○村上弘君 私は、ただいま
議題になっている
竹下内閣不信任決議案に対し、日本共産党・革新共同を代表して、
賛成の
討論を行います。(
拍手)
竹下内閣は、発足以来わずか一年の間に、みずからに対する
リクルート疑惑についてうそをつき続け引責辞任を余儀なくされた
宮澤副
総理を初め、三人の閣僚が反
国民的言動や施策の結果辞任を余儀なくされ、今や
内閣支持率は急落を続け、わずか一八%という
世論調査の結果すら出ているのであります。まさに
政権末期症状を通り越して、
内閣存立の基盤そのものを失っていると言わなければなりません。
このように
主権者国民が
竹下内閣を見放しているのはなぜか。それは、言うまでもなく、
竹下内閣が
大型間接税はやらないと言って選ばれたはずのこの
国会に、事もあろうに
大型間接税にほかならない
公約違反の
消費税を押しつけるために、本来召集すべきではない
臨時国会をあえて召集したことに端を発しているのであります。しかも、前代未聞の大幅会期延長など、暴挙の上に暴挙を重ね、六割、七割の
国民が
反対している
消費税法案をあえて今
参議院で
強行しようとしているからであります。しかも、一層許しがたいことは、今八割、九割の圧倒的多数の
国民が
要求している
リクルート疑惑の徹底的
究明によって
政治と
国会の信用を回復することであるにもかかわらず、この
国民の声には全く背を向けているからであります。
今、
竹下内閣・
自民党にはこれらの疑惑について自浄作用を発揮する能力が全くないばかりでなく、公的違反の
消費税を
強行することによって、
リクルート疑惑の
解明を求める
国民の願いに真っ向から挑戦さえしているのであります。あらゆる
世論調査の冷厳な数字は、やるべきことはやらず、やってはならないことのみをあえて
強行し続けている
竹下内閣に対する
国民の抑えがたい
怒りの反映にほかならないのであります。
今日まで
竹下首相は、事あるごとに、
国民の声を大事に大事になどと口先では言ってまいりました。もしこれが真実であるならば、
内閣不信任を突きつけられる前にみずから総
辞職するのが当然ではありませんか。(
拍手)しかし、
竹下内閣は、世論にも道理にも挑戦して居座りを続けようとしているばかりか、
内閣改造まであえてやろうとしております。これは言語道断であります。
私は、以上の
立場から、
竹下内閣不信任賛成の
理由を具体的に述べます。
その第一の
理由は、
自民党自身の
選挙公約にも真っ向から反する
消費税法案の成立をあくまで
強行しようとしているからであります。
言うまでもなく、
消費税は、その
課税範囲からいって
世界最悪の大衆
課税であり、低
所得者ほど負担が重くなる最悪の
不公平税制であります。
国民生活にとっては言うまでもなく、
我が国の経済を支えてきた中小企業家にとっては、物価上昇、
消費低下、競争激化、その上に価格転嫁の難しさから身銭を切って税の立てかえ払いを余儀なくされるなど、経営と生活の存立にかかわる重大問題であります。緩和措置とか修正とか、いかなる術策を弄しても
消費税は
消費税であります。
政府が大宣伝してきた
減税なるものも、大金持ち、大企業優遇の不公平
減税であり、我が党の試算では、サラリーマンの八割以上は増
減税差し引き
増税になるのであります。もし真に
国民本位の
減税を考えるのであるならば、
課税最低限の引き上げをこそ思い切って断行すべきなのであります。
竹下内閣が
公約違反、
国会決議違反の
消費税導入のためにあらゆる術策を弄してまで
強行しようとしている戦後
税制の
抜本改革とは一体何か。それは、結局のところ、戦後の憲法が主権在民を明記し、平和的、民主的原則を打ち立て、
税制面でも曲がりなりにも貫かれてきた直接税
中心、総合累進
課税、生計費非
課税、申告納税という民主的原則を抜本的に改悪し、戦費調達のために
大型間接税を
導入し、大軍拡の道を進んできたアメリカやヨーロッパ諸国と同じ道に入ろうとしているものにほかなりません。(
拍手)
消費税導入の真のねらいは、
高齢化社会に備えるためなどというものではなく、軍備拡大の安定的な財源づくりのためであることは、
竹下首相を初めこの悪法の作成、
提出、
強行にかかわったすべての
責任ある人物の言明に照らしても明らかであります。それは、今後、年金制度の改悪など一層過酷な仕打ちが
高齢者に押しつけられようとしているのに対し、軍事費だけは四三・一%、アメリカの戦略援助
中心の経済協力費はこの間に四四・八%と、異常突出が続いていることを見ても明らかであります。
こうしたことと、
竹下自民党政治が教育の反動化をもたらし、農産物の自由化の
強行による日本農業を存亡の危機に陥れていることが、日米軍事同盟強化最優先という反動的、反
国民的政策の共通の帰結であるということは言うまでもありません。我が党は、このような
政権の存続は、それ自体
国民の不幸であることを断言するものであります。
不信任の第二の
理由は、
竹下内閣そのものが
リクルート疑惑の渦中にあるだけではなく、真相
解明を棚上げしていることであります。
公約違反の
消費税法案の
国会提出をした
竹下首相を初め、
中曽根前
内閣、
竹下内閣、二代にわたる
自民党政権十数名の閣僚らが、
リクルート疑惑に深く汚染されていることは天下周知の事実であります。本来、二代の
内閣にわたるこれら
政治家は進んでみずからその実態を
解明し、その
政治的、道義的
責任を
国民の前に明らかにすべきであったのであります。
多くの庶民にとっては一生かかっても得られないような何千万、何億という
譲渡益を、資金まで用立ててもらって一夜にして懐に入れながら、税金は一円もかからない。このような
竹下内閣・
自民党が
国民に大
増税を押しつけるなどということは、断じて許されるものではありません。(
拍手)
言うまでもなく、
リクルート疑惑なるものは、その規模において、その金額において、さらには疑惑にかかわっていた人物の政財官の広がりにおいて、何よりも米日
関係を含むその黒い
政治的背景が、天下を震撼させた
ロッキード疑獄をはるかに上回るものであることを、多くの
国民は敏感に感じ取っているのであります。こういう重大疑惑の
解明を、
消費税を
強行することによって
ふたをしようなどということは、到底許すことはできません。
竹下自民党内閣に対する
国民の
不信任の
最大の
理由の
一つが、まさにこの点にあることを知るべきであります。本来、主要閣僚がうそをついたというその一点でも
辞職するのが
世界の
民主政治の常識であります。
竹下内閣は直ちに総
辞職すべきであるということを、
主権者国民の名において断言するものであります。(
拍手)
不信任の第三の
理由は、
税制改革の次は
政治改革などと公言している問題であります。
竹下内閣は、
竹下内閣に対する
国民の
政治不信を逆手にとり、今日まで
国民の
反対で何回も葬られてきた小
選挙区制や
政党法、さらには国家機密法など一連の反動立法の
強行をたくらみ、
公約違反など
議会制民主主義のじゅうりんを行うだけでなく、制度の上からも戦後
民主主義を根底から破壊することをねらっております。
これらは、反動的な行政改革、教育改革、
税制改革などの名で進めてきた戦後
政治の反動的総決算を戦後
民主主義の総決算にも及ぼし、憲法改悪への
最大の地ならしとして、日本型ファシズムを新たな段階に進めようとする極めて危険なたくらみであると言わなければなりません。(
拍手)それは、ブッシュ次期米
政権のタワー国防
長官候補が、ペルシャ湾への自衛隊の派遣問題に関連して、日本は改憲も可能であると早くも公言していることと無
関係ではありません。今、
国会で国際的にも厳しい批判を受けている拘禁二法の成立を
強行しようとしているのも、こうした
民主主義の反動的総決算の一環であることは言うまでもありません。
このような
竹下内閣の継続は、
国民にとって百害あって一利なきものであり、もはや
竹下内閣は、その存在が一日長引けばそれだけ
国民の不幸が増大するだけであります。もしあえて居直りを続けるのであるならば、
国会を
解散し、
国民に信を問うべきであるというのが
国民の声であります。戦後の保守党史で、このように沈滞した、
社会正義が通用しない時代があったであろうかとある
新聞は書いております。この
主権者国民の共通の声には耳を傾けるべきではありませんか。直ちに総
辞職をすべきであります。
以上、私は、
竹下内閣の総
辞職を強く
要求するとともに、この
要求を貫くためにあらゆる方法を尽くして徹底的に闘い抜くことを表明をして、この
賛成討論を終わります。(
拍手)