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1988-10-06 第113回国会 衆議院 本会議 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十月六日(木曜日)     ─────────────   昭和六十三年十月六日     午後一時 本会議     ───────────── ○本日の会議に付した案件  佐藤農林水産大臣低温等による農作物被害についての発言及び質疑     午後一時二分開議
  2. 原健三郎

    議長原健三郎君) これより会議を開きます。      ────◇─────  国務大臣発言低温等による農作物被害について)
  3. 原健三郎

    議長原健三郎君) 農林水産大臣から、低温等による農作物被害について発言を求められております。これを許します。農林水産大臣佐藤隆君。     〔国務大臣佐藤隆登壇
  4. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 本年の低温等による農作物被害状況等について御報告いたします。  本年は、六月に一時低温があり、七月中旬以降、東北関東中心として、七月末まで顕著な低温日照不足が続きました。また、八月中旬から九月にかけても、雨の日が多く日照が少ない不順な天候が続きました。  このような異常気象影響を受けて、東北太平洋岸、北関東中心として、農作物生育に大きな影響が出ております。  水稲については、障害不稔やいもち病等が多発し、生育もおくれ、これらの地域では作柄が大幅に低下しており、統計情報部作況調査によると、九月十五日現在、全国的に九八の「やや不良」、東北地方は九一の「不良」、中でも宮城県は八四、福島県は八六となっております。  野菜については、生育遅延収量減少等から、作柄は平年をかなり下回る産地が多くなっております。  また、豆類、芋類、コンニャク、葉たばこ等畑作物飼料作物、果樹、桑等についても、生育のおくれ、収量品質低下等が見られています。  これらの状況を踏まえて、農林水産省といたしましては、深刻な影響が懸念されております東北関東について、管轄の農政局農作物異常気象対策本部を設置し、状況把握関係県に対する指導に努めているところであります。また、農林水産省本省にも災害対策本部を設置したところであります。  技術指導といたしましては、不順な天候に応じた水稲作管理いもち病防除等を行うよう、各農政局を通じその徹底に努めてまいったところであります。  また、これまでに講じた具体的な対策といたしましては、農業共済制度に関しまして、農業共済損害評価の適切な実施と早期支払いを行うよう指導したほか、金融制度についても、既に貸し付けている農林公庫資金等制度資金償還条件緩和について、被害農家実情に応じ弾力的に措置するよう、関係機関指導いたしております。  さらに、一部地域において次期作用種子確保が懸念されている水稲及び大豆について、営農支障を来さないよう、その確保について指導をしてきたところであります。  私も、先般取り急ぎ特に作況指数の悪かった宮城県下に赴き、深刻な被害実態をつぶさに見てまいり、また、被災農家初め関係者の声を聞いてまいりました。  今後、被害状況早期把握に努めまして、関係機関とも緊密な連絡をとり、被害状況等に応じて、天災融資法及び激甚災害法発動農業共済制度損害評価特例措置自作農維持資金融資枠確保等について検討し、各般災害対策をできるだけ早い時期に講ずるよう、万全を期してまいる所存でございます。  報告を終わります。(拍手)      ────◇─────  国務大臣発言低温等による農作物被害について)に対する質疑
  5. 原健三郎

    議長原健三郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。桜井新君。     〔桜井新登壇
  6. 桜井新

    桜井新君 私は、質問に先立ち、天皇陛下におかれましては、去る九月十九日吐血なされて以来、厳しい御病気との闘いを続けられておる御様子をお伺いいたし、深く憂慮いたしておるものであります。天皇陛下の一日も早い御快癒を衷心より謹んでお祈りを申し上げます。(拍手)  私は、自由民主党を代表いたしまして、まずは、本年の異常気象により甚大な災害を受けられた被災農家方々に心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。極めて限られた時間での各般にわたる質問となりますが、表現の足りない点についてはお許しをいただき、親切な御答弁をお願い申し上げます。  今ほど佐藤農林水産大臣の方から御説明のありました本年の冷害等による農作物被害について、現在政府検討を進められている被害農家救済のための各種対策等につきまして、総理並びに関係大臣見解をお伺いしたいと思います。  まず、農作物被害状況でございますが、佐藤農水大臣の御説明の中にもありましたように、本年は七月以降記録的な日照不足異常低温等の不順な天候が続き、このため農作物、特に水稲につきまして、障害のために実りが悪かったり、いもち病が多発し、東北関東太平洋岸中心として、かなり広範囲な地域に深刻な影響を及ぼしているのは御承知のとおりでございます。  このため、我が党におきましても、先般、青森、岩手宮城、山形、福島の各県下に調査団を派遣し、被害状況をつぶさに調査するとともに、被災農家方々から直接窮状及び要請を伺ってまいったところであります。  調査団からの報告によりますと、地域によりましては、あの五十五年の大冷害を上回るような惨状を呈しているところも多く、被害を受けられた農家方々の経済的、精神的な打撃が深刻なものとなっていることに深く心を痛めておるところであります。  自由民主党といたしましても、これを重大視いたしまして、去る四日、党役員会におきまして、伊東総務会長本部長とする冷害対策本部を設置いたし、党の総力を挙げて被災農家救済に当たることを決定いたしました。  そこで、まず佐藤農水大臣伺いたいと思います。  あなたは、かねてから災害対策に深い御理解を示されており、先日も早速宮城県下の被災地を視察され、現地農家方々から直接被害状況要請を聞かれ、いろいろと懇談を深められたと聞いておりますが、そのことを通して今回の災害をどのように認識され、どのような決意で対策を講じられようとしておるのか、お伺いをいたします。  次に、総理大臣にお伺いをいたします。  被災地要望の強い、今ほども触れられましたが、天災融資法及び激甚災害法早期発動についてでございますが、被災農家経営の安定を図るためにも、ぜひ天災融資法及び激甚災害法発動を早急にお願いいたしたいと思うわけでありますが、いかがお考えか、お伺いいたします。  再び農林水産大臣にお伺いをいたします。  資金対策についてでありますが、自作農維持資金について融資枠確保貸付限度額特例措置を講ずるとともに、既に借り入れている農林公庫資金等についての償還猶予等緩和措置を講ずべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。  次に、これも被災地要望が強いものとして、農業共済金早期支払い損害評価特例措置の問題がございます。  被災農家に対する共済金早期支払い確保するため、国の再保険金早期支払いについて特段の措置を講じていただくとともに、異常な災害により政府買い入れ対象とならないような低品位米が発生した場合における減収量の扱いについて、品質低下分減収量に換算する損害評価特例措置をぜひ講じていただきたいと思いますが、いか対応されるか、お聞かせをいただきたいと思うわけであります。  また、冷害等の際には毎回多量に発生する規格外米についての買い上げの問題についてでありますが、本米穀年度末には二百万トンを超える持ち越し在庫が見込まれるような状況の中ではありますが、被害農家救済のため何らかの効果的な措置を講ずべきと思いますが、お考えをお聞かせ願いたいと思います。  次に、被害を受けた稲作農家の中には、既に支払いを受けている予約概算金にも満たない収量しか期待できない方々もたくさんあると聞いております。この米穀の予約概算金返納に当たっては、金利減免措置を講ずるとともに、返済期限延長等措置を講ずるべきだと思いますが、このことについてのお考えをお伺いいたします。  他用途利用米については、作柄に応じて出荷数量を軽減することができることとなっておりますが、水稲被害が甚大な農家についてはさらに特段の配慮を図るべきと考えますが、いかがするおつもりでありましょうか。  米の需給については、今ほども申し上げましたように、二百万トンを超える持ち越し在庫が見込まれ、消費減退傾向も続いておると聞き及んでおりますが、ことしの産米作柄状況等を踏まえて、来年度の米需給均衡化対策についてはいかがなさるおつもりか、御所見をお伺いいたします。  さらに、営農対策として、病害虫の防除助成種子確保対策越冬用飼料確保対策等を講ずるべきと思いますが、このことについても所見をお伺いいたします。  次に、大蔵大臣にお伺いをいたします。  被災農家負担軽減を図るため、今回の被害状況等を勘案して、所得税等減免措置を講じていただきたいと思うわけでありますが、このことについてのお考えをお聞かせいただきたいと思うわけであります。  次に、自治大臣にお伺いをいたしますが、災害対策として、県及び市町村が行う災害復旧事業、生活安定の施策に対する経費並びに災害による税の減収については、特別交付税をもって措置されるとともに、起債についても弾力的な運用を図るなど、特別の財政措置を講ずるべきと思いますが、いかがでしょうか。  最後に、今回の冷害の究極の原因となっておるやませという現象は、古くから言い伝えられておるのであり、その都度甚大な被害をもたらしており、東北農民に恐れられておる現象でありますが、これについて十分に研究がなされておるのか という疑問を感ずるものであります。やませについてのこれまでの対応、これからの研究体制充実等について農林水産大臣としての見解をお伺い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣竹下登登壇
  7. 竹下登

    内閣総理大臣竹下登君) まず、質問に先立ちまして、天皇陛下の御病気の御快癒についてお触れになりました。全く同じ気持ちであります。  お答えいたします。  今次の低温等によります被災農家に対しましては、政府といたしましても心からお見舞いを申し上げる次第であります。  確かに桜井議員御指摘のとおり、経済的にも、また精神的にも大きな打撃を与えた問題であります。政府としては、実情に応じまして万全の対策を講ずることはもとよりのことでございます。  お尋ねの天災融資法及び激甚災害法発動につきましては、農林水産大臣の先ほどの御報告にもございましたように、状況を十分に踏まえて早急に対処する所存でございます。  なお、農家資金対策から、あるいは税制、そして特別交付税等にもお触れになりました。所管大臣からそれぞれお答えをすることといたします。(拍手)     〔国務大臣佐藤隆登壇
  8. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 桜井議員の御質問お答え申し上げます。  まず、今回の冷害につきまして、私も取り急ぎ被害の深刻な宮城県下を十月一日に視察してまいりました。その際、被災農家方々と直接話し合いの場を持ち、被害状況要請など、いろいろお聞きいたしましたが、東京で見たりあるいは聞いたりしている感じとは異なり、現地の生々しい被害を見聞し、心新たにいたした次第でございます。  現下の厳しい農業情勢の中で、被災農家経営の安定を図るため、被害実情に応じて災害金融制度農作物災害補償制度等各般災害対策をできるだけ早い時期に講ずるよう、万全を期してまいる所存であります。  自作農維持資金の問題については、資金需要等を見きわめた上、適切に対処してまいりたいと考えております。  次に、既貸付制度資金償還条件緩和につきましては、関係方面に対し既に指示したところでありますが、この趣旨徹底が図られますよう十分指導してまいりたいと考えております。  農業共済金早期支払い等措置についてお答えいたします。  現在、農業共済団体等において悉皆調査等により被害実態調査しているところであります。被害を受けた水稲等損害評価を迅速的確に行い、共済金支払い早期に行うよう農業共済団体等指導しているところであります。また、損害評価特例措置につきましては、被害実態を見ながら適切に対処いたしたいと考えております。  次に、災害により発生する規格外米政府が特例的に買い入れることについては、現下過剰基調のもとでは困難と考えており、このような規格外米につきましては、今後、集荷団体とも協議の上、自主流通米としての流通の道を開くことについて検討してまいる所存であります。  次に、米の予約概算金金利減免等についてお答えいたします。  災害による米の減収のため、政府買い入れ代金の前払いとして支払った概算金返納しなければならなくなった農家につきましては、天災融資法発動される被害程度に応じ、一定の基準により返納金利子減免を行うことといたしております。また、期限までに返済できない農家方々に対しましては、農協等がかわって弁済することを認めておりますので、この仕組みを活用してまいる所存であります。  他用途利用米についてでありますが、災害により他用途利用米契約数量出荷が困難となった場合には、いわゆる作況調整により契約数量の変更を行う道を開いております。これを超えて他用途利用米出荷数量を減ずることにつきましては、契約を結んでいる実需者との関係制度本来の趣旨に照らして困難な問題があります。しかし、特別に被害が著しい農家に対しては、何らかの措置を講ずることができるかどうか、今後真剣に検討してまいる所存であります。  次に、米需給均衡化のための対策についてであります。  昭和六十四年度の米需給均衡化のための対策については、今後の作柄推移等を見きわめる必要がありますが、米の持ち越し在庫が高い水準となっていること、消費減退傾向が強まっていることなど、厳しい需給事情もあるので、三たびの過剰を回避する観点から、生産者生産者団体と行政が一体となって検討、推進していく必要があると考えております。  次に、病虫害防除助成についてであります。  病虫害防除については、適切な防除指導のため、発生予報等経費について都道府県に助成をいたしているところであります。病虫害防除栽培管理の一環として一般化していること等により、その経費に対する国の助成には困難が大きいと考えております。したがって、むしろ営農資金に困っている農家に対する資金手当ての面で対応することが必要ではないか考えております。  次に、来年度用種子必要量確保については、農林水産省といたしましても、地方農政局、県、団体との十分な連携のもとに万全を期してまいりたいと考えております。  越冬用飼料対策についてでありますが、本年の低温等により、飼料作物について、東北中心品質低下収量減少が見られます。このため、越冬用飼料確保が困難な場合には、資金の融通、稲わら等利用についての組織的な収集、あっせん事業の活用、余剰乾草についての情報提供などについて、関係県とも十分連絡をとって対処してまいる所存であります。  最後に、やませに対する研究体制についてであります  やませの研究を推進するため、昭和六十年四月に東北農業試験場ヤマセ対策研究官を設置し、さらに本年十月一日からは同試験場地域基盤研究部を新設したところであり、今後やませに関する試験研究を一層推進することといたしております。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一登壇
  9. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 被災農家につきましては、実地に被害地域についての調査等を実施いたしまして被害実態の的確な把握に努めますほか、被害状況につきましては農業団体等からつぶさに見解を聴取いたしまして、災害実情に即して適切に対処するように努めてまいります。  なお、昭和六十三年の予定納税につきましては、前年分の農業所得より本年分の所得減少することと思われますので、その場合、予定納税減額承認申請書を提出していただきまして、減額を受けることができるようになっております。(拍手)     〔国務大臣梶山静六登壇
  10. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 冷害等に対する財政措置についてお答えをいたします。  災害冷害等により被害を受けた地方公共団体においては、災害復旧事業を初め生活再建のための施策等、さまざまな財政負担を生ずることが見込まれることから、災害復旧事業に要する経費農作物被害状況等を指標として特別交付税を配分するとともに、地方債についても災害復旧事業等の執行に支障が生じないよう措置しているところでございます。  今般の冷害により被害を受けた地方団体に対しても、被害状況及び財政状況等調査の上、当該団体財政運営に著しい支障が生じないよう、今後、特別交付税地方債配分等を通じて適切な措置を講じてまいりたいと考えております。(拍手)     ─────────────
  11. 原健三郎

    議長原健三郎君) 沢藤礼次郎君。     〔沢藤礼次郎登壇
  12. 沢藤礼次郎

    沢藤礼次郎君 私は、日本社会党護憲共同を代表し、東北地方稲作中心とする冷害状況とその対策について質問をいたします。(拍手)  日々伝えられる冷災害状況に胸をつかれる思いがします。私は、焦点を東北地方に絞りながら、しかし異常気象による災害東北地方だけの問題ではないという視点を失わず、質問を進めてまいりたいと思います。  まず最初に、私は、東北農業が果たしてきた役割、今後果たすべき役割についてどのように考えておられるか、その基本認識について質問をいたします。  東北地方は古くから道の奥と言われ、そこに住む人々は化外の民とさげすまれ、時代は下がっても、白河以北一山百文という認識がありました。明治時代の富国強兵の国策は、東北地方農民農村の犠牲によって進められてきましたし、また、最近の列島改造高度成長も、東北農山村から若い労働力を吸い上げ、太平洋ベルト地帯に投入することによって進められてきたことは事実であります。  こうした中にあっても、東北は、たび重なる冷害等厳しい自然状況を克服しつつ、豊かな沃土と水資源、勤勉な労働力によって、水田稲作を軸とする農業を営み、全国の水田面積の四分の一を占める日本食糧基地として重要な役割を果たしてきており、今後も一層振興を図っていかなければならないと存じます。そこで、東北農民希望と力を与えてくださることを期待しつつ、竹下総理東北農業についての基本認識価値観をお示し願いたいのであります。  次に、私は、今回の冷害について対策を進めるに当たっての基本的な視点をどう据えるかということについて質問をいたします。  日本社会党は、冷害の兆しがあらわれ始めた八月の末及び冷害の決定的になった昨十月五日、岩手県等の農山村に調査に入りました。実りの秋を迎えているのに、稲は青く直立し、稲穂はほとんど実が入っておらず、不稔歩合八〇%、九〇%という惨たんたる状況もございました。岩手の沢内村の村落で、荒れ果てた水田が目に入ってまいりました。ヒエが一面に生え、畦畔の草はぼうぼうと伸びほうだい、いわゆる手抜きの稲づくり、極言すれば惰農の田んぼとも言える状態であったのでありますが、地元の農民の一人は次のように説明をしてくれました。  この田んぼの持ち主はもう既にこの村にはいない。町へ手間賃稼ぎに行った。この稲は不稔障害だからもう収穫は期待できない。前回の五十七年、五十八年の冷害のときの借金も残っている。それに加えて減反の強化、転作助成金の削減、生産者米価の引き下げ、農畜産物自由化、そのあらしに追い打ちをかけて今度の冷害農業希望を失い、現金収入の道を求めて田や村を捨てていった農民をだれが非難できるか、こう言ったのであります。  私がここで強調したいことは、今農民に加えられている打撃は、冷害という自然条件によるものと人為的な農業政策によるものとが一体となって押し寄せているということであります。(拍手)その風圧を受けて、農民農業に対する希望を失い、農村には無力感が漂い、一部には農業を捨てようというムードが広がりつつある現実を直視するべきであります。したがって、今論議されてお ります冷害対策は、単年度の自然条件による異常現象としてのみとらえるのではなく、長期的、複合的な視点に基づく対応策でなければならないと考えます。  農政見直しもまた重要な冷害対策であります。  先ほど農民の言葉として引用しました農業政策減反生産者米価農畜産物自由化等々の事例のほかに、訴えられておりますのは、例えば土地改良事業における受益農民負担が当初計画の数倍に膨れ上がったり、その上、せっかく基盤整備された水田減反政策米づくりを抑制されたり、他用途利用米という制度のもとで二重米価、低米価が強いられている等々、自民党政権下農業政策は、農家経営を脅かし、冷害による打撃を増幅しているのであります。  以上申し述べましたが、私は、冷害対策は長期的、総合的視点に基づくものでなければならないこと、農民の受けている打撃自然災害のみによるものだけではなくて、現下農業政策によってもたらされているものであり、したがって、農政見直しもまた重要な冷害対策であることを指摘してまいりました。この見解に対し、佐藤農林水産大臣の御所見をお聞かせ願いたいのであります。  以上、二つの基本的な考えを明らかにした上で、以下、具体的な冷害対策について質問いたします。  今回の冷害特徴は、一つ東北地方全般、特にも太平洋側四県が作況指数九〇以下の「著しい不良」となり、被害が甚大であること、二つ、わせの出穂期異常低温による障害不稔と八月中旬以降の低温日照不足による中生種晩生種登熟遅延、それに加えていもち病の多発、岩手等の大雨による冠水被害などが幾重にも重なっていることが特徴であります。  そこで質問いたしますが、政府は現時点において被害状況をどの程度把握されていますか。被害面積被害額等を示していただければ幸いであります。  また、諸調査早期に完了され、天災融資法の適用と激甚災害法による激甚災害指定を早急に行ってほしいものですが、その見通しについてお示し願いたいのであります。  二つ目は、農業共済事業についてお伺いいたします。  被災農民と話を交わしておりますと、各種制度資金融資貸付事業も必要だとは思うが、借金借金、いずれは返さなければならない、むしろこのようなときに備えての農業共済制度なのだから、その機能の速やかな発動、適正な共済金支払いによって、来年に向けての生産活動に入りたいのだという声が強いのであります。  そこで、政府としては、一つ農業災害補償法に基づく農業共済保険金早期支払い措置を講ずること、二つ損害評価特例措置品質低下部分減収として評価するなどの特例措置を適用すること、三つ農業共済団体損害評価費が増高している実情にかんがみ、事務費補助金助成措置を講ずることが望まれておりますが、以上の三点について御答弁を承りたいのであります。  さらに、損害評価の際のふるいの網目でありますが、一・八ミリ以上とするなど、実態に即した評価検討するべきという声が多いのでありますが、これについての御所見を賜りたいと思います。  三つ目には、他用途利用米政府買い上げ米との関係についてお伺いします。  米の減収によって政府買い上げ限度数量に達しない農家については、他用途米契約を解除もしくは変更して限度数量枠を優先して買い上げをすること及び規格外米全量政府買い上げるなど、特別の措置を講ずるべきと考えますが、御所見を承りたいと存じます。  四つ目には、各種融資制度貸付金等についてお伺いいたします。  一つ自作農維持資金融資枠の拡大と貸付限度額の引き上げ措置を講じていただきたい。二つ、既に被害農業者が借入している農林漁業金融公庫資金及び農業近代化資金各種制度資金について、償還猶予等措置を講ずることが必要と思いますが、対応策をお伺いいたします。  五つ目には、被害を受けた農家に雇用と収入の機会を与えるために、公共事業を被災地域に重点配分することが望まれております。この場合、事業の早期発注、さらには事業内容を農民自身が参加できるもの、しかも今後の営農に直結する事業、例えば用排水路の整備等の事業を配置する必要があると思いますが、その対応について御答弁をいただきたいと存じます。  最後に、来年の営農に向けて二点要望質問をいたします。  一つ、次期作付用の稲、麦、大豆の優良種子確保に対する助成措置を講ずること、二つ昭和六十四年度水田農業確立対策に係る転作等目標面積及び米需給均衡化緊急対策に係る緊急対策配分数量について軽減措置を講ずること、以上二点についてお考えをお示し願いたいのであります。  さて、私は、東北地方中心とする異常気象による被害とその対策について質問をしてまいりましたが、天然自然の災害東北に限ったことではありません。日本列島は、その置かれている風土的条件により、南からの暴風雨、大雨、東北の方角から来るやませ等による低温日照不足等々、災害の多発列島であると言っても過言ではありません。  視野を広げてみますと、アメリカの干ばつを初め、ジェット気流の蛇行、大気中の二酸化炭素の増加など、異常気象は今や世界的な現象となっており、災害は今後しばしば起こり得ると言われております。  このようなときであればこそ、食糧の国内自給率を高めること、特に米の完全自給の方針は、今 国会を含む三度にわたる国会決議を踏まえ、断固として守るべきであり、その意味でも、全米精米業者協会による提訴はこれを却下するよう働きかけるべきでありますが、先般のイスラマバードにおける浜田外務政務次官の発言は、米の完全自給の方針を放棄し、米の割り当て輸入を開始するにやぶさかでないという意味にもとれる不当な発言と思うのであります。  外務大臣には浜田発言の真意を問い、また、米の完全自給を堅持するか否かについて竹下総理所見をお伺いして、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣竹下登登壇
  13. 竹下登

    内閣総理大臣竹下登君) 沢藤議員にお答えをいたします。  まず第一番目は、東北農業の位置づけ及びその価値観について、こういうことになろうかと思います。  東北地方農業は、豊かな土地と水資源を背景に、水田農業中心とする農業生産が展開されております。第四次全国総合開発計画におきましても、我が国の主要な、これも御指摘がありましたが、食糧供給基地としての位置づけをいたしておることは御指摘のとおりであります。今後とも、栽培技術の改良などを通じた、より一層の稲作の安定化に努めますとともに、生産基盤の整備等を進め、主要な食糧生産基地としての役割を果たし得るように、これも御指摘がありましたように、単なる単年度の災害としてとらえるのではなく、長期的視野に立った大規模な複合型農業の展開を図っていく、これが最も重要である、このように考えておるものであります。  米の自由化問題にお触れになりました。  米は国民の主食であります。そしてまた、我が国農業の基幹作物であります。稲作地域経済、特に国土自然環境の保全上重要な役割を果たしてきておる、いつも申し上げておるところであります。このような米の重要性にかんがみますと、国会におきまして御決議もいただいております。それを体し、生産性の向上を図りながら、国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいる所存でございます。  米の貿易問題につきましては、ウルグアイ・ラウンドにおいて、各国の農業問題、制度について議論を行う段階において討議されることが適切である、このように思います。今般の米国精米業者協会の提訴は、従来の経緯にかんがみ、米国行政府が速やかに却下することを強く期待しておるところであります。(拍手)     〔国務大臣佐藤隆登壇
  14. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 沢藤議員の御質問お答え申し上げます。  農業をめぐる厳しい状況に対処し、生産性が高く産業として自立し得る農業を確立するため、農政審議会報告を基本としつつも、報告後の事態の推移を踏まえて今後の基本的な政策のあり方について検討を行い、先般、国際化への対応農業農山村の活性化のための政策の基本方向を取りまとめたところであります。今後は、この基本方向に即し、関係方面の意見も聞きながら、農業の長期展望の確立、農業構造の改善、農山地域の活性化等諸般の施策を充実し、守りだけではない、より積極的な農政を展開し、農業者が将来に希望を持ち、営農にいそしめるよう努めてまいる所存であります。  また、被災された農家方々に対しては適切な対策を講じ、農業に対し先行き不安のないようにしてまいる所存でございます。  次に、被害状況についてでございますが、異常気象により、東北太平洋岸、北関東中心として水稲等農作物生育に大きな影響が出ております。これらの地域については、管轄の農政局対策本部を設置し、被害状況把握に努めているところであります。現在判明している九月十五日の水稲作況指数によると、全国的には九八の「やや不良」、東北地方は九一の「不良」、中でも宮城県は八四、福島県は八六と、異常気象による深刻な影響がうかがわれる状況を示しております。  また、現在、宮城岩手両県から約六百五十億円の被害額の報告を受けています。このほかの県も調査中であり、被害額は今後増加する見込みであります。  次に、天災融資法等の適用については、目下被害実情把握に努めているところであります。被害状況を十分踏まえ、関係省庁とも協議しつつ、早急に対処してまいる考えであります。  農業共済金早期支払い等については、現在、農業共済団体において悉皆調査等により被害実態調査しているところであります。被害を受けた水稲等損害評価を迅速的確に行い、共済金支払い早期に行うよう農業共済団体指導しているところであります。また、損害評価特例措置につきましては、被害実態を見ながら適切に対処してまいります。また、損害評価特別事務費については、予算の範囲内において、調査の実績に応じ助成したいと考えております。  評価の際のふるいの網目についてであります。  米収穫量調査においては米として流通する実態にある一・七ミリメートル以上のものを収量としており、農業共済においては統計調査と同様の観点から引き受けの際の基準収穫量を定めているため、損害評価のふるい目についても同じ一・七ミリメートル以上を用いているところであります。したがって、損害評価だけについて基準収穫量の設定と異なるふるい目で行うことは、保険の仕組みとして適当ではないと考えております。  次に、他用途利用米についてでございますが、災害により他用途米の契約数量出荷が困難となった場合は、いわゆる作況調整により契約数量の変更を行う道を開いております。これを超えて他用途利用米を主食用へ転用することにつきましては、契約を結んでいる実需者との関係制度本来の趣旨に照らして困難な問題があります。しかし、特別に被害が著しい農家に対しては、何らかの措置を講ずることができるかどうか、今後検討してまいる所存であります。  災害により発生する規格外米政府が特例的に買い入れることについては、現下過剰基調のもとでは困難と考えており、このような規格外米につきましては、今後、集荷団体とも協議の上、自主流通米としての流通の道を開くことについて検討してまいる所存であります。  自作農維持資金の問題については、資金需要等を見きわめた上、適切に対処してまいりたいと考えております。  既貸付制度資金償還条件緩和につきましては、関係方面に対し既に指示したところでありますが、この趣旨徹底が図られるよう十分指導してまいりたいと考えております。  被災地域における公共事業の推進ということを雇用問題とあわせておっしゃいましたが、例示として農業基盤整備事業に触れられました。  農業基盤整備事業は、地方を中心に実施されており、農村地域の活性化を図る雇用、不況対策としての効果をも有しております。本年度の農業基盤整備事業は既にその実施段階にありますが、その執行に当たっては、被害実態、地元における就業の希望等を勘案の上、地元雇用の確保等にできるだけの配慮をしてまいる所存であります。  次に、稲、麦、大豆の優良種子確保に対する助成についてでありますが、来年度種子必要量確保については、農林水産省といたしましても、地方農政局、県、団体と十分な連携のもとに万全を期してまいりたいと考えております。  なお、稲、麦、大豆種子の購入費に対する助成については、種子代も経営費の一部として恒常化していること、生産費に占める種子代の比重が小さいこと等、近年の農家種子利用実態から見て、特別な助成をすることは困難が大きいと考えております。したがって、これらの経費につきましては、営農資金に困っている農家に対する資金手当ての面で対応することが必要ではないか考えております。  最後に、米需給均衡化のための対策についてお答えいたします。  昭和六十四年度の米需給均衡化のための対策については、今後の作柄推移等を見きわめる必要がありますが、米の持ち越し在庫が高い水準となっていること、消費減退傾向が強まっていることなど、厳しい需給事情もあるので、三たびの過剰を回避する観点から、生産者生産者団体と行政が一体となって検討、推進していく必要があると考えております。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣宇野宗佑君登壇
  15. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) イスラマバードにおける発言に関しましてお答えいたします。  この発言は、従来の我が国の立場を申し述べ、なおかつ、基礎的食糧についての我が国の考え方を申し述べております。つまり、基礎的食糧に関しましては、常に長期的安定、そうしたことが必要であるから、特別の考慮を払うべきである、それを強調した次第でございます。  なお、そうした大いなる議論の中におきまして市場アクセスが議論されたときには、我が国もそうした問題に関しまして議論することを回避するものではありません、これが発言でございます。  御理解のほどをお願いいたします。(拍手)     ─────────────
  16. 原健三郎

    議長原健三郎君) 武田一夫君。     〔議長退席、副議長着席〕     〔武田一夫君登壇
  17. 武田一夫

    ○武田一夫君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました低温等による農作物被害につきまして、竹下総理佐藤農林水産大臣を初め関係閣僚に対しまして、一日も早く救済の手を差し伸べていただきたいという農家の皆さん方の切なる願いをお伝えしながら、その対応に万全を期すよう要望し、以下、政府救済対策についてお尋ねいたします。(拍手)  まず最初に、各地で未曾有の凶作に見舞われました農家の皆さん方に対しまして衷心よりお見舞いを申し上げます。  さて、その被害の現状には実に惨たんたるものがございます。赤茶けた稲、黒ずんだ稲穂、天に抗議するかのようにいまだに真っすぐに立ったままの稲、稲でございます。水稲は、いもち病、稲こうじ病、不稔障害等々と、惨状は筆舌に尽くしがたいものがございます。日照不足低温、長雨、そして地域によっては水害までこうむった東北の穀倉地帯、特に全国で最悪の宮城県、作況指数は八四、さらに八六の福島県、九〇の岩手、青森の両県を中心に、全国的に広い範囲で農作物被害が発生し、その深刻さは昭和五十五年の冷害を上回ることが必至となっております。このままでは、地域経済に及ぼす影響も避けられないところに来ているのであります。  ちなみに、宮城県の被害状況を申し上げますと、先月の九月二十六日現在まとめた農作物被害総額は実に五百億を超し、そのうちの水稲被害は四百四十四億に上り、今後作況指数が七〇台半ばにまで落ち込むと見られるだけに、その被害額はさらにふえることは間違いございません。  我が党は、こうした実情に対して直ちに党本部並びに関係各県本部に対策本部を設置いたしまして、調査団現地に派遣しました。そして実情調査、多くの要望を承り、去る九月十三日、七項目の要望にまとめ、農林大臣に一日も早い対応をするよう申し入れたところでございます。  政府にありましても、その深刻な事態を認識され、最悪の被害宮城県に、去る十月一日、佐藤農林水産大臣以下農水省の関係者が訪れ、精力的に被害状況を視察され、直訴する農家の皆さん方に力強く、しかも温かい激励をちょうだいいたしました。私はその現場に同席しておりましたが、佐藤大臣の救済に対しての力強い確信のある答弁を聞き、農民の皆さん方とともにいたく感銘をした一人でございます。(拍手)どうか大臣におかれましては、再度この壇上から農家の期待に十分こたえ得る答弁をお聞かせいただきたいのでございます。  さて、具体的な問題について御質問申し上げます。  最初に特にお願いしたいことは、政府におかれましても対策本部を早急に設置して、農家の皆さんが一日も早くこの窮状から立ち上がり、以前にも増して元気で農業に従事できるよう、被害地の実情を十二分に掌握の上、被災農家要望にきめ細かに親切な対応をしていただきたいということでございます。この点につきまして、竹下総理の所信と決意のほどをお聞かせ賜りたいと存じます。  以下、私は十二項目にわたる救済対策についての御質問を申し上げますが、政府はその対応を明快に示された上、速やかに実行に入られますよう切望する次第であります。  第一は、天災融資法発動及び激甚災害の指定についてであります。農作物被害は甚大であり、農家経済に及ぼす影響は極めて大きく、憂慮すべき状況となっております。そこで、被災農家経営安定を図るために天災融資法発動及び激甚災害の指定は一日も早く措置すべきであるということでございます。  第二には、資金対策に関することでありますが、自作農維持資金など制度資金の貸付枠の確保及び融資条件の緩和、既往の借入金の償還期限延長等について緩和措置を講ずべきであるということであります。  第三には、農業共済金早期支払い損害評価特例措置についてであります。被災農家に対する共済金早期支払いについての特段の措置を講ずるとともに、品質の低下の減収量に換算する損害評価についての特例措置を講じてほしいということであります。またこの際、私は、共済制度の充実を期するために、往々にして農家の不満を引き起こしている作況指数の決め方、ライスグレーダーの基準数値の見直し品質の低下に対する補償などについては、被災農家の側に立った内容の改善充実に努めるべきであると訴えたいのでございます。  第四には、多量に発生することが見込まれている規格外米についての全量買い上げ措置。  第五には、病害虫防除費及び種もみの確保に対する助成措置についての温かい御配慮をいただきたいのでございます。  第六には、越冬用の飼料確保のための助成措置であります。畜産農家においては、この冬を越すに当たり飼料が十分確保できない状況にあり、乾草、ヘイキューブ等の代替飼料の購入に要する経貴について助成措置も講じてほしいということであります。  第七には、米穀予約概算金については、延納、分割及び金利の免除等必要な措置を講じ、概算金返済に支障を生ずる農業者を救ってほしいということであります。  第八には、被災農家の他用途利用米についてであります。水稲被害の甚大性にかんがみ、主食用以外の用途に仕向けられる予定の他用途利用米については、事前売り渡し限度数量の枠内で主食用への転用を認めるとともに、等外米、規格外米の品位に格付された米穀につきましても買い入れの対象として認めてほしいということであります。  第九に、昭和六十四年度の転作等目標面積に対する軽減措置についてであります。今般の被害状況を十分に勘案の上、転作面積の配分数量についてはぜひとも軽減してほしいということであります。  第十に、被災農家の経済的窮迫を救済するため、救農土木事業を実施すべきではないかということ。  第十一には、被災農家負担軽減を図るための所得税等減免措置を講ずるべきであること。  そして最後に、特別地方交付税の増額措置についてであります。災害対策については、県及び市町村は懸命に対処しておりますが、災害復旧事業、生活安定の施策に対する経費並びに災害による税の減収については、特別交付税によって措置されるとともに、起債についても弾力的な運用を図るなど、特別の財政措置を講ずる必要があるということであります。  ここで、さらに一言申し上げたいことがございます。それは、今回の異常気象は今年限りのものではないのではないか、そして、優良な稲作地帯、その中で篤農家水稲も壊滅的な打撃を受けているという事実をどう受けとめるかということであります。米余り現象が背景にあって、異常気象への行政側の対応に問題はなかったか。また、稲作技術の改良や品種、種子の改良などについてもなおざりにされてきたことはないかということであります。この点につきましての政府の御見解とその対応をお聞かせいただきたい。  なお、異常低温等による被害対策と関連し、去る八月二十四日から二十七日にかけて、北海道の西部を中心として全道的に、また岩手県金ケ崎町、宮城県花山村一帯に見舞われた大雨による災害復旧対策についてお尋ねいたします。  この大雨は、北海道においては留萌市を初め三市町村が災害救助法を適用する大きな災害となっておりますが、その被害の規模は甚だ大きく、かつ広範にわたっております。したがって、この災害に対しても激甚災害として指定するとともに、被災農家救済並びに荒廃した林地や公共土木施設、公営住宅あるいはまた環境衛生施設の復旧などの救済措置についても万全を期していただきたい。 金ケ崎町、花山村の場合におきましても、その被害甚大であるがゆえに復旧に途方に暮れている状況でございます。一日も早い救済を切にお願い申し上げます。  以上、各般にわたる対応についてお尋ねいたしましたが、政府は万難を排して早急に的確なる対策を講ずるよう、重ねて要望するものであります。  またこの際、私は、今農家の皆さんの最大の心配事である米の自由化の問題について政府見解をただしておきたい。  米は日本農業の命であり、一億国民の生命を守り、国土の保全、安泰を確保する重要な産業であります。日本の大事な宝であります。日本繁栄を保障する活力源であるとも思います。さきに衆参両院において米の自由化は絶対にしないとの決議をしたのでありますが、この際、重ねて、断じて米の自由化はしない、させないと内外に宣言し、米国内における不穏な動きに対しても毅然とした姿勢で対処してほしい、私は強くこのことを要望し、竹下総理の御答弁を求めるものであります。  そして、この際、改めて農林水産業の重要性をしかと再認識をし、政府は全力を尽くし健全な発展を期すべきことを申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣竹下登登壇
  18. 竹下登

    内閣総理大臣竹下登君) まず、武田議員の私に対する質問の第一は、対策本部の設置問題についてでございます。  今般の異常気象によります農作物被害につきましては、農林水産省中心となって対応しておるところでございます。農林水産大臣の御報告にもございましたごとく、管轄の農政局、これに既に対策本部が設置されております。さらに、農林本省においても報告にございましたように設置する、このような考え方でございます。ただ、農林水産省だけでなく、これを中心といたしまして関係機関十分連絡をとりながら、被害状況把握あるいは災害対策そのものの実施、万全を期してまいる所存でございますので、引き続き御督励をお願いを申し上げます。  次に、諸般の問題についてお尋ねがありました。  まず私からは、異常気象等によります所得税の問題、これらにつきましては、実情に即した適切な対応をするということは、これは当然のことでございます。  そうして、北海道、岩手及び宮城県の八月下旬の大雨災害にもお触れになりました。被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。政府としては、既に災害復旧事業の推進など所要の救済措置を講じておるところでありますが、今後とも万遺漏なきを期したい、このように考えております。  最後に、私に対して米の問題について御鞭撻を含めた御意見がございました。  米は、再三申し上げますように、国民の主食であり、かつ、我が国農業の基幹作物であります。稲作は、地域経済、さらに国土自然環境の保全上重要な役割を果たしておるものであると深く認識しております。このような米の重要性にかんがみまして、御指摘もございましたように、国会における決議、この趣旨を体しまして、生産性の向上を図りながら、国内庭で自給するとの基本的な方針で今後とも対処してまいる、このような考え方であります。  以上、お答えを終わります。(拍手)     〔国務大臣佐藤隆登壇
  19. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 武田議員の御質問お答え申し上げます。  まず、天災融資法等の発動についてでありますが、先ほど私から御報告申し上げたとおりでございまして、早急に対処してまいる考え方でございます。  自作農維持資金の問題につきましては、資金需要等を見きわめた上、適切に対処してまいりたいと考えております。  また、既貸付金の償還条件緩和については、貸し付け条件の緩和措置をとるよう既に依頼したところでありますが、この趣旨徹底が十分図られるよう指導してまいりたいと思っております。  農業共済金早期支払い等措置については、農業共済団体等において現在悉皆調査が行われ、被害実態調査しているところであります。被害を受けた水稲等損害評価を迅速的確に行い、共済金支払い早期に行うよう農業共済団体等指導しているところであります。また、損害評価特例措置、これにつきましては、被害実態を見ながら適切に対処したいと考えております。  農業共済における損害評価の基準については、米収穫量調査においては米として流通する実態にある一・七ミリメートル以上のものを収量としており、農業共済においては統計調査と同機の観点から引き受けの際の基準収穫量を定めているため、損害評価のふるい目についても同じ一・七ミリメートル以上を用いているところであります。したがって、損害評価だけについて基準収穫量の設定と異なるふるい目で行うことは、保険の仕組みとして適当でないと考えております。  次は、品質の低下に対する補償もお触れになりましたが、水稲共済の損害評価については、農家が刈り取り収穫する前の品質を適正に把握することは困難なことでもあるので、品質の低下に対する補償の実施については極めて難しいと考えております。  次に、作況指数についてでありますが、水稲作柄調査については、実測調査及び巡回調査を行うとともに、広く情報を収集するなどにより、作柄を的確に把握するよう努めているところであります。  次に、災害により発生する規格外来を政府が特例的に買い入れることについては、現下過剰基調のもとでは困難と考えており、このような規格外米につきましては、今後、集荷団体とも協議の上、自主流通米としての流通の道を開くことについて検討してまいる所存であります。  また、病虫害防除経費及び種もみ確保についてもお触れになりましたが、その助成についてでありますが、病虫害防除については、適切な防除指導のため、発生予報等経費について都道府県に助成しているところであります。病虫害防除栽培管理の一環として一般化していること等により、その経費に対する国の助成には困難が大きいと考えております。  また、来年度用種子必要量確保については、農林水産省としても、地方農政局、県、団体との十分な連携のもとに万全を期してまいりたいと考えております。なお、種もみ購入費に対する助成については、近年、農家種子利用の大部分が購入種子に依存する状況となっており、種もみ代も稲作経営費の一部として恒常化している事情等もあり、特別な助成をすることは困難と考えております。  したがって、これらの経費につきましては、営農資金に困っている農家に対する資金手当ての面で対応することが必要ではないか考えております。  越冬用飼料対策についてでありますが、本年の低温等により、飼料作物について、東北中心品質低下収量減少が見られます。このため、越冬用飼料確保が困難な場合には、資金の融通、稲わら等利用についての組織的な収集、あっせん事業の活用、余剰乾草についての情報提供などについて、関係県とも連絡をとって対処してまいる所存であります。  米の予約概算金金利減免等につきましては、米の減収のため、政府買い入れ代金の前払いとして支払った概算金返納しなければならなくなった農家につきましては、天災融資法発動される被害程度に応じ、一定の基準により返納金利子減免を行うことといたしております。また、期限までに返済できない農家方々に対しましては、農協等がかわって弁済することを認めておりますので、この仕組みを活用してまいる所存であります。  次に、他用途利用米についてでありますが、災害により他用途利用米契約数量出荷が困難となった場合は、いわゆる作況調整により契約数量の変更を行う道を開いております。これを超えて他用途利用米を主食用へ転用することにつきましては、契約を結んでいる実需者との関係制度本来の趣旨に照らして困難な問題があります。しかし、特別に被害が著しい農家に対しては、何らかの措置を講ずることができるかどうか、今後検討してまいる所存であります。  それから、転作等目標面積配分数量について触れられたわけでございますが、昭和六十四年度の転作等目標面積については、米の需給動向、全国の水稲作柄の推移、水田農業確立対策等の実施状況等を踏まえ検討することといたしております。この場合、米の持ち越し在庫が高い水準となっていること、消費減退傾向が強まっていること等、厳しい需給事情もあるので、三たびの過剰を回避する観点から、生産者生産者団体と行政が一体となって検討、推進していく必要があると考えております。  被災地における農業基盤整備事業の実施につきましては、地方を中心に実施されておるこの農業基盤整備事業でございますが、農村地域の活性化を図る雇用、不況対策としての効果をも有しております。本年度の農業基盤整備事業は既にその実施段階にありますが、その執行に当たっては、被害実態、地元における就業の希望などを勘案の上、地元雇用の確保等にできるだけの配慮をしてまいる所存であります。  さらに、本年の大雨被害についてでありますが、八月下旬の北海道、岩手県を中心とする大雨について、農林水産業関係では約三百六十三億円の被害が発生しております。農林水産省といたしましては、被害状況に応じ、農地、林地等に係る災害復旧事業災害補償制度災害金融制度を有効に活用し、災害対策に万全を期してまいる所存でございます。  また、異常気象対応や品種、技術の改良についても触れられたのでございますが、農林水産省といたしましては、冷害に対する技術指導が重要であると十分認識しておりまして、従来から不順な天候に応じた水稲作管理や病虫害の防除の指導徹底に努めるとともに、特に本年においては七月下旬以降、現地に担当官を派遣するなど綿密に指導してきたところであります。また、従来からも耐冷性品種の育成、寒冷地における農作物の安定栽培技術の確立に関する試験研究を実施してきたところでありますが、特に本年度、東北農業試験場に担当の部を設置し、やませに関する試験研究体制を強化したところであります。今後とも、技術の指導試験研究の強化に一層の努力をしてまいる所存でございます。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣梶山静六登壇
  20. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) お答えをいたします。  災害冷害等により被害を受けた地方公共団体においては、災害復旧事業を初め生活再建のための施策等、さまざまな財政負担を生ずることが見込まれることから、災害復旧事業に要する経費農作物被害状況等を指標として特別交付税を配分するとともに、地方債についても災害復旧事業等の執行に支障が生じないよう措置しているところでございます。  今般の冷害により被害を受けた地方団体に対し、被害状況及び財政状況等調査の上、当該団体財政運営に著しい支障が生じないよう、今後、特別交付税地方債配分等を通じて適切な措置を講じてまいる所存でございます。(拍手)     〔国務大臣内海英男君登壇
  21. 内海英男

    国務大臣(内海英男君) 武田議員の御質問お答えいたします。  東北地方中心とする今回の厳しい冷害に対する激甚災害の指定につきましては、現在関係省庁において被害状況把握に努めているところでございます。天災融資法発動状況被害額の集計結果等を踏まえまして、国土庁といたしましてもできるだけ早く対処してまいりたいと考えております。  また、八月下旬における北海道、岩手県及び宮城県を中心とする大雨災害に対しましては、関係省庁におきまして災害復旧事業の速やかな実施等に努めているところであります。農地等の被害に対する激甚災害の指定につきましても、調査の結果を踏まえまして所要の手続を迅速に進めていく所存でございます。  以上でございます。(拍手)     ─────────────
  22. 多賀谷真稔

    ○副議長(多賀谷真稔君) 滝沢幸助君。     〔滝沢幸助君登壇
  23. 滝沢幸助

    ○滝沢幸助君 先ほど農林水産大臣より御報告のありました北海道、東北、北関東等にわたる冷害、その対策等につきまして質疑を申し上げたいと存じます。民社党・民主連合を代表して申し上げます。  天皇陛下におかせられましては、九月十九日吐血を見られまして以来既に三週間、あついお病に耐えていただいております。私は、真心込めて陛下の一日も早い御快癒をお祈り申し上げるものであります。  つきましては、日夜陛下のおそばにあってお守りされておりまする侍医団の皆さんを初め宮内庁など関係各位の御苦労をねぎらい、今後とも心込めてお仕えされまするように希望するものであります。(拍手)  さらにこの機会に申し上げたいことは、宮内庁と政府との間に、御病状の公表その他におきまして連絡の不十分ないしは認識のずれなどがいささかなりともあってはならないのでありまして、国民の前に開かれた皇室であらせられまするよう、十二分に対応のよろしきを得ていただきたい。強く要請いたします。またさらに、これに関しての総理の御見解をお伺いするものであります。  さて、災害につきましてでありますが、まずもって被災農家に対しまして心からお見舞いを申し上げ、この災害から雄々しく立ち上がって、あしたを期して頑張っていただきたいと申し上げさせていただきます。  さて、総理大臣、まずあなたにお尋ねをいたしたいのでありますが、その前に、御理解をいただきたいことの二、三がございます。  つまり、私は農家でありますが、その体験から申し上げますると、役所が発表しまする調査、そしてその統計、そういうものの数字と農家実態というものはまことに落差があるのであります。つまり、ひどいなと思うけれども、稲を刈ってみればああまたひどいとたまげる、そしてこれを脱穀をすればさらに驚く、精米をすれば全くひどいということになるわけでありまして、このことをまず総理大臣、わかっていただきたい。  次に、農業というものは御存じのごとく自然、天を相手にする仕事でありまして、商工業などとは全く違った、いわば生産計画どおりにいくというものではございません。そのことをまず二番目にわかっていただきたい。  次に、総理、戦中戦後、もう増産増産、そして供米を強制的に割り当てた時代、そして農業が将来を期していろいろと拡大された時代、そして今日、いわゆる減反時代、猫の目農政と申しまするけれども、こういうことを見ておりまする農家は、政治を、政府を信用していないのであります。このことをよくと心に秘めていただきたいのであります。  そして、私は総理が島根県の県会議員であられたと承っております。実は七月の水害に私も島根県を調査させていただきました。拝見しますると、農山村、まさに過疎地であったように見受けます。なればこそ、総理は「ふるさと創生論」というあの大著作をなされたのでありましょう。私もこれをつぶさに拝見させていただきまして、労作を多とするものであります。しかし、批評する者がありまして、これは言葉豊かにして内容、実体乏しいものである、いわゆる過剰包装であるという評価もあるわけでありますが、謙虚に受けとめていただきたいのであります。  以上申し上げながら、具体的に四つのことをお伺いさせていただきます。  天災融資法、激甚災の指定発動を速やかにされたい。  二つ目、今回の被災地のその多くはいわゆる過疎地であります。そこで、過疎地域振興特別措置法、これは議員立法、六十五年に切れまするけれども、これを政府提案として出されるお考えはないか、あるいは議員立法とするならば、このいわゆる延長ということをされなければなりません。総理として、自民党の総裁として、このことをお伺いさせていただきます。  三つ目、これにちなみまして、発電用施設周辺地域整備法、まことにこれはその地方にとってはありがたい制度でありまするが、しかし十分とは言えない。そこで、これが充実改善のための見直しをされる用意があるかどうか、承らせていただきたい。  四つ目、この被害地の農家につきまして、かつて言う救農土木、いわゆる建設事業を早期に発注し、大幅に予算を増額していただきたい。特に、災害復旧事業等の大幅なる予算の計上をお願いしたいというのが被災地の声であります。お答えを賜りたいと存じます。  次に、農林水産大臣、御苦労さまであります。九つのことをお伺いさせていただきます。  一つは、共済制度につきまして、これを早期に査定し、早期に支払ってほしい、これが農家の声であります。お答えをいただきたい。  二つ目被害調査徹底と親切なる指導ということであります。先ほども総理に申し上げましたけれども、お役人さんの調査、そしてコンピューターの計算というものは冷たいものであります。政治は温かく、心を込めていなければなりません。いわゆる血の通った調査と査定というものが必要であるというふうに申し上げさせていただきます。(拍手いかがでありましょうか。  三つ目被害農家に対する各種制度資金、これは農業金融公庫のものなど数々ございまするが、極めて膨大なる資金が出ております。例えば福島県の平田村、これは数千の人口でありまするが、無慮十億の金が貸し出されているわけであります。ところが、これは六%ないし七%の金利でなされているわけであります。つまり、古い金利の計算であります。先般金利の引き下げというものがなされまして、市中銀行ですらこれを整理をして安い金利で貸し出しをし直しているのですよ。なのに、どうして制度資金においてこれがなされないのであろうか。速やかに、恐らく平均五%台になっているはずでありますから、これを切りかえていただきたい。このことについての御説明を願いたいのであります。  四つ目、米の自由化問題につきましては、大臣のたくましい努力を評価するにやぶさかではありません。しかし、今アメリカが大統領選挙を目の前にいたしまして、アメリカの国内の状況というものはどうなっておるものだろうか、あるいはガットの今後というものはどうであろうか、現状と今後の見通しについて御説明をいただきたい。  五つ目、葉たばこの農家、これは価格が下がります。そして、面積を減らされるわけであります。どうにもこうにもやっていけない、生きていけない、これが葉たばこ農家の叫びでありまするけれども、一体この人たちは何をすればいいのでしょう。営農指導についてどのようにされているか、承らせていただきます。  また、六つ目のことを申し上げますが、牛肉・オレンジ、これは大臣御苦労されたけれども、三年後にいわゆる自由化するのでしょう。そうならば、その農家方々というものは、これまたいかに生きたらいいのか。営農指導を、あるいはまたその援助対策いかにお考えであるか、お伺いをいたします。  さらに七番目に、コンニャクの農家、そして養蚕を営んでいらっしゃる農家、全く同じ状況でありまして、苦しんでおります。これに対しいかなる指導と援助の対策を持っておられるか、承ります。  八つ目に、冷害によりまするいわゆる凶作ということは、先ほどもお話がありましたけれども、規格外の米がたくさん出るわけであります。これを全部政府が買い取っていただきたい、これが災害地の農家の真実の叫びであります。お答えをちょうだいいたしたい。  八つ目、申し上げましたので、九つ目、最後に、減反政策ということはまことに愚策であります。その愚策をもう数年間やってこられたけれども、大臣、あと何年間農家はあなたの割り当てによって減反すればもとどおりつくれるのですか。三年ですか、五年ですか、十年ですか。いつまで減反を耐え忍べばもとどおりつくれるということでありますか。  その見通しと約束ができないならば、減反をやめたらいいじゃありませんか。減反をしてそれに補助金を出す、このようなことは、政府にとっても、何よりもまず農家にとってありがたいことではないのです。つまり、いつまでたってもこれ以上米づくりを拡大することができない、もとどおりつくらせることができないならば、広い田んぼの中にぽつんぽつんと野菜がつくられていたりするようなことはやめたらいいじゃありませんか。そして、米をつくる場所は米をつくる場所、畑にするところは畑、山林は山林というように、いわゆる農地の再編成をいたされたらいいのではないですか。お伺いいたします。  とにかく、先の見通しのできない農家について、子供が、青年が既に見捨てております。「翁やひとり山田守るらん」、農家は既に六十代、七十代、八十代の人しか田んぼに出ておりませんよ。大臣、あなたの選挙区だってそうでしょう。ひとつ心込めて御答弁をお願い申し上げたいのであります。  最後に、文部大臣、先ほど私は陛下の御病気について触れさせていただきました。その陛下は、ことしの春も昨年の病を押してお田植えをみずからいたされました。また、ことしの秋の稲刈りにつきましては、侍従が、かわって私が務めさせていただきますと申し上げましたら、残念だけれども仕方がない、そうしておくれとおっしゃったというのであります。また、御病床にあられまして、ことしの米の作柄はどうかと問われたというわけであります。つまり、陛下がこのように農業に対し、米に対し御関心を持っていらっしゃるということは、すなわち日本は農の国である、米の国であるということでございまするから、教育の原点をここに置くべきじゃありませんか。  大臣、小中学校におきまして、給食等に際し、先生と生徒が一堂に会して同じ場所で一緒に食べておりますか。我が党の春日一幸先生に言わせれば、幾人かの人が同じときに同じところで同じものを食べれば同じ気持ちになる、同時、同所、同食、同心、このようにおっしゃっております。大臣、これが教育じゃありませんか。これが教育です。  そこで、お尋ねをいたしますが、食前食後のごあいさつというものはいろいろの言葉が古くから使われましたけれども、これを教師と生徒が同じ場所で一緒に唱えて食べておりますか。あるい は、食事についての正しい作法を教師は子供に教えておりますか。そしてさらに、この米というもの、どのようにしてできるものであるか、これを教えておりますか。つまり、一つの品物、これをつくる人々の苦労、汗と涙、そしてそのつくった人の真心がこもっているんだよ、だから物はすべて魂が入っている、大事にしなくちゃいかぬよということを教育しておるのでしょうかどうでしょうか、お伺いをいたします。  そして、学校給食を全部米にしろ、これが農家や農協の叫びでありまするけれども、いかがでありましょう。  そして最後に、これはいささか論点が違いますが、教育論者の声であります。学校給食はむしろやめて、弁当を持たせた方がいい。弁当はお母さんと子供のきずな、母と子の手紙だというのであります。朝から忙しく遊んだり学んだりしておりまする子供がお弁当を開いたとき、お母さん、こう思う。これが教育です。(拍手)そして弁当の空を持って帰ったときに、お母さんがそれを流しで洗う。そのときに、うちの花子はこのごろ残す、体が悪いのだろうか、あるいはまた子供の心に何か迷いがあるのだろうか、こう思うお母さん。そして健康のこと、心のことをお母さんが知っていただく、これが教育だというのであります。二つのことは論点が全く違いまするけれども、しかし、私はその精神的原点は一緒だと思うのです。  文部大臣、以上申し上げましたことにつきましての教育の基本方針についてお伺いをいたします。  申し述べまして、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣竹下登登壇
  24. 竹下登

    内閣総理大臣竹下登君) まず、滝沢議員、お尋ねに入る前に天皇陛下の御病状についてお触れになりました。全く同じ気持ちであります。  また、宮内庁と内閣の間の問題についてもお触れになりました。その間の連絡対応については、遺憾なきを期してまいる考え方であります。  さて、お尋ねの第一は天災融資法発動の問題についてであります。  農林水産大臣の御報告にもありますが、今次の低温等によります被災農家に対しまして、まず心からお見舞いを申し上げます。政府としては、実情に応じて万全の対策を講じてまいる考え方であります。  お尋ねの天災融資法及び激甚災害法発動につきましては、これは被害状況を十分に踏まえて早急に対処する、このような考え方であります。  次は、過疎法の延長にお触れになりました。  今日まで過疎法が果たしてきた役割、そして今回の冷害東北地方の過疎地域に及んでおることは、私も十分承知いたしております。この法律が失効することになります昭和六十五年度以降における過疎対策のあり方につきましては、これまでの対策の成果それから過疎地域の現状を踏まえ、まさに今御指摘ありましたように、住民が誇りと愛着を持って地域づくりに励むことができるように、新たなる法的措置のあり方を含めて、今のような御意見を伺いながら適切な対応をしていくべきものである、このような考え方であります。  次に、発電用施設周辺地域整備法にもお触れになりました。  この法律のまさに目的に沿いますように、交付金制度の運用等に当たりましては、今後とも電源地域の振興に一層資するように努めてまいりたい、このように考えております。  コンピューターには血が通っていないが、滝沢さん初めここにいらっしゃる方には血が通っておる、このように私は考えております。(拍手)     〔国務大臣佐藤隆登壇
  25. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 滝沢議員の御質問お答え申し上げます。  まず、被害農家救済、こういうことで、共済制度早期云々というお話がございました。先ほど来私が申し上げておりますように、一日も早い対応をやらねばならぬと考えておりますので、さよう御承知おきをいただきたい、こう思っておるわけでございます。  また、被害調査について、役所のやることとそれから農業者の実態、実感というものがかけ離れがあるのではないか。あってはならぬことでございますので、十分留意して、丁寧に運ばなければならぬなと心得ておるところでございます。  さらに、制度資金について、福島県の例を引き合いに出されまして、六ないし七%の金利、これが高いではないか。そして、その切りかえをやはり考えたらどうか。特に冷害に、このたびの災害に関連して言うならば、既往貸付金の償還条件緩和ということに関連をしながら、県とも連絡をとりながら適切な対応をしなければならない。既に緩和措置をとるよう徹底を図っておりますが、もっともっと徹底をさせなければならぬなと承った次第でございます。  それから四番目には、米の自由化をしないということでの努力はわかるけれども、アメリカの状況ほどうなっているか、アメリカの大統領選挙のこともちょっとお触れになって、これはどう答えたらいいのか、私は内政干渉をする立場にはございません。午前中の衆議院農林水産委員会におきましても、御質問の一部には、おまえはアメリカに行って、そしてこの自由化問題について議論をすべきではないかという意味のお話、御質問もございました。私は、そういう四年に一遍の大統領選挙ぎりぎりのさなかに入っていくつもりはない、それ以上のコメントをする気もない、こういうことを率直に申し上げたところでございます。さよう御理解いただきたいと思います。  なお、両院における決議等に対する政府を代表しての私の所信、これも繰り返してはここでは申し上げません。先ほど来の総理答弁にもあるとおりでございまして、米を自給する方針には変わりなし、こういうことを申し上げておるわけでございます。二国間では話し合いはしない、ウルグアイ・ラウンドでいろいろな困難な問題を、各国とも各地域においてそういうものを出し合って議論をするのはやぶさかではない、こういうことで言っておるときに二国間に踏み込んでいく気はございません。  次に、葉たばこ農家についてもお話がございましたが、最近のはやり言葉と言われるかもしれませんけれども、国際化の中で足腰の強い農業を育成していく、そういう観点に立ってひとつ葉たばこ農家の育成にも心しなければならぬ、かように思っております。  牛肉自由化は三年後ということだが、営農指導や何か、そういう畜産農家に対する配慮を怠ってはならぬぞという意味のお話がございました。  既に九月の二十二日、畜産二法について早速の御審議をお願いしたいという願いを込めてお出しをしておるわけでございまして、この席をかりて、早々の審議が行われ、私どもの考えておることが実りますように、御協力方お願い申し上げるところでございます。(拍手)  コンニャク、それから養蚕についてもお話がございましたが、先ほどの葉たばこと同じように、足腰強い農業という観点からひとつ努力をし、指導を適切に行ってまいりたいと思っております。  規格外米のことについても触れられましたが、先ほど来お答え申し上げておるとおりでございます。  特に減反政策、こういうものはむだなことであるというような意味のお話がございました。  生産調整をしなくても済むような事態になればと私も念願をしながらも、水田農業確立対策、さらに豊作続きの中で、去年は、ことし、来年という二カ年で緊急対策もお願いをし、関係方々に大変な汗を流していただいておるところでございまして、今後の農政というものを考えますと、農政報告に基づいてということを従来いろいろ答弁をしてまいりましたが、自由化等の問題を一応乗り越えながら、ぎりぎりの選択をし、国内対策もあわせて竹下内閣として努力をしてきた今日、私は、国全体の適地通産、それをもう少しきめ細かく、地域農政と言うならば、それぞれの県における平湯と中山間部の農業のあり方はいかがなものか、画一的なものではない社会政策的な考え方も含めた農業政策というものを考える必要があるのではないかな、そういう感じを持っておる一人でございます。  古い言葉ではございますが、地域分担政策の前進、いずれにしても主要食糧についてはできるだけ生産をし、足らざるところは安定的な輸入体制をもってこれを相償い、国民に対して安定的な供給体制をつくっていくということを重ねて申し上げておきたいと思います。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣中島源太郎君登壇
  26. 中島源太郎

    国務大臣(中島源太郎君) 滝沢議員からは、給食に対する御質問に当たりまして、重ねて天皇陛下お触れになりました。私からも、天皇陛下の御快癒の早からんことをお祈りを申し上げます。  また、学校給食に際しまして児童生徒と教鞭をとられる先生方が一緒に会食をすべきである、まことにおっしゃるとおりでございまして、都道府県の教育委員会にもそのように通達をいたしておりますし、また、教職員の研修を通じてそのように指導を申し上げているところでございます。私も何回か小学校等の給食に御一緒さしていただいたことがございますが、当然のことながら、先生方それぞれ一緒に会食をしながら一つの教育の場としてお考えをいただいておるということを実感をいたしております。  もう一つは、給食に米飯をふやせということでございますが、現在は週二回程度でございます。これを当面週三回程度を目標にしてまいりたい、このように考えております。  それから給食の心でございますが、学校給食は教科学習では得にくい教育上の意義を持っておるということから、特別活動として学校教育活動と位置づけております。  はっきり申しますと、今一部に使われております金の食器と金の先割れスプーン、これを何とかぬくもりのある陶器の食器、そして木のはしを使っていただいて、そして日本の日常活動、作法を体得をしていただきたい。また、その間に食糧をつくる方々の御努力あるいは料理をしてくださる方の心のぬくもりを味わい取っていただきたい。同時に、食糧、食品から自然の営みのありがたさに感謝の心を持ってもらいたい。もう一つは、自然の野菜その他から季節の移り変わりも受け取ってもらえるようになってもらえたらありがたいな、そういうような気持ちでおりまして、この七月に学校給食課を学校健康教育課というふうに改名をさせていただきましたのは、給食の地位をさらに高めたい、内容を充実させていきたいという気持ちのあらわれでございまして、御趣旨に沿って今後も努力してまいるつもりでございます。(拍手)     ─────────────
  27. 多賀谷真稔

    ○副議長(多賀谷真稔君) 藤田スミ君。     〔藤田スミ君登壇
  28. 藤田スミ

    ○藤田スミ君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、冷害問題について総理並びに関係大臣にお尋ねをいたします。  質問に先立ち、私は、冷害で苦しんでおられる現地の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。  私は、去る九月二十七日、栃木県大田原市を初め四つの市町で冷害実態調査し、関係自治体や農協などの要請を受けてまいりました。  例年ならわせの初星の刈り取りが終わり、コシヒカリの刈り取りが始まっているといわれる水田には、不稔粒ばかりの穂をつけた稲がかさかさと音を立てるように立ち並び、いもち病や稲こうじなどで変色し、その被害はこの地域で最もひどかった一九五三年当時を上回るものと言われています。例年一反歩で十俵近くとれるところだが、ことしは一、二俵がやっとだ、自分の家で食べる米にも足りないだろう、来年の種もみの確保もできないとだれもが訴えていました。  しかも、この地域も、過酷な減反の強制、二年連続の米価の大幅引ぎ下げで農家経営は圧迫され、加えて米生産と肉牛肥育や酪農、加工トマトなどとの複合経営が多く、既に輸入自由化の波をかぶり、深刻な不安を抱えているのであります。もとより、こうした実態は私の訪ねた栃木県北のみならず、東北各地に共通する問題であります。  総理、今回の災害による農家打撃は、単に異常気象のみならず、過去の歴史に見られなかった劇的な農産物輸入自由化などの政治災害も加わって、文字どおり農家経営を押しつぶし、農業地域経済を崩壊させる極めて深刻な事態を招こうとしているのであります。総理、あなたにこうした農民の苦しみがわかりますか。あなたはその責任をどう自覚をしておられるのか、まず明確にお答えください。(拍手)  そこで、具体的にお伺いいたします。  まず第一に、天災融資法激甚災害法早期発動し、融資条件や手続を簡素化し、資金貸し付けを行き渡らせることであります。  第二に、農業共済早期支払いを行い、損害評価を公正的確に行うこと。必要に応じて共済金の仮渡しを行い、また損害評価特例措置とともに、人手不足になっている損害評価事務体制の強化のために助成を行うことであります。  第三に、被害農家への自作農維持費金の貸付枠を拡大するとともに、既貸付金の償還条件緩和を図ること。また、米の予約概算金返納について、期限の延長と利子免除を行うこと。  第四に、来年度の種もみの確保助成すること。青刈り稲や被害稲の刈り取り、乾燥、運搬等に対し特別の助成を行い、畜産の飼料の確保を図ること。  以上につき政府の誠意ある答弁を求めます。  あわせて、高値が続く白菜、キャベツ、トマトなど野菜の安定供給対策についてその対応をお示しください。  さらに、被災農家所得税、国保税、地方税の減免が切実に求められております。全体の指標ともいうべき所得税の減免を実施するとともに、これの周知徹底を図るべきであります。  文部大臣、被災農家の子供たちのために就学援助制度の適用を図り、また、授業料免除制度などを適用する自治体に対し特別の助成を行うべきでありますが、お答え願います。  さらに、米の需給全体にもかかわる幾つかの対策についてお伺いをいたします。  まず、冷害により大量に発生が予想される規格外の米の全量買い上げについてであります。財政事情等を理由に消極的な声も聞かれますが、これまでの冷害対策の水準を後退させることなく、必ず実施すべきであります。  次に、関係者から強い要求になっている他用途利用米の予約の取り消し、主食用への転用を認めることであります。主食用の限度数量すら到底出荷できない農家に、減反達成を理由に価格が半分の他用途利用米を無理やりに出させるようなことはやってはなりません。政府自身、昨年は安く買った他用途利用米を主食用に転用して販売している事実に照らしても、それは当然の措置であります。誠意ある答弁を求めます。  米の需給計画は、こうした冷災害をも当然念頭に置いたゆとりのある需給計画が必要であり、そのための必要な財政負担も当然なのであります。被災地の各県から要望されているように、来年度の減反面積を見直し、大幅に緩和するよう強く求めるものでありますが、明確にお答えください。  今、冷害に苦しんでいる農民に追い打ちをかけようとしているのが、米の輸入自由化問題であります。RMAの三〇一条提訴以来、本院では米の自由化反対に関する決議を全会一致で採択するなど、米の自由化を絶対にしないことを政府に求めました。政府は、十二品目、牛肉・オレンジについて、当初は自由化はできない、自由化は困難であるとの言明を繰り返し、そして交渉も終盤になるや、生産の存立を守ると言いかえ、自由化に道を開いたのです。今、米についてもその道を歩もうとしているのではないでしょうか。  ウルグアイ・ラウンド非公式閣僚会議で浜田外務政務次官は、米の輸入問題について市場アクセスの議論を回避するものではないと、米のアクセス問題を討議することを表明したとされています。オーストラリア、カナダなどのケアンズ・グループが輸入を禁止している場合は国内需要量の三%を輸入する措置をとるべきと主張しているとき、我が国から輸入アクセス論議に踏み込むこと自体、米輸入自由化への一里塚であることは明確ではないでしょうか。(拍手)  政府は、本当に将来にわたっても、またウルグアイ・ラウンドが終了しても、米の輸入自由化をしないと今ここで明確に答えるべきであります。もとより、冷害を呼び水とする米の輸入もあってはなりません。総理の明確な答弁を求めます。  今、農民は、政府・自民党の農政が米の輸入自由化に向けて進んでいることをひしひしと感じ取っています。二年連続の米価引き下げだけで九割を超える米作農家が採算割れに追い込まれているばかりか、来年度から導入すると政府が言明している米価算定方式の改悪では、一・五ヘクタール未満の米作農家米価算定対象から除外するとしているのです。これでは、いよいよ米作農家営農意欲を奪い去り、我が国の米生産は縮小し、すなわち、米の輸入自由化に向けての地ならしになると言わざるを得ません。  総理、米の輸入自由化反対を堅持するのであれば、このような無謀な米価算定方式の改悪こそ速やかに撤回すべきであります。総理の明確な答弁を求めます。  今まさに日本農業は自民党農政のもとで存立の危機に瀕しています。この夏、日本共産党は、自由化の不安と怒りに揺れる全国各地を調査しました。米もつくるな、ミカンもつくるな、価格は下げて国際化に対応せよ、これでは日本農業はつぶれてしまう、そうなったら国民の食糧はだれがつくるんだ、農産物の輸入を受け入れる国の農業は大きく後退するに決まっている、人間存在の基本である食糧問題がこんな安易な対応でいいのか。総理、これが農民の声であります。  しかも、政府・自民党は、国会の最大の責務であるリクルート等疑惑の全容解明をあいまいにした上、冷害で苦しむ農民も含め圧倒的な国民に一層の困難を押しつける、公約違反の消費税導入ももくろんでいます。このようなことは断じて許すことはできません。(拍手)  最後に、日本共産党は、農業破壊の自民党農政を転換することこそが国の存立の基盤である日本農業を守ることであることを指摘して、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣竹下登登壇
  29. 竹下登

    内閣総理大臣竹下登君) まず、最初におっしゃいました問題でございますが、要するに、今日我が国の置かれておる国際的立場というものを考慮して、しこうしてまた、国境措置とか国内対策等をきちんとやって、農作物の生産の存立を守り得るという判断のもとにいろいろな決断をいたすわけでございます。今後とも、やはり足腰の強い産業として農業が飛躍していくように、そしてまた、国民の皆さん方からは納得し得る価格、こういうことを念頭に置きつつ、魅力ある農業の確立に積極的に取り組んでまいります。  天災融資法発動問題については、再三申し上げておりますように、万全の対策を講じて、状況を十分に踏まえ、早急に対処をいたします。  税問題等についてもお触れになりました。それぞれの制度上の問題点を踏まえまして、適切な対応をしてまいります。  次に、米の自由化問題についてお触れになりました。  再度お答えいたしておりますとおり、この問題、米は国民の主食であります。そしてまた、基幹作物であります。国土保全、自然環境の保全に重要な役割を果たしておるものである、そういう認識、そこに国会決議というものが存在しておるわけであります。国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいる考え方であります。  それから、米価新算定方式にもお触れになりました。この問題につきましては、構造政策、生産対策等の強化を図りながら、来年度から適用してまいりたい、このように考えております。  残余は関係大臣からお答えをいたします。(拍手)     〔国務大臣佐藤隆登壇
  30. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) 要領よく答弁を申し上げたいと思います。  まず、現在農業共済団体において被害実態調査しているところでありますが、被害を受けた水稲等損害評価を迅速的確に行い、共済金支払い早期に行うよう農業共済団体等指導しているところであります。共済金の仮渡しについても、被害実態を見ながら適切に行われるよう指導しているところであります。また、損害評価特別事務費については、予算の範囲内において、調査の実績に応じ助成したいと考えております。  自作農維持資金の問題につきましては、資金需要等を見きわめた上、適切に対処してまいりたいと考えております。  既貸付制度資金償還条件緩和につきましては、既に指示をしたところでありますが、この趣旨徹底が図られるようなお一層の指導を続けてまいりたい、こう思っております。  次に、米の予約概算金金利減免については、天災融資法発動される被害程度に応じ、一定の基準により返納金利子減免を行うことといたしております。また、期限までに返済できない農家方々に対しましては、農協等がかわって弁済することを認めておりますので、この仕組みを活用してまいる所存でございます。  次に、種もみ確保に対する助成についてでありますが、来年度用種子必要量確保については、我が省といたしましても、地方農政局、県、団体との十分な連携のもとに万全を期していく考え方であります。なお、種もみ購入費に対する助成につきましては、近年、農家種子利用の大部分が購入種子に依存する状況となっており、種もみ代も稲作経営費の一部として恒常化している事情等もあり、特別な助成をすることは困難が大きいと考えております。したがって、これらの経費につきましては、営農資金に困っている農家に対する資金手当ての面で対応することが必要ではないか考えております。  被害稲の刈り取り、運搬等に対する助成についても触れられたのでありますけれども、被害により収穫皆無となり、青刈り等を行う農家については、お気の毒に思っておりますが、収入の減に対しては、水稲共済による救済が及ぶことでもあり、御意見のような被害水稲の刈り取り、乾燥、運搬等の一般的な経費について特別な措置を講ずることは困難と考えております。  越冬用飼料対策についてでありますが、本年の低温等により、飼料作物について、東北中心品質低下収量減少が見られます。このため、越冬用飼料確保が困難な場合には、資金の融通、稲わら等利用についての組織的な収集、あっせん事業の活用、余剰乾草についての情報提供等について、関係県とも連絡をとって対処してまいる所存であります。  野菜の安定供給についてでございますが、本年七月から九月にかけての野菜価格の高騰に際しては、栽培管理技術指導、早取り出荷の励行、規格外品の出荷指導に加えて、前倒し出荷奨励事業等を行ってきたところであり、最近では卸売価格ではやや落ちつく気配を見せております。今後とも、野菜の生育状況に応じて、引き続きこれらの諸施策を推進してまいりたいと考えております。  さらに、規格外米のことについて、政府が特例的に買い入れることについては、目下の過剰基調のもとでは困難と考えておりまして、規格外米につきましては、今後、集荷団体とも協議の上、自主流通米としての流通の道を開くことについて検討してまいる所存でございます。  他用途利用米につきましても、いわゆる作況調整により契約数量の変更を行う道を開いております。これを超えて他用途利用米を主食用へ転用することにつきましては、契約を結んでいる実需者との関係制度本来の趣旨に照らして困難な問題があります。しかしながら、特別に被害の著しい農家に対しては、何らかの措置を講ずることができるかどうか、今後検討してまいる所存でございます。  来年度の米需給均衡化のための対策については、今後の作柄推移等を見きわめる必要がありますが、米の持ち越し在庫が高い水準となっていること、消費減退傾向が強まっていること等、厳しい需給事情もあるので、三たびの過剰を回避する観点から、生産者生産者団体と行政が一体となって検討、推進していく必要があると考えております。  なお、米の自由化反対、いろいろな御所見がございました。当院の決議にも即して私が所信を申し述べているとおりでございます。冷害と米の問題と結びつけるな、米の輸入はあってはならないという御指摘がございました。そんな気はございません。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一登壇
  31. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 被災農家につきましては、被害地域につきまして実際に調査をいたしまして、被害実態の的確な把握に努めなければならないと思っております。また同時に、農業団体等からも意見を聴取することもいたしまして、実情に即しまして慎重に対処するつもりでございます。(拍手)     〔国務大臣中島源太郎君登壇
  32. 中島源太郎

    国務大臣(中島源太郎君) 被災農家方々に心からお見舞いを申し上げます。  災害を受けたことによりまして新たに就学援助を必要とする者が生じました場合には、当該市町村が直ちに適切に児童の認定を行いまして、遺漏のないように対処をしていただくことになっております。国といたしましても、今回の災害について、関係県報告を待ちまして、補助金の交付については適切な措置をとってまいりたいと考えております。  あともう一つ、公立高校等の授業料免除につきましては、これは各地方公共団体の定める条例に従って行われておりまして、災害に従いまして授業料の全部または一部が免除されるということになっておりますので、今回の冷害に際しましても適切に対応されるように期待をいたしておるところでございます。  以上であります。(拍手
  33. 多賀谷真稔

    ○副議長(多賀谷真稔君) これにて質疑は終了いたしました。      ────◇─────
  34. 多賀谷真稔

    ○副議長(多賀谷真稔君) 本日は、これにて散会いたします。     午後三時十六分散会