運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-11-04 第113回国会 衆議院 文教委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十一月四日(金曜日)     午前九時三十二分開議  出席委員    委員長 中村  靖君    理事 愛知 和男君 理事 岸田 文武君    理事 北川 正恭君 理事 鳩山 邦夫君    理事 町村 信孝君 理事 佐藤 徳雄君    理事 鍛冶  清君 理事 林  保夫君       逢沢 一郎君    青木 正久君       井出 正一君    石渡 照久君       工藤  巌君    佐藤 敬夫君       斉藤斗志二君    谷川 和穗君       渡海紀三朗君    松田 岩夫君       谷津 義男君    江田 五月君       嶋崎  譲君    中西 績介君       馬場  昇君    有島 重武君       日笠 勝之君    北橋 健治君       石井 郁子君    山原健二郎君       田川 誠一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 中島源太郎君  出席政府委員         文部政務次官  船田  元君         文部大臣官房長 加戸 守行君         文部省教育助成         局長      倉地 克次君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局給与第二         課長      原口 恒和君         文教委員会調査         室長      松原 莊穎君     ───────────── 委員の異動 十一月四日  辞任         補欠選任   杉浦 正健君     谷津 義男君   市川 雄一君     日笠 勝之君 同日  辞任         補欠選任   谷津 義男君     杉浦 正健君   日笠 勝之君     市川 雄一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  教育職員免許法等の一部を改正する法律案内閣提出、第百十二回国会閣法第四五号)      ────◇─────
  2. 中村靖

    中村委員長 これより会議を開きます。  第百十二回国会内閣提出教育職員免許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
  3. 馬場昇

    馬場委員 大臣教育界にとって、特にその総本山ともいうべき文部省の中での最も高級官僚にかかわる疑惑事件が起きたわけでございまして、非常に遺憾なことでございますが、この問題につきましては免許法質疑の後半において尋ねたいと思います。  そこで、私は本委員会におきまして免許法にかかわって多くの質疑が行われたわけでございますが、我が党におきましては私が最後質問になるんじゃないかと思いますので、今まで質疑応答の中で幾つか問題点が明らかになりましたので、きょうはその点について最高責任者としての大臣に確認をお願いしたい、そういう立場で質問を申し上げたいと思います。  まず第一点でございますけれども、戦後の我が国の教員養成は、戦前の師範学校を中心とした閉鎖的な国家主義的な教員養成の反省の上に立ちまして、日本憲法教育基本法学校教育法に基づきまして教育職員免許法を定めまして、大学における開放的な養成基本理念としておる、こういうぐあいに思いますが、大臣、いかがでございますか。
  4. 中島源太郎

    中島国務大臣 馬場委員おっしゃいますように、戦後の教員養成原則をどう考えるかということでございますが、戦後の教員養成日本国憲法教育基本法学校教育法に基づきまして教育職員免許法を定めておりまして、大学における開放制教員養成基本理念一つとして行ってきたものでございまして、今後ともこの理念は遵守してまいりたい、このように考えております。
  5. 馬場昇

    馬場委員 日本国憲法に従って教員養成を行うことは当然でございますが、そういう意味におきまして、この委員会でも教員免許状取得する者は大学において一般教養憲法の二単位を必修にするんだ、こういう答弁もございましたが、それはそれでいいですね。
  6. 倉地克次

    倉地政府委員 今後単位修得方法につきまして文部省令で定めることになっておりますけれども、その中でそのように措置したいというふうに考えている次第でございます。
  7. 馬場昇

    馬場委員 次の問題としまして、教育職員資格免許に関する制度というものは法律でずっと戦後定められてきておるわけでございまして、今後もこういう法律で定めるという原則を私は変えてはいけないと思うのですけれども大臣、どうですか。
  8. 中島源太郎

    中島国務大臣 教育職員資格免許に関する制度は、今後とも法律で定めるという原則を変えるということは考えておりません。
  9. 馬場昇

    馬場委員 議論されたところでございますけれども教員免許法基本理念として、この委員会で次のようなことが指摘されております。  まず第一に、免許状主義であるのだ、二番目に専門職制確立である。三番目に大学において教員養成するのだ、養成開放制でいくのだ、現職教育を尊重するのだ、こういうことが現行免許法を流れる五原則と言われた方もおるわけですけれども原則だと私も認識しておるわけですけれども、この基本理念というのは今後とも堅持していかれますか。
  10. 中島源太郎

    中島国務大臣 今おっしゃいました基本理念、繰り返すようで失礼でございますが、免許状主義徹底教職課程履修による専門職制確立大学における開放制教員養成、それから現職研修の重視、この基本理念は今後とも堅持してまいります。
  11. 馬場昇

    馬場委員 今回の改正は、学歴主義を持ち込むのではない、学歴社会を助長してはいけない、こういうことも議論されまして、教員序列化管理体制を強化する意図ではないのだ、こういうことが答弁されておるわけでございます。  そういう中で、教養審答申標準というのを一種にしたのだ、初級というのを二種にしたのだ、こういうことにしたのは序列化印象を与えないためにしたのだ、こういうような答弁もございましたが、この免許法改正によりまして教員序列化管理体制の強化を意図していないということで確認していいですか。
  12. 中島源太郎

    中島国務大臣 おっしゃるとおり、今回の改正学歴社会を助長しましたり、あるいは教員階層化を意図したものではございません。教養審答申標準免許状法律におきまして一種免許状初級免許状を二種免許状といたしましたのも階層化印象をなくすためのものでございます。
  13. 馬場昇

    馬場委員 次に、専修一種、二種の免許状はいずれも普通免許状であって、名称は違うけれども対等、平等の関係で、担当する教育活動に変わりはなくて職務内容は全く同じである、こう答弁されておりますが、それで確認していいですか。
  14. 中島源太郎

    中島国務大臣 三種類免許状は、名称の違いはございますけれども、いずれも普通免許状でありますので、担当する教育活動に変わりはなく職務内容は同一でございます。
  15. 馬場昇

    馬場委員 専修一種、二種の免許状は、免許状種類によって教員身分差を持ち込むものでは全くないと答弁されておりますが、それでいいですか。
  16. 中島源太郎

    中島国務大臣 免許状種類により人事身分に差を設けるのかということでありますが、校長教頭任用資格に関します専修免許状取り扱いにつきましては、高等学校校長教頭任用資格に関する一級免許状取り扱いを参考にいたしつつ検討してまいりたいと思います。  また、給与上の取り扱いにつきましては、免許状種類により現状変更することは現在のところ考えておりません。
  17. 馬場昇

    馬場委員 大臣答弁で、本委員会答弁されたのと今の発言少し違いますので、念を押しておきたいと思いますが、端的に申し上げまして、今出ておったのですけれども教員身分に差を持ち込むことは全くない、こう答弁されておりますね。それから、人事については、今おっしゃいましたが、今一級免許状教頭とか校長任用にかかわっておるわけですが、それが専修になった場合も一級にかかわっておるのと同じようなことを考えておるという答弁でございましたが、校長教頭の登用、任用以外の人事についてはこの免許状種類によって左右されるものではない。給与については、大臣はこの免許法改正によって給与をこれに連動させるということは毛頭考えていないとここでおっしゃっておられますね。だから、そのことについて大臣に確認しておきたいと思います。
  18. 中島源太郎

    中島国務大臣 ちょっと正確を期すために、長くなりますが、御答弁をさせていただきます。  今御指摘の教員給与上の扱いにつきましては、地方公務員である教員は、教員公務員特例法第二十五条の五の規定によりまして国家公務員に準じて取り扱われておるところであります。国家公務員の場合、一般職給与等に関する法律に基づきまして他の職種と同様にその者の学歴及び勤務年数によって決定することとされておりまして、その者の有する免許状種類によってはいないわけでございます。  このように、教員給与上の扱いについては教員免許制度とは別個の給与制度によって定められているものでありまして、免許状種類改善給与上どのように評価されるということは給与制度において検討されるべきことであると考えております。したがって、免許状種類改善が直ちに給与扱いについて現状変更するものとはなっておりませんことから、給与扱いについて現状変更することは考えていないとお答えをしたところでございます。  また、免許状種類改善給与上どのように評価するかということは、仮にそのようなことがありとすれば給与制度において今後検討されるべきことでありますことから、現在のところ現状変更することは考えていないとお答えをしたところでございます。  以上であります。
  19. 馬場昇

    馬場委員 大臣、きちっと間違わないように答弁されましたけれども、この場所で私ども委員に、この免許法改正によって現状給与変更することは毛頭考えていない、これはこれを提案された大臣責任者としてそうおっしゃったわけですが、それは確認していいですね。
  20. 中島源太郎

    中島国務大臣 私は何回か御答弁を申し上げました。不適切であれば申しわけないと思いますが、この三種類化を御提案をしております教育職員免許法によって給与上の差が生じるとは考えていない、こう申し上げた次第でございまして、それにはそれぞれ関連法規がございますので、その関係法令に従って考えられるべきことであります。その面についての御心配につきましては現在考えていない、このようにお答えをしたところでございます。
  21. 馬場昇

    馬場委員 人事について、校長教頭は今の一級免許状規定がございますけれども、その他の教職員免許種類によって人事上の差別はございませんね。——大臣にお願いしておきます。大臣ですよ。
  22. 倉地克次

    倉地政府委員 大変恐縮でございますが、人事と申しましてもいろいろ幅の広い言葉でございますので、若干御説明申し上げますと、採用、昇任といった人事があるわけでございますけれども、これにつきましては、地方公務員法等法律により任命権者である教育委員会において受験成績勤務成績その他能力の実証に基づいて行うことになるということでございます。それで、校長教頭任用資格の問題につきましては、先ほど大臣から御答弁がありましたようなことでございまして、今後その取り扱いを検討したいというふうに考えておる次第でございます。
  23. 馬場昇

    馬場委員 人事院にお尋ねしたいのですけれども、今議論したのですが、この免許法改正によって人事院として新たに等級構成等の検討を当然されることはないと思うのですけれども、念を押して聞いておきたいと思います。
  24. 原口恒和

    原口説明員 今回の教育職員免許法改正に伴いまして標準職務表改正などの見直しを行うことにつきましては、人事院といたしましても現在のところ考えておりません。
  25. 馬場昇

    馬場委員 人事院、じゃ将来というのは何で将来のことを——現在考えていないというのは考えていないということで、将来のことをあなたがどうこう言う筋合いじゃないでしょう。今の人事院の態度を聞いたのですよ。はっきり言いなさい。
  26. 原口恒和

    原口説明員 現在のところというのは、先生の御質問が今考えておるのか、今回の改正について考えておるのかという御質問でございましたので、そこを省きますれば考えておりませんというお答えになろうと思います。
  27. 馬場昇

    馬場委員 次に、免許状のいろいろ言葉が使われましたけれども、私は、専修一種、二種、この種別変更という言葉を使うのですが、この種別変更のための研修だとか単位修得に当たっては本人希望を尊重して公平な機会教職員に保障されるべきであると思いますけれども、いかがですか。
  28. 中島源太郎

    中島国務大臣 三種類免許状を設定をいたしましたが、他の種類免許状取得するための研修に当たりましては、本人意見配慮する所存でございます。
  29. 馬場昇

    馬場委員 行政姿勢として本人意見配慮するけれども行政としては、教職員がたくさんおるわけですから、そういう者を公平に取り扱うという姿勢を持っておるかどうかということを大臣に聞きます。大臣行政姿勢ですよ。
  30. 中島源太郎

    中島国務大臣 同じことをお答えするようでございますけれども、それぞれの他の種類免許取得するための研修に当たりましては、御本人の御意見配慮いたします。こういうつもりでおります。
  31. 馬場昇

    馬場委員 大臣該当者がくさんおるわけでしょう。そういう人に、例えばこの人だけをどんどん優遇して機会を与える、おまえは気に食わぬから機会を与えない、そういうことがあってはいけない、公平な機会をみんなの職員に与えるべきだということについてはどうですかと聞いているのですよ。
  32. 中島源太郎

    中島国務大臣 それは、いろいろな方がいらっしゃるわけでございますけれども、それぞれの御本人の御意見を尊重したい、このように考えております。御意見配慮をしたいと考えております。
  33. 馬場昇

    馬場委員 いや、それはわかるけれども、公平の原則というのはあなたは知っているわけです、すべて行政については。その公平の原則を守るかということについてどうですか。何回も公平な原則と言ったじゃないですか。     〔委員長退席鳩山(邦)委員長代理着席
  34. 中島源太郎

    中島国務大臣 もちろん、公平の原則というのは存じておりますけれども、先生おっしゃいますように、非常に多くの方がいらっしゃいます。そして、その意欲を持たれる方、それぞれの免許状取得するための意欲も持っていらっしゃるわけでありますね。それだけの方々、いろいろ能力もございましょうし、そういう面も配慮いたす必要もございましょう。したがいまして、私どもといたしましては御本人意見配慮する、こういう点で御理解をいただきたいと存じます。
  35. 馬場昇

    馬場委員 大臣、あなたずっとここで自由に答弁されていたのと、今、答弁官僚の耳打ちによって、あなたの人物とかあなたの行政姿勢というのは一つも出ていない。大臣がそんな主体性がないような格好でこんな免許法提案されたってかなわぬですよ。これは答弁に当たってぜひ配慮していただきたいと思うのです。  次は、二種から一種変更については義務づけておるわけでございますが、十五年経過後の、私たちによりますと、私はペナルティーとか制裁措置と考えておるのですけれども軽減措置がなくなっていますね。単位軽減措置がなくなっておる。これはやはりペナルティーだ、制裁措置だと私は思うのですけれども、このことはこの法律から取り外すべきだと私は思うのですけれども、こういう状況の中で修正ができないとすれば運用に当たってそういうことのないようにぜひ運用をお願いしたいと思うのですが、大臣、どうですか。
  36. 中島源太郎

    中島国務大臣 おっしゃる件につきましては、一種免許状から一種免許状への変更に当たりまして十五年後の措置の適用を受けることのありませんように、事前に十分な指導助言を行いたいと存じます。
  37. 馬場昇

    馬場委員 現職教員大学院修士課程において進学する人もおろうし研修する人もおるわけでございますけれども、これも現職教員任命権者とかその他が恣意によってこの人は大学院修士課程研修させるとか進学させるとか、この人はさせないとかと、そういう恣意的な研修機会の与え方ではなしに、やはり公平に本人希望に従って積極的にそれを保障するように努めるべきではないか、こういうぐあいに思いますが、どうですか。
  38. 中島源太郎

    中島国務大臣 おっしゃいますように、現職教員大学院修士課程進学希望される方、いらっしゃると思いますが、その進学機会が引き続き得られますようにしたいと思っております。また、大学院の拡充にも一層努めてまいりたい、このように考えます。
  39. 馬場昇

    馬場委員 大臣、あなたは文部行政として一番大切な公平、公正でなければならぬということを故意にさっきから外して答弁していますね。あなたの文部行政は公平、公正ではやりたくないのですか、公平、公正に文部行政やるのですか、そこだけ聞いてからまた質問をやります。
  40. 中島源太郎

    中島国務大臣 公平、公正ということはもちろんあると思います。ただ、先ほども申しましたように、大変幅広い方々に人数上もなろうと思います。また個性能力もあろうと思います。したがってそれは無差別な公正、公平ということではなくて、それぞれの任に応じた公平、公正であるべき、このように考えておるわけでございます。
  41. 馬場昇

    馬場委員 私が言っているのは、公平、公正というのが原則で、その上にいろいろな実情がありますからそれを考えるというのは従でなければならぬということを言っているのですが、その気持ちは大臣持っておられるのじゃないかと思いますので、次に進めます。  次に、現職教員で例えば研修をやりますね。そういう研修に出た人の後、出る人の勤務態様、あるいはその欠員補充とか、また例えば進学するような場合、長期に行く場合の経験年数とか、こういうことについては身分の保障とか予算の上で万全を期していただきたいと思うのですが、どうですか。
  42. 中島源太郎

    中島国務大臣 現職教員方々免許状取得する際の研修期間中における勤務扱いですとか研修に伴う欠員補充等につきましては、研修の形態、時期、期間等によりまして異なってまいりますので、一概には申すわけにはまいりませんけれども、可能な限りの配慮をいたしたい、このように考えます。
  43. 馬場昇

    馬場委員 また原則に戻りますけれども教員養成開放制というのは絶対守っていきたい、そしてまた免許状取得にかかわって大学自治とか自由とか学問研究自治とか自由とか、これを侵してはならない、これはもうはっきりしておると思うのですが、どうですか。
  44. 中島源太郎

    中島国務大臣 おっしゃるとおり、今回の改正によりまして、繰り返すようでありますが、教員養成における開放制原則を後退させることは考えておりません。
  45. 馬場昇

    馬場委員 学問研究の自由というものを侵さないということは、答弁漏れですよ。
  46. 中島源太郎

    中島国務大臣 失礼いたしました。  開放制原則を後退させることは考えていないということはもちろんでありますが、免許状取得のために必要な単位数の引き上げやあるいは修得すべき科目の増加をいたしますけれども、それによって大学自治学問の自由を侵すべきではないと考えております。また、現職教員専修免許状取得する場合におきましては、大学または教育委員会による認定講習等単位修得機会を提供するように指導してまいりたいと存じております。
  47. 馬場昇

    馬場委員 社会人活用のための特別免許状特別非常勤講師制度が設けられておるわけですが、これはもう簡単に原則だけ聞きますけれども教員養成大学で行うという原則の上に立ってこの社会人活用のための特別免許状とか特別非常勤講師を考えていく、そうしてその量についてはやはりそこにおる教職員とかあるいは地域社会が納得して、そういう非常勤講師ばかりたくさんになってきては困るわけですから、そういう教職員とか地域社会が納得するような運用指導していかなければいけないと思うのですが、どうですか。
  48. 中島源太郎

    中島国務大臣 おっしゃいますように、特別免許状制度免許状を有しない非常勤講師制度につきましては、教員養成大学で行うという原則に立ちまして教職員地域社会理解が得られるような運用を図るように指導してまいりたいと思います。
  49. 馬場昇

    馬場委員 いろいろここで議論されましたが、この法を施行するに当たってやはり大学関係者とかあるいは関係教職員とか十分に話し合いをしてこれを施行していく、そしてこの国会でいろいろ議論されましたこういう論議を実際市町村教育委員会とか現場において逸脱しないように指導していく、そして逸脱をしたようなことがあったら直ちにそれには指導助言を与えて是正させるべきであると思うが、どうですか。
  50. 中島源太郎

    中島国務大臣 今回の改正法の施行に当たりましては、大学関係者関係教職員に十分な周知を図りたいと考えております。法律運用に当たりまして法改正の趣旨に反するようなことが生じました場合には、必要に応じまして指導助言を行いたいと考えております。
  51. 馬場昇

    馬場委員 最後に、ここでも議論されましたけれども教育というのは教員がその能力を十分に発揮できるような教育環境とか人間関係が必要でございますし、そういう中で児童生徒教職員、父母が豊かに触れ合ってお互いに信頼関係確立して行われなければならないし、その原則は、言いましたように憲法教育基本法に基づいて、そういう中で信頼関係確立しながら行き届いた教育児童生徒個性能力を引き出しまして豊かな生き生きとした学力人間を育てるものでなければならないと私は思います。この免許法改正によって行政が不当な介入をして教職員管理とか支配とかを強化するものであっては絶対いけないと思いますが、どうですか。
  52. 中島源太郎

    中島国務大臣 おっしゃることに関して、繰り返すようでございますが、教育教員がその能力を十分発揮できるような教育環境の中で児童生徒教職員保護者が豊かに触れ合う相互信頼関係確立いたしまして、行き届いた教育を行うことによって児童生徒個性能力を引き出し、豊かな生き生きとした学力人間性を育てなければならないものと考えております。  また、今回の免許法改正によりまして、行政機関が不当な介入を行い、教職員を不当に管理、支配することはないと考えております。
  53. 馬場昇

    馬場委員 現場を知らないから、ないと言うのです。あったときに指導しなさい、そういうことはあってはいけないということを言っておるわけですから、そういうぐあいにしていただきたいと思います。  そこで、余り時間がないのですけれども、一応免許法質問の次に教育界、さっき言いましたように特に文部省というもののあり方というのは、大臣も言わなくてもわかっていると思うのですが、高石問題の疑惑なんかというのはあってはならないことだと私は思うのです。文部次官という最高職務にあった者の疑惑が出たわけですが、文部大臣はこの事実をどう受けとめておられますか。
  54. 中島源太郎

    中島国務大臣 冒頭にも御発言ございました。私から改めてお答えをいたしますが、高石文部事務次官の問題につきましては、私自身昨日の報道で知りまして驚いておる次第でございます。  今回のこの株の購入問題でございますが、これは御本人意思——また報道によって読みましたけれども、これは御本人であれ夫人であれ、こうした行為は慎重さを欠いたものであってまことに残念だ、このように考えております。今後私どもとしては、高石本人からさらに詳しい事情を聴取いたしたいと思っておりますし、また一方、省内職員に対しまして厳正な服務上の指導をしてまいりたい、こう考えまして、昨日事務次官官房長にその点を伝えまして、厳しく省内徹底をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、このような慎重を欠いた行為によりまして、せっかく文教行政誠心誠意御審議をいただき進めておりますのに、この文部行政に不信の影が落ちるようなことがあればまことに残念だ、このように考えておる次第でございます。
  55. 馬場昇

    馬場委員 慎重さを欠くとか残念だとかと、そういう程度のものですか。こういう疑惑文教の、教育界総本山文部省で行われている。そうしたら、そういう文部省教育を語る資格はないのだ。こういうことを明らかにしなければ、教育を語ったってだれも、国民も子供も信用しないわけですよ。そういうぐあいに深刻に考えて対処しなければ、遺憾であり残念だということぐらいでは話にならない答弁だと私は思います。  具体的に聞きますけれども高石さんから事情を聞いたのか聞かなかったのか。聞いていなければ——これは今まで官房長が何回か聞いたというけれども、そういうことはないと言っておった、ところが、ばれると、あったと言う。こういうことの経過も聞いておるのですけれども大臣本人から直接聞きましたか。
  56. 中島源太郎

    中島国務大臣 私の責任において聞かせたと申し上げた方が正しいと思いますが、実際には官房長が電話で、というのは地理的に離れておりますので、とりあえず電話でお聞きをしたということでございます。  その詳細につきましては、繰り返しましても昨日現在は新聞で報道されました部分のとおりでございました。より詳しいあれがございましたらば、政府委員から御答弁させます。
  57. 馬場昇

    馬場委員 事は教育界であってはならぬことが起きている、文部省で起きているわけですから、これは一日も早く解明をして、真実はこうであるということを子供の前にも父母の前にも明らかにしなきゃならぬ問題ですよ。そういう意味において、これは委員長、うちの理事理事会において高石文部次官をこの委員会に証人喚問をせよという主張をいたしておりますから、文部省も明らかにしなきゃならぬと思いますけれども、この委員会も当然明らかにする責任があると思いますので、証人喚問について配慮をいただきたいと思いますが、どうですか。
  58. 鳩山邦夫

    鳩山(邦)委員長代理 これは、先ほども理事会で話題になっておりましたが、理事間で御協議をいただきたいと思っております。
  59. 馬場昇

    馬場委員 新聞が伝えておることは大臣も知っておられるし、官房長を通じて電話で問い合わせて御存じと思いますけれども、これはもう教育的に考えてというよりも常識で考えて、例えば高石さんの報道機関に対する説明によりますと、妻が自分の知らないうちに未公開株一万株を、しかも高石さんの名義で取得しておる、その取得する資金もファーストファイナンスから三千万融資を受ける、こういう三千万という大金を奥さんが融資を受けるときにも高石さんは知らなかったとか、こういうことは世間では通用しない話ですよ。  ましていわんや教育というもの、真理、真実を追求するという教育界最高官僚がこんな子供だましのばかげた世間に通用しないような弁解をしておる。これは私は絶対に許せないことだと思うのです。真理、真実を追求するのが教育でしょう。そういう面において、例えばいつ、どこで、だれが、どうした、こういうことが明らかにならなければわからないわけですよ。妻がどうした、こうしたというこの弁明を大臣は信用されていますか。
  60. 中島源太郎

    中島国務大臣 現在聞き及んだ範囲は、先ほどお答えをしたとおりでございます。ただし、現在の時点でありましても、申し上げましたように、本人であれ夫人であれ、同じように残念な行為であった、私はこのように考えております。
  61. 馬場昇

    馬場委員 その次官が、文部省の中の中枢の、しかも一番ウエートの重い教育課程審議会委員大学審議会委員に江副氏を任命しているんですよ。江副氏を教育課程審議会委員に任命したときの大臣、次官、担当局長、担当課長の名前を言ってください。それから大学審議会委員に任命したときの大臣、次官、担当局長、担当課長の名前を明らかにしてください。
  62. 加戸守行

    ○加戸政府委員 教育課程審議会の委員を発令しましたときの担当大臣は松永大臣でございます。事務次官は宮地事務次官官房長は西崎官房長、担当局長がただいまお話の出ておりました高石局長、それから担当課長は小学校課の熱海課長でございます。  それから大学審議会の委員の発令の際の役職でございますが、大臣は塩川大臣事務次官高石事務次官、古村官房長、担当局長は現事務次官の阿部局長、担当課長が遠山企画課長でございます。     〔鳩山(邦)委員長代理退席、委員長着席〕
  63. 馬場昇

    馬場委員 大臣、今教育課程審議会委員大学審議会委員に任命したときの大臣、次官、担当局長、担当課長の名前が出ました。こういう人たちはリクルートコスモスから株の譲渡を受けているかいないか尋ねられましたか。
  64. 加戸守行

    ○加戸政府委員 私の方からそれぞれ関係者方々につきまして、省内の幹部あるいは退職された方につきまして確認をさしていただいております。ただ、大変恐縮でございますが、当時の担当大臣につきましてはお問い合わせするようなことはいたしておりません。
  65. 馬場昇

    馬場委員 問い合わせしたところ、あったか、ないと言ったか、どうですか。
  66. 加戸守行

    ○加戸政府委員 文部省の事務方の幹部あるいは退職された方につきましては、高石事務次官を除かれまして、ほかにはそういったような事実はないということを確言いただいております。
  67. 馬場昇

    馬場委員 高石さんには加戸さんが三回か電話で確認したと言っている。そのときにはもらっていない、取得していないと言っている。ところが、報道機関にあらわれたときには言っている。大臣、もう一回大臣から今言った人たちには聞いて、そして事実をこの委員会に明らかにしてください。どうですか。
  68. 中島源太郎

    中島国務大臣 ただすべきはただしたいと存じております。また、官房長の方からも、先輩といえ、職員といえ、さらに確かめるということは今までもしておりますが、それを信じたいと思いますけれども、念のためにさらに確認をさせたいと思います。
  69. 馬場昇

    馬場委員 大臣高石さんは報道機関の記者会見で、私は、こういう委員にするときには下から、局長から上がってくる、それを認めただけですよと言っておるのですが、この教育課程審議会委員に任命したときは自分が局長だ。自分が上げて張本人になっているわけでございます。  巷間伝えられるところによりますと、文部省なんかでも言っているじゃございませんか、とにかく、例えば教育課程審議会委員というものについては、大臣がやはり短大の人を入れたらどうか、短大関係者がおらぬじゃないか、短大のある学長を予定しておった、ところが、江副さんがいいと言って、この高石さんが押し込んできた。あるいは大学審議会委員のときには、文部次官の方が、官邸筋からこれを入れるという話だからこれを入れなさい、自分でやったということが巷間伝えられておるし、文部省の中でもそういうことを言っておる人がおるわけですよ。こういう人が全然めくら判を押したとは言えないわけです。  そしてこのことは、当然、一万株譲り受けた、その後にこういう委員にしているということは、これはわいろ、収賄事件じゃないですか。このことについて、文部大臣高石さんはその任命したときに職務権限が——例えば任命したときわいろが行われておったとすれば職務権限があるのかないのか、はっきりしてください。
  70. 中島源太郎

    中島国務大臣 今おっしゃった委員の選任につきましては、任命権者文部大臣でございますが、その選任にタッチする職務にあったということは事実でございます。しかし、それがわいる性があったかどうかということは、これは司法当局の御判断にまつ以外にない、このように考えておるわけでございます。  しかし、それがあろうとなかろうと、ないといたしましても、そのような時期にこのような経済行為を行うということは甚だ残念な行為であった、このように申し上げたわけでございます。
  71. 馬場昇

    馬場委員 収賄行為であるかないかということまで含めて調査をしてもらうことをまず要求しておきたいと思います。  考えてみますと、だれでも常識的には知っているのです。労働省の事務次官は一千株ですよ。文部省事務次官は一万株でしょう。そしてリクルートという会社、これは就職、進学、そういう情報会社でしょう。いかに文部省に関連があるかということはわかっているし、特別の委員にも委嘱をしている。労働省は特別の委員に委嘱なんかしていない。いかにこの疑獄が文部省関係に深いかということはわかっておるわけです。  高石さんは名前が出ました前の森文部大臣と非常に近いということはだれでも知っている。そして、これまた疑惑が出ております藤波元官房長官とか渡辺政調会長というあの人たちも、選挙事務所開きに行って激励の持ち上げる演説をしているじゃないですか。みんな疑惑関係ある人が高石さんの周囲におろし、逆に江副さんをそういう人に紹介した人は高石さん本人が紹介しておる、こうも言われておるわけでございますから、これはわいろ性がないなんて言えないはずです。  これについては大臣にもこの間本会議で私は質問いたしました。例えば、四千株は自分がつくったところの生涯学習振興財団に寄附すると言っている。選挙運動をしておる者がこんなのを寄附するのはこれは刑法違反でしょう。こんなばかなことまで言っているし、ごまかしておる。これは根は非常に深いと思うのです。だから、この間私は本会議で竹下さんにもあなたにも質問しました。李下に冠を正さずと言っているでしょう。とにかく李下に冠を正さずという、疑われることはしないということでしょう。そしてまた、我々がっくりました政治倫理綱領の中に、疑われるようなことをした場合にはみずからの責任においてこれを明らかにするということも倫理綱領で私たちは決めているでしょう。大臣もそれに参画しているでしょう。  そういう意味で、この問題については疑獄、犯罪、こういう疑いですから、これは事実がこうだということを大臣は責任を持って明らかにすべきであると思いますが、どうですか。
  72. 中島源太郎

    中島国務大臣 三つのことを申されました。私どもは、今後とも詳細な事情について速やかに聴取したい、こう考えております。  ただ、これに犯罪性があるかどうかということについては、最終的には司法当局の御判断にまつということになると思います。また、大変残念でありますけれども、こういうことで文教行政の信頼を損ないませんように、私どもは一層の努力をいたしたい、このように考えております。
  73. 馬場昇

    馬場委員 大臣、子供があなたに質問したら何と答えますか。高石さんのことはどうですかとあなたに質問したら、あなたは何と答えるのですか。子供というのは大人の後ろ姿を見て育つと言われているでしょう。その一番の国会議員、教育の中枢、総本山、それを担当しておる文部大臣がそのようなことでは、教育は今後行われませんよ。だから、きちんとあなたの方が、実はこうこうこういうことでこれは悪かった、そして今後はこういうことはしない、こういうことを明らかにする責任がある、それをしなければ教育は語れないということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。
  74. 中村靖

    中村委員長 次に、鍛冶清君。
  75. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 今馬場委員から質問がございましたが、前文部事務次官の件につきましては、私どもは、教育に携わる本山にいた中心者がそういう問題を起こしておったということについて、道義的にも極めて遺憾なことである、こう思います。  ただ、きょうはこの問題につきましては集中的に審議するという流れになっておりませんで、大臣も十一時からまた税特委の方に呼ばれておるというようなこともございます。したがって、きょうは極めて残念ではございますが、この問題はまた理事間で、けさほどの理事の協議の中で、集中的に審議をしてはどうかとか証人喚問してはどうかとか、いろいろ意見が出てまいりまして、この件をこの委員会と並行しながら、また、その後でも理事会で話をまとめて取り扱いをするという方向になっておりますし、また、ここで私が質問を申し上げたとしても、ただいま馬場委員から御質問があった質問の内容を出るものを持ち合わせてもおりません。重ねて時間をとるということは、私きょう、教員免許法の締めくくりの質問の中でぜひ質問を申し上げたいこともございますので、この問題は理事の協議の中ではっきりさせるとしまして、ただいまから教員免許法改正案の問題について若干お尋ねをして締めくくりの質問にさせていただきたい、こう思います。  最初にお尋ねをいたしますが、我が国における教員養成に対するこの教員免許法、たしか昭和二十四年でございましたか施行されまして、多少改正は行われてきましたが、ずっとこれまで行われてまいりました。今回大変重大な改正になっておるわけでございますが、この間について、教員養成に対する評価について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  76. 中島源太郎

    中島国務大臣 御指摘の点は戦後の我が国の教員養成についてでございますが、教員養成大学における養成原則といたしまして、大学が中心となって豊かな教養と高い専門性を備えた教員を育ててまいりました。また、開放制原則のもとに、教員養成大学・学部と一般大学がそれぞれの特色を生かしまして両者相まって幅広い人材を教育界へ送り出してきていると考えております。戦後の我が国の学校教育の発展は、このような質の高い教員が支えてきたものと考えております。ただ、社会の進展に伴いまして多様化、個性化、国際化しております。そういう中でさらに幅広い分野から教員を迎え、そして教員の資質をさらに向上させていくことは、当然のことながら必要であろう、このように考えております。
  77. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 そういう流れの中で教員の資質向上ということは非常に大切なことでございまして、これは先日の質問の中で最後教員の資質の問題で大臣にもお尋ねをいたしました。この教員免許法を初めいろいろな形の中で教員養成が行われてきて、今大臣の評価につながっていると思いますが、ここで、閉鎖制、それから開放制という問題が起こってくる中で、一つには、教員養成をやっておる、免許取得単位を取れるようにやっておる大学側の教え方といいますか、ここらあたりに大変いろいろと批判的な話が私どもの耳によく伝わってまいります。  それはやはり子供たちがいろいろと荒れる状況が起きてきておる、そしてその中で、免許を取るために教える側の大学の先生の方が実際に現場の小中学校等で教えた経験がないというところが教えるときに非常にマイナスになっておって、これがどうも単位修得してみてもそれが採用されて現場に赴任したときに余り生きてこないというふうな話も随分ございます。そのためには、やはり教育実習をもう少し強化してやるべきではないか。こういうようなことが閉鎖制という言葉につながってきておる、開放制を堅持せよというような言葉にもつながってきておる、こういうふうに思うわけです。  そういう大学側の対応ということについても、これはやはりこの免許法改正機会に、ただ法だけをいじるということではなくて大学側の対応についても言うべきことは言っていかなければならぬ、指摘すべきことは指摘すべきであろうというふうにも思いますが、この点についてはどういうふうにお考えでございましょうか。
  78. 中島源太郎

    中島国務大臣 御指摘のように、大学教員養成を担当する教員教育現場の経験が少ないのではないかという御指摘でございます。その一翼といたしまして、大学における教員養成に当たりましては、教員として求められる実践的指導力の基礎を確実に身につけさせますために小中学校等での教育経験を有する者を活用することも意義があるのではないかと考えております。今回の改正案におきましては、生徒指導に関する科目、特別活動に関する科目等の必須化を予定いたしておりますが、これらの科目につきまして小中学校等の教員指導主事等を非常勤講師といたしまして委嘱することも教育効果を高めることに役立つものと考えております。
  79. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 次にお尋ねしますが、今回の免許法等の改正案につきましては、内容をずっと見ましても、総体的に見てみると、どうしても教えるということの専門性というものに重きを置いて改正がなされておるのではないかというように感じられてなりません。  今、実際には世間の多くの方々が求めておられる問題、これはさっきも触れましたように、いじめとかの問題、校内暴力の問題とか、それから家庭内暴力の問題とか、かつてなかったような問題が引き続いて起こる中で、これに対応する形での免許法というものの改正、それが盛り込まれた改正が必要ではないか、こういうふうなことを言われているわけですが、この点についていかがでしょう。
  80. 中島源太郎

    中島国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、今日、教員には従来にも増しまして教育者としての使命感、人間の成長、発達に対しての深い理解、幼児、児童、生徒に対する教育的な愛情、教科等に関する専門的知識、そして広く豊かな教養、いつも申しますが、それらを基礎とした実践的指導力が求められているところでございます。今回の改正では、そういう認識に立ちまして、今申し上げましたように生徒指導に関する科目、特別活動に関する科目等を必須とするなど、教職専門教育科目を中心に免許基準を引き上げることにいたしたわけでございまして、児童生徒一人一人に即した教育を行うことのできる教員養成に努めているところでございます。
  81. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 最後にお尋ねをいたしますが、本改正法案が通りますと、大学側のそれに対する対応というものがこれまでの論議の中でも質疑が交わされてまいりました。確かにそういう面が心配されます。特に私立大学関係は、その対応、体制づくりに大変な労力と財力も要るのではないか、こういうふうにも思うわけです。  そういう意味を含めて、本改正案をこういうふうに施行するという流れの中で、法案が通りましたならば実施までに多少の期間があるわけですが、その間に、各国公立の教員養成系の大学を初め、特に私立関係大学でこういう教員養成を扱っている大学等に対しては、相談の窓口、これは先日質問申し上げましたが、情報不足の中でどうやったらいいかということがわからず非常に悩んでおられる大学も随分ございます。情報等も率直に提供しながら、相談にも応じながら、また財政的な問題も措置しながら、また援助をしながら、この体制がきちっとした形で整備ができるように、そして開放制原則というものが守られていく中でこの教員免許法改正案がいい形で実施されていくようにその対応をぜひすべきである、こういうふうに思いますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  82. 中島源太郎

    中島国務大臣 今回の免許基準の引き上げは主といたしまして教職専門教育科目を中心とするものでありまして、また各大学において教職専門教育科目を弾力的に開設することができることをより明確にいたしますために、現行の教職専門教育科目の表現を概括的な表現に改めることといたしております。この措置によりまして各大学は必要に応じて教育課程の見直しを行うこととなるわけでありますが、文部省といたしましては、各大学が円滑に対応できますよう適切な指導助言等を行っていきたいと考えております。
  83. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 時間が参りましたので、これで終わります。
  84. 中村靖

    中村委員長 次に、林保夫君。
  85. 林保夫

    ○林(保)委員 これまでいろいろ審議させていただきまして、最後の十分間の質疑ということになりました。  一九四九年以来の教育職員免許法改正でございまして、これは画期的なものであるということは申し上げるまでもございません。私どもも、今の教育がいいか悪いかという論争抜きにしても、このままでは新しい時代に対応できない、きっちりやらなければならぬということで、臨教審の答申を待ち、昨年八月にやっと出て、そして今いろいろとやっておりますけれども、私どもから見ますとおくれがちである、むしろこれを早めて、次の対応をまたやらなければならぬ時代が来る、このように実は考えておるわけでございます。  一年三カ月たってようやくこれが日の目を見ようといたしますときに、過般はわざわざ参考人御四方を招きまして御意見も聞きました。お二方はどうしても早くやってくれ、私もそのような感じであろうかと思うのでございますが、お二人はまた、私もちょっと意外だったのでございますが、御批判するわけじゃなくて、どっちがいいんだ、どうするかという御提案を申し上げたら、お二人とも現状の方がいいという御判断をされまして、ただ、一人のお方は、大学院制度が定着をしたのだからやはりそれらを教育現場活用するような方法だけは考えなきゃいかぬ、まあ言葉少なで申し上げると誤解を招くようですけれども、そういう御議論もあったようでございました。  したがいまして、これらにつきまして、最後の審議ということでひとつ官房長から、文部行政全般から見て今のこういう時点がどういうところにあって、今法をどのように生かしながら、具体的に申しますと子供たちが生き生きとして学べる、先生もまた生き生きとして希望を持って教えられるという状況をつくらなければならぬと思うのですが、それらの視点に立ってこれからどのように対応されるかの点を事務当局はどうかというのを、大変大事でございますので、伺いたいと思います。
  86. 加戸守行

    ○加戸政府委員 私どもは、文部省の立場としまして、現下、教育上の諸問題がございます、また国民的な要請等もございます、それら臨教審答申あるいは各界の御意見等を踏まえながら文教行政を展開する立場にあるわけでございまして、その意味におきまして、現在いろいろな指摘のある問題点は緊急を要するものからできる限り着手をし、そしていろいろ御意見を伺うべきものは意見を深めた上で対応していく、そういうステップ・バイ・ステップの中で文教行政を展開しようと考えている次第でございます。事柄は、法令上の問題、予算上の問題あるいは行政指導上の問題、多岐にわたりますけれども、各般を総合的に推進し、一歩でも国民の期待にこたえる生き生きとした明るい教育が展開されるような文教行政を目指して頑張りたいと考えておるところでございます。
  87. 林保夫

    ○林(保)委員 二点は、昨夜八時からNHKが、「世界の中の日本・教育は変えられるか・いま何を教えるべきか」という点でそれなりに大変貴重な放送があったと思います。学力の点では日本は大変上だ、そしてまた日本を学ばなければならぬという気合いも出ておる。その中で際立ったのはサッチャーさんの、伝統を踏まえて教育をやらなければいかぬ、こういうことで大変強い姿勢で、やはりこれから変わっていくという判断をいたしました。その中で、本法の中にもあります社会人活用の問題について、イギリスの場合は教育現場を活性化するためにはどうしてもそれが必要だ、こういうふうなこともきのう訴えておられました。つきましては、事務当局の皆さん方は社会人活用について本法を踏まえてどのようにやられますか、局長の御答弁をお願いしたい。
  88. 倉地克次

    倉地政府委員 先ほどから御議論になっているわけでございますけれども、私ども、現在の学校教育に求められておりますのは、社会の進展に応じまして情報化、国際化、それから社会の複雑多様化ということに即応しつつ学校教育も対応していくことが課題ではないかというふうに考えている次第でございます。そういうときに、立派な先生方がたくさんおいでになるわけでございますが、さらに、社会生活の中で社会と密着した体験をお持ちの方々もぜひ学校へお招きしまして、学校の中の教育活動がさらに活性化し、時代に即応したものとなっていくことを期待しているわけでございまして、そうした観点から、特別免許状でございますとか免許状を持たない非常勤講師を特に採用することができるというような制度も御提案しているわけでございます。  ただ、この制度につきましては、大学における教員養成という原則もございますので、そうしたものとの調和の上に立って適切かつ有効に活用していくことが一番大切ではないかというふうに考えている次第でございまして、そうした点につきまして今後とも十分努力してまいりたい、さように考えている次第でございます。
  89. 林保夫

    ○林(保)委員 それでは中島大臣に。今までいろいろと御決意を承りました。しかし、なおきわめ切れない問題がきょうも新聞紙上で大変大きく出ております。文部行政のかなめにある森喜朗元文部大臣高石邦男前文部次官、これにつきまして、大臣、時間がありませんから率直に承りますが、けさ閣議で総理がどういう発言をされたか、承りたいと思います。
  90. 中島源太郎

    中島国務大臣 二つ御質問がありまして、端的に、今回の高石事務次官の問題は大変残念で遺憾な問題だと思っております。  それについての閣議での御発言はきょうはございませんでした。また、閣議そのものが時間が非常に短い閣議でございまして、御発言はございませんでした。
  91. 林保夫

    ○林(保)委員 私も、一国会議員でございますけれども、国民の一人でございます。そういう視点から申しますと、李下に冠を正さずと言って、秘書が手をつけ、もう冠を正しているわけです。そして、こういう重大なときに総理が何一つ閣議で発言できないような、国政は一体どうなっているんだ、こう私は断ぜざるを得ないような心境でございます。  昨日、大臣の本件にかかわる御答弁を聞きました。本当に大臣も残念だと思います。それしかなかったかな。しかし、その同じ報道の中で、大臣、けさの新聞ごらんになりましたか、怪文書を——正確に言った方がいいのでしょうが、時間がありませんから読み上げませんけれども、怪文書でたびたび、前から知っていた、こう言われる。大臣は今何と言われましたか。きのう初めて知った。これで本当の国政調査権というのは機能しているのだろうか。  もう一点は、行政府というものがある、ここには自浄作用がないのか、私はこの点をはっきり問いたいと思います。これがきっちりしておるならば、言わずもがなですけれども、犯罪を前提とした地検が入る必要もなかったかもしれません。まことに不幸な事態と言わなければなりません。しかも、冒頭申し上げましたような画期的な法案をきょう採決するその日でございます。大臣の御所見を改めてお伺いしとうございますし、これからどうするのだ、この視点で問題に取り組んでいかなければならぬと申し添えて、大臣の御答弁をいただきたい。
  92. 中島源太郎

    中島国務大臣 今回の高石事務次官の問題につきましては、昨日報道された域を出ませんけれども、なおかつその中でも、本人であれ夫人であれ、これはまことに配慮を欠いた、慎重さを欠いた行為であったということで、私は残念至極に存じております。  けさ総理から特に御発言はなかったということは事実でありますけれども、私は無言のうちに重みを感じておりまして、当然文部省自体が速やかにさらに詳細な事情を聴取をいたすということに努めたいと思いますし、また、先ほども申しましたが、内部的にも一層厳正なる職務に専念いたしますように徹底をいたしてまいりたい、こういうことで昨日既に事務次官官房長を通じて伝えさせ、これを省内徹底をし、せっかく先生方がこの教育改革に即して誠心誠意御討議をいただいております中で、それを汚すようなことが一点たりともあってはならない、このように感じておる次第でございます。
  93. 林保夫

    ○林(保)委員 時間が参りましたが、冒頭申し上げましたように大事な時期でございます。各国もそういう状況でございます。現場で生徒また先生が希望を持って生き生きといかれるように処遇の問題、財政的な問題、施設の問題を含めてきっちり対応いたされますよう要望申し上げたいと思います。そして、言うまでもなく国政、行政を預かるもののそういったことがかりそめにもあってはならない、このことを厳重注文をつけまして質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  94. 中村靖

    中村委員長 次に、山原健二郎君。
  95. 山原健二郎

    ○山原委員 きょうの委員会の運営については、私は認めておりません。これは委員長にはっきり申し上げておきます。幾つかの、法案について疑問が生じておることは間違いありません。それときょうのこの委員会の運営の仕方、私は非常に不満であります。きょうは税制特別委員会が初めて税制問題の審議に入るということで、二日間は、全国民が見ておる中で、しかも全部テレビ放映されておりますが、その委員会には全大臣が出席しています。文部大臣だけです、ここに来ておるのは。この委員会だけ動いておるのです。これは全く驚くべきことですよ。私は、文部大臣高石問題を契機にしまして、あの委員会へみずから出席をして事態を明らかにするという気迫を持ってもらいたいのです。この委員会だけやっているのです。しかも、物すごい反対があるのですね。賛否両論のあるこの法案を本日議了して通すなどということは断じて許せない。この点、私は冒頭に申し上げておきたいと思います。  何となくこの委員会が、率直に言ってだまされたような感じで開かれておる感じなのですね。私は全国民に対する責務としまして、大臣は税制特へ出席をして事態を解明するために積極的にやるべきです。  今度の問題は、文部省、総力を挙げて事態解明のために努力をしなければなりません。そうでなければ、まだ出てきますよ。高石氏のごとき者がまだ出てきますよ。出てこないという保証は全くないではありませんか。私はこういう点から考えて、生易しい問題ではないということ、このことを肝に銘じていただきたいと思うわけです。しかも、高石君の場合は、六十一年九月に株を譲渡されまして十月にこれを売却している。六千株ですね。まだ四千株持っているという。四千株、今三千円の上積みでしょう。四千株、三、四、十二、千二百万円、これを彼はどう言っているかというと、自分のつくっている生涯教育何とかいうもの、これは法人であるかどうかわかりませんけれども、私的につくったもの、これに対して使うと言っているんです。まさに現ナマを使うと言っているんです。  今度いろいろ名前が出てまいりましたけれども高石氏のごとく、株ではなくて現ナマの思想でこの問題に対処しておる人物はこの人しかおりません。これは全くわいろです。そういう点で、生易しい問題じゃありません。この点について精査をするということをおっしゃいましたが、今のところ電話で連絡しただけだということですけれども、これから調査をする、いつ調査をして、いつこの委員会に報告されますか。これを聞きたいんです。
  96. 加戸守行

    ○加戸政府委員 現段階におきましては簡単な状況しか把握いたしておりません。そして、例えば昨日の記者会見あるいは今後の国会論議等におきまして、いろいろな御指摘等もあろうかと思います。あるいは文部省自体も確認をしたい点も出てこようかと思います。そういったものも含めまして、適宜適切に速やかな対応をしてまいりたいと思っております。
  97. 山原健二郎

    ○山原委員 その報告がこの委員会に行われてから、この法案の審議やりましょう。そんなことが明らかにならないまま、まだ何が起こるかわからないまま、しかも彼らが汚れた手でつくった法案を、そんなものを審議するわけにはいきませんよ。どうですか。
  98. 加戸守行

    ○加戸政府委員 今回の件に関しましては、高石前次官からのお話によりますれば、奥様が経済的な取引としてなさったということで、その事実を知ったのも、時系的に言いますと一昨日ということでございますし、そのことはそれといたしまして、私ども今回提出いたしております法案に関しまして今の件が関連するとは考えていないわけでございます。
  99. 山原健二郎

    ○山原委員 全くひきょうですよ。こんなひきょう者が文部省最高幹部でおったか。しかも教育課程審議会の中身を、社会科の解体あるいは日の丸、君が代の問題など、次々出してきて、そういう卑劣な人物が日本の文教行政の中軸におったということは許しがたいことですよ。  しかも、これは明らかに職務権限に関係しております。例えば、彼が事務次官のときに江副氏が大学審議会委員になっています。また、彼自身が、この審議会の委員は局長が決裁して上に上げていくとみずからおっしゃっておりますね。ところが、初中局長のときに、初中局長が担当する教育課程審議会の委員にこの江副氏がなっているんです。これを考えますと、職務権限からいってもこれは収賄事件ですよ。他の国だったら、直ちに逮捕ですよ。そんなことがあいまいな形で許されるべきものではありません。この職務権限について、文部大臣はどのような見解を持っておるか、伺いたい。
  100. 中島源太郎

    中島国務大臣 今の職務に関する御質問でありますが、少なくともこの審議委員の選任に関しまして、仕事上タッチする職務にあったということは事実でございます。ただ、おっしゃいますように、それが直ちにわいろ性に通ずるかどうか、これは最終的には司法当局の御判断にまつべきものと思いますが、私どももその責任におきまして、さらに詳細に聴取してまいりたい、こう申し上げたところでございます。
  101. 山原健二郎

    ○山原委員 一昨日も申し上げましたように、日本の教育史上最大の問題です、これは。最大の疑獄事件になっているわけですね。こんなことはなかったですよ。文部次官がこういう問題に関与する、しかもこれは単なる株でなくて、高石氏の考え方、この四千株を金にして、そして生涯学習研究所といいますか、それに出すと新聞で言っているんです。これは、明らかに現ナマの問題になってきているわけです。単なる株じゃないんです。そういうことを考えますと、私はこの真相が、文部省が調査されるとおっしゃるわけですから、その報告があるまではこの法案の審議はすべきではないということをまず申し上げておきたいのです。  もう一つの問題は、この法案に絡みまして非常にあいまいな点が出てまいりました。先ほども質問がありましたけれども、まず第一番に給与問題です。三種の免許状を出すことになったんだけれども、この三種の免許状は段階でもランクでもない、こうおっしゃったんですね。そして嶋崎譲氏の質問に対して、大臣は、給与職務内容の格差は設けないとおっしゃいました。民社党の質問に対しまして、今後の検討課題とおっしゃいました。私の質問に対して、別の法体系で決まれば、こうおっしゃいまして、この免許法給与関係することを暗に認める御答弁をなさったわけですね。この点は統一見解を出していただかないとこの法案の審議をこれ以上進めることはできませんが、これについて簡明に大臣のお考えを伺いたい。
  102. 中島源太郎

    中島国務大臣 御質問は、免許状種類給与関係であったと思います。免許状種類改善給与上どのように評価されるかは給与制度において検討されるべきことでありますので、給与扱いについて現在のところ現状変更することは考えていないというお答えになるわけでございます。簡便に申せばそういうことになります。
  103. 山原健二郎

    ○山原委員 これは、この免許法給与関係をするということをあなたはおっしゃっているのです。免許法給与のことなど出てこないのは当たり前のことです。免許法そのものの性格として、給与がこれに関係してきますよ、あるいは給与がこういうふうに変わりますよなどということを、免許法の性格上そんなものはないのですよ。ただ、免許法の立場からいうならば、給与関係するなんということは、あなたがおっしゃるとおり、ないのです。ないけれども給与を変えるのは給与法であり、あるいは人事院の勧告であり、人事院の決定によって変わるのです。  そうしますと、この法律が採決をされましてできた暁において給与法が変えられたら、この専修一種、二種に対する給与が変わる可能性が濃厚になってくるわけですね。そうしますと、大臣が当初から言っておりました、この法律給与職務上の内容には関係ないとおっしゃったことが偽りになってまいります。給与関係をしてくるということになるわけですが、この点は、もう無条件で給与には関係させないという確約がここで行われなければ給与関係してくると思わざるを得ないわけですね。この点についてもう一回明確なお答えをいただきたいのです。
  104. 中島源太郎

    中島国務大臣 正確を期すために細かく申し上げてもよろしいのですが、端的に明確に、こうおっしゃるものでございますから、繰り返すようでございますが、この三種類免許状種類を設けました免許法によって給与が変わることはない、こう申し上げたわけでありますが、それぞれの人事給与につきましては関係法令がございます。その関係法令によって定まるところであることはもちろんでありますが、その関係法令によって変えることがあり得るか、こういう御心配でございましたので、その点についても現在考えておらない、こういうふうに申し上げた次第でございます。
  105. 山原健二郎

    ○山原委員 依然として明確に言えないわけですね。現在考えていない、今のところ考えていない、将来はわかりませんよということですね。  しかし、この法案を提出されました担当大臣として、この法律によって三種類免許状が出てもこれは給与には関係させないということがはっきりと言えませんか。給与法が変わればわかりませんよ、これでは私はこの法律の基本的な性格ががらっと変わるのですよ。その点は明確にしていただかないと、法案審議することも容易なことではありません。初めからやり直さなければなりません。いかがですか。
  106. 中島源太郎

    中島国務大臣 三度目の御質問でございますので、やや長くなりますが、正確を期して申し上げさせていただきたいと思います。  教員給与上の扱いにつきましては、地方公務員である教員教育公務員特例法第二十五条の五の規定によりまして国家公務員に準じて取り扱われることになっております。国家公務員の場合、一般職給与等に関する法律に基づきまして、他の職種と同様にその者の学歴及び勤務年数によって決定することとされておりまして、その者の有する免許状種類によってはいないわけでございます。  このように、教員給与上の扱いにつきましては、教員免許制度とは別個の給与制度により定められているものでありまして、免許状種類改善給与上どのように評価されるかということは給与制度において検討されるべきものであると考えます。したがって、免許状種類改善が直ちに給与扱いについて現状変更するものとはなっておりませんことから、給与扱いについて現状変更することは考えていないと答えたものでございます。  また、免許状種類改善給与上どのように評価するかということは、仮にそのようなことがあり得るとすれば、給与制度において今後検討されるべきことでありますから、現在のところ、現状変更することは考えていないとお答えした次第でございます。
  107. 山原健二郎

    ○山原委員 依然として疑問が残ります。この点は明らかにしなければ、法そのものの性格が変わってまいりますので、これは明確にしていただきたい。この点は、理事会を開いてやっていただきたいと思います。  もう一つの問題は、いわゆる一種から専修をお受けになる方、また二種から一種を受ける方、私は、一種から専修をお受けになる方は七十一万と一昨日言いましたが、この膨大な先生方、現職の先生方は、この法律が成立することによってこれを受け入れ、あるいは認定講習あるいは大学院における研修、そういうものをやるところの計画がないのでしょう。四月からこの法律が動き出したときに、その計画がないときに、七十万の専修をお受けになりたいと希望している先生方はどうするのですか。大混乱が起こりますよ。この点について計画書を出してください。この計画書が出なければこの法律の審議はできませんから。いかがですか。
  108. 倉地克次

    倉地政府委員 一種免許状教員に求められる資質能力標準的な水準を示すものというふうに私どもは御提案申し上げている次第でございます。そういうことから、一種免許状を有する教員専修免許状取得の努力義務も課していないということでございます。そうしたことで、この法案は、今後とも一種免許状の所有者が学校教育の場において中心をなしていくものというふうに考えている次第でございます。  ただ、一種免許状を有する教員が積極的に特定の分野について深い学識を積むことは教員組織全体の資質の向上につながるというふうに考えているわけでございますから、私どもとしては、引き続き大学院修士課程への派遣等について配慮すると同時に、認定講習等、できる限り単位修得機会が得られるよう努力してまいりたい、そのように考えている次第でございます。
  109. 山原健二郎

    ○山原委員 当然、法案のできる前にそれらの計画は出されるべきなんです。これが委員会の持っている責務ですね。したがって、私は、時間がない、時間がないとおっしゃいますけれども、時間の問題で処理すべき法案ではないと思っております。だから私は認めていない。(発言する者あり)認めていない。  だから、委員長にお伺いしますが、私のこの質問がこれから終わります、終わりますけれども質問が終わったら直ちに理事会を開いていただきまして、馬場委員からも提案のありました証人喚問、特に、私は今まで四名の証人喚問を要求しておりますが、これに高石氏を加えまして、五名の証人喚問を要求をいたします。そして、この高石問題、リクルートに関する集中審議をしていただきたい。このことを、私のこの質問の終了の後で直ちに理事会を開いて理事会の御決定をいただきたい。このことを強く要求いたしまして、今の質問はこれで終わらせていただきます。——理事会を開いてください。
  110. 中村靖

    中村委員長 これにて……(発言する者あり)委員会後に各党で協議をさせていただきます。
  111. 山原健二郎

    ○山原委員 当然だ。委員長、当然です。
  112. 中村靖

    中村委員長 各党で協議をさせていただきます。
  113. 山原健二郎

    ○山原委員 委員長、開けばわかる。(発言する者あり)いやいや、認めていない。
  114. 中村靖

    中村委員長 予定の時間が過ぎておりますので、御協力ください。予定の時間が過ぎておりますので、御協力ください。
  115. 山原健二郎

    ○山原委員 認めていません、私は。(発言する者あり)しかも、疑問がいっぱいあるじゃないですか。
  116. 中村靖

    中村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  117. 中村靖

    中村委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤敬夫君。
  118. 佐藤敬夫

    佐藤(敬夫)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、教育職員免許法等の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論を行うものであります。  教員の資質能力の向上こそが父母、国民が現在の学校教育に求めてやまないものであります。教員としての資質能力は、養成、採用、現職研修の各段階を通じて形成されていくものであることから、このような国民の教育に対する負託にこたえるためには、それぞれの段階を通じて、教員としての資質能力の向上を図るための方策を総合的に講ずる必要があるのであります。大学における養成においては、教科・教職の基礎的、理論的内容と実践的指導力の基礎の修得に重点が置かれるべきであり、採用後の現職研修においては、それらの上に立って、さらに実践的指導力を向上させることに重点が置かれるべきものであると考えるものであります。  大学における養成に引き続く、採用後一年間にわたる現職研修については、さきの通常国会においていわゆる初任者研修法案が成立し、来年四月より本格実施ということになっておりますが、本法案が成立することにより、養成研修のそれぞれの段階について、一貫した考え方に立って適切な改善を図ることが可能となるものであります。  情報化、国際化に代表されるごとく、学校教育を取り巻く社会の状況は急速に変化しております。また、学校教育についても、学習指導要領の改訂等教育の内容・方法の改善が図られています。他方、いじめ、非行、登校拒否など困難な問題も生じています。これらの状況等に応じた実践的指導力を身につけるため、本法案は、組織的、体系的な養成教育を行うことができるよう免許基準の引き上げを行うことといたしております。  また、専修免許状を新設し、特定分野において高度の専門性を身につけた者を教育界へ招致するとともに、現職教員修士課程等における自発的な単位修得意欲を喚起する方策を講ずるものであります。なお、一部に、免許状の三種類化学歴主義を助長するのではないかなどの危惧の声があります。しかし、三種類免許状は、いずれも普通免許状である教諭の免許状であり、担当し得る教育活動は何ら変わるところはないことを考えれば、一部にある懸念は、全くの杞憂にすぎないというべきであります。  さらに、社会人として有為な人材を教員として活用するために特別免許状制度及び特別非常勤講師制度を創設することは、学校教育の多様化に適切に対応するために必要であるとともに、広く一般社会から教育に熱意を持つすぐれた人材を教育界に迎え入れることにより、教員組織の活性化を図ることも可能となるものであります。なお、今回の社会人活用については、特別免許状の授与要件を厳格に規定するなど、大学における養成原則を踏まえ、それとの調和を図っているところであります。  我が国の教育が直面する厳しい状況を真剣に考えるならば、教育行政の果たすべき役割、責務にはまことに重大なものがあり、父母、国民の大きな期待を背負っているところであります。国民の本法案に対する賛成の声を真摯に受けとめ、委員各位が本法案の趣旨に賛同されんことを願って、賛成討論を終わります。(拍手)
  119. 中村靖

    中村委員長 次に、佐藤徳雄君。
  120. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、教育職員免許法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。  まず、討論するに当たり、教育職員免許法の根幹にかかわる基本的な事柄について申し上げます。  教育職員免許法は、戦後初期の民主的改革の一環として一九四九年に制定をされたものであります。戦前の師範学校を中心とする閉鎖的教員養成制度を否定し、大学における教員養成開放制免許主義、教職の専門職制現職教育の重視などを原理として成立したものであります。それが、戦後の教育の発展、とりわけ教師の力量形成や連帯の強化に果たした役割は極めて大きかったと言えるでありましょう。したがって、学問の自由と大学自治を根幹に据えた大学教員養成するという戦後の教員養成制度改革の理念をなし崩しにしてはならないということであります。  開放制原則は、広く一般大学の卒業者にも教職への道を開くものとしたものであります。教科の専門性や指導技術にのみ偏った画一的な教員であるべきではなく、幅広い教養と広い視野を身につけていることが期待されていたからであります。  しかるに本法案は、教育職員免許状を三種類種別化し、階層化し、その修得単位数を引き上げることによって、戦後長年にわたって続けられてきた開放制原則を踏みにじるものになっていることは厳しく指摘をしておかなければなりません。  偏差値の輪切りによる受験競争の激化によって、知識偏重教育の中に子供たちは押し流され、さらには、いじめや非行等が教育荒廃に拍車をかける結果を引き起こしてきたのであります。こうした問題を断ち切るためにも、教育基本法が求める人格の完成へと子供たちを導くことこそが改めて大切になってきているのであります。教師間の相互連帯とたゆみない自己研修の積み上げは、毎日の授業や生活指導に必ず生かされます。そして、子供たちが持っている無限の可能性を引き出してやることが教育なのではないでしょうか。それは免許状種類によって変わるものではないのであります。それだけに開放制原則はますます重要視されなければなりません。  本法案は、免許状を三種類化し、教職科目の単位数をふやすことにしております。このため、専修免許状は極めて限られた教員養成機関でしか取得できません。単位修得に対応できるのは、国立の教員養成専門の大学院ですら二十九大学院に限られることは、文部省委員会答弁で認めたところであります。これでは、私立大学に至ってはその単位修得は絶望的と言っても過言ではないでしょう。これまた開放制原則に反することは明らかであります。  次に、免許状種別化は教員の格付になり、教員学歴で判断することになりかねないという点であります。免許状階層化は、教師の単位取りや進学、昇進志向をあおり、正常な研修、研究による教師の力量形成の努力を妨げ、教師の日常不断の努力に対する評価を誤らせることになってしまいます。  本法案は、上級免許状取得を義務づけております。問題はその内容と方法であります。現行法では十五年間を問題なく勤め上げた二級免許状所持者には無条件で一級免許状が授与されていましたが、改正案では十五年間に所定の単位修得しないと経験年数による評価はゼロにされてしまうのであります。このことは教育現場主義を否定し、教育経験を軽視するものであります。既に触れましたように、教師にとって重要なことは、教科指導や生活指導を通して子供たちと真剣に取り組むことであり、そのために必要な研さんを積むことであります。まさに教育現場を無視したやり方と言わなければなりません。  さらに上級免許状取得するために大学大学院単位修得しなければなりませんが、教師の自発的意思で自由に通学できることにはなっておりません。入学には任命権者の推薦が必要であり、入学先も任命権者によって制約されることは委員会審議でも明らかになっております。上級免許状取得義務が教師の差別と選別に利用され、教師が子供たちの指導に情熱を持つ以上に任命権者の顔色をうかがうことになります。これでは到底まともな教育は行い得ないのであります。  次に、特別免許状の問題であります。社会で活躍する人々の協力を得て学校教育を運営することは極めて有意義であると思います。しかし、そのことは社会人に簡単な単位数免許状を与えるということではないはずであります。一方で教職単位を引き上げなければ教育の専門職として不十分であり、初任者研修をも義務づけるとし、他方では教育の素人に免許状を出すとする文部省の論理は、明らかな矛盾であります。  最後に指摘したいことは、本法案の提案に当たって文部省関係者からの意見を余り聞いていないということであります。少なくとも教職員団体や教員養成に当たっている大学関係者意見を聞くことは当然のことであります。このまま本法案が成立することになれば、教職単位を認定している一般大学はそのカリキュラム編成を変えなければなりません。しかし、一般大学教員養成のみを目的としていないだけに、その対応は容易ではありません。私立大学では事実上、教員免許状取得できなくなることさえ考えられるのであります。  憲法教育基本法に基づく豊かな教育を進めるためにも、本法案は内容面でも手続面でも問題が多過ぎるものであり、断じて認めるわけにはいかないのであります。  最後に申し上げなければならないのは、リクルートの問題であります。  昨日の新聞、テレビ等で報道され、既に明らかになったように、文部省高石事務次官がリクルート社から公開前に一万株を譲渡されていたという問題であります。このことは、教育関係者から出たというだけに極めて重大な問題であります。しかも、文部大臣は、本委員会の席で我が党委員の追及に対し、ないと言い切ったことは明らかに覆ったばがりではなく、その責任もまた重大だと言わなければなりません。元文部大臣もリクルートに関係しており、今度の前事務次官らの行為はまさに許されない行為と言わなければなりません。証人喚問を含めて、徹底的な究明を求めるものであります。  本法案の撤回を要求いたしまして、反対討論を終わります。(拍手)
  121. 中村靖

    中村委員長 次に、石井郁子君。
  122. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、反対討論を行います。  本法案は、戦後の教員養成免許制度の改革史上最大のものであり、それだけに慎重かつ徹底した審議が要請されるのは当然であります。法案の内容が全く解明されないままでの採決には断固反対するものです。  しかも、この法案のもとになっている臨教審答申がリクルート疑惑で汚され、文部省幹部と江副氏との癒着が深かったことは、高石事務次官の一万株譲渡で一層明白に浮かび上がってきました。リクルート疑惑の解明は当文教委員会の優先的責務であるにもかかわらず、これを放置し、国民的合意を得ていない悪法だけの審議を促進することは断じて許されません。教育の本質からいっても、また政治的、道義的責任の上からも非民主的な委員会運営に厳しく抗議するものであります。  法案に反対する主な理由は、第一に、三段階免許状の導入によって給与上、人事上に格差を設け、教員間に分断を持ち込み、管理体制を強化しようとするものだからです。一九七一年の中教審答申の実現を目指すものであることは明白となりました。教師の資格に格差をつけることは、本来、同等、対等であるべき教師間の協力関係や子供、父母との信頼関係を損ない、教師の資質向上どころか教育活動を一層困難にせざるを得ません。  第二は、大学での修得単位数を画一的、大幅に引き上げ、詰め込み教育資格取得を形骸化させようとするものだからです。大学の主体的、創造的な教員養成に反すると言わねばなりません。  第三は、社会人活用を口実に、大学での教員養成原則を崩し、安易で即席の教員をつくろうとしているからです。特別免許状免許状なし特別非常勤講師は不要であり、九万人の臨時教員こそ正式採用すべきです。  第四は、十五年在職による免許上進の特例措置を廃止し、単位修得義務を課したことは教員の差別的扱いであり、権力的な行政研修を一層強化するものだからです。  第五には、教科の省令化や一年の短期養成コースの設置などを初め、原則をゆがめる例外措置を拡大しているからです。  以上から明らかなように、本法案は憲法教育基本法に沿った教員養成免許制度の民主的原則を否定し、時の権力に従順な資質を持った教師の養成と確保を図ろうとする反動的なものであり、今後とも徹底して反対していく決意を述べ、なお、附帯決議が予想されますので、一言申し添えますが、全体として法案を肯定する面もありますので、附帯決議には賛成できないことを表明し、討論を終わります。(拍手)
  123. 中村靖

    中村委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  124. 中村靖

    中村委員長 これより採決に入ります。  第百十二回国会内閣提出教育職員免許法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  125. 中村靖

    中村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  126. 中村靖

    中村委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、鳩山邦夫君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。佐藤徳雄君。
  127. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 私は、提案者を代表いたしまして、ただいまの法律案に対する附帯決議案について御説明を申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     教育職員免許法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、教育職員免許の重要性にかんがみ、次の事項について、特段の配慮をすべきである。  一 教育職員免許法等の一部改正の趣旨にかんがみ、学歴社会の助長につながったり、学校における教職員の協力体制の支障にならないよう、運用に努めること。  一 普通免許状の三種別化による人事給与上の不利益な取扱いを行わないこと。  一 二種免許状を所持する教員一種免許状を、一種免許状を所持する教員専修免許状取得しようとする場合は、本人意見配慮すること。    二種免許状から一種免許状への変更が公平・適切に行われるよう配慮すること。  一 特別免許状の授与に当たっては、大学における教員養成原則が堅持できるよう適切に行うこと。    また、免許状を有しない非常勤講師制度については、免許状主義原則に照らして適切に運用すること。  一 教員養成における開放制原則が堅持できるよう一般の大学における教員養成のための諸条件の整備充実に努めること。    なお、教員養成大学・学部についても大学院を含め、その整備充実に努めること。 以上でございます。  その趣旨につきましては、本案の質疑応答を通じて明らかであると存じますので、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえさせていただきます。  何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  128. 中村靖

    中村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  129. 中村靖

    中村委員長 起立多数。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、本附帯決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中島文部大臣
  130. 中島源太郎

    中島国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。     ─────────────
  131. 中村靖

    中村委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 中村靖

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────    〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  133. 中村靖

    中村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時十七分散会