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1988-11-08 第113回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十一月八日(火曜日)     午前九時四十分開議  出席委員    委員長 嶋崎  譲君    理事 青木 正久君 理事 伊吹 文明君    理事 川崎 二郎君 理事 高橋 一郎君    理事 牧野 隆守君 理事 小野 信一君    理事 山田 英介君 理事 塚田 延充君       片岡 武司君    金子原二郎君       鴻池 祥肇君    渡海紀三朗君       二階 俊博君    穂積 良行君       谷津 義男君    奥野 一雄君       草川 昭三君    伏屋 修治君       岩佐 恵美君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      中尾 栄一君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    末木凰太郎君         経済企画庁物価         局長      勝村 坦郎君         経済企画庁総合         計画局長    海野 恒男君         経済企画庁調査         局長      冨金原俊二君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局給与第一         課長      山崎宏一郎君         警察庁刑事局保         安部生活経済課         長       小林 奉文君         国土庁土地局土         地政策課長   石井 隆弘君         国土庁土地局土         地利用調整課長 大日向寛畝君         国土庁土地局地         価調査課長   吉野 洋一君         大蔵省主税局税         制第三課長   野村 興児君         大蔵省銀行局中         小金融課長   武藤 敏郎君         農林水産省構造         改善局農政部農         政課長     山本  徹君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部業務課長   大辻 嘉郎君         運輸省地域交通         局交通計画課長 大森 寿明君         運輸省地域交通         局鉄道業務課長 加藤  甫君         労働大臣官房政         策調査部総合政         策課長     池田 克忠君         建設省建設経済         局宅地開発課長 五十嵐健之君         建設省建設経済         局不動産業課長 小林  満君         建設省建設経済         局民間宅地指導         室長      高橋 健文君         建設省住宅局住         宅政策課長   天本 俊正君         建設省住宅局市         街地建築課長  島崎  勉君         自治省税務局固         定資産税課長  小川 徳洽君         特別委員会第二         調査室長    岩田  脩君     ───────────── 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件(サラリーマンマイホーム取得に関する問題)      ────◇─────
  2. 嶋崎譲

    嶋崎委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を行います。  近年の大都市圏における地価高騰により、勤労者住宅取得が大きな問題となっており、また、土地、建物の賃料の上昇を通じて物価に与える影響が懸念される中、国民生活消費者保護観点から、本日は特に「サラリーマンマイホームを持てるか」をテーマに調査を進めたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。牧野隆守君。
  3. 牧野隆守

    牧野委員 本日の委員会は、「サラリーマンマイホームを持てるか」、こういう議題のもとに集中的に論議質問することになったわけでございますが、論議を開始する前にその経緯と趣旨を説明申し上げ、当委員会及び各委員の意図するところを皆さんに御承知賜りたいと存じます。  御承知のとおり、当委員会物価中心といたしまして国民生活の安定に資するため諸政策論議するところでございまして、従来もその時折の経済情勢にかんがみまして、電力料金運賃等公共料金、あるいは石油製品価格、消費者米価等重要問題を審議いたしまして国民の負託にこたえてきましたことはすべての認めるところでございます。  しかしながら、現在の日本経済情勢を見まするに、国民深層心理の中に何か政治に大きく期待するものがあるのではないだろうか。これは当然のことでございまして、また別の言い方をいたしますと、個々の人々の生活の中に一人ではどうすることもできない大きな不安があるのではないだろうか。それは何だろうか。当委員会趣旨から、積極的にこういう問題を掘り下げていきまして、それではどういうものを取り上げたらよろしいか。過日、当委員会理事懇談会でこういう観点から論議が行われまして、各委員の共通の認識のもとに、特に今回、サラリーマンマイホームを持つことができるか、これをひとつ主要問題として取り上げようじゃないか、こういうことで話し合いができ上がりまして、きょうの日に至った次第でございます。  したがって、当問題を論議するに際しまして、政府大臣初め関係皆さんに単に質問するだけではなくて、また関係者の御意見も賜りまして、しかも我々委員の内部では、自主的に論議してもいいんじゃないか、そういう御意見等もございまして、本件は非常に難しい問題であることは承知いたしておりますが、目的達成のため積極的に活動いたしたい、こういうことでございまして、政府関係者はもちろん、多方面にわたります関係皆さんの御支持と大きな御協力を強く期待するものでございます。  さて、本題に入らせていただきますが、私どもサラリーマンマイホームを持つことができるか、こういうことでいよいよ論議を始めるわけでございます。私自身サラリーマンマイホームを持てるか、こういう題目だけでやはり小さいながらも楽しい我が家というものを想像いたしますし、家族そろっての楽しい夕御飯、すぐほのぼのとしたこんな楽しい気持ちになってくるわけでございまして、当然のことながら日本じゅう皆さんぜひそうあってほしい。また、サラリーマン皆さんは、一生懸命働いたらいつか必ず自分の家が持てるんだ、そう思われるのは当然のことではないだろうか、こう考える次第でございます。  御承知のとおり、日本経済は大変な発展をいたしまして今日に至った次第でございますが、よく考えてみますと、大多数のサラリーマン皆さん勤労によってなされた非常に大きな力であったということは否定することができないわけでござ います。しかし、実際にそうやって働いておられるサラリーマン皆さんが相続できる資産等がない限り、なかなか家を持つことは難しいな、皆さん実は黙ってそう感じておられるわけです。しかも、こういう皆さんのお気持ちは、全体としてまとまった意見あるいは大きな組織の力という形ではなかなか私どもには届いてこない。我々としては声なき声をどうやって取り上げさせていただくかということが非常に大きい問題であるわけでございます。  現実サラリーマン皆さんは、安定した職場を、またより収入の多い職場を求めて、特に東京では片道二時間近くもかかって込んだ地下鉄で通勤される。また、一定所得の中で、こういう御時世でございますから、かわいい子供にはよりよい機会を与えるよう、いい学校にやらせたい、塾へも行かせてうんと勉強してほしい、そして将来少しでも心配のないように、皆さん限られた所得の中から大きな出費を実はされているわけでございます。そうしてサラリーマン皆さんは黙ってこういう努力をしていらっしゃるわけですが、自分の将来はもちろんのこと、家族の将来に対して何とかしなければならないという責任を持って頑張っておられる、苦しいけれども強い意思を持っておられるからだ、こうやって努力されるのはそういうお気持ちから出ておられるものだ、私はその皆さんの気概を信じ、またとうといものだと思っているわけでございます。しかるがゆえに、早くそのような立場政府も含めまして全力を挙げて確立したい、政治家としてそういう衝動に駆られるのは当然でございます。  政府は、土地制度につきましてもまた住宅建設につきましても、最大の努力をしておられることは私どもよく承知をいたしております。国会におきましても特別委員会等を設置して大変な活動をしており、関係者の御苦労に感謝し、敬意を表する次第でございます。しかし、結果的に実際はどうかなということを考えますと、何かどんどん遠いところへ行ってしまうのではないか、こんな気持ちにも時折なるわけでございます。  私どもは、例えば現在論議されておりますサラリーマン大幅所得税減税、これは大歓迎でございます。私、個人的には今回の減税ではまだ足りないので、これから勢い論議をしていきたいと思いますが、例えば、数字はそういう意味におきまして差し控えたいと存じますが、まだまだサラリーマン皆さん減税をしてほしいと思っております。相続税固定資産税、あるいは最小規模個人住宅についても、こういう税制の面から大幅な考慮がなされるべきだ、こう思います。また、小さい規模でも結構ですから、個人サラリーマン住宅用土地取得される、これらについても特別の配慮がなされるべきではないか、こう考えております。  現在、こういうことができやすいように、例えば東京湾の大開発をするとか、あるいは石原運輸大臣が言っておられますが新幹線の近距離利用だとか、あるいは建設省で大深度利用というような環境整備考えておられますが、これらも総合的な見地から大いに推進していただきたいなと心から実は念願をいたしているところでございます。  こういう諸般の情勢にもかんがみ、また当委員会の今回のこの特別の論議をするに至った諸事情にもかんがみましてここで大臣にお伺いをしたいわけですが、日ごろ大臣思想行動に対して私自身心から敬意を表しておりますし、今申し上げましたような見地から、トータルとして大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるか。  国民のほとんどが勤労所得層であり、みんながマイホームを持てるということは国の基本ではなかろうか、私はこう考える次第でございます。今申しましたように、そういう観点から土地問題だとかあるいは建築一般の問題、税制問題、さらに給与体系全般についてすべてを洗い直す今後の政策立案が必要なのではないだろうか、こういう見地から大臣には大臣のお立場として御返事をいただければ非常にありがたい次第でございます。個人的な見解でも結構でございまして、ぜひ国民的課題として取り上げ、実現するために大臣のすばらしい情熱と、それからまたみんなが理解できるような御思想、こういうものを期待して、ひとつ大臣の基本的な御見解を賜りたいと思います。
  4. 中尾栄一

    中尾国務大臣 まず冒頭に、きょうは委員長を初めといたしまして有力なる皆様方が、サラリーマンは果たして家が持てるだろうか、こういう素朴な社会的な正義感とまた人間性に立脚したお話の一日をいただける、こういうことを承りまして、特にまた御質問者が日ごろ情熱正義感をお持ちでございます牧野先生でもございますし、私も実は楽しみに参ったわけでございます。同時にまた、楽しみということは、私が全部総括してその内容を充実した形において質問に答え得るということではなく、むしろ私自身もこの場をかりて率直に勉強さしていただいて、そして実行に移せる段階においてはどのような立場においてもそれを実行に移していくということにおいて私の持てる全力を投球することにやぶさかではない、こういうことをまず確信を持ってお答えを申し上げておきたいなと思うわけでございます。そういう意味におきまして、きょうの時宜を得た機会を与えていただきましたことを、この場をかりて厚く御礼を申し上げたいと思う次第でございます。  世論調査を見ましても、住宅土地問題というものに対する要望、関心が高いということはその数値を見てもつとに示されているところでございまして、そういう意味において、本日は果たして答弁答弁になり得るかどうかを私、疑問に思っているわけでございますが、先ほども申し上げましたように、これを機会にさらに考え方をエスカレートしていくような場にしていきたいものだ、そういうように思っておるわけでございます。  まず、御指摘問題点につきましては、私としても共鳴する点が一から十まで大でございます。「狭いながらも楽しい我が家」という歌がございましたが、どんな小さくても、ささやかながらも老若男女を問わず自分の家を持ち、先ほどのお言葉ではございませんが、狭い家でも家族一緒マイホーム主義で夕げをとる、これは人間の当たり前の夢でございまして、それがまた実現でき得ないような社会はある意味においてまさに不幸な社会と言わざるを得ない。むしろどちらかというと、そういう形がとり得る社会、また貧富の差が甚だしくない社会こそが私どもの理想の社会であると言わなければならぬ、こう思うわけでございます。昨今とみに貧富の差が甚だしくなりつつあるのではなかろうか、中産階級意識がむしろ失われつつあるのではなかろうか、こういうことを聞くにつけて、あらゆる社会構造の中にあるいは政治構造の中に貧困さが感じられる昨今でございますだけに、これはつとに私も鋭意努力をしなければならない問題だと思っておる次第でございます。  ここ二、三年の間に特に東京圏中心にして大変な地価高騰が見られたことは、ここで申すまでもございません。平均的な勤労者が合理的な通勤可能範囲住宅取得する地価水準現実地価水準との乖離は甚だ大きいと指摘せざるを得ないと思っておるのでございます。そういう意味で、政府といたしましては、平均的な言い方で申しわけございませんが、まず、平均的勤労者住宅取得できることは、豊かな国民生活を実現する上で重大なファクターであるということを考えておるわけでございます。  昨今私どもがとみに言われますことは、日本の国は確かに経済大国になった、しかし果たしてその豊かさが実感としてあり得るのか、こう言われますと、私もはたと首をかしげざるを得ない状況にも間々にして遭遇いたします。そういう点も加味いたしますると、なかんずくその中におきましても住宅問題は深刻な問題でございます。昔から住、食、衣というものは当然私どもが生きる上における大きなファクターでございますけれども、その中においても住の欠落、欠陥というものは私も率直に認めざるを得ません。  このため、先般閣議決定をいたしました経済運営五カ年計画におきましても、土地対策を推進し ていくということを住生活の充実の一点としておることをまず挙げたいと思うのでございまして、今後ともこのような総合的な土地対策を中長期的に推進することが政策的な意味においてはまず第一点であると言わざるを得ません。  第二点は、いささか私見ではございますけれども、昔においては貧しい方々が特に住みなれたと言われているような長屋という言葉もあったわけでございます。考えてみますると、ラフカディオ・ハーンの本などを私は好んで読みまするが、当時、長屋というのは六畳、四畳半というようなのが横にずっと長く続いておったから長屋であった。しかし現実近代社会においては長屋というのはほとんどございません。というのは、長屋自体、家が建っておるということだけで、もしその長屋自分の家として取得するならば、その人はもう既に近代社会における意識からいったならば大きな金持ちである、土地を持っているだけでも金持ちであるということになるわけでございます。  これが長く横に続いたから長屋と言い、これが最近は縦にずっと伸びて高層マンションアパートになったからアパートと言うにすぎない。観点においては少しも変わりはありません。しかし、言うなればその財産としての価値においては、土地というものにおける大きな差が出てきたのだなということは率直に認めざるを得ないのでございます。  そういう点におきましては、まずもってその意識の点におきましても、私ども経済大国にはなった、お金持ちにはなった。かつての日本の敗戦当時、四十三年前から見れば確かに豊かにはなったが、まだ貧困さがあるというのは、物事だけではなく、心においてもわびしさ、寂しさ、また同時に何とも言えない不満足感不定愁訴ということもあることも私どもは十分に意識をしながらこの社会問題点解決に取り組んでいかなければならぬということも考えるわけでございまして、そういう意味におきましては、きょうのこの住宅問題など、サラリーマン住宅を果たして持てるのかという率直な質疑に対しましては、私もその中にジョインさせていただいてともども語り合いたいものだな、このように私の私見も申し上げさせていただきまして終わりたいと思います。ありがとうございました。
  5. 牧野隆守

    牧野委員 大臣、どうもありがとうございました。これからも大臣、ジョインされるということでございますので、一緒になって努力をさせていただきたいと思います。  今大臣からそういう御答弁をいただいたわけですが、きょうの会合は何しろ第一回目の会合でございまして、具体的な問題、あれをどうするか、例えば減税規模はどうだ、そういう具体的な問題につきましては今後の当委員会の審議に任せなければならない。きょうは第一回目でございまして、私自身は特にこれにアプローチする基本的な態度と申しますか、そういうことについてひとつ論議をさせていただきたいな、こう思っております。したがって、きょう一応お答え願いたいとお願いしております政府関係皆さんには、皆さん一緒に勉強したい、こういう気持ちでございまして、今までのあれがけしからぬとか何しておったんだとか、そういう気持ち質問することは毛頭ございませんし、また、皆さんを困らせるつもりは一つもございません。一緒になってやっていきたい、こういうことでございますので、現在の問題を前向きにとらえて建設的な方向でいろいろお考え方等をいただければ、こう考えるわけでございます。  最初に、この間総理府が土地問題に関する世論調査の結果を実は発表されたわけでございますが、国民の七〇%が、土地住宅ともに所有しなければ嫌だ、ぜひ欲しい、こう答えておりますし、また、同じ先月でございますが、全民労連、いわゆる連合日経連の共催で土地住宅問題シンポジウムというのを開きまして、この中で連合の竪山会長は、土地住宅問題は到底労使レベルでは解決できない、また鈴木日経連会長は、首都圏サラリーマンにとっては退職金を全額投入しても家一軒買えない、こんな状態では勤労意欲が失われてしまう、土地対策企業努力の枠を超えてしまったというような指摘があり、労使協調して政府土地対策を働きかけるということになった、こういうように新聞で報じられております。私どもも、非常に大きい問題でございますので、機会を得ましていずれ連合あるいは日経連の幹部の方々にも御足労いただいていろいろこれらの御意見を賜りたい、こう思っているわけでございますが、世界のサラリーマンの中でも一番よく働いておられる日本サラリーマン勤労意欲をどうしても大切にしなければいけない、こう考えておるわけでございます。  そこで、経済企画庁にお伺いしたいのですが、ことしの経済白書では、平均的サラリーマンにとって持ち家取得がどの程度遠のいてしまったか試算している、こういうように承知しておりますが、その内容についてお伺いすると同時に、総合経済企画官庁としてどうお考えになっているか、また、どう対処しようとしているか、お伺いをいたしたいと思います。
  6. 冨金原俊二

    冨金原政府委員 お尋ねの経済白書に関する分析についてお答えをさせていただきます。  ことしの経済白書で、平均的なサラリーマン東京圏持ち家、これは先生が御指摘のように戸建て庭つき持ち家を持ちたいという希望が強いものでございますから、東京圏における持ち家取得可能性について、六十一年度のデータもとにして分析をしてございます。データの制約で六十二年度はしておりませんが、考え方としては、平均的なサラリーマンが一生涯かかって収入を得、それから住宅費を除く支出額計算いたしまして、その差額分を生涯収支差額という形で積み上げをして見ているわけでございます。一方で、東京圏東京都二つに分けまして、土地つき住宅価格は六十一年度ベースでどれぐらい必要になっているか、こういう比較をいたしまして検討しているわけでございます。  もちろん一定の仮定を置いて計算しておりますので、その数字については幅を持って考えていただくべきものだと思いますけれども、一応そういう計算でいたしますと、子供二人、夫婦、四人家族についてのモデル的な勤労者世帯の場合には、今申し上げた生涯の収支差額が五千八百万円ぐらいになるという計算でございます。それに対して、六十一年度の戸建て持ち家土地住宅建設費を合わせたものは、東京都下では約七千七百万円、それから東京圏、これは一都三県でございますが約四千六百万円、こういう数字が出てまいります。したがって、先ほどの生涯収支差額と比較していただきますと、六十一年度について東京都下ではちょっと手が届かない。東京圏ではまあその範囲内におさまるわけでございます。しかし、六十二年度も御承知のとおり地価がかなり上昇しておりますので、そういうことも加味してみますと、その数字はさらに厳しいものになるのではないかという感じでございます。
  7. 牧野隆守

    牧野委員 今企画庁の御答弁は、調査内容としまして六十一年度ベースでは五千八百万円で四千六百万円、何とかやりくりすればいけるのじゃないか、しかし六十二年度の土地価格上昇考えるとなかなか難しい、こういう調査の結果の御報告だけいただきまして、さあどこから手をつけようとしているのか、これについては御答弁がなく、いろいろ迷っておられるところが多々あるのではないかな、簡単に返事をできないというのが偽らざる実情じゃないかな、こう私は類推させていただく次第でございまして、こういうことを考えますと、さらに我々としても深めていって、一緒に今後の解決の方途を見つけさせていただきたいな、こう思うわけでございます。  そこで、次は労働省の人にお伺いしたいわけですが、御承知のとおりなかなか難しい、しかも社会的不公平感も拡充している、こういうことでございまして、労働省として、サラリーマン給与水準あるいはそれをもとにした生涯賃金、これでまじめに働いて一生懸命やれば必ず小さいながらも我が家を持てるのだ、こういう感覚から現在の賃金体系をどう考えているか。また、これに対し て所得税から固定資産税、もういっぱいあるわけですが、いわゆる一般賃金水準を見てそういうことをどういうふうに考えているのか、今までそれほど考えていなかったのか。あるいは中労委というところがあって一般的な労使関係調整等活動をしておられるわけですが、こういう調整活動の中に、今申し上げましたような、勤労者は家を持つことができるかという観点からの何らかの考え方あるいは何らかの行動というものが今まで行われたのであろうかどうか、たとえそれがなくてもいろいろどういうことを検討しているのか等々について御答弁をお願いいたしたいと思います。
  8. 池田克忠

    池田説明員 サラリーマン給与水準とそれをもとにした生涯賃金マイホームを買うのに十分な賃金となっているかという点でございますが、若干数字を申し上げますと、労働省の毎月勤労統計調査で男子の六十二年の年収といいますのが、首都圏平均では、四県でございますが五百六万四千円ということになっております。  まず取得時でございますけれども一般にローンの返済負担率というのは収入の四分の一ぐらいが目安ということになっております。この五百六万四千円の資金で調達可能額が約二千二百万ということになります。これに頭金を五百万ないし一千万加えましても、三千二百万ぐらいが一応調達可能な住宅取得の価格になるかと思いますけれども、一方、住宅の価格は六十二年で、これは新築の売り出し価格でございますが三千六百万円ということに首都圏でなってございます。したがいまして、この年収では少し資金が不足することになりまして、取得時にちょっと賃金住宅に比べまして低いかということになろうかと思います。  生涯賃金のお尋ねでございまして、いろいろ仮定がございますが、一応二十七歳に結婚いたしまして、定年までにいろいろためていって買えるかどうかという試算でございます。これも経済企画庁と同じように、一応四人世帯で子供を高等教育まで行かせるという消費支出を行いまして、そういうことで試算してまいりますと、二十七歳から六十歳までの生涯収入の合計というのは一億六千七百万円程度になります。生涯の消費支出が一億四千四百万円程度になりまして、生涯の黒字額、これは六十歳の定年までの黒字額でございますが二千三百万円ということになります。四十歳でそれまでの黒字額一千万円を頭金にいたしまして先ほどの三千六百万円の住宅取得するといたしますと、頭金とローンの合計で四千七百万円になりまして、合計六十歳の定年まででは二千四百万円不足するということになりまして、現状では住宅価格に比べまして賃金水準というのは、地方の都市では十分可能かと思いますけれども首都圏ではかなり住宅価格賃金の乖離が出ているということでございます。  住宅取得につきましては、労働省といたしまして財形政策で財形住宅制度等がございますので、そういうものをいろいろ考えまして充実してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  9. 牧野隆守

    牧野委員 ただいま答弁していただきましたように、もうちょっと努力すれば何とかいけるのではないかな、一言で言いますとそういう感じの御答弁でございますが、一番最初に申し上げましたとおり、お子様二人といいましても、保育園から幼稚園、大学、教育費一つとってみましても本当に大変な経費が要るわけでございまして、一般の人で子供を大学まで出すのに計算すると最低で一千万円はかかるな、大変なんだ。女の子を女子短大出すまでにも相当の金額がかかります。こういう状況でございまして、今おっしゃったように生涯賃金も含めて果たして大丈夫かなという点については、私自身まだ大変な疑問を持っておりますし、さらに論議を進めさせていただきたいな、こう思います。  先ほど御答弁になりました財形貯蓄制度、もう大分前ですが、ちょうど私がドイツの日本大使館に勤務しておりましたころ、同僚の道正一等書記官、官房副長官をなさった方ですが、ドイツの制度を、これは日本でどうしてもやらなければいけないと、帰国されてから大変な努力をされましてあの制度ができたわけでございますが、それじゃあの制度が現実サラリーマン皆さんに大きな支えとなってどんどん持ち家ができているかといいますと、ドイツの制度等と比較しますと、実は雲泥の差があるわけでございます。  アメリカでもそうですし、ドイツでもそうですが、三十二、三まで、結婚してお子さんを二人持つまではアパートに住もう、しかし四人家族になりますとアパートも三LDK以上になりまして、これじゃ大変だということで、いよいよ自分で少し郊外に出るけれども家を持とう、こういうように皆行動いたしておりまして、制度がそれに適合するようにできているということを考えますと、実はこの制度をつくられた当初の意図が相当落ちているのではないか。建設省もいろいろ努力をしていらっしゃる、住宅公団も一生懸命やっていらっしゃる、よく承知をいたしております。何とかこれらを総合的にお互いに相補完して、一生懸命働けば大丈夫だ、こういうように何とか総合調整し、建設的に政策を立案しなければな、こう考える次第でございます。  そういう点で、今度は人事院にお伺いしたいんですが、私も自分の経験から公務員給与の実情はある程度わかっているつもりでございます。お世辞を言うわけじゃございませんが、社会全体のために一生懸命働いているのだという強い公共意識が公務員の皆さんにはあります。しかし大手民間企業等と比較しますと、退職金も非常に少ない、もうちょっと所得を多くしてほしいというのが偽らざる皆さん気持ちだろうと思います。私もよく公務員宿舎等へ行きまして、そこの奥さんに、奥さんどうですか、この非常にお粗末な公務員宿舎に住んでいるのだけれども、御主人の退職金でちゃんと家を持てますかと聞くと、奥さんは実は非常に困った顔をしておられるわけです。公務員の皆さんも役所へ来られると、もう公務員という形でころっと態度が変わりまして、それぞれの部署で一生懸命やっておられる。しかし政府政策を見ますと、大蔵省あるいは建設省労働省、人事院それぞれが総合調整して、じゃどうしようかという話し合いをして一つの政策を立案する、どうもこういうようにはなっていない。  そこで、今公務員の給与については人事院勧告等なされておりますが、例えば人事院として、初任給幾ら幾らで、高校卒の人はこれだけでひとつぜひおいでいただきたい、大卒の人はこれで来ていただきたい、こう言っておるわけですが、果たして公務員は退職金で退職後少なくとも自宅を買うことができるかどうか、公務員給与の算定に際して人事院はどのような配慮をしておられるか、それをお伺いいたしたいと思います。
  10. 山崎宏一郎

    ○山崎説明員 人事院の勧告いたします公務員の給与は、御案内のとおり民間賃金と均衡して定めていくということになっておりまして、百人以上の民間企業の従業員の方と全体としてバランスを図るということになっております。  したがいまして、勤労者一般の給与あるいは生涯給与といいますか、そういうものと、退職手当も含めてでございますけれども、大差ないものになっておりまして、ただいま経済企画庁なりあるいは労働省の方から御説明がありましたように、一般的に言いますと、特に首都圏におきましてなかなか難しいというような事情はございますけれども、国家公務員の場合には全国にかなり散らばっておりまして、かなり転勤も多うございますけれども、統計で見ますと大体五割程度は現在自宅から通われている。ただ、首都圏中心に自宅から通う者が少なくなっている、土地代がこういうふうに上がってきますとますます難しくなってくるという状況は、やはり民間の勤労者の方と同じだと思っております。
  11. 牧野隆守

    牧野委員 今人事院の御答弁は、民間の給与ベース中心として、こういう御答弁でございました。かつ企画庁等の調査等も念頭に置きながらという御答弁でありましたけれども、もう一回お伺いいたします。  退職金で、これは国家または自治体等が給与を払われるわけですが、基本的にそういう考え方論議をする場合にあるかどうかということをお伺いしたいと思います。今まで論議をしたかどうか。
  12. 山崎宏一郎

    ○山崎説明員 退職金がどういう性格のものかというのはいろいろな説がございますけれども、その性格づけといいますか、それはとことんやっておるわけではなくて、退職金全体としてやはり民間の同種の企業あるいは同じような勤続年数の方とバランスをとりながら退職金を決めていくということで、その際、それを財源にして家を持てるような額がどうかとか、どういう財源に充てるかとか、そういう議論は特段考えられておりません。
  13. 牧野隆守

    牧野委員 再度質問させていただきますが、今後そういう感覚で公務員の給与を検討する気持ちがあるかどうか。民間の皆さんにそう多く強要することはできません。いろいろな制度をつくり、いろいろなことを考えて、民間ベースでもそれができるように、そういう制度をつくり、促進するのが我々の努めであるわけでございます。  それは国家公務員の場合に、今一般的には人が多いじゃないか、機構改革をどんどんすべきじゃないか、これは当然の民間の皆さんの御意見だろうと思いますが、それはそれとして国民の負託にこたえるように行政組織の改善等もなされなければいけませんが、他方、公務員としてお勤めになる以上、やはり国として、生涯国家のために働かれたらそれだけの安心感は持てるのだ、場合によっては民間をリードするような意見論議等がなされてしかるべきだ、私はそう思いますが、その点についてどうですか。
  14. 山崎宏一郎

    ○山崎説明員 退職金制度そのものは実は総務庁の方で所管しておりまして、人事院としましては、今申し上げましたように給与あるいは退手とか年金を含めた全体の生涯給与的な観点から公務員の勤務条件を見ておるという立場ですので、余り具体的なことは申し上げられないと思いますけれども、やはり生涯給与全体を見ながら、公務員がそれぞれの地域あるいは勤務場所におきまして後顧の憂いなく十分仕事ができますように今後もいろいろ目配りをしていきたいと思っております。
  15. 牧野隆守

    牧野委員 ただいままで企画庁それから労働省、人事院とお伺いいたしたわけですが、私としましては、賃金を定める場合に、その賃金水準はもちろんのこと、生涯賃金につきましても、家が持てるという基本的な認識を持って、確かに一遍にできるとは思っておりませんが、考え方、基本としましてそういうアプローチが絶対あるべきだと考えている次第でございます。きょうは問題点を提起する第一回でございますので、十二分の答弁をいただけるとも思っていないし、またさらに当委員会で進めるべきだと思っておりますので、今後の当委員会の運営につきましては、こういう点を十分基本にして、ぜひ委員長の方で御采配をしていただきたい、この席をかりてお願いいたしておきます。  次に、国土庁と建設省にお伺いをいたしたい次第でございます。  先ほど申しましたとおり、総理府の世論調査では八割以上の人が地価の鎮静化を望んでおります。片方、七割近い方々土地は今後も値上がりを続けると、実は一般方々はそう見ている次第でございます。そういう意味におきまして、現在まで論議されている地価問題、政府もこの六月、総合土地対策要綱を閣議決定し、積極的に取り組んでおられるわけでございますが、今後の基本的な進め方あるいは具体的目標等につきまして、国土庁から御答弁をいただきたいと思います。
  16. 石井隆弘

    ○石井説明員 今回の東京都心部に端を発しました地価高騰につきましては、国土利用計画法によります監視区域制度の機動的な運用、不動産業あるいは金融機関等に対します指導の継続、それから土地税制の改善等、各般にわたりまして対策を講じてきたところでございます。今後とも引き続き政府一体となって、御指摘の総合土地対策要綱に基づいて、監視区域制度の機動的な運用でございますとか諸機能の地方分散、あるいは住宅宅地の供給促進等の施策を推進してまいりたいと考えております。  また、土地対策を強力に推進するためには、土地の公共性、社会性を明確にし、土地についての共通の国民意識を確立するとともに、広範な分野にわたる各般の施策を総合的に実施することが必要でございまして、このため、土地基本法を制定する方向で検討を進めているところでございます。今後、総合土地対策要綱を踏まえ、既に国会に提出されております野党の土地基本法案や各界有識者の御意見を参考にしつつ、法律制定の意義や盛り込むべき事項につきまして検討を深めてまいりたいと思っております。
  17. 牧野隆守

    牧野委員 関連して建設省にお伺いしたいのですが、私も若いサラリーマン皆さんがすぐ一戸建ての家が持てる、また持てなければならぬというようなことは毛頭考えておりません。先ほど申し上げましたとおり、結婚されてお子様が二人になると三十五、六歳になる、こういうときには一戸建て住宅を何とか持てることができないだろうか、そういうような基本的な方向というのは充実されなければならないと思っているわけでございます。そういう点で、東京、特に大都市では、半分以上の皆さんが賃貸住宅でもいいからなるべくいいところに住みたい、こういう希望を持っているというのが総理府の世論調査からも出てきているわけでございます。  そういう意味において、我が国ではまだまだそういった賃貸住宅が貧弱であり、あるいは値段が非常に高いという状況でございまして、現在住宅・都市整備公団等いろいろ努力をしておられますが、こういう公的住宅の質、量を建設省はどういうように評価しているのか、また、今申し上げたようなそういうサラリーマン皆さんの御要望にこたえられるようにどういう対策を講じていこうとしているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  18. 天本俊正

    ○天本説明員 お答えいたします。  建設省といたしましては、国民持ち家、借家の需要に的確に対応しつつ、適正な住居費負担のもとに居住水準の向上を図ってまいる、こういうことを基本にして住宅政策を進めているわけでございます。また、このために住宅建設五カ年計画を策定いたしまして、これに基づいて住宅建設等の促進を図っているわけでございます。  公的賃貸住宅につきましては公営住宅、公団賃貸住宅等がございます。自力では最低居住水準を確保できない階層に対しましては公営住宅を供給する、あるいは標準的な世帯向けの賃貸住宅を公団住宅として供給するというようなことを行っているわけでございます。このために国の補助あるいは利子補給等の財政措置を講じているわけでございます。公的賃貸住宅につきましては、特に公営住宅につきましては近年老朽化が著しいところもございますので、建てかえあるいは住戸改善を行いまして、公共賃貸住宅の改善、質的向上にも努めてまいりたいというふうに考えております。  また、都心部を初めとしまして、地価高騰地域でこういう公共賃貸住宅の需要も高まっておりますけれども、なかなか用地問題、取得が厳しくなっておりますので、今申しました老朽団地の建てかえというようなことも進めまして土地の有効利用を図る、あるいは工場跡地、臨海部の土地を利用するというようなことで再開発も進めていきたい、あるいは土地についても借地方式等新しい制度も活用していきたい、こういうことで公共賃貸住宅を含めまして住宅の建設の促進を図ってまいりたいというふうに建設省としては考えております。
  19. 牧野隆守

    牧野委員 再度建設省にお伺いをいたしたいと思いますが、確かに大変いろいろ問題がありまして、遅々として進んでいない。皆さんがどうもだめだというような御返事を期待するわけではございませんが、非常に難しいということは何人もこの現実を認めざるを得ない状況でございます。  そういう点で土地の問題が最終的に出てくるわけですが、ひとつ土地の有効利用という観点から容積率、どれだけその土地に対して建てられるか。これは特に都市部での問題でございますが、例え ば私どもの議員会館から外を見ていますと、総理府だとか国会記者会館だとか比較的都心部に低い建物が目立つわけでございます。何ともこれはむだだな、何とかならぬのかなと素人なりに当然考えるわけでございます。単に永田町かいわいだけでなくて、虎ノ門、麹町、番町等にもいっぱいあるのではないでしょうか。現実にロンドン、パリ、ニューヨークなどでは中心部に非常に高い建物がずっと並んでおりまして、二階、三階以上はほとんど個人住宅、下の方は店舗ということで利用されております。ニューヨークの住宅地域では最高一〇〇〇%まで容積率が実は認められている、こういうことを聞くわけでございます。  日本でなぜそれが不可能か。現実に調べてみますと、東京では現行の容積率いっぱいまで活用されてない地域がある一方、またそれが厳し過ぎる地域もあちこちにあるのではないか。こういうことを考えますと、耐震工法だとかいろいろな最近の建築技術のすばらしい進歩を考えますと、その規制緩和が行われてしかるべきではないか。これによって当然土地の利用範囲がふえますし、地価の鎮静化、また引き下げにかなりの効果が期待される、こう思うわけでございまして、これらについて建設省はどういうように考えておられるか。あるいは、今までいろいろ省として御検討になって、積極的に手をつけようという動きがあるのかどうなのか、その辺についてお伺いをいたしたいと思います。
  20. 島崎勉

    ○島崎説明員 ただいまお話がございましたように、容積率につきましては、東京都の場合、全体の容積率の充足率というのがございますが、それが三九%というような状況でございまして、確かに十分に容積が使われていないというような部分がございます。このため、特に再開発事業ですとか建物の共同化、こういうようなものをぜひ推進して、まずこういうような使われてないものにつきまして十分活用できるような方策を講じてまいりたいということを考えております。  また、より有効利用すべき場所等におきまして、お話がございましたように、都市の環境を確保しつつできる限り土地の有効利用を図るということが非常に重要な課題だというふうに考えております。そのために、例えば周りに一定の空地をとりつつ建物を高度化して有効利用を図るというような制度がございまして、総合設計制度というような制度がございます。このような制度の中で、特に住宅をつくる場合におきましては市街地住宅総合設計制度というような制度を設けまして、通常の容積にプラスアルファいたしまして、住宅の供給とともに市街地の整備を図っていただく、こういうような制度がございまして、これの積極的な活用を図ってまいりたいというふうに考えております。  また、特に都心部等におきましては、現在用途地域等の見直しの作業が一部進んでおりまして、この的確な見直しについては公共団体を指導してまいりたいと思っております。  さらに、住宅供給を伴うような場合におきまして、再開発地区計画制度というような制度も十一月から施行になる予定でございまして、このような制度の積極的な活用もあわせて図ってまいりたいと考えております。
  21. 牧野隆守

    牧野委員 今建設省から、いろいろな制度を考え、実施しているという御答弁がございました。現実にこの辺、いっぱい土地があるじやありませんか。ここへずっと大きな、個人住宅部分も含めた大きな土地利用というものができないはずはない、私はそういう気持ちでございまして、現実に諸外国の都市を見れば、そのとおりでございます。こういうことを考えますと、きょうは当委員会第一日目でございまして、まだまだ土地供給対策あるいは首都機能の分散、需要面、供給面、いろいろこれから具体的に検討しなければならない次第でございます。  いずれにしても、住宅問題は当面の最大の課題の一つであることは間違いございません。かつ、こういう大変な問題があるわけですが、我が国の官民の総力を挙げて対処すれば必ずこの問題は解決される、難しい問題ではない、私はこういう確信をいだしている次第でございます。そういう意味におきまして、私ども政治家はもちろんのこと、行政府も含めて本当に解決しなければいけないという強い意思を明らかにしなければならないと思います。  そういうことで、そういう意思を我々みんな一緒になって持つんだということが本問題解決の第一歩でございまして、そういう意味から、もう時間もございませんので、最後に締めくくりといたしまして、土地対策関係閣僚会議のメンバーの国務大臣として経済企画庁長官、先ほどもありがたい御激励をいただきましたが、再度御決意のほどをいただきまして、私の質問を終えたいと思います。
  22. 中尾栄一

    中尾国務大臣 先ほどから質疑応答を聞いておりまして、まことに同感の至りの問題点が蓄積しておるなという感じがいたしました。  なかんずく昨今の土地の値上げがどうしてこう起こってきたのか、こういうことを考えますると、一つには、やはり一極中心主義的な東京というものに密集し過ぎておるのではないのか。考えてみますると、国会があれば官庁もある、有名な大学も全部そろっておる、優秀な病院も数多くそろっておる、また有名な商店街、銀座、六本木、赤坂等を含めて全部求心的に東京にそろっておる、と思えば農地まである。まことに東京というところは摩訶不思議なところだなと思わざるを得ないのでありまして、これをもっと、ある意味において、ニューヨークとワシントンの例をとるわけではございませんが、やはり商業圏を中心にやるところのニューヨーク、あるいは政治中心的にやるところのワシントンというふうに分けるのも一考でもございましょうし、あるいは地方分散型にして、政令都市などを中心にしてなるべく一極中心主義的なものを分散型にしていくということは、次のステップであるべきではなかろうかなと思うわけであります。  なかんずく、その中にあってこの数年間の動きを見ておりますると、悪い土地ブローカ」といいましょうか地上げ屋といいましょうか、リクルートみたいな会社があるわけです。これははっきり申し上げて、現実「とらばーゆ」を売ってもうけたわけではないので、土地転がしでもうけた、言うなれば土地ブローカーの親分としか言いようがない。こういうような会社にまた金融でもって金を貸す会社もある。これもいかぬ。過剰融資もいいところであるということを考えなければならぬ、こういうところにやはりメスを入れていかなければいかぬ、私は徹底的にそう思っておるのであります。  そういう問題点がなければ政治は存在しないのです。そういうところに政治の一つの大きななたを振るえる価値観というものが出てくるわけでありまして、こういうものにおいては私もまことに残念なことであるなと言わざるを得ない。そこにおいてこの数年間にもし政治がないとするならば、それはまさにそういう問題点において、確かに国鉄、NTTその他を民間に移動するということに大きななたを振るった力のように、この土地問題においてもなたを振るうべきであった。これがなかったという点は率直に反省とともに認めなければならぬ、こう思っておるのであります。  我が国の経済は、幸いにして現在順調な拡大を続けております。土地住宅といったストックについて、これから二十一世紀に向けて一層の充実を図るための努力が求められていく分野であるとも申せると私は思うのであります。フローの経済での成功をストックの経済の充実に結びつけていくということが、まさに今からの重要な課題ではないかということも指摘申し上げたいと思います。  そこでまた、フローの経済の成功の一つの要因となっている機会の平等というものがストックの経済の世界でも実現されていくように、すなわち、まじめに働く人々が良好な住宅と適当な資産を形成できるような経済をつくるように努力することが政治的な大きな課題である。すなわち、人間を 大きく就職さしていくべきリクルートという本質が土地地上げ屋までリクルートするというリクルートであってはならぬ、こう私は申し上げておるわけでございまして、そういう意味におきましては、そういうような方向の大乗的な見地というものがこの委員会で取り上げていただけるように、私からも切にお願いを申し上げておきたいと思う次第でございます。
  23. 牧野隆守

    牧野委員 大臣、どうもありがとうございました。  これで私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  24. 嶋崎譲

    嶋崎委員長 次に、奥野一雄君。
  25. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 きょうは、「サラリーマンマイホームを持てるか」、こういうテーマでありますけれども、端的にずばり申し上げますと、私は、現状では大都市においては残念ながら中堅層以下のサラリーマン方々は、とてもじゃないがマイホームを持てるような状況にはない、こう言わざるを得ないと思っているわけであります。マイホームどころか、大都市の中心部では借家さえそう簡単に求めることができない状況にあるという認識をしているわけであります。  しかし、そうだからといって現状をこのまま放置しておいてよいのかということになりますと、これまたそうは言っておれません。したがって、私どもとしては、最大限その原因というものを究明しながら可能性を見出す努力をしなければならないと思っているわけであります。そういう点からお尋ねをしておきたいと思います。  まず住宅問題を考える場合に、これはもう土地政策とは切っても切り離せないと考えます。また、当然国土政策とか都市計画も同様でございます。したがって、一応土地住宅については個別に分けて聞いてまいりますけれども、中によりましては両者が混同することもございますので、その点については御了承願いたいと思うわけであります。今までも土地問題の特別委員会どもございましたから、そういう中で恐らく議論されてきたと思うわけでありますが、私は今回初めてでございますので、そういう面と若干重複をする点も出てくるかもしれませんが、御勘弁をいただきたいと思います。  最初に、なぜ地価が今日こういう高騰をしたのか、その原因と責任の所在ということについてまずお尋ねをしておきたいと思うわけです。
  26. 吉野洋一

    ○吉野説明員 東京等の地価高騰につきましては、基本的には我が国経済の国際化、情報化、サービス化等の構造変化に伴いまして業務管理機能の都心部等への集中が一層促進され、事務所ビル需要が急激に増大し、供給とのアンバランスが生じたためと考えております。また、住宅地につきましては、比較的高度利用が可能な都心部等の住宅地にビル用地需要が波及をいたしましたこと、それから都心部等でのビル用地売却者等によります買いかえ需要等が周辺部の住宅地で増大したことによりまして地価上昇が生じたと考えております。さらに、これらの実需を当て込みました一部不動産業者等による手当て買い、それから投機的な土地取引が活発化いたしましたことが地価上昇を増幅させた要因であると考えております。また、現下の金融緩和状況がこれらの動きを支えた面もあったというふうに考えておる次第でございます。  地価高騰の原因につきましては、ただいま申し上げましたとおり、これらの諸要因が複合的に作用しておるというふうに考えられるわけでございますが、今般の地価高騰に対しましては、今後とも監視区域制度の機動的運用、あるいは不動産業者、金融機関に対する指導の強化、諸機能の地方分散、あるいはまた住宅宅地の供給促進等によりまして、地価の安定、引き下げに努めてまいりたいと考えております。
  27. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 私が今なぜそのことについて聞いたのかと申し上げますと、政府の方でただ単に、原因は一部の投機者だとかあるいはその責任も投機者だ、こういう逃げ腰になっておったのでは問題を解決できないと思ったからでございます。  ちょうどことしの六月十五日に臨時行政改革推進審議会から出されました「地価土地対策に関する答申」の中では、投機を引き起こした一部の不動産業者とか、それに対して安易に融資を行った金融機関の責任はもちろん指摘をいたしておりますが、同時に、政府とそれから地方公共団体の施策の欠点、それから取り組みのおくれなどの責任も指摘をされておるわけですね。だから、そういう面を一つは認識しながら、そういうようなことがこれから二度と起こらないように行政としての対応をしていかなければならない、そういう気構えがぜひ必要だと思ったので、私はわざわざ第一点として原因と責任の所在というふうに聞いたわけであります。今のお答えの中では、いわゆる行政関係には全く責任がないように聞き取れたものですから、そういうことであってはなかなかこの問題を解決するのは難しいだろう、こういう点を申し上げておきたいと思います。  時間がないので多少まとめてお尋ねをすることにもなろうと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  私は、政府の今日までの取り組みを見ておりまして、随分私も勉強させていただきましたのですが、わからなかった点があったのであります。この前、新聞を見ましたら、何か昭和二十二年に宅地法を制定しようとして挫折をした経過があるのだ、こういう記事がちょっと載っておりました。その後、四十年あるいは四十三年、四十五年、四十八年、五十五年、六十二年、過去六回にわたって地価とか土地対策が出されてきているわけであります。しかし、それだけの地価土地対策が出されてきているのだけれども、結果から見ますと一向に成果が上がってない、こういうふうに思わざるを得ないわけですね。その原因は一体どこにあったのか、その点についてちょっとお答えいただきたいと思います。
  28. 石井隆弘

    ○石井説明員 今までの土地対策についての効果が十分でなかったのじゃないかという御指摘でございます。  政府といたしましても、これまでに都市産業機能の地方分散でございますとか、都市宅地対策あるいは住宅対策あるいは都市における有効高度利用といった各般の施策につきまして、こういうことを講じることによりまして土地の需給の緩和を図ろう、かつ地価の安定を図ろうということで努力してきたところでございます。  しかしながら、振り返ってみますと、昭和三十年代には経済の高度成長による土地需要の増大、また昭和四十年代前半には人口、産業の都市集中、さらに四十年代後半に至りまして金融緩和あるいは過剰流動性の発生など、我が国の経済的、社会情勢はいろいろ変わっております。それぞれを背景として地価上昇が生じてきたのかなというふうに考えております。さらにここ二、三年におきまして、国際化、情報化によります事務所需要が増大いたしまして、また住宅地の買いかえ需要の増大、そういった実需を反映しました投機的取引あるいは金融の緩和状況等諸要因が複合的に影響いたしまして、今回の東京圏中心とします地価上昇が生じたものというふうに認識しております。  今後の土地対策でございますが、先般閣議決定されました総合土地対策要綱に基づきまして、政府一体となりまして各般の施策を実施、推進をしてまいりたい。これによりまして土地需給の緩和を図り、地価の安定、ひいては引き下げに努めてまいる所存でございます。
  29. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 今申し上げましたように、過去何回にもわたって地価なり土地対策というものについてはその都度講じてきている。しかし、今結果から見ますと必ずしもその成果を上げていない。その原因は何かということを今お尋ねをしたわけなんですけれども、それについて的確な答えはなかったと思うのですけれども、私は根本的に解決をしていくという対策が恐らく欠けておったのではないかと思うのですよ。その都度その都度、何か現象が起きたらその現象だけを何とかカバーしようというやり方になってきたのではないだろ うか。もちろん、難しい問題ですから、そうは一挙にはいかないと思いますけれども、そういう面がやはりずるずる今日のような状態を引き起こしてきたのではないか、こう思わざるを得ないのです。  今ついでにお答えがあったのでありますけれども、先ほどもちょっと触れられておったのでありますけれども社会党、公明党、民社党、社民連という四党で土地基本法というものを百十二国会の五月二十日に提出をいたしております。政府の方でも次の通常国会には土地基本法を出す、こういうことで今それについて若干触れられましたけれども、それをどこまで本気になってやる気があるのかということなんです。その点明らかになっていかないと、土地問題というのはそう簡単には解決つかないだろう、私はこう思うのですが、政府の方針は土地問題に対して土地基本法を出してやろうという以上、どこまで本気になってやろうとしているのか、その辺のところをちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  30. 石井隆弘

    ○石井説明員 土地対策を強力に推進いたしますためには、土地の公共性、社会性を明確にいたしまして、土地についての共通の国民意識を確立するということが必要でございます。また一方、広範な分野にわたる各般の施策を総合的に実施することがこれまた必要でございます。  このため、土地基本法を制定する方向で検討を進めているところでございますが、国土庁といたしましては今後、先般閣議決定されました総合土地対策要綱を踏まえまして、さらに御指摘のとおり既に国会に提出されております野党の土地基本法案や各界有識者の御意見を参考にしながら、法律制定の意義あるいは法律に盛り込むべき事項等々について検討を深めてまいりたいと思っております。
  31. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 私は昭和三十年に函館の市議会に籍を置いたわけでありますが、ちょうど在任期間中の十二年間、都市計画ということに大変関心を持ちましていろいろ勉強させていただきました。当時の学者の論文なんかも随分読ませてもらったのでありますけれども、最終的に詰めていきますと、問題はやはり土地、こういうことにぶつかってきたわけなんです。  日本の場合に、昭和の初期には、経済学界というものは挙げて地代論争をやったことがありますけれども、それはほとんど農地だったですね。市街地に関する地価問題とかそういう土地問題については、私も探しましたけれども、余り文献はございませんでした。戦後、農地解放なんというのがあって、あのときにもう少し市街地の土地問題についても首を突っ込んでおれば少しは変わったのではないかと思うのですが、これは今言っても遅いことでありますけれども。  今申し上げましたように、土地問題が最大の問題だ。考えてみますと、私は市議会の当時、土地というのは公有化すべきではないかという発言をしましたら、長老の議員から、君、それは革命だよ、こう言われたことがあるわけでありますけれども、私は非常に不思議に思っているのです。土地の公有制というものを拡大していかないと、これからいろいろな都市計画をやるなりあるいはまた住宅政策考えるにしても不可能になっていくのじゃないか。もちろん、今私有財産になっている土地を全部国有にしてしまえなんてできっこありませんけれども。しかし、最近の動きを見ておりますと、国有地がどんどん売却をされていくという状況にある。ここのところはちょっとまとめてお尋ねをしておきたいと思うわけであります。  一つは、私権制度についての考え方なんです。これは私は若いころから大変不思議に思っておったのですよ。土地人間がつくったものじゃない、そういうものがなぜ私有財産になっているんだろう、ここが一番不思議だったのです。ほかのものであれば、自分がつくったものだとか買ってきたものだとかいうのは私有財産になるかもしれませんけれども、自然の創造物。しかも、自然の創造物である土地というものは人類の生存には欠かすことのできないもの、そういうものが私有財産になっていることに私は随分疑問を持ったのです。ですから、今土地の公有制という問題についてお尋ねをしていくわけでありますけれども、最初に、土地が私有財産であるという見解についてまずお尋ねをしたい、これが一つ目でございます。  時間の関係からまとめてお尋ねいたします。  イギリスでちょうど産業革命が急進撃した後、住宅問題が社会問題になりまして、そのときに取り上げられた運動が、御案内だと思うのですが、ハワードの田園都市運動というのがありました。この運動の中心課題の一つは、土地を投機の対象としてはならない。そのためには、土地は公有とするか少なくとも信託することが望ましいというのが起こっておったのです。だから、イギリスなんかの場合にはこういうものが土台になって住宅政策土地政策というものが進められていったというふうに私は理解しているわけなんです。  したがって、今し上げましたように、土地の公有化というのは、一番最初にお尋ねしたのは、自然の創造物である土地がなぜ私有財産ということになっているんだ、それについていいとか悪いとかということはなかなか難しいと思うのですが、まずそういう実態についての見解を聞きたいということ。  それから、私が言っているように、土地の公有化拡大というのは、まず今持っている公有地、国なり公共団体で持っている土地は原則としては売らないということを方針とすべきではないのか。これは原則ですよ、売っていい場合も当然出てくるわけですが、原則としては売らないという方針をとるべきではないのか。そして必要があれば民間に貸せばいい。売ってしまったらもう二度と公共用地という形の中では手に入ってこない今の状況ですから、むしろ貸して、五十年でも七十年でもいいじゃないですか、貸したっていいと思うのですよ。民間にそういうものは貸して、必要なものはそこで事業をさせていく。それから、民間が売りたいという土地があった場合に、可能なものだったらそれは公共用地として買い取る。こういうようなことを考えていかないと、今の状況で進んでいったら公有地というのはどんどん減ってしまうだけだと思うのですね。  今東京都なんかで当面問題になっておりますのは、旧国鉄用地の売却に対する問題が出てきております。東京都の知事は反対の意思表明をしておるわけでありますけれども、私も原則的にはやはり反対でございます。この旧国鉄用地の売却という問題についてどんな考え方を持っておられるか、これをひとつ見解としてお尋ねをしておきたいと思うのです。  そこまでまずまとめてお伺いをいたします。
  32. 石井隆弘

    ○石井説明員 まず、土地につきましての所有権の由来でございますが、大変高邁な哲学論争にもなってしまうのかなとも思いますけれども、先般の土地臨調、新行革審の答申にもございますとおり、土地につきましてはその所有権が憲法によって保障されているわけでございます。憲法二十九条だと思います。したがいまして、その利用、処分につきましては基本的に個人の自由な意思に任されている。また、その取引は市場メカニズムによって適正な配分、適正な価格の形成等がなされるというふうに理解をいたしております。  しかしながら、土地の持つ他のものとの所有権の違いはございます。例えば国民生活社会経済全般の活動の基盤として欠くこともできませんし、また量的にも限りのある資源などといういろいろな土地についての特性がございます。こういった土地の持つ公共性、社会性といった観点から、いろいろと市場メカニズムにのみ依存しない仕組みというものも必要ではないかという指摘がされているところでございまして、それに基づきまして私どもは、野党共同提案の基本法案も参考にさせていただきながら、基本法というような格好で現在検討しているところでございます。  また二点目の御質問で、公有地あるいは国有地について売却はそう簡単に行うべきではないのではないかという御指摘でございます。これにつきましては、また先般の閣議決定の総合土地対策要綱の引用になりますけれども、国公有地を適切に 利活用される必要があるということを指摘しておりまして、これを踏まえまして各処分庁におきまして適切に実施されているというふうに理解いたしております。また、処分に当たりましては、現在、地方公共団体の買い受けの希望を聞いた上で必要に応じまして公共団体への払い下げが行われることとされておりますし、今後ともこういったような方針のもとに処分庁において適切な配慮がなされるものというふうに考えております。  それから、三点目の公有地拡大の件でございますが、これにつきましても、公有地の拡大の推進に関する法律というものがございますが、その法律に規定されております先買い協議制度におきまして、届け出面積の引き下げを図るなど制度の改善、見直しを行って、公共用地の取得の円滑化を図る観点から諸般の施策を講ずるべきであるというふうに考えておりまして、これもまた閣議決定もとで進めておるところであります。また、これを受けまして、公有地拡大法の土地の先負い協議制度に関しましての税制改正要望も行っておりますし、また、公共施設の整備を行います土地区画整理事業あるいは市街地再開発事業を積極的に推進するなどの取り組みが行われているところでございます。  国土庁といたしましても、今後とも総合対策要綱に基づきまして、その実施が着実に行われるようフォローアップを行ってまいりたいというふうに考えております。
  33. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 私は別に、土地を例えば私有財産として持って断固けしからぬとかそんなことを今申し上げる気はさらさらないのでありまして、ただ、先ほど言ったように土地というのは全く自然の創造物なのに何でこれは私有財産になっているんだ、そこのところが大変不思議だったのです。憲法だと言われましたけれども、憲法には土地というのは書いていないですね。二十九条は財産権ですね。ただ「財産権」と書いてあるだけなんですよ。民法の二百七条では「土地ノ所有権ハ」云々、こういうのはございます。憲法は単に財産権ということだけだ、そこはいいのですね。  それから、土地が今私有財産になっていることについては、それは何もどうということはないのだけれども、自然の創造物である土地がどうして私有財産になってしまったのだ。そうすると、本来土地を私有財産にするということが全く正しいことであったのかどうか。今、これはどうにもなりませんよ。今はどうにもならないけれども、しかしそういう観点に立っていきますと、例えばこれから土地を利用していく場合に、この前の総理府の調査では、相当部分の方々が公共のためなら私有権を若干制限しても仕方がないだろうというふうに、大体そういうふうになってきているわけですね、そういうものにやはりつながっていくだろうと思うのですね。調査の中では反対している人もおりますけれども。そういう面から見解をお尋ねしたかったということで言ったのですが、別にそれは本題ではございませんから……。  今申し上げましたように、これからの住宅政策なりいろいろな都市計画考える場合には、原則はやはり土地の公有化、これを放してはいけない。何か最近、どうも見ておりますと公有地がどんどん売却をされていくような感じがしてならないですね。そういうことをやっておったのでは将来の世代の方々が何かあったときに何もできないような状況になっていくのではないか、こういうおそれを感じているわけでございます。したがって、原則的にはやはり土地は公有化をしていく、公有化を拡大していくというふうに方針としてとるべきではないのか。  だから、先ほど、土地基本法を出す、こういうことでありますから、どこまで本気になってやる気があるのかとお尋ねをしたのはその点なんですね。単に今起きている現象だけを何とか直せばいい、こういうような土地基本法だったら、また何年かたったらすぐ行き詰まるだろうと私は思うのですよ。したがって、将来の土地政策をいろいろ考えてみた場合に、原則的には土地を公有化していく、それをできるだけふやしていく努力をするという意思がないと非常に難しいのではないかと思っているのですね。もちろんそれだってそう簡単にいくはずがないということは、私はもう百も承知しているのです。しかし、基本はそういうふうにしてやって、一歩一歩それに近づけることをやっていかないと、百年河清を待つのと同じことになってしまう、そういう感じがしているのです。  ただその場合、それでは金はどうするんだということになりますので、私は土地公有化基金制度、これは仮称でありますけれども、そういうものをつくるべきだということで今まで主張してきたこともあるわけであります。それではどうやってやるんだということになると、これはもちろん今の財政状況では非常に難しいということになります。  ここで、本論に入る前に経企庁長官にちょっとお尋ねをしておきたいのでありますけれども一般的に私どもは、日本経済大国になった、なった、こう言われまして、そうか、経済大国になったのか。だけれどもよく考えてみますと、本当に日本経済大国になっているのだろうか。それにしては随分お粗末と言ったら語弊がありますけれども国民感情としてはまずそういう実感としてはわいてこない。  しかし、日本経済大国だからということが一つの理由になって、例えばアメリカあたりから防衛費をもう少し日本で肩がわりしたらどうだとか、それがつながっているのかどうかはわかりませんけれども、あるいは海外援助なんかにもう少し日本が金を出したらどうだとか、何か国際的な話題や何かになりますと、日本経済大国だからということが最近出てくるわけですね。では、本当に日本経済大国なのか。私が言っているのは企業でなくて、日本の国そのものというのですか、それが本当に経済大国ということになっているのかどうか、ここに大変疑問を感じているわけなんですよ。  そういうことで、経済大国というのは一体何が経済大国なんだ。それは国の財政にどんなメリットを与えてきているんだ。国民生活の方では、例えば円高というものもありますけれども、円高だけが経済大国になっているのかという疑問もありますけれども、その一つの原因として、円高が仮にあるとすれば、それは若干の円高差益があったかもわからぬ。しかし全体として見ると、経済大国と言われているのにまだまだ日本のいろいろな問題については非常にお粗末過ぎる状況になっているだろうと思うのですね。その辺のところは経企庁長官としてお考えがあったらひとつ教えていただきたい。そういうところでもし経済的に政府自体に何かメリットがあるのであれば、そういう資金というのは少し有効活用する方に回せないものだろうかというのが一つの考え方になっておるわけですが、そこのところをまずひとつ見解をお願いしたいと思うのです。
  34. 中尾栄一

    中尾国務大臣 奥野委員お答えをさせていただきたいと思いますが、まず第一点。  先ほども私が答えるべきだったかもしれませんけれども個人的な情念といいましょうか考え方からいきますると、私は奥野委員とそう異ならない感情を持っております。奥野委員は市議会議員の当時からそういうお考え方を持っておられたとおっしゃいましたが、私は子供のころ、既にその気持ちを持っておりまして、私のうちは貧乏であったのか金持ちであったのかは私も定かではありませんけれども、家は借りておった家だったと思うのです。私は家賃をいつもある商店のうちに持っていった覚えがございます。そのときに何でこのうちに自分の家の家賃を持っていかざるを得ないのかということを子供心に感じたことがございまして、それだけに、土地なんというものは共有のものじゃないかという気持ちは私も全く変わらない気持ちでございます。ただ問題点としてはイデオロギー的に多少の差があるのかもしれませんけれども、その点においては私も全く異質な気持ちはないということを前提にいたしまして、第二点の経済大国の問題に対して申し上げたいと思うのでございます。  私は、日本は間違いなく、四十三年前の経済の状態、ステータスから見ていきますと、経済においてはまさしく大国になったなということは否めない事実ではないかなという感じがするのであります。  ちなみに、私どもが学校を出ましたころには一万三千八百円という歌がはやったものでございました。ところが、それから間もなく私はアメリカの方に行く機会を得ました。アメリカでも生活をいたしました。そのころのアメリカの大学出の初任給は、たしか日本円にするならば九万五千円だったのではないかなという感じがいたします。といいますると約七倍から八倍。当時既にもう十倍の差があると言われておりました日米間でございました。それが今考えてみますると、今や日本の初任給が大体十一万、十二万ということにいたしますると、アメリカ側がそれほど変わってはおらない。むしろ十万五千円程度が平均値だというならば、これは相当に円高の今先生指摘のこともございましょうけれども、確かに持たざる時代であった、食うや食わざる時代であった四十三年前から見たならば、はるかに持てる経済の大国になったのではないか。  同時にまた、経済企画庁といたしましては、ODAなどを通じまして、私ども自体がその国のサーベイランスをして貸すべからざるか貸すべきか、並びにそういうことを云々でき得る立場に相なったかなということから考えますると、経済において小国ではないことだけは間違いない。大国ではある。しかし、それが実感としてどうかと言われますると、確かに御指摘のとおりいろいろ問題点を含んでいることだけは否定でき得ません。  そういう意味で、GDPで見た経済規模では先進国中第二位になっておる。世界経済の一割。アメリカが二割というのでございますから、二つ合わせますれば三割経済ということに相なるわけで、大変な経済力ではあることは間違いない。また、近年の大幅な経常収支の黒字から、世界最大の純債権国となるというようなことでございまして、今やもうアメリカも日本の方に、ODAを通じては日本の責任だということでお願いするということをお願いしてくるぽど、経済力はついたということだけは間違いないのではないかと思うのでございます。  ただ、国民生活の面では、先ほどの委員指摘土地物価問題など解決すべき問題は数あると思います。  我が国は、先進国の中でも最も所得分配の平準化が進んでいると見られますほか、国民一人当たりの金融の残高と申しましょうか、先進国中の最高水準となっておるという点からいきましても、経済的にはかなり豊かになっていることは否定できません。一般的に、世界経済における我が国の地位の向上あるいは国家財政の間には一義的な関係は認めがたいと判断をされますが、我が国の財政は、このところ急速な景気上昇を反映いたしまして税収入が大幅に増大していることだけは否定できないのでございますが、その収支はまだ大幅な赤字を計上しておりまして、現在は財政改革を推進しておるというのがそこにあるわけでございます。  すなわち、ある一面においては矛盾をはらんでおるわけでございますけれども、確かに経済大国にはなっておる。現状の全体的なグローバルな眺めで見まするとそうでございますが、まだ世界的に見ても、社会資本の充実感であるとか、そういう面においては非常におくれをとっておるというところがある。世界でいうならば、平均値七割方が社会資本が充実している国々のヨーロッパ、欧米から見ますると、まだ四割方であるという点で見たらば、決して豊かではない。  あるいはまた個人生活においても、先ほどの土地問題が云々されておりますが、土地などの値上がりのため、先ほどドイツの話の例が出ましたが、ドイツ等の一等地などから見まする価格から見ますれば、日本の国は本当にアンシンカブルと申しますか、考えられないくらいな高騰であるということから見ましても、そういう点でそれを補うだけの豊かさというものがあるのかということになると否定せざるを得ません。そういう点においてのいささか矛盾にも感じられるような問題点を包蔵していることは否定でき得ない。先生の御指摘も私も十分に承知しておる次第でございます。
  35. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 一時、貿易収支の黒字がどんどんふえていっている時代に、一面においては円高で逆に日本の国内産業が弱った時代がございます。そういうときにちょっと議論の端に出てきたのは、そうして輸出をしてもうかっている人に対して、何らかの金を取るというのは語弊がありますけれども、そういう制度はつくれないのか、輸出課徴金なんという言葉が私の所属している商工委員会でも出たことがございます。そうは簡単にいかぬよ、こういうことがあったのですが、私は、日本がそういう経済大国になっているという一つは、やはり輸出や何かもどんどん伸びていっている、あるいは円高というものも一面にあると思いますけれども、そういうのが一つは大きなものになっているのではないかな。  アメリカあたりから何だかんだと言われるのは、やはり貿易収支が非常に大きな黒字になっているではないか、だから農産物でも買ってくれというようなことなんかにつながっていると思うのですね。これが先ほど言ったように、国の財政や何かの方にはね返ってきているのであればその金を有効に使えばいい。しかし現実にはそうたくさんはね返っているとは思われない。相変わらず財政事情は厳しいと言われるような状況下にある。そういうものが国民生活の方にはね返っていくということになりますと、国民としては生活実感として、なるほど日本経済大国になったか、こういうことになると思うのですよ。だから、もしそういう面で財政的にうまくやれるようなものがあったらそれは一部土地の方にお回しになったらどうか、こういうのが一つなんです。これは回せるか回せないかという問題があります。  それから、国の財政というのは間もなく六十兆になりますね。そうするとその六十分の一、一兆円くらい土地基金の方に回せないのか。土地なら一兆円といったって大した金額にはなりませんけれども、これは一気に何十兆も積み立てるというわけにいかぬでしょうから、一兆円でも二兆円でも積み立てをしていく、土地基金というものをつくっていく、それを私がさっき言った土地公有化を拡大するための資金に将来使っていったらどうなんだろう。  今、旧国鉄の用地を売る、こう言っている。民間に売卸しないで国なり都道府県が買ったらどうだ。それは土地公有債というような土地債券というものを発行すればいいじゃないか、その土地を担保にすればいいじゃないか、その土地を担保にして国が債券を発行して日銀なり都市銀行なんかに引き受けてもらう、それは年々返済をしていくために土地基金をつくってそこから出していく、あるいは場合によっては民間にその土地を貸すことも可能だ、公共用地としてなかなか使えないという場合、先ほど言いましたように五十年とか七十年の期限で貸せばいい、それで民間からもらう分でもって返済していくというような形、何かそんなことを考えていかないと、この土地問題というのは未来永劫解決がつかないと私は思うのです。  そういう心配があるから、先ほども基本法のときにちょっと申し上げましたように、本気になってやる気があるということだったらその辺まで踏み込んだ対策というものを今度立てておかないと、恐らく大都市に庶民の方々住宅を持つなんということはまず不可能な状況になっていくのではないか、私はこういう感じがしてならないわけなんです。  だから私は、仮称土地公有化債券、こう言っておりますけれども、そういうものを発行して土地をなるべく公有にしておく、そういう方針をとるべきではないのかな、こう思っておるわけでありまして、それについての見解もまたお示しをいただきたいと思うわけであります。
  36. 中尾栄一

    中尾国務大臣 私は先ほどから大変に共感する ものがございます。ただ、現実にはすぐに実現でき得るかというと不可能な問題点もたくさんございますので、概略ながらその点についても触れてみたいと思いますが、現在の財政そのものの状況を考えますると、残念ながら土地公有化基金というものを実現することはなかなか難しいのではないかなと承知しております。  土地公有債につきましても御提案がございました。技術的な問題も多々あるとは思いますけれども土地をうまく債券化して、できれば経済の各分野における資金を計画的に集約するということによってその活用を図るという考え方は、一つのアイデアとしては非常に高く評価できるのではないかと私は考えております。土地インデックス債の提案などがございますが、この点につきましても幾つかの提案がなされていることも既に承知しておるところでございます。少し時間をいただきまして、そしてできれば理論的、現実的な勉強をさせていただければな、このように考えております。  先ほど来申し上げておりますように、私も国鉄の土地の問題等を含めましてこれは大変大事な問題であり共感する問題もございますので、勉強させていただければと、このように考えております。
  37. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 私もこういうようなものが一朝一夕にそう簡単にできるなんということは思ってもいませんけれども、何回も繰り返して申し上げているように、そういうやる気を持ってやらないとこの土地問題はそう簡単にいかない、ここが私の言いたいところなんですから、そういうふうに御理解いただきたいと思うのです。  時間が大分なくなってきましたのでちょっと急がせていただきますが、次に土地利用の規制について、これはちょっとまとめてお聞きいたします。  この利用規制をするという場合には土地利用計画というものがきちっとしたものになっていなければならない、これは前提だと思うのです。その土地利用計画が実情にマッチしているとかあるいは将来をきちんと見越しているとか、そういうもので利用計画が立って、その利用計画に基づいて規制をやっていかなければいけないと思うのですよ。利用計画が粗雑であってただ規制をやったってこれは始まらないと思うのです。したがって、やはり規制をする以上においては利用計画というものがきちんとできているということが前提でなければならないと思うのですよ。だから、これから土地利用規制をする場合にそういう面についてはどういうような考え方でやろうとしているのか、その点ひとつお聞きしたい。
  38. 石井隆弘

    ○石井説明員 先生指摘のとおり、適正かつ合理的な土地利用を実現するためには計画的な土地利用を行うということが重要でございます。新行革審答申におきましても、土地についての基本的な考え方として、土地の利用は計画的に行われなければならないと指摘しているところでございます。  しかしながら、土地利用計画のあり方につきましてはさまざまな考え方がございます。詳細かつ厳格な土地利用を決めまして、それに従った利用を実現していくべきであるという考え方が一方にございますれば、他方、計画では一定の大枠のみを定めまして、その枠内で市場メカニズム、自由な経済活動にゆだねるという方がむしろ適切な土地利用の実現が図られるのではないかという考え方もございます。両端の考え方があるわけでございますが、私どもとしましては現在、土地基本法に関する懇談会におきましても各界の有識者から土地計画的利用のあり方につきまして意見を伺っているところでございます。これらの意見を踏まえまして引き続き検討してまいりたいと思っております。
  39. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 国立国会図書館から出ている資料、これは全文読むわけにいきませんが、最後の方を読みますと、「一般にしっかりした都市計画や都市政策を持っている国々の都市が、地価も安定していて居住水準が高い」、こういうことを書いてあるのですね。だから問題は、やはり都市計画とか都市政策等のきちっとしたものがないと地価そのものもだめになりますよ、これはそのとおりだと私も思うのですね。  だから、日本の今までの土地利用規制というのは、用途規制あるいは形態及び密度規制、現状どうなっているのか私もよくわかりませんけれども、混合地域性だと言われている。諸外国の土地利用の規制の状況を見ますと、日本と同じ方式をとっているアメリカなんかでも、日本よりもっと細かいきちんとした規制の仕方をやっているんですね。これは中身は省略します。北欧系なんかは特に厳しい。私もヨーロッパを回ってみたりしまして、建物の高さから色からきちっと規制がなされているという話も聞いてまいりました。そういうようなことをきちんとやっていかないと、しかしそれをやるのは先ほど言ったように計画そのものがきちっとできていなければ、これは何にもならないわけです。時間の関係からきょうはそれ以上触れませんけれども、どうせやるならそういう面はきちんとしたものを出しておいてもらいたいと思うわけであります。  次に、住宅の方に急いで入りますが、先ほど申し上げましたように、現状では大都市における勤労者住宅を持つことが不可能だと私は言わざるを得ないと思っているわけでございます。  せんだって、日経連とそれから労働団体の連合というのがございますけれども、ここがお互いに協力し合って住宅に対する共同アンケートというのをやっております。その中身をちょっと見ますと、例えば持ち家についての考え方、まずトップを占めているのが、もはや新規の持ち家は無理だ、こう言っているのが連合調査では五六%、日経連調査でも五二・二%になっておりますね。しかしその反面、国、自治体の施策によっては可能だ、こういうのも連合では二八・二%、日経連調査では三一%。  それから地方自治体とか国、そういうものに対してこれから望む施策というのを調べてみますと、一番多いのは公的分譲住宅の大量供給、こういうのが両方の調査でトップに上がっています。もう五〇%を超えることになっているんですね。だから、大都市の中心部なんかの場合では、自分土地を持って家を建てるということはまず不可能に近い、それだったら大量の公的な分譲住宅を建ててくれ、そしたら自分の家になるということだと思うのですね。そういうものはやる気になれば可能性があるわけですが、これを可能にするという考え方を実際お持ちになってこれから住宅政策を進められようとするか、まずそれを最初に伺っておきたいと思います。
  40. 天本俊正

    ○天本説明員 お答えいたします。  今回の地価高騰によりまして、大都市地域におきましては平均的な勤労者住宅取得をすることが大変困難になっているというふうに考えております。  現在建設省住宅政策といたしましては、住宅取得に伴う負担を軽減すべく、住宅金融公庫の融資、住宅税制の拡充に努めております。なお、関連公共施設の整備の推進あるいは線引きの見直し等によりまして、宅地開発適地の拡大を図りますとともに、特に既成市街地におきます工場跡地等の再開発等によりまして、大都市地域における市街地住宅の供給の促進ということに努めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  41. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 いろいろ申し上げたいことはたくさんありますけれども、時間が迫ってきたので、また次の機会に譲らしてもらいたいと思います。  あと全部まとめてお尋ねをしておきたいと思うのですが、まず住宅政策の基本をどこに置くかということであります。今までとられてきたのは戸数主義だと私は理解をしてきているわけです。しかし、私、昭和四十年代にいろいろな学者と勉強したときに、戸数主義というのはうまくないんだということを主張している学者も当時から結構おったわけです。規模主義でいくべきだ、こういう学者の説もあったわけでありますが、これからは戸数主義をとるのかあるいは規模主義なのか。それから、持ち家なのか社会住宅なのかというようなことを簡単でいいからお尋ねをしておきた いと思うのです。  これはヨーロッパが戦後、戦争でもって住宅が大分被害を受けて、その復旧のために一番最初に手がけたのが社会住宅なんですよ。日本だけなんですね、民間住宅に依存してきたのは。だからおくれたということもあるんじゃないかと思うのですね。今のアンケートなんかで申し上げましたように、社会住宅というのは大都市なんかの場合には相当ウエートを占めてくるのではないか、こう思うのです。私の方から特に申し上げませんけれども、どういうような基本政策でもって住宅政策を進められようとするのか、これが一つ。  それから居住水準の関係について。当初、建設省で第四期住宅建設計画を立てたときには居住水準目標ということでやられておりました。今は居住水準ということではなくて、都市型それから一般型に分けた誘導居住水準、こういうことでやられているわけであります。これは昭和六十年ころから始まっているはずだと思うのですが、これの実績は今どうなっているのか、どこまで到達をしているか。二十一世紀までの間には約半数の世帯を誘導居住水準に持っていきたいというのが計画のようでございますけれども、その見通しがあるかどうか。  それからもう一つ、六十一年の第五期住宅建設五カ年計画の中では六百七十万戸の住宅を建てることになっているわけであります。同時に、六十一年の第二次宅地需給見通しでは前期で五万九千二百ヘクタール、後期で五万五千七百ヘクタール、こうなっているわけでありますが、これだけの宅地があるのかどうかという心配があるわけですね。それは再開発や何かでもってこれを確保しようとするのか、あるいは市街化区域の中にある農地を宅地の方に回すのか、この辺の整合性についてお尋ねをしておきたいと思います。  それからもう一つは、最近都市部でも大変高いマンションが建っている。私もびっくりしたのですが、私の品川の宿舎のところに何か十億のマンションが建ったらすぐ売り切れてしまったという話も聞いているわけであります。そんな高いマンションだったら庶民はとても入れない。どこかで土地を売った人は別ですけれども一般の人は入れない。だからそんなときに、仮に十億のマンションが建ったら、その隣に公営住宅で二千万とか三千万のマンション、同じものを建てたら一体どうなるだろう、こう思ったりするわけであります。そのくらいのことをやらないと、金を持っている人方はどんどん入れますけれども、ますます庶民から遠くなってしまう、こういうことになる。そういうようなものに対して、今度東京都も若干考えているようですけれども、その辺のところ。  それからもう一つは、高齢者とか身障者向けの低家賃住宅ですね。高齢者とか身障者なんかの場合には、今自分のいるところから離れて遠いところとかはなかなか大変なことになるわけです。そこで、これは例えばなんですが、今北海道の住宅供給公社の方から建設省に要請が出ておりますけれども、地方公共団体などが無償とかあるいは低廉な価格で土地を譲渡してくれるというところには高齢者向けの安い住宅を建てたい、しかしそれの融資制度がない、何とかしてくれないかという要請も来ているわけですけれども、こういう対策というものもとってやらないと、都市部における高齢者とか身障者の方々は大変困ることになるのじゃないか、こういうふうにも考えられます。その対策について簡単に聞きたいということ。  最後に、やはり住宅基本法を制定する必要があるのではないか、こう思うのですが、それについての考え方をお聞きしたいと思います。
  42. 天本俊正

    ○天本説明員 最初に、住宅政策の基本はどこにあるかという御質問だと思いますが、国民持ち家と借家は国民それぞれによって需要も違っておりますので、この需要に的確に対応することが大事かと思っております。その需要に的確に対応しつつ、適正な住居費負担のもとで居住水準の向上を図るということを基本的な目標にいたしまして、先ほどからお話に出ております住宅五カ年計画等に基づいて住宅建設を促進してまいりたいということでございます。  次に、五カ年計画における誘導居住水準を設定しているけれども、現段階で達成状況いかん、こういうお話でございます。誘導居住水準というのは、都市型でいいますと四人家族ですと九十一平米程度の住宅を確保したいというのが一例でございますけれども、昭和五十八年の住宅統計調査でございますと、この誘導居住水準を達成しておりますのは約三割でございまして、残り七割がまだでございます。その後の住宅建設の状況を見てみますと、持ち家、全般的にはだんだん質もよくなっておりますけれども、都市部ではなかなか質的向上というのが難しい状況になっております。今後積極的な住宅対策の中でこの向上に努めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  それから、宅地の需給長期見通しはどうなっているかということでございますが、これは現在行っております第五期の住宅建設五カ年計画とあわせまして第二次の宅地需給長期見通しをリンクして宅地供給を進めているところでございます。  それから、マンションが非常に高くなっているんじゃないかということでございます。私どもの知っておりますところでは、最近、昭和六十三年一月—九月の首都圏の新規分譲マンションの平均価格は約四千七百万円ということでございまして、京浜地区の平均的サラリーマンの年収に対する倍率は約六・九倍ということになっております。そんなことから、大都市地域におきましては公的住宅の役割というのはますます大きくなっているというふうに考えております。  高齢者や障害者に対しまして低家賃の住宅を供給すべきじゃないかという御質問でございますけれども建設省といたしましても、高齢者や障害者が障害の状況あるいは世帯の構成等に応じて適正な規模あるいは設備等を有する住宅を確保するようにしていくことが重要であるというように考えております。このため、公営住宅等においていろいろなそういう設備なり規模を備えた住宅を建設し、また入居に際しまして優遇措置等も講じているところでございます。今後ともこれらの施策の充実に努めてまいりたいと考えております。  最後に、住宅基本法を制定すべきじゃないかというお話がございましたけれども住宅基本法につきましては、住宅政策の目標、あるいは国なり地方公共団体の責務、居住水準のあり方等に関しまして国民あるいは各政党の間にさまざまな考え方がございまして、まだ残念ながらコンセンサスが形成されている状況にはないというふうに見ております。政府としましてはかねてより、国民の居住水準の向上を図るため住宅建設計画法に基づきまして住宅建設五カ年計画を策定し、その適切な実施を図っているところでございます。  以上でございます。
  43. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 もう時間なので、経企庁長官に一言だけお願いしておきたいのですけれども、経企庁で出している「物価レポート’88」、この中で、住宅についての取得能力があるかどうかということで、これから試算しても、もう五十キロ圏とか六十キロ圏でないとここで試算した住宅は建てられないということになっています。経企庁の方は経済見通しを立てられる場合、必ず民間住宅投資というのが出てきますね。私はいつでも経済見通しの議論をさせていただくときに言っているわけですけれども、ただほかから出てきたものを載っけるというだけでは、私は経企庁の仕事としては、まあそれ以上やっていると思うから言うのでありますけれども、やはりそういうものが出てきたときに、それを達成させるために地価は、土地対策はどうなっているんだ、これはどうなっているんだということを裏づけをきちんとしてやってもらわないと達成できないと思うので、そういう面では今後一層の御配慮をまたお願いしたいと思うのです。  時間が来ましたので、終わります。
  44. 中尾栄一

    中尾国務大臣 十分に拳々服膺して、委員のお言葉どおりひとつ努力を傾注してみたいと思います。  先ほど国有地の問題が出ましたが、私も、国有地は乱発にいろいろと考えるべきものではなくして、むしろそれを有効に、先ほど牧野委員も言っておられましたけれども、どんどんそういうところを有効に活用して、住宅を、マンションを、あるいはアパートをつくっていくということによって、個人で経営してもうけようとしている会社等とも比較対照していって、いかにそれが国としてやり得たかということも値段を下げていく大きな要因になる、こう思っておりますから、そういう方向においても全力投球してみたいな、このように私個人は思っております。
  45. 嶋崎譲

    嶋崎委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十五分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  46. 嶋崎譲

    嶋崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小野信一君。
  47. 小野信一

    ○小野委員 今回、当委員会で「サラリーマンマイホームを持てるか」という統一テーマで議論することになりました。委員長以下各党の理事の御協力のおかげであります。心からの敬意を表して質問に入ります。  残念なことに大臣がおりませんので、それまで具体的な問題について質問させていただきます。  昭和六十年度を目標にした住宅計画の平均居住水準は、世帯人員四名、部屋構成三LDK、居住室面積五十七平方メートル、住宅専用面積八十六平方メートルでした。西暦二〇〇〇年を目指して都市型と一般型に分けて設定した誘導居住水準では、都市型で同じ四人で比較すると、部屋構成で三LDKで同じ、居住室面積で五十九平方メートルで二平方メートル大きく、住宅専用面積で九十一平方メートル、前者に比して五平方メートル大きくなっております。  そこで、西暦二〇〇〇年の誘導居住水準での住宅専用面積は現在よりもどれだけ必要になるのでございましょうか。また、その面積をどんな方法で獲得し、確保しようとするのでしょうか、建設省の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  48. 天本俊正

    ○天本説明員 国民が安定したゆとりある住生活を営むことができるよう、第五期の住宅建設五カ年計画におきまして、先生お話のございましたように、昭和七十五年を目途に半数の世帯が誘導居住水準を確保できるようにということで設定いたしまして、これに向けて住宅建設の促進に努めているところでございます。現在のところ昭和五十八年の住宅統計調査データがございますが、これによりますと、誘導居住水準の未満世帯というのが七一・六%でございます。二〇〇〇年までに半数ということでございますので、第五期、第六期、第七期と五カ年計画を経ていきます間にこの目標を設定したいということでございます。  先ほど先生からもお話ございましたように、第三期、第四期では平均居住水準ということでやっておりましたけれども、これは十年間に七一・四%の未満率から五〇・九%ということで一応達成いたしましたので、これから二〇〇〇年に向けて、一概には言えないわけでございますけれども、ガイドラインとして設定いたしました誘導居住水準ということでやっていこうということでございます。  当面、五期五計で需要を推計いたしまして、供給といたしましては六百七十万戸、公的援助住宅三百三十万戸ということで目標を立ててやっております。これらの五カ年計画を推進しますにつきましては、住宅金融公庫の融資の拡充、住宅税制の措置の拡充、宅地の供給の拡充等によってこの五カ年計画を推進いたしまして、それによりましてこの居住水準を上げていきたいということでございます。  なお、これは国土庁でございますが、第四次全国総合開発計画におきまして、昭和七十五年に住宅戸数四千六百万戸、一戸当たり平均住戸専用面積百平米ということを目標にしております。最近の特に大都市地域においての住宅の供給が、特に借家におきましては面積の上昇が必ずしもございませんので、なかなか難しい状況もあると思いますが、公的賃貸住宅をふやす等によってこの目標達成に努力をしていくという考えでおります。
  49. 小野信一

    ○小野委員 そんな面倒くさいことを聞いているのではないのです。西暦二〇〇〇年に誘導居住面積が全世帯数の二分の一にするためには、現在のプラスアルファ総面績は幾らになるのでしょうか、その面積を確保するためにはどうするのですかと聞いているのです。総面積だけでよろしゅうございますから。
  50. 天本俊正

    ○天本説明員 あくまでこれは試算でございますが、先ほど申しました国土庁の全国総合開発計画の四千六百万戸、百平米というものを面積に直しますと四十六億平米ということになりまして、それと五十八年の住宅統計調査の床面積、これも推計でございますけれども、それを差し引きますと、五十八年から七十五年の十七年間で約十四億平米、したがいまして年平均にしまして約八千四百万平米の床面積の純増が必要ではないかという試算をしております。
  51. 小野信一

    ○小野委員 年平均八千四百万平米、西暦二〇〇〇年までに十四億平米を獲得しなければならない、確保しなければならない。どういう形で行おうとしておるのでしょうか。民間で幾ら、あるいは公的には幾ら、その辺まで検討しているのですか。
  52. 天本俊正

    ○天本説明員 現在のところ各五カ年計画住宅対策を進めておりますので、第五期の住宅建設五カ年計画を達成するということを第一に考えて行っております。ただその際、この四全総の目標もまた五カ年計画の達成のときの一つのガイドラインとして考えていくということでございます。先ほども申しましたように、現在の五カ年計画では三百三十万戸の公的資金住宅の供給を確保しようとしておりますが、六十三年度までにつきましてはほぼ計画に近い数字が今確保されております。
  53. 小野信一

    ○小野委員 一年に八千四百万平米、西暦二〇〇〇年までに十四億平米、確信はございますか。
  54. 天本俊正

    ○天本説明員 住宅政策の基本といたしまして、国民の需要に合わせまして、持ち家、借家それぞれの需要の実態に合わせて供給を促進していくわけでございまして、このためには金融、税制それから補助金、こういったものを総合的にやっていくことによって確保に努めていくということで考えております。
  55. 小野信一

    ○小野委員 一層の御精進をお願いいたします。  それで、経企庁が住宅目標を設定いたしまして、中堅サラリーマンが、敷地面積百二十から百五十平米、延べ床面積九十から百平米、平均的勤労者が四年ないし五年分の所得で確保できるという金額、通勤可能な範囲三十キロないし三十五キロ、中堅サラリーマンとは四十一歳から四十五歳まで、年収五百八十八万四千円、貯蓄動向調査から算定いたしております。三年以内に住宅土地取得計画のある世帯の貯蓄現在高は年間収入の一・五倍、これも貯蓄動向調査で明らかです。借り入れは年収の三・五倍、金融機関が採用する最高限度額でございます。金利八%、二十年償還、元利均等償還で年収の三五%をローンで支払う、そうなってまいりますと年収の五倍、約三千万円が限度とされます。建築費千二百四十万円、したがって坪単価四十五万円程度、こういう前提に立って現在地価を算定、逆算いたしますと、一平米当たり十四万円ないし十五万円でなければならない、こう算定をいたしております。  この数字は、現在の我が国の社会情勢国民生活からいって、できるかできないかは別にして、適当な目標とお考えになりますか。
  56. 勝村坦郎

    ○勝村政府委員 ただいま小野委員指摘になりました計算は、昨年の九月に企画庁でいたしまして、内容はまさに御指摘になったとおりでございます。  ただ、その後一年間を経過いたしましていろいろ条件が変わっておりますので、手法といたしましては全く同じでございますけれども、その後の所得の変化に応じました貯蓄額の変化並びに借り 入れ可能性等を現段階で計算いたしますと、大体三千五百万ぐらいのものであれば取得可能であるというふうに考えられるわけでございます。それでどの程度の規模の家を建てるか。これも先ほどお話ございましたとおりの前提で、敷地面積百二十平米、延べ床面積九十平米、これは少し小さ目過ぎるのじゃないかという御批判もございますけれども、一応これで計算いたしますと、地価が一平米当たり大体十七、八万円ぐらい、昨年度の資料では十四から十五万円というふうに見ておりましたが、十七、八万円程度ということになります。  ところが、地価上昇の波及の方が大都市圏では急速でございまして、東京を例にとってみますと、この程度の地価では、大体都心から五十キロから六十キロ離れたところでないとこういう地価は見られないという状況になっております。五十キロから六十キロというとどの辺だということでありますが、大ざっぱに申しますと、西の方に参りますと八王子を通り越しまして高尾以遠というようなことになりますし、東の方ですと成田のやや向こうぐらいということになります。南の方では久里浜あたりになりましょうか。そういうことで、相当な遠隔地に行かないとこの程度の家でも買えないというような状況が現在出現しているのではないだろうかと考えます。
  57. 小野信一

    ○小野委員 建設省は、通勤距離三十キロないし三十五キロ、勤める人の健康状態あるいは長い間の通勤可能範囲、それらを勘案した場合に、どうしても今経企庁から答弁のありました一平米当たり十七ないし十八万円の単価でなければならない、こう算定されておるのですけれども、この目標を設定してそのような地価を下げる努力をするお気持ちはございますか、計画がございますか。
  58. 天本俊正

    ○天本説明員 お答えいたします。  建設省の方でも、企画庁で今御試算になりましたのと大体同じような取得価格が限界かというふうに思っておりますが、地価につきましては非常に高くなっておりますので、新築一戸建てであれば非常に遠くになるということでございまして、東京圏では、共同建てといいますかマンションの分譲等を購入される方の割合が多くなっております。マンションの購入でございますと、私どもの試算ですと、首都圏の東北部でいいますと三十キロ圏以東ぐらい、西南部ですと四十キロ圏といったところで、これは限界的なところでございますが、マンションの供給がございまして、この辺がぎりぎり平均的サラリーマン取得可能範囲かというふうに私ども考えております。
  59. 小野信一

    ○小野委員 大臣が参りましたので、大臣の方に質問させていただきます。  昭和六十二年度の国土利用白書によりますと、異常な地価高騰により、東京中高層住宅価格は一年間で約二六%も上昇し、平均家庭の可処分所得の比率で六十一年の五・五倍から六・九倍にはね上がり、勤労者住宅取得は一層困難になった、こう書いてあります。都市開発協会の調査では、東京十キロ圏での一戸当たりマンションは六千六百七万円で年収の十一倍、二十キロ圏では四千八百十五万円で八・〇九倍となり、前年度の七・一倍あるいは五・九倍を上回り、マンションも高ねの花となった、こう書いてあります。  大臣の所管する経企庁の六十三年地域経済レポートによりますと、東京の場合、土地代込みで八千五百十四万円の家を購入するとなると、頭金は五百九十九万円、残りがローンということになる、一カ月のローン返済額は約五十五万八千円で、一カ月の可処分所得約四十五万三千円の一・二倍となり、生計は不可能である、こう書いてあります。平均的勤労者の何年分の収入住宅取得できるかという国際比較がありますが、一九八五年時点でアメリカが三倍、八六年時点でイギリスが四倍、七九年時点で西ドイツが四・八倍、八七年時点で日本が五・六倍、現在時点では十倍強だろう、こう予想されております。  大臣サラリーマンという言葉をもう少し限定いたしまして、大都市のサラリーマン、しかも中堅、四十一歳から四十五歳まで、その設定も背景は御理解していただけると思いますけれども、それらの人々は現在住宅を持つことができるとお考えになりますか。
  60. 中尾栄一

    中尾国務大臣 四十半ばといいますると、大体子供が成長して中学校に行くというころになりましょうか。そのころの年代になって一番理想なのは一軒の我が家を持つ、先ほどの言葉ではありませんが、狭いながらも我が家の楽しい暮らしをしたいというところでございましょうが、現状の分析の中においては、私はいかような健全なサラリーマンであっても持つことは不可能に近いなという感じはしております。
  61. 小野信一

    ○小野委員 我が国の居住水準、第四期住宅建設五カ年計画で定めた目標で見ますと、最低居住水準に達していない世帯は三百九十五万世帯、約四百万世帯ございます。この最低居住水準未満を所有関係別で見ますと、民営借家百八十二万世帯、約半分であります。公共借家八十八万世帯、給与住宅二十五万世帯。これを地域別に見ますと、関東臨海で三五・九%、最も多い。近畿で二二・六%、次いで東海の八・六%、三大都市圏で約三分の二を占めております。  この最低居住水準未満の住宅が四百万世帯もあるということについて、大臣はどういう感想をお持ちになりますか。
  62. 中尾栄一

    中尾国務大臣 これはもう委員の御指摘のとおり、また恐らく腹中にあるとおりであって、私も同感の思いを禁じ得ないのでございますが、社会的不公平感といいましょうか、ある一面、持てる者、持たざる者、この格差が昨今の状況においては非常に大きくなりつつあるというような実態の中で、なかんずく住宅、特にこれが大きく偏差値をもたらしたということは否めない事実として認めなければなりませんし、またこれに対して前向きな姿勢を私ども政治としてはとるべきことだな、このように痛感しております。
  63. 小野信一

    ○小野委員 戦後、住宅取得の難度は大小あると思いますけれども、私は一貫して住宅取得はだんだん難しくなってきた、そう判断いたします。現在では、三十年、四十年勤めて、退職金を加えても住宅を持つことができなくなった。今大臣がおっしゃったとおりだと思います。私は、短い期間で考えるならばそれもあるいは経済の変化で許されるのかもしれませんけれども、四十年一貫して、しかも住宅取得が年々難しくなってくる、こういう事態を考えたときに、何が住宅取得を困難にしたのだろうかと考えざるを得ません。大臣、この根にあるもの、根本にあるものは何だったとお考えになりますか。
  64. 中尾栄一

    中尾国務大臣 委員の御指摘いただきましたもの、もう少し分析をさせていただきますると、昭和三十年代には経済の高度成長による土地需要の増大に伴う地価上昇があったのではないかな、それから昭和四十年代、なかんずく後半におきましては金融緩和、過剰流動性の発生を背景とする地価上昇が生じたのではなかろうかな、あるいはまた、近年と申しましょうか五十年代以降と申しましょうか、国際化、情報化というものによる事務所の需要の拡大あるいは増加、あるいは住宅地における買いかえ需要の増大、あるいは投機的な取引等から金融の緩和状況にも支えられたことなど、種々の要因が影響して東京圏を特に中心として地価上昇が生じたもの、このように認識をしておる次第でございます。
  65. 小野信一

    ○小野委員 いろいろな理由がありますけれども、その中で政府が、政治が責任を持たなければならなかったものは何だったのでしょう。自然現象のように、我々の人為的な努力ではどうにもならないものは外しまして、政府が、政治が責任を持たなければならなかったものは何と何だったとお考えになりますか。
  66. 中尾栄一

    中尾国務大臣 これは非常に大きなグローバルな意味考えますると、ある意味においては東京というものに対する一極中心主義的なあり方というものが、なかんずく東京圏内に生活をしておる人たちには大きな一つのブロックになっておったことだけは間違いないのではないか、ネックになっておったのではなかろうか、東京に全部が集中をしていくという一極中心主義ではなく、地方 分散型といいましょうか多極分散型、こういうものがもう少し政治的に背景的に醸成されておるならば、もう少し緩和の余地があったのではなかろうかというような問題点が一点。  それから、何といいましょうか、そうロングタームな話ではなく非常に中期的にあるいは短期的に考えておきますと、やはり投機的な対象に土地がされていったということも一つの大きな要因ではなかろうか。なかんずく密集地帯にあるところの土地というものは投機的な、スペキュレーティブな考え方でこれを取引の材料に扱ったということが顕著に出てきたのがこの数年の出来事でございますから、それがして非常に土地をいやが上にも上がらせしめたということも否定できない事実ではなかろうかな、このようにも感じておる次第でございます。
  67. 小野信一

    ○小野委員 過剰流動性、国際化、情報化あるいは投機的、これらを放置した原因、責任は政治にはないのでしょうか。
  68. 中尾栄一

    中尾国務大臣 政治にないという限定は全くでき得ないという感覚を持っております。
  69. 小野信一

    ○小野委員 そこで大臣、国や行政が住宅問題で、国民住宅取得する問題でどこまでお世話し、責任を持つことが近代国家の最低条件だとお考えになりますか。
  70. 中尾栄一

    中尾国務大臣 これは、近代国家ということになりますと世界全体を非常に大きな視野でとらえていくことが必要でございましょうけれども、なかんずく我が国は世界と比べますと、国土はまことに狭い中になおかつ七十数%にも上る言うなれば山林原野に覆われておる、平たん平地は非常に少ないという地理的条件においても、非常にハンディがあることだけは事実でございます。それだけに、そこにそれ衣食住というものにおける非常にバイタルなファクターでもっている住というものに対しては、政治がすべからくもっと根深く関与していくべき問題だったな、最近この数年間の中におけるいろいろの政治解決、改革というものから見ますと、土地対策はややおくれたなという感じもしないわけではございません。
  71. 小野信一

    ○小野委員 西ドイツのアデナウアー首相は、第二次世界大戦の敗戦の時点で、ケルンの瓦れきの上に立って、すべてを住宅建設と訴えて、西ドイツの復興の中の重点的な政策の一つに住宅を設定いたしました。  一九三四年、ルーズベルト大統領はあのニューディール政策の中で、国民の三分の一が貧しい衣食住の中に生活するということは正義の原則に反する、こう訴えました。住宅問題は政治の最重要課題である、こうニューディール政策の中で位置づけました。具体的には、精緻な住宅金融制度をつくり、住宅供給価格の中に占める金利負担を極端に抑え込みました。富の少数者への集中を防止いたしました。貧しい人々の住生活水準の低下を防ぎました。こういう政策が三十年続けられました。  その結果、アメリカの住宅規模は一九七〇年時点で新築の持ち家の平均部屋数は五・七、借家でも四・一、一世帯用住宅の平均面積は百十平方メートル以上が七〇%以上を占めるに至りました。その取得は、一九八五年で一世帯用住宅の平均価格は八万四千三百ドル、一ドル百五十円換算で千二百六十万円、平均世帯収入が二万七千七百三十五ドルですから、年収の約三倍で取得することができます。連邦政府の保証保険つき住宅は平均世帯年収の二倍で入手可能であります。  一方、我が国の戦後の住宅政策を振り返ってみるときに、高度成長期のあるときのある総理は、ムジナだって自分の穴は自分で掘る、カニは甲羅に似せて自分の穴を掘る、こう言い切りました。まして人間自分の住まいは自分でつくったらどうだ、こう発言をいたしました。要するに我が国の戦後の一貫した住宅政策は、自分の住まいは自分でつくりなさいという政策だったと私は思います。ここに政治の怠慢があった。政治社会現象、経済現象に対してあたかもそれが自然現象であるがごとき態度に終始したことが、今日の平均サラリーマン住宅を持てなくなった最大の原因ではないだろうか、私はこう思います。そして現在は年収の十倍以上の価格になってしまいました。  私はこう考えるときに、先進諸国と日本の彼我のこの住宅取得の困難さ、難度の違いは、この住宅に対する国政の認識度の違いにあったのではないだろうか、こういう感を深くするのですけれども大臣の所見を伺います。
  72. 中尾栄一

    中尾国務大臣 委員指摘のアデナウアー首相にいたしましても、あるいはルーズベルトのニューディールではございませんがその政策にいたしましても、私も承知しております。言うなれば人間の尊厳を認めるということはまず衣食住から、なかんずく自分の住む家からというそのスローガンも知っておるつもりでございます。  そういう中にありまして、確かに戦後の復興目覚ましいものがあるとはいえ、このアメリカの国などと比べてみますると、わずか二百年にして、何もない山林原野というよりは、住む人はアメリカンインディアンしかいなかったと言われておるそのアメリカの国を、これだけの、建国の精神に燃えながら立派な国に育て上げたという背景は、やはり政治の関与の偉大さも感ずることは否定できません。私ども、そういう意味におきまして、先ほどからの御指摘は反省点としても十分に感じておる次第でございます。
  73. 小野信一

    ○小野委員 次に、現在我が国では土地の所有権は憲法で保障されております。その利用も処分も個人の自由な意思にゆだねられております。その取引も市場で行われ、価格は需給を反映して形成されます。しかし、土地の保有や利用をすべて経済自由の原則に任せて、市場メカニズムに任せておりますと、経済的にも社会的にも資源の最有効形成ができかねるということはだれもが承知しておるところでございます。  そこで当然、公的介入、強制、制限、誘導等が行われる、行われなければならないというのが現在の国民の一致した認識であろうと私は思います。問題は、この制限、介入、誘導等がどこまで踏み込まなければならないのか。今、平均的な国民が年収の五倍以内で住宅取得することができるのだという経済環境、社会環境をつくっていかなければならないわけですが、そのためにはどこまで踏み込むべきかということが国の方針として私は明らかにされなければならないと思います。  大臣、そこでこの制限、介入、誘導について今国民が納得できる、国民が支持できるような水準とはどういう条件を満たすものだとお考えになりますか。
  74. 中尾栄一

    中尾国務大臣 今の御指摘は二点あると私は思っておるのでございます。  まず一つは、例えばアメリカのニューヨークも土地価は上がっております。同時にまた、ある意味においての非常に住みにくい地域になりつつあるのかもしれません。しかし、日本のような委員指摘の年収の十倍以上ということはあり得ないわけでございます。そういう点を考えますと、当然のことながらそこに誘導あるいは介入あるいは制限というようなものも必要になってくることは私は間違いないことではあろうと思いますが、現時点で、私の今の立場で、このような制限とこのような介入を考えるべきだという個人的な考え方は持っておるにせよ、公にすることは不可能かと思います。  あと一点は、先ほど私もちょっと触れましたが、日本人そのものの特有性といいましょうか、すべてをスぺキュレーティブなファッショナブルにしてしまうというこの考え方も、日本人全体の反省点として考えておかなければならぬ問題である。言うなれば、一つのことにフォーカス、中心的になりまするとすべてがその渦の中に巻き込まれていく、そしてそれがもう大きな輪になっていく。フラフープがはやればフラフープ、だっこちゃんがはやればだっこちゃん、ファッショナブルな民族でございます。  それだけに、土地ブーム的なものがはやるということになりますと、意図するしないにかかわらず、悪い土地投機的商法、地上げ屋。またその地上げ屋がばっこすると、その跳梁ばっこにこたえる かのように金融機関が動く。これがよその国と反して非常に目覚ましく存在するということも意識しなければならぬことだと思っておりますから、そういう意味におきまして、総合的にこの土地対策の問題、住居問題などは幾つかの反省点を踏まえながら私どもも厳にこれを考えていかなければなるまいな、このように考える次第でございます。
  75. 小野信一

    ○小野委員 お願いを申し上げておきますけれども、まじめな中堅サラリーマン皆さん住宅取得できるような社会環境、経済環境をつくるために、国が土地政策についてどこまで介入、誘導しなければならないのか、近代国家の最低条件としてこれはなさなければならないという水準を理論的に提示する時期に来ているのじゃないだろうか、そういう提示をされることによって国民一緒にその目的達成のために努力することが今必要なのだろうと私は思います。したがって、その具体的な理論的なものを国民の前に明らかにする努力をしていただきたいと思いますし、その時期の一日も早いことを切に望むものですけれども大臣どうお考えになりますか。
  76. 中尾栄一

    中尾国務大臣 先ほど来先生指摘いただきましたことは、私どもまさに拳々服膺しながら考えていかなければならぬ問題であることも私も十分意識しておりますけれども、なおかつ、まず基本的な認識のもと国民の理解と協力を得つつ土地対策の推進を図っていくことが大事であることは申すまでもございません。  その第一点としては、土地の所有には利用の責務というものが伴うという点。あるいはまた、土地の利用に当たっては公共の福祉が優先するという点。あるいは第三、土地の利用は計画的に行われなければなるまいなという点。あるいは第四点として、開発利益はその一部を社会にむしろ還元し、社会的公平を確保すべき問題点ではなかろうかという点。第五点として、土地の利用と受益に応じて社会的な負担は公平に負うべきものであるという点等考えますと、これはもう政治の要諦をそのまま申し上げていると言っても差し支えないわけでございまして、私も含めまして私どもこの問題点には鋭意努力をし、特に私の所属する経済企画庁は経済の指針並びにグローバルにおける指標を示していかなければならぬ官庁でございますから、そういう点では国土庁、建設省等々とも十分に話し合いながらその責めを負っていきたい、このように考えておるわけでございます。
  77. 小野信一

    ○小野委員 土地問題、住宅問題、地価問題は国土庁なり建設省が直接責任省庁であろうと思います。しかし、我が国経済の総元締めである経企庁もこれらの問題から当然逃れることはできないはずであります。  そこで、経企庁が一番関心を持たなければならないと思うのは、サラリーマン皆さん住宅を持てなくなったときの社会的影響というものはどういうものになるのだろうか、どういう混乱を引き起こすのだろうか、日本社会の将来にどんな影響を及ぼすのだろうかということをしっかり国民の前に提示して、先ほど大臣が言った介入、誘導、それらの理解を国民に求めなければならないのだろうと思います。大臣、大部分の国民住宅を持てなくなりましたという、高ねの花になった場合、日本社会経済にどんな影響を及ぼすとお考えになりますか。
  78. 中尾栄一

    中尾国務大臣 ほとんどの国民住宅を持ち得なくなったという段階のことを想定いたしますると、想定したくはないことでございますけれども、まず勤労意欲は減殺されるでしょう。勤労意欲がなくなるということになるかもしれませんし、あるいはまた、中産階級という意識もなくなると同時にそのものが崩壊をするだろうという考え方にも立ちます。  したがいまして、私どもとしては、ある意味においてはこれをどんなことをしても維持をしていかなければならぬということを感じましたときに、ただいまお言葉の中で高ねの花とおっしゃいましたが、まさに若いときの恋愛ではございませんが、美しい女性を見て高ねの花だからあきらめるというようなあきらめ感を、少なくとも四十から四十五ぐらいの、ちょうど中学、高等学校の成長期の子供を抱えておる、温かくあるべき家庭の団らんの中にこういう不定愁訴を与えていくことは、政治の反逆であると私は感じておる次第でございます。
  79. 小野信一

    ○小野委員 住宅が持てなくなった場合に、都市においては、土地を持って住み、あるいは投資をしている富んだ者、通俗的には金持ちと言っていいかもしれません、そういう人たちと、そうでない貧しい人に大きく分化するだろうと私は思います。この分化は社会の健全な発展を阻害することは論をまちません。  あるいは、これから働き、家庭をつくろう、こういう若者、あるいは日本の経済発展のために海外で一生懸命働いた人々が、老後は日本でと帰ってきた場合に住宅を持つことができないとなったならば、日本の貿易立国というものはどうなるんだろうか。また、地方から東京を目指して一生懸命働いて、これまた通俗的ではあっても偉くなろうと努力したまじめな人々は、東京へ来ても住宅が持てないとなったらどうなるんだろうか。手が届かなくなっておる現実には、そのようなことが徐々に日本の経済社会の中に浸透しておることは間違いないわけです。これから行政や産業を支える若者が都市に満足な住宅を持てないという社会が果たして許される社会だとは私は思いません。そうしますと、若者のいない、活力のない社会日本の国がこれから繁栄していくこともまた当然考えられません。  だとするならば、サラリーマン住宅を持てなくなったというこの現実は、日本の将来に大きな暗雲を示しておる具体的な実例ではないだろうか。今政治が真っ先に手をつけなければならない課題だよと日本の将来を示しておる問題ではないだろうか、そう考えておるのですけれども、もしそうお考えになるとすれば、これを実行しなければならない時期に入っておることは間違いございません。大臣の所見、認識をお尋ねいたします。
  80. 中尾栄一

    中尾国務大臣 第一に、まず委員の御指摘になりました点は全く同感でございます。  第二点、しからばどうするのか、こういうことになるのでございますが、私どもとしては、先ほどからずっと対話の中で申し上げ続けておりますように、政治としてのあらん限りの能力あるいはまた英知を呼び起こしまして、これに対して諸外国のいい例を存分に取り入れてこの問題点解決していくことにいそしまなければならない、こういう決意以外に申し上げることができないことは残念でございますけれども、その気持ちでおることをお伝えいたしたいと思います。
  81. 小野信一

    ○小野委員 日本住宅建設ができないほど金がないということじゃないと思います。資産がないということじゃないと思います。  ちなみに、国の総資産から総負債を差し引いた正味資産、国富と呼ぶのだそうでございますけれども、その構成比を見ますと、アメリカは住宅が三〇・八%、建築物、設備機械三三・八%、土地二七・四%、富が三分されております。フランスは三九・九、三一・一、土地の比率が少し低くなって一〇・四、これもまたバランスのとれた国富の姿だと私は思います。イギリスは住宅が四二・九と非常に高く、設備機械等四七・九、土地二・三で、土地評価が非常に低い。これは恐らく徹底した政治土地政策関係だろうと思います。  日本の総資産の中に占める住宅の割合は七・七%しかございません。建物、構築物等が二六%、土地は驚くなかれ六一・七%であります。日本の場合は先進諸国と比較しまして土地資産が膨大であります。イギリスの三十倍。これは我が国の資産が非常にアンバランスであることを示しておると思います。大臣の所見をお伺いいたします。
  82. 中尾栄一

    中尾国務大臣 日本でこのところ貧富の格差が目覚ましくなってきたという理由の一つには、土地を持っているというだけで、都市圏で五十坪持っているというのはもうお金持ちの部類であり、借りているというだけで、あるいはまた、持たざるサラリーマン階級、私ども会議員ではございますが現在宿舎に住んでおるわけでございます から、そういう点では借りているという対象になりますけれども、持つ者と持たざる者との格差は全く大きく隔たって、今先生から御指摘いただいたそのとおりであろうと私も思っておるのでございます。  したがいまして、今からの国家政策として考えていかなければならぬことは幾つかございますが、日本は果たして大金持ちなのかと問われるならば、確かに経済では昔から比べたら豊かにはなった、しかし社会資本を見てもそれほど豊かになっているとは言えない。と同様に、住宅問題にしても、土地を含めて今のような現状が私どもとしては満足でき得る状況ではないなということは率直に認めなければならぬなと思っております。
  83. 小野信一

    ○小野委員 先ほど、日本住宅の立ちおくれの第一は、近代国家として住宅に対する国の認識の薄さにあったと指摘いたしました。それを具体的に申し上げます。  国の歳出総額に占める住宅対策費の割合は、フランス四・三%、イギリス二・二%、日本が一・五%です。アメリカ一・四、西ドイツ一・〇ですから、先進国の中では中位ということができます。問題は、普通収入に占める住宅関係減免税額の割合でありますが、日本の水準が先進国の中でけた違いに小さいことを示しております。最も高いのがアメリカで四・八、イギリス四・二、フランス一・五、西ドイツ一・三、日本、驚くなかれ〇・五%であります。アメリカの十分の一であります。いかに税制面で優遇度が先進国に劣っておるかということがこの数字で明らかであります。  ちなみに、先ほど申し上げた住宅対策費と減免税額の合計が総歳出に占める割合を計算してみますと、イギリス六・一、アメリカ、フランスが五%台、西ドイツ二・二、日本は一・九であります。イギリスの三分の一であります。これは数字であり、社会が異なり制度が異なりますから一概にこの数字をもって格差だということは私は申し上げませんけれども、少なくとも住宅への国の援助策としては我が国が大変おくれておることを示した数字だと考えて間違いないと私は思います。  大臣、国の住宅政策の立ちおくれは、認識のほかに、その認識から発して国の援助不足となってあらわれておると私は思いますが、いかがですか。
  84. 中尾栄一

    中尾国務大臣 私、今まで経企庁で調べさせていただいた段階の中では、先生の御指摘の方向とは多少異なりまして、住宅政策に対する日本の立ちおくれはそれほどひどかったかなと思わせるような一面もございます。しかし、これは先生の御勉強のたまものでございますから、日ごろの勉強家であられる先生だけにその点はしかと私ども受けとめまして、さらに勉強の素地にしたいな、このように考えております。  また、第二点といたしまして、先ほどの税制面あるいは金融援助等々の面、これにつきましては、私どももさらになおかつこれを増大させていくことに、これはもう住宅問題でございますだけに党派を超えて考えていくべき問題だな、このように受けとめておりますから、率直果敢にまたお教え賜ればありがたいことだと思っております。
  85. 小野信一

    ○小野委員 私が述べている数字は、すべて国の各省庁が出した数字もとにして議論を積み重ねておりますので、建設省、国土庁あるいは経企庁の数字であることを申し添えておきます。  それならば、我が国の住宅建設のために資金が不足なんだろうか、国の経済力は小さいんだろうか、こう思いまして、これは経済企画庁大臣の所管の毎年発行する国民経済計算年報、これで拾ってまいりました。昭和六十一年度の個人企業を含む家計部門の総貯蓄額は四十七兆円、そのうち住宅投資は十六兆円、企業設備投資を差し引いても大幅な貯蓄超過であります。その差額は驚くなかれ三十三兆円であります。三十三兆円の貯蓄が政策によって本来使える金だ、もちろんすべて使えるとは思いませんけれども、それだけの余裕があることをこの数字は示しております。しかも、家計部門の貯蓄超過が年々大きくなってまいりました。そして、貯蓄超過分の三十三兆円の大部分、十五兆円が海外に流出をいたしております。しかも、その流出が急ピッチで進んでおります。  このことは、住宅投資を拡大し、余剰資金の吸収を図るならば、日本住宅はまだまだ建設戸数がその政策いかんによって拡大できることを私は示しておると考えるのですが、いかがですか。
  86. 中尾栄一

    中尾国務大臣 今のお話を承りまして、経企庁で出しておると聞きまして、私自身もああそうかなと改めて意識をした次第でございまして、率直にその点はおわび申し上げたいと思います。  資金をどのようにストックの充実に向けていくかということ、あるいはまた住環境そのものの充実にこれを振り向けていくかというそのシステムをデザインすることが今極めて重要になってきたなと、お言葉を聞きながら感じておった次第でございます。これまでの経済社会のあり方そのものを問い直す時期もやはり来たのかなという感じがしないでもございません。  ちなみに、私も田舎の出身といいますか地方の出身でございますが、地方に行きますと、かつてのわらぶき屋根の家が、今みんな新築されて、農村ほど非常に大きな家に住んでいるような感じもしないでもない昨今でございます。それに比べますと、首都圏、なかんずく東京都内に住んでおる私どもはいかに惨めな、外国から来たお客さまも招待できるような自宅ではないということを考えますと、そのハンディの大きさをこれまた感ぜざるを得ないのです。そういう点をずっと通してこれも全般的に考えていかなければならぬ問題かな、やはり土地価格の高さ、高騰というものは、これは計算の中にどうしても除外でき得ない問題なのかなということをまた感じておることも事実でございます。
  87. 小野信一

    ○小野委員 最後にお尋ねいたします。  新行革審の土地対策検討委員会は、地価土地対策について六月十五日総理に答申をいたしました。その中に、結論として、地価はなお高水準で、今後地価の引き下げを目指せ、こう書いてあります。残念ながら、具体的にどうしなさいとは書いておりません。大臣、具体的には書いていなくても、この提言をしっかりと実行することが今国政に課せられた最大の任務であることは、今までの討論の中で私はお互いに認識できた問題だと考えます。この地価の引き下げのために、大臣の最後の決意をお伺いして終わりたいと思います。
  88. 中尾栄一

    中尾国務大臣 暫時、委員との間でいろいろと意見を交換させていただきましたことを大変有意義に思います。同時に、大変に参考になる意見伺いました。私ともども、きょう列席しております、各所管を持っております官庁の役人も、恐らくその思いであろうと思うのでございます。  そこで、まず土地対策についてはすでに多くのメニューがございます。ただ、このようなさまざまな既得権との関係、あるいは他の政策、特に資産に関する政策との関係などによってなかなか実施の段階に入ってないということも事実でございまして、これは先生に先ほどから何回となく御指摘いただきました。ただ、住宅問題の改革が進まないということが経済社会の不安定を招く危険性があるということは、これは全く先生と合一した意見でございます。  そこで、委員指摘のように、思い切った実行の時期が来ておるということを重ねて私もここで強調しておきたい、こう思います。これは、ただ私ども多数政党ということに相なりましょうか、その政党だけ、すなわちまたそれから構成されております内閣だけででき得るとは思いません。この住宅等の問題は、なかんずく挙国一致で考えていかなければならぬ問題、挙党一致で考えなければならぬ問題であるとも思っておりますから、この点においてもひとつ十分なる御見識を私どもに与えていただきますことを心の底からお願いを申し上げまして、私の決意のほどの一端にかえさせていただきます。ありがとうございました。
  89. 小野信一

    ○小野委員 終わります。
  90. 嶋崎譲

    嶋崎委員長 次に、山田英介君。
  91. 山田英介

    ○山田委員 まず、経済企画庁長官にお伺いをしたいと思います。  「サラリーマンマイホームを持てるか」とい う共通のテーマで審議をさせていただくわけですけれども、都心に通勤するに当たりまして、合理的な通勤時間といいますか、あるいは距離としての通勤圏といいますか、私は東京近郊から国会へ基本的に電車等を利用いたしまして通っている、そういう体験の中から感じておりますのは、乗車率二〇〇%あるいはそれに近いような混雑をした通勤電車の状況でございますので、個人差はあると思いますけれども、せいぜい通勤のために電車に乗っている時間で合理的と言える時間というのは大体六十分かな、若干体力が強い方でそれでもあの混雑からすれば一時間半がもう限度だろうという実感を持っているわけでございますが、大臣は大体合理的な通勤圏あるいは通勤時間、これをどんなふうにお感じになっておられますか、まずお伺いをしてみたいと思います。
  92. 中尾栄一

    中尾国務大臣 山田委員は埼玉県と承っておりますが、大体六十分というのは、やはりその人の個人差もございましょうし、体力差もございましょうし、いろいろございますが、六十分以上といいますると往復になりますと三時間以上ということになりますから、やはり六十分ぐらいのところで行き来できれば上できなところかなと、私も個人差があることを承知お答えさせていただいております。
  93. 山田英介

    ○山田委員 それといま一つ、ちょっと抽象的になるかもしれませんが、平均的な一般的なサラリーマンで年収の大体五倍ぐらいまで、これが住宅購入の大体目安であろう、あるいは限界であろう、こうされております。私もそのとおりだと思いますが、そうなりますと、大体私の見ている感じでは、取得をする年齢にもよりますけれども二千五百万円から三千五百万円程度、このくらいの価格の一戸建て住宅が購入可能な範囲なのかな、こういう感じを受けておりますが、大臣いかがでございましょうか。
  94. 勝村坦郎

    ○勝村政府委員 先ほど小野委員にもお答えを申し上げたわけでございますが、仮定計算でございますが、経済企画庁計算いたしております見方では割と小規模住宅考えておりまして、敷地が百二十平米、建坪が九十平米ということで非常に小さいものでございますけれども、それを建てるために、現在の所得の水準の、御指摘ありましたとおり大体五倍程度と考えておりますが、その他貯蓄の額、借り入れ可能額等を考えますと、これもほぼ御指摘のとおりでありますが、四十代の平均的サラリーマンで三千五百万円ぐらいの住宅であれば購入しかつ比較的リーズナブルなローン負担でやっていけるのではないだろうか、こういうふうに考えるわけであります。  それで、距離ということで申しますと、先ほどお答えしましたとおり、都心から五十キロないし六十キロというところになります。     〔委員長退席、小野委員長代理着席〕
  95. 山田英介

    ○山田委員 これは、ことしの十月二十七日に都の住宅政策審議会というところがまとめた中間報告によっておりますが、千代田区、中央区、港区、この三区内の会社あるいは学校に通う方々が二百六万人ほどおりまして、その通勤通学時間が平均で六十七分、こう報告がされております。片道通勤に時間が二時間以上かかる方々は六万九千人ほど、それから三時間以上、往復で六時間以上になりますが、この三時間以上の方々が二千人もおられる、こういう報告でございます。仮に四十五歳で住宅取得いたしまして六十歳で仕事から離れた、リタイアいたしましたとして、通勤時間片道二時間の方は往復四時間になりますから十五年間で七百十七日、約二年間通勤電車に乗っているという勘定になります。通勤時間三時間は往復で六時間千七十六日、約三年近く十五年の間に満員の通勤電車に揺られている、こういう計算が成り立つわけでございます。  そして、現在はますますそういう遠隔地でなければ一戸建てマイホーム取得できにくくなってきている、その傾向が強まってきていることは私は事実だと思うわけでございます。これは、冒頭大臣の御所見をお伺いいたしましたように、一時間、人によっては一時間半も揺られればもうそれが限界かなという議論を踏まえたときに、これは何とかしなければならぬということはだれだってそう思いますし、また共通の目標であり、願いであろうかと思います。  ただ、そうやって遠隔地にしか先ほど来の条件のもとでは一戸建てマイホームが小さくても中くらいでもともかく持てなくなっているということは、極めて重大な問題であります。不動産の情報誌などを見ますと、「お父さん頑張ってあと十五分我慢してゆったり通勤の一戸建てを買おう」なんというキャッチフレーズがずっと出ておりまして、それでどんどん遠隔地に買われていく、またそこしか買えないという状況があるわけでございます。こういう実態を目にして何とかしなければならぬわけでございますが、一言大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  96. 中尾栄一

    中尾国務大臣 今のお言葉ではございませんが、「お父さん頑張ってあと十五分」という言葉はじんとくる言葉でございまして、お父さんも頑張りますけれども、それは恐らく言うているお子さんもお母さんも頑張っておられるわけでございましょうから、そういう点では住宅問題というのは本当に切実な問題だなと感じざるを得ません。そういう意味の中で、先ほど山田委員指摘の十月二十七日の報告についても私も承知さしていただいております。こういう土地住宅問題が極めて重要であるという観点から提言されたものであるということをそのまま率直に受けとめておるわけでございますが、地価高騰が深刻な影響をもたらしておりまする東京都の住宅問題に適切に対処する必要性はそれだけに十分理解できる、こう思うわけでございます。  政府といたしましては、平均的な勤労者が合理的な通勤可能範囲内に住宅取得できるということは、豊かな国民生活を実現する上で重要な課題である、こういう認識に立っております。このために、閣議決定いたしました経済運営五カ年計画におきましても、土地対策の推進とともに住宅の質的改善等の住宅政策を強力に推進していくことが肝要である。さらに政府といたしましては、本年六月の総合土地対策要綱に基づきまして各般の施策を推進しているところでございますが、私としても土地対策関係閣僚会議の一員といたしまして今後とも各関係官庁とも話を詰めまして、その確実な実施の推進に努めてまいりたい、このように感ずる次第でございます。
  97. 山田英介

    ○山田委員 そこへ必ずしも結論を持っていきたいという意味ではないのですが、ちょうど関連をいたしますので、大蔵省お見えいただいておると思いますが、こういう遠隔地にしかマイホームを持てないという方々が非常にふえてきているという状況を踏まえて、ちょうど六十年の大都市交通センサスがベースでございますが、首都圏一都三県におきましては通勤者が五百八十二万、約六百万人おりまして、通勤時間が一時間半から二時間の方々が約八十四万人、それから通勤時間が二時間以上の方々が十九万人ほどいらっしゃるわけでございます。合わせまして約百三万人ほど一時間半以上の方々ということでございます。  現在、会社から支給される通勤手当につきまして、二万六千円を超えますとそれは所得とみなされて課税がなされる、こういうシステムになっております。そこで、やはりこういう遠隔地マイホームという実態を踏まえた税制改革を要望したいと思っているわけでございますが、この二万六千円の限度額を撤廃をしていただきたい。通勤手当につきましては、特に自己負担分、二万六千円で足りなくて自己負担をする部分がありますが、これは税金が課せられた後の要するに可処分所得から支出されているということも考えまして、ぜひ二万六千円の頭打ちの天井を撤廃をしていただくこと、それからいま一つは、自己負担分につきましては所得税控除の対象となるような、そういう取り扱いをぜひしていただきたい、これは御要望申し上げたいのでございますが、前向きな御答弁をちょうだいしたいと存じます。
  98. 野村興児

    ○野村説明員 お答えいたします。  現在、通勤手当につきましては、先生指摘の とおり所得税法上二万六千円までにつきまして非課税の取り扱いとなっているわけでございます。  通勤手当につきましての課税上の考え方、これについてちょっと御説明をさせていただきますれば、本来は勤労者賃金、給与の対価といたしまして労務提供の債務、その債務といいますのは持参債務というふうに言われておりますが、ということや、あるいはちょっと言い過ぎるかもしれませんけれども、居住地の選択というものは一般的に言いますれば勤労者の任意であります。そういったような事情からすれば、本来は通勤費というものは生活上の費用と言い得るわけでありまして、これを補てんするために支給される通勤手当、これも言うならば課税対象とすべきところでございます。  しかし、さはさりながら通勤手当の実態を考えました場合に、先生指摘のようなこともございますし、そもそもやはり通勤費というのが不可避的、義務的なものであって、給与収入を得るための必要経費、こういった面も有しておるわけでございますので、ただいま冒頭に申しましたような非課税の制度を現在設けているわけでございます。  この金額と申しますのは、実は、今、距離あるいは時間等でおっしゃいましたけれども、JRあるいは私鉄等でそれぞれ見た場合におきまして、例えばJRでいいますと、東海道線でいいますと茅ケ崎、あるいは常磐線でいいますと牛久、これが私鉄の場合についていいますれば、小田急であれば終点まで軽々と行く金額でありますし、まして東武日光線であれば東武の日光の終点まで行く、こういったような実情でございます。  私どもはこれを決して任意に勝手に決めているわけではございませんで、今、国家公務員の通勤手当のベースになっております民間の給与実態調査、これは人事院がおやりになっておりますけれども、そういったものにベースを合わせまして、民間企業といいましてもやはり上限を設けている、このあたりの事情を考慮いたしまして、実情に即した基準ということで合理的なものであるというふうに考えております。
  99. 山田英介

    ○山田委員 対象となる人数は、首都圏で大体十万人程度でございます。近畿圏あるいはまた中京圏、三大都市圏でも大体十三万人程度ということで、減税額は三十億円というふうに言われているわけでございますが、私が申し上げておりますのは、それは確かに計算すれば合理的な根拠というふうになるのかもしれません。そういう言い方もできるのかもしれません。しかし、きょうは「サラリーマンマイホームを持てるか」、そしてその中で、冒頭の議論で、サラリーマンがますます遠隔地にマイホームを求めざるを得ない、新幹線通勤をされている方々も数千名という大きな時代の変化、あるいは流れの方向性の異なりというものが出てきているわけでございまして、そういう一つの変化というものを踏まえた上で、果たしてどうなのかな、そういう温かいお気持ちを持たれまして、そうしてまた見直していただく、ぜひこれはお願いを申し上げたいと思います。  そこで、また本論に戻ります。  遠隔地にマイホームということでなかなか大変なわけですけれども、まあいろいろ原因はございますが、最大の問題は地価高騰ということであると私は理解しております。なぜ地価高騰するのか、その原因につきましても種々な角度から分析あるいは指摘ができるところでございますけれども、やはりそのベースにあるものは、基本的な部分というのは、住宅用土地、宅地というものが不足をしておる、あるいはそれがなかなか確保されないというところに、需給のバランスの関係におきまして地価がどんどんとめどもなく上昇していく最大の原因があるのではないだろうか、私はかように理解をいたします。  それで、例えば東武線だったら日光まで行かれるという今お話がございましたけれども、特急や急行に乗って九十分というところにマイホームを持たざるを得なかった。そして毎日、毎朝、毎夕九十分、特急であるいは急行でですから、これは通常の各駅停車みたいなものに乗れば本当に三時間以上ということになってしまうわけでございます。しかし、毎朝、毎夕の通勤電車の車窓には、より都心に近いところにも非常に広々としたいわゆる土地空間というものがある。それを毎朝、毎夕見て通勤をされているサラリーマン皆さん、何で自分は片道三時間もかかるようなところにしかマイホームが持てなかったのか、通勤が一時間くらいあるいは四十分くらいのところにこんなに広々と土地があいているではないか、なぜこれが開発され、あるいは五百八十二万と言われる首都圏勤労者のために、あるいは三大都市圏勤労者のためにこれが活用されないのだろうかという極めて当然な、そしてそれは素朴であるかもしれないけれども極めて当然な疑問、あるいはどうしようもない不満、こういう感じを持っているということは事実でございます。  したがいまして、大臣、先ほどの同僚委員に対する御答弁にもございました、それはいろいろな規制の網がかぶせられている、土地問題、住宅問題というのは尋常一様にはいかないということは十二分に私は承知をした上で、やはり一時間以内にあるいは一時間半以内に、少なくとも広々と広がっている、それは主に市街化区域内の農地です、あるいはまた開発適地にある調整区域内の農地であります、そしてその他であります、何としてもこれを有効に活用して、あるいはまたそれがサラリーマンのための持ち家の宅地としてその大きな部分が開発されてこなければ、先ほど大臣がおっしゃったように、いろいろな問題解決のためのメニューはたくさんございます、海を埋め立てて土地を広くしてというところから、東京駅の上にふたをしてその上に高層ビルを建ててとか、いろいろなメニューはありますが、基本的な、最も根本的なところにあるのは、首都圏にある開発適地あるいは市街化区域内の農地等の開発をしていく、利用していくことが極めて大事な問題だなというふうに私は存じますけれども、一言大臣から御所見を伺いたいと思います。
  100. 中尾栄一

    中尾国務大臣 先ほどから御指摘のお話は、私も全く同様に感ずるのです。例えば、私は埼玉県ではなく隣の山梨でございますが、山梨に行く途次、五十階、六十階の新宿に林立するあの巨大な高層ビルを見ながらちょっと行きますと、もう農地がある。確かに市街化区域内の問題云々ございましょう。私も農林を多少専門的にやってきた人間でございますから言うわけではございませんが、もう少しこれを何とかすべきだな、そして少なくとも住宅地に適用するような方向で、今東京というと大病院から大学から官庁から、銀座、渋谷に至るまで密集地帯があるのが東京というイメージでございますが、その東京都の中にまだ農地が残っておるというこの不自然さを私自身も絶えず指摘を申し上げなければならぬと思っておるのでございます。  そういう意味においては、先ほども牧野委員から御指摘がございましたが、地震に耐え得るような形における高層建築技術というものが相当発達してきている昨今でございますから、そういうものにおいても、見渡したところ東京都内にもまだまだそういう余地が相当残されているのではないか、だから本当の意味住宅地というものに適用できるものがあるのではなかろうか、そういう点において英知を結集すべきときが来ているのだ。メニューは幾つもある、メニューが幾つもあったってそれはメニューであって、それを選択するのは私どもが選択しなければならぬ、こう思いますだけに、私は本当にそのように思います。ここに額面どおりに書かれた計画表もございますけれども、これを読んでも意味がないと思いますから……。    〔小野委員長代理退席、委員長着席〕
  101. 山田英介

    ○山田委員 この後、原野商法に関連してちょっとやらせてもらいますので、大蔵省初め確認の意味で御答弁いただくためにおいでいただいておりますが、そういうことで限られておりますので、極めて簡潔に御答弁を賜りたい。  まず大蔵省にお伺いをいたしますが、租税特別 措置法の七十条の六、これは農地等についての相続税の納税猶予などを定めた条文でございますが、どういう制度か、何の目的でつくられたのか、できましたら一分ぐらいで御答弁はまとめていただきたいと思います。
  102. 野村興児

    ○野村説明員 簡潔に答えさせていただきます。  本来の趣旨でございますが、この納税猶予制度は、農地の所有と経営の不可分という農地法上の制約がございます。それが一つ。それからいま一つは、民法の均分相続のために農業経営が細分化されるのではないか、それを防止すべきであるという農業基本法の趣旨がございます。その趣旨を踏まえて設けられました特例的な制度、それが目的でございます。  概要につきましては、まさに相続人が農業を継続する場合、そういったものに限定をいたしまして、いわゆる私どもは農業投資価格と言っておりますけれども、通常農地として取引される場合に成立すると認められる価格、それを超えたものについての相続部分、これを担保を条件といたしまして納税を猶予し、そして二十年間農業を継続した場合につきまして、あるいはその相続人がお亡くなりになる、こういった場合につきましては、そもそも猶予されましたところの税額の納付を免除する、これが制度の概要でございます。
  103. 山田英介

    ○山田委員 要するに相続税の免除を希望する場合には、二十年間営農を続けなければならない。御答弁にありましたように、税務署が担保にとるわけです。これを前提としてということですから、この二十年間が経過をしなければ、あるいはまたその間にこの法の適用を受けて被相続人が実際に出てこなければ、要するに相続が発生しなければ、その農地は開発できないということになります。市街化区域内の農地であっても同じでございます。こういう制度でございます。  次に、建設省からは、都市計画法第七条の市街化区域と市街化調整区域、いわゆる線引きを決めた条文がございますが、この制度の目的を簡潔にお答えを賜りたいと存じます。
  104. 高橋健文

    高橋説明員 都市計画法七条はいわゆる線引き制度を定めております。これは、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るために、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に区分するわけでございます。このうち市街化区域につきましては、「すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」でございます。一方、市街化調整区域につきましては、「市街化を抑制すべき区域」としておりますが、これは虫食い的なスプロール開発を防止して無秩序な市街地の拡大を防止しようという趣旨でございまして、計画的な市街化を図る上で支障がないと考えられる一定規模以上の計画開発につきましては開発を認めているわけでございます。
  105. 山田英介

    ○山田委員 この都市計画法七条のポイントは、要するに国土に線を引きまして、この道路からこっち側は市街化区域ですよ、この市街化区域についてはおおむね十年以内に優先的に計画的に市街化を図るべきですよ、ここがポイントになっているわけだと思います。こっちの調整区域は、市街化を抑制すべき地域である。  土地区画整理事業の関係でちょっとお伺いしようと思ったのですが、時間がどんどん過ぎますので、これは土地区画整理法の第一条に、建設省所管でございますが、「目的」といたしまして、「健全な市街地の造成を図る」という大目的が定められております。御答弁、済みませんが結構でございます。  それから、自治省の関係でございますが、今度は地方税法附則二十九条の五というところで、いわゆる長期営農継続農地制度というのが定められているわけでございます。これは宅地並み課税と裏腹の関係にございまして、市街化区域内の農地に対して課税される固定資産税、そして都市計画税につきましては、一定の申告をしてそれが認められるならば、十年間は農地のままの固定資産税の課税で済ませましょう、こういう仕組みでございます。営農を続けるならば、それが事実続けたと認められれば、十年間はいわゆる宅地並み課税はしません、従来の農地の課税で結構です、そして十年期限がたちました、そのときに再び希望してもう十年お願いしたいということになれば、同じ制度が次の十年も適用される、その次の十年も同じです、こういう仕組みが、これは自治省の所管の地方税法の附則二十九条の五というところで定められておるわけでございます。  私は、これはラフな言い方になりますが、この制度の根幹は間違いないと思いますが、一言、根幹は間違いないかどうかの確認と——有名な制度ですから、これは確認するまでもない、結構です。  では、農水省にお伺いしたいのですが、この長期営農継続農地制度、これは農水省としてはどういうふうに評価をされているのですか。これは一言、賛成です、続けてくださいという立場なのか、あるいはまあいいかげんにこの辺でというお考えなのか、いずれかで結構です。一言で結構ですから、それをちょっとお願いします。
  106. 山本徹

    ○山本説明員 お答え申し上げます。  農業経営の安定を図るために、今後とも維持すべき制度であると考えております。
  107. 山田英介

    ○山田委員 それと、転作奨励金が市街化区域内の農地、しかも区画整理が終わりました、立派な幹線道路の入った碁盤の目のような区画整理地内の農地につきましても出されておりますが、転作奨励行政の概要をお聞きしたいのではなくて、この意味における区画整理地内の農地についても、そこはもう本当に区画されたすばらしい一画になっているわけですが、そこにも転作奨励金を出しているというのはどういう意味になるんでしょうか。それに限定してちょっとお願いしたいのですが、どういう作用を及ぼすのか。要するに、まさか水田をやっているわけにいかないから、畑地にしてそこへ野菜かなんかつくらせるような、そういう形になるんだろうと思います、転作奨励というのは。その意味で一言御説明を伺いたい。
  108. 山本徹

    ○山本説明員 これはお米の需給均衡を図るという、農政上は大変重要かつ難しい問題の実効性を上げるために、およそ水田であれば市街化区域であろうとそうでないところであろうとを問わず、目標に沿ったお米の需給調整を確実に実施するために行っているものであり、必要であると考えております。
  109. 山田英介

    ○山田委員 私が伺いたかったのはちょっと角度が違ったのですけれどもサラリーマンの我々から見ると、我々という言い方もおかしいのですが、サラリーマン方々から見ると、要するに区画整理事業というのは優良な宅地を造成することを基本的な目的としているわけです。しかし、そういう区画整理地内にサツマイモや野菜が耕作されていて、お年寄りがそれにかかり切りになっていて、何であの整理地内の大きな区画のところがいつまでたっても住宅宅地として出てこないのか。何年経過しても同じような状態にある。  区画整理事業には、実は土地の地権者の皆さんによる減歩という形の資産の提供は確かにあります。大もとにはあります。しかしそれだけではなく、国から県から市から、公共施設の整備費については税金が投下されているわけです。全部とは言いませんけれども、道路等の基幹的な公共施設についてはサラリーマンの税金もそこに投入をされている。そして素直に読めば、主な目的は、むしろ勤労者に優良なそして適正な価格の良好な宅地を提供しよう、あるいはそこに住宅を建ててもらおうというような一つの政策目的があるにもかかわらず、実際には、先ほど申し上げました租税特別措置法七十条の六、この適用を受けた農地は二十年間基本的に出てこない、やめない限り。やめればさかのぼって莫大な相続税を払わなければなりませんから、やめられない。担保にとっていますから、この一部だけというわけにもいかない。  自治省が所管しております地方税法の附則二十九条の五による長期営農継続農地制度も同じです。十年、十年、十年で、そのつもりであればこの制度がある限りほぼ永久的に、市街化区域内の農地、しかも区画整理が終わっている農地であっても、クリの木一本植えて、あるいはサツマイモを そこに植えて、そして十年も二十年も三十年も表へ出ない、住宅宅地として出されてこない、こういうことになるわけでございます。  したがいまして、大臣も先ほどおっしゃっておられましたけれども、プランの段階ではない、メニューが幾らあっても、その中で何が一番有効かというところ、手をつけるところを決めるのはやはり政治であり、政治家であり、政府であるということならば、一番大もとにあるこの膨大な市街化区域内の農地というものについての規制というものをここで本気で見直さないと、これは他のいろいろなメニューを仮にどんなに議論したとしてもやはり前へ進まないのではないかという点を非常に強く私は感じるものでございます。  ですから、今、大蔵、建設、自治は済みません、こっちでやってしまいましたが、農水、それぞれの制度のそれぞれの創設の目的等は当然あったと思います。ただしかし、それがサラリーマンマイホームをという大きなテーマで議論をしていきますと、一つ一つの政策、制度というものを個々に見ればそれは間違いはないものだろうと私は思いますけれども、しかし整合性がない。サラリーマンにどうしたら住宅を持っていただくことができるかという観点から見ていくと、まことにこれは各省庁がよかれと思ってやっている制度あるいは法律というものがもうめちゃくちゃに矛盾してくる、ぶつかってくる。  大臣、ここが大きな問題でございます。土地対策関係閣僚会議あるいはその他政府部門でもあるようでございますが、国土法の運用をどうするかという話も大事ですけれども、やはりこういう細かいところにまで具体的に踏み込んで御検討いただかないと、なかなか実効が上がらないのではないか。国土法でいえば、確かに監視区域制度を設けて取引の届け出を義務づけた。百平米以上、二百平米以上の小さな土地でも義務づけた。しかし、そこをそういう形で届け出で抑えれば、その周辺の値段がまた上がってしまうのです。そこを抑えればまたその先が上がってくるということで、やはり基本的には土地の供給、需要のバランス、したがって、不足をしている住宅用土地というものをどうしたら実効ある形で確保できるかという今申し上げたような点をぜひひとつ御検討を賜りたいし、ぜひ一つ一つ修正なり実行なりをお願い申し上げたいと思います。  この問題はとりあえずここまでにいたしまして、それでちょっと申し上げたいのですけれども東京近郊の都市で調査をしたのですが、こういうことです。これじゃ農地が宅地用として出ないということがはっきりわかります。  例えば市街化区域内の農地千平米、一反ですね、三百坪。市街化区域内の農地で、A地区では田んぼは一年間に納める固定資産税は八千八百円でいいのです。畑は五千二百円で済んでおります。市街化区域内の農地です。これは当然十年の長期営農継続農地制度の適用を受けている農地ですね。年間八千八百円、畑で五千二百円。この市街化区域内農地が同じ地区で区画整理をされた。その整理地内の農地、これも千平米、一反、三百坪、田んぼで八千八百円、畑が五千二百円。当然ですね、宅地並み課税が免除されているわけですから。長期営農継続農地制度の適用を受けているから、区画整理地内であってもそうだ。じゃ、その同じA地区の区画整理地内の土地は、宅地並み課税がされたら固定資産税は年間幾らかというと二十八万円、こう出るわけです。  こうなりますと、いわゆる長期営農継続農地制度の適用を受けておれば八千八百円あるいは五千二百円で済むところを、それをもし適用を受けずに保有しているということになりますと、年間二十八万円払わなければならない、こういうことになります。一番率がいいと言われている米を仮に一反歩、千平米でつくったとしても、そこから得られる収益というのはいいところ十五、六万円でございましょう。そうすると、米なんかつくっていられない、畑なんかやっていられない、やはり区画整理事業の一つの目的である優良な宅地の造成という方向に行かざるを得ない。都市計画法七条も、市街化区域内農地はおおむね十年以内に優先的、計画的に市街化を図れ、こうなっているわけです。したがって、そのような政策誘導をする、長期営農継続農地制度というものをこの際見直すということは極めて根拠のあることでございまして、合理性のある見直しであり、その時期であるということを私は強く申し上げたいと思うのでございます。  それで問題は、こういう現状を放置しておきますと、都市計画法七条で線を引いたことが、市街化区域の農地と、あるいは農家といってもいいと思います、調整区域内の農地、農家との、余りにもひどい、目を覆いたいほどの、先ほど大臣土地を持つ者と持たない者との格差という点に触れましたけれども、この二つの地域の間における不公平、不公正、もうどうにもならない格差というものを追認をすることになります。あるいはそれをさらに拡大をするということになりかねない、そう言わざるを得ないわけでございます。しかも、サラリーマンには片道二時間、三時間というような遠隔地にしかマイホームは持てない、こういうことになるわけでございまして、委員長、大変僣越でございますが、これはぜひ当委員会といたしましても、改めて私がさせていただいた問題提起に対しましてさらに検討を深めていただければ幸甚である、かように存じます。  それで、特に三大都市圏の特定市の市街化区域内の農地の面積ということでございますが、資料によりますと、これは六十一年度の資料によってちょっと私の方で計算してみたのですが、三大都市圏の特定市、近郊都市で指定されたところを含めた特定市の市街化区域内の農地面積は四万三千九百三十五ヘクタールございまして、長期営農継続農地制度適用率はそのうちの八五%から八六%。首都圏では、長期営農継続農地制度の適用を受けている面積は約二万五千ヘクタール、一ヘクタールが一万平米でございますから、ずっと計算していきますと、首都圏の市街化区域内農地で長期営農継続農地制度の適用を受けている約二万五千へタタールを仮に全部宅地開発住宅開発したとすれば、公共施設用地を三〇%とったといたしましても、一戸建て住宅土地三十坪、九十九平米で土地つき住宅が約百九十万戸建設できる勘定になります。百六十五平米、五十坪土地つきの一戸建て住宅なら約百十四万戸建設できる勘定になる。  冒頭私が、千代田、港、中央の三区の中に片道三時間以上かけて通ってくる方が二千人いると申しました。あるいは二時間以上が六万数千人いるという報告に基づいてお話をさせていただきました。あるいは大都市交通センサスの中で、五百八十二万首都圏通勤者の中の約八十四万人が一時間半から二時間かけて通勤をしてくる。二時間以上の方々が十九万人おる。合わせて百三万人ほどだ。  これは、できるできないということは別といたしまして、少なくともそうやって二時間以上とか一時間半以上とか、ましてや片道三時間以上かけて通勤をしてくるようなサラリーマンに対して、首都圏にある市街化区域内の、開発が望まれている、開発を誘導すべきだとされている農地で、長期営農継続農地制度の適用を受けている、これを外せば、そういう遠隔地からの方々住宅の戸数ぐらいは、平均的なサラリーマンの年収の五倍ぐらいで都心から一時間あるいは少なくとも一時間半以内にはマイホームを供給できるはずだというふうに、大臣計算としては成り立つわけでございます。ただの計算だという意味ではありません。これは合理的に改革をすべきであるということをやればこういうことになるということですから、極めて決断という次元に係るものでありますし、極めて実現の可能性の高い、しかも土地問題、住宅問題の一番ベースにあると思われる大事な問題であるということを御指摘をさせていただきたいと存じます。  せっかく用意したパネルですから、ぜひ大臣にも見ていただきたいと思っているのですが、さっき区画整理の話をちょっとやりましたけれども、これは見えるか見えないかわかりませんが、整然と基幹道路が切られて、そして一等地、角地が、い わゆる長期営農継続農地の適用を受けた、あるいは二十年の相続税の免除を受けようとして申請をして、その期間が過ぎるまでは開発できないというところなんです。これは一等地なんです。住宅に困窮しているサラリーマン方々から見れば、こういうのがあちこちにあるとすれば、どうなっているんだということに当然なりますよ、人間気持ちですから。ここでおばあちゃんが後ろを向いて一生懸命お芋をつくっています。これは先ほどの区画整理地内。区画整理地内でなくても同じなんです。整理されていない市街化区域内の農地も同じ理屈なんです。  それから、もう一枚ちょっと見ていただきたいのですが、よく道を隔ててこっちは調整区域で三万円、道を隔ててトイメンが七十万円だという話を聞きますが、大臣、これがその図なんです。この道路のこっち側が調整区域で坪約二万だそうです。こっちが市街化区域内の農地で坪五、六十万というふうに言っておりました。これがその写真でございます。  もう一枚どうしても御検討いただかなければならないのですが、これは実は今の道路を隔てた市街化区域側なんです。この道路があります。ここに中低層の住宅があります。ここにまた民家が既にあるのです。この道路に面した手前に見える農地、これが相続税の免除を受けるために二十年間の営農を義務づけられたというか、営農しなければ免除を受けられませんから、二十年間このままの状態、要するに営農の状態で置いておかなければならない場所なんです。私がシャッターを押したのですから間違いありません。  問題はその後ろなんです。後背に控えている農地は広大な面積なんです。そこも市街化区域内の農地なんです。これは道を切れないのです。道を切ると、いわゆる二十年の相続税免除の制度がだめになってしまうのです。莫大な相続税をさかのぼって払わなければならない、税務署、大蔵省が担保にとっておりますから。もし道路を切れれば、後背地の広大な市街化区域内の農地は開発をしたいという農家の方はいっぱいいるのです。これがあるからできないのです。だから、よく県やその他の行政御当局が、もうそろそろ調整区域を少し線引きを変えて市街化区域に入れてくれよと言っても、こんなに余っている土地がまだ市街化区域内にあるじゃないか、それがまた全然市街化されてないのにもっとふやしてくれとはどういうことだと相手にもされない。あることはありますが、やりたくても開発できないのです。これがその写真なんです。  これをイラストでわかりやすくしたのですが、私は大臣、大蔵省さんにもぜひ御検討いただきたいのです。  まず一点は、こっちが調整区域、こっちが市街化区域、この道路を挟んで、道路についたところにこうやって市街化区域内の農地がある。こっちの道路の方にもある。これが全部二十年間営農を条件として、担保に入れて初めて相続税免除という農地でありまして、この中も市街化区域内なんですが、この広さが、これが解除されない限り、済まない限り開発されない。市街化区域内にこういう形の農地が極めてたくさんあるということをぜひ経企庁長官御理解をいただきたいし、大蔵省にもこういう細かいところをよく御認識を賜りたい。市街化がなぜ進まないかというと、実はこういう現実があるんです。  ですから私が申し上げたいのは、これは租税特別措置法七十条の六を所管されている大蔵省にぜひ早急に御検討をお願いしたいのは、相続税を免除する制度はいけない、だめだ、全部やめてしまえということを私は全然言っておりません。言うつもりもありません。調整区域内はむしろそれでいいんです。開発を抑制すべき土地なんですから、これはそのままでいいんです。ただ、市街化区域内の農地にあっては、少なくともこの後背農地を開発をしたいといった場合には、ここを切らなければ開発できないという状況にかんがみて、これはちょっと検討してもらわなきゃならない。所定の道路幅の転用については認めていただいて、しかしそのあとの基本的な大部分の農地について、二十年たったら相続税を免除しますというふうに変えてもらわないと、サラリーマンのための宅地なんというのは絶対出てこないですよ。  これは時間がありませんから、もっと言いたいのですけれども、僕の申し上げているポイントはわかっていただけるはずですから。要するに後背農地を開発できるように、こういう地形のところがあったならば一部は道路で転用を認めろ、そのほかについても、認めたからといって七十条の六の適用はもうだめですよという形は緩和していただきたい、こういうふうに大蔵省さんには検討していただくように御要請を申し上げます。  いろいろまだ制度の、租税特別措置の特典がございまして、例えば租特法三十一条の三などを見ますと、千平米、一反以上の市街化区域内の農地を宅地転用の目的で売れば、長期譲渡所得の特例を受けられまして、四千万以下の譲渡益であれば国税二〇%で済む、こういう特例を受けられるのです。それを受けた例えばこういうところの市街化区域内の農家の皆さん、農家というか、形は農家ですけれども実際にはほとんど農家じゃないのです。大臣、農家と言えるような中身の営農はしていない。それで一反歩そういう形で国税二〇%で譲渡しますと、その一反歩で得たお金で調整区域の方を約三反買えるのですよ、価格の差からいって。三反あるいは五反買えるところも出てくる。  サラリーマンが宅地を持ちたい、自分住宅を持ちたいという願望からすれば、気の遠くなるような二十年の相続税免除、十年、あるいは継続してさらに十年、十年と繰り返される長期営農継続農地制度、これらがだんだん崩れていってというか、だんだん解除されていって、それで恐ろしく長い時間がたって、おおよそこっちが市街化されたとします、そうすると、今度は本格的に調整区域の線引き見直しをして市街化区域に入れるという話になるわけです。それが実現の運びになっていくわけです。そのときには、こっちを、優遇税制度の中で一反歩売って三反歩買っていた人たちが要するに全部買っているということが理屈として成り立つし、現実に起こり得ると思います。これは恐ろしいことです。  先ほど大臣のお言葉の中に、経済社会における資産格差というものは極めて危険であるという趣旨の御発言がございましたけれども、これは余りにもかわいそうです。ある日都市計画法七条で線が引かれた。こちらが市街化されれば、いずれはうちの持っている田んぼや畑の方も市街化区域になるんだろうと思っている人たちの協力もあって来たわけでございましょう。ところが、実際にはこういう先ほどから申し上げておるような実態である。そして、市街化区域内の一部の農家の力のある方々が今度はこっちをどんどん買っていく。やがて長い時がたって線引きの見直しが行われたときには、その市街化区域内に編入されるところには既に調整区域内で頑張っていた人たちの農地は少なくなっておるという、著しい資産格差というものが増大をする、こういう問題もはらんでおりますので、ぜひこれは経企庁長官におかれましても、きょう御出席をいただきました関係各省庁の皆様におかれましても、真剣にお取り組みを賜りたい、御検討を賜りたい。今や実行のときであるとすら私は申し上げたいのでございます。  あとは、るるございますが、この問題は……
  110. 嶋崎譲

    嶋崎委員長 それぞれに御返答は要らないのですか。
  111. 山田英介

    ○山田委員 大臣、済みません、ひとつ総括して御所見をお願い申し上げます。
  112. 中尾栄一

    中尾国務大臣 私、今聞きながら、十五年前私が農林政務次官をやっておりましたときに、転作作物をやったのでございます。ところが、農家というものは、本当に自分自身が一生懸命働いて稼いでいくというのなら納得しますけれども、休耕田にすれば反別三万八千円、三万九千円やるよと言われても、余り納得したものではない。同様に、今先生指摘のその問題点は私が常日ごろ考えている問題点でございまして、とにもかくにも近距 離沿線にあんなに農地があるなんということ自体が、既に意味がないと私は思っているのです。農地といっても一体何をつくるのだ、農家ではないんだ。要するに、ただ先ほど言うた長期営農の制度の中で二十年間云々、そういう割り込みの中で考えておるというような問題点がるるございまして、これはもう改革すべきときが来ているのです。  そこで、私は率直に申し上げますが、今ポイントとして挙げられました問題点は、大きな改革のファクターの一つであるということだけは御指摘のとおりでございます。経企庁の中において今改革すべきことは、一つは総合交通体系である。私は総合交通体系の担当大臣もやっておりますから、それを今中間報告させておりますが、来春までにつくります。あと一つは農業問題であります。農業問題における基本的、抜本的な解決というものは、なかんずく、本当の意味の純粋にやっていく農家と、このようないいくらかげんな形で、ただ農地だけをうまく転がしておこうというようなやり方でやっていこうという農家、これを峻別しなければいかぬ。峻別した上でぴしっと政治が行使しなければいかぬ、こう考えておりますから、その点はひとつ御承知おきを願いたいと思います。
  113. 山田英介

    ○山田委員 「サラリーマンマイホームを持てるか」というテーマで本日は集中審議をさせていただいているわけでございますが、関連をいたしまして、といいますのは、地価高騰するというようなことで、なかなか気に入ったあるいは好ましい規模戸建て住宅を買えない、そういう事情の中で、本人の自己資金だけでは足りずに両親から七百万、一千万応援してもらって、それで一戸建てを買うというケースが極めて多いことは御案内のとおりでございます。こじつけみたいで恐縮でございますが、同じ土地問題でもありますし、そういうようなことからすれば「サラリーマンマイホームを持てるか」というテーマにもなじむかなというようなことで、今極めて大きな社会的な問題になっております原野商法について、許された時間内でちょっと議論をさせていただきたいと思います。  まず経企庁にお伺いするのですが、あと二十分ほどしかございませんので、これまた簡潔にお願い申し上げたいのですけれども、この原野商法、原野、山林などをとてつもない値段でだまして売りつけるみたいな、そういう商法でございます。生活センター等、苦情相談窓口では最近どの程度の件数が寄せられておりますか。件数だけで結構です。
  114. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 国民生活センターで取り扱いました原野商法に関する相談あるいは苦情の申し込み等の件数は、六十一年度が二百十五件、六十二年度が二百十一件、今年度は十月末現在で百三十五件、大体年間二百ちょっとぐらいの感じでございます。
  115. 山田英介

    ○山田委員 その中から、原野商法を行っていると思われる業者、今年度十月までで百数十件相談が来ていますね、それは同一の業者、同一のものの潜在的被害にかかっている人が複数いるかもしれませんが、原野商法を行っていると思われる業者は、そういう苦情相談窓口業務を通して大体つかめているはずでございますね。
  116. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 過去に扱いましたものをコンピューターにインプットしてあるもの、これは必ずしも消費者からの名前が正確に出てきてない場合もありますので、いわゆる名寄せというものについて一〇〇%の自信はございませんけれども、そういうのを大ざっぱに数えますと、大きくとれば二百社ぐらいにもなるわけですが、相当ダブりもあるでしょうし、あるいはもう過去のもので消えてしまったものもよくあることでございますが、窓口担当の感じとしましては、今現在活動状況といいますか、死んでないというのは数十ぐらいはあるだろうという感じでございます。
  117. 山田英介

    ○山田委員 名前は公表できますか、予防という観点から。
  118. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 名前は、消費者に対する警告という意味では、公表すれば非常に効果があることはよくわかっているのでございますが、これは当然制裁の効果がありますものですから。一方、国民生活センターは、権限を持って調べるということができないものでございます。したがいまして、消費者から持ち込まれた話だけに基づいて公表するということは、ちょっと難しいかと思います。
  119. 山田英介

    ○山田委員 その中でモグリ業者、いわゆる無免許業者と宅建取引業者として免許を受けた業者と分かれると思うのですが、免許を受けた事業者も結構おりますか。
  120. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 これも同じような事情で正確に仕分けをしてお答えすることはできませんが、両方ございます。
  121. 山田英介

    ○山田委員 警察庁にお見えいただいていると思いますが、警察庁のお立場で原野商法、現在活動していると思われる業者は何社ぐらいでございましょうか。あるいはモグリ業者と免許を持った事業者と、その比率はいかがでしょうか。予防という面から、その業者の名前を公表できますでしょうか。  以上お伺いいたします。
  122. 小林奉文

    小林(奉)説明員 御説明申し上げます。  最近のいわゆる原野商法に係る事件といたしまして、昭和六十一年以降警察におきましては二十事件を検挙しております。これらの事件検挙で判明しました業者数は二十六社でございます。これらの業者のうち、宅地建物取引業の免許を受けているものは相当数に上るという状況でございます。  第二点の公表の観点でございますが、警察といたしましては、事件検挙した法人名につきましてはその会社名等を公表しておりますが、容疑の段階でそういった名前について公表するということにつきましては、捜査上の観点から困難である、こういうふうに考えておる次第でございます。
  123. 山田英介

    ○山田委員 そこで、昨年あるいは本年に入りまして警察庁、特に生活経済課を中心に相当数のこの原野商法の悪徳業者を逮捕し、あるいはまた大きな成果を上げてこられていると理解いたしておりますが、昨年からことしにかけて、そのような強制捜査あるいは逮捕というような状況を経験されて、被害者救済、一般国民の被害を救済するというような観点からどんな御印象をお持ちでございましょうか。
  124. 小林奉文

    小林(奉)説明員 御説明申し上げます。  いわゆる原野商法などの悪質商法につきましては、消費者保護観点から初期の段階で速やかに対応することが必要である、こういうふうに考えております。  警察で捜査いたしました原野商法につきましては、詐欺罪で検挙しておるのが大多数でございます。この場合、悪質業者が巧妙な手口を用いて欺罔しておりまして、被害が顕在化しないケースが多い、また、悪質な業者を検挙した場合であっても、会社が既に倒産しているなどのため被害者救済が困難な面がある、こういったことでございます。  我々警察といたしましては、被害者救済という点を含め、消費者保護観点から、原野商法について今後とも疑わしい業者について早期に情報を把握して、初期の段階から厳しく対処していく、こういうふうに考えてまいりたいと思います。  以上でございます。
  125. 山田英介

    ○山田委員 そこで、今のやりとりで明らかなように、モグリ業者もいます、無免許業者もいますが、それなりの割合で相当数の免許を受けた事業者も現在この山林、原野などを種にして原野商法なる悪徳商法を行っている、あるいは疑いが極めて強い、こういうことが判明をいたしました。  そこで、免許を受けた事業者、正確に言えば宅地建物取引業者、ここを直接に指導監督する建設省におかれては、宅地建物取引業法を厳正に運用することによりまして、かなり大きな部分被害を食いとめられると私は考えておりますけれども、いかが御見解をお持ちでございましょうか。そして、具体的にどう法の運用をなされるのか、なさってこられたのか、この点につきまして御答弁をちょうだいしたいと思います。
  126. 小林満

    小林(満)説明員 お答え申し上げます。  建設省におきましては、日ごろから不動産業界に対しまして、信頼産業としての地位を獲得するように厳密に指導しておるところでございます。悪質業者による違法行為につきましては、法に照らし厳正に対処してまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  127. 山田英介

    ○山田委員 法に照らして厳正に運用、厳正に対処、その法に照らしてというところをもうちょっとわかりやすくおっしゃっていただけますか。法の運用といってもわからないですから、どういうふうに運用するのか。
  128. 小林満

    小林(満)説明員 原野商法に関しましては、現地に案内をしたりして、そういう場合にはクーリングオフの適用でございますとか、そういう制度があるものですから、今回の改正で五日間を八日間にクーリングオフの期間を延長しておりますけれども、そういうふうな消費者に対するPRも含めましていろいろやっておるところでございます。
  129. 山田英介

    ○山田委員 クーリングオフのところも極めて大事な消費者保護の——これは国民皆さんは、不動産取引、特に山林、原野、原野商法における取引においてクーリングオフの制度があるということをほとんど知りませんので、今御答弁にもありましたが、いろいろな方法を機会をとらえて講じまして、周知徹底をまさに通達のとおりやっていただきたいとお願いいたします。  それで、それはクーリングオフの角度から国民を啓発しながらという、ちょっと——先ほど警察庁の答弁にもありましたように、こういう経済犯罪というのは初動の段階でもってぴしっと押さえないと、被害者救済は非常に難しいわけでございます。詐欺罪ということで警察は入るわけでしょうけれども、実は詐欺罪といっても、五年たったら必ず上がりますよとか買い戻しますよということになりますと、そうやって原野、山林を売りますと、要するに五年たって返さないという事実がはっきりしたときでないと、詐欺ではないかということで強制捜査に踏み切れないということだろうと思います。ですから、七年前に実は潜在的な原野商法の被害者がいても、実際に七年たって、昨年、ことし検挙したら二、三年前に会社はつぶれて、預かったお金等は全然ない。被害者救済の立場からすると、いかにしてこの悪徳事業者を活動の初期の段階で、その首根っこをぴしっと押さえるかということが極めて大事なんです。そういう意味で、行政処分とか行政指導だけでは、とてもじゃないけれども、あのしたたかな原野商法のそういう悪徳業者をこの業界から、あるいはこの経済社会から駆逐するというわけにはなかなかまいらない。  そこで、私の方からちょっと申し上げさせていただきますが、実は宅地建物取引業法の厳正な運用で、かなり最小限に被害、事件を食いとめられるというふうに私は存じますので、ちょっと御指摘申し上げておきたいと思います。  それは、昭和五十三年十月二日に「別荘地等の取引に対する指導監督について」という建設省からの通達が出ております。ここには無料招待旅行先における販売行為について、このような見解が述べられております。それは、無料の温泉旅行招待出発の前までに、その旅行先で土地等の販売が行われるということを教えないで、知らせないで無料温泉旅行に招待してやった場合には、本法六十五条一項の第二号に該当する、こういう通達でございます。本法六十五条一項の二号というところを見ますと、「業務に関し取引の公正を害する行為をしたとき、又は取引の公正を害するおそれが大であるとき。」、そういう温泉無料招待、物件の販売を行うということを知らせずに連れていった場合、六十五条一項二号に該当するとはっきり通達で五十三年に出されておる。まさに十年前に原野商法の初期の活動があったわけです。それを十分念頭に置いて、踏まえてこの通達を出したことは、前後の文脈からいって余りにも明らかでございます。  そうやってこの二号に該当したときには、建設大臣あるいは都道府県知事は必要な指示を与えることができる。もうやめなさい、販売するな、聴聞会を開いてちゃんとそれを与える。悪徳業者というのは、二、三人売ったからといって、そこでやめるような連中ではないわけです。隠れて四人目、十人目、五十人目にまで売っていくわけですね。わずか百五十円のものを二万円とか二万五千円で売るというようなことをやっていく。仮にその指示に従わなかった場合には、六十五条第二項の規定によりまして、一年以内の期間を定めて、その業者の業務の全部あるいは一部の停止を命ずることができる、こうくるわけです。それでその次に、業務の全部または一部の停止命令に違反をするということになりますと、今度は罰則に入ってくるわけです。第七十九条「次の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」その四号に「第六十五条第二項」、まさに物件の、土地の販売をするということを告げずに温泉に招待をして、そこで接待し、いい気持ちになったところを強引に物件を、二束三文のものを何百万、何千万で売りつける。  これは、そういう手順を踏んでいくと、まず聴聞、指示、そして指示違反で業務の停止命令、命令違反で初めてここで司直の手が入るわけです。ここで免許を持つ悪徳事業者、悪徳モグリ業者——モグリ業者はとりあえずこっちへ置いておいて、少なくとも免許を持っている事業者につきましては、いわゆるこのシステムで彼らが動き始めるこの初動の段階でたたくことができるはずなんです。国土法とか森林法とか、今考えてみればいろいろな全然次元の違うそういう法律も見てみましたけれども、宅地とか田畑、これは宅建業法とか農地法とかその他の法律で一応取引の規制はかぶせられておりますが、それ以外のこういう原野とか山林とかあるいは池沼、境内地、塩田などについては、現時点においてはその取引を規制する法律は存在しないという結論に今私は至っております。そしてまた存在しない。  仮に新たに立法することがまた極めて困難なそういう部分であるということであるならば、今ある建設省が所管をされておられるこの宅地建物取引業法、これは五十三年の通達による六十五条一項二号に該当するという、そこから始まって、この法の厳正な適用でこの悪徳原野商法事業者、宅建事業者は、建設省においてやる気いかんによっては初動の段階でたたける。そしていわゆる国民の、消費者の被害をより少なく食いとめることができるはずでございます。そういう意味で、ぜひそういう点はしっかりやっていただきたい、こういうふうに思います。今申し上げました法の厳正な運用、このシステムは間違いだったら答弁してください、間違いではないはずですから。これは建設省さんのやる気の問題ですからね。  それからもう一つは、先ほど御答弁でありましたクーリングオフ、これはまさにこの原野商法から一般国民をあるいは消費者を保護するために特別に法律改正をして盛り込まれたのが三十七条の二、クリーングオフのこの条文でございます。したがいまして、この条文のこれまた厳正な運用、そして活用という点、この二つをしっかりやっていく中において、消費者を、一般国民をこういう山林、原野、二束三文のものをネタにして法外もない値段でもって売りつけていく、そして逃げてしまう、倒産してしまう、まさに詐欺というようなこういうものは、免許を受けていなければまたなかなか信用されないから、免許を受けている事業者がかなりいるのです。これは建設省さんも御存じのとおりです。少なくともそこの部分は——モグリの方はしようがないでしょう、これは。建設省さんでは無理です。そこまで僕はお願いしているわけではありません。それは筋違い、まさに警察庁のお仕事かと思います。  免許を持っている事業者についてはこの二点、特に私が申し上げました法の厳正な運用、このところを軸に、ぜひひとつ国民の利益を守るために、あるいはそういう毒牙から最小限に被害を食いとめるために、どんどん情報等を大事にして、百十 何件も国民生活センターに入っている、数十業者も名前がアバウトながら出ている、そういう一つ一つの情報を大事にして、そうしてそこから業者名を割り出して、聴聞に呼んで、いついつ告げずに温泉に連れていったですね、そうして何件販売しましたねという聴聞をして、もうやめなさいという指示をする。また情報がある、また監視の目が光る。その指示に従わなければ、これは一年以内の期間を定めて業務の全部、一部の停止命令をかける。それで、そういうのはまだやりますから、やったら本法の命令違反ということで司直の手が初めてそこで入る。そういう意味では、悪徳商法を断つという点では、捜査当局の動ける、強制捜査に入れる端緒をできるだけ早目につくっていただくことが、建設省にとっては法の厳正な運用ということの私の申し上げる具体的な措置である、対応であると申し上げたいと思います。御決意をお伺いさせていただきたいと思います。
  130. 小林満

    小林(満)説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおりでございまして、関係機関それから地方公共団体等とも連絡を十分とりまして、そういう悪質な業者がございましたら法に照らして厳正にやっていきたい、そういうふうに思っております。
  131. 山田英介

    ○山田委員 最後に長官、今の原野商法でございますが、被害を未然に、あるいはまた初期の段階でその悪徳業者の首根っこを押さえなければ、被害は拡大する、被害者は増大する、金額も大きくなるということで、私は今建設省さんとやりとりをさせていただきました。消費者のあらゆる権利を守る、あるいはまた物価政策等を通して消費者を保護する、そういうお立場にございます最高責任者のお一人として、原野商法について、今建設省にはそういうふうにお願いしましたけれども大臣からもぜひ特段の御督励と申しますか何と申しますか、ひとつバックアップ、推進方をお願い申し上げたいのでございますが、一言御答弁をちょうだいしまして、質問を終わらしていただきます。
  132. 中尾栄一

    中尾国務大臣 私は、かねがね政治というものの要諦というものは、やはり正邪をはっきりさせること、黒白を弁ずること、理非曲直というものをはっきりさせることというのが私の哲学でございますし、倫理でございます。したがいまして、私は国務大臣経済企画庁長官ではございますが、国務大臣の肩書はなくなりますけれども、警察庁の長官にさしていただいた方がよかったのではなかろうかなとさえ思っておるわけでございまして、私もその点においては徹底的に悪質な商法は取り締まるつもりでございますから、そういう方向でまた努力をしたい、こう考えておりますので、どうかよろしくその点も御理解のほどをこいねがっておきたいと思います。  ただ、特に早期の取り締まりは重要と考えておりますから、苦情などの窓口でございます生活センターなど、取り締まりに当たる警察庁、あるいはまた所管庁でございます建設省あるいはその関係官庁とも連携を密にいたしまして、御期待に沿うように全力を挙げるつもりでございます。
  133. 山田英介

    ○山田委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  134. 嶋崎譲

    嶋崎委員長 次に、塚田延充君。
  135. 塚田延充

    ○塚田委員 日本は今や経済大国であるとか、一人当たりの所得額は先進国の中ではトップ水準であるなどということが言われておりますので、あらゆる場所において経済大国経済大国という文字や言葉がはんらんしているわけでございます。しかしながら、一般勤労国民にとりましては、このまくら言葉のような経済大国という言葉を聞くたびに、自分生活実感と合わせてみるとどうもぴんとこないというようなことで、かえって白々しいような気持ちでこの経済大国という言葉を聞いているのではないでしょうか。  なぜならば、生計費が高いとか、住環境が劣悪であるとか、労働時間が長いとか、このような三重苦に悩まされておりまして、もはや中流意識すら落とさざるを得ないというような状況に追い込まれているのが現実だと思います。特に、今までの各委員の審議でほぼ明らかにされましたように、一般的な中堅サラリーマンがもはや首都圏においては自分持ち家を入手するという夢を放棄せざるを得ない、夢が無残に破られておる。このような状況を見てみますと、サラリーマンにとりましては、不公平な税制に対する憤りとともに、この住宅問題を考えると、もうサラリーマン一揆というものが起きたってしようがないんじゃないか、このような時期に至っていると思います。  この土地問題につきましては、今までずっと土地は買えば必ずもうかる、土地の値段は必ず上昇するんだというような神話が生まれてきておりました。その都度、政府におかれましてはいろいろな対策を打っていた事実そのものは認めます。しかしながら、いまだかつて抜本的な有効な策を実施したことはなかった。だからこういう状態になってしまった。すなわち、これは厳しい言葉ですけれども土地無策であったと指摘せざるを得ないと思います。このような土地無策、これが戦後ほぼ一貫して政権を担当してまいりました自民党政権によってもたらされたわけでございます。一方、自民党政権は現在の我が国の経済発展に大きな寄与をしたと自負されているのでございますが、それはそれで私も認めるのにやぶさかではございません。しかしながら、土地政策だけは失政続きだったとはっきり申し上げておきたいと思います。  きょうのメーンテーマはサラリーマンマイホームということでございますけれども住宅問題はイコール土地問題そのものです。マイホームを持てるかどうかということは、土地価格を下げられるかどうかということにかかっていると思います。そういう意味から、私は土地問題に絞って論議を進めさしていただきたいと思っております。  この解決策につきましては、各界各層の有識者からそれこそ百花繚乱のごとく案が出そろっておりますし、新行革審などにおいて、すなわち政府部内においてもそれこそ立派な案が出されております。要は決断と実行をどうするかだけだということは、今までの議論でも明らかになっているとおりでございます。しかし最も肝心なことは、私をして指摘さしていただければ、一般国民が感じていること、思っていること、すなわち常識を大事にして、それを政策の基本に据えて始めることからやってほしい、このように思います。  それでは、その一般国民のいわゆる常識ということでございますが、これはいろいろな妙手とか奇手というよりも、当たり前のことを着実に網羅的に実行することのはずでございます。国民が常識的に土地問題について考えていることを三つに絞ってみました。  まず第一は、宅地予定地は幾らでもあるはずだという実感であります。都心をちょっと離れれば、至るところに遊休地、または実際は農業というよりも値上がり待ちと思われても仕方のないような農地がごろごろしていることを知っております。これにつきましては、先ほど山田委員から詳しく御説明があったとおりでございます。これはすなわち、宅地は幾らでもあるはずだよという常識を前提にしなければいけない。  第二点は、土地税制についてでございますけれども、保有税を強化することが土地問題の解決に有効であるということは多くの識者から指摘されておりますし、空き地や偽装的な農地を見るたびに、多くの国民がその考え方を支持している方向に傾いていること、この件について強調しておきたいと思います。  なお、土地の売買に絡む譲渡益に対しましては、その課税が強化されたりまた緩和されたり、くるくる変わってしまっていること、これは当局におかれましては臨機応変の適切な措置をしているつもりでしょうけれども、長期的に見た場合、土地税制に対する国民の不信感を増長して、一方では、土地を持っている資産家にうまく利用されるだけの結果しか残してきていなかったんじゃないかということを指摘しておきたいと思います。  第三点、これは、我が国の憲法では絶対的土地 所有権が強調されているわけでございますけれども、所有よりも利用が優先されるべきであるという欧米でとられている相対的土地所有権を採用すべき時期に、この狂乱地価問題を契機にいよいよ市民権を得つつある時期に至ったということを確認していただきたいと思います。  以上申し上げましたごく当たり前の前提に立った上で、以下質問を申し上げたいと思います。  まず国土庁にお伺いいたしますが、去る五月の野党提出の土地基本法、これは理念といたしまして、土地の公共性、利用における公共福祉の優先、投機的取引の規制を中心としてうたっておりますけれども、同法案に対します国土庁の評価をお伺いしたいと思います。
  136. 石井隆弘

    ○石井説明員 野党の共同提案に係ります土地基本法案についてでございますが、国土庁といたしましては、この基本法案、さらには各界の有識者の御意見を参考としながら、引き続き法律制定の意義やその中にいかなるものを盛り込むべきか、先ほど御指摘のような常識、理念、そういったものを技術的にも整理いたしまして盛り込んでまいりたいと思っておりまして、現在鋭意検討中でございます。
  137. 塚田延充

    ○塚田委員 私は、野党が第一条、第二条という形ではっきりと出した法案について、これは無理だよとか、この理念はどうしても生かすべきじゃなかろうかとかいうような評価を具体的にお伺いしたかったわけでございますが、まあそれはいいといたしまして、次期通常国会に国土庁といたしましても同名の法案を提出するということが既に伝えられており、先ほどの質疑でもそのような言及があったようでございますけれども、もう一度お伺いしますが、次期通常国会にはっきりとこの土地基本法案が出されますか。
  138. 石井隆弘

    ○石井説明員 次期通常国会に提出すべく現在検討いたしております。
  139. 塚田延充

    ○塚田委員 検討、検討ということで時間ばかりたってもしようがないし、ぜひ次期通常国会に国民が拍手喝采をするような立派な基本法を出していただきたいし、それができないならば、野党の出した土地基本法についてはっきりと採用なりなんなりしてほしい。いずれにせよ、今しかやるときがないという意味におきましては、次期通常国会において、土地基本法を国家として持たなければいけないということを強調しておきたいと思います。  既に検討中であるというようなお話を聞きましたので、それに基づいて御質問いたしますが、去る六月に新行革審の答申を受けて閣議決定された政府の総合土地対策要綱を踏まえているはずだと思います。それでは、これから検討される基本法の中に、土地は所有よりも公共性が優先されるべきであるという理念が明示されるのか。私はされるべきだと思います。それから第二点目として、その基本法は都市計画法など実定法の上位法たることが明確に位置づけられるかどうか。位置づけられるべきだと私は考えます。第三点として、土地利用計画の策定及び実施に当たりましては、地方自治体の責任と権限が明示されるのかどうか。私はされるべきだと思うけれども、この三点について、今検討の流れの中でイエスなのかノーなのか、はっきりとお答えいただきたいと思います。
  140. 石井隆弘

    ○石井説明員 まず土地に関します基本理念の点でございますが、いただきました答申の中に五つの原則が示されております。  一つは、土地の所有には利用の責務を伴うべきこと。それから二つには、土地の利用については公共の福祉が優先すべきこと。三点目としまして、土地の利用は計画的に行われなければならないこと。四点目としまして、開発利益はその一部を社会に還元すべきことである。それから五点目としまして、土地の利用と受益に応じて社会的な負担は公平でなければいかぬ、この五つでございますが、これを十分現段階で検討いたしておりまして、法律的にどう整序するかということを今有識者の御意見もいただきながら鋭意進めております。  それから、基本法の性格の問題でございますが、これは現憲法下では、どの法律がどの法律に優位するということは、形式的な意味では必ずしもないわけでございますが、私ども考えといたしましては、現在ございます国土利用計画法がもろもろの土地の利用の規制、例えば都市計画法などでございますが、こういった法律についての一応その上位法的な運用がなされているわけでございます。土地基本法につきましても、基本町な国民の共通認識などにつきまして触れるわけでございますので、当然土地関係する法律がこれを大変尊重していただくということの性格は持つべきものというふうに現段階では考えております。  それと責務の話でございますけれども、確立されました基本理念について、国、公共団体などが着実にその線に沿った政策を実施していくということが必要であるというふうに考えておりまして、それにつきましても取り組むべきかどうか現在検討中でございます。  以上でございます。
  141. 塚田延充

    ○塚田委員 ところで、昭和四十年十一月発行の雑誌「自治研究」に「土地利用計画基本法の提唱」というテーマで、時の自治省参事官宮澤弘さんのグループが法案要綱まで発表されております。これは二十三年も前のことですけれども土地利用の公共性優先を明確に打ち出しているなど先見性、革新性、常識性に富んでおり、この線でその後の土地政策実行されていたならば、今こんなに狂乱地価イコールサラリーマンマイホームを持てないで苦しむなど、現在の状態とは大分違った形になったかもしらぬなあというように悔やまれるくらいのことでございます。国土庁は土地基本法の立案に当たりまして、自治省ではございますけれども、ぜひ先哲の研究成果を踏まえてほしいと要望しておきます。  次に、土地税制についてお聞きしたいと思います。まず企画庁長官にずばり質問いたします。  実際の居住のために供する面積分は別といたしましても、これを二百平米とするのか百六十五平米とするのか別といたしましても、一般的に保有税を強化すべきであるという有識者の論説、そして世論が極めて強いわけでございますが、これをどう評価いたしますか。
  142. 中尾栄一

    中尾国務大臣 率直な御質問でございますから、率直にまた答えさせていただきます。  土地問題の解決は、言うまでもなく、まさに豊かさ、それからゆとりを実感できる国民生活を築く上で極めて重大な課題である、こう認識しております。このためには、本年五月に閣議決定を行いました経済計画、私どもで発表したわけでございますが、「世界とともに生きる日本」におきましても、今後とも土地取引そのものの適正化を推進するとともに、まず第一に、都心部及びその周辺部における土地の高度利用等の推進、第二点として、国公有地における良質な住宅建設等の推進、第三番目といたしまして、良質なる新市街地の計画開発、第四番目といたしまして、東京等大都市地域の市街化区域内農地についての宅地利用の促進、第五番目といたしまして、企業等が保有する低未利用地の活用の推進等の諸点につきまして強力に推進することとしておるわけでごさいますが、土地保有課税のあり方につきましても検討しているところでございます。  土地税制のあり方につきましては、現在税制調査会を中心にいたしまして検討が進められているわけでございますが、経済企画庁といたしましても、本経済計画の着実な推進に相またなければならぬことでございますから、これと十分に対応しながら対応していきたい、このような所存でございます。
  143. 塚田延充

    ○塚田委員 冒頭申し上げましたように、今とにかく決断と実行のときであるということでございまして、そういう意味から私は、保有税強化ということについてずばり長官の御意見を聞いたわけでございます。  関連いたしますけれども、市街化農地に対する宅地並み課税の猶予については、それを横目でにらんでおりますサラリーマンにとっては我慢のならないことであることは、先ほども嫌というほど指摘されているわけでございますが、この宅地並 み課税の猶予、いろいろな事情があることは私も承知しておりますけれども、きょうの課題でございますサラリーマンがどうしてマイホームを持てるのか、その障害は何かという面から見まして、長官のこの問題に対するこれまたずばりの御回答を求めます。
  144. 中尾栄一

    中尾国務大臣 これはもう先ほど来申し上げておりますように、特にサラリーマンと限ったわけではございませんけれども、いずれにしても通勤をして東京都心で働きをしなければならない方々のためにも、むだな、なおかつ私どもはどう判じてもこれは農地として適応しておらないなと、先ほど先生の御指摘のとおり、そういう問題点は必ずこれをひとつ、先ほどの私の言葉ではございませんが、一体何が正しくて何が間違えているのかということの理非曲直だけははっきりさせていかなければならない。そしてその上に立って、これは正しいということは、これまた先ほどの先生のお言葉のとおり、実行あるのみでございますから、そういう意味においては、従来の私どもがやってまいりました国鉄問題等と同様に、この税制ともども、この問題点はしかと受けとめて取り上げていかなければならない課題である、このように考えております。
  145. 塚田延充

    ○塚田委員 同じことを大蔵省にお尋ねしたいと思います。  現在大蔵省は、私どもからすればもう蛮勇というような形で、国家百年の計だとかいうような名目のもとに、消費税を国民に不退転の決意で押しつけようとしておる。この問題の賛否は別として、市街化農地への宅地並み固定資産課税を猶予する制度とか、相続税納税猶予制度の縮小とか廃止について蛮勇を振るって国家百年の計に資す、このような意思ありや否や、どのように対処したらいいか、大蔵省の見解を求めます。
  146. 野村興児

    ○野村説明員 お答えいたします。  納税猶予の制度あるいは土地税制全般についての御質問かと思います。  本来土地政策におきますところの税制の役割と申しますのは、どちらかといいますと補完的、誘導的なものであろうかと思います。しかしながら、先般、総合土地対策要綱というものが定められたわけでございますが、その中におきまして、具体的にはこの猶予の制度の関係につきましてちょっと読み上げさせていただきますと、「市街化区域内農地のうち保全すべき農地として都市計画上明確な位置付け措置がなされないものについて、相続税の納税猶予制度を見直すなど、取扱いの適正化を図る。」こういう一つの決定が行われているわけでございます。したがいまして、この趣旨に即して現在そういう都市計画等の見直しがいろいろ検討されているわけでございまして、その検討を待ちまして私どもとしては対応していきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  147. 塚田延充

    ○塚田委員 譲渡益に関する課税は、私、調べてみたのですが、昭和五十四年以来ほぼ毎年のごとく改正が行われてきました。これは土地供給増を期待しての緩和措置と、一方、規制のための課税強化がほぼ交互でございます。言うなればあめとむちの併用なわけでございますが、あめを与えたときはさっとそれを利用する場合もありますけれども、このように税制がくるくる変わっていきますと、今甘いあめだけれども、もっともっと甘いあめがあると考えた場合には、思ったほどあめ玉につられての供給増はない。一方、むちを入れても、どうせ緩和されるからとたかをくくられ、無視されてしまう。結果的にはこのような税率などの猫の目のような変更は、土地持ちによって利用されているだけじゃないかと私は踏んでおります。調べてみたのですけれども、例えば五十四年には緩和措置、五十五年にはどちらかといえば強化措置、五十七年には緩和、五十八年も緩和、六十年には強化、六十一年、六十二年緩和というふうに猫の目のように変わってきて、結局供給増の役割は、今のよりもっといいやつが出てくるはずだということで、何ら意味をなしてないと私は結論を出したわけでございます。  そこで、企画庁長官にこの税制のあり方について、先ほど保有税は強化するということ、これは、土地問題において税制は補完的なものであると言うかもしれませんけれども、そうではなくて、保有税を強化するということは大変な基本的な政策そのものです。と同時に、今申し上げた猫の目のような譲渡益の税率などの変更、これについては二十年や三十年は変えないんだということを宣言するような形で、たとえ変えたとしても、これは規制のための強化があるのみで緩和はないというくらいのことをはっきり打ち出す、これが土地供給増、俗に言う吐き出しのもとになると考えますが、いかがでしょうか。
  148. 中尾栄一

    中尾国務大臣 土地の問題は、先ほどからもお互いにるる意見交換しておりますが、なかんずく昨今の土地高騰をもたらした一番悪い体質であると思いますのは、何といいましても今言った転売あるいは譲渡というものが頻繁に行われる、すなわち、上げるために買い、そして自分が保有するために買うのではなく、それを転売するために買う、そういう形における土地転がしというような形のものがどのくらい大きな罪悪をもたらしたかわからないということがわかるわけでございまして、それだけに、この問題に対する委員の示唆は十分に踏まえて考えていきたい、このように思っております。
  149. 塚田延充

    ○塚田委員 宅地をサラリーマンに廉価に供給するための具体案についてちょっと一緒考えてみたいと思います。  首都周辺でも、交通アクセスさえ整備されれば住宅地として活用できる土地が、例えば四十キロ圏、五十キロ圏に随所にあると思います。東京都内であるとか開発の進んでいる神奈川県、一部埼玉などは無理といたしましても、例えば茨城県や千葉県ならば、一般サラリーマンであっても、何とか年収の五倍とか六倍でもって土地を持てるような地価であることは確かでございます。ところが、交通事情が悪い、アクセスが悪い、だから実際そういうものを持った場合に苦労するのみということになるわけで、それを活用できないでいるというのが現状だと思います。  今、常磐新線が計画されております。これは企画から実現に向かっているところでございますけれども、その計画のスケジュールも含めた概要、そして、言われておりながらなかなか前へ進まないでいますけれども解決すべきネックがどこにあるのか。  そしてさらには、新行革審でも提案しております、開発利益の吸収により結果的にはこれから購入する人にとっても納得できる宅地供給が保障されるような特別立法ということもうわさされておりますけれども、この特別立法がどうなるのか、それらを含めて運輸省の答弁を求めます。
  150. 大森寿明

    ○大森説明員 お答えいたします。  まず、今お話しの常磐新線の概要等についてお話し申し上げたいと思います。  常磐新線の整備につきましては、昭和六十年七月に、運輸省の諮問機関であります運輸政策審議会の「東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画」という答申におきまして、その整備について答申を受けたものでございます。同答申は昭和七十五年を目標年次といたしておりまして、目標年次までに整備することが適当な路線としまして、東京から茨城県の守谷町南部までが答申されているところでございます。守谷町南部から筑波研究学園都市までにつきましては、同答申におきまして「需要の動向、沿線地域の開発の進捗状況等を勘案のうえ、整備に着手する。」というふうにされているところでございます。  同線の整備を図るため、現在、東京、埼玉、千葉、茨城の一都三県の関係地方公共団体、それから東日本旅客鉄道、それから運輸省から成ります常磐新線整備検討委員会を設け、検討が進められているところでございます。この常磐新線そのものは約六十キロにわたる非常に長い路線ということでもありまして、その整備に当たっては多額の建設資金、それから長期間の工期を要するということで、その需要の確保のためには沿線の地域開発が 不可欠な路線である。それで、事業主体や資金調達の方法、助成方策、用地取得の円滑化、開発利益の還元方策等、種々の基本的課題を解決する必要があるということは先生指摘のとおりでございます。このため、今申し上げたような検討委員会におきまして鋭意検討を進めているというところでございます。  それから、法案の点につきましては、さきの国会で成立いたしました多極分散型国土形成促進法におきまして、宅地開発と一体的に推進するための措置を講じなさいということになっておりますので、現在建設省と鋭意検討を行っている段階でございます。
  151. 塚田延充

    ○塚田委員 私自身も、常磐線で超長距離通勤をしておる言うならば通勤代議士の一人でございます。常磐新線の早期建設による輸送能力の増強を心から望むわけでございますが、それでもまだまだ混雑緩和ができない、そして茨城県南部には今言ったような廉価な宅地適地が残っておるということを考えますと、さらにもう一本の通勤用の路線を考えてもいいのではないかというような感じがいたします。  それにつきましては、これも運輸省にお伺いいたしますが、営団地下鉄の都市計画十一号線、俗称半蔵門線でございますが、これが今日本橋三越前までの工事をされておるそうですが、いつ三越前が開通されるのか。それから、免許を持っておる路線としては蠣殻町までだそうでございますが、これはいつ開通できるのか、お伺いしたいと思います。
  152. 加藤甫

    ○加藤説明員 お尋ねの営団地下鉄十一号線は、半蔵門から蠣殻町まで工事中でございますが、現在のところ、まず三越前までにつきましては六十四年一月末には開業の運びになろう、さらに三越前から蠣殻町につきましては六十五年の秋ごろには開業の運びになろうという形で工事が進められております。
  153. 塚田延充

    ○塚田委員 免許は渋谷—蠣殻町までだそうですけれども、六十年七月の運輸政策審議会答申の図面では松戸まで延伸されることが記載されているそうですが、それが事実なのかどうか。  そして、私がお尋ねしたいのは、松戸までではなくて、今言ったようにさらに北伸させること、これがその地域の開発及び混雑緩和というよりは、きょうのテーマでございます、サラリーマンに安価で優良な宅地を提供する有効適切な手段になると考えておりますけれども、そういうような北伸させることについて御検討いただけるかどうか、お答えいただきたいと思います。
  154. 大森寿明

    ○大森説明員 お答えいたします。  二つほどあったかと思いますが、まず一つは、松戸までの計画になっているかどうかでございますけれども、答申におきましては松戸まで線が引かれておるわけでございます。  それからもう一つは、松戸からさらに北へ延ばすべきではないかという御指摘かと思いますけれども、六十年七月の答申におきましては、茨城県南部までの路線としては先ほど御説明申し上げました常磐新線の整備が答申されておりますので、まず同線の整備に努めてまいりたいということでございます。
  155. 塚田延充

    ○塚田委員 特に運輸大臣が熱心のようですけれども、新幹線を使っての通勤ということも有効な手段である、これについては賛否両論があるようでございます。しかしながら、一つの方法であることは確かでございます。そうした場合、同じように廉価な宅地を新幹線活用によってサラリーマンに供するという目的におきましては、東北新幹線の大宮と小山の間、ここは意外と開発が進んでおらず、今から開発する適地が十二分にあるわけでございます。となりますと、この間に新駅をつくることは宅地圏を広げるという意味において有効だと思いますし、また、官庁などの進出が非常に多くなっております筑波研究学園都市への玄関口としての役割も同時に果たせるという意味から、新駅をつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。運輸省にお伺いします。
  156. 大辻嘉郎

    ○大辻説明員 新駅設置につきましての運輸省の考え方を御説明させていただきたいと思います。  新駅の設置は、基本的には旅客鉄道会社の経営判断の問題であるかと考えております。その際、十分な利用が見込めまして経営収支を悪化させないこと、あるいは勾配等から見て技術的に問題がないこと、さらには駅周辺地域の整備等につきまして地元地方公共団体の御協力が得られること等々、総合的に判断されるというふうに考えております。運輸省としましては、このような会社の考え方を尊重してまいりたいと考えております。
  157. 塚田延充

    ○塚田委員 首都圏サラリーマン土地住宅問題に関する共同アピールとして、労働団体でございます全日本民間労働組合連合会、俗称連合日本経営者団体連盟、俗称日経連がアピールを出しておりますことは先ほどの委員からも指摘されたとおりであり、これほどに経営者にとっても大変に重要な問題になって浮かび上がってきたということでございます。  このアピールは三つの項目からできておりますけれども、一つは、とにかく実行だということで、行革審が提案したことを早急にやりなさい。第二番目としては、土地税制の抜本改正、特に市街化区域内の農地について活用を考えなさい。そして三番目でございますけれども、国、地方自治体の土地、施設や資金、企業の遊休用地、施設、市街化区域内農地等の活用による企業の枠を超えた低廉な共同社宅の大量建設を推進してほしい。これについて労使のみならず関係省庁、研究機関等多くの参加、協力を得て、具体的な方策を検討してほしいというアピールでございますけれども、これにつきまして国土庁の見解を求めます。三項目についてです。
  158. 石井隆弘

    ○石井説明員 国土庁といたしましては、総合土地対策要綱の実施につきましてフォローアップをするという役目がございますので、アピールで指摘されていることが要綱に現実化しているわけですから、これの執行につきまして各省と協議、調整を進めながら土地対策を進めてまいりたいと思っております。
  159. 塚田延充

    ○塚田委員 いずれにしましても、この土地対策というのはメニューはできておるけれども、どれを選びどれを実行するか。そして官庁間のセクショナリズムであるとかいうことはやめていただきたい。さらには既得権益者がなんの、整合性がどうの、検討、検討と言っているうちにさらにマイホームが遠のいてしまう、今までもそのために遠のいてしまったということが現実のはずでございます。そうした中におきましては、新行革審が出しました答申、私はこれを一〇〇%きちんと実行すれば、余分なことを考えなくても大丈夫だというくらいに考えております。やるかやらないか。  この新行革審の中にはポイントが、これは順不同ですけれども、第一に遷都問題、第二に宅地開発と交通アクセス、第三に市街化農地の宅地並み課税、第四に低未利用地の利用促進、大深度地下利用権、住宅開発義務制度、開発利益還元、土地収用制度改正、税負担回避の歯どめの措置、国公有地処分についてというような項目が挙げられておりますけれども、とにかく積極果敢にこれをつべこべ言わずにやってほしい。なぜできないかというネガティブリストの言いわけは聞きたくない。それがあるうちはますますマイホームは遠のいていく、このように考えます。そういう意味におきまして、土地基本法の制定などもてことしまして、結果的には新行革審の答申、これがサラリーマンの要望そのもののはずでございますから、きちんと実行されるよう、本来でしたら企画庁長官に最後の答弁を求めるところですが、おりませんので、これで終わらせていただきます。
  160. 嶋崎譲

    嶋崎委員長 次に、岩佐恵美君。
  161. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 最近の地価の異常な高騰の原因は、土地の地上げだとか買い占めなど、先ほどから指摘をされております投機的行為にあります。その投機的行為、買い占めを促進したのが金融資本の過剰融資です。この問題について昨年秋、私は当委員会で取り上げました。しかし、まだまだ地価は下がっておりませんし、特に東京郊外の地価上昇は続いています。西多摩地区は四七・一%、こ れは六十三年の基準地価でそれだけの高騰になっています。  まず国土庁に伺いたいと思いますが、国土庁は、六十二年一年間の土地取引の監視区域詳細調査を実施し、本年八月九日にその結果を公表しています。それによりますと、東京二十三区、武蔵野、三鷹で土地取引件数が五万四千二百件、そのうち法人による、先ほど大臣土地転がしと指摘をしておられました転売取引でありますが、これが七千百三十一件と全体の一三%を占めています。この調査では転売物件にかかわる抵当権も調べているわけでありますが、その結果について明らかにしていただきたいと思います。
  162. 大日向寛畝

    ○大日向説明員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘があったとおり、東京都におきましては、監視区域における地価の動向及び土地取引の状況等を常時把握するため、国土利用計画法の規定に基づきまして監視区域詳細調査を実施しているところでございます。  土地取引の状況につきましては、登記簿の閲覧等によりまして調査しておりまして、その調査の中で短期転売と認められる土地取引について、抵当権の設定状況をも把握することとしておるわけでございます。しかしながら、金融機関の抵当権の設定状況につきましては、プライバシーの問題等もございますので、行政内部の資料として活用していただくということでございまして、一般に公表することは差し控えさせていただいているところでございます。
  163. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 去る十月二十五日付の東京新聞の報道では、「法人による転売の約九五%、約六千八百件に金融機関などが抵当権を設定しており、抵当限度額は約二兆五千億円。このうち、ファイナンスなどの貸金業融資が約二九%、約七千三百億円と、銀行などの他の金融機関による融資と比べて最も大きかった。」こういうふうな報道がされています。この報道について事実はどうか、そのことを伺いたいと思います。  また、土地対策のために金融業界の動きを正確につかんで、適切に対処していくことが重要であります。プライバシーとかいろいろ言われているわけですけれども、そういうことを言っている限りにおいては、やはり適切な対応をすることができないと思います。そういう意味で何らかの公表をしていくべきだというふうに思います。再度お答えをいただきたいと思います。
  164. 大日向寛畝

    ○大日向説明員 お答えいたします。  御指摘の十月二十五日付の新聞の記事の内容は、独自の取材によるものであると考えられております。  このたび東京都が実施いたしました東京都の監視区域詳細調査の結果の概略を申し上げますと、昭和六十二年度において東京都の二十三の特別区等で行われました土地取引件数は、おっしゃるとおり五万四千二百七件でございまして、この約一六%に当たる八千五百十一件が短期間に転売された土地取引であるということになっております。これらの転売物件につきましては、さらに登記簿の閲覧等によりまして抵当権等の設定状況をも調査しておりまして、この調査結果は関係省庁に対して情報として提供しているところでございます。しかしながら、抵当権等の設定には当事者間の種々多様な事情が絡んでおりまして、登記簿のみでは融資状況を的確に把握できない場合も多うございまして、そういったことで国民に誤解を生じさせてはいけないということも配慮いたしまして、公表することは差し控えさせていただいているところでございます。  この調査結果につきましては、投機的な土地取引への融資状況を把握する際の一つの手がかりといたしまして、関係省庁に提供いたしまして御活用をいただいているところでございます。
  165. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 きょう皆さんのところにお配りをいたしましたけれども、金融機関の不動産融資について昨年から引き続きまして今回も表にしてみたわけでございます。六十三年三月期は六十二年三月期よりも伸び率は全体としては下がっています。しかし、都市銀行の中でも一〇%以内の伸び率の銀行は十三行中六行であります。あとはほとんどが一五%から二〇%台、太陽神戸銀行のように二九・九%のところもあります。依然として問題があると言わざるを得ないわけであります。  また、今回地方銀行に着目をして、一体不動産融資の伸びがどうなっているのかということを調べてみたら、かなり異常な伸びであります。横浜銀行は三七・七%、千葉銀行が三三・五%、都民銀行が四一・二%、大阪銀行が三五・五%、池田銀行が四二・一%、足利銀行が二八%などと、地価高騰地域で今なおこのような過剰融資が行われている、こういう実態が言えると思います。  大蔵省に昨年も要求したのですが、このような数字は私どもでもできるのです。有価証券報告書から拾えばできるのですから、こういう数字をちゃんと公表して、そしてその上に立って厳正に指導をすべきだと思います。大蔵省の甘い姿勢がこのような融資を放置している、こういうことが言えると思います。これではいつまでたっても地価は下がらないのです。転売が行われるのです。  また、貸金業の融資の問題が国土庁の調査を通じて改めて指摘をされているわけでありますけれども、これらについて大蔵省のお答えをいただきたいと思います。
  166. 武藤敏郎

    ○武藤説明員 御承知のとおり、金融機関の土地関連融資につきまして従来から大蔵省の方で通達を発出いたしまして、適正化に努めてきたところであります。昨年の七月以降は特別ヒアリングということで、個別融資案件にまで踏み込んだ調査を行っておりますし、また昨年の十月には改めて通達を発出いたしまして、不適正な融資は排除するということで、審査、管理体制の確立に万全を期してまいったわけでございます。  御指摘の計数でございますけれども、有価証券報告書からの計数だと思いますが、私どもといたしましては、この金融機関の不動産業への融資残高が直ちに投機的な土地取引に対する融資だというふうには考えておりません。昨年来の厳しい行政指導によりまして、それぞれの金融機関において適正に対処していただいているものというふうに考えております。やはり個別の金融機関で見た場合には、実需に基づく融資の要請というのは現にあるわけでございまして、個々の金融機関という観点で見ますといろいろな動きをするわけでございますけれども、総体といたしましては、不動産業への融資残高が鈍化しているということは言えるのではないかというふうに思っております。  それから次にお尋ねの貸金業の不動産融資の問題でございます。貸金業者につきましては、金融機関の関連会社であります貸金業者とそうでない貸金業者によって扱いが分かれるわけでございます。  まず金融機関の関連会社の場合には、その金融機関を通じまして、投機的土地取引等に対する融資の自粛について厳しく指導しております。具体的には、既に申し上げました特別ヒアリングということを行いまして、貸金業を行う関連会社を通じて不適正な土地関連融資が行われることのないように、親会社である金融機関を強力に指導しているということ。それから、昨年の十月十九日に発出いたしました通達においても、同様に金融機関の関連会社における不適正な土地関連融資というものは厳に排除するということで、この徹底を図るよう金融機関に対して一層実効ある指導を行っているところであります。  次に、金融機関の関連会社でない貸金業者につきましては、貸金業法上一般的な指導監督権限がないという限界はございます。限界がございますけれども、可能な限り投機的土地取引に対する融資の自粛を徹底するという考え方を私ども持っておりまして、業界団体に自主ルールを作成していただいておりますけれども、この自主ルールに沿いまして、土地投機に係る融資が抑制されるように、所あるごとに注意を喚起するなど最大限の努力をしているところでございます。
  167. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 大蔵省は、銀行の不動産業への融資残高がすぐに土地投機につながるわけではないというふうなこと童言っておられますけれども、し かし、先ほど申し上げたように、首都圏地価が今かなり上がっている。西多摩地域なんか非常に上がっているわけです。そういうところで、ではどうなのかと調べてみると、そういう関連の地方銀行の不動産業に対する融資残高はふえている。あるいは、これは池田銀行とか大阪銀行は関西でありますけれども、やはり関西でも、関西の近郷の地価が上がっている。そういう相関関係があると推測をされますし、それに国土庁もこういう問題について指摘をしているわけでありますから、この問題については本当にもっときちんとメスを入れていかなければいけないと思うのです。  例えば、都市銀行の金融保険業への融資を六十二年三月—六十三年三月で見てみますと、第一勧銀の場合に二四・五%ふえている。富士銀行は二三・三%、三菱は三六・八%、東海銀行は三五・一%、太陽神戸銀行は三一・一%、大和銀行が三三・二%、埼玉銀行が二二%、こういうふうにふえているわけであります。これらがサラ金業に流れて、それが土地に回っているのじゃないか、そういう指摘もあるわけです。私は先ほどから申し上げているように、去年も言いましたけれども、大蔵省は、私たちだってできる、有証を見れば金融機関の不動産融資の残高というのはつくれるわけですから、わかるわけですから、そういうのを見て、きちんとこれを公表して、その上に立って厳正にちゃんと指導すべきだということを繰り返し言っているわけであります。大蔵省とこれ以上議論をしても、昨年同様なかなか結論が出ません。  大臣に一言。先ほどから言われていた投機的なそういう転売取引、この裏に金融資本がある。そして金融資本の実態について、地方銀行だとかあるいはサラ金に回っているであろう都市銀行の金融業に対する貸付残高、そういう表を今お示ししたわけですけれども大臣、大蔵省に対して、こうした問題についてきちんとしていくようにということでぜひやっていただきたいと思います。
  168. 中尾栄一

    中尾国務大臣 御質問の前後はちょっと今決算委員会に出ておりましたのでわかりかねますが、私は、どだい金融機関というものは、何も強いものを強くし、弱いものを強くするというだけのことではなく、要するに中立公正にして、まさにフェアな貸し方によって、むしろ何といいましょうか、現在の私どものこの資本主義社会の中において、健全なる発展というものの企業体系あるいは個人の誘導というものも考えていかなければなるまい、こういうのが一つの方針でなければならぬと思うのであります。そういう意味においては当然のことながら、金融機関は私の理解する範疇の中では、ある貸し付けを行う場合には、それに対する担保というものが一緒になってくるということもございますが、担保とかあるいは会社のヒドンアセットといいましょうか、隠れたアセットに対するさらに倍増するような融資といいましょうか、過剰融資といいましょうか、そういうものは厳に慎むべきであろうなというのが私のもともと持っておった論理でございます。したがいまして、そういう点におきましては、それが金融機関の中において大きなプロフィタブルなものであるから貸し付けていくんだという商法取引的なやり方というものは、ある意味において半公共的な立場にあるだけに、厳に慎んでもらいたいとは私も常日ごろ思っている心情でございます。
  169. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 次に、住宅・都市整備公団の多摩ニュータウン豊ケ丘の分譲宅地の建設コンペについて伺います。  この地域はもともと学校用地だったものです。これを公団が民間に譲渡をして、住宅建設をすることにしたものです。総面積は二・一五ヘクタール、総額四十六億六千五百五十万円、こういう大型な事業です。十二社の応募の中からリクルートコスモスが選ばれています。それについて幾つか疑問があります。俗に設計コンペと言われるこの件で、みずからは設計をしない、設計施工はフジタ工業が請け負っています。リクルートコスモスがそのような条件の中でなぜ選ばれたのか、それが大きな疑問であります。  また、リクルートコスモスは六十一年二月十二日、つまり譲渡が六十二年の五月でございますから、その一年前に、土地の売買で建設大臣が定める手数料を越えて徴収したことなどから、宅建業法違反で行政処分を受けている、そういう会社です。ことし八月二十四日の参議院の予算委員会で、我が党の上田参議院議員がこの問題を取り上げました。このような手数料違反で建設大臣免許の大手業者が処分されたのは、この数年で初めてだということです。しかも、リクルートコスモスが得た手数料の額は全体で四億五千万ということですから、これは勘違いして取り過ぎたとかいうような弁明をしているようですけれども、大手の不動産会社が勘違いして取り過ぎたとか言えるような範囲のものではないというふうに思います。  同時期に稲城市のB、C地区の設計コンペが行われ、B地区は三十五億七千五百万円で長谷川工務店に、C地区は十一億七千四百八十万円で木下工務店に譲渡をされています。これらの三つの事業が同時に公団によって民間に譲渡されるというコンペが行われたわけですけれども、この三つの中でリクルートコスモスの事業が一番大きいということであります。このような重要な事業を、株の店頭公開をしたのが六十一年の十月三十日でありますから、会社としては新しい、しかも実績もなく、地上げ不動産として非常に問題があると指摘をされている、先ほど申し上げたように手数料取り過ぎということで行政処分まで受けているこのような会社をなぜ選んだのか、これが理解できないわけであります。その点、通常ではあり得ないということだと思いますが、建設省に説明していただきたいと思います。
  170. 五十嵐健之

    ○五十嵐説明員 お答え申し上げます。  先生質問のリクルートコスモスに対してなぜ決定したかということでございますが、私ども民間おろしという手続でやっておりますけれども、この制度は、あらかじめ一番最初の段階で、所在地でありますとか面積でありますとか、それから住宅事業者に販売する土地の譲渡予定価格等、これらを公表しておきまして、それでそれぞれの計画のいいものを出してくださいというようなことでやる、先生おっしゃるような言い方をいたしますと、設計コンペというようなやり方でございます。  本件の場合におきましては約十二社が応募いたしまして、その計画内容から最もすぐれたものであるというように住宅・都市整備公団が判断いたしまして、なおほかの要件であります資力、信用とか技術力でありますとか、そういった点についても問題ないというようなことで、応募された中で最もすぐれたものであるということでそこに決定したものでございます。  それから、宅地建物取引業法の処分についてお触れになりましたが、このリクルートコスモスにつきまして、六十一年二月だったと思いますけれども、宅地建物取引業法に基づきます指示処分が行われておりますことは先生指摘のとおりでございます。これにつきましては、一つは不動産取引にかかわります媒介でありますとか代理人でありますとかに関する問題が生じたということから生じた指示処分でありまして、本件、どういうすぐれた計画をつくっていただくか、あるいはそれをどうやって確実に実行していただくか、そういうようないわゆる分譲事業の遂行とは直接的なかかわりがないということから、当該リクルートコスモスについて応募資格があると判断したと聞いておるところであります。
  171. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 公団は、八月二十二日の参議院予算委員会で「リクルートコスモスは現在多摩ニュータウンで工事の建設中でございますが、今までのところ何ら支障は起こっておりません。」こういう答弁をしています。これは事実と違います。私は現地に行ったのですが、周辺住民の方々からリクルートコスモスの設計について抗議があって、結果的に一部設計変更を行っています。このことについて、その内容、処理について説明をしてください。
  172. 五十嵐健之

    ○五十嵐説明員 お答え申し上げます。  要するにリクルートコスモス社がここの仕事を するというように決定した後、その仕事を実施するに当たりまして周辺住民の方々から、日照の問題でありますとか圧迫感があるといったような苦情が出されたということは聞いております。それに対しまして、多摩市が中に入られましていろいろ調整をなさったというようなことがありまして、設計の変更と申しますか、一番高い建物が十一階建て、一部十階建てというような建物でございましたけれども、それを十階建て、一部九階建てに変更するといったようなこと、あるいは建設戸数は全体で二百二十四戸の当初計画でございましたけれども、これを二百二十戸に変更したこと、それから地盤面、宅盤と言っておりますが、地盤面を平均して五十センチほど切り下げたというようなことで、計画が変更されたところでございます。本年の三月に建築確認を経まして、建築工事に着手したということでございます。
  173. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 公団の南多摩開発局総務部宅地募集課が示した分譲申し込み要綱、これに建設指針というのがあります。多摩ニュータウンの敷地Aについては、「建物配置にあたり、周辺の市街地との調和に配慮する。」「中・低層集合を主体とし、一ha当たりの住宅戸数の限度は概ね一〇〇戸とする。」こうなっております。ところが、リクルートコスモスは十、十一階建ての建物を含む設計を出したわけです。これは明らかに中低層ではありません。建設指針に反しているのです。同コンペで不採用になった近鉄不動産が、これは私どもがじかに聞いたのですが、自分たちは四、五階建て中心のものを出した、建設指針に忠実に従ったつもりです、これが不採用になっているわけです。こういうようなことがありました。  周辺はすべて中低層中心なのにこのような高層が突然建てられれば、圧迫感もあるし、日照問題も起こるわけです。これはもう当たり前のことです。結局、今話があったように十階を九階、十一階を十階に切り下げる、建物の土台も五十センチ切り下げる、あるいは建物の一部を道路から一メーター内側に入れる、こういう設計変更を行って日照が三十分伸びたというようなことでありますけれども、しかし、いまだに周辺の皆さんはこれでは納得しないと言っておられるのです。風も変わったし、通学路が日照がないために凍ってしまう、どんなにか子供にとって危ないか、いろいろな問題が指摘をされているわけであります。なぜ住民にこのような迷惑をかけるリクルートコスモスを選んだのか、全く理解できないのです。  今リクルートコスモスは、百四十人の政官界の人を含めて、みずからの利益を拡大するためにお金を株という形でばらまいて大問題になっています。ばらまかれた現金が五十億とも七十億とも言われているわけでありますけれども、今回私が取り上げた多摩ニュータウン建設については、公団や建設省がリクルートコスモスを特別に優遇しているというふうに言わざるを得ないわけです。このことは本当に異常だし、今迷惑をこうむっている住民の皆さんは納得がいかないと言っているのです。この多摩ニュータウン開発とリクルートコスモスの関係については、私だけではなくて、もう既に先ほど紹介をいたしましたように、参議院では我が党の上田参議院議員だとか、あるいは先ほどの答弁社会党の久保先生、いろいろな方々が取り上げておられるわけであります。私は、こういう問題は本当に国民が納得がいくような形で解明をしていかなければいけないと思うのですね。その点、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  174. 中尾栄一

    中尾国務大臣 私は、リクルートコスモスというのは最初化粧品会社だと思っておりましたから、何といいますか余り関心は持っておらなかったのでございますが、ここのところ有名になってまいりましたので知ったという程度で、まことに今の先生の御指摘の多摩ニュータウンの問題でございましょうか、そのことについては勉強不足でございました。少しく勉強したいと思っております。
  175. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 民間デベロッパーが開発をした場合に、公団の分譲住宅よりも平米当たり十万円、百平米で一千万円高くなるのです。現在でさえ公団の分譲価格が高くなって、もうなかなか入れないというような状況が生まれているわけです。本当にもう分譲住宅は庶民の手が届かないところにいっている。それが、民間参入でまた郊外の分譲地内の建設が行われる。そうすると公団の分譲価格が上がる。民間の高いのがありますから、それにつられてまたさらに上がる。またそれによって民間が上がる、こういうふうにシーソーゲーム的に上がっていくというような状況が生まれる心配があるわけです。もう既に一部生まれているわけですし、しかも豊ケ丘のように、民間活力の導入と称したリクルートコスモスの開発が既にそこにお住まいの皆さんに多大の迷惑を与えている。こういうことは大問題だと思います。  公的機関による本当に勤労者が買える価格での住宅の建設、それが今大事だというふうに思います。安くて住みよい住宅を公的な機関が責任を持って供給するということで、今の異常な地価の暴騰に歯どめをかけることができると思います。今そういう意味では、民間活力ということでこういうリクルートコスモスの採用みたいなことがどんどん行われるということは、私は逆行していると思います。その点、大臣の御意見伺いたいと思います。
  176. 中尾栄一

    中尾国務大臣 まことに申しわけございませんでしたが、先生のずっと最初からのお話を聞いておりませんでしたものですから、どういう対話で結びついておったのかわかりませんが、いずれにしましても昨年秋に経済企画庁が行ったこの試算では、平均的な年収との関係住宅取得できるような地価水準を念頭に置いて行ったものでございますが、現実地価水準との乖離は大きいというふうに認識をしておるわけでございます。  住生活の充実というものは、豊かさとゆとりを実感できる国民生活を築く上でまことに重要な課題でございまして、資源や資金の配分を居住分野へ重点的に行って、良質な住宅の蓄積と安全で良好な居住環境の整備を推進することが必要だ、こう考えておるわけでございます。本年五月に閣議決定を行いました経済計画「世界とともに生きる日本」におきましても、委員指摘の公共住宅についての供給の推進を図ることとしております。  何か今自分でメモをとって見ておりましても、余り先生の御質問関係がないような話でございまして申しわけございませんので、ちょっと話題を変えさせていただきたいと思います。  いずれにしましても、もし御研究なさっていただいて、そのような不穏当なことがあるというようなことでございましたならば、これはどうかひとつ徹底的に追及していただく、私どももそれに対応することにやぶさかではございませんし、また同時にその方向で現実処理をしていきたい、こういう決意でございますから、いろいろとお教え願えればありがたいと思っております。
  177. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 きょうの新聞で、不動産経済研究所のマンション発売戸数調査の結果が報道されています。それによりますと、六十三年十月の首都圏のマンション発売戸数は二千九百五十戸、前年同月比一五・八%減ということで、五十五年から五十八年ごろの七千戸に比べると格段に少なくなっているということです。しかも契約率は六八・一%ですから、つくった分すべて売れているわけではないということでもあります。これは結果的には価格が高いからだというようなことも指摘をされております。前年同月比で二戸当たり六百二万円高いということですから、これはもう本当に大変なものだと思います。今業界では億ションヘの反省があるというようなことも聞かれでいるようですけれども、四千万円前後は非常に好調に売れているのが実態でありますので、そういう点ではやはり公的な分譲を責任を持って——高いリクルートコスモスの場合には大体億ションになるのですね。そういうようなものをどんどんつくるということは、首をかしげざるを得ないということで申し上げているわけでございます。  経企庁が昨年の九月に出された「首都圏における地価対策」では、「四十歳代前半のサラリーマンは年収の五倍、三千万円」と記述をされておりま すが、これは三千五百万円になったんだとさっき物価局長からお答えがありましたけれども、その程度が購入可能な限度額であるというような指摘があったわけであります。それじゃ三千五百万円で、先ほどの大体通勤で六十分が一番理想的なんじゃないかというようなことからいったら、もうとてもじゃないけれども手に入れることはできないということですね。  そこで、ここに私の家に入りましたチラシを持ってまいりました。私は三多摩地域に住んでおります。私自身も通勤に片道一時間半近くかかり、毎日国会に私鉄と地下鉄を使って通っているわけですけれども、私の家にはこういう魅力的なチラシが入るわけです。じゃ、これの中で庶民の収入で本当に買えるものがあるのかということをいろいろと見てみると、これは割と中ぐらいの不動産会社だと思いますけれども、裏表で八十七件あるのですが、そのうち百平米以上で三千万円程度というのはわずか八件しかないのですね。都心から、東京駅を基点といたしますと三十五キロとか四十五キロとか、そういうところしかないのです。  ちょっと地図をつくってみました。これが十キロ、二十キロ、三十キロ、四十キロ、五十キロ、六十キロ、ここまで行くと大臣のところに、山梨県でございますが入ってしまいます。それで、先ほどのチラシは大体三十キロから四十キロ、五十キロというところにずっと入ってくるということで、大体二十キロ以内というのはほとんど買えない、そういう実態であります。大手不動産のチラシを見ますと、四千三百九十万円が一戸建て住宅の最低の価格で、土地は八十八平米ということですから、これも買うのは本当に大変だと思います。それでも八十八平米ですから、さっきの百二十平米以上というのは到底届かないということです。マンションもこれは全部中古ですけれどもかなり高い、そういう実態になっています。  それじゃ、買うことが可能だというのはどこだろうかということで、先ほど物価局長答弁されておられましたけれども、もう上野原とか梁川とか、あと橋本バス三十分とか相模湖バス十分とか藤野バス四分とか、あるいは八王子の下恩方バス三十五分とか、そういうところじゃないと百平米以上のものが二千万円台で買えない。買えるところはもうそういうところになってしまっているというのが実態でございます。この点、本当に庶民にとっては一戸建ての家を買うというのは大変だし、またマンションを買うということもとても大変なんです。  ですから、先ほどの議論に戻りますけれども、一つは異常な地価高騰を招いている不動産融資、銀行の過剰融資、これがまだまだ首都圏では残っている。それについて国土庁が調査をするあるいは大蔵省が指導するといっても、どうも十分行われていない。こういう問題だとか、あるいは民間活力の導入ということで、何か高いもの、いいものをつくればいいんだということではなくて、億ションをつくっても住民の皆さんが泣かされるだけ、こういうことではなくて、庶民の手に入る分譲価格での住宅の供給、それから賃貸住宅をもっとたくさんふやしていく必要があるというふうに私は思っています。  これはある方の訴えですけれども、ちょっと読ませていただきます。   入居以来約三十年、家賃の安定した環境のよい多摩平団地に入居でき、一生を此処ですごそうと考へて居りました。   然し今回の値上通知を見てほんとうに驚きました。これでは今後の事を考へると不安でたまりません。まして三年毎の値上と云ふに至ってはどうなるか不安が積るばかりです。   たくわえもない私達は一たいどうしたらよいでせうか。今後の家賃の支払は出来ない状況です。 この方は八十歳のお年寄りなのです。そういう深刻な訴えもあります。ですから今サラリーマンにとってマイホームが遠くなると同時に、今まで住んでいる公共住宅にも住めないようなそういう状況も一方では生まれている。こういうことをちゃんと踏まえていただいて、総合的な住宅対策を進めていかなければいけないというふうに思います。  時間がありませんのでかなりはしょりましたけれども、以上の指摘に対して大臣の御所見を最後に伺いたいと思います。
  178. 中尾栄一

    中尾国務大臣 まず冒頭に、岩佐先生に以前頼まれましたたばこの喫煙の問題、ちょっと思い出しました。今閣議で、私も言う方向でございましたが、厚生大臣はよく言ってございます。  結論からいきますと、ちょっと話が食い違って申しわけございませんが、たばこの喫煙の問題は、コマーシャルのことは禁ずる方向に行くまでにステップがある。要するに、ある程度私どもとしてはたばこはいかぬということは言っても、それをコマーシャライズしていくことは企業人がやるので、これを規制していくことは大変に難しいという点があるということを言われました。しかし、これは私も同感でございますから、さらに閣議の方向のマターとしてとらえていくつもりでございますから、お忘れなく、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  第二点の問題といたしましてあの問題でございますけれども、私は先ほど来聞いておりまして、上野原とか梁川とか、そんなところにしか住めないという、そんなところが私の選挙区でございまして、まことに申しわけないのでございますが、だんだんそういう方向にどんどん広域的に、しかも近距離になっていくのには、先ほど先生も御指摘の交通アクセスの問題も肝要なことになるかなという感じがいたします。しかし、いずれにしましても金融機関が、土地転がしをしながら金もうけをしていくという企業に対してあるいは個人に対して、いたずらに過剰融資をしていくということは厳に慎むべきである。これは私は率直に申し上げたいと思います。同時にまた、経済企画庁としては大蔵省とも話し合いながら、なおかつその方向で、地価高騰に結びついていくような所作というものはすべからく厳正に注意してくれということだけは申し上げたいと思っております。  以上であります。
  179. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 終わります。
  180. 嶋崎譲

    嶋崎委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十六分散会