○山田
委員 私が
伺いたかったのはちょっと角度が違ったのですけれ
ども、
サラリーマンの我々から見ると、我々という
言い方もおかしいのですが、
サラリーマンの
方々から見ると、要するに区画整
理事業というのは優良な宅地を造成することを基本的な目的としているわけです。しかし、そういう区画整理地内にサツマイモや野菜が耕作されていて、お年寄りがそれにかかり切りになっていて、何であの整理地内の大きな区画のところがいつまでたっても
住宅宅地として出てこないのか。何年経過しても同じような状態にある。
区画整
理事業には、実は
土地の地権者の
皆さんによる減歩という形の資産の提供は確かにあります。大
もとにはあります。しかしそれだけではなく、国から県から市から、公共施設の整備費については税金が投下されているわけです。全部とは言いませんけれ
ども、道路等の基幹的な公共施設については
サラリーマンの税金もそこに投入をされている。そして素直に読めば、主な目的は、むしろ
勤労者に優良なそして適正な価格の良好な宅地を提供しよう、あるいはそこに
住宅を建ててもらおうというような一つの
政策目的があるにもかかわらず、実際には、先ほど申し上げました租税特別措置法七十条の六、この適用を受けた農地は二十年間基本的に出てこない、やめない限り。やめればさかのぼって莫大な
相続税を払わなければなりませんから、やめられない。担保にとっていますから、この一部だけというわけにもいかない。
自治省が所管しております地方税法の附則二十九条の五による長期営農継続農地制度も同じです。十年、十年、十年で、そのつもりであればこの制度がある限りほぼ永久的に、市街化区域内の農地、しかも区画整理が終わっている農地であっても、クリの木一本植えて、あるいはサツマイモを
そこに植えて、そして十年も二十年も三十年も表へ出ない、
住宅宅地として出されてこない、こういうことになるわけでございます。
したがいまして、
大臣も先ほどおっしゃっておられましたけれ
ども、プランの段階ではない、メニューが幾らあっても、その中で何が一番有効かというところ、手をつけるところを決めるのはやはり
政治であり、
政治家であり、
政府であるということならば、一番大
もとにあるこの膨大な市街化区域内の農地というものについての規制というものをここで本気で見直さないと、これは他のいろいろなメニューを仮にどんなに議論したとしてもやはり前へ進まないのではないかという点を非常に強く私は感じるものでございます。
ですから、今、大蔵、建設、自治は済みません、こっちでやってしまいましたが、農水、それぞれの制度のそれぞれの創設の目的等は当然あったと思います。ただしかし、それが
サラリーマンに
マイホームをという大きなテーマで議論をしていきますと、一つ一つの
政策、制度というものを個々に見ればそれは間違いはないものだろうと私は思いますけれ
ども、しかし整合性がない。
サラリーマンにどうしたら
住宅を持っていただくことができるかという
観点から見ていくと、まことにこれは各省庁がよかれと思ってやっている制度あるいは法律というものがもうめちゃくちゃに矛盾してくる、ぶつかってくる。
大臣、ここが大きな問題でございます。
土地対策関係閣僚
会議あるいはその他
政府部門でもあるようでございますが、国土法の運用をどうするかという話も大事ですけれ
ども、やはりこういう細かいところにまで具体的に踏み込んで御検討いただかないと、なかなか実効が上がらないのではないか。国土法でいえば、確かに監視区域制度を設けて取引の届け出を義務づけた。百平米以上、二百平米以上の小さな
土地でも義務づけた。しかし、そこをそういう形で届け出で抑えれば、その周辺の値段がまた上がってしまうのです。そこを抑えればまたその先が上がってくるということで、やはり基本的には
土地の供給、需要のバランス、したがって、不足をしている
住宅用の
土地というものをどうしたら実効ある形で確保できるかという今申し上げたような点をぜひひとつ御検討を賜りたいし、ぜひ一つ一つ修正なり
実行なりをお願い申し上げたいと思います。
この問題はとりあえずここまでにいたしまして、それでちょっと申し上げたいのですけれ
ども、
東京近郊の都市で
調査をしたのですが、こういうことです。これじゃ農地が宅地用として出ないということがはっきりわかります。
例えば市街化区域内の農地千平米、一反ですね、三百坪。市街化区域内の農地で、A地区では田んぼは一年間に納める
固定資産税は八千八百円でいいのです。畑は五千二百円で済んでおります。市街化区域内の農地です。これは当然十年の長期営農継続農地制度の適用を受けている農地ですね。年間八千八百円、畑で五千二百円。この市街化区域内農地が同じ地区で区画整理をされた。その整理地内の農地、これも千平米、一反、三百坪、田んぼで八千八百円、畑が五千二百円。当然ですね、宅地並み課税が免除されているわけですから。長期営農継続農地制度の適用を受けているから、区画整理地内であってもそうだ。じゃ、その同じA地区の区画整理地内の
土地は、宅地並み課税がされたら
固定資産税は年間幾らかというと二十八万円、こう出るわけです。
こうなりますと、いわゆる長期営農継続農地制度の適用を受けておれば八千八百円あるいは五千二百円で済むところを、それをもし適用を受けずに保有しているということになりますと、年間二十八万円払わなければならない、こういうことになります。一番率がいいと言われている米を仮に一反歩、千平米でつくったとしても、そこから得られる収益というのはいいところ十五、六万円でございましょう。そうすると、米なんかつくっていられない、畑なんかやっていられない、やはり区画整
理事業の一つの目的である優良な宅地の造成という方向に行かざるを得ない。都市
計画法七条も、市街化区域内農地はおおむね十年以内に優先的、
計画的に市街化を図れ、こうなっているわけです。したがって、そのような
政策誘導をする、長期営農継続農地制度というものをこの際見直すということは極めて根拠のあることでございまして、合理性のある見直しであり、その時期であるということを私は強く申し上げたいと思うのでございます。
それで問題は、こういう現状を放置しておきますと、都市
計画法七条で線を引いたことが、市街化区域の農地と、あるいは農家といってもいいと思います、調整区域内の農地、農家との、余りにもひどい、目を覆いたいほどの、先ほど
大臣は
土地を持つ者と持たない者との格差という点に触れましたけれ
ども、この二つの地域の間における不公平、不公正、もうどうにもならない格差というものを追認をすることになります。あるいはそれをさらに拡大をするということになりかねない、そう言わざるを得ないわけでございます。しかも、
サラリーマンには片道二時間、三時間というような遠隔地にしか
マイホームは持てない、こういうことになるわけでございまして、
委員長、大変僣越でございますが、これはぜひ当
委員会といたしましても、改めて私がさせていただいた問題提起に対しましてさらに検討を深めていただければ幸甚である、かように存じます。
それで、特に三
大都市圏の特定市の市街化区域内の農地の面積ということでございますが、資料によりますと、これは六十一年度の資料によってちょっと私の方で
計算してみたのですが、三
大都市圏の特定市、近郊都市で指定されたところを含めた特定市の市街化区域内の農地面積は四万三千九百三十五ヘクタールございまして、長期営農継続農地制度適用率はそのうちの八五%から八六%。
首都圏では、長期営農継続農地制度の適用を受けている面積は約二万五千ヘクタール、一ヘクタールが一万平米でございますから、ずっと
計算していきますと、
首都圏の市街化区域内農地で長期営農継続農地制度の適用を受けている約二万五千へタタールを仮に全部宅地
開発、
住宅開発したとすれば、公共施設用地を三〇%とったといたしましても、一
戸建て住宅、
土地三十坪、九十九平米で
土地つき住宅が約百九十万戸建設できる勘定になります。百六十五平米、五十坪
土地つきの一
戸建て住宅なら約百十四万戸建設できる勘定になる。
冒頭私が、千代田、港、中央の三区の中に片道三時間以上かけて通ってくる方が二千人いると申しました。あるいは二時間以上が六万数千人いるという報告に基づいてお話をさせていただきました。あるいは大都市交通センサスの中で、五百八十二万
首都圏通勤者の中の約八十四万人が一時間半から二時間かけて通勤をしてくる。二時間以上の
方々が十九万人おる。合わせて百三万人ほどだ。
これは、できるできないということは別といたしまして、少なくともそうやって二時間以上とか一時間半以上とか、ましてや片道三時間以上かけて通勤をしてくるような
サラリーマンに対して、
首都圏にある市街化区域内の、
開発が望まれている、
開発を誘導すべきだとされている農地で、長期営農継続農地制度の適用を受けている、これを外せば、そういう遠隔地からの
方々の
住宅の戸数ぐらいは、平均的な
サラリーマンの年収の五倍ぐらいで都心から一時間あるいは少なくとも一時間半以内には
マイホームを供給できるはずだというふうに、
大臣、
計算としては成り立つわけでございます。ただの
計算だという
意味ではありません。これは合理的に改革をすべきであるということをやればこういうことになるということですから、極めて決断という次元に係るものでありますし、極めて実現の可能性の高い、しかも
土地問題、
住宅問題の一番
ベースにあると思われる大事な問題であるということを御
指摘をさせていただきたいと存じます。
せっかく用意したパネルですから、ぜひ
大臣にも見ていただきたいと思っているのですが、さっき区画整理の話をちょっとやりましたけれ
ども、これは見えるか見えないかわかりませんが、整然と基幹道路が切られて、そして一等地、角地が、い
わゆる長期営農継続農地の適用を受けた、あるいは二十年の
相続税の免除を受けようとして申請をして、その期間が過ぎるまでは
開発できないというところなんです。これは一等地なんです。
住宅に困窮している
サラリーマンの
方々から見れば、こういうのがあちこちにあるとすれば、どうなっているんだということに当然なりますよ、
人間の
気持ちですから。ここでおばあちゃんが後ろを向いて一生懸命お芋をつくっています。これは先ほどの区画整理地内。区画整理地内でなくても同じなんです。整理されていない市街化区域内の農地も同じ理屈なんです。
それから、もう一枚ちょっと見ていただきたいのですが、よく道を隔ててこっちは調整区域で三万円、道を隔ててトイメンが七十万円だという話を聞きますが、
大臣、これがその図なんです。この道路のこっち側が調整区域で坪約二万だそうです。こっちが市街化区域内の農地で坪五、六十万というふうに言っておりました。これがその写真でございます。
もう一枚どうしても御検討いただかなければならないのですが、これは実は今の道路を隔てた市街化区域側なんです。この道路があります。ここに中低層の
住宅があります。ここにまた民家が既にあるのです。この道路に面した手前に見える農地、これが
相続税の免除を受けるために二十年間の営農を義務づけられたというか、営農しなければ免除を受けられませんから、二十年間このままの状態、要するに営農の状態で置いておかなければならない場所なんです。私がシャッターを押したのですから間違いありません。
問題はその後ろなんです。後背に控えている農地は広大な面積なんです。そこも市街化区域内の農地なんです。これは道を切れないのです。道を切ると、いわゆる二十年の
相続税免除の制度がだめになってしまうのです。莫大な
相続税をさかのぼって払わなければならない、税務署、大蔵省が担保にとっておりますから。もし道路を切れれば、後背地の広大な市街化区域内の農地は
開発をしたいという農家の方はいっぱいいるのです。これがあるからできないのです。だから、よく県やその他の行政御当局が、もうそろそろ調整区域を少し線引きを変えて市街化区域に入れてくれよと言っても、こんなに余っている
土地がまだ市街化区域内にあるじゃないか、それがまた全然市街化されてないのにもっとふやしてくれとはどういうことだと相手にもされない。あることはありますが、やりたくても
開発できないのです。これがその写真なんです。
これをイラストでわかりやすくしたのですが、私は
大臣、大蔵省さんにもぜひ御検討いただきたいのです。
まず一点は、こっちが調整区域、こっちが市街化区域、この道路を挟んで、道路についたところにこうやって市街化区域内の農地がある。こっちの道路の方にもある。これが全部二十年間営農を条件として、担保に入れて初めて
相続税免除という農地でありまして、この中も市街化区域内なんですが、この広さが、これが解除されない限り、済まない限り
開発されない。市街化区域内にこういう形の農地が極めてたくさんあるということをぜひ経企庁長官御理解をいただきたいし、大蔵省にもこういう細かいところをよく御認識を賜りたい。市街化がなぜ進まないかというと、実はこういう
現実があるんです。
ですから私が申し上げたいのは、これは租税特別措置法七十条の六を所管されている大蔵省にぜひ早急に御検討をお願いしたいのは、
相続税を免除する制度はいけない、だめだ、全部やめてしまえということを私は全然言っておりません。言うつもりもありません。調整区域内はむしろそれでいいんです。
開発を抑制すべき
土地なんですから、これはそのままでいいんです。ただ、市街化区域内の農地にあっては、少なくともこの後背農地を
開発をしたいといった場合には、ここを切らなければ
開発できないという状況にかんがみて、これはちょっと検討してもらわなきゃならない。所定の道路幅の転用については認めていただいて、しかしそのあとの基本的な大部分の農地について、二十年たったら
相続税を免除しますというふうに変えてもらわないと、
サラリーマンのための宅地なんというのは絶対出てこないですよ。
これは時間がありませんから、もっと言いたいのですけれ
ども、僕の申し上げているポイントはわかっていただけるはずですから。要するに後背農地を
開発できるように、こういう地形のところがあったならば一部は道路で転用を認めろ、そのほかについても、認めたからといって七十条の六の適用はもうだめですよという形は緩和していただきたい、こういうふうに大蔵省さんには検討していただくように御要請を申し上げます。
いろいろまだ制度の、租税特別措置の特典がございまして、例えば租特法三十一条の三などを見ますと、千平米、一反以上の市街化区域内の農地を宅地転用の目的で売れば、長期譲渡
所得の特例を受けられまして、四千万以下の譲渡益であれば国税二〇%で済む、こういう特例を受けられるのです。それを受けた例えばこういうところの市街化区域内の農家の
皆さん、農家というか、形は農家ですけれ
ども実際にはほとんど農家じゃないのです。
大臣、農家と言えるような中身の営農はしていない。それで一反歩そういう形で国税二〇%で譲渡しますと、その一反歩で得たお金で調整区域の方を約三反買えるのですよ、価格の差からいって。三反あるいは五反買えるところも出てくる。
サラリーマンが宅地を持ちたい、
自分の
住宅を持ちたいという願望からすれば、気の遠くなるような二十年の
相続税免除、十年、あるいは継続してさらに十年、十年と繰り返される長期営農継続農地制度、これらがだんだん崩れていってというか、だんだん解除されていって、それで恐ろしく長い時間がたって、おおよそこっちが市街化されたとします、そうすると、今度は本格的に調整区域の線引き見直しをして市街化区域に入れるという話になるわけです。それが実現の運びになっていくわけです。そのときには、こっちを、優遇税制度の中で一反歩売って三反歩買っていた人たちが要するに全部買っているということが理屈として成り立つし、
現実に起こり得ると思います。これは恐ろしいことです。
先ほど
大臣のお
言葉の中に、経済
社会における資産格差というものは極めて危険であるという
趣旨の御発言がございましたけれ
ども、これは余りにもかわいそうです。ある日都市
計画法七条で線が引かれた。こちらが市街化されれば、いずれはうちの持っている田んぼや畑の方も市街化区域になるんだろうと思っている人たちの協力もあって来たわけでございましょう。ところが、実際にはこういう先ほどから申し上げておるような実態である。そして、市街化区域内の一部の農家の力のある
方々が今度はこっちをどんどん買っていく。やがて長い時がたって線引きの見直しが行われたときには、その市街化区域内に編入されるところには既に調整区域内で頑張っていた人たちの農地は少なくなっておるという、著しい資産格差というものが増大をする、こういう問題もはらんでおりますので、ぜひこれは経企庁長官におかれましても、きょう御出席をいただきました
関係各省庁の皆様におかれましても、真剣にお取り組みを賜りたい、御検討を賜りたい。今や
実行のときであるとすら私は申し上げたいのでございます。
あとは、るるございますが、この問題は……