運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-10-26 第113回国会 参議院 環境特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十月二十六日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         林 健太郎君     理 事                 松浦 孝治君                 松尾 官平君                 田渕 勲二君                 広中和歌子君     委 員                 青木 幹雄君                 石本  茂君                 梶木 又三君                 佐藤謙一郎君                 関口 恵造君                 原 文兵衛君                 宮崎 秀樹君                 柳川 覺治君                 粕谷 照美君                 安永 英雄君                 沓脱タケ子君                 近藤 忠孝君                 山田  勇君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  堀内 俊夫君    政府委員        環境政務次官   石井 道子君        環境庁長官官房        長        渡辺  修君        環境庁企画調整        局長       安原  正君        環境庁企画調整        局環境保健部長  目黒 克己君        環境庁自然保護        局長       山内 豊徳君        環境庁大気保全        局長       長谷川慧重君        環境庁水質保全        局長       岩崎 充利君    事務局側        第二特別調査室        長        菊池  守君    説明員        沖縄開発庁振興        局振興第三課長  江口  肇君        厚生省生活衛生        局水道環境部水        道整備課長    坂本 弘道君        農林水産省構造        改善局農政部農        政課長      山本  徹君        農林水産省農蚕        園芸局植物防疫        課長       関口 洋一君        林野庁指導部治        山課長      弘中 義夫君        通商産業省基礎        産業局化学品安        全課長      橋本 正義君        通商産業省基礎        産業局化学製品        課長       寺西大三郎君        通商産業省機械        情報産業局自動        車課長      鈴木 孝男君        運輸省地域交通        局陸上技術安全        部管理課長    豊島  達君        運輸省航空局監        理部航空事業課        長        圓藤 壽穂君        運輸省航空局飛        行場部計画課長  小坂 英治君        建設省道路局企        画課道路経済調        査室長      橋本鋼太郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (ハイテク産業による地下水汚染に関する件)  (公害防止協定に関する件)  (水質汚濁防止法の改正に関する件)  (石垣新空港建設とサンゴ礁の保護に関する件)  (ゴルフ場における農薬使用に伴う周辺汚染に関する件)  (都市部における自動車公害交通政策に関する件)  (公害健康被害補償制度における申請者処分状況診療報酬に関する件)  (フロンガス等による地球的規模環境問題に関する件)     ─────────────
  2. 林健太郎

    委員長林健太郎君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  議事に先立ち、石井環境政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。石井環境政務次官
  3. 石井道子

    政府委員石井道子君) 環境政務次官石井道子でございます。  去る七月二十二日に就任をいたしましてからもう三カ月近くなるわけでございますが、きょうはこうして参議院の環境特別委員会の席でごあいさつをさせていただきまして本当に光栄でございます。  環境行政は、公害を防止し、かけがえのない自然環境保全を図り、さらに快適で潤いのある環境を創出いたしまして、国民の健康で文化的な生活を確保するという点で極めて重要な使命を持っていると存じます。  私は、このような責務を深く認識いたしまして、堀内長官を補佐いたしまして、健全で恵み豊かな環境国民共有の財産として後世に引き継いでいかれますよう環境行政の推進に全力を傾けてまいりたいと存じております。  委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻を心からお願いを申し上げる次第でございます。  ありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  4. 林健太郎

    委員長林健太郎君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 田渕勲二

    田渕勲二君 きょうは私は水の問題を取り上げたいと思うわけでございます。  かつて水の宝庫と言われました日本も、戦後の高度経済成長の陰で、森林の伐採で緑を失う、あるいはまた工場の排水の増大で地下水の異常なくみ取り、そして水の自然環境が著しく破壊される、こういう大変水汚染が憂慮される状況に実は今現在日本は置かれていると思うのであります。日本人が二十一世紀において確かに豊かさというものを享受し得るには経済、特に産業の活力を失ってはならないことは申すまでもございません。  しかし、この目的を達成するには当然先端技術産業振興は不可欠であります。ハイテク産業には光と影があるわけでありまして、いわゆる豊かさを光の部分とすれば、いわゆる影の部分というのはハイテク公害あるいはハイテク汚染、こういうように表現ができるんじゃないかと思うわけであります。日本人が繁栄を続けていくには、こうした産業構造高度化に伴うハイテク汚染というものを未然に防止して、そして法のシステムというものを整備しなきゃならぬ、先取りをする必要がある、こういう観点から以下私は何問かの質問をいたしますので、ひとつ前向きの答弁お願いしたいと思うわけであります。  まず最初でございますが、五十七年に環境庁実施されました地下水調査結果、これはトリクロロエチレンなどの有機溶剤による地下水汚染全国的に広がっておる、こういうことが判明をいたしまして非常に世間的に大きな衝撃を与えた。環境庁はその対策として五十九年八月に、トリクロロエチレン等物質地下の浸透及び公共水域への排出の暫定指導指針、暫定的ではありますけれども水質基準をつくりまして行政指導を行っておられるわけですが、それから四年間経過しているわけでありますけれども、この暫定指導指針による行政指導実施状況というものは一体どうなっておるのか。その結果どのような改善効果が上がったか。これにつきましてひとつ環境庁の御報告お願いしたいと思います。
  6. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) ただいま先生から御指摘がございましたように、私ども五十七年、五十八年と環境庁として調査をいたしました。その結果、広範な地下水汚染があるということで五十九年から六十一年まで各県を通じて調査をいたしておりまして、それの取りまとめを行っておりますが、これにつきましてはまだなかなか汚染事態があるということでございまして、私どもその暫定指導指針に基づきまして、さらに工場事業場に対する指導徹底を図っているという現状でございます。
  7. 田渕勲二

    田渕勲二君 余りはっきりした結果じゃないんですが、問題は、私がこれを取り上げました動機というのは、千葉県の君津井戸から発がん性物質が発見されたんです。地下水からトリクロロエチレンというものが発見された。最高濃度環境庁暫定水質基準値の一リッター当たり〇・〇三ミリグラムの二百三十七倍の一リッター当たり七・一ミリグラム、非常に高濃度のものが発見されている。しかもまた、汚染源である東芝コンポーネンツ君津工場周辺井戸からこれまた基準値を上回る、さらに市営の水道水源の一部でも発がん性物質のそうしたものが発見された、こういう非常にショッキングな新聞が出ておるわけでありまして、千葉県の県議会あるいはその他でもいろいろこうした問題を取り上げて追及されておるようであります。特に野田、我孫子、茂原、鴨川の四市、あるいは松尾、成東、小見川の三町、この四市三町で最高一六ppm、これも暫定基準値の五百二十三倍のトリクロロエチレンが出ているということが千葉県議会で追及をされているわけでありますが、これに対して千葉県議会での知事答弁というのが、八四年度までは暫定基準を超す井戸というものはゼロであった。しかし八六年の五市町で発見されましたものは最高が七・二ppm、八七年は七市町村で一六ppm、こうした極めて高い濃度のものが発見をされたという報道が出されておるわけでありますが、全国的に見ましてもこうした事態があちこちに私はあるんだろうと思うのであります。  こういったことを考えますと、暫定基準というもので行政指導をなさっておりますけれども、今水質保全局長からそういう説明がありましたが、こういうような行政指導だけではとてもこうしたものを未然に防止するということはできない、極めて不十分だ、こういうように私は考えるのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  8. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) ただいま先生から御指摘ございましたように、君津市を中心としまして千葉県において地下水汚染等々が報告されております。また、全国的に見ましても、五十九年から六十一年度までに全国で大体一万二千ほどの井戸調査をいたしましたが、トリクロロエチレンといたしましては三・三%ぐらい、また、テトラクロロエチレンでは大体三・六%ぐらいの汚染があるというようなことになっております。  それで、そういうような状況を受けながら、私ども関係各省庁とも連絡をとりながら指導徹底を図ってきたところでございますが、これからもさらに指導徹底を図っていかなければいけないというふうに考えておる次第でございます。
  9. 田渕勲二

    田渕勲二君 それでは、厚生省にお伺いをしたいんですが、さきに私が挙げました君津市の地下水汚染問題の事実経過とそれから今までに住民健康調査を含めてどのような対応措置をとっておられるのか、また今後どのように対策をされるのか、これにつきまして厚生省なり環境庁なりのひとつお考えをお聞きいたしたいと思います。
  10. 坂本弘道

    説明員坂本弘道君) 君津市の水道でございますが、これは給水人口が八万人余りというところでございまして、一日の給水量大体三万五千トンぐらいの水を配っております。そのうち自己水源といいますか、自分で開発している地下水、これが一万三千トンぐらいございますが、このうちの井戸の一本からその先生おっしゃいましたようなトリクロロエチレンが出てきた、こういうことでございます。昨年の十二月というふうに聞き及んでおりますが、私どもの方に報告がございましたのは本年の八月でございます。  このトリクロロエチレンにつきましては私どもの方で全国的な通知を出しておりまして、これは五十九年の二月十七日付でございますが、水道水に関するトリクロロエチレン等対策ということで、この暫定的な水質基準を決めるということが一つ、検査方法をどうするかというのが二つ目測定頻度汚染時の措置、こういうものにつきまして通知を出しておるわけでございます。したがいまして、これによりまして水道事業者等におきましては、水質検査だとか必要に応じての水源の転換だとか低減化等措置が講じられまして水道水安全性が確保されているというところでございますが、今の君津市につきましては現在曝気の試験をやっておりまして、試験した後の水はそのまま給水するんじゃなくて河川の方に出しておりますが、この試験の結果を見まして、果たして水道に使えるのかどうか、この辺、使えるということであれば事業認可の変更というようなことも考えて今後対応していきたい、こういうように考えております。
  11. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) 千葉君津市の地下水汚染経過対応状況、これは全体の話でございますが、申し上げますと、君津市におきましては市独自に地下水汚染実態調査を六十二年三月から実施してきていると、六十三年の六月までの調査で四十三本の井戸調査いたしましたが、内箕輪地区というところで十本で水道水暫定水質基準を超える濃度が検出されております。  君津市では汚染井戸所有者に対しまして飲用指導、それからトリクロロエチレン使用事業場に対します溶剤使用管理適正化指導というようなものを実施してきましたが、六十三年四月には県の指導のもとで内箕輪地区地下水汚染対策基本計画というものを作成して、この計画に従いまして事業場における溶剤保管場所とか使用方法とか回収方法改善などの実施のほかに、市を中心とした地下水質調査とか汚染機構調査等実施しております。また、住民健康調査とか企業との間の公害防止協定締結等につきましても現在検討中であるということでございます。
  12. 田渕勲二

    田渕勲二君 そのように水道水源井戸汚染というのは非常に深刻な状況になっておると思うんですけれども日本国民の飲み水の三割が地下水に依存しておる、こういうように考えますと、非常に危険な有害物質汚染されているということは、国民の不安は大変なものだと思うのです。  そこで、厚生省お尋ねしますけれども全国的な水道トリクロロエチレン汚染監視体制、これはどのようになっておるのか、それから全国水道事業で使用している井戸本数ですね。そのうち汚染が発見された井戸本数及び汚染濃度分布状況、そのうち取水停止をしている事業体の数がわかればそれをお知らせしていただきたいと思います。
  13. 坂本弘道

    説明員坂本弘道君) この地下水監視体制等につきましては、先ほど申し上げました対策通知によって全国水道事業体がただいまやっておるところでございます。  水道用井戸本数につきましては、上水道とそれから上水道に卸売をしております水道用水供給事業というのがございますが、これを含めまして全国で約八千本あるんじゃないかということでございます。また、上水道以外に小規模な水道でございます簡易水道というのがございますが、これが全国で一万以上ございまして、そのほとんどを地下水に依存しておるということでございますので、そういうことからいえば、先生がおっしゃいました、全国で今大体百五十億トンという水を一年間に水道で使っておりますが、琵琶湖の水が二百七十五億トンでございますから、大体琵琶湖の水を一年と九カ月ぐらいで使うぐらいの水を水道で使っておるんですが、そのうちの二七、八%が地下水、こういうことでございます。  したがいまして、水道にとって非常に重要な水源でございますので、これらの汚染状況につきまして、この通知に基づきまして各事業体において水質監視を行っておるわけでございますが、昭和六十一年度までにこの暫定水質基準、これは先ほど環境庁でお話しのございました数値と全く同じでございますが、いわゆる蛇口から出てくる基準として定めておるものでございますが、この暫定水質基準を超えたトリクロロエチレン等が検出されました水道水源井戸、これを擁しておる浄水場、これは水をきれいにするところでございますが、この浄水場の数が六十五カ所ございます。このうち取水停止に至りましたものは、例えば東京都の水道事業でございます府中市、これは三多摩地区ですが、府中市だとか八王子市内井戸、かつまた川崎市の水道事業等三十九カ所がございます。  それから、第三点目の濃度分布でございますが、濃度分布といたしましては、地下水水源とする千八百八十八浄水場につきまして、昭和六十年度において約九六%に当たる千八百十八浄水場について検出されてないと。または暫定基準の十分の一以下の濃度と。これは統計のとり方が十分の一以下というようなことでとっておりますので、その十分の一出たのか出ないのかということはちょっとわかりませんが、要するに大丈夫だという濃度のものがそのくらいございまして、暫定基準を超えたものは一つございます、一浄水場。ただ、この超えましたところにつきましても、エアレーションという装置をつけまして万全を期している、こういう段階でございます。
  14. 田渕勲二

    田渕勲二君 それはそれでわかったんですが、そうすると個人用飲用井戸監視体制というのは一体どうなっておるんでしょうか。
  15. 坂本弘道

    説明員坂本弘道君) ただいまお話しございました個人用井戸の件でございますが、厚生省といたしましては、昭和六十二年の一月、昨年でございますが、家庭用井戸など飲用に供する井戸につきまして、その総合的な衛生確保を図るために飲用井戸等衛生対策要領、こういうものを策定いたしまして各都道府県通知を流しておるわけでございます。本要領に基づきまして都道府県等は、井戸設置者に対しまして施設の適正管理、定期的な水質検査実施指導いたしますとともに、汚染判明時における水道加入等措置指導することとなっております。
  16. 田渕勲二

    田渕勲二君 ひとつそういうことで、まだまだ十分ではないと思うんですが、そうした監視体制というものを十分とっていただくようにお願いをしておきたいと思います。  次に、公害防止協定というものについてちょっとお尋ねをしたいと思います。  いわゆる国の法制なり行政公害防止に十分対応できない、こういうように感じましたときには、自治体あるいは住民企業公害防止協定、こういうものを結んで解決を図ろうとする場合が多いわけでありますけれども、この公害防止協定というものについて私はかなり意義があると思うのでありますけれども環境庁の方としてはこの公害防止協定なるものについてどのようにお考えになっておられるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  17. 安原正

    政府委員安原正君) ただいま公害防止協定についてのお尋ねがございましたが、御承知のとおり、当事者でございます地方公共団体住民事業者が、その地域特殊性等を勘案しながら相協力いたしまして事業活動にかかわります公害防止等環境保全に関しまして問題の解決を図っていくということで締結したものでございまして、田渕委員指摘のとおり、環境庁といたしましても大変意義のあるものと考えております。
  18. 田渕勲二

    田渕勲二君 それじゃ、現在全国で締結されている公害防止協定の数は幾らありますか。そのうちハイテク汚染に関する公害防止協定を結んでいるところはどういう状況になっているんでしょうか、これをお伺いしたいと思います。
  19. 安原正

    政府委員安原正君) 昭和六十二年九月末現在で有効な公害防止協定の数は全国ベースで約二万八千件ございます。そのうち、ICそれから新素材等のいわゆる先端技術を利用しております工場事業所を対象としているものにつきましては、これは概数でございますが、おおむね二百二十件あるものと考えております。
  20. 田渕勲二

    田渕勲二君 そこで、この公害防止協定についていささか私の所見を申し述べながらお聞きをするわけでありますけれども、今も安原企画調整局長公害防止協定については十分その意義を認めておるということをおっしゃいました。しかし、この公害防止協定というものにそれだけの意義があるとすれば、やはり当然環境庁としても何らかのそういう公害防止協定実効性のあるものにするための指導なり、あるいは行政指導というものがあっていいんじゃないか、こういうふうに私は思うのです。  そういう面で、私はこの公害防止協定の幾通りかを入手して見ておりますけれども、必ずしもこれが法的な拘束力を持たないもので、単なる紳士協定であったりあるいは企業が守るガイドラインであったりするようなものが多いんですが、私が以下申し上げる点についてひとつどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。  まず、公害防止協定というものには私は四つ条件が満たされるべきではないかと思うのでありますけれども、その第一は、具体的な企業のとるべき公害防止措置明確化といいますか、そういうものをまず明らかにすること。二つ目は、事故のときの周辺住民健康調査方法であるとか、それにかかる費用の負担を定めるものにするということ。第三番目に、自治体立入調査権を認めるものである。四つ目に、住民の知る権利を侵害しない。こういうようなものにしなければならぬと私は思うのでありますけれども、私が以上申し上げたような条件を具備した公害防止協定というものが現在全国のどこかに存在しておるのか。また幾つあるのか。また、これに対して環境庁としてどのようにお考えなのかをお示しいただきたいと思います。
  21. 安原正

    政府委員安原正君) 今のお尋ねのうちで公害防止協定条例で義務づけている都道府県がどのくらいあるかという点でございますが、これにつきましては青森県、茨城県、栃木県等十八の府県におきまして、それぞれ公害防止条例の中で、知事責務とかあるいは事業者責務として公害防止協定を締結するように努めるべきだということで努力規定が置かれておるという状況にございます。  それから、公害防止協定を根拠づける条例の制定を広めていくことについてどうかということでございますれば、先ほども申しましたように、公害防止協定と申しますのがそれぞれの地域特性に応じまして内容を決めておくということが適当であるというものでございますので、そういう条例規定がなくても締結できるという事情もございますし、ある程度義務づけをいたしますと内容が定型化するようなこともございますので、そういうものをどんどん画一的に広げていくのはなかなか難しい事情もありますし、必ずしも適切ではないんじゃないかというぐあいに考えております。
  22. 田渕勲二

    田渕勲二君 いや、適切じゃないんじゃないかというのじゃなくて、どうしても地方自治体誘致企業がこうしたものを結ぶ場合にやはり自治体というのは非常に弱い立場に立っていると思うんですね。そこへ誘致した企業は雇用問題で非常に貢献をしていただいておる、こういうようなものがあって、地方自治体に任せておきますと公害防止協定の中身というものが非常にしり抜けになってしまう、単なる紳士協定みたいになってしまう。それだけに、やはりこの行政指導という国のバックアップというものがなければなかなか今私が申し上げたような条件を具備した公害防止協定内容にならないんじゃないか、こういうように思うわけです。したがって、そうした全国的な統一マニュアル、例えばそういうものを作成して自治体に提示して指導していく、こういう非常に積極的な姿勢がなければならぬのじゃないかと私は思うんです、特に最近のハイテク産業地下水汚染などを見ますと。そういう観点からお尋ねをしておるのですが、いかがでしょうか。
  23. 安原正

    政府委員安原正君) ただいまも申しましたように、公害防止協定大変意義のあるものであるということは考えておりまして、ただ、その内容はその地域特性に応じたものである方が望ましいということで考えておるわけでございます。したがいまして、環境庁といたしましては公害防止協定に関係いたします情報を収集いたしまして、地方公共団体と密接な連絡をとりまして適切な特性のある公害防止協定がそれぞれの地域で定着していくように今後とも努力をしていきたいというぐあいに考えているわけでございます。
  24. 田渕勲二

    田渕勲二君 これは何ぼやり合ってもそういう答弁にならざるを得ないのでしょうかね。  私は、重ねて申し上げるけれども、今申し上げたその誘致企業地方自治体との関係からいって、やはりもう少し国が後押しをしなければ公害防止協定というものの充実した中身がかち取れないんじゃないかということを申し上げておるのでありまして、公害防止協定行政指導というやりとりをこれ以上やりましてもいたし方ありませんのでそれほどにしておきますけれども、ぜひそうした観点でこれからもお臨みをいただきたいと思います。  では、続きまして水濁法、水質汚濁防止法、これについてお尋ねをしてまいります。  まず、水質汚濁防止法という法律を私も何度か読ませていただいたんですけれども、水濁法の十四条五項に地下にそういうものを浸透させてはならないという条項があるんですが、これには罰則の規定がないわけで、単なる訓示規定にすぎない。したがって、単なるこういう防止条項があったとしても何の違反を犯してもとがめられないということになれば、これはもう当然完全なしり抜けになってしまうわけでありますけれども、これに対して罰則を設けることをこれからの改正でお考えになっていないかどうか、これをお聞きします。
  25. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) 先生指摘のように、第十四条の五項では「有害物質を含む汚水等が地下にしみ込むこととならないよう適切な措置をしなければならない。」という規定がございます。これも先ほど先生がお話しになりましたように罰則はございませんが、私ども今後の問題として検討してまいりたいというふうに思っております。
  26. 田渕勲二

    田渕勲二君 検討の対象にするということですね。横討の対象にするということで確認してよろしゅうございますか。
  27. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) 検討してまいりたいと思っております。
  28. 田渕勲二

    田渕勲二君 さらに、これは水濁法というものについて私はいろいろ欠陥がある点について申し上げておるんですが、これから検討して改正をされるということも伺っておりますけれども、一つは、このトリクロロエチレン等第三物質が現在は規制の対象になっておりませんね。これは二条二項一号あるいは同法施行令二条でカドミウムその他たくさん規制の対象になっておりますけれども、このトリクロロエチレン等の三つの物質については規制の対象になっていないんですが、これを規制の対象にするというお考えはございますか。
  29. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) 現在、トリクロロエチレン等につきましては、有害性の疑いがある物質ということでございまして、第十四条五項に言います「有害物質を含む汚水等」という中には含まれてございません。したがいまして現在の水質汚濁防止法としては規定されていないということになっております。(「疑わしきは罰せず」と呼ぶ者あり)これにつきましても検討してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  30. 田渕勲二

    田渕勲二君 検討されるとおっしゃっていますけれども、今もそこからお話がありましたように、疑わしきは罰せずというようなことで処置されておるようですけれども、しかしいずれにしても、この地下水汚染対策として暫定指導指針を定められた前提というのは、ここにもいろいろ書いてありますように大変これは危ない物質であるという前提があるからこそこの地下水汚染基準というものを決めたと思うんですね。確かにそれがまだ犯人だと決めつけられてはおりませんけれども、そんなものは、決めつけられたときにはもう人間の体はかなりやられてしまっているような状況なんですから、事前に事前に、未然未然にすべてをそうした基準対策をしていくというのがこの関係省庁の役割だと思うんですけれども、そういう意味でぜひひとつ、規制の対象から外すんじゃなくて疑わしいものについてはこの規制の対象にしていただくということをお願いしたいと思います。  それから、公害対策基本法に環境基準を定める、こういうようになっておりますが、この環境基準が定められておりません。未設定になっておりますが、これはなぜそういうことになっているんでしょうか。私ちょっと素人でわからぬので教えてください。
  31. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) その前にちょっと一言だけなんですが、トリクロロエチレン等、先ほど申しましたように有害性の疑いがある物質だということでございまして、水濁法上の有害物質という形の中で厳しい規制をするということについては慎重な対応が必要だろうというふうに考えております。  それから、トリクロロエチレン等の問題につきまして環境基準を設けたらいかがかということでございますが、私どもは公共用水域につきまして現在も調査をいたしておりますが、公共用水域そのものといたしましてはトリクロロエチレン等汚染というものはそうございません。そういう状況の中でございまして、環境基準そのものをこれで設けるというようなことは考えていないというところでございます。
  32. 田渕勲二

    田渕勲二君 次の質問に移りますけれども地下浸透防止措置といいますか、水濁法の十四条五項の定めは、確かに訓示規定ではありますけれども、これは決して無視していいものではなくて、これが行政指導の根拠になっておるわけですね。しかし、トリクロロエチレンほか三つの物質地下浸透の暫定基準というものをつくられたということは、一方においては地下浸透してはならない、しかし一方ではこれまで以上は問題だというものをつくって結局地下浸透を認められているというような、非常に矛盾をしておるように私は思うのですけれども、その辺いかがでしょうか。
  33. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) 十四条の五項は「排出水を排出する者は、有害物質を含む汚水等」ということでございまして、トリクロロエチレン等はこの有害物質には含まれておりません。したがいまして、法律だけの解釈で言いますと、トリクロロエチレン等の排出につきましては十四条の五項には該当しない。  ただ、精神的な意味合いにおきましては、まさに先生おっしゃるようなこともございまして、私どもトリクロロエチレン等につきましての地下浸透に係る管理目標というものを現在行政指導として設けている。その中身につきましては、これは厚生省で定めた水道水暫定水質基準と同じ値にしておりまして、飲んでも大丈夫だというような形の中で、排出する場合、地下に浸透する場合でも、水道水と同じようなレベルであればそれはしようがないんじゃないのかなというような形の中で暫定指導基準というのを設けている次第でございます。
  34. 田渕勲二

    田渕勲二君 今までの答弁で明らかになったように、環境庁としても、これらのハイテク汚染地下水への汚染に対してそれなりに一つの問題意識を持っておられて、改正をしていかなければならぬという方向で御検討中だというように私は理解するわけですけれども、けさの毎日新聞をちょっと拝見いたしましたら、きのう衆議院で決算委員会があったようでありまして、そこで長官が水濁法の改正で地下水汚染の法規制の方針を明らかにされた、こういうように伺って、まだきのうのきょうですから、この中身、どういう質問でどういう御答弁になったのかよくわからないのでありますけれども、参議院の環境委員会で、長官がおっしゃったいわゆる水濁法の改正を、どういう観点でどういうものをどういう認識に立って次の常会に向けて御検討されようとしているのか、これを長官からぜひひとつお伺いしておきたい。
  35. 堀内俊夫

    ○国務大臣(堀内俊夫君) きょう先生が提起されている問題、これだんだんに皆さん方も聞いていただいておるわけでございますが、本質的に人間というのは水が一番かかわりが大きいわけで、空気と水ほど大事なものはないわけでございますから、この水に何か体に影響があるような懸念があるというだけでも、それ自体が健康を害しないとか害するとかいうことをおいてでも、非常に社会不安をもたらす。先ほど来のお話のように、君津の問題が起きたときにも、これはトリクロロエチレンの量というものは実際は先ほど来お話があるように人体に影響はないんだと、そう言ってもみんな納得しないだろうと思いますね。こういうものが水にまじっているということであれば、医学的な知見は別として、これはやっぱりだれでも非常な不安を起こすと思います。また、そういう懸念が水にあってはならないんじゃないかと私は自分の本質的な考え方として、委員も同じだろうと思いますけれども、そういう観点を持っているわけでございますが、最近の社会情勢というものが急速に変化しておる。  私も、今お話をなさっておる間にふっと思っておったのは、二十数年前、市の水道管理者に井戸掘りをやらした、水がないものだから。そういうようなことからずっと通ってきて、今きれいな水が町に入るようになってきたけれども、これ僅々二、三十年の間だなと、初めは大変だったなというようなことが、お話の間にも自分の胸を去来しているものがございます。  ところが、よく聞いてみると実際は法のこれに対する保全的な意味合いというものは現在ないと。これは実におかしい話じゃないか。今日ハイテク産業が興れば君津のようなことが起きるというのは、人為的なミスにしろ常に起きておるんですから、それがしょっちゅう起きておるんだからそれは部分的にしろ何とかそういうことを起こさないようにする方法はないものか。起きた場合に、先ほど厚生省もこちらも言うとるけれども、起きたところからの報告というものが半年とか、極端に言ったら長い間新聞見るまでわからなかったというような状況の感じ方というのは、これは法律がないからそうなってしまうのですね。  あれやこれや思うと、もう少しやはりこれについての法規制を含めていわゆる地下水汚染に対する問題、こういうものを考えるべきじゃないか。そういうことを君津の問題が起きたときに私率直に思いました。だから、今答えておる水質保全局長ら呼んで、これはちょっと考えたらどうかと。世の中変わってきておるんだから、今までがどうであってもこれはやはり考えるべき段階に来ているんじゃないだろうかと。こういうことで法制も含めてこれを検討するように指示したということをきのう決算委員会で答えたわけでございます。
  36. 田渕勲二

    田渕勲二君 長官の非常に前向きな水濁法の改正に対するお言葉を聞きまして、ある程度私も納得をしました。いずれこれは常会の中で法案として出されましたら、また十分皆さんと審議を尽くして、こういうハイテク汚染未然に防止されるような法体制というものに整備をしなきゃならぬ、こういうように私も考えておりますので、ひとつ一段のお取り組みをいただきたいということをお願いしておきたいと思います。  続きまして、これは特に地下水汚染問題のプロパーとは離れるわけですけれども水質汚濁防止法には大気汚染防止法十七条に定めるような事故のときの措置規定を欠いておるわけですね。したがって、今春埼玉県で発生しましたシアン流出事故の際もこの点が問題になったと思うのでありますけれども環境庁はこの事故時に即応する措置規定、これも一つ水濁法の改正に盛り込んでいただけるのかどうか、検討されているのかどうか、ちょっと思い出しましたので。
  37. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) 今後の問題として検討してまいりたいと存じております。
  38. 田渕勲二

    田渕勲二君 水濁法の問題については以上で終わりますが、いずれにしても総合的な地下水保全法制の必要というものがクローズアップされたわけですから、ひとつ格段の御努力お願いするということにしておきたいと思います。  続いて、これは通産省お見えになっていますか。——お聞きをしてまいりますが、いわゆる化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、これを略して化審法と申しますが、との化審法についてお伺いしていきます。ハイテクの関連で使用されるこの新規化学物質というものは今後ますますふえると思われるのですね。したがって、この化審法はその役割というものが非常に日増しに重要になってくる、こう思うわけです。  そこで、トリクロロエチレン等は化審法の指定化学物質、こういうものに実は入っております、確かに。入っていますけれども行政は製造の監視を行うだけでありまして、今回のこの千葉君津地下水汚染などはこういう地下水汚染があってもこれが化審法では防げなかったということになるのです。しかも、これが発見されるまではどんどん地下水汚染が進んでおるにかかわらずこの飲料水を人間が摂取しておる、こういうような状況になっておるわけでありますけれども君津のような発がん物質のトリクロ汚染の防止が果たせなかったということは、化審法そのものの有効性といいますか、性格に問題があるんじゃないか。このように実は考えるわけですけれども、通産省としてはこの見解に対してどのようなお考えをお持ちなのか、お答えいただきたいと思います。
  39. 橋本正義

    説明員橋本正義君) ただいま御指摘がありましたトリクロロエチレンの指定化学物質製造につきまして、これは六十二年の五月の二十五日に化審法に基づきまして指定化学物質として指定しておりまして、さらに地下浸透の防止等を目的といたしまして適正利用マニュアルの配付、同マニュアルに基づく講習会の開催、出荷容器に対する取り扱い注意事項の表示、巡回指導員による指導等を関係業界に指導しているところでございます。  また、化審法におきましては、特定化学物質について製造、輸入数量等をもとに先ほど来問題になっております地下水を含めた環境中の残留濃度、こういうものについても監視いたしまして、必要に応じ有害性の調査の指示、さらには第二種特定化学物質としての指定等を行うこととしております。トリクロロエチレン等の指定化学物質につきましては、今後とも適正な取り扱いについて関係業界に対する指導を行いつつ、必要に応じ化審法に基づく措置実施していくこととしたいと考えております。
  40. 田渕勲二

    田渕勲二君 何かわかったようなわからぬような御答弁だったと思うのですけれども。  私が言っているのは、化審法というものがあってもこういう発がん性物質のトリクロ汚染が防止できなかった。できないとすればこの化審法そのものにやはり問題があるわけだから、じゃこれを何とかしようかというふうになるのがこれは行政官庁としては当然じゃないかと思いまして私はそういう質問をしたのですが、その辺いかがですか、もう一度。
  41. 橋本正義

    説明員橋本正義君) 先ほど御説明いたしましたとおり、現在指定化学物質に指定されておりますが、さらに現在、製造数量等の報告を六月末現在いただきまして、それにつきまして八月末をもって官報に公表をいたしましたが、その数量をもとに環境中の残留濃度の計算を数量ごとに基づいてやっております。したがいまして、そのような結果をもとに、必要に応じまして有害性の調査の指示、さらにはその有害性調査の結果に基づきますが、場合によっては第二種特定化学物質としての指定というようなことも今後考えられるということでございます。
  42. 田渕勲二

    田渕勲二君 では、もう少し具体的に時間がありませんからなにしますけれども、化審法というのは第一種特定化学物質、それから第二種特定化学物質、そして指定化学物質、こうなっていて、トリクロロエチレンは指定化学物質になっているんですけれども、大体化審法に言う化学物質対策というのは生物の体内への蓄積性の高い低いによって区分されていますね、この化審法で指定された特定の化学物質というのは。しかし、人体曝露の経路は汚染された魚介類等を人が食べることだけでない。今回のトリクロロエチレン事件では有害物質が混入した飲料水を飲んだことによる人体への危険性の発生である。蓄積性は無関係である。  だから、トリクロ汚染を防止するには、単に指定物質の製造だとかそういうものを監視するだけじゃなくて、輸入であるとか使用であるとか、乙ういうものについて毒性がないことが本格的な試験で確認されるまではこういうものを使ってはいかぬ、また環境へ排出をしてはいけないんだ、こういうように、この化審法でできなければ、それにかわる何らかのものがなければならない。単に蓄積されたものだけによって、高蓄積、低蓄積によっていろいろ化学物質を特定するんじゃなくて、水というものを単に監視するんじゃなくて、それをやらせない、使わせない、こういうようにしていかなきゃならぬと思うのです。  それから、やはり環境中への排出規制をするためには行政立入調査権限を持つことが私は必要だと思うんですね。そうでなければなかなかそれは未然に防止することができない。ところが、そういう立入調査をするとなると、ハイテク産業ですからどうしても企業秘密だということでなかなか入れてくれない、これが今現在の実態になっていると思うんです。その壁を破って、今問題になっておるこういうトリクロロエチレン地下浸透を化審法の面からもどのように防止をするかということについて私は何らかの手だてが必要ではないかと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  43. 橋本正義

    説明員橋本正義君) 御指摘がございましたトリクロロエチレン調査につきましては、従来から暫定排水濃度目標というものの超過事業所に対する直接の改善指導を行ってきたところでございまして、我々といたしましては、今後とも問題の事業所があれば必要に応じて所要の調査指導を行っていきたいと考えております。
  44. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) 今通産省の方からいろいろお話がございました。私ども、通産省、厚生省ともどもトリクロロエチレン等々につきまして今取り組んでいるところです。  ただ、今申しました排水とか地下水質問題等々につきましては、これはやはり環境庁の責任が重いんじゃないかというふうに私ども自戒いたしておりまして、いろんな面でこれから検討していこうと。通産省あるいは厚生省ともども地下水質問題につきましてはやはり私どもも責任があるわけでございまして、先生指摘のような御心配いろいろございますので、そういうものも含めながらこれから十分検討していきたいというふうに考えている次第でございます。
  45. 田渕勲二

    田渕勲二君 時間が来てしまいましたので、この辺で締めくくらなければなりませんけれども、今岩崎局長が最後に言われたように、確かに水を所管する省庁が各用水ごとに非常に分かれておるわけですね。例えば工業用水は通産省がやるとか、農業用水は農水省、生活用水は厚生省、そのほか建設省、国土庁も重要な役割を持っておるんです。水なんというものはそんな色がついておるわけじゃなくて、こっちは通産省の方へ行く水だとか、こっちは農水省へ行くとかいうような、水なんというものはそんな各省庁ごとに分かれて流れているわけじゃないんですから、これはもう完全にやはり一元化されなきゃいけないと思うのです。  そういう意味で堀内長官に特に最後に一言お願いしたいんですけれども、総合行政という面からこの水というものをとらえないと、それぞれの省庁の縄張りでやっておってはいけない。今も局長がちょっとおっしゃったように、トリクロロエチレンというものについては、どこどこのだれがどうじゃなくて、一元的にやはり各省庁が協力して、総合行政としてこれをどうするか、どういう法律にするかということをやってもらわないといけないと思うんですね。そういう意味で、縦割り行政でなくて横のつながりをしっかり持ったトータルな総合行政施策、こういうものが私はぜひ望まれる、このように思うんですけれども、これに対するひとつ堀内長官の極めて前向きな発言をしていただいて、締めくくりにしたいと思います。
  46. 堀内俊夫

    ○国務大臣(堀内俊夫君) 先ほどの地下水汚染の問題は、環境庁公害を防止するというのが大きな柱ですからああいうふうな私は答弁をしておるんですけれども、この水総合という問題になると非常に難しい問題があるようであります。特に、例えば私ら農家の出身でありますと、いわゆる田んぼの所有者はその中の地下水というものは全部私有権に属すると。これはもう戦前からの大審院の判例にもあるわけなんで、そういう問題が一つございます。  また、表流水に関しては各省庁公共用水としての使い方もあると。そうしたら地下から表流水になる場合もあるし還元される場合もあるというような問題があるから、今委員のおっしゃっていることは非常に大きな問題だと思います。  ただ、私から、環境庁長官としてこれを調整することが適当であるかどうかということにも一つの問題があると思うんです。いわゆるこの問題の大もとから言ったらそういう必要があると私も思うんですが、省庁によってみんな立場が違う。これは調べてみると九省庁ぐらいのところでみんな違うものだから今おっしゃるように総合的なという御提案があるので、その御提案自体は私は評価しておるんですけれども、私自体が、いわゆる環境庁自体がこれを調整するということは非常に難しい問題だ、過去の経緯からいっても非常に難しい問題だというふうな認識で、委員がせっかく、こういう大問題を取り上げていただいたのに、適切に私が述べることは少し問題があるというような認識でございます。
  47. 田渕勲二

    田渕勲二君 そうおっしゃると一言言わなきゃならぬですが、確かにそういう省庁間のバランスがありまして長官も御苦心があろうかと思うんですけれども、しかし、それはもうそういう状況だからということにするんじゃなくて、やはり環境というのは、各省がありますけれども、今世界にとって環境ほど重要な施策はないと私は思うんです。これはもう我々の子孫に受け継いでいく、この地球をいかにきれいなものとして渡していくかという使命を持っているわけですから、環境というものをないがしろにしながら行政が進むなんていうことは考えられないわけです。そういう意味で私は、もう環境庁長官は総理、副総理格ぐらいの気持ちで環境という面から各省庁を束ねてもらう、また、そういう機能を持たせてもらうように与党の皆さん方の御協力も願いまして、ぜひともひとつ御努力をいただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。
  48. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 さきの委員会に引き続きまして、最初に白保のサンゴ礁の問題についてお伺いをいたします。  環境庁は十月十一日から十五日にわたって新奄美空港周辺の海域調査をした、こういうことでございますけれども環境庁がそういうところに出かけていって調査をするというのは、この件に関しては非常に長い経過を持っているだけに極めて異例のことであり、重大なことだというふうに私は受けとめているわけでございます。この調査をなぜやったのか、やった結果について今までわかっていることは一体何なのか、詳しい調査結果というものはいずれ公表されるのであろうというふうに思いますけれども、その点についてお伺いをします。
  49. 安原正

    政府委員安原正君) 今回新奄美空港周辺のサンゴ礁の調査をやったその目的は何かというお尋ねでございますが、新石垣空港建設計画につきまして、今環境アセスメントが沖縄県のレベルで行われているわけでございますが、このアセスメントの手続が終わりますと、その後公有水面埋立法に基づきまして国のレベルに上がってまいりまして、環境保全上の観点から環境庁長官の意見を求められるということになるわけでございますので、その際環境庁としまして適切な意見が言えるように、一つの基礎資料とすべく調査をしたものでございます。  調査をいたしました内容は、今も申しましたように新奄美空港周辺のサンゴ礁につきまして、その生息状況あるいは海水の濁り等の状況につきまして目で見まして確認をするということで環境庁の職員が直接実施したものでございます。  そういう目的で行ったものでございますので、その調査結果は公表するのかというお尋ねでございますが、現に沖縄県が今申しましたようにアセスメントを実施しておりまして、新奄美空港に係るサンゴへの影響につきましても参考とすべく沖縄県が独自で調査をしていただきたい、そしてその結果を評価書に盛り込むようこちらの方からもお願いをしているという事情にございますので、沖縄県の環境アセスの評価書の公表に先立って環境庁が事前に調査いたしましたが、それを公表するということは適当ではないというぐあいに考えているわけでございます。
  50. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そういたしますと、沖縄県が新奄美空港周辺の環境アセスメントを調査するということが前提でございますね。沖縄はやるのですか、そのことを環境庁はどうつかんでいらっしゃるか。もし沖縄が調査をしてそのアセスメントを公表した後、環境庁としてはそれを公表するということは考えていらっしゃるんですか。
  51. 安原正

    政府委員安原正君) 沖縄県が新奄美空港周辺のサンゴ礁の調査をするのかということでございますが、この点につきましては、やはり参考に比較検討していただきたいというのが私どもの見解でございまして、その点につきましては沖縄県当局に対しまして私ども考え方を説明いたしまして、それをお願い、要請しているということでございます。  したがいまして、沖縄県がそのことを十分踏まえまして必要な調査をやってくれるものと強く期待しているところでございます。確かに沖縄県と鹿児島県、他県にまたがるという事情がございますので、私どもとしましても沖縄県が円滑に調査ができますように鹿児島県とかあるいは関係省庁には協力を要請していきたい、これまでも要請はいたしておりますが、これからも必要に応じてお願いしたいというぐあいに考えているわけでございます。  それから、第二点のお尋ねでございますが、沖縄県がそういうことで何らかの形で盛り込みまして、それで評価書が仮に出たといたします。その後環境庁は結果をどうするのかというお尋ねかと存じますが、先ほど申しましたように、この調査の目的が環境庁長官の意見を求められた場合の基礎資料にするということでございますので、意見を述べるに当たりまして、その意見を裏づけするに必要であると考えられれば、それに必要な結果につきましては明らかにしていくことになろうかと考えております。
  52. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 新奄美空港の公有水面埋め立てに係る計画について「環境庁主要意見要旨」というのが私の手元にあります。一つは、「航空機による騒音公害について、未然防止を図ること。」、それからもう一つ、「埋立周辺海域におけるサンゴ生態系への影響について、監視を強化すること。」、これが建設大臣になされたというふうに思ってよろしゅうございますか。
  53. 安原正

    政府委員安原正君) 粕谷委員御指摘のとおりでございます。
  54. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そういたしますと、せっかく鹿児島までいらっしゃったんですから、県に対してはこの埋立周辺海域におけるサンゴ生態系への影響について監視がどのようになっているかということは調査していらっしゃいましたか。
  55. 安原正

    政府委員安原正君) その点につきましては、鹿児島県の監視状況を伺いまして、実際にも監視状況を直接担当官が見てまいっております。
  56. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それは白保の空港とは関係がないから、行ってきたことについてはこの委員会で御報告いただけますか、今監視体制はどうであったかという……。
  57. 安原正

    政府委員安原正君) 今御指摘の新奄美空港の埋立周辺海域におけるサンゴにつきましての監視のモニタリングポストと呼んでおりますが、その地点における状況でございますが、これはリーフの外にモニタリングポストが設定されておりまして、そこのサンゴの生息は確かに認められるということでございまして、おおむね鹿児島県の報告のとおりということでございます。
  58. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 その点については自然保護団体というのは非常に問題点を感じているわけでございまして、鹿児島県だけの意見を聞いて帰ってきたというのでは私は片手落ちではないか、こういう気持ちを持っているものでございます。  それで、先日も促進協議会の方から立派な、早くやってくれ、こういう要請書をいただいております。二度にわたっていらっしゃっているわけであります。こちらの方はもうサンゴ礁大丈夫だと、こういうふうに言っているんですね。自然保護団体はもう死滅していると。相反するわけですよ。どちらが正しいのかということは本当に行って調査をしてこなきゃわからないわけで、私は環境庁調査に大変期待をしているわけですけれども、公表しないというのはおかしい、国民の税金を使って行ってきているんですからきちんとやるべきだ、こういう考え方を持っていますが、いかがですか。
  59. 安原正

    政府委員安原正君) 新奄美周辺のサンゴ礁の状況によりましていろいろ御指摘があることを踏まえまして、私どもとしましても、直接担当者が実地に当たりまして状況を把握する必要があるということで行ったものでございます。  これを環境庁の意見を形成する過程で参考にしてまいりたいということでございますが、公表の点につきましては、御案内のとおりアセスメント手続というのはルールがございます。今まさに沖縄県が、県みずからがやっている最中でございまして、その仕上げの段階に確かに来ているわけでございますが、その前に参考とすべき新奄美空港のケースについて沖縄県が独自に調査しまして、その結果を評価書に盛り込んでいただきたいということを私たちは申しておるわけでございますので、その前の段階で確かに私ども事前に調査したことになりますが、その結果を今ここで公表するということは適当でないと考えておるわけでございます。御理解賜りたいと思います。
  60. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そうしますと、沖縄県が新奄美空港の調査をしないでアセスメントを出すというような場合は受け付けられないわけですね、環境庁としては。それはどういうことになりますか。調査をしなさいと指導しているんですけれども、新聞によりますれば、どうして沖縄県が他県の鹿児島県の海域を調査することができるかというような発言ども書いてありますので私は気にしているわけです。
  61. 安原正

    政府委員安原正君) 沖縄県の調査でございますので、沖縄県の判断で必要な対応を考えていただきたいということに尽きるわけでございます。確かに先ほど申しましたように他県にまたがっているという事情がございますので、そこのところがスムーズにいくように鹿児島県なりあるいは関係省庁に協力の要請をいたしておるところでございます。最終的に何とか調整がうまくつきまして必要な調査ができる、的確な判断が、必要な対応ができるように強く期待しているところでございます。
  62. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 なかなか明確におっしゃらないけれども、私はこういうふうに受け取りました。そういう調査が行われないで、そしてそのことが盛り込まれないで出されたものはこれは環境庁としては受け取るわけにはいかないんだ、こういうふうに理解をいたしました。ああだこうだ言っていらっしゃるけれども、私はそういうふうに思いました。  それで、石垣島の白保のサンゴ礁調査に行くんだということを表明していらっしゃるようですけれども、その目的、それから時期、これはいつごろになりますでしょうか。
  63. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 今お尋ねの件は石垣島の方のサンゴ礁に関する調査でございますが、これは先生今おっしゃいました白保という地点に限っての調査でありますよりは、白保を含めまして石垣島周辺のサンゴ礁についての調査というふうに考えております。これにつきましては、実は長官からの指示もございまして、先ほど企画調整局長が申しましたように、いずれ私どもは公有水面埋立法に基づきまして環境庁長官の意見を求められる立場にございます。その場合には、サンゴ礁の問題に限らず、あらゆる面につきまして科学的な知見に基づいて適切に対処する必要がある、あるいはそのためにいろんなデータを十分集めておくようにということは当然のことでございます。  また、大臣からの御指示もございましたので、その一つの要素として、つまり建設省に意見を申し上げます段階の、いろんな判断をします場合の土台になる資料を得るという意味で現在検討しているところでございまして、そう時期も長く将来というわけにいきませんので、できるだけ早い機会に実施できるようにいろんな細目を今検討しているところでございます。趣旨は、今申しましたように公有水面埋立法に基づく環境庁としての意見を申し上げる際の判断材料をあらかじめ得ておくという趣旨の調査でございます。
  64. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 事前に調査がなかったから後ででき上がってからよくわからないなどということがないように、きちんと私は調査をしてくるべきであろうというふうに思います。  今、手元に「「北半球最大にして最古」といわれる白保の海のアオサンゴ群落。」というので、「ポールI附近で」とか、あるいは「ポールI〜II附近にて。」とかという、こういう写真が出ているわけです。実にすばらしいサンゴになっているわけですね。こういうサンゴが本当に絶滅をするということについて私たちは耐えられないという気持ちがするわけです。  先日、山内局長に対して送られたというお手紙が私のところにも届きました。外務省にちょっと翻訳をしてもらったんですけれども局長のこの参議院環境特別委員会における答弁が私の注意を引きつけました。貴殿が行った御親切なコメントに感謝いたします、こういう文章があるわけであります。そして、局長答弁のように、確かに我々は学位は出しておりませんし、職員の多くは研究機関に籍を置いていません。しかしながら、職員の多くは大学の学士以上の教育を受けて研究者との交流で科学的な信用を得ております云々と、こうあるわけですね。どうもこれを見ますと、単に御親切なコメントに感謝いたしておりますなんというものではない、もっときちっとIUCNを見てほしいという気持ちが入っているのではないかと思いますが、環境庁はどのようにお考えになりますか。
  65. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 確かに、これはマーティン・ホルゲート事務局長からのお手紙だったと思いますが、私も今のくだりのところはどういう御趣旨の御親切なという意味かはよく吟味しながら読んだつもりでございますが、たしかこの委員会だったと思いますが、先生からの御指摘で、IUCNといいますか、あるいはIUCNのリポートの性格についてのお尋ねの際に、これを全く学術団体のレポートと見ていいかどうかという観点から御答弁したことについて、やや私の説明の仕方に今引用なさいましたようなIUCNがいろんな学術者の協力を得ながら作業をやっていることの理解が薄いのではないかという御指摘で手紙をいただいたものと思っております。  これは私も国会議事録を精査してみたんですが、あのレポート自体が実はIUCNの中の「種の保存委員会」のメンバーだけのレポートではなくて、日本人を含むいろんな学者のレポートを集成したものである、そういった意味からもあのレポート自体を学術論文として取り上げることはどうかなというふうに申し上げたわけでございますが、その内容がいろんな知見を含んでいるという意味では私どもとしても十分いろんな資料の中の一つとして評価すべき、あるいは参考にすべきものであることは御答弁の際にも、あるいは今現在でも同じように考えております。
  66. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 ここは大変なネットワークを持っていて、それぞれの専門家がすばらしい協力をしてそして結論を出しているんだということでありますので、環境庁が行う、あるいは行った、行うのはこれから白保ですね、行ったのは奄美ですね。その調査というものが国際的なこういう諸団体の指摘にたえ得るものでなければならない。目で見てきましたなんてそんなことではいけないというふうに思うのですが、どうでしょう。
  67. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 奄美の調査につきましては、これはむしろ私から申し上げるのは不適切と思いますが、これはあくまで奄美新空港という環境影響調査をした実例に関する調査でございますから、もちろん科学的な内容、高さがなければいかぬことは事実でございますが、これはまたその角度からの適切さということも問題だろうと思います。  それからもう一つ、私が答弁に立ちました石垣島のサンゴに関する調査でございますが、これは少しお断りしなきゃいけないのは、先ほど注意深く言いましたように、実はいろんなデータ、知見はかなりございます、正直に申しまして。その中には事業者としての沖縄県当局が相当な時間と経費をかけて調査した石垣島のサンゴに関する調査もあるわけでございますが、私どもが直接石垣島の周辺海域の調査といいましても、時間的な制約あるいは費用の裏づけの制約もございますので、私どもは、先ほど申しましたように、いろんなデータ、いろんな知見を、我々なりに判断をする際にある種のポイントと申しますか、基礎的な判断はじかに自分たちが知っておかなきゃいけない、そういう角度から調査をすべきだと思っております。その意味では決して調査の中身は簡単なものでいいというわけじゃございませんが、何か私どもが今考えております石垣島の調査が、どう申しましょうか、先ほど言いました意味での学術論文の一編をなすようなものになるということは、やはり行政上の調査としては限界もございますし、それから、今私が重ねて申しましたように、この調査をする目的から言いましても、そこまで私どもはここでお約束するような正確な調査考えているわけではございません。
  68. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 しかし、それでは私は、竹下総理が環境問題を大事にしていかなきゃならないんだと世界に演説をなさった、そういう日本の国としてはちょっと残念な態度だというふうに思うわけであります。科学的な信頼性と専門的な完成度に疑問を持っているよと指摘をされているんですから、そういうものにきちんと答えられるような調査をやるべきであるということを意見として申し上げておきます。  それでもう一つ、長官のお考えを伺いたいわけですけれども、十月の二十五日発行のエコノミスト、これで石原運輸大臣がいろいろお話ししているわけです。リニアモーターカーについてのお話なんです。その最後にこの石垣空港について質問をされているわけですね。速記でありませんから、その辺のところは別といたしまして、石垣の新空港については、「いまの空港を拡張すれば済むはずだ。そうすると補償にカネがかかる。県や市は、それが嫌だから白保に計画を立てたのじゃないの。」こういうことを言っていらっしゃいます。サンゴ礁のある白保に新しい空港をつくらなくても済むのかという質問に対してもこういうことを言っていらっしゃる。「八重山は僕は好きで何回も行ったが、あんなに美しいサンゴ礁はなかった。竜宮伝説はここだなと思う。」とか、「海へ行ってみると、全部サンゴ礁は死んで、いるのはウミヘビだけ。その海をプールから眺めているのが沖縄の観光なのかね。」、こういう指摘までしていらっしゃるんですね。「沖縄なんかに行っても海が全然駄目だといって、みんなパラオとかほかへ行きますよ。」などということも答えていらっしゃるわけです。  長官に、この白保のサンゴ礁について環境庁の職員が調査に行くということは一体どういう意味を持つのかというそのお考えを伺いたいと思っております。それとあわせて、ぜひ空港を建設してもらいたいという方々が行かれたときに長官が、ハマサンゴのいわゆる小環礁が気になると、こんなお話をされたというのでありますけれども、それは御記憶にありますでしょうか。
  69. 堀内俊夫

    ○国務大臣(堀内俊夫君) 二つを御質問でございますが、さきにハマサンゴが気になると地元から来られたときに言っておりましたのは、あそこにも珍しいサンゴの分布があるようですね、現在空港の予定地には。そういうことを専門家の意見として私は小耳に挟んでおったものですから、ただアオサンゴ、アオサンゴと、アオサンゴを守ろうというのはもう全部定説になっていますね、今現在。いわゆる空港をつくった場合に影響があるかないかの議論はあるけれども、アオサンゴはもうつぶしてもいいんだとか、そういう意見はもうほとんど今ない状態でございます。  ただ、ハマサンゴの分布に相当貴重なものがあるというような知見が出てまいったんですよ、あっちこっち。それが気になるものだから、そのこともあなた方十分調べているのかと。ほかにもたくさんそういうのがあってそれは貴重なものだという価値が、相対的に言うと、もうそんなもの、沖縄みたいに全部サンゴ礁がいっぱいあるんだからどこにでもある問題だということの一つになるのか。そこにあるものは、もうそれしかないという生態系に属するのか。それがちょっと私は気になるということで、地元の方はもう子供のときからサンゴと一緒に暮らしておるので、私は東京におる、あるいは奈良におったらサンゴみたいなもの見たことない。サンゴの頭といったら桃太郎が宝物かついで帰るときに赤い絵にかいてある知識しかないわけですから。それで東京の議論というのは、皆そういう議論やっていますが、沖縄の人はそれがもうしょっちゅうだから、そんなのは当たり前で、何がアオサンゴが珍しいんだとか、そんなもの沖縄には、いっぱいあるじゃないかと。我々が空港をつくろうといったら、これは貴重なものだとわいわい言って、みんな寄ってつぶすんじゃないかという感じを持っておるのですね、話を聞いてみると。  僕は、余りこれは対立させるのはよくないですよという意味だったんです。みんな真剣になって守るべきものは守ろうと、これはあなた方だってそうでしょうと、だから対立した意見じゃないですよという中にそういうことが一つも出てこない。言ったらもうそんなものようけあるで、ともう一口に言ってしまいますからね。ようけあるのかないのか、私は客観的にわからぬのだから、もうちょっとそれを客観的に言えるようにしてもらったらありがたいんだがなということで、今、局長はこういう答え方をしておるけれども、資料を見たらいっぱいあるんですよ、もうこれ。いろいろなIUCNの資料もある。沖縄県も長い間かけて専門的にやった資料、いっぱいあるんです。だから遠慮がちに言っておるだけで、それが実際確実かどうかということを調べたいためにやっておるわけですから、あれちょっと私は全部見てこいと、奄美も問題になるなら見てこいというふうに私は指示したけれども、これは早いころに指示しておる。先ほど来の答弁の中にも、沖縄にもそれを言えということはもう早くから指示しておるんですよ、こっちは言ってないだけで。そしてうちの方もやれというのはもうずっと置いてから言っておるんですよ、前後調べ方になっておるわけですけれども。  そういう意味で、私どもは非常に重大な関心を持っているんだという意味の気持ちをみんなにわかってもらうと。そして環境庁が建設省に言うべきときがあるわけですから、そのときには最高の、先ほどあなたがいろいろおっしゃっておるような本当の知見、だれもが納得するような科学的知見のもとの判断をしなきゃならぬという意味を込めておるわけなんです。  石原さんの話が出ておって、あれ私も読みました。「野蛮な」なんだとかいうような大きいゴシックもあるので目にとまったから読みましたけれども、これは重要なことをあの人は言っておるんですね。あの人は理境庁長官をやっておったからそういうことがわかっておる。環境庁というのはオールマイティーじゃないということをあの人は知っておるわけですね。だから今の制度の仕組みのひとつ話をしておるわけです。制度の上からいって、例えばあそこが自然公園であり国立公園であったらあんな計画なんかしないわけでしょう。いわゆる国立公園、日本は世界で一番多く制限しておるわけなんです。一四%までいわゆる国立自然公園、国定公園とあるわけでしょう。ところがあの地域は無指定地域なんです。そういうような問題がある。また、あそこのサンゴ群という分布の問題もいろいろ知見はあるんでしょうけれども、これは東京での話、沖縄の人はもう根本的に感覚が違うわけなんです。  今、先生がおっしゃっておることはよく私はわかるし、またそういうものでなければ環境庁の意味ないぞと言われることもよくわかる。ところが一方、言ったら皆ごっちゃになっておるけれども、今の環境行政の仕組みというものはそういうところにないわけで、今極端に言うと公有水面埋立法によってのみ環境庁の出る場があるというような仕組みの中で、世間の人たちは環境庁さえしっかりすれば自然環境保全できるんだ、こう皆思ってくれているわけだ。そういう中にあって、私は科学的知見を行政の仕組みの中で最大限生かす方法はどうかと。心の中に何か物を持っておって何ぼいいことを言うても、それを言うために、ために言うているというふうになりますね。ところが、環境庁はそういうことはないんだからしっかりした科学的知見を出せという意味を言っておると御理解いただきたいと思います。
  70. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 各局長が遠慮がちにお話をされたということも十分承知しながら、環境庁の出る幕がない部分と出てやれる部分とあるということも十分承知しながら、それでもやっぱり理想に向かって努力をしていただきたい、こういうお願いでございます。  では、ちょっと時間をとり過ぎてしまったので次に、先ほど田渕理事の方から水についての質問がありましたけれども、私もゴルフ場の開発と水の汚染の問題について質問いたします。  最初に、奈良県の山添村でゴルフ場についての反対運動が住民から起きた、こういうことが私の耳に入っておりますけれども環境庁はこの問題をどういうふうにつかんでおりますか。
  71. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) 御指摘の奈良県山添村に係りますゴルフ場の問題でありますが、同村におきまして、既設のものに加えて、地域振興を図るという観点から新たに三カ所造成ないし計画中である。この計画に対しまして、災害が起こるのではないか、あるいは使用農薬が流出するのではないか等々の懸念から反対運動が起こったというふうに聞いております。
  72. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大変簡単な御説明をいただいたわけですけれども、村民の六割は十三カ所に点在をする簡易水道を利用しているわけですね。上流にゴルフ場ができれば山の保水力が落ちてそして水がれがする、あるいは農薬や肥料によって汚染の直撃を受ける。実際ゴルフ場ができて以来簡易水道ろ過池に藻類が冬でも異常繁殖するようになった。水中の栄養分が高くなったためではないか、こういうふうに住民の人たちは見ているわけです。  さらに、最近簡易水道として使っている取水口近くのゴルフ場近くの川から微量ながらEPNが検出されて大問題になっている。EPNは御存じのように有機燐系の農薬の殺虫剤で、水道法では飲料水中に検出されてはならないという物質の一つだというふうに思っているわけですが、このゴルフ場における農薬使用が公共用水や地下水などにどういう影響を与えているのか、こんな実情を把握のために環境庁調査をする、そういうお考えはございませんでしょうか。
  73. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) ゴルフ場の農薬問題につきましていろいろ御指摘のあったところでございます。  私ども、この問題につきましても関心を持つところでございまして、その内容等につきまして各部道府県から実態を把握したいということで、各都道府県に対して必要に応じて実態を把握して、把握した段階で私どもにお知らせ願いたいというような形で御依頼申し上げている段階でございます。
  74. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 まだ統計ができていない、こういう段階になっているんですか。
  75. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) 使用実態、使用実態というのか、ゴルフ場での農薬の汚染状況等々につきまして、各都道府県におきまして必要に応じてその実態を把握してもらって、その結果が判明次第こちらにお知らせ願いたいということで御依頼申し上げているという段階でございます。
  76. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 奈良県のゴルフ場立地の総量規制の、県は一%、市町村は四%という原則はほかの都道府県の総量規制の現状と比較してどういうレベルにございますか。  さらに、この比率に対する環境庁の見解などというものがありますか。
  77. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) 私どもの立場からいたしますと、環境問題ということの観点からいろいろ関心を持って実態等々の把握に努めたいということでございますが、基本的には、ゴルフ場の問題というのはやはり地域での問題だということでございまして、ただいまのようなことにつきまして私ども特に調べているということはございません。
  78. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 山添村の当局は住民がそういうふうに反対運動を起こしているということに注目をいたしまして、村民の反対があれば造成は不可能だ、こういうふうに述べている記事も私どもは目にしているわけですが、大体市町村面積の一〇%近くになるようなゴルフ場の建設というのは、自然保護自然環境保護の上で問題はないでしょうか。環境庁ゴルフ場立地に対する基本的なものは、市町村任せだ自治体任せだなどと言わないで、一つは出しておいた方がいいのじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
  79. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) この問題は実は私ども自然保護局としてもゴルフ場についてそう厳密な意味での実態を把握している立場でございませんが、ただ、今先生の御指摘の中に、都道府県自治体任せと言わずにという点、お言葉を返すようでございますけれども、私ども内部で検討しました今の段階の感触としましては、やはり特に今例示に挙げられました面積なりあるいは個所数で制限するかしないかといったあたりは、やはり都道府県なり場合によっては市町村におけるいろんな取り扱いに、御判断にお任せするのが至当ではないかという考えをとっております。  細かく申し上げれば、そういった単に量の規制だけではなくて、例えば緑の確保率とか樹林帯の確保などについてかなり細かい技術指針を設けてある条例あるいは要綱の例も承知しておりますので、それはやはりそれなりに都道府県ごとに、場合によっては都道府県の中でもある地域によってはそれを重く運用し、それを広げていくところもございますので、その点何か方針はないか、あるいは方針を持つべきではないかという意味でございますれば、私の段階で検討している結果としてはやはりそれは都道府県なり自治体の規制にお任せしてもしかるべきものではないかというふうに考えております。
  80. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 農水省はことしの六月八日、ゴルフ場建設を目的とする農地転用許可の取り扱い、これを出して規制を緩和しておりますね。この緩和以来大変なゴルフ場ラッシュになっているわけです。ゴルフ場がふえるということは私どもは賛成をするわけですけれども、しかし、それがふえ過ぎて住民に大変な恐怖感を与えるような状況がつくられるということについては大変な問題があるというふうに思いますが、なぜこういうふうな規制を外したのかということをお伺いします。
  81. 山本徹

    説明員(山本徹君) 先生指摘ゴルフ場の転用許可基準の緩和の件でございますが、現在私どもは農地法でゴルフ場建設を目的とする農地転用の許可の取り扱いにつきましては、農業以外の土地利用との調整を図りながら優良農地を確保するという観点から転用許可制度を運用いたしております。  今回六月の規制緩和措置といいますのは、近年における余暇の拡大とか余暇利用の多様化に伴ってゴルフが普及いたしまして、また、これと同時に農村における雇用機会を拡大し、農村地域の活性化に資する面があるというような事情から今回の措置をとったわけでございますが、転用許可の対象といたしますゴルフ場の要件としては、第一に、極力農地を避けてゴルフ場計画されており、計画地が主として農地以外の土地であること。二番目には、含まれる農地につきましては計画地に介在またはかん入しているためにこれを除外することが困難な農地であるとか、今後とも農地としての効率的な利用が見込まれない農地に限られる場合である。三番目には、地元関係者においてゴルフ場建設をめぐって紛争がないことというような要件を設定しているところでございます。  このように、今回の措置国民の余暇の有効活用あるいは農村地域の活性化という要請に対応したゴルフ場建設が容易になるという面を配慮しながら、ゴルフ場が無秩序に建設ラッシュと言われるような状態で建設されることのないように、優良な農地が確保されるようにということを配慮しながらこの措置を講じたところでございまして、まだ六月からの短期間ではございますけれども、私どもの農地転用の申請案件として上がっている件数を見る限り、大変なゴルフ場の農地転用案件の増加が認められるという事態にはないと考えております。
  82. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そんなに大変なことないと言われましても、場所によっては大変なことだからいろいろと住民が騒いでいるわけです。  具体的に言いますれば、埼玉県の飯能市、鳩山町あるいは小川町、こういう地域住民は複数のゴルフ場及びゴルフ場建設予定地に囲まれてそして盆地に生活をしている、あるいは自分の子供たちが学校に行っている、自分たちはそこから飲み水を取らなければならない、あるいは大気汚染大変なんだということでいろいろな運動を起こしているわけです。  環境庁はこういう実態を御存じだというふうに思いますが、その中で小川町の住民ゴルフ場の建設業者との間で環境保全協定を結んだ、こういうことを御存じでしょうか。
  83. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) 知っております。
  84. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それじゃ、その結んだ内容とその内容についての環境庁のコメントというものがありましたら御報告ください。
  85. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) 本協定はゴルフ場の開発に当たりまして、周辺の農薬等の環境汚染を懸念します地元住民環境汚染未然に防止したいという開発者の立場から当事者間の問題として結ばれたというふうに理解している次第でございます。協定自体は当事者間の問題ではありますが、当事者相互に環境保全に配慮していきたいという趣旨につきまして意義があることというふうに考えております。
  86. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 確かに、使用する農薬の種類や量などを公開しなさい、あるいは大気、水質及び土壌の定期の測定分析調査実施しなさい、それから汚染が起きたときの薬剤散布の中止や補償などが盛り込まれていて、私は大変評価をするものでございます。  先ほどもお昼休みに飯能のお母さんたちがやってこられまして、この地図をあれして、(資料を示す)自分たちのいるところ、そして今あるゴルフ場、これから建設されるところ、見ると本当にその真ん中にいるんですね。もう農薬をまかれたら大変だ、こう思っているわけですよ。本当は時間があれば農薬について一つ一つやりたかったわけですけれども、時間がありませんからその点についてはまた後日に譲るといたしまして、こういう協定というのは、これまで企業秘密として明らかにされてこなかった薬剤の使用状況、すなわち、薬の種類、散布の方法、月別の使用量、散布の業者あるいは薬剤納入者を住民側に提出して、こういうデータの公開を義務づけた、これは非常に高く評価をするんですが、長官、こういうのをいかがお考えですか。
  87. 堀内俊夫

    ○国務大臣(堀内俊夫君) 環境庁がこの問題にかかわるという範囲の問題が非常にあるので、私もこの問題を思うに、ゴルフ場をつくるんだったらいわゆる水の流れるところに浄化槽でもつくったらどうか、そして他に及ぼす影響がないようにしたらどうかというようなことを、この山添村の問題が起きたときに私は関係者を集めて、何かそういう指導方法がないのかなというようなことを聞いたわけです。しかし、農薬問題になると、農薬についてのいわゆる基準環境庁がつくるけれども、これに対する施行とかいろんな問題というのは農林省側にあるし、また、ゴルフ場どうこうというのは通産省側にあるし、実際運営しているのは地方自治体の、極端に言ったら県庁の企画課で大概やっているというような管理体系でございますから、環境庁は、自然環境保全という意味からいうと、国立公園あるいはそれに類する自然公園にかかわる問題であれば環境庁の出番というのか、いわゆるそういう場合が出てくるわけですが、非常にこれは複雑で、各省庁に関係があって、環境庁がしなければならない仕事の範囲というのは一体何だろうかということで、実は私自身もっとはっきりした、これを環境庁指導しなきゃならぬ方向あるいは仕組みがあれば積極的にこの問題と取り組みたいというふうな気持ちでございます。
  88. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 先ほど申し上げました本協定で問題だなと私が思いましたのは、ゴルフ場の農薬が原因であると推定される環境汚染発生の場合に、農薬散布の中止、その対策、補償、こういうものは盛り込まれている、これはよろしいんですけれども、何をもって環境汚染とするかというのが明らかでないわけであります。現在、当該地域の地形や環境に即応した農薬に係る環境基準、例えば土壌、水質、大気等の汚染を含みますが、こういうものはないわけであります。  農水省や環境庁は、単に口先で抽象的にこういう協定は評価するなどということにとどまらないで、これらの地域特性に即応した環境基準づくりに積極的に手助けをすべきであろう、こういうふうに思っているわけであります。そういうことがせっかく業者と住民との間に結ばれた協定書というものを生かす道になるのではないかと思いますが、環境庁はいかがお考えですか。
  89. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) 環境保全協定の関係で、これにつきましていろいろ推進すべきではないかということではなかろうかというふうに思っておりますが、ただ、私ども環境庁といたしましては、確かに地域のそういうことで独自に当事者の間で結ばれます環境保全協定等につきましては評価するものというか、意義あるものというふうに考えておりますが、ただ、これはやはり当事者間の独自のものでありまして、これらにつきましては全体として環境問題として私ども十分そういうような知見等々も集めておるところでございまして、そういうものの中でこれから情報提供等にも努めてまいりたいというふうに考えております。
  90. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 情報提供を受けながら環境庁としての物の考え方というものを早く明らかにしてほしい、こういうことを思いながら、時間がありませんので私の質問をここで終わります。
  91. 広中和歌子

    広中和歌子君 石垣島新空港建設計画をめぐりまして、埋立予定地の白保のアオサンゴへの影響への関心が国内だけではなく国外からも高まっております。自然保護の視点から以下質問させていただきます。  IUCN、国際自然保護連合という団体がございますけれども、これは一九四八年に設立され、スイスに本部があるわけでございます。我が国も昭和五十三年これに加盟しております。この連合の役割、そのほかさまざまな助言、そうしたものを環境庁はどのように評価していらっしゃるでしょうか。
  92. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 今先生指摘のように、IUCNは戦後に設置された自然保護団体でございますが、構成員はたしか六百近い団体から成っておりまして、国によりましては国家そのものが会員となったところもございますが、日本の場合は、実は環境庁がメンバーではございますけれども、国家としての加入ではなく国内の民間団体とともに加入しているということでございます。私は、官民が一緒に入った自然保護団体であるというふうに申し上げてよいかと思うのでございますが、この連合の役割は、むしろいろんな地域、場合によっては世界にまたがる環境問題についてみずから調査をしたり、あるいはみずから提言をしたりして世界各国における自然環境保全についてエンカレッジをしていくという英語を使ってあったと思うのでございますが、そういうことを進めていく団体と理解しております。  今回のコスタリカでの会議でも百を超える決議、提言がなされたようでございまして、これまでも幾つかの問題について提言、助言が出ておりますので、もちろん一概にこれをどう評価する、しないというものじゃございませんが、それぞれの内容に応じて各政府に対する助言であったり各地域の問題に対する助言であったりしているわけでございますので、一般的には国際的な横のつながりを持った自然保護団体の助言であり提案であるとして評価すべきものと考えております。
  93. 広中和歌子

    広中和歌子君 このIUCNは本年二月第十七回総会を開催いたしまして、白保リーフに関する決議を全会一致で採択した、そのように聞いておりますけれども、その出席者の中に環境庁は含まれているのでございましょうか。そしてまた採択された決議内容についてお伺いいたします。
  94. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 今申しましたように、環境庁もメンバーの一人でございますし、今回の大会にも私どもから担当の課長が出席しております。  この白保のサンゴ礁をめぐるいわゆる総会席上での決議の際には、実は日本政府においてこの問題にどういう手続で臨んでいるかを出席者からコメントさせていただいたわけでございますが、別にこれは出席者の賛否を問うという形の決議ではございませんでしたので、別に日本政府から出席した者が留保をしたという意味じゃございませんが、そういうコメントは総会でさせていただいております。  内容でございますが、これは私どもにも総会の後に文書で送られておりますが、大きくは三つの内容を盛り込んでおりまして、一つは白保サンゴ礁における空港計画について再考できないか、リコンシダーするように日本政府に勧めるということが一つでございます。それからもう一つは、それとも絡むのでございますが、非常に全体としてダイナミックな生態系を示している白保サンゴ礁について政府としてできるだけ強い保護政策を持って臨めないだろうかという提言でございます。それから三番目に、そういうことにも関係しまして、何か日本政府でこの白保を中心とするサンゴ礁についてもっと研究とか管理の面の体制を強化できないかということでございます。その冒頭には、実はIUCNの調査チームが昭和六十二年二度にわたって都合一週間ずつぐらいの調査で現地に来たときに、日本政府もいろいろ協力してくれたことに対して感謝の意を表するという丁寧な内容もついております。それを含めますと四点についての御提言でございます。
  95. 広中和歌子

    広中和歌子君 特に、今もお話にございましたように、この十七回総会の決議を受ける前に報告書があり、それは四人の科学者、専門家が三カ月にわたってこの周辺を実際に潜って調査をしたというようなことを伺っているわけでございますけれども、このような勧告、決議、そうしたものに立ちまして環境庁としては自然保護の立場から独自の調査を行うといったような御意思を持たれたのか、そのことについてお伺いいたします。
  96. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 今先生お話しの中で、総会に先立って報告書がというふうにおつしゃったかと思いますが、実は、これは総会の時点までにはIUCNの先ほど御答弁いたしました「種の保存委員会」のレポートがどうしてもまとまりませんで、私ども総会の席上で配られるのかと思って出席者から入手するように努めたのでございますが、必ずしも総会の時点ではレポートはまとまっておりませんで、先ほど御引用いたしました報告書は総会の決議の後に私どもにも送られてきたわけでございます。  それから、国際的なチームの調査について必ずしも私ども全面的につまびらかではございませんが、国際的な調査団が三カ月にわたってというのは、現地の調査は先ほど言いましたように二回に分けて何人かの方が数日ずつおいでになったというふうに理解しておるのでございますが、その点はいずれにしましても、その結果ページ数にしまして英文で二百ページばかりのレポートがまとまっておるのは事実でございます。  お尋ねの点は、そういうものを私どもが受けて日本政府として自然環境調査をするかしないかという点、今私が申しました決議の中の一つに、今後日本もサンゴ礁問題についてもっと研究体制を強化すべきではないかという点に対する対応という意味であれば、私どもはいろいろな環境基礎調査の中に今後ともサンゴ礁の問題も織り込みながら対応するという意味では御答弁できるのでございますが、何かこのレポートに直接答えるためにレポートで指摘したことを一々点検するということは今のところは考えていないわけでございます。
  97. 広中和歌子

    広中和歌子君 ということは、環境庁としては白保のアオサンゴの価値についてどのように認識していらっしゃるのでしょうか、お立場をお伺いいたします。
  98. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 白保のサンゴ礁に特異的に見られますアオサンゴにつきましては、実は今申しましたIUCNのレポートでも、今まで報告されている中では世界で最大と言ってもいいんじゃないか。また古さから言っても一番古いと言っていいのではないかという点も御指摘になっておりますし、この点は実はIUCNが報告書を出される以前から、昨年夏までの時点でも、現地の関係者の間でも、このアオサンゴの特異的な姿については意見が高かったわけでございます。  したがいまして、何度か御説明しているつもりでございますが、昨年の時点で原案が二千五百メートルであった空港計画をそのような状況を踏まえて沖縄県知事自身の御判断で五百メートル縮小するという結論を出された。それも実はこのアオサンゴに対する影響をできるだけ避ける、どうしても空港予定地からの距離がやはり問題になるということで縮小したわけでございますから、何と申しますか、アオサンゴの大事な点につきましては、私どものみならず、この県の関係者の間で認識はかなり一致している。その点をIUCNの報告書も改めて文書の上で報告されたというふうに理解しておりますから、アオサンゴにつきましてはそのとおり私どもも認識すべきものと考えております。
  99. 広中和歌子

    広中和歌子君 環境庁といたしましては、沖縄県の行ったか、または行っている新石垣空港建設に関する環境影響評価準備書作成、これにどのような形で関与していらっしゃいますか。
  100. 安原正

    政府委員安原正君) 沖縄県自身が環境アセスメントをやっている過程でそれまでの調査結果をまとめまして準備書ということにしておるわけでございまして、これは沖縄県独自に行っているものでございます。その過程でいろいろな調査の手法とか予測の手法とか、技術的な点につきましていろいろ照会がございました場合にはそれに対して適切なアドバイスをするということで対応してまいっております。
  101. 広中和歌子

    広中和歌子君 これまでどのようなアドバイスをなさいましたか。
  102. 安原正

    政府委員安原正君) 準備書面につきましてでございましたならば、今申しましたように、技術的な点についてのアドバイスにとどまっているということでございます。
  103. 広中和歌子

    広中和歌子君 この石垣島新空港建設についての環境アセスでは、新奄美空港建設を参考にすべきだという意見が生まれ、その結果新奄美空港周辺海域の調査環境庁が行ったというふうに伺っておりますけれども、十月に環境庁が行ったその調査の目的は何なんでございましょうか。
  104. 安原正

    政府委員安原正君) その点につきましては先ほどもお答えしたとおりでございまして、現在は沖縄県がアセスメントの手続をやっているところでございますが、これが評価書という形でまとまりました場合に、その後、公有水面埋立法に基づく手続に入ってまいりますので、その過程で建設大臣の方から環境庁長官の方に環境保全観点からの意見を求められるという運びになるわけでございまして、その際に適切な意見が述べられるように一つの基礎資料として新奄美空港周辺のサンゴ礁の状況等につきまして調査をしたわけでございます。
  105. 広中和歌子

    広中和歌子君 石垣島新空港、この計画が実現されますときには奄美新空港と同じ工法がとられるのでございましょうか。
  106. 安原正

    政府委員安原正君) 新奄美空港につきましては、御承知のとおり海岸がございまして、そこにサンゴ礁のリーフがあると、そこを埋め立てまして二千メートルの空港をつくったということでございますので、地形等の点で類似した面があるということでございまして、参考になるということが言われておるわけでございます。そこで、私どもとしましても、その点につきまして必要な事項につきまして調査をしたということでございます。  工法につきましては、今アセスの過程でもどういう工法をとるのが最も環境保全の見地からいいのかということで、沖縄県自身が検討しておるということでございます。
  107. 広中和歌子

    広中和歌子君 先ほどその結果を発表していただきたいという同僚議員の質問に対しまして、できないといったようなお答えがあったわけですけれども、ともかく奄美大島空港周辺のサンゴは死滅したといった説も流れておりまして、そういう中で独自の調査の結果を一日も早く発表なさるということは大変よろしいことではないかと思うのでございますけれども環境庁長官いかがでございますか。
  108. 安原正

    政府委員安原正君) 調査結果についてできるだけ早く公表するようにという御指摘でございますが、先ほども申し上げたところでございますが、環境アセスメントというのは一定のルールに従いまして必要な事項をずっと積み重ねながら進んでいくということになりますので、今現在の段階は沖縄県自身がアセスメントをやっているということで、そのアセスメントの過程で参考になると考えられる新奄美空港についての比較検討をやっていただきたいと、その結果を評価書の中に盛り込んでいただきたいということを環境庁としまして要請している、そのことを強く期待しているという状況にございますので、その評価書の出る前の段階で環境庁調査結果について公表するということは適切でないという具合に考えているわけでございます。御理解願いたいと思います。
  109. 広中和歌子

    広中和歌子君 事業者環境アセスメントをすると、そういう手続が存在することは存じておりますけれども環境庁、また環境庁長官として独自に自然保護の視点からさまざまなことができるということが環境庁設置法の中で述べられているのではないかと思います。環境庁としては自然保護の視点から独自の発言ができる、これは第三条に書いてありますし、長官としても必要あると思うときは各省庁に資料を求め、かつ勧告できる、これは第五条でございます。そのような強い権限と同時に義務を負っていられるはずだと私は思うわけでございますけれども、自然保護という独自の立場からなぜもっと強力な指導力というものを発揮していただけないのか、そういうことをお伺いいたします。
  110. 堀内俊夫

    ○国務大臣(堀内俊夫君) ちょうどことしの二月ごろでしたか、先ほど来おっしゃっているIUCNの決議が私の手元へ参りました。その段階で、国会でもちょうど衆議院で予算委員会があったので、私は世界じゅうの人たちが重要な関心を持っているというように受けとめているというような意味の答えをいたしまして、直ちに、自分は行政庁の長でこざいますから私の方の役所の関係者を呼びまして、IUCNの言っている調査をやるか、またあるいはここに法の規制の網をかけるか、そういうことを要望している四項目、先ほど言っておった問題について、私は、どうだということで意見を聞きました。  実際、沖縄県にはいわゆる国立公園もございます。この国立公園の中にはもっと重要なというか、その当時決めた時分には一番重要なサンゴ礁があったわけなんですが、現在オニヒドデに食われていってだんだんと少なくなっているような状況も聞きます。それじゃいわゆる石垣島を全部法の網で規制できるのか、いわゆる国立公園として規制したらこんなもの何も問題なくなるんだからということも調べましたけれども、これはとてもできるような状態じゃない。なぜかというと、これはいろいろ意味がある。環境庁がこれは大事なんだから法の網をかけると言ってすぐにできるような手続じゃないんです、現在。あらゆる国立公園、これ今二十八番目を向こうの北海道の方でも決めたけれども、あれとても地元から重要なところだから大事にしてほしいと何遍も言われて、いろんな県との交渉、地元との交渉をいろいろ重ねた上で決めておるんですね。なかなか国立公園を決める手続というのは難しい、そういう状況ではこれは決められる状態じゃないという知見もあります。  また、それならIUCNが、アオサンゴというものが非常に重要で、いわゆる五世紀ごろからできた、千五百年もたっておるので、これはもう世界には例がないんだと。それならこのような問題を文化財的なものに、あるいは特別記念物に指定する方法はないのかと。これは私どもの役所じゃないけれども調整やってみたらどうかということも、これも実際は指示しました。そしていろいろ調整をやったけれども、アオサンゴというのはいっぱいあるわけですね、沖縄県のあっちこっちにいっぱいある。これだけを天然記念物あるいは特別天然記念物に指定するのは非常に手続上難しいというようないろんなことを、私なりにできる問題、IUCNのあの決議に答えられる方法が具体的に法律上できるものか、またする方法があるのか、検討は何回もしておるんです。現状においてはそれはできない。  あそこは無指定地域なんです。だから沖縄県自体が、あるいは石垣島のあそこの住民自体がここは大事な問題だから守るんだと、これは重要な問題で世界にも類例がないんだと、そういうサンゴは守るんだということ自体が一番の決め手になるんですね。そういうように今は法律上なっておるという中でこの議論をしていく。そしてその中で我々が答えているというような立場でひとつお考えいただけたらと思うわけであります。
  111. 広中和歌子

    広中和歌子君 大変ペシミスチックなお答えで、私は環境庁の存在というものを大変悲しく思うわけでございますけれども、例えば環境庁独自の奄美大島空港のアセスメントを通じまして石垣島新空港建設に反対の立場をとる。仮にそういうような立場をおとりになるとしたときに、環境アセスのプロセスのかなり後の段階になって発言をしたときに果たしてその反対の発言が通るものなのかどうか、それに対して環境庁の意見が聞いてもらえるのかどうか、そのことについてもう一度お伺いいたします。遅きに失しないかということでございます。
  112. 安原正

    政府委員安原正君) 公有水面埋立法に基づきまして環境庁長官の方に意見を求められるということがございます。そのときにそれまでのいろんな科学的な知見を踏まえまして環境保全の見地から環境庁といたしましては適切な意見を述べてまいりたいと考えております。その意見は当然公有水面埋立法に基づく意見でございますので、関係省庁において尊重していただけるものと考えております。
  113. 広中和歌子

    広中和歌子君 そう希望したいものでございます。  では、この石垣空港でございますけれども、現空港がございますね、千五百メートルの空港。そこで百三十人乗りのジェット機が平均九往復ですか就航しているわけでございます。なぜ現空港ではだめなのかということをもう一度御説明いただきたいと思います。
  114. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) お答え申し上げます。  現石垣空港は、御指摘のとおり滑走路延長千五百メートルの空港としてYS11、プロペラ機でございますが就航しておりましたが、航空需要が増大してまいりまして、その増大に対処するため、五十四年五月より新空港が完成するまでの暫定措置として小型ジェット機、御指摘の737でございますが、の発着を認められております。現空港の利用実績を見ますと、全国地方空港、これは第三種空港現在四十四空港ございますが、その中で五十二年度から旅客、貨物とも第一位を占めておりまして、特に繁忙期には座席の確保ができない、貨物の積み残し等、問題を生じております。しかしながら、現在離着陸回数がおおむね現空港処理能力の限界に近いためこれ以上の増便が困難でございまして、滑走路が千五百メートルということからも、より大型の航空機の投入も不可能ということでございます。このような状況地域経済等にとっても大きな制約でございまして、また騒音問題もございます。新たな本格的なジェット空港の早期建設は地域の永年の課題となっております。  このような石垣空港の現状、あるいは今後の需要の増大等を考えますと、当地域に本格的にジェット機が就航できる空港が必要でございまして、環境保全と調和させつつその建設を行っていく必要があると考えております。
  115. 広中和歌子

    広中和歌子君 ちょっと聞きそびれて申しわけないのですけれども、なぜ今の十八便よりも増発できないのでしょうか。羽田空港なんかに比べますとずっとゆっくり、三十分に一本ぐらいの割合なんじゃないかと思いますけれども、なぜ増便できないのか。そしてまた、ほかの例えば宮古空港を経由することによってほとんど直行便に近い形で東京に行ける、そういうことも可能なんじゃないかと思いますが。
  116. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 平均この空港は九往復十八便、これは那覇と石垣、これがメーンになっております。繁忙期といいますか、特に夏あるいは五月というような季節になりますが、増便をして需要にこたえておるわけでございますが、小型ジェット機を導入する、今まではプロペラであったものを世の中がだんだんジェット化する流れの中でこの空港にもジェット機を導入したわけでございますが、滑走路が短いということと、それからやはり騒音問題がございます。便数をふやせば騒音の問題が起こるわけでございます。それを避けながら対応していくということであれば、現在特に夏場等の増便はやっておりますが、現在の状態がほぼ限界である、あるいはそれに近いというふうに理解しているものでございます。  それから、宮古を経由してということでございますが、やはり現在この石垣空港はメーンは那覇を通じておりまして、特に県外からの旅客はここの便を経由したものでございます。これ以外に宮古、多良間、与那国、波照間、こういう路線を開設しております。やはり利用者の利便性を確保するということから、旅客の動きも需要も大半が那覇便を経由してきておるというところでそれに対応している状態になっております。
  117. 広中和歌子

    広中和歌子君 ですけれども、それこそ宣伝の問題じゃございませんか。宮古経由で大変に那覇経由よりも料金が安くなる、それから時間も短縮されるということが書いてございますけれども、それを多くの人は知らないのではないか。それから、一日十八便で騒音問題というのであれば大阪空港とか羽田空港の周辺の人たちは本当にうらやましがるんじゃないかというふうに思うのでございますけれども、どうも現空港で問題ということがわかりかねるわけでございます。  それから、今後の乗客増というものを見込んでおられるということでございますけれども、どのような見通しを持っていらっしゃるんですか。
  118. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 現在の石垣空港の実績は、六十二年度で約七十五万人でございます。今申し上げましたとおり、全国第三種空港の中で一番でございますが、設置・管理者でございます沖縄県は、この計画の中で七十五年度の旅客需要を百六十五万人と予測しております。これは現在の石垣空港における就航便数、提供座席数等の制約がなくなり、また八重山圏域の経済が順調に伸展すると考えれば妥当な予測値ではないかと考えております。
  119. 広中和歌子

    広中和歌子君 私はこの地域のエキスパ—トじゃないので全く受け売りのあれなんでございますけれども、私の数字はちょっと違うんです。昭和六十一年の実績が六十一万人、昭和七十五年度の予想が百四十万人、つまり十五年間に二・三倍増、年間五・七%増ということだそうでございますけれども、最近ここ一、二年、特に円高になった後ふえ方は一%前後というふうに伺っているのですけれども、どうなんでしょうか。つまり、経済発展を見越しての、そして乗客増を見越しての新空港建設ということでの期待はわかるのですけれども、果たしてそういうふうにいくのかどうかということが一点。  それから、環境容量というものがあるのじゃないかと思いますけれども、そのように大勢の旅客、観光客なりいろいろ来た場合ですけれども、水とかごみとかそうした問題、そういうものをすべて総合的に計画を立てた上でのこういう予想なんでございましょうか。お伺いをいたします。
  120. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 先ほど私どもの方で申し上げました数字がちょっと過大であるという御指摘かと思いますが、経済が順調に伸びればというもちろん仮定ございます。現実の石垣空港につきましては、伸びようにも一番需要の伸びが期待されるときに対応できないという制約条件があるわけでございます。  なお、これは直接的な説明になるかどうかということではちょっと疑問がございますが、先生に感覚的に理解していただきたいということであれば、東京—那覇の路線、これは現在、この五年程度でございますが、六%の伸びを示しており、また大阪—那覇便については六・二%というような数字を出しております。私どもが今妥当ではないかと申し上げました数字はいわばこの程度の伸びを期待しておるということでございます。  なお、予測に当たりまして環境容量といいますか、いろいろな、特にここの地域は観光旅客を相当期待しておるのは事実でございますが、それを受け入れられるかどうかという点では、特にその辺のチェックをしているかどうかというのは確認しておりません。
  121. 広中和歌子

    広中和歌子君 新しい空港をつくるに関しましては奄美大島が随分参考になると思うのでございますけれども、新空港をつくられてまだ間もないわけで、これは二千メ—トルでしたね。実際に便数とか乗客数はどのようにふえ、そしてまた便は満席になっているのかどうか、そういうようなことをお伺いいたします。
  122. 圓藤壽穂

    説明員圓藤壽穂君) 奄美空港のジェット化後の状況でございますが、奄美空港につきましては本年の七月にジェット化されたばかりでございます。同空港からの定期航空路線につきましてはジェット化前と同様に三路線、すなわち、奄美—大阪、奄美—鹿児島、奄美—那覇、これらの三路線でございます。これ路線は変わっておりません。  このうち鹿児島線につきましては直ちにジェット機が就航したわけでございまして、便数は一日八便から七便に大型化した関係上減便をいたしましたけれども、提供座席数は非常に大幅にふえました。その結果、八月一カ月の利用者数でございますけれども、三万八千七百人、対前年比一四七%、一・四七倍でございます。相当ふえておるという状況でございます。  それから、大阪線につきましては、これはまだYS11が就航いたしておりまして、YS11からジェット機への代替を早期に行い得るように大阪の地元関係者にお願いを申し上げておるという状況でございまして、現在YS11で就航しているという実態は変わっておりません。  それから、那覇線につきましては、需要規模が小さいということでYS11型機一便の運航を継続しておるということで、これもジェット化空港による影響はございません。そういう状況で、ジェット化による影響というのは鹿児島線がジェット機が就航した、そのために非常にお客さんがふえたということが顕著でございます。ほかは現在のところ変わっておらないということでございます。
  123. 広中和歌子

    広中和歌子君 これも素人でございますので、ただ大変説得力があるなと思ったのは、幾ら受け入れの方の容量を千五百から二千にいたしまして、ジェット機いらっしゃい、いらっしゃいと言いましても、実際に出る方ですね、羽田であるとか大阪であるとか、そういう空港の容量があるわけですよ。ですから、例えば新石垣空港ができたから便数をふやしてくれと言っても、向こうの方で出せない、また受け入れられない、そういうような問題もあるんじゃないかと思うのでございますけれども、その点についていかがでございますか。
  124. 圓藤壽穂

    説明員圓藤壽穂君) 今の先生お尋ねは、もし石垣新空港ができた場合に、東京とか大阪と新石垣空港を結ぶ路線、これの便数にも限度があるじゃないか、それは受け入れの空港である大阪なり東京の空港の問題があるからだ、こういう御指摘かと思いますが、まず、石垣と羽田とかあるいは大阪との路線の便数をどれぐらい張るかということにつきましては、これはもちろんその路線の需要規模、それから関係空港の処理能力あるいは運営しようとする航空会社の使用機材でありますとか営業政策、そういうものを反映するということでございまして、現段階でどれぐらいの便数が設定されるかというふうなことは具体的にお答えするという状況ではございません。  ただ、羽田空港につきましては、御承知のとおり、ことしの七月に新A滑走路が完成いたしまして若干の能力がアップをいたしましたが、昭和七十年になりますと沖合展開事業が完了するという見通しでございまして、この時点になりますとかなり抜本的に羽田の制約というのはなくなるということが予測されるわけでございます。また、関西国際空港につきましても、昭和六十七年度末には完成をするということを目指して現在工事を進めているわけでございまして、こういう工事が完成いたしますれば、首都圏とか近畿圏の空港の処理能力の制約というのは将来大幅に緩和されるというふうに考えておるわけでございます。    〔委員長退席、理事松尾官平君着席〕
  125. 広中和歌子

    広中和歌子君 白保のアオサンゴの運命、そしてまた乗客がどうなるか、そういったようなことに関してかなりの不確実要素を含みながら新空港計画というのがあるわけでございますけれども、一つだけ確かなことは、五十七年度計画の時点で三百億という多大な投資が島に行われる。その経済効果というのは非常に大きいんじゃないか。私は、もし自分が島の住民であれば当然そうした投資というものを歓迎するでありましょうし、そのことはよくわかるのでございます。  仮に、自然保護の視点から、またさまざまな新たないわゆる観光ビジョンというんでしょうか、そして長期滞在型のリゾート、つまり仮にアオサンゴの生息というのが危ぶまれる、そういうような状況であれば本当に石垣島の魅力の半分は失われるわけでございますから、そういうようなさまざまなことを総合しながら、小規模であっても本当に長期に喜んで滞在できるようなリゾート、そういうものを目指すのであればというような考え方もあるのではないかと思います。  しかしながら、いわゆる活性化させるためにさまざまないわゆる空港建設以外のことがもしなされるとしたら、私は住民にとって、またオールターナティブとして大変好ましいこともあるのではないか。もうちょっと発想を自由にして、もっと別な形で、三百億円ですか、それを使うような方法というもの、また経済効果があるようなそういう形が模索できないだろうか、そんなふうに考えるのですけれども、いかがでございましょうか。    〔理事松尾官平君退席、委員長着席〕
  126. 江口肇

    説明員(江口肇君) 今の先生の御質問、空港は例えば現在の空港のように小さい空港で我慢して、ほかにもっと投資効果のあるといいますか、経済効果のあるプロジェクトがあるんじゃないかというお話でございますが、先ほどから運輸省の方でお答えになっておりますように、現在の石垣空港というのは暫定ジェット空港として運航上の制約があります上に、現在でも需要に十分対応できなくなりつつある。しかも機材の大型化とか増便ができないという問題を抱えておるわけです。このために、新石垣空港の建設というのは航空の安全維持とか旅客の利便性の向上、さらには現空港周辺の航空機騒音問題の解消のために緊急の課題であるということで、関係住民の大多数からその早期実現を強く要望されているものでございます。  御承知のように、沖縄の振興開発計画につきましては、沖縄振興開発特別措置法によりましてその基本的方向が決められているわけでございますけれども、石垣島の振興開発につきましても現在の第二次沖縄娠興開発計画とか、さらには石垣市独自に第二次石垣市総合基本構想といったいわば地域構想、地域整備のマスタープランというものをつくっておりまして、その中に先ほど先生が御指摘になりましたいろんな計画、各種の産業や観光の振興とか交通体系の整備とか水資源の問題、ごみ処理の問題、そういったものもすべて網羅的に盛り込まれた計画がございます。新石垣空港の計画がその中の一つとして位置づけられるということで、他の諸施策と整合性をとりながら進められていくものというように理解しております。
  127. 広中和歌子

    広中和歌子君 長期にわたる非常に各省庁を巻き込んでの綿密な計画のもとに立てられたもの、それを外部の人間が、よそ者ですよね、要するに、が文句を言うということに対しては非常に不愉快な思いをされている沖縄の方も非常に多いんじゃないかと思いますけれども、しかし、やはり例えばアオサンゴの存在、その貴重な価値というものが最近になってより認識されるようになった、そういうことであれば軌道修正もやむを得ない、そういうようなことも考えられるんじゃないかと思うわけでございます。そういうところを柔軟に対応していただきたい。  これはまた全く素人の奇想天外な発想でございますけれども、沖縄振興開発特別措置ですか、それが六十七年で切れるわけでございますけれども、非常に離れている沖縄、その経済発展のためにもっと何かできる方法はないかと一つこの前御質問したわけですけれども、長距離電話がある一定の地域から外は同じ料金であるといったような通話料金体系がとられておりますけれども日本国内における例えば沖縄への運賃、それをもっと大幅に安くすると、それは何も石垣島だけじゃなくて。そういうようなこととか、それから今日本では円高差益還元されていないというようなことがいろいろあるわけでございますけれども、そういう意味で、例えば沖縄を自由港にする、免税でいろいろなものが買える、そういうようなことも考えられるんじゃないか。  ここ二、三年海外旅行が大幅にふえておりますけれども、それは見物だけじゃなくて買い物ツアーというのが非常に多いわけでございます。特に韓国とか香港というと、見物もございますでしょうけれども買い物が多い。そういう日本人の一般庶民の希望にこたえるという意味からも、沖縄にそのような自由港を設置するといったような考え方も一つの参考になるんじゃないかと思うのでございますけれども、いかがでございましょうか。環境庁長官環境の立場からお答えいただければと思います。
  128. 圓藤壽穂

    説明員圓藤壽穂君) 沖縄に関する路線に関して航空運賃を安くしたらどうかというような先生の御指摘かと思いますので、その部分に関しましてお答え申し上げたいと思います。  航空運賃につきましては、全国一律にキロ当たり幾らというふうに設定しているわけではございませんで、路線ごとにその路線の需要でありますとか使用機材といったような特性を極力反映させつつ全体として運航企業の収支を償うように設定しているわけでございます。一言で言えば、一般的に申し上げますと長距離の路線ほどキロメーター当たりの運賃は安くなっておるという実態がございまして、特に沖縄関係の航空運賃につきましては、東京—那覇の賃率がキロメーター当たり二十一・九円ということで、これは例えば国内のほかの路線と比べますと非常に格安になっておるという実態がございます。あるいは東南アジア等の国際航空運賃と比較しても相当割安になっておるということでございます。沖縄に着陸する航空機にかかわります普通着陸料につきまして相当軽減措置が講じられておるというようなことで、そういうものを反映して運賃が安くなっておるということでございます。  そういうことでございますので、これ以上沖縄に関してだけ運賃をさらに割安にするということにつきましては、他の地方との不公平感ということもございますので、それは非常に難しい問題ではないかというふうに考えているところでございます。
  129. 江口肇

    説明員(江口肇君) 先生から先ほど沖縄の振興開発についてのいろいろな御示唆がございましたが、その中で自由港というようなお話もございました。実は沖縄には自由貿易地区というのが誕生したばかりでございまして、これからどう発展していくかという非常に重要な時期ではございます。先ほど先生がおっしゃった自由に買い物ができるというイメージの自由港じゃございませんが、そういう振興開発にとって新たなものはできるだけ取り込んでいくという形で私どもも当たっているわけでございますが、二次振計も六十六年度で終わりまして、三次振計云々につきましては、国会等でもいろいろ議論されておりますが、現在まだ二次振計の後期になっておりますので、三次振計につきましてはどうするかというところは今後の議論の段階でございますが、先生の先ほどのいろんな御示唆を踏まえまして振興開発計画というものを考えていきたいと思います。
  130. 広中和歌子

    広中和歌子君 では、時間がなくなりましたけれども、ちょっと触れさせていただきます。  大気汚染が非常に問題になっております。特に都市部におけるNOx値が下がらず、むしろふえる傾向にありますが、最近ますます国内における乗用車の売れ行きが盛んだと聞いております中で、これからのNOxはどのような方向に向かうのだろうかということでお伺いします。  現在、日本は莫大な貿易黒字を抱え、そういう中で経済摩擦が起こっているわけでございますけれども、特に自動車は対米経済摩擦のシンボルでございます。そういうことへの対処としてアメリカでの現地生産をふやそうということで、どんどんアメリカで現地生産をしているわけでございますけれども、今の輸出と現地生産の割合、そして数年先の予想、そういうものをお答えいただけますか。
  131. 鈴木孝男

    説明員(鈴木孝男君) お答えいたします。  現在、アメリカにつきましては、対米自主規制をやっておりますので、乗用車につきましては二百三十万台ということが割り当てでございます。  それから、現地生産につきましては、各メーカーが現在すでに現地生産をしているもの、これから計画中のもの、あるいは来月にはもう一つ始めるメーカーがございますけれども、現在の段階ではまだフル稼働しているものも少のうございますので、全体では大体乗用車につきましては六十万から七十万台。ただ、これが二年後につきましては、大体全部になりますと、カナダを含めますと二百万台強という形になろうかと思います。計画でございますので。
  132. 広中和歌子

    広中和歌子君 そうしますと、現地生産をする分は日本からの輸出が減るのでございますか。そうすると減った分は日本の自動車工場はどういうふうに対処なさるのか。生産をその分減らすのか、それとも同じようにつくってどこかに売るのか。それは国内であるのか、また別の地域に輸出するのか。そういったような長期的な政策というのはあるのでございますか。
  133. 鈴木孝男

    説明員(鈴木孝男君) 大変難しい問題でございまして、海外のメーカーが現地生産でつくったものをどのように販売するか、これは非常に企業の戦略に入りますが、これまでのところですとやはり現地の、例えばアメリカですとアメリカのマーケットに応じたものをつくるということでございまして、その結果、じゃ日本の方のそれと同じようなものをつくっている工場はどうなるか。これはアメリカの市場の動向にもよりますけれども、そこは違うタイプのものがニーズがあればまた日本からのものを輸出したいと。ただし、現在は二百三十万台という枠がございますから、これ以上の逆に輸出余力が、メーカー段階ではあるというふうに思っておるようでございますけれども、輸出全体では二百三十万台ということですので、それ以上の部分が現在現地生産化されている。ただ、今後二百万台強にわたる現地生産が成った場合には、アメリカの乗用車市場は一千万台強でございますから、その辺が過剰生産があるんじゃないか、その辺を一体どういうふうにメーカーは考えるのかという御指摘もございまして、まだそこまで、メーカーが現地生産と国内の完成車輸出をどうやってハーモナイズするか、その辺につきましての考え方はまとまってございませんでして、私どもも、今後通産省としてもグローバリゼーションということがございますので、そういう世界経済とどうやって我が国の産業をやっていくか、これは重要な課題と考えており、検討の課題の一つでございます。
  134. 広中和歌子

    広中和歌子君 問題意識を持っていただいて大変ありがたいのでございますけれども、ともかくアメリカ側としては現地生産を含めた二百三十万台、そういう規制をかぶせるかもしれない。そうしたときに輸出が非常に抑えられるわけですけれども、それをもし国内で売ろうとします場合、現に非常に車がよく売れていると伺うわけですが、現在の道路状況の中でどれだけこれから我々は自動車を許容できるか、そういう問題についてお伺いしたいわけでございます。  まず、運輸省に登録台数の推移、見通しについてお伺いいたします。
  135. 豊島達

    説明員(豊島達君) 御説明いたします。  昭和五十八年度から昭和六十二年度までの過去五年度間の車の保有台数の推移でございますが、これから申し上げますような数字になっております。全保有台数でございますが、昭和五十八年度末に四千四百五十五万九千台、五十九年度末が四千六百三十六万三千台、六十年度末が四千八百二十四万一千台、六十一年度末が五千二十二万三千台、六十二年度末が五千二百六十四万六千台となっておりまして、対前年度の伸び率がおおむね四ないし五%程度となっております。
  136. 広中和歌子

    広中和歌子君 建設省にお伺いいたしますけれども、こうした自動車の増加の中で、幾らNOxの値を抑えたといたしましても、車がふえ、渋滞が起こる限りNOxの値はどんどんふえていくんじゃないかと思いますけれども、そうした車の伸びに応じた道路対策、特に都市部における道路対策というのはどういうふうになっているのでしょうか。
  137. 橋本鋼太郎

    説明員橋本鋼太郎君) 御承知のように、道路は人の移動あるいは物の輸送を分担する最も基本的な交通施設と考えております。そういう意味で、国土の構造の骨格を形成する高規格幹線道路、あるいは地域社会の日常生活の基盤となる市町村道に至る道路まで体系的に整備してまいりたいと思っております。建設省におきましては、国の経済及び国土に関する長期計画に即して、今後高度化し、あるいは広域化する自動車交通事情に適切に対応していく、そういうことで高速自動車国道から市町村道に至る道路網体系を体系的に整備していきたいと思っております。また、鉄道や空港、港湾その他の交通機関との連携につきましても、連携を強化するということでバランスのとれた道路交通体系を整備していきたいと思っております。
  138. 広中和歌子

    広中和歌子君 時間がありませんので最後にお伺いいたしますけれども、ともかく自動車がふえる、しかしながら建設省が非常に頑張って道路を拡充しようとお思いになりましても今の現状であっては非常に高くつき、そして都市部ではほとんど不可能な状況、そういう中で環境庁中心になって自動車対策というのでしょうか、総合的な検討委員会みたいなものを発足させて自動車社会の将来像、そういうものを見据えた上での各省庁の調整、そういうものが必要ではないか、そういう時期に来ているのではないか、そういう視点から大気汚染というものを考えていただけないかというふうに要望をいたしまして質問を終わらせていただきたいわけですが、環境庁長官にちょっと御所見がありましたらお願いいたします。
  139. 堀内俊夫

    ○国務大臣(堀内俊夫君) 御指摘のように、便利になればなるほど大気汚染というものがつきまとってまいります。ことしの二月か三月ごろの閣議で新道路五カ年計画というものが決定されました。それに先立ちまして私は、今日の大気汚染はひどい、だから道路をつくる場合には騒音の問題あるいは周辺の大気汚染対策、いわゆるグリーンベルトを大きくつくるとか、そういうことに最大の留意を払ってほしいということを特に閣議の席上申しました。建設大臣も、これからの新道路五カ年計画をする上において十分配慮するという答えを出されて閣議決定されたものであります。これが新しい道路五カ年計画の一番基本問題、常に私どもはそういうことを踏まえながら、新しい道路をつくっていく場合には、少々金がかかるだろうと思うけれども、それ以上に公害が少しでも緩和されるような方向に今後とも努力をいたしていきたい、関係省庁と十分連絡をとって進めたいと考えております。
  140. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、ゴルフ場の開発問題、特にゴルフ場をめぐる農薬汚染問題を中心に質問をしたいと思います。  リゾート開発が進められて第三次ブームと言われるゴルフ場の建設ラッシュでありまして、現在の千五百六十三カ所に加えて造成中あるいは計画中を加えますと二千百十三カ所、総面積で二十万ヘクタールを超えてしまう、そういう状況ゴルフ場はなるわけですね。これはもう同僚議員からきょう前にも指摘があったようですが、こういう造成地域では水源林の破壊によって湧水がかれること、自然林の伐採、さくで囲われてしまって出入りができなくなる、そこへ農薬、化学肥料の過剰使用による周辺の空気や浄水の汚染が起こる。さらには急傾斜地や地すべり地の開発の災害の危険。これはそこに住む住民にとって大変な不安を起こしていると思うのです。  そこで、これは大臣に基本的な所見をお聞きします。あるいはもうお答えがあったかもしれませんが、ちょうどそのとき私は国民生活調査会に出ておって聞いていなかったものですからもう一度お聞きしたいと思いますし、また、この問題は各省庁に関係するんですね。わけても私は、環境庁がリーダーシップをとるべきだという観点から、こういうゴルフ場の建設ラッシュによる自然破壊や農薬、化学肥料汚染、災害の危険から国民の生命、健康、暮らしを守るための対策はまさしく緊急性を要していると思いますが、どうか。基本的認識と御見解をまずお聞きしたいと思います。
  141. 堀内俊夫

    ○国務大臣(堀内俊夫君) ゴルフ場の問題でございますが、まず一番最初におっしゃっておるいわゆる農薬の影響問題、この問題につきましては農薬取締法の登録基準をたくさんつくっておる、これは環境庁基準をつくっておる。しかし農薬を実際使うという段になると関係省と協議しなきゃならない問題である。ただ、私は農薬の登録基準が私の方できつくつくっておるのは世界でも一番厳しいんじゃないか、こういうふうに思っております。だから、このゴルフ場で農薬問題が起きるなら、それは農薬自体の基準の問題じゃなしに、いわゆる自動車と同じことで、一台一台きちっとしておっても多かったらふえるわけです。農薬も一つ一つの適量基準であれば私は公害はないんじゃないかと思うのです。非常に実施状況が悪いために起きてくる問題だと思うので、そういう点に特に留意をさせたいと。先ほど来いろいろ議論があるので、特にこれは今後やっていきたい。あるいは、ちょっと先ほど言っておったのだけれどもゴルフ場から出る水、排水問題、これが大量にまた一度に整地されておるからさあっと流れるために起きるんじゃないかと思うので、今後ゴルフ場をつくるときはその排水口あたりに浄化槽ぐらい義務づけるような方法はないのかなと。ただ、私の方でそういうことを指示するとか勧告するとかいうような状態をまだ持ってないけれども、私の所見からいうと、そういうふうにしてでも防ぐ方法はないかなということが一つ。  もう一つは、今おっしゃっておる自然環境保全の問題との関係なんですけれども、いわゆる国立公園あるいは国定公園、自然公園の範囲内であると、私どもは十分この問題については関心も深いし、またこれとの整合性については相当厳しくチェックできるんですが、無指定地域ということになると、環境庁がどこまで指導できるかという問題になると、やっぱり地方自治体が主たる認可権限とかそういうものを持っておりますから私どもで及ばない。ただ、先生おっしゃるように、こういう自然環境の問題になると全部環境庁だという気持ちを国民が持っていますから、私たちとしてもどういうような効果的な影響力を及ぼす方法がないものかなということを今検討しておるというのが現状でございます。
  142. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 今の大臣が言った実施の問題が大変大事だと思うのですね。  そこで、環境庁ゴルフ場で使用される農薬や化学肥料の実態調査都道府県に事務連絡したと聞いていますが、それはどういう項目から成っておりましょうか。
  143. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) 各都道府県に対しまして、必要に応じてゴルフ場水質等の調査実施するとともに、実態を把握してその結果が判明次第私ども報告するようにという依頼をしてあるところでございます。
  144. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 その連絡ですね、私は前から要求してやっと最近入ったんだけれども、なるほど余り大したこと連絡してない、ごく簡単で、今大臣が言ったような決意であれば、調査自身からこういった項目をしっかり調査せいと、これはやっぱり実効が上がるようなことをやるべきだと思うのですが、余り簡単過ぎるという指摘をしておきたいと思います。  また、農薬や化学肥料による水質汚染調査は、従来からやっている公共用水域の水質調査に農薬を追加して検査すると聞いていますが、検査の時期、検体の採取場所、検査項目に何を入れるかなど、これは極めて大事なことだと思うんですね。例えばゴルフ場の調整池、排水口、簡易水道などの取水口等で検体を採取し分析すべきだと思いますし、また分析項目も、ゴルフ場で使用しているすべての農薬、化学肥料がカバーできるように、こういうぐあいにやっぱりきっちり実効が上がるようにすべきだと思うのですが、いかがですか。
  145. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) ただいま先生の方からいろいろ御指摘がありました。  ただ、これ初めての調査ということでありまして、県自体に県の地域の実情に即した形で調査をしてくれという依頼でございまして、その辺のところも含めて県の方の判断に任せているということでございます。
  146. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 県の実情に合わせて待っておると余り実効が上がらない場合があるんじゃないかと思いますね。  ここに千葉県のものがあります。かなり中身が相当なところまで調査することになっておって、これはいいと思うんですよ、千葉県は相当多いということもあろうかと思いますが。しかしそうでない、ただ一般にやるとおざなりな調査しかできないし、結果が起きてから後で慌てるというようなこともあるかと思うんですが、環境庁としてはなかなか余りああせい、こうせいと言えない立場なんでしょうか。というのは、大臣、この調査は予算ついてないんでしょう。予算もつけずに調査しろと言ったって、なかなかこれ余りきついことは言えないので、さっき局長が言うとおり各県の自主性に、実態に任せるというんじゃぐあいが悪いので、今度概算にも入ってないということですね。これ、やっぱり予算をつけて、リーダーシップを発揮するにはそれくらいのことをやらぬといかぬと思うのですが、どうですか。頑張ってみませんか。
  147. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) この問題は県にお願いしている、依頼しているということでありまして、県の調査ということでございますので、私どもとして予算措置は講じておりません。
  148. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうすると今度は県の財政状況、県の認識の度合いでこれは随分いろんな、余り期待できないことも出てくると思うので、これは私は要望します。ひとつ大臣、この点頑張ってほしいと思います。  それで、局長、この実態調査の結果がまとまり次第公表すべきだと思いますが、どうでしょうか。
  149. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) 今回の調査は、先生指摘ございましたが、必ずしも統一的という形なものではなくて、各県の実情に応じてやるということと、もう一つは、私どもとしても、環境庁といたしましてもその実態についての基礎資料というものを得るために取りまとめるということでございまして、公表を前提として調査お願いしているという性格のものではございません。  ただ、調査結果につきましては何らかの形で御報告するということになろうかと思っておりますが、取りまとめの時期とか取りまとめの方法とか公表等につきましては、これは県の調査でございますので、今後県ともよく相談した上で検討してまいりたいというふうに存じております。
  150. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 実施が問題だと大臣はおっしゃったけれども、今の答弁を聞きましても相当問題があるんじゃないかということを指摘せざるを得ないし、環境庁、しっかり予算をつけてこれでやりなさいということが私は大事だということを重ねて指摘したいと思います。  それから、基準の問題ですが、さっきは農薬自身の基準の問題ですけれども水源涵養地や簡易水道使用地やその周辺に既にゴルフ場がある場合に、そこでの農薬汚染などを防止するための種類、使用量、時期、土壌や排水、大気などの監視を含むそういう意味の安全使用基準をつくって、そういう基準に基づいて私は具体的に規制すべきだと思いますが、この点はどうですか。
  151. 関口洋一

    説明員関口洋一君) 先生ただいま御指摘基準をつくるべきではないかということでございますが、私ども現在農薬の登録に当たりましては、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、登録の段階で厳正な検査を実施する、それから適用作物の名前あるいは使用量、使用方法、それから使用に当たっての注意すべき事項、こういったいわゆる農薬を安全に使用すべき基準に相当すると思われますが、このようなものを定めまして農薬の容器のラベルに貼付してあるということが義務づけられておるわけでございます。  したがいまして、ゴルフ場におきましてもこれらの使用方法に従いまして使用することが基本でございますが、さらに、現場におきまして風が強いとき、あるいは大雨があるといったようなときの前後の使用を避けるといった意味から、それぞれのゴルフ場の立地条件あるいは気象条件に沿って現場の状況に応じた使用法が重要であろうというふうに考えておるわけでごさいます。そのような観点から、農水省といたしましてもこれらの農薬の使用に当たって現地の事情を十分考慮した安全使用の徹底が図られるという意味での指導徹底していきたいというふうに考えております。
  152. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 規制することになっているというんだけれども、なっているだけであって、実際ゴルフ場は盲点なんでしょう。だからこそ問題になっておるのですね。  それで、ここに「グリーンビジネス」の八五年九月号があります。「ゴルフ場における農薬使用の実情 全国で八十億円の市場」というようなことが見出しで出ていまして、その中でこう書いてあるわけです。「薬剤の散布などの業務は専門の業者に委託するゴルフ場は殆んどなく、自社の管理要員の主要業務となっている。」というんですね。やっぱりそこで過剰使用や無登録あるいは適用外使用を防止するために各ゴルフ場ごとに今も出てきた農薬の使用量、種類、方法、管理責任などを明確にし、問題のある農薬は使わせない方策を確立すべきだと思うんです。実情が規制することになっているというだけであって、実際規制が届いてなかった面があるので、この点どうでしょう。
  153. 関口洋一

    説明員関口洋一君) 先ほども申しましたように、実際に現場で適正に使用するといったことが重要であるということでございます。したがいまして、農水省といたしましては、これまでも農薬安全使用運動といった場を通じましてその指導徹底してきたところでございますけれども、最近のゴルフ場の増加等にかんがみまして、去る八月二十五日付でございますが、「ゴルフ場における農薬の安全使用について」という通達を出しまして、ただいま県レベルにおきまして実際の指導に入っているという状況でございます。
  154. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 その場合の基準ですけれども、例えばアメリカでは許可された人しか農薬の散布ができないとか聞いておるんです。ゴルフ場などの非農耕用地での使用につきましては、そういう意味の許可基準を明確にして、農薬を使用できる人を限定して管理責任を明確にさせるべきじゃないかと思うんです。ただ基準を設ける、厳格にするといっても、今言った具体的な一番大事な面、しり抜けにならないような大事な面が私はあると思うのですが、その面はいかがですか。
  155. 関口洋一

    説明員関口洋一君) 先ほどから申し上げておりますように、農薬につきましては登録の段階で十分な安全性を確認した上で登録しておるわけでございますが、その際に、人畜に危険を及ぼすおそれがあるような場合、この場合には登録をしないというふうな対策がとられておるわけでございます。それからさらに、登録された農薬の使用に当たっても安全かつ適正な使用ができるような指導徹底しているところでございますし、また、別の面から申しますと、例えば防除業者の場合は届け出を義務づける、それからその監督を行うといったことで、常日ごろからこれらの者に対します研修等を通じまして資質向上に努めているわけでごさいます。  以上申し上げましたようなことで、特に使用者を限定するような措置を現段階でとる必要はないのではないかというふうに考えておるわけでごさいますが、事安全性に関する問題でもごさいますので、私どもとしてはその指導徹底を図って万全を期していきたいというように考えております。
  156. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 使用者の限定の問題は大事なことだと思うけれども、それはまあ別に置きましょう。  それはまた別としましても、農薬を散布するグリーンキーパーなどの健康と安全が十分に確保できなければならない。そういう意味で薬剤散布時の服装などやっぱり相当留意する必要があると思うんです。これはアメリカのGCSAA発行のゴルフコースマネジメントの雑誌に薬剤散布時の服装について具体的な指示が載っておるんです。これは相当なものですよね。農薬が体に直接触れたりあるいは吸い込んだりしないように長いブーツやグローブの着用とか、長そでのシャツやズボン、それから帽子、エプロン、レーンコート等々、防毒マスクの着用等細かく指示されている。そういうような状況です。ところが日本は写真で見る限り散布時の服装というのは十分には考慮されていないんですが、こういうような面でもっときめ細かく対処していく、そういうお気持ちはありますか。
  157. 関口洋一

    説明員関口洋一君) 先ほど申し上げましたように、農薬の使用に当たり安全を確保するという観点からそれぞれの農薬ごとに注意事項を定めているわけでございますが、その中に散布者が装着すべき防護装備、こういうふうな規定が載っております。それらがラベルには記載されておるわけでございますが、そのほか農水省といたしましても、過去に防除衣の開発といったものを通じましてこの方面の研究開発を進めてきたところでございます。
  158. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それから、これはやはり農水省ですが、農薬の登録に当たってはその効果及び安全性を十分検査しているという先ほどの答弁ですが、それを確かめるためにはデータを調べる必要があると思うのです。  これはアメリカですが、企業が提出したデータを一般の人が閲覧できる仕組みになっております。ところが日本では、いろいろな記事を見てもそうですが、むしろ公開せよという要求が強いのは、メーカーの登録申請許可に際して安全性評価の基礎となった毒性試験データが公開されていないからじゃないのか。メーカーは企業秘密を盾に公開拒否しているんですが、やはりそれは公開してこそ初めて安全性が確保できるんですが、この辺はいかがですか。
  159. 関口洋一

    説明員関口洋一君) 先生指摘の農薬の安全性試験成績でごさいますが、このデータにつきましては、農薬の登録申請者が非常に長い時間、それから申請者みずからの総力を結集した成果としてつくり上げられた貴重な財産でございます。したがいまして、その公表につきましては申請者みずからが判断すべきものというふうに私ども考えておる次第でございます。国の方といたしましては、このようなデータにつきましては登録検査のために提出を求めているものでございまして、国が直接公表するといった立場にはないのではないかというふうに理解しております。  ただ、やはり安全性にかかわるという意味で大変重要なデータでもございますので、現在では申請者に対しまして登録申請にかかわる毒性試験の結果得られました主要な成果、これを専門の雑誌等に公表するように指導しているところでございます。
  160. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 メーカーの方へ行きますと国の方へ行ってくれと言うし、国に言えば国はそんな公表する必要はないと、結局どこも公表しない、こういうことになっておる。しかし、これはやっぱり国民中心に、健康と安全を中心にひとつこれから対処してほしいと思います。  それから、今言ったような大変な問題があって、水源林地帯や簡易上水道の取水せきのあるところなどにはゴルフ場開発はまず厳しくチェックしていくと。さっき大臣は自然保護の、自然公園などの関係では言われたけれども、水の心配などはもっと水源地等にあるわけで、その辺についてはどうですか、現行の規制では難しいとしても今後の問題として立法措置などでやっていくべきではないか。というのは、今全国各地に、例えばこれは群馬県の水上町では水上高原ゴルフ場の増設をめぐって地元の部落で湯ノ小屋の飲料水を守る会などができて反対をしている。まさに必死の問題です。そんな問題たくさんあるけれども、時間の関係で省略しますが、急傾斜地とか、そういう点ではまず規制を考えていくという基本姿勢はいかがでしょうか。
  161. 弘中義夫

    説明員(弘中義夫君) 御答弁いたします。  林野庁といたしましては、森林の有する水源涵養機能につきまして非常に重要なものと認識しておりますが、水源山地のうち特に重要な森林につきましては保安林に指定し、適正な管理をしております。その保安林の解除に当たりましては、森林法に基づき保安林の指定目的の達成に支障を及ぼすことがないよう慎重に処置している次第でございます。  また、保安林以外の森林につきましては、いわゆる森林法に定める林地開発許可制度に基づき森林の現に有している水源涵養機能等に支障を及ぼすことのないように適切に措置している次第でございます。  ゴルフ場の開発につきましても、今後ともこのような保安林制度あるいは林地開発許可制度等の適切な運用によって水源涵養機能の確保を図ってまいりたい、そういうふうに考えている次第でございます。
  162. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 最後の質問になりますが、一つ明るいニュースもありまして、これはゴルフ場の農薬問題が周辺住民との間で問題になっている中で、埼玉県の小川町で「武蔵台カントリークラブゴルフ場における薬剤使用に関する環境保全協定」というのが七月二十二日付で住民との間に結ばれました。これは地元の住民が主体で、開発会社とで構成する環境保全協議会をつくって、地方自治体が必要に応じて協議の場に立ち会うという住民と開発側の協定です。この中で、さっき問題になった薬剤使用状況の公開の義務が定められているほか、大気、水質、土壌についての環境モニタリングの実施、公開の義務が定められておりますし、将来における損害補償の義務が具体化されておるということなんです。  私は、住民が主体になってやるということはこれは大変結構なことで、かつても、イタイイタイ病裁判が終わったときに企業地域住民の間に企業のもとに立ち入っての調査権とか土壌復元のための協定が住民企業の間に結ばれて、それが具体化されてまさしく今環境復元の道を進んでおりますが、これは大変結構なことだと思うし、こういったことを大いに推奨するように長官の立場からもひとつお願いしたいのと、と同時に私は、これは住民だけに任せておく問題じゃないと思うんです。たまたまこの地域住民が大変心配し、また結束もうまくできてこういう協定ができたと思うんです。しかし、なかなかいろいろな地域的利害関係が重なったり、あるいは札束を目の前に置かれるとやっぱりいろいろ団結が崩れたりというようなことがあって、必ずしも全国各地でこのとおりいくかどうかわからないんです。たまたまこれはうまくいった例ですが、これをひとつ明るい兆しとして、むしろ行政がこういうものをもっと推奨する、あるいは住民がそういう力がなくてもこういったものが各地でもっともっとできるように積極的に指導をするというようなことがあってしかるべきだと思うのですが、それについての見解を聞いて質問を終わりたいと思います。
  163. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) ただいま御指摘のありました公害防止協定につきましては、周辺の環境汚染と農薬等の環境汚染を懸念いたします地元住民環境汚染未然に防止したいという開発者の立場から当事者の間で結ばれたということでありまして、私どもといたしましては、当事者相互に環境保全に配慮していきたいという趣旨については意義があるというふうに考えております。  一般的に、私ども環境保全に関します地域の実態等々につきましては、常日ごろからその情報等の提供等々を受けているような形になっておりまして、そういう形の中で、また必要に応じまして地方の方にも情報提供等々を行っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  164. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、限られた時間でございますので、きょうは私は、昨年被害者の悲痛な願いと国民の反対を押し切って公害健康被害補償法が改悪をされました。そして本年二月末日で新しい新規認定患者の打ち切りというのが決定をされたわけでございます。したがって、その後の経過の中で起こっている若干の問題、そして改善をすべき問題等あわせてお聞きをしていきたいと思います。  現在、認定患者が全国で十万人余りおりますけれども、昨年法施行後二月末までに公害健康被害を受けている人たちは、いわば最後のチャンスだということを知り、あるいは教えられ、今まで逡巡をしていた人たちも含めて一挙に申請が出た。したがって申請者も多くなったという事実がございます。  三月から認定処分は恐らくスムーズには進行しているのであろうと思いますけれども、今日ただいまで全部完了しているのかどうか、まずそれをお聞きしたい。
  165. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) その状況でございますが、六十二年度におきましては、地域指定解除前の六十三年二月末までに一万九千三百二十九人の申請があった。特に六十三年、今先生がおっしゃいましたように二月一カ月で約八千人が申請をしたと。また、過去三年間の平均の申請者数は、大体例年約一万人でございますから、六十二年度はその倍近い申請者があったと、こういう現状に具体的になっておるわけでございます。  これにつきましては、いろいろ現時点で申請者が非常に多かった一部の地域がございますが、その地域中心にいたしまして、今なお二、三千人の未処理があるといったような状況でございます。これにつきましては現在鋭意処分を行っているところでございまして、恐らく今年度中には処分が終了するのではなかろうかというふうにもちろん私ども考えているところでございます。
  166. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 今の状況で未処分のところが残っているいわゆる前の指定地域、市町村ですね、それを後で資料としていただきたいと思うのです。  私は、大牟田市の例が大分これ異常だなというふうに私どもが手にした資料を見て思ったんです。といいますのは、昨年の九月からことしの二月末日まで、昨年の九月というのは法律成立以後です。それから二月末日までの申請者が九百九十四人。その処分状況ですね、審査をした方が七百二人、率にしたら七一プロです。これは九月末なんです。いまだに審査をしてもらっていない人が三百二十三人、三三%、三分の一です。この九百九十四人中認定をされた人が四百十九人。これは率にいたしまして四二%。審査をしてもらった七百二人の中で保留になっている方が二百八十三人。これは率にいたしまして二八プロと、こういうことの数字を知ったわけですが、申請打ち切って以後、三月以降八カ月になろうとしている。いまだにその審査をしてもらっていない人が三三プロですから約三分の一。これは一体どういうことになっているのかなということを感じますので、これは細かい説明は要りませんけれども、昨年の九月からいえば一年、そういう一年もたっているのにこれが処分できないというふうな事態というのはやはり問題だと思う。特に制度が改悪をされて最後の打ち切りのときなんです。そんなときぐらいはせめて親切にちゃんとやればいいと思うのですが、これは一体どうしているのだというふうにまず一つは思います。  時間の関係がありますからもう一つついでに言いますが、保留の人が二百八十三人と、これもまあけったいなことだなと。約二八プロですよ。こういうことは一体どうなっているのか、おわかりになっていたらごく簡単に御説明をいただきたい。
  167. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 今の大牟田市の認定処分の状況でございますが、指定地域の解除に先立ちまして、先ほど申し上げましたように大牟田市の例をとりますと、本年二月の新規の申請者数が例年の二月の約五十倍になっていたわけでございまして、認定事務がおくれているというふうに聞いているのでございます。このような状態は望ましくはないのでございますけれども、適正な認定を行うことがより重要であるというふうに私ども考えております。  いずれにいたしましても、この申請日にさかのぼりまして補償は患者さんたちには行われるわけでございまして、患者さんにとって実害はないというふうに考えておりますけれども、いずれにいたしましても業務を適正にかつ迅速に行いますように自治体をそれぞれ指導いたしてまいりたい、このように思っておるのでございます。また、その保留等につきましても、これは経過観察その他いろいろなもろもろの状況がありまして、若干経過を見ている、保留をしているというものがあるというふうに聞いておりますが、この具体的な数字とか、あるいは具体的な内容については現在私ども正確には把握しておらないのでございます。
  168. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 丁寧に、手抜きをせずに審査をしている、それは私結構だと思う。一遍しかないんだから、それこそ最後のチャンスですから、審査の体制を強化してやるべきだと思うのです。  なぜそういうことを言うかというと、未審査はもちろんそうですが、保留の人だって、申請してから何と言われるかといったら、あなたは一冬か二冬越してまだたんもせきもとまらなければ認定いたしますというようなことを言われている。これは何を言っているんだと思いますよ、認定の要件だとか認定の審査についてはこれは非常に明確なんですから。あなたのところから経過観察せいとかなんとかいうのを書いたものを出しておるからそういうことでやっているのか知りませんけれども、そんなことが起こっている。私細かく言おうと思っていないんですが、早く処分をしてあげなければ、被害を受けている人たちの中で、未審査の人の状況を見ただけでもそうなんですが、とにかく処分を受けないままで七人亡くなっている。だから、申請日にさかのぼって補償しますから実害はございませんとあっさりおっしゃるけれども、現実には患者さんがそういうことになっているという点を考えていただきますと、これは決して軽々な問題ではない。  やっぱり考えなきゃいかぬのは、指定地域を解除したんだからそこそこいったらいいということであってはならぬ。一人の公害被害者も残らず救済するという立場を最後まで貫かなきゃならないと思うんです。こんなやり方では、一人でも認定患者を減らしたい、そんなことがあらわれているとしか思えない。もっと親切な対応をするべきではないかと思いますが、いかがですか。
  169. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 先生も御指摘になりましたように、一人一人の審査というものはこれは適正に行わなければいけない。しかしながら、五十倍にも当たる人たちが来てなかなか対応し切れない面がある、こういうことでございますけれども、私どもやはりできるだけ迅速にこの審査が終了いたしますように、あるいは未審査のものがなくなるようにこれは当然指導もいたしているところでございますが、両面があるのでございます。  また、先生指摘のような意図は全然ございませんで、私ども適正に、かつ厳正に制度の運営に努めているところでございますので、どうぞ御理解を賜りたい、このように思うところでございます。
  170. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 御理解をするというわけにいかぬですよ。現にそういうことが起こっているんだから、改善をするようにやはり積極的な指導をしてもらいたいということです。  時間の都合がありますからもう一例ちょっと言いますが、例えば大阪市の例を見てみますと、大阪市では二万人をちょっと超した認定患者がおられますが、従来から被害者の被害状況によっての等級ランクというのをつくっていますね。大阪市の患者の等級ランクを見てみますと、大体通常は二五%内外が等級外という、特級、一級二級、三級と違う人になっているわけです。ところが、今度のいわゆる昨年の九月以降二月末までの方々の処分の状況を見てみますと、千六百一人申請をしたようですが、その中で七百八十一人、四八・八%が等級外になっているんですね。一覧表を見てみましたら、一番被害のひどいと言われている西淀川では二百十一人のうち百四十二人が等級外です。つまり六七・三%が等級外ということになっているのです。  この健康被害補償法が制定をされたときからの精神からいって等級外というようなものは大体異例というか、例外なんですね。本来、特級の状況なり一級、二級、三級なりというふうに区分を認定するのが当然であったのが、いつのほどか等級外といういわゆる補償給付のないランクの人たちが大変ふえるという状況になったんですが、これはちょっと異常だと思うのです。だって六七・三%も等級外というのは、あるいは大阪市全体でも四八・八%、約半分等級外というのは異常だと思いますが、いかがですか。あなたの感じはどうですか。
  171. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 先生御承知のような手順で審査会等の手順を踏んで、事務的な手順を踏んで障害の程度の等級を決定して、それで補償給付を行う、こういうふうな手順を踏んでいるわけでございます。私も個別の障害等級の決定について具体的に把握してはいないのでございますけれども、やはり先ほど申し上げましたような面が一つはございますが、いずれにいたしましても、等級外が多い少ないという点について申し上げますと、患者さんに級外の者が非常に多いということにつきましては、やはりこれは審査会で適正に御審査をされた結果でもございますので、やはりそれなりの軽症者が多かったんだなというふうに推測をいたしておるところでございますが、強いて先生がそのようにお尋ねでございますので、私の考えというのは、この審査会の審査、こういうものについてやはり私どもとしては適正に行われているというふうに信じておるのでございますので、そのようなことではなかろうかな、このように推測をいたしておるところでございます。
  172. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで突いたり押したりしてもしようがないんですが、しかし、一人一人の患者さんは自分の被害状況というのはかなりひどいという自覚がありますから、あるいは主治医からもそういった点についてのお話もあるわけですから、当然のこととして異議の申し立てという制度を活用して異議申し立てを行う方々が非常にふえてきております。私は、こんないよいよ最後の幕切れになって一人一人が不満だといって異議申し立てをせにゃいかぬような状況というのはやっぱり随分冷たいなという印象を受けるわけです。  ですから、私はこの問題では多くを言うつもりはないんですが、異議申し立てをしている人たちについてはそれなりに親切な対応をしてあげるべきだと思います。親切なというのは、主治医の意見を聞くなりなんなりもっときちんとして、本人がもっと私はしんどいんですよ、苦しいですよということを言っているわけだから、その点は親切な対応で対処してもらいたいと思いますが、それはまずいかがですか。
  173. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 障害の程度の等級の決定ということでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたが、その手順の中に審査会がある、そしてその審査会は当然主治医の意見といったようなもの、これも入れまして、そこでもって決定をしておるわけでございます。それでまた主治医の意見といろいろ審査の差が出るというふうなことになりますと、主治医を呼んで必要に応じて主治医の意見もまた直接聞く、こういうふうなことを繰り返すわけでございますので、やはりこの審査の適正さということについては、私はそれはそれなりにきちんとしているというふうに考えておるのでございます。  また、御指摘の異議を申し立てる方、それから当事者、処分庁との間で、やはりこれ大変微妙な問題でもございますので、異議申し立ての事案の取り扱いの中で、当事者の間でとかく誤解が生じやすいということについては私も聞いているのでございますけれども、この異議申し立て等の事務処理につきましては、これまでも私どもは法律に基づいて適正に行うようにというふうに指導をしてまいっておりますし、今後もこれを適正に行うようにというふうに指導をしていくことといたしておるのでございます。
  174. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 大分不親切だなと思う例は幾つもあるんですよ。これはもう既に環境庁も御承知だと思いますけれども、東京都の足立区では、異議申し立て書を出したら、出した本人の家へ足立区の職員がその異議申し立て書を取り下げしてくださいという取り下げ届け書というのをわざわざ書類のサンプルをつくって持ってきているんですね。この人は五十四歳の御婦人です。  経過をちょっと言いますと、去年の九月十六日の認定で三級が等級外と認定をされたけれども、私はよくなっていると思わないということで本人は納得せずに異議申し立てをした。初めは受け付けてもらえなかったそうです。やっと十一月十四日になって受け付けてくれたんですが、十一月三十日に区役所の職員が二人取り下げ届を持って家庭訪問をしてきたというんです。これ処分通知書を見てもちゃんと書いてあります。私はこれの原本を持っていますけれども、ちゃんと書いてあるんですね。「この決定に不服がある場合は、この決定を知った日の翌日から六十日以内に足立区長に対し、異議申し立てをすることができます。」とちゃんと書いてあって、その異議申し立てをしたら取り下げ届というようなものを持ってきたというのは言語道断だと思うんです。本人の権利をどう考えているのかな、こんなのもう全く患者さんの権利侵害ですよ。こんなことが、たまたま私知ったのはこの一例だけれども、あちこちに起こっていたら大変なんで、こういうふらちなことを起こさないように各関係自治体には適正な指導をなさる必要がなかろうかと思いますが、いかがですか。
  175. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 先ほどお答え申し上げましたように、これまでも適正に行うように指導をしてまいりましたし、今後とも適正に指導をしてまいりたい、このように思っているところでございます。
  176. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは、簡単におっしゃるけれども、起こってはならないようなことが起こっているからそれで申し上げているんですよ。そんなことをやりなさいとまさか環境庁は言ってないだろうから、適正に適正にと言うけれども、異議申し立てをしてきたら取り下げさせようというようなそんな指導はしてないでしょうね。まさかと思いますからそういうことのないように、被害者の権利侵害を起こすような事態がないように適正に御指導なさっていただきたいということを申し上げているのです。時間がありませんので、長官に私は聞こうと思ったのですけれども後に回します。  患者さんに対してこういうことであると同時に、医療機関に対する診療報酬の対応もやっぱり大分ひどいなと思うんですよ。健康保険の診療報酬の改定が四月一日にありまして、公健法でも八月一日からあったんです。改定されました。改定は今度は何プロの改定率でありましたか。
  177. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) これは、八月の公害診療報酬の改定につきましては具体的な何プロといったようなことではございませんで、幾つかの項目ごとにそれを私ども改定をいたしたのでございまして、何プロといったような相対的なものは結果としてあるわれるものでございまして、そのような予定をいたしているのではございません。
  178. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いいかげんなことを言ったら困るじゃないの。診療報酬の改定をするのに何プロといって考えたわけではございませんと、そんなぬけぬけとしたことでまともにやっているんですか。健康保険の改定は一体どうなっているんですか。こんなもの中公審で審議してちゃんと公布するんですよ。現に公健法は、一九八三年ですから五年前ですね。五年前の六月以降、改定をして以後は据え置いているんですよ、今日まで。五年間据え置いてやっとこれは本年の三月に初診料の改定をしたらしいけれども、初診料といったって、三月一日から新しい認定患者はしないと。新規に初診する患者ないやん、そんなものを改定している。再診なら話わかりますよ、初診料の改定やっている。どこか狂っている。それはいいです。  八三年六月以降から健康保険は何回、どれだけの率のアップになったか知っていますか。
  179. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) ちょっと正確じゃございませんが、健康保険は日本国全体約三%前後というふうに私ども聞いておるところでございます。
  180. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そういうことを言っているからだめなんですよ。五十八年の六月以降据え置きだったんでしょう。その間に健康保険は何回改定していますか。四回です。四回改定して一回に大体三%。このごろは渋いですから三%か三・五%程度ですが、四回を合わせて一二・八%はアップしているんです。そういう状況の中で、その間据え置いてきて今度改定をするんだから、少なくともその率を上回るだけの改定を必要とするということで計算をしていなかったら八月一日に診療報酬の改定できないはずですよ。何というでたらめなことを言うんですか。何%を見込んで改定したか言ってください。
  181. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 公害診療報酬というのは、先生御承知のようにいわゆる特掲診療の分と、それから健康保険の診療単価そのものを持ってまいりまして、これは主として技術料でございます、その一・五倍の単価にしているものと、それから薬とか材料費等は健康保険の単価と同じものということでございます。  それで、先生の方の御指摘の健康保険の単価と同じものになっているようなものは、全部今の先生の御指摘の四回の診療報酬の改定のたびに御承知のようにアップしているわけでございます。それから先生の御指摘の特掲診療分のものにつきましても、今回私どもそれなりの中公審の御意見を伺いまして改定をいたしたものでございます。  それで、先生御承知と思いますが、国全体の診療報酬のアップと申しましても、この全体のアップの率というものは非常に計算が、推計が私ども困難でございまして、特に今申し上げましたように、公害の医療の中身がいわゆる健康保険の一・五倍の単価と一・〇のものとそれから特掲のものと、この三つが組み合わさっている関係でございます。そういうふうなものがございますために、この特掲診療だけを取り上げて何%アップというふうに出すのは非常に困難でございます。また、その伸びとかそういうものについても、医療機関によっても違ってくるのでございます。厚生省の方はいろんな形でいろんな推計でやっておられるわけでございますが、私どもはそういうものを踏まえまして、そして特掲診療分につきまして、それぞれ今先生おっしゃいましたけれども、検査料とかそういうようなもの、初診料といったようなもののアップ等をいたしているところでございます。
  182. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これはちょっとゆっくりやりたかったんですけれども、時間がありません。  特掲診療、特掲料金というようなものはあだやおろそかでできたものではない。中公審で方針をきちんと決めて、これこれしかじかの条件があるから持掲的な診療報酬にする必要があるということが決定されてきておる。それが健康保険との関係で計算できませんなんて、ぬけぬけとそんなこと言っては困ります。この答弁は了承いたしません。むちゃなことを言ったら困る。  私、もう時間がないので最後に長官にこれはぜひ御意見を承りたいと思っているのは、被害者の患者認定についても一人でも患者を減らしたい、あるいは等級ランクでも一つでもランクを下げたい、あるいは病人が病院へ行ってかかる場合にも料金はできるだけ安くたたいていきたい、だって健康保険と比べて五年もほうってあったんですから。そういうことをやってきたということは一体何か。これは、こういういわゆる公害の被害によって苦しめられている人たちの当然の権利である公健法についての費用をできるだけ安上がりにしようという、地域指定を打ち切ったという一番鮮明な形、同時に、片や現行の続いているところもできるだけけちっていこうというやり方になってきていると思うのです。  私は、長官にぜひこの点についてお聞きをしておきたいと思うのは、臨調、行革で随分ずたずたと削ってきました。これは私ども反対ですが、けれども公健法は臨調、行革とはわけが違うんですよ、本来。加害者があって、罪、とがのない人たちが被害を受けた、そのための健康回復であり、あるいは働くことができないための補償給付なんです。そういう点を間違わないように、環境庁がその立場に立ってもらわなかったらこんなものは成り立たない。そういう点で本当に原点に立ち返ってやはり今後の問題について対応をしてもらいたいと思うのですが、長官の御見解を伺いたいと思います。
  183. 堀内俊夫

    ○国務大臣(堀内俊夫君) 公害防止というのは環境庁の大きな柱であります。先ほど来話を聞いておりまして、いずれも公害患者に対する原点の問題の議論だったと思います。委員は特に医学的知見のある方でございますから、言っておられるのは正確な話だと思いますので、十分原点に立って今後運営に当たっていきたいと思います。
  184. 山田勇

    ○山田勇君 環境問題は今や地球規模で考えなければならないということは万人の認めているところでありますが、我が国におきまして、さきの国会で特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律が成立し、各種の取り組みがなされておりますが、その状況について御説明を願いたい。中でも排出規制についてはどうなっておるのでしょうか。
  185. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答えいたします。  行政的といいますか、実務的な点につきましてまず御説明を申し上げたいと思います。  先生からお話しございましたように、フロンガスによりますオゾン層の破壊を防止するためには、段階的にフロンガスの消費量を削減していくという国際的な約束でございますオゾン層の保護に関するウィーン条約、それからモントリオール議定書の我が国の加入の問題でございますが、この我が国の加入につきましては去る九月三十日付でその手続を終えたところでございます。各国によります条約、議定書の締結も進んでおるところでございまして、こうしたことから条約の我が国での発効につきましてはことしの十二月二十九日となりまして、議定書につきましても明年の一月一日に大体確実に発効するであろうというところに至っているところでございます。  それから第二点、先生から特に御指摘がございました排出抑制の問題でございますが、先生も御存じのとおり、国際的に共通の義務となりました生産量の削減だけではなくて、あわせまして法の二十二条におきまして、フロンの使用者におきます排出抑制、使用の合理化を義務づけいたしますとともに、二十三条におきましては、環境庁長官及び通商産業大臣が具体的な指針を策定し、フロン使用事業者の業種に応じた主務大臣がこの指針に即しまして指導、助言を行うというぐあいに決められているところでございます。  この排出抑制の指針の関係でございますが、環境庁におきましては十二月の末を目途にこの指針の策定の作業を進めているところでございまして、私どもに設けております成層圏オゾン層の保護に関する検討会という場におきましてこの排出抑制対策等のあり方を中心に検討をいろいろお願いいたしておったところでございますが、二十四日、一昨日になるわけでございますけれども、検討会からこの結果が取りまとめられまして報告されまして新聞等にも載っておるところでございます。今後は、この報告及び通商産業省の方におきます検討結果を踏まえまして、近日中にも両省協議をいたしまして排出抑制・使用合理化指針策定の作業を進めてまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。この指針の策定がなされた後は、これに沿って使用者におきます対策が効果的に促進されまして、オゾン層保護対策が全体として円滑に進められるということを期待いたしているところでございます。
  186. 山田勇

    ○山田勇君 今局長が述べられたフロン対策の中間報告、これは新聞に報道されております。環境庁の話では、フロン回収装置を組み合わせれば、半導体の金型洗浄で七四%、プリント基盤の洗浄で六〇%を排出抑制ができる。ただ、効率のいい活性炭吸着の回収装置は三百万円以上もするため、さらにこれを小型化、効率化し価格も数十万円にする必要があるということですが、これはどういうことなんですか。これだけの性能のいいものを設備投資するとそれだけ価格に戻るということなんですか、負担になってくるという意味のことなんでしょうか。
  187. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 私どもでつくりました指針に基づきまして、それぞれの事業者がそういう設備を設置いたしますとそれだけのお金がかかるという話でございます。ですから、さらにそういう面での普及を広げるという意味でございますれば、三百万かかるものをもっと安い価格でやれることが望ましいと、そういう面での技術的な改良についての今後の検討課題という形で表現いたしているところでございます。
  188. 山田勇

    ○山田勇君 このフロンの問題は、もう本当に前段で述べたとおり地球規模の大きな問題点になってきつつありますし、また現在もそういうことですから、今からるる質疑させてもらいますけれども、これ局長、何らかの措置で補助金制度的なことはできませんか。  今、こういう例は極端かもわかりませんが、アラスカの鯨三頭に八千万もかけて日夜報道されている。我々とすれば、言葉は不謹慎かもわかりませんが、過剰なぐらい鯨救出作戦ということを報道されております。そういうことから考えて、生命というもののとうとさからいえば、これ何かしてやらぬとなかなか業者が設備投資へ踏み切らないということになってくれば、これはもう世界的な問題になっているので、何か新しいオゾンに対するお考えはないでしょうか、それとも今後そういう形で検討がなされるというふうにお思いなんでしょうか。
  189. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 先生御存じのとおり、このフロンの排出抑制、使用の合理化にかかわりますそういう設備につきましては、先ほど先生からお話がございましたことしの国会で通りました法律の中におきましても、国がそういう面でのいろんな援助等をやる必要があるということをうたわれているわけでございますし、具体的には、税制の面で地方税あるいは国税につきましてはそういう排出抑制設備を設けます場合にはその一定の割合におきまして減税措置というのを講じているところでございます。
  190. 山田勇

    ○山田勇君 ありがとうございました。  オランダのハーグにおいて国連環境計画の主催によりオゾン層保護の専門家会議、いわゆるモントリオール議定書の見直しのための会議が開かれております。現在まだ会議の途中でありますが、アメリカなどが今後オゾン層の保護のための厳しい対応を主張するのではないかと考えますが、この点について環境庁はどのような認識をお持ちなんでしょうか。
  191. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 先生お尋ねのハーグの会議は、先生お話しございましたように現在も続けられておるわけでございまして、私どもといたしましても担当者を派遣いたしておるところでございます。その結果につきましては現在まだ詳細な報告を受けていないわけでございますけれども、これまでの電話等の情報によりますれば、アメリカが規制対象のフロンの一層の規制の強化あるいは新たな対象物質の指定ということにつきましては公的の場においては主張していないというぐあいに情報を受けているところでございます。これからまだ会議が続いておるわけでございますので、今後どういう形でそれがアメリカ側から提案されるかどうかについてはよくわからないわけでございますけれども、現在議論されておりますのは、今後に予定されております対策の再評価のための作業のスケジュール等についての討議がされているというぐあいに聞いているところでございます。
  192. 山田勇

    ○山田勇君 通産省の方お見えですか。——オゾン層の保護に関しては本年三月にNASAのオゾン・トレンド・パネルのレポートが示され、このレポートを受けてアメリカの企業の中ではフロンの生産を大幅に削減ないし全廃するような動きが出ていると聞いております。この点の事実関係の確認ということについて通産省はどのように把握しておられますか。我が国としてはフロンの生産制限という問題についてどのような認識を持っているのか通産省にお尋ねをしておきます。また、環境保護の立場から環境庁としての対応についてお尋ねをいたしておきます。
  193. 寺西大三郎

    説明員(寺西大三郎君) まず、オゾン・トレンド・パネルの報告を受けてアメリカの企業の中に大幅な削減という動きがあるという御質問でございますが、私どもの把握しております範囲内において申し上げますと、ことしの三月半ばにNASAが中心になりましたオゾン・トレンド・パネルのレポートが出たわけでございまして、これを踏まえてアメリカの最大手の化学メーカーでありますデュポン社におきましては、その割と直後でございますが、規制対象フロンの製造を段階的に削減をしていって、代替品の開発ができるということが条件ではございますが、究極的には生産中止まで持っていきたいという意向を表明されたと聞いております。さらに同社は、七月三十日になりまして西暦二〇〇〇年には完全に中止したい、こういうことを言っているというふうに承知いたしております。  このように、私どもといたしましては、各国の状況、民間企業状況、それから政府の状況、ともに常時把握をしているつもりでございます。  二点目の、今後そういった強化の動きが各国から出てきた場合に通産省としてはどう考えるかという点でございますが、今のところは、まずウィーン条約それからモントリオール議定書に基づいて定められております削減スケジュールに従いまして、国内法でありますところの特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律に基づきまして、的確にこれを実施していくということが何よりもまず大事なことだと思っております。しかしながら、そういった世界各国の動きというものにつきましては、ただいま申し上げましたように常時把握に努め、また主体的に協力するというふうなことも含めまして的確に対応してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  194. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 環境庁といたしましても、ただいま通商産業省の方から御説明がございましたような考え方をいたしておるわけでございます。何よりもまずウィーン条約なりモントリオール議定書、それから我が国の国内法の完全な施行というのが一番大切であり、当面それについて鋭意努力してやってまいりたいというぐあいに思うわけでございます。  今後の問題ということになりますれば、先ほど御説明がございましたNASAのオゾン・トレンド・パネルの検討結果も年末までには詳細が明らかになるというぐあいに聞いておるところでございますので、その報告書を私どもも十分検討させていただきたいというぐあいに思っておりますし、それからまた、国公研におきますオゾン・レーザー・レーダーの観測結果といいますもの、あるいはそれ以外の研究成果といいますものをいろいろ取り集めまして、私どもに設けております成層圏オゾン層保護に関する検討会の場におきまして専門家の御意見を聞きながら我が国の今後の対策、今後の対処方針について御意見を賜ってまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
  195. 山田勇

    ○山田勇君 僕なんか素人でよくわからないのですが、このフロンにかわる代替製品といいましょうか、そういうのは通産省何かお考えになっているのか。将来はこれに切りかえていく、それに合わせて減産していく、将来は全廃していくという形をとっておられるかどうか、ちょっと通産省にお尋ねします。
  196. 寺西大三郎

    説明員(寺西大三郎君) 規制対象となっておりますフロンガスの代替品の開発というのは、ただいまのような削減スケジュールをきちっと守っていく上での大変重要なファクターでございますので、私どもといたしましてもその開発に鋭意努力いたしているところでございます。  具体的には、フロンの種類によりまして、その用途によりましてそれぞれ代替品が異なるわけでございます。その代替品の中にも既に使われたことのあるようなフロン以外の既存の物質ということで代替する分野もございますし、それから、フロンガスではありますけれども、新しい規制対象となり得ないような物質の開発、両方あると思います。物質の開発そのものにつきましては各民間企業相当世界的にやっておられますので、私どもといたしましては、そういう新しい開発された物質の毒性の問題とか、あるいは用途に適するかどうかの物性上のチェックとか、こういったことにつきまして調査研究を進めておるところでございます。
  197. 山田勇

    ○山田勇君 初めに申し上げましたように、環境問題は地球的な規模の考察が必要であり、オゾン層保護の問題だけではなく、現にことしに入ってアメリカ中西部の記録的な干ばつ、サハラ砂漠の洪水、また我が国におけることしの夏の長雨など世界的な異常気象が、単に純粋な自然界のサイクルによるものではなく、二酸化炭素やフロンなどによる人為的な影響による温室効果がもたらしたものといった見解が強くなっております。昨年十一月に将来の気候変動に対応する政策形成のためのワークショップが開催され、また、ことし六月にはトロントで大気の変動に関する国際会議が開かれ、来月には国連環境計画と世界気象機関が共同で気象変動に関する政府間パネルも開かれると聞いておりますが、こうした会議に臨むに当たって、我が国として地球環境問題への取り組み方、その方針を確立しておかなければならないと思いますが、環境庁の取り組み方についてお伺いをしておきたいと思います。
  198. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 先生から御指摘ございましたように、地球的規模環境問題といいますのがこの一、二年非常に大きな話題、大きな関心事という形になっているわけでございます。先生からお話しございましたように、国際会議もいろいろ会議が次から次と催されている状況にございまして、私どもといたしましても、私どもの担当官なりあるいは専門の方々の御出席をいただきながらいろいろ情報収集等を図っているわけでございます。特に先生からお尋ねございましたこういうような世界の動き、あるいは地球温暖化の問題についてどう対処しておるのかということでございますが、私どもといたしましては、いろんなところでいろんな議論、いろんな科学的知見が出ているわけでございますので、そういう問題につきましては、まず現状の科学的知見を整理いたしまして評価をし我が国としての対応のあり方を検討する必要があるだろうということで、ことしの五月に私どもの局内に地球温暖化問題に関する検討会といいますものを設けまして、現在先ほど申し上げましたような知見の評価なり我が国としての対応のあり方ということについての御議論をしていただいているところでございます。作業を急いでやっていただくということでお願いいたしてございまして、近日中にも中間的な検討結果を取りまとめていただけるというぐあいに私ども聞いているところでございまして、その結果を踏まえましてこれからの各種の会議等に我が国の対応についての姿勢を明らかにしてもらいたいというぐあいに思っているわけでございます。  さらにまた申し上げれば、このような世界の動向あるいは関心事というようなこともございますので、環境庁におきましては、国立公害研究所におきましてこれに関連した特別研究の実施なり、あるいは国立機関、公害防止等試験研究費におきまして関連機関のこれらに関します研究費の一括計上という形で研究の推進を図っておるところでございます。
  199. 山田勇

    ○山田勇君 局長が先ほど言われましたこの地球温暖化の問題は、その影響があらわれるのは早くても数十年先と見ていたものが多かったのですが、最近では二十年先にも海面が上昇する異変が起きてもおかしくないといった見解もあります。未然防止の観点からも深刻な事態が生じる前に対策を急ぐことが必要だと考えます。温暖化のメカニズムの解明、対策技術の構築が重要であります。  この点、日本として国際的な役割を果たすためにも、アメリカなどの知見と技術に頼るだけではなく、積極的な努力が望まれると考えますが、先ほど五月には既にこういう会議を持っているという御答弁をいただいたわけですが、再度こういう問題についてのお尋ねをいたしておきます。
  200. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) このオゾン層の問題あるいは地球温暖化の問題につきましても、先生からお話しございましたように、アメリカにおきます知見がかなりたくさんございますし、かなり前からいろいろ取り組んでおるというのは先生のお話しのとおりでございます。そういうことで、我が国におきましてもこういう問題につきまして取り組まなきゃならないというようなことで、先ほど申し上げましたような検討会におきます御議論、あるいは私どもといたしましては関連の予算を確保いたしまして研究を進めてまいりたい。特に、こういうオゾン層の問題あるいは地球温暖化の問題と申しますのは、従前の一つの部門の学問分野ではなかなか片づかない問題が多うございまして、いろんな気象の問題なり、あるいは分析の問題なり、あるいは地球物理学的な問題、科学的な問題というようないろいろな分野におきます共同研究的なものが必要であるわけでございますので、そういう面で文部省におきましてもいろんな研究費を出しております。あるいは関係省庁におきましてもそれぞれの分野におきます研究費を出して科学的知見を集めておるというようなことをやっておるわけでございますし、環境庁におきましても先ほど申し上げましたような研究に取りかかっておるところでございます。  今後とも国内におきます研究、あるいは外国におきます研究の知見を十分集めまして、私どもといたしましても、日本の立場なり、あるいは世界に貢献する日本の立場ということで今後ともこの問題につきましては前向きに取り組んでまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
  201. 山田勇

    ○山田勇君 地球的規模環境問題の解決に向けてアメリカではもう既に国内法の整備を検討していると聞いております。例えば地球温暖化防止のためのエネルギー戦略法案などなどですが、この夏アメリカ、カナダを訪問された長官は諸外国の取り組みについて十分な認識をお持ちだと思いますが、ウィーン条約やモントリオール議定書の交渉過程において我が国の取り組み方が批判されたと聞いておりますが、今後はこのような批判、指摘を受けないような積極的な努力が必要と考えます。  そこで、環境庁としてはフロン問題などに責任を持って取り組んでいく体制の確立が必要であります。また縦割り行政によって効率的かつ効果的な取り組みが阻害されることも心配されますが、環境保全に取り組む政府の責任者であります堀内長官の御所見を伺いまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  202. 堀内俊夫

    ○国務大臣(堀内俊夫君) 先ほど来伺っておりまして、例えばオゾン層の保護という観点に立っても、現在百万トンないし百十万トンぐらいのフロンガスをつくっておるわけです。しかも、その中で我が国が大体十七、八万トンでアメリカが三十五万トンと言っているんですから、この地球上でオゾン層を破壊する懸念のある物質の世界の生産量の半分までアメリカと日本でつくっておる。だからまず日米がこの問題にしっかり取り組まないとこれはどうにもならないというような立場でアメリカへ行ったわけです。ところが、先ほど委員が懸念をちょっとおっしゃったけれども、本当はこの条約の成立というのはうまくいって来年の今ごろになるんじゃないかと思うんですけれども、モントリオールの議定書の発効過程においてもう既にこれはだめだと、もう少しきつい制限をしなければならないということをトーマス長官が言っていました。これは一体何だと、今の状態でもこれ九八年には半分にしなければならぬというのでしょう。そういう過程でこういうことを言うているというので実は驚いたわけです。  しかし考えてみますと、きょう衆議院の環境委員会で皆国公研を見に行ってもらっているわけですけれども、あそこにようやくレーザーレーダーを設置して、そして六月からこれデータをとっているわけですけれども、NASAでは二つもうずっと前からやっておるわけですね。ところが、NASAでの知見あるいはTOMSというような大気圏の観測の衛星を向こうではもうやっておるわけです。我が国ではようやくSAGEという、これ北極、南極の調査をやろうというものでしょう、一番安いものですね、金額にすれば。向こうは何百億、こっちは五億ぐらいを環境庁予算にするのに四苦八苦、しかも、これ五年先の話ですよ。  そういうような状態だから知見が違うんですね。だからこの知見をやはり情報としてお互いに交換し合ったら、これは西ドイツもレーザーレーダーあるんだし、フランスもあるんだから、これらの五つのレーザーレーダーの情報交換だけでも大気圏の状態のもっと違った知見が出てくるのじゃないかと思うんです、あるいは衛星に上げているNASAの資料を、データをもらうことによって。もちろんこれ交換しておるんですが。また、うちの国立公害研究所とNASAの研究所とのドッキングをやると、あるいは派遣をやると、こういうことを決めてきたんですけれども、こういうことをやらないと、私も素人なんですけれども、知見自体がいたずらに不安を招いていますね。今いろいろな知見を言っておるけれども、確たるものがないんですよ、皆そういう懸念があると言っているんですけれども。ところが、懸念が本物だということになったら我々はもうおしまいなんです。そういう大きな問題が含まれているだけに、これは私ども経済活動から言うと相当なところまで日本は行っているわけだから、やはり地球環境にも責任を負うべきだと思います。  幸いにこの間ECEの事務局長と会う機会がございました。訪問してくれた、日本へ初めて来たというのです。いわゆる先進工業国、日本を除いての先進工業国が集まってやっておるわけなんですが、やはり経済とこの地球環境というのはもう密接な関係があることを強調したことと、もう一つは、ソビエトのゴルバチョフさんが環境問題について懸念を持っておられるということを非常に強調していました。  また、今度竹下総理が中国へ行かれて、日中交渉の十年記念行事の中で環境問題のプロジェクトを向こうは希望したんです。李鵬さんの経歴なんかを調べてみると日本で言う環境庁長官をやっておるんですね、向こうでは主任と言っておるが。だから非常に過去の経験から言うとこの環境問題の知見の相当ある人だという感じです。  また、向こうでびっくりしたのは、アメリカの大統領選挙今やっておりますね。この論争の中に、日本の総選挙で与野党の間で環境問題を論争点に挙げたことないです、私ら今まで見ていて。向こうでは今大統領選挙の論争の中に入っています。  そういうことを考えると、非常に日本が今しやすい、軍事問題とか経済問題と言ったらいろいろやっぱり日本のしにくい立場があるけれども、この地球環境問題であると、日本の立場もあるし、これ何ぼ力を入れても、いわゆる世界じゅうから言うと日本を正しく理解してもらえる機会じゃないか、そういうことも思いまして、私は今委員の御指摘があるように、この地球環境問題こそ経済力を持った我が国が果たせる唯一の大きな仕事じゃないか、ことしはその突破口がようやく開けたから、これはもうみんなでこの問題を世界じゅうの信頼を得られるように、また、ほかのことだといわゆる批判の場合の方が多いです、日本が金を出すことに対して。しかし、このことでもう少し金を出したってみんなに喜ばれるんじゃないか、私は今そういう気持ちでおります。
  203. 林健太郎

    委員長林健太郎君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十一分散会