましたけれども、一つはやはり大都市に比べまして地方の経済力の格差があるということで、なかなか民間の資金が集まりにくい状態にございます。また、具体的なプロジェクトを進めるに当たりましても情報の不足といいますか、人材難を含めましてなかなか体制が整備されていないという面もございます。  特に税制の特別措置の適用要件につきまして、例えば民活法の特定施設が他の施設と合築をされる場合は床面積の条件が二分の一以上なくてはならないという適用条件がございまして、具体的にこのプロジェクトを進めるに当たりましては土地の有効利用なんかを考えますと、この要件というのは大変厳しくございまして、なかなか事実上支 援を受けられないというような実情もあるわけでございます。したがいまして、そういう意味ではこれからふるさと創生という政策課題の解決を図るためにも、民活の事業主体に対しまして民間出資がしやすいように所得控除といったようなインセンティブを与えていただくとか、あるいは税制特別措置の適用条件を緩和していただく必要があるんじゃないかというふうに考えておるところでございます。
  125. 守住有信

    守住有信君 一つ今具体例として税制上の適用要件の一つに、建物の床面積が二分の一以上という規制といいますか、このお話が出ました。あとまた一般的でございますけれどもいろんな政策減税の適用の問題。それからもう一つは、基本的にその地域の産業資本の力、経済力が弱いわけですから、何かそこに助成をしながらそれをプッシュしていくということで大きな果実を配分ができる。税収にも長期的にはなるわけでございますから、そういう発想等々をお考えだし、私もそれを痛感しておるわけでございます。  そういう点について、さらに通産省の方から補足いただければありがたいと思います。
  126. 田辺俊彦

    政府委員(田辺俊彦君) 民活がふるさと創生という現下の重要課題に向けて的確に対応していきますよう、私ども今財政当局を初め関係省庁といろいろ話し合いをしているところであります。委員指摘の点は、まさにこの点を踏まえまして、具体的に申し上げますと、まず民活法の範囲を広げていこうじゃないか。特に地方においていろいろなニーズが出てまいります。排水の循環施設等といった問題がございます。そういうプロジェクトが民活の対象にならないものかどうかというのが第一点でございます。  それから第二点は、先ほど郵政省の方からお話がございましたけれども、現在の税制上の特例措置のための条件が、床面積の二分の一以上認定施設がなければいかぬという状況でございますが、これもいろいろ施設が大型化し、また多様化してまいりますので、ぜひその辺をどうにか緩和できないものかどうか。  それからもう一つは、特に地方に参りますと、これは第三セクターではないとこの税制上の特例がつきません。特に幾つかのプロジェクトにおいて、それがゆえに税制上の恩典を受けられなかったという例もございます。そんな点も検討事項になっております。  それから、一番重要でございますのは、民間からの出資を集める税制のメカニズムが何か工夫できないものかどうかということで、今検討中でございます。  さらには、現在あります民活補助金の積極的な活用、継続、特に地方に向けての民活アドバイザーの創設といったような施策を検討してまいりたいと思っております。
  127. 守住有信

    守住有信君 今五つぐらいの点、隘路と申しますか、これさえ打開できればもっと地方民活が活躍できるということをお触れになりましたが、その中で第三セクターだけは県も市もこれは意欲を持って自治体の資金を入れる、民間と一緒になってやっていく、そして地域振興、産業界の振興を図っていくということじゃなかろうかと思います。三番目におっしゃいましたか、これはちょっと私は疑問に思いながらも、四つの点については大蔵省、今、予算の前でいろいろ御協議中でございますが、ひとつお話をいただきたいと思うわけでございます。
  128. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) 六十四年度の税制改正要望の中に、ただいま通産省、郵政省からるる御説明がございましたようなこと、つまり民活法の規定に基づきまして整備される施設のうち、公共性とか基盤性とかそういうことに配慮いたしまして一定の要件を定めておりまして、それを満たすものにつきまして特別償却を現在認めているわけでございますけれども、その要件その他につきまして各種の拡充の要望が出ております。その内容はただいま御説明があったとおりでございますが、ただいまそれらの御要望につきまして、その必要性等々につきまして事務的に検討を行っているところでございます。結論を得るまでにはまだしばらく時間がかかる状況にございます。
  129. 守住有信

    守住有信君 大蔵大臣お尋ねしたいのですが、先ほどからいわゆるふるさと創生、生活環境の問題等々、もう一つは地域の地方民活、両面にわたってお聞きいただいたと思います。大蔵大臣として、片側の耳は総理大臣という耳を持っておられると私は思っておりますが、お気持ちなり御印象なりお考えをお示しいただければ非常にありがたいと思うわけでございます。よろしくお願い申し上げます。
  130. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今度自治省の交付税におきます六十二年度剰余金を財源とするものを各自治体の財政需要の中に入れて、六十三年度の補正措置として交付するという案が今真剣に検討されております。それがそれぞれの地方のみんなで考えるふるさとづくりの青写真作成の大きなきっかけになればと思っております。そうして出てきましたものを中央官庁でそれぞれの特色あるものを指導してまいりまして、それこそみんなでつくった青写真を実行に移していきたい。そのためには税制上のインセンティブの問題でございますとか財政措置の問題でございますとか、そういうことこそ中央官庁がお手伝い申し上げるポイントになることではなかろうか。  なかんずく、その根底にあります生活環境問題についての御見識でございますが、まず第一歩として、六十四年度予算編成の際にどのような対応をしていくかということを御趣旨を体しながら一生懸命進めてまいります。
  131. 守住有信

    守住有信君 終わります。ありがとうございました。
  132. 片上公人

    ○片上公人君 決算審査の充実強化についてでございますが、これは当委員会におきましても何度か論議され、委員会審査に対する政府協力姿勢に対しまして本年五月には警告が発せられたところでございますが、同じく本年五月二十七日に昭和六十年度決算の総括質疑におきまして竹下総理は、政府としても決算審査に対しまして最大限の協力をしなければならないということは当然のことであり、今後とも努力を続けてまいりたい、また政府関係者の出席資料提出等についても今後さらに一層の努力をする、このように述べられております。  しかし、本日の委員会におきましても、大蔵大臣である総理出席の時間も限られた中でありますし、そういう中で開会をせざるを得ないといった状況というものはまことに遺憾であります。改めて大蔵大臣であられる総理の御見解を求めたいと思います。
  133. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今、片上委員指摘なさいましたとおり、私も昭和六十年度決算総括質疑の際、最大限の協力のことを申し上げたわけでございます。今後ともそういうことをまず基本姿勢としてこの決算委員会に対応しなければならないと同時に、決算委員会でもって指摘されました事項等が次の予算編成にまた生かされていくという姿勢でもって対応すべきものであろう、このように思っております。
  134. 片上公人

    ○片上公人君 最近のリクルート疑惑の進展状況を見ますと、当決算委員会といたしましてもこれに重大な関心を抱かざるを得ません。リクルート問題の解明は遅々として進んでおりませんけれども、その経緯を顧みますと、現在の政治のあり方に根本的原因があるとこれは考えざるを得ない。内閣支持率の急低下に見られますように、国民の政治不信は頂点に達していると思われます。  政府は本日、公務員の綱紀粛正に関する通達を閣議決定されたそうでございますけれども、このような通達がリクルート疑惑と無関係ではない総理の側から発せられることにどれほどの説得力があるのか、その実効は期待しがたいと思います。  国民の政治不信を回復する最大の方策は、リクルート疑惑を解明する政府の積極的姿勢にあるんではないかと思います。総理は、この当面最大の課題を棚上げにしまして、最近政治改革への発言を積極的になさっておられるようでございますけれども、政治の改革というのは内閣の命運をかけ なければ達成し得ないほどの重い課題でありますし、また短期間で結論が出るような問題ではないと思います。この検討に何年も時間をかけるということは、既に批判されているように結果的にリクルート隠しにならないでしょうか。  総理が真剣に政治改革に取り組もうとなされるならば、今回のリクルート疑惑の反省に立って、政治のどこに問題があったのか、政治の何を改革しようとするのか、どのような手法で、またどのような順序で、いつまでにそれを果たされようとしているのか、問題点を早急に国民の前に提示してみるべきであると思います。これは現内閣の大変大事な責任であると思います。  そこで、リクルート問題についてお聞きいたしますが、高石前文部事務次官がリクルートコスモス社の未公開株の譲渡を受けたのは次官在任中であり、またその期間中には江副氏が大学審議会の委員に就任したほか、リクルートグループの幹部四人が文部省の諮問機関等の委員になっていたことが明らかになっております。江副氏を初めリクルート関係者がなぜこれほど多数文部省の審議会の委員に就任していたのか。文部省としては選考の事情を御承知でしょうから、これを明らかにしていただきたい。関係者の事情聴取も行われているようであり、このような選任が果たして公正であったと言えるかどうか、見解をお伺いいたします。
  135. 倉地克次

    政府委員(倉地克次君) 江副氏が教育課程審議委員、それから大学審の委員に任命されていたわけでございますけれども、これはその任命の過程におきまして、就職問題に大変お詳しいということで教育課程審議会と大学審委員に選任されたということを聞いている次第でございます。また、大学関係のことにもお詳しいということで大学審の委員にも選任されたというふうに聞いている次第でございます。
  136. 片上公人

    ○片上公人君 高石氏の次官在任中のコスモス株の取得と、その当時の江副氏らの審議委員就任の事実から推測して、リクルート側の意図と文部行政の間に強い疑念を抱かざるを得ません。高石氏が受けたコスモス社の未公開株譲渡は利益供与に当たるのではないかと思います。この場合、例えば江副氏が大学審議会の委員に就任できたという事実そのものが行政側が与えた便宜に該当すると考えられるのでありますが、法務省の見解はどうでしょうか、お伺いいたします。
  137. 東條伸一郎

    政府委員東條伸一郎君) お尋ねの問題を含めまして、現在東京地検におきましてリクルートコスモス社の非公開株の譲渡関係について鋭意調査、検討中でございまして、具体的な事実関係が証拠によって確定される以前に、私どもの方から当該行為が何らかの犯罪を構成するかどうかということについて申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
  138. 片上公人

    ○片上公人君 高石前文部事務次官のパーティー券問題については、文部大臣も、約二十都道府県の教育委員会の幹部が購入し、うち約十都府県では文部省職員からの電話を受けておる、またこのうち五、六府県の教育委員会では、文部省からの電話をパーティー券購入の協力要請と受けとめたと説明しております。教育の中立性を何よりも堅持すべき文部省におきましてこのような問題が発生したことはまことに遺憾であり、見過ごすことはできないと思います。  まず、パーティー券購入の協力要請はどのように行われたのか、実態を説明していただきたいと思います。
  139. 倉地克次

    政府委員(倉地克次君) 今そのパーティー券の購入の実態の問題でございますけれども、これは「高石邦男君と語る会」というのが本年の九月十六日に開催された次第でございます。各都道府県の教育委員会につきまして同会のパーティー券の購入状況などを電話で照会したわけでございますけれども、先生先ほどお述べになりましたように、教育委員会幹部が個人的に券を購入したという県は十九県、教育委員会職員は購入していないという県が二十五県、それから個人的なことでわからないという県が三県というふうになっている次第でございます。  また、そのほか教育委員会報告では、十程度の都府県で、文部省の職員からパーティーがあることを聞いたと言っているところがあるわけでございますし、また、聞き方によっては購入を勧めるようなニュアンスがあったと受け取っている県も少数ながらある次第でございます。  私どもといたしましては、このように受けとめ方によっては文部省があたかも勧めたのではないかというふうにとられるようなことがあったという点につきまして、たとえ個人的な行為であっても大変残念に思っている次第でございます。  本日、官庁綱紀の粛正について閣議決定もあった次第でございますので、綱紀の粛正に今後懸命に努力してまいりたいと考えている次第でございます。
  140. 片上公人

    ○片上公人君 文部省内におきますパーティー券の購入額は幾らぐらいか言っていただけますか。
  141. 倉地克次

    政府委員(倉地克次君) 「高石邦男君と語る会」の御招待券が文部省の中堅以上の幹部職員の自宅に郵送されてまいった次第でございます。職員は、各自の判断によりまして個人的にお祝い金を出すということで参加したものでございまして、文部省職員の何人がパーティーに出席し、またそのお祝い金が幾らぐらいになっているかということは、私どもとしては把握できていないということでございます。
  142. 片上公人

    ○片上公人君 地方の教育委員会に対する購入協力の要請でございますが、文部省幹部の指示なしにこれは行われるはずはないと思いますが、どのような指示系統で行われたか、説明してください。
  143. 倉地克次

    政府委員(倉地克次君) 先ほど申し上げましたように、少数の県で、聞き方によっては購入を勧めるようなニュアンスがあったと受け取っているところもあるようでございますけれども、文部省といたしまして組織的に各都道府県教育委員会に対しましてパーティー券の購入を勧めたような事実はない次第でございます。  また、先ほどの少数の県のことでございますけれども、これにつきましても、文部省の職員が電話で仕事の連絡をする際や、他の用事で会った際などに個人立場でパーティーがあることを話したものというふうに考えられる次第でございまして、組織的に上司の指示でそうしたことが行われたものではないということでございます。
  144. 片上公人

    ○片上公人君 ある報道機関の調査によりますと、パーティー券は文部省内で組織的に売られていた疑いがあるといいます。すなわち、九月十六日のパーティーに先立ちまして、文部省では課長、課長補佐、係長、一般職員のルートでパーティー券の購入が呼びかけられ、給料日に購入費を集めて回った課も多かったということでございますが、職員の中には、給料袋から無理やりパーティー券の費用を払わされた感じで非常に不愉快であるとの声もあったということでございます。もしこれが事実であれば、省内におけるこのような行為が上司の指示、命令なしに行われたとは到底考えられないと思います。  事実関係を明確に説明していただきたいと思います。
  145. 倉地克次

    政府委員(倉地克次君) 今先生がおっしゃいましたような新聞報道があった次第でございますので、その点については現在調査を進めているところでございます。
  146. 片上公人

    ○片上公人君 文部省職員によりますパーティー券の購入あるいは購入の協力要請は、このパーティーの趣旨から考えまして、政治的行為の禁止、制限を規定した国家公務員法及び人事院規則に違反しているものと思いますが、この点はどうか。  人事院総裁は、パーティー券購入のあっせんが国家公務員法に触れるかどうかは意見が分かれる旨この前答弁していらっしゃいますが、今回のケースについて人事院の見解はどうなのか。また、文部省は国家公務員法との関係で今回の行為をどう認識していらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  147. 内海倫

    政府委員(内海倫君) 具体的な問題につきましては後ほど主管局長からさらにお答えを申し上げますが、まず、基本的な私どものこういう問題に対する考え方といいますか、あるいは法の定めておるところを申し上げたいと思います。  御存じのように、国家公務員法は公務員の政治的な行為についてはかなり厳しい規制をいたしております。それは厳正な中立的な立場を維持しなければならない公務員にとっては当然のことだと思います。  そこでさらに、政治的行為というものの具体的な内容はいかなるものかということをいろいろ定めておりますけれども、その中の一つに、この前からも申し上げておりますが、パーティーにおけるそういう券の購入ということが政治的行為に該当するかどうかという問題を規定しておるわけです。それらの詳細は後刻説明させますけれども、要するにせんじ詰めて言いますと、政党その他の政治的団体により主催されるパーティーのパーティー券の購入をあっせんする行為が、そのパーティーを主催する政党その他の政治的団体を支持する目的で行われるような場合は、人事院規則において定めておる政治的行為の制限に該当するというふうに私どもは理解しております。  さて、これらの内容を具体的な問題として見ました場合、なかなかいろいろと問擬すべきものがありますので、やはり、例えば今回の高石さんのパーティーに対して対応した事柄が公務員の政治的行為に当たるか否かということは、具体的にいろいろ見てみなければならないであろうというふうに思います。  それにしましても、先ほども申しましたように、国家公務員が厳正な政治的中立を維持するということにもう少し敏感であり、真剣でなければならないということをこの際考えなければならないのではないか。これは各省庁におきます指揮監督の中においても厳重にお考えになっておるだろうと思いますし、今後においてもさらにお考えくださることが大変大事だろう、かように考えております。
  148. 倉地克次

    政府委員(倉地克次君) 「語る会」に対しまして文部省職員の有志が任意にお祝い金を出した次第でございますけれども、これにつきましては、国家公務員法に直接抵触するものではないのではないかというふうに私どもは考えている次第でございます。  それからまた、文部省職員から県教育委員会に対しましてパーティー券の購入を勧めるようなニュアンスをもって受け取られるような発言があったということでございますけれども、こうした行為につきましては、法に直接触れる行為ではないにいたしましても誤解を招くようなおそれのある行為でございまして、政治的中立を厳しく求められております教育行政の担当者としては、十分注意して慎むべきものであったというふうに考える次第でございます。
  149. 片上公人

    ○片上公人君 文部省から電話でパーティー券購入の依頼があったとされる長崎県におきましては、教育長のあっせんで五十枚を引き受けた同県の公立学校施設整備期成会が購入代金の返還請求を行うとのことでございますが、文部省がパーティー券購入を働きかけ、不本意ながらこれを引き受けざるを得なかったものに対しましては、文部省としてもその代金を返還させるよう努める責任があるのではないかと思いますが、文部省の見解をお伺いいたします。
  150. 倉地克次

    政府委員(倉地克次君) 御指摘新聞報道がございましたので、私どもは県の教育委員会を通じまして、公立学校施設整備期成会の事務局に対しましてどういうことになっているかということを聞いていただくようお願いしていた次第でございます。そういたしましたところ、本日、教育委員会から、高石事務所の方から五十枚分の代金が返還されたという連絡があった次第でございます。とりあえず御報告させていただきたいと思う次第でございます。
  151. 片上公人

    ○片上公人君 次に、アルメニア共和国の地震に関連して御質問いたします。  政府は、十日、十億円の資金供与、国際緊急援助隊の先遣隊の派遣等を内容とする緊急援助を決定して、実際に十一日に先遣隊が派遣されたようでありますが、まず、この緊急援助決定に至るまでの事実経過を説明していただきたいと思います。
  152. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) 御承知のアルメニアの地震につきましては、七日にこれが発生いたしまして、八日にその被害が非常に大規模なものであるということがわかりまして、すぐに政府部内で協議を始めまして、その協議を経た上で九日の朝、在京ソ連大使館に、我が方として人の派遣あるいは物資の供与という形で援助をする用意があるということを申し出、それから我が方の在ソ大使館にも電報を打ちまして先方側と協議をさせたわけでございます。その結果、十日になりまして先方から物資援助の要請が参りましたので、それに従って御指摘の物資あるいは金額を赤十字を通じて供与し、そしてさらに、四人から成る現地での具体的な援助を遂行するに当たっての現地のニーズを調査するためのグループを派遣したという次第でございます。
  153. 片上公人

    ○片上公人君 この地震によりまして亡くなられた方や生き埋めになられた方は五万人ともあるいは十万人にも上ると言われておりますが、まさに大災害でございます。  しかるに、今御説明がありましたように、災害が発生してから実際に緊急援助が決定されるまでにかなりの時間を要したと思われます。国民の間でも、英国、フランスがいち早く救助隊員を派遣しているのに日本は何をしているのだという感想を持たれた方も多いと思います。もちろん出足の早さよりも実質的な内容という考え方もありますが、このような援助は早ければ早いほどその効果が上がる面がございます。その点はメキシコ地震の際にも指摘されたことでありますが、緊急援助決定がおくれたのは何が原因であったのか、何がネックとなったのかをお伺いしたいと思います。
  154. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) 私どもがソ連政府に対しまして援助の意思表明をいたしましたのは、日本国と例えばアメリカその他との時差等を考えますとほぼ同時でございます。私どもは九日の朝、私が直接に在京ソ連大使に対してその意向を表明し、それから電報を打ちましたけれども、アメリカにおきましても日本時間で九日の朝であった。ゴルバチョフ書記長に対してレーガン大統領から電話で援助の申し入れがあったのはその時間であり、西独についても現地時間の九日に行われたと聞いておりますので、そういう意味で、意思表明の方はそれほどおくれていないということがございます。ソ連側からそれに対して現地のニーズを精査した上で援助についての申し入れが十日にあったということで、ソ連側における検討に若干時間を要したという背景がございます。
  155. 片上公人

    ○片上公人君 被災国の要請や希望に沿うことも重要ではございますけれども、十八日にはシェワルナゼ外相が訪日を予定されているわけでございますから、私は、政府は米国、フランス、英国などよりももっと早期にまた積極的に援助の意図を表明すべきではなかったかと思います。また、手続的にいろいろ問題があるとすれば早急に改革すべきであると思いますが、その点について政府の見解を伺いたいと思います。
  156. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) 先ほど申しましたように、私どもとしましては、できるだけ早い機会に援助を行いたいということを向こうに申し入れて、先方の申し入れを受けて即刻決定したわけでございますけれども、援助物資の送り出し等につきましては、多くの先進国が軍用輸送機や政府特別機の利用によって迅速にこれを行えた。我が方にはそういうことが可能でなかったという事情はあると思っております。ですから、今後、政府の特別機の整備等が行われれば、それだけその体制に改善が見られるというふうに期待している次第でございます。
  157. 片上公人

    ○片上公人君 次に、宇野外務大臣の訪米に関連してお伺いいたします。  大臣は、先月末から今月にかけまして訪米され て、レーガン大統領、シュルツ国務長官と会談され、それぞれの機会にはブッシュ次期大統領候補またべーカー、次期国務長官が同席されたと聞いておりますが、まず会談の概要、主要テーマにつきまして外務大臣にお聞きしたいと思います。
  158. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 三十日に出まして、同じ三十日の米国時間午前十一時半からシュルツ国務長官との外務大臣同士の会談をいたしまして、昼食をともにいたしました。その昼食をともにした一時間半には次期国務長官のベーカーさんが同席されました。これは米国の大変な配慮でありまして、米国におきましては国務長官はいずれも議会の承認という手続を必要といたしまして、まだそれが終わっておりません。だからせっかく外務大臣が来た以上はお話をしようというので、昼食という社交的儀礼という場をつくっていただきまして、十二分に意見の交換ができたということでございます。同じように、次期大統領のブッシュさんも、現在は副大統領でございますから、そういうことで日本の外務大臣を遇するに現大統領と次期大統領が同席をしていただいた。この二つのことは米国といたされましても異例のことで、私は日本国に対して米国がこれだけ親善の情をあらわしていただいたことに率直に申し上げまして感謝をいたしたという次第でございます。  もちろん、今日の日本外交の基軸は、何と申し上げましても日米関係でございます。この日米関係の親善が深まるということは、私たち世界のあらゆる面の安定に当然これは寄与するものである、こういう自分たちの責任感でお話を進めたような次第でございまして、いずれも世界的な、グローバルな見地に立って今後ひとつともどもに協力し、そしていろいろな問題は共同作業で片づけていきましょうということを確認し合ったわけでございます。  二国間の問題もさることながら、地域紛争の問題、さらには世界に貢献するいろいろな問題に関しましても、その二つの会談を通じまして十二分な意見交換ができた、私はかように思っておるような次第でございます。
  159. 片上公人

    ○片上公人君 報道によりますと、十一月三十日の大臣とシュルツ米国務長官との会談で、バードンシェアリングとの関連でも論議が行われたと聞いておりますが、どのような議論が行われたかお聞かせ願いたいと思います。  また、宇野大臣は、バードンシェアリングに関連しまして、日本は国力に応じた責任を果たす、みずからの防衛はするが国際協力は非軍事面に限ると述べられ、フィリピンの援助を例として挙げたとの報道がございますけれども、これは事実であるかどうかお伺いしたいと思います。
  160. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) バードンシェアリングというのは、お互いに負担を分かち合いましょうということでございましょうが、そうした言葉自体に関しましては私は幾つかの合意しかねる面があるわけであります。と申し上げますのは、やはり日本は今、竹下内閣の外交方針は世界に貢献しよう、文化交流しよう、さらにODAを拡大しましょう、そういうことで、日本も世界の大きな国になったんだから、その分は幾らでも私たちといたしましては世界に貢献をしなくてはいけない。ただ、軍事面と言われると、私たちは憲法の拘束もあり、また近隣諸国の感情もあるからそう簡単にいきません、したがいまして、我々は非軍事面なら幾らでもひとつ協力をしていけると思いますと。  そういう意味でバードンシェアリングという言葉が存在しておることは知っておりますが、何かどこかで割り当てられて、日本はこれを持てというようなことでありましては、これは私たちはやはり国民の理解を得、また納得を得る努力をするということが大切でございますから、そういう言葉でなくして、やはり日本が分相応の協議を一から始まって、その中において十までいろいろ議論して、さて日本はこの分についてはどうですかとおっしゃる場合には、我々は喜んでその分に対するところの協力をいたしましょう、これが私の考え方であり、また説明でございます。このことは議会の方々にも申し上げましたし、今日まで日本を訪問されましたその関係の米国の議会の委員会の方々にも申し上げております。  なお、フィリピンの問題に関しましては、竹下総理出席の本年度のトロント・サミットにおきまして、経済の面でこのことが重要な議題になりました。ASEANを回りましても、やはりフィリピンの政治的安定はASEANの安定につながる、そのためには経済の安定を図らなければならない、こういうような気持ちがございましたから、そうした気持ち総理からも、また私からも外務大臣会議で申し述べました。したがいまして、この問題に関しましてもひとついろんな国々がマルチの場でいろいろ話があるだろう、そのときには大いに日本といたしましてもアジア・太平洋諸国の一員としての義務を果たしたいと思います、こういう内容でございます。
  161. 片上公人

    ○片上公人君 シュルツ国務長官は、今月五日の朝日新聞社との会見で、日本が「世界の特に重要な国々に対して援助をさらに増額し、援助の質の改善を図るよう希望する」と述べております。繰り返して伺いますが、外相会談の際に米国から特定の国、あるいは特定の地域に対して援助を増額してほしいとの要請はあったかどうか、お伺いしたいと思います。
  162. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 全く具体的な話は出ておりません。したがいまして、今申し上げましたように、世界的観点に立っての日米協力の中に日本も大いにいろいろな面で我々として分相応の世界に貢献をする面は引き受けましょう、こういうことでございますから、どこそこにこうしてくれとかああしてくれとかいうような話はなかった、これが会談の内容でございます。
  163. 片上公人

    ○片上公人君 政府は、昭和六十年五月二十三日の参議院外務委員会での答弁で、戦略援助を「米国の戦略の肩がわりをする援助ないしは米国が戦略的に重視している国に対する援助」としておりますけれども、このバードンシェアリングという名は、下手をすると戦略援助を行おうとしているのではないかと思われるものがあるわけでございますが、この点について政府の見解をお伺いしたいと思います。
  164. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生指摘の前の国会答弁でございますけれども、戦略援助という言葉は誤解を招きがちでございますし、そもそも概念がはっきりしておりませんので、私どもは使わないようにしております。当時の藤田政府委員がそういう意味で使われているのではないかということで申し上げたことがございますけれども、私どもから戦略援助の定義づけを申し上げたものではございません。  それはともかくといたしましても、先生質問の、今後私どもがどう対応するかということに関しましてお答えいたしますと、私どもといたしましては、先ほど来宇野外務大臣が繰り返しおっしゃっておられます一般的な考えを踏まえまして、具体的には、先生先ほど御指摘のフィリピンであればフィリピンの経済社会開発ニーズにこたえていくには、日本がどういう形の援助をどのくらいの規模でしたらいいのかということをじっくり調べまして、そういうものを踏まえまして日本の考えに基づいて援助していきたいというふうに考えております。
  165. 片上公人

    ○片上公人君 私は、宇野外務大臣の発言はずっと前からいろいろお聞きしましても、非常にいいお話と言ったら生意気ですけれども、されておるな、その調子でやっていただいたら日本はよくなるのにな、こういうように思っております。政府内には全く私が危惧するようなことを、反対なことを平気でちょいちょい言う人がおりますので、大臣、その姿勢を貫き通していただきたいと思います。  さらに、大臣にお伺いするんですが、次にODAに関してでございます。  我が国のODA総額はここ一、二年で米国を抜きまして世界一になると言われておりますが、その質的な内容はいろいろ言われております。例えばDAC諸国の中では、対GNP比で十二位と か、国民一人の負担額で十二位、あるいは贈与比率で十八位、グラントエレメントでは十七位といった状況が言われております。今月には我が国はDACの副議長国に選ばれたわけでございますけれども、その地位にふさわしい援助内容になる必要があると思うわけです。  いろんなことがあると思います。その内容をよくするためにはどうしても人材といいますか、人をもっと登用せぬといかぬのではないか。また、それがスムーズに行われるためにシステムの効率化といいますか、その辺も含めまして政府の基本的な援助方針について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  166. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 先般のDAC十八カ国でございますが、議長はアメリカ、そして副議長一名ということでございましたが、やはり日本の今後の役割ということを諸国がおもんぱかられまして、日本もひとつ副議長をやってくれということで、副議長は二つのいす、その一つをお預かりするということになりました。これは先般総理みずからが、トロント・サミットで過去五年間の倍額、つまり五百億ドル以上を私たちは今後五年間で考えましょう、さらにはまた、累積債務に関しましても過去十年、ちょうど五十五億ほどあるがこれもキャンセルしましょう、こういう他国にはちょっと追随できないような思い切った措置をとっていただきましたことは非常に大きな反響を呼んでおります。  それで、委員も御承知かと存じますが、国連参加国百五十九ですが、その中の途上国は百二十八です。この百二十八全部に我が国は今ODAを施しておるということでございますから、そうした面におきましても確かに援助大国にはなりましたが、御指摘のとおり量も大切だがその内容をもっと考えなくてはいけない。このことに関しましては今後私たちもさらに内容を改善したい、かように考えております。それは政府委員からお話をしたいと思います。
  167. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生指摘の援助の質の点でございますけれども、計数的な意味での質と申しますと、先生指摘のように贈与比率、それからグラントエレメントが使われておりますけれども、これらにつきましてはまさに御指摘のように残念ながら先進国の中で最下位ないし下から二番目でございます。しかし、全体として先ほど宇野大臣から繰り返しお話がございますように、日本はこのところ非常に援助の拡大に向けまして竹下内閣のもとで努力しておりますので、国際的にはこの点が非常に評価されておりまして、先般のDAC上級会議でも日本の援助に関しましては一切批判がましいことはございませんで、むしろ非常に大げさなことを言えば九〇年代の各国の援助動向を展望すると、日本が希望の星であるということすらも言われた状況でございます。  しかしながら、先生指摘のように援助の質の面につきまして私どもはさらに改善に努力する必要があると考えておりまして、六月に発表いたしました第四次中期目標におきましても、量的な拡大とあわせまして援助の質的な改善も図っていく必要があるということが指摘されておりまして、その方向に向けて私どもとして努力してまいりたいと思います。  それから、先生が御指摘の人材の養成、システムの効率化等々、計数的な意味での援助の質ということではなくて、効果が上がる効率的な内容のいい援助をやっていくという点におきましても、今御指摘のような点を踏まえてさらに改善の努力をしていきたいと考えております。
  168. 片上公人

    ○片上公人君 ODA白書では、「開発の進め方、マクロ経済政策に政策的助言を行い、それぞれの途上国がスムーズな開発を進めうるように誘導するのが主要援助国としての責任であるというのが国際的な要請である。こういった中で、援助資金は供与するが、経済政策運営には注文をつけないという態度は、場合によっては責任逃れの態度とも受けとられかねない。」、このように述べられておりますけれども、これは従来政府が基本方針として採用してきた要請主義を一部変更したと認識してよいのかどうか。  また、途上国に対して政策提言を行うということは、一方で主権の侵害を招く危険もありますし、援助はかえって途上国の反感を生み出すという本末転倒の事態も考えられますので、その点は厳に慎重に対処されることを望みたいと思いますが、この二点についてお伺いしたいと思います。
  169. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生の御引用されました表現は、確かに私どもがこの十月に発表いたしました「我が国政府開発援助」という文書の中にございますが、私どもがそこで強調したいと思いましたことは、私どもの援助額がこれほど大きくなりますと、途上国の経済に対しまして与えます影響も非常に大きくなってまいります。したがいまして、そういうものを十分認識して途上国の経済開発努力を支援するというのが日本の援助の目的でございますけれども、やはり途上国の開発努力に対しましてもそれなりに助言をしていく。私どもは政策対話という言葉を使っておりますけれども、そういう方向で対応していきたいということでございまして、先生が御指摘のように、それが内政干渉ととられるとか、相手国の政策に余りにも踏み込んで注文をつけるというようなことになっては決してならないと考えております。これは決して従来からの政策の転換ではございませんで、従来もそういう方向で少しずつ努力してまいりましたが、援助の額がこれほど大きくなりましたので、その方向でさらに努力したいということでございます。  それから、要請主義といいますのは、個々の具体的な案件に対する対応でございまして、これに関しましては、先生御引用の「我が国政府開発援助」のほかのところでも、私どもは基本的にこれからも要請主義で対応していくべきである、しかしながら、こちらからオファーしていく方式も必要に応じて考える必要があるということで書いてございまして、この要請主義を変えるということは考えておりません。
  170. 片上公人

    ○片上公人君 次に、最近の具体的な問題でお聞きしますが、報道によりますと、今月の十三日に対外経済協力関係閣僚会議が設置されたとのことでありますが、まずこの閣僚会議の設置経緯、目的、構成、協議項目等について御説明をお願いいたします。
  171. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) 委員御高承のとおり、経済協力につきましての閣僚レベルの協議体は、昭和四十四年以来閣僚懇談会あるいは閣僚協議会という形で存続しておりましたが、昭和五十二年に閣僚懇談会等を一切廃止するという閣議決定によりまして廃止されたままの状態でございました。その後、海外経済協力審議会あるいは臨調答申等で関係各省の連絡の密接化、閣僚会議の設置の必要性等について御提言をいただいてきたわけでございますが、ただいま御指摘のとおり、今般十二月十三日付の閣議了解をもちまして、「経済協力の基本政策についての意見交換等を通じ、経済協力の実施に関係する行政機関相互の緊密な連絡を確保し、その効果的かつ総合的な推進を図る」ということを目的に、十四国務大臣を構成員とする閣僚会議が設置されたという次第でございます。
  172. 片上公人

    ○片上公人君 十四閣僚というのは、十六省庁体制とも言われるいわゆるばらばらな経済協力体制をそのまま反映したものでありますし、かえって意見の調整などに手間取り、効果的な運用が妨げられる危険があるのではないかと思います。そもそも経済協力の全体の整合性、総合性、効率性を確保するためには、我が党がかねてより提案しておるように、援助に関する基本法を制定するのが先決ではあると思いますが、この点について政府の見解を伺いたいと思います。
  173. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 私どもは現在援助に関しましては、先生指摘のように多くの省庁関係しておりますけれども、現行の関係法令、それからこれらの関係省庁がみんなで一緒になって対応する体制というのは全体として順調に行われていると考えておりますので、その運用面での改善強化をさらに図っていきたい、こういうふうに 考えておりますが、先生指摘のような基本法の制定は要らないのではないかというふうに考えております。
  174. 片上公人

    ○片上公人君 この協議に自民党役員も加わるようになっておるそうでございますが、これは一面では国会審議の軽視ばかりではなくして、そのことにより例えば商社等各分野から陳情を受けやすい体質を生み出してしまう可能性があるんじゃないかという心配がございます。そうなれば、我が国の援助がますますその基本的理念から離れたものになっていき、途上国からかえって反発を受けることになると思います。こういう点を非常に慎重にやっていただきたい。この点について政府の見解をお伺いして、質問を終わります。
  175. 藤田公郎

    政府委員藤田公郎君) ただいま委員指摘のとおり、本件会議には自由民主党の四役、幹事長代理及び対外経済協力特別委員会委員長出席を求めることとする旨、十二月十三日付の閣議了解で言及をされております。この点は、他のこの種の閣僚会議の例にもならいまして、自由民主党役員の方々にも御出席をいただき、経済協力の基本政策について幅広い観点からの意見交換を行っていただくということで、このような御決定をいただいたものと承知しております。
  176. 片上公人

    ○片上公人君 結構です。
  177. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 まず、リクルート疑惑の一環として、総理の資産に関して、河口湖畔別荘などの疑惑について質問いたします。  リクルート事件は、真藤問題に加え、総理に直接関係する福田問題など、疑惑は日増しに深まる一方であります。総理は、十四日、私が税特委で質問した問題について、昨日、橋本議員に対し事実を変える答弁をされました。しかし、青木元秘書官が福田氏にリクルートコスモス株をあっせんしたことは十一月九日以前に知っていた旨の答弁をしていた事実は明白で、疑惑は深まるばかりであります。金庫番と言われる青木秘書がすべてしていたことだと総理は言い、秘書の責任にしていますが、そんな言い分は通りません。青木秘書とあなたは一体の関係にあるからであります。  そこで、まずお尋ねしますが、あなたと青木氏とはどういう関係にあるのか。資産に関すること、経世会、政治資金、何もかも青木氏に任せているのか。例えば真藤氏はすべて村田秘書に任せていたとしているんですけれども、あなたもそうなんでしょうか。
  178. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 青木伊平君は元本院議員でありました小滝彬先生のところに昭和三十三年までおりました。お亡くなりになりまして以来、私も昭和三十三年国会に議席を得ましたので、当初第一秘書であり、そして内閣官房長官のときは秘書官でございました。何もかにも任しておるかとおっしゃいますが、精神的な面で一体かという意味においては一体であるという意識で私自身は思っておりますが、二人の人格があるわけでございますから、何もかにも任せるということはございません。
  179. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私は具体例を挙げて、資産に関すること、経世会のこと、政治資金のことはお任せになっておるんですか。
  180. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 資産公開の際などの資料等については、主として青木君がこれを作成してくれております。それから経世会とは関係がございません。政治資金につきましては、政治資金団体のそれぞれ責任者を置いてございますので、責任はそこへ帰属すると思っております。
  181. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこで、問題の別荘についてお尋ねをします。  山梨県鳴沢村富士山八千五百四十五番地の五、ここに昨年七月別荘を新築されたんでありますが、それに先立って、六十一年の十一月、役所への建築工事届が出されている。これは竹下登名義で出ておりますね。
  182. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 河口湖に私はこの別荘を借り受けておりますが、当初の建築届け出書の名義が私になっておるという点につき御質問事項をいただきましたので、関係者に調査してみましたところ、急いでとる必要があるので設計屋さんが私の名前でそれを提出した、こういうことでございます。
  183. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ところが、この別荘が六十二年の八月に新樹企画という法人名義に変わっているのはなぜでしょうか。
  184. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは新樹企画から私が借りようと当初から思っておったからでございます。
  185. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 といたしますと、それは新樹企画に売られたのか、贈与をされたのか、どうなんでしょうか。
  186. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに建築届け出書の名義が便宜的に私になっておりますから、そういう疑念がございましょうが、全くそういう事実ではございません。
  187. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 全くそういう事実ではございませんとおっしゃっても、なぜそういうことになったんだろうという疑問が深く残ります。  この新樹企画という会社は、あなたとの関係ではどういう性格の会社なんでしょうか。
  188. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私自身は株主でも役員でもございませんが、今は「新経世」という本になっておりますが、私個人の後援会を二十数年やっております。それの出版物等を二カ月に一回発行し続けてまいっておりますが、主としてそれの広告収入等とそれから編さん業務、こういうことを扱っております。
  189. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 一般的な説明にとどめておられるんでありますけれども、この会社は、私ども謄本を取り寄せましたけれども、今の問題のあなたの元秘書青木伊平氏、それからあなたの娘婿の内藤武宣氏などが取締役、また昭和五十八年まで金丸信氏の息子さん信吾氏が役員をしていた会社であります。そして今も言われましたとおり、あなたの政治団体経世会の広告を取り扱っている会社、まさに竹下ダミーとも言っていい会社でありまして、この問題でも青木氏と一体の関係にあるということが言えるんじゃないかと思うのであります。現に青木氏は今も竹下事務所の肩書を付した名刺を使っておられるわけでありまして、こうした点でのそういう実は会社なんだということで間違いございませんね。
  190. 竹下登

    国務大臣竹下登君) どういう意味か定かに理解しませんが、おっしゃったことは別に間違っていないと思っております。
  191. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 報道によりますと、この別荘は総ヒノキで約三百五十平米、一億一千二百万円と言われる相当に豪華なもののようであります。代表取締役の青木氏によりますと、新樹企画が銀行から一億円を借りてつくったというふうに言われているんでありますが、本物件はいまだ不動産登記もされていないから担保にはならないはずであります。そして、この新樹企画というものの登記を見ますと資本金も二千万円だ。こういうことで、担保もないのに青木氏の言うように一億円も貸すところがあるだろうかという疑問が出るんでありますけれども、その資金源について御説明をお願いしたいと思います。
  192. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 不動産取得税の納付等が明瞭になっておりますが、その資金源を私自身が調べてあなた様に御報告するということは、お互いの良識の中で、個人の問題、別の会社の問題等でございますからやめた方がいいと思います。
  193. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 一般的にはそうかと思いますけれども、あなたと深い関係のある青木氏が代表取締役を務められておる会社でありますので、登記が入っていないから担保にもならないのに一億円を借りる。こういう状況で、現にその別荘をあなたが言われているように現在家賃を払うという形でお借りになっているということ、そういう非常にあなたにとって深い関係のある会社であるので、御存じであれば資金源はどうかということについてあえてお尋ねをしているということなんであります。
  194. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 資金源を知っておるわけでもございませんので、お答えする考えはございません。
  195. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 もう繰り返しませんけれども、ど うしてもその資金源についての疑問が残る。  そこで、昨年の八月に名義変更をなさった、新樹企画に移したということは、結局は六十二年の十一月、総理に就任をなさるわけですけれども、恐らく竹下登総理になるだろうということを想定なさって、そうすると大臣としての資産公開に備えて、手っ取り早く資産隠しをするために、青木氏が代表取締役を務めるこの新樹企画に名義移転をなさったということではなかろうかという疑問が出てくるんですが、どうでしょうか。
  196. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに建築の届け出書は、私の名前になっておりますが、最初から、この不動産取得税等の納付等の書類からいたしましてその建物は新樹企画のものでございます。  それからもう一つ、十一月六日総理大臣に指名していただきましたが、八月ごろからそれを予測するほど私も見通しがいいとは思っておりません。
  197. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 しかし、現にそういうことで、なぜ名義移転をしたかというここの疑問は、正確に言いますと、工事届は竹下登名義、それが所有名義は新樹企画でいまだに未登記、こういうなぞに包まれておると言わざるを得ません。しかもこの別荘の管理、これは飯田亮氏が会長の例の株式会社セコムに委託をされておるとのことでありますが、事実ですか。
  198. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 例の何といいますか別荘の、よく私もわかりませんが、人が入ってきたらさっと写真が写ったりというようなことは前からお願いをしておるわけでございます。
  199. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこで、この飯田氏というのは、我が党の調査でも明らかにいたしましたように、奥さんを社長としてエターナルフォーチュンというペーパーカンパニーをつくりリクルートコスモス株を還流させていたということが明瞭になっているんであります。この点でも、先日来の私や橋本氏の議論、そしてまた今資産という角度から見たときのこの問題、あなたの周辺はリクルートの疑惑で満ち満ちているというふうに言わざるを得ないわけでありますが、こういった点で本当に株の譲渡の問題でも別荘問題でも疑惑でいっぱいであります。  やはり総理にまつわるこうした疑問、疑惑を解明するために、国会と国民に対して総理がみずから進んで真相を明らかにするということをなさるべきだと思うのですけれども、そういう御意思はないのでしょうか。
  200. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今ちょっと連絡が入りまして、建築契約書も当初からやはり会社名義だったそうでございます。これは申し上げておきます。  それから、セコムという会社へいわゆる警備上の問題をお願いするというのは、日本一の警備会社と承知しておりますので極めて当たり前のことじゃなかろうかというふうに思っております。リクルート問題との関連というのをこういうところへかかり合いをつけるなどということは私にはちょっと考えられません。
  201. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 別荘などの管理を業とする会社というのはたくさんあると思うのですけれども、その中からわざわざセコムが選ばれてきておるというここの問題を指摘しておるわけであります。  それから今、建築契約書は最初から新樹企画になっていると。契約書というのは建築屋さんとの契約書でありますから、依然として疑問が残るのは、最初の建築届け出書、これがあなたの名義になっておるというこことの関係の疑問であります。  そこで、昨日、橋本議員に対して、いわゆる福田氏をめぐる問題について、福田家の問題にこれ以上立ち入るのは良識の外に出るんじゃなかろうかということで、そのことについては余り語りたくないという答弁に結論的に終始をしておったかと思うのですけれども、また、本日の私に対しても重要な点で明らかにならない点が多々あると思います。私は、総理がこういう態度で果たして、これだけ今国民の疑問と関心が集中をしておる、とりわけ総理大臣と。こういう点で、そこをはっきりなさらない限り、例えば世論調査などで竹下の支持率が下がる一方というのもそういうところにこのゆえんがあるんじゃないかということであります。  少し角度を変えますけれども、この河口別荘を例に資産隠し問題を指摘したんですけれども、さらに所得隠しもある。あなたはかって昭和四十八年から五十年にかけて三年間で約五千万円に上る所得申告漏れがあり、修正申告をされたことは御記憶ございますね。
  202. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私は国会においても答弁したことがございます。たしか五十四年、大蔵大臣になったときであったかと思いますが、五十二年に四十八年から五十年の所得税について修正申告を行ったことはございます。
  203. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 あなたの六十二年度の所得は、これは所得税から逆算をして出てくるわけであります。現にそういう報道などもありますけれども、六十二年度の所得は約四千三百万円だ。ここから所得税、住民税、固定資産税というものを引きますと約二千万円が可処分所得となる。ところが、あなたは佐藤榮作さんの屋敷を月百万、そうすると年千二百万。また、河口別荘の借り賃月八十万、年九百六十万を支払う。こういうことになりますと、これだけで年間二千百六十万円。二千万円をオーバーして赤字になるわけであります。また、この河口別荘を借りるに当たって二千万円の敷金を払われたとも言われておるわけであります。加えて当時自民党幹事長、そして昨年から総理です。当然そういう地位の体面を保つというとあれですけれども、それにふさわしい生活費をやりくりするためには相当の別途収入があるんじゃないか。そこで、やっぱりリクルートの株などのこういう利益が入っておるのかという疑問が出るわけでありますけれども、御説明願いたいと思います。
  204. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 人様のことを余り想像することを私はしないことにしております。今の御質問でございますが、私、生涯こうした暮らしをするわけではございませんが、御心配ありがとうございました。いろいろやりくりして暮らしております。
  205. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 やりくりをして暮らしておりますとおっしゃったその中身が、やっぱりリクルートの株を初めとするそういう別途収入があればこそやりくりができているんじゃないか。どう見たって赤字じゃないかというふうに思うので、あえて聞いているんですけれども、それ以上の御説明は願えませんでしょうか。
  206. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私も長い間竹下一族の中で生きてきておりまして、こういうことになりましたので、個人的に本当は兄弟身内寄りましてやりくりしながらこうして生きております。その中の話は、これはいかに私が尊敬申し上げる佐藤先生でございましても、こんな場でお話しすることはやめようじゃないですか。
  207. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 穏やかにおっしゃっていますけれども、私も別に大きな声を出しません。しかし、依然としてどうやってやりくりなさっているんだろうかなという疑問は、今の答弁の限りでは大きな疑問が残るということでありまして、何回も言っているようでありますけれども、一国の総理に対しての疑惑を呼んでいるわけでありますから、一点の曇りなくといいますか、そこを国民の前に解明をする、しっかりと説明をするということがどうしても必要だ。なぜならば、宮澤さんを信頼しているということで最後まで総理はかばい続けられた。そうしていよいよ今度は竹下総理の問題、こういうところへ来ているわけでありますので、そこについて進んで真相を明らかにせずしては、これは一国の総理としての資格を欠くんじゃないかというふうに私は思うのです。こうした点でそこを明らかにされない限り、即刻に総理をおやめになって国民に信を問うということをなさるべきじゃないかということを強く勧告いたします。  次の問題へ移らせていただきます。  法制局長官、どうも御苦労さまです。いわゆる 日の丸、君が代問題について簡単にお聞きをいたします。もう私の持ち時間の残りが少ないので、ごく簡単にイエスかノーかで答えていただいたらいい。  二問お尋ねをいたしますので、簡潔にお答えを願いたいと思いますが、一つは、日の丸、君が代の法的根拠の問題と、それが国民への拘束力を持つかどうかという問題とは別の問題でございますね。
  208. 味村治

    政府委員(味村治君) 日の丸、君が代が国旗、国歌であるということについての法的見解は、ことしの三月十五日の本院の予算委員会におきまして佐藤委員に申し上げたとおりでございますが、国旗の掲揚とか国歌の斉唱を義務づけるというためには、国旗を掲揚しろとか国歌を斉唱すべしというような法的根拠が別途必要であるということは御指摘のとおりでございます。
  209. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 だからそういう法的根拠論と強制論とこれとは違うということであります。  二つ目の質問でありますが、今もお触れになりましたことしの三月十五日の予算委員会で、私、日の丸、君が代問題で質問をいたしました。それに対して、味村法制局長官の答弁を私の方から資料として事務局方にお届けをしておきましたけれども、一部の新聞が、従来の政府見解を超える新見解だという見出しをつけて報道しておるような新聞もあるわけであります。  そこで、重ねて確認を求めておきたいのでありますが、当日の私の質問に対しても味村長官自身がお答えになり、会議録にもきちっと残っておりますように、昭和五十四年四月十日の当時の真田法制局長官の答弁と趣旨は変わるものではないというふうにお答えいただいたわけです。このことの再確認をもう一遍求めておきたいと思うのですけれども、よろしゅうございますか。
  210. 味村治

    政府委員(味村治君) 先生の御指摘がありました私の三月十五日の本院予算委員会における答弁は、その際にも申し述べましたが、昭和五十四年四月十日の衆議院内閣委員会におきまして、当時の真田内閣法制局長官が行いました答弁と趣旨において異なるものではございません。
  211. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ありがとうございました。長官もう結構でございます。  それでは最後に、残り時間、税務行政の改善の問題についてお聞きします。  竹下総理大臣大蔵大臣を御経験にもなってきたのでお詳しいわけでありますけれども、税務行政の基本は、昭和五十一年四月一日のいわゆる税務運営方針をもとに進めるということは聞くまでもないかと思いますけれども、当然でありますね。
  212. 岡本吉司

    政府委員(岡本吉司君) 御案内のとおり、現在我が国におきまして申告納税制度をとっているわけであります。その中で我々税務行政運営の課題と申しますのは、今さら申し上げるまでもございませんけれども、やはり納税者のすべての方が租税の意義を十分理解していただく……
  213. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ちょっと持ち時間がないので端的に。税務運営方針に沿ってやるんですねということです。イエス、ノーで。
  214. 岡本吉司

    政府委員(岡本吉司君) わかりました。  我々といたしましては、従来から五十一年の税務運営方針に沿って税務行政を行っているところでございますし、また今後ともこの方針に沿ってやっていきたいと考えております。
  215. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 今までもその方針だったし、今後もそれでやっていくとおっしゃるんでありますけれども、現実にはこの運営方針に反する過酷な調査が各地で横行をしております。  最近、京都での状況について私もいろいろ関係者から直接聞いたんでありますが、例えば京都市の南区では、母と弟が入院中のところへ調査に来て、一たんは入院中だから待ちましょうということを約束しながら反面調査を開始し、そのために心労から御亭主が胃の出血手術で緊急入院をする。にもかかわらず、再びまた奥さんのところへ診断書を出せということで迫ってくるというこういう事例。また、京都市の下京区で、帳簿を見せても、立ち会いが要るからということを理由にそれを見ようともしない。それで、帳面が見られないからといって今度は青色申告を却下する。したがって、奥さんの専従者給与が認められないということで年間数十万円の損失になった。  また、京都の山科区、奥さんが同意していないのに、とことことこと署員が二階に上がってきて、母親の葬式のときの帳面を取り出したり、子供のお年玉まで問題にして、通帳、帳簿、売り上げ、仕入れの伝票を持ち去る。長岡京市の食料店。お客があろうと、直ちに退去せよ、帰れということで買い物に来たお客も追い出すというこういうやり方に対して、六項目の質問を含めた署長に対する嘆願書を出したんですけれども、ナシのつぶて、回答をしないというこういうやり方が次々と出ているわけであります。あなたもちょっと言われかけましたように、運営方針の第一章に、納税者に対する親切な態度、納税者の苦情の積極的解決に努力すべし、いやしくも一方的だとの批判を受けないようにやらなくてはならぬということを述べているんですが、これに反する姿だと私は思うのであります。  これは国民に消費税を押しつけようとしながら、庶民にはこんな過酷な税務調査が許せるかとの怒りが当然巻き起こっているわけでありますけれども、この運営方針を厳守して、税務行政改善のために一層の指導の徹底を図るということをひとつお約束願いたい。
  216. 岡本吉司

    政府委員(岡本吉司君) 先ほど申し上げましたとおり、従来から指針として守ってきたつもりでございますし、今後も守っていきたいと考えております。したがいまして、この運営方針の趣旨につきましては、従来から会議、研修等を通じまして周知を図ってきたつもりでございますけれども、今後さらにその徹底に努めてまいりたいと考えております。
  217. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 委員長、一言。最後に総理大臣に一言だけ意見を申し上げておきたいと思います。  今でさえこういうひどい税務調査が起こっているんですから、もしも消費税が導入をされたら、徴税面においても税務職員の大幅な増員など徴税体制が強化をされて、調査権が乱用をされて強権的な税務行政が整ってくるという危険性があるという点から見ても、天下の悪税消費税は断固撤回すべしということを強く申し上げておきまして、私の質問を終わります。
  218. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 先般ある人から教えられまして、イギリスで出しておりますエコノミストという雑誌、十一月二十六日号ですけれども、その中に日本の汚点と申しますか暗黒点と申しますか、そういう趣旨の論文が載っておりますので、それを読みました。  その趣旨は、今度のリクルート問題に関連いたしまして、腐敗が日本の政界、財界にますます深く潜みつつある、もし日本人がわいろを握らせる政策になれているのであれば、そのような日本の官僚や政治家が、今後国際機関——世界銀行なんかのことを言っていると思いますけれども、世界銀行などの国際機関を指導すべきであろうか、そういった言葉で結んでいるんです。これは日本の国民に対する一つの侮辱ではないか。今後外国なんかに行っても、もし外国人がこういう目で日本人を見ているのであるならば大変恥ずかしいことだということを感じて内心憤慨もいたしました。  しかし、本日の朝刊にも載っておりましたけれども、日本鉄鋼連盟の副会長だったと思いますが、ちょっと役職ははっきり記憶しませんけれども、日本人は金銭感覚が麻痺してきているという趣旨のことを発言しておられる財界人の人もおられました。そういうことを考えますと、胸を張ってそんなことは絶対ないのだと言い返せない。これはまことに恥ずかしいことじゃないかと思うのであります。  戦後、日本も豊かにはなりましたけれども、昔は衣食足りて礼節を知るという言葉がありました。最近は衣食足りて礼節廃るじゃないかという感じも否めません。こういうことを二度と繰り返さない、再発を防止するためには、まず真相の究 明が何よりも大事でありますけれども、同時に、一つは国民の倫理観を高めていく、もう一つは、同時に制度面で改むべき点があればこれを改めていかなくてはいけないのじゃないかというふうに考えております。  その点から質問いたしますけれども、きょうの閣議で公務員の綱紀粛正に関して閣議決定をされ、また官房長官名前で通達も出されております。  これは述べるまでもなく、公私の別を明らかにしろとか、職務上利害関係のある業者との接触に当たっては、国民の疑惑を招くような行為を慎むことであるとか、それから監督責任者は監督責任を十分自覚しろとか、服務規律違反の行為があった場合は厳正な措置をとることとか、いわば当たり前のことであります。その当たり前のことを今さら閣議決定し通達を出すということは、残念ながら一部の者にそういった不心得な者があるからやむを得ないとは思うのですけれども、多くの公務員の人たちはこの通達を聞いて一体どういう感じを持つでしょうか。我々にだけは綱紀の粛正を言っているけれども、我々を監督指導するところの各省庁大臣、長官は一体どうなんだ、自分たちの反省は全然ないじゃないか、そして下の者にだけこういう通達をするのはおかしいじゃないか、そういう感想を持つのが私は当然じゃないかと思うのです。  したがって、こういう通達を出された以上は、大臣あるいは長官はこういう公務員をまさに監督指導する立場にある人です、監督指導の責任を負っている人です。公務員よりももっと強い倫理規範、政治倫理に関する基準を持つべきだと思うのでありますけれども、どういう考え方で、どういう倫理基準を持って大臣がその職務に当たるべきであるかということを総理としてお考えであるか。きょうは大蔵大臣として出席されているそうでありますけれども、大蔵大臣から総理大臣にお聞きになって、その答えを大蔵大臣の資格で述べていただきたいと思います。
  219. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 大変先生、窮屈に分けていただきましたが、総理大臣であることは間違いございませんので、その立場でお答えさしていただきます。  私自身個人的な感じを申し上げてみますと、通達を出すべきか否か、そしてその時期はいつがいいかといろいろ考えました。私周辺の問題がいろいろやられておるときに一体私にその資格あるだろうか、それを自問自答いたしました。通達そのものは今までも出したことでありますが、改めてパーティー券の問題でございますとか、株式譲渡の問題でございますとかは考えた上で入れました。しかし、これは国家公務員のあるべき姿の当然のこととしてのものを示したわけでございます。したがって、基本的にはそれを監督指導の立場にある私を含む政治家、あるいは高級公務員というものがいかなる行為規範を持ち、倫理規範を持つべきか、これは私なりに考えますと、やはり両院で一生懸命につくりました政治倫理綱領に本当は尽きるだろうと思うのであります。  したがって、私は今回この問題につきまして四つのことを申し上げておりますが、一つは証取法改正問題、一つは税法上の問題、それから三つ目は刑法上の問題。だが何としても私が四つ目に言っております政治家の倫理観の問題をどうする  そこで、倫理綱領をつくるときから私もこれに参画いたしておりましたが、これを実行しやすい環境というものも整備しなければいかぬ。そうなると、法律的なことで申しますならば、まさに公職選挙法あるいは政治資金規正法の範疇に入るだろうと思いますが、基本はその前にある政治家一人一人の心の持ち方にあるだろう、その基準は倫理綱領そのものにおいて実行しなければならぬ。したがって、それを総じて政治改革という言葉でくるんだといたしますと、その改革をやるためのいろいろな法律ということになると、何だか少し現実とは離れておるんじゃないかという言葉の出ることも承知いたしておりますが、私なりに基本はあくまでもお互いが熟慮の結果つくりましたこの政治倫理綱領というもの、それに伴う行為規範を遵守すべきものだと思っております。
  220. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 政治倫理綱領は随分抜け穴があると思いますが、あれはともかく議員としての倫理綱領だと思うのです。私は、やはり各省大臣及び長官は特別の権限を持っておりますし、また普通の議員よりもより多くの情報が入り得る特別の地位にあると思うのです。したがって、単なる議員としての倫理綱領だけじゃなしに閣僚としてのもっと厳しい倫理綱領があるべきだ、それを質問しているわけでございます。それはどういうふうにお考えになりますか。
  221. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今先生指摘のとおり、私はいつも申し上げておりますが、各種情報等も最も入りやすい立場にあると思います、政治家としてみずからを振り返ってみましても。したがって、その周辺をも含めいつもきちんとした姿勢で対応していかなければならぬというのは一般論として申し上げております。閣僚たるもの、議院内閣制でございますが、今の場合とにかく多くの方、今はたまたま全員国会議員であって閣僚であるわけでありますが、基本的にはやはり議員としての倫理綱領というものに根差しておれば、それにいわゆる行政権が伴うわけでありますから、一層のこと厳しく身を律していくべきである。そこの具体例が何かと仮におっしゃったといたしますならば、資産公開をいたしますとか、そういうことはそれの一部の一つの行為として行っておるところではなかろうかというふうに思っております。
  222. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 資産公開のことを言われましたけれども、あれは就任のときに公開するわけですね、やめたときは公開するわけじゃないでしょう。いわんや、就任してからやめるまでの間に株の売り抜けなんかやったそのことは全然出てこないわけです。今問題になっているのはまさにその点なんです。  参考までにイギリスの例を申し上げておきますけれども、イギリスでは閣僚は株の売買をしないという慣行があるそうであります。何かサッチャー首相が二、三年前にその慣行に反したとか、いや反しないとかという記事をちょっと見たことがございますけれども、イギリスではそういう慣行があるそうであります。日本でもそういった慣行をつくられたらどうかと思うのですけれども、どうですか。
  223. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これはいいことだと私も思っております。私は何回も大臣をやりましたからその都度考えたことがございますが、いわゆる資産公開全体に対しての議論というのは別といたしまして、そのこと自体は私はいいことだろうと思っております。  ただ、先生にこんな話をしてはいけませんけれども、私の家業がちっぽけな酒屋でございまして、それで大蔵大臣に就任したときに私個人の関与をやめようと思ったわけです。そのときにはやはりささやかな、五十万円ぐらいな私の株もだれかに譲渡しなければいかぬという矛盾を一遍勉強したことも実はございました。
  224. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私は株を持っていることは一向に差し支えない、それを売買することが問題なんで、例えば信託会社にその株を全部信託して運用を任せてしまうということになれば非常に明朗になってくるんじゃないか。一つの参考意見として申し上げておきます。  それから、公務員に対する通達の中で、例えばパーティー券なんかを政治家が購入あっせんを頼んできたときなんかでも、「特に留意されたい。」という通達が出ておりますけれども、こういう通達を出しても公務員というのは政治家に対しては弱い立場にある、殊に与党の議員に対しては非常に弱い立場にある。したがって、もしこういう通達を出すのであるならば、国会議員がパーティー券の販売あっせんあるいはそれに類した、本なんかを書いて、その本をまとめて買うことのあっせんということもあるんじゃないかと思います。そういう依頼があった場合には、所管大臣が依頼し てきたその国会議員の氏名を発表する、そのくらいのことを書かないと、これだけでは私は一向役に立たないのじゃないかと思うのですけれども、そこまで踏み込まれる考えはございますか。
  225. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まさに議員個々のサイドにおいてそういうことをしてはならない。我が党においても、先般、自粛、してはならないという党内の自浄作業でございますけれども、行いました。ただ、今の先生の提案そのものはもう少し議論をしてみませんといけない問題だろうと思います。
  226. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 具体的なやり方については十分検討していただきたいと思いますけれども、特に政治家の倫理規範あるいはそれ以上に閣僚の倫理規範というのは厳重に定めていただきたいということを希望しておきます。  時間がありませんので次の問題に移ります。  今度のリクルート問題でも会社の増資、株の割り当てが一つの問題になっているわけですけれども、昔は会社が増資をする場合は、既存の株主に対して所有株数に比例して額面価格で有償制で割り当てるというのが普通だったように、我々教科書なんか読んだときは何かそう理解していたんですが、最近では増資株は時価で公募するなり、あるいは第三者割り当てが広がっているそうであります。これは経済の発展に伴いまして当然の現象であろうと思うのですけれども、他方、それに伴う弊害もいろいろあるわけです。  つまり、第三者割り当ての場合は、特定縁故者に対して実際の時価よりも安い発行価格で割り当てる。特定の人のみがぬれ手にアワ式の利益を受ける。時価公募の場合でも、公募といっても証券業者であるとか発行会社関係者に限られていて、しかも公募価格は時価よりも低く定められていることが多いわけです。既存の株主であるとか、一般の投資家はなかなかその恩恵に浴しがたいというのが現状ではないかと思うのであります。これは一般の国民から見ますと非常にアンフェアじゃないかという感じを持つのは当然だと思うのです。政府も証券取引審議会に証券取引法なんかの改正について諮問しておられるそうですけれども、一体今の制度のどういう点が問題であると大蔵省としては認識されておられるのか、どういう点が問題意識として証券取引審議会に諮問されておられるのか、そのことをお尋ねしたいと思います。
  227. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 御指摘の第三者割り当て増資、特に今度のリクルート問題に絡みましてこの第三者割り当て増資が乱用されたんではないかというような御指摘もございます。  確かに公開前に、公開企業が安定株主をつくるという目的で第三者割り当て増資を行うというのは通常行われている行為でございます。ただ、今回のリクルート事件にかんがみまして、第三者割り当て増資の割り当て先から短期間に他へ譲渡されたという事実があるわけでございまして、これは今申し上げました安定株主づくりという趣旨からいいまして問題ではないかと考えているわけでございます。現在そういった点も全部含めまして、株式公開制度全体のあり方につきまして証券取引審議会の不公正取引部会で審議をいただいているわけでございますが、その公開前の第三者割り当て増資につきましては、特に第三者割り当て増資を行うことを規制する期間を見直すとか、あるいは今申し上げました一定期間割り当て先に保有を義務づけるとか、あるいは割り当て先を開示する、つまり一般に公にするとかというような手段を検討していただいておりまして、そういったことを通じて第三者割り当て増資が乱用されないような制度的な歯どめを考えていきたいと考えておるところでございます。
  228. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 増資をするのは、最近会社の乗っ取りとかなんとかということがあって、やはり安定株主をつくるということが主要な目的ではないかと私は思うのですけれども、そうであれば例えば一年間なら一年間は保有の義務を課するとか、そういった義務を割り当てを受けた人に課するということが必要ではないかと思います。  それからまた、価格の問題もやはり問題じゃないかと思うのですけど、価格の点はどうですか。
  229. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 第三者割り当て増資の価格につきましては、公開前の株の割り当てでございますものですから、当然のことではございますが、非公開の状態でまだ流通価格というのがございません。したがいまして、例えば純資産額方式で計算をしたり、あるいは類似会社比準方式で計算するというような計算の仕方があるわけでございます。現在は類似会社比準方式ということで計算される場合が多いわけでございますが、これにつきましても私ども、基本的には非公開の企業でございますから、適正な価格が幾らかというのはなかなかわかりにくいわけでございますけれども、必要以上に安い値段にならないように、第三者割り当て増資につきましても価格について見直しを行う必要があると思います。ただ、その場合に今申し上げましたように流通価格がございませんので、類似会社比準方式で計算をするそのやり方を改善するとかというようなことを考える必要があるんじゃないかと思っております。
  230. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 証券業者というのはある場合にはいろんな矛盾しているような目的を持っていて、一方においては企業なんかの資金の調達をできるだけ有利に図ってやることも必要でしょうし、同時に一般の株主の利益をあくまで守っていく。しかも公正な取引が行われる、いろんな目的を持っているので、確かにある場合には矛盾する面もあるんじゃないかと思うのですけれども、私はこの機会にフェアであるということを何よりも主眼に置いて、こういった事件が起こった直後ですから、ともするとあるいは厳しくなり過ぎるかもしれない。しかし、やはり先ほど言いましたようなロンドンエコノミストに書かれるようなああいう腐敗体質を直していくためには少し厳しいぐらいの改正を行うべきではないか、そのことを希望しておきます。大蔵大臣、いかがでしょうか。
  231. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私はこういうふうに整理しております。その一つは、我が国の証券市場というものの急激な大変な発達でございます。事実ニューヨークを越しまして、ロンドンなんというと大阪よりも下ぐらいな調子でございます。それに率直に言って証取法が完全にフォローできなかったんじゃないか、これは現職の証券局の諸君にそういうことを言うと済まぬなと私は思いながら言っているんです。  したがって、やはりこれだけの大きな証券市場というのが経済の中に機能しているわけでございますから、まずそのことを考えて、ちょうど今回が契機でございますから、きょう先生のおっしゃった二つの問題をも含めて、一般投資家等がフェアであるという印象を持つような改正という方向で証取審等も議論を今詰めていただいておるというふうに私なりに整理して対応しようと思っております。
  232. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 今までは日本の証券行政というのはむしろ保護、育成してくるという形だったと思うのです。それは確かにやむを得なかったと思うのですけれども、これだけ大きくなった現在においては、むしろフェアな取引が行われるということに主眼を置いて見直しをしていただきたいということを希望しておきます。  衆議院のリクルート特別委員会の方で待ち構えているようですし、大臣はこちらの方が居心地がいいかもしれませんけれども、向こうの方で、とっちめてやろうと待ち構えているそうでございますから、これで質問を終わります。
  233. 安永英雄

    委員長安永英雄君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時一分散会